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1974-02-13 第72回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十三日(水曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 谷川 和穗君    理事 羽田野忠文君 理事 稲葉 誠一君    理事 青柳 盛雄君       井出一太郎君    塩川正十郎君       野呂 恭一君    保岡 興治君     早稻田柳右エ門君    正森 成二君       沖本 泰幸君    山田 太郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         法務大臣官房長 香川 保一君         法務省刑事局長 安原 美穂君  委員外出席者         国税庁調査査察         部長      井辻 憲一君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     広田 常雄君         法務委員会調査         室長      松本 卓牟君     ————————————— 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   河本 敏夫君     塩川正十郎君  同日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     河本 敏夫君     —————————————  本日の会議に付した案件   法務行政に関する件   検察行政に関する件   国内治安に関する件   人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  法務行政検察行政国内治安及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。
  3. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 法務大臣最初にお聞きしたいのは、所信表明がございまして、最後のところで、「なお、私は、現下の社会情勢にかんがみ、経済秩序を乱す企業の悪質な違法行為に対しましては、現行の各種法規を活用して、その効果的な取り締まりをはかり、秩序の確立を期したいと考えているのでありますが、」云々と、こういう表明があったわけですが、具体的にはどういうふうなことをやろうとされておるのか、それから「経済秩序を乱す企業の悪質な違法行為」というのは具体的に何をやろうとしておられるのか、そこら辺のところを具体的にお伺いをしたい。最初にそう考えるわけです。
  4. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは御承知のとおり、経済秩序維持のためにはいろいろな立法がございますが、これらの法律にかんがみて、まず第一には警察当局違法行為に対しては捜査をして事件送致をされますから、そういう送致を受ける際、あるいは税務当局告発その他そういう告発要件になっておりまするような犯罪について告発がありましたような場合には、できるだけ検察当局としては関係法令を常時しっかり勉強をして、そして法秩序維持のために万全を期する、こういう体制を常に整えて準備をしてまいるということを意味しておる次第でございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それはそれに違いありませんけれどもね。それは抽象的な話なんで、そういうことをお聞きしているのじゃないわけなんですが、じゃ、質問を続けますが、これに関連して、たとえば各地検経済事件特別部ですか、国民生活部というのですか、それを設置されましたね、設置された状況とその後地検で一体どういうことをやっておられるのか、このことをお聞きしたいと思います。
  6. 安原美穂

    安原政府委員 事務的なことでもございますので、私からお答えを申し上げます。  いわゆる国民生活班という班組織を設けておりますのは東京地検ほか五庁でございまして、この国民生活班が今回設けられました理由は、いわゆるただいま稲葉先生指摘のような経済秩序を乱すような事犯についての基本的な法令研究とか、あるいは経済事情調査とか、あるいは行政機関官庁との連絡行政機関からの情報収集とかいうようなことで、一たん緩急あれば、そういう事犯の適正な摘発に乗り出せる体制を特につくっておるわけでありまするが、そういうことは本来すでにもう検察庁におけるいわゆる財政経済係検事所管事項でもございますので、そういう生活班を設けていないところにおきましても、経済係検事を中心として同種の研究をやり、情報収集をやっているのが実情でございます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 一たん緩急あればと言うのですが、そうすると、現在のこの経済状態、やみカルテルなり、あるいは脱税なりその他いろいろな問題がたくさんありますね、そういうのは一たん緩急というところまで、現在の状態まだいっていないの、そう地検としては考えているのですか、法務省としては。
  8. 安原美穂

    安原政府委員 ただいまの経済情勢がいわゆる私の抽象的な一たん緩急の急の情勢である認識検察庁持っておりまするけれども経済秩序を乱す犯罪といたしまして代表的なものといたしましては、たとえば脱税事犯、あるいは独占禁止法違反とか、あるいは物価統制令の不当高価あるいは暴利、買い占め、売り惜しみ、あるいは買占め防止法違反というようなものがおそらくティピカルな今日の情勢において見のがすことのできない事犯ということになると思いまするが、これらにつきまして特に脱税とか、独禁法違反というものにつきましては、検察庁としてはいつでも告発を受けて処理する態勢におりまするけれども、あくまでもこれは原則として国税当局あるいは公取委員会当局告発をまって処理する態勢におる。したがって、そういう態勢をとっておるけれども、そういう告発が現在のところない状態であれば、いつでも告発を受けて立つ姿勢にあるというのが現状でございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 たとえば脱税事件告発、これについては実際にどのような状態のときに国税当局から検察庁連絡があるわけですか。わかりますか、質問。わかるでしょう。
  10. 安原美穂

    安原政府委員 要するに、抽象的に言うと、法人税なり所得税の脱漏が犯罪を構成して処罰すべきものと国税庁が思量して告発するような状態が出たとき、こういうことだと思います。
  11. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 だから、国税庁告発するかしないかについて、これは前もって検察庁相談があるわけでしょう。それが一つ。いいですか。  それから、告発をすることについて、検察庁側イエスといえば大体告発があって、それは起訴される案件だという前提のもとに検察庁側イエスということを言うんじゃないのですか。多少の例外は、検察庁相談しないで告発してくる場合があるかもわかりませんが、公訴提起関係もありますから、そういうふうな仕組み——仕組みというか、事実上そういうふうになっているのじゃないですか。
  12. 安原美穂

    安原政府委員 御案内のとおり、検察官は、いかなる犯罪についても捜査し、そして公訴を提起することができるわけでございますので、客観的に犯罪が発生いたしました場合に、それを認知した行政官庁において、そのまま検察官が知らぬうちに結局不起訴のような形になるということは、公訴権を独占する検察官としては見のがすわけにいかないことでございますので、御案内税法違反等におきましても、違反がある場合におきましては、国税当局から連絡を受けて、それが処罰に値するのかどうかということについての御相談を受ける事実上の仕組みになっております。
  13. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それじゃ具体的に聞きますが、国会で問題になったトーメンや丸紅の問題ですね、このことについて、告発するかしないかで国税庁から法務省なり、あるいは地検かな、どこへ連絡するのか、その相談があったのですか、なかったのですか。
  14. 安原美穂

    安原政府委員 御指摘事件につきましては、現在国税当局において犯罪の成否を御検討中であるというふうに聞いておりまして、検察庁としてはまだそういう御相談を受ける段階には至っていないように聞いております。
  15. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 現在の状態ではまだ相談を受けていない。わかりました。  そうすると、国税庁ではこのことに関していまどういう段階だということが一つですね。  それと、検察庁とは、この捜査段階で、協議というか何というか全然しておらない、こういうことでございますか。
  16. 井辻憲一

    井辻説明員 お答え申し上げます。  国税庁といたしましては、いま御指摘の問題につきましては、国税犯則取締法に基づく立件をやり得るかどうかにつきましては種々のデータ情報等を集めていろいろ検討をやっておるところでございますが、御承知のように、刑事訴追目的といたします告発前提といたします場合には、現在行ないました任意調査によるデータは、先生案内のとおり犯罪捜査のために認められた質問検査権ではございませんので、証拠収集その他につきまして、別途の調査、独自の調査が必要でございます。したがいまして、そういうことについてあらゆる情報資料検討いたしておるわけでございますが、これらにつきましては、十分その線に沿いまして鋭意検討をいたしまして、今後の処理をきめてまいりたい。事柄の性質上、具体的にちょっと申し上げかねるわけでございますけれども国税庁といたしましても、そういう面で現在検討をいたしておるということでございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 ぼくの聞き方というか、ちょっとわからなかったのですが、その線に沿ってとかなんとか言われましたね。ことばじりをとらえるわけじゃないのですけれども、その線というのがよくわからないんだが、どの線なのか。
  18. 井辻憲一

    井辻説明員 いままでやりました質問検査権に基づく任意調査のほかに、刑事訴追目的とした国犯法についての手続に沿ってこれが固め得るものかどうかという点について、あらゆる独自の資料収集その他に努力をし、もしそれが要件が満たされる、条件がそろいましたならばやる、そろわなければやれないわけでございますけれども、それらについて鋭意検討中でございますということでございます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いわゆる脱税脱税ということばを使いますね。その脱税というのは、税法違反の場合の脱税というのは、どういうことを脱税というふうにいうわけですか。これはきわめて素朴な質問だと思うのですが、やはりこれをはっきりさせないとわからなくなってくる、こう思うのですね。どっちへ聞くのか、どっちでもいいですけれどもお答え願いたいと思います。
  20. 安原美穂

    安原政府委員 私ども脱税ということを有権的に解釈する部面というのは、いわゆる脱税犯と称せられる罰則構成要件解釈の問題としての脱税でございますが、それは稲葉先生案内のとおり、脱税の基本的な構成要件のパターンは、詐欺その他不正の行為により何々税を免れということでございまして、詐欺その他不正の行為によって納税義務を免れる行為脱税行為というので、単なる税法上の見解の相違によるようないわゆる税務否認というようなものは一応脱税行為ということにはならないというふうに、罰則解釈では考えております。
  21. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、問題は方法だけに限るわけですか。犯意の点はどういうふうに解釈するのですか。
  22. 安原美穂

    安原政府委員 当然、主観的な要件といたしまして故意によるものということで、ございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 だから、いわゆる脱税と称せられるものの故意というのは、具体的にどの程度あればいいわけですか。取り締まり法規の場合は、通常故意は必要ないというふうに考えられてきた場合がありますね、まあ事案によりますけれども取り締まり法規故意を必要とするというのじゃ取り締まりができないじゃないか、こういう考え方がいいか悪いかは別だけれども、一応そういうふうにされてきた場合もあるわけだ。そうすると、いわゆる脱税事件の場合の故意とは一体何なのか、どういうことを故意と称するのですか。
  24. 安原美穂

    安原政府委員 取り締まり法規といえども刑法の八条によりまして刑法総則の適用がございますので、原則として故意による犯罪でなければ犯罪にならない、過失を罰する場合には特別な規定が要る、解釈上そういうことが制限的に読めるというような解釈をとる向きもございますが、現在の罰則立法といたしましては、過失を罰するときには特に過失を罰するということがなければならないということが、刑法総則の八条で刑法総則規定が各行政法規罰則解釈についてもかぶりますので、そういうことになると思います。  そこで、脱税故意とは何かということにつきましては、税を免れるという目的をもってする詐欺その他不正の行為認識ということであるというふうに考えております。
  25. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そういう目的とその目的認識が必要だということになれば、いまのたてまえではなかなかこれはもう立証できなくなってくるのじゃないですか。だから、中小とか零細企業の、規模の小さいところの業者のような場合には、これは簡単に脱税で、法人税法違反なんかで起訴されたり何かしているけれども大会社のような場合になってくると、機構も複雑だし、この目的なりその認識ということになってくるとこれはなかなか立証できないということで、現実には告発もされない、起訴もされないということが非常に多くなってきているのではないのですか。これは実情はどうですか。いままでの脱税事犯告発はどういうふうになっておりますか。資本金別とかなんとか、わかった範囲で……。
  26. 安原美穂

    安原政府委員 告発状況につきましては、むしろ国税当局からお答えをいただきたいと思います。  ただ、企業組織が大きくなるほど刑事責任が問いにくいじゃないかということでございますが、そういう傾向のあることは否定できないにいたしましても、だからといって犯罪の成立の解釈を大企業についてはゆるめるということは、刑法というものが道義的責任を問うことを目的とする以上は、便宜的な解釈をするというわけにもいかないと思います。
  27. 井辻憲一

