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1974-05-09 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月九日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 橋口  隆君    理事 山下 元利君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       山崎  拓君    金子 みつ君       横路 孝弘君    有島 重武君       和田 耕作君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁国民         生活局長    喜多村治雄君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  委員外出席者         議     員 松浦 利尚君         国税庁間税部長 横井 正美君         食糧庁総務部長 杉山 克己君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   中村  茂君     横路 孝弘君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     中村  茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  総合商社事業活動規制に関する法律案(松  浦利尚君外四名提出衆法第二九号)  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 井岡大治

    井岡委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席がおくれますので、指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  松浦利尚君外四名提出総合商社事業活動規制に関する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 井岡大治

    井岡委員長代理 これより提案理由説明を聴取いたします。松浦利尚君。
  4. 松浦利尚

    松浦(利)議員 ただいま議題となりました総合商社事業活動規制に関する法律案につきまして、日本社会党を代表し、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  昨年からの当委員会及び今国会予算委員会における物価審議によって明らかにされましたように、総合商社と呼ばれている巨大企業商活動は、物価値上がり物不足を生じさせる大きな要因として国民的な批判を受けていることはよく御承知のとおりであります。  戦後、合併合併を重ねて独占化を進めていった商社自民党政府による高度経済成長政策に乗って事業活動範囲を大きく拡張し、本来の貿易業務から国内卸売り業不動産業、さらには建設、レジャー産業等、きわめて多くの事業を取り扱う一方、取り扱い商品種類もあらゆる物資に行きわたりばく大な利益取得することによって流通市場における独占化系列化を進めてきたのであります。  近年、総合商社は多品種かつ巨額の商品取引、抜群の金融力、膨大な量にのぼる情報収集能力など、独占化によってつくられた強力な諸機能を活用し、巨大な金額と数量の株式取得資金融資等を通じて、原材料輸入から加工、製造、製品販売に至るまでの過程と全体的に系列化し、おのおのの流通段階にある企業を自己の支配下に置き、資源開発等巨大プロジェクトの中核となるなど、その事業分野をますます拡大してきました。さらに都市銀行とともに旧財閥商社が新しい形態をもって企業集団形成を進めつつあり、主要業種を網羅して、わが国経済に与える影響ははかりしれないものがあります。  本年一月、公正取引委員会が発表した総合商社に関する調査報告によれば、総合商社売り上げ高は、昭和四十七年度において、上位六社で約二十一兆円、上位十社では約二十五兆円であり、これは本年度一般会計予算を五〇%近く上回わるという巨大な金額にのぼっているのであります。また、取り扱い商品はきわめて多岐にわたっておりますが、たとえば鉄鋼、綿織物については、上位六社だけで国内の一次卸売り販売額の七〇%以上、生糸、合成樹脂等では五〇%をこえるシェアを有し、輸出入については、六社でわが国輸出の約四〇%、総輸入の約五〇%というきわめて高い取り扱いシェアを占めております。さらに同調査では、総合商社における資金調達力の強さが示され、これを利用した商社金融は、昭和四十七年度末に、六社のみで七兆四千億円に達し、また有価証券保有額は一兆二千四百億円であり、前年度末に比べ四千億円も急増し、土地保有額は二千六百億円にも達しております。  わが国総合商社はこのように他に優越した地位にあり、この立場を乱用して不当な取引を行なっており、また流通市場独占化に伴って各種物資価格形成に甚大な影響を与え、さらに、総合商社に属する企業集団がおのおの結束をかため、グループの拡充強化に狂奔する場合には、わが国経済における市場独占化され、中小企業その他の事業者が独立して事業を営むことは困難になり、きわめて深刻な状況におちいることは目に見えて明らかであります。  昭和四十六年のニクソン・ショック以降、金融の超緩慢、為替変動等背景もあって、総合商社はその余剰資金を活用して土地株式、米、砂糖等多種多量物資にわたって買い占めに走る一方、輸出入段階を含む流通過程大豆、羊毛、木材等国民生活にきわめて関連性の高い物資について売り惜しみを行なうことによって物価暴騰物不足を招来させ、国民のきびしい批判を浴びたところであります。  さらに脱税に始まり、在庫分散通達木材価格操作便乗値上げなど、総合商社悪徳商法ぶりが次々と暴露されるとともに、東南アジアにおける反日暴動などから総合商社に対する国民不信感は抜きさしならぬところまで達し、国の内外における商社の行き過ぎた経済活動について、商社のあり方、社会的責任が強く問われてきているところであります。  わが党は、このような独占利益を拡大するための総合商社による価格のつり上げと物資流通操作に対してきびしく規制し、国民生活の安定をはかるため、ここに本案を提案した次第であります。  次に、法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一は、総合商社の定義とその責務を明確にすることであります。  すなわち、多種類物資輸出輸入及び卸売り事業を行なう資本金五十億円以上の株式会社を総合商社として政令で指定し、総合商社は、不当に高い価格による契約の締結、物資買い占め売り惜しみその他物価の安定及び物資の円滑な流通を阻害するような反社会的行為をしてはならないこと、並びに国及び地方公共団体が実施する物価安定等施策に協力しなければならないこととしております。  第二は、総合商社事業活動範囲制限することでありまして、総合商社輸出輸入及び卸売り以外の事業兼業は、通商産業大臣の許可を受けた特別な場合を除いて禁止し、総合商社取り扱い事業を減らすことにより流通市場独占化規制しようとするものであります。  第三は、取り扱い物資制限についてであります。これは現在、総合商社がありとあらゆる商品に手を出すことによって国民生活物資供給に重大な支障を与えていることにかんがみ、この取り扱い品目制限することにより物資供給価格の安定をはかろうとするものであります。また取り扱いを認められている物資についても、その物資の仕入れ、販売及び保管の状況等について届け出ることを義務づけ、総合商社活動の反社会的行為をきびしく規制しようとするものであります。  第四は、総合商社土地取得制限することであり、本案におきましては営利を目的とする土地売買はできないことはもちろん、土地取得及び保有についても一定制限を設け、商社買い占め土地を解放しようとするものであります。すなわち、総合商社は、一定基準の面積以下の事務所用地事業用施設用地または福利厚生施設、その他特別政令で定める場合を除き、土地取得または所有してはならないこととしております。  本案は、さらに総合商社事業活動国際的信用の保持、物資の円滑な流通物価の安定または中小企業事業分野確保の見地から不適当であると認めるときは通商産業大臣が必要な指示を行なうこと、それに従わぬ場合は公表する等の規定を設け商社活動規制するとともに、総合商社が本法律案に違反して事業を行なった場合には営業停止処分を行なえるなどきわめてきびしい内容を盛ったものであります。  その他、立ち入り検査の実施に関する規定、本法の施行に関する国会への報告義務兼業禁止規定違反者に対する三年以下の懲役または二千万円以下の罰金取り扱い物資及び土地取得規定違反者に対する二年以下の懲役一千万円以下の罰金など、商社活動制限規制に関しまして実質的効果のある諸規定を設けておるのであります。  以上、この法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 井岡大治

    井岡委員長代理 以上で本案提案理由説明の聴取は終わりました。      ————◇—————
  6. 井岡大治

    井岡委員長代理 物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
  7. 山崎拓

    山崎(拓)委員 まず企画庁の物価局長に最近の物価情勢につきましてお伺いをいたしたいと思うのです。  先般の総理府の発表によりますと、東京都区部消費者物価指数が前年同月比で二三・九%上昇しておるということであります。卸売り物価鎮静のきざしを見せておるけれども消費者物価はこのようになお根強い騰勢を示しておるという実情であります。この消費者物価上昇につきましては、季節的な要因あるいはゼネストの影響等があるといわれておりますが、その後特に生鮮食料品につきましてはなお高騰したままの状態を続けておるわけでございまして、きわめて消費者に強い不満を生ぜしめておる現状であります。そういう現状からいたしまして、卸売り物価動向並びに消費者物価動向について基本的にどのような御認識をお持ちであるか、まず承りたいと思います。
  8. 小島英敏

    小島政府委員 先生おっしゃいましたように、消費者物価はことしの一月、二月と前月比四・四%、三・四%と相当のいわば狂乱状態を示しましたけれども、三月はかなり鎮静化いたしまして〇・七%、ところが四月にまた三・五%の上昇でございまして、これは東京の速報でございますけれども、前年同月比で申しますと、ただいま先生おっしゃいましたように二三・九%ということになっているわけでございます。卸売り物価のほうは御案内のように、これも一月、二月五・五%、三・九%といわば狂乱状態を示しましたけれども、二月の中旬から著しく鎮静化いたしまして、石油製品価格引き上げ等がありましたにもかかわらず、三月が〇・七%、四月の上旬が〇・三%、中旬は〇・一%の微落ということで、著しく鎮静化しつつある現状でございます。  今後の動向につきましては、卸売り物価のほうは私どもの考えでは、これまでの狂乱物価を招きましたいろんな要因がいまいずれも鎮静方向に向かっている。いわゆる石油問題が昨年末からことし一、二月の狂乱の一番大きな原因でございましたが、これは最悪事態を脱して漸増が見込まれるということがございますし、それから国内的な要因といたしましての需要超過傾向は、本年度予算及び金融引き締め堅持ということで著しく国内需要鎮静いたしております。それからもう一つの大きな原因でございました海外国際商品暴騰というものも最近は著しく事態が改善いたしてまいりまして、ロイター指数等で見ましてもむしろ反落傾向に入っているということでございます。したがいまして今後卸売り物価について多少心配されます点は、今回の春闘賃上げ幅が非常に大幅でございましたので、これが卸売り物価の、つまり製品価格の面でコスト要因コスト上昇になるのではないかというのが一つ。それからもう一つは、石油価格大幅値上げに伴って、これがいわゆる新しい価格体系がつくられるという過程であるわけでございますが、そういう石油価格の直接、間接の影響が今後コストアップとして卸売り物価影響するのではないか、この二点ぐらいが心配される点でございます。しかしながら、私どもの感じといたしましては、昨年末からことし一、二月にかけての卸売り物価の非常な急上昇というものは、これらのコスト上昇要因相当大きな部分、ほとんど大部分先取りの形ですでに製品価格引き上げが実現されてしまっておるというふうに考えております。したがいまして、多少のさらに追加的なコスト要因がございましても現在の総需要調整堅持してまいります限り、需給関係から申しましてなかなか値上げを実現するようなことがむずかしい情勢でございますから、卸売り物価につきましては今後鎮静化方向をたどっていく、現在の鎮静化状況が定着していくものと期待しているわけでございます。  消費者物価のほうにつきましては多少事情が異なりまして、やはり卸売り物価から消費者物価に対します影響というものは若干のタイムラグを伴うということが一つございます。したがいまして、これまで卸売り物価が上がりました影響が、やはり多少消費者物価のほうには原材料値上がりコスト上昇を通じて影響していくということがございます。  それからもう一つは、やはりいままで全く先取り値上げが行なわれておりません公共料金部門、これが今後どうしてもコスト上昇に伴って、石油価格及び賃金上昇等コスト上昇要因公共料金引き上げという形で顕在化いたすことはある程度やむを得ない面がございます。  それから第三番目に、やはり賃金大幅上昇に伴って、現在のところ非常に消費者のビヘービアと申しますか、健全な形で鎮静化いたしておりますけれども、大幅に所得がふえます場合には、これが購買力の増加として顕在化する可能性がなくはないというような点が考えられるわけでございまして、したがいまして消費者物価のほうにつきましては、いま直ちに安定化と申しますか、完全に鎮静するというところまではまだいっていない。やはりこれが鎮静化しますにはもうしばらく時間がかかると思います。しかしながら、去年の暮れからことしの一、二月にかけましたような消費者物価狂乱状態というものは、野菜その他の季節商品暴騰というものもからんでおるわけでございますけれども、もうああいうような状態はない。多少あとしばらくじりじり上がるにいたしましても、ああいう狂乱状態はないというふうに思っておるわけでございます。
  9. 山崎拓

    山崎(拓)委員 総理府物価白書によりますと、最近の物価上昇には、第一段階、第二段階とあるということであります。第一段階は四十七年八月から昨年の八月までの間、大豆木材、繊維、皮革等海外物価に先導された物価上昇特徴が見られる。これはまさにただいま社会党が提案されました大商社活動規制関連を持つ現象がその当時見られたと思うのでありますが、さらに第二段階に昨年の九月からことしの三月まで石油危機等物不足に振り回されたチリ紙、洗剤、砂糖灯油等中心とした消費者の買い急ぎによる物価上昇特徴が見られた。ただいまの物価局長お話をお伺いをいたしますと、卸売り物価はきわめて鎮静化に向かっておるが、ただ今後春闘の大幅な賃上げあるいは石油価格値上げ等による新しい価格体系形成、そういったことからなお心配の要素もある、消費者物価は今後さらに上がる要素もあるということであります。が、そういうことになりますと、この物価上昇特徴というのは第三段階に移行しておるということであります。  そこで次官にお伺いしますが、この第三段階において政府は一体どういう対策で臨むかということでありますが、ただいまの局長お話によりますと、総需要抑制策堅持するというお話があったのでありますが、今日はすでに景気は非常に不景気になってまいっておりまして、中小企業は非常に苦しんでおるわけですね。生産指数もきわめて低調になって在庫投資がふえておるというような状況でありますが、ただいま局長お話のように今後とも公共投資抑制あるいは金融引き締め中心といたしました総需要抑制政策を当分の間堅持するという方針であるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  10. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 最近の物価動向につきましては、ただいま局長から御説明を申し上げたとおりでございまして、日本経済全体としてかなり冷えてまいってきたかとは思いますが、しかしながらいまこの段階で手綱をゆるめた場合にはまた過熱の危険もかなりあろうか、このように判断をされますので、私どもとしてはいましばらく総需要抑制策並び個別物資対策は続ける必要がある、このように判断をしております。  なお、御案内でございましょうが、いわばポスト春闘経済運営をいかにすべきかにつきましては、目下経済企画庁中心検討中でございます。
  11. 山崎拓

    山崎(拓)委員 そこで通産省の石油部長にお伺いをしたいと思うのでありますが、最近の新聞報道によりますと、石油消費規制緩和するということが通産方針であるというふうに報ぜられておるわけでございますが、この点いかがですか。
  12. 熊谷善二

    熊谷政府委員 六月の規制措置をどういうふうな扱いにするかという点につきまして、現在いろいろ検討いたしておるところでございますが、新聞に報じられておりますように、消費規制をこの際緩和するということを決定したわけではもちろんございません。おそらくそういった報道背景といたしまして、最近の原油の国際的な需給関係というものがやや緩和をしてきているという点がございます。それを受けまして、日本に入ってまいっております原油の入着状況も一ころから見ますと改善されてきているということもございます。そういうような状況から見まして緩和措置をそろそろ講ずべきではないか、こういう判断というものはだんだんいろいろあるとは思いますけれども、この緩和措置につきましてはいろいろ国内需要の見通しあるいはその他種々の観点からの検討がさらになお必要であろうかというふうに考えますし、また国際的な需給関係も完全に事態が改善し切った、こういうふうな状況ではなくて、まだなお流動的な点もございますので、そこら辺もあわせまして今後検討をいたしたい、かように思っておるわけでございます。
  13. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私は世界的な石油需給関係がやや短期的に見ると緩和しつつあるということはわかるのでありますが、しかし長期的にあるいは基本的には石油危機というのは根強く続いておるものであり、かつ簡単に解決のできる問題ではないという考え方をとっておるわけでありますが、今日のような新聞報道がなされてまいりますと、国民の一般的な心理といたしましては、石油危機はすでに去ったのではないかというような印象を持ち始めておるという気がするわけであります。そういたしますと、政府の基本的な方針がなお総需要抑制政策堅持ということからいたしますと、春闘によりまして大幅な賃上げが行なわれて潜在的な消費購買力というものがついてきておる、あるいはせっかく最近の消費者態度というものがきわめて節約の方向に向かっておりますし、かつ全国勤労者世帯消費支出指数も下がっておるというようなこの実情を、せっかくそういう政府施策に呼応するような国民心理あるいは消費態度というものが生まれてきておるときに、通産の打ち出し方次第では私はそれがさま変わりをしてくるということが感ぜられるわけなんですね。そういう点私は慎重にやっていただきたいと思うのでありますが、標準価格もこれを撤廃する方針であるというようなことも、これは非常に国民に対する心理的な影響が強い問題であるのですが、この点についてはいかがでございますか。
  14. 熊谷善二

