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1974-03-01 第72回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月一日(金曜日)     午後零時一四分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 坂田 道太君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君       上田 茂行君    越智 伊平君       片岡 清一君    久野 忠治君       河野 洋平君    高見 三郎君       床次 徳二君    楢橋  進君       羽生田 進君    林  大幹君       深谷 隆司君    三塚  博君       山崎  拓君    渡辺 栄一君       受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         文部政務次官  藤波 孝生君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     高見 三郎君   瓦   力君     有田 喜一君   野田  毅君     山崎  拓君   受田 新吉君     池田 禎治君 同日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     安里積千代君 三月一日  辞任         補欠選任   有田 喜一君     渡辺 栄一君   久野 忠治君     片岡 清一君   高見 三郎君     越智 伊平君   安里積千代君     受田 新吉君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     高見 三郎君   片岡 清一君     久野 忠治君   渡辺 栄一君     有田 喜一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提  出、第七十一回国会閣法第一一二号)      ————◇—————
  2. 稻葉修

    ○稻葉委員長 これより会議を開きます。  一言申し上げます。先刻来、日本社会党日本共産党革新共同及び公明党の所属委員出席を要請いたしましたが、いまだに御出席がありませんので、この際、まことにやむを得ず委員会を開会いたします。  冒頭御報告申し上げることがございます。  去る二十二日委員会で起きた重大事件について、二十七日委員長から議長要望書を提出しましたが、昨二十八日午後議長とお目にかかり、話し合いをいたしました。その内容を要約すれば、  一、委員差しかえの手続については、いろいろ行き違いのため、委員会の議事が長時間中断するのやむなきに至ったことは、まことに遺憾である。  二、今後、委員の差しかえは議長権限ではあっても、従来の慣例どおり行なうことにすべきである。  三、よって、その責任の所在を明確にせられたい。という委員長からの強い要請に対し、議長は、議院運営委員会理事会にはかって善処する旨答えました。  その後、議長は、民社党に対し「今後委員の差しかえは慣例どおり行なう」と確約されたと聞いております。  以上、御報告申し上げ、この問題は各委員会運営に関する共通問題でありますので、議院運営委員会に上げて、本委員会の手を離れたものと判断いたします。  御了承願います。     —————————————
  3. 稻葉修

    ○稻葉委員長 内閣提出学校教育法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  4. 受田新吉

    受田委員 学校教育法の一部改正法案につきまして、これよりある程度時間をかけてお尋ねをさしていただきます。  それに先立ちまして、文部大臣にお尋ねしたいことがあるのですが、大臣はいわゆる人材確保法案に対する認識が今日どういうふうに固まっておるかであります。人材を確保するという、教育水準を維持向上させるためにというこの法律の趣旨で、従来の学校の職員はときにデモシカ先生どもあって人材が少ない、そこでこれからのこの法律の適用を受ける人々人材であるという認識かどうかです。
  5. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私は、常日ごろ社会から尊敬される先生先生を尊敬する社会をつくり上げたい、こう念願しておるわけでございまして、いわゆる人材確保法案はそういうことにも大きな役割りを果たすことになるのじゃなかろうか、かように期待をいたしておるわけでございます。今後教育界に入られる方だけが人材ではなしに、現に教職についておられる方々も、社会から人材として評価される姿にならなければならない、かように考えておるわけでございます。また、そのためには、この法案だけじゃなしに、総合的にいろいろな施策を講じていかなければならない、かような決意でもおるものでございます。
  6. 受田新吉

    受田委員 文部大臣のおことばの中に、ちょっと気にかかることがあるのですが、現在の先生方人材であるようにというと、現時点では人材でない人がおるという裏があるのではないか、そういう印象を与えるのですが、いかがでございましょう。
  7. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 好ましくない先生のいらっしゃることも、残念なことでございますけれども、事実だと認めざるを得ないという考えでおります。
  8. 受田新吉

    受田委員 残念ながら現在は好ましくない先生もある、人材でない先生がおる、こう了解してよろしゅうございますか。
  9. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 数が多いと申し上げるわけじゃございませんけれども、中にはそういう方もいらっしゃる、こう思っております。   〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席
  10. 受田新吉

    受田委員 そこで、私、今後の日本教育のあり方の基本に触れていきたいのでございまするが、教育重要性認識されて、小中学校先生を特に強く処遇改善をして、次代を背負う国民の中に義務教育のスタートからよき教育が受けられるようにしようというおぼしめしには私たち大賛成です。ところが、そのよき教育者、特に義務教育段階におけるよき教育者というものを基本的に養成している大学はどこでございますか。
  11. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 国立大学では教育学部でございますし、私立大学あるいは公立大学におきましても教員資格を付与できる学科を持っておるわけでございますが、そういうところが御指摘場所であろうと考えております。
  12. 受田新吉

    受田委員 各国立大学教育学部あるいは学芸大学その他、名称は多少変わっておるけれども教員養成の主体はそうした国立大学教育関係学部と理解してよろしゅうございますか。
  13. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そのとおりであります。
  14. 受田新吉

    受田委員 現在そういう時点にかんがみて、各国立大学教員養成学部入学志願者合格者との比率、採用の比率、そういうようなものをながめて、その趨勢、つまりよき教師たらんとして志す人々が、戦後今日まで漸次増加しつつあり、人材が漸次教員養成学部に集中する傾向があるか、あるいはここに人材確保法案などという特殊の処遇改善をせぬ限りは、よき人材がその基本になる教員養成大学に入学することに足踏みをしているというような現象があるのか、これは文部省で十分つかんでおられると思うのですが、数字を詳しく御説明しなくてもけっこうです、趨勢としてはどうであるか。局長さんでもけっこうですが、これは大学局長でないとわかりませんか。
  15. 岩間英太郎

    岩間政府委員 手元にこまかい数字を持っておりませんですが、戦後教員養成学部志願者というのは、傾向としてはほかの学部よりも大体低位でまいってきております。しかしながら、私ども最近やや喜んでおりますのは、この二、三年、教員養成学部志願者の数が少しずつふえてまいりました。しかしながら、まだ一般学部を受けておりますものの平均に比べますと、それよりも下であるというふうなことでございまして、さらに人材確保法案ができましたような機会に、その志願者がふえてまいりますことを私ども希望しておるわけでございます。  また、男女比率から申しますと、十年前ごろは男の志願者の方が大体七割、女の志願者の方が三割というふうなことでございましたのが、最近では男の志願者が三割強、女の志願者が六割強ということでございまして、その比率が逆転をしているわけでございます。それからまた、高等学校時代の成績を見ましても、男の方は大体三から三・五という方が非常に多いわけでございますけれども、女の志願者のほうは三・五から四の方が比較的多いというふうなことでございまして、こういう傾向を見ますと、男子の方が一生を託するに足る職場であるというふうな認識がやや薄いと申しますか、そういうふうなことでございます。  なお、高等学校の生徒の意識調査によりますと、社会に出た場合に教員になりたいという方が、男の場合は百名のうちで三名ぐらい、それから女の方でございますと百名のうちの十人ぐらい、そういうふうな別の意識調査もございます。  ともかく、最近は志願者がややふえてまいりましたけれども、しかし一般学部と比べまして、なお低位にあるということは事実でございます。
  16. 受田新吉

    受田委員 局長の御答弁で、戦後教員養成学部に志願する人々の数が他の学部と比べて低かった、多少それがふえつつある傾向であるが、現時点においてもなお劣勢であるという御答弁と私は理解します。ここに問題が一つある。一般社会は、学校先生になる基本的な養成機関である教育学部に集中的に人材が得られないというこの現象。  もう一つ、私あとからお尋ねしようと思ったら、先に御答弁いただいたのですが、男女比率です。   〔森(喜)委員長代理退席委員長着席教育者として女性は生涯の夢を教育に託しようとする。いわゆる母心子供を育成するやさしい母心というものが、子供教育世界にとけ込んでいきたいという熱情をわかしている傾向が最近ぐっと伸びたと思うのです。男子は、おれたちの生涯を託する職場はまだほかにある。経済成長の陰で豊かな経済生活を夢見ようとすると、ある意味では公務員として、特に教師であるがゆえに、時には自動車事故を起こして、ささやかな事故でさえも教職を去らなければならぬという、重い社会環境の中に置かれている教職員、そういうものにはあまりとんちゃくなく社会生活のできる他の社会、この比較論において、教師は在職中その教育の使命の重さで身分的にも非常に制約を受けておるのです。そういうものを前提にして考えていくならば、教師の優遇が専門職立場で他の職種よりも一きわ高いところにいっても決しておかしくはない、私もそう考えまして、人材確保法案にいち早く党の立場において賛意を表し、その成立を願ってきたわけでございます。  そこで、男女比率問題に触れるのですが、いま教師男女比率は逆転したとおっしゃった。ちょうど数字の上で、大まかにいって三対七から七対三へと逆転した。女性がぐっと優位に立った。この時点女性に夢を託するという意味からも、教育世界女子の進出するいい場所であるという夢を女子たちにも与える意味からも、女性校長女性教頭というものは、男性校長男性教頭に比べてどのくらいつくられているのか。これは資料がおありだと思います。
  17. 岩間英太郎

    岩間政府委員 女性校長、それから女性教頭先生、これは最近ではやや珍しくなくなったということでございまして、全体から比べますと、まだ一%にも達しないという状態でございます。戦後はほとんどそういう方がいなかったわけでございますから、そういう意味では女性の方も逐次教頭先生とかそれから校長先生になってこられるということでございますけれども、まだまだ数として御披露申し上げるような程度まではまいっておらないというふうなことが現状でございます。
  18. 受田新吉

    受田委員 戦後、混乱のなおさめやらぬ時代においてすら女性が三、男性が七という比率教師がいた。それがいまちょうど三十年もたって、当時若き教師がいま校長教頭になる年齢になっている。ところが女性はわずかに一%程度で、他の九九%は男性校長地位を占め、教頭地位を占めておる。これはどういう意味か私によくわかりません。つまり現時点においては男女比率がほとんどとんとんになっているという、四十歳前後から年齢が高まるにつれて大体とんとんになっているにかかわらず、女性はまことに富くじを引くようなポストであり、男性は大体校長教頭になれるというような状態であるということになるならば、教育世界女性軽視ということが現実にはいわれると思いますが、いかがでしょう。
  19. 岩間英太郎

    岩間政府委員 これはいろいろ御判断はあると思いますけれども一つには勤務年数女性の方は短い。たとえば女性先生は十年間で大体七割ぐらいおやめになるというふうなデータもございまして、したがいまして現在小学校では五四%ぐらい女性で占められておりますが、若い方が非常に多い。しかし最近では四十代の方も非常にふえてきております。それが一つでございます。  それからもう一つは、日本社会構造と申しますか、やはり男子が一家をささえるというふうな実態がまだございまして、それに基づいて、たとえば夫婦共かせぎで先生をやっておられました場合に、男の教員の方が校長になるという際に女性先生の方は家事に従事をされるというふうな実態もあるわけでございまして、そういうふうな日本社会的な構造、あるいは女性先生方家庭を持たれるというふうなことで若いうちにかなりおやめになる、そういうような実態から申しまして、なお女性管理責任者というのが少ないというのが実情でございます。
  20. 受田新吉

    受田委員 いまの理由ははなはだ薄弱でございまして、御主人は校長教頭になり、奥さまは早うやめ家庭に入れというようなことを勧奨されるような印象を与える。労働基準法でも明確に男女同権がうたってあるのです。賃金差原則として設けてならぬことになっている。幸い教育世界男女賃金差原則としてありません。戦前は、同じ師範学校を出た教員でも、男子に比べると女子が二割程度初任給から下げられておった。それがいまでも尾を引いて、そのやめたときの俸給にも差が出て、女性教師勤務年数に比べて男性よりも恩給、年金額も少ないじゃないかという問題が発生しておる。いまのに比べるとわれわれは不幸であった、この是正をせよという要望が出ておる。この民主化された新しい国家に、女性で進出する世界、それは教育世界だと夢をふくらませて、おとめのときから子供を教える教育をつかさどる清らかな世界に生きようとされた皆さんが、五十ぐらいになると、まず女性のほうに退職勧奨が先に来る。校長教頭でも退職勧奨年齢が違っておる。こうした文部行政地域社会への広い立場から含めた女性軽視傾向が現在あるのじゃないか。いま女性は五四%、教職員比率の中で大量に占めている。少し女性のほうがふえている。そういう段階においていま女性校長教頭があまりにも少ないというこの現象は納得できません。これはこの学校教育法のきょう改正議題になっている本質的な前提の問題にもなるわけでございますが、校長は別として、女性教頭はいまどのぐらいおるのか、教頭職に関係する問題でありますから数字をお示しいただきたい。
  21. 岩間英太郎

