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1974-05-23 第72回国会 衆議院 本会議 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十三日(木曜日)     —————————————  議事日程 第三十二号   昭和四十九年五月二十三日    午後二時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(内     閣提出)  第二 参議院議員通常選挙に関する臨時特例     法案松野頼三君外三名提出)  第三 日本放送協会昭和四十七年度財産目録、     貸借対照表及び損益計算書     ————————————— ○本日の会議に付した案件  インド地下核実験抗議する決議案福田一   君外十五名提出)  日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第二 参議院議員通常選挙に関する臨時   特例法案松野頼三君外三名提出)  日程第三 日本放送協会昭和四十七年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書  中曽根通商産業大臣中小企業基本法に基づく   昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度   中小企業施策についての発言及び質疑    午後二時四分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  インド地下核実験抗議する決議案福田一君外十五名提出)           (委員会審査省略要求案件
  3. 森喜朗

    森喜朗君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、福田一君外十五名提出インド地下核実験抗議する決議案は、提出者要求のとおり委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  インド地下核実験抗議する決議案議題といたします。
  6. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 提出者趣旨弁明を許します。田澤吉郎君。   〔田澤吉郎登壇
  7. 田澤吉郎

    田澤吉郎君 ただいま議題となりましたインド地下核実験抗議する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党を代表し、提案趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    インド地下核実験抗議する決議案   本院は、わが国唯一被爆国であることにかんがみ、今日まであらゆる国の核実験抗議し、反対する決議を行い、その禁止を強く要望してきた。   今回行われたインド地下核実験は、たとえいかなる理由によるものにせよ、核実験競争を激化させ、ひいては人類滅亡危機をもたらすものであって、厳重に抗議するものである。   政府は、本院の主旨をたいし、すべての国の核兵器製造実験貯蔵使用に反対し、全面的な禁止協定が締結されるよう努めるとともに、インド政府に対し、直ちに適切な措置を講ずべきである。   右決議する。 以上であります。  申すまでもなく、わが国は、唯一核被爆国であり、言語に絶する惨禍を体験した国民として、核兵器全廃核実験禁止世界に強く訴えてまいりました。そして、本院は、過去五回にわたり、核実験禁止あるいは抗議を表明する決議を行ない、あらゆる国の核実験抗議し、反対し続けてきたのであります。  しかるに、われわれのこの悲願にもかかわらず、去る十八日、インド政府が突如として核実験を強行いたしたことは、まことに遺憾のきわみであり、われわれの断じて容認することのできないところであります。  インド政府は、今回の実験が、地下百メートル以上の深さで行なわれ、鉱業及び土木事業技術的開発のために行なったと発表しておりますが、かりに平和利用目的のためであったとしても、核実験環境の汚染と破壊を導くことは自明の理であり、のみならず、世界核実験競争、さらには核開発競争を激化させるおそれなしとせず、ひいては人類滅亡危機をもたらすものであることは言うまでもありません。いかなる理由によるを問わず、断じて許すことはできません。  今回の核実験が、世界の平和を希求し、核兵器全廃を願う世界世論に背を向ける結果となったことを、インド政府は深く認識すべきであります。  政府においては、われわれの意のあるところを体して、インド政府に対し、厳重な抗議を行なうとともに、今後、いかなる理由によるものにせよ、核実験を再び繰り返すことのないよう強く要求すべきであります。さらに、政府は、あらゆる外交ルートを通じて、わが国の明確な態度を世界各国に対し重ねて表明するとともに、あらゆる国の核実験核兵器製造貯蔵及び使用について全面的な禁止協定が締結されるよう、一そうの努力を払うべきであります。  以上が、本決議案提案趣旨であります。  何とぞ、全員の御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。(拍手)     —————————————
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)  この際、二階堂外務大臣臨時代理から発言を求められております。これを許します。外務大臣臨時代理二階堂進君。   〔国務大臣二階堂進登壇
  10. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) ただいまの御決議に対しまして、政府の所信を申し述べます。  政府は、これまで、いかなる国によるいかなる核実験にも反対であるとの立場をとり、事あるごとに、当該国政府に対しわが国立場を強く表明してまいりました。  今回のインド地下核実験に対しては、政府は、直ちに官房長官談話の形で遺憾の意を表明した上、外交ルートを通じ、インド政府に対し直接遺憾の意を表明し、わが国基本的立場を伝えるとともに、インドが再び核実験を行なうがごときことのないよう強く申し入れました。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議趣旨を体し、あらゆる国によるあらゆる核実験の停止、さらには核兵器の廃止の実現に向かって、関係国の理解と実行を促すべく、今後とも一そう積極的な努力を行なう所存であります。(拍手)      ————◇—————  日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第二 参議院議員通常選挙に関する臨   時特例法案松野頼三君外三名提出
  11. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案日程第二、参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案、右両案を一括して議題といたします。
  12. 前尾繁三郎

  13. 福永健司

