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1974-03-26 第72回国会 衆議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十六日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十九号   昭和四十九年三月二十六日     午後一時開議  第一 地方税法の一部を改正する法律案内閣     提出)  第二 所得税法及び災害被害者に対する租税の     減免徴収猶予等に関する法律の一部を     改正する法律案内閣提出)  第三 法人税法の一部を改正する法律案内閣     提出)  第四 租税特別措置法の一部を改正する法律案     (内閣提出)  第五 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再     建促進特別措置法の一部を改正する法律     の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法     律案内閣提出)  第七 電力用炭販売株式会社法等の一部を改正     する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  日程第一 地方税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第二 所得税法及び災害被害者に対する租   税の減免徴収猶予等に関する法律の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第三 法人税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第四 租税特別措置法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第五 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財   政再建促進特別措置法の一部を改正する法律   の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 臨時船舶建造調整法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第七 電力用炭販売株式会社法等の一部を   改正する法律案内閣提出)  一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣   提出)の趣旨説明及び質疑    午後一時五分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。  金子満広君から、海外旅行のため、三月二十七日から四月七日まで十二日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  日程第一 地方税法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  地方税法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  6. 前尾繁三郎

  7. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方税負担現状にかんがみ、地方財政実情を勘案しつつ、住民負担軽減及び合理化をはかるため、道府県民税及び市町村民税所得控除の額の引き上げ事業税事業主控除額引き上げ中小法人に対する事業税軽減税率適用所得範囲の拡大、小規模住宅用地等に対する固定資産税課税標準特例創設料理飲食等消費税基礎控除の額の引き上げガス税税率の引き下げ、電気説及びガス税免税点引き上げ等を行ない、また、地方税源充実等をはかるため、市町村民税法人税割り及び自動車取得税税率引き上げるほか、地方税制合理化をはかるため所要規定整備しようとするものであります。  本案は、二月二十八日本委員会に付託され、三月五日町村自治大臣から提案理由説明を聴取した後、三月十四日には参考人から意見を聴取するなど、本案はもとより、地方税制全般にわたって熱心に審査を行ないました。  三月二十二日本案に対する質疑を終了いたしましたところ、日本社会党から、住民負担をさらに軽減するため、個人住民税において税額控除を行なう等の措置を講ずるとともに、地方税源充実するため、法人住民税法人税割り税率原案より引き上げる等の措置を講じようとする修正案提出され、井岡委員からその趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、討論を行ないましたところ、自由民主党を代表して住委員は、本案賛成日本社会党提出修正案反対日本社会党を代表して小川委員日本共産党革新共同を代表して三谷委員公明党を代表して小川委員民社党を代表して折小野委員は、本案反対日本社会党提出修正案賛成意見を述べられました。  次いで、採決を行ないましたところ、日本社会党提出修正案賛成少数をもって否決され、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の五党共同提案により、住民税課税最低限引き上げ中小企業者に対する税負担軽減法人事業税所得課税の再検討、事務所・事業所税創設地方税にかかる租税特別措置整理等内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出
  10. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第二、所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案日程第三、法人税法の一部を改正する法律案日程第四、租税特別措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————  所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  租税特別措置法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  11. 前尾繁三郎

  12. 安倍晋太郎

    安倍晋太郎君 ただいま議題となりました租税関係法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、所得税減税、特に給与所得者所得税負担の大幅な軽減をはかり、あわせて税制整理合理化を行なおうとするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。  まず第一に、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現行の二十一万円から二十四万円に引き上げるとともに、扶養控除現行の十六万円から二十四万円に引き上げることといたしております。  第二に、給与所得控除につきまして、控除率を四〇%ないし一〇%に引き上げるとともに、現行定額控除にかえて一律五十万円の最低控除額制度を設け、さらに収入が高額となった場合のいわゆる控除額頭打ち制度を廃止することといたしております。この結果、夫婦と子供二人の給与所得者課税最低限は、初年度ベース現行の百十二万円から百五十万円に引き上げられることになります。  第三に、所得税累進構造を緩和するため、現行課税所得二千万円以下の税率適用所得階級区分を、約一・五倍に拡大することといたしております。  第四に、特別な人的控除である障害者老年者等の諸控除を十六万円に、特別障害者控除を二十四万円に、老人扶養控除を二十八万円にそれぞれ引き上げるとともに、白色申告者専従者控除を三十万円に引き上げることといたしております。  第五に、退職所得特別控除額を、勤続年数二十年までは一年につき二十万円、同二十年超では一年につき四十万円に引き上げ、勤続三十五年の場合の退職金について、税金のかからない限度現行の八百万円から一千万円に引き上げることといたしております。  第六に、貯蓄奨励をはかる見地から、少額貯蓄非課税限度額現行の百五十万円から三百万円に引き上げるとともに、生命保険料控除及び損害保険料控除についても、その控除対象限度額現行の二倍に引き上げることといたしております。  以上のほか、寄付金控除について足切り限度額を一万円に引き下げ、配偶者控除等適用要件である所得限度額を二十万円に引き上げるとともに、寡婦控除適用要件である所得限度額を三百万円に引き上げるなど、実情に即した所要規定整備を行なうこととしております。  