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1974-05-07 第72回国会 衆議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月七日(火曜日)     —————————————  議事日程 第二十七号   昭和四十九年五月七日    午後二時開議  第一 公害紛争処理法の一部を改正する法律案     (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  永年在職議員堂森芳夫君に対し、院議をもつ   て功労表彰することとし、表彰文議長に   一任するの件(議長発議)  日程第一 公害紛争処理法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日本国中華人民共和国との間の航空運送協定   の締結について承認を求めるの件    午後二時四分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  永年在職議員表彰の件
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) おはかりいたします。  国会議員として在職二十五年に達せられました堂森芳夫君に対し、先例により、院議をもってその功労表彰いたしたいと存じます。表彰文議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  表彰文を朗読いたします。  議員堂森芳夫君は国会議員として在職すること二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた  よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕  この贈呈方議長において取り計らいます。  この際、堂森芳夫君から発言を求められております。これを許します。堂森芳夫君。   〔堂森芳夫登壇
  5. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 このたび、永年在職議員として院議をもちまして表彰していただきました。まことに身に余る光栄と存ずるところであります。  今日のこの栄誉は、ひとえに同僚各位並びに選挙区の皆さまの御指導、御鞭撻のおかげでありまして、心から感謝申し上げるものであります。(拍手)  特に、私の出身県であります福井県でも、明治以来、多数の先輩各位が国政に参加されましたが、このたび、私が初めて永年在職議員としての栄誉をになうことができましたことは、感激ひとしおなるものを感ずるものであります。  私は、今後も、わが国議会制民主主義発展のため、微力ではありますが、全力を尽くしたい所存でありますので、従来同様の御指導と御鞭撻を賜わりますよう、同僚各位並びに選挙区の皆さまに、心からお願いいたすものであります。(拍手)  以上をもちまして、簡単でありますが、お礼とお願いのごあいさつといたすものであります。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————  日程第一 公害紛争処理法の一部を改正する   法律案内閣提出
  6. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、公害紛争処理法の一部を改正する法律案議題といたします。
  7. 前尾繁三郎

  8. 角屋堅次郎

    角屋堅次郎君 ただいま議題となりました公害紛争処理法の一部を改正する法律案につきまして、公害対策並びに環境保全特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、公害に係る紛争の迅速かつ適正な解決をはかるため、公害紛争処理制度充実をはかろうとするものであり、その要旨を申し上げますと、  まず第一に、被害の程度が著しく、その範囲が広い公害に係る民事上の紛争が生じ、これを放置するときは多数の被害者の困窮等社会的に重大な影響があると認められるときは、中央委員会はその議決に基づき、審査会都道府県知事の要請があった場合にその議決に基づき、あっせんを行なうことができるものとすること。  第二に、調停委員会等は、仮の措置として、当事者に対し、調停等のために必要と認められる措置をとるべきことを勧告することができるものとするとともに、調停委員会は、受諾を勧告した調停案を公表することができるものとすること。  第三に、公害苦情相談員の職務を明確にするとともに、中央委員会または都道府県知事は、それぞれ地方公共団体の長または市町村長に対し、公害に関する苦情処理状況について報告を求めることができるものとすること。 