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1974-04-26 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十六日(金曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員    委員長 平林  剛君    理事 木部 佳昭君 理事 橋口  隆君    理事 山下 元利君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君       片岡 清一君    羽生田 進君       山崎  拓君    金子 みつ君       中村  茂君    山中 吾郎君       渡辺 三郎君    三浦  久君       石田幸四郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部長 福田  勉君         農林大臣官房審         議官      堀川 春彦君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     中井 富男君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省航空局監         理部長     薄木 正明君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   山中 吾郎君     渡辺 三郎君   小林 政子君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 三郎君     山中 吾郎君   三浦  久君     小林 政子君     ————————————— 四月二十六日  総合商社事業活動規制に関する法律案(松  浦利尚君外四名提出、衆法第二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
  3. 片岡清一

    片岡委員 あまり時間がございませんので、お答えいただくのも簡単にお願いしたいと思います。経済企画庁にお伺いしたいこともございますが、これはちょっとあと回しにいたしまして、まず最初に、中小企業金融逼迫の問題についてお伺いしたいと思います。  狂乱物価といわれたのもようやく片づきまして、少し落ちついてまいりました。これはまことにけっこうなことでございます。これが政府の総需要抑制、そしてまた金融引き締めという強力な措置がとられたことがようやく効果を発揮してきた、こういうふうに思われるのでございまして、この点はまことに喜ばしいととであると存じます。ところが、その反面、たいへん困ったことが各地方に起きておるのでございます。金融引き締めがきつ過ぎるために金融逼迫中小企業に非常に大きく響いておるという問題でございます。今月の四月四日の私の属しております地方行政委員会におきまして、福田大蔵大臣が野党の御質問に対してお答えになりましたことには、大体総需要抑制というものは当分続けていかなければならぬが、しかしこのごろは金融引き締めの結果いろいろの副作用が起こっておるので、はっきりはおっしゃらないのですが、ことしの下半期くらいからは若干金融をゆるめるといったような調子のお答えをなさっておられたのでございます。ところが昨日の夕刊によりますと、アメリカにおいてはいわゆる公定歩合がさらに〇・五引き上げられて八〇%になったということで、こういうアメリカの非常にきびしい政策と見合うように、日本においても油断はできない。したがって、当分金融引き締めは依然として続けていかなければならぬ。したがって、緩和政策も遠のいたと見なければなるまいということが出ておったのでございます。こういう点で私はたいへん心配になるのですが、これは大きな国の政策ですから、当然物価問題の対策としては大事なことでありまして、やむを得ないこととは存じますが、先ほどから申しておりますように、中小企業の立場が非常に窮屈な危機状態におちいっておるということでございます。  最近の北陸三県におきます一つ統計的な資料によりますと、ことしになって一月から三月までの企業倒産件数として六十件出ておる。これは負債金額にして六十七億二千六百万円、一件当たり負債額が一億一千二百万円ということになっておりまして、前年の同期に比べますと件数において二・五三倍、金額において四・八一倍、一件当たり平均負債額において六四・七%増というような状態がはっきり出ておるわけでございます。ことしに入りましてからは、特にいま申し上げたように倒産急増して、しかも大型化したということがはっきり言い得るのでございまして、これを数字的に見ましても、昨年の一カ年間においては北陸三県において倒産が百二十人件、負債額が八十八億、一件当たり負債額が六千八百万円であったというものと比較してみますと、いま申し上げました数字は件数において一月から三月ですでに昨年の半数に達しておる。負債総額においても七六・四%、一件当たり負債額も六四・七%という非常な急増をいたし、また大型化しておるということがはっきり出ておるのでございます。  そういうふうで、この実態はいろいろな面からも言い得るのでございまして、国民金融公庫の富山支店が貸し付けております中小企業に対する経済動向調査というものをめぐりまして、それらの統計によりましても、中小企業がたいへん資金難で困っておる。ことに運転資金にたいへん困っておる。そしてその運転資金の申し込みが昨年の四倍にもなっておるということが出ておるのでございます。それから富山県の信用保証協会が出しておる統計によりましても、この保証高が昨年に比べてたいへん急増をいたし、大型化といいますか、たいへん困っておる状況がいろいろ統計的にあらわれてきておるのでございます。特にその業種別に見ましても、建設小売り業卸売り業繊維業サービス業、機械、金属といったように、だんだん各方面のところに広がっておりますが、特に最近の一月から三月までの北陸全体の件数を見ましても、卸小売り業が二十四件、建設業が十八件、倒産業種別を見ますと、いま申しましたように、卸小売り業が二十四件、建設業が十八件、製造業が十一件、合計五十三件でございまして、さっき申しました六十件という倒産の中で、この三つの業種が全体の八八%を占めておるということでございます。これはどういう理由倒産をしたかということがいろいろ統計に載っておりますが、それはいままで何でもつくってもどんどん売れたというようなことから非常に好景気になれた放漫経営というものがやはりその主因でありますが、同時に、消費者がだんだん抑制ムードが出てきて、買い控えをしてきた、そういうために企業側在庫増がどんどん出てきて、売り上げが不振になって倒産したというのが一番大きな理由になるようでございます。さようなことから考えまして、私は中小企業対策というものが喫緊の要務であるというふうに思われるのでございます。ことに、その統計によりますと、大体企業規模が非常に小さいのが犠牲になっておる。資本金百万円未満企業が六十件のうちの三十件、半数を占めておる。それから百万から五百万円未満資本金企業が十八件であるということで、この小規模企業が非常に大きな犠牲になっておるという状況でございます。これは結局運転資金が続かないで、倒産に追い込まれるということの結果であるわけでございます。大蔵省金融面においていま選別金融をやっておられる、あるいは窓口を非常に締めておられるということですが、これらに対してどういうふうな措置を将来この中小企業に対してお考えになっておるか。特に通産省中小企業庁においてこの対策をいま真剣に考えていただかなければ、私はたいへんなことになると思いますので、大蔵省のこの金融に対する考え方、中小企業庁対策、これをひとつ厳重に、具体的にいま考えておられることをお示し願いたいと思うわけであります。
  4. 吉川佐吉

    吉川政府委員 ただいま御指摘のありましたように、非常に倒産件数もふえております。三月にはとうとう一千件の大台を突破して、四十三年以来三番目の大きな倒産件数が出ておるような状況であります。それで金融引き締め影響が非常に強くあらわれてまいっておりまして、こうした影響によって不当に中小企業がしわ寄せが来ないように、いま中小企業庁でも真剣にその対策考えております。御存じのように、三月にはとりあえず特別金融といたしまして、政府系中小企業金融機関でございますが、五百五億円の追加をいたしました。特に繊維建設といった業種に重点を置いて配慮するように指導も行なっております。しかし、その後の状況を見ますと、四月に入りまして総需要抑制効果、特に消費の停滞、これが繊維を中心としまして急速に悪い影響を出してきているというきざしがはっきりとあらわれつつあるという現状にかんがみまして、さらに四月−六月にはあるいは中小企業危機が来る可能性がございますので、特に五月、六月でございますが、それに対しまして、私どもとしましては、先ほど申し上げました三機関貸し出しワクが第一・四半期が例年よりやや多目の五千五百億円ということにしておりますが、さらに、年間のワクを繰り上げるとかあるいは追加をするとかいった方法によりまして三機関資金ワクを広げまして、中小企業に悪い影響が出ないように、間に合うように早急に処置をとりたいと考えておるわけでございます。また、民間の金融機関に対しましても、相当の協力をしていただくようにこれから措置をしてまいりたいと思っております。
  5. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 お答えいたします。  最近の経済状況につきましては、先生がいま御指摘のような状況があらわれてきておるということは確かなことだと思っておりますが、これだけ総需要抑制をかけ、もう一年以上にわたります金融引き締めをやっておるわけでございますが、昨年の十二月ごろまでは、どちらかといえば中小企業関係は、それ以外の企業に比較いたしまして、手元の流動性比率等を見ましても、ややゆるやかであったというような状況がございましたが、最近ではかなりその辺が詰まってきておるということは、全体的にもいえますし、また、業種別には、先生の御指摘のような業界には相当のきしみが出てきておることも確かでございます。この点は、大蔵省といたしましてもいま中小企業庁から御説明いたしましたように、政府関係機関だけでなしに、市中金融機関等につきましても、健全な中小企業運営に支障のないように、融資の面について弾力的に取り扱うようにという指示をいたしておるわけでございますが、何と申しましても、全体の状況といたしましては、まだ総需要抑制に対してゆるみを出すというような状況にはまいらぬのが現状でございます。と申しますのは、一つ国民経済の中における総支出の中で国民消費支出が五割以上を占めておりますので、この消費動向というのが非常に大きな現在の焦点でございますが、一時のようなブームは去りましたけれども、ある見方によりますと、いつまた再燃しないとも限らない。むしろ、どちらかと申しますといまは買い控えとか気迷いとか、そういうものにささえられて需要が落ちているという面がございますので、幸いに物価がある程度落ちつきを見せてまいりましたけれども、ここで気をゆるめてはたいへんだという感じは、われわれ一同持っておるわけでございます。したがいまして、総需要抑制はかげながら、具体的には個々のケースに慎重に目を注ぎながら有効適切な措置をとっていくという以外に道はないということで、健全な中小企業経営に対しては万全の措置をとっていくつもりでございます。
  6. 片岡清一

    片岡委員 ただいま大省省並び中小企業庁からの御説明で一応は納得できますが、ただ私は、たとえば私が知っておる例を見ましても、東南アジアあるいはアラブ方面へ捺染の綿布をつくって出しておる会社、これは最近輸出を大いに増進するということで国策に沿い、しかもそういう発展途上国への輸出を増進するということが大事なことだと思うのですが、そういう会社において、やはり運転資金がなくて困っておる、まあ倒産には至らないが倒産寸前にある。しかもそういう会社は、大会社ならそれぞれ銀行やその他に顔もきく、コネもあるということで、市中銀行にも、選別融資の中から有利に融資を受けるということができますが、ところが、そういうコネもない、非常に困っておる中小企業というのが多いだろうと思います。そういう人たちは、たいへん困って、ときどき陳情に来られるのですが、そういう点をひとつ十分、窓口事務選別融資というものに対してきめこまかい配慮をしていただきたいということを私は重ねて要望し、また、中小企業庁もいまの金融ワクを大いに広げるということを考えておられるようですが、早急にこれをやらないと、倒産してしまってからでは何にもならぬ。そういう意味ですばやい対策を私はここに要望しておきたいのでございます。  そこで、金融の問題と関連いたします問題で、最近農協不正金融事件が実はたいへん続出しておるという状況です。これは結局市中銀行がしっかりさいふのひもを締めておるということで安易に農協に頼むということになるんだろうと思います。したがって、平素から顔見知りであるとかいうようなことで、ことに大銀行等コネのない中小企業はどうしても農協に走りやすい、こういうことでございます。この点は私は大いに同情すべき点があると思いますが、やはり農協自体としては、農民のための農協という原点から離れますことは、きわめておもしろからざる方向にいって、これがために農協基礎をゆるがすということになりますと、農民に対してたいへん迷惑をかけることになるわけでございます。  そこで農林省は、農協のこういう不正金融事件についてどういう態度をとっておられるか。これは市中銀行等であれば、貸し出しについてはたいへんチェックポイントが厳重にできておって妥当に運営されるが、農協はいままでのしきたりからそう厳重でない。こういう金融事件で問題を起こしているところはたいてい無担保無保証で安易に貸しておる。初め少し貸したのがだんだん積もって大きくなって動きのとれぬようになっておる、こういうものが多いのでございます。これらの問題に対して、農林省は厳重な監査を加え、そうしてその運営についても十分チェックをしていくような機構をしっかり整えていただかぬと、こういう弊害はいつまでも続くおそれがあると思うのでありますが、これらの点について農林省はどういう対策を講じておられるか、また将来どういう考えをもって進んでいかれるか、お伺いしたいと思います。
  7. 堀川春彦

    堀川説明員 先生の御指摘のとおり、最近におきまして一般金融機関に対します金融引き締めの浸透に伴いまして、ともすれば一般金融機関保証を与えるというようなことを裏打ちといたしまして、農協系統一般企業資金貸し出しを求めてくるというケースが目立ってきております。農協系統金融は本来農業者組合員の必要とする資金の円滑な供給をはかるということを一つの重大な使命といたしておるものでございますから、組合員の名義を使ったりいたしまして、実質的には一般企業貸し出しが行なわれる、いわゆる迂回融資というような形で金融が行なわれるということは本来好ましくないことでございまして、私どもはかねて来その面の適切な貸し出しをはかるよう、そのような融資が行なわれることのないよう指導してまいったわけでありますが、やや目に余るような状態が昨年来あらわれてきておりますので、この点については再々注意を喚起いたしましたが、さらにことしに入りまして、大蔵省銀行局長農林省農林経済局長、連名をもちまして、重ねて迂回融資等によって一般企業に対する貸し出しが不適切に行なわれるということのないよう厳重に注意を喚起しつつ、かつまた、問題のあろうと思われるような単協につきましては、直接その責任者の出頭を求めて融資状況、内容の説明を聴取する、あるいは現場に立ち入りまして調査をいたす、必要によりましてはこれを検査に切りかえる、かような形で不適切な融資の行なわれることのないよう、一斉に点検を始めるようしておるわけでございます。
  8. 片岡清一

    片岡委員 そういう点についてさらに一そう厳重にやっていただきたい。最近の農協農民農協であるという原点を忘れがちで、購買の面においても何かスーパーマーケットのようなことで売り上げを上げることに一生懸命になる、あるいはまた、貯金を集めることはたいへんよいのでありますが、それが何か、競争でやらせて、農民の利益を考えない、農協商業化といったような傾向が見られることは、農民の大事な機関である農協の今後の発展のためにたいへんゆがんだ道であるというふうに私には思われるのであります。自動車を買わせるように一生懸命に強要するというようなことも、あんまり行き過ぎますとそれは組合本来の目的を逸脱したものになる、こういうふうに私は思うのでありまして、そういう面において農林省はどういう方針で指導をしておられるか、それも伺いたいと思います。
  9. 堀川春彦

