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1974-03-08 第72回国会 衆議院 文教委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)     午後二時四十六分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 坂田 道太君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 小林 信一君    理事 山原健二郎君       有田 喜一君    上田 茂行君       河野 洋平君    高見 三郎君       床次 徳二君    深谷 隆司君       山崎  拓君    嶋崎  譲君       栗田  翠君    有島 重武君       高橋  繁君    受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         文部政務次官  藤波 孝生君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     辻原 弘市君   安里積千代君     池田 禎治君 同日  辞任         補欠選任   辻原 弘市君     山口 鶴男君   池田 禎治君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     安里積千代君 同月八日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     阿部 昭吾君   安里積千代君     受田 新吉君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     山口 鶴男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二三号)  文教行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 稻葉修

    ○稻葉委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。上田茂行君。
  3. 上田茂行

    上田委員 国立学校設置法の一部を改正する法律案について、若干の質疑をさせていただきたいと思います。二日ほど前に、すでにわが党からは三塚先生、そしてまた松永先生が御質問になりましたので、その個々の問題について若干質疑をさせていただきたいと思います。  まず徳山工業高等専門学校及び八代工業高等専門学校を新設するということについて、質問させていただきたいと思います。  昭和三十六年、いわゆる所得倍増政策が始められる年から昭和三十九年にかけまして、全国各地にこうした高専というものを設けなくてはならないというような指針をもって、文部省当局が働きかけをなされてきたわけでございますが、まず第一に、その当時の高専の設立の理由についてお伺いしたいと思います。
  4. 木田宏

    木田政府委員 昭和三十年代、わが国の生産活動の非常な興隆期でございまして、この時期に各種の科学技術者養成を急がなければならぬ、特に高等専門学校におきましては中堅技術者養成を行ないたいということで設けられたものでございます。
  5. 上田茂行

    上田委員 その当時、三十七年から三十九年までは非常に大きな数字入学者がふえているわけです。三十七年ですと二千五百七十名であったものが、三十八年ですと四千七百九十名、三十九年は六千三百九十名、この三カ年は非常に大きな数字でもって伸びているわけでございますけれども、その後四十年から四十八年にかけましては、この三カ年に見られるような大きな伸びは見られないわけです。  そこでお伺いしたいわけでありますけれども、この当時には経済成長というものが非常に重要であったから、また中堅技術者を望む各界の声が非常に大きなものであったから、こうした政策に大きな力を入れたけれども、四十年以降はあまりこうしたものが見られないから、漸増という形でわずかしか伸びていない、かように解してよろしいでしょうか。また、私たちの聞いておりますところによりますと、専門学校は今回の徳山と八代の専門学校で打ち切るというようなことまで一部ささやかれておるわけでございますけれども、今後どのようにお考えになっておるかお伺いしたいと思います。
  6. 木田宏

    木田政府委員 三十七年から設置を始めました際に、当初の目標はおおむね各府県一校程度というような考え方を持っておりました。そのために三カ年でかなり整備を急ぎましたが、その後は各学校内容充実という方向に力を入れてきたのでございます。その後、電波でありますとかあるいは商船でありますとか、特別の領域のものにつきましてこれを高等専門学校にするというような措置は講じたのでございますが、一応各府県一校程度高等専門学校という整備を終わりまして、その後体制充実整備に心がけてきたという現状でございます。今日の段階におきましてこれを各県二校程度に広げるという必要はなかろうというふうに思っております。  ただ、高等専門学校という制度工業あるいは商船電波だけでいいかどうかという問題は、これは検討すべき課題として残っておりますが、高等専門学校の今後のあり方につきまして、十年間を考えながらよく将来の方向を見きわめる必要があるという気持ちで今日おる次第でございます。
  7. 上田茂行

    上田委員 これもここ数年来よくいわれておることでございますけれども、当時日本経済成長率は高かったのですけれども、今日ほどのものでもなかった。また農村において農家の子弟たちが非常に多かった。そういう人たち工業のほうに吸収するがために、財界からの要望もあって、こういう高専に大きな金を投じ、力をかけていこうというような雰囲気があったということを伺っております。しかし、その後大学自身に行かれる方々が非常にふえた。政府の予測ですと、農村子弟方々は、大学に一足飛びに行かれるよりは、こうした高専充実させることによって労働力産業界に向けようと思っておったところが、なかなかそのようには運ばずに、高専に行くよりは大学卒業という肩書きによるほうが社会にうまく迎え入れられるというようなこともあって、高専に対する充実をはかるということが意味がなくなってきたのではないかというようなことも伺うわけですけれども、その点についてどうお考えになるわけでございますか。
  8. 木田宏

    木田政府委員 高等専門学校創設の三十年代には、確かに御指摘のように大学への進学率が一二、三%、一四、五%程度であったかと考えます。今日それが三〇%をこえようとしておりますから、上級学校への進学の動きというのはかなりの違いが出てきたと思います。しかし、高等教育が普及してまいりますればまいりますほど、高等教育あり方にはいろいろ多様な形態があってよろしいか考えます。特に高等専門学校のように、技術中心にいたしまして一貫した充実した教育体制を整えていく、これもまた非常に意味のあることだと今日なお確信をいたしておりまして、事実高等専門学校卒業生社会関係方面の中核的な要員として非常に歓迎されておるということは今日まで変わらない状態でございます。
  9. 上田茂行

    上田委員 高専というところは、五カ年という教育年限高等学校に二年ふえるわけでございますけれども一般高等学校、そして短大を合わせたような形で五カ年の間に専門的な知識を身につける、そしてその五カ年の間に一貫していわば大学卒業程度以上に当たるような教育内容充実をさせようというような計画だと伺っておるわけなんです。ところが一般には、社会的な評価と申しますか、そういうものが、文部省当局が当初考えられていたよりは低い位置に置かれておるのではないかと思うのです。それが今日の高専に対するある意味での評価ではないかと思うのです。私たちは、初任給の問題をこうしたことを考える上の指標にするわけでございますけれども大学卒の平均の給料が四十八年度確定初任給という形で六万二千五百八十円、それに引きかえまして、高専は五万八千四百二十一円、そして高校は、男子、女子ともに合わせてでございますけれども、五万八百四十六円というような形になっているわけです。  この制度が設けられたときに、こうした学校社会の中にすぐに飛び込んでいけて、そして会社からも喜ばれるような学校だといういま大学局長お話であったのですけれども、もしそれなら、より会社側なり社会が十分に給料や手当を出せるようにする、またそういうものがあってこそ、高専に行き、高専卒業するメリットがあるのではないかと思うのですけれども、その点についていかがお考えでしょうか。
  10. 木田宏

    木田政府委員 御指摘のように、高等専門学校卒業生給与は、四年制の大学卒業生給与よりは低うございますが、短大卒業生よりはかなり高くなっております。日本リクルートセンター調査等で見ておりますと、いまおあげになりましたように、四年制が六万二千五百八十円、高専は五万八千四百二十一円でございますが、短大卒業生は五万四千二百五十九円ということでございまして、短大生に対しまして高専会社側のほうでもかなり見てくれておる、これは私ども関係者に説明をいたしてきたところでございます。四十九年度の見込みにつきましても、高専は六万三千八百二十八円という数字になっておりまして、短大の六万円よりはかなり高い初任給調べになっておる次第でございまして、卒業生就職状況を見ましても、四十七年度、四十八年度とも九九・六七%という高率の就職状況でございまして、私はかなり評価を得てきておるものというふうに考えます。
  11. 上田茂行

    上田委員 この高専というものにいささか類似した学校として職業学校というものがあるのですけれども、この辺の区分なり役割りの違いというものについて文部省当局いかがお考えでしょうか。
  12. 木田宏

    木田政府委員 いまのお尋ねでございますが、職業高校高等専門学校は、申し上げるまでもございませんが、高等学校レベル高等専門学校短大相当以上というふうに学校制度としても考えておりますので、その学校制度上の違いがあるわけでございます。また学校制度によらない技術習得学校も若干ございます。しかし、高等専門学校工業技術関係の一貫した教育システムであるという点におきましては、独特のものだというふうに考えております。
  13. 上田茂行

    上田委員 中学校卒業なさる生徒さんたちが、高専なりあるいはその他の高等教育機関に行かれるわけでございますけれども中学校卒業される年齢と申しますと、十五歳程度でありますけれども、そういう人たちは人格的にはまだ完成をされておりませんし、また、自分の将来の職業とか、あるいはこれからどうやって生きていくのかというようなことについて、十分なる認識をまだ持ち得ない年代であろうかと思うわけなんです。いわば、そういう生徒さんたちが志望するという面もありましょうけれども、より以上に、親やあるいはきょうだいの言い分によって、自分たちのある一定の方向がきめられる場合が多いのではないかと思うのです。そうした人たちに対しまして、まだ基礎的な人格を養成すべき時期において、高度な職業的な訓練というもののかね合いというものをどうさせるかということが非常に大きな問題だと思うのです。この点について、いろいろな答申やあるいはいろいろな意見を最近拝聴するわけでございますけれども、この高専においてのそうした学生さんたちの基礎的な教育と専門的な教育というものの割合なりあるいはそうしたものについて、どのような姿勢で臨んでいらっしゃるのかということについてお伺いをしたいと思います。
  14. 木田宏

    木田政府委員 高等専門学校教育は、五カ年間に三千七百時間ぐらいの見当だったかと思いますが、違っておりましたら、あとで訂正さしていただきます。相当充実した専門教育と、それから高等学校相当程度一般教育とを、あわせて組み込んでございます。  もとより、いま御指摘がございましたように、中学卒業の若い年代の、これから発育するという青年が入ってくることでございます。一般的には、技術系の特性を持っている者というのが、どうも高専校長先生その他とお話をかわしておりますと、人文社会糸よりは早く特色が出るのではなかろうかという感じで聞いておるのでございますが、しかし、受け入れました学生の中に、これは技術系学校で先々伸びていくということでないほうがいいという学生が出てくることも当然でございまして、高等専門学校は、五カ年間の一貫したカリキュラムを組んで、充実した指導をむだがないように行なう、これは三年の高校とそれに続く大学、その中間の入学試験制度というようなことを心配することなく、五カ年間の授業を最も効果的に行ない得る特質を持っておるのでございますが、その一面におきまして、万一適性を欠く生徒学生等が出てまいりました場合には、早目指導をして、本人進路に対して適切な方向変更を加えるとか、あるいは技術中心にして勉強してまいりましても、さらに高度の学問を続けたいという人に対しては、卒業後引き続き進学を奨励していく、そういう本人適性に即した進路指導をするようにということは、毎回、校長各位にも申し上げて、御指導願っておるところでございます。
  15. 上田茂行

    上田委員 今後、技術者養成のための教育というものをますます強められていくような方向で持っていかれるのか。すなわち、現状の幾つかの必須科目のうち、技術訓練的なものをもっともっとふやす必要があると、いま文部省当局がお考えになっておるのか。それともまた、基礎的な知識というものを十分身につけるような方向にこれからは持っていかなくてはならないというふうにお考えになっておるのか。その点をもう少し明らかにしていただきたいと思います。
  16. 木田宏

    木田政府委員 先ほど私、三千七百時間と申しましたのは、専門教育でございまして、ほかに約三千時間、ちょっと欠けますけれども、の一般教育の時間数がございました。たいへん失礼いたしました。  かなり充実した専門教育を行なっておりますが、一般教育につきましても、いま申し上げましたように、時間数でも相当の比重を置いておる次第でございます。
  17. 上田茂行

    上田委員 次に、医科大学の問題に少し移らせていただきたいと思います。  今回、この法案は、新たに三つの医科大学予算というものの裏づけの法案でございます。特に宮崎県、静県岡、滋賀県というようなところに大学単科大学という形で設けようというものでございますけれども、この法案内容は非常に簡単なものでございまして、その裏にあるというようなものについてまではうかがうことができないわけでございます。いろいろ大学紛争が起こりましたけれども、どこでも医学部内部で非常にいろいろな矛盾点というものがあって、それを発端にして、数年ほど前に紛争が起こったという大学が、特に国立大学では多いわけでございますけれども、これを読んでおりますと、新しい制度というものがあまり盛り込まれておらないような気がするわけでございます。同じように講座を三十設けるとかいうような制度になっておりますけれども、そうしたいままでの医学部内部の体質に対して、どのような改革をなされようと文部当局考えていらっしゃるのかということについてお答えを願いたいと思います。
  18. 木田宏

