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1974-02-13 第72回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十三日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 坂田 道太君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 小林 信一君 理事 山原健二郎君       有田 喜一君    上田 茂行君       久野 忠治君    河野 洋平君       床次 徳二君    楢橋  進君       深谷 隆司君    三塚  博君       山崎  拓君    勝澤 芳雄君       長谷川正三君    山口 鶴男君       栗田  翠君    有島 重武君       高橋  繁君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         文部政務次官  藤波 孝生君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省社会教育         局長      今村 武俊君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     根岸 重治君         厚生省公衆衛生         局栄養課長   安西  定君         通商産業省生活         産業局紙業課長 村岡 茂生君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      矢橋 有彦君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      木原 滋之君         参  考  人         (日本学校給食         会理事長)   河上 邦治君     ————————————— 二月十三日  理事嶋崎譲君同日理事辞任につき、その補欠と  して小林信一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  文教行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  文教行政基本施策に関する件、特に最近の学校給食用物資の供給に関する問題について、日本学校給食会理事長河上邦治君を本日参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。深谷隆司君。
  5. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 毎年入学の時期になりますと、必ず大きな問題になっておりますのが、一つ授業料の問題であります。それからもう一つ寄付金、特にやみ寄付金の問題をめぐりましては、昨年も相当騒がれて、この委員会でも論議がなされておるわけでございます。そこで、私はこの二つの点からまず質問をいたしてまいりたいと思います。  私立大学の中でも、特に医大それから歯科大、こういうところの授業料値上げが非常に目立っておる感じがいたします。医大の場合には、二十六校のうち六校までが授業料値上げをすでに決定しており、歯科大学の場合には、十四校のうち八校が値上げを決定しておりますが、こういう授業料値上げ動きについてまずどのようなお考えを持っておられるか、文部大臣に伺いたい。
  6. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 授業料そのものは、学校設置者負担する部分につきまして受益者負担として学生の父母に持ってもらうというたてまえの部分だろう、かように考えるわけでございます。学校経費そのもの人件費中心にいたしまして毎年相当に増大してきておりますので、ある程度のことはやむを得ないのじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。できるなら授業料はできるだけ低額のほうがよろしいし、同時にまた毎年毎年変更するということも好ましいことではない、こう存じておるわけでございます。しかし全体として、ある時期ごとに若干の引き上げが行なわれるということはやむを得ないことじゃないか。しかし国としてはいま申し上げましたような運用が期待されるようにできる限りの助成をしていかなければならない。またそういう気持ち努力を続けておるところでございます。
  7. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 特に医科大学歯科大学は費用がかかるので、授業料値上げというのは著しい傾向にあります。特に授業料値上げで注目しなければいけませんのは、昨年問題になりました、たとえば福岡歯科大学ですね。ここが同じ歯科大学の中でも授業料値上げはトップなんですね。たとえば入学金年間授業料施設費実験実習費この四つだけをとっても百八十万をこえておる。しかも二番目はどこかというと、同じく不正事件を起こした松本歯科大学なんです。つまり昨年非常に大きな問題になりました大学不祥事件、それらの学校にこそ授業料の値上がりが著しい。一体これはどういうことを意味しておるのかという点であります。この点についてお考えをお述べください。
  8. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 御承知のように医科大学歯科大学の中には入学の際に多額寄付金を徴しておるところがございまして、これが多くの方々に不明朗な印象を持たせてきておる、かように考えるわけでございます。そういうこともございますので、文部省大学設置認可を与えます場合には、入学条件とするような寄付金を徴してはならないということを強く戒めておりますし、そういうことはいたしませんということで発足をしておるわけでございます。しかし、いま御指摘のありました二つ学校は、入学に際しまして多額寄付金を徴しておった。同時にまたそれが大きな問題にもなってきておったわけでございます。そういう意味において、私たちは、どうしても必要なものなら、それはそれなり正規授業料等として徴収してもらいたい、こういう態度をとってきたわけでございます。おそらく二つ学校がそういう顕著な改正をしたといたしますならば、いま申し上げましたようなことに原因を持っておるのじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。明るみに出た暁において、それに対処をしていかなければならない。できるなら私は、医科大学歯科大学について、どうしても授業料等のものが多額に要する、国としても最大限度の援助をしなければならないが、そういう学校については奨学金制度などについても他の学校とは違った別な金額その他についての仕組みを考慮すべきであろう、こういう気持ちも持っているところでございます。  なお細部の点につきましては、事務当局からお答えをさせていただきます。
  9. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 ただいまの大臣の御答弁に尽きておるわけでございますが、お話にもございましたように、医学部歯学部教育多額経費を必要とするわけでございます。その必要な経費に比べまして、各大学共通の問題でございますが、授業料その他正規学校納付金が比較的少額でございます。経費に比べて比較的少額でございます。その結果、その差額分につきまして、寄付金に依存するという傾向があるわけでございまして、これが、ただいま御指摘のように、社会批判の的になっておるわけでございます。文部省といたしましては、必要経費はこれは正規に取ってもらいたいということをかねて申しておるわけでございます。大臣お話にもございましたように、松本福岡は特にいろいろな点で批判を受けていることの多い学校でございますので、寄付金に依存することをなるべく少なくしたいという趣旨から、正規徴収金をかなり多額のものにしておるということかと思います。そういうことで御了解を賜わりたいと思います。
  10. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 やみ寄付金の問題については質問を続けて行ないたいと思っておるのですが、ただいまの大臣並びに局長お話を伺っておりますと、昨年寄付金その他の問題で非常にうしろ暗い、まあ不幸な事件が起こってきた、そこで、そういうような形はなくすべきだと文部省指導された、その結果、今度は授業料にはね返ってきて、問題を起こした学校授業料値上げが一位と二位を争っているわけだ、まことにおかしな現象だと思うのです。片一方を押えれば片一方が上がってくる、こういうようなことになると、一体その授業料の基準だとかあるいは学校運営経費の問題だとか、どこで押えたら学生のためになるかということが非常にわからなくなってしまう。寄付金を押えたから今度は一位、二位の授業料の高さになった、これではまるで中学校の足し算みたいなもので、そういうようなことが文部省指導に一体合っているのかどうか、その点のお考えを伺いたい。
  11. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 授業料がどうあるべきかという根本の問題だと思います。私は、学校によって相当大きな差があってしかるべきだ、学校から受けている利益、それに対応するものであるかどうかということが判断の基礎にならなければならないのじゃないだろうか、こう思っているわけでございます。そういう意味では、人文系学校よりも医学、歯学の学校がばく大な経費を必要とする、したがってまた授業料割り高になってくることはやむを得ないのじゃないかな、こういう判断に立っているものでございます。同時に、その社会的な役割りから考えて、国民全体が税金負担しようじゃないかというようなもの、これをどこまで持っていくか、これはいろいろ議論が分かれると思います。残りは設置者負担設置者負担を純粋な寄付金等でまかなっていくものもございましょうし、そういうことでまかなえないものは、結局は授業料のような形になってくるのじゃなかろうか、こう考えているところでございます。  その授業料の額がどこまでならよろしいかということにつきましては、国民全体の税金でまかなうべき部分をどの程度に持っていくかというようなことと同時に、その学校経費がどれくらいかかるかということとからみ合ってきまってくるのじゃないだろうか、こう思っているところでございます。  現在、国民全体の税金でまかなおうというのは、御承知のように、専任教員の給与の半分は国で持とうじゃないかというようなことで始まりまして、四十九年度で一応その計画は完成するわけでございますけれども、私は、なお一そう国民全体でまかなうべき部分を多くしたい、そういうような方策をぜひことしじゅうに具体案をつくらせてもらいたいな、かように考えているところでございます。
  12. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 諸経費も上がっておりますし、実際に教材が医学部歯学部は高くつくことはよくわかっておりますから、授業料値上げが一方的に悪いと言っているわけではないのです。適正な授業料値上げでなければいけない、これが第一。これについて文部省がどうお考えになり、どのような指導を行なうかという点が一つ。それからもう一つは、同じ医科大学歯科大学でも、昨年問題になった学校が一位、二位で授業料値上げが著しい。これは何か昨年の動きに関連があるわけですからね。寄付金のほうは押えた、それじゃ授業料を上乗せしたよ、これでは文部行政として問題がありはしないかという点、この三つをお答え願いたいわけなんです。
  13. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 先ほども申し上げましたように、医学部歯学部は相当多額経費を必要とするわけでございます。その経費寄付金といったような不明朗な形でまかなわれるということは、これは避けなければならないわけでございまして、そうした趣旨から正規学校徴収金で徴収するようにというのが私ども指導でございます。  そういたしますと、御指摘のとおり、授業料その他の正規学校徴収金納付金増額になるということになるわけでございますが、それに対する反応といたしましては、二つ措置を講じておるわけでございまして、一つは、医学部歯学部に対する経常費補助増額をはかるということでございます。四十九年度予算で申しますと、大学、短大、高専等を平均をいたしますと、定員当たり経常費補助が、見込みでございますが、七万七千円ということでございますが、医学部の場合は完成校につきまして八十一万五千円、歯学部の場合は四十三万円の経常費補助を交付する予定にいたしております。この額は、昨年度は医学部につきましては六十三万九千円、歯学部につきましては二十九万一千円でございましたから、かなり大幅なアップになっておるわけでございます。さらに本年度からは、医学部歯学部新設学部、つまり学年進行中の学部につきましても、新たに補助金を支出するという措置を講じたわけでございます。そうした形で対応してまいりたいということが一つございます。  それからもう一つは、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、育英資金の面について特別な配慮を四十九年度は行なっておるということでございます。内容につきましては、また大学局長から御必要ならば御答弁を申し上げますが、寄付金を押えれば学生納付金が上がる、その学生納付金アップにどう対処していくかということが私どもに与えられた課題で、それに対してはいまのような対応をいたしておりますということでございます。
  14. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 先ほどからも出ました寄付金の問題ですけれども、具体的な大学の名前はあげませんけれども、昨年非常に問題になりました幾つかの学校、そこでその寄付金が一千万とか二千万とか、これは文部省も昨年発表しておりますけれども、そういう状況がことしもあるという具体的な幾つかの例を知っているわけです。特に医学部入学するためには、従来と同じようにまず寄付金を積まないと話にならない、そういう傾向はことしも横行しているように伺っておりますが、そういうような現状を把握しておられるかどうか、伺います。
  15. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 いまのようなお話をよく聞きますので、これだけはぜひなくする方向に持っていきたいなと、こういう気持ち努力をしているわけでございますし、それなり対応策考えてまいっておるわけでございます。ことしにつきましても、私も、絶無にはならない、心配だという気持ちを持っておるわけでございます。しかし、これに対する対応策を漸次明確にすることによって逐次解消させていきたい、かように思っています。しかし根本的には、医科歯科のような大学につきましては、国公立中心に必要な数を増設する以外にはないんじゃないだろうか、こんな判断にも立っておるところでございます。
  16. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 寄付金でも、その大学経営にかかわる、協力を仰ぐという点では必ずしも全部いけないというべきではないと思うのですけれども、従来からの、あるいはいまもやろうとしている大学寄付金行為は、しばしば入学のための一つ前提条件のような形になっているのですね。たとえばある大学などは、銀行なら銀行寄付金を先に振り込むことがもう大前提で、それができない者は入れないということです。つまり、憲法で保障されているひとしく学問を受ける権利というものがそういう形で葬られてしまっている。現実にこういうような問題がことしも起こっているという情報を私どもは持っているわけです。  そこで、文部大臣のいまのお話では、そういうものをなくすように努力をするし、処置もしているということでありましたが、たとえば具体的にわかった場合、ここの大学でこういう寄付金を取った行為があったとわかった場合には、具体的にどう処置をなさいますか。
  17. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 いまお話しのように、実質的には入学条件とするような寄付金が徴収されている、そういう学校も、成績の特にいい学生につきましては、無条件で何人かは入学さしておるようでございます。その次に、ある程度の成績の幅の中では寄付金を出さないと入学を許可しないというような仕組みになっているのじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。入学条件とするような寄付金一切まかりならぬということで強く言うてはきているものの、いや、入学条件としていないのだというようなことに表面的にはされてしまうんだろう、かように考えているわけでございます。したがいまして、各大学良識に訴えていかなければならない。また良識に訴えてそれをやめられるように仕組んでいかなければならない。そうなりますと、授業料がある程度さしあたっては高くなっていくことも私はこれは認めていくべきじゃないか、こういう判断に立っているわけでございます。  そこで、こういう問題に対処して文部省がどういう方向をとっていこうとしているのかということになりますと、戦前とかなり事情が違ってまいりまして、戦前は、病院経営が相当な学校運営の財源になっていたわけでございますけれども、今日では、病院経営が相当な赤字になってくるわけでございまして、学校経営のプラスじゃなくてマイナスになっておるわけでございます。そういういろいろなことを考えてまいりますと、やはりまず第一には国公立の増設、そこで医師歯科医師の養成を果たしていく、これが第一だと考えておりまして、今回も五校について創設準備費予算を計上さしていただいたところでございます。  第二には、いまも管理局長が申し上げましたが、いままでは新設校につきましては七年目から経常費助成をやってきておったわけでございます。四十九年度からは初年度から特別な事情がない限り経常費助成をさせていただこう、こう考えておるわけでございます。さらにはまた、寄付金を徴収しないかわりに正規授業料がさしあたり大きな額になるだろう、大きな額になっても、それぞれの学校奨学制度を持ってくれないだろうか、そしてそういう医科歯科学校であるなら、四万円だ五万円だということでなくて、毎月もっと大きな奨学金も貸与できるようにしてもらえぬものだろうか、その奨学金資金は国のほうから大学に供給しましょう、同時にまた事務費補助しましょう、こういうことを考えたわけでございます。こんな構想を出しまして、大学の中で手をあげてくれる数がそうございませんでしたので、ことしは二億円の資金しか用意しておりませんけれども、この資金を在学中は無利子で貸していく、卒業後は三分までの利子で運用できるような資金、そういう資金を国から大学に貸していこう、こう考えておるわけでございます。そういうことによって入学時に多額寄付金を徴収しないでも運営が行なわれるような仕組み、それを国としてバックアップしていこうというようなことでございまして、いまのような方法が軌道に乗ってまいりますれば、私は、われわれの考えている希望を実現することができるのじゃないだろうかな、こう思っておるところでございます。
  18. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 私学助成の問題も含めまして、国がもっとやらなければならぬ問題がうんと残されている、そのためにこういうような問題も起こってくるとは思うのです。ですから、国の施策の中で次々に手を打ってそれに対して対応し、処置をしていくということは非常に大事で、それはこれからもやっていただかなければならないのですが、しかしそれが十分になる時期というのはかなり先のことであります。その間はやはり寄付金の問題あるいは裏入学金の問題、そういうものがどうしてもついて回る傾向にあり、現に今年もそういう形になっておるわけであります。  そこで、先ほどもお尋ねしたのは、一方ではそういうような行為は許されない、こう文部省はいわれているのですけれども現実に起こっているわけですね。そういう具体的な姿があらわれたら一体どのような処置を講ずるお考えか、先ほど質問お答えがないので、もう一度伺います。
  19. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 四十五年以来かなり数多くの私立医科大学歯科大学が発足したわけでございます。これらの大学いずれもそのような多額寄付金を今後に求めなければやっていけないような姿の申請ではなかったわけでございます。しかも入学条件とするような寄付金は一切取りませんと誓約までして発足しているわけでございます。文部省としては裏切られたかっこうになっているわけであります。しかし実態を考えていきますと、学校側事情も理解できないわけじゃございません。そこで、私がいま申し上げましたようなくふうを四十九年度以降でさせていただこう、こう考えたわけでございます。その間には、先ほどもちょっと触れましたが、私学に対する経営費助成、五年計画できたのが四十九年度で達成されたわけでございますけれども、これで十分だとは考えない、なお一そうそれの拡大のくふうもいたしたい、こう思っているわけでございます。あくまでも大学設置について認可申請をされたそのときの気持ち個々私立大学には思い起こしてもらいたい。また国としては、そのときの条件どおりやっていけるような配慮をいろいろな面で積極的にくふうをしていく、その中で個々大学自粛を促していきたい、こう考えているところでございます。すぐやらなかったらどんな制裁を加えるのだというところじゃなしに、あくまでもひとつ話し合いで自粛していただけるような、またそれが可能になるような努力を続けていきたい、こう思っているところでございます。
  20. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 大学側が自主的に改良することが最も理想であることは論を待ちません。しかし、自粛を求めながら、なかなかそれにこたえてくれないのが現実であります。  そこで、昨年、文部省裏入学金の問題で発表なさいまして、そのあとにたとえば補助金助成であるとか、あるいは法的処置考えていかなければいかぬ、こういうことをおっしゃったわけであります。ところが、そういうような問題について文部省も必ずしも順調にこたえていっておらない。そこで私どもは、重ねて起こるこういう問題でありますから、繰り返しこの点について口をすっぱく申し上げているわけであります。法的処置についてはいま現在どうお考えでしょうか。
  21. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 法的措置も私としてもいろいろ考えていきたい、こういう気持ちは持っておるわけでございますが、幸いにして各党でもお互いにひとつ研究しようじゃないかということをお話し合いしていただいているようでございますので、その経過も私としては見守らせていただきたいな、こう考えているところでございます。よい案ができますなら、いつでもそれを私としても取り上げたいという気持ちでございます。しかしその前に、一応自粛しようと思えば自粛できるのだという道をつくらなければならない、それが政府としての責任だろうというようなことで、いま申し上げましたような構想を一応立てたところでございます。
  22. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 法的処置の問題については、われわれも含めて検討すべきだと思います。そこで、昨年さまざまの学校が問題になりまして、委員会でもしばしば論議中心になりましたが、私どもは、学校自粛を求めるということを盛んに文部大臣も言われるわけで、またそれはもっともなことなんですが、なかなかその自粛は表面に出てこない、それは一つには文部省の姿勢にも関係があるだろう、こう思うのです。  そこで、一昨年あるいは昨年問題になりました学校処置について、その後の経過をこの機会に承っておきたいと思うのです。浪速医大問題松本歯大の問題、福岡歯大の問題、その後どのような処置をなさり、指導を行ない、答えが出てきたか、この機会に明らかにしてください。
  23. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 最初に浪速医科大学の問題でございますが、これは御承知と思いますが、文部省認可をいたさなかったわけでございます。したがいまして、これにつきましては格別な事後の指導はいたしておりません。  それから松本歯科大学につきましては、御承知のとおり認可をいたしたわけでございますが、その後検察当局の捜査によりまして、約三十億あると申しておりました松本歯科大学の資産が検察当局調査ではゼロであったということでございますが、松本歯科大学側の主張では約五、六億円はあったのだということでございまして、この点が一つの争点でございますが、いずれにいたしましても、三十億と称しておりました資産がゼロないし五億であったということでございまして、そうした点から、昨年の三月二十七日に東京地検が常務理事の矢ケ崎、帆足の両名を公正証書原本不実記載、同行使ということで起訴いたしまして、現在東京地裁で公判中でございます。その後、文部省学校関係者を呼びまして、事情を聴取し、事実関係の解明につとめてきたわけでございますが、昨年のこの両名の起訴以後、この両名を含めまして設立準備委員であった理事長ら五人の辞任大学が決定をいたしております。これは文部省からも強い指導を行なった結果でございますが、役員が責任を明らかにして辞任をしたということでございます。  それから、その後財政状況について報告を徴しておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、当初の設立資金が大部分あるいは全部いわゆる見せ金であったということでございますから、この大学の財政の基盤はきわめて薄弱なわけでございます。しかしながら、諸般の事情を考慮いたしまして認可の取り消し等の措置に出なかったわけでございまして、むしろこれが再建をはかるという方向指導を続けてまいっておるのでございます。そこで、この設立に関連する資金の不足は、これは先ほど指摘がございましたような正規学生納付金で充足するというほか、入学条件とならないような寄付金の一般的な募集というようなことで今後長期間にわたって充足をしていくほかはないというふうに考えております。そうした方向で法人の財政の再建を指導いたしておるわけでございます。  なお入学定員につきましても、入学の実員にいたしましても定員に比してかなり多いわけでございまして、こうした点の是正についても厳重に指導をいたしておるところでございます。  なお後任の理事といたしましては、社会的に信頼度の高い方々を充足するように指導もいたしておる次第でございます。  次に福岡歯科大学でございますが、これは昨年の七月二十七日付で認可をいたしたわけでございます。設置費は約二十七億五千万円でございまして、この財源は主として個人からの寄付金ということでございました。文部省は、この審査にあたりましては、大口寄付者のほか、同窓会関係の小口寄付者につきましても面接の上、寄付の動機等につきまして説明を求め、その寄付が真正なものであるという判断のもとにこの大学認可したわけでございます。ところがその後、この法人の設立に関しまして大学設置審議会の委員の桐野忠大が福岡地検から収賄罪で起訴される、また理事の七熊、大城、評議員の笠原の三名が贈賄罪で起訴されるというようなことがございまして、これが現在公判中ということでございます。それからなおこのほかに、設置費として二十七億五千万円余でございますが、その資産があるということで申請をし、文部省もこれも真実のものと認めて登記をしたわけでございますが、その後福岡県警の捜査によりますと、これが不実のものであったということでございます。去る一月十二日に福岡県警から公正証書原本不実記載、同行使ということで福岡地検に送検になっておりますが、まだ検察庁の処分は決定されておりません。  それから学生入学の状況でございますが、入学定員百二十名に対しまして二百七十一名という倍以上の学生入学させたということが問題になっておりますが、この点につきましては別に大学局長からお答えを申し上げたいと思います。  なお、役員の関係でございますが、七熊、徐——これは大城氏のことでございますが、ほか四名の理事辞任をしたという報告を受けております。この役員の辞任につきましては、私どもも責任のある役員につきましてはその責任を明らかにするようにということを強く指導した結果かと思いますが、後任につきましては、社会的な信望を回復し、大学の健全な発達がはかり得るような方をぜひ後任として選任するようにということを指導をいたしております。  ただいま申し上げましたように、この福岡歯科大学に対する指導といたしましては、役員構成の充実をはかるということと、それから今後の財政計画、再建計画をすみやかに策定をして文部省に報告をするということ、それから事務組織が弱体でございますので、その整備強化をはかる、学生の数が定員に比べて多い状態をすみやかに改善する、こうした関係の指導をいたしておるわけでございます。  なお、公正証書の原本不実記載等の問題につきましては、今後検察庁の取り扱いを見まして関係者からも事情を聞き、さらに指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  24. 木田政府委員(木田宏)