    堀川説明員 農協農民組織員とする協同組織でございますから、したがいまして、営農の面、農業生産の面、農産物の販売の面あるいは農業生産に必要な資材の購入の面、こういうことにまず第一に力を尽くすべきことは当然でございます。しかしながら、農協法目的にもございますように、組織員でありますところの農民生活面生活の充実、福祉の向上ということにも力を尽くさなければならないこともまた当然でございまして、さような意味農民の必要とする生活面でのいろいろな資材とか施設その他、そういうものについて農協一つの機能を果たすということは重要な面でございます。さような観点で農協らしい、組合員のためのそれらの諸事業が適切に行なわれるということが必要であると考えておりますが、ともすれば経営主義に走ると申しますか、組合の収益の追求に走りまして、本来の目的が見失われがちである場合も間々聞くわけでございます。さようなことのないようにひとつ十分指導してまいりたい。なおかつ、その辺は、このように農村も非常に都市化が進行してくるということになってまいりますと、従来とはまた違った形のむずかしい問題が農村にあるいは農協の内部にいろいろ発生してまいります。かような点につきまして、農協原点を見失わないということを基本にしながらいかに対応するかということも一つの重要な大きな課題でございまして、私ども農林省といたしましても、これらの点につきましては、昨年の農協法の改正の際に、国会におきましても種々御論議がありましたし、また世間一般の御批判もいろいろございますので、かような点を十分念頭に置いて農協制度研究会を設けまして、それらの農協のあるべき姿というものを基本にしながら、それを制度の上にどういうふうに反映さしていくかということで目下研究を進めておる最中でございます。
  10. 片岡清一

    片岡委員 長官がおいでになりましたので、経済企画庁の問題について若干お伺いしたいと思います。  狂乱物価もようやくおさまりましたけれども、その後、石油製品値上げ、それに伴います、近く考えられます電気料値上げ、引き続いて秋には消費者米価値上げ国鉄運賃値上げ等がだんだん重なってまいります。あるいは私鉄運賃値上げ等がだんだん計画されておるようでございまして、こういうことから考えますと、物価に対する対策は、中央、地方を通じて強力な体制をしっかり保っていかないと、せっかく狂乱物価がおさまりかけてきておるこの趨勢がまた逆戻りする、こういうふうに思われるのでございます。  そこで、石油製品値上げのときに、いわゆる便乗値上げにならないようにということで、生活必需物資、四十幾つでしたかの物資に対して凍結をするというような行政指導をなさったのでございます。これは通産省で主としてやられたのだろうと思いますが、その総元締めである経済企画庁においてはその行政指導がその後うまくいっておるのかどうか、そういう点についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。まあ物価が下がりかけておる、落ち着いてきたということはそういうことも含んでおるとは思いますが、しかしまだ時間的にこれからということも考えられますので、この行政指導がずっと今後も続くことと思いますが、どこまでうまく持っていけるか、そういう点をどういうふうにお考えになっておるか、お伺いいたします。
  11. 内田常雄

    内田国務大臣 御意見がございました石油製品価格改定に伴う基礎資材でありますとか主要な生活関連資材最初は五十三品目、その後農林省関係の食品を若干追加をいたしましたので、六十品目近くなっておるはずでございますが、これは行政指導、いわば行政の力をもって押え込んでおる。押え込んでおるばかりでなしに、なお引き下げの余地があるものは引き下げ指導をも物資所管庁にしていただいておるわけでございまして、今日まで他の環境の改善とも相まって私はおおむねその効果はあげておると思います。これは御承知のさらに末端の小売りの段階における百貨店、スーパーあるいは中間の商社等の取り扱う生活関連物資等につきましても——このほうはかなりの品目数に及ぶわけでございますけれども、これらにつきましても、他の経済環境と相まって私は効果をもたらしておると思います。他の経済環境と申しますのは、言うまでもなく一方におきましては総需要抑制政策金融引き締めというような需要面政府といたしましてはゆるめることなく今日でも強く維持しておる、そのために消費者全体の心理的な影響といたしましてはいわゆる買い急ぎその他の原因となるようなインフレムードがかなり鎮静をしてきているというようなそういう環境と相まちまして効果をあげておる、こういうふうに私は考えます。しかしこういう人為的な価格形成というようなものをいつまでも続けるべきではないと私は思いますので、いずれの時期かは、これらの行政措置による凍結というものをやめましてもそれが再び奔騰することのないような環境をつくりながら、それはインフレムードを押えますとともに需給の緩和というような点をもねらいまして、いつかのときにはこうした人為的な規制措置というものははずすべきだと私は考えるものでございます。しかしそれは来月はずすとか再来月はずすということでなしに、全体の市況や国民生活物価状況等を総合的に勘案をいたしましてきめてまいるべきだ、かように考えるものでございます。
  12. 片岡清一

    片岡委員 行政指導がいいか標準価格法律的に押えていくほうがよいかということはいつもたいへん問題になることでございますが、これらの問題もあまり標準価格でしょちゅう改定をするということでは機宜を得た措置とはいえない場合があると私は思いますので、そこで行政指導の妙味というものがあるんだろうと思います。  そこでお伺いいたしたいのでございますが、そのかみ合わせをどういうふうにお考えになっておるか。御承知のような行政指導法律による強制措置と両方でいかなければやはりうまくいかぬ。そのためにはやはり府県の県民生活安定審議会というようなものもしっかりとつくって、そして県民のコンセンサスを得ながらやっていくというような方法からいうても、私は、地方における生活安定緊急措置法に基づく一連の機構の整備ということがたいへん必要であろうかと思います。ところが私の富山県においては、新聞を見ますと、県民生活安定審議会というものが、最近ようやく委員を任命して動き出しそうだ、四月の二十日にようやく任命したというようなことが出ておって、これはちょっとおそいのじゃないかという気がいたしたのでございますが、全国的に見まして、この生活安定緊急措置法が中央、地方相呼応してちゃんと整備されて動いておるのかどうか。そうしませんと、それと同時にやはりこれからどういう現象が起こるかわかりません。三条によるところの標準価格だけでは間に合わないで、ときにはやはり八条に基づく特定標準価格に移行しなければならぬ、強制的な措置をとらなければならぬという場合もあるのじゃないかと思われるのでございますが、その特定標準価格というのも、全国を通じてやる場合、あるいはまた主務大臣の定める地域ごとにやるというのと、法律文で両方になっておるのでございますが、いままで、特定価格に移行して課徴金をかけたような実例があるかないか、また今後、先ほどから申し上げたような機構の整備についてどう考えておられるか、ひとつお伺いをしたいと思います。長官でも局長でもよろしいです。
  13. 小島英敏

    ○小島政府委員 最初に、標準価格行政指導による指導価格との関係でございますけれども、やはり物によりまして、標準価格に適するものもあり適しないものもございます。適しますものはやはりなるべく標準価格にしたほうがすっきりもいたしますし、地方の協力も得やすいということもございますので、なるべく標準価格にするということでございますけれども先生おっしゃいますように、やや価格の動きが、その一回きめた水準でずっといけるかどうかという定着性の問題が一つございます。それからもう一つは、たとえばナフサとかあるいはC重油というようなものは必ずしも一本の価格になっておりませんで、精製業者と各メーカーとの間の個別のいろいろな関係がございまして、したがってこの間の行政指導によりましても引き上げ額を一本にして示しているわけでございまして、C重油は幾ら幾らということではきまっていないわけでございます。こういうものはやはり標準価格には適しない、行政指導でやらざるを得ないものでございます。したがいまして、現在のところ石油製品につきましては一般的に行政指導でやっておりますけれども、ガソリンその他消費に関連のありますようなものはなるべく早い時期に標準価格に移行したいということで通産省と協議をしているわけでございます。  それからもう一つ地方におきます体制でございますけれども、おっしゃいますように、やはり監視とか指導ということになりますと、中央、地方を通じて非常に大ぜいのものがタッチしてまいりませんと十分な指導や監視ができないわけでございます。そういう意味で、昨年末、一−三月の終わりにおきまして約八億のお金を交付いたしまして、都道府県及び指定都市につきまして機構の整備と人員の整備をお願いしてきたわけでございますけれども、都道府県及び指定都市とも非常に積極的にこういう方向でやっていただきまして、現在のところ、新しい年度になりましてからの機構その他の整備状況はいま調査中でございまして、まだ全国のがまとまっておりませんので、ちょっと古くて恐縮でございますけれども、三月一日現在の地方公共団体における価格調査員等の任命状況でございますけれども、都道府県が七千八百二十九名、九つの指定都市が合計で七百九十六名、合計いたしまして八千六百二十五名の価格調査員等が任命されまして、中央の省庁と協力して監視と指導に当たっているわけでございます。  それからもう一つのお尋ねの、特定標準価格につきましては、現在のところ指定されたものはございませんで、標準価格として指定されている四品目以外にはないわけでございます。
  14. 片岡清一

    片岡委員 もう時間が参りましたので、簡単に一つだけ。  私は、二月のときでございましたか、飼料の問題、肥料の問題等について、値上がりがたいへん困ると申しましたときに、農林省はこれらの問題について十分手を打っていくとおっしゃっておられるのですが、飼料、えさの問題ですが、統計を言いますと長くなりますから言いません。たいへん値上がりが依然として続いております。このために畜産農家はほんとうに危機寸前にある。これは大げさな言い方でなしに、えさをやらないと家畜は死ぬが、えさをやっておると今度は借金がたまる、こういうことになって、たいへんな状況になっておるわけです。だから、こういう問題について、標準価格などを設けて強力な手で何とかやっていくことが考えられないのかどうか、それをひとつ農林省、簡単におっしゃっていただいて、それで私の質問を終わります。
  15. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答えいたします。  配合飼料価格についてのお尋ねでございますが、先生承知のとおり、二月、三月にかけまして大体一万一千円ないし一万二千円程度の、トン当たりでございますが、値上がりがあったわけでございます。その後、これは主として為替レートの関係でございますけれども、これがだいぶ円高、ドル安に推移をいたしてまいりました。  そこで先般、全農におきましては、五月、六月につきましての建て値を引き下げるという措置をきめております。これはただいまのところは、トン当たり八百二十円程度のわずかなものではございますけれども、そういう措置をきめております。それと同時に、二月、三月分につきましては、トン当たりで二千百五十八円でございますか、これはそれぞれえさを買いました者に割り戻しを行なう、さらに四月分につきましては、建て値改定と同じ金額だけの割り戻しを行なう、こういう措置をとることにいたしております。したがいまして、これは一般の配合飼料メーカーにつきましても、全農にならった措置をとるように、ただいま指導を強力にいたしておるところでございまして、大体そのようなことになろうかと存じております。したがいまして、漸次落ちついてまいるのではないか、こういうぐあいに考えております。  ただ、先生のお尋ねの標準価格の問題でございますけれども、これは畜種別並びに銘柄別に非常に複雑にできておるわけでございまして、その点におきまして、標準価格のような制度にはなじみがたいのではないかと考えておりますが、配合飼料価格につきましては十分指導を行なってまいりたいと考えております。
  16. 片岡清一

    片岡委員 では、終わります。
  17. 平林剛

    平林委員長 次に、金子みつ君。
  18. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は本日は、時間の関係もございますので、電気料金に関する問題について二、三お尋ねをしたいと思っております。  御案内のように、九つの電力会社がこのたび一斉にその値上げ通産省に申請したという事実がございまして、非常に話題にのぼっております。非常に不安で、いま、御案内のようにずっと引き続いてまいりました悪性インフレの物価高のこの時代の中で、さらにまた電気料金が上がるという問題につきましては、公共料金抑制の問題と相反するような形になっていくんではないかということが非常に心配されます。それぞれの家庭の主婦も、この問題を非常に大きく取り上げて、あちこちで検討会をしたり勉強会をしたりいたしておりますことは、皆さまも御承知のとおりだと思います。  そこで、まずお尋ねしたいと思いますのは、いままで電気料金というものは各社がぽつぽつと値上げをしてきていた事実はございますけれども、九電力会社が一斉に値上げをするというようなことは、しばらくなかったと思います。過去におきましてそういうことがあったといたしましたならば、それはいつで、しかもそのときは何%値上げであったのか、まず聞かせていただきたいと思います。
  19. 中井富男

    ○中井説明員 お答えを申し上げます。  九電力が一斉改定を行ないましたのは、一番近い時点におきましては二十九年の改定でございます。そのときの改定率でございますけれども、九社それぞれ、改定率は異なっておるわけでございますが、最高が中部電力の一八%、それから一番低いのが関西電力の三・九%、こういうかっこうになっております。
  20. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そういたしますと、最高と最低をお出しになったのですが、これは平均すると、一〇%ぐらいですか、そちらでは何%とお出しになりましたか。
  21. 中井富男

    ○中井説明員 九社全体の平均を出します場合に、収入料金でウエートをつけませんとちょっと出ないわけでございますが、私、ちょっといま手元にその資料を持っておりません。まあ大まかに考えまして、東京電力なり関西電力あるいは中部電力、こういったところはかなり料金収入のウェートは高うございます。したがいまして、まあ一〇%をこえる、一五まではいかないかと思いますが、そういったかっこうであろうかと思います。
  22. 金子みつ

