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1973-12-01 第72回国会 衆議院 本会議 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月一日(土曜日)     —————————————  議事日程 第一号   昭和四十八年十二月一日    午前十時開議  第一 議席指定     …………………………………   一 国務大臣の演説     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 議席指定  議院運営内閣地方行政法務外務大蔵、   文教社会労働農林水産商工運輸、逓   信、建設予算決算及び懲罰の各常任委員   長辞任の件  議院運営委員長外十五常任委員長選挙  災害対策樹立するため委員四十人よりなる特   別委員会公職選挙法改正に関する調査をな   すため委員二十五人よりなる特別委員会、科   学技術振興対策樹立するため委員二十五   人よりなる特別委員会石炭に関する対策を   樹立するため委員二十五人よりなる特別委員   会、公害対策並びに環境保全の諸施策を樹   立するため委員二十五人よりなる特別委員会、   物価問題等に関する対策樹立するため委員   二十五人よりなる特別委員会、交通安全に関   する総合対策樹立のため委員二十五人よりな   る特別委員会及び沖繩及び北方問題に関する   対策樹立のため委員二十五人よりなる特別委   員会設置するの件(議長発議)  永年在職議員木村武雄君、佐々木良作君、篠   田弘作君、橋本登美三郎君、佐藤榮作君、床   次徳二君、大橋武夫君、長谷川四郎君、西村   直己君、前尾繁三郎君、久野忠治君、福永健   司君、塚原俊郎君、河本敏夫君及び關谷勝利   君に対し、その功労表彰することとし、表   彰文議長に一任するの件(議長発議)  議員請暇の件  検査官任命につき事後承認を求めるの件  原子力委員会委員任命につき事後承認を求める   の件  公正取引委員会委員任命につき事後承認を求め   るの件  国家公安委員会委員任命につき事後承認を求め   るの件  社会保険審査会委員任命につき事後承認を求め   るの件  運輸審議会委員任命につき事後承認を求めるの   件  地方財政審議会委員任命につき事後同意を求め   るの件  田中内閣総理大臣所信に関する演説  福田大蔵大臣昭和四十八年度補正予算等に関   する演説    午後一時三分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 諸君、第七十二回国会は本日をもって召集せられました。  これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 議席指定
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 衆議院規則第十四条によりまして、諸君議席は、議長において、ただいまの仮議席のとおりに指定いたします。      ————◇—————  常任委員長辞任の件
  4. 前尾繁三郎

  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  常任委員長選挙
  6. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) つきましては、これより各常任委員長選挙を行ないます。
  7. 森喜朗

    森喜朗君 各常任委員長選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、各常任委員長を指名いたします。         議院運営委員長 佐々木秀世君   〔拍手〕           内閣委員長 徳安 實藏君   〔拍手〕         地方行政委員長 伊能繁次郎君   〔拍手〕           法務委員長 小平 久雄君   〔拍手〕           外務委員長 木村 俊夫君   〔拍手〕           大蔵委員長 安倍晋太郎君   〔拍手〕           文教委員長 稻葉  修君   〔拍手〕         社会労働委員長 野原 正勝君   〔拍手〕         農林水産委員長 仮谷 忠男君   〔拍手〕           商工委員長 濱野 清吾君   〔拍手〕           運輸委員長 三池  信君   〔拍手〕           逓信委員長 廣瀬 正雄君   〔拍手〕           建設委員長 木村 武雄君   〔拍手〕           予算委員長 荒舩清十郎君   〔拍手〕           決算委員長 臼井 莊一君   〔拍手〕           懲罰委員長 村上  勇君   〔拍手〕   〔議長退席、副議長着席〕      ————◇—————  特別委員会設置の件
  10. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 特別委員会設置につきおはかりいたします。  災害対策樹立するため委員四十名よりなる特別委員会公職選挙法改正に関する調査をなすため委員二十五名よりなる特別委員会科学技術振興対策樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会石炭に関する対策樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会公害対策並びに環境保全の諸施策樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会物価問題等に関する対策樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会、交通安全に関する総合対策樹立のため委員二十五名よりなる特別委員会及び沖繩及び北方問題に関する対策樹立のため委員二十五名よりなる特別委員会設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  ただいま議決せられました八特別委員会委員は追って指名いたします。      ————◇—————  永年在職議員表彰の件
