運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-02-20 第72回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 井原 岸高君 理事 櫻内 義雄君    理事 澁谷 直藏君 理事 正示啓次郎君    理事 細田 吉藏君 理事 小林  進君    理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君    理事 山田 太郎君       上村千一郎君    植木庚子郎君       大野 市郎君    北澤 直吉君       倉成  正君    黒金 泰美君       笹山茂太郎君    塩谷 一夫君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       田中 正巳君    塚原 俊郎君       灘尾 弘吉君    西村 直己君       根本龍太郎君    藤井 勝志君       前田 正男君    松浦周太郎君       松岡 松平君    松野 頼三君       湊  徹郎君    渡辺 栄一君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤松  勇君       岡田 春夫君    多賀谷真稔君       辻原 弘市君    中澤 茂一君       中村 重光君    楢崎弥之助君       八木 一男君    湯山  勇君       田代 文久君    野間 友一君       松本 善明君    大橋 敏雄君       岡本 富夫君    安里積千代君       小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君         法 務 大 臣 中村 梅吉君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         郵 政 大 臣 原田  憲君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会         事務局経済部長 熊田淳一郎君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    喜多村治雄君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         法務省刑事局長 安原 美穂君         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君         大蔵省主計局長 橋口  收君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         大蔵省証券局長 高橋 英明君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         国税庁次長   吉田冨士雄君         厚生大臣官房審         議官      三浦 英夫君         厚生省社会局長 高木  玄君         厚生省児童家庭         局長      翁 久次郎君         厚生省年金局長 横田 陽吉君         厚生省援護局長 八木 哲夫君         社会保険庁年金         保険部長    出原 孝夫君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省畜産局長 澤邊  守君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         食糧庁長官   三善 信二君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省貿易         局長      濃野  滋君         通商産業省産業         政策局長    小松勇五郎君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         通商産業省機械         情報産業局長  齋藤 太一君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         労働省労政局長 道正 邦彦君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君  委員外出席者         法務省刑事局参         事官      根來 泰周君         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   増本 一彦君     松本 善明君 同月二十日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     阿部 助哉君   岡田 春夫君     中村 重光君   青柳 盛雄君     野間 友一君   矢野 絢也君     大橋 敏雄君  辞任         補欠選任   阿部 助哉君     阿部 昭吾君   中村 重光君     岡田 春夫君   大橋 敏雄君     矢野 絢也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和四十九年度一般会計予算昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより一般質疑に入ります。赤松勇君。
  3. 赤松勇

    赤松委員 去る一月二十八日、二月四日、両日にわたりまして、私は投機防止法に関係する諸問題について質問しました。なお、その際、質疑の未質問部分がございますので、以下、私はこれを申し上げまして、時間がありませんから、当面の所管大臣であります経企庁長官、それから、法律上の問題ですから、長官政治的解釈では困りますから、法制局長官、このお二人に、私の質問要旨を渡しますから、十分協議をして、私の質問終了まぎわにこれを御答弁願いたい、こう思います。  まず第一点は、先般の質問によって、政府買占め売惜しみ防止法については、第五条を積極的に活用するということを明らかにいたしました。その後、具体的な適用について、政府としてどんな検討を行なったか、このことを経企庁長官から答弁してもらいたい。  それから、五十六の都道府県知事指定都市の首長に調査権限を委任し、価格調査官を増員したが、その体制はどうなっておるか、その結果を報告してもらいたい。  それから、第四条の売り渡し命令等は、物資を多量に保有しているときに行なわれますけれども、しかし、多量判定基準はいかなる状態をさしていうのか、これはまだ十分に究明されておりません。したがって、この際、多量判定基準を示してもらいたい。  次に、第五条の立ち入り検査等にあたって、実際的に行政官庁内部手続はどのように行なわれるか。これはこの前、総理大臣は、総理大臣がやると言えばそれで五条が発動できるのだ、こういうきわめて非法律的なあいまいな答弁がありましたが、それでは納得できません。したがって、第五条の立ち入り検査が厳正に、積極的に行なわれるためには、どのような手続を経て実施しているのか、そのことを明らかにしていただきたい。これは、調べられる側の者の人権にも関する問題です。与党にとってもたいへん重要な問題だと思いますから、ぜひこの際、これを法律的に明らかにしていただきたい。  次に、法人の場合、売り渡し指示を受け、指示に従わない場合、売り渡し命令を受けるのは、その法人代表者であると思うが、どうか。また罰則の適用も、代表者に加えられるべきものであると思うが、この点はどうか。  次に、買占め売惜しみ防止法実施のための経費など、国民生活緊急対策に必要な経費として、昭和四十九年度一般会計に五十億を計上しております。この前、私の質問に対しまして自治大臣は、予備費として計上しておるという答弁をしましたが、後に、これは誤りでありますということで訂正してまいりました。本予算には五十億円が計上されておる。昭和四十八年度の予備費の中から、約八億二百万円が支出を予定されています。その五十億円の国と地方公共団体配分をどう考えているか。または、各都道府県指定都市への配分について、いまどうなっているか、これを明らかにしてもらいたい。  それから、これらの金の交付要領について、地方公共団体の立場からの問題点としては、一つ法律に基づいて内閣総理大臣及び主務大臣権限地方の長に委任したものであるから、すなわち、機関委任と解していいかどうか。もし機関委任であるとするならば、地方財政法第十条の四に従って、人件費調査費等を含めて、すべて国が負担すべきものであると思うが、この点はどうか。  以上数点、私はここで一問一答をやれば、おそらく数時間を要する問題でありますけれども、審議を促進することに協力する意味におきまして、私はこれを渡しておきますから、したがって、法制局長官経済企画庁長官がよく相談をして、いやしくも政治的な法律解釈をしないように、きちんとした法律的な解釈をして、そして答弁をしてもらいたい。委員長、よろしゅうございますね。——委員部、渡してください。  次に、厚生大臣にお尋ねしますが、全国には数百万人の戦災障害者が、まだ社会の片すみで泣いています。この諸君全国代表とともに、私は昨年厚生大臣とお会いしまして、種々の陳情、すなわち、これらに対する援護についていろいろ折衝しました。その際厚生大臣は、前向きの姿勢で、全国戦災障害者援護のために努力するということを私に約束をしましたが、自来、今日までどのようにこれが進められておるか。また、将来この援護について前向きの姿勢で検討する用意があるかどうか、このことをお尋ねします。
  4. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 戦災による障害者の問題でございますが、これは赤松委員承知のように、今日まで、国と何らかの身分関係ある者について、国家賠償といったふうな意味合いにおいて援護措置を講じてまいったわけでございます。ところで、国と身分関係のない一般市民戦災によって障害を受けたということについては、国は何らの措置も講じていないわけでございます。  そこで、赤松さん御指摘のように、昨年そうした方々から要望がございまして、何とかならぬか、こういう非常に強い要望がございました。そこで、そうした措置をかりに講ずるとしても、実態がどうなっているかということがわからなければどうにもなりません。そこで昨年、愛知県、名古屋市をモデル的に、サンプル的に実態を調べてみましょう、その実態がわからなければどうにもなりません、こういうことで、昨年、愛知県並びに名古屋市と連絡をとりまして、幸いに名古屋市におきましては、昨年、戦災による障害者実態調査をいたしたわけでございます。そういう障害を受けた原因が何であったか、戦争によるものであったか、そうでないものであったか、その程度はどうであったか、そうした方々生活実態はどうなっているかということを名古屋市が、まずサンプル的に調査をいたしました。その結果はできておるわけでございますが、市は、まだ公表をいたしておりません。  ただ、公表していないものを私が申し上げるのもいかがかと思いますが、多少聞いた点だけを申し上げてみますと、名古屋市におきましては、障害者手帳を持っておる方々一万五千四百四十三人について調べました。そのうち、戦災による方が二百七十三人、その比率は約一・八%ということでございます。なお、障害等等級別で申し上げますと、一級が十四人、二級が二十九人、三級が七十五人、四級が九十三人、五級が三十二人、六級が三十人と、二百七十三人が戦災による障害者であるということを聞いておるわけでございます。いずれその詳細は、市が公表をするのではないかと思いますが、そういう状況でございます。  そこで、名古屋市だけでは愛知県全体の情勢を把握できませんので、県と相談をいたしまして、名古屋市を除く県下全般について調査しましょうということになっておりまして、四十九年度早々にその実態調査をしよう、こういう手順に進んでおります。
  5. 赤松勇

    赤松委員 よくわかりました。さらにこれを全国的に調査を広げていただきたいということと、それから、ただいまは障害者手帳を持っておる者を対象とした調査でありますけれども、現に顔面、全身にやけどを負いまして、結婚適齢期の女子が結婚もできないで、今日たいへん不幸な生活を送っているということを考えてみますと、これは障害等級にも入らない、ランクづけされないために、むなしく援護から取り残されておる。これらの諸君に対する援護も、当然配慮すべきであると思うのでありますが、この点についてはどうですか。
  6. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 そこで、先ほどお答えいたしましたように、愛知県全体について来年度早々調査をいたすわけでございますが、それと同時に、いまお述べになりましたように、全国的に戦災による障害者実数がどの程度になっているのかということをやはり調べる必要もあると考えますので、厚生省におきましては、来年度において、全国的に戦災による障害者の数がどの程度であろうかということを、推計できるような調査もいたしたいと考えておる次第でございます。  いまお述べになりましたように、顔面に醜形を残した方は、身体障害者手帳を受けるというわけには実はまいらぬわけでございます。機能障害がないということで、受けられないわけでございます。しかし、そういうふうないろいろな、愛知県をはじめ全国的ないろいろな実態がわかってまいりましたときに、はたしていまの身体障害者福祉法だけで十分かどうか、いま私も確たる自信のある、どういう措置をとるかということを申し上げることはできませんが、その実態をにらみ合わせて、現在の身体障害者福祉法だけで十分かどうか、そういうことを私は慎重に考えてみたい、かように考えておるような次第でございます。具体的には申せませんが、何かしらやはり考える必要があるのではないだろうか。しかし、まず実数をつかむということが一番大事でございますから、まず、そのほうに来年度は力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 赤松勇

    赤松委員 すでに三十年もたっておるので、ぜひいまの厚生大臣の前向きの姿勢で、積極的に調査、あるいは援護等について考慮していただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。  次は、郵政省とそれから企業とが、結託というと言い過ぎかもわかりませんが、企業との間に土地売買をしました。私は、土地売買については、これは通常行なわれることでありますから、文句は言いませんけれども、この点は問題が二つある。  一つは、郵政省東洋プライウッドという合板会社ですね、それとの間に土地売買契約を結びました。ところが、この売買契約は、公示価格の約倍の値段郵政省は買っている。  もう一つは、名古屋市及び愛知県がこれを公共用地、つまり市民いこい場所公共施設をつくるために、その建設を予定しておりました。ところが、県や市に何の了解もなく、この一画を郵政省が買い取りましたために、その計画がめちゃめちゃになって、そして県議会及び市議会から、それぞれ五千万円ずつ出資をするということで、すでに議決をしておりましたところ、これが宙ぶらりんになってしまった。つまり、市民公共施設建設が不可能になった、こういう事実があるわけであります。  この東洋プライウッドとそれから郵政省との間で売却をされました用地は、約一万九千八百平方メートル、これが坪当たり三十四万円で買い取られています。一平方メートル約十万三千円です。これは、熱田神宮外苑土地開発会社というものを、名古屋財界やあるいは県、市がつくりまして、そしてこの開発計画を進めよう。もちろん、東洋プライウッド付近にはたくさんな工場がありまして、この工場も積極的に協力しようということでこの計画を進めておったわけであります。いま申し上げましたように、すでに県からは議会の承認を得て五千万円支出をしている、市からは同じく五千万円、市議会議決を得て支出をしている。そこには公式野球場を五万七千九百平方メートル、市民遊園地を三万五千百平方メートル、そのほか図書館屋内スポーツ会館サッカー場スポーツ広場、テレビ塔あるいは市民いこいの緑地、こういうものを計画しておりました。ところが、先ほど申し上げたように、この付近には東洋プライウッドのほか大同製鋼日本車輌中京倉庫日本碍子、こういうような諸工場がありまして、約九万三千平方メートルがあと地として、これが市の計画の中に入っておったのであります。ところが、郵政省がべらぼうな値段で買い取りましたために、このあと地を市や県が買い取る場合の標準価格になってしまったわけです。したがって、その計画が全面的に挫折をしました。県民、市民の間でたいへん問題が起きている。  しかも、私は郵政省建築部長をこの間呼んだのです。そうして彼にその不当をなじったところが、いや、市の了解を得てあります、こういうような答弁でございました。ところが、私が市の計画局長を呼びまして、そしてその間の事情をただしたところ、全然その了解を得ておりません。何の話もなかったと言うのです。  しかも、ここに公文書がありますけれども、名古屋は御承知のように革新市長であります。革新市長であろうと保守の市長であろうと、市民いこい場所をつくることに何も変わりはありませんが、再三再四にわたって本山名古屋市長は、郵政局に対しまして、この土地をぜひ市や県に確保させてもらいたい、市民いこい場所をつくるためにも確保させてもらいたいということを要請している。にもかかわらず、市や県に無断で何の了解もなく、かってに当該東洋プライウッドとの間に売買契約を結んで、非常に多額な、つまり、あと標準価格になるような高額でこれを買い取っておる。この間の事情郵政大臣に説明してもらいたいと思います。私は、郵政大臣がちゃんと答弁しやすいように、前もって私の質問要旨は全部言ってあります。したがって、簡単明瞭でよろしいから答弁してもらいたい。
  8. 原田憲

    原田国務大臣 お答えいたします。  この問題は、赤松さんのほうがどちらかというと詳しいと思います。先ほどお尋ねのように、東洋プライウッドという会社から、名古屋郵政局集中処理局敷地として、昨年の四十八年十月の二十四日にすべて買収を完了しておる案件でございまして、取得面積は、お話しのように一万九千八百五十四平方メートルでございます。  いま、お話しの中に価格の問題がございましたが、価格の問題は、こういう土地を買うときには、権威ある鑑定を受けて売買するのが当然でございますが、この土地売買価格につきましては、土地評価額が平均一平方メートル当たり十万六千三百五十円という評価額に対しまして、取得価格は十万二千八百円という価格取得をいたしております。また、一部交換をしておる土地がございますが、これは一平方メートル当たり五十一万五千円で、渡し価格は五十八万九千九百円でございます。こういうことで、これは、大体その評価額というものと勘案しますと適当ではないかと存ずるのでございます。  それからもう一つ問題点、このいま御指摘東洋プライウッド会社が持っておりました土地が、お話しのように、愛知県、名古屋市、それから経済界が一体となりまして、熱田神宮外苑土地開発株式会社という会社を四十三年に設立いたしまして、環境づくりをしようといたしておる土地であることは御指摘のとおりでございますが、この事業がうまくまだ進んでおりませんで、この地域は、依然として工業地域として残っております。郵政局のほうでは、集中処理局をどうしてもつくりたいということで、あちこち適当な敷地をさがしたのでございますが、なかなかございませんので、ちょうどこの話がうまくまとまりましたので取得をいたした、こういう経緯でございます。
  9. 赤松勇

    赤松委員 市のほうへは十分な了解をとってありますか。これはどうです。
  10. 原田憲

    原田国務大臣 この所有のあれは、熱田神宮外苑土地開発株式会社、こういうのが主体でございますから、ここに名古屋市、愛知県、それから財界が参加してつくった第三セクターというような半公共的な会社でございますので、これを相手に話をいたしたようでございますが、正式に公文書をもって了解は得られておりませんが、大体、あとでごあいさつを申し上げて、それについていかぬということはなかったと聞き及んでおります。
  11. 赤松勇

    赤松委員 建築部長インチキ答弁と一緒なんですよ。市のほうは全然了承しておりません。もうこのために、名古屋公園計画というものはめちゃめちゃになってしまいました。こういう点は、政府国土総合開発実態が何であるかということを明瞭に物語っておると思うのです。市や県が五千万円ずつ出資をして、そしてすでに予定地として熱田神宮外苑をつくる、図書館あるいはスポーツ施設その他をつくるという計画を、つとに新聞にしばしば発表されておる。その一画を、いま言ったような形で郵政省が買ったために、残余の土地の使用はもう不可能になりまして、この公園計画はめちゃめちゃになってしまいました。たいへん市長知事も憤慨しております。  そこで、私は、いまの答弁に対しましてさらにお尋ねしますが、しからば、ここの建設省の公示価格は幾らになっていますか。
  12. 武田礼仁

    武田説明員 公示価格は、ただいま承知いたしておりません。評価額によって買収いたしました。
  13. 赤松勇

    赤松委員 評価額によって買収するというばかな話はないと思うのですよ。大体公示価格に準じてやるべきなんだ。承知していないのはあたりまえで、実は、近くこれは公示価格がきまるわけですが、この付近公示価格を申し上げますと、昭和四十八年の一月一日現在、一平方メートルで、夜寒町というのが五万五千五百円、それから市場町というのが五万二千円、外土井町というのが五万二千円、二番町というのが四万円、六番町というのが四万五千円。それを、一平方メートルを十万三千円で買っているわけですね。倍ですよ。一平方メートルを五万円で買った場合には、約十億二千万円で済む、これを十万三千円で買っておりますから、二十億四千百八万六千八百四円というものが支払われている。倍額の値段で買い取っている。この間、どうも汚職のにおいがするというので、たいへん市民の間にも疑惑が持たれておる。しかも、あと建設については、御承知のように、もう建設不可能な状態なんですね。  政府のほうは、土地の緑化を進める、あるいは間引きをしたあとは、これを市民いこい場所にするということを盛んにいままで言ってきておりますけれども、そうじゃないじゃありませんか。そうして本山市長郵政省に——しかもこれは非常にずるいやり方をしている。建築部長がのうのうと答弁しておりますが、これは東洋プライウッドから直接買わないで、中に、形だけの豊島という不動産会社を入れた。そしてそこから売り買いしたような状態を実はつくり上げている。これは一応市のほうに届け出なければならぬということで、土地有償譲渡届出というものをつくって、そして名古屋市長あてにこれを出している。これが郵政省公文書です。そして郵政省はちゃんと事情を知っているんだ。市や県が困るという事情を知っているんだ。市民が困るという事情を知っているんだ。知った上でこういうインチキをやっているんだ。しかも、本山市長郵政省に対しまして申し入れをしております。  その申し入れを申し上げますと、この地域は、土地利用合理化の方向にかなうものであるからぜひ協力してもらいたい。公害の抜本的な解決策になるから協力してもらいたい。公的機関の施設用地が確保できるから協力していただきたい。そして東海郵政局長あてに、名古屋市長として四十八年七月十日に、この買収のうわさの出た時点で、「郵便物集配センター建設用地について 郵便物集配センター建設のため東洋プライウッド株式会社が所有する土地取得されるやにうけたまわっておりますが、この地域には、特殊な事情がありますので、本市の意見を下記のとおりのべさせていただきますからよろしくご留意ください。」こういう公文書でもって郵政省に申し入れをしている。「一、建設予定地は、将来名古屋市の副次的都心業務地として、その土地利用が図られるべき地域に含まれており、郵便物集配センターの建設適地ではないと考えること。二、建設予定地は、名古屋市及び愛知県が出資している熱田神宮外苑土地開発株式会社が定めている事業目論見書の対象区域に含まれており郵便物集配センターの建設はその事業計画になじまないものと考えられること。三、建設予定地は、名古屋都市計画事業復興土地区画整理事業の施行区域に含まれ、すでに仮換地の指定がなされており、土地の使用、建築物の建築等にあたっては市長の許可が必要であること。四、建設予定地取得の方法によっては、公有地の拡大の推進に関する法律の規定にもとづき市長への届け出の義務が生じること。」以上の四点を郵政省に申し入れをしている。にもかかわらず、郵政省は何の返事もしていない。一片の了解も市に与えないで、すでに市や県が県議会、市議会において五千万円ずつの出資を決定しておる、そういう事情を知りながら、この計画を根本的に不可能にするような、そういう政策というものは、はたして政府の政策でありますか。どうです、郵政大臣
  14. 原田憲

    原田国務大臣 いまの、愛知県と名古屋市と経済界が第三セクターをつくって、名古屋熱田神宮外苑をよくしていこうという計画は、まことにけっこうな計画であろうと私は承知いたします。  ただ、なかなか計画どおり事業が進まないというので、相当大きな計画のようでございますから、その一画の一部の土地が、こちらのほうもどこかいいところないかということでさがしさがし、さがしあぐねた結果、ちょうど話がまとまったということでございますので、行き届かぬ点があったかと思いますけれども、今後、いまお話し計画がどのように変更されるか、最初のとおりいくかどうかというところに、一つの買収のときの問題点があったんじゃないかというように私は考えるのでございまして、そういう問題と、どう言いますか、うまくマッチするような、いま伺いますと、それは適当じゃないということを市長さんがおっしゃっておるようでございますが、まわりのものとうまくマッチするような計画を立てて、何とか使わせていただけたらけっこうだ、このように考える次第でございます。
  15. 赤松勇

    赤松委員 その計画を中止せよということを私は言っているのではなくて、その一画が、いまのように集配の集中センターになれば、残余の土地はみんなだめになっちゃうのです。計画がくずれちゃうのです。だから、したがって、郵政省としてはもう売買契約が済んで登記したものだからしかたがないと思いますけれども、これから十分ひとつ考慮してもらいたいということと、それから、市のほうでほかに換地があれば、その換地を提示した場合、計画について考え直すつもりはないかどうか。つまり、建設を中止せよというのじゃないのです。そのなじまない土地に無理に建てないで、いこい場所は建てていく、他に適当な土地がある場合には、換地がある場合にはそれに応ずる用意があるか、もう一度市との間にそういう諸点について、了解工作を含みながら話し合う用意があるかどうか、この点をお聞きしたい。
  16. 原田憲

    原田国務大臣 いまの計画を、変えろということを言っておるのではないというおことばをいただきまして、まことにありがたいと思っておりますが、あとの問題につきましては、検討させていただきます。
  17. 赤松勇

    赤松委員 それでは十分検討してください。  完房長官、どう思われますか。
  18. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いまの問題は、いま聞いたばかりでございまして、郵政大臣がお答えしたとおりであろうと思います。
  19. 赤松勇

    赤松委員 時間がありませんから、次に進みます。  私は、自民党の献金問題に触れようと思ったのでありますけれども、時間がないようでありますから、また次の機会に譲りますが、公正取引委員会は、石油連盟、元売り十二社の幹部に対しまして、独禁法違反の疑いがあるということで最高検に告発をしました。この告発に基づいて、最高検は高検に対してその捜査を指示しました。東京高検は、東京地検の特捜部の協力を得てこの捜査にいま取りかかろうとしている。  ところが、検察庁の内部には、この事件は刑事事件として成立しないのじゃないかというようなうわさが流れている。これはたいへん重要なことだと思うのです。  公正取引委員会も、刑事事件が構成しないようなものをいたずらに告発することはない、こういうように思うのであります。相当の証拠固め、相当の立証することのできる証拠をもって告発したと思うのでありますが、公正取引委員長は、これに対して相当な自信を持っておりますか。違反容疑は、もうほとんど確実であるという観点に立って行なわれたと思うのでありますが、その点、どうですか。
  20. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 独禁法違反事件、その中で、いわゆるカルテルに対して告発したのは初めてでございます。したがいまして、その証拠の問題につきましても、実は初めての経験になるわけでございまして、私どもとしては、簡単に申しますれば、五回にわたる一連の価格協定、それから数回、少なくとも三回にわたる連盟の数量協定、これについては、事実そのものは確かにあった、これは確信しております。  ただ、証拠力の問題につきましては、私ども、御承知のとおり、検察当局のように令状による強制捜査というものはできませんから、黙秘権というものを行使されれば、これは一切供述は得られません。したがいまして、まあメモのようなものについて、書いた本人がそれをそのとおり認めた場合には、これは証拠になると思いますが、伝聞証拠として片づけられてしまうものが多い可能性はあります。  私どもは、ただ、いろいろな観点から申しまして、これはどうしても一つの試金石にしなきゃならぬ、非常にきびしい証拠主義を貫かなきゃならぬ、しかも、直ちに証拠収集に取りかからない場合には、証拠はほとんど隠滅される可能性がありますから、言ってみれば、こちらの手ではとても集められないものをお願いしたいという気持ちがあったことは事実でございまして、それらの点を総合いたしまして、たとえ、それが日本の刑事訴訟法上確実なものでないという点に問題があるといたしましても、諸般の情勢から、こちらの側におりますところの専門家の認定によれば、全部についての証拠は完ぺきではないけれども、証拠となり得る部分があるという、そういう判断でありましたので告発に踏み切ったわけでございまして、いまの、起訴をするに足る、あるいは足らないというふうな点は、私は間接にしか聞いておりませんで、むしろ新聞の上で知ったという状態でございます。  昨日の発表につきましても、私どもは、捜査の便宜を考えたならば、私のほうは記者会見などでしゃべるべきものでないと思いまして、捜査の妨げにならないよう事実が表面に出るまでは絶対にしゃべらないつもりでおりましたが、すでに事実が向こうで、発表ではありませんが、談話として出たということでありまして、それで記者会見に応ぜざるを得ないということで応じたのでございます。むしろ、事実を伏せておいたほうが、私どもとしてはよかったのではないかと思っておりますが、これはやむを得ないことでございます。
  21. 赤松勇

    赤松委員 法務大臣にこの際お尋ねいたしますが、先ほど申し上げたように、検察庁の内部で、ややもすればそういううわさがある。この際、正すべきものは正すという厳正な立場から、この事件をあくまで糾明するという決意であるかどうか、この際、伺っておきたいと思います。
  22. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいまの点につきましては、御承知のとおり、昨日告発を受けたばかりでございまして、これからの手順をどうするかということを、検察当局は検討しておると思います。  もちろん、御指摘をまつまでもなく、検察当局としては厳正な調査をして、適切な結論を得ることにつとめまして、遺憾なきを期したい、かように思っております。
  23. 赤松勇

    赤松委員 私は、たいへん心配する点は、いま自民党が進めておるところの参議院選挙対策として、業界に対してそれぞれ献金の四倍増、これを進めておる。たとえば、東京銀行協会に対しては二千万円の割り当てで、いままでの二・五倍、それから新日鉄に対しては割り当て八百万円、従来の五・三倍、それから石油連盟に対しましては割り当て六百万円、これは従来の三倍、それから電力に対しましては、東京電力に対して六百万円、これは従来の六倍です。それから、日立製作所に対しては従来六十万円だったものが四百万円、六・六倍、それから松下電器に対しては八十万円だったものが四百万円、五倍、東芝に対しては五十万円のものを四百万円、八倍、それから三菱重工に対しては三十五万円のものを四百万円、十一・四倍、それから住友化学に対しては四十万円のものを二百万円、五倍、三菱化成に対しましては割り当て二百万円、四十倍です。それから、昭和電工に対しては百万円、これは二十倍、三菱地所に対しましては割り当て二百万円、四十四・四倍というような、こういうめちゃくちゃな献金の割り当てを行ないまして、反強制的ともいうべき方法で、現在資金が集められておるということを新聞が報道しております。  そういう点が国民の疑惑を呼んでおる中で、今度、例の問題になっておる石油連盟、本委員会に参考人として呼ぼうとするその参考人の一人であるところの石油連盟、これに対して公取が告発をした。ところが、財界の圧力やあるいは政府の圧力で、この事件はうやむやになっていくのではなかろうか、こういうように、たいへん深い疑惑を持っています。この際、政府を代表されまして官房長官から、これに対するところの政府の態度を明らかにしていただきたい。
  24. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 二月十二日ですか、朝日新聞に出た国民協会献金のリストが出ておることを私も見ました。  これは、確かめてみましたら、一年半ぐらい前に国民協会から、計画として立案されたものであって、このとおり実施はしていない。当時の案であって、その案を国民協会が立てたものである。したがって、そのとおり実施したものでもないし、そういう計画の案であるということだけでございます。  これは、言うまでもなく政治資金の問題は、全く公明な取り扱いをいたさなければならないことは、法の規定に基づいてもよくわかるとおりでございますから、そういうことでございまして、決して強制的に割り当てて、そのとおりやったものではないということであるようでございますから、その点は明確にいたしておきたいと思います。
  25. 赤松勇

