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1974-05-16 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十六日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 橋口  隆君    理事 山下 元利君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       片岡 清一君    三塚  博君       吉永 治市君    金子 みつ君       中村  茂君    山中 吾郎君       荒木  宏君    有島 重武君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君     ————————————— 委員の異動 五月十六日  辞任         補欠選任   小林 政子君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     小林 政子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(電気料金値上げ問  題)      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 私は、いま問題になっております電気料金関係につきまして、経企通産関係者に御質問いたしたいと思います。  まず、冒頭に申しておきたいのは、昨年以来あるいは一昨年の後半から始まりました物価上昇、これに伴うところの昨年暮れからの狂乱物価、こういう問題で、国民心理的にもまた物価全体から考えてみましても、電気というものが非常に大切ではございますけれども値上げという問題につきましては、慎重の上にも慎重にやらなくてはならないという基本的立場冒頭に申さしていただきまして、関連する質問を行ないたい、こう思うわけでございます。  通産省のほうからいろいろ資料はいただいてありますが、まず公益事業部長にお伺いいたしたいと思いますが、電気事業審議会料金制度部会中間報告が三月二十日に行なわれております。これは、四十八年十一月五日に通産大臣から、今後の電気料金制度はいかにあるべきかという諮問がなされ、これに対して検討した結果、当面緊急かつ重要な問題についての高福祉社会の実現、省エネルギー化推進等の要請を踏まえた、新しい観点からの電気料金制度の方向づけが審議され、三月二十日に答申があった、こういうことでございますが、これは去年の十一月五日に、もう通産省電気料金値上げしようと思って、審議会料金部会をつくってもらって諮問をしたわけでしょうか。それともそうでなくして、昭和四十五年、六年、七年の人件費燃料費やもろもろの諸経費の値上がりというものがずっとやってきた。それでいつの時期かわからぬが、そういう問題に取っ組まなければならないから早目にやろうとしてやったのですか。それとも、もうこれは料金値上げをせざるを得ないからというのでこういう諮問をするようにいたしたんでしょうか。そこら辺からまず承っておきたいと思います。
  4. 岸田文武

    岸田政府委員 従来私どもが採用しておりました電気料金算定基準は、昭和三十四年に多くの方々審議を経て取りまとめられたものでございます。ただ、昨年関西電力四国電力の認可をいたします際に、従来の方式が決定されてからすでに十数年たっておる。その間社会情勢経済情勢が変わっておる。これらの新しい情勢を踏まえた新しい算定方式をこの際採用すべきではないかというが各方面からいわれたわけでございます。私どもはその意見を受けまして、電気事業審議会に新しい料金部会を設けて、いま申し上げましたような課題にこたえるべく、関係者衆知を集める用意をいたしたわけでございます。したがいまして、私どもは決して料金値上げ前提にしたということではなくて、むしろ料金制度あり方自体見直しをするというところに意味があった、こう考えておるところでございます。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、昨年値上げを行ないました関西電力四国電力については、そういう問題を考慮せずに昭和三十八年のあのときのかっこうのままでした、それでどうもまずいと思うたからやったのか。昨年二社値上げした問題とこの審議会諮問した関係というのは関係があるのですか、ないのですか。
  6. 岸田文武

    岸田政府委員 料金制度改定の問題は、ちょうど昨年申請をいたしました関西電力四国電力申請の当時から起こってきた問題でございます。当時、制度自体検討すべきであるということについていろいろの御意見もございました。しかしながら、私どもといたしましては、制度というものは非常に大事な問題である。したがって、軽々に判断をすることは差し控えて、別途関係者衆知を集めた新しいルールづくりを行なった後に処理をしたい、こういう観点からいたしますと、当面懸案になっております関西電力四国電力は、それらの審議を待つ余裕がなかったということから従来のルール適用した、こういう関係だと理解いたしております。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 その諮問をするときに、料金制度だけで——これは中間報告でございますが、たとえばサービス向上一般需要者消費家に対するサービス向上を九電力はどういう方法でやらなくてはならないかというような諮問は行なわれてないように私は考えます。料金値上げするしないにかかわらず、地域的独占であり、そしてまた国民生活必需的な電気というものに対してのややもすれば独占の弊害におちいりやすいと私は思うのです。諮問はいま私が冒頭にお願いしましたように、電気料金制度ということに限られておるようでございますが、サービス向上という問題についての諮問、あるいは料金制度の中でのサービス向上という問題については、通産大臣としてはこの審議会答申しなかった理由をお聞かせ願いたい、こう思います。
  8. 岸田文武

    岸田政府委員 料金制度は、その内容が性格上非常に技術的な問題がございますので、そのための専門方々のお集まりとして特別の部会を設けたわけでございます。いま御指摘サービスの問題、これは私ども考えましても、電気事業がその本来の役割を果たす上においてサービスということを絶えず心がけていかなければならない、そういうものであろう、こう考えております。それぞれの会社ごとに努力をいたしておるわけでございますが、いま御指摘のございましたようなことも頭に置きまして、各社のサービス体制について私どもも勉強をし、また今後の指導の参考にしたい、こう考えております。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 これは電気料金制度だ、制度に対する諮問だから、電気料金値上げするかどうかはわからないという大前提があるだろうと思いますけれども、こういうものを答申するときには、いまの電力会社消費者に関するサービス、特に家庭一般消費者に関するサービスというものは一体現状はどうなのか。さらに向上さす方法としてどういうものがあるかということは、料金制度と相まって絶対にこれは考えなくちゃならないことです。皆さん方は、これは特に専門家を集めての審議会の中の部会であるから、そういう問題は考えていなかったというお話がございますが、少なくとも料金制度に取っ組む場合における一いまも申し上げましたように、これは地域的独占事業ですから、しかも電気というものは、国民生活必需中の必需です。そういう場合においてサービス向上というものをどういう方法でさらに義務づけるか、あるいは現状サービスがいいか悪いかといった問題についての各界の意見を聞かないというのは、私はこれは少し片手落ちではないか。ただ、いま部長説明では、各電力会社に一そう努力さすように要請いたしたい、こう言われておりますけれども、それでは済まない問題があると思うのです。こういった問題についてすでに諮問があり答申が出されておるので、私はあまりこの席で強くは申し上げませんが、こういう問題というのは真剣に考えないと国民は納得しない。一方的に独占ですから、線で引っぱってきておるわけですから、これは選択の余地がない生活必需品ですよ。それに対してサービス向上という問題をやらない制度の検討というのは私はおかしいということを強く申し上げておきまして、次に答申内容に入らせていただきたい、こう思います。  そこでお伺いいたしていきたいと思いますのは、電灯電力費用の違いという問題があります。率直にいいまして、家庭用電灯産業用電力との差というのは、表で見ると二・二九倍、二・三倍の開きがある。これがいわゆる庶民といいますか、家庭用電灯を使っている方々にとりましては、摩訶不思議で納得のいかない問題であります。どうしてこんなに産業用家庭用との間に二・三倍の開きがあるのか、今回の料金制度において、この問題になぜ抜本的にメスを入れてくれなかったんだろうかという単純な疑問があります。それが一連の公聴会意見としてあらわれ、あるいはまた国民運動として電気料金値上げ反対の大きなもとになっておる。私は、電気必要性あるいは石油とかあるいは人件費とかあるいは公害防止事業とか、いろいろなことで電力会社そのものの経営問題については国民は理解はいたしておると思います。しかし、その抜本的な問題としての産業用家庭用との二・三倍の開きというのが一番大きな国民の疑惑ではないかと思うのです。  そこで、いろいろ生産用家庭用との開き通産省のほうでも説明しておられるようでございますが、具体的に質問していきたいと思いますのは、二・三倍の開きが起こる根拠は、種別ごと費用負担で、発電部門、一次送電線部門、一次変電所部門、二次送電線部門までは全部同じである。二次変電所部門、三次送電線部門について、特別高圧電力の場合はかかるものとかからないものがある。しかし低圧電力高圧電力については、配電用変電所部門高圧配電線部門までは全く同じだ。あとは柱上変圧器部門低圧配電線部門電灯配電線部門、これだけの開きで単純に言いますと二・三倍の開きがある、こういうことですね。そうしますと、この表で見て、低圧電力電灯との表の開きで、低圧電力の場合には電灯配電線部門低圧配電線部門との開きだけになっておりますね、事業用家庭用の場合に。これだけで二・三倍という数字が出てくるのですか。
  10. 岸田文武

    岸田政府委員 電灯電力の間に料金格差が生じておりますのは、一般的に申しますと電灯の場合は送電経路が長い、その間設備を要する、またロスが生ずるといったことがおもな原因でございます。いま具体的なお尋ねがありました点について少し補足して御説明を申し上げますと、同じ電源部門費用につきましても、電灯高圧とはおのずから差ができておるわけでございます。と申しますのは、電力電灯と比べますと、電灯はいわば夕方とかいった時期に非常に集中的に需要が出てくる。これに対して産業用の場合には朝から晩まで需要がわりあいにフラットに行なわれておるということからいたしまして、同じ固定費につきましても非常に効率よく使われるということから、コストが安くて済むという要素があるわけでございます。それぞれの電源部門、送変電部門配電部門高圧部門低圧配電部門、これらにつきましてそれぞれの需要種別ごとコストを見てまいりまして、それらを積み上げた結果が先ほどの数字になるという関係でございまして、いまお示しのように最後の部分だけの差ではないという事情を御理解いただきたいと思います。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 部長、ちょっとそこにおってくださいよ。  それならまず一番にお伺いしますが、産業用の場合は、同じ産業といいましても三十四時間稼働しないといけない産業もあります。三直あるいは三・五直にしてやる場合と、九時から五時までしか稼働しない産業もありますよ。それなら、家庭用の場合に朝と晩しか電力を使わないかというと、昼といえども掃除機を使い、洗たく機を使い、(「テレビつけっぱなし」と呼ぶ者あり)テレビつけっぱなしもまああるだろうと思いますが、最近の需要パターンというものは、昼と夜とのパターンがだいぶ変わってきておるわけでしょう。変わってきておる時点においていまのような御説明だけでは——第一点として私はもう少し詳しい説明をしていただかないと、それは納得できません。  その次は、ロスの問題については私あとから実は御質問申し上げようと思っておるのですが、家庭用産業用との間に二・三倍の差がつくロスあるいは効率経費という問題についてもう少し——この表だけでは国民は納得しない。もう少し具体的に承って、それから関連をしたいと思います。  まず、需要パターンは変わってきておるのじゃないですか。だから、いま部長が言われた家庭用の場合はある時間に集中しておるという傾向というのは変わってきておるから、いまのままの御説明では納得しないということが一つ。それから産業用といいましても、二十四時間稼働産業もあれば八時間稼働、九時間稼働産業もある、あるいは十二時間稼働のものもある。いろいろあるわけでしょう。そこら辺の差異と二・三倍の開きという問題について、もう少し詳しい説明をしていただかないと納得できません。
  12. 岸田文武

    岸田政府委員 いま御指摘の点の中で、需要パターンが次第に変わってきておるという点については、私どもも事実そうであろうと思っております。この変わってきたパターン前提にして料金をはじいたらどうなるかということは、今回の料金値上げ申請査定の際にも意を用いてやっておるところでございます。  第二のお尋ねでございます、差をもう少し具体的に説明せよということでございますが、たとえば同じ電源部門費用をとってみましても、これは従来の料金前提にして一つモデルとして試算をしたものでございまして、なお私どももどの内容については詰めてみる必要があると思っております。そういった程度意味合いでひとつお聞き取りをいただきたいわけでございますが、試算をいたしますと、同じ発電費でも、電灯の場合には四円八十銭から九十銭見当かかるのに対しまして、たとえば高圧をとってみますと三円五、六十銭という、コストの差ができておるわけでございます。以下、送変電部門配電部門について同様に若干ずつ違いながら、その上に別途電灯の場合には送配電費がかなり大きなウエートを占める。さらにまた、需要家費につきましては非常に大きな大工場家庭もそれほど費用の点では変わりがない。こういういった事情が積み上げられまして差ができてきておるわけでございます。こういった違いはそれなりの背景のもとにできておるわけでございますが、今回の料金改定におきましては、主として電源部門コスト上昇要因というものが非常に大きなウエイトを占めておるということからして、電源部門の場合には電灯高圧との間にそう違いがございませんので、結果としては比率がならされてきまして、二・三倍という比率申請ベースによりますと一・五倍とか一・六倍とかいうようなところまで下がっておるという関係にあるわけでございます。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 部長、それじゃもう一度、「電気事業の実態」という資料があるでしょう、これの一四ページの(2)「電気供給モデル経路図」というのがありますから、ちょっと広げてみてください。この経路図を見ると、特別高圧需要というのは、二次送電線が六万ボルト、三次送電線が二万ボルト、これからとる。それから高圧需要は六千ボルトからとる。低圧需要は二百ボルトからといって電力需要に応ずる。それから電灯は百ボルトにしてとる。こういう図をおたくでお書きになっておるでしょう。そうしますと、私の先ほどの質問をもう少し詳しく、柱上変圧器から二百ボルトでとって産業用に回すやつがあるでしょう。あるいは一部工場の敷地内に電気室を設けてとるやつがあるでしょう。これと民間の電灯需要とは、二百ボルトと百ボルトの違いでしょう。これだけの間においていま部長が言われたロスとかあるいは投資によるところの経費とかいろいろな問題が、かりに今回各電力会社申請しておる差額が二・三倍ではない、一・五か一・六倍にしておるというても、それでもなおかつ五〇%ないし六〇%の開きがあるでしょう。これだけの開きが出てくるのですか、純粋の電力会社原価計算から見た場合に。そこについてもう少し説明してみてください。おたくでこの図はちゃんと書いておるのですからね。
  14. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほどの比率は、電灯電力と総計した比較によってお示しをいただいたわけでございますが、同じ電力の中でも、特別高圧高圧低圧、それぞれに分けてみますと、やはりそれぞれのコストが違ってきておる。お示し低圧料金電灯料金、この間の格差は、あまり正確ではございませんかもしれませんが、一割程度の違いではないかというふうに感ぜられます。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 部長おっしゃったとおりなんですよ。一割程度の違いが、実際に料金を払う者になってみたら——各九電力会社申請数字はわかっておりますが、これの査定というか、何%になるかということは、私らはまだ聞いていないのですが、それにしても、一割程度の差しかないというのに、実際に申請しておる申請書内容等を見て、いま一・五倍ないし一・六倍の開きがあるとしますと、ここに、庶民といいますか、電灯を使っておる人の不平、不満という問題が起こってくるわけであります。  この問題は、あまり長くやりましてもおかしいと思いますから次に移ります。  今回の答申シビルミニマムの問題を非常に大きく取り上げられております。私は、この発想そのものは新しい電気料金制度の中においては画期的な方法ではないかと考えております。  冒頭に申し上げましたような物価高騰のおりから、庶民に与える実際の経済的影響というものと心理的影響という問題とを考えますと、三段階制度によるところのこの考え方は、私は非常に前向きの姿勢として高く評価いたしたい、こう考えておるわけでございますけれども、ただ、内容を検討してみますと、シビルミニマムが一カ月百キロワットまでというこのミニマムの置き方が、これは国民に前向きの、題名にある高福祉社会という問題から考えると、逆に超エネルギー時代というほうに重点を置いたしかたではないか、百キロワットという設定は。こう考えるわけであります。部会の中でもいろいろ議論があったようでございますが、この月百キロワット時をナショナルミニマムとした理由についてもいろいろ議論されておるようでございますが、これは地域的にも差がある。四国電力や北海道電力の場合は、平均が百二十キロワットである。それから、それ以外の地区は百五十ないし百六十である。そこで、区切りがいいように百キロワットできめた、こういうような答申がなされております。それで、通産省のほうもそれに対する資料をいろいろ出されておるわけでございますけれども、私個人が計算してみて、百キロワットでは、国民のぎりぎりの生活もうまくいかないのじゃないかとさえ思うのです。私の計算のしかたがいいか悪いかは別問題として、私はこういう計算のしかたをしてみたのです。これは「一キロワット時で使える主な家庭用電気機器の時間と働き」という表が同じくあります。そして、九電力のいろいろな地域別普及率がありますが、これで見ますと、冷蔵庫、これはサーモスタットのついておるやつがありますが、百五十ワットで十三時間二十分夏の間使うと一キロワット使うようになる。冷蔵庫電源を切ったりとめたりするわけにいきませんから、これは一月間といえどもつけっぱなしでしょう。そうすると、この普及率は八〇%以上に行っておるわけですから、もう国民生活必需品だと言える。これの月の消費量は五十五キロワットぐらいになるのじゃないでしょうか。この計算のしかたが間違っておるかどうかわかりません。それから洗たく機も、二百ワットのやつが五時間使えば一キロワットになる。洗たく機の場合は家族とか子供、わんぱく坊やがおる家庭と、おとなしい女の子のおる家庭でだいぶ洗たく機の使い方は違うにいたしましても、かりに一日洗たく機を一時間使って、一月のうち二十日間洗たく機を使うという計算をしても、二十キロ一月に使う。掃除機、三百五十ワットで二時間五十分である。この場合も二LDKの家庭と大きい家庭とは違うでしょうが、かりに一日三十分掃除機を使って一月のうちその掃除機を二十五日間使うというような計算をしても五キロワット使う。アイロンの場合も同じ、三百ワットで三時間二十分というのをかりに一日三十分使ってやっていく、こういう計算をし、これも一月二十五日間使う、日曜日は使わないというようなことを計算してみても四キロ使う。こうやっていきますと、ここに並べてある品目のうち螢光灯とか白熱電球とかあるいはミキサー、ジューサー、こういうものを除外しても、すぐ百キロワットの使用量というのはオーバーするのではないか。そこでミニマム百キロワットというのは、私はこの審議会先生方部会先生方専門家皆さん方ナショナルミニマムをおきめになるということは非常に前向きに評価しますけれども、これを百キロワットで基準を設ける三段階制のもとにするということについてはちょっとおかしいのじゃないか。現状認識において国民生活のほんとうの度合いに対する分析のしかたが足りないのじゃないか。せめてこれが最低基準を百四十キロワットくらいになるものかならないものか、部長のお考えを承りたい。あるいは部長答申のままに百キロワットをナショナルミニマム基準に置きたいとお考えかどうか、そこら辺について承りたいと思います。
  16. 岸田文武

    岸田政府委員 ナショナルミニマムをどの程度水準にするかということは料金制度部会でも特に議論の集中をしたテーマであったわけでございます。当時いろいろの資料を集めまして検討したわけでございますが、百キロワットアワーということが浮かび出ました一つ背景には、普及率八〇%以上の家庭電気機器使用状況アンケート調査によって整理をいたしてみますと、いまお示しいただいた数字とは若干違っておりまして、それぞれの使用時間が統計的に出てまいりますので、その使用量を個別に積み上げまして計算をいたしますと、約百キロワットアワーといった数字が出てまいったわけでございます。もちろん各家庭にはいろいろの家庭電気機具がございまして、そこに載せられたもの以外は使ってはいけないというようなものではなくて、いわば最小限度水準としてどこに線を引くかといった意味合いで出てきた数字であるわけでございます。参考までに百キロワットアワー以下で月当たり使用量がおさまっておる家庭と申しますか、需要家数全国平均で三五%程度でございますし、また百キロワットアワー以上使う家庭も、やはり最初の百キロワットアワーまでは第一段料金適用になるという意味からしまして、使用量でいいますと、大体六割方が一段料金適用を受けるという関係にあるわけでございます。ただ、こうは申しますものの、私ども公聴会へ出ておりますと、このナショナルミニマムが低過ぎるという意見がかなり強く、これは賛成の方あるいは反対の方を問わず出ておることは事実でございます。ナショナルミニマムといい食傷は、いわば国民的コンセンサスの上に一つ制度ができるということが望ましいことだという気持ちを持っておりまして、この百キロワットアワーをどうするかという点について、査定最後段階で検討してみたい、こう思っておるところでございます。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 部長、これは私の考えじゃないのですが、国会内の、たとえば運輸委員会とか交通安全対策特別委員会とか公害対策特別委員会で、最近騒音問題が非常にやかましく議論されました。また、先般も伊丹空港——いわゆる飛行場周辺整備法を通しました。まあ第三セクターでやるやらぬの問題いろいろあります。ところがその騒音の補償をするときに、ルームクーラーを義務づけろというある党の主張なんかやかましくあるのです。これは新幹線公害についても、ルームクーラーを義務づけないとこれは補償とはみなさないという主張さえ出てきておる。もちろんこのルームクーラーの普及率というものはまだ一六%です。数字から見ると一六%ですが、これはやかましく起こってきておる。そうしますと、ルームクーラー一つを取り上げた場合に、七百五十ワットで一時間二十分でしょう。これはまあルームクーラー一日じゅうやるか、一日の使用時間は十時間にするか八時間にするかという問題ありますけれども、これだけでもすぐ月六十キロや七十キロというのは完全に消費するわけでしょう。そういう問題さえすでに議論されておる国民生活水準ということを考えますと、私は百キロワットのナショナルミニマムというのはあまりにも低過ぎる、もう少しこれは上げるべきだということを主張しまして、この問題についての質疑は終わりたい、こう思うわけでございます。  次は、先ほど申し上げました諮問にはなかったわけですが、サービス向上問題、これについて若干質疑いたしたいと思いますが、表にもありますが、停電に対する処置ですね。料金制度の中にも停電に対する処置というのはうたっておりましたが、一般的に見て、審議会ないしは部会で、停電があった場合の、数字資料はわれわれいただいておりますが、停電に対する処置というものはどう考えておられるか。これが一点。  その次は、最近都市でも農村でも非常に問題になっておるのは、電柱、電線の地下化という問題、道路の占用部分を占め、いろいろな問題が起こっておる。この問題に対する地下化は、今回の料金値上げには直接関係がないけれども通産省はどういう指導をされておるのか。  それから三番目は、これは都市でも農村でもあるのですが、高圧線の下の土地利用の問題です。高圧線の通っておる下の土地利用規制という問題が案外あちこちで議論されております。この高圧線下における電力会社の処置というものと高圧線の下における土地利用という問題について、これは、サービス向上の一端になるかならぬかわかりませんが、この問題。  それからその次は、私たち交通安全の立場からいつも議論いたしてきたんですが、公衆街路灯の問題があります。公衆街路灯の問題について、まあこれは建設省が払っておるもの、地方公共団体が払っておるもの、あるいは最近は、それでもはかばかしくいかないのでスポンサーをつけていろいろやっておりますが、こういう面におけるサービス向上という問題は議論されたかされなかったか、また通産省としてはこういうサービスをどう考えておるのか、まずこれだけを先に承りたいと思います。
  18. 岸田文武