さらに、災害被害者負担軽減するため、所得税減免を受けることができる災害被害者所得限度額現行の二倍に引き上げることといたしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、法人税負担適正化をはかるために基本税率引き上げ中小企業の現状にかんがみ、軽減税率適用範囲を拡大するなどの措置を講ずるものであります。  まず、基本税率につきましては、現行は、三五%に租税特別措置法により一・七五%が加算され、三六・七五%になっておりますが、これを四〇%に引き上げることとしております。  第二に、中小法人に対する軽減税率について、その適用所得範囲現行の三百万円から七百万円、ただし、最初の一年間は六百万円に引き上げることといたしております。  第三に、中小企業内部留保の充実に資するため、同族会社留保所得課税の場合の定額控除現行の五百万円から一千万円に引き上げることとしております。  そのほか、中小企業納税手続を簡素化するため、中間申告書提出を要しない税額の限度を五万円から十万円に引き上げるなど、所要規定整備をはかることとしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、当面の経済社会情勢に即応し、おおむね次のような措置を講ずるものであります。  まず第一は、法人税付加税率の廃止と配当課税率引き上げでありますが、さきに申し上げました法人税基本税率引き上げに伴い、現行基本税率に一・七五%を加算することとしている特別措置は、適用期限の到来を待って廃止するとともに、配当課税率について現行の二六%から三〇%、ただし、最初の一年間は二八%に引き上げることといたしております。  第二は、資源の節約、消費の抑制、道路財源充実等のための自動車関係諸税引き上げでありますが、二年間の暫定措置として、揮発油税につきましては、一キロリットル当たり現行の二万四千三百円から二万九千二百円に、地方道路税につきましては、同じく四千四百円から五千三百円にそれぞれ引き上げるとともに、自動車重量税につきましては、営業用自動車を除き、その税率をおおむね現行の二倍に引き上げることとしております。  第三に、既存の特別措置整理合理化をはかることとし、耐火建築物割り増し償却制度等を廃止するとともに、株式売買損失準備金制度について、その繰り入れ限度額を引き下げることといたしております。  また、交際費の損金不算入制度について、損金算入の場合の資本金基準を千分の二・五から千分の一に引き下げて、課税の強化をはかるほか、試験研究費税額控除制度について、その適用基準である試験研究費増加率を一二%から一五%に改めることとしております。  第四に、貯蓄奨励勤労者財産形成及び住宅対策に資するための措置として、少額国債非課税限度を三百万円に引き上げ勤労者財産形成貯蓄非課税限度を五百万円に引き上げるとともに、確定申告を要しない配当所得限度を一銘柄五万円から十万円に引き上げることといたしております。  また、住宅貯蓄控除制度につきましては、勤労者財産形成貯蓄のうち、持ち家取得目的とし、積み立て期間七年以上のものの控除額を、貯蓄額の八%、最高四万円に引き上げ、さらに、住宅取得控除につきましても、その控除限度額を三万円に引き上げるなどの措置を講ずることとしております。  第五に、公害対策に資するための措置として、廃棄物再生利用設備について初年度三分の一の特別償却制度を創設するとともに、中小企業対策として、中小企業者の機械の特別償却制度等について、その適用期限を延長し、伝統的工芸品産業振興準備金制度を創設することといたしております。  そのほか、農林漁業対策として、肉用牛免税対象に、特定の農業協同組合を通じて販売した乳用雄子牛販売所得を加え、宅地対策として、五百万円の特別控除適用対象に、土地等住宅の建設または宅地の造成の目的地方公共団体等に買い取られる場合を加えるなど、所要措置を講ずることといたしております。  以上の三法律案につきましては、参考人を招いて意見を聴取するなど、慎重審査を行ないましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、去る三月二十二日三法律案質疑を終了いたしましたが、法人税法改正案につきましては、山田耻目君外二名から、日本社会党公明党及び民社党の三党共同提案にかかる修正案提出されました。  その内容は、中小法人に対する軽減税率を二三%に引き下げ、受け取り配当等の益金不算入制度を廃止し、寄付金損金算入限度を引き下げ、附則の修正により租税特別措置としての配当課税率を廃止し、交際費課税を強化する等のものであります。  次いで、三法律案及び修正案を一括して討論を行ないましたところ、自由民主党を代表して小泉純一郎君は、三法律案賛成し、修正案反対する旨を述べられ、日本社会党を代表して塚田庄平君、日本共産党革新共同を代表して小林政子君、公明党を代表して広沢直樹君、民社党を代表して竹本孫一君は、いずれも、三法律案反対し、修正案賛成する旨を述べられました。  続いて、採決いたしましたところ、三党共同提案にかかる修正案は少数をもって否決され、三法律案は多数をもって可決すべきものと決しました。  なお、所得税法等改正案及び租税特別措置法改正案につきましては、医療費控除については、いわゆる足切り限度額昭和五十年度の税制改正において引き下げ、負担軽減をはかるべきこと等、七項目にわたる自由民主党日本社会党公明党民社党の四党共同提案にかかる附帯決議全会一致をもって付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三案につき討論の通告があります。これを許します。塚田庄平君。   〔塚田庄平登壇
  14. 塚田庄平

    塚田庄平君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました政府提案租税三法案に反対する討論をいたします。  まず、所得税法についてでありますが、政府は、このたびの改正減税規模を一兆四千五百億とし、空前の減税であるとして誇っているが、その内容を明らかにすると、後に述べる法人税法と同様、相変わらず高額所得者には有利に、勤労大衆一般給与所得者に対してはスズメの涙ほどの減税でその場を糊塗しようとしておるのであります。  第一に、今回の改正で、人的控除、つまり基礎控除配偶者控除扶養控除をそれぞれ二十四万円に引き上げましたが、給与所得控除については、いままでの七十六万円の頭打ちをなくし、収入額増加に伴い控除額も高まるといった仕組みで、その結果、標準家族で年収二百万円の場合四万五千円の減税になりますが、一千万円になりますと九十一万円の減税、つまり、所得は五倍になって減税は二十倍になる計算になります。こんな調子でどんどん累進する、まさに天井知らず重役減税であるのであります。  国民は、いま、重税感を従来にない重みをもって感じております。重税感の最も大きな要因は、負担の不公平ということであります。殺人物価の荒波に、勤労所得者生活の維持に四苦八苦し、反面、高額所得者あるいは金利配当生活者がばく大に減税される税制に、きょうも国民は大きな怒りを爆発させておるのであります。  給与所得者重税源泉徴収制度という税制上の差別的取り扱いに対する戦いの中で主張している必要経費の要求を逆手にとり、一方で、給与所得控除性格を明確にしないこの減税方式は、まことに悪質な税制改革といわざるを得ないのであります。(拍手)  第二に、標準世帯課税最低限を百五十万円に引き上げることで、欧米諸国の水準に比較しても決して低くなく、低所得層には大きな減税効果があると宣伝はいたしておりますが、次のような勤労者生活実態から見るならば、依然として税負担は重いことには変わりないのであります。  すなわち、昭和四十八年の家計調査報告では、実収入の伸びは一九・七%だが、勤労所得税は実に三七・七%も負担増加となっているように、名目所得上昇をはるかに越える税負担、さらに、政府一月統計により、勤労者実質賃金がマイナス四%を記録しているようなインフレ収奪の進んでいる中では、この課税最低限は、とうてい勤労者最低生活をまかなえるものではないのであります。  次に、法人税について反対意見を申し述べます。  いま、わが国税制改革主要課題となっておる企業課税のあり方や、法人税負担強化についての基本認識を欠き、企業は悪だという国民の怨嗟の声にこたえることなく、相変わらず企業優先財界奉仕改正案がその内容なのであります。  第一に、このたびの改正法人税基本税率を四〇%に引き上げましたが、これは現在の経済情勢ではきわめて不十分であり、少なくとも昭和二十七年朝鮮動乱当時の税率四二%に直ちに引き上げるべきであります。