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浜田参考人 御紹介いただきました灘神戸生協副
組合長
浜田でございます。
まず
最初に、灘神戸生協につきまする概況を若干申し上げます。創立は大正十年、
消費生活協同
組合法によりまして設立されておりまして、神戸市を中心といたしまして、西は加古川、明石市、東は
大阪市に境を接しまする尼崎、この間九つの
都市が兵庫県瀬戸内南部にございます。その一帯が認可区域でございまして、その間におきまする人口はおおむね三百十万人でございます。その中で、ただいま灘神戸生協の
組合員としては三十六万二千世帯、したがってこれを人口に換算いたしますなれば百三十万人内外、したがって三百十万人の総人口の地域内におきまする灘神戸生協の
組合員としての組織率は、約四%強になってまいります。それらの
方々、
組合員は主婦が中心となりまして、資金を持ち寄って運営されているわけでございまして、現在その出資金は約八十億円でございます。日常の
生活必需品を重点的に取り扱っておりまして、運営につきましては、
消費者、
組合員の
方々がさまざまな形で生協の運営に参加できるような、またその意思なり、お考えが日常活動の中に十分反映できるような制度をとっております。
昨年十一月からことしの一月にかけまして、御
承知のとおり次々と発生いたしました
商品パニックに対しましては、それの
商品を補充して、どうしても不安のないようにしたいというために、優先した
一つの
政策をとってまいりました。もちろん
価格をなおざりにするわけではございませんけれ
ども、ともかくそのパニックに対して対応しよう、こういうことから極力つとめてまいったのでございますが、十一、十二、一月の三カ月通算で、前年対比でこれをとらえてまいりますなれば、その最もひどかったトイレットペーパーにつきましては、私
どもが二五%の、前年対比三カ月よりも多く入っている。それから洗剤につきましては二〇九%である。その他の砂糖とかしょうゆとかさまざまございましたが、そういうものにつきましてはおおむね二〇〇%前後のものが
組合員に、前年対比よりかなり多く供給された、こういう結果が出ております。
そして問題は、これらの
商品をどのようにして
消費者に公平な分配をすることができるか、どうして公平に分配しなければならないかということでございますが、その点におきまして、前半につきましては私
ども必ずしも十分でなかった、こういうふうに反省をいたしております。と申しますことは、
消費者、
組合員の皆さん方に行列を次々つくらしたということにつきましては、非常に残念であった、こういうふうに思っておるのでございまして、もちろん行列をなさる
消費者の方たちが、何回か何回か同一品をよけいに買いなさる、そうしてまたそれを買うことができなかった
消費者もあったのだということに対して、もっとじょうずにやれなかったかなというふうな反省をしておるわけでございます。
そういうことから、実は別の現象が出てきております。と申しますのは、現在三十六万二千世帯の
組合員の中で、昨年の十二月とことしの一月の二カ月間で、
組合員が五万三千世帯という急増をしておるわけでございます。品物が一般市場に非常に品薄になってきた、生協なればともかく何とか公平な配給もしよう、そして一生懸命やっておる、こういう御認識であったか、ともかくこの二カ月間で驚くべき
組合員の急上昇があったという事実でございます。そのことが三十六万二千世帯に加わったわけでございます。
こういうことで、ともかく懸命に対応いたしました。そういうことそれ自体は、まだ未加入であった市民の共感を呼んだ結果であろうかというふうに見ておるわけでございますが、その点につきまして、昨年十一月二日の日に関西に怒濤のように押しかけましたあのトイレットペーパーを中心とするパニックの状態につきまして、いまだもって私
ども、なぜそういうことになったかということに対します根本的な理解ができておりません。私
どもの西日本において知る範囲におきましては、
大阪におきますあの大集団のニュータウン千里山ですか、この一帯に起こって、それが西の方へ波及したんだということがいわれておりますけれ
ども、そのことは、団地生活というものが非常に特殊な雰囲気の中にある、そして、トイレットペーパーは他のものをもってかえることができないという、高層住宅地の水洗における必需品であった。そのことが何かのきっかけでどういうふうになったのか、それがずっとその周辺から西のほうへ蔓延をしたというふうな状態やに承っておりますけれ
ども、ともかくそういう
事態が発生する以上は、懸命に
努力をしなければいけないのは当然でございます。当日、私
どものほうへ神戸市の生活局長あるいは生活部長が、一大事だ、何かいい
対策はないかということで早朝からお越しになりまして、私
ども要請を受けましてとも
どもに
対策協議を行ないますとともに、午後になりまして、また兵庫県のほうの生活課長さん、沿線各市の市民課長さんがお越しになりまして、こういう騒ぎに対して何か生協として市民に対する
協力ができないか、こういうふうな
要請がございまして、ともかくもいろいろ御協議を申し上げました。こういうことでございます。
灘神戸生協は、全
取り扱い品のうち六四%が食料品でございます。その日常生活に欠くことのできない食料品の中のなまもの、生鮮食料品が全体の三六%、一般的な食料品が二七・六%で、他の非食料品、これは衣料品とか家電とか入れまして、全体の三六・四%である。こういうふうな年間の
