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1974-02-21 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十一日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 橋口  隆君 理事 山下 元利君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 野間 友一君       上田 茂行君    片岡 清一君       羽生田 進君    三塚  博君       水野  清君    山崎  拓君       山本 幸雄君    吉永 治市君       中村  茂君    山中 吾郎君       多田 光雄君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁国民         生活局長    喜多村治雄君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         大蔵省理財局次         長       井上 幸夫君         文部政務次官  藤波 孝生君         文部省管理局長 安嶋  彌君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君         建設省計画局長 大塩洋一郎君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      須賀  博君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      赤羽 信久君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     水野  清君   小林 政子君     多田 光雄君 同日  辞任         補欠選任   水野  清君     上田 茂行君   多田 光雄君     小林 政子君     ————————————— 二月十四日  物価値上げ反対に関する請願伏木和雄君紹  介)(第一九三一号)  同(新井彬之君紹介)(第二〇〇六号)  同(鈴切康雄紹介)(第二〇〇七号) 同月十八日  生活必需物資確保等に関する請願園田直君  紹介)(第二一五〇号)  生活必需品優先的確保等に関する請願(紺野  与次郎君紹介)(第二二三二号)  同(土橋一吉紹介)(第二二三三号)  物価値上げ反対に関する請願高橋繁紹介)  (第二二八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
  3. 水野清

    水野委員 きょうは、私は当委員会常任委員でないのでございますが、御無理をお願いしまして当委員会質問をする機会を与えていただきましてありがとうございます。  私、きょうはあえて政府委員や各位に伺いたいのですが、最近、春耕期に入っておりまして、農村地帯農業資材値上がりが非常にはなはだしいわけであります。たとえば、肥料えさ、それから農薬農業用ポリエチレンフィルム、それから段ボールの箱とかあるいは農業機械など、あらゆる農業用資材が非常に値上がりをしております。その理由を、いろいろ私も調べてみたのでございますが、肥料農業用ポリエチレン農薬などは、やや品不足傾向にある。しかし、どうも品不足だけではなくて、この値上がりが、もちろん石油製品という関係原料高という問題があろうと思いますが、どうもほかの要因もかなりあるのではないかと思われます。これは概観的なことで私から申し上げるよりは、逆にそちらから伺いたいのでありますが、こういう観点から御答弁いただきたいという意味で概観的に申し上げますが、農業生産者は、この農業資材高騰の中でいま日本全体が農業経営危機を訴えているわけであります。具体的に申し上げますと、たとえば先ほど申し上げたような農業資材値上がりをしておりますけれども一般的に生産物である農産物は、あまり値上がりをしておりません。ですから、当然農家手取りが減っております。この傾向は、資本力が小さい日本農業者でありますから、すぐ農家経営に響いてくる。たとえば、もっと具体的な話をさらに申し上げますと、特に最近の豚肉であるとか牛肉や鶏卵、牛乳などというようなものをつくっております酪農畜産関係にそのいい例がありますが、この二月にえさ値上がりがあった。ところが酪農畜産物値上がりはほとんどない。あるいは農業用ポリフィルムなどは値上がりをしておりますが、野菜のほうは——野菜値上がりをしておりますが、野菜値上がりというのは、実はこれは干ばつによって作が悪かった結果の値上がりでありまして、農家手取りは非常に薄い。あるいは果樹などは段ボールの箱、たとえば私の出身の県でいいますと、ナシを入れる段ボールの箱が一つだけで四百円近く値上がりをしている。そしてことしのナシ収穫期になれば、おそらく農家ナシの一箱売る手取りはほとんどないんじゃないかといわれているほどであります。  昨年来、トイレットペーパーだとか洗剤だとか、こういったものの値上がりの問題は新聞紙上でいろいろ議論をされましたし、この点では政府の施策もようやく及んできたようでありますけれども農業用資材あるいはこれから伴う農産物価格問題というのがあまり議論をされません。どうも社会的にかなり見落とされている面がある。実は日本にいま五十万の専業農家がございますが、先ほど申し上げたように、酪農畜産蔬菜づくり果樹、花卉というような、きょうは企画庁長官でいらっしゃるから、農林省のこととちょっと違いますが、農林省昭和三十年代から行なってきた農業政策自体も危殆に瀕しようとしておる。ひいては日本の五十万の専業農家もいまや経営危機に遭遇している。こういう客観的な情勢であります。  こういう中で、私のこれから伺いたいことでございますが、まず、これは私が私の出身千葉県の農協系統機関におきます農業資材値上がりを調べてみたわけであります。  その概観的な数字を申し上げますが、たとえば肥料にしますと、いま農村で一番使われております高度化成という、これは窒素と燐酸とカリの三つの成分をまぜましたものですが、この高度化成価格が、昨年の三月に比べますと、大体四三%値上がりをしている。去年の十一月に比べましても三四・一%の値上がりをしております。それから農業用ポリは一番値上がりが激しいわけでありまして、去年の三月とことしの一月、これは一月の中旬でありますが、値段の対比をしてみますと、農業用ポリには、これはいろいろな規格がありますが、〇・〇五ミリという厚さで百八十メートルに幅一メートルという規模のやつであります。これが三一二・五%、三倍以上という値上がりであります。昨年の十一月に比べましても二五%の値上がりをしております。いろいろな規格がありまして、それを一々申し上げているとちょっと枚挙にいとまがないのでありますが、たとえば農薬の問題にいたしましても、平均して五割前後、一部にはこれはネマトーダという線虫駆除用の薬でありますが、これなどは五〇%近く値上がりをしております。  こういう値上がり状態に対して、いろいろないきさつがあろうと思いますが、まず第一に、私はこの一番値上がりの激しい農業用ポリの問題を取り上げて少し伺ってみたいと思います。  まず、農業用ポリのことしの春の需要に対してどのくらいの供給がきちんとできているか、手当てができているか、価格問題について、農林省の方がいいですな、価格問題についても農林省ではどのように調査をして受け取っておられるかということを、須賀さんから伺いたいと思います。
  4. 須賀博

    須賀説明員 お答えします。  ポリエチレンフィルムでございますが、私ども昨年の十二月に、ことしの一月から六月までどの程度需要があるかということで調査をいたしましたわけでございますが、これは都道府県別あるいは米とか野菜とかそういう品目別にいろいろ調査したわけですが、その結果やはり三〇%程度不足するのじゃないかという結果が出てまいりました。したがいまして、やはり農業生産影響が出てくるおそれが多分にありますから、こういう資材確保をはかるということでまず通産省要請をいたしまして、通産とも十分連絡をとりながらメーカー指導をいたしました。メーカーといいますのはこれは原料メーカーフィルムメーカーと両方あるわけでございます。まず原料メーカーフィルムメーカーに優先的に農業フィルム原料供給する。それから加工メーカーがまた優先的に農業フィルム生産するというような指導をいたしたわけでございます。なおフィルムメーカーが相当電力を使用する関係がございますから、電力使用制限緩和措置、これをとってほしいということを通産省要請した結果、その実現がはかられたわけでございます。  相当不足するであろうということでございましたが、現時点におきましてはそういう生産が順調に行なわれてきたということと、やはりある程度在庫もあったのじゃないかということでございますが、現時点におきましては相当の手当てができているという状況でございます。  それから価格事情でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、地域によっては三倍あるいは二倍というような価格上昇が見られます。したがいまして、私どもそういう地域ごとケースごとといいますか、そういう地域を取り上げまして重点指導をやろうということで、特に千葉県におきましてもその価格上昇が見られたということで、直接県が卸売り商とかあるいは大口の販売店等につきまして便乗値上げを押えるとかあるいは適正価格供給するというような指導を行なうようにこちらからも要請している状況でございます。
  5. 水野清

    水野委員 私が調べたのは実は私の出身千葉県の問題でありますから、やや全国的な視野というものが欠けるかもしれませんけれども、いまのお話でございますが、実はこれは御承知のように、県当局には卸売り商あまり指導する権限がないのです。それから生産過程においていろいろ干渉するという権限もないわけなんです。たとえば、私の先ほど申し上げたこの数字も、これは農協系統機関だからこれだけの数字が出てきたのです。これはもっと詳しく申し上げると、この間に全農から経済連、単協という流通過程価格も全部出ております、これは時間がありませんからあまり申し上げませんが。ところが農業用ポリフィルムの問題を申し上げると、私の県では大体一五%しか農協がシェアを持っていない。あとの八五%は実はいわゆる商人系統といわれておりますが、一般農業資材を売る、昔の肥料屋さんですね、そういうところの系統でものを売っているわけです。こういうところは末端価格しかわからないわけであります。中間の卸価格その他は千葉県の当局でも調べてもわかっておりません。その価格も、さっき私が申し上げたのは農協系統価格を申し上げたのですが、実際はそれより高いのです。たとえば、一月の上句にさっき私が申し上げたポリフィルム値段農協系統で三一二%ですが、商人系統へいきますとはなはだしいところは四倍、いわゆる四〇〇%というような値上がりをして、それを買ったところもあるわけです。最近はやや、関係各庁や千葉県の努力で値下がりをしてきた感がありますけれども、まだ実はあまりその効果も出ていないわけであります。特に私がこれから申し上げるのは非常にふしぎなことがあるわけなんですが、私もどうも農業資材値上がりの問題があまり極端なので、千葉県に少し督励をしてやらしてみたのですが、もっとこまかい数字を申し上げるとあれですが、私の県の需要が大体年間五、六千トンだと農業用ポリ需要がいわれておるのですが、どうも当初はじかしてみるとかなり足りないということで、県当局を走らしてメーカーに日参をさしたわけであります。さっき申し上げたように、県当局には出せと言う権限も調べる権限もないわけです。  行った先を申し上げますと、住友化学、三菱油化あるいは宇部興産、三井ケミカルというような会社工場が実は千葉県にあるものですから、そういう会社へ県の担当官を走らせて出荷要請をしたわけであります。そうしましたら、これはまた・非常におもしろい、これはどう理解をしていいか私も複雑な心境なんですが、そんなにお困りなら何とかしましようということで、四百五十トンばかりいまの市価より三割価格を下げたわけです。これはこの事件は二月の上旬であります。十日ごろであります。三割ぐらい安い値段で出してくれたわけなんです。まことにそれはありがたいことなんですが、逆に申し上げると、行かなければ出さなかった。さらにもっというと、どうも最近世の中やかましくなってきたから、あまりしまっておいてもまずいから——しまってあるというわけじゃないでしょうが、いままでの流通価格で出すのはどうもまずいから値下げをしたのではないかという感じもするわけです。私はそれ以上実はこの問題を追及してありませんし、私もできる立場じゃないので追及してありませんが、どうも私はこういうところに農業用ポリフィルム流通過程——流通過程というよりも、どうも工場から出るときの価格に若干問題があるのじゃないかという気がするわけです。この点はひとつ、そちらでいま答えろと言ったってあなたのほうもおわかりにならぬでしょうから、少し県当局を通じるなり、むしろこの工場はどうせほかの石油製品もつくっている工場ですから、こういうところを少し調べていただけないかと思っているわけです。  その前に農林省にもう一つ伺いたいのですが、農業用ポリの全国的な生産見込み、ことしの春の需要に対してどのくらい生産がまかなえるかというお話がさっきちょっとはっきりしませんでしたが、もう一度その需要に対する供給量というようなものを数字でしっかりと出していただく必要があると私は思うのです。というのは、これは全国的に農業用ポリがないんじゃないかといううわさが農村地帯にも流れていて、それが一つ末端価格を引き上げている理由になると思うのですが、安心していいということがいえるかどうか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  6. 須賀博

    須賀説明員 ポリエチレン需給状況でございますが、ことしの一月から四月までの需要見込み量が約四万二千トンございます。このうちで、昨年十二月末までに農家などに確保されている数量が約一万三千トン、流通段階在庫量が約六千トンあまり、また加工メーカー工場在庫量が約六千トンありますので、一月から三月までは差し引き一万七千トンの量が必要となります。一月から三月までの生産量は約二万トンと見られますので、三月末に約三千トンの在庫を残して、十分需要は満たし得ると考えております。
  7. 水野清

    水野委員 ちょっといま私の手元資料がないのですが、ところで、この農業用ポリをつくる原料である高圧ポリエチレンというものがありますね。何かペレット状になっているものだそうです。実はその原料値上がりを調べてみると、六五、六%しか上がっていないのです、原料は。これが実はさっき申し上げたような石油化学工場からそういうものが売られて、そしてそれを原料としてこのポリフィルムをつくっている圧延メーカーというのですか、ポリフィルムメーカー、これは調べてみると主として中小企業ですね。このポリフィルムメーカーのほうに流れていくわけですが、原料値上がりは大体数十%ですが、その製品のほうはさっき申し上げたように、安い価格を見てもどうも二百十何%に値上がりしておりますから、百二、三十%の値上がりをしている。あるいは末端価格では二〇〇%ぐらい値上がりしているというのですが、私はどうもその間にも一つ問題があるように思うのです。原料あまり——数十%ですから相当値上がりをしておりますけれども製品のほうは値上がり率が非常に激しい。この食い違いを一ぺん、通産省の方がいらっしゃるならばひとつ通産省にお考えを私は聞いてみたいと思いますが、いかがでしょうか。
  8. 赤羽信久

    赤羽説明員 お答えいたします。  私どもで調べましたところでは、確かに原料は五〇%程度値上がりでございます。当時フィルム業界は非常に中小企業乱戦状態でございまして、極端に安い値段で出ていた時代がございます。それでもその当時と現在とを比べましてメーカーからの出荷価格フィルム価格にいたしましてちょうど二倍になっているだけでございます。なお二月に入りまして原料ポリエチレンの一〇%の値下げ指導を行ない、それに伴いましてフィルムのほうの値下げも行なっておりますので、現在では大体一・八倍程度におさまっておるのじゃないかと考えております。
  9. 水野清

    水野委員 ちょっといまのお話では私十分納得いかないのですが、どうも私の調べているのでも、通産省からお教えいただいた資料でもそうですが、原料値上がり高はそんなにない。製品になるとえらい高くなる。製造工場規模は非常に小さいから、中小企業だからある程度人件費のはね返りなどがあって無理もないという面もありますが、どうもそこのところが納得がいかないのです。  それからこのポリフィルム一般農協系統以外の流通機構というものを見てみますと、一次卸というものがあります。一次卸というのは実は品物を全く扱っていない。いわゆる伝票操作だけです。二次卸の問屋さんから初めて品物を扱って、それから末端小売り店に流れている。この一次卸というものは商法上認められているのでかまわないのでしょうけれども商慣習上は当然なんでしょうが、こういう時期に一次卸のようなものが伝票操作だけでマージンを取ることが許されるのか。たとえばその辺のマージンを、こういう際には極端に縮めてでも、私は二次卸問屋から以下の流通にとどめていいのじゃないかと思いますが、この辺は農林省はおわかりですか。
  10. 須賀博

    須賀説明員 ちょっと私ども手元にいまそういう調査資料もございませんから、至急にいろいろ調べてみたいと思います。
  11. 水野清

    水野委員 これはひとつ大事なことですから、この辺農林省でさっき申し上げたように、原料メーカーからシートをつくる下請メーカーみたいなものですね、加工メーカー。その次に一次問屋があって小売り店がある。この一次問屋というのは完全に伝票操作だ。これは農協系統機関でもそう言っているのです。それからメーカーあたりでもそう言っている。この辺は農林省は一ぺんメスを入れないとほんとうに下がりませんよ。それはマージンはたいしたマージンじゃないですけれども伝票操作だけでめしを食っているというのも、いまどきあまりよろしくないわけですね。はっきり申し上げると、やはりメーカー関係流通機構のようなものであって、言ってみるとそこで関係者が、昔でいうとトンネル会社式めしを食っているという可能性がありますし、この辺は私は農林省が御存じなかったということもたいへん不勉強だし、もう少し農業用ポリ問題需要供給を調べるだけでなくて価格問題に力を入れてやっていただきたいと思うわけです。  実はもう時間があと三分しかないのです。それでこの辺で終わりますが、もう一つ簡単に伺いたいのですが、春のこれから春耕期になって、きょうは石油製品だけやらしてもらいますが、農業用機械、いわゆる耕うん機、トラクターなどが使う灯油ガソリンをまぜたハイオク灯油というのがありますね。農村では色つき色つきといっているのですが、灯油ガソリンをまぜてある。この供給が私の県ではいまだ出てきておりません、ガソリンスタンドなんかで。これからでいいのでしょう、いよいよ春耕が始まりますから。しかし九州や四国あたりでは、私はもう必要じゃないかと思う。全国的に需給がどうなっているか、それから去年に比べて価格はどうなっているかということをひとつお答え願いたいと思います。
  12. 森下元晴

    森下政府委員 石油逼迫状況は、われわれも非常に憂慮しながら全力をあげておるわけでございますけれども、これに引き続きまして、食糧危機問題が非常に憂慮されておるわけです。そういうことで、水野先生の御質問は、将来の食糧確保がはたしてできるかどうか、こういう問題に触れる大きな問題でもあるように認識しておりまして、食糧確保のためにも、石油製品によってつくられます資材、またこの燃料関係需給、また価格というものは将来の農政をになうためにも非常に重大な影響があるというようなことで、昨年十二月の初めに農林政務次官と協定いたしまして、石油製品はできるだけ、というよりももう一〇〇%不自由を来たさないようにしようということで、協定を結びました。それから全農関係も含めて、特に配給ルート関係は非常に複雑でございましたから、これをすっきりしないといかぬということでやったわけでございます。全石油需要量の中で農業関係の占める割合が七%から八%ぐらいです。大きな数量ではございませんけれども、やはり食糧につながるということで、私どもも非常に重要視をしております。特に昨年の十二月から一月にかけましては、第一段として、施設園芸用農業用ビニールフィルムの問題、それから暖房用燃料の問題これでいろいろ御迷惑をかけた点もございます。それに続いて、いま水野先生がおっしゃった春耕用ハイオクタン灯油、必ずこれが出てまいります。そういうことで全力をあげて需要に応ずるような体制にしていきたい。また価格もできるだけ押えなければいけない。価格体系は、ナフサ段階ではいまおっしゃったように五〇%ぐらいの値上がりでございましても、最終製品になりますと、どうも流通段階で、物によれば数倍になっておる製品もございます。これは事実でございまして、この点も、十分この流通を追って、一次問屋とか二次問屋のような、小売り店あまり不当にわれわれ押えるつもりはございませんけれども、ただ伝票だけで操作するようなところは極力押えていきたいと思っております。  私も一昨年、水野先生の選挙区の銚子の近くの旭市というのがございますね。あそこの、集中管理でトマトとかキュウリをつくっているところを実は見せてもらいました。非常に意欲的に日本一の近代的農業をやるのだというような若い方々にお会いして、おそらくいま資材高騰のために悩んでおるのではないかという気がいたしております。そういう問題も含めて、全国的に農業問題は食糧問題にもつながる非常に重要な産業であるということで、全力をあげて御意図のように努力をいたしたい。数字的なことは係から簡単に説明させます。
  13. 熊谷善二

    熊谷政府委員 需給関係価格につきましてお答え申し上げます。  これは特殊な油でございますので、量的にもそう多くございません。四十七年度は約七万キロリットル程度生産、四十八年度は約九万キロリットル程度と推定いたしております。春耕用ハイオクタン灯油につきましては、かねてから農林省と御相談をいたしまして、早目手当てをしなければならない、こういうことで打ち合わせを続けておりまして、全農その他とも必要な量の算定も急ぎまして、元売りその他からの供給確保につきまして、現在調整を行なっておるところでございます。  価格の点につきましては、昨年の九月ごろにおきましては二百リットルドラムかんで約四千円程度でありましたものが、十二月におきましては六千円程度に、五〇%程度上昇が見られているかと存じます。これは元売り段階でございます。小売りの価格につきましては、特殊な油でございますし、また成分がかなり違っておりますので、一律には申し上げかねるわけでございますが、小売り価格は、現在は二百リットル当たりで約八千円程度かと推定をいたしております。
  14. 水野清

    水野委員 いまのお話でも、農業用ハイオク灯油というものが五〇%上がっているわけです。供給はできるというお話は安心をしましたけれども、これは私、時間がないので申し上げるだけにいたしますが、通産政務次官や農林省関係通産省関係の方にお願いをしておきたいのです。  きょう私がこういう問題を提起しましたのは、実はいま二月でありまして、東日本では三月になって大騒ぎをする問題なんです。それを早目にいま申し上げたのは、いま申し上げればまだいろいろ手を打っていただいて、手おくれにならない。農業用ポリフィルムにしましても、値下がりの傾向が出てきましたから、さらに生産に拍車をかけていただいて、さっき申し上げたような流通過程で少し指導していただければ、値段も押えていける。それからいまの農耕用のハイオク灯油ですか、この供給も十分に末端まで届くことができる。いまのは卸段階です。五〇%ですから、末端価格では七、八〇%から、極端なやつは倍ぐらいになる可能性もあるわけです。この辺を十分に監視をしてやっていただきたいとお願いするわけです。  ここでひとつ長官に、せっかくお出ましをいただきましたから伺いたいのであります。これは私見なんですが、いま国会でやかましい所得政策の論議があります。私は農業資材という面から、日本農村のほうから都会の今度のいろいろな騒ぎを見ておりますと、都会の大きな企業は企業ベースでいろいろ利益をはじいて、結局必要経費とか——たとえば春のベースアップの問題、三割もベースアップを要求している会社もありますね。この人件費は、これまでの、石油危機が起こってくるまでの日本経済の中では企業の合理化とか近代化というような問題で吸収ができた、かなり限界が来ていたようですが、吸収ができたわけであります。もちろん石油危機の中で超過利潤を出した会社もありますから、そういうもので大幅のベースアップをするところもあると思うのです。しかし、日本経済全体として考えると、人件費高騰を、結局三〇%なら三〇%のベースアップを受けて立つ企業の経営者というものはめんどうくさいから——めんどうくさいからというとおかしいですが、これを受ければ、ストライキをやられるよりいいから、その分を製品に乗っけていけばいいという傾向が非常にあると私思うのです。買う需要者、特に洗剤とかトイレットペーパーとかやかましいところには、これはかなり考えをいろいろ押えていくでしょうが、やかましくないような製品、たとえば農業資材なんか非常にいい例なんです。まとまって文句を言いに来る人間があまりいないのであります。全国的に農村に行くとぶつぶつ文句を言っていますが、じゃあまとまってむしろ旗でもかついでくるということは、日本農業者にはなかなかできない芸当なんです。そうすると、そういうところにどうしてもしわ寄せをされる可能性がある。言ってみると、都会では労使でいろいろ争って、ベースアップをしたりいろいろしておりますし、その是非というものをいろいろ議論しておりますけれども農村や地方都市に参りますと、製品の値上げという——製品の値上げは決してベースアップの分だけではないでしょうけれども、いろいろな要素がたくさんあると思いますが、それがどうも特にきょう私が取り上げた農業資材の値上げのほうに転嫁されていくのじゃないかという気がしてならないのであります。こういう際に私はやはりもう少し、たとえばベースアップの問題にしましても、まあこれは非常に飛躍した話ですが、日本でも所得政策という問題を考え直す必要があるのじゃないか、これが一つであります。あるいは石油問題関連製品でございますと、石油の値上げがはたして商品ごとにどのくらいの影響力を持っているか。たとえばいまの農業用ポリフィルムの問題でございますと、たとえば去年の中東戦争が始まる前はバーレル当たり二ドルくらいの原油が入ってきました。いまは四ドルベースの原油を使っているわけであります。これが将来八ドルベースの原油になったらこのくらいの影響力があるのじゃないか、品物ごとに経済企画庁で指数のようなものを出していただく。原料が上がっているものをいつまでも安くしろといってもこれはまた無理な話ですが、そういうことが国民一般にわかるようにしていただくことが必要じゃないか。その中にさっき申し上げた人件費の問題も入ってくる。何かそういうようなことを経済企画庁としてもう少し積極的にやっていただくことがこれからの——いまは全商品の価格体系がこれから石油やその他の原価から響いてくるわけでありますから、ひとつこの辺のことについて企画庁長官のお考えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  15. 内田常雄