特別措置を考え合わせますと、実際の税負担割合は、四十八年の資料より推算しましても、平均三五、六%に終わることは確実であります。諸外国に比べてまだまだ低いといわざるを得ないのであります。  第二に、依然として配当課税率の存続を認めておることであります。  周知のように、配当課税率の採用は、昭和三十六年、所得倍増計画初年度に行なわれ、高度成長政策一つのてことして設けられたものであります。企業優遇税制からの脱皮のためには、基本税率一本化こそ必要であり、税率四〇%への引き上げだけで免罪されるものでは決してないのであります。  第三に、配当分の二八%の経過措置については、各野党より委員会の審議を通じて何度も指摘されたように、まさに財界の圧力に屈服したものであり、政界と財界との癒着ぶりをまざまざと見せつけられた一幕であります。  大企業ほど配当性向が高いから、この二%の軽減によって、財界は数百億にも及ぶ減税の恩典を受けるわけであります。インフレ物価殺人物価生活を圧迫されておるインフレ弱者に対しては、政府生活保護世帯など約七百万人にインフレ手当総額百二十億円程度の支出をするということでありますが、一人当たり約二千円にすぎません。企業への奉仕ではなく、低劣な社会保障制度のもとで呻吟しておる人々にこそ、政府はあたたかい手を差し伸べるべきであります。財源がないのではなく、あるところから取り、求めておるところに与えない誤れる税制の悪用が社会の不公正を拡大しておるのであります。法人受け取り配当益金算入等措置の温存ともあわせて、まさに大企業に振り回されておる姿に怒りさえ感ずるものであります。この際、このような優遇措置を全廃すべきであると強調します。  次に、租税特別措置について反対意見を申し述べます。  第一に、悪名高いこの特別措置については、隠れた補助金といわれ、税制を乱し、税負担の公平をおかすもので、税制調査会においてもしばしばその整理を答申しておるにもかかわらず、現在その項目は百五十二を数え、税務当局ですらその実態を完全に把握ができずに、まさに税制上の聖域化しておる観を呈しております。それだけ企業にとってのメリットの大きい減免税措置なのであります。いま、いわゆる企業超過利得について税制でこれを吸い上げることを検討中ですが、あわせて、超過利得源泉ともいうべきこの特別措置の画期的な整理を断行すべきであります。もしかりに残すものがあるとするならば、それは中小企業体質強化に役立つものにとどめ、大企業向けと目されるものは全廃することであります。  第二に、本年は特別措置による減収額五千二百億、これは将来の偶発的な損失や不確実な支出に備える単純な利益留保分である諸準備金、なかんずく、価格変動準備金のように、明らかに売り惜しみ奨励準備金性格を持っておるものも含まれておりまして、私どもの絶対に容認できないものであります。  なお、政府特別措置による減収調べの中で、交際費課税増税となっておるのでありますが、減税分を少し減らしたからといって、それを増税と見るのは、国民を欺瞞するもはなはだしいといわざるを得ないのであります。交際費は、四十八年度決算では一兆五千億をこえるものと思います。国民には節約を強調しながら、反面、商取引の上からも不生産的浪費であり、諸悪の根源である交際費につき特例を設ける措置は、すみやかに廃止すべきであると主張いたします。  第三に、社会保険診療報酬特例措置で一千億円も減税となっておりますが、経費の七二%は、必要経費を認められない給与所得者にとっては、全くがまんのならない不合理なものであります。まして、国税庁の実態調査によりますと、実際の経費率平均五四%余りというのでありますから、税の公平は完全に無視されているのであります。その上、この特別措置が特に実現しようとする政策目的を持っておらず、かつて診療費単価改定が行なわれたときの政治的妥協の産物であり、点数単価改定と税の軽減とを引きかえにするというのは、まことに国民を愚弄するもはなはだしいと思うのであります。(拍手)  第四に、特別措置として、自動車関係諸税引き上げを二年間の暫定措置として実施するのは、現在の第七次道路整備計画日本列島改造計画の支柱の一つであり、道路中心公共事業投資に固執した政策の推進にほかならないのであります。  最後に、福田蔵相みずから、土地成金の発生と法人土地投機に道を開き、田中総理もまた、日本列島改造計画でそれをあおり、国民にはきびしい物価高と住宅難をもたらした戦後最悪の税制ともいうべき土地税制に対しては何ら手を触れることなく、次年度以降に問題を残しただけなのであります。土地取引額は年間十兆円をこえるとの推計もあり、それが国民総生産の水ぶくれ的急膨張をもたらしておるのであります。租税特別措置の最大の欠陥の証左こそ、まさに土地特別税制であると言って過言ではないのであります。  総理及び大蔵大臣は、それぞれ所信表明あるいは財政演説の中で、正直者がばかをみない社会、物と金とエゴの支配する時代を脱して、人間味にあふれた新しい社会建設を強調しておるのでありますが、それには、まず、大企業を不当に優遇し、資産所得者に甘い現行税制の不合理、不公正を改め、勤労所得者にこそ大幅な減税をやることがまず第一であるということを特に強調いたしまして、私の討論を終わりたいと思います。(拍手
  15. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。  三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  16. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第五 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案内閣提出
  17. 前尾繁三郎

  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。運輸委員会理事佐藤守良君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔佐藤守良君登壇
  19. 佐藤守良

    ○佐藤守良君 ただいま議題となりました両案につきまして、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、現下の物価情勢にかんがみ、物価の抑制に資するための施策の一環として、国鉄運賃改定の実施期日を昭和四十九年三月三十一日から同年十月一日に延期しようとするものであります。  本案は、三月十九日本委員会に付託され、翌二十日政府より提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、三月二十二日質疑を終了いたしました。  同日、本案に対し、日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の四党共同提案をもって、第七十一回国会において成立した国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律による国鉄運賃の改定を行なわないこととすることを内容とする修正案提出され、その趣旨説明を聴取した後、原案及び修正案を一括して討論に付し、自由民主党から、原案賛成修正案反対日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党から、原案反対修正案賛成意見が述べられ、採決の結果、同修正案少数をもって否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、本法の有効期限が昭和五十年三月三十一日限りとなっているのを改め、今後とも国内船と輸出船の建造調整をはかり、わが国商船隊の整備の円滑な遂行に資するため、船舶の建造についての調整を行なわなくとも、わが国の国際海運の健全な発展に支障を生じなくなったとき、すみやかに本法を廃止することとするものであります。  本案は、三月一日本委員会に付託され、三月十三日政府から提案理由説明を聴取し、同十九日質疑に入り、二十二日質疑を終了した後、本案討論に付し、自由民主党から賛成日本共産党革新共同から反対意見が述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  20. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第五につき採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  21. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第六につき採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  22. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第七 電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案内閣提出
