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1974-05-17 第72回国会 衆議院 本会議 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十号   昭和四十九年五月十七日    午後二時開議  第 一 昭和四十二年度以後における地方公務      員等共済組合法年金の額の改定等に      関する法律等の一部を改正する法律案      (内閣提出)  第 二 作業環境測定法案内閣提出)  第 三 労働者災害補償保険法等の一部を改正      する法律案内閣提出)  第 四 富士地域環境保全整備特別措置法案(      第七十一回国会内閣提出)  第 五 輸出保険法の一部を改正する法律案(      内閣提出)  第 六 欧州共同体委員会代表部設置並び      にその特権及び免除に関する日本国政      府と欧州共同体委員会との間の協定の      締結について承認を求めるの件  第 七 所得に対する租税に関する二重課税の      回避及び脱税防止のための日本国と      アイルランドとの間の条約締結につ      いて承認を求めるの件  第 八 所得に対する租税に関する二重課税の      回避のための日本国スペイン国との      間の条約締結について承認を求める      の件  第 九 日本道路公団法の一部を改正する法律      案(内閣提出参議院送付)  第 十 文化功労者年金法の一部を改正する法      律案内閣提出)  第十一 昭和四十四年度以後における私立学校      教職員共済組合からの年金の額の改定      之関する法律等の一部を改正する法律      案(内閣提出)  第十二 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改      正する法律案内閣提出参議院送      付)  第一三 防衛施設周辺生活環境整備等に関      する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件  宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの   件  社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの   件  運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件  航空事故調査委員会委員長及び同委員任命につ   き同意を求めるの件  日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同   意を求めるの件  公共企業体等労働委員会委員任命につき同意を   求めるの件  民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法   律案内閣提出参議院回付)  日程第一 昭和四十二年度以後における地方公   務員等共済組合法年金の額の改定等に関す   る法律等の一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第二 作業環境測定法案内閣提出)  日程第三 労働者災害補償保険法等の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第四 富士地域環境保全整備特別措置法案   (第七十一回国会内閣提出)  日程第五 輸出保険法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第六 欧州共同体委員会代表部設置並   びにその特権及び免除に関する日本国政府と  欧州共同体委員会との聞の協定締結について   承認を求めるの件  日程第七 所得に対する租税に関する二重課税   の回避及び脱税防止のための日本国とアイ   ルランドとの間の条約締結について承認を   求めるの件  日程第八 所得に対する租税に関する二重課税   の回避のための日本国スペイン国との間の   条約締結について承認を求めるの件  日程第九 日本道路公団法の一部を改正する法   律案内閣提出参議院送付)  日程第十 文化功労者年金法の下部を改正する   法律案内閣提出)  日程第十一 昭和四十四年度以後における私立   学校教職員共済組合からの年金の額の改定に   関する法律等の一部を改正する法律案内閣   提出)  日程第十二 肥料価格安定等臨時措置法の一部   を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第十三 防衛施設周辺生活環境整備等   に関する法律案内閣提出)  町村自治大臣地方財政法第三十条の二の規定   に基づく地方財政状況報告についての発言   及び質疑    午後二時六分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。  勝間田清一君から、海外旅行のため、五月二十四日から六月三日まで十一日間、請暇申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件  宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの件  社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件  運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件  航空事故調査委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件  日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同意を求めるの件  公共企業体等労働委員会委員任命につき同意を求めるの件
  5. 前尾繁三郎

  6. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。  次に、宇宙開発委員会委員運輸審議会委員及び航空事故調査委員会委員長及び同委員任命について申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。  次に、日本電信電話公社経営委員会委員任命について申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  民事調停法及び家事審判法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院回付
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) おはかりいたします。  参議院から、内閣提出民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して、右回付案議題とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。
  11. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案参議院修正同意諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、参議院修正同意するに決しました。      ————◇—————  日程第一 昭和四十二年度以後における地方   公務員等共済組合法年金の額の改定等に   関する法律等の一部を改正する法律案(内   閣提出
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  14. 前尾繁三郎

  15. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方公務員共済組合年金の額の改定につき恩給法等改正内容に準じて所要措置を講ずるほか、長期給付の基礎となる給料の算定方法改善退職年金等のうち低額なるものの年金額の引き上げ、遺族年金扶養加算制度創設短期給付任意継続制度創設等措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金について、これらに準ずる改善措置を講じようとするものであります。  本案は、三月十三日本委員会付託され、四月二十三日町村自治大臣から提案理由説明を聴取した後、慎重に審査を行なったのであります。  五月十四日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、自由民主党日本社会党公明党及び民社党の四党共同提案により、地方議会議員年金額国会議員互助年金改定の例に準じて増額改定する等の措置を講ずるとともに、土地開発公社職員について地方団体関係団体職員共済組合に加入させる措置を講ずることを内容とする修正案提出せられ、小山委員よりその趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、本案及び修正案について、討論申し出もなく、採決を行ないましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決、よって、本案修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の五党共同提案により、公務員関係共済制度の基本問題を調整改善するための関係閣僚協議会設置共済組合公的負担及び給付内容改善年金スライド制給与改定時期から実施すること等を内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  16. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第二 作業環境測定法案内閣提出)  日程第三 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案内閣提出
  18. 前尾繁三郎

  19. 前尾繁三郎

  20. 野原正勝

    野原正勝君 ただいま議題となりました二法案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、作業環境測定法案について申し上げます。  本案は、最近における職業性疾病動向等にかんがみ、適正な作業環境確保し、職場における労働者の健康を保持するため、作業環境測定士の資格及び作業環境測定機関等について必要な事項を定めようとするもので、そのおもな内容は、  第一に、事業者は、指定作業場作業環境測定を、その使用する作業環境測定士または作業環境測定機関に実施させなければならないこと。  第二に、作業環境測定士及び作業環境測定機関は、作業環境測定基準に従って作業環境測定を実施すること。  第三に、作業環境測定士は、作業環境測定士試験に合格し、かつ、所定講習を修了した者等で、労働大臣登録を受けた者をいうこと。  第四に、作業環境測定機関は、労働大臣等登録を受け、他人の求めに応じて、事業場における作業環境測定を行なうことを業とする者をいうこと。  右のほか、試験機関及び講習機関指定業務に対する監督等について所要規定を設けること。 等であります。  本案は、去る四月二日本委員会付託となり、五月十四日質疑を終了し、採決の結果、本案原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  次に、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢にかんがみ、業務災害または通勤災害をこうむった労働者及びその遺族に対する保護の充実をはかるため、これらの者に支給する保険給付改善等を行なおうとするもので、そのおもな内容は、  第一に、障害補償年金及び障害補償一時金等の額をおおむね一一・七%引き上げること。  第二に、遺族補償年金等の額を平均一三%引き上げること。  第三に、遺族補償年金等の前払い一時金制度を拡充すること。  第四に、障害補償一時金等についても、賃金水準変動率に応じ、その額を改定するものとする  こと。  第五に、中央労働災害防止協会業務に、化学物質等労働者健康障害を生ずるおそれのあるものの有害性の検査のための業務を加えること。  第六に、船員保険の職務上の事由による保険給付についても、労働者災害補償保険に準じた改善措置を講ずること。 等であります。  本案は、去る四月四日本委員会付託となり、五月十四日質疑を終了し、採決の結果、本案原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  21. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 富士地域環境保全整備特別措置法   案(第七十一回国会内閣提出
  23. 前尾繁三郎

