○山原
委員 まさにあなたのいまの
答弁の中に、あなたの前近代的性格がそのまま出てきているんですよ。まさに今日の
ストライキに対する
考え方ですね。いいですか、都教組
判決、四十四年の四月二日、四・二
判決といわれる、それから大阪あるいは和歌山等の
教員にかかる
判決は、ほぼ
組合側の勝訴に終わっています。そして都教組
判決では、全体の奉仕者ということで
公務員に対して
ストを禁止するということは許されない。こう出ているんですよ。それから
憲法二十八条の問題もはっきりと四・二
判決では出ておる。ところが、その後全農林の警職法事件について、これは日本政府は
最高裁判所の判事を
自分たちに都合のよい者を出して、そしてこの
判決を四年目にしてひっくり返した。ひっくり返したけれ
ども、それでも
裁判官の裁決は八対七なんです。だからこの
憲法上の問題を含めて、実際には非常に政治的な態度をあなた方はとられておるけれ
ども、
憲法二十八条というのは、すべての労働者に対して労働三権といいますか、そういうものを許しているんです。認めているんです。
この
憲法の問題、それがどこから来たか。時間がありませんから申し上げますけれ
ども、戦前には日本の教師というのは
政治活動をすべて禁止されておったんです。選挙権もなかったんです。そうして政談演説にも聞きに行けないという状態がつくられたんです。これは戦前の
教育者に対する
考え方ですね。
教育者というのは、あっさり言えば政治的には白痴の状態に置かれた。そうして要求された任務というのは、
子供たちをただひたすら戦場へ送ることであった。だが、そういう状態の中から、あの破滅的な戦争の終末を迎えるわけですね。その反省に立って日本国
憲法というものを作成する過程で、いろいろの意見が出てくるわけです。二度とそういう誤りを繰り返すまいという、こういう中から
憲法も生まれている。
教育基本法もその中から生まれているわけです。
だから私
どもは、教壇の上で一定の政治的見解をもって
政治教育をやるなどということを言っておりません。しかし、たとえ
教員といえ
ども政治的な自由というのは、これは
憲法の保障するところなんだ。その点で、いままでの裁判の結果を見ましても、ほぼ
裁判官がこの点については一定の見解を発表してきた。ただ、全農林の警職法事件の
最高裁判決が、八対七という形でひっくり返っておるということなんですね。
さらに
公務員制度審議会、これにおきましても、こういう事件についての刑事
規定は、今後検討を加えることを適当と考えるという状態。私
ども、これを認めておるILOわけではございませんけれ
ども、しかし
公務員の
ストライキに対しては、国内においても一定の前進があるわけです。こういうことは私は、行政担当者としても、当然正当に考えるべきだと思います。
さらにもう
一つは、国際的な今日の状態ですね。それはもうILO、ユネスコの
教員の地位に関する勧告その他、これは皆さんも御
承知のとおり、日本の政府機関まで入った、その中で御
承知のような決定がなされている。労使間の解決がつかない場合には、たとえ
教員といえ
ども、他の労働者の持っておるそういう
行為をすることは当然だということになっているわけですよ。だから、流れとして考えてみますと、国際的に見ましても国内の情勢から見ても、あなたのような
ストライキに対する頭からの偏見、こういうものは全く古い思想になろうとしているということを考えておく必要があると思うんですよ。(「
教育を受ける権利がある」と呼ぶ者あり)
さらに、
教育を受ける権利などと言っておるけれ
ども、今度の国会に入りまして、
田中総理
大臣あるいは
奥野文部大臣もしばしば
日教組に対する一方的な見解を表明されているわけです。そしてその中から出てきたものは、
教育勅語とか軍人勅諭もよかったというような
考え方である。そして君が代の問題が出てくるという状態ですね。その中で、いま
小林先生も言われたように、いま物価問題や国民生活の問題ではもうたじたじとなっている自民党が、どこかへ国民の怒りの焦点を、争点を、目をそらそうとする。そういう中からこういう問題が出てきているのではないか。それと符節を合わすように、今度
警察が直接国家権力をもってこの争議中に介入する、そういう事態が生まれてきたのではないか。今日の動きを見まして、私
たちはそういうふうに考えざるを得ないのですよ。私
どもは、そういう点ではいま
教育の問題ではたくさんの問題がございますから、それをほんとうに解決していく。
日教組や
教員組合の掲げているものもそうなんですね。いま入学期を迎えて、
子供を
学校にやるためには十万円の金が要るとか、ノートが三十円のものが百三十円もするとかいうような問題をほんとうに解決していく、そういう
教育行政をやってもらいたいという要望も、今日の
教員組合の要求の項目の中にははっきりずばりと出ているわけです。そんなことを一切見ようとしないで、ただ
政治ストだ、違法
ストだ、これを繰り返すだけでは問題の解決はできません。私はそのことをはっきり申し上げておきたいと思うのです。
今度の
ストライキ、国民春闘と呼ばれておるこの
ストライキというのは、これはほんとうに正当な要求を掲げた労働者のたたかいです。それに国家権力が介入をする、弾圧を加えるなどという国が今日の民主国家でどこにありますか。南朝鮮の韓国じゃないんですよ、
わが国は。そんな国がどこにありますか。
ストライキに対して
警察が介入するなんという国が、いまの民主的な国家の中でどこにありますか。こういうことについて、ほんとうに偏見を持たないで考えていくという態度を私は絶対とってほしいと思います。私
どもは、今日の国民の切実な要求に基づくいまの春闘を支持しております。そして皆さんが考えておる反動的な
考え方あるいは軍国主義復活を目ざすような
教育の
考え方については、これからも断固として反対をしていく。
このことを申し上げて、時間がまいりましたので、私の質問を終わります。
答弁は要求しません。