等であります。  本案は、去る三月六日本特別委員会に付託され、同月十五日小坂総理府総務長官から提案理由説明を聴取し、以後、慎重に審査を進めてまいりましたが、詳細については会議録に譲ることといたします。  かくして、四月二十六日質疑を終了し、討論を行なった後、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しては、自由民主党日本社会党、公明党及び民社党の共同提案にかかる、典型七公害以外の日照等原因する紛争が多発している実情にかんがみ、紛争処理制度の対象となる範囲を拡大するよう検討すること、職権によるあっせん及び調停開始にあたっては、当事者、特に被害者の意思を尊重するよう配慮すること、調査体制充実運営の改善につとめるとともに、公害紛争処理費用負担軽減等について配慮すること、府県に対し公害審査会の設置について指導するとともに、地方公共団体公害紛争処理のために支出する経費について十分配慮することを趣旨とする附帯決議を付することといたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日本国中華人民共和国との間の航空運送協   定の締結について承認を求めるの件
  11. 森喜朗

    森喜朗君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、日本国中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件を議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  12. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日本国中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。
  14. 前尾繁三郎

  15. 木村俊夫

    木村俊夫君 ただいま議題となりました日本国中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  政府は、昭和四十八年三月以来、中華人民共和国政府との間に、航空に関する協定締結のための交渉を行なってまいりました結果、案文について合意に達しましたので、昭和四十九年四月二十日、北京において、本協定に署名を行なった次第であります。  本協定は、わが国中華人民共和国との間に、一九七二年九月二十九日の両国政府共同声明に基づき、平等互恵原則に従って、定期航空業務を開設することを目的とするものでありまして、両国指定航空企業特定路線において航空業務運営する権利の相互許与、業務開始及び運営についての手続、条件、並びに航空機の使用する燃料等に関する関税の免除、事故の際の救援措置登録証明書等の携行及びその有効性相互承認等技術的事項について規定するとともに、両国指定航空企業がそれぞれの業務運営することができる路線を定めております。  本件は、四月二十六日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由説明を聞き、質疑を行ない、また、運輸委員会連合審査会を開催する等、慎重な審査を行ないましたが、詳細につきましては会議録により御了承を願います。  かくて、五月七日質疑を終了いたしましたので、採決を行ないました結果、本件全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  16. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。石井一君。   〔石井一登壇
  17. 石井一

    石井一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日中航空協定締結について承認を求めるの件に対し、賛成の意を表明するものであります。(拍手)  今回、世界各国の注目のうちに、中華人民共和国との間に航空協定締結いたしますことは、米国をはじめ、これから中国国交を開き、または航空協定を結ばんとする多くの国々に先鞭をつけるものでありまして、その内外に及ぼす政治的効果を高く評価するものであります。  この協定締結を決定された田中総理大平外務大臣並びに徳永運輸大臣の御決断に対し、深甚なる敬意を表したいと存じます。(拍手)  いま、本協定を本院において承認するに際し、昨年三月以来粘り強い交渉を継続し、協定案文最後の詰めの段階では、徹夜作業も含めて、非常に困難な交渉を重ねられた政府当局者の御努力と御苦労に対しても、日中航空路線の開設を待望してきた国民とともに、心からその労をねぎらうものであります。