  24. 前尾繁三郎

  25. 角屋堅次郎

    角屋堅次郎君 ただいま議題となりました富士地域環境保全整備特別措置法案につきまして、公害対策並びに環境保全特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、わが国のすぐれた自然の象徴である富士山及びその周辺地域自然環境を適正に保護し、利用するため、特別の措置を定めようとするものであり、その要旨を申し上げますと、  第一に、富士地域における自然環境保護及びその自然環境にふさわしい利用環境確保並びにこれらに必要な施設整備をはかるため、富士地域保護利用整備計画を策定することとし、この計画は、内閣総理大臣が、関係県知事の作成した案に基づき、富士地域保護利用整備審議会意見を聞いて決定すること。  第二に、環境庁長官は、富士地域利用環境確保するため、利用地域指定することができるとともに、自然公園法規定により許可を要する行為について、当該地域指定の目的の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、これを許可してはならないこと。  第三に、富士地域保護利用整備計画に基づく事業に係る経費について、国は、財政上の特別措置を講ずること。  等であります。  本案は、第七十一回国会提出され、今国会に継続されているものであります。  今国会におきましては、三月五日質疑に入り、四月二十四日には田邊山梨県知事をはじめ七人の参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を重ねてまいりました。  本法律案につきましては、その提出の経緯、特に北富士演習場使用協定との関係に関する問題のほか、本法律案自然公園法等との関係に関する問題、富士地域における乱開発防止と規制の強化に関する問題一富士スバルラインへのマイカーの乗り入れ禁止等観光客過剰利用の抑制に関する問題、富士演習場自然保護に関する問題等について、熱心な質疑が行なわれましたが、これらの論議の詳細については会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくして、五月十四日質疑を終了いたしましたところ、自由民主党林義郎君から、自然公園法及び自然環境保全法の一部改正に伴う字句の整理等内容とする修正案提出され、提出者から趣旨説明を聴取した後、本案並びに修正案について討論を行ない、自由民主党を代表して登坂重次郎君から賛成意見が、日本社会党を代表して小林信一君、日本共産党革新共同を代表して木下元二君、公明党を代表して新井彬之君、民社党を代表して折小野良一君より、それぞれ反対の意見が述べられました。  次いで、採決を行ないましたところ、本案は多数をもって修正案どおり修正議決すべきものと議決いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  26. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第五 輸出保険法の一部を改正する法律   案(内閣提出
  28. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第五、輸出保険法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  輸出保険法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  29. 前尾繁三郎

  30. 濱野清吾

    濱野清吾君 ただいま議題となりました輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本案は、国民生活に不可欠な重要物資安定的輸入確保と、流動的な国際通貨情勢下におけるプラント類等輸出取引安定化をはかるため、輸出保険制度を拡充するものであります。  そのおもな内容は、  第一に、海外投資保険対象となる「海外投資」の定義を拡大し、現行の鉱物のほか、木材その他政令で定める貨物の開発輸入のための融資についても、海外投資保険対象とすること。  第二に、為替変動保険創設し、輸出者等が、特定の外国通貨建て輸出等を行なった場合に、外国為替相場が三%をこえて円高になったことにより、輸出代金等について生じた為替差損一定の範囲内においててん補すること。また、円安になり、為替差益が生じたときは、輸出者等所定の金額を政府に納付しなければならないとすること。 等であります。  本案は、二月七日当委員会付託され、三月二十二日中曽根通商産業大臣から提案理由説明を聴取いたしました後、審査を重ね、五月十五日質疑を終了、採決いたしました結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  31. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  32. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第六 欧州共同体委員会代表部設置並びにその特権及び免除に関する日本国政府欧州共同体委員会との問の協定締結について承認を求めるの件  日程第七 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アイルランドとの間の条約締結について承認を求めるの件  日程第八 所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国スペイン国との間の条約締結について承認を求めるの件
  33. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第六、欧州共同体委員会代表部設置並びにその特権及び免除に関する日本国政府欧州共同体委員会との間の協定締結について承認を求めるの件、日程第七、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アイルランドとの間の条約締結について承認を求めるの件、日程第八、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国スペイン国との間の条約締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。     —————————————欧州共同体委員会代表部設置並びにその特権及び免除に関する日本国政府欧州共同体委員会との間の協定締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アイルランドとの間の条約締結について承認を求めるの件所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国スペイン国との間の条約締結について承認を求めるの件   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  34. 前尾繁三郎

  35. 木村俊夫

    木村俊夫君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、欧州共同体委員会代表部設置に関する協定について申し上げます。  政府は、欧州共同体委員会側の希望により、欧州共同体委員会代表部設置並びにその特権及び免除に関する協定締結するため、昭和四十九年一月以来交渉を行なってまいりましたが、合意に達しましたので、昭和四十九年三月十一日、ブラッセルにおいて、本協定署名を行ないました。  この協定は、欧州共同体委員会代表部設置に対する政府同意欧州石炭鉄鋼共同体欧州経済共同体及び欧州原子力共同体わが国においてそれぞれ法人格を有すること、これらの共同体が契約、財産取得等を行なう能力を有し、このことに関し、委員会によって代表されること、委員会代表部、その長及び職員並びにこれらの者の家族は、外交関係に関するウィーン条約に従って与えられる特権及び免除に相当する特権及び免除を享有すること等を内容としております。  次に、わが国アイルランド及びスペインとの間の租税条約について申し上げます。  政府は、アイルランド及びスペインとの間に租税条約締結のための交渉を行なってまいりましたところ、合意に達しましたので、アイルランドとの間の条約は、本年一月十八日、東京において、スペインとの間の条約は、同じく二月十三日、マドリッドにおいて、それぞれ署名を行ないました。  そのおもな内容は、条約対象となる租税企業利得に対する課税方式、船舶または航空機の運用によって取得する利得に対する租税免除、配当、利子及び無体財産権等使用料に対する税率、自由職業者及び給与所得者に対する一定の条件での免除政府職員、教授、学生及び事業修習者等に対する租税免除わが国と相手国との間の二重課税の排除方法等について規定しております。  以上、租税条約二件は二月二十六日に、また、欧州共同体委員会代表部設置に関する協定は三月十九日外務委員会付託されましたので、政府から提案理由説明を聴取し、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承願います。  かくて、両租税条約は五月十日、欧州共同体委員会代表部設置に関する協定は五月十五日に質疑を終了し、まず、欧州共同体委員会代表部設置に関する協定について採決いたしましたところ、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。引き続き、両租税条約については、自由民主党石井一君の賛成討論日本共産党革新共同松本善明君、公明党渡部一郎君の反対討論の後、採決いたしましたところ、両件はそれぞれ多数をもって承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  36. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第六につき採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。  次に、日程第七及び第八の両件を一括して採決いたします。  両件を委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  38. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  日程第九 日本道路公団法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院送付
  39. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第九、日本道路公団法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  日本道路公団法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  40. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。建設委員会理事渡辺栄一君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔渡辺栄一君登壇〕     —————————————
  41. 渡辺栄一