    ○木田政府委員 福岡歯科大学学生募集定員の問題につきまして、管理局長からの答弁を補足してお答えしておきたいと思います。  先ほど説明がございましたように、百二十人の入学定員に対しまして福岡歯科大学は四十八年度は二百七十一人を入学させたということを知りまして、即時大学に対してのいろいろな注意を喚起し、指導を行ない、そしてまた必要な現地視察を、四十八年の春、設置審議会の委員二人を派遣いたしまして、実情の視察その他を行なってまいりました。そして設置審議会の常任委員会にはかりまして、また総会にも報告をいたしまして、入学定員につきましては予定の人員の倍以上入れたわけでございますから、それに対応するような施設、設備の整備と教官の充実ということをとりあえずやる必要があるということを指導いたしました。また、学生教育を厳正に行なうようにして、安易に進級させるということにならないように、これは厳に注意をいたしました。  この二点につきましては、私も当時学長を招致いたしまして、学生の扱いにつきまして不まじめなことにならないようにという注意を行なったところでございます。当時、学長も理事の一員ではございましたが、先ほど説明がございましたように、他の理事その他が容疑を受けておりまして、理事会も十分に行なわれない等のために、四十九年度の処理についてどのようにしたらいいかということを学長としていろいろ苦慮しておるようでございました。私どもは、設置審の意見として、一年間に二倍以上の学生定員を入れておることでございますから、四十九年度の学生募集はこれを抑制し、できるならば行なわないことが望ましいという強い反省を求めたのでございます。しかし大学側からは、今後の役員の入れかえその他経営の問題と、入学した学生に対する責任上、四十九年度学生募集を行なわないということはかえって事態の改善のためによくないという強い実情の披瀝がございました。そこで、その大学側の誠意を示す意味において、大学側としては四十九年度は定員よりも少ない百人以内に押えるということで学生募集をやっていきたいので了解を願いたいというふうな御連絡がございました。事情をいろいろと管理局等とも相談いたしましたが、やむを得ないものと認めまして、四十九年度の学生募集は百名以内の線で行なわれるということを期待をしておる次第でございます。
  25. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 教育というものは非常にむずかしい問題でありますから、すぐに強硬な手段、処置をすることは困難であろうことはよくわかるのです。しかし、先ほどやみ寄付金の問題でも申し上げましたように、自粛を求めても実際にそれにこたえてくれないという現実がそこにある。だとすると、ときにはかなり強い手段も講じなければならぬと私は思っているのです。ただいまいろいろ御説明いただきました問題の起こった大学、これらも経過を聞いてみますと、最初の意気込みと比べてかなり文部省は後退している、そういう感じがいたしてなりません。たとえば昨年の十月に文部省は勧告をいたしましたね。そのときに福岡歯科大学に対しては、定員をはるかにこえるような募集のしかたをした、だからこの次は学生を募集しないようにと勧告を出しておるのですよ。ところがただいまのお話では、まあ百ちょっと欠ければいいといった程度のお茶の濁し方で終わってしまっている。先ほど松本歯科大学の問題でも、実際には一億か二億かわかりませんが資産がそれしかないにもかかわらず、三十億の資産があると明らかな虚偽の申請をし、かつ法律で問題になっている、こういうようなことに対しても、再建と称して単に役員の入れかえを行なうだけで終わってしまう傾向がある。これではやみ寄付金の問題も含めて大学自粛などはとうてい考えられない、私はそう思わざるを得ないのであります。その点について、いかがでしょうか。
  26. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 先ほども申し上げましたように、設置の認可申請の際にはこういう状態は全く予測されなかったわけでございまして、そういう意味文部省としても裏切られた感じを持っている学校幾つかあるのです、かように答えておるわけでございます。しかしながら、認可した以上は、それらの大学が円滑に運営できるように配慮しなければならない、そういう意味先ほど私が申し上げましたような一応の措置をとらせていただいたところでございます。今後この線に沿って運営自粛してもらう、そういう呼びかけをしていきたい。なおそれで円滑にいかない場合には、続いて文部省として必要な措置をくふうしていくべきである、こう考えておるわけでございます。文部省としての配慮がこれでおしまいだという気持ちは持っていないわけでございまして、次々に順を追うて考えていきたい、また国会の皆さん方にもいろいろお考えいただいているわけでございますけれども、これで文部省としてすべきことが終わったというふうには決して存じておりませんので、御了解を賜わりたいと思います。
  27. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 そのときどきのさまざまな問題が起こったときに、ましてそれが法律的な問題も含めて起こったような場合、そういうときにこそ実は文部省はき然とした態度がとりやすいときなんです。そういうときでさえも何となく妥協、あるいは実際に生徒がいるからというようなこと、これはいつでもそういう問題は同じように起こってくるわけですが、そういうことで妥協して一歩後退、二歩後退、だからますます自粛の成果があがってこないということになるわけです。どうぞひとつ、文部大臣には期待をしておりますから、この点については今後もっと敏速な、しかも適切な処置というものを必ずとるようにぜひ御配慮をいただきたいと思います。  まだまだこの点については申し上げたいことがありますが、時間がありませんので次へ進みます。  この間の文部大臣の所信表明を伺いまして、教育の問題に対して大臣がなみなみならぬ熱意で臨まんとすることはよく理解をいたしております。しかし、一つだけわからないのは、この所信表明の中で、たったの一言も教頭職の法制化の問題に触れていない。少なくとも内閣から出した法案が現実に国会にかかっておるわけであります。それについてまるで触れていない。一体どういうことか、この点ははなはだしく理解に苦しむのであります。特に、あなたの所信表明の中で冒頭こういうことをおっしゃっているのです。「当面する文教行政の諸問題について申し述べます。」教頭問題は申されておられない。当面する文教行政の諸問題として教頭問題は含めておらないという意味なのか。しかもその結びのときに「文教行政の当面する主要な問題について所信の一端を申し述べましたが、」こういうことをおっしゃっているところを見ると、法案は出したが、当面する重要な課題と受けとめておらないのではないかと私は思うのですが、これについてひとつ明確な御答弁を願いたい。
  28. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 四十九年度の予算を国会に提出させていただいておりますので、それに関連しての所信だ、かように心得ておったわけでございます。教頭職の法制化は最重要の施策一つだ、私は今日もそう考えておるわけでございます。四十八年度国会において提出させていただき、そしてこの国会に継続して審議されておるわけでございますので、当然前回の所信表明の中においては申し上げさせていただいておるわけでございますし、今回は新たに四十九年度の予算に関連して申し上げるべき所信だ、こういうことで触れなかったわけでございまして、いまお話を伺っていますと、触れるべきであったのかどうか、若干私も考えておるところでございます。それではいわゆる人材確保法案も四十八年度国会に提出し、継続審議になっているけれども、所信表明の中には触れているじゃないかという御疑問をあわせてお持ちになっているのではないかと思いますので、それにも触れさせていただきたいと思うのでございますが、これにつきましては、四十八年度で三カ月分、一〇%の額を計上させていただき、四十九年度に平年度化された額と、さらにもう一〇%、三カ月分を計上させていただいておりますので、述べさせていただいたわけでございます。そういう気持ちで人材確保法案には触れ、教頭職法制化には触れなかったということでございます。しかし、いろいろな重要な施策の中で教頭職法制化の法案をぜひ成立させていただきたい、これが教育の現場を秩序正しく運営していくためにも非常に必要なことだ、かように考えておるわけでございますので、御理解をくださるようお願い申し上げます。
  29. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 文部大臣の説明を伺いまして、私どもとしては納得したいところですが、どうも納得できないのですよ。それは確かにその年その年の予算の問題に限って所信表明を申し上げるべきだと言えばそれまでですけれども、そうでない部分もほかにもずいぶん含まれているわけなんですね。しかも教頭職の問題は毎回出されて、難産で非常に大きな問題になっている。私どもから言わせれば、野党に対して妙な気がねをなさっておって、こんなことを言うとどうなるかしらんといったような問題を含めて、わざわざ所信表明から除いたとしか思えない。こういうようなことでは、一体何のために法案を出したのだかはなはだしく理解に苦しむので、どうかそういう点についてはき然たる態度で臨んでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  30. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 教頭職法制化の法案はぜひ成立させてほしい、どの法案よりも最優先的に成立させていただきたいという強い希望を持っておりますので、誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
  31. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 教頭職の法制化の問題について、いままでしばしば新聞その他では論議されてまいりましたが、委員会としては、過日の山崎拓さんの質問がほんとうに限られたその少ない質問一つであります。そこで、ただいま大臣の、断固これを通したいというお気持ちがわかりましたので、引き続いてこれに関連して御質問をさせていただきたいと思うのです。  教育というのは、たとえば学問の中立であるとか、非常に大きな問題が含まれております。ですから、たとえばその組織のあり方や行政の指導のあり方も相当な配慮をもってなされなければならぬことは当然であろうと思うのです。しかし学校という一つの組織体を考えますと、この組織体が円滑に運営できるかどうかという、つまり行政組織としての機構、そういうものをやはり十分に検討に入れて、実際にその組織が確立されるような方向に持っていかなければいけない、そのように考えるわけであります。ところが、その中の大事な部分を占める教頭の法制化というものがいまだに実現されていないのであります。しかもその教頭職が法制化されておりませんから、組合員でもなければ管理職としての公の立場でもないといったようなことから、きわめて組織の管理体制に支障を来たしておるわけでございます。  そこで、あらためて伺いますが、教頭職というのはどのような立場に属するのか、学校組織の中でどのような位置づけをお考えになっておられるのか、その点からまず伺いたいと思います。
  32. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 現在でも教頭が管理職であることは疑いをいれないと考えております。ただ、組合との間で摩擦が続いている、これは事実でございます。管理職であることには疑いをいれない、かように考えておるわけでございます。校長を助けて、そして学校についての企画とか管理とか指導の任に当たっていくわけでございますので、校長一人ではとても学校全体の管理を果たすことはできない。そこで現在は教諭の中から教頭を選びまして、教頭にそのような仕事をさせておるわけでございますけれども、いま申し上げますような企画とか管理とか指導とかいったような仕事が大部分でございまして、教諭の仕事に時間をさくような余地が非常に少ない。そういう実態に即しまして、教頭という地位を法律によって明確にしたい、こう考えているわけでございます。
  33. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 教頭の法制化の問題にからんで、いままでの経緯について若干お尋ねをしておきたいと思うのです。  教頭職というのは戦後一時姿を消したわけであります。ところが、昭和三十二年に学校教育法施行規則で再登場したわけですね。ところが、法制化という点では、このときにあわせて行なえばよかったのに行なわれておらなかった。一体どうしてそういう適切な時期に行なわれなかったのか、いまだに悔いを今日まで残しておるわけであります。そのときの状況について少しお触れをいただきたいと思うのです。
  34. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 ただいま先生が御指摘のとおり、昭和四十一年の当時と昭和三十五年の当時と二回ぐらい、教頭につきまして新しい規定が設けられたということで改正の機会はあったわけでございますけれども、最初の場合は、これは私も当時財務課長で関係をいたしておりましたが、昭和三十五年当時、やっと教頭先生の方々が教頭会と申しますか、そういうものをつくった段階でございまして、教頭の法律的な位置づけにつきましてどういうふうなことにしたらいいかということがまだ議論の段階でございました。そういうことで私どものほうも、文部省としてもまだ成案がなかったということが一つの問題点であったろうと思います。  それから四十一年当時、それは御案内のとおり教育三法と申しますか、外国人学校法案、それからこの前成立をいたしました超過勤務にかわる教員の特別調整額というふうな大きな法案が国会にかかっておりまして、教頭の法制化についてまだとても成立の見通しというものがなかったというのが実態だろうと思います。  教頭の法制化について、三十五年当時からようやく法制化の要望も出てまいりますし、また私どももその研究に着手したわけでございますけれども、具体的には、その二回の機会をはずしまして、その後に国会に御提案申し上げたということでございます。事情はそういうわけでございますが、その間に、私どもの準備が整わなかったという以外に、いろいろな事情があったということでございます。
  35. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 教頭職が法制化されていないために学校の中でさまざまな問題を起こしているのです。たとえば、これは東京都でございますけれども、もう数年前になりますけれども、教頭職の試験に関連いたしまして、教頭候補の採択の場合には現場の職員の評価が必要であるといったような通達を出したりしたのです。つまり学校の職場に働くすべての人々が、この人は教頭になり得る資格があるかどうかABCの点をつけろといったような、そういうような通達を出して、都議会で当時重大な問題になったこともあるのですね。あるいは学校の中で、たとえばこれは日教組の指導でありましょうけれども、教頭に対して教頭とは一切呼ばない、全く無視する、そのために教頭になった方が自殺をするといったような事件も起こしている。教頭職が法制化していないために、いま申し上げたような問題だけではなくて、ありとあらゆる問題を各所で起こしております。この点についてどうお考えでしょうか。
  36. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 現場におきましてすべてというわけではございませんけれども、また組合といいましてもすべての組合というわけではございませんけれども、いま御指摘になりました日教組の運動の強いところでは、かなり混乱を起こしているところが目立っているように私も思われるわけでございます。ぜひこういう問題は根本から解決するように努力をしていきたいものだ、かように念願をし続けているところでございます。  混乱をしているところでは、教頭問題だけじゃなしに、いろいろなことにつきまして混乱が起こっているようでございます。でありますから、基本的には日教組のものの考え方と文部省のものの考え方の間に大きな隔たりがあるところに起因している、かように承知しておるわけでございます。いずれにいたしましても、学校というところは組合が管理するところじゃございません。行政の場でございますので、行政の秩序に従って運営されなければならない。教頭職をきめます場合には当然教育委員会の責任のもとにおいて任命をしていただかなければならない、かように考えておるわけでございますので、いま御指摘にありましたようなことにつきましては、その間違いであることが多くの方々に理解されるように、そしてまた組合の皆さん方も校長なり教頭なりを盛り立てていくというようなあたたかい雰囲気が生まれるような協力をしてもらえぬものだろうかという期待も抱いておるところでございます。
  37. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 現場で教頭職が法制化されていないために、実際の仕事は管理職として鋭意努力しているにもかかわらず、その立場が無視されて、それが学校運営全体にマイナスを来たしておるような、そういう場面はしばしば見受けられるわけなんです。ですから私たちは、教頭職の法制化というのは断じて今議会で通過さすべきだと思っておりますが、世間一般について考えるならば、まだこの点についての十分な理解が足りないような感じもいたします。それは、理由の一つは、ただいまもお話のありましたような日教組を中心とした団体が教頭職についてきわめて曲がった解釈のしかたをし、かつ宣伝をしている、このことがまことに大きな原因であろうと私は思うのであります。  そこで、時間もありませんが、この機会に、日教組が言っている二、三のことについて私がかわりに申し上げますから、ひとつ明確にそのお答えをいただいて、世間のそのような誤解と日教組の一方的な宣伝に惑わされないように処置をしていただきたい、こう思うのであります。  こういうことを言っております。教頭職というものを法制化すると、年齢的にもぎりぎりの人たち、あるいは教頭直前の人たちは、教頭につかんがために子供のほうに目を向けなくなってしまう。まことに幼稚な説明だと私は思いますが、そのよう言い方をしているわけです。この点についてどうお答えいただけますか。
  38. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 私は、先生方みんなが教育に熱情を燃やしていただかなければならない、かように考えておるわけでございまして、教頭さんであっても校長さんであっても、どうやれば教育が発展向上していくか、子供さんたちがほんとうに自分の力を養うことができるか、それを眼目に校長としてまた教頭としてつとめていくわけでございまして、またそういうことに最大の関心を置かないような方であれば教頭として私は教育委員会が選任するはずがないと思うのであります。でありますだけに組合の方が言っておられることは全く理解ができない。上を向いている。子供さんのことを考えない。それはまず教育者として落第じゃないか。教育者の中から教頭さんを選び、校長さんを選んでいくわけでございますので、何をいうても教育に適任者を充てなければならない。教育に適任者でありましても管理者に向かぬという方がいらっしゃるだろうと思います。それはまたそれなりに評価すべき方だろうと私は思うのであります。教頭だからりっぱ、教頭でないからりっぱじゃないということでなしに、みんなが教育者でなければならない。その中で管理者として適当な方々に教頭になっていただき、校長になっていただいて、全体の教育運営が円滑にいくように管理していただくということでなければならないはずじゃないだろうか、こう思っております。
  39. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 私も全くおかしな理屈づけだと思っている一人であります。  もう一つこういうことも言っておりますね。教頭になるための基準は管理能力である。これは子供に目を向けるよりは法規だとか管理に心を向ける教師をつくることになる。これははなはだしく教育にマイナスであるというような理論ですね。これについてもぜひひとつ反論願いたい。
  40. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 何のために管理をするかということについていささかの配慮もしていないいまの組合の方の言動ではないか、かように考えるわけでございます。教育の現場としてはつらつとした教育環境をつくり上げていかなければならない、そのための管理がどうなければならないかということを考えていくわけでございますので、当然まず第一には、子供さんたちが勉強する意欲を燃やしていく、それにはどうしたらいいだろうかという立場に立って、教育の現場がそれぞれ責任の所在を明確にして、みんなが力を合わせ合っていって、そして教育の実があがるようにということになるわけでございます。前段の何のための管理かということについていささかも組合のいまの方の発言は触れていないと考えるわけであります。基本は、教育が振興する、充実する、活発に行なわれる、そのための管理であるということがなおざりにされているのじゃないか、かように考えるわけであります。
  41. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 教頭職の法制化は五段階賃金導入への先がけとして行なうのである。これはこの間の人材確保法案のときも同じような理屈が並べられた。つまりどういう内容であってもそれをくっつけるといかにもけしからぬという感じがするわけで、反論を聞かなくてもわかるようなものでありますが、こういう場所でもありますから、この際、国民に明確に知っていただくためにお考えを述べていただきたい。
  42. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 たびたび御質問も伺い、また答えてもおりますし、また日教組の委員長と私との間でも、何回もこのことは言っておるわけでございます。いまだかつてそういうことを考えていると言ったことはございません。同時にまた、考えても、その場合には法律案を国会に提出して、国会で議決していただかなければ、五段階給与というものはできないのですよ、こうも申し上げておるわけでございます。にもかかわらず依然としてそのようなことが伝えられるといたしますならば、まさにためにする議論だ、こう言わざるを得ないわけでございます。五段階給与などと考えておりませんし、また先生がほんとうにいやに思っているようなことがございますならば、この問題に限らず、すべて先生の意にさからって私たちが政策を進めようとする考え方は毛頭ございません。先生方にほんとうに真剣になって教育の現場に取り組んでいただかなければなりませんので、取り組んでいただきやすいような方向で私たちは考える。それ以外のことは何も考えません。いわんや、いやがっておられることがございますならば、いやがっておられるような方向施策を進めるなどということはあり得ないことだ、こう申し上げておきたいと思います。
  43. 深谷委員(深谷隆司)

    深谷委員 一九七三年に日教組が「反動文教法案学習の手引き」というのを出しまして、これらの問題も含めて、その手引きは各学校の先生方に渡っておるわけです。これに対してただいまのような反論を常時行ない、国民全体にも親切に教頭がいかに必要かということをこれから訴えていくということはきわめて大事だろうと思うのであります。議会の中で法案を通すことと、文部省のそのようなき然たる姿勢と宣伝、啓蒙、これが非常に大事であるということを、この機会にひとつ肝に銘じておいていただきたい。そういうようなところから、所信表明の中にないということに私たちははなはだしく不満を持ったわけであります。  最後に、もう一言だけ申し添えておきますけれども先ほどのいろいろな幾つかの日教組が出している疑問点、よく考えれば直ちに理解いただけるような、まことに幼稚な議論でありますけれども、そういうものを土台として全国的な民主教育と称する運動をやっているわけです。そして事実それに対しての成果があがっているということがはなはだしく私は問題の困難さを示していると思うのです。たとえば神奈川、大分などの組合推薦による教頭の選任、あるいは福岡高校での公選制の問題あるいは北海道に見られた教頭選任についての組合との協定、こういうようなことですね。そういうような形がいわゆる教育民主化と称する日教組の運動の中で答えとなって出てきている。このことははなはだしく問題があると私は思うのであります。教育は、私が申し上げるまでもなく、あくまでも中立であります。中立であるということは、右寄りでもいけないが左寄りでもいけないという当然の議論なのであります。今日の日教組の言う中立というのは、日教組流の歩みをする教育を称しているわけでございますから、あれは中立ではないと私は理解しておりますが、どうぞ教育の重要性を考えて、文部省は今後も堂々たる立場で所信を貫いていかれるように、この際強く要望をしておきたいと思います。  なお私の質問に関連いたしまして、松永先生が御質問なさるということでありますから、一応最後の文部大臣の所信を伺って、松永先生に交代したいと思います。
