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1974-03-14 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十四日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 橋口  隆君    理事 山下 元利君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君       加藤 紘一君    片岡 清一君       羽生田 進君    粟山 ひで君       山崎  拓君    山本 幸雄君       吉永 治市君    金子 みつ君       兒玉 末男君    中村  茂君       山中 吾郎君    小林 政子君       寺前  巖君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席政府委員         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         文部政務次官  藤波 孝生君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         厚生政務次官  石本  茂君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         厚生省薬務局長 松下 廉蔵君         厚生省保険局長 北川 力夫君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局財務課長 松浦泰次郎君         厚生省社会局保         護課長     山崎  卓君         社会保険庁年金         保険部国民年金         課長      金瀬 忠夫君         農林大臣官房審         議官      二瓶  博君         食糧庁総務部長 杉山 克己君         通商産業省機械         情報産業局産業         機械課長    安田 佳三君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   山中 吾郎君     兒玉 末男君   小林 政子君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     山中 吾郎君   寺前  巖君     小林 政子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。片岡清一君。
  3. 片岡清一

    片岡委員 春耕の時期が迫ってまいりまして、私は農業機械あるいは資材等値上がり問題について質問をいたしたいと思います。  私の選挙区では、富山二区でございますが、農業用機械が非常な値上がりをし、同時にまた品不足ということでたいへん農民方々は不安な気持ちにかられておる実情であります。ことしの春に農業機械についていろいろ措置されておるのですが、昨年の十月に農協として必要な機材をいろいろ注文を予約をしたのだそうでありますけれども、メーカー生産削減をせられたという理由で、県の経済連から各単位農協に対して五%程度の割り当ての配分しかなされなかった。そういうことで、その後逐次現物は入っておりますけれども、当初の予定よりもかなり入荷がおくれておるということでございまして、中でもトラクターが一番極端におくれておりまして、場合によっては一部の台数が、約二〇%程度でございますが需要期に間に合わないという現状になるかもしれないということでございます。私の選挙区のところでは非常に基盤整備が進んでおりまして、すでに一〇〇%完遂したというところも少なくございません。そして同時に私の付近ではいろいろの工場が進出しておるという関係から、男の人はたいていみんな働き場所に行って働いて農外収入を得るという恵まれた実情にあるわけでございまして、したがって自分工場から帰ってきてからとかあるいは土曜、日曜のひまなときにということで、トラクターとか田植え機というのは、これは自分が任意な随意のときに使えるようにということで、非常に農機具需要が多いわけでございます。こういう点で、機械が手に入らぬということになりますと、この春の春耕期を控えてたいへん困ったことになると存じますので、これらの点について非常に心配しておるのでございます。  さらにその数量のみならず、価格においても非常に大幅な値上がりを示しておるのでございまして、大体十一月の五日の発表にありました。これは、その発表では、大体昨年の価格がきめられて発表になっておるのでございますが、それが十二月の二十五日にメーカー全農あるいは経済連から一方的に値上げが通告せられて、トラクターなどにおいて十五馬力、二十馬力、二十四馬力それぞれ違いますが、いずれも、十五馬力の簡易なものでも五十六万円から六十五万円、七十三万円と非常な値上がりを示しておりまして、三割、一割四分ということで非常な値上がりを示しておるのでございます。その他のトラクターについても、それぞれ低いので三一%、高いのは三九%の値上げになっておるということでございます。それから田植え機につきましても、おおむね三二%方上がっておる。さらにその上、ことし二月になって一二%、一三%上がっておるということでございまして、これはたいへんな値上がりを示して——いや、一〇%ではございません、田植え機については二一%から二二%、これが二月になってさらに値上がりを示したのでございます。トラクターについては一〇%ないし一四%、こういうことでございます。  先般、予算委員会において参考人調査が行なわれたのでございますが、いわゆるまぼろしの石油ショックを利用して先取り値上げをした、便乗値上げをしたという悪徳の商法が次々と国民の前に明らかにされたのでございますが、この農業機械の二度にわたる非常な値上がりというものはどういうわけでこの値上がりをしたのか、私はこれはどうしてもやはり便乗値上げとしか思えないのでございます。この点について通産省の御当局はどういうふうに考えておられますか。これは正当な値上げだということでありますならば、私はその事実を説明していただきとうございますし、私は便乗値上げの疑いが非常に濃いと思われるのでありますが、これに対して便乗値上げとすれば、これをぜひひとつ行政指導によって値下げをしていただきたい、当然私はそうすべきものである、こう考えるのでございますが、これに対しまして通産省関係課長さん、また農林省関係課長さんですか局長さんですか、ぜひその事態を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 森下元晴

    森下政府委員 食糧問題は油の問題と同じように非常に大事な問題でございます。そういう意味食糧生産のために農業というものがわが国国民経済にとりましても、また産業にとりましても、また大きくは安全保障のためにも非常に大切であるということは片岡先生指摘のとおりでございます。特に米作等はやはり国民食糧の中心でもございますし、農林省なんかのお考えを聞きましても、将来の米作等につきましてはできるだけ機械化する、また大規模農業方向に持っていくという方針が打ち立てられておりまして、特に機械需要というものは非常にふえております。  最近、この主要機械生産動向を見ました場合に、トラクター等でも四十三年以来非常にふえ続けてきておる。ただ四十六年度に少し減っておりますけれども、これも四十七年、四十八年にかけましていろいろ構造改善等の実があがったのだろうと思います。そういうことでトラクター一つとりましてもふえる傾向にあるし、特に最近は田植え機等の非常に便利な優秀な機械もできまして、これに対する農家需要が非常にふえておるわけでございます。そういうことでこの機械価格の問題また需要の問題は農業生産のために非常に重大な問題であるということもわれわれ承知しておりまして、昨年来の二回における値上がりの問題、これはほんとう農業問題を左右する大きな問題である。いろいろこの物価の問題というものは需要供給によってきまるのだ。これは農業機械だけではなしに、あるいは自動車等需給関係を見ましても昨年ずいぶん自動車が少なくなったために値上がり傾向にあったということも聞いております。農業機械だけでなしに、すべての機械需給動向、また価格動向が一般的の問題として出てきておるように私は思うのです。ただ農業機械の場合は一般的な機械の問題と違いまして、先ほど申し上げましたように、非常に重大な内容を含んでおる。ただこの機械流通経路につきましては機械メーカーと、農業団体でございます全農との間にかなり過去におきましても話し合いがございます。そういう組織を通じて売られておるような傾向もあるわけなんです。そういうところにやはり通産省指導と同時に、農業団体組織のいわゆる全農それから経済連等組織とのいろいろ話し合いということも私は必要であると思っております。  なお詳細につきましては機械担当官が参っておりますので、詳しい内容につきましては担当官より報告をさせたいと思います。
  5. 安田佳三

    安田説明員 御説明申し上げます。  農業機械につきましては昨年十二月と本年二月と二回にわたりまして値上げが行なわれまして、この二回で約三〇%程度価格上昇ということになっております。この価格引き上げにつきましては、全国農業協同組合連合会が全体の農機具の五〇%を占めておるわけでございますが、この全農が各メーカーと個別に折衝いたしまして、そして価格を定めたものであります。この全農は相当強力なユーザー団体でありますだけに、その価格についてはそれほどおかしくはないと思ったわけでありますが、通産省といたしましても、二月の値上げ業界から原価等につきましていろいろ聴取いたしましたところ、今回の価格引き上げにつきましてはタイヤベルト、鋳物、エンジン等の諸資材値上がりいたしましたほか、運賃、管理販売費加工費等につきましても上昇を見ているということが認められましたので、今回の値上げについてはやむを得ないというふうに考えた次第であります。で、このようなコスト上昇を考えますと、価格をただいま現在の時点におきまして値上げ以前に戻すということは困難であるというふうに考えております。ただ今後資材価格が安定いましますならば、農業機械価格も安定することが期待されているわけでありますが、当省といたしまして、各種の指導を通じまして農業機械価格上昇を厳に抑制いたしますとともに、原材料の価格等において相当の値下がりを示すものがございましたら、引き下げについても十分検討して努力してまいりたいというふうに考えております。
  6. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答え申し上げます。  ただいま通産省のほうから答弁がありましたが、それと全く同じでございます。農業用機械はこれはまさに農業にとりまして非常に重要な生産資材ということで、その供給確保なりあるいは価格の問題につきましては所管官庁といたしまして非常に大きな関心を持っておるわけであります。そういうことで供給確保の面につきましても通産省とも連絡をとりながら部品その他非常に足りないというような心配もあったわけでございますが、この供給確保の面については、国全体の面としては、仮需要等が起きればまあ別でございますが、そうでない限りにおいては大体不安はないというふうになっております。  それから価格の問題につきましては、ただいま通産省のほうからもお話がありましたように、十二月に一四%、さらに二月から一四%と二回にわたりまして引き上げがあったわけでございます。  そこでこの引き上げの面につきましては先ほどもお話がありましたように、需要者団体としての全農が個々のメーカー話し合いをして、購入価格を取りきめるわけでございますが、その間におきまして農林省といたしましても全農等指導いたしまして、極力適正な価格で購入するようにというようなことで指導もいたしてまいっておるわけでございます。しかし先ほど通産のほうからもお話がありましたように、部品とかタイヤというようなものの値上がりも非常にひどかったものでございますから、今回の値上げはやむを得なかったのではないか、かように考えます。ただ問題は、今後また値上げという問題が出ますと、農家経済にも非常に大きな影響を与えますので、その面につきましては農林省といたしましても極力値上げの抑制という面について強力に指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  7. 片岡清一

    片岡委員 ただいま通産省農林省から御回答いただいたのですが、どうも第一回、第二回とも一四、五%、一二、三%という御説明なんですが、私が得ております——私の選挙区の単位農協、市の農協ですが、これが示された価格としておるものは、十一月の値上げのときにはさっき申しましたように、三一%、三九%、三十数%という大きなものでございます。  それから第二回目のはいまお話しのように一四%、一三%、この点ちょっと田植え機についても第一回のときの値上げが三二%、こうなっておるのですが、これはどこにどう違いがあるのでしょうか。
  8. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答えいたします。  実は農機具価格引き上げでございますが、大体これは例年七月に秋用農機具価格の取りきめがございます。それから十二月になりまして、春耕用農機具の取りきめがある。これがいままでも定例的にあったわけでございます。それにことしは二月に価格引き上げという特殊なものがあったということでございます。  そこでただいま先生お話しされました昨年の十二月二十五日に全農なり経済連のほうから一方的に値上げ通告があったということで、御指摘のございましたトラクターが三一%ないし三九%、それから田植え機が三二%ということでございますが、これはどうも私のほうで一応当たってみていますところでは、要するに去年、四十八年の六月以前でございますが、の姿に対しまして、七月に七%ほど上げましたけれども、七月の七%上げたのと十二月に一四%、それから二月に一四%、これは機種平均でございますが、上げたものを全部あれしてみますと、トラクターなり田植え機という機種ごとに今度見ますと、大体そんな線でございます。  それからただいま先生のほうからことしの二月にさらにトラクターが一〇%ないし一四%、田植え機が二一%ないし二二%、こうなっておりますが、これは十二月の上げた価格に対して約一四%上げたということを申し上げましたが、それが大体トラクター田植え機というものをとりますとこんな値上げになっております。ですから、田植え機三二%値上げというのは前の年のあれに比べますと、七月と十二月と二月に上げたものについて比較すると大体こんな線。それから十二月に上げたのに対して二月に上げたものは前の内数に入るわけでございますが、大体二一から二二%、そんな関係になるように実は考えるわけでございます。
  9. 片岡清一

    片岡委員 どうも私の頭が悪いせいかわかりませんが、とにかく十二月の二十五日にメーカーなり全農から一方的に言うてきた価格が、前の発表された価格よりも明らかに三一%ないし三九%上がっておるということでございます。そういう点、どこで標準にするかといういまのお話によってあるいは違うのかも存じませんが、どうも私は納得いきません。しかし、これはいずれにしてもかなり便乗値上げの、先ほど御説明のようにタイヤベルトエンジンがそれぞれ値上がりしたということはあるでしょう。あるでしょうが、これはやはり業者の指導の上でひとつ厳重にチェックしていただいて、そして便乗値上げにならないように十分注意をしていただきませんと、これは今後の米価にもたいへん関係してまいりますし、農民方たちにとってはたいへんな負担になるわけでございます。そういう点でそれはまだ非常に不満ですが、時間がございませんので私は一応その程度にしておきます。
  10. 平林剛

    平林委員長 関連質問がありますので、これを許します。加藤紘一君。
  11. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 農機具に関して簡単に関連質問をさせていただきます。  いま片岡先生からいろいろ御質問がありましたけれども、いま農民の間では、農機具が上がってしまうのはもうどうにもとどめられない情勢である、さればその自衛手段を講じなければならないということを考えておるわけです。そして私たちもそのときによく言うんですが、農機具が上がるのがどうしようもないならば新しい農機具を買わないで去年までのでやったらどうか、去年までとにかくちゃんと生産できていたことは事実なんだから買い控えしたらどうかと言いますと、そこですぐ非常に統一的に返ってくることばは、去年のものを使おうと思うんだけれども、もう去年のは動かない、なぜかというと部品がこわれてしまっているし、それの供給体制が全然ないんだ、そして去年のものを使おうと思って農機具屋さんに行ってもまた農協に行ってもそれがほとんどない状態である、そうして農機具というものは昔からこうだったんだということを言われます。  そこで私はお伺いしたいんですけれども、いわゆる農機具というものの部品耐用年数というものを大体どのように法定で見ておられるのか、これが第一点。  それから自動車の場合には、まあ部品がなくなりますと交通事故になりますから業界内部でかなりしっかりした部品供給体制というものをつくっているように聞いておりますけれども、日本の場合には、いわゆる農機具業界の中である物を生産したならばずっとその部品供給しなければならないという責任体制をちゃんとつくっているかの問題これをお聞きしたいと思います。  アメリカの例をちょっと調べてみたんですが、一番有名な農機具会社はジョン・デァーというそうですが、大体、物が生産されている段階では全国どこでも四十八時間以内に部品供給するという体制を、生産ラインがストップしてからも二十五年の間はそういう体制をとっている。それからある農機具をつくるのをやめて、生産ラインがストップして四十年の間は図面を保管して、いつでも要求があれば部品供給するという体制ができておるようですが、日本農機具の中にはそういう体制がないんじゃないか、それで常に農民が困っているのじゃないか、そういう根本的な問題がありますので、ちょっとその点お答えいただきたいと思います。
  12. 安田佳三

    安田説明員 御説明申し上げます。  部品につきましては、まずそのもととなります機械のほうの法定耐用年数を申し上げますと、乗用トラクターにつきましては八年、コンバインにつきましては八年、動力耕うん機田植え機については五年ということになっております。  ただいま先生指摘部品確保する問題につきましては、現在の農機具を有効に利用する上からも非常に重要なことでございますが、各メーカーに事情を聴取しましたところ、現在法定耐用年数プラス一年程度のものを、これは生産をストップした後における期間でございますが、その後法定耐用年数プラス一年程度はその部品をストックしておりまして供給する体制を整えているということでございました。  しかし、先生指摘のとおり、いろいろ各地において部品供給において不満足な点があるんではないかというふうに思いますので、その点、私どもはさらに調査を進めました上、単に保管しているばかりではなしに、その供給体制につきましても調査を進め、農民方々に御迷惑のかかることのないように指導してまいりたいというふうに考えております。
  13. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 もう一つだけ関連をお願いしたいのですが、そういう業界内部法定耐用年数プラス一年の一応の約束ごとが現在守られているようには思えない。それで現実にはかなり、まあどっちかというとこれは農林省のほうの政策のいろいろな問題もあるんでしょうけれども、急激な農機具需要が出てきて、そうしてどっちかというと製品のほうの生産に重点が置かれて、パーツというものの供給が最近どうもないがしろにされているような傾向がかなり見えまして、それが末端の単協農機具屋さんに反映されていると思うのです。現実業界内部でそういう規定があるというだけではなくて、もうちょっと、ほんとうにその内規が実行されるように強力な指導をお願いしたいと思います。
  14. 森下元晴

