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稲葉(誠)
委員 きょうの審
議官の答弁は非常にわかりいいですね。いままでのやつは速記録を読んでみてもわからないのです。何か答弁を非常に詰めちゃっているのかな、時間が十分でなかったかもわかりませんが。きょうのはよくわかった。いまの問題は、また
あとで大臣が来てからもう一ぺん聞くかもわかりません。通達の問題、
引き当て金の問題が中心になるかな、ポイントだけ……。
そこで、二百八十七条ノ二の「引当金」これはよくお聞き願いたいのですが、三十七年の初めのころ、三十六年から出たのかもわかりませんが、三十七年に出た
法案であるわけですね。私が
参議院に出たのは三十七年七月ですから、私が出る前なんですが、だから
質問が簡単だった、不十分だったというわけではありませんけれども、これを見てみたら全くといっていいくらい
質問がないのですね。衆議院で一回ちょこっとやって、何だかよくわかりませんが、それから
参議院で一回ちょっとやって、それでこの
関係は全部通ってしまったのです。これは考えてみると、やはり
法案が出たときにはいろいろな角度から慎重に審議をしてやっていかないと、
あとでわからなくなっちゃうと思うのです。
そこで、「引当金」二百八十七条ノ二の新設について、三十七年の三月六日に当時の民事
局長平賀健太さんが提案
説明しているのです。それを読んでみますとこういうことを言っておるのです。「次は、引当金に関する第二百八十七条ノ二の新設であります。現行法では、いわゆる負債性引当金について
規定を設けておりません。負債性引当金というのは、将来における特定の支出に対する準備額であって、その負担が当該
事業年度に属し、その金額を見積もることができるものというように
説明されておりますが、その
内容は必ずしも明確ではありません。また、
法律上債務でない見越費用を負債とすることにつきましては、理論上疑義がないわけではありません。しかし、
会計の理論及び実際の面から負債性引当金を認めるべきであるという要望が強いのであります。そこで、この
法律案におきましては、この要望をいれ、特定の支出または損失に備えて引当金を貸借対照表上の負債として計上することができる道を開いたのであります。しかし、この引当金は、その範囲が広く、また、経理操作に利用されやすい項目でもありますので、
株主総会で計算書類の承認をする際に、引当金の目的を明らかにしておく必要上、その目的を貸借対照表において明らかにしなければならないこととし、また、この引当金を目的外に使用するときは、損益計算書においてその
理由を明らかにしなければならないことにいたしました。この引当金の項目は、
株主の
利益に関することでありますから、この項目の
内容を
株主に知らせることによって
株主の保護をはかるという
趣旨であります。」これが提案
理由であるように思うんですね。おそらく
法務省が出して、大臣が
説明し、大臣の
説明は非常に簡単なものでしたが、その後に
局長が補足
説明したのかなんかわかりませんが、こういう
説明だと思うのです。ここでいろいろな問題があるのですが、一応十二時で終わって、
あと午後にまたゆっくりやりますが、ここで民事
局長が問題にしているのは、負債性引当金のことですね。二百八十七条ノ二は、負債性引当金のことについて民事
局長が盛んに言っているわけでしょう。ちょっと中はあいまいなところがありますが、どうもそう言っている。ところが
企業会計原則では、その点は違ってくるのじゃないですか。
企業会計原則の現行は注の16ですか、それから修正案は注の18ですね。そうすると現行を見ますと、「引当金には評価勘定に属するものと負債的性質をもつものとの区別があるが、後者については、流動負債に属するものと固定負債に属するものとを区別する必要がある。」(1)は「納税引当金、修繕引当金のように将来における特定の支出に対する引当額が比較的短期間に使用される見込のものは、流動負債に属するものとする。」(2)は「退職給与引当金、船舶等の特別修繕引当金のように相当の長期間を経て実際に支出が行なわれることが予定されているものは、固定負債に属するものとする。」こういうふうに書いてあります。修正案を見ますと、「将来において特定の費用(又は収益の控除)たる支出が確実に起ると予想され、当該支出の原因となる事実が当期においてすでに存在しており、当該支出の金額を合理的に見積もることができる場合には、その年度の収益の負担に属する金額を負債性引当金として計上し、特定引当金と区別しなければならない。」こういうふうに書いてあります。「製品保証引当金、売上割戻引当金、景品費引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金等がこれに該当する。負債性引当金は、金額は未確定であるが、その支出は確実に起ると予想されるものであるから、偶発損失についてこれを計上することはできない。」こういうふうに書いてありまして、負債性引当金というものと特定引当金というものを区別しているのじゃないですか、
企業会計原則では。どうも私は
会計学専門じゃありませんからよくわからないのですが、この提案
説明では、負債性引当金についての
規定がないからそれを設けるのだというように、どうもこの二百八十七条ノ二のときの提案
説明になっているように思うのです。あるいはその
説明の中に、いわゆる特定引当金らしいものがちょっと入っているようにもとれるのですが、表書きは負債性引当金のことについて
説明しているようにとれるのです、ぼくらが見ると。
法務省は
会計学のことはよくわからない——よくわからないと言っては悪いけれども、よくわかるけれども必ずしも十分でないというか、
大蔵省は
会計学のほうは専門だけれども、
法律のほうになってくるとちょっと弱い。
商法は強行法規だというのも何か私はよくわからないのです、さっきあまりよく聞かなかったのですけれども。これは食い違いがあるのですか、ないのですか。これが私はよくわからないのですよ。どうなんですか、これは。