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1974-03-28 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 山下 元利君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 野間 友一君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       片岡 清一君    吉永 治市君       加藤 清二君    金子 みつ君       中村  茂君    山中 吾郎君       小林 政子君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席政府委員         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         通商産業政務次         官       森下 元晴君  委員外出席者         参  考  人         (日本チェーン         ストアー協会副         会長)     岡田 卓也君         参  考  人         (日本織物中央         卸商業組合連合         会専務理事)  清水 昭重君         参  考  人         (日本専門店会         連盟専務理事) 新木精之助君         参  考  人         (灘神戸生活協         同組合組合         長)      浜田 吉人君         参  考  人         (日本百貨店協         会専務理事)  藤田 正次君         参  考  人         (日本倉庫協会         会長)     松村 正直君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   山中 吾郎君     加藤 清二君 同日  辞任         補欠選任   加藤 清二君     山中 吾郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(生活関連物資等流通  問題)      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として、日本チェーンストア協会会長岡田卓也君、日本織物中央卸商業組合連合会専務理事情水昭重君、日本専門店会連盟専務理事木精之助君、灘神戸生活協同組合組合長浜田吉人君日本百貨店協会専務理事藤田正次君、日本倉庫協会会長松村正直君、以上の方々の御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  御承知のとおり、物価問題は、国民生活にとってきわめて重要な問題でございます。本委員会におきましても、物価安定対策について鋭意努力をいたしているところでございますが、本日は特に、生活関連物資等流通問題について、実務に携っておられる各位から御意見を承り、調査参考にいたしたいと存ずる次第であります。何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  なお、議事の進め方といたしましては、最初岡田参考人清水参考人新木参考人浜田参考人藤田参考人松村参考人の順序で、お一人各十五分程度意見をお述べいただき、その後委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず最初に、岡田参考人お願いをいたします。
  3. 岡田卓也

    岡田参考人 岡田でございます。  本日、この物価問題特別委員会に、私ども流通を担当いたしております者を御招集いただきまして、流通につきましての現状を申し述べることができますことを、非常に私としては喜んでおる次第でございます。  われわれチェーンストアー協会におきまして、今回の物価騰貴について、いろいろな問題点が出たわけでございますけれども、その問題点を、十二月時点と一、二月時点、そして現在というように、三つに分けてまず申し上げてみたいと思います。  第一の昨年末でございますと、非常に私ども情報不足等がございまして、チェーンストア末端におきましても、いろいろな混乱が現出をいたしまして、消費者方々に非常な御迷惑をおかけしたことを、まずおわびを申し上げたいというように思っております。  しかし、十二月の場合には、メーカー値上げ攻勢も非常に急速でございましたし、また、私どもチェーンストアという体質からも、在庫品は、平生の在庫品しか在庫いたしておりません。したがって、情報等も非常に不足をいたしておりまして、非常な混乱におちいった次第でございます。  しかし、一、二月の現状におきましては、私ども業界としては、他の業界に先がけまして、業界といたしましても、一月の二十五日には、チェーンストア協会として、物価に対する、特に生活必需物資に対する値下げ問題につきまして、混乱に乗じて価格をつり上げようとする生産業者には協会の力を結集して対抗する。二番目といたしましては、内外の供給源開発と確保につとめ、生活物資安定供給体制を確立する。第三番目といたしまして、より一そう流通コスト低減につとめ、あくまで低価格販売を推進するという三つ決議をしたわけでございます。それに呼応いたしまして、それぞれの会員は、物価値下げにつきまして強力に働きかけをいたしまして、われわれの協会会長でありますダイエーあるいは西友その他イトーヨーカ堂、ニチイ、いづみや等すべての大手チェーンストア、それからさらに、中小チェーンストア協会員は、次々と値下げ発表をいたしまして、そしてこの物価に対しての高騰を食いとめる一助にしたわけでございます。これを行ないましたのは、まだ他の業界においてはそのような値下げ宣言をいたしておらないその先べんを私ども業界としてはつけたわけでございます。  そこで、二月に入りまして、その後も次々とそのような対策を打ち出していったわけでございます。十二月におきましては、私どもはまず第一には、供給責任というものをいかに果たすべきかということで懸命になったわけでございますけれども、年が変わりましては、いわゆる価格責任というものをどのように果たすべきかということから、先ほど来申し上げました値下げ運動を行なったわけでございます。  そして三月に入りましてからは、通産省要請によります価格凍結の問題についても、過渡期的な問題でございますので、積極的に協力をしたわけでございます。そして、その物資等につきましても、それぞれの企業が約三百から五百品目価格凍結品を発表いたしまして、その要請にこたえておるわけでございます。  しかし、現在に至りますと、すでにある程度消費需要も沈滞の傾向がございまして、現在では、商品の量におきましては完全に不足はいたしておりませんし、また、価格につきましても、物によっては鎮静傾向がかなり出てきております。ただ、海外の市況と関連のある商品あるいは石油価格関連のある商品につきましては、かなり行政介入によって価格が押えられておりますので、このものについては今後まだ価格高騰の気配がございます。しかし、消費といたしましてはかなり鎮静をいたしておるのが現状でございます。  一例を申し上げれば、砂糖につきましては、十月の時点指数を一〇〇といたしますと、十一月に一四七、十二月に二〇七、一月には一五三、二月には八七、三月には一〇〇というような指数でございまして、やや平生に戻ったということが言えると思いますし、十一、十二月あたりに消費者が買いだめをされた反動が二月に八七という数値になって出ておるのではないかというように思うわけでございます。  流通問題につきましては、私どもは従来の政府施策から考えてみますと、現在のこの物価高騰に対する短期的な問題については、これに対しては万全の協力をしておるわけでございますが、将来の問題につきましては、いままでの傾向で申しますと、大体生産第一主義に政策がなっておりまして、流通問題については全く施策がなかったのではないかというように思うわけであります。いままさに福祉政策という問題が非常に重要視されておるわけでありますし、それはしいては物価の問題が一番大きな問題であります。しかしその中でも特に消費者物価の問題については、政府施策としてはむしろこの流通問題についての施策に対しまして、現在私どもが感じております点を申し上げたいと思います。  現在の流通政策につきましては、物価上昇抑制のために総需要抑制でありますとかあるいはいろいろな行政介入があるわけでございますけれども、それはあくまで短期的な問題でございまして、長期的な問題については、われわれの業界に対しまして、競争原理というものにつきましてもあるいは流通部門の最末端でございます小売り業の再編成の問題につきましても、むしろその傾向に反するような政策が行なわれておるのではないかというように思うわけであります。  その一つは、最近施行されました大規模小売店法におきましても、流通近代化合理化という問題から、当初考えられたそのような内容からかなり後退した形でこの大規模小売店法が施行されたのではないかというように思うわけであります。いま物価問題あるいは流通問題というものが非常に大きな政治問題あるいは国民的な要望になっているにもかかわりませず、現在の施策といたしましては、むしろそのようなことに後退をしておるのではないかというように思うわけであります。われわれチェーンストアとしての使命といたしまして、この流通近代化合理化ということを推し進めているわけでございます。そこには必ずわが国におきます従来からの零細小売り商業の問題が出てくるわけでございますけれども、これについてはもっと積極的にボランタリーチェーンその他の組織化をするような施策を至急に講じていただかなければ、このような物価問題の基本的な解決というものはできないのではないかというように思うわけであります。  そのほか、小売り業システム化の問題にいたしましても、従来政府としていろいろな点で施策を講じてみえるわけでございますけれども、まだまだそれに対する予算措置あるいは税制問題等につきまして、いままで三十年代、二十年代に生産に対して政策として国が助成したものに比べますと、非常に微々たるものでございます。いまこのように物価問題が非常に大きな問題になり、そしてしかもそれが国民生活の中で重大問題となっておるときにあたりましては、一日も早くこの流通部門近代化合理化についての税制の問題あるいは予算の問題について、さらに充実をしていただきたいと思います。むしろ私どもとしましては、通産省の中に流通局すら、その局ができることがなくなったわけでございまして、消費流通省というものでそのような施策を、そういう行政充実をはかっていただきたいというように思うわけであります。  時間がございませんので、以上で失礼をいたします。(拍手
  4. 平林剛

    平林委員長 次に、清水参考人お願いをいたします。
  5. 清水昭重

    清水参考人 私は日本織物中央卸商業組合連合会という名称の団体専務をしております。なぜ中央卸という名前をつけたかと申しますと、地方卸に対する中央卸、こういう行政の分け方で中央卸ができたわけでございまして、東京名古屋、京都、大阪、四大集散地にございますところの卸売り業者、主として織物繊維を扱う卸でございます。約千八百社で構成しております。いずれも中小企業団体法によります中小企業が八五%を占めておるわけでございますが、集散地卸でございますので、取り扱い規模におきましては非常に大きく、各地区全体で一兆円程度の年間の取り扱いをやっておるわけでございます。  それから主として加工産業でございます繊維産業商品開発を受け持つ機能を持っておりまして、大体素材メーカー、紡績、機屋さんあるいはメーカーから受け、これを染色加工して最終製品にまで仕上げる。いわゆるコンバーター機能と申しますか、生産販売業者というふうな資格をおもに持っておるわけでございます。そのために、今度繊維局が中心になりまして、いま生活産業局になっておりますが、ポスト構革知識集約化のうちにも、われわれ卸売り業者の果たします役割りというものが、商品開発機能だとかあるいは情報収集機能だとか大きな機能を持って参加することになっておるわけでございます。法律はいま国会に上程して七月から施行になり、六月までで旧法は廃止になるわけでございますが、これに先立ちまして、いま産業政策局という名前に変わりましたが、もとの企業局、それと中小企業庁、両方の協力によりまして、流通システム化委員会がつくられまして、私どももその委員会に幾つも入りまして、まず商業政策というものはメーカーのように個別政策をとり得ない、いわゆるマクロ的に流通合理化をはかるためにはシステム化をやるべきだ、そういうことによって、それぞれ繊維繊維流通システム化委員会をつくり、業種別委員会を垂直的につくりまして、そのシステム化につとめておるわけでございます。  それが現状でございますが、昨年来非常に大きな状況変化に遭遇したわけでございます。先生方も御承知でございますでしょうか、昨年一−三月におきます突然異変的な繊維素材暴騰、これは一部商社の羊毛の買い占めとか、いろいろうわさはございます。まるで狂乱物価のように、朝鮮動乱を上回るような大きな暴騰がありました。それには私ども中小卸売り業者小売り業者もまた百貨店さんも狂奔いたしまして、だいぶ高い値段仕入れをして、それが現状でも在庫処理に苦しんでおるような状況でございます。しかしそういう狂乱物価というものも実勢を無視した物価でございますので、四月から逆転をいたしまして、いま非常に大きな相場のダウンに逢着しておるわけでございます。  それともう一つ繊維産業体質が変換いたしましたのは、一昨年でしたか、日米繊維交渉によりまして——私どもは相当の輸出をやっておりまして、輸出産業として誇りを持っておったわけでございます。私ども卸の中には輸出部を設けて輸出をやっているものもあったわけでございますが、輸出がまるでもう停滞をする。そこへもってきてドルが非常に過剰になりまして、政府がむしろ輸入政策を奨励する、そういうことになりましたので、われわれ繊維産業は、メーカーも卸も一体となって繊維産業の転換をはからなければならない事態が昨年日米交渉以来起こったわけでございます。したがいまして、輸出先を見つけるよりも輸入先を見つける、先進国とのブランド提携をはかりましてファッション衣料輸入する、後進国と資本の提携をはかりまして工場を建て、いわゆる定番品輸入をはかる、こういうふうな努力をいたしましたが、その裏目が今日出てきておるわけでございます。通産省の統計にもございますように、昨年は輸出が一〇〇に対して輸入が一〇〇という指数が示すように、繊維は完全に輸入産業へ転落したわけでございます。そのために一時は倉庫に入れないほど輸入品がはんらんをするという状況も起きたわけでございまして、それが今日大きな災いを来たしております。  在庫は、いま各卸売り業者在庫でも、前年同月対比少なくとも四〇%、五〇%の在庫増をかかえまして、それの処分に非常に悩んでおる。そこにまた石油ショックが生じまして、政府施策によって消費者生活防衛のための買い控えが起こりまして、繊維はいま、百貨店高級品はもちろんでございますが、一般的に消費者買い控えをして、むしろ食料を買うというふうな態度になってきておりますために、本年に入りましてわれわれの業界の売れ行きというものは非常に落ちて、前年同月比かえってマイナスのような企業も出てきておるわけでございます。  今度政府が御指導になりました生活必需物資安定供給値段の引き下げにつきましては、こういう時期でございますので、私ども卸売り業界としては全面的に協力をして、百貨店さんあるいは量販店さんの御要望に応ずるだけ出荷をしておるわけでございます。  それから、私ども関係しております卸十四団体でつくっております日本卸商団体連合会におきましても、去る二月二十六日にこの施策協力をするための決議をいたしました。  その決議を読み上げますと、「昭和四十九年二月二十六日 日本卸商団体連合会昨年十月の石油危機の突発を契機として日本経済は戦後はじめての苦難な時期に突入した。われわれ卸売業者はこの難局を打開するため政府施策協力し、物価の安定・消費者利益擁護のために下記各項の実効を期することを決議するとともに傘下企業徹底をはかる。第一 メーカーおよび小売業者協力生活物資需給の安定および流通適正化をはかる。第二 卸企業合理化システム化努力し、流通経費低減をはかる。第三 メーカーより不当な出荷規制および値上げ、または一方的な取引条件の押し付け等の要求があった場合には、所管官庁に連絡し、適切な措置をとる。」  これが卸十四団体、いずれも全国団体でございますが、その決議でございまして、今度のいわゆる生活必需品安定供給では、全面的に供給しておるのが私どもの現在の立場でございます。  なお、私どもとして今後政府及び国会要望いたしたい問題は、国際市場となりました繊維市場が無秩序な輸入をやっておりますのを、秩序ある輸入政策をとっていただきたい。これはやはり政府情報を早くキャッチして業界に流してもらうことが先決でございますので、そういうシステムをつくってもらいたいということでございます。  第二は、綿糸、毛糸、生糸、そういう原料の安定をはかってもらいたい。これは、一つには、商品取引所機能を適正に運用してもらいたいということでございます。  それから、生活必需物資取り扱いますところの卸売り業者への金融特別配慮を願いたい。いまのように金融がタイトになっておりますと、結局こういう資材をつくらして出すにつきましても、工賃も相当上がっております。そういう場合の金融は全然つかないわけでございますので、これを、ぜひとも強くお願いしたい。  それから、流通経費を削減するために、私ども卸物流施設が必要でございます。大規模物流施設をもっと各所に設けてもらいたい。現在大阪では二十三万坪の箕面の物流施設が稼働しております。東京におきましては厚木に約六万坪の物流施設をつくりつつございます。そのほか名古屋におきましてもいまつくりつつありますが、土地の単価が非常に値上がりしましてなかなか入手が困難でございます。すでに流通システム委員会におきましても、今後の流通システムの大きな課題は物流ネットワークをつくることであるということを決定しておるわけでございますので、ぜひこの物流ネットワークをつくるように政府で御助力をいただきたい。  以上が私のお願いでございます。(拍手
  6. 平林剛

    平林委員長 次に、新木参考人お願いいたします。
  7. 新木精之助

    新木参考人 私は、協同組合連合会日本専門店会連盟専務理事木精之助であります。中小小売り商立場について意見を申し述べさせていただきます。  現在、中小小売り商は、全国でその数がおよそ百四十九万店ありまして、その売り上げは、全国小売りの総売り上げの七九%を占めております。したがいまして、日ごろ国民生活の安定ということについては重大な責任を感じておるわけでありますが、それゆえに、今日の物価高騰、インフレという重大な事態に対してはとうてい無関心でおるわけにはまいりません。  ところが、わが国中小小売り商は、残念ながら、諸外国の中小小売り商に比べまして著しく零細でありまして、かつまたその数も非常に多いという、また同時に過当競争をしておるというのが実情でございます。このような事情から物価抑制をどうして全国中小小売り商徹底させるかということは非常にむずかしく、中小小売り商の諸団体でも非常に苦慮している次第でございます。  さて、政府におかれては、過般の百貨店チェーンストアなどに対して、農林省関係では十二品目通産省関係では百四十八品目商品について価格抑制自粛措置施策を打ち出されましたが、これ以前の去る二月二十日に全国中小企業団体中央会日本専門店会連盟日本商店連盟全日本小売商団体連盟全国商店街振興組合連合会全日本商店街連合会日本ボランタリーチェーン協会全国商工会連合会等中小小売り商の八団体では今日のこの緊急非常事態を憂慮いたしまして、便乗値上げや売り惜しみ、買い占めなどは絶対にしないという自主的な価格抑制共同宣言をいたしました。これを各新聞社に公表いたしまして、同時に各団体では全国下部組織に通達いたしまして徹底を期するようにいたした次第でございます。しかし、前述いたしましたように、その共同宣言も山村津々浦々にまで散在する零細小売り商徹底させるということは非常にむずかしいことでありまして、また時間もかかることでございますが、政府チェーンストア百貨店等の大規模小売り店商品品目を指定して、これの自主的な価格抑制措置を行なわせることを指導されたことは、同時にまた全国中小小売り商の自主的な価格抑制にも大きく効果があるものと期待しておる次第でございます。また私ども団体指導者政府施策に御協力できるきっかけができたものと思っておるわけでございます。  と申しますのは、もはや百貨店チェーンストア全国各小都市にまでその販売網を展開しておりまして、それらの大規模小売り店が各都市において特定商品自主的価格抑制をいたしますと、その都市中小小売り商店はおおむね特定商品については大規模小売り店価格に追従せざるを得ない立場にありますので、当然また自然に中小小売り商値上げをするわけにはいかないということになるわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、中小小売り商は数が非常に多くて、過当競争の状態にありますので、近所の店との価格を比べるとかあるいは他の店より安く売ってお客を引こうとかというようなことをいたしております。したがいまして、特に百貨店チェーンストアなど多くの消費者が集まりまして特定商品価格を知っておりますれば、それらの大規模小売り店価格より著しく高い値段中小小売り商店販売するということは不可能なことであります。こうした意味でわれわれ中小小売り商もでき得る限り今日の非常事態に対処して努力をいたす覚悟でございます。  しかしながら、一つ問題がございます。と申しますのは、価格商品需給量とは不可分の関係にありまして、商品供給量需要量以上にあるときには価格は自然に値下がりいたします。逆に需要量供給量を上回るときは値上がりするわけでございます。そこで価格だけを押えようとしても無理でありまして、価格を下げようと思えば同時に供給量もふやさなければならないということでございます。最近多くの商品値上がりムードの中で、たとえば乗用車でございますとかあるいは家庭電機でございますとか、あるいは繊維製品でございますとかいうものが値下がりムードにありますことは、これはまさしく供給量需要量を上回る、あるいは消費者買い控えによる結果でございます。  よって、この際、政府に、特に生活必需商品等については消費者の不安のないように、消費者に不安に思わせないように、また経済原則に従って価格が上がることのないように、メーカー卸売り業者に対して、適切な量産、販売をして、中小小売り商がほんとうに自主的価格抑制措置ができますように政府の強力な御指導お願いする次第でございます。  従来、ともすれば卸売り業者は、品薄商品については、大量仕入れをする百貨店チェーンストア等に対しては優先的に多量に卸販売をいたしますが、中小小売り商には差別してなかなか売ってくれなかったという事例もございますし、あるいは不急不用品と抱き合わせでないと売ってくれないというようなことがありますが、こうしたことは厳に行なわないよう政府の御指導お願い申し上げます。  また、中小小売り商価格抑制をしようとしても、メーカー卸売り業者値上げをいたしますと、これは中小小売り商価格抑制をすることは不可能でございます。こうしたことも特に御指導くださるようお願い申し上げます。  中小小売り商価格抑制協力についてここでひとつお断わりしておきたいことがございます。それは中小の専門店のことでありますが、百貨店チェーンストアは非常にたくさんな商品を扱っておりますので、かりに価格抑制特定商品について利益を得ることができなくても、その他の多くの商品を売ることで利益を得ることができますし、これをカバーすることが可能でございます。ところが専門店と申しますのは単一あるいは専門商品を扱っておりますので、その扱っている商品百貨店チェーンストア等特定商品として競合し、価格抑制措置がとられるということになりますと、これは全く、競合商品ですから、その専門店にとっては非常に困ったことになるわけであります。その専門店では単一商品の他の商品販売で利益を得るというわけにはまいらないのでございます。この場合はまことに消極的な価格抑制協力ということしかできないということになるわけでございます。もっと進んで申しますならば、抑制措置が長期間にわたるとするならば倒産もしかねないということになります。あるいはこれを避けるために百貨店価格抑制をする特定商品と競合しない他の単一商品を扱うように切りかえなければなりませんが、扱い商品を変えるということは専門店にとってはまさに転業、廃業にもひとしいたいへんなことでありまして、もしこうした場合が将来起こるということがありますれば、何とか政府の特段のお計らいもお願いしたいということになるわけでございます。  次に、今日の総需要の抑制のために、非常にきびしい金融の引き締めが行なわれておりますが、これについては一応われわれ中小小売り商といたしましてもやむを得ないものとして、できる限りがまんしておるわけであります。こういう事情になりますと、たちまち卸売り業者に対する仕入れ代金の決済も、従来の決済期間が半分に短縮されるといったことになっておりますが、こうした運転資金の窮迫は一応しかたがないといえばしかたがないで済まされますが、大切なことは、運転資金が窮迫することによって商品仕入れが十分にできなくなるということでございます。特に生活必需物資仕入れが十分にできなくなるということは問題であると思います。昨年のトイレットペーパーのパニックは、それを店頭に山積みにして、消費者にトイレットペーパーは十分ありますよと現実に見せたことによって初めて消費者の買いだめ、買い急ぎがおさまったのであります。ですから、生活必需商品は、店頭に山積みにしないまでも、常にある程度は豊かに仕入れておいて、消費者の求めにいつでも応じられるということが必要であります。消費者に決して不安感を与えてはいけないということであります。どうかそうした意味で、大蔵省御当局の、中小小売り商といえども在庫積み増しのための融資は規制するいう金融機関への御指導方針は、不要不急品の在庫積み増しならこれは一律の金融引き締めのワクの中で引き締めを受けてもやむを得ませんが、生活必需商品あるいはこれに準ずる商品仕入れ資金については、ある程度消費者に不安を与えないために、融資規制をされないようにしていただくことが大切かと存じます。  もう一つ政府の今回の価格抑制施策が、ややもすると大規模小売り店の目玉商品販売策に利用されないかどうかという心配があることでございます。同時に、消費者に大規模店偏向のムードづくりになりはしないかということであります。どうかひとつ、そういうふうなことのないようにお願いしたいものでございます。  最後に、昨年の国会におきまして、中小小売り商にとっては初めての近代化助成政策ともいうべき中小小売商業振興法が制定されまして、全国中小小売り商に非常に感謝されております。われわれ中小小売り商は、今日の緊急措置としての価格抑制だけでなく、将来とも安定した価格の維持、商品仕入れを行なうためにも、積極的にこの振興法を活用して、国家の助成により、おくれております中小小売り商近代化を進めていきたいと思っております。そのことがやはり国家、国民に対して長く奉仕できるものだと思っております。この機会をおかりしまして、振興法の制定についてお礼を申し上げるとともに、中小小売り商もこの時局に決して安閑としているものではないということの御認識をちょうだいいたしたいと存じます。以上をもちまして私の意見発表を終わらせていただきます。(拍手
  8. 平林剛