    木田政府委員 医学教育改革につきましては、昨年筑波法案を御審議いただきました際に、六年間の一貫教育もまた可能であるような改正をしていただきました。これは大学一般教育、これは医学教育と限りませんが、大学一般教育を通じていろいろな問題があり、特に医学の医進課程の扱いにつきましても、いろいろと他の一般教育との関係学内の取り扱いその他にむずかしい問題が起こっておるというケースも間々あったものでございますから、大学の事情によりましていずれでもできるように、そしてむしろ医学教育もまた入学の早い時期に専門教育もできるようにしたいという関係者のお考えがあったからでございます。  今回、医科大学をつくりますにつきましても、単科医科大学でお願いを申し上げておりますが、医学教育改革を他の大学一般的な教育課題と別に、それ自体としていろいろと改善くふうをしてもらう、そういうことのために、単科制度もとらしていただきまして、学部病院との一体的な運営という改善くふうもしたい。またその指導内容につきましても、専門領域ごとに新たな体制がとりやすいというかまえを、まずしておきたいと思ったわけでございます。  教育内容そのものをどう変えたらいいかということは、これまた大きい課題でございまして、いま大学院制度ともからめながら、医学教育あり方を改善するための検討を進めていただいております。今後の医学教育につきましては、基礎、臨床のほかに、社会医学系というものもかなり重視してまいらなければなりません。また御指摘がありましたような講座制ということを、いまの形のままで維持していくがいいかどうかということも検討すべきことでございます。しかし、これらの点はやはり個々大学におきまして、それぞれの改善くふうを進めていただくということを文部省が受け入れ、実現していく、こうしたプロセスをとりたいと思っておるのでございます。  そこで、医学につきましても、今後の方向内科第一、内科第二といった単発の講座制ではなくて、もう少し大ぐくりの教育研究体制というものを考えたほうがいいという意見が強うございますが、そうした試み文部省で進められております調査会意見とともに、これから新設し、具体的に進められていきます医科大学につきましても、個別のそれぞれの課題として実現できるようにしていきたい、こう考えておるところでございます。
  19. 上田茂行

    上田委員 医学教育の問題がいろいろあるから、これから検討しながらやっていくというようなことらしいですけれども、やはりこうした新しい大学を設けられる際は非常にいい機会だと思うのです。新しい大学がこれからすくすくと伸びていくような大学体制というものを、いまのうちにしいておかなければならないと思うわけなんですけれども、特によく講座制の問題なんかで、大学のそこのボス的な教授が、人事からあるいは財政に及ぶ面まで非常に大きな権限を持っている、あたかもお医者さんという実に近代的な職業が、徒弟的な雰囲気のもとに営まれているというような面も非常に強く、それに対する改革というものをしていかなくてはならないと思うのですけれども。そうした講座制について、特に新しい制度というものを今回に取り入れたらどうかと思うのですけれども、やはりそれなり体制というもの、それなり指針というものを文部当局が持って指導していくべき責任があると思うのですけれどもいかがお考えでしょうか。
  20. 木田宏

    木田政府委員 医科大学ケースではございませんが、今回御提案申し上げております広島大学総合科学部につきましては、新しい体制講座ということで御審議をお願いしてございます。従来、講座当たり教授一、助教授一、助手二云々というような縦社会になっておったのでございますが、広島大学総合科学部考えております中身は、同じ講座と申しましても、一講座の中に教授が五、六人おり、助教授が同じように、五、六人おるというような大きなかまえになってございます。こうしたことはささいなことのようでございまするけれども、いま御指摘がございましたような、旧来の慣行というものをかなり変えていく素地になると思っております。同じような考え方が北海道大学の法学部でも取り入れられておるのでございまして、私どももそれを予算の上で実現をお願いしておるところでございます。  医科大学の場合には、いろいろと医師免許基準との関係がございまして、どれだけのものをどう教えるかというのが、他の学部と違いまして、かなりきちょうめんに積み上げられてございます。そこで、そうした教育内容をくみ上げますために、従来からとってまいりました基準的な講座、これはどうしても教育内容として考えておかなければならぬのでございます。ですから、その意味では教えております教育内容を、これを減らしていい、あれを減らしていいというようなことが、他の学問領域のように簡単には行きかねる点がございます。しかし今後の改善の方策は、できるだけ学内教育研究体制を弾力化させることによりまして、運営がうまくいくようにということは私ども考えておるわけでございますから、個別の大学をそれぞれ整備をして進めていきます間に、御指摘のような問題点は、新しい大学として、新たな運営のもとにスタートできるようにしたい、このように考えております。
  21. 上田茂行

    上田委員 医科大学というのは、特にその地域にその医科大学をつくった利益というものが還元されるべきものでありますし、また特にそうした要望があるものだと思うわけです。そこで、一部私たちが伺うところによりますと、その地域関係者皆さま方をその大学の経営、大学管理の一部に加わらせる、意見を拝聴するような機関を設けるかどうか、それはわかりませんけれども、そうした機関を持っていきたいというような趣旨を伺うわけでございますけれども、このような具体的なことは、文部省はいま考えられておるわけでございますか。
  22. 木田宏

    木田政府委員 格別地域社会との関係の深いこと、また今回無医大県解消ということで進めております施策は、ただ単に医科大学をつくるだけでなくて、地域診療体制システムの上でできるだけいい協力ができていくように、そして地域医療の向上のために役立つようにということを念願としておりますから、病院制度協力病院間の協力等も含めまして、できるだけ関係者協力と積極的な参加を求めたいというふうに考えております。大学当局にも呼びかけまして、そうした体制が整うようにしていきたいものだというふうに考えております。
  23. 上田茂行

    上田委員 私の地元の新聞に、滋賀県に単科医科大学が設けられるようになっておるわけでございますけれども、その中に参与会が設けられるというような報道がなされておるのですけれども、その点についていかがですか。
  24. 木田宏

    木田政府委員 筑波大学で御審議をいただきました際の参与会と同じ参与会というかたまった組織で事柄を考えておるわけではございません。先ほど御指摘がございましたような御意見に沿って、関係者大学に対する積極的な参画を求めるようにしたい、そういう試みが生きていくようにしたい、こう考えております。
  25. 上田茂行

    上田委員 参与会については新聞が先ばしったというようなかっこうであるというふうに解させていただきたいと思います。  この法律趣旨によりましても、医療需要の増大が非常にふえておる、特に四十八年度現在ですと、人口十万当たりのお医者さんが百二十八人であるから、将来百五十人に持っていきたいというような計画のもとにされているということを伺っておりますけれども、この百五十人という数字は、これは厚生省との関係もあるでしょうけれども、当面の目標であるということですか。それとも十万人に対して百五十人お医者さんがいれば、これで文部省の一応の目的は果たしたというような数字として受け取ってよいわけでございますか。
  26. 木田宏

    木田政府委員 厚生省のほうでは、当面の医師養成増課題を、人口十万人に対して百五十人というふうに掲げられたこともございます。また百六十人までいけばよりよいというような御意見があったこともございます。今日までの医科大学整備計画、また無医大県解消という今後の計画を含めまして施策を進めてまいりますと、昭和六十年には人口十万人に対しまして百五十八人強、ほぼ百六十人に近いところまで医師養成増が進んでいくことになると考えております。
  27. 上田茂行

    上田委員 そこで、厚生省から十万人当たり百五十人なり百六十人というような人数のお医者さんが必要であるというような通達というものがあったようにいまの答弁では伺えるわけでございますけれども、それについて文部省側は、十万人に対して百五、六十名で大体よいというようなことで終えられておるわけですか、いま。
  28. 木田宏

    木田政府委員 御指摘のように今日までの数字はかなり低い、百二十人から百二十五人前後の数字でございまして、これをできるだけ早く高めたいという点につきましては両省でいろいろと相談もいたしました。ただ私どものほうは、医科大学をつくりましてお医者さんが世の中に出てまいりますのは十年先になるのでございます。そこで今日つくった大学卒業生昭和六十年に出てくる、まあ大ざっぱに申しましてそういうくらいの長さの仕事になってまいります。もう少し将来の見通しがほしいなという点は私ども担当者の間で意見の交換をしておるわけでございますが、どうも厚生省のほうのお立場からしますと、今日の時点に立ってせいぜい十年ぐらいの間の必要数ということを掲げるしか方法がないという御意見もございまして、一応昭和六十年の目標を百六十人まで持っていこう、こういう相談はいたした次第でございます。
  29. 上田茂行

    上田委員 ただ単に教育というような問題だけではなくして、非常に幅の広い、厚生省との関係の中で一体日本のこれからの医療行政をどうやってやっていくか、そういう目標を持ちながらやっていくべきだと思うのです。そうした意味でできるだけ厚生省当局との一致した計画作成をやっていただきたいと思うわけです。  また、この計画内容を見てみますと、医療需要の増大ももちろんのことでございますが、医師地域的偏在の是正に資するために行なうということがうたわれておるわけでございますけれども、概して、この問題に関しまして非常に私たち自身懸念を持つわけでございます。というのは、どこの県にとりましても、特に、医者養成する大学のない県にとりましては、こうしたものをつくっていただきたいという要望はあろうと思いますけれども、しかしやはりお医者さんの大学をつくっていただいたならば、その人たちが無医村といわれるようなところに来てくださるような方策もあわせてやっていかなくてはならないと思うのです。そこで、大学学術局としてのお考えは、そうした意味で、ただ単に大学をつくるというだけではないと思うのですけれども、そのほかに、その地域にとどまらせる、あるいはまた無医村に行かせる、そういう制度についていまどのようなお考えを持っていらっしゃるかについてお伺いしたいと思います。
  30. 木田宏

    木田政府委員 僻地にお医者さんを確保するとか、あるいは保健所のお医者さんを確保するというような医師確保の具体の仕事は厚生省の担当だと考えております。厚生省はそれぞれに施策を進めておられるようでございます。昭和四十九年度には僻地に勤務する医師のための新たな奨学金の貸与制度というものを一学年五十人分用意しておりまして、月額四万円、年四十八万円の貸与額を五十人の学生に対して貸与していく、そして貸与を受けました在学年数の五割増、ちょうど六年在学すれば九年間僻地に勤務をした人に対しては返還を免除するというような奨学制度も講じておるところでございます。こうした厚生省施策とも相まちまして、いまの御趣旨のようなことは逐次進んでいくかと考えるのでございますが、基本的には、私は、やはり医科大学のない県に医科大学ができるということが大きな効果をそれに加えることになるであろうというふうに考えます。
  31. 上田茂行

    上田委員 そうしたことをやられておるということを伺っておるわけです。また関連教育病院というようなものもこれに付属して置かれるということも伺っておるのですけれども、今度新しく設けられる三県について、それはどのような具体的な情勢であるか、お教えを願いたいと思います。
  32. 木田宏

    木田政府委員 浜松医科大学につきましては、県西部の浜松医療センターを関連教育病院として予定をいたしてございます。宮崎医科大学につきましては、宮崎県立宮崎病院を予定しておるわけでございます。滋賀医科大学につきましては、大津赤十字病院を予定をいたしておるわけでございます。  こうした地域病院整備と相まって、医科大学病院あるいは医科大学そのものが地域の医療の中心的な役割りを果たすことができれば非常にしあわせであるというふうに考えております。
  33. 上田茂行

    上田委員 厚生省関係もだんだん深くなってくるわけでございますけれども、いまの三県の様子を伺っておりますと、どれも既存の病院であろうと思うのです。滋賀県も日赤という病院ですけれども、これは私たちの聞くところによりますと、経営的にも非常に苦労しておるというような実情があるわけでございます。その病院に対しましてなおかつこうした負担を負わせるのか、もっとやはり新しい病院も設けながら関連教育というものをやっていく必要があろうかと思うのですけれども、当面はそうした考えは全くないわけでございますか。
  34. 木田宏

    木田政府委員 設置考えております地域医科大学が大きな付属病院を持って乗り込むということは、既存の地域医療関係から決していいことではございません。大都会でございまして病床が非常に不足しているというところでありますならば、医科大学が大きな付属病院を必要基準だけかまえるということがあってよろしいのでございますが、滋賀につきましても、地域の他の病院その他の病床との関係考えまして、そして医科大学の付属病院だけが充実しているということでないようにしたい。また学生教育の面におきましても、大学の付属病院に参ります患者と一般病院に参ります患者とは、やはり病気の性質、患者さんのあり方、違うわけでございまして、臨床実習その他をいたしますにつきましても、一般地域病院が関連教育病院として協力をしてくださるということは非常にいいことだと考えるのであります。そのことは同時に地域の医療体制そのものを向上させることにもなろうかと思うのでございます。いままで研修医その他のための病院は、厚生省のほうで指導され整備をはかってきておられるのでございますが、関連病院としての関係を緊密にすることによりまして、私どもも、教育のサイドで必要な設備を加えてもらうためには補助金をここに支出をしていく、そういう予算を計上さしていただいております。設備を増強し、また今後現実に関連病院としての協力をしていただきます場合の協力のしかたは、地域ごとに十分相談をいたしまして運営の適切をはかりたい、こう考えております。
  35. 上田茂行

    上田委員 関連病院に指定されたところが必ずしも喜んでおらないということも伺うわけでございまして、そうした補助的な助成に対しまして十分なる力を加えていただくようにお願いするわけでございます。また、十二県ほどいわゆる医科大学のない県がこれも含めてあるということを伺っておるわけでございますけれども設置基準、どれを順番にするかというような具体的な資料を私たちいままで拝見したことがないわけでございますけれども、どのような基準に基づいて設置の順番をきめられ、あるいはその要望に応じてやっていらっしゃるのかというようなことについてお教え願えればありがたいと思います。
  36. 木田宏