  44. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 日教組でいろいろ言っておられることの間違いを正すために、私たちがPRにもっと努力しなければならない、これはおっしゃるとおりだと思います。またわれわれも、日教組との間でお互いに議論をかわし合いながら、あやまちを正すようにしていかなければならないと思います。日教組の書いておられることを見ますと、組合員の方々皆さんそう思っておられるとは思いません。思いませんが、書いてあるものを見てまいりますと、まず資本家階級の政府を倒せということであります。そして階級的大衆組織であって、社会主義革命に参加するものとするのだ。自分たちの組合の性格をそう規定しておられるのであります。しかもこの組合の方々が憲法を守ると言うておられるのであります。全く憲法に反する議論でございます。憲法は、内閣というものは国民の代表者だと書いているのです。それを日教組の方々は、資本家階級の政府だ、こう言っておられるわけであります。この社会が階級対立の社会だ、こういう判断があるのだろうと思いますが、だからこれを倒せということのようでございます。だから根本的に違っているのでございまして、いま深谷さんが中立と言うておるとおっしゃいましたが、中立じゃないのであります。中立なら私はいいのであります。教育基本法の中には、学校は政治活動をしてはならない、こう書いてあるわけでありますけれども、日教組の書いてあるところには、政治活動はしていくという考え方を持っておられる。だから特定の階級を代表しているのだという考え方でございます。私は、内閣というものは国民の選んだ内閣だと思います。選び方がけしからぬとか、いろいろな議論、これはあっていいと思います。あっていいと思いますが、とにかく衆議院の選挙が行なわれますと、必ず内閣総理大臣を国会議員が指名するわけであります。間接選挙でありますけれども国民の選んだ内閣であります。だから憲法の前文には、国民の代表者が権力を行使するのだと書いてあるのでございます。それを国民の代表者じゃないのだ、資本家階級の政府なんだ、こう書いておられるのであります。しかも口では憲法を守るのだ、こう言っておられるのであります。私は、ぜひこの辺の考え方の違いは改めていただきたいようにお願いを申し上げたいと思いますし、今後もまた日教組との間でそういう努力もしたいと思いますし、また書いておられることにつきまして、間違いを正すように私としてもPRにつとめていきたい、かように考えておるところでございます。
  45. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。松永光君。
  46. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 先ほど深谷委員から福岡歯科大学あるいは松本歯科大学に関するいろいろな不祥事件等についての質問があったわけでありますが、これを要するに、教頭の問題も含めまして、教育の場には規律と秩序が整然として保たれておらなければならない、それこそが教育の効果を発揮する基本的な条件である、こういうことに帰着すると私は思います。秩序ある教育環境、整然とした教育の現場、それがあってこそ教育は実り多いものになる、こう私は考えるわけであります。秩序ある教育現場や教育環境というものを確保するためには、教育の関係者は常に法律はもちろんきびしく守っていく、法律に基づく規則、条例その他、法治国家でありますから、きびしく守っていくということが基本的な条件であると同時に、いま一つは、法律に違反したり、規則を踏みにじったりした者に対してはそれなりの責任をとってもらう、法律や規則違反のみならず、自分のした行為が結果的に好ましからざる結果を生んだ場合には、やはりそういう人たちもそれなりの責任をとってもらう、こうでなければ秩序というものは保たれるものではない、私はこう思います。  そこで、先ほど深谷委員から御指摘のあった福岡歯科医大の問題、松本歯科医大の問題等については、やはりその大学認可するときに、私大設置審議会等で十分な審査がなされたと思うのですが、その審査のしかたが結果的には間違っておった、認可すべからざるものを認可したという結果になっておると私は思う。だとすれば、ああいう不祥事件が起こったような大学の設置を認可したその審議会、私大審議会等の委員に対してはそれなり処置がなされなければならぬと思いますが、この福岡歯科医大等の問題に関連して、私大の設置審議会の審議委員等についてはどういう処置をなされましたか、お尋ねをしたいと思います。
  47. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 大学の設置認可は、御承知のとおり大学設置審議会と私立大学審議会の両者にかかっているわけでございますが、私立大学審議会について申し上げますと、ただいま御指摘のような事情になりましたことは、私ども事務当局といたしましてもまことに遺憾に存ずるところでございます。私立大学審議会の関係の委員といたしましても、たいへん遺憾に存じておりまして、重々反省をいたしているわけでございますが、ただ私どもといたしましては、いつも申し上げることでございますが、文部省に提出される申請資料というものは、これは真実であるという前提で審査をいたしておるわけでございます。ところが、浪速の場合はたまたま事前にわかったわけでございますが、松本の場合も福岡の場合も、それが虚偽の申請書類であるということは審査の間においてついに発見することができなかったわけであります。そういう点につきましては、私どもその不明を心から恥じておるものでございますが、しかし、審査の手続といたしましては、ただいま申し上げましたように、出された書類が真実である、それから審議会に出席をして証言された関係者の発言は真実であるという前提で作業を進めておるわけでございます。これをさらに突っ込んで調べるということになりますと、これは警察やあるいは検察庁のような強制的な捜査の権限を持たなければできないわけでございまして、文部省にはそこまでの権限が与えられていないわけでございます。でございますから、提出された書類が真実である。大学を設置されようというような方がよもや虚偽の書類はお出しになるはずがないという前提で事を進めておるわけでございます。そういうことでございますが、しかしこれは制度的にもなお検討、改善を要する点があろうかというふうに考えておりますが、ただいま私立学校振興方策懇談会というものを文部省に設けまして、主として私学振興の問題について御懇談をいただいておるわけでございますが、その中に、やはり行政上の問題として虚偽申請等の場合にどう問題を扱っていくかということも含めて御審議をいただいておるわけでございます。そうした審議の結果等も見ながら、私どもといたしましてもいろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
  48. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 大学を設置しようとするほどの人たちならば、よもやうその文書や事実に反する文書などを文部省に出すはずはなかろうというふうなことで、出てきた文書その他は真実であるということで簡単に信じてしまった、こういうことなんでありますが、私は何も文部省に出てきた文書を全部疑ってかかれというわけじゃございません。しかし、常識的にいっても、歯科大学医科大学等についてはたいへん教育費がかかることはだれでも承知しておるわけでありまして、そういうふうにたいへんな経費のかかる学校を設置しようとする人は、ほんとうはなかなかおるものじゃないのです。したがって、その大学の設置をしようとする人たちの経歴なり過去の業績なり、そういったものから、あえて強制力を使わなくとも、いろいろ慎重に審査していけば、十分疑わしい点は出てくるはずだと私は思うのです。それを、出てきた文書はみんなうそじゃない、真実なんだという前提で簡単に信じてしまうというところに、私は行政のずさんさがあったと指摘せざるを得ないわけです。これからひとつ十分にそういう点については注意をしていただいて、そして二度と不祥事件が起こらぬようにひとつきびしい姿勢で臨んでいただきたい、強くこの点を要望いたします。  これに関連して教育環境の秩序維持の問題についてお尋ねをしたいのでありますが、昨年の四月二十七日に、文部省等でもずいぶん努力をされたのでありますけれども、ついに人確法粉砕などということで十数万ないし数十万の日教組の教員たちがストライキをやりました。これは明らかに法律に違反したストライキでありまして、法律に違反したストに対してはそれなり措置をして責任をとってもらう、これでなければ教育界の秩序は保たれるはずはありません。新聞等によると、一、二の県等で、教育界の秩序を保とう、それによって教育を実りあるものにしようということで適切な処置をした県があったようでありますけれども、全国的にいってどういうふうなことになっておりますか、概略ひとつ答えていただきたいと思います。
  49. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 お話しのように、秩序を犯した方々に対しまして、好ましいことではございませんけれども、やはりそれなりの処分をしませんと秩序というものは守れない、かように考えるわけでございます。また、あの前後に都道府県の教育委員長さんの集まりもございまして、教育委員長さんの中からもそういう声が当時あがりました。あがりまして、各府県がだんだんとその当時のことの調査をして処分に踏み切ってきておられまして、まだことしに入ってからも、岐阜県でありますとか奈良県でありますとか、その他のところがかなり大ぜいの処分をしてきておられまして、あとで事務当局からお答えをいたしますが、私は、全府県必要な処分はやっていただけるものだと、かように確信しておりますし、またそれでなければ秩序は守れない、同時に、根本的に秩序違反というような事態が起こらないような環境をつくるためにわれわれは最善の努力を払っていかなければならない、こう思っているところでございます。
  50. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 四・二七のストの事後処理の問題でございますが、現在までに、参加四十三県のうちで二十三県、約五万三千人の処分が行なわれております。
  51. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 新潟県で教員組合と県の教育委員会との間で、教員の人事等についても教育委員会が教員組合と話し合いでやっていくというふうな確認書があって、その問題に関連してずいぶん新潟県の騒ぎが起こったようでありますけれども、この問題は、新潟県の教育委員会のき然たる態度等によりまして、元来確認書なるものは法律に違反するものであり、無効であるという正しい論理を突き進めていきまして、そして確認書の無効を確認したのでありまして、それで新潟県の場合は処置がなされましたが、これに類する事柄はほかの県にも二、三あるやに私は聞いております。たとえば東京都。こういう違法な確認書などが取りかわされて、それに基づいて教育行政がなされているということは明らかに法律違反であります。こういうことについては、文部省はその権限に基づいて、すなわち教育委員会に対する勧告なり措置要求等できびしく正しい教育行政の状態に立ち返らせる大きな責任と義務があると私は思います。新潟県の場合にどれほどの勧告なり措置要求なりをなされたのか、あるいは東京都などについてはどういう文部省としての責任ある行政をやっておられるのか、これらの点についてひとつお答え願いたいと思います。
  52. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 職員組合は、私から申し上げるまでもなく、勤務条件の維持改善をはかることを目的として認められている団体でございます。管理部面に組合が干渉を試みるために認められているものでもなければ、またそういうことは特に慎まなければならないとされていることでございます。しかし、組合によりましてはお話しのような行き過ぎも随所に見られるように思います。私ときどき思うのですが、憲法の前文に国民主権の意義を書いてございまして、国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、主権がここに国民にあることを宣言し、この憲法を確定するといいましたか、何かそういう表現が使われているわけでございます。あくまでも正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するということは、議会制民主政治をうたっていると考えるわけでございまして、議会できめられた秩序に従って行政も運営されていかなければならないわけでございますが、とかく組合が自分でいろんなことをやりたいという血気にはやりがちなことが摩擦を起こしていると思います。そういうことがありませんように今後もさらに一段の努力を払っていきたい、かように考えているわけでございます。  いま御指摘の地域の問題につきましては、政府委員からお答えをさせていただきます。
  53. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 新潟県の問題につきましては、私どものところに新しい教育長が参りまして、いままでの経過とこれからの方針につきまして御説明がございました。私どもはその教育長の申されておりますような方針に全面的に賛成であるということを申しまして、それが具体的に実現をしたわけでございます。  東京都の問題につきましては、私どもで東京都にいろいろ照会をいたしまして、そういう事実があるかどうかを聞いておるところでございますけれども、まだ具体的に私どものほうに返事がございませんので、催促をしているところでございます。もちろんそういう組合が人事関与するというふうなことがございましたら、これは大臣から申されましたように、本来あり得べからざる問題でございますので、これは正していただくように私どものほうで十分に注意をしたいというふうに考えているわけでございます。
  54. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 局長、東京都で教員組合と都の教育委員会との間に勤務条件以外の教育行政に関する事項について覚え書きなり確認書なり、そういうものが取りかわされておるということは、私は現物を見ておりませんけれども、東京都の関係者のもう公知の事実みたいになっているではありませんか。しかもそれはきのうやきょう、二カ月や三カ月の前のことじゃなくして、一年も二年も前にそういうことがなされておるということを私たちは聞いておるのですが、まだ局長が事実をつかんでいないというのはやや怠慢のそしりを免れない、私はこう思います。文部省のほうで事実を確認するべくいろいろやっておるのに先方のほうが応じないのかどうか。
  55. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 先ほどお話ございますように、学校の秩序は維持しなければいかぬということでございますが、やはり行政の秩序というものも私どもはできるだけ尊重してまいりたいと考えております。私どもが直接に都道府県を越えて市町村の教育委員会といろいろ事実を調べるとかいうことよりは、むしろ都道府県の教育委員会を通じましていろいろ事実を聞くというようなことでやはり教育行政の秩序というものを維持していくということにはしたいと考えておりますから、できるだけ東京都の教育委員会のおっしゃることを御報告を待っていろいろ判断をしていくというふうな態度で臨みたいと考えておりますので、多少迂遠ではございますけれども、やはり東京都の教育委員会の意見というものを尊重していくということにいたしたいと考えております。
  56. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 その問題については、東京都の教育委員会のほうで文部省の問い合わせに対して返事をしないということであるならば、別の方法をとりますけれども、これはきわめて重大な問題でありますから、後日さらにまたやることにいたしまして、ひとつ詳細にその点は事実を確かめておいていただきたい、こう思います。
  57. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 たいへん重要なことでありますので、しさいに調査をさせていただきます。
  58. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 そこで、今度は次の問題に移ります。  七十一回国会に提案されて、一部の勢力の反対のために七十一回国会においてはついに成立を見なかった例の人確法は、七十二回国会になりまして、やっと十二月の二十日に衆議院の委員会だけは通過をいたしましたが、その成立を見ないような状態のときに、四十九年四月からの一〇%のいわゆる平年度分に加えて、五十年一月からのさらに一〇%の上積み分まで予算を確保されて、そして教員の給与を改善しようということでやられた文部省並びに文教関係者の努力に対して、私は非常な敬意を表するものであります。そしてまた、給与改善をして教育界に人材を確保しようということが政府の真剣な施策であるということがこれで明らかになったわけでありますが、そういう事態であるにもかかわらず、私の聞くところによれば、日教組はことしもすでにストライキのスケジュールを立てて、違法なストライキをするような準備を進めておるやに聞いております。この人確法に基づく給与の改善措置については、学校の先生にいい人材が集まってほんとうにけっこうなことだというふうに喜んでおる人たちもおりますが、しかし、一部というどころではなくして相当部分国民が、違法なストライキをしたり、いわゆる偏向教育をしたりするような教員になぜ給与改善をしなければならないのかということで疑問を投げかけている人も実は少なくないのです一そういう国民の状態でありますから、もし四十九年におきましても違法なストライキを日教組が繰り返すようなことがあるとするならば、教師に対する国民の信頼は全く失われると私は思うのです。教師に対する国民の期待と信頼が失われたならば、教育というものはほんとうに実りあるものにはならない、そういう期待を持てない、こう私は思います。  そこで、昨年も文部大臣相当努力をされたようでありますけれども、その努力もむなしく、四・二七ストがやられてしまった。ことしもしまたストライキをやられるようなことがあれば、国民政府並びに文部省に対する何をやっているんだという不満感は相当高まってくると思う。この日教組のスケジュール闘争、違法ストに対する文部省の対処のしかたはきわめて重大であると思う。いままでのやり方といえば、いま発言があったように、なまぬるい点が少なくなかった。私はしっかりやってもらいたい、こう思うのでありますが、文部大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  59. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 お話のように、日教組がまたストライキをやるんだということで準備を進めておられるようでございます。申し上げるまでもないことでございますが、教育公務員につきましては、団結権は認められておるわけでございますけれども、争議権は認められていないわけでございます。これが第一点でございます。同時に、この春闘に際しましてまる一日のストライキをやるのだということを昨年七月、群馬の前橋で開催されました大会で決定をしておられるわけでございます。いまおっしゃいましたいわゆるスケジュール闘争ということでございまして、これはまさに争議権の乱用、しかもその争議権は禁止されている、二重に問題のあることでございます。ILOにおきましても、およそこういうような政治スト、スケジュール闘争というようなものは、労働者に許される争議権のらち外の問題だ、こういうことを言っているようでございます。これはだれが考えましてもそういうことだと思います。私は、公務員は政治活動が制限されておるわけでございますけれども、とりわけ教育公務員は政治活動についてはみずからを規制していかなければならない性格の公務員ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。その公務員が逆に政治活動にハッスルしている、こういうような批判を受けることになるのじゃないだろうか、私はかように考えているわけでございます。そういう意味におきましても、昨年七月決定されたようなことは、反省の上に立って、ぜひ取りやめていただきたい、いただけるように努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。  同時にまた、四十八年度の予算におきまして一〇%の給与改善、四十九年度におきまして加えて一〇%の給与改善を行なわしていただいたわけでございまして、義務教育教員につきまして、合わせまして三千億円の給与の上積みをしようということでございます。少なくない金額だと思います。加えて、高等学校大学等にも及んでいくわけでございますので、もっと大きな金額になるわけでございます。よく私に対しまして、二〇%の上積みの予算化をされた、さらに一〇%上積みを続いてやるのかというお尋ねを受けますたびに申し上げているわけでございますけれども、われわれの努力、また教育公務員についての国民考え方、これを国民の皆さん方がどう評価をされるかということにかかってくるのじゃないでしょうか、こう申し上げているわけでございます。私は、教育公務員が国民の多くの期待にこたえて、そしてまた、処遇の改善について国民の多くの方々の積極的な御協力が得られる、賛意が得られるような環境をつくり上げていきたいなと今日もなお念願をしておるところでございます。したがいまして、伝えられるようなストライキがないように私としては最善を尽くしていきたい、こういうことでございます。
  60. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 最後に、私は社会教育に関連してお尋ねをしたいのですが、四十九年度の予算案につきまして、社会教育の関係で、四十八年度が六十六億七千四百万であったものが九十八億二千六百万と相当の増額をした予算がつけられたわけです。文部省や関係者の努力を多とするものでありますが、しかし学校教育の場合と同じように、社会教育においても教育界の秩序が保たれ、かつ社会教育に従事する人に人材を得なければ社会教育の効果はあがらない、私はこう思います。その観点から四十九年度の新しい予算の項目として、派遣社会教育主事という制度を設けて、その社会教育主事に対して国が二分の一補助をするという施策を打ち立てられたことは、まことに画期的なことであって、高く評価しなければならぬと思いますが、しかし問題は、その派遣社会教育主事にどういう人を充てるのか、ここが問題だろうと思います。社会教育の現場等に行って関係者の話を聞きますというと、三十代、四十代で、いろいろ若いときに青年団活動等を熱心にやって、そして社会教育に対して非常な関心を持って、そして熱心に地域社会で活躍をしている人がおります。私は、そういう若くて行動力があって、そしてしっかりしておる、そういう人たちを積極的に派遣社会教育主事に登用する必要があると思います。ややともすれば、学校の教員などを長い間やって、定年でおやめになって、そして隠居仕事がわりに社会教育の仕事でもしようかなどという人が派遣社会教育主事では、ほんとうの活躍はできないのじゃなかろうか、社会教育に熱意を持っておる若い人たちを積極的に取り立てて、それを育てていく、こういう形でやっていかなければ、せっかくの制度もその実効があがらない、こう私は思うのでありますが、この社会教育主事の二分の一国庫負担という制度で派遣社会教育主事の制度を発足させるにあたって、どういう人材をそこに配置しようとなさるのか、その点についてのお考えをお尋ねして、時間でございますので終わりにしたいと思います。
  61. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 御指摘いただきましたように、派遣社会教育主事につきましては、はつらつたる人材を登用することが根本だと思います。また人材を市町村の社会教育主事に確保したいということで派遣社会教育主事のことを考えついたわけでございます。したがいまして、学校教育で終始された方、その方をいまさら社会教育主事に持っていっても十分な期待はできないとおっしゃっていること、もっともだと思います。昨年、私がある県の教育長と話しておりましたときに、教頭職の試験に合格されたそういう方で社会教育に非常に熱意を持っている方も実はいるのです、だからそういう方も社会教育主事として市町村に派遣する、そして第一線で活動してやがて校長さんに戻ってくれると、りっぱな校長さんができると思いますよと、こうおっしゃっておった県の教育長がございました。これも一つの道だと思います。従来から社会教育社会体育に携わっておった方々、熱意のある方々を社会教育主事に持っていくことも一つの行き方だと思います。いろいろなところから人材を引き出してきて社会教育の仕事に当たらせていくことがきわめて大切なことだと思いますし、そういう筋道にもなっているわけでございますけれども政府委員のほうから詳しくお答えをさしていただきます。
  62. 松永委員(松永光)