    平林委員長 次に、浜田参考人お願いいたします。
  9. 浜田吉人

    浜田参考人 御紹介いただきました灘神戸生協副組合浜田でございます。  まず最初に、灘神戸生協につきまする概況を若干申し上げます。創立は大正十年、消費生活協同組合法によりまして設立されておりまして、神戸市を中心といたしまして、西は加古川、明石市、東は大阪市に境を接しまする尼崎、この間九つの都市が兵庫県瀬戸内南部にございます。その一帯が認可区域でございまして、その間におきまする人口はおおむね三百十万人でございます。その中で、ただいま灘神戸生協の組合員としては三十六万二千世帯、したがってこれを人口に換算いたしますなれば百三十万人内外、したがって三百十万人の総人口の地域内におきまする灘神戸生協の組合員としての組織率は、約四%強になってまいります。それらの方々組合員は主婦が中心となりまして、資金を持ち寄って運営されているわけでございまして、現在その出資金は約八十億円でございます。日常の生活必需品を重点的に取り扱っておりまして、運営につきましては、消費者組合員の方々がさまざまな形で生協の運営に参加できるような、またその意思なり、お考えが日常活動の中に十分反映できるような制度をとっております。  昨年十一月からことしの一月にかけまして、御承知のとおり次々と発生いたしました商品パニックに対しましては、それの商品を補充して、どうしても不安のないようにしたいというために、優先した一つ政策をとってまいりました。もちろん価格をなおざりにするわけではございませんけれども、ともかくそのパニックに対して対応しよう、こういうことから極力つとめてまいったのでございますが、十一、十二、一月の三カ月通算で、前年対比でこれをとらえてまいりますなれば、その最もひどかったトイレットペーパーにつきましては、私どもが二五%の、前年対比三カ月よりも多く入っている。それから洗剤につきましては二〇九%である。その他の砂糖とかしょうゆとかさまざまございましたが、そういうものにつきましてはおおむね二〇〇%前後のものが組合員に、前年対比よりかなり多く供給された、こういう結果が出ております。  そして問題は、これらの商品をどのようにして消費者に公平な分配をすることができるか、どうして公平に分配しなければならないかということでございますが、その点におきまして、前半につきましては私ども必ずしも十分でなかった、こういうふうに反省をいたしております。と申しますことは、消費者組合員の皆さん方に行列を次々つくらしたということにつきましては、非常に残念であった、こういうふうに思っておるのでございまして、もちろん行列をなさる消費者の方たちが、何回か何回か同一品をよけいに買いなさる、そうしてまたそれを買うことができなかった消費者もあったのだということに対して、もっとじょうずにやれなかったかなというふうな反省をしておるわけでございます。  そういうことから、実は別の現象が出てきております。と申しますのは、現在三十六万二千世帯の組合員の中で、昨年の十二月とことしの一月の二カ月間で、組合員が五万三千世帯という急増をしておるわけでございます。品物が一般市場に非常に品薄になってきた、生協なればともかく何とか公平な配給もしよう、そして一生懸命やっておる、こういう御認識であったか、ともかくこの二カ月間で驚くべき組合員の急上昇があったという事実でございます。そのことが三十六万二千世帯に加わったわけでございます。  こういうことで、ともかく懸命に対応いたしました。そういうことそれ自体は、まだ未加入であった市民の共感を呼んだ結果であろうかというふうに見ておるわけでございますが、その点につきまして、昨年十一月二日の日に関西に怒濤のように押しかけましたあのトイレットペーパーを中心とするパニックの状態につきまして、いまだもって私ども、なぜそういうことになったかということに対します根本的な理解ができておりません。私どもの西日本において知る範囲におきましては、大阪におきますあの大集団のニュータウン千里山ですか、この一帯に起こって、それが西の方へ波及したんだということがいわれておりますけれども、そのことは、団地生活というものが非常に特殊な雰囲気の中にある、そして、トイレットペーパーは他のものをもってかえることができないという、高層住宅地の水洗における必需品であった。そのことが何かのきっかけでどういうふうになったのか、それがずっとその周辺から西のほうへ蔓延をしたというふうな状態やに承っておりますけれども、ともかくそういう事態が発生する以上は、懸命に努力をしなければいけないのは当然でございます。当日、私どものほうへ神戸市の生活局長あるいは生活部長が、一大事だ、何かいい対策はないかということで早朝からお越しになりまして、私ども要請を受けましてともども対策協議を行ないますとともに、午後になりまして、また兵庫県のほうの生活課長さん、沿線各市の市民課長さんがお越しになりまして、こういう騒ぎに対して何か生協として市民に対する協力ができないか、こういうふうな要請がございまして、ともかくもいろいろ御協議を申し上げました。こういうことでございます。  灘神戸生協は、全取り扱い品のうち六四%が食料品でございます。その日常生活に欠くことのできない食料品の中のなまもの、生鮮食料品が全体の三六%、一般的な食料品が二七・六%で、他の非食料品、これは衣料品とか家電とか入れまして、全体の三六・四%である。こういうふうな年間の取り扱い品の構成でございます。そういたしまして、トイレットペーパーに例を求めますと、平月におきましては、四個入りのものでございますが、大体十六万から十八万パックを毎月扱っておるわけでございます。それが二百何十%というふうな形において対策を講じたという状態でございます。  なぜ市御当局なり県御当局が私どものほうにその対策についていい方法はないだろうかと来られたかということは、これだけ大量に生活必需品としてのトイレットペーパーを取り扱っている機関はそうたくさんないのでございます。非常にかさが張って値段が安くて、そういうものは御商売としてはあんまり芳しくないかどうかは存じませんが、これだけの大量のものを扱っている機関はそうたくさんない。したがって、これにパニックが起こった、どうするかというふうなことであろうかと思っておるのでございます。  次に、なぜこのような消費者の買い急ぎが次々起こったかということでございますが、私ども、不十分でございますけれども、次のような見方をいたしております。それは、第一に適切な情報消費者に与えられなかったという点でございます。第二はむしろ最大のものでございまして、はかり知れないところの価格上昇に対する、あるいはインフレに対する主婦の方たちの不安と、それに対する自衛行動であったというふうにとらえて見ておるわけでございます。  消費者の、特に家計を預かるところの主婦の切なる願いは、どうしても価格の安定と抑止ということであろうと思います。いま申し上げました、生活必需品を中心として消費生活に、どう私どもの日常の働きがささやかであってもお役に立ち得るかということで懸命につとめております、それに対する期待が、私どもとしてはほんとうに今回ほどはだに触れて痛感されたことはございませんでした。  で、全力をあげましてこれに取り組む決意をして今日に及んでおるわけでございますが、実は先ほど来もお話がございましたけれども、どうしてもこの不安に対して、ささやかであってもわれわれができる範囲内において取り組んでみようというふうな考え方から、はたしてやれるかなという不安を残しつつも、私どもといたしましては、生鮮食料品を除く全品につきまして、三月一日現在をもちまして価格凍結を行なっております。まず第一段といたしまして、四月末日をめどに置いております。その私どもがいち早く不安を残しつつも打ち立てましたことにつきましては、もしこういうことが社会的波及効果が出るなればなというひそかな願いもあったわけでございます。  なお、今般農林、通産御当局から価格凍結の御要請をされておりますこと、またもちろんこれに対しまして各界が御協力申し上げておりますことにつきましては、私は時宜を得たものと理解いたしております。けれども、この市民、国民の願いにこたえるためには、やはりこれだけではいかないのじゃなかろうか、もう一つくふうと詰めが今後において要るのではないかというふうな気がいたしておるのでございます。  次に、価格抑制のために、また主婦の願いに最もよく沿うために、どういうことを考えねばならないだろうかということを一言申し上げてみたいのでございます。  ちょっと前後いたしましたが、私どもは、公平な供給をどのように行なうかということを十二月の上旬に、これではいけないということでこれはメンバーシップ制度でございますから、新しく組合員証の発行がえをいたしまして、言うなればそういう特定品に対します消費者の自制をお願いいたしたい、洗剤であるなれば、一日四十グラム通常の家庭で使えばよろしゅうございます、したがって、月間一・二キロあればいいんだ、したがって、二・六五キロの箱をお持ちくださったら二月分ありますよ、あとそれ以上はどうか御遠慮してください、まだ回らない方もあるんですからね、こういうふうな考え方を込めた、組合員みずから律するところの言うなれば購入通帳を組合員証とともに発行する、これを一月早々に実施してまいりました。このことによって、組合員の非常な不安をなくすることと偏在を防ぐという公平な分配につきまして若干の寄与をしたのではなかったかというふうに思っておるわけでございます。  それでは、前に話を戻しまして、まず、生鮮食料品の価格安定とその補給ということが主食の米と同列にある比重として私どもは受け取っております。そのために第一番に、現在の中央卸売市場におきますせり制度に対して上限、下限のある一定の制約をすべきである。価格の乱高下を防ぐためにも、せり制度に対して上限価格、下限価格のことを何らかの形でやるべきではないか。そのことは当然法改正を伴ってくるでしょうし、また具体的なやり方につきましては、それぞれ各界の専門の先生方によります審議が要るとは思いますけれども、このことは、消費者のためにも生産者のためにもほんとうに考えてみなければいけない問題ではございますまいかという感じをいたしております。そして特に野菜につきましては生産価格の現在の保障体制からもっと厚みを加える必要がある。と申しますことは、何としてもそれらの方たちが安心をした農業見返りといいますか、安んじてとにかくつくるんだ、そして供給量をふやすということに対するそういう措置がもっと厚みを加えられてしかるべきではなかろうかという考え方が一つでございます。  その次に、同様に、国内で不足する場合には野菜類の輸入に関しまして、特に昨年からことしの早々にかけまして異常な干天が続きましたときにおきまして、その輸入関税について弾力的適用を行なわれてしかるべきではないか、こういう考え方でございます。野菜類の輸入につきましてはなまものであるというところのリスクがございます。また国内市況の乱高下もございます。そういう点におきまして絶えずリスクが伴っておるにもかかわらず、一般消費者、市民は高値で困っておるんだという場合に、また国内で非常な干天でできが悪かった、こういうときにあえてそういうものを国外から輸入してくるわけでございますから、それに対する関税につきまして、いろいろ種類がございますが、特恵とかあるいは協定とかございますが、ともかくこれを一時的に弾力関税の適用をもっとほんとうにやるべきではなかったのかという気がいたしておるのでございます。今後もそういうことが発生するかもしれない。  その次に、これまた質が違ってきますが、包装資材、容器の高騰は目を見張るものがございます。これがすべて消費者物価に重なってきております。この点につきまして、これらの物資の影響が非常に大きい。しかしその素材、原料がいずれもパルプ、紙あるいは石油化学製品からなる二次加工品でございます。それらがさらに、製造なさっている向きの大企業さんだけにとどまらないで中小企業さんもおありだと思っておりますが、どちらにいたしましてもいまの価格が妥当なのかという疑いを私どもは持って見ております。そういうことで、もし上乗せの無理がございますなれば、追跡調査によって、それが消費物資の価格に非常な影響を及ぼしているという点におきまして御検討くださると非常にありがたいのではないか、こういうふうに思うのでございます。  たとえば一例をもって申し上げますと、私ども生活必需品としてのおとうふを一日に三万五千丁みずからがつくっております。そしてこれらの消費者価格は一丁三十五円、おおむね目方は三百八十グラム、市中のものと同じでございます。丸大豆からつくっておりますが、その大豆の原料はささやかでございます。現在いろいろ価格の相場はあるにいたしましても、木綿どうふにいたしまして一丁分で丸大豆の原価はせいぜい十二円内外でございましょう。と申しますのは、六十キロ一俵五千九百円ないし六千円のところに相場をおいて見たなればそういう価格になる。ところが、それに対しますおとうふのトレー、入れものでございますね、これは化学製品の二次製品でございますけれども、このトレー一つが現在四円から三円八十銭の間いたしております。原料が十二円そこそこなんです。それに対して、入れもののほうが四円内外いたしております。それに今度は衛生上の関係でフィルムを巻いていきます。そのフィルムがやはり一円強いたしております。そうしますと、中身がわずか十二円内外に対して約五円がらみの包装費がかかる。たとえば加工費がいろいろ出てまいりますけれども、それが昨年四十八年一月には何ぼしておったか。わずかに八十五銭なのでございます。ということは、いろいろな積算をしてみて一体ほんとにそれだけの無理なものがないだろうかというふうに、これは一つの例でございます。そういう点で包装資材というものがたいへんに消費者価格に影響しているということを私は力説したいのでございます。  最後に、先ほどもお話しございましたけれども、世界的なインフレなりあるいは原料、資材の驚くべき高騰というものは、今後わが国だけが避けて通るわけにはいかないと思います。そうした場合に問題は、先ほど申し上げましたように、いまの主婦の方たちが物がなくなると思うて先買いなりそういう行動をなさったものではない。どこまで続くぬかるみかということで価格の心配をされて次々先買いに走っていきなさったのだとするなれば、問題は今後また発生する余地はないのかという問題でございます。その危険性があるということは、価格がどんどん上がるなら先に買ってしまおう、こういうことが出てくるならば、それに対する公平な分配をどうするかということを主眼とした対策を国全体があげてお考えおき願わなければならぬ問題じゃないかという気がしておるのでございます。そういう点で、ここでは時間もございませんから、またお尋ねによって申し上げますけれども、私は、そういうことがあったなればたいへんなことになるのじゃないか、そういうことで公平な分配措置をどうするかということが、やはり手をつくべき一つのポイントであるように思っておるのでございます。  時間がまいりましたので恐縮でございますが、最後に諸先生方にぜひ一つお願いがございます。  それは、生協は消費者がみずからの組織として供給活動を行なっております。今回のパニック等につきましても、あるいは物価の抑止につきましても、全国の生協は微力ではございますけれども、一生懸命取り組んで今日に至ってきております。そういう中で現在の消費生活協同組合法には幾つかの不備な点がございます。どうかそういう点を改めてくださって、そして生協活動というものが国民の消費生活の上に、また経済の上に、さらにもっとお役に立ち得る働き方、あるいは生活関連物資等につきましても同様でございますが、そういうことをさすためにも、育成方向におきまして法改正が必要であると思います。そういう点につきましてひとつ特段のお骨折りと御配慮をしていただけますなればたいへんありがたいことだと思いまして、一言お願いを申し上げておきます。  終わります。(拍手
  10. 平林剛

    平林委員長 次に、藤田参考人お願いいたします。
  11. 藤田正次

    藤田参考人 私、日本百貨協会専務理事藤田でございます。  現在の物価問題、特に生活必需物資物価問題につきまして百貨店側がどういうふうに考え、どういうふうに努力しておるか、概略申し述べさせていただきたいと思います。  その前に、先生方も十分御承知だと思うのですが、先ほど日本専門店会連盟の新木さんからもお話があったようでございますが、日本のオール小売り業の中で百貨店——この間なくなりましたが百貨店法の適用を受けておる百貨店は、年間オール小売り業の一割弱売っております。それからチェーンストア協会、いわゆるスーパーマーケットを中心にするものは一割以上売っております。したがいまして残り約八割が単独小売り店、多くの小売り店が売っておりまして、全部で百四十九万の小売り店があるというふうにいわれておるわけでございます。日本百貨店協会の場合には、オール小売りの一割弱売っております、いわゆる百貨店法の適用のお店の九%ぐらいがメンバーになっておるわけでございます。そういう意味の唯一の百貨店団体でございます。  前置きはそのくらいにさしていただきまして、百貨店は、皆さん御承知のとおりでございますが、日本では八十年ぐらいの歴史、沿革はもっと古いわけですが、近代百貨店としては毛、八十年の歴史を持っておりますけれども、いままで長い間消費者の皆さんに御奉仕するということで、適正な価格消費者に奉仕することをずっと念願として続けてきたわけでございます。多少古い話で、ときどき持ち出されますけれども、戦中戦後、物が非常に少なかった、やみが横行しておった場合も、百貨店は公定価格を守り抜いたという歴史があるわけでございます。このような伝統で今日の繁栄があるかと思いますけれども、昔と同様な姿勢で現在の消費生活の向上なり、あるいは所得の増高に伴って逐次高度化し多様化してまいります消費者方々の生活内容にこまかく適応するような努力をいたしておりますけれども、昨今の二極分化、高度化する反面、非常に実用的なものに対してもこまかい要求がたくさんございますので、生活必需物資につきましても、できるだけ品質の安定したものの確保、良質の製品をできるだけ適正な価格安定供給するように不断の努力を払っておるつもりでございます。  特に、昨年の春以来非常に物価の激しい上昇があったわけでございますが、これは皆さん十分御承知でございますが、そういう時勢に対しまして、必ずしも十分ではなかったわけですが、そういう契機に特に力を入れまして、計画生産の強化、これはものによりましては、一年前あるいは半年以上前から原料の手当て、仕込みということをやっておりますから、そういう計画生産の推進、強化、あるいは会社にお店が幾つかある場合、いわゆるチェーン店化をしております場合には、本部の集中仕入れ制度を推進する、強化する、あるいは幾つかの会社がグループをつくりまして、有力店が中心になるわけでございますが、共同仕入れを推進する、あるいは場合によっては産地から直送するような手当てをする、あるいは場合によっては、海外から、たとえば東南アジアその他へ委託発注したほうが非常にいい場合には、そういうところに対する委託加工あるいは実用品の輸入の推進というようなことを、いろいろ海外にまで手を伸ばしてやっておるわけです。かたわら、政府のほうの提唱もございまして、流通システム化の推進、これは個々のお店あるいは個々の会社ではなかなかできないことを業界まとまってやればできるという、いわゆる流通システム化、そういう点にも力を入れて、たとえば流通センターの設置ですとかあるいは業界あげての仕入れ伝票の統一化とか、いろいろな直接、間接的な手法等も進めておるわけでございます。それから店の中では、さっきの生活必需物資につきましては、特に実用品売り場を重点的に配置しまして、内容も充実しまして、できるだけきめのこまかいような方法で生活必需物資値上げの抑制に対処してまいっておるわけでございます。新聞でもごらんになっておると思いますが、たとえば特別企画商品ということで、半年あるいは一年前からかなりのロットを提携店にも流すということで進めておるお店、あるいは物価安定シリーズという名称でやはり提携店にも多量に流すということで、大量の計画生産を進めておる事例等は御承知のとおりでございます。  その後、物価がさらに昨今非常に高騰したわけでございますけれども、先ほど皆さんからこもごもお話がありましたように、ことしの二月には、政府からの呼びかけもございまして、われわれ日本百貨店協会といたしましてもさっそく申し合わせをいたしまして、この時代に生活必需物資を中心にして価格の引き上げは抑制する、それから、できれば引き下げも実施するという努力のプリンシプルをつくりまして、そのワク内で、各店ひとつ能力に応じてできるだけ具体的に展開していただくということで、二月の十五日からすでに発足しているわけでございます。  ごく最近、さらに三月に入りまして、通産大臣から加盟各店に、生活必需物資関連物資を中心にして百四十八品目、これはよく御存じだと思いますが、これを中心にして当分の間、三月十五日時点小売り価格を上回らないように、できたら引き下げるようにというような通産省の御指示に賛同いたしまして、鋭意現在各店とも具体的な方法で展開しておるわけでございます。  生活必需物資につきましては、十分ではないかと思いますが、いまのようなことで、各店各様にいろいろな努力をしているわけでございますけれども、この際二つほどちょっと申し上げておきたいと思うわけでございます。  第一点は、百貨店は、皆さん御承知だと思うのですが、ずいぶんいろいろなものを扱っておりまして、非常に多品種のものを大量に販売しておるというふうに一般に考えられがちでございます。そういう面もあるわけですが、しかし、学者先生等のお話、いろいろな御勉強の成果から見ましても、大きな店は四十万点あるいは六十万点という品物を扱っておりまして、個々の品物につきましては、ロットのかなり大きいものと、そうでないものと、いろいろあるわけでございます。したがいまして、店はかなり大きい店はあるわけでございますけれども、個々の商品価格決定力ということになりますと、ケース・バイ・ケースでございまして、百貸店は非常に有力である、強力であるという場合と、そうでない場合とがあるわけでございます。したがいまして、百貨店は決してオールマイティーでございませんので、当然自分の持っている力で価格の抑制に御協力する場合には最大限に努力すべきでございますけれども、その力だけで十分でない場合には、やはり問屋とかメーカーとか、そういう関連分野の御協力がぜひとも必要であると思います。ことに、いまのような措置がだんだん続きますと、どうしても川の上流から、原材料のメーカー、あるいは一次問屋、二次問屋、そういう関連した方が全体的に一体となってそういう価格の抑制に尽力をするのが当然の任務かと思います。  それからもう一つの点は、今回の措置関連するわけですが、物価が根っこの基礎物資から非常に低位に安定するということは非常に望ましいことでございますけれども、実際海外のインフレ輸入関係等もございまして、徐々には上がる方向に、これは不可避的に、あるわけでございます。したがいまして、この際特に政府あるいは国会にもお願いいたしたいのは、物価政策の見通しを明確にしていただきたい。これは国全体のことでございますから、非常に大事な問題で、しかく簡単な問題では決してないと思いますけれども、いまのような行政指導あるいは価格凍結がいつまでどういう形で行なわれるか、あるいはプライスメカニズムにある程度ゆだねる、価格体系を新しい体系に組みかえるというようなことになれば、いつごろどういう方法でと、これはいろいろな関係者が関心を持っておるわけでございますし、企業経営の立場から申しましても、メーカー、問屋を問わず、あるいは小売り商を問わず、非常に関心の大きい問題でございます。一言で申しましたら、そういう物価政策の見通しを明確にお教えいただければ、国全体としても、あるいは個々の企業としても、進むべき方向がかなり合理的に発見できるのではないかというふうに思うわけでございます。  与えられた時間で、十分な御説明もできませんでしたけれども百貨店といたしましては、多様な商品を扱っておりますけれども、特に最近生活関連物資のウエートが非常に高まっておりますし、そういう生活関連物資につきましても、消費者の方に十分、そのウォンツ、ニーズにおこたえするのがやはり重要な役割り一つでございますので、及ばずながら鋭意努力しておりますが、今後ともひとつ先生方の御指導をいただきまして、足りない点は十分強化、改善してお役に立ちたいと思う次第でございます。  以上で終わります。(拍手
  12. 平林剛

