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1974-05-14 第72回国会 衆議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十四日(火曜日)     —————————————  議事日程 第二十九号   昭和四十九年五月十四日    午後二時開議  第一 公立義務教育学校学級編制及び教職     員定数標準に関する法律等の一部を改     正する法律案内閣提出)  第二 地方公務員災害補償法の一部を改正する     法律案内閣提出参議院送付)  第三 工業配置・産炭地域振興公団法の一部     を改正する法律案(第七十一回国会、内     閣提出)  第四 都市計画法及び建築基準法の一部を改正     する法律案(第七十一回国会内閣提     出)  第五 国際協力事業団法案内閣提出)  第六 雇用保険法案内閣提出)  第七 雇用保険法施行に伴う関係法律整備     等に関する法律案内閣提出)  第八 勤労者財産形成促進法の一部を改正する     法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(鉄道労   働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(国鉄労   働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(国鉄動   力車労働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全国鉄   施設労働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全国鉄   動力車労働組合連合会関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(日本電   信電話労働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全国電   気通信労働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全専売   労働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全日本   郵政労働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全逓信   労働組合関係)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(日本国   有林労働組合関係月給制」)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(日本国   有林労働組合関係日給制」)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全林野   労働組合関係月給制」)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全林野   労働組合関係日給制」)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会承認を求めるの件(全印刷   局労働組合関係)  日程第一 公立義務教育学校学級編制及び   教職員定数標準に関する法律等の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第二 地方公務員災害補償法の一部を改正   する法律案内閣提出参議院送付)  日程第三 工業配置・産炭地域振興公団法の   一部を改正する法律案(第七十一回国会、内   閣提出)  日程第四 都市計画法及び建築基準法の一部を   改正する法律案(第七十一回国会内閣提   出)  日程第五 国際協力事業団法案内閣提出)  日程第六 雇用保険法案内閣提出)  日程第七 雇用保険法施行に伴う関係法律の   整備等に関する法律案内閣提出)  日程第八 勤労者財産形成促進法の一部を改正   する法律案内閣提出)  倉石農林大臣農業基本法に基づく昭和四十八   年度年次報告及び昭和四十九年度農業施策に   ついての発言及び質疑    午後二時六分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
  3. 森喜朗

    森喜朗君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  すなわち、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(鉄道労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(国鉄労働組合関係)「公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(国鉄動力車労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全国鉄施設労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全国鉄動力車労働組合連合会関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(日本電信電話労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全国電気通信労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全専売労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全日本郵政労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全逓信労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(日本国有林労働組合関係月給制」)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(日本国有林労働組合関係日給制」)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全林野労働組合関係月給制」)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全林野労働組合関係日給制」)、及び公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全印刷局労働組合関係)の十五件は、内閣要求のとおり委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(鉄道労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(国鉄労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(国鉄動力車労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全国鉄施設労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全国鉄動力車労働組合連合会関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(日本電信電話労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全国電気通信労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全専売労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全日本郵政労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全逓信労働組合関係)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(日本国有林労働組合関係月給制」)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(日本国有林労働組合関係日給制」)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全林野労働組合関係月給制」)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全林野労働組合関係日給制」)、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(全印刷局労働組合関係)、右十五件を一括して議題といたします。
  6. 前尾繁三郎

  7. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(鉄道労働組合関係)外十四件につきまして、一括して提案理由を御説明申し上げます。  昭和四十九年二月以降、公共企業体等関係労働組合は、昭和四十九年四月一日以降の賃金引き上げに関する要求を各公共企業体等当局に対し提出し、団体交渉を重ねましたが、解決が困難な事態となり、四月六日から九日にかけて関係組合または当局の申請により公共企業体等労働委員会調停段階に入り、さらに四月十三日同委員会決議により仲裁手続に移行し、同委員会は、五月九日、日本国有鉄道当局鉄道労働組合国鉄労働組合国鉄動力車労働組合、全国鉄施設労働組合及び全国鉄動力車労働組合連合会日本電信電話公社当局日本電信電話労働組合及び全国電気通信労働組合日本専売公社当局と全専売労働組合郵政省当局全日本郵政労働組合及び全逓信労働組合林野庁当局日本国有林労働組合及び全林野労働組合並びに大蔵省印刷局当局と全印刷局労働組合に対し、本件仲裁裁定を行なったのであります。  本件仲裁裁定は、職員基準内賃金を、本年四月一日以降、一人当たり基準内賃金の一七・九%相当額に八千三百円を加えた額の原資をもって引き上げることなどを内容とするものであり、これを実施することは、現状におきましては、予算上不可能であると認められます。よって、本件仲裁裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、同条第二項の規定により、国会の御承認を求める次第であります。  公共企業体等労働委員会仲裁裁定につきましては、昭和三十二年以来、いずれも裁定どおり実施されてきたところであり、政府といたしましては、本件仲裁裁定につきましても、可及的すみやかに裁定どおり実施されることが望ましいと考えますので、一日も早く国会の御承認が得られますよう強く希望する次第であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御承認あらんことをお願い申し上げるものであります。(拍手)     —————————————
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 十五件を一括して採決いたします。  十五件を承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、十五件とも承認するに決しました。      ————◇—————  日程第一 公立義務教育学校学級編制及   び教職員定数標準に関する法律等の一部   を改正する法律案内閣提出
  10. 前尾繁三郎

  11. 前尾繁三郎

  12. 稻葉修

    稻葉修君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案要旨の第一は、公立の小学校、中学校及び高等学校並びに特殊教育学校学級規模教職員配置適正化をはかるため、これらの学校学級編制及び教職員定数標準を改善することであります。  第二は、学校栄養職員の職務及び資格を定めるとともに、市町村立義務教育学校等学校栄養職員給与費等都道府県負担とし、その二分の一を国庫負担とすることであります。  第三は、この法律は、昭和四十九年四月一日から施行することとし、この法律施行に必要な経過措置を定めることであります。  本案は、去る二月二十二日当委員会に付託となり、四月十日政府より提案理由説明を聴取いたしました。自来、本案について慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて、五月十日、本案に対する質疑終了、次いで、松永光君外三名から、本案に対し、この法律は、公布の日から施行することとするとともに、これに伴い昭和四十九年度における義務教育費国庫負担法等規定の適用及び学校栄養職員給与等負担について必要な経過措置を講ずることを趣旨とする、自由民主党日本共産党革新共同公明党及び民社党共同提案にかかる修正案が提出されました。  次いで、討論に入りましたところ、原案及び修正案に対し、日本社会党を代表して木島喜兵衞君より、同党提出法律案に比し改善内容が十分でないとの趣旨から反対の意見が表明されました。続いて、採決に付し、本修正案及び修正部分を除く原案賛成多数をもって可決、よって、本案修正議決されました。  次いで、塩崎潤君外四名から、本案に対し、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党共同提案にかかる附帯決議案が提出され、採決の結果、全会一致をもって可決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————   日程第二 地方公務員災害補償法の一部を改    正する法律案内閣提出参議院送付
  15. 前尾繁三郎

  16. 前尾繁三郎

  17. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢にかんがみ、公務上の災害または通勤による災害を受けた職員及びその遺族に対する保護の充実をはかるため、障害補償年金及び障害補償一時金の額をおおむね一二%引き上げるとともに、遺族補償年金の額をおおむね二二%引き上げるほか、遺族補償年金受給権者の請求に基づき支給される前払い一時金制度改善措置を講じようとするものであります。  本案は、参議院先議でありまして、四月二十六日本委員会に付託され、五月七日町村自治大臣から提案理由説明を聴取した後、慎重に審議を行なったのであります。  五月十日質疑終了し、討論の申し出もなく、採決を行ないましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の五派共同提案により、社会経済情勢の変化に即応した年金額改定措置平均給与額最低保障額引き上げ特殊公務災害範囲拡大等内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案(第七十一回国会内閣提出)  日程第四 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(第七十一回国会内閣提出
  20. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第三、工業配置炭地域振興公団法の一部を改正する法律案日程第四、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案     —————————————   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  21. 前尾繁三郎

