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1974-04-25 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 橋口  隆君    理事 山下 元利君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       片岡 清一君    粟山 ひで君       山崎  拓君    山本 幸雄君       吉永 治市君    金子 みつ君       柴田 健治君    中村  茂君       小林 政子君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         食糧庁総務部長 杉山 克己君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      石丸 博巳君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本  武君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   山中 吾郎君     柴田 健治君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     山中 吾郎君     ――――――――――――― 四月五日  建築資材価格引下げ等に関する請願阿部昭  吾君紹介)(第三六三四号)  同(小濱新次紹介)(第三八六九号)  同(松尾信人紹介)(第三八七〇号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願外一件(大久保直彦紹介)(第三六三  五号)  同外三件(大野潔紹介)(第三六三六号)  同(小濱新次紹介)(第三六三七号)  同(鈴切康雄紹介)(第三六三八号)  同外一件(伏木和雄紹介)(第三六三九号)  同(松尾信人紹介)(第三六四〇号)  同(田中美智子紹介)(第三八七一号)  同(伏木和雄紹介)(第三八七二号)  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願松本善明紹介)(第三六  四一号)  同(荒木宏紹介)(第三八六三号)  同(栗田翠紹介)(第三八六四号)  物価値上げ反対に関する請願広沢直樹君紹  介)(第三六四二号)  同(荒木宏紹介)(第三八六七号)  大企業製品価格凍結等に関する請願田中美  智子君紹介)(第三八六五号)  同(野間友一紹介)(第三八六六号)  生活必需物資生産供給優先的保障等に関す  る請願田代文久紹介)(第三八六八号) 同月八日  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願瀬野栄次郎紹介)(第四〇七七号)  同(伏木和雄紹介)(第四〇七八号)  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願浦井洋紹介)(第四〇七  九号) 同月十日  建築資材価格引下げ等に関する請願有島重  武君紹介)(第四二一七号)  生活必需品投機買占めに対する規制強化等  に関する請願近江巳記夫紹介)(第四二一  八号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願外二件(大久保直彦紹介)(第四二一  九号)  同(多田光雄紹介)(第四二八九号)  同外一件(林孝矩紹介)(第四二九〇号)  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願不破哲三紹介)(第四二  八八号) 同月十六日  生活必需品投機買占めに対する規制強化等  に関する請願三谷秀治紹介)(第四三五九  号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願大久保直彦紹介)(第四三六〇号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四三六一号)  同(伏木和雄紹介)(第四五〇四号)  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願(小濱新次紹介)(第四五  〇〇号)  物価暴騰及び物不足についての証人喚問に関す  る請願(小濱新次紹介)(第四五〇一号)  大企業製品価格凍結等に関する請願外二件  (小濱新次紹介)(第四五〇二号)  同(伏木和雄紹介)(第四五〇三号)  建築資材価格引下げ等に関する請願鈴切康  雄君紹介)(第四五〇五号) 同月十七日  生活必需品投機買占めに対する規制強化等  に関する請願神崎敏雄紹介)(第四五五五  号)  同外二件(北側義一紹介)(第四五五六号)  同(東中光雄紹介)(第四六二五号)  同(東中光雄紹介)(第四六八六号)  同(小川新一郎紹介)(第四七三九号)  同(中川利三郎君外一名紹介)(第四七四〇  号)  同(東中光雄紹介)(第四七四一号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願外二件(石田幸四郎紹介)(第四五五  七号)  同(伏木和雄紹介)(第四六二三号)  同(荒木宏紹介)(第四七四二号)  同(石母田達紹介)(第四七四三号)  同(梅田勝紹介)(第四七四四号)  同外一件(小川新一郎紹介)(第四七四五  号)  同(谷口善太郎紹介)(第四七四六号)  同(寺前巖紹介)(第四七四七号)  同(中路雅弘紹介)(第四七四八号)  同(平田藤吉紹介)(第四七四九号)  同(不破哲三紹介)(第四七五〇号)  同(増本一彦紹介)(第四七五一号)  同(三浦久紹介)(第四七五二号)  国民生活緊急安定対策に関する請願柴田健  治君紹介)(第四六二四号)  生活必需物資生産供給優先的保障等に関す  る請願山原健二郎紹介)(第四六八七号)  建築資材価格引下げ等に関する請願(小川新  一郎君紹介)(第四七三六号)  同(鈴切康雄紹介)(第四七三七号)  同(土橋一吉紹介)(第四七三八号)  物価値上げ反対に関する請願小川新一郎君紹  介)(第四七五三号) 同月十九日  建築資材価格引下げ等に関する請願松本善  明君紹介)(第四七八五号)  同(大野潔紹介)(第四九〇六号)  同(津金佑近君紹介)(第四九〇七号)  大企業製品価格凍結等に関する請願田中美  智子君紹介)(第四七八六号)  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願村上弘紹介)(第四七八  七号)  同(中島武敏紹介)(第四七八八号)  生活必需品投機買占めに対する規制強化等  に関する請願東中光雄紹介)(第四七八九  号)  同(三谷秀治紹介)(第四七九〇号)  同外二件(井岡大治紹介)(第四九〇八号)  同外二件(井岡大治紹介)(第五〇七一号)  同外二件(阪上安太郎紹介)(第五〇七二  号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願木下元二紹介)(第四七九一号)  同(田中美智子紹介)(第四七九二号)  同(多田光雄紹介)(第四七九三号)  同外一件(大野潔紹介)(第四九〇九号)  同(田中美智子紹介)(第四九一〇号)  同外一件(井岡大治紹介)(第五〇七三号)  国民生活緊急安定対策に関する請願(江田三  郎君紹介)(第四九〇五号)  物価の安定に関する請願鈴木善幸紹介)(  第五〇七四号) 同月二十日  建築資材価格引下げ等に関する請願安宅常  彦君紹介)(第五一五三号)  同(大野潔紹介)(第五一五四号)  同(津金佑近君紹介)(第五一五五号)  同(米原昶紹介)(第五一五六号)  同(有島重武君紹介)(第五二六一号)  同(金子満広紹介)(第五二六二号)  同外二件(田中美智子紹介)(第五三五八  号)  同外一件(中島武敏紹介)(第五三五九号)  同外三件(田中美智子紹介)(第五四八九  号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願赤松勇紹介)(第五一五七号)  同(岡田哲児紹介)(第五一五八号)  同(田中美智子紹介)(第五一五九号)  同(井上普方紹介)(第五三六〇号)  同(石野久男紹介)(第五三六一号)  同(板川正吾紹介)(第五三六二号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五三六三号)  同(岡田哲児紹介)(第五三六四号)  同(辻原弘市君紹介)(第五三六五号)  同(井上泉紹介)(第五四九三号)  同(湯山勇紹介)(第五四九四号)  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願小林政子紹介)(第五二  六三号)  同(神崎敏雄紹介)(第五五〇〇号)  同(小林政子紹介)(第五五〇一号)  同(野間友一紹介)(第五五〇二号)  同(中島武敏紹介)(第五五〇三号)  同(米原昶紹介)(第五五〇四号)  同(有島重武君紹介)(第五五八四号)  生活必需品投機買占めに対する規制強化等  に関する請願金子満広紹介)(第五二六四  号)  同(金子満広紹介)(第五三六六号)  同(和田耕作紹介)(第五三六七号)  同(柴田睦夫紹介)(第五四九五号)  同(土橋一吉紹介)(第五四九六号)  同(平田藤吉紹介)(第五四九七号)  同(増本一彦紹介)(第五四九八号)  同(正森成二君紹介)(第五四九九号)  同(有島重武君紹介)(第五五八三号)  国民生活緊急安定対策に関する請願小林政  子君紹介)(第五四九〇号)  同(中島武敏紹介)(第五四九一号)  物価暴騰及び物不足についての証人喚問に関す  る請願正森成二君紹介)(第五四九二号) 同月二十二日  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願神崎敏雄紹介)(第五七  一六号)  同(小林政子紹介)(第五七一七号)  同(中島武敏紹介)(第五七一八号)  同(野間友一紹介)(第五七一九号)  同(米原昶紹介)(第五七二〇号)  同(中島武敏紹介)(第五九一五号)  同(神崎敏雄紹介)(第五九一六号)  同(小林政子紹介)(第五九一七号)  同(金子みつ紹介)(第六二九〇号)  同(竹村幸雄紹介)(第六二九一号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願瀬野栄次郎紹介)(第五七二一号)  同外一件(阿部昭吾紹介)(第五九一四号)  同(阿部昭吾紹介)(第六〇四八号)  同外二件(上原康助紹介)(第六二八六号)  同(井岡大治紹介)(第六二八七号)  同(田中昭二紹介)(第六二八八号)  同(湯山勇紹介)(第六二八九号)  国民生活安定に関する請願岩垂寿喜男君紹  介)(第五九〇三号)  高物価について大企業証人喚問等に関する請  願(八木昇紹介)(第五九〇四号)  同(八木昇紹介)(第六二八〇号)  建築資材価格引下げ等に関する請願阿部助  哉君紹介)(第五九〇五号)  同外一件(青柳盛雄紹介)(第五九〇六号)  同外二件(紺野与次郎紹介)(第五九〇七  号)  同(佐々木良作紹介)(第五九〇八号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五九〇九号)  同(永末英一紹介)(第五九一〇号)  同外一件(松本善明紹介)(第五九一一号)  同外二件(米原昶紹介)(第五九一二号)  同(渡辺武三紹介)(第五九一三号)  同(津金佑近君紹介)(第六〇四五号)  同(不破哲三紹介)(第六〇四六号)  同(村上弘紹介)(第六〇四七号)  同(浦井洋紹介)(第六二八一号)  同(清水徳松紹介)(第六二八二号)  同外一件(津川武一紹介)(第六二八三号)  同(土橋一吉紹介)(第六二八四号)  同(吉田法晴紹介)(第六二八五号)  物価暴騰及び物不足について大企業責任者を  証人として喚問に関する請願加藤清政君紹  介)(第六二七九号)  物価値上げ反対に関する請願田中昭二君紹  介)(第六二九二号)  生活必需品投機買占めに対する規制強化等  に関する請願井岡大治紹介)(第六二九  三号)  同外五件(島本虎三紹介)(第六二九四号)  同外二件(佐野進紹介)(第六二九五号)  同外十六件(津川武一紹介)(第六二九六  号)  公共料金引上げ反対等に関する請願外七件  (阪上安太郎紹介)(第六二九七号) 同月二十三日  建築資材価格引下げ等に関する請願外一件  (鈴切康雄紹介)(第六四三二号)  同(田中美智子紹介)(第六四三三号)  同(安宅常彦紹介)(第六七三〇号)  同(阿部昭吾紹介)(第六七三一号)  同(赤松勇紹介)(第六七三二号)  同(新井彬之君紹介)(第六七三三号)  同外一件(諫山博紹介)(第六七三四号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第六七三五号)  同(上原康助紹介)(第六七三六号)  同外三件(大柴滋夫紹介)(第六七三七号)  同(勝澤芳雄紹介)(第六七三八号)  同(加藤清政紹介)(第六七三九号)  同(勝間田清一紹介)(第六七四〇号)  同(金瀬俊雄紹介)(第六七四一号)  同(川俣健二郎紹介)(第六七四二号)  同(久保田鶴松紹介)(第六七四三号)  同(小林政子紹介)(第六七四四号)  同(佐々木更三君紹介)(第六七四五号)  同(佐藤観樹紹介)(第六七四六号)  同(佐野進紹介)(第六七四七号)  同(清水徳松紹介)(第六七四八号)  同(島田琢郎紹介)(第六七四九号)  同(高沢寅男紹介)(第六七五〇号)  同(竹入義勝君紹介)(第六七五一号)  同(中川利三郎紹介)(第六七五二号)  同外三件(長谷川正三紹介)(第六七五三  号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六七五四号)  同(伏木和雄紹介)(第六七五五号)  同(福岡義登紹介)(第六七五六号)  同(矢野絢也君紹介)(第六七五七号)  同(山崎始男紹介)(第六七五八号)  同(山本幸一紹介)(第六七五九号)  同外一件(山本政弘紹介)(第六七六〇号)  同(山原健二郎紹介)(第六七六一号)  同(米原昶紹介)(第六七六二号)  同(和田貞夫紹介)(第六七六三号)  同外一件(渡辺三郎紹介)(第六七六四号)  同(岡本富夫紹介)(第六九八四号)  同(坂本恭一紹介)(第六九八五号)  同(山田太郎紹介)(第六九八六号)  高物価について大企業証人喚問等に関する請  願(田代文久君外二名紹介)(第六四三四号)  同(多賀谷真稔紹介)(第六九九九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第七〇〇〇号)  物価値上げ反対に関する請願外一件(津川武一  君紹介)(第六四三五号)  同(岡本富夫紹介)(第七〇〇一号)  中小業者の経営安定のための物価抑制等に関す  る請願外一件(坂口力紹介)(第六四三六  号)  同外二件(阿部昭吾紹介)(第六七七七号)  同(安宅常彦紹介)(第六七七八号)  同(新井彬之君紹介)(第六七七九号)  同(石野久男紹介)(第六七八〇号)  同(矢野絢也君紹介)(第六七八一号)  同(稲葉誠一紹介)(第六九八九号)  同(沖本泰幸紹介)(第六九九〇号)  同(岡本富夫紹介)(第六九九一号)  同外一件(矢野絢也君紹介)(第六九九二号)  同外四件(山田太郎紹介)(第六九九三号)  国民生活緊急安定対策に関する請願外一件  (山田太郎紹介)(第六七六五号)  高物価物不足から国民生活を守るための緊急  対策に関する請願大柴滋夫紹介)(第六七  六六号)  同(佐野進紹介)(第六七六七号)  同(瀬崎博義紹介)(第六七六八号)  同(松浦利尚君紹介)(第六七六九号)  同(美濃政市紹介)(第六七七〇号)  同(島本虎三紹介)(第六九九七号)  同(和田耕作紹介)(第六九九八号)  生活必需品投機買占めに対する規制強化等  に関する請願荒木宏紹介)(第六七七一  号)  同外一件(久保田鶴松紹介)(第六七七二  号)  同外七件(平林剛紹介)(第六七七三号)  同(三谷秀治紹介)(第六七七四号)  同(村上弘紹介)(第六七七五号)  同外二件(阪上安太郎紹介)(第六七七六  号)  同外二件(和田貞夫紹介)(第六九八七号)  同外一件(矢野絢也君紹介)(第六九八八号)  同(島本虎三紹介)(第七〇二一号)  生活必需物資生産供給優先的保障等に関す  る請願三浦久紹介)(第六七八二号)  同(諫山博紹介)(第六九九四号)  同(田代文久紹介)(第六九九五号)  同(三浦久紹介)(第六九九六号)  生活必需物資価格引下げ等に関する請願外七  件(小平忠紹介)(第七〇〇二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  物価抑制等による国民生活の安定に関する陳情  書外二十件  (第四四六号)  物価引下げに関する陳情書外五件  (第四  四七号)  物価暴騰及び物不足等についての証人喚問に関  する陳情書外四件  (第四四八号) 同月二十三日  物価安定に関する陳情書外一件  (第五四八号)  公共料金凍結に関する陳情書外三件  (第五四九号)  生活関連物資供給、価格安定に関する陳情書  (第五五〇号)  物価引下げ及び供給安定等に関する陳情書外五  件  (第五五一号)  高物価について大企業証人喚問に関する陳情  書外二件  (第五五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋口隆君。
  3. 橋口隆

    橋口委員 長官に最近の物価問題について若干質問したいと思います。  最近の物価動向はだいぶ鎮静しているようにいわれておりますが、これについてまず大臣所見を承りたいと思います。どういうふうにお考えになっておりますか。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 物価は、御承知のとおり昨年の後半から本年の一月にかけましては文字どおり狂奔をいたしておりましたけれども、御承知のように、まず卸売り物価につきまして、二月に入りましてからその上昇率鎮静をいたしてまいりまして、その後の足取りも私ども心配をいたしておりますけれども、引き続きまして三月も鎮静足取りを続けておることは御承知のとおりでございます。消費者物価につきましては、その鎮静状況が必ずしも卸売り物価とは同じ状況ではございません。しかし、三月の東京都区部消費者物価の指標、これは全国消費者物価の先駆的なものでございましょうけれども、それにつきまして見ますると、その上昇率が従来よりも低くなってまいってきておりますので、遠からず発表される全国消費者物価につきましても、東京都区部消費者物価上昇率が落ちついたと同じような足取りをたどるものと考えております。しかし、私ども心配をいたしますことは、今後やはり石油の値上がりに関連する影響並びに最近のいわゆる春闘等における賃金の高騰がどのように今後の物価に反映するかというようなこと、並びにもう一つ公共料金につきましてもいつまでも放置し得ないものが御承知のとおりございますので、これらの料金改定を行ないました場合に、それがまたどのように物価にはね返ってまいるか、こういうことをいろいろ考慮し、かつまた心配をいたしております。したがって物価対策といたしましては、総需要の抑制の政策をなおしばらくは堅持をいたしますことはもちろんのこと、またいろいろ御批判はございますけれども、いわゆる個別物価対策などにつきましても、これをこの段階で解除するということはまだ適当ではない、このような考え方に立つものでございます。
  5. 橋口隆

    橋口委員 長官の話によるとだいぶ鎮静化の方向に向かっている。しかしいまもおっしゃいましたように、今後いろいろな物価上昇要因がまだ横たわっているわけです。その一つ一つについて簡単にお伺いしたいと思いますので、長官のほうでも結論だけでけっこうでございますから、簡単にひとつお答えいただきたいと思います。  まず、現在卸はすでに三五%をこえ、消費者物価も二〇%をこえている。そうしてまたやや鎮静はしているけれども、今後各種の要因があるわけですが、その中で電力九社の値上げ申請が来ておりますね。大体平均六二%と聞いております。その値上げ幅については検討中だろうと思いますのでこれはお聞きいたしませんが、大体いつごろになって、もしいまのような情勢でそれを認可した場合に一体どのくらいの消費者物価あるいは卸売り物価への影響があるか、それを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 お尋ねのように電力九社の料金改定申請通産省に出されているわけでありまして、目下せっかく通産省におきましてはそれの審査を始めておるはずでございます。公聴会等手続もございますし、あるいはまた政府部内における私どものほうへの協議とかあるいはまた関係する審議会と申しますか、調査会などの問題もあり、また閣僚会議等の問題もございますので、いまのところいつまで、たとえば五月末までにそれぞれの手続を終わって料金改定を済ましてしまうか、あるいはさらにまた長引くものがあるかというようなことにつきましては結論に達しておりません。おりませんけれども、出された申請に対しては御承知のとおりその検討を進めておることは事実でございます。  また値上がり物価などに対する影響でございますが、たとえば消費者物価について申しますと、平均六二%以上のものが、これはもちろん査定の対象にはなりましょうけれども、かりにそのまま認められた場合の消費者物価へ及ぼす影響というものは、これも申すまでもなく今後認めらるべき、あるいは申請そのもの電力料金の構成が、消費者物価影響のある家庭用電灯料金等につきましては料金体系そのものを低くいたしておりますので、そういうものが消費者物価には反映をいたすことになりましょうから、これは全部を上げた場合におきましても消費者物価に対する影響は〇・六六%、これはわれわれがいままで〇・六ないし七%と申しておりましたけれども、〇・六六%ぐらいの影響があるはずでございます。しかしこれは査定の結果によりまして変わるかもしれません。
  7. 橋口隆

    橋口委員 電力に次いで問題になるのは大手私鉄値上げだろうと思います。一昨年の夏ごろから出されて今日までずっと引き延ばされてきたわけでございますけれども、これについての見通しですね、これはいつごろ値上げをお認めになるのか、またその消費者物価に対する影響、そういうものについての所見を承りたい。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 これもお尋ねのように、私鉄につきましては一昨年来の申請をそのまま許容しないで今日まで至っておりますので、この十月一日からの国鉄料金改定をもにらみながら少なくともそれ以前にはこの問題を処理しなければならないと考えております。時期をいつかということもこれは電力と同じようにきめられておりませんけれども、少なくとも五月から九月ぐらいまでの間にはいま申すような関係から処理をいたしたいと思います。その場合の消費者物価への影響でございますが、これは一応消費者物価の構成のウェート等に対する値上げ申請率というものをアプライした場合には〇・一三%くらいの消費者物価への直接はね返る分が出てくる、このように一応の計算をいたしております。
  9. 橋口隆

    橋口委員 その次の問題は、いま進行中の春闘の問題でございます。いままで妥結した各社の平均をとってみると大体三〇%をこえて、そして二万七千円ぐらいのアップということで、これは非常に大きな、いまだかつてないベースアップになるわけでございますが、これが消費者物価に与える影響というものは非常に大きなものではないかと思います。  それでまた今後非常に大きな問題になりますのは、生産性との比較において一体どういうふうになるのか、こういうことで、これは物価局長でけっこうですが、いまの労働生産性は幾らと最近は見ておられますか。
  10. 小島英敏

    ○小島政府委員 労働生産性は結局全体の実質成長率と非常に深い関係がございます。結局成長率から労働力の増加率を差し引いたものが実質的な労働生産性の上昇になるということでございますので、本年度の成長率は御存じのように政府見通しにおきまして二・五%という非常に低い数字でございまして、若干それよりも高くなるんじゃないかという民間の見通しもございますけれども、いずれにしましても本年度は非常に低い成長率と考えざるを得ないわけでございます。しかも労働生産性の場合にはこれからさらに労働力の増加分が差し引かれますので一そう労働生産性の上昇は低いと見ざるを得ないというのが現在の判断でございます。
  11. 橋口隆

    橋口委員 いまの問題ですが、試算によると数字ではどのくらいと見ておりますか。
  12. 内田常雄

    内田国務大臣 これは実は先ほど私がお尋ねによりまして電力料金とか私鉄料金改定消費者物価にどのくらいはね返るかというようなことを、ごく機械的な数字を申し上げましたが、これは労銀の今回の春闘等による改定につきましても機械的な計算をすれば出ないことはないのです。御承知のように、大蔵大臣はそれは一〇%くらいに及ぶというようなことでたいへんな問題だということを述べておられますし、またその方面のある種の学者はたいしたことはないんだ、大企業等の分野においてはコストに占める労銀の割合が低いので、それが三〇%上がってもたいしたことないというようなことで、大蔵大臣とかなり違う数字を発表しておることも御承知のとおりであります。  そこで私は、実はこれから労銀なり配当なり利潤なり国の年々の、高度成長ということは望まれませんけれども、適正な成長というものを増加する人口の中でどういうふうに配分することが一番適正であるかというような見地の検討というものは当然しなければならない。一部の企業が先取り的に、便乗的にその料金を上げてしまうということも適当でないし、またいま政府委員から答えがありましたように生産性や付加価値が少ない中でこれもまた力づくめによって料金を引き上げた場合にそれが日本経済や物価にどういう影響をするかというようなことをひとつ緻密にいろいろな面から調査をすべきであるということで調査をさせております。ある程度の見通しを少くともここ一カ月くらいの間にはいろいろの角度からつけることができると思いますので、いまここで、今度の春闘、まだ終わっておらぬわけでありますけれども、それが何%程度の物価への影響であるというようなことは軽々には私は申し得ないと思います。非常に低い範囲から非常に高いところまでありますので、これは橋口さん、そのほうの御専門でいらっしゃいますので、ひとつそのように御理解をしていただければ幸いだと思います。
  13. 橋口隆

    橋口委員 この一連の問題についてまだお聞きしたいのですが、内閣委員会で呼んでいるそうでございますから、十一時ごろまでちょっとお伺いしたいと思います。あとは事務当局に伺います。  いまのように電力が上がり、私鉄が上がり、春闘でベースアップ、しかも公共料金の解除、こういう問題になりますと、いわゆる新物価体系への移行はすでに始まっているわけでございますね。そうすると、政府もそれを一応総理以下長官もみんな、もう公言をされておる。そうしますと、新物価体系というものは一体どの程度まででおさまるのであるか、その見通しをお聞かせいただきたい。
  14. 内田常雄