    ○内田国務大臣 水野さんの農業用資材についての前段のお話、よく承っておりました。まことにおっしゃるとおりで、私も実は農村といいますか、地方の出身でございますから、お話のようなことをしばしば聞いてまいりまして、春耕期に当面して農業用資材のまず確保の問題、それから価格上昇、ことに後段でいまお話がございましたように、原油の価格から値上がりをした際にそれが原油の製品価格をどれだけ押し上げることになるか、さらにまたその石油製品を使った二次製品の、いまのポリエチルとかポリプロピレンというようなものにどう響くか、ひいてはそれが農業用資材ばかりでなしに今後の一般生産関連資材あるいは生活関連資材にどう影響を及ぼすかということをあなたと全く同じように感じておるわけでございます。  もう時間がございませんから簡単に申し上げますと、前段の問題につきましては、まず農業用資材数量確保ということが第一だろうと考えておりまして、すでに通産政務次官からお話がございましたように、たとえば電力とか石油などの供給につきましても、初めから農業用のものにつきましては規制をはずしておるものもございますし、あるいはまた、規制をいたしておりますものも一番最低位の五%というようなカットのしかたでありますが、それも事態に応じて特例として引きはずすというようなことをやりまして農業用資材確保につとめておるわけでございます。  価格につきましても、石油製品価格そのものをすでに現在は各品種別に押えているわけではございません。それは灯油とかLPガスについては品種別に標準価格等で押えておりますけれども、その他のものにつきましては、現状においては原油の価格値上がりがございましても、全体を平均しましてそうして石油製品の蔵出し価格を押えておるわけでございまして、出口ではいまのところ現状においては値上がりがないわけであります。問題はそれが末端の消費者の手に渡るときに、せっかく私どもが総体として供給量確保しておるのに、どこかにしわ寄せがあって、そうして末端需要者、すなわち農民あるいは農業団体を心配させているというような問題がどこに原因があるか。いまの一次問屋、二次問屋、そのいずれか一方はトンネル会社であるかもしれないというような問題また、価格につきましても、末端に行くに従っていろいろな問題がございます。たとえば農業団体とそれから供給団体とがうまく話し合いがついているところはうまくいきますが、別に商業組合の代表もございまして、その辺でなかなか話し合いがつかないためにせっかくの中央での配意が末端まで届いていないというような問題もあるようでございますから、これからそういうことも含めまして、これは法律上は配給機構を制約したりあるいは幾つかの中間機構を政府が公権力をもってやめさせるということはできませんけれども、こういう時代でありまして、いろいろ政府が介入ができるよすがもあるわけでございましょうから、引き続いてこれらの問題につきましては私どもの考えと末端農家が受ける事態が直に行くようなぐあいにいろいろまたくふうをしてまいりたいと思います。  最後のお話でございますが、所得政策というお話、これはあなたも御承知のように、これは政府も政党も所得政策ということばを述べるのは一種の禁句、タブーのようなことになっておりますが、私にはその意味がわかりません。私自身は、広い学問があるわけではございませんけれども、所得政策というのは、年々の国民総生産、国民全体から見た総生産の増加をどのように国民の各階層、各勤労なりあるいは生産手段の提供者が分けるかという問題でありまして、それが力関係で放置しておけばいいということではない。したがって、これはまた勤労者を押えつけていけばいいということではもちろんないわけでありますけれども、国民総生産がふえる、しかしそれは人口もふえますから、その人口を差し引いた一人当たりのマクロで見ましたふえた分をどのように分けていくかということは、これは当然考えていくべきではないか、こういう意味におきましては私は関心を持つものでございまして、そのふえた分の分け方が、あなたがおっしゃるように、中央のある段階でとってしまって地方の末端のほうにはもっぱらしわ寄せだけになるということはもちろんいけませんし、あるいはまた企業とかあるいは資本の提供者がよけいとってしまって高率配当をする、そして勤労者には物価の上昇にもかかわらずアンバランスな押えつけをするということももちろんいけない。ですからより高い、より広い意味においてこの問題は国民的に研究することは私はタブーであってはならないように考えるものであると思うわけでありまして、これはいろいろの方面からしかられないようにしながら私はその始末はつけていきたいと考えます。  最後に、原油の価格がおっしゃったようにすでに九ドルベースの石油がこの一月二十日ごろから入っております。これを製品価格にした場合に一体その製品価格にどのように影響を及ぼすべきか。これは一口に言うと、通産大臣も述べておりますように、石油精製業界には従来の利益の蓄積といいますか、それがさしあたり何を意味するかは別といたしまして、ございましょうし、さらにまた五十日分ぐらいの安い時代の原油を持っているものもございます。それに今度は新しい石油が入ってくるわけでございますから、その辺を組み合わせまして、いつから石油製品値段をどの程度上げるかという問題は実は非常に真剣に私どもも大蔵省も通産省とともに検討いたしております。それが今度は二次製品末端製品にどれだけ影響を及ぼすか計算をしておるかとこういうお話でございますが、一口に簡単に申しますと、二次製品以下なるべく大企業で、政府がそこを押えれば全体として価格上昇影響は押え込めるというようなそういう対象を選びまして、石油製品値上がりにもかかわらず石油業界に対してとると同じような態度をこれらの二次製品以下の産業にもとりまして、そしてその二次製品の値上げをでき得る限り長く押え込んでまいる、こういうやり方をいま検討いたしております。しかし、それがまた他方において他の方面の便乗値上げとかあるいは売り惜しみ、買い占めというようなことを招いてはなりませんので、この製品はいつから幾らぐらい上がるか、何%上がるかというようなことは、まだ結論にも達しておりませんし、あまりいろいろ私どもは申さぬほうがいい、いま言うようないろいろな事態を発生しますから、こういうふうに考えておりますが、あなたの御心配と同じことを私は心配をいたしておりますので、よろしくまたいろいろお教えをいただきたいと思います。
  16. 水野清

    水野委員 ありがとうございました。
  17. 平林剛

    平林委員長 山崎拓君。
  18. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 経済企画庁の物価局長にお伺いをいたしますが、このような自由経済に政府が介入していく際には、きわめて慎重に正当を期してやらなきゃいかぬわけでありますが、その際、基本的に必要なことは、情報を正確に収集するということであろうかと思うのです。  そこで、本国会でもすでに論議されましたように、物価調査官の任命等が非常におくれて、時期を逸しておったんではないかという点があるわけです。先般、一月末に 物価調査官三百四十一名でございますか、任命された。その後六百名まで拡大するという御発表でございましたが、その点はどういうことになったのか、また、その配置は、本省と地方部局でどういう割合にするのか、まず第一点お伺いしたいと思います。  それから第二点は、六百名という物価調査官では十分でないので、都道府県に同じような物価Gメンを配置して、その体制の強化をはかるという御方針であるわけですが、その点の作業はどのように進行しているか、まずその二点についてお伺いしたいと思います。
  19. 小島英敏

    ○小島政府委員 第一点でございますけれども、昨年の七月に買占め防止法が施行されましてから直ちに、一番最初の段階は何品目でございましたか、十数品目の物資指定がございまして、それと同時に、価格調査官は発令されております。したがいまして、その後物資がふえるに応じて、担当官を中心として価格調査官をふやしてきております。  ところが、問題は、専任がなかったということでございます。いずれも本来の仕事をやりながら片手間で価格調査官的な仕事もやっていたという点で、体制として不十分な点がございまして、これはことしになりましてから、国会の御論議もございまして、専任の価格調査官を任命したという事情でございます。  数字につきましては、現在のところ、これは二月十二日現在でございますけれども、これはその後も変わっておりませんけれども、本省庁の関係が、経済企画庁、厚生省、農林省通産省合わせまして二百六十五名でございます。その中で専任の価格調査官が三十三名でございます。それから、地方支分部局、通産局とか農政局とかという関係の地方部局は、四省庁合わせまして——企画庁はございませんけれども、四百五十七名でございます。その中で専任調査官は六十一名でございます。両方を足しますと、つまり、中央官庁のトータルといたしまして七百二十二名、その中で専任が九十四名ということになるわけでございます。  先ほど先生おっしゃいました三百四十名程度というものは、これは昨年七月以来だんだんにふえてきて、今回ふやします直前の数字が三百四十名ほどでございまして、現在の段階は、それを約二倍にしてある、しかもそこで新しく専任の者が九十四名できたということでございます。今後こういう体制の強化に伴いまして、大いにこの法律の目的達成のために努力いたすつもりでございます。  それから、第二点のお尋ねでございまして、これは、前回の生活安定法の制定の際に附則で買占め防止法の改正をお願いいたしまして、その中で、地方団体に対する権限の委任が行なわれたわけでございまして、これは各種の手続及びその研修会等も終えまして、二月の一日から都道府県に一部の権限が委任されたわけでございまして、その後、中央官庁のこの価格調査官に相当する価格調査員というようなものが各都道府県でほとんど全都道府県にわたって任命されておりまして、二月一日現在の数字でございますが、都道府県四十五、指定都市九を合わせまして全体で六千百二十五名、これはただし、専任、兼任を合わせた数字でございまして、その中で専任の価格調査員は六百四名ということになっておるわけでございます。
  20. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ただいまの第二点に関連いたしまして、各都道府県において条例制定の準備が進められておるわけでございますが、その際、立ち入り調査権については、明確な規定が行なわれるようになっておりますか。
  21. 小島英敏

    ○小島政府委員 第五条に基づく立ち入り調査のやり方につきまして、従来までの考え方は、これはなるべく任意調査を中心にしてやっていく、やはり相当容疑が濃い場合に五条に基づく立ち入り検査を行なうということでやってまいりましたが、先般来の国会の御審議等もございまして、事態が非常に急迫して、ある物資については非常に買い占め、売り惜しみに伴う価格上昇というようなものが強いと認められるものにつきましては、従来の解釈を多少ゆるめて、容疑が濃くなっても、ある企業についてどうもそういう事態がありそうだというような可能性がある場合には、五条に基づく立ち入り検査を積極的にやっていこうということになりまして、最近、中央省庁の間ではそういう合意ができ、すでに通産省は、そういう新しい解釈に基づきまして、五条の立ち入り検査を実施しております。  現在は、地方に対する共同通達を用意いたしておりまして、まだ出しておりませんが、近々共同通達を都道府県あてに出して、やや緩和したそういう方針に基づいて積極的に五条を活用してまいろうというたてまえになっておるわけでございます。
  22. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 福岡県で条例の制定準備をしておるわけでございますが、その要綱を見ておりますと、いわゆる物価監視員に立ち入り調査をさせることについて「協力を求めることができるものとすること。」こういう条例の要綱になっておるわけですね。これでははたしてその立ち入り調査が十分できるものかどうか、非常に疑問に思うわけですが、こういう指導をもう少し早くやらないと、二月県会はもう始まらんとしているわけでございますから、準備がほとんど整っている段階に至っておりますが、その点どうですか。
  23. 小島英敏

    ○小島政府委員 最近、私も新聞で実は知ったのですが、東京都等でも、独自の条例に基づいて、こういう業務をやっていこうという積極的なかまえを見せている都道府県が多いわけでございますけれども、これは法律に基づきます指定物質につきましては、今度の共同通達によって容疑が——容疑と申しますか、灰色的な判断ができれば、協力を求めないでも法律に基づいて五条の立ち入り検査は当然できるわけでございます。ところが、東京都の例でも、指定物資以外に幾つか物資を広げて考えておるわけでございまして、そういうものについては、やはりこれは法律に基づかないわけでございますから、どうしても相手の協力を求めて任意調査的な立ち入り調査をやらざるを得ない、そういう面があると思いますので、都道府県の段階で国のきめております指定物資よりも多少広目に物資を考えていくということでございますれば、やはりこれはたてまえとしては、協力を求めながらやっていくということで差しつかえないと思います。ただその中で、法律に基づく指定物資につきましては、五条で入ろうという場合には、協力を求めないでできることは当然だと考えております。
  24. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 この福岡県の条例要綱の中で、ただいまの点と、それから買い占め売り惜しみによって大量の物資を保有しておると認められるときは、その売り渡しを勧告することができる、こういうことになっております。それからさらに、価格の引き下げを勧告することができる、こういう点も新たに加わっておるわけであります。この点は進んでおる点だと思いますが、そこでこういう条例をつくります際に、もちろん条例の乱用も慎むべきでありますが、しかし、国の施策とやはり相呼応してやらせる必要があるわけでございますから、ただいまの指定物資に関する立ち入り検査の権限、それから指定物資に関する放出命令、そういったことについて国の法律とのからみで十分うまく運用できるように行政指導をやっていただくようにお願いを申し上げる次第であります。  それから、もう一点提案をしたいわけでございますが、それは各県、地方に配置されております消費者モニターの活用の問題でございますが、消費者モニターが設置されましてからすでに十年ぐらいたっているのではないかと思います。全国に四、五千人はいるのじゃないかと思いますが、こういう消費者モニター、今日までいろいろ教育もなさっておられることでありますし、こういう際に情報を的確に収集するための一つの手足として活用されることが賢明であると思うのでありますが、いかがですか。
  25. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃるとおりだと思います。中央官庁といたしましては、実は企画庁にも物価モニターがございますし、それから最近は行政管理庁の関係で相談員の方に、これは実はこの間、本年度予算の中で一部の経費を移しかえまして、まさに今度の法律の施行状況等について実施の状況を監視していただくように手配したところでございます。都道府県のモニターは、これは都道府県によって非常に多いところと少ないところとまちまちでございます。したがいまして、国が手当を出しましてそういう都道府県の現在のモニターをそのまま集計するという場合には、やや都道府県別にばらつきが出るわけでございまして、そういう関係から、私どもといたしましては、都道府県独自の立場で大いにそういう内部的な監視をしていただくということが非常に望ましいと思います。それからそういう面について、今度の、国が一律にある時期で調べるということは、どうもいまも申しましたような理由から、都道府県別のモニターではなくて国のモニターなりあるいは行政管理庁の地方支分部局、行政監察局等を中心にして監視をし、都道府県内の監視は都道府県別のモニターを大いに活用していただいて、そのための予算の面でも今度は都道府県に対しましてかなりの手当てができたと思っておりますので、そういう面に活用してもらうことはけっこうではないかと思っております。
  26. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 この点に関しては、都道府県に置く物価調査官にも財政的な国の措置をするはずのものと思いますが、同じような考えで、都道府県の消費者モニターについても何らかの財政的な措置をされて、ぜひ総力をあげて物価の動向について情報を収集するという姿勢が必要であると思いますので、その点御検討をいただきたいと思います。  次に中小企業の問題に移りたいのでありますが、中小企業庁の政府委員の方にお伺いをいたします。  今日の物価高によってもちろん庶民生活が脅かされておるわけでございますが、同様に、非常に大きな打撃をこうむっておるのが中小企業でございます。新聞で見ました記事によりましても、昨年の企業倒産は八千二百二件に及んでおって、前年比一四・九%。負債総額は七千五百十三億に及んでおり、四一・七%増大をしておる。引き続き本年に入りまして、一月、二月と連続して倒産件数、負債金額とも昨年比を大幅に上回ってきておる、こういう実情のようであります。しかもこの企業倒産の中では、ほとんど一〇〇%近く中小企業が倒産をいたしておる、こういう実情であるということを聞いておるわけでございますが、中小企業庁ではどういう数字を把握されておりますか。
  27. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 お答え申し上げます。  最近の倒産状況につきましては、ただいま先生から御指摘がありましたとおり非常に増加傾向になっておりまして、特に昨年の八月から増勢が高まっております。ただいま御指摘がありました数字、すなわち四十八年の年間の数字では八千二百上件という数字が出ております。これは対前年比約一五%の増加、こういうふうに非常に大きな増加になっております。  それからことしに入りましてからも一月の倒産件数は八百二十一件でございまして、これは前年の同月に比較しますと実に八二・九%という大きな増加になっております。そのうち特に物不足それから金融引き締めを直接の契機とする倒産件数が非常に多うございまして、昨年の一−六月は八%でございましたが、これが後半の七−十二月に至りますと一八・二%、それからことしの一月になりますと三一%、そういう数字になっております。
  28. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 中小企業の倒産の原因の一つに物不足があるということがありましたが、大企業の中小企業に対する今回の経済引き締めのしわ寄せと申しますか、あるいは大企業の便乗値上げのしわ寄せ、そういったものが集約的にあらわれているような感じがするわけです。  そこで一例を申し上げますと、西日本冷凍空調工業会というところから私は先般陳情を受けたのでありますが、その中で、十二月一日以降の納入分については新しい価格で納める。もし新しい価格で不承知の場合は納入しない、その場合は告訴してもいい、こういうことをメーカー側が言ってきた。こういうことで非常に業界としては困るんだ。すなわちもうすでに契約をしておって、その契約の単価で自分たちは工事を受注しているんだ、これは建設省の所管の問題だということを先ほど聞きましたが、そういうすでに工事を受注しておって価格がフロートしていくような取引ではとうていわれわれは商売できない、やった結果が大赤字だ、こういうことになるんだということを先般私どもは陳情を受けたわけでございますが、それは昨年末でございました。ことしに入りましてからメーカーを集めていろいろ協議をやった結果、メーカー側はできるだけ新価格の適用に協力してほしいけれども、ユーザーにおいてどうしても了解困難の場合においてはその分だけは旧価格を適用するということで妥協をしたようであります。これはまあ通産にもたいへんお骨折りをいただいたことでございますけれども、しかしこれは一例でございまして、非常に大企業の中小企業に対するこういう不当な大企業のコスト上昇もしくは便乗値上げ中小企業にかぶせていくという傾向が、これはこの業界に限らず非常に広範囲にわたってそういう現象が見られるわけでございまして、ひとつぜひこれらに対する対策について特段の御配慮をいただきたい、かように考えるわけでございます。  それからもう一例申し上げますと、これは福岡県の管工事組合からの陳情でございます。同趣旨の陳情でございますが、品不足価格高騰で全く仕事の見通しが立たない、場合によれば従来の材料に対する発注契約を破棄するメーカーすら出てきておる、こういうことでは自分たちの仕事というのは保障されないのであって、何とか手を打ってもらえないか、こういうことを言ってまいっておるわけであります。数々具体的に商品別に問題点が出ておるわけでございますが、値上がり状況が昨年一年間で管工事組合のいろいろな資材につきましては約一七〇%の値上がりになっておる。また先行き値上げの予想が一−三で二一八%に及んでおる。こういう状態では受注することがきわめて困難であるし危険である、受注しなければ仕事がなくて倒産するし、受注すれば赤字で倒産する、こういう事態を一体政府は何と心得ておるのか、こういう強い陳情が起こっておるわけでございます。これは一に管工事組合にとどまらずあらゆる業種にわたってこういう現象が起こっておるんだと思いますので、ひとつ中小企業庁におかれましては広範囲な調査を行なっていただいて、何とか手を打つという積極的な姿勢をやっていただかなければいかぬ、こう思うわけであります。その点、中小企業庁のまず現状把握と対策についてございましたらひとつお答えいただきたいと思います。
  29. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 ただいまの件につきましては中小企業庁は毎月調査をいたしております。
  30. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 毎月調査をしておるということでございますが、調査するだけではだめであって、これは何らかの対策をやらなければいかぬわけでありますが、たとえば東陶機器という会社がありますが、この会社は、価格については四十九年三月一日以降の納期の分については十一月末までに受注して処理済みの分も例外なく出荷時点での成り行き価格となります、こういっているわけですね。これは一例で、各メーカー一斉にこういうことをやっているのに、東陶機器だけをあげるのは気の毒でありますけれども、一例として申し上げるのですが、来年三月一日以降納期の分はたとえ受注処理済みの分であってもそのときの成り行き価格にする、こういうのでありますから、すでにこういう仕事はかなり長期にわたってやるわけでありまして、その仕事の進行状況に応じて資材を随時納入せしめていくわけでございますから、結果的には必ず赤字になる、こういうことでは仕事ができない、こういうことがあるわけであります。  それから時間がございませんので重ねていろいろお話を申し上げますが、二月四日に財界四団体その他代表を集めて申し合わせが行なわれて、三月までは値上げしない、こうなったというふうに聞いておるわけでございますが、しかしその後やはりいろいろな個別の商品において値上がりが生じております。この東陶機器の製品もその後二月になってから値上げをいたしております、こまかいことはきょう申し上げませんが。そういう点よく御調査を願って、せっかくこの財界との間にたとえ申し合わせとはいいながら約束がある以上は、断固として迷惑を中小企業に及ぼさないというひとつ大企業側の約束履行を行なわしめるように中小企業庁としては申し入れをやっていただきたい、かように思うわけであります。  それからもう一点お伺いしますが、累次の金融引き締めで中小企業は非常な困難におちいっておるわけでありますけれども中小企業向けの政府系三金融機関でも最近はもうすっかり金がなくなっておるという状況で、中小企業団体から追加財投三千億の要請があっておると思いますが、これについて中小企業庁としてはどう対処されるつもりであるか、お聞きしたいと思います。
  31. 森下元晴

    森下政府委員 山崎先生御指摘のように、中小企業関係は物価の値上がりとともに倒産が非常にかえまして憂慮すべき状況である。これに対しまして早急に手を打たなければいけない。その原因は先ほど山崎先生おっしゃったように物不足それから原料不足、それによって原材料の高騰、これも一つの原因でございますし、またいま非常な市中銀行の引き締め、これも原因でございます。それから手形サイトを非常に短くしたり、また現金決済を迫られておる、こういうたくさんな要素が中小企業を圧迫して倒産がふえておる。これを救済する道の一つとしてやはり中小企業関係が三金庫を通じまして早急に緊急の金融をすべきである。昨年十月に三千四百二十億、これだけ貸し付けをやったわけでございますけれども、いまも先生の御説明のございました福岡県はじめ全国からこの要望が出ております。そういうことで、四十八年度の三金庫関係の融資のワクは一兆七千億、それの半分がいわゆる弾力条項で財投、資金運用部資金のほうから出せることになっております。これもかなり緊急用で出されておりまして、いまおっしゃったようにあまり額が要望にこたえるだけないということで、四十八年度の予算は三月三十一日、われわれもできる限り皆さん方の御協力を得て四月一日から新しい年度の予算が執行されるように最大の努力もしていきたい。四十九年度は御承知のように非常に中小企業対策に力を入れまして、二兆円の予算が組まれております。そういうことで、何と申しましても一番しわ寄せがきておりますのは中小企業、零細企業でございますので、全力をあげてこの救済措置、倒産件数が少なくなるように最大の努力をしていきたい、このように思っております。
  32. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 時間が参りましたので、石油部長石油の問題で二、三点まとめてお伺いをしたいと思います。  石油供給目標が一月は原油にして二千四百万トン、それから二月が二千三百万トンということでございましたが、その実績はどうなったのか、二月の見通しはいかがであるかということがまず第一点。  それから最近、石油もしくは電力の節減率を緩和されたわけでございますが、この点に関しては一応石油供給体制はだいじょうぶであるという御判断に基づいておやりになったのか。時間がございませんから私の私見も申し上げますが、私は、見通しはまだ全く五里霧中の段階である、このような時点でせっかくの節減ムードにあまり水を差してもいけないし、またもう少し緻密な見通しを立ててこれからの石油供給、消費の体制を考えていかなければたいへんなことになると考えております。長期的にはきわめて危険である。なぜならば、たとえば外貨の問題一つとりましても、一バーレル三ドルから九ドル程度値段が上がってまいりますと、その分だけでも百億ドルに近い新しい外貨を、追加外貨を必要とすることは、理論上出てくるわけでございます。そういうことを考えましても、そういった面からの制約もある。あるいは基本的に石油の埋蔵量というのは有限でありますから、また、最近の中近東、アラブ諸国の考え方は、一時乱れておりますが、やはり長期的には細く長く供給していきたいという考え方があるのでございますから、日本列島改造論の中で考えているような大量消費というのはあり得ないわけでありまして、そういった意味でもう少し慎重にやらなければならない、そういう点はどうか。  それから第三点は、ガソリンスタンドの営業等につきましても日曜祭日は従来どおりということでございましたが、これはぜひ従来どおりということでやってもらわなければならない。この辺をゆるめますとまたもとのもくあみになってしまう。それから同じガソリンスタンドでありますが、現在新規の設置を押えておられるわけでありますが、これはぜひ継続をしてやるべきではないか。無用な販売業界の混乱を起こせしめることによってさらに消費者に対する迷惑が出てくる、あるいは業界の体質が非常に悪くなってくるおそれがある、こういうことを考えますので、この点についてどうか。  最後に、第一点とのからみがございますが、もし原油の供給がふえておるとするならば、また市場の状況が変化しておるとするならば、従来の民生重点の石油供給体制から、むしろこの際物不足を解消するという観点から産業生産中心の石油供給体制に切りかえるべき時期が来ておるんではないか、かように思うわけです。そこで、ガソリンとナフサの得率の関係をこの際変更する必要があるんじゃないか。LPGの供給体制を見ておりましても、これはガソリンの精製過程から出てくるわけでございますが、最近はずいぶん需給関係がゆるんでおりますから、したがってナフサのほうの得率を高めましてもLPGにも迷惑はかからない。あるいはガソリン需給もゆるんでおるわけでございまして、これも迷惑かからない。こういう観点から、物価対策の観点からひとつ民生用、工業用の重点を切りかえるべき時期に来ておる、私はかように思うわけでございます。  そこで、以上のような諸点につきましてひとつ簡潔に石油部長のお考えをお聞きしたいと思います。
  33. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  第一点の供給目標のその後の経過でございますが、一月は原油ベースで二千四百万キロリットル入るものと見込んでおりまして、実績は二千三百七十万キロリットルでございます。ほぼそのベースで入着をいたしております。二月は二千二百七十万キロリットル供給目標で定めておりますが、現在の入着状況を見ますと、この入着はほぼ確実であろうと推定をいたしております。三月はどの程度入るかということにつきましては、近く供給目標を政府といたしましてきめる予定でございますが、従来とほぼ変わらないベースで入着が可能ではあるまいか、かように考えております。  それから第二の節減率の緩和という問題でございますが、先生御指摘のように、原油の輸入の先行きにつきましてはなお流動的な要素が非常に多うございます。供給面ではやや緩和のきざしは見ておりますが、先行きにつきましては、今後の原油価格の大幅引き上げという問題、それからさらに消費国会議等を通じましての原油価格の動向も非常にまだ流動的でもございますし、さらには対米、対蘭、オランダに対する禁輸措置の動向ということも今後の消費国会議の動向との関連でどういうふうに展開するかわからぬ。御指摘のとおり非常に流動的な点が多いと存じます。したがいまして、私どもこの三月の供給目標を定め、節減の方向をいま政府部内で検討いたしておりますが、基本的には従来の方針は変えるべきではないという考え方におきましては、大かたのコンセンサスが得ているのじゃないかと考えております。なお本件につきましてはいま政府部内において調整を行なっているところでございます。ただ、基本的にはそうでございますが、いま何せ物価問題、物価に対する影響等考えますと、やはり生産を増加いたしまして物不足を解消する、またいわゆる油不足、それを通じての物不足というような形での便乗値上げに籍口することがたびたびございますので、そういうところにもその籍口する道をふさぐということもございますし、国民の生活物資にうきましては必要な油の手当てその他は行なう必要があろう。しかしながら全体としてはたとえば総需要抑制の問題なりあるいは御指摘のガソリンスタンドの問題等々につきましては、基本的には変える必要はないのではないかというようなことを念頭に置きまして目下調整を行なっているところでございます。  それから第三点のただいま御指摘のガソリンスタンドの新規設置の禁止の問題につきましては、当分の間私どもも引き続き抑制、禁止措置をとってまいりたいと考えております。ちょっと出ましたガソリンスタンドの日曜日それから祝日の営業禁止につきましては、これも引き続き実施をしていくべきだと考えておるわけでございます。  最後に、ガソリンとナフサの得率等の問題が御指摘ございました。この問題は、ガソリンにつきましてはこの三月の供給目標を現在検討中でございますけれどもガソリンよりはナフサの得率と申しますか、ナフサのほうの生産の増というところをより重点を置いて考えるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。ただ・いわゆる従来供給目標で一月、二月そうでございましたが、灯油それから軽油、A重油といういわゆる中間留分、これは民生に直結をいたします。この部分につきましては特段の不安がないような生産面の配慮を行なうということでやってまいっておりましたのですが、この点は今後も引き続き行ないつつ、なお不足物資あるいは民生物資についての需給のタイトのものにつきましては、必要な油あるいは電力手当てを行なうということをあわせ行なうことが必要ではないかと考えまして、そういう面の配慮は今後のこの三月の供給目標の策定の中で考えるべきかというふうに考えておるわけでございます。
  34. 平林剛