  22. 木村武雄

    木村武雄君 ただいま議題となりました二法案について、建設委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案について申し上げます一  本案は、大都市からの人口及び産業の地方分散地域開発発展促進し、並びに引き続き産炭地域における鉱工業等の計画的な発展をはかるため、工業配置・産炭地域振興公団改組、拡充しようとするものでありますが、そのおもな内容は、公団業務に、新たに地域社会の中心としてふさわしい地方都市開発整備に関する業務及び特定の地域開発整備のために必要な業務を加えることとし、なお、以上の業務は、地方公共団体の要請を待って行なうものとすることなどとしていることであります。  本案は、第七十一回国会に提出され、継続審査となっているものでありますが、五月十日質疑終了討論採決の結果、本案賛成多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  修正要旨は、改組、拡充後の公団の名称を地域振興整備公団に改めること等としております。  次に、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、都市における市街地拡大及び全国的に乱開発が進行している現状にかんがみ、開発行為適正化、良好な都市環境確保等をはかるため、  第一に、開発許可対象区域都市計画区域全体に拡大するとともに、ゴルフコース等工作物建設目的とする開発行為についても、開発許可対象に加え、その他、開発許可基準整備筆開発許可制度を拡充強化すること。  第二に、市街地開発事業等予定区域制度を創設すること。  第三に、工業専用地域における建蔽率を強化すること。等を内容としているものであります。  本案は、第七十一回国会に提出され、継続審査となっているものでありますが、五月十日質疑終了討論採決の結果、本案賛成多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  修正要旨は、市街化区域に隣接または近接する等一定の要件に該当する市街化調整区域内の既成宅地における建築物新築等は、都道府県知事許可を要しないものとしていることであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  23. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  24. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第四につき採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  25. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第五 国際協力事業団法案内閣提出
  26. 前尾繁三郎

  27. 前尾繁三郎

  28. 木村俊夫

    木村俊夫君 ただいま議題となりました国際協力事業団法案につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、開発途上地域等経済及び社会発展に寄与し、国際協力促進に資することを目的として、国際協力事業団を設立しようとするものであります。  そのおもな内容を申し上げますと、まず、本事業団は法人とし、その当初資本金は、政府出資による四十億円と、この事業団承継される海外技術協力事業団海外移住事業団及び海外貿易開発協会に対する政府出資金等合計額とし、政府が必要と認めるときは、予算範囲内で追加出資ができるものとしております。  また、事業団実施する主要な業務といたしましては、条約その他の国際約束に基づいて行なわれる技術協力実施に必要な業務、及び海外協力活動を志望する青年を開発途上地域へ派遣すること等の業務であり、次に、移住者の援助及び指導その他海外移住の円滑な実施に必要な業務であります。また、開発途上地域等社会開発並びに農林業及び鉱工業開発に必要な資金の供給及び技術の提供を行なう等の業務であります。  そのほか、運営審議会の設置あるいは事業団事業年度事業計画等認可等について規定しております。  なお、本案の附則におきまして、海外技術協力事業団海外移住事業団の一切の権利義務承継及び両事業団の解散並びに海外貿易開発協会からの一部権利義務承継規定しております。  本案は、去る二月十八日国会に提出され、四月四日本院において政府から趣旨説明を聴取した後、質疑を行ない、同日当委員会に付託されました。  委員会におきましては、政府から提案理由説明を聴取した後、質疑を行ない、また、農林水産委員会商工委員会との連合審査会を開会するなど、慎重に審査を行ないましたが、その詳細は会議録により御了承願います。  かくして、五月十日質疑終了し、日本社会党河上民雄君、日本共産党革新共同松本善明君、公明党渡部一郎君の反対討論民社党永末英一君の賛成討論の後、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対しまして、自由民主党水野清委員から、自由民主党日本社会党公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議案が提出されました。  本決議案のおもな内容は、わが国の国際協力に対する基本姿勢とその果たす役割り事業団運営基本目的国際協力に貢献する人材の確保国際協力による食糧増産農林業開発関係各省間の協力体制及び統合承継する事業団等職員の処遇などについて、これを明確化するとともに、必要とする場合は、適切な措置を講ずべきであるというものであります。  本決議案は、採決の結果、多数をもって可決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  29. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  30. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第六 雇用保険法案内閣提出)  日程第七 雇用保険法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案内閣提出)  日程第八 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案内閣提出
  31. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第六、雇用保険法案日程第七、雇用保険法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案日程第八、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————  雇用保険法案  雇用保険法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  32. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。社会労働委員長野原正勝君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔野原正勝君登壇
  33. 野原正勝

    ○野原正勝君 ただいま議題となりました三法案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、雇用保険法案について申し上げます。  本案は、今後の経済社会の動向に即して、失業者に対する給付内容の改善、整備をはかるとともに、雇用構造の改善その他労働者の福祉の増進に資するため、雇用保険制度を創設しようとするもので、そのおもな内容は、  第一に、雇用保険は、労働者が雇用される事業をすべて適用事業とし、失業給付を行なうほか、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行なうこと。  第二に、基本手当の日額については、前職賃金の六割を基準にして、最高七割、最低五割のいわゆる上薄下厚の給付率を採用することとし、その所定給付日数は、五十五歳以上を三百日とする等、年齢等による就職の難易度により定めること。  第三に、全国的に失業情勢の悪化した場合等には、所定給付日数を延長することができることとするほか、出産、育児等により求職活動ができない場合は、受給期間を延長することができること。  第四に、季節、短期雇用労働者については、特例一時金を支給すること。  第五に、日雇い労働被保険者の求職者給付は、第一級を日額千七百七十円とする等、三段階制とすること。  第六に、保険料のうち千分の十の部分は失業給付に充て、千分の三の部分は雇用改善事業等に充てること。 等であります。  本案は、去る三月二十二日本会議において趣旨説明が行なわれ、同日本委員会に付託となり、以来、慎重な審査を行ない、四月二十四日には参考人から意見を聴取し、五月八日には地方行政委員会農林水産委員会建設委員会と連合審査を行ない、昨日の委員会において質疑終了いたしましたところ、自由民主党及び民社党より、基本手当の給付率、所定給付日数、短期雇用特例被保険者の被保険者期間の計算方法及び特例一時金、日雇い労働被保険者の求職者給付等について修正案が提出されました。  次いで、討論を行ない、採決の結果、本案修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  次に、雇用保険法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について申し上げます。  本案は、雇用保険法施行に伴い、関係法律規定整備等を行なおうとするもので、そのおもな内容は、  第一に、労働保険の保険料の徴収等に関する法律において、雇用保険の保険料率は千分の十三とし、事業主は賃金総額の千分の八相当額を、被保険者は賃金総額の千分の五相当額をそれぞれ負担することとし、季節、短期雇用労働者を多数雇用する業種については、特別の保険料率を適用することとし、また、高年齢被保険者に関しては、雇用保険の保険料の納付及び負担を免除すること。  第二に、職業訓練法において、養成訓練課程として新たに特別高等訓練課程を設けるとともに、公共職業訓練施設として新たに職業訓練短期大学校及び技能開発センターを設けること。  第三に、船員保険法及び国家公務員等退職手当法において、雇用保険法と同様の改善、整備等を行なうほか、関係諸法律について所要の整備等を行なうものであります。  本案は、去る二月二十七日本委員会に付託となり、昨日の委員会において質疑終了いたしましたところ、自由民主党及び民社党より、農林水産業等に係る雇用保険率並びに印紙保険料の額等について修正案が提出され、採決の結果、本案修正議決すべきものと議決した次第であります。  次に、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、勤労者の財産形成を一そう促進するため、勤労者財産形成貯蓄制度の改善、勤労者財産形成基金制度等の創設及び勤労者の持ち家建設促進等について必要な措置を講じようとするもので、そのおもな内容は、  第一に、勤労者財産形成貯蓄契約の要件を整備するほか、新たに宅地債券の購入等を勤労者財産形成貯蓄に含めること。  第二に、事業主は、労働組合等との合意に基づき、勤労者財産形成基金を設立することができること等、事業主が拠出した金銭を運用して勤労者の財産形成を援助する制度を設けること。  第三に、長期財形住宅貯蓄契約者に対する住宅金融公庫等の住宅資金貸し付けについて特別の措置を講ずる等、勤労者の持ち家建設促進をはかること。  右のほか、勤労者の財産形成に関し必要な課税上の特別措置を講ずること。 等であります。  本案は、去る三月二十九日本委員会に付託となり、昨日の委員会において質疑終了しましたところ、勤労者財産形成基金契約等を締結できる金融機関等の範囲について修正案が提出され、採決の結果、本案修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  34. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも修正であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  35. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  倉石農林大臣農業基本法に基づく昭和四十   八年度年次報告及び昭和四十九年度農業施   策についての発言
  36. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 農林大臣から、農業基本法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度農業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣倉石忠雄君。   〔国務大臣倉石忠雄君登壇
  37. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 昭和四十八年度農業の動向に関する年次報告及び昭和四十九年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十八年度農業の動向に関する年次報告のうち、第一部農業の動向について申し上げます。  わが国は、今日、物価問題、資源エネルギー問題に加えて、世界的な食糧需給事情など内外の諸問題に直面しております。このような中で、国民食糧の安定的確保をはかることは、国民生活の保全にとって一そう緊要な課題となっているのであります。  わが国の食糧自給度は、農産物輸入の引き続く増大と、米を除く穀物等の生産の減退とを反映して、今日まで長期的に見て低下の傾向をたどっております。さらに、農産物の国際市場の不安定性等を考慮しますと、国内農業の生産、供給力の維持強化をはかることをわが国の総合的食糧供給体制の基本とするとともに、海外からの輸入の安定的確保及び国内備蓄体制の整備などを含め、内外を通ずる総合的食糧供給体制の確立につとめることが、今日の食糧、農業政策の最も重要な課題となっております。  農業の他産業に対する比較生産性は、四十七年度にはかなり上昇し、農家の生活水準も、世帯員一人当たりの家計費において、勤労者世帯を上回るに至りました。これは、四十七年度には農業生産が四年ぶりに回復したことなどによるものであります。  農業の構造について見ますと、最近における農業就業人口の加速度的減少にもかかわらず、農家戸数の減少は緩慢でありまして、農業を従とする第二種兼業農家の割合は六割をこえるに至り、農地の流動性の乏しい中で、経営規模の拡大はなお停滞的であります。  その中にあって、近年低下傾向にありました自立経営農家の割合は、四十七年度には六・五%と、やや増加いたしております。また、基幹的な男子労働力を保持する農家は、総農家戸数の約三分の一を占めており、農業総生産の約三分の二をになっているのであります。  今後、食糧の国内供給力の維持強化を積極的にはかっていくためには、これら基幹的な男子労働力を保持する農家を農業生産の中核的なにない手として着目し、評価し、その発展向上を支援することが必要であると考えております。  また、農業及び農村が果たしている国民食糧の安定的確保や、国土と自然環境の保全という役割りは、いまや一そう重要性を増してきており、次代の農業の中核的なにない手が定着できるような住みよい農村環境をつくるため、農業生産環境と生活環境をあわせて農村の総合的整備をはかることが必要であります。  以上が第一部の概要であります。  次に、第二部におきましては、四十八年度を中心として講じた施策について述べております。  最後に、昭和四十九年度において講じようとする農業施策について申し上げます。  ただいま御説明申し上げました農業及び農村の動向に対処し、農政の展開をはかることとし、このため、四十九年度におきましては、国民食糧の安定的供給の確保、農業構造の改善、農業地域の計画的な整備、農産物の価格の安定に重点を置いて施策を推進することといたしております。  以上をもちまして、概要の説明を終わります。(拍手)      ————◇—————  農業基本法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度農業施策についての発言に対する質疑
  38. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。井上泉君。   〔井上泉君登壇
  39. 井上泉