    木田政府委員 今日、私ども考え方としては、無医大県解消ということで進めておりますので、四十九年度に五カ所の創設準備を進めさしていただき、残る四カ所につきましてもそれぞれ調査を進めるという手だてになっておるわけでございまして、どれが早い、どれがおそいという状況にはもはやないものと考えております。ただ、先ほど来御指摘もございましたように、医科大学がその地域の医療水準の向上あるいは地域社会の開発ということとかみ合ったものでなければなりません。ですから、やはり地元の方々のお考えと私ども意見を交換しながら、設置すべき場所に御用意を願い、また相協力して設置するという態勢を整えていきたいと思うのでございます。また医科大学は、たくさんの医師数を要するだけでございませんで、たくさんの看護婦を必要とし、そのほか医療関係技術者の要員も確保しなければなりません。これらの手順を、やはりかなり準備をして進めていきませんと、現実に病院を開設した際に、近隣の病院の看護婦さんがいなくなるというようなことでは困るのでございます。でございますから、看護婦の養成、あるいは医学教育に必要な解剖体の確保、あるいはその地域とのいろいろな関係ということを準備を進めまして、逐次準備の整ったところから設置を行ないたい、こういう考え方でございます。
  37. 上田茂行

    上田委員 たとえば土地の問題とか、看護婦さんの問題とか、あるいはそこに教授をなさる教官の問題というような点については、いままでもしばしば伺うわけでございますけれども。それと同時に、やはりその地域に還元されるような大学とならなければ、わざわざ一県に一つの医科大学を設けるようなことをやる意味はないと思うのですけれども、私がいまお伺いいたしましたのは、そうした事情はよくわかるのですけれども、それと同時に、やはりもっと広い立場から、その県の現在の医者の数、あるいはまた現在病気になっていらっしゃる方の数、あるいは収容する病院の数、かような見地から何らかの資料というものがございますならば、後ほどでもよろしいけれども、もらえたら非常にありがたいと思いますので、その点はお願いをしたいと思います。  また、次に質問を移りたいと思います。今回三つの大学設置されるわけでございますけれども単科大学という形でなされるということを伺っておりますが、どうしてわざわざ単科大学の形でなされるのか。私たちの県ですと、国立滋賀大学という大学があるわけでございますけれども、その上につくらないで、新しい形で単科大学をつくられるというような理由をお伺いしたいと思います。
  38. 木田宏

    木田政府委員 先ほどもお答えに関連して触れたかと思いますけれども医科大学それ自体がいろいろと教育、研究の改善について新たな方策を創設の過程の中で進めていきたい、そういう努力をまたやりやすくできるようにしておきたい。その意味では、既存の体制のあります大学の一部局にするというよりは、事柄の改革を進めやすい、小回りがきくようにしておくということが必要ではなかろうかというふうに考えるのでございます。  また、これは個々の具体の地域関係にもよるわけでございますが、御指摘のように、滋賀大学があるわけですけれども、大津と彦根にキャンパスが分かれておりまするし、またその滋賀大学あり方との関連からも見まして、学部というよりはむしろ医科大学というふうに別個に考えさしていただいたほうが、いろいろ両大学との関係ともよろしいのではないかという判断も加えておる次第でございます。
  39. 上田茂行

    上田委員 国立滋賀大学はいま教育学部経済学部に分かれておりますけれども、それを一カ所にまとめて、そしてそれに医科大学をやるということは技術的に不可能だったわけでございますか。
  40. 木田宏

    木田政府委員 現在の経済学部教育学部を統合するということにつきましては、長い間、大学あるいは地元御当局でも論議を重ねられたのでございますが、今日の段階では、それ自体なかなかうまくいくような状況でないというふうに考えております。
  41. 上田茂行

    上田委員 先ほど、やはり単科医科大学というようなものをつくるほうが小回りもきくし、あるいは医学教育の特有なものがあって、一貫した六カ年の教育というものが必要であるというようなことを数々と伺ったわけでございます。私は、これは要望一するわけでございますけれども、それだからこそ新しい大学にふさわしいような機構というものを今回の新しくつくられる大学の中にぜひとも盛り込んでいただきたいと思うわけでございます。かつて起こったような大学紛争の根幹になるような現象がこの大学から起こらないように、その点だけはぜひ文部当局の御指導をお願いしたいと思うわけでございます。  非常に簡単でございましたけれども、これで一応の質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)      ————◇—————
  42. 稻葉修