    赤松委員 官房長官だからこの程度にしましょう。  先ほどのあれはどうでした。法制局長官とそれから経企庁長官。——法制局長官です。あなたじゃないです。長官からやってください。どうも内田さんは政治的になっちゃうから……。
  26. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 赤松君の言うとおりにしますよ。(発言する者あり)そっちのヤジは困ります。(「ヤジじゃない」と呼ぶ者あり)何ですか、ヤジじゃないですか。(赤松委員委員長、あまり興奮しないで」と呼ぶ)興奮はしておりません。
  27. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど、赤松委員から個条で御質問のありました事項につきまして、私の所管いたします法律的な問題についてお答えを申し上げます。  第一は、第四条の売り渡し命令等は、物資を多量に保有しているときに行なわれるが、その多量判定基準はどういうことであるか。御指摘のように、いわゆる買占め売惜しみ防止法の第四条におきましては、「買占め又は売惜しみにより当該特定物資を多量に保有している」という場合に、売り渡し指示をいたし、さらに必要に応じて売り渡しの命令をいたすようになっておりますが、その多量に保有しているという認定は、当該特定物資の保有されております量が、当該時点におきまして、適正と考えられる在庫水準を上回っておりまして、かつ、当該事業者の取引行為に関して、売り渡しの拒否でございますとか、売り渡し数量の制限、あるいは不当な高価取引の要求でございますとか、または通常の取引量をこえる買い入れ等の行為が行なわれておりますような場合に、そのような客観的な事実に基づいて行なわれるものでございます。具体的な個別の認定は、当該指示なり命令なりを発すべき者において判断すべきものでございます。  次に、第五条の立ち入り検査等にあたっては、実際的に行政庁の内部でどういう手続をするかという御質問でございます。  第五条の立ち入り検査が、先般も申し上げましたように、行政上の強制手段として、罰則をもって間接に強制して、国民の権利を制限するような行為でございますから、これが慎重に行なわれるべきことは当然でございます。この第五条の発動の手続といたしましては、まず、立ち入り検査を当該職員に対して命ずるという内部的手続が必要でございます。この手続は、立ち入り検査をいたす職員に対しまして、口頭あるいは書面をもって当該命令権者から発せられるものでございます。この命令を出す権限は、法律上は内閣総理大臣主務大臣ということに相なっておりますが、その権限を本省におきましては、内部で部内の職員に、いわゆる内部委任をすることは妨げないと思います。命令を受けました職員は、具体的に事業所等に立ち入る場合には、証明書を携帯して、これを提示しなければならないことは、法の定めるとおりでございます。法文上には、なお規定はございませんけれども、証明書の提示とともに、本件は、いわゆる買占め売惜しみ防止法第五条による検査であるということを明らかにして、立ち入るべきものであると思います。  次に、売り渡し指示を受けた法人があった場合に、売り渡し命令を受けるのは、法人代表者であると思うがどうかということでございますが、指示をいたします相手方は、事業者が法人であれば、その法人でございます。法人が、法律上の指示という行政行為の相手方になるわけでございます。その相手方たる事業者、法人であっても、その事業者が指示に従わないという場合には、その命令を出すのは、やはり事業者たる法人を相手方として命令を出すわけでございます。もちろん法人でございますから、これは法人実在説をとろうと、あるいは法人擬制説をとろうと、具体的な行動をする者は、その法人の業務が内部でいかに処理されるか、あるいは代表権のある社長一人が行動をするとか、あるいは当該の事業所に支配人が置かれておりまして、その支配人が一定の事務については権能を有するということもございましょう。それは、法人の内部の事務なり権限なりの分配によってきまることでございますけれども、命令の相手方は、やはり法人そのものであると思います。  また、罰則の適用についても御質問がございましたが、罰則は、その行為をした者ということで、まず実際行為者というものが打たれるわけでございまして、したがって、法人の場合、先ほど申し上げましたように、社長が行動すべき場合に、その社長が売り渡し命令に従わなかったという場合には、社長が罰則を適用されることになります。また支配人であれば、その支配人が適用される。と同時に、両罰規定というものがございまして、その法人についても罰金刑が科されるということに相なります。  それから、最後の問題でございますが、いろいろ本件の事務の処理について経費が計上してあるがということに関連して、法律に基づいて内閣総理大臣及び主務大臣権限地方公共団体の長に委任した場合には、それは、いわゆる機関委任かということでございますが、まさに機関委任でございます。  それから機関委任であるとすれば、地方財政法第十条の四の規定によって、すべての経費を国が負担すべきではないかということでございます。  ところで、地方財政法第十条の四には、そこに各号に列挙をしてございまして、もっぱら国の利害に関係のある事務を行なうための経費を列挙いたしまして、そのような経費については、地方公共団体がこれを負担する義務を負わないということを規定しております。  ところが、本件の事務に要する経費は、同条には掲げられておりませんけれども、地方自治法の二百三十二条という規定がございまして、その第一項で、普通地方公共団体は、その途中を省略して申し上げますが、地方公共団体の機関が、法律またはこれに基づく政令によって国の事務を管理する場合には、その経費を支弁するという規定を第一項に置きまして、第二項で、法律またはこれに基づく政令によって、普通地方公共団体の機関に、国の事務を処理し、管理し、または執行させる場合には、国は、そのために要する経費の財源について、必要な措置を講じなければならないという明確な規定もございます。地方財政法は、この地方自治法二百三十二条の規定を受けて規定したということもいわれるかとも思いますが、そのような二百三十二条の規定もございますことでございますので、国は、地方公共団体に負担をかけることがないように、本件の事務の処理に要する経費支出については、十分に配慮をしていかなければならないと思います。  以上、法律問題についてお答え申しました。
  28. 内田常雄

    ○内田国務大臣 赤松さんから質問要旨としていただきましたうち、法制局長官がお答えになりました残りの部分を、私から御答弁を申し上げたいと思います。  まず、第一に、先般の当予算委員会におきまして、赤松さんから提起をされました売惜しみ防止法の際の立ち入り調査のやり方というものは、積極的に五条によってやるべきではないか、こういう御指摘がございまして、当時総理大臣からも通産大臣からも……(赤松委員「時間がないから、結論だけ言ってください」と呼ぶ)お答えをいたしましたところでございますので、一方におきましては、各省における価格調査官等、専任、兼任を合わせまして大増員をいたしますとともに、立ち入り検査のやり方につきましても、これを行なう場合には、原則として、第五条に基づいて、身分証明書を持ってはっきりやる、こういうことに打ち合わせを遂げ、すでに通産省におきましては、先般来行なっておりまする立ち入り調査につきましても、正式に五条の手続でやったものが幾つかあることを報告を受けております。  それから、もう一つ残りました問題は、本年度地方に交付する交付金と、明年度も同じような趣旨の予算の交付の問題でありますが、明年度につきましては、御承知のように、すでに四十九年度予算編成の際に、五十億円を経済企画庁にそのための経費として計上いたしてございます。これは予算総則に書いてあるところに従いまして、通産省、農林省、厚生省等の実際の物資所管省に、地方との打ち合わせによりまして、企画庁から予算のつけかえをいたしまして、実際に地方に交付するのは、それぞれ通産省なりあるいは農林省なりから地方に交付される、こういうたてまえで、現在のところは、来年分につきましては、企画庁がその予算の上で預かっております。  四十八年度の分につきましては、初めから予算がございませんでしたので、予備費の要求を、関係各省と打ち合わせの上行なうことにいたしまして、地方に参ります分だけで八億二百万円、これを通産、農林、厚生等に組んでございます。その支給につきましては、現在、地方に内示をいたしまして、地方の返事を待っておる、こういう段階にございます。
  29. 赤松勇

    赤松委員 たいへん私、不満で、また別の機会に質問します。  たとえば、いまの第四条の適正ということを長官言いましたけれども、適正とは一体何だという議論なども残っております。事は強制立ち入り権の問題ですから、非常に重要な問題ですから、さらに次の機会に質問したいと思います。  この際、関連質問がありますので、委員長、許していただきたいと思います。
  30. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 楢崎弥之助君より関連質疑の申し出があります。赤松君の持ち時間の範囲でこれを許します。楢崎弥之助君。
  31. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほどの公取委員長答弁の中で、たいへん微妙な答弁がありました。昨日の告発について、私はどうも検察庁の態度に割り切れないものがある。以下二、三点、時間の都合もございますから、お伺いをいたします。  先ほど公取委員長は、検察庁のほうから、どういうわけか知らぬが発表があったので、やむなぐきのう記者会見をして発表したというごとき答弁があったわけです。告発を受理した最高検次長は、非公式の記者会見で告発の事実を記者発表したという。その最高検次長の名前と、いつ告発の事実の非公式の記者発表をやったのか、それをまずお伺いします。
  32. 中村梅吉

    中村国務大臣 私は存じておりません。告発の事実のあったことだけは報告を受けて知っておりますが、記者会見をしたかどうか、承知いたしておりません。
  33. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 公取委員長はそう言ったのですよ。きのうの記者会見でも公取委員長はそうおっしゃいました。最高検の次長が非公式の記者発表をやったから、やむなくきのう記者会見したのだということです。名前と、いつ、どこで非公式の記者発表をしたか。だれでもいいです。
  34. 中村梅吉

    中村国務大臣 いま事務当局に連絡いたしましたが、すぐに調べてお答えします。
  35. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 きのう記者会見で、告発の相手である十三法人、十七人の氏名については、記者からの質問に答えて、捜査の妨害になるから言えないとおっしゃった。捜査の妨害になるのは氏名じゃないのです。告発の事実なんですよ。告発されたという事実が明らかになれば、もう関係者はわかっておりますから、直ちに証拠の隠滅をはかるでしょう。告発の事実の発表の意味がどういう重大なものかおわかりですか。おそらく、告発の事実が発表された段階で、きのうあたりもそうかもしれません、関係者は証拠の書類を隠すのにてんやわんやであったはずですよ。いいですか。  それで、そういう告発の事実を発表するというのは、本来ならば告発と同時に、あるいは告発の寸前にすでに検察庁が立ち入り調査して、証拠書類を押えて、そして発表すべきですよ。それを、あらかじめ告発の事実があったということを発表して、証拠隠滅の機会を与え、余裕を与えて、そして一方、どうですか、なかなか起訴はむずかしい、公取委員会の証拠書類だけでは、行政処分としてはいいかもしれないが、刑事責任を追及するには証拠が足らないかもしれない、それを言っているじゃありませんか。一方において証拠書類の隠滅をはかる機会を許しながら、どうも証拠書類が集まりにくい。公取の中に検察の出身の人がおるでしょう。そして、ある新聞の発表するところによれば、記者の座談会によれば、告発したいという公取の意向に対して、告発したってなかなか証拠が見つかりにくいから、事件にはなりにくいよ、ということを、その告発以前に言っておったそうじゃありませんか。つまり、最高検の次長が事前に告発の事実を、立ち入り調査する前にそういう事実を発表したということは、もうあらかじめ、どうせ不起訴になるのだ、そういう予定のもとに、事件になりにくいから、予防線を張ってやっておるとしか私は思えぬのですよ。だから私は、どうも公取と検察の間になれ合いがあるような気がしてしようがない。結果的には業者をかばうことになる。私はこの点ははっきりしてもらいたいと思うのですよ。
  36. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 最後の点について、私、お答えします。  公取と検察庁との間になれ合いがあるかという点については、全然そのことはございません。はっきり内部の事情を申し上げるのは適当でありませんので……。いままで検察庁と事前の打ち合わせをいたしました。ですから、そのいきさつをここで言えばいろいろ明らかになりますが、ただ、いま大事なことは、私どもの責任のがれを立証することでなくて、この事件が何とか、どういう捜査方法にしろ、たとえば令状が得られないにしましても、これは取り調べに時間をかけ、方法も人数も違えば、結論は出ることがあるかもしれません。つまり、いまはあるいは証拠力が薄いといっても、補う方法はあるものと私は思いますので、いままでの、なれ合いというふうなことは全くございません。むしろ、私どもは専門家の意見によりまして——専門家といいましてもそう多数はおりませんが、現職の検事もおります。それが、これは有罪になり得る、起訴するに足り得るという発言も十分私は聞いております。そういうことがありましたのでやったのでございまして、しかし、検察側が、これでは行政処分の対象にはなっても、起訴をするには不十分である、こうおっしゃったというふうな話も、それは全くうそではありません。しかし、私どもは、なれ合い云々ではありませんで、むしろ、どうしてもこれをやりたいという強い決意でお願い申し上げた、こういうことでございます。
  37. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほど、最高検次長が、あらかじめ立ち入り捜査をする前にそういう告発の事実を発表したということは、非常に重大ですよ。それで、この辺の関係はあとで明白にしてもらう。  したがって、検察庁としてはもうあらかじめあきらめておるに違いない、そういうふうに思えてしょうがないのですよ。結局は不起訴にしかならない。いいですか。そうすると、どうなりますか。証拠隠滅が行なわれれば、結局手元の資料というのは公取の資料だけですよ。公取委員長は何とおっしゃっていますか。立ち入り調査したら、非常に黙秘権を使ってなかなか証拠が集まりにくい、おそらく刑事事件としてあげるには公取の証拠だけでは不十分であると思われる。新しい事件としての立証の新事実を発見するのはむずかしいですよ、そういう態度であれば。  だから私は、ここで、その最高検次長の名前と、いつ、どこでこれを記者発表したか、なぜ発表したか、並びに、もう告発の事実が先に発表されておったら関係者はわかっておるから、いまさら名前を発表しても捜査の妨害にはならない。だから、十三法人、十七人の名前を言ってください。それを要求します。  そして重ねて、何ですか、検察庁のほうが、なかなかこの種の問題は、やみカルテルがどういうものであるか、法律解釈もむずかしい、そういうことも言っておりますね。独禁法で、違反の事実が起こって、勧告がどんどん出される、そういう情勢であれば、いつ告発されるかわからない、検察当局としては、十分、いつ告発されてもいいようにその態勢を整えておくべきじゃないですか、こういう時世ですから。それを、ああ、告発があった、びっくりした、いまから態勢整えます。何ですか、それは。しかも、法解釈に至っては、当然あらかじめやっておく必要があったのですよ。それを、いまから法解釈もやりましょう、いまから態勢も整えましょう。何ですか、その態度は。私は、今度の問題に対する検察庁の態度は非常におかしいものがある。明白にしてもらいたい。  保留をしておきます。
  38. 中村梅吉

    中村国務大臣 一言、はっきり申し上げておきます。  私は、昨日参議院の法務委員会にずっと出ておりまして、その席上に、告発がいまあったというメモが来ただけで、お疑いのような点はわれわれは全然ありません。  ただ、問題は、各省、公取にもそうでしょうが……(楢崎委員「最高検の次長ですよ」と呼ぶ)高検、司法畑にも記者クラブが各ありますから、告発があったぐらいのことは、おそらく記者方面が先に知って、会見を求めたのじゃないかと私は思うのですが、どうも記者会見をしたことは非常にけしからぬというお話でございますが、その点はあとで調べておきます。
  39. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、留保です。
  40. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 中村重光君より関連質疑の申し出があります。赤松君の持ち時間以内でこれを許します。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 公取委員長と通産大臣にお尋ねをいたしますが、いまの公取の告発に関係いたしまして、楢崎委員からの指摘があったように、非常に不明朗な点があるわけであります。さらに石連が、生産調整については通産省がヒヤリングをやった、通産省の指導によってこれはやったのであって、石連が窓口になって、生産規制とか生産調整をやったのではない、そういうことを言っている。こうしたときに、例の問題となった通産省と公取との間に取りかわした覚書なんというものに、ものをいわせようというような形になりかねない。しかし、公取委員長委員会においても言明をしたように、覚書というものは、カルテルを一切これを認めないのだということを言っておるわけでありますから、その生産調整については、自信を持って公取は対処し得るであろうということを私どもは考えているわけであります。  その点について、事実関係でありますから深く追及をいたしませんが、確信のほどをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  42. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通産省といたしまして、公取の告発を受けたような、やみカルテル、あるいは数量カルテルについて関与したことはございません。  やみカルテルにつきましては、公取の告発によりますと、四十七年から四十八年にかけて五回あったということであります。それから数量カルテルにつきましては十月初旬ということであります。中近東戦争が勃発しましたのは、たしか十月の六日ごろで、われわれが石油の削減を通告されて、それでいわゆる緊急対策本部をつくって緊急措置に入ったのは十一月十六日からであります。数量制限したとかなんとかということは十月初旬のことであって、十一月十六日以降は、公取ともいろいろ相談をして、そしていろいろな措置をいたしましたが、それ以前のできごとでありまして、通産省は関与しておりません。  それから、通産省は石油関係の法律に基づきまして年度計画をきめます。そして、需給の各社ごとの届け出を受け、年度計画並びに半期ごとの計画を持っておって、そして各社の届け出についていろいろ指導することはあります。これは石油関係の法規に基づいて行なえることであります。したがいまして、去年におきましては、秋以降灯油が不足するというので、これは夏から灯油を増産させなければいけない、そういう意味におきまして、各社別に灯油を増産するように、そして蓄積をして秋に備えるようにというような指導をしたことはございます。これは油種別に特異の問題について、一つ一つ各社ごとに指導したのであって、横断的に各社に、通産省が公取に疑われるようなことで指導したということはございません。
  43. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 石油連盟が行ないました数量カルテル、これについて連盟側が、石油に関しては石油業法があり、他にいわゆる石油二法と称するものがある、独禁法があるので云々ということを現在の会長の方が言っておられる、それは私はテレビなどで知っております。しかし、これは私ども、言いのがれにすぎないと思うのです。通産省がそう事こまかに指導したという事実は、私どもは実は把握しておりません。  ただし、全体の年度計画、それから上期、下期に分けた総量の需給計画というものを立てる、これは石油業法に基づくと思いますが、四十七年度の下期分から、八年度の上期、下期、この三回に分けて立てておる、その中身を完全に各社別に割り振っております。つまりシェアを固定化しております。四十八年度に入ってその計算の方式まで——これは計算方式を業界でつくっておるわけです。その計算方式を変えています。こういう事実はありますので、これは明らかに、競争をしない、非競争状態をつくるわけでございますから、この辺は覚書とはむしろ関係なしに、それ以前からあった問題でございまして、これは明らかに、私どものほうからいえば独禁法違反である、こう認定したわけでございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣に伺いますが、メジャー三社が、石油の値段を上げなければ、供給削減であるとか、あるいはまた供給の停止をやることもあり得る、そのような通告をしたということが報道されておりますし、また商工委員会において、メジャーから何らかの申し出があった点に対して、通産省がこれを裏づけるような答弁をされたように記憶をいたしております。そうした事実があったのかどうか。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日本に石油を供給しております外国の大石油会社の一部の者が、通産省に対しまして、メモランダムというような形で、陳情に類する書類を持ってきたことはございますし、また、当省の次官あてに陳情書を持って来た例はございます。  その内容は、欧米の各国において石油の値上げはすでに実施されておる、日本が凍結をいつまで続けるのか不安にたえない、もし凍結が長引いて、採算を割って、経営が苦しくなるというような場合には、供給事情にも障害が出てくるという危険性がある、そういう程度の実情の陳情はありましたけれども、それがために、供給を減らすとかストップするとか、そういう脅迫めいたことはございません。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣は、石油製品の値上げに対して、物価対策の立場から、あるいはまた、石油業界が便乗値上げをして、もうけておる、これを吐き出させなければならない、したがって、この凍結はできるだけ長引かせるようにしたい、だがしかし、メジャーのほうから、安定供給について問題になるような申し出があっている、その点も配慮しなければならないということを、暗に、近く石油製品の値上げをそのためにしなければならないというような意味の答弁をされたのであります。  いま、あなたは陳情と言われたのだけれども、明らかにそれは通告じゃありませんか。一業者が国に対して脅迫じみた申し出をするということはまことにけしからぬと思う。便乗値上げに対しては口をつぐんで、何もメジャーは言わなかったでしょう。メジャーの石油支配、市場支配というものは、これは御承知のとおりである。私は、この石油というものは産業の血液である、人の生存というものに欠かすことのできないものなんだ、したがって電気やガスの料金と同じように、石油製品の値上げに対しては、なぜに値上げをしなければならないか、その経理内容についても公開をさせる必要がある、石油業界に対してこれを義務づける必要もあるのではないか、こう思います。  その点と、明らかに脅迫である、そのように私は解するわけであります。また石油消費国会議におきましても、メジャーのあり方というものが相当批判されている。この決議文の十二条にその点も明らかになっているわけでありますから、大臣はもうあえて陳情なんというようなことではなくて、き然たる態度をもって臨む必要があるわけでありますから、その真相を明らかにしておいていただきたい。  以上の二点について伺いたい。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石油関係の企業は、昨年十一月、十二月の値上げ等につきまして非常に国民からの疑惑を受け、公取からの調査も受けておるわけでありますから、これらの疑惑を国民の前に解明して、そうして納得する状態にしなければ、値上げすることは非常にむずかしい。行政的にも、われわれとしては慎重にしなければならぬところであると思っております。したがって、昨年の十一月、十二月におけるもうけというものを全部吐き出させる、そうして石油会社も国民と同じように苦労し、努力して、同じような苦労を味わっているということを国民に納得させなければ国民は許さないだろう、そう私ら思いまして、そういう関係から、できるだけ凍結の時間を長引かせる、そしてその間に、もうけを全部吐き出させる、そういうことをやろうと思って、いまその関係でいろいろ作業しておるところでございます。  それからメジャーにつきましては、御指摘のとおりワシントン会議のジョイントコミュニケの中にも、国際石油資本の役割りについて詳細に検討するというような文章が、たしかあったと思います。これは西欧及び日本からも、いわゆるメジャーの動きについて非常な疑惑がかけられている。私も、大平外務大臣に対して、ワシントン会議へ行ったらこの問題を強く主張してくれ、エクソンの会長は、アメリカの国会で、このもうけは東半球で得たんで、アメリカ国内から得たのではないという証言があったということを、私、調べてみまして、それは非常にけしからぬことである、この問題についても究明してもらいたいということを、外務大臣に依頼したわけであります。そういう結果から、ああいうジョイントコミュニケの中の一節が出てきたのだろうと思います。  われわれは、現在の日本の立場からしますと、入ってきている油の六割は、国際石油資本に依存しておりますし、また国際石油資本というものは、ある意味においては、なかなかしたたか者でありまして、そしてやはり採算によって動くという可能性がなきにしもあらずであります。しかし、一面において、日本のこの巨大なマーケットを失いたくないという面もまたあるだろうと思っております。そういう点をよくわきまえて、長い、安定した商売関係をこれからも持続するように、彼らをわれわれは説得して、合理的な措置を行なえるように今後も努力していきたいと思っております。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 第二点の、この際石油製品の値上げについては、これは公益事業と同じような扱いをして、経理の公開をする必要がある、私はこう思います。いま大臣お答えのように、日本は三億トンの原油を輸入している、その六〇%はメジャー。なるほど、それによって日本も助かっているでしょう。だがしかし、メジャーは日本を最大の市場としている、もうかってきている。にもかかわらず、弱みにつけ込むような、そういったけしからぬ態度というものは、これは仮借なく、き然たる態度をもって臨まれる必要があるということを申し上げておきます。  それから、いまあなたは、できるだけもうけを吐き出させるために値上げを引き延ばす必要がある、また、商工委員会におきましてもそういうお答えがあったわけです。ところが、月内に五〇%から六〇%を上げる必要があるというようなことを言っておられる。また、石油業界が勧告を受け入れるにあたって、石油連盟と通産省との間に何か話し合いができている。石油製品の値上げをするということについて暗黙の了解がなされて——暗黙か何か知りませんけれども、そのためにこの勧告を受け入れたというような報道もあるわけでありますから、この際、はっきりしておいていただきたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石油連盟が勧告を受け入れるについて、石油の値上げというものを取引して、それで勧告を受けさせたということは絶対ございません。これは石油連盟独自の考えでやるべきことであり、通産省は何ら関与しておらないところであります。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありませんから、途中になるかもしれませんが、通産大臣は、九ドル原油になった場合、これを上げなければならないというように考えていますか。
  51. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 一月一日以降上げられたものは、公示価格といわれるものが、大体十一ドル六十五セントであります。したがいまして、それによる実勢価格はたぶん九ドル前後になるだろうと考えております。ミナス原油などは十ドル八十セントしておりますから、全部そういうものを平準化いたしますと、たぶん九ドル前後、九ドル強になるだろうと思われます。  そうしますと、目の子算用で考えてみましても、十二月における石油の値段と一月以降の新しい高い石油の値段の開きは約一方円ぐらいに、これは元売り価格の部面で出てまいります。これはもっとも目の子算用でございます。いま石油を一日八十万キロリットルぐらい使っておりますから、新しい原油だけを使いますとすると、一万円と八十万キロリットルかけると八十億円ぐらいの落差が出て、赤字が出てきておるわけであります。  それで古い石油は、だんだんなくなってきまして、新しい石油を使う量が次第次第にふえてくる。そうすると、ある時点を越しますと赤字が出てきて、それがずっと累積して、その額がどんどん広がっていくという数字になります。その辺を、いま各会社ごとに、どの油を幾らで引き取ってきて、それが会社ごとに全部で幾らとなるか、全部当たっておりまして、そして、全体の時期、基準というようなものを、いまどの程度に考うべきかということを作業しておるわけであります。その作業する過程におきまして、まるっきり新しい石油を使えば一日約八十億円の損になるわけでありますから、そういう時期を引き延ばすことによって、十一月、十二月等の利益は吐き出させてしまう。日をおくらせれば、それだけ全部吐き出してしまうわけであります。そういうことを明らかにしつつ、どの時点に、どの程度やったらいいかということをいま通産省でも検討し、それから政府の部内におきましても、これは物価全体、場合によっては産業構造にも影響することでございますから、いま検討し合っている、そういう状態でございます。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 私は、あとの関連の際にも、また関連をしてお尋ねしたいと思っているんだけれども、いま入っているのは、安いときに入った原油と、それから高くなってから入った原油と一緒になっているんですね。ですから、約六ドル程度の原油が入っているんです。いまお答えになりましたように九ドル原油になりましても、最も高いといわれているところのガソリンにいたしましても、九ドル原油が、これはCIFになりますと五十セントですから九ドル五十セット、これをメーカーの利益というものは、上半期平均で一キロリットル四千六百二円の販売経費であるとか、あるいは関税であるとか、精製費というものが入っているんですね。これが若干上がりまして、十二月現在では五千五百十七円というのが、いま申し上げた管理費であるとか、あるいは関税であるとか、それから精製費になっているでしょう。これを引き直してみると、九ドル五十セントになりましても、メーカーの利益はこれに入っているわけでありますから、卸の利益をかりに一リットル十五円ということにいたしまして、小売りが十八円ということになりましても、このガソリンの小売りの販売価格は八十三円四十銭になる。いま八十五円で売っているんですよ。  お答えになりましたように、いまの値上げの最高の価格、二月の末あるいは三月になりましても、かりにこの最高の価格で入るといたしましても、ガソリンは一リットル八十三円四十銭で販売できるというんだ。これをなぜに上げなければならないのか、なぜにこういう価格になっているのかということです。  申し上げておきますが、ガソリンというのは、この石油騒動が起こります際は、小売りは八円の利益であった。それを一挙に便乗値上げをいたしまして、いま三十円の利益になっているんですよ。灯油等もあります。しかし、灯油にいたしましても、三百八十円店頭渡しにいたしましても、これもただ利益が薄いというだけで、利益はあるわけなんです。一番高いといわれている、もうけも非常に多いといわれているガソリンにいたしましても、九ドル原油になりましても上げる必要はないということが、数字となってあらわれてくるわけなんです。これでも上げる必要があるのかどうか。  これはあなたは慎重な答弁をしておりますけれども、通産省に参りますと、九ドル原油になったらばたいへんな赤字になるんだ、だからしてこれを上げなければならないんだと言っているんだけれども、上げる必要はない。便乗値上げというものを絶えず続けさしていくのか。あなたが、これを吐き出させなければならないということになるならば、私があげた数字によりましても、これは上げる必要がないのだということがはっきり証明されると思いますが、いかがですか。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原価の内容につきましては、石油部長から御答弁申し上げます。
  54. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣が申し上げましたバーレル九ドルという議論は、精製メーカーのいわゆる元売り仕切りの際の原油価格のFOB価格でございます。いま先生が御指摘されました問題は、つまり、卸それから小売りの段階での価格をどうするか、こういう点かと思います。  先ほど御指摘の、原油価格が昨年の六月ごろから年末、それから年が明けまして、月ごと金額が高くなってまいっております。価格が上がってまいっておりますが、その間に、元売り仕切り価格も、それに対応いたしまして価格が上がってまいってきておるわけでございます。統計上見ますと、御指摘の五千円前後の費用が精製費用、関税その他管理費、販売費というような価格になっておるかと思います。いま私どもが凍結をいたしまして、現在価格値上げ問題についての厳密な査定をいたしておりますのは、一月に入りましての新しい油の価格が、実際にどういう価格で現実に日本に輸入されているか、その価格の上に立ちまして価格を査定いたしまして、妥当な価格をつくる、こういう考え方でいま作業中でございまして、これはいわゆるメーカーの段階での価格の査定の問題でございます。  今後の卸、流通段階での価格のあり方の問題につきましては、メーカーの値上げの問題とあわせまして、いやしくも便乗値上げが行なわれないように、厳重な姿勢で私どもは臨みたい、かように考えております。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたのほうで鋭意検討しているのだというのは、そんなのはおかしいのだ。一月一日からこの値上げを明らかにしている。そうなってくると、二十二日したらここに入ってくるんだから、古い、安いときの原油と、新しい高くなった原油というものが入ってくると幾らになるということははっきりしている。私が計算ができるのだから、専門家の通産省ができないはずはないのだ。通産大臣が言われるように、これはあなたがはっきり五〇%、六〇%上げますと言ったわけじゃないのだけれども、こういうことが報道されている。また、あなたは委員会においても、そういったような意味の答弁をしておられる。いまのガソリンなんかにいたしましても、五〇%を上げるといたしましたら、百二十三円五十銭になってしまうのです。かりにいままで八円であったものを二十円小売りがもうかるということにいたしましても、あるいは卸にいたしましても、十二円四十銭もうかっておったのを十五円もうからせるようにいたしましても、八十三円四十銭で売れるんだ、この九ドル原油になった場合。  だから、上げる必要というものは全くない。もうけを吐き出させるというならば、こういうことをしさいに検討されて、そしてこれを押えていく、そういう態度でなければならぬということをはっきり申し上げておきます。  あなたのほうの出ておる数字を根拠にして私は積算をしているわけだから、間違いないのだ。これから先も便乗値上げをずっと認めていくのか。あなたが委員会において答弁されたように、これを吐き出させる、これは国民にあなたが公約されたわけなんだから、そういう考え方でいかれるならば、上げる必要はないということをはっきり申し上げておきたいと思います。  時間が参りましたから、私はあとでまた関連して……。
  56. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 田中武夫君より関連質問がございます。これを許します。田中武夫君。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 一言だけ法務大臣と委員長に対して、要望といいますか、それを申し上げておきます。  先ほど楢崎委員質問に関して法務大臣はあのような答弁をなされましたが、私的独占禁止法の七十四条には、検事総長は、いわゆる公取の告発を待たなくとも、独禁法違反の事実ありと思料するときにはやらねばならぬという規定があるのです。その点についていま楢崎委員は、検事総長というか検察庁の態度は、はなはだけしからぬと言っておる。その条文に関連して、何か言うことがあったらお答えを願います。  同時に、委員長、この楢崎質問は重要でありますので、後刻、理事会において、もっと話を詰めたい。これは独禁法七十四条という法律の根拠のの上に立っての論議であることを御了承願いたいと思います。
  58. 中村梅吉