    ○井上泉君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま農林大臣から報告のありました昭和四十八年度の農業白書に関連し、日本農業の持つ国民食糧確保という基本的使命に関し、田中総理並びに関係大臣に質問いたします。   〔議長退席、副議長着席〕  まず、この農業白書が回を重ねること十三回、一貫していわれることは、これが今日多数の農民を離農せしめ、いわゆる出かせぎ労働者として高度経済成長政策の犠牲に供せられ、日本の農業を破壊し、農業における諸悪の根源となっている農業基本法により、政府官僚が自画自賛、自慰の中に毎年書かれたものであります。与党は白書を礼賛し、野党はこれを批判するというパターンを繰り返しているのが実情であります。  事実、この白書が毎年指摘する問題点が解明されていれば、今日の危機的な農業には至らなかったでしょう。  わが国の農政を誤らしてきた農基法は、成立の過程から誤っています。この法が提案されたときのわが党の芳賀先輩や足鹿先輩が指摘したことが、十三年目の今度の白書にいみじくも明確に指摘されているのであります。(拍手)  すなわち、要約すれば、第一は、国民食糧の安定的、効率的な供給の確保をはかるため、国内農業の生産維持強化を基本とする総合的な食糧供給体制を確立すること。  第二は、わが国農業生産力の維持強化をはかるために、農業生産の中核的にない手の確保、育成が基本的課題となっていること。  第三は、このため農村地域の総合的整備がますます必要となること。  以上のような点は、従前強く指摘したとおりであります。それにもかかわらず、議長職権により、わが党欠席のまま単独審議的に強行採決したことをいま思い出すべきであります。  この問題点を解決していくためには、農基法そのものが否定さるべきです。それに取ってかわって、白書が指摘する自給体制を確立し、国民生活安定の基幹産業としての農業を位置づけるべきであります。採算性、企業性を骨格とする現在の農基法の全面的改正を行なうべきであると思いますが、この点についての田中総理の所見を承りたいと思います。(拍手)  次に、昨年の石油危機以来、急速に、世界的な食糧不足を背景といたしまして、わが国におきましても、食糧の自給率を高めようとの世論が高まっていました。そのときに、アメリカのバッツ農務長官が来日して、政府間協定は否定し、そうして自由な農産物の無制限売り込み、しかもまた、押し売り的な態度とも思われるような一方的態度で日本政府を引きずり回しておった。農林省内においても、自給論議がこれによって影をひそめつつあるというのは、一体どういうことでありましよう。  アメリカの顔色をうかがう農政ではなく、まず第一前提としても、いついかなる場合も、日本国民の胃袋は、可能な限り日本の国土で、しかも日本農民の手でというのが当然の姿ではないでしょうか。(拍手)欧米自由主義国でも社会主義国でも、共通して、国内自給率の向上ということをいつも強く取り上げているではありませんか。国内の自給率の引き上げ、これに対するアメリカ政府の動向について、総理及び農林大臣の見解を承りたいと思います。  いま、米価要求大会のシーズンが参りました。この時期が来ますと、農協幹部がはち巻き姿で前面に出て、国民の注目を集めます。この農協の果たしておる役割りは、日本の農政を展開するためには避けることのできないほど農業と農民に密着した団体であります。それは、生産者としての農民に対する役割りと、消費者としての農民に対する役割り、すなわち、生活資材、生産資材を含めて、その供給者としての役割り、この供給する金額は、まさに、あの悪名高き大企業、大商社に劣らぬ取引高を持ち、いわば、農協は、ある一面では農業における独占資本的な存在といわれておるのであります。これに対して白書が現状分析を怠っているのはなぜでありましょう。この点について農林大臣の見解を承ります。  次に、いま全国各地で、昭和四十九年産米の米価要求闘争が行なわれています。あすも東京で全国農協要求米価実現の大会が開かれることは、御承知のとおりです。  わが国の貧弱な食糧自給率の中で、一〇〇%の自給率を持ち、しかもわれわれの民族的な食糧である米、さらにはまた、農家経済の柱でもあるこの米、これが田植え前に生産者米価をという農民の要求を無視して、しかも田中総理は、先日、米価の決定は、参議院選後という、あまりにも選挙を意識した発言をしているが、この要求米価の一俵一万六千七百四円は、まさに最低の要求であろうと思います。これに応じるのは当然だと思われますが、これについての所見。  さらに、昭和四十八年産米の価格決定後のあの爆発的な物価の上昇、さらには国際価格の値上がり等を考えた場合、政府買い入れ米並びに国の管理にある自主流通米に対して、今日、農民がわずか六十キロ当たり二百九十四円の追加払いまたは追加助成を要求しているのは当然だと思うが、これらについての見解を求めます。  次に、大蔵大臣に、食管法のある限り、また、国民生活安定のために食糧の自給率の向上をはかり、農民の生産意欲を高めるためにも、この要求米価、そしてまた四十八年産米に対する追加払い等は、これは理の当然と考えるところであります。追加払いを農協要求額といたしましても、わずか四百億であるし、また、四十九年産米の決定にあたっても、食管会計が赤字であるからと称して、直接家計に響く消費者米価を値上げすることは、物価安定のためにも絶対行なってはならないことと思うので、大蔵大臣としての見解を承りたいと思います。  さらに、総需要抑制策に関連いたしまして、公共事業の繰り延べとかあるいは一時中止等が行なわれております。そしてまた、本年度の予算におきましては、農業関係予算等は極端に押えられているけれども、少なくとも国民生活資源の生産の源泉である第一次産業、なかんずく農林漁業の振興に必要な予算は、むしろ総需要抑制の対象からはずし、積極的な投資をなすべきと思うので、あわせてその所見を承りたいと思います。(拍手)  次に、食糧の国民への安定供給確保こそ、あらゆる国策に優先するものであります。本年度の農業白書において、あえて、EC九カ国の穀物の自給度九〇%、カナダ一一九%に比し格段に低く、いわゆる先進国中最低であり、英国でさえ、六〇年の五二%を七二年には六七%と向上させておるではありませんか。これらの諸国に対して、わが日本が、経済大国を誇り、GNP世界第二位を自慢することができるでありましょうか。  日本は、石油、鉱物等、重要な工業資源はほとんどゼロであります。大半が外国資源によって日本の工業というものは成り立っております。まことに工業の基盤も貧弱そのものといわざるを得ません。さらにまた、この食糧が五〇%内外の自給率であるということは、まさに日本民族の生存の危機であるといわれてもいたし方ないと思います。  そこで、いま国民に対して政府がなすことは、いついかなるときでも、食糧に関する限り、絶対安心の政策がとられていることが大切です。国内の食糧の全般的な生産状況、すなわち、農林水産物を含めた状況を把握しておき、その上に立って、食糧全般についてのいわゆる総合的な食糧白書とでも呼ぶべきものを毎年国民の前に明らかにし、いささかなりとも国民に不安のない食糧政策がとられていることを示すべきだと思いますが、これについては、農林大臣並びに経済企画庁長官の答弁を求めます。(拍手)  総理は、昨日の武道館でのあなたを励ます県人会に出席をして、国土改造ビジョンを確立し、これに基づいて、新しいふるさと、高度福祉社会建設する国土改造十カ年計画を早急にスタートさせると、きわめて威勢のよいことを言っておりますが、今日これほど国土が荒らされており、自然が破壊されておって、この国土改造とは一体どういうものであるのか。豊かな自然に恵まれた国土をこれ以上一体どう改造する心づもりでありましょう。大切な農地、田畑が荒廃化しているのがすでに五十万ヘクタールにも達しているというが、こうしたものを、実り豊かな農地に一日も早く復旧するよう、国が全額投資をしてしかるべきではないでしょうか。国民を苦しめて、福祉といっても、その福祉は施しの政治であって、真の福祉というものは、国民を豊かにする政治を行なうことによって真の福祉といえるでありましょう。福祉の考え方がたいへん間違っておるのではないか、こう私は考えざるを得ません。(拍手)  「五つの大切」をあなたは言っています。すなわち、人間、自然、時間、物、国と社会、これらのことばはりっぱでありますけれども、これを一番大切にしていないのはだれでありましょう。これはほかならぬ、総理大臣、あなた自身ではないでしょうか。(拍手)これがあなたの反省の上に立ったことばとすれば、うなずくこともできますけれども、国民にこれを徳育の指針とするようなお気持ちならば、全くおこがましい限りではないでしょうか。「十の反省」の前に、あなた自身が政治家として反省することを一番にあげるべきではないでしょうか。(拍手)私は、国土改造十カ年計画を、第一次産業充実十カ年計画とすることこそ、最善の、政治家としての、総理としての道ではなかろうかと思うのでありますので、この点についての御所見を承りたいと思います。(拍手)  最後に、この農業白書で、日本農業の実態、問題点が不十分ながら指摘されており、これに対する一応の対策も示されておるとはいえ、今日の農業の荒廃は、いわゆる農基法のもたらしたものでありますので、前段申し上げましたように、農基法の抜本的改正を行なって、この白書の指摘した問題点を一日も早く解消すべきでしょう。  それがためには、国政の基本と、従来の工業優先、原料のない日本の工業優先から、第一次産業に位置づける、つまり農林漁業という第一次産業に位置づけて、これに対する財政支出の比重を大幅に高めることによって、第一次産業地帯の過疎は解消し、白書の指摘する農業のにない手も確保され、そうして日本の国土も守られます。そして食糧生産への意欲も高まってくる。自給率を高める人的、物的条件が充実するでありましょう。そうして、その上に第二次、第三次産業の体系を正しく位置づけていきますならば、油がなくなれば急にあたふたとアラブ寄りの外交になるような場当たり的外交でなく、善隣友好、平和中立の外交路線によって、資源の少ない日本は、いずこの国とも平等互恵の貿易を行なわなくてはならないことは、言うまでもありません。