    森下政府委員 モデルチェンジに名をかりて売り込みということ、これは農機具だけではございません。自動車販売等においてもかなり見られると思うのです。そういうことでこの部品というもののいわゆる義務的な供給、これは非常に大事なことでございます。しかし、この部品供給の中において、機械を売ってそれ以外にこの部品販売実績をあげよう、また部品販売によって営業成績をあげよう、いわゆる純生部品に名をかりて非常に高価にこの部品を売ってもうけていこうという機械販売一つの方法もございますし、特に農業関係機械につきましては、いま御指摘のようにそこまで部品体制は整っておらない。自動車販売なんかの方に聞くと、むしろ本体を売るよりも部品でもうけていくんだ、これは少し徹底し過ぎて難点もございますけれども、それに比べて残念ながら農機具関係はいわゆる部品供給すら行なわれておらない。むしろ次から次へとモデルチェンジをして、だから買いなさい、まだ使えるりっぱな機械をそのままスクラップ程度の下取りにして次から次へ買いかえていく。われわれ農政なんか見ていましても、機械の知識が乏しいために、またがめつい販売政策のために結局多額の金を借りてその償却もできないという農家がかなりできておるようなことも聞いております。そういう意味で、これは農林省とよく話し合いをしまして、いわゆる機械を買って、そのために農業政策が進まない、コストのかなりの部分を機械代に食われていく、こういうかなり問題があるわけでございまして、通産省としても、ただ売らんかな、便利なものだから買いなさいということのあやまちを正しながら、ほんおうに農業の効果があがるように指導していくのがわれわれのつとめでもある、このように思っております。
  15. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 まさにいま政務次官おっしゃられたとおりなんで、東北の場合に出かせぎが非常に多いのですが、何のために出かせぎに行くかと聞きますと、まず最初に返ってくることば農機具の借金を返さなければいけない。だから農機具を買うために東北農民はその辺で地下鉄を掘っているというのが実情だと思うのです。  ちなみにいま政務次官もおっしゃいましたようなモデルチェンジのひどさということをちょっと調べてみますと、佐藤造機の場合です。田植え機械だけで、昭和四十六年二条刈りのPS二〇〇という新型を出しました。そして、その翌年PS二一〇という改良型を出した。単なるちょっとした改良ではなくて、エンジン駆動方式変更ということをやっておりますから、これはもう大がかりなモデルチェンジと考えていい。そして、翌四十八年にはPS二一一というのを出した。これは車輪の上下装置変更をしている。そして、四十九年には今度全面モデルチェンジということになりまして、PS二二〇というものが出ている。こうなりますと、やはり前のモデルの部品がないと、次々に新しいものを買わざるを得ないというようなことになっておるわけでございます。いまの通産省政務次官のおことばの中にもかなり問題点を御認識なさっている様子が強くうかがわれますので、その方向でぜひいまの問題点改良のために強力な行政指導をしていただきたいということを申し上げて、関連質問を終わらせていただきます。
  16. 片岡清一

    片岡委員 私はあまり時間がございませんので、次の問題に移ります。  次は肥料の問題でございます。これも品不足であり、値上げの問題がたいへん農民を苦しめておるわけでございます、私のほうの農協調査によりますと、ことしの肥料の割り当ては前年度実績について六〇%しかない。これはことしの申し込みに対しては四〇%になるということでございます。ことに塩酸カリについては三〇%の割り当てしかない。燐酸カリは五〇%ないし六〇%、こういうことであります。ことに塩酸カリは早場地帯においては元肥として非常に重要な肥料であるにかかわりませず、これはたいへん時期がおくれておる。こういうために、早場米に間に合うか間に合わぬかということがたいへん大きな問題で、すでにいまの状況では時期おくれである、こういうことがいわれておるのでございます。そういうふうに肥料の供給が非常に少ないということ。さらにその肥料の値上がりが、四十八年度の売り値か四十九年度の売り値に当たるものを——ここに資料がございますけれども、それをあげておりますと時間がかかりますので……。二二%から大きいものは六〇%上がっておるということでございます。私は、石油の値上げというのは、一月二十日から高い石油が着いておるということでございますが、これがこういうふうに上がるのは何かいろいろな、電力の値上げやそういうことを先に見越して値上げをしておるように思われるのでありますが、これらについてもひとつ農林省の所見を承りたいと思います。  時間がございませんので、なるべく簡単にお願いします。
  17. 二瓶博

    ○二瓶説明員 肥料に関するお尋ねでございますが、まず肥料の関係供給の面につきましては、結論的に申し上げますと、この春肥の需要については不安はないというふうに考えております。  それから価格のほうの問題でございますけれども、価格につきましては、まず硫安、尿素が本年の一月から約一六%引き上げられました。それから燐酸肥料等を含めました肥料全体で申し上げますと、本肥料年度当初に対しまして約三割上がっております。これを前年同期比、去年の三月に対比いたしますと約四割の値上げというふうに相なっております。この価格が最近非常に上がっておりますけれども、これは原材料のコストが上がっておるということでございます。尿素につきましては、ナフサ、重油、包装資材というふうなものが上がっております。それから燐酸肥料等につきましては、これは原料となります燐鉱石をアメリカのフロリダなりから輸入をいたしておりますが、この燐鉱石等が相当の値上がりをいたしております。それからカリ肥料でございますが、これにつきましてはやはりカリ塩という形で製品そのものを輸入いたしておりますが、この輸入価格も相当上がっておるというようなことを反映いたしまして、先ほど申し上げましたように、本肥料年度当初に対しまして約三割、それから前年同期に対しまして約四割というような値上げに相なっておるわけでございます。  ただ、この肥料につきましても、やはり需要者団体でございます全農が約七割のシェアを持っておるわけでございますが、これが硫安、尿素につきましては、肥料価格安定等臨時措置法によりましてメーカー団体と団体交渉をやって取りきめ、その他の肥料につきましては、個々のメーカーと協議してきめておるということでございます。そしてその価格が基準になってまた商人系の価格などもきまっていくというような形になっておりますが、いずれにいたしましても、肥料というのは各農家に普遍的に使われる資材でございますので、農林省といたしましては、この価格の問題等につきましても十分行政指導等も行ないながら、その辺適正にきまるように今後とも指導してまいりたい、かように思っております。  それから、ただいま富山県の砺波市のことにつきまして具体的にお話もございましたが、これにつきましては、確かに割り当てのやり方といたしまして、富山経済連のほうで四十七肥料年度の実績を六割、四十八肥料年度の計画を四割というようなことで計算をいたしまして、割り当てをやっておるようでございます。それに休耕田の復活の分がまた別ワクでプラスするというようなことで、昨年はたしか五千八百トンと聞いておりますが、それに対しまして七千八十五トンという計画に相なっておるように聞いております。五千八百トンに対しまして七千八十五トンというふうに、それを上回る線で考えております。  ただ、三月十三日現在の出荷の状況でございますが、この七千八十五トンという全体の七五%程度が入荷済みでございまして、あと残りの分につきましては早急に出荷をするというようなことで、その面はあとでショートするようなことはないというようなことに全農のほうの状況等も聞いておる次第でございます。
  18. 片岡清一

    片岡委員 ただいまの農林省の御説明で、春肥については心配ないということであり、またいま統計の実績をあげられたのですが、私も調べましたときは、みんな寄せられて会議をしたその後においてはわりあいに肥料の供給もよくなってきた、こういうことをいわれておりますので、その後の実績からいうていま申されたような実績が出るのかも存じません。そういうふうに、何といっても肥料は一番基本の問題ですから、農民に心配のないように十分手当てをしていただくとともに、価格の点についても十分指導をしていただかないと問題になると私は思います。先ほどナフサ等の値上がりでとおっしゃったのですが、このナフサの値上がりは石油の先取り値上げに類するものではないかと思うのですが、これから石油の問題について、石油製品の再度の値上げといいますかになるのであって、とにかくすでにナフサが上がったということはある程度事実でしょうが、それはやはり便乗値上げであったという分がかなりあるのではないかと思います。そういう点で、価格の点についても今後農林省の十分な指導が非常に望ましいと思うわけでございます。  さらに、農薬の問題、それから農業用のポリエチレン、ビニール、これらもたいへんな値上がりをしておる。ことに私のところでビニールハウスや何かが盛んに使われておるのでございますが、ポリエチレンについては前年比九七・二%という非常な値上がりをしており、ビニールについても六〇・七%という値上がりをしておるということでございます。その他たくさんございますが、それらの点もひとつ十分御指導をいただかないと、これがすなわち直ちに米の値段の問題にはね返ってくるというふうに思うわけでございます。  さらに、配合飼料の問題。きょうも畜産の危機突破大会、全国的な一つの大きな大会が行なわれることになっております。けさほども私の県からたくさん畜産関係の人たちが来ておって、非常に危機感を抱いております。私は、この畜産の問題にしても配合飼料が去年のいまごろに比べて倍以上になっておる、こういう実情を見ますときに、日本農業の将来を考えると、たいへん深憂にたえないし、ことに畜産は生きものを扱っておるのでございます。一たび生きものを手放してしまって畜産が下降状態をたどるということになりますと、再びこれをもとへ戻すのにはたいへんな時間がかかる。また、そういうことはほとんど不可能に近いくらいになると思うのでございます。たん白質の給源を非常に伸ばさなければならぬという今日の日本の食糧の自給体制からいいまして、たいへんな問題だと私は思うのでございます。  時間があまりありませんので、そういう農機具、肥料、それから農薬、農業のいろいろな資材、さらに飼料の値上がり等を考えますと、米の値段には必ずしも飼料は関係ございませんが、私はぜひひとつ今度の米価の決定のときにはこれらの値上がりというものを十分考えていただきたい。近く米審が開かれて米価が決定をせられる段階になると思います。このときには、農林省は十分農民の立場というものを考えていただきたい。いま春闘において、雇用関係の労働者が三千二百万おる中に、たった八百万しか占めていないいわゆる四労働団体の麾下の労働組合の人たちが、結局賃上げその他のためにゼネストをやろうという計画が進められておる。そういうことを考えますと、農民はいままでほんとうにしわ寄せを食って、国民の食糧だからそう値上げはできないのだということで、いつも泣き寝入りをさせられておったのでございます。昨年ようやく一六・九九%ですか上げられ、私はことしはそんなことくらいではとても及ばぬと思うのであります。そういう点について、農林省として相当ふんどしを締めて、腹をきめて今後の米価の問題に当たってもらわなければたいへんなことになる。農民はストをやろうにも方法がない。そういう点で、非常に気の毒ではあるが、場合によっては倉庫から米を出すことを拒否するというようなことにもなりかねない。こうなると、たいへんな食糧問題の危機が出てくるというふうにも私は思います。こういう点におきまして、きょう食糧庁から杉山総務部長が来ておられますので、ほんとうは私は農林大臣に御決意を聞きたいのですが、農林大臣にかわって責任ある答弁をしていただきたいと思います。
  19. 杉山克己

    ○杉山説明員 本年の生産者米価につきましてはまだ方針をきめているわけではございませんが、いずれ所要の資料の整備をまちまして、従来どおり食管法の規定に基づいて生産費、物価等を総合的に考慮いたしまして、米価審議会の議を経て決定するということにいたしております。その際、御指摘生産資材あるいは肥料等の価格動向も含めまして、諸物価上昇によって稲作のコスト農家の生活費が増高しておるということがありますので、これらを考慮しなければならないということは当然であろうと思います。ただ一方、米につきましては稲作転換を進めなければならないというような事情にもありますので、本年の生産者米価の取り扱いにつきましては、それらの諸般の事情を総合的に考慮して、慎重に検討してまいらなければならないと思っております。ただ先生指摘のように、本年は諸般の情勢からして非常にむずかしい。私ども事務当局としてもまさに御指摘のようにふんどしを締めて、一段ときびしい決心で臨まなければならないというふうに思っております。
  20. 片岡清一

    片岡委員 一応米審の審議を経てという手続に関しては御説明がなくても当然のことでございます。私の言いたいのは、生産費及び所得補償方式というものをどういうふうに具体的にやられるかという問題でございます。いままで私特に不平に思いますのは、米の生産費のとり方についても、農林省のやり方が非常に小農切り捨てのやり方である。すなわち平均の生産費でやるとともに、販売量で農家を区切っておるというようなやり方は、このごろは小農でみんな兼業農家になっておって、いわゆる専業農家が少なくなってきた、そういうときに、専業で大農式の生産もやっておる、そういうものを標準にしたような生産費のとり方は根本的に間違っておる。その点については平均以上のバルク方式、もっと八〇%くらいにバルクをとっていただきたい、こういうふうに私は思うのでありまして、そういう点について、何かいままでのやり方と違ったことについて考えておられるかどうか、それをもう一ぺんお聞きしたいと思います。
  21. 杉山克己

    ○杉山説明員 本日この席でもって米価決定の方式について具体的に申し上げるような段階にまだ立ち至っておりません。  小農切り捨てではないかというような御指摘もございましたが、従来の生産費所得補償方式の中でも、いろいろ要素についての検討はそのときの需給事情そのほかを勘案して定めてまいっております。いずれ諸般の情勢を勘案いたしまして、生産費所得補償方式によるという基本にのっとりながら、具体的な米価の算定につとめたいと思っております。
  22. 片岡清一

    片岡委員 ただいま先輩から、おまえは物価問題をやるときに盛んに物価を上げるようなことを言うのはけしからぬといって御注意を受けまして、そういう点は確かに……。私は、物価を上げるというよりも、結局物価を上げなければならぬような状態にならないように、ひとつこの農機具その他の問題をしっかりと把握してこれを行政指導をしていただかなければならぬ、こういうことでございます。  まだたくさんあるのですが、最後に一つだけお願いしたいのは、このようにして農業関係資材、機具等が非常な値上がりを見ておるのでございます。これは結局こういう値上がりがなければ何も米の値を上げる必要はないわけなんですが、そこに問題があるのでございまして、これをどうしても価格を押えていただかなければならぬ。しかもこれは国民生活安定緊急措置法によるいわゆる国民の一般的な必需品ということではないかもしれません。これは農民だけに要るものではあります。しかしその関係するところは全国民関係するのです。ことにこういうものが上がって、そして農民がその農業の意欲を失うということになれば、日本の食料問題に非常に大きな影響を及ぼすことを考えますと、これはやはり何といっても国民生活の基本的な物資である、資材である、こういうふうに私は思いますので、これらの農業資材機械、こういうものに対してひとつ生活安定緊急措置法の第三条による必需物質としての指定をされ、そして四条によって標準価格をきめていただく、そういうことが私はぜひ必要であると思うのでございますが、これは企画庁の次官がおいでになっておりますので、ぜひひとつそういう御決意があるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  23. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま標準価格の設定の件でございますが、先ほど来の説明がございますように、農業用資材につきましては、その価格の決定やあるいは農民に対する販売に関しましては農業団体が関与する場合が多いわけでございますし、また農業用資材の各物資の品目数が非常にバラエティーが多うございます。そういう点から申しますと、御指摘の標準価格にはなじみにくい事情にあろうかと思います。しかしながら、先生指摘のように農業用資材供給確保とその価格の安定は農業生産確保あるいは農産物の価格安定に大きな関係のある問題でございますので、先生の御熱意を背景に今後さらに慎重に検討してまいりたいと思います。
  24. 片岡清一

    片岡委員 たいへん前向きの御答弁をいただきましてありがとうございました。まだほかにちょっとお聞きしたいことがありますが、もう時間がまいりましたので、またこの次に譲りまして、私の質問をこれで終ります。ありがとうございました。
  25. 平林剛

    平林委員長 羽生田進君。
  26. 羽生田進

    ○羽生田委員 私は医薬品並びに衛生材料等につきまして、厚生省の薬務局長あるいは保険局長さんにいろいろとお聞きしたいと思います。  薬価基準が本年二月一日に改定になりまして、私の記憶では大幅な改定は二年目ぐらい、中幅な改定は一年目ぐらい、このように記憶しているのですが、間違いはないでしょうか。それでよろしゅうございましょうか。——実はこの薬価基準が改定になりましてから、これは物価問題にももちろん関係があるわけでございますけれども、健康保険法に非常に関係がありまして一年間も薬価調査が十分行なわれていなかったようにも思います。特に物が値上がりする現状、この一年間が一番急カーブで一般の物が値上がりしておったときに、薬価の調査、あるいは特に医療機関等におきます薬価調査等が不十分だったように思うのですが、それを思い切って二月一日に値上げをされた。とたんに医療機関等から、品不足あるいは薬価基準の価格では買えない、こういうような苦情がたくさん出てきておるわけでございますが、そこらの経緯について実情をひとつお知らせいただきたいと思います。
  27. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 現在医薬品につきましては相当資材等の高騰はいたしておりますけれども、生産量は大体順調に伸びておりまして、物自体として不足しておるという状態は現在はほとんどないというふうに私ども考えております。ただ御質問のように、薬価基準価格と比較いたしまして医療機関の実勢購入価格が高い、いわゆる逆ざやとなっております医療用医薬品、これは御指摘のように現在若干見られるわけでございます。これは先生御案内のように、日本薬局方収載、いわゆる局方薬を中心といたしまして一部の医薬品という感じでございますが、こういった問題につきましては、厚生省としては先般来関係業界に対しまして価格を安定するように強く指導いたしまして、業界としてもそういった申し合わせを得ておるわけでございます。  薬価調査につきましては、御指摘のように全数調査は四十七年の九月でございますが、その後繁用されております医薬品相当数の品目につきましては、中医協の建議に従いまして追跡調査、いわゆる経時変動調査を行なっておりまして、そういった資料も含めて、大体去年の十一月ぐらいまでの資料を基礎として薬価基準を改定したわけでございますけれども、いま御指摘の逆ざや品目につきましては石油化学系原料に直接あるいは間接に依存しておるというようなものもございまして、その後の事情の変動から逆ざやが生じておるというものもあるようでございます。したがいまして、こういった原料の価格安定について通産省等の関係行政機関に対して協力を要請いたしますと同時に、関係業界に対しましても現在の国民経済の実情を認識して価格の安定に協力してほしいということを強く指導いたしておる次第でございます。
  28. 羽生田進

