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1974-02-20 第72回国会 衆議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十日(水曜日)     午後三時四十六分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 坂田 道太君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君       有田 喜一君    片岡 清一君       久野 忠治君    床次 徳二君       楢橋  進君    羽生田 進君       林  大幹君    深谷 隆司君       宮崎 茂一君    粟山 ひで君       山崎  拓君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         文部政務次官  藤波 孝生君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 委員異動 二月二十日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     片岡 清一君   高見 三郎君     宮崎 茂一君   三塚  博君     粟山 ひで君   安里積千代君     受田 新吉君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     上田 茂行君   宮崎 茂一君     高見 三郎君   粟山 ひで君     三塚  博君   受田 新吉君     安里積千代君     ――――――――――――― 二月二十日  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第二三号) 同月十八日  私立小・中・高等学校振興法制定に関する請願  外一件(石橋政嗣君紹介)(第二〇七三号)  同外五件(上田茂行紹介)(第二〇七四号)  同(江田三郎紹介)(第二〇七五号)  同外二件(大久保直彦紹介)(第二〇七六  号)  同(坂田道太紹介)(第二〇七七号)  同(柴田健治紹介)(第二〇七八号)  同外一件(鈴切康雄紹介)(第二〇七九号)  同外二件(竹内黎一君紹介)(第二〇八〇号)  同外一件(中村重光紹介)(第二〇八一号)  同(三木武夫君外三名紹介)(第二〇八二号)  同外三件(森喜朗紹介)(第二〇八三号)  同(山崎始男紹介)(第二〇八四号)  同外一件(米原昶紹介)(第二〇八五号)  同(石井一紹介)(第二一二三号)  同(柴田健治紹介)(第二一二四号)  同(園田直紹介)(第二一二五号)  同外三件(田澤吉郎紹介)(第二一二六号)  同(田中美智子紹介)(第二一二七号)  同(竹村幸雄紹介)(第二一二八号)  同外一件(日野吉夫紹介)(第二一二九号)  同(村上勇紹介)(第二一三〇号)  同外三件(北山愛郎紹介)(第二一五三号)  同(柴田健治紹介)(第二一五四号)  同(竹村幸雄紹介)(第二一五五号)  同(塚本三郎紹介)(第二一五六号)  同外一件(中村重光紹介)(第二一五七号)  同外三件(福田篤泰紹介)(第二一五八号)  同外一件(森井忠良紹介)(第二一五九号)  同(山崎始男紹介)(第二一六〇号)  同外四件(山中吾郎紹介)(第二一六一号)  同(大原亨紹介)(第二一八二号)  同外五件(北山愛郎紹介)(第二一八三号)  同外二件(久保等紹介)(第二一八四号)  同(中垣國男紹介)(第二一八五号)  同(野坂浩賢紹介)(第二一八六号)  同(林孝矩紹介)(第二一八七号)  同(橋口隆紹介)(第二一八八号)  同(山口鶴男紹介)(第二一八九号)  同外五件(山中吾郎紹介)(第二一九〇号)  同外一件(加藤清政紹介)(第二二一一号)  同外一件(久保等紹介)(第二二一二号)  同外七件(塩崎潤紹介)(第二二一三号)  同外二件(高見三郎紹介)(第二二一四号)  同外二件(羽田野忠文紹介)(第二二一五  号)  同外一件(長谷川正三紹介)(第二二一六  号)  同(山口鶴男紹介)(第二二一七号)  同外二件(山中吾郎紹介)(第二二一八号)  同外四件(久保等紹介)(第二二三七号)  同外二件(高橋繁紹介)(第二二三八号)  同外三件(長谷川正三紹介)(第二二三九  号)  同(松本善明紹介)(第二二四〇号)  同外五件(山中吾郎紹介)(第二二四一号)  青梅市に国連大学本部誘致に関する請願福田  篤泰君紹介)(第二〇八六号)  公立高等学校新設に対する国庫補助制度の創設  に関する請願關谷勝利紹介)(第二〇八七  号)  私立幼稚園教育振興に関する請願田澤吉郎君  紹介)(第二一二二号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願(安  里積千代紹介)(第二一五二号)  同(松本善明紹介)(第二二四四号)  教頭職身分確立に関する請願加藤陽三君紹  介)(第二二四二号)  同(笠岡喬紹介)(第二二四三号)  私立学校振興法制定に関する請願赤城宗徳君  紹介)(第二二四五号)  同(赤澤正道紹介)(第二二四六号)  同(浅井美幸紹介)(第二二四七号)  同(菅野和太郎紹介)(第二二四八号)  同外一件(加藤陽三紹介)(第二二四九号)  同(左藤恵紹介)(第二二五〇号)  同外一件(佐藤守良紹介)(第二二五一号)  同(中曽根康弘紹介)(第二二五二号)  同(永山忠則紹介)(第二二五三号)  同外二件(成田知巳紹介)(第二二五四号)  同外二十四件(野田毅紹介)(第二二五五  号)  同(萩原幸雄紹介)(第二二五六号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二二五七号)  同(福田赳夫紹介)(第二二五八号)  同外二件(保利茂紹介)(第二二五九号)  同(前田治一郎紹介)(第二二六〇号)  同(松野頼三君紹介)(第二二六一号)  同外一件(水野清紹介)(第二二六二号)  同外一件(宮澤喜一紹介)(第二二六三号)  同(山口鶴男紹介)(第二二六四号)  同外九件(山崎拓紹介)(第二二六五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提  出、第七十一回国会閣法第一一二号)      ――――◇―――――
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  先国会より継続審査となっております内閣提出学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 稻葉修

    稻葉委員長 本案につきましては、第七十一回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 稻葉修

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  5. 稻葉修

    稻葉委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山崎拓君。
  6. 山崎拓

    山崎(拓)委員 前国会に引き続きまして学校教育法の一部を改正する法律案、すなわち教頭職法制化法案につきまして、再度━━━━━質疑に立つわけでございますが、たび重なる審議のたびに野党出席をしないのであります。みずからの支持しない法案については審議に応じないという野党態度は、常日ごろ民主化を叫ぶ野党態度としてはまことに理解できない、理解に苦しむ態度である、これをまず糾弾しなければならない、かように考えるわけであります。  先日、一般質問おりに、わが党の深谷隆司議員から、文部大臣はなぜ所信表明おり教頭法制化法案に触れなかったのか、その点をただされたのであります。これにつきましては文部大臣から御回答がございましたが、この回答朝日新聞が二月十四日の記事で取り上げておるわけです。その見出しは、「「新争点作り意図か」こうなっております。私は、この記事を見まして、はなはだ遺憾に感じておるわけであります。すなわち、この内容を読んでみますと、「政府・自民党には、この法案をクローズアップすることによって物価、物不足、大企業の横暴などに対する不満を少しでもそらし、教育問題での論争を盛り上げたいとの思惑も働いているようだ。」こういう書き方をいたしておるわけであります。まことにこの記事書き方、日ごろマスコミ偏向がいろいろと取りざたされておりますときに、私は朝日新聞愛読者でございまして、そのようなことはないという信念を持っておったわけでございますが、この記事を読みましたときに、これはまさにマスコミ偏向である、そういう感じを強く持った次第であります。  そもそも、この教頭法案がそのような政府意図、すなわち現在物価問題その他によって政府に向けられておる国民不満をそらすためにこの法案を出した、そのような意図があったのかどうか、まずもって文部大臣にお聞きしたいと思います。
  7. 稻葉修