    井辻説明員 大会社といえども犯意立証につきましてはいま刑事局長からお答えになったように私ども解釈いたしておりますが、具体的な問題といたしましては非常に機構が膨大で、先生ただいま御質問のとおり権限が非常に分化しておりまして、会社全体の意思と行為者というものとの結びつき、犯意の点につきまして、通例の同族会社ワンマン社長の場合に比較いたしまして、相対的にはむずかしい問題があるのは事実でございますけれども、過去におきましてはやはり大きなものもやっております。これにつきまして、必ずしもそうだからといって行為者の特定あるいは犯意が全然とれないということにはならないと思います。その点につきましてはそれなりの最大限の努力をいたしまして、その間で実質的な不公平が生じないように絶えず努力をいたしておるところでございます。
  28. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 従来、告発があって、それから検察庁起訴した例で、資本金別にここ四、五年のものを資料として出していただきたいのですが、これは大ざっぱにわかると思いますね。それが一つ。  それから、告発があった場合は大体一〇〇%近く——一〇〇%まていかないと思いますが、起訴しておるわけでしょう。起訴するだけの価値があり、起訴するだけの証拠がそろっているということを前もって国税当局相談をして、そして告発をさしているのでしょう、それ。だから、告発することについては、検察庁が同意しなければ国税当局告発しないのじゃないですか。そこはどういうふうになっているのか。どうですか。
  29. 安原美穂

    安原政府委員 御指摘のように、国税当局から告発を受けた脱税事件の一〇〇%に近いものが起訴になっておることは事実でございます。ということは、先ほど冒頭に申し上げましたように、一般論として国税当局だけでドロップしてしまうということは、検察官公訴権独占の立場からいってよろしくないということで、事前に相談を受けて、そして起訴するに値する証拠等のそろっているものについては告発を受けるというような運用になっておるわけでございます。
  30. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 大臣、いまの話をずっと聞いていますと、大会社というか大法人というか、そういうふうなものは非常に証拠がつかみにくいということのために免れて、それで中小とか零細法人証拠が固めやすいということで告発されて逮捕されるというような現状にあるというふうに考えられるわけですね。その点について、それで一体いいのかどうか、それで悪かったら今後一体どうするのか、そういう点の大臣としてのしっかりとした決意というか、そういうふうなものを承りたい、こういうふうに思うわけです。
  31. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに、調査査察部長も申し上げましたように、大きな機構会社になりますと、権限がみな分局して、経理をやる者は経理だけをやっておるというようなことになりますので、規模の小さい会社の場合とは違い責任の所在がまことに明確になりにくい面があると思うのです。  そこで問題は、私よくわかりませんが、脱税にもいろいろあると思うのですが、故意収入を秘匿して隠したようなものと、あるいは故意ではないが、伝票の操作で、税務当局がこれは経費としては認められないと否認をしただけの性格のものと、大きく分けるとそういうふうに分かれると思うのです。ですから、故意収入を秘匿したようなものはおそらく脱税事件として税務当局告発してくるでしょうし、それから帳簿にはちゃんとついておるけれども、これは経費で落としたいのだということで落とした計算できてしまったが、税務当局としては経費に認めるわけにはいかないということで、税をあとから追徴して問う場合、これはおのずから性格が非常に違ってくるものですから、その点が非常にむずかしいと思うのです。  いまの制度からいいますと、先ほど刑事局長が申し上げましたように、一定のワクがあって脱税事件というものは規制されておるものですから、すべての、税を免れたもの全部を何でもかんでも、もう故意があろうがなかろうが刑罰に処するのだというたてまえをとれば別ですけれども、いまのようなたてまえをとっておりますと非常にその点がむずかしいし、税務当局告発する場合には、はたしてこれは告発に値するか、あるいは税は追徴したけれども告発に値しないか、いろいろ告発するほうの側の税務当局でこまかいデータを集めて検討した上でおそらくよこすものだと思うのです。したがって、法務当局といたしましては、税務当局のそうした立証資料とか何かは税務当局協力を得なければ立証できませんから、税務当局のそうした資料をもとに検討をするわけで、いまも刑事局長申し上げたように、告発のあったものの一〇〇%近いものが起訴されておるということのように現在は運んでおるのだと思います。ですから、これは立法上の問題もあると思うのですが、ただ犯罪というものは、故意もしくは過失ならば過失の条文がなければおけませんし、犯意というものがなければ犯罪は成立しませんから、そういう点が非常にむずかしいのではないか、脱税事件については特にむずかしい、そういういろいろな基本的な問題があるのじゃないかというように私は想像いたしております。
  32. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 むずかしい、むずかしいはわからないことはありませんよ。むずかしい、むずかしいから、だからどうなんですか。だから慎重にやらざるを得ないということは、結局は現実にはあまりやらないというふうに聞こえてしまうんですよ。ぼくの耳が悪いのかもしれませんが、そういうふうに聞こえるんですね。田中さんだったらもっと明確に答えるのでしょうけれども……。そこはどうなんですか。おかしくないですか。何かとにかく慎重に、慎重に、むずかしい、むずかしい、結局さわらぬ神にたたりなしだ、やらないのだ、これではぼくはいかぬと思うんですね。そこら辺のところの大臣考え方一つ。  それからもう一つ告発するかしないかということ、このことの以前の問題として、国税庁の内部でいろいろな勢力が働いてというか、外部からの勢力が働いてそして告発をしない、そいつは検察庁のほうに相談しないで葬られてしまうというかわからない、こういうようなことがなきにしもあらずとわれわれは聞いておるわけですよ。そこで、こういう脱税事件捜査については、法のたてまえとかいろいろあるとしても、国税庁には悪いけれども国税庁というのはやはりいろんな勢力影響を受けるところですよ。だから、もっと検察庁が積極的にこうした問題についてタッチをして、適正な処理をしなくちゃいけない、こういうふうに考えるのです。話を聞いていると国税庁まかせだもの。これは、そんなこと言っては悪いけれども、危険だということばは悪いけれども、いろいろな問題が出てくるんじゃないですか。そこら辺のところを、前のほうは大臣あと政府委員でもいいですよ。
  33. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに、この経理上の問題というのは、国税当局があらゆる角度から伝票その他を精査をして、そして初めてこれが犯罪成立するかしないかという境目になってくるものですから、検察庁税務当局抜きにして、これはどうも脱税行為があるから踏み込んで検挙をしてやろうというようなことは非常な危険があるのではないか。したがって、専門家国税当局告発してきたものをさらに慎重に再検討して、訴追するかしないか決定すべきものではないかと私も思うのです。問題は、国税当局の中にいまお話しのように、諸般の影響を受けて、その影響のために支配されることがあれば、これはまた別個の問題として御審議をいただきたい、かように思います。
  34. 安原美穂

    安原政府委員 いつも申し上げますように、検察官はいかなる犯罪でも捜査をできるわけでございますので、常に国税当局告発をじっと待っておるということでもございません。たとえば昨年の殖産住宅事件脱税というのは、検察庁で端緒を認知いたしましてある程度の嫌疑を抱いたところで、先ほど大臣が申されましたように専門家国税当局の御協力を得て、そして告発をしてもらったということもございますので、常に座して国税庁告発を待つという状態ではないということもお認めいただきたいと思います。そういう意味におきまして、積極的な姿勢でおるということでございます。  それから、稲葉先生のおことばでございますが、大会社になると困難だからやれなくなるという、非常に捕捉が普通の小会社よりもむずかしいことは事実でございますが、大会社にも脱税があるのだけれどもという前提が必ずしも当然であるかどうかもわからないわけでございます。それから、御指摘の問題のむずかしさは、むしろ脱税があるとしてもむずかしいのは、いわゆる中小企業においては代表者までずっと実行行為者としての立証がしやすいのが、大会社においては代表者まで実行行為者として認定することが機構が複雑でむずかしいということは言えるわけでございますが、脱税行為の認定ということができますならば、何も代表者でなくても行為者はそこの経理部長でも会計責任者でもいいわけでありますから、そういう意味において、そういう者を行為者として大会社脱税起訴するということは可能であります。そういう意味におきまして、そういうことが前提としてそろうならば、大会社がゆえに、代表者を捕捉できないがゆえに告発を受けない、あるいは起訴をしないということはないのでございます。  それから、なお告発について検察官が事実上の助言をしたり御相談を受けるのは、あくまでも国税庁国税犯則取締法において調査をしたもの、つまり国税犯則取締法脱税事件嫌疑をもって、終局の目的告発をするか、あるいは通告処分をするかということを目的とする調査でございますので、そういう調査に一たん着手した以上は、国税庁限りでドロップするのは検察官公訴権独占のたてまえからいって適当ではないということで事実上御相談を受けているということでございまして、あらゆる税法上の調査について検察庁が乗り出して一々チェックしなければならぬということではないわけで、その辺は国税当局と検察との信頼関係において運営されていくべきものと思うのでございます。  なお、いろいろなことを申し上げて失礼でございますが、資本金別データにつきましては、それぞれ個々の事件の報告を見ないと作成できませんので、きょういうてあすというふうに資料ができないということを御了解願いたいと思います。
  35. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、トーメンと丸紅の問題は、まず検察庁としてはいまの段階国税庁側の進展状況を聞く考えは一体あるのかないのかということですね。
  36. 安原美穂

    安原政府委員 先ほど申しましたように、先ほどお聞きいたしますと、国税当局国税犯則取締法に基づく調査をしておられないようでございますので、そういう調査が行なわれた段階におきまして当然に何らかの御相談なりがあるというふうに思いますが、いまだそういう段階に至っていないようでございますから、まだ乗り出してどうこうというようなことは申し上げる段階ではございません。
  37. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、繰り返して同じ質問になって恐縮ですけれども国税庁にお聞きするのは、どういう条件が明らかになり整ったときに国税犯則取締法に基づく調査というか、それをやるのか、それをお聞かせ願いたい、こう思います。
  38. 井辻憲一

    井辻説明員 お答え申し上げます。  これにつきましては、税法規定がございます、偽りその他不正の行為によって法人税を免れたという事実を立証するデータ、物件あるいは犯意等がどこまでとれるかということを、まず国犯法に基づく調査に入ります場合には、臨検、捜索、差し押え令状というものも要りますから、単なる課税の段階で得られた資料のみで直ちにやるとかいうことはできませんので、慎重な事前の準備、検討情報収集、その他内偵等も含めまして、いろいろの角度からあらゆるデータ検討いたしまして、令状がとれるような見通しがつき、それらのいま申し上げました諸種のデータ等のかたい見通しがある程度ついてきたという段階で査察、臨検に着手をいたすということに手順としてはなるわけでございます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの段階では、いわゆる脱税と断定をしないということは——よく聞いてください。脱税と断定しないとは言ってないわけですか。質問意味をよく理解してくださいよ。
  40. 井辻憲一