    岩間政府委員 先ほども申し上げましたように、非常に少ないわけでございますけれども、ちょっと詳細な数字は御審議の間にお答えさしていただくということで、急いで調べさしていただきます。
  22. 受田新吉

    受田委員 教頭職に関する基本問題を質問するというときに、教頭男女比率がそこに数字がないというようなことは、これは私は非常に問題だと思うのです。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そうだろう。そのとおりです。与党の方々からも、これは——いや、ちょっと待ちましょう。
  23. 岩間英太郎

    岩間政府委員 たいへん恐縮でございますが、至急資料をいま届けさしておりますので、お許しをいただきたいと思います。
  24. 受田新吉

    受田委員 文部大臣、あなたは教育世界に精励される男女教員比率というものを頭の中へ置かれて、よい男性教師を育成するのが人材確保法という判断をされたかどうかです。
  25. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 男子比率もある程度のものは将来にわたって維持していかなければならない、それは大切だ、女子比率が今日ふえてまいってきておりますこと、これはそういう姿になるものだろうな、こう思っておるわけでございますけれども、これがさらに高まってまいりまして、男子比率が極端に少なくなる、これはぜひ避けていきたい、相当な男子先生方がいらっしゃいませんと教育について十全を期することは困難だ、こういう考え方をいたしております。
  26. 受田新吉

    受田委員 文部大臣としては、女性比率がぐんぐん高まる、これは憂慮すべき状態で、女性をはね返すためにも大いに男性軍がんばれという教育方針だ、教育行政指導方針だと理解さしていただいていいかどうかです。
  27. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 ちょっと誤解があるようでございますが、女子比率が今日まで高まってきている、それはそれなりに必然性がある。また女子の最適の職場でございますだけに、たいへん優秀な方々教育学部に入ってきてくれているようでございまして、入学試験男性を押えている、そういうこともあって比率が高まってきていると思うのでございます。このことを私とやかく批判をしているわけではございません。しかし、この傾向がどんどん将来も進んでいって、男子がいなくなるようなことになるとどうか、こういう気持ちで、やはり相当数男子先生方がいらっしゃらないと教育十全を期することはできない、やはり男子先生学校の中である程度を占めることが大切だ、かように考えているということでございます。
  28. 受田新吉

    受田委員 この趨勢、現在の趨勢、つまり大体七、六というかっこうにいくことは適当か適当でないか。現時点はすでに、女性が優位に立つことは問題だ、男女は大体平均したのがいいという文部大臣のお考えがあるのかどうかです。
  29. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 現在の構成は、小学校女子が五割をこしたところ、中学校で三割足らずのところ、こう理解しているわけでございまして、それはそれでよろしいのじゃないか、こう思っておるわけであります。
  30. 受田新吉

    受田委員 いま私が指摘した数字教育学部志願者数字、つまりそういう方向へいくことを例示して、ちょっと私の質問がぼけてすまなかったですが、この五割をこしている数字というものは、これは英国などはもっと比率がひどいわけです、諸外国でも。女性の職業として教師は適職である、女性趨勢として、いまそういう方向に行く傾向は、どうお思いになりますか。
  31. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 小学校女子先生方のほうが多くなる、これは別に差しつかえないのじゃないだろうか、こう私は考えているわけでございます。中学は、やはり男子先生のほうが多いほうが望ましいなという気持ちでは今日もおるわけでございます。
  32. 受田新吉

    受田委員 そこで小学校の場合、私、比率としてあとからお尋ねしたいのですが、学校長教頭は、小学校において、これからの趨勢に応じて、そうしたポストを占める比率が高まっていく、これは大幅に高まっていっていいと私は思うのです。局長さん、そういう問題について、地方教育委員会などで、文部省に対して、学校長教頭選任にあたり、男女の間における比率の問題が提起されたことはございませんか。
  33. 岩間英太郎

    岩間政府委員 お答えをいたします前に、先ほどの数字につきましてお答えを申し上げます。  昭和四十八年の五月一日現在で、小学校教頭の数は二万一千九百六十三名、約二万二千名でございます。そのうち女子が六百二十三名でございまして、これは三%ぐらいでございます。それから中学校教頭の数が一万百五十六人で、そのうち女子教頭先生は百二十四名でございます。高等学校の場合は、三千五百九十三名に対しまして九名ということになっております。  教育委員会におきまして女子先生方の中から校長あるいは教頭に登用するというふうな問題につきましては、これは各県の教育委員会とも真剣になって検討しておられるというふうなことでございまして、私どもも、そういうふうな女子先生方の中から優秀な方が教頭あるいは校長先生になられるということにつきましては、やはり教育界全般によい刺激を与えるという意味で、これは奨励すべきものというふうに考えているわけでございます。
  34. 受田新吉

    受田委員 これは地方自治体の自然の成り行きと言えばそれまでですが、女性人材を発掘する努力文部省が指導されていいと思うのです。いまのように、三%しか教頭がいないということになると、これは女性にとっては、男性に比べて、比率は二十人に一人ぐらいの割合にしか得られない。くじ引きみたいなものですね。私は、文部行政は、男女が平等の原則に立ったこの新しい民主主義社会で、せっかくいい傾向にある、男女が同率に進行する教員比率の中で、その管理地位に当たる人にも女性で適材をどんどん発掘する努力文部省自身が大いに勧奨していいと思うのです。局長自身としても大いにそういう希望を付するような努力が欠けているような認識を与えるのですが、大臣、私のいま指摘いたしましたこの問題は、女性希望を与える世界、しかもどんどん比率を高めて、男性よりも過半数以上に進出した小学校の場合なんか、この世界に対する学校長教頭の夢を与える御努力をどうされようとしますか。
  35. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御指摘いただいていますこと、たいへん重要なことだ、かように考えておるわけでございます。いま政府委員から全国数字を申し上げたわけでございますけれども、たとえて、東京都の例をとりますと、小中学校校長先生は五十六人が女性でございます。そのうち中学校は二人だけでございますから、小学校では五十四人もいらっしゃる。学校全体で千三百ぐらいじゃないかと私は思うのですけれども、その中で五十四人いらっしゃるということは、全国から見ますと、かなり高い比率を占めていると思うのでございます。決してこれで十分だとは思いませんけれども、こういう傾向がだんだん地方へも行く。ですから、社会の中で女子がどういう役割りをしておるか、これがいま御指摘校長教頭女子の方が何人なられるかということにも相当な影響を与えると考えます。しかし、それにいたしましても、女性方々教師として活躍していただかなければなりませんので、女性立場を守っていくために、私たちとしては、いままでより一そうに努力していかなければならない、かように考えるわけでございます。そういう意味では、国会におきましても、育児休暇の議論を進めていただいているわけでございますし、また私の気持ちから言いますと、高いところで停年制の仕組みをとって、女性方々身分を安定さしてあげる必要があるのじゃないだろうか、こんな気持ちも強く抱いているわけでございますが、こういうことにつきましても、国会で大いに御論議いただきたい。男子女子との間に勧奨の場合でも停年に差があるわけでございます。ぜひ女性方々停年を引き上げていきたい。それには、やはり停年制を定めるということじゃないだろうかな、それは低いところで定めちゃいけませんけれども、高いところで定めれば、先生方身分を安定させるという意味の働きをするわけでございますので、またそういう考え方停年制を御検討いただくことが大事じゃないだろうかな、こう考えているところでございます。将来とも女子職場として教育界がいい職場でありますように、女子の味方になって、いま申し上げます諸問題と取り組んでいきたい、御指摘いただいたことは、たいへん重要なことだ、かように私も考えているところでございます。
  36. 受田新吉

    受田委員 大臣は、いま、こういう論議があまりなかったような印象を与えるのですが、あなたは文部大臣になられて、この国会女性教師の道を開くための、つまり地方における退職勧奨の差などについて、あなた初耳なんですか。
  37. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 国会でも御論議いただいているわけでございますので、こういう声を、さらにいま受田さんのような御意見が、もっとたくさんの方々に大いに御論議いただいて、ぜひわれわれも一緒になって、女性地位を上げたい、文部省責任ではございますけれども、たいへん大事なことだという意味で申し上げたわけでございます。  率直に申し上げますと、戦前、私、県の学務課長をやったことがあるのです。そのときも、男子が戦争に引っぱられるものですから、小学校男女差は同じ、むしろ女子のほうが上回った時代がございます。そのときに、私は女子の県視学をつくったのですけれども全国では初めてでございました。女性立場に立って考えていくことにつきましては、私も、昔から深い関心を持っておるわけでございまして、全くいまのお話を同感の感じを持ちながら聞かしていただいたところでございます。
  38. 受田新吉

    受田委員 話を進めます。  この法律改正案を私も長く拝見さしていただき、これに対する見解もいろいろと持っておるわけでございます。ところが、現実に学校社会には、単に学校教育だけで教師が生きるだけでなく、家庭教官への連絡、社会教育への進出、専門的職務の立場にあっても、地域社会での、学校先生というのは、そういう意味でも重い使命を持って、社会教育の一環も担当している。学校長社会に出て、いろいろと成人教育あるいは婦人講座、そういうところへも出られる、また村のいろいろな機関に出て、教育の場の理解、協力を求める、部落懇談会等へも出る、そうして一方では、教育制度の大きな改革の夢なども描くようなお方もおるというのが教育世界です。したがって、学校教育だけの立場校長でなく、教頭でもない、教師でもない、対社会的にもたいへんな役目を果たす、そういう地位にある人だ、こう文部大臣考えですか。
  39. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そのように思います。
  40. 受田新吉

    受田委員 そこで、今回の改正案の趣旨を拝見しまして、この教頭の職務をここへ明確に法定しておるわけでございますが、従来、教頭という地位にある者は教諭という立場教育に専念してきて、そうして一方で学校の事務処理を担当する、本則が教諭であって、教頭のそうした校務、事務処理の責任のほうが従であった、こう理解してよろしゅうございますか。
  41. 岩間英太郎

    岩間政府委員 法制上のたてまえでは、教頭は教諭をもって充てるということでございますから、これは公務員の制度としてのたてまえ論からそういうことになったと思います。しかし職務の上では、教頭先生というのは実態的にも教諭の方と違った一つ地位を持っておられた。しかしながら、法制的に申しますと、ただいま受田先生からお話がございましたような立場に置かれておったということもできるかと思います。
  42. 受田新吉

    受田委員 御答弁で明確になったわけですが、教諭の職務が本則で、そして教頭の職務は、学校教育法施行規則によるところの昭和三十二年以来の名前はついているけれども、それは教諭をもって充てる仕事であって従である、それを今度は主客転倒にして、校長補佐、事務処理を主にして、教育をつかさどることを従にする、こういうのがねらいであると理解してよろしゅうございますか。
  43. 岩間英太郎

    岩間政府委員 教頭という職を法律上確定をするということでございますから、その中身はただいま先生が御指摘になったとおりというふうに考えておるわけであります。
  44. 受田新吉

    受田委員 改正条文を見ますと、第二十八条の四、「教頭は、校長を助け、校務を整理し、及び児童の教育をつかさどる。」と書いてあるわけです。これがこの法の改正。そうすると、頭を新しくもたげた教頭は、「校長を助け、校務を整理し、」が一つの任務、そして「及び」でございますから、「児童の教育をつかさどる。」がその次の任務。大体並列主義です。校務の整理をやって、そして余裕があったら児童の教育をつかさどるというなら、私がいま指摘したとおりの形になるのですけれども、この法律の条文そのものから見ると、全く並列してある。「教頭は、校長を助け、校務を整理し、及び」——及びというときには同列であるとわれわれは法律の解釈をしておるのでございまするが、法制局はきょうはおいでにならぬようでございますので、及びというときには、いいですか、自由民主党、日本社会党日本共産党、公明党及び民社党、及びというときには、これはお互いがよくやることですが、一段下げるという立場ですか、どうですか。
  45. 岩間英太郎