    平林委員長 次に山中吾郎君。
  35. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私は少し角度を変えて、現在の物価問題と日本の教育のあり方、教育政策についてまずお聞きしたいと思うのであります。  この点については、私は現在の物価暴騰といいますか、こういう現象は、現在の日本の社会の構造的な退廃であると考えておる。したがいまして、法律の取り締まりではおそらくなかなか解決できないのだ。一つの法律取り締まりを強化すれば、一方の大企業のほうはその対策を立てる、さらに強化をする、また対抗手段を考える。悪循環の結果、最後には統制経済になってしまうおそれが非常に多い。それを私は非常に心配をしておるので、ある意味においては、われわれは寄ってたかって経済の統制化に努力しているということに結果はなるのではないか。そういうことを考えて、やはりこれは根本的には国民の価値観の転換によってこの問題を解決するという用意が政治全体になければ非常に危険である。私はそういうことを心配しておるのでお聞きいたしたいのであって、ほんとうは文部大臣を物価特別委員会に招致をして真剣に論議すべきであると思うのでありますが、大臣が都合が悪い。若き文部政務次官にその辺は率直にいろいろの意見をお聞きして、現在の物価問題を文教行政の担当者が対岸の火災視しておる問題ではないかということを明らかにしていきたい、そう思います。  そこで、同僚の野間委員も、予算委員会において秘密文書を暴露して悪徳商社ぶりというものが、これは伊藤忠ですが、国民に大きい影響を与えておるようでございます。こういうことにつけても、大商社というふうなものについて、幾ら法律の取り締まりをしても、抜け道があればそれをさがしていくというイタチごっこになる一つの現象であると見ておる。これは商社の経営者全体、したがって国民全体のものの考え方というものを変革をしない限りについては解決はないという感想を特に持った。したがって単なる病的現象であるとかあるいは特定の商社の特異の性格である、そこの指導者の異常性格であるとかいう問題ではなくて、社会の構造的退廃という姿の中で政治家はこの問題を考えるべきである。文部次官はこういう現象に対してどういう感想を持っておられるか、まずお聞きしておきたいと思います。
  36. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 先生御指摘のように今日経済社会でいろいろな混乱が生じておりますこと、特にその中で企業活動等についていろいろひんしゅくを買うような御批判が起こっておりますことを私ども苦々しく思っております。やはり一国の経済社会というものは経済界のみならず、先生御指摘のように全国民が高いレベルのモラルを持って運営、維持していくのでなければ正しい運営もできないし発展もあり得ない、このように考えておるわけでありまして、そういった角度から、文部省といたしましても決して無縁のものと考えずに、社会教育、学校教育を通じて高いモラルを国民のものにしていくようにさらに努力をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  37. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 教育の方向とか教育の方針について一つの見解を述べないと、私の答弁にはならない。現在の物価というものは、これは福田大蔵大臣が大蔵委員会においても答弁をしているのですが、とにかく法則がなくて、現在の物価は相場みたいなものである。現実に自由経済の需要供給関係においてきまった価格ではなくて、大企業の買い占め、売り惜しみという反社会的行為、そういうものによってつくられておる価格である。したがってぼろもうけ思想というものが背景にあって、企業は最大利潤を追求する権利があるのだ。社会的責任などはそれ以上持つ必要はないというような価値観が国民全体の常識にあるからこういう現象が出ておる。自由経済はある意味においてはもう死んでおるのだ、私はそう見ておるのです。そうすると、こういう問題は新しい価値観を形成する教育政策が、二十年計画でもあって、そのことがなければ、一片の法律によって幾ら取り締まってもそれに対する納得をしてそれに従うのでなくて、対抗手段を考えていくだけなんだ。だから私は法律の取り締まりはあまり有効な手だてとしては考えていない。たとえば昨年の物特委員会に六大商社の社長を呼んで、どんなに社長の責任を追及して社長の首を切っても、売り惜しみ、買い占めの行為というものをその商社がしなくなるかというと、私はなくならないと見た、価値観の転換というものがなければ。そこでそういう意味において、文部省においてはいままでの教育のあり方について反省すべきものがあるのではないか。その反省の上にこれからどうあるべきかという教育の方向、教育人間像まで深めて考えなければ、教育が重大であるという御答弁だけでは何の解決もない。中教審の答申の問題あるいは期待される人間像はそれでいいのかということも含んで、偏見を持たないで、イデオロギーという偏見もなしにこういう問題を考えていくべきではないかと思うんだが、それについて一つの方向を持ったあなたの識見はありませんか。
  38. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 先生の非常に広い角度からのお考えを承ったわけであります。しかし今日一、二の非常にひんしゅくを買うような経済界の中での御指摘のようなことがあるといたしましても、経済構造全体がすでに時代が終わっておる、それでは日本の社会が維持発展していけないというふうには考えてはおりません。それだけに先生御指摘の、価値観を全面的に変えなければだめだというお考えがどのようなことをおっしゃってみえますのか、私も無学にしてあまり詳しくわかりませんけれども、ただ経済社会といえどもやはり人間によって構成せられ、人間によって運営せられておるわけでありますから、一人一人の、日本の国家を構成する国民のモラルのレベルを高いものに持っていく、それは経済界であるといなとにかかわらず、そういうことをさらに努力をしていかなければいかぬ、こういうことを申し上げたわけでございます。特に社会教育につきましてもそういったことを十分意識をいたしまして、第七十二回国会の文部大臣の所信表明の中で、従来の物の豊かさのみならず心の豊かさを求める方向に持っていかなければいかぬ、こういうことを申し上げておりますし、また昨年十一月に発足をいたしました教育課程の審議会におきましても、学校教育の中で従来の小学校、中学校、高等学校の教育の、ともすると知育偏重ではないかというような御批判も踏まえさせていただきまして、さらに、知、体、徳の体育、徳育も十分踏まえた新しい時代の人間像を育成をしていきますためには、教育課程はいかにあるべきかというような審議会の御議論もちょうだいをいたしておりますので、そういった御議論も十分に拝聴をいたしまして、真にレベルの高いモラルを持った国民を養成する方向に教育をもっていかなければいかぬ、このように考えておるわけでございます。
  39. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 いまここで論議をしてもなかなか方向が出てこないようですから、私はそう極端なことを言っているのではなくて、現在国会で物価三法といわれる石油規制法、生活安定法並びに前回つくった買占め売惜しみ規制法、この法律をささえる価値観は、企業は最大の利潤を追求する権利があって社会的責任がないのだという企業観の上からはできない法律なんだ。企業の社会的責任というのがあることを前提として、この法律が成り立つ。したがって、国民も企業全体も、企業は社会的責任があるという価値観が国民の哲学として形成されない限り、この立法をささえる価値観はない。この立法を承認する価値観を形成しない限りは、この法律は、企業にとっては、われわれに対する一つの統制にすぎない、われわれも対抗して抜け道をさがすだけさがそうということしか出てこないから悪循環になるのだ。したがって、日本の教育政策を担当する当局としては、こういう立法をささえる価値観は何だ。いま幾ら法律をつくっても、いまのような個人主義思想と結びついた自由経済、これはエゴイズムしかない。そして、そこから出た企業観というのは、最大の利潤を追求することが企業の当然の権利なのだ。だから、この法律というものは、ささえる価値観がない限りは役に立たない。守る場合については、納得して守っていない。文句を言われるから、証人として呼ばれるからしかたなしに最小限守るということしか出ないのだから日本の発展に何の役にも立たない。おそらくやみカルテルその他の退廃を生むだけである。昔のように、悪法も法なりというギリシア時代はもう過ぎている。国民の価値観にささえられる法律によって初めてまた国民に対する力が出るのだから、いまのような十八世紀ごろの個人主義という哲学を基礎にしたいわゆる民主主義、私はそれが自民党の自由民主主義という価値観かと見ておるのですけれども、それではこの法律はもうささえられない。この法律の原理は、社会連帯の原理の上に立っている。階級的な意味の社会主義じゃなくて、個人主義に対する社会主義という人間観、人間は社会的な存在である、企業も社会的存在なんだ。社会的生産物を取り扱って、社会的に機能を果たすことによって企業の任務があり、適正利潤を追求するという一つ経営哲学があり、膨大な利益の一部は社会的に還元するというふうな経営の哲学がなければ、いまの法律なんか三文の役にも立たない。そういう価値観をつくるのは、現在の自由経済の中における文部省の重大な役目ではないのか。これだけ国民の生活を不安にし、こういう物価の中であらゆる退廃を生んでおる。その退廃に対して責任を感じて、日本の文部省は何をなすべきかということを考えないのでは、文部省を廃止したほうがいい。ただ知育が足らないというが、知育なんて多過ぎる。大体ほんとうの知育教育がないから、いまのような知識の量だけで、変な有名校、学歴社会をつくっているのであって、豊かな心とかそういう抽象論では国際の中における日本の教育の位置づけはできないと思うのですね。そういうことをもう少し真剣に考えなければならぬと思うので、特にいまだかって物特に呼ばれたこともない文部省を私は呼んでおるのです。わかりますか、もう一度御所感を聞きたい。
  40. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 日本の社会が、正しい個人主義にささえられて、社会性をもって個人も生きていかなければならぬ、また、経済活動も当然その社会性の上に立って社会責任を負って生きていくべきである、活動を進めていくべきであるという新しい時代の価値観になってきておるということにつきましては、私も全く同感でございます。限られた日本の国土で社会活動を進めるのであり、同時に、世界的に見ましても、ローマクラブの「成長の限界」などというものが象徴的に示しておりますように、限られた資源あるいは全人類の地球をよごしてはいかぬ、こういった新しい考え方が世界のものに、人類のものになってきておりますし、そういった中で日本の社会が営まれていくのでなければいかぬ、このように考えるわけでございます。そういう意味で、先ほども申し上げましたように、きわめて抽象的ではありますけれども、心の豊かな日本人の暮らしを築いていこう、日本の国は、どれだけ経済的に発展をしても、心の豊かさを持たなかったら真の発展にはならないんだ、こういうことを文部大臣として国会を通じて国民の皆さま方に呼びかけたつもりでおりますし、当然そういった姿勢で今後とも文部省は進んでいきたい、このように考えておるわけでございます。
  41. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 この論議は、どうももう少し藤波次官も勉強してもらってから、また進めたいと思います。  ただ結論的に、日本の成人に達するまでの小中高の未成年教育の中に、学校を出ても、公害が発生するような経営、事業は、どんなにぼろもうけをしても、私は断じてそういう経営者にはならないという人生観、あるいは給与が倍あっても社会を破壊するような悪徳商社とか公害産業には就職をする気はないというふうな人生観、そういう社会的な連帯意識の中に自分の生きがいを求めるような人間形成をすることがいま一番大事である。だから、十八世紀のいわゆる社会に対する概念の個人主義は、私は利己主義になると思う。そういう古い哲学を捨てて、やはり人間は社会的存在であるという立場の中に——現在のあらゆる立法、自民党の提案している立法は個人主義立法でなくて、ある意味では社会主義立法ですよ。それをささえる価値観を前提として、教育課程の背後になる人間像というものを根本に検討すべきだ。あの「期待される人間像」はそれが一つもない。何の役にも立たない。何の影響力も持たない。もう時代錯誤である。あの中に文部省がずっと住んでおっては、いまのような社会現象に対しても、生き生きとした批判も反省も政策も生まれないと思うので御検討願いたい。これ以上論議はいたしません。  次に、学用品の問題について急騰したために教育政策に支障を来たすという問題が出ておる。これは文教委員会でも一回論議をされたようでありますが、大体一年間に、学生服から運動ぐつ、それからノート類その他二倍ないし三倍上がっておるわけであります。これに対する対策をお立てになりましたか、なっておりますか。
  42. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘のように、最近、教育資材需給並びに価格につきまして緊急な問題が起こっておるわけでございますけれども、これに対応いたしまして文部省といたしましては、昨年の十二月に管理局に教育資材班というものを臨時に設けまして、教育資材需給状況の把握でございますとか、あるいは省内並びに関係省との連絡等に当たってまいったわけでございます。  この仕事といたしましては、まず実態の把握が必要だということで、各府県等に照会をいたしまして、教育用の物資の最近の値上がり状況あるいは需給状況について調査をいたしたわけでございます。その結果によりましても、ノート、鉛筆、絵の具、運動ぐつ等におきましてかなりな上昇があったわけでございます。この数字は、御承知のとおり総理府の小売物価統計があるわけでございますが、これと若干の相違はございますが、傾向といたしましては大体同じような数字が出ておるわけでございます。こうした数字を基礎にいたしまして、通産省の生活産業局が主でございますが、そこにこういう実態を述べまして、これが需給並びに価格の引き下げ、安定等につきまして御協力をいただくということにいたしてきたわけでございます。
  43. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 時間が制限されておるのでいろいろ内容について論議はしませんが、その次の対策ですね。父兄からいうと非常に入学当時の父母負担が激増しておって、義務教育で小学校、中学校へ入学させるのに数万の金が要る、現実に最小必要な学用品を買うのに。そういう状況になっておると思うのです。これは義務教育ですから、少なくとも学用品に関するものは、経済全体の事情で一年に二倍も上がるというふうなことだけは、平時の体制の中にそういうことの起こらないようにすべき性格のものだ。学用品については需要が一定しているのです。入学人口が何名になればクレヨンがどのくらい、したがって、需要が一定しておるものであり、それに対応する供給というものはもう当然体制があってしかるべきものだと思う。だから、非常時の標準価格というよりも、義務教育に必要な学用品については、需要も一定しているのだから、平常の標準価格というのか、最初からこれだけの価格で年々どれだけの生産が必要かということがわかっておるのだから、何か文部省において平時標準価格というかそういう体制をとるべきだと思うが、いかがですか。次官、まだ時間あるでしょうから、それまではおっていろいろ聞いてもらったほうがいい。そういう体制をとる意思はないかどうか。
  44. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 お話の御趣旨はよく理解できるわけでございますが、御承知のとおり、文部省は物資を直接扱っておる官庁ではございません。したがいまして、物資の価格ということになると、おそらく生産流通等の過程その他におきまして、非常にいろいろな錯雑した問題があるわけでございますから、それの価格について標準的な基準を示すということは、もし必要であるということでございますれば、これはぜひ通産省にお願いをして、そうした御努力を願いたい。私どものほうで、文部省の立場でお願いというか希望いたしますことは、ただいま御指摘のような性質の教育用品でございますから、これが十分に、かつ安い価格で、いい質のものが供給されるということを主管の省庁に御要請をするということであろうかと思います。
  45. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 通産省もおるのだけれども、これは文部省の所管でないというふうに自分から考える必要はないのじゃないか。教育として必要な学用品については、文部省がその権限を委譲を受けてもやるべきものではないか。どうも文部省、自分自身が文部行政をすぼめておるように思うので、たとえば、かつて私も質問の中で意見を述べたことがあるが、学校統合をしたときに、必要な通学道路は教育道路のイメージで文部省が整備をする、スクールバスを補助するくらいなら、スクールバスが通れる道路を文部省が責任をもって予算計上をしてやるべきだという意見を述べたら、それは建設省のことでありますからと答えた。そういうばかなことはないだろう。農林省には林道があるではないか。厚生省では自然歩道というものをつくっておるではないか。それを、教育に必要な道路を、これは建設省のことですから私らは関係ありません、学用品の価格について、これは通産省でありますからというふうな、自己限定的なそういう消極的なことを考えないで、教育に必要なものを文部省は堂々と、われわれが責任をもってやらなければ教育が成り立たぬというならば、われわれのものとして考えてしかるべきじゃないか。それが、私は、文部省においていつも消極的であると批判する一つの例なのであります。  学用品については一年の間に二倍も上がって、義務教育で、貧困な父兄もあるのに不公平なことをする政策があれば、もっと高次の立場において対策を立てるべきである。今度の場合についても、高いクレヨンを買った父兄が、今度は指導されたために半値になっておる。どうしてそれに対して補償してやらぬか。義務教育費である、本来国が全部無償で持つべき学用品を父兄が負担をするという条件の中で、そういう不安定な価格に対しては、義務教育に必要なものについては文部省が責任をもって、それについての価格はわれわれがきめてかかるのだ。教科書を国費負担にするという政策の中で、教科書についてはちゃんと文部省が所管しているじゃないですか。次官、どうでしょう。
  46. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 いま管理局長が御答弁申し上げましたのは、今度の物価上昇の中でも十分、文部省がそのことを心配をいたしまして、通産省に対して再三働きかけをいたしまして、できる限り、義務教育における学用品等について父兄負担のないように指導をお願いしたい、こういうことを申し入れをし、協力をしてこの仕事に当たっていただくようにお願いをしてまいっております。決して、文部省がわざわざ自分の仕事の領域を狭めておるわけではありませんでして、たとえば、いま先生が御指摘のことをそのまま申し上げますと、道路につきましても、通学用道路と称して、これは文部省がよく建設省と協力をして、児童の通学に支障を来たさないような施策も講じておるということを申し上げましても、いろいろな省庁とやはり連絡をとって仕事を進めていって、初めて文部行政を展開することができる、このように考えておるわけでございまして、当然、学用品の問題につきましても再三通産省に申し入れをしてまいっておりますし、いまお話しのございました標準価格等の問題につきましても、これは文部省だけでかってにきめるわけにはいきませんので、その辺につきましても通産省とよく相談をいたしまして、子供たちの教育の伸展のために、学用品の値上がりによって学力が低下するというようなことのないように、父兄の負担が大きくかさんでいくようなことのないように、できる限りの配慮をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  47. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 学用品行政ですから、その点は主体的に、積極的に行政を強化する方向でひとつ努力をしてもらいたい。  通産省にいろいろ聞いていると時間がないので、要望をしておきます。それから学校給食の物資も、これはいまの物価情勢の中でたいへんだ。国鉄運賃、米価にしてもあれだけ政治的な大きい問題となり、膨大な国家予算の問題もいま据え置きしているのですから、学校給食ぐらいは、義務教育に関係することだし、これは値上げをストップすべきだ。それをまた上げようとしている。最小限このくらいはやらなければ、文部省の政策としてはあまりにも情けない。ストップしなさい。どうですか。
  48. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 学校給食につきましては、いろいろ材料が上がってきております中で父兄に御心配をかけておりますが、カロリーが落ちることのないように、しかも父兄負担があまりかさむことのないように、非常に矛盾をしておるようでございますけれども、十二分に教育行政上配慮するように各教育委員会などに指導をいたしておるわけでございます。ただ学校給食につきましては父兄が負担をしていくというたてまえになっておるわけでございますので、そのたてまえをいますぐに右左するということにつきましては、各方面の御意向をよく聞いて行なわなければいかぬ、こんなふうに考えておりますが、当面は、この物価上昇の中で御父兄にできる限り御迷惑をかけないように最善の配慮をしてまいりたい、そういう気持ちでおるわけでございます。
  49. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 学校給食のいままでの経費が物価の上昇でもって引き上がるということだけは、国の補正予算をしても、あと一年、物価がおさまるまではストップする。国鉄運賃を考え米価を考えて、それくらいのことは強硬に文部省は主張してやるべきだ。おそらく国民も政党も全部支持すると思う。それはおやりなさい。それをやるだけのやはり決意は表明すべきではないか。どうでしょう。
  50. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 あらゆる角度から検討を進めてまいりたいと思っております。
  51. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 文部大臣に強硬に言って、若い政務次官、それぐらいのことひとつ在職中の記念事業で実現するように要望しておきます。  その次に灯油のことで一言聞いておきたいんですが、標準価格をおきめになった、その状況も聞きたいけれども、それはまた時間がかかるから簡明に東北とそれから関西地区との現実の価格の差、そういうものをひとつ発表してもらって、あとこの灯油についての標準価格は今需要期を期間とする標準価格として決定された、これは基本方針があるわけです。いつも東北寒冷地域については三月ごろまでが大体寒冷期と考えて、年によって四月、五月か非常に寒い。ところが、そのために各家庭においては暖房もとらなければならぬのですが、関西水準のために四月ごろになると供給がストップになる。そうして供給不足のためにまた価格が上がるという何回か繰り返しておるものがある。したがって、需要期を期間とする標準は三月で打ち切るような現実に合わぬような考え方ではまた非常な間違いを起こすので、少なくとも四月、五月までを前提として行政のほうで考えなければならぬと思うのですが、その点を通産省のほうから御見解を聞いておきたいと思います。
  52. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  標準価格が設定されます前の段階におきましては、東北地区、関西地区との間の値開きというのは東北地区のほうがやや高い傾向がうかがえまして、いま手元資料を持ち合わせておりませんが、モニター調査によりますと、当時モニター調査では、私の記憶では東北地区は四百四、五十円、これは配達料込みでございますが、そういうような数字かと存じております。従来、灯油につきましては、先生御指摘のとおり、寒冷地におきましては需要期を通じまして値が高い状況が続いてまいっております。ただ標準価格設定後におきましては、私どもの各府県にお願いいたしまして監査の報告を受けておりますものを見ますと、店頭表示等につきましてはおおむね七〇%実施されておりますし、また残るものにつきましては指導に服しておるということでございまして、現在におきましてはほぼ標準価格は実施されている、そういうふうに理解をいたしております。  第二点の、いつまでこの措置を続けるか、こういう問題についてでございますが、私ども、略年十月の初めにこの指導価格といたしまして灯油についての価格規制に入りました際には、当時の元売り価格を凍結をするという措置を実は第一段として講じたわけでございますが、この措置につきましては、今需要期を通じてということで今日まで実はまいっておるわけでございます。確かにその時期が何月までというようなことにつきましては確定はいたしておりませんが、おおむね三月末をめどとはいたしていたわけでございます。これは灯油需給状況、それからまたたとえば東北、北海道地区という他の地域よりも寒い地域についてのこの標準価格の撤廃なり是正をする影響につきましては、具体的な検討を待った上で、どの時期にどういう調整をするかをあらためて検討したいと実は考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういった実態を踏まえて結論を出したいというふうに考えております。
  53. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 最後の、需要期という場合に全国的に三月末という認識は、毎年東北においては一カ月早過ぎるのです。その点を間違いなく、寒冷地の人々に迷惑をかけぬように今度は認識を深めておいてもらいたい。三月末というのはもう東北、北海道は無理なんです。いいですか、それ。いま一度聞いておきたい。
  54. 熊谷善二