    ○羽生田委員 いまのお話、わからないではないのですけれども、せっかく二年ぶりぐらいで大幅改定をしようというときに、改定したとたんに買えない。これじゃどうも改定の意味がないような気がする。その価格じゃ買えない、そういう薬が相当あるわけです。しかも安過ぎて生産が間に合わない、したがって品不足、やみ価格でなければ買えない。こういうようなのが特に生命に直結する薬に相当多い。こういうことがいわれておるわけなんですが、私は何かそれが少しずさんだったような気がするのですが、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  29. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、この追跡調査をいたしております医薬品は、相当繁用をされると同時にかなり値動きの大きいものを中心といたしまして追跡調査を実施いたしましたわけで、現在逆ざやといわれておりますものは、相当数が局方の収載医薬品でございますが、局方の収載医薬品は相当長い間の淘汰を経て、その効能、安全性等については安定しております反面、生産も軌道に乗っておるわけでございますが、同時に、長期間にわたって相当数の会社が製造しておるというようなことから、実勢価格を反映いたします薬価基準としてはかなり低い水準にとどまっておったわけでございます。その点は、追跡調査をいたしましても、大体最近の価格狂乱といわれるような問題が起こる時点前までの価格につきましてはずっと安定した価格供給がなされておったものが多いわけでございまして、それが昨年来の石油、電力等の問題そういったことから、必要な原材料、副資材、そういう非常に急激な変化があったというところから、いままで大体経済情勢の緩和の変化につきましては企業努力で吸収して価格が安定しておった、そういうことが中小企業が多い関係もございまして限度に達しておりますために、現在のような状況が生じておる、そういうような事情であろうと私ども考えております。
  30. 羽生田進

    ○羽生田委員 薬価基準を決定するときには、これは薬務局が調査したものをそのままそっくり保険局で認める、そして地域の承認を得る、こういうようなかっこうなんですか。
  31. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 薬価基準のきめ方につきましては、要するに実勢価格と保険で使います薬の価格、保険で請求される価格との、従来から申しますと差を縮めていく、できるだけ実勢価格に合わせるということが、薬価基準をきめる趣旨でございますので、いまおっしゃいましたように、薬価調査、それはまあ全般的な調査もございますし、それからまた追跡経時変動調査もございますが、そういったものを総合されましたものを薬価基準として価格に取り入れているような次第でございます。
  32. 羽生田進

    ○羽生田委員 いまいろいろとお答えいただいたのでわかるわけではございますけれども、現実に私自身も二月一カ月間、自分の群馬県も、さらに日本医師会を通じて全国的な調査もいたしましたけれども、相当数にわたって二月一日からすぐに買えない、こういう現実の姿があるわけです。また、つい最近の三月六日の朝日新聞に「高い東京の医薬品」という見出しの、販売価格が二倍の例もあるというのが出ておるのですが、これはどうしてこういうふうなかっこうになるのか。そこらのところは薬務局でお調べになっているのですか。
  33. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 いろいろ逆ざやの品目につきましては、私どもも医師会からも資料をちょうだいいたしまして、また東京都からもその新聞のもとになりました資料も参っておりまして、整理、分析をいたしておるわけでございますが、この逆ざやになっております品目、相当数はいま申し上げましたような局方の医薬品で、きわめて単価は安い、一般的な単位で申しますと、千単位で薬価基準が設定されておるというようなものもあるわけでございます。そういったものは、いま申し上げましたような事情で、長年の企業努力によって値が下がっておったものが吸収し切れなくなったという要素がございますのと、もう一つは、非常に稀用の医薬品でございまして、医療機関におかれましてもめったに使わない、したがって製薬業界といたしましても、そういった非常に使用量の少ない、つまり珍しい病気にしか使われないような医薬品につきましては、企業の一つの社会的責任として、ある程度採算を度外視してもつくるというようなことで、かなり薬価調査の段階におきましても、いわゆるバルクラインが引けるまでの量が取引されていないというようなことで、薬価基準の策定にあたりましても一応他の医薬品と同列の薬価基準が設定されておるというようなものが、そのそれぞれの特殊な資材、原料等の関係から急騰したというようなものもあるように承知をいたしております。
  34. 羽生田進

    ○羽生田委員 このように直接健康を阻害された者たちに使うところの医薬品等について間に合わない。私が調べたのでとにかくこれは群馬県なんですけれども、百五施設調べて、ブドウ糖の注射ですね、これが入手がどうも不十分でうまく買えないというのが十七施設、それから注射用の蒸留水が十三施設、それから普通の胃腸剤ですね、これらが十六施設、それから抗生物質等も十施設、こんなふうにすぐ間に合わない、入手困難だ、こういう施設があるのですけれども、そこらのところが実際にはわからないのですが、どうしてそういうふうに入手困難になるのか、そこらのところの調査をされておるか、そこのところをお聞きしたい
  35. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 いまおあげになりました数種の医薬品につきましては、入手が困難だとおっしゃる施設の態様といたしまして、ほんとうに物がない場合とそれから先ほどから先生が御指摘になっておられますような薬価基準内での購入が困難であるというようなのと、両方の要素がおありだろうと思うのでございます。  一番初めに言われましたブドウ糖なんかにつきましては、実はブドウ糖の注射薬は今度の薬価基準の改定では、それ以前からブドウ糖は多少問題がございまして、アンプルの値上がり等の特殊事情もございましたので、二倍以上の価格の改定をいたしておりまして、この点は業界といたしましても、薬価基準内で当分供給できるという言明を得ておりますし、またこれは全品検定品目でございまして、私ども国立衛生試験所における検定の状況から見ましても、相当増産されておるのは事実でございます。ただ、二月一日にそういうような大幅な薬価基準の改定がありましたために、二月一日前後に多少荷動きが乱れておった、そういうことで二月早々の時期であるいは問屋等に在庫が多少不足するというような事情はあったかもしれませんが、このブドウ糖につきましては、現在供給あるいは価格の面での不満があるということはおそらくなかろうと思いますし、もしそういうことございましたら、これは個々の指導によりまして解決できると考えております。  それから抗生物質の中でも、たとえばクロラムフェニコールとかあるいは胃腸薬エス・エム散のようなものにつきましては、これは御承知のように、大体そういったものは統一限定品目になっておりまして、従来の例といたしましては、相当各社多数の会社がこれを製造いたしておるわけでございまして、そういった同じ効能、同じ成分を持つ医薬品につきましては、仕来どこかの会社の製品は間に合うという状態でございまして、現在におきましてもそういう状態は変わっていないと思います。  ただ、臨床の方のお気持ちといたしまして特に銘柄を指定するということになりますと、その同種の成分を持つ医薬品、同じ薬価基準に収載されております医薬品は在庫しておりましても、たまたま御指定になった銘柄の品が不足しておるというようなことはあるいはときとしてあろうかと思いますが、そういった各薬効群別の全体の生産量といたしましては決して不足はいたしておりませんので、そういった点につきましては物としてはだいじょうぶだと存じております。ただ、一部逆ざやのものにつきましては、先ほど申し上げましたような方針でできる限り業界指導いたしまして、そういった事態を解消するように努力をしておるところでございます。
  36. 羽生田進

    ○羽生田委員 確かにそういうものの製造、需給等について、需要供給が数字からいくとうまくいっておるのですけれども、現実には末端においては確かに品不足、これがあるということはぜひひとつ了解をしていただきたい。  それから、衛生材料としてガーゼ、脱脂綿、これらも非常に入手困難である、しかも価格も安定してない、こういうようなことですが、従来、二十年以上もずっと薬価基準に載っておったものが、昨年二月一日で薬価基準をはずされた、その理由についてひとつお聞かせいただきたい。
  37. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 ガーゼ、脱脂綿、特に医療用ガーゼにつきましては、御指摘のようにずっと薬価基準に収載されておったわけでございますが、昨年二月ごろから、当時相当品不足あるいは値段の高騰ということが伝えられまして、一反の価格が去年の三月ごろには三百円、五、六月ごろにはまた高騰いたしまして三百五十円というような状況でございまして、私どもといたしましては、鋭意業界に対する増産を指示いたしますと同時に、七月には買占め防止法によります品目の指定を行ないまして、メーカーに対して増産それから価格の抑制について指導をいたしてきたわけでございます。四十八年中の生産は前年の三〇%収入の増になっておりまして、価格も昨年の十一月ごろには大体三百十円程度というふうに鎮静してきたわけでございますが、御案内のように、ガーゼの原料になります綿糸、これは非常な投機商品でございまして、相当値動きが激しいということで、去年の年末から一般的な物価の動向も影響したかと存じますが、綿糸が異常な高騰をいたしましたために、また十二月、一月と、その段階では値が上がってきております。そういったような状況がございまして、特に都道府県における購入価格という今度の薬価基準の設定をいたしましたのは、こういった綿糸というようなものに非常に価格が左右されますガーゼのようなもの、あるいは原綿の輸入価格等によりまして価格の左右されます脱脂綿、そういったかなり値動きの激しいものにつきまして、あるいは相当かさばるものでございますから、製造場所からの輸送距離のいかんによりまして、かなり値段も変わってくるというような要素もございます。そういったことを勘案いたしまして、他のそういう値動きの激しいものと同様の扱いをするということで、都道府県における購入価格という一応の告示をしたわけでございますけれども、ただそうは申しましても、一応厚生省の指導価格といたしまして一定の水準をきめなければならない。その前提といたしましては、現在のようなかなり高下のある、先生指摘のようなばらばらの価格でそれを一律に押えるということは、ときとしては高値安定というようなおそれもございますし、またときとしては品物の不足を来たすというような事態が起こっても困りますので、現在ちょうど綿糸も下落してきておりまして、ガーゼにつきましては相当下降傾向に向かっておりますので、私どもといたしましても、関係業界に対しましてきわめて強い姿勢で価格の鎮静について指導いたしておるところでございます。こういった価格の安定を待ちまして、できるだけ早く保険局と相談をいたしまして、全国的に一応基準をきめた価格を指示する、そういう方針でいま鋭意作業を進めておる段階でございます。
  38. 羽生田進

    ○羽生田委員 これは、一応安定してきたら再び薬価基準に載せるつもりなんですか、どうなんですか。
  39. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 ただいま薬務局長からお答えを申し上げましたように、相当強い行政指導によって近い将来安定をするような見通しでございますので、その段階において、私どもといたしましては都道府県の購入価格というものとして基準的な価格を示す、こういうやり方をとりたいといまのところは考えております。
  40. 羽生田進

    ○羽生田委員 薬価基準には載せないのですね。もう掲載しないのですね。
  41. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 つまり、いま薬務局長の話もございましたように、実際の医療機関が購入をされます場合の実情を考えまして、薬価基準に登載をすることよりも、いま申し上げましたような都道府県の購入価格という方式で、基準的な、標準的な価格をお示しをする、このことのほうが実情に合うというふうな判断をいたしまして、今回そういう方式をとったわけでございますので、もう一回もとに返して薬価基準に登載するかどうかという問題は、またその段階において検討しなければならぬと思います。
  42. 羽生田進

    ○羽生田委員 それじゃそれはそれとして、いまのようにとにかく健康に一番関係の深い医薬品である以上、これは例の指定物資とかあるいは標準価格とか——特に薬価基準でいろいろ価格がきめられておりますので、そのような解釈のように考えていいでしょうか、どうでしょうか。
  43. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 現在は皆保険でございますので、皆保険の保険医療をやっていきます場合に、先生御承知のとおり保険で払います費用は厚生大臣が定めております療養に要する費用の額の算定方法によってやっているわけでございます。その中で、薬剤の購入につきましては薬価基準を定めましてその価格で請求ができる、その価格で保険で払う、こうなっておりますので、これはやはり保険という一つのメカニズムの中でのきめられた一つ価格というふうに私どもは考えております。
  44. 羽生田進

    ○羽生田委員 それから、一般用の医薬品の価格がこれも暴騰してきておるということで、一月以来関係業界あるいは団体、連合会とか、そういうところと厚生省と話し合いをしていろいろな申し合わせをしたり、いろいろしたということを聞いておるのですが、その後の結果はどういうふうになっているのでしょうか。
  45. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 先生指摘のように、一般用の医薬品の価格につきましては特に昨年の九月ごろからあと、一部の医薬品の値上げが見られたわけでございまして、特に再販の指定を受けておる医薬品が再販の指定を返上と申しますか、取り下げをいたしまして、それで値上げをするというようなケースが幾つか見られたわけでございます。こういうようなことは、再販制度というものが本来消費者のために役立つべきのものでありながら、高値をささえるためにいろいろ利用されておったというような、再販制度全体につきましても、また医薬品というものにつきましても社会の不信を買うという性質のものであるということで、私どもといたしましても、先月の六日でございましたか、関係の直接そういう行為のありました会社の幹部を厚生省に招致いたしまして、値上げの撤回ないし値下げについて強い要請をいたしました。それに基づいて各社とも相当程度の撤回ないし値下げを行なったところでございます。  また一般医薬品全体につきましても、二月八日に、これは薬業界の各分野の代表を厚生省に大臣が招致をいたしまして、この今後の値上げの自粛あるいは医薬品の内容は、これは非常に広範にわたっておりまして、どうしてもその原料等のためにある程度の手直しが必要と思われるものがある場合には、やはり厚生省に資料を具して申し出るというような申し合わせをしていただきまして、そういった方針は現在も守られておりますし、私どもといたしましても一般用医薬品の価格については全国的にモニター調査等も行ないまして安定を期して指導を続けておるところでございます。
  46. 羽生田進

    ○羽生田委員 それでは最後に経済企画庁の政務次官にお聞きしたいのですけれども、医薬品の再販制度というものが出ましたけれども、再販制度そのものにいろいろな批判があるわけですが、将来再販制度をどういうふうにしていくか。この再販制度というものをさらに強化するのか、あるいはこれはやめていくのか、それらについてちょっと最後に方針をお聞かせいただきたいのです。
  47. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 再販の問題につきましては、本来ならば公取のほうから御答弁申し上げるのが筋かと思いますが、私の考えを述べさせていただきますならば、御案内のように、洗剤、歯みがき、石けんにつきましては公取のほうがすでに方針を示してございます。残りますのは化粧品、医薬品並びに出版物、こういうことでございまして、先進国の例を見ますと、たとえば西ドイツは出版物のみ、こういうぐあいに先進国の傾向としても再販の対象品目を少なくしていく、こういう方向にもあろうと思いますので、その辺の動向も勘案いたしまして、私どもとしては再販制度も順次これを整理していくという方針でやってまいりたいと思います。
  48. 羽生田進

    ○羽生田委員 どうもありがとうございました。
  49. 平林剛

    平林委員長 羽生田君の質疑は終了いたしました。  午後一時再開することとし、この際休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ————◇—————    午後一時三十三分開議
  50. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  51. 兒玉末男

    兒玉委員 石油部長にお伺いしたいと思いますが、近く石油関係関連物資の値上げということが報道されておるようでございますが、どういうふうな経路と、また範囲についてはどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  52. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  原油価格の本年に入りましてからの大幅値上げに伴います製品価格引き上げ問題につきまして、現在政府部内で検討中でございます。いま内容についての具体的なことにつきまして詳細御説明できる状況にございませんので、その点申しわけないと思っておりますが、私どもとしましては、メーカーのいわゆる元売り仕切り価格につきましての値上げの妥当な幅は幾らか、それからそれの結果、末端段階におきましてどういった値上げ幅がやむを得ない幅であるかということを現在精査しているわけでございます。大筋の考え方といたしましては、できるだけ値上げの幅を少なくし、また昨年十月−十二月に超過利得を得ておるという面もございますので、こういった利得ははき出させまして、ぎりぎりどの程度まで上げざるを得ないかという考え方で精査をいたしております。同時に、この石油につきましては国際商品でございますので各国が、すでに主要国は値上げを実行いたしておりますので、その辺のことも念頭に置きつつ、ぎりぎりまで現在値上げをとどめてまいっておるわけでございますが、私どもとしましてはできるだけ早い機会にと申しますか、政府部内のコンセンサスを得まして、またそれに伴う関連物資への影響等につきましても十分な手だてをあわせ講ずることによりまして、物価への対策ということにも十分配慮しつつ近い機会に結論を得べくいま検討を行なっているというふうな現状でございます。
  53. 兒玉末男