(拍手)  思えば、戦後久しい間、一衣帯水のかなたに位置する日中間交通は、香港経由で、シンセンの川を渡り、広州を経て、二日がかりでなければ北京に行けないという、航空機の発達により世界の狭くなった今日、全く考えも及ばないような、不自然な、近くて遠い国でありました。しかし、いまや、この協定により、北京を訪問する場合に、あたかも東京−大阪間のごとく、日帰りも不可能ではなくなったのであります。この日中間の大架橋は、単に日中両国間だけでなく、米大陸アジアヨーロッパを結ぶ大動脈の一部となり、重要なる国際的役割りを演ずるアジアの新幹線として、高い意義を持つものであります。さらに、これが交通上の便宜にとどまらず、多面的に国際政治に貢献するところも非常に大なるものがあると確信するものであります。  本協定締結は、日中両国国民をして、共同声明精神と互恵平等の原則に立脚して、善隣友好関係を一そう深めるためのかけ橋となるものでありまして、共同声明に次いで高い意義を持つものであります。そうして、実務的にはまさに日中間に新しい歴史の一ページを加えるものであると確信いたします。この協定締結が、さらに日中間平和友好条約をはじめとする漁業協定海運協定早期締結への呼び水となることを心から念願してやみません。  さて、本協定締結に関して、わが国国益がそこなわれたと批判する一部の意見があります。しかし、わが国にとって未開のこの大陸への空路が開けたこと、将来にわたって需要の増加が見込まれる点及びその国際政治上の価値等を評価せなければならないと信ずるものであります。もっとも、本協定以遠権に関しては、将来イスラマバードからヨーロッパを結ぶ路線を第三国に先んじて獲得できるよう、政府のなお一そうの御努力を要望いたしたいと存じます。  次に、日台航空路線に関する問題があります。  この協定調印直後に、わが国の苦しい立場台湾当局に理解されず、私たちの懸念した日台航空路線が停止となりましたことは、まことに遺憾のきわみであります。わが国台湾との関係は、歴史的にも地理的にも非常に緊密なものがあり、現在まで経済、貿易技術文化その他各種の交流が盛んに行なわれてまいりました。日中国交正常化後の日本外交の最大の課題は、台湾との間に、外交関係はなくなっても、事実上のこれらの実務関係を維持するという日本側原則と、台湾中華人民共和国の一部と主張する中国側原則とをいかに調和させるかということでありまして、現実には至難の作業がしいられてきたのであります。  このたび台湾側日台路線を一方的に停止する措置に出られたその心情を深く理解しつつも、今後は日中共同声明のワク内で民間の取りきめによる日台航空路線が一刻も早く再開されますよう、心から期待いたすものであります。(拍手)願わくは、政府におかれましても真情と誠意を傾けて本件実現にあらゆる努力を続けられんことを切に要望してやみません。  最後に一日中航空協定締結によって強められた両国間の友好のきずなが、そのまま日中双方国際的立場を強固にし、国際政治の中における日本アメリカ中国、ソ連の微妙なバランスに安定性を与え、わが国国際社会において平和自主外交をさらに積極的に展開し、高い次元の国策を推進できる効果を期待いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手
  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 河上民雄君。   〔河上民雄登壇
  19. 河上民雄

    河上民雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件に対し、本件に関連して当面する二、三の問題点につき、政府注意を喚起しつつ、要望を付して賛成の意を表明するものであります。(拍手)  まず、本協定は、日中両国間の友好親善を深める上から適切な措置でありまして、もっと早い時期に締結されてしかるべきであったと考えます。しかし、交渉の過程における大平外務大臣並びに関係者の御苦心に対して、私は率直に敬意を表したいと思います。  かつて世界で一番遠い隣国であった中国首都北京に四時間二十分で行けることになった本協定承認に際し、戦後、日中友好親善関係樹立を念願し、なみなみならぬ情熱を傾けてきた先輩各位、特に石橋湛山松村謙三、高碕達之助淺沼稻次郎の諸氏をはじめ、先達の高い識見とその御努力に対し、深甚なる謝意と敬意をささげたいと思います。(拍手)  さて今回、本協定をめぐって種々の批判動きが見られましたが、私はこの動向に対し深い懸念を抱くものであります。  かつて、自民党政府は、対日平和条約日米安保条約を基軸とするサンフランシスコ体制によって、アメリカ冷戦構造の一環としての中国封じ込め政策に追随し、中国を敵視するという重大な誤りをおかしてきました。日中両国間の国交正常化実現した今日、歴史の流れに逆行し、日中共同声明の諸原則に反するがごとき動きによって再びわが国進路を誤るの愚挙は厳に戒め、かりそめにもそのような萌芽があるならば、き然たる態度をもってこれを除去せねばならぬと信ずるものであります。