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1974-05-08 第72回国会 衆議院 文教委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月八日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 坂田 道太君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 小林 信一君 理事 山原健二郎君       有田 喜一君    田中 正巳君       楢橋  進君    三塚  博君       山崎  拓君    嶋崎  譲君       長谷川正三君    山口 鶴男君       栗田  翠君    有島 重武君       高橋  繁君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         文部政務次官  藤波 孝生君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部大臣官房審         議官      奥田 真丈君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省社会教育         局長      今村 武俊君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         運輸省船舶局長 内田  守君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      廣江 運弘君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案(  木島喜兵衞君外七名提出、第七十一回国会衆法  第九号)  公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部を改正する法律案  (木島喜兵衞君外七名提出、第七十一回国会衆  法第一〇号)      ————◇—————
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律等の一部を改正する法律案並びに先国会より継続審査となっております木島喜兵衞君外七名提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案、及び木島喜兵衞君外七名提出公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
  3. 稻葉修

    稻葉委員長 以上各案のうち、木島喜兵衞君外七名提出の両案につきましては、第七十一回国会においてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 稻葉修

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 稻葉修

    稻葉委員長 これより各案の質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  6. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 政府提出定数標準法はあまりよくない内容でありまして、木島喜兵衞提出定数標準法のほうがはるかにすぐれておりまして、私ども政府案のほうは賛成しがたい、木島喜兵衞提出法律案のほうがたいへんけっこうでよろしい、こういう考え方を持っておりますが、若干幾つかの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  法案お尋ねを申し上げる前に、文部大臣がおられますから、今後の国会審議の見通しにも関連する問題でありますので、若干お尋ねをいたしたいと思います。  実は今度の国会政府提出予定されました法律案は八十八件であります。このうちすでに八十六件が提出をされておりまして、二件が未提出だと承知をいたしております。去る四月二十三日に議院運営委員会理事会二階堂官房長官出席を求めまして、政府提出法律案提出のものがあるけれども、一体これはどうするのかということについてただしました。従来、国会運営としましては、国会会期というものがある。今七十二国会におきましては会期末は四月二十九日だったわけであります。その後、自民党さんの都合ですか、内閣都合ですかわかりませんが、まあ一方的に六月の三日まで三十五日間の会期延長をされましたが、しかし四月二十三日の段階では、政府与党も、会期延長するとは一言もおっしゃっておりませんでした。そういう中で二階堂官房長官出席を求めて、国会が、もう会期は間近である、しかるに未提出法案がある、これは一体どうするつもりかということをただすことは、私は当然だろうと思います。そういたしましたら二階堂官房長官は、事務当局に命じて作業中であって、未提出法案については早急に出したい。当時二階堂官房長官がお見えになったころは、大都市の建設省関係法律案は未提出でありましたから、未提出法案は三本でございましたが、すみやかに出すように努力する、こう言われたわけです。そして、特に大学立法についてはどうするのかと私が尋ねましたら、これについては、これまた事務当局に命じて作業中であるので早急に出せると思います、こういうふうに申しました。翌日の各新聞紙は一斉に、これは二階堂官房長官期限延長だけにとどめる政府考え方を示したのだと報道をいたしたのであります。本日はすでに五月の八日であります。いまなお大学立法は、二階堂官房長官言明にもかかわらず出ておりません。文部大臣、一体どうするつもりですか。
  7. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御承知のように、大学運営臨時措置法は「五年以内に廃止するものとする。」と書かれておるわけでございます。その五年の期限が八月十六日になるわけでございます。  現状から考えていきますと、大学のキャンパスの中で殺人行為が行なわれたりもしておるわけでございますので、廃止のしっぱなしで何もしないというわけにもいかないのじゃないだろうか、できる限り現状に即して考えていかなければならないけれども、何もしないわけにいかないのじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。八月十六日ということになりますと、参議院選挙後にも国会が開かれる。しかし、そのときはおそらく院の構成中心国会じゃないだろうか。そうしますと、政府としての意思表示はこの国会ですべきだろう、こう判断をいたしておるわけでございます。そういうところからだんだんと政府なりの考え方をまとめつつあるところでございまして、与党との話し合いも始めさしていただこうか、こう考えておるところでございまして、まとまり次第、政府案として国会意思をはっきりさせて御審議をお願いするように持っていきたい、こう存じておるところでございます。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 河野参議院議長が実現をいたしましてから、参議院では、第二院としての参議院の位置づけをどうするか、参議院自主性というものをどうして守るかという立場から参議院改革の問題についていろいろと参議院議長努力をしておられるわけであります。大臣もこの点は御存じだと思います。従来、ややもすると衆議院会期末ぎりぎりになって強行採決などして法案参議院に送り込んでくる、こういうことでは参議院自主性というものは保たれない。特に五年前の大学立法はそうだったろうと思います。そういう反省の上に立って、重要法案については少なくとも二十日前に、少なくとも審議期間二十日くらいを残して参議院に送り込んでもらわなければ困る、そうでなければ受け付けられませんよということを参議院議長は言っておられるわけであります。私は当然だろうと思います。参議院は第二院です。衆議院は第一院で、しかも議員の数も多い。参議院が二十日の審議期間を必要とするということになれば、衆議院は四十日あるいは五十日審議期間が必要だというのは当然だろうと思いますね。本日は五月の八日でありまして、会期末まで——会期延長自体がけしからぬとは思いますが、しかしその議論は別といたしましても、残るところ二十数日ということだと思います。そういう段階になってこれから政府与党と調整をするとかなんとか言っておられるのは、国会審議というものに対して、大臣一体どういうお考えを持っておるのですか。国会審議軽視ではありませんか。