    稻葉委員長 ちょっとお待ちください。  山崎拓君に申し上げますが、ただいまのあなたの発言中、この本委員会が━━━━に入っているような、そういう御発言がありましたが、審議ということは大ぜいでやることで、単独とは結びつかないことばでありますから、御注意を申し上げておきます。  速記録においては、委員長において適宜これを処置いたしますから、さように御承知願いたい。
  8. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教頭職法制化提案昭和四十三年に始まるわけでございます。あえて今回特別に提案をしたわけではございません。四十三年に提案いたしまして以来、野党理解も求める努力を与党においてもずいぶん重ねていただいてまいった、かように考えるわけでございまして、六年目にもなるわけでございます。争点づくりというようなことよりも、だれが考えても、校長、これを助ける者として教頭、全く普通のことではないだろうか。これを法律の上に明らかにするだけのことでありまして、企業におきましても社長を助ける者がいろいろとあるわけでございます。国会におきましても、議長を助ける者は副議長等としてあるわけでございまして、何ら奇異な法案ではない、かように考えておるわけでございます。全く常識的な、皆さん方に御理解いただける法案だと確信いたしておるわけであります。
  9. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいま文部大臣から、全く奇異な法案ではない、常識的な法案であるというお話がございましたが、私は、それのみならず、この教頭法というのは非常に大切な法案である、もしかりに六年前に提案されましたその時点においてこの成立を見ておったとするならば、日本の教育正常化は非常に進んでおっただろう、今日のような非常に現場が混乱した状態というのは相当防げたのではなかろうか、こういう予感を持つわけでございまして、そういった意味でこの教頭法こそ一刻も早く成立を見なければならない法案であった、かように存ずるわけでございまして、本委員会におきましては何が何でも成立をさしていただきたい、それが私どもの役割りである、かように存ずる次第であります。  さらにこの朝日新聞記事によりますと、奥野文部大臣がこの日の委員会において、日教組資本家階級を倒す大衆階級とみずからを規定しているが、その一方で憲法を守れと主張するのはおかしいという指摘をした、早くも挑発的な答弁をされた、こういうことがこの記事に載っておるわけでございます。この趣旨の御発言は、私もその委員会出席いたしておりまして、確かに承ったわけでございます。日教組社会主義革命を目ざすイデオロギー集団であるという御指摘が確かにあった。これに対して共産党委員から、一体日教組社会主義革命を目ざす集団であるという証拠はどこにあるのか、こういう強い迫り方があったのを記憶いたしておるわけでございます。この新聞記事が伝えておりますように、はたして奥野文部大臣意図的に、いわゆる野党を挑発するためにこのような御発言をなさったのかどうか、私はお聞きしたいと思うわけであります。
  10. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日教組あり方につきまして国民皆さん方の御理解を得るようにもっとPRをすべきではないかという趣旨深谷議員からのお尋ねがございました。私は、PRするとか挑発するとかいうような意図は何ら持っておりませんで、日教組がどういう性格のものであるかということに触れただけのことでございます。それよりも私は、もしそういうような論調がございますならば、昨年の群馬の大会におきまして、日教組が、ことしの春闘では一日ストライキをやるのだということをきめているわけでございます。しかもまたこのストライキをやるために、ことしに入りましてからも会合を重ねているわけでございます。こういう姿が教育者として適当であるかどうか、私はむしろ批判の論説を向けていただきまして、そして教育に情熱を傾けてくださる先生方であるようにマスコミ皆さん方にも御努力いただけぬだろうか、こんな感じを非常に強く抱くものでございます。今度の教頭職法制化の問題にいたしましても、日教組の諸君は反対をしておられます。その反対の趣意は、管理強化だ、こういう議論のようでございます。私は、職場管理が適正に行なわれなければ、そこでのいろいろな作業の効果というものが発揮できないじゃないか、かように考えるわけでございまして、管理が適正に行なわれることがきわめて必要なことでございまして、ある意味においては管理が十分に行なわれないようにして組合が思うように振り回したいと思っているのだ、こんな見方もできないわけじゃございませんで、私は、文部省のとっております態度につきまして御批判があってけっこうでございますけれども、組合態度についても、そういう場合にはあわせて批判をしていくというようなことで進んでもらいませんと、国民皆さん方を誤解させてしまうのじゃないだろうか、いまお話を伺いながらそんな感じを強くさせられたところでございます。
  11. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私もただいまの文部大臣のお考えに全く同感であります。そもそも政治的な中立を守らなければならない先生方集団ストライキを堂々とやる、争議権を持たない職員団体が堂々とストを公言してはばからない、実際にそれを実行する、このような日教組性格規定について、先ごろの審議の際に文部大臣指摘をされましたその点、社会主義革命を目ざすイデオロギー集団である、この点を、むしろ挑発というようなことではなくして、この際明確にさしたほうがいいと私はあえて考える次第であります。  日教組倫理綱領につきましてはあまりにも有名でありますが、文部大臣答弁の中でおっしゃいましたように、おそらくやがて文部大臣としてのお考え根拠を資料として提出されるということでございますので、きょうはこの点についてあえて議論は避けたいと思いますけれども、倫理綱領の第一項の中で、平和の擁護、民族独立搾取失業のない社会実現はわれわれに課せられた歴史的課題である、そういうことを言っておるわけでございまして、現在わが国はまさにこの平和を擁護しており民族独立をしており搾取失業のない社会実現をやっておるわけであります。そういう実情でありながら、なおあえてこういう倫理綱領を今日もなお採用しておるということは、彼らの言っておる搾取失業のない社会実現ということがまさに社会主義革命を目ざすということにほかならないわけでありまして、共産党委員からも要求があっておりますが、ひとつ近々のうちにこの点をつまびらかにしていただきたい、かように存ずる次第であります。  そこで、教頭法の中身に質疑を移したいと思うわけでございますが、日教組は、この教頭法案につきまして、教育現場管理体制を持ち込むもので、教員職階制を導入するというねらいがある、このような根拠で一点は反対をいたしておるわけであります。これも朝日新聞記事であります。それから第二点は「教頭職」をアメにして校長になれない四十歳代の教員不満を吸収し、反組合的活動を強めさせようとしている、」こういう諸点で野党並びに――野党と申しましても民社党は違いますが、社会、共産、公明三党と日教組はこういう論点から反対をいたしておる、こういうことであります。  この二点につきまして、文部大臣の見解を承りたいと思います。
  12. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いまおっしゃいました二点、一つ管理強化というおことばがございました。やはり職場秩序を維持していく、それぞれ責任を明確にいたしましてお互いに協力をし合う、これは非常に大切なことではないか、かように考えるわけでございます。校長を助ける者として教頭があるわけでございますので、教頭校長さんを助けていく、法律でもその性格を明確にする、これはきわめて大切なことではないかと思います。  けさ、ある新聞を読んでおりましたら、山形の教研大会でございましょうか、その中で、ある女教師が、教育課程自主編成権がいわれている、文部省のつくっている学習指導要領法的拘束力は持たないんだ、こういうけれども、それじゃ私たちには組合指導に従えということなのか、文部省のそういう指導に従うのかあるいは組合指導に従うのか、どっちにも問題があるんじゃないだろうか、こういう発言がございました。まさに組合現場を自分の考えるとおりに持っていきたいということであります場合には、校長さんもないほうがいい、教頭さんもないほうがいい、組合管理でいくんだ、こういうことであるかもしれません。私は、どういう意味管理強化だから反対だと言うておられるのか知りませんけれども、およそ職場職場においては秩序が立っていなければ仕事が進まないじゃないか、こう申し上げたいのでございます。あらゆる職場におきまして、社長さん一人だ、議長さん一人だというようなことではなしに、必ず助ける者があるはずだ、そういうことを通じて職場秩序が守られていくのじゃないだろうか、こう考えているところでございます。  第二番目に、職階制を持ち込むものだ、こういうお話のようでございます。二つとも相関連した反対意見のようでございますけれども、職は、全く同じではございませんで、それぞれが責任を分かち合っておるわけでございまして、その責任には違いがございます。そこをやはり明確にしながら協力をしていくこと、これが私は大切ではないか、こう考えるわけでございます。教頭というのも一つの職でございまして、その職を明確にする、そうして教頭としての責任法律上明らかにしていくということは大切なことではないだろうか、こう考えるわけでございます。現在にも校長という職があり教頭という職があるわけでございますけれども、これより明確なもの――教諭が教頭仕事もやるのだということでございますけれども、教頭としてやらなければならない仕事が大部分なものでございますから、教頭として職を明確にしょう、こう考えているところでございます。
  13. 山崎拓