    ○渡辺栄一君 ただいま議題となりました日本道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、日本道路公団の管理する高速自動車国道の供用区間の延伸に伴う通行車両の長距離化、大型化、トレーラー化等の新たな輸送形態に対処し、自動車交通の能率の増進をはかるため、同公団はインターチェンジの周辺地域において、トラックターミナル、貨物保管施設等の施設の建設及び管理を行なうことができるものとするとともに、これらの業務を行なうことを主たる目的とする事業に投資することができるものとするほか、余裕金の運用等について所要規定整備しようとするものであります。  本案は、参議院先議にかかるもので、去る四月二十六日当委員会付託されたものでありますが、五月十五日質疑を終了し、討論採決の結果、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、五項目にわたる附帯決議が付せられました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  42. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  43. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十 文化功労者年金法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第十一 昭和四十四年度以後における私   立学校教職員共済組合からの年金の額の改   定に関する法律等の一部を改正する法律案   (内閣提出
  44. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第十、文化功労者年金法の一部を改正する法律案日程第十一、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  文化功労者年金法の一部を改正する法律案  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  45. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。文教委員会理事松永光君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔松永光君登壇
  46. 松永光

    ○松永光君 ただいま議題となりました文化功労者年金法の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案趣旨は、文化功労者に支給される年金の額を、百五十万円から二百万円に引き上げようとするもので、昭和四十九年四月一日から施行することになっております。  本案は、去る三月二十九日当委員会付託となり、四月二十四日政府より提案理由説明を聴取いたしました。本案については熱心に審査を行ないましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて、五月十五日本案に対する質疑を終了、次いで、森喜朗君外四名から、本案に対し、この法律は、公布の日から施行し、昭和四十九年四月一日から適用することを趣旨とする、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の共同提案にかかる修正案提出されました。  本修正案及び原案については、討論の通告がないため、直ちに採決に入り、本修正案及び修正部分を除く原案全会一致をもって可決、よって、本案修正議決されました。  次に、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案趣旨は、  第一に、私立学校教職員共済組合が支給する既裁定年金の額及び退職年金等の最低保障額を、国・公立学校の教職員年金額改定に準じて増額すること。  第二に、掛け金等の算定の基礎となる標準給与の上限及び下限を、国・公立学校の教職員の制度の例に準じて引き上げること。  第三に、長期給付の算定の基礎となる平均標準給与の算定方法を、国・公立学校の教職員の制度の改善に準じ、退職時前三年間の標準給与の平均から、一年間の平均に改めること。  第四に、この法律は、昭和四十九年十月一日から施行すること。 等であります。  本案は、去る三月二十九日当委員会付託となり、四月二十四日政府より提案理由説明を聴取いたしました。本案については熱心に審査を行ないましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  かくて、五月十五日本案に対する質疑を終了、討論の通告がないため、直ちに採決に入りましたが、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。  次いで、森喜朗君外四名から、本案に対し、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の共同提案にかかる附帯決議案が提出され、採決の結果、異議なく可決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  47. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 両案を一括して採決いたします。  日程第十の委員長報告修正、第十一の委員長報告可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第十二 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  49. 前尾繁三郎

  50. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。農林水産委員長仮谷忠男君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔仮谷忠男君登壇
  51. 仮谷忠男

    ○仮谷忠男君 ただいま議題となりました内閣提出参議院送付肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における肥料の価格動向及び需給事情にかんがみ、法律の廃止期限をおおむね五年間延長し、引き続き肥料の国内需要の確保、価格の安定、輸出の調整等、所要措置を講じようとするものであります。  本案は、三月二十二日参議院から送付されました。  委員会におきましては、五月十四日倉石農林大臣から提案理由説明を聴取し、参考人から意見を聴取する等、慎重に審議を行ない、五月十五日質疑を終了、日本共産党革新共同より反対の討論が行なわれた後、採決いたしましたところ、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  52. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  53. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十三 防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案内閣提出
  54. 前尾繁三郎

  55. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。内閣委員長徳安實藏君。     —————————————   〔報告書本号。に掲載〕     —————————————   〔徳安實藏君登壇
  56. 徳安實藏

    ○徳安實藏君 ただいま議題となりました防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、防衛施設周辺住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与するため、新たな観点から、防衛施設周辺地域の生活環境整備等を行なおうとするものであります。  なお、現行の防衛施設周辺整備等に関する法律は、廃止することといたしております。  本案は、三月十五日本委員会付託、同月二十二日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、五月十六日質疑を終了いたしましたところ、野呂委員より、施行期日に関する修正案提出され、趣旨説明の後、討論に入り、日本社会党の上原委員日本共産党革新共同の中路委員及び公明党の鈴切委員より、それぞれ反対、自由民主党の加藤委員及び民社党の受田委員より、それぞれ賛成意見を述べられ、採決の結果、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————   〔参照〕    防衛施設周辺生活環境整備等に関する    法律案に対する修正案委員会修正)  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案の一部を次のように修正する。  附則第一項中「昭和四十九年四月一日」を「公布め日」に改める。     —————————————
  57. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  58. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数、よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  町村自治大臣地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告についての発言
  59. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 自治大臣から、地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告について発言を求められております。これを許します。自治大臣町村金五君。   〔国務大臣町村金五君登壇
  60. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づいて、先般政府国会提出いたしました地方財政の状況につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十七年度の地方財政のうち、普通会計の決算について申し上げますと、決算規模は、歳入十五兆九百七億円、歳出十四兆六千百八十三億円でありまして、これを前年度と比べますと、歳入において二三・九%、歳出において二二・七%、それぞれ増加しております。また、決算収支は、景気の好転を反映いたしまして、一千九百十八億円の黒字となっており、景気停滞下にありました前年度と比べますと、一千六十三億円黒字が増加しております。  次に、歳入の内容を見ますと、地方税や地方交付税を中心とする一般財源の伸びは前年度を上回っておりますが、社会保障の充実や社会資本の整備の要請にこたえるため国庫支出金や地方債が大幅に拡充されたこともありまして、歳入総額に占める一般財源の割合は前年度に比べて低下しております。  一方、歳出の内容を見ますと、地方公共団体が、住民の福祉を向上し、住みよい地域社会を建設するため、住宅、学校、保育所、上下水道、屎尿、ごみ処理施設等、住民生活に直結する公共施設整備や、児童、老人等に対する福祉施策の充実に積極的に取り組んでいる姿をうかがうことができます。  次に、地方公営企業につきましては、昭和四十七年度の決算規模は、三兆四千三百四十一億円でありまして、前年度に比べますと一八・七%増加しております。  収支の状況を見ますと、単年度純損失は一千四十八億円、累積欠損金は三千七百五十八億円に達し、特に交通、病院の二事業は多額の累積赤字をかかえ、その経営は著しく困難となっております。このため、交通事業につきましては、昭和四十八年度において経営再建のための諸施策が講じられ、また、病院事業につきましては、昭和四十九年度から経営の健全化のために必要な当面の対策が講じられることとなっております。  以上、申し上げましたとおり、地方公共団体は、生活関連社会資本の整備や社会福祉の充実に積極的につとめてきたのではありますが、公共施設整備状況や住民福祉の水準を見ますと、いまだ満足すべき状態には達しておりません。加えて、最近においては、過密、過疎、公害等の諸問題の解決のほか、物価の安定と物資需給の均衡をはかることが強く要請されており、地方公共団体に期待される役割りは一そう増大しております。  今後の地方財政につきましては、地方公共団体がこのような各般の行政需要の増高に対処してよくその責務を果たし得るよう地方財源の充実強化をはかるとともに、各種施策の推進にあたっては、長期的な展望に立って計画的、効果的な財政運営を行なうよう一そうの努力が必要であると存じます。  以上、地方財政の状況につきまして、その概要を御報告いたした次第であります。(拍手)      ————◇—————  地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方   財政状況報告についての発言に対する質   疑
  61. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。佐藤敬治君。   〔佐藤敬治君登壇〕   〔議長退席、副議長着席〕
  62. 佐藤敬治