    熊谷政府委員 御指摘の点は十分念頭に置きまして今後の対策を考えたいと存じます。
  55. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 それで通産省、けっこうです。  次に、また物価に戻りたいと思うのですが、今度は物価関係を中心にしたいと思うのです。  消費行政について物価対策の中ではいつも軽視をされておるんではないか。いままでの物特の委員会の決議においては、決議そのものについては消費行政の強化が盛んに強調されておる。四十三年四月二十五日の「消費者保護の強化に関する件」、六十三回国会において四十五年には「消費者行政の推進等に関する決議」、その後も消費者行政は必ず触れて決議がされておるわけでありますが、実際問題として決議しっぱなしで、消費者行政の強化というものは非常に軽視をされておるのではないかという感が非常に深いのであります。それについて現在経済企画庁においてこういう決議の線に沿うてどういう対処をしてきたか、それをお聞きしたいと思います。
  56. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 四十三年に消費者保護基本法が制定されまして、それ以後消費者行政というのは、私は先生の御判断とは違いまして、着々と進んでいるように感じております。と申しますのは、確かに本委員会におきましても決議をちょうだいいたしまして、そして私たちの行政の一つのささえといたしまして着々やってまいりました。たとえばいまお出しになりました昭和四十三年四月の決議にかかります地方公共団体の保護に関して、地方公共団体の事務として確定しろというような御決議がございましたが、それにつきましてはさっそくに自治法の一部改正をいたしまして、これを固有事務といたしました。そして地方交付税の中でそれを見ていただけるような体制もとりましたので、地方の行政組織というものも、いまは県段階では完全にその所掌、専管事務を持っておる府県ができました。それから政令都市におきましてもそういうものができました。そして現在の段階では市町村の段階で、これはまだ不十分でございますけれども、着々それを指導している最中でございます。  それからまた同じ時期に御決議がございました消費者利益に関係のあります各種の法令について再検討を行なえということがございまして、これは関係各省あげまして、法令の改正に努力をしてまいったことでございまして、七十一年特別国会で安全三法というものも御決定いただきましたのにも見られますように、一つ一つ、不十分ではございますところもありますけれども、相当に進んだのではないかと考えております。  それから先ほどの学校教育における消費者教育を一そう改善せよという決議もございましたが、これにつきましても、文部省のほうにおきまして副読本を四十九年度につくっていただけるかというようなことも私どもの打ち合わせとしてでき上がっておりますし、それから消費者金融につきまして、消費者保護の立場から早急に調査研究を行なえということにつきましても、消費者保護部会、これは国民生活審議会の中にある部会でございますが、こういうところで政府の統一見解もまとめまして、万全の措置を講じておるというようなことでございます。そのあと消費者の対抗力をもっと強化せよというようなことにつきましても、これは非常に不十分ではございますけれども、何しろこれがボランタリーな団体でございますから、一々口を差しはさむというわけにもまいりませんけれども、消費者情報を提供する、あるいは消費者啓発の事業を援助していくという形で、消費者意識を高揚するということを通じて消費者団体の育成に当たっておるということでございます。確かに御指摘のとおり若い行政でございますので、決して十分とは申せません。むしろ不十分であることは重々承知しておりますが、一生懸命に努力しておる次第でございます。
  57. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 形式的にはいま言ったとおりやっておられるでしょうが、内容的には消費者行政の効力というのは一つも出ていないじゃないか。消費者行政の三つの柱は、情報の提供とそれから消費者の組織化、それから消費者教育だと思うのですが、現在各生産者とか供給者は、小売りから何から全部完全に組織ができておる。そして売り惜しみも買い占めもできる。情報も全部大企業が握っておる。そうして現在の物価の狂乱が出ておるわけだが、それに対する消費者の組織は、わずかに生協があって、ほかは裸の王さまでばらばらである。だから生活防衛のために買いだめをしなければならぬように追い詰められておるわけです。一番大事なものは、ほんとうに消費者行政というのは消費者を組織化してやらなければいかぬのじゃないか。何もしていないじゃないですか。だから全部生産者の支配のもとに消費者がある。消費者を生産者と対等の組織化をしてやって、消費者に選択能力を与えなければ、不正な暴利をむさぼるような店舗、商社に対しては不買同盟ができるくらいの組織化をしてない限りはだめなんだ。それをしなければ、いわゆる統制経済で上から締めていくしかないものだから、危険な道を歩むので、消費者と企業を対等の立場にしてやることが、統制化をしないで、しかも価格が正当に安定するという機能ができるので、そういう着眼が一つもないように思うのですが、どうですか局長、組織化についてどういうことをやっておるのですか。
  58. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 先生のお説、確かにごもっともでございます。消費者が事業者に比べて経済的行為の場において弱いということはほんとうにそうでございまして、われわれとじましても事業者に対してある程度の規制をかける一方、消費者団体の力を育成するということで考えております。  何をしたかということでございますけれども、私どものほうは組織をつくれということを実際にやったことはございませんで、むしろこれはボランタリーなものであるから、先ほど申し上げましたように情報を提供したりあるいは啓発事業というものをやったりすることによって消費者意識を高揚するというようなことに力を入れてまいりました。特に消費者団体と申しますのは、生協のように非常に大きなものもございますし、あの二十三団体のように中央団体を持ちますような非常に大きな団体で力のあるものもございますけれども、非常に多くの部分は、たとえば婦人会でありますとか暮らしの会でありますとかいうような名称を用いましたり、あるいは消費者グループというようなものでございまして、数は非常にたくさんありますけれども力が弱い、そういうものを込めまして、大体現在四千ばかりの団体がございます。現在その会員と称します者が、これはちょっと古い数字でございまして恐縮でございますが、去年の二月ぐらいのあれで三千五百万人ぐらいということでございます。したがって、こういう消費者団体というのは、どちらかというと市町村というランクにおいて活動するものでございますので、現在は市町村に対して、こういうことを消費者団体にして差し上げなさいというような指導をいたしましたり、それは直接でありません、県を通じてやることもありますけれども、そういうことを通じてやっております。それからまた、これも非常に先生のおしかりを受けるところかもしれませんが、生協に対します貸し付け金の増額も、微々ではありましたけれども、少し努力をしておるということでございます。以上のようなことでございます。
  59. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 生協については若干協力しておる程度で、しかも生協というのは地域で非常に圧迫を受けておるのですが、大体企業のほうについては協同組合を小売りから何から全部つくって消費者を支配をしている。この物特で青森、岩手、宮城県をずっと視察したときも、消費者と生産者を並べて座談会をしたときには、消費者のほうは主婦がばらばらといて個人的意見を述べる、生産者のほうは組織ができて、代表の専門家が理路整然とやるから、消費者なんというのはもういつでもひねられている。いわゆる購買の選択の能力と販売を——企業のほうはより利益を多く、高く売りたい、片一方は安く買いたいという、二つの力のバランスがとれて初めて、いろいろな取り締まり法をつくらなくとも、自由経済の中に正当なる価格がきまるのだが、いまは企業保護ばかりでしょう。だから、われわれ法律をつくって、いじめてたたくばかりしかない。これは統制経済の道ですよ。統制経済の道を阻止するのには、消費者の組織をもっとつくってやらなければならぬと痛感をしておるのです。地方の消費行政の県庁の担当課でも組織化については何もやってない。若干の情報提供をしても、ばらばらの個人では何の意味もないのである。各個人が自己防衛のために買いだめに役に立つだけである。その点については、私は消費者行政というものを再検討してやるべきだ。消費行政を地方自治の固有事務にしたために、今度は国の消費行政の主体がなくなっているのじゃないか。経済企画庁の生活局の一課に、すみっこに小さくなって消費者行政課があって、何をしているのだろう。全部地方事務の固有事務であるというので、こういう問題の場合は国の事務として責任のある体制は一つも出ていない。  四十九年度消費者行政関係経費を見ても、全部で五十四億ですが、ほとんどこれは危害の防止とか計量の適正化といって、企業に対する費用なんです。消費者に対する純粋の行政としては、消費者啓発の四億と消費者組織育成が八千万、これだけだと私は思うのです。実態は五億ぐらいである。そこに私は、物特が二回、三回、消費行政の強化を決議していることと比べて、物価を抑制することにおいては委員もあらゆる努力をして、企業に対する責任を追及しておるけれども、消費者の組織については何にも考慮していないと私は思う。その点について再検討すべきものであると思う。  そこで次官に見解を聞いておきたいと思うのですが、国家組織の中にもっと独立をした消費者保護庁をつくるべきではないか。英国に行ってもスウェーデンに行っても、ヨーロッパの国々には消費者責任の大臣があり、あるいは消費行政庁がある。閣議において、対等で意見を述べる責任者がなければ消費者保護はできないのではないか。経済企画庁の局の末端の一消費行政課というようなところで、私は消費者行政はゼロだといってもいいのではないかと思う。  この間大蔵委員会において、中川一郎政務次官は質疑答弁の中で、通産省は企業保護の省ですと、こう言っている。企業の省だ、公の席上で答弁をしている。大体、消費者保護の行政はどこにある。私は理想的にいえば、閣議において、企業保護の大臣に対して消費者保護の大臣が対等で意見を述べて、初めていまのような悪性インフレをつくることのないような行政が成り立つと思うのですが、その意味においては、私はゼロだと思う。何かもう少し角度を変えて政治が動いて、消費行政の責任のある体制をとるべきではないか、次官の御意見を聞いておきたい。
  60. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま先生から消費者行政についての御批判をいただきましたが、私どもも、御指摘の点はごもっともだと思います。国民生活局の中のしかも一課をもってその仕事がやれるかというと、確かにそれでは足りないということは、私どもも十分理解をいたします。  理想は消費者保護大臣が閣議に出て、というお話でもございましたが、私どもとしてそこまで一気にまいるかどうか、いろいろ検討を要するところだと思いますが、私どもの気持ちとしては、経済企画庁全体がいわば消費者保護の立場に立つんだ、こういうことで、今後もいろいろと消費者行政については、さらに格段の努力もしてまいりたいし、この機会にまた従来にも増しての御指導のほどもお願い申し上げたいと思います。
  61. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 そういう検討をお互いにまじめにすべきだと思うので、問題提起をしておきたいと思います。  最後に企画庁長官もいないので、次の機会に発表していただいていいと思うのですが、いまの物価問題において、当面の問題として物価を抑制するということにはあらゆる努力を払っておるのですが、しかし長期的には輸入石油価格がいわゆる三ドル原油から九ドル原油になってき、原価計算の上からいってあらゆる商品に影響をしてくる。どこかで新しい価格体系をつくって安定さすしかないので、押えてもいつかは反動的に次のことを考えなければたいへんな問題が起こる。参議院選挙にあたってどうなるかわからぬというふうな次元の低い政策を前提として論議する人もあるので、私はいまのうちに現在の物価を抑制するあらゆる努力とともに、高価な石油価格を前提として、新しい価値体系が前提として考えられて、そこで安定さすということ以外に政治の解決の道はないんじゃないか。少なくとも、どの程度に新しい価格体系を持っていくんだ、大体何%引き上げの水準の中に新しい価格体系をわれわれは予定するぐらいのことは、一定の時期に発表すべきである。公共料金についても、公共料金の単なる凍結というのは、あとで反動が出ることが明らかなので、公共料金の体系をやはり準備をして対処すべきだという段階に来ているんじゃないか。したがって、この一時的な物価の抑制と同時に、新しい安定さすことを前提とする価格体系を、私は経済企画庁においては責任をもって発表すべきであると思っている。いま大臣もいないので、次官が直ちにここにということはできぬだろうから検討して、そういうことについて物特委員会において御答弁を私は要望しておきたい、そして私の質問を終わります。
  62. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま先生御指摘の、新しい価格体系ということの必要性を私どもも十分認識しておるつもりでございますので、適宜な時期に私どももまた考えを示したいと思います。
  63. 平林剛

    平林委員長 午後二時再開することとし、この際休憩をいたします。    午後零時五十七分休憩      ————◇—————    午後二時四分開議
  64. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 実はきょうは国有財産の払い下げ問題、特に、いまたいへん国民の関心であります土地払い下げについて大蔵省と建設省にお尋ねをしたいと思います。     〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕  御承知のようにいまの物価高の原因の一つに土地投機があると思います。この土地をどうするかということは、この土地問題の解決は非常にいま重要な政治課題になっておるわけでありますが、その中において国が国有財産を払い下げる、特に用地を払い下げる場合のあり方というのがたいへん疑問でありますから、その点を解明さしていただくために実は質問をさしていただくわけであります。  これは大蔵省のほうから資料をいただいて調査をさしていただいたわけでありますが、四十五年度から四十八年度にかけまして相当多額の用地が実は公共団体なりあるいは企業なりあるいは不動産業者に払い下げられておるわけであります。いま大蔵省で集計されておるのは、価格一億円以上の払い下げ面積二千平米以上のものについて集計をされておるわけでありますが、その中で特に問題になりますのは、公共団体を除く不動産に対する払い下げ、並びに不動産を除くその他の民間企業に対する払い下げの問題のあり方であります。調べてみますと、四十五年度から四十八年度にかけまして不動産業者に対しまして総額二十八万一千百十四平米が払い下げられておるわけであります。この点について数字的な間違いがあるかどうか、大蔵省のほうから御返事をいただきたいと思います。
  66. 井上幸夫

    ○井上政府委員 お答えいたします。  先生のただいまおっしゃいました数字は私のほうの資料で御算出になったものと思います。その業種分類が多少異なるかもしれませんけれども、相当部分がいわゆる不動産業者といいますか、民間デベロッパーといわれるところに処分しておることは事実でございます。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで不動産に限定をしてお尋ねをしておきたいのでありますが、昭和四十六年度に横須賀市におきまして東映不動産に対して、三万八千三百九十二平米払い下げられておるわけであります。この売り払い価格は総額において一億九千三百九十三万円、こういう総額になると思いますが、間違いありませんか。また、昭和興成株式会社、同じく横須賀でありますが、一万八千五十三平米、金額にして一億六千八百十七万四千円、間違いありませんか。
  68. 井上幸夫

    ○井上政府委員 お答えいたします。  東映不動産に対する処分は一億九千三百九十三万円、間違いございません。それから、昭和興成に対します処分は一億六千八百十七万四千円であります。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この払い下げ単価は一平米当たり東映不動産は五千五十円、昭和興成株式会社は九千三百円という単価計算になるわけであります。ところが建設省が当時四十六年、この横須賀を中心とした公示価格を行ないました。この売り渡し土地の一番近似値の公示価格は実は三万円ということになっておるわけであります。もちろんこの払い下げた地点に対する公示価格がまだありませんから、言いわけはあるでしょうけれども、この近似点における当時の、四十六年度の公示価格は三万円である。この公示価格よりたいへん低い単価で実は払い下げられておるわけであります。こうしたあり方について一体建設省はこういった大蔵省の国有財産払い下げに対して、事前に公示価格等についての照会があるのかどうか、払い下げ価格について妥当かどうかという建設省との合い議があるのかどうか、その点ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  70. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 まず最初に大蔵省からの払い下げに際しての協議というものはございません。  それからもう一つ、その土地はまだ宅地でございませんので、近傍の宅地価格につきまして、標準地点が、いまおっしゃいました三万円というのが出ておりますが、これは宅地について公示価格をやっておりまして、農地、山林等につきましては公示価格をやっておりません。農地についてはやっておりませんので、そういう公示価格についてちょっと比較ができにくいかもしれませんが、きわめて近似のところにあれば、それをもとにして推計は成り立つものと考えますので、大蔵省におきましてはそれらを参考になさったと思いますけれども、そこのところは、私からはちょっといま申し上げることができません。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、いまあなたが言われるそういう御答弁になるだろうと思いますから、その他の四十六年度の払い下げについてお尋ねをしておきたいと思うのです。  それは京浜急行であります。これは横浜市の戸塚でありますが、里道、畦畔という特異なケースでありますが、ここに国有用地を、数量にして一万六千五百三十五平米払い下げられております。その総額は、一億五十三万五千円であります。単価は一平米当たり六千円ということで払い下げておるわけであります。これの近似地公示価格を調べてみますと、当時で三万二千五百円であります。ところが、この京浜急行は、国から用地を取得いたしましたものも含めて宅地造成を行なったわけでありますが、その分譲価格は、一平米当たり二万九千円で国民に払い下げられておるわけであります。もう一つ京浜急行が四十七年度に同じく横浜市の港南区で宅地造成を行なったのですが、その当時大蔵省に要請をいたしまして、同じように六万三十六平米の里道、畦畔の払い下げを受けております。     〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕 その売り払い価格は、四億三千五百八十六万六千円であります。一平米当たりの単価は七千三百円ということになっております。ところが、これを造成を終わって、いま国民に分譲されておるのでありますが、その分譲単価は五万二千円という高額であります。このように、政府が取得して持っておる用地を不動産会社に払い下げ、その払い下げを受けた用地が、逆に不動産業界に利益を与えておる。近似における公示価格以上の価格で買わされ、しかも、この京浜急行の横浜市港南区のごときは、公示価格が三万六千円であります。これは造成されたのですから、公示価格があるわけですが、それが三万六千円であるにかかわらず、五万二千円で公示価格より以上に実は売られておる。しかも、その売られた土地の中には国有財産がある、国民の財産がある。一体、国有財産払い下げ、特に不動産会社に対して払い下げるという国のあり方、こういう問題について皆さん方自身反省なさるお気持ちはないのか。承っておると、いや、国有財産の払い下げその他についての財務的な処理においては何ら不都合はないのだ、当然だ、こういう言い方でありますが、現実的にこういう安く国有地が払い下げられ、しかも高く国民が買わされるというような矛盾した国有財産の払い下げについて、一体大蔵省当局は改めるお気持ちがあるのかないのか。また建設省側は、こういったばかげた国有財産の払い下げのあり方について、それでなくても宅地造成問題でいろんな問題がある、それでなくても用地確保に非常に困難を来たしておるというにもかかわらず、こういったことが現実に四十八年度においてもすでにされておるわけですね。四十五年から四十八年にかけてしか私は限度を置いて言っておりませんけれども、これからも起こる可能性がある。大蔵省と建設省で、具体的にこういう問題について話し合われたことはなかったと私は思います。こういうあり方について、一体大蔵省は改める気持ちがあるのかどうか。国民はこの点については非常に疑義を持っておると私は思う。  同時に、建設省側についても、デベロッパーに対しては、土地保有状況を調べて国のほうに対して宅地造成地を供出せよということで、調整区域ですが供出させておるのですが、現実的には、国にそういう用地が現存しておる。そういうものに対して何ら合い議もなければ合議もない。こういうことでは国の姿勢として土地問題に真剣に取り組む態度があるのかどうか、非常に疑問があると思うのです。  その点をひとつ大蔵省、それに建設省から具体的にお答えいただきたいと思います。
  72. 井上幸夫

    ○井上政府委員 四十七年の十月にいわゆる国有財産審議会の答申をいただきました。私どものほうでそれを有効利用答申といっておりますけれども、その眼目は、国有地というのは、都市計画にかかわるものを除いては、公用、公共用中心で処分すべきであるという答申であります。それを受けまして、四十八年度から国有地の処分は原則的には公用、公共用に充てるという方針で実行してまいっております。ただ、ただいま御指摘いただきましたような里道、畦畔というケースは、いわば非常に特殊なケースでありまして、よく先生御承知のことでありますけれども、管理主体が現在のところでは都道府県知事ということになっております。そこで、大規模な宅地開発が行なわれましたときに、私のほうの対応の姿勢がかなりおくれるというのは事実でありまして、そういう改善策につきまして、所管大臣でございます建設省と十分協議を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  73. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 二点ございますが、一つは、そういう里道、畦畔という法定外の公共施設を管理しております大臣といたしまして、七千平米以下は知事に委任しておりますけれども、その公共施設を用途廃止する、そして大蔵に引き継ぐわけでございますが、そのときに、そういった里道、畦畔のうちで公共用に使えるものは交換その他の方法をとっておりますけれども、そのほかは廃止して引き継いでおるのでございます。いま御説のように、その際に、こういうところが相当の面積になるならば、これを他の住宅用地あるいは公園その他に使えるところがあれば何らかの条件をつけるべきではないかという点については、今後十分検討いたしまして大蔵省と協議いたしたいと考えております。  それからもう一つは、公示価格におきましては、官庁あるいは民間につきましても、買うときには公示価格を基準としろということを地価公示法の中においても規定しているところでありまして、そういう指導はしております。売価が公示価格を越えて売るということにつきましても、行政指導といたしまして、できるだけ公示価格を見ながら、やはり二七%というような利潤率の範囲内で売るような指導を続けておるところでございます。
  74. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 指導を続けておる、通達があるといま言われましたが、四十八年度に大林不動産に、横浜市戸塚区上郷町字亀井、ここに、やはり里道、畦畔でありますが、数量にして三万百六十五平米という大きなものを払い下げております。価格にして総額二億五百二十九万六千円であります。単価にして六千八百円。いまここは大林不動産によって分譲住宅地に造成中であります。ところが、ここの昭和四十八年度の公示価格は四万六千五百円であります。六千八百円で払い下げられた用地を、逆に今度造成して買うときには公示価格ですら四万六千五百円であります。これに用地利潤等、造成費等の大蔵省試算による利潤七%の基準を設けていっても、公示価格で売ってももうけは大きいわけでしょう。それを先ほどのように、公示価格以上に分譲するわけですから……。これは大蔵省が通達を出したあと払い下げたものですよ。しかも面積が小さいものじゃない。里道、畦畔だけれども、一カ所に集中的に集まると、三万百六十五平米もある。これを事前に公園なりあるいはその他の公共敷地に確保することは、実際的に可能なんだ。ただ里道、畦畔というものがばく然としておって、建設省に把握されておらない。しかし大蔵省のほうでは、ちゃんと台帳にどれくらいというものは、各財務局に管理されておるわけでしょう。そういう面をはっきりせずに、ただ造成してしっぱなし、それから払い下げた不動産もやりっぱなしというようなことをやられては、まことに国有財産というものに対しての締めくくりがつかない。逆に、国のほうが困っている。国の財産を売って、国が緑地保全とかその他で困っているのでしょう。用地確保に困っているのでしょう。こういうばかげたことが依然として行なわれておるところに、土地問題が解決できない基本があると私は思うのですよ。大蔵省もさっき言われた、通達を出したからと言うけれども、実際的に行なわれておるのだから、通達を出したって、通達を出した本人がこういうことをやっているのだから何にもならないじゃないですか。これからも里道、畦畔といえども、あるいは先ほど言った四十六年の東映不動産とか昭和興成株式会社、これは里道、畦畔じゃありません。そのものずばりの土地であります。しかし、これからは里道、畦畔といえども、まとまってこれだけの大きな面積になる部分については、ある程度事前に確保する。ある程度事前に、建設省なり大蔵省と合い議をして確保する。そういった施策を講じないと、用地難というものはますます高じていくのじゃないですか。せっかくあるものまで放棄するのだから……。その点のルールの確立について、大蔵大臣も建設大臣も来ておられないこの物特の委員会ですからあなた方が専門家なんだからね、大臣より以上に。実際にこれからほんとうにこういうものについて是正する意思があるのかないのか。その点を明確にしていただきたいと思います。
  75. 井上幸夫

    ○井上政府委員 大規模デベロッパーの開発します地域の中に介在いたします里道、畦畔の取り扱いにつきましては、これは開発許可の段階で把握すれば、おっしゃるように、国有地をまとめてどこかにかためて温存しておく手段があり得るはずでございますので、ただいまの現状ではそういう把握がおくれておることは、先ほど申し上げましたとおりでありますけれども、建設省と十分協議いたしまして、事前段階で把握して、しかるべき措置を講じたい、かように考えております。
  76. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そんなことをここでとやかく申し上げてもしかたありませんが、いずれにしても、この大林不動産以降——これは四十八年度の現在までに、大林不動産に払い下げておる、これ以降の払い下げについては、絶対に二度と、私の質問がこれでないように、いま大蔵省のほうから責任者が言われたのですから、ぜひ建設省もそういうことで積極的にやっていただきたいと思います。  次に、実はこれは終戦直後、日本産業育成という立場から、産業資本に対してきわめて安く国有地が貸し与えられておるのです。長い間、国有地を企業に貸しておるわけです。ところがある一定の段階に来たら、その借りておった企業にその土地を払い下げるというシステムが大蔵省でとられておるのです。一、二の例を申し上げますと、四十八年度に広島県の安芸郡にあります三菱重工の輸送用機器製造業に対して、いままで国が国有地を三菱重工に貸しておった、その土地を払い下げておるのですね。この三菱重工の資本は一千五十二億六千万円という巨大な企業であります。ところが四十八年度に払い下げられるまでの賃貸契約は幾らかというのを、実は大蔵省の財務局のほうを調べてみたら、何と一平米当たり三十九円であります。一千五十二億という資本に対して、四十八年度まで、払い下げるその直前まで一年間一平米たった三十九円で国有地を貸しておるのですよ。こういうばかげたことが現実にまかり通っておるのだ。あるいは日産自動車についても神奈川県の横浜市の神奈川区宝町の輸送用機器製造業——日産自動車というと、五千三百十八億四千二百万円という資本の会社です。それに一平米当たり幾らで貸しておるかという賃貸契約を調べたら、一年間一平米当たりたった五百四円でありますよ。こんなに安い土地があるなら国民が借りたいですよ、逆に言うと、率直に言うと。何でこういうことがなされておるのですか。しかもこれを聞いてみたら、大蔵省事務当局は何と言ったかと言うと、いや、これは従来からの、戦後一貫してきた財産の賃貸契約条項から比べたら一つもおかしくなのです、こういう御返事なんですね。しかし実際、こんなことは改めなければいかぬのだ。国会で指摘される前に、こういったことは、とっくに改めておかなければならない。土地の価格に三十九円なんという価格がいまどこにありますか。しかもその三十九円は、大企業が借りておるのでしょう。こういうばかげたことが、依然として法体系の中でいまでも行なわれるのですよ。その他たくさん、四十五年度のものもあります。四十五年度に払い下げた信光社の一平方メートル当たり四十五年度までの賃貸はたった十八円ですよ。たばこ一個分にも当たらない土地を借りておる、十八円で。しかも年間ですよ。こういうことが現実にあるのだよ。しかも大蔵省は、私が指摘したより以上に、たくさんの国有地を企業に貸しておる。その国有地をどの企業に、幾らの賃貸契約で貸しておるというやつが、ここですぐ集計できますか、大蔵省は。できないでしょう。できないという御返事だった。ですから、私はできておらないと思うのですが、担当官のほうから、それがいますぐ出せるのか出せないのか、把握されておるのか把握されておらないのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  77. 井上幸夫