    ○稻葉委員長 次に、文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
  43. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 きょうは、文教の一般的な質疑の中で、特に体育行政に関連しまして、国立競技場のあり方についていろいろ御質問さしていただきたいと思います。  三月五日の朝日新聞によりますと、国立競技場で、普及事業であるスポーツ教室の利用料金のたいへんなアップが抜き打ちで行なわれたという記事が載っておりますが、これに関連して、国立競技場に対することしの国の補助金を決定する、つまり四十九年度の予算要求の段階で、この国立競技場のもろもろの使用料その他のアップを前提にして予算が組まれたのかどうか、この点はいかがでしょう。
  44. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 いま御指摘の一部の新聞にスポーツ教室の受講料等の値上げの問題が報ぜられておりました。あれは、まだ値上げいたしたわけではございませんで、国立競技場といたしましては、たとえばいろいろなスポーツ教室をやっておりますが、水泳教室でございますと、昭和四十五年に現在の受講料を決定いたしまして現在まで据え置いておるわけでございますが、講師の方々の謝金などやはりふやしたいというようなこともございまして、現在スポーツ教室の受講料の値上げにつきまして検討はいたしておるわけでございますが、私どもといたしましては、スポーツ教室が国民のスポーツの普及、振興に果たします役割りの重要性にかんがみまして、その値上げの時期あるいは値上げ幅等につきましては慎重に検討すべき課題だと考えておりまして、現在国立競技場と協議いたしております。ただ、四十五年のがそのまま据え置かれておりますので、講師の方々の謝金等も上げる必要もございますので、若干の値上げはやむを得ないというふうに思っておりますが、その時期とか幅につきましては慎重に検討をいたしたい。  それから、もう一つの御指摘の点でございますが、国の予算編成にあたりましては、国立競技場の各種施設の使用、あるいはスポーツ教室の開催、そういったことによります収入を見込みまして、それからいろいろな事業をやるにつきまして、各種の運営につきまして、施設、設備の整備につきまして支出の見込みを立てまして、その差額につきまして国が補助をする、そういう概算をきめて予算を編成いたしておるわけでございますが、具体的には今度国立競技場としての実行予算を組むことになるわけであります。国の予算編成の補助金はそういう考え方で概算の予算をいたしております。具体的には実行予算を組むことになるわけでございますが、これも文部大臣の認可を要することになっております。そのときの問題といたしまして現在慎重に検討をいたしておる、そういう次第でございます。
  45. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 現在、国立競技場では、新聞に報道されたのは正確ではございませんで、どういうくらいの案があるかについては資料はもちろんお持ちでしょうね。
  46. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 国立競技場が現在検討中の一応の案はございますが、先ほど申し上げましたように、私どももその報告を受けましたのがごく最近でございまして、これはやはり国立競技場と文部省で慎重に検討いたしましてきめるべき筋合いのものと考えておりますので、いま国立競技場が検討いたしておりますのは、全く検討の試案でございますので、まだ固まったものではないわけでございます。
  47. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、このいまの案は、たいへんなアップ率ですけれども、これは今後下げることがあり得るというふうに判断してよろしいですか。
  48. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 そのとおりでございます。
  49. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私の調査によりますと、たとえば昭和四十九年度の普及事業の受講改定案、これを見ますと、四月一日予定の値上げ幅は、女性スポーツ教室の受講料だとか、それから婦人の水泳教室の受講料だとか、幼稚園教諭水泳の講習会とか、その他アイスホッケーの教室の受講料だとか、こういういわばしろうとのもろもろの自発的なスポーツ団体が国立競技場を利用しようとする、そのいわば受講料を見ますと、大体平均してこれは三三%ぐらいの値上げの案であります。それからアマチュアのスポーツ団体が主催し使用する場合、この場合はたいへんな値上がりでございまして、たとえばアマチュアの場合、陸上だとかサッカーだとかラグビーだとか、そういうアマチュアの団体がこの競技場を使用する場合の使用料は大体五〇%から五三%くらいの値上がりの案であります。アマチュアの運動競技を今度は催す場合のその使用料、競技を実際にやる、たとえば運動会だとか大学学生の体育祭だとか、そういうようなもので国立競技場をお借りしたいというような場合も、大体軒並みに五〇%から六〇%くらいの値上げであります。それ以外のプロの場合も大体同じくらい、五〇%の値上がりです。この値上げの判断がいいかどうか、これはあとでまた御質問をいたします。霞ケ丘の場合であれ代々木であれ、こういう一連の国立競技場の使用料並びに料金が現在検討されているものが、最近の諸物価の上昇よりも、そこで問題になっているよりも、けたはずれのアップですね。五〇%、六〇%というけたはずれ。また、しろうとのスケートのやつなんかをとりますと、一二五%くらいのアップになります。そういう案が現在検討中でございます。  そこでお聞きしますが、これは先ほどおっしゃったように、いま国立競技場の内部で討議されている案なんですから、文部省当局との間で慎重な審議の上、こういう高いアップはしないということもあり得るということはおっしゃっていただきましたから、いまから私はできれば上げないほうがいいというふうに最後申し上げたいというふうに思います。そこでお聞きしますが、四十九年度の国立競技場に対する国の補助ですね、これは毎年大体五〇%から六〇%、粗経費の六〇%くらいだと私判断しておりますが、ことしの国立競技場側が文部省当局に——大蔵省に向けてですが、要求された概算要求額、それはどれくらいで、どんなふうになっていますでしょうか。
  50. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 大蔵省に概算要求といたしまして国立競技場の補助金を要求いたしましたのは七億六百万でございます。この査定は六億一千三百万ということになっておりました。
  51. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私の手元にありませんので、その概算要求書と、それから文部省のほうで再度大蔵省に要請して、そして最後に——最後のほうは私の手元にありますから、文部省の要求額と減った分はありますから、その要求の文書、それを資料として提出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  52. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 後ほど提出させていただきます。
  53. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで再度お聞きしますが、これも同じ新聞記事ですけれども国立競技場のゴルフの練習場、これを今年度から廃止していくという、たいへんけっこうな考え方に変わってきているのではないかと私は判断をいたします。そして、いままで練習場は一ゴルファーの使用だったものが国民に開放されて、特に陸上競技に開放されるということになってきたのはたいへんけっこうだと思いますが、さてその概算要求に対して査定をする際に、このゴルフの練習場が閉鎖をされる、実際には使用しなくなるということを判断した上で予算がきまったのでしょうか。
  54. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 そのとおりでございまして、御承知のように、国立競技場のトラックその他、昨年いわゆるタータンといいますか、全天候型のものにいたしました。そういたしますと、冬でもあそこは使えるようになるわけでございます。そこで、国立競技場の本来の目的、趣旨に合いますように、いろいろな競技大会その他に使われない場合には、走ろう会とか、いろいろな走るスポーツ教室とか、そういうことで国民に開放をする、主として国立競技場の施設を生かしたかけろう会あるいはいろいろなスポーツ教室に開放をする、それから現在トレーニングをいろいろやっておりますが、そういうトレーニングに来ておられる方々にもあのトラックやフィールドを使えるようにしようという前提で、ゴルフの廃止に伴います収入減、それからそういう各種かけろう会等をやるにつきまして必要な経費、それを見込みまして予算編成をいたした次第でございます。
  55. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そのゴルフの練習場からの収益は、大体いつごろから始まって、一年間に大体どのくらいの収益がありましたか。
  56. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 これはかなり前から始めておりまして、昨年は約四千百万の収入を——二つございまして、いわゆる霞ケ丘のオリンピックをやりました競技場とそれから近くに秩父宮ラグビー場がございます。最初のほうを第一ゴルフ練習場といっておりますが、そこの収入は約四千百万を見込んでおったわけでございますが、これを今度は廃止いたしまして、さっき申し上げた趣旨に使いたい、こういうことでございます。
  57. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、ゴルフ場の収入は大体四千万。五千万ぐらいじゃなかったですか、四千万ぐらいですか。その四千万ぐらいの減収が一方である。他方でさっきおっしゃったたとえば指導者の方や教師の方々の手当みたいなものをアップしなければならない。それからそのほかに、新聞でいわれているのはガスだとか電気料金等々の値上げ、そういうものを含めてみて国の補助が行なわれた。それで値上げしないでいいということにはなりませんか。
  58. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 いまの点をさらに補足しながら申し上げますと、第一ゴルフ練習場の廃止に伴いまして四千百万ぐらいの収入が減るわけでございます。一方、ゴルフ練習場として使うにつきましては、一千百万ぐらいの支出が必要であったわけでございますが、差し引きいたしまして三千万ぐらいの収入減になるわけでございます。それから走ろう会その他をやるためにやはりいろいろな経費がかかりますが、そういう支出も見込んでおりまして、それらをすべて見込んだ上で一応予算編成をいたしたわけでございますが、ただ補足いたしますと、いろいろなスポーツ教室等につきましては、かなり国立競技場独自の事業として計画してきたいきさつがございます。ただ、本体のいろいろな施設をほかに貸す場合の料金につきましては、本来は予算編成のときの問題になるわけでございます。ただ、予算編成が終わりまして、その後いろいろな急激な変化が起きたというときに、年度の途中で施設の利用料を上げたことがございますが、普通の場合は予算編成のときの問題であるわけでございます。
  59. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、ちょっとお聞きしますが、いままでの国立競技場の収入という問題を考えるときに、私の調査では、収入の上がるものに力点がかかった運用が行なわれておるという節がある。たとえばサウナだとか、それからプロに貸すという問題ですね。プロに貸しますと、アマチュアよりもはるかに高いいろいろな料金を取ることができますから。そのことに関連して、「体協時報」のことしの一月号に国立競技場について解説が載っておりますので、ちょっと読んでみますと、問題点がここにたいへん浮き彫りになっております。「体協時報」の「スポーツ・ジャーナル」という欄に、国立競技場の最近の傾向に関連して、こういう記事が載っております。たとえば去年の四月六、七日に蹴球協会が国立競技場をお借りしたいというふうに考えて申し出たけれども、そのときにはアメリカのプロの陸上の競技があるのでお貸しできませんといって、アマチュアのスポーツ団体がここの借用を断わられておるわけであります。また、日本ラグビーフットボール協会が、秩父宮ラクビー場がスタンド改修工事で一これがいつごろ完成し、どうなるのか、どんな予算になっておるのかも問題なんですけれども、それはおくとしましても、これが国立競技場の借用願いを出したのに対して、一週間に二試合以上はまかりならぬという意味で断わられておるわけであります。そういう例は、アイスホッケー連盟が申し出た場合にもあれば、また幾つかの例がここに指摘されて、どうも国立競技場はプロのほうに積極的に貸して、そしてアマチュアの使用というものが非常にやりにくくなっているという、実情があるように思われるということを、山本実さんという人が「スポーツ・ジャーナル」の五ページに最近の実例を幾つかあげて説明されておられるわけなんです。ここで指摘されておるような傾向と同時に、先ほど言った、たとえば収益の上がるサウナとか、また御承知のようにゴルフは、オリンピック以降今日までたいへん収益が上がるものとして現実にやってきた。そういう国立競技場の今日までの動きをそういうデータを基礎に判断してみると、収入を確保するためにたいへん努力をしておる。そのためにアマチュアの諸団体の使用が支障を来たしたりしているという実情があるように思われます。このことは、つまり国立競技場というもののあり方ないし運用に際して、国からの補助のしかたが、一方では補助というものをできるだけ押えるものは押えながら、一方収入の上げられるところでは収入を精一ぱい上げて、他方で支出を押えていくという、つまり特殊法人の持っている企業としての営利性というものに力点を置いた運用が現実に行なわれておるという節が私には判断されるのですが、いかがでしょうか。
  60. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 確かに先生御指摘のような傾向がなかったとは言い切れないと私は思います。ただ、先ほども申し上げましたように、支出は一千万であるが、収入が四千万上がるゴルフをやめて、本来競技場にふさわしいものに使うということに踏み切ったわけでございますが、それは一つの例でございますが、国立競技場及び私どもとしては、そういう精神で今後は大いに国立競技場の運用と活用をはかっていかなければならない、そういうように考えております。  それから先ほどの御指摘の例でございますが、この秩父宮ラグビー場は一週間に二回以上はまかりならないというのはある程度やむを得ないことでございまして、芝生の問題その他がございまして、年じゅう使っておりますと芝生がまた密生してくるのが非常にたいへんであるといった管理上の問題もある程度ございます。  それからプロに優先したということは、結果的にそういうことがあったと思いますが、金がよけい入るものを優先するというようなことは決してしておらないわけでございまして、ただ、ああいう大きい競技場を全国大会その他に使うにつきましては、お互いに予定が立っておりませんと不安なものでございますから、実際の慣行といたしまて、前年度の、しかもかなり早い時期に翌年度の競技場使用についての御計画を出していただきまして、それを調整いたしましてきめておりますものでございますから、その後出てきた場合にもうすでにきまっておったということが間々あります。ただ、現在の利用規程がその辺のことが非常に不親切な規定になっておりますので、そういう実際に行なわれております使用の受付、利用の規定に即しますように利用規程を改正いたしまして、利用者の皆さんの納得のいくような利用が行なわれるように利用規程は近く改正をいたしたい、こういうふうに考えておりまして、先生御指摘趣旨で私ども競技場を今後やっていきたい、そう考えております。
  61. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで先ほどの、たとえばいまの国立競技場での四月一日以降の料金や何かのアップ案ですね、これはたいへん率が高い。五割、六割、ときによっては一二〇%ぐらいも上がる、こういった状態が一方に出てきている。他方で、たとえばこれは普及事業の場合の一つの例ですけれども、スポーツ教室の場合に、大体一年間にいまは九万人から十万人ぐらい使用しているようです。スケート教室なんかとってみますと、五歳以上の男女がやっている。大体三百人ぐらいの教室を持っている。またジュニアのスポーツ学校なんか、これは小学校四年−六年の男女ですね、こういう九十人ぐらいのグループでやっているようなものをそれぞれ見ますと、いまの上げ幅案でいきますと、大体一五〇%ぐらいになるんじゃないでしょうか。たとえばいままでだと年間二万四千円ぐらいだったのが今度は三万九千円ぐらいになりはしないかというようなこともいわれていますし、相当な値上げ。この辺の客観的なデータは別として、値上げになった場合に、問題は、そういう普及事業が目ざしている精神、これは御承知のように昭和四十七年十二月二十日に行なわれた保健体育審議会の答申の考え方、この考え方に基づいてみましても、ここではやはり、今日の高度成長に伴って日本の国民は長生きはしているけれども、一方で体力が非常に落ちてきている、だから生涯教育という意味で体力増進という問題を考えなければならない大きな曲がりかどに今日来ている、特にそういう意味で体育、スポーツの振興をやらなければならぬということから、この施設の整備充実だとか、それから自発的なグループの活動の促進だとか、それから指導者の養成とか、それに必要な資金の国や地方自治体における確保だとか、そういう問題が非常に高らかにうたわれているわけであります。現状問題点でも、その体力低下の傾向というものに対して、こういう公共的なスポーツ施設というものをいかに国民に開放していくかという観点で対処していかなければならないということをいっている。現在この公共的なスポーツ施設は、小学校の体育館やなにかは除きまして、公共的なものは全体の七%ぐらいのようですけれども、もし国立競技場で一定程度のアップが行なわれれば、全国的にこういう自治体の、ないしは公共的な施設が全体として料金の引き上げというものをやっていくという可能性があると私は判断しますが、いかがですか。
  62. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 実はこのスポーツ教室の使用料の値上げを国立競技場が検討しておったようでございまして、それが一部の新聞に出たわけでございますが、その時点で、率直に申し上げまして文部省にまだ報告がなかったわけです。私どもは、さっそく来ていただきまして、国立競技場が値上げをするということは、いままさに先生御指摘のとおり、地方公共団体がいま非常にスポーツ教室に力を入れてやっておる時期でございますから、そこに直ちに影響する問題である、つきましては、値上げの事情はわからぬではないが、その値上げ幅とか時期とかいうものは慎重でなければならないということを申し上げまして、国立競技場側も、まさにそのとおりだと思うということで、いま慎重に検討いたしております。  いまお話がございました保健体育審議会の答申の一貫して流れております趣旨は、日本の体育、スポーツが従来学校体育、それから選手中心であり過ぎた、今後は社会体育、一般の青少年をはじめ国民の社会体育、スポーツというものを大いに普及振興しなければならない、そういう精神で一貫してその答申ができておるわけでございますが、文部省及び国立競技場はそういう趣旨に従いまして、ただ、国立競技場はオリンピックもやりました国際的な日本を代表する競技場でございますから、そういう選手の方々にも使いやすいということはもとよりでございますが、国民のスポーツの普及振興のためにもできる限り開放をしていく、その場合もできる限り安い料金でやっていくというふうにあるべきだと思います。  もう一つの、施設そのものの利用料につきましては、まだ私どもは報告も受けておりません。ある程度値上げをせざるを得ないということで検討はしているようでございますが、こちらのほうは本来は予算編成のときの問題でございまして、予算編成が済んだあとに昨今のようないろいろな事情が起きましてどうしても値上げせざるを得ないということがございましても、本来は予算編成のときの問題でございますから、それにつきましてはなおさら慎重でなければならない、そういうふうに考えております。
  63. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 国立競技場側が値上げする理由について、指導者に対する報酬の問題、これはもう一ぺんあとで内部の管理体制の問題として触れますけれども、それにお金がかかるということと、もう一つあげているのは、ガス代だとか用器具などのいわば管理運営費的な性質のものですね、そういうものの値上がりということを言っています。  そこで、特殊法人の中には、全額国が持っているのもあれば、大体現業を中心にしている道路公団だとか、こういうところは一方で収益があがりますから、補助というのは一定の割合の補助になっている性質もあると思いますけれども、たとえば管理運営費、こういう国立競技場みたいな性質の、国民に開放される施設のいわゆる管理運営費みたいなものは当然全部国が持つというような考え方はできぬものですか。