  23. 前尾繁三郎

  24. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。石炭対策特別委員長田代文久君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔田代文久君登壇
  25. 田代文久

    ○田代文久君 ただいま議題となりました電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案につきまして、石炭対策特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、石炭対策における諸施策がなお継続して実施されている実情にかんがみまして、本年三月三十一日に廃止期限の到来する電力用炭販売株式会社法、石炭鉱業経理規制臨時措置法、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の三法律の有効期間を三年間延長して、昭和五十二年三月三十一日に改めるというものであります。  本案は、去る二月二十二日当委員会に付託され、二月二十五日中曽根通商産業大臣から提案理由説明を聴取し、以来、慎重に審査を重ねてまいりましたが、昨二十五日質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  26. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  一般職の職員の給与に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出
  28. 森喜朗

    ○森喜朗君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  29. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     ————————————— 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  31. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 委員長報告を求めます。内閣委員長徳安實藏君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔徳安實藏君登壇
  32. 徳安實藏

    ○徳安實藏君 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、本年三月十八日付の教員給与の改善に関する人事院勧告を、その勧告どおり、本年一月一日より実施するため、所要改正を行なおうとするものであります。  本案は、三月二十二日本委員会に付託され、三月二十六日政府より提案理由説明を聴取し、直ちに質疑に入り、これを終了、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  33. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  35. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案について趣旨の説明を求めます。通商産業大臣中曽根康弘君。   〔国務大臣中曽根康弘君登壇
  36. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 石油開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  石油開発公団は、創立以来六年余にわたり、海外における石油、可燃性天然ガスの探鉱資金の投融資業務、開発資金の債務保証業務等を通じ、文字どおり海外石油開発の中核的推進母体となって活動してまいりました。  昨年来の石油危機に直面いたしまして、石油の安定供給の確保がわが国国民経済の円滑な運営の前提であることをあらためて痛感したわけでありますが、この安定供給の確保をはかる方策として最も効果的なものは、言うまでもなく、わが国企業による自主開発の推進であります。  政府といたしましては、この自主開発の推進役である石油開発公団の役割りの重要性にかんがみ、来年度におきまして、その投融資規模の拡大、融資金利の大幅引き下げ等質金面での強化をはかるとともに、業務の範囲を拡大し、石油開発の一そうの推進をはかることとした次第であります。  この法律案は、石油開発公団の業務の範囲の拡大を目的とするものでありますが、その要旨は次のとおりであります。  第一に、石油開発公団の業務に、産油国国営石油会社が行なう探鉱、採取等に必要な資金を供給するための資金の貸し付けを加えることであります。  近年、産油国は、資源主権の見地から、有望鉱区をナショナルリザーブとして確保し、これを国営石油会社の手で自主開発する方式をとることが多くなってきております。このため、わが国としても、今後、このような自主開発に協力し、見返りに石油の供給等を受けるという方式をとることがぜひとも必要でありますので、そのための融資を、石油開発公団の業務として追加するものであります。  第二に、「石油等」の範囲にオイルサンド及びオイルシェールを含ましめることといたしております。オイルサンドやオイルシェールは、石油をしのぐ埋蔵量を有する石油系の未利用資源として注目され、特に、最近の原油価格の高騰によって、その開発の経済性が現実のものとなってまいりました。  このため、わが国としましてもぜひともその開発を急ぐ必要がありますので、石油開発公団の業務の対象となります「石油等」の範囲にこれらを含ましめることとするものであります。  第三に、わが国の領海と周辺大陸だなにおける探鉱を、石油開発公団の投融資の対象とすることといたしております。  わが国周辺大陸だなは、最も安定的で、かつ、将来性の見込まれる石油、可燃性天然ガスの供給源であり、今後急速にその開発を進める必要があります。  このため、現在では目的達成業務として助成対象となっております大陸だなにおける探鉱を、石油開発公団の本来の投融資対象として明確にするとともに、従来対象外とされていた領海内における探鉱についても、石油開発公団の投融資対象とするものであります。  以上が、石油開発公団法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  37. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岡田哲児君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔岡田哲児君登壇
  38. 岡田哲児

    ○岡田哲児君 私は、日本社会党を代表し、石油開発公団法の一部を改正する法律案について、当面する石油問題と、今後の総合エネルギー政策などを含めて、総理をはじめ関係閣僚に対し質問をいたします。  中東戦争を契機としたいわゆる石油危機は、石油が国民生活と産業活動をささえてきた基礎資源であるだけに、しかもその九九・七%を輸入にたよってきたわが国であるだけに、そのショックもまた大きかったのであります。だが、この石油危機はつくられたものであります。すなわち、ベトナム戦争以後、支配体制強化のためにアメリカの打った世界戦略で、まさに仕掛け人はニクソン政権とメジャーであったと思います。だが、その結果は、ガットやIMF体制に亀裂と混乱を生じさせ、その持てる機能をなくしてしまったのでありますから、この仕掛けはまさに失敗したといえます。  一方、産油国は、テヘラン協定を一方的に破棄したように、メジャーにかわって原油価格の決定権を握り、いずれにしてもOPECの力が今後より以上に強くなってくることは間違いありません。そして供給制限、価格引き上げなどが、戦略として繰り返し行なわれるであろうと思います。メジャー等の情勢によって、わが国の政治経済が振り回される危険と可能性がまた強くあると考えるのであります。石油問題は量や価格でもありますが、その本質は南北問題であり、産油国の立場からその国の政策をよりよく理解することにあると思います。  いまこそ、右顧左べんすることなく、日本の立場を明確にする必要があります。メジャーの再建ではなく、産油国を中心として、ヨーロッパ諸国と日本が横並びに立った形で、しかも国際協調を土台にした新しい外交路線を引き、それに沿った外交を展開すべきだと考えております。  