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1974-04-11 第72回国会 衆議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月十一日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十四号   昭和四十九年四月十一日    午後一時開議  第一 地方交付税法の一部を改正する法律案(     内閣提出)  第二 計量法の一部を改正する法律案内閣提     出、参議院送付)  第三 保安林整備臨時措置法の一部を改正する     法律案内閣提出)  第四 国立学校設置法の一部を改正する法律案     (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  日程第一 地方交付税法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第二 計量法の一部を改正する法律案(内   閣提出、参議院送付)  日程第三 保安林整備臨時措置法の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第四 国立学校設置法の一部を改正する法   律案内閣提出)  農業振興地域整備に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑  電源開発促進税法案内閣提出)の趣旨説明及   び質疑    午後一時二十分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) おはかりいたします。  内閣から、原子力委員会委員松井明君及び宮島龍興君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第一 地方交付税法の一部を改正する法   律案内閣提出
  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。
  6. 前尾繁三郎

  7. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方財政の現状にかんがみ、  第一に、昭和四十九年度の普通交付税算定方法については、児童福祉老人福祉対策等社会福祉施策充実、その他社会福祉水準向上に要する経費財源措置するとともに、教職員定数の増加、教員給与改善等教育水準向上に要する経費を増額し、また、市町村道清掃施設等住民生活に直結する公共施設の計画的な整備を進めることとするほか、過密・過疎対策公害対策交通安全対策消防救急対策及び消費者行政に要する経費充実することとしております。  さらに、公共用地先行取得促進するため、土地開発基金費基準財政需要額に算入するとともに、社会経済情勢の変動に対処して弾力的な財政運営を行なうことができるよう、新たに財政調整資金費を算入することとしております。  第二には、昭和四十九年度分の地方交付税総額については、現行法定額から千六百七十九億六千万円を減額する措置を講ずるとともに、当該減額した額を昭和五十二年度から昭和五十五年度までの地方交付税総額に加算することとしております。  なお、特別事業債償還交付金及び市町村民税臨時減税補てん債元利補給金につきましては、法人税における暫定税率の適用に伴う地方交付税の増額に関連して、昭和四十五年度以降その交付が停止されておりましたが、今回法人税税率を引き上げることとされたのに伴い、これらの制度を廃止することとしております。  本案は、二月二十八日本委員会に付託され、三月五日町村自治大臣から提案理由説明を聴取した後、四月三日には参考人から意見を聴取するなど、本案はもとより、地方財政全般にわたって熱心に審査を行ないました。  四月九日質疑終了し、討論を行ないましたところ、自由民主党を代表して中村委員は、本案賛成日本社会党を代表して佐藤委員日本共産党革新共同を代表して多田委員公明党を代表して小川委員及び民社党を代表して折小野委員は、それぞれ本案に反対の意見を述べられました。  次いで、採決を行ないましたところ、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対して、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の五派共同提案により、地方交付税率の引き上げと一般財源確保基準財政需要額算定方法改善充実住民福祉充実のための施策の推進、超過負担の解消及び交付税法定額の減額は避けること等を内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 計量法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  10. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第二、計量法の一部を改正する法律案議題といたします。
  11. 前尾繁三郎

  12. 濱野清吾

    濱野清吾君 ただいま議題となりました計量法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における社会情勢の変化に対応いたしまして、消費者利益保護及び環境計測適正化をはかるため提案されたものでありまして、そのおもな内容は、  第一に、消費者保護の観点から、重さ等をはかって販売するのに適する商品を販売する者は、計量販売につとめなければならない旨の規定を新設するとともに、政令で定める商品を容器または包装して販売する者に対しては、その商品正味量の表記を義務づけること。  第二に、物質の濃度、騒音の大きさ等の環境計測を行なう計量証明事業について、新たに登録制度を実施するとともに、計量証明事業者事業規程の届け出を義務づけること。  第三に、計量士登録区分ごとに行なうほか、計量士登録条件及び計量士国家試験実施規定等について所要の改正を行なうこと。であります。  本案は、三月三十日参議院から送付され、同日当委員会に付託され、四月二日中曽根通商産業大臣から提案理由説明を聴取した後、審査を重ね、昨十日質疑終了採決した結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議が付されておることを申し添えます。  以上、御報告をいたします。(拍手)     —————————————
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 保安林整備臨時措置法の一部を改   正する法律案内閣提出
  15. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第三、保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。
  16. 前尾繁三郎

  17. 山崎平八郎

    山崎平八郎君 ただいま議題となりました保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、保安林の有する公益的機能維持増進をはかるため、保安林整備臨時措置法有効期間を十年延長しようとするものであります。  委員会におきましては、四月三日農林大臣から提案理由説明を聴取し、四月十日質疑終了、直ちに採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 国立学校設置法の一部を改正する   法律案内閣提出
  20. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第四、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題といたします。
  21. 前尾繁三郎

  22. 稻葉修