  64. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 基本的には、スポーツをやるということはやはり国民一人一人、自分のためでもあるわけでございますから、そういうスポーツ教室を受けたいとかいったような場合に、応分の受講料等を払うということはあってしかるべきではないか。保健体育審議会の答申でも、従来わが国はとかく事業主体がすべてを持つという考え方があったけれども、スポーツをやることは自分自身のためでもある、ついてはやはり受益者も幾らかの費用は出すべきものであるということが触れられておりますが、しかし、そういうスポーツの普及、振興ということは非常に重要な問題でございますから、公共的な施設の場合は、できる限り受益者の負担につきまして考慮いたしまして、使いやすい範囲の利用料というふうにいたすべきものと考えます。したがいまして、すべて事業主体が持って、ただでやるという考えは必ずしも適当でない、しかるべき使用料は払っていただきたいと思いますが、できるだけ安くいたしまして、その他につきましては国が補助を見る、そういう考え方でやっていくべき筋合いだと思っております。
  65. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それで、いまの受益者負担の考え方、答申でいっている精神では、受益者負担というのは、それは完全にゼロにせいというようなことを考えるべきではなくて、やはり各人がやることだからという考え方が入っていると思います。しかし、一方で、日本では諸外国に比べましてこういう公共的なスポーツ施設が非常に十分ではなくて、今後そういう国民の要求が広がってきて、しかも日本社会社会的要請というふうになっているわけですから、そういう意味で、受益者負担の原則が前に出るのじゃなくて、あくまで広く国民に開放していけるような形で運営していく、そのためにいろいろな料金やなんかを利用しやすいような方向にきめていく、そういうふうに考えていただきたいし、そう考えられるという趣旨だと思います。  では、その後、文部省のほうでは現在そちらと協議中だとしたら、どのくらいアップの判断なんですか。
  66. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 考え方は、先生御指摘のような考え方で私どももやっております。  アップ率でございますが、スポーツ教室につきましては、アップの幅、それから時期、ある程度アップはやむを得ないと考えておりますが、いまそれは慎重に検討いたしております。  それから施設の利用料につきましては、私どもとしては、これは本来は予算編成のときの問題でございますので、ただ、その後、確かにいろいろ物価事情が変わっていることはございますが、年度の当初から利用料そのものを上げるということは考えるべきではない、これは年度の途中でどうしてもいろいろな物価その他の関係で上げなければやっていけないということになれば別でございますが、そういうふうに現在のところ考えております。
  67. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、値上げはやむを得ないとおっしゃる根拠に、たとえば指導者の手当だとか、そういうものも含んでいるのでしょうけれども、もうこの問題に関しては打ち切りますが、結論として、現在協議中であるということと予算編成の過程であるということとからめて、ここで出されているような案で実施されることはない、それでなるべく低く、ないしは上げない、特にスポーツ教室なんかの場合は十分にそういう判断の上で対処していただくということをお願いを申し上げます。  それで、巷に新聞でいわれているようなことはないというふうに了解してよろしいですね。
  68. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 値上げはできるだけ避けたいと思いますし、上げざるを得ない場合もできる限りその幅は押えたい。それから時期につきましても、年度の当初からということでなく、できるだけずらすというような気持ちで、競技場と現在協議中でございます。
  69. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ちょっと時間をとり過ぎましたが、昨年九月ごろ、国立競技場でたいへん労使間にむずかしい問題があって、一カ月ぐらい正常な運営ができなかったということの事実は御存じですか。
  70. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 国立競技場は、いわゆる政労協といいますか、政府関係の特殊法人の組合団体があるようでございますが、率直に申し上げまして、ときどきそこの拠点闘争が行なわれておりまして、一カ月ずっと続いてということはまずめったにございませんが、ときどきそういう事態が起きていることは承知いたしております。
  71. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その一カ月ほど正常な運営ができなかったことに関連して、いま国立競技場の内部で、たとえばこういう問題があるわけなんです。先ほど局長がおっしゃいましたように、スポーツ教室等々の指導をする人たち、そういう人たちに関連して、競技場の職場では現在こういうことが問題になっているのです。競技場のスポーツ教室には二百六十五名の外部からの嘱託指導員が雇用されていて、各教室の指導に当たっているのが現状だが、これらの指導員の多くは大学教授、講師等で、本職のかたわらアルバイトとして指導に来ている。肝心の国立競技場の内部の職員は、嘱託指導員のもとで簡単な受付作業に携わっているのがほとんどだ。そこで、具体的にどういうふうになっているかというと、たとえば第一業務関係では百三十七名、第二業務関係では九十名、第三業務関係では三十七名という指導員が嘱託として雇われているわけですね。こういうふうに、実際に指導に当たっている人はみんな外部から嘱託指導員というようなかっこうで来ているわけですね。その人たちに対してたいへんこの手当が少ないというために、たとえばこの指導員は、一番混むのは土曜と日曜日ですから、土曜と日曜日に非常にたくさん来る。ところが、その指導員が大学の先生や講師の人なものですから、土曜、日曜は休みたいわけですね。そうすると、安い手当で、そして土曜、日曜日に朝から夕方まで引っぱり回されるということに対して非常に抵抗があるものだから、ついサボっちゃうわけですよ。そういうことのために、実際に普及しなければならないスポーツの普及事業というものがその功を奏していないというか、そういう現状が現実にあるわけです。こういう問題になってきますと、当然、その現場の指導員をどうふやすのか、その指導員の人たちの手当というものをどうすべきか、そういう現場の、つまり国立競技場が国民に奉仕するような競技場になるためのそういう職場の構造のあり方、そういうものが非常に重要な問題点になってくるわけであります。ところが、そういう問題を含めて、たとえばこの職場で見ますと、同じ政労協関係の職場の関係と賃金を比較してみましても、大体平均よりもずっと悪いです。大卒の場合は比較的まだいいのですけれども、中卒の場合なんかは、年齢二十七歳の場合をとっても、三十五、六歳ぐらいの場合をとっても、賃金は相当劣悪であります。しかも代々木の場合を一つの例にとってみますと、ここでは国立競技場の職員が大体六十三人ぐらいいて、あと五十人から八十人、正規の職員よりも多い人が仕事をしているわけです。その人たちはどういうのかというと、主として接客ですね。たとえば切符の出札をやるとか、いわば貸しぐつの仕事をするとか、それから氷が解けないように保守するとか、そういう現場の仕事をやっているのは全部下請に出しているのです。下請に出して、それがみんな途中に業者が入って、年間七千万円なら七千万円というものを業者に委託して、そしてそういうところに下請に出している。ですからその下請になっている人たちが、たとえば汽車でいいますと車掌さん、途中で乗り込んできて切符を中で買いますね、そういうような仕事、実際には途中で入ってきたような人の切符の売り買いとか、そんなような仕事から、現場の重要な仕事は正規の職員でない人がみんなやらされているというような現状なんです。これが国立競技場の実態です。その人たちの一日の日給は平均してどのくらいだと思いますか。
  72. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 いまのお尋ねは下請に出している場合のその方々の賃金です。いまそれは手元に資料を持っておりません。
  73. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 失対労働者の全国平均賃金でも、東京の場合一千六百円ぐらいですよ。ところがここにいる人はみんな、責任者で大体千六百円ぐらい、一般職員だったら千三百円ですね。そういう安い賃金の人たちに下請させて、重要な直接お客に接する仕事を大半みなやらせているのです。そして現実に業務に携わっている人の賃金は政労協関係の平均賃金で見ても低いわけです。年齢も若いしですね。つまりそういう条件の中で行なわれているという労働条件や職場の仕事の内容に関連する問題が一つ盲点としてある。これは結局、経費をなるべく安上がりにするということで下請に出している。そこは一つの国立競技場の持っているいわば営利性を前提にした合理化が行なわれているという側面だとぼくは思うのです。そして他方では、肝心の指導員は、一番忙しい土曜、日曜日のときには安い手当でしかないものですから、アクチブに積極的な奉仕ができない、こういう姿になっているということを御存じですか。
  74. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 指導員の謝金といいますか手当、これは確かに低いわけでございます。それで私は四十九年度の予算編成におきましてこれに非常に力を入れたわけでございますが、かつては国立競技場の指導員になるということ自体が栄誉である、そういう時代が確かにあったかもしれませんが、そういう考え方をいついつまでもとっているのはよくないということで、この指導員の方々の謝金、手当の増額に非常な力を入れてやったわけでございますが、ある程度の増額は実現いたしましたが、所期したところまでいっておりません。これは大蔵省といたしましても、いろいろな講師の謝金のつり合い、均衡ということがございまして、本年度は必ずしも所期の趣旨は実現できませんでした。しかし、現実にスポーツ教室等は汗を流しまして指導をするわけでございますので、確かに現在の講師の謝金はきわめて不十分なものと思っておりまして、今後ともその増額に十二分の努力をすべきものと考えております。  それから職員の給料につきましては、文部省関係の特殊法人につきましてそう不均衡はあり得ない。これは文部省におきましても、各特殊法人の間の均衡ということは十分考えまして、特殊法人側とよく協議をいたしてやっておるわけでございますが、個々具体的に非常に引っ込んでおるという問題がもしありましたら、それは具体例に即して検討をすべきものと考えております。
  75. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ここは教育ですから、社会労働委員会じゃありませんから、それはフォローしませんが、私のところにあるデータで、国立競技場の職員は、たとえばその他の現業を持っている特殊法人に比べてみて、高卒の場合、二十八歳の場合には大体五千円から六千円低いですね。それからこのデータによれば、三十歳ぐらいですと、これも四千円か五千円ぐらい低いのです。ですから、それは人勧体制というものを頭に置いていつもやられているのですけれども、その場合でももともと格差がある。たとえば高卒で道路公団とそれが格差があるとすると、ことしは一五・五%上がるということになりますね。そうしますと、もともと差があるところへ一五%上がると、その格差はどんどん大きくなっていくのですよ。ですから、これはここの議題ではありませんけれども、決して考えていられるほど賃金は上等なものではないというふうに私には判断されます。そうしますと、重要な、お客さんに直接サービスするといいますか、スポーツを楽しもうとしている人たちに接している部分は下請ですね。そして教える先生方が非常に安い手当でもって積極性がない。そして働いている人たちの賃金が劣悪。労働条件やなんかについても問題があります。というのは、やはり特殊法人は、たとえば国立競技場のあげた収益というのは、全部受け入れで積んでいって、人件費や何かで事業主体全体が独自に使えない仕組みにいまなっていますから、一方で収益があがっても、そこに働いている人たちに賃金や何かに回るような仕組みにいまはなっていないわけです。それは全部積み立てていって、そしてまたその年度年度でそれを使いこなして、実績主義で来年度概算要求をやっていくという役所の予算の組み方ですからね。ですから、実際にはその国立競技場というものの中で行なわれて、収益は相当あげても、それ自身がそういう働いている人たちや下請に出している人たちの条件をよくしていくようには回らぬ仕組みになっております。そういう意味で、いま幾つかあげた例を見ましても、例の答申がいっているような、国民に開放される国立競技場のあり方という方向から見ますと、依然として国立競技場というのは営利性が追求されて、国の補助がなるべく少なくて、片一方で収益をあげるようにする、支出はなるべく少なくするという仕組みで運用されているという意味で、国民に開放されているよりも、きわめて閉鎖的な側面がありはしないかという点を私はたいへんおそれるわけでございます。そういう意味で、そういう観点からこの国立競技場のあり方というものについて検討をいただきたいというふうに思います。  それに関連して、先ほど言った問題を結びつけるのです。昨年九月ごろ一カ月間ぐらい正常に動かなかったというのはなぜかという問題を私なりに調査してみますと、そういう問題なんですよ。つまり指導員が安くて、実際に積極的な指導ができない。この人たちの賃金やら条件というものをよくしなければならないんじゃないかという問題がある。下請に出している人のために、責任のある仕事をしていないというので、国民へのサービスが十分ではない、働いている人たちの賃金についても問題があるという問題について当局との間で話し合いをしようという団体交渉が持たれようとしたときにあの事態が起きているのです。いわゆる正常でない事態が生まれているわけであります。そしてその当時、理事長さんは、その組合の側の新聞によりますと、「またもや理事長逃げ出す」、こういう見出しにありますように、そういう話し合いをしましょうという、これは三権を持つ労働組合ですから、ストライキ権もみんな持っている労働組合ですから、そういう労働組合が理事長に対して正規の申し入れをやるのに対して、逃げ回っているという実態があるようでございます。  そこで、お聞きしますが、国立競技場の法律に基づく、この第一条でいっている法律の精神とこの役員という問題を考えたときに、国立競技場の役員というのは、少なくともそういう答申に述べられているような日本の今後のスポーツのあり方国立競技場が国民に開放されていくような方向についてどうあるべきか、こういうことに関して、少なくとも一定の見識や考え方を持っている人が役員になる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  76. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 御指摘のような考えを持った方と、それからかなり大きな施設でございますから、そういう考えを持った上に、そういう大きな施設の管理運営ということにふさわしい方と、そういったようないろいろな見地から役員が選任されるべきものと考えます。
  77. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私が調べたのでは、この国立競技場の、大臣が任命する役員の方々の年齢並びにその前歴を見ますと、たとえば理事長は元衆議院常任委員会の調査室におられた専門員の方のようですが、理事の中を見ますと、東北管区の警察局長、そういう方が理事になっておられますし、また、いろいろな役員並びに課長クラスなんかを見ますと、防衛庁、それから大蔵省、そういうところの課長補佐、主任、それから防衛庁の地連の連絡部長、それから警察局長、こういう方々がいろいろな役員や主要なポストを占めておられます。そういうことについては、局長は御存じですか。
  78. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 いまの理事のうち、一人の方が東北管区の警察局長をやられた方がなっておることは事実であります。それから、職員の中に文部省あるいは大蔵省から出ている者も若干ございます。やはりあれだけの会計経理を扱いますので、それにふさわしい人ということで大蔵省から来てもらっておるということがございます。
  79. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 しばらく前に天下り人事という問題についてたいへん問題になってきたことがございます。先日、田中総理が、つい一週間ほど前だと思いますが、閣議で、特殊法人の人事の停滞という問題を取り上げられて、二期八年、それ以上はいかぬ、四年くらいだとおっしゃっていることが新聞で述べられています。大臣、それは御存じでしょうか。
  80. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 八年以上は同一ポストにつけておくことは過当でないという意見がございました。
  81. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 いまおっしゃったように、確かに国が補助金を出しておりますから、それに対して業務を監督していくような仕事がウエートを占めますから、大蔵省やそういうところから、そういう役職や何かに送り込んでいくということの、一面の意味はあると思います。しかし、私はこれは天下り人里の一つのタイプだと思いますが、こういう国立競技場の経理の内容や仕事の内容を管理するという意味での形、そこにウエートを置いたかっこうでそういう人たちが入ってくるということと、一方で国民に開放されていくというかっこうで国立競技場があらねばならないという側面、この両面をとった場合に、当然こういう人たちはスポーツにはしろうとであってはならないわけだし、それから体育振興事業というものが何であるかというようなことについて、一定の見識を持っていることが必要だと思うのです。そういう観点から見ますと、こういう一連の人たちは大体みな年齢にして六十歳、六十四、五歳、そして大体八年ほどいますから、もうそろそろ交代の時期ですね。この人たち国立競技場に来て、出ていくときの退職金は、数人の人を試算してみますと、八年九カ月で六十三歳の方で、ある人の場合は二千百万ぐらいです。それ以外の人でも大体一千九百万。一千万をはるかにこえる退職金が試算されるわけであります。ただでさえこの国立競技場というようなものが国民に開放されなければならない問題であって、料金はなるべく安くて、国が援助して、そしてお金を節約していかなければならないというときに、こういう、つまり役人で定年を過ぎた人たちが入ってきて、そして五、六年いて二千万円、一千八百万円という退職金をもらって出ていく、こういう構造ですよ。これは、そこらじゅう役所とつながっている通産とか建設でもいろいろ問題になっているわけですけれども、こういう構造が国立競技場にある。来て五、六年で二千万円ですよ。現場で働いている人たちは、大学卒で三十五年働いても一千万円にはなりません。片一方では、そういうふうに生涯働いて、がんばってきて一千万にならないのに、片一方では、すっと来て五、六年おって二千万にも近い退職金をもらっていくというような形での役員のあり方、これが国立競技場で働いている人たち並びに国民の立場から見て、これでいいのかどうかということについて、私はたいへん疑問を持つ。局長いかがですか。
  82. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 役員の退職金につきましては、そのための規定がございまして、文部省の監督のもとに、他の特殊法人その他との均衡のもとにつくられておるわけでございます。
  83. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 もう時間も来ましたからこれでやめますが、いまは大体役員の任期のかわる時期です。大臣にお伺いしますけれども、いま私が申し上げましたように、現場の人たちは、大学卒の人が三十五年いても一千万の退職金にもならないでがんばっておられる。片一方では、それがきまる過程においてたいへん問題だったわけですが、天下り人事的なかっこうで役員がきめられている、こういう実情に対して大臣はどう思いますか。
  84. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 国立競技場の役員には、役員としてふさわしい人を選ぶべきで、人のために国立競技場の役員のポストを利用する、そういうことであってはならないと思います。そういう見地でりっぱな人事がやれるように努力をしてまいります。
  85. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 もう時間が参りましたので、最後に一言だけもう一度お聞きしますが、結論として、一つは、国立競技場の内部で検討されてきたアップ案、このアップ案というものを押えるために、私は、いろいろ述べたようなことを頭に置いてみて、もっと積極的な国庫の補助、国が補助金を出してアップを押え、そして内部で働いている人や下請に出している人や、そういうものについてもっと国民的なあり方に再検討をしていく、そういう用意があるかどうか、これが一つ。  もう一つは、近く行なわれるかもしれない役員の交代の時期に、これは大臣にもともにお聞きするのですけれども、働いている人や国民から見て、いわゆる天下り人事と思われるような役員の任命が行なわれないように、その点を二番目に御質問をして終わります。大臣、その二つについてお答え願いたい。
  86. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 先ほど来体育局長がお答え申し上げましたとおり、善処してまいりたいと思います。  人事の点につきましても、いま私が御答弁申し上げたとおりでございます。
  87. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 終わります。
  88. 稻葉修