    岩間政府委員 ただいま政党の名前の順序をおあげになりましたが、これはまあ数の問題でございますから、きわめて物理的な処理のしかたであろうというふうに考えるわけでございます。教頭の場合には、御案内のとおり、実態といたしましてかなり教頭先生方が授業を持っておられる、またその必要性もあるということで、本来、校長を助け、校務を整理するのが役目でございますけれども、しかし教育をつかさどるということもあわせて職務の内容として規定をするほうが適当であるというふうな判断から、ただいまのような規定になっておるわけであります。
  46. 受田新吉

    受田委員 私のお尋ねに、答えにならぬわけですが、この法律の文章そのものからいうと、教頭は一方で校長補佐をやり、校務整理をやる、一方で児童の教育をつかさどる、二様の任務を持っている。その間には軽重がない。「校長を助け、校務を整理し、」が重くて、「児童の教育をつかさどる。」ほうが軽い、「及び」というのはそういう接続詞でないと私は思うのです。つまり、対等の立場に置かれる文句であると私は法律の文章としては理解する。だからいま私が政党のことを言うたのですが、これは数であって、たとえわれわれの党といえども、やがてまた大いに発展して数をふやす努力を、お互いが各政党ともいま努力している。かつては小さな党でも、今日だんだんふえておる。かつては強大な党でも小さくなってくる。それはお互いが切磋琢磨して国民の支持を得ながら伸びようとしておる。したがってその場合には、文部大臣、厚生大臣及び通産大臣、こういう場合には、対等の立場に理解されることばである。それは総理大臣及び文部大臣というておったときは問題があるでしょうが、しかし大臣という立場からいうならば、及びということばがあるときは同列であると私は理解するのです。  これも、職務は同列であるという理解に基づくような文章であると思いまするが、いかがでしょう。
  47. 岩間英太郎

    岩間政府委員 職務の内容を質の上で評価をすれば、これは同列であるということが言えると思います。ただ、どちらを先にするかというふうな比較軽量の問題、同じような質の中で比較軽重をいたしますと、これは教頭の職務は校長を助け、校務を整理する、そちらのほうが先になるというふうなことであろうと思います。
  48. 受田新吉

    受田委員 質的には同じだ、こういうおことばでございます。この文章の書き方が、並列してあるときは同等と見られるのです。これはもう社会の通念。立法家もそういう形で並べてある。これに次いで、あるいはあわせてとかいうようなことば、これに次いでという一順位、二順位が書いてあれば別ですが、あわせてというときなどもまた、ちょっとニュアンスが違いますが、及びということばの場合は同列。  ここへいま人事院給与局長が来られましたが、給与法の関係などの中に及びというのを使った場合は、並列、対等と見てよいかどうかです。
  49. 茨木広

    ○茨木政府委員 及びを使った場合と言われましても、両方つなぐ場合に、及びでつなぐわけでございまして、そのどういうものをつないでおるかによって、対等と見るか見ないか、いろいろあるのじゃなかろうかと思います。
  50. 受田新吉

    受田委員 いろいろあると言う。あなたは、いま私が御質問を続けている間に、給与法の中でいろいろな職種をあげて、及びを使っておるのがあるかないかを摘記されて……。それは一般職公務員及び特別職公務員、こういうような場合などは、とにかく一応並列、こういうことなんです。  私はきょうこの問題について新提案、修正動議、修正案等を用意しております関係で、あえてこの問題をこうして強く指摘するわけです。なぜかというと、「教頭は、校長を助け、校務を整理し、」に重点を置かなければならぬ、そして「教育をつかさどる。」というのを従にしていかなければならぬ、そういう形にしなければ、この改正の趣旨にこたえることができない。学校に現在勤務していらっしゃる教頭さんたちは、自分の受け持つ学級のある教頭さんがたくさんあるわけなんです。大体平均、小学校で十六時間以上を受け持っておるという自分の受け持ち学級がある。その学級の生徒さんは、教頭の職務が別のほうで校務の整理、校長補佐等があるために、お休みになる時間が多いために、教頭が教諭として担当している学級の子供はほんとうは教育的には不幸な立場にあるといわれているのです。そこへ臨時にかわってはいろいろな先生が行って補充教育をされるものですから、非常に学校では地位の高い立場に立つ教頭が担当している子供たちは、しかしながら現実には教育の効果をあげる上においては不幸な立場である。これは局長さん、御担当の局長として、私のいま指摘したところが間違っていれば間違っているとはっきり言っていただきたいです。
  51. 岩間英太郎

    岩間政府委員 中学校高等学校の場合には、これは教科担任でございますから、教頭先生が特定の教科について授業を行なうという率が非常に高いわけでございます。中学校高等学校でございますと、六〇%程度教頭先生が六時間以上の授業を担当する、そういうふうな実態がございますけれども小学校の場合には、六時間以上授業を担当しておられる教頭先生はまあ二〇%ということでございまして、三分の一程度でございます。したがいまして、先生が御指摘になりましたように、小学校の場合には、教頭先生が学級を担任されるということになりますと、まことに不幸な事態が生ずるということは御指摘のとおりだと思います。
  52. 塩崎潤

    ○塩崎委員 関連質問をお願いいたします。  ただいまの受田委員の御提案、そしてまた御質問の趣旨には私はたいへん賛成するものでございます。実は私は二十二日の本法案に対する質問の際にも受田委員と同じようなことを申し上げたわけでございますが、残念なことに委員差しかえの大事件のために、ざわざわして、ほんとうの質疑もできなかった。そしてまた適当な御答弁で逃げられたような気がするので、どうしてももう一ぺん持ち出したい。  あのときに、私は、この二十八条の第四項を、「教頭は、校長を助け、校務を整理」する。特別の場合に限って「児童の教育をつかさどる。」こういうような提案をしたら、岩間局長は、やはりざわざわの影響だろうと思うのですが、いや、現に教育をつかさどっているのだからそれでいいんだというような答弁で、ほんとうの法律論を聞けなかったので、私はきょう明確な御答弁をいただきい。  私は、岩間局長あるいは文部大臣かもしれませんけれども、何としても教頭には教員という身分、資格の尾てい骨というものが残っていて離れていない、法律的にほんとうに割り切っていないので、ここでそういうことをはっきり書き、そして率直に言えば学校教育法の八条から九条あるいは十一条、場合によっては七条、ここまで手当てし、そしてその際にも御提案いたしましたが、いま受田委員が御提案中の、給与法でも直してかかったらどうか、身分、職制、そこまで明らかにすべきである、そうなると、ここは当然そういうふうに直るべきじゃないかという御質問をしたわけでございますが、あの大事件のために十分な御返事がいただけなかった。ぜひともきょう明確なる御答弁をいただきたいと思います。
  53. 岩間英太郎

    岩間政府委員 先日の御質問に対しまして、私どもは価値判断をまじえて御答弁をしたということではなくて、実情を御説明申し上げたというふうに記憶をいたしておるわけでございます。現実問題としまして、教頭先生がなお教育をつかさどることが必要である、そういう現実の中で、現在、教頭の職としての教頭の職務内容というものを書く場合には、やはり教育をつかさどるということを明確にするほうが実態に合っておるのじゃないかというふうなことを申し上げたわけでございます。将来、価値判断を加えまして教頭先生の職務内容を規定するということでございました場合には、それ相応の判断があると思います。またただいま塩崎先生がおっしゃいましたように、教頭は、校長を助け、校務を整理するというのが主であって、教育をつかさどるということは、これは将来だんだんなくしていくべきであるというふうな価値判断に基づいた御質問でございましたら、私もそのように考えるわけでございます。
  54. 塩崎潤

    ○塩崎委員 関連質問でありますから、もうこれでやめますけれども、価値判断ということばはよくわかりませんが、私は、ほんとうに教頭法をこれだけの苦労をしてつくるのだから、ほんとうに教頭の仕事の内容を明らかにするのは当然だ、しかも民主主義の法律は、法律を一ぺん読めばそれだけで内容がわかるようにするのが立法に当たった皆さん方、法制局の当然の職務だと思うのです。ひとつ受田委員の御提案を十分、同時に私どもの提案であったわけですが、ほんとうに考えて、将来ともこの学校教育法の一部改正についてまだまだやるべきところがあると思うのです。十分考えていただきたいと思うので、この程度やめたいと思います。
  55. 受田新吉

    受田委員 教頭の職務、これはいま塩崎さんも関連して質問してくださったのですけれども、もう本則は校長補佐、校務整理というところにあるのです、現実に。ところが末端では、従来の法律の解釈が教諭という形であるがゆえに自然に学級を持たされ、特に小学校など激しい教育担当者であって、そして合い間を縫っては校長補佐の任務を果たしておる。これを、せっかくこの法律が出た以上は、教頭の任務をすかっと明確にして、そうして教育をつかさどることば特別にやむを得ないときとか、あるいは小学校の場合などは、どの先生かがお休みになったときには、学級数が少ないところなどでは教頭もやはり補充教育に行かなければならぬ、そういう道を開く、やむを得ないときだけに教育をつかさどる使命をきわめて小さく与えておく、こういう形が、私は、補充教育教師としての教頭さんであって、臨時に欠勤の先生の補充教育に行く、こういうような任務でいい、ここへさっと主任務と副任務を段差をつけてやる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  56. 岩間英太郎

    岩間政府委員 現在の規定も、客観的に職務の内容を規定すればこういうふうな表現になるということは、これは別に間違っておらないというふうに私は考えておるわけでございます。しかしながら、さらに教頭の職務がこうあるべきであるというふうな御判断の上で法文を整理すれば、ただいま受田先生が御指摘になり、それからいま塩崎先生から御指摘をいただきましたような規定のしかたもあり得るのじゃないかというふうなことを考えるわけでございます。
  57. 受田新吉

    受田委員 同時に、これは後ほどまた論議される日の来る定数標準法、それにもはね返ってくるわけです。教頭が、校長補佐、校務整理の主任務を中心にして、まれにある教育をつかさどる仕事に携わるということであるならば、教頭の定数というものは教諭の定数からはずして、新しいワクとしてこれを設定する、そして一般学校先生方にしても、一般教員の皆さんにしても、校長あるいは教頭のやっている仕事と一般教員のやっている仕事がはっきり分かれてくるから、教頭が担当する学級は原則としてないようになるのだ。ないようになると、一般教員の数が、教頭が占めた部分だけふえてくる。だから教頭の定数というものが別ワクとして計算されるようになるならば、一般教員も今度は非常に大らかな幅を持ってその職務に精励できる。これはそこへまで及ぶ問題であって、ただ教頭の任務だけを明確にしても、特別のやむを得ないときに教育をつかさどるということが、特別とかあるいは必要に応じてというような場合がきわめてまれな例外であるという原則、これを無視してくれば、これは全くお話にならないのですが、これを原則としてきわめてまれに、必要に応じてあるいは特別な事情によって教育をやるということにしておけば、教頭が担当する学級はなくなるわけだ。つまり一般教諭がそこへ行くことになるから、教育一般先生方も非常に荷が軽くなって、学校先生教頭だけ一人ふえるわけです。そうすると、一般教諭たちも喜ぶわけです。これは当然はね返る問題なんです。これを拝見しまして、私のほうでは、民社党としても、特に教頭地位に立つ人の職務明確化に伴うて、教育担当の教諭との間で数の上で別ワクで計算させるようにしていかなければならない。そして教育を尊重し、人材確保なるものをもって教育世界希望を与えようというせっかくの文部省またわれわれの願いを裏づけるためには、そこまで教頭の定数を別ワク計算というところへ踏み切らなければ私は意味がないと思うのです。いま申し上げた職務が明確化されて、教育をつかさどる任務がある特定の場合に限るとするならば、当然教頭の数は一般教諭のワクの外に計算されるようにすべきだと思いますが、御答弁をいただきたい。
  58. 岩間英太郎