  9. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 現在の大学あり方につきましては各党とも御心配いただいておる、こう思っておるわけでございます。したがいまして、こういう問題につきましては、各党虚心に話し合っていただけぬものだろうか、ただ八月十六日までまだかなり時間があるものでございますので、一番その時点において適当した方策が大切じゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。したがいまして、この国会で成立させる必要はない、できる限り話し合いの時間は持っていただければありがたいな、引き続いて次の国会にかけて御審議いただければ政府としてはしあわせだなと、こう思っておるところでございます。そうかといって、やはり参議院選挙後の国会では——政府意思表示、何らかの措置が必要だと考えているのですという判断をきめまして国会に問いかける、それはやはりこの国会でするのが筋道ではないだろうかな、こうも考えておるわけでございます。そういうことでなお話し合いが今日まで延びているということでございます。同時に、この委員会におきましても、なお若干の法案を御審議いただいているわけでございますので、率直に申し上げまして、提出したからといってすぐ審議していただけるわけのものでもないだろう、できる限り実態に即したものにし、同時に、これを中心にして各党間でひとつ話し合いをしていただけぬものだろうか、こんな希望を抱いているところでございます。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの大臣のおことばは私は重大だと思いますよ。少なくとも政府国会法案提出する場合に、これは通らなくてもけっこうでございますというような形の出し方というのはないと私は思うのです。これを通すか通さぬかは国会がきめることなんです。政府がそんなことを差し出がましくどうこう言う必要はないわけなんです。いまの大臣のおことばを聞けば、それじゃ参議院対策のために大学立法を出すのですか。通らぬことははっきりしている、継続審議にしていただいてけっこうだ、ただ参議院選挙を控えて、大学現状はこうあるから、その大学改革のためにこういった法案を出すのだ、いわば参議院選挙与党自民党に有利に運ぶために、いわば参議院選挙対策一環としてこの大学立法を扱う、こういうことを言ったと同じじゃないですか、大臣。そういったかっこうで法案を扱っていいものですか。私は重大な問題だと思いますよ。
  11. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 あとの会期期間が少ないということでいろいろ御意見がございますので、率直に私の気持ちを述べさしていただいているわけでございます。政府国会法案を出しますと、処理は言うまでもなく国会でおきめいただくわけでございますので、よけいなことを申し上げる必要もないかもしれません。ただ、八月十六日ということになりますと、必ずしもこの国会でなければならぬことはないじゃないか、こういう意見が当然出てくると思うのであります。ただ、私が先ほど申し上げましたように、参議院選挙後の国会がどうなるかわからぬけれども、従来なら院の構成ということのためになるのじゃないだろうか。そうなると、どうもそのときでいいというわけにいかない。やはりこの国会で、政府としてはこう考えていますということを明らかにせざるを得ないのじゃないだろうか、こう思っているということでございます。また、「五年以内に廃止するものとする。」と書いてあるわけでございますので、できる限りその期限に近いところで判断をすることが正しいのじゃないだろうか、法律に忠実な姿勢というべきじゃないだろうか、こう考えているわけでございます。それ以外に選挙対策でありますとかなんというような特別な考え方は毛頭ございません。現在の大学あり方につきましては、各党それぞれお考えをお持ちでございましょうから、できる限り考えの素材を出さしていただきたい、そして十分詰めていただいたらありがたいことだ、国会でどう処理されるか、継続に持っていっていただくか、あるいはこの国会で処理されるか、すべて国会の問題であることは、私からよけいなことを言うまでもないことだ、こう思います。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあよけいなことを言うまでもないというのですから、先ほどのその部分はお取り消しになることだろうと思います。そう承っておきます。参議院選挙対策は毛頭考えていないと言いますけれども現実そうじゃありませんか。最近の新聞報道を見ましても、参議院選挙考えて、物価問題で政府与党選挙をやるのは損だから、この際大学立法その他文教問題で対決をして、それを参議院選挙争点に持っていきたい、あるいは日の丸だとか国歌だとか、あるいは教育勅語云々とかいう発言が、あなたからも、それからまた田中総理の口からもしばしば出ているわけですね。明らかに政府与党参議院選挙考えている。この文教問題で物価問題の争点をそらしていこう、その一環として、大学立法は通らぬことは承知ながら今国会に出そうということじゃありませんか。そのような今度の国会で通さぬでもいいということを大臣はおっしゃったのですから、そういう考え大学立法を出すならば、私ども国会は、具体的に言えば法案の扱いをきめる議運では、そういう形での法案提出は一切認めることはできません。従来の国会運営の中で、会期延長をされた段階で出してくる法案については、これを扱うか扱わないかということではずいぶん議論があったわけであります。そのような大臣言明がありました以上は、私どもとしては大学立法を受け付けないという決意でありますことだけはここで明確に申し上げておきましょう。  それを申し上げまして、次の法案の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。   〔発言する者あり〕
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 入学試験だって時期がおくれて願書を出したのはだめなんだから、今度だって願書がおくれたのと同じことですよ。だから、そんなものを受け付けるわけにはいかぬ。
  14. 稻葉修

    稻葉委員長 質疑者に申し上げますが、不規則発言お答えになる必要はありません。御質疑を御継続願います。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 はい、わかりました、質疑を続けたいと思います。  この法案の中に学校栄養職員の問題が含まれております。したがいまして、学校給食の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。  最近の報道その他によりますと、物価値上がり等の問題がございまして、この学校給食代金が非常に高騰をしている、少ないところでも三〇%、多いところでは八〇%、倍近い給食代金値上がりであるということが報道されております。体育局長さんにお尋ねいたしたいと思いますが、最近の生徒児童負担をいたします学校給食費、金額は幾らぐらいで、昨年に比べてどの程度増額になっておりますか。具体的に数字お答えをいただきたいと思います。
  16. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 父兄から徴収いたしております学校給食費でございますが、昨年度の全国的な平均実績が、小学校の場合、一日当たり七十七円、したがいまして、月二十日といたしますと千五百四十円でございます。中学校が一日当たり八十八円九十三銭、約八十九円でございますから、月二十日といたしまして千七百八十円、これが昨年の全国平均実績でございます。まだ本年度は全国的に全部の県、市町村で新しい給食費がきまっておりませんが、いままできめましたところの趨勢を見ますと、いま先生指摘のような、大体三割から三割五分程度増額をいたしております。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 平均は三〇%から三五%、しかし、大幅なところは倍額近い五〇%あるいは八〇%の引き上げというものもあることだろうと思います。  そこでお尋ねしたいと思いますが、この値上がりの原因は一体どこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 御承知のように、学校給食パンまたは米飯、それからミルクおかず、この三一つからなるわけでございます。  まず、パンにつきましては、そのもとの材料になります玄麦政府売り渡し玄麦は九月まで据え置かれることになっております。それを粉にする製粉でございますが、これも製粉業界の協力を得まして、玄麦の据え置かれる期間は大体据え置いていただくことになっております。今度はそれを、粉をパンにいたします加工賃でございます。これが、人件費光熱水費包装費が上がっておりますので、大体新年度から多くの県が二円ないし三円、従来が約十四円程度でございます。いままで上げたところはそういう上げ方をいたしております。  それからミルクでございますが、これが牛乳市販牛乳が昨年三十二円が四十円に値上げされました。学校給食につきましても、従来全国平均は二十円にちょっと欠けておりますが、十九円九十五銭、それを五円十四銭ぐらいの値上げをしてほしいということの問題がございまして、昨年度中に十数県が値上げをいたしました。残っておる県も新年度からは値上げをせざるを得ないという状況でございます。  それからおかずにつきましては、野菜類その他肉、いろいろ諸物価が高騰いたしておりますので、そういうわけで、全国平均的に三割前後の値上げという問題が起きておるわけでございます。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 概略一応お答えをいただきましたが、そうなりますと、九月以降さらにこの値上がり要因はあるし、また電力の値上げ等もやがて行なわれるという状況でありますから、そういった意味でのさらに値上げ要因というものはメジロ押しに並んでおるということだろうと思いますね。そういう中で、政府は一体どれだけの手を打ったわけですか。昨年に比べて小麦補助は一体何ぼふやしましたか。ミルク補助は一体幾らふやしましたか。