    ○井上政府委員 国有地の貸し付け総件数は、たしか三万六千ぐらいの件数があったかと思います。財務局長に委任して仕事をしておりますので、現在、本省では集計した台帳は持っておりません。
  78. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ここに大蔵大臣もそれから建設大臣もおられぬのが残念ですけれども、大蔵省が主管しておる事項でありながら、各地方財務局でなければわからぬ。どこの企業に幾らでどの土地を貸しておるかということがさっぱりわからない。私は、この中でこれこれのやつを幾らで貸しておったか教えてくださいと言ったら、大蔵省の方は、確かにお金を扱うから正直ですよ、いや実はいまこれこれの集計しか来ておりませんので、あとは先生、財務局のほうから取り寄せ中ですから、かんべんしてくださいということだから、ないものは幾ら追及してもしかたがないのですが、私は、この際、委員長に要望しておきます。  三万何千件ですね、それが一体だれに幾らでいま賃貸されておるのかを、この際、早急に大蔵省のほうでまとめていただいて、この物特の委員会にそのものを提出していただきたいと思うのです。その点は、私、非常に大切なことだと思うのです。
  79. 井上幸夫

    ○井上政府委員 その三万六千件の相当部分がいわゆる物納財産でございます。非常にこまかいものの積み重ねでございまして、貸し付け主体別の統計をただいま持っておりませんので、その資料を作成するのには、相当の時間がかかることをお許しをいただきたいと思います。
  80. 平林剛

    平林委員長 松浦君、ちょっと待ってください。  いまの要求ですが、三万六千件というのは、いわゆる物納の個人のこまかいやつも含めての話だ。しかし、いま問題として指摘をされておるのは、大きな産業その他に貸してあるという、いわゆる大口のやつでありますから、それを集約するというのは、そんなに相当の時間がかかるはずがない。これはどうですか。
  81. 井上幸夫

    ○井上政府委員 規模その他で、ある一定の線を引きまして、それ以上のものを集めるということでございますと、かなり早く仕事はできるかと思います。
  82. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは二千平米以上の貸し付けについての賃貸契約を企業別、その賃貸価格、これを提示していただきたいと思います。
  83. 井上幸夫

    ○井上政府委員 若干の作業時間をかしていただければ提出できると思います。
  84. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間があと五分くらいしかないので、さらにお尋ねをいたしますが、そういうふうに実は安く企業に貸し与えておるのです。これからもおそらくまた払い下げという問題が、貸しておる企業にその土地を払い下げるというケースが出てくると思うのです。  それで、先ほど言った、巨大な三菱重工に一体それではその土地を幾らで払い下げておるのか。三十九円で一年間貸しておった土地ですよ。この三菱重工広島が国から借りておった面積は二万五千百四十六平米であります。これで払い下げた金額は六億三千八百二十三万円であります。一平米当たり二万五千六百円であります。その数字に間違いないでしょう。
  85. 井上幸夫

    ○井上政府委員 三菱重工に処分いたしました地積は二万五千百四十六平米、契約価格四億九千五百九十六万一千円でございます。
  86. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま四億——三菱重工でしょう、六億三千八百二十三万円じゃありませんか。四億ですか。これはおたくの資料から私は拾って言ったのですよ。
  87. 井上幸夫

    ○井上政府委員 失礼いたしました。四億九千五百万は土地だけでございまして、上に建物が乗っておりましたので、建物を入れますとおっしゃる数字になると思います。
  88. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ですから、その建物も含めて二万五千六百円で売られておるわけです。ところが、実際にその周辺の地価は幾らだというふうにそのときに思われましたか、そのときにその周辺の地価は。  さらにもっと具体的にお尋ねしますと、平場ですね、平地の場合は上物が建っておるときよりも高いわけですね。で、上物が建っておる場合には大体平地の六割引きくらいで売るのですよ。地価評価というのはですね。ですから、三菱重工が借りた土地に三菱重工の建物が建っておるのです。そのためにその地価の評価額というのは低いのですよ。これが安く払い下げられておる。周辺の地域は十万円をこえるのですね。それが二万五千六百円で売られる。  あるいは日本精線株式会社、これは東京都北区堀船二−三四−一〇でありますが、ここに、四十八年度にいままで年間二百八十八円で貸しておった土地を五千九十八平米、三億三千十六万六千円で売っておられます。その単価が六万四千七百円という計算になるわけでありますが、そこの公示価格は七万三千円であります。この四十八年度の公示価格七万三千円に対して、上物が乗っておるというそのことだけで六万四千七百円で、安く土地を借りておった人に安くその土地が払い下げられておる。しかも、その土地は逆に資産として再評価されて、銀行から融資を受ける。いままでは国の賃貸でありますから、この土地を担保にして銀行から金を借りることはできなかった。払い下げを受けた瞬間にそれは信用価値を高めて、その土地を担保にしてまた銀行が融資をするという、そういう矛盾したことを大蔵省はやっておるわけなんだ。金持ちにはもうますます金を与えるように融資するような方法がとられておるのですよ。こういうあり方で一体大蔵省の国有財産管理あるいは国有財産の払い下げ、こういったものに対して国民が信用すると思いますか、こういうやり方をしておって。いままでの産業優先の政治というのが、国の土地を貸与するという場合に、国の土地を払い下げるという場合に、実はやはり現実にとられてきておる。そういうルールが、法律ではないが大蔵省の内規規定で依然として続けられておるのですよ、これは。幾らわれわれ国会の中で、福祉国家だ、福祉転換だと政府が言ってみても、肝心かなめの国有財産の処分その他については、依然として産業優先のものが残されておるということになれば、これは私はたいへんな問題だと思うのですね。こういう問題のあり方について抜本的にメスを入れる、そして、いままで、四十八年度に三菱重工に貸与して払い下げた、今日までに払い下げた、その以降のものについては、貸与しておるものも含めて一ぺん検討を加える、そのために払い下げを一時中止する、そういう思い切った措置をとって、抜本的な体系の、法規の見直しをしなければ、私は国民は納得しないと思うのですね。その点について理財局のほうからひとつ明快にお答えをいただきたい。
  89. 井上幸夫

    ○井上政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいまの私どもの仕事の基本的な方針は、未利用国有地を処分する場合には、公用、公共用中心に考えるということでやってまいっておりますので、すでに方針転換がなされておるというふうに私どもとしては申し上げたいわけであります。
  90. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま私が言っておるのは未利用地ではないのですよ。もう利用されておる土地ですよ。三菱重工という会社に貸しておる土地を三菱重工に払い下げたのですよ。だから私は、先ほど四十七年度の通達はこれは未利用地なのだ、国が持っておる未利用地の払い下げについては四十七年に通達を出しておる、通達を出しておるけれども、先ほど言ったように、四十八年度に現実に大林不動産に、通達を出したあとにも払い下げられておるのだよ。だから、先ほどあなたは、これについてはこれから払い下げずに建設省と合い議して見直しますと、こう言われた。いま私があなたに質問しておるのは、賃貸契約をしておる土地を相手側に払い下げるということについてはもうこれ以上はストップをしなさい。そうして、その払い下げ価格その他については、具体的にもう一ぺん法規を洗い直して検討を加えたらどうかという提案をしておるのですよ。この問題について何かやったですか。未利用地ではない、利用されておる土地ですよ。
  91. 井上幸夫

    ○井上政府委員 現在すでに貸し付けられておりまして、一種の権利の発生しているものにつきましては、これは私どものほうの管理の問題もございますので、処分を進める場合はあり得ると思います。ただし、いかなる場合におきましても、処分をいたします場合には、私どもとしては正当な評価をいたしておりますので、おっしゃるような問題は私はあり得ないと考えております。
  92. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 あなたの言っていることは、舌を出しておるから、うそを言っておるのか。舌を出しておる意味がわからないのだけれども。舌を出して答弁するということは、国民に向かってあかんべえしておるということなんだな。あなたの言っていることは、一つも知っちゃいねえんだ、おれはわが道を行くという意味でしょう。これはあなたのくせだろうと思うけれどもね。まあそれはそれでいいですよ。しかし問題は、私が言っておるのは、もう一ぺん言いますよ、三菱重工広島のようなところに、一千五十二億六千万円という膨大な資本金を持つ企業に対して、いままで長い間一平米当たり三十九円で貸しておいて、しかもいまの段階になって、これを突然相手側の要求に従って払い下げする、その払い下げする価格というのは、きわめて安い価格でまた払い下げされる。そういうあり方を抜本的に改めなさい。払い下げてはいかぬということを言っているのじゃない。ですから、そういう大蔵省内規を整備するために、この以降の払い下げについては一応一ぺんとめておいて、そしてこれから払い下げるものについてはどうあるべきかという基本的な、内規なり法規の整備をしたらどうかという提案をあなたにしておるのですよ。これでもやっぱりあかんべえかね。
  93. 井上幸夫

    ○井上政府委員 私どもが処分をいたします場合には、評価は当然私ども自身でもいたしますし、公示価格、売買実例その他も参考にいたします。場合によりまして、大きなものになりますと、当然民間の学識経験者に鑑定評価を依頼する。それらを総合勘案いたしまして、処分価格をきめるということにいたしております。  ただ、問題の貸し付け中のものにつきましては、ただいま御引用になりましたケースは、たしか昭和二十六年度から貸しておるという、二十数年継続して貸し付けているようなものでございまして、そういう場合には一般の商取引慣行に従いまして、いわゆる借地権の減算というのをいたしております。それで、計算上といいますか、表に出る上での処分価格の坪当たり単価が下がっていくということであろうかと思います。
  94. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それはだからいままでの法規なんだ。いいですか。いままでは産業優先だったからこそ、国有地を三十九円という安い価格で与えてきたのですよ。本来ならば、その賃貸料そのものをもっと高くさかのぼって計算し直さなければいかぬですよ、三十九円なんというのは。年間三十九円ですよ。しかも、その三十九円で借りておった人に、あなたは二十年間借りておったからといって、安い価格で払い下げるのですか。事務的には確かに正しいのです。事務的には正しいけれども、国民感情としてそれを許しますか。国民がそのことを許しますか。確かにあなたがやっておる事務処理上は間違っておらない、内規、法規はそうなんだから。そのことは私は否定しておらない。しかし、そういうあり方が今後も続いていくとすれば、国民感情がそのことを許さないでしょう。二十七年安く借りておった人が、借りておったがゆえにまた安く払い下げを受ける。二重にも三重にも得をするという。片一方の国民はたいへんな犠牲でしょう。そういう問題について、もう一ぺんあらためて見直す気がないのかという提案に対して、あなたは、それでは、積極的にそういう事実はやりません、そういうことはない、こういうふうに言っておられると理解していいですか。もう見直しません、当然だ、したがって、これからもそういうように払い下げをしていきます、こういうふうに理解していいですか。
  95. 井上幸夫

    ○井上政府委員 国の行政でございますので、絶対にこれ、数十年ものごとの考え方が動かないということはあり得ないのは当然だと思います。ただし、本件のように、すでに普通財産の処分というのは、先ほど申しましたように、一般商慣習に従う、判例その他もすべてそういうことで、これは私法上の問題であるということになっておりますので、商慣習に従ってすでに賃借権の主張の成立するようなものについては、それ相当の評価をしたということであろうかと思います。
  96. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 どうもかみ合わないのだけれどもね。いままで払い下げたやつはもういいのですよ。それを追徴しようとかなんとかという意図じゃない。これから払い下げる分についてどうか、こう聞いておる、もっと具体的に言うと。それもだめなのか、いままでどおりにやるつもりですか。いままでどおりにやるつもりなら、ここに大蔵大臣の出席を求めなきゃいかぬ。どうですか。
  97. 井上幸夫

    ○井上政府委員 すでに賃貸借関係ができ上がっておるものにつきまして、しかも、それが数十年の間そういうものが続いているものにつきまして、一切処分しないというのは、私はちょっと立場として申し上げかねるわけでございます。
  98. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 よく聞いておきなさいよ。払い下げていかぬということを言っておるのじゃないんだよ。そういう内規、法規を改めるまで一応払い下げをとめておったらどうかと言っておるのですよ。その間に全部見直したらどうか、こう言っておるのですよ。払い下げていけないということは一つも言っておらぬでしょう。何ですか。もっとはっきりしなさい。
  99. 平林剛

    平林委員長 ちょっと井上理財局次長に言うけれども、いま松浦委員から指摘をされている、年間で一平米三十九円というものを、商慣習でこれはあたりまえだという考え方でいるのかね。そこら辺もあわせてひとつあなたの返事をしてください。
  100. 井上幸夫

    ○井上政府委員 国有地を民間に賃貸いたします場合の賃貸料の計算方式は、地代家賃統制令の適用のあるものにつきましては、地代家賃統制令で貸しております。地代家賃統制令の適用のないケースにつきましては、相続税評価額を基礎といたしまして、それに一定率をかけて算出をするということで、全国一律に同じ取り扱いでやっております。ただし、その場合、常に周辺の賃貸実例をチェックしながら仕事をしておるというのが現在の実態でございます。
  101. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 だから、そういうことが国有地もイコールで行なわれるのは問題がある。だから、そういうものについて、戦後一貫してとられてきておる、そういう内容を改めるために、もう一ぺん見直したらどうか、検討したらどうか、こういって提案しているのですよ。では、あなたは、いや絶対やらぬ、いままでどうりと、こう言うのですか。それだけでいいです。もうこっちはのどがかれるですわ。
  102. 井上幸夫

    ○井上政府委員 先ほど舌足らずでございましたので補足いたしますけれども、相続税の評価は毎年なされておりますので、私どものほうでは、それを事務的に三年おきに再評価をいたして、それに料率をかけております。ただし、先ほど申し上げましたように、絶対これで数十年動かないということではない、こういうものにつきましては、ものごとがそういうことだと思いますので、私どものほうでは、別途ただいま賃貸料計算方式の改定の準備中でございます。
  103. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 賃貸契約の改定というのは、三年見直しで変えていくわけですよね。三年ずっと見直してやっていって、四十八年度に一平米当たり三菱重工に対しては三十九円だった。しかも、国有地なんだから、そういうやり方についてはやはり検討を加えたほうがいいでしょう。これはあなたとここで言い比べをしたってかみ合わないから、もうこれ以上議論はしませんけれどもね。この問題については、もう時間がなくなりましたから、もうこれ以上いたしません。  しかし、先ほど言った現在二千平米以上貸し与えておる企業とその賃貸料について、これがこの特別委員会に出されたときにあらためてこの問題は議論をしていただきたいと思います。  その前に、政務次官、あなたは物価の政務次官だから、土地にも関係があるわけだから、いま私と大蔵省の理財局次長との間のやりとりを聞いておられたと思うのです。矛循を感じない国民はだれもおらぬと思うのですよ。やはりこれは政府部内においても、一ぺんこうした国有財産の賃貸しておるものの払い下げ、あるいは未利用地の払い下げについては、先ほど結論が出ましたが、政務次官として、もう一ぺん政府として洗い直してみる必要があると思います。その点について、ひとつ政府の立場で政務次官からお答えいただきたいと思います。
  104. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 先生御指摘のケースについては、私は、具体的な事実をつまびらかにしませんので、その点はコメントをいたしがたいのでありますが、議論を伺っておりまして、たとえば二十九円ですか、三十九円ですか、いかにも安い価格だなあという感じがいたしますし、また、今日の国民感情から考えてみても、それは何か問題があるのじゃないかというような気がいたしますので、御指摘の点については十分検討さしていただきたいと思います。
  105. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、本日は結論が出ませんから、問題の提起だけにとどめて、後刻資料が出たときにあらためて討論さしていただきたいと思います。
  106. 平林剛

  107. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、プロパンガスの標準価格の問題について非常に疑義が多いので、この問題についてこれからただしてまいりたいと思います。  まず、森下政務次官にお伺いをいたしますが、プロパンガスにつきましては標準価格千三百円というふうにきめられたわけでございますけれども、これはいわゆる十キロ入りボンベ、そしてその中にはボンベの賃貸料あるいは計量器の賃貸料あるいはまた配達料が込みになっておる、こういうような通達が出されておるわけでございます。その重量売り、それからまた普通リットル売りといっておるようでございますが、容量売り、ここにも大きな問題が存在するように思います。さらにまた、この容量売りの場合、温度によって産気率が大幅に変化をいたしますので、それによって当然値段は変わってくるものと私は思っております。  さらにまた、プロパンガスには、家庭用プロパンというのはイ号、ロ号、ハ号という三つがある。こういった問題は発表されませんでしたが、私も調べるまではよくわからなかった。おそらく各家庭においてもおわかりになっていないであろうと思います。と申しますのは、ここにプロパンガスの販売の領収書がありますが、ここにはイ号、ロ号、ハ号の識別をするように法律では定められているにもかかわらず、ほとんどの家庭ではこのイ号、ロ号、ハ号の選別については存知しておらない、こういうような状況もあるわけでございます。  そういういろいろなケースが含まれているのにもかかわらず一律に千三百円、十キロ入りボンベ千三百円、こういうふうに標準価格を定められたことについて私はたいへんに疑義を持つわけでございますけれども通産省といたしましては、この十キロ入りボンベ千三百円の標準価格はきわめて妥当な価格であると思っていらっしゃるのかどうか、まず森下政務次官並びに物価局長にこの問題についてお伺いをするわけであります。
  108. 森下元晴

    森下政府委員 LPガスの価格につきましては、いま先生おっしゃいましたように三通りの価格がございましてわずらわしくなっておる事実もございます。設定当時から全国的に陳情、苦情がございました。その価格の単位にいたしましても(石田(幸)委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)リットル、いわゆる容積、それからグラム、それから立米、大体三通りになっておりまして、いま先生御指摘のように、いわゆるメーターをつける場合の産気率で千三百円になったり、また千六百円になったり、また千三百円以下になる。非常に内容的な、プロパンが多いとかまたブタンが多いとかによって換算率、いわゆる産気率が変わります。それと温度差によってかなりの変化もございます。この具体的な内容につきましては、それぞれ担当官も参っておりますので御説明させますけれども、わずらわしくなっておることは事実でございます。現在このメーターをつけて、いわゆる立方メートルではかっておるのが約五九%ぐらいです。だんだんこれはふえる傾向にございます。その点はっきり、絶対正しいとかまた絶対間違いないとか言い切れない点もあることは私自身も承知をしておりまして、できるだけ実情に合うように、温度差の問題とか成分の問題等で御迷惑をかけないように指導をしていきたい、このように思っております。
  109. 小島英敏

    ○小島政府委員 ただいま通産政務次官がお答えになったとおりでございまして、LPGといいますのは去年の十一月の末だったと思いますけれども、非常にどんどんどんどん便乗的な値上げが起きて、このまま放置することははなはだまずいということで行政指導価格として現在の水準が設定され、その後本年に入りましてから法律の施行に伴いまして標準価格に移行したわけでございまして、いろいろまた輸入価格の動きとか不確定要素もございましたし、それからいまお話出ておりますような産気率の問題等々、かなり通産省の通達ではこまかく、地方に詳細な内容の通達が出て現地の指導に遺漏なきを期しておるはずでございますけれども、標準価格一般的にやはり、いつかも申しましたように、非常に精密な原価計算に基づいてやられているものでは必ずしもございません。データ不十分な点もございますし、そういう意味で全体的にやはり試行錯誤的な面もございますので、今後実際の動きを見守ってより合理的な方向に必要があれば修正していくということは私どもも必要だと考えております。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、いまそういった複雑なプロパンについて標準価格を千三百円ときめたのはきわめて乱暴な措置であったというふうにしか感じられないのでございますが、その問題について順次、どういう状況であるかをただしてまいりたいと思います。  まず一本売りの場合、これは重量売りでございます。ここにもイ号とロ号との区別があるわけでございますけれども、私が実際にプロパンガスの小売り店を回りまして調べて歩いたんでございますが、いわゆる現在イ号といわれるのは、ブタン等の混入率が二〇%以下ということになっております。実際には九十数%のプロパンが売られているケースがきわめて多いのでございますけれども、そういうかなり純度の高いプロパンでございましても、全部これがガスとして燃焼をするというような状況ではない。たとえば冬場においては、われわれが調べた業者の言い分によりますれば、寒い時期においては約〇・五キロぐらい、全体の一〇%ぐらいは残ガスが残るのはどうしようもない、こういうことを言っておるわけでございます。容量売りに比べましてそのように——容量売りの場合は残ガスがあっても、減った分だけお金を払えばいいわけでございますけれども、一本売りの場合は一〇%残ガスが残るとすれば、当然これは標準価格から比べて一割安というようなことにならざるを得ないわけでありますけれども、この点については何らの指導も行なわれていないようでございますね。一体、夏場と冬場の違い、こういう問題をどういうふうに換算して一律に千三百円というふうにおきめになったのでございますか。政務次官にお伺いします。
  111. 森下元晴