    山崎(拓)委員 先般出されました中教審の答申の中でも「各学校が、校長指導責任のもとにいきいきとした教育活動を組織的に展開できるよう、校務を分担する必要な職制を定めて校内管理組織を確立すること。」が必要であるということを述べておられるわけであります。また「学校全体の教育方針教育計画が確立され、その実現に向かって教員各個人が積極的に連携協力できる態勢を作りあげる必要がある。このような学校全体のまとまりを維持し、その内容を高めていくために適切な指導性を発揮することは、校長の重要な任務である。また、今後における教育方法の刷新を進めるためには、個々の教員の特性に応じた役割分担と組織的な協力体制を取り入れた新しい学校経営の方式が必要とされる。これらの必要に応ずるためには、学校の種類や規模およびそれぞれの職務の性格に応じて、校長を助けて校務を分担する教頭教務主任学年主任教科主任生徒指導主任などの管理上、指導上の職制を確立しなければならない。」このような指摘がなされておるわけでございます。しかしながら、現実の教育現場実態を見ておりますと、こういう管理運営組織はほとんど改善の実をあげてない、このような感じがするわけでございます。今日もなお日教組が主張いたしますように、職員会議学校管理運営について非常に容喙をいたしておりまして、いろいろな意味で弊害が出てきているように感ずるわけでございます。日教組のほうは、よき組合員こそがよき教師である、こういう前提に立っておるわけでございまして、したがって組合分会活動が活発な学校こそりっぱな学校である、こういう考え方を持っておるようでございます。今日の教育現場におけるこのような実態につきましてどのようなお考えをお持ちであるか、初中局長、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  14. 岩間英太郎

    岩間政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、学校教育を通じまして国民奉仕をする機関でございます。したがいまして、その効率が最も高く上がりますように、学校自体といたしましても、ただいま大臣が申されましたように、組織だって秩序正しく整備されていく必要があるということ、これはもう当然のことでございまして、ただいまのたてまえでは、校長が全体の責任を負う。それを助けて教頭というふうな職がある。それから一般教員は、校長を中心にいたしまして相協力して国民に対するサービスと申しますか、奉仕を行なうということでございますが、実態といたしまして、ただいま先生が御指摘になりましたような事態がある。それがまた教育現場を混乱さしておるというふうなことは、私どもたいへん遺憾に考えおります。  御指摘になりましたような教職員会議、これは先生方の意思を疎通し、あるいは校長先生方意見を吸い上げるというふうな仕組みとしては、これは従来からもあったわけでございますけれども、しかしながら、これはあくまでも、性格といたしましては諮問機関と申しますか、やはり校長を助けていろいろ意見を申し上げるというふうな、そういうためにつくられたものでございまして、それがたとえば大学の教授会でございますとか、そういうふうに法的に認められておりますようなものとは全然性質が違うわけでございます。いわんや議決機関というふうな形で学校運営を実際上左右するというふうなことは、現在のたてまえから申しますと、これはあってはならないことであるというふうに私ども考えておるわけでございます。  先生指摘になりましたような方向で、国民に対する奉仕あるいはサービスというのが最大限に発揮されますように、学校秩序を正しくしていくということを、私どもこれからもそういうふうな方向努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  15. 山崎拓

    山崎(拓)委員 このような職員会議あり方でございますが、職員会議は、いろいろな面で学校経営管理運営事項に口ばしをはさむと申しますか、非常なネックになっておるわけでございますが、あまつさえ教頭選任に関してもこの職員会議が非常な発言をする実態がございます。数年前から東京都の教育委員会においても、東京教組の間に、教頭候補者信頼度調査、そういうものを行なわせしめておるという実態があるように聞いておるわけであります。すなわち、ほとんどの学校教頭候補者に対する全員投票を行なわして、その結果を教育委員会報告をせしめておるという実態があるように聞いておるわけであります。また、これはことしも行なわれたそうでございますが、現在教頭の地位にある方々に対して、教頭信任投票をやっておる。それを教育委員会報告をして、教頭異動について教組が干渉をしておるという事実があるように聞いておるわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。
  16. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日教組あるいは教職員組合の方方が憲法を守ると言いながらそのような行動をとっておられるところに、行動においては憲法を破っておるではないかということを私はしばしば申し上げるわけでございます。日教組考え方からいきますと、職員会議議決機関だというようなことを言っておられる個所がございます。組合がいろいろなことを決定していくような気持ちを持っておられるようでございます。一体どこからそういう権能が与えられてきているのだろうか、どこにもないのであります。憲法の前文には、「日本國民は、正當に選擧されに國會における代表者を通じて行動し、」「ここに主權が國民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と、議会制民主政治の原理をうたっておるわけでございます。国会におきまして法律を制定して、地方団体の長が公選によって選ばれる、その選ばれた長が教育委員会委員を、議会の承認を求めて決定をする、この教育委員会教頭をきめる、こういうような筋道を立てておるわけでございまして、それを、組合の推薦に基づくとか、あるいは組合が議決をするとか、あるいは組合と言わぬ場合には職員会議というとか、というようなことでございまして、そういうようなところは一体どこから出てきたのであろうか、どこにもないのであります。法的な根拠は何もなくて、そんなことを一方的に宣言をしておられるわけであります。これが憲法を無視する行動ではないか、私はこう考えておるところでございます。あくまでも憲法の筋道に従って行動してもらわなければならない。ことに組合は、地方公務員法に基づいて組合をつくることが認められているわけでございますが、それは法律に明らかに書いてありますように、勤務条件の維持、改善をはかることを目的とするわけでございます。勤務条件と何ら関係のないことにつきまして、ことさらに組合の名において行動されるということは法を逸脱しているものではなかろうか、私はこういう疑問を持ち続けているものでございます。お互いに、みんなが謙虚におのれを反省しながら努力を続けていく体制をつくり上げていきたいものだなあと、かように念願をしておるところでございます。
  17. 岩間英太郎