    ○佐藤敬治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま町村自治大臣より御説明がありました昭和四十七年度地方財政白書について、総理及び関係各閣僚に御質問をいたします。  昭和四十八年度の予算編成の中で、なくなった愛知大蔵大臣は、トリレンマということばを製造いたしました。地方財政においても、同じようにトリレンマを指摘することができると思います。  その一つは、自主財源の不足であります。その二つは、借金の増大であります。その三は、国庫への高い依存度でございます。  昭和四十七年度の地方財政白書は、このトリレンマが特徴的にあらわれております。  まず、自主財源の大宗である地方税を見ますと、その構成比は、昭和四十五年度は三七%台を占めておりましたけれども、昭和四十六年度は三四・八%、四十七年度は、ついに三三・二%と落ち込んでしまったのであります。さらに、地方交付税もまた、前年度を〇・四%下回っております。この穴埋めは当然地方債と国庫支出金の増額によってまかなわれたのでありますけれども、地方債の構成比を見ますと、昭和四十六年度は九・二%、四十七年度はついに歳入総額の一割をこえる一〇・八%と、二年連続して大幅に増加したために、後年度への債務負担額は急激にふえて、四十七年度末の地方債現在高は実に五兆三千八百四十五億円に達しております。また、トリレンマの一足をなす国庫支出金は三兆三千四百七十三億円で、前年度比三一・四%という大幅な増額となっております。歳入全体の構成比を見ますと、一般財源は五一・二%、地方債一〇・八%、国庫支出金二二・四%となり、相も変わらぬ三割自治、借金財政、中央依存の姿が浮き彫りにされておるのであります。  国庫支出金の増大は、とりもなおさず、多額の超過負担を伴い、ただでさえ苦しい地方財政への圧迫となっております。また、公共事業の増大は、自主財源の不足と相まって、単独事業へのしわ寄せとなってあらわれ、その構成比は前年度の一五・六%から一四・二%へと低下し、ただいま大臣からお話がありましたように、ごみ処理施設、市町村道等の社会資本の整備状況や福祉水準は、満足な状態に達していないことが指摘されておるのであります。  三割自治の解消が地方自治体の悲願となってからすでに久しい。特に四十七年度のような好況時においてさえ、最大の自主財源である地方税がこの程度の比率であるということは、いかに地方財政の貧困が根深いものであるかを物語っております。  政府は福祉元年などと称しておりますけれども、地方財政の確立なくして福祉は達成できません。一体、地方財政の確立と本気で取り組む意思があるのか、各大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  一転して、昭和四十九年度の地方財政は、緊縮一色に塗りつぶされてしまいました。田中内閣は、みずからのつくり出した狂乱物価の対策として、総需要抑制を打ち出し、四十九年度予算の前年比伸びを一九%台に押えるために、地方交付税の中から千六百八十億円を減額いたしました。われわれは、国の総需要抑制政策に対して、地方が公共事業等の削減によって協力することはやぶさかではない。しかしながら、今日の地方財政は、累積した超過負担に加えて、狂暴なるインフレの追い打ちをこうむり、いまや困窮の極に達しているのであります。各地方団体においても、裏負担の財源がないために、続々と公共事業が返上されているという事実が、このことを明確に示しております。このようなときに、千六百八十億円を地方財政から切り取るということは、地方団体にとっては、まさに泣きつらにハチといわなければなりません。  地方税が三〇%も伸びるからと、政府は言っております。しかしながら、これは、インフレによるところの、まぼろしの収入であります。その裏には、逆に、インフレによって発生するところの新しい課題が待ちかまえているのであります。ましてや、教育、生活関連、福祉など、膨大な、待ったなしの行政ニードの解決を迫られている地方自治体に対して、公共事業が大幅に減ったから財源に余裕ができるなどとは、まさしく地方財政の犠牲において総需要抑制を行なっている証左であり、地方の実態を全く理解しないものといわざるを得ません。  地方交付税は、法律によって保証された地方公共団体固有の財源であります。国の便宜のためにかってに操作されることは、国と地方財政秩序を乱すばかりではなく、国の地方に対する干渉であり、地方自治の立場から絶対に見のがすことはできないのであります。  総理並びに大蔵、自治両大臣の見解をお伺いしたい。  歴代自民党内閣の高度経済成長政策によって、わが国地方自治体は極端なる過密と過疎に分離してしまいました。財政上よりこれを見ると、豊富な税源を持つところの大都市と、課税しようにも客体の乏しい小都市に分極されたのであります。ところが、現行の地方財政制度は、これら両極の乖離から目をそむけて、地方財政をほとんど一律に取り扱っております。たとえば、課税客体の豊富な政令指定都市が軒並みに交付団体となっているところにも、その根本的な矛盾が露呈されているのであります。  大都市の豊富な税源、特に法人課税の適正化等によって大都市の自主財源を強化し、他方、過疎の小都市には、ナショナルミニマムを達成するために十分なる交付税を配分できるよう、現行の地方財政制度の根本的な改革が必要であると思います。関係各大臣の見解をお尋ねいたしたい。  この地方財政白書の中で注目すべきものは、公害対策費の増大であります。公害防止関係経費は八千百十三億円と、前年度に比べて三八・三%の増大、大幅に伸びております。各地方団体の公害対策に対する積極的な姿勢がうかがわれます。しかしながら、これはいわば国の経済成長政策のしりぬぐいであります。このために地方自治体に一兆円にもなんなんとする巨額の負担をさせることは、三割自治をさらに窮迫に追いやるものであります。国が十分なる措置を講ずべきであると思うが、田中総理並びに自治大臣の考えをお尋ねしたい。  国民健康保険事業は、いまや地方団体の財政上悩みの種となっております。わが国の各種税金は年々減税の傾向をたどっておりますけれども、国民健康保険税は逆に年々大幅な増額を繰り返し、いまや諸税の中でも最も重い税金と化してしまいました。にもかかわらず、白書の告げるところによりますと、昭和四十七年度はさらに九百八十一億円の赤字となっております。  この原因として、医療費の値上げ、老人医療の無料化等、保険給付の増高をあげております。確かにそれは赤字の大きな原因ではありますけれども、しかし、その根本的な原因は、年ごとにふえる国民総医療費の四〇%が注射と薬代という、いわゆる薬づけ診療を引き起こしているところの保険療養費支払い制度、いわゆる出来高払い制にあることは明白であります。  医師の技術料が薬の中に含まれている現行の点数表では、医師が所得を得るためには、投薬、注射をしなければやっていけません。名医もやぶ医者も差別なく、また、時間の要因も全くありません。したがって、時間をかけて診断するよりも、数でこなしたほうが得であります。そのためには、注射や投薬が一番よいということになるのはあたりまえであります。かくして、三時間待って二分、診るよりも、さばくという現象が発生しているのであります。このことが医師をして開業に走らせ、自治体病院の医者不足を来たし、赤字に追い立てられて住民へのサービスを忘れ、開業医と外来患者の取り合いに熱中するという原因になっているのであります。これこそは、わが国の医療を荒廃に追いやった、まさに諸悪の根源であります。(拍手)  この一点単価単純請負制という支払い制度の改革なくしては、医療の改革はあり得ないと思いますけれども、田中総理と厚生大臣の考えとその対策をお伺いいたします。  先日衆議院を通過いたしました雇用保険法は、出かせぎ農民をねらい打ちにしたものでありますが、この法律は、単に出かせぎ者だけではなく、人口減少に悩む過疎市町村をさらに過疎へと追い込む危険性をはらんでおります。  農基法農業の大規模経営に失敗し、機械化貧乏におちいった農民は、収入の不足を出かせぎと失業保険に求めるのはやむを得ないことであります。そして、これらの収入は、理論的にはどうあれ、農家経済に深く根をおろしているのが現実であります。しかるに、雇用保険法の改定によって、農家は農業か出かせぎかの二者択一を迫られる結果、おそらく、現状では、出かせぎ者の約半数を占める小農家は、挙家離村のやむなきに至ると思われます。これによって過疎はさらに拍車をかけられ、ところによっては二割近い人口減も予想されるのであります。一方では過疎を嘆き、他方では過疎を推し進める、これでは過疎対策は成功するはずはありません。  近ごろ、よく、農村へのUターン現象をとらえて、過疎に歯どめがかかったといわれております。