  12. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) おはかりいたします。  本院議員として、また国会議員として、在職二十五年に達せられました木村武雄君、佐々木良作君、篠田弘作君、橋本登美三郎君、佐藤榮作君、床次徳二君、大橋武夫君、長谷川四郎君、西村直己君、前尾繁三郎君、久野忠治君、福永健司君、塚原俊郎君及び河本敏夫君に対しては先例により、また、關谷勝利君に対しては議院運営委員会の決定により、その功労表彰いたしたいと存じます。(拍手表彰文議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  これより表彰文を順次朗読いたします。  議員木村武雄君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員佐々木良作君は国会議員として在職すること二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員篠田弘作君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員橋本登美三郎君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員佐藤榮作君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員床次徳二君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員大橋武夫君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員長谷川四郎君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員西村直己君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員前尾繁三郎君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員久野忠治君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員福永健司君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員塚原俊郎君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員河本敏夫君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕     …………………………………  議員關谷勝利君は衆議院議員に当選すること十一回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する   〔拍手〕  この贈呈方は、議長において取り計らいます。  この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君登壇を求めます。   〔被表彰議員登壇拍手
  14. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、篠田弘作君から発言を求められております。これを許します。篠田弘作君。
  15. 篠田弘作

    篠田弘作君 ただいま、私ども十五名の議員が本院在職二十五年に及びましたことに対し、御丁重なる表彰の御決議を賜わりました。まことに光栄に存じ、感謝にたえません。(拍手)これひとえに先輩同僚諸賢の絶大なる御指導と、郷里応援者皆さま方の多年にわたる支援の結果でありまして、心から厚く御礼を申し上げます。(拍手)  私ども大部分の者が初めて本院に議席を得ましたのは、敗戦後三年数カ月を経たばかりの昭和二十四年一月、第二十四回衆議院議員選挙でありました。総選挙の結果は、民主自由党二百六十四名、民主党六十九名、日本社会党四十一名、日本共産党三十五名でありました。すべての分野にわたって文字どおり激動と変革の時代であったとはいえ、占領政策もセクションによって意見を異にし、全く五里霧中の時代でありました。  昭和二十四年一カ年間に国の内外で起きた事件だけを見ましても、まず中華人民共和国の成立国民政府の首都を台湾に樹立西ドイツ連邦共和国及びインドネシア共和国成立、ドッジ・ラインの実施、英国のポンド切り下げ、平事件下山事件松川事件等、指を屈することができないほどでした。一方、海外からの引き揚げ者あとを断たず、国民生活は依然として窮乏のどん底にあり、国民は生きるためのかてを求めて狂奔していました。  政府政策が八千万国民の渇望にこたえて、まず国民生活の安定、経済改善破壊された国土復興に向けられたことは理の当然であったといわなければなりません。占領政策によって、経済行為以外の分野におけるあらゆる活動の自由を禁止され、追い詰められた日本国民がその存亡を賭して、かりに残されたただ一つの道を走ったとしてもだれかこれを笑うことができましょうか。  かくして、政府施策国民のエネルギーと結合し、意外に早く効果をあらわし、国民総生産は世界第三位に達し、国民生活は豊かとなり、公共事業実施国土破壊を防止する力を持つに至ったことは何びとも否定し得ない事実であります。ただ、シカを追う猟師山を見ずのたぐいに漏れず、その経済成長速度はあまりにも速く、その振幅はあまりにも大きく、奇跡とまでいわれただけに、反面多くのひずみを生じ、国内においては生活力の弱い、日陰にある国民に多くの迷惑を及ぼし、また、中小企業の倒産、公害発生等、不慮の災害を引き起こし、外には、わが国に好意をいだく幾多の友邦諸国民にすら、傍若無人、エコノミックアニマルの悪印象を与えたことは、謙虚に反省されなければなりません。私たちは、今後あらゆる施策を通じてその改善に心を用いるとともに、当面する物価公害インフレ福祉等の問題の解決に全力を尽くし、一日も早くバランスのとれた社会をつくらなければならないと信じます。  いまにして思えば、私たちが初めて当選した二十五年前の日本も、今日以上の物価高とインフレに悩まされていました。しかし、国民英知努力は、そのいばらの道を切り開いて、それを克服したではありませんか。いまこそ為政者も国民初心に返り、質素な生活と高遠の理想を忘れず、民主主義の理念に徹し、公共精神を第一とし、真剣に、誠実に、忍耐強く献身するならば、人間優先福祉社会や、真の文化国家建設、ひいては全人類の願望である世界平和への道も遠くはないのではないかと考えられます。(拍手)  ここに、今日の感激を深く胸に刻み、つつしんで感謝の誠をささげ、御礼のことばといたします。(拍手