    岩間政府委員 先般深谷先生からも御指摘がございまして、またただいま先生からも御指摘があったわけでございますが、私ども、東京都の教育委員会を通じまして、その実情をただいま調べているところでございます。ただ、いままで提出されました教育委員会教頭選考に関する要項というのがございまして、その中を見ますと、教頭候補の第一次選考は、「本人の実績と筆答成績とをもとにして決定をする。実績は、教職員の信頼、校長意見、地教委所見の三者を資料として、都教委がきめる。」ここに「教職員の信頼」ということばが出ているわけでございますが、その具体的な内容としましては、「ア」として、「校長は自校の受験者について選考資料を作成する。校長が選考資料を作成する場合は、所属職員の意見を十分に聞き、その結果を記載する。」ということが書いてございます。これがこの「教職員の信頼」というふうな点の具体的な決定のしかただというふうに考えるわけでございまして、ただいま先生が御指摘になりましたように、教職員会議議決機関としてそういうものをきめて、それを、ことばは悪うございますが、校長に押しつけると申しますか、そういうふうなことはこの文章からはうかがい得ないことでございます。そういう意味から申しますと、そういうふうな実態がございました場合には、その都できめました規定にも反するということが指摘できるのじゃないかというふうに考える次第でございます。
  18. 山崎拓

    山崎(拓)委員 確かに形の上では教育委員会が任命するという形をとっておると感ずるのです。しかしながら、実態的には校長が所属職員の意見を徴してきめる、あるいは仲間の信頼度が一つの大きな要素になるということは、ことばの上では確かに大切なことでございますが、しかし、ただいま申し上げましたように、実態的にはやはり組合の信任がなければ教頭選任しないぞということにつながっておる、私どもはそういうふうに教育現場の人から聞いておるわけであります。そうなりますと、やはり組合員の覚えがめでたくなければ教頭になれない、こういうことになってくるわけでございまして、管理運営に専念する気持ち、あるいは、教頭になる以前の問題ではありますけれども、教師として児童教育に愛情を燃やして、情熱を燃やして打ち込むということよりも、組合の人気取りに奔走しなければならない、あるいは不当な組合活動に引きずられていかなければならない、そういうことに現実にはつながっておる、私はこういうことを聞いておるわけでございます。したがって、文部省におかれましても十分この実態を調査せられまして、しかるべき行政指導東京都の教育委員会にされますように要望を申し上げたいと思います。この点について初中局長、いかがでございますか。
  19. 岩間英太郎

    岩間政府委員 ただいま調査を続行中でございまして、ただいま先生が御指摘になりましたことはまことにごもっともでございますから、そういうふうに指導してまいるということにいたしたいと考えおります。
  20. 山崎拓

    山崎(拓)委員 この職員会議の問題で、私の選挙区は福岡でございますが、福岡で最近PTAその他の方から非常に強い疑問や批判が出ている点があります。それは東京その他の地区においても同じようなことが行なわれているということを聞いておりますが、日の丸、君が代の反対闘争であります。日の丸や君が代を一切教育現場に持ち込んではならないということを各学校職員会議で決議をいたしまして、校長先生がいろいろな学校行事を行なう際に、国旗を掲揚したり君が代を歌ったり、そういう方針を打ち出しましても、これを拒否して実行に移させない、こういうことがしばしば行なわれておるわけでございます。このような日の丸、君が代の問題は、これは校長管理運営権限に属さないのかどうか。その点について初中局長いかがですか。
  21. 岩間英太郎

    岩間政府委員 校長校務につきましての全体の責任を持っておるわけでございます。最終的な決定と申しますのは、これは校長が行なう。もちろんその過程におきまして教職員意見を聞くということはありましても、最後の決定は校長が行なうということは当然でございます。  ただいまの国旗、国歌の問題、これにつきましては、文部省におきましても、祝日等におきましては国旗を掲げ、国歌を斉唱するということが望ましいというふうな指導をいたしておるところでございまして、それに基づいて校長が祝日その他学校行事等におきまして国旗を掲げ、国歌を斉唱させるということは、何ら差しつかえないことでございます。
  22. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私は、選挙区で、選挙区の校長会の皆さんあるいは教頭会の皆さんとしばしば懇談するわけでございますが、その際、自分たちは日本人である以上国旗を掲揚し、君が代を歌うということが非常に大切なことであると考えておる、これはぜひ教育の分野で自然に愛国心を養うという趣旨でやっていく必要があると考えておるけれども、しかしながら、組合の強い抵抗にあって、非常にそれを実施することがむずかしい実情になっておる、こういうふうに話しておられるわけであります。  加えて、文部省の出しておる学習指導要領の中で、「国民の祝日などにおいて儀式などを行なう場合には、」「国旗を掲揚し、「君が代」を斉唱させることが望ましい。」こういうふうになっておるものだから、したがって、これは「望ましい」となっておるだけであって、やれ、国旗を掲揚し、君が代を斉唱させるべきだ、こうなってないので、文部省学習指導要領自体が非常に弱いのではないか、こういう指摘をしておるわけでございます。少なくとも日本国民たる以上は、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するということは、これはあたりまえのことでございますが、学習指導要領がどうしてこういうことになっておるのか、その点について大臣いかがでございますか。
  23. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 敗戦の当初は、占領軍から国旗の掲揚、国歌の斉唱は許されませんでした。独立いたしましてからはもちろんそういうことは自由にふるまえるわけでございますけれども、そういう過程を経てきているものですから、学習指導要領も御指摘のような形になっていると思います。将来、こういう問題につきましても、適当な機関にもう一ぺん検討していただきまして、明確な方針を明らかにするほうが適当ではなかろうか、私もかようにも考えるわけでございます。学習指導要領全体のあり方につきまして、適当な機会に適当な機関にはかる必要があろうか、かように思います。
  24. 山崎拓

    山崎(拓)委員 日教組は、民主教育、平和教育の名において、君が代、日の丸反対闘争をやっておるわけでございます。今日の日本の社会の非常な大きな混乱、物価高、もちろん政治の責任があることを率直にわれわれは認めなければなりません。しかしながら、買い占め、売り惜しみあるいは買いだめに狂奔する国民の姿を見ておりますときに、もちろん政治姿勢あるいは政策の転換もはからなければならないけれども、戦後の教育のひずみがまさに集中的にあらわれてきておるのを感ぜざるを得ないわけであります。日教組は、いわゆる平和教育の名のもとに、国家主義を排するというようなことを言っておるわけであります。しかし、国を愛さない、みずからの利益よりも公の利益を優先して考えさせる精神というものを日教組教育の中で排してきた以上は、私はその罪はやはり戦後の教育の中にもあるということを痛感するわけなんです。その点、文部大臣いかがですか。
  25. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 ちょっと正確に理解しがたかった点がございますので、事務当局から答えさせていただきましてから御返事させていただきます。
  26. 山崎拓