しかし、最近の福井大学の調査によりますと、その大半が、再びふるさとに絶望して、都会に出ることを希望しているという結果が出ております。身も心も安住の地を失った、さまよえる日本人の姿、これをWターンと称しております。  総理と自治大臣の感懐をお伺いいたします。  消防法改正に関して、超高層ビルについて所見をお伺いいたします。  霞が関ビル建築以来、超高層ビルが続々と建てられておりますけれども、防災上からこれを見ると、まことに寒心にたえません。大阪の千日ビル、ソウルのホテル、熊本の大洋デパート、空前の惨事を引き起こしたサンパウロの超高層ビル等々の火災を思うとき、これらの超高層ビルの実情に思わずりつ然たるものがあります。先の火災の教訓があとに何ら生かされておりません。次々と惨事が繰り返されております。  もし隣の霞が関ビルに火災が起これば、はしご車はわずか十一階までしか届きません。それより上の人は、ただ煙に巻かれて死ぬのを待つ「じっとがまんの大五郎」、屋上からは死を覚悟のダイビング、これしか手がないのであります。現に、先ごろの伊豆沖地震で、霞が関ビルの住人は、ほんとうに迫真の経験を持ったではありませんか。いつ何どき超高層ビルに災害が起こらないとは何人も断言できないのであります。  また、これらの超高層ビルは、都市計画の上からも大きな問題をはらんでおります。慢性水飢饉の首都圏にあって、新宿ビル群といま建築中の池袋拘置所あとのビルだけで一日約二万トンの水を消費します。そして、その下水は都の下水道を破綻に追いやるといわれております。問題のごみは、両者合わせて一日約百トン、これらの問題はいまだに何らの解決を見ておりません。最近は、封じ手のない、台風並みの風害の恐怖さえ訴えられているのであります。また、約三十万人といわれる人数が集中的に出入りすることによって、交通問題、各種公害等も発生しております。ニューヨークの超高層ビルにおいては、恐怖のために、窓を小さくし、机は窓からずっと離しておくといわれております。  超高層ビルというのは、それ自体非人間的な存在であります。単に土地の使用効果を求めてのこのような超高層ビルの建築は、やめるべきではないでしょうか。そして、既存のビルには、できるだけ早く脱出装置等の対策をとること、これが必要であると思います。特に一級建築士をもって任ずる田中総理の見解をお伺いいたしたい。  最後に、地方自治体に深い関連を持つところの電源開発促進税について、一言申し述べてみたいと思います。  言うまでもなく、この税金は、電力危機を救うために、発電所建設に際して地元の抵抗を緩和するためのものでありますけれども、私は、特に原子力発電所に強い疑問を感じております。  原子力発電の安全性はいまだ未解決の部分が非常に多く、連続的に事故が発生して、世の批判をこうむっているところであります。放射能検査機構さえ、いまだに確立されていないことは、さきの分析科研のデータの捏造事件、近くは問題の日本非破壊検査株式会社の例に見るとおりであります。(拍手)地区住民が生命に危険を感じて抵抗しているのは、むしろ当然であります。  しかるに、エネルギー危機に名をかりて、札束で横っつらをひっぱたき、強引に建設を進める。ある新聞は、これを田中式税金と評しております。おそらく、貧しい市町村は、たちまちこれに飛びつくかもしれません。しかし、総理、さきにも指摘いたしましたとおり、一方では市町村を三割自治という慢性飢餓状態に置きながら、他方では札束でもって人間の命の安全をつり上げる、こんなことが一体許されるでしょうか。総理は、人間の命よりも金が大切だと考えているのですか。それならば、「五つの大切」の次に、金という字をつけ加えなさい。これは、人間の命で金を買うところの悪魔の税金です。さっそくこの税金を取り下げることを提唱いたします。  エネルギーは大切な問題です。だから、スズメの涙のような安全研究費を大幅に増額して、一日も早く安全を確保し、地元住民も安心して協力できるようにすべきだと思いますが、総理のお考えをお聞きしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  63. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 佐藤敬治君にお答えいたします。  まず第一は、三割自治を解消せよという問題でございますが、生活環境施設整備、福祉行政の充実等についての住民の要請はきわめて強いものがありまして、地方公共団体の財政需要は著しく増大をしておるのであります。政府としては、従来から、地方公共団体の自主財源の充実強化のための努力を重ねてきておるところでございまして、今後とも努力を続けてまいりたいと存じます。  次は、公害対策経費についての御発言でございますが、国の公害対策予算の充実には格段の努力を傾けておることは、御承知のとおりでございます。その規模は、四十六年度千十五億円から、四十九年度には三千六十二億円と、約三倍の大幅な増加を示しております。今後とも国の経費の拡充に努力を重ねてまいることは、申すまでもないことであります。  失業保険制度の改革により、農村の過疎化がさらに促進されるのではないかという御発言でございますが、今国会に提案をしております雇用保険法案による特例一時金制度は、出かせぎ労働者の実態に、より一そう即応したものでありまして、その生活に激変を与えるようなものでないことは、申すまでもありません。  次は、超高層ビルの建設について、これを規制してはどうかということでございますが、超高層ビルというのは、世界の大都市における一つの趨勢でございます。一定の高さに押えておったパリでも、特定地域をきめて超高層を許可せざるを得ないということを申し上げれば、おわかりのとおりでございます。建築物の容積を一定に押えた上で高層化すれば、オープンスペースが確保でき得ますので、市街地環境を整備する上で望ましいことであり、ある意味では真にやむを得ない問題でございます。最近建設が進んでおります超高層ビルは、大都市における土地利用を積極的にはかるものであります。  ただ、防災上の問題につきましては、建築基準法、消防法等の法令によるほか、行政指導によりまして安全上の措置を講じさせることが必要であることは、言うまでもありません。  ごみ処理、水不足、交通混雑等、大都市の過密化の問題は、全国土の有効利用によって大都市への人口流入を抑制する以外に解決の道がないことは、私が間々申し上げておるとおりでございます。ただ、御指摘のように、建築基準法や都市計画法によって適法であるとはいいながら、超高層ができれば、車の流れや、ごみや、いろいろな問題が変わってくるわけでございますから、都市機能を完ぺきにするために、区画整理その他が随伴して行なわれることが望ましい、より効果的であるということは、これは事実でございます。  そういう意味で、超高層というものは不可避なものであり、また、力学的にも、また災害防除の上からも当然可能な問題でございますので、技術的な問題は別として、自然的に発生する状況の変化に対応できるような環境の整備が随伴して行なわれなければならない。言うなればそれが前提条件でもあるというふうに、法令の整備その他を必要とするということに対しては、私も同感でございます。  原子力発電所の安全性及び電力開発に必要な発電税についての御発言でございますが、これは、時代の趨勢というよりも、全人類的な問題でございます。しかも、原子力発電所は、現に二億キロワット以上も全世界で発電せられておるのであります。特に、御承知のとおり、フランスは、これからの発電のすべてを原子力発電によろうという決定さえしておるのでございます。特に、この間ソ連を訪問しましたときに、日本では原子力発電所がたいへんめんどうなようであるということで、そのために濃縮ウランの輸入等ができないというならば、南樺太に四百万キロないし五百万キロの原子力発電所をつくって電気を日本に供給するから、合意を得たいとさえいわれておるのでございますから、原子力発電所というものがもう全世界的な問題であり、まきからろうそくに、ろうそくから電気に、電気はやがて原子力にと移っているということは、これはもう事実でございますので、そういう大前提で考えていただきたい。  国民生活に不可欠なエネルギーの長期的、安定的確保のため、原子力発電を強力に推進することは、国家的課題であります。政府としては、原子炉等規制法の施行を厳正に行なうことによりまして、かねてから安全の確保には万全を期しておるところであり、原子力発電の安全性については十分に自信を持っております。今後、さらに安全性を向上させるため、原子力施設の安全研究の強化をはじめ、安全審査、検査体制の拡充になお一そうの努力を払ってまいりたいと考えます。  なお、原子力施設の安全性については、これを十分周辺地域住民に周知徹底し、地元住民の協力を得て、その開発を積極的に推進してまいりたいと考えております。  なお、発電税につきましては、地方自治体のほとんどがこれを請願し、要望し、熱望しておるということを御理解の上御協力ください。そして、早期に成立のために御尽力賜わらんことを切に願って、答弁といたします。  残余の問題については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)   〔国務大臣町村金五君登壇