    岸田政府委員 最初お示しの停電の問題は、いずれにせよ停電が起こりますと家庭産業もえらいことになるわけでございまして、いかにして停電を少なく済ますか、またかりに起こった場合にいかに早く措置をするかということは、電力会社としては非常に大事な仕事でございます。この意味の努力は常日ごろからいろいろな対策を立てながら改善をはかってきておりまして、その結果がお手元の資料のような形で停電の回数も毎年減ってきておる、また総停電時間も年々着実に減少してきておる、こういう結果になってきたかと思っております。それで満足をすることなく、さらにもっと低い水準を目ざして努力を重ねてまいりたいと思っております。  それから第二番目の地下化の問題は各地で地下化の進行が行なわれておりまして、私どもも、適切な計画についてはそれに必要な工事の費用料金の中に織り込んでまいりたいと思っております。  それから三番目に御指摘になりました高圧線下の土地利用の問題、最近は発電部門におけるコストの増大もさることながら、送電の部門がなかなか大きな問題になってきております。やはり送電線を引きますときにはそれぞれ土地を持っておられる方の了解を得て進めるという形になっております。その了解を得るときに話し合いによって処理方法をきめるということでざいますが、なるべく公正に話し合いが行なわれ、円満に送電線が建設されるように私どもとしても意を用いてまいりたいと思っております。  それから四番目にお話ございました公衆街路灯でございますが、統計を見ておりますと、これは料金体系からしますと定額電灯の体系に入るわけでございます。この定額電灯の中でも公衆街路灯のウエートがだんだん高くなってきておるようでございます。私どもは、一つはこの公衆街路灯がその置かれております町の安全のため等に対して非常に貢献しておること、これと並びまして、コストの面からいいましても、わりあいに夜暗くにつけておる、そういった事情でございますので、これはわりあいコストが安く済む性質のものではないかと思っております。申請におきましても、定額電灯値上げ率は他の部門に比べますと非常に低くなっておるようでございますが、なおその内容査定において吟味をしてみたいと思っております。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 次に、同じくサービスの問題について御質問していきますが、今回電気料金値上げになるかもわからない。そうした場合にかりに料金不払い運動が起こる、あるいはそうでなくして、逆に生活が苦しくて電灯料金を払えないという家庭が出てくるかもわからない、そういうときには送電を打ち切るのですか、打ち切らないのですか。私は、打ち切ってはならない、法律からいろいろ読んでみると打ち切ってはならない、こう思うわけですが、そこら辺に対する考え方はどうなのかというのが一点。  それからその次は、土地利用とかあるいは線引きとか新都市計画法、農振法、いろいろありますが、通産省は、通達で、こういう地区に家を建てた場合には電気を引いてはならないという通達を出しておりますか出しておりませんか、その二点について承りたいと思います。——部長、詳しく申し上げますと、新都市計画法で線引きをやるでしょう。市街化調整区域に政府の許可なしに建物を建てた場合にはこれは認めないんだけれども、不法でやられた場合、電気とガスと水道、これを引く引かぬの問題がいまいろいろ起こっておるわけです。そして建築許可でおどかす場合に、建築基準法違反あるいは都市計画法違反である場合は電気は引かない、引かせないという問題がいまあちこちで起こって、裁判ざたにもなっておるところはたくさんあります。そういう問題に対して通産省はどういう指導をしておるか、通達を出しておるかということが一つと、いま言ったように電気料金不払いの場合、これは払えても払わない場合と、払いたくてもなかなかその金がなくというので、電力会社からいうたらこれは遅収料金になるわけですけれども、これに対して電気を何カ月以上たったら切るのか切らないのかという問題、そこら辺についての通産省の意向をお示しいただきたい、こういうことです。
  20. 岸田文武

    岸田政府委員 第一点の料金の支払いの問題でございますが、これはそれぞれの供給規程の定めるところによって処理することになっております。一応催促をして、なるべく払ってほしい。ある程度の期間が過ぎると高い料金を徴収する。しかし、さらに催促をしても支払いがないというときには契約を解除するというのが基本的なルールかと思っております。私どもはそういうことのないことをまず念願をするわけでございますが、法律的に申しますといわば正当な理由があるときには供給義務を免れるという条文の解釈の問題でございます。やはりこれは、払わなくても使うものは使うというのは、どうも払って使っている人との均衡から考えますといかがなものだろうかという気がいたします。極力払ってもらうようなことを督促をしながら、やはり一定の限度に達しましたならばルールどおりにやらざるを得ないのではないかという気がいたします。  それから第二点の、各種の制限がある場合に、電気の面からそれを裏づけるような措置をとったらどうかということ、これは私どもとしてもかねがねいろいろ頭を悩ましてきておる問題でございます。ただ、私どもは基本的にはほかの法律の規制はほかの法律の規制のルールに従ってそれぞれ処理されるにしても、電気はやはり別個の立場から供給が可能であれば送るというほうが体系としてはすっきりした割り切り方になるのではないかという気がしております。ただいろいろな事件、案件があることも私ども耳にしておりますので、もう少しこの辺は研究をさせていただきたいと思います。
  21. 加藤六月

    加藤(六)委員 私が申し上げました後段の分は、建築基準法違反の分と都市計画法違反の分との問題があります。これは先般衆議院を通過しました土地の利用計画法という法律そのものの問題とも逆にからんでくる問題でございまして、通産省としてもこの問題には十分取っ組んでいただきたいということをお願いいたしておきます。  次に私は今回の各会社の申請内容を、供給規程変更申請の概要をいまいろいろ読ましていただいておりますが、エネルギー庁長官がおられますのでちょっと長官に御質問いたしたいと思う。  電力会社が公害防止についての設備というものと使用の油というものについて非常に努力して、排煙脱硫装置その他あるいは使う油について公害のない油というのを非常に努力していままできておることは数字その他でも私たちははっきりいたしておりますが、心配しますのは、こういう問題にかまけ、あるいは経営内容が悪いとかいろいろな理由をつけて悪い油をごまかして使うような線が出てくるのではないかという気持ちがこれもまた国民一般の間に出てきておるわけですが、装置並びに使用する油については通産省はどういう指導を今後ともやっておいきになるのか承っておきたいと思います。
  22. 山形栄治

    ○山形政府委員 電力会社は非常に多量の燃料を消費する産業でございまして、各地におきましてもそういう意味で最も厳重に配慮しなければいかぬ部門でございます。いま先生のお話にもありましたように、公害対策等を前提にいたしました場合の燃料との関係でございますと、大きく分けまして二つの行き方がございまして、一つはできる限りたく油の硫黄分を低くする、いわゆる低硫黄化を行なうということでございますが、この辺につきましては全産業平均サルファ分というのが大体、ちょっと手元に数字ございませんが、一・五%、これは原油段階でございますが一・五%でありますが、これに対応する電力会社のサルファ分が現在〇・八でございます。大体半分の硫黄分ということで、その点では非常に努力のあとが見えておるわけでございますが、いま御指摘のとおりこれからそういう悪い油をごまかして使うというような可能性もそれはなしとしないわけでございますけれども電力会社は地方におきます非常に大きな排出源でございまして、特に環境基準等の関係から各地の都道府県が非常に厳重に電力のチェックはいたしております。われわれもそれに協力いたしまして、定期的なる報告を受け、また各地の通産局の実地の検査等もある程度行なうことによりまして、そういうことがないようにいたしたいと思います。  むしろ、いま問題になっておりますのは、電力は非常に環境基準を守るという観点から原油のなまだきをやっておるわけでございますけれども、むしろなまだき比率が最近若干上がっておるわけでございます。これは公害対策からいいますと非常にいいことでございますけれども、石油全体の需給の関係からいいますと、電力のなまだき部分が非常にふえるといいますことはほかの油の製品がどこかでショートするということにもつながるわけでございまして、われわれは五月、具体的に申し上げますと百五十万キロリットルのなまだきを供給目標上はきめておったわけでございますけれども、若干これを上回るような形に相なっております。この辺につきましては、公害対策の面とそれから石油の需給の面と両方の接点の問題でございますので、いまそういう観点での指導も進めておりますけれども電力につきましてはいささかも悪い油を使ってごまかして当座を逃げるというようなことは絶対ないように、各地の都道府県知事とも協力いたしまして監視を強めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  23. 加藤六月

    加藤(六)委員 環境庁あるいは都道府県の公害部あるいは市町村の公害担当官だけにまかさずに、ひとつエネルギー庁公益事業部が中心になって、そういう行動をやらないように十分に私は監視の目を光らしていただきたい、そう思っておるわけでございます。  次に、この答申を読ましていただきますと、今回供給規程変更申請も出てきており、この申請書というものと答申というものと若干私はずれがあるんではないかと思うのですが、審議会あるいは部会においては、大体こういう問題をやる場合は、いわゆる期間の問題ですが、三年間もたすのが電気情勢から判断してぎりぎり必要なものではないかという議論が行なわれ、それから燃料傾斜方式とかいろいろな問題、ずいぶん議論されたようでございます。ところが申請内容を見ますと、大体四十九年一年間のバランスをとらすための申請内容ということになっておると思う。電気の重要性と必要性から見て、私は一年間ごとに料金そのものに変動があるというのは非常に好ましくない傾向だ。ところが答申においても、大体一年間という線も出てみたり、あるいは三年間が一番基準で大切だと出たり何かしているのですが、これは具体的には通産省が今後いろいろ検討される場合は、三年間を基準にやるんですか、一年間を基準にやるんですか、それについてお答えいただきたいと思います。
  24. 山形栄治

    ○山形政府委員 いまお話のとおり、従来電気料金につきましては、将来の三カ年間の原価をはじきましてこれを行なうというのが原則であったわけでございます。これも当然の話で、基幹的なものでございます電力料金というのは、できる限り長い時間これが保持されることが、産業だけでなく、国民生活全部を含めてのむしろ正しい行き方だと私は思うわけでございますが、先生も御承知のとおり、非常にいま油の値段が流動的でございまして、一部には長期的に見ると下がるんじゃないかという見方をしている方と、それから一部には、いやむしろ下がらぬので高位にこれが安定ないし、じりじり上がるんじゃないかという見方と、二つ世界的にもあるわけでございます。今回の電気料金制度についての中間答申でも、原則は三年とするけれども、最近のように油の事情が非常に流動的でありかつ諸物価関係も非常に流動的な要素がある、不確定な要素が多いときには一年にこれをしてもいいという答申がなされておるわけでございます。今回の申請が一年で出てきましたのは、そういう非常に不確定の要素があるということを前提に、計算がなかなかできにくいという観点で、一年で出てきておるわけでございますが、しかしこれは必ずしも一年で出ておるから一年後にはまた再値上げをするということを意味するものでございませんで、われわれといたしましては、基本原則でいわれましたような、なるたけ電力及び電灯料金というのは長期におさまったほうがいいということでございますので、企業の努力も含めて一年後にもちろん見直しいたしますけれども、これは必ずしも一年後にもう一回再値上げを認めるという意味ではございませんで、できましたら二年、もっと長くというのを、続くのを期待しておるわけでございます。その点は御了解を願いたいと思います。
  25. 加藤六月

    加藤(六)委員 長官、いろいろ御説明いただきましたが、少なくとも国民にとって一番大切な電気料金問題に取っ組むときに、その料金が一年もつか二年もつか三年もつかわからないということでは、これはまた逆にいろいろな問題にも波及してくると思うのです。そこらあたりははっきりしたものを打ち出したほうが、私はいいんではないか。もちろんこれから承ると、皆さん方はもう何週間も徹夜で作業し、勉強し、検討していただいておるということを聞きまして、エネルギー庁当局の努力というものは高く評価したい、こう思うわけですけれども、繰り返して申し上げておるように、全くこれは独占事業であり、地域的には完全に独占されたものである。しかも国民生活必需中の生活必需電気であるということから考えた場合に、その処置のしかたが、これは四十九年度だけもたすんだ、来年はひょっとしたらまた値上げするかもわからぬという——値下げをするんだというならこれは非雇いいですけれども、値上がりをするかもわからぬというような、余韻を残したような作業のしかたというものをいたしておきますと、これは心理的にも実際上からも、私は国民に非常な不安の根を残したことになると思うのです。そういう点について、もちろん私はこれから申請どおりの料金を政府が認めるとは思っていない。どの程度政府がこれに対して、国民の立場に立って、特に一般消費者いわゆる電灯消費者の立場に立ってがんばってくれるか。一番大きい問題は、私は先ほど申し上げましたナショナルミニマムの問題もありますけれども、全体的な問題としても、これからは高価格高エネルギー時代でございます、これに全部そろえなければなりませんということだけで電気料金電力料金という問題を律していくには、あまりにも大きな問題である。もちろんそれは、答申にもいろいろ出ておりましたように、しからば国の財政上の措置をどうする、あるいは税制上の措置をどうするかという問題等も、この際あわせて考えていかなくちゃならぬし、あるいはまた効率を上げる問題についてもロスを防ぐ問題についても、いろんな問題がもう限界に達した、数字を見ると英米以上にこうなっておる、こうなっておるという資料たくさん並べてあって、電力会社の生産性の向上はもう限界にきておるというような、PRか説明か知りませんけれどもずんぶんありますが、それだけでは済まされない問題がこの電気料金問題にはあるわけですから、そこら辺は厳重にやってもらいたい。これは業者の立場でなくして国民の立場ということで、会社の黒字を存続させなければならぬ、あるいは今後資本費の増大が激しくなるから、安定配当を続けさすためにはこういうことをやらなければいかぬとかという立場でなしに、国民の立場に立ってそういう問題を考える。そしてそれをやるためには、国家の財政措置とか税制問題とかというものは、こういう問題をやればこうできるんだというはっきりした立場というものを示さないといけないと私は思うわけで、実はそういう問題にからんでの税制上の問題、財政上の措置、あるいは電気税そのものについてももう少し突っ込んだ質問をし、通産省と自治省との間における話し合いをどの程度やっておるのかということも、私は行ないたかったわけです。どういうかっこうになるかわかりませんが、この改定が実施されますと料金値上げになり、電気税は自然に自然増収のようなかっこうで上がってきて庶民の負担はままます大きくなるという、よく言われておるベースアップと所得税の増税の分と同じような悪循環というか問題が起こってくる。したがって電気一つ消費者の立場から取り上げてみても、これを廃止するのか、基準を上げるのか、税率を下げるのかといった問題についても、電力会社の監督官庁である通産省、エネルギー庁というものがはっきりした問題を打ち出さなくてはならない。また、私自身いろいろ調べておりますが、各電力会社とその電力会社の子会社の問題があります。東京電力には何々電気工事株式会社、関西電力は何々電気工事株式会社、中国電力は何々工事株式会社というのを全部持っておる。そして、それが一般民間の電気工事会社のこれに伴うものが入っていくのを防ぐようなかっこうでの、クローズド社会的な電力会社とその電力会社の子会社との一連の問題があります。これは、その会社の資産内容等もわれわれは調べております。それから、いろいろな入札における一般の会社と電力会社の子会社との関係問題で、はね出され民間の一般の電気工事会社の苦情という問題も、率直に申し上げまして、来ております。あるいはまた、電力会社の株のいろいろな保有の問題あるいは各地における資産を持っておる問題等、今回の電気料金値上げにからんで、いろいろ勉強もし、またやっておるわけでごござますが、私の与えられた質問時間が参りましたので、もうこれ以上の質問はできなくなったわけでございますが、どうぞ私が申し上げましたような立場でやっていただかないと、これはたいへんなことになる。また、われわれその必要性は認めておるとはいうものの、あくまでも慎重に、ぎりぎりの最低線に押える立場でやっていただかなくては困るということを再度お願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとういござました。
  26. 平林剛

    平林委員長 次に、松浦利尚君。
  27. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 前もってお断わりしておきますが、実は昨日エネルギー庁のほうに資料を要求しておきましたが、昨日までに私の手元に届きません。けさほど届きました。したがって、質問内容等について事前に打ち合わせがされておりませんから、この場であるいは回答できないようなものもあるかもしれませんが、それは休憩後の委員会で冒頭明確にお答えをいただきたいと思います。  そこで、作業の問題としてまずお尋ねをしておきますが、これは通産政務次官にお尋ねしておきますが、新聞の報ずるところによりますと、通産省は二十一日に電気料金の許可をする、こういうことが報道されております。また逆に経済企画庁長官は、経済企画庁としても慎重審議をするので、二、三日おくらせたいということも出ておるのでありますが、現実に通産省としては二十一日に許可をするという方針なのですか。
  28. 森下元晴

    ○森下政府委員 一部報道ではそういうふうに伝えられておりますけれども、目下のところは、この問題は通産省だけできめる問題でもございませんし、やはり経済企画庁等幅広く意見を求めて、最後に決定する、こういうことでございます。ただ、二十一日という予想は、六月一日、月がわりからやるであろうということから逆算して二十一日というような日程が出たのだろうと思います。そういうことで、現在のところ二十一日に承認しますということは確定しておりません。
  29. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま通産政務次官から御答弁申し上げたとおりでございまして、現段階で認可の日にちがいつになるか、申し上げる段階ではないと思います。
  30. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、六月一日というものを想定して二十一日に許可をするというようなことが報道されること自体、やはり通産省の姿勢をあらわしておると思うのですね。やはり国民生活に重大な影響を与えるこの電気料金値上げ申請については、もっと慎重に検討を加えていただきたい。むしろ申請した側に立つのではなくて国民の側に立って、やはり掘り下げた審査、内容の検討をしていただきたい。現にあれだけ公聴会をやりまして、その公聴会の結果についても、集約したことを発表すると言われておりながら、そういうものは依然としてまだ作業段階だと思うのですね。公聴会そのものが料金値上げ前提とした公聴会であったということについても、たいへん消費者からいま不平、不満が述べられておるわけでありますから、そういった点については、ぜひ六月一日にこだわらずに、場合によってはもっと延びる場合もある、慎重審議をするのだという点について、この際、政務次官から明確にお答えをいただきたいと思います。
  31. 森下元晴

    ○森下政府委員 そのとおりでございまして、慎重審議、六月一日という特定の日にちにこだわらないように通産省としては態度をきめていくし、また、決定にあたっても十分消費者方々の御意見を聞いて決定するようにいたします。
  32. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 九電力会社の「電気供給規程変更認可申請書」を私も精査いたしましたが、この申請書は国会を非常に侮辱しておる面があるのです。具体的にお話し申し上げますと、いま、御承知のように商工委員会では、第七十一特別国会からの継続でありました周辺整備法案がかかっております。大蔵委員会では今国会において電源二法、御承知のように新税、電力税とそれに伴う特別会計法、この電源三法が現在まだ審議をされておる。これが通るか通らないかということもまだわかっておらない。にもかかわらず、この申請書の中にはすでにそれが通ったこととして見込まれておるんですね。たとえば関西電力のごときは、雑税として電源開発促進税という項目を設けて、半期ですでに三十億からの計上をしておりますね。しかも法案が今度の国会で通っても、実際の適用範囲というものは下期になるわけですね。にもかかわらず関西電力ではもう四月一日から取られるようになっておりますね。ちゃんとここにある。東京電力においてもやはりいま国会で審議されておるその法案のものがあるんですね。その一つをとってみても、この申請書はまさしく間違っておるのじゃないですか。そういうものについてあなた方はどういう扱いをされたんですかね。これはエネルギー庁長官でもだれでも一けっこうです。
  33. 岸田文武

    岸田政府委員 料金申請にあたりましては、原価計算期間において見込まれる各種の費用をそれぞれ積み上げてまいるわけでございます。したがいまして、それぞれの費目ごとに支出される項目ごとの将来の見通し、これは数量の面とかあるいは価格の面とかいろいろな要素がございます。これをなるべく忠実に検討いたしまして申請がまとめられるということでございます。  御指摘ございました電源開発促進税の支出、これは電力会社としましてはすでに法案が提出されておることでございますし、それに必要な費用を見込んだわけでございますが、その見込み方については各社ごとに多少の差はあるということは御指摘のとおりでございます。
  34. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いや、通っておらない法案について、それを見込んで出しておるというこの申請内容ですね。これを申請するときにはまだ通っておらないのですから、しかもそれを通ったごとく計上しておる。(加藤(六)委員「今度通る」と呼ぶ)しかもこの計上のしかたにも問題があるんですね。各消費がかぶるようになっておるのです。法案そのものでは、現実に事業団体ごとに払うことになっておるけれども、実際に末端の消費者がこれをかぶるようにこの中ではなっておる、雑税の中で。別項としてあげてある。こんなことでは消費者は納得しませんよ。いま加藤先生が不規則発言されました、今度通ると言われましたが、通ったならいいですが、通っておらないものを、しかも関西電力が六十億ですよ。全体的な規模からいったら小さいかもしれない。しかし、少なくとも電力料金値上げされる側は、そんな仮定のものを入れて申請されておったのじゃたまったものではない。前にも、これは電力会社ではありませんけれどもこんなことが一ぺんあった。こういったものについて私はやはり厳重に警告しておらないと思う、結果的に。ただ漫然と受け取っておるんだろうと思うのですね。そういうところに、私は通産行政のきびしさがない。ただ形式的に電気供給規程変更許可申請書が来た。各項目ごとに審査をする。そして適当にやって、六月一日に合わせて二十一日ごろに決定するという、何か引いたレールの上を走っておるだけで、何か無縁のもの、国民と密着した料金議論ではなくて、何か官僚と業界とが話し合ってきめていく、引かれたレールの上を走るという、そういう許可のあり方ですね。非常に私はこれ疑問を持ちますね。この問題について、こういう許可申請書内容一つを私は申し上げたのですが、この点については政務次官、やはり業者に対してきびしく警告すべきだし、こういうものは削除してしまうべきだと私は思うのですね。
  35. 山形栄治

    ○山形政府委員 この問題は、いま部長からもお話がありましたように、四十九年度、これから将来の一年間で考えられます経費内容を一応いろいろな想定のもとに会社側としては申請をするわけでございまして、たとえば人件費のアップ率、燃料費のアップ率等は、やはりある想定のもとで一応申請をしてくるわけでございます。それをわれわれといたしまして、統一的といいますか統一基準をつくりまして、これを査定に入るのが査定作業でございます。  いまの電源三法関係の税の問題につきましても、一応これは通っておりませんけれども、通ることを前提にといいますか、通ることが考えられますので、それを想定して一応申請をしておるわけでございまして、申請段階におきましてそういう当然一年間で考えられる要素を織り込んで出してくること自体は、私はそうおかしなことではない、問題はこの査定の問題だ、こういう考えでございます。
  36. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 政務次官、いまの発言非常におかしいですね。国会ということが法律を修正する権限を持っているわけですよ。あるいは廃案になるかもしれない。あるいは衆議院段階で継続審議になるかもしれない。そうであるとするなら、こういう想定のものが入っているものを査定するなら、法案の結果が出るまでは結果が出ないはずでしょう。許可すること自体がおかしいでしょう、いま言った議論なら。国会でその法案が最終処理がきまる、参議院まで含めて。最終処理がきまる段階までは査定できないということですよ、これが入っている以上は。通るか通らぬかわからぬのだから。だとするなら、国会が終了するまではきまらぬということでしょう。いまの長官の言明を私はすなおに受け取れば、それ以外に解釈のしようがないですね。政務次官、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  37. 森下元晴