  16. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君あいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。(拍手)     —————————————    木村武雄君のあいさつ  永年勤続議員として、特に院議をもって表彰を受けましたことは感激に堪えません。厚く御礼申し上げます。  私が初めて国会議員になりました年は昭和十一年二月二十日でありまして、その直後が若手軍人のクーデターともいうべき二・二六事件であります。そして、その翌年の七月七日に支那事変が始まって、それが大東亜戦争にエスカレートして、第二次大戦に拡大して、日本敗戦を迎えたのですから、真の激動期で、正に日本噴火山上に乗り上げた時でした。  私の師匠は石原莞爾先生で、先生は卓抜した軍事的天才でしたから、この戦争の将来を予告して、私に、このままで推移すれば日本日清戦争以前に逆転すると警告されましたが、大度の傾く時には一本の支え等は物の数でないことをしみじみと体験しました。それだけに、政治家も学者も役人も、一犬虚を伝えて万犬が吠え出した時の弱さもまたありありと見せつけられたのです。そうですから、国家民族の支えとなるのは一握りの層や個人等ではない、やはり国家の底辺にうずくまる国民以外にはないと考えましたので、国民に根をおろした政党による議会政治に強い執着を持ちまして、議会制民主主義の確立に最後の御奉公をしてみたいと決意しております。  しかし、その道は近きにあるものの如くに見えてあまりにも遠いことに、いまさらながら慄然としております。しかし何人かが果たさねばならない大使命でありますので、各位の御援助と御理解によって、その日の到来に懸命の努力を続ける覚悟です。  ここに、改めて同僚各位に心からなる感謝を申し上げて、謝辞といたします。     …………………………………    佐々木良作君のあいさつ  このたび、院議をもって、国会議員二十五年の在職の故をもって、永年勤続議員表彰を受けましたこと、身に余る光栄と存じ、感謝にたえません。  私は、夏以来少しく健康を害し、ために思わざる余暇を得て、新憲法施行第一回の参議院議員として始まった私の政治生活を顧みる機会を持ったのでありますが、昭和二十二年以来現在まで二十七年間、電力事業に復帰して道草を食った二年間を除いてちょうど二十五年間は、花々として過ぎ去って、さながら疾風の如くであった感をいだくのであります。今日の喜びもまた決して私のものではなく、先輩同僚並びに郷里選挙区の皆様、格別各種の運動や政治活動に苦労を共にした同志諸君のたまものであることを痛感いたし、これらの人々を想い浮かべて感無量のものがあります。  さてしかしながら、急速度に驚異の成長をとげたわが国経済も、昨今ようやくにして曲がり角にきた観を呈し、加えて突如として起こった石油危機の痛打を受けて、一挙に昭和元禄の夢は破られ、新たなる困難がわれわれの前に展開して参りました。  この時にあたって、私共の過ぎ去った政治歴の功を称えられることは、誠に忸怩たる感を強くするのであります。  私は、かつて敗戦の混乱の中で新憲法の理想に若い胸をふくらましながら初登院した最初の記憶を想い浮かべながら、ここに思いを新たに、今日の政治困難に断固として取り組む決意を自らに申し聞かせ、謝辞といたします。     …………………………………    橋本登美三郎君のあいさつ  私は、このたび院議をもって衆議院在職二十五年の永年勤続表彰をいただきました。まことに感激にたえません。これはひとえに、今日まで御指導、御鞭撻を賜わりました先輩友人各位、並びに変わらぬ御支援を送っていただきました郷党の皆さまのおかげでありまして、共に今日の栄誉を分かち合いたいと思うものであります。  二十五年の私の議員生活の歴史は、まさに日本敗戦の苦しみとの戦いに始まっております。当時、今日の繁栄をだれが想像できたでしょうか。日本国民の英知と勤勉性、わが民族の優れた能力が、この国力と豊かな暮らしを生み出したことはもちろん、各国の理解と協力も見のがすわけにはいきません。  私も、二十五年間の議員活動努力の中で、多少でも国家国民皆さまのためにお役に立つことができたものと、小さな誇りを感ずるものであります。  確かに、わが国経済大国といわれ、戦前とは比較にならぬ、“物”の豊かさを味わうことができました。しかし“心”の豊かさについて私たちは全力を尽くしてきたでしょうか。「近ごろの若いものは……」ということではなく、自分自身を省みて、恥かしい思いがいたします。  大学、高校もたくさんでき、小、中学校の格差も是正され、教育施設は立派になりました。しかし、文教制度とは、これだけではありません。人間形成に最も大事なもの”心の教育”が焦点からはずれているのではないでしょうか。幼い心の芽を延ばす教育といわれ、それぞれの幼い芽が、それぞれの肥料と、育てる者の思いやりを必要とするのに、おとなの勝手な思想で肥料を与えるあやまちを犯してはこなかったでしょうか。  私たち議員は、資源の乏しいわが国にあって「人こそかけがえのない財産である」と承知していながら、その人を育て、磨きあげるための充分な努力をしてきたかどうか。いま二十五年の表彰を受けながら、このことに深く思いをいたすものです。  経済政策あやまちは是正できます。しかし教育政策の失敗は許されません。教育の失敗が現実のことになったら、日本民族に対して、また日本文化を継承する者として、申しわけないだけではすまされないことだと思います。  私は、これからの議員生活において、このことに力点を置き、全力を尽くす決意であります。  今日の栄誉と感激を深く肝に銘じ、心を新たにして政治と取り組む覚悟であります。この佳き日に、関係各位に心から感謝いたします。     …………………………………    佐藤榮作君のあいさつ  このたび、私が院議をもって、在職二十五年の表彰を受けましたことは、まことに光栄と存じ、感謝にたえません。これもひとえに多くの先輩同僚、特に有権者各位の変わらぬ御指導、御声援のたまものと、心から謹んで御礼申し上げます。  私が政治に志しましたのは、国破れて山河ありという言葉が、まさに実感をもってせまった焦土にあって、なんとか祖国を以前のような、豊かでりっぱな姿に復興させたいと、一途に念願いたしたからであります。  それから今日まで、国民の皆さんのなみなみならぬ御努力によって廃墟はよみがえり、奇跡といわれるほどの繁栄をなしとげ、世界の経済大国に躍進いたしました。戦争で失われた国土も、沖繩、小笠原は返還され、あと北方領土を余すのみであります。物質的な復興については、こうしておおむね所期の目的は達成されたといってよいでありましょう。  しかしながら、今日、戦争によって損われた心の回復はなかなか容易でなく、創痍いまだい、えずの感を深くいたします。その荒廃は、教育、犯罪、公害その他、社会のすみずみに及び、あわせて、国際的なわが国の評価の面でも好ましからざる声があることは、先刻御承知のとおりであります。  さらに、今年は中東戦争に端を発して、わが国には致命的なエネルギー問題が深刻化するに至りました。まさに内憂外患あわせ来たるの感があります。  一国の富の繁栄が永遠に続くものでないことは、すでに人類の長い歴史が証明いたしております。これからのちの日本の指標は、国小なりといえども、心豊かで普遍的、国際的な説得力のある人材、思想、文化を生み出し、世界の国々から精神大国と尊敬をかちうる道ではないかと思っております。  