    ○稻葉委員長 山原健二郎君。
  89. 山原健二郎

    ○山原委員 この間、文部大臣の発言について、文部大臣も資料を出す、こう言って、出てまいりました。その間約三週間かかっております。私は、この問題については各党ともいろいろの御意見があると思います。だから中身には触れませんが、資料について正確を期す意味で、どういうものから出てきておるのかという点について少し伺いたいのです。  一つは、私の要求しましたのは、文部大臣が、日教組が社会主義革命に参加する団体だとみずから規定しているということを深谷議員に対する答弁の中で明確にされておりますから、私は普通の国語の立場から見るならば、日教組がみずから規定しておるものが規約あるいは綱領というものにあるものだろうと思って、それならばきわめて簡単なものが出てくるのではないかと思っておりましたが、出てきましたのは、これは表題が違っておりまして「日教組が社会主義革命に参加している団体と自ら規定していると受けとられる資料」こうなってしまいました。こんなものは私は要求した覚えはないわけであります。私が要求したのは、日教組が社会主義革命に参加している団体とみずから規定している資料、すなわち「と受けとられる」というのは、これはあとから大臣がかってにつけ加えたものであって、私の要求したものとは全く違うのです。どうしてこういうふうになったのか伺っておきたいのです。
  90. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 私が深谷議員の質問に答えまして、日教組は階級的大衆組織であって、社会主義革命に参加するものと規定されているようです、こうお答えをいたしました。その後、山原委員から、規定していると言ったが綱領なり規約なりのどこに規定しているのかというお尋ねがございました。そこで、私が規定していると申し上げた規定ということばは、運動方針等を通じて、日教組は階級的大衆組織であって、社会主義革命に参加しているものと規定しているというふうに受け取られるのです、それらの資料をお出ししましょうかと言いますと、出してくれ、こうおっしゃったわけでございまして、そのとおりの資料をお出ししたつもりでございます。
  91. 山原健二郎

    ○山原委員 私がしばしば尋ねたのは、あなたが深谷議員に対して「社会主義革命に参加するものとするのだ。自分たちの組合の性格をそう規定しておられるのであります。」これに対して私が資料を要求したのです。そうするとあなたは、前言を次第にひるがえしながら、そう受け取られるというようなことを言ってきた。私はそのことを要求してなかったのです。受け取られるということはあなたの感想なんですよ。あなたは深谷議員に対して明確に、これはどんな常識的な国語の判断からしても、みずから規定しているのだ、こう言っておられる。だからそのことを要求すれば、こういうふうなすりかえた形になっておるということは、まことに私は残念です。それはあなたの感想です。あなたが答弁をされる場合に、私が日教組の書類を読めばこういうふうに受け取られますと言うならば、あなたの感想で、それならまだわかりますよ。こういうことを明確に本委員会の議場で言われたものですから、それについては私は正確にそのことに限って、どこに書いておりますか、こういうことを言っておるのです。私の質問に対してあなたは少しことばを変化さしておりますけれども、私の要求した趣旨は、どこに書いておりますかということでございました。この点については、時間もありませんから、これ以上申し上げませんけれども、そこらあたりはお互いに教育を語る政治家として、明確な態度をとるべきだと私はまず最初に申し上げておきます。中身についてはもちろん触れません。  それで、この資料を見ますと、「基本的な考え方に関するもの」、これが主題になっておるわけで、あとは運動方針。運動方針は、これはそんなことどこをさがしたってないわけですから、一番あなたのほうが問題にされておるのは、この第一項の「基本的な考え方に関するもの」だと思います。これを読みますと資料が五つ出てまいります。一つは、倫理綱領第一項の部分的引用が出てまいります。二つ日は、倫理綱領第一項の解説が出てまいります。三つ目は、倫理綱領第二項の解説が出てまいります。四つ目は、倫理綱領第八項が出てまいります。五つ目は、「新しく教師になった人々に第一部、第二部」というのが出てまいります。  そこで、私もこれを見ましてさがしましたけれども、どうもわからないのです。まず、「新しく教師になった人々に第一部、第二部」、これはいつ出して、原典はどこにあるのか、これを最初に伺っておきたいのです。資料をお持ちでしたら、私はそこへちょっと見にいってもいいのですが。
  92. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これらの資料、つまり教師の倫理綱領及びその解説並びに「新しく教師になった人々に」……。
  93. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと待ちなさい。いいかね、「新しく教師になった人々に第一部、第二部」というのはどの本からとられたのですか。本ですか、パンフレットですか、何ですか。それを聞いているのです。
  94. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いま御説明申し上げておりますが、「新しく教師になった人々に」、これは昭和二十七年の六月、日教組の第二十九回定期大会において決定されたものでございます。したがいまして、それらの資料は、日教組にお問い合わせになれば、正式なものはお手に入るというふうに考えております。
  95. 山原健二郎

    ○山原委員 岩間さん、ほかの先生方もこの資料に基づいて論議があるわけですからね。いまのは何ですか、第二部ですか、第一部ですか。
  96. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ここにございますので、お手元に差し上げましてごらんいただいてもよろしいわけでございますけれども、「新しく教師になった人々に」第一「光はあるか」第二「光はここに」というので、日本教職員組合というふうなパンフレットがございます。
  97. 山原健二郎

    ○山原委員 それが第一部ですか。これには第一部、第二部と出ていますので、第一部はどれですか。第二部はどれですか。
  98. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ここに第一、第二というふうになっておりますから、第一が「光はあるか」それから第二が「光はここに」というのを第一部、第二部というふうに御説明しているわけでございます。
  99. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと見せてください。——これはパンフレットですね。パンフレットで、日本教職員組合ですが、これはどこで議決をしておりますか。
  100. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 さっきちょっとお答えを間違えまして、あれは倫理綱領に関します部分でございます。「新しく教師になった人々に」は昭和二十八年四月、日教組の情宣部の編集発行にかかるもので、新しく教壇に立つ人々のために、日教組自身を紹介したパンフレットでございます。
  101. 山原健二郎

    ○山原委員 これは日教組の組織の決定に基づくものではありません。情宣部の出されたもの。日教組は確かにいままで「新しく教師になった人々に」という文章を書いております。それは四月に日教組の出しております「教育評論」に巻頭の文章として、そのときどきの委員長、最近は、いま参議院議員をしておられる宮之原さんあるいは槇枝さんが書いております。これは日教組の組織の決定ではありません。そのことをはっきりさしておきましょう。  次、倫理綱領第八項、皆さんが提出されておる第八項ですね。これはどの文章ですか。
  102. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 第八項は、「教師は労働者である」という表題で、いささか長文でございますが、これはお読みいたしましょうか、あるいはお手元に差し上げましょうか。
  103. 山原健二郎

    ○山原委員 倫理綱領第八項の解説ですね、解説のところに書かれているんですか。
  104. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 この倫理綱領は、どこが本文でどこが解説かというのがあまり明白ではございませんが、前に書いてあります部分が本文で、あとに解説がついておるというふうに読めるわけでございます。
  105. 山原健二郎

    ○山原委員 いただいた資料の三ページのまん中にあります倫理綱領第八項というのは、解説の部分ですか。
  106. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 本文と思われる部分がございますので、その部分だけ読ましていただきます。「教師は学校を職場として働く労働者である。教師は、労働が社会におけるいっさいの基礎であることを知るが故に、自己が労働者であることを誇りとする。歴史の現段階において、基本的人権、ことばのうえでなく、事実の上で尊重し、資源と技術と科学とをあげて万人の幸福のために使用する新らしい人類社会の実現は、労働階級を中心とする勤労大衆の力によってのみ可能である。教師は労働者としての自己の立場を自覚して、強く人類の歴史的進歩の理想に生き、いっさいの停滞と反動を敵とする」。この部分が本文と思います。そのあとが解説というふうに理解されるわけでございます。
  107. 山原健二郎

    ○山原委員 私が言っておりますのは、解説というのはどれですか。いま言われたのは、あなたが本文と言われているのは。倫理綱領というのは一項目ですよ。「教師は労働者である」「教師は平和をまもる」というのが十項目ある。これが倫理綱領です。そのあとについておる短い文章が解説です。そのほかに解説があるというのは、どれでしょうか。
  108. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 そのあとに「日本には、古くから労働をいやしむ風潮があった。それは、長い封建時代に経験させられた圧政の結果である。」というふうに、かなり長文の説明がついております。これが解説というふうに考えられるわけでございます。
  109. 山原健二郎

    ○山原委員 それをちょっと見せてください。——それか解説だということか初めてわかりました。それは解説ではありません。討議資料です。しかもそれば、「解説 教師の倫理綱領」ということで十五名の協力者の名前の中で出された討議資料なんです。日本教職員組合の決定ではないのです。それば御承知のように「刊行のことば」の中にはっきりと述べられております。討議資料です。——討議資料です。はっきりここへ書いてあります。それに書いてあります。いいですか。  次に、第二項の解説というのもそれですか。
  110. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ちょっと聞き取れませんでしたが、たいへん恐縮でございますが、もう一度お願いしたいと思います。
  111. 山原健二郎

    ○山原委員 「倫理綱領第二項解説」というのがありますね。これはいま出された、私に見せたものですか。
  112. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 倫理綱領の第二項は「教師は教育の機会均等のためにたたかう」、その中に「憲法の保証する個人の人格と尊厳と教育の機会均等は、今日なお、空文にとどまっている。青少年は各人のおかれた社会経済的条件によって、教育を受ける機会をいちじるしく制限されている。特に勤労青年大衆の教育は、まったく投げ出されているといってよい。学校の内外における子供たちの生活と成長は、平等な条件を保障されてはいない。十八世紀的個人主義はもはや個人を確立する道ではなく、教育の機会の均等化のために社会的な措置が取られなければならぬ。教師はみずからこの必要を痛切に感じとり、あらゆるところで教育の機会的均等のためにたたかう。」これが第二項でございます。
  113. 山原健二郎

    ○山原委員 第一の解説というのが出てまいります。「倫理綱領第一項解説」というのが出てまいりますね。これは一ページの最後から二行目ですが、これもいま言われた解説ですね。私がいま見せていただいたものと判断してよろしいですか。そこから取られたのですか。
  114. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 第一項は、「教師は日本社会にこたえて青少年とともに生きる」、「平和の擁護、民族の独立、搾取と貧乏と失業のない社会の実現は、われわれに課された歴史的課題であり、民主主義を信ずるわれわれの不動の念願である。青少年は、各人の個性に応じて、この課題の解決のための有能な働き手となるように育成されなければならない。日本の青少年が自由と幸福をかちとる道は、これ以外にはない。教師は青少年とともに生活し、その必要にこたえるための学習を組織し、指導する。教師は自ら深い反省に立って、勉学し、努力する。」以上が第一項でございます。
  115. 山原健二郎

    ○山原委員 あなた方文部省として、文部大臣が答えるのが当然です、この問題は、文部大臣の発言に伴っているのですから。しかしあなたがかわって御答弁になっているのですが、みずから出した資料ですから全部読まなくていいんですよ。二ページの終わりから四行目ですね、「倫理綱領第一項解説」というところに書いておる文章は、いま読んだところにないんですね。あなたの読んだやつにないんですよ。どこから持ってきたかと言っているのですよ。それはさっき私に見せたあの解説の本ですかと、こう私は尋ねているのです。どうですか。
  116. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 それはそのあとに付せられております解説でございます。
  117. 山原健二郎