    ○金子(み)委員 大体一〇%プラスアルファぐらいということでございます。  そういたしますと、それが二十九年ですから、いまは四十九年、二十年前ということになるわけですが、二十年たった今日のこのたびの電気料金の改定率が、私どもがいただいております資料の中では、平均、九社総合で六二・八九%。高いところは七七・七四ですし、一番低い北海道で四八・四一ですね。平均して六二・八九、まあ六三%というふうに読むことができると思うのですけれども。二十年前に約一〇%何がしであったものが、急に六三%、二十年の間にものすごい大幅な値上がりだと思います。ちなみに、過去の毎年の少しずつの値上がりを見てみますと、いずれも二〇%をこえてないわけですね。昨年が一九、その前が一六、その前が一五と、少しずつ上がってはおりますけれども、こんなに飛躍的に上がってはいない。なぜこんなに飛躍的に大幅に上げなければならないのか。たとえば、いままではぽつぽつ上げてきたのを一斉に上げるのであるから、一斉に改定するということがそうたびたびできるものではないから、過去の実績から考えても二十年ぐらい間があるとすれば、将来またこれを一斉に上げるということはなかなか時期が来ないであろうが、将来のことを見越して幅を広く上げておられるのではないかというふうな、非常に素朴な疑いが持たれるわけなんでございますが、この辺の、この大幅な値上がりの理由でございますが、時間がございませんので、これを簡略に納得できるような御説明をいただけませんでしょうか。
  23. 中井富男

    ○中井説明員 今回の料金改定の申請の中身でございますが、私ども、いま九社を呼びまして、いろいろと内容の聴取をいたしております。申請に至りました理由といたしまして各社が掲げておりますのは、石油価格の高騰によります燃料費の上昇、これが主たる原因でございます。  ちなみに燃料費の実態を申し上げますと、電力会社の場合にはミナス原油がかなりの量で使われておるわけでございますが、それの公示価格を見てまいりますと、四十七年四月が三・九六ドル・パー・バーレルでございましたのが、四十九年四月におきましてはバーレル当たり十一ドル七〇と、四倍に上がっておるわけでございます。したがいまして、コストの中に占めます燃料費の割合、これは昭和四十八年度上期が二三・四%、下期に至りまして大体三四%ぐらい、これは推定値が若干入っております。それから四十九年度は、申請ベースで四二%、こういうかっこうになっておるわけでございます。それが主たる原因ということで今回の大幅な申請値になっておるというのが会社側の現在までの説明でございます。
  24. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そうすると、大幅値上げの原因は燃料の石油の値上げだけというふうに理解をしてよろしいわけでございますか。確認したいと思います。
  25. 中井富男

    ○中井説明員 いま申請内容を詳細に聴取をしておる段階でございますが、主たる原因は燃料であるということでございまして、それ以外に最近のいろいろな人件費の値上がり等々も一部は含まれておるかと思います。
  26. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は最近こういう資料と情報とを手にしているのですが、いま人件費があるとおっしゃっておりましたけれども、人件費の値上がりというのは横ばいになっておりますね。四十六年の上半期では一四・四%、四十八年上半期で一四・三%ですから、ほとんど同じで、あまり変わっていない。値上げの原因にはならないのじゃないかというふうにも考えられます。私が申し上げてみたいと思っておりますことは、比較的一般にわからされているのが石油の値上げ、石油の値上げということでみんなを納得させていらっしゃるように思うのですけれども、石油の値上げだけでなくて、たとえば今日原子力を利用した発電がございますね。この分について私は少しお尋ねしてみたいと思うのです。  現在動かされている原子炉が美浜の一、二号、この二つと、それから福島にあります一号ですね。この三つが動いているということを承知いたしておりますけれども、この三つの原子炉の出します発電に関して、美浜の二つが動き出しましたのが、一号機が二年十カ月ぐらい前、二号機は一年三カ月ぐらい前からですから、非常にまだ最近の話です。それから福島の分も二年六カ月、ですから、いずれにいたしましても大体二年ないし二年半ぐらい前から動き出しているというふうに理解ができると思います。ところが、その償却の問題が非常に目立つのですけれども、たとえば美浜の場合ですと、九月末現在で二つの炉で六百五十七億七千万円が帳簿原価になっているのに対して、償却積み立てが二百七十五億九千万円、約四一・九%償却のための積み立てが用意されている。それから福島の場合には三九%あるということですから、どちらもまだ非常に時期的に浅いので、二年ないし二年半の間に四〇%前後の償却が実施されているということがわかるわけでございます。この分が原発の建設を促進するために利用されているのだということもわかるわけですけれども、その建設資金にこれが回されていっているということが、すなわちそれがそのまま電気料金に追い込まれていっているのじゃないかというふうに考えられるわけです。このこともまた電気料金の値上げの中に隠された大きな原因として考えていけるのじゃないかと思いますが、その点はどのようにお考えでございますか。
  27. 中井富男

    ○中井説明員 原子力発電の償却の問題でございますが、私ちょっといま手元にこまかい数字を持ち合わせておりませんけれども、おっしゃるように、確かに原子力につきましては特別償却制度がございまして、御承知のように原子炉は建設コストがかなり高うつきます。したがいまして、運転を開始したあとで償却を始めました場合に、かなり企業の経理に激しい影響を与えますので、そういった点を緩和するためにあらかじめ償却原資を積み立てておくという制度があるわけでございます。そういったかっこうで従来から進んできておったわけですが、最近経理が非常に苦しくなっておりまして、そういった原子力償却の関係につきましても、ことしの三月期等は原子力償却の積み立てをすることができないのではないか、そういった見通しでございます。
  28. 金子みつ

    ○金子(み)委員 積み立てをすることの制度があることは承知いたしております。ですから積み立てをしているんだということはわかるのですけれども、わずか二年半の間に四一%以上も積み立てをするというのは、積み立てが行き過ぎているんじゃないかということを私は申し上げたわけなんです。そのことがそのままはね返ってくるから問題になるんだということを申し上げているわけですけれども、どうしてこのように早急に、拙速に積み立てをなさるようになったのでしょうか。原因がございますか。
  29. 中井富男

    ○中井説明員 私、原子力の専門家ではございませんけれども、聞いておりますところでは、原子力発電はかなり技術的な進歩その他が激しゅうございます。したがいましてできるだけ早く償却を済ませて、新しい技術導入その他がしやすいようにと、そういうことで税法上のいろんな配慮があったのだろうと思っております。
  30. 金子みつ

    ○金子(み)委員 原子力発電の問題につきましては、このこととはまた別の意味で非常に問題があるということは考えておりますけれども、本日はその問題には触れようとは思いませんけれども、この積み立てのあり方が少し行き過ぎているのではないかということを私は懸念いたします。その点につきましてもっと正確に、誠実に計算をして、そしてそれが電気料金にはね返る。いま料金改定のいいチャンスだからということでそこへ乗り込ませるというようなことのないように指導していただきたいというふうに考えるわけでございます。その問題については、経企庁長官の直接の御所管かどうかと思いますけれども、どのように長官としてお考えでございますか。
  31. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほどお尋ねがございました、いまから二十年前の電気料金の一斉値上げのときの料率の引き上げ方というものは、今回申請をされている引き上げの平均率から比べると非常に低かったわけでございます。その中間におきましても、時期は異なりながらやはり料率の引き上げが行なわれておりましたが、しかしある種の会社、たとえば中国電力なんかもそうでございますけれども、昭和四十年ごろは料率引き下げの改定を行なったこともございます。しかし、それにもかかわらず、中国電力は今回はやはり相当大幅の料金改正の申請をいたしておるわけでありますが、これらを簡単に申し上げますと、その発電の燃料が従来は石炭を使っておった。しかしその後御承知のように、世界的に原油の供給というものが一種の乱売市場的なものになってまいりましたし、火力発電をやる場合にも、石炭でやるよりも重油とか原油とかあるいは今日ではナフサなども使うのでありますが、そういうものを使ったほうがより安い第一次エネルギー源ということになるということでございまして、だんだん石炭火力を石油火力に置きかえてまいった、したがって、下げることもできたし、いろいろな状況で上げなければならぬ場合にも上げ幅は少なかったと思います。ところが、今日では火力発電の八〇数%というものは石油になっておりますから、その石油は昨年の上期に比べますと、御承知のように四倍以上に値上がりをしてくるということになると、いままではよかったけれども、さあ今度はその値上げ幅が非常に大きくなってまいった、こういうことになると思います。そこで経済企画庁といたしましても通産省といたしましても、発電源として石油を一体このまま使っていけるのか。石油の供給数量等の将来を予測いたしましても、経済企画庁通産省の少し昔の計画では、一年間に石油というものを四億キロリットルもあるいは七億キロリットルも輸入するようなことをも前提としていろいろな経済成長計画などもあったようでありますけれども、そういうことは私は当然不可能である。したがって、もう一ぺん合理的な石炭火力の問題を取り上げてまいるとか、あるいはまた未開発の水力の問題に戻るとかいうことも考えられますが、原子力発電というものはいろいろの問題がございましょうけれども、やはりだんだん原子力のほうに移ることも考えざるを得ない。かようなことが今後の電力供給源を確保していくためには当然考えなければならないことと思います。  その場合に、原子力などにつきましては、これは新しい技術でございますので、御承知のように税法上は初年度三分の一の償却とかなんとかいう、これは原子力ばかりではございませんけれども、各方面の新しい技術などを採用する設備の導入につきましては、同じように初年度三分の一の償却をした場合には、税法上はそれを損金に認めるというような制度をとっております。その一環が原子力発電の施設については適用されているということになります。しかし先ほど通産省からお話がございましたように、いまは、昨年あたりから各電力会社はいずれも赤字になってまいりましたので、税法上はそれだけ大きな幅の償却を認められるといたしましても、実際はそんな償却はできないはずでございます。おそらくこれはまたいずれ調べて、通産省からお話もある機会があろうかとも思いますけれども、いまの償却の状況というものはそういうことではない。配当さえも減らさなければならないというような状況になってきて、それも過去のいろいろな積み立て金を取りくずしながら減配をするという状況になってきておるわけであります。  今回の料率値上げの際にあたりましても、そういうようなことをいろいろ考えまして、金子さんが御心配になるように、会社の中に合理的でない償却、積み立てば残すような形で料率の値上げをこの際めんどうくさいから一まとめに大幅にやっておこう、こういうことは、これは企画庁がどうせ協議に応じなければなりませんので、通産省とは違った立場から、金子さんの御発言とある場合には同じような立場から、私どものほうもそれを再審査をして適正な料率をきめていく、こういうことにいたす仕組みになっております。そのことだけを私はお答えを申します。
  32. 金子みつ

    ○金子(み)委員 企画庁長官の御発言を信用して期待をさせていただきます。  私はなぜそういうことを申し上げているかと申しますと、いま長官のおことばの中にもございましたけれども、過去において重油のキロ当たり単価が非常に下がった時代がございますわけですね。ことに昭和三十年——二十九年に一斉値上げをして、そのあと今度は三十年代に入りますね。その三十年代から四十年の中ごろまで、大体キロ当たり単価が八千円台とか七千円台、六千円台、五千円台というふうに下がってきているわけです。非常に安くなってきているときにでも、電気料金の改定をして引き下げるということをしなかった。今度赤字になったから、さあたいへんだ、料金値上げをしなければならぬ、こういうふうに消費者のことを一つ考えないで、もっぱら電力会社の利益のためにだけ考えて進めていっている。それに対して国も何も御指導なさっていらっしゃらなかった。その点は非常に私は心外だと考えるわけです。消費者のことを考え電気料金の値上げあるいは引き下げということをするのでなくて、会社側の問題だけで動かしている。私はせめてこの三十年代に、ずっと重油の値下げがあったときに少しでも改定をして引き下げてあったならば、ああ誠実にやっているということがみんなにもわかったんじゃないかと思うのですが、都合のいいときは知らぬふりをしてもうけておいて、そして赤字になったら、これじゃかなわぬから引き上げをしよう、こういう考え方と態度、これは私ほんとうに許せないと思うのです。こういうことがずっとこれからも行なわれるということになるといたしますと、消費者は非常に不安でございますし、信用をおけないというふうになります。電力会社に対する不信、引き続いてそれは、それを指導監督する政府の不信ということになってくると思いますので、この辺は解明していただければありがたいと思います。
  33. 内田常雄

    内田国務大臣 そういうことをおっしゃられるのですが、電気料金というものは、私ども政府は決して電気会社だけの政府、生産者だけの政府ではありません。消費者の利益をも代表する政府でなければならないと私は考えるものでございまして、そのことは金子さんでも、たとえば東京電力を例にとりましても、先回料金を改定いたしましたのは、御承知のように昭和三十六年のはずでございます。それから十何年かは据え置かれておるということは、その間わが国の卸売り物価あるいは人件費等がストップしておったかというと、決してそうではないわけでありまして、それはお話にもございましたように、また私もさっき申し述べましたように、石油というものは地球の上で非常に増産をされて、日本がある場合には乱売市場のようなことにもなったので、石炭を石油に切りかえてしまったことがいいか悪いかの議論は別といたしまして、その十数年の間も値上げをする必要がなかった、しないでもよかったということでもあろうと思います。これは東京電力ばかりではございませんで、東北電力の前回の値上げは昭和三十七年、それから北海道電力は二十九年、九州電力は昭和三十六年ということで、いずれも十年以上たっているものが多い。先ほども申しましたように、その間中国電力のようなものは、料率を引き下げ引き下げ改定というものもあったわけでありまして、ほかの電力会社も、それは金子さんの御発言の線を延ばしていくと、一緒に上げたり下げたり、下げられる場合には下げておってしかるべきだということになる部分もあるいはあろうかと思います。その間あるいはいろいろの蓄積もできたかと思いますが、先ほど私が御説明申し述べましたように、発電源というものはほとんど八十何%も石油に切りかえられてしまって、その石油が石油狂乱のような石油クライシスを起こしましたので、どうにもならない。しかしどうにもならないのでありますけれども、どうにもならぬといっても、経済企画庁といたしましても通産省をも電力会社も押えて、自分の積み立て金をできるだけ取りくずしていきなさい。そうして何といいますか、これは設備投資をよけいに必要とする企業でございますので、いずれも資本金が大きい企業でございますので、いつまでも利益を出さないで増資できないということになると、電力供給がまかないきれないという場合もありましょうから、配当をゼロにしろということはなかなかできない性質の企業であります。しかしそれは過去の積み立て金もできるだけくずしなさい、配当も減らしなさい、しかる上納得する線で料金を上げる、こういうことが今度の通産省並びに私どもの態度であります。将来に向かっても同じ態度、あるいはさらに世の中も進むでございましょうから、国民の真意に応ずるような態度をもって私は臨むべきだと考えるものでございます。
  34. 金子みつ

