○安
嶋政府委員 最初に
浪速医科大学の問題でございますが、これは御
承知と思いますが、
文部省が
認可をいたさなかったわけでございます。したがいまして、これにつきましては格別な事後の
指導はいたしておりません。
それから
松本歯科大学につきましては、御
承知のとおり
認可をいたしたわけでございますが、その後
検察当局の捜査によりまして、約三十億あると申しておりました
松本歯科大学の資産が
検察当局の
調査ではゼロであったということでございますが、
松本歯科大学側の主張では約五、六億円はあったのだということでございまして、この点が
一つの争点でございますが、いずれにいたしましても、三十億と称しておりました資産がゼロないし五億であったということでございまして、そうした点から、昨年の三月二十七日に東京地検が常務
理事の矢ケ崎、帆足の両名を公正証書原本不実記載、同行使ということで起訴いたしまして、現在東京地裁で公判中でございます。その後、
文部省は
学校関係者を呼びまして、
事情を聴取し、事実関係の解明につとめてきたわけでございますが、昨年のこの両名の起訴以後、この両名を含めまして設立準備委員であった
理事長ら五人の
辞任を
大学が決定をいたしております。これは
文部省からも強い
指導を行なった結果でございますが、役員が責任を明らかにして
辞任をしたということでございます。
それから、その後財政状況について報告を徴しておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、当初の設立
資金が大
部分あるいは全部いわゆる見せ金であったということでございますから、この
大学の財政の基盤はきわめて薄弱なわけでございます。しかしながら、諸般の
事情を考慮いたしまして
認可の取り消し等の
措置に出なかったわけでございまして、むしろこれが再建をはかるという
方向で
指導を続けてまいっておるのでございます。そこで、この設立に関連する
資金の不足は、これは
先ほど御
指摘がございましたような
正規の
学生納付金で充足するというほか、
入学の
条件とならないような
寄付金の一般的な募集というようなことで今後長期間にわたって充足をしていくほかはないというふうに
考えております。そうした
方向で法人の財政の再建を
指導いたしておるわけでございます。
なお
入学定員につきましても、
入学の実員にいたしましても定員に比してかなり多いわけでございまして、こうした点の是正についても厳重に
指導をいたしておるところでございます。
なお後任の
理事といたしましては、
社会的に信頼度の高い方々を充足するように
指導もいたしておる次第でございます。
次に
福岡歯科大学でございますが、これは昨年の七月二十七日付で
認可をいたしたわけでございます。設置費は約二十七億五千万円でございまして、この財源は主として個人からの
寄付金ということでございました。
文部省は、この審査にあたりましては、大口寄付者のほか、同窓会関係の小口寄付者につきましても面接の上、寄付の動機等につきまして説明を求め、その寄付が真正なものであるという
判断のもとにこの
大学を
認可したわけでございます。ところがその後、この法人の設立に関しまして
大学設置審議会の委員の桐野忠大が
福岡地検から収賄罪で起訴される、また
理事の七熊、大城、評議員の笠原の三名が贈賄罪で起訴されるというようなことがございまして、これが現在公判中ということでございます。それからなおこのほかに、設置費として二十七億五千万円余でございますが、その資産があるということで
申請をし、
文部省もこれも真実のものと認めて登記をしたわけでございますが、その後
福岡県警の捜査によりますと、これが不実のものであったということでございます。去る一月十二日に
福岡県警から公正証書原本不実記載、同行使ということで
福岡地検に送検になっておりますが、まだ検察庁の処分は決定されておりません。
それから
学生の
入学の状況でございますが、
入学定員百二十名に対しまして二百七十一名という倍以上の
学生を
入学させたということが問題になっておりますが、この点につきましては別に
大学局長から
お答えを申し上げたいと思います。
なお、役員の関係でございますが、七熊、徐——これは大城氏のことでございますが、ほか四名の
理事が
辞任をしたという報告を受けております。この役員の
辞任につきましては、私
どもも責任のある役員につきましてはその責任を明らかにするようにということを強く
指導した結果かと思いますが、後任につきましては、
社会的な信望を回復し、
大学の健全な発達がはかり得るような方をぜひ後任として選任するようにということを
指導をいたしております。
ただいま申し上げましたように、この
福岡歯科大学に対する
指導といたしましては、役員構成の充実をはかるということと、それから今後の財政計画、再建計画をすみやかに策定をして
文部省に報告をするということ、それから事務組織が弱体でございますので、その整備強化をはかる、
学生の数が定員に比べて多い状態をすみやかに改善する、こうした関係の
指導をいたしておるわけでございます。
なお、公正証書の原本不実記載等の問題につきましては、今後検察庁の取り扱いを見まして関係者からも
事情を聞き、さらに
指導を強化してまいりたいというふうに
考えております。