    平林委員長 次に、松村参考人お願いいたします。
  13. 松村正直

    松村参考人 私、社団法人日本倉庫協会会長をいたしております松村でございます。  まず倉庫業界現状からお話し申し上げたいと存じます。  一口に倉庫と申しますけれども、この使われ方はさまざまでございます。法的根拠を持ちます倉庫の中には、倉庫業法上の倉庫、農業倉庫業法上の倉庫、協同組合法上の倉庫、あるいは関税法上の保税倉庫等がございます。それから、倉庫機能的に似たものといたしましては港湾運送事業法上の上屋、通運事業法、道路運送法上の保管庫、これらがあるわけでございます。また、何ら法的な規制を受けないものといたしましては、メーカー、商社、問屋等の自家用倉庫あるいは配送センター、こういったようなものがあるわけでございます。このうち倉庫業法上の許可を得た倉庫でございますが、それの中にも、取り扱い品目によりまして普通倉庫業、それから冷蔵倉庫業、それに水面木材倉庫業があるわけでございます。私ども日本倉庫協会は、倉庫業法に基づきまして普通倉庫業を営んでいる業者の全国組織でございます。これから申し上げますことは普通倉庫業界に関する事項である、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。  さて、この普通倉庫業の現状でございますが、まず保管貨物の動きについて申し上げますと、昭和四十八年十二月末現在の全国普通営業倉庫の保管する貨物量は約千六百万トンでございます。それから金額にいたしますと二兆二千億円、こういうような数字になっております。これは一年前の四十七年十二月の数字と比較いたしますと、数量で一〇%、金額で約二八%の伸びになっております。  それから倉庫の面積でございますが、四十八年十月末現在におきまして約千五百万平米、これは四百六十万坪でございます。ここ数年日本経済の伸びに対応いたしまして、この面積は年間一〇%強の伸びを示しているわけでございます。倉庫業者の数といたしましては、現在普通倉庫業を営んでいる業者は約二千社をこえる状態でございます。ただ、会社の数は多うございますけれども、一社当たり千坪未満の業者が約六〇%を占めておりまして、資本金の規模で見ますと、八九%が一億円以下の業者でございます。従業員三百人以下ということからくるいわゆる中小企業者も加えますと九〇%をこえている状態でございまして、倉庫業界中小企業中心の業界である、こういっていいかと存ずるわけでございます。  次に、倉庫業は、一体国民経済の中におきましてどのような役割りを果たしているか、こういうことでございますが、営業倉庫は、歴史的に見ましても、最大の貨物集散地でございます港湾と、貨物消費の代表としましての都市に多く立地されているわけでございます。港湾倉庫輸入穀物あるいは原材料等の基礎資材、輸出製品の取り扱いが中心になっておりますし、物の流れの過程の中で、一つの輸送機関から他の輸送機関への接点という役割りを演じているわけでございます。また都市あるいは内陸倉庫におきましては、たとえば米麦などのように生産の季節性などを調節するという役割り、そして市民に安定した供給を可能ならしめるための、いわゆる貯水池としての役割り、こういう役割りを果たしているわけでございます。このように営業倉庫は、産業や市民生活のいわば裏方といたしまして国民経済に寄与しているのでございますが、一方各種の物流業務を兼業いたしておりまして、物流の総合化をはかることによって物流コストを低減する、こういうことに貢献しているかと思うわけでございます。  営業倉庫はこのような役割りを演じているわけでございますけれども、現在営業倉庫をめぐる経済環境についてはいろんな問題があるわけでございます。たとえば現在、主要港湾におきましてはしけの滞船、いわゆる倉ばしけという現象が起きているわけでございます。これは、やはり最大の原因は港湾地区における上屋、倉庫等の陸上施設の不足、労働問題が当然からんでくるわけでございますが、これが一番の原因である。また都市部におきましても、たとえば倉庫の利用率から見まして通常の状態を越える大きな利用率、つまり倉庫スペースの不足、こういう状態がはっきり出てまいっておるわけでございます。したがって、今後につきましても、港湾、都市を問わず倉庫設備の増強、これが必要なんでございますが、最近における地価、建築費、人件費、その他の諸経費の高騰によりまして倉庫業のコストは著しく増大いたしております。一方倉庫料金は公共的料金ということになっておりまして比較的低位に置かれている。こういうようなことで、新設倉庫についてはほとんど採算がとれない、こういうふうな現状でございます。  運輸省は第三次倉庫整備五カ年計画に基づきまして計画的に倉庫整備につきまして行政立場から推進をはかっておられるわけでございますが、このような事情からいたしまして、今後におきましても国として重点的な倉庫用地の確保あるいは税制金融上の助成などを積極的にお考えいただきまして、円滑な物資流通が阻害されることのないような総合的な物流政策を確立していただきたい、こういうことをお願い申し上げたいと存ずるわけでございます。  最後に、生活関連物資と倉庫業の関係でございます。初めにお話し申し上げましたように、全国の普通倉庫業者の倉庫には約千六百万トンの貨物が在庫しているわけでございますが、この中には米麦の二百万トンなどの生活関連物資が保管され、あるいは各家庭の台所の補給基地、こういう役割りを果たしているわけでございます。さりとてすべての貨物が営業倉庫を通るというわけでもございません。貨物の性質それから流通形態などから営業倉庫を通らない、あるいは通ってもごく少量のものだというふうな貨物もございますし、倉庫を通らない貨物の相当量は自家倉庫へ入る、こういう貨物が多いわけでございます。自家倉庫の総坪数は、的確な資料がないわけでございますが、営業倉庫の約四、五倍の面積はあるであろう、こういうふうに推定されているわけでございます。最近問題になりましたトイレットペーパーのごときもほとんどこの自家倉庫を利用した、こういうふうに考えられております。私ども営業倉庫から見ました場合、特定の貨物の在庫量が正常であるか、あるいは異常な、たとえば隠退蔵を含むような状態であるか、こういうことを検討しますためには、一般的には過去からの当該貨物の量的推移あるいは貨物の流れを見ます貨物の回転率、倉庫の中に入っている荷物が一月のうちに何%くらい入れかわるか、こういう貨物回転率が一つの基準になるわけでございます。この点から貨物回転率を見ますと、四十八年十二月の全貨物の平均回転率は約七六%でございます。それに対しまして砂糖は一一五%、紙パルプは八七%、化学工業品は九七%、こういうふうに非常に荷動きが活発でございます。量的にも特に問題になるような動きは見せてないと私どもは考えるわけでございます。  こういう状態から見まして私どもとしましては、個々には隠退蔵その他の関係は荷主の主観によるというふうな事情があるにしろ、総合的に見ます限りにおきましては、かつて指摘されましたような隠退蔵を目的とした異常在庫、こういう状態はなかったのではないかというふうに考えるのでございます。  元来営業倉庫につきましては、運輸省の監督下にございます。月々運輸省に対しまして取り扱い品目の、これは大きく分けまして四十品目に達しておりますが、その統計も提出いたしておりますし、それから臨時の在庫調査もございますし、さらに倉庫業法による立ち入り検査もあるわけでございまして、ここを舞台としての隠退蔵というのは非常に把握されやすい。そういう面で営業倉庫はそういう目的のための舞台としては不適格な性格のものだろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。  なお、運輸省におかれましては、問題となりました特定七品目につきまして三大都市圏の在庫量を毎月調査されておりますが、二月末のこれらの品目在庫量は四十五万トンでございまして、前月比七%増、前年同月比〇・四%減となっておりまして、先ほど申し上げたような点を裏づけているもの、このように思っておるわけでございます。  なおつけ加えますと、いわゆる物価の中で、ある特定の貨物の価格の中でこの倉庫の料金が占める割合でございますが、これは品目によってずいぶん違いますけれども、平均いたしますと一%弱、こういうような数字になっておるわけでございます。  私ども業界といたしましては、今回の問題を契機といたしまして営業倉庫というものに対する一般の御理解を増すように努力を重ねますと同時に、各種の調査等につきましても積極的に御協力いたしまして、世間に誤解の生じないよう対処いたしたい、このように考えておるわけでございます。  以上で御報告を終わらせていただきます。(拍手
  14. 平林剛

    平林委員長 以上で参考人意見陳述は終わりました。     —————————————
  15. 平林剛

    平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  16. 愛野興一郎

    ○愛野委員 参考人の皆さま方にはたいへんありがとうございます。私は二十分間の質問時間を与えられておりますので、各参考人に個条的にお聞きいたしますから、簡潔にひとつお教えを願いたいと思います。  まず藤田参考人にお伺いをいたしたいと思うわけでございますが、百貨店協会が非常に努力をしていただいておるということはよくわかったわけであります。ただ二、三お伺いをいたしておきたいのは、先ほど神戸生協の浜田参考人も言われたわけでありますが、たとえば包装紙代が消費者価格に影響しておると浜田参考人は言われたわけであります。そこでデパートが、これは主婦の方の質問みたいなことになりますけれども、デパートが取り扱われる手さげ袋とか包装紙代、あるいはまた無料配達代、あるいはまた洋酒セットのコップとかさら、これはメーカーの負担になっておるのかあるいはまた小売り店の負担になっておるのか、あるいは消費者の負担になっておるのか、これが第一点。  それからもう一つは、私どものような九州のいなかでも、百貨店友の会等々と称する一口二千円あるいはまた三千円等のあれで会員募集がございます。そしてこれが新入社員にノルマ的にやられて、そして縁故をたよって十口も二十口もというふうなことで、これは年間相当な資金になると思うわけでありますが、こういう販売のしかた、いわゆる友の会式ですね、これが全百貨店売り上げの何割くらいになっておるのか。  それからもう一つは、最近はお得意先通信販売というのがデパートで行なわれております。これは非常に高級なものもございますし、あるいはまた実に、私の家内のところに送ってきますものを見ましても、佐賀県でカンコロと申しますが切り干し大根等もこの通信販売で送ってくるようなわけであります。したがってデパートのいまの御意見で非常に努力をしておられることはわかりますけれども、故意に消費欲をあおって、買わないでもいいようなものも買わせるという過当なデパートの販売競争が行なわれておりはしないか。しかも九州のようなところでも、県境を越えたデパートからもまた県内のデパートからも、三つも四つも来るわけでありますから、これは相当な額になると思うわけであります。そこでこういった問題に対して百貨店協会としてはどう考えておられるのか、時間がありませんから簡単にひとつ。
  17. 藤田正次

    藤田参考人 お答えいたします。  四点ばかり愛野先生からお話があったと思うのですが、包装紙代が相当上がっているはずだし、そういうものの負担が消費者なりいろいろ関係があるんじゃないかというのが第一点かと思うのですが、御承知のとおり百貨店では中元、歳暮の長い間の慣例としまして、進物が相当売れるわけでございます。これは従来過剰包装というきみがかなりございまして、消費者団体からも御注意がございましたし、百貨店内部でもだんだん資材が増高するから、そういうものはもう節約すべきだという内部的な動きもありまして、四十七年の五月に百貨店協会の中で包装の合理化のものさしをつくりまして、これは消費者団体意見等も非常に参考にさしていただいたのですが、包装する場合にたてまえとしましては、包装費が当該商品値段の一五%をこえないこと。それから容量、いわゆる過剰包装、過大包装と言われたわけですが、そういうはみ出したものについては商品の空間容積が二割をこえないことということで、コストの面それから容量の面で制約を原則的に設けまして合理化努力を進めてきたわけでございます。これはもちろんメーカーあるいは問屋との関連もございまして、そういうふうな関係業者の協力も得まして、ここ二年あるいは一年の間は非常に包装代は、合理化、簡略化されまして、最近では資材が上がっているせいもございまして、簡易包装に走り過ぎているようなきらいさえあると思っております。かつての過剰、過大は非常に改善されたと思います。なおしかし十分でございませんので、資源は大事にするという観点からこれからも進めたいと思います。  それから第二点の友の会でございますが、友の会につきましては、各店は自由にやっておりますけれども、友の会の事業そのものでは、いま先生からも御指摘があったのですが、各店は非常に熱心にやっているようでございますけれども、その分野自身の収益というものは赤字がかなり多いというふうに思われます。ただ消費購買力、地域のお客さんのまとまったグループができますと、そういう方の御愛顧で直接、間接お店のお客さんとしていろいろな購買に御協力いただくという意味で推進しておると思いますけれども、あまり行き過ぎたことがあるようでは御迷惑だと思いますので、もしそういう点がございましたならば、また御注意をいただけたらと思います。何しろ同業間の競争もけっこうございまして、限度を越えるような点もあろうかと思いますが、適度に競争することはこれは商売でございますけれども、過度なあるいは行き過ぎた競争というのは適当でないと思いますので、そういう点がございましたならば御注意をいただけたらと思います。  それから第三点の、お得意先に対してのいろいろ通信販売のことでございますが、通信販売につきましては、これは先生よく御承知だと思うのですが、海外では非常に進んでおりますけれども、日本ではそれほど進んでおらないわけでございますし、日本で一番通信販売が進んでおるという店でも、海外の進みぐあいと比べれば非常に少ないものだと思います。ただ地方等でわりあいに商圏が狭い場合に、いま先生から御指摘がございましたような非常に高価な物あるいは場合によりましては非常に安い日用品等いろいろな商品について販売促進をやっているんじゃないかと思いますけれども、これは同業との競争の関係等もございまして、商売熱心のあまり営業の一環としてやっておると思いますけれども、実際の当該店舗の売り上げから見たらほんとに小さいものだと思います。一%とか二%とか、きわめて小さい場合が大多数ではないかと思います。もし御迷惑をかけているような点がございましたならば、また御注意いただけたらと思います。  それから最後に、百貨店について総評的に、消費購買力をあおっているんではないかというようなお話でございますけれども、これはいろいろな見方があると思いますが、だんだん所得が増加しますれば、これは一般にいわれることですが、消費購買力も多様化、高度化、個性化という一つの大きい趨勢があるわけでございます。商売でございますから、百貨店だけじゃございませんで、いろいろな小売り形態もそういう面でできるだけ販売促進をしたいという傾向があるかと思うのですけれども、片や昨今のように非常にオイルショック以来全体の金融も引き締まっておりますし、投資の抑制等、いろいろな面からたいへん冷えてまいりますと、高価なものはなかなか実際問題として百貨店として売れておりません。きのうあたりも日本百貨店協会の売り上げの統計を発表しておるのですが、前年対比で一七・九、一八%アップなんですが、百貨店物価のデフレーターというのがございまして、実際に現物換算しますと、金額的には一八%ほど売れておるわけですが、目方とか個数とかそういうネット計算しますと、実際は去年よりも少ないという推計もできるんでございまして、内部では人件費の増高等もございますから、できるだけ販売促進しなければならぬ。高い物は実際はなかなか売れないというような時代の趨勢でもございますので、できるだけ実用品あるいは日用品のいい物を豊富に供給して、安定的に買っていただくというような努力をしているわけでございます。  十分なお答えができませんけれども、大体そんな感じでやっております。
  18. 愛野興一郎

    ○愛野委員 いまの友の会並びに通信販売の点につきましては、実態上からいろいろ御意見を申し上げたいこともあるわけなんですが、時間がありませんので、次に浜田参考人にお伺いします。  生協が消費者の組織として非常な活動をしていただいている、これは十分わかったわけでありますが、そこで産地直結の問題、これが要するに大衆魚とかあるいは生鮮野菜とかといったものが産地と直結するようにということで、全農と日本生協と覚え書きをかわす、あるいはまた最近は地方自治体等も積極的に推進している。ところが実際には、産地のほうの生産者にもあまりメリットがない、あるいはまた荷受け側のほうでもそうメリットがないということでなかなかそれがうまくいかない、こういうふうなことを聞いておるわけであります。これがうまくいくためにはどういう施策が必要か、あるいはまたお気づきの点をひとつ簡潔にお願いいたします。
  19. 浜田吉人

    浜田参考人 ただいまの点でお答えを申し上げますと、私どもここ五、六年間、産地直結ということを非常な熱意をもちまして行なってきております。年々それは増進してきておりますけれども、その根源をなしますものは、産地と消費地の要するに信頼関係ということが第一要件だと思っております。私どもが産地直結と申しますのは、ほとんど生産地におきます農業協同組合さんで、御商人さんのほうのものはいたしておりません。別のことばで申しますと、その間におきます生産者協同組合消費者協同組合の直結、こういうふうな一つの理想を追いながらやってきております。それで、四十八年の一月から十二月までで、これはまだ不十分でございますが、これをトン数でとらえてまいりますと、たとえば野菜で約二千トンでございます。金額的には、これは産地価格になりますが、一億七千万円、それから果物が約八百トンで金額は約一億円です。それからなおそのほかに漁業協同組合さんとの魚類もございますが、そういうことで一つのバイパスだという考え方で進んできております。ただ障害は、産地と私どもの荷受けセンターとの距離の問題がございますから、したがって夜中の十二時に来る場合、三時に来る場合、朝の六時に来る場合、もちろん日中にも来ます。ということは別なことばで申しますと、二十四時間荷受け体制をとっておらなければならないということで、現実に私どもやっておりますけれども、そこに産直の一つの隘路があるやに思うわけでございます。そういう点で、一つのバイパスの求め方として生産地と十分納得した点においてというふうなことと、それからもう一つ、まだ不十分ではございますけれども新鮮度というものをねらいながらなお今後も力を注いでいきたい、こういうような考え方でございます。実態は、いま申し上げたとおりです。
  20. 愛野興一郎

    ○愛野委員 次に清水参考人にお伺いをいたしますが、昨年の一−三月の繊維類の暴騰、これを先ほど参考人は、商社からの仕入れ値の突然の暴騰によるというふうに言われたと思うわけでありますが、これはいろいろ新聞等々にも論議がありましたとおりに、今度は大手商社の日本貿易会が発表したあれによりますと、織物の卸商あるいはまた小売り店が在庫をかかえて、そして実際には対前年度六%増であった。それを、あまり買い気がなかったから、要すれば品不足等々というようなことで消費者の買い気をあおった、逆に卸と小売りのほうが消費者の買い気をあおったというようなことを貿易会の水上会長さんのところが発表されておるわけであります。これは新聞にも書いてあるわけであります。そういうことになりますと、一体商社が犯人であるのか、あるいはまた卸、小売りが犯人であるのか、一般国民にはわからなくなってくるわけでありまして、こういう実態、卸、小売りと商社との間に昨年食い違いを見せたということは那辺にあるのか、そしてまた実際真相はどうであったのか、お聞かせ願いたいと思います。
  21. 清水昭重

    清水参考人 お答えを申し上げます。  私どももいま、あの当時の狂乱物価の原因に非常にふしぎな感を抱いておるわけでございます。私は東京におりますので、東京の市場から問屋さんが関西に仕入れに参りましても、仕入れができないという現象がずいぶん続いたわけでございます。なぜ仕入れができないのかというようなことになりますと、たとえば生糸は先高見越しでメーカーが売り惜しみをする。生糸なんか、あの当時一万八千円にまで相場が上がりました。それから毛糸も三千円くらいに相場がつり上がったけれども入手できない。綿も同様に、小幅の綿布ですら機屋さんから仕入れるのに一反六、七百円ですか、一反二百円程度のものがそれでなければ仕入れができない。東京立場で私どもが見たり聞いたりしているのはそういう現状でございました。  それで、そのもとがどうかということは、私どもはいろいろ新聞、業界紙その他で書かれたその後の消息でしか憶測できないわけでございますが、たとえばある商社が羊毛は世界市場の中で買い占めをしてしまったとか、それは豪州の羊毛が少なくなるだろうという非常に機敏な情報によってやったんだとか、あるいはそれに似たような情報網を持っている商社が先に買い占めをしたんだとか、あるいはまたそれを受けて生産者が売り惜しみをしているんだとか、そういう情報しか私ども東京にいる業界には入ってこないわけでございます。  それから、その当時小売り屋さん、百貨店さんもそういう情報を受けまして、東京でだいぶ問屋さんに無理な要求を出して、仕入れをされたようでございます。私、商売をやっておりませんのでどのくらい行ったかわかりませんが、現にある大手の問屋さんは、全然取引のない百貨店すら来て、絹の裏地ですか、あるいは絹の白生地をくれという要求が来たというほど、いわゆる小売り屋さん、百貨店さん、一応全部がおそらく振り回されたようなかっこうになりました。その原因については私どもいまでもふしぎに思っておるわけであります。ですから、むしろ卸や小売りがそういうものを売り惜しんで値段をつり上げたというような形勢は私ども立場からは見られないと思うのでございます。情報としては、われわれに入っておるのはそれだけでございます。
  22. 愛野興一郎