    山崎(拓)委員 日教組が、平和教育の名のもとに日の丸、君が代の反対闘争をやってきたわけでありますが、今日一斉に吹き出しておる日本の国民精神の退廃状況、すなわち私益のみを追求して公益を重んじない、そういうあり方というものが、やはり日教組教育、すなわち国家とか公とか、そういった問題をむしろ否定して、個人主義、個人の利益や欲望の追求のみをあたかも鼓吹するような教育内容になってしまっておったというこの現状が、もちろん今日の政治責任や政策の誤りもありましょうけれども、一つの大きな要因になっておるということを私は感ずるのでございますが、その点について、戦後の教育あり方について、文部大臣の御所見をお伺いしたかったわけであります。
  27. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 たいへん恐縮でございました。  御指摘のとおりに私も考えておるわけでございまして、戦前の教育の反省の上に立って戦後の教育が行なわれてきた。戦前の教育の反省の上に立ってということになりますと、超国家主義の教育が行なわれておった、その反省の上に立って戦後の教育が行なわれてきた、こう考えるわけでございます。そういう戦後の教育をどういうことばで表現するかはいろいろ議論があると思いますけれども、ある意味においては超個人主義の教育、こう申し上げてもいいのじゃないか。私は、これからは過去三十年近い超個人主義の教育の反省の上に立って新しい教育を編み出していかなければならない、こんなことを言うておる人間でございます。やはり戦前の教育の反省の上に立ちまして、個人の充実が大切だと強調されてまいったと思います。それはもちろんそのとおりだと思うのでございますけれども、個人は社会の中にあっての個人でございますので、社会全体が充実しなければ個人も充実しない。にもかかわらず、国家とか社会とかという問題に触れることをことさら避けてきた。そして個人の充実を説いてきた。個人の充実が、そういうことでありますので自然利己主義に走ってきたというようなきらいが多分にあった。したがってまた、国家社会に関するようなこと、国旗でありますとか国歌でありますとかというようなことをことさらにないがしろにしてきた。こんなことが言えるのじゃないか、私はかように考えるわけでございます。  一昨年の五月に沖繩が日本に復帰しました。それを記念いたしまして体育大会が沖繩で持たれたわけでございます。私も沖繩に参ったわけでございましたが、そのときに、沖繩の教職員組合の方々が、競技の開催されます各市町村に対しまして、国旗の掲揚反対ですよ、国歌の斉唱反対ですよ、そういうことをされる市町村には競技の運営協力しませんよと、こんな申し入れをされたわけでございまして、日本が独立を回復した当時の前後とよく似ているんじゃないだろうかという感じも持ったわけでございまして、その後に沖繩の県会議員の方々、各党派を網羅して東京に来られました。私はこの話を持ち出しまして、この話を聞いたときに私には沖繩の皆さん方が日本人になるのはいやだと言っておられるように聞こえましたよ、こんなことを申し上げたわけでございまして、そうしましたら、帰りがけに二、三の方々が、たいへんよいことを言うてくれましたと言われた県会議員の方もいらっしゃいました。やはり超国家主義の教育の反省の上に立つことは必要だけれども、また、そのことが逆に国家、社会を忘れてもいけないという反省をいま私たちは持たなければいけないのじゃないだろうか、かように考えているわけでございます。日教組皆さん方につきましても、いま申し上げましたような気持ちをひとつ反省していただきたい、かような念願をするものでございます。
  28. 山崎拓

    山崎(拓)委員 この問題は、もちろん学校行事の中で国旗を掲揚したり君が代を歌ったりするわけでございますが、やはり基本的な校長教育方針に基づいて行なわれるものである、かように私は考えておるわけであります。校長学校経営というのは、都道府県の管理運営規則によって行なわれるわけでありますが、この管理運営規則によって行なわれる校長の決定事項の中に教育方針というのは含まれておりますか。初中局長、いかがですか。
  29. 岩間英太郎

    岩間政府委員 教育課程について申しますと、教育課程の基準は、学習指導要領という形で文部大臣が定めるわけでございます。それに基づきまして、各教育委員会におきまして教育課程のさらにこまかい編成の方針をきめまして、具体的な教育課程というものは、これは学校できめる、つまり校長がきめるということになるわけでございますから、当然含まれるというふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
  30. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ところが、日教組の主張によると、教育課程自主編成権教員が持っておるんだ、こういう主張をいたしております。学校教育法の中に、教諭は教育をつかさどる、こういう明確な規定があって、その前段の校長は所属職員を監督するということにはなっておるけれども、教育をつかさどるということにはなってないのだから、校長教育の中身に入ってくるということは、これは法律違反である、こういう主張を日教組がやっておることは御承知のとおりであります。この点について、文部省の見解をお聞きしたいと思います。
  31. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日教組のほうで、教育課程自主編成権ということをたいへんこのごろ強調しておられるようでございます。私も、その理屈がよくわからないのでございます。よくわからないのですが、どうもこういう気持ちで言うておられるのではないかなと推測をいたしております。教育権は国民にあるのだ、それはよくわかるのでございますけれども、その次に、その国民教育権を教師が信託されているのだ、ここになりますとさっぱりわからないのであります。一体どういう過程を経て教師が信託を受けたのだろうか、何もございません。あるいは教師集団が信託を受けている、これもまたどうしてそういう過程になったのかさっぱりわからないわけでございます。先ほどちょっと触れましたけれども、国民主権というものについての正しい理解がないんじゃないだろうか、議会制民主政治というものをわきまえておられないんじゃないだろうかという疑問を持つわけでございます。あくまでも議会制民主政治のもとにある国民主権でございます。国民考え方、これは正当に選挙された代表者がいろいろな方針をきめていくわけでございます。学校教育法という法律をつくっているわけでございまして、この学校教育法の中で、教育課程は監督庁がこれをきめるのだ。この規定を受けまして学習指導要領が定められる。この学習指導要領を受けて学校教育過程をさらに具体的につくり上げていくということでございまして、別に教師が信託を受けているとか教師集団が信託を受けているとかいうような根拠はどこにもないわけでございます。教育課程自主編成権ということを盛んに強調されているようでございますけれども、その論理がどこからきているのやら私にはさっぱりわからない。推測すれば私がさきに申し上げたようなことじゃないか、かように思うわけでございます。それは全く憲法というものを無視したものの考え方だということに結論づけざるを得ないのじゃないだろうか、かように考えているところでございます。
  32. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私も同じ意見を持っておるわけでございますが、日教組の言うところの、教育権は国民にありということは私も同感でございます。しかし、教育権は国民にありということは、国民が直接一人一人の教師教育権をゆだねたということではないのでありまして、やはり国民の代表たる国会において教育の方針というのは出されてしかるべきであるし、それを受けて文部省教育の大綱を決定すべきである、私はこのような私見を持っておるわけであります。  ただいま申し上げましたように、学校教育法の中で、校長は所属職員を監督するという規定がございます。ところが、今回の学校教育法の一部を改正する法律案を見ますと、「教頭は、校長を助け、校務を整理し、及び児童の教育をつかさどる。」こうなっております。そういたしますと、この校務を整理するという概念の中に、はたして教頭が所属職員を監督する権限が含まれていると考えていいのか、その点について文部省の解釈を聞きたいと思います。
  33. 岩間英太郎