(拍手)特に、日米安保条約の存在が今後の日中関係の上に影を落とさぬように配慮すべきであります。  次に、この協定不平等条約であるとする一部の人々の批判については、私たちはその価値観と見解を異にするものであります。国際関係においては、時として、眼前の利益を捨てて信義を貫くことが、かえって将来の国益につながる結果の多いことを銘記すべきであります。しかしながら、本協定以遠権に関しては、将来イスラマバードからヨーロッパを結ぶ路線を優先的に獲得できるよう、政府のせっかくの交渉継続を要望いたします。  私たちは、日中両国間の友好親善関係を一そう促進する上からも、両国基本関係を規定する平和友好条約早期締結すべきであると信じます。政府はこの条約締結交渉を積極的に推し進め、国会承認を求められんことを要望するものであります。(拍手)  私は、本協定承認の機会に、最近の政府外交姿勢並びに対中国政策について、一言注意を喚起しておきたいのであります。  中国は、信義と礼節を守り、原則を重んずる国であります。戦前日本外交の大半は対中国外交であり、その対中国政策において日本失敗に次ぐ失敗を重ねてきたことは、歴史が何よりも雄弁に物語るところであります。その原因はいずこにあったのでありましょうか。すべては、中国とその民衆、特に自主独立に対する理解の欠如による国の政治誤りがその主たる原因であったのであります。戦後、日本外交はより多面的になりましたが、日本アジアに生きる限り、中国との関係のあり方が日本外交の中心であることは言をまたないのであります。(拍手)  政府は、しばしば世界の大勢について的確なる判断を欠き、米国頭越し外交で幾度か揺り動かされ、また、石油危機となると、即座に、なりふりかまわず、無原則のままアラブ・中東外交を展開するといったように、長期的展望に立った外交方針を欠如していました。政府の深い反省を強く促さざるを得ないのであります。原則と的確な判断もなく、場当たり的外交の態様をもってもしも中国との折衝に臨むならば、失敗歴史を繰り返し、禍根を千載に残すおそれが多分にあることをここに指摘しておかなければならないと存ずるものであります。(拍手)  私たちは、昭和二十一年に、敗戦後の廃墟の中から、失敗歴史を二度と繰り返さないために、新憲法の制定に際して決意したはずであります。私たちは、いまこそ当時の原点に戻って、この国の総理大臣が今年一月東南アジア諸国歴訪の際発生したような事件を通じ、その背景にある対日警戒心反日感情を払拭するよう、アジア諸民族との互恵平等の原則に立ち、政府長期的展望に立って方策を立て、き然とした外交を展開することを強く求めるものであります。  世界各国は、これからの日本進路注意深く見守っているのであります。その意味で、本日ここに日中航空協定が本院において議決されることは、その意義きわめて高いものがございます。この上は、現在日中両国間にある諸懸案、すなわち、漁業協定あるいは文化協定など実務協定をまとめ、その上で、日中共同声明精神にのっとり、平和友好条約早期締結に進むことを切に望まざるを得ません。政府にもしその決意があるならば、われわれも積極的に協力するにやぶさかでないことをここに申し上げまして、私の賛成討論を終わるものでございます。(拍手
  20. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 正森成二君。   〔正森成二君登壇
  21. 正森成二

    正森成二君 私は、日本共産党革新共同を代表して、日本国中華人民共和国との間の航空運送協定承認について、賛成討論を行ないます。  日中航空協定締結によって日本中国との間に航空路が開かれることは、長年にわたる自民党政府の対米追随中国政策などの結果、あまりにもおそくなったとはいえ、当然のことであり、わが党はこれを歓迎するものであります。  周知のとおり、日本共産党は、一九四九年の中華人民共和国成立の直後から、中華人民共和国との国交樹立を呼びかけ、一貫してそのための努力を行ない、一昨年九月の日中国交回復の後も、日中友好関係をさらに発展させるために、日中共同声明でうたわれた実務協定平和友好条約締結実現を要求してきたのであります。  わが党は、すでに締結された日中貿易協定、今回の航空協定締結に引き続いて、海運漁業協定日中平和友好条約のすみやかな締結を要求するものであります。  私は、この際、日中両国平和友好関係発展させる上で重要な点を幾つか政府に要求しておきたいと思います。  第一は、アジアに対する日本侵略戦争について、その責任と反省を明確にすることであります。  田中総理は、日中国交回復後の第七十国会でも、日本中国侵略について、侵略戦争と断定できるものかどうか、そういうことを私のいまの立場では申し上げられませんと、侵略戦争の事実さえ認めようとはしませんでした。