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八木(一)
委員 次に、本人の所得制限、この問題について、衆参両院で附帯決議がついているけれども、今度ちょっといじくったようだけれども、これは物価のスライドと同じ型のいじくり方であります。本人の所得制限を緩和するという、具体的なことが何も出ておらない。年金の基本論理でいえば、本人に所得があったら年金の給付は必要ないという観念論があります。しかし、わが国の
実態では、むすこさんのほうは相当収入があっても、おとうさん、おかあさんに年金は来る。むすこさんをなくして、むすこさんのお嫁さんがなくて、孤影しょう然として老人が一生懸命働いて何がしかの収入があるときに、それよりも何倍かの収入があるむすこに養育をされておる老人に来る年金が、単独の老人のほうに来ない。このようなものを解決しないで厚生行政とはいえないはずであります。両院の附帯決議があるのに、これについても、なぜほんとうの対処をされなかったのか。ちょっと緩和したと言われるでしょうが、こんなものは、数字を計算してありますが、貨幣価値の変動の一四%だけです。ですから前より前進していない。これは
答弁は要りません。戒心をしてさっそくやり直す、そういうことをやりなさい。
その次に、特別児童扶養手当であります。これについてこの前も
厚生大臣、大蔵大臣に申し上げました。
厚生大臣、たいへん荒っぽく言って失礼ですけれども、かんべんしてください。国民のためにやっているのですからね。
そこで、
障害福祉年金の二級が出たのに、
障害福祉年金といつも同じように金額が上がったり何かしている特別児童扶養手当——
障害福祉年金は
障害者の年金、特別児童扶養手当は
障害児を持っているおとうさん、おかあさんのところに来る手当、連動しておるのに、今度二級
障害福祉年金ができたのに、それをつけない。非常に手落ちだと思う。これはおそらく大蔵大臣は御
承知なかったと思う。
厚生省がなまけて要求をしていなかった。大蔵省もおこられたらいいでしょう、やる気があるのに要求もしてこないからわからぬじゃないかと。大蔵省の主計局は
予算を削減するのが本旨ではない。国民に対する政治をやるための
予算の裏づけをするのがほんとうの任務である。われわれが任務を果たそうとするのに、
厚生省の怠慢によって任務を果たせない、こんなことは困ると、大蔵大臣は
厚生省に抗議をしていただきたいと思う。
そういうことで、二級の
障害児を持っている家庭に特別児童扶養手当をつけなければいけないと思う。あなた方は、一級のほうに三千円の福祉手当をつけて、二重
障害の人に手厚いことをやったと言う。これはいいです。しかってばかりいるから、これはほめてあげます。しかし、それでごまかしてほかを逃げようとすることはいけない。金額はここにありますけれども、めんどうくさいからもう言いません。
両方の金額はこんなに違う。対象人数もこんなに違う。小さい対象人数のところにちょっと金を出して、それでいいことをしたようなかっこうをして——そのことをするのはいいですよ。もう少し
予算がかかる、といってもたいしたことはないのですから、大蔵大臣が心配するような
予算じゃありません。八億ぐらいあれば二級特別扶養手当がことしは間に合う。そういうものを出してこない。こういう怠慢な
姿勢はいけない。これについても、ぜひ
社会労働
委員会の衆参の
委員に陳情なさって、このようなことが
審議の過程で直るように、
厚生大臣みずから先頭に立って、与野党の
委員に陳情していただきたいと思う。それだけ申し上げておきます。
それでは次に、たくさん大臣に来ていただきながら御
答弁をしていただかない方があって恐縮でございましたが、あした労働団体との会談に参加をされる閣僚がたくさんおられます。中曽根さんもそうでしょう。小坂さんもそうでしょう。それからほかもほとんどそうだと思う。そのすべてが、先ほど言ったことをかみしめて、その問題は
厚生大臣の問題だと逃げちゃいけません。特に中曽根さんなどは通産行政、あなたの怠慢によってさんざん国民に迷惑をかけている。その責任の百分の一でも回復するために、政治家として命がけでやらなければいかぬ。
厚生大臣の
姿勢が悪かったら、国務大臣で有力な閣僚の一人として、
厚生大臣はこう言っているけれども、それじゃだめだ、中曽根国務大臣は、あなた方労働団体の言うことを実現したいと思います、