    熊谷政府委員 標準価格問題につきましては、石油関係では灯油LPGがございますが、灯油につきましてはこの委員会でも前に御説明申し上げたことがあるかとは思いますが、昨年の店頭三百八十円という十八リットルかんの標準価格につきましては、現在の元売りの仕切り価格というのが約一万三千円、それを新価格段階でも据え置いてきているのでございます。  この価格は昨年の十月ころから始まります需要期を通じてこの価格は維持しようという政府の決意のもとに今日まで据え置いてきたわけでございますが、次の冬の需要期に備えまして、どのような価格を設定するかということにつきましては、私ども今後慎重に検討したいと実は考えておりますが、ただ申し上げたいと思いますのは、現在の据え置いております仕切り一万三千円、末端価格三百八十円という価格のまま新しい次の冬を迎えるということができるかどうかという問題については、私どもかなり無理があるのではないかと実は考えております。それは、三月十八日から実施しております新しい価格体系の中で、原油代大幅値上がりということがあってなおかつ灯油につきましては据え置いてきておりまして、この辺はいま他の油種とのバランスを著しく欠いておる状況になっております。価格物価対策面から押えなければならぬということにつきましては私ども十分理解をいたしておりますが、同時に量の確保という面につきましても非常に必要でございます。そのためにいまから備蓄をさせなければならないということがこれからの大きな課題になってまいると思っておりますが、現在の価格のままで備蓄の増強を各会社にさせるということは、実際問題としてなかなか無理があるのではないかというふうなことを考えておるわけでございます。  今需要期もほぼ終わりに近づいておりますので、私どもとしましては、近い機会に、昨年十月からとっておりましたこの価格につきましては、一たんこの標準価格自体を撤廃するということが必要じゃないかと考えておるわけでございます。何と申しましても、この需要期が済んだあと、次の需要期までの間は家庭用灯油需要はほとんどございません。工業用灯油につきましては引き続き需要がございますが、家庭用灯油は全国的に見てほとんど取引がないという状況のまま新しい次の需要期まで備蓄を続けるという状態になるわけでございます。備蓄をさせる以上は、新しいそれに対応する価格というものを考えなければならないのではないかということを考え合わせまして、いまの価格につきましては一応の区切りをつける必要があるのじゃないかというふうに考えておりまして、現在取り扱いにつきまして検討を続けておるところでございます。  それからLPGにつきましては、御承知のように量の約二分の一を占めます輸入品価格が最近上がる気配が見えております。メジャーのほうから従来トン当たり約七十ドルから七十四ドル程度の価格であったものにつきまして、大体五十ドル前後の引き上げ通告が実は参ってきておるわけでございます。四月にさかのぼって適用する、こういう通告が参っておりますが、これにつきましては現在私ども業界を督励いたしまして、メジヤーとの交渉を続け、できるだけ価格を上げないような努力をさしておるわけでございますが、これも早晩何らかの決着をつけなければならぬ時期が来ると思うわけでございます。これが直ちにLPG標準価格の改定ということにつながるかどうかにつきましては、私どもとしてなお十分検討を要する必要があると思っておるわけでございます。LPGにつきましての現在の考え方は以上のとおりでございます。
  15. 山崎拓

    山崎(拓)委員 標準価格につきましてのお話があったわけでございますが、現在のLPGの十キロ千三百円という価格は、輸入価格に引き直せばトン当たり何ドルをべースにして定められたものであるか、これについてお伺いしたいと思います。
  16. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  十キログラム当たりのLPG価格につきまして、小売り価格は千三百円に定めたわけでございますが、従来私どもとしましては、その裏づけとなっています計算としましては、FOB価格は一応の試算をしておるわけでございますが、十キログラム当たり二百十円程度と考えております。これのCIFの価格は二百五十円程度と考えておりまして、元売り仕切りにつきましては大体三百五十円ないし三百七十円程度を考えております。卸売り価格につきましては、具体的に私ども各県のほうへの指導通達でも出しておりますが、五百五十円から五百九十円程度に、卸売り価格をそういう線で指導してほしいということを通達いたしておりますけれども、一応の試算をもとにいたしまして小売り価格の千三百円をきめたわけでございます。今回このもとになっておりますFOB価格がもし五十ドル前後上がってまいりますれば、先ほど申しました二百十円というのはおそらく三百二十円前後になってまいるかと思います。中間段階で、FOB価格の上がった点を何らかの形で吸収できないかという問題もあるわけでございますので、末端の小売り価格に直ちにそれがそのまま上のせということにすべきかどうか、これはこまかに検討する必要があると思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、根っこの輸入品のほうの価格が上がりますれば、具体的に末端への影響は出てくるであろうことが当然予想されますので、今後の取り扱いにつきましては、これからの海外価格動向等も見きわめました上で態度なり結論を出してまいりたい、かように考えております。
  17. 山崎拓

    山崎(拓)委員 FOB二百十円から今度のメジャーの値上げによって三百二十円ということになりますと、現在の標準価格が維持できないということは当然考えられることであると思うのです。  ついでながら、LPGの需給問題ですが、通産では少なくとも連休明けまでには昭和四十九年度  の需給計画を提出したいということを承っておったわけでございますが、どうなりましたでしょう  か。
  18. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  LPGの需給につきましては、先生御承知のとおりLPGの約半分が輸入でございまして、あとの半分は国内精製所から出てくるわけでございます。したがいまして、私どもも四十九年の需給についていろいろ作業をいたしている段階でございますが、海外からの輸入につきましても現在の値上げ交渉の状況、こういったことが一つのポイントになろうかと思います。また国内精製につきましては、現在四十九年度からの五年間の石油供給計画というものを作業中でございますけれども、やはりこれもその見通しというものの作業が非常にむずかしゅうございまして、ごく最近ということではちょっとできそうにない。やはりあと数カ月かかるかと思いますが、それによりまして国内の製油所の活動の規模というものがきまりまして、それに伴ってLPGの生産というものが出てくる、こういう面があるわけでございます。したがいまして、先生いまお話しのございました連休明けに数字をつくるというよりは若干時間がかかるかというふうに考えております。
  19. 山崎拓

    山崎(拓)委員 LPG需要にたとえば大手の鉄鋼会社が少なくとも本年度内に九十万トンぐらいはこれを消費したいという計画があるように聞いておるわけでございますが、本年度の需給計画以前に出されたものでは年間約一千万程度のものであろうと思うのでありますが、その中で一割近いものをこういう鉄鋼、大口産業用として消費せられるということになると、民生用が相当圧迫されてくるおそれがあると思うのでありますが、その点はいかがですか。
  20. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  確かに先生の御指摘のとおり、工業用に使われるLPG需要というものが非常に近年ふえているわけでございますが、これはやはり公害問題、SO2の問題といったようなことがございまして、大企業としてもどうしてもLPGを使わざるを得ないという面があることは事実でございます。しかしながら、お話しのように、今後のLPG供給が限られている場合に、大企業、工業用がたとえ公害対策用であるにしろ、国民生活に必要な部分にそれが割り込んでくるということはわれわれとしては非常に困ることでございますが、ただ一方からいいますと、大企業が使いますのは先生御承知のとおり大体ブタンでございまして、プロパンではないわけであります。したがいまして、いわゆる家庭用といいますのは大部分がプロパンでございますから、その点からいいますれば、直ちに大企業需要家庭用を圧迫するという面は直接の関係はないという面があるわけでございます。
  21. 山崎拓

    山崎(拓)委員 現在のLPG備蓄でありますが、四月末の数字は私はわかりませんが、三月末五十三万トンであるということを先般承ったのでありますけれども、五十三万トンということになりますと、昨年の十月、十一月ごろの七十万トン台の備蓄に比べますと、二十万トンは減少いたしておるわけであります。今後このような備蓄量の見通し、その点はどう考えておられますか。
  22. 松村克之

    ○松村説明員 先ほど申し上げましたように、四十九年度の需給自体を現在まだ作業いたしておりまして、はっきりしたことをお答えできないわけでございますが、私、手元に数字を持っておりませんが、四十九年度に数隻LPGの新しいタンカーができます。そういった点から考えまして、また、現在の海外での各供給ソースの状況等から考えますと、四十八年度に比べて輸入がある程度増加するということは、これは十分考えられるわけでございます。ただ国内からの生産が、たとえば前の政府見通しの二億七千万キロリットルという程度の原油輸入状況であるといたしますと、そちらからの生産の増大はそれほど期待できない、得率を相当努力いたしましてもそれほど期待できないというような面もあるわけでございます。したがいまして、家庭用供給を来需要期に十分確保するというためには、先生のお話のありましたような家庭用以外の需要について十分ウォッチすることが必要でありますと同時に、これは来需要期にはどの程度効果があるかは別といたしまして、できる限りの備蓄ということを考える。また、来々年度以降になるかもしれませんが、備蓄能力の増加につとめる、こういったことを政策としてやっていきたいと思っております。   〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 山崎拓

    山崎(拓)委員 時間が参りましたので、ちょっと中途半端になりまするから、最後にまとめて石油部長に二、三の点をお伺いしたいと思います。  まず、基本的に石油危機というものに対する御認識についてお伺いしたいわけでございますが、先ほどのお話では一応当面世界的な石油需給関係緩和されておるということであったのでありますが、当面、目先のこととしてそういうことは確かに言えると思いますけれども、長期的に見れば、私が先ほど自分の考えを申し上げましたように、この石油危機、エネルギー危機というのは人類が持った最大のテーマの一つである、かように考えておるわけでありまして、そういう観点はどうお考えになっておるか、それがまず第一点。  それから、石油危機が去ったというような通産の認識がかりに国民の間に広まるということになりますと、先ほど申し上げましたように、非常に総需要抑制政策にもとるような国民心理が生まれる。したがいまして、慎重に、あくまでもエネルギーの節約、省資源政策といいますか、そういった政策を続けていただきたいわけでありますが、その点についてはどう考えておられるか。これが第二点。  それから、ただいまのLPG価格の問題でも出てまいりましたように、FOB二百十円が千三百円という価格に末端ではなっておる。この流通機構を整備することも必要であるというニュアンスのお話があったわけでございますが、確かに国民はそういう疑問を持っておるというふうに私は感じておるわけであります。  これと関連をいたしまして、ガソリンスタンドにつきましても非常に過当な設置競争が行なわれまして、今日先進諸国の石油販売業の経営内容に比べますと、わが国石油商業の実態というのはあまりにも脆弱なものであるということがあるわけであります。今日スタンドは、一応行政指導で新規の設置を認めてないわけでございますが、石油業法の面からいきますと、届け出でやれるということになっておるわけであります。この石油業法は、あくまでもメーカーサイドの業法であるというふうに私は感ぜられるわけでございますが、この際、ただいま申し上げましたようないろいろな問題点を解決いたしますために、石油業法を改正するか、あるいは新しく流通法なるものをつくりまして、石油諸製品の流通機構の整備をやる必要があるのではないか、この三点についてお伺いをしたいと思います。
  24. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  石油危機が去ったかどうかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、状況は一ころから見ますと非常に改善をされつつあるが、私どもとしましては、なお状況が流動的でもございますので、六月以降の問題につきましては、現在慎重に検討をいたしてまいりたいということでございます。現在とっております措置について、このような状況の変化に対応した措置をとるべきじゃないかという考え方もございますし、それとあわせまして検討を行ないたいというふうに考えております。  第二点の石油の消費節約あるいは省資源の産業構造への移行という問題につきましては、通産省といたしまして今後引き続き行なってまいる必要があると思います。特に産業構造の省資源型への移行の問題につきましては、これはかなり長期を要する問題ではございますが、省をあげてこの問題には取り組んでまいりたいという考えでございます。  三番目の石油流通段階の整備の問題につきましては、いま先生御指摘のように、私どもも今回の石油危機を通じまして、この流通段階での何らかの政府の管理方式と申しますか、従来のままでは石油の前回の危機といったような問題については十分対応できない面もございますので、この流通段階の整備並びにその管理のあり方につきまして、私どもとして、現在エネルギー調査会の石油部会におきまして、対精製業者等の問題とあわせまして、この流通の業界のあり方、それに対する政府としての対応のしかたということにつきまして現在検討を続けているところでございまして、その結論の結果によりましては、石油業法の改正という問題にもつながるかと思いますが、現在審議中でございます。先生御指摘の点も十分念頭に置いて審議が行なわれることを私どもも期待をいたしております。
  25. 山崎拓

    山崎(拓)委員 終わります。
  26. 平林剛

    ○平林委員長 次に、横路孝弘君。
  27. 横路孝弘

    横路委員 灯油の問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、四十九年、ことしの三月十六日に「石油製品価格の指導について」という通産省の省議決定があったわけですけれども、これは行政指導ということで、個別企業に対して個別指導として行なわれたということですけれども、これは皆さんのほうで指導を行なって、すべて了解されたわけですか。
  28. 熊谷善二

    熊谷政府委員 新しい価格への移行の際に、灯油につきましては据え置きをいたしたわけでございまして、その他の油種等を合わせました新しい価格体系につきましては、元売り業者並びに販売業者に対しまして、私どもとしては個別に文書をもって通知をいたしまして、その徹底をはかっておるわけでございます。
  29. 横路孝弘

    横路委員 その了解というのは、ともかく通産省の新たな指導があるまではこのとおりやりますということで、みんなそれぞれ個別にオーケーもとっているわけですね。
  30. 熊谷善二

    熊谷政府委員 私どもとしては、協力の要請でございまして、強制力はございませんが、それぞれの業者の方々はその線に沿って行動していただけるものと期待をいたしております。
  31. 横路孝弘

    横路委員 その行政指導というのは、相手方の了解もなかったらだめなわけでしょう。つまり、いま御答弁があったように、国会でも従来から議論があるように、強制力がないわけですね。そうすると、一方的に皆さんのほうで決定をしたという通知をしただけなんですか、それとも、ここでは「本措置は、個別企業に対する個別指導として行うものであり、」と述べてあるわけですけれども、その「個別指導として行う」というのは、一方的に通知を出しただけなのか、きちんと向こうのほうからも了解をとっていることなのか、その辺のところをもうちょっと明確にしてください。
  32. 熊谷善二

    熊谷政府委員 私どもの趣旨を業界の方々には徹底するよう、いろいろな手段を通じて努力をいたしております。もちろん先生御指摘のように、強制力があるわけではございませんので、違反の事実があった場合の措置等につきましては特にございませんが、従来の他の行政指導と同様に、本措置につきましても、大部分の業者の方がこの趣旨に沿って行動していただくということを十分期待できると考えております。
  33. 横路孝弘

    横路委員 そこのところなんですけれども、その大部分のところが従ってもらえると期待をしているというお話ですけれども国会の答弁によると、ともかくこちら側の指導と、それに対応した業者の側の自由意思とが相まって、この行政指導というのは成立するのだ、行政指導の要件を法制局のほうでも、これはたとえば三月の参議院の商工委員会会議録を見ると、法制局の答弁というのはそういう答弁になっていますね。そうすると皆さんのほうは、ただ業界を通して通知をしただけなのか、それとも各元売りのたとえば大きいところをみんなそれぞれ、個別指導というわけですから、個別にそれぞれ呼んで話をしたわけでしょう。そうして、はい、従いますということで、その了解が成っているのか、いやだというのを無理やり通知を出して、これを徹底せいということにしたのか、その辺のことはどうなっているのですか。つまり業界の了解という点がどうなっているのかということです。
  34. 熊谷善二

    熊谷政府委員 精製元売り企業につきましての徹底は、個々に私どもも呼びまして趣旨も説明し、その了解を、各社ともこの線に沿って行動するということについての事実上の確認はとっておるわけでございますが、全国の販売店まで個々にお会いして、一々相手方の意思を確認するというところまでは、実際問題としましてなかなかとりにくい点はあるわけでございますが、私どもとしましては、政府がとりました措置の内容につきまして、それぞれの団体、組織等も通じ、また政府のほうからの文書によります要請という形と相あわせまして、趣旨の徹底をいたしまして、全国の各販売店の方々にもその点の協力をいただくということで実行は確保されるというふうに考えております。なお、三月十八日以降の新価格への移行の状況は、今日まで、政府がきめました価格で実行されてまいっております。
  35. 横路孝弘

    横路委員 その了解をとったところというのは、文書で了解をとっているのですか、口頭ですか。
  36. 熊谷善二

    熊谷政府委員 精製元売り企業につきましては、それぞれ特約店も全国多数にわたりますし、これにつきましては、私ども文書を個々に渡しまして、同時にその趣旨も説明をし、各会社のほうのこれに対する協力ということにつきまして、十分これに沿っていただけるということを、私ども各メーカーと会った段階で心証としては得ているわけでございまして、今日まで、先般とりました新しい価格への移行という問題は、先ほど申しましたように順調に行なわれてきておりまして、特に違反があって問題であるというような事態、あるいはそれをめぐりますところの苦情といったような問題はほとんどないというのが実情でございます。
  37. 横路孝弘

    横路委員 各その元売りのほう、系列そのほかに対してはきちんとその通産省の趣旨というのはそれぞれやはり指導をしておるわけですか。そういうような指導をするというような行政指導を皆さんのほうで行なっているわけですか。
  38. 熊谷善二

    熊谷政府委員 先ほど申しましたように、精製企業並びに販売店につきまして、省としましてそれぞれ個別に今回の措置につきまして文書をもって要請をしております。当然精製企業側にいたしましても、直売店もございますしそれから特約店もございますし、当然今回の措置につきましては、業務上の連絡として、今回の措置の徹底はそれぞれ行なっておるはずでございます。新聞報道その他でも十分報道されておりますし、今回の措置の内容につきましては、十分関係者はみな理解が得られているものというふうに考えております。
  39. 横路孝弘

    横路委員 皆さんのほうの行政指導と、この三月十六日の決定というものは、それを要するに受け入れるという、企業のほうのある意味では自発的な自由意思をもって協力してもらうという形なわけですね。もし各企業のほうがもうだめだ、これではやり切れぬ、とてもちょっと従うわけにはいかないというように変更する場合には、これはもちろん通産省のほうに話があるというか、いままでは了解をとって受け入れてきたわけですから、一方的に変えるということは、これは行政指導の性格をどういうぐあいに位置づけるかということにもよるのでしょうけれども、それは一応できない。つまり問題は、さっきも改定の話が、いま何か慎重に検討しているというようなお話でありましたけれども企業のほうから一方的にこれをやめるということは、どうなんですか、性格としてできるものなんですか。できないものなんですか。あるいは何らかの連絡が通産省にあるのかないのか。
  40. 熊谷善二