    岩間政府委員 まことにごもっともな御指摘であると思います。いままで定数法の改善は三次にわたってやってまいったわけでございますが、これは、戦後の混乱の中から、一学級の学級編制を最高六十人からともかく四十五人まで下げ、あるいは教員の配置も、このたびは小規模学校を中心にしてやったわけでございますけれども教育の円滑な実施ができるように、教育の困難をできるだけ取り去るようにというふうなことからいままで努力してまいったわけでございます。また、そのために五年間で二万人以上、いままで合計いたしまして十万人をこえるような定数改善をしてまいったわけでございますが、定数を増加いたします場合には、教員の養成、それから教員の質の確保というふうな問題も兼ね合わせて考えなければならないということで、いままではともかくやむを得ないものについていろいろくふうをしてきたわけでございますけれども、今後、大体問題が片づきましたような時点におきまして、先生のような御判断は、これはぜひ実現をしていきたいというふうな気持ちでおるわけでございます。
  59. 受田新吉

    受田委員 非常に大事な発言をしてもらっておるのですが、文部大臣、この教頭のワク外定数を検討するという問題は、教育を振興し、また現場におられる先生方希望を与える意味においては非常に大事なことであると思うのです。文部大臣がせっかく人材確保などに御熱心に取っ組まれたわけだし、それからまたこの法案改正におきましても教育振興を前提として考えておられるということになるならば、いま私が指摘いたしました教頭の任務が明確化して、校長補佐、校務整理が主眼、教育担当は全く特別の事情のある場合だけとなれば、定数法の改正の中に当然これが織り込まれるべき前提のものである。大臣もそう理解されますか。
  60. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御意見、ごもっともだなと伺わせていただいておりました。
  61. 受田新吉

    受田委員 その点は、意見を御了承いただいて、非常にこれは進んできた問題です。一般先生たちも、教諭の皆さんも、やがては教頭になり、校長になるのです。だから、教頭職は反対だと騒ぎ立てるほどの問題ではなくして、みずからもやがて教頭地位につき、校長になって、教育に対するみずからの信念を学校先生方を通じて実践できる日が来る。そういう意味であるならば、この教頭職にまなじりを決していがみ合う問題ではない。いがみ合う問題がもしあるとするならば、教頭地位はできたけれども、いばる人間がふえて定数はいままでと同じだとなっては、これはいかぬぞという気持ちがありはせぬか。したがって、教頭地位が明確化し、その定数がワク外で処理されるとなれば、一般先生方の重荷はさっと軽くなり、みんながめでたしめでたしという答えが出るわけなんです。したがって、この教頭職法に反対する皆さんにしても、そういうきわめて前向きで建設的な、現場の先生たちの肩の荷も軽くなって、そしてお互いがやがてみんなで将来の夢を見ながら学校教育に精励するということになるならば、日本教育の現場には一つ希望がさす。まなじりを決して騒ぎ立てるほどのこともない。そして同時に、教頭職の職務を明確化することでないとその立場がとれないという意味で、ここに法律の上に教頭を置くべきで、従来のように施行規則の上にちょっと名前を出すだけのものではその職務の明確化はない。別に管理監督の地位にある者がふえるという問題ではなくして、実際の法の運用というものは地位を明確化しておいて初めて妙味が発揮でき、またその地位につく人の心がけで、いばる人間もおればいばらぬ人間もおるという差もつくわけでございまして、やはり教師たる者が管理監督の地位についたら、職権を乱用して、一般教職員を権威のもとに屈服せしめるなどというような不心得者は教育者として適当でないわけでございますから、それはまた別途適切な方途が講ぜられるわけです。そういう意味で私は、いま大臣も十分ごもっともな見解だと言ってくださったことに対しては、非常にこの問題に対しての前進が見られると思うのです。いまのこの法律のままでは、その前進が期待できないのです。したがって、教頭の職務について教育担当を小さくして、やむを得ないとき臨時補充教育などするときだけに限って、ずっと小さくしておく、これを全然なくすれば、今度は教頭は病気で休んだ先生の補充教育もいけないということも起こりますから、教育をつかさどる規定はそういう場合の用意にそっと置いておく必要があるのじゃないか。  給与局長がおられるので、これに関連して、教頭職管理職手当を出した出発はいつであったか。その後どのようにその比率は、当初四%、六%という低率であったと思うのですが、それが今日どう進行しているか。法律の上にも規則の上にも管理職手当を支給すべき時代でなかったときにすら管理職手当を出されたわけでございますから、その歴史の変遷のあとを顧みて、現時点教頭管理職手当なるものの内容を御説明願いたい。
  62. 茨木広

    ○茨木政府委員 教頭管理職手当、いわゆる管理職手当と称しておりますが、特別調整額をつけました一番最初は三十五年の四月一日からでございまして、そのときは七%でございます。それから四十二年の六月、四十二年当時は教頭につきまして八%に変わっておりまして、さらにそれを一〇%にいたしております。その後、四十七年の一月一日のときに教職調整額が制定されたわけでございますが、その際に四%の教職調整額が教頭にもつきますので、校長との関係で調整をする必要がございまして、一〇%から八%に再修正をいたし、教職調整額四%と合わせますと一二%程度になりまして、校長と同じ程度のものがつく、こういうような変遷を来たしております。
  63. 受田新吉

    受田委員 そのとおりでございましたね。ここで調整額を含めて一二%まで、スタート当時から倍近くになったわけです。だから、この教頭という地位に対するこうした管理立場に立つ特別の手当を、法律の基礎はないけれども、規則に教頭という名称が生まれたというゆえをもってこれをスタートされたと思うのですが、しかし昭和三十二年に教頭の名前は一応規則の中に生まれておる。この三年間スタートがおくれた理由はどこにありましたか。
  64. 茨木広

    ○茨木政府委員 当初特別調整額ができました経緯は、当時、主として課長以上のところから問題が起こったわけでございますが、職責がたいへん重い、それから国会その他にも出るとかいうことで、いろいろ超過勤務にわたる時間がたいへん長いというようなこともございまして、通常の超勤手当制度でやるのはどうかというような問題とからみまして、この特別調整額制度ができたように記憶いたしております。  学校関係の問題は、御案内のように、その当時問題になっておりましたように超勤制度というものをとっておりません関係上、そういうようなものもからみましてスタートがおくれたものというように承知いたしております。
  65. 受田新吉

    受田委員 管理職手当を教頭に支給するかどうかについてもいろいろと問題があって、その踏み切るのにも三年間を要したという歴史があるわけです。そういうことから顧みまして、現在、教頭という地位法律の上に明確化する必要がある。実績を積んだ上に、最後に法律でこなしていくじゃないかというような異論がまた別途出ておるのでございますが、しかし現実にもう管理職手当、特別調整額を含めたそういうものが出ているということになれば、当然この法的基礎をその職種の上にも与えるべきだという筋は筋として通る。そういう意味で、すでに十四年間にわたって実績の積まれたこの教頭職を職種として法律に明記するということは、これはもう自然の姿であると私は思います。  ただ、ここで、高等学校には教頭が多い。つまり、いま、従来の定時制高校などの主事等を含める。定時制高校などは分校がたくさんありますから、その分校において校長にかわっていろいろと仕事をしてくれておる主事がおる。それを今度教頭として一括取りまとめようとしておられるようです。この主事に対する手当というものは従来どういう形になっておりましたか。
  66. 茨木広

    ○茨木政府委員 国立の付属学校の場合には、当時は、この主事の方が実質的に教頭のような職務を担当しているというようなことで見ておりまして、同じような取り扱いをいたしております。
  67. 受田新吉

    受田委員 定時制通信教育もあわせて、そうした主事が教頭と同じ手当をもらっておった、これは間違いないですね。差はなかったですか。
  68. 茨木広

    ○茨木政府委員 同じでございます。
  69. 受田新吉

    受田委員 そういう意味から言うならば、これが今度実質的には、分校などで、教頭という立場でなくて、主事として勤務した人が教頭に切りかえられるわけでございまするから、これもまた自然の成り行きである。特に全日制高校などで定時制をあわせた分校を持っているところなどは、山間僻地で幾つか分校がある。その主事は教頭という名称でなくて、単にその分校の事務処理をするにすぎない形できたのが、今度は校長補佐という使命を持って職務が明確化する、これも私は適当だと思うのです。  そこで、現実に高等学校には教頭がたくさんできる。つまりそうした主事が教頭になる。文部省では、都道府県立高等学校で、今度主事を教頭にすることによって最も多く教頭のできる高等学校は一体どのくらいの教頭が置かれるのかを調べておられると思いますが、御答弁を願いたい。
  70. 岩間英太郎

    岩間政府委員 正確には調べておりませんけれども、現在、通信教育の課程、それから定時制の課程を持っております大きな総合制の高等学校もあるわけでございますから、そういうところでは教頭の複数制というふうなこともあり得るわけでございます。したがいまして、一番大きな可能性を考えますと、分校等も合わせまして五名以上の教頭ができるというふうなことになろうと思います。
  71. 受田新吉

    受田委員 文部省で、この改正法が制定された場合に、教頭の数がどれだけになると計算されておるか。また一校で一番多いのは、いまのばく然とした意味ではなくして、ちゃんと資料が用意してあると思うのです。そこまでいかなければ、文部省というのは行政事務を担当する中心の官庁としては不適格である。法案を出すときはそういうものの計算までも入れておかなければいかぬです。そうじゃないですか。御答弁願います。
  72. 岩間英太郎

    岩間政府委員 私ども全国的な教育責任を負っておるわけでございますから、全国的な立場からいろいろ調査をいたしますけれども、個々の学校につきましてはどうしても調査がおろそかになりまして、ただいま御指摘をいただきましたことは、たいへん恐縮に存じておるわけでございます。今後はこういう点につきましても十分調査をいたして、お答えを申し上げられるようにしたいというふうに考えるわけでございます。
  73. 受田新吉

    受田委員 高等学校中学校小学校より数が少ない。そこで、校長になる機会は少ないが、せめて教頭になる機会は多いという意味で私お尋ねしておるわけです。そこまで親切に調べておかれて、そして高等学校の中には複数の教頭のおったところもある、しかし、まだ教頭は一人だけれども、主事は、分校が五つも六つもあるところでは、今度それが教頭になれば、五人も六人も七人もなるという可能性もあるということにもなるわけでございますから、山間僻地をかかえた県立高等学校などは分校を三つも四つも、ときには最高幾らまで分校があるかぐらいのことは皆さんが調べておかれて、それで教頭の数が合計何人になるか、高等学校教職員の数に比例して教頭校長が幾らになるかぐらいは、ちゃんと数的根拠をお示しいただくべきだと思うのです。小学校中学校は数が多いので校長になる機会が多いが、高等学校はせめて教頭になっていくという一つ希望が持てるように。  そこで給与局長さん、俸給表を私たち見て、教職員の俸給表は(一)が大学、(二)が高等学校、(三)が中小学校、(四)が高等専門学校と四本あるわけです。四本ある中で、その(三)の中学校小学校教員の俸給表と、その(二)の高等学校の俸給表、教育職俸給表の(三)と(二)、これを見まして、高等学校の俸給表の最高は二十万四千七百円、二十五号、学校長。中小学校の俸給表では、どれだけ精励恪勤した大校長といえども、二十七号で十七万四千八百円、そこに約三万余円の大きな格差があるわけです。つまり同じ校長になっても、中小学校は精一ぱい十七万四千円までしかいかない。ワク外昇給というものなどは抜きにしてここまでしかいかない。高等学校では二十万までいく。それで教頭の場合は、高等学校は十七万五千四百円、中小学校では十五万三千円、高等学校教頭の最高号俸が十七万五千四百円、中小学校校長が十七万四千八百円で、その間に六百円の差がある。高等学校教頭の最高号俸よりも、中小学校校長のほうが行き詰まりが低いのです。その理由はどこにあるか、御答弁願いたいです。
  74. 茨木広

    ○茨木政府委員 現在まで、この俸給表が四本ございますわけですが、特にこの高等学校と中小学校の俸給表が二本走ってきておりますことについては歴史的沿革を持っておるわけでございます。それともう一つは、いまでもいわれておりますけれども、特にこの俸給表が分化いたしました当時では、大半そういう傾向があったわけでございますが、小中学校のほうの先生方の学歴は、昔の、旧制の師範の二年ないし三年制卒に当たります学歴の方が大部分であった。それから高等学校のほうは旧制の高等師範あるいは文理大等大学卒の方が大部分であった。そういうことから来る学歴差と申しますか、そういうものもかみ合って、現在の差が出ておるわけでございます。
  75. 受田新吉