    ○森下政府委員 国会で通るであろうという想定のもとに電力会社は出しておると思いますけれども、やはり国会では国会の権威もございまして、修正のこともありまた廃案ということも考えられるかもわからないということでございますし、御指摘のように、これはかりに法案が通って実施されましても、本年は十月一日からというふうに私は承知しております。  ただ、今回の料金改定値上げの問題については、これは一年限りとか二年限りじゃなしに、やはり石油の価格による世界的な価値体系、特に空気とか水と同じように大事な電力、過去の問題もございまして、かなり長期的展望に立った今回の電源立法でもございますし、また今回の料金改定も臨時的なものじゃないというようなことでそういう数字が出たのであると思いますけれども、要は、通産省としてはやはり国会の権威を基本的に認めるという上に立って十分これはチェックしていきたい。やはりこの法案とのかね合いをよく考えながら進めていかなければいけない、これは先生御指摘のとおりだと思います。
  38. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 特に関西電力などは上期からとるように申告しておるわけですね。この関西電力などというのはやはりきびしく警告をしておかないとこれは癖になるですよ、こういうことは。政府がなめられておるわけでしょう。それならいい。国会自体まで手玉にとられておるかっこうになったらおかしいですよ、これは。その点は時間がありませんから、ひとつ厳重に処置していただきたいと思うのです。  それからエネルギー庁長官お尋ねをしたいのですが、今度の申請の根拠になった各データですね。これは先ほど加藤委員も御指摘いただいておりましたが、日本電力調査委員会というのがございますね。それは御承知でございますか。
  39. 岸田文武

    岸田政府委員 はい。
  40. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その電力調査委員会の会議録が実はきょう手元にきたのですが、四十九年の二月二十六日に会議を開いておりますね。その点は私の手元にきておるから間違いないと思うのですが、この会議録そのまま間違いありませんね。よろしいですか。第四十四回電力調査委員会議録抜粋、よろしいですか。どうですか、事務局。
  41. 岸田文武

    岸田政府委員 事務局からお届けしたのでございますれば、正しい資料だと思います。
  42. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、この会議録の抜粋を見ますと、「現在は、将来の需要、供給両面の把握が非常に困難な状態にあり、政府の新しい見通しも立てられない。このような中で、今回の当委員会想定が諸計画に先立って作成されたわけで、今後政府においては早急にわが国の産業政策、エネルギー政策のあり方をかためてもらいたい。」という議事結果を付して、通産省からいただいた資料の、将来五十三年までの需給計画が各電力会社から出されておる。そのことは間違いありませんね。どうですか。
  43. 岸田文武

    岸田政府委員 電力調査会の長期計画は毎年実施するわけでございますが、今年の推定の取りまとめに際しましてその発表をどうするかということを種々いろいろ議論をいたしたことは事実でございます。
  44. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは通産省からいただいたのですが、日本電力調査委員会第四十四回需要想定、五十三年想定として四十七年から五十三年の想定ですね、需要総括表、これが出されておるわけですが、これはおたくから出たやつだから五十三年まで間違いありませんでしょう。いいですね。
  45. 森下元晴

    ○森下政府委員 はい。
  46. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これを実は分析をしてまいりますと非常に問題があるわけです。これは第四十四回の前、ですから四十三回ですね。四十三回の需給見通しの調整をここでしておるわけです、四十四回で。そうして、四十四回でどういう調整をしておるかというと、四十八年度から四十九年度までは従来の約半分に押えておるわけですね、五・一%に。ところが、五十年以降は需要想定が四十三回より以上にカーブが大きい。いいですか、四十八年から四十九年は半分にダウンしておりますけれども一、五十年以降は急激にふえていくのです。一〇%、九・二%、一〇%と伸びていく。それはエネルギー事情が非常に悪くなる以前の上昇カーブよりも家庭電気の伸び率というのは高くなっているのです。想定してあるのですよ。そういう想定グラフになりますね。この平均でいきますと電灯は九二一%ということになる、おたく資料でいくと。これはなぜ九・二%になるかというと、四十八年から四十九年度に半分に落としているから平均は九・八なんですよ。ところが、それ以降はくっくっくっくっ伸びるのだね。いま政府は省エネルギーあるいは資源節約とゆうことを盛んに宣伝しておられる。にもかかわらず、家庭消費量が五十年以降は一〇%近くもくっくっくっくっ伸びていくという想定に立った、それが基本になって各電力会社が今度の申請をしているのです。一年間の料金だというけれども、この四十四回の需要想定に従ってこの申請書というのが出されておることは数字的に間違いない。単年度として出されていることは間違いない。ということになりますと、先ほどの電力専門委員会がいっておるように、要するに諸計画に先立ってこれは作成したんだ、これは政府の諸施策の前に要するにこういうものをつくらぬといかぬから、電力専門委員会でこういうものをつくりました、そして調査委員会に報告して、それが九電力会社からそれぞれの申請として出されておるんだ。しかし、それはそれとして、早く政府は「わが国の産業政策、エネルギー政策のあり方をかためてもらいたい」という要望が付してあるのでしょう。政府のほうが固まらないのに電力会社だけが先走りをして、しかも五十三年までの需要想定を立ててこういうふうな申請をする。調子が悪いからこれは単年度です、一年限りですと適当にはいっておられるけれども、実際に申請しておる内容というのは第四十四回の需要想定を基準にして申請書が出されておるのですよ。ということになりますと、この際、経済企画庁の政務次官にお尋ねしたいのですが、こういうことをそれでは認められるのか、経済企画庁は、こういう状態、現実にそういう料金申請の根拠になった日本電力調査委員会の想定というものをお認めになるのか、そのことをひとつ明確にお答えいただきたい。これは経済問題ですから経済企画庁に聞いている。
  47. 小島英敏

    ○小島政府委員 一つはやはりことしが低うございますから、先の伸び率が多少いままでよりも高くなるということがあると思いますし、もう一つは、今度の電力料金改定でも出ておりますように、これからはたくさん使うと高くなるということで、なるべく家庭においても産業においてもたくさん使ったところを高料金によって節約させようということはございますけれども、現実に家庭の今後の所得の上昇等を考えますと、ルームクーラーなどというのは非常に電力を食うものではございますけれども、そういうものについて電力料を相当高く取っても、やはりある程度普及していくということは予想されるわけでございますし、ある程度のアローアンスを考えて、もし想定が低過ぎて現実の供給が不可能になるとなりますと、これはまた停電その他の問題が起きますから、その辺は先のことですからそう明確な見通しは立てかねると思いますけれども、一応現在のところそのような推定をしておるというふうに理解をいたしております。
  48. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 答弁としてはそういう答弁もあると思うのですが、しかしいずれにしても電力の消費というのは経済成長の度合いによってきまってくると思うのですよ。現にこの委員会自体が、そういうことをいっておるわけですから。「早急にわが国の産業政策、エネルギー政策のあり方をかためてもらいたい。」これは諸計画に先立って計画を立てたんだ、こういっておるのですよ。ですから逆に言うと、この料金申請の根拠になった経済見通しあるいは電力消費量、こういったものがこれからきまるであろう政府の経済見通しなりそういったものの抜本的な見直しによって変わるかもしれぬのです。ということになると、これは電気料金申請だけのように見えるけれども、実際には長期的な需要想定というものを根拠にした裏づけを持った内容ですから、しかもそれが大幅に狂う、特にいま言っておるように経済政策の見通しが根本的に変わってくるとかあるいは省エネルギーとかそういった政策をどんどん進行していく過程では、こういった見通しが基本的に変わりてしまうのです。ですから政府がたとえばこれを許可、認可をするということになれば、この電力料金申請背景にある需要想定そのものを認めた、そのことは逆に言うと経済見通しというものをこれに準拠させるということになるのです、裏返しから見ていきますと。ですからこれは、料金申請だけという考え方に立つときわめて簡単に見えるけれども、実質的にはわが国の長期経済見通しにも関係のあるきわめて重大な内容なんですよ。だから早くこの専門委員会議議事録を持ってきてくれ、持ってきてくれと言ったのだけれども、なかなか持ってこずにけさ持ってこられるから、こういうことになるのです。この点一体どういうふうに処置するのか。簡単に許可をしてしまったのでは私は問題が残ると思いますよ。この関係と供給申請書との関連についてどう対処するのか。お尋ねの点は政府でひとつぴしっとした統一見解を出していただきたい。そうしなければ私は完全にこの申請の根拠は失うと思うのです。結果いかんではもう一回全部やり直しですよ。その点について通産政務次官どうでしょう。もう一ぺん昼の休憩後に統一した見解を出していただきたいと思うのですが、いまやれますか。
  49. 森下元晴

    ○森下政府委員 私のお答えする前に、岸田部長からちょっと発言させます。
  50. 岸田文武

    岸田政府委員 日本電力調査会は、今後の電力事情の想定をするということをおもな役割りとして設けられておるわけでございます。実際のやり方といたしましては、いわば国際的に統一したルールがございまして、そのルールをもとに専門家が集まって討議をし、その結果を取りまとめるという形をとっておるわけでございまして、欧米各国ほぼ共通のルール適用されておるところでございます。私どもはこの電力調査会には参与として参加をいたしておりまして、討議に際しましては各種の意見を発言をし、なるべく公正妥当な将来の見通しが得られるように努力をしておるところでございます。  いまお示しになりましたように、この発表をどうするかということについていろいろ議論があったことは事実でございます。私どもも、率直に申しまして政府として別途の将来見通しというものが固まって用意をされているのであれば、それは十分参考にするということにいたしたいと思っておりますが、何にいたしましても今後の情勢についてはいろいろ変動しやすい要素が含まれておるということから、政府全体の経済見通しの固まるのになお時間を要するようでございます。とは申しましても、それまで私ども何もしないでいいかといいますと、各種の電力事業の活動を考えます一つの貴重なものさしでございますので、やはり電力電力なりにできるだけの勉強をして答えを出すということで作業をし、その結果についても一応いろいろの討議はございましたが発表したという経緯になっておるところでございます。  その内容は、いまも多少お示しがございましたが、従来の電力需要の伸びと比べますと今回はかなり低目になっております。ただしこれは五十二年という長い期間をとりまして、全体としての平均値でそのような数字になっております。個々の年の数値につきましては、特に四十九年度が問題でございまして、四十九年度につきましては、実質的にある程度需要が落ち込むということは予想されるわけでございまして、これが五・何%といった数値になったわけでございますが、そうは言うものの、長い目で見て国民生活向上させ、経済を順調に発展させるという意味では必要な電力量の伸びというものは前提にしておく必要があるということから、先ほどお示しのような数字になったわけでございます。なお、先生もすでに御指摘になっておるとおりでございますが、電気料金の算定にあたりましては、四十九年度の需要ということが直接的に原価算定の大きなファクターになっておるという関係でございます。
  51. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃどうも理解できませんね。この委員会には経済企画庁もエネルギー庁からも全部参加をしておられるのですよ。だからこれには政府をして一片の了解を与えておるはずです。そうすると、電力消費というものは経済見通しと無関係ではないわけですから、あなた方が入っておるということになれば、当然的確な経済見通しを持った上で参画をして意見を述べておるはずですよ。その根拠は何ですか。ここにその根拠を出してください。そんなことを言われるなら、五十三年までの経済見通しの根拠をここに出してください。そうすれば議論できますよ。この申請についての議論がかみ合いますよ。ないんでしょう。ないのに、あなた、いま言ったような適当なことでごまかしてみたって、あなた方が参加しているんだから。参加してなければ別だけれども。だから私はさっき統一見解を出したらどうだ、こう言っているんだ。いまの部長の言ったようなことでよければ、この申請の根拠なんてなくなりますよ。いいですか。あなた方、単年度、単年度というけれども、発電所を建設するのに三年かかるのですよ。四十九年に着工した発電所ができ上がるのは五十二年ですよ。そうでしょう。そうすると、そういう経費というものはやっぱり一切見込まなければいかぬでしょう。単年度というけれども、長期計画というものが当然入ってくるわけでしょう。発電所の建設は三年ぐらいかかるはずですよ。そうなってくれば発電所の建設も経済見通しと無関係ではないわけでしょう。そういうものがばらばらで、ただいったやつだけが信用されて単年度の料金だけがきまる。それじゃあ消費者は納得しませんよ。経済見通しがこうでございます、だからこれだけ要るのですよ、だからこうなるのです、だから今度の料金はこうですよ、そういう的確な説明をもらわなければ、ただつかみ金でこうでございましたということだけでは、私は消費者は納得しないと思いますよ。だから意見の調整をしてくださいというのですよ。さっき部長さんの言ったことじゃわからぬですね。
  52. 森下元晴

    ○森下政府委員 電力料金の算定につきましては、過去の実績また将来の見通し、それを勘案してきめることは先生御指摘のとおりでございます。ただ電力調査委員会、これは公的機関と私的機関の中間的な機関でございまして、電力会社も入っておりますしまた消費者の、たとえば東京都の知事さんとか神奈川県の知事さん、そういう方も入って、その上に通産省、経済企画庁、関係の官庁からも出ましてチェックしております。そのデータを電力の将来の見通し等の資料にしておることは事実でございます。ただ、われわれの長期的な考え方としては、私は、いつまでも電力を……(松浦(利)委員「それはわかります」と呼ぶ)そういうことで一応経済企画庁のほうとも十分相談して統一見解をあとで出したい、このように思っております。
  53. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 皆さんは専門家で私はしろうとですから間違いがあるかもしらぬけれども、そういう点は慎重に審議してもらわないと、何か日程だけ合わせてレールを敷いて先へばっぱっといくような感じがするのですね。それでもう一つこの問題についてお尋ねをしますが、さっき部長さんはクーラーとかなんとか、生活様式が上がるからと、こう言われましたね、その伸びが四十八年から四十九年は五・一だけれども、五十一年に向かってはずっと一〇%台で電力需要は伸びますよと。そうすると、今度は逓増方式というのが入ったですね。使えば使うほど高くなるのですよ。そういう電力の消費見通しを立てておきますと、家庭の消費は一〇%ぐらい毎年伸びていきますよという想定で立てた料金体系の逓増ですから、そうするとこんな料金改定なんかしなくていいんですよ。来年一〇%ふえたらその分だけがっぽりもうかるわけですね。その次になるとまた家庭消費がふえるということを想定する。逓増だからその分だけまたポケットに入ってくる。税金のように、たくさんもうかった人はたくさん納めなさいという累進的なものならいいですよ。そうじゃない。逆なんです。少なくとも、電力調査委員会が想定しておるこの見通しを一歩下がって私たちが認めたとしても、五十年になったら自動的に一〇%私たちの家庭消費量がふえるのだからその分だけ逓増でしょう。今度のこの料金体系はそうでしょう。その分だけ電力会社は何にもいわずにふところに金が入る。一ぺんこの料金改定させられたら、われわれは払わざるを得ない。しかもそれだけどんどんもうかってきた金を、所得の再配分のように自動的に入ってきたお金ですから皆さん消費者に還元しますとはいわないでしょう。なるほど単年度で見たら確かに省資源的な省エネルギー的な立場の料金体系ということはわかりますよ、よけい使ったものはよけい負担しないというのだから。ところがこの見通しでいくと一般の家庭消費がだんだん伸びるわけだから、伸びていくことを想定して逓増ということを持ち込まれたら、私たちの家庭は毎年毎年よけいによけいに料金をとられていくということになるじゃないですか。それでは逓増というものの裏返しで、そういう場合にはどういうふうに処置をするか。この需要見通しに従ってナショナルミニマムがさらに上がったときにはその分についてはさらに上げていきますよと、百キロワットでは低い、だから百五十とかなんとかさっきから言っておられる、それは具体的ではありませんけれども先ほど議論があった。ところがこれでいきますと百キロが百十、百五十、二百と、こうなるように想定してある。しかし一ぺん百なり百二十、百五十で引かれてしまいますとそれ以上使用するように想定しておるのだから電力会社は笑いがとまらない、この逓増というやり方は。それならそれに対してどういう歯どめをエネルギー庁では考えておられるのですか、そういうことは検討されましたか。
  54. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお話に出ました割り高の料金適用を受ける範囲といいますのは、全体の需要家からしますと非常に限られた需要家でございます。ただし観念的にはいま御指摘になった問題は確かにございます。ただ、他方おきまして今後人件費上昇燃料費上昇といった要素も出てまいります。これらの要素を勘案しながら推移を見守り、それに従って措置をするということにならざるを得ないと思います。これはいわば単年度の原価計算期間をとったということからきたわけでございまして、二年以降の各種の変動要素というものはその事態において検討を加えるということになることと存じております。
  55. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それではいま言われたことを聞きますと、今度の料金体系で逓増を持ち込んだということはこの一年限りだ、また来年は新たに料金体系というのは考え直すのだというふうに理解してよろしいですか。単年度、単年度とあなたが言われるから、その点はどうですか。
  56. 岸田文武

    岸田政府委員 料金体系の問題につきましては、やはりこれだけ慎重に審議をしていただいて得た結論でございますから今後とも尊重してまいりたいという気持ちでございます。いま申し上げましたのは、原価計算期間のとり方としてとりあえず今回の申請においては一年が採用されているということを申し上げたわけでございます。
  57. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 だから一年が採用されておるという原価計算、総原価方式で一年が計算されておるだけでしょう。ところがそれは矛盾をしておる。この根拠となっておるのは五十三年までの需要計画を想定して出されておる申請書なんですよ。それを無理してあなたが単年度の原価計算による料金にしようとして説明をするから矛盾を感ずるのですよ。あなたが言ったようにこの逓増方式という料金体系はこれからもそのまま当てはまっていくわけです。ということになると、この見通しどおりかりに電力国民が消費をしたとすると自動的にその分だけ毎年私たちは黙って料金をとられていくわけです。だからその問題は、いまからそういうときにはどうするのかという的確な政府の説明がなければ消費者は納得できませんね。逓増、逓増と何かいいように聞こえるけれども、実際に長期計画のワクの中で調べてみたら、何のことはない、うまく黙っておって料金をよけい納められる仕組みになってしまう。そういう点について歯どめをかけてくれますか。
  58. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘の問題を避ける目的で、かりに三年分の原価をとるという方式をとりますれば、いまの問題についてはその間において調整が可能でございますが、そうなりますと、五十年度における人件費上昇はどの程度であるか、燃料費上昇はどの程度であるか。いま与えられた条件のもとにおけるいろいろな想定をして、組み込んでいかなければならないと思います。おそらく結果としては、いまの申請値より高い申請値になるのではないかと予想されるわけでございます。ただ今回は、経済情勢の変動が予想されるという要素が大きいものでございますから、一年原価をとって今回の申請値がまとめられたわけでございます。かりに第三段の部分の適用を受ける比率が多くなり、ほかの要素が全然動かなかったということで、電力会社に予想しなかった利益が多額にたまるというときには、さらに料金を引き下げるように措置すべきことは当然だと思っております。
  59. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは先ほど加藤委員からも指摘されましたが、あなた方は家庭用電力料金を、要するにそこからたくさん取るように取るように考えておるわけですよ。産業用からあまり取らずに、一般消費者から取ろうとしておるのですよ。その問題について、朝来られた方とちょっと議論をしましたので、すでに皆さん方も準備しておられると思いますから、いま単年度の原価計算をされた、こう言っておられるのだが、現在の総原価の配分の方法に、私はしろうとだけれども非常に重大な疑問があるのですよ。  そこで、これを調べてまいりますと、固定費と可変費と需要家費と区分しておるわけですが、一体固定費というのはどういう部分をいうのですか、その点を教えて下さい。
  60. 岸田文武

    岸田政府委員 費用は大ざっぱに分けて、いま御指摘のように三種類に分けられるわけでございます。固定費、それから可変費と需要家費。この中で可変費と申しますのは、使用の量に従って、ほぼそれに比例をして増減をするような費用でございまして、たとえば燃料費などはその例になろうかと思います。  それから、需要家費と申しますのは、検針をしたり、料金の徴収をしたりということで、需要家個々の必要な経費でございまして、これはいわば需要家数に比例をするという性質の費用でございます。残る固定費は、発生電力量が増減をいたしましても、動かしにくい要素、たとえば設備費等がこれに当たるわけでございます。
  61. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 お尋ねしますが、発電、送電あるいは特別高圧、こういったものの供給に使う変圧、こういったものは固定費に入るわけでしょう。
  62. 岸田文武

    岸田政府委員 正確な記憶はございませんが、発電所の施設、変電所の施設を建設し維持する費用固定費であると思います。それから、変電所の維持補修に必要な人員というのも固定費部分に入ると思います。ただ、変電所を運営いたします場合に、変電の量に従って動く分、これはあまり多くないと思いますが、この部分については可変費になろうと思います。
  63. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、従来は最大需要電力の比を二にしまして——最大需要電力というのは、それぞれの需要家が一番たくさん使う比率ですね。そうすると、使用電力量というのは年間ですね。それが従来は二対一の割合だったですね。それに今度は、尖頭負荷時の各需要電力比を一入れた理由は何ですか。
  64. 岸田文武