    兒玉委員 先般来の衆議院の予算委員会等の審議を通して、今回の石油製品等の値上げについては独禁法との関係で特に公正取引委員会との間にもまだ意見の点においてかなりの食い違いが生じておるようでございますが、この辺の意見の調整といいますか、その辺はどういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  54. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  独禁法との関係につきましては、予算委員会におきましても総理並びに法制局長官から、今回の石油について行なわれる予定の行政指導というものと独禁法との関係につきまして統一的な見解を示されておりまするので、そのとおりでございますが、私どもといたしましては、いま直ちに、たとえばある油種についての末端価格を法律に基づきます標準価格といった形に直ちに実施できかねる状況にあろうかと考えております。  本件につきましては、石油製品に関する限り、原油価格の状況が現在きわめてまだ流動的でございます。現在参っておりますメジャーからの通告自身が暫定価格として通知が参っております。追徴が行なわれる公算が非常に強うございます。現に一部に追徴が参っておるわけでございますが、そういった状況と、反面また産油国の一部におきましては、現在の価格が高過ぎるということで、少し下げるべきだ、こういう考え方もございます。今後の原油状況はきわめてまだ流動的であるという点がございます上に、国内の需給面におきましてもなお流動的な面もございますので、いろいろそういった状況下にあって早急に結論を出さなければならないという現段階におきましては、とりあえず指導価格という形で行なわざるを得ないであろうというふうに私ども考えておるわけでございます。
  55. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで私は具体的な点について環境衛生局長とそれから石油部長にお伺いしたいわけでございますが、昨年の十二月から本年の二月にかけまして特にこれはクリーニング業に関係する、たとえばA重油だとかあるいはドライゾールだとか、こういうふうな関連物資が相当大幅な値上げがなされておりまするが、石油部長に対してはこのようなドライゾール関係生産供給状況というものが、いわれておるようにそういうふうな品不足というのが現実にあったのかどうか。またあとで具体的に数字を申し上げますけれども、そういうふうな、急激に価格を上げなくてはいけないような客観的情勢というものはどういうふうにあったのか、また環境衛生の元締めにある厚生省としてはそのような関連物資の供給体制というものについては通産省とは緊密な連携をとって非常に資本力の小さい関係業界でありまするから、それにはどういうふうな措置を持ってこられたのか、それぞれ見解を承ります。
  56. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  クリーニング用のドライゾール、ソルベントとも申しますが、これの需給につきまして御説明申し上げます。  私ども四十八年度の計画といたしましては、ドライゾールは上期、下期に分けまして上期は約五万六千キロ、それから下期が約五万三千キロ、約十一万キロと見込んでおりましたが、四十八年度の実績見込みとして現在持っておりますのは、この下期には五万九千キロと計画よりも販売実績が多くなっております。合計いたしまして年度といたしましては十一万六千キロという見込みでございます。したがいまして需給面で見ますと、昨年の十二月以来今日までの状況でございますが、とりわけ昨年末におきましては量の確保の問題でクリーニング業者の方々が量の確保に対する不安をお持ちになって、そういうことから相当業者の方々の買い急ぎというような状況も見られたかと存じます。  現在は需給がある程度安定してまいっておるかと思いますが、問題は価格の点がこの間にかなり上がっておるという点につきましては、従来とも業界指導と申しますか、便乗値上げのないようにということで指導をいたしていたわけでございますが、昨年の十月ごろの元売り仕切りは二百リットルドラム当たり約四、五千円程度であったと思いますが、これが現在は大体六千円あるいは七千円という程度に上がっております。問題は末端の価格が十月ごろが六、七千円というのが、現在は九千円あるいは一万一千円という程度になっておる、この点が一つの問題かと実は考えております。  御指摘のように十二月の時点に、十一月から十二月にかけまして価格が上がったわけでございますが、このときには先行き不安ということと、それから買い急ぎというような要素がからまって上がってきた、結果、下期全体として見ますと、量的には前年に比べまして一割強のアップということで、量的には販売が伸びているというのが事実でございます。
  57. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 昨年末の石油危機に際しまして、このクリーニング業界で使用いたしております燃料あるいはその溶剤でございますパラクロルあるいはドライゾール、そういったものが非常に材料不足になった点は先生指摘のとおりでございますが、これに対しましてまず燃料でございます重油につきましては、クリーニング業に対しましては公衆浴場業と同じように、衛生上の観点から優先的に割り当てる業種に指定して各都道府県の石油あっせん所におきましてこの量の確保をはかったわけでございます。さらに溶剤でございますドライゾール等につきましては、通産省のほうと、これは石油製品でもちょっと違った形の流通をやっておるようでございまして、通産省のほうに頼みまして、通産省のほうとわれわれのほうとであっせんをいたしまして、石油業界とクリーニング業界との間にこれらの物資の安定供給につきましての協議会を開いたわけでございます。まず最初に十二月十八日にこれを開いたわけでございますが、その後通産省のほうの御努力によりましてこの溶剤の安定供給に対します機構もできまして、現在では安定した需給関係が保たれている状況でございます。  さらに値段の点につきましては、厚生省といたしましてもこれらクリーニング業界というものが非常に零細企業でございますので、その経営を圧迫しないよう考えまして、これも通産省にお願いをいたしておるわけでございますが、近く厚生省と通産省との間におきまして相協議いたしまして、クリーニング溶剤の価格問題につきて石油業界とクリーニング業界との総合的な協議を行なう予定にいたしております。
  58. 兒玉末男

    兒玉委員 森下次官にお伺いしたいわけでございますが、ただいまの石油部長の説明を聞いておりますと、かなり私は価格の面においても、現状のわれわれが調査で得た内容とはかなりの食い違いがあるように思われるわけです。  そこで第一点は、これは協会の調査による全国大体おもな十六県の調査、これは昨年の十二月三日現在でございますが、北海道はじめ宮城、東京、静岡、山梨、長野、愛知、富山、大阪、京都、兵庫、岡山、山口、高知、福岡、熊本、大体地域別な十六の県から抽出した数字によりますと、東京、長野、大阪、京都、兵庫、岡山、山口、福岡、こういうところはいずれも大体五千円台の当初の価格が十二月末現在では全部倍以上、一万円以上に上がっておるわけであります。これは先ほど石油部長の報告とはかなりの差があるように受け取れます。  なお、その他の九県にいたしましても、ほとんどが七〇%以上の値上げが十二月三日現在でなされております。このような急激な価格の変動に対して通産省としてはどういうふうな認識をしておられるのか、まず一点お伺いいたします。
  59. 森下元晴

    森下政府委員 石油化学製品につきましては、昨年十一月、十二月、そして本年の一月非常に価格が上がったことは事実でございまして、通産省にもたくさんな陳情が参りました。特にクリーニング協会からも全国的な陳情がございまして、先生指摘のようにかなりの便乗値上げがなされておるというような陳情も受けました。非常な品不足でございまして、いろいろ個々の取引の過程で、いま部長から発言いたしましたような価格以上に取引されたような実例もわれわれ実は聞いております。ただ、それが全国平均的にそういう数字になっておるかどうかは私のほうの資料では十分わかりませんけれども、部分的にはかなり高い価格で取引されたことは私自身も陳情等を受けまして承知もしております。ただ、その段階がいわゆる元売り価格でどの程度上げられたものか、それから途中の流通段階においてどの程度上げられたものか、その点も十分なことはわかりませんけれども、大体元売りでは五千円のものが二割程度上がったように聞いておりますし、そうなると、だんだん流通過程で、二次、三次の段階で上げられたものかどうか十分わかりませんけれども、ともかく先生おっしゃったような高い価格で売られた事実も実は聞いております。ただ、それが全国すべてそうであったかどうかといわれますと、その点はそうであるということはちょっと言い切れないという事情でございまして、これはクリーニング用のベンゾールとかまたソルベント、こういう問題だけでなしに、塗料はなんかの化学製品につきましてもそういう傾向が見られたことは事実でございます。
  60. 兒玉末男

    兒玉委員 この価格引き上げ差というのが、若干の地域差もありますけれども、おしなべて最低六〇%以上。それから特に厚生省としては、環境衛生局としてはそれぞれの主要なメーカーに対しましてあっせん的な機構というものを大手メーカー昭和石油を代表にしてやっているようでございますが、こういう極端な値上げについて、資本力の小さな業界でありまするから当然私はかなりの苦情が出されているものと思うわけですが、それらに対してはどういうふうな措置をとり、また物価担当の関係の経企庁なりあるいは通産当局に対してはどういうふうな指導をしたのか、これをお伺いしたい。  特に数字の点で申し上げますと、東京都の例をとりますと、本年の一月二十五日、主として使っている重油A、これが最低は四千四百円だったのが一万円、灯油の場合が、これはやはり品川地区で一月二十六日、最低が三千八百円だったものが七千六百円、あるいはターペン、これが五千三百円が一万六千円、さらに石けん関係の高温、中温、こういうふうなそれぞれの用途によるものが二百二十円が四百十三円、百二十五円が四百九十円、さらにポリチューブ等においては、これは杉並区でございますが、東ポリの製品が千五百五十円だったものが最高が三千六百円、こういうふうに異常な値上がりを来たしておる。  また、私のほうの郷里でございますけれども、宮崎県の場合においても約六十数軒の関係のところを調べました。これによりますと、昨年十月現在と二月の二十日から二月の二十五日、これは少なくとも原油がはね上がった直後のあとの状態でございますから、当然そのことを加味して小売りの価格はきめられたと思うわけでございますけれども、モービル系で十月で五千五百円であったのが一万一千円、日石関係が大体五千円であったものが一万円から一万四千円、昭和石油関係が六千円から五千円のものが一万一千円あるいは一万円、共同石油で五千五百円前後のものが一万円から一万二千円、こういうように私はちゃんと関係の業者に当たった資料を持っておりまするが、こういうふうに倍以上に上げなくてはいけない理由というものは一体どこにあるのか、その辺の関係についてどういうふうに把握をされているのかお伺いじたい。
  61. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 クリーニング業の大部分は非常に零細な企業でございまして、経営が一般的に申し上げまして非常に不安定でございます。このため、クリーニング業等に対しまして、経営の近代化をはかって衛生上の必要な基準を守らせるとともに、経営の安定をはかる意味におきまして、昭和四十二年、これはこの石油危機の前からでございますが、四十二年から中小企業近代化促進法に基づく指定業種といたしまして、クリーニング業の近代化、協業化の推進をはかってまいったわけでございまして、溶剤あるいは燃料等の共同購入等によりましてその価格をできるだけ安く購入するという、こういう方向で従来進めてまいったわけでございますが、クリーニングの溶剤の価格につきましては、大量購入の利点はあるわけでございますが、何ぶんにも石油製品でございまして、非常に引火性の強いような非常に危険なものでもございますし、またそういった中小企業での貯蔵設備の問題等もございますので、現段階におきまして一律にそういった溶剤につきましての共同購入ということが非常にむずかしい現状にあるわけでございます。従来から環適業種につきましてはそういった共同購入等によりましての価格安定をはかるというような方法でやっておりまして、今後もさらに溶剤等の共同購入の方法等につきまして検討いたしてまいりたいと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように価格安定のための共同購入あるいは組合によります組合員に対するこういった購入のあっせん、そういった点につきまして通産省のほうと今後話し合いを進める予定にいたしております。
  62. 兒玉末男

    兒玉委員 通産省にお伺いしますが、先ほど私がいろいろ値上げの状況等について数字を申し上げたわけでございますけれども、今後のこのようなドライゾール関係の製品について供給の見通しというものは一体どういうふうに判断されているか。さらにまた、おそらく現状のこの二月段階等における二倍ないし三倍という異常な値上げについてはあまりにも上げ幅が多過ぎる、私はこういうように考えるわけでございますが、価格形態についてどういうふうに判断されているのか。今後の再値上げというような重大な段階を控えておりますので、供給と現状価格についてのいわゆる通産当局としての判断についてお伺いしたいと思います。
  63. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 四月以降の石油製品全体の需給につきまして現在検討中でございますが、私ども何よりも量の確保ということが必要であるということで、供給面には不安のないように最善の努力をはかりたいと考えております。今日までの状況におきまして、クリーニング用のドライゾールの量につきましては、今後ともいささかも量の不安がないように十分配慮してまいりたいということでございます。  第二に価格の問題でございますが、先生指摘のように昨年の十二月ごろを中心といたしました大幅値上げにつきまして、私ども、あの混乱した中でいわゆる便乗値上げ的な要素がかなり見られた、こういう感じはいたしておるわけでございまして、今後の石油製品の再値上げの幅を考えます際に、そういった先取り値上げ的な要素につきましてはこれを十分吐き出させた上で値上げ幅を査定する、こういう考え方でおるわけでございます。昨年の上期平均価格で元売りの価格は対十二月比で四七%、約五割上がっておるわけでございます。このドライゾールも工業用ガソリンというJISのカテゴリーに入っておるわけでございまして、従来ガソリンの価格に比較的スライドして上げられてきているという傾向がうかがわれるかと思います。私どもとしましては、クリーニングという主として中小企業の方々への影響ということを十分配慮いたしまして、関係企業も比較的限られておりますので、一般的な指導とは別途にこのクリーニング関係のものにつきましては十分慎重な配慮を加えてまいりたいと考えております。
  64. 兒玉末男

    兒玉委員 前後しますけれども、環境衛生局長にお伺いしますが、あなたがいろいろとさっき答弁されましたけれども、私が言った中でこういうふうに末端の小売り価格が非常に高くなっている。それに対してどういうように認識をされ、また少なくとも民間の大手の企業を通して、あっせんの機構をつくっておるならば、こういうふうな異常な値上げに対してはやはり通産当局なりあるいは経企庁に対しても、これはあまりに極端な値上げじゃないか、そういうことであなたの管下にあるこのような環境衛生同業組合連合会等の意向を十分体して、価格面についてもう少し積極的な値下げなり抑制等の指導があってしかるべきではなかったか。単に物が足りないからあっせんするということではなくて、価格面についてもう少し積極的な対策をとるべきではなかったか、そういうことを聞きたかったわけですが、それはどうですか。
  65. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ちょっと御説明が足りなくて申しわけございませんでしたが、価格安定につきましても現在通産省のほうと話し合いをしておるわけでございまして、特にわれわれといたしましてはそういった材料費の値上がりがクリーニング料金へのはね返りということを十分考慮いたしましてできるだけ安くこれを購入できるよう検討いたしたいと思っておるわけでございますが、近く通産省のほうのごあっせんによりまして、いまのところこの十九日を予定いたしておりますが、十九日に石油業界のほうとクリーニング業界との話し合いを行なう予定にいたしております。なお先生のおっしゃったような点につきまして、価格の安定につきましては今後通産あるいは経企庁のほうとの連絡を密にいたしまして努力してまいりたいと思っております。
  66. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは経企庁のほうにお伺いしたいと思いますが、ただいま石丸局長から十九日に一応関係の打ち合わせをするというお話でございますが、この際竹内次官にお伺いしたいと思うのですけれども、先ほど来数字を申し上げてきたわけでございますが、まさにこれは異常な値上がりであり、しかも石丸局長が言われましたように、関係業界というものが非常に資本が小さい。だからお互いの共同購入とかそういうような体制というのはなかなか思うようにいかない。そういうような一つ組織的な弱点を見込んでこの異常な値上がりをした、あるいはそういうふうにつり上げたという節があるわけでございますが、十九日に予定されるところのこの石油製品関係価格等値上げについては、特にドライゾールなりこういう零細企業であるクリーニング業界等の値上げについては、われわれとしては絶対これ以上の値上げをすべきじゃない、二倍、三倍とこういう異常な値上げをしている業界に対してはむしろ値下げをすべきじゃないか、こういうように考えるわけですが、経企庁としての見解を承りたいと思います。
  67. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 申し上げるまでもなく、クリーニング業者の大部分は零細企業でございます。その意味におきまして先生指摘のようなドライゾールの大幅な値上げが経営を著しく圧迫しているだろうという事情は私にも想像がつきます。実はまだ厚生省なりあるいは通産省なりから私どものほうへの御相談はないわけでございますが、いまお話を承りますと、十九日にまず関係業界お話があるようでございますので、そのあとでまた私どものほうにも御相談があろうかと想像しておりますが、ともかく零細なクリーニング業者のこれ以上の値上がりをした場合の苦境を考えますと、私どもとしては石油製品の全体の値上げ幅というものをいま考えておるわけでございますが、その中におきましても特段傾斜的に政策配慮をしてまいりたいと思います。
  68. 森下元晴

    森下政府委員 この問題につきましては先ほども申し上げましたように、便乗的な値上げが実際の原価計算以上に上昇した、私もそういう実例を知っておるわけでございますけれども、ああいうふうな非常に過渡的な事態でもございまして、先行き不安である、物がなくなるかもわからないというような心理的な情勢下にもあったように思います。またクリーニング組合等のいろいろの方に聞いてみました場合には、価格問題とか融資問題については組合として非常にやっておるけれども、クリーニング用の石油化学製品、いわゆるドライゾールのようなものについての購入先については、そのときそのときで個々に安いものを買っておった、そういう例が非常に多かったようにわれわれは聞いております。あの機会以後組合の方が、これからは共同購入等を通じてわれわれは団結して安いものを買わなければいけない、そういうようなお話も実はございました。そういう組合の非常に強力な存在もあるわけでございますから、通産省としても、組合等を通じまして実勢価格以上の価格にならないように、大体原油が二倍になりましても、二次製品、三次製品は決して二倍、三倍になるような計算にはなっておりません、特に国民生活に直結しておるクリーニング業界のそういうドライゾールのような資材は不当に上がらないように、われわれもよく指導監督をしていきたい、このように思っております。
  69. 兒玉末男

    兒玉委員 最後にお伺いいたします。総理府の統計局の調査の資料で昭和四十二年から四十四年、四十六年、さらに四十八年の十月から四十九年一月と、各月のクリーニング関係料金の一覧表というのがここにございますが、十二月の石油関係製品の値上がりを転機として約十五の主要市の価格表がここに載っております。これによりましてもワイシャツにしても背広にしても一月現在でも高いところは二〇%、最低一〇%以上の料金の値上がりがはっきり統計に出ております。おそらく二月現在においてはまだそれ以上の値上がりをしなければこの業界としてもやっていけないのじゃないか、こういうことは十二分に推測されるわけでございます。特に十九日に予定されておるところのこのような石油関係業界の中で最も資本力の弱い、全国大体、厚生省の統計資料によっても八万七千八百軒という、取り次ぎ店を含めてですが、こういうふうな業界の中で、大体二人から三人規模というのが全体の六割を占めているという状況から判断しても、またこの料金の値上がりが大多数の国民に与える影響、そういう点等を勘案した場合に、やはり当面するこのような石油関係性物資の値上げについては、最大の努力をして絶対値上げをすべきでない、こういうふうに私は判断するわけでございますが、関係当局の十九日の打ち合わせを通じて、さらに今週中に決定されようとするこのような関係物資の値上げについて、ひとつ確固たる意思をお伺いしたい。特に本日は主務大臣がおられませんので、最終的な意思表明ができないにしても、関係次官、担当局長のやはり確固たる決意があれば、値上げをこれ以上しないということの結論が出る、私はこういうふうに期待をするわけでございますが、最後にひとつ三者の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  70. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ドライゾールの値上げが結局クリーニング代の値上げになることを私どもは一番懸念するわけでございます。したがいまして、そういう事態にならないよう、経済企画庁としても極力努力をいたしてまいりたいと思います。
  71. 森下元晴