答弁の食い違いがあってもいい、そのくらいの勢いで対処してもらわなければいけないと思う。石油の逃げ
答弁ばかりしないで、そういう態度を中曽根君はじめ、ほかの閣僚も全部示してもらいたい、そういうことを言っておきたいと思います。
最後に一問だけ申し上げます。
経済企画庁長官と大蔵大臣に関係のある問題であります。
この前も申し上げましたけれども、
予算の編成方針をきめられたのは十二月の二十一日であったかと思います。
予算が決定しているのは一月の二十一日、経済見通しも、閣議
了解が十二月であり、決定が一月であります。同じ日であります。そのときに参考にされた消費者物価指数、これは十一月末に出されたものであります。それは十一月末に出されたものだが、十月の
全国水準のものであります。そして東京の十一月のものであります。十月の
全国水準というのは、いまの急上昇の
一つ前であります。対前年度比が一四・幾らというような時代であります。であれば、この
予算の
了解事項から決定、経済見通しの
了解事項から決定までの間に大きな変化があるから、当然一月二十一日のときに、経済見通しも
予算の編成方針も変えられなければならない。
それなのにあなた方は、石油の状況があるから、卸売り物価の統計や石油やあるいは通関の数字、そういうものは修正されておきながら、消費者物価指数に関係のあるものについては修正をしておらない。このことは、産業界を大事にして、国民
生活を冷たくあしらっている証拠であろうと思う。しかも、一月二十五日に出された消費者物価統計ではものすごい急上昇をしている。そうなれば、
予算を出した
あとからでも、経済見通しをきめた
あとからでも、数日間でありますから、そこでストップをかけて見通しを変える、
予算を変えるということをせられなければならない筋合いのものだと思うわけであります。
経済見通しについては、努力が入っていると言われます。努力は十一月からしているはずです。日銀の公定歩合を二分ほど上げました。でもその努力をしても上がっているわけです。そして一月のあの
状態などは、この
委員会で明らかになったように、通産行政の怠慢で、何も手を打っておられないことが明らかになっているわけです。そうしたら、十二月に見通したその物価を安定するための努力は、前段においてくずれているということは明らかであります。したがつてこの指数も変わってくる。見通しについて、努力目標で心理的な、国民に対する
政府の願望が入っているから変えたくないというならば、少なくとも、ほんとうの見通しに立った
予算が組まれなければならないと思うわけであります。
〔井原
委員長代理退席、
委員長着席〕したがって、たとえば
生活保護費の二〇%アップ、こんなものは少ない、繰り入れ金のあんなものは少ない、そういう観点に立って
予算案を変えて出されなければならない、そういう
状態であります。
さらに、
昭和四十八年度の状況は、猛烈に見通しが狂っております。したがって、四十八年度の現行
予算のことについても考えを新たにしなければなりません。そうした意味合いで、
昭和四十八年度補正
予算案を提出される責任があろうと思います。
昭和四十九手度
予算案については、与野党で協議をしてこれを積極的に修正する、そのことをやられるのが政治家としての責任であろうかと思います。
福田大蔵大臣は、このインフレに立ち向かって、福田さんなりに一生懸命やっておられる気持ちはわかります。しかし、狂乱怒濤の物価は、一福田赳夫氏の努力ではなかなかとまらない
状態であります。したがって、政治に関与する人が全知全能を傾けてこの問題に対処をする。与野党で、その中軸である
予算をほんとうの意味で国民のために修正をする。その修正の方法は、総需要をふやすことはしない。組みかえをして国民
生活を守る、その方針で
予算を組みかえていく必要があろと思うわけであります。提出の責任者である福田さんはつらい思いでおられるでありましょう。しかし、それはいままではありきたりの政治家のつらい思いであります。ほんとうの政治家であれば、与野党と
相談をして、ほんとうに変化した実情において国民のための
予算を一緒につくっていこう、そういう気持ちを表明されることが、政治家としての一番正しい道であろうと思いますが、それについての福田大蔵大臣の御
答弁をいただきたいと思います。