このような見方、考え方に対して、政府の見解とその方針を明確にしていただきたいのであります。(拍手)  GG原油については、最近イギリスとイランの政府間協定を見ますと、予想よりも安い一バーレル七ドル二十セントで取引が行なわれております。いずれにしても、二国間取引は時の問題であります。また、DDオイルについても、国際情勢に左右されやすいとか、価格が高いとか、一部には声がありますが、それは従来のことでありまして、産油国間に取引原油が増加するであろうことが今後考えられますと、DDオイルの取引比率は一そう増大することは確実であります。DDオイルあるいはGG原油ともに、二国間取引に積極的に乗り出すべき情勢は熟しているのであります。  同時に、これらに対応する国内体制を整備しておくことが必要だと考えるのでありますが、これらについて答弁を求めるものであります。  次は、安定確保であります。  この法律昭和四十二年にできたのでありますが、四十七年に一部を改正、また今回二年足らずで再度の改正が提案されているであります。私は、何回改正されようと、それ自体を問題にしているのではありません。今日の激動する石油事情に対し、政府の適応に欠けた政策であること、見通しの甘さ、一貫した施策のないこと、これはまさに政府の責任として追及するものであります。私は、どろなわでなく、将来に悔いを残さないようにするために、この際、石油開発公団を石油公団に改組をして、単なる融資の機関でなく、利権も含め、探鉱、開発の一元的な実施の主体とするとともに、輸入、備蓄、精製、販売までの一貫体制を確立することこそが安定確保の基本だと考えております。(拍手)  改正案の中に、産油国への直接融資をする、いわゆる融資買油方式の提案があります。この取引体制は一体どうするのですか。当然、二国間取引の国内取引体制からしましても、公団自体にその取引機能を持たせるべきではないかと考えるのであります。このような体制は、フランスをはじめ、西ドイツ、イタリア等、すでに先進資本主義諸国でも多く見ることができるのであります。何ゆえにわが国でできないのか、理解に苦しむものであります。問題は、安定した確保をするためには、継ぎはぎでないわが国の石油組織機構を確立することにあると思います。これには予算が伴うものと思いますので、特に総理、大蔵、通産各大臣より納得のいく答弁をお願いする次第であります。  次は、開発についてであります。  今日の石油事情は、豊富で安い安定供給確保は期待できません。しかも、今後当分の間、エネルギーとして石油にたよらなければならないことは、だれしも否定できないところであります。わが国は、世界最大の消費国であるにもかかわらず、安易な輸入にたより、自主開発を全くサボってきたことは重大であります。一九七一年、各国の開発投資を見ますと、アメリカは二十九社で一兆七千二百億円、イギリスは二千百十二億円、フランスは二社で五千四百億円、イタリアは一社で六百八十六億円です。それにもかかわらず、わが国は、五十数社で四百九十四億円で、イタリアの一社よりも低いのであります。これだけ見ましても一目りょう然、政府の責任はまさに重大で、弁解の余地はないと思うのであります。  世界の油田発見率は一・五%といわれ、シェルがナイジェリアで二十年間も掘り続けて初めて発見をしているように、開発にはたいへんな費用がかかるのであります。一つ掘るのに十億円もかかり、的中率も低く、リスクが大きいのであります。すなわち、巨額な探鉱資金、高度な技術力の集中投入、情報の収集と分析力、長期に耐える持久力、先進国ですら、その国の持てる総力を結集して開発をしているのであります。それにもかかわらず、わが国は五十数社がばらばらにプロジェクトを組む方式であります。これでは企業間の利権争いや総力の分散で、開発体制に逆行するものと思います。(拍手)自主開発に力を入れて成功させるためには、わが国でも国際石油資本のような活動機能を持った企業体系にする以外はないと考えております。すなわち、開発に関連する企業を統合させ、集約化し、それに精製部門との一貫化をはかり、活動機能を持たせた企業体系をつくることでございます。関係大臣の答弁を求めるものであります。  次は、備蓄についてであります。  現在、四十九年末で六十日分の備蓄を確保することになっておりますが、これでもEC諸国と比べて著しく少ないのであります。さらに、四十六年、備蓄について抜本的施策の確立が本院で決議されているのでありますが、今日まで政府は一体何をしてきたか。その施策、方針を明らかにしていただきたいのであります。  現在、増加分を融資によって民間企業に分配備蓄をしておりますが、最近のような激しい価格の変動、コストへのはね返り、備蓄タンクの立地難、非常時の放出などを考えますと、今後、民間だけでの備蓄ではますます困難になると思います。また、わが国の大陸だなの石油埋蔵量は八億トンと推定されております。十分期待のできる国内資源であります。私は、この探鉱、開発とあわせて、一部適切なところにタンクによらない備蓄として確保することができると考えております。すなわち、国内石油資源は、備蓄としての発想、位置づけをすることを提起したいのであります。私は、備蓄こそ最優先に国が行なうべきで、この管理運営は公団が当たることが最も適当であると考えるのでありますが、これについて答弁を求めるものであります。  次に、価格についてであります。  従来、価格は、通産省と石油連盟による価格協定によってきめられてきました。ことに、石油危機を過大に演出し、値上げ先取りのやみカルテルを結び、公取から独禁法違反として告発されました。政府は、このような中で、あわてて行政指導に名をかり値上げを行なったのであります。もともと、行政指導は法的根拠もなく、官僚独善の措置で、まことに不明朗であります。かりに行なうにしても、昨年末成立した石油二法による標準価格によるべきで、このようなことは憲法違反、国会無視であります。しかも、本来の性格上、石油は電気やガスと同じであります。よって、料金も、電気、ガス料金と同じ認可制が適当であると考えるのでありますが、政府の答弁を求めるものであります。(拍手)  なお、この際、石油価格の見通し、石油製品価格への転嫁のあり方、やみカルテル、不当販売方法など、企業モラルのあり方、石油元売り会社の規制、石油業法の見直しなどについて、政府の考え方を明らかにしていただきたいのであります。  次に、総合エネルギー政策として、代がえ資源の開発と省エネルギー化についてであります。  このことは、緊急重要な政策課題であります。政府政策をお尋ねするところでありますが、私は、省エネルギー化の転換への基本は、公害、環境破壊に通ずるものを削減していくという選択的政策を実施していくということであります。たとえば、輸送体系の中で、効率の高い鉄道、バス、モノレール等を優先させ、効率も低く、しかも大気汚染に通ずる乗用車を規制する、また、自動車道路投資などは大幅に削減するといったようなことであります。石油化学につきましても、合成洗剤は粉石けんに、合成繊維は天然繊維に、プラスチック容器はガラスびんに、合成化学包装、食品添加物、化学肥料などについては、これをつくらせないというように、石油の使用を少なくすると同時に、公害、環境を守ることが重要だと考えているのであります。  政府のこれらについての施策の具体的ななされ方と同時に、この際、これを含め、総合エネルギー政策とその決意について明確に回答をしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  39. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 岡田哲児君にお答えいたします。  まず第一は、国際石油情勢と外交のあり方についての御発言についてでございますが、今回の石油危機は、昨年十月の中東紛争を契機として発生したものでございますが、その背景としては、一九六〇年代から七〇年代における石油需給事情の変化、石油エネルギー需要の急速な増加や、原子力エネルギー、核融合エネルギー等石油にかわるエネルギー利用の促進、開発の状況等、種々の要因が重なっていると考えられるのであります。  いずれにいたしましても、現下の石油情勢は、単にエネルギー問題にとどまらず、世界の経済、貿易、通貨に大きな影響を与える問題となっておるわけであります。しかも、その解決は一国のみでは困難でございまして、産油国、消費国が調和ある関係の樹立にそれぞれ努力して初めて達成されるものであります。  わが国としては、かかる観点から、ワシントンでのエネルギー会議及びその後の会合に参加をしておる次第であり、今後とも産油国との実りある対話の実現につとめてまいる所存であります。  