    ○金子(み)委員 次にお尋ねしたいと思いますことは、電力が使われているのは大口の商工業用とそれから一般家庭とになっておりますわけですけれども、この大口の電力の使用の部分と家庭が使っております電灯の使用の部分と、使っている割合とそれに対して支払っている料金とが非常にアンバランスだと思うのです。たとえば四十七年度の料金単価では、家庭で使っている電灯は十一円七十六銭ですし、それから電力のほうは大口が三円九十九銭です。それから小口は五円八十四銭で、平均して電力一本にすれば五円十六銭ということになりますから、家庭側の電灯のほうが二・五倍になっているわけですね。そういうような事実がございますし、あるいはまた別の角度からながめましたら、商工業を一〇〇とした場合に家庭電気料金は、一番低いイギリスが一一一、その次にアメリカが一五三、西ドイツが一七四、多いフランスでも二五四の場合に、日本は四三二という非常に飛び離れた大きな数字を持っている。これは言うまでもございませんけれども、家庭で使う家庭側が非常に重い負担をになわされているという事実を物語っていると思います。さらに別の角度からながめてみますと、大口電力が使っております電気の量でございますが、電力でございますが、これは五一・七%、半分ちょっと越えるぐらいを大口が使っているという事実がございます。それに対して支払いの料金の比率は三一・五%、三分の一分ぐらいしか料金は払っていない。それに対して家庭側はどうかと申しますと、使っている分量は二一・三%ですから、四分の一にも満たない電力しか使っておりませんのに、支払っております料金の負担は三八・三%と、非常に高い比率を支払わされております。この事実は、大口側に非常に猶予され、緩慢であり、そして家庭側に重い負担をかけているという大企業擁護の政策の結果がこうなっているのではないかというふうに私ども考えられるのでございますが、このアンバランスを訂正するということになりますでしょうか、なりませんでしょうか、この辺の説明をしていただきたい。  家庭料金が高くなる理由というのは、機械的な理由説明は私もしていただきまして、理解いたしました。配電の関係や何かで大口工場へ入れるよりは家庭へ入れる場合のほうに費用がかかるということはわかっております。しかしかかることはわかりますが、そのかかる割合とそれから電気料金の支払いの割合とは非常に違ってきます。その点、より余分に支払わされている、かかっている分以上に払わされているというふうに考えられますが、このひどいアンバランスを少しでも狭めるために、今度の改定料金の中では特別な御計画が配慮されているかどうか、御説明いただきたいと思います。
  35. 中井富男

    ○中井説明員 電灯と電力のコストの差でございますけれども、設備面その他のいろいろな原因につきましては、先生すでに御承知のことと思いますので、繰り返しませんが、今回の新しい電気料制度の検討にあたりまして、電気事業審議会におきまして、固定費の配分の方法、これをかなり突っ込んで検討していただいたわけでございます。固定費と申しますのは、ざっくばらんに申しますと、電気事業は、先ほど長官からもお話のございましたように、かなり高い割合で設備産業の性格を持っております。それをどういうかっこうで需要種別に配分をするかという問題でございますが、最近需要が夏ピークにだんだん移ってまいっております。そういった場合には、従来のような固定費の配分方法でございますと、電灯の負担が比較的高目に出るというかっこうでありましたけれども、今回新たに尖頭責任標準法、要するにピーク時における使用割合を加味いたしまして、そういうかっこうで固定費を配分していく、そういう新しい制度等もかみ合わせまして、その結果電灯、電力の格差はかなり縮まるであろうと思います。それ以外に縮まる要素といたしましては、今回の申請の主たる原因が燃料費でございます。そうなりますと、これは産業用でございましょうと家庭用の電灯でございましょうと、とにかく同じような割合で影響を受けている。したがって、産業用のほうがアップ率としては高目に出るというかっこうで、燃料費が原因であるということと、それから私どもが審議会でいろいろ御検討いただきました固定費の配分のしかた、新しい方法等々によりまして、かなり格差は縮まってまいろうかと思っております。ただし、まだいま各社の申請内容の事情聴取をやっている最中でございますので、私どもまだ査定の段階に入っておりませんから、具体的にここまで縮まりますということは御報告申し上げかねる段階でございます。
  36. 金子みつ

    ○金子(み)委員 査定の段階でいらっしゃるから、お願いとして質問申し上げたわけです。きまってしまってから申し上げても改めていただけることはないと思いますので、いままだやっている最中ですから、その点を十分考えて、配分の場合にも家庭の重荷にならないような考え方で進めていただきたいと考えるわけでございます。  時間もございませんので、あと一つだけお尋ねさせていただきたいと思いますが、それは今回の電灯料金の改定に関しまして、高福祉、省エネルギーの要請にこたえる新しい電灯料金の制度をつくるというふうなことになっているようでございます。その新しい料金制度の中に三段階方式というのを立てていらっしゃいますが、その三段階方式の中の一番最初の段階、第一段階でございますが、ナショナルミニマムというものを考えておられるようです。このナショナルミニマムの考え方そのものは私は別に問題はないと思うのですけれども、ナショナルミニマムのきめ方に問題があるというふうに私は申し上げてみたいと思います。第一段階のナショナルミニマムのきめ方が、一軒当たり一カ月百キロワットアワーということ一になっているわけですね。この百キロワットアワーというのをきめられたそのきめ方に非常に問題があるというふうに考えるわけでございます。私はいま東京の渋谷の小さな個人アパートに住んでおりますけれども、現在一人でおりますので、いろいろなものをあまり使わないわけですね。それでもこの冬は、燃料はストーブは電気を使いません。ガスを使っておりました。それでいて、十アンペアで一番小さい単位だと思いますけれども、百ワットで済まないのです。百二十出ます。ですから、そうなりますと、家族のおありになる方、ことに小さい子供さんやお年寄りやあるいは病人をかかえた家庭などというものは、百キロワットアワーで押えられたら私は非常に困ると思うのです。この間うちから消費者の方たちやあるいは生協の人たちといろいろとこの問題について論議をし、意見を出しておられるのを幾つか伺ってみましたところが、百キロワットアワーでおさまっている家庭というのは、これは生協連の報告でございますが、八%前後だというのですね。一番多いのはやはり百キロから二百キロの間ですね。百キロから百五十が二五%、百五十から二百が三五%、二百以上の家庭も三二%ある。三分の一あるわけですね。そういたしますと、一番みんなが使っていると思われるのが百から二百の間です。ですから、そうだとすれば、一番最低のナショナルミニマムをおきめになるのだったらば、最低百五十でもってきめられるのが妥当ではないかというふうに考えるわけでございます。  さらにその百をおきめになった内容を拝見させていただきましたところが、非常にびっくりいたしましたのは、どういう家庭を対象にこの百キロワットアワーをナショナルミニマムとしてお出しになったのかということは非常に疑問があります。たとえば照明の場合は二十八使うようになっていますが、これはどういう家か、時間がありませんので質問でなくて私が申し上げますけれども、二DKだというのですね。二DKの平均世帯で、そして電灯はどういうものを使っておるかと申しましたらば、台所の白熱灯六十ワット一個、これは一応いけるかと思います、台所の大きさがわかりませんけれども。それからあとは、居間が二つありますのに螢光灯三十ワット一つずつなんですね。これは暗いと思いますね。皆さんの御家庭でもそんなふうに電灯を使っていらっしゃるのでしょうか。たいへんにこの照明は私は暗いと思います。それから玄関、風呂場、お手洗いなど合わせて三カ所で六十ワット、これも薄暗いお手洗いになってしまうと思います。さらに驚きましたのは、この百三キロワットと出ております数字の中に電気がまが入ってない。電気炊飯器ですね。このごろどこの御家庭でも御飯をおたきになるのに、まきをたいていらっしゃるところはもちろんありません。ガスかあるいは電気ですけれども、あの電気がまというのは非常に普及しております。これはガスがまよりも早く出ましたから、どこの家庭でもこれを使っていらっしゃる。これとかあるいはテレビですね。カラーでなくて、白黒テレビ一台すら計算の中に入っていない。そういうようなきめ方で百を割り出していらっしゃるということに私どもは納得がいかないわけです。もちろん電気毛布だとかあるいはルームクーラーだとかいうものはまだぜいたくな部類に属するかもしれませんが、将来はルームクーラーなどは必需品になるかもしれません。一部屋ぐらいはつけるようになるかもしれない。しかしそれは一応おくといたしましても、日常使っているであろう炊飯器とかあるいは白黒テレビすら計算の中に入っていないで、百を無理につくり出したような感じがある。これは非常に不合理だと私は思いますが、この点を改善なさる御趣旨——これはきまったものじゃないでしょうけれども、こういうことできめていこうとしていらっしゃる線が非常に強いと思いますが、これをせめて百五十、最低百五十、それをナショナルミニマムとしてきめられることが、そうでなくても非常に問題の多い今日でございますから、少なくともいま物価がものすごくはね上がっております時期ですから、せめて物価が安定する時期がくるまででも百五十をミニマムとして取り扱うというだけの方針をお立てになっていただくわけにいかぬでしょうか。これは政策だと思いますけれども、御方針を聞かせていただければと思います。
  37. 中井富男

    ○中井説明員 ただいまのナショナルミニマムについての先生の御高説でございますが、審議会で百キロワットアワー程度が当面ナショナルミニマムとして妥当であろうという議論がございましたときの若干の御紹介を申し上げますと、まず一つは、先ほど御紹介のありました平均的な家庭においてどういった電気の使用量になっておるだろうか。これにつきましてはとりあえず八〇%以上の普及率を持っている機器を一応計算したわけでございます。ただし、これ以外の機器は全然使ってはいかぬということではございませんで、めどをつけるための一つの手段として八〇%以上、その中に入っておりますのは照明用、それからアイロン、あんか、トースター、扇風機、ごたつ、冷蔵庫、洗たく機、カラーテレビ、掃除機、そういったものが一応含まれているわけでございます。  それからもう一つ審議会で御議論ございましたのは、やはり相当数の需要家が百キロワット時までお使いになっておらなければいかぬだろう、そういった点から申しますと、軒数分布では大体四一%が百キロワット時までの需要家でございます。それから使用電力量分布で申しますと六三%というようなかっこうになっておりますので、そういった点でかなりのカバレージがあるのではなかろうか。そういったこと等々を考えながら審議会で当面百キロワットではどうかという御提示があったわけでございます。  それからもう一点といたしまして、従来のような一律料金制度でございますと、たとえば二百キロワットアワー使った場合に、今回の三段料金制と比較いたしますと、第一段の百キロワットまでのかなり低い部分の低料率の電気が百キロワットアワーまで入ってまいりますので、したがいまして二百ぐらいまで使った場合には、むしろ従来の一本料金の場合に比べますと総支払い額は割安になるというのが一つでございます。まあ私どもといたしましては、できるだけナショナルミニマムに相当する部分につきましては低い料金を適用するようなかっこうに持っていきたい、そのためにはあまり幅を広げますと今度は逆に第一段料金の低め方で薄くなる、そういった可能性もございます。そういったこと等々ございますが、私どもはまた五月七日、八日に公聴会等でいろいろな御意見を伺いながら今後検討してまいりたいと思っております。
  38. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そのようにおっしゃいましたけれども、私ども手元にございます数字ですとそうならないのですね。百四十四キロワットを使っている家庭で千七百七十円だったものが今度の計算でいきますと二千二百五十円、二七%アップになります。二百までの人は下がるであろうとおっしゃいましたが、下がらない。それから三百をわずか八キロワットこえただけで三千七百一円だったものが五千七百二十二円、四二%アップになる。これはもう非常に大きなアップになります。ですから審議会の御答申も私どもちょっと納得できません。審議会の方々は、一体一般庶民はどういう生活をしているのか御存じなのかしらんと思いますけれども、非常に標準のきめ方が低過ぎると申しますか、不合理だと思いますから、この点をさらに検討を加えて最も妥当な線で引いていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  そこで、もう時間がございませんので、最後に経企庁長官にお願いでございます。物価担当大臣となさいまして、こういったような問題についてせっかく公共料金を押えてそして延ばして、半年延ばしあるいはまたそれにまた半年延ばしというふうにして一般庶民の生活を、消費者生活を少しでも暮らしやすくなるようにというお考えで進めていただいた政策はけっこうだったと思うのでございますけれども、もうその延ばした線が目の前の十月に控えてきているわけです。先ほどの御質問にもございましたように、十月になれば国鉄の運賃も値上がりするであろう、あるいは米価も上がってくるというようなことで、もう軒を並べてまいります。そこへ持ってきてこの電気料金が十月に上がるのかと思いましたらば、そうじゃなくてもう来月やろうという決意を固めておられるように伺うわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、さなきだにこの苦しい危機を突破したいというふうにみんなが考えておりますやさきに電気料金が上がりますれば、当然私鉄料金も上がってくるというふうになりますでしょうし、あるいはそのほかのものも、私バスもというふうなぐあいに次々と軒を並べて上がってくる可能性が非常に強いので、その点非常に危惧をするわけでございますが、企画庁長官となさいましてはこういう問題をできるだけ引き延ばしをするかあるいは改定率を変化させるように指導するか何か考えていただいて、この電気料金の問題を中心にほかのものも一緒に値上がりしてくるであろうそれらを防ぐために思い切った措置をとっていただきたいと思いますが、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  39. 内田常雄