    ○山原委員 結局解説が二つあるわけですね、あなた。しかも、いまこれに書かれているほとんどの解説というのは、いま私が見せていただきました。私もたまたま手に入れたものですけれども、この解説というのは、「はしがき」にはっきり書いてあります。「これから行われる全国の教師諸君の、激しい討論の材料とするために、いまこれが起草されるる間に論議されたものを中心にして、きわめて簡単な解説をほどこそうと思うが、その解説をも含めて、全国各地の各学校で真剣な討議が開始されることをのぞんでやまない。」こう書いてあるのです。村議の資料なんですよ。討議の資料でしょう。(「解説といっているじゃないか」と呼ぶ者あり)どこでいっていますか。そんなやじを飛ばす必要はない。文部大臣、笑っておるけれども、こういう重大な資料を出して、こういうあいまいなことをしたらだめなんですよ。われわれお互いに論議しようとするときに、討議資料まで、これが日教組の決定であるかのごとき言い方をしてはだめなんです。だからその意味で、私は一つ一つつぶさに事実を明らかにするために質問をしておるのです。いま皆さんが出されておる解説というのは、こういう討議の資料として出したもの、そのことを指摘しておきます。  そこで、次に、この日教組の、あなた方が出されておる倫理綱領というのはいつのものですか。
  118. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和二十七年六月、日教組が第二十九回定期大会において決定したものでございます。
  119. 山原健二郎

    ○山原委員 一九六一年の日教組の第二十三回定期大会においてこの倫理綱領は変わっています。知っていますか。文部大臣、知っていますか。
  120. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 日教組の「教師の倫理綱領」は、昭和二十七年六月の日教組の第二十九回定期大会で決定されたものでございます。その後、日教組は昭和三十六年五月にPR資料として「私たちの運動とその組織」を発行し、その中に、大会の決定を得ることなく、従来の「教師の倫理綱領」と若干異なった表現を掲載しております。このことについては、昭和二十七年六月の第二十九回定期大会で決定した「教師の倫理綱領」を要約し、表現を若干変えたもので、当時の日教組槇枝書記次長は、表現は従来と若干異なっているが、趣旨は全く同じであるとの発言をしているわけであります。このことから文部省としては、昭和二十七年六月に決定された「教師の倫理綱領」は変わっていない、かように解釈しているわけでございます。  同町にまた、討議資料というようなことをおっしゃいましたが、解説として明らかにされておりますことが、それぞれの問題の事柄についてどう考えているか、われわれが推測する場合の唯一の資料ではないだろうか、こう考えるわけでございまして、日教組全体がどういう流れに従っているのかということを心配をしているわけでございます。したがいまして、山原さんが、それは討議資料であって変わっているのだとおっしゃっていただければ非常にしあわせなことだと思います。でございますので、私たちがお出ししました資料はいまは違うのだということで、日教組が正式にそういうような発言をしてくださることを私たちは期待をしているわけでございます。日教組のあり方について、私たちは、ぜひ考え方を変えてもらいたいという願いを持っているのでございまして、山原さんがそうじゃないんだとおっしゃっていただくことを、日教組の皆さん方からおっしゃっていただくようになりますことを心から期待しているものでございます。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 お互いに資料の事実について確認をしようとしておるときに、事実に基づかない感想を述べる必要はないです、私は聞いてないんだから。日教組は、あなたが書いておるような、本委員会に出したような倫理綱領の文言はないんです。いいですか、それは二十三年の二十三回大会において——十三年前です。倫理綱領は一九五二年の第九回大会で決定されたがこれは事実です。それは、あなた方、事実で言われている。あなた方はこれを言っているんですよ。その後、六一年に至り、「まえがき」を含む解説部分を新しい情勢に沿って改めた。これを二十三回大会に報告をし確認している。つまり倫理綱領といってあなた方が出しておるこの搾取、貧乏、失業をなくする社会とかいうようなことばは、十三年前に日教組の倫理綱領の中から消えているんです。消えたものを何でここへ出してきたんですか。現実に日教組が倫理綱領として適用しておるものを、なぜ正確にこの場所に出さなかったのですか。すでに改定をされ、すでに日教組の倫理綱領としては、倫理綱領項目は同じですよ。あなた方がここに引用しているもの、これはすでに組織として廃止になっておるものをなぜここへ出してきたのですか。
  122. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私どもは廃止になっているということは聞いておらないわけでございます。現に中村文部大臣のときに、日教組の方々に対して倫理綱領を廃止したらどうかということを申し上げましたときにも、それに対しては何らの回答もなかった。それから昭和四十三年に有島議員からこの衆議院の文教委員会に倫理綱領等につきまして同じような資料を提出いたしました。それに対しましても何にも御注意がなかったということで、私どもは前の倫理綱領はそのまま生きておるというふうに考えております。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 そのまま生きておるとあなたが言ったところで、日本教職員組合に対して文部大臣がああいう発言をされて、それは日教組の倫理綱領に基づいて、倫理綱領にはこのように書いてあるという資料を出しておる。日教組自体は十三年前にその倫理綱領は改定をしておるという組織の決定があるわけでしょう。中村文部大臣のとき何とかかんとかと言われますけれども、それは日教組が出席をした会でもないでしょう。知らなかったのでしょう。あなた方は知らなかったのでしょう。一部の報道機関に、こういうものは日教組の倫理綱領にはありませんよと私は言ったのです。がく然とされたと思うのですよ。たとえばアインシュタインが小さいときに何か文章を書いた、そしてアインシュタインが学者になって相対性原理をつくった、子供のときに、幼いときにああいうことを言っておったから、あとでつくられた相対性理論というものは誤りだなどという論法は、われわれの社会では適用できないでしょう。常識から考えましても、みずからの組織が変えたものをなぜここへ出してきたのですか。変わっていないところは変わっていないところで、私はそのことを指摘していない。変わっていないところは、教師は労働者であるということを私は言っているのじゃないのです。その解説の部分が組織として変わっておる。変わったものをこの公式の場所である文教委員会に提示をしておる。組織が変えているのですよ。だから、現在の日教組の倫理綱領には、あなた方が書いておるこの解説の部分は幾らさがしてもないのです。だからきょう私は資料の正確さを期す意味において質問をしておるのですけれども、岩間さんはいま知らなかったと言っておる。それが事実であることがわかったらどうしますか。
  124. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 私たちは、日教組が、いま提出してまいりましたような資料に書かれているような考え方を持っておられては困る、こう思っておるわけでございますので、山原さんがおっしゃいますように、ほんとうに廃棄されたのならたいへんうれしいことでございます。でございますので、そういう事実の有無も今後明らかにして、日教組から何らかの発言をされますことを私たちとしては深く期待いたしたいと思います。同時に、倫理綱領は日教組の大会で決定されたものでございます。おっしゃっておられますのは、組織で決定になったのかどうか知りませんが、大会の決定にはなっていないはずだと思います。同時にまた、私が先ほど読み上げましたように、槇枝書記次長は、趣旨は全く同じであるという発言もされておるわけでございます。  なおまた、四十三年のこの委員会の速記録を読み上げさしていただきます。当時の灘尾国務大臣がおっしゃっておることでございますが……(山原委員「聞いてないじゃないですか」と呼ぶ)これは大事なことです。いまあなたのおっしゃっていることにお答えをするのです。「私の何代か前の大臣が、日教組の諸君に対しまして話し合いをしようとかしないとかいうふうな、特に倫理綱領はひとつやめてほしいとか、あるいはまた実力行使はやめてほしいとか、あるいは政治的な中立をひとつ守ってほしいとかいうふうなことを御注文申し上げた。それに対して日教組側もいろいろ御意見はあるでしょう。あるのでしょうが、それに対して誠意ある回答はまだ文部省はいただいておらない。」というようなことも当時お述べになっておるわけでございます。したがいまして、山原さんがおっしゃいましたように廃棄になりましたなら、私は非常にうれしいことでございます。でございますので、日教組からそういうお話が出てまいりますことを心から期待申し上げるわけでございます。  同時にまた、先ほど山原さんの御注文と違ったことを私が資料として出したようにおっしゃいましたけれども、そうじゃございませんで、規定ということばの解釈、山原さんが考えておられるような規定で私があの規定ということばを申し上げたのじゃございません。いろいろなことからしてそういうふうに規定しているものと考えられるという意味であの規定ということばを使ったのです。これは明瞭に申し上げたわけでございます。それに関連する資料をお出ししましょうか、こう申し上げましたら、出せとおっしゃったのでございまして、そのとおりの資料であったはずだ、速記録を振り返ってごらんいただきましてもおわかりいただけるのじゃないかと思います。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 二十三回大会において、倫理綱領は五二年の第九回大会で決定されたが、その後一九六一年に至り前文を含む解説部分は新しい情勢に沿って改めた。これが二十三回大会に報告し、確認されている。これは大会の決定なんです。(発言する者あり)あなた、要らぬことを言いなさんな。だから、大会で決定をされましたところの現在の倫理綱領には、あなたがここへ出していることばがないのです。いいですか。ないのです。だからあなたが出してきたのは、古い倫理綱領というやつですね。その解説です。倫理綱領の十の項目は変わっていません。そのことを私は言っているんじゃないのです。変わっていないのです。ここへ資料として出したこの文言はないのです。いいですか。日教組の決定だといって、ないものを出しておられるのです。解説のところはないのですよ。しかも大会決定です。では、これが改定をされておるという事実がわかり、しかもここへ書いておる、あなたが解説とかいろいろ一ぱい書いておりますが、こういう文言がなかったときには、この資料は訂正しますか。
  126. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 「日教組が社会主義革命に参加している団体と自ら規定していると受けとられる資料」でございまして、一連のいろいろな書いたものあるいは行動、そういうことを通じて受け取られるわけでございます。したがいまして、書いてあることとは全く反対の考え方に立っておるということになりますと、喜んで訂正をさせていただきます。私たちは、このような考え方が否定されていないことを心配しているのでございまして、否定していただく、違った考え方を持っているのだということでございますならば、その考え方を聞かしていただきたい、こう希望いたしているものでございます。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 いいですか。論評を言っているんじゃないですよ。ここに書いている「搾取と貧乏と失業」ですか、こういう文言が日教組の持っている倫理綱領にはないのです。それは歴史的文献としてあるかもしれません。しかし、あなたがここへ提示をしておるのは、日教組の倫理綱領として出しているわけですね。それがない。大会の決定においてそれは改定をされておるという事実があるのです。それがわかれば、あなたはここへ出しておるものは——日教組が、当時は朝鮮戦争が始まる前夜ですか、そういう時期、しかも教員が、あの戦争中に行なった教え子を戦場へ送るということ、そういうことに対する反省の中から生まれてきた歴史的過程はあるのですけれどもね。しかし現実に日教組の倫理綱領にはこれはございません。だからここへ出していただくのは不適当です。もっと勉強していただいて、そしてその中からあなたが思うようなことが出てくれば、お書きになったらいいでしょう。しかし、ないものをここへ資料として提出することは、私は撤回をしていただきたい。あなたが、ここで私の言うことが信頼できなければ、お調べになって、こういう文言がないから、ないものは撤回をしなければならぬのです。いいですか。そのことを私は要求をいたしたいと思います。  委員長、この問題については私はこれ以上申し上げません。しかし、おそらく日教組の倫理綱領のこの解説の部分が改定になっておるという事実を知って、あなたは驚かれていると思うのですよ。だから、委員長、このことば調査をして、撤回するなり、また新しい資料を出すなり、これは考えていただかなければなりません。私は、この資料は受け取るわけにはいきませんので、委員長にこれについての取り扱いをお聞きしておきたいのです。
  128. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 山原さんは規定ということばを、綱領、規約に書いてあるか、書いてないかということだけで使うのだという気持ちで最初御発言になったのじゃないかと思うのでございます。それに対して私は違った意味で規定ということばを使っておるのですということを明瞭に申し上げたわけでございます。その上に立って資料を提出さしていただきましょうか、こう申し上げたわけでございますので、私はこれで何ら不穏当なところはないと考えておるわけでございます。同時にまた、倫理綱領のことを、こんなものはないのだとおっしゃいましたが、ないのなら、歴代の大臣が倫理綱領を廃止してほしいということをたびたび申し上げているにかかわらず、日教組が御返答になっていないという事実も、いま私、速記録を読み上げましたとおり、現実のことでございます。問題は、そういうこと全体を通じていまの流れをどう判断するかという意味で、私はこういうふうに受けとめておりますと、こう申し上げておるわけでございますので、考え方が違ってまいりますならば、違った考え方に立っているということを日教組自身が公にしていただきまして、そして日本教育が何ら心配ないのだというように安心さしていただきたいものだ、かようにむしろ念願をするわけでございます。したがいまして、こういうことがあるのかないのかということよりも、そういう考え方を放棄したとか、こういう新しい考え方に立っているとか、そういうことが日本教育を前進させるために大切なことで、私は決して日教組を非難するためにこの資料を出しているわけではございません。お互いに教育あり方を検討していきたい、むしろこれを基礎にして今後の日本教育の進め方について日教組の方々にも考えていただきたい、私たち考えていきたい、こういう気持ちでございます。これを基礎にして前進さしていきたいということだけを願っているのでございまして、いたずらに過去をとやかく論ずる気持ちはございません。したがいまして、こういう考え方に今日日教組はないのだということになりましたらば、非常にうれしいことでございまして、そういう方向でお互いに努力を尽くしていきたいものだ、かように存じます。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 あなたは論理的にこの文教委員会で論ずる資格がありませんね。考え方が変わったといえばうれしいとか、そんなことを私は聞いているのではないのですよ。いいですか。それからまた、歴代と言われましたけれども、どういう人が言われたか知りませんけれども、変えてもらいたいと言った、それに対して返事がなかった、そんなことは事実の論証にはなりません。日教組という団体がこの国会の中におれば別ですけれども、そんなあいまいな論証をあげたり、あるいは考え方が変わっていただければ幸いだ、日本教育のしあわせだなどということは、あなたの感想だ。それに対しては、私たちも見解がある。だから見解を私は言っていないのです。ただ、あなたが出してきた資料というのは、このように書いておりますから、これは日教組の持っておる今日の倫理綱領の中にはないものを、なぜお書きになったかと私はお尋ねしている。どうしてもお答えが正確にはできないのですか。過去の歴史的な文章の中にはあるかもしれません。それは歴史的な文献の問題でございます。いいですか、そういう事実を言っているのでね。だから、日教組の倫理綱領がたとえば改定になっておるならば、私のことばを信用しないと言うなら、私はこの第二十三回宮崎大会に出席しておる日教組の一員でございました。だからはっきり私は知っています。また、日教組の文章の中にも倫理綱領の解説については改定をしましたということが、大会の決定として確認をされています。しかし私がこう言っても、あなたはお信じにならないと思いますから、その点は正確さを期す意味でお調べになったらいいでしょう。しかし、その中でこれが改定されておるならば、少なくともここへお出しになった一九七四年の昨日三月七日にお出しになったこの文章は、これは正当なものではないのです。日教組の決定としては正当なものではないのです。このことだけはいまここで指摘をいたしておきます。
  130. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 私たちは、日教組がどういう考え方を持っておられるのだろうかということを、こういう文献を通じて見ているわけでございまして、倫理綱領が廃止になっているとは思いませんけれども、なっていればうれしいことでございます。廃止になっておっても、違った考え方を持っているのだということを明らかにされない以上は、ここに書くことは私は何らおかしいことではない、こう考えておるわけでございます。かりに改定になっても、その考え方が明確に否定されていない以上は、どういう考え方をお持ちになっているだろうか、流れている底の思想、これを見ていくためにはいろいろなものを私たち検討していくべきだ、こう思うわけでございます。かりに山原さんのおっしゃるとおりであっても、この資料にあげることは不穏当なことではない、こう思っております。
  131. 山原健二郎