このときにあたり、私は再び初心にたちもどり、始めをたずね終わりに反る覚悟を新たにして、なおいっそうの御奉公をいたしたいと存じます。  以上、いささか所信の一端を述べ、国民各位の御支持、御高導を衷心よりお願い申し上げて、私のごあいさつといたします。  ありがとうございました。     …………………………………    床次徳二君のあいさつ  本日ここに、衆議院院議をもって、永年勤続議員として表彰せられました。まことに感激の至りであります。これ偏に先輩同僚各位の御指導選挙民各位の御支援のたまものでありまして、心から感謝申し上げます。  私が初めて衆議院議員として当選いたしましたのは、昭和二十四年一月であります。まだ占領行政下にありまして、国民ひとしく何よりも祖国再建の必要を痛感しておるときでありました。破壊と困難と窮乏に堪えて、ついに独立を達成し、経済繁栄生活の向上の途へと前進し、特に奄美大島の返還、沖繩の復帰などを実現することを得まして、まことに感慨無量であります。  しかしながら、現下の国情を顧みまするとき、内外頗る多事であり、理想とする政治の実現にはなおほど遠く、教育を刷新し、国民生活を安定し、福祉国家を建設するために、今後さらに大きな努力を要するものと存じます。  私は、微力ではありますが、今日まで身につけた経験をもとに、各位の御指導、御鞭撻のもとに一層の努力をいたしまして、憲政に尽くし、民心の伸張のため政治家としての本分を完遂いたしたいと存じます。  ここに重ねて御礼を申し上げると共に、従来に変わらない御指導を心よりお願いいたしまして、御挨拶といたします。     …………………………………    大橋武夫君のあいさつ  このたび、永年在職議員として院議をもって表彰を賜わりました。まことに身に余る光栄で、感激のほかはございません。  私は、この二十五年間、この表彰に値する何の功績もないことをまことにお恥かしく存じます。ただ、選挙民各位の御支援と同僚各位の御厚情により本日の光栄に浴することのできましたことを、深く感謝するばかりであります。  今後は、もとより微力ではありますが、私の最善を尽くし、国家国民のため一身を捧げ、もって本日の栄誉に対する感謝の誠を表わしたいと存じます。  つきましては、この上とも、従来に変わらぬ御指導、御鞭撻を心からお願いいたします。  ありがとうございました。     …………………………………    長谷川四郎君のあいさつ  このたび、私が永年在職議員として、御丁重な表彰を賜わり、まことに感激のきわみでございます。身に余る光栄と深く感謝申し上げます。  初めて私が本院に議席を得ましたのは、戦後間もない、混乱いまだ落着かない時でありました。日本国民が味わったことのない敗戦であり、この体験を知らない我が国の国民にとっては仮借のない真の激動期でありましたが、よくこれを克服して、世界に誇る新生日本国に再生することができました。二十五年間の過去を振り返るとき、感無量のものがあります。  本日この栄誉ある日を迎えることができましたのは、ひとえに諸先輩同僚諸賢の御指導のたまものでありまして、特に選挙区の皆様の長年にわたる御支持によるものであります。ここに謹んで深甚なる感謝の意を表します。また、うちにおいては家族の者に人知れぬ苦労をかけました。  この表彰を受けました以上、議会制民主主義の進展と郷里の発展はもとより、日本繁栄のため、今後さらに一層の努力を傾けることをお誓い申し上げまして、謝辞といたします。     …………………………………    西村直己君のあいさつ  このたび、本院在職二十五年にあたり、院議をもって御丁重な表彰を賜わりましたことは、身に余る光栄と存じます。  これ偏に、同僚各位並びに郷党の皆様の御支援、御鞭撻によるものであり、心から感謝に堪えません。  顧みまするに、私が本院に初めて議席を得ましたのは、まさに敗戦から立ち上がらんとする昭和二十四年一月であり、爾来、四半世紀、この間、復興、独立、経済成長を目指し、日本国民は大きく発展して参りました。  しかし他面、それに伴う多くの歪みも残され、これらの解決もまた、今日内外の大きな政治課題であります。換言すれば、今日、国を挙げて歴史の大きな転換期に立っておると申しても過言ではありません。  ここに、今日の感激を肝に銘じ、議会人として初心に返り、微力ながら、日本国の繁栄国民の福祉のため、議会政治の伸展に一身を捧げ、最善を尽くす所存でございます。  所信の一端を申し述べて、謝辞といたします。     …………………………………    前尾繁三郎君のあいさつ  ただいまは、私の本院の在職二十五年に対し、院議をもって御丁重な表彰をしていただきましたこと、まことに身に余る光栄と存じますとともに、心から御礼を申し上げます。  今日にいたるまでには、二十五年間は実に長い感じもいたしましたが、今振り返ってみますと、全くあっという間に経ってしまったような気さえいたすのであります。まことに感慨無量のものがあります。もとより浅学非力の私が今日あるのは、全く先輩同僚各位の御指導、御鞭撻に加えて、選挙区の各位の変わらざる御支援のたまものでありまして、感謝のほかはありません。  顧みますと、私が初めて本院に議席をもちましたのは、まだ占領下の混沌たる時代でありました。当時私は、わが国福祉国家というよりは、むしろ道義ある文化国家を理想とすべきものと考えておりました。しかし、完全雇用と国際収支の均衡だけはわが国の最少限度の要請でありますから、懸命に経済成長によってこの二つの国家的要請の達成に努力したのであります。しかし、その反面、公害問題をはじめ国民の福祉を犠牲にしたことは否定できませんし、道義必ずしも正しいとはいえないと思います。かくして、これからは道義ある福祉国家の実現に邁進すべきものと考えておりました折柄、現在のような物価騰貴と石油危機を迎えたのであります。  したがって、この表彰を機として決意を新たにし、時局の乗り切りに微力を尽くしたいものと存じております。今後とも従来以上の御指導と御鞭撻を賜わりますことをお願い申し上げ、勝手ながら御礼の言葉にかえさせていただきます。     …………………………………    久野忠治君のあいさつ  このたび、本院の院議をもって、二十五年の永年勤続に対し丁重な表彰の御決議を賜わりましたことは、私の身に余る光栄であり、深く感謝の意を表したいと存じます。  これひとえに、諸先輩同僚諸賢の並々ならぬ御指導、御鞭撻のたまものであり、とりわけ長年にわたる郷土選挙民各位の心暖かい御支援、御厚情によるものであり、この機会に改めて衷心より厚く御礼申し上げます。  いま、表彰を受けるに際し、壇上で静かに目をつむると、四半世紀にわたる私の議員生活のいろいろな思い出が走馬燈のように走り去って行きます。  