    内田国務大臣 従来からたびたび申し述べる機会もございましたように、公共料金はいまの政府といたしましても極力これを抑制し、また慎重に扱うという方針に変わりございません。金子さんのおことばにもございましたように、十月になると国鉄、それからまた昨年度の生産者米価に関連する消費者米価というものも押え込んでしまってありますので、これも十月一日から上がる、しかしまた本年産の米価につきましてもすでにお耳にも入っておると存じますが、生産者のほうからは相当強い引き上げの要求などもございまして、これをそのまま消費者米価に及ぼし得るかどうかというような問題もございますので、私どもといたしましては公共料金は全体といたしましては極力抑制をいたしますが、そういうことともにらみながらいろいろの引き上げ要因の業種を適当に配列をしていく以外にないと思います。これを一緒に引き延ばしてしまいまして、また電気もガスも米も鉄道もバスも郵便料金もというようなことで一緒にやることになりましたらたいへんなことになりますので、一般の消費者物価状況やらまた国民生活状況やらあるいはまた財政の都合なども考えまして、きわめてまじめな態度で、また国民のためにということも十分考えながら公共料金の問題はこれをじょうずにあんばいをしていく、こういう考えでございますので、そのように御了承いただければ幸いです。
  40. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ありがとうございました。終わります。
  41. 平林剛

    平林委員長 次に、渡辺三郎君。
  42. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 きょうは、いまも質問がありましたが、公共料金の問題と関連をしまして、経済企画庁が当初立てた経済見通し、こういう問題を含めて御質問を申し上げたいと思いましたが、時間の関係がありますから、端的に廃棄物の処理施設の整備事業の問題にかかわってこの価格の問題、その他について具体的にお聞きをしたいと思います。  廃棄物処理施設の整備事業につきましては、今日の社会状況のもとできわめて重要なことであります。これは地域の住民も早急にそういう施設を整備をしてもらいたい、こういうふうな要求が強くなっておりますし、各地方自治体でもつとめてその整備の推進をはかろう、こういうふうなかまえできておると思いますけれども、特に昨今の資材の値上がりの中ではなかなか思うようにそれが進行しておらない、こういうふうな状況に実情はあろうかと思います。  そこで端的に厚生省に御質問を申し上げたいわけでありますけれども、昨年来これらの施設の整備事業に対して実情に合うようなどのような具体的な措置をとってこられたか、これを最初お聞きをしたいと思います。
  43. 福田勉

    福田説明員 お答え申し上げます。  先生ただいまおっしゃいましたように、この廃棄物処理施設はきわめて公共性の高い、住民にとっても大事な施設でございますので、極力推進につとめておるところでございますが、御承知のように昨年以来物価の高騰に伴いまして、事業の推進上いわゆる単価の改定あるいは物の処理、処置ということできわめてむずかしい事態に一部立ち至っているわけでございます。厚生省といたしましては昨年度当初予算におきまして約六%の単価の伸びをはかったわけでございますが、十一月一日現在におきまして廃棄物処理施設につきましてはさらに七・七%の単価アップを行ないまして、合わせまして一三・七%のアップをはかったところでございます。これは日銀の物価指数の伸び率から算定いたしましてそういう率をきめたんでございますが、それ以降におきまして一月、二月でいわゆる鋼材等の値上がりによりましてさらに措置する必要があるということで、一月一日以降の契約分につきましてさらに六%の特例的な単価アップをはかったところでございます。
  44. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、いま話されましたように、昨年の八月三十一日ですか、当初きめておった単価をさらに改定をする、補助額を上げる、こういうふうな措置をとり、さらに特例措置を加えたわけでありますけれども、これによって、昨年の特に下半期以降非常な資材の値上がりが行なわれたと思うのでありますけれども、それに十分見合うような措置であった、こういうふうに厚生省は考えておられますか。
  45. 福田勉

    福田説明員 四十八年度におきます予算措置におきまして公共事業の伸び率はきわめて押えられたわけでございますけれども、その当初予算におきましても、生活環境関連施設ということで他の部門よりも高い、約二割のアップをはかったわけでございます。先生おっしゃいましたように八月以降の物価の騰貴等によりましてただいまの措置をとりましたが、これは建設省あるいは農林省等の他の省の公共事業と同様な措置あるいはそれ以上の措置をとったわけでございまして、その点ではやり得る限りの単価改定等を考えたつもりでございます。
  46. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それから、総需要抑制という形で公共事業の繰り延べが政府全体として計画され、実行に移されたと思いますけれども、こういった住民の環境整備にかかわる公共事業、これもやはり多かれ少なかれその対象にされたことは事実だろうと思います。そういう意味でも、起債のワクが大きく制限されたために当初立てた計画の遂行が延び延びになっておる、こういうふうな事情はありませんか。
  47. 福田勉

    福田説明員 私先ほど申し上げましたのは国庫の補助基本額等の単価アップでございますが、それが伸びますと、当然起債のほうもその裏づけといたしましてそれに応じた見方をするということになっております。先生承知のように起債のほう従来実勢単価でもってやっているわけでございますので、それなりの伸びを示しておりますが、四十八年度の起債総額といたしましてはふえておりません。したがいまして、他の事業費を圧縮いたしまして残ったものをここへ充てるように厚生省も要請いたしまして、多少そういう点の伸びをはかったところでございます。
  48. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 次に廃棄物処理の施設業者に対する厚生省の指導、これはどういう形で行なわれているのですか。
  49. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 廃棄物処理業者は非常に特殊な業界でございまして、これらの業者が集まりまして一つの協会をつくっておるわけでございます。これを日本環境衛生工業会といっておりますが、そこを通じまして業者に絶えず技術指導その他についての指導を行なっておるわけでございます。さらに、廃棄物処理施設の事業を行ないます実施主体は各市町村でございますので、市町村に対しましては都道府県を通じましてまた各種の指導を実施いたしております。
  50. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間があれば県を通しての市町村に対する指導の内容をお伺いしたいのですが、時間があまりありませんから業者の関係だけをしぼってお伺いしたいと思います。  たとえばいま技術的な指導という面でおっしゃいましたけれども、工事の請負価格というものについても、おおよその指導を厚生省はなさっておるのですか。
  51. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 あるいは先生御案内かと思いますが、各市町村がこれらの施設をつくります際、業者との間にいろいろな問題が発生していることも残念ながら事実でございます。そういったことがひいてはこの廃棄物処理施設の機能に非常に影響を及ぼすような結果にもなるわけでございまして、廃棄物処理施設をつくる所期の目的を達成しないというような場合もあるわけでございまして、そういったことのないよう、先ほど申しました環境衛生工業会に対しまして、傘下の業者に対してそういった契約上のいろいろな問題についても不正のないよう絶えず注意を喚起していく、こういうふうに指導をいたしております。
  52. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それから先ほどもちょっと触れましたが、国庫補助単価の改定などにあたりまして、業界から出される要望あるいは意見を基礎にしたり、業界と厚生省の環境衛生局が直接御相談をなさる、こういうふうなことはありますか。
  53. 福田勉