    福永健司君 議題となりました両案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、公職選挙法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案内容は、  第一に、身体に重度の障害がある一定の選挙人投票について、選挙権行使の手段を拡充するため、その者の現在する場所において投票用紙投票記載をし、これを郵送する方法により行なわせることができる制度を創設するとともに、本投票につき選挙人投票記載等を行なう場所投票所とみなして、投票関渉罪及びそのせん動罪規定を適用するものとすること。  第二に、市町村の選挙管理委員会は、選挙公報選挙人の各世帯に配布することが困難と認められる特別の事情があるときは、都道府県の選挙管理委員会の承認を得て、選挙公報新聞折り込み等方法により配布することができる特例を定めるとともに、選挙人選挙公報を容易に入手することができるような、補完措置を講ずるようつとめなければならないものとすること。  第三に、選挙運動に従事する者等実費弁償及び報酬の額の基準を最近の実情に即するよう改めること。  第四に、この法律は、公布の日から施行し、施行の日以後その期日を公示されまたは告示される選挙から適用するものとする。ただし、郵便による不在者投票制度の創設に関連するものについては、公布の日から一年以内で政令で定める日から施行すること。などであります。  本案は、去る四月十六日本特別委員会に付託され、同月二十四日町村自治大臣より提案理由説明を聴取し、五月八日より質疑に入りましたが、選挙公報折り込み対象紙補完措置郵便による不在者投票対象者等について、各委員より質疑があり、また、巡回投票による在宅投票制度を採用すべきでなかったかとの質疑に対しては、政府から、公正の確保という点ではすぐれた制度であるが、現時点では選挙管理上問題もあり、採用しがたかった旨の答弁がありました。  かくて、五月二十二日質疑を終了し、次いで日本共産党革新共同津金佑近君提出修正案について趣旨説明を聴取し、討論に入り、日本社会党佐藤観樹君より原案に賛成の討論があった後、採決の結果、修正案は否決され、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しましては、全会一致をもって附帯決議を付することに決定いたしました。  次に、参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案について申し上げます。  本案内容は、  第一に、この法律施行の日以後初めて行なわれる参議院議員通常選挙について、投票時間を一時間延長し、投票所を午後七時に閉じるものとすること。  第二に、投票時間の一時間延長の措置に伴い、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律規定する執行経費のうち、投票所開票所等にかかる経費について必要な加算を行なうこととすること。であります。  本案は、昨二十二日本特別委員会に付託され、直ちに提出者松野頼三君から提案理由説明を聴取した後、質疑を行ない、同日質疑を終了し、内閣意見を聴取した後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書
  16. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第三、日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題といたします。
  17. 前尾繁三郎

  18. 廣瀬正雄

    廣瀬正雄君 ただいま議題となりました昭和四十七年度日本放送協会財産目録貸借対照表及び損益計算書に関し、逓信委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、内閣より提出された日本放送協会決算書類でありますが、これによれば、昭和四十七年度末現在において、資産総額一千四百八十一億五千二百万円、負債総額六百九十一億円、資本総額七百九十億五千二百万円となっております。また、損益は、事業収入一千九十九億七千九百万円に対し、事業支出一千百五億四千五百万円であり、その結果、事業収支差金は五億六千六百万円の支出超過となっております。  なお、本件には、記述すべき意見はない旨の会計検査院の検査結果が添付されております。  逓信委員会におきましては、本件について審査を行ないましたが、五月二十二日採決の結果、全会一致をもって、本件異議なきものと議決すべき旨決しました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  19. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本件委員長報告異議がないと決したものであります。本件委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  中曽根通商産業大臣中小企業基本法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度中小企業施策についての発言
  21. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 通商産業大臣から、中小企業基本法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度中小企業施策について発言を求められております。これを許します。通商産業大臣中曽根康弘君。   〔国務大臣中曽根康弘登壇
  22. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中小企業基本法第八条に基づきまして先般政府が国会に提出いたしました、昭和四十八年度中小企業動向に関する年次報告及び昭和四十九年度において講じようとする中小企業施策概要を御説明申し上げます。  最初に、中小企業事業活動動向について見ますと、昨年一年は、国内面では、石油製品をはじめとする物資の供給逼迫物価上昇等のきびしい試練に直面し、また、国際面では、二度目の通貨調整が実施され、さらに、中東動乱に端を発する石油問題の発生など、激しい経済環境変化にさらされたととは、記憶に新しいところであります。この間、中小企業の景況は、総じては平常裏に推移したものの、後半以降、徐々に停滞色を見せてきたことは御承知のところであります。その後、総需要抑制策の効果が浸透していく中で、中小企業を取り巻く経済環境は、さらにきびしさを加えてきたところであり、中小企業に対して、これまで以上に適切かつ十分な施策を講じていく必要を痛感している次第であります。  次に、中小企業についての構造問題を御説明いたします。  さきに述べましたようなきびしい経済情勢の変動の中にあって、中小企業は、新たな課題への対応を迫られておりますが、本白書は、このような中小企業対応基本的方向を提示するようつとめております。  新たな課題の第一は、省資源省エネルギー要請であります。日本経済が、省資源型産業構造への移行を強く迫られている中にあって、中小企業もまた、資源エネルギー使用と消費の効率化使用済み資源の再利用、さらには、省資源型産業への転換等によって、省資源省エネルギーへの対応をはかることが要請されております。  課題の第二は、経済国際化の進展と人間尊重社会志向下で、中小企業要請されている国際化福祉充実知識集約化等の諸課題であります。今後、省資源省エネルギー要請のもとで、中小企業が国際的な視野をもってその事業活動を考え、また、知的経営活動を一そう推進することによって、みずからの経営の安定をはかるとともに、勤労者の欲求を満たす方向中小企業活動を考えることが必要となっております。  課題の第三は、企業社会的責任遂行に対する要請であります。中小企業も、価格の安定、製品の安全性向上地域社会との融和等社会の利益との調和につとめていくことが期待されております。  課題の第四は、経営活動の各方面において、質的充実をより重視する企業経営への移行要請であります。資源環境面からの制約の強まり、労働力不足の進行等の中で、中小企業も、従来の量的発展中心経営から、経営質的充実方向へと、より安定的な経営への指向に重点を置いていくことが必要であります。  これらの新たな課題への対応必要性は、中小企業の中で大きな比重を占めている小規模企業にとっては、さらに強いところであります。小規模企業は、家族従業者に対する依存度が高く、上位規模企業との生産性格差の大きい生業的零細企業も数多く、その存在形態はきわめて多種多様であります。したがって、小規模企業環境変化対応して経営を的確に進めるにあたっては、企業の実態に即したきめのこまかい施策の推進が望まれるところでありますが、特に生業的零細企業に対しては、経済合理性の観点を基本としつつも、福祉社会への移行の中で、これら企業事業主福祉従業員福祉向上等の視点を含めた総合的な視野からの施策充実が必要とされています。  