  20. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 まず小麦粉でございますが、これは昨年度から小麦粉供給事業費補助といいますか、流通経費補助金に切りかえたわけでございます。昨年は約八億五、六千万の実績でございました。本年度は十一億五千万円の予算が計上されておりますが、これは大体全額使う予定になっておりますので、実質的に二億何がしの増額になるわけであります。牛乳補助金農林省予算に計上されておりますが、これは据え置かれておりまして、二百CC当たり五円八十銭の補助金ということで、この牛乳補助金はこの数年間据え置かれております。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ミルクのほうは据え置かれた、小麦のほうは流通経費であって、これは二億幾らふえていると言いますが、文部省予算書を拝見すると、学校給食用小麦粉供給事業費補助昭和四十九年度十億七千五百万円、それから前年度当初十億七千五百万円、同額じゃありませんか、流通経費補助であって、実態によって現実補助する額がふえるのかどうか知りませんけれども予算額は昨年と同額じゃありませんか。予算額としては据え置きへこういうことでしょう。
  22. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 ことばを省略して恐縮でございましたが、予算額先生指摘のとおりでございますが、昨年は大蔵省との約束がございまして、一袋二十五キロ当たり流通経費は百二十五円という予算積算どおりにしてもらいたいということがございました。片やこの数量のほうはかなり余裕をもって積算されておりましたので、その一袋当たり百二十五円ということに伴いまして、実際に必要とした数量予算積算よりも少なかったわけで、そういうことで八億何がしであったわけであります。本年度予算につきましては、予算編成のときに大蔵省とあらかじめ協議いたしまして、全額ことしはそれを執行上使うということになりました。そういたしますと、一袋二十五キロ当たり流通経費が約百五十円から百五十一円くらいになるわけであります。  詳しく申し上げますとそういうことでございます。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 詳しくても何でも、とにかく予算額は前年度同額で全然ふえていない、据え置きである、それからミルク補助農林省関係経費でありますが、これは据え置きである、こういうことですね。それでは全く政府としては、このような給食費値上がりについて何ら具体的な対策をとっていない、予算面では、こういうことになるじゃありませんか。  さらにお尋ねいたしますが、数は少ないとは思いますが、生徒児童負担をいたします給食費は、すべて食べるものの代金に回るのではなくて、自治体によっては一部人件費に流用される、一部設備費負担に流用される、こういうものがあるんじゃありませんか。そういう点の実態については文部省、どう把握をいたしておりますか。
  24. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 学校給食を実施いたします上に必要な経費が、ただいま御指摘のように施設設備費、それから学校栄養士あるいは調理従事員方々人件費、それから光熱水費食材料費、こういうことになるわけでございます。現在の学校給食法によりますと、施設設備とそれから人件費は公費の負担、その他の経費保護者負担、こういうことになっておるわけでございますが、現実問題といたしましては光熱水費もほとんど市町村負担いたしております。人件費につきましては、調理従事員方々人件費につきましては、かつてPTA、父兄負担というのがかなりございました。そこで、昭和三十九年でございましたか、配置基準を示しまして、自治省のほうにも交付税積算をしていただきまして、現在はほとんど解消されておりますが、遺憾ながら、ごくわずかでございますが、まだ一部、負担が、率はきわめてわずかでございますが、残っておるのが実情でございますが、これも年々解消に向かって減少されております。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昭和四十六年、行政管理庁学校給食運営に関する行政監察結果に基づく勧告というのをお出しになっておる。行政管理庁行政監察局長に、その後勧告を出したかと聞きましたら、出していないということでありますから、行管庁として、現時点におきましては最終的な勧告というふうに受け取ってよろしいかと思います。  この勧告を見ますと、ただいま私がお尋ねしたような問題を記述いたしております。「給食費給食経費以外の経費に流用しているものが見受けられた。したがって、文部省は、市町村及び同教育委員会に対し、この種父兄負担を廃止し、かつ給食費取り扱い適正化をはかるよう指導する必要がある。」昭和四十六年の二月ですね。もうすでに三年経過をいたしておるわけでありますが、いまなおこういう流用がなされているというようなお答えでありまして、まことに遺憾だと思います。  さらに、時間があれですからあまり詳しいことは申し上げるつもりはありませんが、世界各国給食費状況を見ましても、国ないしは州、自治体、こういうものが五〇%補助しているというのが大波じゃありませんか。アメリカだってそうでしょう。イギリスだってそうでしょう。それではわが国給食については、小麦については昨年と同額据え置き流通経費を若干見るだけ、ミルクについても昨年同額据え置き、こういう状況の中で、給食経費のうち国が補助している割合というのは一体幾らになるのですか。外国の状況わが国状況数字でもって御説明いただきたいと思います。
  26. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 先ほど先生から行管勧告にお触れになりましたが、あれに基づきまして従来、施設設備につきましては、新しく学校給食を開設する場合だけの補助しかなかったわけでございますが、昭和四十七年度から、更新をする場合あるいは改善をする場合等の補助金も計上いたしたわけで、その他いろいろ改善努力をいたしておるわけでございますが、本年度学校給食関係文部省所管予算は、昨年の百十一億七千万円に対しまして百三十五億四千万円、それから農林省関係牛乳補助金が百七十二億円ということでございます。全体的に見ますと、これは昨年の場合でございますが、学校給食費が二千二百四十一億円、これはパンミルクおかずの分でございまして、施設設備それから栄養士、調理従事員方々人件費光熱水費を除いてございますが、それらを除きました食材料関係が二千二百四十一億円、そのうち保護者負担が千九百七十五億、国の負担、これは農林省補助金、それから要保護、準要保護の給食費の全額公費援助の補助をいたしております。それらを合わせまして二百三十二億、設置者が補助いたしましたのが三十四億というような傾向になっております。  諸外国の学校給食状況につきましては、外務省の協力を得まして、いま各国の大使館に詳しい英文の調査表をお送りいたしまして調査中でございます。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 お尋ねしておることにお答えいただきたいと思うのですが、私は設備費の問題を聞いておるわけじゃないのです。たとえば設備費にしましても、わが国は五〇%補助ですね。イギリスのごときは、設備費も一〇〇%補助ということで、違っております。だから、一応設備は、そういうことで設備も不十分ですが、おきましょう。設備を除いた学校給食自体の経費、それに対してイギリスの場合は五〇%補助している。わが国の場合は、ミルク補助だとか小麦補助というものを考え給食費全体の中でそれが一体何%の補助実態になっておるのか。補助率ではありませんからね。全体の経費の中で補助金幾ら、したがって実態、何ぼ補助しておるかっこうになっておるかということを聞いておるわけですよ。
  28. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 ただいまその点は申し上げたつもりでございますが、施設設備人件費光熱水費を除きまして、パンミルクおかず、そういう食材料費につきまして、昭和四十八年度の抽出調査を全国推計いたしたものでございますが、二千二百四十一億円でございます。そのうち国が負担なり補助いたしましたのが二百三十二億でございまして、設置者が補助なり負担いたしましたのが三十四億、保護者負担いたしましたのが千九百七十五億という推計が出ております。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 だから何%かと聞いておるのです。
  30. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 二千二百四十一億に対して国と設置者が二百六十七億でございますから、十数%になろうかと思います。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう貧弱な実態ですね。そういうものを、大臣どうですか、外国並みに、少なくとも国と設置者、自治体、場合によっては、日本の場合は府県を考えてもいいと思いますが、国、府県あるいは市町村、外国並みの五〇%補助くらいに少なくとも持っていく必要があるのじゃないですか。しかも、先ほど来お答えがありましたように、学校給食費父母負担というのは激増の一途をたどっておるわけですね。今後も増加する傾向にある。このままほっておいていいとお考えですか。
