○岡田哲児君 私は、
日本社会党を代表し、
石油開発公団法の一部を
改正する
法律案について、当面する石油問題と、今後の総合エネルギー
政策などを含めて、
総理をはじめ関係閣僚に対し質問をいたします。
中東戦争を契機としたいわゆる石油危機は、石油が
国民生活と産業活動をささえてきた基礎資源であるだけに、しかもその九九・七%を輸入にたよってきたわが国であるだけに、そのショックもまた大きかったのであります。だが、この石油危機はつくられたものであります。すなわち、ベトナム戦争以後、支配体制
強化のためにアメリカの打った世界戦略で、まさに仕掛け人はニクソン政権とメジャーであったと思います。だが、その結果は、ガットやIMF体制に亀裂と混乱を生じさせ、その持てる機能をなくしてしまったのでありますから、この仕掛けはまさに失敗したといえます。
一方、産油国は、テヘラン協定を一方的に破棄したように、メジャーにかわって原油価格の決定権を握り、いずれにしてもOPECの力が今後より以上に強くなってくることは間違いありません。そして供給制限、価格
引き上げなどが、戦略として繰り返し行なわれるであろうと思います。メジャー等の情勢によって、わが国の政治経済が振り回される危険と可能性がまた強くあると考えるのであります。石油問題は量や価格でもありますが、その本質は南北問題であり、産油国の立場からその国の
政策をよりよく理解することにあると思います。
いまこそ、右顧左べんすることなく、日本の立場を明確にする必要があります。メジャーの再建ではなく、産油国を中心として、ヨーロッパ諸国と日本が横並びに立った形で、しかも国際協調を土台にした新しい外交路線を引き、それに沿った外交を展開すべきだと考えております。
このような見方、考え方に対して、
政府の見解とその方針を明確にしていただきたいのであります。(
拍手)
GG原油については、最近イギリスとイランの
政府間協定を見ますと、予想よりも安い一バーレル七ドル二十セントで取引が行なわれております。いずれにしても、二国間取引は時の問題であります。また、DDオイルについても、国際情勢に左右されやすいとか、価格が高いとか、一部には声がありますが、それは従来のことでありまして、産油国間に取引原油が
増加するであろうことが今後考えられますと、DDオイルの取引比率は一そう増大することは確実であります。DDオイルあるいはGG原油ともに、二国間取引に積極的に乗り出すべき情勢は熟しているのであります。
同時に、これらに対応する国内体制を
整備しておくことが必要だと考えるのでありますが、これらについて答弁を求めるものであります。
次は、安定確保であります。
この
法律は
昭和四十二年にできたのでありますが、四十七年に一部を
改正、また今回二年足らずで再度の
改正が提案されているであります。私は、何回
改正されようと、それ自体を問題にしているのではありません。今日の激動する石油事情に対し、
政府の適応に欠けた
政策であること、見通しの甘さ、一貫した施策のないこと、これはまさに
政府の責任として追及するものであります。私は、どろなわでなく、将来に悔いを残さないようにするために、この際、石油開発公団を石油公団に改組をして、単なる融資の機関でなく、利権も含め、探鉱、開発の一元的な実施の主体とするとともに、輸入、備蓄、精製、販売までの一貫体制を確立することこそが安定確保の基本だと考えております。(
拍手)
改正案の中に、産油国への直接融資をする、いわゆる融資買油方式の提案があります。この取引体制は一体どうするのですか。当然、二国間取引の国内取引体制からしましても、公団自体にその取引機能を持たせるべきではないかと考えるのであります。このような体制は、フランスをはじめ、西ドイツ、イタリア等、すでに先進資本主義諸国でも多く見ることができるのであります。何ゆえにわが国でできないのか、理解に苦しむものであります。問題は、安定した確保をするためには、継ぎはぎでないわが国の石油組織機構を確立することにあると思います。これには予算が伴うものと思いますので、特に
総理、大蔵、通産各大臣より納得のいく答弁をお願いする次第であります。
次は、開発についてであります。
今日の石油事情は、豊富で安い安定供給確保は期待できません。しかも、今後当分の間、エネルギーとして石油にたよらなければならないことは、だれしも否定できないところであります。わが国は、世界最大の
消費国であるにもかかわらず、安易な輸入にたより、自主開発を全くサボってきたことは重大であります。一九七一年、各国の開発投資を見ますと、アメリカは二十九社で一兆七千二百億円、イギリスは二千百十二億円、フランスは二社で五千四百億円、イタリアは一社で六百八十六億円です。それにもかかわらず、わが国は、五十数社で四百九十四億円で、イタリアの一社よりも低いのであります。これだけ見ましても一目りょう然、