    ○愛野委員 最後に、チェーンストア協会岡田参考人にお伺いいたしますが、先ほどお話もありましたように、一月二十六日に臨時総会を開いて三つ決議をして、メーカー便乗値上げに対抗していく、非常にけっこうなことであると思うわけであります。そこで、その際中内会長が記者会見をされて、メーカーの理不尽な要求には不買も辞さないというようなことを言っておられるわけでありますが、そのメーカーの理不尽な要求の実態を簡単にお聞かせ願いたいのが一つ。  それから、確かに、チェーンストアのほうが価格に対して主導権を握るというか優先権をとってもらう、これが期待されるところでありますけれども、実際には物不足等々の時代において量を確保しなければならぬわけでありますから、主導権をとるためには、政府に対する施策とかは別として、業界の実力をつけるためにはどういう具体的な対策を考えておられるのか、その点を、時間がありませんので簡単にお願いして、最後の質問を終わります。
  23. 岡田卓也

    岡田参考人 第一点にお答え申し上げたいと思います。  メーカーの理不尽な要求ということに対して不買も辞さないということを中内会長がそのとき申したのでございますけれども、それ以前に、十二月にメーカー値上げがかなりございました。その値上げにつきましては、十二月の時点では私ども情報不足しておりましたけれどもメーカー自身も情報不足しておりまして、情報不足からくるための非常に不安定要素を含んだ形での価格決定が行なわれたのではないかというように思います。実際問題としましては、私どもは第一にカップラーメンの不買をし販売中止をいたしました。現在も販売中止をしております。これは非常に急速に価格を上げていったということがございます。それからまた原価採算をとりましても、メーカーは十分にもうかっておるのじゃないかというものにつきましては、そういう対抗措置も講じておるわけでございます。ただ、十二月の時点でございますと、やはり供給を確保しなければならないということで、供給責任からチェーンストア側にも価格に対する非常にシビアな点がやや欠けておったのではないかという反省はいたしております。一月に入りまして、私どもはその反省からそのような措置協会自体としてもとり、個々の企業としてもとっていくということを実行しておるわけでございます。  第二点の、価格の主導権を持つということにつきましては、これはチェーンストアの力としてはまだなかなか足らないわけでございまして、先ほど専門店会の方からもお話がございましたように、チェーンストア全部合わせましても全売り上げの一〇%程度でございます。私ども先ほども申し上げましたように、チェーンストアの実力をつけるためには、一つにはやはり店舗網を拡大してシステムを確立していかなければならないと思うわけであります。それにつきましての大型小売り店法等につきましても、当初からの流通近代化とやや異なる形に進んでおるのではないかというようにも思いますし、また、そういう流通という問題についての政府施策そのものがいままでほとんどなかったのではないか、もっと強力に推し進めていただく必要があるのではないかというように思うわけです。ただ、それで零細小売り店の問題については、これは別の形でのシステム化をはかっていただきたいというように思うわけであります。  そのほか、チェーンストアとしまして、商品仕入れにつきましてもまだIQの問題等もございまして、私どもに食肉についてはすでに輸入ワクを割り当てております。しかし、鮮魚その他についてはまだまだ私どもそのワクを与えていただけなくて、従来の実績主義でワクが与えられるために、その点でもいろいろな障害があるわけであります。そのような施策を順次行なっていただいて、私どもが自主的に価格の主導権を持つような御援助をお願い申し上げたいというように思います。
  24. 平林剛

    平林委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 平林剛

    平林委員長 速記を始めて。  この際、休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後三時十四分開議
  26. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  27. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 参考人の皆さんはきょうお忙しい中をおいでいただきましてありがとうございました。また本会議関係で長時間お待たせしましたことをおわびいたしたいと存じます。  それではまず岡田参考人にお尋ねをしたいと思うのでありますが、岡田さんの意見陳述を、ほかの委員会の採決に出席しておりましたので、直接お聞きできなかったわけですが、一応メモをしたのをいただきましたので、それを中心に質問さしていただきたいと思います。  実は消費行政の中でビッグストアが与える影響というのはたいへん大きくなってきておるわけです。そこで具体的な問題としては実は私が私なりに調査をしたことについてお尋ねをしたいと思うのですが、昨年関西方面でトイレットペーパーのたいへんな騒動がありました。そのときに、まあ名前はここでは差し控えますが、あるビッグストアが中心で御承知のようなトイレットペーパー問題が起こった。原因を調べてみますと、量販店でありますから、たくさんの方がビッグストアに集中的に集まる。そこで何らかの形で物不足というものが出てまいりますと、普通の小さなお店より以上に物不足という状況が伝播する、波及する効果というのはビッグストアの場合はたいへん大きいわけです。そういった意味で私はたいへん重要な社会的な責任をある意味では持っておられるのではないかというふうに思います。  ところが、これは名前は差し控えますが、関西のある特定のビッグストアのトイレットペーパーの入荷状況、それからそこがとっておりますプライベートなブランド、この関係の工場等を長期間かかって調査をして、やっと二、三日前にその調査を終わったのですが、このプライベートブランドの値上げの場合、ビッグストアに対して値上げをしようとするときに、ビッグストアとの間にある程度の覚え書き的な商慣行というのがございますね。一つの具体的な例を申し上げますと、六十五メートル四ロールーパック、ダブル、ソフト加工のトイレットペーパーが、八月では八十一円だったわけです。ところが、このプライベートブランドをつくっておる工場から、実は十月から百三円に値上げをしたい、こういう要求が出された。そこでいろいろとその間でやりとりがあったことは事実でありますが、そのときに商慣行として旧価格、ですから八十一円という旧価格でよけいに相手方に商品を渡す。このことは商慣習的に業界でいう仮需要というものだ、こういうふうにいわれたわけでありますが、こういった価格を引き上げるという交渉があった段階では、価格を引き上げる前に大量にそういう仮需要に対しての買い付けをする、こういったことがビッグストアでは慣行として行なわれておるのかどうか、その点をまず岡田さんからお聞かせいただきたいと思うのです。
  28. 岡田卓也

    岡田参考人 先ほど来から説明がございましたこの問題については、詳しいことはちょっとわかりかねるわけでございますけれども、トイレットペーパーではございませんが、たとえばしょうゆの値上げの問題とかその他の商品値上げの問題で、平生たくさん買っておる、もうじき値上げがあるであろうというときに、ある程度の数量を買うということはあり得ると思います。
  29. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、いましょうゆの例を岡田さん出されましたが、これから値上げをするというときには、安くて大量に買ってる、この仮需要ですね、この場合は実はトイレットペーパーが通常平均の一・七倍近くが納品されておるのです。その場合に、これは先ほどメモしたものですからはっきりいたしませんが、売るときに消費者に対して、実はいつからトイレットペーパーが値上がりいたしますよといってお売りになるというような、そういったことがありますか。あるいは、一つの例ですが、これは実際に私が行って大阪のところで経験をしたことなんですが、ラーメンですね、ラーメンを十二個くれぬか、こう言ったら、いや、ラーメンは一個ずつしか差し上げられません、なぜですかと聞いたら、いや、みんなに行き渡るように一個ずつですと、こういう言い方をされた。たくさんあるのですよ。ところが、それを聞きますと、ああこれはなくなるんじゃないかという、そういうなくなるということは言いませんけれども消費者消費行動としてこれはいよいよラーメンがなくなるのじゃないかということを危惧いたしますね。同時に、これから高くなりますよというような話がありますと、これはたいへんだということで、皆さん方が仮需要としてたくさん買い込んだと同じ状態が、今度は逆に消費者の間にも起こってくる。そういう売り方の問題ですけれども、まああなたのところは——そういうところはたまたま私が行ったところだけかもしれませんが、そういうビッグストアの商慣行というかやり方、売り方、こういったものは事実存在をしておるのかどうか。もしあるとすれば、そういう行為について岡田さんはどのように御判断になるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  30. 岡田卓也

    岡田参考人 ただいまのお話で、私はそういう意味で申し上げたのでございますが、そういう場合にビッグストアが考えますのは、できるだけ長い間旧価格で売り続けるという姿勢をビッグストアはとるわけでございますが、十二月の時点でトイレットペーパー等で非常な混乱をしたときに末端で一部混乱があったことは事実で、先ほど来からも、消費者の方に御迷惑をおかけしたということは、私は最初の御説明のときに申し上げているわけでございますけれども、本来の姿勢は、できるだけ長く低価格で売りたいという意思から、いまの仮需要でしょうゆの場合なんかはそういう事実があるわけでございます。特に、ものによりましては、たとえばハム、ソーセージ類につきましては、値上がりをしても逆ざやで約一カ月間ビッグストアは旧値で売り続けたという実例も今回あるわけでございます。その仮需というのは、この場合にはできるだけ長く前の価格で売りたいという意思からこういう問題が起こるのではないかというように思います。
  31. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、岡田さんとの一問一答になりましたけれども、その価格が旧価格でお売りになっておれば問題がなかったわけなんです。ところが、実際にお売りになった額というのは、仮需要で買われたものをやはり高くで売られた。だから、私さっきから、冒頭から言ったように、皆さん方が一生懸命消費者のために努力しておられることは認めた上で言っているのですからね。しかし、少なくとも去年のあの混乱時期には、量販店の皆さん方自身も仮需要を安くで供給するということではなくて、逆にいうと、それをある程度高くでお売りになった。そうしなければ、これから高くなりますよといってそのまま据え置いたのでは、そういったあれが、言ったことと実際が違いますからね。これから高くなりますよと言いながらお売りになって、結果的にはやはり高くで売られた。ですから、ここで見ますと、仕入れ価格が八十一円であったものが、やはり九月、十月以降には高くで売られた。しかもまた、政府が緊急放出したものは、それよりもなお高いんですね。政府が緊急放出させて持っていかしたトイレットペーパーというのは、何とその出荷価格は十一月は百四十四円、十二月は二百五円という異常に高いものを放出しておるわけですね。ですから、政府のとっておる緊急放出の指導体制というのも、決して私は正しかったとは思いませんけれども、事実仮需要というものをめぐりまして結局混乱が非常に起こり得る状況にあるということになりますと、ここで岡田参考人にぜひお聞きしたいのは、混乱の原因は情報不足が原因となった、たいへん申しわけないことをした、こう言っておられますけれども情報不足ということの前に、やはりビッグストアの行動基準といいますか、お互いに行動基準というものをある程度設けて、仮需要というものが必要であるならその仮需要はどういう形で売らなければならぬ、そういった意味のやはり消費者と一体となったビッグストアとしての行動基準的なものはこの際必要ではないか。これは去年のトイレットペーパーの資料でたまたま二つの関西における大きな店の状況調査した結果として、いま私は結論に達しておるわけです。ですから今日、ダイエー等、あるいはセーコーその他値下げを発表して、物価抑制にいま協力しておられることについては、たいへん敬意を表します。ぜひそういうことの努力をこれからも続けていただきたいと思うのですが、でき得るならば、やはり第二の新価格体系等に入っていきますから、いつまでも価格の据え置きをするわけにいかぬのですから、そういった場合をめぐっての仮需要の運用というものが出てくるので、そういった意味ではチェーンストア協会としてのそういった行動基準の設定というようなことについて、できれば消費者意見もいれながらおつくりになっていただけないだろうかという希望を持っておるわけですが、どうぞ岡田参考人協会としての意見でなくてもけっこうですから、岡田さん個人の意見としてもけっこうですから、ぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  32. 岡田卓也

    岡田参考人 ただいま御指摘の点につきましては先ほど来から申し上げていますように、十二月のあのような混乱期に対しまして、かなり私ども他のビッグストアでも末端混乱が起こったということでございます。その点については深くおわびを申し上げたいと思いますが、価格につきましては、すでに私どもでもその基準、ただいま御指摘のございましたような形での基準を価格設定について設けておりまして、原則として旧価格で納入された商品は旧価格のままの売価で販売するのが本来であるのだから、当社の値札及びシールの新売価につけ変えることはないという、そういう一つの基準でございます。あるいはメーカーの定価が印刷されている商品が値上がりし、新定価の印刷された商品が入った場合、当社としては旧価格は旧価格のまま販売しているのだから、同一店内に一品目で二価格の現象が出ることが考えられる。その場合は旧価格商品を適当な場所にまとめて販売をするというような形の明細をつくりまして、そして周知徹底をさせておるわけでございます。協会としましても、いまの御指摘のような、そういう一つ価格についての基準を設けて徹底をさせたいというように考えております。
  33. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま岡田さんが発表なさった点、たいへんけっこうだと思うのですが、ぜひそういったものをビッグストアのチェーンストア協会で具体的に行動基準として下部末端徹底させていただきたいということを希望として申し上げると同時に、できましたらいまのその資料を委員長を通じてけっこうですが、私たち委員参考のためにいただければと思うのですが、その点どうでしょうか。
  34. 岡田卓也

    岡田参考人 チェーンストア協会としましても、そういう行動基準をつくりたいというふうに思います。
  35. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ぜひ消費者と密着しておるビッグストアからこういうパニックが起こることが少なくともないように、もちろん消費者のほうも努力しなければなりませんが、ぜひ皆さん方の御協力をあらためてお願いをしておきたいと思います。  それから次にもう一つ、今度は百貨店の方にお尋ねをしておきたいのですが、百貨店協会藤田さんにお尋ねをしたいのですが、いまチェーンストアも生協も百貨店も全部一緒でありますが、政府の依頼を受けてそれぞれ自主的にそれぞれの価格を凍結をしておられます。ところが、よく考えてみますと、卸し商そのものの凍結というのは私たちまだ聞いたことがないのです。要するに、元売りと末端小売り価格の凍結あるいは事前通告という話は聞いたのですが、卸し段階のそういう行政指導があったとかいう話は全く聞いておらぬのです。ということになりますと、せっかく小売り末端価格を凍結いたしましても、中間の卸の圧力というのが逆にそういう凍結価格というものを圧迫するんじゃないかという気がしてならぬ。ですから、そういった意味で、いま政府がとっておる価格凍結指導を受けた皆さん方の自発的な価格凍結というのはあまり長くもたぬのじゃないか。むしろ卸圧力から逆に小売り価格を解除していかざるを得ない事態というのがきわめて早い時期に来るのではないかという危惧を私たちはしておるのです。そういった意味で、行政指導がきわめてあいまいであり、マイナスなところだと思うのですが、そういう点について率直に、こういう点がひとつおかしいじゃないか、こういう点は困る、あるいはだいじょうぶだ、そういう見解を藤田さんから、それからさらに灘生協の浜田さん、そしてチェーンストア岡田さんから、それぞれ、簡単でけっこうですからお聞かせいただきたいと思います。
  36. 藤田正次

    藤田参考人 いまの松浦先生の御質問に対してのお答えでございますが、確かに、問屋から百貨店が納入を受ける場合の価格について具体的に幾らに押えるということは、われわれとしては必ずしも承知しておりませんが、政府からお話がありましたのは、小売り段階、百貨店なら百貨店、チェーンならチェーンの段階で、極力いまの価格で抑制してほしい、できれば引き下げてほしいというのが一点。それからもう一点は、どうしてもやむを得ない場合、といいますのは、メーカーとか問屋から、原料費が上がった、加工賃が上がったからということでどうしても値上げをしてほしいという場合には事前に政府の承認をとってほしい、こういう二つの内容で協力要請を受けたわけでございます。これは先生よく御承知だと思うのです。したがいまして、いまそれぞれの団体が内部の意思統一として、政府のこういう措置協力しようということで決定をしておりますけれども、ものによりまして、かなり購買の頻度が大きいといいますか、取引のまとまった姿で計画的にやっているものにつきましては、かなりの期間もつことがあるいは予想されるかもしれませんが、そうでない場合には、必ずしも同様な強靱さで十分持ちこたえるかどうか、やはり御指摘のような問題があると思います。きょうも最初に、午前中参考人として申しましたときに、最後に二点ほどつけ加えさせていただいたのですが、その一点は、これは言いわけになりがちでございますけれども百貨店はたくさんのものを扱っておりますけれども、個々の商品によって分析しますと、問屋、メーカーに対してかなり対抗力の強い商品とそうでない商品とがございますから、対抗力の強くないような商品については、どうしてもメーカーなり問屋なりの御協力も同様にあわせていただかないと、なかなか政府価格で凍結、抑制するということはむずかしいと思います、こういうふうに申しておったわけでございます。御趣旨の点はわれわれの力でできるだけやりたいと思いますけれども、それで十分でない場合には、やはり国の御協力、御指導を得て、メーカー段階、問屋段階についても、加工賃あるいは原材料の価格の抑制について十分な御協力をいただいて、ともども成果をあげたいというふうに思っておるわけでございます。
  37. 浜田吉人

    浜田参考人 ただいまの件につきましては、一応私どもは三月一日から四月末日までを第一段のめどとしまして、生鮮食料品を除きまして、全部凍結を行なっておるというのが現状でございます。そうして、過般農林、通産御当局から、それの中にも含まれますけれども、五月ごろまでをめどとした一つ価格凍結をしてほしいという品目の指示がございました。もちろん、それに対しましては全面的に協力を申し上げたのは当然でございますけれども、市場価格のメカニズムがはたして長期に、五月、六月ということがもてるのかどうかということには、全く自信はございません。しかし、いま全力をあげて——言えることは、私どもは他の皆さま方と多少性格が違っておりますので、したがって、この値段は、折衝しましたがどうしてもこれだけになりました、ですから消費者組合の皆さん方、これをひとつ御承知くださいというふうなことは、どんどんその組織に向かって公開してまいります。それで消費者の皆さん方の御了解を得るならばそれでやっていきましょう、こういうふうなことが柔軟にとれますので、今後そういう場合に直面すれば、もちろんそういう方法をとっていくという考え方でございます。そういうことで、それまで実は詰めました範囲におきましては、いろいろ品種別にございますが、衣料品のごときはだいじょうぶだ、こういうふうなことで、私どもメーカーあるいは問屋のほうから大部分はそういう御返事をいただいておるわけでございます。食料品につきましても、すべてがそうであるとは申せませんで、たとえば清酒ですね、酒類、こういうものがすでに日程にのぼっておるやにも聞いておりますし、いろいろ私どもも、灘地方でございますから酒屋さんの内幕も多少存じております。そういうことになった場合は、それはそれとして消費者の皆さん方に公表をして、そして御了解をいただくというふうな措置もとっていきたいものだ、こう考えておるわけでございます。
  38. 岡田卓也

    岡田参考人 価格凍結の問題につきましては、それぞれの企業商品を選んで、そして凍結をやっておるわけでございます。通産省の指定品目の中で、その単品におきまして五百ないし六百品目の凍結を現在やっておるわけでございます。それらの商品につきましては、それぞれの企業によって二カ月あるいは三カ月という間の凍結期間を発表いたしております。それにつきましては、私どもの例で申し上げますと、発表した限りは、その間は価格が上がってもそれを守るという姿勢で、大体取引先その他につきましても話し合いをした上で、価格を発表いたしております。したがって、二カ月ないし三カ月の期間を設定いたしたものにつきましては、その間はその価格のままで最後まで売るという覚悟でございますが、それ以後になりますと、非常にむずかしい面が出てくるのではないかというように思います。これは商品によっては、その間にもしも品切れをする、不足をするということがありますと、これはまたパニックの一番の原因にもなる大きな問題でございますので、その間はその商品は絶対に切らさないで、しかもその間凍結する、そういう形をすでに取引先と話し合いをした上で、今回発表いたしております。しかし、その後は非常に自信がございませんので、あとはそれぞれ卸段階その他についてもそういうような行政的な措置お願い申し上げたいというふうに思います。
  39. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 時間がありませんからあと二、三点でやめたいと思うのですが、ビッグストアあるいは百貨店、こういったところのシェアが全国で二〇%、残りの八〇%はやっぱり中小小売り店だと思うのですが、きょうは中央団体連合会の方が来られずに、専門店会の専務理事の新木さんが来ておられますので、代表してひとつお答えいただきたいのですが、逆に言うと、いま二〇%のシェアを占めておる百貨店なりチェーンストアなり生協、こういった量販店価格の凍結をいたしましても、残りの八〇%を握っておるところの価格の問題が具体的にならなければ、あるいは同一に凍結されるという形にならなければ、早晩やっぱり価格の問題はくずれてくる、こういうことを私たちは非常に心配をするのです。ですからここは、きのうも学者の先生からいろいろ話がありましたが、地域的には非常にシェアは小さいけれども全国的にまとまりますと八〇%のシェア、やはり中心的な流通を持っておられるわけですから、そういった意味での皆さん方——これは皆さんは専門店会としての団体ですけれども、そういった意味で、中小企業団体として、今日のこの価格凍結という問題について協力するという体制が皆さん方自身におありになるのかどうか、その点を簡単にお答えいただきたいと思います。
  40. 新木精之助