    内田国務大臣 それは私はこういうことになると思います。日本の経済の環境が変わってまいりました。簡単に申しましても、エネルギーあるいはその他の日本の産業をここまで引き上げてきた工業の原材料というものが従来のように無制限に、かつ安い価格で日本に入ってくるような条件が充たされない。したがって、その場合には日本の経済の成長度が当然低くならざるを得ないわけでありまして、その場合にその物価さえ引き上げれば、あるいはまた賃金さえ引き上げれば、昔のような生産性を上げたり日本の経済の成長の幅を大きくするようなことが再び返ってくるかというと、私はそうではないと思います。物価を幾ら上げましても、あるいは賃金を幾ら上げましても、いま申しますような日本の経済の基礎をなす環境を昔に戻すことができないとすれば、これは賃金、物価問題だけでは解決はできないわけでありますので、そこに今後のすべての問題があると思います。  言いかえると、賃金や物価というものは経済を引っぱる牽引性があると同時に、実体経済の影でもあると思いますので、賃金、物価だけを追っかけること、これは国民生活が貨幣経済の上に成り立っておりますからきわめて大切なことではありますけどれも、それはそれといたしまして、日本の実体経済をどのように一体構造的に変えていくかということとあわせて、その物価、賃金問題というものを解決しなければ、石油の価格を高くすれば石油がたくさん戻ってきてその他のほうに何の影響もないということではないし、また賃金を上げれば、石油価格ばかりでなしに海外の農産物等が高くなっても、あるいはそれらの供給が窮屈になってもそれらの問題がすべて解決するということではないと考えますので、お尋ねのお答えにはなりませんけどれも、新価格体系というものは昔の価格体系に比べて何%ぐらい上がったものかということだけではない。私は、そこにいろいろな質的な、また構造的な変化も織り込んだものになろうと考えますので、そのような見地からいまいろいろの研究をさせておること、先ほど申したとおりであります。これはただ一つのパイロットモデルにいろいろな資料をはめ込みまして、がらがらっと回して、電子計算機がこういう答えを出しましたということでは私は済まされない問題であると思いますので、日本の国の将来、また勤労者の幸福や国民生活全体のことを考えながら良心と誠意を持った一つの経済指導方向というものを出してまいることが私ども経済企画庁に与えられた使命である、かように考えながらやってまいりますので、何らかの機会に今後の経済指導政策や物価等のあり方あるいは賃金等のあり方につきまして皆さま方の御意見を承る機会があろうことを私は期しております。
  15. 橋口隆

    橋口委員 この政府の経済見通しで一月、卸が一四・六、消費者物価九・六、こういうふうに一応想定をされておるわけですが、もういまやいろいろな一連の上昇要因をあげますと、民間の研究機関では全部卸も消費者物価も三〇%をこえるという見通しを立てております。これはおそらく経済企画庁でもそういうふうにお考えにならざるを得ないと思うのですが、いかがでございますか。簡単でけっこうです。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 そういう民間の研究機関あるいはまた証券関係の研究機関などの見通しなども私は見ております。見ておりますが、必ずしもそれが正しく中正なものであるとも私は思いません。しかしその前に、これは正直に申し上げておいたほうがいいと思いますが、四十八年度における卸売り物価消費者物価の上昇の見通しを私どもはこの一月に改定いたしました。その改定における卸売り物価上昇率というものは対前年比二〇・二%ということでございましたが、それは三月が終わりまして卸売り物価が出ましたので、私どもはもう一ぺん改算をしてみますと、それは二二・六%になっております。でありますから、これは狂ったといえば狂ったわけでありますけれども、二〇・二が二二・六でありますからたいして狂わなかったということをいうわけじゃありませんけれども、それだけのずれがすでにそこへ出てきております。それから消費者物価につきましても四%と申しましたものが、三月の消費者物価がまだ締めくくられておりませんけれども、どうも四十八年度は一六%をちょっとこえるくらいになるだろうと思います。ということは、その上がった分が四十九年度では俗にいうげたとなって、四十九年度の物価計算をするときにげたの部分が出てまいりますので、少なくともその違った分、げたの部分だけは四十九年度にそれだけずれ込まれるわけでございますので、その限りにおきましては四十九年度で私どもが見ております卸売り物価消費者物価の対前年上昇率というものは若干の移動が出てまいると思いますが、しかし、四十九年度内そのものの上がり方というものを四十九年度については表の上に出しておりますけどれも、それがどうなるかという問題はいまのところ私は何とも申し上げられませんので、必ずしも民間の一部の研究所が——これはたとえば証券機関で発表するからそれが株価等との関連において意図があったと言うものではありません。ありませんけどれも、そういうもののとおりでもないということでございまして、これもだんだん詰めてまいりたいと思います。
  17. 橋口隆

    橋口委員 時間がありませんので簡単にお答えいただきたいと思いますが、この新物価体系というのが年末までに一応形成される。その場合にそれで安定をするとお考えになりますか。それともさらにまた上昇する危険があるとお考えになりますか。念のためちょっと申し上げておきますが、去る十六日の閣議では所得政策を検討しよう、こういうお話も出たそうでございますが、その点についてはたして安定するのか、それともまだ不安定の要因が残っている、それであるからこそ所得政策も検討する、こういうことになるのですか、その辺をひとつお答え願いたい。
  18. 内田常雄

    内田国務大臣 これは国会の他の委員会等あるいは参議院等でもだいぶ議論をせられましたが、物価が安定するということは、昔の物価、一昨年ぐらいまでは日本の卸売り物価等も、御承知のとおり非常に安定をいたしておりました。年の上昇率が一・五%ぐらいあるいは一%以下であったこともござました。消費者物価も年の上昇率が五%台でございましたが、そのころの物価まで引き下げるという意味ではないということを私はしばしば申しておりまして、一昨年の物価——物価というのは全体の価格をならした水準でございます。個々の価格についてはもちろん下がるものもあります、上がるものもありましょうけれども、その全体の価格を総合した物価水準が三年前まで下がるということは私はあり得ないと思いますけれども、今後の上昇の足どりというものは一昨年から昨年、昨年からことしの一月ぐらいまでのようなああいう狂奔するような上昇の足どりはない、鎮静をしてまいる、こういうふうに私どもは考えますということを申し上げております。そういうことからいいますと、四十九年度におきましても、私どもの経済見通しは先ほどもお尋ねがありましたように、ある程度の上昇というものは見ております。したがって、それは今後日本ばかりでなしに、世界全体として物価の当然な、正常な動きというものは考えなければならないし、その場合に日本だけがかりに物価がフラットになって平らになってしまうといいますと、いまの一ドル二百七十円台というものは一ドル二百円になってしまって、これはまた国内的にあるいは国際均衡の面で非常に混乱を起こすことも考えられるということにならざるを得ないと思います。  それから、所得政策の問題でありますが、先般の閣議で、私が先ほどお尋ねに対してお答えをいたしましたような勉強の問題を取り上げましたが、一般の新聞等は所得政策ということばにたいへん関心を持っておられるようでございまして、直ちにそれを所得政策に結びつけて、所得政策を検討というようなことばでありましたが、私どもが考えておりますのは賃金を抑制するというような手段としての所得政策というものを全く考えておりませんので、日本の経済が大きくなれば、その大きくなった分をどのように公平に適正に配分するか、こういう検討を続けるべきだ、このような意味でござますので、あらためてそのことを申し上げておきたいと思います。
  19. 橋口隆

    橋口委員 そうすると、賃金抑制のためには考えないが、所得の公正の分配のためにはある程度考えてもいいというお考えで検討を始められたわけでございますか。
  20. 内田常雄

    内田国務大臣 ある程度考えるという中身は賃金を抑制するということではなしに、日本の経済はいままでのような高度成長はできない、あるいはまた生産性の著しい上昇というものも特別の技術開発でもない限りなかなか期待できないわけでございますので、それらの分をどのように国民の各階層に、賃金や利潤や地代や金利もありましょうし、どのように配分されるのが公正な分配であるかということを考えるわけでありまして、そういうことに名をかりて賃金を押えるとかあるいは利潤を押えるとかいうことではなしに、日本の経済の実態をさらけ出して、国民的コンセンサスとして、つまり国民的な合意の方向としてはどうあるのがいいかという一つの考え方といいますか、資料を整えてまいる、こういう意味でございますので、そのことはあくまでも御理解をしておいていただきたいと思います。
  21. 橋口隆

    橋口委員 時間もありませんので、もう一つ念を押しておきたいと思いますが、長官が言われる所得政策というのは、アメリカやイギリスでいわれているような法的根拠に基づくそういう政策ではなくて、いわばガイドラインを設定するという程度のものでございますか。
  22. 内田常雄

    内田国務大臣 もちろん法的手段は考えませんし、ガイドラインも私どもは恣意的に、政府の考え方としてガイドラインを設定するということでは全くございません。ガイドラインを設定するのがいいか、またある場合には法律をやるのがいいかというような判断の(「資料を整える」と呼ぶ者あり)資料を整える、こういうことでございます。たいへん御理解がある御発言がございましたが、そのように御理解をいただきたいと思います。
  23. 橋口隆

    橋口委員 それではどうぞ長官は内閣委員会へおいでいただいてけっこうでございます。  それでは政務次官と物価局長お尋ねいたします。  先ほどの問題に返りまして、春闘、いままだ全部は妥結を見ていないわけですが、かりに三〇%上がった場合に、消費者物価へのはね返りというのを何%ぐらいと見ておられますか。
  24. 小島英敏

    ○小島政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたように、公共料金なんかの場合と違いまして、賃金の場合は、コストの面だけでございませんで需要面がございます。コストの面で、賃金コストがどのくらい上がる、それが製品価格をどれだけ押し上げるかという計算、これも非常にむずかしい問題がございます。つまり、生産性上昇とのからみがございますから。それはそれとして、その面と同時に、賃金上昇が消費財に対する購買力として働いてまいりますので、その意味では、賃金の物価に対する影響と申しますのは一義的に計算が非常にむずかしいわけでございまして、したがって、いままでいろんなところで、新聞等にも出ておりますように、各種の数字が出ておりまして、大蔵大臣あるいは総理大臣もテレビで言われておりましたけれども一、たとえば、消費者物価について一一・四%という数字をおっしゃっておりますけれども、これらはいずれもいろいろな仮定に基づいた計算でございまして、私どもといたしまして、賃金がどのくらい物価影響するかということを、先ほど大臣が申しましたように現在慎重に検討中でございまして、この段階で企画庁として公式に申し上げる数字を持ち合わしていない、検討中ということで御了解いただきたいと思います。
  25. 橋口隆

    橋口委員 これはおそらく、すでに準備はされておると思うのですが、やはりその影響は十分検討されて、そうして、その新物価体系というものに対して一体どのくらいの寄与率になるのか、そういう点もひとつ十分御検討いただきたいと思います。  そこで、これに関連して、公共料金はいよいよ十月になれば解除をされると思いますね、国鉄とそれから米価。こういうものが凍結解除になった場合のこのはね返りというのは幾らと見ておられますか。
  26. 小島英敏

    ○小島政府委員 米価につきましては、CPI上のウエートが一万分の四百七十九でございますか、約五%弱でございます。したがいまして、まあ九・八%でございますが、これはこまかい計算をいたしますと、平均的には八%台の上昇になりますので、それをかけ合わせまして大体〇・四%強、〇・四と〇・五の間ぐらいでございますが、消費者物価を押し上げる。  それから、国鉄につきましては、これは旅客の分がCPIに影響するわけでございまして、これが〇・三四%という数字でございます。それから、貨物のほうはCPIには影響いたしませんで、これはIO表を使って間接的な影響が出てまいるわけでございまして、これを計算いたしますと、約〇・一%くらいということでございます。
  27. 橋口隆

    橋口委員 そうすると、いままでちょっとお聞きしましたが、石油製品の値上げ、それから誘導製品、石油化学の基礎資材、そういうものが値上がり、それに電力料金がいよいよ値上がりになる。それから私鉄、それからやがて公共料金の撤廃、また春闘、それからそういうようなものの間接的な影響、そういうものを考えると、どうしても政府のいわゆる新物価体系なるもあの水準というものは、もう経済企画庁の見通しをはるかに上回ってくる。そうすると、民間機関がいま試算をしているように、二〇%以上になることは必至であろうと常識的には考えられるのですが、その点はどういうふうに試算をされていますか。もう試算ができているはずだと思うのですが……。
  28. 小島英敏

    ○小島政府委員 ただいま申しましたように、公共料金の関係及び賃金等の関係で、昨年末予想いたしましたよりも確かに消費者物価上昇率が高目になりそうだということはおっしゃるとおりでございます。しかしながら、二〇%以上になることが必至だというようには考えておらないわけでございまして、まあ賃金のほうは、生産性上昇とのからみ、及び所得がふえましても、これが貯蓄に回りますれば、消費財に対する購買力としてはそれだけ力が弱まるわけでございまして、最近の消費者のピヘービアと申しますか、昨年末、大型のボーナスが出ましたにもかかわらず、消費者の消費態度が堅実化いたしまして、いい影響が出ておるわけでございますが、こういうことが続いてまいりますれば、大幅な賃金上昇がございましても、さらに大幅に消費財価格を引き上げる力にはならないということも予想されるわけでございまして、そのための条件整備も重要でございますけれども、それらのことを勘案いたしますと、先生おっしゃいますように政府見通し内におさめることは、正直に申し上げまして非常にむずかしいといわざるを得ないわけでございますけれども、二〇%をこすなどということになりましてはたいへんでございますので、私どもは極力そういうことにならないように、これからの政策を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  29. 橋口隆

    橋口委員 政府としては、努力目標というのは非常に必要ですから、低目に、見通しどおりにおさめなくちゃならない。しかし、どう考えても、四十八年度もかなりの大幅になってきた、そうすると四十九年度はおそらくは政府見通しを上回って、民間の見方に近くなるのじゃないか。そうなりますと、一番困るのは小口の消費者大衆の預金だろうと思います。この委員会でも、この前、その目減り対策をどういうふうにするかというような問題があって、政府としても検討する、こういうお話がありましたが、これは一つの政治的な問題でもありますから、政務次官、そういう点はいまどういうふうにお考えになっておりますか。各省との準備はどういうふうになっておりますか。
  30. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃいますように、目減り対策ということが非常に重要であると思います。せっかく貯蓄をいたしましたものが減価してまいるということは、いままでの成果、正直者が働いて蓄積したもあの価値が下がっていくということでございまして、これは非常に大きな影響がございます。それからそういう問題と同時に、やはり貯蓄をふやしていくことが今後のインフレを防ぐ実は一番重要な対策でございます。先ほど申しましたように、所得がふえていくことは非常にけっこうなんですけれども、それがすべて需要として立ち向かわれますと、消費財の供給というものは、そんなに二割も三割もふやし得ないものでございますから、どうしてもこれは、価格の面で名目的な価格上昇によって吸収するということになるわけでございまして、短期的なインフレ対策としても、貯蓄の増強というものが非常に重要でございます。その両面から私どもはやはり預金金利の引き上げというものが非常に必要であると考えておりまして、政府の中におきましても、そういうことを関係当局のほうに申し入れているわけでございまして、直接この所管は大蔵省でございますので、大蔵省等で現在いろいろ検討中と聞いておるわけでございます。
  31. 橋口隆

    橋口委員 確かに、物価抑制のためには過剰資金——あるいは過剰資金になるかどうかは今度のべースアップではかなり問題もあると思いますが、いままで蓄積してきたその預金の目減り、これが二〇%をこえた場合には、ブラジルあたりでもこれに対する救済策を講じていますね。ところが先進諸国の中で、二〇%をこえているというのは日本だけだと思う。それについて、きょう大蔵省に来てもらえばよかったのですが、大蔵省が真剣に取り組んでいるかどうか、これを経済企画庁とは十分相談される必要があると思いますが、政務次官、経済企画庁としての決意はいかがでございますか。
  32. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 お答えいたします。  ただいま橋口先生がブラジルの例を引かれましたけれども、ブラジルでやりましたいわゆるマネタリーコレクションというものが確かに成功したということは私ども承知しております。また政府委員から答弁申し上げましたように、私どもとしては、いわゆる勤労者の福祉を守るという意味からも預金の目減り対策というものは早急に具体化する必要があるであろう、このように考えておりますが、私ども承っておるところによりますと、大蔵省でも真剣に検討しておるけれども、いわゆる預金金利を引き上げた際あるいはスライド制をとるといった場合に、はたして中小金融機関がそれにたえ得るであろうかどうか、その辺のところを大蔵省としてもなかなか踏み切れないのだというような情報も聞いておりますが、しかし事柄の重要性からまいりまして、私どもも今後さらにまた大蔵にも随時申し入れをする必要がある場合には申し入れをするなどの措置を講じてまいりたいと思います。
  33. 橋口隆

    橋口委員 いまの話の中で、貯蓄増強策と目減り対策とはやはりある程度別に考えないと、金利体系の問題とからめて大蔵省はすぐ逃げちゃうわけです。目減り対策というのは別個の方法をお考えになるようにひとつ御研究いただきたい。これに対しては物価局長何か用意がありますか。
  34. 小島英敏

    ○小島政府委員 ほんとうの意味の目減りを防ごうと思いますと、預金残高を物価スライドしなければいかぬわけでございまして、これはやはりたいへん大きな経済的影響がございます。その意味では、目減り対策というものと貯蓄増強対策というものは、残高にはなかなか手をつけられない。やはり金利の面で優遇するということが基本的であり、それが目減り対策にもなるし、貯蓄増強策にもなるというふうに考えております。
  35. 橋口隆

    橋口委員 そこで、ちょっと角度を変えて御質問しますが、標準価格を四品目設定をされて、それから先般三月十五日でしたか、あの価格で凍結をされましたこれらの製品の価格は安定をしておりますか。
  36. 小島英敏

    ○小島政府委員 物資関係省のほうでいろいろ調査をし、あるいは行管でも調査をいたしておりますけれども、それから企画庁でも地方公共団体を通じてその後の価格の動き、物の出回りの動き等を調査いたしておりますけれども、各調査を通じていえますことは、標準価格設定されたもの及びいわゆる目張り対策で据え置き措置、監視措置がとられましたものにつきましては、その後の順守状況が非常に良好でございまして、一月、二月ごろにはかなり標準価格等を上回っておりましたものも、最近はほとんどそういうものがなくなってまいりまして、標準価格が守られるパーセントが非常に高くなってきております。そういう状況でございます。
  37. 橋口隆

    橋口委員 百貨店やスーパーについて、日常品について百四十数品目やはり凍結されましたですね。これはほかの小売り店も大体それに右へならえをするというのがねらいだったと思うのですが、大体の実情というのはそういうふうになっておりますか。
  38. 小島英敏

    ○小島政府委員 これは百貨店、スーパーのシェアが約二割ということで、そういうところが据え置き措置をとれば、ほかのほうもこれにならうだろうということで行なわれたわけでございまして、これは実はあらゆる品目について全国的な小売り調査というものが、これは人手の関係でなかなか簡単にできませんので、私ども、現在この段階でほかもそれにならっておりますということを申し上げるデータがないわけでございます。しかしながら、一般的に最近の消費者物価指数の動き等から見まして、一時の狂乱状態はおさまって、一般的には望ましい推移を示しているということから見ましても、この間の据え置き措置がそれなりの効果を及ぼしている。もちろん百貨店、スーパーにおきましては非常に守られておるようでございますし、これがほかの小売りにつきましてもいい影響を及ぼしているというふうに判断をいたしておる次第でございます。
  39. 橋口隆

    橋口委員 いまの標準価格あるいは凍結価格、それから投機防止法によって二十四品目指定がされておりますが、こういう物資の中で、もう解除してもいいというような物資がだんだん出てくるのじゃないかと思いますが、それについての見通しはいかがですか。
  40. 小島英敏

    ○小島政府委員 標準価格につきましては、この間の石油の措置のときに発表になりましたように、灯油につきましては今需要期について据え置くということでございまして、これは実は普通の考え方ですと四月一ぱいで今需要期は終わると考えておりまして、そのころ解除をしようと考えておりましたけれども、やはり五月に入っても前半ぐらいは北海道とか東北の北のほうでは依然として需要期が続いているんだという地元の強い要望もございますので、四月末という期限を延ばしまして、五月の中旬になりますか下旬になりますか、その辺の段階で灯油につきましては解除をいたす予定でございます。  それからLPGにつきましてはだんだん実勢価格が下がってまいりまして、灯油と同じように考えてもいいわけなんでございますけれども、これはまた最近LPGの輸入価格が非常に上がる、現在七十ドルというのが、向こうの要望だと百十ドルというような話もございまして、コストが上がる傾向がございます。したがってLPGにつきましては、これは簡単にはずしますとまたコスト上昇を理由に値上げがはかられるおそれがございますので、いましばらくいまの水準で据え置いていくということが必要であろうと思います。  紙につきましては、だいぶ実勢価格が下がってまいりましたので、これは通産省のほうとも寄り寄り相談中でございまして、もしこの標準価格を据え置くことがむしろ実勢の値下がりを下ざさえしてしまうというようなことになりますと消費者のためになりませんので、これは適当な時期にはずしていくということを考えたいと考えております。  それから、買占め法の関係につきましては、一般的に現在の物の情勢は、いわゆる一時の物不足状態はすでにおさまりまして、いかに便乗値上げを防ぐかということが最近の重点課題だと考えております。そういう意味から申しますと、いま買い占めなり売り惜しみなりがどんどん行なわれているというようなものはほとんどなくなってきたというふうに考えておるわけでございますけれども、それじゃ一ぺんにこれは全部はずしたらどうかということになりますと、いろいろ実は昨年末以来地方に対して買占め法なり安定法なりの指定を前提に、中央からお金を出しまして地方の行政機構の整備が行なわれておりまして、これらを大幅にはずしてしまいますと、その辺の問題もからんでまいりまして、地方が非常にお困りになる面もございますので、いましばらく大幅な解除ということは差し控えている状態でございます。
  41. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、物不足はだんだん解消してきた。そして価格も安定してくる。そうすると、物資はだんだん需給が均衡してくるというふうに見通しておられるわけですね。そうしますと、いまや総需要抑制策というものがだんだん問題になってくると思うのです。これは当分継続する必要があろうかと思いますが、逆に今度は、いま申し上げたように、問題になっている電力とかあるいは運賃であるとかあるいは労賃というものはどんどん上がってくる。そうすると、いままでのいわばデマンドプル型のインフレからコストプッシュのインフレに移行してくると思われますが、その辺はどういうふうに見ておられますか。
  42. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃいますように、去年からことし初めにかけましてのいわゆる需要超過と海外要因を主因とする物価騰貴から、今後はやはりコストインフレ的なニュアンスのものが次第に強くなっていく、そういう性格にシフトしつつあるというふうに考えております。
  43. 橋口隆

    橋口委員 そういうことで、先ほど大臣も所得政策に関連しての御発言があったろうと思いますが、それについて私は、私もかつて企画庁の政務次官をしておってこういうことを言うのはおかしいのですが、政府はインフレではない、物価高騰であるということを終始言ってきましたですね。そこで、ちょっとお聞きしますが、最近イギリス、アメリカ、ドイツ、これは最近の消費者物価はどのくらいになっていますか。
  44. 小島英敏

    ○小島政府委員 アメリカの消費者物価は前年同月比でございますが、本年一月が九・四%、二月が一〇・〇%というのが一番新しい数字でございます。前月比で申しますと、一月が〇・九%、二月が一・三%と、むしろ昨年中の上がり方に比べて最近上がり方が大きくなってきておりまして、これは石油、原油の値上がりその他の関係が出てきておると思います。むしろそういう状況でございます。それからイギリスは、前年同月比で見ますと、一月が一二%、二月が二・二%ということでございまして、これも前月比で見ますと、一月が一・九%、二月が一・七%ということで、やはり非常に大幅な上昇になってきております。西独におきましては、これは先進国の中で一番成績がよろしゅうございまして、一月が前年同月比で七・四%、二月が七・六%でございまして、前月比で見ますと、一月が〇・七%、二月が〇・九%、これもかなりいままでよりは上がり方が強くなっておりますけれども、やはり米国、英国等に比べますと上昇率がやや低目におきまっております。
  45. 橋口隆