    森下政府委員 夏場と冬場の違い、また残存分が残るということを考慮して価格を正確にきめたかどうかという御質問でございます。その点は、私といたしましては、残滓量が画一的に同じような率で残るかどうかとか、また温度差によってどの程度の、たとえば十キログラムが産気率で五立方メートルに当たるのか、また四・五に当たるのか、それぞれの地域によって、また混合ガスの組成によって違います。それを縦横斜めに使われて理論的に、科学的に千三百円がすべて合致しておるということは言い切れないと思いますけれども、当時の実勢価格とかまた通産省が全国五百十名の消費者モニターの方々から徴したデータ、そういうものも参考にいたしまして、このまま放置すればまだまだ上がるかもわからないというような時点できめたものですから、そこまで先生おっしゃるように詳細であったとは言い切れないと私も認めております。それを今後いかに実情に合ったような方向にきめていくか、これは現在も努力中でございます。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、プロパンガスの実勢云々をいま問題にしているんじゃないのであって、実勢価格が千四百円になれば千四百円なりの問題が出てくるわけなのでございまして、先ほども申し上げましたように、冬場においては約〇・五キロ、一〇%残ガスが残るのが普通だと業者が言っていらっしゃるわけです。容量売りに比べまして、それでは一本売りの方は一本について一〇%ずつ高いものを買わされているということになりませんか。この点はお認めになりますか。
  113. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  残ガスが残った場合には、その残ガスについては値下げをその分だけについてはすべきだということで指導いたしております。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その指導がどこまで徹底していらっしゃるか、私、実際に小売り店回って見て歩いておるわけです。聞いて歩いておるわけです。そういうようなことは関係なく売られている。いわゆる一本売りを買っている人はずっと一本売りを買っておるのでございまして、そこにメーター売りでなければならないんだ、メーター売りのほうにしなさいと業界には指導していらっしゃるけれども、消費者はそういうことは関係なく買っていらっしゃるのです。先ほども政務次官がお答えになりましたように、全体の五九%が容量売りであるということでございますから、いわゆる重量売りは四一%というような計算、約四割の方は、全販売量の四割は重量売りで売られておるわけでございますから、普通なら十キロ入りを月二本ないし三本買うわけでございますから、その消費者個人は月に二百六十円から三百九十円、いわゆる容量売りで買っている人たちよりも高く払わされているという事実があるじゃありませんか。これはお認めになりませんか。いかがですか。
  115. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  十キログラムという形で標準価格をきめましたのは、一般小口家庭用の場合が重量十キログラムでの購入が多いという前提に立ちまして行なったわけでございます。通常メーター取りつけをしまして売りますのは五十キロボンベ以上のものにケースが多いという実態がございますものですから、むしろ一般消費者の方がわかりやすいということで十キログラム当たりで千三百円の価格をきめたわけでございます。  ただいま残ガスが残る問題につきましては、私どもといたしましては今後さらに残ガスについての値下げにつきましては指導を徹底いたしたい、かように存じております。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 お認めになったからけっこうでございますが、いま、しかし石油部長さんメーターがついているのは五十キロぐらいのものが多いのだとおっしゃいますけれども、それも実態と違いますね。私が参りましたある都市の小売り業者につきましては、この方はロ号を売っていらっしゃる。ロ号を売っていらっしゃるけれども、これについては全部メーター売りで売っていらっしゃる。いわゆる十キロボンベ、二十キロボンベが主体でございます。まあそれは実情を少しお調べになっていただきたいと思うのでございますが、そういうふうに容量売り、重量売りというその差を換算をいたしてみますれば、私が通産省から報告をいただいた状態のときには、いわゆる容量売りと重量売りは約半分である、半々である、こういうふうにお話がございました。三月を例にとりますれば、販売量は四万五千トン、二十キロボンベに直しますと二百二十五万本であります。それに一割高いものを買わされているとしますと、一月で大体二億九千二百五十万円、一本売りを買っていらっしゃる利用者は毎月三億前後の料金をごまかされているということになるわけであります。ごまかすということばが言い過ぎでありますれば、少なくとも小売り店ではそれは引き取ってきたボンベはそのまま充てん所へ持っていくわけでございますから、少なくとも充てん所を中心にいたしまして毎月三億円前後の大幅な隠し利益があるということだと私は思います。  では、次の問題に移りますけれども通産省の通達によりますれば、こまかい問題は別にいたしまして、このように各都道府県に通達が行っております。「メーター制販売における妥当な販売価格の決定は、産気率がガスの組成及び温度により変動するため困難であるが、ごく標準的な産気率として理論産気率を採用し、これに基づき換算した販売価格は別表のとおりであるので、参考のうえ、妥当な価格を判定されたい。」こういうような表を付記して、各都道府県に言われておるわけでございます。いま私は重量売りのほうを問題にしたのでございますけれども、メーター売りそれ自体もかなりこれは問題があるわけですね。たとえば東京都の場合ですね。産気率を四・六五として計算をいたしておりますけれども、これが立方メートル当たり二百八十円、ただし、これはマイナス十度、その場合に価格が千三百二十円になるわけであります。しかしながら実際の気温というのはマイナス十度ということは考えられませんね。いまおそらく零度から十度の間でありましょう。あるいは十度をこえておるかもしれない。かりに東京都の場合平均の気温が摂氏十五度と、こういわれておりますけれども、十度と計算をしてみましても、いま東京都では立方当たり二百八十円で産気率が五・〇三、千四百八円である。これが容量売りの標準価格でございますといっていま指導しようとしておる。神奈川県の場合はもう少し高くなりまして千四百五十四円、埼玉県の場合は千四百三十八円、これは全然標準価格と違うじゃないですか。えらい大きな違いがあるじゃないですか。こういうようなことで、各都道府県はこれが容量売りの標準価格ですよと売ろうとしているのですけれども、すでに通産省がいわゆる一本売り一千三百円であるというようなことを新聞発表をしたために、一般の消費者はプロパンガスが千三百円である、こういうふうに考えておるわけです。それなのに実際はそういうような高い十キロ入りの換算で十度で千四百八円、埼玉は三十八円、神奈川の場合は千四百五十四円、そういう割りで売られていることになりますが、これは少々そういう通達とは矛盾しませんか。
  117. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  標準価格といたしまして、メーター制の場合にはいま御指摘の産気率によりましてそれぞれ値段が違ってまいります。北は北海道から南は九州に至るまでそれぞれの土地柄におきます温度あるいはガスの組成等が違っておりますので、従来から値段につきましては、結果としての値段は差があったわけでございます。私どもとしましては、先般いま先生お読みいただきました内容の通牒を各府県に流しまして、それぞれの地域におきます妥当な価格を設定をするようにということで参考資料としてつけたわけでございます。いま御指摘の内容のとおりでございます。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕 現在各都道府県におきましては、二十七府県におきましてメーター制におきます場合の産気率の換算の率につきましては決定をいたしまして実施をいたしておりまして、残りの県におきましても現在指導を行なっておるところでございます。確かに価格の差はそれぞれの産気率の比率によりまして若干の値幅が出てまいるという点はございますが、それぞれの地域の実情並びにガスの組成等から見た点やむを得ない面があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 経企庁長官に、お見えになりましたからお伺いしますけれども、いわゆる政府はこのプロパンガスの値段については十キロ入りボンベ一本で千三百円ですよと、こういうような発表のしかたをなされたわけですね。いま石油部長さんのお話も聞いていらっしゃるとおり、この十キロ入りボンベというのはいわゆる産気率等の問題がありまして、東京都の場合でございますと、十キロ入りボンベで産気率が五・〇三の場合千四百八円になるわけです。東京都は千四百八円の値段でいま小売り店指導しておるわけです。一本売りだけで発表してしまったからこういうような混乱が起こってくるわけでしょう。そういうことについて、物価担当の経企庁としては全然御検討なされずに、はい承知しました、通産省のおっしゃるとおりでございますというようなことでうのみになされてあれを発表されたわけですか。いま容量売りと一本売りで下は大混乱しておるのです。そういう御事情御存じですか。
  119. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは石田さんに私は正直に申し上げますと、私がこまかい計算がわかるわけではございませんが、私は実はこう考えておりました。これは灯油についてもわけは同じでございますが、灯油、LPガスともことしの一月に入りまして、標準価格をつくる前から、たしか昨年の十一月か十二月の初めか、そのころから通産省指導価格として同じ値段で小売りの価格を設定して指導をいたしておったわけであります。その後、その当時御承知のように、原油にいたしましても、あるいはまたおそらくLPガスそのものとして海外から液化して入ってくるものにいたしましても、大体この比率は私は半々ぐらいに聞いておりましたが、原油の値段がしばしば上がってくる状況のもとにありましたので、これは原油計算を厳密にやり直す場合には、いろいろそこに安い原料をどのくらい持っていたかというような問題もございましょうけれども、少なくとも安くなる要素というものは、原料関係からいえばないだろう。それをとにかく三百八十円なり千三百円で指導してきたわけですから、そのまま標準価格でつくったわけだから、それはこまかい原価計算やら利潤やらいろいろなことを、もちろん計算をし直したのでしょうが、私の感じではそれはそのままいくという形で、かなり押えたことになってはいないだろうか、こういうふうに私は考えておったわけであります。しかしLPガスにつきましては、これも私はよくその辺の成分や気化率のこと——一本売りのもの、また詰め売りのものなどによって、しまいに残る量なんかの扱いが違うわけでありますから、その辺でいろいろな苦心——消費者団体等で、気化率といいますか、それの計算のしかたなどで、その両方の売り方について、いろいろもんちゃくや事案があるということは聞いておりました。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣、しろうとだからといって、これは物価担当の経企庁でございますから、逃げてしまっては困るのでございまして、私もしろうとですよ、ちょっと調べて初めてわかったのです。ちょっと調べてみれば、重量売りの千三百円の標準価格というものと容量売りというものは基本的にはこれは合わないわけですよ。ですから重量売りの場合は幾ら、容量売りの場合にはこういう条件でこういうふうに、大体標準は、たとえば一立方メートル幾らですよ、そういうような値段の出し方をしなければ、一般消費者はおわかりにならぬのです。いいですか。先ほども政務次官からお話がございましたけれども、容量売りは全体の五九%ですよ。容量売り、リットル売りのほうが多いのです。だからリットル売りのほうの標準価格はこのぐらいでございますよ、重量売りで買った場合は、たとえば残ガスが残ってもこのぐらいになりますよというような通達ならば私はわかるというのです。容量売りも重量売りもひっくるめて、十キロ入りボンベ千三百円というのが標準価格ですよというような言い方だから混乱をしておるわけじゃないですか。そうでしょう。そういうものを監督をしてくれるのがわが経企庁であり、物価局じゃないですか。そういうようなきわめて大ざっぱなやり方をされたので混乱が起こって、少なくとも充てん所あたりでは、残ガスその他のことをやると毎月何億かの金がもうかるということになってしまうわけです。まあいいでしょう、それはおわかりにならぬようでございますから。  ではその次の問題で、三番目の問題としまして、このいわゆる家庭用プロパンにはイ号とロ号があるのですね。ロ号はいわゆる純プロというふうにいっております、純度の高いところは九六%ぐらい。しかしこの間通産省から報告を受けたことでは、九九%のいわゆる純プロというのは出光だけである、こういうようなお話でございました。少なくともいろいろなものが、ブタン等がまじっていることは事実でございます。  そこでこのロ号のプロパンでございますけれども、この通産省の通達にもありますように、ブタンその他の混入率が六〇%から八〇%含まれるものをロ号という、こういうふうになっているわけです、ごく端的に申し上げれば。ところがこのブタンの値段というのはプロパンよりも安い。だから、そういうものが混合されているロ号というのは、イ号に比べれば元来安くなければならなかった。現実にいままでロ号を扱っておった業者からいろいろ聞きますと、いまでも仕入れ値段はイ号よりもロ号のほうが安い、こういうことを明確に言いますよ。なぜイ号とロ号を同じ値段に、十キロ入りボンベ千三百円というふうにおきめになったのですか。これは不都合じゃないですか。政務次官どうですか。
  121. 森下元晴

    森下政府委員 おっしゃるようにブタンの価格はプロパンより安いはずでございます。イ号のほうは御指摘のようにプロパンが八〇%以上、ロ号のほうはそれ以下六〇%以上というので、ロ号のほうはブタンの量が多いのだから、相対的な価格はロ号のほうが安くてもいいじゃないか、理屈はそのとおりでございます。しかしこの点は、価格差をきめた場合には、やはり安いほうのロ号に需要が殺到して、非常に需給のバランスがくずれるというようなことがございまして、プールした意味で、プロパンとブタンとのいわゆる供給量等の関係から、理論的には先生のおっしゃったような、ブタンのほうが安くなる理屈でございますけれども、その供給量によって多少プールした価格を出しておる、こういうことでございます。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では経企庁長官にお伺いしますが、理論的には確かに口号のほうが安くなければならぬ、こういう政務次官のお答えがあったわけでございます。それなのに、ロ号にそういう値段の格差をつけるとみんなロ号のほうへお得意さん、消費者が流れていくだろう。そうするといわゆるブタンが足りなくなってしまって、工業用に回せないというようなことを心配して、プールで、イ号、ロ号千三百円できめましたということですが、それでは一般消費者の方は、産業界のために、本来安くあるべきものを高く政府のために買わされたという結論になりやしませんか。おかしいじゃないですか、こういう論理は。そういう論理こそ、いま国会で追及されている企業と政府の癒着の姿勢が根幹にあるからだといわれたって、これではしようがないでしょう。私はロ号は絶対に安くすべきだと思う。ちなみに申し上げますと、通産省の報告によりますと、全販売量の一二%がロ号です。私のほうのいろいろな調査によりますれば、現在工業用ブタンというのは十キロで約三百円ぐらいといわれております。そういうような実勢から見ましても、こういうような計算を基本として考えてみますれば、いわゆるプロパンがかりに千三百円として、八〇%で千四十円、それからブタンをうんと高く考えてみて、いわゆるタクシーが使っている料金並みに考えてみて、十キロ約七百円、安ければ五百五十円くらいですよ。それが二割入っているわけですから、百四十円、安い場合は百十円です。そうしますと、ロ号の場合は大体千百五十円から千百八十円ぐらいが標準価格にならなければならない。いわゆる純プロが千三百円だとするならば、ロ号は少なくとも百五十円から百二十円くらい安くなければならぬ、こういう計算になりますよ。それにさらに冬場で残ガスが残るとすれば、ロ号の一本買いの人は標準価格よりも二百五十円も高い値段で買わされる勘定になるわけだ。これはおかしい、どう考えても。標準価格であるからそれは幅があるんだと言ってみても、これは換算率の問題ですから、千四百円で東京都をきめたとすれば、それなりにもっと高くロ号の人は払わされている勘定になる。現在の実勢がどうとかこうとかいう問題じゃない、あくまでも換算率の問題でございますから。ロ号の千三百円というのはいかにもおかしいじゃないですか。これは下げるつもりはありませんか。政務次官、どうですか。
  123. 森下元晴

    森下政府委員 ブタンとプロパンのいろいろな内容的な組成上の違いがございまして、家庭用にブタンばかり使うということは、いろいろにおいの関係とか熱量の関係、そういうこともございますし、たとえば自動車用のLPGはもちろん家庭用に使えないし、それぞれブタンとプロパンによって向き向きもございます。だから、イ号の場合とロ号の場合で多少組成が違うといいますけれども、その一つ一つによって熱量の問題とかいろいろその他の優劣がございます。だから一番いいのは、同じような内容でございましたならばブタンにすればうんと安くなるわけでございますけれども、ブタンを混合する限度が、やはり家庭用に使う場合にはそれ以上にはできないというような限界があるように私は研究もしております。だから、ブタンが多いんだからそれだけ安いというお考えと、ブタンが入っておるんだから千三百円で固まっておるんだという考え方もあるように私は思います。  しかし、このプロパン関係は、LPGの関係は、十キロボンベ売りの場合とまた容量による立米売りの場合と、それから都市ガスの場合、それぞれによって御指摘のように価格差があることは事実でございます。そういう内容につきましてはずいぶん苦情もございましたし、通産省としてもできるだけ消費者の負担にアンバランスが生じないように検討もしておりますし、そういう矛盾ができるだけ出ないように、それから産気率の問題にしても、ずいぶん実は地域地域によっても、また同じ地域でも山間部と平地によって年間の気候も違います。だからそういう意味で、完全に価格において負担が同じだということは私は言えない、まだまだ検討の余地もございますし、また訂正の余地もあることを申し上げたいと思います。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 訂正の余地があるというふうにおっしゃっておりますけれども、これは訂正すべきですよ。いま政務次官いろいろおっしゃいましたけれども、産気率の問題を私はいま問題にしておるのじゃないのです。ブタンは仕入れ価格それ自体が安いんですよ。だから、いまでもイ号よりもロ号を仕入れておる小売り業者は安く買っておるんです。だからブタンの混入率を調べて、そしてその分はイ号、ロ号千三百円という大ざっぱなやり方をするのじゃなくて、イ号とロ号と少なくともこのくらいの格差がなければならぬというふうに、きめこまかい通達を出さなければ意味がないじゃないですか。そうでございましょう。  産気率の問題を申し上げれば、先ほどの話の蒸し返しになりますけれども、それにしても、一般消費者に、冬場はたとえば温度が零度以下になれば千三百円ということになるけれども、あるいは夏場の場合はこういう値段になるんですとか、きめこまかいそういうような新聞発表をしなかったら、こういうような問題が表面に出てくれば、やはり私たちはごまかされておったんだということになる。  特に、先ほどブタンでそういうふうに格差をつければ、ロ号のほうに流れてしまって工業用のブタンが足りなくなるからそんなことはできませんなんて、これはどう考えても理屈は通りませんよ。一般の家庭の奥さん方は、何も大手メーカーのそういう生産性を上げたり、あるいは大手会社がもうかるためにそういうものを自分たちが負担させられなければならないと私は考えないと思う。  いろいろ御指摘申し上げましたけれども、いわゆる一本買い、それからメーター売り、それから産気率の問題、イ号、ロ号の問題、そういうことをもう一ぺん整理し直して、標準価格のきめ方をお変えになるべきじゃないですか。変えられるべきですよ。この点どうですか。
  125. 森下元晴

    森下政府委員 産気率の問題も含めて、イ号、ロ号の価格訂正、検討させていただきます。いろいろその他にも地域差もございますし、温度差もございます。そういうことを含めて検討をさせていただきます。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 検討されるということでございますから、その後の推移を私は拝見しておりたいと思うのです。  それからさらに、通産省でお出しになった北海道は千五百円である、こういうふうに地域的な問題、いろいろな状況を認めて千五百円というふうに暫定措置としてきめられておるわけでございますが、これはどういう理由によりますか。
  127. 熊谷善二

    熊谷政府委員 北海道地域におきます価格が、従来の統計を見ましても、本土におきます各地域価格差がございました。これは主としてプロパンを本土側から北海道に輸送いたします輸送経費の差が他の地域と比較いたしまして多いというところで、価格差が大体二百円ないし三百円出ているわけでございます。昨年の総理府統計等をごらんいただきましても、私ども指導価格としまして設定をした時期までの間におきましてはそういう実態がございました。  私どもといたしましては、千三百円本土並みに対しまして、北海道は千五百円、従来のそういった取引慣行並びにその裏づけとなっておりますコスト増という点を配慮いたしまして価格差を設けたわけでございますが、今度標準価格にする段階になりまして、私どもといたしましてはとりあえず千五百円と北海道価格をいたしておりますけれども、それが将来にわたって妥当な価格であるとは考えておりませんで、この価格につきましては、地元におきます体制の整備を待ちまして引き下げをするよう引き続き今後努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 北海道の問題を伺いましたけれども、沖繩の問題についてお伺いいたします。  一般的に沖繩においてはロ号が販売されております。北海道よりも沖繩に運ぶほうがたいへんだと私は思うのでございます。しかも産気率の問題からいきまして、沖繩のほうは効率がいいわけでございますけれども、そういうふうに、特殊地域においてはやはりきめこまかい価格指導が必要なんじゃないですか。いま沖繩においても、先ほど申し上げましたようにロ号のほうが原価が安い、それにもかかわらず千三百円という値段で売られている。この点は私は、もう少し地域格差という問題を考えるならば、沖繩のほうはもっと安くていいはずだ、こう思いますね。しかも実勢がもっと安かったんですから、十二月以前においては千円ぐらいで売られておった。しかもこの通達によりますれば、先ほども申し上げましたようにボンベ使用料、メーター使用料、貸し付け等は千三百円に含まれる。そういうふうにいわれておりますけれども、沖繩ではまだ多分に、いわゆるメーター賃料というものを別途百円ずつ徴収をしているような事例がかなり多く見受けられます。これについてもきちんとひとつ指導をしてもらいたい。それを含めてひとつ御答弁ください。
  129. 熊谷善二

    熊谷政府委員 沖繩におきましては、御指摘のとおりロ号の消費がほとんどでございます。沖繩は気温が高い関係がございまして、ロ号でございましても、たとえそれが冬の期間でございましても、ブタンが残ガスとして残ることがないといったことがございまして、従来ともロ号で使われているわけでございますが、先ほど御指摘のたとえば北海道の価格との差といった問題につきましては、沖繩の場合には、沖繩に現在石油製精企業が三社ございまして、地元消費ということででき上がっておるわけでございます。そういう事情もございますので、私どもとしましては、沖繩にロ号の千三百円平均を適用するということについて妥当であるというふうに考えた次第でございます。  なお、ロ号とイ号の差につきまして先ほど御指摘の点多々ございますので、先ほど政務次官からお答え申しましたとおり、私どもも検討いたすわけでございますが、通常ロ号は工業用として使われるケースが多うございます。工業用の場合には、まず輸送形態が小口の場合と違っておりまして、かつ大量取引である、こういうことがございまして価格が安いという点もございますので、もともと石油からの連産品でございますLPガスは、イ号であれロ号であれ、コスト的にはそれほど差がないものと考えておるわけでございますが、なお検討いたしたいと存じます
  130. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは私もわかっております。わかっておりますが、だから先ほどの私の値段の百五十円ぐらいは安いはずだと言われた換算は、タクシーが購入している値段の換算で、なおかつそれだけになるわけです。仕入れ値段だったら、もっと安くなりますよ。この点は、石油部長さんでもわかっていらっしゃるわけですから、それ以上申し上げません。  それから、なおこれは石油部長さんも関係があるかと思いますが、その前にもう一点だけ。都市ガスとプロパン業界は、いま非常にたくさん問題が発生しておりますね。都市ガスが入らないようないわゆる新しい新興住宅地には、プロパン業者が行ってどんどんこれを開拓するわけです。ところが、だんだん都市化が進んできて都市ガスを入れられる状況になると、一般消費者は都市ガスのほうがいいというようなことで、切りかえたいということになる。そうすると消費者が都市ガスのほうに申し込みますと、プロパン販売店の判こをもらってきてください、こういって、判こをもらいにいかなければならぬのです。そういうものがふえますと、その土地のプロパン業者と都市ガスのいわゆるトラブルに発展をしていくわけでございますけれども、確かにプロパンの小売り業者の話を聞いてみますと、ボンベ、メーター等でもいろいろ金がかかる。現在の実勢からいきますと、十キロ入りボンベ一本について約一万円ぐらいの金がかかる。五百軒のお得意様を持っておれば、五百万ぐらいの投資をしなければならぬ。     〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕 そういうような投資をして、そして道の悪い不便な山の上でも丘の上でも運ばなければならぬ。そこまで苦労して、いろいろとお得意さんを開拓しているのに、都市ガスが進んでくるとたちまち、われわれは一銭の補償をもらわずにお得意さんはとられて、自分の商売はだめになってしまう。こういうようなことで、非常に各地にトラブルが起こっております。これはよう御存じだと思いますけれども、一体こういうような問題に対して、なぜきちんとした行政指導をして解決がなされないのか。ここ一、二年の問題じゃないでしょう、三、四年の問題じゃないでしょう、これは一体どういう方針になっているんですか。これからも先ずっとトラブルを起こさせっぱなしで通産省はいくんですか。政務次官いかがですか。
  131. 森下元晴

    森下政府委員 都市ガスの問題ですが、おっしゃるように申し込みをいたしましても、なかなかその需要に応じ切れない。特に、東京周辺また大阪周辺とか名古屋周辺のような人口の膨張の非常に大きな地域の団地等におきましては、そういうような事態があることは事実でございます。それで都市ガスでも、大きい都市ガスもございますし、それから簡易ガスで七十戸以上ございましたら、いわゆる集中管理のような方法でやっておる一つの企業体もございまして、その形態はまちまちでございますけれども、やはりプロパンガスの一本売りに比べまして、都市ガスのほうは価格が安い。安いから、そのほうに集中していく傾向はございます。そこに都市ガスの賃金形態それから料金形態と、先生御指摘のように一本売りの場合の賃金形態、料金形態とのアンバランスがあることも事実でございます。そういうことで、極力ガス事業を通じて御不便を来たさないような、また申し込みに対して御不便をかけないような指導はしておりますけれども、現実におきましては、大都市の周辺において急膨張するような団地等においては、先生御指摘のような事態が続いておることは事実でございます。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう時間がありませんから……。そこら辺の事情は私もわかっておるのです。それよりも、いわゆる都市ガス業界とプロパン業界とのけんかをどうするのかと聞いておるのです。
  133. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘のように、近年におきまして簡易ガス業界とプロパン業界、各地でいろいろな問題を起こしております。私どもは、最終的には消費者の選択にゆだねるべきものというふうに思いながら、両業界のそれぞれの立場を考えまして、円満に調整をはかるということに努力をいたしたいと思っております。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 困るんですね、そういうような御返事は。円満な指導をして解決をするというなら、なぜ何年間も放置しておくのですか。円満な行政指導によって解決できるなら、とっくに解決しておるはずじゃないですか。中小都市のプロパン業者と都市ガスの間では、しょっちゅうけんかが起こっておるんです。円満な行政指導で片づくんなら、私はあえてこういうところで何も問題にしないんですよ。現にそういうことは、もう三年も四年も繰り返されておるから、やはりプロパンガスにある程度補償するとかなんとかいうような形で具体的な解決策を示さなければ、このけんかは片づかぬじゃないですか。一体だれがお答えいただけますか、これ。
  135. 森下元晴

    森下政府委員 現時点のプロパンガスと都市ガスは、先生御指摘と少し内容の違うような部面を私見ておりましたので、先ほどのようなお答えをしたわけなんです。  過去におきましては、やはり市場の競争ということで非常なトラブルもございましたし、また競争合戦もあったようでございます。また一部にはそういう傾向もございますけれども、この大都市周辺においても、むしろできるだけ都市ガスの方向に行きたい。これは実際価格体系で都市ガスのほうが安い、こういう実態でございますので、そういう傾向がございます。しかしいつまでそういう事態が続くか。また一部のプロパン業者と都市ガス会社のいろいろなトラブル、これもいまお答えした内容、まことに抽象的で、御指摘いただいたように、答弁になっておらないと思いますけれども、やはりこの自由経済のもとで、いわゆる市場の競争という事態は、これだけ石油製品の逼迫の状況でございまして、やはり通産省といたしましては、みだりな競争をしないように、一つの秩序を持ったお互いの販売という方向で指導をしていかなければいけない。このように思っております。
  136. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題はもう言いません。ですけれども、政務次官、大がかりな形でトラブルが起こっているという事例は少ないでしょう。だけれども末端の小売り業者とそれから都市ガス業界との間にはかなりあるんですよ。しょっちゅうあるんです。この問題は、やはり通産省として明確な方針を出さない限りは片づきませんよ。ぜひともひとつ片づけてもらうように要望申し上げて、また次の機会にこの問題を御質問します。  最後に、いま京葉ガス会社で料金値上げの申請が行なわれているわけでございますが、二月十九日だったか公聴会が行なわれたそうでございますけれども、四四・八二%の料金値上げ申請が行なわれております。これはちょっと、いろいろな事情があるにしても、たとえば天然ガスがとれなくなったからナフサによるところのガスに切りかえなきゃならないんだ、それには設備投資が要るんだというような理由が主たる理由のようでございますけれども、そういうような設備投資の金は、これはやはりいわゆる資本金をふやして投入をするとか、そういう方向で片づけるべき問題であって、何でもそのまま価格に転嫁をすべき性質のものではないはずなんですね。そういうような点からいっても、四四・八二%、四五%近いですな。公共料金というまでいかないにしても、きわめて公共性の強い料金が、こういうような価格の値上げ申請は、あまりにもちょっと非常識ではないだろうか、現体制の上からですね。  これはまず経企庁長官にお伺いしますけれども、少し申請のアップ率が高過ぎるんじゃないですか。どうお考えになりますか、公共性から考えて。
  137. 内田常雄

    ○内田国務大臣 原則的には、私どもは、公共料金は、御承知のとおり、極力これを抑制する、こういう方向でありますから、たとえば電力料金につきましても、あるいはガス料金につきましても、それに資源配分が妨げられてその事業が崩壊に瀕するというような、そういうことも考えながら、これは永久に押え込むというわけにはまいりません、その事業が荒廃をして壊滅をするというようなことにもなりましょうから、その辺のかね合いの問題はございますけれども、極力抑制するという立場をとっておるわけでございます。  しかし、いまプロパン業界と都市ガスの関係でいろいろの争いが起こっているというようなことで、都市ガスのほうが料金が安い、プロパンを使うほうが非常に料金が高くなるというような問題の関連がその場合にどのように一体私どもはその問題を取り上げるべきか。先ほどのお話に戻りますけれども、都市ガスのほうを高くしてプロパン業界と調整をとるのか、あるいはLPガスの標準価格等を安くして調整をとるのかというような問題と関連するのか、しないのかというような問題もありますが、いずれにしても、私どもは、消費者本位で、安いものなら、できるだけ一月でも半年でも公共料金のようなものを安い形で国民に利用されるという方向をとることに変わりはございません。
  138. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 政務次官にお伺いしますが、昨年十一月の東京の平均の電気、ガス代というのは、大体一世帯当たり三千四百二十五円になっているわけです。東京の一部も、江戸川のほうが提供されておりますが、この基準によって、京葉ガス料金四四・八二%の値上げがあった場合、単純に計算しますと、毎月七百四十円の支出増になるわけです。かなりの値上げ幅でございますので、そういうような実情。いま経企庁長官のお話がございましたけれども、実際に都市ガスを使っておる消費者の立場でものを考えていただかなければいかぬのであって、いま高いプロパンを使っておる人とトータルで考えられたのではこれはいかぬのですよ。これは時間がありませんから、長官とはそれ以上議論はしませんけれども、ひとつこういうような七百二十円も月にアップすることをお考えいただいて、極力抑制してもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  139. 森下元晴