    新木参考人 実は午前中のお話で多少申し上げたわけでございますけれども、今回のこの措置につきましては、われわれ中小小売り商店というものも非常に責任を感じて、先生のお話のとおり、八〇%の売り上げを占めているということは非常に国民の生活に重大な影響を持つものである、したがって、今日の緊急事態についても非常に重大な責任を感ずる、ただし、百四十九万店という、非常に山村津々浦々にまで散在する、下は零細なパパ・ママ・ストアから上は中小の小売り店まで、これをどうやって指導していくかということにつきましては非常にむずかしいものがあると思いますけれども、ただし、ただいまのお話のように、最近には地方の中小都市にまで量販店、大型店が展開いたしておりますので、それらの町における量販店のプライスリーダーと申しますが、価格を凍結することによって近隣の中小小売り商店もそれについていかざるを得ない。中小小売り商店も非常に数が多くて過当競争を来たしております。したがいまして、たとえばある商品について百円という凍結価格量販店で行なわれますと、その近隣の中小小売り商店といえどもそれ以上に不当に高い値段で売るわけにはまいりません。消費者は必ずそういうような中心価格を持つお店に行くわけでございます。したがって、ただいまのお話のように、これがいつまで続くかということでございますが、ひとつできるだけ大規模小売り店がリーダーシップをとっていただくように、そしてそれによって影響を十分に中小小売り商店にまで与えていただけるようわれわれも念願しているわけでございます。  ただし、われわれといたしましても、今日のこの時点については各団体とも全国の各下部組織に流しまして、先月の二十日に自主的に売り惜しみ、買い占めはしない、便乗値上げはしないというような宣言もいたしまして、そしてさらに政府の御指導もございますので、それに沿って全面的に協力するように指導をいたしたいと思います。
  41. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 政府もそのことを願って、ビッグストア、百貨店等に対しての価格凍結、そしてそれが波及的に八〇%の流通を占める中小にいくという、こういうことをしたのだと思いますけれども、しかしそれはやはりあくまでも協力関係、それから縦の指導、こういったものがなければ必ずくずれてしまうわけですから、そういった意味では、ぜひ御協力をいただきたいと思うのです。  そこで最後に二つお尋ねをいたします。  その一つは、専門店の皆さん方で、これは家電業界でよくあるのですが、一店一帳合い制というのがいまたいへん問題になっていますね。こういった要するに中小零細企業の資本による系列化、しかもその系列化がきわめてきびしい条件で行なわれていくということについてのあなたの中小企業としての考え方、こういったものがいいのかどうなのか、認められるかどうか、ひとつそういう点についての御答弁をいただきたいと思います。  それから浜田参考人にぜひお願いしたいと思うのですが、生協の全体の流通に占めるシェアは全国的にどれぐらいなのか。そしていま現実に生協の物価抑制に与える影響というものは私は大きかったと思うのです。やはりチェーンストア百貨店並みだったと思うのですが、いま生協の会員がどんどんふえてきておりますね。その生協と零細中小企業との調和という問題について具体的にどういう考え方に立っておられるのか。時間がありませんからひとつ簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。
  42. 新木精之助

    新木参考人 ただいまのお話の系列化の問題でございますが、これにつきましては先生のお話がありましたとおり非常に問題があるというように思います。というのは、系列化になりますとそのメーカー特定商品を押しつける、そしてそのために価格においても、消費者に対応する自由な価格ということがそれぞれの小売り商店でできないということが一点。それから同時に小売り業者販売の方法といたしましても、消費者の要求するようなバラエティーに富んだ多様な商品構成というものができない。さらにまた、系列化に入ることによっていろいろなメーカーからの制限というものが加わるというおそれがございます。そういうふうな意味でメーカーの非常に強い力の系列化ということは好ましくないというように考えます。
  43. 浜田吉人

    浜田参考人 松浦先生のお問いに対しまして申し上げますと、全国生協の日本の小売りの中に占めるシェアは大体四十八年度で一・三%程度だと存じております。  それから第二点の会員が増加しつつありますことと小売りに対しますシェアでございますか、こういう点につきましては、こういうふうな考え方を持っております。全国に一・三%しか、わずかしかシェアを持っておりませんが、これは全国一本にした考え方でございまして、これを地域的に見てまいりますと、たとえば北で札幌市民生協、これはたいへんな札幌周辺におきますシェアを持っておると思います。あるいは山陰におきます鳥取の米子市の西部生協でありますとか、あるいは山口も同様であります。それから阪神間におきます灘神戸生協とか、相生市の石川島ハリマ生協でありますとか、そういう地帯ごとに見ますと、その地方におきますシェアというものは相当、もっと高いものを持っておると思います。平均値で申しますといまのような形でございます。  そうした中でなぜ生協の会員が去年の十一月ごろから続々と現在に至るまで増加しつつあるのだろうかということにつきましては、これは私どものほうから申し上げるのはおこがましいのでございますが、やはり生協が消費者によって組織されたものであるということで消費者に弓を引いてないわけですね。そのことがやはり多く信頼をされて、そういうふうな結果を現在もたらしつつあるのではないか。ただし、これは決して力が強いとは申し上げられませんが、現象としてはそうなっているのではないかというふうに私どもは判断いたしております。  最後に、小売り屋さんとの調和の問題でありますが、これは私どもは常に小売り屋さんというものは敵視政策をとったらいけないんだ、やはりそれぞれすぐれた特徴をお持ちになっていらっしゃる、こう理解をいたしております。したがって別の面から申しますと、小売り屋さんの持ち味あるいは便利性——大型になりますと営業時間もそれぞれ制約されましょうし、いろいろなことがございます中で、小売り屋さんが本来的に持っていらっしゃるところの便利性というものは国民生活の中に抜きがたいものがございます。そういう点と、それからまたえてふえてがございます。デパートさんにしろ、チェーンストアさんにしろ、あるいはわれわれの生協にいたしましてもやはりえてふえてがございます。そういうものの中で小売り屋さんのそれぞれの特色を生かして、そしてその特色を生かしながら国民生活の中にどう寄与するかというふうなことにおいて考えるならば、決して、そういう問題はあまりそう発生しない。現に私どもの地帯におきましてはほとんど発生していないということを申し上げても過言でない、こう思っているわけでございます。
  44. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 時間が来ましたから終わります。ありがとうございました。
  45. 平林剛

    平林委員長 加藤六月君。
  46. 加藤六月

    加藤(六)委員 きょうは、参考人の皆さん、ほんとうにありがとうございました。私も松浦議員と同じようにきょうの本会議関係で途中から皆さま方の御意見を十分承らずに失礼いたしました。あとからメモで見させていただくということでたいへん失礼いたしておるわけでございますが、私は大きく三つの点に分けて御意見を承りたいと思います。  一番最初は、まず価格調査官についてです。価格調査官というものを経企庁、厚生省、農林省、通産省等でつくり、また地方の公共団体価格調査員というものをそれぞれ政府お願いして、いろいろ機構を整えてやっていっておるわけでございますが、岡田参考人並びに新木参考人藤田参考人にお伺いいたしたいと思うのですが、いままでこの価格調査官並びに調査員が皆さん方にどういうアプローチのしかたをしたであろうかということが一点。そしてそのアプローチの過程において、物価安定のためにほんとうにこれはいい制度だと思われたか、あるいは何も役に立たないものであったと思われたか、まずこの価格調査官並びに調査員に対してどういう感じを持っておられるかということを、岡田参考人新木参考人藤田参考人に承りたいと思います。調査官でなかったら調査員でもかまいません。あるいはそれぞれの都道府県の立場で来たという場合でもかまいませんが、お教えいただきたいと思います。
  47. 岡田卓也

    岡田参考人 ただいまの御質問について、申しわけないのでございますけれども、私も価格調査官なり調査員という人に直接お目にかかったことがございませんので、店舗段階で調査をされておるかと思いますけれども、詳しい報告はいまのところ何らございません。
  48. 新木精之助

    新木参考人 私もいまの岡田参考人と同じように、実は直接店にタッチいたしておりませんので、残念ながらはっきり御回答申し上げかねるのですが、しかし中小小売り商立場といたしまして、全国に非常にたくさんの店がありますので、特にこういうふうな地方公共団体調査員制度というものは非常に的確ではないか、われわれ自身が十分に指導するといっても非常にむずかしいものがございますので、そういうふうな立場からできるだけ国家、国民の要請に沿うようなあり方をしていただくのは非常によろしいと思います。ただし、その調査について、よく物価監視員というような表現が使われておりますけれども、そういうことではなくて、やはりここでもって少なくとも指導的な立場で来ていただくということは非常にいい制度ではないか、かように考えます。
  49. 藤田正次

    藤田参考人 加藤先生からのお話の調査官あるいは調査員でございますが、本日出てまいるまで各店舗にそういう方が御接触をとられていろいろ御調査いただいたというのは残念ながらまだ存じておりませんけれども、ただ、今回の、特に三月十五日時点価格の凍結につきましては、三月二十五日までに政府のほうに報告をするようにということでございますので、そういう方の活躍はこれから逐次軌道に乗ってくるのではないかと期待しております。われわれとしましては、こういう物価の緊急避難の大事な時期でございますから、小売り店はもちろんですが、小売り店だけじゃなしに、物価調査官あるいは調査員、そういう関係の人の総力、いろいろな関係の人の一本の努力で実効をあげるのは当然ではないかというふうに思いますので、できるだけ御協力をさしていただきたいというふうに思います。
  50. 加藤六月

    加藤(六)委員 私はこの調査官、調査員、それぞれお目にかかってこの皆さん方がそれぞれのお店に接した感じや印象等を、アフターケアではございませんが、やって歩いておるわけでございますが、その次にお伺いしておきたいと思いますのは、先般石油値上げに伴いまして先ほど松浦委員からも質問がございましたが、いわゆる事前届け出制によるところの品目というものと生活関連品目というものを百貨店チェーンストアお願いして、こうこういう品目は当分の間値上げをいたさないという御確約をいただきましたから、石油の八千九百四十六円キロリットル当たりの値上げ、すなわち六二%の値上げ分というものはこういう品目こういう品目には影響ありません。また基礎資材における五十三品目についてはこうこうでございますということ等で、われわれ自由民主党内部におきましてもこの問題についての激論はあったわけでございますが、政府がそういうことでいろいろ数字を示したりなんかしたわけで、不満ながら認めざるを得ないかということになったわけですが、その間の過程において議論したわけですが、これは新木参考人藤田参考人にお伺いしたいと思います。また藤田参考人はちょっとその内容に触れられましたが、一体政府のだれがどこを通じて、百貨店あるいはチェーンストアに百五十八品目あるいはこれこれの品目についてひとつ当分の間値上げをしないようにしてもらいたいという要望はあったのでしょうか、ひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
  51. 新木精之助

    新木参考人 中小小売り商団体に対して百四十八品目の自主的な価格抑制措置というものについてのあれは、直接品目をあげていろいろお話はございませんでした。ただ、こういうふうな制度をチェーンストア協会あるいは百貨店協会等に頼んで、そしてそういうふうな業者の方々が自主的に価格抑制措置を講じてもらいたい。それについてやはりある程度の期間、たとえば物価鎮静するまでというようなそういう期間を設けてやってもらうのだが、中小小売り商立場としても、今日のこの物価引き下げあるいはインフレの抑制というような立場から、これはあくまで強制ではなくて、緊急避難ということなんだけれども、これについてこの精神に沿うていろいろやってもらいたい、こういうふうな御指導がございました。ただいまの先生の御質問に直接御回答できるかどうかわかりませんが、全国の八団体の者に対してこういうふうなお示しがございました。
  52. 藤田正次

    藤田参考人 政府のほうといいましても具体的には流通を所管しておられる通産省産業政策局のほうの責任者の方から物価の大勢あるいは石油製品の値上げの必然性というような全体の趨勢の趣旨の説明がございまして、そういう趣旨に沿った御協力をいただけぬかという趣旨説明がまずあったわけでございます。正式には三月の十六日に通産大臣から、これは百貨店協会ではございませんで、個々の会社の社長さん、責任者に書面をもって協力要請がございまして、個々の会社は自分の能力と判断で協力のスタートを切っておる、こういうことでございます。
  53. 加藤六月

    加藤(六)委員 清水参考人に承りたいのですが、実は私たちはそういう過程の中で、それならチェーンストア百貨店と商社だけにこういう百五十八品目の問題について了承をいただいたということになると、全体のシェア等を議論したわけですが、それ以外の小売り店に対して、逆に問屋はもう百貨店チェーンストアはそういう制度を政府に頼まれて了承しておるのでもうからぬから、もう卸すまいじゃないか、ほかの小売り店に卸そうではないかという、もし問屋筋からそういう動きがあった場合に政府はどうするのだといった内容等も実は突っ込んだわけでございます。きょうは清水参考人繊維関係のなにでおいでになっておられるので、全体の卸問屋の関係ではないと思いますが、たとえば、いま申し上げました品目の中で軽衣料というのがあります。紳士メリヤスはだ着、紳士布帛はだ着、婦人はだ着、ナイトウエア、くつ下、紳士ワイシャツ、こういうようなものも、個々の名前を全部あげまして、これは百貨店チェーンストアあるいはそれに関連する商社に対しては当分の間値上げをしないという確約をいただいたとこう政府が言うのですが、それ以外のものにはないわけですね。それで、しかも政府は、まあ五〇%前後くらい直接消費者に売る販売量がある窓口の業者の皆さん方に御了承いただければ、あとは自然についてくると思いますというような考え方もあったと思うのですが、私は問屋の性悪説をとるわけでございませんけれども、そこへ卸したのではこれはあかんからよそへ卸そうというような考え方というものが問屋の中にあったものでしょうか、なかったのでしょうか。まあ、清水参考人の場合は繊維だけでございますので、繊維の場合は一般的に在庫もふえ、金融難、いろいろな問題で相場が一般的に安静し、しかも下落をいたしておるわけでございますが、そういう動きというものは、問屋としてやったあるいは考えたことはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  54. 清水昭重

    清水参考人 私の立場繊維の、しかも織物の卸の立場でございますので、午前中にも全体の繊維関係需給のアンバランス、いわゆる供給過剰状況をむしろどうして直したらいいかというようなことまで申し上げましたわけでございます。したがって、繊維の場合には、むしろ買っていただくところがあればどこへでも売りたいというのが現状でございます。それに、御承知のように、繊維の取引は、たいがい現金問屋さんは小さい小売り屋さんでもやはりお得意がきまっておりますし、それから手形取引の問屋さんはそれぞれ固定客ができておりまして、どこへ売ってどこへ売らない、そういうような分け隔てはしておらないのが従来の慣習でございます。ことに今度の生活必需物資につきましては、相当出回りが潤沢になっておりますので、小売り屋さんはもちろん、百貨店やスーパーの御要望にも応じているということを私は聞いてまいりました。  それから、私、関係しております日本卸商団体連合会、これは午前中に、物価安定に関する決議をしたということを申し上げておきましたが、この団体はむしろ通産省の通達が出まするよりも早く、二月二十六日に中小企業庁の指導部長と商業第一課長を招きまして、常任理事会の席上で決議をしたわけでございますので、お手元に行っているかどうかわかりませんが、つまり、物価の安定、消費者利益擁護のために下請事項の実効を期することを決議して、傘下業者に徹底をはかるということをして「第一 メーカーおよび小売業者協力生活物資需給の安定および流通適正化をはかる。」二が「卸企業合理化システム化努力し、流通経費低減をはかる。」三が「メーカーより不当な出荷規制および値上げ、または一方的な取引条件の押し付け等の要求があった場合には、所管官庁に連絡し、適切な措置をとる。」こういう決議を二月二十六日にしております。傘下の団体全国食糧事業協同組合連合会、それから私ども日本織物中央卸商業組合連合会、全日本ゴム履物卸商業組合連合会、それから日本文具紙製品卸業団体連合会、日本医薬品卸業連合会、全国紙商団体連合会、東京硝子製品協同組合、それから全日本紳士服工業組合連合会、全国鉄鋼問屋組合、それから全国電機卸商組合連合会、日本ニット中央卸商業組合連合会、これはメリヤスでございます。それから全国油脂販売業者連合会、全国小麦粉卸商組合連合会、それから写真流通商社連合会、この以上の、ガラスだけは東京でございますが、全部全国規模の連合会の連絡機関でございます。  それで、その後私のほうに、それではそれに協力した情報の二、三を寄せてくれということで、急遽きのう取り寄せましたものは、たとえばゴムのはきものの連合会では、二月の一日に、小中学生用の運動ぐつの値下げについて、通産省指導を受けて、各メーカーと緊密な連絡のもとに次のとおり実施することにしたと、対象品目はビニールゴムぐつ、それからバレーシューズ、アップシューズ、こういったようなものが品目がこまかく書いてございます。値下げ率は……
  55. 加藤六月

    加藤(六)委員 清水さん、その分はわれわれ資料を持っておりますので……。
  56. 平林剛

    平林委員長 簡単でけっこうですから。
  57. 清水昭重

    清水参考人 そうですか。よろしゅうございますね。——そういうことで、各団体からそれぞれ、実際にこれに協力したようなものを申し出ておるわけでございます。  以上でございます。
  58. 加藤六月

    加藤(六)委員 私もあまり時間もないし、だいぶ予定を過ぎたので、あと二点簡単にお伺いしますが、これは岡田参考人新木参考人に承りたいのですが、去年十二月に物価狂乱になったときに、私たちは、あるものは児童の純真な気持ちを汚す、あるものは大衆消費者に非常に迷惑をかけた、これは一つは定価表であります。その定価表をいろいろ調べ、まあ内容等も勉強したわけでございますが、あの定価表というものは一体、ものによって違うでしょうが、メーカーから定価表というのはつけてくるのでしょうか、これを張れと言ってくるのでしょうか、あるいは問屋からあの定価表は来たのでしょうかということが一つと、その次は、今回われわれ生活関連品目を先ほど来あげたわけでございますが、聞くところによると、百貨店チェーンストアは、あれに一々定価表を最初は張らない、めんどうくさいというようなこと等があったのですが、最近一連の動きとして、定価表をそれでは百五十何品目については張りましょうというような前向きのお話があったやに聞いておるわけですが、まず第一点、去年の狂乱物価時代におけるあの品物とは別に、あるいは品物と一緒に新しい定価表がついてきた場合、あれは問屋から来たのでしょうか、それともメーカーから来たのでしょうかということと、今回石油値上げに伴う生活関連品目の定価表というものを張る場合には、これは皆さん方があれは自発的にお考えいただいたのかどうかという二点について、岡田参考人新木参考人に承りたいと思います。
  59. 岡田卓也

    岡田参考人 定価表という意味がちょっとわかりにくいわけでございますけれども商品についておる値札ということでございましょうか。
  60. 加藤六月

    加藤(六)委員 たいへん失礼しました。個々の商品に、たとえばクレヨンで言いますと、十二色の太巻きのクレヨンがありますね。これには百三十円という定価がもともと印刷してあるわけです。ところが調べてみると、おもな文房具店やおもな店をずっと当たっていきますと、その上に二百七十円という定価表が、二百七十円というのが一枚の紙で張ってあるわけですね。そういう品物そのものに張ってある定価表であります。値札ではありません。
  61. 岡田卓也

    岡田参考人 定価表そのものは、シールはそれぞれの企業でつくるものでございます。で、先ほど御質問の中でのいわゆる二重価格の問題であろうと思うのでございますけれども、二重価格の問題については、十二月時点ではかなり末端混乱現象が起こったことがございます。しかし一月以降はそういう問題がないように、私どもでも先ほど来申し上げましたように、社内におきましていろいろな基準を設けまして、先ほど来少し読み上げましたが、そういう価格の点につきまして厳重な社内的な一つの規約をつくって統制をしたということでございます。  よろしゅうございますか。
  62. 新木精之助

    新木参考人 ただいまの先生の御質問は、大体岡田参考人と同じようなケースになると思いますけれども、やはりわれわれがひとつ問題にしておりますことは、定価表が印刷されておりながら卸価格がそれを上回って、これはその当時の、混乱時の問題でございますけれども、たとえば百円という定価表が印刷されておりながら、先ほど先生のおっしゃったように、その上に二重にシールが張ってある、これが非常に消費者に対しての不信を買ったということでございますが、これは中小の小売り商店として、たとえば定価百円のものについての卸がかりに八十円であったといたします。ところがその後の卸が九十円だった、こういうことになりますと、中小の小売り商店としてはどうしてもこれを百十円にしなければならないというようなことになりますので、中小の小売り商店としてはこれを百十円でシールを張らざるを得ないという羽目におちいるわけであります。したがいまして、中小小売り商店としては少なくともそういうふうな商品については当初から百十円なら百十円の定価で印刷して、あらためて持ってきておるわけであります。同一商品が二重に張られているということは、非常に小売り商としては迷惑な話でございますので、そういうふうなことについて非常にお客さまからも不信を買い、われわれ自身も非常に苦境に立ったということでございます。  以上のようなことでございます。
  63. 加藤六月

    加藤(六)委員 実は私が質問するほんとうの問題は、倉庫問題をだいぶ御質問いたし、また御意見を承って、流通過程における倉庫の効用というものと倉庫業法あるいは倉庫における立ち入り検査の問題、その他の問題について申し上げようと思うたのですが、ほかの問題のほうで時間をとられてしまいまして、たいへん恐縮で、せっかく松村参考人もおいでいただき、その経験豊かなお話を承ろうと思ったのですが、これはひとつほかの先生にお譲りしまして、私の質問時間はもう過ぎましたので、これで終らしていただきます。  貴重な御意見ありがとうございました。
  64. 平林剛