以上のように、中小企業をめぐる経済環境は激しく変化しており、中小企業は多難な局面に置かれております。  しかしながら、日本経済の目ざましい発展の中において、わが国中小企業は、これまでもよく適応力を発揮し、企業努力によって諸困難を乗り切ってまいりました。今後、日本経済資源エネルギー消費型産業中心経済から、高加工度、高付加価値産業のより比重の高い経済移行する中で、中小企業は、知的経営活動を中心とする積極的な経営努力と、その特性とする高い環境適応力を発揮することによって、その前途を切り開き、省資源省エネルギー型福祉経済社会の建設に寄与していくものと確信しております。同時に、このような中小企業の新たな課題への対応努力を援助し、新しい環境変化への適応を円滑にはかっていくため、多面的な施策の展開をはかってまいる所存であります。  以上が、中小企業についての構造的問題に対する基本的分析及び考え方の概要であります。  次に、昭和四十八年度において講じた中小企業施策について御説明申し上げます。  政府は、中小企業が新しい事態対応し、その総合的企業力を養うことによって、わが国経済社会の均衡のとれた発展をはかるため、昭和四十八年度において次のような施策を重点的に実施いたしました。  第一に、原燃材料物資需給逼迫による小口需要者に関する不当なしわ寄せを防止するため、不足物資あっせん措置等を講じ、中小企業向け供給量確保に配慮するとともに、供給逼迫に伴う資金繰り難に対処するため、政府系中小企業金融三機関からの貸し出しを追加拡充いたしました。  第二に、昭和四十六年及び四十八年と二回にわたる国際通貨の変動は、特に産地中小企業に深刻な打撃を与えましたが、産地が輸出にのみ依存することなく発展していけるように、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律による措置を実施するとともに、中小企業近代化促進法に基づく構造改善制度知識集約化事業を追加するなど、その充実をはかってきました。  第三に、環境変化に対する適応力に乏しい小規模企業に対しましては、従前に増して特段の配慮を払っております。特に、経営改善普及事業について、経営改善をはかる小企業に対し、低利かつ無担保、無保証人による小企業経営改善資金融資制度を創設したほか、商工会議所商工会経営指導員大幅増員等施策充実をはかり、また、設備近代化資金設備貸与制度拡充するとともに、下請中小企業対策小規模企業共済制度等の運用の強化につとめました。  第四に、資本自由化本格化大型店の進出などに対処して、中小商業、特に、中小小売り商業体質強化のため、中小小売商業振興法を制定いたしまして、金融指導等の面で商業対策強化いたしました。  第五に、中小企業をめぐる金融環境悪化等に対処して、政府系中小企業金融機関貸し出し規模を拡大いたしますとともに、中小企業に対する信用補完措置については、中小企業信用保険法を改正し、普通保険及び特別小口保険付保限度額引き上げたほか、保険料率を引き下げ、中小企業に対する金融円滑化につとめました。  第六に、税制面におきましても、個人事業者経営合理化をはかるため、事業主報酬制度を創設しましたほか、個人事業税事業主控除額引き上げるなど、特に小規模企業者のための税制を拡充いたしました。  次に、昭和四十九年度において講じようとする中小企業施策について、御説明申し上げます。  昭和四十九年度におきましては、金融引き締めの浸透に加え、原燃材料価格高騰等中小企業を取り巻く経済社会環境は一そうきびしさを増すことが懸念され、中小企業への影響は今後とも予断を許さないものがあり、状況に即応した中小企業施策を的確果断に進めていく必要があります。  長期的に見ましても、資源面の制約を前提とした経済運営が必要になっており、わが国は、省資源省エネルギー型の産業構造への移行に真剣に取り組まなければなりません。このため、中小企業においても、より一そうの近代化合理化のための努力要請されるものと考えられます。  こうした事態に対処するため、まず第一に、中小企業の大多数を占める小規模企業に対する施策の一そうの拡充強化につとめることとしており、経営改善をはかる小企業に対する低利かつ無担保、無保証人による貸し付け制度である小企業経営善資金融資制度大幅拡充と条件の改善を行なうほか、商工会議所商工会経営指導員大幅増員等施策充実をはかります。さらに、設備近代化資金設備貸与制度拡充を行なうとともに、下請企業対策強化及び小規模企業共済制度運用強化につとめます。  第二に、中小企業構造高度化を強力に推進するため、四十八年度に引き続き、中小企業団地造成事業知識集約化事業小売り商業高度化事業等を実施いたします。また、構造改善事業につきましても、全国単位構造改善に加え、産地単位による構造改善事業をも引き続き推し進めることとしております。  第三に、金融引き締め等理由によって中小企業が不当にしわ寄せを受けないように、今後とも適時適切な措置を講ずるとともに、中小企業資金需要の増大にこたえて、政府系中小企業金融機関貸し出し規模を大幅に拡充し、また、信用補完措置については、中小企業信用保険法の改正によって、付保限度額引き上げ及び倒産関連保証特例措置対象となる中小企業者の範囲を拡大し、原燃材料等供給の減少や製品需要減少等によって影響を受ける中小企業者につきましても、倒産関連保証対象に加えるとともに、保険料率の引き下げも行なったところであります。  第四に、中小企業税制につきましては、法人税軽減税率を据え置き、適用所得限度引き上げるとともに、所得税課税最低限度の大幅引き上げ個人事業税事業主控除引き上げ等制度改善を行ない、小規模企業者税負担を軽減することとしております。  第五に、中小企業における労働力確保等資質向上をはかるとともに、中小企業の職場を安全で快適なものとするため、職業紹介職業訓練等施策拡充をはかるほか労働災害防止等につとめ、労働者福祉向上をはかることとしております。  第六に、小規模企業行政をはじめとする中小企業行政強化をはかるため、中小企業庁小規模企業部を新設するとともに、中小企業庁及び通商産業局の人員を増員することとしております。  これらのほか、沖繩中小企業対策立地公害対策災害復旧対策伝統的工芸品産業振興対策同和対策等について特別の対策を講ずることとしております。  以上が、昭和四十八年度中小企業動向に関する年次報告及び昭和四十九年度において講じようとする中小企業施策概要であります。(拍手)      ————◇—————  中小企業基本法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度中小企業施策についての発言に対する質疑
  23. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。佐野進君。   〔佐野進登壇〕   〔議長退席、副議長着席
  24. 佐野進

    佐野進君 私は、日本社会党を代表して、ただいま報告のありました中小企業白書について、田中総理並びに関係大臣の見解をただそうとするものであります。(拍手)  御承知のとおり、この一年間、内外環境変化はきわめて激しいものがあり、わが国経済は、かってない新たな事態に直面し、きびしい情勢下に置かれてまいりました。とりわけ、一般的に経営基盤の弱い中小企業は、物価の異常な高騰物不足による原材料の入手難石油危機貿易情勢変化、総需要抑制政策等によって甚大な影響を受け、経営悪化企業倒産増大という事態に立ち至っております。  中小企業白書は、このような情勢の変化について一応の分析を加えておりますが、現象的、表面的な分析以上に出ず、その基本的、本質的な原因については、何ら触れていないのであります。  私は、今日の事態の根底には、政府の高度経済成長政策の失敗、過剰流動性問題処理の失敗があり、小手先の対策によって当面を糊塗してきた政府の政策の誤りが原因になっていると思うのであります。総理は、率直にこの事実を認め、その責任を明らかにすることを求めるものであります。(拍手)  さて、私は、まず現在の中小企業基本的な問題について、数点、政府の見解をただしたいと思います。  その第一は、総需要の抑制策と物価の問題についてであります。  