    熊谷政府委員 法的な点につきましては、これはいわゆる法律的な強制力を持っておりませんので、先生御指摘のように関係業者のほうでこれを守らないといったようなことは法律的には可能であるわけでございますが、実際問題としまして、従来私ども、精製企業または販売店につきましては、行政指導には原則として従ってきてもらっておりますし、この通産省の措置に対しまして所要の改善の措置を講じたいというような陳情は中にはあろうかとは思いますが、措置自体につきまして、今後自分は通産省の措置に対して実行できないのでかってな行動をとりますといったようなことを申しておるというようなケースは、事実問題といたしましては通常ございません。先般の石油危機のときにおきましては、国会でも御論議いただきましたようないろいろな実例はございますが、私どもの行政指導の措置については従来とも基本的には協力をしてもらってきたというのが従来の実情でございます。
  41. 横路孝弘

    横路委員 法律的には強制力はないわけですね。もしこれに対する違反行為等が出てきたときには通産省としてはどういう措置をとられますか。
  42. 熊谷善二

    熊谷政府委員 関係業者に違反の事例があった場合には、通産省の行政指導の趣旨をさらに説明をし、協力措置を再度要請するということになろうと思います。
  43. 横路孝弘

    横路委員 もう一つ。さっきもちょっと議論されておりましたけれども、今需要期家庭用灯油価格を据え置くということになっていますね。そして、いま改定を考えて慎重に検討中だという話だったのですが、そうすると、今需要期はもう終わったという場合には、通産省のほうで何らかのそういう意思表示をされるわけでしょう。価格のこれを改定するかどうかは別として、いずれにしても今需要期は据え置くということにこの指導はなっているわけですから、これが終わったという場合には、終わったというような意思表示を皆さんのほうでなされて終わるわけでしょう。
  44. 熊谷善二

    熊谷政府委員 標準価格につきまして、先ほど申しましたように現在の価格については何らかの通産省の考え方というものを適当な時点に示す必要があろうと考えておりますが、その方法が、標準価格の撤廃ということになりますのか、あるいは改定ということになりますのか、あるいはその他の措置、いろいろあると思いますが、いずれにしましても今需要期価格として指導をいたしておりますので、少なくとも来期までこのまま続けていくというようなことば、現在のところは考えておりません。近い将来において今回の取り扱いにつきましては何らかの当省の考え方を明らかにいたしたいというふうに考えております。
  45. 横路孝弘

    横路委員 いま業界の中では、大体五月二十日ぐらいにこの行政指導そのものが改定されるといううわさがばあっと広まって、かなり売り惜しみ状況が出てきているのですけれども、皆さんのほうで日にちはいつごろをめどにしてなんということで作業そのものは進められているわけですか。大体今月一ぱいとか、六月までとか、六月ごろとかというような、そういう日にち設定をなさっているんですか。
  46. 熊谷善二

    熊谷政府委員 具体的な日にち設定はいたしておりませんが、今需要期も、五月に入りまして北海道の一部に残るという程度であろうかと実は考えておりますので、五月じゅうでほぼ今需要期は終わるというような感じで現在いるわけでございます。ただ、この標準価格の問題は、家庭生活その他にもいろいろ将来も影響が多うございますので、その取り扱いにつきましては私ども十分慎重に配慮いたしたいというふうに考えております。
  47. 横路孝弘

    横路委員 それは家庭用灯油ばかりじゃなくて、この行政指導全体を五月二十日ぐらいをめどにして作業しておって、大体そのころ変わるからということで、二、三の企業がなかなか出さないという状況が生まれているのですけれども……。
  48. 熊谷善二

    熊谷政府委員 今回の新しい価格につきまして、全体的な見直しを五月中に行なうということは全く考えておりません。もし売り惜しみ等の状況があるといたしましたら、それは十分注意し、指導してまいりたいと考えております。
  49. 横路孝弘

    横路委員 そこで、ちょっと具体的な問題でお尋ねしたいのですが、出光の札幌支店が四十九年の四月十六日付で文書を出しておりますが、文書の題が「工業用灯油考え方について」ということですね。ここに問題点が二つあるわけです。  一つは、この文書の四番というところに「整理方法」となっていまして、イとロがあるのですが、イは「四月は北海道の特殊事情を考え、月末に貴店から工業用扱いの出荷報告に基づき、工業用価格を適用させて頂きます。」ロのほうは「五月以降−九月末迄、北海道と言えども部分工業用灯油と思われますので、基本的には全量工業用扱いと致します。」ということで、おりてくるほうは全部工業用扱いにします。値段のほうはあとで御質問しますが、これがまた指導価格なるものをはるかに上回った値段の押しつけをやっているわけなんですが、五月から九月まで、北海道といえども部分工業用灯油だと思うので、基本的には全量工業用扱いといたしますということになると、先ほど来御答弁があったように、十八リットル三百八十円というものも全く無視されることになるわけですし、販売店のほうでは、上に納めるのは工業用のお金で集めなければならぬ。一般の家庭には——北海道は大体六月の中旬ぐらいまで、私のおります札幌あたりでもストーブをつけておくのです。釧路、帯広あたりになりますと、ほとんど六月一ぱい。そして八月に入りますと、お盆が過ぎるとまたストーブをつける、こういうことになるわけですね。そうすると、五月から九月まで工業用扱いとするというのは、一つには標準価格の問題にも触れてくると思いますし、この指導にも反するのではないかと考えますけれども、これはいかがですか。
  50. 熊谷善二

    熊谷政府委員 御指摘の出光の文書につきましては、私詳細存じておりませんが、家庭用需要であるにもかかわらず工業用灯油としての扱いをするということを言っているわけではないと考えております。家庭用であることがわかったものにつきましては、家庭用価格で、現在の標準価格消費者に売る必要がある。また、仕切りはそういう仕切りにする、こういうことでございますので、ただ実際問題としまして、五月から九月までの間はごく一部のところで家庭用灯油が使われる。量的にも非常に少ないということがありまして、取り扱いの簡便さということを考えてのそういう文書が出ておるのではないかと思いますが、なお実情は十分調べてみたいと考えております。
  51. 横路孝弘

    横路委員 あなた、出光の指導そのものは知らぬと言いながら、家庭用家庭用の扱いなんだろうという、かってな解釈をなさっていて、非常に業界に理解を示されているのですけれども、問題は、これで工業用扱いとして卸した石油については、結局そういう金額的な扱いをしますよということなんですね。「五月以降−九月末迄、北海道と言えども部分工業用灯油と思われますので、基本的には全量工業用扱いと致します。」こういうことなんですよ。  ですから、どうしているかというと、一般の消費者には高く売るわけにいきませんから、どうしても中間がそこでかぶってしまうわけです。それで非常に強い不満が——五月からですから、連休明けでまだ何日もたっておりませんので、まだそういう苦情は表には出ていませんけれども、これをしかも四月の十六日の段階で出しているわけです。北海道全体がそうなっています。公取も来ておられますけれども、これは出光ばかりじゃなくて、私のほうで調べたところでは、シェル、共石、日石、みんなこういう扱いにしているようです。  ですから、そこのところはあなた方のほうできちんとお調べをいただいて、こういう扱いをしないように、やはり家庭用家庭用という形で取り扱うのが当然ですし、そうでなければ、ともかく入れたのは、北海道は五月から九月までは工業用なんだから、工業用ということでもらいますよということであれば、中間段階が非常に苦労するわけです。したがって、標準価格の趣旨にも反するし、通産省のこの指導にも反するのではないかと考えるのですけれども、もし、これが五月以降のやつは全部、家庭用、工業用ということじゃなくて基本的に工業用だということで取り扱った場合には、この指導趣旨に反するでしょう。
  52. 熊谷善二

    熊谷政府委員 内容を十分見ておりませんからわかりませんが、出光がそういう文書を出したとすれば、私どももそれを十分調査いたしたいと考えておりますが、いま先生御指摘のように、家庭用灯油であるにもかかわらず工業用灯油として仕切る、あるいは消費者に売るということになれば、これは指導違反になるわけでございます。実際の取り扱いの面で、一たん工業用という形で仕切って、あと家庭用とわかった部分について割り戻すという形をあるいは考えているのかもしれませんが、その場合といえども、先生御指摘のように、中間あるいは販売店のほうでは一たんは工業用の価格として元売りに納めなければならぬ、こういう点の問題があるのではないかという御指摘かと思いますので、その辺はさらに慎重に検討いたしたいと思っております。
  53. 横路孝弘

    横路委員 特に北海道の場合には六月の中旬ぐらいまで——そのときの気候によって違いますけれども、大体私のうちでも六月の初めになってからストーブはようやく取りはずすのでありまして、いま取りはずしたというのはまず一軒もないだろうと思います。そんな意味では、確かに量そのものは一月、二月に比べれば減っていますけれども、それでも各家庭では暖房用のストーブはどうしても朝晩、特に夕方から以降になりますと、たかなければどうしようもないということで、需要そのものはあるわけですから、こういう扱いをしないようにきちんと指導してもらいたいと思います。それはいいですね。  それともう一つ仕切り価格なんですけれども、北海道の場合は工業用というのは冬季間ほとんど消費がないので、もっぱら家庭用なわけです。そこで、今回の四月十六日のこの出光の「工業用灯油考え方について」ということで、いろいろ取り扱いの点についての指示があって、仕切り価格のところで現行仕切り価格プラスキロリットル当たり一万四千六百円という指導をしているのです。そして調べてみたら、こういう文書を出しているのは出光だけなんです。あとはみんな口頭でやっているらしいのですが、大体一斉にシェル、共石、日石あたり、みんな一万四千六百円ということなんですが、この辺についてはどういうぐあいにお考えになりますか。
  54. 熊谷善二

    熊谷政府委員 ちょっと事情がわかりにくいのでございますが、御承知のように、先回の私ども油種ごとの引き上げ限度につきまして、工業用灯油は、昨年の十二月の実勢価格は一万六千九百円と考えておりました、これは全体の加重平均でございますが。これは各社ごとの価格がそれぞれございますので、この価格とびたり一致するというわけではございませんが、これをベースにいたしまして、一万六百円というのを工業用灯油につきましては引き上げ限度額といたしたわけでございます。ただ、十二月の時点で、先生御指摘のように、たとえば農耕用であるとかあるいは工業用の関係で取引がないという場合に、今回の引き上げ限度につきまして若干疑問が生ずる点もあろうかと思いますので、私どもの指導といたしましては、取引が十二月の時点でございません場合は、工業用灯油につきましてその取引があったものとみなして、それに引き上げ限度額をプラスする、こういう取り扱いをせざるを得ないと考えておりまして、そういう指導をいたしておるわけでございます。工業用灯油としては、いま出ましたように一万六百円でございますので、一万四千何がし、こういう数字につきましては、少し事情を調べないといかぬと思いますので、調査をいたしたいと考えます。
  55. 横路孝弘

    横路委員 もちろん全然なかったわけじゃなくて、ビルの暖房用なんか、あれは工業用灯油の扱いなのでしょう。そうですね。そういうものはやはり出ているわけですよ。大体十二月末の価格がここの場合は一万三千円から一万四千五百円くらいの幅があるようです。そこで、今度一万四千六百円というのは、この四十八年十二月の平均値の一万六千九百円プラス一万六百円ということになりますと二万七千五百円ですか。で、今度一万四千六百円の上乗せをすると、大体二万八千円前後ということに現実の価格はなるわけですけれども、ただ、いまお話あったように、あくまでも上乗せ部分は一万六百円と、こういう指導でしょう、もちろん工業用灯油が全然ないわけじゃないわけですから、そうすると、明らかにここでプラス四千円の上乗せをしているわけです。そして、その背景を聞いてみると、大体五月二十日にこれは改定になるということで、業界のほうで先取りしておるわけですね。しかも、これは出光ばかりじゃなくて、聞いてみると、あとは口頭ですけれども、シェルも共石も日石も大体同じような指導をしているわけですよ。一万六百円というような話は、ちょっと私のほうで調べた範囲では、ゼネラルは一万六百円ということのようなんですが、あとのところはどうも一万四千六百円でやっているようなんですね、文書が出ているのはこの出光だけのようですけれども、したがって、いまごたごたいろいろなことをおっしゃっておったけれども、いずれにしても、上乗せ一万六百円というこの指導に関してはやはり反しているのじゃないかというように思いますので、その辺のところ、やはり実情調査されて、もし違反しているならば、違反しているということでの指導をきちんとやってもらわぬと、皆さん方ずいぶん、行政指導について国会で議論したときは、えらそうなことをいろいろなことを言っているわけですよ。そうでしょう。法律的な強制力はないけれども、安く安定するのならそれでいいじゃないかみたいなことで、あのときの議論というのは終わっているわけですね。ところが、現実には完全になめられて、こうやって四千円も上積みされている。しかも、家庭用灯油についても工業用の扱いだ。この計算でいくと、ドラムかん一本が大体一万四千六百円でいきますと、これは工業用ということなのですけれども、ドラムかん一本で上乗せが二千九百二十円ですよね。これでもって五月の家庭用というようなことになったのでは、これは大体六千円から七千円くらいに近いようなたいへんなお金になるわけですよ。ですから、その辺のところを、ともかく皆さんのほうは行政指導に確信を持っておったかもしれないけれども、しかし業界のほうはあまり皆さんのほうにそんな従うという状況でないのは、もう今国会のいろいろな議論を通しても明らかになっているわけなんです。その辺のところをひとつ実情をきちんと調べてもらいたいというように思います。
  56. 熊谷善二

    熊谷政府委員 いま御指摘の点につきましては十分調査をいたしたいと考えます。
  57. 横路孝弘

    横路委員 そこで、あなたのほうは、違反をした場合その指導をする、また話をして了解をする以外にないと、こういう答弁だったわけです。つまり強制力がないからやむを得ないということだったのですが、まあ一月来のこの行政指導、独禁法との関連でのいろいろな議論があった中では、皆さんのほうとしてはかなり確信を持っておやりになってきたわけですね。したがって、こういう違反行為が出てきた場合に、また話をして指導の趣旨を了解をしてもらうという程度で済まされる問題ですか。
  58. 熊谷善二

    熊谷政府委員 まあ、一般論として、従来指導に対する違反と申しますかというのが、何らかの形で苦情その他がもし起こった場合に、厳重注意を私どもとしていたしまして、当該社に対してはその後におきましては指導を守っていただくということが、従来の実情でございました。  先ほど先生御指摘の出光の問題につきましては、私ども十分調査をいたしたいと思っておりますが、それが直ちに指導違反だということになるのかどうか、その点はさらに詰めてみたい、調査をした上で私どもあれしたいと考えておるわけであります。
  59. 横路孝弘

    横路委員 これは、先ほどもお話ししたように、北海道の場合冬季間は家庭用灯油——工業用はこれから出ていく、特に農耕関係なんかがこれからはたいへんなんですが、そうすると、四千円も上乗せされるとこれはたいへんなことになるわけですね。特にそういう時期であるだけに、これはたぶん北海道だけだろうというように推測されるのですけれども、この道内の関係では、こうやって一斉に五月から、いままでの現行仕切り価格プラス一万四千六百円の上乗せだということを、われわれの調査範囲の中では、いまお話しした各出光、シェル、共石、日石あたりから出てきているのですね。したがって、もしこれを一斉に一万六百円をさらに四千円上積みをしたということになりますと、この行政指導自身だって、カルテルとの関係でいろいろ議論はあったわけですけれども、それをさらに上回って四千円上乗せやみカルテルを結んでいる疑いが十分あると私は思うのですよ。各販売店みんなそう言っているのですから。しかし間では大体口頭のようですね。この出光のやつもマル秘という秘密判こが押してあって、各出している出し先によってその判この押し場所がどうも違うらしいのですね。みんなそれぞれずれていて、それでもって、まあ外に出た場合にはどこから漏れたかということがわかるような仕組みを考えているらしいのですが、これはまあ推測なんですけれども、だいぶ手の込んだやり方をいろいろやりながら、どう間違えたのか、出光はこういう文書を出したわけなんですね。したがって、これは公取のほうに、これだけの情報では十分ではないと思うのですけれども、ひとつ一斉にこの一万六百円にさらに四千円上乗せという指導が元売りのほうから入っておりますので、ちょっと実情を一緒に調べていただきたいというように思うのですけれども、いかがでしょうか。
  60. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 まあ一般的に申し上げますと、価格引き上げをみんなで共同してやればこれは違反の疑いがあるということでございますが、ただ具体的な事例につきまして違反かどうかということは申し上げられませんけれども、一応いまおっしゃいました点は、これは事件の端緒として検討さしていただきたいというように思います。ただ、われわれが調べる、こう言いますと、すぐ証拠隠滅とかいうふうなことがはかられ、審査に支障を来たすというおそれもございますので、事件の端緒として検討をさしていただくということを申し上げます。
  61. 横路孝弘