    岩間政府委員 教頭校長を助けるわけでございますから、その限りにおきまして校長からの委任によりまして所属職員を監督するということは当然あり得るわけでございます。校務を整理するということばは、これはほかの行政の機関でございますと、たとえば事務次官などが省務を整理するというふうなことばを使っておりますけれども、やはり次官でございますと、大臣と省員の間に立ちましていろいろ調整をするというふうな職務が大事な職務じゃないかと思いますが、整理すると申しますのは、その組織全体を円滑に運営をしていくと申しますか、そういう役割りを果たしていく、俗なことばで申しますと、女房役というふうなことばも使われておりますけれども、そういう感じことばであろうというふうに考えるわけでございます。
  34. 山崎拓

    山崎(拓)委員 初中局長は、先般の国会でも同じような御答弁をいただいたわけでございますが、この管理という概念でございますが、管理職というのは、管理もしくは監督という権限を持った者を管理職というのだという一般的な解釈があるわけでございますが、「校長を助け」と、こうなっておりますから、確かにただいまのお話のように、次官が大臣を補佐すると同じような意味校長管理権限というものをそっくり受け継ぐのだ、こういうお話であろうかと思うのであります。しかし私は、やはりこの教頭の職務権限の中に、一般職員を管理監督するということを明確にしたほうがいいのではないかという気持ちを持つわけでございますが、その点いかがですか。
  35. 岩間英太郎

    岩間政府委員 監督の権限と申しますのは、これはたえば文部省でございますと、文部大臣お一人にあるわけでございまして、あくまでも次官は大臣をお助けして職員を監督する、そういうふうな性質のものであろうというふうに考えるわけでございます。前に、これは明治の初めのころにつくられました尋常師範学校官制というふうなものがございまして、そこに教頭の規定がございますが、その規定には若干そういうふうな感じことばがあったように思いますけれども、したがいまして、先生のおことばが間違っている、あるいはそういうふうな規定をしてはいけないというふうなことでは決してございませんけれども、やはり監督管理の最終責任者でございます校長が、あくまでもお一人でそういう権限を持っておられるということを明らかにしたほうがよろしいのじゃないかということで、教頭の場合には「校長を助け」というふうな表現で、そういう問題をあらわすというふうにいたしているわけでございます。
  36. 山崎拓

    山崎(拓)委員 前回の質疑とダブってまいりますけれども、教頭管理権限につきましては、昭和三十二年の学校教育法施行規則の一部改正によって、第二十二条の二の第三項において、「教頭は、校長を助け、校務を整理する。」ということが規定せられまして、充て職ではありますけれども、一応教頭の立場というのがかなり明確にされておるわけであります。今回の改正で、校長に事故あるときはその職務を代理し、校長が復帰したときはその職務を行なうこととすることということが、ここに加えられておるわけでございます。この点が従来と最も違った点ではないかと思うのでありますが、これは実態に即してこのような明確な打ち出し方をする必要があってなさるものと思うわけでございますが、その点いかがですか。
  37. 岩間英太郎

    岩間政府委員 全く御指摘のとおりでございます。ただ、補足して御説明申し上げますと、現在の規定は、これはいわば職務命令のようなものでございますので、現実問題としましては、御指摘のように、校長の代理をするというふうなことも事実上の問題としてはあるわけでございますけれども、しかしながら、これは法的に見ますと、校長に嘱しておる権限を代理をするということはできないというふうに解釈するのが、現行法の解釈であろうというふうに考えるわけでございます。校長に事故がありましたり、あるいは校長が欠けておりましたりいたしました場合に、校長の権限でございますたとえば入学でございますとか、転学でございますとか、退学でございますとか、そういうものをかりに許可をいたしましても、それは法的な効力を持たないというふうなことになるわけでございます。その点が現在の規定ではまことに不備でございます。そういう意味でここに法律提出いたしまして、その正式の代理の権限というものを明らかにしようというのが、今回の改正の一つのねらいでございます。
  38. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいまのお話のように、この点が一番大事な点ではないかと思うのですが、現在は、校長が不在になりました場合には、市町村教委において教頭校長代理に任命しなければ、その職務権限を代行できないという実情になっておりますね。しかしながら、長期に校長が欠ける場合におきましては、そのような措置が行なわれるわけでございますが、短期間たまたま校長が不在になりますときに、教頭がその職務を代行する、せざるを得ないわけでございますが、しかしやりましても、ただいまのお話のように法律的な裏づけがないということで、非常に弱い立場になっておる、そのことが教育現場の混乱をもたらしておるという例があるようであります。そういうことで、私はこの点は非常に大切な点である、このように考えておるわけであります。  さらに、中間管理層をどうするかという問題もあわせてあるわけでございますが、本改正案の中には、その点は全く触れられてないわけでありまして、やはり将来的には学年主任教務主任等等、管理体制というものはもう少し明確に機動的にやっていかなければならない、こう思うのでありますが、将来に対する考え方はいかがですか。
  39. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先ほど来お話しになっているような構成を学校によってはとっているところもたくさんあるようでございます。やはりそれぞれの責任を明確にして協力し合う体制を確立すること、まことに重要なことだと考えるわけでございます。しかし現在は、教頭職につきましても法制化ができていない段階でございますので、教頭職の法制化をまず達成させていただきまして、さらに多くの方々の御意見に従いまして、どのような方法をとることがよいか、よい方法を探っていきたい、求めていきたい、こう思っているところでございます。
  40. 山崎拓

    山崎(拓)委員 教頭は、先ほど申し上げました学校教育法施行規則の改正あるいは昭和三十五年以来の管理職手当の支給、また昭和四十一年のILO第八十七号条約批准に伴うILO体制に入ったことによりまして人事院規則の改正が行なわれた等、教頭管理職としての位置づけというのは明確になってきておるわけでございますが、先般の国会で私が質問をいたしましたときに、教頭の地位にありながら組合に入っている者はいないという初中局長の御答弁でございました。しかし、いろいろ聞いてみますと、形の上では組合員ということにはなっていないけれども、実際は組合活動をやっている者あるいは組合費を払っておる者、そういった実態的に組合員である者が教頭の中にいるということを聞いておるわけでございますが、これは非常におかしいことであると思うのでありますが、いかがでございますか。
  41. 岩間英太郎

    岩間政府委員 先般お答え申し上げましたのは、ちょっと記憶が不確かでございますけれども、職員団体の中に管理職の者が入った場合には、それは法律で保護される職員団体にはならない、そういう意味職員団体には管理職が入るはずがないというふうなことを申し上げたように記憶をいたしているわけでございまして、一般教員職員団体の中に管理職である者が入った場合には、それは法律で保護する職員団体にはならない。もし管理職の方が職員団体に入りたいと考えられるなら、管理職の方だけの職員団体をおつくりになるということは、これは一つの行き方じゃないか。何か東京都ではそういうふうなことがあるというふうなことも伺っておりますけれども、そういう性質のものでございまして、一般教員で組織いたします職員団体の中にそういう者が入る、あるいは俸給の一部を寄付するかどうかわかりませんけれども、そういう形でそういうものを援助するということは、これは避けなければならないことは仰せのとおりであろうというふうに考えるわけでございます。
  42. 山崎拓