    稻葉修君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、  第一に、浜松医科大学、滋賀医科大学及び宮崎医科大学を新設し、広島大学に総合科学部を設置すること。  第二に、東京商船大学及び神戸商船大学に大学院を設置すること。  第三に、新潟大学及び信州大学に、それぞれ医療技術短期大学部を併設すること。  第四に、富山大学に和漢薬研究所を附置するとともに、北海道大学の結核研究所の名称を免疫科学研究所に改めること。  第五に、徳山工業高等専門学校及び八代工業高等専門学校を新設するとともに、仙台電波高等学校ほか二校の電波高等学校を廃止すること。  第六に、国立大学共同利用の機関として国立民族学博物館を新設すること。  なお、この法律は、昭和四十九年四月一日から施行し、滋賀医科大学にかかる部分は、昭和四十九年十月一日から施行すること。  以上であります。  本案は、去る二月一日内閣から提出され、同月二十日当委員会に付託となり、三月六日政府より提案理由説明を聴取いたしました。自来、慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、四月十日本案に対する質疑終了し、次いで、森喜朗君外四名から、本案に対し、この法律は、公布の日から施行するとともに、これに伴う在学年数計算に必要な経過措置を講ずることを趣旨とする、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党共同提案にかかる修正案が提出されました。  本修正案及び原案については、討論通告がないため、直ちに採決に入り、本修正案及び修正部分を除く原案全会一致をもって可決、よって、本案修正議決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  23. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  25. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 内閣提出農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。農林大臣倉石忠雄君。   〔国務大臣倉石忠雄登壇
  26. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  最近における農村土地利用の状況にかんがみ、需要に応じた農産物の安定的な供給と、生産性の高い農業経営の育成という農政基本目標を達成するためには、土地農業上の利用確保とその効率的な利用促進をはかるとともに、農業経営規模拡大をはかることがきわめて重要でありますので、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一は、農用地利用計画対象に、従来の農用地等のほかに農業用施設用地を加え、地域における総合的かつ計画的な農業上の土地利用をはかろうとするものであります。  第二は、市町村農業振興地域整備計画の作成または変更をする場合に、当該地域内の農用地等の一部が農業以外の用途に供されることが見通されるときは、農用地等として利用すべき土地農業上の利用確保するため、当該農業振興地域内の土地対象として、交換分合を行なうことができることとするものであります。  第三は、農用地効率的利用経営規模拡大促進するため、市町村が、農用地所有者等の意向に基づき、農用地区域内の一定区域につき、農用地利用増進規程を定め、農用地所有者等同意を得て利用権設定を行なおうとするものであります。  第四は、農用地区域内にある農用地で、耕作等がなされていないため、農用地としての利用が困難となると認められるものについて、これを地域農業者共同利用のために活用するという趣旨制度を設けることであります。すなわち、市町村または農業協同組合は、都道府県知事承認を受けて、耕作目的賃借権である特定利用権設定について、農用地所有者等協議を求めることができることとし、この協議がととのわない場合において、都道府県知事の裁定があったときは、特定利用権設定に関する協議がととのったものとみなすこととしております。  第五は、農用地区域内にある土地につき、その農業上の利用確保するため、土地形質変更等開発行為については、公益性が高いもの等一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならないものとしております。  この場合、都道府県知事は、その土地農用地等として利用するととが困難となるため、農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがある等の場合は、これを許可してはならないものとしております。  以上が、農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。これを許します。柴田健治君。   〔柴田健治登壇
  28. 柴田健治

    柴田健治君 ただいま提案されました農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して、総理大臣ほか関係大臣質問をいたします。  この法案は、現行農地法より優先権を持つような法改正になっているのであります。このような法案を提出する限り、今後日本農業の展望と具体的施策を明確にしなければなりません。  まず、世界食糧需給長期的動向についてであります。  国際的に食糧危機は深刻であり、アフリカ、インド、東南アジアの食糧危機は、人道上からも見のがすことができない状態であります。  一方、食糧供給国であるアメリカ、オーストラリア、アルゼンチン、タイ等穀物輸出規制輸出禁止等が行なわれている。このような食糧不足は、単なる異常気象より、むしろ構造的なものであり、今後の世界人口増大開発途上国農業生産基盤の弱さ、消費増大に対する供給体制のおくれ等、あらゆる矛盾にさらされているのであります。いまや食糧資源戦略物資に位置づけされようとしているのであります。  一方、水産資源も、六月二十日、ベネズエラのカラカスで第三次海洋会議が開催され、領海の幅、領海外での沿岸国の権利、海峡の通航権、大陸だなの範囲、群島国家の取り扱い、深海底資源開発等問題点が論議されよう。去る五日、ケニアのナイロビにおける開発途上七十七カ国グループ会議ナイロビ宣言が採択されたことは、御承知のとおりであります。これによって、領海十二海里、専管二百海里説が実現されるのではないかと思うのであります。わが国遠洋漁業漁獲高は四百万トンで、これが大幅に減少することになれば、わが国動物たん白資源に大打撃を受け、国民の食生活は非常に深刻となるのであります。また、アメリカは四月三十日に物価上昇のガイドラインがはずされ、アメリカインフレが再燃すれば、アメリカ国内供給を緩和するため、輸出規制が起こる可能性が強いのであります。それに伴い、食糧価格が五〇%以上上昇することが考えられます。総理大臣見解を求めます。  次に、農業の位置づけと食糧自給率目標を示してもらいたいのであります。  政府自民党総合農政は完全に失敗である。生産は停滞し、食糧自給率は年々低下し、六〇年には八九%であったのが、七一年には七四%に落ち込み、これは価格ペースであり、カロリー換算では五三%で、面積計算でいけば三五%、わが国一億八百万人の人口のうち、七千万人は外国農業に生命を預ける勘定になるのであります。また、独占資本本位高度経済成長政策を推し進め、農村労働力土地、水を取り上げるために、国際分業論や貿易の自由化食糧化学化農畜産物の低価格政策減反政策で、農民生産意欲農民精神構造を変えた罪はまことに大きいといわざるを得ません。強く反省を求めるとともに、農業民族基幹産業として位置づけるとともに、自給率目標を示さなければなりません。  次に、農業後継者問題であります。  政府自民党は、農家を幾らつぶしたら得心するのでありましょうか。昭和三十五年に六百六万戸あったものが、今日五百九五戸、就業人口六百八十二万人。政府は、六十歳未満の農業従事者中核農家として育成強化するといっているのであるが、現在、一人もいない農家が二百七万五千三百戸、一人いる農家が百四十八万二千二百戸、二人いる農家が百二十二万四千四百戸、三人いる農家が三十一万七千九百戸、面積では、一ヘクタールから一・五ヘクタールが八十三万一千九百戸、一・五ヘクタールから二ヘクタールが三十九万三千五百戸、二ヘクタール以上の農家が三十一万七千四百戸。特に問題は、一ヘクタール以上で一人もいない十五万二千六百戸の農家をどうするのか。これらの農家を今回の農振法の改正でつぶしてしまうのか。近年の農村に残る若者は、一年に約一万八千人程度であります。この程度後継者数では、将来の日本農業はどうなっていくのか、具体的に対策を示してもらいたいのであります。(拍手)  次に、主要農産物価格政策についてであります。  農民は、長い間、生かさず殺さずの政策と悪い気象条件と戦いながら、豊作貧乏、不作貧乏に耐えてきたことは、御承知のとおりであります。その上、今日では、悪性インフレ経済政策によって、財政的に農家は破滅の道を歩んでいるのであります。政府が本気で日本農業を前進させる考えであるならば、農産物価格決定については、生産費所得補償方式を全面的に採用し、スライド制も取り入れ、国会承認を求めるべきであります。(拍手米価決定は、毎年五月末までに決定すべきだと思います。  次に、出かせぎ問題であります。  現在、出かせぎ者は全国六十万人から百万人といわれているのであります。政府自民党は、意識的に、安い労働力を大資本に提供させるために、農業破壊人間軽視経済政策で出かせぎを奨励しているのではないでしょうか。