  32. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御承知のように学校給食法負担区分をきめておるわけであります。設備の費用でありますとか人件費でありますとかいうようなものは全額公費負担にする、材料費は父母負担、しかし要保護家庭、準要保護家庭については、材料費についても全額公費で負担をしようということでございます。自余の問題につきましては、お示しのような考え方をとりませんで、物価政策、物資政策に乗るものについては、ある程度負担をしようというようなことで、小麦粉についてあるいは牛乳について若干の補助をしておるわけでございます。そういう材料費についてももっと公費負担を広げていったらいいじゃないかというお考えもありましょうけれども、できれば、公費をつぎ込む問題につきましては、なお他の面においても多きを期していきたい面が教材その他についてございますので、いますぐ給食の材料費について、要保護家庭や準要保護家庭以外の分について一律の公費負担をするということについては踏み切れないという気持ちでおるわけでございます。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 踏み切れないということですね。大学立法などは一生懸命であったが、学校給食の父母負担の軽減については、奥野文部大臣としては改善をするつもりはない、こういうふうに承っておきましょう。  設備費五〇%と言いましたが、これは国庫補助ですね。あとは自治体設置者が持っておるわけですから。イギリスなんかの場合は、設備費も一〇〇%国庫補助なんですよ。そこへもってきて、給食費補助については、国の場合は生活保護その他の方々、準要保護児童等に対する補助を全部入れて十数%の補助だけれども現実の普通の一般家庭の児童に対してはほとんど補助なしと同じような状態でしょう。それに対してイギリスあるいはアメリカなどは国と自治体とで五〇%そちらの部分も持っておるというのが現状だということだけはよく御認識をいただきたいと思うのです。しかも、わが国給食費が非常に高騰を続けておる。そういう中で何ら具体的な手を打たないということは、私は非常にいかがかと思うということを申し上げておきたいと思うのです。そういう方面をほっておいて、今回どういうわけかわかりませんが、学校栄養職員の給与について二分の一国庫負担をいたしまして、そうしていままで市町村の身分でございました職員を県費の職員に切りかえるということを今度の法案でお出しになっておるわけであります。  そこで、さらにお尋ねいたしたいと思うのですが、行管勧告、これによりますと、学校栄養士の方の問題についても次のように触れております。「栄養改善法第九条において、一回百食以上の食事を供給する集団給食施設に栄養の指導を行なわせるための栄養士を置くようにつとめなければならないと規定しているが、今回の調査対象のうち、百七十二の施設について見ると、栄養士である学校栄養職員設置している施設は四二%に当たる七十二施設にすぎず、特に単独校の場合は百三十九施設中四十施設で二九%となっている。したがって文部省はこれらの施設における学校栄養職員設置につき一そう努力することが必要である。」さらに調理従業員の配置についても具体的に勧告をいたしております。  今回見ますと、二千五百人以上の学校施設について栄養職員一人というような基準で、しかも共同調理場につきましても一定の基準を設けまして、そうしてこの身分の切りかえをやっていくようでありますが、私は、こんなことでは、この行管庁勧告に沿っていないと思うのです。現在配置されております学校栄養職員の数はどれくらいでありますか。栄養改善法で規定をされた百食以上の給食をやっている学校について、すべて栄養職員が配置をされておられますか。いないとすれば、その配置の状況は一体何%くらいでございますか。
  34. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 学校給食は、御承知のように単独校で調理をいたしておる場合と共同調理場でやっておる場合とあるわけでございます。現在、完全給食を実施いたしております学校数に対しまして、単独校に置かれております栄養士の設置率は約二〇%でございます。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今回のこの法案によりまして、五カ年計画で栄養職員の身分を県費負担職員に切りかえて二分の一を国が負担していくというわけでありますが、昭和四十九年度年度、毎年五百人ずつふやしていくようでありますが、計画の終わる五十三年度には一体幾人になり、その場合の単独校並びに共同調理場栄養職員の方々の配当率は一体何%ぐらいになるわけでございますか。
  36. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 昭和四十八年度、昨年度までは国庫補助であったわけでございますが、昨年の国庫補助の対象予算人員が四千六十四人でございます。それに対しまして現実に小中学校と共同調理場に置かれておりました学校栄養職員の数が五千三百人でございます。今回の計画によりまして、五カ年後の昭和五十三年度には六千六百二十二人という計算をいたしておるわけでございます。   〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席〕  先ほど設置率約二〇%と申し上げましたのは、国庫補助対象が四千六十四人でございますが、実際に置かれておりました五千三百人で率を出したわけでございますから、それが六千六百二十二人という計画でございますので、従来の補助対象よりは二千六百人ふえますが、現実に置かれておりました栄養士の数に対しては千三百人増員をいたすという計画でございます。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく栄養職員の配当率二〇%、それが千六百人程度ふえましても、その割合でいきますとせいぜい、五千三百人が二〇%ですから、六千六百二十二人では二十数%にしかならない。とすれば、栄養改善法で規定しているこの栄養士の配当から見て、きわめて遺憾な状態がそのまま続く、こう見ざるを得ないと思うのですね。どうなんですか、大臣。私は、行管庁のそういう勧告もあれば、身分を県にするかどうかなどということよりは、とにかく百食以上現に給食をしている単独校の学校給食に全員栄養士を配置をする、そのための財源手当てとしては、交付税の算定基礎を、現在人口十万に対して一人しか標準団体について栄養職員を配当しないというようなこの基準を改める、さらには、現実にいま市町村に国庫補助をやっているようでありますが、その補助をさらに増額をしていく、そういう形で栄養改善法に示された規定を忠実に文部省が守る、これを現実に実施をしていくという方向にこそ努力をすべきだったのじゃないかと思います。  同時に、さらに問題なのは調理員の方々であります。現実学校給食の仕事をやっておりますのは給食調理員の方々だろうと思います。この方々に対しては、同じく交付税の算定基礎におきまして、小学校標準規模、児童数八百十人、学級数十八、この場合に給食従業員を四人配置をする、中学におきましては生徒数六百七十五人、学級数十五、これに対して給食従業員をたった一人しか配当していないというような、この交付税の算定基礎を抜本的に改めるなり、またこういった給食従業員の方々に対する補助制度を実施をするなりいたしまして、直接に市町村の基準財政需要額を十分充当する、市町村に対する補助を十分に実施をする、こういうことによって、私はこの栄養改善法で示された方向、さらには、生徒児童のための給食の充実という方向に努力をすべきだ、かように思うのですが、いかがですか。
  38. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話しのような考え方も一つの考え方だと思います。同時にまた、いずれにいたしましても充足率を高めていくという努力は進めていかなければならないと考えるわけでございます。今回特に学校栄養士につきまして、その資質を高め、県下全体について適正な配置に努力をしていきたい、それについては他の教諭等と同じような県費負担職員にして、県が適正配置について責任を負う体制が好ましいのじゃないだろうか、こう考えたわけでございます。  御指摘のような点につきましては、それなりにまた努力もしていくべきだと思います。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 学校におります職員の方々は、校長さんもおれば教諭、先生方もおる。それから事務職員の方もおられる、また学校栄養士の方もおられる。さらには図書館の司書教諭あるいは生徒児童の健康の管理をする養護教諭の先生方もおられる。さらにわが国学校制度発足以来、明治以来おった職種の方もおられますね。初め学校ができたときは、たぶん校長さんと先生と、それから当時は小使いさん、いまは用務員さんという方がおられたと思うのです。まさに学校発足以来歴史のある用務員さんに対して、それじゃ一体どれだけのことを文部省はやってきたかということなんですよ。ですから私は、学校運営をよくするためには、それぞれの学校につとめておられる職員の方々の資質を向上するなりあるいは待遇の改善をやっていくこともけっこうだと思いますが、その場合、学校発足以来おられた用務員さんの身分の確立、待遇の改善は全然手をつけない。それから学校給食でも、現実に困難な作業に携わっている給食調理員の方々の待遇改善の問題についても何ら進歩はない。司書教諭、養護教諭、事務職員の先生方の全校配置の問題についてもさっぱり前進がない。そういう中で何でこの学校栄養士の方だけ引き抜いて、昭和四十九年におきましては四千五百七十七人、昭和五十三年度において六千六百二十二人、これらの方々を県費負担職員にして二分の一国庫負担の対象にする、片手落ちだと思いませんか。どうなんですか、大臣。もっと、学校におられる職員全般の身分確立、待遇の改善というものを総合的にやるべきじゃありませんか。この問題だけ取り上げてやると、何か特別な意図がある。大学立法参議院選挙対策考えておるというようなことになれば、この問題も何か参議院選挙対策でお考えになったのではないか、こういう気持ちが出てくるのは私は当然だろうと思うのですが、いかがですか。