    中村国務大臣 先ほど楢崎委員の御質問に保留した点がございますが、さっそく電話連絡で確かめましたところ、昨日十二時三十分ごろ、長富最高検次長検事のところへ司法記者クラブの連中が約十人ほどで押し寄せてきまして、公取から告発があったそうだが、記者会見をしろ、こういうことであったので、会見をして一応の説明をした。独禁法の三条と同じく八条で告発があった、そこで告発の対象はどうかということであったので、約十二社ほどである。しかし、個人の名前はこの場合差し控えておきたいというようなことで、ごく短時間の会見をしたそうでございます。先ほど私が想像で申し上げたとおり、長富次長検事から自発的に記者会見したのではなくて、新聞記者のほうで、どこでかぎつけたか承知をされて、押しかけてこられたので会見をした、こういうような事実でございます。  それから、ただいまも、最高検の検事総長は、独禁法の違反の事実があったならば、自発的に捜査できるではないかと田中さんからお話がありました。独禁法にそういう規定があるというお話でございましたが、それは確かにその規定があるようでございます。しかし、検察当局としては、おそらくよそがやっておることをそうむやみに、よほど自信を持たない限り、踏み込んで捜査をするということはできなかったろうと思うのです。今度告発がありましたから、今後は厳正に捜査をいたしまして、公取で集めた資料のほかに、検察当局も独自の判断で捜査を開始して結論を得ることになるだろう、かように思っております。
  59. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 田中武夫君より、ただいま委員長にあてて、理事会で研究せよというお話がございました。さよう理事会で研究することにいたします。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 委員長、一言……。
  61. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 時間が来ております。——特別に許します。楢崎弥之助君。
  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 法務大臣、私が重要に考えているのは、この告発の事実を発表するという行為ですよ。それがどういう意味を持つか。記者諸君からせめられて発表するようなことなんですか、こういう重要な問題を。私は、これはその責任は非常に重大であると思うのです。したがって、最高検次長は、どういう考えで告発の事実を発表したのか、私は真相を明確にする必要があろうと思います。この真相の明確化については、理事会におまかせをいたします。  それから、告発した相手の十三法人十七人、この氏名を発表してくださいと私はさっき要求した。もはや捜査の妨害にはなりませんよ、告発の事実を発表しておる以上。だから、それを明確にされたい。それが先ほどの要求の二番目です。  そして三番目に、中曽根大臣、先ほど中村委員がいろいろ質問をいたしましたが、あなたはこの今度の告発事件について、通産省としては独禁法違反の共同正犯には絶対ならないという自信がありますか。それが一つ。もし共犯の疑いが持たれたら、あなたは責任をとりますか。その二つに対して……。
  63. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 われわれは、公取当局とも今度の石油の緊急対策につきましてはいろいろ打ち合わせをし、相談をしてやっておるのでございまして、共同正犯というようなことにはならないと確信しております。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ、あと理事会におまかせします。
  65. 中村梅吉

    中村国務大臣 ここに告発状のコピーがありますが、もう新聞に出ておりますので、申し上げても差しつかえないと思いますけれども、石油連盟会長、それからあとは個人として、密田博孝、滝口丈夫、武信光、脇坂——失礼いたしました。いまの告発状は、石油連盟のほうの告発状でございます。そのほか、個人といたしましては、出光興産代表取締役石田正実、日本石油滝口丈夫ですね。それから太陽石油青木繁良、あと名前だけ申し上げますが、密田博孝、宮森和夫、森——それでは、便宜会社名だけ申し上げたほうがよくわかると思います。
  66. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 じゃ政府委員、君、読め。
  67. 根來泰周

    根來説明員 被告発人は、出光興産株式会社、同じく日本石油株式会社、同じく太陽石油株式会社、同じく大協石油株式会社、同じく丸善石油株式会社、同じく共同石油株式会社、同じくキグナス石油株式会社、同じく九州石油株式会社、同じく三菱石油株式会社、同じく昭和石油株式会社、同じくシェル石油株式会社、同じくゼネラル石油株式会社、それに石油連盟でございます。(楢崎委員「名前を言ってください」と呼ぶ)
  68. 中村梅吉

    中村国務大臣 いま事務当局が申し上げた会社代表者でございます。(楢崎委員代表者というのは、会長ですか、社長ですか、だれですか」と呼ぶ)
  69. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 楢崎さん、確かにいまとなっては名前を発表してもいいのではないかという御意見でございますが、いま法務大臣が読もうとしたときに、事務当局が実はとめたような形になっております。会社代表者とおっしゃいましたが、代表者ではありません。代表者ということは、代表権を持っている社長あるいは会長ということになりますが、それではないのです。ですからその点は、私はいまの段階になりましても、これは純粋に司法当局、検察当局ですね、いま法務大臣はそれは検察当局と関係が深いですけれども、そうではなくて、司法当局自体がこれを公表していいというふうになった段階でやることをお許し願いたいのです。これは捜査上の影響が多少残っております。だれが告発されたかということは、確実には会社内にわかってないのです。ですから、いまたまたま代表者と言ったときには、代表者であると、それは間違いを起こす、社長になりますから。ですが、それは社長でない者が多いのです。しかし、さりとて、課長などは告発しておりません。だれに来るかということは、司法当局自体、法務省ではなくて、最高検以下が、いま発表したこと自体、告発を言ったこと自体に、はたしてどういう感じを持っておられるのか、私わかりません。わかりませんが、しまったと思っておるかもしれませんので、人間の名前をこの場で公表することは、法務大臣に御要求というよりは、法務大臣が検察当局と相談の上で発表されるということなら、そのほうがいいのではないかと思うのですが、いましばらくごしんぼう願えないでしょうか。私はそのようにお願い申し上げます。(楢崎委員「何のことかさっぱりわからないのです」と呼ぶ)
  70. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 わかります。ちょっと待ってください。  捜査上について……。
  71. 中村梅吉

    中村国務大臣 訂正しておきます。  私は代表者だろうと思ってそう申しましたところが、実際にはそうじゃないようです。ですから、その点は取り消しておきます。(楢崎委員「あなた、さっき氏名を読まれたのは間違いですか。半分読まれたでしょう、氏名を」と呼ぶ)
  72. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 会社を読んだのは間違いないでしょう。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は法務大臣にお願いしたのです。公取委員長にお願いしたのではないのです。公取委員長が、法務大臣はしゃべるべきではないというような意味の答弁をなさるとは何事ですか。私は承諾できませんよ、こういう答弁のやり方は。だめですよ。何を言っているのですか。
  74. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。先ほどの根來事官おいでですか。——会社ですか、何ですか、読んだのは。
  75. 根來泰周

    根來説明員 ただいま私が申し上げましたのは、告発された会社でございます。会社名でございます。
  76. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そこで申し上げます。  捜査上の問題等もあると思いますので、理事会で研究して、納得いくようにいたしたいと思います。  これにて赤松君の質疑は終了いたしました。  次に、阿部哉君
  77. 阿部助哉

    阿部(助)委員 官房長官は何か御都合で退席されるそうですから、まずその問題から入りたいと思うのであります。  去る二月の四日に、総理以下全閣僚が出席をされまして、経済界の代表八十五人ですか、これを集めて物価問題に対する会談を行なった。新聞、テレビはこれをたいへん大きく報道をされておるわけでありますけれども、その席で田中総理が行なったお話の中で、異常な事態が続けば産業界への公権力の介入が不可避となると述べ、国税職員による一斉調査も辞さないというような趣旨の発言をされておるように各新聞は報道しているわけであります。  そこで、総理おられないから官房長官にお伺いしたいのでありますけれども、国税職員がどこに立ち入り、何を調査するつもりなのか、これをまずお伺いしたいのであります。
  78. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いま御指摘のとおり、財界との懇談会の席上におきまして、物価抑制、物価を引き下げる指導も強力に政府としてはやります、なおまた民間各界の協力も得なければならぬ、こういういろいろな諸般の措置を講じても、どうしても実効があがらない場合には、国税調査の一環として、税務署、国税庁職員による一斉調査も辞さぬ考えである、こう申したことは事実であります。たとえば、便乗値上げをして不当な利益をもうけている業者等があるという通報を、場合によってはしてもらいたい。通報があった場合には、その通報に基づいて国税庁の職員をして調査をさせます、こういうことでございますし、また、ほんとうならば、年度末の決算申告をもって、その申告に基づいて国税庁の職員が調査するのは、これは当然でありますが、もしそれに至らない場合においても、一般の人たちが、あそこの業者、あそこの会社は非常に不当な利益をもうけているという通報もいただきたい。もし通報があるならば、その通報に基づいて、物価値下げに対しては、やむを得なければ国税庁の職員もこれに協力させなければならぬ、こういうことを申したのであって、むちゃくちゃにどこでも手当たり次第やるということを申したのではございません。
  79. 阿部助哉

    阿部(助)委員 むちゃくちゃにやるわけじゃない、こうおっしゃるけれども、あなたのお話はたいへんむちゃくちゃなんですよ。  それならお伺いしますけれども、これは大蔵大臣でも、あるいはまた国税庁のほうでもよろしいのでありますけれども、一体税務職員というのは、そういう一般的な物資の在庫調査とか、そういうものをやる権限というものは、どこから、第何条にその権限が委任されておるのですか。法人税に対しては、これははっきりと規定があるわけです。それにかかわらず、一体何条でそれをやろうとしておるのか。法人税法の場合には百五十三条から百五十六条にちゃんときめてある。役人はオールマイティーではない。やっていいこと、やらなければならないことということは、特に税法、国民から税金を取り上げる、あるいは警察権、こういう場合には厳密に規定してあるのは、これは民主主義国家の常道なんです。それを、いま官房長官おっしゃっておるのだけれども、大臣でも国税庁でも、これはどういう権限で、どういう法令でそれをおやりになるのかお知らせを願いたい。
  80. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま阿部さんのおっしゃることは、もう重々私ども心得ております。  税務官庁は税務を執行するだけの権限でありまして、あるいは隠退蔵の問題でありますとか、あるいは買いだめ、売り惜しみでありますとか、そういうものを調査する権限は持っておりません。  ただ、いま私お聞きしておりますと、官房長官は、隠退蔵がありそうだ、あるいは便乗値上げがありそうだ、そういうような事実がわかった場合に、どうも税務との関係が出てくるのじゃないか、そういうようなことで税務当局に、そこに脱税の気配があるというような通報を受けた場合に、税務当局が税務の立場から発動する、こういうようなことを申しておるのだと思います。したがって、税務当局が企業に接触をする、個人に接触をする、それはあくまでも税務の執行の範疇を出ない、かように御了承願います。
  81. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大蔵大臣は一面非常に官房長官をかばって、税務云々、こうおっしゃっておるけれども、だから私は何条でそれができるのかと言ったら、できないと後段おっしゃっておる。これはできないのですよ。ほんとうはできないことを総理も御承知の上で、またできないことを知らないでやったとすれば——こうやって新聞は各紙とも大きくこれを報道しておる、国民はいまの物資の買い占め、隠退蔵に対して怒りを持っておる、それにうまくこたえるかのようにおっしゃっておるけれども、おそらく総理も知っておられる。知らないのは官房長官ぐらいのものじゃないですか。財界のほうもそんなことはないだろうと知っておる。ただ国民だけがわからないで、これに大きな期待をかけておるだけなんじゃないですか。こんなことはできないですよ。なぜできないようなことを、こういう大言壮語をして国民を惑わしておるのか。  とにかく超過利潤を吐き出させるとか、先ほど来お話しのように、石油資本のめちゃくちゃなインフレ利得を吐き出させるなどというようなことをおっしゃるけれども、現実は一つもやる気がない。やれもしないことを大言壮語しておる。やれることは幾らでもあるのです。それをやらないで大言壮語するという点で、私はほんとうはこれは総理に、はっきりとここで、国民の前に明確に総理からお答えを願いたいのだけれども、官房長官、いかがです。
  82. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 阿部さんがおっしゃるとおり、私は税務行政、法律はあまり詳しく知りません。しかし、いま世論の動向を見てみますと、たいへんな不当利得をもうけておる業者がたくさんおる。国民の怒りも爆発しておる。だから、この物価抑制というのは、政治における最大の問題であるから、政府はやることはやりますよ、民間も協力してもらいたい、そしてまた、不当な利益をもうけておるものが許されるはずはないのですから、ですから、そういうものがあったならば、ひとつ通報もしていただきたい、税務署にもお願いをして、そしてその通報に基づいて調査をすることができるのではないかというあさはかな私の考えからそう申し上げたのでございまして、阿部さんは専門家でございますから、もしそういう方法があったらここで教えていただけば、私も勉強ができますが、そういう協力を求めなければならぬということは、国民の声でしょう。  ですから、そういう姿勢政府は示しておるということでございまして、まあ、いずれ機会がございましたら、総理からもまた、詳しく知っておると思いますから、お尋ねくださればいいと思いますが、私は法律はあまり詳しくございませんが、そういう国民の声がある、それにこたえなければならぬ、そういうものを許すべきじゃない、もしそういうことがあったら、ひとつ国民のほうからも、ずいぶん投書もくるし電話もくるし、いろいろな協力方の要請も毎日ございますから、そういうものを受けて、そういう業者がおるといったならば、それに対して公権力の介入もやむを得ない、政府はこういう姿勢でありますということを明確に言ったものだと思っておりますから、その点、御了承をいただきたいと思います。
  83. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はこんな問題でそう長く時間をとりたくないのですけれども、では私の言うことだけ聞いてからお帰りなさい。  いまの御発言は、私は、日本の民主主義の閣僚としてはいただけない。いま国民が買い占め、売り惜しみに非常な怒りを持っておるから、だからこれは、どの役所を使ってもいいのだとか、警察を使って税金を取り上げてもいいとか、自衛隊を使ってとにかく捜査をしてもいいということにはならぬのです。やる役所はやる役所がちゃんとあるのです。それをいままでなぜ使わなかったのだ。それを、税務署を使ってこの調査をするなどということは、一見、非常に大衆のいまの不満にこたえるかのように見えるけれども、民主主義の根底を破壊することなんです。税務署や警察にあらゆる権限を与え、あらゆることをやらしてみるということをやったら、すぐ近くのある国のように、令状もなしに引っぱってきて、すぐ軍法会議にかけるということになってしまったら、一体どうなるのです。そうじゃない。もう一ぺん民主主義の原則というものを政府が踏まえて、そうして、やる役所はやる役所があるのです。それをやる役所に十分やらせもしないでおいて、税務署職員に、やりもしないことをいかにもやるかのようなことで、国民の期待にこたえるような発言をするなどということは、国民をこれは瞞着するものだと言われてもしかたがないのであって、私は、官房長官のいまの御意見も間違いであるし、総理のこのお考え自体、私は総理に伝えて訂正をしていただきたい。
  84. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私は、そういう権力思想を持って行政をやろうという考えが政府にないということは、明確に申し上げておきたいと思います。これは税務職員だけを使って、何でもかんでもやれと言っているのではないのです。  それからもう一点は、統制によって行政をやるという考え方がないということは、しばしば総理も、この席で申し上げておるとおりでございまして、そういうふうにならないためには、国民の協力も業界の協力も求めたい、これは、しばしば申しておるとおりでございまして、何も権力を使って、警察を使って取り締まりをやればいいということだけでものがおさまる、物価が下がるということにはならない、こういうふうに理解しております。
  85. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 官房長官のいまの答えで、私は御了承を得たと思うのですが、こういうことは法的には可能なんです。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕  価格調査官というものを、いま、価格政策が十分でないというので、関係各省からずいぶん集めまして、その任命をしておる、その中に、会計経理に詳しいという税務職員をまた充当する、こういうような場合は、これはあり得ることであるということだけは、ひとつ御了承おき願います。
  86. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この点は、総理に対する質問を保留しておきますけれども……。  いま、大臣おっしゃったけれども、これは大臣、違うのじゃないですか。調査をする、この買占め防止法の場合も明らかに、まず、指定物資に限るということになっておるのですよ。そうして国税庁は、この主務官庁ではないのです。しかも、これをつくるときにある程度約束があった。税務職員はこれに使わない、これは当然使うべきじゃないのです。そういう経過を持っておるわけですよ。それを考えていけば、税務職員をこれに使うなどという発言は、あまりにもこの法律を無視し、また民主主義の原則を考えないところの暴論であって、ただ、この総理の発言は、大衆に迎合するというか、ごまかすための手段ではなかったのかという点を、私は総理からお伺いしたかったわけです。税務職員をこんなものに使う権限一つもありません。それだけを、私は念を押しておきたいと思うのです。  それで、いろいろな例もあります。皆さんの税務署の署長さんや副署長さんは、はるかにりっぱに法律を勉強しておって、こういう問題が出たときでも、政府が何とかかんとか言うけれども、税務職員は、そんなことはやらないのだから、諸君らは肝に銘じて、いままでの職務に邁進しろというような訓辞をしておる署長さん、副署長さんがおられる。これは正論であります。この限りにおいては、私はこれは正論だ、こう思っておるのです。私は、あえてここで名前を申し上げませんけれども、税務署のほうはちゃんと知っておる。知らないのか、むしろ知っておって、こういう発言をされたのではないかという疑惑すら私は持つわけであります。  それで、本論に入りますけれども、総理と財界人との会談における発言、言っておるほうも聞いておるほうも承知の上で、私は、どうもサル芝居のような気がするわけであります。国民こそほんとうにいいつらの皮、こういうことになるわけであります。  政府は、高度成長政策の失敗、これを隠すために、当面の物価問題、売り惜しみ、買い占めなどの責任で企業のほうにだけに問題が向けられておって、そしてその陰では、税金の面であるとかそういう点で、大企業のほうにたいへん大きな利益を与えておる。売り惜しみ、買い占めの、むしろ政府が穴をつくってやっておるのではないかというふうにすら私は感ぜられるわけであります。  したがって、最近、連日出る新聞の報道を見ましても、特に超過利潤税の問題等をめぐって、各新聞は、三月期の決算ではたいへんな利益の隠匿、合法的な脱税、これをするために、企業がいま悪知恵をしぼっておる、こういっておる。そして、あれほどインフレの利益、ぼろもうけしたといわれる石油会社ですら、前期に比べて減益になるのではないか、こういわれておるのであります。  これは、なぜかといえば、経理のやり方は幾つでもあり、その経理のやり方により利益を隠匿するという道があるわけであります。しかしこれは、幾つかは大蔵大臣あるいは総理大臣の決意のいたし方でとめることができるのであります。それをとめないで、超過利潤税などというものを幾らやってみたって、税金がふえてくるわけではない。インフレ利得を吐き出させるわけにはいかないのではないか。問題は、政府の決意であります。  そこで、物価安定のために全力投球をしておられるという福田大蔵大臣に、これからお伺いをいたしたいと思うのであります。  第一は、ここにあるのは新日鉄の有価証券報告書であります。まさに脱税の手本であります。この問題から入ってみたいと思うのでありますが、私は、大体三点にしぼってお伺いしたいと思います。  新日鉄や日本鋼管、石油会社などがやろうとしておる経理のやり方の変更、第二には、ドルと円の計算方法の変更、第三は、政府が税金で買い占めを奨励しておるのではないかと思われるこの税制、この三つについて私はお伺いしますから、政府は、ひとつ国民にわかるように、そして大蔵大臣の決断をひとつお聞かせを願いたいのであります。  このようにいま、先ほども最初に申し上げたように、総理大臣みずからが非常事態だというこの状態の中で、実行不可能なことを言うよりも、むしろ実行可能な点を私は申し上げます。ここに申し上げるように、これはほんとうに脱税の手本ですよ。価格カルテルで史上最高の利益をあげつつある、こういわれる新日鉄は、四十七年下期にたいへんな決算を行ないました。まず、退職給与引当金の基準を変えるというようなことをいたしまして、引当金に百三十五億円の積み増しをいたしました。繰り越し資産を一挙に六十六億円、これを償却いたしました。さらに特別措置法で三百二十八億円を損金で落としました。このために五百二十九億円が紙の上の操作で損金に落ちてしまったのです。したがって、四十七年下期の営業利益九百九十九億円、一千億に一億だけ足らないというたいへんな利益をあげた。そして経常利益は四百九十一億円あったのだけれども、税金はといえば五十四億円ですか、六十億に足らないのでありまして、私の計算に間違いなかりせば、大体一二%の実効税率ということになってしまう。いま皆さんが、三六・七五の法人税は軽いから今度四〇%にするとか、あるいはまた、超過利潤税を各党に投げかけて、そして、いまこの問題が、超過利潤税をいかにも取るかのようなゼスチュアをしておるけれども、実際大企業は、かくのごとく、この九百九十九億円、経常利益で四百九十一億、約五百億の利益をあげておって、六十億円くらいの法人税しか納めていないというこの現実、まず、この事実を大蔵大臣はお認めになりますか。
  87. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いまのお話は、企業の財務報告の数字のようですが、それが税のほうとどういうふうのからまりになりますか、どういうからまりをもってその税務認定をいたしましたか、その辺、国税庁のほうからお答え申し上げます。
  88. 吉田冨士雄

    吉田(冨)政府委員 ただいまお話しの新日鉄の問題につきまして、税務の調査内容といたしましては、個別案件でございますので、お話ししにくいのでございますが、御指摘の点につきましては、法人税法の施行令の百五条、百六条の退職給与規程の関係で、向こうのほうがそういう処理をした場合には、一般的には認めております。
  89. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私のお伺いしておりますのは……(田中(武)委員「大体、閣僚が質問者のところへのこのこと出てくるのは何事だ。用があるなら委員長なり理事を通じて話をせい。そんな不謹慎な態度をとるなら……」と呼ぶ)
  90. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 内田経企庁長官に御注意申し上げます。  質問者に真接いろいろお話しすることは、御注意願います。
  91. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私がお伺いしたのは、私がいま述べた数字が、おおむね間違いがあるかないかということであって、こまかい何千万円なんと私は言っていないので、大筋間違っておるかどうかということを聞いたわけなんですよ。間違っていないでしょう。
  92. 吉田冨士雄

    吉田(冨)政府委員 大筋としては間違っていないと思います。
  93. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ところが、大臣、その上、新日鉄は、あまりにいままで操作をし過ぎたので、今度の四十九年三月の決算では、利益を隠す道がなかなかなくなった。そこで今度は、君津工場の減価償却の方法を変える。この方法で、大体百四十億円が損金に落ちる、こういわれておる。また日本鋼管は福山製鉄所、住友金属は鹿島製鉄所について減価償却の方法の切りかえをやる。これは大企業共通のことでありまして、日本銀行でも、これをこういっておるのです。「業績好調を背景にほとんどの業種において特別償却準備金、価格変動準備金などの諸準備金・引当金の積増しが行なわれたのをはじめ、繰延資産や陳腐化資産の早期償却、会計処理の変更による臨時損失の計上など財務面の充実を図る動きが目立った。」内部留保の充実をはかるために、いろいろな、いままでの方法と違う会計処理の方法をやって内部留保をやる。裏を返せば税金を免れる、こういうことをやる、こういっておるし、各新聞も、もう最近の新聞は、超過利潤税はこわくないなんというのが出てみたり、今度の決算は、大体において増益はしないというようなことをいっておるわけです。こんな大きく新聞で、「全然こわくない超過利得税」こう出ておるのですね。こわくないのですよ。  こういう計算方法を、かって気ままにやって税金を隠していくならば、超過利得税もこわくないし、法人税の四〇%も、それほどこわくないということになってくるわけですが、大蔵大臣は、これに対して何らかの処置を加えよう、こういう決意を持たれておるのか、しょうがないということなのか、その辺の決意をお伺いしたい。
  94. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 超過利潤税の問題につきましては、とにかく買いだめ、売り惜しみだ、あるいは便乗値上げだといろいろ騒がれておる、国民がみんなこの問題に深い関心を示し、憤激している、こういうような状態でありますので、私は、何とかして超過利潤というようなものの捕捉、こういうものをしたいという気持ちなんです。  ただ、これは本会議等においても申し上げましたが、その方法論となると、いま阿部さんが御指摘のような点もありますし、また実際に、社外に経費を放出してしまうというような傾向も助長されるという、そういう問題もありまして、なかなか成案が得られない。そこで、各党において、いいお知恵はないものでしょうかということまでお願いをしておるというのが、現在の段階なのでございます。  そういう段階で、超過利潤についてどういうことをするかということは、まだきまった段階ではございませんけれども、いま御指摘の償却の方法をどうするか、そういうような税務経理の問題あるいは企業経理の問題、それは間々あることでありまして、それに対しましては、それが適正な変更であるかどうかということを税務当局でも慎重に調査をし、是認するかしないか、これをきめておる、こういうふうに理解しておりますが、その態度はいささかも変えることはない、かように考えております。
  95. 阿部助哉

    阿部(助)委員 こうした脱税決算の方法が、国民にとってどんな意味を持つのか、大蔵大臣もよく考えていただきたいのであります。大企業がこのように、これは合法的であるかもわからぬけれども、たいへんな税金隠しをやっておる。その反面、中小企業はいま、皆さんの金融引き締め、この金融難の中で、重箱のすみをほじくられるようにして税金は取られる。物価高に苦しんでおる勤労者は、天引きで税金を持っていかれる。さらに、税金すら納めない生活保護世帯等に至っては、この物価高の中であえいでおる。こういうときに、こういう形で五百億も経常利益をあげながら、わずかに五、六十億しか税金を納めない、それが日本一の大企業だ。しかも、カルテルでさんざんもうけたなどという企業をのさばらせておいて、それで皆さんが、税の公平の原則だとか、税は公平でなければならないとか幾ら言ってみたって、これは国民は納得をするはずがないのであります。その上に、利益隠蔽の手段というのがまだ幾らでもある。こういう問題を直さないで、そして超過利潤税であるとか、あるいは何とか言ってみたって始まらないのではないか。  いま国民は、ほんとうに物価高、そうして大企業の利潤圧縮、それはまた、賃金の抑圧につながってくるわけでありまして、勤労国民は三重にも四重にも苦しめられておるわけであります。法人税法、特別措置、会計処理の方法を変える、こういうような脱税装置をこわさないでおれば、ほんとうに、いまの税制そのものがどうしようもなくなるのではないかということで、私は、具体的にこれからお伺いをしますから、ひとつ大蔵大臣の決意をお伺いしたいのであります。  その第一は、会計処理のやり方についてであります。法人税法の施行令は、会計操作をする場合、その重要な手口であります減価償却の方法の変更について、あるいはまた、たなおろし資産について、有価証券の償却の方法の変更について、税務署長のほうに届け出て承認を受けることになっておるわけであります。減価償却の方法の変更は第五十二条の一項、そうして、たなおろし資産は三十条、有価証券は三十六条、これにきめられておる。ところが、先ほど申し上げた君津工場の場合のように、償却の方法を変えることによってやる、継続性の原則というものが、これが租税を取る担保である、公平の原則を守る担保である、こういわれるけれども、これを、一々その承諾を受けさえすれば変え得る。しかも、いまの力関係で、新日鉄だとか住友金属だとかいう大企業が、償却の方法を変えたい、こういったときに、税務署長がこれを断わるなどということは、いまの力関係でわれわれには想像がつかぬのであります。たいがいそれは認めるだろう。認めれば、こういうふうに金や税金が免れていく、これは簡単であります。税務署長にまかせるのではなしに、この際、この一、二年間、大蔵大臣あるいは国税庁長官から、これを、変更を認めない、いままでどおりの方法で会計処理をするという命令一本出せば、いまの法律制定云々をしなくとも、税金はある程度あがってくるわけであります。問題は、大蔵大臣が腹をきめて、一本通達を出すかどうかというだけの問題であります。いかがですか。
  96. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 阿部さんも、たぶん御承知かと思うのですが、償却の方法の変更については、税務当局は非常にうるさいのです。私も、しばしば友人等から、こういうふうに変えたいんだが、どうも税務署がうるさくて変えられないんだというような苦情を聞くことがあるわけでございますが、いま、税務当局としては、みだりに償却の方法は変更しない、こういう方針で臨んでおるわけです。しかし、ケース・バイ・ケースというか、事案によりましては、これは妥当な償却方法への変更である、こういうふうに認められる場合もあると思います。そういう場合につきましては、これを承認するということになりますが、原則としてこれを承認しないんだ、非常に慎重に扱っておるというふうに御了解を願います。
  97. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣、その程度のあいまいさで——これは税法上は税務署長の権限になっておるわけですよ。税務署長に届け出て承認を受ければいいということになっておるんですよ。  そうすると、いま申し上げたように、大企業がこれを申請したときに、税務署長ごときでこれを断わるだけの力がない。だからいま、この際、超過利潤を吸い上げよというような世論の中で、各党とも、それぞれ多少の違いはあろうけれども、それをやっておる。これは国の世論だと思う。そういうときに、大企業にこの償却の方法を変えさせるということは、私は何としても納得ができない。これは、やはり署長権限ではなしに、国税庁なら国税庁長官のところまで大企業の場合には持ってくるとかいうくらいのあれで、この一、二年、償却方法の変更は許さないということにしなければ、私は、皆さんが幾らここでうまいことを言っても、大蔵大臣が何かうまいことを言ってみたって、国民は信頼をしないし、税はもぬけのから、ざるに水をかぶせたようなものになってしまう。これは私は、福田大蔵大臣の決断をここで要求をするものであります。
  98. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大企業につきましては、これは税務署の権限ではございません。これは国税局がきめる、こういうふうになっておりますが、国税局が大企業の償却方法を変更するという場合には、国税庁長官相談をしてきめる、それくらい慎重にやっております。ことに、こういう際でありますので、特に慎重を期してまいりたい、かように考えます。
  99. 阿部助哉