かくすることによって、国民の利益は平和的に守られるでしょう。それは、私ども日本国民は決して孤立した民族主義者ではありません。国際社会における各国民族の独立と平和に寄与することのできる民族としての誇りを持っておるわれわれ日本民族であります。  以上申し上げた諸点について、総理並びに関係大臣の見解を承りまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  40. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 井上泉君にお答えいたします。  第一は、農業危機と農業基本法についての御発言でございますが、世界的な食糧需給の基調から見ましても、わが国の食糧自給率の維持向上をはかることは重要な課題でございます。農業基本法に定められております農政の目標、及びその目標を達成するための施策の基本が、現在の情勢に適合しなくなったことは考えておらないのであります。したがいまして、今後とも、内外の諸情勢に対応しながら、国内自給度の維持向上、農業従事者の所得の増大等をはかるため、積極的な農政を展開してまいりたいと考えます。  次は、食糧の自給率についての御発言でございますが、最近における世界的な食糧需給の状況から見ても、国民の基礎的な生活物資である食糧につきましては、その安定的確保をはかっていくととがきわめて重要であり、安易に外国に依存すべきでないと考えておるのであります。この観点に立って、主要な農産物につきましては、できる限り完全自給ないしは八割以上の自給率を確保し得るよう、これに必要な施策を講じてまいりたいと考えます。特に、昭和四十九度年がらは、麦、大豆、飼料作物につきまして特段の生産奨励措置を講ずるとともに、未利用地域における畜産等の大規模な生産基地の建設などを進めてまいりたいと考えておるのでございます。  また、国土、資源等の制約から海外に依存せざるを得ない農林産物につきましては、その安定的な輸入を確保するため、輸入先の多角化、海外における農林業開発促進等につとめてまいりたいと考えます。  四十九年産米の買い入れ価格についての御発言でございますが、生産者米価は、従来から、七月ごろに決定するのが通例であります。これを早くすれば、生産者米価決定のために必要なデータが出そろわないという問題もありますので、これらのデータが出そろった上で、米価審議会に諮問の上、適正な生産者米価を決定いたしたいと考えております。  最後に、国土利用計画等に対して御言及がございましたが、国民福祉の向上を進めなければならぬことは言うをまちません。ところが、現在は、人口も産業も、すべてのものが大都市に集中しておるのが現状でございます。長き将来的展望に立って国民福祉の向上を考えるときに、狭いながらも全国土の高度の利用を考えなければならぬことは言うをまちません。その意味で、現在及び将来展望に立って国土の合理的利用計画を立てたいというのであります。(拍手)   〔国務大臣倉石忠雄君登壇
  41. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。  基本法の問題につきましては、ただいま総理大臣から政府の見解を申し上げました。  それから、自給率の点も詳細にお話がございましたので省略をいたしますが、米価のことにつきまして、追加払い云々のお話がございました。  これは、四十八年産米につきまして——現在、この生産者米価は、再生産の確保をはかることを旨といたしまして、生産費及び所得補償方式によって算定いたしております。この考え方のもとに、米価の水準は、物価及び生産費のみならず、需給事情など種々の事情を参酌して算定されております。そこで、昨年八月に決定されました四十八年産米の政府買い入れ価格につきましては、御承知のとおり、相当大幅な引き上げを行なっておりますので、これについて追加払いをいたします考えは政府にございません。  国民食糧の確保の全貌を明らかにするため、食糧白書的なものにすべきではないかというお話でございますが、農業白書におきましては、従来から、食糧需要、農業生産、農産物の貿易など、食糧需給の年々の動向を明らかにしてまいったのでありますが、特に今回の四十八年度の農業白書におきましては、最近の諸情勢にかんがみまして、できるだけ食糧白書的な色彩を盛り込むことに努力いたしたつもりでございます。このため、報告の構成上も、第二章を「食料供給と農業」という新しいタイトルに改めまして、その中で、最近の世界の食糧需給の逼迫とその将来の展望を行なうとともに、自給率の動向など、日本農業の食糧供給力の実態を検討しております。また、その他、食糧の生産から消費に至るまで、各分野にわたる諸問題を総合的に明らかにするようにつとめまして、生産者サイドと消費者サイドの両面から食糧供給問題を検討いたしております。いずれにいたしましても、農水産物のすべてを含む国民食糧の供給確保につきまして全貌を明らかにし得るように、今後ともできるだけのくふうをいたしてまいりた  いと思っております。  価格の点につきましては、農産物価格の安定をはかりますことは、農業の再生産を確保し、国民食糧の安定的な供給をはかる上からも、家計の安定をはかる上からも、きわめて重要であると考えます。価格政策におきましては、それぞれの商品特性や生産流通事情に即した価格支持の方式に基づきまして展開をはかってまいることが適当と考えますが、需要の動向に即応した農業生産の確保と消費者物価の安定に資するようにつとめておる次第でございます。  白書の中で農協についてのお話がございました。私は、農業団体は、日本の農政の中において、ことに農業者にとって重要な役割りを持っておると存じておりますので、政府といたしましても、今後、農業協同組合が農民の自主的な協同組織として、農業生産力の維持増進と、農民の経済的、社会的地位の向上に大きな寄与をなし得るように、万全の指導をいたしてまいりたいと思っております。  なお、先ほど、バッツ米国農務長官来訪につきまして、農林省のお話がございましたけれども、バッツ長官が参りまして、先方とわがほうとの間には種々懇談はいたしましたけれども、そのために、井上さん御指摘のように農林省では自給度維持の声が少しも聞こえなくなってしまったというふうなことは、日本の農林省に関する限りは、ありませんです。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  42. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まず、食管会計の赤字なんかは気にしないで、消費者米価を据え置けという御意見でございますが、生産者米価と消費者米価が開きますと、財政上ゆゆしい問題になる、これは申し上ぐるまでもございません。のみならず、売り渡し米が不正にまた政府に逆流をしてくる、こういう問題も出てくるわけでありまして、食管制度を維持する上におきましてもゆゆしい問題でございます。さようなことで、生産者米価を引き上げるという際には、適度に消費者米価も引き上げる、こういう考え方をとるべきだと、こういうふうに思いますが、しかし、御指摘のように、消費者米価は国民生活にたいへん重大な関係がある、さようなことを考慮いたしまして、昨年来きめられておりました消費者米価の四月一日引き上げ、これを半年延期をいたしたわけであります。据え置きにいたしたわけであります。この点はひとつ評価していただきたい、かように考えます。  次に、昭和四十八年産米の追加払いを実施すべしという御意見でございますが、これをいたしますと、これは他への波及がきわめて大きいものがあります。昭和四十八年産米は、これは御承知のようにかなり大幅にきめられておりますので、これをさらに引き上げて追加払いをいたすということは考えません。  なお、農林漁業関係の公共事業費は、これは圧縮をすることなく実行すべしと、こういう御意見でございます。いま物価問題が非常に重大な段階にあることは、井上さんも御承知のとおりと思います。つまり主要基礎資材なんかがかなり下落傾向を示してきておる、国民全体としても鎮静的な雰囲気が出てきておる、そういう際でありますので、公共事業費全般にわたりまして抑制政策をとっていく、これは非常に大事な問題である、かように考えております。その中において、農林基盤整備費、そういうものにつきましても、これを例外とするわけにはいかぬという事情は、ひとつとくと御理解をいただきたいのであります。ただやみくもに全部押え込む、こういう考えではございません。積雪寒冷地でありますとか、あるいは特にケース・バイ・ケース、緊急を要するというものにつきましては弾力的に措置していきたいと、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣内田常雄君登壇
  43. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 地球上の気象条件の不安定性とか、あるいは人口増加等の諸事情から考えまして、国民の主要食糧について、国内生産が適当なものは国内資源を有効に活用するという見地からも、極力自給度の維持、向上をはかるべき必要のありますことにつきましては、総理大臣からもお答えがございましたが、私は、総理大臣とともに、また井上さんと同じ考え方に立つものでございます。  また、食糧問題について、御意見がありましたように、別に白書を出すことにつきましては、ただいま農林大臣からも御発言がございましたが、今回の農業の動向に関する年次報告が食糧白書的の性格を持っていることもありますので、その取り扱いにつきましては、その見地をも踏まえまして今後検討をいたすべきことと存じます。(拍手)     —————————————
  44. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 多田光雄君。   〔多田光雄君登壇
  45. 多田光雄