取り扱い品の構成でございます。そういたしまして、トイレットペーパーに例を求めますと、平月におきましては、四個入りのものでございますが、大体十六万から十八万パックを毎月扱っておるわけでございます。それが二百何十%というふうな形において
対策を講じたという状態でございます。
なぜ市御当局なり県御当局が私
どものほうにその
対策についていい方法はないだろうかと来られたかということは、これだけ大量に
生活必需品としてのトイレットペーパーを取り扱っている機関はそうたくさんないのでございます。非常にかさが張って
値段が安くて、そういうものは御商売としてはあんまり芳しくないかどうかは存じませんが、これだけの大量のものを扱っている機関はそうたくさんない。したがって、これにパニックが起こった、どうするかというふうなことであろうかと思っておるのでございます。
次に、なぜこのような
消費者の買い急ぎが次々起こったかということでございますが、私
ども、不十分でございますけれ
ども、次のような見方をいたしております。それは、第一に適切な
情報が
消費者に与えられなかったという点でございます。第二はむしろ最大のものでございまして、はかり知れないところの
価格上昇に対する、あるいはインフレに対する主婦の方たちの不安と、それに対する自衛行動であったというふうにとらえて見ておるわけでございます。
消費者の、特に家計を預かるところの主婦の切なる願いは、どうしても
価格の安定と抑止ということであろうと思います。いま申し上げました、
生活必需品を中心として
消費生活に、どう私
どもの日常の働きがささやかであってもお役に立ち得るかということで懸命につとめております、それに対する期待が、私
どもとしてはほんとうに今回ほどはだに触れて痛感されたことはございませんでした。
で、全力をあげましてこれに取り組む決意をして今日に及んでおるわけでございますが、実は先ほど来もお話がございましたけれ
ども、どうしてもこの不安に対して、ささやかであってもわれわれができる範囲内において取り組んでみようというふうな考え方から、はたしてやれるかなという不安を残しつつも、私
どもといたしましては、生鮮食料品を除く全品につきまして、三月一日現在をもちまして
価格凍結を行なっております。まず第一段といたしまして、四月末日をめどに置いております。その私
どもがいち早く不安を残しつつも打ち立てましたことにつきましては、もしこういうことが社会的波及効果が出るなればなというひそかな願いもあったわけでございます。
なお、今般農林、通産御当局から
価格凍結の御
要請をされておりますこと、またもちろんこれに対しまして各界が御
協力申し上げておりますことにつきましては、私は時宜を得たものと理解いたしております。けれ
ども、この市民、国民の願いにこたえるためには、やはりこれだけではいかないのじゃなかろうか、もう
一つくふうと詰めが今後において要るのではないかというふうな気がいたしておるのでございます。
次に、
価格抑制のために、また主婦の願いに最もよく沿うために、どういうことを考えねばならないだろうかということを一言申し上げてみたいのでございます。
ちょっと前後いたしましたが、私
どもは、公平な供給をどのように行なうかということを十二月の上旬に、これではいけないということでこれはメンバーシップ制度でございますから、新しく
組合員証の発行がえをいたしまして、言うなればそういう特定品に対します
消費者の自制を
お願いいたしたい、洗剤であるなれば、一日四十グラム通常の家庭で使えばよろしゅうございます、したがって、月間一・二キロあればいいんだ、したがって、二・六五キロの箱をお持ちくださったら二月分ありますよ、あとそれ以上はどうか御遠慮してください、まだ回らない方もあるんですからね、こういうふうな考え方を込めた、
組合員みずから律するところの言うなれば購入通帳を
組合員証とともに発行する、これを一月早々に実施してまいりました。このことによって、
組合員の非常な不安をなくすることと偏在を防ぐという公平な分配につきまして若干の寄与をしたのではなかったかというふうに思っておるわけでございます。
それでは、前に話を戻しまして、まず、生鮮食料品の
価格安定とその補給ということが主食の米と同列にある比重として私
どもは受け取っております。そのために第一番に、現在の
中央卸売市場におきますせり制度に対して上限、下限のある一定の制約をすべきである。
価格の乱高下を防ぐためにも、せり制度に対して上限
価格、下限
価格のことを何らかの形でやるべきではないか。そのことは当然法改正を伴ってくるでしょうし、また具体的なやり方につきましては、それぞれ各界の専門の
先生方によります審議が要るとは思いますけれ
ども、このことは、
消費者のためにも
生産者のためにもほんとうに考えてみなければいけない問題ではございますまいかという感じをいたしております。そして特に野菜につきましては
生産者
価格の現在の保障体制からもっと厚みを加える必要がある。と申しますことは、何としてもそれらの方たちが安心をした農業見返りといいますか、安んじてとにかくつくるんだ、そして
供給量をふやすということに対するそういう
措置がもっと厚みを加えられてしかるべきではなかろうかという考え方が
一つでございます。
その次に、同様に、国内で
不足する場合には野菜類の
輸入に関しまして、特に昨年からことしの早々にかけまして異常な干天が続きましたときにおきまして、その