    平林委員長 吉永治市君。
  65. 吉永治市

    ○吉永委員 私は、ただいまの問題に若干関連をいたしますが、流通政策に対する政府指導政策と申しますか、これはこの間の狂乱物価時の価格指導という意味ではございません。政策指導、いわゆる物流の対策、消流の対策についてもっとこうあってほしかった、ここのところはこういうぐあいにしたらどうだと、おそらく第一線の責任者として、あの狂乱を体験なすった皆さま方にはさぞかしそういうものの御意見が多かろうと思っております。その御意見なりあるいは御批判なりというものを忌憚なく承り得たらと、そういう趣旨で御質問を申し上げます。  政府の従来の指導方針と申しまするのが、これは御承知のとおりで、簡単に要約いたしますると、第一には物流の新技術の開発促進ということ、それから第二には物流基盤及び施設の整備拡充ということでございます。第三番目には物流機能の向上と、これは企画庁におきましても通産省におきましてもこの目標で大体政策立案を遂行しきたと言えるかと思うのでございます。  このことで第一の物流の新技術の開発促進という面につきまして、これは企業庁あたりに問い合わして会すると、無人倉庫あるいは新仕分けのシステム、ターミナルシステム、そういうことで問屋街、商店街等に対する配送、集荷の効率的な運営、それがどの程度理想的にいったか、できたかということを承りたいわけでございます。  これは松村参考人に御意見を承りとうございますが、と申しまするのは、やはりこの間の小売り物価狂乱物価のときの小売り価格の五〇%強を流通費で占められておったというような、そういう品目もあったやに聞いております。これは企業庁の調査によりまするけれども、そういう意味におきまして流通業態というものがかなり荒されておった、これ自身も狂乱をした。そうした意味において政府指導が、そういう従来の、いまの第一項目の指導がどうあったのか、どの辺にもの足りなさがあったのか、監督が足りなかったのか、そういう点を松村参考人の御意見を承りとうございます。
  66. 松村正直

    松村参考人 ただいまの御質問でございますが、物流新技術の開発促進、こういう問題でございまして、その中でお取り上げになりましたのが自動化倉庫の問題でございます。  これについてまず申し上げますと、自動化倉庫というのは確かに保管については新しい分野を開拓した、こういうことでございます。ただ大きな一つの制約がございます。その倉庫へ入る品物については大体同一規格のものが絶えずそこへ出入する一定の流れが確保される、こういうことが大前提になるわけでございます。したがって、営業倉庫なんかの場合には、そういった一定規格の常時流れてやまない貨物を確保するという面が非常に困難でございまして、むしろこの自動化倉庫の発達はメーカーサイドの自家倉庫を中心にして現在行なわれている。これが実態でございます。営業倉庫としてはどんな荷物でも扱える、こういうかっこうでの万能倉庫でなくちゃならぬというふうな制約をどうしても受ける、こういうようなことでメーカー、工場の付属倉庫の自家用倉庫というかっこうでは今後さらに発展するはずの技術であろう、こういうふうに考えるわけでございます。
  67. 吉永治市

    ○吉永委員 先ほどの松村参考人の御意見の発表の中で、法的根拠に基づく倉庫、いわゆる全国組織の倉庫があなたがなさっていらっしゃる倉庫だ、そのように承りました。そのほかにメーカー倉庫とか、あるいは問屋の倉庫とか、配送センター用の倉庫とか、そういうものがあって、これは権限あるいは組織外のものである、そのようなおっしゃり方だった。ただいまの加藤議員から、このことについてのいろいろな質問のなさり方があったやに、何か質問がちょっと時間が足りなかったということでございますが、倉庫がこうして各種各様の組織、機能で乱立しておる。このことは今回の狂乱物価を押えるという立場で、あるいはこれを何とか抑止するという立場で検討する場合、非常に繁雑でどうしようもなかったという一時点があったわけでございます。こういうことについて、少し本論からはずれますけれども松村参考人の御意見を承れたらと思っております。
  68. 松村正直

    松村参考人 先ほどこの狂乱物価の中において、物流のコストが非常に大幅のものであったというふうな御指摘を受けたのでございますが、先ほど午前中にも申し上げましたとおり、営業倉庫の保管料という点からまいりますと、物価に占める割合は一%弱という小さいものでございますし、物流を幅広くとりまして輸送を含むということになりましても、実は御指摘になるような数字にはなっておりません。ただいまちょっと数字を調べておりますけれども……。
  69. 吉永治市

    ○吉永委員 そういう指摘をしたわけじゃございませんよ。法的根拠に基づいた倉庫がそういう事態を演じたんだ、そういうことじゃございません。それは誤解のないようにお願いします。
  70. 松村正直

    松村参考人 そういう意味で、今度のなににつきまして倉庫業者、一部は輸送につきましては——輸送は私どもの分野ではございませんが、石油不足という問題から多少輸送費が平常よりも高騰したという事実はあるようでございますが、幅の狭い意味での倉庫物流ということでは平常どおりでございます。何にも変わったところはございません。
  71. 吉永治市

    ○吉永委員 では、この問題はそれくらいにいたしまして、物流基盤及び施設の整備拡充という政府指導目標の第二でございますが、これに関しまして清水参考人の御意見を承りとうございます。  流通業団地の建設とかあるいは物流基盤の整備、集配センター、卸商センターあるいはトラックターミナル、倉庫、そういうものに開銀、中金あるいは国民金融公庫等が思い切った融資を重ねてきた。またそのように指導してきた。それが一応軌道に乗ったという見方と、いままだまだその中途で、前近代的な流通と同居しておるんだという見方と両方あるようでございます。それについての御意見を承りとうございます。
  72. 清水昭重

    清水参考人 お答え申し上げます。  最近の物流の量の伸び率、これは流通システム委員会でも検討いたしまして、昭和五十年には相当膨大な量になる。取引流通が二倍になれば、物的流通はその倍になるだろうというふうな試算が出されておるわけでございます。企業局がそのために物流の合理化をたいへん推進されまして、私ども繊維でございますが、大阪に十年も前から箕面に二十万坪の物流センターができまして、すでに開店しております。それから厚木に五、六万坪の流通センターをいま整備しつつございます。それから商工会議所と協力いたしましてつくりました東京流通センター、これは京浜二区に埋め立て地を東京都から安く払い下げを受けまして、二棟の物流ビルをつくりました。先般アメリカから視察に来たわけでございますが、とにかく五トン車が五階まで全部ぐるぐる回って集荷、配送するような非常にりっぱな施設でございます。そのほかいまどこの業界でも、たとえば鉄鋼の業界ではそれぞれ大きな物流施設を持ちまして、加工施設までつけておるわけでございまして、流通合理化は、今後物流機構を進めなければ全然効率が落ちるということは、もう周知の事実でございます。そのために通産省の御助力を得まして、大企業の場合には開発銀行から融資を受けます。それから中小企業が中心の場合には、中小企業振興事業団から二分六厘の低利の融資を受けられる措置を講じておるわけでございまして、すでに全国各地に五十くらいの物流施設ができておるわけでございます。
  73. 吉永治市

    ○吉永委員 浜田参考人にいまの問題について一言。
  74. 浜田吉人

    浜田参考人 その点につきましては、まず第一番に、物流が非常に重要なことだということは認識いたしておりまして、私どもそのことにみずからが取り組んでおります。けれども、たとえば衣料品のごときは、一つの梱包が言うならばでたらめだ、こう申し上げてもいいほどそれらの規格化が行なわれていない。そのことが物流を今日低能率のままにしているのだということが一面言えます。これは私ども実際にはだに触れまして自分たちの配送センター、物流センターを持っておりまして、私は絶えずそこに足を踏み入れておりますので、そのことは実感をもって申し上げられるわけでございます。それから食料品の面におきましては、まだその点が多少衣料品、日用雑貨よりか少し進んでおるということは言えるわけでございます。しかし倉庫内におきましてコンテナでありますとかあるいはラックでありますとか、そういう仕分け方法がございますが、それに対しましてまだまだ問題があるということをここで申し上げたいのでございます。  それから日本的事情で非常に困難だという問題につきましては、それらのストックヤードなり配送センターへメーカー段階あるいは問屋段階から相互に入ってくるとか、小売り段階のほうへ、デパートさんへ入っていきますという場合には、これはかなり大型の十トン車、二十トン車というものが使えるわけでございますけれども、それ以降につきましては大型車が使えない。そういうところがアメリカなどと事情がたいへん違うということでございまして、せいぜい四トン車だ。そこに日本におきまする物流のほんとうの機能を低下さしておる大きな原因が存在しておる、こういうふうに見ております。  それから最後に、私どもは現在二十数億をかけまして関西に一応物流センターを持っております。その中におきまする試算をいたしますと、そこからずっと各店に配送いたしますが、それから後に要します配送費は、中におきます管理費、いろいろなものを含めまして現在約二・六%まで圧縮することができた。当初におきましては四・八%くらい第一次にかかっておりましたが、ずっと詰めてまいりまして、そこまでは詰められました。今後それから先の詰めは、いまのところ私どもはあまり期待できない状態であるという状態でございます。
  75. 吉永治市

    ○吉永委員 浜田さん、先ほど午前中の御意見の中に、こうした狂乱物価の時期においては、これからの政策として上限、下限の制約、法改正の方向を考えてほしい、このような御意見でございましたね。それであなた自身こうあってほしいという結論的なものを簡潔におっしゃってくださいませんか。
  76. 浜田吉人

    浜田参考人 その点につきましては、生鮮食料品が絶えず価格が乱高下いたしております。その乱高下はただ需給だけによる要因だけではございません。そこにムード的なものが出ております。そういう点からも生産者にとって、高値ばかりまたそのあべこべに極端な下げをいたしますということは、出荷者としては耐えられない問題でしょう。商社としてもこれは避けるべき問題です。したがって、いまの中央卸売市場法がセリを万能としてなさっていることに対して、やはり諸外国の例もあるわけでございますから、それは上限、下限を詰めた形で、それに対するいろいろな方法がございましょう。それを考究してやるべきだという時期に入っておる。実は兵庫県におきまして、そのことを近く県なりの独自の考え方ですることになって、先般重要品目につきまして、三品目でございますが、県民のためにやろう、生産者のためにもやろうということに決定いたしておりますけれども、やはり考えるべき問題だというふうに御意見を申し上げたわけでございます。
  77. 吉永治市

    ○吉永委員 浜田さんのただいまの御意見、非常に含蓄のある御意見だと承りました。私たちも十分意にとどめていきたいと思っております。  それから政府指導の先ほどの第三項目、物流機能の向上という面でございますが、これは藤田参考人にお伺いを申し上げます。  この物流機能の向上ということはどうしても共同一貫輸送というのが基本的な命題だろう、これは常識的にもそう言えますが、通産省企業庁あたりもそのような意見が支配的のようでございます。これによってパレチゼーションあるいはコンテナリゼーション、たとえばフェリーとか、そういうものをこれからどんどん活用なさるべきだ、こう思っておりますが、そういうことと現況との比較はいかがでございますか。
  78. 藤田正次

    藤田参考人 いま吉永先生からお話しになりました物流機能の向上で、百貨店としていま進めておりますのは、商品を持ち込む場合、商品センターのかなり大規模なものをつくっております。  (吉永委員百貨店だけにとどまらず、できましたら全般の視野からのお答えがありましたらと思います」と呼ぶ)はい、可能な範囲で。承知しております範囲では、特に百貨店が中心になることをお許しいただきたいと思いますが、商品センターを、かなり大規模なものをつくりまして、そこへ商品を搬入して、店へ搬入することを省いて直接消費者に届ける、そういう物流の効率化をかなりやっておるわけでございます。  一例を申し上げますと、先ほどもちょっとお話がありましたが、羽田に東京流通センターがございますけれども、御承知の方もあると思うのですが、あそこで、ある百貨店がワンフロア五千坪まるごとをハイヤーしております。そこにはトラックが横づけになりまして、カート、車のついた大きな箱なんですけれども、それに仕分けをして、反対の側から首都圏に散らばっている店にそのまま送る、仕分けをして送る、こういう合理的なことをやっております。これは一例なんですが、ほかの店でもそれに近いことを逐次計画的に行なっているのが一つ。  それからもう一つは、百貨店の場合で恐縮なんですけれども、中元、歳暮の場合、ある店では年末なら年末に三百万トンという膨大な量を歳暮にさばくわけですが、その場合にできるだけ提携店、ほんとうは共同配送ができると一番完全でございますが、いろいろな事情がございまして、一気にそこまではできないものですから、好きもの同士とわれわれは言っておるのですが、わりに友好関係にあるようなそういうお店が相互乗り入れの形で共同配送しておる。あるいは輸送会社に幾つかのお店が頼みますと、最終末端では同じ輸送会社が合理的に地区を配分して、合理的な配送をしておるというようなことで、逐次、部分的ではございますが、物流の機能の向上をはかっておるわけでございます。  さらに広い範囲で、先ほどおっしゃいましたパレチゼーションとかもっと多角的な内容で推進しなければならぬわけですけれども、いろいろな事情でそれほど大幅に急速に進んでおりませんけれども、物流の重要性あるいは物量そのもののこれからの増加から見たら、当然にそういう方向に前進すべきだと思います。
  79. 吉永治市

    ○吉永委員 それから物流と並んで流通活動を二分する省力活動と申しますか、皆さま方はその衝に当たってござる方々が多いように拝承するわけでございますが、現在、これは企業庁の統計でございますが、卸が二十六万店二百九十万人、小売りが百五十万店約五百万人の方々がこれに従事をしておる。これが斉一に現在流通をうまく仕分けをし輸送し配送するという点で、まだ非常にちぐはぐが多い。斉一な流動的なことまでいっていないということが今日まだいわれておるわけなんであります。  そこでお伺い申し上げたい。このことは岡田参考人新木参考人に御意見として伺いとうございますが、政府は、ボランタリーのチェーン化それからセルフサービス化、ショッピングセンター、そういうことに資金面とか技術開発面でいま盛んに一生懸命に応援をしておる、指導しておるのだ、このようなことを申しております。この援助面、指導面、そういうことに関して御希望、御意見あるいは御批判があれば承りとうございます。
  80. 岡田卓也

    岡田参考人 ただいま御指摘のように、わが国小売り業は百五十万店、諸外国先進国と比べますと数におきましても非常に多いわけでございます。また零細であるわけです。この点を解決しないと、他の問題にいたしましても物流の問題にいたしましても、根本的な解決はなかなかできないと思います。政府ボランタリーチェーンの推進ということにつきましては、かなり積極的に御指導を願っておるようでございますけれども、しかしボランタリーというのは意識の問題か最大の問題でございます。やはりある程度の危機意識がございませんと進まないということであります。諸外国の例を見ましても、レギュラーチェーンがある程度発展したところでボランタリーチェーンが発展するというのが歴史でございます。ところが、ただいまレギュラーチェーンについては大型店法の規制が出てくるという形で、そういう意味からもボランタリーチェーンを積極的に御推進になると同時に、レギュラーチェーンの拡大も推進していただかないと、達成できないのではないかと思います。またショッピングセンター等につきましては、いまのところ再開発以外については助成はございません。それからセルフサービスにつきましても別段助成というものはございません。私どもが希望しますのは、ショッピングセンターの開発等につきましては、やはり開銀融資等を積極的にお願い申し上げたいと思いますし、またセルフサービス化等によりますそういう機器その他の償却について、税制面での御協力お願い申し上げたいというように思います。
  81. 新木精之助

    新木参考人 ただいまの先生のお話にお答えいたします。  私たち中小小売り商といたしましては、先生がお話ししましたようなことについて、かねて何とか小売り商業の近代化ということによって国家国民の要請にこたえたい、かようなことで、実は昨年大規模小売店舗法の制定と同時に、一緒に中小小売商業振興法というものをつくっていただいた次第でございます。中小小売り店としてはたいへんいろいろ感謝いたしておるわけでございます。この中で、商店街の近代化、それから共同店舗、それからもう一つ、御指摘のボランタリーチェーン組織化というものが三本の柱になって、国から助成をされるということになっております。  そこで、このボランタリーチェーン組織化でございますが、中小小売り商店としてもただいまのところ、たとえば一チェーンに入るにいたしましても相当の入会金が要るというようなことで、全部網羅するということは非常にむずかしい。それからもう一つは、たとえば同じ紳士服の業種にいたしましても非常に大きい規模のお店とそれから零細なものとあるというようなことで、粒をそろえたものを幾つかつくっていくということが非常に困難であるというようになっております。社団法人日本ボランタリーチェーン協会というのが現在ございまして、通産省のいろいろ御指導も受けてやっておるわけですが、これは現在百二十五の団体が、食品も時計もあるいは紳士服もいろいろ入って、一生懸命に中小小売り商のチェーンの組織化、あるいは国民にこたえるよりいいものを安く仕入れて、そしてそれを国民、消費者に渡すというような仕事をやっているわけでございますが、なかなかこれとてもほんとうにまだまだ、全国小売りのメンバーとしましては、このわずか百二十五の団体のボランタリーは約三万店でございまして、これが中小小売り商立場とすればわずかに二%がそこらにしかならないというかっこうでございます。  先ほどの点についてちょっと触れますけれども、物流の問題でございますが、ボランタリーチェーンの百二十五の中の約三分の一が食料品関係ボランタリーチェーンでございます。この三分の一の食料品関係ボランタリーチェーンのうちのまたやっと半分近くが物流システムを持っているというようなことで、先ほどもお話のありましたように、物流のシステムをもっともっと開発、革新しなければいけないということはわかっているのですが、やはりボランタリーチェーンを組織して初めてできる、それからまた物流システムも現在のところ食料品関係にほぼ限られているというようなことでございます。  もう一つセルフサービスあるいはショッピングセンターというものについてのことでございますが、小さな店でセルフ化するということはなかなか容易でありません。ただし、どんどん省力化ということを中小小売り商も考えておりますので、こうしたこともいろいろ検討あるいは指導はいたしておりますけれども、まだまだ非常に普及するということには至っておりません。ショッピングセンターも大規模小売り店を核として、一緒になってショッピングセンターをつくるということをいろいろやっております。全国でも相当できております。特に中小小売り商店ばかりが寄ってつくりますいわゆる寄り合い百貨店と申しますか、そういうふうなものも政府の御指導で現在約四百店ぐらいございます。その四百店のうちの半分が中小企業振興事業団の助成によってできておるわけでございますけれども、この寄り合い百貨店といえども他人同士の集まりで、形は百貨店のような形をしておりますが、所期の目的を達することが非常にむずかしいというような現状でございます。  以上でございます。
  82. 吉永治市

    ○吉永委員 終わります。ありがとうございました。
  83. 平林剛

  84. 加藤清二

    加藤清二委員 お許しを得まして質問をしたいと思いますが、実は私のほかに共産党のお方、公明党のお方、民社党のお方と、質問者がまだあとずっと続いております。答弁なさる参考人の方も相当お疲れのようにも見えまするので、簡潔にしぼって御質問したいと思いまするので、御答弁なさるほうもよろしく簡潔に、はいと言ったらおいと答えるような調子にひとつお願いをしたいと思います。  第一番、去年のいまごろの予算委員会におきまして、田中総理は、卸売り物価は二%に押える、小売りは五%にするとおっしゃられた。しかし一年たった今日、振り返ってみますと、何と卸売り物価は三二%の余上がっている、小売りは二五・六%の余上がっている、それは世界一の上がり方である、こういうことになる。一体何がその原因をつくったであろうか。もしその上がり方が不当であり、間違いでありとするならば、これは自由主義経済を冒涜する犯人である。その犯人は一体だれであろうかということをずっと私は社会党の政策審議会を中心に調べてまいりました。  そこで繊維にしぼってお尋ねいたします。  私は、いまここへ来る途中で——皆さんこれを見てください。これを買ってきました。下の、この衆議院の中の共済組合でございます。タオルでございます。これが一人前のタオル、これが手ふきタオルでございます。これをデパートでは幾らに売っておられますか、事デパートのお方——いやよろしい、私がお答えします。そういうこまかいことまで専務理事さんが御存じなくたってこれはけっこうでございます。ミクロのことはおいてマクロのことだけを御存じなのが統括者の仕事でございますから、それは無理もありません。ただし消費者が高いな、物価値上げは困るなと感ずるのはマクロの問題じゃありません。ミクロの問題なんです。  そこでごらんください。これが百十円でございます。これが二百円でございます。これをきょうの糸値ではかってみました。私は何度も何度もやっていますから暗唱していますが、今日の糸値からいきますと七倍から十倍でございます。糸値をうそを言うといけませんから、私は秘書に新聞を取り寄せさせておきました。きのうの相場でございます。当月物は落ちでございます。したがって四月限、五月限、六月限、七月限、八月限、九月限と相場が立っております。一体幾らか。大体二十番手から四十番手に至るまでポンド当たり三百円前後でございます。さすれば一コリ大体十二万円でございます。これは一体何ぼついているか、はかってごらんになったお方はようおわかりでしょうが、〇・一三二ポンドです。これはもっと少ないですよ、半分の手ふきでございますから。計算してみてください、そうすると何倍になっておるか。それだけではありません。問題を日用品、生活必需物資にしぼれということでございましたから、しぼってみました。タオル、これは物によりけりでございますが、五倍から七倍、手ふきタオルは糸値の十倍以上でございます。  くつ下、私はここへ持ってきております。これは八百円でございます。デパートのマークが入っております。値札もつけてございます。事実八百円、見てください、うそではありません。これは糸値の二十九倍になっております。きのうの糸値を調べてみました。名古屋毛糸で一キロで千四百二十円、大阪は千四百二円、東京相場千三百九十五円でございます、一キロでございます。くつ下、一体何ぼ目方がついておるか。お調べになったらおわかりでございましょうが、これは〇・一ポンドついているのは少のうございます。だから糸値は十分の一以下です。しからばどういうことになるか。糸値はかりに千四百円としたって、〇・一ポンドついておったとしても百四十円で済んでおるはずです。どうして八百円になる。  次に、ガーゼはもっとひどいです。十二倍。脱脂綿、これはもうますますひどい。どうしてひどいか。これは清水さん、専門家ですから御存じでしょう、カード下なんですよ。つまりこれはくず綿なんです。このくず綿が一体どうなっているか。二十五グラムづきなんです、これが七十円している、七十円。私はいま百円で買ってきた。ところがこれをポンド値にすると千二百七十円になります。さすれば一コリ五十万八千円。これはカード下ですよ。どうしてこんなくず綿がそんなに高う売れるのですか。ふしぎでかなわぬ。  紳士はだ着、これはまたあとの質問にいたしまするが、これが糸値の大体六、七倍でございます。ワイシャツ、これはきょう機屋の全国大会がけさ八時からありました。そこで皆さん御存じの綿工連の会長さんがおっしゃられた。純綿ですと六十から八十の双子でもって三千円、合繊入れて二千五百円、これがデパートの値でございます。一体これは糸値の何倍になっているか。十五倍のようでございます。まだこんなところで驚いておったら、これは序の口でございます。練習用の運針布、これは小学校の子供の使うものでございます、中学校の子供の使うものでございます。何と七十五倍でございます。ミシン糸、東洋紡の純綿、東洋マル八じるし、これが紡績出し値の四十七倍でございます。いわゆる縫い糸、ダルマじるし、これが三十四倍から三十六倍でございます。一体どうしてそんなに高くなるだろうか。どこに犯人があるだろうか。私は実物を全部ここに持っております。時間さえいただければゆっくりこれが幾らでと、一つずつ逐条審議をしたいところでございますが、与えられる時間が少のうございますので数字だけを申し上げました。どこに犯人があるだろうか。  そこでまずメーカーが売り惜しみ、買いだめ、出し惜しみをしておるではないかと思って調べてみます。しかしこの四十番手でもってきのうの相場、ポンド値について三百八円あたりの値は、これは二十年前と同じ値段でございます。二十年前、通産省があるとき指示をいたしました。私はそのとき議員をしておったから覚えております。そのときの値と同じでございます。  スフ糸、やや上がっておりますけれども、そんなに変わっておりません。ここらあたりの糸は出し惜しみとか売り惜しみということができないのです。なぜならば、半年前に売るのですから、三カ月ごとに。全部売っちゃうのですから。たくわえておる倉庫はありませんから。そうでしょう。倉庫業のお方、よく御存じのとおり。紡績が倉庫を借りて糸を預けた、そんなためしは倉庫業始まって以来ありませんね。  さて、そうなると、一体どこがもうけておるだろう。しかし、この点はいずれ本職を呼んだときにお尋ねしたい点でございます。  では、機屋がもうけておるのか。きょうの全国大会、皆さんに見せたかった。ナイロンタフタ、五十メートルですよ。五十メートル、三十六インチ幅、織るのに十三時間かかりますよ。工賃、幾らだと思いなさる。なんと六百円です。十三時間かかるのですよ。最低限千四、五百円なければやりきれない。もっとも紋綸子、紋パレスになりますと、これは二千円から三千円程度、匹でなくて二丈八尺物でそういう工賃になっておりますが、かりにそうであったとしても、これではかなわぬというので機屋がいま半分以上操短しております。四−六になったら次から次へと倒産が出るといっている。それでは染色整理業がもうけたか。もうかって蔵が建ったという話は聞いたことがない。  さて、そこで今度は最終末端小売りのところをお尋ねしたい。きょうはその系統のお方が多いようですから、いずれいままで申し上げましたその段階の点は本人に承ります。きょうは小売りの段階のところを聞きます。  先ほど専務さんは、安定価格、適正利潤とおっしゃられました。デパートの適正利潤は何%でございますか。
  85. 藤田正次