    森下政府委員 ガスの問題、特にこの都市ガスの問題は、食糧と同じように非常に大事でございまして、煮たき用は特に都市生活では大事であって、しかも家計費を占める割合も非常に値上がりによって打撃を受ける、そのとおりでございます。ガス会社も、東京瓦斯とか大阪瓦斯のような会社もございますし、また中程度、それから簡易ガスまで、多くの内容を持った状況でございますけれども、ナフサ等の値上がりによって、かなり経営の苦しいことはわれわれも承知しております。しかし、この消費者のいま申し上げましたような状況を考えた場合に、鉄道運賃とかまた米の消費者価格をしばらく凍結というような情勢もございますし、やはりこのガス料金についても極力これを押えていきたい、こういうような方針でまいります。
  140. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  141. 平林剛

    平林委員長 野間友一君。
  142. 野間友一

    ○野間委員 経企庁の長官にまずお伺いしたいと思うのですが、十五日の閣議のあとの記者会見で、七項目の緊急物価対策ですね、これを官房長官に提案された、こういう記事が出ておるわけですね。この中で、一般的に生活関連物資あるいは重要物資についてもっと標準価格制度を活用する、こういうことが七項目の一つになっておる、こういうことがありますけれども、具体的にいまどのような構想を持って、つまり、標準価格を拡大する、これはどういう具体的な構想を持っておられるのか、最初にお伺いしたいと思うのです。
  143. 内田常雄

    ○内田国務大臣 野間さんからおっしゃられたような時期に私から、物価、公共料金あるいは需給の調整等に関する基本問題と私が考えます事柄につきまして、官房長官を通じて内閣全体の課題として検討をするような、そういう姿勢をとってもらうことに実はいたしておるわけでございます。  そういうことがございまして、先般来、大蔵大臣、通産大臣等とも、そのうちの幾つかの項目等につきましても下打ち合わせをいたし、いずれはまた、さらにそれを広げて、経済閣僚あるいは閣議のベースというようなところでこの課題を取り上げたい、取り上げることになると考えますが、その中の前半のほうは、石油と申しますか、原油の入着価格上昇に伴う石油製品等の価格の形成について、これは私の考え方でありますが、政府が相当介入していかなければ、これはガス料金でもあるいは電気料金でも、国鉄料金でも、公共料金として政府が大いに介入をしておるわけでありますので、これらの、企業体は違いますけれども、それが国民の生活に非常に大きな影響を与えます根源であることを考えますときには、その政府の介入のしかたについていかにあるべきか。これはまた、原油製品ばかりでなしに、それに連なる二次製品というようなものについても波及があるわけでありますから、それらについてどのような価格介入をすべきか。これは必ずしも標準価格によるべきだということを私が提案しているわけではありませんので、標準価格なり、あるいは価格が流動的な状態にありますので、いろいろな便宜を考えまして、行政指導価格というような考え方もあるでしょうが、そういうことについて考えておりますので、標準価格としてこれとこれとに設定するというようなことまで構想は固まっておるものではございません。
  144. 野間友一

    ○野間委員 まあとにもかくにも今日まで灯油、プロパンそれからチリ紙、ペーパーですね、この四品目の標準価格がきめられておるわけであります。この価格については、高値安定ではなかろうか、こういう国民の批判、声が出ておるのは御承知のとおりだと思うのです。  そこで、この標準価格、これは安定法にその価格の一定の基準がございますけれども、経企庁が標準価格を設定するに関して設定要領というものを出しておられるわけですけれども、これによりますと、これは取り寄せた資料の中で三項のところで、(1)、(2)、(3)、この三つに区分けして設定の問題が書かれておるわけです。そこで、お聞きしたいのは、いままできめられた標準価格、これらはこのうちどれを基準にして決定をされたのか、これをひとつまずお伺いしたいと思います。
  145. 小島英敏

    ○小島政府委員 先生にお届けいたしました「標準価格の設定要領」の三の(1)と申しますのは、大体法律に書いてございますように、比較的かなり詳細なデーター等がとれる場合のケースでございまして、(2)で書いてございますのは、法律の御審議をいただいておりますときの過程で、政府の統一見解として企画庁長官から御答弁申し上げましたある意味で便宜的なやり方ということでございます。  現在まできめられました灯油、LPG、この二つはいずれかと申しますと、元売り価格というものを、これは石油精製の過程でいろいろな副産物が出てくるわけでございますから、これは現在の立て方として、むしろ灯油その他の生活資材は非常に低目に原価を設定するとか、そのかわりガソリン等についてはそのしわを受けてやや高めに設定するという形になっておりまして、それはそれでセットしたものとして、そこから先の販売経費等はモデル計算に基づいて販売経費その他を計算して、それをプラスしたものを標準価格といたしておりますから、まあ厳密に(1)か(2)かと言われますと、両者の中間過程かと思います。  それからトイレットペーパーやちり紙につきましては、これは生産段階から一つの原価的な計算をいたしまして算定したものでございまして、比較的(1)に近いものではないかというふうに考えております。
  146. 野間友一

    ○野間委員 まあいまの答弁、非常にあいまいだと思うのです。これによりますと、(1)と(2)ですね。これは全然性格が違うわけですね。(1)の場合には、確かに生活安定法に基づく条項がそのまま並べてあるわけですね。これによりますと「標準的な生産費、輸入価格又は仕入価格」云々と、こういうふうにして一つ一つこれらのコストを調べた上で価格をきめる。ところが(2)の場合には、これは「迅速を要する」、つまり迅速性の観点から、(1)のような具体的な算定ではなしに「過去の妥当と考えられる時期の販売価格を基礎とし、」こういうふうになっているわけですね。これは全然違うと思う。ですから、(1)と(2)のあいのこだ、中間的なものだというのは、これはぼくは答弁にはなっていないと思う。それはおかしいと思うのですね。そういうことは書いてないわけですね、これに。どうですか。
  147. 小島英敏

    ○小島政府委員 そう言われますと、確かに(1)と(2)の間というのはおかしな答弁かと思います。申し直しますと、どちらかといえばやはり(1)に近い形でございますけれども、そう厳密な原価計算はできていないということに御理解いただきたいと思います。
  148. 野間友一

    ○野間委員 確かに経企庁でいろいろヒヤリングした場合にも(1)できめた、こういうことを聞いておるわけですけれども、それはそうだとしますと、そこで一つ問題になるのは、とりわけ灯油とLPGについてお聞きするわけですけれども、十一月二十八日の灯油に対する指導価格、これが三百八十円、これは御承知のとおり。それから十二月十三日、LPGの指導価格が十キロが千三百円、これはいまずっとお話が出ておりますけれども、この設定の根拠は一体どうなのかということですね、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  149. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、灯油につきましてはすでに指導価格という形で、またLPガスにつきましても同様な形で、標準価格設定前に政府としまして価格設定をいたしまして、指導を行なっていたわけでございます。その際に私どもとしましては、当時の取引の実態、価格の趨勢等を勘案いたしまして、かつ経費につきましてのモデル的な試算も行ない、検証をいたした上で指導価格を設定したわけでございまして、この標準価格設定の際におきましてもその経緯の上に立ちまして、モデル試算をさらに再検討した上、従来の価格をそのまま標準価格とするということで実施をいたしておるわけでございます。  灯油につきまして十八リットル中身の価格、店頭売りでございますが、いわゆる小売りの店の必要な経費といたしまして十八リットル当たり九十六円六十銭程度を考えておりまして、卸から小売りへ参ります値段、小売りの仕入れ価格、これにつきましては二百六十円ないし二百八十円という検討の上で、なおそれに小売り店マージンを六%程度織り込みまして三百八十円として検算をいたしまして、この標準価格の実施についての一応の試算といたしたわけでございます。  LPGにつきましては、販売店、小売り業者の経費につきましては、十キロ当りの販売経費につきましてそれぞれ一応の経費の内容についての検討をいたしました。その結果、十キログラム単位の販売経費を月六百八十円と考えておりまして、これに仕入れ価格、卸からの仕入れ価格でございますが、十キログラム当たり五百五十円ないし五百九十円と想定をいたしまして、これに小売り価格の六%の利益を加えまして千三百円、十キログラムという検証をいたして標準価格の決定をしたわけでございます。
  150. 野間友一

    ○野間委員 私は冒頭に申し上げたように、標準価格そのものが高値安定だ、こういうふうに非常に批判が強い。私もそう思うわけです。その観点から以下質問を続けるわけですけれども、この物特でも生活安定法案の審議の際に、私がその指導価格の点について、これと今度きめようとする標準価格との関係いかん、こういう質問をしたわけですね。たしか長官もそのときにされた答弁は、あくまで指導価格は腰だめである、これは応急に上がるのをそこで一たんストップさす、これと安定法にいう標準価格とは違うのだ、これは法律に基づいて巌格にひとつ査定して決定するのだ、こういう答弁がされたわけです。ところが現に行なわれておるのは、まさにいまの熊谷さんの答弁にもありましたけれども指導価格のそのまま横すべりさせた、こういう結果になっておるわけですね。  しかも私はここでいろいろ考えたいのは、いまの御説明にもありましたけれども、あるいは四十九年二月、通産省——これは日付が入っておりません——標準価格の算定と題する書面ですね。これにはいろいろと経費等の項目が書かれておる。これは灯油についてもプロパンについても小売り価格の算定の基礎が書かれておるわけです。ところがこれを見ますと、いわゆる流通経路、流通過程における経費の明細については試算がしてあるわけですね。これはいずれもそうです。ところが一体この仕切り価格そのものがはたして適正かどうか、これについては何にも書かれていないわけですね。ただこれに書いてあるのは、元売り仕切り価格灯油の場合には一万二千八百九十八円、それからプロパンの場合には三百五十円十キログラム、こういうことしか書いてないわけですね。ばんと原価を書いて、あと流通過程における経費だけは明細が記載されておる。これは同じようにきめられておるトイレットペーパーあるいはちり紙とは全然違うわけですね。ちり紙、ペーパーについては非常に原価の——これは私は非常に高いと思うのですが、いずれにしても原価の計算がいろいろと試算されておる。流通経費については大ざっぱな記載がある。全然逆になっておるわけです。私はどちらかというと、やはり生活安定法に忠実な計算としては、当然ペーパーのようなこういう計算をすべきである。逆になっておるわけです。これは私は法律にももとると思うのです、正直に言って。なぜこんなにきめられたのか。なぜこのように国会で政府が答弁された、これは腰だめであってこのまま横すべりさすものじゃないのだ、法律に従ってきっちりやっていくのだという答弁と相反するような横すべりをされたのか、納得のいくような説明をしていただきたいと思うのです。
  151. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  まず灯油につきましては、元売り仕切り価格はたびたびここで申し上げておりますように、昨年の九月の平均水準で凍結をいたしておるわけでございます。元売りの平均価格は、原油需要が上がってまいりますに伴いまして、昨年の後半から逐次上がっておることは御承知のとおりかと存じます。昨年末におきましては、平均の元売り仕切り価格は一万四千四、五百円程度になってまいっております。灯油の場合にはこれを一万二千八百九十八円、約一万三千円弱で押え込んでおるわけでございます。水準といたしましてはこの価格は相当低い価格であると実は考えております。  第二に、石油の場合には御承知のように連産品でございますので、特定の油種だけの価格というものはございませんので、結局全体としての石油価格の中で、それぞれの油種ごとに必要なコストをアロケーションするわけでございますが、そういう意味で特定の油種だけの価格というものは非常にきめにくいという点がございまして、最初の問題に返るわけでございますが、取引の実勢のある段階価格を押えて、それをベースとして元売り仕切り価格と申しますか、メーカーの出し値を決定をしておるわけでございます。  それからLPGにつきましては、御承知のように国内での生産と輸入とがほぼ相半ばいたしておりまして、このLPGのメーカーの仕切り価格灯油と同じように凍結をするといったようなことは、輸入品でございますので、その点はなかなかむずかしい事情がございます。かえって供給面で支障が生ずることもございますし、その点は凍結はいたしておりません。ただ末端におきましての千三百円は標準価格として設定しておりますので、将来メーカーの仕切り価格が輸入価格高騰等によりまして上がってまいりました結果、千三百円の小売り価格が維持できないような事態になってまいりますれば、その点での是正措置は当然とらなければならないと存じますが、現段階ではまだそこまでする必要はない、千三百円で実施はできる。現在考えておりますメーカーの仕切り価格は十キログラム当たり三百五十円ないし三百九十円という実情でございまして、この価格の動向につきましては十分監視をしてまいりたい、かように考えております。
  152. 野間友一

    ○野間委員 結局、小売り価格はきめるけれども、元はきめないわけでしょう。一応行政指導で凍結しておるだけですよね。ですから、元はくくるけれども、上はくくりませんから、上がどんどん上がった場合には、結局泣かされるのは小売り店なんですね。それは一つの問題なんです。  ここで私が指摘したいのは、いまの答弁の中で、ある時期におけるメーカーの出し値あるいは実勢価格、これを算定の基礎にした、こういま答弁があったわけです。ところで、いわゆるある時期における実勢価格ですけれども、これについて私は、これがほんとうに適正な価格であるか。これは確かに灯油とかプロパン、油種によって、正確な、計算がどうしてできるかというようなことについて、計算のしかたについてはいろいろあります。しかしきょうはその点の論議はともかくとして、いずれにしても、ある時期における実勢価格、こう言われた。ところが、その実勢価格そのものが問題だと思うのです。つまり業者の言い値でこれをきめた、としか言いようがないと思うのです。といいますのは、御承知の公取のやみカルテルの摘発なんですね。四十七年の十一月下旬から五回にわたってやみカルテルをやっておった。これは私から言うまでもないことですね。しかもこの勧告、これを受けたわけでしょう。このような、企業がぐるになって、それぞれ何回も価格をつり上げて、しかもそのつり上げた価格が実勢価格なんですよ。しかも、これに基づいて指導価格をきめ、それがそのまま横すべりになりまして、これが標準価格になっておる、こういうことになるわけです。この事実、あなた認めますね。
  153. 熊谷善二

    熊谷政府委員 公取から元売り十二社のやみカルテルにつきまして勧告を受け、今回告発を受けた、所管しているものとしまして、まことに申しわけないと実は存じておりますが、九月の時期にやみカルテルによりましてどの程度値上がりがあったのか、この辺のところはいろいろ判断がむずかしいところだと存じます。ただ、一つ言えますことは、九月の時点というのは、いわゆる灯油需要期が始まる前でございまして、今後放置すれば需要期に向かって上がるというそのやさきに凍結をいたしておるわけでございます。  先生御承知のように、灯油価格というのは大体八月前後が一番底でございます。九月のところで押え込んだわけでございまして、私どもとしましては、いわゆる便乗的な要素というのは私はそれほど入っていないと判断すべきではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、本件はいま告発されている段階でございますので、差し控えたいと思いますが、価格の水準自体としましては、これを標準価格として、なるべく安い価格を消費者のために設定するという趣旨から申し上げますれば、決して高過ぎるとかそういった問題の時期ではなかったと実は考えておるわけでございます。ただ、しかしながら、この需要期がまさにそろそろ終わらんとしておる今日、一部におきまして値くずれのものも出始めておる、そのこと自体は、この価格自体がいわゆるシーリングの価格であって、これを上回っておるものをそれに引き下げる、下の、できるだけそれ以下に押えるという意味において下値が出ることは非常に私どもとしては望ましいことだと考えておりますが、逆に申し上げまして、もしこれがいわゆる下がるのを防ぐような効果を持つと判断される時期がまいりますれば、そういった意味での標準価格の目的は達成できないわけでございますので、むしろ弊害、障害ができますので、撤廃すべきだろうと考えておりますが、現在はこの標準価格はまだ相当効果を持ち続けている、妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  154. 野間友一

    ○野間委員 決して高くないというふうに私はとれたわけですけれども、しかしながら、公取の調べでも明らかなように、四十七年の十一月下旬からずっと何回も上げておるわけですね。これは便乗値上げでしょう。やみカルテルをやっておるわけですよ。こういうものによってどんどん上げたものを基礎にして、実際指導価格をきめておるわけです。ところが生活安定法によりますと、標準的な生産費、これが標準価格を算定する一つの基準になるわけですね。ところが、単にこれを横すべりさせただけである、こういう結果に終わっておる。これは私は非常に大きな問題だと思うのです。しかも値上げの幅についても、時間の関係で省きますけれども、かなり高いわけですね。ですから、ほんとうに国民の生活を安定させたいというのが生活安定法の眼目であれば、これについてほんとうに標準的な生産費は幾らであるか、ここにメスを入れなければだめだと思うのです。実勢価格といいましても、こういう形で便乗値上げされたものを中心とした実勢価格、ここにメスを入れなければだめだというのです。これをしないから、単に業者が言った、あるいは取引の実勢を基礎にしてしかやっていない、ここに大きな問題があると思うのです。私は、やはり現時点に立って公取がこれを摘発したわけですから、いまからでもおそくないと思うのです。ここにメスを入れて、この指導価格なりあるいは標準価格をきめた時点において、一体標準的な生産費は幾らであったか、これをメスを入れて、そうして取り過ぎておる分についてはやはり取り戻させなければならぬ、こういうふうに思うのです。この点については、経企庁の長官も、先ほど申し上げた七項目の緊急物価対策の中で、公正取引委員会によってカルテル行為を摘発された物資については、政府は行政指導や標準価格の設定などによって値下げを実現する、これが一つの項目になっておるわけですね。おそらくこれはやみカルテルを想定して、前提として私はおっしゃっておると思うのです。当然、石油、プロパンあるいは灯油について、これもあなたのおっしゃる七項目の中に入っていると思うのですね。経企庁としては、このあなたの提案に従って、具体的にこう作業を進めていく、こういう姿勢でいま取り組んでおられるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  155. 内田常雄

    ○内田国務大臣 原則論としては野間さんのおっしゃるとおりであるし、野間さんのおっしゃることは私もよくわかるのですよ。ところが、いま石油部長から説明がありましたように、たとえば灯油を例にとりますと、灯油指導価格はたしか十一月の終わりぐらいにつけたいと思いますが、そのころからの指導価格をずっとさかのぼっていった元値は、しばしば説明がなされておりますように、一キロリットル一万二千八百九十八円ということであります。それが、十一月から十二月の段階におきまして通産省が別の見地から、石油が原油の入着価格上昇からどんどん値上げをしておったのでは国民生活上たいへんだということで、各油種を通じて一律に石油製品の凍結価格というものを出されたときは、すでに——おっしゃるとおり、どの程度の先取り値上げが入っておるかということは今後、いろいろな関係がありますから、私どものほうもさらに分析をいたすつもりでありますが、とにもかくにも十二月ごろにはすでに一万四千幾らということに計算をされております。そういうことで、灯油につきましても指導価格で一万二千円ベースの小売りが三百八十円ということで年を越してまいりまして、一月になりまして、これに正式に標準価格を設定したのは一月十四日ごろであったかとも思いますが、そのころは御承知のように原油の価格はFOBで産油地価格ではすでに八ドル以上、CIFでは、一月の二十日ごろにはもう高い九ドル・ベースになって入ってきておる、こういう状況にありますので、これはしかられるかもしれませんが、率直に私の気持ちを申すと、標準価格を三百八十円、したがって元値で一万二千円で押え込んだのは、通産省もよくやっているわいと、実は思ったわけであります。それで、あとからいろいろ聞いてみましても、原油は、精製しますと、ガソリンもナフサも、あるいは灯油も軽油も重油もいろいろ出てくるわけでありますから、灯油のほうを押え込んだり、またはLPガスのほうを押え込んでみても、そのほうから出る企業の赤字は、ほかのガソリンだとかどこかのほうへかぶさせておくというような考え方で、これはいずれ全体を洗わなければならぬ問題でありますが、標準価格の対象になる灯油に関する限り、あるいはLPガスに関する限りは、そういうわけで、へたに元値を洗うとかえって高いものが出てきて、いままで指導価格のときは三百八十円だけれども標準価格にしたらそれ以上高いものになったということでは、これはとても国民の立場からはのめないことでありますから、原油が上がってきている最中においても三百八十円で押え込んだのは、そういうことでのめることだと私は思っておりました。しかし、これから先の問題もあるのですが、これから先、二つの要素があるわけで、灯油については不需要期に入るから、原価が幾らかかるかということとは別に、消費者のほうがそんなものはもうあと十カ月間ほしくないということでありますと、値くずれも起こる問題もございましょうが、原価に関する限りは、九ドル・ベースの原油がどんどん入ってきておりまして、これも野間さんよく御承知のとおり、予算委員会等でも議論されておりますとおり、全部の油種について一体どの程度政府価格介入をすべきかということを洗い直す時期に来ておりますので、ちょうどそういう時期にあたって、灯油を標準価格指定品目からはずすかはずさぬかという問題もありましょうし、あるいは不需要期の問題あるいはコストの問題でもう一ぺんまた見直す時期が、たまたまこれについては来ているときとも思いますので、あなたのおっしゃったことは原理原則論としてはそのとおりでありますので、それからのことについても十分私はまた他の場合もございますので、十分通産省に申し入れをいたしたり、関心を持ってまいりたいと思います。これは私が通産省を監督するとか指図するとかというわけにはいかない。これは法律上標準価格は主務大臣これを設定するとありますから、大いに打ち合わせて、監視をして、そして国民から疑惑を持たれることがないように、安心をしていただくような、他の場合に及ぼす場合においても、十分これはやっていかなければならないことと考えております。
  156. 野間友一

    ○野間委員 一月以降の価格については、原油の輸入価格値上がりが一体どう国内のコストに影響するかということについては、これは別の問題だと思うのですね。それ以前の段階で、私が申し上げたのは、指導価格あるいは標準価格を決定される以前ですね。何回も何回もやみカルテルで、そして値上げをして、それが一つの実勢価格にされて、そして指導価格、標準価格がきめられておる。ほんとうにあの価格が適正であったのかどうか。ことしに入ってからのことはまた別の問題です。適正であったのかどうかですね。ここにやはりメスを入れなければならぬと思うのです。公取が現にやっておるわけでしょう。通産省はこのようなやみカルテルの問題を、これをてこにして、実際にきめた指導価格なりあるいは標準価格が適切であったかどうか、これについての調査、分析、検討を現にしておるかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
  157. 森下元晴

    森下政府委員 先ほど石油部長から答弁がありましたように、当時は実勢価格ということで、自信をもってやったつもりでございます。しかし、先生御指摘のように、公取も指摘しておるし、また司直の手でもこれを犯罪的な目で見ていくということもすでに発表しております。また国会においても二十五日から集中審議でこの内容についても解明していこう。司法においても立法においても前向きで進んでおることでもございますし、また行政でございます私どもももちろんそういう内容につきましては前向きで検討しております。またいろいろ三条の問題とか五条の問題等も予算委員会等でも質問もございましたし、検討もしております。ただ行政ベースで事前に発表するとか、また事を急ぐということが、そのこと自身によってそういう企業のいわゆる防衛的な手を打たれてもいけないというようなことで、慎重を期しながら、内部におきましては立法または司法以上に検討し、またその内容についての究明も続けております。なお一そうの努力をしたいと思います。
  158. 野間友一

    ○野間委員 えらい歯切れの悪い答弁でよくわかりませんけれども、国会は国会独自でやるのはこれは当然の話で、司法は司法で告発されればこれに対して適切な措置をとる、これは当然な話なんですね。しかし問題はやはり行政だと思うのです。実際にきめたもので国民は買わされるわけですよ。一番被害を受けるのは国民なんです。しかもこういう石油資本が便乗値上げ、やみカルテルをやっておる、こうであれば当然に行政上の責任として、これは法律でも標準的な生産費というものが標準価格をきめる場合に一つの基礎になっておる。だからいままできめた指導価格やあるいは標準価格、これはほんとうに適切であったかどうかということを標準的な生産費との関係で洗い直してみる、これは当然の義務です。そこでもし悪うございました、石油会社の言うがままに私ども指導価格をきめましたけれども、実際ああいう悪いことをしておった、それをうのみにしたことが悪かった、こういうことになると思うのです。だから早急にこれは結論を出しておるんじゃないかと思うのですけれども、いつごろ結論が出るのですか、いま検討しておるという話ありましたけれども
  159. 森下元晴

    森下政府委員 一応昨年一月から十二月、またことしになってからの原油のFOB価格とかまたはCIF価格、これは統計的によくわかっております。昨年から言えば二ドルが十二月には五ドル程度になって、また一月からはそれが九ドル幾らになった、これはいわゆる仕入れ原価にして精製で幾ら、また流通で幾ら、そういう原価計算を綿密にやることによって、メーカーマージンとかまた流通段階マージン、やはり昨年十二月二十三日に緊急事態、常時とは違う事態の宣言もしております。ただ自由経済のもととはいえ、自由放任ではいけない、秩序ある自由の中で経済の行為を認めていこう、こういう宣言までしておるわけでございますから、おのずからそういう流通マージンというものも適正なマージンというものが確実にできると思います。そういうことも含めて、いまここでいつ発表いたしますということはごかんべん願いまして、早急にそういう内容を検討して、勇断をもって行政的な権限の範囲で前向きで処置をしていきたいということを申し上げたいと思います。
  160. 野間友一