    岸田政府委員 総括原価の個別原価への配分の方法の中で、固定費の配分をどういうルールでやるかということについては、世界各国でもいろいろの知恵をめぐらしておるようでございます。たとえば電力量に比例する方法はないか、あるいは最大需要のキロワットに比例する方法はないか、あるいは今回さらに新しく採用することになりましたピークにおける負担割合というものを取り入れる方法はないか。これらをいろいろミックスしながらその国なりの配分方法を決定しておるというのが実情であろうかと思います。  従来採用しております方法は、いまお示しございましたように、最大需要電力量を二対一の割合で加味するという方式をとっておりますが、この従来の方式を検討いたします際にも、各種の世界で採用されております方式参考にしながら、結果としてはそれのほぼ平均値になるという事情も頭に置きまして決定を見たと聞いております。この方法によりますと、季節的あるいは時間的な負荷の変動等によって変動がございましても、各需要種別への配分率がそう変化をしないという長所がございます。こういった点で従来採用されたわけでございますが、最近、いろいろ新しい観点から勉強してみますと、多少これにくふう改善を加えたほうがよろしかろうということで、料金制度部会答申になったわけでございます。具体的には、電源部門における固定費の配分について、お示しのございましたピーク時における責任分担割合というものを一つの要素として加味するほうがいいのではないかという意見、なお公害防止に関する費用について、これは使用量に比例するという要素が多いのではないか、こういったことを新たな要素として取り入れることにしたわけでございます。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 しかも、これから具体的にお聞きしていきますが、尖頭負荷時の電力比一加えたことについても疑問があるのですが、まず一つの疑問は、最大需要電力をなぜ二にしたのかというのが非常に疑問なんです。大体、発電とか送電等は電力であろうと電灯であろうと共通する部分でしょう。ところが最大需要電力の比をとった場合に、このおたくからいただいた「新しい電気料金制度の解説」からいくと、これは九時になっておりますが、九時ということになると、全体的な電力使用は減るわけです。オフィスやその他は全部電気がつきませんから。家庭が一番伸びるわけです。夜は一般家庭が一番使うことは事実でしょう。そのときをとっておるわけです。工場や何かの場合は昼間が多い。ところが昼間は、工場や何かはたくさん使うけれども、実質的に電力使用量そのものはずっと高いわけです。昼間はオフィス街もたくさん使うから。その中の部分と、少ない部分の中の占める家庭電気量、電灯量、これは当然ウエートのとり方としては問題があるのではないか。百使うところの中の二十であり、八十使うところの半分ぐらいだ、こういうことを見込んで最大需要量を二、五〇%のウエートをかけるというのは、どう考えても家庭電灯量にウエートをかけ過ぎておる。しかも実質的に発電、送電等は電力電灯に共通する部分ですから、その部分の固定費の配分を、最大需要の場合にウエートを五〇にすることによって家庭に大きく持ち込む。そこに初めから家庭用電灯料が高くなる根拠というのがあるんじゃないですか、この固定費の配分の中にも。私はそう思えてならないのです、しろうとかどうかわからぬけれども。そうでしょう。昼間一〇〇使う中の二〇%でしょう、片方は全体で八〇しか使わないのだから、八〇しか使わない中の家庭使用量は四〇だというなら、比率は高くなりますな、一〇〇の中じゃないんだから。そういう意味のしわ寄せというのが、私は最大需要電力量の比を五〇にすることによって、固定費部分の配分が家庭にウエートをかけ過ぎておる。非常にこの点は疑問があるんです。その点は消費者質問に何とお答えになりますか。
  66. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、固定費の大部分が設備関係費用でございます。そこで、設備の費用が何で必要になってくるかということを考えてみますと、結果としては電力の使い方、いろいろ波がございますが、一番たくさん使われておる状態に対応する設備を用意をしておくというのが必要であること、これは御理解いただけるわけでございます。その他の部分については、いろいろ設備に余裕のある事態がありましても、やはりピークには備えられるだけの設備を持っておかなければならないということが基本かと思っております。したがって、設備を反映をするという意味からしますと、ほんとうをいいますと最大電力に比例をするというのがあるいは一番理論的に忠実なのではないかという気がするわけでございますが、ただし電力だけにウエートをかけますと多少問題なしとしない。といいますのは、確かにキロワットが一番大きな要素であるにしても、その使い方もある程度は加味したほうがいいのではないかということが、いま先生の御指摘のような問題にもつながってくるのではないかと思っております。したがって、電力というものをベースにしながら、電力量もあわせ加味するというような意味合いも込めて従来二対一法が採用された、こう御理解をいただけるのではないかと思います。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 理論的にはピーク時最大ですね。だから尖頭責任法というんですか、で配分されるのが私は原理的だと思うのですよ。一番ピークのときに、たとえば、高校野球夏の大会などあるときにぐっと消費量ふえますね。そのときに対応するだけの設備が必要だ、そのことはわかりますね。だからそのときの比率で配分をするというならわかる。しかしそれだけではまた問題があるから、年間の全体的な使用量の中で配分をきめていくというものをそれに加味するという方法なら、これは私はわかるのですよ。どうもわからぬのは、それに最大需要量というものを持ってきて、その最大需要の場合を五〇%のウエートをかけておるというところが問題なのだ。最大需要というのは九時ごろ、夜の九時ごろは皆さんみんな家庭に帰られますから、全部電気を使われる。国民全体が使うんですから。そうなってくれば、確かに全体の使用量は少ないが、その中に占めるウエートというのは、家庭消費量が当然ものすごく大きくなってくるわけです。しかし、それを何で五〇にしなければいかぬのだ。先ほど言ったように、固定費の中の発電とか送電というものの負担をなぜ家庭だけがよけいに負担をしなければならぬのか、わざわざそういう割合をとって。それが疑問なんで、その発想を転換しない限り、先ほど加藤委員指摘したように、消費者産業用電力格差というのは縮まらない、固定費の配分をこういうことしておったら。あくまでも固定費の配分を産業優先に向くように配分をしておるから、私はこういう結果が出てくると思うのですよ。こういう比率について、すでに新しい電気料金答申を受けておるわけですが、政務次官これを改めるというお考えはないでしょうか。もっと抜本的に内容に検討を加える、メスを入れる。固定費の配分一つとってみましても、先ほど部長さんも説明になりましたが、一体公害設備と発電設備とどこが違うのか。全然関係ないでしょう、発電設備をやったら必ず公害の脱硫装置その他つけなければいかぬのですから。それとこれを区分して固定費の配分をするのですよ。そういうややこしい計算をしてまで、なぜ産業に有利になるような組み方をしなければいかぬのか。私はむしろ消費者サイドに立って、消費者が少しでも料金が安くなるような固定費の配分、もう共通部分が多いわけですから、共通部分が多いときにその割合をぱっぱっと適当に産業に有利になるような固定費の配分をやっていけば、当然そうなっていくのです。それは意識的にやったとは言いませんよ、私は結果を言っているだけですから。だから固定費の配分について、総括原価の配分について、今度なぜ根本的にメスを入れなかったのか。単年度の原価計算でこうなったのだと言っておられるけれども、その単年度原価の基本になっておる総括原価の配分方法について、もっと基本的な修正、メスをなぜ入れなかったのか。一方だけを修正して片一方はそのまま残したところにアンバランスが出てきておるわけですから、そういう点について通産政務次官としてはどのようにお考えになりますか。
  68. 森下元晴

    ○森下政府委員 意図して消費者の方に負担をかける、そういうことはございません。わが国の電力需要を大まかに分けますと、産業用約八〇%、それからいわゆる生活用、民生用が約二%、欧米に比較してちょうど反対のような結果になっております。そういうこともございまして、いまの総括原価また固定費等の内容のチェックにおきまして、いま先生御指摘のような一つの理論も成り立つかと思いますけれども、私どもといたしましてはやはり消費者優先ということには変わりございませんので、その点十分チェックをしていきたい、このように考えております。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は経済企画庁の政務次官にこの際お願いをしておきたいのですが、いまの政務次官のお話はけっこうなんですが、この方法でいきますと、公害防止装置は年間の使用電力量の比で配分するのですよ。ところがこの公害防止装置につながっておるボイラーとかタービンとか発電所とか、あるいはその他のもろもろの固定費は最大需要量という五〇%を見込んで家庭がよけい負担する、結果的にそうなるように案分されておるのですね。これはやはり経済企画庁としても、一ぺんこの固定費の配分の問題についてはメスを入れていただきたいと思うのですが、政務次官どうでしょう。
  70. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 電力料金につきましては、目下企画庁と通産省の間で協議中でございますが、私どもの基本の方針としては、この電力料金につきましては慎重かつ厳正な査定でやってまいりたい。なかんずく、先ほど来御議論のありましたシビルミニマムと申しますかナショナルミニマムの部門を極力引き上げるという、こういう方針で通産当局と目下協議をしておるわけでございます。御指摘固定費の配分等々につきましては、私全然知識がございませんのでお答えを申しかねるところでございますが、いま申し上げましたように家庭用電灯の引き上げ幅というものは、できるだけ低く押えてまいりたいというのが私どもの方針でございます。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この電気供給規程の変更許可申請書そのものが、そういった基本的な原則に立って料金申請が出されてきておるわけです。ですから、その料金申請の大もとにある原則を変えない限り、どんなにいじってみても変わってこないわけですよ。それで私はこの際、これほど国民の世論を高めておる問題ですから、一ぺん根本的に内容を精査していただきたい。根本的に私が言っておるような形にやりかえてみて一体どれだけ違うのか、そういったものもひとつ試算していただきたいと思うのですよ。その根拠が変わってきますと、固定費の配分や何か変わってきますと、相当大幅に変わってくるはずです。産業用家庭用との差がもっと縮まってくるはずです。そういう問題について一ぺん試算をしていただく、そして、その試算をしていただいた結果は、私たちの手元に、料金を決定する前にこの委員会に出していただけるような措置は講じていただけるのでしょうかね。非常にこの点は消費者の間でも疑問がある問題なのです。私のところに来る苦情はみんなこれなのです。その点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  72. 岸田文武

    岸田政府委員 固定費の配分方法は、いろいろな議論があるということは先ほども御紹介申し上げたとおりでございますが、私どもは、今回の料金部会議論を通じまして、今回の最終的な答申というのは、やはり十分検討した結果であるという感じで受けとめておるところでございます。  なぜキロワットをベースにしておるかということを申し上げますと、需要家がそれぞれ需要設備を持っているから、結局は固定費が必要になるのだ、これはわりあい素朴に受けとめられる議論ではないかという感じがいたします。したがって、それだけをベースにすればいいじゃないかということは一つ議論でございます。そうは言いましても、使い方もある程度加味したらいいじゃないかという意味でキロワットアワーを並行的な要素として取り入れるというのが従来の考えであることは先ほど申し上げましたとおりでございます。先生は、むしろピーク責任のほうがもっと理論的ではないかという御指摘もございました。あるいはそういう考え方もあろうかと思いますが、現実にそれを当てはめてみますと、冬ピークの会社におきましては電灯に非常に不利が生ずるというような要素もございます。それから、ピーク責任だけをとりますと、一定時点における負荷状況がべースになるわけでございますから、季節的、時間的に負荷の形態が変動するというような場合に、どうも適確に対応できないという感じもするわけでございます。それらの要素を織り込みながら今回の答申になったわけでございますが、それらの差異に基づいてどんな違いができてくるかというような試算も私どもは内々に持っておりますので、御参考に供したいと思います。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は尖頭責任法だけをやれと言っているのではないのです。尖頭責任法でばらつきがあるなら、それに年間の全体的な総使用量というものを加味していったらいいじゃないか、最大需要というものじゃなくてとこう言っておるのです。そうしたら合理的になってくるじゃないか、こう申し上げておるのです。それは当然私はそうなると思うのです、計算してみても。  それでは資料を出していただいて——それは決定前に出してもらえるでしょうね。もちろん理事会にはかりますけれども
  74. 岸田文武

    岸田政府委員 手元に持っております資料は、昼休みにでもごらんいただけると思います。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その資料を見させていただいたあとまたさらに修正その他があったら、その修正をしたやつをまたこの次に出していただくようにしたいと思いますから、その点もあわせてお願いしておきたいと思います。  それから、もう時間がなくなってきましたが、最後お尋ねをしておきたいことは、内部留保が今度の九電力会社は非常に多過ぎる。たとえば退職給与引き当てについて、法定外の総額が四十八年の下期で四百九十五億九千八百万、四十八年の上期で六百四十二億八千五百万、九電力会社ですね、たいへんに多いのですね。それで、これは東京電力株式会社の一つの退職給与引き当てなのですが、四十九年三月末で七百十二億円ですね。現在従業員が三万七千二百七十一人、一人当たり約百九十万円の引き当てになっておるのですね。そのうち五千人一度にやめたとしても、一人当たり千四百二十四万円の退職金が支給されるような、べらぼうな引き当て金があるのですね。法定外の引き当ても含めてそれだけの膨大なものが現実にあるんですね。こういったものについては皆さん方はやはりきびしく査定をされるのかどうか、あるいは前に取りくずしたことがありますが、渇水準備積み立て金、もう水力の比重は火力に比べて相当に落ちてきておるわけでありますから、そういう渇水準備金等についてもこの際取りくずす必要があるのじゃないか、こういった問題についてほんとうに国民が納得するような形でいま精査をしておられるのですか。
  76. 岸田文武

    岸田政府委員 四十八年度下期におきまして、昨年秋以来の原油価格の高騰等をおもな要因として、各電力会社の経営が非常に悪化してまいったということは新聞等にもいろいろ報道されておるとおりでございます。この結果といたしまして、各電力会社が従来蓄積をしてまいりました社内保留のかなりの額の取りくずしが今度の三月期で行なわれることになると思っております。たとえば利益繰り越し金であるとかあるいは原子力産業の準備金であるとか、公害準備金であるとか、こういった形で取りくずし可能なるものについてはかなりの程度、この三月期で取りくずしが行なわれるのではないかという気がしておるところでございます。  ただ、お話の中に渇水準備金が出てまいりましたが、渇水準備金はいわば一定のルールに従いまして積み立てを行ないまして、不時に備えるという意味合いから、これは一定の事態が起こりますまでは取りくずしができないということになっておるわけでございます。おそらく四十九年度の上期におきましても、原価計算期間は四月からということになっておりますのに対して、すでに四月も過ぎ、五月にも入っておるということからしますと、この間のかなりの実質的な赤字分が当然出てくるわけでございまして、これについては多少残っております準備金についてもさらに今度の九月期には吐き出しを余儀なくされるのではないか、私どもはこう見ておるところでございます。内部留保についてはいろいろの方面から注目を浴びておるところでございまして、私どももよく内容を吟味していきたいと思っております。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 内部留保は、法定外等については厳重にやはりチェックをしておくべきだ、いま部長から言われたとおりぜひそういった方面でチェックをしていただきたいと私は思うのです。  それからもう一つは、三月期決算でそれぞれ減配を予想しておられるのですが、これは東京電力の社債ですよ。「二十五年ぶりの高利回りです」「東京電力社債」年九・一九一%、こういう募集広告がどんどんいま盛んにされておる。片一方でたいへんだたいへんだと言っておきながら、片一方で二十五年ぶりの高利回りだからどうだこうだ。確かに経営上資本比率を高めるという意味でこういったこともあるんでしょう。しかし、実際にいま配当を減配するという意見がそれぞれ各電力会社から出されておりますね。ところが、五月に申請したところは別ですけれども、四月に申請したところは、全部一割配当で申請しておりますね。ところが、申請をしておいて最近になって、どうも世論がやかましくなってきたとたんに今度は減配をする。何割減配か知りませんが、八割から九割にしようということになりますと、申請をした段階で、その申請書自体水増し申請をしておったということになるのじゃないですか。そういう点はエネルギー庁のほうではどう思われますか。しかも、いま電力料金値上げをやっているさなかにこういったことがどんどんなされていることについてはどう思われますか。
  78. 岸田文武

    岸田政府委員 電力会社が配当を一割据え置きましてからかなり長い年月がたっております。いわば電力会社の株といいますのは資産株中の資産株の代表でございまして、株価の変動も少ないし、株の値上がりによる利益を求めるのではなくて、固定的な配当を期待をしておる株主が非常に多いという感じを持っております。ある程度の株価水準や配当水準が維持をされておりませんと、これから設備の増強が必要になってくる。その設備の増強をするためには社債の発行が必要である。その社債の発行のためには一定比率の資本金の増強が必要である。こういった形から、資本金の増強をはかるための一つの誘因として株価の配当水準というものが出てまいるわけでございます。ただ、四十八年下期におきましては一割配当が望ましいとそれぞれ関係各社は思いつつも、現実の収支の悪化ということから配当率の低下にそれぞれ踏み切るということになったわけでございまして、いま御指摘のようなためにする意図というものは感ぜられないと思っております。  その際、社債について高利回りをうたっておるということを御指摘がございましたが、いまの金利水準自体も従来にない非常に高い水準であるということは御承知のとおりでございます。お示しの金利は、いわばいろいろの資金調達の中の選択の問題でございますが、実質的には最近の銀行の借り入れ金利が非常に上がってきておりまして、相対的には社債のほうがまだ資金コストとしては安いというような事情にあろうかと思います。一般の収支悪化の中で、他方やはり電源開発等必要な資金を確保しなければならない。また、燃料費等の手当てもしなければならぬ。資金繰りは各社とも相当難渋をしておるようでございまして、こういった収支の中で何とか資金調達をしたいということから社債の応募の確保につとめておるという事情でございます。
  79. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 資産株であることは私もよくわかりますが、それでは九電力会社の株式所有比率はどういう比率になっておりますか。各個人とか法人とか、そういった比率は。
  80. 岸田文武

    岸田政府委員 手元に正確な資料をちょっと持ち合わせてございませんが、個人株主の比率は、株主数からいいますと九五%をこえておると思います。
  81. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 株式の所有比率が九〇%個人株ですが、間違いありませんか。それでは私のほうから調べたことを申し上げましょう。個人株は三七・二%、それ以外が六二・八%ですよ。
  82. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど申し上げましたのは、株主数の比率で申し上げたわけでございます。保有株数であれば、いまお示し数字の前後の数字と思います。
  83. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、高利回りで、株を六三%近く所有しておるのは金融機関とか証券会社とか法人なんですね。確かに個人の場合は多いけれども比率としては三七%程度、四〇%ないんですね。そうすると、実際にそういったところの人たちが高利回りの利益を得ておる。しかも、その配当の資金そのものについても消費者がやはりかぶらなければいかぬでしょう。各消費者比率で背負わされるわけです。そういういき方について国民のコンセンサスを得られると部長思われますか。これだけの資産株だということは認めます。ですから、ある程度の資金確保のために高利回りはっけなければいかぬということもわかります。しかし、だからそのために消費者電力が上がりますよ、あなた方もその分は負担をしてください。ところが負担をした先というのは、六三%近くは先ほど言ったように金融機関であったり法人であったりするのですね。それは国民は喜んで引き受けましょう、私だけ料金の中に見込みましょうと納得すると思われますか。それは部長さんの個人の判断でけっこうですよ。
  84. 岸田文武

    岸田政府委員 個人株主の比率についてお示しございましたが、別途地方公共団体もある程度の株を保有しておることを補足的に御説明しておきたいと思います。  配当水準の適否は、いろいろの御議論があろうかと思いますが、これから増資をするというときに既存の株主に割り当てをし、それの応募を勧誘する、そういった際に応募する側からいたしますと、いろいろな選択の中で電力会社の増資に応じようということにつきましては、やはり人並みの配当水準というものがおのずから前提になろうかと思います。その意味におきまして、従来一割という水準が長く続いてきたという関係に御理解いただきたいと思います。  なお、御指摘の中で、今回の料金値上げ申請との関係についてお触れになりましたが、私ども料金算定要領におきまして、これらの費用に関しましては公正報酬率によって算定するということでございまして、たとえば配当が幾らであるとか金利の支払いが幾らであるとかというような積み上げの方法にはよっていないわけでございます。
  85. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 積み上げ方法によらずにやっておられるわけですね。そうすると、逆に言うと申請してきた内容というのは積み上げ方式ですね。積み上げておるでしょう。違いますか。積み上げ方式料金算定をされておるのじゃないのですね。それはそういうふうに理解してよろしいですか。
  86. 岸田文武

    岸田政府委員 申請内容は積み上げ方式によっておりません。真実有効な資産に対し公正報酬率をかけるというやり方によって積算され、申請されております。
  87. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま何と言ったのですか。公正報酬比率をかけて積算して出しておるわけですね。公正比率をかけておるわけですな、一応。そうすると、この公正比率というのが、先ほど言った答申に出された内容ですな。公正比率の指導は答申できまっておる内容でしょう。それは間違いないですね。
  88. 岸田文武

    岸田政府委員 公正報酬比率は、従来採用しておりました料金算定基準の中にすでにきめられておりまして、具体的には八%となっておるわけでございます。
  89. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そのほうの修正は、従来のまま使ってやっておられるというそこはわかりました。  それでは、これは最終的に私のほうからぜひ政府に要望しておきたいのは、私はしろうとですが、いまこの出された資料そのものをチェックし、そしていろいろな資料を取り寄せてなおかつこれだけの疑問点が出てくるのです。国民にとっては、これと重大な影響を与える電気料金の決定なんですね。私は少なくとも料金の決定は、確かに政府の認可料金で、手続きとしてはそういうことは何もする必要がないのですが、認可をする前に何らかの形で国会に対して経過を報告をする、国会の場を通じて国民に対してその経過を明らかにする。政府にとっては、現在の法律においては何もそういう手続をする必要はありませんが、これほど重大な、国民生活に影響を与える電気料金の決定でありますから、その経過、内容等については事前に国会に報告をしていただきたい。そういう措置は便宜的に、手続的にやっていただけないだろうか。その点について政務次官のほうからお答えいただきたい。
  90. 森下元晴

    ○森下政府委員 先ほどから御発言のような趣旨は十分検討して、チェックをしていきたいと思いますけれども、いまの国会において経過を報告せいということにつきましては、いまのところ考えておりません。
  91. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 主要先進国の部門別国民一人当たりエネルギーの消費量の構成比率ですね、そういったのをずっと見ていく、それから料金比率を見ていくという場合に、加藤委員指摘しているように、日本の場合は非常に格差が激しいのですね。ところが、その格差が確かに今度少しは縮まってきた。しかし納得するだけに縮まってきておらないわけですから、逆にいうと、それだけ国民の側が負担する部分が大きいということです。そういう状態を早く改めてもらいたいという国民の要望が一つ。それからもう一つは、こういう状態だから、こういう狂乱物価がやっと落ちついた、落ちついたというが、高値安定であり、依然として卸売り物価上昇消費者物価も上がっているという段階で、この電気料金値上げというものが家計費に与える影響は、数字的には低いが、心理的には非常に大きな波及効果を出す。そういう条件のある電気料金、しかも公共料金の最たるものでありますから、政務次官、もう一ぺんくどいようですが、お答えいただきたいと思います。
  92. 森下元晴

    ○森下政府委員 こういうような異常な経済下の公共料金値上げ、非常に心理的な影響は大きいと思います。ただ、今回の値上げにつきましては、従来のような経済成長率、経済の状況におきましては、合理化の問題とか需要増の問題で、いわゆる値上げ要因はかなり吸収されておった。ただ、昨年秋からの石油の値上がり、これは世界的な傾向でもございますし、非常に混乱状況になったことは事実でございます。そういうことが原因いたしまして、おそらく昨年のいまごろではそういうことは予想もしておらなかったようなことが事実起こったわけでございまして、それが今回のような値上がりの要因になってきた。将来につきましては、一応見通しは見通しでございますけれども、やはり世界経済の状況、また資源の状況等考えてみましても、ほんとうにあす何が起こるかもわからないような情勢でもございます。そういうことも考えながら、今回はやはりそういうような緊急事態に際してのいわゆる値上げを認めざるを得ない。ただ問題は、いまも御指摘がございましたように、産業用家庭用比率は縮まりましたし、これもやはり欧米諸国の比率に比べてかなり近づいております。特に日本だけが不当であるというようなことはないようにも思っておりますけれども、なおやはり全体のわずか二割ぐらいの使用量しかない家庭用値上げ率、また値上げ料金体系ということにつきましては十分配慮して、消費者が大きな犠牲をこうむることがないように、チェックをして、きめていきたいと思っております。
  93. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、いま政務次官からお答えいただきましたから、ぜひ慎重に配慮していただきたいと思います。  そこで、エネルギー庁長官に私はお尋ねをしておきたい。どうも石油の問題は、率直にいって私たちはエネルギー庁の言うことは信用しておらぬのですよ。新聞にも出ておるように、四千億の赤字だ、赤字だと騒ぎまくって、三月期の決算はそれほどでもなかった。外資系はみな黒字で、民族系が赤字だった、こういう状態で、結果的に二百五十億程度の赤字だった、こういうことなんです。ここで的確にお答えをいただきたいのですが、今度の値上げした分というのは、間違いなく燃料費値上げ部分だけが加味されておるのですか。それ以外の要素はないのですか。燃料費値上げ分だけが今度の単年度の料金値上げ申請の中で認められる範疇ですか。
  94. 山形栄治