    山崎(拓)委員 そのとおりでありまして、管理職の職員団体に入ればいいんですが、しかし、そうではなくして日教組に入っておる、実態的には入っておるという教頭先生がなお存在する事実があるということを聞いておるわけでございまして、それではこの職員団体として、ただいま言われましたように、法律の保護を受けることはできないはずでございますから、この点について十分御調査をいただきたい、このように考える次第であります。  そこで、教頭は児童生徒の教育をつかさどるということが書かれておるわけでございますが、実際教頭先生は教べんをとっておられるわけであります。先般の国会でもこの点の質疑が行なわれましたけれども、やはり教頭職の法制化をやる以上は、教頭先生学校管理運営に専念できるような体制を極力とる必要がある。もちろん教頭先生もある程度の授業を持ってこれを教えるということは、やはり所属職員の指導と申しますか、リーダーとしての常に新鮮な感覚を持ち続けるという意味で必要なことであると思いますけれども、やはり重点は教頭の職務に移さないと、今日のように十時間以上も教べんをとっておるというような実態では非常におろそかになるのではないかと思います。その点いかがですか。
  43. 岩間英太郎

    岩間政府委員 ただいま御指摘のとおり教頭先生が授業を持たれるという例が多いわけでございます。現在、義務教育学校は三万五千もございまして、その規模もまちまちでございます。一定規模以上の学校におきましては、ただいま御指摘のとおり教頭先生が企画、管理教員指導、そういうふうないわゆる管理の事務に専念をしていただくということは望ましいことでございますが、現実問題としまして非常に規模の小さい学校等がございまして、そういう学校にもやはり教頭先生が置かれているということが実態でございます。そういう場合には、現在の教職員定数の配置がまだ十分でないという面もございますけれども、現実に数少ない先生の中で、あるいは事故があったりあるいは研修に出かけられたりというふうな場合に、やはり教頭先生がそのかわりをしていただくというふうな実態もございまして、またある意味ではそれが望ましいこともあろうかというふうなことを考えているわけでございまして、ただいまおっしゃいましたことは、原則としましては私どもそのとおりであると考えますが、個々具体的になりました場合には、やはり教育を担当していただくというような実態がある、またそういうことが実態に即しておるというふうなことで、この際規定を入れさしていただきたいという次第でございます。
  44. 山崎拓

    山崎(拓)委員 実態に即しておるから入れられたということでございますが、この実態をやはりぜひ改善をしなければならないときが来ていると思うのです。たとえば、これは現場教頭先生から聞いたことでございますが、しょっちゅう教育委員会から授業中に電話がかかってくる、そうしますと授業をやめて一々電話に応対をしなければならぬというようなことでございまして、そのような場合にはむしろ校長にかわりに電話に出てもらって、校長教頭の職務を助けるというようなことすら起こっておる、こういうことは非常にまずいんではないかという現場先生お話もございます。  また、市教委が教頭を発令しておるようでありますが、大体その学校の教諭のそれぞれの専攻のバランスを考え教頭先生の配置をやってくれておるけれども、それでもまだ、いま言ったような配置でございますから、専攻がダブる場合が起こっておる。そうしますと、自分の専攻でないものを教頭が教えなければならぬ。全体の定数の関係でそうなるのでありましょうが、そういう弊害もあるように聞いておるわけであります。こういう点はぜひ改善をしなければならないと思いますが、いかが考えられますか。
  45. 岩間英太郎

    岩間政府委員 御指摘のとおり、人事の配置が適切に行なわれるということが教育効果をあげる上では私は一番大事なことだというふうに考えているわけでございます。そういう意味から申しまして、ただいま御指摘になりましたような点につきましては、このたび定数の改善の法律案提出いたしまして御審議を願うということにしておるわけでございますけれども、その点はやはり定数の改善とかいうものと相まって、先生が御指摘になりましたような方向で進んでいくということが望ましいことは言うまでもないことでございます。特に、ただいま御指摘になりましたような不都合なことが起こらないように、やはりこれは人事管理運営上十分気をつけていかなければならない。具体的な問題は都道府県の教育委員会あたりで十分考えていただくということであろうと思いますから、そういう点につきましては、機会を見まして私どものほうも十分指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 山崎拓

    山崎(拓)委員 この法律案が通りますと、いままで市教委の発令であった教頭が県教委の教頭職としての任命になると思いますが、その場合にはなお一そうこの問題が大きくなると思うのでございまして、やはり学校の実情を十分配慮した任命というのは非常にやりにくくなると私は考えるのでありますが、その点を十分考慮願って、今後この法律成立をいたしましたときには、それに対する適切な措置を講ずるように積極的に取り組んでいただきたいということを要望申し上げておく次第であります。  最後に、この教頭の待遇の問題でございます。  前国会におきます質疑の際に、文部大臣から、地方の小さい学校校長先生よりも都市の大きな学校教頭先生の給与が高いということはあってしかるべきだ、こういうお話があったわけであります。もちろんそれぞれの先生方の職務内容あるいは責任の軽重等によって給与が決定されるということは当然のことでございますが、今日、教頭先生の待遇というのは、数県において一等級の俸給をもらっておりますが、大多数の県においては二等級ということになっておるわけであります。校長先生はこれすべて一等級でありますことは御案内のとおりであります。  そこで、この教頭職の地位の法制化ができます機会に、もちろん教頭になられた方でも一番若い経験のない方をいきなり一等級にするというのは問題があると思いますけれども、一定の熟練の期間を配慮して教頭先生の待遇は一等級にすべきではないか、かように考えるわけですが、大臣いかがですか。
  47. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 全く同感でございまして、適当な機会を得次第、そのような指導方針を通達したい、かように考えているところでございます。少なくとも教頭になられて相当の年数を経過しているとか、大きな規模の学校教頭さんでありますとかという方々につきましては一等級に格づけをしてもらいたい、かように考えているところでございます。
  48. 山崎拓

    山崎(拓)委員 時間が参りましたので、最後に文部大臣にお伺いしたいのですが、この教頭職の法制化をめぐって、あるいは常日ごろ日教組が主張いたしておりますことは、教育の民主化ということであります。この教頭職の法制化というのは学校管理運営の強化である、非常に文部省の強権的なやり方であるということを言っておるわけであります。さすれば、学校先生の中には、大学を出たばかりの方もおりますし、非常に古い、教育上の経験はもちろん、人生の経験もあるいは社会的な体験も十分積んだ先生もおられるわけであります。それらの先生方学校経営管理運営を、あるいは教育の方針等を決定する際に、職員会議を中心といたしまして、全く対等、平等の形で、いわば多数決によってきめていくということが妥当なのであるか、これがほんとうの平等というものであるか、私は非常に疑問に感ずるわけでございまして、日教組の組織そのものはきわめて権力的な組織でありますけれども、そういう硬直化した組織を持つ日教組の主張が、常に民主化だ民主化だということはまことに奇異に感ずるわけでございますが、そのような指摘日教組がしておるわけでございまして、あくまでも民主的に、あらゆる先生が平等な形で発言をしてものごとをきめていく、しかも教育の権利というものは、教育権というものは学校先生一人一人に存在するのである、こういうような主張で教頭職の法制化をはじめ、いわゆる管理運営上のいろいろな改善措置についてはまっこうから反対しておる現状であります。この点について私どもはもちろん反対でありますが、文部大臣、最後に、このような日教組の主張に対してどのようにお考えになっているかお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  49. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 学校職場におきましても、それぞれの職務分担、これを明確にいたしまして、そしてお互いが協力をし合って教育の効果をあげていく、それに対して最善の努力を尽くしていかなければならない、かように考えているところでございまして、組合のほうで民主化といわれておる、その民主化の内容がよくわからないのですけれども、私は、いま申し上げましたようなことがほんとうの民主化の実をあげていくことではなかろうか、こう考えているわけでございます。どうも組合管理権を持ちたい、みんなが組合の言うとおりになっていけば民主化が達成されるのだという誤解があるのではないだろうか。組合幹部の言いなりになれば民主化だ、私はそうは思いません。どうも言うておられるところを見ますと、組合幹部の言いなりに学校現場を持っていきたいということが民主化と心得ておられるのじゃないか、かように考えるわけでございます。やはり現場に勤務されている方々の職務分担を明確にする、言いかえれば学校管理秩序立ったものにするということではなかろうか、かように考えるわけでございます。あくまでも行政の組織に従いまして、みんなが力を尽くし合うようにしていかなければならない。尽くし合えるような管理にしていかなければならない。それはやはり校長さんなり教頭さんなりそれぞれがその任務を適確に達成していくことによりまして、それぞれの先生方がその職務を守って最大限の力を発揮していくことができるようになるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。組合活動を一生懸命やっておれば組合に認められて、そうして重要視されていくんだということであってもいけないな、かように考えるわけでございます。あくまでも組合は勤務条件の維持改善をはかるためにお互いに団結をすることが許されているのだ、それ以外に組合というものが教育を自分たちの自由に運んでいくんだというようなことをお考えにならないように自覚してもらいたいものだな、かように念願をしているところでございます。
  50. 山崎拓