    井辻説明員 現在の段階では、先ほど刑事局長がおっしゃられました意味での脱税ということまでの確たる意思決定までは至っておりません。ただ、脱税意味でございますが、先ほど刑事局長がお述べになりましたのは、各法律に基づく刑事訴追をやる場合の構成要件でございまして、これも法律上の定義が脱税という文句についてはあるわけではございませんので、世上一般にはもう少し広く使われている場合もございます。新聞等では、隠蔽仮装による重加算税を取ったというふうなものまで含めて、通例脱税といわれていることが多いようでありますが、われわれは部内で、広くいう場合よりもむしろ狭い査察、臨検をやりまして、検察庁と協議をいたしまして告発する場合の偽りその他不正の行為によるものを、狭い意味で厳密に脱税という場合が部内では多うございます。そういう意味ではきまっておりませんが、先ほど申し上げました広いほうの意味の、一般で通俗的に使われておりますような場合の意味の重加算税を取った、隠蔽仮装行為をやりまして重加算税を取って法人税を脱漏したというものについて、脱税かとおっしゃられれば、一般の意味においては脱税ということばは使われておりますので、そういう意味で使われますならばわれわれはやはり脱税と言っても言えるのではないかというふうに考えております。
  41. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 論理はですね。だからぼくはいわゆるということばを盛んに使っているわけですよ。  そこで問題は、いまのような場合に、行為者の特定ができなければ法人についての処罰はできないかどうかということですね、これが一つ。現行法のたてまえから言ってですよ。  それからもう一つは、これは大臣あと立法論になるかもわかりませんね。行為者の特定というのはなかなか具体的にできにくい場合が多いです。それからいわゆる身がわりが出てくる場合もあるわけだ、率直に言うと、行為者として。それはそれとして、行為者を特定できなくても法人自身としての責任というものをどうつかまえるかということ、このことについての考え方ですね。これは、企業現実には一つの実在として活動している以上、大法人なり企業なり、大でなくてもいいですが、それらが不法行為能力を持ち、犯罪能力を持つということは、一つの理論として、また現実にあったものとして考えられていいわけなんです、いいですか、だから行為者の特定ができない場合であっても、法人法人としての責任を当然社会的に負わなければならないということも考えられていいのではないかということですよ。前の質問政府委員でいいでしょう。あと質問大臣に答えてもらいたい。あるいは政府委員と打ち合わせてもいいですけれども大臣に答えてもらいたい。こう思います。
  42. 安原美穂

    安原政府委員 稲葉先生はすでに十分に御承知のとおり、現在の刑罰法規あるいは犯罪というものにつきましては、いわゆる自然人の行為を罰するという刑法のたてまえになっておりますので、行為者か特定できなければ——と同時に、法人というものについて、犯罪行為能力を認めておらないたてまえで罰則ができておりますので、行為者が特定できないという場合に、法人を処罰するというわけにはいかない。それは行為者が特定できてそして犯罪構成要件に該当する行為があった場合に、法人に対して両罰規定という規定をまって初めて法人に刑が科せられるというたてまえになっております。
  43. 中村梅吉

    中村国務大臣 要するに、経理課長なり経理部長なり、そういう行為者だけの責任である場合には、その行為者は個人として処罰の対象になるでありましょうが、法人の場合には、これは体刑を食わすわけにはいかないものですから、結局罰金の制度で法人とそれからそこの担当者である経理部長なり経理課長なりそういう者の体刑処分なり両方の規定が運用されることと思います。ただ法人の場合には、法人代表者がその違法行為について認識を持っていなければ、犯意がなければ、法人を処罰することはむずかしいんではないか、私ども常識的にそういうふうに考えております。
  44. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、いまの大臣の答弁はちょっとわからないところもあったのですが、いずれにしても、行為者が特定できなければ法人だけを単独に処罰するということは現行法上できない、それはいいですよ、わかりましたよ。それは刑法のたてまえがそのとおりなんです。そこで、そのままで一体いいのかどうかということですよ。現在の社会情勢というものから見て、法人が実在をし、非常に大きな働きをしていることから考えれば、税法の場合でもあるいは刑法上の問題でも——刑法上の問題といったって経済犯が多いのですけれども法人法人として行為者とは別個に独立して処罰というか、その対象というか、能力を持つということを考えられてもいいのじゃないか。体刑を食わすわけにいきませんから、もちろん罰金になると思いますけれども。そうでなければあらゆるものがみんな逃げてしまうじゃないですか、法人犯罪というものは。このままで一体いいというふうに考えておられるのかどうか。  それから刑法の改正ではその点いまやっているところではどういうふうになっているのか、それも同じ考え方ですか。
  45. 安原美穂

    安原政府委員 いま御指摘のように法人犯罪行為能力を認めて、そしていわゆる受刑の、犯罪行為能力を認めるべきであるということは、立法論としては日本はもちろん外国でもいわれておるわけであります。私どもそれについてはいろいろ考えなければならぬ点もあると思いますが、要は法人を処罰するのに、いま稲葉先生はしなくもおっしゃいましたように、犯罪を防止するためには法人を処罰すべきだという発想から来る場合が多いわけでありますが、犯罪を防止するための手段としては法人を処罰するのが最良の手段かどうかという点は、立法政策としてもいろいろ考えなければならない問題があるように思います。その点については、脱税の重加算税を取るとかあるいは行政法規違反につきましては免許の取り消しをするとか、そういうような行政上のいわゆる制裁でもって犯罪を防止するという手段もあるのじゃないか。何も刑罰だけで犯罪防止を求めるというのはどうであろうかというような疑問もございまして、簡単には法人犯罪行為能力を認めるというわけにはいかないように事務当局としては考えております。  なおそのほかに学説といたしましては法人を両罰規定で処罰し、行為者を当然処罰し、さらに代表者を処罰する三罰規定を設けるべきではないかというような主張も行なわれております。立法論としてはいろいろ検討に値すると思いますが、直ちにそう踏み切るべきものでもないむずかしい問題があるというふうに事務当局では考えておる次第でございます。  なお、改正作業をやっております改正刑法の中におきましても、やはり刑罰というものは道義的責任を追及するものであるというたてまえから、法人犯罪行為能力を認めないという方向で立案がなされていると承知しております。
  46. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 法人を処罰することが犯罪の防止に役立つとかなんとかそんなことを私言っているつもりはないし、そういう質問はしなかったと思いますが、現実に社会的実在ならば、それに対して、それ自身一つの独立として犯罪能力というふうなものも当然今後の考え方としては認められてくるし、それが実際の経済情勢その他にマッチしたものではないかということを聞いたわけです。これはもちろん刑法自身のいわゆる個人責任をどう理解するかということの基本的な問題があってそう一がいに簡単にいかないかもわかりませんけれども、いまの法制審議会でやっているような、やっているなどと言っては悪いけれども、個人責任を中心にしながら一面において刑罰を重くしていくというような行き方では問題は解決をしないというふうに思うわけです。これはいずれまた別の機会にするが、法人の不法行為能力とあわせてこれは非常に問題になってきておるわけです。現実に公害事件のときなんかは法人の不法行為能力というものをそのまま認めているのじゃないですか。そこはどうなんですか。
  47. 安原美穂