  40. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 用務員の方々とか調理員の方々というのは、大体地元の方々にその地元の学校でつとめていただくという筋合いで来ておると思います。したがいまして、御指摘のように市町村の財源を充実することによって、それらの方々の処遇をできる限り適正に持っていかなければならない、かように考えるわけでございます。学校栄養士ということになりますと、特定の資格を必要とするわけでございまして、必ずしも地元におられる方にその地元の学校につとめていただくというわけにまいらない。やはり県が県下全体をにらみまして、それなりの資質を備えた方々を確保する、そうして適正な配置に心がけていかなければならない、こういう性格のものでなかろうか、こう考えるわけでございます。そういう意味合いで、他の先生方と同じようなたてまえに切りかえることが適当ではないか、かように考えて今回の措置をとったわけでございます。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのおことばはおかしいと思うのです。栄養士の方だけ全県的な視野で人材を求めなければならぬ、そういうことはないでしょう。現に局長お答えになりました。昭和四十九年度に今度の県費負担職員にする数は四千五百七十七人、現在市町村現実におられる学校栄養職員方々は五千三十人ですか、すでに、文部省が今年度県費職員として配置しようとする以上の方々が、現実市町村努力によって資格をお持ちの方々が、学校栄養職員として現に配置をされておるじゃありませんか。そうでしょう。何も県費職員にしなければこういう方々の配置ができない、私はそんなことはないと思うのです。
  42. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 先ほどのは全国的な数字をまとめたわけでございますが、各県ごとに見ますと非常なアンバランスが生じておるわけであります。学校栄養職員につきましては、昭和三十九年度から共同調理場に一人、それから昭和四十一年度から完全給食を受けております児童生徒五千人当たり一人という基準で市町村学校栄養士を置いていただくことを促進する国庫補助が計上されたわけであります。単独校の場合は四十一年度から七年計画をもって五千人に一人ということでやってきたわけでございますが、たとえばA県は、五千人に一人の場合で七十四人になるわけでございますが、現実に七年間たちまして二十九人しか置かれておらない。それからB県の場合は、五千人に一人で百六人になるわけでございますが、それでも二十五人しか置かれておらない。これは一例でございますが、要するに、市町村に置いていただくことを促進する国の補助金ということでやってきたわけでございますが、そういう実態でございます。これでは、やはり学校給食を教育の一環として行なっていくという場合に、義務教育の水準の維持向上という見地から、このようなアンバランスといいますか、熱心な市町村補助の基準よりよけい置いていただいたわけでありますが、かなりの市町村、県がそういう状況であるというわけでございまして、今回教職員定数標準法の第四次五カ年計画の策定にあたりまして全国的な適正配置をはかっていきたい。それから給与につきましても、多くの場合、栄養士さんに支払わるべき給与よりかなり低くなっておる、高くなっておるところも一部ございますが、むしろ低くなっておるのが多いというようなこと、それらを勘案いたしまして、今回の新しい制度に切りかえていただきたいということにいたしたわけであります。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのようなお話をするのなら私は反論をいたしたいと思いますが、だったら何でいままで、学校栄養職員に対して標準団体——市町村ですよ、人口十万、その場合にたった一人しか栄養職員の方の人件費を基準財政需要額の中に算入していなかったのか、これが私は問題だと思います。人口十万といえば学校はたぶん小学校が十くらい、中学校が五つくらいあるでしょう。もっとあるかもしれぬ。そういうところにたった一人の学校栄養職員人件費しか基準財政需要に見ていないというところに問題がある。自治省にも問題があるが、協議をした文部省にも問題があると思うのです。奥野文部大臣自治省に長い間おられ、交付税のいわば神さまのような方であって、基準財政需要についてはたいへん詳しい。その面では私は尊敬をいたしておりますが、せっかく奥野さんが文部大臣になったのですから、そういうところを改善したらどうなんですか。そうして市町村に対する補助をもっと充実していくということをすることのほうが、学校栄養職員の方を、栄養改善法で規定された百食以上の給食施設には一人の栄養士というものを実現していく道ではないかと私は思うのです。そっちのほうはほっておいて、そしていまになって、幾ら指導しても市町村がなかなか栄養士を置かないから……。東京みたいなところは数多く置いておりまして、今度の計画でいくと、東京などは五年たってもこの県費職員には切りかえられないで、そのまま市町村の職員で残るという方も数多く出るでしょう。そういうような状態をそのままにしておいて、そして県費職員だけが何か問題解決のかぎだというふうに考えるのは、私は自治省に長くおられた奥野さんとしてはおかしいと思うのです。基礎的自治体市町村ではありませんか。市町村の財政を充実し、市町村の自治の本旨というものを尊重しながら自治体運営を円滑にやっていくということが最も必要なことではないですか。いかがですか、奥野さん。
  44. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話しのような考え方を否定する気持ちはございません。ただ、学校栄養士ということになりますと、相当な資格、能力を持った人でなければなりません。今後、県下全域を通じまして必要なところに必要な学校栄養士を適正に配置していこう、こう考えてまいりますと、個々の町村ごとに適当な学校栄養士を確保できるかということになりますと、これはもうむずかしいことでございます。そういうこともございましたので、やはり先生方と同じように府県費負担の職員にしまして、県が配置に責任を持つ、そして個々の町村にまかせておったのではなかなか資格、能力を備えた十分な学校栄養士を確保できないところにも配置していきたい、こう考えているわけでございます。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのようなお考えは、私は市町村軽視だと思います。何か府県にまかせればうまくいくけれども市町村にまかせたのではうまくいかないというような考え方奥野さんがお持ちになること自体、私は非常に残念なんです。  次にお尋ねしたいと思うのですけれども、これらの方々は、市町村がりっぱな資格をお持ちの栄養士さんを確保するために待遇についても非常に努力をして、今度県費職員に切りかえますとむしろ待遇が悪くなる、こういう方も相当あるだろうと思います。その場合は一体どうするのですか。身分切りかえにあたってのその方の勤務条件、労働条件、これの維持改善には一体どのような手をお打ちになるつもりですか。
  46. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、かなり多くの場合、県費に切りかえることによりまして、むしろ給与が上がるわけでございますが、一部単純な再計算によりますと下がるという場合が出てまいります。これは指定都市の一部その他一部の市町村の職員一般の給与が相当高くなっておるところがございまして、そういうところに置かれておりました栄養士の方々につきましては、県費に切りかえた場合に、単純な再計算によると下がる場合が出てまいります。そこで、新しい国の法律制度によりまして切りかえるわけでございますから、今回の切りかえの趣旨、目的に照らしまして、そういう場合も現在の給与制度の許されるいろいろな方法といいますか、適正な運用によりまして現給を保障するといいますか、原則としてそういう考え方で切りかえていただくという強い指導をいたしたい、そう思っておるわけでございます。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 現給を保障するということですね。社会教育局長さんもいますが、市町村に置いております社会教育主事もまた今度は人件費補助いたしまして身分を県に移す、都道府県の教育委員会の職員にするということをお考えになっておるようです。どうも最近の文部省は、市町村を軽視をして、何か府県に身分を移せばすべて問題が解決するような思想をお持ちなのは非常におかしいと思いますが、その場合も現給保障するわけですね。それからさらに、旭川の医科大学あるいはその他、文部省が昨年もことしも大学設置をお考えになっておるようであります。そういたしますと、当面事務関係の職員等につきまして市町村から国立学校の職員に身分を移すということを、当然過去においても行なわれましたし、これからも行なわれるようです。そうしますと、これからは市町村から県あるいは国への身分移管をする場合はすべて現給保障をする、こういう方針で文部省はおるというふうに考えてよろしいわけですね。