次は、開発公団を石油公団とせよとの御趣旨のようでございますが、石油開発公団は、設立以来、民間企業に対する探鉱投融資、債務保証等の業務を行ない、わが国の海外石油開発の中核的推進母体として活躍をしてまいったわけであります。  公団みずから利権取得をなし、探鉱、開発、輸入、備蓄、精製、販売まで一貫して行なうような機関に改組せよという御提案につきましては、政府と民間との分担体制のあり方を含む石油政策全般にかかわる重要な問題でございますので、慎重な検討を要するものと考えておるのであります。このため、現在、総合エネルギー調査会において進められております石油政策の見直しの一環として、本問題についても検討を加えていきたいと考えております。  次は、自主開発の推進についての御発言についてでございます。  わが国の海外石油開発は、アラビア石油株式会社のように先駆的な例はございましたが、従来、原油市場が供給過剰ぎみに推移をしていたこと、わが国石油業の経営基盤が脆弱であったことなどもございまして、自主原油開発に着手する時点が、他の先進国に比しおくれたことは事実であります。昭和四十二年に石油開発公団が設立せられて以来、石油の探鉱のため八百四十八億円にのぼる投融資を行なってきたわけでございますが、一般に石油探鉱には長期間にわたる努力を要し、かつ、探鉱から生産開始までの期間も長いため、これらの開発努力の成果が十分あらわれるのはなお将来のこととなるわけであります。  政府としましては、今回の石油危機を教訓として、今後自主開発の推進のため一そうの努力を傾けてまいりたいと考えておるのであります。  次は、政府の備蓄政策についての御発言でございますが、政府は、これまで四十九年度末までの三年間で十五日分原油備蓄を増強し、六十日分保有することを目途に、その達成につとめてまいったわけであります。  昨年末の石油危機に際し、この民間備蓄を取りくずし、石油の安定供給につとめてきたことは、御承知のとおりであります。  したがって、当面目標の六十日分の備蓄を確保することに全力を傾けてまいるつもりでございますが、今後の石油備蓄のあり方等につきましては、現在、総合エネルギー調査会に検討を依頼しておりますので、その結果をまって政府の施策をきめてまいりたいと考えております。次は、石油の価格を法的根拠に基づく認可制にせよという御趣旨の御発言でございますが、石油製品の価格につきましては、今回行政指導を行なうことといたしましたのは、国際石油情勢の激変に伴い原油価格が急騰した実情を受けて、その国内物価への影響を最小限にとどめるために、緊急対策として行なったものであります。石油製品の価格対策は、石油をめぐる内外情勢が鎮静化するに伴い、一部国民生活に密接な関連を有するものについての配慮は残しますとしても、人為的な価格介入は極力避けて、正常な市場機能による価格形成に復することが望ましいと考えておるのであります。  残余につきましては、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)   〔国務大臣大平正芳君登壇
  40. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑は、石油資源の有利かつ安定した確保をはかるためには、メジャー中心からOPHC中心に政策を転換すべきでないかという意味の御質疑でございました。  石油危機につきましては、総理からお話がございましたように、資源主権が強まってまいりましたことが直接の動機ではありますけれども、その背景には、石油の需給関係が緊張してまいり、石油の需要が急速な増大を見たことを忘れてはならぬと思うのであります。また、御指摘のように、通貨や貿易その他世界の経済秩序を乱す要因になっておることも見のがしてはならぬと思うのであります。したがいまして、単に、お説のように、メジャーかOPECかというような二者択一的な選択で問題が片づくような事態では私はないと思うのであります。  したがいまして、総理からも御指摘がありましたように、これからの資源、石油外交のあり方といたしましては、第一に、資源保有国と資源消費国との間の調和ある関係を確立してまいることが第一だと思うのであります。  第二には、エネルギーの保存、節約、代替エネルギーの開発等で精力的に国際協力を進めなければならぬということだと思うのであります。  それから第三には、貿易政策、通貨政策等での世界的な協力にわれわれも積極的に参加する、そういう点から精力的に外交を進めて国益を守らなければならないと考えております。(拍手)   〔国務大臣稲田赳夫君登壇
  41. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  石油開発公団を石油公団というふうな名前に改め、輸入や備蓄、精製、販売を含めて一体体制をつくるべきではないか、さような御質問でございますが、この考え方は、産業政策上も、また財政政策上も、これはかなり問題があり、慎重に検討しなければならぬ問題かと、かように存じます。総合エネルギー調査会で、その討議の一環といたしまして十分慎重な論議を重ね、石油産業体制はどうあるべきか、こういうような角度から結論を出すべき問題である、かように考えております。  次に、従来の石油の自主開発に対する財政的措置は不十分ではないか、かような御所見をまじえての御質問でございますが、確かに、私は、いままでの自主開発努力というものは立ちおくれておる、こういうふうに思います。とにかく安く豊富な石油が自由に入ってくるという体制であった、それにあまり依存をし過ぎた、こういう面があることは、私は否定し得ないと思うのです。しかし、時局は非常に変わってきておる。その変わった時局を踏まえまして、自主開発への努力、民間におきましても、また政府におきましても、相協力してその努力の方向を強化しなければならぬ、かように考えております。現に昭和四十九年度予算におきましても、大幅に石油開発公団の投融資の規模の拡大を行なっておる次第でございます。  次に、石油備蓄は民間にたよらずに国が行なうべきだと、こういうような御所見でございます。いまは、申すまでもございませんけれども、民間が主体になって行なっておる、国がこれを助成しておるという体制でございます。すなわち、民間の行なう備蓄設備資金融資に対しまして開発銀行が融資する・また、民間の備蓄原油代金融資につきまして石油公団が利子補給をする、そういう形でやっておりますが、はたしてこれで十分であるかどうか、さような問題につきましては、これもまた、これからの石油産業体制をどうするかという問題を審議する総合エネルギー調査会の審議の対象とし、結論を出すべき問題である、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣中曽根康弘君登壇
  42. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) メジャーにたより過ぎないで自主開発を強化せよという御提案には賛成でございます。ただ、国際性の非常に強い商品でございますから、にわかに、急角度に変えるわけにはまいりません。一面においては、値段がどうであるかということ。いわゆるDDオイルというものはかなり高いのであります。これは入札でやるから結局高くなっているわけです。もう一つは、国際協調という面から、国際協調を乱すということは、日本に対して国際的非難が出てまいります。そういう点を慎重に考えながら、二国間取引もあわせて行ないつつ、日本の自主性のある原油の獲得にさらに努力してまいりたいと思っております。  第二に、受け入れ体制の問題でございますが、これは、民間を主体にした受け入れ体制を持続していくべきであると思います。ただこの場合に、民間が利権ほしさに醜い競争を現地でやったり、足の引っぱり合いなんかがございましたり、あるいは、備蓄の問題につきまして国家がもっと乗り出すという必要性もございます、こういう点につきましては、政府もこれを改革するように努力していきたいと思います。  公団法の改正については、ただいま総理からも御答弁がございました。総合エネルギー調査会の答申をまって、よく検討してみたいと思います。販売や精製までやることはどうかと思いますけれども、石油公団がもう少し積極的な仕事をさらにやり得るということは、御示唆に富む提案であると考えます。  それから、備蓄の問題でございますが、この点もすでに御答弁がございましたので簡単に申し上げますが、大体六十日を目途にやってまいりました。それがやや達成されたときに石油危機が起こりまして、四月の末ではこれが約四十七日の備蓄に減退をいたします。これをいかに回復するかということがわれわれの次の課題でございます。  