    安原政府委員 民事法上の解釈としては認められておりますが、刑事法上の解釈としてはそれを認めたという事例は聞いておりません。
  48. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いずれにいたしましても、また私のほうもよく研究いたします。  別な問題で公取関係の独禁法の問題なんですが、今度は独禁法による告発ですね、これはたとえばやみカルテルの問題で会社が何回も勧告を受けておりますね。その会社はいろいろありますが、五回から四回勧告を受けているところがずいぶんあるわけですね。それは、勧告の内容もそのときによって違いますから、品物によって違うから、五回受けたからといって同じものについて五回受けたわけじゃないでしょうけれども、いずれにしてもやみカルテルで五回ないし四回勧告を受けている。それについて公取としては一体告発をやったのかやらないのかということがまず一つですね。  それからやらないとすればどういう理由で告発をしないのかということが第二点。  それから第三点は、それじゃ今後もずっと告発しないでやっていくのか、告発をしない方針なのか。
  49. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 まず初めの問題でございますが、公取は過去におきまして独禁法違反事件で独禁法七十三条に基づく告発はやったことはございます。ただし、この中にはカルテル事件は一件もございません。告発をやりましたのはいままでに四件でございまして、二十四年に三件、四十五年に一件ということでございます。二十四年の三件は、これはだいぶ古い事件でございまして、農林連絡協議会ほか二名に対する件、これは二十四年の四月二十八日に告発をしております。罰金一万円でございます。あとは大川合名ほか一名、それから山一証券株式会社、いずれも二十四年でございます。それから四十五年に株式会社三愛土地ほか一名、いわゆる不動産の不当表示の問題でございまして、審決違反ということで告発をしております。現在までにやったのは以上の四件で、カルテル事件についてはございません。  それから、たとえば過去において勧告あるいは審決を四、五回受けて、何べんも繰り返しておるのがございますが、これにつきましてはいままで告発はしておりません。ただ、独禁法の目的と申しますのは、これは従来からの公取の考えでございますが、やはり違反行為は行政処分で排除するのが本来のたてまえではなかろうか。違法な行為を排除するということ、行政措置ということに重点を置いてまいりましたので、ごく特殊の例を除いては告発をしておりません。  今後も、一体告発をやらないのかどうかという点でございますが、この点は、まあ告発と申しますのは人権に関する問題でもございまして、慎重な配慮が必要である。それからさらに告発をするかしないかというふうな点につきまして、あらかじめその態度を明らかにするというようなことは証拠収集上非常に困難を来たしますので、審査活動に支障が出てまいるというようなこと。それからまた具体的な事件につきまして告発するかしないかというような点は、独禁法の三十八条の規定もございますので、するかしないかの意見はお許しをいただきたいと思います。
  50. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま公取の委員長がおいでになったが、いま公取関係に入ったばかりなんです。従来やみカルテル等について告発したかどうかとか、今後も告発をしないのかどうかということについてお聞きをしていたわけなんですが、いまの事務局長の答えは、具体的事件について告発するとかしないとか、そんなことを聞くわけにいかないんで、ぼくもそんなことは聞きはしないのですよ。そうじゃなくて、これは何回も何回も勧告を受けているのでしょう。五回受けているところもあるし、四回受けているところもありますよね。そういう会社は結局幾ら公取が言ったってそれを守らないわけだ。それについてちゃんと告発をすべしという条文まであるわけでしょう。検事総長に告発をすべしという条文まであるわけだ。まあこれは訓示規定だといわれればそれまでかもわからぬけれども、いずれにしても、わざわざこういうふうな条文まであるのに、いままで告発をしておらない。これは罰則は三年以下の懲役ですよね。八十九条、九十条、九十一条と罰則ですね。三年以下の懲役または五十万円以下の罰金ですね。そういうふうな重い罰則があるのに、公取としては告発しないで済ませる方針だということのようにも聞こえるんですが、何回も何回も勧告を受けながらなおやみカルテルなんかやっておるものに対して、一体公取としてはどう処置するんですか。そこら辺のところを委員長からひとつお聞かせ願いたい、こういうふうに思うわけです。
  51. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 告発という問題は、法律の上ではしなければならない。しかし、御存じのとおり、これは実は訓示規定でございます。しなければならぬという義務を負っているわけではありません。もう一つの考えなければならない問題は、いわゆるやみカルテル、価格協定であり、数量協定であり、それによって告発をした例は、昭和二十二年の法律制定以来一件もないわけです。告発そのものは、全部合わせますと四件ありますが、そのうち三件は占領時代の昭和二十四年のことでございますし、もう一つは不動産業者の問題であって、価格協定についてあるいは他の協定について告発するという経験が全くないという事実、そのことに対して、過去はともかく、現段階でどうするかという御質問だろうと思います。  実は私どもはこの問題について、告発についてはできるだけ、早くいえば論議をしたくないわけです。はっきり申し上げましてね。そういうことを一昨年、四社に対して、あまり回数が多いから、まあたいした回数じゃないのですけれども、三回ぐらいやったのですが、品目が全部違うのです。化学工業会社に多いわけです。化学の方面は製品の種類が多過ぎる。そのために、あっちでやり、こっちでやりというようなことになりますから。そういう点、それから事件一つ一つとらえると遺漏がございます。それから価格協定である以上、一部のものだけを告発するというわけにもいかないであろう。いろいろ難点がございますが、それよりも、私ども昨年、場合によっては告発を辞さないと言ったら、その後の業界側の態度というものは貝を閉ざしたように口がかたくなりまして、それまでの場合ではまあまあであったものが、自供もあり得たんですが、自供することがないというふうになってきた。つまり、過去に一回でも経験しておりますと、今度やったら告発かというふうなおそれを抱くわけでしょう、係官の執拗な取り調べにかかわらず、ほとんどというか全く答えないというふうな事例がふえてきた。ですから、今後もそういうことが十分考えられるわけです。といって、供述が全くなくて、いろいろ取り扱う上には難点がございます。全く供述は得られない。しかもこれは一社や二社じゃないわけですね。大体八社とか九社とかいう団体で共謀してやっている行為ですから、その共謀の事実を証明しなければならぬ。それで排除命令はやっておりますが、いろいろ告発という問題になりますとますます調査を困難にする。そのうちにはおそらく証拠についても非常にきびしい証拠隠滅をはかるんじゃないかという疑いもございます。それで、私は実際に、今後告発をいたしませんとは申しませんが、しかしなまなましい問題についてそういうことを言うことは、むしろわれわれ自身の機能を麻痺させるというような状態になる。これは事実そうなんです。非常に苦しいところを乗り越えて係官がどうやら勧告の段階まではいっている、こういう事情であります。そういう意味で、初めに申しました告発という問題について、いろいろ公開の席でやるとかやらぬとかいうことを論議するということは私どもとしてはたいへん苦しい立場になりますので、できることならば御容赦願いたい、こういうふうに考えております。
  52. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これ条文を見ますと三年以下の懲役ですよね、罰金もついていますけれども。そうすると、こんなことはわかり切ったことですけれども、公取委員長としては、たとえばいま俗にいうやみカルテル、このことについては国民経済なり国民の生活に与える影響が非常に大きいというふうに考えているのか、いや、たいしたことはないと考えているのか、これが第一点。第二点は、一体こういうことは悪いことだというふうに考えているのですか、あまり悪くないというふうに考えているのですか。たいへん失礼な質問をしてお許しを願いたいのですけれども、どうなんでしょうかね。
  53. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私はこういうやみカルテルのようなもので、これは価格を引き上げます場合にも、ばらばらに引き上げる場合に比べますと、互いに協定を行なったほうがたとえば大幅に上げる場合にはたやすくなるわけです。非常に容易になります。それだけ性質がよくない。今日物価問題がこれだけ国民を悩ましておるわけですが、そういう意味においては、これはどなたがおっしゃっても明らかに反社会的行為である。しかも、カルテルにたよるということはそのうちでも相当性質がよくない。単純な値上げでも行き過ぎたものは便乗値上げを含んだものが多いわけですから、そういうものは私はいけないと思いますが、特にカルテルによる場合は悪質であるという点はどなたもそう考えておられるでしょうし、私もその点は変わりありません。しかし、それだから懲役三年というふうな重い刑がついているものを、そういうものを発動してやるべきであるということに対して、私は絶対にやらないとは申しませんか、昨年の十一月——十月以来と申し上げていいでしょう、特に石油危機問題が非常に大きな圧迫要因として日本経済を襲ったときに、私どもが何をなすべきかということについて、いまでも私はその点変わりないのですが、まずそういった行為に対して従来の勧告、排除命令、これを迅速に行なうことである。少し大きな事件になりますと、かつては数カ月、場合によると一年越しで解決しなきゃならぬという状態でございました。これではいかぬというので、審査部に他の部課から相当の人間を送り込みまして人員を増強した上で早急に解決する。できれば六十日くらい、で結論を出す。それで、やり得る限度がございますので、これぞという目ぼしい問題を拾ってできるだけ早期に解決をはかっていく、それがさしあたりの経済的な効果をいささかでも発揮できればそれが一番いい。告発等とか何とかという問題は、それは考えないわけではありませんけれども、それを先にやるということになりますと、そのためにだけ実はたいへんな日数を要します。それは事実でございます。そういうことでございますから、とにかく係官は、審査部はあげて経済的な効果、即効的な効果をねらった排除措置に専念する、そういうふうに方針をとっております。まだまだ実は案件が残っておるわけでございますから、そういうことについていつまでも日にちをかけてはいかぬと全力を傾倒しておる。ふだんの場合に比べれば私は半分ないし三分の一の期間で難問題について結論を出しておると思います。それだけ部下が私よくやっておると思いますが、そういう方針で経済的な効果に主眼を置いているという点を御了承願いたいと思います。
  54. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私も何でもかんでも罰則があるのだから、告発の義務があるのだから、告発してやっていけ、こういうことを言っているつもりはございませんが、実は公取へ行ってみて、公取の職員は一体何人ぐらいいるのだろうかと考えたわけです。聞いてみたら三百何人ですわね。大阪は二十人ぐらいかな。それでは率直な話たいへんな御苦労だし、これではみんなからだをこわしちゃうぐらい、こう思います。それはよくわかります。  そこで、いま言われた昨年の十一月以来ということで、そうした問題については勧告なりあるいは排除命令というものを具体的にどういうふうに出しておられるのかということが一つです。  それから、それについてどういう効果があがったのかということが第二点です。あるいは出したけれども会社のほうは、いやそんなものは公取が何か言ったってどうってことはないということでさっぱり効果があがらないのか、そこら辺のところはどうなんでしょうか。
  55. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 皆さんすでに御承知のとおり、指摘されていることでありますが、私どものほうで行政措置をとった場合、この排除命令というものは値下げの勧告権はありません。ですから直接は協定そのものを破棄せよというのでありますが、しかしそれだけでは不十分な点がありますので、私どもとしては将来、原則としてはその翌月以降、勧告をした月といってもいいのですが、その月以降半年間あるいは長いものは一年間、取引先相手別に価格を毎月報告せよ、それから価格改定をしたときにはそのとたんにその旨を報告せよ、こういうふうな措置もとっております。それで昨年来の勧告にあたりまして主として石油化学製品のうちの四品目、これを一つ一つやりました。それから石油精製といいますか、石油精製というよりは元売り会社にやりましたし、それから石油連盟に対しましては、数量カルテルの問題を取り上げまして勧告を行なっております。そのほかに本年に入って立ち入り調査をしたものが三件ばかりございます。  その効果はどうなっているかという御質問でございますが、効果については私は十分な効果をあげているとは思いません。思いませんが、私どもの勧告が相当世の中の方々の注目を引いて、非常にけしからんとそれらの会社に対して糾弾の声が非常に強くなっているということ。それから石油化学の問題なんかについては私どもは便乗値上げの疑いがある、特に稼働率を意識的に低く見過ぎているのじゃないかというふうな点を申し上げましたか、それに従いまして通産省のほうでは——それに従ってというのは失礼でございますが、値下げを勧告、指導されまして、十何%か一割ぐらいですか引き下げたということがございます。それからこちらが動き出したということによって他の省で値下げを勧告したという事例もございますから、私ども経済効果が十分ではないということは百も承知の上で、しかしできるだけそういうものを、早く言えばやり玉に上げていくということ自体が、やみ協定をやったという事実を世の中に公表していくということが、今日における一つのメリットではなかろうか、それに全力を注ぐ、こういうふうに考えております。
  56. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 効果を十分にあげていない。これはいまの段階であなたのほうから十分にあがったとはなかなか言いづらいでしょう。それはわかりますが、問題は、なぜそういうふうに十分な効果があがらないかということ、その原因だと思うのですよ。一つは独禁法なら独禁法そのものにその理由が一体あるのかどうか、これが一点。  それから、いやそんなことよりもむしろ業界というかそういうもの自身が公取委員会から命令を受けたってどうってことはないんだ、まあ無視はしてないでしょうけれども、たいして意に介してないといってはあれかもわからぬけれども、業界自身の体質、あるいはさらにもう一歩進めれば資本主義経済そのものに原因があって効果があがらないというのか、そこはどうなんでしょうか。それが二つ目です。  時間の関係で一緒に質問しちゃいますが、もう一つは、法律自身に問題がかりにあるとすれば、じゃ具体的に法律をどういうふうにしたいというふうにお考えなのか。これはちょっと前にほかの委員会で出たようですけれども、第三点です。これをお答え願いたいと思います。
  57. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 業界が反省する度合いがきわめて薄い、こういうことは多少まあいままでの安易ないろいろな習慣が身についてしまっている。しかし、さりとて私は業界はもう救いがたい状態になっているのだというふうには思いません。やり方次第でもう少しきびしい態度をとらせることは可能だと思いますが、主として私どものほうの法律が、独占禁止法なるものが、つまりそれほどの威力を持たないようにつくられているということです。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 ですから具体的なことを申し上げますれば、すでにこれは新聞等でも昨年来私は何回か申しておるのですが、少なくとも価格引き下げの命令権を与えるべきだということ。それから、寡占対策としまして、寡占事業と明らかに公取が認定するもの、そういうものについては、一斉値上げを行なった場合には経理のディスクロージャーを行なう。これは法律の根拠がなければできません。経理といいましても、たとえば原価の公表ということでございますから、そういうことは法律に必要である。そのほかに、不公正な取引というのは、一言でいうと簡単でございますが、いろいろなケースがございます。たとえばやみ再販のような行為もその中に含まれるわけでございますが、そういったことに対する罰則はありません。これは、繰り返さないと、審決違反をやらないと罰則は適用にならないようになっている。差しとめすることができるという規定でありまして、差しとめするに必要な、排除するに必要な措置をとることができるという、ほかの違反行為と区別してあれは書いてあります。これもバランスの上からいって適当でない。そのほか、商社等の調査によりまして、商社があまりに多くの株を持っておる。自己資本の二・五倍ぐらい、資本金の何倍というのを持っていますから、そういうものを制限する必要があるのではないか。金融機関のものはどうだ、これは研究課題でございますが、いろいろ独禁法にありますが、さしあたりカルテルに対しては、どういう幅で、裁量権で認めるかというむずかしい法律上の問題がございます。それから、それに対する民間の損害賠償の問題がございます。いまでもございますが、無過失損害賠償というものがありまして、実例は非常に少ない。しかし、今度そういう点をはっきりさした以上は、これは大幅に出てくるおそれもあります。そういう点をどうさばくかという問題も法律的な問題として考えていかなければならぬ。そのほかございますが、とにかくさしあたりは価格引き下げ命令権があれば、これだけでもかなり有効な経済措置になるのではないか、制裁的な意味を兼ねたものでございます。
  58. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 お答えはよくわかるのですが、問題はさらに発展しますと、いま言われましたことで、威力を発揮しないように法律はできておるという意味のことをちょっと言われましたが、問題はなぜ独禁法というものは威力を発揮しないようにつくられているかということでしょう。これは、あまり威力を発揮したら、いまの日本の経済体制というものが困っちゃうのではないですか。そうじゃないですか。だから、いわば資本主義経済の鬼っ子みたいなものではあるけれども、それがあまり大きくなって、あまり強い権限を持ったのでは、本家が困ってしまうから、だから排除命令いろいろあるけれども、そこで中途はんぱというと語弊があるかもわかりませんけれども、力の十分発揮できないようなものにつくられているのではないでしょうかね。これは、あまり発揮したら困ってしまうでしょう。あなたは困らないかもしれないけれども、困る人が出てくるのではないですか、いやな質問で恐縮だけれども、それが一つ。  それから、引き下げ命令権といいますけれども、引き下げ命令権は具体的に条文はどこに入ってきて、どういうふうにしたいのですか。盛んにあなたは言われるけれども、具体的にお聞きするわけです。引き下げ命令権だって、それは守りゃしないでしょう。守らなかったときにどうしたいのですか、そこら辺のところを。  それからもう一つは、ぼくはあなたを非常に尊敬してますが、その引き下げ命令権ということで一生懸命やっておられるけれども、そういうのをいまの日本の資本主義経済の体質、さらにことばを強めていえば、別のことばでいえば、悪いけれども、いまの自民党の内閣、これが認めますか。あなたはどういうふうに考えていらっしゃるの。認めると思っていらっしゃるのですか。いや、おれは認めなくても身命を賭してやるのだ、通らなければやめちゃうのだ——やめちゃうかどうかは別として、その責任をとるというか、そういう強い覚悟で引き下げ命令権ということを言っておられるのでしょうか。たいへん立ち入ったことをお聞きして失礼なんですけれども、いまの自民党内閣認めますか。認めさすのですか、あなたの考え方は。
  59. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ただいまの御質問は自民党に向けて言っていただかないと、私の立場としては何ともお答えにくいことです。いまの日本の経済が資本主義経済であり、かつ自由主義経済である。その自由主義経済の中にそういうものを持ち込むのは一種の統制じゃないかという考え方もあろうかと思います。しかし私は一般的に価格統制すると言っているのではない。こういう今日のような異常事態においてはこれは必要だ、私はそう思います。むしろ統制が加わってやっていくのは当然で、それはそれなりに非常事態に対するものである。しかし非常事態でない場合でも協定を行なったという、早くいえば一種の経済犯ですね。経済的な犯罪行為にひとしいことをやった場合に、そういうある程度の規制を受ける、つまりもとへ戻せというのが原則だと思うのです。協定前の状態に戻せということがあることは論理的にもおかしくないと思います。  ただし、その中に、先ほど申しましたが、一年も二年も事件の解決に手間どる場合があります。審判なんか請求されたり訴訟を起こされたりすれば、もっと延びてしまいます。ですから、もとの原点に戻れということは、いかにも実情に合わない過酷な場合がありますから、その辺は実情に合わせて私どもやらなければならぬと思いますが、そういうことについてどういうふうな法体系にするか、いま案を研究しているところでございますので、いま、独占禁止法研究会というのを専門家でつくっていただきまして、それに私ども加わって共同で作業しているわけです。このほかの問題もございますから、かなり時間を要します。いま、どういうところに位置づけるかというふうな点まできまっておりません。内容そのものについてどうするかという点を中心に論議しているわけでございますが、自民党の云々とかいうことについては、私どもは、できるだけ御理解をいただくように努力するという以外には、お答えのしようがありません。
  60. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私の持ち時間が来たから質問は終わりますが、いま、価格引き下げ命令権、命令権と盛んに言われますから、条文的にはどういう形でどこに入るんでしょうかということをお聞きしたかったわけです。いま研究中だと言われるなら、無理に研究中のものを言えといっても無理だし、あれだと思いますけれども、いずれにいたしましても、あなたは一生懸命やっておられるのですから、よくわかります。三百何人であれだけやっておられるのですから、たいへんだと思いますが、ただいえば、独禁法というものの本質は、だれが見たって資本主義経済そのものを維持するためにできているんだというふうに考えられますから、だから、いろいろ問題があると思いますけれども、ただ一生懸命やっておられることには私としても敬意を表して、私の質問を終わります。これは法務委員会ですから、あまりそっちに入ってもあれだと思います。別のところでまたお聞きする機会を持ちたい、こういうふうに考えて終わります。
  61. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 関連ですから簡単に、沖本君。
  62. 沖本泰幸