    福田説明員 実態に合わせるような措置考えます場合に厚生省で単価改善等をはかります際は、いわゆる日銀等の物価指数をとっておりまして、業界からの参考意見は上がってはまいりますが、私のほうでそれと合わせてやるとかあるいは相談するということはございません。
  54. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 先ほど局長のほうから社団法人日本環境衛生工業会を通じて個々の業者にはそれぞれ必要な指導をしている、こういうお話がございましたからお聞きをするわけですが、この環境衛生工業会の組織の内容あるいは業界に及ぼしている影響、それから特に工業会の実質的な機能、これは定款には一応いろいろなことが書かれてあります。しかしそういう形式的な表面上の問題ではなくして、この工業会自体がどのような機能を加盟する会員会社に対して果たしているのか、こういう点について十分に調査をなさったりあるいはその結果指導をなさったりしたことはありますか。
  55. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 日本環境衛生工業会に加盟している業者はこの廃棄物処理プラントメーカーの中でも比較的大手の業者がこれに加盟しておるわけでございまして、われわれといたしましては、この加盟以外のプラントメーカー、こういうものに対する指導が必ずしも十分行なわれていないとは考えておりますが、この環境衛生工業会は、環境衛生施設のいろんな技術の向上ということに主眼を置いて、工業会内部におきまして加盟各社がいろいろ情報を交換する、かように理解いたしておるわけでございますが、そういう場合に、実際にわれわれがこの協会に対しまして従来行なっておる点につきましては、いろんな技術的な問題についての助言を要請された場合には、技術者によります技術的な指導は行なっておりますが、会自体の運営等につきましてはあまり深くは関与いたしておりません。
  56. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 私が調査したところによりますと、いま申し上げました日本環境衛生工業会が、各市町村段階のそれぞれの工事の請負にあたって事実上価格の協定を行なっている、このように思うのです。私の調査によれば、そういうふうに確信を持ちます。この点については、厚生省としてそういう実情をお調べになったり、あるいは過去においてもけっこうでありますけれども、把握されたことはございませんか。
  57. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 環境衛生工業会内部におきまして、そういう価格の問題等についていろんな話し合いが行なわれたということは、われわれ聞いておりませんし、また、そういった事実について確認を行なったこともございません。
  58. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 私が調査をした内容としては、たとえば屎尿処理施設を扱う工業会内の各メーカーは一つの部会を持っております。名前を「夕霧会」と称しているようであります。  この屎尿処理施設につきましては、消火槽の場合は昭和四十八年度の本体工事、それから四十九年度、これからになるわけでありますけれども、この本体工事。それから、酸化処理方式の場合には、四十八年の三月までのそれぞれの価格の協定を行なっている。これは十キロリットルから百キロリットルまでそれぞれ段階をきめて価格の協定を行なっている、このように私は承知いたしております。  それから、ごみ処理の施設の場合につきましても、これは業界用語だと思いますけれども、セミ機械、この場合に昭和四十七年度、それから昭和四十八年度、昭和四十九年の三月まで——これは正確には四十八年度になるわけですが、それから準機械、この場合には昭和四十七年度、同四十八年度、二十トンから百トンまで。これは本体、それからピット。クレーン、マルチサイクロン、それぞれに価格協定を行なっている。これは、先ほど申し上げました屎尿処理部会の「夕霧会」と同じように、焼却炉の部会としては「むらさき会」というのを組織している。「夕霧会」「むらさき会」は、それぞれの工業会内における一応親睦団体と見られるような名称でありますし、また目的の中にはそういうことも入っておると思うのです。  しかし、一番問題なのは、いま申し上げましたように、具体的なそれぞれの価格協定が内部で厳然と行なわれておる。そこに私は非常に問題があると思うのであります。しかも、単に価格の協定をやっているだけではありません。私が調査するところによりますと、この二つの「夕霧会」「むらさき会」、このような機能を通じて、それぞれ罰則の規定、この申し合わせに違反をした会社が出た場合には、どのようにそれを締めつけるか、こういう制裁の申し合わせが行なわれております。私はこういうものはたいへんな問題だと思うのです。先ほど局長も、あるいは部長も、国としてはきわめて重要な公共施設である。したがって、現在の資材の値上がり、そういうものに見合って国庫補助の単価も改定をしながら、実情に合わせるような努力をしているとおっしゃいましたけれども、私が調査をした——いま時間がないから詳細にはここでは申し上げませんが、それぞれの申し合わせの価格は、国が先ほど来言われておるような六%ないしは七%というふうな改定ではなくて、もっと高い協定をやっておる。こういう実情についてお気づきにならぬか、あるいは調査をなさったりしたことは全然ございませんか。
  59. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま先生指摘のような点につきましては、われわれ、まだその実態等を承知いたしておりませんし、また過去におきましてそういった点につきまして調査をいたしたことはございません。ただ、先生先ほど御指摘のように、廃棄物処理施設のいろんな市町村段階における受注におきましては、むしろ競争が非常に激しくて価格がくずれることにより施設の整備が劣悪化する、そういう事態も間々あるようでございますが、われわれといたしましては、そういう環境衛生工業会内部の問題につきましては、むしろ競争が激しいというふうに従来理解いたしておったわけでございますが、ただいま先生の御指摘のような点につきましては、今後さらに厳重に注意をいたしたいと思っております。
  60. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま局長のされた答弁は、私は問題があると思うのです。競争が激しいというのはあたりまえの話であって、その中で正当な価格が生み出されるのです。そのために競争があるのです。競争が激しいから施設そのものが粗悪になるということは許されないし、また、それを請負を依頼する側のたとえば市町村、これが専門的な観点で厳密に判断をすればいいのであって、だから価格の協定が許されていいとは局長はもちろん言っておりません。厳重に注意するとは言っておりますが、そういう少しでもあいまいな姿勢があるとたいへんな問題に発展する、こういうふうに私は思うわけです。  そこで、少し内容を申し上げなければならぬと思うのですが、新設の場合の見積もり金額、いわゆる協定の内容です。工業会がきめた見積もり金額を一番の最低額とする。それは抽せんによって一番くじの業者がその金額をとる、こういうふうに申し合わせされている。そして以下抽せん順位に従って、先ほど申し上げました工業会価格に順次上乗せした金額を出すことになっている。したがって、どこの業者がこれを受けるということは、初めからもうきまっているのです。そういうやり方をとっている。それから既設のものに増設する場合には、既設のプラントの建設メーカーが指名に入っている場合は、そのメーカーが最優先権をとる。他の業者は既設メーカーの指示する金額に従わなければならない。こういう申し合わせです。  これは明確に独禁法の八条違反ですよ。ただし、無断で指示金額を破った業者が出た場合には——ここ以降が制裁規定ですが、工業会メンバーによる委員会会社、これは御存じだと思いますが、理事会社あるいは役員会社、これは工業会の中に明確にきまっておりますから、これに提訴して、違反会社に罰金を課することになっている。文章ではそういう表現は使っておりませんけれども、事実上罰金を課している。違反会社は罰金を払うかまたはその年の入札を辞退する。その問題に応じて辞退の回数をきめる。このような厳然たる申し合わせが行なわれております。  これでは完全なやみカルテルです。そして資材の単価の値上がりに便乗して工事の請負価格をつり上げる、このような状態になる。そればかりではなくて、こういう不当なやり方に対して批判を持っておる工業会内部の会社は正当な競争から排除されるという結果になるんだと思うのです。これは非常に問題です。その辺に対してどう考えますか。
  61. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま先生の御指摘のような点があればまさに重大な問題だと思っておるわけでございまして、そういった点につきまして今後厳重に調査をいたしたいと思います。
  62. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ここで公取委員会にお聞きをしたいわけでありますけれども、いま私は概略だけを申し上げました。時間の関係であまり詳しくは申し上げませんでしたが、こういうふうなことについていわゆる独禁法の八条に照らしてどのようにお考えでしょうか。
  63. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 これはきのうの当委員会でも申し上げたのでございますが、具体的な事案につきましてはこれの審査活動に支障がございますので、意見は差し控えさしていただきたいと思いますけれども、もしそういう事実があるとすれば、これは独禁法違反の疑いも考えられるということでございますので、事件の端緒として検討いたしたいというふうに考えます。いまここで違反であるかないか、これは証拠との関係もございますのでお許しをいただきたい。
  64. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 公取の手続上の問題としては当然だと思います。私は責任をもってこの場でこういうことを指摘をいたしたわけでありますけれども、これらについていわゆる独禁法の第八章の二節による必要な調査といいますか、これをなさいますか。
  65. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 調査をする、こういうふうに言いますと、一般、普通の場合に証拠を隠滅されるおそれがございますので調査をするということを申し上げることはお許しをいただきたいと思います。
  66. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そこで質問をまた厚生省に戻しますけれども、ごみ焼却の施設について国庫補助の対象にしておりますところの炉の型、これは厚生省の基準としてはどういうものがございますか。
  67. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 大別をいたしまして三つに分けておるわけでございまして、いわゆる固定炉といわれるもの、半機械炉といわれるもの、それと機械炉といわれるもの、大きく分類いたしまして三種類に分類をいたしております。
  68. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま言われましたように三つに分類されておるわけですけれども、これは正式の名称は何かございませんか。厚生省の場合に正式に名称をつけておられませんか。
  69. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 いま私がお答え申し上げましたような通称の名称で呼んでおりまして、そのほかに正式に分類はいたしていないはずでございます。
  70. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、重ねてお伺いしますが、業界では俗に準機械炉というふうな言い方をしておるのがありますね。この準機械炉というのはいまお答え願った三つの中でどれに入るのでしょうか。
  71. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 いろいろな名称があろうかと思いますが、私の先ほどお答え申し上げたものでは半機械炉という分類に入ろうかと思います。
  72. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 なぜこういうことをお聞きするかといいますと、いま各地方においてこういう工事が進んでおるわけであります。それからまた計画されておるわけであります。しかしこの際に先ほど厚生省が答弁をされましたそれぞれの機械炉の性格、こういうものによって実態的に分類をして補助をきめておられるのだと思いますけれども、市町村段階になりますと、その辺に対する理解が必ずしも十分でございません。それで俗に業者のいう準機械炉、こういうふうなものが機械炉とそれから機械バッチ炉の中間に何か一つの段階があって国から来る補助基準というものは大体機械炉に準ずるような補助になるのではないか、こういうふうな印象を強く受けている向きがあります。たとえば私どもの理解でいきますと、機械炉の場合にはいわゆる二十四時間運転をしなければならない構造になっている。しかし機械バッチ炉とかバッチ炉の場合には二十四ないしは十六時間運転できるけれども、実際は八時間運転というものが大体通常の機械の構造になっておる。それに準機械炉というふうな俗称でもって、これが十六時間運転も二十四時間運転もできますよ、したがって非常に性能のいい機械ですよ、こういうふうなPRをする中で、国からおりてくるところの補助単価も非常に多くといいますか、いわゆる機械炉に準ずるような多額の補助基準に当てはまるのではないか、こういうふうな理解をしている市町村があります。その点などについて名称の統一が必ずしもない。それは私は名称の統一はなくてもいいと思うのです。さっき言ったような炉の性格によって補助金がきめられておるわけでありますから、そのほうがむしろ私は正しいかと思いますけれども、しかし末端の市町村段階でそういう点の理解が十分にいかない。それにいま言ったような業者のPRが入る。こういう点での混乱があるのではないか。したがって市町村で予算を組む際にも、町自体、村自体あるいは市自体の持ち出しの額に非常に大きく影響するわけでありますから、そういう点についての指導というものも当初局長が言われたような県を通じて市町村に対する指導の中に入っているのだと思います。その点などはどのようにいままで指導を具体的になさったのでしょうか。
  73. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま先生指摘のように、この炉の種類は各製造メーカーによってみんな形が違うわけでございまして、また先ほど大きく三つに分類いたしましたが、それぞれの移行がございまして、非常に分類そのものがむずかしいわけでございますが、ただいま先生指摘の補助単価の問題につきましては、処理能力をトン数であらわしておりますが、処理能力別の平均単価というようなもので補助基準をきめておるわけでございます。こういったものに対します技術指導につきましては、各市町村から申請が出てまいりますと、この申請が都道府県知事を通じてわれわれのところにまいるわけでございまして、各都道府県の担当者がその管下の各市町村からの申請書を持参いたすわけでございまして、その際われわれのほうの技術職員が、そのそれぞれにつきまして技術的に内容を調べまして、改善すべき点は改善さすように、このような指導をいたしております。
  74. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 先ほど私は厚生省が工業会に対して、どのような指導をやっておるのだろうか、あるいはどういうかかわりがあるのだろうか、こういうことを御質問申し上げました。これに対しては局長の立場としては当然かもしれませんが、きわめて一般的なあるいは技術的な指導という面を強調されたわけでありますけれども、これはそういう甘っちょろい関係じゃないのじゃないですか。人事的なつながりも相当深いように思います。たとえばことしの三月十八日に政府関係の特殊法人労働組合でつくっております政労協、ここで天下り人事の問題を内部告発というかっこうで出しました。それから三月二十六日には正式に人事院が昭和四十八年の高級官僚天下り白書、こういうものを発表した。この問題はもちろんいまに始まったことではなくして、いろいろな観点からその是非が論議をされてきたと思うのであります。しかし一般的にはこれは思わしくない、こういうふうな立場で指摘を受ける形での報道が繰り返されてきたと思うのであります。今回この工業会の内部人事を私なりに調査をしてみますと、副会長は厚生省の初代の環境衛生局長、それから相談役に去年まで衛生局長をなさっておった方が入っておられる。あるいは業務部長にも厚生省の職員が就任をしておられる、こういうふうな形できわめて緊密な関係があると私は思う。しかしこれはおやめになった人でありますから、具体的にここでどうこう言おうとは思いませんが、このような直接その事業を監督をされ、あるいは国の補助対象になっておる事業、こういうものを統括しておられる環境衛生局あるいは今度は水道環境部ですか、これと、それを受ける立場にある会社の団体である工業会、これがいま言ったような枢要なポストがほんとうにストレートにつながっているというふうな点を考えてみますと、これは先ほどの協定の問題ともからんで私はこれはきわめて不純なものを感ずるのです。  さらに業界の要望は十分参考にはするけれども、しかしたとえば単価の改定をきめる場合にはそういうことは直接かかわりはない、こういうふうにおっしゃいました。あるいはそうかもしれません。しかし昨年来この業界が厚生省やあるいは都道府県に対してもそうでありますけれども、いろいろ出しておる書類、それから厚生省が八月に単価の改定を出された。あるいはさらにことしの特に三月の四日に特例措置をとられた、こういうふうな問題といろいろからみ合わせて考えるのでありますけれども、この最後に申し上げました三月四日の特例措置、これは三月四日付で厚生省が各都道府県に対して通知を出されておるようであります。ところが三月四日でありますから、都道府県にはまだそれが五日、六日の段階では届いておらないはずであります。三月四日付の文書でしょう、三月五日にはこの工業会の中心メーカーである久保田の本社の九階でこの内容と同じ文書が配られているじゃないですか。配られているのですよ。この工業会に入っている会社に全部配られていますよ。これは一体どこから出るのですか、こういう資料は。私はきわめて不可解です。ひとつその点を明らかにしていただきたい。
  75. 福田勉

    福田説明員 いまの問題でございますけれども、三月四日に通牒を出す以前に私のほうから工業会に配るというようなことはございません。したがいまして、私のほうは県あるいは市町村というのがこの通牒の普通の流れ方で入っていると思っております。それ以前にもしそのようなことがあったとすれば、私のほうも一回調査をいたしてみます。
  76. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ちょっと問題をすりかえないでいただきたいのですよ。私が申し上げたのは、通知を発する前にそれが業界に配られたとは申しておりません。三月四日付でこの通牒を発しておられるのです。そうしますと、たとえば早いところで三月の五日であるとか六日であるとか、五日にはおそらくむずかしいと思うのですが、今日の郵便事情からして六日であるとか七日であるとか。この段階で都道府県にこの通知が早ければ届くと思うのです。ところが三月四日付で出されて、翌日の三月五日に工業会のメンバーが集まって同じ資料が業者に配られておる、こういうふうな事態がきわめて不自然ではないか、こういうふうに私は申し上げているのです。したがって厚生省のほうから工業会のほうにこういう通知を各都道府県に出しましたよ、こういうことをお知らせになったのかどうか、この点をお聞きしたいのです。
  77. 福田勉

    福田説明員 三月四日でこういう通牒を書いておりますけれども、それ以前あるいは直後に工業会にこういうのを渡したことはございません。
  78. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これはいずれ調査をすればわかることでありますけれども、現実に三月五日の日に全部配られております。場所も私先ほど申し上げたとおりであります。これは非常に私はおかしいと思うのですよ、出どころはあなたのほうしかないはずなのですから。したがって、どういうふうな形でそれが業界のほうに行ったのか、あるいはあなたのほうからは単価改定のずいぶん強い要望があった。したがって、厚生省としてはいろいろ協議をした結果、このような改定を今後特例措置として、特別措置としてやることになったのだ、こういうことをあるいはどなたかがお知らせになったかもしれない。それならそれのように正直に私は口頭でやったのか、文書でやったのかわかりませんけれども、明らかにされたらいいのであって、特別これを伏せなければならないとすれば、そこにこそむしろ問題があるのじゃないか、こういうふうに私は考えます。  それからもう一つ時間が迫っておりますので、お伺いをしますけれども、普通、政府では業者に対して、関係業界に対して新年度の政府の予算の説明会というものはなされますか。政府全般ということでもけっこうでありますけれども、たとえば厚生省では通常そういうことをなさっておりますか。
  79. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 予算の決定をされた段階におきましてそういったことを業界のほうに通知はいたしております。
  80. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 予算決定といいますと、まあ三月の末、ことしの場合には四月の初旬、こういうふうなことになると思うのですが、ここで日本環境衛生工業会の副会長の名前で「昭和四十九年度予算案説明会の開催について」こういうふうなことで正式な文書が出ております。これは三月の末、四月の初旬ではないのです。四十九年一月二十二日、きわめて早いのですよ。午後三時から五時まで、日本青年館において厚生省の環境整備課長があいさつをされて、そうして昭和四十九年度政府案の内容を説明する。説明する人は課長補佐大石事務官、こういうふうな明確な文書でもって出されておるのでありますけれども、先ほど局長が言われたこととちょっと違うのじゃないですか。
  81. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 予算そのものにつきましては決定した段階でこのお話をしているはずでございますが、この予算編成の——予算編成と申し上げましょうか、予算要求の段階におきまして予算獲得のためにいろいろ協力を得るというような意味合いにおきまして、要求額そのものをその時点において話したものと考えます。
  82. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これは私はちょっと非常に苦しい答弁だと思うのですよ。一つの業界ですよ、それに課長さんがわざわざおいでになって、あいさつをされる、その次の課長補佐の方がその内容を説明される、業界に出向いていって。しかもそれが一月の二十二日、きわめて早い時期です。私どもも正直言って、その段階でそういう個々の問題を詳しく説明を受けているかどうかわからない時期です。これは普通の状態ですか、こういうことが平常行なわれているのですか、どうです。
  83. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 どうもいま日にちを間違えましてお答え申し上げたわけでございますが、一月二十二日でございますと、予算案の段階になっている、先ほど予算要求と、こう申し上げましたが、予算案の段階で話をしたことだと思いますが、それから通常ということばは妥当ではないかと思いますが、本年度要求があったので、かようにこの予算案について説明をいたしたわけでございます。
  84. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間がすでに来たわけでありますけれども、ことばをよくいえば非常に御親切ですよ、こういうやり方は。しかし、私どもの正常な感覚からいえばまことに出過ぎた、癒着と言っても差しつかえないようなやり方を思わせるサービスぶりじゃないでしょうか。こういうふうなことをやって、そして人事は先ほど私が申し上げたとおり。あるいは三月四日、五日の問題もある。これは一番最初に私が申し上げた業界内部の「夕霧会」とか「むらさき会」とか、こういう中で公然と行なわれておる価格のやみ協定、こういうものに厚生省が何か一枚かんでいるのではないかというふうに疑われても、きちんとした答弁ができないような、そういう不明朗なものを残すと思うのですよ。したがって、そういう点は厳重に、厚生省としては寸毫も疑われることのないような立場を明らかにしてもらわなければ困るのじゃないかと私は思うのです。  時間がありませんから最後に申し上げますけれども、私ずっと新聞を見ながら拾ってみたわけでありますが、昭和四十八年だけでも廃棄物処理関係でいわゆる贈収賄というふうに騒ぎ立てられ、司直の手が入った件数は目に余るものがあります。たくさんありますよ。一々ここで申し上げませんけれども。これは厚生省でもお調べになれば十分おわかりだと思う。こういうふうな不明朗な実態の中で、被害を受けるのはだれか。一番最初に申し上げましたとおり、地域の住民は、こういう廃棄物処理施設の事業というものは環境整備の立場からほんとうに促進をしてもらわなければならない、完全なものを早くつくってもらいたい、こういう強い希望です。しかし、市町村はそれを真っ当に受けながらも、財政的な問題やいろいろな問題でなかなか進まない。こういうふうな状態考えますときに、この値上がりにあたかも便乗するような、そして法律を犯してまで公然と内部では協定が行なわれて、それが市町村に押しつけられる、このような状態というものをきっぱりと清算をさせるようなかたい決意をどうしても厚生省にとってもらわなければならぬ、このように私は思っております。厚生省の決意をお伺いして、時間がありませんからきょうは私の質問をおさめたいと思います。
  85. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 先生指摘のように、この廃棄物処理施設というものはわれわれ国民の生活に非常に重要な施設でございまして、われわれといたしましても、国民生活を守る意味におきまして早急に整備をいたしたいと考えておるわけでございますが、この整備にあたりまして、ただいま先生指摘のような誤解を受けるようなことがあってはならないわけでございまして、今後業界並びに都道府県を通じましての市町村への指導をより一そう強化してまいりたいと思っております。
  86. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間が参りましたのでやめますけれども、これはきょうだけの問題ではなくて、今後、厚生省がどのような措置を具体的におとりになったか、あるいは場合によっては公取のほうもそれなりの必要な措置をおとりになるかもしれませんので、きょうはこれでやめますけれども、また機会をいただくことがあれば、私のほうからさらに質問をさせていただく、こういうことできょうは終わりたいと思います。
  87. 平林剛