    山崎(拓)委員 どうもありがとうございました。(拍手)
  51. 稻葉修

    稻葉委員長 楢橋進君。
  52. 楢橋進

    ○楢橋委員 私は昨年末の補欠選挙で福岡県から選出された議員であります。私の選挙戦の最中に、社会党の高教組委員長が立候補されまして選挙戦を戦ったわけでございますが、選挙戦の後半になりましてから、いわゆる学校先生方が年休をとられまして選挙運動をされたわけでございます。年休ではございますが、革命休暇と称せられまして運動されました。その間、一日約延べ三万人から十三万人の生徒が放置されたのでございます。私は、年休をとられましたから、そのことにつきましてはとやかく申しませんが、私はこのことから教育問題につきまして非常に関心を持ったのでございます。  選挙が終わりまして、私の地元で若干調査をいたしましたところ、学校教頭が二人いるという学校があるわけでございます。片方はいわゆる教育委員会校長さんから任命された教頭と、もう一つ組合から選ばれた教頭と、そういう二頭立ての教頭がいるということを聞きまして、私は非常にびっくりしたのであります。私のこの短い期間で、またきわめて小さな地域におきまして、そういった学校が二校あるということを発見したわけでございます。したがいまして、私はこういったことが日本各地で行なわれているのではないかという非常な危惧を持つものでございます。したがいまして、学校を監督、指導されております文部省は、そういった実態について、何校ぐらいあるかということを調査されておられるのでございましたらば、私は参考までにお伺いしたいと思います。
  53. 岩間英太郎

    岩間政府委員 公立の小・中学校におきまして教頭を二人以上置いている学校は、小学校におきましては二人が百五十一校、三人が十六校、四人が十校でございます。それから中学校では二人が百六十三校、三人が二十八校、四人が二十校、そういう状態でございますが、これは正式に発令をされているものでございまして、ただいま御指摘になりましたようなことの実態につきましては、私ども十分承知いたしておりません。
  54. 楢橋進

    ○楢橋委員 もう一問お伺いしたいのでございますが、全国で先生方が約九十万人余りおいでになると聞いております。そして日教組組合員の方は約四五%ぐらいだと聞いております。私の郷里におきましても、日教組あり方というものにつきましては、先生方でも非常な批判が起こってまいりまして、いわゆる教育の中立化と、そして先生方の政党支持の自由、また生徒の学習権の復活といったようなことを掲げられまして運動が最近行なわれてまいりました。その残りの五五%の先生方が非常に無気力になっているということを聞いております。どうしてそういうことになったかといいますと、ストを行なっても処分が行なわれない、したがってストのやり得だというような感じがあるわけでございます。したがって、ではどうしてそういうことになるのだ、違法行為があれば処分されるのが当然ではないかという非常に単純な質問をしたいわけでございますが、教育委員会が決定をして地教委が県教委のほうに持っていかなければそういった処分は行なわれない。的には市町村ではそういった処分を教育委員会が上に持っていくという事例が非常に少なくなっていると聞いております。したがいまして、そういった違法ストを行なった先生方を処分するということが私は必要であると思うのでございます。したがいまして、そういった意味から決然として処分を行なうというようないわゆるシステムといいますか法律といいますか、そういったものを今後当局としては考えておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  55. 岩間英太郎

    岩間政府委員 ただいま御指摘ございましたストの処分状況でございますが、四十八年四月二十七日に行なわれましたストの処分は、先生も御案内のとおり、福岡県を最初にいたしまして、現在のところ二十五県、人数にいたしまして五万三千八百人の処分が行なわれているわけでございます。私ども、違法行為を行ないました者に対する処分につきましては、今後とも厳重に法律が守られるようにしていきたいと考えておるわけでございます。現在処分の根拠になっております法規は、地方公務員法の三十七条というものがございまして、それから教員につきましては、教育公務員特例法におきまして、政治活動の禁止については国立学校教員の例によるというふうな規定もあるわけでございまして、先ほど先生が例を示されましたような、かりに年休をとりまして政治活動を行なう、特定の候補者の選挙を行なうというふうなことは、現在、法令上禁止をされておるというふうなものでございます。そういうものにつきましては今後とも厳重な処分をするというふうな方向でいっていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  56. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教育公務員につきましては、教育基本法の中に、特に学校は政治活動をしてはならないと、こう規定されておるところから顧みましても、政治活動につきましてはみずからを規制していかなければならない職種だと、かように考えておるわけでございます。裁判官でありますとか、自衛官でありますとかあるいは教育公務員とかといった方々が政治活動に興味を持たれますと、私は、非常に世の中がゆがめられていくおそれが多分にあるのじゃないか、かように考えますだけに、特に教育公務員みずからが反省、自覚を強く持ってもらわなければならない、かように考えおります。それだけにまた、その秩序を破った場合にはそれなりにきびしく処分されなければならない、かように考えておるわけでございまして、不幸なことでございますが、昨年の春にかなり多くの方々が半日ストライキに参加された。これに対しましては、従来と違いまして、多くの教育委員会がかなりきびしい態度をもって処分をしていただいたわけでございまして、いま初中局長から御報告申し上げたとおりでございます。今後といえども、そのような姿勢をさらに一そう強めていきたい、かように考えているわけでございまして、教育長さんの会合でこの問題を討議いたしましたときに、やはり各府県がお互いに処分ということについては手をつないで努力しなければ教育界の秩序を確立することはできないということ、皆さんたちの間からそういうことばが出たわけでございまして、私はたいへんその際には意を強うさせていただいたわけでございまして、今後とも不断の努力を続けることによって、より一そう教育公務員の自覚を強めていくこともできるのじゃないだろうか、かように考えておるものでございます。
  57. 楢橋進

    ○楢橋委員 どうもありがとうございました。
  58. 稻葉修

    稻葉委員長 次回は、来たる二十二日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会