さらに、今国会では、朝鮮や台湾についても、民族的に相結ばれる心の触れ合いというものがいまでも高く評価されていると美化するまでになりました。最近では、さらに進んで、教育勅語軍人勅諭にもいいところがあるなどと、軍国主義肯定の姿をあらわにしてきております。  日本長期にわたり侵略を続けた相手である中国アジア諸国との平和友好関係発展させるというなら、政府がまず第一になすべきことは、過去の侵略戦争について率直、明確に反省することであります。(拍手)  創立以来五十二年間、特に戦前のあの軍国主義の時代に、中国をはじめアジアの人民に対する侵略戦争に命をかけて断固として反対したわが党は、この点の重大性を重ねて指摘するものであります。(拍手)  第二に、日中両国友好関係発展は、一つ中国立場と平和五原則を基礎としたものでなければならないということであります。  この日中航空協定交渉にあたって、蒋政権は、中国を代表するものでないにもかかわらず、日中航空協定締結に不当な妨害を繰り返し、一方、蒋政権と呼応した自民党内の一部議員は、あくまでも蒋政権との関係を維持しようとする意図から、日中航空協定締結交渉に否定的な圧力をかけたのであります。  私は、日中国交回復後も、本院で議決された日中共同声明に関する議決趣旨に反し、一つ中国立場に反対している諸君自民党内に存在していることを、きわめて遺憾に思うものであります。(拍手)  田中内閣は、自民党内のこのような圧力蒋政権に譲歩し、四月二十日の大平外相談話にも見られるように、日台路線の維持を何よりも肝要な課題として追求してきたのであります。この事実は、田中内閣一つ中国立場を徹底的に貫くことができず、日台運命共同体をあくまでも固守しようとしていることを示すものであるといわなければなりません。わが党は、政府がこのような態度をすみやかに改めることを強く要求するものであります。(拍手)  同時に、私は、日中両国関係はすべて領土主権相互尊重相互不可侵内政不干渉平等互恵平和共存の平和五原則に基づいたものでなければならないことをあらためて指摘しておくものであります。  第三に、日台の一切の軍事関係を断絶することであります。すなわち、日台運命共同体をつくり上げている日米安保条約極東条項、佐藤・ニクソン共同声明台湾条項を廃棄することであります。田中内閣は、情勢の変化ということで、事実上の発動はないようにいっておりますが、このようなものを残しておくこと自体が、台湾中華人民共和国領土として確認する立場内政不干渉原則に明白に違反するものであります。(拍手)  さらに、沖繩返還協定作業秘密裏に行なわれている最中に、わが党が国会でも明らかにした沖繩台湾の間を結ぶ米軍軍事ケーブルの存続は、その最たるものであります。蒋政権中国を代表する政府と認めない日本が、沖繩台湾との間に米軍軍事ケーブルを布設していることを認めていること自体内政不干渉原則に反するものであります。日中国交回復をした現在、私は、この日台間の米軍事ケーブルを直ちに取りやめると同時に、日中の真の平和友好関係発展させるために、日台のすべての軍事関係を断ち切るよう強く要求するものであります。(拍手)  最後に、日中航空協定成立日本の空は世界のほとんどの主要国と直結することになりましたが、この空の安全を確保し、日本の空における主権を回復する問題であります。  蒋政権は、日中航空協定調印と同時に、台湾飛行情報区を飛行する日本航空機には飛行情報の提供を停止し、台北防空識別圏への進入に対しては、国籍不明機としてスクランブルをかけると警告してきました。しかし、政府の答弁でも認めているように、蒋政権にこのような措置をとる権利国際法上存在しないことは明白であります。航空機の安全を確保するためには飛行情報は不可欠のものでありますが、これを停止するなどと脅迫すること自体、きわめて不当なものであります。  特に重大なのは、わが国領土である沖繩県南西部が、台湾飛行情報区、台北防空識別圏に組み込まれていることであります。このために、与那国島と石垣島を結ぶ南西航空路の安全について、政府台湾の了解を求めるという異常な事態が起こったのであります。日本領土、領空を飛行することについて、いかなる外国も規制することができないのは当然のことであります。(拍手)ところが、蒋政権は、日本主権に挑戦し、不当な言動をほしいままにしているのでありますが、このことに対して政府は何ら抗議さえしないという卑屈な態度をとっているのであります。私は、日本主権を擁護しようとしない政府態度を、ここで強く糾弾するものであります。(拍手)  同時に、台湾のこの不当な措置は、アメリカ指導され調整されてつくられた軍事空域を、確立された国際法よりも絶対とみなしていることのあらわれであり、明らかにアメリカを中心とした軍事同盟を根拠にしている結果なのであります。  日中の真の平和友好関係の強化発展のためにも、また日本アジアの平和と安全のためにも、このようなアメリカを中心とした軍事同盟関係をやめることがいよいよ重要となってきていることは明らかであります。  以上の点を強く指摘して、日中航空協定に対する賛成討論を終わります。(拍手