    阿部(助)委員 小さいところは税務署、大きなところは局になっておる、それはそのとおりであります。だけれども、いまの大臣のように、慎重だという程度で、国税局長段階でも、私は、新日鉄だとか住友金属だとかいうふうな大企業がやってくれば、断わる力はなかろうと思うのであります。  私は、大臣が、この一、二年間は経理の方法、償却の方法は変えてはならない、変えないという通達を出す以外ないと思うのです。それでなければ、具体的に私は一つ一つ企業で、この企業のこういう償却をことしは認めるのか、認めないのかというのを、時間がいただけるならば、一つ一つやってもようございます。私は、これは通達を出して、継続性の原則を守るという、それくらいの決意がなしに、いまの物価高をとめるなんという大蔵大臣の決意は、これまた国民をごまかすだけの話ではないだろうかという感じがするわけであります。
  100. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先ほども申し上げましたが、この償却の方法は、企業によりまして、いろいろあるわけです。いろいろあるその一つを採用してきた。それが、どうも合理的でないという方法もあるわけで、そういうようなものにつきましてこれを変更する、こういうことまで阻止するというのはいかがであろうか、こういうふうに思うのです。  しかし、いま超過利潤税問題が大きな問題になっている、そういう際でありまするので、そういうものに関連しての償却方法の変更、これは、まあ合法的に税の軽減をはかる、こういうことにもつながってまいりますので、その辺につきましては、厳重にこれを阻止してまいりたい、そういうふうに考えます。
  101. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、厳重にだけでは納得ができないのであります。大体、これをつくられるとき、あなたが税調に要請をしたというか、意見を述べておるわけであります。そういうような経過を踏まえて、この特別償却というものを、あるいはまた償却制度、こういうものが、いかに日本の企業の資本蓄積に役立ってきたか。それだけに、また大企業は、この特別償却であるとか償却方法の変更ということに対して、たいへん熱心であるという点は、これは御承知のとおりなんであります。そういう経過があるだけに、私は、この際、福田大蔵大臣、勇気を出して一応とめる。それは特別の事由があるならば、特別に審査をするけれども、原則として、この償却方法の変更はまかりならぬという通達を一本出す、そして、なおかつ特別の事由がある場合は、それは国税庁長官のところまでいって検討するならまだいいけれども、一応それくらいの通達を出すことなしに、税制の公平だとか、あるいは物価の安定だとか、インフレ利得の吸収だとか、幾ら大臣が言ってみたって、それはから念仏にすぎないと私は考えるのでありまして、少ししつこいようだけれども、私は、この点は、どうしてもここで大臣の決意を促したいところであります。
  102. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま申し上げたとおり、非常に厳重にこの問題には対処しておりますが、阿部さん、私のこの場におけるお答えだけでは、どうも御理解、御納得されないようですから、どうせこれは同じことになりますが、ひとつ各国税局長に対して通達を出す、そして、問題があれば国税庁長官に禀議する、こういうふうにいたします。
  103. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、これはぜひ厳重に、特に、先ほど申し上げたような各製鉄会社等は、これによって大体四、五十億から百億、こういうものが損金に落ちていくわけでありますから、こういうものぐらいはぴしゃりととめていただきたいと思うのであります。  第二にお伺いしたいのは、いまドルが変動いたしております。そこで、外貨建て債権債務の処理についてでありますけれども、時間の都合もありますので少しはしょりますけれども、もう大臣はこのことは専門家でありますから、よくおわかりだと思うのであります。  昨年も私、ここでお伺いしたけれども、差益が出たときには差益は一つも出していかない、差損が出れば損金でございますといって落とすような経理のしかた、これを認めておったら、税金はあがるどころじゃない、必ず隠すことばかりで、変動するたびに隠していく。まあ、これは牛若丸と弁慶がやっておるみたいなもので、弁慶は政府で、目をつぶった弁慶では、牛若丸は、円が上がればこっち、下がればこっちというふうに、ひらりひらりと体をかわしていくだけであって、目をつぶった弁慶が、これは勝つわけがないのですよ。こんなわがままな経理のしかたを認めていれば、財界は、これ幸いに為替、円の変動のたびごとに税金を免れる。こんなうまいことはないのでして、これはひとついままでやったやり方を継続させる、これもまた継続性の原則を踏まえて、経理の変更は認めないということにしないと、ほんとうにこれはどうしようもない。牛若丸みたいなものですよ。皆さん弁慶だろうけれども、目をつぶっておる弁慶なんだから、これはどうしようもない。国民はどうかといえば、十字架に張りつけになったまま、苦しみながら見ておるということになってしまう。これは、ほんとうにいまの変動制をとる限り続く問題でありますから、この辺で、変動制の中で経理の変更は相ならぬ、いままでやったのをそのまま認めていく。いままでやったのでも、この前のやり方も私は不満があるのですよ。しかし、いままでのことは百歩譲って、これからは昨年とった方式で、この方法でやるという、この変更は認めないという、これもまた私は、あなたか証券局長の通達一本でできると思うのでありますけれども、法律改正とまで大きなことを言わなくともできると思うのですが、大臣の、これもまた決断をひとつお聞かせを願いたい。
  104. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この問題は、非常にむずかしい問題なんです。実は税務当局、大蔵当局といたしましても、この問題をどういうふうに扱おうかということについては苦慮しておるわけで、かつ、阿部さんから愛知大蔵大臣に対して、御意見また御質問等がありまして、その応答の模様も私は聞いております。その応答を受けまして、大蔵省におきましては、この問題に何とか決着をつけたい、こういうことでいろいろ作業を進めておった。ある程度煮詰まるような段階まで来ておったのでありますが、当時の阿部さんと愛知大蔵大臣とのやりとり、あのときの客観情勢は、円高状態であったわけです。ところが、今日になりますと、今度は円安状態、こういうことになりまして、そういう点も配慮しての統一基準ということになると、また、いままで考えてきたその構想というものを変えなければならぬということにもなってきておるのです。  しかし、阿部さんの御指摘は私はごもっともだと思う。そういうことでありますので、何か適当な結論を得たいと、鋭意検討いたしてみたいと存じます。
  105. 阿部助哉

    阿部(助)委員 昨年から一年たっておるわけです。しかも皆さんは、やがては、あの当時は固定相場制になるのではないかというような考えがあったかもわかりませんけれども、いまもうフロートが常識になってしまっておる。そうすれば、変動するたびに差益はそのまま隠しておく、差損は損金に落としていくということをそのたびにやっていったら、これはどうしようもないのですね。  たとえば造船等は、この間たいへん大きな差損だと言った。そしてこれは特別措置法まで手当てをしまして、そして造船には非常な恩恵を与えてきた。今度は、円安になったらたいへんな差益が出る。たしか八社で九百億とかいう報道すらされておるわけです。それぐらい大きな利益が出たとき、これは差益は全然隠してしまうというのじゃ、一体どうやって税金を取るのです。それでまけていったのじゃ、これは税の公平なんというものはあとかたもなく吹っ飛んでしまう。  そういう問題を、なぜメスを入れないのか。一年たっておるのです。大蔵当局、あの頭のいい人たちが集まって、一年たってまだ結論が出ないなんというのは、私は合点がいかない。この際、その道の専門家でありますだけに、福田大蔵大臣、この辺で決着をつけたはっきりしたことをすべきじゃないか。それができないとすれば、せめて継続性の原則、これを踏まえて、昨年並みと同じやり方をやる。昨年は円高でありますから、今度は円安になったのだから、それでちょうど調整がとれるのだから、それで私は、そのとおりの経理の方法をやるべきだということだけであって、これは大臣か証券局長の通達一本でできる問題じゃないですか。こういうできる問題をやらないで、やりもしないことで国民をごまかすのではなしに、やれる問題を、いまこの際勇気をふるってやるべきです。それをやることなしに、福田大蔵大臣の安定成長への道というものは開かれるはずがないじゃないかという感じが私はするのですが、もう一度……。
  106. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 何せ、円高から円安へ急転換をしてきた。しかも、円安傾向というのは、この二月ばかりの間に出てきておる問題でございます。そういうようなことなので、いままでいろいろ検討して、ある程度の方向も出てきた、そのやさきに円安だ、そういうようなことで、たいへん戸惑っている次第でございますが、これは、御指摘の点はごもっともだ、そういうふうに考えておりますので、鋭意検討を取り急ぎたい、かように考えます。
  107. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは、だから検討は検討でけっこうです。検討するけれども、とりあえずことしは、いままでの方法をそのまま継続するということを、私は決意をここで述べていただきたいのであります。そうしてあとは、ゆっくり検討していただきたい。
  108. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この変動相場制下における為替差損、差益を税法上どう扱うか、これは根本的に検討します。しかし、当面、いままでの方式を踏襲する、かようにいたします。
  109. 阿部助哉

    阿部(助)委員 次に、政府は買い占め、売り惜しみに奨励金を出しておるのじゃないですか。大臣、それはどうです。わかりませんか。
  110. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 さような事実は承知しておりませんです。
  111. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでは、奨励金とは名がついておりませんけれども、奨励金と全く同じようなことが行なわれておるのです。これは、在庫の商品がふえればふえるほど、税金がまけてもらえるという。それで、市場支配だとかいろいろなことで商社が問題になっておる。各企業の株を持って企業支配をしておるんじゃないか。あるいは銀行等、こういうところは、有価証券がふえればふえるほど、この準備金として税金を免れておる。これは、いわゆる価格変動準備金であります。しかも、皆さん、いま国民が生活問題で不満を述べておる。冷凍マグロ、大豆、トウモロコシ、あるいは原油、あるいは材木、合板、こういうようなものが非常に値上がりで騒がれておるとき、こういうときに、商社や何か企業が、在庫をよけいふやせばふやすほど、この価格変動準備金をよけい積むことができるなんというのは、まさにこれは買い占め、売り惜しみの奨励金だと言っても間違いがないんじゃないか。  しかも、こういう品物に対しては、一般価格変動準備金よりも——一般価格変動準備金は百分の三でしょう。ところが皆さんの、この大蔵省の告示二百九号、これによれば、いまのような生活関連物資は、さらにその上に百分の二を積み増すことができる。百分の五、これを積み増して税金を免れるということは、買い占め、売り惜しみが云々されておるときに、まずこういう税制を改めるということは、私は当然過ぎるほど当然であって、むしろこれをやらないのは、国民が知らないことをいいことにして、大企業に恩典を与えておると言っても過言ではないのであります。これは大臣、即刻、少なくともこの省令は変えるべきじゃないですか。これは大蔵省の告示なんです。  こんなものをやるのはわけはないことだ。ここで超過利潤税を制定するとかなんとかという法律行為でやるよりも、これはいとも簡単にできる問題だ。このできる問題からまず大臣がおやりになる、私は当然なことだと思うのですが、いかがです。
  112. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、その告示のことまで気がつきませんでしたので、主税局長からお答えをさせます。
  113. 高木文雄

    高木(文)政府委員 価格変動準備金の率は、ただいま御指摘のように、価格変動の著しいものについて率が高くなっているのは、御指摘のとおりでございます。  そこで、こういう情勢の場合に、どういうふうに品目を選ぶべきかという問題は、御指摘の問題がございます。それで、昨年度の税制改正の際に、価格変動準備金の一部について検討いたしました。これからもよく、その情勢に応じて検討すべきものと考えます。(阿部(助)委員「よくわからない」と呼ぶ)
  114. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 高木局長、聞き取れなかったそうでございますから、再答弁をお願いします。
  115. 高木文雄

    高木(文)政府委員 品目別はいろいろ事情もございます。たくさん品目が並んでおるわけでございます。それぞれの品目について、こういう事情に応じて、検討をする必要があるという情勢にあると判断をいたしております。
  116. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣、いま局長は検討するとおっしゃるのですが、皆さんの検討というのは、往々にしてさっぱりやらないということにこれは通ずるわけでありまして、大臣、この価格変動準備金という性格が、大体値下がりをする場合の予防措置なんでしょう。ところが今日まで、多少物によって差はあるにしろ、政府の物価見通しにしたところで、ここ数年、物価が下がるなんという見通しを立てたこともなければ、下がったためしもない。上がる一方なんだ。そうすると、大体価格変動準備金そのものが、値下がりをしたときに企業が困るだろうということできめた制度なんであって、価格変動準備金というものそのものが、いまの物価値上がりの中では、ほんとうをいうとナンセンスなんだ。大企業の減税措置なんだ。  そういう点で、検討して云々なんというなまっちょろいものじゃなしに、この買い占め、売り惜しみが云々され、できもしない、税務署員まで使って物資の調査をしようなんという総理大臣が宣伝をする、こういうときに、こんなものを残しておるなんというのは言語道断だと言われても、これは言い過ぎではないのでありまして、これはもう大臣の決断を私は望みたい。
  117. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 阿部さんの御指摘の点はよくわかります。ところが、この変動準備金の対象品目は、まあ何十になりますか何百になりますか、多数あるわけであります。それで、大蔵省一存でというわけにもこれはまいらない性格のものです。  しかし、こういう経済情勢のときでありますので、これは再検討する、これは当然だと私は思う。したがって、関係各省と十分連絡をとって、お気持ち等もくみまして、これはひとつ善処をいたします。
  118. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それで、次に大蔵大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、大蔵大臣はかねてから、公債発行下の財政がインフレーションを招かない保証として、第一には、好況のときには公債発行の額を減らしたい、そして財政規模を縮小するとか、不況のときは公債発行をふやして財政規模をふくらませる、財政の弾力的執行。第二に、財政金融の一体的な運用を行なう。こうすれば、公債発行が直ちにインフレにはつながらないのだ、こういう主張は、さすがに福田さんらしい明快な主張だと思うのですが、この御主張は、いまも変わりはないですか。
  119. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいまも変わりはございませんです。
  120. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたのその主張、たいへんに明快な福田理論の尺度に照らしてみて、四十七年度の後半、景気の完全な回復を見た時点で六千億円の大型補正を組んだ。そうして財源の大部分は公債でまかなった。また四十八年度当初予算が、前年度比二四・六%増、財政投融資は二八・三%増、そうして公債発行額は二兆三千四百億円、こういう超大型予算を組んだ。大蔵大臣、これはあなたのときじゃないかもわからぬけれども、これが今日の物価情勢等になったことを考えると、やはりここに、あなたのこのお考えからいくと問題があったのではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
  121. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 さように考えます。
  122. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは、同じように日銀総裁が、物価安定のために行なう金融政策には限界があると、再三発言しておったのでありますし、財政措置が積極的にとられなかった、この点にも問題があると思う、こう日銀も、金融だけではどうにもならないのだということを再三おっしゃっておるわけでありまして、まあ、福田大臣のいまのお考えもそのとおりだと思うのであります。  福田大蔵大臣は昨年の十月六日、皆さんの八日会という派閥ですかな、八日会の研究会で行なった講演の中で、たいへん明快にお話をされておるのでありますが、これはいまもお変わりありませんか。この内容を読んでもいいのですけれども、「激動期に訴える」ということでパンフレットにもなっておる。私は立場は違うけれども、それなりに明快なお話をしておられるわけですが、これはやはり、このお考えはいまも間違いございませんか。
  123. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいまもいささかも変わるところはございませんです。
  124. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたはこの中でこうおっしゃっているのですよ。これちょっと読みますね。「いま新全総というものが政府にあることは皆さんも御承知のとおりであります。つまり新全国総合開発計画というものであります。これは昭和六十年度を目標にしておる。この六十年ぐらいになりますと、わが日本は、おそらく、世界で、石油でいいますと二割くらい使うのではないかと思う。あるいは鉄鉱石になると、世界の総輸出の七割ぐらいをおそらく使うのでしょう。銅だとかニッケルだとかというものは、世界じゅう、総輸出を全部わが日本に取り入れても、わが日本の需要に間に合わない。そういうすさまじい新全国総合開発計画である。それを世界の人は知っておりますよ。そんなことを日本にされたら一体どうなってしまうのだ。私は、そういうようなことを世界の国々が許すはずは絶対にあり得ない、こういうふうに思うのであります。そんな進み方をするとわが日本は世界に対しまして、あるいは世界のマーケットを荒らし回るというようなこと。あるいは地球の資源を枯渇せしめるというようなことをすることになる。その犯人になる前に、われわれは、犯人にならないための姿勢転換を行なわなければならない、こういうふうに思うのであります。」こういう犯人にあなたはなりたくない、私もその点では同感であります。  ここで、私はほんとうは総理大臣にもお伺いしたいのでありますけれども、そうすると、あなたの考えからいくと、私は、新全総自体もあれだが、田中さんの「日本列島改造論」というのは、これはたいへんおかしなものになってくる。この辺は、ひとつ田中総理大臣に聞かないとどうしようもないのでありまして、これは保留したいと思うのであります。これはあなたが指摘したとおりです。この一冊の「日本列島改造論」は、八五ページにある一条だけ除くと、これはばらばらになって、ナンセンスになってしまう。それは何かといえば、年間七億五千万キロリットルの石油が入ることを前提にしてこの列島改造論というのが成り立っておるのですね。この石油が、今日の大体二倍から二倍半の量が入ってこなければ、日本列島改造論はこれはナンセンスだ、ばらばらだ。これはほんとうにナンセンスなんですよ。これは一体どういうことなんだろう。あまりにも総理大臣と大蔵大臣のお考えがこれは違い過ぎる。あまりにもこれは違い過ぎる。今日出されておるこの予算というものは、一体どこをねらって、国民をどこへ向けて前進をさせようとするのか。国民にはこの予算の性格までわからなくなってくるので、きょう大蔵大臣から信念のほどはお伺いしましたが、何としても、これは総理大臣の話と突き合わしてみないことには、今年度予算の性格すら私にはわからないのでありまして、これは保留をいたしまして、私の質問を終わります。
  125. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 阿部君、質疑を継続してください。
  126. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは大臣がみんなおりませんので、大蔵大臣か企画庁長官にお伺いしたいのでありますけれども、いま東北、北陸、北海道、これはたいへんな豪雪でございまして、市町村は除雪にたいへんな苦労をしておる。これはたいへんな経費がかかるわけであります。また、各家庭におきましても、人手のない中で、屋根の雪おろしであるとか、子供の通学道路の確保であるとかという経費も、これまたばく大なんです。まず、地方財政の困窮というもの等を考えて、政府はこれにどのような対策をお立てになっておるのか、これをまずお伺いしたい。
  127. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 豪雪対策につきましては、まだ私の手元まではあがってきておりませんが、豪雪で非常な被害があるであろう、こういうことはよく承知しております。関係各省がいまその対策を立案しておると思いますが、財政当局といたしましては適正な財政措置をとる、そういうことにいたしたいと存じております。
  128. 阿部助哉

    阿部(助)委員 特に来年度は、何か大蔵省でまた、自治体の金を取り上げるといえば語弊がありますけれども、何か抑制政策の観点からやる、こう言っておりますから、こういう事態に対して、特別交付税とか、あるいは何らかの措置をとってやらぬと、いままで二、三百万で済んだものが、数千万円という除雪の費用を使っておる。私の住んでおる市でもそうなんです。そういう点を考え、必要物資も枯渇をする、枯渇をするから値上がりをする、こういうような問題を考えますと、私は、皆さんの取り上げるあれというのも、いま検討しているという段階じゃなしに、もたもたしては雪が消えてしまいますので、ひとつ急いでやってもらいたい。また企画庁長官にも、この点をどういうふうに対処しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  129. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ことしは非常な豪雪でございまして、私もその対策につきましては関心を持ってまいりましたが、雪害対策は、これはもう釈迦に説法かとも思いますけれども、大きく分けると二つに分かれまして、一つは、やはり災害対策としての性格を持つものでございますから、その災害対策といたしましては、福田大蔵大臣が言われましたように、各方面の災害の実情等を集めまして、それに対応するような措置を講ずる、こういうことにいたします。これはもちろん、経済企画庁にその予算があるとか調整費があるというものではございません。  もう一つは、雪の降るというような現象そのものに対応をする、御承知の克雪管理センターというようなものを各地域につくるとか、あるいは雪上車というようなものをどうするかとか、そういうもう一面の、雪の降る事態に対する地域住民の困難というものがございますので、そういう点にも着目をいたしまして検討を進めておりますので、善処してまいりたいと思います。
  130. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでは、私の質問を終わります。これは総理大臣に対する質問を少し留保さしていただきたいと思います。
  131. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。  午後は二時十五分より再開します。  暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時二十分開議
  132. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  133. 野間友一

    野間委員 私は、商社の問題について、主として通産省並びに大蔵省に質問をしたいと思います。  昭和四十七年の暮れから四十八年の前半にかけまして、商社の目に余るいわゆる買い占め、売り惜しみ等の投機行為、この典型的なものは、土地とかあるいは株式、こういうものでありますけれども、こういう行為によりまして、国民の生活が激しく破壊されたということは、いまさら申し上げるまでもないことであります。そして世論のきびしい糾弾を浴びたわけでありますけれども、通産省はその後——その後と申しますのは昨年の前半以降ですね、この商社のその後に対して、どのような行政指導をしてこられたのか、まず御答弁を願いたいと思うのです。
  134. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず、商社の実態の把握ということをやりました。最近公取からも商社の株式保有やその他について見解の表明がございましたが、それらのあともトレースして、商社の実態把握をまずやったところでございます。それと同時に、いままで指摘されました商社の活動について、自粛を求めたわけであります。それで、特に外国における商社の活動が外国の国民から反発を受けないようにいろいろ指導する、そういう面で、御存じのように、海外における投資活動の指針というものを商社側がつくりまして、それを順守するということでありますから、それを在外公館及びジェトロに訓令しまして、それを順守するようにいろいろ監視、監督しておるところでございます。  それから、国内におきましては、中小企業の面に商社が進出して、不当に中小企業を痛めつけるような力を利用した行動をとらせないように、この点についてもいろいろ指示したところでございます。  それから、最近の物価騰貴等にかんがみまして、商社の扱う品物について便乗値上げをしないように、商社を集めまして値引き方を強く行政指導したところでございます。この点については、三菱商事が率先して値下げに踏み切りまして、そのほかの商社も、これを追って扱い品の相当数を値下げする、そういう行動に出まして、これも今後とも努力していきたいと思っておるところでございます。
  135. 野間友一

    野間委員 在庫の調査等についてはおやりになったのかどうか、その点、いかがですか。
  136. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  商社の在庫について、商社自体を対象にして在庫調査をいたしたものはございませんが、先般実施いたしました六品目の在庫調査に関連いたしまして、一部の商社につきまして当該品目の在庫調査をいたしました。
  137. 野間友一

    野間委員 いま商社自体の調査としては独自の調査はしていない、こういう答弁があったわけでありますけれども、私はこの行動基準について、まず問題をただしたいと思うのです。  通産省の行政指導によりまして、社長クラスあるいは常務クラスを集めて、日本貿易会がまず行動基準をつくって、さらにそれを各社が具体化した。こういう指導をずっとやってこられたということを私、知っておるわけであります。ところが、残念ながら各社の行動基準ですね、こういうものを見ましても、買い占め、売り惜しみ、これらを規制する、あるいはこれをしない、こういうような項目の入った行動基準は、若干目につきましたけれども、ほとんどないわけなんですね。   〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 このことは、あれだけの問題を起こしながら、各商社がほんとうに反省したかどうかという点については、私は非常に疑問に思っておるわけです。もともとこの行動基準そのものが買い占め、売り惜しみの規制という点から指示をし、各社がつくった、こういう経過になっておるわけであります。しかし、昨年の土地やあるいは大豆、株式、これらから始まりまして、物特委では参考人を喚問する、こういうような事態が起きたわけですけれども、その後、いわゆる生活関連物資の買い占めあるいは売り惜しみ、物不足、こういう状態が続いておるわけです。しかも商社がこのような行為をしておる、こういう声が世上、非常に強く上がっておるわけでありますけれども、どうして直ちに商社に対するこれらについての調査をされなかったのか、その理由をお聞かせ願いたいと思うのです。
  138. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 商社の買い占め、売り惜しみが問題になりましたのは、去年の三月の時点が一番盛んでありました。その当時は、通産省におきまして実態把握、総合調査を実はやったわけです。それの商社の土地の保有量、株式の保有額等をそのときに国会に御報告いたしまして、かなり大きな反響を呼んだのは、野間委員も御存じのとおりであると思います。その後は個別的な物資のことが問題になりまして、塩ビであるとかセメントであるとか、あるいは秋になりましてから石油製品等の問題が出てまいりまして、そういう問題について一つ一つ具体的な指導をしてきたところでございます。  それで、ことしになりましてからは、特に商社の影響が大きいものでございますから、値引きについて商社をまず第一に率先垂範させる必要がある、そう思いまして、かなり強い行政指導をやりまして、先ほど申し上げましたように、三菱商事以下が値引きに踏み切った、そういう現状でございます。
  139. 野間友一

    野間委員 いま大臣が言われたのは最近のことなんですね。私がここでお聞きしておるのは、あれだけの悪徳な行為を行なった商社、これをなぜそのころからずっと追跡して調査をされなかったのか、こういうことをお聞きしておるわけです。しかも、通産省は昨年の四月三日付、「大手商社の営業活動の実態調査について」という文書を出しておるわけですね。これによりますと、こういうことが書いてある。一〇ページのところですが、「まず、何よりも買占めや売惜しみ等、行過ぎた投機行為についても仮にも疑惑が残ることのないよう大手商社の自粛を強く要請する。」あと次ぎまして「通産省は、今後とも大手商社の営業活動が流通過程でいかなる機能を有し、国民生活にいかなる影響をもたらすかにつき実態を把握し、とくに上記の疑いをもたれる物資については、その取扱いの実態を究明するよう調査を継続する方針である。」こういうふうに書かれておるわけですね。通産省が、このように事態を起こした商社に対して、四月三日の時点において継続してこれを調査する、しかも、かりにもこういう疑い、行き過ぎた投機行為、こういう疑惑が残ることのないようにやるんだ、こういうことまで言明されておるわけです。こういう方針を立てながら、この時点からなぜこの買い占め、売り惜しみが非常に逼迫してきて大問題になったこのころまで調査されなかったのか。通産省としてはこれは非常に怠慢じゃないか、私はこのように思うのですけれども、この点について、何か理由があるわけですか。
  140. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 総合的な調査は、いま野間委員が御指摘になりました昨年の四月に、土地やあるいは金融やあるいは株式等についてあったところであります。それで、その後は売惜しみ買占め規制法による特殊な物資を中心にして、それはいろいろ調査も続けてきたところであります。その後は、通産省関係におきましては、灯油であるとかあるいはトイレットペーパーであるとか、いろいろな問題が出てまいりました。そういう問題になる物資につきましては、流通過程全部を洗ってみる必要がありますから、その中に商社が介入しておるかどうか、そういう点も調べてきたところで、そういう具体的にあがった問題については、一々調べて適切な処理方針を示してきたところであります。
  141. 野間友一

    野間委員 私がいま聞いておるのは、何よりも、かりにもこのような疑惑が残ることのないように、こういうことで、当然あのころから引き続いて継続してこの商社の実態にメスを入れる、こういうことがあってしかるべきだったと思うのです。ところがそれをやられていない。しかも、いま大臣は個別的な物資について買い占めとか売り惜しみ、これらについては調査をしたのだ、こう言われたわけでありますけれども、このことを再度確認したいと思うのです。商社に関して実際やったのかどうか、そして、その結果一体どうであったのかということについて御答弁を求めたいと思います。
  142. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それらの特別の物資については、流通の過程を全部調べあげましたから、その過程に商社が出てくれば、商社についても調べたところであり、商社が出てこなければ調べなかった、そういうことであります。
  143. 野間友一

    野間委員 その調査というのは、一体いつごろの、どういう調査をさして言われておるのか、それをさらに明らかにしていただきにいと思うのです。
  144. 森口八郎

    ○森口政府委員 系統的な調査は実施いたしておりませんけれども、ちょうど買占め売惜しみ防止法が成立いたしまして、いわゆる三条調査と申しますか、品目の需給状況全体について把握をするということで、通産省としては鋭意監視をいたしておるところであります。それから、この四月三日の報告書で指摘された繊維類等につきましては、その後市況等が低落いたしまして、買い占め売り惜しみの実態がなくなってきておるというような状態もありまして、特に商社について一斉に在庫調査をするということは、先ほど申し上げましたとおりやっておりません。
  145. 野間友一

    野間委員 結局、ああいう方針を立てながら商社について独自の調査はしていない。なるほど一般的な調査一つの部分として、特定の物資については一般調査の部分的なものについてだけ調査されたかもわかりません。しかし、商社の全体の実態についてのフォロー、こういうものについてはなされていないということが、いまの答弁でも明らかになったと思うのです。しかし、私たちはいろいろと商社関係の在庫調査をし、あるいは世論をいろいろ聞いておりますと、これは商社がやはり依然として全く反省もせずに買い占めや売り惜しみに走っておるという声を強く聞くわけです。この点について、特に六大商社に限って言いますと、これらの在庫調査を独自にしていないということでありますから、これは私はその結果についてお聞きするわけにいかぬと思いますけれども、鋭意、通産省としてそういう過程の中で調べた結果、その商社が買い占めや売り惜しみをした事実はない、こういうことをはっきりここで言えるのかどうか、この点について答弁を求めたいと思うのです。
  146. 森口八郎