    平林委員長 三浦久君。
  88. 三浦久

    三浦委員 経済企画庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  きょう、四十九年の三月の消費者物価指数が発表されましたね。これによりますと、昭和四十五年を一〇〇として、物価指数は一四六・八です。東京の四月は一五〇・四というふうに発表されております。そうしますと、政府が昨年の十二月に経済見通しをきめて、そして物価の上昇は大体九・六%だ、こういうふうに発表されておるわけです。ところが、三月段階の一四六・八でこのままずっと一年間物価が変動しなかったと仮定しても、四十九年度は四十八年度に比べまして一二・四%物価が上昇するということになっております。政府経済見通しは年度に入る前にもう完全に破綻しておるということが数字ではっきりしておるわけですが、この政府経済見通しをもう一回再検討しまして、四十九年度はこの程度に物価を押えるのだ、こういうようなことを国民に向かって発表する意思があるかないか、お尋ねいたしたいと思います。
  89. 内田常雄

    内田国務大臣 いまお尋ねの件は、四十九年度の見通しについてでございますが、四十八年度の締めくくりが、消費者物価につきましても三月の全国指数で出てまいりまして、それ自身が、私どもは四十八年度の消費者物価の前年に対する年間上昇率を一四%と見ておりましたのが二八・一%上昇ということになっておりますので、わずかとはいえとにかく二%ほど狂っておるわけでございます。それが四十九年度にも数字の操作上は影響を来たすはずでございます。ということは、数字の操作上というのは四十九年度に、四十九年四月一日から来年の三月三十一日までの間に新しく四十九年度を通じて物価がどのくらい上がるかということのほか、四十八年度の上がった物価の、卑俗なことばでげたということばを使っておりますが、それを考えてみますと、おっしゃるとおりに四十九年度の九・六%としたものは当然変わってまいります。  ただし、私がいまわざわざ二つを分析して申しましたように、私どもの四十九年度の消費者物価上昇の見込みの中には、年度中の上昇がたしか五・二%、こういうことに見ておりますので、その五・二%年度内で新しく上がる分ということにつきましては、これはまだ海のものとも山のものともわかりかねます。かりにげたの分などをも考えまして今後数字を改定いたすといたしましても、これは物価もありますし、他の国際収支などにつきましてもいろいろまたさらに考慮をすべき問題があるようでありますので、私は適当な時期にもう一ぺんその見直し、改定をする時期があるのではないかと考えます。  その時期は、四十八年度につきましては、実は私は昨年の十一月二十五日に現在のポストに着任をいたしたわけでありますが、そのときには、経済見通しというのは、物価だけにつきましても非常な狂いを生じておりました。四十八年度の経済見通しにおける消費者物価の上昇率というのは五・五%対前年、それが十一月の段階ではもう三〇%に近いことになっておったはずでありますが、それまでなかなか改定せずに来ておりましたので、私はこれは改定したほうがよろしい、国民に実態を見てもらって、そしてさらに今後の施策をともにやっていくということにしたほうがいいということで、着任早々の私の第一の仕事がそれを改定することと、それから国鉄の既定の料金アップと消費者米価値上げの既定のやつを半年ほど押えろというようなことから出発をいたしました。したがって、四十九年度の経済見通しを直す場合にも、直したほうがいいと思いますときにはなるべく早く直すほうがすなおでいいのではないかと思います。  しかし、もう一ぺんそれらを総合していいますと、四十九年度の物価の五・二%の上がりというものは、それは今後の状況によりましてはいろいろありますが、いまのところではそんなに変えなくてもいいのではないか。問題はげたの部分にあるのではないか、かように思います。
  90. 三浦久

    三浦委員 数字を直すということよりも、国民は物価を下げるということを望んでいると思うのですね。そういう意味で、私は強力な物価対策を望んでおきたいと思いますが、こういうように異常な物価狂乱といわれているときに、公共料金がどんどん値上げされているわけです。  今度は航空局のほうにお尋ねしますが、四月二十二日に、航空各社がそれぞれ大幅な運賃値上げの申請を行なっております。その理由というのは、今回の値上げの申請が認められないと、四十九年度の単年度収支でもって、日航と全日空が二百二十億、東亜国内航空が九十五億円の赤字になる、こういうことがいわれておるわけなんです。その問題につきましては、また別の機会に運輸委員会等でもって深く追及をしていきたいというふうに思いますが、この値上げの申請に関連いたしまして、一つだけ聞いておきます。  いわゆる運賃というのは、能率的な経営のもとで、適正な原価を償い、適正な利潤を含むものとして策定されなければならないと思うのですけれども、日航、全日空、それから東亜国内航空の各社が、特定の人々に特別優待パスというものを発行しているんですね、これがかなりの数にのぼっております。それで私は、その特別優待パスがどういう発行基準によって発行されているのか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  91. 薄木正明

    ○薄木説明員 航空機の無料搭乗につきましては、すでに御承知かもしれませんが、一定数以上の株をお持ちの方に差し上げる株主優待、それから、営業上の販売政策ということで、代理店に売り上げに応じまして出す割引優待、それから、職員の福利厚生の一環として社員に出す優待というようなものがあるわけでございまして、実はいま先生から御質問がございました無料パスでございますけれども、これは確かに一部の会社におきまして出ております。これはいま申し上げた航空機の無料搭乗のやり方の一つとして、おっしゃるとおり、限られた数でございますけれども、パスというものを出しておる会社もございます。
  92. 三浦久

    三浦委員 いま言われたいわゆる株主であるとかそういう人々のほかに、特定の政治家に対しても特別優待パスを発行しているでしょう。ですから、その基準はどこに置いているのかということを聞いておるのです。
  93. 薄木正明

    ○薄木説明員 いま申し上げましたのは、いろいろな割引の制度の中で、その一つのやり方として無料パスというものがあるわけですけれども、社内規則できまっておりますのは、いま申し上げたような株主優待とかあるいは代理店優待とかいうようなものでございまして、その一つのやり方として無料パスというものを出しておるということも聞いておりますけれども、これにつきましては、例示で申し上げたような株主優待とかあるいは代理店優待とか、このようにぴしっとした基準は、私どもは聞いておりません。
  94. 三浦久

    三浦委員 そういう株主優待とか代理店優待とかということのほかに、特定の政治家に対して、たとえば田中総理大臣とか橋本幹事長とか出しているでしょう。だから、そういう基準はどこにあるのかということなんです。
  95. 薄木正明

    ○薄木説明員 先ほども申し上げましたとおり、例示で申し上げましたような優待制度と違いまして、基準というものはその内規でもきまっていないようでございまして、したがいまして、私どもも、いま総理とか申されましたけれども、どこに配られているかということは承知いたしておりません。実は先生のお話もございまして若干聞いてみましたが、一応会社の秘密にわたる事項だというふうなことで、その配付先につきましても基準につきましても、私ども承知していないということでございます。
  96. 三浦久

    三浦委員 会社の秘密にわたる事項だから航空局のほうにも教えられないということですか。
  97. 薄木正明

    ○薄木説明員 一応そのように御理解願いたいと思います。
  98. 三浦久

    三浦委員 あなたたちは、航空運賃の値上げが適正なのかどうかということを審査するわけでしょう。審査するのに、いわゆる能率的な運営をやっているのかどうかということも審査の対象になるわけです。経費のむだづかいがないかどうか。そうしたら、どの程度までの人々に無料のパスを渡しているのかどうかということをあなたたちは調べなければいかぬでしょう。それは当然、指導監督権があるわけですから、それについて資料を提出させるということはできるはずじゃありませんか。特にあなた、日航なんていうのは政府の出資が大半でしょう。それを企業の秘密だから出せませんと言われて、はいそうですかと引き下がってくるんじゃ、これは航空局はまともな仕事をしていないといわれてもしようがないでしょう。だから私は、そういう特別優待パスを各社が出しているのだとすれば、その基準を明らかにすると同時に、その一覧表を出すことを要求したいと思いますが、いかがですか。
  99. 薄木正明

    ○薄木説明員 実は先生も御承知かと思いますが、航空法の中にも報告徴収という権限が確かにございます。したがいまして、その徴収権に基づいてその資料を要求したらどうかという先生のお話でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、その配付先については秘密だというようなことでございまして、いままでそういう法律の規定に基づいて要求したということは実はなかったわけでございまして、そういう配付の枚数とか数量的なことは、能率的な経営かどうかということも調べる一つの方法として確かに調べなければいかぬというのは御指摘のとおりだと思います。ただ、その配付先ということになりますと、はたしてそこまで法律の根拠に基づく要求としてできるかどうかという点も、これはひとつあわせ検討したいと思います。
  100. 三浦久

    三浦委員 何でそれが企業の秘密なんですか。やましいことはないわけでしょう。やはりそれなりの相当な理由があって特別優待パスを出しているわけなんだから、それを何枚どこに出しているかということは当然、あなたたちのほうで調べて報告すべきじゃないですか。報告してください。
  101. 薄木正明

    ○薄木説明員 いま申し上げましたとおり、その法律の規定がございますので、その規定に基づきましてできるだけの範囲のことをしたいと思います。
  102. 三浦久

    三浦委員 たとえば運賃の値上げを申請しておいて、それは国会で法律的に審議しなければならないというものではないけれども、しかし当然審議する権利が国会にあるわけだ。そうすると、特定の国会議員にどんどん特別優待パスを出しているというような事実が明らかになれば、それは運賃値上げの不明朗さをうかがわせる一つの根拠にもなるじゃないですか。そういう観点で、あなたたちやましいところがないのであれば、当然その名簿を全部発表すべきですよ。そんなことを隠していればいるほど怪しいぞというふうに国民は思いますよ。それを当然明らかにすべきですよ、あなたは。こんなことであまり時間をとりたくないのですけれどもね、発表いたしますというふうに約束してください。
  103. 薄木正明

    ○薄木説明員 運賃につきましては、おっしゃるとおり、私ども能率的な経営をやっているかどうか、適正なものであるかどうかということを審査しなければならぬわけでございまして、そういう無料の搭乗につきましても、いま申し上げたとおり、販売政策あるいは職員の厚生政策というようなことで当然必要だというものもあるわけでございますけれども、中に、私どもは実は詳しく承知しませんが、一部政治家の方に配付されておるというようなものがあるようでございましたら、私どものほうでも、そういう調査法律上できる権限の範囲内でできるだけやりたいと思います。
  104. 三浦久

    三浦委員 民鉄部長にお伺いしますが、私鉄の運賃の値上げがいま申請されていますね。私どもずっと調査いたしましたのですが、この私鉄の運賃算定に関する経理ですが、さまざまな疑惑が生じているのですよ。いままで民鉄部との交渉の中で、部分的には原価計算のやり方というものを教えていただいておりますけれども、しかし全面的にこれが明らかにされていないのです。鉄監局長の答弁なんかによっても、ほかの公共料金と一緒で、運賃は適正な原価を償い、適正な利潤を含むように設定されなければならないというふうに考えられているわけですね。そうすれば何が適正な原価なのか、何が適正な利潤なのかということを算定する基準、ものさし、こういうものがなければならないと思うのです。この算定基準、ものさしというものをひとつ明らかにしてほしいのですが、その前にそういう算定基準、ものさしがあるのかないのかですね、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  105. 中村四郎

    中村説明員 ただいまの私鉄の運賃の算定基準の件でございますが、算定基準という形で、これを確定して公にしておるというようなものはございません。ただ私どものほうといたしましては、原価なり収入を算出する考え方としてのものはあるわけでありますが、これはまだ最終的に、運賃算定基準として、申請されております内容を、これで査定をしてしまうんだというところまで至っておりません。内容を現在検討中、詰めておるという状況でございます。
  106. 三浦久

    三浦委員 おかしいでしょう。値上げの申請があれば、それが妥当かどうか、あなたたちが一定のものさしをもって判断していかなければならないはずでしょう。そうすれば、いま算定基準というものをつくって、それを公にしているものはありません。これはあなたたちが出さないのだから、あたりまえですよ。われわれが公にしてほしいということは、その次の段階で言いますけれども、算定基準というものがないというのは、これは全く理解できないですね。この前の運賃値上げ申請のときだって、やはり一つの基準に基づいて運賃値上げを認可しているわけでしょう。今度の申請があれば、その申請を認可するにあたってだって当然ものさし、算定基準というものがなければ仕事はできないじゃありませんか。それとも鉛筆なめなめやっているのですか。もしかあなたたちに一つの統一的な基準というものがなければ、作業を行なう職員が個々ばらばらにやるということなんですか。また各企業ごとにばらばらした結論が出てもいいということなんですか。一定の基準というものがなければ作業ができない性格のものじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  107. 中村四郎