    橋口委員 これは政務次官に伺いたいのですが、いまのお話のようにアメリカは一〇%、イギリスは一一%、西ドイツは七・六%ですね。それでも彼らはこれはインフレだ、こう言っている。そして実際、所得政策の名前としては、イギリスはアンチ・インフレーション・アクトという法案を出していますね。政府がインフレだと認めておって、それに対する対策を講じておる。ところが日本では、これは物価高騰であってインフレではないと言い続けてきている。これは私は、経済の実情に対するいわば常識的な見方からはずれていると思うのです。だからこれを政務次官はどういうふうにお考えになりますか。厳正にわれわれはこの経済の実情を、学問的にといってもいいし、またそれは常識的にといってもいいが、これはインフレと認めざるを得ないのに、政府だけがこれを認めないというのはおかしいと思うのですが、どういうふうにお考えです。
  46. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 インフレーションの定義いかんによっては、またあるいは違うのだと思いますが、私個人は明らかにインフレだと思います。
  47. 橋口隆

    橋口委員 政務次官、非常に率直にこれをお認めになりましたので非常にけっこうですが、私は大臣も御同様だろうと思います。まあ政策的な見地、政治的な立場からいままではそういうほうの配慮があったかもしれないけれども、いまやインフレの中でも日本のはいわゆるギャロッピングインフレともいうべきものであって、非常に急上昇している。しかもこれからはコストプッシュ型のインフレに移行するとなれば、もっと深刻な事態になってくるだろうと思いますね。簡単に新物価体系で安定すると楽観は許されないと思う。これから物価状況あるいは経済の動向というものを公正に厳粛に見詰めて、これに対する対策を今度は政府が誤らないようにやる必要があると思うのですが、これは政務次官、どういうふうな御決意ですか。
  48. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 おそらく先生も御同感のことだと思いますが、いわゆる物価問題についてはまさしくこれから正念場を迎えるのじゃないか、私はこのように思っております。こういう意味におきまして、経済企画庁としても最大の力を発揮しまして、物価の安定、望ましい新価格体系、できるだけ摩擦の少ないかっこうで政策を運用してまいる必要があると思います。
  49. 橋口隆

    橋口委員 大臣がおいでになりませんので、またいずれ機会を改めて大臣には質問したいと思いますが、きょうは私の質問はこれで終わりたいと思います。
  50. 平林剛

    平林委員長 次に、中村茂君。
  51. 中村茂

    ○中村(茂)委員 まだ長官来ておりませんが、農林省来ておりますね。では、そちらのほうからひとつ。  私は、まず白米に対する水増し問題と米価の問題について、一、二聞いていきたいというふうに思います。  最初に、政府の買い入れ米、いわゆる玄米の平均水分を調べたことがあるかどうか。調べたとすれば、その全国平均と府県にある食糧事務所別にひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  52. 杉山克己

    ○杉山説明員 四十八年産米の検査時におきますところの水分は、全国平均で一四・一%となっております。これを地域別に見ますと、食糧事務所別の内訳も出ますが、こまかくなりますので、大きく分けまして北海道、東北地区では一四・九%、北陸、山陰地区では一四・六%、その他の地区では二・八%となっております。
  53. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、大体一五%というのが玄米に対しての上限の水分で、あと下限はあるのですか、ないのですか。
  54. 杉山克己

    ○杉山説明員 農産物検査法に基づきまして、米について、玄米についても精米についてもでございますが、規格を定めております。これは水分につきましては一等から各等を通じまして上限を一五%と定めております。下限については定めておりません。
  55. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私は計算してみたのですけれども、私の計算は大体水分が一三・五%というふうに見た場合に、政府の買い入れ数量がかりに六百五十万トンとすれば九万七千五百トン、一五%と一三・五%の一・五%の水分の開きで九万七千五百トンという開きが出てくるわけであります。  そこで、この水分の問題について、それに関連してくる問題としてもう一つ明らかにしていただきたいというふうに思いますのは、玄米から精米を通じて白米にする場合に歩減りがありますね、これはどの程度に見ていますか。
  56. 杉山克己

    ○杉山説明員 前段のほうの、先生の玄米の平均水分は二・五%程度ではないか、そういう仮定に基づいて計算をすればという計算は、そのとおりになると思います。ただ申し上げたいのは、検査規格では先ほども申し上げましたとおり水分の最高限度をきめております。それ以上水分を持つものはいけないということにして、品質についての規格を定めておるわけでございます。なお、先ほど私一律一五%のようなことを申し上げましたが、地域によって若干の差を認めております。平均といいますか、一般的には一五%でございます。そういう中におきまして、その一五%をこえないものであれば検査に合格するということを認めておるわけでございます。したがいまして、特別に水分が低いものがいいとか、低くなければいけないということを要求したり指導しているわけではございません。実際問題として最近は機械乾燥がだいぶ普及してまいっております。そのことの結果、私どもが期待しておりますよりも乾燥度合いが進むと、したがって水分含有量が少なくなるということが見受けられるようでございます。  それから後段のほうのお尋ねでございますが、玄米から精米にいたすときの目減りといいますかぬか分は、平均しますと約九%、精米の歩どまりは平均して約九一%ということになっております。
  57. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、精米にする際に九%の目減り、これは基準ですね。水分は大体どのくらい白米にするときに減るのですか。それと、先ほどはっきりしなかったのですけれども、白米についての水分の基準というものがあるのかどうか。
  58. 杉山克己

    ○杉山説明員 白米についての規格は、米穀の配給要綱というものが食糧庁から出されております。この配給要綱に基づきまして、配給米の品位基準というものがきめられております。そのうち配給精米の品位基準は、内地米、徳用上米、徳用米というふうに分かれておりまして、そのうちの水分につきましては、いずれも一五・〇%を上限とするということで定められております。
  59. 中村茂

    ○中村(茂)委員 玄米を精米を通じて白米にするときには、その目減りの基準はある。そして常識的に言えば、玄米を白米にすればこぬかが出るわけですね。それが目減りになる。そのほかの添加物を加えるとか加えてはいけないとか、そういうことははっきりしておるのですか。
  60. 杉山克己

    ○杉山説明員 個別に添加物を加えるとか加えないとかいうことで規格をきめているのではなしに、全体としての品位につきまして、先ほどの水分もその一つでございますが、たとえば被害粒は——被害粒というのは、やせてしまっているとか、色がついているとか、満足な米の形をしていない、まあ俗にいっているわけでございますが、そういう一般の資格を備えていない米、そういう米が全体として二%以下、そのうち色づきのものは〇・二%以下でなければならない。それから砕けた粒、砕粒と称しておりますが、一〇%以下でなければならない。あるいは異種穀粒及び異物は主としてもみともみ以外のものというふうに分けられますが、そういうものについては、もみはゼロ%、もみを除いたものについては、先ほどの内地米標準品については〇・一%以下というようなことできめております。したがいまして、こういう規格外のものが入っておりますれば、それはまさに品位を備えないものだということになって、規格はずれの品質のものということになるわけでございます。
  61. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、いま精米の過程で水を含ませて、水増し米をそれぞれ販売しているわけですけれども、これは食管法違反にならないのですか。
  62. 杉山克己

    ○杉山説明員 ただいま申し上げましたように、でき上がった精米の水分が規格として一五%以下でなければいけない、それ以上の水分を含んでいてはいけないということで規制いたしておるわけでございます。したがいまして、でき上がりが精米規格に合って、水分がまさに一五%以下であるならば、そのこと自体は食管法違反であるとかなんとかで規制するという対象のものではないと存じます。  なおまた、いま先生の御質問の中で、水増しをしているのではないかというお話でございましたが、これは私ども、精米の段階で精米自身をやりやすくするため、砕け米が出るのを防止する等のために、必要な水分を維持するという目的で、むしろ調製上の必要な措置としてやっておるのだというふうに理解いたしております。
  63. 中村茂

    ○中村(茂)委員 特に一昨年から噴霧機による装置が普及してきて、昨年は精米段階で水増し装置が相当普及されて、ほとんどそういう傾向になってきておると思うのですけれども、いま集中精米で農林省でつかんでおる範囲で、水増しの装置が、概括でけっこうですけれども、何%くらいすでに入っておるか。
  64. 杉山克己

    ○杉山説明員 正確な何%という全体のウエートではわかりにくいのでございますが、お話しのように一昨年来そういう水分についての調製装置が普及を見ております。そして全国で大型精米をやっておるところにかなり採用されておりまして、四十七、四十八年で三十七カ所採用されておるというふうに承知いたしております。
  65. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、これは前提がありますけれども、一三・五%の米に対して一五%までいいわけですから、この装置を使って計算してみた場合に、特に大阪の第一食糧では毎日六千俵、それから石川県の米穀では三千俵。これを一三・五%の米として一五%まで水増しをするとすると、大阪第一食糧では白米で三千キロ、玄米で六十俵、石川県の米穀では白米で千五百キロ、玄米で三十俵。これを一俵一万円として計算してみた場合に、大阪第一食糧では一日に六十万円、石川県の米穀では一日に三十万円の水増しによる不当利得がそこに生まれてくる、こういうことになるわけでありますけれども、この計算は間違いありませんか。
  66. 杉山克己

    ○杉山説明員 先生のような仮定を置いての計算はまさにそのとおりかと思いますが、水増しによる不当利得という性格のものではないと理解いたしております。私ども調査いたしました実績で調べてみますと、これは大阪にいたしましてもそのほかのところにいたしましても、ほぼ似たような結果になっておりますが、神奈川の場合で一例申し上げますと、一四・二%の玄米を搗精機にかけて搗精する。その過程におきまして、水分一%を加える。そうすると、一五・二%になるわけですが、その一%分がそのまま米の中に水分として保有されるわけではなくて、その搗精過程において熱とともに蒸発する分があるわけでございます。最終的な製品が、搗精されたあとにおきますところの製品が一四・四%の水分になっておるということで、当初玄米の段階での水分とは必ずしも一致しない、若干の増あるいは減があるというふうな状況であるようでございます。ただ、これは搗精直後の話でございまして、精米はそれなりにその後も置く期間によって差はありますが、水分は温度、天候等によってかなり変動はあるものと承知いたしております。
  67. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それは統計によると、玄米の水分一四%の場合には、精米過程で〇・五%の水分が目減りすることになっている。だから、いまのあなたの言い方でいけば、それは一%加えても、〇・五は当然加えなくても一目減りするわけですから、その分余分に加えて、一五%に結果的になるように水分を増していけばいいわけであります。  それでいま現実に、これは私の調査ですけれども、大阪または石川県のこの例で、はっきりと平均して大体一日一・五%の水増しを実際にはしているわけですね。そうなってくると、これは私はここで問題にしたいというふうに思うわけでありますけれども、いままでは、一昨年まではこういう装置はなかったのですよ。しかも精米については、食管法のたてまえ上、政府も相当補助金を出して精米の優秀な設備をさせているわけです。ところが、この水増しの装置については、補助金も出していないわけですよ。出していないけれども、この、二年に、先ほどのお話しのように三十七カ所も普及する。しかも二千万円、三千万円という金をかけてこの装置をしていく。補助金がなくてもこれだけ手を伸ばしていけるということは、その装置をしていけばそれだけ量がふえ、いえば水増し米として相当な収入になってくる。だから、私は不当利得というふうに言ったわけですけれども、水をただ増すだけによって量がふえて、先ほどのように一日で大阪の場合には六十万円、石川の場合には三十万円という利得が得られるわけです。これをただ一五%という水分の関係において放置しておくということは、私としては納得できないわけです。そういう現象がはっきりしているとすれば、特に先ほどのお話にありましたように、最近は玄米の乾燥機が普及してきて、しかも農業が三ちゃん農業というふうにいわれて、手で時間をかけて天日で干すということが困難になってきているために、この乾燥機を使って過乾燥になっている面が、あなたも先ほど指摘されたとおり非常に強いわけです。一五%の線はありますけれども、どうしても過乾燥になって、一三・五%というような目減りで出す。その差の一・五というのは小さいけれども、それを全部でやってみると相当大きい額になるわけなんです。それだから米価を決定するときに、こういうものがわかっているとすれば、それを米価の中に、農家に還元するとすれば玄米の米価の決定、それから消費者にそれを還元するとすれば消費者の米価の決定の中に算入していかないと、ただ精米で水を増しただけでそれだけの不当利得を得るということになるのじゃないか、この点を指摘しているわけなんです。したがって、私はもうこういう装置についてはやめさせるか、価格決定に反映させるか、いずれかの方法をとるべきだというふうに思いますけれども、農林省の考え方はいかがなんですか。
  68. 杉山克己

    ○杉山説明員 先生の御指摘の数値につきましては、私先ほど役所のほうの調査の数値を申し上げましたとおりで、開きがあるわけでございます。  それはそれといたしまして、そういう精米についての調製装置について、先生はたいへん失礼でございますが、誤解をなさっていらっしゃるのじゃないかと思います。と申しますのは、私どもはむしろ精米の品質をよくするために調湿、湿度の調整ということは必要なことだというふうに理解いたしております。それが従来なくて、一昨年ごろから普及しだしたのはなぜかといいますと、そういう調湿についてのいい機械がなかった、装置がなかったということでございますが、ヨーロッパ諸国におきましてその関係の機械が開発された、それが一昨年ごろから日本にも取り入れられたという経緯があるわけでございます。  御指摘のように、全体として国は大型精米、集中精米というものを奨励して、それに対する助成金を交付してまいっております。従来は、そういう調湿装置が一般の大型施設と一緒に併置されるということはなかったものですから対象ではございませんでしたが、現在ではそういうものも含めて大型の助成の対象にいたしております。  それから水分について、それは米価算定の上に反映すべきではないかというお話でございますが、それは玄米からぬかをとった精米歩どまりがどのぐらいになるか、また水分について一般的にどのぐらいになるかというような全体の中で、マージン全体をきめる中で算定するといいますか、それなりに考慮する事項で、私どもは従来そういう調製装置を持ったからといって、あるいはそれ以前に持たなかったからといって、特に大きな差が生ずるというふうには思っておらないものですから、いままでそういう算定はいたしておらないわけでございます。  大体以上でございます。
  69. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これは品質を、水分をこれだけ含ませることによってなおよくするというふうに言っていますけれども、玄米から白米に精米する際に、これは水分をいかに含ませようととろうと、玄米の質よりもよくはならないのですよ。しかも一%ちょっとぐらいの水分で品質がよくなるとかどうとかということは、これは私ははっきりいえば業者の言い分だというふうに思うのです。というのは、特に日本精米工業会が、この水増しの問題を合理化するために、工業会規格というものを改正して、白米の水分を一・五%としようという動きがあるわけなんです。先ほどの言い方からいくと、あなたはこれを奨励していることになるじゃないですか。
  70. 杉山克己

    ○杉山説明員 いまの御指摘の中で、水分を含ませるというふうに御指摘になっているのですけれども、これはむしろ精米過程において搗精を円滑にする。もう少しわかりやすく申し上げますと、大型でもって大量の米を搗精いたしますと、相当の熱を持ちます。そのことによって、米が乾燥の度が過ぎるとか、あるいは具体的にはその乾燥が過ぎた結果砕けるという問題が出てまいります。粉になってしまうというようなことが出てまいります。  そこで、そういう不良品が出ないようにするために、精米の過程で適度の湿度を与える、そして最終的にはほぼ玄米と同じ水準の湿度を維持させるようにするということになっておるわけでございます。  なお、湿度の問題につきましては、私ども過乾燥の問題は確かに問題だと思っておりまして、先生御指摘のように、玄米の段階から適度の水分があることは望ましいと思っております。そこで、むしろ一五%以上あってもいけないのですが、大体一五%に近くなることを希望いたしまして、あまり乾燥させ過ぎないようにということを、生産者あるいは生産者団体に対していろいろ通達等をもってお願いしているところでございます。
  71. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これは先ほどもありましたように、上限は一五%できまっているのですよ。下限はきまっていないのですよ。それでいまの農業の実態からして、乾燥機もできてきて、検査員にしても、一五%というものは上限がきまっているわけだから、きわめて厳格です。そういうふうに指導しているというけれども、きめ方がそういうふうになっているために、これはどうしても過乾燥になりがちな要素があるわけです。だから、そこのところをやはりはっきりさせておかないと、これはどんなに口で言ったってだめなわけなんです。そういう過程から出てきて、装置をつければ、それで一五%でとどめれば水をどのように増してもいい。水増しというのは誤解だ、よくするためだと言うけれども、結果的には水増しじゃないですか。
  72. 杉山克己

    ○杉山説明員 私どもとしては、水増しというふうには理解いたしておりません。  それから、過乾燥を防止するために規格の上でもっていろいろそういう配慮が必要じゃないかというお話、これにつきましては、かつては等級によりまして水分の規格を変えておりまして、一等米は一四%、二等米は一四・五%、三等以下が一五%というふうに規定しておったものでございます。これを、現在はやはりそういうことをあまりやかましく言っていても、なかなか、確かに乾燥機械の普及等の実態もありますし、そう水分について等級別の格差をやかましく言うことはいかがかということで、現在各等級を通じて一五%にするというような措置を講じているところであります。  それから、機械を使えば必ず過乾燥になるというわけでもなくて、そこは使い方、まあ、丁寧に時間をかけてやるとか、やり方もいろいろあろうかと思います。そういうことについていろいろ御努力を願っている結果、最近やや、過乾燥については徐々に改善の方向が見られるというようにも聞いております。
  73. 中村茂

    ○中村(茂)委員 ですから、精米段階で一五%という問題ではなしに、これは金をかけてそういう装置をつくって、しかも相当金をかけてもなおもうかっているというような、結果的にはこれは水増しでもうけているわけですから、私の調査によって先ほど言いましたように、一日に一つの精米所が五十万円、石川で三十万円というふうに、これは相当な量になるわけですよ。だとすれば、これはどうしたって——一五%の水分を含んでいる米が一番うまいというふうにいわれているのは確かです。だから、玄米のところでどういうふうに水分をとっていくかということが米を一番うまくしていく問題点であって、それを中間的に精米の段階であえて水を加えるとか、しかもその装置が普及されてきて、これはしかもそれを主管している工業会では一五%を基準にしようという規格をつくって、その機械の売り込みに狂奔している。これを農林省が水増しじゃなくていいことだと奨励しているという、その態度についてはどうしても私は納得できないのです。まあ、きょうはこの程度にしておきますけれども、また何かの機会に質問したいと思います。  これにやはり関連してくるのですけれども、全食糧、略して全糧連それから県の県米連、それから農協、この二つの団体を通じて大体米は動いているわけですね。そこで、マージンの問題についてひとつ明らかにしていただきたいというふうに思うのですけれども、特に卸から会社またはいまの協同組合でもいいのですけれども、小売りから消費、この段階でそれぞれマージンがきまっているわけですけれども、東京の甲地における十キロ千六百円の標準でいいのですけれども、このマージンの段階的な割合について、また、精米賃というかつき賃、これを具体的に明らかにしてください。
  74. 杉山克己

    ○杉山説明員 いまマージンをきめておりますのは標準価格米についてだけでございます。その販売マージンは、販売業者が政府から玄米を買い受けて精米に仕立ててそれを消費者に配給する、それまでの間に経費が要る。その経費について見るということになっておるわけでございます。その経費は従来との連続性を考慮いたしまして、毎年、前年のマージンの算定に、所要の修正を加えて算定をするという方法をとって算定をいたしております。現在、四十九年四月以降のマージンは、卸、小売りを合わせまして、玄米一俵当たりで千五十二円。これは御参考までに、小売り価格に対しては十二・二%に当たるという数字になっております。  それからその内訳ということでございますが、卸売り販売業者の直接経費が三百二十六円、それから小売り販売業者の分が七百二十三円、率にいたしまして、小売り価格に対して、それぞれ三・八%、八・四%ということになっております。  それから搗精賃が幾らかというお話でございますが、搗精賃は、経費として搗精費がかかりますが、副産物としてのぬかでありますとか、あいた容器でありますとか、これが処分できます。そして最近はぬかの価格も若干高いというようなこともありまして、むしろ搗精賃全体としては若干マイナスという状況になっております。
  75. 中村茂

    ○中村(茂)委員 このマージンをきめていく際に、全糧連とかまたは県米連の賦課金というものについてどの程度勘案しているのか。
  76. 杉山克己

    ○杉山説明員 一般的に団体がその事業活動を行なう上に、構成員から事業活動に必要な経費を徴収するということはあるわけでございます。全糧連の場合——略して私も申し上げさせていただきますが、これが会員であるところの卸売り販売業者から徴収している賦課金には、大きくいって二種類ございます。要するに一般的な運営のための経費、そのほかに特定の事業、これはもう少し具体的に申し上げますと米の減損事故、天災等によりまして米の減損があります。あるいは特別な品質の悪い精米ができ上がるというようなことがございます。そういうような事故に対する相互共済事業、そのための基金、それから米穀販売業界全体の流通改善、構造改善、具体的には表示の普及の事業を行なうとかあるいは大型集中精米に切りかえていって小型精米機を撤去するとか、そういうような事業、それらの事業に充てるために賦課金を取るものがあります。  それからマージンの場合にどういうような配慮をしているかということでございますが、前者の一般的な、およそ団体として運営活動を一般的にやるというものについては、これは国がどうこう言う性質のものではないというふうに思っております。後者の、まさに政府が所管しております物資、米が、合理的にまた消費者のサービスに貢献するような形で流通するために必要な特定の事業、この分についてはマージンの中で必要経費ということで、一俵当たり七円十銭を織り込んで見ております。
  77. 中村茂

    ○中村(茂)委員 米のマージンをそれぞれ政府が考える際に、それぞれそれを扱っている事業体の全糧連なり、こういうところのそれぞれ、まあ、いえば一つの会社です。会社のところの卸から手数料、賦課金を取りたいという場合に、どうして政府のきめるそのマージンの中へそれを入れるの。
  78. 杉山克己

    ○杉山説明員 マージンというのは、要するに米屋さんが米を販売するのに必要な経費についてこれを手当てするという基本的な考え方に立っておるわけでございます。何が必要経費かということになりますと、日常店頭において要する経費だけではなくて、そういう全体的な事業として共同施設を持つとか共同利用行為をはかるというようなことがありますと、その分担金も、一般的な分は別といたしまして、特別に推進するものは、これはやはり必要経費だという考え方ができると思います。
  79. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると、言いかえればそれは消費米価の決定にかかってくるわけですね、マージンというものも。そこから取るわけですから。しかし、そういうふうに国が賦課金をきめるということは、一つの補助金のような性格になるんじゃないですか。
  80. 杉山克己

    ○杉山説明員 消費者米価自体は実際の政府が買い入れている価格、諸経費、いわゆる逆ざやの関係でありますとか財政負担の関係、一方において家計費の関係、物価対策、そういったものを考慮して総合的にきめられるわけでございます。そういうふうにきめられた消費者価格を一つのベース、前提にいたしまして、米屋さんがそういう価格で標準価格米を売ることができるようにするためには、所定の事業をやっていってどれだけの経費が要るだろうか、それを見なければいけないという考え方でマージンを算定しているわけでございます。その経費の見方の問題であろうかと思います。  先ほど来申し上げておりますように、そういう現在賦課金として七円十銭分を見ているわけでございますが、これは必要経費であるという考え方をとっております背景は、そう事業が米屋さん全体の合理化のためには必要だということを国自身も判断しておる。その意味では奨励しておりまして、補助的なといいますか、そういう性格は持っておりますが、補助金そのものではございません。これはあくまで米屋さんが全体の業界の意思として、自分たちの業界はこういう形でもって経営近代化を進めていくのだ、合理化を進めていくのだということでの必要経費だという判断での措置をしているわけでございます。
  81. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると、政府もその額について介入しているわけでありますから、全糧連の収支決算、これについて政府は介入できますか。
  82. 杉山克己