出かせぎ問題から、農村における数多くの悲劇、子供の教育労働災害別居生活から来る悲劇、不安定な雇用条件から起こる問題等、いまや社会問題、政治問題になっているのであります。人道上からも、労働政策上からも、農業政策上からも、一日も早く解決しなければならない重要な問題であります。具体的政策を、労働大臣厚生大臣農林大臣見解を求めます。  次に、食糧備蓄についてであります。  四十九年度において、備蓄米は、食糧用四十万トン、工業用二十万トン、計六十万トン、今年十月までに、古米を含め百十万トン、明年十月までには百五十万トンの備蓄をすることになっているのであります。しかし、人口一億八百万人を持つわが国は、世界的食糧危機及び災害等を考えれば、常時二百五十万トン以上を備蓄する必要があると考えられますので、総理大臣並びに農林大臣見解を求めます。  次に、飼料問題についてであります。  畜産振興は、何といっても飼料問題を解決しなければなりません。今日のわが国家畜飼料は、ほとんど海外依存であります。濃厚飼料外国に依存して畜産振興をはかることは、農民にますます犠牲を押しつけることになります。日本畜産がただ破滅するだけであります。政府は、五十七年までの畜産振興計画を発表しているのでありますが、責任は持てるのでありましょうか。  またぞろ、飼料不足から石油たん白使用論を起こしているのでありますが、安全性が確認されないまま使用される危険性があるのであります。この問題について、厚生大臣農林大臣見解を求めます。  「わが国農業は、長い歴史の試練を受けながら、国民食糧その他の農産物供給資源有効利用、国土の保全、国内市場拡大等国民経済発展国民生活の安定に寄与してきた。また、農業従事者は、このような農業のにない手として、幾多の困苦に堪えつつ、その務めを果たし、国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきた。」この文は、農業基本法の前文に書いてある文章であります。これは、農民法律社会的責任を明確にしているのであります。一方、大企業、大商社は、いまや物価狂乱の元凶として、反社会的行動をとっているのであります。現行農業基本法は、農民のためのものではないのであります。日本農業日本農民のことを考えるなら、農業基本法を抜本的に改正し、農村環境整備農村福祉をもっと明確にしなければなりません。(拍手)  また、土地改良法改正し、基盤整備事業管理体制の強化、事業主体を国営と県営、市町村営の三段階制にして、農民負担の軽減をはかるべきであります。いま国会に提案されている農業者年金基金法も、日本農業基本に考えれば、積み立て方式をやめ、賦課方式に変えるべきであります。農林大臣見解を求めます。  最後に、田中総理に申し上げます。もっと法律を守ってもらいたいのであります。一つの例を申し上げよう。先ほど計量法可決されました。あなたがつくった法律であります。国民に向かってはメートル法を義務づけでおるのであります。あなたは、ゴルフでヤードを使っておるのであります。これはメートルであるのかどうか。国民はどんな気持ちで見ているのか、十分反省をしていただきたいのであります。  以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮登壇
  29. 田中角榮

    内閣総理大臣田中角榮君) 柴田健治君にお答えをいたします。  まず第一は、世界的食糧需給動向についての御発言でございますが、一昨年秋ごろから穀物等国際需給が逼迫しましたが、昨年は主要生産国生産回復が進み、異常な需給逼迫事態は緩和の方向に向かっております。しかしながら、今回の需給逼迫で払底した各国の在庫回復の必要や、一部の開発途上国における食糧輸入需要が続いておることなどから、当面、供給状態が数年前のような過剰基調に戻ることはなく、国際価格は不安定に推移するものと予想せられるのであります。  次は、領海問題等についての御発言でございますが、第三次国連海洋法会議を前にして、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ発展途上国を中心として、最大限二百海里に及ぶ排他的管理権沿岸国に認めよとの主張が強く行なわれていることは、御承知のとおりでございます。このような主張が国際的に制度化される場合には、わが国漁業に及ぼす影響はきわめて重大であります。わが国としましては、従来から、沿岸国による排他的な管轄権は認められないとの立場で対処してきておるわけであります。情勢としましてはきびしいものがございますが、政府としましては、あらゆる場を通じて、わが国漁業の長期的利益を確保するため最大限の努力を払うとともに、関係国との相互理解及び共存共栄の立場のもとに、わが国漁場の確保をはかってまいる所存でございます。  次は、日本農業の位置づけについての御質問でございますが、農業は、土地、水等の国土資源を活用しつつ、国民生活の基礎物資である食糧供給するという重要な使命を果たしておるわけであります。また、農業及び農村は、食糧供給という役割りだけではなく、国土と自然環境を保全し、健全な地域社会を維持する上で重要な役割りを果たしておるのであります。また、国民食糧の安定的供給をはかるためには、国土資源を有効に活用して、国内生産の可能なものはできるだけ国内でまかなうことが重要であると考えます。このような観点に立って、主要農産物である米、野菜、果実、牛乳、乳製品、肉類、鶏卵等については、完全自給ないし八割以上の自給率確保することとなしておるわけであります。このため、農業生産基盤整備、麦、大豆、飼料作物の生産奨励措置、未利用地における大規模畜産基地の建設などの施策を総合的に実施をしておるわけであります。  次は、農業の後継者対策についてでございますが、近年における農業労働力の減少傾向とその老齢化傾向にかんがみ、わが国農業供給力の維持、強化をはかるためには、農業生産の中核的にない手の確保、育成をはかることがきわめて重要であることは、御指摘のとおりでございます。このため、農業を魅力ある産業として確立するとともに、住みよい農村環境の整備をはかり、あわせて、近代的農業を担当し得る農業後継者を育成するための諸施策を一そう充実強化してまいりたいと考えます。  次は、米の備蓄に対してでございますが、古米持ち越しにつきましては、その数量をふやすと、その分だけ消費者に古米の消費を引き受けてもらわなければならなくなるわけであります。したがって、その数量にはおのずと限界があるのでございます。従来、米穀年度末の古米持ち越しにつきましては、百万トン程度が適当と考えておりましたが、本年はさらにゆとりを持たせることとなし、明年十月末の古米持ち越しは約百五十万トンにふやすよう計画をいたしておるところであります。  また、このほかに、例年十月末には二百五十万トン以上の新米が買い入れ済みとなりますから、米の需給には全く不安はないわけであります。  農業関係法制の抜本的再検討と農業基本法改正に対しての御言及でございますが、政府としましては、今後とも、農業及びそれをめぐる諸情勢の推移を見きわめつつ、農業に関する施策の展開に応じ、関係法令の一そうの整備をはかってまいる所存でございます。  農業基本法に定められています農政基本目標及びその目標を達成するための施策基本は、現在の情勢においても不変であると考えておるのであります。したがいまして、今後とも、農業基本法の差し示す基本的方向に沿いつつ、内外の諸情勢に対応しながら農政を展開していく所存であり、農業基本法改正することは考えておりません。  また、農業基本法の示す方向に従って、政府は、農村総合整備モデル事業、農村地域への工業導入、農業者年金制度の改善等の施策を進め、農業者及び農村の福祉の向上につとめてまいりたいと考えております。  最後に、法律を守れということでございますが、法律は十分守っておるわけでございます。  ゴルフ場におけるヤードというようなものは、これはメートルにしても一向差しつかえないわけでございますが、ヤードやポンドやフィートというのは、国際的にそれぞれ使われておることでございまして、法律をもってヤードをメートルに変えなければならないというたぐいのものではないことは、御承知のとおりでございます。(拍手)   〔国務大臣倉石忠雄登壇