    ○森口政府委員 現在のところ、商社は買い占め、売り惜しみをしておらないという心証を持っておりますが、なお主要物資については、さらに調査をいたしたいと思います。
  147. 野間友一

    野間委員 それじゃ、もし商社が買い占めあるいは売り惜しみ、こういうものに介在しておったら、これは政府の責任は非常に重大だと思うのです。申し上げたように、あれだけ方針を立てながら、しかも昨年の押し迫ったころ、このころから一般的な調査はなるほどやったかもわかりません。しかしながら、方針としては、四月三日の文書においてこれから継続して調査するということを言いながらあえてしない。しかも、いま森口さんの話によりますと、いまの時点ではそういう事実はないのだ、こういう答弁があったわけです。もし商社がこれにからんでおるという事実があれば、これは非常に大きな政治的な責任があると思うのです。この点について、もしこういう事実があった場合に通産大臣、どのような責任をとられるのか、この点、明確にしていただきたいと思うのです。
  148. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 問題になりました物資につきましては、そのつど流通過程を調査しておりますが、もしそういう売り惜しみ、買い占めの事実があれば、これはその時点において適切な処置をして吐き出させるとか、あるいは、さらに自戒を求めるとか、そういうような適切な処置をやるつもりであります。
  149. 野間友一

    野間委員 私が聞いておるのは、いままでの政治姿勢なんです。いま私もここで繰り返しはしませんけれども、独自の調査をやるとしながらやっていない。しかも、いまの話を聞きますと、そういう答弁が返ってくるわけですね。何か、将来あればそれは吐き出させるとかなんとかの処置をすると、こう言いますけれども、これはもう間に合わぬと思うのです。ほんとうに一億国民が塗炭の苦しみをやったわけですね。今日までの以前の事態においてこういう事実が明らかになった場合、これはやはり政府の責任は重大だと思うのです。通産大臣、そう思われませんか。もしそういう事実が明らかになった場合、これはやはりいままでの行政責任、これについてはもうほんとうに弁解の余地もないほど重大だと思うのです。重ねてお聞きしたいと思うのです。
  150. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 正常に物資の流通が行なわれているという問題については、国民の皆さんのほうからもそう問題は提起されておりませんし、それよりも、ともかく非常に流通が逼迫しているとか、国民の皆さんが困っているという物資がこのごろ次々に起きてきたわけです。セメントにしても、あるいはさらに塩ビにいたしましても、あるいはさらにトイレットペーパーにいたしましても、洗剤にしても、あるいは灯油にしても、そういう問題について鋭く現状を把握して、監督すべきものは監督してきたので、そういう問題が起こらないところまで手を伸ばして、総合的にやる時間的余裕と、われわれのほうの手間がなかなかなかったというのが実際の真相でございます。
  151. 野間友一

    野間委員 それじゃなぜ、いま話がありましたけれども、四月の三日にそういう方針を出したのか。結局かけ声だけじゃないか、ポーズだけじゃないか、こう言わざるを得ないと思うのです。  ここでは時間の関係もありますので次に進みますが、私は、有価証券報告書、これを洗ってみたわけです。これはおそらく、在庫の調査はしなくとも、せめて有価証券報告書などの分析をされておると思うのですが、これについての六大商社の在庫の特徴を、これを調査しておるとすれば、端的にここに明らかにしていただきたいと思うのです。——時間が制約されておりますから早くしてください。
  152. 森口八郎

    ○森口政府委員 いま手元に資料を持っておりませんので……。
  153. 野間友一

    野間委員 そんなことでどうするのですか。私は事前に質問要旨を知らしておるはずですよ。結局、これらの報告書の分析すらできていない、こういうようなことで買い占めや売り惜しみ、これをなくすることはできますか。これは通産省の怠慢以外の何ものでもないわけです。このくらいのことならだれでもできるわけです。私はやってみました。そうしますと、六大商社全部について言えることは、商品の在庫の伸び率、これがおおむね大体各社同じような傾向として売り上げ高の伸び率と見合っておるわけです。ところが、この内訳をつぶさに分析してみますと、各社とも繊維あるいは食料品、これらの在庫が極端に増加している。こういう結果が出ておるわけです。これについて認めるのですかどうですか。
  154. 森口八郎

    ○森口政府委員 四月の三日調査時点におきましても、繊維類の在庫はふえておりました。御指摘の点の、九月についてもふえておるという事実があろうかと推量されます。ただ、繊維類につきましては、現在いわば生産過剰の状態にありまして、そういうような意味で在庫はふえておるのではないかというように推測されます。
  155. 野間友一

    野間委員 そういう推測でものを言っては困るよ。しかもこれはみな上がっていますよ。  それじゃ聞きますが、これらの繊維あるいは食料品、これらについて六大商社が大きなシェアを占めておるということは明らかなんですけれども、特に羊毛あるいは生糸、綿糸、合繊糸、大豆、飼料、精糖——砂糖ですね、こういうものについては、これは公取の報告にもありますけれども、六大商社が大きなシェアを占めておるという事実は、森口さん、あなた認めますね。
  156. 森口八郎

    ○森口政府委員 御指摘の品目につきましては、総合商社の取り扱い高が大きなウエートを占めております。
  157. 野間友一

    野間委員 いま繊維は値が下がっておるというけれども、それはあるいは一部、最近になって特にそういう傾向があることは、私も否定するものではありません。しかし問題にするのは、昨年の後半からことしの初めにかけての問題なんです。決して下がっておりません。この卸売り物価指数、これで拾ってみますと、たとえば羊毛については二二五・五、生糸が一四八・七、綿糸が一七八二二、それから合繊糸ですね、これの短糸が一二五・〇、大豆が一七六・一、それから精製糖、これが一〇九・九、これはあと十二月には一五五・五になっております。これは九月の時点でのあれですから……。それからえさですね、飼料、これは一五二・〇、これも十二月には一五一・九、こういうふうに、繊維あるいは食料品ですね、商社が大きなシェアを占めておる、こういうものは、軒並み急騰しているわけです。繊維が下がっている。一部は、いま言ったように、最近になって若干下がったかわからない。しかしこういう現状なんです。これはあなた、知っているでしょう。これは認めますね。ちょっと言ってください。
  158. 森口八郎

    ○森口政府委員 羊毛、生糸、綿花等の原材料につきましては、御指摘のとおりであります。  私が申し上げましたのは、綿糸、毛糸等の製品の在庫についての見解を申し上げたつもりでございます。
  159. 野間友一

    野間委員 なお、有価証券報告書の中には木材という項目、品目がないので、これらの分析はいまできないわけですけれども、この点についても、秋以降非常に急騰しておる。こういう中で、商社が大量にこれを買い占めておる。これは特に十、十一、十二ですね、大量に買い占めておるという疑いが非常に強いわけですね。この点について通産省はどういうふうに把握しておるのか、お答え願いたいと思うのです。
  160. 森口八郎

    ○森口政府委員 木材の現状については、残念ながら把握いたしておりません。
  161. 野間友一

    野間委員 そうすると、結局何もやっていないということですよ。このくらいの分析は、子供でもできますよ。しかも、ここで言えることは、各社とも繊維あるいは食品、これについて売り上げを伸ばしていることは事実なんです。ところが、この売り上げ率をはるかに上回る在庫率の増加ですね。これが特徴なんです。私も一生懸命これを分析してみました。政府がやりませんから、私、やらざるを得ない。  たとえば繊維について言います。伊藤忠商事、これは五百四十億六千五百万円の在庫、これは四十八年九月時点での在庫です。以下同じ時点です。これは四十七年九月に比べて二百四十四億六千六百万円、これは八五%の増加です。ところが、この間の売り上げ高は六三%の増加。こう見ますと、在庫のふえ方は非常に極端なんです。丸紅も同じです。三百六十四億一千百万円の在庫、これは四十七年九月に比べて百五十五億二千万円の増、これは七四%です。売り上げは四三%の増ですから、七四%と四三%、これを比べたらすぐわかるでしょう。仕入れはするけれども、売らないということですね。こういうパーセントになってあらわれているわけです。三井物産もそうです。在庫の伸びが対前年比九四%、ところが売り上げはわずか四四%です。これは食料品についても同じことが言えるのです。たとえば三菱商事、これは対前年同月比で計算しますと、在庫が八十三億六千百万円、これは九四%の増です。ところが、売り上げはわずかに三六%の増加です。あと時間の関係で省きますけれども、三井、丸紅、住商、あらゆるものを全部分析した結果、こういう数字が出てくるわけです。  ですから、こういう分析をしただけで、商社がいかに大量に買い込み、しかも買い込んだ物資は価格が急騰しておる。売り上げも伸びておるけれども、売り上げの伸びに比べてはるかに在庫が高いということになりますと、これは明らかに買い占め、売り惜しみ、こういわざるを得ないわけですね。ですから、これは九月期の決算ですから、このころ分析すれば、直ちに商社に対して、これは買占め防止法の三条でも五条でも——私は、五条をやるべきだったと思うのですが、あるいは強力な行政指導、これは、してしかるべきであったと思うのです。通産大臣、いまの数字を聞いて、いかがですか。
  162. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 羊毛のようなものは、春に買い過ぎて、在庫がだぶついて、売れなかったのだろうと私は思います。現に、秋以降につきましては、そういうような現象ができて、値が下がってきておる。それから食糧その他については輸入量が非常にふえた。これは物価対策も兼ねて、農林系統の食料品の輸入を増大させたので、それが入ってきた、そういうことではないかと思うのです。問題は、その間に国民が逼迫しておる物資について売り惜しみ、買い占めをやったかという問題ですが、逼迫しておる物資については、売り惜しみや買い占めをやったということはまずないのではないか。そうじゃなくて、だぶついておる品物をかかえていたというのが、いまあげた物資については言えるのではないか、そう思います。
  163. 野間友一

    野間委員 それはおかしいですよ。先ほど私は、この卸売り物価の指数をあげたじゃありませんか。これは全部軒並みに上がっておるわけですよ。急速に上がっておるのですよ。上がっておる事実は、森口さん、認めたわけでしょう。それでもなおかつそういうことを言うのですか。四月時点で買い過ぎた、だからだぶついておるのだ。これはぼくは、通産大臣、あなたとしてこういうことを言うのは、私は、不謹慎だと思うのです。こういう数字を無視するのですか。明らかにこういう数字が出ておるじゃありませんか。それでもなおかつ、あなたはそういうことを強弁しますか、どうですか。
  164. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 繊維のようなものは、去年の秋からは品物がだぶついてなかなかはけない、それで急騰するというようなことはなかったように私は思うのです。それから木材なんかも、秋から冬にかけては、大体低迷して横ばいであったと思うのです。食糧については、そうでない要素もございました。しかし、これはおそらく輸入して、さばくまでの間ストックがあったのではないか。それから木材は、通産省の所管にないので、私、わかりませんが、あのときの情勢を見ると、そういう問題ではないか。つまり、総需要カットによって秋以降は木材の必要量が減ってきた、また住宅建設も停滞してきた、そういうようなことが重なってきて、木材の市況も低迷してきて、物によっては下がってきたというふうにあのころ私は理解しておりました。
  165. 野間友一

    野間委員 木材の卸売り物価の指数、これも農林省の統計で持っておりますが、これは全然違うのですよ。たとえば丸太をとって言いますと、四十八年十二月で一五九・二%、合板が一七〇・一%、製材が二〇〇%ですね、ずっと上がっておるわけです。十月、十一月ごろは若干微増ということですけれども、十二月になると、はるかにこれは上がっておるわけですよ。これはあなたの言うのは、事実数字と全然違うわけですよ。だから、そういう認識でおられるから、商社に対する規制ができない。私は、やはりそういう態度は、通産省は企業サイドであるといわれておりますけれども、そのことをあなたの答弁で、これが事実明らかになったと思うのです。  そこで、私は、そのような通産省の商社に対する四月三日付の一定の方針を立てながら、全くやっていないという無策ぶりを明らかにしたわけでありますけれども、一体、このような在庫の投資ですね、これは大蔵大臣にお聞きしたいわけですけれども、なぜこのように商社が金を持っておるのかということなんです。中小企業の皆さんが非常に金をくめんして、なかなか都銀などでは貸してくれない。あっちこっちでくめんをしながら営業、生産を継続しておる。ところが商社のごときは、あり余る金を使って、投機的に在庫をふやしておる。これはいま大蔵大臣、お聞きになって、この数字からして明らかだと思うのです。私は、この点についても一応計算してみたわけです。これは六大商社の七〇年九月末から七三年九月末の三年間の推移なんです。これはたいへんな数字が出ておるのです。これも公取の調査報告にもありますけれども、たとえば投資の有価証券、これの六大商社の合計、一九七〇年の九月末の投資の有価証券の合計が二千九百八十八億七千二百万円、これが七三年の九月末になりますと九千三十八億四千七百万円、実に三倍以上の増加になっているわけです。さらに貸し付け金を見ますと、たとえば長期貸し付け金、これも同じ時期をとって考えてみますと、二千二百六十四億一千百万円から、去年の九月時点で五千七十三億四千百万円、これまた二二四・一%増。つまり、これらの六大商社は、わずか三年の間に投資の有価証券を三倍以上にふやし、さらにみずからのその貸し付け金についてもこんな二二四・一%の伸びなんですね。  こういう事態が数字をいじくってみますと出てくるわけなんです。どうですか。これはどこの所管であるか、大蔵あるいは通産になるか、この事実はおそらく否定できないと思うのです。これはどうですか。
  166. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 数字はともかくといたしまして、商社の資金が非常にふえたということは、私は事実と思います。その理由は、これは輸出超過が非常に旺盛であったわけです。そこから来る過剰流動性というか、その典型的なものが商社に集まってきておる、こういうふうに見ております。その上、さらに国内では拡大経済基調が続いた、そういうようなことで、金融政策もゆるんでくる。したがって、商社も金融からの借り入れが増加した、主としてその二つじゃないか、そういうふうに考えます。
  167. 野間友一

    野間委員 ですからこの貸し付け金を見ましても、これは結局総資本の中に占める自己資本というのは三・四%、これは公取の報告にも出ておりますけれども、結局全部借り入れなんですね。だから、超金融緩和政策の中で、これは政府の責任重大だと思うのです。しかも、ドルをどんどん入れて、そしてだぶついた資金をため込んで、それで投機に走る、こういう事実をつくった政府の責任は非常に重大だと思うのです。特に私はここで指摘したいのは、その中での政府関係機関からの借り入れなんです。これは特に輸銀ですね。この関係で六大商社の統計を見てみますと二千八百八十八億一千八百万円、これは七〇年九月末です。これが七三年九月末になりますと五千五百億、実に二倍弱ですが、こんなに輸銀の貸し出しが伸びておるのです。しかも奇妙なことには、この輸銀の低利の貸し出し、これと商社が貸し付けておる長期貸し付け金、この額がほぼ見合うわけなんです、統計をとりますと。つまり、低利の金を政府関係機関から借りて、それを株式保有やあるいは貸し付け金、こういうことで企業を系列化し支配する、こういうところに政府の金が流れておるということがこの数字から明らかなんです。  しかも大臣、あなた御専門ですが、輸銀の性格を見てみますと、資本金は産業投資特別会計ですね。これは一般会計から主として出ておる。これは国民の税金なんです。しかも運用資金、この原資を見ますと、これについても郵便貯金あるいは厚生年金、国民年金、つまり庶民の年金と貯金なんですね。このようにして税金と庶民のものが全部このようなばく大な商社に対する貸し付け金になり、それが系列支配あるいは投機に走る、こういう実態は、私はほんとに重大な問題だと思うのです。しかもこの輸銀の借り入れ、これは利息は非常に安い。時間の関係でこちらから申し上げますけれども、四十八年十一月以前の利息、これは輸出が四・五から七・五、輸入、それから投資が四・〇から七・〇%、こうなんですね。ところが一方、同じ政府の金融機関でも、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫、こういうところから中小零細企業が借りる基準金利、これはそれよりはるかに高いわけなんです。これはいまでは八・九%なんですね。つまり中小企業の皆さんがなかなか金のくめんができない、一生懸命お百度踏んで、やっとわずかな金を政府の機関から借りた金利よりも、輸銀から大商社が借り入れる金利のほうがはるかに安い。しかも、これが回り回って投機に走っておる、あるいは企業の系統化に走っておる。つまり何のことはない、国民の税金と庶民のささやかな貯金が投機に走っておる、短絡すればそういうことが言えると思うのです。  ですからこの際、このような不正行為、あるいは悪徳な行為を行なう商社に対しては、政府金融機関、とりわけ輸銀の貸し出しを一切ストップすべきである。この点については、大蔵委員会で、大蔵大臣はわが党の荒木議員の質問に対してこういうふうに言っておられます。反社会的な行動をする企業は、政府系金融機関から融資を受ける資格はない、このように断定されておるわけであります。こういう商社の実態をあなたが聞いた場合、私は当然この輸銀の貸し出しを少なくとも六大商社に対してはストップする、こういうきびしい態度で臨まなければならぬというように思うのですけれども、どうですか。
  168. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 輸銀の融資は、会社の金繰りを助けるための融資じゃないのです。これは特定のプロジェクトがありますとか、特定の延べ払い輸出がありますとか、その特定の案件に対して融資をするということです。しかも、そういう特定の案件について、他の金融機関じゃ貸さないというような性格のものについて融資をする、こういうことでありますので、その辺はひとつ誤解ないようにお願いしたい、かように存じます。  しかし、とにかく政府資金であることは事実でありますから、悪徳な反社会的行為をしたというような企業につきましては、これは商社に限りません、政府金融を受けるという資格はない、こういうふうに考えております。ただ、反社会的であるかどうかということについては、これは会社企業の名誉にも関することでありますから、相当慎重に調査して判定しなければならぬ問題である、かように考えます。
  169. 野間友一

    野間委員 さらにその融資の点について言いますと、公取は四十八年三月時点で六大商社を調査し、報告書をつくりましたね。これに出ておる六大商社の借り入れ金の明細を見ますと、利息が非常に安い。私が調べたところによりますと、総借り入れの約半分が年利率五・五%以下、こういう数字が公取で出ておるはずなんです。その点、公取委員長からお答え願いたいと思うのです。
  170. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 その点はおっしゃるとおりだと思います。それは四十七年の六月に、五・二五ですか、公定歩合を下げました。そういう公定歩合の標準になる最低歩合の適用を受けるのは、商業手形ということになっております。この商手の割引歩合というのが一番最低で、商手担保の貸し付けがそれに次ぐ、こうなりますので、非常に多くの商手を持っておるといいますか、そういう意味で、商社に対する金融の利率が、他に比べれば非常に優遇される結果になっていることは争えません。しかし、現在はその公定歩合も大幅に引き上げられましたから事情は違っておると思いますけれども、商社の場合には、そういう意味でいえば、常に金利的には優遇される地位にあるということだけは申せます。
  171. 野間友一

    野間委員 ですから大蔵大臣、いまいろいろ答弁を聞いていましても、一方では政府の安い金利の輸銀を借り入れる。しかも、これはプロジェクトに貸すと言われるけれども、金にしるしはないわけです。何でもいい、とにかくあった金を使うわけですから、こんなに他の企業に貸し付ける金とか、あるいは株式を保有する金があれば貸す必要ないということになるわけです。あなたは、反社会的な行為であればこれはストップする、こう言われておるわけでありますけれども、それはここで私はあらためて答弁を求めずに、確認しておきます。しかも一方では、都銀、地銀あたりでは商社の借り入れ金の半分以上が、いま言いましたように非常に利率の安い金ですね。何のことはない、自己資本は三・四%、全部他人のふんどしで相撲をとっておるわけです。むしろ他人のふんどしで他人の首を絞めておる、こう言ったって過言でないと思うのです、ほんとの話。  こういう点について、先ほどから通産大臣あるいは大蔵大臣からいろいろ聞いてきましたけれども、商社の実態の把握についても非常にあいまいであり、また大蔵大臣の答弁も非常に慎重ですね。しかも歯切れの悪い答弁しかされない。  ここで私はひとつ、商社の実態を、あまりにも政府にはなさ過ぎるので、明らかにしたいと思うのです。商社またゼネラル石油だ、こういう実態を私は明らかにしたいと思うのです。  私が入手した資料がここにあります。これは、おなじみの伊藤忠商事株式会社であります。四十九年一月八日付。東京本社流通システム室長、小谷野修という人でありますが、これは要するに伊藤忠の全国の流通をコントロールする最高の責任者。この小谷野修氏が全国の関係営業部あてに指示した「生活関連物資在庫対策ノ件」と題する文書があるのです。これは写しなんです。ファックスしましたから、ハンドライティングそのままなんです。印鑑もちゃんと押してある。しかもここに御丁寧にもひし形の二重マーク、これは伊藤忠の極秘のマークです。こういう文書を全国の関係営業部あてに出しているわけです。数十枚出しているのです。「生活関連物資在庫対策ノ件」こう題した書面です。しかも極秘で出しながら、前文にはどのように書いてあるか。ちょっと読みます。「ゴ承知ノ通り政府全国ノ港湾倉庫ヲ対象ニ生活関連物資ノ在庫調査ヲ実施シテオリマス。」これは一月八日付の文書です。「当社ト致シマシテハコレニ対処スルタメ一月六日付ヲ以ッテ瀬島副社長ヨリ関係各本部長に厳重示達が出サレテオリマス。関係営業部ニオカレテモコノ点ノ対策ヲ進メラレテイルコトト思イマスガ更ニ徹底ヲ期スルタメ次ノ点ニ留意願イタク存ジマス。」こういう前文なんです。お聞きのとおり、政府が、不十分ではありますが、在庫の調査、倉庫の調査をやりかけた、そのあと一月八日付、しかもこの文書の前文によりましても、一月六日付で瀬島副社長から関係各本部長あてに厳重示達が出されておる。それを受けて、「関係営業部ニオカレテモコノ点ノ対策ヲ進メラレテイルコトト思イマスガ更ニ徹底ヲ期スルタメ次ノ点ニ留意願イタク存ジマス。」こういう文書。  しかも、私は瀬島副社長とはどういう男か、一ぺん調べてみました。これは、私から言わなくても政府機関はすでにおなじみかもわかりませんけれども、こういう人なんですね。元大本営参謀の瀬島、これは三十三年入社のようです。「越後の知遇にこたえた瀬島は四七年、副社長にバッテキされた。業務をはじめ、総務、人事、事業部門をにぎり、伊藤忠の竹中半兵衛、あるいは黒田官兵衛のような存在である。」これは毎日新聞社の「伊藤忠商事」という本です。さらに、同じ本の中でこういうことも書いてある。「伊藤忠における「越後司令官」−「瀬島参謀長」」という表現、あるいは「住友銀行首脳による伊藤忠首脳の評を聞くと——副頭取の磯田一郎はまず「マスコミがしきりに『瀬島軍団』というが、」」こういうようなことですね。瀬島という人は、大本営の参謀をやった人で、いま伊藤忠ではこのように、越後司令官あるいは瀬島参謀長ということがいわれておるほどの、中での非常に最高の首脳である。これはこの本の中でも明らかに出ておる。しかも、「むかし陸軍、 いま伊藤忠——瀬島龍三・副社長」、こういうことまでこの本に書いてあるわけですね。こういう人が厳重示達をしたものをさらに細分化したもの、こういう文書なんです。  そこでまず、その内容ですね、手口、これを読み上げてみたいと思うのです。  第一「関係業者ト打合セ在庫状況ヲ把握スル。特ニ長期在庫商品及ビ大口商品ガアレバ分散化等ノ対策ヲ要ス。」と、こう書いてあるのです。通産大臣、買い占め、売り惜しみ、倉庫調査をしたら、いろいろ言われました、しかしそういう事実はなかったと言われたが、こういう文書を出しておるのです、皆さん。しかも分散化というのは、流通経路に乗せて流すというんじゃないのですね。倉庫をあけて、どこかへしまい込んでしまい、隠匿するということ、あるいは自分の企業系列を利用して他の企業の倉庫に押し込んでしまう、あるいは、形だけ他に名義を移す、こういうことを意味していると思うのです。こういう悪らつなことを伊藤忠商事がやっておるのです。通産大臣、どう思われますか、これについて。
  172. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その通達を私、まだよく存じませんが、その当時の在庫等の調査をよくしてみないと一がいに判断はできません。
  173. 野間友一

    野間委員 こういう、政府の裏をかいて、政府をごまかして、そして「長期在庫商品及ビ大口商品がアレバ分散化等ノ対策ヲ要ス。」しかも、これは前文にいいましたように、「生活関連物資在庫対策ノ件」、政府は港湾倉庫を対象にいま調査しておる、だから、こういう点に留意せいという文書ですよ。なければこういうことを流す必要はないでしょう、あるいは極秘文書で流す必要はないでしょうが。通産大臣、こういう悪らつなことをやっておるのが伊藤忠商事の実態なんです。どうですか、もう一度答弁願いたいと思います。
  174. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ともかく、その実態を突き詰めて、どこにどの程度の在庫があったか、そういう実態論から見ませんと私、何ともいま申し上げることはできない。しかし、もしかりにもそういう隠匿とか、あるいは調査を免れるためにやるという意図があってすれば、それは許せないことであります。
  175. 野間友一

    野間委員 非常に声が弱いですね、許せないと思いますというのは。これはまさに、調査の対象になっておる、調査しておる、だからこれに対する対策として分散化等の対策を立てろと、こういう趣旨でしょう。つまり、政府の目をごまかせということじゃありませんか、通産大臣。政府はなめられておるのですよ。あなた、これでも、この文書の指示を見て、政府として腹が立ちませんか。これだけ国民が大きな被害を受け、しかもいま政府が非常に追及の矢おもてに立っておるわけでしょう。それでもいまのような答弁しか出てこないのですか。再度答弁を求めます。
  176. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ともかく実態を突き詰めてみませんと、私のほうでは何とも申し上げられませんが、もしかりにも、さっき申し上げたように、売り惜しみ、買い占めの考えをもってそういうことが行なわれておれば、許せない事態であると思います。
  177. 野間友一

    野間委員 どうも大臣の姿勢からして、これは、ゼネラルの場合には悪徳商法の見本だと、こういう田中総理の答弁があったのですけれども、あなたはちっとも煮え切らぬと思うのです。ここまで言って、しかもなおかつ、まだそういう答弁しかしない、こういう通産省の姿勢は重大だと私は思うのです。そういう姿勢だから買い占め、売り惜しみを防止することはできない、こういうこと、だと思うのです。  さらに、次の二項に移ります。こういうことが書いてある。「政府ハ洗剤、砂糖、トイレットペーパー等ノ生活関連物資ヲ対象トシテイルが今後、繊維、建材等二拡大サレル懸念ガアルノデコノ点モ留意ヲ要ス。」ちゃんと、よう手口を知っておるのですよね。どうですか。いま倉庫を調査しておる、しかし調査の対象は、いまは洗剤、砂糖、トイレットペーパーになっておる、今後は繊維あるいは建材等に拡大される懸念があるから、この点も留意をせい、こういっておるわけですよ。つまり、政府の後手後手のこの政策、これに対して、無策をあざ笑うかのごとく、何と先手先手をとって、こういう指示まで流しておるわけですよ、大臣。あざやかでしょう。瀬島参謀はこういう指示をしたかどうか、これは出てきますけれども、瀬島君だか瀬島参謀だか知りませんけれども、この手口の非常にあざやかなこと、先手先手をとっておるんです。調べて、ない、一片の調査でないと言われますけれども、こういうことまでやっておるんですよ、繊維、建材について。通産大臣、これについてどう思われますか。先手先手を打ってやっておること、けしからぬと思われませんか。これは一億国民すべておこると思うのです。どうですか。
  178. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、もしそれが売り惜しみ、買いだめということに基づいてやるとしておれば、許せないことであると思います。
  179. 野間友一

    野間委員 経企庁長官、あなたは物価の元締め。どうですか、いまお聞きになっておって。
  180. 内田常雄

    ○内田国務大臣 まあ、いろいろ表現のしかたはございましょうが、私は、まことに感心せざる事態であると考えます。
  181. 野間友一

    野間委員 感心しないのはあたりまえの話なんです。こんなこと感心しておったらえらいことですよ。どうですか、これ、内田さん、たいへんなことでしょう。  さらに、三項に移ります。そこでお聞きしますけれども、通産省、ひし形を書いて中にCIと書くのがある。これはどこでしょう。
  182. 森口八郎