    ○多田光雄君 私は、日本共産党革新共同を代表して、昭和四十八年度農業に関する年次報告、いわゆる農業白書について、総理並びに関係大臣に質問いたします。  まず第一に聞きたいのは、今日の日本農業の破綻の現実に対し、総理、あなたはどのように考え、責任を感じているのかについてであります。  ネコの目農政といわれるほど移りかわった歴代政府の農政の底に流れているものは、アメリカなどの安い農産物を買ったほうが得だという理由で、日本をアメリカ農産物のはんらんする市場としてきたこと、同時に、日本の独占企業の高度成長に必要な土地や水、労働力を農民から取り上げてきたことであります。その結果、穀物自給率は低下に低下を重ね、昭和三十五年の八三%から四三%へと減少し、食糧の半分を外国に依存するという、きわめて深刻な状態になったのであります。  新幹線や高速道、大規模工業用地としての農地の収奪をはじめ、水位の低下を無視した取水のため塩害が発生して田植えができなくなった鹿島工業地帯の例など、全国的に発生している公害は、農地の減少と農業破壊に一そうの拍車をかけています。えさの暴騰、農業資材など独占価格の異常な値上がりのため、農業を続ければ続けるほど赤字がふえるという状態のもとで、牛、豚、鶏を捨てて夜逃げをしたり、低い乳価に抗議して、しぼった牛乳を畑に捨てるなどの事態も発生しているのであります。また、農業の将来に希望を失い、自民党政治に怒りを燃やし、みずから生命を断った篤農家の畜産青年、出かせぎ者の著しい増大、農村社会の荒廃など、日本農業は自民党政治のもとで行きつくところまで来てしまったといっても決して過言ではありません。(拍手)この原因が、まさしく、畜産だ、果樹だと、農民に場当たりのはかない期待を持たせ続けてきた歴代の自民党政府の、対米従属と大企業中心の政策にあることはあまりにも明白です。  田中総理、あなたは、この否定しがたい現実をどう考えているのか。日本農業を破壊し、汗水流して取り組んできた農民に塗炭の苦しみを与えている責任を、あなたも米どころ新潟の出身というなら、一時しのぎの答弁でなく、日本農民のだれもがわかるような責任ある答弁を行なうべきであります。(拍手)  質問の第二は、一国の総理として、国民に安定した食糧を供給することは当然の義務でありますが、この問題について伺いたいと思います。  この義務を果たすためには、農業生産を引き上げ、自給率を高める以外にありません。ところが、歴代政府は、それとは逆の政策をとり続けてきました。すなわち、国民には自給率の向上といいながら、実際には、耕地が狭い、農家規模が零細だ、生産費が高くつくなどを理由に、国内農業の発展には何ら見るべき政策をとらず、農産物の自由化を積極的に推し進め、農業破壊政策を行なってきたのであります。  いま政府がとるべき道は、これまでの対米従属、独占企業本位の農政を根本から改めることであります。この立場から、私は、総理並びに関係大臣に具体的な見解を伺うものであります。  そもそも、日本農業の自主的、多面的な発展を保障するには、農産物の無原則的な輸入をやめ、おもな農産物の自給を基本に、農産物に十分な価格保障を行ない、農業の多面的な発展をはかること、農産物の輸出に対する助成を行なうことが重要であります。また、農業資材の独占価格を引き下げるため、民主的規制を行ない、営農技術や金融的援助を行なうこと、農地の造成、整備に国の援助を強めること、そうして農村地域の生活、文化水準の向上につとめることが必要です。このことは、これまでの幾多の経験を通じて明らかなところであります。  以下、具体的に質問します。  第一は、飼料対策の強化であります。  昨年来の飼料の暴騰により、畜産農民は大打撃を受け、北海道では、子牛をはらんでいる親牛を屠殺したり、餓死させるに至っております。これは、歴代政府が、畜産を重視するといいながら、えさの生産を全く放置し、石油と同じく、アメリカの余剰穀物に最大限の依存をしてきた結果であります。昨年のつくられた石油危機とともに、食糧危機の不安をまき散らし、これを千載一遇のチャンスとして、アメリカは輸出規制などで日本におどしをかけ、価格つり上げをはかったのであります。  私は、飼料の価格引き下げと安定した供給をはかるためには、おもな輸入飼料原料を食管扱いにすること、これは現行法を使えばいますぐにでもできることです。これをやるのかやらないのか、明確に答えてください。(拍手)  同時に、今国会でわが党の再三にわたる要求で実現したように、商社、メーカーの不当なもうけを押える措置を断固としてとることであります。さらに、国内でも飼料穀物を増産するため、山林原野の活用と裏作の奨励を行ない、価格保障制度の強化改善を行なうことであります。やる意思があるかどうか、答弁を求めます。(拍手)  第二は、生産者米価の引き上げです。  ほとんどの農産物が十分な保障もない中で、米だけは曲がりなりにも価格保障が維持されてきました。しかし、昨年来の農用資材の暴騰の中で、たとえば米どころ宮城県の場合でも、経営面積三ヘクタール以上の農家まで農外収入にたよらざるを得なくさせられ、農民の生産意欲の減退と生産の減少が現実のものになり、このままでは、主食の中心である米の一〇〇%自給がくずれるおそれさえ出ています。  明日は、全国農協代表が、東京で要求米価実現全国農協代表者大会を行ない、政府に生産者米価の大幅な引き上げ要求することになっていますが、政府は、生産費を償う生産者米価の要求に積極的にこたえるべきだと考えるが、どうか。概算払いなどといった参議院選挙向けの小手先細工ではなく、具体的に政府の見解を示すことを要求するものであります。(拍手)  同時に、生産者米価と消費者米価の同時決定などを、この物価狂乱のさなかにことさらに強調していますが、食管法にも違反するこのようなやり方をきっぱりとやめ、消費者米価の据え置きを明言すべきであります。この財源は、政府の政策を転換するなら、現在の予算規模の中でも十分にできることであります。  第三に、壊滅状況に近い小麦、大豆をはじめ、おもな農産物の自給率を高めるため、農民に引き合う価格を保障することであります。  自給率目標の再検討と価格保障制度の改善策を国民の前に明示する用意があるかどうか、答弁を求めます。  第四に、外国農産物の自由化と無原則な輸入増大を押える問題についてであります。  先日、アメリカ農産物の売り込みのために来日したバッツ農務長官は、国際分業論を強調し、オレンジと牛肉の自由化を執拗に要求しましたが、総理、あなたは、生産過剰に悩むミカン農民や、えさ高肉安に苦しんでいる畜産農民の反対をこれ以上踏みにじるつもりなのかどうか。さらに、総理は、アメリカに対し、市場開放を約束し、農産物の安定供給を懇願したと伝えられますが、一体バッツ農務長官と何を話し合ったのか。これ以上、アメリカの食糧のかさのもとに深く入り込み、農民はもちろん、国民の生活を脅かすつもりなのですか、答弁を求めます。  また、政府は、食糧の開発輸入を強調していますが、このような政策が、経済侵略として現地住民から大きな反発を受けていることは、総理自身、身をもって体験されたところではありませんか。このようなやり方は、形を変えて農産物輸入をこれまで以上に促進するものであり、この結果、国内農業が一そう破壊されることは明らかです。総理はこのような方向をやめるべきであります。総理の見解を伺いたい。  第五に、農地の拡大についてであります。  昭和三十五年から昨年までの十四年間で、農地の減少は何と四十二万ヘクタールにも及んでいます。  総理、あなたは、この上、三十里万ヘクタールもの農地をつぶす計画を依然として捨てていません。  わが党は、あなた方のように農民から土地を取り上げるのではなく、農地を積極的に拡大する第二次土地改革を提案し、さらに三年間で三十万ヘクタールの農地を確保し、農民に与えることを主張しています。  総理、三十万ヘクタールの農地を取りつぶすという亡国農政の立場をとり続けるのか、それとも、農地拡大によって農業の再建をはかるのか、具体的にお答えを願いたい。