    横路委員 きょうわれわれのほうでも一斉に各販売店を調査しておりますから、いずれそういう資料も出てきたら皆さん方のほうにも提出いたしますので、ひとつ協力してもらいたいと思います。特にさっきお話ししたように、農耕用の関係で、工業用の需要もこれからふえる。それからまた北海道の場合、特に五月はまだ家庭用灯油需要もあるという時期であるだけに、ひとつ御検討いただきたいというように思います。  そこで、調査をして違反という事実が明らかになった場合に、これは行政指導ということを皆さん方が大々的に発表され、これがもう何かすべてでもあるかのように宣伝をされてきた省議決定、この決定違反行為が明らかになった場合には、もう一度話をして何とか守ってくれというお願いをする以外にないわけですか。
  62. 熊谷善二

    熊谷政府委員 指導に対する違反という事態に対しては、私どもとしては協力について再度要請をし、また今後の実行については十分注意をするよう相手方に対して厳重に申し入れるということになろうと思います。
  63. 横路孝弘

    横路委員 きょう、大臣、出てきてませんけれども、ひとつその辺のところをさらに明確にしていただいて、これは委員長にお願いですけれども、この委員会に報告をきちんとしてもらって、あらためてその上でもう一度議論するということにしたいと思いますが、いかがですか。
  64. 平林剛

    ○平林委員長 十分検討いたしまして、御趣旨に沿うようにいたします。
  65. 横路孝弘

    横路委員 最後にもう一点。今需要期、まあ北海道の場合は五月じゃなくて六月もまだ需要がありますから、ぜひ調べてもらえばおわかりだろうと思います。これは人事院等の調査でもそういう数字が出ていると思いますので、ひとつ検討願いたいと思うのです。  もう一つは、次期の需要期ですね。これは北海道の場合は旧盆ですから、大体八月の二十日過ぎからは、盆が終わりますと、ほんとうにふとんから毛布からかけて寝ないと夜だって休むことができないくらい寒さがきびしくなるわけです。しかもドラムかんを大体一冬十本から十二、三本ぐらい、みんなどこの家庭でも使うわけです。この価格については検討するということなんですけれども、従来からの議論の中で民生用といいますか、とりわけ家庭用灯油については値段をできるだけ押えるということで、今日まで指導を皆さん方がなさってきたわけですけれども、その辺のところの考慮はどの程度次期需要期に向けてはなさるのか、その辺のところの見通しについて、これは経済企画庁とも十分相談されることだろうと思うのですけれども、ともかくこれが現行の工業用灯油並みの値段になると、ドラムかん一本七千円なんということになったんでは、これはたいへんなことになるわけです。その辺のところをどのようにお考えですか、基本的に作業を進められている姿勢についてお尋ねをしたいと思います。
  66. 熊谷善二

    熊谷政府委員 来期の価格をどのような価格として設定をするかという問題につきましては、従来、民生への影響等を考えて政府としては特段の配慮を価格については講じてきたわけでございますので、そういった点を十分念頭に置いて検討をすべきものかというふうに考えておるわけでございます。  いま、たとえばどの程度あるいはどのような配慮という具体的なことについてはちょっと申し上げかねるわけでございますが、従来の政策的な配慮ということは、当然次期の価格を決定する際におきましても検討されるべき問題であろうというふうに考えております。
  67. 横路孝弘

    横路委員 これ、五〇%とか倍になるとか、そんなことにはならぬでしょうね。
  68. 熊谷善二

    熊谷政府委員 具体的なことにつきましてはまだ申し上げかねますので御容赦いただきたいと思います。  ただ、灯油価格の問題と同時に量の確保という問題が非常に重要な要素でございますが、量の確保のためには、他の油種とのバランスということをやはり十分考えなければならないわけでございまして、昨年の九月の時点で凍結をしてまいりました家庭用灯油の元売り仕切り価格をベースにした現在の末端価格といったものと対比をいたしますと、その間に大幅な原油値上がりがございますし、他の油種も大幅な値上がりをいたしております。それとの均衡をどうしてもとらなければ量自体が確保されないということを私どもとしては懸念をいたしておるわけでございまして、どうしてもその辺のバランスを考えた上で新しい価格をきめざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  69. 横路孝弘

    横路委員 北海道の場合、公務員に寒冷地手当というのが支給されるわけです。昔は石炭手当、あるいはいまは石炭加算部分、こういわれていますけれども、八月の三十一日に支給になるのですね。これは去年勧告が出て若干上がったわけですけれども、その勧告時の灯油の値段、まあこれは灯油と石炭との割合をたしか七・三に見てその勧告が出ているわけですけれども、それが八月の末支給になるということで、その辺の方針が早くはっきりしないと、いまこれはまた人事院のほうでも、きょうは呼んでいませんけれども、いろいろ去年来の値上がりの中で調査されているわけです。ですから、その辺のところが、これは人事院ば人事院、皆さんは皆さんということでかってにやってもらうと困るので、その辺のところをひとつ十分あなたのほうでも人事院と連絡をとって、これはこの石炭手当の関係が出てきますから、これが支給になってからほっと上げられちゃったりすると困るわけなんで、ひとつその辺のところも配慮しながらできるだけ安い価格に押えるということで検討を進めてもらいたい。これは要望でありますけれども、ひとつその辺をお願いをして、御答弁願って、私の質問を終わる次第であります。
  70. 熊谷善二

    熊谷政府委員 いまお話があった点につきましては、私ども、今後の検討の中で十分念頭に置いて対処してまいりたいというふうに考えております。
  71. 平林剛

    ○平林委員長 井岡大治君。
  72. 井岡大治

    井岡委員 国税庁、来ていますか。——酒の全国の蔵出しの生産量、それから特級、一級、二級の蔵出し価格、それからビールの四社のシェア、これをひとつ……。
  73. 横井正美

    ○横井説明員 お尋ねの第一点の清酒につきまして申しますと、全国の課税移出数量、これは四十七年の三月から四十八年二月までの一年間におきまして、百七十一万一千キロリットルでございます。価格でございますが、特級酒につきましては、代表的なもの、これは全体の銘柄の約三六%を占めておりますが、製造者の蔵出し価格が千百八十四円、末端の小売り希望価格、これが千五百七十円でございます。それから一級酒につきましては、代表的なもの、これは三五・七%を占めておりますが、メーカーの蔵出し価格が八百五十八円、末端小売り希望価格千百八十円でございます。それから同じく清酒二級でございますが、代表的なもの、これは三六・五%の銘柄数でございますが、製造者蔵出し価格が六百四十九円、末端小売り希望価格が九百三十円でございます。  お尋ねの第二点のビールのシェアでございますが、昭和四十七年の一月から十二月までの課税移出数量についてながめますと、トップのキリンビールが六〇・一%、サッポロビールが二一・三%、アサヒビールが一四・一%、サントリービールが四・五%、以上のようになっております。
  74. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、酒は蔵出しからすぐ小売りへ行くのですか。
  75. 横井正美

    ○横井説明員 通常の形態といたしましては、メーカーから卸、小売りを通りまして消費者に渡るという経路でございます。途中、卸売り価格を抜きましたので補足いたしますと、メーカーの卸売り希望価格は特級酒につきまして千二百九十六円、一級酒につきましては九百五十一円、二級酒につきましては七百三十四円でございます。  なお、昭和四十六年からは卸、小売りの一本化というふうなことをいたしておりますので、中には卸売り業者で小売りを兼ねる者あるいは小売り業者で卸を兼ねる者がございます。
  76. 井岡大治

    井岡委員 そうすると卸で受けて、そして小売りで売る、こういうことですね。
  77. 横井正美

    ○横井説明員 そのとおりでございます。
  78. 井岡大治

    井岡委員 時間がもうありませんから、一つだけ宮崎局長に聞きますけれども、全国の協同組合は幾つぐらいありますか。
  79. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 これは厚生省の御所管でございますので、そちらからお答えがあるのが至当かと思いますが、私どもで知り得ております範囲で申し上げますと、昭和四十六年度の消費生活協同組合実態調査によりますと、組合数は千六百七十八組合でございます。そのうち地域生協九百二十三組合、職域生協七百一組合、それに連合会が五十四組合ございます。
  80. 井岡大治

    井岡委員 そこで国税庁に聞きますが、生協に酒の販売を許していますか。幾つぐらいありますか。
  81. 横井正美

    ○横井説明員 昭和四十九年三月三十一日現在で二百七十六でございます。
  82. 井岡大治

    井岡委員 千六百七十八あって、それから二百七十六、これは卸ですか、小売りですか。
  83. 横井正美

    ○横井説明員 小売りでございます。
  84. 井岡大治

    井岡委員 生協に卸をする意思はありますか。
  85. 横井正美

    ○横井説明員 生協が卸の機能を営むかどうか、卸の販売見込み数量が一定の数量に達するかどうか、その他人的要件等もございますが、これらの条件に照らしまして判断をいたすということにいたしております。
  86. 井岡大治

    井岡委員 おかしいじゃないですか。あなたは四十六年から卸であっても小売りはできるのだ、こう言ったじゃないですか。そうだったら卸の販売機能を云々するということはおかしいじゃないですか。そんなでたらめを言っちゃいけませんよ。
  87. 横井正美

    ○横井説明員 ただいま御説明申し上げましたのは、いわゆる新規免許の場合の判断基準でございます。先ほど申し上げました卸、小売りの一本化ということがございますので、小売り免許をもらいましてから一年以上経過いたしまして卸をやりたいということでございますならば卸免許に切りかえ可能だということでございます。
  88. 井岡大治

    井岡委員 そうすると重ねて聞きますが、小売り免許は千六百七十八のうち二百七十六なんです。しかしこれからは流通の問題とか、生協、こういう問題はどんどんふえてくると思うのですよ。そうだとすると、私は中小企業の小売り商店を圧迫するという意味ではないけれども、そういうことは配慮しなければいけないと思いますが、やはり職域だけでも、職域の生協が七百一あるわけです。昔は職域にはほとんど小売りは許しておったわけです。私はそれをやっていたからよく知っているのです。そうだとすると、こういうところにもつと配慮する必要があると思うのですが、いかがですか。
  89. 横井正美

    ○横井説明員 先生からも御指摘がございましたように、全国十五万八千の酒類の小売り免許業者がおるわけでございます。これの所得は御指摘のように零細でございまして、昭和四十六年の所得をサンプル的に調べました結果では、全国平均が百四十万円でございます。七大都市で百八十万円、地方小都市では百九万円という数字が出ております。消費者の利便というふうなこともございますので、四十五年の物価閣僚協議会の御決定に基づきまして免許は弾力的にいたすという方針でやっておりますけれども、このような零細な多数の小売り業者がおるわけでございまして、ときに、スーパーでありますとか生協でありますとかいうふうな大型店の酒の小売り分野への進出ということが非常に経営を圧迫する、あるいはまた死活問題にもなりかねないという事情がございます。したがいまして国税庁といたしましては、スーパー、生協等の大型店の免許につきましては、これら零細業者との調整ということもはかりながらやっておる、こういう次第でございます。
  90. 井岡大治

    井岡委員 スーパーは、やりますとおとりにつかいますからこの点については私もかなり警戒をしておる。しかし生協に酒の販売免許というのですか、権利というのですか、それを許しているのが幾つぐらいあるのですか。
  91. 横井正美

    ○横井説明員 先ほどお答え申し上げましたように、ことしの三月末現在で二百七十六件許しておるわけでございます。
  92. 井岡大治

    井岡委員 二百七十六許しているのでしょう。そうだとすると、私は、その地域の中で生協というのは、小さい、たとえば団地生協とかいろいろそういう生協がございます。そうでなくて職域生協というのはほとんど大きなところしかないですよ。かなりの従業員をかかえておるところでないと職域生協というのはできないです。そういうところはどういうように取り扱っておいでになるか、こう聞いているわけです。
  93. 横井正美

    ○横井説明員 地域生協、職域生協それぞれにつきまして、それが一般の零細な小売り業者にどういう影響を与えるかというふうなことを考慮いたしながら免許事務を進めておるということでございます。
  94. 井岡大治

    井岡委員 もうこれでやめますけれども、職域生協と地域生協と、あなた混同しちゃいかぬですよ。職域生協というのは、ほとんどいま社宅なんて持っているところはよほどでないとないですよ、そこの地域の小売り店を圧迫するということがありますけれども、そんなごまかしを言っちゃいけませんよ。この点については私はきょうはこれで一時間ばかり言うつもりでしたけれども、時間がありませんから次に譲りたいと思います。ですから、この点だけは十分検討しておいてください。終わります。
  95. 平林剛

    ○平林委員長 野間友一君。
  96. 野間友一

    ○野間委員 電力料金の問題についてお聞きいたします。  特にきょう私がお伺いするのはいわゆる特約料金、これであります。御承知のとおり電気料金の単価については家庭用が非常に高い。四十七年の九電力平均実績を見てみますと、一キロワットアワーが十一円七十六銭、産業用の大口電力、これは非常に安い、同じく四円三十八銭、こういう結果になっております。今回の新しい料金制度の中でもこの差に全く変わりはない。この上、私はきょう御指摘申し上げたいのは、大口については特約料金制度、これがありまして、一般の大口よりさらに大幅に安くしておる、こういう事実であります。一体これはどういうわけでこのようなものを設けておるのかということ。  それからもう一つは、ついでにですが、通産省が出しておりますところの「新しい電気料金制度の解説」、これを見ましてもこの中には特約については全く触れてない。これはどういうわけで触れてなかったのか、この点についてもひとつ明確にお答え願います。
  97. 岸田文武

    ○岸田政府委員 特約料金制度は、一般の供給規程によりがたい事情のございますとき、その事情に応じた特別な料金を設定する目的で設けられたものでございます。特殊の例といたしましては、災害時における工事費負担金を減額するとか、あるいは料金の減免をはかるとか、こういった運用もございますが、ほとんど大部分は大口需要についての負荷調整の際に適用されておるものでございます。いま負荷調整と申し上げましたのは、たとえば昼間の需要を夜間に回すとか、あるいは日曜日、祭日へ振りかえるとか、また夏非常に需要期需要が殺到いたしますが、その夏の需要を他のシーズンに振りかえるとか、こういったことによりましていわばコストが低減をされる、こういった事情を反映した料金を設けるというのがいま申し上げた大口需要についての適用の内容になっておるわけでございます。  なお、お尋ねの中に先般答申のございました電気事業審議会の今後の料金制度の運用、これはいわば一般の供給規程のあり方についての答申でございます。特約については言及をいたさなかったという経緯でございます。
  98. 野間友一

    ○野間委員 この法律上の根拠は電気事業法の二十一条のただし書き、こう理解していいわけですね。
  99. 岸田文武

    ○岸田政府委員 そのとおりでございます。
  100. 野間友一

    ○野間委員 いま負荷調整あるいは振りかえというようなことについて答弁があったわけですけれども、これらについて現在特約を結んでおる企業はどんな業種があるのか、どのくらい数があるのか、それからその使用電力量あるいは単価、これについて御説明願います。
  101. 岸田文武

    ○岸田政府委員 大口電力を例にとってみますと全体の契約口数の中で特約需要家の口数が四・四%いま申し上げておりますのは四十七年の実績でございます。それから契約キロワット数で申しまして約三五%、それから使用電力量で申しまして約四〇%でございます。四十七年の大口電力の平均単価は三円九十九銭でございますが、特約分の平均単価は三円四十銭になっております。
  102. 野間友一

    ○野間委員 確かにこの「四十八年度の電力需要概要」この中にも、ほぼその趣旨に沿うことが書いてあるわけですね。つまり件数にしますと四百二十六件ですね、これは九電力関係。電力量が六百二十五億キロワットアワー、これは確かに大口の四〇%を占めておる。料金がキロワットアワー三円四十銭、大口の一般についてはこの資料によりますと四円三十八銭、こうなっております。これはいまの答弁と若干違うと思います。しかもこれらのいわゆる特約を結んでおる企業の性格を考えてみますと、電気炉による鋼塊あるいはフェロアロイ、カーバイド、それから電解法によるソーダ、アルミニウム、こういう企業特徴的であると思うのです。つまり鉄鋼とか化学工業、これらがこの特約企業の約八三%を占めておる。このようにこの「電気事業講座」の「電力料金」という本の中には書いてありますけれども、そのとおり間違いないのかどうか確認を求めます。
  103. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御質問の内容、ほぼ正確じゃないかと思います。
  104. 野間友一