思えば、私が本院に初めて議席を得ましたのは、昭和二十四年一月の戦後間もない混乱の最中であり、民心は動揺し、国民生活は貧困のきわみでありました。このような戦後の混乱と廃墟の中から一日も早く立ち上がり、平和国家の建設に邁進することが我々に課せられた責務であると確信し、若輩にして浅学非才の身をも顧みず、政治の道に志を立てたのであります。自来、戦後の復興と新生日本のいしずえを築くために、新しい国土の建設、民生の安定向上、次代の日本を背負う青少年の育成等の諸問題にとりくみ、政党人として、また議会人として、国政の発展に微力をささげてまいりました。  幸い、戦後四半世紀余にして、国民各位努力により、わが国は今や世界有数の経済大国にまで発展し、国際社会に重要な地位を占めるに至りましたことは、まことに欣快に堪えないところであります。  また、私は、わが国の国際社会に置かれた立場に深く思いをはせ、思想、制度の相違をこえてあらゆる国々との友好視善関係を確立することがわが国の国益に資するものと確信し、昭和三十年以来、数度にわたって中国、ソ連を親善訪問し、さらに昨年一月には、万難を排して北朝鮮を訪問いたしました。幸いにも、昨年九月、田中首相の中国訪問によって、日中国交正常化がなしとげられ、さらに本年五月には、私が通信行政を主管する郵政大臣として、日中海底ケーブル敷設に関する合意文書に署名することができましたことは、私の生涯の記憶として残るものと存じます。  ひるがえって、わが国の現状を見るに、一見繁栄の中にも多分に不安定な要素が包蔵されており、石油危機に端を発した物資の不足、物価の高騰等、国際的にも国内的にも、きわめて憂慮すべき様相が現出しております。  私は、今こそ初心に立ちかえり、民生の安定と真の世界平和の確立に最善の努力をいたす覚悟であります。今後とも、相変わらずの御指導、御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げます。     …………………………………    福永健司君のあいさつ  本院在職二十五年に及びたるの故をもって、ここに院議をもって表彰を賜わり、光栄の至りに存じます。  この間、何かと御指導、御援助をいただいた先輩同僚の各位並びに終始変わらぬ御愛情をもってお育ていただいた選挙民の皆様に衷心より感謝申し上げます。  この四半世紀、思えば大いなる変転の連続でございました。苦難をこえて今日に至った我が国の来し方をかえりみて深い感懐を禁じ得ません。この時に処しての政治生活、見方によっては概ね辛酸の集積でありました。政治家の宿命を思わざるを得ませんが、その故にこそ生き甲斐もあったと思います。  桑港講和会議に国会代表として出席した際、私は国の独立ということのよろこびと厳しさを身にしみて感じました。今、世界三十数億の人々の見まもる中で、平和に徹して繁栄と福祉をはかる日本民族ひたむきの努力には全く頭が下がると共に、国土狭く資源の乏しい国民が激動する世界の中で生きていく途のけわしさを忘れてはならないと思います。私は、十数年前から列国議会同盟執行委員を仰せつかっておりますが、効果的な国民外交の一典型として、議会外交一層の展開にもこの上とも努力いたしたいと存じます。  六年あまり前、強烈な心筋梗塞に襲われて絶望視され、いわば三途の川のほとりから引き返してきたという特異の体験を持つ私は、もうどこで身を捨てても惜しくはないわけでありますから、ここという必要の時には拾った命を投げ出して悔いはないと考えております。  何とぞこの上とも、御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。     …………………………………    塚原俊郎君のあいさつ  このたび、私が本院在職二十五年になりましたことに対し、院議をもって表彰されましたことは、身に余る光栄であります。心からお礼申し上げます。  これひとえに、先輩同僚の御指導と郷里の皆さまの多年にわたる御支援のたまものであり、尊敬する父母の鞭撻によるものであります。深く感謝申し上げます。  私が初登院いたしましたのは、まさに日本敗戦の焦土から立ち上がり、復興へ向けて力強い一歩を踏み出した時期でありました。議会制民主政治に対する国民の強い期待を考えて、身が引き締まる思いがしたことを、今も鮮やかに思い出すのであります。  以来二十五年、わが国民の勤勉と英知は、平和経済大国日本を達成しました。私自身を顧みる時、はたして国民の付託にこたえ得たかどうか、いささか面はゆい思いを禁じ得ないのでありますが、国民の絶えざる支持によって責任政治を遂行して参りました私どもの基本路線は、国際的にみても誤りはなかったものと自負いたしております。わが国民の戦後史は、世界の歴史に光彩ある一ページを書き加えたものと信じております。  私の議会政治家としての念願は、内に国民福祉の向上充実であり、外に平和国家日本が国際社会において光栄ある地位を占めることでありました。これを達成する方途は、議会政治をほんとうに国民のものとし、議会を話し合いの場として確立するほかはないと考え、微力を尽くして参りました。  いま、石油危機という、戦後日本にとって最大の困難に遭遇し、国中が右往左往しているかにみえます。確かに高度経済成長政策には反省を加え、安定成長への大転換をはからなければならない時を迎えていることは事実であります。  しかし、あの荒廃を乗り切った国民のエネルギーは、必ずや新しい時代と新しい生き甲斐を生み出すでありましょう。国民は自らの英知を信ずるべきであります。  国民の望む政府と国民のための議会政治がある限り、何ものも恐れるに足りないのであります。  私の初登院以来初の大転換期を迎えるにあたって、在職二十五年目を迎えた使命感がふつふっと身内にたぎり立つのを感じております。今後とも、政治家としての初心を忘れず、わが国の発展と充実に全力を傾注する決意であります。     …………………………………    河本敏夫君のあいさつ  このたび、本院の院議をもって、二十五年の勤続に対し丁重な表彰を受けました。まことに身に余る光栄で、感激にたえません。   私が初めて本院に議席を得ましたのは、昭和二十四年の一月であります。自来わが国は内外において幾多の重大事件に出会いましたが、その中でも特に国の運命将来を左右するような大事件が二回起っています。   その一は、昭和二十五年六月の朝鮮事変であります。敗戦後約五年間は、わが国再建の方向が不明確なまま経過いたしましたが、この時以来、自由主義諸国の強力な一員として、また米国の友邦として、さらにアジア諸国の先進国としての進路が確定したと申しても過言ではありません。   この時以来の急速な経済再建により、産業構造も、戦前の繊維工業、雑貨工業等の軽工業より、重化学工業へと転換をなし得たのであります。   その二は、今回の第四次中東戦争であります。この戦争を契機として発生した石油問題は、現在のわが国産業構造の一大転換を必要としております。