    森下政府委員 現在のドライゾールの価格が、内容を見ましても、かなり先取り的な要素もあるように思います。そういうことで物価の高騰につながらないように、通産省といたしましては、流通を通じましてよく監視監督をして、そして正当なまた正確な価格指導をしていきたい、時によれば値下げ等の指導まで含めていたしたい、このように思っております。
  72. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 厚生省といたしましても、通産省のほうとよく連絡をとりながら、先生の御趣旨に沿うよう最大の努力を傾けてまいりたいと思います。
  73. 兒玉末男

    兒玉委員 終わります。
  74. 平林剛

    平林委員長 兒玉末男君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。
  75. 寺前巖

    寺前委員 この間の衆議院予算委員会の一般の質問に引き続いて、その後の問題について、薬価をめぐって若干の調査をやられ、御指導をやられている点についてお聞きをしたいと思います。さらにまた物価のうらはらとしての社会保障の面についても若干お聞きしたいというふうに思います。  まず最初に、大衆薬の値上がりに対する指導は一月来いろいろおやりになっておる。保健薬の問題について、これは指導してもらう必要があるのではないかということをこの前の予算委員会でも問題にしたわけですが、薬価基準よりもかなり上がっている薬の品目があると思うのです。薬務局長さんでいいですから、一体どのくらいの品目が薬価基準より上がっているのかちょっと聞かしてくれますか。調査されたことありませんか。
  76. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 薬価基準の性格から申しまして、例外的に薬価基準を上回る取引価格があるというのは従来見られたわけでございまして、したがってどの程度の数量以上が薬価基準を越えて取引された場合に、そういったことをいわゆる逆ざや品目として指導の対象にすべきかというのはなかなかいろいろ問題があるところと存じます。少なくとも相当の取引量が薬価基準を上回っておるというものにつきましては、私ども調査をいたし、それぞれのメーカーを調べまして、できるだけ薬価基準以内に押えることができますように現在指導を続けておる段階でございます。
  77. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、調査をおやりになって指導をしておられる、こういうことですね。それじゃ資料を提出していただけますか。この前、大衆薬の場合にはどれだけの品目が、どういう状況に、会社別になっているかということの資料をいただきました。調査をやられたのですから、どこの会社でどれだけの品目がどれだけ薬価基準を上回っているか、種類も出てくると思いますね。大寒薬のときと同じように、その資料をひとつ提出をしていただきたいと思います。それが一つと、この際に、薬価基準を上回っている薬価というのが一体どれだけの品目があるか、ちょっと聞かしてくれますか。
  78. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 私どもといたしましては、薬価基準に収載されております品目は、御承知のように約八千、銘柄別にいたしますと一万三千ぐらいの品目になるわけでございまして、したがって、薬価基準を越えておる医薬品がどれぐらいあるかということは、これは正確には全数調査をいたします薬価調査の段階でございませんと、全部に対する資料はなかなか把握できないわけでございます。私どもの気持ちといたしましては、とにかく少しずつでもそういうものを把握いたしまして、わかったものから順次薬価基準以内に取引価格を自粛してもらうということを行なうことが当面必要なことであろうという前提で、わかったもの、特にそのうちで繁用されます医療上重要なもの、そういうところから重点を置きましてメーカー指導しておるという段階でございまして、したがって部分的な調査の集積というようなかっこうになっております関係上、ただいま資料を提出いたすだけの十分な調査はまだできていない。調査を行ないながらなおかつわかったものから指導しておる、そういうような状況でございます。
  79. 寺前巖

    寺前委員 だからいまわかった段階で指導をしておられるのは、どれだけの状況がわかってそしてどういう指導をやっているのかを聞かしてください、こう言っておるのです。
  80. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 現在までに私どもいろいろな、多少断片的な資料もございますけれども、資料を集約いたしまして、この前もお答え申し上げましたように百をこえる品目につきまして逆ざやの状態が見られるというふうに考えております。そのうちで特にいま申し上げましたような、とにかく緊急の順序というわけではございませんけれども、繁用される、医療上特に日常よく使用される医薬品につきましてこういう問題があるということはかなりの問題意識を持っておりまして、十ないし二十程度の品目を選びまして、順次シェアの大きいところのメーカーを招致いたしまして、そういったメーカーに対して協力を求めて説得をしておる、そういう段階でございます。
  81. 寺前巖

    寺前委員 だから、現状においてどういう状況にあるのでどういう指導をやったのかということについての資料を提出してくださいと言うんだ。現状でいいんだ。まだこれから調査されるのだからまた変化が生まれるでしょう。それはそれでおっつけ教えてもらったらいいから、とにかく現状におきましてどういう状況にあるのか、いま百をこえる状況にある、これについて重要なものからこういうふうに指摘をして協力を求めている——大衆薬の場合にもそういうようにやられたわけでしょう。それと同じように現状についての報告をひとつ資料として提出してもらいたいということが一つ。  それからその指導内容ですが、内容はどういうふうにやられたのですか。薬価基準を越える場合には薬価基準までに押えなさいという指導をやっているのか、どういう指導になっているのか、そこの指導内容をあわせて聞かせてください。
  82. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 大衆薬の場合におきましても、私どもが取りまとめまして発表いたしましたのは、大衆薬を主として製造いたしております五十社につきまして、そのメーカーのいわゆる建て値あるいは希望小売り価格の去年の九月以降の変動につきまして全数を調査いたしまして、それを集計いたしました段階で発表したわけでございます。したがいまして、いま医療用のものにつきましては先ほど申し上げたような段階でございまして、こういうものを資料としてまとめて申し上げるという段階にはまだ至っておりませんので、もう少しこの点は御猶予をいただきたいと思います。  それから指導内容といたしましては、いま先生が御指摘になりましたように、まず薬価基準というものの性格から申しまして、薬価基準を上回る価格で取引がされないように、結局末端取引価格が薬価基準以下になるようにということを重点にいたしまして、指導をいたしております。
  83. 寺前巖

    寺前委員 それじゃちょっと聞きますが、薬価基準以下になるようにということになると、中医協の段階で、薬価というのは、病院と一般医者の場合、二九%なり三〇%なりの利益がある、そのうちの半分が病院経営の収益になるというふうに見られる、こういうふうに診療報酬の審議をやる場合の資料として出ておったと思うのですが、その関係指導はどういうことになるのでしょう。これは診療報酬との関係で私は影響を持つと思うのです。あなたたちのところで薬価基準を基準とするならば、収入がそこからは入らないという前提になってしまうと思うのですが、そこはどのように考えておられるのでしょう。
  84. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 先般の診療報酬の改定にあたりましてどういう算定をいたしましたかにつきましては、ただいま先生指摘のようなファクターがあるわけでございます。これは、トータルの額といたしましては、前回の改定の四十七年二月から四十八年末までの物件費、人件費等の変動を算定いたしまして、大ワクをつくりまして算定いたしたわけでございます。ただ、それ以外にいわゆる病院、診療所における収入の一般的な自然増というものがございますので、その中で薬剤の占める割合というものをつかみまして、診療報酬としての薬剤料の収入と薬剤購入費との収支の差額というふうなものについて、いま先生が言われたような処理のしかたをしたわけでございます。  冒頭にも申し上げましたように、何ぶんにもこのデータを算定いたしましたのは、四十七年の二月一日から四十八年末までの実績と推計でございますので、その後におきます薬剤料の高騰と申しますか、そういうものは実は見込まれてないわけでございます。二月一日の改定時点におけるタイムラグが当然あるわけでございますので、薬の実勢価格上昇をいたしますれば医療機関の収入がそれだけ減ってまいりますことは、これまた先生指摘のとおりでございます。したがって、そのようなことを考えまして、今後も医業経営の実態調査というものは行なわれまするし、また薬につきましては薬価調査が行なわれまするので、こういったものを十分踏まえまして、今後の診療報酬の改定にそれが十分反映されるようにつとめてまいりたい、このように考えております。
  85. 寺前巖

    寺前委員 ぼくは薬務局の指導にどうも矛盾があるように思うね、政務次官。というのは、大衆薬のときには、値上げを大幅にしたところに対してはパーセントをきめて、一〇%値上げしたところは何品目か、二〇%何品目か、五〇%何品目か、ちゃんと分析して、もとの値段の段階から値上げした問題に対する指導をやっていたと思う。ところが保険薬の場合には、もとの値段から引き上げた問題についての分析をやらずに、薬価基準との関係でそれを上回る分だけを薬価基準までに押える。これちょっと矛盾していると思うのですね。異常な値上げで、十月、十一月段階からずっと一月、二月上がってくるわけでしょう。そうすると、薬価基準との関係だけではなくして、大衆薬と同じように、もう少し前の段階からこの値上げでいいのかということを厚生省自身が指導するんだったら、それをひとつ考える必要があるんじゃないだろうか、私はそういうふうに思うのですがね。それでなければ、いま保険局長の言うように、これは二九%、三〇%、その半分は病院経営の中に考えられるという前提に立っての診療報酬をつくっておるわけでしょう。ところが、それがもう根底からくずれるというのは、この百品目以上にわたるところのものが逆ざやになってきている。八千品目とかいわれていますが、実際に使う分野からいえばそんなにたくさん使えませんので、八百品目とか、もっと少ないものです。その中で百品目ということになってくると、きわめて大きな位置を占めておるわけでしょう。だから、それを考えたら、私は、薬価基準の段階じゃなくして、前の値段の段階との関係指導をするということを考えてもらわなければいけないんじゃないかと思うのですが、政務次官はどういうふうにお考えになるか、ちょっと聞きたいと思います。
  86. 石本茂

    ○石本政府委員 お答えいたします。  この問題につきましては、もうすでに先生よく御承知いただいているところでございまして、いま申されますお話を聞いておりましてほんとうごもっともだなと私はうなずくわけでございますが、やはり当事者の立場がありまして、先ほど来話をしておられますように、いま先生申されましたような値上がりをしていくであろうということもその時点では踏まえておりませんし、いろいろなことでたいへん御迷惑をかけておりますことは私も身近によく知っておりますので、それらのしょっちゅうお使いになります薬の逆ざやがあるということになりますと、これは早急に手直しをいたさなければなりませんので、御意見十二分に、私は私なりに胸におさめまして、帰りましたらさっそくまたこのことについてはしっかり検討させていただきたい、そして皆さまの御期待に沿える方向が出ればそうありたいというふうに考えてお聞きしておりました。申しわけございません。
  87. 寺前巖

    寺前委員 検討されると言うのですから、ひとつ検討してもらいたいと思うのです。薬価基準より高いものを、まず薬価基準までに押えたいという気持ちはわかりました。だけれども、大衆薬の場合は、前の値段まで下げるという観点に立っての指導だった。ところが保険薬の場合には、前のところまでおろすんだという指導がない。これについて再検討していただきたい。私は再度そのことを要求しておきます。  もう一つ、ちょっと聞きたいのですが、昨年の国会のときに、薬価基準はどうしてきめるんだ、薬価基準は適正ではないんじゃないかという問題を論議したわけです。それは自由競争のもとに薬が納められる、その実勢価格に基づいて調査をして薬価基準をつくっていくんだ、こういうお話だった。ところが、私はこの間、予算委員会の一般質問のときに、ほんとうに自由競争が行なわれているのかどうかという問題の例として、フィルムの例を出したりあるいは抗生物質の例を出したりしたわけですが、厚生大臣、調査しますということになっていたわけですね。この問題についてその後どういうような措置をとられたのか、これをひとつ聞きたいと思います。
  88. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 先日寺前先生から予算委員会で御質疑がありましたのは、一つは、エックス線フィルムの価格協定があったのではないかという問題、もう一つは、クロラムフェニコール注射液の生産調整が行なわれたのではないかという問題その二点の御質問であったと思います。  いずれにつきましても、カルテルがあったかどうかという問題は、その節大臣からも御答弁申し上げましたように、公正取引委員会の御所管でございますので、大臣が当日御答弁いたしました、実勢価格がそのいずれについても薬価基準との関係がどうなっておるかという点を重点として調査をいたしました。  まずエックス線フィルムについて申し上げますと、あの節いただきました資料に基づいてメーカー調査いたしましたところが、定価の改定、定価と申しますのはいわゆる薬で申しますと建て値でございますが、医療機関への販売価格、小売り希望価格ということになろうと思いますが、その値上げを行なっておりますのは間接用フィルムだけでございまして、医療用エックス線フィルムとしてはほとんど九九%程度使われております直接撮影用の四つ切りあるいは大四つ切りについては、値段は据え置きになっております。いただきました資料に載っておりますのは、私どもちょっと間違えてあのとき大臣に申し上げましてたいへん申しわけなかったのですが、あれに出ております四つ切りと申しますのは医療用のエックス線フィルムではなくて、複製するときの別のフィルムの価格だそうでございます。したがいまして、直接撮影用のフィルムにつきましては値上げされておりませんので、医療用の直接撮影のエックス線フィルムは現在におきましても薬価基準内で、少し薬価基準を下回った価格で取引されておるという実態でございます。また、間接用フィルムも一応薬価基準に載っておるわけでございますが、これも一応建て値は引き上げられておりますけれども、私どもの調査いたしました限りでは実勢価格につきましては建て値を相当下回っておりまして、逆ざやの現象は見られておりません。  次に、クロラムフェニコールの注射剤でございますが、これはいただきました資料につきまして調査をいたしたわけでございますが、御指摘のようなクロラムフェニコールの注射剤をつくっておる会社がときどき集まって、情報交換あるいは販売姿勢の適正化の打ち合わせあるいは副作用問題再評価の打ち合わせ等を行なっておったことは事実のようでございます。ただ、私どもの持っております資料で調べましても、クロラムフェニコールにつきましてはメーカーあるいは品目数ともに相当多うございまして、特に先生指摘の注射剤につきましては、昭和四十八年は四十七年に比べまして四割の増産になっております。また、御指摘の各社のその分野において占めますシェアも四十七年と四十八年とでは相当の変動が見られますし、また価格におきましてもかなりのクロラムフェニコール全体として値下がりが見られておりまして、この点は今回の薬価基準の改正におきましてもむしろ引き下げられておるという状況でございまして、客観的に見ましてもとうてい生産調整を行なったというふうには考えられないところでございます。しかし先生も御指摘のように、ああいうような形の情報交換を行ないまして、いやしくも医薬品のメーカーのような社会的責任のあるものにつきましてそういった疑問を持たれるような行為をするということは適当ではございませんので、今後につきましては十分注意するように戒めたところでございます。
  89. 寺前巖

    寺前委員 さっきから同じことを言っているのですが、薬価基準の範囲内だったらよろしいということを私は言っているのじゃないのです。去年の国会で問題になったのは、薬価基準をきめていく場合には自由競争が前提だということを大臣は言っていたのですよ。そうでしょう。実勢価格を基礎にして薬価調査をやって薬価基準をきめるということだから、だから前提が自由競争でなければならない。ところがこれが自由競争かということでフィルムの例を出してみた。あれが自由競争だろうか。サクラとフジの三社が独占しているような市場の中において、それが参加して、そしていついつから一斉に値上げしますよというようなことを言うようでは、これが自由競争か。自由競争の基礎がくずれるじゃないか。私はそのことを忠告したのです、これは薬価基準の基礎になっていくから。あなた一番大事なところをそらしたらいかぬです。薬価基準との関係じゃない。薬価基準をつくる前提が自由競争が前提だ。その自由競争がくずれているじゃないか。だからこれは薬価基準をつくる上で非常に重要な問題だ。  時間がないのであまりきょうはやりませんが、ほかの薬の分野でこういうことはないのですか。談合したりして自由競争を破壊しているということはないのですか、あるのですか、どっちですか。薬務局長は全然お感じになりませんか、ちょっとそれを聞きたいと思うのです。
  90. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 現在の薬価調査、それを基礎といたします薬価基準の策定、これは先生指摘のように自由競争を前提といたします市場価格を反映するということはそのとおりでございます。したがいまして、もちろん医薬品のどの分野におきましても公正なる自由競争が行なわれなければならない、そういう前提で私どもも指導いたしておりますし、また調査もいたしております。そういった取引の公正が害されるような状態がもしありとすれば、これは独占禁止法の関係でございまして、公正取引委員会の御所管でございますので、そちらのほうで取り締まりがなされるという前提で、そういうことがない限りは私どもといたしましては自由な競争が行なわれておるという前提で調査をいたしております。ただ、もちろん先生指摘のように、私どもも公務員でございますから、所管の問題につきましてそういうような疑いがあればすみやかに公正取引委員会と連絡をとりまして調査を依頼するあるいは規制を依頼することはございます。現在までのところではそのような疑いを持った事実はございません。
  91. 寺前巖

    寺前委員 私はやはり、指導、監督の立場から見て疑いのある場合に公正取引委員会と積極的に連絡をとってやるという決意のもとに、実際には薬業界全体に対してあなたたちがいろいろ指導、監督の立場にありますから、ちゃんとしてもらわなければいかぬ。たとえばこういう問題があるでしょう。自治体に行ってごらんなさい。こういう通知が来ていますよ。私がいま言うのは保険薬とは関係ありませんけれども、「昭和四十九年度防疫用殺虫剤納入価格についてのお願い」というのが——自治体の場合には防疫殺虫というのは非常に重要な仕事でしょう。ところが自治体の衛生課というのですか、そこへ行ってごらんなさい。四十九年度の防疫殺虫剤を値上げさせていただきますというのがいろいろな会社から一斉に送り届けられていますよ。     〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 私は自治体に行って調べてみたのです。いろいろな会社から来ているけれども値段は全部一緒です。役所に来る価格改定の通知がいろいろな会社から来ているのはみんな値段が一緒だ、そんなこと感じられたことはありませんか。あなたたちそういうことが行なわれておって異常だというふうには思いませんか。製薬会社というのは自由競争で、そんなことをやるところじゃないと思っているのですか。全然知らぬのでしたら、もう一度一から自由競争がはたしてやられているのかどうか薬務行政として見直してもらわなければ困るとぼくは思うのですが、局長、いまの話は初めてですか。
  92. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 ただいま先生が御指摘になりました事実は、私は承知いたしておりません。
  93. 寺前巖