    受田委員 その時代はすでに去ったわけです。いまは大学教育を受けて、同一学歴、同一勤務年数でスタートしている。東京の国立大学に例をとりましても、附属高等学校に勤務する先生、附属中学校に勤務する先生、附属小学校に勤務する先生は、同じ東京教育大学を出て、どれへ勤務してもいいわけなんです。ところが、高等学校へ勤務するほうが中小学校に勤務するよりいいという待遇差を、同一学歴、同じ東京教育大学を出た者にさえも差別をつけるという根拠はいま非常に薄くなった。どうでしょう。
  76. 茨木広

    ○茨木政府委員 御意見ごもっともなことでございまして、その点がございます関係上、二十号俸前後くらいまでのところでございますが、新制大学卒の方が片や小中学校のほうに勤務され、片や高等学校に勤務されるという実態が、ずっと学年進行といいますか、進むにつれまして、その辺のところを近い扱いをするようなことをずっとやってまいっておるというのが事実でございます。  ただ、そのたてまえが、小中学校のほうは免許状が二色ございますが、短大卒の方でもこの教員になれるというようなこともございまして、多少その辺のところに少し制度上の差もございますようです。その辺も多少かみ合っておると思いますが、御案内のような御意見がたいへん最近多くなったわけでございます。それが先般新しい法律ができたゆえんのものでもあろうか、こんなふうに考えているわけでございます。
  77. 受田新吉

    受田委員 新しい法律ができたゆえん、ここに一つ問題が発生したわけです。いわゆる人材確保法案であろうと思うのですが、これは小中学校先生だけまず一〇%の処遇改善をやる、こういうことで高等学校などは適用を受けない、小学校の待遇が低いから、そこで特別一〇%、まだ継続するわけですが、そういう措置をとるんだということになると、これは問題が別に起こってくるわけですね。これは幼稚園から高等学校、養護学校、盲ろう学校までも及ぼしていくというのが文部大臣の御趣旨じゃなかったですかね。去年、人確法案を審査するときに、当然それへはね返るようになり、また人事院の勧告を期待するという意味じゃなかったのですか。
  78. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そのとおりでございます。
  79. 受田新吉

    受田委員 こういう問題は、もともと人事院が中心になってやるべき問題であって、文部省などが別ワクでやるような悪弊を起こしてはいけない問題であった。だから、一般職は人事院にまかしておく。文部省が単独でこういう立法措置をとらないで、人事院に文部省の要求を十分満たさして、そうして人事院の勧告に基づいて一般職の給与法で、すかっとまとめていくほうがよほど混乱を防いでよかったと思うのです。いまさしあたり給与局長の御答弁文部大臣の御答弁一つ問題が新しくできた。つまり中小学校教員の処遇は低いから、多少でもこういうところに低いのがあるから、たとえばいま私が申したように最高は三万円も違うから、三万円も違うところを配慮して今回のこの間の法律ができたのであろうというような御趣旨ですね。そうなると、高等学校のほうの措置はしなくてもいいじゃないかということになるわけです。非常に新しい問題が発生してきたわけです。
  80. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 たびたび御答弁申し上げていますので、重ねて申し上げるようになって恐縮でございますが、人事院が公務員の給与について勧告権を持っている、その勧告権に対しまして、国権の最高機関である国会が、政策的な見地から、義務教育教員の給与が一般の公務員に比較して優遇されなければならない、その見地に立って人事院は勧告してほしいのだ、こうしていただいたわけでございます。同時に、この人材確保法案におきましては、学校教育の水準の維持向上をはかることを目的としているのだ、こう書かせていただいているわけでございますので、義務教育教員の給与の引き上げ、これをてこにして学校教育に携わっておられます先生方の給与の改善に資していく、これは私たち希望でございます。人事院におかれましても、義務教育教員の給与を引き上げますと、それとの関連におきまして同種の幼稚園や高等学校等の教員の給与につきましても均衡を失しないようにおのずから配慮されるわけだと思います。したがいまして、小中学校先生の初任給を引き上げる、高等学校先生方の初任給は同一学歴であるにもかかわらず引き下げるということはあり得ない、当然引き上げていただけるもの、かように考えているわけでございます。そういう方法を講じながら、小中に限らず幼稚園、高等学校等の処遇の引き上げ、これもはかっていきたい、こういう希望を抱いているところでございます。
  81. 受田新吉

    受田委員 この教育職俸給表の(三)の差ができるところは、スタートは同じであって、四年たつと高等学校は一号上がる、二十年たつとまた一号上がるという措置がされている、中小学校には特別昇給などということはほとんど全然ないといっていいというようなかっこうで、そういうところから中小学校高等学校とにアンバランスができるのですが、初中局長は、あなたの御所管の中には中小学校高等学校までがあるのですね。そうしますと、中小学校高等学校の給与の、その四年たったところと二十年たったところの一号ずつの差というものはどういうふうに御認識されておるのでしょうか。
  82. 岩間英太郎

    岩間政府委員 この問題につきましては、いわゆる給与の三本立てということで国会で議員立法をもちまして法律が制定されて、小中学校高等学校の間に差がついたということが基本でございますが、そのときの理由としましては、ただいま給与局長から御説明申し上げましたような学歴の差があったということが一つの理由でございます。  それからもう一つは、校長の登用率が少ない。校長だけではございませんが、教頭にいたしましても、大体比較をいたしますと、確率が七分の一くらい、つまり高等学校先生になられた方は教頭校長になられる率が一といたしますと、小中学校の場合には七というくらいの差があったわけでございます。そういう点を考えますと、高等学校に行かれて教諭でもって御退職になるという方は、退職金とか年金とかで、小中学校に行かれまして校長になられた方に比べますと、かなりの差ができてくるわけでございます。また、生涯給与という観点から考えますと、三十六年つとめられた、小中学校に行かれた方は、途中から教頭になり校長になられて、一等級の俸給表の適用があるということになりますと、これは三十六年つとめられた結果を全部総合計いたしますと、高等学校のほうが不利だということもできてくるのじゃないか、そういうふうな考え方がその当時おありになったかどうかは別にいたしましても、私どもは現在確かに問題点であろうと思います。  先ほど受田先生がいみじくも申されました、もっと高等学校については管理職をふやしたらどうか、教頭だってたくさんつくったらどうかというふうな御指摘、これは今後の高等学校先生を遇する道としましては、なかなか貴重な御示唆ではないかというふうにも考えるわけでございます。  給与の問題はたいへんむずかしゅうございまして、バランスの問題等もございますものですから、やはり総合的に検討しなければならない。そういう意味で、人事院のほうでそういう問題を総合的に御判断をいただくということになると思いますけれども、現在の給与の体系が、そういういまあげましたいろいろな理由から申しまして、私は必ずしも間違っていないのじゃないかというふうな気がするわけでございます。
  83. 受田新吉

    受田委員 この教頭職法案ができる機会にこの問題も明確にしておきたいと私は思うのです、いい機会でありますので。つまり、教育職場では、同一学歴、同一勤務年数の人は、中小学校高等学校を通じて一貫して処遇が原則として同じですよ、だから、国立のどの教育学部を出られても、小学校へ御勤務されても、中学校へ御勤務されても、高等学校へ御勤務されても、俸給は同じですよ、ただ高等学校の場合には、校長になる機会が少ないから教頭の数が比較的多いけれども、それについては最高の俸給が——いいですか、人事院給与局長さん、教育職俸給表の(三)の校長小中学校校長よりも高等学校の教諭のほうが俸給が高いのです。これは平等にすべきなんです。少なくともせめて同じにすべきだ。こういう原則を一応やっておかぬと、いまごろはどの府県を見ましても、同じ国立大学教育学部を出た人が、高等学校に勤務する人もあれば、中学校小学校へ勤務する人もある。いまは、昔のような高等師範と師範のような関係でないものだから、それは平等の原則になっておる。だから、どこへ御勤務してもいい。小学校希望する人は小学校、それから中学校高等学校、みんな初任給もそれからのテンポも同じですよという原則を一応確立しておくほうがいいと思うのです。そのほうが先生たちに、おれは高等学校でえらいんだぞ、俸給が高いだろうがというふうな認識を与えないで、勤務する学校には差がないんだ、同一学歴、同一勤務年数、そしてつとめる学校がたとえいかなる形であっても、教育という立場で同じ待遇をしてあげますよ——大学は別の研究の面がありますので別として、中小高を原則を整理する、こういう配慮をしておく、その上に立って、今度中小学校人材確保法案が成立したので高等学校へも一緒に及ぼしていくというなら筋が通る。文部大臣、これは人事院の勧告の線が出てくるのですが、あなたとしては、人材確保法案の処遇を受ける小中学校教員の待遇改善が今度年度末までにされるときは、高等学校や幼稚園についての人事院の勧告も、その時期は同じという理解ですか。
  84. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 あわせて勧告をいただけるものと期待をいたしておるわけでございまして、同時にまた、財政当局に対しましても、同時に勧告をいただいた場合には財源措置ができるようにお願いを済ませておるところでございます。
  85. 受田新吉

    受田委員 人事院では、高等学校も中小学校におくれないように、実施時期は同時というような勧告をされる予定でございましょうか。あるいは、高等学校はこれが一応片づいて後だから、時期のズレが多少あるという判断でしょうか。
  86. 茨木広

    ○茨木政府委員 先ほど御議論のように、同一学校を卒業いたしました者が片や高等学校、片や小中学校に分かれておりますのが最近の実情でございますので、やはりその辺のところは同じ時期に発足させるように取り扱わなければいかぬだろうという方向で検討いたしております。
  87. 受田新吉

    受田委員 時期は同時だという言明と心得ます。これが多少でもずれてくると問題が発生してくる。つまり、いま局長さんが、人確法は、中小学校の待遇が少し悪いので、その補いをつける意味だというおことばに私ひっかかるわけじゃありませんが、そうすると、高等学校は少し時期がずれるのじゃないかという杞憂をいましておったわけです。そのさっきの御発言の裏返しを私、疑義解明をさせていただいたわけです。同時に勧告という理解をさせていただくといたします。  そこで、今度この法律案に戻るのですが、二十八条に「教頭若しくは事務職員を置かず、又は教諭に代えて助教諭若しくは講師を、養護教諭に代えて養護助教諭を置くことができる。」というただし書きが書いてあるわけです。このことは、いまくしくも給与局長が、小中学校には短大を出たような方がおると言われた。短大を出た皆さんの場合には、中学校でいえば二級免許ですね。そういうのがあるというようなことで、助教諭というようなものがまだ残っておるのだということになると、従来、現行条文では、二十八条に「小学校には、校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。「と書いてあって、「ただし、特別の事情のあるときは、事務職員を置かないことができる。」とあるのですが、ここで「教諭に代えて助教諭若しくは講師を、養護教諭に代えて養護助教諭を」というと、それは資格の上でダウンしておるんじゃないですか。せっかく処遇改善をしようとするときに、教頭身分を明確化して、教員の任務とは別に一つの権威あるものを置こうというときに、教頭がはっきり置かれる、しかしまた教頭もしくは事務職員を置かない場合もある。重ねて、教諭にかえて助教諭を置くとか講師という規定がここへ生まれておるから、これは一応法律の根拠があるわけですから、ここへ新たに講師をうたったことには異議をはさみませんけれども、助教諭ということが養護のほうにも置かれている。この点は、都合によったら教諭を置かないで全部助教諭にしたり、全部講師にしてもいいわけです。ここに「助教諭若しくは講師」と「若しくは」という並列接続詞があるわけですが、これは法律の文章として非常に私考えさせられることばが出ておるのです。助教諭かあるいは講師を教諭にかえて置くのですから、全部助教諭や講師だけのときもあるということは否定していないのです。どうでしょう。
  88. 岩間英太郎

    岩間政府委員 そういう代替職員を置きます場合は、特別の事情があるというふうなことでございますので、私どもは、これは局限されるべき性質のものである、まあできればそういうことは望ましくないというふうな表現と御理解いただいてよろしいのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  89. 受田新吉