  48. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 学校栄養士の問題に関する限り、新しい法律制度をいま国会にお願いいたしておるわけでございますが、そういう新しい国の法律制度に伴う切りかえでございますので、その趣旨、目的に照らしまして、現在市町村に置かれておられます栄養士の方が県費負担に切りかわります際には、新しい国の法律制度に伴う切りかえというようなことで、いろいろな許される給与制度の適正な運用をはかりまして、原則として現給を保障するという考えでやっていただくように強力な指導をいたしたい、栄養士に関する限りはそう考えておるわけでございます。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 栄養士に関する限り現給保障する、他は考えないようなお答えですが、しかし国立大学設置する場合、法律でもって設置をするわけでして、職員の定数もきまる。そこに地方公務員だった方が移る。これだって国の法律に伴う制度改正と考えれば考えられないことはないでしょう。そういうものを除くというのは私は理屈に合わないと思います。しかし、これ以上議論してもしかたありませんからやめておきますが、現給保障する。そうすると、その後の昇給昇格といいますか、それもそのまま順調にやっていくわけですね。  それからさらにお尋ねしたいのですが、栄養職員の方は、日教組に所属しようと自治労に所属しようと私は本人の自由だろうと思いますね。そうしますと、ある方は日教組に所属をする、ある方は自治労にそのまま所属をする、こういうことになるだろうと思います。そうすると、市町村というものが自治労の場合の職員組合の単位ですから、そこに一人だけ県費職員の方がおられる、こういう事態が起こり得るわけですね。その方の待遇改善を交渉するということになれば、幾ら市町村長と議論したって話になりませんから、当然当該職員組合の委員長なり書記長は当該県の知事あるいは副知事、総務部長というところと交渉しなければならない、こういう事態も起こるわけです。組合はどこに所属するかというのは本人の自由でありますから、束縛するわけにいかない。そうしますと、市町村の組合が都道府県と給与条件、労働条件について交渉しなければならぬ、こういう事態が当然予想されるわけでありますが、そういった交渉権というものは、文部省、当然尊重するし、それについてはその道を開くということは当然だと思いますが、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  50. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 先生指摘のとおり、学校栄養士方々が組合に入る入らない、あるいはどの組合に入る、それは全く栄養士の方々の個人の問題でございます。その入りましたあとにつきまして、まことに先生の御指摘のとおりではないかと思います。  なお、先ほどの現給保障の問題でございますが、現給保障をいたしました場合には、ちょっとそういう御指摘がございましたように、昇給延伸という問題が起きてまいります。しかし、あまり長期にわたりまして昇給延伸をすることは、勤労意欲の点その他の点から問題がありますので、長期にわたる昇給延伸はしないようにこれも県にお願いをいたしたい、そう考えております。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の行政局長がおられるのでお伺いしたいと思いますが、いま体育局長お答えになりましたような労働組合のいわば交渉の問題、それからまた現給保障の問題、昇給等の扱いの問題ということについては、自治省の側は了承をいたしておるわけでありますか、お伺いいたしたいと思います。  それからあわせてお伺いいたしますが、関東近県に非常に多かったようでありますが、まだこの法律国会審議もされていないという段階で、この法律が通ったことを前提にして都道府県は県の定数条例の改正を提案をするというような県がだいぶ見られました。法律が通っていないのに、通るか通らぬかもわからぬという状態の中で、しかも国会審議も全然されていないという段階の中で、通ったものと仮定して条例をつくるなどという指導を自治省はいままでやってきたのですか。この問題に関しては自治省は一体どのような態度でございましたか。
  52. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 お答えいたします。まず、栄養士さんの身分の切りかえに伴う給与の調整問題でございますが、これは制度上の切りかえでございますので、ある程度の調整措置、現給保障とかその後の昇格その他の問題につきまして、ある程度措置はやむを得ないと考えております。ただし、これにはいろいろいままで例もございまして、政令指定都市から県に身分を移管する、あるいはその逆のような場合の現給保障なりその後の昇給の取り扱いその他もあると思いますので、それらと均衡を失しない範囲でそれぞれの団体が適宜判断する、それに対して行き過ぎがあれば、こちらのほうから申し入れるなり指導するなりという従来の例に準じて指導してまいりたい、こう考えております。  それからあとの問題の、条例措置が先立ってしまうということでございますが、現に幾つかの県でそういう県があったのは御指摘のとおりでございます。従来、私の省としては、たとえば給与改定その他の問題につきましては、法律が通るまでは条例化を見合わせろという指導をずっとしておったわけでございますが、この点に関しては、新しい年度からすぐ定数が動き出すということで、おそらく法律年度内の通過を予想したところが多かったのではないか、現在起こった事態に対してはそういうふうに考えております。これにつきましては文部省のほうから適宜御指導をお願いするように申し入れもしておるところでございますけれども、この法的効力の問題につきましては、定数条例がワクを設定するという性質のものでございますので、その効力の問題につきましては、本法との関係で主管省のほうで御判断していただく、その御判断にまかせるという考え方でございます。ただ、法律が通らない前に条例を措置するということは、従来一般的に私のほうからは、そういうことをしないように、慎むようにという指導はしておりましたので、今回はややこれに違った状態ができましたのは遺憾でございますけれども、おそらく定数条例という性格からいって、その条例そのものが違法とかいう問題は生じないのではないかというふうに考えておりますし、今後の御指導をさらに文部省にお願いするつもりでございます。
  53. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 文部省はどうしたんですか。やはり関東近県ある程度足並みをそろえて条例を県議会に提案したということは、文部省が何らかの形で都道府県の教育委員会を条例改正を提案するように指導したということだろうと思いますね。ただいま自治省のお考えになったことと自治省のやったことは違うじゃありませんか。この問題、  一体文部省としてはどういう態度で、どのようなかっこうで指導されたんですか。
  54. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 新しい制度に関する法案国会提出したわけでございますから、政府といたしましては、それが成立することを期待いたしておるわけでございますので、それに伴います準備等につきましては、数回にわたりまして事務担当者と打ち合わせといいますか、正式の指導の会議ではございません、数回にわたるいろいろな打ち合わせはいたしております。しかし、条例をつくるようにという指導なり何なりはいたしておらないわけでございまして、おそらく今回の定数標準法の改正には一般の教職員の方々の定数の改善が盛り込まれておりますから、それは従前の例によりますと、国の教職員の定数標準法の改正に伴う条例は三月県会で従来やっておられたようでございますので、その際あわせて栄養士も早手回しにおやりになった県が若干出てきたということだと思うわけでございますが、一応学校栄養士につきましては、新しい制度でございますので、その法案が成立する前に条例をつくりなさいというような指導はもとよりいたしておらないわけでございます。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、文部省は栄養士に関しては条例をつくれという指導はやらなかった、自治省法律が通らぬ前に条例を提案するということは控えるべきだという指導をやった。しかるにやった県が幾つかある。これに対しては文部省としては具体的にどういう指導をその後やったのですか。
  56. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 ただいま申し上げましたように、今回の定数標準法では、僻地の学校あるいは事務職員、養護教諭その他いろいろな定数改善計画が盛られておりますので、それは従来の慣例では三月県会でおやりになっておられましたので、あわせて栄養士もおやりになった県が若干出てきたようでございますが、それにつきましては、ただいま自治省のほうからもお答えがございましたように、定数のワクをきめるということでございまして、そういう早手回しにやりました県も、その執行につきましては国のこの法律が制定してからという考えでおやりになったようでございますので、特別違法とかなんとかという問題にはならないと思いますので、特にそれにつきましてはいままで特別な措置はいたしておりません。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ワクをきめただけだというわけですね。しからば県によりましては、今度県費職員に何人かの方を移行するのだ、したがってその講習をする、試験をするというようなことでだいぶトラブルを起こした県があると聞いております。そういう県については、これは厳格な指導をやったのだろうと思うのですが、いかがですか。
