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矢野委員 この高圧ポリエチレンとか塩ビ、エチレンの
値上がり、八〇%をこえる
値上がりは、その原料であるナフサが上がったからだということが理由になっておるわけでございますけれども、そのナフサ自体が先ほど申し上げたとおり、先取り
値上げになっておるということをまず御理解願わなくてはならないのです。
ほんとうはそんなに高いナフサでなかったはずだ。先ほど大臣は古い
石油ということを言われましたけれども、安い
石油でつくったナフサであります。しかし、そのナフサがとにかく先取りで上げてしまった。それに伴って前後して、ほとんどきびすを接してこのエチレンとか高圧ポリエチレン、塩ビが上がっているわけであります。
そこで私は、第一のポイント、つまり各製品がそれぞれの時期に
値上げをしておりますけれども、少なくとも昨年に限って言えば、
石油危機を口実にした先取り
値上げであるということをいま申し上げたわけであります。
あわせて第二番目の、それでは、いま申し上げたエチレンあるいは高圧ポリエチレンが、ナフサが上がった、その前の
石油が上がった、だからしようがなくして上がったんだという、つまり原料
値上げに伴う適切な
値上げであったのかという面を、原価の面から調べておく必要がある。これは通産省としても、当然この点はチェックしてもらわなければ、もうけ過ぎておるとかもうけ過ぎないなんて、こういう一般論で言われたら困るわけであります。
そこで、エチレンやプロピレンあるいはブタジエン、こういったものが、ナフサがキロリットル当たり千円上がると、エチレンは一体理論上何ぼ上がるのかということを私
たちは調べたわけであります。ここで申し上げる数字は、私
たちが主観的にかってにでっち上げた数字じゃございません。それぞれの
石油化学メーカーあるいは業界紙その他から客観的に割り出した数字であります。
ナフサがキロリットル当たり千円上がりますと、エチレンは三円五十銭上がるわけです。ただし、これはキログラム当たりでございます。ナフサはキロリットル当たりになっております。プロピレンは二円三十銭上がる、ブタジエンが一円八十銭上がる。理論的には、原価構成からいくとこのようになります。
これは御参考までに申し上げますと、ナフサからエチレンとか、こういったプロピレン、ブタジエン、まあ得率というのがきまっておりまして、たとえばエチレンの場合はナフサから二三%とれる。こういう得率に、それぞれのそのときの価格というものを加乗いたしまして、物量面における得率を価格の面における得率に転換するという計算操作が行なわれるわけですけれども、そういう形で、ナフサが千円上がればエチレンが三円五十銭上がる、こうなるわけです。
ところが、実際はどうであったかといいますと、十月の
値上げでナフサは七千円から八千円に上がった。千円上がった。これは現実に上がったわけであります。だから、理論上は三円五十銭上がるということでありますけれども、実際はエチレンは三十一円から三十五円に上がっておる。四円上がっておるわけでありますから、ほぼ理論上の
値上げに匹敵するんではないか、この十月の
値上げは。しかし、これが十二月になりますと、ナフサは八千円から一万二千円、つまり四千円上がりました。原料が上がったわけでありまして、先ほどキロリットル当たり千円上がれば三円五十銭エチレンが上がるということを申し上げましたが、四千円上がりますと、十四円理論上はエチレンの原価が上がることになります。しかし実際は、先ほどの価格推移で申し上げたとおり三十五円、これは十月の
値段ですが、それが五十五円に上がっておるわけでございまして、十四円が原価構成上納得のできる
値段であるのに二十円も上がっておる。つまり、六円の便乗
値上げをエチレンの場合はこの十二月にやっているわけです。
六円だなんて言うと、えらいわずかやなあ、ちょっとやないかと思われるか知りませんけれども、とんでもないことでありまして、四十七年度のエチレンのわが国の年産量は三百八十五万トンであります。まあ大ざっぱにこれを四百万トンと計算いたしましょう。四百万トンであって、そしてこれがキログラム当たり六円上がる。千キログラム、まあ一トン、これを計算しますと、キログラム当たりエチレンが六円便乗、ちょっと上のせするというだけで幾らでございましたか、約二百四十億円の利益が出てくるわけです。二百四十億ですね。そこで、この十二月ナフサが上がりましたから、しようがありませんということで二十円上げました、六円のつまみ食い分も含めて。この二十円の