    寺前委員 これはこれ以上やりませんから、政務次官に要求しておきます。あとから資料をお見せいたしますけれども、ここに「昭和四十九年度防疫用殺虫剤納入価格についてのお願い」というのを、各自治体に送りつけてきているいろいろな会社の資料があるが、値段はみんな一緒ですよ。製薬会社というのは、こういうようなことがやられるということは、自由競争だったら値が全く一緒ということはあり得ないのだ。談合しなければできないことなんだ。それについて、自治体の衛生課に来るものすら知らぬようでは、私は、困ると思うのですよ、正直言って。だから、ほんとうにもう一度、薬価の基礎になるものは自由競争が前提なんだから、これはいまは直接薬価基準とは関係ないけれども、こういうようなことが行なわれているという前提を考えて、薬務局の活動の改善について再検討していただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  94. 石本茂

    ○石本政府委員 御趣旨に沿いまして、いま局長もここに来ておられますし、しっかり調査、検討してまいりますことを先生に約束いたします。
  95. 寺前巖

    寺前委員 せっかく保険局長来ていますから、ちょっと保険局長についでに聞いておきたいのですが……。老人ホームの問題は保険局になるのだろうか、どこになるのだろうか。−保護課長さんのほうかね。  こういう問題なんだよ、ぼくは聞いてびっくりしたのだけれども。老人ホームの老人の医療、これは従来は、生活保護で医療を見ておったというのです。ところが四十八年の一月一日から七十歳以上の老人医療の無料化ということになってきたら、四十七年の十二月十五日付でもって国民健康保険に入りなさいという指導が厚生省からなされたというのです。そうすると、老人ホームの中に入っている人には、七十歳以上のお年寄りと、それから六十五歳から六十九歳まで、そういう関係の人がおるわけですね。これが片一方は…‥(「社労の問題は社労の委員会でやればいいのだ」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってくれ。——片方は保険で、片方は生保でやっているということが生まれる、こういうのだ。そうすると、これはどういうことになるのかね。保険に入れということになると、掛け金をお年寄りの人が、施設の人がかけなければならぬという問題が出てくる。その分は、今度は自治体が負担をしなければならぬという問題が、また同時に出てくるわけでしょう。生活保護でやっておったら、八割国がめんどうを見ている。何でこんなことをしなければならぬのじゃろうかということを、この間、聞かされたのですけれども、これは一体どんなことになっているのですか。
  96. 山崎卓

    山崎説明員 私は、ただいま社会局の保護課長をしておりますので、直接の所管ではございませんけれども、関連がございますので、私の存じておるところをもってお答えいたしますと、先生指摘のとおり、去年の一月一日から老人医療費が発足したわけでございます。この制度は、保険に加入しておりますると、その保険において定めております自己負担額が公費で見られる、御本人は全部持たなくて済む、こういう制度であったわけです。したがいまして、この制度が発足する前までは、老人ホームに入所の御老人は、食事等々生活のほうは、全部ホームのほうで見てくれますから、その限りにおいては心配はない。しかし、一たん病気になりますると、医療費については出どころがないので、それで生活保護のほうに来て、生活保護の医療扶助を受ける、こういうふうな仕組みになっておったわけですけれども、去年の一月一日以降は、保険料さえ払っておれば、その限りでは、御本人の負担なしで医療を受けられるという道が開かれてきたわけでございます。  そこで、老人ホームに入所の御老人に、一体生活保護による医療扶助のほうがいいのか、あるいは国民皆保険下におきます保険の体系の中で行ったほうがいいのかという点が問題として検討されたわけでございますけれども、御老人の場合、老齢福祉年金等々も手に渡っておるわけでございますし、国民健康保険の保険料額も百円程度であろうと平均的に考えられたようでございますので、そういたしますると、かねてその中から国民健康保険のほうに加入しておいていただいたほうが一いろいろな意味——と申しますのは、国民皆保険という制度の趣旨なり、それから御案内のとおり、生活保護のほうの医療扶助を受けるということになりますと、病気が発生するつど福祉事務所のほうと連絡をとっていかなければならないわけでございますけれども、国民健康保険の被保険者になっておりますれば、保険証が交付されておりますので、そうしたものの活用によりまして、自分の好む医療機関を選択できる、こういうようなこともございますので、それらのことから、老人医療費が無料になりました御老人、すなわち七十歳以上の御老人につきましては、国民健康保険のほうに移行したほうがよろしかろう、このような判断が行なわれまして、その線に沿いました通牒が出された、こういうふうに理解いたしております。
  97. 寺前巖

    寺前委員 その老人ホームを持っておる自治体、農村で持っておるでしょう。そうすると、負担がものすごく多くなるのですよ、自治体が。お年寄りを大切にということから村で施設をつくるでしょう。その村ほど負担が大きくなってくる。これは矛盾じゃないか。だから、いままでどおりにやっておいたらどうなのだというのを私は感ずる。だから、そういう負担が非常にかかってくる自治体に対して、特別のめんどうを見るのかどうか。私は、しなかったならば——これは、老人というのはめんどうを見るのがたいへんですからね。だから、これはひとつ考えてもらう必要がある。これが一つ。  それから同時に、私は、この際に、物価値上がりのもとにおいて犠牲を受けるというのは、これはやはり生活保護を受けている人たちの分野が一番犠牲を受けると思うのです。だから、そういう犠牲から救うためには、幾つかの問題をやはり検討してもらう必要がある。  そこで、私は、三つ、四つの問題をちょっと聞きたいのですが、一つは、福祉年金です。これは生活保護とは関係ありません。福祉年金の支給について、現在、一月、五月、九月の三回に分けてやっているけれども、これを正月前にくれぬじゃろうか、あるいは四月の前にくれぬじゃろうか、こういうのは、前からの要求なんですね。これは何も三回に分ける必要はないので、四回に分けてでもいいから、拠出制年金と同じように、その時期の改定をやってもらいたいというのが、長年の要望でした。そこで、私は、さしあたって、これは事務の整理もしなければなりませんから、今年の少なくとも年末の段階には、緊急に手に渡るようにならぬものじゃろうか。そしてせめて来年からは、その時期を三回を四回にするなりして、長年お年寄りの分野の人が要求しておった支払いの時期を変えるという方向に行かぬものだろうか。これは物価が上がれば上がるほど、年いっている人たちは先が長いわけじゃないのだから、一日千秋の思いをしておられるのだから、この改定を緊急にする必要があるのじゃないだろうか。これが一つ。もう合わせて全部聞いてみますから、  それから、異常な物価高になってくると、生活保護の値打ちというのが、金の値打ちが下がっていくんだから、この金の値打ちが下がっていくことに対して前から、物価スライドをしてくれという要求がある。これは年金のほうもそうですが、私はきょうは一番しわ寄せの行っている生活保護について、物価スライドを三カ月ないし四カ月に一度やっていくというやり方ができぬものだろうか。これが二番目。  それから三番目に、去年の暮れに自治体でインフレ手当という形でもって何らかの形でめんどうみてあげなかったらたいへんだという問題が出てきたと思うのです。ところが、収入認定という形で、二千円以上の場合には収入認定されてしまうというためにせっかくの善意がつぶされているという問題がある。それでは、生活保護のほうにおいて、年末とかあるいはまた盆の手当を二千円よりたくさんするかというたら、それのほうの改定もなされていないようだ。私はこの盆暮れの手当の改定の問題と、この収入認定の問題について検討する必要があると思うのだけれども、いかがなものだろうか。これが三番目です。  それから四番目に、生活保護の級地の格差問題です。現在、昭和三十二年から一級から四級の範囲に分類されておって、この上下の格差が二七%になっています。これは失対を見ても、失対は一七%ですよ。公務員の場合は上下の格差は八%です。何で生活保護だけ極端に二七%という差をつけなければならぬのだろうか。そこで問題は、こういうようなのは抜本的に考え直していただきたいという問題が一つ。と同時に緊急是正を、たとえば一級から四級までというのを全部差しあたって緊急的に一級ずつ上に上げてしまう。その一級ずつ上に上げてしまうと二七%こうするんだから九%ぱっと上がる。そうすると何ぼになるんですか、一番最低のところでも一八%ぐらいになりますか、そういうふうに緊急是正をやってでもこの格差を縮めるという問題を検討してみてはどうなんだろうかという問題と、それからもう一つは、級地の格差の問題では現実的に不合理があるんですよ。たとえば、大阪府の貝塚市、富田林市、泉佐野市、ここでは生活保護は二級地とされているのですよ。ところが国家公務員の調整手当は特甲地として最高です。失対も第一のランクです。国家公務員や失対のほうは第一のランクになっていながら、何でこの生活保護の場合は二級地にされているのか、これは不合理きわまりないと思うのですよ。あるいは不合理きわまりない問題としては、たとえば、埼玉県の上尾というところがあります。この前上尾事件といわれるのが起こったところです。あの上尾の隣に伊奈町というところがありますが、私、この前見てきたら、生活圏から言うたら全部上尾のスーパーなどに買いに来るわけです。道を隔てて一つのところで違う町になっているわけでしょう。実際生活からいえば上尾のほうがまだ生活としては楽なのだ、近いだけでも。これは不合理が現実的に生まれている。だから私は、級地の格差の問題で、公務員の場合でも地域調整を緊急にやってきていると思う。だから私は、この分野においても地域調整というのを緊急に手を打つ必要があるのじゃないか。最近私は生活保護の関係の人たちやお年寄りの人と話しておって、この物価高の中で私は予算をそんなになぶらないでもすぐにやれることからでもやらなければいけないのじゃないかと思いますが、きょうは局長さんおられないので、あなたからひとつ聞かしていただけますか。
  98. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 最初の、老人ホームがありますことによって当該市町村が保険料という形で負担がふえるということでございますが、その点につきましてはこのような措置をいたしたいと考えております。老人ホームにしわ寄せすることによることと、それからいま話題にのぼりました老人医療の無料化、国保の被保険者になること、そういうことがございますので、今年度におきましては老人ホームがあることによる医療需要の増加に対応するための財政調整交付金の中の特別調整交付金につきまして、相当部分をその分の手当てに充てる予定をいたしております。
  99. 金瀬忠夫

    金瀬説明員 福祉年金の関係についてお答え申し上げたいと思います。  先生指摘の問題には、福祉年金の支払いの回数をふやすという問題と支払いの時期、月の問題があったかと思いますが、御指摘のとおり福祉年金につきましては一月、五月、九月の三回に分けていたしておりますが、これをたとえば四回にするとか五回にするということをいたします場合に問題になりますことは、非常に事務的で恐縮でございますけれども、郵便局の支払い関係の事務の問題と、都道府県で行なっております支払い記録の関係の事務が一気にふえてまいるというふうな問題が一つございます。そういうことから、いま直ちにという問題はなかなかむずかしいのじゃなかろうかというふうに考えております。しかしながら先生指摘のとおり、年金額も年々上がってまいりますし、そういうおっしゃったような声がありますことも私ども承知いたしておりますので、郵政当局のほうともいろいろ詰めをしながら、その問題について検討してまいりたいというふうに思っております。  それから第二点の、支払いの期日をたとえば十二月にするというような関連の問題であります。年金の支払い期日を変更するという問題にあたりまして私ども検討しなければならない問題は、先ほど申しました全体が五百万人にのぼるわけでございますので、そうした事務量の問題と、それから毎年一回行なっております定時の生存届の関係、所得の関係もございますが、そういった問題と、いま申しました郵便局の窓口利用状況というふうな問題が実はからんでまいるわけでございまして、御案内のとおり十二月というのは福祉年金以外の恩給とかその他の各種年金の支払いとの関連もございます。     〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕  そうした窓口事務との関連もございますので、ことし直ちに十二月にするということにつきましては非常にむずかしい問題があるのではないかというふうに考えております。しかしながら、最初の問題と同じような議論がございますので、こうしたことにつきましては今後の問題として検討しなければならないというふうに考えております。
  100. 山崎卓

    山崎説明員 生活保護の関係につきましてお答えを申し上げます。  まず第一点、生活保護におきまして物価スライドをとるべきではないかという御指摘でございますが、文字どおりこの異常な物価情勢が最低生活を営んでおりまする生活保護世帯に多大の影響を与えていることは申すまでもないことであります。したがいまして、御案内のとおり、私どもといたしましても、昨年十月には五%の引き上げ、並びに暮れにおきまして一人当たり二千円の特別一時金、さらに今回におきましても同じような措置をもう一度繰り返すというようなことで対応してまいっておるわけでございます。ただ、物価スライドということになりますと、何ぶんやはり生活保護世帯は最低生活を営んでいるというようなことでございますので、そうした指標のとり方その他から生じまするタイムラグ等を考えましても、その利害得失もございますし、むしろ現在のように、機動性を持った厚生大臣の行政権によりまする機敏な措置のほうが適当ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。  第二点の、自治体のお見舞い金でございますが、御案内のとおり、最低生活は保障できるような水準を政府は考えて厚生大臣がきめておるわけでございますけれども、何せ最低生活を営んでいる方だから、その方々にお見舞いのような気持ちを込めて自治体が暮れ等にお金を差し上げるということが行なわれております。これにつきましては、私どもといたしましても、そのお気持ちを尊重いたしまして、ある一定額、二千円までは収入認定をしない、要するにその二千円は手元に残る、こういうような取り扱いをしておるところでございますけれども、この二千円が低いではないか、さらに上げるべきではないか、こういうような御主張もございます。昨年の暮れにおきましては、私どもも、先ほど申しましたような一時金とか、あるいはもともとございます期末一時扶助も前年に比べまして一九%上げて支給したというようなこともございまして、対応してまいったわけでございますけれども、これらの額につきましては今後どういうふうにするか検討してまいりたいというふうに思っております。  それから第三番目に、級地の問題で三点御指摘がございました。  まず、抜本的に改正すべきではないかという御指摘でございます。御案内のとおり、この問題につきましては現在四級区分が行なわれておりますし、各級間の格差は九%ずつという形になっております。こういう区分数あるいはその級間格差の問題がこれでいいかどうかということにつきましては、確かにだいぶ社会の情勢も、あるいは各地域の情勢も変わってきておるように思いますので、それをどういうふうにしていったらいいか、私ども問題点の所在には気がついておりますので、検討を進めていきたいと思います。この点につきましては、過般厚生大臣のほうからも、四十九年度中には何とか結論が出るように検討したいものだという趣旨をお答え申したように私記憶しておりますが、そういうことで検討してまいりたいというふうに思っております。  第二番目の、緊急是正で一律に四級地を全部三級地にしてしまう、あるいは三級地を全部二級地にしてしまったらどうかということでございますが、やはり何と申しましても生活水準の実態が地域によりまして相違があること自体は、いろいろな調査から見ましても事実であろうと思います。そういうふうなことを考えますると、この際一律にそういうふうなことをするというのはいかがであろうか。むしろ全般的に及んでおりまする物価等の影響でございますならば、基準そのもの自体をいろいろ考えていくというほうが筋ではなかろうか、かように考える次第でございます。  ただし、第三番目としてお取り上げになりました現実的な不合理ということでございますけれども、これにつきましては、特にそういうものが非常に顕著にあらわれているところも確かにあろうかと思います。こういうところにつきましては、私どもも、抜本問題とは別に切り離してでも何とか早く結論を出して善処をいたしたいという気持ちで現在検討しているところでございます。
  101. 寺前巖

    寺前委員 政務次官に、お年寄りの福祉年金ですね、これはやはり支給日を、いま年三回やっていますが、少なくとも四回ぐらいにして、みんながお正月前にほしいとか、そういうときに渡してあげる。これは実務的にどうのこうのと言っておられるけれども、何はさておいてもこの分野の人たちの問題は解決してもらうようにしないといけないと私は思うのですね。特に今日の物価を考えたときにますます重要だと思うし、先ほどの答弁では、機動性を発揮して生活保護の問題を解決していくようにしなければいかぬとおっしゃいました。私は賛成です。その機動性というのはやはりそういうときに生きてこなければ機動性にならぬので、これはぜひとも御検討いただきたい。特に先ほどから言いました問題について、これは一番底辺の方々の問題だけに、物価のしわ寄せが一番直接来るところですからね。ぜひとも政務次官として積極的に取り組む姿勢を聞きたいです。
  102. 石本茂

    ○石本政府委員 先生申されます一つ一つ、特にいまの問題は、私自身もほんとうに心情的には、ずっと前からなぜできないかということを言ってきた人間でございまして、役所に参りまして事務当局の意見なども聞いているところでございますが、先刻申しておりますように、厚生省だけの機動力というわけにもまいりません。郵便局等の窓口もお借りしておりますので、この辺が何とかじょうずに一日も早く解決できまして、せっかく差し上げます福祉年金でございますから、喜んでいただける時期というものを実現する努力を十二分にしていかなければいかぬというふうに、しっかり私、自分の胸に考えておるところでございますので、このことはまた帰りまして当局一同と、どうしたら時期を早めることができるか、どうしたら皆さまの御期待に沿い得ることができるかということを、実現への道づけということで十分に考えさせていただきたいと存じます。たいへんどうもありがとうございました。
  103. 寺前巖