    ○野間委員 どうも聞いたことに答えてないと思うのですよね。簡単に言いますと、これだけ何回かカルテルをやっておるわけですから、これらを全部はずしたものが実際の価格である。これから指導価格やら標準価格やら検討したら、仕切り価格、凍結した価格はもっと安くなるはずなんですね。ですからそれがはたして正しかったかどうかということを通産省は当然メスを入れて、これは公表しなければならぬ、そして国民にわびなければならぬ、これは当然だと思うのですよ。そういうことをするお気持ちがあるのか、あるいは私が聞いておるのは、実際そういうような観点からいま検討しておるのかどうか、これなんです。簡単に答えてください、もう時間ありませんので。
  161. 森下元晴

    森下政府委員 検討しております。
  162. 野間友一

    ○野間委員 押し問答になりますから、あと一、二点続けたいと思いますけれども、先ほど長官も言われましたが、今後の問題として標準価格、これはもっともっとたくさん標準価格をきめるんだ、こういうような一つの長官の構想もございますけれども、そうなれば当然に安定法に基づく標準的な生産費これは正直言って特に石油関係製品について将来出てこぬとも限らぬと思うのです。その場合、標準的な生産費とは一体幾らなのかということになりますと、当然に輸入原油のコストアップ、それが一体どうはね返るのかということを厳密に計算しなければならぬ。そして標準価格をきめる場合に備えなければならぬと思うのです。そういう点からしても、従前のものも全部洗い直して検討する、同時に今後の課題としても、一月以降のものについてもこういうことで原価計算をやらなければならぬ、こう思うのです。そうでなければ、政府が口を開けば、要するに吐き出させるために超過利得税の問題とかあるいは値上げの時期をずらすとか口で言いましても、これは国民は納得しないと思うのです。これこれでございますと、やはり価格の形成についてこれを公開しなければだめだと思うのです。明らかにしなければだめだと思うのです、これからもそういう問題は標準価格を定める場合には当然出てくるわけですから。そうでなければ、政府は企業べったりだといわれたって私はいたし方ないと思うのです。きょうはもう論議しませんけれども、そういう意味でぜひこういう石油価格の問題については、原油のコストアップとの関係でこれを洗い直して、あるいは厳密にこれを分析して、こういう点についての原価を国民に公開しなければならぬ。そうでなかったら国民は納得しないということを強く要求したいと思うのです。  なお、これに関連して多田委員のほうから、いわゆる北海道価格の問題について質問しますので、お許し願いたいと思います。
  163. 平林剛

    平林委員長 関連質問があります。これを許します。多田光雄君。
  164. 多田光雄

    多田委員 いま野間議員からお話がありました北海道価格について、特に通産省に伺いたいと思います。  野間議員の話でも明らかになりましたし、すでに今国会でも予算委員会を通じて非常に明確になってきている、あるいはまた新聞雑誌その他でも非常に大きく報道されているように、昨年十二月の通産省灯油、LPガスなどの指導価格、それが横すべりしたといわれている一月の標準価格、これは今回公取の告発に見られるように、石油業界の不当なやみカルテルが行なわれているもとで進められていった。したがっていま政府のきめた標準価格の積算の基礎について重大な疑義が持たれている。これはいま長官やあるいはまた次官のお話を聞いても歯切れが悪いという一つの原因になっているのじゃないか、こう思います。  そこで、国会でも話が出ておりますし、そしてまた北海道の地元では超党派で反対している、あるいはまた知事もこれに反対して幾たびか陳情しておられる北海道価格の問題これについて伺いたいわけです。  御承知のとおり千三百円の家庭用LPガスの標準価格、これに対して全国で北海道だけが二百円という行政指導に基づくいわゆる北海道価格がきめられているわけですね。知事に対する政府通達でも、「極力標準価格で販売するように指導されたい。」こう書かれているのですが、法のたてまえからいっても当然政府が国民の立場を守るならば、できるだけ事実を調査して、そして千三百円が適切かどうかは別にして、全国一律のものにしていくというのが私はたてまえだろうと思う。そのことは、私の手元にある総理府の統計局のここ数年あるいはまた昨年の一月以来のLPガス、これの価格の推移を見ても、この二百円を上積みしたということが妥当とは思われない。したがって、私はいろいろ北海道価格をきめた根拠は何なのかということをまず、きょうは大臣がおりませんので次官にお伺いしたいと思います。
  165. 森下元晴

    森下政府委員 千三百円に対して北海道だけが千五百円と非常に区別したことについては、通産省へも北海道から超党派的に陳情が参っております。LPGの価格問題だけではなしに、北海道としては、そういうような差をつけられることはあらゆる物資においても影響力があるというような陳情も受けて、その心情もよくわかるし、でき得る限り差をつけないようにしたいという気持ちは私も持っております。  ただ、標準価格の設定の内容の中で、いわゆる地域差とかいろいろ条件がございます。だから、山奥で非常に不便なところ、また地理的に非常に不便なところでは差をつけてもよろしいというような標準価格の基準もあるわけでございまして、その地点がたまたま北海道という一つの行政単位に集約されたというところに問題があったと思います。北海道でも、たとえば札幌とかその他都市では別に東京とあまり変わりない、また仙台と変わりないという事情もよくわかります。その点で、先ほど部長がほかの委員の御質問に答えましたけれども、いわゆる輸送費等において北海道全般に内地に比べてかかるんだ、そういうような理由もございまして、やはり地理的な理由で北海道に二百円の差をつけた。ただトイレットペーパーなんかの問題でもございましたが、思い切って地方庁のほうに権限を委譲して、地方庁の権限によって上げたり下げたりする事実もございます。そういう点で、北海道の問題につきましてもわれわれは十分検討してよく実情に合うように、また北海道の方々に御迷惑をかけないようにこれも検討をしております。将来とも前向きで検討していきたい。  なお熊谷部長のほうから、もう少し経過を詳しく専門的に御説明をいたさせます。
  166. 多田光雄

    多田委員 いま次官から山奥云々という話がありましたが、北海道は利尻の島やそういうところと違うのですね。これは離島じゃないのですよ。しかも札幌とか室蘭、苫小牧、いわゆるさっき次官のおっしゃった東京とあまり変わらないような価格のところ、ここに北海道の五百数十万道民の過半数以上が住んでいるのです。それをひとつ念頭に置いて、あまりそれこそ実情に合わないことをおっしゃるとまずいだろうというふうに思います。そしてまた実情に合った価格であればだれも文句は言わない。実情に合わないからみんな文句を言うのですよ。  それから、輸送費のことを先ほども政府側のだれかが言ったけれども、これも私はおかしいと思う。つい先ほど、私は通産省石油部の精製流通課にこの輸送の問題について聞いた。この間から聞いていたけれども返事がなかった。きょうきたものはこういうことです。「通産省はLPGの輸送コストについて調査していない。したがって、明確につかめない。」もう一点は、「ただし、推定だが、船舶の大小、量によってコストが違うだろう。」そして「LPG用の船の大きさは平均四百十トンぐらいだ。この点からいえば、トン当たり四千円ぐらいだ。」このトン当たり四千円というのは、京阪神から苫小牧に行くのは大体時価四千円なんですよ。そして四千円を十キロ千五百円という、標準価格ではないけれども、この北海道価格に直しますと、わずかこれは一・三%だ。それがどうして二百円というようになってしまうのか。これは実情に合わないことです。私はそれが全く価格影響しないとは言わないけれども。しかもそれは卸とそれからメーカーが折半しているのです。ですから、輸送費のことについてはあまりこれは通らない。いつか通産大臣もそれを言ったけれども、この間北海道議会から皆さん来たときには、もう言わなかったそうですね。実勢価格実勢価格の一本だった。きょうもここに来ておられる政府側に先般私は聞いたら、輸送費のことは言わない。実勢価格一本です。ですから、その辺は輸送費については私のほうからそのように言っておきます。  そこで総理府統計局資料によれば、そんな極端な差はないわけです。たとえば札幌と東京を比較すれば、昨年一月で五十円、四月でわずか二十八円、その差だけだったのです。そして十二月段階で全国一斉に上がっている。北海道も上がったのですが、その段階では百円の差なんです、統計局の資料によれば。  それで私は統計局資料政府側に聞きたいのですが、札幌の十二月の小売り平均が千四百六十円になっているのは間違いありませんか。私の聞いていることに簡潔に答えてください。
  167. 熊谷善二

    熊谷政府委員 いま手元にないので私確認できませんが、御指摘のとおりのようでございます。
  168. 多田光雄

    多田委員 そこでもう一度聞きたいのですが、それでは総理府の統計局資料で、主要な都市で、十二月段階の小売り平均価格が札幌の千四百六十円の平均価格より上回っているかもしくは同じところはあるのかないのか、それを言ってください。
  169. 熊谷善二

    熊谷政府委員 ちょっと手元資料で、いま持っておりませんので、私がいま持っております十月の時点、これがつまり昨年の指導価格を設定いたします際の判断材料と考えられると思うのでございますが、この都市別の小売り価格を見てみますと、札幌と函館と釧路……(多田委員「それは何の資料ですか」と呼ぶ)これは総理府統計の都市別小売り価格でございますが、プロパンガスにつきまして、これの平均価格が千二百四十三円、これは単純な算術平均でございますが、その他の地域を全部ひっくるめて計算をいたしますと九百四十八円ということになりまして、地域的な差上いうものは、やはり北海道についてはうかがわれるかと存じます。  ただ、先生が御指摘のとおり、私どもは北海盾価格といったような価格が本来是正さるべきであるという考え方におきましては全く同感でございまして、私どもがこの指導価格を設定いたしまして、そのために逆に物が流れなくなる、そのために消費者が迷惑をこうむるというようなことがあってはならない、こういう配慮もございまして、暫定措置といたしましてこの千五百円、二百円の価格差というものはやむを得ないと実は考えて措置したものでございますが、今後とも引き続きまして、生産業者、販売業者の企業努力によりましてこれを引き下げるように強力に指導してまいりたい。また現に指導中でございます。
  170. 多田光雄

    多田委員 総理府統計局の資料によりますと、いまおっしゃった十月で、札幌は千百五十円、東京が千十円、百四十円東京が安いのです。福岡は千百八十円、三十円高いのです。これは十一月も三十円、十二月になると四十円高いのです。これは通産省のあれを聞いても九州は非常に高いのです。つまり政府の信頼する——それはそうでしょう、日本の経済指標その他をきめる、それを専門にやっている統計局の数字を見ても、二百円を上積みするという、いわゆる皆さんの言っている実勢価格の証拠というか、それは必ずしも正しくない、私は全く間違っているとは言わないけれども。私は九州につけてほしいとは絶対に言いませんが、なぜ北海道だけにそういう二百円の価格がついたのか。それの根底が何度政府側から聞いてもわからない。そして、もし安くすれば北海道に油がいかなくなるだろうという。これはあとで証明しますが、まさにそれこそが石油需給二法の検討の中で、わが党はじめ野党の皆さんがそういう業界のかってなやり方を押えるために言ってきたわけでしょう。政府の姿勢の問題なんです、いくかいかないかは。それは何にも理由にはならない。そこで次に移ります。  今日、石油業界のやみカルテルが問題になっている段階で、十二月十三日に北海道に対する指導価格千五百円が発表され、十七日から実施された前後に、メーカーや元売りがどのように価格の引き上げを計画したか、これを皆さんお調べになったでしょうか。その時点でなくてもよろしい、今日の段階でもよろしい、お調べになりましたか。
  171. 熊谷善二

    熊谷政府委員 私どもはいわゆる各地の各メーカー調査という形におきまして統一的な調査はいたしておりませんが、この千三百円の価格をきめます際に、メーカー段階におきましては当時輸入価格が一月以降約三・三倍になるという見込みを立てておりまして、それに対応するために、当時の状況といたしましては輸入の促進をはかるという観点もございまして、メーカーのほうで十二月に入りまして一部値上がりがあったのは承知をいたしております。それからまた、このメーカー値上がりに伴いましてそれぞれの元売り段階での価格があちこちのところで起きてきたという点は事実かと存じております。  私どもとしましては、価格につきまして従来LPGについての統一的な規制はいたしておりませんでしたことでもございますので、その段階で全国的な調査資料を必ずしも持ち合わせておりませんが、各商社団体等からの資料も入手し、また私どもなりの個別の調査によりまして、千三百円というのは、あの高騰を予想されておりました中での妥当な価格だという確信のもとに実施したものでございます。
  172. 多田光雄

    多田委員 二月二日に北海道議会の商工労働委員会ですか、それと総務の連合審査が行なわれたのです。これはLPガスの北海道価格についての連合審査なんですが、そこに通産省の出先の札幌通産局長も出ていろいろ話をしているのです。その際、いろいろな価格の動きについて各議員から話が出たのですが、その詳細、報告を受けていますか。
  173. 熊谷善二

    熊谷政府委員 道議会におきましてこの北海道価格をめぐって相当真剣な議論が戦わされたということにつきましては報告を受けております。主眼はこの格差を是正するということにあると信じておりますので、札幌通産局長並びに道庁と協議をいたしまして、相協力して引き下げの指導を行なっておるところでございます。
  174. 多田光雄

    多田委員 私がさっき冒頭に聞いたのは、輸入やその他を聞いたのじゃないのです。北海道の千五百円という指導価格、この問題について、昨年の十二月の段階で、指導価格を北海道では千五百円ときめた段階で業者がどう動いたかということを聞いているのです。それに関連して非常に重要な発言がその連合審査で行なわれているのだが、それを聞いたのかと言ったのです。いまの御発言を聞くとあまり聞いてないようだし、そういう出先についてはきびしい態度で、これだけ重大な問題だからきちんと報告させるということが、次官、私は大事だろうと思うのです。  そこで、私どもは昨年十二月来足で歩いたんです。上がったといえばその小売りに行き、小売りはどこから油を買っているのか、どの卸から買っているのか、その卸はどこの元売りから買っているのか、草の根を分けるように歩いたんです。  その道議会の正式の連合審査で次のような事実が発表され、新聞にも報道されているのです。それは、道内で二五%のシェアを持つ日石系の日本石油瓦斯、これの札幌営業所の責任者に私どもの道会議員が直接会ったんです。そうしますとこういう事実がわかった。十一月段階で十キロ二百五十円から二百七十円のLPガス、これは特約店に渡すものですが、それが十二月には四十円から四十二円アップした。そこで今度は札幌市内のその特約店に行った。この特約店の名前は、私はここでは発表しません。そうするとその特約店では、十二月十五日からアップしてきた、こういうことです。その日取りを覚えてくださいよ、十二月十五日。元売りは十二月と言っている。それから特約店は、十二月十五日にアップしたものが来たということです。そして小売りは十二月二十一日に、この上からずうっと来たアップの段階で売ったんです。これがわかった。それだけじゃないのです。つまり私が申し上げたいことは、十四日に指導価格が道知事に出されてきたとき、これを業界が知っていたのかどうなのか、問題はそこなんです。  さて、もう一つ私、事実をあげましょう。札幌市で、一月十八日から一月二十五日の間に、札幌市の生活物資対策部が百二十九軒の小売り調査した。そうしたら、プロパンの値上げ問題について、十二月上旬に十キロ千百円であったものが、十二月中旬以降一斉に上がったということがわかった。しかも小売りが言うのは十二月十七日から一斉に上げるようになったと言っている。これは札幌市に問い合わせてください。つまり私の言いたいことは、指導価格がいま言った十四日にエネルギー庁の山形長官の名前で北海道知事に出てきている。もうこのころは国民はもとより業界は知っているのです。そしてこの前後に元売りから小売りにかなり大幅の値上げが来ている。これは北海道だけではありません。これも新聞によりますと、九州の大分の九州石油、ここでも十二月一日から、大体北海道と同じです。一キログラム二十七円だったプロパンガスの卸値を四十二円に値上げする指示があった。これはあとでその分は返したそうです。つまり北海道で私の会った業界、これは私は直接に聞いて、ここには文書を持っておりませんが、十二月一日に一斉に上げようとしたところが、業界の指導部から、いま通産省と話し合っているのでしばらく待て。ところが辺地ではその待ったがかからないで急速に上がった。札幌はまだ中旬まである程度押えられた。そこに指導価格の千五百円が出てきたのです。問題はここなんです。つまり指導価格が高値安定だ、標準価格が高値安定だというのはこの実態を見ればはっきりするのです。こういうことを皆さんが調査されたのか。それからまた皆さんの出先である札幌通産局長が、そういう事実が発表されている連合審査に出て、そして発言しておりながら、そのことを一体政府に報告しているのかどうなのか。してないとすればそれは資格がないし、来ていてそれをぴんと感じないとすればよほど皆さんは頭がどうかしている。私は通産省の皆さんは知らなかったのだろうと思う。どうですか、こういうことを調べましたか。次官どうでしょうか。
  175. 森下元晴

    森下政府委員 その事実につきましては私は関知しておりません。
  176. 熊谷善二

    熊谷政府委員 詳細につきましては私も実は承知をいたしておりません。申しわけないと思います。  当時のことを振り返ってみますと、十一月一日の時点で私どもはそれをベースといたしまして、この標準価格を十二月の十三日に決定をしたわけでございますが、この価格は、十一月一日現在での全国のLPGの平均的な価格が十キログラム千円という判断をいたしまして、十二月の十三日は千三百円、当時私どものほうに入ってまいりますニュース等では各地におきまして千五百円、あるいは地域によりましては千八百円、価格についての確かに相当大幅な値上げが各地において行なわれるということを耳にいたしまして、これは民生に非常に重大な影響を与えるということで放置できないと判断をいたしまして、各地のほうでの値上げを放置するよりはここで蛮勇をふるって指導価格を設定をする必要がある、こういう判断のもとで十二月の十三日に指導価格を決定したわけでございます。  同時にこの指導価格につきましては、それぞれの関係の業界におきましても大体実行できるであろうというめどを私どもとしては持つ必要がございまして、相当の値上げの期待のある中で千三百円という押え込みをするわけでございますので、そういうことも念頭に置きながらもう少し早目指導価格を設定すべきであったかとも思いますが、慎重にその点を判断をいたしまして、十二月の十三日という日に指導価格を設定したという経緯がございます。御指摘のように十一月の中旬ごろから十二月の上旬ごろまでにかけまして全国各地におきまして、価格差はそれぞれございますが、価格値上がりの機運にあったことは事実でございまして、それに対処するための指導価格の設定であったというふうに考えております。
  177. 多田光雄

    多田委員 いま、蛮勇をもって、ということでしたけれども、蛮勇ということは知恵のない勇気ということなんです。つまり、私どもは昨年から、この価格は買い占め、それから売り惜しみ、価格のつり上げ、これは国会でも何度も、大企業がやっていることなんだということを言ってきた。いま、はっきりしてきたのです。そういう観点からこの問題にアプローチをしていかないと、だれが値を上げて、だれが実勢価格をつくっていったのか、これがはっきりしない。それと指導価格との関係がどうなっていったのかはっきりしない。特に北海道は二百円高いのです。二百円といえば、それだけ見ればたいしたことのないようなことです。北海道のような寒いところで家庭燃料に二百円出すということはたいへんなことなんです。先ほど次官は、なかなか善処されるということをおっしゃいませんでしたが、その間でもやはり二百円ずつ出さなくちゃいかぬ。そういう問題としてこの問題に接近しなければ、ただ一般にまるで雨が空から降るように実勢価格でもってこうなったのではなくて、まさにその実勢価格は、もちろん、そこには国民の心理も私は部分的になかったとは言いません。しかし、主要な問題がそういうカルテルや何かでつり上げられてきたのだということで接近しないと、実態がつかめないし、そしてその実態をつかむならば、この標準価格やその他が高値安定になってしまったのだということがはっきりつかめるわけなんです。  そこで、私の時間は過ぎたというあれですが、最後にもう一つ申し上げておきたいのですが、そこでどうでしょう、この問題について政府側はひとつ一回北海道へ行って——二百円高いのだから、沖繩より高いのだから、いま言ったことを実際に帳簿を見たり、仕入れ、仕切りの伝票を見てまで調べますか。御案内してもよろしいです。どうですか。
  178. 森下元晴

    森下政府委員 実は私、一月の三十日に札幌の通産局に参りまして、その問題が出まして、通産局長にもよく事情を聞きました。また、その後、超党派的に通産省のほうへ大ぜい参りまして陳情も実は受けました。ただ、十二月の中旬ごろは御承知のように灯油の問題よりももうプロパン問題が非常に緊迫化しまして、一時はパニック状況になりかけたような、いま思い出せば気がします。特にタクシー用のプロパンですね。これはブタンがおもでございますけれども、中には家庭用のプロパンまでタクシーに使用しなければいけない、そういうような事情もございまして、灯油のほうは容器の問題等で貯蔵できますけれども、プロパンはああいうふうな高圧ガスでございますし、もう待ったなしだ。しかも煮たき用の、個人的な、食糧と同じような非常に重要な問題でございます。まだまだ上がるかもわからないというような懸念もございまして、当時大なたをふるってでもきめなければいけないというような、きめた経過も実はございます。そういう点で、北海道価格につきましては私も、まあその他の理由もございましたけれども、一月の三十日に北海道に行って局長からもよく事情を聞いたし、また通産省の考え方も話しして、早く実態を見きわめて、また同時によく道庁とも相談して、実情に合うように検討すべきである、こういうような申しましたし、また、現在も早急に検討するようにしております。一日おくれればそれだけ北海道の方が大きな損失をする、それもよくわかります。いろいろその他の灯油またプロパンの問題もきょういろいろな方から質問を受けまして、やはり急にきめた問題で、いわゆる気化率の問題等の差もございますし、また都市ガスとプロパンの料金の差もございまして、こういう問題もすべて含めまして、できるだけ公平にまた消費者の方に御迷惑をかけないように、前向きで検討していきたいということを申し上げたいと思います。
  179. 多田光雄

    多田委員 もうすぐ終わります。  ちょっと伺いますが、この指導価格をきめる段階で、道のどういう方々と事前に話し合い、打ち合わせをされましたか。私の聞いているところでは、これも政府側からこの間聞いたのだけれども、業者と道しか聞いていないようです。そのとき北海道はどういう態度をとりましたか。
  180. 熊谷善二

    熊谷政府委員 標準価格を設定いたします際に、北海道庁とも協議をいたしまして、北海道庁のほうとしては、いわゆる北海道価格というようなものを設定されるのは非常に困る、こういう立場でございました。しかしながら、実情を判断いたしますと、いま直ちにこの格差を全部取り消すという実情にはないという点についての理解もございまして、やむを得ない暫定措置としてこの千五百円をきめるということで、そのために私どもも北海道庁に対する通達におきましても、他の地域と違いまして特段の通達を出しまして、これが暫定措置であるということと、政府といたしましても、この価格の引き下げについて指導を強力に行なうのだということを特に通達をいたしたわけでございまして、その後、北海道庁相ともども価格の引き下げにつきまして現に努力をいたしておるところでございます。
  181. 多田光雄

    多田委員 もうすぐ終わります。  結局、道もこうやって知事も反対してきているんですよ。結局賛成したのは業界だけじゃないですか。それ以外にないですよ。  そしてもう一つ、これもいつか通産大臣が北海道は、石油、LPガスそれから灯油の精製所がないと言っていますけれども、そうじゃないんです。これも資料が出ているんですね。もう室蘭の日石、それから苫小牧の出光、函館のアジア石油、それで九月段階には七百七十一トンのものが、すでに十一月段階では一万一千百八十五トン、これは一工場稼働しましたから。つまり十数倍に伸びているんです。これは北海道の月の需要量の半分なんです。そうして、この十一月が十二月に出ているんです。油はあったんです。こういう状況だということも念のために、時間がありませんから申し添えておきます。  最後に私、先ほど熊谷部長は引き下げ方を現在指導中であるということを野間委員にも述べておられたんですが、これをもう少しはっきり言ってもらいたいということ、それから次官が明確に答えられませんでしたけれども、北海道の二百円を、これは小売りに負担をかけないで卸、メーカーの責任において早急に値下げさせるような、あるいは撤廃させる指導をひとつしていただけるかどうか。そのための実情調査を、もう一度お伺いしますが、私どもが言ったようにほんとうにやっていただけるのかどうか、その三点を伺いたいと思います。
  182. 熊谷善二

    熊谷政府委員 現在私どもが札幌通産局並びに北海道庁等と相談いたしまして、値下げ指導を行なっておるところでございます。考え方としましては、小売り業者に負担をかけないで卸の段階を中心といたしまして、メーカーの協力も得て価格引き下げを行なう方向で現在指導をいたしております。
  183. 多田光雄

    多田委員 いつまでですか。
  184. 熊谷善二

    熊谷政府委員 早急に結論を得べく通産局長ともしばしば連絡をとり合って、北海道庁とも連絡をとり合って早急な結論を出すべく努力をいたしているわけでございます。まあ何日に結論を出すというところまでははっきり申し上げられませんが、私どもの心算といたしましては、実はもう結論が出てしかるべき時期だと考えているわけでございまして、もうかなり本件につきましてはそれほど時期を待てない感じで実は私としては思っておりまして、早急に結論が出るよう再度努力を重ねたいというふうに考えております。
  185. 多田光雄

    多田委員 次官ひとつ。
  186. 森下元晴

    森下政府委員 早急に検討して、先生おっしゃったように北海道価格の撤廃も含めて引き下げ方を検討していきたいということをお答え申し上げます。
  187. 多田光雄

    多田委員 終わります。
  188. 平林剛

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時六分散会