今後は資源確保及び環境保全を考慮しつつ、新しい進路を求めなければなりません。   困難な問題ではありますが、有能な日本民族は、必ずこれを解決して前進を続けるものと確信いたします。   微力ではありますが、今後とも議会政治の発展と、新しい国づくりに努力をいたしたいと存じます。先輩同僚各位の御指導を切にお願い申し上げます。   なお、過去二十五年間、たゆまない御支援をいただきました選挙区の各位に、衷心より御厚礼申します。今後一層の御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げます。ここに、改めてお礼申し上げ、御挨拶といたします。     …………………………………    關谷勝利君のあいさつ   私は、ただいま院議をもって永年勤続議員として表彰せられました。   これ偏に、先輩同僚各位の御指導、御援助と、選挙民の熱狂的な御支持によるものでありまして、感激のきわみであります。   今後とも、一層の御指導、御鞭撻を賜わりますよう御願い申し上げまして、御挨拶といたします。      ————◇—————  議員請暇の件
  17. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。  高橋千寿君、竹中修一君及び毛利松平君から、十二月三日より十三日まで十一日間、川崎寛治君から、十二月四日より二十四日まで二十一日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ————◇—————  検査官任命につき事後承認を求めるの件  原子力委員会委員任命につき事後承認を求めるの件  公正取引委員会委員任命につき事後承認を求めるの件  国家公安委員会委員任命につき事後承認を求めるの件  社会保険審査会委員任命につき事後承認を求めるの件  運輸審議会委員任命につき事後承認を求めるの件  地方財政審議会委員任命につき事後同意を求めるの件
  19. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) おはかりいたします。  内閣から、検査官に知野虎雄君を、原子力委員会委員に稲葉秀三君を、公正取引委員会委員に橋本徳男君を、国家公安委員会委員に田實渉君を、社会保険審査会委員に岩城榮一君を、運輸審議会委員に山田明吉君を、地方財政審議会委員に岡本茂君、高橋長太郎君、降矢敬義君、堀部清君及び吉岡惠一君を任命したので、その事後の承認または同意を得たいとの申し出があります。  まず、検査官、公正取引委員会委員及び社会保険審査会委員の任命について申し出のとおり事後の承認を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも承認を与えるに決しました。  次に、原子力委員会委員国家公安委員会委員運輸審議会委員及び地方財政審議会委員の任命について申し出のとおり事後の承認または同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  21. 秋田大助

    ○副議長秋田大助君) 起立多数。よって、いずれも承認または同意を与えるに決しました。   〔副議長退席議長着席〕      ————◇—————  国務大臣の演説
  22. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 内閣総理大臣から所信に関する演説大蔵大臣から昭和四十八年度補正予算等に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣田中角榮君。   〔内閣総理大臣田中角榮君登壇
  23. 田中角榮

    内閣総理大臣(田中角榮君) 第七十二回国会が開かれるにあたり、当面緊急を要する諸問題について所信の一端を申し述べます。(拍手)  中東戦争を契機とする石油の生産と供給の制限は、世界各国に対して大きな影響を与えております。なかんずく、エネルギーの大半を海外の石油に依存しているわが国産業経済に与える影響は大きく、国民生活の安定向上を妨げることのないよう緊急な施策を必要とする事態を迎えておるのであります。  政府は、この事態に対応するため、十一月十六日、内閣に緊急石油対策推進本部を設置し、石油緊急措置を取りまとめ、率先して石油、電力等の消費節約につとめるとともに、産業に対してもその節減を要請し、強力な行政指導実施しております。また、広く一般国民に対しましても、不要不急のエネルギー消費に対する自粛を求めておるのであります。  石油消費の抑制により、諸製品が減産を余儀なくされ、その結果、供給不足を招き、物価は必然的に上昇するという推論が一部でなされております。そして、それがまた物価値上がりの誘因ともなっております。しかし、生活必需品については、生産段階にも、流通経路にも相当量の在庫が存在しており、一部商品については、すでに在庫の放出を行なってまいりました。また、総需要の抑制をはかる一方、国民生活の安定に必要な部門については電力等のエネルギーを優先的に供給いたしますので、買占め、売惜しみのごとき風潮を生まない限り、需給の安定は十分確保できると考えております。わが国は現在、国民総生産の約一〇%を輸出しており、供給力にも余裕があります。しかも、石油事情について長期的見通しを立て得るまでの暫定期間について、生活必需品の緊急輸入等を行なうのに必要な外貨を十分保有しておるのであります。  しかしながら、たとえどのような事態が生じても、国民経済の混乱を未然に防止し、必要物資の安定的供給を確保するためには、最小限の法的措置が必要であります。このため、物資の需給、価格の調整等に関する緊急措置を規定した国民生活安定緊急措置法案を今国会に提出いたします。また、事態の推移に応じて、石油の消費節減及び配分の適正化を機動的かつ効果的に実施できるよう、緊急時における指導、規制措置を定めた石油需給適正化法案も今国会に提出いたします。これらの運用にあたっては、特に分配や負担の公正を期するとともに、異常な価格の上昇、買いだめ、売惜しみ等による不当利得を得る者が生じないよう万全を期してまいりたいと考えます。  世界のすべての国にとって、有限な資源を福祉の向上と繁栄のためにいかに有効に開発し、利用するかは、次第に深刻な問題となってきております。資源を海外に大きく依存しておるわが国の実情にかんがみ、私は、かねてからその安定的供給の確保と供給先の多元化の必要性を痛感し、これまでも資源保有諸国からの供給確保に努力を重ねてまいりました。私は、内閣を組織して以来、欧米、ソ連各国首脳との会談を通じて、資源の共同開発、安定供給について積極的に話し合いを行なってまいりました。資源問題は、わが国外交の重要な一つの要素であります。