○和田耕作君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されております
国民生活安定緊急措置法案並びにその
修正案に対し、
賛成の
討論を行ないたいと思います。(
拍手)
現在の
わが国の
経済は、いまさら申すまでもなく、戦後かつてない異常な
事態を迎えているのであります。とどまるところを知らない
インフレ、
物価高、灯油、プロパンガス、紙などの各種の
物不足、電力の
使用制限など、
国民生活を非常な
混乱におとしいれ、日々の
生活を強く圧迫しているのであります。
わが党は、このような
インフレの悪化を憂え、特に
田中総理就任以来、
政府に対して、新幹線、高速道路など大型プロジェクトの縮小、高度
経済成長の転換、そしてまた、
政府みずからきめる
公共料金の値上げのストップなど、各種の
物価抑制政策を強く提言してきたのであります。にもかかわらず、
政府はこれを聞き入れず、最近の
石油ショックと相まって今日の異常な
事態を迎えたことは、きわめて遺憾であり、ここに鋭く
政府の
政治責任を指摘したいと思います。(
拍手)
しかしながら、この重大な
事態に対して、責任を追及するだけでは
対策にはなりません。私は、民社党がなぜこの
国民生活安定緊急措置法案という
法案と、その
修正案に対して
賛成するのか、その
理由を明らかにしたいと思います。
石油の大幅
削減という
緊急事態に対処するために急遽提案されてきたものでありますし、したがってまた、その
内容はいろいろの
問題点を含んでいることは明らかであります。また、自由放任といういままでの
経済指導のしかたが現在の
インフレを招いたということは否定することはできないし、この根源を突こうと思えば、計画と統制という論理を持ってこなければならないわけでございます。この二つの問題はかなり矛盾し合ったものでございます。また、そこから生まれる
政策は、きわめて広範な
内容を持つものでございますし、その
政策の効果がどのようにあらわれてくるか、不確定な要素を持っておると思うのでございます。
したがって、私どもは、このような
法案に対してまず第一に考えなければならないことは、この
法案を、
緊急事態に対してまずやってみる、できるだけ正しい
政策にしてやってみるということだと思います。(
拍手)しかし、やってみた結果、いろいろ問題が出てくるわけでございまして、そのような問題については、ちゅうちょなく
国民の
生活安定のために見直すことが必要だと思うのでございます。(
拍手)このような意味で、私どもは、この与党との
修正の折衝の最後の段階において、一年以内にその
問題点を見直すという
修正点が出たことを高く評価しておるわけでございます。(
拍手)
第二の
問題点は、この
価格統制は民主的に
運用しなければならないわけでございますが、このためには、
消費者の
利益、
消費者の要望を無視するような結果になりがちな統制でありますから、それに対して格段の
配慮が必要だということであります。
この問題について、
政府原案には非常に欠けておったと思います。しかし、あるいは
価格をきめるという場合に、あらかじめ
国民にはかる、各利害の相違う方々に相談をするというような態度はとれないことも
理解ができます。そうであれば、
政府が責任を持ってやった場合にも、必ずそれを事後に
消費者に、
国民に納得を求めるというシステムが必要だと思います。(
拍手)このような意味で、
政府が
修正に乗ってきた、つまり
国民生活安定のための
審議会の
設置ということは、不十分ではありましても、その道を開くという意味で重要な問題だと考えております。(
拍手)
私どもは、この
国民生活安定のための
審議会の
運用について、特に
政府にお願いをしたいと思います。この問題は、
政府の責任のがれのために、
政府の好む問題だけを諮問するような態度は、絶対に避けなければならないと思います。この
修正案の中にはそのことばはありませんけれども、
国民に対して、
標準価格の
決定がどのようないきさつで行なわれたか、
生産費用はどれくらいなのか、適正
利潤はどういうものなのか、あるいはまた、その他の費用について
国民の納得を求めるための真摯な努力が必要だと思います。(
拍手)このようなことについて、
政府の言明を私どもは信じたいと思います。そして、もしそれができなければ、きびしく追及していきたいと思います。
また、この
法案について、
政府が情報の提供等についてできるだけのことをするという約束をしたことでございます。このような問題については、私は、
本法の第二条で
政府はそのことをするという
修正をしたのでございますけれども、この問題についても
審議会を重視すると同じように十分
配慮をする必要があると思います。
そしてまた、この同じところにありますように、
政府は初め
国民生活を最優先にするという
配慮が欠けておりました。この問題も
修正によって不十分ながら明らかにされたことも大事な点だと思います。
以上、いろいろの
問題点を申し述べてまいりましたけれども、このような問題について、私どもは、
国会というこの国権の最高の
機関が
国民生活に大きな障害、問題を与えるこの
法案に対して絶えず監視をする必要があると思います。最初、この
法案の
運営に対して、
政府は
国会への
報告という問題が欠けておったと思います。このようなことでは、この
官僚統制におちいりがちな
法案の
運営に対してきわめて不十分であったと思います。その点について、
国会への
報告という問題が入れられたことも評価される一つだと思うのでございます。(
拍手)
以上、このような
修正点は、野党四党
協力をして、そしてこの一週間ほとんど夜の目も寝ずにがんばってきたわけでございまして、これはむろん民社党の努力ではありません。
社会党を中心とした公明、共産を含めての野党四党の真摯な努力であったと思います。しかしながら、この段階においていま私が申し上げた幾つかの
修正点について野党四党の評価の違いが出たことは残念に思っております。たぶん野党、他の諸党の方々も一生懸命に
修正をして、そして、
修正点については、それぞれ多少の
程度はあっても、満足あるいは不満足の点があっても、その
修正を心の中では評価しておると思います。そういう評価をもっと率直に出していくことが必要だと私は考えております。(
拍手)なぜなれば、これはいろんな問題を規定しておりますけれども、この
法案の一番大事な点は、
政府がやる気になるかどうかということでございます。(
拍手)
政府をやる気にするためには、野党も、その
政府の責任を追及しながらも、
政府に対して鞭撻をするという
配慮が必要だと思うからでございます。(
拍手)このような点におきまして、せっかく努力をしてきた野党四党のとうとい努力というものが、最後に評価が分かれたことを遺憾に存じております。
今後とも私どもは、野党諸党とも
協力をしながら、
政府が責任をもってこの
修正の趣旨に沿って
国民、
消費者の
利益のために一生懸命に責任を果たすことを期待して、私の
賛成討論を終わりたいと思います。ありがとうございました。(
拍手)