    ○松永委員 数年前から市で公立少年自然の家というのが非常に積極的に設置されつつありまして、文部省補助金も年とともに増加を見ておるわけなのでありますが、しかし建物をつくりましても、その少年自然の家の指導者といいますか管理者といいますか、それに人材がないがために、せっかくの少年自然の家というものが十分な機能を発揮してないといううらみがあるように思われます。私は、派遣社会教育主事などをそういう分野にも積極的に配置して、そうしてせっかくできた少年自然の家でありますから、それが十分な機能を発揮するようにやってもらいたいものだ、こう強く希望するものでありますが、それらの点についての考え方をひとつお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 今村政府委員(今村武俊)

    ○今村政府委員 公立少年自然の家に対する派遣社会教育主事あるいは社会教育主事の配置の問題については、公立少年自然の家の職員の資質がその教育的な影響の点で非常に大きなものをもたらすことにかんがみまして、私どもと県の担当課長会議におきましても、しばしばその運用について配慮していただくように話し合いをしているところでございます。現在、人事の配置については、まだ予算が上がっておりませんので、事務的な下準備の段階でございますが、先生のおっしゃるような方向で事務的には動いておる現状を御説明申し上げておきたいと存じます。      ————◇—————
  64. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事嶋崎譲君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、辞任を許可することに決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  ただいまの理事辞任に伴い、理事一名が欠員になりましたので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。それでは、小林信一君を理事に指名いたします。  午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————    午後一時四十五分開議
  67. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 休憩前に引に続き会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小林信一君。
  68. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 文部大臣の所信表明があったわけでありますが、非常に重大な時期でございまして、大臣のこの所信の披瀝に対しましては真剣に私どももお聞きいたしておったわけであります。  具体的な問題からお聞きいたしますが、長い間予算委員会に出ておられまして、高物価の問題、あるいは物がないというふうな問題についての論議が多かったようでありまして、経済閣僚、こういう方たちが、値段は下げます、あるいは物は出しますというようなことに大かた心をくだかれておるようでありますが、文部大臣はまた別の立場からその事態を論議の中からごらんになっておいでだったのではないかと思います。この際、私は教育行政の中にそれをどう位置づけていくかということが大きな問題だと思うので、大臣予算委員会の中でお感じとりになった問題、お考えになった問題をこの際御披瀝願いたいと思うのです。
  69. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 おっしゃいますようにたいへん重要な時期だと思いますし、また昨年は物資物価をめぐりましてかなり混乱が見られたわけでございます。政局を担当する者として、一そうこれらの点につきまして反省もし、よりよい道を求めるために一段の真剣な努力も払わなければならない、かように考えておるわけでございます。同時に、社会を構成するものはみんなでございまするので、みんなが心配し合い、みんなが努力し合うという体制、教育を担当します文部省の立場から見ますと、そういう希望も持たせられたというのが私の実感でございます。  具体の例で申し上げますと、トイレットペーパー、洗剤などをめぐりまして混乱がございました。消費者から見ますと、油は従来よりもよけいきているじゃないか、まさに売り惜しみだ、メーカーはけしからない、こういう議論がございます。またメーカーから言いますと、消費者が買いだめをしているのだ、買いだめをされたんじゃちょっとやそっと増産しても追いつくものじゃない、こういう意見がございます。いや、やはり物価じゃないか、結局は政府が無為無策だ、政治の責任だ、こういう議論もございます。私はみんなそれぞれに言い分はあるのだろうと思うのでございますけれども、それぞれの立場を考えながらみんながそれぞれの責任を果たしていくという姿勢、これが根本だ、こういうことを教育の面についても配慮していかなければならない、やはりよき国民を育て上げていくという点について一段の配慮が私たちとしては必要だなというようなことも考えておったところでございます。
  70. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 おそらくこういうことをあなたはお考えにならなかったかと言えば、それは当然だときっとお気づきになると思うのですが、あの物価問題、物の問題の論議の中で国民全体が受け取ったものは、石油が入ってくることが少なくなってくるとか、あるいは石油が高くなってくるとかいうことから物価が上がったということで最初は一応印象づけられたのですが、だんだん予算委員会あるいはその他国民が知ったいろいろな事実の中から、石油は必ずしも少なくなかったのだ、やはりそれを機会にこの際もうけてやろう、そういう商魂たくましい人たちの作為的なものから物は上がったのではないかという結論を国民はとにかく得ておりますよね。大臣はそうお考えにならないかもしれません。物が少なかったということは、売り借しみをする、あるいは買いだめをする、そういう悪徳業者のしわざから物がなかったのだ。物が上がって困るということよりも、その裏にあります物価を上げた元凶は何だったのだ、あるいは物がなかったその原因は何だったのだという、その社会悪に対する批判というものが今回の物価問題については相当強く国民の中には印象づけられておると私は思うのです。これを一般の閣僚は——これは私が一番嘆かわしいことなんですが、物を出しさえすればいい、物価を下げさえすればいいと言う。と同時に、人心に与える、国民に与える、正直者がばかをみるとか、まじめにしておったんでは損だとかという、およそ教育とは逆のものがああいう事態の中からだんだんと広がっていくのではないか、こういうことを、大臣はおそらくあの事態の中からお考えになっておいでだったのではないか、こう思って、その点にぴったり御答弁がなされるかと思っておったのですが、やはり一般的な閣僚と同じような考えで終始されたかのような印象を受けるのです。そういう点はどういうふうに御判断願っておりますか。これは、物がない、物価が高くなったということに対する私の一方的な考え方であるのか。大臣もあの論議の経緯から、もうけさえすればいいという考えに対して、あなたの所信表明の中にも一言出ておりますね。「自己の利益のみを追求することなく、」ということばがありますが、おそらくこの短いことばは、あなたが政権担当の一員としてそういうものを強く考えられたことばではなかったかと思うのです。そういうことはもっと強く感じておると思いますので、ありましたら御答弁願いたいと思います。
  71. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 今度の問題で考えさせられる点はたくさんあったと私は思うのでございます。一般的な文部省の立場で先ほどお答えをさしていただいたわけでございます。また、物価が上がった問題につきましても、小林さんが御指摘になったような面もあろうかと思います。しかし、もっとさかのぼれば、国際通貨の不安定な現状でありますとか、そのことで国際的な買い占めの問題が起こったりしておったこともございますし、あるいはまたソ連の農業不作、アメリカにおいて大量に小麦の購入が行なわれた、そういうものから値上がりしてきたとか、いろいろなものがございます。でありますので、ここは物価を論争する場所でもございませんので申し上げませんけれども、物価の上がった問題も簡単なことじゃないだろう、と同時に、日本だけの問題じゃなしに、国際的な影響も多分に日本に入ってきておる、こうも考えておるわけでございます。おっしゃっている点もございますし、また私が申し上げるいろいろたくさんな問題も物価問題にあるのじゃないか、こう思うわけでございますけれども、いまは、先ほど申し上げましたように、あれこれお互いに責任を転嫁し合わないで、みんながお互いに責任を果たし合う、そういう姿勢が一番大切だ、それ以外には解決が困難じゃなかろうか、こんなことを思っているという意味お答えをさしていただいたわけでございます。
  72. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 そのことでこんなに、まだこじれているわけじゃないのですが、意見の一致がないということはないと思って私はここに立ったのですが、私は、大臣の、一般大臣と同じようなこの問題に対する考え方というものに非常に不満なんですよ。物がなくて生活に不安を感じた、あるいは物を高くしたその者に憎しみを感じた、それは世界の経済事情というものでもって一般国民判断いたしませんわ。やはりそういう国際的な情勢の中で、さらに日本の業者というものは私欲を満足させんがために相当計画的に、もう商業道徳を無視した行為があったと私は思うのです。それに対して、国民はやはり相当な憎しみを持っておると思います。そういうものが青少年の教育という面を、考える人はまっ先それを考えなければならぬじゃないか。それはただ単に看過すべき問題ではない。総理大臣官邸で、八十五人の経済界の代表と閣僚が会ったというのが新聞に出ましたが、あなたがそれにもし出席しておるとするならば、まあそう申しては極端でございますが、国民の一部の中には、あんな総理大臣官邸の中ではなやかな会議を開いているけれども、向こう側に並んだ八十五人は、あれはどろぼうじゃないか、こうまで極論をする人がいる。そのような中から、政治に対しあるいは自分の生活に対して、どういう思想やあるいは考え方が生まれてくるかということを私は考えなければいけないと思うのです。だから、教育的に考えてみて、この今回の経済事情の中では非常に悪影響を及ぼすものが出てきたのだ、社会の先頭に立つ業界の人たちは、自分のことよりももっと国民全体の問題特に青少年に及ぼす影響というようなものを考慮するならば、物価を二倍、三倍に短時日の間につり上げるなんということはできない、そういう態度でなければならぬと思うのですが、いまやそういうようなものがない。そういうときに大臣が、けしからぬ、青少年に対する悪影響というものを私は憂える、ただそういう考えを持っただけでなく、もしあなたがほんとうに教育行政の先頭に立つ者とすれば、そういう場所でもって、ただ物価をなぜつり上げるかということよりも、あなた方はそれが青少年にどういう影響を及ぼすか考えてほしいというような抗議をする、あるいは指導をする、そういうものがなければならなかったじゃないかと思うくらい、私は、大臣がこの経済混乱の中で、いたずらにあの予算委員会にすわっているのじゃなく、大臣文部大臣としてあの事態をながめられて、他の経済閣僚よりもこの問題を深刻に考えるということがあってしかるべきではないか、こんなふうに思ったわけです。これ以上、大臣のお考えをいただくことはどうかと思うので、もしありましたら、また次の質問にあわせてお考え願いたいと思います。  私は、一つはそういう予想もしておりましたが、奥野文部大臣に限ってはそんなことはないと思ったのですが、とかく閣僚というような人たちはそれぞれの分担には一生懸命でありますが、私は、教育の問題というのは、どんな閣僚にも相当頭の中にある部分をなして存在しておらなければ、ほんとうの政治はできないくらいに思っております。中曽根通産大臣は物の問題を解決しさえすればいいのではなく、そこにやはり国民にどういう精神的な影響を与えるかというような教育的な考慮というものがなければならぬと思うのですが、残念ながらそういうものが非常に欠如しておるように考えられてならないのです。  まず申し上げますが、総理大臣の演説ではたいへん教育問題を強調されたというふうにいわれております。確かに相当なスペースをさいて述べてあります。しかしこの中に、いまの経済事情というものの中から日本の教育をながめるというふうなものがないということは、やはり教育問題を観念的に取り上げておるのではないか。私はこういう批判をしたくなるのですが、大臣はどうお考えになります。
  73. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 先ほど業界の責任追及のお話がございました。業界にも反省すべきところは大いに反省していただかなければいけないと思っております。ただ、いまの自由主義経済も年とともにどんどん変わってきておるわけでございまして、おそらくこの間の総理官邸の会合に出ておられた方々、それぞれ相当な事業の経営者だろうと思うのでございますけれども、同時におそらく資本の提供者じゃないと思います。資本の提供者は別にたくさんの株主がおられる。同時にたくさんな従業者についての責任も負っておられる。だから、あの方々は、企業がもうければそれが自分のふところに入ってくるという性格のものではない。同時にまた、企業の経営にあたりましても、物の不足のときに消費者の需要を満たしていくこと、これが将来にわたって信用を確立することになるわけでありますから、その企業の基礎を非常に安泰にすることにもなると思うのであります。したがいまして、昔の、ただもうけさえすればいいんだというような時代とは今日は変わってきておると思います。しかし、そういう中小の企業の方々がおられないと私は言い切っておるわけじゃございません。どんどん変わってきておるわけでございますので、絶えず新しい企業理念というものを打ち立てる努力をみんなでしていかなければならない、こう思うわけでございます。  また、企業の責任者も、今日はもうけさえすればいいという考え方は指導者階級にはないと私は思うのでございまして、あくまでも消費者のことも考えていかなければならない、こういう気持ちが強いだろうと思います。同時に社会のことも考えていかなければならない、またそういうふうにわれわれも努力をしていきたいものだ、こう思っております。  総理の所信について御意見がございました。私は、そのとおりぜひ実現できるように努力していきたい、こう思っておるわけでございます。しかし、他の面から見たら、なおいろいろ加えるべき点もあるじゃないかとおっしゃいますと、それはそのとおりだと思います。そういう点につきましては大いに御論議いただきながら、われわれは積極的に全体的に十分な責任を果たすように努力をさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
  74. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 大臣のいまのお話を聞いておりますと、最近の経済問題というのは、資本主義であればこれはやむを得ないことであって、必ずしももうけさえすればいいという考え方でなく、やはり企業としての責任感を持って動いておるものだというようなお話、どこをつかまえて大臣はそうおっしゃるのか、私には理解できないのですよ。二倍も三倍も物価が上がったということは資本主義であるからやむを得ないというのか、あるいはやはり企業家としての責任もあの中で果たされておるというふうな見方をされておるのか。しかし大臣、二倍も三倍も物価を上げるということは、どこから経済的な検討を加えたって出るものじゃないと私は思うのですよ。やはりそこには、もうけよう、便乗してもうけよう、物をつかんでおる自分たちの一つの力でもってもうけてやろう、こういうものしか働かない中で物価というものはあんな変動が行なわれると思うのです。あれを大臣はそうすなおにお考えになっておいでになるのですか。大臣はそうお考えになっていても、国民のほうはそうじゃないのですよ。もう非常な憎しみを持っておる。私は地方へ参りまして、小学校の二年、三年、もちろん五年、六年、そういう生徒の作文だとか詩だとかいうものの中に、きょうの物価事情というものを深刻に感受してつくっているものを見ました。その中におそらく政治不信も生まれてくるし、そしてまじめな先生の言うことを聞くなんということはばかげたことだというようなものにまで発展をしそうな傾向もあるわけですが、大臣がそうお考えになるならこれはしかたがないわけです。したがって、私はこれからずっとそういう点を指摘して、大臣の所信問題を少し追及してまいろうと思います。  先ほどの総理大臣教育方針というものもここにりっぱに整然と書かれておりますよ。教育問題の最後に「さらに、理想的な教育条件と秩序ある学園環境の確立のために、たゆみない努力を傾ける考えであります。」こういうことばが出ております。そういうきたないものとか裏面の問題は隠して、きれいなことばでもって総理大臣の演説であるからつくったといえばそれまでかもしれませんが、とにかくこういうことばもあるわけですね。「理想的な教育条件と」これは別として、「秩序ある学園環境の確立のために、」まわりに芝生でも植えて、樹木でもあるような、そういう学校でもつくれば学園環境と総理大臣考えているのかもしれません。しかも私ども考えておるのは、社会全体が児童生徒の環境であるとも考えなければいけないと思うんですよ。だからしたがって、こういう理論を出すとするならば、いまはこういう時代であるけれども、こういうところに留意して、そして一時的なこの現象に対して子供たちの教育の問題はゆがめてはならないというような、具体的な現実に即した教育方針というものが出されなければならぬと思うのです。  そこへいけば、文部大臣がそんなことを考えているようなときに、かえって大蔵大臣は財政方針の中でこう言っておりますね。「物さえあれば、金さえあれば、自分さえよければという物と金とエゴの支配する時代は、過去のものにしなければならないと存じます。心のゆとりと落ちつきを取り戻し、金では買えないものの価値を再認識し、社会の公正と連帯の中で、みずからの生きる喜びを感ずるような、人間主義にあふれた新しい社会を建設しなければならないと存じます。」私は福田派でもなければ田中派でもないわけですし、別に福田さんをかつぐわけではないです。しかし大蔵大臣は、せっぱ詰まった政治の本旨は何だということを、教育的な考え方をここに披瀝しておりますよ。私は、きょうの経済事態に処する者は当然この心境でなければならぬと思うのですが、大臣から話をお聞きいたしておりますと、福田さんから受けられた印象のようなものがないことが残念なんですね。しかし、それはあるのだ、おそらくそうだと思いますが、もう一ぺん大臣、このことについてあなたの御意見をお願いいたします。
  75. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 大蔵大臣の所信表明の中に出ております、いま御指摘のありましたようなことが総理の施政方針演説の中にも出ておるわけでございますし、私も同じような気持ちを持っておるわけでございます。同時にまた、小林さんが最初にお尋ねになりましたときに、消費者、メーカー、あるいは政局担当者それぞれが責任を言い合っても問題の解決にはならないという一つの教えもくみ取れると思いますというようなことは、基本的にはやはりそういう精神につながることを申されたのじゃないか、かように思っておるわけでございます。
  76. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 総理大臣の演説の中にも「政府は、正直者がばかをみることのないよう、社会的公正を確保し、」というふうなことばも出ておりますが、とにかく教育問題を総理大臣がこれだけのスペースをさいて取り上げるんですよ。そうしたら、そこに抽象的な、いつの時代にも通用するような教育行政でなく、福田大蔵大臣がせっぱ詰まった財政担当者としての言を吐かれておるのですが、こういうものの中でいま子供たちは伸びておるのだ、それをどういうふうにするか、そういう現実というものを無視しない教育方針というものがなければ私は意味がないと思うわけです。したがって、大蔵大臣に言わせれば相当深刻に問題をとらえているわけですが、あそこに文部大臣がすわっておってあの論議を聞いておる中で、けしからぬ、おれが一生懸命教育行政をやっても、こういうものでもってどんどんと後退させられる、破壊されると、この人たちに抗議をすると同時に、こういう事態の中でわれわれはどういう教育をしなければならぬかという具体的なものがあなたから出てくることを私はほしいという一念で申し上げたのです。  そこで、具体的に文部大臣の所信表明。私はいまのような点を相当考慮されてこの所信表明はなされておったと思ったのですが、その見方を申し上げれば、秩序ある教育環境をあなたは決意を新たにして整える。この教育環境というのは、少ない校舎をあるべき姿にするとか、あるいは教員の給与を上げるとかいうようなことが教育環境の大事な点かもしれませんけれども、大きな教育の影響力を持っておる社会の混迷というふうなものをあなたはしっかり考えておやりになっておるんじゃないか。もちろんその先に、「自己の利益のみを追求することなく、」という前提をもって教育環境という問題をあなたは検討されておるわけなんです、言っておるわけなんです。私はそういうふうに解釈しておったのですが、やはり大臣自体がつくった文章でなかったというふうな印象を受けるのですが、いまの時代はやはり大臣自体、なまのあなたの意見というものを述べる必要があると思うのですよ。  そこで、あなたがつくったものでなくても、そこへ出された以上、あなたの責任があるわけですからお聞きいたしますが、「心豊かで創造力に富み、」ということばを出しております。この創造力というようなことを、これは当然人間であれば要求されるわけでありますが、いまの時代でもって、いまの社会情勢の中で創造力なんて言ったって、もうかる仕事、もうかる方法、そういうふうなことで創造力というようなものが考えられやすいと思うのです。あるいは「国際人としてだれからも尊敬され、信頼される」、このことばが出ておりますが、この中から私は、最近の問題を大臣が頭の中に入れて、シンガポールのあのコンビナートの破壊をしたということから出た人質問題、ああいう中でやはり日本人に対する批判というものはきびしい。総理大臣が東南アジアを歩かれた。相当日本人に対する反感というものが強い。これもしいていえば、もうけんがための商魂たくましい日本人の一部がそういう信頼を失っておるような気がいたします。さっきの創造力という問題、いまのような事態の中では、だれがまともに社会全体のために自分の創造力をたくましくするというふうなことを考えるか。それよりも、どうしたらもうかるか、もうけるような仕事は何だ、そういうところに創造力を働かせるような結果におちいりはしないか。そして「利益のみを追求することなく、将来の日本をになう気概を持つ」、あなたはそういうことばで所信を表明されておるわけでありますが、しかし悪徳業者に対するきびしい国民批判というものは、こういうことばをまともに受けるかどうか私は疑問だと思うのです。やはりここに、大臣がそういう業界に対して、おれは青少年の教育に当たっておる立場である、あなた方のそういう行為はまことに許しがたいものがあるというふうな抗議的な姿勢をとり、これらを指導するような積極的なものが一面にあってこれが生きると思うのです。そういう事態の見方はまことにお役目的に見ておって、言うことだけこんなりっぱなことを言ったって、私はほんとうの教育はできないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
  77. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 国民の中には企業に携わっていらっしゃる方もおりましょうし、あるいはそうでない方々もたくさんいらっしゃるわけでございます。全体的に一億国民を頭に置いて所信表明を書いておるわけでございますので、小林さんのいまのお立場からごらんになりますと、たいへんなまぬるいというお気持ちをお持ちになっているのじゃないか、かように感ずるわけでございます。しかし、いま私が申し上げますような立場で書いているということを御理解いただきたいと思うのです。  同時にまた、先ほど、自由主義経済というものもどんどん変化してきているのです、こう申し上げたわけでございまして、企業には中小企業もありますし、また大きな、何万人という人たちの株主からなっている企業もあるわけでございます。またそれぞれの中にもその行為についていろいろな型が私はあると思います。何か小林さんのお話を伺っていますと、企業は悪だというふうな感じに受け取れるのでございまして、やはり企業も国民全体の生活のために重要な役割りを演じている。しかし中には、ただ自分の利益さえ得られればいいのだというふうなかっこうで運営している企業も、当然ないわけじゃございません。しかし全体がそういうふうな気持ちでおっしゃることは、私は避けてほしいなという気持ちを持っておるものですから、小林さんからしますと、たいへん不満足な答弁をしているということになっているのかな、こう思ったりしているところでございます。しかし、いろいろ指摘すべき問題がたくさんございますので、そういう問題につきましては改めるように、教育の面についても努力していかなければならないことは、これはもう言うまでもないことだ、かように考えております。
  78. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 こんなにここで時間をとるつもりはなかったのですが、私の質問のしかたも悪かったかもしれませんが、私は決していいなんと思っておりません。大臣は非常に寛大でおいでになるのですが、いまの物価高は二倍、三倍だ、そういう上げ方をするのもあなたは必ずしも悪じゃない、許すべきものもあると。これは国民とは相当見解が違いますよ。私は先ほどは自分の考えということよりも、大臣に申し上げたのは、国民が、あるいは小学校の生徒が、中学校の生徒が、きょうの時代の中からはそういう一つの憎しみを感じている、あれはどろぼうだ、どろぼうを総理大臣官邸に並べてまことしやかに大臣が話をしているけれども、われわれには納得できないというくらいの見方をしているのですよ。あなたにはそう感ぜられないのですか。国民現実にそういうような心境でいる場合に、あなたのようなしごくのんびりした御寛大な態度でもって教育問題を扱ったら、私は教育は生きてこないと思う。やはり、きょうあたりは一つの思想的な危機だと思うのですよ。そういう場合に、あなたがこういうことばを使って、私の教育行政はかかる方針でいきますという場合には、やはりその根拠に、きょうの事態に対するもっと深刻なえぐり方をもっていかなければいけないと思う。  私は、いまや日本の国はもうける人たちが主体になるものが支配をしている、そしてその人たちにいつでも苦しい思いをさせられる、支配をされる者、支配をする者、こういう世界が二つでき上がるような感じがするのです。もとの地主、小作、そういうふうな関係かもしれません。あなたは、管理価格だとかあるいは企業の系列化だとかいうようなものは、やはりこれは企業が発展をする一つの段階としてはしかたがないというふうにおそらく見られると思うのですが、そういうようなものはだんだん、今度のような突然、不意に国民を不安のどん底におとしいれるような、そういうことを考えていく元凶になりはしないかと思うのです。  これは経済問題になってしまうようですが、とにかくあなたがこういうりっぱな教育理念を出されるときには、ただ理念だけでなく、いまの社会に対して文部大臣がどう抵抗するか、どう批判をするか、そういう現実のものがあってはじめて青少年がこれをすなおに受け取ると思うのです。あるいは教育に携わっておる者はこれをまじめに受け取るのではないかと思うのです。いま一片の文章が出て、それをお互いにただ理解するのではなくて、この裏づけとなる、文部大臣がどういう思想に立っておるか、どういう考えに立っておるかということが、私は教育の非常に大事な点ではないかと思うのです。  そこで、次の問題ですが、これと関連をして申し上げますが、新聞を見ますと、国民協会の献金がたいへんに上がりましたね。おそらくこの新聞を見た人たちは、さもなくてもきょうの物価高あるいは物がなくなる、こういうものは企業と政治の癒着ではないかという批判が非常にきびしいのですよ。その中で、ある政党に対する政治資金というものが割り当てが四倍になっている。こういうものを国民が見たら、どう思うでしょうね。大臣はどうお考えになりますか。
  79. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 企業から政治資金がばく大に提供されているということだけを考えます限りにおいては、不愉快な気持ちを持つと思います。そういう意味では、しばしば金のかからないような政治、特に選挙制度にしなければならないという問題も一面に出ているわけでございまして、両々相まって解決をしたいということが国会を通じて絶えず論議されている点だと思います。私もそういう考え方を持っておるものでございます。
  80. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 大臣、そこですよね。私は、この額がどうであろうと、どういう範囲に金が集められようと、それはいろいろな点でこれはどうするということはできないと思いますが、もし、大臣がこういう教育に対するりっぱな所信表明をなされた、その大臣もこの一人の中へ入るのだというような印象があったら、このあなたの所信表明、どうなります。精神的なあなたのことばというものはどうなると思います。それとこれとは別にちゃんと国民は分けるでしょうか。お伺いいたします。
  81. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 一般的に、企業のほうから多額の政治資金が提供されている、こういう姿にたよらざるを得ない、これは私は適当でない、こう考えているわけでございます。しかし、特定の人たちが相当多額の政治資金を純粋な気持ちで出す場合には、それはそれなりにあってしかるべきじゃないか。いわゆる表現の自由と申しましょうか、そういうことはそういう資金の面においてもそれをそのとおりに受け取ったらいいじゃないか、こう思っているわけでございます。そのかわり、それらの使途というものを明確にして、そのために政治がゆがめられるというような誤解を与えないような配慮もあわせてしていかなければならない、こういう考え方を基本的に持っているものでございます。  同時に、先ほど申し上げましたような、国会におります者が、ただ部分的な非難に終始しないで根本的に解決する道をお互いに探っていきたいものだなあと、こういう考え方もまた同時に持っておる一人でございます。
  82. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 やはりそういうときにわれわれが常に主張しているように、文部大臣というものは政党人から出てくるということはいろいろ問題があるというのはこんなところだと思うのですよ。まあそれ以上申し上げませんが、あなたのいまのおことばというものは、これはもう国民がほんとうに聞いていたら、やはり教育そのものにもう見限りをつけるのじゃないか、こんなふうにも考えられるわけです。  たいへん時間をとってしまって残念ですが、そこで、あなたのやはり所信表明なり、あるいは先ほど予算委員会ですわっておって、この物の値上がりの問題でもってどうお考えになっておいでだったかということを質問したのですが、このことも大臣から何か出てくるだろうと思ったのですが、出てこなかったのです。というのは、あの最中学校建築が行なわれておりますよ。その建築ができなくなったというふうなことがたくさんあるわけです。せめて学校建築の資材はこと欠かしてはならないというような配慮が、あなたにあったのかなかったのか。あるいは学用品に大きな値上がりがあるようなことがあるとこれはたいへんだ、そういう品物はこと欠かないかというような配慮を当然するのが文部大臣の仕事だと思ったのですが、それは小さいことだからあまり印象づかなかったのか、お聞きしたいと思うのです。
  83. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 昨年いろいろな問題が起こりまして、建築資材の不足から、むしろ大きなビルディングその他、延ばせるものは延ばしてもらおうじゃないかというような方針がきめられたときもございました。その場合にも、学校建築はその中には入れないという方針をとっていただきました。それからまた、必要なものについてはセメント、鉄材などを優先的に割り当てられるように通産省、建設省等が中心になってくふうしようじゃないかというような施策も講ぜられました。その場合にも、学校建築については特別な配慮をしようということにしていただきました。また、現実に具体の例によりまして文部省が話を聞いて、関係者に申し入れをして、必要な資材がそれぞれのところに調達されたというようなことにもなってまいってきておるわけでございます。  紙の問題は、去年教科書のときにたいへん心配しましたが、これも通産省の特別な配慮をしていただいたし、またザラ紙についても今回特別な配慮をしていただいたわけでございまして、学用品の問題につきましても一緒になって、物資の所管庁はもっぱら通産省でございますので、こちらはお願いをする立場でございますけれども努力はさせていただいているつもりでございます。今後もわれわれの力の足らないところにつきましては御支援をいただきたいと思いますけれども努力を続けていきたい、かように考えているところでございます。
  84. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 そういうお話を聞くと、あなたはなすべきことをなしたというふうに受け取れるのですが、しかし、どれくらい学校が建たなくてその当事者は困ったか、あるいは学用品が値上がりをして父兄が心配をしたか、そういうことはたくさんあって、問題はきわめて穏便におさまったというような御説明でございますが、相当苦しんだわけです。大体、私は、文部大臣、こういうふうな時勢の中では事学用品については上げてはいけない、これくらいに強くあなたが意見を出して、物価が上がってからどうのこうの、下げてくれとか、物がなくなってから出してくれとかでなく、これは一般企業と違って事教育でしょう。私はそれくらいに大臣が積極的に出なければいけなかったのじゃないか。今後の事態にはそう対処しなければいけない。あなた、お願いをする立場でございます、そのとおりでしょう。文部省のあり方からすればですね。これはやはり通産省に鉄材を出してください、セメントを出してくださいとお願いをする形でしょうが、それはほんとうにあるべき姿じゃない。教育優先ということはあなた方が常におっしゃっていることなんです。したがって、もうどこどこの県のどこどこの校舎が建築ができない、すぐ出せという至上命令が出せるくらいの文部大臣でなければいけないと思うのですよ。お願いをするなんということを言っているから、ことに学校を建てる場合には、大きな鉄工所なんかなければ、もう小さい市なんかではどうすることもできない。これは局長さんにお伺いをすればわかると思うのですが、いま建たなくて困っている学校なんというのはないのですか。みんな予定どおり進行しておりますか。
  85. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 学校建築の進捗状況でございますが、公立文教施設整備費について申し上げますと、昨年の十二月末現在の契約の状況といたしましては、全体契約の九六%が契約済みという形になっております。これだけをとってみますと、例年の契約の進行状況と同じでございますが、ただ、実際の工事がそれでは例年どおりいっておるかといいますと、これはおくれております。  その理由はいろいろございますが、一つは建築単価の上昇という問題でございます。これにつきましては、御承知のとおり、昨年の年度当初予算で、四十七年度予算に対しましては、超過負担の解消分も含めまして一〇・一%の改善をやったわけでございますが、さらに八月一日付をもちまして、既定予算の範囲内で二・一%の単価の改善をやりました。さらに十月一日をもちまして一〇・八%の単価の改善をいたしました。当初単価に比べましては計二三・一%の改善をしたわけでございます。四十九年度単価といたしましては、御承知のとおり、四十八年度の当初単価に対しましては四五・二%という改善をしておるわけでございます。物価の上昇に対応する措置といたしましては、こうした措置をとってきておるわけでございます。  なお、資材の不足の問題につきましては、昨年の九月十日付の管理局長の通達をもちまして、鋼材と塩化ビニールにつきましては特別のあっせんをするということで、通産省にも協議をいたしまして、各府県の商工部あるいは地方通産局でごあっせんを願っておるわけでございます。さらに、セメントでございますとか、最近はフローリング等の仕上げ材の不足という事態がございました。セメントにつきましては、昨年の暮れから本年の初めにかけまして、建設業界と生コン業界の話し合いがつきませんで、供給に円滑を欠いたという時点がございましたが、現在はそういう事態は解消しておるというふうに承知をいたしております。なお、ただいま申し上げました床材等あるいはボード等のいわゆる仕上げ材の不足という問題が最近の時点としてはあるわけでございますが、この場合も、地方通産局を通して優先的なあっせんを受けるというふうにいたしておる次第でございます。  なお、一般的にはこういった措置を講じておるわけでございますが、個々に何々県の何々市のこういう学校がこういう資材が不足で建たないというような御陳情、御指摘等がございました場合には、直ちに関係のところに連絡をいたしまして、優先的にその資材の確保をはかるようにいたしております。  全体といたしましては、工事のおくれというものが例年以上に目立つわけでございまして、それに対応する措置といたしましてはいまのようなことを行なっておるわけでございますが、例年に比べてその進捗状況はややおくれておるということでございます。しかし、最近の物資事情はやや安定してきておるというふうに考えておりますので、これからかなりそのおくれも回復できるであろうというふうに考えておる次第でございます。
  86. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 文部省のあなた方の御苦労はいま説明を聞いて大体わかりました。しかし、こうした経済混乱の中だけれども、校舎をつくっておるところもあるだろう、あるいはプールをつくっておるところもあるだろう。こういうものをすぐ調査して、これに対していささかも怠りがないように配慮しなければならぬという、そういう経済混乱に対してすぐ文部省はあらゆるものよりも優先的にその難から問題を避けるというような積極的な意欲というものは、大臣先ほどのような考えをしている以上は、私は出てこないと思う。幾ら局長が一生懸命になっても出てこないというくらいに考えておるわけですが、私は、将来のこともありますので、通産省から来ていただいておりますから、そのほうを先にお聞きいたしますが、鉄材のほうは、きのうお聞きいたしましたら、いま値段が下降状態にある、したがって幾らでも供給できますということで、心配ないというお話でしたから、きょうは来てもらっておりませんが、しかし、私どもが実際校舎を建築しておる人たちに聞きますと、確かに値段が安くなった。きのう聞きますと、東京の値段、大阪の値段が大体標準ですが、私どものところは山梨県ですが、それよりも二割、三割高いようであります。鉄棒の十九ミリあるいは十七ミリ、こういうものが建築用によく使われるのですが、一トンですか、十四万。それが最近八万円になった。ところが、八万円になったけれども、値段は下がったけれども、今度は、そちらでもって東京まで持ちに来てくださいという。そして寸法はばらばらのものを送ってくる。だから、一ぺん送ってもらっても、持ってきても、今度はそれをたけを切らなければならぬというような手間賃、運賃、そういうものを入れれば、まだ十二、三万円になるというような話も聞いたのですが、きのうお聞きいたしましたら、よほど材料は出回っておりますから心配ないというふうなことで、そのことは私はきょうはお聞きいたしませんが、紙の問題、それから学用品の問題それからいま局長からお話のありましたセメントの問題、これに対してそれぞれから、できるならばその当時の教育関係の資材はどういうふうに供給したか、心配したか、今後どういうふうにいたしますかということについて、まず紙業課長からお話を承りたいと思います。
  87. 村岡説明員(村岡茂生)

    ○村岡説明員 私ども、ざら紙、ノート、学習帳、それから古くは教科書用紙の問題につきまして、いろいろ文部省からも強い要望もございますし、かつまた、私ども大臣からも、新学期を迎えて学用品の値上がり問題は十分検討せよという御指示もいただいておったわけでございます。私どもの当然の考え方といたしまして、こういった各種の教育用品を最優先という形で、不足をすれば追加供給をする、非常に値上がりすれば何とかしてその価格を下げて供給する知恵を出そうという基本的な考え方でございます。最近行ないました教育用品関係の値下げ対策につきまして若干御説明申し上げたいと思います。  まず第一点は、ざら紙の問題でございます。ざら紙が非常に品不足になってきた、かつ価格上昇も非常に激しいという話が文部省からございまして、私ども鋭意その対策を考えたわけでございますが、約一月前に、文部省の御協力によりまして、公立学校の場合は教育委員会を通じまして、私立学校の場合は学校長から直接申し込みを受けまして、当時一般の市中価格、千百円ぐらいから千五百円ぐらい一締めの値段がしておりましたものを、直接卸商から必要な量を供給しようということで、一締め七百二十円プラス若干の運賃というようなことで必要量を供給しよう、こういう対策をきめました。  第二点は、ノート及び学習帳の問題でございますが、これにつきましても、御案内のように、日銀卸売り物価指数におきましても約二倍強と、非常に価格上昇を見ておるわけでございます。この点につきまして、通産省といたしまして、ノートのメーカーのみならず、ノート用原紙の、紙のメーカー、それからノートの流通業者、こういった一貫した縦の系列におきます関係業界の協力を仰ぎまして、ノート用原紙は出血価格で出荷しよう、それから流通業界はマージンを大幅にカットしよう、当時四五ないし四八%の流通マージンでございましたものを四〇%に切り詰めていただく、さらにはノートメーカーにはできるだけコスト上昇要因を吸収していただく、あるいは多めの利益はこの際吐き出すというような対策を講じまして、たとえばノート三十枚入りで申し上げますと、市価が百十円でございましたのですが、これを七十五円ないし八十円で一般に売り出せるようにしよう、この休み明けから売り出しているような状態になっております。なお一部の百貨店等におきましては、流通マージンをほとんど取らないという形で五十円あるいは六十円、こういった市価も出ております。なお昨年一月の価格というのが二十四枚入りで五十円、現在の三十枚に換算いたしますと六十二円五十銭でございますので、ほぼ同じかあるいは二割五分程度高という水準に落ちつけることができたわけでございます。  以上でございます。
  88. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 一言あなたに、通産省に申し上げたいのですが、出血価格でもって売っているとか、もとの値段に変えたとかいうふうなことを言われまして、何か通産省の働きでもってそうなったようなことを言いますが、世論の前にそういう業者がもういままでの高値で売っていることはほかのものに影響するというような、やはり一つの商魂でもってなされる面が非常に多いと思うのですよ。もし通産省にいまのようなことが言えるならば、このことだけは絶対事欠かない、要するにあなた方の立場でも教育という問題を行政の中で考えていくような姿勢というものが私は大事じゃないかと思うのです。  時間がございませんので、それでは文化用品課長に、クレヨンだ何だ、あんなことはもういいから、もっと国民のほんとうに必要感の強いものについて、あなた方の現状を説明してください。
  89. 矢橋説明員(矢橋有彦)

    ○矢橋説明員 文化用品課長の矢橋でございます。  基本的な考え方につきましては、ただいま紙業課長から申し上げましたとおりでございますので、事実関係にしぼりまして、最近の値下げの指導の実態につきまして御報告を申し上げたいと思います。  まず第一にはクレヨン、クレパス関係でございますが、これにつきましては、一箱十六色までのいわゆる義務教育の課程における普及品、これにつきまして、銘柄によって若干まちまちではございますが、最低一一%、最高二〇%の値下げをするということで指導をいたしました。そして、きのう、きょうあたりから店頭で浸透しつつあるものと考えられます。おそくとも四、五日のうちには浸透し切るのではないだろうか、かように考えておる次第でございます。  それから二番目は運動ぐつでございますが、運動ぐつは非常に品種も多うございまして複雑でございますけれども、そのうち小中学生が一番よく使います三つの品目、一つは通常の運動ぐつでございますビニール前ゴムぐっというものでございますが、これと、それからもう一つは学童の校内等でのいわゆる上ばきに使いますバンドバレーというものと、それからいま一つアップシューズと申しまして、ひものある運動ぐつでございますが、いずれも白無地のものにつきまして二割の値下げということを指導いたしました。このほうは若干流通経路もふくそうしておりますので、浸透にやや時間がかかるかと思いますが、二十日過ぎには浸透するのではないだろうか、かように考えております。  それからいま一つは学童用のスチール机でございますけれども、これが鋼材とかあるいはプラスチック類の値上がりを反映いたしまして、昨年のものに比べまして今年のものは八割ぐらいの値上がりになっているものが多いわけでございます。一脚二万五千円から五万円ぐらい、いろいろあるわけでございますが、これらは二月の十五日から、メーカーが今後つくりますものはもちろんのことでございますが、すでに流通段階に流れておりますものも含めまして一割の値下げを指導しております。これらの措置は、一方において高値が浸透し切ってしまうと困るという事情、いま一つは新学期がだんだん迫ってくる、こういう事情からとりあえずの応急措置といたしまして企業を強力に指導いたしました結果、このような値下げが一部に実現をしたという次第でございます。
  90. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 そこにも指導によってということばがありますが、指導じゃない。やはりこれは世論に対抗できなくてそういうような措置が出てきておるとも私は考えるわけです。  ではセメントの問題を……。
  91. 木原説明員(木原滋之)