外交は、もとよりわが国益に立脚すべきものでありますが、同時に、関係国の立場を十分理解する互恵の精神世界の平和と繁栄に貢献する精神に基づいて行なわなければなりません。かかる精神を基調として先般豪州首脳と資源開発につき会談をいたしました。また、来春早々の東南アジア諸国訪問にあたっても、これら諸国との長期にわたる友好親善を深め、各国の国づくりに貢献しつつ、資源の共同開発や備蓄を行なうことなどについても、各国首脳と会談し相互の理解を深めたいと考えておるのであります。(拍手)  中東問題に関して、政府は十一月二十二日にその態度を明らかにいたしましたが、これは、中東の恒久的平和の確保が世界の平和と繁栄にとり重要であるとの基本認識に立って、この平和の実現に寄与しようとの意図に出たものであります。また、中東諸国との関係を一そう緊密化するため、近く政府の特使を派遣する等、着実な外交努力の積み重ねをはかってまいります。  物価の安定は、当面する最重要課題であります。比較的安定的に推移してきた卸売り物価は昨年秋以降高騰し、また、消費者物価も本年初めから上昇を続けております。これは、第一に、ドル不安に端を発した国際物価の値上がり、輸入原材料価格の高騰に加え、ここ二、三年来の世界的な不作により農産物の価格が高騰したこと、第二に、外貨準備の急増に伴う外国為替資金特別会計の大幅払い超に加え、国際収支の不均衡是正のため、輸出から内需への転換をはかる観点から金融緩和策がとられ、これらの結果として企業に過剰流動性が生じたこと、第三に、本年度五十兆円をこえる賃金給与所得によって消費購買力が充実をし、個人消費が拡大したことなどの要因が複合して生じたものであります。その上、今次の原油の供給制限と輸入価格の上昇が、物価問題の解決を一そう困難なものにしようとしております。政府は、これらの要因を総合的に把握、分析し、有効適切な物価対策に総力を結集いたします。  物価騰貴を抑制するためには、総需要の抑制をはかることが基本であります。これまで累次にわたる物価安定対策を講じ、財政執行の繰り延べ、金融引き締めの強化等を行なうとともに、民間設備投資及び大規模な民間建築の抑制、消費者信用の調整等の措置を実施してまいりました。これらの措置は、その効果が末端まで浸透し、物価動向に好影響を与えるまで堅持することはもとより、石油情勢の進展など今後の事態の推移に応じて、さらに強化する考えであります。来年度予算の編成にあたっても、景気や物価の動向に十分配慮し、慎重に対処してまいります。また、個人貯蓄の増強をはかるため、利子非課税制度の拡大を含む貯蓄優遇策を実施する考えであります。  総需要の抑制と並んで、個別物資の需給関係の調整もきわめて重要であります。政府は、需給逼迫の著しい建設資材、品薄となった生活必需物資について、関係業界に緊急増産や出荷指導実施するなど機動的な調整措置を講じております。また、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律に基づき、灯油、ガソリン、紙等国民生活に関係の深い物資を特定物資として指定し、投機的取引の防止につとめておりますが、この際、同法を改正し、特定物資の範囲の拡大、売り渡し命令の創設等規制措置の強化をはかる考えであります。  物価騰貴の最大の弊害は、所得及び資産の不公平な分配をもたらすことであります。政府は、先般、厚生年金、国民年金等の給付水準の実質価値を維持するため、物価スライド制を導入するとともに、物価動向等を勘案して生活保護の基準及び社会福祉施設に入所している老人、児童等の生活費の引き上げなどの措置を講じたのであります。今後とも、経済的に弱い立場にある人々のために社会保障給付の改善などきめこまかい施策を講じてまいります。  土地問題の解決も緊急の課題であります。政府は、すでに法人の土地譲渡益に対する課税の強化、特別土地保有税の新設、三大都市圏の市街化区域内農地の宅地並み課税の実施等を行なうとともに、土地取得に関する金融の抑制、都市緑地保全法の制定等による土地利用規制の強化など土地問題の解決に鋭意取り組んでおります。しかしながら、現下の地価上昇の原因は基本的には宅地需給の不均衡にあり、供給の増大なしには地価の抑制は不可能なのであります。将来における国土利用の全体的な展望のもとに全国的に土地利用計画を確立し、これに即して公共優先の立場から土地の所有、利用の両面にわたって規制、誘導を強化し、投機と乱開発を排除しつつ、国土の総合的な開発、利用を進めるとき、宅地の確保と地価抑制は可能となるのであります。国土総合開発法案は、このような観点から提案したものであり、地価凍結を含む土地対策の基本法的性格を有するものであります。  政府は、人事院勧告に基づく公務員給与の改善、生産者米価の引き上げに伴う食糧管理特別会計繰り入れ等、当面財政措置を必要とする諸案件につき、所要の補正予算及び法律案を今国会に提出いたします。  わが国は、これまで、豊富で安価な石油エネルギーを使えるという利点を最大限に生かして、生産の増強と雇用の拡大を達成してきました。しかし、今日の事態は、資源の制約の中で新しい豊かさを追求するといういまだかつて経験したことのない試練に当面しておるのであります。これは、経済的にも社会的にも、わが国にとって一つの歴史的転換期ともいえるのであります。この際、創造力と適応力に富む国民の総力を結集して、産業活動においては省資源、省エネルギーへの構造的対応をなし遂げ、国民生活においては生活感覚を転換させて、資源の浪費を排し、節約は美徳の価値観を定着させていかなければなりません。さらに、原子力の開発、水力発電の見直し、石炭その他国内資源の活用、太陽エネルギー、水素エネルギー等の無公害の新エネルギーの開発を推進し、エネルギー源の多様化につとめることが必要であり、かつ、それをなし遂げ得ると信じます。  政府は、全力をあげて国民経済の混乱を未然に防ぎ、国民生活の安定を確保するため、内政、外交のあらゆる面にわたり、冷静な判断と敏速果断な行動をもって対応し、この転換期を乗り切る決意であります。  しかし、いかなる政策も、国民理解と支持がなければその効果をあげることはできません。(「だれが信用するか」と呼び、その他発言する者あり)国民各位も、当面する事態を冷静に受けとめ、高次の社会連帯感のもとに一人一人が慎重に対処し、福祉社会の実現という共通の目標に向かって協力されるよう期待してやみません。(拍手)     …………………………………