    ○杉山説明員 全糧連は農林大臣所管の事業協同組合でございます。そういう点で一般的な経営指導ということはやっておりますから、収支決算についても当然これは見ておりますが、ただ先ほど来御指摘になっておりますところのマージン部分のうちの積み立て金に対応するもの、これはそういう全糧連の一般の経理とごっちゃにいたしますと何に使われるかわからない。人件費に使われたり物件費に使われたり、そのほか全糧連自身の経費に使われるということも懸念されるわけでございます。そこでそのうちの、事業によって区分いたしておりますが、共済事業の分につきましては特別会計をもってこれを経理するということにさせておりまして、その特別会計の収支については、これは食糧庁の承認を得て支出をするということにさせております。  それからそのほかの流通改善あるいは構造改善、米の消費拡大というようなことや品質表示の普及といったような事業あるいは小型精米機を整理して大型精米にするとか、中には経営自体を卸についてあるいは小売りについて統合合併するというようなものもあります。そういうような事業に対する助成といいますか手当てにつきましては、これは略称米配協という米穀関係業者が集まって組織している財団法人がございまして、そこで一元的に管理する。その管理につきましては、これはまた同様に食糧庁がその内容について協議を受けるということにいたしております。
  83. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それでは、その決算書を提出できますね。
  84. 杉山克己

    ○杉山説明員 本日ここには持ち合わせておりませんが、提出させていただきます。
  85. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、この全糧連の業務等について、十年前の米が非常に不足しているという時代には割り当ての獲得とか非常に業務も多かったわけですけれども、現在はほとんどこれらしい業務というものはそうないわけですよ。ところがマージンの中へ含めた賦課金という制度によって相当多額の金を吸い上げてくる。ですから、最近の全糧連の内容というものについては、私は相当見かねるような状態がそういう中に起きてきている、こういうふうに実は判断している。ですから決算書をいただいて、なおその内容等についてこれからただしていきたい、こういうふうに思いますけれども、農林省としては、いま私が言ったように、とにかく一時より業務量が減ってきた、その業務量の割合よりも賦課金として吸い上げるものがあまりにも多過ぎるのじゃないか、この点についてはどういうふうに考えておりますか。
  86. 杉山克己

    ○杉山説明員 全糧連の賦課金の問題は、一般的な運営活動のための賦課金とそれから特定の先ほど来御説明申し上げております事業の賦課金とあるわけでございまして、後者のほうにつきましては一俵当たり七円十銭、これは政府が直接目を光らせてといいますか、監督指導してその使い方を規制しているということがございます。それから一般的に全糧連という団体の事業活動が内容的にはもう以前に比べてなくなってきているのではないか、そういうときに、これは両方の賦課金を含めてであろうかと思いますが、多過ぎる賦課金を取っているのはなぜかという御指摘でございますが、ただ今日の全糧連は確かに昔のような一元配給的な、ただ分配するということを中心にした組織、機関ではなくなってまいっておりますが、今日新しくむしろそれ以上に自主流通米を推進する、要するに全国の卸売り販売業者を代表して生産者団体と取引するというような大きな事業も行なっております。そのほか、卸、小売り合わせまして六万からある業界でございます。その一般的な指導、啓蒙、それにまた伴って必要な諸調査等の事業がそれなりにあるわけでございまして、別段特定の団体を弁護するとかなんとかという意味ではございませんが、役所としても十分厳正な運営をするよう監視して指導してまいっておるところでございます。
  87. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いまの問題はまた機会を見て私はやりたいと思いますが、時間がありませんが、企画庁にちょっとお聞きしたいと思うのです。先ほどもいろいろお話が出ておりましたから、私は端的に時間がありませんから聞いていきたいと思いますが、先ほどもいろいろお話ありましたが、福田大蔵大臣は今年の春闘で賃上げ率が三〇%近くに達してきた、したがって消費者物価も一〇%以上に押し上げるだろう、こういう発言をされていますけれども内田長官は特に物価担当の大臣としてどういうふうに考えますか。
  88. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほど橋口委員お尋ねにもお答えをいたしておきましたが、大蔵大臣はそのとおり言われましたけれども、たとえば賃金研究所の所長さんの金子さんというような方は、おおむねの商品のコストに占める賃金の割合は一一%ぐらいなんだ、それが三〇%上がったところで三、四%ぐらいしか上がらないだろう、こういうことを言っておられる方もおるわけであります。ですから全体をおしなべて、それは金子さんの言うのは非常に労働集約型でない大企業を取り上げておるし、また福田さんの言われるのはコストの中に占める賃金の割合が二八%とか三〇%とかいうような中庸な企業を取り上げておられますので、それが三割上がれば九%ないし一〇%コストが上がる、こういうことを言われるわけでありますが、したがってそれは企業によっても違います。ことに昨年の十一月ごろの狂乱物価の中におきまして、物価値上がりが先取りされているというような企業もこれは私はかなりあるということも現実だろうと思いますので、この計算は福田さんの言われるような形式的な数字でもないし、また金子さんの言われるような軽微の数字でもない、いろいろなタイプのことになろうと思いますので、それらをいろいろな面から見直しておるということを先ほど来申し上げているとおりでありますけれども、しかし全体を通じて言えますことは、日本の経済の伸び方というものが非常に小さくなつておる、生産性の上昇というものも幅が少なくなってきておること中村さんも御理解いただけると思いますが、そういう中において賃金が大きく上がるということは、従来のような、それが生産性の向上やあるいは国民経済の高度成長の中で吸収されるということにはならない。必ずそれは、多かれ少なかれ、相当の影響物価全体にもあるいはまた付加価値の国民的配分の中においても生ずるということは、いまから三、四年前の経済と状況が違っておることを考えますと、これからいろいろ私ども検討しなければならない問題が含まれている、こういうふうに考えます。
  89. 中村茂

    ○中村(茂)委員 検討中というのですけれども、経企庁が三月に発表した試算がここにあるのです。春闘で二五%の賃上げをすると、四十九年度の消費者物価は前年度に比べて一九・四%上がる。聞くところによれば、この試算は産業関連表に基づいて、しかも四十九年度の物価上昇等と昨年の賃上げ等を考慮して試算したが、こういうお話を聞いているのですけれども、こういう試算をしたのですか。
  90. 内田常雄

    内田国務大臣 経済企画庁として発表したものでも、経済企画庁としてそのとおりの数字を決定したものでもございません。御承知のように、私どものほうの中には、政府部内におきましてもいろいろのエコノミストといいますか、アナリストといいますか、そういう専門家がおりまして、いろいろの形のコンピューターに差し込むようなモデルを持っておりまして、一つのパイロットモデルにいろいろな前提を置きながら材料を与えると、いまおっしゃったような数字が幾つか出てくる。賃金が一五%上がった場合あるいは二〇%、二五%、三〇%上がった場合における物価を押し上げる率というものが出てくるのですが、それはいろいろな前提条件を置いての数字でありますから、私は、必ずしもそれはそのとおりのものとは思っておりません。したがって、私は、たびたび国会におきましても、あれは経済企画庁における勉強家の方たちが、一つの前提を置いてパイロットモデルを動かしての数字だけであって、全体的の傾向値は言えるわけであります。これは申し上げると長いことになりますからやめさせていただきますが、労働の機会を少なくしたりあるいはまた日本の経済成長をそれだけ狭めたり、あるいは物価に与える影響とかいうようなもの、その一つの方向はわかりますけれども、単純に何%賃金が上がれば物価が何%上がるというような、あのとおりのものは、私といたしましては、公表するつもりも採用するつもりもありません。
  91. 中村茂

    ○中村(茂)委員 公表をするつもりも採用するつもりもないというふうに言われるのですけれども、いずれにしても、経企庁で、いまのお話にあったように試算して出てきた数字にはこれは間違いないわけですよね。しかし、正式には発表なくも私の手のところにありますように、これは、まあいまもお話ありましたが、二〇%賃上げの場合には一六・二%、二五%の場合には一九・四%、三〇%アップの場合には二二・六%、この賃金、この割合でいくと五%引き上げるごとに三・二%ということにこの試算はなっていますから、いまもお話ありましたように、これはただ一つのものを——消費者物価が何を中心につり上げていくかというその基礎はいろいろあるわけですよ。   〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕 そういうものを勘案しないで、ただ一つの数字だけ当てはめて試算しておる。これはやはり私は非常に問題であるというふうに思ったのです。これはもう一度確認しますが、ただ単なる試算を一部してみただけで、経企庁の正式なものでもなければ、また発表するつもりも採用するつもりもないのだと、いまのお話でいいんですね。
  92. 内田常雄

    内田国務大臣 そのとおりでございます。
  93. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで次に聞きたいと思いますが、現在の経済的な事情の中で、これから消費者物価を押し上げる原因というものは何と何と何と思っていますか。
  94. 内田常雄

    内田国務大臣 それはいろいろあると思います。  それはまず、原料の価格がわが国の場合には非常に国際的要因を受けております。今日、二月以来卸売り物価等の上昇率というものは、御承知のとおり非常におさまってまいってきておりますが、それは対前月比にいたしましても一%よりも下である。また一旬をとってみると〇%で、先旬と同じであるとかいうような数字までもあらわれておりますが、しかし、そうした中でも国際的要因の占める比率というものは、石油の関係などもございましょうが、それでも七、八〇%占める場合が最近のような状況でございますので、やはり海外の原材料要因というものが大きな一つ。  それから公共料金の未解決の問題が次にございます。  それからまた、春闘による賃金のアップが、それは方向づけられてはおりますけれども、まだそれが最終的には結着を見ていないものがたくさんございますので、それらが動き出した場合に——これは各企業ごとによって違います。公共料金などでは料金引き上げの先取りができなかったから、賃上げがそのものずばりで機械に入れたとおりのものが出てまいるわけでありますけれども、しかし他の物資につきましては先取り値上げというような部分もあったわけでありますので、その中に埋没をしてしまう分もありましょうけれども、しかし、その賃上げというものは一つ物価引き上げの要因であることに変わりありません。  それから、いつまでも人為的に個別対策として価格を凍結するとか、あるいはまたいつまでも総需要を押えたままにして、不自然な経済というものをこれから先一年も一二年もおくということにならない場合には、その間にいろいろな需給の関係、またおのずから価格間の相互調整機能というものもございまして、それによる影響も受けてまいると思いますが、大体そんなところだろうと思います。
  95. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私は、特にこの消費者物価の今後の傾向を見た場合に、卸売り物価、これがどうなっていくかというのが一つありますね。それがどういうふうに消費者物価影響してくるかということはありますが、特に今度の春闘のべースアップが三〇%になった場合でも、先ほどもお話ありました便乗値上げ分で消化吸収できる企業もあるでしょう。それから特にいままでは相当卸売り物価影響する面についてはこの生産性向上で相当吸収できたと思うのですよ。そういうことを考えていくと、この春闘のべースアップというものについては、直接消費者物価影響してくるということは、言われているようにそうないんじゃないか、こういうふうに思うのです。特にいま言われたいろいろなその要因の中で、これから一番消費者物価を押し上げていくのは公共料金の取り扱い方じゃないか。しかも、相当先へ持っていっている国鉄もそうですし、消費者米価もそうですし、また私鉄も上げるという話が出ていますし、電気料金も出てきている。そのほかの公共料金も相当関連してきている。いま消費者物価をこれから押し上げていくという一番の要因になってくるのは、公共料金の取り扱い方をどういうふうにしていくかということが最大の原因ではないか、こういうふうに思うのです。しかし、最近の政府のいろいろな発言とかを見ていると、何か二五%をこして三〇%になったからそれが消費者物価をどんどん押し上げるじゃないか、こういう提起のしかたというものは、かえってこれを利用してまた消費者物価をつり上げていく口実になってしまう。昨年のような便乗値上げを許す結果に、政府のその姿勢というものはなるのじゃないか。特に必要なことは、いま申し上げましたように、公共料金のこれからの取り扱い、特に輸送で影響が出てくる国鉄とか私鉄とかいうような問題については、日本のような行き詰まり状態から、諸外国はすでに国庫の金を相当投入するという傾向にいま来ていると思うのです。そういう手だてをしないで、いままで延ばしたものを十月からまたそのまま漫然と実施する、それからそういう関連の私鉄をそのまままた上げていく。これは一面では賃金の引き上げに対しての便乗であり、それをまた許す結果になっていくと思う。だから、公共料金は思い切って対処していかなければ、さっきからいろいろ出ているように、政府が一〇%以下に押えようと思っても二〇%なりそういうようになってくる要素というのは、ここに一番大きな原因があると私は思うのです。公共料金はいまきまっている十月からそれ以上延ばすという考え方はないのですか。実施するとすれば国庫の金を投入するとか、もっと角度を変えた形でやっていくという意思はないのですか。   〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 内田常雄

    内田国務大臣 中村さんのおっしゃるのも一つの方式だろうと思います。その方式に乗っておりますのは申すまでもなく国鉄であり、あるいはまた米価でございまして、これらにつきましては政府が出資をするとか利子補給をするとか、あるいはまた買い上げ価格と売り渡し価格との差額を一般会計から税金で米などのように補てんするというふうな行き方はその例であろうと思います。  しかし、同じようなことを私鉄でありますとか電力でありますとかガスでありますとか、そういう方面に延長ができるかといいますと、これは一つには私企業でございまして、国鉄や政府の特別会計の管理物資とは性格が違うという形式的な理由もございます。しからば、私鉄もみな国有に接収できるかというと、さようなものでもないということでございましょう。そういう経営形態を離れましても、これらを、電力にしましてもガスあるいはその他の公共料金にしても、国の財政、言いかえると税金等で埋めるといたしますと、想像以上の金額に達するわけでございまして、今日国の税収入というものももちろん十兆をこえておるわけでございますけれども、それらのものの相当多くの部分を公共料金据え置きのために注入することが賢明か、あるいはまた利用者負担というような要素をも取り入れて、そして必要最小限のコストというのは料金の中に織り込んでまいるというような要素も考えなけなばならない場合が、あれこれ考えますとどうしても出てまいるわけであります。  しかし、政府はできる限り公共料金抑制するということで、私鉄につきましてもまたその他の公共料金につきましても、かなり長い間その抑制をいたしてまいりましたが、これ以上というわけではありませんけれども、ある限度以上にこれを押え込んでまいりますと、その事業に対する資源の配分が普通の市場作用によってはできなくなり、また国民の生活の利便のための改善というようなものも不可能になりまして、その企業が崩壊するというようなことも考えなければなりません。  そこで、物価対策とかあるいは国民生活に対する圧迫の程度というようなものも十分に考慮をいたしながら、これらの公共料金につきましては今後とも私どもは十分慎重な態度をもって臨んでまいる、こういう考えでございます。たいへん抽象的でございますが、そのような次第でございます。
  97. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私の言わんとしておるのは、慎重なる態度とかどうとかということでなくて、いまの長官の発言の内容は、いまの機構のワク内、それから財政等のワク内での話のわけですね。しかし、それを一歩踏み越えて、もつとどういうふうにあるべきかということを含めながら公共料金の問題は対処していかなければいけない段階に来ておるのじゃないか。ただ慎重に扱って、時期を少しずらすくらいでやっていった場合には必ず消費者物価影響してきて、たいへんなことになる要素がいまの情勢の中で一番含まれておるのじゃないか。このことを指摘しておるわけでありますから、その点でひとつ努力していただきたいというふうに思います。  時間が来ていてすみませんけれども、もう一点。  そういう立場に立って物価問題というものを考えてみた場合に、これだけ物価が高騰し、所得格差というものが出てきておるわけでありますから、所得の配分というような問題についてこれから研究してみるというお話が先ほどあったのですけれども、そういうことに関連してはっきりお聞きしておきたいというふうに思いますのは、特に所得配分の問題について隅谷レポートがあるわけですが、このレポートで明らかになっているのは、価格、賃金に市場メカニズムが動いておる状況では、所得政策採用は時期尚早である、こういうことを指摘しておるわけです。ところが、これを見直して所得配分問題に関する研究会を発足させようという考え方のようですけれども、そういう条件が出てきているのですか。これはもう価値がなくなったのですか。
  98. 内田常雄

    内田国務大臣 経済企画庁におけるいろいろな経済分析の過程におきまして、いまおっしゃるように隅谷さんをキャップとする隅谷委員会もございましたし、あるいは熊谷委員会とか、その他時とともに同じような対象の課題を取り上げて検討委員会が今日まで存在をいたしたようでございます。しかし中村さんの言われるように、狭い意味の所得政策、つまり賃金を何らかの法的手段をもって抑制するとか、あるいはまた行政的にガイドラインのようなものをつくって抑制の方向づけをするとかいうようなことは、いまおっしゃるとおりの結論がそれらの委員会におきましては出ておったと思います。  しかし、私が先般来発言をいたしましたのは、今度どういう委員会の名前になるか知りませんけれども、ある種の学者やそれからまたエコノミストの方々にお集まりをいただいた新しい委員会も発足いたしまして検討もいたすわけでありますが、それは、いまや先ほど申しましたような手段、方法によって賃金を抑制してもいい段階に来たという意味では全くないのです。全くありませんで、これは私が今国会冒頭の経済演説でも申し上げたのでありますが、日本の経済成長の規模というものは、日本を取り巻く与件の変動によって、当然いままでのような高度の成長、また無限の生産性の向上というものはあり得ない、いわば。パイを大きくするということは不可能でもあるし、またそれ一本でかかるべきでもないのであるから、あまり大きくならないパイの中でわれわれの経済政策の指向すべき点というのは、それらの国民の各層や各生産手段の間におけるその配分の適正化という問題、また国民的連帯というものが必要だということを申し述べておるわけでございまして、これからの日本の経済のあり方というものは、いま言うような方向以外には私はないと思います。力の関係で企業企業で先取りをしたり、コストが高くなったからといって物価を引き上げれば、それで日本の経済や国民生活が上昇するわけでもないし、賃金についてもまた同じであります。しかし、日本の人口は毎年百何十万人ずつふえてまいりますから、それらの人々が失業がないように社会福祉が充実するように、しかも生活水準を高めていくためにはどうしたらいいかということが当然もう一ぺん、たとえば経済社会基本計画というようなああいうものはああいうものとして、あれは縦の流れとすれば、私がいま申し上げているような横の一つの関係を方向づけていくという作業が、経済企画庁というものは行政官庁ではありませんので、むしろそういう面を取り上げていくことが経済企画庁の存在の意義だろうと私は考えるものでありますので、それだけのことであります。決して勤労者を押えつける手段を、私がいまや時至れりと、こういうわけでやろうということでは全くないということを、繰り返しますが御理解いただきたいと思います。
  99. 中村茂

    ○中村(茂)委員 別に勤労者をいじめようと思っているというふうに言っているわけじゃないですけれども、私はこの隅谷レポートというのは非常に意義があると思っているのですよ。というのは、特に先ほど言いましたけれども、価格と賃金についての市場メカニズムが作用しているような日本の経済機構、流通機構の段階では、まだ早いということを指摘しておるわけですよね。昨年からの物価狂乱というふうに言われる、それはいろいろ要素はありますけれども物価の高騰とかまたはインフレということばを通り越して狂乱という言い方になったのは、これは特に市場メカニズムが混乱しているからだと思うのです。そういう一番のポイントを指摘しているわけですからね。私は、この状況が変わってどうだというふうに見直すとかどうとかいうふうに議論が発展していくとすれば、これは間違いだと思う。  それともう一つは、いま言われたけれども、これは所得配分の問題を研究するということは所得政策を研究するということ、言い方を変えるけれども、所得政策について研究するということじゃないですか。
  100. 内田常雄

    内田国務大臣 所得政策ということばが世界じゅうで非常に不明確でありまして、賃金、物価を押えるということを所得政策、こういっておるところもありまするし、またそのために法的手段を講ずる政策をつくることを所得政策といっておるところもありますし、また最も広くは、私が申し上げましたように、また中村さんが言及されましたように、今日の経済の動き方というものは、もっぱら市場のメカニズムだけで企業は利潤を追求する、また勤労者は賃金の引き上げを考えていく。利潤追求のところに経済の発展が生まれたり、また賃金引き上げのところに新しい購買力が生まれて、それが住宅建設になったりあるいは日本人の半分が自動車を持つようになったり、そういうことにいままでは市場のメカニズムを通じてなってきたわけでございましょうけれども、いまや与件が変わってきましたので、もちろん私どもの政党や政府は自由主義、市場主義をとっておりますけれども、それだけではなしに、経済全体の方向づけというものを、いままでのような縦の新全総とかあるいは経済社会基本計画ということでなしに、横の構造の面においてもやはり方向づけの資料というものをつくっていかなければ、市場原理だけでは私はいけないように考えるわけであります。  ここにちょうど総合計画局長が見えておると思いますので、補足させます。
  101. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま長官のお話しのとおりでございますが、私どもがいわゆる所得分配問題について勉強いたしてまいりまして、近く研究会をつくりたいということを考えておりまして、先般長官がそのことを発表されたわけでございますが、この考え方はいま長官のお話しのとおりでございまして、結局これからのわが国の経済政策のあり方ということを考えてまいります場合に、今回経験しましたような非常な物価の上昇というようなことに伴って、所得の分配問題ということについていろいろの困難な問題を生じております。特にキャピタルゲインの問題であるとか土地の問題でありますとか社会保障の問題でありますとか税制の問題でありますとか、そういった広い問題も含めましていわゆる分配問題ということを政策的に勉強する必要があるのではないか、こういった問題意識が出ておるわけでございます。したがいまして、いわゆる所得政策についての勉強会ということよりももっと問題の領域を広げまして、こういったことについての研究をしたいということで現在その準備をしておる、こういう状況でございます。
  102. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると、いままでの高度成長一本やりの政府の全体的な政策から安定成長への方向に経済を転換させていくということが前提になるわけですか。
  103. 内田常雄

    内田国務大臣 そう申し得ると思います。しかし、それはいままでの高度成長、生産一本やりの行き方をモデレートな安定成長に転換させるという考え方、これはもうすでに前からございます。現に、昨年発表いたしました経済社会基本計画などでも実はそういう考え方をとっておるわけでありますが、そういう政策、考え方ばかりじゃなしに、今日の日本経済を取り巻く与件、社会的与件というものは、それはいろいろエネルギー、原材料、またいわゆる開発途上国がだんだんみずから先進国になるような方向が顕著にあらわれてきておることからも察せられますが、与件が変わってまいりましたので、その両方の政策的意図と与件の変動に応ずるあり方という面を私はとってしかるべきではないか。それは田中何がしが今度は何とかという新総裁にかわったから政策が変わるのだということだけでは私はないように思います。
  104. 中村茂

    ○中村(茂)委員 もう少しはっきり聞けば、田中総理を含めてそういう考え方に変わったというふうに理解してもいいですね。
  105. 内田常雄

    内田国務大臣 よろしいと思います。何しろ私が、やはりその田中さんの総理府の大臣でございますから、そういうふうにいつも私も牽制をいたしております。
  106. 中村茂

    ○中村(茂)委員 終わります。
  107. 平林剛

  108. 柴田健治

    柴田(健)委員 自転車に関してお尋ねを申し上げたいと思います。  まず今日、国内の生産台数、そして国内販売台数、輸出の販売台数、そして、それにあわせて国内の販売価格、輸出の販売価格、これをお尋ねしたいと思います。
  109. 石丸博巳