    ○木原説明員 セメントの最近の事情を御説明いたします。  セメントは昨年非常に需要が旺盛でございまして、これに対しまして生産も順調に十月まではきたわけでございます。しかし十一月後半から油の規制の影響が出てまいりまして、非常に需給のバランスがくずれてまいりました。で、十二月、一月というのはかなりのセメント不足という事態が生じたわけでございます。これに対しまして中央セメント需給協議会におきまして優先供給というのを、これは春にきめたわけでございますが、それを再度見直しいたしまして、文教施設あるいは災害復旧、それから社会福祉、こういう施設につきまして特別に優先供給をやるという方針を出したわけでございます。この方針に沿いまして個別な、具体的なあっせんを実施しております。都道府県あるいは文部省からお申し出のあったものにつきましては積極的にあっせん申し上げております。  価格につきましては、昨年の十月から十二月にかけまして、ばらものにつきまして約二割ほど値上がりになったわけでございますが、これは全く油の値上がりあるいは輸送運賃等の値上がりに基づくものでございまして、一月以降は価格が安定しております。これからも上げないということで指導してまいっております。  需給状況も、一月中旬から順調に生産も行なわれておりますので、総需要抑制の効果等も出てまいっておりますから、これからはかなり需給もゆるんでまいるものと考えております。
  92. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 いままでの経緯、今後の問題についてもっと御質問を申し上げたいのですが、一言申し上げておきます。  ある学校は、古い校舎をつぶしてしまって、そしてこの四月に間に合うように校舎を建てる計画で一切予算その他の交渉が済んだのですが、業者のほうで資材がないから私はこの約束は履行いたしませんというようなことがあったのを聞いております。したがって、そういう場合に子供はどういう教育を受けるか。結局、セメントが高いということでなくて、どこかにセメントが隠されてしまったんだというふうなことから、私どもの勉強する教室は来年四月建てられる予定であったが、建てられなかったという子供たちに与えた打撃というものは、いまいろいろ御説明なさった通産省の皆さんよく肝に銘じて、文部省から話があったらでなくて、あなた方自身の使命感の中でやっていただきたい。あるところから、きょうは市会があるのですが、市会をやめて、市長、助役、議員全部が上京して参りまして、管理局長のところにお願いに行ってその窮状を訴え、そして手配をしてもらったら、建築中の校舎の資材が回ってきたというような事実に私ども出会っております。そういう場合に、優先優先とはいうけれども、必ずしも教育的な考慮をもっての優先ではなかったような気がいたしますが、今後ほんとうに優先をする配慮をしていただきたいと思います。  それから、同じ問題で文部大臣にお伺いいたしますが、あなたは施政方針の中で学校給食の問題を取り上げておりますが、まことに学校給食もすなおに順調に進んでおるかのようなあなたの説明でございますが、父兄、学校の先生あげて学校給食に関係する人たちがきょうの経済事情の中でこんなに悩んでおる問題はないと思うのですが、このあなたの説明の中には、いまの経済事情、物価高がどういうふうになっているかということは、言わずもがなかもしれませんけれども、片りんも見えない。私は、さっきの質問者が教頭の問題に触れられましたが、もっと切実な問題でもあるような気がいたしますが、大臣、この学校給食に対してはこういう平面的な御発想で了承されておるのですか。
  93. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 学校給食の問題につきましては、いまお触れになりました物価、物資の面でかなり苦労を積み重ねられておるわけでございます。所信表明のところでは学校給食制度というたてまえで議論をしておりますので、小林さんの立場からお考えになりますと、大事なことが抜けているじゃないかという御指摘になろうかと思います。たいへんむずかしい問題でございますけれども文部省としてとってまいりましたのは、小麦粉の問題につきまして、原麦の払い下げ価格が引き上げられましたけれども、ことしの九月までは据え置くという方針もとっていただいたところでございます。給食の費用は毎年初めにきめられるわけでございますので、特に年度の途中で変えないようにしてほしい、こういうこともございますので、具体的には、牛乳の問題をめぐりまして、地方で、酪農業者から見ますと、ぜひ学校給食用の牛乳も値上げをしてほしい。しかし、学校給食の父兄負担については、年度当初にきめておるものだから、三月まではぜひこのままでいってほしいということで、若干トラブルがあった例を知っておるわけでございます。一般的な物資物価の面での困難を、学校給食も同じようにかぶっておるわけでございまして、そういう問題におきましても文部省としてなし得る限りのことはしたいということで、いま申し上げますようなことになっておるわけでございます。決して地方における苦労をわれわれは知らないでおるんだというつもりで所信表明を書いておるわけじゃございませんで、いまのようなたてまえで述べさせていただいております点について御理解を得ておきたいと思います。
  94. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 大臣が何と言っても、あなたは時代的な認識が欠如しておる。そういうあなたの教育方針から出てくる当然のものだ。非常にひどいかもしれませんが、私はそういうふうにこの学校給食の問題については特に考えさせられるのです。いまの学校給食の現状、それに対する対策、それから日本学校給食会というものがありますが、この際、従来の脱脂ミルクを扱うというふうなものでなく、学校給食は、この大臣の所信にもありますように、「調和のとれた人間の育成を期する重要な教育活動」である、これをどういうふうに処していくかということを、時間がございませんので、それぞれ簡単にひとつ係のほうから御説明を願って、納得いくようなものをいただきたいと思うのです。
  95. 澁谷政府委員(澁谷敬三)

    ○澁谷政府委員 学校給食の問題につきまして、現在、先生御指摘のように、給食費の値上げ問題、給食用物資が足りない、あるいは値上げというようないろいろな問題がございます。  簡単に要点を申し上げますと、まずパンでございますが、これはいま大臣からお話がございましたように、給食用パンのための政府売り渡し原麦は九月まで据え置いていただいたわけであります。一般市販のは昨年三五%値上がりいたしましたが、据え置いていただきました。それから、この原麦をパンのための小麦粉にする費用が要るわけでございますが、これは製粉業界の協力もいただきましてこの二年間据え置いていただいております。来年度につきましても政府原麦の値上げを九月まで据え置いておりますので、それまでは極力押えるように、いま日本学校給食会が交渉をいたしておるところでございます。  それから、パンの加工賃につきまして、人件費、燃料、包装の紙等が値上がりいたしておりますので、パン業界から値上げの要望がございますが、これも年度内は据え置くような協力をいただくことになっております。新年度からはこれも若干の値上げという問題が起きてくると思いますが、できる限り適正な値段で押えるように各県ごとに指導をいたしております。  牛乳関係では、一般市販の牛乳が昨年の十二月十六日から三十二円が四十円に値上がりをいたしました。それに伴いまして現在給食用の牛乳は全国平均十九円九十五銭、約二十円になっております。給食用の牛乳についても二六%ぐらい値上げをしてもらいたいという要望があるわけでございますが、文部省といたしましては、年度途中の値上げはかんべんしていただきたいということで、いま各都道府県に強くお願い、強力な指導をいたしておるところでございます。  一般物資がいろいろ問題がございまして、特に砂糖それから油脂類、野菜、それから小麦粉製品のマカロニ、スパゲッティ、それから添加物のジャム、マーガリン、あるいは化学調味料、しょうゆ、合成洗剤、こういったものの欠乏あるいはかなりの値上げがございます。これはいま学校で非常にいろいろ苦心をしておるところでございますが、野菜などにつきまして、キャベツが上がればタマネギという多少のくふうの余地はあるわけでございますが、くふうにも限度がございます。そこで日本学校給食会は、それからさらに都道府県の学校給食会を通じまして、現在は小麦粉、脱脂粉乳だけでなく、砂糖それから油脂、それからくだもの、野菜のかん詰め、そういったものを扱っておるわけでございますが、先般も給食会と話し合いまして、さらにそういった不足あるいは値段の高い物資につきまして、日本学校給食会あるいは都道府県給食会がさらに事業を要請に応じまして拡充するような努力をいたそうということになっておるわけでございます。  なお、数年前から日本学校給食会、都道府県学校給食会に給食用物資の安定基金といいますか、安いときに買っておきまして高いときに安く出す、そういう制度を始めたわけであります。それからコールドチェーンの制度その他をやっておりますが、それらをさらに充実いたしていくというようなことをいたしておるところでございます。
  96. 河上参考人(河上邦治)

    河上参考人 日本学校給食会は、数年前までは脱脂粉乳だけを取り扱うという団体でございましたけれども、その後脱皮いたしまして、現在、昨年度から小麦粉を新たに供給するという仕事をいたしております。これによりまして、都会の子供も山間僻地等におる子供たちにも同じ価格で小麦粉を供給することができるという一つの制度ができ上がったわけでございまして、その後、現在二十二品目にわたりまして物資を取り扱わさせていただいている次第でございます。  なお、今後は何といたしましても現場の要求にこたえなければならぬ、ただ単に物資を流せばいいという考え方ではなくて、ほんとうに子供たちのために、一体子供たちは何を要求し、何を熱望しているのかという、子供たちのための物資供給の機関であるということを絶えず反省しながら、新しい物資の開発とか子供たちの好みます、たとえばラーメン等がございますが、それにもう少しこの際でございますので栄養価を加えて、脱脂粉乳等を加えました、カルシウムとかあるいはたん白の高いそういうラーメンを開発するとか、あるいは輸入牛肉をもう少し多角的に利用していくとか、いろいろいま専門委員会で詰めてまいりまして、もうほとんど成案をいま二、三品目について得ております。こういうものをできるだけ早く現場の要求に応じながら都道府県の学校給食会を通じて流していくという作業を一生懸命続けております。また同時に、日本学校給食会も阿佐谷に昨年から研修施設を設けまして、栄養士さん方の研修、現場研修をはじめといたしまして、来年度から、食品公害からほんとうに子供たちを守ろうという意味で、ささやかではございますけれども品質検査の施設も設けまして、その足らないところを何とか補って適正な物資を円滑に現場に供給してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 文部省側からは非常に苦心をしておるお話を承りました。しかし本年度内は何とか価格を保持してもらうとか、まことに行く末が思いやられるようなみじめな御苦心だと思うのです。パンの加工賃が上がったらもうこれはパンの値段は当然変えなければならぬというふうな、そういう因果関係等を考えますと、なかなかこれは将来どうなるかということが不安になってくるわけでありますが、やはり思い切った、ここで学校給食を継続するか、やめてしまうかというくらいの決断を文部大臣はしなければならぬときにきていると思うのです。やるとするならば、従来施設だけに補助金を出すというような学校給食法でなく、物資のほうにも金を出す、そして学校給食会のせっかく組織があるのですが、これが物資の確保とかあるいは相当数の保存をするような施設をするとか、こういう大英断を下して給食というものは進めていかなければならぬときにきておると思いますが、私はこれ以上申しませんが、すでに学校給食は一週間続けてやっておるところは少ないようであります。もう、二日休みますとか、一日は休まなければなりませんとか、そういう場合におかあさんの声を聞くと、そのための今度は弁当といいますと、われわれ教育に関係する者が学校給食法をきょうまで擁護してきた者からすれば、また非常にめんどうなおかずの心配をするというふうな状態で、またもとへ返ってしまうわけで、何とかここで英断を下さなければならぬ。そういうきょうの経済事情考えて、学校給食をどうして維持発展するかということは、私は大きな課題だと思います。そういうふうに申し上げてきたんですが、先ほど管理局長からお話がありましたこの施設の整備の問題とか、こういうことも、単価を大幅に改定をするとか、あるいは物価上昇を織り込んだ額を計上するとかというふうなことがなされておりますが、相当これも思い切ったことをしなければ学校施設が整備できないような現状にあると私は思います。したがって、こういう点から考えて、文部大臣は、いまの経済事情あるいはその経済事情にからむ精神的なもの、そういうものをもっと強く認識をされて教育行政に当たっていただかなければならぬじゃないか。中でも、一生懸命先生たちが教育いたしましても、そうした物資に関係する社会の環境から受ける教育というようなものがかえって大きな後退をさせておるようなときに、いよいよそういう点に意を強くして、ただ下に向かうのでなくて、全く文部大臣自体が業界にも要求する。あるいはいまの国民協会献金というふうな問題に対しても、国民がとかく疑惑を持つ。その中からの一人の大臣がこういうことをいまわれわれに言っておるんだというふうなことは、みずから取り去らなければならぬような事態であることを私は強く訴えるものであります。  委員長に申し上げますが、学校給食会の理事長さんがおいでになって、これに関連した質問をせっかくですからしたいという御要望がありますので、お許しを願いたいと思います。
  98. 稻葉委員長(稻葉修)

  99. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 いまたいへん大事な今日の緊急問題について小林先生から質問をされておったわけですが、二、三伺いたいのです。  一つは、先ほど通産省のほうから物資の問題については、たとえばノート、クレヨン、その他値下がりをするということが言われておりますけれども、実際私は三日前に調査をいたしております。ところが現実は下がっていないのですね。たとえばいまクレパスの問題、現在現実に三百五十円です。去年は二百五十円ですね。こういう状態にあるわけです。これはもう例をあげれば切りがありません。たとえばハーモニカにしましても、一年生の使う鉛筆の2B、これは十円から三十円になっています。それから上ばきが三百円から六百円、ノートが現在九十円、下敷き、おけいこ道具その他数え上げれば切りがありませんが、実は予算委員会の総括質問のとき、社会党の辻原委員のほうから質問が出ましたのが二月の二日です。現在までこういう状態に放置されておるのは一体どういうことなのか。通産省はあのように言っておるけれども現実学校の現場では高いものが買わされているわけですね。この実態を文部省はつかんでおりますか。
  100. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 物資の価格あるいは需給に関する実態でございますが、昨年十二月に都道府県の教育委員会に通達を出しまして、毎月月末現在における用紙、それから燃料、それから学用品等についての価格並びに需給の実態を報告をするようにいたしておるわけでございます。全府県を半数に分けまして、一月おきごとに府県から報告が来るということになっております。各府県におきましては、五つの市町村を選びまして、各市町村につきまして、公立の小学校一校、中学校一校、したがいまして、県全体では十校について調査をいたしまして、その調査が翌月の十五日までに文部省に来るということになっております。したがいまして、私どもがいま手元に持っておりまする数字は十二月末現在の数字でございまして、それが二月の十五日に集計された、それが私どもの手元にあるわけでございます。今度は一月末現在をもちまして、二月十五日までに文部省に報告が来るということになっております。この結果につきましては、集計をいたしまして、通産省に持ち込みまして、価格並びに需給について、なるべく安い価格で十分に供給してくれるように折衝をいたしてきたわけでございます。そういう点もございまして、先ほど通産省の担当課長から御説明をいただきましたような措置がとられたというふうに理解をいたしております。ごくここ数日あるいは十日とか一週間単位の状況というものはまだつかんでおりませんが、これはいま申し上げましたように、追って文部省に報告が来るわけでございます。
  101. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 通産省は実にぬけぬけとした答弁をしているわけですね。これから四、五日すれば浸透するであろう。予算委員会で、文部大臣もおられたと思いますけれども、こういう学用品の緊急な事態というものについての指摘がなされたのは二月の二日です。しかも学用品が軒並みに値上がりし始めたのは昨年からなんですよね。なぜいままで指導しなかったのか。しかも二月の二日に予算委員会であのように指摘をされて、まだこれから。きょうは十三日です。あれから十日たっています。それからまた四、五日うちに浸透するのだと。ではなぜ一月の段階でやらなかったのだろうか。あるいは二月の二日に予算委員会指摘されたら、その直後になぜ指導なされなかったのだろうか。指導上の問題で価格が下がるなら、とうの昔に下がっているわけですよ。それが放置されておる。しかも文部省はぬけぬけと知らぬ顔をしておる。十二月のやつをいまごろ知っておってどうなるのですか。なぜ文部省は、現場の学校でどんなものを買わされているか、父母の間にどんな不満が起こっておるか、なぜそれを知ろうとしないのですか。この物不足、物価高の緊急事態の中で、どういう組織をつくってこの事態に対処しようとしておるか、私は文部大臣からはっきり聞きたいのです。
  102. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 いま御指摘のありましたように、予算の総括質問の際にこの問題が出まして、通産省から引き下げについてこういう努力をするというお話がございました。私は、そのとおりに通産省のほうで御努力いただいていると考えておりますし、また新聞紙上でも、こういう品物については現実に値下がりした、また同時に値下がりするという話が出たものだから消費者のほうの買い手控えが始まったというような記事も見ておるわけでございますので、通産省の御努力が実を結びつつあるものだと、かように考えておるところでございます。
  103. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 私は、この問題について、関連質問ですからこれ以上申し上げませんけれども小林先生がさっきから予算委員会の問題その他で指摘されておるところはまさにそのことだと思うのです。現実にたくさんの父母たち、子供たち、先生方がどれほどいま困っているか。たとえばいまはほんとうにぬけぬけと一締めのざら紙が安くなったなどということを言っておりますけれども、子供一人当たりの割当は一カ月十枚でしょう。現在、学級通信あるいは学年だより、あるいはまたテスト、課題宿題のプリントあるいは定期的に発行するもの、先生方もものすごく苦労してこの三学期を迎えている段階です。この一人当たり十枚のざら紙では対処できないのです。そういう現場の苦しみというものが何で文部省へ響かぬのだろうか。私はいまお聞きしておって、そのことを一番感じたわけです。文部省には何かこの緊急事態に対する対策班をつくっておられると思いますが、それは機能していますか。どんなことをやっておるのですか。こんな声は一切文部省には届かないのですか。
  104. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 文部省には昨年十二月に資材班というものを設けまして、物資の問題を扱っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような各種の調査を行なうということ、それから調査の結果を整理をいたしまして、それぞれ関係の省庁に要請をするという仕事をやっております。ノート等につきまする組織的な調査は、先ほど申し上げましたように、十二月末現在の実態をつかんでおるわけでございますが、去る十一日、十二日に都内並びに近県の特定の場所における値段でございますが、これは抽出的に調査をいたしまして、その実態は承知をいたしております。
  105. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 これ以上ここでいまの時間で申し上げてもあれですけれども、実際に子供たちの教育に最低準備しなければならないものを、これはハーモニカもありますし、あるいは美術用の浮き彫りのカツラ材あるいは理科の教材、それからのり、子供たちが張りつけるのり、これは色紙を使ったってのりが要るわけでしょう。そんなものまで値上がりしているわけですね。そういうことについては、ほんとうに皆さんがもっと監視の目を広げて、こういう問題に対しては緊急な体制を整えて、資材を確保する。お聞きすると、資材はありますよ、ただ値が上がっているだけですというような話も私は聞いているわけです。ほんとうにいま各政党とも必死になって物資を安値で供給していくということで努力をしておる段階で、文部省がいまやらなければならぬことはそのことなんです。いま実際に文部省が、いろいろなことを文部大臣が所信表明演説で言われても、子供たちの教育の物質的根拠がいまくずされているわけです。抽象的な精神論だけ言われたって、実際に建物は建たない、学校舎が建たないなどということも、いまは先ほど文部省の御答弁のようななまやさしいものじゃありません。地方自治体はお手上げです、いま。そんなことがどうして文部省に響かないのかということを私はここで指摘しておきたいと思います。  次に、ちょうど給食会の理事長がお見えになっておりますからお伺いしたいのですが、学校給食法によりますと、「この法律は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものであることにかんがみ、学校給食の実施に関し必要な事項を定め、もって学校給食の普及充実を図ることを目的とする。」こうなっています。さらに学校給食会法によりますと、第一条に「学校給食用物資を適正円滑に供給し、あわせて学校給食の普及充実とその健全な発達を図ることを目的として、日本学校給食会を設立する。」それから第十八条には、その業務として「給食会は、第一条に規定する目的を達成するため、次の各号に掲げる業務を行う。」こうなっておるわけです。それで、それがほんとうにいま果たされるような体制に給食会はあるのでしょうか。私はそのことを聞きたいのです。
  106. 河上参考人(河上邦治)

    河上参考人 確かに先生のおっしゃるとおり、日本学校給食会の法律の定めたとおり十分に果たしておられるかという御質疑かと存じますが、いまその法律に基づいて、前段の学校給食用物資を適正円滑に供給するということと、第二段の普及充実をはかるという二つの大きな使命が日本学校給食会にあるわけでございます。   〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席〕 したがいまして、先ほど申し上げましたように、数年前までは脱脂粉乳だけを取り扱っているという団体でございましたけれども、それではいかぬ、何としても主幹物資及び一般物資に拡大してこれを強化していくべきだということでございまして、現在ただいままで二十二品目を取り扱っておるわけでございますが、大体本年の見込みが百六十六億ぐらいの物資を取り扱うということが予想されるわけでございますが、しかし日本学校給食会はやはり限度がございまして、三百何品目の全部の物資を日本学校給食会が取り扱うということはとうてい不可能でございます。まず私たちが考え、なお保健体育審議会等の御答申を読ましていただきますと、全国的な規模のもとにおいて最も有利なる物資を日本学校給食会は取り扱うことが適当ではないか、こういう御答申がございます。したがいまして、私のほうはできるだけ全国的に大量に購入することに有利な物資、これをまず何かということを目がけまして、同時に児童生徒がほんとうに望んでいる、御父兄の方々がほんとうに廉価で栄養価に富む物資を何を望んでおられるかということに視点を移しまして、十分にこれによって物資の拡大をこれからはかってまいりたい。現在のところは人手が非常に少のうございますけれども、いまのものをフルに活用いたしまして、法律の趣旨を生かすようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  107. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 私は学校給食会を責めているわけではもちろんありませんが、いろいろ苦労されておると思います。それで実は文部省のほうとして、何も文部省が牛乳やあるいは小麦だけを取り扱うなんということはこれは法律にはないわけですから、いま法律の第一条を読み上げましたように、ほんとうに「心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与する」ということでしょう。ほんとうに給食というものをどう考えておるのかということを聞きたいわけなんですよ。  それで、現在どうなっておるかといいますと、さっきも物価高の状態の中で、たとえばクリームシチューがこれがみそ汁にかわっています。それからみそ汁が今度はさらに質が低下しまして、澄まし汁にかわっているわけですね。これは東京都内を調べていただいたらわかります。これは給食会の理事長さん御承知だと思うのですね。それから今度はリンゴ、このくだものをやめなければならないという事態も起こっています。それは栄養士や関係者の方にとってはたえがたいことなんです。給食というものは、子供たちに夢を与えながら、子供たちがおいしく食べ、そしてその中でマナーを学び、そして体力をつけ、この給食というものが教育として取り扱われるという状態からいうならば、この十月、十一月、十二月、一月、二月という段階はまさにこれは給食の名にふさわしい状態ではなくなってきておるというこの事態、これをどう考えるのか。  さらには間引きがすでに始まっているわけでしょう。十二月には早く給食を打ち切っています。一月にはおそく始めています。間引きです。しかも、東京都内の幾つかの区の学校を調べてみますと、赤字が一日二万円、赤字がどんどん重なっているわけですね。そうすると、どこで調整するかというと、三月に間引きをやってここで調整するとかいうようなことしかないわけです。すなわち、質の低下と間引き、こういう状態です。  しかも、去年からことしにかけまして、ほぼ全学校において給食代の値上げが行なわれているわけです。そしてこの四月から値上げをするというのはほとんどの区なんです。こういう事態になっているわけですね。こんなことをほんとうに文部省として把握をされておるのであろうか。内閣総理大臣の所信表明演説の中には「知・徳・体」と言いましたけれども、このからだの問題については子供たちは低劣な条件にいま追い込まれているわけです。間引きの中へ置かれているわけです。質の低下の中へ置かれているわけです。親たちは今度は給食代の値上げという状態。ある東京都の区ですけれども、給食の関係者の方々に対して通達を出しています。その通達は赤字を出すなという通達です。赤字を出すなと言われたら、やることは間引きか質を低下するか以外にないわけですね。そして給食代を値上げする以外にないわけです。文部大臣は、この一年間に給食代の値上げがしてないと思っておられるかもしれませんが、ほとんどの学校が七月にやっています、九月にやっています、こういう状態なんです。そしてもうお手上げで、四月からやめようかどうしようかというような論議まで起こっておる事態ですね。これに対してどういうふうにするのか、このことを伺っておきたいのです。  さらに、学校給食用の小麦粉の供給にしましても、去年は十億七千五百万、ことしも十億七千五百万、これでいま輸送費がどんどん値上がりしておる、流通経費を見ましても値上がりしておる中で、給食の、文部省がやっとこれだけだと言っておる牛乳、小麦、その中の小麦粉の事業費の補助金も昨年度に比べてこの物価高の中でゼロ%という状態なんですね。伸び率はないわけです。これで給食のことを考えているのか。所信表明演説の中であなたは給食のことを言われておるけれども、ほんとうに考えているのですか。いまの私の見解に対する答弁をいただきたいのです。
  108. 澁谷政府委員(澁谷敬三)