値段の問題につきましては、先般石油価格を上げましたが、われわれが一番苦心しましたのは、この十一月、十二月にかけて石油企業が先取りでもうけたと思われるお金をいかにして完全にはき出させるかということと、あまり安くし過ぎますと、外国からの石油供給が減退いたします。これではまた心理的パニックが起こります。それをいかに調和させて、そして物価抑制に協力できるような石油の値段をきめるかという点が、一番努力した点でございます。今後ともわれわれは、石油製品をはじめ、石油の値段につきましては、極力抑制を持続していくつもりでございます。  それから、行政指導の問題でございますが、この点は、可能な限り標準価格等に移行する努力もいたしたいと思いますけれども、石油の値段については不安定的な要素がまだ多々ございます。一つは為替相場であります。二百九十円という、過去三カ月の平均を基準にして今度の石油の値段をきめましたけれども、いま、二百八十円前後に為替が強くなっている場合もありますし、三カ月後の先物は三百円という安値になっております。したがって、為替相場をどう見るか。十円為替相場が違いますと、キロリッター六百円の差が出てまいります。そういうポイントが一つ大きな問題でございますし、最近また産油国が追徴金を要求してきております。サルファの少ないミナス原油は十ドル八十セントでございましたが、十四ドル近くの値段を最近追徴されてきつつあります。そういうような意味で、まだ基礎が必ずしも安定しておりません。そういう意味からも、行政指導価格でいくことはやむを得ないと思っております。  最後に、エネルギーの問題でございますが、総合エネルギー調査会におきまして、今後の日本のエネルギー供給及びバランスをどうするかということを検討してもらっております。必然的にこれは日本の産業的なセキュリティーの問題も十分考えなければならぬということでございまして、石炭あるいは水力の見直し、原子力の強化、あるいはオイルシェール、オイルサンドにまでも日本が資源的手配をする、そういうことが必要になってくると思います。いずれにいたしましても、総合エネルギー調査会の検討をまちまして政策をきめていきたいと思います。(拍手)     —————————————
  43. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 小宮武喜君。   〔小宮武喜君登壇
  44. 小宮武喜

    ○小宮武喜君 私は、民社党を代表しまして、ただいま趣旨説明のありました石油開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、内閣総理大臣並びに関係諸大臣に対し、数点にわたり質問を行なうものであります。(拍手)  私は、まず初めに、今回の石油危機をもたらした政府の政治責任を追及いたしたいと思います。  わが国の一次エネルギーは、実に七三%が石油によって占められており、しかも、その石油は九九・七%を海外に依存し、わけても中東地域に八〇・七%も依存しているのが現状であります。加えて、中東地域は、イスラエルとアラブとの対立、それにからむ米ソ中などの思惑など、きわめて政情の不安定な地域であります。このため、一九五六年には、スエズ動乱によるスエズ運河の閉鎖や、六七年の中東六日戦争に伴うアラブ諸国の欧米向け石油輸出禁止が行なわれた経緯もあります。  したがって、政府は、わが国が欧米諸国に比べて中東地域に大きく依存している現状にかんがみ、当然、万一の場合に備え万全の対策を講じていなければならなかったはずであります。しかるに、政府は、最も重要な中東の石油情勢ですら、全く民間の情報にたより切ってきたのが現状であります。こうした政府の姿勢が、つくられた石油危機という事態をもたらし、必要以上に国民生活を大混乱におとしいれたと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  政府は、これに対していかなる反省をしておられるか、今後どのような政策を具体的に展開する方針であるのか、お伺いいたしたいと思います。  これに関連して次にお伺いしたいのが、エネルギー政策のあり方についての政府の見解であります。  歴代自民党政府は、高度経済成長を遂行するため、国内資源の開発育成を無視し、もっぱら経済性を無視したエネルギー供給構造体制をつくり上げてきたと言っても言い過ぎではないと思います。この結果、わが国の貴重な国内資源である水力、石炭は全く顧みられず、逆に石炭に至っては減産をしいられ、一方的に閉山が進められてきたのであります。これは、石炭のガス化によって国内資源である石炭をクリーンエネルギーとして積極的に活用してきた西ドイツと対照的な施策といわざるを得ません。しかも、政府は、石油がエネルギーの中心となった以後も、金さえ出せばいつでも買えるという姿勢に終始し、長期的な展望に立ったエネルギー政策の確立を怠ってきたのであります。こうした政府の姿勢が、民間において資源買いあさりの傾向に拍車を加え、資源保有国の反発を受ける原因になっていたのであります。  現在、政府においては、水力の再開発、石炭の見直しなど、総合エネルギー政策の確立作業を進めていると聞きますが、今後いかなるエネルギー供給構造が望ましいと考えておられるのか、具体的に長期的展望に立った方針を明らかにしていただきたいと思います。  同時に、今後のエネルギー政策は、従来の高度成長を目ざす産業優先の供給体制から、福祉国家建設のための国民生活向上に資する供給体制へ、根本的に転換しなければなりません。しかし、資源エネルギー庁が通産省内に設けられていること等を考えますとき、依然として政府のエネルギー政策は産業優先で進められていると言っても過言ではありません。  この際、資源エネルギー庁を昇格独立させ、名実ともに国民生活向上のためのエネルギー政策を確立する方針を打ち出すべきだと考えますが、資源エネルギー省を設置する考えがあるかいなかをお伺いしたいと思います。  次に、今後の石油の需給見通しについてお尋ねします。  いまや石油は高価格時代に入ったのであります。したがいまして、従来のように年率二〇%をこえるという石油の大量消費に歯どめを加えなければなりません。そこで、政府は一次エネルギーに占める石油の割合をどの程度までに押える方針であるのか、その目標と、それを達成するための具体的施策をこの際明らかにしていただきたいのであります。  次にお尋ねしたいことは、供給地域及び供給手段の多様化についてであります。  御承知のとおり、わが国は、石油供給の大部分を中東地域に依存し、しかも、六三・七%をメジャーの供給にたよっております。こうした供給構造は、石油の安定供給を確保する上できわめて不安定な要因となっております。  そこで、まず、供給地域の分散化について具体的にお尋ねします。  すでに明らかなように、中東地域に石油供給の八〇・七%を依存しているのが現状でありますが、政府は全体のどれくらいを中東地域に依存するのが適当と判断しておられるのか、また、新たな供給地域の確保のために具体的にどのような施策を進めておられるのか、現状並びに今後の見通しについて明らかにしていただきたいのであります。  引き続いて、供給手段の多様化についてお伺いします。  現在、政府は、メジャー一辺倒の供給手段からの脱皮を目ざして、産油国との直接取引を積極的に進めております。私もその方針を支持いたしますが、それは民間まかせであってはならないと考えます。一応、政府は、DD原油の応札にあたって高値応札を規制するなど、行政指導を講じておりますが、私は、むしろ、今後DD原油の確保を拡大するため、石油開発公団にDD原油を入手できる道を開くべきだと考えますが、いかがでありましょうか。  他方、政府は、供給手段の多様化を目ざし、わが国の海外自主開発を促進するため、石油開発公団を設立し、民間石油開発会社に対し技術と資金面からの援助をいたしております。しかし、わが国の海外自主開発はほとんど成功するまでには至らず、全輸入量に占める自主開発石油は、わずか一二%足らずにとどまっているのが現状であります。その反面、民間石油開発会社は相次いで設立され、現在約五十社にも及んでいるのであります。しかも、利権取得をめぐってわが国企業間に激しい過当競争が繰り返され、諸外国に資源あさりに狂奔する日本という悪い印象を与えています。こうした民間石油開発会社の乱立に対して、政府はいかなる方針で臨もうとしているのか。私は、この際、現在の一プロジェクト一企業方式を改め、民間石油開発各社の協調体制を強化すべきであると考えますが、政府の見解はいかがでありましょうか、お伺いします。(拍手)  同時に、今後わが国企業間の利権取得をめぐる過当競争をなくするため、石油開発公団に鉱区を取得する権利を与えるようにすべきであると考えますが、実施するお考えはありませんか。  