    受田委員 私がいま特に指摘しましたが、「教諭に代えて」とある以上は、教諭が一人もおらぬで、助教諭と講師だけのこともあるという、この法律の読みをするとそうなるのですが……。
  90. 岩間英太郎

    岩間政府委員 これは、特別の事情がある場合にと申しておりますように、もうそれは全部そんなことをするということは違法だ、一部やむを得ない場合にそういうことがあるのは、これはまあやむを得ないということに御理解をいただきたいと思います。
  91. 受田新吉

    受田委員 現実に、現行条文には「小学校には、校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」とうたってあって、「ただし、特別の事情のあるときは、事務職員を置かないことができる。」と、事務職員だけがここに書かれている。ところが、今度新しく出た規定の中には、教頭も置かないことができる。それは非常に学校の規模が小さくて、三人か四人しかおらぬ学校などの場合が一つ考えられると思うのですが、もしくは事務職員も置かない、さらに教諭にかえて助教諭、講師というのが新しく生まれてきたのです。こういうのが新しく規定の上に生まれてきたことば、まさに資格の上でダウンされた、この法律文章を読めば、明確にそれがうたわれるのです。いままでなかったことが新しく生まれてきたのですが、これはひとつ全体の条文を考えて検討する必要がないかと思うのですが。
  92. 岩間英太郎

    岩間政府委員 このたびの法律案におきましては、新しく助教諭とか養護助教諭につきましても法律上の規定を明確にしようということでございますから、やはりそういうふうな職員の地位と申しますか、どういう場合にそういう職員が置かれるのであるかということも、またこれは法律上明らかにする必要があるということで規定を設けたわけでございます。  ただいま受田先生指摘のように、法律の上ではこれは並列に書かれている、教諭のかわりに全部助教諭を置いてもいいのじゃないかという疑いが起こるという御指摘でございます。これは、学校教育法自体がそういうふうな職員の設置根拠を規定するような法律でございますから、そういうふうな書き方をするということは、これは別に法律のたてまえとしてはおかしくないのじゃないか。ただ実態的にそういうふうな疑いあるいはそういうふうなことが起こる可能性があるという御指摘は、これはごもっともなことであろうと考えるわけでございます。しかし、たとえば定数法でございますとか給与の関係の法律でございますとか、そういうところで実体的に明らかにして、あわせて考えていただければ、そういう点はやや氷解をしていただけるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  93. 受田新吉

    受田委員 私さっきから御議論申し上げておるところは、定数法へも直接はね返ってくる問題で、総合的な判定の上に立ってこれを修正するなら修正するという線へ持っていかなければならないと思います。私がいま指摘した二十八条は、これは小学校の場合ですけれども、さらに今度は高等学校の規定でも同じような問題が起こってきておるわけなんですが、ひとつ局長さん、五十条ですか、ここにある「実習助手は、実験又は実習について、教諭の職務を助ける。」この実習助手の給与の財政負担は一体どこがやるのでしょうか。
  94. 岩間英太郎

    岩間政府委員 これは設置者でございます。そしてそれに対する国の財政措置としましては、御案内のとおり地方交付税制度というものがあるわけでございます。
  95. 受田新吉

    受田委員 実習助手とかあるいは図書館の職員とかいう方々の中には、PTAとかそういうところで、正規の職員でなくて御苦労願っておるような傾向もあるのです。そういうようなところが全部便宜的に、そうした国がお手伝いをしない対象が人数が限られておるから、子供たちには実習助手さん、先生ということでお願いしておるが、実際はちょっと臨時にお手伝いしてもらっておるとかいうような者を今度は全部整理して、その財政負担の根拠を設置者に明確化するというような、末端ではとかくあいまいな、併設図書館などの職員でも、ほんとうに設置者が出しておらぬというようなところがあるわけですから、こういうところを今度はすかっと明確にお示しをいただけますか。
  96. 岩間英太郎

    岩間政府委員 実習助手の制度、これはいままでたとえば農業、工業、商業、そういうふうな職業課程におきまして教諭の職務を助けるというふうなことで本来置かれるべきものでございましたが、ただいま先生が御指摘になりましたように、やや安易に利用される、父兄負担の実習助手というのはないと思いますが、PTAが図書館の補助職員の給与を負担するというふうな例もございました。いろいろ問題ございまして、この点につきましては、私どももいままで、そういうふうな誤った扱いというものは是正をしなければならないということできたわけでございますけれども、せっかくこの機会でございますので、そういう点につきましては一そう努力をいたしたいというふうに考えるわけでございます。
  97. 受田新吉

    受田委員 給与局長もおられるので、この機会に給与の問題をひとつ教頭を中心にもう少し論議さしていただきたいのですが、この教頭の給与上の格づけというものが一つ問題になってくると思うのです。これは新しく法律に浮かび上がった職種でございますので、従来の慣例では現にもう事実問題として置いておる。ところによっては副校長と称しておるところもあるようです。ちょっと話を別にしますが、副校長と呼んでいる高等学校などがあるかないか、文部省調べておられると思うのです。
  98. 岩間英太郎

    岩間政府委員 県によりましてはそういう名称で呼んでおるということは聞いております。ただ、これは俗称と申しますか、でございますから、どういうふうな名前でお呼びになろうとも、それは法律上は教頭ということでございまして、呼ぶ名前までにつきまして私どもがとやかく言う筋合いでもなかろうというふうな感じでございます。
  99. 受田新吉

    受田委員 そうすれば、設置者あるいは学校——その副校長と呼ぶ名称を許す機関は何でございますか。
  100. 岩間英太郎

    岩間政府委員 これは、学校で、内部でそういうふうな呼び方をするということもございましょうし、あるいは県のほうでそういう呼び方を認めておるというふうなことでございましょうけれども、これはある意味では事実の問題でございまして、法律上はやはり教頭というふうなことで、発令その他につきましても教頭ということで御発令を願うというのが筋であろうというふうに考えるわけでございます。
  101. 受田新吉

    受田委員 これは非常におかしなことで、発令は教頭で出すが、学校では副校長先生、これはやはり日本国として意思を統一しておかれて、ある県へ行くと副校長先生であったが、今度は下がって教頭、呼ばれるほうも副校長というとちょっと貫禄があるが、教頭というとちょっとまずいなというようなことでは、お互い全国的に自由に転任ができる職種であるだけに、免許状は全国共通でありますから、ある県へ行って副校長といわれた人が、急に教頭さんといわれるとさびしくなる。これは何か名称はごかってでございますというようなところは、ちょっと、文部省としてはやむを得ぬのでございますか。名称はかってにつけてもよいのだ、校長というような名称を学長とつけてもよいかどうかです。
  102. 岩間英太郎

    岩間政府委員 まあ教頭でございますから、教頭先生というふうにお呼びいただくのが普通じゃないかと思いますが、たとえば大学の場合にも、学長が正式でございますけれども、総長というふうな呼び方で呼んでおられるところもあるやに聞いております。これは事実問題と申しますか、そういうふうな習慣と申しますか、そういうことでやっておることでございまして、そういうふうに呼んで悪いというところまで私どものほうで言うのはいかがかという感じがするわけでございます。もっとも、副校長という名前のほうがよければ、これは教頭という名前のかわりに副校長という名前をつけるということば一つの御意見であろうというふうに考えるわけであります。
  103. 受田新吉

    受田委員 私はそれを統一されていいと思うのです。つまり教頭という名称を副校長としてやる。現に法律用語としては副学長というのが生まれておるのだから、学長、副学長なら、校長、副校長としてもいいわけなんです。そういうものが一貫して文部省の案の中になければいけない。  それからもう一つ、従来は教頭の任務は、国立大学に関しての付属の教職員などには教頭というのが法制化されておる。それから地方の公立学校にはそれが置かれてないというような片手落ちがありますね。それとあわせて、名称というものは、いまの教頭問題は国立学校の附属中学校、幼稚園に至るまで教頭という制度が現にもう誕生しておる、これよりもいち早くもう国立のほうが先に打たれておるという現象をいま指摘したわけですが、この機会に、私立の学校が副校長とかなんとかいうなら、これは一応私学の権威を保つ、うちに副校長先生が来られたというほうが教頭先生よりは、特に公立学校校長などした人が校長でなくて教頭で来るような場合がある、それは副校長というほうがいいということもあって、私学の場合はこれは一応自由でいいけれども、公立学校の場合はやはり名称の統一が必要だ。大事なことです。  そこで給与局長さん、私、給与には興味があるのですが、教頭の格づけ一等級、従来現に教頭で一等級を適用受けている人がどのくらいあるのですか。
  104. 茨木広

    ○茨木政府委員 ただいま人数の点ははっきりいたしませんけれども、国立の附属の小中学校の場合には、御案内のように教頭の方が実質的な校長の職務を日常はやっていらっしゃるというような実態でございますので、一等級格づけを大部分しておるはずでございます。
  105. 受田新吉

    受田委員 これは文部省に聞いたほうがいいですかな。文部省で用意された数字は……。
  106. 岩間英太郎

    岩間政府委員 昭和四十七年度七月一日現在で一等級の数は、教育職俸給表(二)を適用されている者につきましては三十七名、教育職俸給表の日を適用されている者につきましては百五十三名、そういう数になっております。
  107. 受田新吉

    受田委員 そればどういう立場の人がその一等級の格づけを受けているわけですか。そして一等級の号俸ではどこまで進んでいるか。一等級の何号俸の適用を受けているのか。
  108. 岩間英太郎

    岩間政府委員 これは各県によって事情が違うわけでございますけれども、たとえば一番多い香川県などにおきましては、教員勤務年数等を主たる基準としてやっているようでございます。最高どこまで行っているかわかりませんが、一等級に格づけをして、それから毎年昇給の基準がございますから、その基準に従いまして一年なら一年おきに昇給をしていくということでございます。
  109. 受田新吉

    受田委員 今回の教頭職の法制上の明確化に伴う教頭職の俸給対策はどうなるわけですか。
  110. 岩間英太郎

    岩間政府委員 教員全般の待遇につきましては、給与につきましては、これは一般職の給与に関する法律にもございますように、職務の困難とか複雑性、あるいは責任の度合いによってきめられるということでございます。このたび法律に規定を設けまして、別に職務の内容がことさら変わるということではございませんけれども、現在でも、教諭に比べまして校長先生の職務内容の複雑性、困難性、責任の度合いから考えますと、教諭よりも優遇されてしかるべきではないかというふうな考え方を持っているわけでございます。したがいまして、これにつきましては大臣からたびたび国会でも御答弁いただいておりますように、現在の給与制度の中でそういう点につきましては優遇措置を考えていくという方向で検討してまいりたい、そういうように考えております。
  111. 受田新吉

    受田委員 給与局長さん、これは教頭という職種を一等級、二等級、三等級のほかに新しい等級を設けるという意図につながるかどうか。これは作業としては人事院の仕事になる。それを新設するのかどうか。
  112. 茨木広

    ○茨木政府委員 先ほど初中局長から御答弁ございましたように、給与法の考え方は職務の責任とか困難とかというようなことで判断をするということになっておるわけでございます。ただいませっかく御審議中でございますので、一応現時点でどういたしますということをここで申し上げかねる次第でございます。よくその段階に立ち至ったときにおいて慎重に判断をしなければならぬ問題であろうと思っております。
  113. 受田新吉

    受田委員 これは俸給表の作成の新しい問題が発生するわけです。だから、全然作業はいま検討段階であって進められていないというのですが、一等級は学校長、二等級は教諭、三等級はその他であるという現行給与体系、それからまた、この間から人確法の際にも現行給与体系をもとにしてという言い分なども起こってきているわけでございますが、五段階制度はとらないという文部大臣の発言で昨年の教員のスト中止命令が出た、トップ会談、これをひとつ関連するからちょっと質問します。  文部大臣と槇枝委員長との間でトップ会談によって教職員のスト中止命令が出された。そのときに、文部大臣の発言の中に、五段階制度はとらないという了解をした、それを法律的に何かの点で約束したというような、日教組の言い分をそのまま認めたので日教組がスト中止命令を出したというような理解をされる節があるわけですが、当時の事情をちょっとこれに関連しますのでお尋ねしてみたいと思うのです。テレビでの大臣の御発言というものはどういうことであったのか。
  114. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 十二月四日のことだろうと思いますが、私としてはその際に新たなる約束は何らいたしておりません。五段階給与の問題につきましては、たびたび当委員会でも御議論がございまして、私としては何らそういうことは考えておりませんと、こう答えさしていただいてまいったわけでございます。
  115. 受田新吉