政府の責任はまさに重大で、弁解の余地はないと思うのであります。
世界の油田発見率は一・五%といわれ、シェルがナイジェリアで二十年間も掘り続けて初めて発見をしているように、開発にはたいへんな費用がかかるのであります。
一つ掘るのに十億円もかかり、的中率も低く、リスクが大きいのであります。すなわち、巨額な探鉱資金、高度な技術力の集中投入、情報の収集と分析力、長期に耐える持久力、先進国ですら、その国の持てる総力を結集して開発をしているのであります。それにもかかわらず、わが国は五十数社がばらばらにプロジェクトを組む方式であります。これでは
企業間の利権争いや総力の分散で、開発体制に逆行するものと思います。(
拍手)自主開発に力を入れて成功させるためには、わが国でも国際石油資本のような活動機能を持った
企業体系にする以外はないと考えております。すなわち、開発に関連する
企業を統合させ、集約化し、それに精製部門との一貫化をはかり、活動機能を持たせた
企業体系をつくることでございます。関係大臣の答弁を求めるものであります。
次は、備蓄についてであります。
現在、四十九年末で六十日分の備蓄を確保することになっておりますが、これでもEC諸国と比べて著しく少ないのであります。さらに、四十六年、備蓄について抜本的施策の確立が本院で決議されているのでありますが、今日まで
政府は一体何をしてきたか。その施策、方針を明らかにしていただきたいのであります。
現在、
増加分を融資によって民間
企業に分配備蓄をしておりますが、最近のような激しい価格の変動、コストへのはね返り、備蓄タンクの立地難、非常時の放出などを考えますと、今後、民間だけでの備蓄ではますます困難になると思います。また、わが国の大陸だなの石油埋蔵量は八億トンと推定されております。十分期待のできる国内資源であります。私は、この探鉱、開発とあわせて、一部適切なところにタンクによらない備蓄として確保することができると考えております。すなわち、国内石油資源は、備蓄としての発想、位置づけをすることを提起したいのであります。私は、備蓄こそ最優先に国が行なうべきで、この管理運営は公団が当たることが最も適当であると考えるのでありますが、これについて答弁を求めるものであります。
次に、価格についてであります。
従来、価格は、通産省と石油連盟による価格協定によってきめられてきました。ことに、石油危機を過大に演出し、値上げ先取りのやみカルテルを結び、公取から独禁法違反として告発されました。
政府は、このような中で、あわてて行政指導に名をかり値上げを行なったのであります。もともと、行政指導は法的根拠もなく、官僚独善の
措置で、まことに不明朗であります。かりに行なうにしても、昨年末成立した石油二法による標準価格によるべきで、このようなことは憲法違反、国会無視であります。しかも、本来の
性格上、石油は電気やガスと同じであります。よって、料金も、電気、ガス料金と同じ認可制が適当であると考えるのでありますが、
政府の答弁を求めるものであります。(
拍手)
なお、この際、石油価格の見通し、石油製品価格への転嫁のあり方、やみカルテル、不当販売方法など、
企業モラルのあり方、石油元売り会社の規制、石油業法の見直しなどについて、
政府の考え方を明らかにしていただきたいのであります。
次に、総合エネルギー
政策として、代がえ資源の開発と省エネルギー化についてであります。
このことは、緊急重要な
政策課題であります。
政府の
政策をお尋ねするところでありますが、私は、省エネルギー化の転換への基本は、公害、環境破壊に通ずるものを削減していくという選択的
政策を実施していくということであります。たとえば、輸送体系の中で、効率の高い鉄道、バス、モノレール等を優先させ、効率も低く、しかも大気汚染に通ずる乗用車を規制する、また、自動車道路投資などは大幅に削減するといったようなことであります。石油化学につきましても、合成洗剤は粉石けんに、合成繊維は天然繊維に、プラスチック容器はガラスびんに、合成化学包装、食品添加物、化学肥料などについては、これをつくらせないというように、石油の使用を少なくすると同時に、公害、環境を守ることが重要だと考えているのであります。
政府のこれらについての施策の具体的ななされ方と同時に、この際、これを含め、総合エネルギー
政策とその決意について明確に回答をしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣田中角榮君
登壇〕