(拍手)  第六に、都市農業を守り、都市住民に安くて新鮮な野菜を供給し、都市に緑を保つ課題です。  総理、あなたは、宅地並み課税や農地相続税の引き上げに異常な執念を燃やし、都市近郊農民の農業経営をますます困難におとしいれています。  そればかりではなく、大都市地域宅地供給促進法案では、乱暴にも、農業振興地域も含めて、一そうの農地取り上げを策しています。このやり方が、野菜の暴騰を現にもたらしているばかりでなく、大企業の買い占めと乱開発にさらに拍車をかけて、生活用地の確保とはほど遠いものになっていることは、現実が示しているとおりです。大都市地域宅地供給法案反対するとともに、宅地並み課税の廃止、相続税の引き上げをやめることを強く要求します。(拍手)  最後に、出かせぎ農民の生活を守ることについてです。  総理、あなたのふるさと新潟でさえも、出かせぎしなければ暮らしていけない農民が多くなっています。あなたはよく農民の味方のようなことを言っていますが、農民を農業だけでは生活できなくさせておいて、この上、雇用保険法案によって大多数の農民を完全に農業から追い出そうという政策が、一体農民の味方ということになりますか。このような政策の転換を強く要求するものであります。  日本農業のかってない危機に直面して、農業の再建を切望している全農民、全国民に対し、総理及び関係閣僚は、いささかのあいまいさもなく、明確な答弁を行なうべきであります。  このことを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  46. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 多田光雄君にお答えいたします。  まず、食糧の自給率等についてでございますが、先ほど申し述べましたように、世界的な食糧需給の状況から見ましても、自給率を上げなければならないということは、先刻申し上げたとおりでございます。そのような意味で、米や野菜、果実、牛乳、乳製品、肉類、鶏卵等につきましては、できるだけ完全自給を目標とし、ないしは八割以上の自給率を確保しようと考え、これに必要な施策を講じてまいりたいと考えております。また、特に四十九年度からは、麦や大豆、飼料作物等につきましても、特段の生産奨励措置を講じておるわけでございます。なお、未利用地域における畜産等の大規模な生産基地の建設なども進めておるわけでございます。しかし、国土、資源の限られたわが国におきましては、国内自給にはおのずと限度があることは、御承知のとおりでございます。飼料穀物、大豆等の、海外に依存せざるを得ない農産物につきましては、安定的な輸入を確保するために、輸入先の多角化、海外における農林業開発促進等につとめてまいらなければならぬことは、論をまたないところでございます。  なお、バッツ・アメリカ農務長官との会談では、アメリカは世界の食糧供給者としての立場と責任を認識し、その責任遂行のため努力すべきであると申したのに対し、米国側としましては、今後信頼し得る供給者となるよう努力する考えであることを表明したわけでございます。  三十万ヘクタール転用構想でございますが、農地転用の問題につきましては、公共用地及び工場、住宅用地等の需要に応じ、必要な用地を円滑に供給し、地価の上昇を抑制するという観点から、三十万ヘクタールを一応の目標として、一定の期間をかけて農地の転用を促進するということにいたしておるわけでございます。なお、農地にできるようなところは二百万ヘクタール近くあるのでございますから、農地を他に転用するだけではなく、農用地を拡大するということもあわせて行なうわけでありますから、その程度のことは御理解いただきたい。その実施については、優良農地の確保に十分配慮を払ってまいることは言うまでもありません。  なお、宅地新法を撤回せよということでございますが、政府は今国会に大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案を提出いたしております。この法律案は、三大都市圏において必要な住宅地の供給を促進するため、農林漁業との調整に十分配慮しながら、農地所有者等の関係権利者の意向に沿った事業の実施をはかることにいたしておるわけでございます。したがって、この法律案を撤回する考えはありません。  出かせぎ農業をどうするかということでございますが、出かせぎ農業をなくするためにも、大都市集中の政策を改めて、流れを変えて、国土の総合的利用をしなければならない、こう間々申し上げておるわけでございます。(拍手)そのような意味で、大都市におきましては、大都市で住宅を提供せよ、地価を安定させよ、そう言って、しかし、立体化をしようとすれば、立体化には反対である。そういうことを言いながら、では全国的な土地の総合利用を行なおうとすれば、それは反対である。そういうことは、地域地域で別々に御発言になると、なかなか理由があるようには思われますが、同時に同時刻でお話しになると、これはできない相談でございます。(拍手)これは国土を総合的に利用し、農工商三位一体のバランスのとれた状態をつくる以外にないじゃありませんか。そういうことで、政府は具体的施策を提案し、御審議をいただいておるのであります。(拍手)   〔国務大臣倉石忠雄君登壇
  47. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。  多田さんのお話は大部分御意見の御発表でございますが、御質疑にわたる点は、全般内閣総理大臣からお答えがございました。その中で漏れておりますもの、たとえば飼料穀物のことについてお話がありましたが、これは四十九年度予算でも、小麦、大豆その他奨励金を計上いたしましていろいろ御審議を願いました予算、これはしばらくこういう方向をとりまして、国土の利用をできるだけいたしましてわが国の自給度を高めてまいるつもりであります。  それから、アメリカの農務長官が参りまして、その話で、先方からオレンジや肉の自由化を強く言ったというお話がありましたけれども、私が会見いたしましたときは、そんな話は少しもありませんでした。  自由化のついでに申し上げますが、わが国はいま残存輸入制限の農産物で残っているのは二十三でありますが、たとえばフランスは三十五、西独が二十、イタリアが十三、英国が十九、アメリカが一というようなことで、わが国も決して自由化の品目が多いほうではございません。いま私が申し上げましたとおりであります。なお、これ以上の自由化につきましては、われわれはきわめて慎重に国内状況を判断いたしてやるつもりであります。  それから、お尋ねの中にありました、このたび御審議を願っておりました海外協力事業団の仕事は、植民地的に外国を搾取するものであると、不評判であるというお話でありましたが、これはもうしばしば担当の外務大臣も委員会において御説明申し上げておりますように、わが国の農林省に対して、いまずいぶん、数カ国からすでに、自分たちと共同して自分の国の農業開発のために協力をしてくれという国がたくさんございます。それらに対して、私どもは政府間ベースで話をして、開発を協力いたしまして、先方で必要なものはできるだけ先方の農業に資するように、そして余力があれば、わが国で必要なものを、適正な価格で安定した量を入れるということ、これは農業生産者も十分承知の上でやっておるのでありまして、この点は誤解のないようにお願いいたします。  それから、農地のことについてお話がございましたが、これも政府がしばしば発表いたしておりますように、農林省の計画は、将来、農地、草地を含めまして、大体百五十万ヘクタールほどの開発を考えておるのでありまして、私どもは、こういう点につきましては、どうも多田さんのおっしゃるように私どもが農業を軽んじておるようなことはありませんので、その点は十分御理解をいただきたい。(拍手)     —————————————
  48. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 林孝矩君。   〔林孝矩君登壇
  49. 林孝矩