現在、金融引き締め効果の浸透、総需要抑制策の継続、物価対策の不徹底等により、需要の減退、原材料価格高騰、資金繰りの悪化等に苦しむ中小企業は、建設、繊維、自動車部品関係をはじめ各方面に広がりつつあり、その態様もますます深刻の度を加えようとしております。この反面、過去において過大な利益をあげた大企業は、株価の上昇に見られるごとく、政府の政策を巧みに利用し、力にまかせた企業活動を続けており、結局中小企業にのみ犠牲がしわ寄せされようとしております。  さらに、今後無原則的な公共料金等の引き上げにより、卸売り物価消費物価の上昇が続き、中小企業者はまさに言語に絶する事態に見舞われようとしているのであります。  一体、政府は、このような事態をどのように認識しているのでありましょうか。この際、政府は、物価の上昇を阻止するため、公共料金、大企業製品価格引き上げを勇断をもって抑制するとともに、総需要抑制策については、中小企業の実情に応じた配慮を加えるべきであります。  なお、インフレの高進、貨幣価値の下落に対処して、デノミの実施、あるいは逆に、五万円札の発行が巷間うわさされておりますが、その真偽について明確な答弁を求めておきたいと思います。  大蔵大臣、あなたは、昨年末の物価の上昇を、狂乱と名づけました。そして、その後にとった政策も、いまや破綻せんとしております。あなたはこの現状にいかに対処せんとしておるのか、その決意を伺うものであります。  第二は、石油危機に端を発した省資源の問題と、知識集約化についてであります。  中小企業政策の新しい柱である知識集約化に加え、さらに新たな柱として、省資源省エネルギー要請が重要な課題となってきたことは、白書の指摘するとおりであります。しかし、省資源要請対応し、個別の中小企業者がどう取り組むかは、決して容易な問題ではありません。私は、まず今後の省資源経済における新しい産業構造のトータルビジョンを早急に明示し、これに立脚した中小企業の省資源省エネルギー化の具体的な方法を提示することが必要であると思うのであります。  さらに、現在進められつつある知識集約化政策についても、資金調達力が弱く、人材面でも十分でない中小企業にとって、知的経営活動をやりなさいといっても、個別企業の意欲や行動力だけではどうにもならない面があると思います。省資源省エネルギー要請という新たな事態の中で、知識集約化そのものを新しい観点から見直すべきだと思うのであります。  第三は、国際経済に関連する問題についてであります。  最近の国際経済情勢は、国際通貨体制の問題等々、わが国経済にも大きな影響を及ぼし、加うるに、政府の対外経済政策により海外投資と輸入の促進がはかられたのでありますが、いまや、総需要抑制と輸入増大という事態の中で、各方面に深刻な影響があらわれており、とりわけ中小企業は甚大な影響を受け、一部においては、輸入の急増により、その存立基盤を脅かされようとしております。この際、政府は、中小企業基本法第二十二条に基づき、関税率の調整、輸入の制限等必要な施策を講じ、また、海外に進出した企業製品が、わが国に逆輸入することにより、一部業種において深刻な事態を生じておりますが、この問題についても、海外投資に対して適切なる措置を講ずるとともに、悪影響を及ぼす逆輸入を抑制すべきであると思います。  以上、二点につき、通産大臣の所見を承りたいと思います。(拍手)  第四は、当面の緊急対策についてであります。  先ほど来申し述べておりますように、今日の中小企業の状態はきわめて深刻であり、今後一段と憂慮すべき事態に立ち至ろうとしております。すでに大手冷暖房メーカーである日本熱学工業のような大型倒産が発生し、関連中小企業者に重大な悪影響を及ぼしております。この際、政府は、その影響を最小限にとどめるため、早急に適切な措置を講ずるとともに、全中小企業に対し、今日の事態に対する緊急対策として、政府系中小企業金融機関による十分なる金融措置拡充はもちろん、各分野にわたって積極的な施策を講ずべきであると思います。  以上の諸点につき、総理大臣並びに通産、大蔵両大臣の決意を伺います。  私は、以上のほか、さらに数点、具体的な事項につき、政府の見解をただすものであります。  その第一は、中小企業関係予算の大幅な増額についてであります。  中小企業白書が、適切な方針を示し、事態を的確に把握しても、中小企業関係者がこれにあまり魅力を感じないのは、その裏づけとなる予算があまりにも少ないことに失望するからであります。  試みに、本年度中小企業関係予算を見ると、総予算の〇・六%にすぎず、昨年度と全く同率であり、さらに、その内容も、融資のための予算措置が多く、直接中小企業者に助成する予算、事業費、調査費等はきわめて少ないのであります。すなわち、各省庁を含む中小企業対策費千二十億八千三百万円のうち、融資のための予算は八百三億千八百万円であり、直接中小企業者に助成する予算、事業費、調査費等は二百十七億六千五百万円にすぎないのであります。  もちろん、私は、融資のための予算の重要性を軽視するものではありませんが、中小企業者のための直接の予算が、これではあまりにも少なく、白書にいかにりっぱな方針が示されても、十分なる施策を講じ得ないことは明らかであります。政府は、英断をもって、この種予算の大幅な増額に踏み切るべきだと思うのであります。  第二は、小規模企業対策拡充についてであります。  この問題については、政府もようやく積極的に取り組もうとしておりまするが、小規模企業者の数、事業の態様等からして、質量ともになお不十分であることは明白であります。私は、小規模企業対策の重要性にかんがみ、政府の一段の努力要求するものであり、特に、地方自治体との連携、協力、各種団体との指導、連絡の強化等をはかることはもちろん、民間の指導者、中小企業診断士、社会保険労務士、税理士等有資格者を活用し、小規模企業者の日常の生活に密着したきめこまかい施策を展開し、その徹底を期すべきであると思うのであります。  第三は、企業社会的責任の問題と独禁法の改正についてであります。  先般の大企業、商社の反社会的な行動を契機として、企業社会的責任の問題が大きな論議の対象になっております。白書もこの問題を取り上げておりますが、もう一つ背後にある基本的、本質的な面の省察が欠けていると思うのであります。  私は、今日の企業社会的責任の問題は、単に企業の倫理の問題として論ずべきではなく、大企業、商社の反社会的行動の背後には、長年の政府指導による産業政策、これに従属して後退、緩和されてきた独禁政策等によって形成された、政府金融機関、大企業、商社等が一体となった産業経済体制、寡占体制、大企業体制があることを看過してはならないと思うのであります。したがって、企業社会的責任を全うせしむるためには、まず現在の寡占体制、大企業体制を変革することが必要であります。  この意味からも、すでに、わが党は、独占禁止法の改正案を提出し、その中で、不当な事業能力の格差の排除等について規定しているのであります。政府は、企業社会的責任に関する私の指摘を率直に認め、また、わが党提出の独禁法改正案に対する政府の所見を伺うものであります。(拍手)  第四は、中小企業者の事業分野の確保についてであります。  最近の大企業、商社等の力にまかせた事業活動は目に余るものがあり、中小企業者の事業分野に対しても、節度を欠いた進出をあえてし、中小企業者事業活動に重大な影響を与えております。わが党は、かねてから、産業経済の秩序ある発展中小企業の健全な発展をはかるためには、中小企業者の事業分野を確保することが必要と考え、すでに今国会法律案提出しております。  その要点は、事業者のおおむね五分の四以上、生産実績のおおむね三分の二以上が中小企業者であり、中小企業による経営が適切である業種を指定し、大企業の進出を規制するものであります。政府が真に中小企業の健全な発展を希求するならば、事業分野の確保は必要不可欠の施策であり、今日までこれを放置してきた責任は重大であると思います。この際、政府はその責任を認識し、わが党提出法律案に賛意を表すべきであります。  第五は、中小企業福祉対策強化についてであります。  中小企業が、大企業に比較して、福祉面において依然として劣っていることは事実であります。しかし、最近、中小企業が、大企業より、生きがい、働きがいのある職場として認識される傾向が強まっており、このような期待にこたえるためにも、福祉面の充実、職場環境の整備をはかることが緊急の課題になってきております。