  22. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 渡部一郎君。   〔渡部一郎君登壇
  23. 渡部一郎

    ○渡部一郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました日本国中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件に対し、賛成討論を行なうものであります。  日中両国友好は、両国歴史始まって以来、実に数千年の歴史を持つものでありますが、日中両国間はここ数十年にわたり戦争状態にあったことは、まことに不幸なことでありました。  日中共同声明以来、両国の接触はようやく拡大をし、多くの紆余曲折を経ながら、去る四月二十日、北京において正式調印を見たことは、まことに慶賀すべきものであります。日中友好のため終始努力をしてまいりました公明党としては、特に深い満足をもって、本協定交渉促進に当たられた日本国民及び関係者とともどもに祝意を表するものであります。(拍手)  しかしながら、本交渉にあたりましては、種々の難問がありました。まず、新生中国にとりましても、日本との間に航空協定を結ぶということは、国際航空業務のルールに対して中国の基本的立場と理解を明らかにすることであり、中国外交の大きな試金石になることでありました。また、日本政府にとっては、アジア問題に対する基本的な立場を確立し、中国問題は、別して台湾問題であるとの認識を再確認するものでありました。  しかし、これらの困難を乗り越えて調印の運びになったということは、本協定歴史的な使命、その期待がいかに大きいかを示すものであります。  すなわち、好意的に評価するならば、わが党がかねてより述べておりますとおり、わが国にとっては、好むと好まざるとにかかわらず、等距離中立平和外交への実質的な幕あけであり、わが国外交が多角的友好関係樹立に向かって一歩前進しなければならないときが来たことを示すものであります。  この協定は、その意味で、戦争の火種をアジアにおいて根絶し、平和友好の輪を広げる第一歩となるべきものであります。また、本協定は、日中間航空距離を短縮するという実務協定であるだけでなく、とりわけ日本アメリカ日本とソ連、また日本アジア諸国関係に対し、多大の影響を与えるものであることを認識すべきであります。  そのためには、わが国外交の基本的立場がもう少し明確にならなければならないのであります。すなわち、日中共同声明第八項に示されているとおり、日中両国アジアにおいて覇権を求めるものでないこと、とりわけ、米ソ両極の対立を激化させるものであってはならないと考えるものであります。すなわち、本協定調印を契機として、世界緊張緩和への道をさらに進めるよう、今後の外交姿勢が明確になされなければならないのであります。  本協定の審議中、この協定締結に反対する勢力が幾つか散見されたわけであります。その中でも最も顕著なものは、中国を代表するものは中華人民共和国であるという基本的な外交原則にさえ挑戦する者もありましたけれども、これは、積み上げられてまいりました日中友好、その信頼関係を破壊し、時代に逆行するものであります。政府自民党は、この際、これに対して十分の配慮と責任を持つべきものであります。また、本協定について、この航空協定としての等価値性に疑問を投げかける者もございました。現時点において、日中友好の長き歴史の展望に立つならば、この議論は大きく止揚されるべきものでなければならないと存じます。  日中平和友好条約への道は、決して安易なものではありません。すなわち、これは、過去の日米安保のワク組みを再検討すべきものでなければなりませんし、日ソ平和条約の見通しを縮小するものであってもなりません。政府は、多角的な等距離中立外交の一石を投ずることにより、次の連鎖反応を生ずることを覚悟し、決断しなければならないのであります。  一つの前進が多くの反対を引き起こすことについておびえることなく、真の平和と友好に向かってさらに前進を続けなければならぬのであります。少なくとも、侵略主義や軍国主義や植民地主義の疑いを抱かれるような外交姿勢を強く払拭しなければなりません。  政府は、いま、日中航空協定締結にあたり、前進の道標を示したのでありますが、政府のいう信頼と友好は、次の実質的なステップによって立証されなければなりません。日台関係は、その日台関係それ自体日中共同声明のワク組みの中で誠実に処置されるべきことは、その第一歩であり、当然であるといわなければなりません。  日中航空協定日中友好関係樹立のための輝けるステップとして、日中平和友好条約締結へ向かって、また、世界平和のための前進と努力を希望しつつ、わが党を代表する賛成討論といたします。(拍手