    寺前委員 それじゃ最後に私、物価が上がっていることについてほんとうに真剣に考えてもらっているんだろうかということで、ちょっと文部省に聞きたいんですよ。文部省お見えですか。——というのは、就学援助の学用品ですね。これは昨年の異常な物価高の中で、生活保護なんかは途中で緊急是正をやっているわけですね。ところが、教育援助というのか、就学援助というのか、この分野の緊急是正が年度途中では手を打たれていないわけですね。これは生活保護のほうにも関係する内容なんですが、教育扶助の問題ですね、そっちにも関係するから、どっちにも出てくる問題です。  それで、私の認識に誤りがあるんだったら別なんですが、昨年の夏までに大蔵省に、それぞれ就学援助の物の値段をこのぐらいと考えて、就学にどれだけ金がかかるかという計算をして要求をお出しになったと思うのですよ。私がもらった資料によると、たとえば一年生の教育用ノートを、単価三十円から四十円と計算し、数量を十六として四百八十円と計算する。あるいは鉛筆はHBで十五円と計算して、二十本三百円という計算を年間出している。また消しゴムは十円と計算して、年三個三十円という計算をやっている。筆入れ、下敷きの場合には、六カ年一つの筆入れ、下敷きで、二百三十円という計算でもって出すというふうな計算方式をずっと出して、たとえば一年生だったら六千三百二十円の合計になっている。そこで要求単価として六千三百円を要求したところ、四十九年度予算単価は五千三百円という単価になってはね返ってきている。私はそういうふうに積算の基礎を聞いているのですが、私の認識に誤りがありますか。
  104. 松浦泰次郎

    松浦説明委員 ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
  105. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、この合計六千三百円よりも千円低い計算方式になって、ことしの子供の就学援助の単価計算が出てきているわけですけれども、それじゃいまどき三十円から四十円で買えるノートがあるんだろうか。ないですよ、五十円はしますよ。あるいは鉛筆にしたってHB十五円と書いてあるけれども十五円で買える鉛筆ないですよ。これの積算をお出しになったのは異常な物価高以前の段階の話でしょう。概算要求をされるときの計算といえば、少なくとも八月末までだから、物価が異常な前進をしたのはそれ以後の話なんだから、そうしたらこれは非常におくれた単価計算になっている。四十九年度予算でこういう要求をしておられたら、これは現実から少しおくれているんではないか。あるいはまた筆入れを六カ年間一個で済ますというようなことは、私の子供の経験から言うたらないことですよ。下敷きだって六カ年間一枚でやってきたというようなことは、私の子供の経験から見ると、そんなことでは済まぬですよ。そうすると、就学援助の学用品に対する積算というのは現実離れしているんじゃないだろうか、これは私は考え直してもらう必要が文部省にあると思うのですが、文部省どうでしょう。
  106. 松浦泰次郎

    松浦説明委員 先生の御指摘のとおり、概算要求の時点におきまして文部省の教科調査官等が実態の単価等を調べまして要求をしたものでございます。御指摘のとおりその後かなりな物価上昇がございまして、また品物不足というような点もございましたので、文部省としましてもいろいろそういう点の調査を進めております。また価格上昇の著しいものにつきましては通産省にも連絡をいたしまして行政指導をお願いしまして、ノート、クレヨン、クレパス、運動ぐつ、そういうものにつきまして引き下げの指導をお願いしているところでございます。  その後の状況によりますと、ことしの一月、二月ごろまでかなり急激な上昇をいたしておりますが、その後若干単価の下がったものもございますし、今後私ども通産省等とよく連絡しまして、できるだけ物価上昇を押えていくというような努力を続けまして、なお来年度予算の問題としましては、将来の物価の状況等を勘案しましてさらに検討を続けてまいりたいというように考えております。
  107. 寺前巖

    寺前委員 お約束の時間がきておりますので私はやめたいと思いますけれども、文部省のほうのこの就学援助の内容現実離れしているし、再検討をお願いしたい。ということは、同時に厚生省のほうの教育扶助の分野においても、もしもこれとの関連性でお考えになっているとするならば、再検討してもらわなかったら、発育盛りの子供たちを、将来の子供たちを私は責任を持って育てることにならないと思うのです。厚生省はどういうふうにお思いになりますか。
  108. 山崎卓

    山崎説明員 生活保護におきます教育扶助基準につきましても文部省と同額ではございませんけれども、いろいろ関連するところがございますので、文部省のほうともよく連絡をとって検討してまいりたい、かように思っております。
  109. 寺前巖

    寺前委員 終わります。ありがとうございました。
  110. 平林剛

    平林委員長 次に、石田幸四郎君。
  111. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は学校給食の問題についてこれから御質問を申し上げたいと思います。  今回、公明党のほうで地方議員を動員いたしまして、物価の高騰が教育関係のいろいろな経費にも大きな影響を及ぼしておるわけでございますが、特に学校給食の問題については、いろいろな生鮮食料品あるいは調味料等の高騰によって非常に大きな影響を与え、それが献立の質の低下、給食費の父兄負担の大幅な上昇というような状況をもたらしておりまして、この給食問題はかなりピンチに立たされておる、こう考えざるを得ない結果が出ておるわけであります。わが党は全国の各都市、札幌、仙台、千葉、東京、新潟、名古屋、京都、大阪、神戸、松江、岡山、広島、高松、福岡、北九州、そういった各都市の中学校、小学校の実態調査を行なったわけでございますが、その調査結果によりますと、学校給食費の父兄負担の実態がまず明らかになってきたわけでございます。  中学校の場合、最高が東京の墨田区で二千百円、最低が京都の千三百五十円。小学校においては、高学年がやはり東京で千八百円、神戸が千百三十円、低学年は広島が千七百十円、神戸が千九十円。非常にこういった格差があるわけであります。  まず文部省にお伺いいたしますが、この父兄負担の実態について文部省はどういうような掌握をしていらっしゃるか、これについてお伺いをしたいと思います。
  112. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 学校給食費は主としてパン、ミルク、おかず、そういう食材料費について父兄に負担をしていただくたてまえになっておりまして、給食費を徴収いたしておるわけでございますが、昨年の五月現在におきまして、小学校の場合月千五百四十円、中学校の場合月千七百八十円というのが全国平均になっております、月二十日分といたしまして。いま御指摘のとおり、各県によりまして若干それよりも高いところ低いところがございます。
  113. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 平均値をいまあげられたわけでございますけれども、非常に大きな格差が生まれていることについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  114. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 御承知のように、給食はパンまたは米飯それからミルク、おかずからなっておるわけでございますが、おかずにつきましては、各地域あるいは季節によりまして、使います物資がいろいろございます。そういうようなことで、地域によりまして、給食費が全国平均より高いところ、低いところが出ておるのが実態でございます。
  115. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 先ほどあげられた平均値は去年の九月ですか。
  116. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 去年の五月です。
  117. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから次の問題としまして、去年の十一月、十二月、ことしに入りまして一月と、諸物価の高騰によって大幅な諸材料のアップがあったわけでございますから、これは給食の問題のほうに大きく響いておるわけでございます。購入価格の一覧表、私どもの調査表、持っていらっしゃいますか。
  118. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 いただいております。
  119. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それを見ていただけばわかるわけでございますけれども、この材料を前年度の同月比で比較してみますと、極端なものはジャガイモが一五〇%、それからキャベツが最高で二七一%アップしておる。それから調味料に至っても、ケチャップ、ソース、砂糖、そういうものが大幅アップのところは八〇から一〇〇、こういうふうになっておるわけでございます。これは文部省に伺いますけれども、こういうような物価上昇に対してどう対処するように指導をしていくのか、この問題も伺っておきたいと思うのでございます。  まとめて伺いましょう。そしてそういうような材料の価格上昇から予算の超過、いわゆる一人当たりの食費が学校によってはかなり大きな超過負担になっておる、こういう状況が見受けられるわけであります。  一つの例をあげますと、東京の足立区にある中学校の場合、生徒が千六百四十七人おる。去年の十一月までは超過負担というものがなかったけれども、十二月に入って十万円、ことしの一月に入って三十五万七千円、こうなっておるわけです。まだ給食費は上げていないわけですから、おそらく二月についても四十万円をこえておるだろう。こういうような状況が、東京の各区あるいは仙台、神戸、松江、京都、こういうところに見受けられるわけでございますけれども、こういう問題についてどう対処するように考えていらっしゃるのか、どう指導しようと考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  120. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 学校給食を実施していくにつきまして経費の負担区分という問題があるわけでございますが、現在の学校給食法では、施設設備それから人件費は設置者が負担をする、その他の経費は保護者が負担をする、こういうたてまえになっております。そのたてまえでまいりますと、食材料費のみならず、光熱水費まで保護者の負担というふうになるわけでございますが、実際にはこの施設設備、人件費はもとより光熱水費も設置者に負担していただいております。そこで食材料費は結局保護者の負担というたてまえになっておるわけでございます。  そこで、市町村の教育委員会におきましては、年々諸物価が上がりますので、そういう物価上昇も見込みまして、学年当初に給食費をきめておるわけでございますが、いま御指摘のように、昨年の十二月以来、特に十二月ごろからいろいろな物価が上がったり品不足という状態が一部に起きております。特に砂糖類あるいは油類それから野菜類、それから小麦粉製品でありますマカロニだとかスパゲティそれから化学調味料、そういったようなもの。あるいは洗剤の値上がりとか品不足といったような問題が起きまして、御承知のように学年途中で給食費を上げるということは非常に困難でございますので、いまの現場では学校栄養士の方々がいろいろくふうをし、苦心をいたしましてやっておられるわけでございます。  それから文部省といたしましては、給食の基幹物資であります小麦粉とか、そういったものにつきましては、全国的にできるだけいいものを同一価格供給する供給事業費の補助金を計上いたしまして、そういうことをやっておるわけでございますが、一般物資につきましては、日本学校給食会あるいは都道府県の学校給食会が扱うのに適しておりますもの、たとえば砂糖とかサラダ油とか、そういったようなものを従来よりも安い価格で、できるだけ量を多く供給するようなことにいまつとめておるわけでございますが、さらに最近は市町村におきましても学校給食会をつくりまして、市町村単位で物資を一括購入するというところが出てきつつございます。そういう動きをさらに促進をいたしていきまして、学校給食用物資の安定供給体制というものを逐次整備いたしていきたいということで、昭和四十二年からは各都道府県の給食会に保管倉庫を持ちました給食センター、それから昭和四十六年度からはコールドチェーンといいまして、冷凍食品の機構の整備、それから次の年でございましたか、昭和四十七年度からは野菜などにつきまして、比較的安いときに買い入れまして、それを入れる冷蔵庫も持ちまして、高いときに放出をする。そのための価格安定基金といったものを国が補助いたしまして、そういったいろいろなことで供給体制を逐次整備をいたしていきたいということをやっておるわけでございます。
  121. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点お伺いしますが、物価高騰にそれぞれの学校が給食でどのように対処したかということについて私どもが調べてみたわけでございますが、それによりますと、給食の回数を減らしたところあるいはいわゆる品目を減らしたところ、これなんか非常に多いわけですね。東京の九十五校のうち六十三校が品目を減らしておる。神戸、大阪についても調査対象校の半分が品目を減らしておる、こういう状況でございます。それから最も問題になるのはカロリーを減らしたというのがありまして、これがやはり神戸で目立っております。それからたん白質を減らしたというのもかなりありまして、新潟、大阪、千葉、兵庫にこういうような状況が出ているわけでございますが、これは非常にゆゆしき問題であろうかと思います、たん白質を減らしたりカロリーを減らしたりしたんでは。一体最近の状況について、これらの点を文部省はどう把握しておられますか。
  122. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 ことしの二月二十三日現在におきまして、三十八都道府県、小学校一万八千四百校、中学校約五千七百校につきまして、いま先生が御指摘されたような問題につきまして調査をいたしました。給食日数を週一回程度減らしたという学校がやはり出ておりますが、小学校におきまして一・七%、中学校におきまして二・三%、それから年度の途中で給食費は特別の事情がある場合以外は上げないわけでございますが、やむを得ず途中で給食費を上げました学校が、小学校におきまして一三%、中学におきまして一四%。それから、いま御指摘の点でございますが、何とかやりくりをしているのが、東京都の抽出調査によりますと、大体四分の三でございます。それから、残りの四分の一の中には食品構成を変えたところ、あるいは週一回間引きしたところ、そういったようなのが出ておるのが実態でございますが、ただ栄養につきましては、文部省の基準がございまして、所要栄養量及び食品構成についての基準がございますので、その基準は、守るにつきまして現場でたいへん御苦労はいただいておりますが、何とか守られておるわけでございますが、たとえば、いままで牛肉を使っていたのを大豆にするとか、そういうことが一部で出ていることは事実でございます。
  123. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから新学期からの給食費の値上げをしたいというのが全国的に全部出ているわけですね。そこで、私どものほうの調査によりますと、全国では、最高が神戸の五五%上げたい、最低が札幌の二五%上げたい、東京の場合は、港区の一部で四五%上げたい、中央区で二〇%、平均して三〇%ぐらい上げたい、こういうようになっておるのですが、非常に格差があり過ぎるように思うのです。確かに今日の物価というものは、特に十二月、一月を中心にしまして急激な変化がありましたから、それによる試算であろうと思うのでございますけれども、あまり値上げ幅に格差があるということは、父兄負担の面から考えますと、また格差が大きくなってくるということで、やはりある程度の基準を設ける必要があるのではないか、こういうふうに考えます。この点についてはどう指導なさるか、これが一点。  それからもう一点は、給食費の値上げ率で、いま申し上げたようなパーセントを希望しておるようでございますが、文部省ではこの点について把握をされておるかどうか、この点についてお伺いします。これが第二点です。
  124. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 給食費は、先ほど申し上げましたように、パン、ミルクそれからおかず等、こういうわけでございますが、まずパンにつきましては、政府売り渡しの原麦の価格につきまして、昨年の秋、市販用は三五%値上げされたわけでございますが、学校給食用につきましては、本年九月まで据え置く措置がとられております。  それから、原麦を小麦粉にするためのお金が要るわけでございますが、これは製粉業界の御協力も得ましてこの二年間ずっと据え置いておりまして、この政府売り渡し原麦が九月まで据え置かれる間は製粉業界も何とか御協力をいただけるのではないか、こういうわけでございますが、パンにつきましては、人件費あるいは燃料費等が上がっておりますので、値上げの要望があるわけでございますが、これも製パン業界の御協力を得まして、年度内は据え置くことになっております。しかしながら、パンにつきましては、そういうわけでパンの加工賃は、新学年から若干の値上げをせざるを得ない。これは各県の教育委員会、学校給食会と指定パン屋さんとの間で交渉をいたすことになっておるわけでございますが、これもできるだけ適正な価格で交渉をするような指導をいたしておるわけでございます。  ミルク、牛乳につきましては、昨年の十二月十六日に市販用の牛乳が三十二円から四十円と、平均でございますが、八円の値上がりをいたしております。つきましては、学校給食用の牛乳につきましても五円十八銭の値上げの要望が出ております。文部省といたしましては、できる限り年度内は据え置いていただきたいということでございましたが、十数県の県は、やむを得ず値上げをいたしております。残りの県は年度内の据え置きに大体御協力をいただいております。しかしながら、これも酪農家のえさ代などがかなり上がったということもあるわけでございまして、新学年からは、牛乳につきましてもそういったような値上げ問題はやむを得ない事情がございます。ただ、牛乳は、県によりまして、飲用牛乳を主として生産しておる県と加工乳を生産しておる県など、非常に事情が違いますので、これは県ごとに県知事が教育委員会と協議してきめることになっておりますので、そのきめるにつきましての考え方は、文部省と農林省の共同で、通達によりまして従来から指導をいたしておるところでございます。  それから、おかずでございます。おかずが、さっきから申し上げましたように、先生の御調査でもございますように、野菜その他が非常に値上がりをいたしておりますので、例年は大体全国的に物価上昇を見込みましても一〇%前後の値上げをいたしておるのが従来でございますが、この新しい学年からは、そういうわけで一〇%程度値上げではなかなかやっていけないということでございまして、おかず代につきましては、おそらく二割ないし三割程度値上げということが起きてくるのではないかというふうに見ておるわけでございます。いずれにいたしましても、年度内につきましては、そういうことで、あらゆる角度から私ども、現場、いろいろくふうをいたしたわけでございますが、新年度からはそういうことでかなりの値上げはやむを得ないというのが実態であると思っております。
  125. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それぞれ全国的に値上げの要望があるのでございますけれども、文部省としてはまだその希望額については、どの程度値上げを要望しておるかについては、十分掌握していらっしゃらないようでございますが、政府次官、いまいろいろ体育局長お話ししておったのですが、この値上げ幅につきましても、多いのは五五%値上げしたい、低いところは二五%ぐらいでいい、こういうようなことがございます。そういったことで要望をするわけでございますが、やはり給食費をこういうふうに値上げをしますと、いまでもかなり格差があるわけですが、ますますその格差が広がってしまう。おそらくこれは農村地帯というよりは、農村地帯を背景とした小さな市、町、そういったところを見ますと、また父兄負担について大きな格差があると思うのですね。そうしますと、だんだんこの格差が広がっていく、こういうようなことでございますので、ある程度やはり文部省としても統一的なものをお出しになる必要があるんじゃないか、こう私思っていま御質問を申し上げているわけなんですが、いかがでしょうか。
  126. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 先ほどの例におあげになりました神戸市でございましたか、五〇%ぐらいの値上げをやむを得ないという御調査でございますが、神戸市は従来がほかに比べますと先生のほうの御調査でも一番最低になっておったということもございますので、一がいにその上げ幅につきましてパーセントだけでははかり切れない面があると思います。ただ、さっき申し上げましたように、県によりまして地方によりまして季節によりましてこの給食用の物資は非常に違いますので、文部省が基準を設けるというのは必ずしも適当でないと思いますが、大体どこの県でも県の教育委員会が基準給食費というのを設定したしまして、これは県の段階でそういう基準給食費を設定いたしまして、それを参考にいたしまして市町村できめておるということを現在やっておるわけでございまして、中央でやはりきめるというのは実情からいいますと非常にむずかしい、そういうことで県教委が基準給食費をきめてやっておるというのが現状でございます。
  127. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 学校給食が最近の物価上昇に伴いまして父兄負担がかさんできておるのではないかということについては、文部省も非常に心配をいたしておりまして、その実態の把握につとめるように努力をいたしておるわけでございます。公明党として、特に学校給食にいろいろ御注目をいただいて実態の御調査をいただいておりますことも承っておりまして、敬意を表しておるわけでございます。先生御高承のように、学校給食につきましては負担区分についてのたてまえがございますので、そういった中で施設設備あるいは人件費等につきましては鋭意努力を積み上げてきておりまして、大体公費負担の原則というものが確立したのではないか。これらにつきましても、従来は父兄負担で非常に御迷惑をかけておった向きが多かったのでございますが、その辺までは前進をしてきたというふうに考えておるわけでございます。いろいろ材料が上がってまいりますにつきましては、これに対処するように、たとえば材料の大量購入でありますとか流通を改善するなどということも従来もいろいろ各市町村の教育委員会で御苦労もいただいておるようでありまして、そういったことにつきましては文部省としてもいろいろ連絡をとりながら、中に県の教育委員会をはさんで現場での御苦労を受けとめ、またいろいろ相談をしながら進んできておるわけでございます。いますぐに文部省として固まったものを何か地方へ流すというようなことにはちょっとならないのではないか、地域地域でいろいろごくふうをいただきまして、できる限り父兄負担にならないようにひとつ御努力を願いたい、いまこういうふうな呼びかけはいたしておりますものの、現場での御苦労はたいへんなことである、このように文部省としても心を痛めておるというのが実態でございます。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 上げ幅の問題について、これはいま御指摘があったように、神戸のほうはいままで非常に安かったという点があって今回の大幅値上げになったのだと思うのでございますが、私もことばは足らなかったかと思いますけれども、この上げ幅の率を考えると同時に、いま申し上げたように確かに地域的な実情はあろうかと思いますが、地域によりまして、そうしますとこのまま今後も推移するとすると、いわゆる都市周辺、大都市が特に大幅アップということになって、それからそういった生鮮食料品等が手に入りやすい地域は比較的安いということで、父兄負担の上において非常に大きな格差がこれからもどんどん毎年毎年生まれてくるわけです。そうしますとやはりどこかで調整をしなければならぬことが必ずできてくるわけです。県ごとに一括してきめておるからいいじゃないかといいましても、ある程度のやはり標準といいますかそういうものを、何も私は標準価格みたいな一定のものを設けろ、こういうような意味ではございませんけれども、その格差是正というものをどういう方式かひとつつくって、やはり義務教育でございますので、なるべく平均化する数値というものをやはり設定する必要があるのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけですけれども、簡単にひとつ。
  129. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 そのもとになります先ほどもちょっと申し上げましたが、所要栄養量とか食品構成、そういうものにつきましては文部省がかなり詳しい基準の通達を出しておるわけでございます。それに基づきましてどういうおかずをつくる、どういう材料を使うということはすべて現場におまかせしておるわけでございまして、そこで先生指摘のようなこともございますので、県段階で県教委が一つの給食費の基準、基準給食費というのを毎年参考にきめておるわけでございます。最近こういうことで物価が非常に上がっていろいろ問題になってきましたが、従来は現在の給食費をもう少し高くしてもっと子供に喜ばれるといいますか、そういうことがむしろ問題でございまして、先ほども申し上げましたように、昨年の五月でございますと一食当たり小学校で七十七円ということでございます。ほんとうは昨年の五月でも百円ぐらいでないと栄養士さんとして腕をふるって子供に喜ばれる給食はなかなかできないということがむしろ問題になっておったわけでございます。ただこういう異常な物価高のおりにその辺の調和がたいへんむずかしい問題でございますが、文部省が給食費の基準まで設けますのは実際問題としてはなかなか困難ではないかと思っております。
  130. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それで政務次官、よく考えていただきたいのでございますけれども、最近の物価高に伴いまして非常に材料の質の低下が見受けられるわけです。これは実はこまかい調査をしましてとりましたのですが、東京の場合、大田区の場合ですと、上肉を中肉にして、サトイモをジャガイモにする、バナナをミカンにするとかいろいろなことをやっておるわけなんですよ。札幌の場合ですとハムをソーセージにするとかあるいは豚肉を鯨肉やあるいは焼きちくわにするとか、そういうふうに物価が上がるに従って、対抗手段がないものだから、だんだん材料が悪くなっていく。そうしますと子供も栄養価というよりはなかなか味覚の点で手をつけにくいというような状況も生まれてくると思うのですね。非常にこれはむずかしい問題だとは思いますけれども、そういう内容の低下を防がないと、せっかく給食はやったけれども、まあ比較的安い値段でやっておるけれども実際の効果は上がらないというようなことになろうかと思うのですね。ここら辺を一体今後どう考えていくのか、これは非常にむずかしい問題だと思うのですけれども、いま局長さんがおっしゃったように、ある程度思い切り価格を上げてしまうといいましても、たとえば給食費が今度倍額になるというようなことになりますとたちまち一万七、八千円の年間の支出増ということにもなるし、非常にむずかしいわけですね。しかし基本的にやはり給食をやるということであれば内容の質的低下というものはどうしても防がなければならぬ、こういうふうに考えるものでありますけれども、そのかね合い、まあむずかしいとは思いますけれども、どうでしょう。
  131. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 先生指摘のように、今日物価高騰により材料が上がってくるというような中で、現場では御苦労をいただいておることを私どもよく調査をいたしております。それがすぐに父兄負担が上がるということにしてはつらいから、教育委員会のいろいろな配慮で、結局現場では、給食の回数を減らすとかあるいは材料を落とすとかというようなことにあらわれている学校もあるやに聞いております。文部省として学校給食の実施基準というのを定めておりまして、大体これくらいのカロリーで回数は何回やる、そして学校給食が出発をいたしました当初の目的であります体力の向上、体位の向上の非常に大事な仕事を学校給食がになっている、こういうたてまえに貫いていくように指導をいたしておるわけでございますけれども、現実には、値上げをするか材料を減らすか、先生指摘のような、非常に迷っているような事態が現場ではあるということを聞いて、そこのところを一番心を痛めておるわけでございます。  それでは、いますぐにどうするかということでございますけれども、これは従来そういったたてまえで参っておりますので、市町村によりましては、市町村の補助などによりまして、地方公共団体にいろいろ御苦労をいただいておるということも聞いておるわけでございますけれども、いますぐにたてまえをくずしてどうということにもなりませんので、そういった調査を進めつつも実は苦慮をいたしておるというのが文部省のただいまの偽らざる心情でございます。  今後のことにつきましては、あまりにも父兄負担がどんどん上がっていくというようなことのなるべくないように、ということをひたすら念じておるわけでございますけれども、そういった学校給食の実態と父兄負担の高騰というものとのかね合いをどうするかということにつきましては、いまちょっと私の立場ですぐにはっきりした御回答を申し上げるような形になっていない、いまその実態をさらに調査を進めまして、この問題をどう考えるかというようなことについての省内のいろいろな意見もまとめていきたい、こんなふうに考えているわけでございます。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、時間がもうあまりありませんからごく簡単に申し上げるわけでございますが、これは文部省もよく御存じのとおり、学校給食は、いま小学校においては八八%は完全給食を実施しておる。ミルク給食等を合わせますと、九七%にのぼるわけですね。そうしますと、全国的に見ますと、かなり地域格差があって、一二%のところは給食を受けられないという状況になっておるわけですが、中学校においても五八・八%完全給食、その他を含めますと八五・八%に及んでいるわけでして、中学校の給食等においても各都市においてかなりこれを広げよう、こういう方向にあることはよく御存じだと思うのですね。ですから、これは、時代の要請という立場から考えてみて、ある程度制度の義務化と申しますか、そういう方向にいくべきではないだろうかということが一つは問題になろうかと思います。これについて、私どもの党としましては、そういう方向でいくべきだという意見を出しているわけですが、これについての将来の見通しをまずひとつ伺いたいと思うわけでございます。  憲法の精神からいきましても、義務教育については無償にするということもうたわれておりますし、何といいましても、やはり日本に生活をする児童が平等にそういう制度の恩恵を受けていくべきであるということがたてまえになろうかと思います。この点についてのお考え。さらに、先ほど問題になりました給食費のアップから起こる質的低下、こういうものを考えましたときに、やはり国、地方自治体において、将来ある程度助成の方向へ進んでいく以外にないんじゃないか、こう私どもは考えるわけでございますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  133. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 学校給食の中でいわゆる完全給食は、現在小学校におきまして九五%をこえております。中学校が五二%で、これも年々ふえておるわけでございます。いま御指摘の義務化の問題でございますが、現在の学校給食法は、義務教育諸学校の設置者は、学校給食の実施につとめなければならない、こういう奨励法になっておるわけでございますが、小学校におきましてはすでに九六%近く、中学校も五〇%をこえておるわけでございますので、そろそろ義務制にしてはどうか、こういう意見も片や強くございます。また、学校給食というのは学校の設置者、学校、父兄の協力によってやるべきものであるので、学校給食を法律制度で義務にしてしまうというよりは、やはりそれぞれの協力でやっていくというほうが望ましいのではないかという意見が片や強力にございます。実は、保健体育審議会の中の学校給食分科審議会におきまして、昨年来そういった問題につきましても文部省と一緒に御勉強をいただいておるわけでございますが、そういう両論がございまして、まだ結論を得るに至っておらないわけでございますが、さらにそういう問題につきまして検討を進めていきたい。  それから経費の負担区分は、先ほど政務次官からもお話がございましたように、施設設備費、人件費、それから光熱費、これはもう大体設置者の負担というか公費負担になっておる。いま御指摘の問題は食材料費のことだと思うわけでございますが、現在牛乳につきましては、農林省が二百cc当たり五円八十銭、それから小麦粉につきましてはさっきのようなことでございますが、この食材料費、いわゆる給食費を公費負担にしてはどうかという意見も確かにあるわけでございます。この問題も保健体育審議会で御検討いただきまして、昭和四十五年に答申が出ておるわけでございますが、毎日の食事のことでもあり、それから経費の負担区分というのは責任分担の問題でもあるので、おかず代は従来どおり父兄に負担していただくのがよろしい。しかしながら、いわゆる児童手当といったようなことも出てきた今日、大きな政策課題として検討すべき面もあるという答申をいただいておりまして、この問題につきましても、先ほどの審議会でいま一緒になって勉強はいたしておるわけでございますが、基本的にはやはり食材料費は保護者の負担というたてまえでいくべきものとは思いますが、御指摘の点はさらに検討課題であるというふうにも思っております。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点。生活保護世帯については国と地方自治体で補助が行なわれておるわけですが、いわゆるそこのボーダーラインのところですね。東京都各区の状況を見ますと、準要保護世帯というようなことばを使っておりまして、そういうものをある程度認定して、やはり地方自治体、国等からめんどうを見てもらえぬだろうか。その保護世帯であるボーダーラインのところですね。年間、たとえばかりに千五百円といたしましても一万八千円でございますので、かなりきつい。これで値上げになれば二万円をこえるだろうというようなことで、そういう要望が東京都の各区の中からずいぶん出てきているわけなんですが、これは何とかなりませんか。簡単にお願いします、時間がありませんから。
  135. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 現在、準要保護世帯につきましても、国が二分の一を補助いたしまして市町村で全額を負担する制度ができておりますが、現実の問題といたしまして、給食費は毎月払います。そこで、やはり自分の子供が学校に給食費を持っていかないということにつきまして、やはり親としてあれがあります。そこで、いま電気、ガス、水道の料金のように銀行とか郵便局の振り込みでございますね。あれをできるだけ進めるように奨励いたしておるわけでございます。それから、いまの制度でございますと、認定がなかなかやっかいでございますので、将来はやはり市町村民税の免税とか市町村民税の分担区分によって給食費につきましての公費援助を考えるといったようなことも考える必要があるんじゃないかというふうに思っております。
  136. 平林剛