    ○石丸説明員 まず自転車の生産台数を申し上げますと、トータルで四十八年、九百四十一万一千八百八十一台でございます。これは前年、すなわち四十七年に比較いたしますと一二三・九%、すなわち三二・九%の生産増加、こういうことになります。  それから販売金額、出荷金額でございますが、これはトータルで千百二十五億円になっております。これは前年に比較いたしますと四〇・八%の上昇、こういうことになります。  次に、車種別の数字について申し上げますが、御承知のように自転車は実用車、軽快車、スポーツ車、子供車、特殊車、こういうふうな分類になっておるわけでございますが、まず実用車で申し上げますと、四十八年の数字で二十五万六千三百七十九台でございます。これは前年に比較いたしまして二二・五%アップ。それから軽快車でございますが、これは百四十七万六千二百四台、二〇・六%のアップ。それからスポーツ車でございますが、これは二百三十一万二千七百二十三台、六・二%のアップ。それから子供車、これは二百五十六万四百八十二台、三一・一%アップ。特殊車、これが二百八十万六千九十三台、八五・一%のアップ。こういうふうになっております。  これの車種別構成を見ますと、全体を一〇〇といたしまして実用車が二・六%、軽快車が一六%、スポーツ車が三〇・七%、子供車が一八・九%、特殊車が三一・八%、こういうふうになっておるわけでございます。  次に輸出は四十八年で百二十万八千五百五十八台でございます。この数字は前年に比較いたしまして七八・二%でございます。ですから前年に比較いたしますと二一・八%ダウンしたということになります。しかしながら、金額で申し上げますと、これは五千五百九十九万一千ドルという数字でございまして、この数字は前年に比較いたしますと九一%ということで数量の減少というものを単価の値上がりでかなりカバーしているという結果になっております。  それから主要輸出先について申し上げますと、これはアメリカがトップでございまして、輸出全体を一〇〇といたしますと六五・三%、カナダが二三%、以下韓国、ペルー、サウジアラビア、こういうような順序になっております。  それから価格動向を申し上げたいと思いますが、まず自転車の卸売り価格及び消費者価格につきましては、昨年一月で申し上げますと、卸売り価格は昭和四十五年を一〇〇といたしまして一〇九・四という指数になっております。これが五月までその数字でずっと続いておりまして、六月に一・四ほど上昇、それで二〇・八という数字になっております。それから七月に二・九ほど上昇して一一三・七という数字になっております。それから九月に二・五ほど上昇いたしまして一一六・二、十月は横ばい、十一月は三・九ほど上昇いたしまして一二〇・一、十二月に六・三上昇、一二六・四、これが卸売り価格の推移でございます。それからまた消費者価格で申し上げますと、自転車の全国平均でいきますと、四十五年を一〇〇といたしまして、四十八年の一月に一〇六・五、これが一月、二月、三月はわりあい上昇がございませんで、四月ぐらいから少しずつ上がりかけまして、七月になりますと二〇・九というような数字になっております。それから十一月にかなりの上昇がございまして、二・二ほどの上昇ということで一一四・四、それから十二月に四・九上昇いたしまして一一九・三、こういう数字になります。  それでこのような価格の動向は結果的に生じる数字でございますから、メーカーの価格のビヘービアを大手の六社程度についてわれわれが調査しましたところによりますと、六社のうち一部のメーカーにつきましては賃金の上昇、価格の高騰というようなことを理由にいたしまして五、六月ごろ数%程度の値上げを行なっております。しかしながら通産省といたしましてはこれらの値上げを極力自粛するようにということで指導いたしまして、その中のリーダー的な企業につきましてはその時点での値上げを思いとどまっております。通常十一月以降の時点になりますと、自転車では翌年ものの新車発表会が行なわれるわけでありますが、その際その新車の発表とそれから新しい価格表が出されるわけであります。それは来年の一月以降ということで発表されるわけでございますが、その際新しい型式が出てまいりますので、それに伴って価格表が改定されるわけですが、その際その同じような機種の間において若干の値上げがございました。それからまた先ほどリーダー的な企業につきましては五、六月の時点で値上げを見送ったと申し上げましたが、そのリーダー的な企業におきましては十一月の時点において若干の実質的な値上げ一というのはこれは一月からの値上げでございますが、値上げをするということがございました。それで十二月から一月にかけまして石油危機に伴う諸資材の確保難それから価格の高騰というようなことを理由にいたしまして、当初発表されました翌年もの、一月以降の価格表につきまして各社約二割程度の値上げというものが行なわれて、それで結果といたしまして四十八年の一月に比較いたしまして四十九年の一月の水準は、各社においてでこぼこがございますけれども平均いたしますと約三割程度の値上げになった、こういうふうに私ども調査では見ております。
  110. 柴田健治

    柴田(健)委員 先ほど四十八年度一カ年の生産台数九百四十一万台余りですが、金額にして一千一百二十五億円、そうすると一台の生産費というか販売代金というものは一万円そこそこだということになるわけですね。それが現実にいま消費者価格は平均にして、たとえばスポーツ車、軽快車、実用車や子供用というような自転車が大体どのくらいしておると思われますか。
  111. 石丸博巳

    ○石丸説明員 これは平均の価格というのはなかなか申し上げにくいので、たとえばスポーツ車普及型、高級型というような形で申し上げてみたいと思いますが、スポーツ車普及型におきましてはたとえば某社の例でとりますと、小売り価格が四万一千八百円、こういうことになっております。それから軽快車でいきますと三万七千五百円、こういう数字でございます。それから、ミニサイクルでいきますと三万三千九百円、それから子供車が二万六千五百円、こういう数字になっております。
  112. 柴田健治

    柴田(健)委員 通産省は実際実態を何も知らないと言うことができる。あなたはそういう数字はいつの数字を押えておられるかわかりませんが、とにもかくにも消費者価格はいまべらぼうに上がっている。そういう意味でいま小売り店は自転車をたくさん抱かされて弱っておるわけですよ。それで、一方では金融引き締めを食って倒産になろうかというところまで出ておる。いま販売経路、流通経路というものは、たとえばメーカー、それぞれの地方代理店があって、代理店から小売り店へおろしていることはあなたも御承知のとおりだと思うのです。日本自転車商業協同組合連合会、日商連というのは御承知でしょう。それから各都道府県に県商連というものがある。そういう連合会の組織は、相互扶助というか一つの連絡をとりながら彼らの企業防衛をやっておる。これは当然のことだと思うのですが、こういう販売経路の実態というものについてどういう認識をしておられるのか。
  113. 石丸博巳

    ○石丸説明員 販売経路につきましては卸売り業者の数が約千二百社、それから小売り店の数が三万八千店、全国であれしますとこういうことになっております。それで販売経路につきましては、一部の場合ですと、メーカーから特約店、それを通じて小売り店舗に流される。それからほかの例でいきますと、メーカーから地方卸を通じまして小売り店舗に流されていく、こういうふうに承知しております。
  114. 柴田健治

    柴田(健)委員 昨年九月に一回値上げがあっている——末端へおりたのは十月ですよ。それで中央で、要するにメーカーが十一月、十二月の初めに値上げをしている。それで十二月二十日過ぎに末端ではまた価格改定をやっているわけです。これは御承知でしょう。
  115. 石丸博巳

    ○石丸説明員 先ほど私が申し上げましたのは、一月ものの新車の価格改定のケースでございまして、先生おっしゃいました末端価格での上昇というものには直接関係はないかと思います。私が先ほど申し上げましたのは小売り価格の消費者物価指数で申し上げましたが、その数字の上昇の原因は、価格表の改定がない場合でありましても、このような大手以外のメーカーにありましてはその価格表というものをつくらないで、そのときどきの価格で生産し、出荷している、こういうものもございます。そういうものにつきましては、十二月の時点で生産されたものが諸物価の高騰に応じて高く出していくというようなことがあろうかと思います。それからまた、価格表を出している大手の場合につきましても、従来小売り価格表から何%引きというようなことでおろしていたもの、そのおろしていたパーセンテージが諸物価の高騰によって若干少なくなっていく、そういうような結果で、卸売り物価及び消費者物価というものが十一月、十二月の時点で若干上がっていった、こういうふうに考えております。
  116. 柴田健治

    柴田(健)委員 先ほど四十八年の一月から四十九年の一月、これで三〇%、三割の値上がり、こう言われておりましたけれども、実際は一番安いので小売り段階で五〇%、高いのは六〇%上がっているのですよ。あなたが先ほど言われましたように四万一千七百円ぐらいのものが一躍四万へ千円以上になっているんですよ。あなたの四万一千円だというのはどこの時点で押えたのかという疑問が起きるわけですね。そこで、結局小売り店へ入ってくる価格と売り価格、これを見ますと、先ほどあなたの言われたスポーツ車の普及車が一万八千五百円から一万九千円上がっている。スポーツ車で平均六〇%近く上がっているんですよ。特殊車においても、レーサー車にしても、キャンピング車にしても、ミニサイクル車にしても、みんな軒並みに五五%から六〇%上がっておる。そういう通産省の押え方というものはどこを押えているのか。われわれ原価からいうと一万円そこそこなんです。前は七千五百円だった。自転車一台の原価が七千五百円、それが上がって一万円余りになっておる。それが四万も五万もにみななっていくというのはどういう指導をするのか、流通過程でだれがそんなにもうかっているのかということですね。その点ひとつ説明願いたい。
  117. 石丸博巳

    ○石丸説明員 小売り価格の例を申し上げますが、たとえばスポーツ車でいきますと、A社においては四十八年一月から四十九年一月にかけての普及車の上昇率が三五・二%、高級車が九・五%、それからB社においては同じく三五・七%、高級車二六・四%、C社については普及車四八%、高級車三六・九%、D社については普及車四二・六%、高級車三六・八%、E社については普及車四八・九%、高級車三八・二%、F社については普及車三三・六%、高級車三五・八%、こういうような小売り価格の上昇率になっております。  それで、どの流通過程でそういうような暴利がむさぼられたかというお話でございますけれども、私どもがつかんでおります卸段階ないしは小売り段階の標準的な売り上げ高対総利益率という数字、これは中小企業の場合でございますが、四十七年の自転車卸売り業の経営指標という数字で申し上げますと、売り上げ高対総利益率は一八・四%、それから小売り業者でまいりますと、同じく四十七年で売り上げ高対総利益率は三二・三%、こういうふうに理解しております。
  118. 柴田健治

    柴田(健)委員 子供車でも、たとえば去年の十月、四十八年九月末の改定で一万五千三百円ぐらいのが二万四千五百円に上がって、ことしの一月、二月にこれを各家庭に、自転車を買うておきなさい、もうなくなります、おたくの子供さんはことしの三月から新制中学に入るでしょう、幼稚園に入るでしょう、小学校に入るんでしょう、こういうことでフル回転で売り込みをやった。子供の自転車でも種類がたくさんあるわけですが、八種類ある。その八種類が軒並みに全部九千二百円から九千八百円、これは大体一万円台の車だったが、こういう値上げを十二月−一月にかけて一斉にやっているんですよ。あなたは中小企業だとかなんとかいうのはそれは方便であって、一斉に上げているのです。その一斉に上げた最大の原因は何かということをわれわれはふしぎに思う。だから私は、通産省課長以上といえばまあ管理職なんでしょうが、管理職たるべき者がもっと慎重に発言、行動というものを考えないとたいへんなことになる、こう思うのですが、ただ石油危機を無謀にも悪用し過ぎ、恐怖感を与える、危機感を与える、通産省みずからそういう指導をしておるという点があるのですが、そういうことを反省しておられるかどうか。
  119. 石丸博巳

    ○石丸説明員 ただいまおっしゃった点につきましては具体的に思い当たる節が私としてはございませんのですが、通産省といたしましてはその当時の閣議決定に基づきまして便乗値上げを厳に抑制するよう、こういうようなことで行政指導いたしておることでございます。
  120. 柴田健治

    柴田(健)委員 小売り店で、卸、メーカーから、どんどん買っておきなさい、いまにもうかりますといってだまされて、要するに買い占め、買いだめをやって、そういう業者、いま倒産ということになるんです。この倒産を起こすような商法の取引をさせたということは、これは重大な誤りを犯しておると思うのです、通産省は。自転車の商品価値というものは何カ月で下がるか上がるか、維持できるのか、御承知ですか。
  121. 石丸博巳

    ○石丸説明員 最近のモデルチェンジがかなり激しいというような事態もございますので、私としては正確に存じませんけれども一、耐用年数といたしましては二年程度、こういうふうに理解しております。
  122. 柴田健治

    柴田(健)委員 耐用年数を言っておるのじゃないのですよ。商品価値として、たとえば倉庫に入れているでしょう。あなた、自転車のリムやスポークやハンドルその他のメッキは何種のメッキをしておられると思いますか。
  123. 石丸博巳

    ○石丸説明員 非常にこまかな技術的なことでございますので存じておりません。
  124. 柴田健治

    柴田(健)委員 車両課長は何を専門に勉強されておるのか。  私はここで通達文書を読んであげますから。通産省がどういう値上げの役割りをしたかということを。「日商連通報」というのが出ている。これは全国の先ほど言われた三万八千店に向かって全部出ている。「団結で守ろう 伸ばそう われわれの利益」という題目で出ている。その中に、上から読むと時間がかかりますから「自転車メーカー関係は、代表者が相談の結果、今年も一応は昭和四十八年の生産実績九百二十万台の線は確保しようとの申し合わせばしているが、それとて材料関係で確保できる見通しがあるわけでなく、とくに輸送関係に至っては全く見通しがついていない」「この中でも石油危機の影響を最も多く受けているのはタイヤ関係で、自転車の生産台数もタイヤの生産に左右されるとの見かたが強く、これからすると四十八年の生産実績の維持は困難とみざるを得ない。」そして今度は本文に入るわけです。昭和四十年並みの経済規模であるということを前段に書いて、通産省の車両課長談、後藤宏、「業界メーカー関係は四十八年なみの生産目標を一応たてているが昨年末の業界代表関係者との年末懇談会」これは忘年会です。忘年会で「通産省後藤車両課長がのべた談話によると、」ということになって、ずっと書いてあるのですよ。そして四十年代の年代に生産を落とします。四十年代、その四十年ということになると、三百十五万七千台の数字になっているのですよ。ちゃんと書いてあるのだ、三百十五万七千台に落としますと。実質は九百四十万台も生産されておるにもかかわらず。年末には、もうそれは、そのときには何万台と生産されているのですよ。いま外国で、あなたが言われたように百二十万台しか出てない。四十八年代の生産で百二十万台しか出てない。いま日本の国内には自転車がだぶついている。あり余ってみんな小売り店が抱かされておるのですよ。こういう文書に悪用されるような通産省の車両課長がみずから会う。課長というたら平職員じゃないのです、管理者です。石油危機だなんということはあり得ない。通産省が石油の本家本元の総元締めをしているところだ。これに対してあなたは、どうも課長が一週間前に逃げたか隠れたか知らないが、きょう来いと言うたが来ないのだ。見解をお聞きしたいんです。
  125. 石丸博巳

    ○石丸説明員 当時の状況について私から説明さしていただきたいと思いますが、当時の課長であります後藤車両課長は、業界の役員会ないしは懇談会、これは懇談会と申しましても十二時から三時ぐらい、こういうような会議でございますけれども、そういう席上でやはりあいさつをしております。それでそういう際のあいさつの内容と申しますのは、先ほど申しましたように閣議決定の内容、たとえば十一月の二十二日の閣議決定ないしは十二月の閣議決定というようなものの内容を引用しまして、それでそういうふうに石油、電力というものがカットされる状況にあるのだから、業界としてはその経営態度を大いに戒めてそういうような事態に対処すべきである、こういう発言をした、こういうふうに言っております。そのカット率の内容は、十二月は電力、石油につきまして一〇%、それから十二月の時点の閣議決定におきましては四十九年の一月の石油のカット率というものはこれは二〇%、こういうふうになっておりました。その数字は申し上げております。しかし、それ以上、四十年代の台数にしろとかそういうことでは全然申していない、こういうことでございます。
  126. 柴田健治

    柴田(健)委員 一〇%下げた、こういうのに、文書は、あなたは懇談会と言う——出席したその業界の者の意見を聞いたのです、どういう実態だったか。大言壮語を吐いて盛んに値上げムードをつくり出すような、盛んにやっているのですよ。私は、課長というものは非常に責任のある、国会へ出ても一答弁するという立場にあるのですからね。どちらかといえば行政府の中でも推進役にならなければならぬ第一線の管理者なんです。その管理者たるべき者がそんな業界に不用意な発言をし、あおって、そしてどちらかといえばやみカルテル的な一斉に値上げをさした。公正取引委員会はお見えになっていますか。これを、いまの問題を十分踏まえて調査をして、適正な価格に引き下げるようにしてもらいたいと思うのですが、見解を聞いておきたいと思う。
  127. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 公取はかねがね価格動向に問題があると見られる重要物資については、これはできる限り情報の収集につとめてきております。ただし、具体的にどういう品目を対象としているかということについては、これは審査活動に支障がございますので、公表はいたしておりません。ただ自転車の場合、一斉値上げの事実があるとしますれば、これはカルテルの疑いありということで、違反審査事件の端緒として検討いたしてみたいというふうに考えております。いまだ自転車の値上げにつきましては具体的な情報はつかんでおりません。
  128. 柴田健治

    柴田(健)委員 長官お尋ねしたいのですが、この原価が一万円、これは調べてみると多少の差はあるのですが、多少コストが違いますけれども、べらぼうに流通マージンというか、あまりにも取り過ぎる。この点について、いま物価問題が重要な政治課題であり、社会問題として国民が関心を持っている、そういう判断の上に立ってこの自転車の価格というものが、いまの小売り価格が適正であるかどうか。まあ物価庁、物価局その他があって経済企画庁も努力はされておると思われますけれども、あまりにもこの小売り価格が生産コストからいうと高い。この点を検討する意思があるのかないのか、そして行政的に指導ができるのかできないのか、見解を聞きたいと思います。
  129. 内田常雄

    内田国務大臣 自転車にいたしましてもあるいは自動車にいたしましても、いろいろなパーツーなりの組み合わせ、アッセンブル産業でございますので、三月の段階で私どもが関係各省と打ち合わせまして、基礎資材でありますとかあるいは重要な生活関連物資など、御承知のとおり五十数品目を、これはそれぞれ物資所管庁の行政指導によりまして、それ自身について公取等からいろいろ御議論があることも一御承知のとおりでありますが、凍結価格といいますか、一つの管理価格として押え込みましたことも御承知のとおりでございます。しかし、そのときにも、そういう複合製品につきましてはこれを対象といたしておりませんです。自動車もそうでございますし、あるいはまたいまの自転車もそうでございます。また家屋などにつきましても坪当たり何十万円と、こういうような押え方の対象にいたしておらないわけでございます。そこにも一つの問題が実はありますが、その当時私の耳にも入ったことが、これはありていに申しますとありまして、政府部内においても、何とかして自転車はひとつあの五十数品目の中で押えたい、こういう議論もあったようでございますが、それらは基礎資材そのものでもないというようなこと、また生活必要物資ということでもないということや、価格の動き方そのものにも、柴田さんが先ほどお述べになっているような激しさがあって、これはあれで押え込んでみてもというような心配も私はあったと思いますが、あの五十数品目の対象外に置かれておることからいたしましても、いまここで柴田さんの御発言等の真意が私はわかるように思うわけでございます。経済企画庁といたしましては、自転車ばかりじゃなしに自動車についてもそうでありますが、これからどうするんだと聞かれましても、私どものほうは、通産省にとってかわって、これについて標準価格を設定するとかあるいは五十数品目に追加するということはいたしませんけれども、まあ消費者物価も御承知のとおり全体を通じますとだんだん安定してまいってきておる今日でありまして、三月の段階では、東京都の区部については、前年度同期に対しましてたしか二一・六%、全体の平均といたしまして二一・六%ぐらいになっているのに、自転車だけを調べてみますると、これはやはり三十数%というような前年度同期についての上がり方そのままでありますので、高過ぎやせぬかと私は思います。  しかし、私も、あなたと同じように、地方に選挙区がございまして、これはこの問題に関連いたしませんが、何かのときに問屋さんから非常に苦衷を聞かされました。これはついでだから申し上げますが、小売りに売ったけれどもなかなか銭が入らないでそのほうで倒れてしまうんだと、その卸屋さんは卸屋の苦衷を訴えておったこともございますので、どうも経済の動きというのは物価指数、いままたお話がございましたような上がり方ばかりじゃなしに、その上げたもののお金がうまいこと回収されているかどうかという問題にもかかっている点がありますので、そのようなことも頭に置きまして、物価の総合政策を担当する私どもといたしましても、通産省に対しても十分この問題についてあらためて関心を払ってもらうような、有効な、可能なる、公正取引委員会からしかられないような範囲の行政指導というようなものもいろいろ検討してみる必要があると考えますことを申し上げます。
  130. 柴田健治

    柴田(健)委員 きょうは通産省局長も幹部はほかの委員会の関係で来ないのですが、車両課というのはどういう任務を持ち、どういう指導の権限を持っておるか、それはどうですか。
  131. 石丸博巳

    ○石丸説明員 車両課と申しますのは「自転車(リヤカーを含む。)」と、こう書いてございます。それの生産、流通、輸出についての指導をする、こういうことでございます。で、指導の範囲と申しますのは、やはりその通産省設置法に掲げられております行政指導の範囲、こういうことに考えております。  またもう一つ申し上げますが、もう一つは競輪及びオートレース関係の指導監督ということを行なっております。
  132. 柴田健治

    柴田(健)委員 どうも車両課はこのギャンブルのほうへ熱心だ、こういうことを言われるのですが、そういう年末に課長が出ておだてて、たいへんな一斉にやみカルテルが行なわれるような行為をやった責任。その後、課長は、業界を集めて、あれは誤りだった、むちゃくちゃに相場を上げてくれては困る、こういう指導をしたことがあるのですか。
  133. 石丸博巳

    ○石丸説明員 先生の御質問の前段の、業界をあおり立ててということにつきましては、先ほども申し上げましたように、その閣議決定の範囲内で緊急対策の要綱に書かれておりますことについて説明をした、こういうことに御了解願いたいと思います。  その後、自転車の価格の動向というものをながめてみました場合に、確かにその十二月の時点におきましては、原材料、各諸資材というものが非常に正常でない取引の状態にありまして、物資不足ということもからみまして、その取引条件ないしその価格というものが非常に高かったという状態にあったかと思います。それを振り返って、その二月ごろの時点で考えてみますと、やはりその十二月の時点においては狂乱状態にあったということでやむを得なかったかもしれないけれども、現在その二月の時点で鎮静化しつつある諸資材の状況を見た場合に、これではやはり自転車の小売り価格、卸売り価格というものは高過ぎるというふうに判断いたしまして、二月の中旬から下旬にかけまして各社からヒヤリングをいたしまして、その価格について見直して引き下げをするように、こういうように指導しております。  特に二月の十九日におきましては、完成車、部品、卸、小売りの四代表を集めまして、現在の価格を見直して極力値下げをするようにという要請をいたしております。  その結果どのようになったかと申し上げますと、その大手六社の中で三社程度、これは現実にその価格を数%、たとえばある機種におきましては六・七%、またある機種においては八・八%というふうな引き下げを行なっております。それから、この引き下げを行なわなかったそれ以外の大手のメーカーの中ではこういうふうに申しております。現在、その部品の価格が下がらないと完成車の値下げというものは無理であるけれども、できるだけ簡素化したタイプの国民車的なものというものを新しい型式を開発して、それを手ごろな値段で売ることを考えたい、こういうふうに申しております。
  134. 柴田健治