    ○林孝矩君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま報告のありました昭和四十八年度の農業の動向に関する年次報告並びに昭和四十九年度において講じようとする農業施策に関連し、田中総理並びに関係閣僚に対し質問いたします。  今回の農業白書については、俗に食糧白書といわれるほど食糧の危機意識を前面に押し出し、今後わが国が展開すべき食糧、農業政策の課題として、国内の農業生産、供給力の維持強化を基本とする総合的な食糧供給体制を確立すること、さらに、そのために、五十九歳以下の男子農業専従者のいる農家を、農業生産の中核的なにない手として確保、育成することなどを重要な課題として指摘しております。  確かに、わが国の食糧自給率の急激な低下は著しく、今回の農業白書によれば、昭和三十五年度で九〇%あった総合自給率は、四十七年度で七三%へ低下し、オリジナルカロリーでは五三%、穀物自給率では、何と四三%に急落し、先進諸国の中でも最低の自給率となっていることを示しております。  従来から食糧自給の原則ということを主張し続けてきたわが公明党にとっては、この低い自給率の現況に対しては、きわめて遺憾に思うのであります。  この自給率の低下をもたらした原因が、人口増加や食生活のパターンの変化等による食糧需要の増大にあることを否定するものではありません。しかし、より基本的には、昭和三十年代に始まったわが国の重化学工業を優先する高度経済成長政策が、国内農業を軽視し、その縮小、後退化を余儀なくしてきているということに原因があることを指摘せずにはおれないのであります。すなわち、高度経済成長の強行のために、国際分業論的発想が採用され、農産物は海外から安価なものを輸入させることにより、国内農産物の価格を抑制し、農村は安価な土地や労働力まで提供せざるを得ないように仕向けられてきているということであります。  また、農業を軽視する安易な政府の姿勢は、場当たり的で無責任な農政となって、米の生産調整、ミカンの過剰生産、畜産飼料の高騰等を引き起こし、農業経営に対しあまりにも大きな打撃をもたらし、国の農政への不信、不満をいまほど高めていることもありません。こうした事態に対する十分なる認識もなく、ただ基幹男子専従者のいる農家群、すなわち中核農家群に対し、農業生産のにない手となることを要請してみても、それがどれだけの成果をおさめることができるのか。これら多くの農業者は、いまさら何だ、もうだまされないぞとか、いまはそう言っても、来年はどうなるかといった半信半疑の気持ちから、冷ややかに政府の今後の出方を静観しているというのが実情であります。  このような現状に照らしても、いまこそ、政府は、消費者を含めた全国民的なコンセンサスの形成をはかりながら、荒廃した日本農業を本格的に再建させ、農業者の生活水準の回復並びに維持向上と国民食糧の安定確保のために総力を結集することが肝要であると考えるものであります。  このことをまず強く訴え、次に具体的な質問を何点かにしぼってお伺いしてまいりたいと思います。  まず第一点は、農業政策の基本にかかわる問題という観点から、産業構造の転換と農業基本法の再検討についてお伺いいたします。  これまでにも指摘してきたように、わが国における重化学工業優先の高度経済成長が農業に与えた影響には、はかり知れないものがあります。このことから見て、農業も、工業部門等とひとしく均衡ある発展が遂げられるよう、産業構造の転換をはかるべきであると考えるが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。  また、昭和三十六年に農業基本法が制定されて以来の基本法農政が完全に失敗であったことは、現在の農業の実態から見て一目りょう然であります。これは、農業基本法を運用する政府の姿勢に大きな誤りがあったということと同時に、農業基本法自身にも問題があったことは言うまでもありません。したがって、これを改める第一歩という意味からも、政府は、まず早急に、農業基本法そのものを、自給生産拡大を目標とした法体系へ再編成する方向で再検討すべきであると考えるものでありますが、これについてはどういう考えに立っておられるか、お伺いしたいと思います。  第二点は、自給生産の拡大という観点から、具体的に幾つかの質問をいたします。  まず、長期生産目標の設定についてでありますが、現在、政府は、長期生産目標についての見直し作業を農政審議会に諮問しているところであります。日本農業が衰退の一途をたどっている現状を即刻食いとめるためにも、この取りまとめ作業は急を要する課題であると思いますが、いつごろを目途にこの作業を完了させる所存であるか、また、この生産目標については、自給高度化を内容としたオリジナルカロリーや穀物自給率での新たな目標を設定する考えはないか、もしあるとすれば、どの程度を目標とする用意があるか、お答えいただきたいと思います。  なお、これらの目標設定にあたっては、当然のこととして、現実に実現されるまでのプロセス、財政的裏づけ等が明示されて当然であると考えられますが、これについてのお考えはどうか。  次に、農業のにない手論についてでありますが、今回の白書の特徴は、農業のにない手について、少なくとも従来よりは前向きに取り組もうとする姿勢が見られていることは、一応評価されてよいと思います。  ただし、この中核農家の育成が成功するかどうかとなると、非常に多くの疑問が残るのであります。その一つは、基本法農政が目標とした自立経営農家の育成は完全に失敗に終わっているわけでありますが、この中核農家の設定についても、ただ、国内農業による食糧自給度の維持向上という要請から、農業政策の対象のワクを若干広げたにすぎないという事実から見て、自立経営農家育成の失敗の二の舞いを踏むおそれがないかということであります。一体、自立経営農家育成と中核農家育成のための政策的な手法には、どのような明確な相違があるのか。また、現在の中核農家は、戸数で全体の三二%、生産シェアでは六五%を占めております。といたしますと、ここに政策の対象をしぼった場合には、はたして国内自給率の高度化という現在の切実な要請に満足にこたえ得るだけの国内総生産量の増大がはかられるのかということであります。  また、残された中核農家以外の農家に対する農業政策、生活保障等についてはどのような具体策をもって対処されるのか、あわせて御見解を承りたい。  次は、農用地の確保、造成に関連する問題についてであります。  農用地は、農業生産の基礎であります。世界的な食糧危機が叫ばれており、国内生産の増大が最重要課題となっている現状を認識するならば、現在は、農用地の拡大政策こそが強力に推進されなければならない課題であると考えるものであります。したがって、総理が提唱した三十万ヘクタールの農地転用は、全く論外というほかはありません。三十万ヘクタールといえば、日本じゅうの農地の約五%、四国四県と和歌山県の農地を全部合わせても足りない広大な面積に相当します。総理は、この無謀な三十万ヘクタールの農地転用については、いまだに撤廃する意思がないのかどうか。片方で農用地拡大といい、片一方で農地を転用するという総理の考えは、一体どうなっているのか、私は総理の賢明なる御答弁をいただきたいと思うのであります。  また、近年は、農地価格の上昇が、経営の規模拡大の大きな障害要因となっていることとあわせ、わが国の山林原野の乱開発については目に余るものが見受けられます。ために、政府がかつて実施した山林原野における農用適地調査の結果は、現在の実情と大きく食い違っていることが予想されることからも、これについての精密な再調査を全国的に早急に実施し、この農用適地の乱開発についての規制強化と、今後の農用地造成についても積極的な展開をはかられるべきである。また、草資源としての潜在余力を秘めた広大な山地については、その本格的な活用への道が開かれるべきであると考えるものでありますが、これについても、農地価格の安定対策とあわせて御答弁をお願いしたい次第であります。  次に、第三点としては、貴重な国民の食糧を供給する農家の経営と生活を守る立場から、農用生産資材の安定確保並びに米価をはじめとする農産物の価格政策等についてお伺いいたします。  近年の打ち続く物価や労賃の上昇、中でも、石油危機を契機とした狂乱物価の波は、農村をもその渦に巻き込み、畜産飼料、農機具、肥料、農薬、農用ビニール等々の高騰、農家の日用品、子供の教育費など、生活の諸経費にも異常な値上がりが見られ、農業経営、農村生活をますます破滅に追い込んでいる実情であります。  大企業、大資本の供給する農用生産資材の価格は急激に高まっていくが、販売する農産物価格は低迷している現象、これはシェーレ現象と呼ばれておるものでありますが、このシェーレ現象は、いま農家の経営、生活を日一日と圧迫しているのであります。  また、今回の白書でも明らかなように、流通、加工マージンが、食料品の最終消費支出の中に占める割合はますます増大しているにもかかわらず、生産者の手取りの割合は減少傾向を示しているわけであります。  その結果、近年は専業農家ほど経営は苦しくなり、兼業、出かせぎなどによる収入への依存化傾向を余儀なくされております。先日発表されました昭和四十七年における農業及び農家の社会勘定調査結果は、農家所得の中に占める農業所得の割合はわずかに二一・六%に低下していることを示しています。  政府は、窮迫する農家を守る立場に立って、このようなシェーレ現象、中間マージンの拡大という実態を、いかなる具体策をもって解決されるおつもりか、その決意をお伺いしたいのであります。  次に、米価についてでありますが、米作は依然として日本農業の基幹であることから見ても、その価格決定については、食管法の本旨に基づき、真に農家の所得が保障され、再生産が確保される基準でもって決定されねばなりません。政府は、四十九年産米の価格決定については、生産者団体の要求米価でもって決定するとともに、その決定の時期は田植え前とすること、並びに四十八年産米についても、その後の経済的な諸情勢を考慮して、追加払いの要請にも応ずべきであることを主張するものでありますが、これに対する政府の誠意ある御見解を承りたいのであります。  