    ○森口政府委員 伊藤忠商事であります。
  183. 野間友一

    野間委員 三項目、読みます。「CI商品ハ元ヨリCIカラ客先ニ売却サレタ商品ノ中デCIマークが残サレテイルモノニツイテハ誤解ヲ招ク恐レアルノデマーク替エ等ノ配慮ヲ要ス。」もう一度読みます。「CI商品ハ元ヨリCIカラ客先ニ売却サレタ商品ノ中デCIマークが残サレテイルモノニツイテハ誤解ヲ招ク恐レアルノデマーク替エ等ノ配慮ヲ要ス。」つまり、自分のところの商品についてはもとより、自分のところに持っておる商品のマークがえをやれというわけですね。しかもそれだけにはとどまらない、すでに売却済みのものについてもマークがえしろ。悪質きわまりない行為だと思うのです、これは。そうですね。他人に売ったものまではがすことができる。このことは、一つは、やはり垂直統合によって、もうすでに売ったものについてまでこういう強力な権限を発揮することができる、こういうことを意味するわけですね。  倉庫を調査したって、さあっと行って案内してもらって、これをあけたって、わかるわけはないですよ。こういう悪質巧妙、まず、分散化せい、さらに、こういうものについては政府が後手後手に回っておるから、先にこういうものについての対策を立てい、しかも、それにさらに念には念を押してマークのかえまで、こういう指示をしておる。  通産大臣、いかなるあなたも、ここまでくれば、ほんとうに腹をきめて何とかしなければならぬ、こういう見解が私は聞かれると思うのです。いかがですか。
  184. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その文章全体を読んでみるというと、何らかの意図があるように感ぜられますから、これは伊藤忠の責任者を呼んで調べてみて、もし売り惜しみ、買い占めというような事実に基づいて行なえば、断固たる措置を行ないます。
  185. 野間友一

    野間委員 まさに、これはもう想像を絶する悪の権化そのものである、こう言っても私は過言じゃないと思うのです、正直に言って。ですから、先ほどからるる申し上げておるけれども、四月三日付で通産省が、いかに口では調査を継続すると言いながら、実際には何もやっていない、ただわいわい言われて、形だけやった、しかしそういう買い占め、売り惜しみの事実はなかった、こういうことがいかに白々しいことであるかということがこの文章から出てくると思うのです。  経企庁長官、どうですか、これ。あなたは、先ほども言ったように元締めでしょう。こういうことをやっておるのですよ。あなたのほうで洗剤の倉庫などに行かれましたけれども、こういうような悪質な手口を使ってやった場合には、これはさあっと見ただけじゃわからぬと思うのです。これを聞かれて、あなたはどう思われますか。
  186. 内田常雄

    ○内田国務大臣 まあ先ほども申しましたが、まことに苦々しいことに考えます。
  187. 野間友一

    野間委員 どうも通産大臣あるいは経企庁長官、悪いと思ってとか、苦々しい、その程度のことしか言えない。これは私は政府姿勢としてはもう重大だと思うのです。そんな甘っちょろいことでやっておられるから、一向にこの物価は安定しないのです。なぜもっと真相を究明して、きびしく糾弾する、こういうことが言えないのか。これは当然でしょう。これを見て、これを聞いておこらない国民はないと思うのです。断固たる処置をとる、真相を追及して断固たる処置をとる、こういうことは、通産大臣、言って当然だと思うのです。どうですか。
  188. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 あなたと似たようなことを私は言っているわけです。それを、本人を呼んで、そうして事実を確かめて、そうして売り惜しみ、買い占めのような事実があれば断固たる措置をとる、こういうことを言っておるので、大差ないことだと私は思います。
  189. 野間友一

    野間委員 ような事実というが、事実なんです。  さらにそのあと書きがあるのです。これを読み上げます。これが最後です。「尚三月〜五月ノ春斗ニ際シテハコノ種ノ暴露或イワソノ他戦術ニ利用サレルコトモ考エラレルノデ引続キ十分ナ対策ヲオ願イ致シマス。」もう一度読みますよ。「尚三月〜五月ノ春斗ニ際シテハコノ種ノ暴露或イワソノ他戦術ニ利用サレルコトモ考エラレルノデ引続キ十分ナ対策ヲオ願イ致シマス。以上」と、こうなっておるわけです。  つまり、これは、政府をどうだますかという手口をここで披露し、それだけではないわけですね、自分のところの会社の職員すら信用できない。これは堂々とやっておれば、別に職員の目をごまかすことはないわけです。通産大臣、政府がいま調査に入った、どうだますか、ごまかすかという手口がここに全部書かれておる。瀬島参謀のもとに書かれておる。しかも、政府をだますだけではない、自分のところの職員、これすら信用ができない。これをだまし込め、つまり幹部だけでこのような悪事を働いておるのです。買い占め、売り惜しみの商社の実像、これなんです。  大蔵大臣、輸銀の話ありましたけれども、こういう、実態をあなた聞いておられて、どう思われますかな。
  190. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これはお話を承るまでもなく、商社の活動の行き過ぎということがずいぶん議論をされておるわけなんです。そういうことにかんがみまして、商社につきましては、公取委員会でその実情を調査し、そうして何らかの対策を講じなければならぬかなあと、こういうようなヒントもいま出しておる、こういう次第でございますが、政府部内においては、商社がどういうふうにあるべきかというようなことにつきまして総合的に検討をすべきものである、こういうふうに考えます。
  191. 野間友一

    野間委員 この伊藤忠商事、ここの社長が、二月四日のいわゆる政府財界首脳との物価会議ですね、これに参加したときにどんなことを言っておるか、ここに新聞があります。二月五日付のある新聞です。越後正一伊藤忠商事社長は、「世間は商社を悪く言うが、もうちょっと認識を深めてもらわないと困る。土地も買ってないし、株もやってないし……おとなしいもんじゃないか。社内に行動基準をつくって厳しくやっているが、軽率なことをやってもいかんと社会的責任を感じてきょうは出席した」こう言っておるわけです。「世間は商社を悪く言うが、もうちょっと認識を深めてもらわないと困る。土地も買ってないし、株もやってないし……おとなしいもんじゃないか。」こう言っておるのです。面従腹背、表では、悪いことをやっていないということを、堂々と総理との会合に参加したときに言っておるわけですね。ところが、裏ではこのように、伊藤忠司令官、瀬島参謀、瀬島副社長が陣頭指揮に立って、こういう悪らつな手口で政府の目をごまかし、そして自社の職員の目もごまかす、こういうような手口をとっておる。これは何と白々しいことか。どうですか、これは。  この会議の席上での越後社長の話をいま私は披露したわけですけれども、通産大臣、どうですか、ちょっと感想を述べてください。
  192. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 あの席上で越後社長は発言しなかったと思います。たぶんその出席前後に、新聞記者から聞かれて、あるいは言ったことばかもしれません。したがって、全文が意を尽くして、そのとおり出ているかどうかは、よく間違いもあることですから、そのとおり、はたして言ったか、信じていいかどうかは疑問の余地はありますけれども、いまそこに出ている範囲内のことで見ますと、やはり去年の春、四月に通産省が調べた結果で見れば、土地も買っており、株式も相当買っておったわけですから、それは言っているほうが間違っている、そう思います。
  193. 野間友一

    野間委員 こういうふうに、表ではこういうかっこうをとりながら、裏では、とにかく想像を絶するようなことをやっておる。これはほんとうに、この物不足、物価高の中で苦しむ国民にとっては耐えられぬことだと思うのです。これは許すことのできない行為だと思うのです。物価担当の経企庁、あるいは商社の主管庁である通産省、あるいはこの商社に対する輸銀の関係、貸し付け、これに関する元締めである大蔵省、この文書を、締めて、ほんとうにこれに対してどう対処するかの決意をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  194. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 責任者を呼びまして、その事実の有無を確かめまして、もし売り惜しみ、買いだめというような底意をもってそういうことを行なったら、厳重にこれを戒めて、責任を糾弾したいと思います。
  195. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 本問題の主管である通産省の方針にのっとりまして、商社活動が適正にいくように金融政策は指導いたします。
  196. 内田常雄

    ○内田国務大臣 野間さんが引用されました二月四日の財界人の会合におきまして、野間さんのお目についたかとも思いますが、私は、商社に限らず、企業のあるべき姿につきまして、かなりきつい要望を実はいたしておりました。なおまた、商社については、これは今日コングロマリットとか、多国籍企業にも通ずる性格を持っておるものでありまして、私自身が非常な関心を持っておりますので、具体的な物資の問題とは離れまして、商社制度そのものにつきましても、公取などの研究の成果を積極的に実は私は見守っておるものでありますことを申し上げておきます。
  197. 野間友一

    野間委員 いまの通産大臣の答弁、これは買い占め、売り惜しみの実態を聞きただす、中身についての発言がありましたけれども、こういう手口でこういう手だてをしろという文書を流しておる、それはあなたのほうで確認をされると思いますけれども、こういう文書を流したこと自体をあなたはどう思われますか、所管庁として。
  198. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、ある意図を感じさせられるので、その真相を確かめてみると申し上げたのです。
  199. 野間友一

    野間委員 どうも歯切れの悪い答弁ばかり続くわけで、そこでまず要求に移るわけでありますけれども、この文書の真正を確認してもらうということ、真正に作成されたものであるかどうか、この確認はあなたのほうでされると思いますけれども、と同時に、この中で瀬島副社長より関係各本部長に出した厳重示達、これは一月六日付の文書だと思います。この文言からすればそうなるわけでありますけれども、これを調査し、取り寄せて、当委員会にすみやかに提出されたい。これが一つです。  それから二つ目は、この分散の具体的な手口、内容、実態、これも直ちに調査をして、当委員会に直ちに報告されたい。  それから三つ目は、特に先手をとっている繊維とか、あるいは建材、これは言うに及ばず、すべての生活関連物資、これの在庫を直ちに調査をして、この点について真相を当委員会に報告してほしい。  それから四つ目は、CIマークのつけかえ、張りかえ、これを実態調査をして、これについても本委員会に報告されたい。  こういう要求を出しますから、通産大臣、返事を願いたいと思います。
  200. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それは委員会としての御要求でございますから、委員会の御決定に従って処置したいと思います。
  201. 井原岸高

    ○井原委員長代理 野間君に申し上げます。  野間委員のただいまの資料要求につきましては、理事間で話し合いをいたしまして、前向きの姿勢で取り扱いたいと存じます。
  202. 野間友一

    野間委員 それじゃ通産大臣、いま申し上げたことについて、通産省がこれらの調査を行なうということをここで確認しておきたいと思います。
  203. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 文書の調査はもちろん当然行ないますし、責任者を呼んでその真相を確かめるということは、即刻行ないたいと思います。
  204. 野間友一

    野間委員 この点については、一応理事会で協議していただいて、そしてこれらの報告はぜひ上げていただく、その際にあらためてこの点についての質問をするということで、この点についての質問は留保したいと思うのです。  それじゃ進めますが、こういった手口で隠すとすれば、通産大臣あるいは内田さん、どういう実態調査をしたらいいのか、どういう対策を立てたらいいのか、この点についてお聞かせ願いたいと思うのです。
  205. 内田常雄

    ○内田国務大臣 昨年の暮れ御制定をいただきましたいわゆる生活安定緊急あるいは石油関係の法律というのは、物資に着目いたしておりまして、その物資を扱う企業の態様につきましては特記しておるところはございません。しかし、商社というものは、私は先ほども触れましたように、世間で大きな関心を持っておる多国籍企業あるいはコングロマリットでもありますから、物資にかかわりなしに、商社の性格というものを、経済企画庁などといたしましては当然分析いたしまして、そして今後のわが国における経済の運営の担当者としての地位を、またその公正なるべき姿を明らかにするような方向を私はとりたいと考えております。
  206. 野間友一

    野間委員 通産大臣、所管庁の大臣として、調査はもちろんされるわけでありますけれども、こういう複雑しかも巧妙な手口でやっておるという場合には、これは相当具体的な、その裏をかくと申しますか、もっと高度の立場から先手をとって、そしてスピードを早めてこういう措置をとらなければ、さらにこれに輪をかけた対策をとることは当然だと思うのです。あなたとして、具体的にこれらの調査を通り一ぺんではなしに、どのようにしたらいいとお考えになるのか、あるいは、もうお手あげだ、そうなればもうしょうがない、そう考えられるのか、その点についてお聞かせ願いたいと思うのです。
  207. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは買占め売惜しみ防止法適用する以外にないと思うのですが、その場合には、やはり三条調査ではないかと思うのです。そうしますと、やはり呼んで真相を究明する、そういうことになって、直ちに強権を発動して踏み込んでやるという要件は整っていない。したがって、責任者を呼んでいろいろな問題について究明してみる、そういうことをやりたいと思っております。
  208. 野間友一

    野間委員 いまの答弁では納得できないのですよ、正直言って。在庫の状況、これらの特徴的な在庫がふえておる物資、これの価格の急騰、これは指数をあげました。しかもそれらの資金のルート、これらについても、有価証券報告書の分析で私は明らかにしたわけです。その中で、通産省が通り一ぺんにやられたところで、なかなか真相はつかめるものじゃない。報告書の分析だけでも私があげたような事実が出てくるのです。そうしますと、これは当然、生活関連指定物資であれば、買い占め、売り惜しみ、これは食料品なんか入っていますね。あるいは繊維、羊毛等々入っているのです。ですから、これだけの資料があれば当然五条調査すべきである。三条で呼んで事情を聞くということだけでは、私は真相は明らかにならない。特に懸念するのは、いま申し上げたように、こういう巧妙な手口、さらにこれに輪をかけたようなことをやって、さらにこれを隠していく、こういうことは必至でありますから、直ちに、そして十分検討した上でこれらの強力な調査をしなければ実効があがらない、これはだれでもそう思うと思うのです。重ねて答弁願います。
  209. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 五条調査というのは、四条を受けてやるわけでございまして、売り渡しの命令とか、そういうことを指示するということが目的で行なわれるものであります。したがって、ある特定の場所に非常に多くあって、それが売り惜しみ、買い占めの意図をもって蔵されている、そういう場合には要件が構成されると思いますけれども、一般的、ばく然としているというような場合で、どこの倉庫かどこの支店長か、そういうものがわからないという場合に、五条調査で直ちに入るということは要件を満たしていないと私解釈いたします。
  210. 野間友一

    野間委員 それは、私は法律解釈としておかしいと思うのです。買い占めあるいは売り惜しみの事実があり、またおそれがあり、なおかつ多量に保有しておる、こう認めたときには四条の発動ですね。その次に五条があるわけですけれども、五条というのは、そういう疑いがあれば、これは立ち入り検査ができるわけですね。あるいは資料の提出を要求することができるわけです。ですから、報告書の分析、あるいはいま申し上げたいろいろな文書、これだけでもうすでに疑い十分だ。これでもなおかつ疑いがないとおっしゃるならば、一体どのような疑いがあれば五条の要件を満たすのか。ないじゃありませんか。  物はどんどんつくられておる。輸入されておる。ところが末端にはない。しかも統計上、状況としてはこういう状態が出てくる。そうすれば、当然そういう疑いをもって立ち入り検査をする。証拠がなければ立ち入り検査をすることができないということになれば、これは結局五条の発動というのは、未来永劫発動する機会がないということになるんじゃありませんか。これだけの証拠があれば、十分私は五条の発動ができるし、またすべきである。そういうなまぬるい姿勢をとられるから企業サイドというふうに言われるわけです。  内田さん、この法律解釈についてどうですか。私の言ったこと、間違っておりますか。
  211. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは先般来当委員会でもいろいろと論議を重ねてまいってきたところでございますこと、皆さん御承知のとおりでございます。しかし、この五条の立ち入り調査をする場合には、私は三つの要件が必要であると思います。  一つは、その当該特定物資の値段が非常に上昇しているというような状況にあること。たとえばいまさっきもお話がございましたように、繊維とか一部の木材のように、物資の価格が低落しておるときには、たとえ多量の物資を保有しておっても五条発動の余地がないというか、必要性もない、私はこういうふうに考えますし、それから多量に持っておることによりまして、それを放出、売り渡しさせることが必要であると認める場合に五条の発動、こういうことになるわけでございますので、さような状況にあります場合は、今日は不足物資等につきましては、間々見られるところでございますから、お説のように商社が持っておる保有物資については、五条を厳格に考える限りにおいては、発動の余地のないというものではない、私は余地のあり得る場合を十分想定してかかり得ると考えます。
  212. 野間友一

    野間委員 買占め防止法の関係でここで論議してももう時間がそうありませんので、公取委員長にお伺いしますが、あなたのほうでは、四十八年三月時点までの調査をされて、一月二十一日に調査報告書を出しておられますけれども、この中であなたのほうでは、買い占め、売り惜しみに関しては、そういう確たる証拠はなかった、こういう表現がどこかに出ておったと思うのです。九ページですね。「なお、昭和四十八年初めごろから、個別商品の価格上昇に関連して、商社等の商品投機行為が問題とされ、調査を進めたが、確たる事実をつかむに至らなかった。」こういう報告書があるわけですね。  ところで、いま申し上げたように、一月二十一日の時点でこのような文書を出し、なおかつこのようなあくらつな行為を重ねておる。ですから、この強力な権限を持った公取が、さらに継続してこれをきびしく調査する、こういうことは必要だと思うのです。いまあなたはずっとお聞きになっておって、一そうその感を深められたと思うのです。  あなたは物価の番人です。公取委員長、これらについて、継続してこれを厳重に調査するかどうか、ひとつ答弁願いたいと思います。
  213. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私どもは独占禁止法を中心に、それの趣旨を守る、そういうことでございますので、直ちに投機防止法の問題については、これは昨年調査を行ないましたときもお断わりしたわけです。しかしながら、商社の実態の中でいろいろ好ましくない事実があるということ、こういうことを私どもは実態をもっと把握していかなければならぬ。やはり好ましくないという点が積み重なっていけば、いまの商社に対する金融機関の金融の問題でも、もちろんそれから株式の保有の問題についても、行き過ぎた問題について独占禁止法の立場からいろいろもの申すことがある。もちろん金融はちょっと私どもの手には負えませんけれども、しかし、意見としてはいろいろ批判を加えることはできるだろうと思います。でありますから、すでにお断わりしておりますように、調査は継続いたします。
  214. 野間友一

    野間委員 大蔵大臣、この文書の中身が事実であれば、これはあなたのおっしゃる反社会的な行為であることはきわめて明白だと思うのです。これについて、少なくともこの商社に対して、直ちに輸銀の融資をストップして、そして貸したものを引き揚げるべきだ、私はそう思うのです。重ねてお聞きします。
  215. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 通産省が調査をすると思いますが、通産省の調査によってこれは反社会的行為をしたんだという判定になりますれば、それに応じた処置をいたします。
  216. 野間友一

    野間委員 特にこの商社の場合、輸銀の貸し付け残高が、これは四十八年九月末現在、これは有価証券報告書から出したのですけれども、六百二十六億九千三百万円ですね。これだけ多額のものを借り入れて、そしてこういう行為をやっているということでありますから、これについては重ねて直ちに調査をする。あなたのほうもこれは他人事ではないと思うのです。直ちに調査をして、そして貸し出しの観点からこれはきびしく規制すると、あなたは前にも大蔵委員会でおっしゃっておるわけですし、しかもこういう手口、こういう事実があれば、これは明らかに私は反社会的な行為だと思うのです。  これは具体的に調査の結果、どのような報告書が返ってくるかわかりません。しかし、その中で万一買占め売惜しみ防止法には該当しないというような答えが返ってきた場合でも、こういう手口でこういう悪らつなことをやっておる。公取委員会も、この報告書の中でインテグレーションの問題は、これは非常に警告をしておるわけです。あるいは株式の保有の問題についても、これは規制すべきだということを述べられておるわけです。したがって、大蔵省独自としても、これについてのきびしい措置、これを講ずることが、当然いまの政府の義務である、こういうように思うのです。重ねてお聞きします。
  217. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 通産省で厳重な調査をする、こう申しておるわけです。その調査の結果、反社会的行為をしたのだということが明らかになりますれば、それに対する金融上の制裁的措置を講ずる、これはもう当然のことだと思います。
  218. 野間友一

    野間委員 それでは、これは私のほうで資料に基づく報告をいまお求めしましたので、これらの報告が返った場合に、これについてさらに質問を続けるということで保留して、私の質問を一応終わります。
  219. 井原岸高

    ○井原委員長代理 八木一男君。
  220. 八木一男

    八木(一)委員 まず、三木副総理にお伺いをいたしたいと思います。  社会保障制度審議会の答申なり勧告なり建議なりについて、内閣は、当然全力を尽くして尊重していかれなければならないと思いますが、内閣を代表して、副総理からひとつ伺っておきたいと思います。——そんなものはお聞きになる必要はありません。
  221. 三木武夫

    ○三木国務大臣 お答えいたします。  内閣はその答申を尊重すべきことは当然でございます。
  222. 八木一男

    八木(一)委員 実は昨年の十一月の十九日に、社会保障制度審議会から内閣総理大臣田中角榮殿あてに「当面する社会保障の危機回避のための協議」、副題として「インフレ下の社会保障」という建議がございましたことについて、当然各大臣は御承知でおられなければならないと思いますが、一番直接に関係のある厚生大臣や、その財政的裏づけに関係のある大蔵大臣を除いて、ほかの大臣で、この骨子だけでけっこうです、全部でなくていいから、骨子の一つでも二つでも知っておられる方があったら、積極的に御答弁をいただきたいと思います。——ほかの大臣にお答えをいただきたい。
  223. 三木武夫

    ○三木国務大臣 詳細に、八木委員の御満足のいくようなお答えにはならぬかもしれませんが、重要な問題はスライド制だと思います。
  224. 八木一男

    八木(一)委員 さすがに副総理は、その中の部分的な問題ですけれども、把握しておられるようでけっこうでございます。  しかし、その他の大臣は積極的に御答弁がございませんでした。あまり御存じではないのではないか。あるいは閣議でこれが相談されたのではないのではないか。あるいはまた、各大臣でお読みになったこともない方も多いのではないかというふうに思います。たいへん時間が切迫をしておりますから、大臣一人一人にそれを伺って、なまけ者か、勉強をされる方か判断する時間がございせん。しかし、大方にあまり御存じないと思う。  厚生大臣、骨子を四つだけ早く言ってください。時間がありません。骨子四つ、御存じだったら早く言ってください。それで御存じなければ、答弁はけっこうです。
  225. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 相当長文でございますから、その内容を一々申し上げるわけにはまいりませんが、異常な物価高の中におきましては、貨幣価値の減価というものを食いとめるような措置を講じなければならぬというのを骨子とし、さらにまた、物価変動等に伴いまして、スライド制を自動的にやるようなことを考えなければなりませんし、そのスライド制をやるときは、タイムラグはなるべく短縮するようにといったふうな趣旨、要するに、物価変動に即応した社会保障というものを行なうべきであるというのが、私は、全般的を通ずる骨子だ、かように考えております。
  226. 八木一男

    八木(一)委員 ある程度御存じですから、まあすべり込みの及第みたいなことになりますけれども、四つに分かれております。  一つは、社会保障のためにはインフレーションを克服しなければ絶対だめだ、インフレーションの克服が絶対必要であるということを最初に書いた。それからインフレーションの克服を一生懸命にやる。そして、そういうような政策の結果、成長率が鈍化した場合でも、直接の関係じゃありませんけれども、物価がどんどん上がってくることがある、いわゆるスタグフレーションでありますか、そういう場合に、ともすれば政府は、それで財政のワクが少なくなりがちだからといって社会保障を押えがちになることを心配して、諸外国に比して、日本の社会保障は非常に劣悪な程度であるから、他の費用を削減しても、予定された計画より以上にそうした場合でも進めなければならない。この二つのことが基本的な柱であります。それから現時点の問題であります。  そこで二つございます。その一つは、所得再分配機能を持っている社会保障は、インフレーション下における所得の分配の不公正を直すために絶対に必要なものであって、そのために生活保護基準の大幅な引き上げなり、福祉年金の引き上げなり、関係諸手当の引き上げなり、児童手当の引き上げを積極的にやらなきゃならない。これはインフレーション直接じゃない。直接じゃなくて、積極的にやれということ。  その次にもう一つ、このインフレーションで貨幣価値が下落するというので、生活保護の各種の扶助や各種年金給付あるいは福祉施設の入所者の生活費などについては、予定された生活水準が減らないように、どんなことがあっても最低、その対処をせねばならぬということ。それからスライド制ということが特に大事だけれども、非常に急速にインフレが進行するときには、そのタイムラグを縮めなければならない。インフレの進行の度合いが強まるに従って、スライドの期間を短縮しなければならぬということが書いてあるわけであります。副総理はその一つだけお答えになりました。  そこで、この問題について非常に御勉強が足りない。ですから、当然これは前に閣議で報告があったのか、御論議があったのかわかりませんけれども、しかし厚生大臣ですらそのくらいの程度の御答弁ですから、十分に御論議になったとは断じて信じられないわけです。  ところで、この建議の内容の多くは、あす行なわれます労働四団体と政府との会談の中の一番重要な事項になっているわけであります。一番重要な事項になっているこの問題について、こんなに閣僚の方々の御認識が少ない、そういうことであってはゆゆしき問題であろうと思うのです。したがって、あすの朝にでも臨時閣議を開かれて、この社会保障制度審議会の建議について十分に理解をされて、そして国民の代表として、生活の問題について労働団体の方々と十分に話し合われるようにせられる必要があろうと思います。ぜひ臨時閣議を開かれる、さらに各大臣は今晩じゅうにでもようく読んで理解をしておくということを要求をしておきたいと思います。  特に申し上げたいのは、これは十一月十九日に出された建議であります。十一月十九日というときは、消費者物価指数では十月の末のものしかわかっておりません。十月の末に出されたものというのは、その前月の全国平均しかわかっていない状態であります。そのときに、このような先を見通した建議が行なわれているわけであります。その後にものすごい物価の急上昇がございます。したがって、この建議を読まれるときに、これを一言一句粗末にしてはならない。その後の物価の急騰によってこの必要性が非常に増大をしておる、緊急に措置をしなければならない、その程度が非常に迫っているということを認識して読んでいただかなければならない。そして、あしたの労働団体との話し合いにそれをかみしめて、しかも、国民の代表の意見をほんとうに聞いていこうという態度で処せられなければならないと思うわけでありますが、その点で副総理の三木さんに、いま申し上げたことをあすまでにやっていただく、そのような決意をぜひ御披瀝を願いたいと思うわけであります。副総理でそういう御答弁ができなければ、先ほど私も要求してございますが、田中内閣総理大臣に、即時にこの予算委員会に来ていただくように委員長に要求をいたします。副総理の御答弁が満足できれば、後にまた問題が起こったら田中総理の出席を要求いたします。
  227. 三木武夫

    ○三木国務大臣 臨時閣議を直ちに明日開けということでございますが、これはいろいろ内閣として予定もございますが、社会保障制度審議会の答申を関係閣僚に配付いたします。そして明日の会議に、八木さん御指摘のように、そういうことも頭に入れて臨むことにいたします。
  228. 八木一男

    八木(一)委員 非常に不十分でございますが、このあとでまた、副総理が御用があってお帰りになったら、官房長官に申し上げまして、御答弁が不十分でございましたら、田中総理の出席を要求することになろうと思います。  いまのことではいけない。いま、みんなが読んでも、それはみんな頭のいい、りっぱな国務大臣でございますけれども、社会保障というものはあまり御存じない方がある。また、御存じであっても、これは主として厚生省、一部分労働省の所管であるから、そんなことを意見を言ったら出過ぎることになるんじゃないかというような遠慮をなさる方があります。山中防衛庁長官が閣議で発言できなかったとして、非常に憤慨した記事が載っておりました。その内容のいかんを問わず、閣議で国務大臣が意見があったことを十分に論議をすることのできないようないまの閣議であってはならないと思う。そういう意味で、読ましただけではだめであります。会議の前に、閣議であろうと十三人行く人だけであろうと集まって、これは大事なことだ、いままで認識が不足だった、いま新聞紙上でいっている労働団体の諸要求は、この条項から見れば、特に、たとえば一時金なりスライドなりインフレ手当なり、そういう問題は全部そのとおりである、会談に臨んで、われわれは勉強不足であったけれども、皆さんの要求は当然である、この点は即時に、この月以内にこれを実行する、そういう答弁をはっきりできるように、そういうような協議をなさらなければならないと思う。その意味で、副総理のいまの御答弁は不満足であります。閣議でなくても、あした御出席になる閣僚はその前に集まって、その問題をほんとうに踏んまえて協議をなさる、そういうことをぜひしていただくように要求をいたしたいと思いますが、再度、副総理の御答弁をいただきたいと思います。
  229. 三木武夫

    ○三木国務大臣 八木委員の御熱烈な御発言のあったことも加えて、いろいろ予定があって、明日、いま御提案のような、みなが寄ってという、全閣僚が出る会議になると思いますが、そういうことで、その御趣旨を体して、それを、よく答申をみなが頭に入れて会議に臨むように取り計らいます。
  230. 八木一男