    柴田(健)委員 通産省のおかげでメーカーが、そら引き取れ、そら引き取れということでどんどん販売店に、たとえば、私のほうは一カ月に大体二十台しか売れないのです、それを百五十台も二百台も送り込んできて、そして売れないし、先ほど私が申し上げたように、自転車というのは二種のメッキなんです。あなたは車両課長なんだからよく知っておられようが、二種のメッキというのは六カ月をこしたらさびが浮きますよ。もう商品価値としてはない。しろうとはだまされるのです。しろうとは六カ月たっておるか七カ月たっておるかわからぬ。しかし専門家が見ると、目に見えないさびが浮くのです。二種メッキというのは六カ月以内しか商品価値はない。そうすると、これから六カ月を越したらだめなんです。さびが浮いてたいへんなんです。そういう自転車を抱かされておる零細企業、倒産をする可能性が非常に強いのですが、これらの処置について、通産省は責任を感じてどう救済しようとするのか、お考えがあれば聞かせてもらいたい。
  135. 石丸博巳

    ○石丸説明員 御質問の最初の点でございますが、あおり立てて増産をさせたということではございませんので、電力が一〇%カットになる。それからさらに一〇%追加されて、二〇%電力、石油というものがカットになる。そうなりますと、諸資材も当然不足してくるだろうから、そういうのに備えて経営を自粛するようにということは、何も増産を慫慂したということではないのじゃないか。むしろ増産を一方的といいますか……(柴田(健)委員「増産とは言っていないよ」と呼ぶ)はい。当時のバイコロジームードに引かれまして、業界のほうがトータルとして三十数%というような生産増加になった、こういうことでございます。現在の金融引き締めによります自転車業界を含めました機械情報産業局所管の業種の金融状況その他の状況につきましては、現在調査中でございます。
  136. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間が来たのですけれども、増産とは言うていないのです。値上げムードをあおったと言うておるのです。  それから、原油なりその他で電力の一〇%削減対策だということはわれわれも耳にしたことがありますけれども、一〇%下がって、自転車だけが三分の一以下に生産が落ちるという言い方をしたのがおかしいのであって、たとえば四十年代にするって本人が言うているのです、私は聞いているのですから。その席に出て後藤宏さんがぶった演説を聞いた人に私が確認をしておる。それによって、この文書が全国の三万八千軒の小売り店に一月に一斉におりた。それを「団結で守ろう 伸ばそう われわれの利益」という題名でどんと流しだのですよ。張本人の通産省の責任でしょう。そら買っておけ、買っておけ……。生産が四十年代に下がったとなると三百万台。いま日本国内に約二千八百万台保有台数があるといわれております。三千万あるか二千八百万あるかまだ確認しておりませんけれども、あなたが言う耐用年数二カ年ということになって、二カ年もつか三カ年もつか、乗りものですから、所有者の使用量によって違うのですけれども、どちらにしても、後藤車両課長がそういう席に行って、年末の、物価高騰、物価狂乱というてみんなが騒いでいるとき、また国会でも十二月の特別国会でいろいろの論議がされておる、その時点に通産省課長が業界へ乗り込んでいってあおるなんということがおかしいのであって、重大な誤りをおかしておるんですよ。課長、国家公務員法を知っておるか。どういう任務を持っておるか。管理者としてどういう義務と任務を位置づけされておるか。そういう責任を感じて、倒産するような業者が出るなら、適切な処置をしていくのが当然じゃないですか。増産をあおったとは言っちゃおらぬですよ。価格の引き上げですよ。もうかるからもうかるからと言うからそうなってしまった。いま買い占めをしておきなさい。だから通産省は責任をとりなさいと言うのです。  あわせて、やみカルテルの行為があることは間違いないのですから、公正取引委員会に直ちにこの調査をお願いしたい、答弁を願います。
  137. 石丸博巳

    ○石丸説明員 私が後藤前課長に聞きました範囲では、閣議決定の内容をメンションいたしました、それに関連いたしまして、業界のきびしい経営態度というものを示唆した、こういうことでございまして、特に物価上昇をあおるというようなことはやっておらない、こういふうに申しております。それが間違いかどうかわかりませんけれども、そういう形で伝えられたことにつきましては非常に遺憾なことだ、こういうふうに考えております。  それからまた、先ほど申しましたように、自転車業界を含めまして緊急な資金需要等につきましては現在調査中でございます。
  138. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 先ほども申し上げましたように、一斉値上げの事実があるということになれば、これは事件の端緒として検討しなければならないというふうに思っております。ただ、こういう公の席で調査をすると言いますと、証拠隠滅をはかられるという危険性がございますので、その点はお許しをいただきたいと思います。
  139. 柴田健治

    柴田(健)委員 課長、幹部会を開いて、こういう文書をすぐ——これは半ば業界の公文書みたいなものですから、こういうものに明確に書かれて、知らぬ存ぜぬ、そういうことは言うておりませんと言っても通らぬですよ。通産省というものはいかにうそつきの集団のところか、こうなるんです。みずから行政に不信感、政治に不信感を持たせるようなことを平気でやっておる。直ちにこの調査通産省はみずからやってもらいたい。それができなければ、またあらためて私が後藤氏その他に全部来てもらってやりますよ。
  140. 石丸博巳

    ○石丸説明員 その資料につきましてはあとからいただかせていただきまして、調査をいたします。
  141. 柴田健治

    柴田(健)委員 終わります。
  142. 平林剛

    平林委員長 午後三時委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時四分開議
  143. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林政子君。
  144. 小林政子

    小林(政)委員 未曽有のインフレ物価高といわれているこの時期に、九電力が一斉に大幅な値上げ申請をいたしました。これは国民生活を一そう破壊するものだ、私はこのように考えます。  ところで、事もあろうにこの申請の内容を福祉型である、こういうことが宣伝をされておりますけれども、政府は今回の料金改正について福祉型であるというふうに考えているのかどうなのか、この点についてまず大臣からお伺いをいたしたいと思います。
  145. 内田常雄

    内田国務大臣 私よりも通産当局からお答えをしたほうがよろしいかもしれませんが、私が感じますところは、小林さんはそうおっしゃいますけれども、一応福祉型に編成がえがされていると思います。これは先般の電気事業審議会料金部会というところで政府以外の各方面のベテランがお集まりになりまして、料金の体系というものはシビルミニマムの制度を織り込んだ福祉型として次のような考え方をとるべきだと中間報告をお出しになっているわけでありますから、今度の九電力料金改定を政府が認可いたします際にも、その中間報告の線に沿った形で認可することになると思います。さような場合には、私は従来に比べますと福祉型の電力料金だと思います。それはすなわち従来は家庭用の電灯料金のほうが割り高と申しますか、キロワットアワー当たり現実に高い、生産の方面に使われる電力料金のほうがキロワットアワー当たりの単価が安かったのを、今度は少なくとも電灯料金の中で最低生活に必要な電灯料金につきましては、料金の編成を一番低くしておき、さらにそれを二段階、三段階というふうに三段型に分けることになっているはずでございまして、家庭用でもたくさん使う家庭ほど単価が高くなる。その方生産用に使う電力料金も、そのほうが安いということではなしに、このほうもよけい使えば使うだけ電力料金が高くなっていく仕組みをとりまして、その仕組みを通じまして省電力体制といいますか、省エネルギー体系の生産構造というものを産業面においても打ち立てる、こういうことになっておることをさして私が福祉型になっている——もっとも電灯料金などのシビルミニマムといわれる範囲が私どもの耳に入りますところでも月間百キロワットアワーというのでは非常に程度が少な過ぎる。シビルミニマムの家庭用というものは百キロワットアワーではなしに、やはりもう少し大きいところまで最低料金を持っていってくれないと実情に合わないというようなことも耳にいたしておりますので、そういう点をも十分含みまして今度の新料金を認可する際の体系を整える方向で通産省にも検討をしてもらっておるわけであります。
  146. 小林政子

    小林(政)委員 たとえば一般国民が家庭でもって使う従量電灯乙、これを見てみますと、一キロワットアワー三円七十八銭も上がっているわけです。しかもその上げ率というのは、これは東電の例ですけれども、三一・八%、現行十一円八十六銭を改正で十五円六十四銭にする、こういう内容になっておりますけれども消費者物価は御承知のとおり前年比では二六%上昇しているわけですが、電力の上げ率はそれをさらに上回っている。しかも最近問題にもなったそうですけれども、労働者のいわゆる実質賃金というものは、インフレ物価狂乱というようなこういう事態の中で非常に落ちてきている。しかもことしの二月段階で対前年比では四%も低下をする、こういう事態が起こってきている。こういう生活実態から見て、はたして今回のこの値上げというものが福祉型の上げ率である、こういうことが言えるのかどうなのか、私はこの問題について福祉逆行ではないか、このように考えますけれども通産省にお伺いをいたしたいと思います。
  147. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお話がございましたように、去る四月三日、六日、八日にかけまして九電力会社がそれぞれ料金改定申請を実施をいたしました。各社それぞれ値上げ幅は違っておりますけれども、総計をいたしますと、電灯で三三%余り、電力で八〇%余り、合計をいたしまして六二%余りという申請内容になっております。私どもはこの申請を受けまして、目下各社の経営内容についてのヒヤリングを実施いたしますとともに、各社に人を派遣をいたしまして経理内容の監査を実施いたしておるところでございます。御指摘のように、ただいまの経済情勢の中で物価問題は非常に大きな問題であるということは、私どもも十分承知をいたしております。この申請については、十分厳正な審査を実施するという所存でございます。いまお話ございました中に、福祉型といわれる問題についての考えをという御意見でございました。実は今回の料金改定は、単なる料率の改定のほかに制度の改正をあわせその内容としておるという点が、従来とは違っておるわけでございます。従来の料金制度は、昭和三十四年に電気事業審議会の答申を得ましてまとめられた制度が今日まで続いてきておりまして、この間約十五年をたっておるわけでございます。従来の料金制度の考え方は、いわばコストに極力忠実にということを主眼にした料金算定の方法をとってまいっておったわけでございますが、十五年間たってまいりまして、その間の経済情勢、社会情勢の変化をもう一度振り返って今後の料金制度のあり方はどうあるべきであるかということを、昨年の十一月以来電気事業審議会料金制度部会において御審議を願ってまいったわけでございます。結論といたしましては、コストを反映をするという基本的な考え方は尊重しながら、そのワク内で今日置かれております社会的な要請を、料金制度として組み入れられる範囲内で反映をしていこうということがおもな主眼点ではないかと思っております。そのポイントとして出てまいりましたのが、一つは福祉面への配慮の問題、他の一つは省エネルギーの問題でございまして、福祉面の配慮につきましては、特に家庭用の電力料金につきまして、先ほど企画庁長官からお答えございましたように、三段階料金制度をとり、百キロワットアワー以下の需要家については平均コストよりも下がった料率を適用するというような制度に組みかえるよう答申が出ておる、この辺が一つのあらわれではないかと思っておるところでございます。いろいろ内容について御意見のあることを私ども十分承知をいたしておりまして、それらについての御意見も今後十分参酌をしながら審査を進めていきたい、こう考えておるところでございます。
  148. 小林政子

    小林(政)委員 今回の制度の改正を行なった、しかもその中身についていろいろといま言われたわけです。だから福祉型なんだ、私はそういうことは欺瞞じゃないか、こういうことを言っているわけです。具体的には、産業用の電力を取り上げましても、いわゆる中小企業の小口電力、これの場合には上げ幅が五円九十銭、これは東電の例でもって数字を出しておりますから。大口電力の四円十四銭より、具体的に大口、小口を比べますと一円七十六銭も実際には高くなっている。これが大企業の場合は、あの石油危機の中でも非常に不当なもうけをあげた、こういうことで社会的にも大きな問題になったわけですけれども、昨年一年間の大企業のいわゆる申告所得、これは国税庁が昭和四十八年の決算大法人の申告所得上位五十社を発表したその数字を見てみますと、いわゆる大企業の申告所得というのは一年間、昨年は六兆八千億円にも達しておる。中小企業の場合をはるかに上回っている。こういった実態等を比べてみますと、中小企業の場合には、経営の危機というようなことがこのインフレの問題で深刻に問われている。こういうような状態を具体的に一つ一つあげて考えてみましても、実際に今回の料金値上げというのは、大口、小口を比べても、あるいはまた家庭用の場合をとってみても、福祉型だ、福祉型だと盛んに宣伝をしているけれども、私はその値上げ一つを見ても実際には福祉に逆行するものではないか、こういうことを言っているわけです。この点について一体どうお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  149. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の料金改定は燃料事情等を反映したコストアップの要因に伴う料金改定という要因と、制度の改正というものと二つ重なってきておるという点が、御指摘の問題の原因ではないかと思います。もしコストアップ要因のほうがなく、単純に制度の改正だけを今回実施したといたしますれば、少なくとも百キロワットアワー以下の需要家につきましては、従来よりも値下げが可能であったと私どもは思っております。たまたまそれが時期が一致いたしましたために、家庭用についても若干の値上げというような結果になる、そういった関係になったのではないかと思っております。  その中で、電灯と電力との値上げ率の格差の問題について御指摘ございました。今回の値上げ要因を見てみますと、燃料費であるとか人件費であるとか資本費であるとか、さまざまな要因についてのコストアップがあげられておりますが、やはり一番重点は燃料費の増高でございまして、従来電灯と電力との料金にかなりの格差がございましたのは、電灯につきましては発電所で発生した電力が家庭に届きます間に各種の変電所、変圧器等を経て、かなり長い経路を経て消費者の手元に届くという関係にあったのに対しまして、電力特に大口電力につきましては、一次変電所からストレートに非常に高圧のままで需要家のもとに届く、その間のコストの差が非常に大きいという点であるとか、その間のロスの違いであるとか、こういったことが電灯、電力料金格差のおもな原因でございました。ところが、今回の値上げが燃料費がおもな要因であるということからいたしまして、一番根っこになる発電費のところでコスト上昇要因の大半が発生をしておるということからいたしまして、いわば電灯にも電力にもわりあいに近い金額でコストアップ要因が出てきた。したがいまして、従来非常に割り安であった電力部門については値上げ率としては非常に高くなる、また、従来わりあいに割り高であった電灯につきましては値上げ率としては低くなる、こういった関係が出てまいったわけでございます。もちろんこれからいろいろ内容について査定をし、その内容を吟味いたしたいと思っておりますが、大ざっぱに申しましくいままでの電灯、電力料金格差全体で従来は大体二・一倍から二倍くらいございましたのが、今回の申請をそのままかりに認めたという場合には一・五七倍に改善される。こういった数字の背景には、いま申し上げたような事情があることを御理解いただきたいと思います。
  150. 小林政子

    小林(政)委員 私は、いわゆる福祉型ということを宣伝しているけれども、制度上の問題を取り上げて三段階制を取り上げたとかいうことで福祉型なんだといろいろ言うけれども、しかし実際には福祉型になっていないじゃないかということをいままでお聞きしてきたわけです。それからまた、従来の原価主義の料金制度に対しては政策的なものを加味して料金制度というものをつくるべきだということは、これはいままでも何回も何回もこの委員会で問題にされてきたところですし、今回答申に基づいたということがいわれておりますけれども、はたしてほんとうに実際に宣伝しているような福祉型の料金体系になっているのかどうなのかという点について、この点を私ははっきりさせてもらいたいというように思うわけです。たとえば従量電灯の三段階料金もそうですけれども、先ほどからお話に出ております百キロワットアワーの場合にはこれは低く押えているんだ、こういうことが言われておりますけれども、実際には逓増制というものも採用されている。そして具体的に東京電力の場合に一世帯当たり標準の消費電力量というのは一体どのくらいなのか、これをまずお聞かせいただきたいと思います。
  151. 岸田文武

    ○岸田政府委員 東京電力における一般家庭の月平均使用電力量の推移を見てみますと、昭和四十五年で百二十九キロワットアワー、四十六年で百三十七キロワットアワー、四十七年で百四十三キロワットアワー、四十八年は推定でございますが百五十二キロワットアワー、大体そのような数字ではないかと思っております。
  152. 小林政子

    小林(政)委員 いま言ったのは標準世帯の電力使用量ということですから、そうしますと、いわゆる低く押えたといわれております百キロワットアワーまでこれは実際には標準世帯をはるかに下回るものであって、及ばないじゃないか、私はこの点についてやはりこれは問題だと思います。  具体的には百キロワットアワーの場合には街路灯だとか、あるいは単身世帯だとか、そういうものであって、ほとんど三〇%程度にしかすぎない。しかし東京電力の場合には都民なりあるいはまたその電力を使っている標準世帯、その場合にはいまの説明聞いても推定で百五十二キロワットアワーといわれておりますし、四十七年の場合には百四十三キロワットアワー、これじゃもうまるっきり標準に達しない、こういうことを考えると、低料金で押えたんだ、このことは一体どういうことなんですか。
  153. 岸田文武

    ○岸田政府委員 東京電力の例を引いてお尋ねございましたので、さらに補足して御説明をいたしますと、昭和四十七年度を例にとりまして、東京電力で百キロワットアワー以下の消費家庭が一般家庭の中で四〇%でございます。  それから百キロワットアワーから二百キロワットアワーまでの階層が四五%でございまして、それをこえる二百キロワットアワー以上の部分が一五%という構成になっております。ただしこれは消費電力量自体を軒数で分析をしたものでございますが、今度の料金制度改正によりますと、たとえば百五十キロワットアワーというクラスでございますと、使います電力量のうち最初の百キロワットアワーにつきましては第一段料金、それをこえる五十について第二段料金という形になるわけでございまして、したがいまして電力量からいたしますと、さらに広い層が第一段料金の適用を受けるわけでございます。  ちなみにその数字を見てみますと、百キロワットアワー以下の第一段料金の適用を受けることとなるべき階層が、四十七年度では六二%を占めるという形でございます。  先ほど申しましたように、福祉型料金といわれる線を百キロワットアワーにとりあえず答申で打ち出されました背景には、電灯料金を負担するときにどういう形で負担をさせるのが一番実質的には公平であるかということをいろいろ討議をされた上で出された答えでございまして、限られた対象に対して特に重点的に値下げをはかるという考え方をとるべきか、より広い階層を対象としてそのかわり多少薄まった料金を適用するというような考え方をとるべきか、また薄まった部分についてそれをカバーするためにどこの階層に負担をかけるべきか、こういったことはいわばバランス感覚の問題でございまして、私どもとしてもいろいろの議論をした上で、とりあえず百キロワットアワーを今日の段階におけるナショナルミニマムと申しますか、シビルミニマムと申しますか、ミニマムの家庭需要という意味で答えを出したという経緯ではないかと思っております。
  154. 小林政子

    小林(政)委員 百キロワットアワーの場合には、これは料金を低く押えるということで非常にこれが宣伝をされているわけですけれども、実際にはその数というものは非常に少ないし、特に二月とか、八月、——二月の場合には、これは暖房用といいますか、電気ごたつだとか、あるいはまたその他の暖房ですね、あるいは八月の場合にはどこの家でもクーラーあるいは扇風機、こういったようなものを使わなければならない、こういうようなことでもって電力量が毎年これはふえているわけです。平均して大体二百キロワットアワーくらいになっているというような数字も試算がされているようですけれども、私は少なくとも標準使用量、ここに低料金を適用したということであれば、これはあるいはある程度福祉型というあなた方が言っているそういう問題等についても検討の余地があると思います。しかし実際にはもう百キロワットアワー、標準の使用量に達しない、こういうところに焦点を当てているということは、私はこれは単なる欺瞞ではないか、このように考えますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  155. 内田常雄

    内田国務大臣 岸田公益事業部長の御説明が徹底しないようでございますが、あなたのおっしゃる標準家庭の使用量というものと、それから岸田部長が言われましたたとえば四十七年において百四十キロワットアワー、四十八年の推定が百五十キロワットアワーというのは、たとえば私どものうちのように三百キロワット以上使うようなものも、これはたいへんけしからぬ話で恐縮するのですが、そういうものも含めて全家庭の平均が岸田君の説明では百五十と、こういうことでございまして、その標準家庭という意味が小林さんのおっしゃるのと違うと思います。いまの説明によりましても、四十七年で月平均百キロワット以下の家庭が四〇%ある、こういうことでございますから、全世帯の中で四〇%のものは百キロワット以下のものとして第一段階の一番安い料率の適用を受ける、こういうことでありますから、私は少しも欺瞞じゃない。四〇%では少ないから、もっと上のほうまで、たとえば私のうちの家庭のところ辺まで、私のところもかなり質素な生活をしておるのですが、その辺まで安くしろということなら別でありますが、四〇%がカバーされるということは一番低い段階で、私は欺瞞ではないように思うのですが、いかがでございましょうか。
  156. 小林政子

    小林(政)委員 それならば、長官はどこまでを、それでは百キロワットアワー、これを具体的にどこまで低料金でやろうとお考えになっておるのですか、お伺いをしておきたいと思います。
  157. 岸田文武

    ○岸田政府委員 とりあえず補足的に御説明をさせていただきたいと思います。  百キロワットアワーをナショナルミニマムといたします議論の過程でございますが、その際には二DKに住む家族四人の家庭というものをモデルとして想定をいたしました。各家庭にはそれぞれ家庭用電化器具が各種そろっているわけでございますが、それらの中で昭和四十八年の普及率が八〇%以上の家庭用電化器具のモデル家庭における使用量というものを積み上げまして大体百キロワットアワーという数字を出したわけでございます。  なお、日本全国合計をいたしますと、家庭の平均の使用量が百キロワットアワーでございましたのは昭和四十三年当時でございます。大体その当時一応必要最小限度の電化は普及しておった、それから次第にゆとりのある電化生活に移っていったというような実績を踏まえて百キロワットアワーが出てきたわけでございます。  この百キロワットアワーが適当であるかどうかという点についてさまざまな議論がありますことは私ども承知をいたしておるわけでありますが、いわば先ほど申し上げましたようにだれがどういう形で負担するほうが実質的におさまりがいいかということでございますので、実は私どもといたしましては、査定を極力進めまして、その最後の数字をにらみながら最後の判断をするということが適当な処理方針ではないかと思っております。
  158. 小林政子

    小林(政)委員 長官はどのくらいのところをお考えになっているのかわかりませんけれども、私は、この百キロワットアワーというのは標準の電気の使用量という点から考えればやはり低いものであって、実際には標準の家庭のところに焦点を当てて考えたものではない。そういう点で、こういうことでもっていかにも何か一般家庭用については福祉型にしてあるのだというようなことを盛んに強調するということはやはりおかしいのではないか、こういう立場に私はいまだに立っているわけです。  時間もありますので、次に検針のやり方、この問題についてやはり非常に不合理があるのではないだろうか。これは電力会社の場合には、需要家一世帯当たり必ず一個のメーターを備え個別に正確に現在検針がされているのかどうなのか、この点について、通産省いかがですか。
  159. 岸田文武

    ○岸田政府委員 たてまえといたしましては毎月一回検針をするというのが原則でございます。ただし、それについて例外がございますのは定額電灯といわれるグループでございまして、これにつきましては、使用機器の容量に応じまして一定額をきめてそれを徴収するという方式になっております。
  160. 小林政子

    小林(政)委員 実際に現在の実情というものは、アパートの場合あるいはまた借家などでも共同で住まわれている住宅の場合ですね、こういった場合には親子メーターといいますか、親メーターが家主さんのところに取り付けられている、そしてその中に住んでいられる何世帯か子メーターがそれぞれ取り付けられている、こういうような状況というものは東京の中でも相当見受けられます。この場合に東電は電気の使用量のメーターは家主のところではかりますから、実際に個々の人たちが使っている量というものは少なくても、家主のところに全部集計されるわけですから、非常に大量の電力を使った、こういうことになるわけです。そうなりますと、電気を使えば使うほど高くなっていくというようなこういう制度が取り付けられた場合に、実際にはいわゆる低料金が必要な層に高い料金が課せられる、こういう問題が出てまいりますけれども、こういった実態について実情をつぶさに調査もされ、そして実態に適合するような指導ということがやられているのかどうなのか、この点お伺いをいたします。
  161. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いままでのような均一料金制度の場合にはそういう問題が起こらなかったわけでございますが、今回制度を改めたことによりましてまさに御指摘のような問題のあることは私どもも理解をいたしております。その意味におきましていま少し実情を調べております。その実情の調査の結果に従いまして、いままでの子メーターを独立させるとかいろいろの対応策を研究する必要があるだろうという気がいたしております。
  162. 小林政子