なお、米以外の農産物全般についての価格体系についても、生産者の所得と再生産の確保を保障する方向でこの際再検討すべきであると主張するものでありますが、これについても政府の明確な所信をお聞かせ願いたいのであります。  最後に、第四点として、食糧の開発輸入についてお伺いしたいと思います。  田中総理が、昨年末、食糧確保のためにアルゼンチンなど海外十カ国に食糧基地をつくりたいと構想を明らかにしたことに対し、アルゼンチン政府からはさっそく、農業植民地政策だと、きびしい批判がなされたり、また、総理の東南アジア訪問に際しても、大規模な抗議デモが展開されたことは記憶に新しいところであります。  これに対する総理の認識は、単なる両国間における意思の疎通という感情的な問題からこれらの事態は発生したのだという程度に終わっているようにも感じられるのであります。確かに、皮相的に見れば、それは単なる外交上の問題にすぎないかもしれません。しかし、これは、より本質的には、日本の企業進出という日本の産業構造そのものが行なわしめている必然的結果であるという考えに立つならば、これこそまた内政問題と深いかかわり合いを持っているものであり、国内における資本の冷酷な論理が発展途上諸国の国内を俳回し、大きな反発を招いているのだと認識することが正しいものと確信します。  第一次産業は発展途上諸国へ押しつけ、付加価値率の高い重化学工業部門はわが国で発展させるというこれまでのパターンの延長強化策は、ますます南北問題を深刻化させる結果を招くものと考えるが、これについての総理の御答弁をお願いしたいと思います。  また、これらの開発輸入の促進がわが国の農業生産の拡大に悪影響を与える結果にならないか、これについては農林大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  50. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 林孝矩君にお答えいたします。  今後の農業政策についてまず申し上げますが、政府は、これまで、均衡のとれた経済発展と国民生活の向上をはかるため、最大の努力を傾けてまいったわけであります。特に農業につきましては、食糧の安定的供給の確保という基本的役割りに加え、健全な地域社会としての農村が国民経済全体の中で健全に発達し得るよう、生産性の高い農業の育成と高福祉農村の建設を基本といたしまして、各般の施策を積極的に講じてまいりたいと考えております。  次は、農業基本法についてでございますが、農業基本法は、農業生産について、生産の選択的拡大、生産性の向上及び総生産の増大を施策の基本といたしておるわけでございます。これは、国民食糧の安定確保をはかるため、国内で生産可能なものは、生産性を高めながら極力国内でまかなうべきであるという考え方を基本にいたしておるわけでございます。  政府は、このような線に沿いまして、今後とも国内自給度の維持向上をはかるための施策を推進してまいりたいと考えます。  第三は、三十万ヘクタールの農地転用についてでございますが、先ほどもお答えをいたしましたとおり、農地転用の問題については、公共用地及び工場、宅地用地等の需要に応じまして、必要な用地を円滑に供給し、地価の上昇を抑制するという観点から、三十万ヘクタールを一応の目標として、一定の期間をかけて農地の転用を促進することにいたしておるわけでございます。その実施につきましては、優良農用地の確保に十分配慮を払ってまいることは言うまでもございませんし、また、先ほど申し上げましたとおり、二百万ヘクタールに近い、農用地に供することのできる土地もあるわけでございますので、これらの問題に対しても十分対処してまいりたいと考えるわけでございます。  次は、生産者米価についてでございますが、従来から、七月ごろ決定するのが通例でございます。先ほども述べましたとおり、これは早くしようとすれば、生産者米価決定のために必要なデータがそろわないという問題があるのでございまして、これらのデータが出そろった上で、米価審議会に諮問をして適正に決定をいたしたいと、こう考えておるわけでございます。  最後は、経済協力等についてでございますが、わが国は、相手国の立場を十分尊重しつつ、資源収奪ではなく、互恵の原則に立ちつつ、開発途上国の経済社会発展のため協力を行なおうとするものでございます。当面、開発途上国にとって重要なのは、輸出指向型の一次産品開発の振興でございますが、同時に、その加工化や関連産業の育成、さらには工業化についても協力していかなければならないと考えるわけでございます。  残余の質問については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  51. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まず第一に、生産者米価を農民要求のとおり大幅に引き上ぐべし、こういう御意見でございますが、生産者米価は、賃金の動向、また、生産資材の価格の状況、需給の状況、そういうものを総合的に勘案いたしまして、適正に決定いたします。  また次に、生産者米価の決定時期は作付前とすべきではあるまいか、かような御意見でございますが、生産者米価の決定は、従来、七月ごろというふうにされておるのであります。これはただいま総理からもお答え申し上げましたけれども、これは最も新しいデータをそろえた上、適正に決定すべきである。つまり、賃金の状況あるいは物価の状況、さようなものをよく精査いたしまして、その決定の適正さを誤らしめないというためのものであります。本年につきまして特にこれを早期に決定する、本年につき例外を求める、さような理由はない、かように考えております。  次に、四十八年産米の追加払いを実施すべしという御意見でございますが、これは先ほど井上議員に対しお答えいたしたとおり、これを行なうことは妥当ではないし、また、それをする意図はございません。(拍手)   〔国務大臣倉石忠雄君登壇
  52. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど多田さんのお尋ねに、米価のことが抜けておりましたので、それをお答えしょうと思っておりましたら、ただいま林さんからの御質問に、総理、大蔵大臣からお答えがございましたので、御了承願いたいと思います。  林さんのお尋ねの、基本法につきましての話でありますが、これは農業生産につきまして、生産の選択的拡大、生産性の向上及び総生産の増大を国の施策の基本と規定いたしておることは、御存じのとおりであります。これは国民食糧の安定確保をはかるために、国内で生産可能なものは国内でできるだけ生産をしてまいる、こういう基本を示しておるものでありまして、政府は、このような線に沿うて国内自給度の維持向上をはかるというたてまえで農政をやっておりますので、基本法について、研究は続けていつもやっておりますけれども、これを変更する意思は、ただいま持っておりません。  それから、自給生産の拡大につきまして、林さん御指摘の、五十七年を目当てにして生産目標をつくっております、これについてのいろいろ御意見がございましたわけでありますが、私どもは、いま農政審議会に諮問をいたしまして、この政府の試案につきましてさらに検討を願っておるところでございます。  御指摘のございましたように、オリジナルカロリー等の自給率等についても、同じく検討をしていただいておる次第でありますので、この答申ができました上で私どもさらに態度を決定してまいりたいと思っております。  農業のにない手のことでございますが、これはもう大事なことで、今回の農業白書の第二番目の項目にも、私どもはこれを強調いたしておるところであります。この経営規模の拡大と生産性の向上のための条件を整備して、自立経営農家を含む農業生産の中核的にない手を育成、確保してまいるということ、これは農政の中核になるべきものであると考えております。従来から、総合施設資金等の農業金融の充実あるいは経営技術指導の強化、農業団地の育成、それから後継者に対する育成資金、そういうようなものについて、予算ではずいぶんいろいろな面で表明いたしておりますのも、このにない手を重視しておる立場からでございます。その趣旨はひとつ御了承願いたいと思っております。  それから、農産物需給の長期見通しと生産目標を達成するための土地改良長期計画のお話がございました。四十八年度以降の向こう十カ年間に、私は、先ほどもお答えいたしましたように、農地、草地合わせて約七十万ヘクタールの造成を見込んでおり、四十九年度におきましては、畜産々基軸とした農用地開発公団を新設するなど、今後の長期的展望に立って、農用地の造成を積極的に推進してまいるつもりでございます。  それから、農産物価格と農業生産のシェーレ現象についてのお話がございました。これは最近生産資材価格の上昇等、農業にとりましていろいろきびしい条件がございますが、農業の再生産を確保してまいりますためには、農業用資材の確保、安定につとめますと同時に、生産構造対策を強力に推進いたしまして、生産資材価格の高騰をできるだけそれによって吸収するように努力する必要があると考えております。  しかし、こうした努力にも限度がございますので、農産物価格政策の運用にあたりましては、生産費の動向、物価その他の経済事情を十分勘案して、お話のございましたように、再生産の確保がはかられるよう適切な価格の形成に意を用いてまいりたいと思っております。  それから、先ほどお話のございました米価のことにつきましては、いまお話がございましたとおりでございます。(拍手
  53. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) これにて質疑終了いたしました。      ————◇—————
  54. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 奧野 誠亮君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         自 治 大 臣 町村 金五君         国 務 大 臣 内田 常雄君         国 務 大 臣 小坂徳三郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君      ————◇—————