    ○山形政府委員 電力事業といいますのは、国の基幹産業でございます。今回の申請におきまして、石油及び石油類等の値上げのみならず、人件費その他の経費の正当なる値上げを見込んでおるわけでございまして、要はこれをできる限り圧縮いたしまして、低位にこれを押えるということは当然でございますけれども燃料費だけで企業の正常なる運営が行なわれない、正常なる設備投資も行なわれないということでございますと、将来の大きな電力不足等にもつながる可能性がございますので、そういう正常なる増加要因は織り込んで申請をし、またそれの査定にいまかかっておるわけでございます。
  95. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは私たちの党のほうの計算でありますから、あるいは数字的に若干の違いがあるかもしれませんが、それぞれの電力会社で、購入しておる燃料は違うと思うのです。燃料単価も違うと思うのですね。外資系か民族系かでも相当違うと思うのです。原油か重油か、あるいは天然ガスかでだいぶん違ってくる。そういうものについて、各社別に明らかにしてもらえますか。これが一つ。  それからもう一つは、それぞれの各九電力会社燃料費の増分ですね。申請した中のこれだけ燃料費が上がるという分と、申請総不足額、これだけ不足しますという部分が出ていますね。これだけ赤字になりますという、その赤字になる部分から燃料費の不足部分だけ取り下げた差額ですね。その差額というのは、ほかの要素ですね。ほかの要素ということになるでしょう。それで計算をしてまいりますと、北海道では、今度の燃料費増分の寄与率は五〇・五%ですよ。残りの四九・五%は燃料費値上げでない、ほかの要素ですね。それから東北は七〇%ですから、三〇%がほかの要素。東京は七五・九%ですから、残りの二四・一%はほかの要素。中部電力は八〇・九%ですから、一九・一%がほかの要素。北陸電力は五五%ですから、残りの四五%というのはほかの要素。関西電力は八八・一%ですから、残りの一一・九%は別の要素。中国電力は六四・九%ですから、残りの三五・一%はほかの要素。四国の場合は、これは一〇〇%燃料費値上げ分。九州は六八・六%ですから、三一・四%がそれ以外の値上げ、こういうことになりますね。そうすると、大手の三電力会社、東京、中部、関西をとってみましても、東京の場合は非常に便乗値上げ部分が大きいのですね。比較する場合に、一番いい比較は東京と中部と関西を比較するのが一番いい。その場合に、純粋の燃料費値上げ部分でなくて、便乗値上げ的なもの、そういうものが東京電力が一番大きいのですね。こういうものについても非常に疑問がある。なぜこうなったのかという資料も本委員会に提出していただけますか。  この二つについて、資料要求として御答弁いただきたいと思うのです。
  96. 岸田文武

    岸田政府委員 いまの御指摘の点でございますが、東京と中部と比較しまして差がございますのは、これは査定をこまかく詰めてみなければならない要素もいろいろ残されておりますが、大きな相違点としましては、やはり東京の場合には原子力発電、それからLNG発電等の比率が中部に比べて違っておるという点によるものではないかと考えられます。
  97. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は答弁を求めておらないのです。要するに、資料を出してもらえますか。その内容について正確な資料をもらえますか。先ほど言ったように、各電力会社燃料費のメーカー別、内容別、どこからどれだけのものを入れておるか。それと、いま言った各三電力会社の相違、どこにそういう便乗値上げ的な要素の違いがあるのか、その点を明らかにする資料を出してもらえますか、こう聞いておる。
  98. 岸田文武

    岸田政府委員 まず燃料費の問題でございますが、電力会社使用しております原油、重油その他の燃料につきまして、四十八年の使用状況及び申請による数字、これらを整理して提出することはできるわけでございます。ただし、その際にどこから買っておるかという点については御容赦をお願いしたいと思います。  なおあとの点でございますが、三社の違いにつきましては、少し定性的に分析をしまして御報告をさせていただきます。
  99. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 さらに、もうたいへん時間が経過しましたからこれで終わりますが、レートの問題ですね。現在は二百七十八円ぐらい、大体二百八十円だと思うのですが、この資料は全部三百円ないし二百九十円で計算されていますね。こういう点は間違いなく計算のし直し、しかもきのうの大蔵省の発表によりますと、国際収支もきわめて安定をする状況に向かっておる段階ですから、この二百八十円というレートが上がる——いまフロートしていますけれども、実質的に二百八十円平均でいく、場合によっては二百七十八円ぐらいのところで安定するという場合もあるわけです。これが一円ぽんと上がることで相当大きな変動がありますから、そういう点についても明確に精査していただきたい。  それで、この際委員長にお願いをしておきますが、それぞれ資料要求しましても、料金が決定されたあと持ってこられたのでは何もならないのですよ。ですから、その点は料金決定前に出していただきたい。幸いなことに、料金決定はそんなに急がない、慎重に審議をして、新聞に報道されるような六月一日にこだわらずにやるという明確な両政務次官のお話でありますから、そういうものを期待をして、事前に要求したものを出していただくということをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。長い間ありがとうございました。
  100. 平林剛

    平林委員長 午後二時委員会を再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後二時九分開議
  101. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。荒木宏君。
  102. 荒木宏

    荒木委員 長官にお尋ねをいたします。  電気供給規程変更申請に対する認可の時期が近いと報ぜられておりますが、御承知のようにいま物価抑制、これは国民的課題でありますし、公聴会の中でも家庭用、民生用の据え置きの要望が非常に強く出されたことは御承知のとおりであります。  初めに長官に、民生用料金の据え置き、抑制について最大限の努力をすべきである、私はかように思いますが、決意のほどを伺いたいと思います。
  103. 内田常雄

    ○内田国務大臣 電力料金などを含めまして、公共料金につきましては極力これを抑制する、また慎重に対処するということでこれまでもやってまいっております。そういう意味は、公共料金はいつまでも上げない、また、しばしば当委員会の委員からも御発言もあったと思いますが、公共料金を上げないで、財政的な補てん等によってこれを極力長く据え置くべし、こういう意見がございましたが、それは国の直接財政的な処置を講じ得るものと講じ得ない種類のものとがございますので、必ずしも一律に論じ得るわけではございませんけれども、双方通じまして、極力抑制をはかってまいる。しかしまた同時に、一方においてはそのために公益事業に対する資源の配分が妨げられて、そして当該企業主体が崩壊をして、かえって国民生活を妨げるということもまたあってはならないというようなことをも頭に置きながら、以上のような慎重処理の対策を進める、こういうことでございます。
  104. 荒木宏

    荒木委員 政府の考えを伺いましたが、当該の電力企業としても、この際民生用据え置き、抑制のために最大限の努力をすべきである、こういうふうに考えますが、政府として企業に対する要請、企業の値上げ抑制の努力、姿勢といいますか、これに対してはどういうふうな見解をお持ちでございますか。
  105. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは荒木さんも一御承知のように、電力料金は、中には昨年料金の一部引き上げをいたしました二社くらいもございますが、しかし、他のものは十年以上あるいはあるものは二十年くらいも料金改定を行なわないで抑制をされてきておるものがございますので、私どもは慎重対処方針を堅持してまいりましたが、しかし、いまやその合理的な改定を認めなければならないという時点に来ているわけでございます。
  106. 荒木宏

    荒木委員 つまり一口にいえば、政府も企業も値上げ抑制、据え置きのために、現在の諸般の事情を考慮しながらも、最大限の努力をすべきではないか、企業はもちろん、政府もともに努力をすべきではないか、こういうふうに思いますが、その点はいかがでございますか。
  107. 内田常雄

    ○内田国務大臣 もちろん私も同じ考え方を持ちます。
  108. 荒木宏

    荒木委員 そこで、今回の申請にあたって企業のとっておる態度について伺いたいのですが、値上げ申請の中にはいろいろな理由があります。その理由のそれぞれにつきましては、時間の関係もありますから、とても当委員会で当該質問で尽くすことはできませんけれども、各種の常任委員会で従来から質疑を重ねてきたところでありますが、いま電力企業が持っておる固定資産、いろいろな種類のものがあります。またいろいろな使われ方をしております。これはケースによってさまざまな形ですけれども、この固定資産の中で遊休資産、遊休設備のようなものがありはしないか。そしてそういったものがかりにありとすれば、この際、値上げ抑制、据え置きのために、つまり物価安定のために、企業としてもその処分について考慮すべきであるし、また政府としてもその点についても検討すべきである、こう思いますが、長官のお考えはいかがでございますか。
  109. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私のほうは物価の一般政策についての企画立案とか調整ということはいたしますけれども、個々の電力会社につきましての管理監督権というものを持つものではありません。しかし、今日公共料金というものは物価抑制の大きな要素をなすものでございますので、その企業の直接の監督官庁である通産省とかあるいは運輸省とかというものだけの処置にゆだねないで、大所高所から公共料金改定のあるべき姿というようなことにつきまして発言をいたしておるものでありますことは、もういまさら申すまでもございません。  そこで、お尋ねの中身につきましては、電力会社が具体的にどのような遊休施設を持っておるかということを私は知りません。あるいは担当者は通産省と同時査定のような立場をとっておりますので、私以上に知っておる者もあるかもしれませんが、私としてはそこまで中身はわからない。しかし、遊休施設というようなものを一方に持ちながら、地方において料金改定、引き上げというものは納得せられないという御発言については私はごもっともだと思います。  ただし、もう一つただし書きをつけますが、電力会社であれ、いかなる公益事業あるいは一般の企業であれ、いろいろな積み立て金、準備金というものを認められて企業は成り立っておるわけでありまして、その準備金、積み立て金というものは、いろいろの形において会社の運営をささえるために形を変えて投資されておるという場合も一般に見られるところでありますので、その場合にその準備金、積み立て金あるいは引き当て金のようなものがどういう姿になっておるかということは、その積み立て金、引き当て金等の関連において究明すべき点もあるのではないか。その投資されておる施設が当面不急であるということのためにその引き当て金勘定そのものが要らないということではないわけでありまして、ただ引き当て金勘定が要る場合においても、その引き当て金は当該企業の本来の目的に沿う形において、それは具体化され運用されていることが最も正しい姿であるということについては私は申し得る、かように思います。
  110. 荒木宏

    荒木委員 政府も企業もいま最大限の努力をすべきである、これは長官もお認めになったように思います。また、そのために電力企業が遊休資産をかかえておきながら値上げ申請をしてくる、これは納得できないということも了解できる、こういうふうにも伺いました。  私がお尋ねしたのは、企業会計の処理の上で引き当て金、準備金がどのように処理をされるべきか、これではない。私が伺っておりますのは、まず現実に持っておる資産の中で、本来の事業目的からして遊休資産と見られるべきものがありはしないか。そうだとすれば、いま物価を抑制することが国民的課題であり、またその声が非常に強い時期にその処分ということも考えるべきではないか。つまり企業会計上の処理の方法を伺っておるのではなくて、企業の現実の申請にあってとるべき態度として、もうとるべき手段は尽くしました、その上でこういう申請に及んでおるのであります。こういう態度が望まれるのではないか。もちろんいろいろな目的があります。また、長期的に見なければならぬ面もあります。そういったことも考え合わせて、遊休資金ありとすればその処分もまた検討すべきではないか、これを、お尋ねしたわけであります。監督官庁がありますから、具体的な内容については当該所管官庁が把握しておることはもちろんであろうと思いますが、ただ物価全体を抑制すべき、安定させるべき責任の国務大臣として、当面問題になっておるこの電力料金値上げについては、いま言いましたように、一つ方法として、企業の最大限努力の一環として遊休資産処分を検討すべきである、こういうふうに企業も態度をとるべきだし、政府もそのような方針をとられるべきではないか、この点をお尋ねしたわけであります。企業会計ではありませんで、現実の処理の問題として、重ねてお伺いしたいと思います。
  111. 内田常雄

    ○内田国務大臣 一般論としては私も同意見でございます。しかし、現実の処理でありますが、当該資産は、これは財務諸表の構成からいいますと、平たくいえば資産の部、複式簿記でいえば借方に載っておるわけでありまして、その貸方が何によって形成されるかということになりますと、それは準備金、引き当て金等によって構成されるものもあるわけであります。しかし、準備金、引き当て金というものは、貸方の負債項目、あるいは資金形成項目でありますが、それらがいかなる具体的財産として姿を持つべきかというと、それは電力会社である以上、あるいはまた公益事業である以上、その電力会社の目的を達成するのにふさわしい具体的資産に運用されることが私は望ましいと考えますことはあなたと同じであります。  しかし、私は浅学非才でありまして、その辺のことがいかにあるべきかは必ずしも詳しいわけではありませんけれども、ある種の貸方項目、つまり、たとえば退職準備引き当て金というようなものがありました際に、退職準備引き当て金の運用というものは、それまでも電力設備なり電力会社そのものの目的に沿う形で運用をされていなければならないのかどうか。それはたとえば証券投資に回されるとか、あるいはまた、利益を従業員のために生みやすいような、またその退職引き当て金そのものがその価値を損ぜられないような資産に回されるということもあっていいのかどうかという点について、いささか私は、ここで自信を持って申し上げるわけにもいきませんけれども、そういうものはいかがなものであろうかという点がございます。これはあなたのおっしゃることを否定する意味じゃありませんよ。その企業、なかんずく積み立て金の目的によっては、さような場合いかがなものであるかということがあるということであります。  しかしこれは、総じて言いますと、あなたのおっしゃるとおりでありまして、世間から批判、指弾されるような勘定構成を持ちながら、一方において料金を引き上げるということは、納得せらるべきことではございませんので、私がいま申し述べましたような疑義や私に自信のない点をも含めまして、すべて世間から納得できるような姿であることを私どもはできる限り——それらのものについてはできる限り、また、当然あるべき姿の資産運用についてはきわめて厳粛に運用をするように、当然私は政府の一員、経済閣僚としても考えますし、通産当局はより一そう具体的に厳正な立場をもって指導監督に当たっておるものと思いますし、また当たるべきものだと思います。
  112. 荒木宏

    荒木委員 そこで、具体的な事例をあげてお尋ねしたいと思います。  これは通産省お尋ねいたしますが、ちょうど半月ほど前にわが党の小林議員が、この委員会だったと思いますが、たとえば東京電力が猪苗代発電所の周辺に数十万平米の土地を保有している。この数十万平米が全部発電所に不可欠なものかどうか、発電用施設としてどうしても保有しなければならないものばかりなのかどうかという問題を提起をしてお尋ねしました。通産省の政府委員からは、さっそく調査をして回答するというふうに答えがありました。  いま一例をあげましたけれども、たとえばこの事例、かなり以前に取得をして、その後時価がどんどん上がって、いま発電所周辺で数十万平米の土地を保有している。これがみな必要であるかどうかという点の調査の結果はいかがですか。
  113. 岸田文武

    岸田政府委員 電気料金の算定にあたりましては、先生も御承知のとおり、電気事業の用に供する資産を対象として料金算定を行なうことになっておるわけでございます。しかしながら、現実にはそれ以外に若干の休廃施設といったものも別途あるということは御指摘のとおりでございます。これらの土地、施設等につきましては、いろいろケースを聞いてみますと、旧工場用地のあと地でありまして、将来あらためて施設を建設する見込みがあるとか、あるいは新しい用地取得の交換の予備であるとか、こういったものもいろいろあるようでございます。私どもは、一般的には、将来とも必要のないという施設であって、それについて適当な処分ができることであればむしろ処分をすべきであるという感じを持っております。いま御指摘の個々のケースについては、私いま手元に資料を持っておりませんので、お答えをいたしかねますが、以上のような方針で指導してまいりたいと思います。
  114. 荒木宏

    荒木委員 手元に資料がないというお話でありますが、すでに半月前にこの問題は指摘をしました。そこで、それを一般化してお聞きしたいと思うのですが、御承知のように、このケースは、発電所周辺で水力発電の水源涵養地として必要である、こういう名目で取得された土地であります。その土地の一部が観光施設の敷地に使われている、こういう指摘をしたわけであります。  一般的にいいまして、こういう観光施設の敷地に使われておる固定資産が、発電用に必要な資産だというふうに電力企業は扱っているのかどうか、通産省調査の結果ではどのようになっておりますか。
  115. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘の裏磐梯の社有地につきましては、裏磐梯及び猪苗代下流の十の発電所の発電用水力を確保する目的で貯水のための貯水敷として、あるいはまた水源涵養林として保有しているわけでございます。  この前小林議員から御指摘になりましたときに、たしか五百万坪と言われたと思いますが、私ども資料では五百七十三万平米でございます。  お話の中に出ました建物は、これらの三つの貯水を管理するための拠点でございまして、管理事務所を兼ねているほか、入山者には休憩所として利用させているものでございます。
  116. 荒木宏

    荒木委員 つまり、これは発電用に必要な固定資産として扱っている、こういうことですか。
  117. 岸田文武

    岸田政府委員 私、その一〇〇%がそうであるかどうか、この席でお答えする資料を持ち合わせておりませんが、少なくとも大部分は発電用に必要な施設と考えております。
  118. 荒木宏

    荒木委員 ここのところはひとつはっきりしていただきましょう。猪苗代周辺でたとえば東京電力の取得した土地は、発電用の固定資産として扱っているのか、それとも発電用以外の固定資産として扱っているのか、この点ひとつはっきりしてください。全部そうなのか、あるいはそれを除外しているのか。
  119. 岸田文武

    岸田政府委員 その点につきましては調査をして御報告いたします。
  120. 荒木宏

    荒木委員 これは一般的には通産省としてはどういう方針ですか。観光施設の敷地に発電用の土地が使われている。いまのお話によりますと、東京電力では発電用の土地だとして申請をしている。もちろんこれはその意味では料金のはね返りになりますね。通産省はそういうケースに対しては、方針としてはどういうふうに臨んでいますか。
  121. 岸田文武

    岸田政府委員 水力発電所の場合には、水源の涵養ということはやはり前提条件として必要なことであろうと思います。また、ためました水が増減しますのに応じて、やはりある程度の周辺の敷地を確保しておきませんと問題があるということも、私ども理解できるような気がいたします。さらにまた、その土地の上に建物が建っておる。これが電気事業と全然無縁の建物であり、それに関連をする土地が含まれているというときには、その部分はむしろ除くべきではないかと思いますが、実質的に、先ほど申しましたように、貯水を管理するための管理事務所といった場合には、これは必要な施設と考えてよいのではないかと思います。なお具体的な内容調査をした上で正確にお答えをいたしたいと思います。
  122. 荒木宏

    荒木委員 前に小林委員指摘した施設以外に、交通会社が経営している旅館がほかにもあります。そこの敷地の用にも供されておりますが、これは発電用に必要な土地だというふうな取り扱いですか。つまり当該企業ではなくて、別の交通関係の企業が経営している旅館の敷地にも組み入れられている。この場合には発電用に必要な土地だと扱えるでしょうか。
  123. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもの聞きましたところでは、いまお示しございました建物は、たいへん古くから個人の方がその土地に建てておられた建物、これが一部山形交通に賃貸をされているという関係と承知しております。ただ水源涵養というのは、一定の広がりということが必要でございまして、その建物の底地だけを除くというようなこまかい配慮までする必要はないのではないかと感じます。
  124. 荒木宏

    荒木委員 お考えはわかりました。観光施設に貸与されている、あるいは全然別の会社の建物敷地に組み込まれている、しかしそれは発電用に必要だ、こういう考えのようですね。ほかにもこれと同種あるいは似たような傾向のは幾らもあります。  たとえば関西電力の場合には、神戸市の東灘区の中に数万平米の元学校用地あと地があります。ここにはそのまま利用できるようなあき地が市街地のまん中にありまして、そしてその数万平米のあと地は住宅地のまん中でどういうふうに使われているか。年に一度ぐらいそこで運動会がある。それ以外はほとんど利用されない。時価にしますと十万以上二十万円に近い、こういうふうにいいますから、いまの価格は計算をすれば出てくるわけですが、これが電力事業に必要であるかどうか、当該の企業ではどのように扱っておりますか。
  125. 岸田文武

    岸田政府委員 具体的なお尋ねであれば、事前に御照会いただければ、いろいろ調べておきましたのですが、とっさのお尋ねでございますから、いわば先ほど申しました一般論に照らして判断をするというようなお答えになろうかと思います。
  126. 荒木宏

    荒木委員 では一般化して伺いましょう。  年に一度だけ使う、そういったあき地が、電力事業に必要だというふうな取り扱いを電力企業はいままでとってきておりましたか。三百六十五日のうちで一日だけ使って、あとは市街地のまん中で利用価値がうんとあるような固定資産について、それは発電用に必要なんだ、こういう取り扱いでしょうか。当該の企業では、ここは社員の福祉に年に一度使用するということで、それは発電用に必要なんだ、こういうことですが、通産省のほうではどういう方針ですか。
  127. 岸田文武

    岸田政府委員 一定の敷地がありました場合に、これを電気料金に算定するかどうかということは別問題として、一般的に電気事業の用に供するという判断基準からどうであるかという見方についてお答えをいたしますと、その土地が将来の電気事業の計画の中にどういうふうに組み入れられているかということが問題であろうと思います。そこの土地に発電所を建設するとか、あるいは変電所の施設に予定しているとか、あるいは鉄塔を建てる計画があるとか、こういった将来の計画を聞きました上で判断をするのが適当ではないかと思います。  なお、従業員の福祉施設、たとえば従業員用のグラウンドであるとかいうようなことにつきましては、私はこれは電気事業に関連をした施設というふうに考えていいと思います。ただ、お示しの施設が一年に一ぺんだけ使われているというようなことであると、その内容をさらに吟味してみる必要があろうと思います。
  128. 荒木宏

    荒木委員 将来の利用目的との関係で吟味する必要がある、こういう意見のように聞きました。  関西電力の場合は、大阪府の茨木市に三十三万平米の広大な学園があり、そこには陸上競技場からテニスコート、いろいろな福利施設を備えた大きな総合施設があります。そういうふうな状態から照らして、いまの資産が真に電気事業に必要かどうか、これはいま調査をするというふうにおっしゃった、その調査は厳正にやっていただきたいと思います。  それは一、二の例ではなくて、たとえば長野県の中にあります、これも関西電力所有の、全体として見れば七十万平米、その後子会社が使っておりますから、いま名義は数万平米ですけれども、その中に約百平米余りの管理事務所が一つだけある。残りは全部そのまま、原野のような状態のままで放置されていて、まわりは全部開拓をされて分譲地になりつつある。こういうふうな場合には、これは電気事業の資産に必要な土地だということになりましょうか。一般的にいって、数万平米の土地がある。その土地はうんと値上がりをした。しかし、まん中にぽつんと一つだけ、全体から見れば虫めがねでさがさなければわからないような事務所が一つ置いてある。これは電気事業に必要な資産だという扱いになりましょうか。
  129. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども常識的に考えますと、それだけの広さを持った土地を電力会社が取得したということには、おそらくは何がしかの理由が当然あったのではないかという常識的な感じがいたします。
  130. 荒木宏

    荒木委員 そうすると、皆さんのほうは調べないで、こういう広大な、周辺が別荘地になっておるまん中に土地が残っている。その場合でも今回の料金査定に当たって、電気事業に真に必要なのかどうか。調査をする必要はない、こういうふうな方針ですか。
  131. 岸田文武

    岸田政府委員 私が先ほど調査をするとお答えしましたのは、いま手元に資料を持っていないということを申し上げたかったわけでございます。通産省といたしましては、電気料金の算定の基礎となる資産の範囲をどうするかということは、査定においても一つの大きなポイントでございます。そのためにいろいろの調査をいたしておりますので、通産省自体、この辺について放置をしていたということはございません。
  132. 荒木宏