  30. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 柴田さんのお尋ねの、世界的食糧需給であるとか、領海と漁業の問題、民族基幹産業としての農業の位置づけ、後継者の、つまり農業のにない手の育成等、それから備蓄に対する施策、こういうような問題につきまして、ただいまきわめて御丁寧に総理大臣からお答えがございましたから、私は御遠慮いたします。  そこで、もう一つ、石油たん白のことでございますが、予想されます畜産の伸展に伴いまして、飼料の安定的な確保をはかりたい、これは当然なことでありますが、この安定的な飼料原料の輸入の確保と、国内における飼料生産の振興と並びまして、新しい飼料原料の研究開発がきわめて重要なことは、御存じのとおりであります。  そこで、新しい飼料原料につきましては、飼料効果がありますとともに、家畜及び畜産物を通じての人間の健康に対して安全性が保証されるものでなくてはならないことは当然でございます。したがって、新しい飼料原料の実用化につきましては、国におきましてもできる限り試験研究を実施いたして、その安全性について十分な確認を行なって、広く国民的合意の上で実施すべきものであると思いますが、御指摘の石油たん白につきましての安全性については、まだ国民的合意が得られておりませんので、昨年二月企業化が中止されて今日に至っておりまして、特にこの具体的な企業化の動向はただいまございません。しかし、大いに研究に値する問題であると存じます。  もう一つ、農業者年金制度についてお話がございました。賦課方式に切りかえるべきではないかということでございますが、農業者年金制度につきましては、加入者の年齢構成が高いことと、将来において被保険者に比べて受給権者の割合が大幅に増大いたすことが予想されますことなどの問題がございますので、現在積み立て方式を採用いたしておるところでありますが、このような農業者年金制度の問題を考えますと、賦課方式を採用することはなかなか困難であると存じます。  以上、お答えいたします。(拍手)   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇
  31. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 農家の出かせぎ家庭に残されました寝たきり老人あるいは保育を要する児童に対する施策についてのお尋ねでございますが、そうした寝たきり老人の方々に対しましては、施設へ収容することを必要とする方々については、特別養護老人ホーム等の整備をはかりまして、これを収容するように努力をいたしておるわけでございます。さらにまた、在宅で生活をする方につきましては、ホームヘルパーを優先的に派遣いたしまして、そうした家庭のごめんどうを見る、こういうふうな施策を講じておる次第でございます。  また、保育を要する児童につきましては、保育所の増設あるいはまた養護施設の整備等をはかりまして、地域地域の実情に応じ、援護の措置を全ういたしてまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、次に、石油たん白の問題でございますが、これは厚生省の中の食品衛生調査会において特別部会をつくりまして、この安全性について検討をいたしてまいったわけでございますが、実験段階におきましては一応安全性が確認されましたけれども、企業化にあたっては、さらに工業的試作段階において再度検査を行なう、こういう方針をきめておったのでございますが、昨年二月、企業側においては、社会情勢等を考慮し、みずから石油たん白の企業化を行なわない、こういうふうになっておるわけでございまして、現在は石油たん白は全然使用されていないような状況でございます。しかし、将来とも、これが実用化につきましては、飼料所管の農林省とも十分相談いたしまして、安全性が確認されるまではこうしたものは使用させない、こういう方針で臨んでまりいたいと考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣長谷川峻君登壇
  32. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  出かせぎ労働者対策の第一は、基本的に、できるだけ地元で働けるような雇用の機会をつくることだと思います。現に、出かせぎ者に対しましては、職業安定所を通じての就労経路の正常化と雇用契約の明確化をするように指導しております。就労前の健康診断、技能講習、就労地では、福祉施設、相談所の設置をするよう施策を進めております。特に重要なことは、就労している建設現場での災害、賃金不払いがありますので、これを防止、改善するよう、元請業者を含めまして、強力に監督、指導してやっているところであります。(拍手
  33. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これにて質疑終了いたしました。      ————◇—————  電源開発促進税法案内閣提出)の趣旨説明
  34. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 内閣提出電源開発促進税法案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  35. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 電源開発促進税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。   〔議長退席、副議長着席〕  政府は、今次の税制改正の一環として、最近における電力需給の逼迫の状況にかんがみ、発電所等の周辺地域住民の福祉向上をはかること等を通じて発電用施設の設置を積極的に進めることとし、この施策の費用に充てるため、新たに一般電気事業者の販売電気に対して電源開発促進税を課税することといたしたものであります。  第一に、課税範囲等につきましては、一般電気事業者を納税義務者とし、その供給した電気及びみずから使用した電気を課税物件とし、これらの販売電気に対して電源開発促進税を課することとしております。  第二に、税率につきましては、販売電気千キロワット時につき八十五円とすることといたしております。  第三に、その納付につきましては、毎月、その月中における販売電気の電力量に対する電源開発促進税額等を、その翌月末日までに申告し、納付することといたしております。  なお、電源開発促進税の収入額は、全額、別途御審議をいただく電源開発促進対策特別会計法案により新設することといたしております電源開発促進対策特別会計に、その財源として繰り入れることとしております。  以上、電源開発促進税法案趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  電源開発促進税法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  36. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。順次これを許します。阿部助哉君。   〔阿部助哉君登壇
  37. 阿部助哉

    ○阿部助哉君 私は、日本社会党を代表して、電源開発促進税法案に関して質問をいたします。一  このような目的税の新設に対しては、税制上大いに疑義のあるところであります。特に原子力発電の場合には、核武装、独占資本の大衆収奪の問題など、国民のためにたださなければならない数々の問題点がありますが、この際、時間の制約がありますので、この法律によって進めようとしておる原子力発電の危険性に焦点をしぼってお伺いいたします。(拍手)  現在、原子力発電所、またその建設予定地周辺の住民を先頭に、全国的に原発反対の運動が大きく広がっております。その最大の理由は、原発が正常に運転しておっても、常におそるべき放射能を排出する、一たび事故が発生すれば、現在の科学技術の手の届かない、実に想像を絶する壊滅的な災害をもたらす、原発の建設を断固阻止して民族の生命を守るのだ、こういった崇高な精神に基づく運動であります。電力会社が行なっている無公害発電所などという無責任なPRは論外だが、当局の住民説得の説明もまたきわめて無責任なものであります。一片の誠意すら見られないものであります。  放射能の危険性については、これまで数多くの研究者から警告されておるのでありますが、アメリカの著名な放射線学者、ゴフマン、タンプリンの両氏は、放射能は、許容量以下であっても、ガン、白血病を誘発する、いかに微量でも、無害だという科学的根拠はない、微量でも、長年にわたって放射能を浴びれば、それによる遺伝的影響は、ガンなどと比べようのない重大な結果をもたらすと警告をしておるのであります。わが国でも、広島大学の川村名誉教授が、カエルによる動物実験のおそるべき結果を発表しておられます。それによると、カエルの卵子や精子にごく微量の放射能を当てると、きわめて高い率で不妊や発育障害、奇形、たとえば頭の小さなカエル、脳のないカエル、足のないカエルといった奇形が発生するという、戦慄すべき報告がなされておるのであります。  当局は、運転中の原発は許容基準を守っているから安全だと言うが、水俣病の例からでもわかるように、食物などを通じ、長期にわたる体内への蓄積が、子孫に対する遺伝的障害を起こすのであります。放射能には本質的に安全量というものは存在せず、許容量は、独占資本がもうけるために、これだけの放射能はがまんして浴びてもらいましょうということであります。