    受田委員 当時日教組のスト中止命令の中に大臣から言質を得たという点は、給与体系を変えない、つまり現行給与体系にそのままにしておくのだ、これを基礎の理解ととられるわけですか。
  116. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私は、五段階給与をとるとらないの議論がたびたびございましたので、五段階給与ということは何ら考えていない、こう申し上げてまいったわけでございます。現行給与制度というようなさらに立ち入った話は、私と日教組との間ではしたことございません。
  117. 受田新吉

    受田委員 その点が明確になっております。そこで今度教頭職というのがここに一つ大事な問題になってくる。教頭職というものが法制化されると、現行給与体系にたとえば一等級の学校長、二等級を今度教頭、三等級を教諭——五段階制度には上級と一般とがあるわけですが、そういう形、つまり現行給与体系は一応くずれることがあるということになるかどうかです。五段階ではないが、現行給与体系に新しいものが出るかどうかです。
  118. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私は従来から教頭の職務をたいへん重いものだと、こう考えてまいったわけでございます。したがいまして、また当委員会でも、教頭さんとして多年御勤務になったり、あるいはまた大きな規模の学校に御勤務になっている方々については、一等級の俸給表を適用するようにしたいのだ、こう申し上げてまいりました。事務的には、人確法が成立いたしまして、いずれ新しい給与勧告が出る、それに基づいた俸給表の改正が行なわれて地方団体に連絡をします場合には、教頭さんのうちで適当な方々は一等級の俸給を適用するようにしてくれということを書いてほしい、こう申しておるわけでございます。そういう手順で事務当局は進めてくれているものだ、かように考えておるわけでございます。今回新しい教頭職の法制化が行なわれるわけでございます。私が五段階は一切考えていない、こう申し上げてまいっておりますのは、これもたびたび当委員会で申し上げさせていただいていることではございますけれども、五段階というようなことで俸給表を複雑にしていくことは、必要以上に先生方の間に競争意識をかり立てるものなんだということを伺いまして、なるほどそういうこともあるのかもしれないな、そうすると先生のいやがっておられるようなことをわれわれはやるべきではない、こういうことで五段階給与は考えていない、こう申し上げてまいったわけでございます。したがいまして、今度教頭職の法制化ができ上がりましても、文部省としては、すぐに人事院に対しまして別な俸給表をつくってくださいと言う考えは持っておりません。今後先生方がどうお考えになるか、現場の先生方の御勤務のしやすいように、希望をくみ上げながら検討していけばいいじゃないか、こう考えているところでございます。
  119. 受田新吉

    受田委員 文部大臣の意図がよくわかります。そこで、まだ体系がよくわからない、具体的になっていないということですが、一等級の中に校長俸給と教頭俸給を含む、そういう一つの行き方もある。現行給与体系をそのままにして、つまり教頭は一等級の中へ入れる。そして一等級のワクを広げる。たとえばいま公務員の中に指定職というのがある。指定職に甲と乙がある。その甲と乙を今度一本にして指定職としたわけです。そういう意味からいえば、校長はいままで一等級の適用を受けた。これへ教頭が入るというようになれば、現行給与体系を変えなくて、かつ教頭には希望の持てる俸給表の適用を受けるということになるわけです。私の提案に妙味があるかないかです。
  120. 茨木広

    ○茨木政府委員 これから先のことでございますし、先ほど文部大臣等からも一つ考え方が出されたようでございます。ただいまいろいろ御意見としておっしゃられましたこともよく参考にさせていただいて、今後考えていくべきことであろうというように考えております。
  121. 受田新吉

    受田委員 これは、俸給表の五段階議論に対して批判を避けながら、しかしながらまた教頭にも希望を与えるという、新しい体系をつくるのに非常に妙味のある問題だ。この道の通がおやりになることでございますが、私の一つの試案として出したのは、指定職の中に従来甲と乙があった。次官階級の分と、局長の中で、初めは局長も指定職に入ったのもおったし、入らぬのもおったが、後にはみな局長が入る。中には次長まで指定職の乙に入る者がおる。それを今度は一本にして、指定職甲、乙をやめて指定職とやったわけだ。指定職の中には次官で最高を行くのもあれば——これは行政(一)の中にある。これはひとつこれから検討すると非常におもしろい問題なんですが、次官で指定職の最高を行くのもおれば、外局の長などでその一歩手前でおりるのもおる。それから単に局長だけで指定職になった者もおる。こういうことですから、校長が行く一番上は、現行の号俸でいうならば学校長は二十七号まで行くわけだ。しかし教頭は二十号でとまる、こういうような俸給表の仕分けができるわけです。それがまた二等級へそのままにしておくということになると、今度は二等と三等へまたがった俸給表を作成するということもある。その職務がある意味で監督の意味を含むかどうかの問題ですが、教頭は監督権を持つ職種かどうかです。ちょっとそれをお尋ねしたい。
  122. 岩間英太郎

    岩間政府委員 教頭につきましては、明治の尋常師範学校官制には、はっきりと教頭先生が所属職員を監督するという趣旨の規定があったわけでございます。そういう沿革から申しますと、教頭先生校長先生一般先生の間に立ちまして、いろいろお世話をやくというふうなことでございましょうけれども、しかし校長を助けるというふうな規定がございますように、校長のかわりになって教員を監督すると申しますか、そういうふうなことは当然現行の規定の中でも読み取れるわけでございます。ただ実態としましては、そういうふうな監督ということばは用いられておりませんように、やはり校長と教諭の間に立ちまして、その潤滑油的な役割りを果たすというところに非常に大きな意味があるのじゃないか。ことさら教諭に対して監督というふうな、いわばきつい地位にあるということを表現いたしませんでも、その点は十分実態に即してくみ取れていくのじゃないかということで、ただいまのところでは、ことさら監督というふうな意味が表に出ますような表現はとっていないわけでございます。
  123. 受田新吉

    受田委員 特別調整額にしても、いわゆる管理職手当にしても、これは管理監督の地位にある者に対する手当、これが手当の趣旨でございましたね。
  124. 茨木広

    ○茨木政府委員 そのようでございます。
  125. 受田新吉

    受田委員 そうすると岩間局長さん、あえて監督という意味じゃないがというようなお話で、これはぼけてきた。つまりぼけたものに管理職手当を出すのはおかしいですね。
  126. 岩間英太郎

    岩間政府委員 管理職であるかどうかという問題は、これは別の観点から考えられておる面もございます。たとえば機密をつかさどるような職員につきましては、たとえば守衛長なども管理職の範囲に入るということで、本来の監督という点から申しますとやや範囲が広いということは、これは一般的に言えるのじゃないかと思います。そういう意味での管理職であることは間違いございませんし、また教頭がなぜ管理職であるかという点になりますと、これは単に機密を保持するというふうな意味ではなくて、ただいま御指摘になりましたように、管理監督の地位にあるということで管理職という定義がなされておるというふうに理解をするわけでございます。したがいまして、もちろん監督の地位にないということではございませんけれども、ことさらそういうふうな表現はとっておらないということを申し上げたわけでございます。
  127. 受田新吉

    受田委員 この法律が制定されると、当然起こってくる問題がそこにもあるわけなんですが、私自身も、議員になる前六年間学校長をやらしてもらいました。それから私自身は教頭というようなものを経ないで学校長になってきたわけですから、当時は教頭などというのはなくても済んだ時代であるのですが、いまのこの民主化された時代、一方では管理監督権の強化で一般教職員は騒ぐ。一方では学校は、教頭の職務を明確化して、教頭がしっかり仕事ができるようにしなければ学校運営はできない、こういういろいろな世論があり現実の問題がある。その中で何が正しいか、どう手を打つのが正しいかということで、私たちも結局、教頭職法律上明確にして、その職務を国民にしっかり理解させる、そして一体教頭立場はどうかというのを、この国会の論議を通じて国民に知らしめる、そして一般の父兄は、教頭がこの法制化とともにこれまでにないしっかりした責任を持ってもらい、一般先生が教諭としてわれわれの子供を守ってくれる、そして先生たち一般の教諭が病気などで休んだら、教頭先生も授業にかわっていただくのだ、そういうような意味でこの学校教育法改正を国民がよく理解していただきたい。教頭職改正といういわゆるこの法律が国民の中に理解されるような努力がお互いにとって必要なんですね。その意味から私、いま権限問題をお尋ねしているのですが、そうすると校長が、君、ぼくはちょっと外へ出て、あしたは休まにゃいけぬのだが、わしの職務を代行してくれという場合に、教頭に代行させ得ない職務があるかないかです。校長補佐という職務の中に、教頭にはやらされない職務というのはどんなのがあるのですか。それはやはり、職務の範囲を明確化しておかなければならない。たとえば任命とかいう問題は、これは校長でなければできないわけだ。この教員を今度ここへ転任させる推挽をする、手続をするというのは、校長自身がやらなければ、教頭がやるわけにいかないというのがあるかないか、そういうことでございます。
  128. 岩間英太郎

    岩間政府委員 ただいまは、学校教育法の施行規則で教頭の職務が書いてあるわけでございますが、これはいわば職務命令のようなものでございますので、現在のところは、校長に専属しております権限、たとえば先生がいま御指摘になりましたような教諭の任免等に関する内申の問題、あるいは校長の専属の権限になっております入学でございますとか、転学でございますとか、退学でございますとか、そういうものを許す権限、こういうものは教頭先生にはわたらない。校長先生がおられなくても、あるいは校長先生がただいま御指摘になりましたように、あしたは休むから君がかわりをやってくれとかりに言われましても、教頭先生がそのかわりをするわけにはまいらないというふうなたてまえになっておるわけでございます。しかし、今度の法律案では、代理の権限を教頭に与えるような規定にいたしておりますので、今度は校長先生教頭先生に、この仕事については私のかわりをしてくれと申しました場合には、これは校長に属しております権限の範囲内でございました場合には、代理の権限ができてくるわけでございます。したがいまして、極端なことを申しますと、ただいま御指摘になりました内申の問題でございましても、それから入学、退学、転学の問題にいたしましても、たとえば校長先生が長期お休みになっておる、あるいは海外出張されまして御連絡のいとまがないという場合には、今度は教頭先生がそのかわりができるということになるわけでございまして、このたびの改正法律案を御提出いたしました一つの大きなこれはメリットではないかというふうに考えているわけでございます。
  129. 受田新吉

    受田委員 お話は、もう一つ権限問題に触れますが、校長は必置だが、教頭は置かないことができるわけですね。そうすると、教頭を置かない学校では、校長の職務代行は他の教諭がやるわけですか。
  130. 岩間英太郎

    岩間政府委員 これは事実上の問題でございますから、校長先生の具体的なお仕事の範囲で、これをかわりにやっておいてくれというふうなことはあり得るかもしれませんけれども法律上の問題としましては、たとえば僻地の小規模学校校長先生が海外に行かれるというふうな場合には、これは新しい任命行為がございませんと、当然に教諭の先生校長先生のかわりをするというわけにはまいらないわけでございます。これは今度の法律改正によりましても、教頭先生が置かれてない学校につきましては、そういうふうなことが起こり得るわけでございまして、そういう場合には職務代理の新しい権限の付与の命令がされませんと、つまり新しい任命行為がされませんと、それは不可能であるということになるわけでございます。
  131. 受田新吉

    受田委員 校長のあとに教頭もいない、つまりこれは置かないことができる。そしてさらに教諭にかえて助教諭、講師しかおらぬというところもある。校長の次は助教諭と講師しかおらぬというようなところができますね。そういう場合に、校長の職務代行を事実上せにゃいけぬことが起こる。校長が長期出張などしたときに、隣の学校からそのときには職務代行を兼任というようなことはできないわけなんです。事実問題では、独立した学校校長事故が起こった、教頭を置かないことができる、教諭を置かないことができ、助教諭と講師しかおらぬという学校があるわけです。それはどうなりますか。
  132. 岩間英太郎