    荒木委員 わかりました。それはすでに調査済みだということですが、私の指摘したような二、三の例、これはすでに調査済みですか。調査結果はよろしいですが、調査の対象になったかどうかという点はどうですか。
  133. 岸田文武

    岸田政府委員 帰りましてもう一度チェックをいたしてみますが、調査の対象になっておると思います。
  134. 荒木宏

    荒木委員 全体として、電気事業は七十二年度末で電気事業用資産が約三兆八千億円。事業外資産というのが、九電力合計で一兆三千億円余りあります。その中で一万平米以上まとまった土地が、たとえばそこで線引きをすればどのように使われているか。先ほどの学校あと地の例もあります。あるいは長野県の発電所からはるか離れたところにある分譲別荘地のどまん中にある土地もあります。あるいは観光事業にそのまま貸与している。涵養林といいながら水源からはるか離れたところの土地もあります。それらも含まれている。これらについて、もしそれが調査対象から漏れていたとすれば、料金の算定に影響するということはいま言われたのですから、それは再度再調査をする必要があると思いますが、これは政務次官にお伺いします。通産省の方針は、この電気料金の算定に影響のある固定資産の取り扱いについてすでに調査はなされたという話ですけれども、いま言いましたような具体的な例については、まだしかと回答がありません。もしそういったある程度まとまった土地について個別の吟味がまだないとすれば、それは再度その点の調査を十分尽くすべきである、こう思いますが、政務次官の考え方はどうですか。
  135. 森下元晴

    ○森下政府委員 公共料金の算定でございまして、各電力会社の経理内容、特に資本等の内容につきましても、これは厳重に調査、チェックする必要がある。いま御指摘の発電施設用の土地であるかどうか。また、保健衛生的な施設であるかどうか。そういうあと考え方におきまして、たとえばかなり大きな土地を電力会社が持っておる例の中で、水源涵養林、これはもちろんダムの働きをいたします。これは間接的には発電施設に非常に効果があるし、また、ダムの埋没等を考えました場合に、やはり電力会社の利益にもつながるし、電力会社としては当然そういうものを持っていい、またほかの公益的な利用もできる。ただ、先生御指摘になりましたように、水源涵養林でもない、ただ単なる観光用地として特定の者に利用さすとか、そういうケースにつきましては、やはり含みというものを十分経理内容でチェックして、いわゆる総資本の中でそういうものが幾らあるか、やはり料金をきめる場合にはこの会社の経営内容というものが非常に私は、それのチェックということが必要でありますから、この含み資産について特に公共的な、また電気料金また電気施設に直接関係のないそういう含み資産というものは、十分チェックして今回の料金改定資料にすべきである、このように思っています。
  136. 荒木宏

    荒木委員 そこで政務次官、その方針のもとに、いま具体的に二、三の例をあげましたけれども、たとえば別荘地のまん中に数万平米残している、ほとんど使っていない。周囲の環境はゴルフ場とか観光施設が一ぱいある。市街地のまん中にまた数万平米のあき地があって、年に一、二度しか使っていないあるいは他の企業の観光施設の用に供している、こういうたとえば具体的な事例が一万平米以上まとまった土地として現実にある。ほかにもおそらくあるでしょう。全部は調べられません。しかしそういったことについて調査が進んでいるかどうか、これは調べてみないとわからない、こういう部長の話です。そこで、それは大いに調べてください。きょう帰ってすぐに調べていただきたい。あすまた他の委員が他の委員会で続いて関連の質問をいたしますから、これはすぐ調べていただきたい。もしこういうまとまった土地について、まだ真に発電用に必要かどうかの検討がなされていなかったなら、それは再調査の必要があるのではありませんか。これを政務次官に伺っているのです。一般的な方針のもとにもし漏れておればもう一回やる必要があるのではないか、これはいかがですか。
  137. 森下元晴

    ○森下政府委員 会社の経理内容ですから帳簿には固定資産として記帳されておると思います。ただ問題は、価値、価額の面でございまして、他の会社等におきましてややもすれば会社の健全化とかいろいろ対外信用のために含み資産というものは私はかなりあると思っております。いろいろ上場株等につきましても、いわゆる含み資産の多い、少ないによってその価値というものは変わっておる。ただ今回のように、国民注目の中で電気料金を上げるというような非常に過渡的な、またこういうような事態のときに、いわゆる会社内容において含みというもの、またかなり隠された土地等の、そういうものがあることによって、料金値上げのときに際しまして非常に疑惑を与えることはいけない。そういうことで、その土地というものがはたしてどういう用途に利用されておるか、国民の前にはっきり証明できるような持ち方であれば私はいいと思いますけれども、やはり内容的には疑惑をこうむるようなところもあるかもしれません。そういう点で、これは短期間に全部を調べるわけにいきませんけれども、でき得る限りそういう土地についてもチェックをしてみたい。これもなかなか九電力会社の中で所有土地いわゆる不動産、固定資産というものはかなり件数も多いし、膨大な量に及んでおるようにも私は聞いております。また会社の中においては、第二会社的な不動産会社を持ちましてそういう管理をしておる会社もあるようでございます。そういうことでございまして、多少会社によって内容は違うと思いますけれども考え方として、こういう時期でございます。電気というものが国民のために非常に大事である、そういう意味でやはりガラス張りに、疑惑を少なくともこうむらないように通産省としてはチェックしていく必要がある、また指導していく必要がある、こういう観点から、でき得る限りチェックをさしていただきたいと思います。
  138. 荒木宏

    荒木委員 調査をするということを政務次官は言われた。部長もその点はさっそく調査をすると、こう言うのです。疑惑を受けないようにはっきり調査をする、これは一つありましょう。またそれによって事業用の資産でないという分がふえれば、これは直ちに料金に響いてきます、事業用資産をどんどんふやしていけばこれは料金にかぶさるのですから。ですから、査定をする場合に、これは土地だけじゃありませんが、全体で五兆円をこえるような膨大な資産の中で、真に電気事業用にどれだけが必要なのか、電気事業用に直ちにいま必要とは認められないというチェックをきびしくし、それを除外していくことによって料金にかぶさる部分を下げて、そして料金を安定させることが具体的にできます。  たとえば、東電の場合には電気事業用の資産は一兆六千億でありますから、かりにそれが一%だとすればこれは百六十億です。もちろんいろんな設備がありますから、それらの種類の区分けの問題があります。また普通資産は、東電の場合には五千億円ですから、かりにそれの一%とすればこれは五十億です。関西電力の場合には電気事業用資産が七二年末で一兆二千億ですから、これが百二十億、そして事業外資産として計上されておるのが四千億ですから、これは一%だとすれば四十億です。そうすれば、たとえば農事用電力の場合に、関西電力が今度値上げとして見込んでおる財源は二千億円であります。これを洗い直すことによって、そのうちの一%が、これは事業用には必要ではない、たとえば別荘地のどまん中にもう十年以上も、数万平米のものがそれこそ針で突いたようなぽつんとした一つの事務所だけ置いて十数年きた、そして、それは値段がもうすでに二万円以上も上がってきている、これは事業用に必要だということでそこへ入れて料金にかぶせるのと除外するのと、これはうんと違ってきます。これは見やすい道理です。たとえば定額電灯は今度関西電力値上げによる財源幅は約十二億であります。これだって一%を、事業外資産を算定の中から厳格に査定をしてはずすことによって楽に据え置きができる。従量電灯甲、関西電力の場合には一般家庭用でありますが、使用量百キロワット以下の部分の値上げを押えようとすれば、財源は百二十億あったらいいのです。この計算から見まして、この資産がはたして電気事業にほんとうに必要なのかどうか、この点の査定は、いまおっしゃった、単に疑惑を晴らすだけではなくて、料金査定の結果に直に影響します。  調査をするということは先ほど来たびたび伺いました。そこで私は、この料金値上げについての国民的な抑制の、据え置きの要望が強いおりから、この作業を厳格にやられたい。いや、もうやりました、こうおっしゃるなら、それははっきり報告していただかなければなりません。しかし、帰ってこれから調べるとおっしゃるのですから、調査結果について具体的に、たとえば一万平米以上が帳面の上だけではなくて、現実の利用が真に電気事業目的のためであるかどうかは、それが調査済みであるかどうか点検するとおっしゃるのですから、点検された結果、もしそれが落ちておればこれは再調査が必要ではないか。政務次官、重ねて伺います。この点、もし落ちておれば再調査が必要だと私は思います。どうお考えになりますか。
  139. 森下元晴

    ○森下政府委員 多少そういう遊休といわれる土地に対する考え方の相違は私はあると思いますけれども、やはり基本的に会社といたしましては、会社の健全化、国でチェックされた、公益性、公共性のある会社でございますけれども、やはり株式会社としての健全性ということもございまして、それを一がいに持ってはいけないということは私は言えぬと思いますけれども、その価値がいかほどあって、しかもそれが含み資産としてどの程度会社の健全化に寄与しておるのであるかということのチェックは私は必要だろうと思うのです。したがって、料金改定また値上げの場合にはそういうことも一つの要素になりますから、いわゆる料金改定の要素の中で健全な資本内容、またそういうような遊休的な資本も含めて当然チェックしなければいけない。われわれの調査漏れの中で将来出てくるような場合もこれはやはりチェックすべきでございますし、また同時に、それぞれ会社には会社のはたして事業資産であるかどうか、また遊休資産であるかどうかということの判断も多少私は違うと思います。そういう点はやはり十分にあらゆる観点から見まして検討もしなければいけない。たとえば遊休のような土地を持っておりましても、ダムをつくる場合にいわゆる補償のかえ地等で、われわれが聞いておる範囲では電力会社は多少の余分の土地を持つ場合もあるんだ、そうしてダムの特に代替資産としての、代替地としてのいわゆる交換用の土地も持つというようなことも多少は私は認めてしかるべきである。それと保安林等の問題も、価値判断と申しますか、存在価値ということの認識の度合いは多少違うと思いまゆけれども、そういうことも含めて検討もしていかなければいけないし、特にこういうような料金改定の時期でもございますから、そういうことをおろそかにすることが国民の疑惑をこうむるということもよく承知しております。そういうことで、先生御指摘のようにできるだけ調査をわれわれはしなければいけないし、またその漏れた分についてやはり再度また何回でも調査をするのが通産省の当然の指導方針である、このように思っております。
  140. 荒木宏

    荒木委員 だとすると、その再調査をした後に初めて料金の結論が出る、こういうことになりますね。いや、政務次官言ってください。
  141. 森下元晴

    ○森下政府委員 私はまあ基本的な考え方を申し上げたのでございまして、なかなかこの一〇〇%の調査がはたしてできるかどうか、特に認識の違いもございますし。だから、全部調査が終わらないと料金値上げをしないかということにつきましては、その点私はそれまで待ちますということは言えません。いろいろ一〇〇%条件が整って値上げをするのが当然でございますけれども、やはり現在のいわゆる価格の高騰、上昇、また電気料金改定によりましてかなり上昇するであろう、そういう料金の問題と同時にやはりこの電力の需給という問題が国民的な課題として出てきております。ただいたずらに先に延ばすことがはたしていいか、どうかそこらにやはり調査というものと将来の需給というものを考えました場合に、料金改定というものとのかね合いということも考えて決定していかなければいけない、そのように思っております。
  142. 荒木宏

    荒木委員 長官にお尋ねしますが、いままでお聞きしたのは、まず遊休資産は、この際最大限努力をすべきときとして処分をして、たとえば玄計上益で抑制につとめる、値上げの時期をずらす、こういうことも一つあるではありませんか。処分までいかなくても、そのまま保有しておってもたとえば電気事業用に必要ではないようなものまで料金算定の基礎になって、そこへ報酬をかけてそして料金にかぶせていく、こういうことはとても納得しがたい。ですから、それは厳格に調査をして、一〇〇%という話がありましたけれども、かなりまとまった大きなものについてはそれははずすべきではないか。これは調べてみなければわからないというんですから、その点はきっちり調査をして、その上で納得のいく結論を出すべきではないか、もし入っておればそれはもう当然はずすべきである、こういうふうに大筋質疑をしてきたわけです。  物価担当大臣として、技術的なことはともあれ、いまこの料金家庭用据え置き、民生用据え置きという声が強いおり、通産省から協議を受ける法律上の立場にあられるわけですから、その際に、主要な資産について、もう長年そのまま電気事業目的ではなくて抱いておる分は処分をして、その分で値上げをしないように押えたらどうか。これは気持ちは納得できるとあなた、先ほどおっしゃった。それからまた電気事業に直接使っていないような先ほど幾つか例をあげたような部分については、そこへ報酬をかぶせて料金にかぶせるというようなことをするべきじゃない。これを厳格に調べて、おもな分については納得のいくようにしてから結論を出すべきではないか。私は先ほど来大臣が言われたことを、いま具体的に提起をした事案にはめてみれば、物価を押える立場の大臣としてはそういう態度をとられるべきだと思います。大臣の御意見を伺いたいと思います。
  143. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私のほうは物価を抑制するあるいは公共料金上昇を抑制する、こういう立場で常に物価問題には臨んでいる役所でございます。直接公益事業に対する監督権を持っているわけではございませんけれども国民生活の安定なりあるいは経済政策全体の企画、立案、調整というような立場からいたします際に、公共料金政策というものは放置できない、こういう立場から通産省のほうからいうと、これも妙な話ですが、あまり喜ばれない、歓迎せられざる態度をとるわけでありますけれども、今日は私はそれが必要だと思っていろいろ今日まで牽制をいたしてきておるという立場は荒木さんにも御了解をいただけると思います。  いま私はそのような立場を持ちながら荒木さんと通産省当局のお話を聞いておりますと、少し混迷をしている点もなきにしもあらずのようにも思われます。というのは、それは電気事業会社というのは電気事業法、昔でいう公益事業法の適用を受ける会社でありまして、料金についてはその認可を受けなければならない立場にもある企業でありますから、電気事業会社が電気事業に必要なる資産以外の資産を無制限に持つべきものではないので、おそらく公益事業法においては原則的には他業禁止とまではいかなくても、他業をやる場合には監督大臣、通産大臣に届け出とか承認を求めるというようなことになっておると思われます。そういう見地からいたしまして、電気事業会社が電気事業の本来の経営にあまり関係のないような方面の投資に無制限に手を伸ばすというようなことにつきましては、これは料金問題と離れて公益事業の管理、監督の立場から通産省が干渉をされなければならないことであると思います。  ところで、いま荒木さんが述べられましたように、かりにそういう電気事業以外の他の目的に供されているような不動産その他の財産がある場合において、それを処分して電気料金値上げを押えるべきであるということにはこれは簿記会計上ならないわけでありまして、どういう財産であれ処分した、その処分した収入というものはそれは益金じゃないのです。これはいわゆる簿記会計学上の資本取引というものでありまして、損益取引ではないわけでありますので、料金上げないで電気事業に使ってないあの財産を処分してその対価をもって料金引き上げを抑制しろということにはならないわけでありますし、また電気料金の一部をもって不用財産を買うというようなことは、これはまた料金構成の要素ではありませんから、そういうことは当然認められないことをも意味するわけでございますので、もしそういう意味荒木さんの御発言でありますならば、これは私が申し述べましたような意味にあらためて御理解をいただきたいと思います。  ただ、現状料金算定の基準なるものは、電力会社の持っている電気事業用の重要な資産については一定の率の何%かの資本カバーのコストというものを料金構成の基礎として見ているような仕組みであると私は記憶をいたしておりますので、電気事業に全く関係のない資産についてまでも電気事業経営上の重要なる資産であると誤認して、あるいはまたルーズの査定をして、そのものについても電気事業のための資本であるというたてまえのもとに料金構成のために一定の率をはじき出しているようなことがあればそれは査定官庁、監督官庁が間違いでありますから、荒木さんのおっしゃることまさに私は当を得ておると思います。  以上二つのことを混同すべきではないということを私は思いながら、あなたの言われるお立場を理解して、私どもは一そう通産省にその趣旨のことを強く要請をして、そして一銭でも一厘でも安く今度の引き上げが低いところでとどまるような態度を持してまいりたい、かように思います。
  144. 荒木宏

    荒木委員 時間がきましたから最後に、いまの長官の答弁に関連してもう一度重ねて伺っておきますが、どんどん土地が値上がりして、以前に水源用地と称して手に入れた広大な土地がうんと値上がりしている。これは一々申し上げなくとも常識だと思うのですね。ですから、そのようなときには、それによって計上益を今回の値上げをしないように抑制に使うということは、これは簿記会計上だって幾らでもできることです。言われたとおり何も帳簿価額だけしか入らないということじゃないのですから。ですから、そういうふうな意味合いでこれはやるべきだ、こう言ったのです。ですから、長官がとらえたのは、その意味では質問は取り違えがあるのです。  それからもう一つは、いま一般的にはそういった事業外の資産を事業用というふうに、誤認というふうに言われましたけれども、取り違えるなり、あるいはルーズと言われましたが、そういう形で入れておって料金にかぶせるというのは、これはいかぬ、これはいま長官がおっしゃった。そこで私がいま指摘しましたような数万平米の土地が先ほど言ったような目的で、先ほど言ったような状況で保有されている実際の事実があります。ですから、今度の部分については、私は一万平米以上のまとまった分については一ぺんきちっと再調査すべきだ、こう思いますがね。せめていま言った具体的な実例については、これは長官もいまそういうものがルーズで入ってはいかぬと言われたのだから、きちっと調査をしてそれを明らかにした上で、経企庁の協議というものは終わるようにしていただきたい。これはそういうように、当然だと思いますが、そのことをお約束いただきたい。
  145. 内田常雄

    ○内田国務大臣 前段の御発言のことにつきましては、実は私も先ほどは謙遜をいたしまして浅学非才と申しましたけれども、そのほうの知識が全くないわけではございません。荒木先生は法律のほうの御専門で弁護士でいらっしゃいまして、民事訴訟法、刑事訴訟法にはお詳しいわけでありますが、企業会計原則、財務諸表準則ということにつきましては、私も一代議士でありますと同時に、いささか勉強をさしていただいたところもございまして、ややこれから長い間荒木さんとお話し合いをしなければそこの問題については必ずしも一致しないところがございますが、後段についてはまさにあなたのおっしゃるとおりでございますので、私のほうはあらためて、私が通産当局に命じますとかども立ちますから、私のほうの物価担当当局、ここに物価局長も来ておりますから、それは今度の料金査定の際の一ポイントであるということをあらためて想起して、その点は通産当局にももう一ぺん十分さわらせるようにいたさせます。  なお、このことは、私は先ほどからちょいちょいうしろを向きまして公益事業部長にどうなっておるかと言いましたところが、公益事業部長、寝る目も寝ないで実はいま部下を指揮してその査定をやっているのだが、自分はどこにどういう目的外資産があるかまで詳しくは知悉しておらないが、それぞれ査定官は知っておってさわっておるはずであります。こういうことを私にひそひそと話しておりましたので、御意見のありますことは公益事業部長もよくわかったと思いますので、いろいろ御注意ありがとうございました。
  146. 荒木宏

    荒木委員 もう一言お願いしたいのですが、いまおっしゃったように、命令をして、指示をしてその点をはっきりさせる、それからでなければ軽々に認可ということはしない、こうおっしゃったのですが、いま具体的に指摘をした事例について長官のほうで物価局長に言われてわかった結果、それはぜひ私のほうにも知らしていただきたい、いまここで委員会で御提案したわけですから。ここで提案をしたやつですから、その分についてはひとつ明確にしていただきたい、こう思います。
  147. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は何とも言えませんが、これは通産省の政務次官、公益事業部長が聞いていらっしゃることでもありますので、たとえ行政の範囲の仕事でありましょうとも、国家行政権についても広い意味の監督権があるわけでございますから、いいかげんの処理はしないだろうと思います。はたして一々御報告できるかどうかということまでについては、私が他庁の大臣としてコミットはできませんけれども、御意見のありましたことも、これは速記録にも残りますし、また私からあらためて通産省のしかるべき方面に伝えもいたしましょう。
  148. 荒木宏

    荒木委員 ほかの問題はまた別の委員会であれしますので、長官言われた厳格な査定を徹底してやられることを要求して、質問を終わります。
  149. 平林剛

    平林委員長 次に有島重武君。
  150. 有島重武

    ○有島委員 北海道が四八%、中部が七七%、平均六二・八九%という値上げ申請が行なわれておる。これはあまりにひど過ぎるというのが偽らざる国民感情であります。  では、いままで各委員からいろいろなお話があったわけでありますが、率直に申しまして、ここに通産政務次官いらっしゃいますが、森下政務次官どうでしょうか、この六二・八九%の値上げ申請というものを圧縮することはできましょうな。これをひとつ聞いておきたい。
  151. 森下元晴

    ○森下政府委員 先ほどから諸先生の御意見等聞かせていただきました。また通産省は、通産省独自の立場で、値上げ申請についてチェックをしております。一〇〇%申請したものを認めるかどうかということにつきましては、十二分にこれを調査、チェックいたしまして、いろいろな角度から真に値上げする要因だけを認めて、できる限り国民大衆に迷惑をかけないように、そういう意味改定の方向に作業を進めていきたい。そういうことで、一〇〇%認めることは、現在のいろいろな調査段階また公聴会意見を聞きましても、それはございません。
  152. 有島重武

    ○有島委員 では、圧縮はできるというお話であります。ところで、これ申請されました当初に、すでにこれは大体一〇%ぐらい圧縮されるというサバを読んで申請したんじゃなかろうかという、そういった話もありました。それで、その幅が圧縮できる——できるというお話を前提といたしまして、通産省が審査なさるときに最も留意しておられる点、これはいまあらゆる点ともおっしゃったし、たくさんの角度というようなこともいわれましたけれども、大体三つぐらい、この点とこの点とこの点については特にきびしくチェックしておる、そういう点がありましたならば、お教えいただきたい。
  153. 岸田文武

    岸田政府委員 各社の経費内容を見ておりますと、今回の申請で目立ちますのは、燃料費の増高ということが非常に大きな要因をなしておるという点でございます。これらの点につきましては、各社それぞれに今後一年間電気事業を円滑に遂行する上で必要な油の量はどのくらいであるか、またそのときに公害対策上必要な硫黄分というものはどの程度のものが見込まれるか、各社なりに試算をし、申請を出されておりますが、私どもとしてはその申請内容について、燃料費は特に気をつけて見ていきたいと思っております。また、次の要素としては人件費でございますが、人件費につきましてはなるべく経営を合理化するということで、よけいな人員を見込んでいないかどうか、こういった点を私どもとしては注意をしたいと思います。さらにまた資本費につきましては、必要な電気施設の範囲を、今後の計画等も頭に置きながら審査をしていく必要があろうと思っております。
  154. 有島重武

    ○有島委員 燃料費をあげられましたけれども、この前うちの石田幸四郎委員からたぶん話が出ておったはずだと思うのですけれども、お答えがなかった燃料費の為替差益の問題について、通産省はどのように試算していらっしゃるか、このことを承っておきたいのです。値上げの要因は先ほど松浦委員から、燃料費がその中でどのくらいのウエートを占めるかというような試算の御発表がありました。そしてまた資料を出していただくようにもなっておるようでありますけれども、この計算は一ドル三百円ということを前提としておるんだろうと思うのですね。これをかりに一ドル二百八十円で試算をすると一体これはどうなるのか、こういった試算はできておりますか。
  155. 岸田文武