    ○澁谷政府委員 まず、最後に御質問のあった点から申し上げますと、できる限り良質の給食に向きました小麦粉を安い価格で全国的に供給をするための、学校給食用小麦粉供給事業費補助金につきまして御指摘があったわけでございます。前年度同額で何ら努力しておらないではないかということでございましたが、昨年は二十五キロ一袋当たり百二十五円の補助金でございました。それに見合います数量がかなり余裕を見込んだ積算になっておったわけでございますが、昨年は一袋当たり百二十五円というものを大蔵省がそれは厳守してもらいたいということがございまして、数量は実際の予算の積算より少なくて済んだわけであります。したがいまして、実際の予算の執行は八億何がしであったわけであります。来年度につきましては、そういう事情を踏まえまして、この十億七千五百万でございましたか、これは全部予算の執行上使わしてもらうという、大蔵省との間でそういう話し合いになっておりまして、二十五キロ一袋当たりの流通経費補助金が、昨年の百二十五円に対しまして、この予算を全部使わしていただきますと、約百五十円くらいになるわけでございます。そういう予算の積算と実際の執行の背景を踏まえまして、同額ではございますが、来年度の輸送賃の値上げその他に見合う実質上の増額といいますか、そういう執行ができるということでそういう予算が計上され、そういう執行をいたすことになっております。  それから、学校給食に関しましては、その施設、設備の問題それから学校栄養士、調理従事員の方々の人件費の問題それから給食用物資の問題等ございます。文部省といたしましては、基本的に給食の施設、設備、それから栄養士、調理従事員の方々の人件費、これは公費で負担すべきである、またそういうふうなたてまえにいたしておるわけでございますが、この給食用の物資の食材料費につきましては、毎日の食事でもございますので、父兄に負担をしていただくというたてまえをとっております。ただ、小麦粉につきましては、先ほども申し上げましたように、政府売り渡しの玄麦あるいは安定供給事業、そういうところで国としていろいろな施策をいたしておるわけであります。牛乳につきましては、農林省のほうで一部補助金を計上いたしていただいておるわけでございます。いわゆる一般のおかずでございますが、これはいま御指摘のとおり、先ほどお答えいたしましたように、いろいろ値上がりをいたしております。ただ、この給食費は年度当初にきめまして、その年度当初にきめます場合に、ある程度年間の物価の上昇を見込んできめておりますので、現実に調べてみますと、昨年の五月現在とことしの二月現在で確かに値上げがされているところもございますが、逆に下がっているところもあるというような状況でございますが、全般的にはある程度上がっております。東京都の状況でございますが、これは全部ではございませんが、都の調査によりますと、年度内は大かたは給食費は現状のままで何とか質も落とさないでやっていける、ただ、一部の学校で給食費の臨時徴収をせざるを得ない、あるいはいま御指摘のように、いままでたとえば牛肉を使っていたのをかわりのものにするという、栄養は考えるが質を少し落とさざるを得ない、所によっては若干の間引きをせざるを得ないという状況があることは聞いております。  いずれにいたしましても、そういうわけで、物資関係につきましては、食材料費につきましては原則として父兄に負担をしていただくという考え方をとっておりますが、パンにつきましては先ほどのような施策、それから一般物資につきましては、各都道府県の給食会の物資保管倉庫を持ちました給食総合センター、あるいは生鮮食品のための低温流通機構、コールドチェーンの整備、あるいは先ほども申し上げましたように、安いときに仕入れておきまして高いときに放出する安定基金の設置、そういったような物資の流通供給体制につきまして、日本学校給食会、都道府県の学校給食会を通じまして、できる限りのそういう配慮をするという施策をとっておるところでございます。
  109. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 これで終わりますが、たいへんまだるこしい答弁を聞いておるわけで、実際にはいわゆる間引き、カットですね、それはもうずいぶんたくさんあります。値下がりになっておるところは、私はあとでお聞きしたいと思うのですよ、どういう状態で値下げが行なわれたのか。そういう状態でないということはおわかりになると思うのです、これだけ物価が上がっているわけですから。それは何かの理由があって値下げになったところがあるかもしれませんけれども、そんな一般的でないことをこの委員会の席上で言われて、事態の正確な確認を惑わすようなことをしてもらったら、実際に困ります。  それからさらに、給食法の第六条の解釈の問題についても、たとえば各都道府県におきましても、市町村においても、ほんとうに困って、赤字をどうするかということで、地方自治体の持ち出しなどが行なわれている。これに対して第六条の解釈をどうするかという問題までいま東京都などにおきましては問題になっておる、深刻な事態であるということをまず認識してもらいたいのです。  さらにまた、学校給食会につきましても、学校給食会は必要なのかというような声も、現場の栄養士さんあるいは関係者の中からも出ておりまして、実際学校給食会のことをあまり知らないという問題もあるわけですね。だからこれも、ちょうどきょうお見えになっておりますけれども、また日を改めまして、これらの問題についてさらに、この給食会が本来の目的を十分行なっていけるような文部省としての援助のしかたというものもあるのではないか。特に資金の面とか人の面とかいうもので本来の目的が達成できない面もあると思います。そういう点を、文部省の給食に対する考え方をさらに改めていただきまして、そういうことも検討する必要があると思うのです。  そこで、ちょっと委員長にお願いしたいわけですが、いま小林先生が出されました学校建築の問題あるいは学用品の問題、給食の問題これなどは非常に緊急な対策を要する事態だと思います。ことに四月の入学期を控えまして、相当多くの経費を父母が子供たちのために支出をしなければならぬ、物価値上がりの中でこれは耐えがたいことだというような問題もありますし、また物価を、ほんとうに子供たちに必要な学用品その他を下げる、そして必要なものは供給するということについては、これは各党とも一致できると思います。そういう問題につきまして、この緊急な事態に対する当文教委員会としての集中した審議をやる機会を持つべきではないかと私は深刻に考えているわけです。おそらく各党の皆さんもそのことについては十分調査もされておると思いますので、そういう機会を持っていただくように提案をいたしまして、委員長の見解を最後に伺いたいのです。   〔森(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 ただいまの山原健二郎君の御提案につきましては、理事会においてとくと協議をいたすことにいたします。
  111. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 最後に御質問申し上げたいのは、先ほど来、きょうの非常事態に対しまして、父兄あるいは学校の生徒児童というものは、一体元凶はだれだというふうな、悪い人間に対する憤りを訴えておるわけでありますが、またそういう中で、この物価高に便乗して教育者でもうけようというような、あるいは学校という名前かも知れませんが、もうけようというような計画をし、実行をしておるような者もまた中にあるわけです。こういう者が学校当事者の中にあったら、これはたいへんなんですが、各大学学校の拡張のために土地を買うというようなことが最近だいぶございます。その買った土地を、今度は土地の値上がりに便乗して、学校の施設をつくるという名前で買ったものをまた他に転売をするというようなことも私ども聞いておるのですが、文部省ではそういう事実をつかんだことがございますか。
  112. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 御指摘のような事実は一、二ございまして、最近明らかになりましたケースといたしましては、山梨学院が学部の増設及び運動場用地の不足を充足するということで買い入れ、この資金につきまして私学振興財団から借り入れをした、その当該土地が、財団に無断で、ある民間の会社に売却をされたというような事例がございます。ほかにも事例を一つつかんでおります。
  113. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 まことにこれは嘆かわしいことでございますが、もうそこまで行ったら、この経済事情というものが教育にどんなに悪影響を及ぼしておるかということが大臣にも御認識願えると思うのですが、そこで私は、いまの山梨学院大学学校の用地として土地を購入し、そしてこれを校地に使わずに他に転売したという問題について、いかに教育界がこのために混乱をするかということを大臣に認識していただき、こういうことに対してどういうふうに対処するかということをお聞き取り願いたいと思うのです。  法務省の方がおいでになっておると思いますが、法務省で、その山梨学院大学が土地を購入しこれを転売したということについて一つの刑事事件にもなっておるわけで、おそらくその詳細をお知りだと思いますので、ここで概要を説明していただきたいと思います。
  114. 根岸説明員(根岸重治)

    ○根岸説明員 お尋ねの件につきましては、同学院長兼理事でありました者を、昨年の十二月二十七日に贈賄罪で起訴しております。  その事実の概要を申し上げますと、学校法人山梨学院の学院長兼理事であった者が昭和四十七年十月二日、甲府市にあります同学院におきまして、中巨摩郡八田村の農業委員会の委員兼会長をしておりました清水という男に対しまして、同学院が昭和四十年に農林大臣から学校用地として転用許可を受けた同郡八田村下高砂地内等の農地約六万二千平方メートルにつきまして、これを学校の用地に転用せず、さらに四十七年七月十日、関東農政局長からこれを運動場として転用許可後の事業計画の変更承認を受けたにもかかわらず、運動場としないまま同学院が同年七月十九日東洋木材株式会社に売却したことにつきまして、先ほど申し上げました農業委員会の委員兼会長であります清水に対しまして、許可承認にかかる転用目的に利用しないで違反して売却したことを農業委員会で黙認してもらいたいということ、及びその委員会が特別委員会を設置してまだ同学院に移転登記未了となっていた十二筆につきまして、その移転登記方の促進をはかってくれたことに対する謝礼といたしまして現金百五十万円を贈賄したという事実によりまして起訴しております。
  115. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 局長の御説明では他にもあるというようなお話でございますが、このことはたまたま土地使用の許可申請をめぐって、違反であることをするために贈収賄が行なわれたからわかったわけでございます。そして一つの罪にいま問われようとしておるわけでありますが、しかしこの贈収賄がなかったならば、大学というものが大学を拡張するために土地を購入し、その金がどこから出てくるかわかりませんが、それが多額寄付金を集めた金であるなんといったら、これは最も情けないわけでございますが、私は、いまの大学等をしさいに調べれば、あの多額寄付金等を受け入れる大学にはおそらくそれと類するようなものがありはしないかと疑うほど、このことは非常に重視するわけであります。たまたま農地を運動場として使用するという、その土地の転換のために贈収賄を行なったということがはからずもこの問題を世間に露呈をさしておるわけですが、こういうことから類推すれば、もう教育をする場所で、すでにこの買い占め、買いだめ、売り借しみというようなものと全く同じ行為をしておる。そういう中で教育を受ける人たちがはたしてまともな教育が受けられるかどうかということを非常に憂慮するものであります。この問題は、先ほど法務省から御説明があったように、かつて山梨学院大学理事長であり学長である——文部省では以前には相当高く評価しておった人のようでございますが、その人がこういう行為をしておるわけで、まことに問題といわざるを得ません。この大学は、今回こういう問題があっただけではございません。前に、災害の補助金をもらって、それで不正な行為をしたということで処罰も受けておるはずであります。そのほか、ここに保母の養成をする短期大学がございますが、その卒業生に資格を与えるのに不正があって、これも問題になったことがございます。こういうふうにたび重ねて世の指弾を受けるような行為をしておる者がまたかかる行為をしたということは、監督官庁であります文部省として、これは非常に問題だと思うのですが、この問題にはどういうふうに見解を下しておいでになるか、大臣、もしお考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  116. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 山梨学院におきまして重ねてこうした事故が起こりましたことにつきましては、私どもとしてもきわめて遺憾に存じておる次第でございます。  こうした事件が起こりましたことに対しまして、昨年十月、大学学術局並びに管理局の係官が学校をたずねまして、実情を見、また指導をしてきたわけでございますが、去る一月二十六日付をもちまして、全体的に山梨学院に対する今後の指導方針を文書で示したわけでございます。  これが文部省の山梨学院に対する今後の指導方針ということになろうかと思いますが、その第一は、学校法人の運営に必要な能力、識見を有し、かつ法人の理事の職務に専念できる者を理事に迎える等によって法人の管理運営体制を整備強化することということを申しております。現にこの法人には、前の理事長の大浜信泉氏が退任されたあとの欠員が不補充になっておりますし、かつまた古屋真一氏が、学院長というような法令上もあるいは学校法人の寄付行為上もない地位にあって、実質的にこの学院の運営に影響を及ぼしておるというようなこと等がございましたので、古屋氏につきましては、名実ともにこの学院の運営に参画をしないように、また、その後の理事体制につきましては、ただいま申し上げましたような強化をはかるようにということを申しておるわけでございます。  それから第二に、理事会や評議員会の運営の状況が必ずしも適切ではなかったのでございまして、その点に対しましては、今後定期的にこうした会議を開催いたしまして、法人の重要事項については十分審議を行ない、寄付行為に定められたこの理事会あるいは評議会の機能を十分発揮するようにということを指示、指導をいたしております。  また、事務局の体制が十分整備されておりません。事務局長、財務部長等が欠員になっておりますので、こうしたものをすみやかに補充するとともに、事務体制を整備するようにということを申しております。  それから、これは大学局の所管事項になりますが、教員組織につきましては、大学設置基準及び短期大学設置基準を下回っておりますので、早急にこれを充足し、専任教員に関する諸条件を改善するようにということを指示いたしております。  それから、学則に従った授業科目を整備するようにという指示もいたしております。  また、研究室につきましては、その機能を十分発揮できるように整備してもらいたい、新刊図書の整備充実をはかってもらいたい、第二運動場の整備をいたしまして、その機能が十分果たせるようにしてもらいたい、こうした指導をすでに行なっているところでございます。  なお、問題の貸し付け金額につきましては、元金二千九百五十二万円、利息十一万四千円、計二千九百六十三万四千円の繰り上げ償還を命じておりまして、四十八年三月十日に全額償還になっております。  なお、こうした事故が発生をいたしましたにつきましては、私ども、仕事のやり方につきましても改善を要する点があると考えておりまして、第一の点は、財団の貸し付けによりまして購入あるいは整備をした土地なり施設なりが貸し付け目的に沿って使用されているかどうかという調査をさらにたんねんに行なうようにいたしたいということと、それからもう一つは、この場合は土地を購入したわけでございますが、その貸し付けの担保物件といたしまして当該土地を取るということにいたしますならば、売買に際しまして当然その担保の扱いが問題になるわけでございますから、諸般の事情が財団側にも知り得る状態になるわけでございます。しかしこの場合は、貸し付け金に対する担保が別の施設でありましたために、事態が容易にわからなかったというようなことがございます。今後は貸し付け対象自体に担保権を設定いたしまして、こうした事態を防ぐ一助にもしたいというふうに考えておる次第でございます。
  117. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 大臣、こういう学校もあるのですが、どうお考えになりますか。所見だけでけっこうです。
  118. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 まことに残念なことでございます。私学全体がお互いに自粛し合っていくというような体制、部分的にはそういうところも発足してまいってきておるわけでございますけれども、そういうことを強く求めていかなければならない。同時にまた、いまの文部省私学との関係だけでも不十分じゃないだろうか、やはりある程度の監督権限を場合によっては持たしていただかざるを得ないだろうということも考えておるところでございまして、いずれ御相談さしていただきたい、こう思っております。
  119. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 さらに文部省大臣はもちろんでございますが、いまのような局長から説明をされた問題だけでなく、いかにずさんな学校経営がなされておるかということを私はもう一つ申し上げたいと思うのです。  厚生省からどなたかおいでているはずでございますが、あの学校に栄養士の養成の短期大学があります。この運営について、もう生徒からも教職員からもいろいろな批判が出ておるのですが、これはかえってそちらを責めるよりも厚生省のほうに非常に責任があるような気がいたします。もっといろいろな設置基準その他規定というものがあるのですが、それが励行されておらない。その学校の教職員にいわせれば、これはもう厚生省は、私の学校だけではない、全国のこういう学校について当然調査をしなければならないのだけれども調査してない、だからこういうことが放置されておるのだというようなことですが、この学校についての厚生省が持っております不備な点というものを指摘していただきたいと思います。
  120. 安西説明員(安西定)

    ○安西説明員 本短期大学につきましては、大学運営、管理などにつきましてとかぐ問題があるということで、私どもは栄養士法あるいは関係法令に基づきまして、一般の学校に比べまして特にチェックをしてきておるわけでございます。そういう中で持に最近問題となるというふうに私ども指摘をしております問題は、まず専任教員の問題でございまして、文部省のほうからも御指摘ございましたが、一応私どもに対する報告も、専任教員が十四名、兼任が十名いるという届け出があったわけでございます。私ども法令に照らしてこれを厳重に審査いたしますと、実は専任教員十四名のうち四名の方は、病院の院長さん等で比較的名が売れていると申しますか、そういう方でございまして、私どもの審査では専任教員とは思えないというような方が四名おるわけでございます。したがいまして、現在の職員が十四名、十名と言われているのが、むしろ逆でございまして、専任教員が十名で兼任が十四名というふうに考えておるわけでございます。なお、このような専任教員十四名については、学校の便覧あるいは募集要項等にこれを載せておるというふうな問題がございます。運営管理上確かに私どもも問題であるというふうに指摘をいたしておるところでございます。  また、前の理事長が、かわられまして、教員の資格をなくしたわけでございますが、にもかかわらず衛生法規の講義をしたという事実が四十七年の十一月にございます。それからさらに、栄養学の講座には専任の助手を最低一名置かなければならぬということになっているにもかかわらず、これが二、三年来欠員であるということでございます。さらに、事務職員を教務補助として使っておるのではないかという疑いがきわめて濃いということでございます。それから、教員の異動の届け出、これは法令に従いまして義務があるわけですが、あるいは厚生大臣に対する定期の報告義務もあるわけですが、こういうものがとかくおくれがちであるというふうな事実があるわけでございます。したがいまして、このような私どもの問題把握によりまして、実はきわめておそきに失しているというふうに感じます。その点厚くおわびをいたしたいと思いますが、とりあえず昨年の秋ごろから、このような問題に対して学校に対して強く行政指導をいたしておるところでございまして、具体的に少し説明さしていただきたいと思います。  専任十名と兼任十四名でありまして、これは一応の基準を満たしておるわけでございますが、いかにも優秀な先生がおるやの募集要項等を出しておるということはきわめて遺憾であるということでございますので、この点を強く指摘いたしましたところ、四十九年、本年の一月十四日に、近く必ず改めますというふうな約束が県を経由して参っております。  それからさらに、事務職員の教務補助の問題にいたしましても、この事実を認めたというふうに考えておりますが、これは直ちにそのような行為をやめるというふうな約束も参っております。さらに、前理事長が教員の資格をなくしたにもかかわらず衛生法規の講義をした問題につきましては、さっそく有資格の先生でもってこれを補講したということでございます。  以上のような内容でございますが、いずれにしましても、この学校の食物栄養科の問題を通じまして、私ども関係法令に照らしまして厳重に学校に対して注意を喚起するということを昨年来努力をしておるわけでございまして、今後文書などでこのような問題に対して約束を担保するということで、一そう指導監督を強化していきたい、いままでの監督不行き届きの点は厚くおわびをいたしたい、このように考えております。
  121. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 いまのこの内容は厚生省のほうの監督にかかるわけでありますが、しかし、やはり一つ大学の中の構成であります。こういう大学があっていいかどうか。文部省はいま局長のほうからこういう指示をいたしましたというようなことを申されておりますが、そんなことで済むものじゃない。改革はできない。また犯罪が繰り返されていって、その学校批判が生まれるだけでなく、大学全体に影響するものもあるのじゃないかと私は思うのです。  そこで、法務省の方に一言お尋ねしたいのですが、元理事長、学長である古屋さんという人はいま執行猶予か何かになっておると思うのですが、その点はどうですか。
  122. 根岸説明員(根岸重治)

    ○根岸説明員 お尋ねの古屋真一に関しましては、昭和四十六年四月に、先ほど質問がございました補助金を不正に受給したということと、それから教育職員免許法違反という二つの罪名で、甲府地方裁判所で懲役八月、二年間執行猶予になっておりますが、この判決は、その後控訴、上告等をした結果、最終的に昭和四十七年六月八日に確定しております。
  123. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 法務省の方、お急ぎですからお帰り下さい。ありがとうございました。  しかし、この大学はいままで国のいろいろな私学振興会とかあるいは私学財団、そういう力で実際施設設備等はすばらしいものです。だから山梨県民は、その学校のあり方については惜しい、何とかまともな大学にして、おそらく地域の人たちが利用することになるのですが、もっと利用価値のある大学にしてほしいという要望を一般がしております。また中で勉強しておる人たち、学生はもちろんのこと、教えておる教職員の人たちも、もう長い間この大学の改革というものに努力して今日まできておりますが、何といっても、前科を持っておる人がまた白昼堂々と、世間の土地の値上がりというようなことに便乗して、いまのように校地を転売するというふうなことを平気でやるような人が、いまは学校の職員にはなっておりませんけれども、実際はこの人が学校運営しているようなものです。その奥さんがいま理事長になっておりますが、実権はやはりその人が握っておるわけで、これはもういかに弁解しようが否定できない問題ですよ。おそらく文部省もこれにはもてあましておるのじゃないかと私は思うのです。山梨県知事はじめこのことに関係する人たちが、何とか抜本的な改革はできないかと、文部省にも何回か足を運んでおることは私も聞いております。何とかそういう人たちの努力の中でこの学校が再建できるのじゃないかと思っておったのですが、今回のこの事態を見て、これはもう捨ておけない、もっと本質的な検討を加えなければならない。せっかくでき上がったものが、大事な国の補助金を使う、あるいは私学振興会の金を使う、そういうことでもってでき上がったものですから、このまま放置しておくことはできないと思うのです。  いま厚生省のほうから一つの短期大学の内容について御説明がありましたが、これはもうその短期大学の内容だけでなく、この学校全体がそうなんですね。だから、これは文部省の相当責任のある人がおっしゃっていることばですが、教員組織等は非常勤講師を集めた大学経営である。しかも、先ほどお話がありましたように、大浜信泉さんを理事長にするというふうな、そういうなかなかうまく世間の目をごまかすような方法というものはとっているわけでございますね。だから、だれにもちょっと手がつかないという状態なんですが、ある場合に、名城大学と同じように特別立法をして、そしてその一族の人たちに御遠慮願う中で、とにかく学校の創始者です、創始者ですから、創始者のその当時の意思をりっぱに再建をするように努力したらというような考え方もいろいろなところでもって私ども聞いておるのですが、そういうところまで運び込める問題であるかどうか。もちろん簡単に結論は出ないと思いますが、そういう要望もあるということをお聞きになったら、文部省としてはこれにどうお答えになりますか。
  124. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 小林先生もよく御承知のとおり、この山梨学院の運営の問題はいろいろあるわけでございますが、古屋眞一氏の関係について申しますならば、古屋氏は、先ほど申し上げましたように、理事長としても理事としてもすでに私立学校法の欠格事由に該当いたしまして、失格をいたしておるわけでございまして、法律的には学校法人山梨学院と何らの関係がないということでございます。ただ、理事長である古屋喜代子さんの夫である、ないしはこの学院の実際の創設者であるというような立場から、事実上この学校運営についていろいろ影響を及ぼしておられるということでございます。したがいまして、名城大学のときのように理事間の紛争ということではございませんし、また理事の地位をめぐって法律上の争いがあったということでもないわけでございまして、問題は事実上の問題ということでございます。したがいまして、特別立法といったようなことで処理するには非常になじまない、ふさわしくない事態であろうというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、この法人の現状がこれでいいかということになりますと、もちろんそれは小林先生の御指摘のとおり、抜本的な刷新をはかる必要があるわけでございまして、さきにも申し上げましたように、理事組織なり評議員の組織なりにつきまして、真にこの学校経営に当たるにふさわしい方をぜひ選んでもらいたい。現に辞意を漏らされている方もございますし、また欠員もございますし、さらに理事定数をふやすというようなお考えもあるようでございますので、そうした機会にぜひこの学園の再建をはかるにふさわしい役員を選んでもらいたいというふうに指導をいたしておるわけでございます。  また、先ほど先生からもお話がありましたように、地元の県知事はじめ多くの方々も、この大学のことについては心配をしておられるわけでございます。もちろん小林先生もそのお一人でございますが、そうした方々の御意向がこの再建に十分反映されますように、私どもも十分指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  125. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 ここで私は結論づけようとしておるものでなく、当初申しましたように、こうした混迷した世相の中で大学自体でもこうした犯罪を起こすような、物本位に教育がなっておる。しかし、その中で良心的な先生たち、あるいは勉強しておる学生たちからは、こんな学校から卒業するのはいやだ、せっかく入ったのに何とかして名誉を挽回した中で卒業したいというふうな切実な声があるわけなんです。その人たちは、とても文部省がいま考えておるような考え方ではこの学校はりっぱにならないと思っている。その一つとして、いま局長さんの言われました理事長に適当なりっぱな人を選んだらどうかというのですが、もうこの学校に精神的に伝統的にずっと流れているものは、古屋さんというその実権者の意思が通るような理事長しか選ばない。大浜信泉さんのように、名前だけは貸してやっているけれども、大かた東京におって、そしてあとは古屋さんに一切まかしておく。私はよく大浜信泉さんがあそこの理事長になったと思うのですよ。おそらくその大浜信泉さんが理事長のときにこうした問題が起きているんじゃないかと私は思います。そういうことから大浜さんもおやめになったと思うのですが、何といっても、自分の意思、考え学校運営の中に通らなければ理事長には選ばない、私はそういう考えだと思うのです。そこに簡単に文部省指導が、たとえそれが理想的であっても、実現しない原因があるのじゃないかと思うのですが、いまの局長さんのお話のようなことも現地では考えられておるようであります。たとえば、まじめに学校経営に参画しておる先生たちの中から理事長を選んで、そして理事の中に一名加えてもらって、理事会の運営がもっと公明な、個人本位でなく、ほんとうに学校本位の運営ができるようにという希望が出ておるようです。そして、それを受けるような様子もあります。文部省がもう一腰入れて指導すれば、そのことはあるいは何とか成功するかもしれませんが、全体的には、長い歴史の中でわかりますように、一個人の満足する大学経営であって、そしてその人がいままでいろいろと持ってまいりました犯罪経過というものを考えても、そう簡単にこれは立ち直るものじゃない。抜本的な改革を文部省もほんとうに腰を据えてやっていただかなければならないし、またこれが大きなチャンスでもあると思うのです。いま裁判にかかって、十八日に最初の裁判が行なわれるというのでしたが、一カ月ぐらい伸びたという話でありますが、関心が高いだけに、この学校をむざむざ閉鎖してはならない。何とか立ち直らして、そして地域の人たちのために利するようにしなければいけない。  大臣、あなたが考えているように、学校教育は決してこの社会から隔離されたものでありません。やはりこの社会の中に学校はあり、教育が行なわれているわけなんです。いまのように、かつて大学理事長であり、あるいは学長であったその人間すらも土地の値上がりに便乗する、そういうことまで行なわれるようなことになっては、私はたいへんだと思うのです。きょうの時代の中でどう教育行政を行なわれなければならぬかという現実の問題を大臣にもっと深刻に考えていただきたいというのが、私のさっきからの要望であったわけで、私の県の問題であってまことに不名誉でありますが、残念ながらその実例を出して、大学経営の中にもこんなものがあると申し上げた。おそらく私はこれは氷山の一角ではないかとまで考えておるわけでございます。大臣がこの経済事情あるいは社会事情というものに対して認識を深めて今後の教育に当たっていただくことを私は要望するものでありますが、大臣、私のしゃべったことにもし何か賛成されるようなものがあったら、一言答弁をしていただきまして、私は終わらしていただきます。
  126. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 山梨学院大学の詳しい実態をいろいろお教えいただいた感じがいたします。よかれあしかれ、学校の創始者の考え方、態度というものは、あとあとまで学校に大きな影響を及ぼしていくものだという感じも持っておるわけでございます。創始者にからまる問題でありますだけに、私はこの解決がたいへんむずかしくなっているのだなという判断をいたしました。しかし、いずれにいたしましても、各学校いろいろな問題をかかえておること、よくわかるわけでございますので、それぞれの実態に応じた必要な協力を文部省としてはくふうしていかなければならない、そういう考え方もまた深くさせていただいたわけでございまして、これらの問題につきまして、今後もいろいろ御意見をお聞かせいただきながら、私たちとしては万全を期してまいりたい、かように考えているところでございます。
  127. 小林(信)委員(小林信一)