    岩間政府委員 そういう場合には、ただいま御指摘になりましたように、事実上校長先生のかわりをすることができないということになるわけでございます。頭の中で考えられますことは、たとえば併設の小中学校があるといたしました場合には、その小学校長のかわりに中学校長が兼任の発令をもらうというふうなことになるだろうと思いますけれども、しかしそれは、隣にたまたま学校があればよろしいわけでございますが、遠く離れているというふうな場合には、これは事実上ほんとうに困るような事態が起こるということは予想されるわけでございます。(受田委員「そのときはどうする」と呼ぶ)そういう場合には、これはそのときどきの判断であろうと思いますが、やはりいまは電話等もございますものですから、距離は離れましても、他の学校校長先生がその学校校長先生を兼務する、それから必要がある場合には学校先生が連絡をしながら事務を取り運んでいくということにせざるを得ないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  133. 受田新吉

    受田委員 非常にデリケートな問題が起こるのです。だから、現実に五人か六人しか先生のいない小規模の学校のところで、教頭は置かない、教頭は現に置いてはない、法律的にも規則の上の教頭でもないんだが、しかしその次の教諭の先生を、若いけれどもその地区では教頭先生と呼ぶというところが起こる。いいですか。校長先生はもう五十何歳で練達の人、あるいは二十四、五歳の若い助教諭の先生が来たというときには、その先生教頭先生とその地域の人が呼ぶ、また学校でも教頭先生校長が紹介する、こういうことも起こる。これは一向差しつかえないですね。副校長と同じですね。
  134. 岩間英太郎

    岩間政府委員 具体的に教頭先生とお呼びになることは差しつかえないことであろうというふうに考えます。
  135. 受田新吉

    受田委員 私はその場合に、学校長の職務代行者がたとえ教頭でなくとも、一般のその次にある人に代行権を委任するということが法律的にも効力があるような形を、つまり教頭がいないときには校長の職務代行者はだれであるかということが規定されていいのじゃないかと思うのです。つまり校長の長期欠勤、隣の学校校長が兼任が許されない、その地域がちょっと離れて、五十軒か百軒の部落である、新しい校長を任命するのには、その先生が死ぬるかどうかしない限りは病気などのときにやめさせるわけにいかないというような事情のときに、教頭地位にない者がおる、そのときには教頭の職務を与えるとか職務をしてもいいとかいうような何らかの内部規定などがこの際明確にされておく必要がある。職務代行者、代行権をだれにさせるかというのは指示することができる、教頭を置かれない場合においては校長の職務権限は教諭の中より校長が指名することができる、こういうようなものをつくる必要はないですか。
  136. 岩間英太郎

    岩間政府委員 実際問題としてお困りになる理由は十分わかるわけでございますが、これはちょっとどうかというふうな気持ちがするわけでございます。たとえば文部省でございますと、文部大臣がおられるわけでございまして、あと事務次官以下、局長、課長がおるわけでございます。たとえば私がおりませんときには事務次官あるいは課長が代理をするということはあり得ることでございますけれども文部大臣がおられませんときに事務次官がかわりをするとか、あるいは政務次官でもそういう例はないわけでございまして、大臣のかわりをするということではございませんで、ほかの国務大臣の方が文部大臣を兼任されるというふうなことになっておるわけでございます。これは大臣という最高の責任者、最高の権限を持っておられる方のその職務の遂行あるいは権限につきましてみだりに次官以下の私どもがそれを代理するというようなことは、これはやはり行政上の秩序の問題として問題がある。同じようなことがやはり校長先生とそれから一般の教諭の方との間には、程度の差はもちろんございますが、考え方として現在はある。したがって、教頭先生には今度法律上そういう権限を与えようというふうなことでございますけれども校長先生が持っておられます専属的な権限というものをみだりに教諭におあずけするということは、これはたてまえとしてとってないわけでございまして、事実上の問題としまして、校長先生がおやりになることにつきましていろいろ代理と申しますか補佐と申しますか、そういうことをしていただくことはございますが、ちょっとたてまえとしましては、いまのところはまだ考えておらないような次第でございます。
  137. 受田新吉

    受田委員 局長さん、こういう場合が起こるのです、現実に。五十軒なり百軒なりの離れた部落で一校ができておった、五人か六人しか先生がいない、しかしその地域ではその学校が一番大事な学校である、そこの先生の中に看護婦の資格を持った先生でもおれば、その五十軒なり百軒なりの医者もおらぬ無医村だとなれば、その養護の先生がその地域の人に簡単な注射もしてあげる、ちょっと手当てもしてあげるとなると、そこに養護の先生が一人お医者がおるのだということになる。そういうところへは養護教諭をたとえ学級が小さくても派遣しなければいかぬ。それからそういうところにやはり教頭も置かなければいかぬ、規模が小さくても。したがって学校の規模で大きいところだけ——ごく小さいところは教頭をはずすということではなくして、そういうまとまった地域には、たとえ四学級か五学級しかない学校にでも教頭をきちっと置く、養護教諭も置いて、その地区の人は、今度養護の先生が来てくれた、病気になったときはちょっとは間に合わしてくれるよとみんなが喜べるような制度を文部省はとらなければならぬ。したがってこれは定数法のことにも関係しますが、教頭職の別ワク定数化をはかると同時に、一校に一人養護教諭がおり、一校に一人事務職員がおる、ほんとうはここまで進まなければいかぬ。だが、全面的にということがいかないとすれば、これは段階的に、原則としては一校に一人の養護教諭がおり、その地域の一般の人にも、お医者さんにかわる先生として社会的にも働いてもらえば、学校子供が少ないからお仕事は少なくても、対社会的にはほんとうに役に立つ養護の先生が来たということになるので、一校に一人の事務職員、一校に一人の養護教諭、こういうものは必置条件として今後前進させるべきであろうと思う。これは大臣から答弁。高度の政治性が要るものです。
  138. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 第三次の定数改善の際には、半数の学校には事務職員、養護教諭を置こうということで進めてまいりました。四十九年度から始まります第四次の定数改善におきましては、七割五分の学校には事務職員と養護教諭を置きたい、こういうことで進めることにさしていただきました。さらにそれから先につきましては、御指摘のような方向で私たち努力していかなければならない、かように考えているところでございます。
  139. 受田新吉

    受田委員 文部大臣が非常に積極的な発言をしてくれております。非常にうれしいことで、いまの無医村、手当てを受けることなくしてこの世を去っていく不幸なお年寄りなど多いときに、わが部落に今度若い養護の先生が来たよと、この希望をわかせるような、一校に一人の養護教諭を置く、そして生徒の数がふえればそれが複数になる、事務職員も同様です。こういうところへ敢然と踏み切るというその意欲をこの機会にわかしていただきたい。  われわれは教頭の専任化でその定数をワク外に考えるという提案をいまさしていただいたのですが、同時に全国津々浦々、どんな山間僻地でも、どんな離れ島で三十人か四十人しか生徒がいない、例外的には十数人しか生徒のおらぬその島にも、養護の先生教頭先生と、そして事務職員、これは学校だけではない、その部落全体の希望の光として、天に星あり、地に花あり、人に愛あり、うるわしい存在としてこれを実行してもらいたい。文部大臣がそこまで踏み切っていただき、そして与党の議員さんたちもこうして文教に御熱心な方々がそろっておられる、いまや自民党は国会対策と文教部会は完全に一致したと私は了解して、しかるがゆえに私はこの委員会に出て、そして有力な野党の代表質問をいまさしていただいたのでございますが、この問題はひとつ真剣に取り組んでもらって、この法案の審査にあたってこの要望が次の機会に可及的すみやかに実現できるような配慮を、この機会に与党の諸君とわれわれの党が一緒に組み立てて、この問題に何かの疑義を感じながら、管理監督の地位の強化とか、あるいは要らぬ存在が一人、目の上のこぶができたとかいうものではなくて、ほんとうは教頭という地位にある人が専任化せられ、そしてそれはいばるポストでなくして、校内の融和、統一をはかる、しかも、対社会的には、多くの地域社会社会教育で貢献していただく、そういう役で、またもう一ぺん繰り返しますが、一般教職員の側から見たら、いままで仕事の関係で授業時間が欠ける教頭が担当したそのクラスは不幸であったが、今度は専任の教諭ができて、われわれ一般教員の重荷も軽くなった、さあ行こう、レッツゴーという気概で、全国的な規模で学校教育の前進ができるようにはかる意味では、この法案がその意味で通り、また、そういうことで民社党から、党としても、さっきから私が幾つかのポイントの修正点を指摘したわけでございますが、自民党の与党の諸君の御理解と御協力をいただき、民社党を代表していま提案しました幾つかの修正点を政府・与党も十分理解をしてもらって、この問題が国民の前にほんとうに円満に理解されるように私は希望をいたしまして、約三時間の質問を終わります。(拍手)
  140. 稻葉修

    ○稻葉委員長 他に質疑はありませんか。——なしと認めます。よって、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  141. 稻葉修

    ○稻葉委員長 ただいま委員長の手元に受田新吉君外一名から、自由民主党及び民社党の共同提案により、本案に対する修正案が提出されております。提出者より趣旨の説明を求めます。受田新吉君。
  142. 受田新吉

    受田委員 私は、自由民主党及び民社党を代表して、ただいま議題となっております学校教育法の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明を申し上げます。  まず、案文について申し上げます。    学校教育法の一部を改正する法律案に対する修正案   学校教育法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第二十八条第一項の改正規定中「教頭若しくは事務職員を置かず、又は教諭に代えて助教諭若しくは講師を、養護教諭に代えて養護助教諭を置く」を「教頭又は事務職員を置かない」に改める。   第二十八条第三項の次に二項を加える改正規定中「及び児童の教育」を「及び必要に応じ児童の教育」に改める。   第二十八条に二項を加える改正規定中「二項」を「三項」に改め、同改正規定に次の一項を加える。    特別の事情のあるときは、第一項の規定にかかわらず、教諭に代えて助教諭又は講師を、養護教諭に代えて養護助教諭を置くことができる。   第五十条第一項の改正規定を次のように改める。    第五十条第一項中「校長」の下に「、教頭」を加える。   第五十条第二項の次に一項を加える改正規定中「一項」を「二項」に改め、同改正規定に次の一項を加える。    特別の事情のあるときは、第一項の規定にかかわらず、教諭に代えて助教諭又は講師を置くことができる。   第八十一条第一項にただし書を加える改正規定中「教頭を置かず、又は教諭に代えて助教諭若しくは講師を置くことができる」を「教頭を置かないことができる」に改める。   第八十一条第三項の次に一項を加える改正規定中「一項」を「二項」に、「及び幼児の保育」を「及び必要に応じ幼児の保育」に改め、同改正規定に次の一項を加える。    特別の事情のあるときは、第一項の規定にかかわらず、教諭に代えて助教諭又は講師を置くことができる。   附則第十二条中「昭和四十八年法律第  号」を「昭和四十九年法律第二号」に改める。 以上であります。  修正案の趣旨につきましては、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきたいと存じます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  143. 稻葉修

    ○稻葉委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  144. 稻葉修

    ○稻葉委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、受田新吉君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  145. 稻葉修

    ○稻葉委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  146. 稻葉修

    ○稻葉委員長 起立総員。よって、修正部分を除いた原案は可決いたしました。  これにて本案は、修正議決いたしました。     —————————————
  147. 稻葉修

    ○稻葉委員長 次に、ただいま修正議決いたしました本案に対し、受田新吉君外一名より、自由民主党及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。受田新吉君。
  148. 受田新吉

    受田委員 私は、自由民主党及び民社党を代表して、ただいまの法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。   学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  一 本案第二十八条第十二項の規定の運用については、過密及び過疎地域等の教育水準が低下することのないよう限定された場合に適用すること。  二 養護教諭及び事務職員は、できる限り早い機会に各学校に必置するよう政府は格別の努力をすること。    右決議する。 以上であります。  その趣旨につきましては、本案の審査に際し十分御承知のことと存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  どうぞ御賛同くださいますようお願いいたします。(拍手)
  149. 稻葉修

    ○稻葉委員長 これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  150. 稻葉修

    ○稻葉委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  ただいまの附帯決議について、奥野文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥野文部大臣
  151. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、誠意をもって検討し、努力いたす所存であります。     —————————————
  152. 稻葉修

    ○稻葉委員長 ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 稻葉修

    ○稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  154. 稻葉修

    ○稻葉委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十三分散会