各般にわたる福祉対策の徹底は、中小企業の人材確保に資するところも大きく、職場離脱や、ひいては企業倒産の防止にも大きく貢献するはずであります。中小企業福祉対策強化について、その実現を強く要求するものであります。  以上五点につき、総理大臣、大蔵、通産、労働各大臣の答弁を求めます。  最後に、中小企業省設置問題についてお尋ねいたします。  わが党は、多年にわたり中小企業省の設置運動を続け、再三法律案提出してまいりましたが、ようやく実現の機運が高まり、その設置を総理が発言するようになりましたことを心から喜ぶものであります。あらためて言うまでもなく、中小企業問題の解決は、各省庁にわたる中小企業対策を一本化する以外にないことは明白であります。しかるに、政府部内においては、なお、行政管理庁をはじめ、その実現をはばまんとする動きのあることも明らかであります。  総理、あなたは、昨年の本会議場において、また、四月三十日横浜市において、実現すると約束いたしました。決断と実行を売りものにしながら、なおその人気の回復をすることができない現状において、さらにこの約束をほごにするなら、三千万といわれる中小企業者とそこに働く人たちの失望を招き、その政権の座にとどまることは不可能になるでありましょう。  田中総理の決断を促し、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  25. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 佐野進君にお答えいたします。  まず第一は、物価動向等についてでございますが、政府は、物価の抑制を政策の最優先課題と考え、財政金融政策を中心とする総需要抑制策、生活関連物資等の価格抑制のための緊急対策等、あらゆる政策努力を集中してまいったわけでございます。  最近の経済情勢を見ますと、総需要抑制策の効果が浸透し、需給は緩和に向かっておるのであります。輸入物価動向、今春闘の賃上げによるコスト上昇圧力等、楽観を許さない面もありますものの、卸売り物価などには落ちついた動きも見られておるわけであります。  今後とも、政府といたしましては、引き続き総需要抑制策を堅持しつつ、その範囲内で、中小企業や将来の供給確保のための投資等への選別的配慮を加えてまいる考えであります。  なお、今回の電気料金改定の製品価格に及ぼす影響につきましては、一般的に見た産業の生産額に占める電力コストの割合は一%程度でございまして、全体として大きなコストアップ要因ではないと思うわけでございます。しかしながら、産業によっては影響が大きくあらわれることも考えられますし、このほかにも、人件費等、種々のコストアップ要因もございますので、今後の価格動向につきましては十分監視をしてまいりたいと考えておるのであります。  次は、当面の中小企業対策についての御発言でございますが、現下の中小企業をめぐる経済環境は著しくきびしくなっております。これに対処するために、政府としては、これまでにも、政府関係中小企業金融機関貸し出しワクについて、四十八年度末におきまして追加五百億円を行なったことは、御承知のとおりでございます。また、最近におきましても、当面の措置といたしまして、第一・四半期の当初ワク五千五百億円を千五百億円だけ増額いたしたのであります。また、民間金融機関に対しましても、従来から、中小企業金融円滑化に特段の配慮を払うよう、強く要請してきたところでございます。今後とも、中小企業者に不当なしわ寄せが及ぶことのないよう、鋭意各般の施策を講じてまいる所存であります。  次は、中小企業関係予算を増額せよとの趣旨の御発言でございますが、中小企業施策につきましては、政府の最重点施策の一つとして、従来から積極的にその拡充強化をはかっておるのでございます。四十九年度一般会計予算においては、総需要抑制等の観点から予算全体を緊縮した中にあって、中小企業対策費は二七・一%増額いたしてあるわけでございます。また、中小企業関係一般会計予算において、中小企業振興事業団に対する出資をはじめとする融資のための予算措置比重が重いことは、融資という資金の性格上、金額がかさむという点では当然の面もあると考えます。しかし、各種補助金、事業費、調査費等につきましても、小規模事業対策推進費の四四%増をはじめとして、その拡充に格段の配慮を加えておるのであります。今後とも、融資関係であるとそれ以外であるとを問わず、中小企業予算の質量両面における拡充強化に十分配慮してまいりたいと考えます。  次は、独禁法改正についてでございますが、現行独禁法のワク内では、必ずしも今日の経済社会の情勢に対処し得ない面もあると考えられます。したがって、御指摘の不当な事業能力の格差の排除等の点を含め、公正取引委員会におきまして、現在、独禁法改正を検討いたしておるのでございます。政府としましては、公取委の検討結果を待って対処してまいりたいと考えます。  最後は、中小企業省設置の問題でございますが、御指摘のとおり、中小企業省設置の問題につきましては、過去においてもその設置の要求が院の内外において強く存在いたしておりましたことは事実でございます。昨年来、中小企業省構想も含めまして、中小企業行政機構の拡充強化策についく予算編成の過程において鋭意検討を進めてまいったことは事実でございます。できるならば中小企業省の設置に踏み切りたいということで検討を進めてきたわけでございますが、各省にわたる中小企業対策を一本化した中小企業省の設置につきましては、各種行政の分断を招くという一つの考え方がございまして、また他方、現在の中小企業行政において、まず現在の法制の中で、現在の体系の中で機構の拡充強化をはかるべきであるというような議論もございまして、今般の中小企業庁設置法の改正案を国会提案をいたしまして、まず成立さしていただいたわけでございます。もとより、行政機構のあり方につきましては、常に経済社会の実情の推移に応じまして行政需要にこたえ、見直しを行ない、所要の改正をはかっていくべきであることは当然でございます。したがって、今後の中小企業行政機構のあり方につきましては、その重要性にもかんがみ、今般の機構改正の成果も見ながら、重要な課題として真剣に検討してまいりたい、こう考えるわけでございます。  中小企業省の問題につきましては、与野党の中に強い要求があるにもかかわらず、なぜ今日まで実現しなかったか、四十九年度予算編成の過程において政府も各省間で積極的に検討を進めながら、実現しなかったかということは、大企業中小企業、零細企業を分けるというような観念的な問題だけで中小企業省の設置に踏み切った場合、真に中小企業省設置を要求しておるような実効があがるかどうかというような問題が存在いたすわけでございます。しかし、非常に重要な問題でございますし、中小零細企業というこのような状態は、世界各国に例を見ない特殊な状態でもございますので、この問題につきましては、引き続いて院の内外の意見を十分聞きまして、真剣に検討を進めてまいりたいということで御了解をいただきたいと思います。  残余の問題に対しては、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)   〔国務大臣中曽根康弘登壇