    小林(信)委員 私は、この山梨学院大学の問題については、きょうは所信表明に対する質問をする時間でございますので、時間が十分得られませんから、学院大学そのものについて、今後さらに文部省にもじっくり検討していただく中で、問題解明のためまた質問をいたすことを残しまして、私の質問を終わらしていただきます。
  128. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 栗田翠君。
  129. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 大臣は今度の所信表明演説で、「養護学校の義務制を昭和五十四年四月一日から実施することといたしましたが、今後は計画的に実施の諸準備を進めるとともに、」云々ということで「きめこまかな努力を傾けてまいる所存であります。」と障害児教育の問題について述べていらっしゃいます。私はきょう、この五十四年養護学校の義務化の問題に伴って、障害児教育の問題でまず質問させていただきたいと思います。  五十四年に義務化をするという問題については、昨年の暮れ十一月二十日に養護学校の設置義務とそれから就学義務をきめる政令が出されて、かなりはっきりしたものになってまいりました。いままでこの問題は幾度も幾度も繰り返されてきていたわけですが、初めて政令が出たということで、いよいよこれは本物になるのだろうかと、特に障害児をかかえていて就学させることができないでいる親御さんたちの間で、たいへんな期待が高まっているわけです。どんなにこれが期待されているかということを、まず最初にちょっと申し上げたいと思います。  ここにありますのは、静岡教育考える会というところでつくっているパンフレットです。「ぼくも勉強したい」という、そういうパンフなんです。この題を聞いてくださってもおわかりになるように、これは就学猶予・免除をされている障害児のおとうさん、おかあさんたちでつくっている会でして、何とかして子供たちに教育を受けさせたいということで集まって運動をしてこられているわけです。創刊号が一昨年七二年の十二月に出されております。そして第二号が最近出たのですけれども、この第二号、ごらんのようにたいへん質素な手刷りのものです、お金がない中で自分たちでつくっていますから。いろいろアンケートをとって、いままで学校へ行かなかったお子さんが学校へ行くようになってどう変わってきたか、その親御さんがそれを見てどう思うかとか、いろいろなアンケートの答えが出ております。  たとえばこの中でこういうのがあるわけです。M君の母親の例。上の弟をだれもいないうちに保育園に預け、体重二十五キログラムのM君を背負い、重い荷物をさげ、一歳の弟の手を引いてバスで通学する、つまり子供さんを連れて学校へ来るわけです。片道一時間半の道程を、雨の日も風の日も毎日である。こういう苦労をして養護学校に障害のあるお子さんを通わせているわけなんです。そしてそのおかあさんに、でも子供さんが学校へ行くようになってよかったかどうかということをアンケートで聞いていますが、その答えは何かといいますと、たいへんよかった、就学猶予や免除でまだ学校へ行けないうちの家族の方に、この喜びを味わわせてあげたいというのが、そのおかあさんの答えなんです。  なぜそんなふうに、こんなにからだが疲れても、お金がかかっても、そういうふうにうれしいのかということについて、このアンケートをまとめた方が説明してくださいました。その方自身も障害児をかかえていまして、一昨年一年間就学猶予で子供を学校にやれなくて、去年やっと子供を学校にあげることができて喜んでいる、そういう方なんですけれども、こう言っていました。  どんなにからだがつらくても、お金がかかっても、あす何かあるということが家族全部の目標になるのだ。あしたお弁当を持っていくのよとか、あしたは何ちゃんと何をするのよと、いままではうちにじっとしていて成長すらおぼつかないと思っていた子供が、あしたの目標を持って生きているということが、家族自身にとっても目標になっている。よく心中をする例があります。からだの不自由な子供と一緒に川へ飛び込んだりしますけれども、そういうのは、子供にあすがない、成長ができないという中で、目標がなくて暗くなってきているのだとその方は言われるのです。だからあすが持てたということ、これは子供にとってしあわせだけれども、家族自身にとっても実に大きな喜びなんだということをこの方は言っておられました。  そこで、まず大臣に伺いますが、憲法や教育基本法に述べられております、すべての児童が教育を受ける権利、これは逆にいいますと、自分の持っている能力を伸ばすために学習する権利だと思いますが、この学習権というものは、ほんとうに人間にとってなくてはならない生存権の一つだと思います。この障害児の教育の問題を扱う場合、またそれに関係する法律、政令は、全部そういう立場に貫かれて施行されていかなければならないと思いますが、その点でまず大臣のお考えを伺いたいと思います。
  130. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 国民みんなが明るく暮らしていける、そういう社会をつくり上げていかなければならない、それが政治に課せられた大きな責任だ、かように考えるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、障害児につきましても、一般の人と同じように教育が受けられるような施設を整備していく、これは政治の任務、そういうことで漸次努力を続けてきておるわけでございまして、いま御指摘がございましたように、ようやく昨年の十一月、まだちょっと間がございますけれども、とにかく五十四年からは心身障害を持っておられる方々についても全部お預かりをして教育の責任を果たしていきましょう、こういう制度づけをさせていただいたところでございます。
  131. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 そのためにはあらゆる手だてを尽くすのが行政の責任だといま大臣はおっしゃいました。ほんとうにそうだと思います。ところが、私、先日、ある教育委員会に行きましたら、五十四年になってもどうせ義務化はできないよという話を聞いたのです。いままでたびたび義務化の話が出ながら、それがこわれてきたということ、それからもう一つは、いまの状態ではだめだよということを教育委員会の人が言っているわけなんです。  そこで伺いたいと思いますが、今度の設置義務、そして就学義務を保証するために、養護学校の建設計画、特殊学級の計画は、どのようになっているでしょうか。
  132. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 養護学校につきましては、御案内のとおり、来年度の予算におきましても、現在三十八校の新設をお願いしているわけでございます。これから五年間に毎年三十八校、最終年度では四十校というふうな計画をもちまして完成をする予定でございますけれども、これは一応各県からの見込みをとりまして計画を進めているわけでございますので、その最終的な形につきましては、これはその収容の人数その他から申しましてまだ変動があるというふうに考えているわけでございます。  それから、特殊学級につきましては、御案内のとおり、特殊学級の整備の十カ年計画を立てまして、来年度の予算におきましても千四百学級の新設につきまして予算をただいまお願いをいたしまして、国会で御審議をいただいているところでございます。ある程度参りましたら、これはさらに計画数をふやしまして千六百学級というふうなことで、合計しまして全体として一万五千学級、これを整備していくような計画で、現在進めているところでございます。
  133. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 それでは伺いますが、四十七年度は文部省は二十校建設する計画を立てておられたと思います。実際には何校建ったでしょうか。
  134. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 四十七年度は二十校の予定でございましたが、実際は十七校でございます。
  135. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 それでは四十八年度はいかがでしたでしょうか。
  136. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 計画が三十一校ございましたが、実際は三十二校でございました。
  137. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 もう一つ伺いますが、たとえば五十三年度、義務化されます前年ですが、計画では四十校建てることになっております。普通こういう学校建設の計画というのは、土地を手に入れてからあと二年ぐらいかかるものなんですけれども、四十校の計画ですと、最後の年に義務化に間に合わないというおそれが出てくるのじゃないかと思いますが、この辺の関係については、どのような対策を持っていらっしゃいますか。
  138. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 義務化は五十四年の四月一日ということでございまして、その前年の五十三年に四十校の建設を予定いたしておるわけでございますが、実際上確かに御指摘のような点も心配な点でございます。実施にあたりましては、四月一日の開校に間に合うように十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  139. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 特に四十八年、四十九年、来年度あたり資材の値上がりで一般の学校も非常に建ち悩んでいるわけです。こういう関係での見通しはいかがでしょうか。
  140. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 御指摘のような困難な事情はあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、単価につきましても約四五%の改善をはかったわけでございますし、資材につきましても各般の配慮を行なっておるわけでございますので、ぜひ計画どおりこの建設が進みますように、私どもも万全の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  141. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 四十九年から学年進行で義務化するという計画が以前出ておりました。それが今度五十九年設置に変わりました。期待している人たちにとって、これはかなりがっかりすることだったわけでございます。これが四十九年学年進行が五十四年義務化に延ばされたのは、どういうわけでしょう。
  142. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 特殊教育の諸学校の設置につきましては、私ども前から関係をいたしておりましたけれども、いろいろないきさつがございました。たとえば肢体不自由児の設置義務の問題でございますとか、そこから始まりまして、現在精神薄弱児あるいは病弱、虚弱児の学校の整備をはかるというふうなことになっているわけでございますけれども、そのために設置義務を課するということが当面の目的として一つございまして、これはただいま先生からも御指摘のとおりでございますけれども、私の考えとしましては、私、初中局長になりましてからは、その設置義務を課するだけでは十分じゃないんじゃないか。都道府県が五校かりに必要な場合に、一校建てたからそれでもう設置義務がなくなるというふうな法律上の考え方というのは、やはりおかしいのじゃないか。これはやはり義務教育と同じように設置義務を課するべきではないかということで、これは大臣の非常なお力添えによりまして、このたび政令が同時に出たわけでございます。そういう意味で、先生からもたいへん評価を賜りまして、私どももその努力のかいがあったというふうに思っているわけでございますけれども、もう一つ、ただいま御指摘ございました学年進行の問題でございますけれども、障害児を持っておられる親御さんたちの御苦労を考えますと、学年進行という考え方もこれはやはり当てはめるべきじゃないのではないか。やるのなら、もう一年生該当のお子さんを持っておられる親御さんも、二年生の該当児を持っておられる親御さんも、あるいはできれば高等部に在学すべきような子供さんを持っておられる家庭の方々も、一緒にその恩恵を受けられるようにするということが、こういうふうな行政につきましては、方向としてはそういう方向で行くべきじゃないかということを考えまして、そこで最終的な義務教育の年次を定めて、それに向かって努力をしていくというふうな考え方でこのたび義務教育の政令を出した、そういうふうないきさつでございまして、その間考え方に紆余曲折がございまして、一般の方々も多少迷われたのではないかという点はおわびをしなければなりませんけれども、ともかく最終目標がきまりまして、その方向に全力をあげて努力するということでございますので、ひとつその点は御理解を賜わりたいというふうに考えるわけでございます。
  143. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 いま一年生のお子さんも高等部のお子さんも一緒に就学義務が課せられるようにということをおっしゃいました。私の考えとしましても、いままで就学猶予・免除を受けていたお子さんたちは、できる限り多く全部就学できるようにすべきだというふうに思っております。ただ、一緒に就学義務ができた場合ですけれども、その辺がよくわからないのですがね。いままでに学校に行っていなかった方は、何歳であっても一年生に入れるということでしょうか。それとも二年該当のお子さんは二年、五年該当のお子さんは五年になるのか、その辺についてちょっと伺いたいと思います。それとも、現在就学義務がなくて、特殊学級、養護学校その他に行っていたお子さんに就学義務をつけるということであって、猶予・免除で就学していなかったお子さんについてはどういうつもりでいらっしゃるのか、その辺をちょっと伺いたいのです。
  144. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 障害児の教育につきましては、これは最後に残されました教育でございますから、これを義務化するということはたいへんむずかしゅうございますし、それからかなり弾力的な扱いをしなければなかなか無理な点もあろうかと思います。そこで私ども考えておりますのは、ただいま御指摘になりましたように、一年生の該当の者は一年生に入っていただくということは当然でございますけれども、それ以上の学年の該当者で特殊学級に通っておられるとかあるいは普通学級に通っておられる方もあるかもしれません。あるいは家庭で訪問指導を受けられているという方もあるかもしれません。それから何も教育を受けておられない方もあるかもしれません。しかし家庭である程度の教育を受けていられるというふうな機会がございました場合には、年齢とかそれから発達の程度に応じまして、必ずしも一年生で収容しなければいけないということではないのじゃないかと思うわけでございます。これは各県あるいは市町村の教育委員会にそれに対応するような委員会等を設けてもらいまして、そこで御判断をいただくということが一番適切じゃないか。これは非常に個々具体的な問題でございますし、それに応じて、それにふさわしい教育が行なわれるようにするというふうに大臣の所信表明の中にも書いてございましたように、きめのこまかい配慮が必要じゃないかというふうに考えているわけでございます。
  145. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 そうしますと、今度の義務化は、五十四年に就学義務を持つ子供たちにとっては、九年間全部就学しないで義務教育を終わったという子供が出てくるわけですね。子供さんによってそういう場合が出てくるわけですね。
  146. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 義務教育の年齢は、これは六歳から十五歳までときまっておりますから、その保護者に就学義務を課する課さないという問題になりますと、これは法律上は十五歳をもって終了するわけでございます。ただ教育を受けられる立場の方々から申しますと、それは年齢に関係なく受けたいという御希望の方はもちろんおありだと思います。そういう方につきましても、やはり同じような教育の手が差し伸べられるように配慮をするということは当然のことではないか、そういうふうに考えるわけでございます。
  147. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 それではもう一度確認させていただきますが、本人が希望すれば、年齢は過ぎていても九年間就学できるような対策をとるということですね。
  148. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 それは実情に応じまして、九年間といわなくても収容できる限りのことはやはりしたほうがよろしいのじゃないかということでございます。たとえば高等部ということになりますと、さらにそれよりも長くなるということでございますから、単に年限の関係だけで申しますと、それは仰せのとおりでございますけれども、その点は、いまの計画でもって学校が整備されますと、大体養護学校で三万人くらい新しく収容ができるというふうな形になるわけでございます。それに対しまして、御案内のとおり現在就学の猶予、免除を受けている子供たちは約一万九千人でございます。そういう意味で、ある程度弾力的な運用ができるのじゃないかということも私ども期待しておるわけでございます。
  149. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 私が伺っていますのは、長くなるほうは問題ないわけです。高等部へいらっしゃろうと、もっと上の大学へいらっしゃろうと、それは本人が希望し能力があれば十分であるわけです。義務教育の問題を言っているのですが、義務教育というのは小学校六年、中学校三年がたてまえになっているわけです。私が心配するのは、いま家庭で教育を受けていたからいいのじゃないかといったようなことで、いわば教育を受けていたとみなして途中の学年に入れるような形で、ほんとうに九年間の義務教育が保障されないお子さんが出てくる場合大きな問題だということで伺っているわけですが、その点は希望すれば必ず保障する対策を持っていらっしゃるのでしょうか。
  150. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 養護教育の義務制は五十四年から始まるわけでございますけれども、それまでの間におきましても、地方公共団体にはあとう限り希望に応じてそれらの方々を教育できる施設に収容してもらわなければならない、こう考えておるわけでございます。  ただ、必ず義務として受け入れなければなりませんよというのにはまだ施設が整っておりませんので、残念ながら五十四年から始めますよ、こう制度を立てさせていただいたわけでございます。施設がないからほうっておくのじゃなくて、先ほど初中局長から申しましたように、訪問指導までしよう、そして在宅のままで教育を受けられるような仕組みをあわせてとろうというようなこともいたしておるわけでございます。  しかし、いずれにしましても、五十四年になれば希望者は全員学校に収容しなければなりませんよ、施設がないからできませんというわけにはいきませんよ、こういうようなたてまえにしたわけでございます。そういう義務を負いますのは、御承知のように六歳から十五歳まで、義務教育年限がそうきめられておりますので、法律上はそういうことになろうと思います。法律上はそういうことになろうと思いますが、現在でも、たとえば中学校教育をいろいろな事情で受けなかった、あるいは四十歳、五十歳になっている方もやはり中学の教育を受けたいということで、そういう意味の中学も実はあるわけでございまして、こういうことにつきましても地方団体で配慮しているわけでございますし、国もそれなり助成もしているわけでございます。したがいまして、運用上の問題におきましては、いま初中局長が申しておりましたが、それぞれ新しく初めて学校に入ってくる場合には、年齢でありますとかあるいは教育の程度でありますとか、そういうこととから、み合って、適当な学級に編入していくということになろうと思いますし、また十分でない場合には、希望に応じて、十分ではないけれどもあとう限り保護者の希望に応じた配慮をするというようなことも必要だろう、こう思います。  ただ法律上の点だけおっしゃいますと、義務として預からなければならないのは、それは六歳から十五歳です、こう申し上げざるを得ないと思います。しかし、御心配になりますようにいろいろなことが起こってくると思います。それはできる限りそういう希望に応ずるような配慮をしていくべきだ、かように思いますし、同時に、五十四年を待たずに、今日でも希望者はできる限り預かれるように、いろいろな面で地方公共団体はくふうしていかなければならない責務を負っているものだ、かように存じておるところでございます。
  151. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 就学義務といいますのは、保護者が自分の保護する子供たちを就学させる義務だということは当然なことです。ただ、子供たち自身がちゃんとした教育を受けたい、みんなと同じように九年間教育を受けたいと望んでいるお子さんはたくさんありますし、また家族が、保護者がそれを望んでいる場合があるわけなんです。ですから、たとえば学年進行で四十九年からもし義務化された場合に、四十九年に一年生に入るべき子供が、もし五十四年から義務化されますと、すでに十一歳になっているわけです。そのときに、ですから学校施設が足りなかったということで猶予、免除という措置になっていた、その場合に、そういう人たちの権利がどう保障されるのだろうか、そういうことを心配するわけです。  なぜかといいますと、現在猶予・免除者は一万九千人といまおっしゃいました。それから毎年養護学校また特殊学級に入るべき障害児が学齢に達するわけです。そこで現在猶予、免除になっている人たちを合わせて入れていく場合に、いまの建設計画で間に合うのだろうか。それがもし間に合わない場合は、いままでと同じように、就学義務が課されて、学校もたくさん建って、では自分の子供は多少学齢の六歳より年が多くなったけれども一年生からあらためて勉強させてもらいたいといった場合に、また学校が足りないからだめですよということにならないだろうか、こういう問題が出てくるわけなんです。ですから、現在就学できていない、しかも就学を希望しながらできていない子供さんたちの数も考えに入れた建設計画なのだろうかということです。それと、一年生にそのお子さんたちが入った場合には、次に二年生になったときには、また一年生に今度は義務化されて大ぜい入ってくるわけです。その場合に施設が足りるのだろうか、ここの問題で伺っているわけなんです。
  152. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 栗田さんの御心配になっているのは、義務制にするのは六歳の者をまず五十四年に義務制にして、今度は六歳から七歳の者を五十五年に義務制にするというふうな式に、学年進行で義務制を考えているのじゃないかという疑問を一つお持ちになっているのじゃないか、こう思うわけでございます。そうじゃなしに、五十四年から全部義務制にしたい、言いかえれば六歳から十五歳の間の方々については、学校に行きたいといわれる限りは学校で預かれるようなことにしたいということで始めるわけでございます。したがいまして、今日におきましてもどんどん学校をつくっていくわけでございますし、また訪問指導もやるわけでございますし、また病院その他においてクラス編制ができるところはクラス編制していくというようなことで、努力を続けていきたい。従来なら、義務制施行の場合には学年進行で始まると思うのですけれども、今日すでに心身障害の人たちに対しましても、積極的にいろいろな形において教育への努力を積み重ねてきておるわけでございます。ただ、義務制にするについては、いろいろな準備を十分整えた上でなければ責任を負えないものでございますので、地方団体にそれまでの間の計画も立ててもらい、だいじょうぶですなと念を押しながら、五十四年義務制という制度に踏み切らせていただいたということでございます。
  153. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 大臣ちょっと誤解していらっしゃるようですが、五十四年から一斉に義務制にするということは私も知っております。それで問題にしていますのは、いままで猶予、免除で就学できなかったお子さんたちがたくさんあるわけです。一万九千人といま言われましたけれども、その方たちが教育を受けたい場合にどういうことになるのかということですね。本来だったらば、いま七歳になっていても九歳になっていても、これからその九年間の義務教育を受けたいと本人が希望するし保護者も希望するという場合に、これは一年生に入ることになるのです。ですが、一ぺんにそういう猶予、免除の方たちも希望する、そして新一年生も入るということになるわけですが、それを受け入れるだけの計画で養護学校を建てていらっしゃるのだろうか、そのところなんです。つまり、またまたその施設がないということで、希望するにもかかわらず待たされる人が出るのではないのか。そんなことがあってはならないということで伺っているわけです。
  154. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 私どもは、いま大臣からも申し上げましたように、すべての障害を持つお子さん方につきまして義務教育を実施したいということでございます。たとえば三年生該当の方が一年からお入りになりたいといえば、三年生がかりに三十人としましたら、そういう方が減るわけですから、その部分だけ収容の能力があるわけですね。そういうふうなことで、先ほど申し上げましたように、約百五十人程度入れる養護学校を三百校近くつくるわけですから、三万人近くの者が収容できるというふうなキャパシティーはあるわけです。それに対しまして現在就学猶予、免除を受けておるお子さんは一万九千人ということでございますから、その収容力は私はかなり弾力的な措置ができるのではないかということでございます。  いま先生が御指摘になりました、年齢がかなりいっておる、しかし一年から始めたいのだというお子さんがございました場合には、それは校長の判断でそういうようにするような余地をつくるということは私ども賛成でございます。先生のおっしゃるようにいたしたいと考えております。
  155. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 この文部省で出されました特殊教育拡充整備計画要綱を見ますと、出現率が出されて、それで大体推定数が計算されております。  ところで、たとえば五十三年度の対象者として精神薄弱出現率〇・一九五、病弱が〇・〇五七、肢体不自由が〇・一一九%ということで推定されております。ところが、こちらの特殊教育資料とあわせてこれを見ましたところが、この出現率のパーセンテージというのは重度の人を対象にしているわけですね。精神薄弱の場合には重度までの出現率であって、最重度の人が落とされています。それから肢体不自由の場合も、その最も重い度合いが落とされております。その次のパーセンテージです。全部そうなっています。病弱、虚弱の場合もそうなっています。それでは、この最重度の人の場合はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
  156. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 あれは一応計画の資料でございますが、私どものほうでいま養護学校の関係者のいろいろ御意見も聞きまして、どの程度までが教育の対象として扱えるかという問題もいろいろ伺っております。その中には、治療と教育二つに分けますと、治療を優先にしなければならない方、それから実際に学校のほうで教育の手だてがまだわからないと申しますか、具体的に申しますと、静かにしておられる方はまだよろしいのですが、もう非常に活発な活動、動きをするというふうな方などにつきましては、これはなかなか教育がむずかしいというふうなお話も承っております。そういう意味で最重度の方につきましては、訪問指導等あるいは治療優先というふうな立場で一応考える。しかし実際に学校のほうで具体的にそういう方々をいろいろ調べまして、学校でお引き受けできる、またそのほうがよろしいというふうな方々につきましては、もちろん学校のほうでお引き受けをするというふうなことでございます。計画としましてはそういうふうな数字をとっているわけでございますけれども、これは具体的な問題は個々具体的にきめのこまかい対策をとっていくということにいたしたいと考えております。
  157. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 それでは、その希望があれば学籍を持たせていくというたてまえで十分考えていらっしゃるわけですね。そうでしょうか。
  158. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 御父兄の希望だけで私どものほうでお預かりしたほうがいいのかどうかという問題は、残された問題としてあるのではないかと思います。たとえば厚生省の病院あるいは施設でお預かりいただいて、それから学校の関係者がそこへ出向いて教育をしたほうがいいというふうな方はむしろそういうふうな対策をとったほうがよろしいのではないかということで、親御さんに御納得をいただくというふうな場合もあろうかと思います。先ほど申し上げましたように、最後に残された義務教育でございまして、もう個々の具体的なケースにつきまして非常にむずかしい問題があろうと思います。これは、医学的な立場でございますとか、そういうふうにもう少し客観的な立場から、どういうふうなお預かり方をしたほうがいいのかということを検討するほうがよろしいのではないかというふうに考えております。
  159. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 それでは、現在、就学猶予、免除になっているお子さんたちをあとどのぐらい収容する予定でこの計画は立てていらっしゃるのでしょうか。
  160. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 収容の能力としましては、先ほど申しましたように一応百五十余人でございますか、百五十人程度の規模の学校を二百校近くということで計画をいたしておるわけでございます。それに対しまして就学の猶予、免除を受けておられる方の数は、先ほど申し上げましたように二万人弱ということでございますので、計画としましては、全部収容いたしましても十分な程度の計画を立てておるわけでございますが、実際に収容してそこで教育を行なうかどうかという問題につきましては、個々具体的に客観的な判断をしていくというほうが望ましいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  161. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 いま希望する人たちを全員入学させるということで、国よりも非常に早く努力しておるところがあります。東京都は来年度から就学希望者を就学させていくということで、いまたいへんな苦労をしながら養護学校、特殊学級の建設その他を進めているというふうに聞いております。たとえば東京都の例を見ますと、そういうふうにやっていったときに子供たちの症状が非常に重度化する。結局、重い子供さんも収容するということになってくるわけですね。これは当然なことです。それが、受け入れる側としては非常に苦労だけれども、しかしどんなに症状が重くても子供は教育を受ける権利があり、また伸びることができるのだという考え方で東京都ではいまたいへん努力をしております。一例をあげますと、東京都の北養護学校ですが、昭和三十八年に百十八名が在学しておりました。このときに歩行不能者は三十九人、全体の三三%、寝返りが不能だった人が六人、全体の五%程度だったわけです。ところが十年たちました四十八年はどうなったかといいますと、二百九十七名在学しています。これは一つにはたいへんすし詰めになっているということです。それからもう一つ、内容を見ますと、歩行不能者百六十一人、五四%、寝返り不能三十四人、一四%、車いすが必要なお子さんが百八十八人、これは歩行不能の方とダブっておりますが、六三%、このうち九〇%が脳性麻痺のお子さんだということで、たいへん症状が重いお子さんでも一生懸命に収容しているという、そういう状況が出てきているわけです。ですから、今度もし義務化をしていきます場合に、いままでの養護学校の観念では全国どの県でもやっていけないのではないだろうか。重度化してくるという点での対策をはりきり持たなければ、子供たちにかえって不便な思いをさせるということが起こってくるのではないかと思うのです。東京ではそのためにもたいへんな努力をしておりまして、基準以上の費用をかけて設備をつくったり、また介助員などもふやしたり、先生の定数も一つのクラスに二人置くとか、たいへん努力をしているわけです。  ところで、文部省の計画を見ますと、養護学校の中に重複障害を持ったクラスは、小学校に一クラス、中学校に一クラスしか予定されておりません。百五十余人の計画の中で小・中各一クラスしか予定されていないわけなんですが、これは一体どういうことでしょうか。もしほんとうに重度の方までも就学できる者は一生懸命就学させていくという立場に行政が立った場合に、この数で足りるでしょうか。その辺をどう考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  162. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 おっしゃいますように、私どものほうでは、先ほど指摘がございました出現率を基礎にいたしまして標準的な数字をはじいているわけでございます。しかし個々具体的な問題になりますと、少しは変わってまいると思いますし、またそれに対する対応策考えなければいけないということは当然のことでございます。また、東京都の例をただいまお引きいただきまして、私どもも完全な義務制ができるのかどうか非常に心配をいたしておりますが、その努力なり方向なりは非常に高く評価してよろしいのじゃないか。ただ、それで具体的にどの程度やれてどの程度無理があるのか。先般、久里浜の養護学校の開所式のときも、先生もおいでいただきまして実際にごらんをいただきました。   〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席〕 あそこにおられますお子さん方は、比較的教育の対象としては手のかからないほうではないかと私は思いますけれども、それでも、ごらんのように一人対一人というふうな、これはたいへんなことでございまして、そういう意味から申しますと、やはり私どもは東京都の例などを見きわめながら、もう少し具体的に計画を練っていくということが必要じゃないかと思います。  ただいま御指摘になりましたものは、あくまでも私どもは基準としてはじいたものでございますから、そのとおりということではございません。また東京都の場合のように、非常に重い方も実際に教育が可能であれば、私どもはそれらを全部収容していくというふうな方向でいきたいという気持ちには変わりないわけでございます。
  163. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 それでは確認させていただきますが、この文部省の計画は計画であるけれども、各地でやっている例などを見ながら、もっともっと途中で充実、改善させていく方向でいらっしゃるということですね。
  164. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 このたび教職員の定数の改善を行ないまして、特殊学級につきましてもいろいろ配慮して、その法案をこの委員会にも御審議を願うために提出の準備を進めておるわけでございますけれども、ちょうどこの計画はやはりこの義務制の計画と同じような五カ年計画でございまして、新しい計画は、義務制が始まるときと同じときに発足するということ、時期的にはそうなっているわけでございますので、実際にやってみました結果、定数上の問題その他いろいろな問題が起こってくると思います。それに対しては万全の対策を立てていきたいというふうに考えているわけでございます。
  165. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 今度の定数の改善はどんなふうにふやす予定でいらっしゃるのですか。
  166. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 いずれこの委員会で御審議を願うという気持ちがあったものでございますから、きょうちょっとこまかい資料を持ってまいりませんでしたけれども、たとえば特殊学級につきましては十三名の最高限度を十二名に引き下げるとか、それから養護学校につきましては、特に養護訓練の関係の教員をふやしますとか、そのほか小・中学校の複式学級などの改善等との関連などを考慮いたしまして教職員定数を増加する。それから寮母の定数につきましても四交代くらいでやれるように改善をするとか、それから舎監の人数をふやすとか、そういうふうな内容の改善でございまして、ちょっと資料がございませんで、たいへん恐縮でございますが……。
  167. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 再び東京の例を出させていただきますが、この北養護学校では小学部が二十三学級あります。ここに教員を四十八名配置しています。つまり一学級二名以上の配置なんですね。それから中学部が七学級、これに十三名の教員を配置しております。高等部三学級、ここに六名を配置していまして、それにさらにプラス六名専門の先生をつけている。その上に機能訓練などの介助員七名をつけているわけですね。いまの文部省の基準からいいますとはるかにたくさんの先生をつけております。ところが、そういう中でどういう事態が起きてきているかといいますと、文部省の基準並みに考えればこれほど豊かに先生がついていても、なおかつ二百九十七名の在学児童生徒のうちで五十人以上親が付き添ってきているわけです。結局付き添ってきて、一日子供と一緒に学校にいて、世話もして連れて帰るということになっているわけです。先生の数、また介助員の数、それから寮などに行けば寮母さんの数の問題もありますけれども、はるかにたくさんにしなければ十分な教育がしていけないし、子供たちに不自由をさせるという事態が出てきているということです。こういうことをぜひ各地でやっている例を御研究になりまして、さっきも言われたような立場でその義務化を進めていらっしゃる以上、思い切った施策を講じていただきたいということをまず申し上げたいと思いますが、それについてどうお考えでしょうか。
  168. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 特に養護学校の場合には非常に人手がかかるということは、先般の久里浜の養護学校の場合にもごらんいただいたとおりでございます。障害の程度に応じましてこのたび定数の改善を行なうということにいたしたわけでございますけれども先ほども申し上げましたように、義務教育の完成の年度に間に合うように、もう一度その中身を改める機会があるわけでございますから、この問題につきましては、いま御指摘のように、各県の実施状況、具体的な実施の難易、そういうものを考えまして、実情に即した定員の配置ができるように、さらに一そう努力をしたいと考えております。
  169. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 義務化を進めていく上で地方自治体がもう一つたいへん苦労していることがあります。それは、学校を建てるための土地取得が非常に困難だということです。そのために広げたくても広げられないで、それこそ東京の王子養護学校なんかの例を見ますと、おふろ場の脱衣場で教育をしています。脱衣場を教室に改造して、そこで子供たちを教えております。それからさっきあげました北養護学校は、職員室を教室にしたり、それから特別教室を教室にしたりということになっています。財政的にも問題はあるとしても、お金がないというその前に土地がないということでこういう事態になっております。これは特に東京など人口急増地、土地が手にしにくいところは特にそうですけれども、全国的にこの状況はいま出てきていると思いますが、それに対してどんなふうな対策をいま持っていらっしゃるでしょうか。ただその計画を立てて、そして各自治体からの申し出を受けて建設を進めているというだけでは、建設が突き当たるのではないだろうかと思う面がありますが、その点について文部省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  170. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 養護学校施設費につきましては、昨年度の法改正によりまして、三分の二の補助が行なわれることになったわけでございます。一昨年度は該当の養護学校を初めてつくる場合のみに三分の二の補助率でございましたが、昨年度からは、およそ養護学校の新設につきましては三分の二の補助をするというふうに改正されたわけでございます。これは建物でございますが、土地につきましては現在補助制度はございませんで、地方債におきまする一般単独事業というワク内において処理されているのでございます。
  171. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 それでこういうことが起こっております。東京の例が多いのですけれども、東京は四十九年度に本校三校開校して、分校六校開校をすることでいまやっております、御存じだと思いますが。これはどうなっているかといいますと、特に分校の場合などは、足立地区につくられる精神薄弱児の養護学校の分校、これは肢体不自由児養護学校を間借りをして一時開校しながら、何とか建設していこうとしている。それから葛飾地区につくられます分校、これは小学校を間借りして四十九年から開校する。品川地区につくられる分校はやはり小学校を間借りしてつくるということになります。中野地区につくられる分校、これは小学校か高等学校を間借りするということになっています。稲城地区、これはやはり小学校か中学校を間借りして四十九年度から始める。港地区、これは小学校の改築中使ったプレハブを使用するという。こういう実態の中で非常に苦労しているわけです。もう一つありました。江東地区、これはろう学校の間借りです。全部こういう形で、とにかく四十九年から教育を始めながら、同時に並行して土地を手に入れて学校を建てていこう、そしていままで分校だったものを養護学校にまとめていこうということを、いまやっているわけです。たとえば国有地です。東京都内にもかなり国有地があるわけですが、こういうところを積極的に文部省が開放していくというようなことは考えていらっしゃらないのでしょうか。東京だけではありません。これは全国そうですし、かなり国有地があるわけなんですけれども、こういうものを積極的に使えるようにして、養護学校の建設を一日も早く進めるようにしていらっしゃるというお考えはありませんか。
  172. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 いまお話しのように、希望者を全部預かろうということになりますと、すぐには建設したくても適当な学校用地が見つからないというのが実態じゃないだろうか、こう思うわけでございまして、やはり万全の設備を整えてというようなところから、義務制実施は五十四年ということにせざるを得なかったわけでございます。ことに人口急増の地域につきましては、用地の確保にたいへん困っておられるわけでございます。国有地で適当なところがございますならば、これはまた、そういう仕組みも講ぜられておるわけでございますので、文部省としても、大蔵省その他と十分話し合いをする、協力をする気持ちは多分に持っております。また、そうもしてきたわけでございますけれども、それも簡単に適当なところに国有地があるというわけにまいりませんので、国有地が利用できるなら全部解決をするというわけにもいかないのじゃないか、かように考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、地方団体にはたいへんな御苦労を願わなければならない、かように考えておるわけでございます。また、財政的にもたいへんな負担になるだろうと思うのでありますけれども、府県のことでございますので、資金的な配慮でやっていただこう、こう思っているところでございます。
  173. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 私が心配していますのは、最初にも言いましたように、五十四年義務化ということがたいへん期待されているわけです。それが、またまたやってみたらうまくいかなかったら延ばしますということに今度したら、これはもう政府文部省の威信は失墜するというふうに思います。ですから、あと五年あるとおっしゃいますけれども、この五年間というのはそう長いものではないし、学校建設は大体三年かかるのですから、そう思っていきますと、よほど早目早目に、しかも十分な対策をもって学校をつくっていかない限り、五十四年に建設が間に合わないということが起こるのではないだろうかということで、さっきから心配して、あれこれとこっちがいろいろなことを言っているわけです。ですから、必ず五十四年に義務化できるだけの養護学校を保証していくという、それが自治体まかせでなくて政府の責任で、さっきも言ったように、子供たちが教育を受けたいという、教育を受ける子供たちの権利を保証するという立場で、政府として十分な施策を講じていただきたいということを繰り返し言っているわけなんですけれども、それについての御決意を伺いたいと思います。
  174. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 お話、たいへんよくわかりました。私も全くあなたと同じ気持ちでこの問題と取り組んでおります。義務制施行に踏み切ったときから同じ気持ちを持ち続けておるわけでございます。したがいまして、義務制施行に踏み切る前にも、各府県に対しまして、具体の設置計画を出してください、何年にどういう学校を何校つくりますということを出してください、こうお願いをしたわけでございます。そして、五十三年までの間にはどれだけのものをつくらなければならないか、また、それだけつくってもらえれば円滑に施行していけるかというような計算もしているわけでございます。しかし、計画ができても、それでなお万全というわけじゃございませんで、毎年毎年、計画どおりに事が運んでいるかどうか、いろいろなことを絶えず見直していかなければならない、そう思っております。私も、五十四年義務制施行、こう書いたからそれで安心だというような気持ちはさらさらございませんで、たいへん心配していることでございます。
  175. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 過去のことに戻りますが、昭和二十八年十一月九日に次官会議の決定で「精神薄弱児対策基本要綱」が出されております。あのとき、精神薄弱の児童生徒を対象とする特殊学級、養護学校を義務制とすることが、この次官会議できまっておりますね。いかがでしょうか。覚えていらっしゃいますか。
  176. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 当時私は財務課の課長補佐をしていたと思いますけれども、ちょっと記憶がないのでございますが、時期的に申しましても、ちょっと早過ぎるような感じがするわけでございます。
  177. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 きまっているのです。その当面の措置というのと、それから行く行くはということできまっているわけですね。  それでは次に、昭和三十九年一月に発表されました文部省の「特殊教育振興計画」、これにはどういうふうにいっているでしょうか。——私、資料を持っていますから言います。特殊教育振興計画、ここで養護学校の新設、都道府県に対する設置義務を早期に実施する、肢体不自由養護学校は昭和四十二年四月一日を目途とする、精神薄弱養護学校及び病弱養護学校は昭和四十三年度以降できるだけ早い機会とする、こういうふうになっております。私が問題にしているのは、ここに目途としているのが昭和四十二年であり、昭和四十三年だということですね。  次に、今度は昭和四十年十月、文部省が「心身障害児の判別と就学指導」という冊子を出されました。あの中ではどのように計画を出していらっしゃるでしょうか。
  178. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 ちょっと手元に資料がございませんで、お答えできないわけでございますけれども、当時私は財務課長をやっておりまして、確かに先ほど三十九年の計画がございましたように、肢体不自由児の養護学校は、四十二年に設置義務を課したいということで進んでまいったわけでございます。そのときには自治省に相談をしたわけでございますが、いまの大臣が財政局長でおられたと思いますけれども、財政局長までいかないうちに、自治省のほうで、まだちょっと早いんじゃないかというふうな御意見があったように承っております。しかし、まあ方向としましては、まず肢体不自由児の養護学校を全県に設置を進めていく、それから精神薄弱児それから病弱、虚弱児の養護学校は、これもできるだけ早い機会にやっていくという方針は三十九年、四十年、それからその後も変わっていないような感じがいたします。ただ、先ほど指摘になりましたように、設置義務を課するということを最大の目標にしてまいりましたけれども、やはりその設置義務と具体的な義務教育というのは並行してやらなければいけないのじゃないかということで、最近そういうふうな考え方に基づいて義務教育の政令を出した、そういうふうな経過になっておるわけでございます。
  179. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 昭和四十年の、いま言いました資料、心身障害児の判別と就学指導には何と書かれてあるかといいますと、文部省ではこれらの未設置府県を早急に解消する方針で、昭和三十九年度から毎年度十六校増設、十年計画を立て、設置を推進している。この計画によれば、肢体不自由養護学校については四十一年度中に未設置府県を解消し、四十二年四月一日から都道府県に対する設置義務を施行する方針である。引き続き、精神薄弱養護学校及び病弱、身体虚弱養護学校についても未設置県の解消につとめ、四十三年以降なるべく早く設置義務を施行する方針である。さっき言いました三十九年一月に発表されたものをもう少し詳しく書いているわけです。こういうふうになっていたのですが、実際にはこれができなかったわけですね。しかも就学義務とあわせてということをいまおっしゃいますが、少なくともまず建物をつくることによって、猶予、免除で就学できない人たちを一人でも多く入れるという立場になれば、就学義務という問題と同時に、何といいましても設置義務を課するということをきめたらば、それを実行していく立場で政府は最大の努力をしなければいけないと思うのです。ところが、それがまただめになったわけですね。それで、ここにはこういうふうに述べられていながら、実際にはうまくいっていない。  肢体不自由養護学校は、いま未設置県はありませんか。
  180. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 おかげさまで肢体不自由児の養護学校は、これは全県にできております。
  181. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 未設置県がなくなったのは何年でしょうか。
  182. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 四十四年でございます。
  183. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 精薄児の養護学校はどうでしょうか。また病弱・身体虚弱養護学校についても、いまの現状をちょっとおっしゃってください。
  184. 岩間政府委員(岩間英太郎)