    ○野間委員 そこで私はふしぎに思うのは、先ほどの説明にも負荷調整、この問題が出ておりました。確かに昼間のこのピークを夜間に調整する、これでもって発電コストを含め原価が低減する、こういうメリットがあるのだ、そういうお話のようですけれども、結果的には私はそういう機能があるということを否定するものではない。ただ私は指摘したいのは、いま申し上げたように、ここの大口需要の四〇%を占め、なおかつ製鉄とかあるいはアルミ、いわゆる二十四時間操業ですね、こういうものは作業の性格上二十四時間操業をしなければならない、こういう企業に対するこの特約が特徴的だと思うのです。たとえば安いから、それでは負荷を調整して二十四時間操業するのかというと、決してそうではない。たとえば鉄鋼がその例だと思うのです。あれは火を一たん消しますと溶鉱炉をやりかえなければならぬ、何十億、何百億の損害を受ける、そのために四直三交代というような形で昼夜兼行で作業をしなければならぬ、そのこと自体がこの製鉄会社の利益になるからですね。しかもこれらの特約によって安い供給を受けておるこれらの企業利益が膨大なものをあげておるということは私から指摘するまでもないことだと思う。こういう点から考えて、いろいろ理屈は、結果的には確かにそういうことはあるかもわかりませんが、しかしながらこのような大企業の側が要求する二十四時間操業、これらに対してなぜ、こんなに家庭用に比べて大口は安いにもかかわらず、さらに大口の単価をはるかに割って、そして安い料金で奉仕する、サービスする。これは国民がみな納得しないと私は思うのです。私も納得できませんので、これについてほんとうにみなが納得できるような説明をしていただきたいと思います。
  105. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまのお尋ねにつきましては、特約料金の展開の方法から御説明しなければならないと思います。私どもは、特別高圧あるいは高圧、こういった電圧別に料金をといいますか原価を算定いたします。この中のたとえば特別高圧について、この特別高圧の原価をどう割り振るかという作業をいたしますときに、特約分と一般分とに仕分けをするという作業に続くわけでございます。したがいまして、ここはまけたから一般家庭に影響を及ぼすというようなものではなくて、あくまでも特別高圧なりあるいは高圧の中の配分の方法であるという点をまず御理解いただきたいと思うのです。  一般と特約と分けますときに、やはりなるべくコストに忠実に展開をしていこうということから、先ほど申し上げたような形ができてきたわけでございます。たとえば季節調整の例を申しますと、夏場には需要が一般に非常に多くなってまいります。発電所といたしましては、普通のときであれば水力のような安い電気をフルに使えるのに、ピークにおいては、揚水発電であるとかあるいはガスタービンをたくとか、非常にコストの高い電気を使用することによってピークを切り抜けるというようなやり方になります。したがいまして、ピーク時にはおのずから電力平均のコストが上がるわけでございます。したがいまして、特約料金と申しますか、特別高圧の料金を検討いたします際には、季節的に一体コストがどういうふうに動いていくのか、また時間帯別の場合には、一日の中で時間別にどういうふうにコストが推移していくのかということを分解して、勉強をいたします。こういう高くなる料金のところを避けていけば全体としてのコストが下がるのは御理解をいただけると思うわけでございます。したがって、時間帯別の単価あるいは時期別の単価というものをまず設定した上で、その使い方を改善することによって単価が引き下げられたならば、その引き下げられた単価に応ずる料金を設定しようというのが特約料金の設定の方式でございます。先ほどいろいろの業種の例がございましたが、たとえば鉄鋼を例におあげになりましたけれども、鉄鋼は高炉の部門以外に電力の一番大きいのはロールの部門でございます。これらの操業のぐあいを変えることによって、いわば安い料金を適用し、また全体の電力需給の緩和にも役立つというような効果が期待できるかと思っております。現に昨年の夏、光化学スモッグで出力抑制を各地で実施いたしましたが、この特約需用家に対して使用抑制を呼びかけることによってかなりの効果をあげることができたと私どもは思っておるところでございます。
  106. 野間友一

    ○野間委員 一つは個別原価主義ですね、その問題について指摘されたと思う。それから先ほどいろいろ答弁を聞いたわけですけれども昭和二十九年ごろに特約料金制度ができた。そのころは確かに水力が主で、渇水期と豊水期というのが一つの特約料金制度のポイントであったと思うのです。ところが、いまはそうじゃない。これは通産省が出しておるいろいろな本を見ましても、現在の特約料金制度の一番大きなポイント、重点としては、先ほど申し上げた昼夜の負荷を調整する、ここに力点があると思うのです。そういう意味では、いまの特約料金制度そのものは、あなたが言われた豊水とかあるいは渇水というような水力の時代とは違うということをまず明らかにしておきたいと思うのです。  なお、負荷調整することによってコストが下がる、こういう指摘がありましたので、具体的にこの点についてお聞きをしたいと思います。  四十七年度の実績を見てみますと、先ほどもあげましたけれども、九電力平均で電灯料金が十一円九十六銭、それから一般大口が四円三十八銭、特約が三円四十銭。ですから、一般大口に比べて特約が約一円弱さらに下回っておる、こういうことになるわけです。これは、比率で言いますと、一般大口に比べても二二・四%も安い、こういうことになっておるわけです。なぜこんなに安く供給できるのか、これが問題だろうと思うのです。確かに、そのコストを調整することによって多少下がるということは私も否定するわけじゃありませんけれども、平均で二二・四%、これだけで一般大口に比べて安く供給するということの根拠は一体どこにあるのか、その原価計算、その積算の基礎、これを当委員会に明らかにしていただきたいと思うのです。
  107. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまの電気の供給の形態でございますが、ピークに対応するためにどういうくふうをしているかと申しますと、まずベースロードといいますか、二十四時間中あるいはシーズンを通じて一番安定的に供給する電源といたしましては、自流式の水力がございます。次にベースを埋めますのが一般的には原子力でございます。それを越える部分につきまして火力が応援をする。ただし、ピークの頂点になりますと、そういったやり方では間に合いませんので、貯水式のダムから放流をするとか、あるいは渇水式発電によって応援をするとか、あるいは量は少のうございますが、先ほど申しましたように、ガスタービンの応援をするとかいうような形で処理をするという形態になっております。コストの配分から申しますと、やはり供給側からすれば少しでもコストの安い供給をしようというように考えるのは当然でございまして、ピークになればなるほどコストが高くなるという関係にあるわけでございます。お尋ねの中で、特約が一般の電力に比べて特に割り安になっているという点の御指摘がございましたが、これは二つの要因に分解できると思います。  一つは、特約需用家は一般的に圧力の高い受電をしておるという点でございます。これが一般の大口需用家よりも非常に高いということからコストが安くなっているという面、それから他方では、いま申し上げました負荷の調整によってコストが安くなる、両方の面が相まって先ほどのような割引率ができてきているという関係でございます。大ざっぱに試算をいたしますと、電圧が高いことによって、言いかえますと、一次変電所からストレートに引っぱってくるという率が非常に高いということからしましてコストの安くなる部分が大体半分くらい、それから負荷の調整によってコストが軽減される部分が約半分くらい、こういった姿ではないかと想像いたしております。
  108. 野間友一

    ○野間委員 私が聞いておるのは、一般大口に比べて特約の場合には二二・四%平均で安くなっておる。これは非常に大きな率だと思うのです。ですから、この二二・四%の積算の基礎ですね、これをぜひ納得のいくように説明を願いたい、こういうことです。
  109. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま総括表を持ち合わせませんので、たまたまございます関西電力の例をとってみますと、一般単価が三円九十五銭、特約単価が三円四十一銭、その差が五十四銭でございます。その五十四銭のうち、先ほど申しました電圧等の差によるものが三十五銭八厘、それから負荷の調整によるものが十八銭二厘という内容になっておるわけでございます。
  110. 野間友一

    ○野間委員 これは通産大臣の認可になっておるわけです。個別認可なんです。ですから、これらについては一つ一つ個別的に調査をして検討をしたその上で認可をされておるので、これらがほんとうに二二・四%、確かに個別的には、いま関電の場合にはそういう数字が出ておりますけれども、なぜこのように安い供給ができるのか。これを国民の皆さんが納得できるように、資料をぜひ当委員会に出していただきたいと思います。委員長、そのことを要求します。
  111. 岸田文武

    ○岸田政府委員 たいへん技術的の内容を含んでおりますが、なるべくわかりやすいような形で資料をつくってみたいと思います。
  112. 野間友一

    ○野間委員 その問題についてはそれが出てからさらに質問を進めたいと思いますけれども、次にお伺いしたいのは、先ほど申し上げた特約料金制度、これは電気事業法二十一条のただし書き、これで法律上認めておるわけですけれども、ただ十九条の、例外といっても、これはむちゃくちゃに、かって気ままに、恣意的に電力会社が個別特約料金の取りきめをするということは、許されないと思うのです。一応これらの認可をする場合でも、原価を無視してこれらを認可するということはあり得ないと思うのですけれども、それについてこの同じ電気事業法、これはいろいろ九電力会社の役員が編集委員会を構成して書いた本、これは御承知のとおりだと思うのです。これによりますと、特約料金の算定の原則については「供給規程料金の算定方法に準じて原価計算を行なうこと。」それから「適正な報酬を含むこと。」「公平であること」この三つの要件をあげてありますが、こういうものを基準にして、特約料金制度についての認可をしておるのかどうか、まずその点をお伺いします。
  113. 岸田文武

    ○岸田政府委員 そのとおりでございます。
  114. 野間友一

    ○野間委員 これらについてこの認可の基準、これを定めたいわゆる特約要綱、要領という表題をつけておるところもあるようですけれども、こういうのは各個別電力会社にあるわけです。これはあるのかないのか。これはあなたのほうで出した本の中にも、あると書いてある。これらをぜひ当委員会に資料として出していただきたい。このことをもう一つお約束をいただきたいと思います。
  115. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお話ございました要綱は、いわば各社が特約料金を算定するといいますか特約需要家と契約を結びます際の、いわば一つの内規として設けられたものでございまして、私どもも正式には入手をしていない形になっておるわけでございます。ただお話ございましたように、特約料金というものについて、私どもとしてはやはりあくまでもコストに忠実にということで、算定をしたいと思っておりますので、その内容を私自身も一応見た上で、でき得ますことならば、この際一つの統一的なルールをつくってみたいという感じがいたしておるところでございます。御意見のような点も頭におきながら、少し検討さしていただきたいと思います。
  116. 野間友一

    ○野間委員 供給規程については、これは公開主義の原則をとっておるのです。御承知のとおりです。二十一条ただし書きでは確かに個別認可の特約料金制度を設けております。私がいまあなたに要求したのは、たとえば東電とある会社との間の個別の特約料金の契約をここへ出せということを申し上げたものじゃなくて、それぞれの電力会社がいま申し上げた基準によってそれぞれが要綱をつくっておる。この要綱はまさに供給規程に準ずるものであるわけです。これはわかると思うのですね。したがって、これははたして要綱がどういうものであるか。と同時に、この要綱に従ってほんとうに個別の特約料金をきめておるかどうか。これはわれわれ国会議員として、国政調査範囲として当然知る必要がある。一般には高く、大企業には安く、しかもこういう特約の例外まで設けておる。これらがはたしてどういう実態を持っておるのか。これを知るのはわれわれの当然の義務なんだ。委員長、これについてしかるべく理事会で協議して、この要綱について出すようにひとつ取り計らいをお願いしたいと思います。
  117. 平林剛

    ○平林委員長 この件について、もう一度岸田公益事業部長答弁してください。
  118. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いままでは特約料金要綱と申しますのは、各社の内規でございまして、私自身もまだ正確に目を通したことはないものでございます。この扱いについては、理事会で御相談いただけるということでございますので、その理事会の御相談の結果を待って処置をいたしたいと思います。
  119. 野間友一

    ○野間委員 委員長、これはぜひ理事会で協議していただきたい。
  120. 平林剛

    ○平林委員長 理事会で相談をいたしまして善処いたします。
  121. 野間友一

    ○野間委員 それじゃこの点についても、さらにこれが出てきたあとでフォローして質問を続けたいと思います。  そこで次に質問したいのは、先ほど申し上げたように、この特約料金といえども原価を無視してこれを供給することはできない。しかもこの中には適正な報酬まで含まれておる。これが一つの基準であるということをこれは部長も認めたわけであります。そこで私が聞きたいのは、はたしてこれが適正原価、適正利潤、こういうような基準に従って料金制度をきめておるかどうかということです。私は若干試算してみました。この特約は前提として、その大部分が、先ほど部長も言われたけれども、特別高圧、これであるわけですね。それを基礎にしてのこれは一つの試算なんです。新しい料金制度の開設、この電力供給のモデルの経路図というのがあります。これによりますと、特別高圧の需要家は一次変電所を経て供給を受ける場合と、二次変電所を経て受電する場合、これがあるというこの経路が書いてあります。いずれにしても一次変電所まで、つまり発電原価は、これは家庭用も大口もすべて同一だということが、発電コストの段階で考えればいえると思うのです。これは電灯、電力を通じて差はない。これは多少技術的にはいろいろ方法があろうかと思いますけれども、端的に考えたらそういうことになると思う。したがって私は電気事業便覧四十八年度版によりまして、九電力会社の発電原価を一応計算してみました。これによりますと、たとえば東京電力、これは四十七年の実績ですが、これは全体です。発電費が三千二百四十六億七千万円、販売電気量は九百十一億二千二百十八万六千キロワットアワー、これはB分のA、単価を出しますと、発電単価が三円五十五銭という結果が出ます。全体の単価が三円五十五銭。ところが特約の単価が三円三十六銭、こういう結果になります。関西電力も同じなんです。発電費が二千百三十五億四千八一百万円、それから販売電力量が六百五億九千八百一二万五千八百キロワットアワー、発電単価が三円五十二銭、ところが特約単価が三円四十一銭、つまりその発電コストの段階で考えてみても、この総発電量、この中でのコストが三円五十五銭、東電の場合。これをさらに下回って特約単価として三円三十六銭平均でこれを供給しておる。つまりこの数字が正しいとすれば、先ほど言われた適正原価、適正利潤、こういう原則をさらに下回って、このようなべらぼうに安い発電コストをさらに下回った金額でこれを供給しておる。これは部長一体どういうことですか。こういうことはあり得るわけですか。これはどう考えますか。
  122. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お尋ねの点は、もう一度数字に当たってチェックをしなければならないと思いますが、おそらく推察といたしましては、いまお尋ねの発電原価自体に問題があるのではないかという感じがいたします。発電原価は、いまは平均値でおそらくお示しになったのではないかと思いますが、発電原価を配分いたしますときには、キロワット比あるいはキロワットアワー比でそれぞれ固定費を配分するわけでございますから、大口の場合とそれから小口の場合、電灯の場合、それぞれ発電原価が違っておるわけでございます。それをベースにして積み上げて原価が出るということによって生じたものではないかという気がいたしますが、なおよく勉強いたしたいと思います。
  123. 野間友一

    ○野間委員 そういう答えもあると私は思っておりました。しかし、発電コストというのは、いま申し上げたように、発電して一次変電を通って、そこまでの過程は、大口も電灯も変わらないわけです。さらにそこから二次、三次の変電あるいは送電、配電、こういう経路があるわけですけれども、それにしても、かりにあなたの言うようなことが前提にしても、むしろ発電コストが上がるのじゃないですか。そうなれば、さらにこの特約料金とこれの差がもっと顕著になるのじゃないかと私は思うのです。この特約料金を、一次変電を経て需要家に行くということを前提にして私は試算をしてみたわけです。これは二次変電を経ていく場合もあります。そうなりますと、さらにこれらのコストは変わってくる。むしろ、特約料金との差がもっとひどくなる、そういうように私は思うのです。これについて部長、まだ試算もできていないということで私はあ然としたわけですけれども、この点についてどうも私は、先ほどからるる申し上げておるように納得がいかないわけですよ。消費者は、何でわれわれが日々使う、ほんとうに生活に必要なものについて高い値段で電力を買わなければならないのか、せめて大口並みになぜできないのかということです。これが痛切な要求なんですよ。これは部長、御承知のとおりなんです。ところが、こともあろうに、この大口をさらに下回って、特定の大企業に対してこれが供給されておる。しかも、これらの特約料金については、大口のこれを下回るだけではない、発電コストすら割ってこれが供給されておる。こういう事実は、私はいままで通産省から聞いたことがなかった。個別企業からも聞いたことがなかった。しかし、現にそれがある。この解説の中でも故意か何かわかりませんけれども、この特約料金制度については、ただの一字も触れていない。しかもこれらが、あなたが先ほど認めたように、大口電力の四〇%がこの特約料金で占めておる。こういう実態を考えた場合に——私は決して、電力会社にこれらの大口需要に対して高く売れ、高く売っておまえもうけろということを言っておるのじゃない。取るべくして大口並みに取って、それを弱者に回せ、これだってできるじゃないか、こういう発想で私は申し上げておるわけです。念のため……。それにしたってひどいじゃありませんか。この特約料金のこのいまの料金の基準、あなたも先ほど認めた、これを下回り、コストすら割ってこういう奉仕をされておる。しかも、これは通産大臣の認可事項なんです。通産省は、このような大口に対して、大口の利益のためにこういうことをなぜやるのか。通産省が企業寄りだといわれるのはここにあると思うのです。こういう議論を聞いておって、物価の元締めの政務次官、どういうふうにお感じになりますか、ひとつ感想をお述べいただきたいと思います。
  124. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私からちょっと補足説明をさせていただきたいと思います。  発電費の問題でございますが、発電費はその内容を分けてみますと、可変費と固定費に分かれるわけでございます。その中で、可変費は、いわば使用電力量に比例をするわけでございますが、固定費は使い方が非常に影響する分野が大きいわけでございます。いま申し上げました特約需要家は、いわば電気をフラットに使う。昼も夜もシーズンを通じてフラットに使うということからいたしまして、一定の設備の稼動率が非常に高いという関係にあるわけで、それだけに固定費の負担というものは少なくて済むということから、高圧になればなるほど発電費自体も割り安に済むという関係にあることをまず御説明をしておきたいと思います。  それから、なお特約が特に安過ぎるというような点についてのお尋ねでございますが、これは先ほど申しましたように特別高圧なりあるいは高圧電力の中の分け方の問題でございます。したがいまして、特別高圧を例にとりますれば、その中で特約分が安くなった——これはコスト上説明のつけられるものでございますが、安くなった分を結局はその他の一般特約が背負うという関係になっておるわけでございます。御意見のように、これは一般も特約も分けずにフラットでやってしまったほうがいいのではないかというのも一つの割り切りではございますが、私どもとしてはなるべく電気の施設を有効に利用するということを応援をして、特に夏の時期におけるピークをいかに乗り切るかということは、昨年私どもも非常に苦い経験を持っておることでございますので、こういったピークをいかに乗り切るかということを頭に置いても、やはりいまのような仕分けをしたほうが電力の有効活用になるのではないかという感じを持っておることを御理解いただきたいと思います。
  125. 野間友一