    中村説明員 先生のおっしゃっている算定基準の意味合いでございますが、これにつきまして、最終的に運賃を査定をするものさしであるという意味であるといたしますと、これは手続的にも、現在運輸審議会で御審議願っておる段階でありまして、その答申が出ました場合に、これを尊重して処理するというたてまえになっておるわけであります。その前提としての運賃の申請された内容について、どういう考え方でこれを見ていくかという点につきましては、私どものほうで、内部で基本的な考え方というものはあるわけであります。ただこれを算定基準と申すかどうかという点はございますが、そのような状況でございます。
  108. 三浦久

    三浦委員 そうすると、その内部で査定をするものさし、いわゆる査定をするにあたっての基本的な考え方というのはあるというのでしょう。われわれはそれを算定基準といっているのですよ。それを出してくれませんか。それは算定基準以外の何ものでもないでしょう。それを公にしてもらえませんか。
  109. 中村四郎

    中村説明員 その基本的な考え方につきまして、これをまとめてお目にかけるということにいたしてみたいと思います。
  110. 三浦久

    三浦委員 私は、いままで、あなたたちとの交渉の中で、何回も何回も、そのことを要求してきたのですよ。実際にたとえば旅客航路事業の運賃改定基準というものはちゃんとあるわけです。こんな膨大なものがあるのですよ。それから、自動車局長の名で発行されているもので、一般乗合旅客自動車運送事業の運賃改定要否の検討基準及び運賃原価査定基準についてというのも、こういうりっぱな文書が出ているのですよ。ガス料金の問題についても、ガス料金算定要領についてという文書がちゃんと公表されているのですよ。それからまた、電力料金についても、供給規程料金算定要領というのがありましてね。そして、それぞれ全部、運賃改定の要否検討基準、どういう場合に改定を検討するのかという、その基準も発表されていれば、運賃原価算定基準というものも詳細に発表されているのですよ。われわれは、これはいままでずっと、去年から要求し続けてきたけれども、あなたたちのほうでそれを出さなかった。出さないと、実際に運賃値上げが妥当かどうかということをわれわれがわれわれの立場で検討する場合に、非常な困難を来たすのです。あなたたちと基準のとり方が違ってしまうから……。なかなか正確な結論が出ない。作業に非常に大きな困難を来たしているわけなんです。  それを、いまここで追及されて、そういう内部的な基本的な考え方をまとめて出すと言われたのだけれども、なぜそれをもっと早く出さなかったのですか。私は、出すと言われるから、それはそれでけっこうだと思いますから、一日も早く出してもらいたいということと、もう一つは、その算定基準を出した上で、国会でもよく運賃値上げの当否についての審議ができるような状態になってから、運賃値上げについての態度を運輸省は決定すべきだと思う。運賃運値上げが正当かどうかということについてのわれわれの作業を困難にした責任というのは運輸省にあるわけですから、そういう意味で私は、この算定基準が出されて、それについての審議を国会の中で尽くした後にひとつ運賃値上げについての結論を出してもらうように要求いたしますが、いかがですか。
  111. 中村四郎

    中村説明員 私の段階でお答えいたすことかどうか、ちょっと問題があると思いますが、制度的に、先ほど申し上げましたように、現在、事案としましては運輸審議会で御審議願っておる段階でございます。したがいまして、ただいま申し上げました基本考え方についてお目にかけた上で、事案を取り進めるというような方向に私としては考えてみたいと思います。
  112. 三浦久

    三浦委員 わかりました。そうすると、その算定基準というのはいつ出していただけますか。
  113. 中村四郎

    中村説明員 できるだけ早い機会にいたしたいと思っております。
  114. 三浦久

    三浦委員 これは過去のことを私言いたくはないのですけれども、私が去年の十二月十八日に私鉄運賃に関する質問主意書というのを提出しましたね。そして、そこでも、この算定基準を明らかにするように要求をしておったのですが、それに対してあなたたちの、いわゆる総理大臣名の回答というのは、「私鉄運賃については、あらかじめ特に算定基準を設けてはいないが、運輸省設置法の規定に従い、運輸審議会に諮問し、同審議会の答申を尊重して、適正に処理する建前となっているので、特に問題はないと思う。」こうなっているわけですよ。いまお聞きすれば、そういう基本的なものの考え方があるといえばそれは算定基準なんであって、われわれはそれを公表するように要求した、それに対してこの答弁書というのは全く無責任な、そんなものありませんという回答なんですよ。これは議員の質問権に対する重大な侵害であり、侮辱だと私思うのですね、もう少し丁寧に回答ができないものですか。われわれが文書で算定基準というものを公表されたい、はっきり出している。それに対して、そんなものありません、運輸審議会がやっているんだから問題はないでしょう。こんな無責任な態度はない。この問題において、私はあとでまた総理大臣にひとつ質問をしたいと思います、あなたに責任追及しても、あなたは答えられる立場にないから。ですから、私は総理大臣に対する質問を留保して、次に移りたいと思います。
  115. 中村四郎

    中村説明員 ただいま先生から答弁書の内容の件のお尋ねがございましたが、私どものほうが誤解をしておったのかどうかわかりませんが、最終的な運賃を決定する査定と申しますか、それにつきましては、運輸審議会の答申を尊重いたすわけでございまして、運輸審議会の答申案を決定する際の基準という意味合いではそういうものを特に設けておりません、こういうお答えをしたわけでございまして、そのような意味に御理解をいただきたいと思います。
  116. 三浦久

    三浦委員 しかし、私たちが聞いたのは、審議会の算定基準について聞いているのじゃないのですよ。運輸省自身の算定基準があるのかないのか、あれば、公表してほしいというふうに質問しているのですからね。その点はまたあとで問題にいたします。  それからおたくのほうで私鉄大手十四社が三百四十二億円赤字だ赤字だ、こういう宣伝をされていますね。三百四十二億円の赤字宣伝の中には百六十七億円の配当金であるとか、それから法人税その他の諸税が入っているわけですね。また法定準備金も入っているわけですね。そうすると、三百四十二億円が赤字だ赤字だというふうにあなたたちが宣伝をされて、そして私鉄運賃値上げはやむを得ないのだというような雰囲気をつくり出していますけれども、三百四十二億円のうち百六十七億円というのは赤字の概念に入らないのじゃないですか。その点いかがですか。
  117. 中村四郎

    中村説明員 私どものほうといたしましては、赤字につきまして別に宣伝をしておるというようなことはございません。ただいま先生指摘の三百四十二億の点でございますが、この赤字という場合、私どものほうといたしましては、先ほど先生も申されましたように適正な原価を償い、適正な利潤を含むという立場で運賃を設定しなければならないという立て方になっておりますので、この考え方に基づきまして、鉄軌道業の実績を見る場合にそれらを含ませまして、そしてあるべき健全な姿として見た場合にはどれだけ赤字と申しますか、不足額が生ずるかという観点で、三百四十二億という数字を申し上げておるわけでございます。
  118. 三浦久

    三浦委員 だから三百四十二億円が赤字という言い方はおかしいのですよ。赤字であれば法人税は払わなくていいし、配当金は払わなくていいわけなんですからね。いわゆる適正な原価を償い、そして適正な利潤を含むものとして料金を算定するわけでしょう。だからといって、利潤があがらないから赤字だという言い方はおかしいですよ。赤字宣伝という場合には、そういう赤字であれば本来払わなくていいような法人税であるとか配当であるとか利益準備金であるとかそういうようなものは差し引いてやるべきですね。おたくのほうでも適正な原価と利潤は分けているわけでしょう。原価を欠いた場合に赤字ということが言えるわけであって、利潤がないから赤字ということは言わないわけですから。だからこれからおたくのほうで宣伝をする場合に、三百四十二億円が赤字だという宣伝は私はやめるべきだと思う。国民に誤解を与えますよ。いかがですか。
  119. 中村四郎

    中村説明員 私どものほうとしては、ただいま申し上げましたように別に赤字を言い触れておるというわけではございませんので、その点は御了承いただきたいと思いますが、先生指摘の点につきましては、単純に赤字だと言った場合に申されたような誤解を生ずるとするならば、その点もう少し補足したような表現をとってまいりたいと思っております。
  120. 三浦久

    三浦委員 もう一点だけお尋ねしますが、この鉄道事業部門に利息を配賦するやり方がありますね。企業全体でもって借金をした利息を各固定資産税の比率によって費用としてずっと配賦していきますね。いわゆる販売用土地、建物ですが、これについては一部配賦する固定資産に入れているというふうにいわれているのですが、どこまで販売用土地、建物について利息を配賦しているのかというのがはっきりしないのです。ですから私は、販売用土地、建物についてもちゃんと正当に利息を配賦すべきだと思うのですが、この点いかがですか。
  121. 中村四郎

    中村説明員 鉄道業の場合に営業外収支については全業で算出されておりますので、これを鉄軌道業としていかなる状態にあるかというものを見る場合に、いま先生が申されたような方法を用いておるわけでありまして、不動産業につきましても支払い利息を負担させるという点はそのとおりでございます。
  122. 三浦久

    三浦委員 ところが実際にはやってないのですね。私たちが計算をしてみますと、総支払い利息は千百二十三億円でしょう。そして総固定資産は一兆三千九百七十三億、鉄道用の固定資産が六千百億、販売用土地、建物が五千六十九億なんですよ。これで計算をしてみますと、いわゆる鉄道部門のいま配賦されている利息というのは四百七十九億円になるのですけれども、しかしいま言ったように販売用土地、建物についても正確に利息を配賦していきますと、われわれの計算によると鉄道部門の支払い利息というのは三百五十九億円で済むことになるのです。そうすると、四百七十九億円から三百五十九億円引きますから、百二十億円配賦される利息が減ることになるのですよ。そうすると、いま赤字だ赤字だといわれているものの中から百二十億円引く、それにさっき言った、いわゆる配当であるとか法人税であるとかいうものを差し引きますと、三百四十二億円という赤字はもうほとんど赤字じゃないということになるのですね。この点についてはどういうふうに計算されていますか。
  123. 中村四郎

    中村説明員 ただいま先生が申された数字につきまして、一々御検討を申し上げるいとまがございませんが、私どものほうといたしましては、業者が経営しております鉄軌道業のほかに、自動車運送事業とか不動産業とか、その他業があるわけでございますが、支払い利子については、投融資につきましてもこれを一部門と認めて、これにも支払い利子を負担させる。それから不動産業につきましては、商品土地、建物でございますので、固定資産という概念はないわけでありますが、これにつきましても期首の保有高から仕入れ造成高を加えたものを一体としまして、それから販売高を引きましてその残高で支払い利子を分担させる、こういう考え方で数字を算出しておるわけでございます。
  124. 三浦久

    三浦委員 時間がありませんから簡単に御質問しますけれども、そういう配賦基準というものも正確に詳細に算定基準の一つとして御提出をいただきたいと思います。  私鉄資本の中で、特に東急が「トーキューグループ」というパンフレットを出しておりますけれども、これはいろいろな事業をやっていますよ。特に開発グループ、流通グループ、交通グループ、健康産業グループとか分けて、いわゆるゆりかごから墓場まで——墓の経営までやっていますからね。こういうことで総合的にはものすごく大きな金をもうけているわけです。特に東急の場合には、あの田園都市線の場合に、結局土地は買い占めるわ、そして区画整理でもって整理をしてしまう、今度そこに鉄道を敷く、そして造成は東急不動産がやる、土地の販売も東急不動産がやる、そして建物の建築も東急建設がやるというようなことで膨大な利益をあげているわけですね。確かに田園都市線一つだけ見れば、それは赤字という結論が出てくるでしょう。当然なことでね。しかし、私ども考えると、これは長期的な収支を見てきめなければいけないと思うのですね。たとえばいま田園都市に十六万の人口がある、これを行く行くは四十万にするということがこの東急のパンフレットに出ていますよね。それからまた、年度がどんどんたっていけば減価償却も減っていくわけですね。そういうことで、いまの実績をもとにした上で運賃の値上げをきめるんじゃなくて、長期収支という考え方に立った上で運賃を算定していくべきだとわれわれは考えているのです。それでなければ、新線を建設した場合に、これは全部赤字ですからね。そうでしょう。長期収支というものを考えないで、赤字だということを理由にして運賃を上げていくという考え方はとるべきじゃないと私は思うのです。いわゆる長期収支というものを勘案した上で算定していくべきだと思いますけれども、この点について部長さんはどういうふうにお考えですか。
  125. 中村四郎

    中村説明員 ただいま仰せの長期収支を見通してという場合に、企業全体、また特にいま御指摘のようなグループとしてという問題になりますと、私ども運輸省としてそこまで解明し詰めていくということは困難なことであろうと思います。ただ、鉄軌道業の運賃料金というものにつきましてできるだけ長期的な見通しというお考え一つの御見識だろうと思いますが、現在の状況を見ますと短期的な問題としても非常に問題が生じておる状況でございますし、また長期の場合に、鉄軌道業としての将来想定なりあるいは輸送力増強などの点につきまして、長期をどのくらいとるかという問題はございますが、作業として非常にむずかしいものを内蔵しておると思っております。
  126. 三浦久

    三浦委員 それで、検討するのですかしないのですか。
  127. 中村四郎

    中村説明員 運賃の問題を離れまして、鉄軌道業が将来どういう形になっていくかということにつきましては、運輸政策審議会の場等を活用いたしまして、運輸省としましてもそういう見通しを詰めてまいりたい、かように考えます。
  128. 三浦久

    三浦委員 時間がありませんので、その問題については、算定基準が明らかになればその点についても触れられるでしょうから、それからまた皆さんと議論をかわしてみたいというふうに思います。きょうは終わります。
  129. 平林剛

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十七分散会