総理の御見解をお伺いしたいのであります。  しかも、政府は、原発から生み出される死の灰のかたまり、すなわち放射性廃棄物の処理のめどさえ立てないまま、原発建設を進めようといたしております。最も危険な廃棄物を、どこに、どのように捨てようというのか、お答え願いたいのであります。  百万キロワットの原発の内部には、一年間で広島原爆一千発分の死の灰がたまるのであります。しかも、その炉の内部は、数百度から数千度の熱と、数百気圧の圧力がかかり、あらゆる装置は、物質の極限状態の中でバランスをかろうじて保っておるのであります。しかも、その実態はまだ十分解明されているわけではございません。  原発は、正常に運転が行なわれていても、常に放射能の危険性があります。まして、現在アメリカ日本で動いておる原発は、ひんぱんに事故を起こしておるではないか。たとえば、当局さえもが欠陥原子炉と認めざるを得なかった美浜原発は、昨年の暮れ、蒸気発生装置の事故に続き、ウラン燃料棒が曲がるという大事故を引き起こしておる。燃料棒の曲がりは、これを放置すれば炉自体が溶けるというたいへんな事故に発展する。同じような事故はアメリカでもたびたび起こっており、これに対する十分な対策は、あちらでもいまだ解決を見ていない。大事故に至らなかったのは、ただ運がよかったということにすぎないのであります。  当局が事故のうち最もおそるべき事故と想定しているのは、冷却パイプの破断事故だといわれる。これに対する安全装置がECCS、緊急冷却装置でありますが、この装置は、アメリカの原子力委員会で幾たびか実験がなされたが、ことごとく失敗している。この装置が作動しないと、炉の中はどろどろに溶ける。予定よりわずかおくれて作動し始めると、今度は最悪の事態、すなわち、大規模な爆発事故に発展し、死の灰が一ぱい詰まった発電所を吹き飛ばしてしまうのであります。このような、安全装置なのか、それとも危険倍加装置なのかわからないようなものにたよらざるを得ないほど、現在の原発は技術的に未熟なしろものであります。  わが国の原子力産業会議が、東海村の出力十六万六千キロワットの原子炉が爆発したと想定、算出した答えは、死者七百二十人、傷害二千九百人、四百キロ四方では農作物がとれなくなる。損害額も三十七兆円と算出しておるのであります。これに類する事故は、すでにアメリカ、イギリスなどで起きている。現在建設中または建設予定の原子炉は、百万キロワット、この七倍で、新潟県柏崎に予定されるように一カ所に一千万キロワットの大型ともなれば、単純計算でも、この七十倍の被害が想定されるのであります。  当局の原子力開発利用長期計画は、十年後の一九八五年には出力六千万キロワットの達成を予定しておりますが、これはその時点での平地面積当たり出力にして、アメリカの十五倍、イギリスの三倍に当たるのであるが、世界的な地震多発地帯であるこの狭い日本列島に、なぜこのようなばく大な原子力発電所を背負い込もうとするのか、まさに正気のさたではない。地震が起きても絶対の安全性を保障できるのか、その確信のないまま建設を急ぐことは絶対に許されないことであります。(拍手)総理の御見解を承りたいのであります。  次に、原発の温排水の問題であるが、政府原子力当局は、この分野に関し調査研究を全く怠っております。大量の放射能を含んだ原発からの温排水の量は、火力に比べてもはるかに大量であり、かりに政府の長期計画が達成されると、十年後には原発と火力による温排水量は千八百九十億トン、これはわが国の全河川の流水量に匹敵する量であります。摂氏七度以上も高い温排水が日本列島を取り巻いたとき、海洋生物や気象への影響は想像を絶するものになると思うが、当局は、そのときの日本を取り巻く海の状態、気象への影響をどのように予測したらよいのか、お答え願いたいのであります。  ある気象学者は、新潟県柏崎に建設予定の原発だけでも、信濃川に倍する量の温排水が日本海に流れ込み、日本海のバランスをくずし、異常豪雪など気象変動を引き起こすと警告しております。当局は、海には攪拌作用が働き、数百メートル先で温度差がなくなると説明しているが、漁民は、日々の経験から、温度の異なる海水はまじりにくく、潮目を引いてどこまでも伸びていくのだと、この机上の計算を論破しているのであります。  新しい化学農薬や機械は、二年間も使ってみれば、よいものかどうかすぐわかる、原発に対しては悪いうわさばかりだ、安全なものだったら、こんなうわさがいつまでも続くはずがない、これは福島県の年老いた農民のことばであります。このような農漁民、労働者が実生活で体験した知識こそ、ほかならぬ科学の源泉であります。これを軽視し、ばかにする者は、科学を否定するものであります。(拍手)この民衆の知識を否定するから、公害を生み出し、非民主的になり、秘密を必要とするようになるのであります。  住民が原発の安全性を確かめようとすると、必ず当局の秘密主義と商業機密の壁に妨げられる。それは核戦略を柱とするアメリカの原子力法と、平和をたてまえとするわが国の原子力基本法は明らかに異質のものであります。(拍手)これを無理に結びつけるためにできたのが表向きの日米原子力協定、その実体は商業機密なのであります。この商業機密のベールが、原発の安全性検討の機会をはばみ、安全データから運転、修理に至るまでアメリカにたよるという、現在の原発植民地をつくり出したのであります。自主、民主、公開の三原則のどこに、商業機密は例外であると書いてあるか、お答え願いたいのであります。(拍手)  最後に、この法案は、自然と子孫を守ろうとする崇高な住民の要求をすりかえ、札束で住民運動を圧殺しようとする卑劣なものであります。私の質問に対する御答弁は、従来のように、電気がなくてもよいのかとか、停電になりますぞといったおどかしはやめにしていただきたい。いまやそんな論法は通用しない。国民は、高度成長を反面教師として、生活意識、価値観の変革を遂げつつある。柏崎の青年たちは、はっきりと、原発の電気は要らないと、こう言っておるのであります。こういった事実に大きく目を開き、民族の命運に責任を持つ高い立場からの御答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮登壇
  38. 田中角榮

    内閣総理大臣田中角榮君) 阿部助哉君にお答えいたします。  まず第一は、原子力発電の安全性確保についてでございますが、原子力発電の開発を進めるにあたりましては、安全性確保と環境の保全が大前提であることは言うまでもないわけであります。特に、放射能による影響を防止することにつきましては、原子炉の設置の許可に際し、十分な安全審査を行なっておるところであります。  原子力発電所の安全対策につきましては、そもそも事故を起こさないで安全に運転すること、そして万一事故が起きても、その影響を最小限に食いとめて、周辺の一般公衆に被害を及ぼさないことを基本方針にいたしておるわけであります。  また、日米原子力協定についての御発言でございますが、日米原子力協定は、わが国の原子力基本法の趣旨に沿い、原子力の平和利用の実現を目ざす研究及び開発を行なうための相互協力を目的として締結をせられたものであります。  また、わが国の原子力研究開発は、一貫して原子力基本法の趣旨を体して実施しており、基礎研究をはじめ、新型動力炉開発、濃縮ウラン技術開発、原子力船開発等について、従来からも自主開発の推進に格段の努力を傾注いたしておるところでございます。  電源開発促進税というものが、地域に対して札束でものを解決するというような御発言でございますが、現在のエネルギー危機に対処するため、電源の開発は刻下の急務であることは、申すまでもないことでございます。電源開発促進税は、原子力、火力発電所等の周辺地域住民の福祉の向上をはかることなどを通じまして、発電所の立地対策を積極的に進めることとなし、その財源に充てるために創設しようとするものでございまして、法案のすみやかな成立を期待いたしておるのでございます。  なお、原子力発電所というものに対しては、長期的視野で考えなければならないと考えておりまして、いま世界でどのくらいの発電が行なわれておるかと申し上げますと、一九五四年にソ連で初めて原子力発電が実用化されたわけでございますが、それ以来、世界各国で原子力発電の実用化が急速に進展し、現在世界で運転中のものは、合計百三十二基、四千万キロワットをこえておるわけでございます。さらに、建設計画中のものを加えますと、合計四百六十八基、三億一千五百万キロワットに達しておるわけでございます。わが国の原子力発電も、このような世界各国における最近の原子力発電の開発の趨勢に合致するものであり、今後とも、安全の確保に一そうの留意を払いながら、積極的にその推進をはかってまいらなければならないことを御理解いただきたいと思うのであります。  残余の問題に対しては、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)   〔国務大臣森山欽司君登壇