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中小企業の省資源省エネルギー化の問題でございますが、最近の石油価格、電力価格の情勢にかんがみまして、省資源省エネルギー化をはかることは非常に重要でございます。そこで、商工会議所あるいは商工会等の団体等を通じまして、この方面に強く経営改善を推進する考え方でおります。近代化促進法あるいは今般成立いたしました繊維の特別措置法等を駆使いたしまして、そのような方面の合理化にさらにわれわれは拍車をかけるつもりでおります。  次に、繊維そのほかの輸入制限の問題でございますが、現在、日本は貿易国といたしまして、自由無差別の貿易政策を推進しております。その日本が保護主義に転じたと世界に見られることは、日本の前途にとって必ずしも利益にならないと思います。しかし、現在のような繊維の状況を考えてみますと、秩序ある輸入ということは大事であると思います。最近は非常に繊維市況が不況でございますので、三月以降輸入も非常に激減してまいりました。このような傾向を追うように、秩序ある輸入を行なわしめるように行政指導してまいるつもりであります。  また、逆輸入を阻止するために投資について点検をせよという御質問でございますが、OECDの投資コードにおきまして、国家に重大な影響がある場合には個別審査がやれるということになっております。しかし、この点につきましても同じように、わが国としては経済協力を進めるという国是を持っておりますので、わが国に非常に悪影響のあるものにつきましては、個別的にいろいろ検討を加えてみたいと思います。  予算につきまして、少ないではないかという御質問でございますが、中小企業関係予算は、本年度の一般会計予算が約一九%台でございますが、二七・一%に及んでおりまして、本年度はかなりよく見ていただいております。今後とも、そのほか金融や税やあるいは経営改善、情報の収集等におきまして事態改善するように、予算的にも措置してまいりたいと思います。  それから、小規模企業者に対する手当てでございますが、この点につきましては、今回小規模企業部中小企業庁に設置しましたほか、例の経営改善資金につきましても、小企業についてはいままで三百億円の予算を一千二百億円に思い切ってふやして、無担保無保証の金融制度円滑化しておるわけでございます。  そのほか、経営指導員、記帳指導員、経営診断士、社会保険労務士、税理士等とも中小企業関係団体等と連絡をとらせまして、中小企業にぜひとも御協力を願うように、通産大臣といたしましても、中央団体等を通じて協力を要請しておるところでございます。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  27. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まず、デノミの実施、五万円札の発行、さようなうわさがあるが、これは真偽はどうだ、こういうお尋ねでございますが、そのような意図も計画も持っておりませんです。物価対策、非常に機微の段階でありますので、特にこのことは明確にいたしておきたい、かように存じます。  次に、中小企業の当面する困難に対処するため、さらに積極的な施策を講ずべし、こういう御意見でございます。この点は私も同感でございます。総理からもお答えをいたしましたように、ただいま総需要抑制政策をとっておる、これが健全な中小企業に不測の悪影響を及ぼしてはならぬ、かように考えておる次第でございまして、これまでも財政、金融両面から特段の配慮をいたしておる次第でございまするが、今後とも、情勢の推移に応じまして機動的に、弾力的に動けるような、さような配慮をいたしておる次第でございます。  次に、中小企業対策としては、金融措置ばかりでなくて、財政措置にもっと力を入れろ、こういうお話でございますが、この点も私は同感に思います。ただ、中小企業企業でございますので、これに対する対策は、どうしても金融措置、これが主になります。財政措置は、これはなじみにくいのであります。しかしながら、本年度の予算におきましても、商工会議所経営指導員の増員、顧問税理士の創設、中小企業組織指導員の増員などのいろいろな財政措置をとっておる次第でございまするけれども、今後ともこれを強化いたしてまいりたい、かように存じます。  なお、物価の現状をどう見るのか、物価政策は破綻に瀕しておるではないかというような御所見でございますが、私はさようには思いません。申し上げるまでもございませんけれども、物価にはコストの面と需給の面がある。昨年のあの狂乱の状態、これは需給の面です。つまり、仮需要、投機需要が起きまして、あのような混乱が起きたのであります。これに対して総需要抑制政策をとる、その結果は着実にあらわれてまいりまして、いまや、との狂乱状態につきましては、私は、いささかも不安を感じておらぬ、かように存じておるのであります。  ただ、これからは物価政策は新しい段階に入ってきた、つまり、需給から起こる不安というものはなくなってきておりますけれども、コストから、静かに、徐々に物価引き上げる、そういう要因があるわけであります。これらの状況に対しましては、やはり総需要抑制政策を堅持しなければならぬ、かように考えておるのであります。  賃金の引き上げの問題、電力料金の問題、国鉄、私鉄の問題、いろいろあるのであります。これらのコスト要因に対しましても総需要抑制政策をもって立ち向かう、さすれば、総需要抑制政策の結果、他の要因がなければ物価は下落するはずであります。ところが、他の要因がある。つまり、コスト引き上げ要因であります。この引き上げる力と引き下げる力が相殺し合う、そして逐次新物価体系というものができていく、かように存ずるのでありまして、いずれにいたしましても、自信を持って物価政策を推進し、国民に安心していただけるようにいたしたい、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣長谷川峻君登壇
  28. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 最近の経済成長につれまして、中小企業労働者の賃金あるいは労働時間も改善されてまいりましたけれども、なお大企業労働者との格差を縮めるために、積極的に諸施策を講ずる必要があると思います。  このため、基本的には中小企業の生産性向上の条件整備が必要でありますが、労働省といたしましては、従来から、労務管理の近代化の促進と、実効ある最低賃金制の推進、長時間労働の是正や週休二日制の普及などを中心として、時間短縮等の指導を行なってまいりました。  一方、福祉施設につきましては、企業内で施設に恵まれない中小企業労働者のために、勤労者総合福祉センターあるいは「勤労者いこいの村」等の建設をやってまいりましたが、今後とも、これらのことを積極的に一そう推進してまいりたいと思っております。(拍手)     —————————————
  29. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 宮田早苗君。   〔宮田早苗君登壇
  30. 宮田早苗

    ○宮田早苗君 私は、民社党を代表し、ただいま提出されております中小企業動向に関する年次報告に対し、若干の質問を行ないます。  いまさら申し上げるまでもなく、わが国経済を底辺からささえ、日夜汗して働いておるのが中小企業であります。また、その役割りもまことに大きく、すなわち、中小企業は全事業所数の九九%、全従業者数の七七%、付加価値額の四九%を占め、中小企業発展なくして、わが国経済発展もあり得ないのであります。  このように重要な役割りを果たしている中小企業であるにもかかわらず、戦後一貫した政府・自民党の大企業優先の経済政策によって、中小企業は依然として各種の構造的な問題をかかえ、苦しい状態をしいられているのであります。加えて、昨年来の金融引き締め、商社の悪徳商法、石油危機、資材高騰などが中小企業経営を著しく圧迫し、その存立基盤さえ脅かそうとしているといっても過言ではありません。  私は、このような従来から存在する構造的諸問題と、当面の緊急政策について、以下質問をいたします。  その第一は、金融問題についてであります。  わが国中小企業が、いまだに先進諸国に比較して大企業との格差が非常に大きい最大の原因は、この大企業偏重の融資問題にあるといっても過言ではありません。たとえば、都市銀行は、平均してその三七%しか中小企業に融資せず、大企業への巨大融資、偏重融資を続けているのであります。三井銀行などは、わずかに二七%の融資にしかすぎません。この問題は、商社への融資問題と関連してわが党が鋭く追及しているところでありますが、各銀行の一つの企業に対する融資限度額は、その銀行の自己資本の一五%までとする、さらには中小企業への融資比率を五〇%にまで高めることを義務づけるなどの、抜本的な銀行法の改正を行なうべきであると思いますが、総理並びに大蔵大臣の御見解を承ります。  金融問題の第二は、政府金融機関の拡大充実についてであります。  