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田宮最高裁判所長官代理者 裁判官以外の
職員のこのたびの
増員の
内訳は、ただいま法務省のほうから御
説明があったとおりでございます。なお、いま少し
裁判所のほうから
説明を補足させていただきたいと思います。
まず
調査官の五名の
増員は、
家庭裁判所におけるところの
資質検査のためということでございます。この点は、昨年も十人の
増員をお認めいただいたのでございますが、その際御
説明申し上げましたように、
家庭裁判所における
調査は
社会調査と
資質検査という両方の面がございます。
社会調査というのは、主として
環境とか
生育歴等を
心理学、
社会学その他の学問によって
調査をいたすわけでございますが、最近のような
社会情勢におきますと、そうした
環境によるところの問題というよりは、むしろ当事者、
関係人その他の
資質すなわち性格とか
心身状況とか性向といったような、そうした
資質がいろいろな面に作用しているということがあらわれてきております。したがいまして、
家事事件におきましても、たとえば
夫婦関係の問題とか子供の
観護処分の問題、
親権者をかえるかかえないかといったような問題の場合にも、
当該関係人の
資質を
検査をする必要があるということ、また
少年事件におきましても、単に
環境ということではなくて、
少年のそうした
資質面の欠陥が非行につながるという面もございますので、そうした
資質検査というものを充実していきたいということで、
昭和四十六年以来この種の
調査官の
増員をお願いいたしまして、昨年までで六十一人の
増員が認められ、今回さらに五人の
増員をお認めいただきたい、こういうことでございます。
また、
特殊損害賠償事件の
増員要求でございますが、
特殊損害賠償事件と申しますのは、いわゆる
公害事件のほかに私
どもとしては、たとえば
医療過誤事件とか薬品、食品
関係事件、船舶、航空機それから欠陥自動車によるととろの事故、労務災害、それから交通事故によるところの損害賠償
事件、こういうものも
特殊損害賠償事件というふうにいっておりまして、御
承知のように、たとえばサリドマイド
事件とかスモン
事件、伊達火力発電の設置の
事件、安中公害、こういったような種類の
事件が多数ございます。この種の
事件は因果
関係の認定、故意過失の認定、非常に困難でございます。他面また当事者が多数でございます。そういうような
関係もございまして、これの適正
迅速な
処理ということは当然考えなければいけないことでございます。この点につきましても、
昭和四十六年以来当
委員会の御理解によりまして、
判事補、
書記官、
事務官の
増員を逐次してまいりまして、今回さらに
書記官二名、
事務官十名の
増員をお願いしておる次第でございます。
なお、今回調停法の改正ということで、いずれ当
委員会で御審議いただくことになっておりますが、このたびの調停法の改正ということになりますと、新しい調停制度ということで非常勤
職員たる調停委員ということになりますので、そうした調停委員の選考につきましては、十分いろいろな手だてを尽くさなければならない。言ってみれば、制度が改正されても制度を運用する調停委員にほんとうのいい方が得られなければ制度が死んでしまうわけでございますので、そうした調停委員の選考については慎重の上にも慎重を期するということで、その
関係の
事務もふえるというふうに考えますし、またそうした新しい制度のもとで調停
事件の
処理というものもかなり活発になると思われますので、その点の
事件処理のためにも若干手が足りなくなるのではないかというようなことで、その
関係の
事務官の
増員というものをお願いしておる次第でございます。