  39. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 阿部議員にお答えをいたします。  先ほど来の御質疑を聞いておりますと、原子力の平和利用と軍事的な利用というものを、その利用の目的だけではなくて、原子力発電というものと原子爆弾を何か混同してお考えのようでございますが、そういう素朴な議論はいかがかと思われます。(発言する者あり)  私から申し上げるまでもないことでございますが、原子力の軍事利用は、核分裂によるエネルギーを瞬間的に利用する方法でございますし、それから原子力発電は、核分裂によるところのエネルギーを自由に抑制された形で利用するということでございまして、原子力発電所が何か大爆発を起こすなんということは全くございませんから、どうか、そういう基本的な、初歩的なことは、こういう議場で御論議になられないように、ぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。(発言する者あり)  私は、原子力発電所が正常に動いておる場合でも放射能の危険があるというような御発言がありますが、まことに不可解な感じをいたしております。  まず私から申し上げたいと思いますことは、この原子力発電、原子力の平和利用というものは、戦後に起こったものでございますし、実用段階に入ってまだ二十年足らずでございます。歴史も短いわけでございますし、技術の歴史的発展段階といたしまして、イノベーションからテクノロジーアセスメントと、何か放射能というものがあることは事実でございますから、それには念には念を入れて前もって準備をしておく、気を使っていく、そういうことでございますが、放射能の問題について念には念を入れるからといって、だから原子力発電はあぶないんだということはたいへんな間違いでございますから、念には念を入れるから安全だというふうにお考えを願いたいと思っておる次第でございます。(発言する者あり)  原子力発電所をつくります際には、私から申し上げるまでもないことでございますが、厳重な安全審査をやりますし、また、いろいろな法律に基づいて、やかましい許可、認可の手続もありますし、それからまた検査もやるわけでございます。また、この原子力発電所を動かします際に、間違って機械を動かすとか、あるいはまた、機械でございますから、故障というものはあるわけでございます。間違って動かしたり故障がございましても、そういう場合には安全装置が動いて、かわりの機械が動くとか、あるいはまた機械がとまるとかいうことになるわけであります。どうも、機械がとまると、あぶないあぶないと言うのでありますが、機械がとまるから安全なのでありまして、その辺もどうかひとつお間違いのないように願いたいと思います。(発言する者あり)  それからまた、定期検査というのがございまして、政府が監督して、一年に二カ月ぐらい検査をいたします。その検査をやりますと、機械のことでございますから、故障とか、その他のふぐあいなところが発見されます。そうすると、そういうものが発見されると、またあぶないと言う。定期検査があるから、これは安全なのでございまして、そういうことがわかってくることが安全のゆえんでございます。  まあ、こういう問題につきましていろいろ各方面で御論議になりますのは、やはり原子力発電所という問題が一般国民の中にほんとうにわかっていただくまでになかなか時間がかかる。現段階で、国会でもいろいろな御論議がございますが、私は、これらの御論議は、やはり一度は越えていかなければならない関門であるというふうに考えておりますけれども、もうそろそろ、こういう問題について、この事態の真相というものを各方面においてわかっていただかなければならぬというふうに考えております。  それは、申すまでもなく、最近のエネルギー事情、特に電力事情等を見ますると、昭和四十六年度は、発電所の基本建設計画に対しまして建設は八二%、四十七年度が三二%、それから四十八年度は四四%でございまして、もしこのままでまいりますと、来年の夏の電力の最も要るピーク時には、これは局地的にもう停電が起きてくることは、遺憾ながら避けられない。もう昭和五十三年ごろになりますれば、電力の供給需要に追いつかないということになるわけでございますから、そういう事態を起こさないようにすることが、政治家の任務であり責任であると思っております。与党の任務であるし、野党もまたそのおつもりになって真剣にこういう問題に取り組んでいただきたいというふうに考えておる次第でございます。(発言する者あり)  そして、地震があるからあぶないなどと申しますが、普通の建造物の三倍ぐらいの強度で、しかも、そのときどきに起こっているいままでの過去の地震をよく調べて、そういうものを考えて建てておるわけでございますから、日本は地震国でありますけれども、原子力発電所の建設は全く心配はございません。  遺伝等の問題について気をつけなければならぬわけでございますが、今日、自然放射能でも年間百ミリレムといわれております。近代の原子力発電所は、発電所の地元でもって人体に与える放射能は五ミリレムということで、自然放射能の一けたも二けたも下の段階でこういうものはつくっておるわけでございますから、これは自然放射能は幾らでもあるわけでございますから、それが遺伝の心配が放射能にあることは事実でございますが、自然放射能の一けたも二けたも下のほうでいま原子力発電所がつくられている現状で、心配だ心配だというのは一体どういうおつもりか、私は理解に苦しむというふうにいわざるを得ないのでございます。(拍手)  それで、いろいろたくさんお話がございましたが、基本的にはその程度にさしていただきまして、総理がお話しになられましたことを若干補足し、かつ、総理が触れられません面について、私からお話しを申し上げたいと思います。  温排水の問題について、少しでも少ないほうがいいことで、このような問題について留意しなければならぬわけでございますが、この問題について政府が何もやらぬじゃないかというようなお話がありますが、これはとんでもないことでございまして、昭和四十七年度以来、農林省も環境庁も、通産省も科学技術庁も、このような問題に取り組んでおります。そして、これまでの研究では、排水口付近のモ類や貝類に若干の変化があるかもしれぬが、しかし、魚類等の生産は、いまのところ目立った変化は認められない。温排水の影響は海域によって異なり、かつ、長期間にわたる観察を必要とする事項も多いから、昭和五十一年度までの五年計画でひとつ調べようというので、目下鋭意調べておるところでございますから、政府がこういう問題について何もせぬなんということは、これはまことに心外でございますので、どうかひとつその点もよくお考えになっていただきたいと思っておる次第でございます。  それから、原子力発電所の増加に伴って、放射性廃棄物の処理施設や核燃料再処理工場が増加し、これによる放射能の危険が増大する、廃棄物の海洋投棄の方法についても、国際的に安全性が十分確認されているわけでないから、これの危険防止対策はどう進めるかというお話でございますが、これも御心配は要りません。  たくさんありますから、早口でさっと申し上げまして、あとはひとつお読み願いたいと思っておるわけでございますが、再処理工場のみならず、原子力施設から放出されました気体及び液体の廃棄物につきましては、原子炉等規制法に基づきまして厳重に規制されており、安全は確保されております。建設中の再処理工場の審査にあたって、国際基準より低い安全なところで許可しておりますが、さらに一そう排出を低減化するように研究開発につとめておるところであります。  人体に与えますところの放射能につきましては、一般人は許容限度が五百ミリレムでございますが、それに対して三十二ミリレムということでございますから、この再処理工場については全く心配はございません。  固体廃棄物の処理等の問題につきましては、放射性固体廃棄物につきましても、同法に基づき、各施設内に厳重に保管されております。しかし、今後、原子力発電所の増加に伴い、将来にわたって保管するという方法に加え、さらに安全性を十分確認することを前提とした処理及び処分を行なう必要があると思います。  こういう考え方のもとに、直接環境中に放出されない廃棄物につきましては、海洋処分、陸地処分を組み合わせて実施する方針で、現在、水産庁、気象庁、海上保安庁等の機関により、海洋処分の安全評価のための調査を実施しているところであります。その結果を踏まえて安全評価を行ない、安全を十分確認した上で実施することとしております。また、海洋処分につきましては、現在、国際原子力機関におきまして、国際的な基準づくりが進められており、わが国もこの基準を踏まえて十分安全を確認する所存でございますから、放射性廃棄物の施設及び核燃料再処理工場等の問題につきましては、全く心配がございませんから、御安心くださいますようにお願いをいたします。  いろいろ問題がございますが、一番最後に、今回の法律でもって原子力発電所の地元に、何か札びらでほっぺたをひっぱたくような、そういういわれのない御批判がございましたが、そういうことは全くございません。原子力発電所は過疎地域に建設されることが多いのであります。そのため、地元では、発電所から出る電力は都市に送られて、地元のために一向にならないという不満があります。また、原子力発電所は装置産業でありまして、雇用吸収力に乏しいので、雇用の面でも地元のメリットがない。そこで、今回の交付金は、これらの不満を解消するために、開発利益を地元に還元しようとするものでありまして、地元の不満を口どめするために金をばらまくなんということは、全く考えていないということをどうか御理解願いたいと思います。  以上、答弁といたします。(拍手)     —————————————