    八木(一)委員 三木さん、けっこうです。  厚生大臣に伺います。  先日、二月の二日に、私は、この予算委員会で質問をさしていただきました。物価の狂乱怒濤のような上がり方の中で、生活保護世帯の問題について伺いました。そして厚生大臣は、この生活保護基準の引き上げなり、あるいは一時金なり、そういう対処については、当然、物価の値上がりで最低生活が脅かされることはいけないことであるから、臨機応変にこれに対処をしていくというふうにお答えになりました。それを、また田中内閣総理大臣と福田大蔵大臣が確認をされました。その後、それがどのように進んでいるかを伺いたいわけであります。  物価は、どんどん上がっているわけであります。ちっとも対処をされていない。臨機応変に対処をする——あなたはあのときは、半分は、四十九年に二〇%上がった、それから物価が上がったら対処するというようなことで済まそうというお考えであったようでございますけれども、それではいけないのだ。本年度の年度内においてそれの対処をしなければならない。  そのことで、社会労働委員会で、わが党の大原亨委員質問に対して、毎日物価指数を見ては心を痛めている、これについて、生活保護基準の引き上げか、あるいは一時金で対処するか、どういう方法かで対処しなければならないと思って検討をしていると言っておられます。検討ということばは、いいようで、悪いのです。こんなのは、しようと思ったら、すぐ、どういうふうにするというのはきまることです。いまだに——私の質問からもうずいぶん時間がかかっている。大原君の質問に答えてから五日間かかっている。それを、いまだにどういうふうにするかというようなことがきまっていないのでは、とんでもないことでありますから、きまっておられると思いますけれども、また、きまった内容が乏しかったらいけませんけれども、とにかく、やることにきまっておられると思うけれども、それについて、ひとつ御答弁をいただきたい。
  231. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 生活扶助世帯のことは、これは、もう深刻に私は受けとめておるわけでございまして、生活扶助というのは、私が申し上げるまでもなく、消費者物価の動向とか、あるいは消費生活水準の動向とか、そういうものを中心に勘案していかなければならぬ問題でございます。  そこで、一月の東京の消費者物価指数の動向は発表になりましたが、まだ全国の一月分の発表は実はないのです。これは御承知だと思います。東京の消費者物価指数は、二〇%をちょっとこえたような形で発表が出ておりまして、全国のほうはまだ出てないわけでございますが、全国もおそらく二〇%をこすようになるのじゃないか、これは私の想像でございます。  そこで、こういうふうな事態になりますれば、生活扶助世帯の生活を考えなくちゃならぬ、私はそう思っているのです。さればといって、そのやり方をどういうやり方でやったらいいか。一時金というやり方も、あるいはあるでしょう。あるいは扶助基準を上げていくというやり方もありましょう。四月になりますと、御承知のように、提案いたしておりまする予算では、昭和四十八年度当初に比べて二〇%アップでございますから、その分はいいとして、この一月、二月、三月の物価の動向に対処する措置をどうしたらいいだろう、非常に私、悩んでいるのです。私、率直に申しますが、まだ結論を私の胸の中できめてないのです。きめれば大蔵大臣も賛成していただけると私は思っているのですが、まだきめてないのです。もう少し、そうした動向を勘案しながら、生活を守るように、臨機応変の措置は講じていかなければならぬというふうに考えております。何とかしたいと思っております。しかし、どういうやり方がいいかということについては、まだ結論を得てない。こういうのが私——私、率直に申し上げているのです。どうか御了承願いたいと思います。
  232. 八木一男

    八木(一)委員 いつまでにきめられますか。
  233. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 最近の、そうした一月の東京都の動向が発表になりましただけで、全国のがまだ出ておりませんから、そういうものが出た暁に——もう間もなくおそらく出ると思います。そうしたときに決定をするようにいたしたい、かように考えております。
  234. 八木一男

    八木(一)委員 それでは、消費者物価指数の統計は、二月の下旬に出るわけですね、出たとたんに翌日にきめられますね。
  235. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 いま申し上げておりますように、一月のがまだ出ていないのです、全国が。東京が出ているだけで、全国の統計が出てないのです。二月ということになりますと、これは三月のおそくになりますから、一月の全国統計を見て、そして、そのうちに東京の二月分の上旬の分があるいは出るでしょう、その辺が適当なめどではないかと思います。三月になりましておそらく出るだろうと思うのです。私は、生活保護世帯のことは、ほんとうに心配しているのです。
  236. 八木一男

    八木(一)委員 質問者の気持ちを体得して答えてください。私の二月と言うのは、二月に出る消費者物価指数というのは一月のものが出るのです。二月の下旬に一月の全国統計が出るわけです。それから東京の二月の分が出るわけです。そのときに、出たとたんにきめますねということを言ったわけです。きめますね、それは。
  237. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 そういう時期になりますれば、きめざるを得ないだろうと考えております。
  238. 八木一男

    八木(一)委員 そこで、方法を迷っておられるというから——方法みたいなものは二つしかありません。私でもすぐわかります。  一つの方法のほうが、具体的には政府の事務能力からいっていいと思いますが、一つは、三月一日から基準を、たとえば昭和四十七年度の基準に対して二〇%か二五%ぐらい上げるということが一つ、そして、いままでのたまった分については一時金で出す、これは二通りになります。しかし、政府の事務能力や何かから考えると、生活扶助費というものは、月の初めに出すわけですから、二月の末に出しても、三月の二、三日に、三月分になるわけですから、事務能力の点で、ほんとうに対処することであれば、それは固執はいたしませんから、三月分まで含めて、これを全部ひっくるめて一時金にして、それで二月の末に支給をする、これが一番具体的な方法だと思います。二月の末までにひっくるめて一時金を出す、そういう方法でやっていただかなければならないと思います。いま時間の関係がありますから、あとであれですけれども、答弁はそこまで——もう二月の末にきめると言われたから、どっちかの方法でやられるのでしょうが、その二つ以外の方法はありません。たとえば、三月分を上げて、前のをペケにするというようなことは許されない、これは明らかにしておきたいと思います。その二つの方法。まとめて全部三月分まで一時金ででもけっこうです。  そこで、大原君の質問についての新聞の記事がございました。こういう記事がいろいろ載ることは、非常にけっこうだと思いますけれども、そこで、ほんとうかうそかわからないけれども、厚生省当局の一部の考え方でしょうが、この十月の五%アップと十二月の二千円プラスということで、十、十一、十二のものは、大体、ほぼと書いてありますね。ほぼ対処がされたように考えて、一、二、三について対処をして、一人当たりどのくらいというようなことを、試案か思いつきか知らないけれども、そういうことが報道されておりました。まあ、ほぼというから、そこにまだ許す余地がありますけれども、それは完全に対処をされたなんて書いたら、その役人は厚生省の役人の資格はありません。ほほといっているから、まだ許す余地もありますけれども、こんなものは一、二、三だけではだめです。ずっとの問題です。あなた方は、知っていながら、世の中にはそう丁寧に話さないで、十月に五%上げたから、まあ、それでいいように言っているけれども、十月の五%上げたのは、九月の二十一日に決定しているわけです。九月の二十一日に決定の資料は、八月の末に出た全国の消費者物価統計だが、それは七月のデータだ。したがって、七月の全国のものが参考になってきめられて、十月から五%上げられているわけです。ですから、十月現在では、それからぐんともう上がっているわけです。しかも、十一月、十二月猛烈に上がっているわけだ。一月、二月、おそろしいほど上がっているわけだ。それで、前の年のものは、大体、ほぼ対処できたなんというようなことを、ほかの、社会保障を知らないほかの役所の人が言うんなら、まだ許せるところもあるけれども、厚生省の役人が、そんなことを言うような底流が厚生省にある。とんでもないことだ。あなた方に反省してもらわなければならない。これを、私は、試算をしてみました。昭和四十八年の最初に、生活保護基準がきめられた。それからそのときに、一五%上がっていましたね。上がっていたけれども、上がったのは、その前の年の十二月にきまったのですから、四月には、すでにそのときの物価指数五・五%の予想より四月の現在上がっているわけです。ですから、そこから、もう予定よりダウンをしているわけであります。それから十月に上げたときには、これは七月のデータ、ですから、十月の月はもっと上げなければならない。あのとき五%じゃ足りない。もっと、十幾つ上げておかなければ対処できてないわけだ。全部、そういうところで——とにかく一つ生活水準と物価であなた方はきめられる。生活水準というものも、やはり名目的な価値ですから、物価に影響がある。主体的に物価に影響があるわけです、ほとんどが。そういうことで考えると、全部物価が五・五のつもりで計画をされたことが、それ以上四月も上がっているし、五、六、七、ずっと上がっている。途中で五%上げられた分、そういうのを全部差し引きして計算しました。九月までは五・五より上がった分、十月以降は五・五にプラス五の、一〇・五以上に上がった分、それを全部計算しまして——一月に東京都が二〇・四%上がっていますね。それから全国平均がわからぬ。ところが、前の傾向でいうと、東京の区部の平均のほうが全国平均より低いのです。算術計算で推定すれば、四月の全国平均は二二・四ぐらいだ。そして、もっと比例的な上がり方で計算すれば二三・四ぐらいだ、一月の全国平均は。そういうことにして二月、三月は、その比率が横すべりとして計算してみました。この計算は絶対に客観的に間違いがない。そこで、その足りない分を埋め合わせるとすれば、その二〇・四だけのものが横すべりと一月以降は計算して、四月からの分を計算すると、ほんとうに予定された生活費に食い込まれたお金が、総計、これは標準の世帯で三万六千九百五十五円。そして二〇・四じゃなくて二二・四等差級数的に修正をして、全国平均上がっているとすれば三万九千六百十七円。そして等比級数的に二三・四で上がる、そして二月、三月は皆さんの努力があるとおっしゃるでしょうから、それから横すべりをすると考えて四万九百四十七円ということになるわけだ。これをかみしめていただきたいと思います。少なくとも四万円ぐらいの一時金、一世帯に四万円、一人当たりにしたら、また金額は変わってきます。ですから、それはあなた方はわかるでしょう。平均一世帯四万円以上の、そのくらいの一時金を支給をしないと、最低の生活が圧迫をされて押し込まれているということになるわけだ。厚生大臣は、この観点に立って対処をされなければならないと思います。変なへ理屈を言って逃げるのじゃありませんよ。生活保護は一月一月で区切りがついているから、前のことは知らないんだというようなことを言いたいだろうと思うけれども、そうではない。そういう圧迫をされたために、からだの栄養分が減っている。抵抗力が減っている。生活保護世帯は、あなた方の怠慢のために、からだを弱くされてしわ寄せを受けている。だから、一月でケリがついたんだから、そんなことはいいというようなことを、もしあなたがおっしゃったら、一ぺんに政治家失格ですからね。言いそうだから前に忠告をしておきましたけれども、そういうことをおっしゃらずに、一世帯四万円の一時金が必要であるということをかみしめて、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  239. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 生活扶助基準の問題につきまして、非常に御熱心な御意見を交えてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、全国の消費者物価指数の発表もそのうちありましょうし、私どもも、一月以降、どういうふうに物価が上がっていくであろうかということも想像しながら、この生活扶助の問題につきましては、慎重な態度で臨んでいくつもりでございます。御意見は十分承りますが、いま言うた四万とかなんとかいうことについて申し上げることはできません。もう少し数字が出ました段階において、消費者物価指数の動向なり、あるいは消費生活水準の動向なり、そういうことを十分頭に入れながら慎重に対処してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  240. 八木一男

    八木(一)委員 そうすると、ことばはやはり熱意を込めてください。慎重にじゃない、熱意を込めてできるだけ早く、もう指数が出たら、その晩にでも対処をする、そのような熱意をもって答えてもらわなければ困ると思う。慎重になんというのは、何とか逃げようという姿勢のあらわれです。そういう姿勢では、いまのこの国民生活を守るための第一線に立つ厚生大臣の資格はありません。  そこで、その四万円ということは、二月の指数で変わるとおっしゃるけれども、もっとふえるかもしれませんよ。私の言ったとおりの計算、頭がよければわかるはずだ。厚生省の役人も来ている。わからなければ、私のところへいらっしゃい、計算方法を教えてあげるから。そのシステムは断固として守る、私の計算した指数以上に二月に一月分が上がっておったら、それよりふやす、そうして、この二月の末までに支給をする、そういう体制をつくっていただくことを強く要求しておきたいと思うし、その問題について、あしたは、そのような姿勢で労働団体とほんとうの意味で胸襟を開いて話して、国民のほんとうに政治に対する信頼を回復するようにしてもらわなければならないと思う。  次に、この一世帯四万円という問題は、生活保護世帯だけではありません。同じ影響があらゆる低所得者階層に及んでいる。その問題について、労働大臣に、失対の賃金の去年の問題、五%の問題、いまの賃金が、生活保護水準が下がって非常に困っている問題、そういうことについて、厚生大臣に言ったと同じことですから、厚生大臣よりずっと熱意を込めて、その問題にどう対処するか、ひとつ決意のほどを伺っておきたいと思います。長いことばは要りません。決意をはっきりとおっしゃっていただきたい。
  241. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 失対就労者の問題については、私も特別に関心を持っておりまして、年末には三日分働いてもらうようにいたしましたりしまして、厚生大臣と同じように熱意をもって真剣に考えてまいりたい、こう思っております。
  242. 八木一男

    八木(一)委員 熱意をもって真剣に考えてくださるそうで、けっこうでありますが、いままではあまり真剣ではありませんでした。  で、これは職種別賃金か何かで賃金をきめることになっています。ところが、職種別賃金調査は八月にしか出ない、同じような職種の……。一年に一ぺんしか出ないわけです。したがって、これを上げるのは、労働省のほうでは、諸般の事情、特に他の低所得者階層に対する政府の対処を考慮して上げるということで十月に五%上げたわけです。その状況は変わっていないし、ますます状況が高まっているわけであります。  いま厚生大臣に申し上げたことは、労働大臣にそのまま申し上げておきたい。失対労働者の人に同じように四万円以上の一時金を渡す、同じように賃金をどんどんそれによって変えていく、ふやしていく、そういうことでやっていただきたいし、厚生大臣、労働大臣、両方競争して、どっちかがなまけたら、それではならぬぞと言い合って、その問題を進めていかなければならないし、大蔵大臣は、積極的にひとつ御推進を願いたいと思うわけであります。  ところで、この四万円の問題は、いま言った生活保護世帯、それから厚生大臣の前の答弁からいえば、これは福祉施設に入所をする人たちの生活についても、すでに同様に対処されることは当然だと思う。首を縦に振って、時間を省略して承知してください。首を縦に振りまして、それは当然だと。  それから、その次に、労働省のほうもそうだ。ところが労働、厚生の直接所管以外、間接、いろいろなところにあるわけだ。厚生省所管になりますけれども、たとえば、身体障害者または身体障害児を持っておられる家庭、あるいはまた、原爆の被爆者、それから非常にむずかしい病気、難病の患者の世帯、あるいは母子家庭、すべての低所得者階層に対してそういう必要があるわけだ。ことに年金の生活者は、そのように年金の金が、実質価値が減って非常に困っております。同様の対処が必要であります。  そこで、また厚生大臣が、言われないと思いますけれども、言われるといけませんから、年金生活者のほうが、生活保護世帯より少し生活はましだからというようなことを言われるといけませんから、年金生活者のことを先に申し上げておきます。  この人は五%の対処もされておりません。年末の二千円の対処もされておりません。それを考えると、これが四万円であれば、五万円か六万円にしなければならないという要素もある。先取りして申し上げましたけれども、その年金生活者からいま申し上げたすべての世帯に、インフレ福祉手当を、四万円以上支給するということが必要であろうと思うのです。いままで、これは前例のないことであります。しかし、いまの物価の急騰も前例のないことであります。政府の政策の非常な欠陥のためにインフレを招いてきた。石油危機のあとは、ものすごい大資本や大商社の悪徳のやり方を押え切れないでいままできた。そして、国民生活に圧迫が及んだということになれば、石油については、二つの法律をつくったということを考えれば、国民の生活を守るために、このようなことに全部対処されるような措置をとられなければならないと思う。それについて、特別立法が必要であれば特別立法をやる。生活保護や失対のように行政措置ですぐできるものはすぐやる。あらゆる方法をとって、行政措置、立法措置をとってこれをやっていくということをやられなければならないと思うわけです。それについて、副総理おられませんので、官房長官から、その問題を——官房長官からです、内閣のかなめとして。いけないようだったら、総理大臣を呼んでください。委員長田中内閣総理大臣を呼んでください。審議になりません。
  243. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 まず、私からお答えを申し上げておきたいと思います。  年金につきましては、もうすでに御承知のように、福祉年金については老齢福祉年金は五千円を七千五百円、障害年金については七千五百円から一万一千三百円、しかもまた、二級の障害福祉年金を本年の四月からする、こういうわけでございますので、この福祉年金につきまして、さらに物価が上がっているから一時金を出す、こういうふうな考えは全然考えてございません。それから拠出制の年金については、もうすでに御承知のように、自動スライド制という初めての制度を本年度発足する、こういうわけでございますから、十分、最近の経済状況に対処できるものと、かように私は考えておるものでございます。
  244. 八木一男

    八木(一)委員 二階堂官房長官、政治経験では二階堂官房長官と同様の、また、それより古い方もおられるけれども、内閣のかなめでいらっしゃるから、あなたに伺ったわけです。答えられなかったらいいです、総理大臣に出てきてもらいますから。いまのような厚生大臣答弁があるおそれがあるから、あなたに質問したわけです。  さっきのは政治的な問題ですよ。このような政府の失態で国民生活が圧迫をされている、貨幣価値が下落をしておる、その損失をどうするかという大きな課題で質問して、答えていただきたかった。厚生大臣が、いま法案を出している、そんなような立場でこまごました答弁をしてもらいたくはなかった。厚生大臣は、十一月十九日の、さっき言った建議をかみしめたら、そんな答弁ができるはずがない。そういう事務的な——国務大臣ですけれども、事務的な答弁をするようなときには事務的に聞きます。大きな政治課題として内閣全体で答えるときには、そんな大臣というようなことは言わないでお答えになってください。それができなかったら、総理大臣をすぐ引っぱってきてください。そのような国民的課題について内閣は最大の努力をする、そして国民の代表の意見を十分に聞いてそれに対処をする、それだけの御答弁を願いたい。それができなければ、答弁必要ありません。総理大臣に来てもらいます。
  245. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 答弁のしかたまで教えていただいて恐縮しておりますが、いま厚生大臣が申されたように、この問題は、重要な大きな問題でありますから、八木先生の熱意を十分踏まえながら最善の努力をいたすつもりでございます。
  246. 八木一男

    八木(一)委員 内閣が、いま私の要請申し上げたことについて最大の努力をされるということを確認いたしまして、さらに質問を進めます。  次に、スライドの問題であります。今度は、厚生大臣答弁してもらう。  この前、厚生大臣は、スライドの問題について、全くもう不誠意な、なってない答弁をしましたけれども、それから反省されましたか。ちょっと反省されたらおっしゃってください。
  247. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 スライド制については、先般申し述べましたとおりでございまして、その後、変更する理由を何ら見出しておりません。
  248. 八木一男

    八木(一)委員 そういう答弁は間違っていますよ。あなたは、技術的にむずかしいから何とかと、われわれを含めて、厚生大臣を含めて、非常に能力が足りないから、早くできなくて申しわけありませんというなら、まだましです。やらない態度を変えませんなんて、何ですか、それは。先ほど社会保障制度審議会の建議を、内閣は尊重すると言った。スライドについてタイムラグを縮めるということは明確に載っている。あなたは田中内閣の一員でしょう。田中内閣の方針と違うのなら、いまの答弁でいいです。いま確認をした問題です。ですから、そういう御答弁はいけません。うんとうなずかれてわかられたようだから、まあいいですけれども、そういう立場で御答弁を願いたい。  そこで、この前言われたのは、社会保険審議会の厚生年金部会に、その方法について聞いているから、それが出てくるのが五月になる、それから事務的になると十一月になるから、短くてできませんというのが、あなたの御答弁です。それは昨年の年金法改正のときに、国会で論議されたけれども、その前に、社会保険審議会でそういう意見がついたから、そういうことになったわけだ。昨年は、田中内閣はとんでもないインフレ内閣であると思ったけれども、だれもこんなに悪性インフレまでほっとくようなとんでもない内閣とも思わないで、もうちょっとましな内閣だと思っていたわけだ。ところが、こんなことになった。ですから、昨年の年金の審議のときと断じて事情が違うわけであります。社会保険審議会の厚生年金部会だって、タイムラグを縮めるのに反対の人があろうはずはありません。そんなことを一つでも考えるような委員があったなら、委員の資格はありません。去年のベースで、厚生年金のスライドを今度は一四%予算でやっているけれども、これを二〇なら二〇に上げるということは確認をされております。  だけれども、あそこでは、厚生年金では、国民年金と違って賃金の読みかえがある。ただ、その率を変えたらいいかどうか、賃金の読みかえと同時に組み合わせていいか、そういう問題で審議をしたいということでああいうことになっている。それはそれでやったらよろしい。やったらよろしいけれども、いまのこの物価値上げの問題、スライドの重要性の問題についてはどう対処するか。そんなものは出てからやるというのでは間に合わない。スライドみたいなものは、事務的にむずかしいなんということはないでしょう。一四なら一四、二〇なら二〇、五〇なら五〇、そのまま既定の金額にかければ、それでりっぱなスライドです。それを、賃金の読みかえが大事であると思うならば、賃金の読みかえのことがちゃんときまってから、あとはそれでやったらよろしい。それまでは既定の経費に一・何%かかげれば、それで金額は出るわけだ。それが事務的に五カ月もかかる、そんな厚生官僚なら一人も要りませんよ。官僚のために国民が迷惑をする。やろうと思ったら一週間でもできる。そういうことで、あらゆる年金について、そのような短期のスライドを実行しなければならぬ。そこについては、法律の規定があるから、これについては、臨時的に厚生年金、国民年金——何とか何とか等というのは、あなた方はじょうずです。厚生年金も国民年金も、そしてその中の福祉年金も、あるいは失対賃金も、あるいは児童扶養手当も特別児童扶養手当も児童手当も、あるいは福祉施設の措置費も、あらゆる問題について何々等のスライドということばが、かたかなでいやだったら、金額の調整に関する法律案というものをつくりなさい。臨時立法でもけっこうです。おのおの恒久的に、厚生年金なら賃金スライドのほうがはるかにいい。だから、そういうふうにやるのなら、そのきまったときにそっちでやったらいい。いま即座に、あらゆるものについてスライドをするという臨時立法をつくるべきである。石油二法をつくったような勢いで、あらゆる立法措置でやっていかなければならない。そういう立法をつくらなければならない。でなければ、国民に対する内閣の責任が保たれないと思うけれども、官房長官の御答弁を願いたいと思う。
  249. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 八木先生の年金問題に対するスライド制の問題は、先生の御熱意はよくわかります。
  250. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 年金のスライド制については、先般来、八木委員その他の方々から非常に、タイムラグを短縮したらどうかといったふうな御意見がございました。そこで、実は私も研究したのです、ほんとう言うと。研究したのです。  これは御承知のように、一カ月、二カ月で比較するというわけにまいりませんから、やはり年度間の消費者物価指数、これはもう絶対必要でございましょう。そうなりますと、本年度の消費者物価指数全体がまとまりますのは五月なんです。そこで私、実際事務当局を呼びまして詳細検討したのです。拠出制の厚生年金と、いわゆる国民年金、両方で大体三百七十万人くらいになると思うのです。特に、厚生年金については、一人一人全部金額が違いますね。これはもう御承知のとおりです。厚生年金というものは定額じゃないですから、全部一人一人によって金額が違う。そこで、それを電子計算機を作動して打ち込んでいくというのには——私、率直に言うのですよ。事務的に言うと、四カ月から五カ月かかる。さらにまたプログラムをつくるに四カ月かかる。これはもう過去の実績なんです。それはもう厚生省の職員は一生懸命やっておりますよ。それは社会保険の事務所でも一生懸命やっているのです。  そういう事務的な理由もありますが、同時に、年金というものは老後、退職者の生活の設計の足しにしようというものでございますから、一カ月、二カ月ごとに短期に動かすというわけにはまいらぬ。そこで、私はタイムラグを何とか短縮できないかということをいろいろやってみたのですが、非常に困難だ。  こういうことで、実はせっかくの御熱心な御意見で、普通のことでございますと、ほんとうにこれはもう私やりたいのです。八木さんがやれと言うならやりたいのです。けれども、非常に困難だというのに、私だけがやれと、こう言うて——これは実際たいへんな数なんですからね、三百七十万人という数は。それは十分御理解いただけると私は思うのです。
  251. 八木一男

    八木(一)委員 いまおっしゃったけれども、だからあなたは、ほんとうに非常な国民の生活の危機を感じていないというのです。だから方法を教えてあげているじゃないですか。いままで、百何十万人のことを出すのは時間がかかるというのなら、それを出していたとえば二〇%上げるべきだと思ったら、それに、一・二〇かければいいのです。こんな非常の事態でしょう。国民はそれで生活が困っているのでしょう。これこそ臨時立法を出す。それは郵便局でも銀行でも、いままでのものが変えられないのなら、出したものに一・二〇をかけて支払え。法律でなければ、そんなことは郵便局も銀行もしないでしょう。法律はそれができるのです。そういうことをやればいいということを言っているわけです。出てきた金額に一・二〇をかけることが国民にできないような、そんな日本国民じゃない。やろうと思ったらできるのに、あなた方はやる気がないから、事務的に厚生省が全力かかってもできないというような、なまけた体制でもって弁解をしている。やらなければいけない。直ちにこのすべての、いま申し上げたことについてスライドをする。臨時立法でけっこうです。そんなに長くインフレが続けられたらたまったものじゃない。あなた方の見込みどおりでいくかどうかわからないけれども、少なくとも一両年の間に、これをつづめてもらわなければたまったものじゃない。だから臨時立法でけっこうです。その間はあらゆる、先ほど申し上げたものについてスライドをする、そういう立法を、法律をあなた方は提出する必要がある。  それについて、一ぺんに答えられないようですから、あさって閣議があるそうですね。あした臨時閣議があるか、あさって閣議があったら、官房長官はそれを議題に出して、田中内閣総理大臣に、本日のこの審議の過程を十分に、その中のほんとうの内容、ことばだけではなしに、どんなに大事なものであるかという内容の雰囲気まで伝えて、それを閣議ではかる、それを推進するということをしていただかなければならないと思う。官房長官の御答弁をお願いしたいと思う。
  252. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 先ほどからお答え申し上げておりますとおり、八木先生の熱意は私も十分よくわかるわけでございますから、閣議の際には、先生の熱意のあったところはお伝えいたします。
  253. 八木一男

    八木(一)委員 私の熱意と言いますが、私みたいなものはどうでもいいのです。国民のことですから、私は国民の立場で一生懸命申し上げているのですから、その点でひとつやっていただきたいと思うのです。おまえは声が大きくてなまいきだからぶんなぐるぞ、しかし、このことはやるぞとおっしゃっていただいてもけっこうです。ぜひやっていただきたい。  それでは、時間が迫っておりますから、それをやっていきたいと思いますが、再度、先ほどの問題と同じように、あしたもこのスライドの問題について、いまのような観点のもとで、十分に話を聞かれて、積極的に国民の立場で対処する姿勢を示して、国民の政治に対する不信が幾分でも信頼に変わるようにしていただきたいと思う。私は、自民党が弱くなったほうがいいと思いますけれども、いまあなた方が内閣をとっておられるから、いまは、政府が国民に信頼されるようにならなければ、国民のためにも困ると思う。そういう姿勢でやっていただきたいと思います。  次に、時間がたちましたから、具体的な問題に移ります。厚生大臣におもに質問しますけれども、ばっばっと答えてください。答弁が長くなくても、言われることは全部こっちはわかっていますから……。  次に、生活保護法の改正を推進すると去年お約束になりました。その後どうなりましたか。
  254. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 昨年の通常国会で、最近の経済状況に即応して、生活保護法の改正の必要があるかどうかを含めて十分検討いたしますと、こう申し上げたわけでございますが、すでに御承知のように、最近の経済社会状況というのは、非常に動乱のときでございますので、もう少し落ちついてからやったほうが適当ではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  いろいろ考えてみましたけれども、こういう際に、いますぐ改正に手をつけるというのは、ちょっと時期がまずいのではないか、こういうのが私のいまの心境でございます。
  255. 八木一男