  64. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) 地方自治団体の財政需要が近年特に激増いたしておるという状況にございまして、したがって、地方団体の財政制度を確立いたしまして、その自主財源の充実をはかっていかなければならぬという御指摘は、私ども全く同様に考えておる次第でございまして、今日までも特段の努力を払ってまいったつもりではございまするけれども、今後、さらに地方自治団体の自主財源の充実強化のために、一そうの努力を重ねてまいりたいと存じております。  次に、昭和四十九年度の予算におきまして交付税を削減したのははなはだ不都合である、こういう御指摘でございます。このことについては、さきにお答えを申し上げたこともございますが、本年度の地方財政は、総需要の抑制の見地から、歳出は極力圧縮いたさなければならないという状況にございまするし、一方、地方税あるいは交付税の増加額は相当額にのぼっておりまして、これまでの借り入れ金の残額を実質的に返済いたしましても地方財政の運営には支障がないというふうに見込まれましたので、千六百八十億円の減額調整を行なうことにいたしたのであります。地方財政の安定的確保をはかるという見地からとられましたこの措置というものは、私どもは、地方交付税制度の本旨に反するものではない、かように考えておるところでございます。  それから次に、最近の経済の高度成長に伴いまして、過密過疎に各市町村というものはだんだん分極化してきておる、したがって、こういうような状態になったときに、従来のような地方財政制度をこのまま適用するということは、必ずしも適当でない、問題があるのではないかという御指摘と伺ったのでございます。  確かに、今日、過密過疎の問題は、国、地方を通ずるきわめて重大な問題であります。自治省といたしましては、国土の均衡ある発展を目ざしまして、地域住民の福祉の向上をはかりますために、従来各種の対策を講じてきておるところでありまして、過疎団体及び人口急増団体に対しましては、それぞれの地域の実情に応じまして、交付税あるいは地方債等の重点的配分を行なっておるのでございます。私どもは、この方法をさらにきめこまかく配慮をしてまいることによって、これらの過密あるいは過疎自治体に対する財政の運営に支障ないようにしてまいりたい、かように考えておるところでございます。  公害対策の問題につきましては、すでに総理からお答えがございましたので、私からは申し上げることを差し控えます。  さらに、国民健康保険財政についてのお尋ねであったように承ったのでございますが、最近における国民健康保険事業勘定の収支状況はたいへん悪化いたしてまいりました。これは、歳出面では、やはり診療報酬の改定の平年度化の問題、あるいは老人医療の無料化に伴いまする受診率の上昇によりまして療養諸費が大幅に増加をいたしたこと、歳入面では、保険税率の伸びが市町村の医療給付の水準等に比較して低かったということが大きな原因であると考えます。  なお、昭和四十九年度の予算におきましては、国民健康保険財政の基盤強化のために、臨時財政調整交付金三百五十億円を計上いたしておりまするが、今後とも、必要に応じまして、関係省庁に対して財政措置の充実を要請してまいりたいと考えます。  次に、雇用保険法が成立をいたしましたならば、出かせぎが非常に困難になるということに関・連して、こういうことによってさらに過疎が激化するのではないか、こういう御指摘のように伺ったのであります。  雇用保険法案は、申し上げるまでもなく、雇用改善事業を実施することによりまして、その地域における雇用の増大と安定につとめるということに相なっておりまするので、この法案によりまして過疎が一そう進行するというおそれは、私どもはないものと考えておるのでございます。  なお、従来から、過疎地域につきましては、生活環境整備とともに、安定した所得確保のための産業の振興ということを目標といたしましてその振興につとめてきておりまするので、今後ともこの方向でさらに努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  65. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 地方交付税の減額調整措置についてのおとがめでございますが、この点につきましては、私しばしばお答えを申し上げておるわけでございます。  何と申しましても、今日最大の政治課題は、物価の安定をはかることである、その方法とすれぼ、何としてもこれは総需要の抑制をはかるほかはない、さすれば、どうしても中央、地方財政、それが補整政策の主軸になるべきものである、かように考えておるのでありますが、この点は御異存はなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  こういう考え方を実行する一つの考え方といたしまして、中央、地方の財源調整措置をやった。確かに、これはおとがめを受ける理由はあると思うのです。こういうことはもう自今再びいたしません、そのようにいたしましょう、こういうことを、かつて私は野田自治大臣と打ち合わせいたしたことがある。その点は、私はかんがみましてはなはだ遺憾とは思いまするけれども、これは今日の政治課題が、とにかく物価の抑制、これを鎮圧することにあるということを考えますと、まことにやむを得ざる臨時異例の措置として、こういうこともいたし方がなかったんだ、ひとつおくみ取りを願いたい、かように存じます。  次に、地方公共団体の自主財源の充実改善をはかれということでございますが、これもかねがね私もそう考えております。  今日におきましては、地方財政の体質はたいへん改善されてきておる、私はこういうふうに思います。地方税を見ましても、その構成比でとにかく四一%を占める、また、交付税が一九・七%だ、これはいずれも地方の自主財源、それを合計すれば六一%になる。そのほかに国庫支出金というものがある。でありまするから、四十九年度の地方財政を見ましても、公債依存率、それは五・九%であります。国のほうはどうかというと、一二・六%というくらい多額の公債を発行しておる。その両者を比較してみますると、地方財政があなたがおっしゃるような状態ではない、さように考えます。しかし、地方財政を安定させるということは、これは地域社会を育てるためのかなめでございまするから、今後とも何かと配意してまいりたい、かように考えます。  また、過密過疎に着目いたしまして地方財政制度を抜本的に改正すべし、こういう御意見でございますが、これは町村自治大臣からただいまお答えいたしたとおりに私も考えております。  地方財政の運営にあたりましては、過密過疎それぞれの地域の特殊性を配慮してまいらなければならぬことはもちろんでありまして、そういう見地から、地方交付税を通ずる調整機能、これを強化しなければならぬ、そういう問題もあります。また、特に国家的に重要な事業、そういうものを過疎地帯において行なうというような際には、補助率のかさ上げというものも考えておるわけなのであります。また、地方債の運用につきましても、過疎債でありますとか、そういう特殊な配慮を行なっておる、こういう状態でございますが、とにかく、過密過疎両地域の均衡につきましては、これは今後とも配意してまいりたい、かように考えます。(拍手)   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇
  66. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 国保財政との関連において診療報酬の支払い制度についての御質問にお答え申し上げますが、現在の医療保険における診療報酬支払い制度は、現物給付、出来高払いの方式を採用いたしておりまして、国民皆保険の実施を経て、必要な国民医療の確保と医療内容の向上に大きく貢献してきたところでございます。しかしながら、薬の乱用などは厳に戒めなければならない問題でございますので、この支払い制度のより適正な運営を期するため、今後とも、診療報酬体系の適正化との関連を十分考慮しつつ、慎重に検討を加えてまいりたいと存じております。(拍手)     —————————————
  67. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 中山利生君。   〔中山利生君登壇
  68. 中山利生