  24. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 大蔵大臣福田赳夫君。   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  25. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ここに、昭和四十八年度補正予算を提出するにあたりまして、わが国当面の経済情勢と財政金融政策について所信の一端を申し述べますとともに、補正予算の大綱を御説明いたします。(拍手)  これまでのわが国経済は、国民のたゆまざる努力によりまして世界に例を見ないほどの高い成長を達成し、その過程におきまして国民生活水準も格段に向上し、国際社会におけるわが国の地位もとみに重要性を加えてまいったのであります。  しかしながら、近年、国際経済社会において無視することができなくなってきたことは資源不足の問題であり、このことは、資源の海外依存度がきわめて高いわが国経済にとりまして、特に重要な意味を持つものであります。すなわち、国内供給力を拡大する上でも、また、諸外国との協調を維持する上でも、従来のような高い成長の持続を困難とする新しい局面を迎えておるのであります。  今後の経済政策の運営にあたりましては、物価の安定、国際収支の均衡維持に加え、資源及び環境面からの制約に十分配意しつつ、適正な成長を維持していくという基本的姿勢が肝要となるものと存じます。(拍手)  私は、現下の経済情勢に照らし、いまや、物価問題の解決こそは、すべてに優先して取り上げらるべき政策課題であり、これに全力を傾注してまいらなければならないと存ずるのであります。物価の安定は、経済的にも精神的にも安定した国民生活の基盤となるものであり、豊かな福祉社会実現のための不可欠の前提であります。御承知のとおり、わが国物価は、昨年秋以降、強い騰勢を続けてまいりました。このたびの物価上昇は、海外における物価高騰の影響など多くの要因に基づくものでありますが、何よりも国内需要の急速な拡大によるものと考えられます。このような物価動向に対処するため、政府は、年初来、財政金融政策を初めとする各般の施策を講じてきたところであり、これら諸施策の効果は漸次浸透しつつありますが、物価の上昇基調にはなお根強いものがあるのであります。  このような情勢のもとにおいて、今般、アラブ産油国による石油の生産及び供給制限の問題が生じたのであります。この新たな事態の発生は、国民経済及び国民生活に大きな影響を及ぼすことが予想され、諸般の緊急施策をも必要とするに至っておるのであります。  私は、わが国経済が供給力の制約という新たな事態に直面している現状において、需給の均衡を確保するためには、総需要の抑制をはかることが最も肝要であると考えております。このような観点から、財政金融政策につきましては、一そう抑制的な運営につとめてまいらなければならないと存じます。また、国民各位が堅実な消費態度を保ち、将来の生活設計を立てることができますよう、政府といたしましても、貯蓄の推進に一段と配意してまいります。  次に、今回提出にかかる昭和四十八年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大綱につき、御説明申し上げます。  以上申し述べましたようなわが国経済の現状に顧み、今回の補正予算は、歳出に追加する経費を特に緊要にしてやむを得ない事項にしぼるとともに、その内容におきましても経済に対する影響を最小限にとどめるよう配意いたしておりまするし、さらに、租税及び印紙収入の増加のうち、財源に充当した残額はあげて公債発行の減額に充てるなど、節度ある財政運営に徹することを基本として編成いたしました。  すなわち、一般会計歳出予算におきましては、国家公務員の給与改善、米の政府買い入れ価格の引き上げ等に伴う食糧管理特別会計への繰り入れの追加、生活保護基準等の引き上げ、所得税等の増収に伴う地方交付税交付金の追加等に要する経費を計上いたすことにいたしております。  これらの歳出の追加に要する財源といたしましては、既定経費の節減、予備費の減額を行なうとともに、歳入予算においては、租税及び印紙収入の増加等を計上したほか、公債発行額につきましては五千三百億円の減額を行なっております。  以上の結果、昭和四十八年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも九千八百八十六億円増加し、十五兆二千七百二十六億円となっております。  また、特別会計及び政府関係機関につきまして所要の予算補正を行なうとともに、財政投融資につきましても追加措置を講ずることといたしました。  以上、わが国当面の経済情勢及び財政金融政策について申し述べ、補正予算の大綱について御説明いたしました。  わが国は、国民の創意と活力によりまして、これまで幾多の困難を克服し、偉大な経済の発展をなし遂げてまいりました。この偉大な経済力をもっていたしますれば、公害、過密・過疎、住宅、社会保障など、現在わが国が直面している諸問題を解決し、誇るべき福祉社会建設することは、十分可能であります。わが国の将来に対しましては、明るい展望を持つことができるのであります。  しかしながら、当面最も緊急に対処すべき問題は、物価の上昇と石油問題であります。わが国経済の将来への展望の足がかりを築くためには、何よりも、まずこの二つの問題を解決することが必要であり、国民政府に対する期待もまさにこの点にあるものと信じます。(拍手)  この期待にこたえることこそ政府に課せられた責任であります。この責任を果たすため、政府は率先して有効適切な施策を果敢に実行してまいります。私は、最善を尽くし、もってこの難局を乗り切る決意であります。  国民各位の深い御理解と御協力を切望してやみません。(拍手)      ————◇—————
  26. 森喜朗

    森喜朗君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、来たる三日午後一時より本会議を開きこれを行なうこととし、本日は、これにて散会せられんことを望みます。
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         法 務 大 臣 中村 梅吉君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 奧野 誠亮君         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 徳永 正利君         郵 政 大 臣 原田  憲君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         自 治 大 臣 町村 金五君         国 務 大 臣 内田 常雄君         国 務 大 臣 小坂徳三郎君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 保利  茂君         国 務 大 臣 三木 武夫君         国 務 大 臣 森山 欽司君         国 務 大 臣 山中 貞則君      ————◇—————