  58. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 今度の切りかえにつきましては、できるだけ現在おられます栄養士の方が優先的に入れかえられることを望んでおるわけでございます。したがいまして、あまり厳重なむずかしい試験とか、そういうようなことは当然考えておらないわけでございます。ただ、県によりましては、準備といたしましていろいろ御熱心におやりになられた県もあるようでございますが、あまりむずかしい選考とか試験をやるとか、あるいはもう早手回しに切りかえの人たちをきめるとか、そういうようなことがありますと好ましくないことでございますので、注意をいたしたいと思いますが、現在のところ、それほど行き過ぎたような県は具体的にも出ておらないわけでございまして、私どもとしては前段に申し上げたような気持ちでおるわけでございます。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのお答え、おかしいと思うのですよ。熱心におやりになっている県もあるということをお認めになって、ワクをきめるのならば違法ではない、それはわかります。しかし、個々の人を県費職員にするのかせぬのか、そのための試験をするとか講習をするということはもう特定した問題になるわけですから、まだ法律が通らぬ前にそんなことをやることは違法でしょう。そういうものについてそんなことをやってはいかぬと厳格な指導をすることはやはり当然じゃありませんか。それをやらぬなんというのはおかしいですよ。
  60. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 講習につきましては、学校栄養士方々の資質その他の向上という見地もございますので、ただ、いま御指摘のように、具体的に県費切りかえ職員のための選考をいたしまして、それできめてしまうというところまでやるのは行き過ぎだと思うわけでございますが、ただ、新しい法律国会に提案されました場合に、県といたしましては、いろいろそれに伴います準備は当然いたすわけでございますから、その準備行為としていろいろおやりになるということはあり得ると思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、切りかえ職員をきめてしまうというようなことがあれば行き過ぎだと思うわけでございますが、そういう県はまだないはずだと思っております。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省お尋ねしましょう。だれを県費職員にするかまではきめない、しかしそれをやるための準備行為として試験をする、講習をするというようなことがすでに行なわれたとすれば、ワクをきめたからといってその意味ではまだ違法とは言えないという範囲を逸脱することになるじゃありませんか。自治省の見解はどうです。
  62. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 講習をする、試験をするといっても、事実行為として一体どの程度のことをしているのかによって判断しなければならぬかと思います。講習といって、たとえば今度の新しい制度がこうなる予定だということを関係者を集めて説明するという程度のことをやること自体は、それを責められるべきではないと思いますけれども、さらにだれを選ぶか決定する直前までのテストをするということになりますと、あるいは問題が起きるかもしれない。しかし、いずれにせよ、これは事実行為の問題でございますし、直接法的問題を起こす問題ではないのではないか、だから事実行為の程度いかんによって適当であるか不適当であるかを判断すべきことではないかと存じます。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 不適当な行為があれば自治省としても注意するということはお約束できますな。
  64. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは文部省の問題でございますので、そういうものに関する指導は実は一切文部省にお願いしようと思っておりますけれども、私のほうは制度一般の所管省としてそういうことについての注視は怠らないつもりでございます。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 体育局長お尋ねしたいのですが、学校栄養士さんのことだけは熱心なんですが、どうもほかのことでいろいろおかしいなと思うことがあるわけです。話はちょっと違いますが、競艇というのがありますが、船舶振興会がこれを扱って補助金を出しております。学校給食とか体育の振興とか、そういう方面に船舶振興会がギャンブルの益金の一部から補助金を大いにお出しになることは私はたいへんけっこうだと思っております。ところが、おかしな団体に多額の補助助成金が出ておるのですね。この船舶振興会の交付金の決定手続を聞きましたら、九月中旬にこの補助金の申請を行なう。そうして二月までに関係各省に対して御検討をいただきまして、その検討の結果を持ち寄りまして二月の理事会にかけ、三月末にこの交付金の認可を行なう。文部省関係補助金の窓口は、体育局長さん、あなただそうですね。  そこで、お尋ねしたいのですが、この昭和四十八年度を拝見いたしますと、合気道養神会という団体に対して四千万円の補助金を出しておられます。それから全日本空手道連盟、これに一億二千万円、それから日本吟剣詩舞振興会、これは詩吟をやったり剣舞をやったりするのだろうと思いますが、この団体に対して一億円。しかもこれらの団体へは毎年毎年同じような多額な補助金が出ております。この合気道養神会の責任者はどなたでございますか。全日本空手道連盟の責任者はどなたでございますか。日本吟剣詩舞振興会の責任者はどなたでありますか。そしてまたこのような団体に多額の補助金を出さなければならない必要性は、文部省としてはどのようなお考え方でそのように御決定されたのでありますか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 日本船舶振興会の補助金に関しまして、そのうち教育、学術、文化の関係につきましては、体育局の体育課長が審査会のメンバーになっております。そういう関係で教育、学術、文化関係——体育課長がなぜ審査委員になり、窓口的になっておるかといいますと、スポーツ関係が従来からかなり多いということがあったと思うわけでございますが、体育局といたしましては、船舶振興会のほうから補助金の申請がございました教育、学術、文化関係につきまして意見を聞いてまいります。それから最終の審査会に体育課長が出席いたしますので、各原局、所管局の御意見も聞きまして文部省としての意見を出すわけでございますが、その場合は、船舶振興会が教育、学術、文化関係補助金を出すということでございますから、きわめて適切でないというもの以外は、いずれも財団法人なり社団法人のものにしか出さない、そういう公益法人にしか出さな…わけでございますので、そういう考え方でやっておるわけでございます。  いまお尋ねの三団体でございますが、吟剣詩舞と合気道につきましては、その会長さんはたしか笹川良一さんだと思います。空手道につきましては、ちょっと記憶がはっきりいたしておりません。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 船舶振興会の会長が笹川良一さんですね。そして補助金の出ている団体の責任者も笹川良一さん、しかもこのお金はギャンブルの益金から出ているということです。私がお尋ねいたしておるのは、そういった団体は数あろうと思うのです。なぜ日本吟剣詩舞振興会というようなものに一億円ものお金を出さなければならぬほどこの団体がわが国の文化、文教、体育面において重要であるのかという点を聞いておるわけです。ほかに幾らもより適当な団体があるでしょう。会長さんがたまたま船舶振興会の会長と同じだからというだけで、このような団体に多額の補助金が出ているということは、私は非常に疑惑があるだろうと思うのです。なぜこの日本吟剣詩舞振興会に一億円もの補助金を出さなければならぬほど必要性があるのかということをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  68. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 先ほども申し上げたわけでございますが、あまり適切でないというものにつきましては、そういう意見を申し上げますが、いずれも公益法人でございますので、できるだけ出してもらいたいという考え方でやっておるわけでございますが、補助金の額につきましては、この額ではちょっとこの事業は十分できないではないか、向こうの査定がそういう場合は、もっと増額してもらいたいという意見を申し述べるわけでございますが、額につきましては大体船舶振興会におまかせしておるわけでございます。ただ、非常に少ない査定の場合には、これでは十分目的が達し得られないので増額してもらいたいということは言うわけでございますが、額はそういうわけで向こうの審査といいますか査定におまかせしておるわけで、そこまでわがほうが、多過ぎるではないかとか、そういうところまでは言っておらない、また言う必要もないではないかと考えておるわけであります。