    ○沖本委員 関連質問させていただきたいと思います。公取委員長、腰を上げられたので、先やらしていただきます。  わが党の近江質問に対しまして、記録を見ながら先ほどからの御答弁を伺っておったのですが、かいつまんでお話ししますと、告発ということよりも経済的な効果を十分考えた方針でやっておる、こういうふうな御答弁でございますが、予算委員会での公取委員長の御答弁では、ここに出ておりますのは、「早くいえば黙秘カルテルみたいなものまでできておるわけでございますから、私ども、それで今後やるときには、これは一罰百戒でやる場合には、あれこれと予告的なものは申しません。黙って告発をいたします。だから、その点は一罰百戒があり得るということでございますが、その措置は、ひとつおまかせ願いたい、」こうお答えになっていらっしゃるわけですが、先ほどのお答えとこれとは同じものを含んだ内容でお答えになっていらっしゃる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  63. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 お説のとおりでございます。ですから、そのとき告発そのものについて非常に突き詰めたあれがございました。私は、全然やらないとは申しません。それから一罰百戒という意味は、いま私どもの頭にあるのは、そうめったやたらに告発するという気持ちはない。これはそうじゃなくて一罰百戒をねらっている。やるとすればそういうことになるでしょう、こう申し上げて、そのときには黙っていたしますということで、いま私は、なぜ告発しないかということについて、さしあたり現段階で急いでいることは経済効果である、こういうところに重点を置いているからということも、そう頻々と告発を使わないという理由の一つでございます。だから、同じ趣旨とお受け取りになっていただきたい。
  64. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そうすると、やるつもりで取っ組んでおるということになるわけですね。はっきりやるとは言わぬけれども、そういうたてまえで取り組んできておると、こう受け取ってよろしいですか。
  65. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ですから、その点たいへん答えにくいことでございますが、絶対にやらぬとは申しませんと、こういうふうに受け取っていただきたいと思います。
  66. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それでは公取委員長けっこうでございます。  国税庁のほうにお伺いいたしますが、先ほど稲葉先生の御質問で、わが党の矢野質問に関連のあるわけで、具体的にこまかいものについてお伺いするのではなくて、私なりに質問が出てきましたので、私なりの御質問をしたいと思っているのですが、先ほどのお答えを伺っていますと、偽りその他不正の事実を立証するのは非常にむずかしい、そういう関係から、いろいろな角度からデータを集めて、目を通しながらやるわけであって、このトーメンとか関係筋に対しては現在のところは脱税と見てやっているのではない、こういうふうなお答えだったように記憶するのですが、違っておりましたら、簡単にもう一度お答え願いたいと思います。
  67. 井辻憲一

    井辻説明員 お答え申し上げます。  現在国犯法に基づきまして、いろいろな証拠収集その他について情報を集め、検討をやっているということは申し上げましたが、先生ただいま御質問の、当該問題について脱税と見ていないのではないかということがございましたが、そうではございませんで、脱税の定義が法令上あるわけではございませんので、法令上の問題は別としまして、一般的に使われております、まま俗語と申しますか、慣用語といたしましての脱税の場合には、隠蔽仮装に基づいて重加算税を取られておるような場合には、これは脱税ということをいっておりますので、そういう面につきましては、すでにもう適正な課税処理をいたしたあとであります。で、稲葉先生の御質問告発云々、刑事訴追目的とした体制に入らないかどうかという御質問でございましたので、それについては、現在いろいろな情報を集めておるということで、検討中でございます、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  68. 沖本泰幸

    ○沖本委員 予算委員会の質問の中でも、中小企業には査察、大企業には任意調査というような方針を、まあ大蔵省はきめているとは思わないけれども、現在までの事実はそれを示しておるというふうな内容の質問もしており、まあ、答弁のほうは、大口悪質違反というものを極力取り上げるように仕事を調整しておる最中だというお答えなのですけれども、具体的にやるとたいへんな人員が要るとか、いろいろ壁があって、公平が守られないという点も出てくるのですけれども、いままでのところ、国民的な感情から受け取ると、単純にいえば、大企業はぬくぬくしておって大もうけをやっておる、中小企業はもう徹底的にやられておる、そのやる内容は同じような、故意過失といろいろな問題があると思いますけれども、いわゆるうまくやっていけば大もうけができて、脱税とは見られないというような内容が出てくるわけです。したがいまして、結果的に見ると中小企業には厳罰になっておる。そしてその中小企業の人たちはますますそれに対してやっていかなければならない。大企業のほうは、いわゆるその立証段階とかいろいろな点でなかなか内容が詰めにくい。こういうことになってくると、いままでの御答弁からでも、どうしても不公平じゃないかという感じが出てくるわけですね。  そういう点についてと、もう一つは、税収の効果をあげるためには、一番取っ組みやすいほうからどんどん吸い上げていってしまうということで、結局、吸い上げれば、一番大口のほうが吸い上げられないで、小口のほうばかり吸い上げられて、税収をはかっていくような結果が出てくる。こういうふうな、その立場に立って考えてみれば、そういう考えなり何なりが出てくるわけです。ですから、こういう点について、公平の原則に立って一律に、同じ公平な立場でやっていかなければならないと思うわけです。そういう点について、たとえばいままで予算委員会なり、ここで御答弁になった内容もあるわけですけれども、それでは、こういう内容を耳に入れられるなり、あるいは会議録をお読みになるなり、予算委員会をテレビでごらんになったその中小企業なり国民の皆さん方に、その公平ということについてどういう形で納得させてあげられるかという点についてお答え願いたいと思います。
  69. 井辻憲一

    井辻説明員 国税庁といたしましては、ただいま先生の御質問のとおり、税務につきましては公平という原則が守られることがきわめて重大な、大きな要素でございますので、普通の税務調査につきましても、当然大口、悪質なものから優先的に調査をし、やってやるという方針には変わりございません。  いまの査察の問題でございますけれども、大企業中小企業を問わず、真に刑事訴追に値するような大口のもの、構成要件に該当するものをやるという方針は従来からとっております。まあ、御指摘のように結果的には大企業の件数が少ないではないかということでございますけれども、大企業がすべて、あらゆる分野でもうけて、うまく脱税をやっておるというふうには必ずしも見ておりません。もちろん悪いのもございますけれども、大部分は、税収の九八%程度は申告納税で入っておりまして、われわれとしましては、全部が全部一〇〇%いいということはもちろん申しませんけれども、さりとて、大企業はすべて調査ないしは査察の対象からうまくはずれまして、中小企業だけにきつく当たっておるというふうには必ずしも思っていないわけでございますが、ただいろいろな、たとえば先ほど来おっしゃいました機構が大きいとか新たな海外分野の取引が非常に出てきたとかいうことで、私どもとしてもさらに前向きに、調査の手法、やり方等を充実させ、検討し直して、施策を前向きにとっていかなければいけない点があることも十分反省をいたしております。これらにつきましても、大企業中小企業を問わず、公平の観念がいつも保たれるように、今度とも努力をしてまいりたいと思います。  それから、過去におきましても、大口等につきましては昭和二十年代、三十年代は上場会社等についてもだいぶやったわけでありますけれども、それは経理の非常な混乱期でございまして、特に大会社といえども経理統制が内部的にしっかりしておらないとか、いろいろな混乱状態がございましたのでずいぶんございましたが、最近におきましては、個人の大口等もございますけれども、御指摘のように超大口のものはございませんが、まあ一般的には経理組織がだいぶ内部的にコントロールができてきたという点もございますが、なお昨年の春以来、いろいろな調査につきましては、大企業といえども特定のもの、特定の分野について問題が出てきておることは事実でございますので、私どもといたしましても、そういう点落ち度のないように今後とも努力いたしたいと思います。
  70. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まあ、私は関連質問ですからそう長い質問はできませんけれども、どっちにしましても、結局これから税務の監査なり査察を受けていく中小企業の方々の言い分は、大企業だけぬくぬく伸びておってわれわれだけがきびしいんだという一般的な感情が全部出てくると思うんですね。あるいは税務署内においても、各税務署に割り当て額的な税収のあれがあると聞いておるわけです。ここの税務署ではこれだけの税収増収をはかっていかなければならない、そういうふうな割り当てを消化——これはあるかないか、否定されるかもわかりませんけれども、あるというふうに聞いております。そうすると、どうしても割り当てを消化するにはきびしい税務査察をやって、それでその効果をあげていかなければならない。というと、大きいとこだけ抜けておって小さいところばかりがいじめられておるという国民感情が出てくるわけです。それを納得さすだけの、ただ上のほうもきびしくやるんだ、大手のほうや上場会社ばかり抜かしているんじゃない、そこもこれからきびしく、いままでもやっておるけれども、こういう説明だけでは納得しないと思うんです。そういう点について中小企業が十分納得できるような税務のあり方というものの方向を変えていただくなりあるいは内容を変えていただくなり、いろいろな点で急速に、これから決算期に向かうわけですから、中小企業の方々が納得するような説明なり方法なりを講じていただきたい、そういうことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  71. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 正森成二君。
  72. 正森成二