    ○中山利生君 私は、自由民主党を代表して、ただいま自治大臣から御報告のありました地方財政の状況に関連し、総理大臣をはじめ関係各大臣に対しまして、御質問をいたしたいと存じます。  わが国民主政治の将来の発展にとりまして、その基盤である地方自治の育成強化は、何ものにも増して重要なことであると信ずるのであります。しかるに、地方自治の現状はどうでありましょうか。三割自治、二割自治のことばが巷間に伝えられ始めてすでに久しく、また、幾たびか地方自治の危機が叫ばれ、とりわけ、激動する社会経済情勢下の今日におきましては、最近発表されました全国知事会の昭和四十九年度都道府県当初予算の編成状況によっても明らかなごとく、地方財政はかってない危機に直面していると申しても決して過言ではありません。  あらためて述べるまでもなく、地方自治を育てるためには、その基本的な前提として、地方公共団体が、自主的に、かつ、みずからの創意くふうによって豊かな地域社会の建設ができるように、自主財源が十分になければなりません。すなわち、地方財政の充実強化が地方自治にとって何よりも必要であり、大切なことであります。換言すれば、地方財政の充実強化こそは、究極的に何人も心から願う民主政治の育成発展の前提条件であることを私はかたく信じて疑わないのであります。  さて、地方財政の歳出規模は、地方公共団体が年々増大する行政需要に積極的に対処していることを反映いたしまして年々増大を示し、昭和四十七年度におきましては、五年前の昭和四十二年度の実に二・五五倍になっているのであります。特に、近年におきましては、福祉優先の財政経済政策を積極的に展開し、住みよい地域づくりをはかっていくために、地域住民に直結する行政のにない手として、都道府県や市町村の果たすべき役割りはますます重要になってきております。  このような状況下にありまして、これらの地方公共団体が、住民の要請にこたえて、生活環境施設整備、社会保障の充実、公害の防止、過密過疎対策等の諸施策を積極的に推進していくためには、自主財源の根幹をなす地方税源の充実、地方交付税の安定確保等、地方財源の強化充実をはかっていくことが何よりも大切であると考えるの  でありますが、これらの基本的な問題に対する総理大臣並びに自治大臣の御見解を承りたいと思います。  次に、地方債の問題であります。  昭和四十七年度の地方財政の決算におきましては、歳入全体に占める地方債の割合がついに一〇%をこえるに至り、借金依存の傾向がきわめて顕著となってきております。  申すまでもなく、これは将来において公債費負担の増大をもたらし、ひいては地方公共団体の財政運営に支障を生ずるおそれが多分にあり、このことを憂慮する者はひとり私のみではないと思うのであります。この点についての自治大臣の見通しと御所見とを承りたいと存じます。  次に、人件費を中心とする義務的経費の問題であります。  すなわち、昭和四十七年度決算におきましては、一般財源の伸びは一九・五%にとどまっているのに対し、人件費を中心とする義務的経費は二三・五%と、一般財源の伸びを大きく上回っておりまして、財政硬直化の傾向がはっきりと見られるのであります。特に、昭和四十九年度には、先般の春闘の結果、民間及び公共企業体における賃金の大幅な引き上げが行なわれたことを反映して、人事院勧告によるベースアップ率は三〇%程度は確実と新聞にも報道されております。地方公務員につきましても大幅な給与改定は必至であり、そのための財源はどうなるのか、都道府県や市町村の関係者は非常に心配をいたしております。これに対して政府はどのように対処するのでありましょうか、自治大臣の御所見を承りたいと存じます。  次に、地方公共団体の超過負担の問題であります。  昨年来、摂津訴訟その他が新聞をにぎわしておりますが、率直に申して、狂乱物価の今日、地方公共団体は超過負担に泣いております。国庫補助負担事業にかかる地方公共団体の超過負担の解消につきましては、昭和四十七年度の実態調査の結果に基づき、昭和四十九年度予算では二百五十八億円の解消措置を講じていると聞くのでありますが、最近の急激な建設価格の高騰その他諸物価の、値上がりにより、地方公共団体の超過負担は予想を越えて増大していると思われるのであります。その是正をすみやかにはからなければ、地方財政に大きな重圧を与えることは火を見るよりも明らかであります。したがって、超過負担を解消するため、補助単価、補助対象について、すみやかにその改善、適正化がはかられるべきだと存じますが、その点についての自治大臣の御所見を承りたいと存じます。  次に、過疎対策の問題であります。  これまで過疎市町村に対しましては、過疎法により諸対策が講じられてきましたが、いま大きな社会問題となっております出かせぎ問題一つとっても明らかなごとく、過疎地域では、今日、医療確保の問題、過疎バス問題等きわめて深刻な問題があり、これらの諸問題は、弱小過疎市町村ではとうてい解決することができないのであります。  さらに問題は、現行過疎法は、過疎となった市町村対策であり、過疎を生じないための国の施策という面から見ると、少なからず問題を包蔵しているのであります。したがって、国土計画における過疎市町村の位置づけを明確にするとともに、過疎地域振興のための抜本対策が急務でありますが、自治大臣の御所見はいかがでありましょうか、お伺いいたします。  次は、人口急増対策についてであります。  わが国の人口の都市への集中は依然として続いており、特に大都市周辺市町村及び地方中核都市におきましては、人口の急激な増加に伴い、幼稚園、小中学校等の生活関連社会資本の整備が大幅に立ちおくれております。本年度予算では、過密対策、特に人口急増対策について各種の改善措置が講じられはしましたけれども、なおきわめて不十分であり、今後とも、国は、人口急増市町村の社会資本の整備について、計画的、積極的に取り組むべきであります。これに対する自治大臣の御所見を伺いたいと存じます。  次に、地方公営企業についてお伺いいたします。  申し上げるまでもなく、地方公営企業は、地域住民に直結したサービスを提供するものであります。しかるに、今日その経営状況はきわめて悪化してきており、昭和四十七年度では全企業の三分の一が赤字を出しており、その累積欠損金は三千七百五十八億円に及んでいるのであります。特に、交通事業は全体の八割が、また病院事業は全体の五割が赤字を出しており、両事業で累積欠損金総額の八割以上を占めているのであります。  このように深刻な経営危機に直面した交通事業及び病院事業につきましては、すでにその経営の健全性を確保するための国の財政措置が講じられ、経営の改善合理化等、総合的な施策が進められているのでありますが、その経営は、最近におけるきびしい経済情勢の中にあって、建設費、原材料費の増高、あるいは最近の高金利による資本費負担の増高等に加えて、先般の春闘による大幅賃上げに伴い、近く公務員についても大幅な給与改定が予想されるなど、地方公営企業全般の経営がきわめて困難になってきております。このような状況のもとにおける地方公営企業の企業環境の改善につきまして、自治大臣はどのような対策を講じようとしておられるのか、御所見を承りたいと思います。  以上、私は、地方財政の基本的な問題について、所信をまじえつつ若干の質問を試みましたが、私が結論的に考えますことは、地方財政の充実強化こそは、地方自治の健全な育成、確立の前提要件であり、ひいてはわが国の民主政治の健全な発展のかぎを握るものであることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  69. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 中山利生君にお答えいたします。  地方財源の強化についての御発言でございますが、豊かな国民生活と活力ある福祉社会の実現をはかっていくためには、国と地方公共団体とが一体となって諸般の施策を強力に推進していくごとが肝要であることは、言うまでもありません。中でも、住民の日常生活に直結した行政のにない手である地方公共団体の果たすべき役割りは、ますます重要となっておるのであります。  地方公共団体が地域の実情に応じて住民福祉の向上をはかっていくことができるよう、地方税源の充実、地方交付税の安定確保等を通じまして、地方財源の充実強化をはかってまいりたいと考えております。  残余の問題につきましては、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)   〔国務大臣町村金五君登壇