輸入関税について弾力的適用を行なわれてしかるべきではないか、こういう考え方でございます。野菜類の
輸入につきましてはなまものであるというところのリスクがございます。また国内市況の乱高下もございます。そういう点におきまして絶えずリスクが伴っておるにもかかわらず、一般
消費者、市民は高値で困っておるんだという場合に、また国内で非常な干天でできが悪かった、こういうときにあえてそういうものを国外から
輸入してくるわけでございますから、それに対する関税につきまして、いろいろ種類がございますが、特恵とかあるいは協定とかございますが、ともかくこれを一時的に弾力関税の適用をもっとほんとうにやるべきではなかったのかという気がいたしておるのでございます。今後もそういうことが発生するかもしれない。
その次に、これまた質が違ってきますが、包装資材、容器の
高騰は目を見張るものがございます。これがすべて
消費者物価に重なってきております。この点につきまして、これらの物資の影響が非常に大きい。しかしその素材、原料がいずれもパルプ、紙あるいは石油化学製品からなる二次加工品でございます。それらがさらに、製造なさっている向きの大
企業さんだけにとどまらないで
中小企業さんもおありだと思っておりますが、どちらにいたしましてもいまの
価格が妥当なのかという疑いを私
どもは持って見ております。そういうことで、もし上乗せの無理がございますなれば、追跡
調査によって、それが
消費物資の
価格に非常な影響を及ぼしているという点におきまして御検討くださると非常にありがたいのではないか、こういうふうに思うのでございます。
たとえば一例をもって申し上げますと、私
どもは
生活必需品としてのおとうふを一日に三万五千丁みずからがつくっております。そしてこれらの
消費者価格は一丁三十五円、おおむね目方は三百八十グラム、市中のものと同じでございます。丸大豆からつくっておりますが、その大豆の原料はささやかでございます。現在いろいろ
価格の相場はあるにいたしましても、木綿どうふにいたしまして一丁分で丸大豆の原価はせいぜい十二円内外でございましょう。と申しますのは、六十キロ一俵五千九百円ないし六千円のところに相場をおいて見たなればそういう
価格になる。ところが、それに対しますおとうふのトレー、入れものでございますね、これは化学製品の二次製品でございますけれ
ども、このトレー
一つが現在四円から三円八十銭の間いたしております。原料が十二円そこそこなんです。それに対して、入れもののほうが四円内外いたしております。それに今度は衛生上の
関係でフィルムを巻いていきます。そのフィルムがやはり一円強いたしております。そうしますと、中身がわずか十二円内外に対して約五円がらみの包装費がかかる。たとえば加工費がいろいろ出てまいりますけれ
ども、それが昨年四十八年一月には何ぼしておったか。わずかに八十五銭なのでございます。ということは、いろいろな積算をしてみて一体ほんとにそれだけの無理なものがないだろうかというふうに、これは
一つの例でございます。そういう点で包装資材というものがたいへんに
消費者価格に影響しているということを私は力説したいのでございます。
最後に、先ほ
どもお話しございましたけれ
ども、世界的なインフレなりあるいは原料、資材の驚くべき
高騰というものは、今後
わが国だけが避けて通るわけにはいかないと思います。そうした場合に問題は、先ほど申し上げましたように、いまの主婦の方たちが物がなくなると思うて先買いなりそういう行動をなさったものではない。どこまで続くぬかるみかということで
価格の心配をされて次々先買いに走っていきなさったのだとするなれば、問題は今後また発生する余地はないのかという問題でございます。その危険性があるということは、
価格がどんどん上がるなら先に買ってしまおう、こういうことが出てくるならば、それに対する公平な分配をどうするかということを主眼とした
対策を国全体があげてお考えおき願わなければならぬ問題じゃないかという気がしておるのでございます。そういう点で、ここでは時間もございませんから、またお尋ねによって申し上げますけれ
ども、私は、そういうことがあったなればたいへんなことになるのじゃないか、そういうことで公平な分配
措置をどうするかということが、やはり手をつくべき
一つのポイントであるように思っておるのでございます。
時間がまいりましたので恐縮でございますが、最後に諸
先生方にぜひ
一つお願いがございます。
それは、生協は
消費者がみずからの組織として供給活動を行なっております。今回のパニック等につきましても、あるいは
物価の抑止につきましても、
全国の生協は微力ではございますけれ
ども、一生懸命取り組んで今日に至ってきております。そういう中で現在の
消費生活協同
組合法には幾つかの不備な点がございます。どうかそういう点を改めてくださって、そして生協活動というものが国民の
消費生活の上に、また経済の上に、さらにもっとお役に立ち得る働き方、あるいは
生活関連物資等につきましても同様でございますが、そういうことをさすためにも、育成方向におきまして法改正が必要であると思います。そういう点につきましてひとつ特段のお骨折りと御配慮をしていただけますなればたいへんありがたいことだと思いまして、一言
お願いを申し上げておきます。
終わります。(
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