    ○山原委員 不穏当なことでないというならば、日教組の倫理綱領にはこう書いてあるとあなたは言っているのでしょう。その倫理綱領にこう書いてない。事実に基づいて話をしようじゃありませんか。あなたの言い方だとドン・キホーテですよ。風車を敵陣に見立てて、やりを持って突っ込んでいくドン・キホーテ、もっともドン・キホーテにはサンチョ・パンザという味方がおりましたけれども文部省が事実に基づかないことは事実に基づかないことで、日教組が決定として持っている倫理綱領に書かれていることをここに書きなさい。いま私が求めたのは、日教組の歴史的文献など求めておったのではないでしょう。今日の時点で日教組がみずからこういうふうに規定しておるとあなたが言われるのですから、では、あなたは、「受けとられる」というふうにおすりかえになったけれども、その「受けとられる」という論証をあげるために、あなたはここへ幾つかの部分を御引用になっているわけです。ところが、それは今日の倫理綱領にはないわけですから、これは正当な論議をする対象ではなくて、過去の、十三年前以前の日教組の体質について述べるならまだ話はわかります。組織というものはそれぞれの歴史的過程があって、大会の決定で方針を変えるときもあるでしょう。また、世界の情勢、今日の日本の情勢の中で態度を変えることもあるでしょう。いいですか。その本質は変わっていない。私は変わる必要もないと思っておりますけれども、しかしながらここへ出されておる文言は、少なくとも今日の倫理綱領にはないのです。そのことを言っているのです。(「本質を問題にしているのでしょう」と呼ぶ者あり)本質の問題だったら本質の問題を書いたらいいのですよ。本質の問題だったら、あなた方の論評として受け取りましょう。しかし私は事実をあげなさいと言って、出してきたのがこういう文言を書いてきておるわけですね。そして、あなた方もかなり研究をされたと思いますが、第一項あるいは第一項の解説あるいは「新しく教師になった人々に」というふうに、あなた方もそれなりの論証をあげてそのことばを引用しておられる。だから私は、それに対して、その引用が正しいかどうかをいま言っているわけですから、私のほうがはるかに客観性を持って論議をしているわけですよ。だからこのことについて……(「公式的にはそうだからね」と呼ぶ者あり)いま西岡さんが盛んにやじを飛ばされておりますけれども、かなり動揺しておられると思うのです。そうですよ。動揺しておるのです。知らなかったのだ。岩間さん知らなかったのだ。(「知ってましたよ」と呼ぶ者あり)知っておって書くというのは不都合千万、この文教委員会をごまかすものですよ。知っておったら今日の倫理綱領のことばをここへ使えばいいわけでしょう。そうでしょう。それが常識でしょう。
  132. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 山原さんが期待しておられた資料とあるいは食い違いがあったのかもしれません。しかし、私があのときに申し上げたとおりの資料であることだけは御理解いただきたいと思います。同時に、かりに山原さんが言われるようにこれを整えようとしますと、倫理綱領にも何年何月大会決定した倫理綱領と書けば同じことだと思うのです。うそを出しているわけではございません。それが廃止になった廃止にならないという議論があるようでございますけれども、もしお気持ちに沿おうとすれば、何月何日のどこの決定の資料だ、こう書き込めば御期待に沿えるのじゃないか、こう思うわけでございます。同時にまた、山原さんのような議論が出ることをおそれまして、私たちは第二に運動方針をここへ拾い上げてきたわけでございます。昨年の運動方針、ことしの運動方針、これは現在の考え方はということになるわけでございます。これを見ていただきますと、やはり相関連しているわけでございます。しかもまた、第三にスケジュール闘争を掲げさせていただいたわけでございます。一年前にストライキをやるという決定をする、これは労働基本権とは何の関係もありません。もっぱら政治運動としか私たちには考えられない。ストライキ禁止の規定の空洞化、空文化をはかっているとしか考えられないわけでございます。そういうような一連の考え方で申し上げているわけでございますから、御希望がございますなら、それぞれの記載分について、何月何日にどういうところに示されている資料であるということをさらに参考にしてお配りしてもけっこうだと思います。
  133. 山原健二郎

    ○山原委員 千九百何年の定期大会の倫理綱領とか、そんなことを言われておりますけれども、あなた方が出しておる倫理綱領はできたことは事実ですね。しかし、それは、一九六一年、十三年前の二十三回宮崎大会において改定をされておる。現実に日本教職員組合の今日の倫理綱領はこれとは違うのです。このことを私は言っているんですよ。いいですか、そのことを言っているんです。あなたはストライキとかなんとか言われておる。アメリカの教員組合はストライキをやっていますよ。通告してやっていますよ、どこでも。アメリカの教員組合も社会主義革命に参加する団体だなどという論評はできないように。それはいろいろの評価もあると思うのです。だから、そういうことを私はいま言っているのじゃないのです。論理を展開するときには、その事実に基づいて、それが正確なものであるか、あるいは今日の時点に立ってそれは正しい資料であったかどうか、そういうことがお互いの論争の根拠にならなければならないのです。その意味で本日私はそのことを言っているわけですね。あなたのほうはそれに対していろいろつけ加えておりますけれども、それは今日のこの状態の中で正確な意見ではないということです。  最後に、委員長に伺いますけれども、私はいま少し時間をかけまして、このいただいた資料についての信憑性、あるいは今日の時点で正しいかどうかということを申し上げたのでございます。したがって、この資料につきましての取り扱い、私は、撤回をいたしまして、こういうない文言はまた別の文言を拾って出されるなら、これは適切だと思います。そういう点で明らかにしていただきたいと思いますので、委員長のほうにおいて適切な取り扱いを要請いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  134. 稻葉修

    ○稻葉委員長 速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  135. 稻葉修

    ○稻葉委員長 速記を始め。
  136. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 山原さんのほうで、その後に決定したものがあるということでございますし、また決定したものがありますなら、調べまして、御指定に従ってそういう資料は追加して出さしていただきます。  なおまた、先ほどストライキのことでお話ございましたが、外国のストライキで、一年も前に決定をしてストライキをおやりになる例がありましたら、ひとつ教えていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。
  137. 山原健二郎

    ○山原委員 要するに、わかったことは、あなたは日教組の今日の倫理綱領を持っていないということです。知らないということです。それは私が出しましょう。だからそれに基づいて私は資料提出を要求するかどうか、これは先ほど委員長におまかせしましたので、理事会で正当に話し合っていただいて、そして決定をしていただければいいと思いますので、そういうふうに、お取り計らいをお願いいたします。
  138. 稻葉修

    ○稻葉委員長 理事会ではかるかどうかはまだ決定いたしません。
  139. 山原健二郎

    ○山原委員 どういう意味でしょうか。少なくとも一党の理事がこの問題について疑問を持って質問をしているわけですから、それに対してまだ私のほうも納得をしない御答弁をいただいておる。それから、文部大臣のほうもどうも納得をしないような顔をしているので、これは正確を期す意味で、どこでやるかといえば委員会でやることもできるでしょうけれども、そういう点については理事会で論議をしていただくのが正当ではありませんか。どうですか。
  140. 稻葉修

    ○稻葉委員長 委員長に解決方法がありますから、理事会にはかる必要はありません。
  141. 山原健二郎

    ○山原委員 委員長が解決方法があるからと言っても、私のほうにはどんな解決方法を持っておられるかいまわからぬわけですけれども、そのことも含めて委員長考え方理事会に出していただいて、またそのお考えに対して私たち意見があるかもしれません。そういうことですから、理事会の議題にしていただくということを重ねて要請をいたしたいと思います。この場でけっこうですから、ここでもけっこうですから、ちょっと理事会を開かせていただけますか。
  142. 稻葉修

    ○稻葉委員長 山原君のいまのことばにつきましては、その文言はいま変わっておる、前にはあった、事実無根の資料ではない。だから、前にあったというただし書きをつければ、それで済むことじゃないですか。
  143. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうも文部大臣は閣議でこれを出されて、テレビなどで出ているそうですが、私は見ておりませんけれども、どういうふうになったかわかりませんが、この問題はすでにかなり公開もされておる問題でございますから、お互いに文教委員会に出された資料というものの正確性その他について、いま少なくとも、お互いの疑義が出ておる状態ですからね、だからこれは委員長、簡単にそこへ何か過去のものであったとくっつければいいんじゃないですかというように言われないで、そういう方法もあるかもしれませんけれども、またお互いに論議をすれば、もうちょっとじょうずな方法もあるかもしれませんね。だから、その点でやはり理事会にはかっていただくのがいいのじゃないかと重ねて要請をいたします。委員長のお考えはわかりましたけれども、それにも私は意見がありますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  144. 稻葉修

    ○稻葉委員長 山原健二郎君と文部大臣との質疑応答を聞いておりまして、あなたのおっしゃることも事実ですから、そのところに説明が不足だったから説明を入れろ、それでどうだ、こういうことを申しているのです。いかがでしょう。
  145. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっとここで、委員長、私この発言席をはずさしていただいて、そこへ行ってよろしいですか。
  146. 稻葉修

    ○稻葉委員長 どうぞ。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  147. 稻葉修

    ○稻葉委員長 速記を始めて。山原健二郎君。
  148. 山原健二郎

    ○山原委員 先ほどいろいろ話し合いましたが、もちろんまだお互いに納得するところまでいっておりませんので、再度お願いいたしまして、お互いに研究もしてみる、同時に理事会においてもそれを検討するということでおきめをいただきたい、こう思いますので、どうですか。
  149. 稻葉修

    ○稻葉委員長 山原健二郎君の先ほどの御発言で、委員長において処置せよということでありましたから、委員長はただいま申し上げましたようなことを申したのですが、なかなかそう簡単にいかないというお話でありますから、次回の理事会でこの問題の処理をすることにして、次の御質問に移ってください。山原健二郎君。
  150. 山原健二郎

    ○山原委員 実はこの問題では十分かそこらで済むと思っておったのですが、長引きまして、これもお互いに正確を期する意味で必要な論議であったと私は思います。  実は私学の問題と、もう一つ同和教育の問題について質問を用意しておりましたが、たいへんおそくもなってまいりましたし、その質問は留保させていただいて、本日の質疑を終わらしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  151. 稻葉修

    ○稻葉委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会