    小林(政)委員 私はやはりこの問題については個別に正確に検針が行なわれるということが当然必要であろうというふうに考えますし、この点については現在東京電力の場合にもどのくらいあるかというような点についても数字も出ていないのですね。通産省おわかりですか。おそらくわかっていないと思うのですよ。わかっていらっしゃらないでしょう。私はやはりこの際こういった実態というものを十分調査して、そして実情に適合するように指導をすべきであるというふうに思いますけれども大臣いかがでしょう。
  163. 内田常雄

    内田国務大臣 それはまことに適切でごもっともな御意見だと思います。通産省当局が申しましたように、いままでは均一料金だから何世帯か親メーターのもとに一緒に計量されておってもそれを細分する必要がなかったわけでございましょうが、今度は逓増といいますか三段階料金でございますので、おっしゃるとおりだろうと思います。現に私のうちなどでも娘が婿を連れてきまして半分くらい私のうちにおるわけでありますから、私のところなんかもそういうふうに二つに分けてはかっていただくとたいへん料金が安くなる場合もあって、おっしゃることは私はたいへんいいことだと思うのです。
  164. 小林政子

    小林(政)委員 いまのは長官ずいぶん不見識だと思うのですよ。自分の家庭のメーターを二つくっつけて二つに分けてもらえばいいなどということは私はちょっと不見識だと思うのです。実際に何世帯かで使っていながら逓増料金でもって不利になるというような事実について、この問題をきちっとやっぱり調査をし、適正な指導を行なうべきだということを私は主張したのであって、それぞれの各家庭が、うちは余分に使うから三つに分けようだの二つに分けようだのというようなことを言っているわけじゃないのですよ。長官の答弁は私は非常に不見識だと思います。
  165. 内田常雄

    内田国務大臣 前段のことはお答えを申し上げたとおりであります。しかし、私のところも、これは親子でありますけれども、今日は核家族で子供たちの世帯も一緒の私のうちに入ってくる場合が多いわけでありまして、私のうちの料金を安くするために擬装して二つにするとか三つにすることに便利だということを申しておるわけではありません。私のうちに限らず、あなたのおっしゃる通常の場合のように、一つの屋根の下に何世帯か住んでおる家庭がいろいろあるだろうと思います。そういう場合につきましては、前段お答えのとおり、いままでのように一律料金としてやりますと三段階の一番高いところがかかってしまって、それを皆さんで分けるということになりますといまのシビルミニマムの低料金制度というものが一部殺されることになりましょうから、小林さんのおっしゃることまことに適切だということを申し上げておるわけであります。私の家庭のことは別でありますから別の機会にまたいろいろ御意見を承りたいと思います。
  166. 小林政子

    小林(政)委員 今回の値上げはどの層が一番強く影響を受けるか、こういうことを考えますと、これはやはり何といっても母子世帯であるとかあるいはまた老人ホームであるとかあるいは生活保護世帯、こういういわゆる社会的な弱者といわれる人たちが非常に大きな影響を受けるということが考えられます。特に老人がおります家庭では、どうしてもこたつを使うとかあるいは電気毛布をなかなか足があったまらないというようなことでお年寄りのために準備しなければならない。あるいはまた家族が多い、子供が何人もいる、こういうような場合にも何かとやはり電気を使うというような、こういう実態というものは非常に強いわけです。こういうことを考えますと、やはり社会的な弱者といわれる子供たちや身体障害者や老人の人たち、あるいは病人で相当長期の寝た切りの状態になっている、こういうような人たちに対して特別な配慮というものを、電気料金の制度の中でも取り上げていくべきではないか。具体的に通産省、それについて指導するというようなお考えを持っておるかどうか、この点についてお伺いをしたいと思いますし、特に大臣、この点について、同じ問題についてお答えをいただきたいと思います。
  167. 岸田文武

    ○岸田政府委員 福祉問題の重要性につきましては、私どもも十分心得ておるつもりでございます。ただし、これを料金としてどう受けとめるかという点になりますと、いろいろ問題があるような感じがいたします。と申しますのは、電気料金を支払う立場からいたしますれば、当然、少しでも安くしてほしいというお気持ちは、あらゆる立場の人、ほぼ共通ではないかと思います。そういった面からいたしまして、たとえば学校であるとかあるいは交通機関であるとかあるいは病院であるとかあるいはいまお話ございました福祉施設、それぞれの立場から、やはり安くしてほしいという気持ちにおいては共通ではないか。これらの重要性を電力会社が適当につけまして、それで料金制度を組み立てるということは、制度として、はたして有効な制度であるかどうかという点が、制度論として問題があるような気がいたします。むしろこういった、それぞれの政策の重要性に応じて、財政なり税制なりといった見地で対応策を考えていただくほうが、より基本的な筋なのではないか、こういった問題につきまして、政府関係各省が集まって対応策を考えるというような方向で対処すべきではないか、こう考えておるところでございます。
  168. 内田常雄

    内田国務大臣 小林さんのおっしゃること、私は前に厚生省にもおりました関係から一心情的にはよく理解をされます。でありますから、たとえば福祉割引制度というようなものがあって、それがけしからぬということでは決してないと思いますので、通産省も含めまして、またこれは、いかに考え方としてはよくても、実際に非常にトラブルが多くて、なかなかやり得ない問題もある。それは税制とか財政とかあるいは住宅扶助の制度とか、いろいろな扶助の制度なんかについても、御承知のとおり幾つかございますので、そういう面でやっていくほうがいいかという問題もございましょうから、いろいろ考えますけれども、これから先、政治や行政や、また物価にしても、料金にしましても、そういう対価を含めまして、おっしゃるような方向を考えますことは、これはみな、私どもの政府でも共通の考え方でありますので、いろいろくふうをいたすべき示唆に富んだ御意見だと考えます。
  169. 小林政子

    小林(政)委員 いま大臣、積極的な前向きの姿勢で答弁されましたけれども、この問題についてはぜひひとつ、私は割引制度というようなものを、何らかの形で電力料金の場合にも制度の上に生かしていただきたい。このことを大臣、ぜひ、できれば、何らかの形で前進させるということを約束していただけませんか。
  170. 内田常雄

    内田国務大臣 本日の段階では、小林さんのたいへん示唆に富んだ御意見として受けとめておきます。
  171. 小林政子

    小林(政)委員 私は、しかし電力料金の場合には電気供給規程という中で、いわゆる特約制度というものが東京電力の場合も設けられているわけですね。この特約制度というものは結局、電気供給規程でいろいろと規定をされておりますけれども、それ以外のいわゆる規定されない料金制度というものの採用を、この中で行なっているわけなんですよ。これは私は、社会的な弱者といわれるこういう層の人たちに積極的に生かしてもらいたいと思います。  公共料金の問題については、水道の問題あるいはまた都バスあるいは国鉄なども一御承知のとおり、身体障害者の人たちや生活保護世帯など、いわゆる社会的弱者といわれている人たちに対する割引制度、あるいは何らかの形の、そういう利用者の実情というものを配慮した制度が取り上げられているわけです。同じ公共料金でありながら電力料金の場合には、そういう制度というものが制度上とられていない。しかし、国鉄にしても私鉄の場合にも、割引制度というものがとられています。こういうことを考えますと、私はぜひともこの問題については、電力でもひとつこれを生かして、何らかの形でこれを適用すべきではないか、このように考えますけれども大臣、重ねてひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  172. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほど来私が申し述べておるところで、御理解をいただきたいわけでありまして、あなたの御意見を高く私は評価をいたしておるものでございます。
  173. 小林政子

    小林(政)委員 何らかの形で、これらの問題が積極的な施策として取り上げられるということを強く私は期待をし、また大臣の前向きの姿勢を、ぜひともこの点について進めてもらいたいということを要望をいたしておきたいと思います。  いろいろといま福祉型料金ということについて質問をいたしてまいりましたけれども、結局はいままでの質疑の中で、ほんとうにこれが福祉型などということが言えるんだろうか、こういう疑問はますます深まるばかりでございます。真に福祉型ということを言うならば、私は、現在のいわゆる家庭用あるいはまた中小企業用の電力については据え置くべきだと思いますし、そのことをぜひともひとつ実行に移してもらいたいというふうに思います。これはほんとうに福祉型というならば、当然そうであろうと思いますが、大臣いかがですか。
  174. 内田常雄

    内田国務大臣 電力料金のきめ方というものは二つの方向から攻めていくわけでありまして、一つは原価主義、もう一つ小林さんのおっしゃることも一含めました政策的要因、この両方から私は決着するものであると思います。  先ほど来、公益事業部長からのだんだんの御説明もございますように、電力供給につきましては、それは高圧電力そのもので供給をいたします場合と、それから変電して低圧にして供給をいたします場合には、それらの変圧のコスト等の関係も当然出てまいるところに、中小企業で低圧の電力供給するものと、それからまた大企業で高圧のまま供給して、企業内部においてそれを変圧というような負担を企業にさせておるものとの間の違いというものがあるわけでありますが、それはそれとして一つの攻め方であり、またもう一つの攻め方は政策的の持っていき方もありますので、私どもは今度の電気料金改定の機会にいろいろの問題を取り上げて、そのためにまた公聴会も各地でいたしますので、ひとつりっぱな体系を整える努力をいたしてみたいと考えておるものでございます。
  175. 小林政子

    小林(政)委員 次に私は、東京電力が前回値上げをいたしました昭和三十六年当時に比べて、四十八年の上期の決算では、経常利益一つを見ても三倍以上にこれはふえている。また内部留保を比べてみましても、実に十二倍というような膨大な内部留保をかかえているわけであります。これは経常利益の場合に、三十六年の下期を見てみますと七十五億三千万、四十八年の上期が二百三十五億七千百万円、これが経常利益、三二倍です。また内部留保の場合にも一八十五億四千二百万円、四十八年の上期が千六十七億一千六百万円、この数字で十二・五倍になっておるわけですけれども、この数字間違いございませんか、お伺いをいたします。
  176. 岸田文武

    ○岸田政府委員 手元に三十六年の資料を持っておりませんので、その分については正確にお答えいたしかねますが、四十八年上期の社内留保につきましては、どの分をおとりになりましたか、そうたいして違っておりませんけれども、私の手元に持っております数字と若干違っておるということではないかと思います。
  177. 小林政子

    小林(政)委員 私のほうは、有価証券の報告書を全部調査した数字であります。この問題については、通産省にも、正確な数字について確認をしたいから調べておいてほしいということも質問の通告の段階でお話をいたしてありますので、この数字、下の端数ぐらいは若干違うのかもしれませんけれども、大差ないですね。間違いありませんね。
  178. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私の手元にあります数字とは短期的な負債のとり方の範囲の違いだろうと思います。おそらく御指摘の数字に間違いないと思います。
  179. 小林政子

    小林(政)委員 内部留保の十二・五倍にしろ経常利益の三二倍、非常に大きな額だと私は思います。こういうものを一体東電は何に使ってきたのか、内部留保でもって取り込んで具体的には何に使ってきたんだということは一国民的にも非常に大きな関心が持たれ、また疑惑をもってこの問題については見られているわけです。  実際にすぐ目につくのは関連子会社です。この関連子会社というのは、東電の場合も非常に数が多いわけですけれども、一体現在東電の関連会社というのは何社ありますか。
  180. 岸田文武

    ○岸田政府委員 三十六年と比較してその後利益の額が非常にふえておる、あるいはまた内部留保の額が非常に飛躍的に伸びておるという点については、なお私よく調べてみたいと思いますが、おそらくはこういう事情が背景にあるのではないかと推察をされます。  利益金につきましては、昭和三十六年当時とただいまの状況では、その間における資本金の増額ということが非常に画期的に多かった。それを反映しての数字ではないかと思います。資本金の額がふえました背景には、電力需要の拡大に応じて、それに必要な資金調達のために逐次増資を重ねていき、自己資本の充実をはかっていった。その自己資本に対する報酬を確保するために、比例して利益額がふえていったということではないかと思われます。  また内部留保につきましては、いわば電気料金改定時というのは、従来から持っておりました内部留保を極力取りくずして、電気料金の引き上げを引き延ばしてきた。最後に、それがきわめて低い水準になったときに料金改定が行なわれるということから、料金改定時には一般的に内部留保の額が非常に低いレベルにあるということが普通でございます。その後、電力業界が十数年の間に逐次内部留保の充実につとめてきて今日の段階に至ったわけでございますが、御指摘の内部留保につきましても、昭和四十八年下期には通常取りくずし可能な内部留保はほとんど取りくずすというようなかっこうになることが予想されておりますし、またそれらの内容について、私ども十分吟味した上で値上げを認めるという態度をとっていきたいと思っておるところでございます。  関連会社の数につきましては、いま手元に資料がございませんので、帰りましてすぐ調査しまして、御報告申し上げます。
  181. 小林政子

    小林(政)委員 時間がだいぶなくなってきましたので、私少し先を急がなければなりませんけれども、相当の関連会社に対して、いわゆる株式の保有金額あるいはまた出資あるいは長期貸し付け、短期貸し付けというものが相当な額になっておるのですね。直接電気事業に関係のないこれら関連会社に対して多額の出資をするというようなことは一つの大きな問題じゃないだろうか、私はこう思います。私どもの党が調査をいたしたわけでございますけれども、それによりますと、東電の子会社、これは一つは観光事業で旅館までやっている。これはほんの一例でございますけれども、尾瀬の林業観光株式会社、これは東電が九五・九%出資しておるのですね。そして東電はこの子会社に福島県で白樺荘という旅館をやらせて、土地まで提供をしている、こういう事実が私ども調査でも明らかになっています。ここに書類もそろえて持っております。あるいはまた裏磐梯の観光協会案内所が発行しておりますいわゆる「観光案内」というのがありますけれども、ここに記載されて宣伝をされているわけですけれども、東電はさらに白雲荘という他の旅館にも土地を提供している。このようにして公益事業と何の関係もないこういう事業をやらせるということは問題ではないか、このように思いますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  182. 岸田文武

    ○岸田政府委員 関連会社につきましては、それぞれその設立の経緯なり内容なりについて私どもとしても調査を進めておるところでございます。ただ、大ざっぱに申しますと、関連会社の主体は、資材の購入であるとかあるいは建設工事であるとか、そういった形で電力事業に間接的に関連のある分野が主体でございます。ただ、御指摘になりましたような一、二のケース、これは私もさらに調査をいたしたいと思いますが、尾瀬の涵養林はいわば水源涵養のために東京電力が保有しております土地でございまして、そこに宿泊施設が設けられてきたというような経緯ではないかと思います。なお調査をいたしたいと思います。
  183. 小林政子

    小林(政)委員 この問題については、関連会社に対する投資だとか貸し付け、これが東電の場合には五百二十三億円にもなっておる。この際、私は、このような国民の目から疑惑を持たれるようなことは全面的に洗い直すべきだ、こう思いますけれども、いかがでしょうか。また関連会社、直接電気事業と関係のないこれらの問題について厳重に調査をして、国会に報告をしてもらいたい、このように思いますけれども大臣いかがでしょう。
  184. 内田常雄

    内田国務大臣 その辺の経緯は私は存じておりません。私のほうは直接電力会社を監督をいたすたてまえにもなっておりませんが、しかし政府を構成いたす私どもとして、電力会社というものは公益事業会社でございますので、やはりその事業の経営のあり方というものについては納得し得るものがなければならないと思いますので、私どものほうもきょうのお話を承りましたので、なおまた通産省のほうに対しましても、今度の料金決定を機会に、いろいろ要望してまいりたいと思います。
  185. 小林政子

    小林(政)委員 その点はぜひ調査をされて、国会に報告をしていただきたいと思いますが、通産省いかがですか。
  186. 岸田文武

    ○岸田政府委員 関連会社につきましては、やはり公益事業本来の使命を達成するに必要な範囲というものに局限すべきであるということは、お考えのとおりでございます。私どもも今後とも十分指導してまいりたいと存じます。
  187. 小林政子

    小林(政)委員 関連会社の問題あるいはいま私が指摘いたしました観光事業の問題等、これはやはり相当国民の目から疑惑を持たれておりますので、私は、この問題について国会に報告をきちっとしてもらう、この問題が明らかにならない以上は、この料金値上げの問題についてそれだけが突っ走っていくということはやめるべきだと考えますけれども、お約束できますか。
  188. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いずれにいたしましても、早急に調査をいたします。調査のわかるものから報告をいたします。
  189. 小林政子

    小林(政)委員 最後に、時間がだいぶ少なくなってまいりましたけれども、私は、政治献金問題を、時間がありませんので簡潔にお伺いをいたしたいと思います。  ともかく電気料金値上げしなければならないということを九電力はそろって言っているわけですけれども、しかしその場合に、内部留保の問題もさることながら、これを全部はき出すというようなことは当然やるべきだと思いますが、しかし、その中でも、いま国民の疑惑を持たれるようなこういう問題についても明らかにしなければならない、こういうことを私はいま指摘したわけですけれども、その一環として、赤字を出しながら政治献金をするというようなことは、国民感情からいって、値上げをしなくちゃならない、赤字で困っているという東京電力が政治献金を行なっているという問題については、これはやはりちょっと問題だと思いますが、大臣いかがでしょう。
  190. 内田常雄

    内田国務大臣 政治献金の問題は、政治資金規正法が国の法律としてありまして、これの改正の問題などもしばしば論議の対象になっていることは私もよく存じております。その法律によりましての範囲で、東京電力につきましても、何らかのこの問題についての関係があるかとも想像をされます。しかし、これは電力会社に限らず、企業体というものは社会の構成の一員でありますから、そういう意味におきまして、法律の範囲内で、社会的な貢献といいますか、協力といいますか、そういうものは私は全面的には否定し得ない面があると思います。しかし、いずれにいたしましても、これは先ほど来申しますように、公益事業でございますから、どういう社会的活動をいたすにつきましても、やはり納得し得る線に沿ったものであるべきだと私は考えます。
  191. 小林政子

    小林(政)委員 個人の政治献金と違いまして、少なくとも公益事業であると同時に、しかも赤字を出していていまどうにもならないという実態があるということを主張していながら、政治献金を行なうということは、私は問題だと思います。この点については、自治省の方にもきょうはお見えいただいておりますけれども、具体的に東京電力の場合に、国民協会を通じてのものと、それから電気事業連合会を通して国民協会に献金しているもの、あるいはまた独自に保守党の各会派にそれぞれ政治献金を実際に行なっているという実態について、ちょっと御報告をしてもらいたいと思います。
  192. 山本武

    山本説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  御案内のように、政治資金規正法に基づく政治献金につきましては、官報で公表しているところでございますが、御質問の第一点の東京電力が国民協会に対してどのような寄付をしたかという点につきましては、四十八年上半期まで最近三年間においては、寄付はございません。  それから、二番目の御質問でございますが、電気事業連合会が国民協会に対していかなる寄付をしたかというふうなお尋ねでございますが、この点につきまして官報の公表したところによりますと、四十五年におきまして二億円、四十六年に三億円、四十八年上期におきまして四億円という数字を公表いたしております。  それから、三番目の御質問でございますが、各会派に対してどのような政治献金をしたかという点につきましては、ここでお答えするのはちょっと時間が要るかと思います。と申しますのは、いかなる政治団体が何々党系の政治団体かという点は、私ども承知いたしておりませんので、お答えいたしかねるかと思います。
  193. 小林政子

    小林(政)委員 ただいま自治省のほうから政治献金の実態の一部について報告があったわけですけれども、私は、電気事業連合会を通して四十二年から四十八年の間に、いわゆる自民党への献金、国民協会を通しての献金というのが、総額で八億五千六百三十万円、こういう数字が、これは私ども官報を一つ一つ調べて、全部抜き書きをしたものです。おそらく数字の上では正確な数字でございますので、やはり相当の額にのぼっておりますし、少なくともこれは大臣、赤字を出しているという企業、東京電力だけじゃありません、九電力、こういうことを考えますときに、赤字の企業から政治献金が出されているというようなことについては、それを値上げをするということは、私は国民的に説得力がないし、納得のできない問題だと考えますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  194. 内田常雄

    内田国務大臣 政治資金規正法という法律がありますことは、申すまでもありません。それの改正等の問題がしばしば論議をされておることも、先ほど申し述べたとおりでございますが、これは一般の企業体、個人も含めて、そういう国の法律あるいはまた税法とか証券取引法など、他の形の経理に関する法律等によりまして認められている範囲のことは、一般の政治倫理の問題として、あるいは国民感情上の問題としてはいろいろの角度からの批判もあり得るかとは思いますけれども、制度に沿う運営としては、私は否定はできないのではないかと思います。もちろんそういう法律を逸脱したような政治献金等が行なわれましたものにつきましては、それは料金計算の基礎になし得るところではないと思います。たとえば税法などにおきましても、資本金に対する千分の二・五でございましたか、そういう金額プラス固定的な金額を加えたものは、これは税法上も経費として認められているものでございますので、経費として税法上認められたものにつきましては、これは経費でございますから、いかなる種類の経費かを問わず、合法的の経費につきましては、私は会社の損益計算の基礎にならざるを得ないものであるとは思いますけれども、これは公益事業でありますこと、また政治倫理の問題等から考えまして、それをこえるようなものにつきましては、十分その問題については、私ども料金改定などについては対処をしていかなければならないと考えます。
  195. 小林政子

    小林(政)委員 やはり値上げを行なうという申請をしている以上、こういう問題についてもはっきりした態度をとるべきだということを強く要求しておくと同時に、最後に私は、家庭用と中小企業用の据え置き、そしてまた経済的な弱者に対して何らかの形で、先ほど大臣前向きの御答弁をされましたけれども、やはり特別な措置をとるということをぜひ実行をしてほしい、こういうことを強く主張いたしまして、私の質問を終わります。
  196. 平林剛

    平林委員長 次に、石田幸四郎君。
  197. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私はいま非常に問題になっております畜産物の基本であります飼料問題と、それからこれは経済機構の本質的な問題として私はとらえているのでございますけれども、備蓄機構全般の考え方についてこれからただしてまいりたいと思うわけです。  経企庁長官に最初にお願いをしておきますが、最初に飼料問題を取り上げますけれども、最後には備蓄問題のことについての質疑になりますので、前段の質問についてもいろいろと聞いておいていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  まず最初に農林省にお伺いをするわけでございますが、飼料の値上げ動向は非常にきびしいものがあるわけであります。特に先般いろいろ食肉関係の値上げがきまりましたけれども、特に牛肉関係の生産業者についてはこの恩恵はなかったわけでございまして、現在そういう食肉牛の生産業者の実態、たいへん飼料のコストアップと、それから成牛を売却する価格との間にかなりの格差が出ているわけですね。そういう実態についてどういう形で掌握をしておられるのか、ここら辺からまず伺いたいと思うわけであります。
  198. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答えをいたします。  ただいま先生御指摘のございましたように、畜産物価格の面で見ますと、牛肉の関係では確かに恩典と申しますか、そういった点からは漏れたような形になっております。それで私どもも別の形の対策ということで、ただいまも鋭意努力をいたしておるところでございますが、いま御質問のございました生産者の段階での実態の把握という点でございますけれども、これはごく最近のことでございますので、数字になった形のものは出ておりません。私どもいろいろ現地の実情等を聞いてみますと、この肉牛生産でございますけれども、二つの部門に分かれておりまして、一つは繁殖と申しますか、生産部門でございます。それからもう一つは、肥育の部門でございますが、その肥育の部門が、昨年の秋ごろの素牛価格の高騰によりまして、それと同時に飼料の高騰ということが重なりまして、相当経営的には困っておるというぐあいに把握をいたしております。
  199. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私が実際にある業者の実態をいろいろ調査したところによりますと、これは肥育牛組合でございますけれども、子牛を買ってそれから成長まで育てていくわけでございますけれども、この間販売までに約二十カ月かかる。最近の状況をずっと調べてみると、約四十万円、詳しくは三十九万七千三百四十二円五十銭かかっておる。これについて最近の売却価格の実態を見ると、二十七万三千六百円であった。こういうことで、最近の実態は、実に十二万三千七百四十二円の赤字が出ておるのだ、こういうようなことを克明な数字をあげて説明を受けたのでございます。これは組合員が約三百五十人ぐらいいるかなり大がかりの組合だと思うのですけれども、それの大体平均値、そういうことになっておるわけでございます。  したがって、これに対する対策を大至急立てなければならぬ、こういうふうに私は考えるわけですが、いまお伺いしますと、これに対しても何らかの対策を考えなければならぬということについては、農林省も考えていらっしゃるそうでございますが、一体いつごろまでにこの結論が出るのか、この点簡単にお伺いしたいと思います。
  200. 下浦静平