    藤田参考人 日本百貨店協会で最近の決算期の主要な百貨店の財務分析をやっております数字では、荒利益、グロスマージンは二二%という数字になっています。通常の場合には二一%から二三%というふうにお答えしております。
  86. 加藤清二

    加藤清二委員 同じことをスーパーのチェーンストアの方から。
  87. 岡田卓也

    岡田参考人 食料品におきましては一三%から一五・六%、それからその他の商品につきましては一八%から二〇%ということでございます。
  88. 加藤清二

    加藤清二委員 ほんとうにそうでしょうか。それでは、私が一つ、こういう実例をお尋ねしたい。  紳士物はだ着、エジプト綿一〇〇%、デパートの衣料売り場で私は買いました。実物を持っています。これが上下とも千円なんです。これは一体幾ら目方がついているかと思って調べたら、百五十五グラム、〇・三四ポンドです。この目方では一体幾らになるかといったら六十番手でもって二百二十一円あればいいです、この値づけでしたら。四十番手であれば百七十円から、今日の値なれば六十番手を使ったって二百円でいい。四十番手だったら、きょうの相場でしたら百二十円。それが御承知の千円しておるわけです。これもなんと七、八倍になっているわけです。ところが、きわめて不可思議なことに、同じデパートの八階へいって、これは銘柄を申し上げます、日清紡の「三つ桃」でございます。こうなりますと専門家ならよくおわかりのとおり、最高の糸でございます。しかも、日づけが、こっちは百九十グラム、下のほうが百七十八グラム、さっき申し上げましたのは百五十五ですから日づけもこっちのほうが多いのです。それが何と六百八十円の値になっておる。私はあえて、このタオルがここで買うと二百円だけれども、デパートで買ったら二百五十円ということを言おうとしているんじゃありません。これは事実です。これのほうは私が百十円で買いましたが、デパートで買うと百五十円、それをデパートがけしからぬとかスーパーがけしからぬというんじゃございません。なぜかというと、税金が違うとおっしゃられればそれまでです。ただし、そのときだったら何ぼ税金を余分に納められますか、生活協同組合は何ぼ税金の免除がありますかとお尋ねしたいところなんです。しかし、同じデパートが日づけの多い糸質のいいものを六百八十円で売って、日づけの少ない糸質の悪いものを千円で売るとは一体どういうことですか。三割五分違うでしょう。こういう値のつけ方をやっておられる。適正利潤を二二%とか何とかおっしゃいましたが、これだけで三割五分違うのですよ。これはどういうことですか、お教え願いたい。
  89. 藤田正次

    藤田参考人 加藤先生の専門的な御見解にはなかなかお答えできなくてたいへん残念ですが……。
  90. 加藤清二

    加藤清二委員 ごもっともです。きょうは予算委員会と違いますから、決してあなたたちをきゅうと言わして快哉を叫ぶほどこっちも年は若くございません。ふしぎでかなわないんです。この前デパート法を改正なさるときにデパートの会長さんに来ていただきました。二回目のときは御病気であったそうでお出ましがなかったんですが、別の方に来ていただいた。あなたのほうの関係はダイエーさんに出ていただきました。やはり同じ率だとおっしゃられた。しかしほんとにそうでしょうか。もう一度疑問符を投げかけたいのです。そこでこの疑問を解く一つの方法がございます。それは何か。それじゃ一体問屋関係はこれを何ぼで納めておられますかと聞きたい。私は知っておるのです。
  91. 平林剛

    平林委員長 清水参考人、何か御意見がありますか。
  92. 清水昭重

    清水参考人 いま先生の商売人はだしの御質問で私どもしろうとではとうていそろばんをはじいた原価計算まではできかねるわけでございますが、マクロ的に見ましていま私ども織物の卸の経営指標、東京大阪名古屋、京都、これを申し上げますと、売り上げ高の総利益率、荒利益でございますが、これは売り上げ高経常利益率は東京が一・九六%、大阪が一・三%、名古屋が一・六%、京都が二・七%、京都は呉服関係をやっておりますのでちょっと純益が多いわけでございますが、こういうふうな純益しか——これは税金を支払う前の純益でございますから、税金を払ったネットプロフィットは半分になるわけでございます。
  93. 加藤清二

    加藤清二委員 わかりました。清水さんがたいへん御造詣深くいらっしゃることは二十何年のつき合いでよく存じ上げておりますが、私が聞きたいのは、いま申し上げました商品銘柄のものを幾らぐらいで卸していらっしゃるだろうかということが聞きたかったわけでございます。  そこで、あなたがマクロの立場をお出しになりましたから、私もマクロの立場を出してみたんです。百貨店を例にとりますと、三越さんが百五十六億の資本金、これは間違いございませんか。違うなら違うと言ってください。そこで去年度の売り上げ高は千七百五十四億、これは資本に対して十一・二倍になります。資本に対する回転率が十一・二倍ということになります。この経常利益は、三越で公表なさったもので七十二億ということになっている。似たような大丸さんが、資本八十四・五億、これに対して売り上げ高が千二百二十七億、これは十四・六回回転になるわけでございます。しかも経常の利益は三十二億四千万。次にもう一つ阪急さん、資本金五十億、売り上げ高五百五十三億、十一・六倍の回転率でもって二十八億二千万の経常利益、こういうことになっておる。それからダイエーさんを例にとりますと、これはべらぼうなんです。二十九億の投資でございまするが、売り上げは二千三十七億、一日の売り上げが約二億だとも三億だともいわれておりますが、去年の実績を会社が公表なさったものでみるとこうなっている。これは何と回転が七十倍でございます。利益は三十八億三千万ということになっております。ちなみに資本金に対する経常利益をパーセントにしてみますと、三越さん五〇%、大丸さん四〇%、阪急さん五五%、ダイエーさん一三〇%、こういうことになるわけです。これはわが党の調査網にかかった資料でございまして、この提出者を言えとおっしゃるならば、これははっきり言います。日本で最高の権威のある雑誌にもすでに出ているところでございます。これは間違いありますかありませんか、いかがです。
  94. 藤田正次

    藤田参考人 私の記憶ではおっしゃるとおりだと思います。
  95. 加藤清二

    加藤清二委員 それでけっこうでございます。  私はこれが多いとか少ないとかを申し上げようとは思っておりません。一体適正利潤とは那辺にあるかということが聞きたいわけです。この際同じ糸へんを扱っている東洋紡を見ますると、詳しく申し上げたいのですが時間がありませんから、資本金に対する経常利益のパーセントだけを申し上げます。東洋紡は一六%、鐘紡二六%、日清紡八九%、これだけは特殊でございます。豊田紡二七・六%、東レ四四・四%、帝人四七・九%、こういうことになっておる。総投資に対して一年間の利益が投資よりも上回るというそういう経済は日本多しといえども、一体どこにあるでございましょうか。これを見ればこそ、紡績や機屋や、同じ糸をつくっている染色整理屋さんたちがあまりにもみじめである。付加価値をどれだけつけてもわれわれに分配がない。紡績にしたって機屋にしたって、総投資の五〇%まで入ってくるというのは特殊の例でございます。大体二〇%前後としたものでございます。したがって、大蔵委員会できめてくれる、減価償却が何年ということがここできまってくるわけです。このダイエーさんなんかを見ますと、一年間にこれは一三〇%ですからね。これでは一〇〇%減価償却だってできるわけです。だからこそ、十年の間に三越さんをしのぐほどの売り上げができるだけお伸びになれるわけです。もうかっていないとどうして言えるでしょう。私は、デパートさんや大型スーパーさんのもうけが多過ぎると言っているのじゃございません。他と比較して、他からねたまれる状況にあるということを申し上げておる。これはねたまれてもやむを得ないではないかと思うのです。これについていかがでございますか。
  96. 岡田卓也

    岡田参考人 先ほど来御指摘があるのは、ダイエーさんの場合は資本金でございまして、総投資では全くございません。
  97. 加藤清二

    加藤清二委員 総投資ではございません。資本金でございます。そのとおりです。  そこで、せっかくそういうことならば、ひとつデパートさんにしぼってお尋ねいたしますが、デパート法は御承知のとおり昭和三十一年五月二十三日、この国会で通過させたわけでございます。私もそれに参加いたしました。あれからちょうど十七年と十カ月くらいになりますね。あれは制限法。きのうも某学者が、大型を押えるように押えるようにと政治が行なわれてきたというお話でございました。私は、この学者さん一体何を考えておるのだろうか、どういうデータをもってそういうことをおっしゃるかなと思って聞いておったことですが、その間に、デパートの資本でも売り場面積でも売り上げでも何でもよろしゅうございます、おわかりになっている点をお答えください、何倍になりましたか。
  98. 藤田正次

    藤田参考人 ちょっといま資料を持ってこなかったのですが、売り場面積は数倍になっているのじゃないかと思います。
  99. 加藤清二

    加藤清二委員 そうです。そのとおりです。少ないところで三倍、多いところは、店舗の数も売り場面積も五倍以上になったところがあります。しかし、それ以上幾何級数的にふえたのがチェーンストアであり、まあそこから先はやめておきましょう、皆さんよう御案内でございまするから。  そこでお尋ねしたい。損することをだれがやるでしょうか。もうかるからふやしていくのです。先ほど灘生協の規模を承りました。まことにりっぱなものでございます。しかし、賀川豊彦先生が灘に一粒の麦を落としなさって、あれから何年たっているか。その伸び率を一ぺん見てください。先ほどここ一両年の間に二万戸ばかりふえたとおっしゃった。けっこうなことです。好かれればこそお客がふえるのです。しかし、その間にデパートは一体何ぼ伸びたか。もうかったればこそ伸びたのです。それでは、同じ繊維を製造している紡績や、製造している機屋や、製造している染色整理屋で、三倍、五倍になったところがありますか。一つもございません。制限、制限で縮んでいきました。  そこで、もうあまり長談義してはいけませんし、しかしきょうは結論を出そうとかどうとかを考えているわけではございません。私はあくまで実態を申し上げて、実態をよく御認識いただきたいから申し上げておるのです。  最後に、止め柄、返品、手伝い店員、これはデパートの三悪といわれております。改めるとお約束を、私は過去に三回いただいております、なぜか、これが値上げの原因になっているからでございます。すなわち、止め柄をされた場合には、メーカー側はその費用をどこへかぶせたらいいでしょう。いわんや、季節のものをつくって納めた、契約は終わっちゃった、決済も終わった、しかしシーズンオフになったら、納めたはずの品物が返ってきた、そうしたらこの金の決済は、次に季節に合うものを納めたときにピンはねをされる。きょうは幸い、納めるほうの問屋側の方も来てみえますからよくおわかりと存じますが、止め柄、返品、手伝い店員、手伝い店員とは小売り商やあるいはその他と比較した場合に優位に立つことができる。資本にものを言わせて優位に立つことはそれはけっこうでしょう。それはけっこうでしょうが、それがやがて他の小売りで媒介される品物の値上げの底上げの基礎をつくったとなりますと、これはほうっておけないことでございます。これは一体どうなったでしょうか。  まだ、その他海外委託加工の問題も出ておりましたから、事のついでといっては悪いですが、結論にかえて、海外委託加工の問題についてお尋ねいたします。  それをデパートさんまでがするとおっしゃっていました。そういうことは法第何条で許されているでございましょうか。デパートは加工業ではございませんです。法律第二条に規制されていることは、修理その他だけでございます。はたしてそれが何法によって許されているかを。  それからもう一つ、いま問題になっておりますのは、愛知県でつくられておりますしぼり、京都でつくられております西陣、九州は南の果てでできております大島、これが韓国の追い上げによってほとんどと言っていいほど危機に瀕し、村山大島のごときは全滅いたしました。しぼりのごときはどうなったか。日本総需要の八割以上が韓国ものでございます。したがって、この間これは商工委員会で自民党から提案された、何とか制限してもらわなければ困る。これだったら、社会党も、この間商工関係では各党が一致そろって、そのとおりだということになりました。これに対して対策を練っている最中ですが、ただ、私は、小売り関係の方に聞きたいのは、そのときになぜ国籍を明らかになさらないのでしょうか。それは消費者をごまかすことになるからでございます。にせものをかまされる。これは韓国から輸入されるノリも同じことでございます。いまやノリは十億枚も入ってまいります。ということは、人口一億に対して一人頭十枚の韓国ノリがあるということでございます。しかし、韓国ノリとして売られているものは一枚もございません。韓国しぼりと名をつけて売られておるのも一枚もございません。全部ごまかされておる。ノリなどは、上から読んでも山本山、下から読んでも山本山、山本山から出れば全部日本ノリと、こういうことになっておる。十億枚はどこへ逃げたのでしょうか。どこへ隠れたのでしょう。品質向上、安定価格専務さんはおっしゃられました。にせものを黙って本物だと称して売ることは、不当表示防止法という法律によって罰せられる結果になるのではないか。罰せられようがせられまいが、それよりも私は、国民の皆さまがにせものを本物とごまかされて買わされるだけでなくて、内地の本物と同じ値段で買わされるところに価格上の重大なる問題がある、こういうことを指摘しておきたいと存じます。  以上でございます。  御意見があったら承りたい。なければなくてけっこうです。
  100. 平林剛

    平林委員長 藤田参考人、何か御意見ございますか。
  101. 藤田正次

    藤田参考人 御注意のありました点、よく内部ではかりまして、改めるべきは改めたいと思います。
  102. 岡田卓也

    岡田参考人 チェーンストアが非常に短期間に拡大をしたというお話でございますけれども、そのとおりでございます。ただ、これは社会的な要請があって拡大したのであろうというふうに私は思っております。と申しますのは、ほかの例で申し上げても、社会的な要請のないものは、幾ら拡大しようとしても拡大されないというのが現実で、たとえばボウリングにいたしましても、急速に拡大しても社会的なニーズがなくなれば全くだめになるという自然の原則ではないかというように思います。メーカーさんでも、たとえば合繊と綿紡と比べますと、日本の場合は合繊メーカーは短期間に非常に拡大をしたというように思いますし、綿紡さんは、かつては非常な勢いで拡大をしたけれども、現在は拡大しておらないということであろうというふうに理解しております。
  103. 平林剛

    平林委員長 小林政子君。
  104. 小林政子

    ○小林(政)委員 先ほど来参考人の皆さんから物価抑制協力するというお話を承っておりました。各品目について二カ月あるいは三カ月というような期限なども出しながらのお話でございましたけれども、この問題は、メーカーあるいは卸の価格についての引き上げの動きというようなものは現在は出ていない、そのために二カ月ないし三カ月、このようなお答えになられたのかどうかという点について、まず第一にお伺いをいたしたいと思います。これは、チェーンストア協会岡田参考人、また新木参考人百貨店藤田参考人、生協の参考人の方にもお伺いをいたしたいと思います。
  105. 岡田卓也

    岡田参考人 私どもが凍結をいたしましたものにつきましては、一応メーカー、卸とも話し合いの上で、二カ月、三カ月の間は価格をお互いに凍結していこうということでございます。しかし、引き上げの要素は多分にございます。それについて、もしも二カ月後にやむを得ず価格が上がりましても、私ども小売り売価は上げないというように決定をいたしております。
  106. 新木精之助

    新木参考人 中小小売り商の場合、数も非常に多うございますし、その辺がはっきりお答えできないのが残念と思いますが、午前中も申し上げましたように、これを実施するにつきましては、できるだけメーカー、問屋の方々値上げをしないでほしい。そうでないと、中小の小売り商はせっかく何とか協力しようと一生懸命になっているのですけれども、できませんということを申し上げたのです。以上のとおりでございます。
  107. 藤田正次

    藤田参考人 政府要請が緊急避難ということで当分の間というふうに承っておりますので、われわれ、三カ月程度価格を凍結する、万一問屋筋から上げてくる場合でも、自分のマージンを抑制してそれを吸収する努力をしたいということでございます。
  108. 浜田吉人

    浜田参考人 私どもは、先ほども申し上げましたように、この価格を全品目につきまして四月末まで、それから通産、農林の御要請がありますものにつきましては一般的に五月とかというふうなめどを置いておりますけれども一つ一つ個品で実態を調べてみますときにかなりメーカー段階で無理をした上げ方のものもある、したがって、それに対しては、ことばは適当でありませんが、徹底抗戦をいたしますというふうな考え方から、十分やっていけるというめどをつけておるわけでございます。ただし、今般牛乳のように、農家の方がもう立ち行かないんだ、そのために原乳を上げていかなければいけない、その結果牛乳とか乳製品その他のものが上がってくる、こういうような場合におきましては、これはまた別な判断から考えていかなければいけない問題だというように思っております。
  109. 小林政子

    ○小林(政)委員 政府物価抑制策につきましては、一応末端小売り価格ということに限定をされているようでございますけれども、私はやはりこの際、卸並びにメーカーの出し値についても当然抑制策をとるべきではないか、そうでなければ、先ほどお話がございましたように、中小零細の小売り商の場合には大量販店と違いまして実際にはもうどうにもならないというような事態も予想されますし、当然卸並びにメーカーの出し値等について抑制すべきではないか、このような見解を持っておりますけれども、この点について新木参考人から御意見を伺いたいと思います。
  110. 新木精之助

    新木参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれ中小小売り商としましては、先ほどの御質問にも答えましたように、せっかくつくっていただきました中小小売商業振興法の助成を受けまして、何とかボランタリーチェーン組織化を一生懸命やろう、そのボランタリーチェーンによって共同仕入れをして、大規模店にも対抗できるような仕入れのメリットをはかっていきたいというように考えますが、なかなかボランタリーチェーン組織化もむずかしいし、現段階におきましては、先生のおっしゃるとおりに、三次問屋、四次問屋という地方問屋から非常に少量買うというようなことでございますので、どうしても大規模店との価格差は残念ながらやむを得ないという現状でございます。
  111. 小林政子

    ○小林(政)委員 大規模小売り店仕入れ価格並びに中小零細小売り店の仕入れ価格というものには、量販店であるという点あるいはまた細分化されているというような立場からやはり相当開きがあるのではないかというふうに思われますけれども、この問題について具体的にどの程度仕入れ価格の開きが平均して出てきているのか。こういう点につきまして、岡田参考人並びにまた藤田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
  112. 岡田卓也

    岡田参考人 どれだけの差があるかということでございますと、たとえばメーカーの総代理店でございます一次問屋から大量販売店が買っていくということであります。そうしますと、零細小売り店は三次問屋あたりから買う。その間の、それぞれの二次問屋、三次問屋のマージンの差というものも開きがあるというように思います。それからもう一つは、どれだけまとめて買うかというロットの問題でございまして、大規模小売り店がかなりな量をまとめて、一括して仕入れる場合、しかもそれが画期的な契約になる場合、それから短期的に、その日その日の売れるだけ買うという場合との差が、これはかなりあるんではないかというふうに思いますけれども、何%かというのはちょっとわかりかねます。
  113. 藤田正次