  69. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 文部大臣お尋ねしたいと思うのですけれども、癌研究会、ここには四十八年度五千七百万円、さらに飛鳥保存財団が七百五十万円、そのほか幾つかの団体がいろいろございまして、それぞれ補助金が出ております。日本吟剣詩舞振興会、一億ですよ。これは船舶振興会が出す補助金だ。団体がいいか悪いかを言うだけで、額については言えない、こう言っている。しかし常識から見て少しおかしいと思いませんか。私はこういうことには文部省はもっと厳然たる態度をもって対処すべきではないかと思うのです。私の聞いていることに局長さんからお答えがない。日本吟剣詩舞振興会、文部省はこれは補助金を出す適当な団体だと言われたのですか。言われたとすれば、一体どういう理由で適当だとお考えになったのですか。また大臣は、常識を持った国民の目として、この文部省関係補助金の交付団体、その対象、額というものはやや問題があるというふうにお考えになりませんか。考えておられるとすれば、今後どのような手をお打ちになるおつもりでありますか。
  70. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 吟剣詩舞振興会の問題は文化庁の所管になっておるようでございます。  船舶振興会の補助金運営につきましては一体育課長が幹事になっておりまして、各省の幹事が集まりまして、そこで適当であるか適当でないかという議論がなされているようでございます。  なお、癌研の団体につきましての補助金のお話がございましたが、その団体につきまして、一昨年二億五、六千万円の補助金が出まして、相当な施設の助成が行なわれたということのようでございます。  吟剣詩舞振興会についての御疑問の点につきましては、いずれ文化庁の関係者から御説明するようにさせていただきたい、かように思います。
  71. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 何で適当だと思ったか、局長は答弁していないじゃないですか。
  72. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 その金額につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、この額ではこの事業はできないというような査定の場合には、増額してもらいたいということは言うわけでございますが、多過ぎるから削れとかいうようなことは船舶振興会におまかせしておるわけでございます。そこまで私どもとしては意見は言っておらないということを申し上げているわけです。
  73. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 なぜ適当だと思ったかと聞いておるのですよ。
  74. 澁谷敬三

    澁谷政府委員 これはちゃんとした法人格を持った公益法人として活動しておるわけでございますから、文化庁の意見も聞きまして、適当である、そう考えたわけであります。
  75. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 毎年出ているのですよね。昭和四十六年は五千万、一昨年は一億ですか、昨年も一億。多額にいつも出ているのですよ。私は、それほど文化的に取り上げてこの団体だけ補助金を出さなければならぬ必要性ある団体だとは思いません。文部省はこの点はもっと明確な態度で対処をいただきたいと思うのです。これは大臣にお願いしておきます。そうでないと、船舶振興会の会長は笹川良一さんだ、たまたまその人が会長で、奥さんが熱心にやっている団体に、ギャンブルの益金の中から多額の補助金が毎年毎年出ているというようなことで、国民は納得するはずはありませんよ。私はこの問題についてはこれ以上は申しませんけれども、断固たる姿勢を持っていただきたい。そして、体育局長、そういうようなところにもっと断固たる姿勢を示すなら示していただきたい。  ところが学校給食の問題では、給食費に対する補助は外国に比べてまさにスズメの涙。そして、交付税の算定基礎である基準財政需要には、人口十万に対して一人しか栄養士の人件費を見ていない。調理人の方々については標準規模の学校に、小学校は四人、中学は一人、こういったきわめてスズメの涙しか人件費を見ていない。一文部省としては、何人規模の学校には何人の調理人が必要だという基準を一応示して指導はしているのでしょうけれども、その指導もさっぱり十分ではない。そういう中で、どういうわけか知りませんけれども学校栄養士の問題についてのみ県費負担職員に切りかえていく。しかも、その場合の労働条件がどうあるかという問題についても、自治省文部省の御意見を聞きましたが、きわめてあいまいな点も多い。そういう点では、私は今回のこの法律案については賛成をいたすことはできません。  そこで、私は文部大臣に、前から地方教育費の調査報告書についてお尋ねいたしました。質問いたしましたら、昭和四十五年度の調査はずいぶん違っておったというので正誤表をたくさんいただきました。昭和四十六年度、これは間違いありませんな。どうですか。
  76. 奥田真丈

    ○奥田政府委員 昭和四十五年度の地方教育費調査の報告書につきまして、先生から基準財政需要額に関する事項についていろいろと御指摘を受けました。私ども四十六年度の報告書を作成するにあたりましては、御指摘をいただいた点につきまして再度たんねんに調査表に当たりまして審査いたしました。その結果がいまお手元にお配りしてございます報告書になっておりますが、基準財政需要額と実支出額との比率につきまして一を下がっておる市町村があるのはおかしい、こういう御指摘を強く受けておりますので、一を下がっておる市町村につきましては再度調査もいたしましたが、なお実態の上におきましては、ごくわずかではございますが一を下がっておる市町村があることは事実でございます。計算上の誤り等につきましては、吟味に吟味を重ねて、四十五会計年度の調査報告書のような誤りはないようにいたしました。  ところで、この一を下がっておる市町村につきましては、その理由につきましていろいろと市町村当局にも聞きましたが、なかなか明確なる理由が出てこないわけでございます。しかし、その市町村の教育費支出の優先順位、必ずしも教育費をその他の行政費目の上位に置いてないというような場合、あるいはまた、教育費の支出のワク内で学校段階別に経費を配弁する際に優先度を年度によって変えておる場合、さらにまた、学校建築等大きな支出をやった場合には、経常費が削減されておる、こういうような実態がわかったわけでございます。一より低いというものについての分析は、今期の調査報告書につきましては以上でございます。  それから四十七会計年度につきましては、新しい調査方式を自治省と御相談申し上げまして、市町村当局が記入してくれるにあたりまして間違いのないように指導をして、現在実施中でございます。
  77. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の財政局の方おられますが、昭和四十六会計年度の調査については、自治省も打ち合わせがございまして、間違いないということで確認してよろしゅうございますね。
  78. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 四十六年度につきましては、つい先日文部省のほうから配付されまして拝見したところでございますが、文部省がいまおっしゃいましたのは、四十七年度につきまして、調査方法等について自治省と打ち合わせたということだと思います。四十五、四十六年度につきましては、自治省と打ち合わせておりませんので、どういう手法でこれをおつくりになったか詳細にはわれわれ承知いたしておりません。
  79. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わかりました。四十七年度からは私が指摘したような誤りのない資料として出てくることを期待いたしております。  そこで、四十六会計年度のものを拝見しましても、市町村について、特に長崎県、熊本県、高知県、青森県、岩手県、和歌山県におきましては一を割っておるわけです。さらに都道府県を拝見いたしましても、青森県、岩手県等におきましては、これまた府県の段階におきましても一を割っております。私はこういうことでは非常に残念だと思います。もちろん交付税はひもつきではありませんから、ひもつきのような指導はできないことは百も承知でありますけれども、先ほど来指摘したようなたとえば栄養士の問題にしても、給食調理員の方の問題にしても、基準財政需要額で見ている額はきわめてささいな額です。そういうものの積み重ねである教育費の基準財政需要額、それを現実に支出してない市町村がいま申し上げたような県において多いということは、私はこれは教育軽視もはなはだしいといわざるを得ないと思うのです。私はもっと文部省市町村を尊重してもらいたいと思うのです。何でも県費職員にすれば問題は解決するというような考え方は間違いです。そうではなくて、市町村の教育費の基準財政需要額をもっともっと充実をしていく、そうしてその基準財政需要額が現実に一〇〇%以上支出されていく、この数値で一以下などというものは一切ないという状態をつくっていくことが私は真の教育充実の道ではないかと思うのです。  時間がありませんで触れませんでしたが、社会教育主事の問題についても県費職員にすれば問題が片づく、栄養職員の問題も県費職員にすれば問題が片づくというような考え方は間違いです。もっと市町村を尊重し、市町村の財政力を強化し、そういう中で指導を徹底して市町村の教育費を充実さしていく、こういう方向に文部省はいまこそ努力をすべきであるということを申し上げまして、質問を終わっておきたいと思います。
  80. 森喜朗

    ○森(喜)委員長代理 次回は、来たる十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会