  40. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 小沢貞孝君。   〔小沢貞孝君登壇
  41. 小沢貞孝

    ○小沢貞孝君 私は、民社党を代表して、ただいま趣旨説明のありました電源開発促進税法案に対し、若干の質問を行なわんとするものであります。(拍手)  御承知のとおり、電力は、国民の日常生活、企業の生産活動に絶対不可欠なものであります。いままで、その電力は、電力会社の精力的な経営姿勢と民主的労働運動を進める労働組合の生産性向上運動とによって、多年にわたって安定供給が達成されてきたわけであります。では、なぜ、最近に至って、夏ごとに電力節減が年中行事化するほど需給逼迫をもたらしたのでありましょうか。その根因は、重化学工業中心、高度経済成長に狂奔してきた政治姿勢にあると思います。  周知のごとく、わが国の電力需要構造は、著しく産業に片寄っております。実に全体の八〇%が産業用として消費されて、昭和三十六年から昭和四十六年までの家庭用四百四十六億キロワットアワーの増であるのに対して、産業用電力は九百十九億キロワットアワーと、飛躍的に増大いたしております。こうしたエネルギー多消費型産業構造を抜本的に改革することなしに、電力の需給窮迫化を解決することは不可能であろうと存じます。  しかるに、その具体策を講ずることなく、逆に日本列島改造という高度経済成長路線を推し進め、一そうエネルギーの多消費型産業の拡大をねらってまいりました。  総理は、この機会に、電力の大量消費をもたらす列島改造論構想を土台とした経済社会基本計画を抜本的に改め、高福祉省エネルギー産業構造への転換構想を具体的に明示すべきであろうと思います。総理の御所見をお伺いいたします。  電力需給窮迫の第二の原因は、言うまでもなく、電源立地難でありましょう。立地難は、発電所建設に反対する住民運動の高まりによって深刻化したのでありますが、いままで発電所の公害、安全対策に無為無策に終始し、住民の意思を無視して建設を推進してきたことにありましょう。発電所建設は、国民の理解と協力なくして円滑な推進は不可能であります。とりわけ、今後の電力供給源の大宗をになう原子力発電所は、安全性に対する国民の理解が絶対不可欠の要件であります。  しかるに、政府は、国民の原子力アレルギーが強いにもかかわらず、原子力の安全性国民に周知徹底することを怠ってきたのであります。私は、こうした政府の政治姿勢を改めない限り、真の電源開発を推進することは困難であると断ぜざるを得ません。総理並びに科学技術庁長官は、国民の原子力の安全性に対する不安をいかにして解消せんとするか、具体策をお伺いいたしたいと思います。  わが民社党は、原子力発電所建設を促進するため、原子力村というか、原子力タウンの建設を提唱いたしております。すでにスウェーデンにおいては、原子力発電による集中冷暖房など、原子力の平和利用を実現していることは周知の事実であります。私は、国民の原子力アレルギーを解消する道はただ一つ、原子力タウンを建設し、事実として安全性を実証すること以外にないと確信いたしております。  総理は、どうでしょう、本格的な原子力タウンを建設する御決意はございませんか、所信をお伺いいたします。  次に、原子力と同様、新しく期待されている地熱発電開発についてお尋ねをいたします。  地熱は、資源の乏しいわが国にとって貴重なエネルギー資源であります。しかも無尽蔵であります。石油のような供給不安におちいる心配もありません。このために、御承知のように、九州と東北の二発電所が稼働し、さらに三発電所の建設が進められるなど、地熱発電が急速に促進されつつあります。  しかし、十分な地質調査が実施されていないため、発電規模も、二万キロワットと、小規模な段階を脱し切れません。今後、地熱発電を本格的に推進するためには、地質調査の徹底をはかることはもとより、温泉法、自然公園法や国有林などとの権益調整を行ない、企業の行なう物理探査、科学探査に対する大幅な補助金交付など、政府の助成を拡大しなければなりません。  通産大臣は、地熱発電を国の責務として推進するために、地熱に関する権利関係を明確にする地熱開発促進法というようなものを制定するお考えはないか、御見解をお伺いしたいわけであります。  次に、電源開発促進関係法案内容について若干お尋ねいたします。  第一は、国税として本格的な目的税を創設した根拠についてであります。  従来、政府は、目的税の創設にきわめて慎重であったはずであります。しかるに、今回に限って目的税を新たに創設したのは、いかなる理由に基づくものであるか、全く理解に苦しむわけであります。しかも、本法案は、電源開発の促進を目的とするもので、公害補償ではありませんから、企業負担とする根拠はありません。他方、政府は、公害対策的色彩の強い、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律では、国の大幅な助成措置を講じております。しかるに、国民生活向上に絶対不可欠である電力の安定供給をはかる本法案では、逆に、一般財源の負担を避けて、目的税としております。これは明らかに矛盾した政策ではありませんか。大蔵大臣、その根拠を明確にしていただきたいと思うわけであります。  第二に、家計への圧迫となっておる電気ガス消費税についてであります。  電気税は、一般家庭用電灯には強制的に課税されているのに対し、百三十品目の産業用大口電力には免税措置が講ぜられております。このため、電気総消費量が全体の二割であるにすぎない電灯が、税収の六割を負担することになっております。その上、目下申請中の電気料金が引き上げられるならば、家庭の税負担がさらにかさむこととなるわけであります。加うるに、本法案が成立すれば、現下の電力業界の現況からして、企業努力によって税負担を吸収することはきわめてむずかしいことから、料金引き上げによって吸収をせざるを得ないでありましょう。私は、この際、政府は、蛮勇をふるって電気消費税を撤廃すべきだと思います。大蔵大臣の御見解をお尋ねいたします。  第三にお伺いしたいことは、既設発電所に対する税の交付についてであります。  政府案によりますと、既設の発電所などすべての発電所に対して促進税を課そうとしておりますが、交付金は、建設中か、または新規着工の発電所に限られておるわけであります。これでは既設発電所周辺の住民は何らの恩恵を受けないことになるわけであります。私は、こうした不公平な税配分は断じて容認できないのであります。既設発電所周辺に対しても、特別の措置を講ずべきだと考えております。通産大臣の御所見をお伺いいたします。  さて最後に、昨今の緊急事態に対して総理にお尋ねをいたします。  今日のゼネスト以前より行なわれた国労や動労の順法闘争等によって、生鮮食料品が急騰いたしております。キャベツの小さいものが三百円、ホウレンソウ一わ百五十円というのが昨晩の値段であります。入荷量が少ないためにさらに急騰必至の情勢であります。今日の緊急事態に対処して、政府は、民間トラックを動員するなどして生鮮食料品を確保する等、非常措置を講ずる必要があろうかと思います。総理の責任ある御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮登壇
  42. 田中角榮