    平林委員長 関連質問がありますので、これを許します。有島重武君。
  137. 有島重武

    ○有島委員 ほんの一点だけ……。  これは物価の高騰のしわ寄せが教育にまで及ぶ、子供にまで及ぶということでもって、きょうはこの問題だと思うのでございますけれども、これは、先ほども言いましたように、もう現場におきましては質的低下ということが起こっておりまして、それがお子さん方、いままででも食べないでいたということもあるわけなんです。そういった現象が非常に多くなっているということは、これは給食本来の趣旨を結局物価の高騰によって破壊されていくというようなこういった現象は非常に望ましくないことであろうと私たちも非常に憂えていたわけでございます。これは、本来ならば文部省がやってくださるような調査なんだと思うのですけれども、私たちができるだけの力でやってみた。これはとばくちのようなものであろうと思うのですよ。それで実は、この調査でもって欠けておりますのは、父兄、保護者のほうの意見でございますね。これも地域的に非常にばらつきがございます。それで、父兄がこれは負担をすべきものだというような意見の多いところと、それからこれは無償にしてもらいたいという意見といろいろあるわけでございますけれども、そういうものを含めましてこうした調査をいたしましたから、今後給食についての実態調査をさらに文部省側でもってなさる御用意がおありになるかどうか、その点だけを承っておきたいと思います。政務次官にお願いします。
  138. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 従来も学校の現場で学校給食がどういうような状態で進められているかということについては絶えず把握をする。それは材料を買っていくという、価格が動けばそれなりにいろんな条件が変わってくるわけでございますから、そういうことをぜひ把握につとめるようにということでまいっております。しかし、昨年の秋深くから、特にこの物価問題が大きな政治課題になってまいりました。特に学校給食にいろんな影響があるというようなことも先生方から御指摘もちょうだいをいたしておりますので、文部省といたしましては、その実態の把握にさらにつとめるように努力をいたしてまいっておりまして、先生指摘のように、なるべく早く全部を完全に把握する、そして、いろいろ御指摘をちょうだいいたしております検討課題につきましては真正面から文部省としても取り組ませていただきたい、このように考えておりますので、またいろいろひとつ御指導をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
  139. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に、栄養士、調理師の待遇改善については、今回の本年度予算の中で何かつけられたそうですが、これについて発表していただきたいということと、それからたとえば京都あたりでは校長先生が直接この資材の買い付けに当たっておりまして、年間十一億、市内で購入するそうです。そういう多額の金を、校長先生がこういうようなことで資材の買い付けに当たるわけですから、たいへんな校務多端のおり、繁雑なことになっているわけですね。ですから給食協会とかそこら辺、もう少しきちんとした整備をやって、学校の先生が教育じゃなくて資材の買い付けに当たっているんでは困るのであって、そこら辺は改善をしてもらいたい、こういうふうに思うのですが、以上二点だけ。
  140. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 前者でございますが、学校栄養職員につきましては初めに三百人につきまして国庫補助の制度が始まりまして、それから児童生徒五千人につき一人ということでふやしてまいりました。昭和四十八年度からは、児童生徒二千五百人に一人、それから共同調理場に一人という新しい七年計画をつくったわけでございますが、義務教育諸学校の教職員の標準定数を第四次五カ年計画で来年から改定することになりましたので、学校栄養士もそちらのほうに入れていただきまして、二千五百人に一人と、共同調理場は五千人をこえる場合は二人、それから、従来補助の対象にしておりませんでした特殊教育諸学校には必ず一人を置くというような標準定数に入れていただきまして、従来市町村の負担でございましたのを県費負担教職員にいたす、それで国が半額負担、半額につきましては自治省のほうで交付税に積算をお考えいただくというような措置をいたしております。  それから調理従事員につきましては文部省の配置基準がございますが……(石田(幸)委員「時間がありませんから簡単にお願いします」と呼ぶ)  それから後者の点でございますが、これはまことに先生の御指摘のとおりでございまして、私どもは、それは将来ともそういう姿はよくない。学校が業者の方と直接接触していろいろ物資を買い付ける、それから学校が給食費を徴収するというのはやはり将来のあり方としてはよくない。現に東京都の中央区などは区が給食会をつくりまして、そこが物資の一括購入をやり、給食費の徴収をいたしている。それで現在約二百八十八の市町村におきまして市町村の学校給食会ができておりますが、私ども将来学校給食法を全面的に検討する際には、やはり日本学校給食会、都道府県の学校給食会、それから市町村なり郡市単位にそういう学校給食会なり学校給食公社といいますか、そういう物資の供給体制の確立の整備をはかるべきものではないか、そういうふうに考えております。
  141. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まだたくさんございますけれども、いずれまた文教委員会でお願いすることにしまして、これで終わります。
  142. 平林剛

    平林委員長 次回は、明十五日金曜日午後五時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十九分散会