    ○野間委員 一時のピーク時の問題、特殊例外的なものを一般的な問題にすりかえることば私は許されないと思います。  それからさらに、十九条の供給規程のワク内では、個別原価主義をとっておりますから、そういう理屈は成り立つかもわかりません。しかしそうじゃないのです。これは二十一条のただし書きなんです。ですから、ここで当然少なくとも大口並みに取る、これはあとでまた試算の結果を報告しますけれども、取ればかなりの額が取れるわけです。それを生活保護世帯とかあるいは母子家庭とか高齢者の家庭、こういうところを電気をただにしたって、これは鼻くそほどの金で済む、こういうことになるのです。ですからあなたのいまの答弁は、一つの例外を全体の一般的な問題にすりかえて答弁された。これは私は許されないことだと思うのです。そういう答弁をする以上、だれが見たってやはり企業寄りである、大企業寄りであるということ、このことを私は払拭することはできないということを指摘したいと思うのです。  さらに問題は、これは平均の特約単価、先ほど指摘を申し上げました。ところが個別企業の中で若干調査してみますと、もう腹が立ってしようがない。これは昭和電工の川崎工場、四十八年の第三・四半期、特約電力料の料金、いまの期間に約三億円払っております。特約単価を計算してみますと、一キロワットアワー当たり二円三銭なんですよ。いまの特約の東電関係の平均単価が三円三十六銭、こういうことです。これは発電コストですね。特約料金の東電管内の平均、これが三円三十六銭でしょう。ところが昭和電工の場合二円三銭なんです。こういう事実をあなたは知っておるのかどうかお答え願います。
  126. 岸田文武

    ○岸田政府委員 まだ私、承知いたしておりません。
  127. 野間友一

    ○野間委員 承知していないといったって、これは個別の企業との供給契約について通産大臣が認可しているわけでしょう。認可しているわけですよ。認可した場合には一体幾らの単価でこれを売っておるかということをあなたが全部計算しておるのですよ。そうでしょう。これは速刻に当委員会開会中にひとつ調査をして、その上で当委員会に報告していただけますか。私がうそを言っているかどうか、二円三銭というやつ。どうです。
  128. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま私どもの料金担当者、それぞれ公聴会の関係で出払っておりますものですから、いますぐわかりますかどうかわかりませんが、さっそくに手配をさせていただきます。
  129. 野間友一

    ○野間委員 結局原価だけ考えても、とにかくでたらめなことを通産省がやっている、こうしか言いようがないと思うのです。  ところで、このようにして私は全部、特約料金、この四十八年度の電力需給の概要、これに出ておる資料、数字を前提にして、大口に対してこれらの特約をやめて一般大口並みにとれば幾らの金額が出てくるか、こういう計算をしてみました。そうしますと四十七年度で六百十二億五千六百四十万円、これだけ増収になる。つまり取ろうべくして取ればこれだけのものは取れるのです。  そこで私は、これだけの金があれば一体どういう仕事ができるのか、こういうことも計算してみました。先ほど若干あげましたけれども、これはもうぎりぎり最低に見積もりまして、一つの試算の基準ですけれども、大体生活保護世帯とか高齢者あるいは母子家庭、これは月六十三キロワットアワー、これではもうべらぼうに少ない消費量だと思います。これで一体、これをただにすることによってどれだけのものがマイナスになるかということを調べてみたわけです。生活保護世帯が、これは四十七年ですが、六十九万世帯、それから二十歳未満の子供のいる母子家庭三十五万世帯、高齢者世帯、これは七十九万世帯、これは市町村民税非課税の世帯ですね、これだけあるわけです。これで、現行の料金でこれをただにすると、六十キロワットアワーを基礎にして計算しますと、十二億五千万円で済むわけです。新しい料金制度で計算しましても十六億一千万円で済むのです。つまり、これだけあれば、これらの弱者に対してはただで電力を供給することができる。そうしますと、先ほどあげました数字、六百十二億、これだけを取ってそれにわずか回すだけでも、いま申し上げたように、すべての母子家庭や高齢者世帯あるいは生活保護世帯、これらがただで電力の供給を受けることができる、こういうことになるのです。弱いところに日を当てて、大会社にきびしくするのが政治だと私は思うのです。大会社に、あるところに土持ちをする。そうして暴利をむさぼっておる。ところが一方、弱者に対しては高い単価で料金を取っておる。しかも、それを通産省が認可しておる。どうですか、こういう特約料金制度、これを抜本的に改めて、これをやめさす、少なくとも大口電力並みに料金を取る、こういうふうにすべきであると私は思うのです。これについて政務次官並びに公益事業部長の明確な答弁を求めたいと思います。
  130. 岸田文武

    ○岸田政府委員 多少繰り返しになりますが、四十七年の大口電力の平均単価、これが三円九十九銭と報告されております。これが二つに分かれまして特約と一般大口になるわけでございますが、特約は三円四十銭、これは先ほど申し上げたとおりでございます。一般大口が四円三十八銭でございます。裏返した言い方で申しますと、特約単価とそれから大口単価とをいわば総合した形で大口電力の単価ができる。この大口電力の単価が大口全体としてのコストを償うような形で編成されておるというしかけでございます。特約を上げれば、その分だけ逆に一般大口のほうを下げてバランスがとれるという関係でございまして、御指摘のように、一般大口のように全部特約を上げたらということは、結果としては大口電力全体のコストの関係がバランスを失することになるのではないかという感じがいたします。  そこで、こう申し上げると、いわばコスト主義自体が問題であるという点になってまいろうかと思いますが、私どもは、やはり基本的な料金のあり方としてはなるべくコストに忠実に分配をするということが、いわば結果的にはトラブルもなく公平に、しかも資源の配分を適正にするという道につながるのではないかという感じがいたします。よく電灯・電力の比率がかねてからいろいろ議論になっておりましたが、私どもとしましては、やはりそれらについても一応コストというものを目安にして配分するということが結果としての公平につながるのではないかという感じがしておるところでございます。それを抜きにして、いわば一部の特定の部分についてコストを割った料金の設定をし、それを他の部分に振りかけるということをいたしますと、回り回ってどこかにひずみができることになりかねない。個々の分野を見てみますといろいろ手を入れたい分野がありながら、一つの基本的なルールとして原価主義をとるということは、公共料金一つの性格としてやむを得ないのではないか、こういう感じがいたしておるところでございます。
  131. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 先ほど来御論議の特約料金につきましては私不勉強で知識もございませんので、この際何とも申し上げられようがないので、ひとつお許しをいただきたいと思いますが、ただ、いま新電力料金の問題が検討されたわけでございますが、その中にありまして、家庭用電灯というものにつきまして、いわゆるナショナルミニマムというような考え方をできるだけ持ち込みまして、かりに値上げがやむを得ない場合でもそれは最低限にすべきものだと存じます。
  132. 野間友一

    ○野間委員 少しこれは勉強していただいて、ぜひこういうようなでたらめなやり方というものを私はやめさすようにひとつ強く働きかけていただきたいと思うのです。  それから、いまに至るもこれは部長としてまだこういう姿勢を変えようとしない。私はもうけしからぬことだと思うのです。これについて、再度私はこういうものについてはやめさすということを強く要望しておきたいと思います。  なお、残余については、先ほど要求をした資料が出てからさらに私は質問を続けたいと思います。時間が参りましたから終わります。
  133. 平林剛

    ○平林委員長 次に、有島重武君。
  134. 有島重武

    ○有島委員 消費者米価特に標準価格米についてお伺いいたします。  食糧庁の、東京都における四十八米穀年度における需給計画というのが、供給総量が七十八万トン、それは自主流通米と銘柄米合わせて五九%、標準価格米が三七%、徳用上米が四%というふうに承知していますけれども、これについて間違いございませんね。
  135. 杉山克己

    ○杉山説明員 先生いま言われた数字、計画としてそのとおりでございます。
  136. 有島重武

    ○有島委員 竹内政務次官に伺いたいんだけれども、五月七日付でもって主婦連合会が都内の主婦千人を対象にしてアンケートをとったというわけですね。どんな米を食べているか。その結果は、自主流通米、銘柄米合わせて、これが六九%である。標準価格米が二三%である。それからやみ米といわれるもの、これが五%、それから徳用上米が二%、こういう結果であった。このことについて食糧庁に談じ込んだという報道がございました。きのうの新聞に出ていたあれでございますけれども、おそらく御承知だろうと思うのですけれども、御承知かどうか。それからこのことについて少しお話をし合っていきたいと思いますけれども、まず御承知かどうかについて……。
  137. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 恐縮でございますが、その記事は、見出しだけで中身は読んでおりません。
  138. 有島重武

    ○有島委員 食糧庁のほうからその詳細をちょっと政務次官に話してあげてください。
  139. 杉山克己

    ○杉山説明員 政務次官のほうには私のほうから特別お話し申し上げておりませんので、私からかわって申し上げさせていただきたいと思います。  主婦連合会が東京都の米につきましてもろもろの実態調査をこの一月中旬から下旬にかけて行なっております。その結果について昨日の新聞に発表されておるわけでございます。なお、その結果につきまして、主婦連におきましては食糧庁に申し入れるというようなことが新聞に出ておったわけでございます。まだ事務的にそのように連絡は私のところまで来ておりません。承ってはおりませんが、どのような詳細であるかということにつきましては大体承知いたしております。
  140. 平林剛

    ○平林委員長 それを述べてください。
  141. 杉山克己

    ○杉山説明員 主婦連の一番おもな調査の事項といたしまして、実際に消費者が消費している米の種類といいますか、区分、これと食糧庁が、政府から売っている米の区分、詳しく申し上げますと、標準価格米の原料として売っております米とそれ以外の米、そういったものとの関係が一致しないではないかということを指摘しておるわけでございます。数字でもって申し上げますと、私ども調査といいますか、実際に売っておりますところの米は、これは四十九年度の計画の数字でございますが、先ほど先生も御指摘になりましたように、主食用米穀の流通量全体の中で非銘柄米、いわゆる標準価格米の原料になるものは三七%でございます。それから自主流通米と銘柄米は五九%でございます。徳用上米が約四%、この点につきましては主婦連の調査と数字は一致いたしておるわけでございます。  一方、消費者がこういった売られた米をどのような形で購入しているかということになりますと、その正確な状況を把握するのはいろいろな調査のしかたがあってむずかしい問題がございますが、私どもが行なっておりますところの消費動態調査で見ますと、標準価格米を買っておられるのは約二七%、家計の購入量全体の中で二七%が標準価格米であるというふうに見られております。したがいましてそのほかの米は約七三%、自主流通米でありますとか政府からの銘柄米でありますとかあるいは一部やみ米といったものもあるかと思います。そういうふうな数字になっております。標準価格米は物統令の適用廃止に伴いまして設けられたわけでございますが、その時点から今日まで若干の異同はありますが、全体の消費量の中で大体二六、七%のウエートを占めて推移してまいっております。
  142. 有島重武

    ○有島委員 竹内さん、大体おわかりになったでしょうか、話の内容は。
  143. 杉山克己

    ○杉山説明員 私ども農林省であり食糧庁でございます。他省の政務次官まで実は内容について詳しく御承知いただいておりませんので、たいへん申しわけありませんが全体の問題についてはともかく、米のいま申し上げましたような内容的なこと、詳細につきましては、私のほうから答弁させていただいてよろしゅうございましょうか。それでは御質問を承ってからお答えさせていただきます。
  144. 有島重武

    ○有島委員 非常に単純なお話ですので——大体主婦連のほうが調べた内容ですね、これはほとんど一般紙に出ておりましたので、わかっていることとしてお話をしたい。  それで、四十七年八月九日付の物特、この委員会でもって当時の有田企画庁長官が、いわゆる庶民米というような概念を言われました。これは安くて、いろいろ諸物価高騰して主婦の方は苦労しておられる、お米だけはひとつある程度の質のものを安く確保するんだということを明言されたわけであります。そのときにすでにこの標準米のことも話にあったわけですけれども、そのときにこの標準米の大体五〇%は確保できる、質は落とさぬ、そういうような質疑があった。そこで標準米を用意した分だけは国民がそれを大いに活用してもらいたい、そう農林省のほうでも、思っておるであろうし、それから、そうした生活のほんとうのベースになる食品でありますから、これを十分に確保して、それをどんどんPRしていかなければならぬというお立場であろうと私は推察するわけなんだけれども経済企画庁としてあるいは政務次官として標準価格米、これを積極的に推進していくお立場であるのか、あるいはこういうものはだんだん解消していく方向でおやりになるのか、その基本的な方向だけでもまずその御認識のほどを伺っておきたい。
  145. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 標準価格米を消費者の方が希望する量だけ確保するのは私どもの責任ではないか、このように心得ます。
  146. 有島重武

    ○有島委員 そこで、せっかく三七%の標準米を用意してあった。だがいまの農林省の御説明では二七%程度しか要求していないというようなお話があった。それから主婦連のほうでは二三%といっておりますか、これはどうしてこういうことになったんでしょう。一つにはまずいからということを言われたところもあったようです。もう一つには、これは私は直接何軒か聞きました。消費者の方に伺ったのですけれども、それはお米屋さんがないと言うのです。標準米はありません、そういうことを言われたうちが、私はきのうちょっと電話をかけて聞いてみただけで三軒あるわけです。お米屋さんのほうにも電話しました。お米屋さんのほうではあると言っておりましたけれども。そういうことはうちの店ではないということを言っておりました。これは国民が望むだけは確保したいとおっしゃったけれども、こういった数字だけ見ますと、国民が望んでいるのは二十数%なんだからもっと少なくしてもいいんじゃないかというような結論になりそうだけれども、ほんとうの主婦の気持ちとすれば、安いお米をほしい、これは間違いないことですね。ですからこの辺に何かギャップがある。このギャップをどのように認識し、どのように解決するかということは、これは国民生活の基礎部分においての問題じゃなかろうかと私は思うのです。その点について、どういうふうに考えているか、どう認識しているか、まずそれを承りたい。
  147. 小島英敏

    小島政府委員 先ほど先生おっしゃいました庶民米構想というのは、有田前大臣のときに、一つの構想としての大臣の言われたことでございまして、このときの考え方は、実は庶民米については据え置きにしたいということが前大臣の基本構想でございまして、そういたしますと、必然的にやはり、質的に落ちるということは避けがたいわけでございます。前大臣の考えとしては、多少質は落ちても、何しろ非常に物価高で困っている世帯が多いのだから、一般の米価が上がるときにも、ある部分は据え置き部分をつくりたいということでああいう構想が出たわけでございましたけれども、これが実は米価審議会その他で意見を聞きましたところが、消費者代表の方々の意見も、やはり多少値が上がるのはしようがない、幾ら据え置きでも、まずい米になっては困りますというのが、消費者代表の御意見でございまして、そのために庶民米構想というのをやめまして、それで標準価格米で、一般の値上げ率に比べて上げ幅の少ない形で処理したのが、当時の実情でございます。  先生おっしゃいますように、また先ほど食糧庁の総務部長が数字を言いましたけれども、出るところではかると、もっと標準米が売られていいはずなのに、末端で調べると、先ほどの数字では一〇%ぐらい標準米の部分が少ないというギャップがあるわけでございます。これは実はずいぶん前からそういう傾向がございまして、その種は結局、途中で格上げされてしまって、本来なら標準価格米で売らるべき原料が格上げをされて売られてしまうという、まことに好ましくないことを含んでいるわけでございまして、これは是正しなければいかぬということは、おっしゃるとおりだと思います。ただ、なかなか困ります点は、一般の家庭用品品質表示法なんかでやりますように、末端製品を調べてみて、これは表示とギャップがあるということが確認できますと、そういう業者に対して厳密に罰を加えたり直させたりすることができるのですけれども、お米というのはどうも精製されてしまいますと、なかなかその事後的なチェックができない商品でございます。こういう矛盾をなくすためには、やはり大型の搗精工場でどんどん大規模に処理をして、初めから袋詰めにして内容と品質を合わしたものを売るように、しかもその部分をどんどんふやしていくということが最大の対策ということでございまして、農林省もそういう方向で、大型搗精による処理部分をふやしつつあるわけでございますが、どうも現段階では、まだこれが一〇〇%にいっておりませんから、中間的にそういう問題が出てしまって、まことに好ましくないわけでございます。ただ、はっきり言えることは、標準価格米というのは常置義務、必ず店ごとに常置をして、消費者の希望があれば必ず売らなければいけない、そういう義務があるわけでございますから、もし先ほどのお話のように、うちにはありませんというような店がありましたら、これは消費者から直接食糧庁その他に言っていただいて、そういう小売り店はチェックをする、これが当面やはり必要な措置ではないかというふうに思います。
  148. 有島重武