    八木(一)委員 全くもうおかしな話で、いまこういう事態だから、忙しくてしょうがないから、そういうむずかしい問題はできないというような気持ちで言っておられるようにしか見えない。  生活保護法の改正の問題は、基本の問題です。基本の問題だから、そういう問題に関係なしにできるわけだ。しかも、基本の問題をしっかりすることによって、このようなインフレで国民が圧迫をされているときに、これが対処できることになるわけだ。いまその時期でないということは、全く間違いであります。今国会中に出すように一生懸命やってください。  そこで、改正点を申し上げておきます。  まず、基準の問題を厚生省がちょろちょろと計算して、大蔵省と相談して、そして大蔵省に値切られて、形式的に、閣議できまったから内閣できまったんだというようなことをよく答弁されます。しかし、この生活保護基準というのは、憲法できまった、健康で文化的な最低生活の基準でありますから、客観的なものがあるわけだ。予算がないからつづめるとか、厚生省がなまけていたから進まないとか、そういうものであってはならない。したがって、これだけは憲法の条章をまともに受けているのですから、内閣やあるいは閣僚が熱心であるかなまけているかによって支配されないように、公正な委員会をつくって、そこで、健康で文化的な最低生活の基準、現時点、このところでは何かということを出して、これに関してだけは、それに必要な予算はびた一文も削減をしない、そのとおり実行する、そういう基準のきめ方にしなければならないということが第一点。  その次には、先ほど問題になったスライド。このように物価が変動する。スライドは一月ごとにやる、そういう規定を入れる。  次に、第四条のまことにけしからぬ規定、鬼やジャのような規定、あれを改正をする。病身の夫をかかえて奥さんが一生懸命働いても、それが収入に認定されてほんとうの収入にならない。そうしたら、働くよりはだんなさんの腰をさすってあげたほうがいい。子供に、貧しくて何もないけれども、子守歌でも歌ってやったほうがいいということになって、働きに行かなくなる。働いた者が実収をふやすことになれば、そこで一生懸命自立をしようと思って職業やあるいは商売に励む、そしてほんとうに自立ができるようになる。生活保護法の自立助長という文言が第四条で全く抹殺をされている、第一条の精神が。このような第四条の、鬼かジャのようなこのものは直す、あるいは地域差が非常に多い点は直す。これは行政措置ででもできるけれども、直す。また行政措置で改悪をされるといけないから、そういうことを法律で改善して、改悪されないようにきちっと書く。  それから、扶養義務者をいたずらに追及しない。不服があったときには、からだの弱い人が遠くまで行かなくていいように、市町村ですぐ不服申請ができる、そういうことを全部やる。これはいまの物価の問題と、ほんとうは関係がありますけれども、物価がどうだからきめられないという問題ではない。基本的な問題だ。その問題で至急に出される。去年の返答であれば、もうことしは出ていなければならない。今国会じゅうまだ会期があります。それを出すようにしていただきたいと思います。  時間がありませんから先に進みますが、次に、福祉年金の問題であります。これは大蔵大臣もよくお聞きをいただきたいと思います。  この福祉年金が、現在老齢福祉年金が五千円ですが、昨年この五千円を、翌年七千五百円、次に一万円にするというのは、これは一昨年の末から自民党のほうでは宣伝をしておられました。国会では二月に、厚生大臣総理大臣も確認をされました。経済社会発展計画でも、昨年の二月に決定をしておるわけだ。その二月から物価の変動がずっとあるわけです。ずっとずっと変動があるわけです。その変動を私は計算してみました。こんな七千五百円なんてとんでもなくて、われわれは月三万円にしなければならないという当然な態度を主張しているわけでございますから、皆さんは戒心をして三万円とされれば、それは国民のために非常にけっこうだと思いますけれども、なかなか率直に戒心されるような人たちばかりではありませんので、あなた方の立場でも、この七千五百円の昨年二月の国民に対する公約を、最低限度果たそうとしても、どんなにしてもこれは一万円にしなければつじつまが合わぬ、貨幣価値から見ても。少なくともこれを一万円にしなければ、あなた方の乏しい年金に対する公約も、果たされていないということをかみしめていただきたいと思う。そして大蔵大臣もかみしめていただいて、当然これは三万円にするという野党の主張と、そしてこの物価変動に対しては、対処しなければならないという自民党のやや熱心な委員の方の御論議があって、この問題についていろいろ問題が起こるでありましょう。そのときに、いやしくもなまけた政府としては、それが修正されるようなことは困るということは、ただの一言も言ってもらってはならぬ。出し方が不足であったから、何とか国会で与野党で修正をしていただきたいと方々に要請をして回る、そういうことでこの問題に対処していかなければならないと思う。それは要求をしておきます。  次に、具体的な問題で老齢特別給付金であります。これは先日も申し上げました。今度は当然六千円にならなければならないところを、五千五百円にしておられる。これは衆参両院を侮辱したものであります。われわれは、対象として、老齢福祉年金と同額を六十五歳以上の老人に支給するようにしなければいけないと思っておるわけでありますが、あなた方はそれを値切って、六十七歳以上の人に老齢特別給付金という値切った、ちびったものを出しておる。そのちびったものをまた今度はちびろうとしておる。老齢福祉年金に対して八割の支出を何で七割ちょっとに減らしたのか。これも厚生省の弱腰で、九月にぽこっと出してほんとうに押し切らなかったのか、大蔵省が聞かなかったのかどっちかわからないけれども、私の感じでは、厚生省の弱腰のほうに半分以上の責任がある。大蔵省がすぐに受け入れられなかったところに残りの責任がある。厚生大臣も大蔵大臣もかみしめていただいて、これはほんとうは提案し直していただきたいのです。これこそはあなた方は与党の方々に、これは政府の少し足りない点だった、直すように国会でしてもらいたいと、ぜひひとつ要請を、厚生大臣も大蔵大臣も、与野党の関係委員会の委員にひとつ働きかけていただきたいと思う。  次に、通算措置の問題であります。これはあなたはほんとうに怠慢であります。ことしこの障害と遺族に対しての通算措置を出す、法律案を出すという約束をされたはずであります。なぜ提出をされないか。また今国会で、きょうじゃなくても、数日中に提出をされるならば、あなたの責任も追及しないで済むと思いますが、それについてどう思っておられるか。
  256. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 いろいろたくさんのお尋ねでございますが、まず簡単にお答え申し上げます。  生活保護法は生活扶助の基本的な法律でございますから、これはやはり慎重な態度で臨んでいかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。  それから福祉年金の問題でございますが、私どもは五千円から七千五百円と五〇%アップでございますので、私は、いまの段階ではこれが適当な金額だと考えておりまして、これを三万円に修正していただきたいというふうな考えは持っておりません。  それから、老齢特別給付金の問題でございますが、これは四千円、本年の一月からでございますね、それを来年度は五千五百円、こういうことでございまして、大体これは老齢福祉年金の七〇%よりちょっと上回ったというところでございますので、政府としては、この辺の定額が適当なところではないかと考えております。  さらに遺族年金、障害年金の通算の問題、これは私は非常に大事な問題だと思うのです。国民年金、厚生年金、共済年金、ところが御承知のように、いままで資格加入要件というのですか、あれがだいぶいろいろばらばらでございました。そういうふうなことで、なかなか思うような点ができなかったのでございますが、国家公務員の共済年金のほうも、大体厚生年金に右へならえのような形の改正ができるようになってまいりましたので、私は、これは厚生年金の次の改正の重要な課題だと思っております。今度の国会には、私は率直に申しますよ、間に合わないんじゃないかと思いますが、これは何としてでも解決したい、この熱意は持っておるということだけは、どうか御理解いただきたいと思います。
  257. 八木一男

    八木(一)委員 今度の国会には間に合わぬではないかと、全く怠慢な話ですよ。あなた、共済組合のほうに連絡をさせたですか。共済組合の担当省は大蔵省、そして担当官は主計官の辻君です。国家公務員共済組合法の審議を私は社会保障制度審議会でやったときに辻君に聞きました。厚生省から連絡はないと言う。去年、ことし出すという約束をして、その関係の共済組合やほかのところに連絡もしないというような怠慢なことがありますか。そして、ことしは出せないかもしれない。あなたなり、関係者の怠慢をそのままあらわしているんじゃないか。官房長官、こんな怠慢な状態について内閣はそのまま置くのですか。通算を待ちこがれている遺族や障害者の熱望を裏切っているわけだ。国会における約束を裏切っている。関係の省に連絡もしてない、こんな怠慢なことがどこにありますか。即時対処をして、齋藤君が戒心して、一月以内に出すのならかんべんしてあげてもいい。それもできないようなら、こんな厚生大臣は、これは解職をしてもらわなければならない。あさっての閣議でこれを徹底的に討議をなさい。官房長官厚生大臣なんかに遠慮しちゃいかぬですよ。全くの怠慢である。これについては、厚生大臣がこの国会中に出すと言えば免責をしてあげます。それができないと言うのなら、このような怠慢な厚生大臣は資格がない。これを解任すべきである。解任できないのなら、田中角榮の内閣は国民の負託にこたえる資格がない、そういうことであります。そのことで、閣議で近々に急速に討議をされるかいなや、それを明確に御答弁をいただきたい。
  258. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 御意思のあるところは、十分私も厚生大臣にお伝えをいたします。(八木(一)委員「いや閣議ですよ。総理大臣に伝える」と呼ぶ)閣議の席上でお伝えをいたします。
  259. 八木一男

    八木(一)委員 次に、本人の所得制限、この問題について、衆参両院で附帯決議がついているけれども、今度ちょっといじくったようだけれども、これは物価のスライドと同じ型のいじくり方であります。本人の所得制限を緩和するという、具体的なことが何も出ておらない。年金の基本論理でいえば、本人に所得があったら年金の給付は必要ないという観念論があります。しかし、わが国の実態では、むすこさんのほうは相当収入があっても、おとうさん、おかあさんに年金は来る。むすこさんをなくして、むすこさんのお嫁さんがなくて、孤影しょう然として老人が一生懸命働いて何がしかの収入があるときに、それよりも何倍かの収入があるむすこに養育をされておる老人に来る年金が、単独の老人のほうに来ない。このようなものを解決しないで厚生行政とはいえないはずであります。両院の附帯決議があるのに、これについても、なぜほんとうの対処をされなかったのか。ちょっと緩和したと言われるでしょうが、こんなものは、数字を計算してありますが、貨幣価値の変動の一四%だけです。ですから前より前進していない。これは答弁は要りません。戒心をしてさっそくやり直す、そういうことをやりなさい。  その次に、特別児童扶養手当であります。これについてこの前も厚生大臣、大蔵大臣に申し上げました。厚生大臣、たいへん荒っぽく言って失礼ですけれども、かんべんしてください。国民のためにやっているのですからね。  そこで、障害福祉年金の二級が出たのに、障害福祉年金といつも同じように金額が上がったり何かしている特別児童扶養手当——障害福祉年金は障害者の年金、特別児童扶養手当は障害児を持っているおとうさん、おかあさんのところに来る手当、連動しておるのに、今度二級障害福祉年金ができたのに、それをつけない。非常に手落ちだと思う。これはおそらく大蔵大臣は御承知なかったと思う。厚生省がなまけて要求をしていなかった。大蔵省もおこられたらいいでしょう、やる気があるのに要求もしてこないからわからぬじゃないかと。大蔵省の主計局は予算を削減するのが本旨ではない。国民に対する政治をやるための予算の裏づけをするのがほんとうの任務である。われわれが任務を果たそうとするのに、厚生省の怠慢によって任務を果たせない、こんなことは困ると、大蔵大臣は厚生省に抗議をしていただきたいと思う。  そういうことで、二級の障害児を持っている家庭に特別児童扶養手当をつけなければいけないと思う。あなた方は、一級のほうに三千円の福祉手当をつけて、二重障害の人に手厚いことをやったと言う。これはいいです。しかってばかりいるから、これはほめてあげます。しかし、それでごまかしてほかを逃げようとすることはいけない。金額はここにありますけれども、めんどうくさいからもう言いません。  両方の金額はこんなに違う。対象人数もこんなに違う。小さい対象人数のところにちょっと金を出して、それでいいことをしたようなかっこうをして——そのことをするのはいいですよ。もう少し予算がかかる、といってもたいしたことはないのですから、大蔵大臣が心配するような予算じゃありません。八億ぐらいあれば二級特別扶養手当がことしは間に合う。そういうものを出してこない。こういう怠慢な姿勢はいけない。これについても、ぜひ社会労働委員会の衆参の委員に陳情なさって、このようなことが審議の過程で直るように、厚生大臣みずから先頭に立って、与野党の委員に陳情していただきたいと思う。それだけ申し上げておきます。  それでは次に、たくさん大臣に来ていただきながら御答弁をしていただかない方があって恐縮でございましたが、あした労働団体との会談に参加をされる閣僚がたくさんおられます。中曽根さんもそうでしょう。小坂さんもそうでしょう。それからほかもほとんどそうだと思う。そのすべてが、先ほど言ったことをかみしめて、その問題は厚生大臣の問題だと逃げちゃいけません。特に中曽根さんなどは通産行政、あなたの怠慢によってさんざん国民に迷惑をかけている。その責任の百分の一でも回復するために、政治家として命がけでやらなければいかぬ。厚生大臣姿勢が悪かったら、国務大臣で有力な閣僚の一人として、厚生大臣はこう言っているけれども、それじゃだめだ、中曽根国務大臣は、あなた方労働団体の言うことを実現したいと思います、答弁の食い違いがあってもいい、そのくらいの勢いで対処してもらわなければいけないと思う。石油の逃げ答弁ばかりしないで、そういう態度を中曽根君はじめ、ほかの閣僚も全部示してもらいたい、そういうことを言っておきたいと思います。  最後に一問だけ申し上げます。経済企画庁長官と大蔵大臣に関係のある問題であります。  この前も申し上げましたけれども、予算の編成方針をきめられたのは十二月の二十一日であったかと思います。予算が決定しているのは一月の二十一日、経済見通しも、閣議了解が十二月であり、決定が一月であります。同じ日であります。そのときに参考にされた消費者物価指数、これは十一月末に出されたものであります。それは十一月末に出されたものだが、十月の全国水準のものであります。そして東京の十一月のものであります。十月の全国水準というのは、いまの急上昇の一つ前であります。対前年度比が一四・幾らというような時代であります。であれば、この予算了解事項から決定、経済見通しの了解事項から決定までの間に大きな変化があるから、当然一月二十一日のときに、経済見通しも予算の編成方針も変えられなければならない。  それなのにあなた方は、石油の状況があるから、卸売り物価の統計や石油やあるいは通関の数字、そういうものは修正されておきながら、消費者物価指数に関係のあるものについては修正をしておらない。このことは、産業界を大事にして、国民生活を冷たくあしらっている証拠であろうと思う。しかも、一月二十五日に出された消費者物価統計ではものすごい急上昇をしている。そうなれば、予算を出したあとからでも、経済見通しをきめたあとからでも、数日間でありますから、そこでストップをかけて見通しを変える、予算を変えるということをせられなければならない筋合いのものだと思うわけであります。  経済見通しについては、努力が入っていると言われます。努力は十一月からしているはずです。日銀の公定歩合を二分ほど上げました。でもその努力をしても上がっているわけです。そして一月のあの状態などは、この委員会で明らかになったように、通産行政の怠慢で、何も手を打っておられないことが明らかになっているわけです。そうしたら、十二月に見通したその物価を安定するための努力は、前段においてくずれているということは明らかであります。したがつてこの指数も変わってくる。見通しについて、努力目標で心理的な、国民に対する政府の願望が入っているから変えたくないというならば、少なくとも、ほんとうの見通しに立った予算が組まれなければならないと思うわけであります。   〔井原委員長代理退席、委員長着席〕したがって、たとえば生活保護費の二〇%アップ、こんなものは少ない、繰り入れ金のあんなものは少ない、そういう観点に立って予算案を変えて出されなければならない、そういう状態であります。  さらに、昭和四十八年度の状況は、猛烈に見通しが狂っております。したがって、四十八年度の現行予算のことについても考えを新たにしなければなりません。そうした意味合いで、昭和四十八年度補正予算案を提出される責任があろうと思います。昭和四十九手度予算案については、与野党で協議をしてこれを積極的に修正する、そのことをやられるのが政治家としての責任であろうかと思います。  福田大蔵大臣は、このインフレに立ち向かって、福田さんなりに一生懸命やっておられる気持ちはわかります。しかし、狂乱怒濤の物価は、一福田赳夫氏の努力ではなかなかとまらない状態であります。したがって、政治に関与する人が全知全能を傾けてこの問題に対処をする。与野党で、その中軸である予算をほんとうの意味で国民のために修正をする。その修正の方法は、総需要をふやすことはしない。組みかえをして国民生活を守る、その方針で予算を組みかえていく必要があろと思うわけであります。提出の責任者である福田さんはつらい思いでおられるでありましょう。しかし、それはいままではありきたりの政治家のつらい思いであります。ほんとうの政治家であれば、与野党と相談をして、ほんとうに変化した実情において国民のための予算を一緒につくっていこう、そういう気持ちを表明されることが、政治家としての一番正しい道であろうと思いますが、それについての福田大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  260. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ことしになりましてからも、物価がどうもまだ上がる情勢であったわけです。もう二月も半ばを過ぎておる。もう何とかぼつぼつ物価が横ばいから下げ調子だというふうになるようにと念願しながら日夜努力をしておるという現況でございます。まあしかし、一月にあれだけの物価が上がったということは事実でございますから、それに対しまして、補正予算を編成するというような事態ではないように思うのですが、とにかくいま、先ほど厚生大臣からも、社会保障対象者に対する施策についてあれやこれや考えておる、近く結論を出す、こういうふうに言っておりますので、齋藤厚生大臣が成案ができましたならば、誠心誠意、財政当局としての対処をいたしたい、かように考えます。  それから四十九年度の予算につきましては、これは予算の編成に先立ちまして、私はこういう狂乱怒濤だといわれるような経済情勢の中においては、やはり各党各派が、そうい立場にとらわれないで、コンセンサスをつくってこれに対処することが妥当である、そういうふうに考えまして、私は、異例ではありまするけれども、各党の政審会長からいろいろ御所見も聞いたわけです。そういう御所見等も十分に組み入れまして編成した予算である。しかも、これは企画庁において立案いたしました経済見通し、それにのっとってつくっておる予算である。まあ経済見通しが現実に狂ってきた、こういう事態になればこれは格別でございまするけれども、今日、そういうような想定はいたしておらない。何とか努力の上に努力をいたしまして、この経済見通しのような状態に日本の経済を持っていきたいという努力の最中でございますので、現段階において補正予算昭和四十九年度予算に対し編成するという考え方は、いまはとっておりませんです。
  261. 八木一男

    八木(一)委員 これでやめます。大蔵大臣のやや前向きな姿勢については理解します。しかし、私の申し上げたのは、政審会長会談をやったのは十二月、状況は変わってます。ですから、予算の修正の問題も、四十八年度補正予算の問題も、いまの急に変動している状態で積極的に変えていただきたいということを強く要求をいたしておきまして、私の質問を終わります。
  262. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 楢崎弥之助君より関連質疑の申し出がありますので、八木君の持ち時間の範囲においてこれを許します。楢崎弥之助君。
  263. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 公取委員長にお伺いしますが、最高検次長が発表されるについて、あらかじめ連絡がありましたか。
  264. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 あらかじめ連絡はございませんでした。
  265. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、次長の発表があったから、公取委員長は急遽記者会見をされたわけですね。告発は十五日に行なわれておるわけですから、きのうの時点で記者会見をされたということは、抜き打ちに最高検次長が発表したからそうせざるを得なかった、こういうことになりますね。
  266. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私は、そういう予想してなかったことでありまするが、新聞記者が——私のほうは通産省詰めの新聞記者クラブです。こういうことであるので正式に記者会見を要求すると、こうありました。私どもは次長検事が発言された事実を確認した上で、やむを得ずこれは応ずるほかありませんから、その発言の、公表された範囲内でということで応じました。
  267. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 法務大臣、お聞きのとおりです。いいですか、法務大臣、最高検次長が発表しなかったら、公取委員長はわざわざ記者会見する必要はなかったのです。最高検次長がなぜきのうの十二時半に発表したのか、その理由をお聞きになりましたか。単に新聞記者からつつかれて発表したというにすぎないのですか。これは重大なところですよ。聞かれましたか。なぜ最高検次長がその時点で発表したか。つまり、いまの時点で、つまりきのうの十二時半の時点です。十二時半の時点に発表したほうがいいという判断のもとになされたのか、それとも、単に記者からつつかれて、やむを得ず発表せざるを得なかったのか、その辺はどうですか。
  268. 中村梅吉

    中村国務大臣 先ほど電話で確かめましたが、なおその後確かめ得ましたが、昨日の十二時三十分ごろ、司法記者クラブの記者十人ほどで、要するに、ほかで告発のあった事実を記者クラブのほうがもうすでに知りまして、そして次長検事のところへ確認を求めにやってきたようです。それで確認を求めに来たところで、正式記者会見というのですか、どういうことですか、会見をして話をした、こういう次第でございまして、自発的にこちらが記者クラブを呼んで記者会見をしたものでないようでございます。
  269. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはわかっておるんですよ。それはわかっておるが、重要な発表であれば、幾らつつかれてもやる必要ないじゃありませんか。これはたいへんな責任になりますよ、いまから。いいですか。しかも、そういう発表が、結果としてどういう影響を及ぼすかということを十分計算されてなされたんですか。もしそれを計算しないで発表したとすれば、全く、何かの意図があるか、あるいは軽率か、どちらかですよね。これは重ねて私はその辺を明確にしていただきたいと思うのです。
  270. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは、要するに記者クラブのほうで次長検事のところへそういう告発があったかどうかを確認に来たので、告発があったということを申しただけで、さらにそれ以外に、新聞によって若干違うんですが、他の社は大体同じでございますが、朝日新聞だけが何か推測記事ですか、よけいなことが書いてあるようでございますが、大体次長検事としましては、新聞記者からの質問で、証拠は十分なのかという質問があったので、それは行政処分としての証拠と司法関係の証拠とはおのずから証拠のあり方も違いますから、検察当局としては、告発を受けた以上は全力を尽くして適正な捜査をする、こういうことを言っただけのようでございます。
  271. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 言っただけでは済まされませんよ。そういう事実は言えないとどうして言わなかったのですか。どうして言わなかったのですか。——ちょっと待ってくださいよ。いまの答弁であれば、その事実を確認することの影響がどんなにあるか全然考慮されずに発表された、そう思わざるを得ないのですよ。  重ねてお伺いします。——ちょっと待ってください、時間がありませんから。あなたは検事総長に対して、独禁法七十四条、午前中田中委員から発言のありました、この七十四条の発動を指示あるいは指導しなかったのですか。これです。いいですか、二番目が。こういう事態であることは、あなたは国会でよく知っている。いつ告発が起こるかもしれないという事態をあなたは認識しておったはずです。とするならば、七十四条によって、あなたは当然検事総長に対して、公取に対して、その通知による調査あるいは報告——七十四条です。これを求めさせるべきです。あなたは当然そういう指導をなすべきである。さらに、検事総長がそういう七十四条の発動をしなかったということは、すなわち検察当局が全然今日の事態に対して認識がないということです。やる気がないということです。だから告発があって、急にいまから態勢を整えましょう、そういうことじゃないですか。これは非常に重大なところですから、まとめて御答弁をお願いします。
  272. 中村梅吉

    中村国務大臣 第一の点でございますが、次長検事としては、告発があったそうだが、間違いないかと言われたときに、告発が事実あったのに、ないとは言えない、告発はありましたと言っただけのようでございます。(楢崎委員「そんなことは言えないと言えばいい」と呼ぶ。)言えないといっても、事実あるのだから、これは困るだろうと思うのですが、第二の点でございますが、第二の点の、独禁法第七十四条は、検察当局が犯罪の捜査等をやっておる間に、独禁法違反の事実があったということを知った場合には、検事総長を通して公正取引委員会にこれを通知して、調査を求めることができるという規定のように思っております。したがって、検察当局は、そういう事実があったということを、うわさや新聞紙上で知った程度公正取引委員会調査を求めるということは、この条文の趣旨ではないので、捜査段階でそういうことを検事総長もしくは検事が知った場合に、検事総長として、公正取引委員会調査を求めることができるという規定のように私どもは承知いたしております。(楢崎委員「あなたが指示すればいいのです」と呼ぶ。)私が指示する権能は法律上ありませんよ。「検事総長は、」とあるのですから、検事総長がやるべき義務でございます。
  273. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 関連して田中武夫君。
  274. 田中武夫

    田中(武)委員 法務大臣、それは通常の場合、他の犯罪捜査中にそれは独禁法違反の事実があった、こういうことによって、公正取引委員会が気がつかない場合に、それに通告したり、あるいはまた調査を連絡する、こういうことは、それは通常の場合はそうだと思うのですが、あなたのいま言われた犯罪捜査の際に云々というようなことは、法律にはないんですよ。拡大解釈してもらっては困りますよ。
  275. 中村梅吉

    中村国務大臣 いずれにしましても、そういう事実があったことを検察当局が知って、そしてまた、公正取引委員会が何ら発動していない場合ならば調査を求めることができる規定でございまして、すでに公正取引委員会はこの関係の事案につきましては発動して捜査をしておるのですから、私は、おっしゃるような、そういう事態には該当しないのではないか、かように思っております。
  276. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 七十四条は、どんなふうの状態になっておるか報告を求める、いつ告発があるかもわからないから当然検事総長は知っておかなくてはいけない、だから報告を求める、こういう事態だからこそ、なおさら報告を求めなくちゃいけないんですよ。それをしなかったということは、検察当局の今日の事態に対する認識がない、私はそう思わざるを得ないのです。それが一点。  さらにもう一つ言っておきますが、あなたはいま重大な答弁をした。かつてあの沖繩密約問題のときに、うその答弁があった。それがはっきりした。佐藤総理大臣は、そのとき何とおっしゃいましたか。うその答弁はいけません。言えないと言えばよろしゅうございました、外交上の秘密ですから、たとえ事実があっても、言えないと言えばよろしゅうございましたと何回も言いましたよ、最終的な収拾のときに。だから、言えないと言えばよかったんですよ。それをなぜ、事実があったからやむを得ぬじゃないか、何ですかそれは。そういうことで法務大臣としての任務が全うされると思ったら大間違いですよ。あなたの態度はほんとうに私は疑問がある。  さらに、公取委員長にちょっと言っておきますけれども、告発の相手の氏名は言えない、捜査の妨害になるから。これは社長であろうと営業部長であろうと、今度の問題は会社ぐるみでやっているんですよ。だれあげたって一緒ですよ。同じことなんですよ。だから会社が、わかっている以上、関係ないんですよ、それは。あなた方が氏名を発表しないというのは、別の意図があるんですよ、それはあとで言いますけれども。  そこで、私はもう一つ申し上げたいことがある。公取委員長は、記者会見されたときに記者団からこういう質問を受けたはずです。検察庁が記者発表しておるのは不起訴にするからではないのか、そういう記者の質問に対して、委員長は黙して語らなかった。黙して語らなかったということは、委員長もその最高検次長の事前発表に疑問を持っておったと思うんですよ。だから黙して語らなかったと、私はそう解釈せざるを得ないのです。  それで、私はもう時間がありませんから最終的に言いますけれども、どうしてもいままでの客観的な最高検次長の発表の前後をめぐるいきさつ、すでに検察当局に前もって公取委が連絡をされておったという事実、私は今回の公取委の告発に対しましては、その勇断に心から敬意を表します。しかし、最高検次長のこの事前発表、この事実は、すでに検察庁も公取もともに起訴はなかなかむずかしいんじゃないかということを予想しながら、しかも今日の世論の背景の上に立って、あるいは国会のわれわれの追及の上に立って、たとえ起訴はむずかしいと予想しておっても告発をした。その告発の事実だけが大事だと思われたのではなかろうか。だから、こういう客観的な判断から、私は午前中に検察当局と公取委のなれ合いによる芝居、すなわち、国会のわれわれの追及や世論に対する言いわけ、単なるポーズ、単なるゼスチュアに過ぎないのではないかと思わざるを得ないのです。残念ながら思わざるを得ない。どうですか。
  277. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 まず、はっきり申しますが、私はゼスチュアのために仕事はいたしません。そういう不届きな考えで、いままで独禁法発足以来してない告発をするなんてふざけたことはできません。  これは、実はその過程についていろいろ申し上げますと、私はこれからも、最高検察庁を頂点とする全体の一つの組織でございますから、それの協力にまつところが非常に多いわけです。私はそれらとの間にいたずらなる摩擦はつくりたくない。いまこういう事態で、いろいろ食い違いございましたが、そういう気持ちで一ぱいでございます。したがいまして、先ほどの次長検事の問題につきましても、いろいろ手違いであったろうと思いますが、おそらくそうであったろうと思います。しかし、そういうことがありましても、だれを告発するかという問題、人間の特定問題というのはたいへんむずかしいのです。これは、はっきり申しまして、従来の検察の刑事訴訟法の考え方から言いますれば、直接の行為者でございます。直接の行為者でございますから、本来ならば、会社幹部、もっと上層部が知っておるべきことを中途はんぱな者が罪をかぶってやっておる例もございます。私どもは、そういうあり方に対してはたいへん疑問に思っておりまして、そういう点でも、検察庁とは完全に一致しないのかもしれません。そういう点だけ申し上げます。決してなれ合いなんというものではございませんから、その点、御了解願います。
  278. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 公取委員長の勇断にさらに私は期待をし、国民もみんなこれが単なるゼスチュアあるいはポーズでないことを祈っております。したがって、国民の期待なり、われわれの期待にこたえていただきたいと思います。  なお、公取委員長答弁の中に、あるいはきのうの記者会見の中に、どうも取り調べの段階で相手が黙秘を使う、黙秘カルテルをやっておる、こういう発言がありました。しかし、これは刑事事件の場合は黙秘権は権利として認められておるけれども、独禁法では、たしか四十条か四十六条か、これは、黙秘は許されないはずですよ。したがって、その点もあるし、私は、重ねて、しっかりやっていただきたい、国民の期待にこたえていただきたい。  そこで、最後に、中曽根大臣にお伺いしておきます。先ほどの御答弁の中で、もしこの告訴事件に関連して通産省が共犯の疑いを持たれるような事態が起こったら、通産大臣は責任をとられますかということをお伺いしたわけですが、その点の御答弁がなかったので、それだけお伺いして、私はこれで質問を終了したいと思います。
  279. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通産省が共同正犯というようなことはないと私は確信しております。もし万一、そういうことがありましたならば、これは是正いたします。
  280. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと一言……。  もう時間も来たようですから、これ以上申しませんが、やはり法務大臣は、法を守る一番の元締めですから、法を縮小して解釈したり、条文にないのを上につけたり、そういうことのないように願います。さらに、検事総長はということで、独禁法七十四条は、検事総長に対する一つの義務規定なんです。そういう点も十分に考えて善処せられるよう望みます。いかがです。
  281. 中村梅吉

    中村国務大臣 仰せのとおりでございます。
  282. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて八木君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  283. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 この際、御報告いたします。  物価問題に関する集中審議は、来たる二十五日、二十六日及び二十七日の三日間行なうこととし、参考人として、三菱商事社長藤野忠次郎君、三井物産社長池田芳藏君、伊藤忠商事社長越後正一君、丸紅社長桧山広君、日商岩井社長辻良雄君、住友商事社長柴山幸雄君、トーメン社長安本和夫君、第一勧業銀行頭取横田郁君、住友銀行頭取伊部恭之助君、東京銀行頭取横山宗一君、日本石油社長瀧口丈夫君、出光興産社長石田正實君、昭和石油社長永山時雄君、ゼネラル石油社長鈴木勲君、共同石油社長森誓夫君、石油連盟会長密田博孝君、住友化学工業社長長谷川周重君、三井東圧化学社長末吉俊雄君、花王石鹸社長丸田芳郎君、松下電器産業社長松下正治君、石油化学工業協会会長鳥居保治君、大昭和製紙社長斉藤了英君、軽金属製錬会会長中山一郎君、以上二十三名の方々の御出席を求めることといたします。  次回は、明二十一日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会