    内閣総理大臣田中角榮君) 小沢貞孝君にお答えをいたします。  まず第一は、省エネルギー産業構造への転換構想等についての御発言でございますが、経済社会基本計画におきましては、エネルギー資源の有限性を強く認識して、その安定供給確保、エネルギーの多様化あるいは電源開発の円滑化等を進めることにいたしておるわけでございます。さらに、資源エネルギー多消費型産業への依存度をできる限り減少させますとともに、他方、いわゆる知識集約産業へのウエートを高めていくことによりまして、全体として省資源、省エネルギー型の産業構造へ転換していく必要性を強調いたしておるわけでございます。  政府としましては、省資源、省エネルギー型産業構造のより具体的な姿、及びその実現のための総合的政策体系の方向などにつきましては、現在鋭意検討を進めておるわけでございます。これらの問題を、経済社会基本計画のフォローアップ作業を通じまして明らかにいたしてまいりたい、こう考えるわけでございます。  原子力の安全性確保についての御言及でございますが、原子力発電の推進にあたって安全の確保が必要なことは、申すまでもないことでございます。政府といたしましては、安全審査の実施、原子炉等規制法の施行等を厳正に行なうことによりまして、かねてから安全の確保には万全を期しておるわけでございます。  しかし、先ほども科学技術庁長官から述べましたとおり、安全性確保に対しては、政府も従来から努力をいたしておりますし、また、世界的な趨勢としましても、原子力発電所は不可避の状態になっておるわけでございます。御承知のとおり、フランスは、新規発電所は全部原子力発電所に切りかえようという計画さえ進めておるわけでございますし、私が訪ソいたしましたときには、旧樺太地区に四百万キロないし五百万キロの原子力発電所を設置して、電力を海底送電線によって日本供給してもけっこうだとさえ言われておるのでございます。  世界的の趨勢はそのようになっておるわけでございますが、しかし、新しいエネルギー開発でございますから、安全性に対しては事情を十分国民にPRをし、国民の理解を得てこのような新しい発電所が進められなければならないということは、申すまでもありません。そういう意味で、従来政府がとってきた安全性のPRに対して遺憾がなかったかということについては、まあ万全でなかったともいい得るわけでございますので、安全性に関する広報活動等については、政府も今後万全の体制で努力してまいりたい、こう考えるわけでございます。  なお、原子力村の建設につきましての御発言がございましたが、確かに、北欧では、原子力発電所の電力を使い、また多量に排出する温排水を使って、特定地域にニュータウンを建設し、冷暖房を供給しておるという理想的なものがございます。現在、柏崎の原子力発電所等につきましても、非常に水分の多い、質の悪い雪がたくさん降るところでございますので、原子力発電所建設の過程においてニュータウンをつくり、理想的な生活環境を確保したいという計画もあるように聞いておるわけでございます。北海道などで原子力発電所がつくられるとすれば、これはいま御指摘になられたような、全く理想的なニュータウンというものを計画できるわけでございますので、これらの問題に対しても、広範な立場で検討してまいりたいと考えます。  最後に、ストによる輸送難で野菜類の価格に深刻な影響があるが、これに対してどう対処するかという御発言でございますが、ストによる交通事情の悪化に対しましては、国鉄からトラックへの振りかえ輸送、それからタマネギ、バレイショなど貯蔵性のある野菜の繰り上げ輸送、野菜価格安定基金が輸入の上、保管をいたしております台湾産のタマネギの緊急放出等の措置を実施しておるわけでございますが、私も、テレビや新聞その他で報道せられておるように、一部において生鮮食料品の急騰等がございますので、関係各省庁を督励しまして、ストによって生鮮食料品等国民生活に影響をできるだけ及ぼさないよう、全力を傾けてまいりたいと存じます。  なお、民間の自動車を動員してなどという御提案もございましたが、そういう必要があれば、遺憾なき処置をとってまいりたい、こう考えます。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  43. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 小沢貞孝さんから、発電所周辺施設の整備のために一般財源を用いないで、目的税を創設したわけはどうか、こういうお尋ねでございます。私は、ごもっともな御質問だと思います。  私、今回の昭和四十九年度予算の編成の過程におきましても、一般財源で用意をすべきだ、こういうふうに考えまして、いっときはそのための財源を留保した、こういう時期もあるのであります。しかし、その後石油問題が起こってくる、そういうような事態に対しまして、いよいよこれは原子力発電等、電源開発に重点を置かなければならぬ、そうしますと、どしどしと電源開発はこれを取り進めなければならぬ、その際の財源というものをどうするか、これは固定的な一般会計の財源でいいかということを考えますと、これはむしろ、道路整備が非常に必要であったあのとき、ガソリン税をそのための特定財源とした、このような手法を用いてまで、この原子力発電というもの、その他の発電を整備しなければならぬ、かように考えまして、特例中の特例というような考え方で、特定財源、しかも特別会計においてこれを収納する、かような考え方をとったわけであります。  なお、その新税の課税対象を電気に求めたのはどうか、こういうお話でございますが、この措置が効果を発して発電所がどんどんと設けられるというようなことに相なりますれば、これは回り回って会社の利益になる、その会社の販売する電気に対して課税することは妥当である、かような考え方に基づくものであります。  次に、電気料金を引き上げるというような際に、この際、電気税を廃止すべきかと考えるが、どうか、こういうお話でございますが、考え方の御趣旨は私もわかります。しかしながら、電気税の廃止、これは地方財政と非常に深いひっからまりがある問題でございますので、廃止というところは、これはむずかしいのじゃないか。ただ、電気税の税率を引き下げるというようなことにつきましては、あるいはこれを実行し得る問題かもしらぬ、さように考えまして、自治省当局と十分相談してみたい、かように考えます。(拍手)   〔国務大臣中曽根康弘君登壇
  44. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 地熱発電の推進については、同感でございます。  地熱発電は、日本では大体二千万キロワットの潜在力があるといわれておりまして、現在稼働中のものはわずかに三万キロワット、建設中のものが十六万キロワットでございますから、日本のこれからのエネルギー源としては、大いに注目して開発すべき部分でございます。  昨年、政府は、三十カ所の基礎調査を行ないまして、ことしはさらに精密調査を進めて開発を促進したいと思っておりますが、現在、国会の議員の皆さま方でこれが促進のための議員立法の議が進められております。われわれは、この議員立法をもしやってくださるということでございますならば、大いに積極的に御協力申し上げたいと思っております。  次に、既設のものについてもっと恩恵を及ぼさないのかということでございますが、この税法は、開発のためのものでございますから、既設のものには及ぼさない。既設のものについては、固定資産税につきまして増加、増収になるように、今回地方税法の改正を試みております。  それから、交付の期間を拡充せよと言いますが、これは着工から完成の間、この税は交付するとしてあります。完成すれば固定資産税が入ってくるわけでございますから、これで適当であると思っております。  なお、周辺整備のために周辺市町村にも均てんを及ぼせという点は、全く同感でございまして、このために、先国会において周辺整備法を提出いたしまして、継続審議になって、いま国会でまた御審議願っておるところでございますが、ぜひこれを至急成立してくださるようにお願い申し上げたいと思っております。(拍手)   〔国務大臣森山欽司君登壇
  45. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 先ほど、総理からきわめて簡潔に御説明がございましたし、また、さきにるると御説明申し上げましたから、この際、重ねて申し上げることは省略させていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、この情勢で参りますと、わが国のエネルギー事情、特に電力事情は、憂慮すべき事態に立ち至るわけでございますから、安全性の問題につきましては従前以上に力こぶを入れてまいりますとともに、原子力発電の立て直しのために万全の努力を期する所存でございます。御支援をお願いいたします。(拍手
  46. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) これにて質疑終了いたしました。      ————◇—————
  47. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 奧野 誠亮君         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         自 治 大 臣 町村 金五君         国 務 大 臣 森山 欽司君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君      ————◇—————