    岸田政府委員 各社から出されました申請内容を審査いたしましたところ、各社は輸入する油に適用される為替レートとして三百円を採用しておるようでございます。これを査定側でどう扱うかということは、たいへんいろいろむずかしい要素がございます。いわば今後一年間における平均的な為替相場というものがどのくらいであるのかということを予測するわけでございますけれども、それ自体いろいろ変動の原因がございます。すでに昨年以来の推移を見ましても、二百六十五円くらいから一時三百円くらいに上がり、また最近は二百八十円程度にとどまっておるという状況でございます。先行きの見通しにつきましても、私どもは先物の動きも毎日チェックをいたしておりますが、かなりの変動がございます。したがいまして、私どもはこの為替レートの問題については、一番新しいその際における一番妥当な率をきめていくというような処理方針で考えておるところでございます。  いまお示しの中に、かりにという前提で三百円が二百八十円になったらというお尋ねがございました。私ども試算では、その分によりまして大体五百億を若干オーバーする程度の差が見出せるのではないかという気がいたします。
  156. 有島重武

    ○有島委員 そうした試算それから見通し、こういったこともやはり燃料費という場合に大いに考慮していただかなければならぬ点だと思います。  それから今回の値上げ案の特徴として、ナショナルミニマムというようなことばが出てきた。これは従来の料金考え方からすれば、確かに一歩前進のようにも思います。ただしナショナルミニマム、とにかく最低生活は確保していくんだというこの精神からいたしますと、そのナショナルミニマムの分だけは据え置いていいじゃないかという議論がございます。これはおわかりになりますね。そのときにナショナルミニマムだけをもし据え置いたならば、これは百キロワットアワーと大体出ているようでありますけれども、ほかの料金体系はどのようになるであろうか、こういった試算もやっていらっしゃいますでしょうね。やっていますか。
  157. 岸田文武

    岸田政府委員 ナショナルミニマムを何キロワットアワーにするかという点につきましては公聴会でもいろいろたくさんの議論が出ておりました。私どもの承知しております範囲ではやはりこれは多少引き上げるほうが妥当であろうという意見が圧倒的に強かったと思います。ただ、私ども審議会におきましていろいろ議論をし、百キロワットアワーというものを設定しましたには、やはりそれなりの根拠があってのことでございます。大臣も、この根拠はさることながら、これを幾らに設定するかということについてはいろいろ慎重に検討してみたいという御発言もございまして、私ども試算をいたしております。先生から仰せられるまでもなく私どもは少しでも安くという気持ちを持っておりますが、いずれにせよ全体の値上げ申請幅が相当大きいものでございますから、最後のおさまりをどうするかという点についていろいろの対案を比較しながらいま検討を進めておるところでございます。
  158. 有島重武

    ○有島委員 いまお答えの前半分のところは、ナショナルミニマムを百キロワットからもう少し上げるという議論ですね。これも私たちすでに機会あるごとにやってまいりました。そのことは考慮していく、そういったお話があった。その次にいま伺っているのは、今度は百二十なり百三十なりあるいは百五十にナショナルミニマムを押えた場合に、そこの部分だけは今度は全然値上げをしないということをかりに行なったときにほかの料金はどのようなふうになっていくであろうかということの試算はできておりますね。それを伺いたい。できていたらそれをひとつお示しいただきたい、提出してもいただきたい、そう思っています。どうですか。
  159. 岸田文武

    岸田政府委員 今回新たに採用しました三段階料金制は、第二段のところをコストに見合った平均的な価格に置き、第一段、原案では百キロワットアワーになっているわけですが、百キロワットアワー以下の部分について割引料金、それから二百キロワットアワーをこえた部分については割り増し料金という制度になっているわけでございます。これを特定の部分についてさらに割引をすれば、その追加して割引した部分を一体だれが持つのかという問題が出てまいります。その意味においていろいろの対案を考えていることを報告したわけでございますが、今回のような特殊のコストアップ要因が急激に起こってきたという事態でなく、いままでの料金水準のままで新しい料金制度を算入いたしたとすればかなり割引が最低部分については行ない得たはずでございますが、ただ、現実は先ほど来お話しのようにかなり多くの値上げ要因を含んだ今日の事態でございます。その場合において、最低部分について従来の料金水準を下回る水準、こういったことを期待するのは現実問題としてはかなり困難があるという感じがいたします。また、特にそのための試算はいまのところ用意はいたしておりません。
  160. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官はこのナショナルミニマム考えについてどんなふうに思っていらっしゃるか、これはちょっと企画庁長官から伺ったことないように思うので、承っておきたいと思います。私はナショナルミニマムとして一定の線を示す。それで拝見した資料によれば確かに家庭の中の六六%、六七%ぐらいがこのナショナルミニマムの範囲内であるとかそういった数字が出ている。実際に調べてみると、百キロワットじゃとてもだめだというような議論はいろいろ繰り返されました。それでそのナショナルミニマム自体のレベルというものは百キロじゃちょっと無理であろうという結論がいまも大体出て検討中でありますけれども、こうしたナショナルミニマムをかまえていくということ自体はぼくはこれからの国民電力節約という点にも有効に働いてくるのじゃなかろうかという期待を少し持っているわけなんですね。節約しろと口で言ってもいいけれども、これだけの分まで押えておけばこれはずいぶん得なんだよということがあれば相当主婦が心を使ってここに押えられるようになるのじゃないかと思うのですね。であるから今度はそのナショナルミニマム以下というものはほんとうに優遇してあげないといけないのじゃないか、そんなふうに私なんかは考えているわけですけれども、御意見を承っておきたい。
  161. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は端的に申しますと有島さんの御意見に近い意見を実は前々から持っております。おまえは委員会で意向を一ぺんも漏らしたことがないというお話でございましたが、一度だけ、どなたの御質問に対してですか忘れましたが、ナショナルミニマムの一カ月百キロワットアワーということには必ずしもこだわる必要はないと思う、ことに公聴会等においてこの点についての意見もいろいろあったことは十分それは吸収し取り上げていくべきことのように思うということを申し上げたことがございました。  ところで、昨日、総理大臣の諮問機関で経済企画庁でおあずかりをいたしております物価安定政策会議一つ部会、これは政策部会だったと思いますが、中山伊知郎先生が部会長でいらっしゃいまして、電力料金問題についての学識経験者の御意向の論議がなされまして、私のところまで部会の意向として御意向の表明がございました。私はそれをお受けいたしております。このことにつきましては、まだごく近日中に物価安定政策会議の全体会議が開かれて全体会議にも報告され、今度は全体会議から直接総理大臣にもいろいろな見地からの御意向の表明があるかもしれないとも私は思っておりますが、昨日の段階におきましてもこのナショナルミニマムにつきましてはほとんど全部の委員方々が百キロワットアワーよりもある程度広げるほうがよろしい、こういう御意向の表明がございました。しかし、それはそれだけでございまして、そのナショナルミニマムの範囲を広げた場合にも、有島さんのただいまの御意向のようにそれは現在の料金と同じ料金でとどめておけと言われた委員の方が、これは御婦人の方であったように思いますが、御熱心な御意見でございまして、これは少数意見のような形でそういう意見委員もあったということまで付記して私の手元に御意見が出されております。これは御意向として私は承っておりますが、全体としての多くの委員の方は、ナショナルミニマムを広げることは考えてほしいが、その家庭用の消費電灯料金についてコストのことを顧慮しないで昔と同じ料金でいけということではございませんでした。その辺を両方かみ合わせて考えてまいるべきではないかということで、この御意向は通産省のほうにも——通産省のほうにもといいますか、通産当局もこの会議には御出席でございましたのでお聞き及びになっておったところでございますので、つまりあなたと同じような意向が出ておった、こういうことだけを御報告申し上げておきます。
  162. 有島重武

    ○有島委員 そういうわけでありますので、試算を全然してないというのはちょっと手落ちではないかと思います。ですから、ナショナルミニマムの分のところは変更しないという前提のもとに、一ぺん他の料金はどのようにならなければならなくなるかというような試算はあってもいいわけです。少数意見ではあったけれども、ほんとの据え置きをやってみたらどうかという話もあったわけです。ですから、そのことを一つの場合として試算もやってくださるのが親切なんだろうと思うのです。そういったことはやっておりませんことはわかった。やってください。やって出していただきたい。いかがですか。
  163. 小島英敏

    ○小島政府委員 これは大ざっぱな試算はすぐできるわけでございまして、ただいまのお話のように、百キロワットアワー以下のところで六六、七%、約三分の二がいまのナショナルミニマムの部分で、それから上が三分の一でございます。現在の申請家庭用電力全体で三三・何%でございますから、もし三分の二の部分を据え置きにして電灯用の収入を三三%ふやすのであれば、要するに上の部分を二倍にすればなる、バランスするということでございます。ですから、もし百キロワット以下のところを据え置きにするならば、第二段階と第三段階平均して二倍に上げればよろしいということになるわけでございまして、やはり実際問題としては非常に段差が大きくなり過ぎてまずいということになるんじゃないかと思います。
  164. 有島重武

    ○有島委員 いまの物価局長のお話は、六二・八九%をまるまるうのみにしてのお話ですね。それは前段でもってもう一ぺん考え直してくださる話なんですから。それからドル換算についてもそういったことを一切考慮しないでのお話ですね。いろいろの角度からいろいろな試算をしているというお話だけれども、それが抜けているというのはおかしいと思うのです。やっていただきたい。  それから、企画庁長官がだいぶ前、一月前ほどでありますけれども、参議院予算委員会におきまして、卸売り物価消費者物価は鎮静化しておる。したがって、公共料金がある幅に改定されても物価へのはね上がりはあまりないと思う。物価鎮静の中にはさみ込める。このように一月前にはおっしゃったわけでございますけれども、これはちょっとお考えが甘かったんじゃないかというようにわれわれは思うわけです。現在の御所見はいかがですか。
  165. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私どもは、決して心をゆるめたり政策の立て方をゆるめるつもりはございませんけれども、しかし物価そのものは、そのときに申し述べましたように、卸売り物価につきましては二月を境といたしまして三月、四月と各旬、なかんずく三月、四月におきましては前旬に対する上昇率が〇%であるとか、あるいは前旬に対するマイナス〇・一%ということで、これは十何カ月ぶりかにとにかく対前旬に対する下降というようなこともあらわれまして、愁眉を開いておりますところでございます。月にいたしますと三月、四月は対前月上昇率はいずれも一一%以下になりまして、〇・七%というようなところまで落ちてまいっております。たとえばそれが昨年の十二月とか一月のころは、卸売り物価の対前月上昇率というものは七・一%、あるいは五・五%というような数字でございまして、いわゆる狂乱物価数字の上にもあらわしておりましたのが、いま申し上げますように、最近この二月ばかりでは、月とすれば上昇、しかしそれは〇・七%程度、旬においては、いま申しますように〇%あるいはマイナスというようなものがありましたことは、これは前の私どもが期待をいたしておったとおりでございます。しかし、これから先生御心配の公共料金改定というものをいつまでも握りつぶしておれない状況に来ておりますこと、もう御案内のとおりでございますし、さらに春闘における三〇%前後のベースアップなどの影響も出てまいりますので、私どもはこれから先の物価の推移というものについては非常な警戒をいたしております。  なお、いまの卸売り物価でございますが、消費者物価につきましては、それに季節的な要因が加わりますので、乱高下を免れなかったような最近までの状況もございました。また卸売り物価の影響がややおくれて消費者物価にあらわれるわけでございますので、消費者物価のほうの動きは三月、四月とも卸売り物価の足並みよりもやや高い、こういう状況でございます。そこで、公共料金改定は慎重に慎重を期し、また厳正に上昇幅を押えてまいるわけでありますが、これらを避けられないものといたしますならば、慎重、厳正な態度のうちにそれらの値上がり幅、上昇を認める時期などにつきましても、国民の皆さま方に不安を与えないような形をとってまいりたいと考えております。これまたおくらせますと、これは電気料金でもそうでございましょうし、その他の公共料金でもそうでございますが、先にむやみにおくらせますと、今度はまた抑制率をゆるめなければ、ならないという計算も出てまいりますので、これはもうこれまでの十年間公共料金をずっと押えました場合に、押えたのをゆるめる時期には、長く押えた場合には非常な値上がりの認可をせざるを得ないということでございますので、その辺も従来の経験や苦労を生かしてまいりたいと考えております。
  166. 有島重武

    ○有島委員 いまの話を聞いておりますと、対前月比でお話しになった。これはさんざん物価をうんと上げておいて、これでもってここから動きがないからいいだろうということを言っているように聞こえるわけです。対前年比になると、一体これはどうなるのかということですね。それが一つです。  それからもう一つ、公共料金のことを言われた。しかもうんと物価を上げておいて、その間にはさまってですが、それで物価の値上がりに乗じてやっていく、そういうふうにも聞こえるわけですよ、いまのお話は。そういうお考えでほんとうに国民生活を守っていかれるかどうか、これは私は非常に心配なんです。対前年度比になると、一体どうなるのですか。
  167. 内田常雄

    ○内田国務大臣 物価の対前年比の上昇率は二つございまして、その月、その月が前年の同月に比べてどのくらい上がるか、こういうのが一つと、それからその年度たとえば四十八年度、三月で終わりましたが、四十八年度が前年の四十七年度の平均に比べまして年度と年度との上昇率がどうであるか、こういう二つの問題がございますが、最初のその月の前年同月に対する上昇率というものは、これは先ほども申しましたように、対前月に対する上昇率がおさまってはまいりましたけれども、すでにその対前月というものは前年同月については三〇%以上も上がっておりますので、ここで対前月に押えてみましても、あなたのおっしゃるとおり、前年の同月に対すると、やはり三割以上の値上がりという形を続けております。しかし、これは数字上そういうものが出てくるのでありまして、先月、今月あるいはきのう、きょう、きょうより来月というように日々月々物価が上がるというような従来の状況はおさまったことでございますので、その点は私どもも昨年とは状況が変わっているということを、あらためて御理解をいただきたいと思うところもございます。  それから年度間で申しますと、これは三月が終わりましたので、四十八年度の四十七年度に対する年度間の上昇は出ましたが、これは消費者物価ではちょうど一六・一%の上昇でございました。つまり、四十八年も一初めの四月ぐらいから十一月、十二月ぐらいまでずっと急上昇してまいりましたので、年平均にいたしますと三十何%上がっているということではないわけでございまして、数字のごまかしでも何でもございません。十六・一%、こういう形でございます。  それから最後の、公共料金物価が上がる中においてはさんでいくというが、物価の上がる中にさらに加えてたいへんではないか、こういうことでありますが、私どももできるならば公共料金改定上昇がないことを希望することは、一般国民並びに有島さんと同じ気持ちでございますけれども、しかしこれをいつまでも放置すると、先ほど来たびたび申しておりますように、公益企業そのものが動かなくなるという問題もありますので、実は物価が鎮静する時期までを非常に押えて待っておったわけであります。先ほど来申しますように、月々の物価の鎮静の状況があらわれてまいりましたので、その中に公共料金の合理的な、厳正な査定のもとにおける値上げというものをはさんでおく時期にやっとまいった、こういう次第でございます。  なお、あと十月ごろからの国鉄とか米価とかいろいろまだ待っておるものもございますから、そういうことも頭に置きながら、いままで押え込んできたものをそれまでの間に御順に処置していく、こういうことになりましょうか。財政で全部カバーをしてしまえば別でございますが、なかなかそういうことでいかぬことは、有島さん御承知のとおりでございます。
  168. 有島重武

    ○有島委員 私は時間があまりないから、こんなことで時間をつぶすと困るのですけれども、先ほどの大臣のお話は甘いというわけだ。そのことは御認識いただきたいのですよ。だいじょうぶだみたいなことをおっしゃるけれども、深刻なんだという御認識がもっとなければ、国民生活を守っていくなんてとてもできやしない。先ほどの言い方ではこうだけれども、まあ言われれば指摘のとおりだみたいなそんなことを言っておられるのじゃ、ほんとうに話にならぬと思います。しっかりしてください。先に行きます。  公共料金という問題ですけれども、公共料金の中でも、特に電力なんというのは、空気や水に次ぐようなものになってきているわけですね。こうしたものがなお原価主義だ、営利主義だということでいるということは、これは一体どういうことなんだろうということを国民は思っています。この値上げについて言及していくと、すぐ原価主義というのが出てくるわけですな。原価主義はすなわち営利主義だ。それでもってほんとうに営利なのかというと、国から非常にバックアップされているんだ。それで税金がその中にたたき込まれている、そういうことです。こうなってきますと、公共料金をきめる。このきめ方についても、だいぶ議論がございました。これは国会できめるようにしろというような話も出ました。それをさらに公共料金を上げるときについては、平素のときはいいですけれども、特に公共料金を上げるとかこれだけの騒ぎになってきたらば原価は公開するんだ、これは当然のことじゃないかと思いますけれども、このことについて通産省なんか大否定的な意見にすぐなるわけなんだが、何か企画庁長官としてはこうした公共料金を上げるというときに、これはほんとうに国民に理解してもらうんだ、そうして国民に協力してもらうんだということになるならば、原価を公開する、そこに踏み切るべきだという意見に対してどうお思いになりますか。
  169. 内田常雄

    ○内田国務大臣 政府の中で物価上昇や公共料金改定について、一番深刻に考えておるのは実ははばかりながら経済企画庁でございまして、ほかの省庁がいろいろのことを考えましても、私のほうはそれを押えてきておることについては、ぜひともひとつこの上とも御理解、御鞭撻をいただきたいと思います。それで公共料金については原価主義についての御批判がございましたが、これは私企業につきまして、国は、それが公益的の事業を内容とすることのために、管理、監督はいたしておりますが、その際の料金のきめ方などにつきましては、これはその企業に対する資源、労働、資本その他が集まり得るようなことも考えていかなければ、たびたび申し上げるように、その企業というものは崩壊をしてしまうことになるわけでございます。言いかえますと、受益者負担というようなたてまえのもとに、合理的なる利潤あるいは付加価値が生まれるような、そういう料金のきめ方をせざるを得ないわけでございますので、その点は御理解をいただけると思います。ただし先ほど私が先取りをして申し上げてしまいましたが、国が何でも財政で補助をするということができれば別でありますが、それは国民の税金の使い方としても財政のとり方としても、必ずしも全部が合理的とはいえない。国鉄とかあるいは米などのものにつきましては、御趣旨のような受益者負担制度ばかりでなしに、国がいろいろめんどうを見ておりますことも御承知のとおりでございますし、あるいは電力をはじめ私鉄などにつきましても、受益者負担あるいは私企業の原則をとりながら、ある部分につきましては国の財政あるいは税制におきましてできる限りのめんどうを見ておりますことも、これは申し上げると長くなりますから省かせていただきますが、ある限度ではやっておるわけでございます。そうした場合に、公共料金改定というものは、終局的にはきびしい査定態度のもとにおいても、これの改定を認めざるを得ない事態にまいりますことを御理解いただきたいと思います。これまた他山の石でございますが、英国の労働党内閣が、ごく最近国営企業について資本の利潤を認めるということをウィルソン労働内閣の大蔵大臣がこれを宣明をいたしまして、労働党の経済政策というものが百八十度とは申しませんけれども、九十度以上、百六十度ぐらい転換をいたしてまいりましたことも、あなた御承知だろうと思います。
  170. 有島重武

    ○有島委員 理解してもらいたいというお話があった、努力をしているのを理解してもらいたい。私たちも理解したい。しかし理解できない点がたくさんある。だからこうやって少し資料を出せといっているわけですね。それで今度公共料金についても原価を公開して、みんな国民の理解を求めなさいということは——利潤を取ってはいけないということはいま私は一つも言わない。言っておらぬ。ぼくは言いませんね。おりませんよ、そんなことは。適正な利潤、こういうふうになっておる。そういうことを公共料金に関してはオープンにしたっていいじゃありませんか。いまの企画庁長官のお話とぼくの言っていることとは別の話ですよ。そういうことがあってもいいじゃないか、こういうわけです。どうしてもいけないか、いけない根拠があるのか、こういうわけです。
  171. 内田常雄

    ○内田国務大臣 大切な事項の答弁漏れをいたしまして申しわけございませんでした。一般の企業につきましては、野党の諸先生から企業会計の公開の御要望もございますが、それと違いまして公益事業でございまして、料金認可制になっているものでございますから、その線に沿った意味での原価の公開というものは、姿を変えてはおりますけれども、私はやってしかるべきものであると思います。その線に沿っていろいろの姿で行なわれておるはずでございますので、それは通産当局から説明をしていただきたいと思います。
  172. 有島重武

    ○有島委員 時間が参りましたから、御説明資料でもって出していただくことにします。  いま企画庁長官は、ほかの企業とは違って公共的な企業である、原価の公開をすべき方向に考えるべきだ、そういうふうにおっしゃった。あなた姿を変えてというようなことをちょっと言われたけれども、あまり姿を変えないで原価を公開してもらいたい。その方向に努力してもらいたい。  以上で終わります。
  173. 平林剛

    平林委員長 次に、和田耕作君。
  174. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最初に電力値上げ問題について御質問申し上げたいと思うのですが、長官、端的に申し上げまして、東京電力一つの例にとりますと、東京電力というのはこの数年間最も堅実な経営をしておる。労使関係もりっぱだ。そして石油パニックの起る前までは、まだしばらく値上げなんかしなくてもだいじょうぶですということを言っておった会社ですね。この会社が半年足らずのうちにたいへん大幅な値上げ、六八%というのですから約七〇%近い値上げをせざるを得ないというのは、何といっても政府の責任だと思うのですが、政府はそういうふうな意味での責任は感じておられますか。
  175. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは狭い意味での責任と申しますよりも、経済運営全体について、電力料金など、あるいはまた石油価格の推移等を含めまして国民の皆さま方に信頼をいただき、安心をいただくような政策をとることについての責任を非常に感じておるものでございます。
  176. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 経済企画庁長官と通産省部長さんにお伺いしたいのですが、今回の平均して六二・八九%の電力値上げ、これは各電力会社の内部の状態を検討されると思うのですが、どのような基準で検討なさっていかれるのかという点なんです。まず第一に利益配当というものをどの程度に認めておやりになっていかれるのか、この問題をひとつ伺います。
  177. 内田常雄

    ○内田国務大臣 あれは料金改定についての一つの指導方針といいますか、認可指針のようなものがなければならないはずでございます。電力用に使われている全体の資本的な資産についてはその利潤カバーを一〇〇%に見ていくとか、以下いろいろの基準があるはずでございますので、詳細は、幸い公益事業部長通産省から見えておりますので説明をさせます。
  178. 岸田文武