中小企業金融公庫など政府系三中小金融機関に対する中小企業者の期待は、まことに大きなものがあります。ところが、これら三機関の全中小企業融資に占める割合は一〇%弱で、この十年間全くふえていないありさまであります。わが党は、これまで一貫して、この比率を少なくとも二〇%にまで高めるべきであると主張してきたのでありますが、それが実現していないことは、政府中小企業軽視の態度を示していると断ぜざるを得ません。現在の中小企業の深刻な金融難を思うとき、政府は、この融資比率を高め、中小企業危機を救済するためにも、この際、新たに四千億円の追加緊急融資を行なうべきであると思いますが、大蔵大臣並びに通産大臣の決意のほどを明らかにしていただきたいのであります。  あわせて、先日倒産いたしました日本熱学の関連倒産を防ぐために、思い切った中小企業融資を行なうことを要望しておきたいのであります。  金融問題の第三は、歩積み両建てについてであります。  政府は、歩積み両建ての自粛に努力していると、いつも答弁しておりますが、実際には、いまだ悪質な拘束預金が堂々と都市銀行によって行なわれているのであります。たとえば、最近、私が中小企業者から聞きました例として、次のようなことが行なわれております。この人は、某都市銀行から七千万円を借りる契約をしたのでありますが、この時点で一千万円の拘束預金を強制されたにもかかわらず、拘束性預金の有無に関する通知書には、拘束性なしと、うその返事を行なっているのであります。さらに、実際には、七千万円の貸し付けは他の金融業者に肩がわりさせ、そこでも保証金として一千四百万円を取られているのであります。この結果、この中小企業者は、実に二〇%に近い高金利を払わされるというひどい目にあわされておるのであります。  このような例は、氷山の一角といっても過言でないと思いますが、政府は、このような銀行に対して、いかなる行政指導を行ない、またその処罰を行なうつもりなのか、お聞かせ願いたいのであります。(拍手)  私は、この際、拘束性預金を根絶するため、独禁法の第二条、第十九条によって、不公正な取引商法の一つとして取り締まるべきであると思うが、政府の御見解を伺いたいのであります。  次に、私は、中小企業税制の問題について質問いたします。  法人税につきましては、すでに御承知のとおり、二段階税率制度がとられており、政府は、今年、その税率適用範囲を、年所得六百万円以下については二八%とする改正が行なわれております。ところが、法人企業の実態調査を見てみますと、資本金五千万円以下の中小企業でも、年所得が一千万円以上の会社数は三〇%をこえているのであります。したがって、六百万円の基準ではあまりにも低過ぎ、いまの中小企業の実態にも合っていないと断言せざるを得ません。  そこで、政府は、実態に合った税制改正を断行し、年所得一千二百万円以下を二八%、六百万円以下二五%、三百万円以下二二%というように、上限の所得を大幅に引き上げるとともに、多段階税率制度を採用すべきであると思うのでありますが、所信のほどをお聞かせ願いたいのであります。(拍手)  中小企業問題の第三は、大企業中小企業分野への進出と下請いじめの問題であります。  すでに今国会でも指摘されましたように、資本をバックにした商社の横暴ぶりは目に余るものがあります。大企業中小企業分野への進出を規制するため、わが党は、すでに数年前から中小企業分野の確保に関する法律、これを制定すべきであると主張してまいりましたことは、御承知のとおりであります。通産省、中小企業庁も分野調整法の制定を考慮するかのような報道が流れたこともございますが、その後の経過はどのようになっておるのか、また、早急に具体案を国会提案すべきであると思いますが、総理並びに通産大臣の御見解を賜わりたいのであります。  さらに、下請問題につきましてお伺いいたします。  現在のざる法ともいえる下請代金支払遅延等防止法を改正し、発注単価の明記、下請代金の三分の一事前支払い制の導入などをはかるべきであると思いますが、あわせて御答弁をお願いしたいのであります。  最後に、私は、小規模事業従事者の福祉問題について質問をいたします。  現在、小規模事業従事者の老後保障対策として国民年金制度がありますが、この平均給付額は非常に低い水準になっております。農業者の場合は、これを補完するために農業者年金基金が創設されているのでありますが、小規模事業従事者には何の対策も講じられておりません。そこで、私は、この際、小規模企業従事者年金制度を創設し、国民年金制度を補完し、小規模事業従事者の老後保障を確立する必要があると確信をいたします。総理並びに通産大臣の御理解ある答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  31. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 宮田早苗君にお答えいたします。  第一は、都市銀行の中小企業に対する融資比率を五〇%まで高めるために、銀行法を改正したらどうかという御所論でございますが、わが国経済において中小企業の果たす役割りはきわめて重要であることは、申すまでもありません。都市銀行といたしましても、中小企業に対する貸し出しには格段の努力をしており、その総貸し出しに占めるシェアは、最近では三三%に達しておるのでございます。  また、現下の金融引き締め下におきましても、健全な中小企業が不当なしわ寄せをこうむることのないよう、中小企業のための緊急融資ワクを設定いたしておりますことも、御承知のとおりでございます。  このような状況でありますし、また中小企業専門の金融機関もございます。すなわち、相互銀行とか信用金庫とか信用組合というような民間金融機関もございますし、なお、政府中小企業に対する機関も存在するわけでございます。  そういうような状態から考えますと、都市銀行のみにつきまして、中小企業に対する融資比率を法定するという問題、いつも議論があることは承知をいたしておりますが、このような現状でございますので、この御提案には、遺憾ながら、にわかに賛成できないということで御了承いただきたい、こう思います。  第二は、大企業中小企業分野への進出に対処するため、中小企業事業活動確保を法制化してはどうかという御発言でございますが、大企業や大商社等が特定分野に進出することによりまして、中小企業者事業活動に支障を来たすようなことがあれば問題であります。ただ、この問題は、中小企業の存立にかかわる重要事項でありますとともに、他方関連消費者への影響なども十分考慮に入れなければならない問題でございます。基本的には、現行法の運用と適切な行政指導によりまして、大企業中小企業との調和のとれた発展をはかってまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、中小企業、なかんずく小規模企業従事者の年金を創設してはどうかという御提案でございますが、農業者年金制度と類似の小規模企業者年金制度を創設することにつきましては、現行の各種制度との調整のほか、事務の処理方法、年金として成立するかどうか等、種々な問題があることは、御承知のとおりでございます。したがいまして、現在のところ、小規模企業の従業員等に関しては、厚生年金または国民年金が適用されておりますので、これら年金の充実をはかっていくことが現実的な対応策であろう、こう考えておるわけでございます。  残余の問題については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  32. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まず、銀行の企業に対する融資につきまして限度を設けるため、抜本的な検討を行なうべし、こういう御意見でございますが、これは、私は、原則論として賛成でございます。  銀行が特定企業に集中融資をすることは、これは好ましくありません。従来からこのような見地で行政指導はしてきておりまするけれども、さらに、これを何らかの準則でもつくるかという問題につきましては、これは機械的な規制をいたしますと、融資の分散、そういうようなことが行なわれるというようなこともありまするし、また、急速にこれをやりますると、経済の円滑な運営に支障が来る、こういうような問題もあります。