  24. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 永末英一君。   〔永末英一君登壇
  25. 永末英一

    ○永末英一君 私は、民社党を代表し、日本国中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件について、賛成いたします。  われわれは、一昨年九月の日中国交正常化以来、日中間交流の中核として日中航空協定早期締結すべきであると主張してまいりました。隣合わせの国である日中間航空路線が、香港を経由し、足かけ二日を要することは、何といっても不自然なことでありました。しかし、同時に、日台間の航空路線がわが国民の利益にきわめて多大の貢献をいたすことにかんがみ、日台航空路線の維持をはかるよう、政府に強く要請をいたしてまいりました。  日中国交正常化以後の日台間の関係に対し、中国側は、地方の、そして民間の関係としてこれを認めてまいりました。したがって、わが国の港に青天白日の台湾の旗をひるがえした船が入港いたしておるときでも、五星紅旗を立てた中国の船が何らの異議を差しはさむことなく入港してくるのを運輸当局は確認をいたしておるのであります。開港場である海の港と、それへの乗り入れに当該政府の許可を要する空港とには、法律的性格において違いがあります。しかし、わが国の空港へ乗り入れてくる中国航空機が、台湾から乗り入れる航空機を見る場合、その機体のデザインについての感触は、海の場合を参照すれば、あくまで日本台湾との関係によって定まるものと考えられます。  したがって、自民党内閣は、日台路線の維持について、中国側の意向を背景にしつつ、台湾当局の了解を求めるために全力を傾けて努力をいたすべきでありました。そのために一年半の月日は、決して短かったとはいえないとわれわれは考えております。  ところが、日中航空協定締結に際し発せられた大平外相談話の中で、台湾機にある標識について、国旗を示すものとして認めていない旨の発言があった点をとらえてか、台湾側から日台航空路の断絶が発表されました。  大平外相は、四月十九日の閣議で、ほんとうに日台間は切れないかとの質問に対し、神でなければわからない旨答えたと伝えられておりますが、もしそんな気持ちで外交の衝に当たっているとすると、背筋にあわ立つ思いがするのは、あながち私一人ではありますまい。結果のわからない外交をやみくもに進めることを、国会は内閣にゆだねているのではありません。結果から判断して、日中航空協定締結日台航空路線の断絶をもたらしたことは、何といっても田中内閣の失態といわざるを得ません。一体、今後新しく日台路線の再開をいたす場合に、わが国政府中国政府との間にどのような関係が生まれるのか。田中内閣の責任はきわめて重いといわなければなりません。  また、台湾は自分の設定した防空識別圏内に日本機の入ることを禁止をいたしましたが、わが国の防空識別圏の西端は、沖繩の与那国島の中央を南北に走っておるのであります。それ以西が台湾の防空識別圏内に組み込まれております。これはアメリカ主導下につくられたものをうのみにしてきた結果でありますが、一昨年九月以来、一体、田中内閣は何をしてきたのでありましょうか。日中国交回復は、日米安保体制をはっきり変質いたしたものでありますが、政府はこの点をどのように認識をしておるのか、そしてまた、わが国がこれに対しどのように対処しようとしておるのか、わが国民の安全を守るために内閣はどのような責任を果たそうとしておるのか、まことに危惧にたえない状況であります。  山中防衛庁長官は、沖繩防空識別圏の西への拡大に同意いたしましたが、これらの持つ意義国民に明らかにすべきであります。  日中航空協定自体につきましても、それが国際協定である以上、双方の受ける利益が経済的に等価値でなければなりませんが、以遠権の問題等について見ましても、日本側に、冷厳な国際経済論理に立ち向かう姿勢にぼやけた点があることは遺憾であります。  ともあれ、田中内閣の処理に種々遺憾の点はございましたが、われわれは、日中航空協定成立が、長期にわたる日中間の不自然な状態に終止符を打ち、日中両国友好発展的拡大にきわめて重要な役割りを果たすものと考え、賛成をいたすものであります。(拍手
  26. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立総員。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。(拍手)      ————◇—————
  28. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣 小坂徳三郎君      ————◇—————