    ○下浦説明員 ただいま対策といたしまして現に着手をしておりますことがございます。  一つは、畜産振興事業団という政府関係機関がございますが、これが輸入牛肉の扱いをおおよそ九割程度扱っておるわけでございます。したがいまして、この輸入牛肉につきましての一部たな上げあるいは事業団の買い入れのできるだけの延伸と申しますか、先へ延ばすというようなことをいたしております。  それからもう一つは、市場に出てまいった牛肉の調整保管でございますけれども、ただいま全農を中心といたしまして、四月に三千頭程度の調整保管をやろうということで、現在これも実施に移されておるところでございます。  その他また知恵をしぼりまして、何か有効な対策がないかということをただいま検討中の段階でございます。
  201. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういう輸入肉の輸入を一時延期するというようなことで、いわゆる一般の消費者の市場における価格を上げることによって、生産業者の利益を保護しようということについては、必ずしも私は賛成ではない。しかしながら、これにはいろいろな対策があると思うのですけれども一つの問題として、こういう肥育業者というのですか、そうした人たちが子牛を購入をしてそして育成をし売るわけでございますけれども、これはほとんど農協を通してやっていますね。そうしますと、その間におきまして、いわゆる買うとき売るとき約三%ずつ手数料をとられて、しかも農協の資金を借り入れて、そして購入をしていくあるいは肥育をしていくというようなことになりますと、農協の金利だけでいまや八%になるでしょう。そういうようなことで、非常にそういった経費がかかっているわけですけれども、たとえば農協のそういう資金を借り入れてやる場合、そこら辺の手数料等の問題についてももう少し配慮することはできないのだろうか、こういうような要望もあるわけですね。単純計算すれば農協を通して農協の資金を借り入れてやる場合はざっと一四%ばかりの経費がかかる。これはちょっと金利の上から考えていったら非常に大きな負担になっているんじゃないか、私どもそう考えるわけですけれども、ここら辺の操作というものは不可能ですか。
  202. 下浦静平

    ○下浦説明員 ただいま私ども事業はしてやっておりますものの中で家畜導入事業というのがございます。これにつきましては、生産農家が導入をいたします肉牛でございますが、これは素牛でございますけれども、これにつきまして農協を通じまして導入をいたしておるということでございますけれども、その際にその金利分につきましてはこれを見るというような形でやっておるわけでございます。  ただいま御指摘の点はそれらの事業との関連もございますので、私ども今後の対策として十分に検討させていただきたいと存じております。
  203. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 こういうこまかい問題も非常に大事でございますけれども、もう少しマクロ的に考えてみて、いわゆる飼料の値上げ問題ということは、米国におきますところの飼料原料の価格の問題、そういう問題と、それからいわゆる原油の値上がりがもたらした輸送費その他の流通経費のアップ、こういうような問題が考えられるわけでございますけれども、こういう流通経費の上昇については現在の石油事情からいって若干やむを得ないにいたしましても、今後飼料原料の価格の見通しは一体どうなるのか。供給国でありますアメリカの生産状況見通し、また国際的飼料原料買いつけ国となりましたソ連等の本年度の農産物の見通しはどうなのか、そういうようなことを含め、飼料原料の国際価格というのは今日以上にアップをするのか、あるいは安定した推移でいくのか、あるいは農産物の成長、天候の状況等を見て多少とも下落方向が考えられるのか、そういったことに対して一体農林省はどういうような見通しを持っておられますか。
  204. 下浦静平

    ○下浦説明員 価格の推移並びに見通しでございますけれども、先生御指摘の点のほかに実は為替レートの問題が一つございます。(石田(幸)委員「それはあとから質問します。」と呼ぶ)それではその点はあとに回させていただきますが、国際価格の動向について申し上げますと、昨年の夏をピークにいたしまして秋にかけまして一時下がりまして、私どもかなり明るい見通しになるのではないかと思っておったわけでございますが、十一月の末ごろからまた上昇に転じまして、三月の半ばごろ、相当昨年の八月を上回るというような水準になったわけでございます。たいへん心配しておりましたところが、その後アメリカにおきます小麦の豊作見込み、それから南半球、これは南ア連邦でございますとかオーストラリアあるいはアルゼンチンでございますが、そこでの飼料穀物の豊作見込みというようなことがございまして、さらにアメリカのトウモロコシの作付が前年度対比で一〇%増というような見込みもございまして、三月の下旬ごろからだいぶ小ゆるんできたわけでございます。この傾向が続きますと今後先行きかなり明るい見通しを得られるのではないかと存じておりますけれども、先ほどお話のございました海上運賃の今後の推移の問題でございますとか為替レートの推移の問題とかございますので、よくその辺を見守ってまいりたいと存じております。
  205. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その飼料原料の中でたん白質飼料の大半を占めるのはいわゆる大豆の油かす、こういうふうに今日までいわれているわけでございますけれども、わが国における大豆油の需要というのはいま伸び率が非常に小さいわけでしょう。そして代替品なんかも若干出てきているようでございますし、そういった意味で大豆油の需要というものは急激に伸びるということは、わが国においては非常に期待することができない。それなのに、この大豆の油かすの畜産の中に伸びる必要量、いわゆる需要が非常に拡大されておるわけですけれども一、そういうふうに考えてみますと、国内におきますところの大豆油かすのバランスは急激にくずれてくる、こういうことが予測をされておるわけでございますけれども、これに対して一体農林省はどういう対応策を持っていらっしゃるのか。この点はちょっと伺っておきたいところです。
  206. 下浦静平

    ○下浦説明員 お話のございましたように大豆油かすは配合飼料の中で約一割を配合いたしております。したがいまして配合飼料の四十八年度の生産量千八百万トン強ということからいたしますと百八十万トン程度の需要ということになるわけでございます。ところが、昨年はアメリカの輸出規制等がございまして相当供給不安というような事態になったわけでございまして、輸入が相当ふえてまいりました。四十八年度中で約二十七、八万トンの輸入が行なわれております。これは従来は五万トンないし十万トン程度の輸入で済んでおったわけでございます。したがいまして、昨今のシカゴの市況等からいたしましてかなり需給がゆるんできたということを背景にいたしまして、最近では油脂メーカーのほうでかなり手持ちがあるようでございます。したがいまして、当面の問題といたしましては輸入の大豆油かすをできるだけ避けるということで、現在はほとんど発注が行なわれておりません。それからあとは手持ちになっております国内の大豆油かすをできるだけ使用を促進するということでございますが、最近では配合飼料の荷動きがかなり停滞をしておりましてその点で問題があるようでございますけれども、できるだけそういう方向で私ども今後指導をいたしてまいりたいと考えております。
  207. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私はその御回答でははなはだ不満なのでございまして、現状は輸入なんかでまかなっていけるでしょうけれども、しかし今後二、三年先のことを考えたら、これは非常に大きな問題でございますので、ぜひともひとつ十分なる対策を御検討願いたい、こういうふうに思います。  先へ急ぐ関係上、質問をかえますが、いわゆる為替相場の問題で今回円高になりましたから、その対応策として全農の還元方式というようなことが打ち出されて幾らか安くなるようでございます。あるいは還元されるというような方向が明確になっているわけでございますけれども、一体農林省は、特に畜産局としては将来の円安、円高の問題に対してどういうような対応策を持っているのか。円安の場合には価格に対してどういうような影響を与えていくと考えているのか。その場合どういうような対応策を持っているか。あるいは円高の場合、今回は同じようにそういった還元方式をとらせようという行政指導が考えられているのか、そこら辺の問題をひとつ簡単にお願いしたいと思います。
  208. 下浦静平

    ○下浦説明員 たいへんむずかしい御質問でございますが、この為替の関係が変動相場制になりまして、この変動相場制につきものの問題が起こってきたということでございます。したがいまして、私ども昨年の暮れからことしの正月にかけまして相当、円安、ドル高ということになりまして実は事態を憂慮いたしておったわけでございますが、それが値上げにつながったということであります。ところが、三月ごろからまたかなりゆるんでまいりまして、二百七十七円、八円というようなところまできておるわけでございますので、それから先物等も見ます場合に、かってのほどではないというような状況になってまいりましたので、全農を指導いたしまして、先ほど先生おっしゃいましたような措置をとらせたわけでございます。  さて今後の問題でございますけれども、これはたいへん見通しとしてはむずかしいわけでございますが、なお円に有利な展開というようなことがございます場合には同じような措置をとらせてまいりたい、こう考えております。
  209. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんので、質問をたくさん用意してあるのですけれども、問題をしぼります。  さて、為替差益の利益の還付金が今度行なわれたわけですね。そういうことと相前後するかとは思いますけれども、これは四月になってからそういうことが決定されたわけですが、私が愛知県のそういうある業者の実態を調べてみますと、三月二十九日に五トン以上配合飼料を購入している業者、これは肥育業者もありますし、あるいは鶏卵関係ですか、鶏を飼育している業者の問題もありますが、その飼料会社から三万円前後の理由不明の還元をかなり広範囲に行なっておるわけなんですよ。これは昨日農林省のほうにいろいろ伺ってみますと、いわゆる飼料というものは自由価格であるから、会社によっては、特に関西が多いそうでございますけれども、関西を中心にしてリベートが商習慣としてかなり行なわれておる、こういうようなことなんだそうでございますけれども、しかしよく考えてみますと、そういった飼料原料というものが、動物たん白を摂取するというそういう高賃金からくるところの世界情勢の中から見て、今後飛躍的に価格が低下するということは考えられない、よくて横ばい、悪ければやはり漸増というような形で推移をしていくことは間違いはないわけでございますから、やはり飼料の価格体系の整備が絶対必要だと私は思うのです。私が聞いたある業者については、三万円前後のお金を小切手でもらって、この金は何ですかと言ったら、まあいろいろと皆さんも飼料が高くなって困るでしょう、そういうことがありますので、いままでごひいきをいただいたのでまあとっておいてください、こんないいかげんな価格体系のありようであったのでは、これは一般の国民の目から見たらきわめて不明瞭、飼料会社がやはりいろいろな価格操作あるいは配合の問題等を通して不当に利益を得ているんじゃないかというそういう疑義の念がどうしてもぬぐい去ることはできない。ひとつ畜産局としてはこの不明朗な、理由不明のリベート問題、これを調査をしまして、その実態を明らかにすると同時に、ここら辺の価格体系のやり方についてメスを入れるようなつもりはございませんか。
  210. 下浦静平

    ○下浦説明員 配合飼料の販売でございますが、これはただいま御指摘のございましたように、割り戻しといいますかリベートと申しますか、そういったような形のものが従来の商慣習というような形で一部ございます。ただいま御説明のございました点につきましては調べさしていただきたいと思いますが、先ほどお話のございましたとおり、全農におきまして、二月、三月の還元、それから四月も、これは五月、六月の建て値改定に伴いましてその分の還元、こういうことにはっきりと方針が打ち出されておりますので、大体私どもは、そのような方向に即しまして一般のメーカーのほうも措置をとるように指導をいたしておる最中でございます。何かわけのわからないような還付金というのは、御指摘のとおり好ましいところではございませんので、とにかく還元をするなら還元をするではっきりした還元のしかたをするように、それから建て値の改定をするならばこれもはっきりした形で建て値の改定をするように今後とも指導をしてまいりたいと考えております。
  211. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの問題これは実態調査をすべきだと思うのですけれども、一体これをいつごろまでにおやりになるつもりか、あるいはこういう実態があるということをすでに農林省でも感覚としてつかんでいらっしゃるようでございますから、いま審議官のお述べのように、為替差益その他の問題があるからこういう形で還付金をいたしますとかいうような原則論を明確にしなければ、大きな疑問を社会に残すことになりますが、こういった問題をどういう形で全業者に通達をし指導をされますか。これはいつごろまでにおやりになりますか。
  212. 下浦静平

    ○下浦説明員 すでにおもなメーカー、十五社程度でございますけれども、これにつきまして、通達は出しておりませんけれども、連絡をいたしまして指導をいたしております。したがいまして、その指導の結果が出てまいりますればかなりの程度はっきりいたす。はっきりしない場合にはさらにこれをはっきりさせるというような措置をとってまいりたいと考えております。
  213. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ではその後の問題はまた別の機会に、時間を経過したときに御報告をいただくことにいたしまして、飼料問題の今後の対応策というのはいろいろあると思いますけれども、まず一つは、日本はその大半を海外に依存しているわけでございますから、安定供給を国外に求めること、これは大事でございますね。それからわが国の飼料原料の生産高というのは急速に低落をいたしておる。この問題はやはりある程度その自給率を高めていかなければならない。これは人口の爆発的な増加と食糧問題というものは今後の日本だけの問題ではなくて地球全体の問題でございますから、そういう方向を人類全体がたどっていることも明確な事実でございますから、やはりわが国としてもこの飼料原料の生産高の自給率というものをある程度目標を置いていかなければならないが、どこら辺に目標を置いておられるか、あるいはそこの目標まで高める自信はあるのか、こういう点についてお伺いをしたいわけです。  もう一ぺん繰り返し申し上げますが、安定供給については、この間バッツ長官がおいでになって、ことばの上で確約はしておられるが、しかし日本政府としてはさらにその話を具体的には詰めてないわけでしょう。そこら辺を詰める必要がある。これに対するお答えをもらいたい。それから自給率の問題についてお答えをもらいたい。それから備蓄制度を活用していかなければならないことは当然なのでありまして、私はいまここでこまかい論議をしようとは思いません。備蓄制度の活用、それにしたって、国でやるとかあるいは流通業者がやるとかあるいは飼料の末端消費者、そういった人たちがやるとか、いろいろな角度はありましょうから、こまかいことは別にしまして大筋のお答えをいただいておきたい、それから経企庁長官にお伺いする、こうなります。
  214. 下浦静平

    ○下浦説明員 たいへんに広範な御質問でございますが、まず安定供給の問題で、自給率の高度化の点でございますが、これは飼料全体といたしましては、先生御指摘のとおりだと思います。と申しますのは、家畜の中にも一大家畜と中小家畜とがございまして、中小家畜は、豚と鶏でございますけれども、大家畜につきましては、これはやはり草なり飼料作物と申しますか、ああいったようなものをもっと食べさせなくてはいけないということでございまして、この関係で、私ども、草地造成なり、飼料作物の耕地への導入、こういうことを従来力を入れてまいりましたけれども、さらに今後とも努力をしてまいりたい考えでございます。  それから中小家畜でございますけれども、これは大部分が、ただいまでは配合飼料にたよっておるというような現状でございまして、この配合飼料の原料は、よく先生御承知のとおり、トウモロコシあるいはコウリャンというものが主体になっておるわけでございます。したがいまして、このトウモロコシあるいはコウリャンというものを国内生産でまかなえるかということになりますと、非常に生産性自体の国際的な比較上の問題、あるいはこれは表作でございますので、国内における作物の選択の問題等がございまして、これは将来は、かなりの程度は輸入にたよらなくてはならないのではないかと考えております。したがいまして、その安定輸入につきましての——輸入の安定供給と申しますか、そういう点につきましてのいろいろなことを考えていくほかはないのではないかというぐあいに考えております。たとえて申しますれば、輸入先国の多元化という問題でございます。  それから自給率の問題でございますけれども(石田(幸)委員「時間がなくなりましたから、またあとでお聞きします」と呼ぶ)——それではかいつまんで申し上げます。自給率の点でございますけれども、これは、ただいま農政審議会で御検討をいただいておりますので、その結論が出ましてから、それを踏まえまして、私ども考えてまいりたいと考えております。  それから備蓄の件でございますけれども、ざっと申しますと、飼料穀物の備蓄につきましては、四十九年度から私ども手をつけたいと考えておりまして、すでに予算措置もとられておるわけでございます。その内容を申し上げますと、四十九年度におきましては、政府でランニングストックの分を入れまして二十一万トン程度、それから民間で二十万トンということを考えておりまして、合わせて四十一万トン程度でございます。これは五年後には、ただいま国内で一カ月分のストックがございますけれども、これを二カ月分まで持っていこうというような考え方でおります。
  215. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこら辺のところは、いま御説明いただいたところは、私ども勉強してわかっておるわけですが、その先の話を聞きたかったのですが、きょうは時間がないのでやめます。  さて、経企庁長官にお伺いしたいのでありますが、いま食料問題にしましても、御存じのとおり、非常な高騰をいたして、飼料原料が上がったために農家、畜産業者に対して非常に不安を与えておるわけですね。先般は石油ショックの大きな波乱があったわけですね。そういうような問題をいろいろ考えますと、国全体の経済活動の中に、いわゆる備蓄機構というものを基本的に考えていかなければならないのじゃないかということを私は考えておるわけなんです。と申しますのは、先般の石油ショック以来、どういう現象が起こっているかといいますと、少し資力に余力のある会社は、自分のところで、いわゆる重油タンクなり、そういうものを設置しようというような動きが、かなりいま顕著になってきているわけであります。それはああいうような供給不足というような状況を避けよう、こういうようなところから企業が自衛手段として講じておるわけでございますけれども、そういうようなことを考えますと、これは国の段階あるいは流通段階あるいはわれわれ一般消費者の段階においても、食料品の問題からあらゆる問題についてやはり備蓄というものを本格的に国の施策として考えていかなければならない段階に来ておる。まあ一例を申し上げますならば、たとえば、かつて北国方面においては豪雪問題がありました、あるいは先般はゼネストということで緊急に生鮮食料品等の輸入体制もつくったわけでしょう。そういうような問題を考えますと、さらにまた、あらゆる原材料は、わが国においては、いわゆる製品輸出国でありますから、そういうような原材料も海外に依存しておる。前回石けん不足のときにも原料の一品目が不足をしておるから、なかなか大量生産には踏み切れないのですというようなことを言うておった石けん業者もある、そういうようなことを考えますと、国の中にそういう備蓄機構というものを真剣にこれは考えていかなければならない、取り入れていかなければならない、そういうふうに私は考えるわけなんですけれども、買い占め、売り惜しみの問題にいたしましても、たとえば大豆問題にいたしましても、とうふ生産業者が二カ月なら二カ月分の備蓄というものを個々の店が持っていたとすれば、そういう問題にも対応し得るわけでございましょう。あるいはこの前、ニクソンが飼料穀物の輸出規制をいたしましたけれども、そういう問題だって、考えてみれば、一カ月、二カ月の外交期間があれば、これは十分解決できる問題になっておるわけです。そういうことをさまざまに総合的に考えてみますと、やはり備蓄制度というものは、国民経済安定のために備蓄機構そのものを経済の中に組み入れていかなければならないものじゃないかと私は思うのですけれども、経企庁長官、どうお考えになりますか。
  216. 内田常雄

    内田国務大臣 飼料に限らず、私ども人間の食料でありますところの農産物につきましても、同じことでございまして、私どもは、石田さん御発言のことを、これは石油の例にならうまでもなく、近来たいへん心配をいたしておるわけであります。事飼料に限って申しますと、先ほど来農林省からお話がございますように、大家畜用の粗飼料というようなものは、これはでき得る範囲のものは国内で草地の大規模開発等のために財政的な助成をいたしてまいるとか、あるいはまた転作等のために奨励金を出すというようなこともやりますが、これは年々の産物でありますから、草をサイロなどに入れて備蓄するということもありましょうけれども、むしろ国内供給の余力をできるだけふやしていくということが、私は、しかるべき政策だろうと思いますけれども、さて配合飼料のような濃厚飼料につきましては、なかなか国内生産ということが、さっき農林省の申しますようなことで及びませんので、どうしても相当部分を海外の輸入にたよる。そうした場合には、やはり備蓄の問題が当然課題になるわけでございます。その備蓄を国でやるか、あるいは生産者段階でやるか、消費者段階でやるかというようなことにもなりますが、それは食管などの作用を通じて、国でやり得るものは国で考えなければなりませんでしょうし、あるいはまた、生産者段階で、あの飼料の原料になるものを持たせるために設備の助成とか、あるいはその金利助成とかというようなことで済むものはそういうこともございましょうし、これはまあ濃厚飼料の——私も詳しいことはわかりませんけれども、性質に応じまして、いろいろなくふうをしてまいるべきだと思います。しかも今日、備蓄量が一カ月と何カ日分かあるものを二カ月分にふやせばいいというようなことで足りるものかどうか、非常に少ないようにも思いますので、この問題は今後石油などの備蓄の問題とあわせて、十分私どもは農林省とともに検討を加えてまいりたいと考えるものでございます。
  217. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その程度のお答えならば、私どももそれは予測していることでございますが、私は、いま申し上げているのは、たとえば米の生産過剰というようなことになりますと、全国的にまた倉庫をつくらねばならぬというような、非常に経費の増大も考慮しなければならぬことになるわけでして、いわゆる経済活動の中に備蓄という問題を国、自治体それから業者、消費者の段階に至るまで、経済活動の一環としての備蓄の考え方というものを浸透させなければならぬ、こういうふうに実は考えております。たとえば私ども委員長が国会の中でも発言いたしましたけれども、そういった米が生産過剰になって倉庫をたくさんつくらなければならぬというような悲鳴をあげているようなときには、各家庭にたとえば二カ月ぐらいずつだけでも備蓄してもらったら簡単に片づくではないか、かなり大幅に緩和されるじゃないか、こういうことも言うたこともありまして、そういう意味で私は申し上げておるわけであります。来年の経済政策の中に、そういった備蓄機構の考え方というものをもう少し明確になさるお考えはございませんか。
  218. 内田常雄

    内田国務大臣 来年を待つまでもなく、四十九年度、本年度の飼料や食糧等の備蓄につきましては、例の農業基本法に基づく国がその新しい年度において講ずべき施策というところにも若干実はこの問題にも触れております。しかし、私も実際はそれをいまあらためてここで読み返しておったわけでございますけれども、石田さんが御満足のいくような具体的な方途にまで、この国会に報告された本年度のその備蓄の施策は言及されておりませんので、それは明年度五十年度だけで片づく問題ではないわけでございましょうけれども、この問題はすでに昨年、経済企画庁が各省と打ち合わせて政府として出しました経済社会基本計画の中でも、農林関係の物資や飼料についての備蓄の問題にも触れておりますので、これらの計画につきましても現在フォローアップといいますか総点検をやっておりますので、この問題は新しい課題としてさらに一歩深く踏み込んだ対策を、私は政府として立ててまいる必要があると思います。おっしゃるとおり家庭にみな持たせることがいいかどうか、あるいは食管で国の食糧債券等の発行によって持つのがいいのか、いろいろそれはございましょうけれども、その辺をも含めて政府としても真剣にこの問題を取り上げていくべきだと考え、各省を督励してまいりたいと思います。
  219. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これでやめますが、私は何も農産物だけ、飼料の問題だけを取り上げていま経企庁長官に申し上げたわけではないのでございまして、経済のあらゆる資源問題というのは今後も非常に大きな国際的な問題になっていくわけですから、この観点からひとつぜひとも考えていただきたい。国が持つか消費者が持つか、これはいまとても時間がありませんので議論はできませんけれども、この点を要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  220. 平林剛

    平林委員長 次回は、明二十六日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会