いろいろ考えなければなりませんので、この問題をどうするかということにつきましては、金融制度調査会に方向を示して諮問をしたらいかがであろうか、かように考えておる次第でございます。  次に、中小企業向け融資総額に占める政府系三機関の融資の割合を一〇%から大幅に引き上ぐべし、こういう御所見でございます。  これは、御承知のとおり中小企業企業でございます。それに対する金融で、これはどうしても資金量豊富な一般の金融機関がこれを主として担当する、こういうことでなければならぬと思います。政府金融は、それに対しまして補完的な性格を有する。そこで、いまその三機関の融資が、中小企業向け融資総額の一〇%である。これは必ずしもそう低いというふうには私は思っておりませんけれども、今後とも、中小企業の重要性にかんがみまして、融資ワクの拡大につきましては努力をいたしてまいりたい、かように考えます。  次に、中小企業対策として、さらに四千億程度の追加緊急融資を行なうべし、こういうお話でございますが、ただいま政府金融機関におきましては、当初から第一・四半期に五千五百四十四億円の融資計画をつくっておるのでございます。昨日、さらにこれに追加いたしまして千五百十億円、合計いたしますと、これが七千五十四億円となる。これをもって対処し得るというふうに考えております。  なお、民間金融機関におきましても、自発的に中小企業救済特別融資積み立て金を行なっておりますので、その活用も期待しておるのであります。  いずれにいたしましても、今後、経済変化、これはいろいろあろうと思います。そういういかなる情勢の推移に対しましても、臨機、機動的に、また弾力的に対処し得るように、十分の配慮をいたしておる次第でございます。  次に、歩積み両建てにつきまして、いかなる行政指導を行なっておるか、こういうお話でございますが、これは従来から行政指導を行なっております。特に今回のような総需要抑制体制下におきましては、これはややともいたしますれば、歩積み両建て、これの弊害が露呈するというふうに考えまして、きびしい行政指導を行なっておるのであります。その行政指導の結果、歩積み両建てにつきましては総点検を行ないます。そうして五月末、また十一月末に報告を各金融機関から求めることにいたしております。報告書を検査いたしまして、その検査結果が行政指導と異なるという向きに対しましては、厳重なる処置を講ずる、かような考えでございます。  次に、中小企業に対する法人税について、実情に応じた累進制をとるべし、こういうお話でございます。しかし、これは私は反対でございます。四十九年度税制改正におきまして、すでに本院において御決定も見ておるのでありまするが、中小法人の法人税負担は、他に比較いたしまして、かなりの配慮をいたしておるところでありまして、これに加えまして、軽減税率をさらに累進的に多段階税率のもとにやっていくという考えは持たないのでありまして、さようなことをいたしますれば、企業側におきましては、法人の規模を分割するというようなことも行なわれ、実効は期しがたい、かように考えておる次第でございます。  以上。(拍手)   〔国務大臣中曽根康弘登壇
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大企業中小企業との分野調整の問題でございますが、この点は、われわれも重大な関心をもって検討を進めております。  商社の一部等においては、ラーメンからミサイルまでというふうに、中小企業のほうへ無秩序に進出してくる向きもなくはない情勢でありますので、この点について、われわれとしては、いま対策を考えておるところでございます。野党の御提案に対しても、慎重にいま検討を加えております。その点については、中小企業団体組織法の中におきまして、不当に進出してくる場合には、通産大臣が中に出て調停をするという制度がございます。しかし、この制度はあまり活用されておりません。  そこで、こういう現状に対して、どういうふうにこれを調整すべきかという点について、本年度予算でも、六百十九万円の予算をもちまして中小企業の存立分野の調査費を計上いたしまして、これに対処する方策を検討しているところでございます。  第二に、熱学工業とエアロマスターの倒産に関する問題でございますが、負債総額は、通産省の調べでは、日本熱学は三百二十二億、エアロマスターが百五十八億、合計四百八十億にのぼるものと一応計算されております。  この会社は、会社更生法を申請いたしまして、いま、財産については保全命令が出て凍結しておるところであり、関連して不渡りが出た会社は、最近、ヨシタケ商事というのがございます。これらにつきましては、債権者の確定を待ちまして、中小企業の債権者に対しては特に保護するように、深甚の対策をとるつもりです。  中小企業信用保険法改正を今回いたしまして、倒産関連の指定をすることによりまして、信用保証協会からの保証を特別に行なうように手当てするつもりでおります。  下請代金の問題については、最近、不況の深刻化にかんがみまして、手形の期限が九十日から百二十日に及ぶものも出てきております。そこで、各通商産業局を督励いたしまして、支払遅延等防止法を活用いたしまして、それに基づく監視をいま厳重にやっておりまして、個々具体的なケースについては、しかるべく善処するつもりでおります。(拍手)   〔政府委員高橋俊英君登壇
  34. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 拘束預金につきまして、不公正な取引方法として、特殊指定をしてはどうかという御質問にお答えいたします。  拘束預金につきましては、大蔵省と別に、公正取引委員会におきましても、約十年間調査を続けてきておりますが、債務者の預金口座は無数というに近いのでございまして、また、銀行取引の性質から申しまして、現に拘束を受けている者が、公正取引委員会等に苦情の訴えを名乗って出るというケースはほとんどないのが実情でございます。したがいまして、その拘束預金の複雑な実態というものは、きわめて把握しにくい。このような状況のもとで、独禁法によって特殊指定をやってみましても、その実効性は全く期待できないのではないかと考えます。そういうことで、現在まで調査はしておりますが、特殊指定に踏み切っておらないわけでございます。  なぜ拘束預金があとを断たないか。これは不公正な取引方法であることは説明を待ちません。そういう点を検討いたしますと、金融機関の業容拡大のための預金高競争、それと実質金利の問題が密接にこれにからんでおりまして、この点から考えますれば、拘束預金につきましては、こちらからいえば、はなはだ身がってなようでありますが、金融機関を常時監督し、かつ検査している、またそういう機能を十分に持っている大蔵省金融当局が、効果的に規制できる立場にあります。先ほど大蔵大臣からもお話しございましたが、現に、最近は特に厳正にこれを実施しておるような状態でありまして、その効果も着々あがっておるように見受けます。これらの実態に即しまして、今後とも私どもの調査はいたしまして、大蔵省と十分協議の上でこれに対処して、なるべくそういうものが少なくなるように、これは絶滅を期することは困難かもしれませんが、そのように努力してまいりたいと思います。
  35. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  36. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大 臣 田中 角榮君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣  中曽根康弘君         郵 政 大 臣 原田  憲君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         自 治 大 臣 町村 金五君         外務大臣臨時代         理       二階堂 進君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         中小企業庁次長 小山  実君      ————◇—————