    岸田政府委員 電気料金の算定にあたりましては、利益配当の扱いは以下申し述べるような方式でやっております。やり方としては二つございまして、一つは実績として算入をする、実績と申しますか、将来の予想も含めて実績値を参考にしながら算定をするという方式、他の一つは、諸外国でも一般的に行なわれておりますが、資本に対する報酬というような項目で一括をいたしまして、一定の比率による算出をし、その中で一部は金利の支払いに充てる、一部は資本の配当に充てる、この辺は経営者の経営努力とくふうによるというやり方、二つのやり方がございますが、日本の場合には後者でございまして、真実かつ有効な資産に対して八%の報酬を原価の中に織り込み、それを先ほど申しましたくふうをしながら使っていくというやり方になっておるわけでございます。
  179. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 現在電力事業に対して国がいろいろと便宜をはかったり援助を与えたりしておるものがあると思うのですが、おもな項目はどういう項目でしょう。
  180. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは私は非常に詳細に理解をいたしておるわけではございませんが、公共料金についてはたてまえとしては受益者負担をとっておるということはたびたび申し上げるとおりでございまして、国のまるがかえということではございません。しかし、これを受益者の負担だけに放置し得ないのがまた公共料金、公益事業の性格でもあろうということでございまして、いろいろの形において国は助成をいたしております。一番わかりやすいのは、食管会計において生産者米価を高く買い上げても、消費者米価については末端逆ざやになるといわれるほどの一般会計から食管会計への繰り入れ、これは四十九年度ですと五千三百億円以上になるはずでございますが、そういう繰り入れをいたしまして消費者家計が異常な状態にならないようにしておること、これは一番簡単な姿でございます。私鉄などにつきましては、原則として国からの助成はございませんが、しかし最近、御承知のとおり、私鉄の建設などにつきましては、鉄道建設公団にその建設分を担当させまして、その資金につきましては、国から利子補給のある、金利の安い金を公団は使って、それで建設をしたものをでき上がり価格で私鉄に引き渡すというような間接助成、あるいはまた私鉄の、通勤とか都市交通などに関する特定の部分について開発銀行から国家資金を融資しているというような一番程度の少ない助成をやっております。国鉄などにつきましてはその中間的に、もう時間がございませんから詳細は申しませんけれども、いわゆる三方一両損というような形で、一部は国鉄の合理化、近代化の努力、一部は受益者の負担、一部は国から工事費補助金でありますとか、政府の無利子の出資金でありますとか、あるいは財政投融資というものを織り込んでおることも御承知のとおりであります。  電力につきましては、私が間違ったことを申しますよりも、当面のことでありますので、国がどの程度の助成的態度を示しておるか、通産省から答えさせます。
  181. 岸田文武

    岸田政府委員 電力会社は、私企業といたしまして会社全体創意くふうをこらし、また努力を重ねて経営をしていくということが基本でございまして、政府からの助成はあまりございません。数えてみますと、たとえば原子力であるとかあるいは地熱発電であるとかあるいは最近の水力に関する緊急着工であるとか、こういった新しい分野につきまして開銀等から融資をしておる。また別の観点から、一般の電力会社で確保できない電力の供給を応援するために電源開発株式会社という形での政府の関与、これらがあげられるのではないかと思います。なお、若干の税制上の援助もそのほかにございます。
  182. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうは私は三十分しか時間がありませんので、要点だけをお伺いしたいのですが、端的に申し上げまして今度の電力料金値上げの六二・八九%、電灯は三三・八六、電力は八〇・五二%という大ワクですね。これはやはり原則というのは原価主義という考え方に貫かれておると理解していいですね。この場合に、特に今度のような電力値上げというのは国民生活に対して大きな影響を持つものです。電灯の三三・八六といい、電力のほうにもあると思うのですが、特に国民生活関係のあるのは電灯なんです。この中で、この値上げの負担にたえられない人というのがちょっと頭に浮かぶだけでもいろいろおられるわけです。病院とか学校とかいう公共的な国民生活に密接な関係を持って、しかもこれが大きな負担にはなかなかたえられない。そうすれば他の必要な仕事ができなくなるというふうなものに対して、国が特別の料金を設定するという考え方をこの際のような場合には導入すべきだと思うのだけれども、いかがでしょう。しかもそういうふうにした場合は国が財政援助をするという考え方に基づいて、ある限定されたもの、つまり電力料金値上げに対して負担にたえられないグループあるいは個人に対して特定の料金をつくる。これはある時期を限ってもいいのです。たとえば三年なら三年という時期を限ってもいいし、いろいろな形で特別扱いをして国民生活にあまり不当な影響がないようにするという考え方、その資金は国が財政的に援助をする、こういう考え方の導入が必要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  183. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども電力料金国民生活に非常に大きなかかわり合いを持っており、その値上げの及ぼす影響はかなり大きいだろうということを心配をいたしております。したがいまして、私ども査定にあたりましては極力低位に押えるという配慮は当然のことであろうと思います。さらにまた今回におきましては三段階料金制を導入いたしまして、一定の電力消費量以下の家庭については割り引き料金適用するというような措置もあわせて採用することにした次第でございます。  ただ、いまお話の中で特に困っておる幾つかの対象についてどうするのかという点でございますが、私ども電気料金というもののいわば宿命といいますか、あらゆる政策に対して電気料金だけで対応するということにはおのずから限界があるという点は御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。そうは申しましても、社会福祉の重要性ということは政府全体として全力をあげて取り組むべき課題である、こう考えております。お示しのように特殊の対象について国で応援をするということ、これはむしろ電力料という形ではなくて、広い意味での社会政策、福祉対策の充実というような形で当然カバーされるのではないかと思っております。私どもは今回の値上げの影響についてそれぞれの関係省にその内容説明し、今後福祉政策を進められる上において参考にしていただけるように配慮していきたいと思います。
  184. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまおっしゃる趣旨は理解できます。こういう個別的な物価の値上がりということを一つ一つ取り上げないで、別途に社会保障的な形で収入をカバーしていくという考え方はわかりますけれども、ただ電力料金の場合はきわめて特殊な商品だというふうにも位置づけられるわけですね。たとえば国は、いま長官もおっしゃったとおり、お米の問題についてはそういう配慮をしておるわけです。それは国がとにかく特別な財政援助をするという形、内訳にわたっては私がいま申し上げているようなこととは少し違いますけれども、この電力の問題は、特に今回の電力値上げということは、企業がまずいことをやったということではないわけです。国の大きな経済政策の失敗ないしは転換ということが一番大きな原因である。しかも電力というのは独占企業であって、競争的な条件はないという要素があるわけですね。そういう要素で、この問題が今後またどうなるかもわからぬというような不安な要素があるわけです。たとえば国鉄を四月一日から二三、四%引き上げるということ、これは凍結されて十月一日になっているけれども、来年国鉄の運賃を引き上げないという保証は一つもないでしょう。おそらく原価主義的な受益者負担のような考え方が従来政府がとっている考え方だとすれば、当然国鉄の値上げなどということは問題になる。またきっとやるのでしょう。(発言する者あり)もしやらなけば、いまそこにいろいろ雑音を発する男がおるけれども、国が援助しなければならない。そうでしょう。電力の問題については当然値上げは避けることはできない、やらざるを得ないと私は思います。しかしそれにしても問題はどうして国民生活を守れるのか、国民生活にあまりしわ寄せしないで済むかというむずかしい課題をここで解決しなければならないわけです。そういう場合に、なかなか普通の方法ではできない場合に、特にだれもが使うお米を食べると同じような広さで使う電力については、当然いまの、ちょっと私二、三の例をあげたのですけれども、病院とかあるいは社会福祉施設だとかそういうものについては特例をあげてしかるべきだ、そういうふうな形で電力料金の認可の問題を検討すべきである、私はそう思うのですが、長官いかがでしょう。
  185. 内田常雄

    ○内田国務大臣 和田さんのお話はそれなりに私にはよく理解されます。これは少し言い過ぎかもしれませんが、もし私があなたのところにすわっておったといたしました場合には同趣旨の発言をいたすかもしれません。しかし今度は通産省を担当とする政府当局の立場に立ちました場合に、あなたの発言なりあるいは仮定した私の発言なりにどう対処するかがいいかということを公平に考えました場合に、それは電力会社のような私企業であって、国が直接の助成をする制度をとっていない形にある企業に、認可の態様あるいはまた公益事業法の構成などによって料金を特別に割り引いたりするような複雑な制度を当該企業に持たせることがいいかどうか。これはたとえばいまの病院でございますとかあるいは母子寮、身体障害者の施設をおあげになりましたが、そういうようなものを例にあげますならば、今度は保育所もあるかもしれません。あるいはもちろん老人ホームのほうが優先するかもしれませんし、義務教育諸学校はどうするかというような問題にもなりましょうし、そういう施設ばかりでなしに、七十歳以上の老人のいる家庭についてはシビルミニマムではなしに特別その上にさらに配慮をすべきであるかとか、あるいは在宅の心身障害児をかかえる家庭についてはどうかというような問題になりますと——それは必ず出てくる問題であります。これがたとえば他の物品税であるとかいうようなことになりますと身体障害者の使う自動車については物品税を課さないとか、そういうことはわりあいにできますし、あるいはまた身体障害者の場合には国鉄料金等について割引券、無料乗車券を発行するということもできますけれども、いまの同じ屋根の下ということを考えます場合には、そういう家族をかかえられる家庭の全部に及ぶような電力料金についてどのような配慮をすべきかいろいろむずかしい問題もございますので、なるべく料金としては一般的なシビルミニマムを今度の計画のように安くするというところまでは直ちにいき得るにいたしましても、その他いまあなたがおあげになりましたり私が補足をいたしました対象などを含む場合には、これはたとえば生活扶助でいきますとか住宅扶助でいきますとかあるいは厚生省のその他の施設の助成、これは措置費と申しますが、措置費などの配慮でいきますとかいうほうがいいかという問題に直ちに突き当たる問題でありまして、それは和田さんのお説はりっぱなお説であって、そういう御意見があることは私どもも当然脳裏に刻んだりまた速記録に長く残さるべきことであると思いますが、それにつきましは今後の課題としてひとつともどもに研究をさせていただきたいと私は正直に思います。
  186. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは特に大臣、通産大臣とも御一緒に検討していただきたいのは、いま私申し上げた理由のほかに、電力料金というのは地域的な独占の企業であり、独占料金ですね。しかも日本国じゅうが同じ値段であればまだいいんですよ。東京電力の範囲とあるいは四国電力の範囲とはみな違う。みな料金が違うわけです。四国電力と東京と、九電力みな違う。そういう問題があるでしょう。そういう問題は、これは単に非常に生活に困っておる人だけではなくて、中小企業に対してもあるいは一般の企業に対しても、同じ日本人が東京の周辺に住んでいる人と四国におる人とが、独占的な、自分の選ぶ範囲の少ない、しかも生活の絶対必要な電力を違った値段で受け取るということ自体に問題があるんですよ。この問題はやはり基本的な問題として考えてもらわなければならぬ。しかしそれはいろいろと従来のあれがありますから、それはにわかにやれといったってできないことです。ただ国民、いまのインフレで非常な被害を受けておる、しかも三二%の賃上げ等によってカバーのできない人、こういう人には、あるいはこういう社会福祉施設等の企業には、少なくとも全国一律の電灯料金というもので国が配慮をする必要がある。そうでしょう。東京付近の社会福祉というのはよくて四国の付近の人は損だというようなことは、これは憲法のたてまえからいっても許されないわけです。そういう点からいっても、このような異常な原因で、しかも政府にも責任のある原因で物価の高騰が行なわれた。基本的な公共料金一つ電力値上げが行なわれようとしている。しかも、それに対してなかなかついていけない、対応できない一群の人たちがおる場合に、これは私はぜひとも国の財政負担でもって、ある一定のたとえば三年なら三年という時期を限ってもいいと思う、そういうこまかい配慮というものが私、必要だと思う。いかがでしょうかね。
  187. 内田常雄

    ○内田国務大臣 よく私は理解されますこと、先ほどから申し上げているとおりであります。しかし、実施上の段階になりますと、そういう物価上昇期、インフレ期における各所得者の所得の増加あるいは増加しないというような立場にある人々の所得のでこぼこ、生活のでこぼこを、これは電気料金ばかりではなしに他のものもございましょうけれども、そちらのほうにでこぼこをつけて補うということは、これは実施上は非常に複雑で、それがいいかどうかという問題を伴うので、和田さんの御発言は私はたいへん価値ある御発言だと思いますが、実施の立場にある私どもとしては、御発言を御発言として胸にとどめておいて、それでやるのがいいか、いつやれるか、他の形のやり方があるかということについて、これはいまは和田さんの御発言の形でございますけれども、これはいまの政府ばかりでなしに国会や世論やその他を含めて今後対処すべき問題ではなかろうかと思います。しかし、たいへんごりっぱで私が理解できる発言でございますけれども、今度の電力料金改定の際に、そのようなたいへん技術的な困難をも克服しなければならない問題を、これは間に合わないからということではなしに、政府として思想統一や踏み切りができない問題をも含んでおりますので、今度間に合わせる、今度それを取り入れるということは考えておりませんというまた現実論をも申し上げておくわけでございます。
  188. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その問題についてはこれでやめますけれども、長官、今度の新しい物価水準、いろいろでこぼこがあるのを一応の均衡のとれた水準にしていくという目標を政府は持っておると思うのですが、これは大体いつごろまでにおやりになろうという計画——これは一年以内、来年の春闘までにはということになれば、この秋ごろまでには大体見通しをつけなければならぬということになるわけですが、この狂乱物価をいつごろまでに新しい条件下の水準を持った物価の状態に持っていこうとなさっておられるのか。この問題についての、これは何といっても政府最大の責任者が長官なんですから、長官がそういう見通しを持っておられないということは、これは政治責任を果たされるゆえんではないと思いますから、当然持っておられると思うのですが、いつごろまでに大体物価の新しい水準での鎮静化をはかろうと思っておられるのか。
  189. 内田常雄

    ○内田国務大臣 それはたいへん御理解に富んだ和田さんのお尋ねであると私は思いますので、私の心持ちを申しますと、私が責任の立場にあろうがあるまいが、なかなかむずかしい問題でございますが、少なくとも来年度の予算を編成をいたしますとき、そのときには経済企画庁といたしましても、これは従来必ずしもりっぱな文章とはいえませんが、「経済運営の基本的態度」というようなものも予算とあわせてつくります。ですから、そのときまでには今後の経済指導政策というようなものを、今般の春闘における賃上げでありますとか、あるいは国の内外の制約からくるところのエネルギー資源の制約とか、それはしたがってまた経済構造の変革にもつながるものでございましょうし、さらにはまた物価関係が、でこぼこの物価を一口に申しますと新しい物価体系というようなものに想定をしながら持っていくことでございますので、そういう要素をもおおむね組み入れました経済指導体制と申しますか、経済運営方針と申しますか、そういうものをいま申しますような予算編成ごろまでにはだんだん政府の中で思想統一していこうと思います。これは世上の一部に伝えられますように、来年の春闘対策だというようなそういうような狭い範囲に限って、また来年の春闘に対する警戒的態度だけを目的とするというようなことではございません。それは来年の春闘等がことしと同じような形で行なわれたり、同じような結果を来たすということになりますと、これはたいへんなことになると思いますから、私はそれを意に介さないということではございませんけれども、しかし焦点をそこにだけ当てることではないというわけでありまして、いささかこれは舌長になるかもしれませんが、私どもの申します所得政策というのは給料、賃金の規制政策というような、従来とかくとられがちであった立場ではなしに、経済の成長といいますか、付加価値全体のワクがいままでのように無条件、無制限で大きくならないというような、パイの広がりが制約されてくる中で、どのようにしていろいろな階層の所得の配分を考えていくべきか。これは狭い意味の所得政策といいますよりも、公正なる所得の分配率というような意味も私はあり得ると思うわけでございますが、そういうようなことも構想をいたしておるわけでございます。あなたの思われることと私が心配をいたしておることと同じ点をついているように思いますので、またいろいろ御指導もいただきたいと思います。
  190. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今度三二%という大幅な賃上げが行なわれた直後なんですけれども、いまの時期が非常に大事だと思うのですね。この時期に政府が一定のはっきりした目標を持って、そして物価の新しい水準での安定というのを全力をあげて達成をするということをやらないと、いままでのような形でこのまま——これは私が心配するのは参議院選挙が過ぎますと、また内田さんは長官でなくなるかもわからない。閣僚は大部分かわりますよね。そうなると、またいままでどおりの形を繰り返して来年の春闘まで来ると、どれぐらい上がるか知らぬが、今度は五〇%ぐらい賃上げになる。いまのままでいけばそういう可能性がおそらくありますよ。そうなれば少なくとも相当長きにわたって物価の鎮静が非常に困難だということになる。したがってこの時期に政府はもっと真剣にこれらの問題を——どもも公共料金をいままで三年間の凍結なんということを言ったけれども、もうそんなことは申しません。申したって凍結することが正しいと思わないから。上げるべきものは上げなければならぬと思います。しかし上げなければならぬと思うけれども、政府としてはっきりとしたそういう見通しがないと、たいへんなことになりますぞということをいま申し上げておるわけで、いま長官は予算編成ごろといいますから大体十月。十月ごろの段階には新しい水準の、物価の調和のとれた状態をつくり出すというふうに理解していいわけですね。そのときの来年度の予算の前提になる物価をどれくらいのものだとお考えになりますか。これは単に長官の思いつきでいいんです。今年の場合は一六%ということでした。十六%が二〇%近くなる、私はそれ以上になるかもわからぬと思うけれども、長官は一六%より下で押えられると思いますか。あるいは二〇%近くまで上がっていくというふうに見通されますか。いかがでしょう。
  191. 内田常雄

    ○内田国務大臣 それはたいへんむずかしいところでございますが、これは物価数字には御承知のように非常に人を惑わす数字の表現がございます。四十八年度は四十七年度に対して物価が一六・一%年平均上昇した。これは実は私どもの経済見通しでは一四%でございました。改訂をことしの一月の初めにいたしましたときの年度間、年と年との平均上昇を一四と見ましたのが、三月に締めてみましたら一六・一%というようなことで厚生年金、国民年金等のスライド指数というものもその一六・一を使っておりますことは御承知のとおりであります。ところがきょうまでの現在のこの二カ月ばかりが卸売り物価等もわりあいに安定した足取りをたどっておりまして、月々の値上がりというものは一%以下であります。〇・七%とかあるいはその月の中のある旬によっては、物価の対前旬上昇〇%であるとかあるいはまたむしろマイナスの〇・一%というような旬、これは四月の中旬などはそうでございましたので、比較的安定をいたしておりますのでそういう情勢がかりに続くといたしますと、四十九年度は物価は横ばいではございません。若干の値上がり、若干の上昇にとどまるわけでございますが、対前年に比較をいたしますと、つまり昭和四十八年は四十八年の当初から年度末までの間に急上昇を来たしておりますので、急上昇の年度の終わりのところを平らにこうきたもあがこういきましても、対前年に比較いたしますといわゆるげたの作用、げたというものがありまして、これを表現するときには対前年度について幾らかというようなげたを含んだ数字と表現しなければならないことになります。これは逆の場合もありまして、政府の発表する数字というものは、われわれ消費者の実感に合わないというようなことを言われますが、逆に実感が合わない、そんなに上がっているはずもないのだけれども、政府の数字が上がっているというような、げたが大きいというときには、そういうような感じを持たせるようなことに四十九年度はなろうと思いますので、これを幾らに見ていくかというようなことは、つまりことしの予算編成期まで、先ほど申し上げました各方面の要素を取り入れられた包括的検討の到達したところでことしの昭和四十九年度の経済見通しにおける物価上昇率というようなものも改訂の発表を一応私はすることになろうではないか、こんなことを申し上げるのは初めてでありますが、いまごろ腰だめでやってみましても、私は何にもならないと思います。春闘の影響がどう出てくるのか、公共料金値上がりの影響がどう出てくるのか、まだ何も出てきていない先に、四十九年度の経済見通しのささやかなる改定版というようなものを出してみますよりもこれはそれなりに必要がある面もございます。国際収支などはかなり変わってきていることがうかがわれますので、物価ばかりの要素ではございませんが、いろいろの面をまとめてまいりまして、先ほど申し上げましたように、ことしのだんだん押し迫るころぐらいになるのではなかろうかと思います。実は新聞などにも、一部のけさの新聞にどういうかげんか出ておりますが、経済企画庁でやっております春闘の影響でありますとか、今後の経済運営の指導方針みたいなもの、いろいろな機械といいますか電子計算機やらモデルやらをも使いまして、客観的な作業もさせておるわけでございますので、物価の見通しについてももう少し私は慎重を持してまいるのがよいのではなかろうかと思っております。
  192. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官、いま質疑をしているちょうど一年前に、この席でいまの状態はインフレかインフレでないかという議論を盛んにやっておったわけです。長官もインフレのようなインフレでないような答弁を盛んに繰り返しておったわけですけれども……(内田国務大臣「いや、そのときには私は就任していなかった。」と呼ぶ)ああ、そうでしたかね。それが現在ではウルトラインフレみたいな状態になってきたということですね。今度の場合に先ほど申し上げたとおり、いまから数カ月の政府の方針のとり方、その方針の守り方というものが非常に重要な時期だということは、長官もよく御理解をいただいていると思うのですけれども、政府の責任者としてそうひどいことはないのだという考えにおちいることはわかっているのですけれども、そういう考え方におちいり過ぎるということを御自分でお考えになっていただかないと、正しい政策というのは出てこない。また国民の協力もなかなか得られないということですから、いま客観的に見通される公共料金値上げにしましてもたいへんなことですね。またいまの国鉄料金の問題、先ほど触れたのですけれども電力がこう上がってくると人件費の値上がりもあるのです。国鉄料金は延期しているが、あの料金で行けるかどうか、私は行けないと思います。そういう場合に必ず起こってくる大事な問題は、今後国の財政負担が公共料金のアップに対してどのような役割りを果たすべきかという問題ですね。いままで政府は、国鉄の料金にしても受益者負担という考え方を貫いてきたのです。電力でもあれをしようとしている。こういうふうに異常な形で物価が上がっていく、しかも政府の責任でこれが上がっていくということになれば、政府は当然政府の財政でもって公共料金値上げをカバーしていく。どこを一番カバーするかといえば、国民生活が不当に侵害されるであろうという部分を財政でカバーしていくという考え方が当然出てこなければならない。そういう問題をこの電力料金の問題も含めて、ひとつぜひともお考えいただきたい。  私ども、いままでの立場であれば、電力料金値上げ反対だという形でいくわけですけれども、そういうことを言う時期じゃないと思いますから、上げて、しかも国民生活を守るためにはどうしたらいいか、こういうふうに問題を提起されているわけですから、またしなければならないわけですから、先ほど言ったような、最も困る人たちに対して、ある当分の間でも、ある時期を限ってでも、政府は財政でもってカバーしていくという考え方がないと、いまの物価に対する正しい結論は出てこないのじゃないか。また政府の政治責任も、そういうことだけはやらないと果たされないのじゃないかという感じがするのです。したがって、いまの電力料金の問題について、自分たちではなかなかカバーできない人たちについて、しかも区別のしやすい人たちですね。こういう問題は限界がなかなかむずかしい。そういう限界のむずかしい中で、限界をつけてあるいは三年、五年と日数を限って、財政負担でもって国民生活をカバーしてあげるという考え方は、ぜひともできるだけ早く御検討をいただきたいと思います。  以上でもって私の質問を終わります。
  193. 平林剛

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十三分散会