    ○正森委員 法務大臣所信表明演説に関連して若干質問したいと思います。  きのう中村法務大臣は所信を表明されて、その中で「現下、わが国の社会情勢は、いわゆる石油危機をはじめ、諸物価の高騰、公害その他種々の深刻かつ重要な問題をかかえ、きわめてきびしい情勢下にあります。このような情勢のもとにおいて、法秩序の維持と国民の権利の保全という法務行政に課せられた使命は、まことに重大というべく、」こう言われて、「今後とも、国民の期待に沿うよう法務行政の適正迅速な処理に一そうの努力を傾注したい」こう言うておられますが、このお考えには間違いございませんね。
  73. 中村梅吉

    中村国務大臣 そのとおりでございます。法秩序確保のために一そう努力をいたしたいと思います。
  74. 正森成二

    ○正森委員 そして数点あげておられますが、その第一の点で、「第一は、治安の維持についてであります。」こう言われて、「当面の治安情勢を見ますに、(中略)社会情勢の急激な進展等に伴い、各種の経済関係事犯企業活動に伴う公害事犯等、新たな形態の事犯の発生を見ております」こういうように言われまして、これに対し十分対処すると、こう言われておりますが、そのためにはあなたはまず検察官にとって何が必要だと思われますか。
  75. 中村梅吉

    中村国務大臣 検察官としては、あらゆる事態に備えて関係法令を十分に勉強し、またいろいろ法律というものは検討すればするほど疑義の点が起きてまいりますから、そういう疑義を解明をして常に準備体制を整えておるということが一番肝心だと思います。  検察官は、御承知のような機構でございますから自分から乗り出して捜査をするということはなかなかむずかしいんで、警察から送致を受けるとかあるいは経済機関から告発を受けるとかということを基本にして厳正なさばきをしなければならないわけですから、それに備える体制というものはこれは常時持っていなければならない、かように思います。  そういう意味で、最近、検察官の部内も、先ほどもお話が出ましたように、幾つかの検察官では国民生活班というような班までつくって集団で勉強しておる、あるいは班のないような地検におきましては、それぞれの経済関係事犯担当検事というものがおりますから、これらを中心にそういうような準備を整えておるというのが現状でございます。
  76. 正森成二

    ○正森委員 いま大臣お答えになりましたが、検察官がこれらの経済関係法令について法令を勉強するということが非常に大事だと言われたのは、もちろんそのとおりでございます。また、国民生活班というようなものをこしらえてやっておるということですが、私は、それらの前提として何よりも一番大事なのは、検察官が厳正に身を処する、いやしくも不正を犯した者に対してえこひいきをするというようなことがあってはならないことはもちろん、みずからが不正に関与するとか、あるいはみずからが違法行為を行なうというようなことがあれば、これは検察官というのは法律を適用して公正な裁判の執行をしなければならないわけですから、任務を果たせないことはもちろんです。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 大臣はそういう点についてはいまお触れになりませんでしたが、それは当然のことであると考えておられるかどうか、念のために伺いたい。
  77. 中村梅吉

    中村国務大臣 もうお話しのとおりそれは当然でございまして、検察官の立場にある者は常に自分の身を正しく処していくということがすべてをまた厳正にさばいていく基本でございますから、これは非常に大事な点である、かように思っております。
  78. 正森成二

    ○正森委員 それでは、検察官に不正事件に関与するとかあるいは疑われる行為があるというような者がおりました場合には、法務大臣として綱紀粛正のために適正な措置を必要な限度でおとりになるというお心がまえはございますか。
  79. 中村梅吉

    中村国務大臣 違法な行為をやった者がもしあれば、そういう態度で臨むべきである、かように思っております。
  80. 正森成二

    ○正森委員 それでは伺いますが、大阪府の千里ニュータウンの宅地不正事件というのが起こりました。これには大阪地検の特捜部が捜査を行ないまして、二月の七日に一応調べが終わったそうでございますが、私ども調査したところでは、新住宅市街地開発法及び贈収賄ということで相当大量の人物が起訴処分されております。報道によりますと、新住法だけでも三十四人が正式裁判請求あるいは略式起訴、それ以外に三十六人が大体起訴猶予になっておるというようなことでありますが、この点の概略についてできれば刑事局長から説明を聞きたいと思います。
  81. 安原美穂

    安原政府委員 ただいま御指摘のように、大阪地検におきましては、昨年の秋から本年の二月七日にわたりまして、御指摘の千里ニュータウンの土地の分譲をめぐる贈収賄事件あるいは新住宅市街地開発法違反事件捜査をいたしまして、いま正森先生指摘のとおり、七名につきまして公判請求、その罪名は収賄罪あるいは贈賄罪あるいは新住宅市街地開発法違反ということで、大防府のいわゆる職員等七名につきましては公判請求をいたしましたし、新住宅市街地開発法違反関係につきましては二十九名につきまして略式命令の請求をいたしました。  なお、贈収賄関係の不起訴等がございますが、それは時効の関係でございまして、公判請求あるいは略式請求したのは以上のとおりでございます。
  82. 正森成二

    ○正森委員 そこで伺いますが、これらの事件捜査する過程の中で私ども承知しておりますのでは、現職の検察官三名が新住法の精神からして許されない裏口取得を行なっておる。しかも、あとで名前も言っていただきたいと思いますが、私どもの調べでは、現職の、たしか金沢の検事正あるいは福岡の高検検事あるいは神戸の次席検事というような、監督すべき立場にある者がそういうことをやっておるということがわかっております。私のほうで名前もわかっておりますが、名前を含めてそれらの人物の関与した程度、性質について御説明を願いたいと思います。
  83. 安原美穂

    安原政府委員 御指摘のとおり、去る二月八日の朝日新聞にも報道されておりますように、この事件捜査の過程におきまして——捜査の過程と申しますか、捜査は、つまり不正の分譲をめぐって贈収賄関係、あるいは分譲を受けた者の違法な処分というようなことがないかどうかが捜査の対象でございましたが、その過程におきまして、御指摘のとおりの検察官が宅地の分譲を受けておる事実が判明をいたしておりますが、捜査自体といたしましては、それらの分譲を受けたこと自体は犯罪を構成しないというふうに大阪地検から報告を受けております。
  84. 正森成二

    ○正森委員 いま事件の内容自体では犯罪を構成しないと言われておりましたが、私ども承知しておるのでは、二月九日の朝日新聞の大阪版にも載っておりますが、相当悪どいといいますか、贈収賄で起訴された者と関与しておるというようなこともわかっております。そこで私どもは、全く正常な取引の場合に検察官がどこに土地を買われようと家を建てられようと問題にする気はありませんけれども、すでに新聞にも報道され、しかも名前も大体わかっておるということについて、大臣がこういうような所信表明演説をしておられるときに、国民に疑惑を与えるようなことがごく最近に起こったわけですから、それについて、私が指摘した三名について、もし地検の特捜部が事件関係がないと言っておるなら関係がないでよろしいが、なぜそういう疑われるようなことになったのか、概略について説明をしていただきたいと思います。
  85. 安原美穂

    安原政府委員 犯罪捜査の過程でそういうことが判明いたしたわけでありまするが、それが犯罪を構成するかどうかというようなことを含めて、最近の二月七日に結論が出た結果、犯罪は構成しないということはわかったわけでありますが、私ども一応大阪地検の報告によりまして考えまするに、新住宅市街地開発法に基づくいわゆる優先分譲を受ける資格があったとは認められないのではないか、主観的にどうであったかどうかわからないにしても、客観的に優先分譲を受ける資格がないのに譲り受けたのではないかということが疑われますので、ただいま捜査の終わった段階におきまして、正森先生指摘のいわゆる身分上の監督権の発動といたしまして、その優先分譲を事実上受けた経緯につきましていま詳細を監督官に対して報告するように求めておるところでございます。  ただ、途中で聞いた段階でございますが、これら関係者は、金沢地検の田口検事正は、すでにその客観的に適法でないということを知りまして、すでにその土地を大阪府に返還しておるということでございますし、その余の二名につきましても、ただいま返還の手続を、いわゆる買い戻しを求める手続をそれぞれ関係の弁護士を通じてとっておるというふうに聞いておりますが、先ほど申しましたように、詳細どういう事情でそういうことになったかということにつきましては、目下監督権の発動として調査中であるということでございます。
  86. 正森成二

    ○正森委員 田口検事正の名前だけはおっしゃいましたし、土地を返しておるというようですが、ほかの人については事案の内容についてはおっしゃいません。私はそれを伺いたいと、こう思っておるわけですが、おわかりにならなければこちらから名前を言いましょうか、わかっておるから。
  87. 安原美穂

    安原政府委員 別に隠し立てをするつもりはございませんで、もう一人は神戸地検次席検事の吉川君であり、もう一人は福岡高検の遠藤検事でございます。
  88. 正森成二