    ○有島委員 政務次官、そういうわけでございまして、これはいま、まずいという話がありました。ところが実際は、私も食べているのですけれども、あんまりまずくないのですよ。それから、議員食堂なんかで食べても、たいがいあれは標準米です。おたくはどんなものを食べていらっしゃるか、今度一々聞いてみてもいいわけですけれどもね。  それから、私はこういう質問もしたことがあるのです。みんなが標準米、標準米と言ってきたらどうするのだ。そうすると、いい米でもこれはまぜて売らなければならなくなる。売る義務がある。みんなが標準米、標準米——これは標準米というのを食べましょうということになれば、まずくなっちゃうわけなんですよ。現実に、あまりまずいお米ではありません。  それからもう一つ、現にぼくは三軒、これは標準米はありませんのでと言われてしまったところで、この節はあまりお使いになっているところはありませんよというようなことを言われましたというところが、一軒あったわけなんです。そういうようなことがそのまままかり通っているということは、これはやはり宣伝不足ではないかと思う。標準米を食べましょう、標準米はどこの米屋でも売っています、これはもう一ぺん国民生活の擁護の立場から、宣伝なさるべきじゃないかと思うのですね。それば御研究いただきたい。まず政務次官、いかがですか。
  149. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 ただいまの御指摘で、たとえば標準価格米を、常置義務があるにもかかわらず、何か、先生のお問い合わせによると置いてないという店があった、その場合において、消費者の方が、ああそれではと言って次のお米屋へ向かわれたようなこともあるのじゃないかと思いますので、標準価格米というものの存在、それからこれは販売店には必ず置いてあるものですよという、こういう意味でのPRはもっとする必要があろうかと思います。  また、標準価格米をもっと食べましょうという宣伝も、私はあえて否定するものではございませんが、しかし、味の問題はかなりまた個人差の問題もあろうと思いますので、標準価格米が、はたしてそんなにいわれるほどまずいものかどうか、これは私もちょっと自信がございませんが、ともかく、標準価格米を希望する方にはそれ相応の準備はしてございますよという、こういうわれわれの方針はまだ十分徹底していない、この点についてばさらに検討してまいりたいと思います。
  150. 有島重武

    ○有島委員 宣伝してください。  それから、うまいまずいの問題ですけれども、これはもう少し御研究いただいたほうがいいと思うのです。それじゃ、いわゆる銘柄米ですね、純粋の銘柄米を持ってこられちゃうと、たいがいどこのうちでも、まずいと言うそうです、たき方がよくわからないから。そう言われるから、今度いろいろまぜて持っていく。そうすると今度は、おいしかったということになるそうです。それから標準米も、どこの標準米も全部均質だというわけじゃないのです。農林省のほうでは、これは大規模につくって袋詰めにして売っちゃおうなんて、そういう御計画らしいけれども、それがなかなかはかばかしくいかないのは、やはり家々において流儀がありまして、それから好みもありまして、お米屋さんのほうがそのつぼを心得ているわけなんですね、あそこのうちはこれを持っていけば喜ぶのだと。それで、袋詰めも、家のほうでその使い方を知るのに多少の時間がかかる。それよりも、かかりつけのお米屋さんのほうが、ちょっとした、あのうちはこう、あのうちはこうという、つぼを心得ているのだそうです。そういった技術料のようなものがお米屋さんにはあるのじゃないか。それはぼくはすなおに認めてよろしいと思うのですね。  それからもう一つ、まずいんだという宣伝、これはだから、お米屋さんのちょっとしたさじかげん、といいますか、手かげんでもってまずいという印象を与えることは、もう上質米であろうともそれ以下であろうとも、それはある程度はできるわけなんですね。ですから、味の問題というのにごまかされてはいけない。味は、お米屋さんのほうに、もう少しどうにかしてくれないかと言えば、同じ値段であんばいをしてくれる可能性はあるわけです。これは主婦の方それからお米屋さん何軒かお聞きになればおわかりになると思う。そういった味については、食糧庁のほうで御承知だろうと思います。
  151. 杉山克己

    ○杉山説明員 経済企画庁のほうから御答弁いただきましたけれども、私ども直接米の管理について責任持っている立場でございます。先ほど来の数字のギャップの問題あるいは標準価格米を置いてない店、そういったことについてお答え申し上げますと、数字のギャップの問題は、数字だけ表面から見ますと確かに一〇%程度の差がございます。ただ私どもは先ほど来申し上げておりますように、必ずどの小売り店にもいつでも消費者の要望にこたえて供給できるようにということで配備させることにしております。そういうことになりますと、ある程度の余裕を持って売って米屋さんに置かしておくという措置が必要でございます。そういう売り方をしますので、若干その点から数量の差が出る。それからいま一つは、売る場合は家庭だけではなくて業務用、米飯提供業者といいますか、飲食店にも売るわけでございます。その分も標準価格米はほかにあるということで、数字の差がそのまま何か不当に格上げされているという話ではございません。それから、こういったものについて標準価格米として売り切って、あと若干まだ標準価格米、原料米が残るということがございます。これは、私ども格上げとは言っておりませんが、ほかの米と混米をいたしまして、そして中ぐらいの程度の米にして売るということ、これは否定いたしておりません。先生おっしゃるように、むしろ単品銘柄よりも混米することによって米自身の性格が引き立てられる、全体としてうまく使えるということもありますので、そのことを否定しておりません。ただそういうことをやりますというと、不当に高い値段で売るとか、あるいは売るべき標準価格米をなるべく売らないようにしてそういう混米のほうへ持っていくということが行なわれないとも限りません。そこで、大型精米を奨励するとか、あるいは一般の小売り店についても巡回指導するとかということで私ども必ず置かせる、また不当な格上げはやらせない。さらにそういう価格自体についても、上米、中米についても、標準米以外の米についても価格指導を行なうということを行なっております。それからなお、味の点は、まずいという話も確かに聞かれます。主婦連の調査でもそういうことが一部出ておりますけれども、私ども昨年来つくっている米に変わりはないわけでございまして、特別に最近標準価格米がまずくなったというふうには思っておりません。今後とも標準価格米につきましては、私ども消費者の選考におまかせする、御要望があり次第必ず提供するという方針でいるわけでございます。ただ、そのことを御存じないためじょうずな買い方ができないということになってはいけませんので、先生御指摘のようにPRを十分する。どの店にも必ず標準価格米は安い値段で置いてありますということを、テレビのスポットなどを使って現にいままでもやっておりますし、今後ともそれは十分留意してまいりたいと思います。
  152. 有島重武

    ○有島委員 それからもう一つ問題ございまして、やはり標準米だとリベートが多少少なくなるというんですね、お米屋さんで。その問題も見のがしておくと、やはりお米屋さんも商売で人を養っているわけですから、そういった配慮も一緒にしないと、幾ら宣伝しても今度はお米屋さんの存立を危うくするようなことになって、追い込むようなことがあってはせっかくの制度がまた死んでしまうのではなかろうか。そのことも配慮したほうがいいと思いますね。標準米ですと、大体七・三%ぐらいですか。ほかのものと比較してそういったあんばいを考えてあげないと、実質的に標準米が行なわれないということになると思います。  それから、値上げの問題ですけれども、十月に値上げを予定されていると伺っておりますけれども、標準米そのものの成立の性格からいたしまして、これだけは上げないという方向をひとつぜひともくふうしてもらいたいし実行してもらいたい。いかがでしょう。
  153. 杉山克己

    ○杉山説明員 消費者米価、この場合政府から売り渡す政府売り渡し価格ということになるわけでございますが、この水準につきましては御存じのように本年の四月一日から九・八%の値上げを行なうということを予定しておったわけでございますが、当面の緊急の物価対策の一環といたしまして、その実施を六カ月延期することといたしております。先生御指摘のように米だけでも、特に標準価格米については、なるべくこれを安定した低位の水準でというお話がございます。そういったことも考えながら私ども消費者米価を取り扱っていくべきだと思っておりますが、ただ何ぶんにも現在すでに逆ざや、単にコスト逆ざやだけではなくて売買逆ざやあるいは末端逆ざやというような、制度上まことに見のがすことのできないような大幅な逆ざやが生じております。金の面、財政負担も大きいということもございますが、そういった価格体系の是正ということも一方では考えていかなければならず、先生のおっしゃったような趣旨も念頭に置いて、両々勘案して今後臨みたいと思っております。
  154. 有島重武

    ○有島委員 政務次官、ぜひくふうしていただきたいと思うのですけれども、努力していただきたい。
  155. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 御承知のように、ことしの生産者米価の問題もそろそろ声があがってまいります。また、その生産者米価が上がった場合に消費者米価をどうするかというので、いわば延期した分と二つを考えなければならぬ情勢でございますが、その中におきましても先生御要望の点は極力努力をしてまいりたいと思います。
  156. 有島重武

    ○有島委員 次に、これも私は直接消費者からの訴えでもって聞いたのですけれども、これは新聞にも出たミルクの問題です。ミルクが今度上がるといううわさはあった。それが明治乳業のほうでもって粉ミルク三〇%値上げ通告があった。これも聞いていらっしゃいますね。そうすると、赤ちゃんのある御家庭が買いにいったのだけれどもミルクがない、品切れだと言われたというのです。これはたいへんな問題なんですね。そういったことがもう起こっている。値上げということになれば、大体消費者のほうがそれじゃたくさん買っておこうかといって、あのトイレットペーパーじゃないけれども、そういった気にもなる。店のほうではまた買い置きというか売り惜しみをしたがる。そういった傾向がすでに私の耳に入ってくる。赤ちゃんのミルクのことでもってこんなことが起きたら、たいへんな問題だと思う。まだそんな一般的な話になっていないようですけれども、私の耳に入ったのは二件だけですけれども、きのうです。こういった問題に対処していただきたい。いかがです。
  157. 小島英敏

    小島政府委員 粉ミルクにつきましては実は一、二カ月前に、メーカーによってはどうしても値上げをしないとどうにもならぬという事態があったようでございまして、私ども農林省からいろいろお話を聞き非常に心配いたしました点は、ある一部のメーカーが値上げをいたしますと、いずれこれは近いうちにほかのメーカーも値上げをするに違いないというような動きが出てくる。そうしますとまさに買い急ぎ、一方売るほうでは売り惜しみ、そういう傾向がおっしゃるように蔓延する危険性がございます。そこで農林省とも相談いたしまして、農林省のほうが一部の値上げをしたいと言っておるメーカーに非常に強く行政指導いたしまして、時期を延ばしてきたわけでございまして、どうもやはりコスト的に申しますと、まだ詳しい話は聞いておりませんけれども、やはり一般的にある程度の値上げは免れないような事態のようでございます。しかしながら、いずれにいたしましても値上げしそうだといいながら値上げをしない、そういう期間が長くなりますと、おっしゃるように非常に粉ミルクのような場合は一般の物資以上に非常に必需的な物資でございますから、大きな問題になりますので、いずれにしても早く合理的な水準で改定をするということで処理いたしたいと思いまして、現在農林省のほうで鋭意話を聞き、私どももその話を聞いて処理いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  158. 有島重武

    ○有島委員 政務次官どう思いますか。いまの局長のお答えでは、その対策は早く値上げをきっちりさせることだ、こうなる。それだけが対策ですか。
  159. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 経緯につきましては、いま物価局長から御説明申し上げたとおり私も聞いております。  ただ、そういう問題といたしまして、先生のお調べだと、もう二カ所において売ってくれない、こういう事態だそうでございます。私ども承知しておる範囲では、それが一般的な傾向ではないと存じますが、そういうような事態が出てまいった場合のおかあさん方のショックを考えますとたいへんでございますので、量的な確保についてはいま一度また詳しく実態も調べまして、所要の措置をとるべきものはとってまいりたいと思います。  ただ価格につきましては、改定はやむを得ないかと思いますので、それを企業の側の最大の合理化努力を求めまして最低限のものにしたい、このように考えます。
  160. 有島重武

    ○有島委員 消費者の気持ちとしては、どうしても値上げしなければならないという状態が起こったとしても、それはなるべく延ばしてもらいたいということがあるでしょう。その間にそういったパニックが起こってはたいへんだ、その起こる可能性があるとしたらば、それをさっきお米の問題だったらばすぐ食糧庁に知らせてくれ、すぐ対処します、こう言ったわけだ。それでいまのところまだそんなに一般化しておりませんが、そういったことが起こった場合、どこに持っていったらばそれを対処しますということをやはりひとつPRしておけばそれはだいぶ緩和されると思いますね。そういうようなくふうをやはり早急にやっていただきたい、PRもやっていただきたい。どうですか。
  161. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 ただいまの御質問でございますが、トイレットペーパーパニックのときの経験にも徴しまして、私どもはいま各地に百七あります消費生活センターに、もしどこかの地域でそういう必要物資がなくなったときには、センターのほうに申し越してください、そしてそれをその情報が集まりましたならば経済企画庁のほうで受けることにしておりまして、受けましたものを担当省のほうに申し入れまして、担当省から物が出回るような指示をしてくれる一つのネットワークをつくってございます。したがいまして粉ミルクにつきましてはまだそういう事態を聞いておりませんけれども、もし起こりますならば、各地にございます消費センターのほう、あるいは各界の消費者行政担当所管課のほうにお申し越しくだされば、その辺の物資が比較的うまく回るように処置したい、こういうように考えております。
  162. 有島重武

    ○有島委員 機構としてはそういうふうにできておりますので、それを知らない人も多いわけです。これもPR不足というか教育不足というか、あると思います。それからまたやっと本省に回ってそれが答えがいくまでにだいぶ時間がかかったのではこれまた困るわけでございます。そういったこともよく心に入れていただいて円滑に有効にそれが機能するようにぜひともお願いしたい、そういうわけでございます。  あと電力の問題やりたかったのですけれども、これはまた次の機会に譲らしていただきます。
  163. 平林剛

    ○平林委員長 次に、和田耕作君。
  164. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうは長官が病気でお休みのようでございますから、ひとつ気楽に答えていただきたいと思うのですけれども、お米の値段と国鉄運賃の値上げを半年間延ばしたわけです。去年のいまごろは国鉄運賃の旅客二三%、貨物二四%の値上げ国会がわいておる、たいへん大幅な値上げだということだったわけですけれども、十月の段階で国鉄の運賃のもっと大幅な値上げということが必要な事態になってくるのじゃないかと思うのですけれども、この問題いかがにお考えになっておられますか。
  165. 小島英敏

    小島政府委員 国鉄につきましては半年延ばしたことに伴う負担増はいろいろな形で国庫からめんどうを見るということで措置されておりまして、その後のベースアップの問題等、多少さらに上回る問題があるかもしれませんけれども、現在の考え方としてはいずれにしましても十月にやります場合には前のものをそのまま実施をするということで、長期的な問題はさらにあとに延ばす問題がいろいろあるかと思いますけれども、十月段階ではあの数字を変えるつもりはないわけでございます。
  166. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それは責任のある答弁として聞いていいですか。たとえば国鉄の問題でもいろいろな材料、原料の諸費用の問題は別としても、電力料金が六〇%以上上がるということが予定されている、むろん今度のベースアップで三〇%以上の値上げが行なわれる、この二つの問題だけを考えても国鉄の運賃の値上げというものがそのままで済まされるのかどうか。それをつまり国が財政負担でカバーできると思っておられるのかどうか、これはひとつ気楽に答えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  167. 小島英敏

    小島政府委員 おっしゃるように、予定しておりましたよりも国鉄の採算状況、経理状況がさらに悪くなることは事実だと思いますけれども、やはりあれだけの大騒ぎをしてようやくあれだけのパーセントがいまセットいたしておりますわけでございますから、半年延ばす段階でまたこれをさらに積み増しをするということはたいへんやはり問題が大きくなると思います。したがいましてあと残りました問題はさらに次のどうするかという段階で処理すべきものだというふうに考えております。
  168. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 関連してお米の値段はいまもいろいろ質疑があったのですけれども、これは上げざるを得ないでしょう。去年の一〇%前後のものではとてもじゃないがやっていけない、もうすでに六〇%以上の要求が出てきている。それと同じような問題、内容は違いますけれども、同じような問題じゃないかと私は思うのですけれども、いかがでしょう。違う点がありますか。
  169. 小島英敏

    小島政府委員 違う点は、一つはやはり国鉄運賃のほうはまた法律改正を必要といたしますが、米価に関しましてはそういう必要がないわけでございまして、手続的には米のほうが上げやすいということはございます。ただし、十月に一回きまっております九・八%を積み増すかどうかというような問題は、現在のところ私どもは白紙でございまして、現在段階でお答えするとすれば、やはり九・八%をそのまま使用する。先の問題は生産者米価の上がりぐあいを考えた上でまた別途検討するということだと思います。
  170. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今度の春闘で私鉄運賃の値上げを前提にして私鉄の労働者のべースアップが行なわれた。これも約三〇%近い。国鉄の場合もそうですね。国鉄の場合もとても国鉄では払えないというものをこれまた三〇%以上のものが行なわれた。こういういろいろなことが行なわれておるわけですけれども、私いまの物価問題として個別物資値上げ、つまり電力料金あるいはガス等の問題も今後出てくるだろうと思うのですが、私鉄の運賃、これがどうのこうのという状態を議論する前に、どの程度までこれが上がるのかということがこの対象になってきておる。そういうようなことを全部含めて新しい物価水準というようなものが問題になってきている場合に、単に法改正の問題、いろいろ手続上の問題でめんどうな問題がある、困難な問題があるからこれは上げぬで済むという議論をするというふうな段階じゃないのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、きょう長官もいらっしゃらないので、長官のいないときに局長がいろいろなことを言うとそれは問題になると思いますから、この問題はこういう程度にしておきますけれども、これは国鉄運賃、つまり国鉄財政の問題を考えてあの赤字の国鉄の大幅の運賃のあれを行なったのだけれども、その考え方に変わりがない限りは私は当然上げざるを得ないのじゃないか。もしこの段階で国鉄の運賃を上げないで済むなれば去年国鉄運賃を上げる理由はないのです。国がもっともっと援助すればいいのです。去年のような考え方を依然として政府が持っている限りは、去年上げた以上の大きな理由があるわけです。そうでしょう。私そういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。財政的な負担でカバーできるかどうか。
  171. 小島英敏