値上げをしますと、業界としては、収入が八百億円ふえるという計算です。だから、エチレンがキログラム当たり六円上がる、何だ、たった六円かというようなものじゃないわけでして、業界全体でいけば、この六円の便乗
値上げ、ナフサの
値上げに関係のない、ついでにもうけてやろうということで上げた六円、つまり実際の
値上がり二十円、理論上の
値上げが十四円、この六円で二百四十億円業界は一年間でもうかるということになるわけです。たいへんな利益をこの十二月の六円の便乗
値上げで業界はあげているわけですよ。
しかもこの十四円の理論価格の
値上げ、これはもうやむを得ないと、私はそういう言い方をしましたけれども、この十四円の
値上げはナフサが上がったということで十四円上がっておるわけです。このナフサの
値上がり自体が先取り
値上げになっておるわけです。安い
石油でナフサがとれた。しかし、そのナフサが八千円から一万二千円しましたなんて業界は言うわけです。
ほんとうは、そんなに上がっていない。あとから到着するものは上がっているかもしれませんけれども、そのときの分は、原油は上がっていない。昔の安い
石油です。それがそういう形で、先取りでナフサを一万二千円まで八十数%も上げた。これは一応やむを得ないとしてエチレンの計算をすれば、十四円はしょうがない、こう申し上げておるわけでして、この十四円自体も、だからこれは便乗
値上げということになるわけです。その十四円にさらに六円上のせをして、エチレンを三十五円から五十五円というようなべらぼうな
値段で、つまり二十円のプラスで売っておる。その便乗分は二百四十億円であった。ナフサの分から含めると八百億円の利益を得ておる、こういうことに計算上なるわけですね。ープロピレンにつきましては、理論上ナフサがキロリットル千円上がるについてキログラム当たり二円三十銭上がる。このプロピレンが実際はどうなったかといいますと、十月のときは、一応理論上は二円三十銭上がる。ナフサが千円上がりましたから、それに対応して二円三十銭が妥当だけれども、実際は三円上がっております。これも七十銭の便乗
値上げになっております。七十銭だなんて思わないで、先ほどの六円が二百四十億円になるということを前提にして聞いてください、この七十銭という金額を。さらにまた、十二月になりますと、ナフサが四千円上がった。つまり八千円から一万二千円になった。理論上は、プロピレンは分解等価比率から申しますと、二円三十銭ですから九円二十銭上がってもやむを得ない。ところが実際は十五円も上げておるのであります。倍近くも、コストのアップでやむを得ず上がる分の倍近くも、つまり九円二十銭でとどまるところを十五円の
値上げにしておる、十二月に。倍近くの便乗の
値上げをしておるわけであります。
ブタジェンにつきましても、ナフサ一キロリットル当たり千円上がった。そうすると、ブタジエンは、理論上は一円八十銭上がることになるのです。分解等価比率からいきまして一円八十銭上がる。十月にはナフサが千円上がった。だから理論上は一円八十銭まではブタジエンが上がることはやむを得ないとしましても、実際は二円になっておる。つまり二十銭の便乗がある。これはその他いろんな諸掛かりが上がったということで多少説明はつくでしょう。しかし十二月になりますと、ナフサが八千円から一万二千円になった。つまり四千円上がった。それに伴ってブタジエンは、理論上は七円二十銭上がるのはやむを得ない。しかし実際には十五円上げておる。これだって年産の
対比で計算いたしますと、何百億という利益になってくるのです。
まあこういうようなナフサから誘導されてできてまいりますエチレン、プロピレン、ブタジエンにつきましては、明らかに
石油の
値上がり、ナフサの
値上がり以上の
値上げを業界はやっておるわけであります。特に十二月はもうむちゃくちゃでございます。しかも、業界のいろんな発表によりますと、またことしもこれは上げるといっておるのであります。
通産大臣、このエチレン、プロピレン、ブタジエンについての私の意見について、明らかに悪質な便乗
値上げであるという私の指摘に対しての御感想を承りたいと思います。