    ○正森委員 それでは私から伺いますが、私この中で最も悪質だと思われるのは、福岡高検の遠藤検事であろうと思います。ほんとうは刑事局長は事案の内容も相当よく知っておられるのだろうと思いますが、いま調査中であるというようにお答えになりましたので、私のほうでわかっておることを申しますと、この遠藤検事は、四十四年の三月ごろに泉北ニュータウンに用地を提供した知人——これは、用地を提供しますと法律の二十三条の規定で優先分譲を受けることができます。この人から宅地約三百三十平方メートルの権利をもらって、この人にかわって遠藤検事自身が代金を納めておる。このこと自体ほんとうはしてはならないことのはずであります。しかもこの検事は、法律の規定を見て、十年間は自分の名義にするのに知事の承認が要るということがわかったので、これでは十年後に自分のものにはっきりなるかどうかということが不安になって、自分の知り合いの人物に相談しておる。これが信貴という贈賄で起訴された人物であります。そうして、その人物のすすめによって、四十六年の三月に千里ニュータウンの企業局の事務所に行って話したところが、その日のうちに企業局員に案内をされて、今度は気に入った堺市の若松台の宅地四百五十六平方メートルを取得する、こういうことをやっておりますが、その過程において非常にけしからぬことには、こういう宅地を譲り受けるのについては、地主に見せかけて土地を提供したということでなければならぬ。そこで府の企業局の管理課長代理の林利武、これは信貴からの収賄容疑で起訴されている人物でありますが、この人物が関与して、遠藤検事をにせ地主に仕立て上げる不動産の売買契約書を偽造して、しかもそれを四十六年の三月に受け付けたように大阪府の日付印を公文書偽造して押すというようなことをやって、そうして取得しておる。それだけでもきわめて重大な問題なのに、この若松台の土地は三・三平方メートル、すなわち一坪が四万三千六百円余りだった、ところが四十四年に違法に自分が代金をかわりに払って取得した土地の代金が二万七千五百円だったので、この差額を払わずに新しい土地を取得しておる、もってのほかじゃないか。こういうことをやっておって、新住法違反で、知事の承認を得ないで分譲した者は、ここの法律にあるように、六カ月以下の懲役もしくは三万円以下の罰金ということになっておるけれども、そういう者の取り調べができますか。また新住法の五十八条によれば「第三十二条の第一項の承認について虚偽の申請をした者は、十万円以下の過料に処する。」こうなっておる。自分自身が関与してそういう不正な方法で譲り受けることをやり、自分の知人がそういう書類を偽造する、こういうことをやっておって、どうして取り締まることができますか。あなたはこれは犯罪関係がないと言われたけれども、大いに犯罪関係のある可能性がある。共謀、共同正犯、もしくは教唆犯に該当する可能性もきわめて強い。かりにそうではないとしても、常識で考えても、こういうことをやっておって、新住宅市街地開発法違反事件を自分が担当検事として厳正に法を執行することができますか。私ならできない。そういう人物が地検を監督しなければならぬ高検の検事だ。  あなた方は、こういうことについて報道もされておりますけれども、どの程度関知され、それがただ土地を返せば済むぐらいの問題だと思っておられますか。先ほど伺うと、そのように聞こえましたが、それだけではとうてい済まない。差額も払わなかったということになれば、最初の好ましからぬ裏口分譲についても、当然これは正当だ、正当だから差額について払わなくてもいいと思っておったに違いない。いかがです。こういう問題について、厳重に監督権を発動なさるおつもりはありませんか。大臣いかがです。
  89. 中村梅吉

    中村国務大臣 まだ私どもとしては事態がはっきりわかりませんので、大阪地検を中心に事態の究明をしておると思います。問題が明らかになった上で善処いたしたいと思います。
  90. 正森成二

    ○正森委員 問題が明らかになった上で善処したいと言われましたが、私自身質問するのについて、この新聞社の責任者に直接連絡もして事実を確かめております。もしこれが事実だとすれば、あなたはどう思われますか。仮定の問題に答えられないとおっしゃらずに、あなたがきのう所信表明演説で言われたことに関連しております。もしそういう疑いのあることが起こり、新聞紙上にも広く報道されているということになればきわめて遺憾であり、監督権を発動しなければならないと思いますが、どうです。
  91. 中村梅吉

    中村国務大臣 いまお話を承っておりまして、私も聞き漏らした点もあり、よくわかりませんが、どうもしかし、大局的に見ますというと、何かたいへん不都合しておるような感じがいたします。しかし、それがはたしてお話のとおりであるのか、あるいはまた幾らか話の筋が違うのか、そういう点がまだ明らかでございませんので、いまの段階でどうこう申し上げるのは少しいかがか、かように思っています。
  92. 正森成二

    ○正森委員 刑事局長いかがです。
  93. 安原美穂

    安原政府委員 基本的には、大臣のおっしゃられたとおりでございます。  ただ御指摘のように、違法なことをした検事が違法なことを取り調べることができるかという検事の姿勢といたしましては、確かにそういう検事がそういう事件を調べる資格はないと思いますが、私ども現在承知しておるところでは、客観的にはどうも、法律を縦から見ても横から見ても優先分譲を受ける資格はなさそうである。そういう意味において、客観的には違法なことであるということは大体間違いないのじゃないか。ただ、検事ともあろうものが、違法を承知でさようなことをするのかどうかということは、私どもとても信じられないことでございますので、そういうことがどうして起こったのかということを、具体的に監督権の発動として調査を依頼しておるという段階でございますので、その結果を待って大臣にもひとつ意見を申し上げたい、かように考えております。
  94. 正森成二

    ○正森委員 いま刑事局長が、縦から見ても横から見ても優先分譲を受ける資格がないという意味のことを言われました。私もそのとおりだと思いますが、念のために、建設省の宅地開発課長お見えになっていますか——少し伺いたいと思いますが、新住宅市街地開発法の二十三条を見ますと、処分計画の基準というものが書いてあります。これを見ますと、条文は一々読みませんが、優先分譲を受ける者は、この宅地造成のために自分の土地、建物を提供したという者は、これは優先分譲を受ける。それ以外に政令で特別に定めるもの、これも特別な扱いを受けるが、それ以外の者はすべて公募して、公正な方法で選考しなければならないというようになっておると思います。条文のとおり読みませんでしたが、そのとおりですね。
  95. 吉田公二

    吉田説明員 新住宅市街地開発法の二十三条及びその政令の第五条から申しますと、そのとおりでございます。
  96. 正森成二

    ○正森委員 いま宅地開発課長もおっしゃいましたが、この例外的な規定というのは、新住宅市街地開発法施行令の第四条の特定譲渡、第五条の優先譲渡というところに定めてありますが、第四条というのは主として公益的施設であり、第五条の優先譲渡というのは開発事業に土地等を提供した者及び住宅金融公庫宅地債券等を持っておる者で、特別に建設省令で定める者というのが大まかな筋であります。したがってたとえ検察官であろうとも、自分の個人的な住宅について優先分譲を地主でもないのに受けるということがあれば、それはおおむね違法であるというように考えていいのではありませんか。
  97. 吉田公二

    吉田説明員 実態、私ただいまつまびらかでございませんが、もしこれに違反しているとすれば、さようになると思います。
  98. 正森成二

    ○正森委員 いまのような答えは、いやしくも課長ともあろう者がするべき答えじゃないですよ。これに違反しているとすれば違法でありますなんていうのは、あたりまえじゃないですか。先生のおっしゃるとおりだとすれば違法でありますとか、そういう考えをしないと、この法律に違反しておれば違法であります、そんなことはばかでも言えるよ、そんなもの。あなたには来てもらう必要はない。答え直しなさい。
  99. 吉田公二

    吉田説明員 ただいまちょっと言い方が悪うございました。先生のおっしゃるようなことでございましたら、この法律に違反でございます。
  100. 正森成二

    ○正森委員 よろしい。そこで安原刑事局長にお伺いしたいのですが、縦から見ても横から見ても優先分譲の資格がないと思われることをどうして——三人のうちの遠藤さんだけを言うて悪いんですけれどもやったか、それをいま調査中だ、それはなるほど法律の専門家ですからね。というんですが、しかし報道されているところによりますと、この人物はなかなかの心臓でありまして、「そんなことは一切知らない。個人としては不正分譲とは思っておらず、府のズサンな決裁体系に責任があると思っているが、検察全体に迷惑がかかるのを恐れ、宅地を返す気になった」こう言うておるんですね。相当いい心臓ですね、これ。おのれは悪くないけれども、検察全体に迷惑がかかったらいかぬから、悪くもない、惜しい土地だけれども返す、こう言わぬばかりですね。大体こういうようなのが検事をつとめておってもいいんですか。それに第一この報道によると、四十四年の三月にまず三百三十平方メートルの権利をもらって、十年間たたなければ名義を変えられない、その十年間の間に名義が変えられるかどうか不安だから別の若松台の土地をもらった、こういう関係でしょう。だから少なくとも十年間は、この土地の名義を知事の承認がなければ有効に変えられないということは百も承知の上で、次の行為をやっているじゃありませんか。そうでしょう。だからこの法律をさらさらと読めば、自分が適法に住宅を取得しようと思えば、建設省令の定める様式に従って知事の承認を得るように申請をする、現に知事の承認を受けて取得しておられる方はあります。そういうようにするのが当然で、それをやらなかったのは、とでも知事の承認を受けられないと思ったからに違いない。そうすれば、やめるのがあたりまえだ。それをまたもう一つ別の、地主であるという書類を偽造してもらって、そうして取得して、おまけにその二年ほどの間に倍ほど土地の値段が上がっておったから、上がった値段は払わない、前の値段のままでもらうんだ、こうやっておる。検事どころか、普通の市民でもこういうようなことはやりませんよ。いかがです。法律を知らなかったんじゃなしに、よく知ってなおかつやっておる、こう思われてもしかたがないんじゃないですか。
  101. 安原美穂

    安原政府委員 本人がどういうつもりであったかどうかは別として、正森先生の御指摘のような事実を前提として推理を推し進めるなら、まさに御指摘のとおりの推理になると思いますが、そういうことも含めてまことにふしぎでございますので、どういうことかを調べたい、かように考えております。
  102. 正森成二

    ○正森委員 まことにふしぎであるので調べたいと言われましたが、何か突然変異でこういうことが起こったというんではなしに、かくも常識的にふしぎなことを、正常な意識を持っている検察官がやったということになれば、これはその検察の姿勢についてよくよく考えてもらわなければならぬということになると思うんですね。それについては安原刑事局長大臣に進言をなさると思いますが、ふしぎだがよくよく考えてみたら検察官としてとるべき態度ではなかったというようにお思いになれば、監督上の措置をおとりになりますか。
  103. 中村梅吉

    中村国務大臣 お話しのとおりでございます。
  104. 正森成二

    ○正森委員 宅地を返すぐらいでは済みませんよ。土地の値段も倍もうけているし、なおもう一つ、この検事さんに悪いけど言いましょうか。新住法の二十四条によると——条文を見てください。「処分計画においては、造成宅地等の処分価額は、居住又は営利を目的としない業務の用に供されるものについては、当該造成宅地等の取得及び造成又は建設に要する費用を基準とし、かつ、当該造成宅地等の位置、品位及び用途を勘案」してきめるとなっております。ところが、「営利を目的とする業務の用に供されるものについては、類地等の時価を基準とし、かつ、当該造成宅地等の取得及び造成又は建設に要する費用並びに当該造成宅地等の位置、品位及び用途を勘案して決定する」こうなっております。条文をざらざらと読みましたからおわかりにくいかもしれませんが、あとで建設省の方に聞いてもよろしいが、つまり営利を目的とするものについては類地の時価を基準とする。そして造成費だとか土地の品位、用途を考える。ところが、自分が居住するものというようなものについては、時価に関係なしにその土地の取得、造成というのに要した実費だけで分けるということなんです。そうでしょう。
  105. 吉田公二

    吉田説明員 そのとおりでございます。
  106. 正森成二

    ○正森委員 ですから、私は大阪出身ですから千里ニュータウンとかいうようなところがどういうところか知っておりますけれども、万博が開かれましたために、あそこには地下鉄が通じるというようなことで、このごろでは一平方メートル、そんな四万や五万じゃないです。少なくも二ケタの値段であります。それでなかなか買えない。それをこれによりますと、四万三千六百円、つまり時価じゃなしに造成費だけで分けておる。それさえも高過ぎるというて、半分の二万七千五百円しか払わない、前のときの値段しか払わない、こういうことをやっているんですからね。だから、この検事さんというのは検事にしておくのはもったいない。宅地取引業者にでもすれば、ずいぶんともうかるという人物です。法律のたてまえからいってそうなっているんです。それを地主であるという書類は偽造させるわ、あるいはしたのを知らなかった、そうして買って、値段はまだ前の前の値段で平然としておる。そして言うことが、個人としては不正分譲と思っておらず、府のずさんな決裁体制責任がある。これはだまされた者が悪いというか、そういう心境ですね。こういう検察官が、一体、詐欺事犯なんというのを取り調べできるのですか、私はそれを聞きたい。もう少しこの談話でも、しおらしいことを言うておればこれほど聞かないけれども、何ですか。そういう点をよく考慮してお調べになりますか、あるいはもうお調べになっているでしょう。一言お聞きしたいと思います。値段の点、わかりましたか。
  107. 安原美穂