    藤田参考人 せっかくのお尋ねですが、いまお話がありましたのと同じで、当該百貨店の支払い条件、月に二回のキャッシュで払うとか、それから購入のロットの大小、あるいは非常に計画的に継続しているとか、古い関係があるとか、いろいろなことで、ちょっと明確に計数をもってお答えできないのが実態じゃないかと思います。
  114. 小林政子

    ○小林(政)委員 特に、最近の流通段階における問題点が非常に重要だということが、いろいろと論ぜられております。その中でも、この三月決算の予想等をいろいろと論じられておりますけれども、各大手スーパーあるいはまた百貨店などは、非常な増収、増益ということが数字をずっとあげて報道をされております。しかも、二五%から七〇%の増益が見込まれるというような数字も報道されているわけですけれども、特にその中でも、衣料品の利益率というものが非常に大きい、こういうようなことも報道をされているわけです。私は、こんなに大きく収益あるいはまた増収を行なってきている実態というものについて、これはやはりどうしても価格の面で、ひとつ業者に対して、価格の引き上げということは、これから相当押えてもらうということが当然できるんじゃないか、このように考えておりますし、特にまた、衣料品の利益率が非常に大きいといわれていますけれども、一体このような仕入れというものが、現在どのようなルートでどのように行なわれているのか、この点についても、この際お伺いをいたしておきたいと思います。特にこの問題については、岡田参考人藤田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
  115. 岡田卓也

    岡田参考人 一部新聞紙上で、大手スーパーの増収、増益が発表されているわけでございます。スーパーの利益は、大体売り上げの一%でございます。これは増収、増益といいましても、売り上げ規模がスーパーの場合は非常に拡大をいたしております。それに伴った増益であるというように思います。数字の上でも明らかでございまして、大体、売り上げに対して一%というのは、企業を維持する最低限度ではないかというように考えております。  それからまた、今回、ベースアップ等も春闘でございまして、スーパーはかなりな人件費を払っておりますので、大体ベースアップが二五%ぐらいになりますと、前年度の利益は全部飛ぶ。今年度はまた新しく、それを吸収するために合理化を考えなければならぬというのが、いまのスーパーの現状でございます。  それから衣料品につきましては、衣料品の場合は見切りが出るのと出ないのとで、増益であるかどうかということが非常に問題になる。たとえば食料品でございますと、見切りというのはほとんどございません。しかし衣料品の場合には、売れない商品がございまして、これは、たとえ原価が千円いたしたものでも、五百円、三百円で売らないと売れないという現状があります。そういう意味で、昨年度は比較的衣料品が順調に売れたということでございます。しかし、年がかわりましてから衣料品の見切りはたいへんなものでございまして、現在は非常な見切り合戦という形に衣料品はなっているというのが現状でございます。その点が、昨年は比較的衣料品は好調であったということが言えるんじゃないかと思います。
  116. 藤田正次

    藤田参考人 百貨店売り上げ増収、増益のお話でございますが、年一回決算のお店、それから年二回決算のお店とまざっておりまして、昨年の上期を含む期間計算では、かなりいい数字も実際上あるわけですが、去年の十一月くらいから、特に東京を中心にして売り上げはたいへん伸びが鈍化しておりまして、その実績が中に一緒に計算に入っております企業の経営では、平均してかなりいい姿ですが、後半があまりよくないものですから、そう常識的に見て非常にアブノーマルに伸びているというふうには、われわれは理解していないわけでございます。きょうちょっとお話ししましたように、最近では百貨店のデフレーターで計算しますと、枚数とかあるいは目方とか個数で見ますと、昨年の実績を割っている姿が逐次出ておりまして、いま小林先生御指摘の特に高級な呉服とか衣料とかファッションものというのは、昨今は確かに売り上げが頭打ちになっております。逆にいいますと、非常に実用的な値打ちのあるものは、これは企画がよければ必ず売れておるという実態でございまして、平均して前半はよかったかと思いますけれども、後半の数字を一緒に考えますと、そういい姿ではないというふうに思っております。  それから最後になりますけれども、衣料品の収益が多いというふうに言われますけれども、まあファッションものとか、そういうものは本来いいわけですが、日本の場合には、御承知百貨店自身がヨーロッパ、アメリカと違いまして、呉服屋さんからスタートしているお店が非常に多いわけですから、資本蓄積分は、そういう意味では長い間やってきておったかと思いますが、衣料品の売り上げは長い目で見ますと、百貨店の七十年の歴史で、ずいぶん昔は主力商品であったのですが、五割から四割五分あるいは四割三分、昨今は四割二分くらいに、オール百貨店売り上げのうちのシェアが徐々に落ちております。ですから、国民の生活様式の変化その他もございまして、収益の内容にも逐次、非常に静かな変化が行なわれておるというわけでございます。
  117. 平林剛

  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 参考人各位にはたいへん長時間、いろいろ貴重な御意見ありがとうございました。私で終わりでございますので、しばらくお伺いをしたいと思います。  まず松村参考人にお伺いするわけでございますが、冷蔵倉庫の問題でございますけれども、これは冷蔵倉庫をつくり始める当初の目的は、いわゆる物資の保冷、保存をなして、その物資が季節的に不足を来たしたときに放出して物価を冷却させるというようなことが、当面の目的であったと思うのでございます。ところが最近の状況をいろいろ聞いておりますと、完全にその目的が逆転をして、利益追求のための、いわゆる投機のためのそういうような傾向がかなり見受けられるのではないか、そういう投機的なほうに片寄り過ぎているんじゃないかというような感じがいたすわけでございますが、これにはかなりの国庫補助も出ておりますし、ここら辺の冷蔵倉庫の設立についても行政の姿勢を改める必要があるんじゃないか、ぼくらはそういうふうに感ずるのでありますけれども、この点についての御意見をお伺いしたいと思います。
  119. 松村正直

    松村参考人 ただいまの冷蔵倉庫の問題でございますが、実は冷蔵倉庫は私ども倉庫協会関係外でございます。  ただ、申し上げられますことは、おそらく冷蔵倉庫のなにが思惑に使われている、これは冷蔵倉庫の経営者自身がたとえば漁業会社なり何なりを本業としている、こういう形の場合と、それからもう一つは純粋な冷蔵倉庫業者、そして荷主さんから荷物をお預かりする、こういう立場倉庫と二つあるかと思います。それで、あとに申しました純粋の倉庫業者で外部から荷物を預かるという関係につきましては、その中へ入ってくる荷物が投機の目的に使われるかどうかはお預けになる方の御意思で決定するわけでございまして、倉庫業者自体は関与しないわけでございます。それから、本業が漁業その他の営業をなさっていて兼業として冷蔵倉庫をなさる、こういう場合には、これはその本業の業種の方が即荷主でございます。これもその方の考え方できまってくる、こういう筋合いのものかと私考えられるわけでございます。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、時間もありませんからほかに移らせていただくわけでございますが、先ほど来いろいろ問題になっておりましたが、特にこれは岡田参考人それから浜田参考人藤田参考人にお伺いしたいのでございますが、最近、いわゆる流通コストがだんだんと拡大の方向にあるのではないだろうか、こういうふうに思われるわけでございます。これは、流通段階における問屋あるいはその他のいろいろなマージンが入っているわけですが、人件費の増大であるとかいうような要素がございまして、どうしてもこの流通コストというものがふくれ上がるような傾向にございます。  四十六年の経企庁の調査によりますと、たとえばワイシャツの場合、百貨店が四七二一%、スーパーが三七・三%、これはいわゆる製造、卸し、小売りのマージンがこの中に含まれておるとされているのでございますが、それから紳士のカーディガン、これも百貨店が四一・八%、スーパーが四一・三%、こういうようなコストをはじき出しておるわけでございます。いわゆるビッグストアの場合は、この流通コストをこれから縮めるということが一つの大きな問題点であろうかと思うのでございますけれども、しかしいろいろな物的な流通を、流通センター等をつくってそういった面のコストというのはいろいろな角度からなお研究の余地があるんだと思うのでございますけれども、はたして現在以上にこの流通コストというものを縮めることができるのかどうか、またどういう対策をしていくならばなおこの流通コストというものを縮めることができるか、ここら辺の御意見をお伺いをしたいわけでございます。岡田さんのほうからひとつ……。
  121. 岡田卓也

    岡田参考人 ただいま御指摘の点の流通コストをいかに引き下げるかということが、私ども社会的な使命であるわけでございます。しかし、非常にあらゆるコストが私どもの段階でも上がっております。たとえば、御指摘のように人件費それから設備費その他につきましても、非常なコストアップでございます。  そのために、どうすればいいかということを申し上げますと、一つは、物流コストでございます。物流コストを下げるためには、チェーンストアみずからが物流センターに投資し得るだけの量をまとめることができなければ効率的な物流センターの運営はできない。しかし、わが国チェーンストアにおきましては、まだまだその段階まで達しておらないというのが現状でございます。したがって、チェーンストアをさらに店舗数をふやして、そしてそれに見合った物流センターを設立をし、そしてコストを下げるということが一つ。それからロットをまとめることによって、私どもといたしましては中間マージンをできるだけ排除するという形で産地直結等を行なって、この間の流通コストを引き下げていきたいというようにも考えております。  さらに、もう一つ考えられますのは、これは消費者の問題でございますけれども消費者のほうが商品をお買いになる場合に、できるだけ選別をして、その商品機能を買っていただくような状態を醸成していくべきではないかというように思うわけでございます。先ほどワイシャツの例が出ておりましたのでございますけれどもわが国のワイシャツの縫製の工程は、アメリカに比べますと非常に工程が多うございます。ところが日本の場合には、そうでなければワイシャツは売れなかったわけでございますけれども、現在ではだんだん若い方が、いままでの仕様のワイシャツというものではなくしてもっと仕様を簡略にしたワイシャツを着られるというような問題がございまして、私どもとしてはそういう商品生産システムそのものを変えて、仕様書発注によってコストダウンをはかっていかなければならない。そのようなことをいろいろ考えて流通コストを引き下げる努力をいたしたいと思っております。  以上でございます。
  122. 浜田吉人

    浜田参考人 私どもの場合は会員組織という特殊性がございますので、その点を生かせまして、まず第一番に集中予約制度を物流経費をカットするためにやっております。今後もっとこれを増大していきたいと考えております。  その中身は、どうしても家庭で要りますしょうゆであるとかみそであるとか酢でありますとかこういう調味食品など、絶対的に家庭で要ります。こういうものを月のうちに二回あるいは一回、家庭におきます消費サイクルが違いますから、それに合わせまして予約注文いただくということと、片方メーカーなり問屋さんたちでそれを大量に倉庫に遊ぶことなくしてそういうふうな行き方をとることによって、物流経費をあるいはその他の諸掛かりをカットしていこう、これを価格の上へ反映さすというようなことを実施いたしておりますが、それをもっと拡大していこうという考え方でございます。  それからもう一つは、包装経費を過度にならないようにすることによって、これもある一定量がつかめていくなれば、それはメーカーにそのことは御依頼できます。そういう方法で包装経費のカットによって実質的には何ら障害はないという方向を突きとめていくとかあらゆることで、当然人件費でありますとかその他の運輸等の物件費は上がってまいりますので、これに対応しながらそういう合理性を突き詰めていくということに最大の努力をすることによって、価格をある程度ささやかであっても抑制をしていこう、こういうことを努力いたしております。
  123. 藤田正次

    藤田参考人 いまおっしゃった流通コスト低減も、ほっておけばだんだんかさむ傾向にはあるわけでしょうから、低減のために努力をしなければならぬわけですが、通常百貨店でやっておりますのは、御承知だと思うのですが、計画生産、きょうお話ししましたような計画生産のほかに、最近だんだん実益を見ておりますのは、やはり共同仕入れでございます。御承知の方も多いと思うのですが、たとえば日本では数社、それからもっと端的に言いますとADOという、これは某百貨店が中心になりましてやっております共同仕入れ、これは百貨店四十社以上、店数にして六十店以上が加わってやっておる共同仕入れ機構でございます。それからもう一つはJMAと俗称しておりますが、これも相当数の、二十社以上の店、四十店以上のお店が加わって共同仕入れをしておるわけですが、そういうところで特定のブランドを開発して計画的に推進するというものは、非常に価格のメリットが上がっております。  さっき加藤先生からいろいろ値段問題等がありましたが、たとえばワイシャツでも今度の価格据え置き商品百貨店の現場を見ましても二千円台くらいで、ワイシャツの色もの、柄もの、無地もの二千円台で価格を据え置く対象にしておるものも、そういう特定のプライベートブランド、あるいは共同して提携店に提供しておるような、かなり数をかせいだようなものが非常にいい成果をあげておるわけでございます。さっきチェーンさんのほうからもお話がございましたけれども、手法としては大体同じようなことになるのではないかと思います。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから、いろいろ単発的に伺って恐縮なんでございますが、いわゆる包装の過剰性というものがしばしば問題になっておるのでございますが、これもさることながら、最近の様子を見ておりますと、極端な例がいわゆるかん入りジュースなんかの問題でございますね。こういうようないわゆる不燃性のものがかなり各家庭に出回ってくるわけでございますが、そういうことから、地方自治体においてはごみの焼却、いわゆる破棄をする費用というものは非常に増大をいたしておるわけでございます。これはメーカー側にもちろん責任があると思うのでございますけれども、これはメーカー段階と、それからやはり最末端小売り段階において、両方で共同していろいろ研究をしていただかなければ、この地方自治体の費用というものは年々増大してどうにもならなくなってしまうという状況が見受けられるわけです。これは費用の点もさることながら、焼却施設あるいは破棄をする場所が都市においてはなくなってきておるわけでございまして、どうしても回収できるものは回収をしなければならぬという方向に、いま日本の消費経済というものはそういう方向に行かざるを得ないことだと思うのでございますけれども、そこら辺について、特に大型店でいらっしゃる方々の何か御意見がございますれば、お伺いをしたいわけでございます。
  125. 岡田卓也

    岡田参考人 私どものコストの中で、将来といいますか、現在も一部入っておるわけでございますけれども、考えられなければならぬ問題としては、環境の保全コストでございます。それについていわゆる廃棄物問題もその一つでございます。その廃棄物問題については、店舗から出る廃棄物につきましては、大型店は大型店独自で処理をせよという、都市によってそのような条例がすでにできておりまして、そういう都市におきましては、店舗から出る廃棄物については私ども自体で処理をしておるわけでございます。しかし、なかなかそれもたいへんなことでございまして、そういう廃棄物の処理について、地方公共団体と私ども業界とが協力した形でのそういう廃棄物の処理問題というのを一緒になってやっていかなければならない事態に来ておるのではないかというように思っております。  それから、ただいまの御指摘のかんその他につきましては、これは家庭にお持ち帰りになる問題でございますけれども、これについては、一時非常にこういうものがなくなったときには、たとえばびんでありますとかいうものにつきましては、お客さまのほうから私どもの店舗に持ってきていただく場合に幾らかお返しする。あるいは卵のパックでございますとか、そういう形で回収しておるところもございます。  以上でございます。
  126. 浜田吉人

    浜田参考人 ただいまの先生のお話につきまして、私どもも絶えずそのことを同感の意をもって考えておるわけでございます。いろいろメーカーの段階とも御協議を申し上げるわけでございますが、たとえば洗剤とかあるいはシャンプーとかいろんなものがどうして回収できないのですかということを尋ねてみるのですね。そうしますと、これを洗浄しますと、最後まで洗浄するまでにはあわが十数回出てしまう。逆にたいへんなコストアップになるんだというふうな御説明で、事実それはよくわかります。それからもう一つは、塩ビにしろプラスチックにしろ、非常に熱に弱いわけでございます。これに対して、まだ十分それを完全に消毒し——あるいは一リットルもののしょうゆなんかもそうでございますね。これは、回収をしても、再使用するまでの技術がまだわれわれに備わっていないという御説明なんです。いつでも私ども消費者に訴えて、これは資源、資材の面から見ましてもむだ使いになりますので、あらゆる面で弊害こそあってもプラスはない、いつまでも御協力申し上げるということを幾たびかやっております。まだそういうところで完全にできていないという障害があるようでございます。それから他に申し上げますと、たとえば卵のプラスチックのものがございます。これはいま一枚が大体十一円内外だと思うわけでございます。私どもはすでに早くからこれを消費者に訴えて、回収を行なっております。それは三円三十銭でどうぞまとめて持ってきてください。しかし、これも一度どこの家庭で使ったかわかりません。衛生上の問題がございます。したがって、一カ所に集約をいたしまして消毒をいたしております。そういうことをいたしましても、なおかつ十一円まではついてまいりません。いまのところ私の記憶では七八%回収いたしておりまして、その中でいたみなんかございます。ぺけですね。こういうものが一五%ぐらいあるという実情でございまして、できるものにつきましては、私どもはこれは国民の一つ消費のあり方だという考え方で、積極的にそういうものが開発されたり、いろいろな点で可能性があればやるべきだ、こういう考え方を持っております。
  127. 藤田正次

    藤田参考人 直接のお答えにならないかと思うのですが、おととしに、通産省の提唱によりまして百貨店、あるいはチェーンも同様ですが、小売り段階あるいはメーカー段階、かん詰めとかいろいろなメーカー段階関係者が商業包装適正化委員会というのをつくりまして、消費者団体の代表の御婦人の方もたくさん参加されまして、合理的な商業包装の適正化を検討したことがございまして、その成果が、きょうもお話ししました、たとえば包装のコストは過大、過剰であってはいかぬ、製品の一五%以内にとどめるべきだというようなこと、それから空間容積、むだなスペースは二割以下で押えるべきだという、これは公正取引委員会のほうからの適正包装の御注意もございまして、そういうたてまえをつくって、非常に合理的なものに圧縮して非常に成果をあげておると思うのですが、そのときに非常に問題になりましたのは、包装の機能からいいまして、リテーリングの段階の商業包装と工場でできて小売り店に持ち込むまでの工業包装、これは資源の観点からいいますとどうしても工業包装で資材を適正に使う、合理的に運搬するというものをかなり抜本的にやらないと、資源あるいはきょういろいろ御指摘がありました物流、物を輸送する場合の輸送のコストとか手間、あるいはストックヤードのあり方、非常に大きなロスがあるということに非常に問題がありまして、外国ではそういう点は非常に機能的な工業包装が行なわれているという例等もございまして、このごみの問題につきましては、小売り店の商業包装もさることながら、工業包装の段階も国のほうで首尾一貫して合理的に近代的にすべきだというふうにいわれております。小売り段階としてはせいぜいやっておると思いますが、あとの処理は、やはり東京都でも一日一万三千トンぐらいのごみが出るようですから、分別収集ですとか小売り店あるいは各家庭、いろいろ関係者が協力して、時間をかげながら合理的な処理を考えるべきだと思います。十分なお答えはできなかったかと思うのですが……。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に新木参考人にお伺いしたいのでございますが、いわゆるビッグストアの進出というものはかなりきびしいものがあるわけでございますが、そういったところから、昨日の学者の先生方のいろいろな御意見も、いわゆる中小あるいは零細の小売り業というものはだんだんとボランタリーチェーンの方向へ進まざるを得ないだろう、それが時代の趨勢でもあろうということを盛んに力説をされるわけであります。そこで、昨日久保村先生という方があげられた数字は、一番新しいデータだと思うのですが、ボランタリーチェーンに非加盟の店舗数というのはイギリスにおいては九一%である。食料品が七三%。ところが日本の場合は、加盟しているのはわずかに二%程度で、非加盟が九八%、食料品のほうも九八%だ、こういうふうなことで非常におくれているということを指摘しておられるわけですが、先ほど来いろいろなお話はございましたけれども、これが進まない原因は一体幾つぐらいの原因があるのか。心理的な面もあると思う。それから資金的な面もいろいろあると思うのでございますけれども、ここらを整理してちょっと教えていただきたいわけです。
  129. 新木精之助

    新木参考人 ただいま先生の御質問にもありましたように、心理的な面といいますかあるいは国民性といいますか、たとえば西ドイツのエデカのボランタリーチェーンあるいはオランダのスパー、こういうような世界的なボランタリーチェーンの組織というものについては、やはり国民性というものが非常に大きく反映しているのではないか。つまり共同作業、共同精神、そうしたものを伝統的に採用しているのではないか。日本の場合は、特に中小小売り商店の場合は、自分が全く独自の立場で苦労して店をつくってきて、そして自分がオールマイティーである、こういう考え方、精神が中小小売り商店には現在でも非常に強い、それが第一点でございます。  それから第二点は、非常に零細過多である。つまり非常に資本力が乏しい。いうなれば、中小小売り商店というものは失業者のプールである。たとえば、サラリーマンをやってやめたら小店でも開こうか、こういうような人たちが非常に多い。零細過多、しかも多過ぎるから零細であって、多過ぎるから競争が激しい、こういうかっこうなんです。そうした零細過多のお店が、ボランタリーチェーンというものの近代的な組織に入るためには、やはり今日でも相当の会費が要る。したがって、その会費を納めてそれに参画していくということについてはなかなかの問題もあるということ。  それから、第三点の問題につきましては、これはやはりまだまだ日本におけるボランタリーチェーンというものの指導者と申しますか、たとえばスーパーバイザーとかあるいはオルガナイザーとか、そういう専門の人たちの数が非常に少ない。いろいろ通産御当局にもそういうふうな指導者をできるだけ早くつくっていただいて、たくさん養成していただいて、それによってできるだけ中小小売りの多くのボランタリーチェーンを進めていきたい、かように考えておるわけでございますが、なかなかまだ進まない。しかし、たとえば先ほどの西ドイツのエデカあるいはオランダのスパー等にいたしましても、今日まで三十数年の歴史がございます。僅々わずか十年以内の歴史しかない日本で、しかもいろいろな特殊事情のある日本で、これを急速に進めるということはなかなか困難なものがあるというように考えております。
  130. 平林剛

    平林委員長 これにて本日の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しいところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べくださいまして、まことにありがとうございました。ここに委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時三分散会