    小島政府委員 お米と国鉄ともう一つやや違います点は、お米の場合はいわゆる末端逆ざやが非常識に大きくなりますとまさに逆流現象というふうなことが、一部に前ございましたけれども、さらにそういうものが大きな範囲で行なわれるという可能性が多くなるわけでございまして、こういう点を考えますと、国鉄のほうはそういう問題はございません。ですから、まさにおっしゃるように財政の負担力いかんということだと思います。しかしながら、やはり現段階では積み増しした分はどうしても財政負担で当面をカバーしていかざるを得ないというふうに考えております。
  172. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの公共料金をきめる基本的な考え方として、国が財政負担でもってやっていくというりっぱな考え方があると思うのです。しかし、それでは持ち切れないから必要なものを国民に負担してもらう、受益者に負担してもらうという、これはまたりっぱなそういう考え方があると思う。今度は国鉄の問題はいま物価局長さんがおっしゃるようなことで処理するとすれば、非常に重要な問題ですね。公共料金について国が財政的な負担でもってやっていくのだ、これは一つ考え方ですよ。考え方だけれども、これはもう日本の経済指導の基本的な性格が変わってくる、そういう重要な問題だと私は思うのですね。そういうふうなことはつまり非常に自由経済的なものから国が大きく関与するような経済に変わってくる重要な転換点のようなものになってくる、そういうふうなことはお考えになりませんか。
  173. 小島英敏

    小島政府委員 米の逆流現象のようなことはないと申しましたのは程度問題でございまして、国鉄の場合でもコストに対して非常に安過ぎる料金でやります場合にはやはり一種の過剰需要というものが出たりあるいは資源の適正配分がそこなわれるということがございますから、長期的にはやはり好ましくない動きでございますので、いつまでもそういう形を続けるということはできないと思います。ですから、個人的な感じでございますけれども、いまの考えのように何年かに一ぺんずつ値上げをするというような、そういうタイミングで済むかどうかということはやはりあとに問題が残るのではないかと思いますけれども、直ちに十月段階であの上に積み増しをするということはおそらく利害得失を考えますと不適切ではないかというふうに考えるわけでございます。
  174. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は今後の重要な問題で、おそらく改定せざるを得ないのじゃないか、この国会はともかく来国会でもそういうようなことが出てくるのではないかと私は思うのですけれども、それはそれとしまして、今年になり幸して大体消費者物価は少なくとも二〇%近い前年同月に比べてのアップが続いておるわけです。卸売り物価は三〇%から三五%前後の前年同月に比べたアップが行なわれているわけですけれども、今後、卸売りの問題はいろいろ製品についても見通しがつくと思うのですが、消費者物価についていまのいろいろ予想されておる公共料金引き上げ、あるいは今度のベースアップが及ぼす中小企業製品等についての大幅な引き上げ、あるいは卸売り物価からずっと影響してくる影響等を考えてみて、少なくともこの秋口、今年の末まで消費者物価が前年に比べて二〇%を下がるという見通しが立つかどうか、これをひとつお伺いします。
  175. 小島英敏

    小島政府委員 先生おっしゃいますように、四月の東京の速報数字が前年同月に対しまして二三・九%、約二四%アップでございます。これが今後どうなるかということでございますけれども、確かに卸売り物価鎮静化いたしましても、消費者物価のほうはどうしてもタイムラグがございますから、その傾向が消費者物価に出てくるのはややおくれるということが一つございますし、そのほかに先生もおっしゃいますように公共料金の問題これはほかの消費財については卸売り物価の品目と同じようにかなり十二月、一月、二月の段階先取り的な値上げが行なわれております。ですからある程度コストが上がりましても十分先取り分でカバーできるというものが大部分だと思いますけれども公共料金につきましてはまさにそういう先取りが全然行なわれていなかったわけでございますから、春闘のベースアップ等に伴って賃金ベースが上がりますと、特に公共料金というものは一般の工業製品と違いまして人件費のウエートが非常に高い、ものによっては六割、七割が人件費というような交通機関等もあるわけでございますから、この影響がどうしてもやはり今後出てまいるということが一つと、それからやはり春闘ベースアップがその他の物資につきましても、コスト上昇をある程度先取りはしてあるといっても、全部がカバーし切れないものがあると思いますし、それから賃金上昇需要効果と申しますか、これが購買力の増になってもろにあらわれてまいりますと非常にこれは危険な状態になると思います。そういう意味で所得がふえましても購買力としてはあまりふえないで蓄積に向かうという形がやはりインフレ防止のために一番望ましいわけでございますので、そういう点がやはり今後の政策の一つの重点になると思いますし、消費者のサイドにおきましてもことしの二月、三月、四月と比較的消費態度が堅実化し、慎重化し、いい動きになっておりますので、こういうビヘービアを堅持をしてもらうということがやはりインフレ対策上非常に重要であると思います。それらの不確定要素がいろいろございますので明確な見通しはなかなか立てにくいわけでございますけれども、いずれにしても十二月、一月、二月のようなCPIの急騰というようなことはもうないと思います。四月はたまたま季節的な要因、生鮮食品の野菜その他の要因と、それから年度がわりで教育費とかその他のものが上がったことと、それからガソリンがかなり上がったというようなことが重なって三・五%というような非常に高い上昇になりましたけれども、これらの一時的な理由を除きますと、〇・八%ぐらいの前月比上昇でございまして、三月は落ちついたけれども、四月からまたその暴騰がぶり返したということは、実態から見ると決して当たっていないわけでございます。したがいまして、多少じりじり上がるにいたしましても、そうひどい上がり方はもうしないと思います。公共料金が上がる月は、多少それだけ上積みされると思いますから、大体昨年の動きのような形でしばらく流動いたしますと、前年同月比のほうが四月が二四%弱でございますけれども、大体二〇から二四ぐらいの間でしばらくはいくんではないかと思います。ただ、昨年十二月から非常に暴騰いたしたわけでございますから、ことしも十二月、それから来年の一月、二月になりますと、前年同月比が大幅に下がってくると思います。その段階では、当然二〇を割っていくというふうに思っております。
  176. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはおっしゃるとおり、不確定な要因がたくさんあることで、はっきりした見通しは立たないと思うのですけれども、八月になれば、参議院選挙でも済めば、予算の編成期に入っていくわけで、今年の年間の消費者物価のアップというものの見当をつけなければならぬ時期に来ているわけです。また、いろいろなそういうデータも、いま不確定要因とはいいながら、上がる要素相当はっきりしてきているわけですね。いま局長さんのおっしゃるところを見ても、今年度一年を通じて、二〇%はなかなか下るまいという判断を私は持つのですけれども、そういう判断は間違いでしょうか。大体、そういうところだとおっしゃるおつもりなのか、そこらあたりの見当をお願いしたいと思います。
  177. 小島英敏

    小島政府委員 はっきり計算できますのは公共料金部分だけでございまして、これは毎々お話ししておりますように、CPIに対する効果を計算いたしますと、決してそんなに大きなものにはならないわけでございます。むしろ、先ほど申しましたベースアップの需要効果のようなものが非常に出てまいりますと、そちらのほうがはるかに影響が大きいと思いますけれども、これは今後消費者のビヘービアにかかっているわけでございますので、その部分が非常に見通しが立てにくいということでございます。  しかしながら、いずれにしても上昇率としては、昨年末からことしの二月ぐらいにかけて行なわれましたような、ああいう上昇はあり得ないというふうに思います。年度末近くになりますと、二〇をだんだん割っていきまして、年度平均でどのくらいになるかということは、いまの段階ではなかなかまだ計算しにくいわけでございますけれども、二〇%になるというようなことは私はないというふうに思っております。
  178. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いま、ベースアップの影響が非常に大きい、特に需要を促進していく問題が重大だというお話なんですけれども、今年の春闘のベースアップ、まだきまってないところがありますから整理ができてないということですが、三〇%以上であることは確実だとすると、福田大蔵大臣はたしか、一〇%以上物価影響するということを言明されたことがありますけれども、企画庁として、福田さんのあの見解は少な過ぎるというふうにお考えになるんじゃないかと思うわけですけれども、それはいかがですか。
  179. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 お答えいたします。  福田大蔵大臣が話しております、春闘が大幅の結果、物価にかなりの影響を与えるというお話内容のこまかいことを伺っておりませんので、私からその発言についてとやかく言うことはできませんが、今度の春闘が、私どもが当初予想いたしましたよりかなり高かったということは事実でございまして、伝えられているところによりますと、大体大手では前年比三一%程度、中小のほうでは三四、五%程度ということになろうと思います。その春闘物価に一体どれぐらい影響を与えるかということにつきましては、いろいろの計算方法がございまして、賃金物価の関係は必ずしも一義的ではございません。御承知のように、物価あるいは個別の価格というのは、需給関係その他でいろいろきまるわけでございます。ただ、賃金物価だけをとりますと、賃金上昇というものが二つの経路を通じて物価影響するわけでございます。一つは、需要面から消費需要を拡大させて物価影響するという点、それからもう一つは、コストが上がって物価影響するという点でございますが、コストの点も生産性が上昇する場合には、その生産性の上昇で吸収することができますから、必ずしも賃金コストは上がらないということになります。ただ、従来の日本経済の動きからいいますと、景気が悪くなってまいりますと賃金上昇率も落ちますけれども、生産性の伸び率のほうがよけい落ちるというような形で、賃金コストとしては上がっております。ただ、需給関係というようなことから、従来は必ずしもその賃金コストの上昇というものが物価上昇にははね返らなかったわけでございます。ただ、今回は従来と違いまして、賃金上昇率が昨年よりは上がっております。一方生産性のほうは、昨年の秋ごろから若干稼働率が低下したということもありまして落ちておりますので、おそらくコスト上昇要因としてはかなり大きくなってくるとは思われます。しかし、需給関係その他によって最終的には価格がきまりますので、もし政府のいま行なっております引き締め政策を継続するということであれば、それほど大きな物価上昇にならない、そういうふうに考えております。
  180. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今年のベースアップ、いま宮崎さんおっしゃったように、大企業は三一%、中小三四%という、まあ私どもも想像している以上のアップだったと思うんですが、これはつまりこの前提になった消費者物価というのは、政府の公式のあれにすれば大体一六%でしたか、ですね。しかし実際はそういうものではなくて、二四、五%だというふうなことを前提にこれが行なわれたわけですね。しかし来年の場合は、実際の前提になる数字は、少なくとも現在のベースアップの前提になった数字よりはもっと大きい。いま局長さんは、二〇%台にはならないだろうということですけれども、諸般の状況から考えて、現在の春闘の前提になった物価よりも来年のほうが、もっと物価上昇が高い前提になるんだということを私は考えるんですけれども、また来年もこの三〇%以上のベースアップが続いていくということになれば、政府はこれを放置する、これはしようがない、それは労働者、国民の良識にまつよりほかしょうがないというふうなかまえでおられるのか、あるいはこれは万策を通じてそういうふうな状態を避けなければならない。避けるためには、労働賃金だけではむろん問題にならないので、その他の全般的な経済政策をそういうふうな目から再検討しなければならないというふうにお考えになっておるのか。その問題はいかがでしょう、考え方として。
  181. 小島英敏

    小島政府委員 ベースアップを考えます場合に、消費者物価との関係は一体うしろ向きなのか前向きなのかというところが非常に問題でございまして、つまり過去一年間の消費者物価が非常に上がったから、ベースアップをそれに見合って、あるいはそれ以上上げなきゃいかぬという考え方一つと、もう一つは翌年の消費者物価影響との関係で考えるという見方も理論的にあり得るわけで、実際はおそらく両方の中間ぐらいと申しますか、うしろのことも考え、前のこともCPIも考えていくということになると思います。そういうことから申しますと、純粋にうしろ向きで考えますと、先生おっしゃるように、年度平均の上昇率が四十八年度は一六%ほどで、本年度それよりも低くなるか高くなるかということで、どうもげたが非常に大きゅうございますから、場合によってはやはり十六%よりも上回ることは十分あり得ると思います。ただ、その場合でも、今度のベースアップ、春闘の間でやはりCPIが非常に問題にされましたのは、必ずしも年度平均が一五あるいは二八になりそうだということではなくて、最近時点の前年同月比が二三とか二四とかいうことが、非常に労働者の家計に対する危機意識をあおったという点があると思います。そういう点から考えますと、来年度のいまごろは、先ほども申しましたように、むしろ前年同月比はいまよりも大幅に下がっていると思います。  ですから、年度平均で見ますとおっしゃるような点がございますけれども、むしろ直接労働者の意識に大きく働いていく一番近い時点の前年同月比ということで見ますと、ことしよりもかなり改善されているというふうに思います。したがいまして、もし成長率が非常に低くて生産性の上昇があまり期待できないのにまた来年も三〇%もそれ以上も賃金が上がるというようなことになりますと、ほんとうにこれは物価賃金の悪循環が定着してしまう危険性があるわけでございます。したがいまして、やはり今後の消費者物価をなるべく上昇率を低くするという政策努力がきわめて必要であると同時に、来年の賃金のきまり方についてどういうような政策的なことが考えられるかということを、これからフランクに勉強してまいりたいという段階でございまして、現在、どういう形になるかということは、これからの検討の結果出てまいることであるというふうに思っております。
  182. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまのお話にもありましたとおり、今年度一六%よりはずっと上回っていくという見通しを持っておられる、しかし二〇%には達しないんじゃないかということだと思うのです。——それでいいですね。  大体そういうようなお考えでいいと思うのですが、今度の相当大幅なベースアップにもかかわらず、最近いろいろな組合指導者と会って話をしていると、うれしそうな顔を一つもしていないですね。むしろ一般の労働者は、これでたいへん所得がふえて生活がよくなるんだという考え方はほとんどない状態だというんですね。普通だったら組合指導者は胸を張って見せてやるときですけれども、そういう状態一つもないというのは、非常に特徴的ですね。つまりこれは大幅賃上げというのは、決して大幅といわれるものではなくて、これで物価値上げについていけるかなという感じがもっと強いというような状態があると思うのです。こういうことですから、政府の政策としても非常にむずかしい。むずかしいけれども賃上げということが物価面に対して非常に大きな影響を持つということはお二人とも認めておられるわけですね。  端的にお伺いしたいのですけれども、去年はいまごろは、田中さんとも経済企画庁長官とも、インフレであるのかないのかという議論を盛んにやったものですが、一年足らずの間に、インフレということを言わないで狂乱物価ということを言い出した。狂乱物価というのは、インフレと関係ないのかというと、これはインフレ以上に悪性インフレだということにもなると思うのですが、端的に言って、この春闘三〇%以上のアップを契機にして、賃金物価というものが相当密接な影響をし合うような関係、状態に入ったとごらんになるのか、まだそういう状態でないというふうにごらんになるのか、いま生産性の問題もありますけれども、それはいかがでしょうね。
  183. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 先ほど物価局長からお答え申し上げましたように、今回の春闘の結果、経済の各指標にどのような影響を与えるだろうかということにつきましては、作業を進めておりますので、その結果によってまた御報告申し上げたいと思いますが、一般的に申しまして、昨年の異常な物価上昇が、いろいろな要因で上がっておりますけれども、主として超過需要に基づく物価上昇であったということはできるかと思います。その超過需要に基づく異常な物価上昇は、引き締め政策の効果でだんだんなくなってきたわけでございますが、それにかわって公共料金ですとかあるいは賃金上昇というようなことが、コスト要因として物価影響を与える可能性が強まってきた。そういう意味では、先生ただいま御指摘になりましたように、賃金上昇というものが物価に与える影響の度合いが従来以上に強まっているということは事実でございます。特にことしの春闘が三〇%以上ということでありますと、もちろんそのほかの業種所得がどうなるかというようなことが  いろいろございますけれども、従来以上に注意をしなければいけない問題だと思います。
  184. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 時間もありませんのでこれで終わりますけれども、これは経済全体、物価問題全体から考えてあまりていさいのいいようなことはもう言えない段階に来ていると思うのですね。したがって、私どもいろいろ個別の、電力料金がどうの、お米がどうの、あるいはいろいろな食料品関係のものがどうのとずいぶんいろいろと陳情を受けるし、いろいろな議論もされるのですけれども、個別物資の問題についてはもうどういうふうな程度でどういう形で上げるかというふうな状態に来ていると思うのですね。国鉄運賃にしても局長さん、それは十月には上げられないわね。それで来年国会ではおそらくこの問題が出てこざるを得ない、いままでの政府態度からすれば。そういうふうな問題があるので、これは裸になるというのは言い方が悪いのだけれども国民とともにこの問題に対処していくというような心がまえを持っておやりにならないと、そのときそのときの答弁ということはつまらぬことで、そういうふうな意味で、ひとつ真剣にがんばっていただきたいと思います。  終わります。
  185. 平林剛

    ○平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十八分散会