また、昭和六十年度までに自主開発石油の比率を全体の三割まで高める方針を今後も維持するおつもりか、また、その目標を達成できると確信しておられるのか、いかなる根拠で達成できるのか、明らかにしていただきたいと思います。  次に、石油の備蓄問題についてお伺いします。  政府は、四十九年度には六十日分の備蓄水準を達成することを目ざして、民間企業に対し長期低利融資などの財政措置を講じておりますが、今回の石油危機によってその方針は根底からくつがえされております。同時に、備蓄対策の強化がいかに重要であるかが、事実をもって証明されたと思います。したがって、政府としても備蓄対策の強化を今後進められると思いますが、具体的にいかなる強化策を推進するおつもりか、明らかにしていただきたいと思うのであります。  また、備蓄量にしましても、六十日分では、供給不安から国民の混乱を守るには心もとないといわざるを得ません。私は少なくとも欧州並みの九十日分の備蓄確保を目ざすべきだと考えますが、政府の方針をお聞かせ願いたい。  さらに、備蓄体制でありまするが、現在のように全く民間依存であってはならないと思うのであります。私は、一定量は公的機関によって備蓄し、供給不安に際して、すみやかに、しかも安く国民に供給する体制をつくるべきだと考えます。(拍手)  そこで、石油開発公団に、DD原油の入手とあわせて、備蓄できる道を講ずべきだと考えますが、政府の見解をお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  45. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 小宮武喜君にお答えいたします。  まず第一は、過去のエネルギー政策についてでございますが、国際収支上の問題、また、国際収支上の制約等もございまして、経済性に重点を置くのあまり、自主開発、国際共同開発への参加、開発権利の取得などにあたりまして、慎重にすぎたきらいがあります。エネルギー問題につきましては、総合的、長期的な視野に立って、誤りなき施策を進めてまいりたい、こう存じます。  第二の問題は、石油情報の収集体制等についての御発言がございましたが、石油政策に万全を期する上で、国際的な石油情勢に関する情報を迅速かつ正確に入手することがきわめて重要なことは、御指摘のとおりでございます。従来から政府におきましては、民間企業の情報のみならず、広く在外公館を通ずるのほか、ジェトロや石油開発公団等の海外事務所などをも通じまして、相手国政府、関係公団、企業等の情報を収集いたしますとともに、OECD等の国際機関の場や国際的資源関連企業等との接触による情報及び意見の交換を幅広く行なっており、さらに国内外の文献及び信頼できる各国の資源問題専門家から最新の個別情報の収集につとめておるわけでございます。今後とも一そうの努力を傾け、正確かつ迅速な情報の収集をはかってまいらねばと考えておるわけでございます。  総合エネルギー政策についての御発言でございますが、まず、石油につきましては、海外資源の自主開発をはじめ、わが国周辺大陸だなの開発を強力に推進いたしてまいりたいと考えます。また、電力につきましては、原子力発電の積極的な推進、多目的ダムを利用した水力発電所の建設及び既存ダムの再開発を推進いたしますほかに、地熱発電の開発及び活用、液化天然ガスの導入促進をはかってまいりたいと考えております。さらに、わが国のエネルギー供給の長期安定化をはかりますために、核融合の技術開発をいたしますとともに、太陽エネルギー、地熱エネルギー、合成天然ガス、水素エネルギー等の豊富かつ無公害の新エネルギー技術の開発を、ナショナルプロジェクト、サンシャイン計画といたしまして昭和四十九年度から発足をさせ、推進することとしておるわけでございます。  これらのエネルギー供給の位置づけ及び確保の具体的な方針につきましては、現在、政府の諮問機関でございます総合エネルギー調査会等の場で審議を願っておるわけでございますので、この審議の結果をまって具体的な推進を考えてまいりたいと考えるわけであります。  資源エネルギー省を設置してはどうかという御発言でございますが、一つの見識だと思います。しかし、政府は、昨年七月、通商産業省が分離して所掌していました石油政策、石炭政策、電力・ガス政策、原子力政策、海洋開発政策等を統合いたしまして、資源エネルギー庁を設置し、長期的かつ国際的な観点に立って、総合的な資源エネルギー政策を推進いたしておるわけでございます。  総合エネルギー政策の実施にあたりましては、通商貿易政策との斉合性、産業政策との一体化等、関係部局との密接なる連絡調整を要する事項が多いのでございます。しかも、これを効率的に処理することが要請されておることは申すまでもないことでございます。したがいまして、現行のように、現時点におきましては、通商産業省の外局としての資源エネルギー庁を置く体制が適当であると考えておるわけでございます。  しかし、これらの行政機関の問題は、世界的にもいろいろな企画もございますし、現に行なわれておるものもございますので、事態に即応できるような、効果のあげられるような問題に対しては、絶えず勉強してまいりたいと考えておるわけであります。  以上。(拍手)   〔国務大臣大平正芳君登壇
  46. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 石油情報につきましては、総理からお話がございましたが、私ども、情報の収集、解明、活用、広報等につきまして、可能な限り努力をしてまいったつもりでおります。この経済危機に際しまして、ほかの消費国と比べまして決して不利な待遇は得ておるわけじゃございません。われわれは、武器を輸出することもなく、あるいは兵員の訓練等のようなサービスを供与することなくして友好国の地位を確保しておるわけでございますから、その意味でわが国の外交も評価していただきたいと思うのございます。  しかしながら、在外公館の要員の整備、通信回線の整備等につきましては今後一そう努力いたしまするし、また、資源保有国に対する経済、技術、文化等の協力も進めまして、御期待にこたえたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣中曽根康弘君登壇
  47. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) エネルギー政策を福祉型安定構造に持っていけという御議論には、私も賛成でございます。今回、電気料金に関しまして調査会から中間答申が出ましたが、私はあの方向は正しいと思います。そういう意味におきまして、民生と福祉を重視する、そして省資源、省エネルギーの方向へ国の産業構造を持っていく、そういう政策を推進していきたいと思います。  いままでのエネルギー政策の反省をいわれましたが、おっしゃるとおり、中東地方に約八〇%、特にアラブから四三%の石油の供給を受けておりまして、多分に偏在していたきらいがございます。これを直すために、シベリアあるいは南米あるいはオーストラリア、各地にエネルギー源を求めまして、安定構造の供給型に変えていきたいと努力しているところでございます。  それから、六十年までに三〇%自主開発原油を獲得するという方針は、かつてエネルギー調査会できめられた方針でございまして、鋭意このために努力してまいりましたが、最近は情勢が著しく変わりまして、産油国が、いわゆるパーティシペーションと称して、参加してまいる、あるいは国有化が非常に進んでおります。こういう新しい変化を踏まえまして、できるだけ自主性を持った油を獲得するという方針で進んでいきたいと思っております。  公団の改組につきましては、すでに御答弁申し上げました。  民間が乱立しているという点は、確かに御指摘のとおりでございますが、最近は、各民間の中におきましても統括会社のようなものができまして、順次調整をしようという心がまえでございます。これらの統括会社を活用いたしまして、秩序ある石油の獲得という方向に進めてまいりたいと思っております。  備蓄につきましては、九十日を目標にして、再びわれわれは力強く努力を開始していきたいと思っております。  資源エネルギー省の設置につきましては、ただいま総理が御答弁申し上げましたとおり、目下つくる意思はございません。(拍手
  48. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  49. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 徳永 正利君         自 治 大 臣 町村 金五君         国 務 大 臣 小坂徳三郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君      ————◇—————