  70. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) お答えをいたします。  地方公共団体が、地域住民の要請にこたえまして、特に生活関連施設を中心とする各種の社会資本の整備を推進することにつとめてまいっておりますが、必ずしもこれらは満足すべき状態に達しておるとは言えないのでございます。こうした福祉社会実現の基盤を整備いたしてまいりますためには、何と申しましても、地方財源の充実強化をはかっていくことが必要であると考えます。このため、地方税源の充実をはかってまいりますとともに、特に、地方交付税につきましてもその所要額の確保につとめるべきであると考えております。自治省としては、従来からこのことに努力を重ねてきておるところではございますが、今後とも一そう地方財源の充実をはかることに努力をいたしてまいりたいと存じます。  次に、昭和四十七年度の地方債の決算額は、前年度に比べまして増加率が四五%に及び、また、一兆六千三百五十九億円という大きな金額にのぼったのであります。これは、生活関連施設を中心とした社会資本の充実と、国際収支の均衡をはかる等のため公共事業が積極的に行なわれ、これに伴って地方債の発行が大幅に増加したことによるものでございます。  御指摘のとおり、昭和四十七年度の歳入決算総額に占める地方債の比率は一〇・八%となっておりまするが、昭和四十九年度におきましては、総需要抑制策とも関連をして、地方債依存度を大幅に引き下げることにいたしております。今後、公債費の増加によりまして将来の地方公共団体の財政運営に支障を生ずることのないように、地方税、地方交付税等一般財源を充実強化するようにつとめてまいりたいと考えております。  次に、昭和四十七年度の決算におきましては、人件費を中心とする義務的経費の伸びが一般財源の伸びを上回っており、これが地方財政硬直化の原因となるおそれがありますることは、御指摘のとおりであります。  また、本年度におきましては、地方公務員についてもおそらく大幅な給与の引き上げが行なわれることになるものと予想されまするので、これに要する地方財源につきましては、税の自然増収がない場合には、従来は交付税会計の借り入れ等によって対処してまいったのでありまするが、本年度におきましても、税の自然増収等の状況が現段階では明らかではございませんけれども、人事院勧告が出された場合には、地方公務員の給与改定が支障なく実施できまするように、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。  次に、超過負担のことについてのお尋ねでございますが、政府は、地方公共団体の超過負担解消について、今日までもつとめてきたところでございます。最近の建設価格の急騰に対処いたしまするため、すでに昭和四十八年度におきましては年度途中において再三にわたって単価の改定を行ない、昭和四十九年度の予算におきましても、大幅な単価の引き上げを講じたところでございます。しかし、今後の物価の推移等によりましては、事業実施段階におきまして万一支障を来たすような事態が起きました場合には、超過負担を生ずることがないように、関係省庁とも十分御相談を申し上げ、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。  次に、過疎問題についてのお尋ねでございまするが、過疎地域の振興をはかり、あるいはできるだけ過疎地帯をつくらないようにしてまいるということはきわめて肝要なことであることは、申し上げるまでもございませんが、このためには、やはり当該地域の産業の振興をはかることによりまして安定的な雇用の道を拡充していくということが肝要であると考えます。こういった見地から、過疎地域における基幹的な産業である農林漁業を中心として、過疎地域の産業振興に自治省としてもできるだけの協力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。  次に、人口急増市町村に対しましては、非常に財政的な需要が多くなっており、そのために、小中学校の校舎の建設あるいはその用地の取得等につきまして国庫補助制度の創設をはかりますなどの各種の財政措置も講じておりまするし、さらに、本年度におきましては、消防施設や幼稚園に対する国庫補助率の引き上げ、あるいは地方債の大幅な拡充というような措置を講じておるところでございます。これらの措置を通じまして、今後とも、人口急増市町村の関連公共公益施設整備計画的に行なわれるように配慮してまいりたいと考えます。  次に、地方公営企業の経営が最近非常に困難な状態におちいっておることは、御指摘のとおりでございます。このような事態に対応いたしまして、交通事業及び病院事業につきましては、前年度及び本年度において大幅な財政措置を講じたのをはじめといたしまして、地方公営企業全般にわたりまして、低利安定資金の確保、その他各種の財政援助措置を拡充強化いたした次第でございます。  しかし、近く予想される大幅な給与改定等によりまする原価の急激な上昇に対しましては、経営の改善合理化等により吸収することが不可能な分については、料金の適正化等に求めざるを得ないのではないかと考えておる次第でございます。(拍手
  71. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  72. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十六分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         法 務 大 臣 中村 梅吉君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 奧野 誠亮君         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 徳永 正利君         郵 政 大 臣 原田  憲君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         自 治 大 臣 町村 金五君         国 務 大 臣 三木 武夫君         国 務 大 臣 森山 欽司君         国 務 大 臣 山中 貞則君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君      ————◇—————