    ○岩間政府委員 精薄の養護学校とそれから病弱・虚弱の養護学校はまだ未設置県がございまして、四十八年の五月一日現在で精薄の養護学校の未設置県が十二県、それから病弱・虚弱の養護学校が十九県、合計で三十一県ということになっているわけでございます。
  185. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 四十三年以降なるべく早く設置義務を施行するという方針だったわけですが、現在こういうふうになっているわけですね。  続いて四十四年の一月二十八日、文部省の特殊教育課で特殊教育の振興計画については出されて、四十九年から学年進行で義務化ということになって、これがまた延びたというわけです。こういうことになっているものですから、私が心配するわけなんです。今度は政令が出たからいいだろうとみんな思うけれども、ただ政令一本出したからといって、いままでなかなか建たなかった、うまくいかなかったその原因を、ほんとうに政府が本気になって、文部省が本気になって解決していく立場で、五十四年に向けていかなかったならば、政令を出したからといって、それから多少、教員の定数、保母さんの定数を改善したからといって、どのくらい変わったか。さっき数字をおっしゃらないので私わかりませんが、ちょっと伺った感じでは、あまり大きく変わっていないように思いますけれども、五年間で変えるとおっしゃっているのですけれども、多少変えたからといって、これはなかなかむずかしい問題で、よほど本気にならなければいけないと私は思います。  たとえば養護学校の建設の基準単価はどんなふうになっていますか。
  186. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 四十九年度単価で申しまして、鉄筋の場合が、平米当たり六万九千四百円、鉄骨の場合が五万七千円でございます。構造比率といたしましては、鉄筋が八〇%、鉄骨が二〇%ということでございまして、鉄筋につきましては前年度の約四五%増、鉄骨につきましては前年度の約三九%増でございます。
  187. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 その単価は、普通の義務制の小・中学校の単価と比べてどうでしょうか。
  188. 安嶋政府委員(安嶋彌)

    ○安嶋政府委員 これは義務制の単価より高うございまして、小・中学校校舎の単価、鉄筋の場合は六万一千七百円でございます。これが養護学校の場合は六万九千四百円でございます。それから小・中学校の鉄骨校舎の場合は、四十九年度単価四万八千七百円でございますが、これがただいま申し上げましたように、養護学校の場合は五万七千円ということになっております。
  189. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 確かに、小・中学校、一般の学校より高くなっていますけれども、まだまだそれでも問題があると思います。たとえば、もし重症の子供さんの部屋だったとしますと、すわっていられないで床にべたっとなっている場合もあるわけですね。そういうときに、こんな冬、床暖房をしなければならないだろうし、じゅうたんも敷かなければならないという場合も起きてきます。それから、からだの不自由な子供さんのために、ただ階段だけあったのでは困る。そうすると、車いすの入るエレベーターが要るような場合もあるでしょう。それから車いすで上がっていけるスロープが必要な場合があります。そうすれば、これは基準面積にも関係してくるのですけれども、かなり面積も必要だし、一平方メートル当たりの単価というのが高くなる場合もあります。特にこういうふうに身体障害児の場合は、そこに入っている子供さんたちの症状、それから障害の種類その他によって、いろいろと対策を立てなければならない問題があると思います。ですから、普通の小・中学校のように基準単価をただきめるというやり方は非常に不合理ではないかと思うのです。いわゆる建設省なんかでやっています建設の積み立て方式、こういうものとこういうものをつくらなければならないという設計を出して、それが妥当であったらば、その設計を見て必要な価格を積み立てて考えていくという、そんなやり方にしなければ、ただ三分の二にしただけでは、地方自治体は大きな負担を負う場合があるし、また逆に財政的な困難な面から、子供のほうにしわ寄せがいくというようなことも起きてくると思いますが、そういうことについてはどうお考えでしょうか。
  190. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 おっしゃっているように、いろんな具体の問題があろうかと思います。国としては、基準面積、基準単価、こういうものを示して、その三分の二の負担はいたしますということを明確にいたしましているわけでございます。この基準面積なり基準単価なりが不適当であります場合には、逐次実態に合うように改めていかなければならない、かように思います。具体の学校をつくりますときに、府県がその基準面積、基準単価にとらわれないで特別なくふうを尽くされる、それはそれでけっこうなことじゃないか、そのかわり、その部分は府県で負担をしてもらうということでいい、こう考えるわけでございます。いろいろなくふうを各地方団体でしてもらうことによっていろいろな養護学校が生まれてくる、それがまた国のほうの基準面積なり基準単価なりに取り入れられていくというような改善をしていけばいいじゃないだろうか、かように考えているわけでございまして、国の負担いたします分の二分の三倍の経費以上を使ってはいけないのだというような考え方を府県に持っていただきたくないな、私はこう思います。それは府県の熱意によってさらに追加して経費負担してもらったらいいし、そういう問題を全国的に画一的に推し広めていかなければならないようになってくるなら、それは当然基準面積なり基準単価なりに取り入れていけばいいじゃないか、こう思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、府県が設置者になっていくわけでございますし、府県の財政力は相当なものでもございますので、その点について、私は、いま申し上げましたような方向でよろしいのじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。
  191. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 どこの府県でも、基準単価内でやらなければいけないのだと思っている府県はないのですね。もっともっとちゃんとしたい。だけれども、基準単価が少ないために、低いために、超過負担をしているという場合が非常にたくさんあるのです。  いま私が言いましたのは、特にさっきから言っていますように、養護学校を義務化していくということについて、幾度も計画が出ながらそれがおくれてきた。それだけに、地方自治体は建てることに困難しているということです。これはもう一つ考え方の問題でもあると思います。身体障害児を教育しなければいけない責任が国にあるのだ、自治体にあるのだという立場にほんとうに立っていたかどうかという問題があります。それはやはり政府の責任なんです。なぜかといえば、こう幾度もおくれながら、そのために十分な手が打たれずに、戦後とにかく学校教育法ができて、二十二年にできましたが、それ以後約三分の一世紀、まだ義務教育を課せられないで、勉強したくても教育を受けられない子供たちが一万九千人、二万人近く残っているという実態なんです。これは学齢以上になった人を入れたら、もっとたくさんの数になります。こういうことが放置されていた。それが反映しているので、どうしてもつくらなければならないという考え方に地方自治体が立っていない。こういう問題がはっきりあると思うのです。ですから、なおのこと、五十四年の義務化をほんとうに実施していくためには、政府がそれができるような姿勢と十分な施策を持っていかなければいけない。  いま大臣は、余分に使ってくださるのはかまわないとおっしゃいますけれども、私はそんなことを言っているのじゃなくて、養護学校などの場合には積み立て方式で学校の建設費も計算すべきではないかということをいま言ったのですね。そうしないと、十分な施設をつくろうと思えばそれだけ財政負担が多くなる。それは財政的な豊かな県もありますが、しかし、非常に大きな財政負担が負い切れない県もある。そうなると、だんだんつくるのがおくれるということも起きてくるわけで、そのためにどのくらい熱意がおありかということを伺って、積み立て方式でいかがですか、こう言ったのですね。ですから、そのことについてお答えいただきたいのです。
  192. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 これまで養護教育の関係者が未設置県をなくするとか義務制にするとか言うてきたけれどもできなかったじゃないかという御指摘がございました。それほど養護教育の関係者が熱意を持ち続けてきたのだということだと思います。しかし、国全体の姿勢がそうなっていなかったわけであります。義務制、制度として五十四年度から施行しますと、こう言い切りましたことは、国全体の姿勢がそうなったということであります。いままでと全く違うのです。いままでと全く違うから安心しているわけじゃございませんよ。ございませんが、そういうことではいつまでたっても問題は解決しないのだ。そこで、五十四年というと、ずいぶん先の話であります。先の話ですけれども、五十四年からは義務制にしますと、踏み切ったのです。踏み切らなければ解決しないからなんです。いままでと同じようなことになるのです。そこが違うのです。   〔森(喜)委員長代理退席、委員長着席〕 したがってまた、大蔵省でありましても自治省でありましても、それに対応するだけの財源を用意していくわけであります。地方交付税法上の各団体に配分する基準財政需要額の計算におきましても、養護学校を今後どんどんつくっていかなければならない。それだけの金額も算入してくれるわけであります。また大蔵省も必要な補助金を計画が実施できるように計上してくれるわけであります。府県は土地の確保などにたいへん苦労するでしょうけれども、住民から要求があったら受け入れなければならぬ責任を負ってしまうわけですから、施設が整わないから私はごめんこうむりますよ、待ってくださいよと言えなくなるわけであります。そういうようながんじがらめの体制を先にとって、そして目標を定めて努力していこう、こういうことでございますので、いままでとは違った姿になっているということは御理解をいただきたい。しかし、安心しないで、万全の努力、注意は払っていくつもりでございます。  なお、積み上げ方式のお話がよくわからないのですけれども、単価も一応六万九千四百円というような単価を予定しているわけでございますけれども、これで実際問題として建築ができない場合には当然単価を改定していかなければならない、かように考えます。建設に必要な金額を基礎にして単価をきめていかなければならない、これは当然のことでございます。ただ、個々の団体の実施につきましては、団体の考えによって、いろいろもっと程度の高いものにしたいとかいうようなことがありましょうから、それはゆだねたいと思います、こう言うただけのことでございまして、それも程度が高いのじゃない、全地方団体にそういう程度のことは求めてしかるべきだというなら単価を改めていけばいいと思います。また、そういう意味で、これまでの経過におきましても、単に建築費が上がったから単価を上げるのじゃなくて、程度を高める意味において単価改定も行なわれていることもございます。超過負担の中にはそういうものもございまして、超過負担解消ということについても、四十八年度に際して若干改革が行なわれたことも御承知いただいているのじゃないか、かように考えるわけでございます。今後ともそういう考え方で努力を続けていきます。
  193. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 いまの単価改定の問題ですと、一平方メートル当たり普通の学校でもいま九万円ぐらいかかっているのじゃないですか。だから、そういう意味では、また次の質問、ほかの質問でやらせていただくつもりでいましたけれども、六万円というのは決して多くないのです、足りないのです。それで、現在でさえ足りない、普通の学校を建てるのにも足りないという状態ということをよく知っておいてください。足りません。しかも、私が言ったのは、養護学校というのは、幾度も同じことを言っているのですけれども、その障害の種類とか、そこに入っている子供さんたちの症状の度合いによって施設、設備の状態が変わってくるのです。だから、一律に単価をきめましても、なかなかそういかないのです。ほんとうに子供たちの度合いと症状に応じた、そこでどういうお子さんたちをおもに収容していこうという、教室ごとにもあるでしょうけれども、費用のかけ方というのがありますので、この場合には、一律に基準単価、基準面積という普通の学校を建てるやり方ではどうか、積み上げ方式で計算するべきではないだろうかということをさっきから言っているわけです。そういうことなんです。幾度もお答えいただいていますが、どうもすっきりしたお答えをいただけないのですけれども、ほんとうに五十四年に義務化をしていくという覚悟で文部省がやっていらっしゃるかどうかというそのことも、いまお話がございました、かつて時期尚早であったからだんだんに延ばしてきたとおっしゃっていますが、それならば、現在のこの時点で、全部の障害を持った子供たちが教育を受けるように文部省としてやっていかなければならないという決意がほんとうに固まっていらして、そのために必要とあらばできる限りの手だてと努力をしていらっしゃるのかどうか、もう一度そこら辺のことを伺いたいと思います。
  194. 奥野国務大臣(奥野誠亮)

    奥野国務大臣 今度は文部省だけが考えているのじゃないのです。国として考えているのです。法律で学校教育法をおきめいただいている、その中で心身障害児についての義務教育は猶予されてきておったわけでございます。それを猶予しないことに五十四年からしたわけでございまして、法律に基づく制度でございますし、政府としてもその制度をつくったわけでございますので、いままでとは全く違う点については、ぜひ御理解をいただいておきたいと思います。  同時に、心身障害児といいましても、病弱の方々の場合に、私は施設について一番いろいろなくふうが要るのじゃないか、ことに、まず病院が隣にあることが必要じゃないだろうかな、こうも思っているわけでございまして、そういう基準面積、基準単価も、さらに進むに従いまして、私たちもくふうして、いろいろな施設に対応する基準面積、基準単価をなるほど考えていかなければいけないかな、こう思っているところでございまして、将来とも御意見を参考にしてくふうを尽くしていきたい、できる限り実態に合うような努力を積み重ねていきたい、かように思います。
  195. 栗田委員(栗田翠)

    ○栗田委員 あと私はまだ判別委員会の問題就学猶予・免除の問題、それから就学の義務化をほんとうに保証をしていくための措置の問題、いろいろ質問させていただきたいことが残っておりまして、ほかにも別の質問もまだありますけれども、時間がだいぶたちましたので、きょうは残させていただいて、次の機会に回させていただきたいと思います。
  196. 稻葉委員長(稻葉修)

    稻葉委員長 次回は来たる十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会