    安原政府委員 ようくわかりました。いま御指摘のように、違法であることを知りながら、いわゆる開き直っておるということであればまことによくないことだと思いますが、そういう談話をしたかどうかも含めまして、またしたとすればそれはどういう事情かも含めまして、たびたび申し上げますが調査中であるということでございます。
  108. 正森成二

    ○正森委員 こういう談話をしたことについては、当該新聞社に私は聞きましたが、直接に会って取材したと言っております。またこれが二月九日に新聞に載りましたが、三、四日たっておるけれども、どなたからも抗議の電話一本いただいておらない。したがって真実と認められたものと思う、こういっております。そういう点をお考えになった上で捜査してください。  その次に、検事正について伺いますが、検事正も、これは四十四年の八月ごろに千里ニュータウン内の宅地を入手されたそうであります。値段は四百八十九万円。ところがこのいきさつもすこぶるよくない。田口さんだそうでありますが、四十一、二年ごろ、当時の企業局の管理二課長国広信保、これは贈賄及び新住法違反起訴されております。この男に頼まれて、泉北ニュータウンの用地買収について、知り合いの地主との間を仲介した。地主との間を仲介したから別に悪いというわけじゃない。それを業としてやらなければ、その隣に住んでおるとかなんとか、親しいということで頼まれることがあるかもしれませんけれども、そういうことをやったあとで、四十四年の夏ごろ、国広からあのときのお礼にと持ちかけられて、千里ニュータウンの宅地を購入した、こういうておるのです。どうです。検事正ともあろう者が、新住法による宅地を造成するのに、たまたま地主と何かというたというて、そのお礼だといって便宜を計らってもらうとは何ごとです。もし職務に関与してそういうことをやっておれば完全な収賄でしょう。しかもこれは自分の直接の職務には関係ないけれども、新住法の知事の承認を得ないで転売をしたなどという場合には、犯罪として捜査しなければならないでしょう。そういうことだのに、自分自身が違法な譲渡を受ける。これは検察官がいろいろお考えになって、収賄にはならないとお思いになったのでしょうけれども、精神においてはまさに収賄だ、そう思いませんか。自分が世話をして、そのお礼だと思って受け取ったというのですから。まだ自分の家がなくてなくて困ってどうこうしたというのではないのですから、お礼としてこういうものを受け取っておる。いつか大蔵省を呼んで親引け株の問題で横山委員質問が去年ありました。そのときに安原さんの答弁、私覚えておりますけれども、親引け株というようなものはだれにでも得られるものではない。特別の値打ちがあるということになれば、それは贈収賄の対象になるのだということを言われているでしょう。このような土地の特別の優先の分譲を受けるということは何びとにもできないのです。私が調べたところでは、大体普通人は一千倍ほどの公募によってやっと取得しているのです。それを何ですか、土地を世話したからといって、お礼だと思って当然のことのように受け取っておる。そういう検事正をかしらにいただいて、一体検察が、法務大臣が言うたような庶民を苦しめている経済事犯について、厳正な態度をとることができるなどと私にはとうてい思われない。この検事正は去年返還を申し出ております、十月に事件になってから。そこで「府の役に立った気持ちもあり、多少は府内部で処分できる宅地があるのだろうと思っていたが、裏口分譲とは知らなかった。いま思えば軽率だった」こういっている。だからこの検事正はまだかわいい。いま思えば軽率だった、知らなかった、こういっているのですから、前の遠藤高検検事に比べればはるかにかわいいが、しかし検事正というのは、ものごとを指導し決裁しなければならぬ。その人が現下の情勢にあって、こういう新住法の罰則も知らなければ、してはならないことも知らないということになれば、第一法律を知らない人間が、取り締まりをできるはずがない。法務大臣最初の御答弁でも、まず関係法令をよく知るということが大事だ、こう言っているのに、その法令を知らない。姿勢がなっておらぬ。二つともだめじゃないですか。安原さん、どう思います。
  109. 安原美穂

    安原政府委員 たびたび申し上げますように、御指摘のとおりであれば御指摘のようなことになると思いますが、どうしてこうなったのかを調査いたしておる最中でございまして、これ以上は申し上げかねます。
  110. 正森成二

    ○正森委員 これほど新聞にも出ておることについて、どうしてそうなったのかわからないというようなことでいまは済まされておるようですけれども、しかしそれでは刑事局長済まない問題ですよ。大企業大会社経済事犯について買占め売惜しみ防止法などもできた、独禁法もある、いろいろなことがあるけれども、なかなかそれが発動されない。価格調査官があっても、五条の立ち入りを一ぺんもやっていない。まして摘発もできないということになっているのでしょう。ところが、いよいよ価格調査官などが立ち入って、そして向こうがうその答弁をしたような場合に、厳正にやらなければならない検察官がこういうていたらくだということになれば、国民は政府を信用しない、それを取り締まる公務員を信用しない。頼みの綱の裁判所が幾ら処罰しようと思っても、公訴は全部公訴官である検察官が握っているのでしょう。その検察官がこういうことでどうなります。  吉川次席検事を少し申しますと、この人は当時の府の副知事のあっせんで宅地を分譲してもらっておる。「何かの会合で副知事に会ったとき住宅に困っているといったら、世話しますということだった。あてにしていなかったが、府企業局から手続きをするよう用紙が送られてきた」こういっている。この人は建物も建てたらしい。これは言うとおりだとすると、府のほうから働きかけたらしいけれども、何かの会合で次席検事ともあろう者が府の副知事とひょこひょこ会って、建物困っておるなあと言えばたちどころに府のほうからこういうことを言うてくる。そしてそれを受けるという高級官僚同士のなれ合い、癒着、それが問題です。自治省の役人来ておられますか。——本来は大阪府に聞くべきことだけれども、あなたに伺います。  この件の場合には、大阪府のほうで特別選考基準というのをつくってやったらしいけれども、その特別選考基準といえども、新住法の法律の規定及び施行令というようなものに反して、特別に高級公務員に便宜をはからうというようなものであれば、それは明らかに法の精神に反して、知事は許可すべきではなく、また買い戻し権を行使すべきものであるというように思いますが、いかがです。
  111. 広田常雄

    ○広田説明員 お説のとおりだと思います。
  112. 正森成二

    ○正森委員 いま私が聞きましたように、自治省、建設省すべて、まあいえば考えられないような、法律上は明白なことを、法を取り締まるべき立場にある検察官がやっている。しかもそれも下っぱの検事じゃないです。いいですか。  私は、この間さるところで、さる検察官が万引きをなさったという事件がありましたが、しかしあの問題は身分の低い検察官でもありますし、非常に精神的にお弱りになっておる状態のもとで行なわれたということをよく承知していますから名前もあげませんし、質問もしなかった。いまも聞こうとは思いません。しかし本件の場合には違う。監督的立場にある者が三人もそろってこういうことをやり、しかも田口検事正を除けばあんまり反省しているように見えない。そこで私はこのことを聞くわけです。きょう十分なお調べがなかったようですけれども、別の機会にお調べになった上で、この席でその経緯を明らかにしていただけますか。そして明らかになった段階で、単に宅地を返還するということでなしに——ほんとうに正当なものなら、私は宅地を返還しなさいとは言いませんよ。しかし、もし遺憾な点があるなら、そういう措置をとるだけでなしに、監督上の一定の措置をおとりになるということを再度お約束していただきたいと思います。それで終わります。
  113. 中村梅吉

    中村国務大臣 十分に調査いたしまして……。
  114. 正森成二

    ○正森委員 それでは安原刑事局長に伺いたいと思いますが、どのぐらい時間がかかりますか。そしてそのいきさつについては、場合によっては当委員会に御報告をいただきたいと思いますが……。
  115. 安原美穂

    安原政府委員 調査をいたしまして、その結果に基づきまして、監督権の発動をするかどうかというようなことも含めて当委員会に臨みたいと思います。ゆっくりやるつもりはございませんで、急いでやりますが、いつまでということはひとつごかんべんを願いたいと思います。できるだけ早くということで……。
  116. 正森成二

    ○正森委員 それは検察官も人権があるわけですから。調べてほしいと思いますが、しかし今国会が終わってしまったんではしようがないですからね。そんなことはないでしょうな。なるべく早く調べてください。  最後に法務大臣に伺いますが、いま聞かれましたように、検察官姿勢に非常に問題がある。検察官が福岡あるいは神戸というようにずっと三つにまたがっていますからね。もとは大阪におられたんでしょうけれども、転勤されて。そうすると、よほど姿勢を正さないと、これは検察官の全国的な綱紀の弛緩というか心のゆるみというのにつながると思います。そういうことのないように大臣が監督権を行使していただきたいと思うわけです。  しかし、私は大臣にも一言申しますと、この間さる新聞に発表になりましたが、大臣の所属しておられる自由民主党は、国民協会から多額の資金をおもらいになって、しかもその割り当て額を二・五倍とか、企業によっては、たとえば土地関係企業には前期の四十数倍というような献金を割り当てておられる。ある識者の評論によりますと、「天下の公党が総会屋に成り下がってる図ですな、まさに。」こういうように言われております。いま経済事犯について私は検察の姿勢を正すように言いましたが、それをまた正さなければならない法務大臣の所属しておられる政党が、数百の大企業からお金をもらわれ、しかもそれを数倍にするということをいわれている。そういうようなことになりますと国民は、やはり自由民主党という政党は大企業にはゆるく、庶民だけは厳正に処罰する政党ではないか、経済問題でもそのとおりではないかというように思うのは無理のないところであります。したがって、私は大臣姿勢を正していただきたいということを申し上げるとともに、また別の機会に申し上げますが、そういう痛くもない腹を探られないためにも、政治資金規正法で大口の大企業からはもらわないようにするということをきめるとか、そういうようなことを区割りの改正ということとは切り離してなさることがぜひ必要である。少なくとも党議ではきまらなくても、法務大臣ともあろう者はそういう姿勢でなければならない、こう私は思いますが、大臣の所信を承って質問を終わりたいと思います。
  117. 中村梅吉

    中村国務大臣 最近の諸情勢から見ますと、各政党とも相当資金が要ることは間違いないと思うのですが、できるだけその資金の調達は明朗であり、かつ適正でなければならない、それはもう当然のことだと思います。ただ、私もきのう新聞を見てびっくりしたんですが、国民協会がどうしてあんなことをやったのか。党のほうで資金が要り過ぎるので、資金供給のために余儀なくやったことかと思うのですが、私ども見てもびっくりするような問題でございまして、ここでその問題についてのお答えはいたしかねますが、とにかく政治姿勢としましては、できるだけ政治家は清廉であること、そしてまたどんなに、社会的に見ても要するに妥当性というものを欠かないようにつとめなければいかぬというように私ども思っております。きのうの問題につきましては私どもびっくりしておるわけで、追ってわれわれも研究いたしたいと思いますが、姿勢としては政治家は党のいかんを問わず常にそうあるべきものである、かように考えております。
  118. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  119. 小平久雄

    小平委員長 次回は、来たる十五日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会