○内田国務大臣
水野さんの
農業用資材についての前段の
お話、よく承っておりました。まことにおっしゃるとおりで、私も実は
農村といいますか、地方の
出身でございますから、
お話のようなことをしばしば聞いてまいりまして、
春耕期に当面して
農業用資材のまず
確保の問題、それから
価格の
上昇、ことに後段でいま
お話がございましたように、原油の
価格から
値上がりをした際にそれが原油の
製品価格をどれだけ押し上げることになるか、さらにまたその
石油製品を使った二次
製品の、いまの
ポリエチルとか
ポリプロピレンというようなものにどう響くか、ひいてはそれが
農業用資材ばかりでなしに今後の
一般の
生産関連
資材あるいは生活関連
資材にどう
影響を及ぼすかということをあなたと全く同じように感じておるわけでございます。
もう時間がございませんから簡単に申し上げますと、前段の問題につきましては、まず
農業用資材の
数量の
確保ということが第一だろうと考えておりまして、すでに通産政務次官から
お話がございましたように、たとえば
電力とか
石油などの
供給につきましても、初めから
農業用のものにつきましては規制をはずしておるものもございますし、あるいはまた、規制をいたしておりますものも一番最低位の五%というようなカットのしかたでありますが、それも事態に応じて特例として引きはずすというようなことをやりまして
農業用資材の
確保につとめておるわけでございます。
価格につきましても、
石油製品価格そのものをすでに現在は各品種別に押えているわけではございません。それは
灯油とかLPガスについては品種別に標準
価格等で押えておりますけれ
ども、その他のものにつきましては、現状においては原油の
価格の
値上がりがございましても、全体を平均しましてそうして
石油製品の蔵出し
価格を押えておるわけでございまして、出口ではいまのところ現状においては
値上がりがないわけであります。問題はそれが
末端の消費者の手に渡るときに、せっかく私
どもが総体として
供給量を
確保しておるのに、どこかにしわ寄せがあって、そうして
末端の
需要者、すなわち農民あるいは
農業団体を心配させているというような問題がどこに原因があるか。いまの一次
問屋、二次
問屋、そのいずれか一方はトンネル
会社であるかもしれないというような問題また、
価格につきましても、
末端に行くに従っていろいろな問題がございます。たとえば
農業団体とそれから
供給団体とがうまく話し合いがついているところはうまくいきますが、別に商業組合の代表もございまして、その辺でなかなか話し合いがつかないためにせっかくの中央での配意が
末端まで届いていないというような問題もあるようでございますから、これからそういうことも含めまして、これは法律上は配給機構を制約したりあるいは幾つかの中間機構を
政府が公権力をもってやめさせるということはできませんけれ
ども、こういう時代でありまして、いろいろ
政府が介入ができるよすがもあるわけでございましょうから、引き続いてこれらの問題につきましては私
どもの考えと
末端の
農家が受ける事態が直に行くようなぐあいにいろいろまたくふうをしてまいりたいと思います。
最後の
お話でございますが、所得政策という
お話、これはあなたも御承知のように、これは
政府も政党も所得政策ということばを述べるのは一種の禁句、タブーのようなことになっておりますが、私にはその意味がわかりません。私自身は、広い学問があるわけではございませんけれ
ども、所得政策というのは、年々の国民総
生産、国民全体から見た総
生産の増加をどのように国民の各階層、各勤労なりあるいは
生産手段の提供者が分けるかという問題でありまして、それが力
関係で放置しておけばいいということではない。したがって、これはまた勤労者を押えつけていけばいいということではもちろんないわけでありますけれ
ども、国民総
生産がふえる、しかしそれは人口もふえますから、その人口を差し引いた一人当たりのマクロで見ましたふえた分をどのように分けていくかということは、これは当然考えていくべきではないか、こういう意味におきましては私は関心を持つものでございまして、そのふえた分の分け方が、あなたがおっしゃるように、中央のある
段階でとってしまって地方の
末端のほうにはもっぱらしわ寄せだけになるということはもちろんいけませんし、あるいはまた企業とかあるいは資本の提供者がよけいとってしまって高率配当をする、そして勤労者には物価の
上昇にもかかわらずアンバランスな押えつけをするということももちろんいけない。ですからより高い、より広い意味においてこの問題は国民的に研究することは私はタブーであってはならないように考えるものであると思うわけでありまして、これはいろいろの方面からしかられないようにしながら私はその始末はつけていきたいと考えます。
最後に、原油の
価格がおっしゃったようにすでに九ドルベースの
石油がこの一月二十日ごろから入っております。これを
製品価格にした場合に一体その
製品価格にどのように
影響を及ぼすべきか。これは一口に言うと、通産大臣も述べておりますように、
石油精製業界には従来の利益の蓄積といいますか、それがさしあたり何を意味するかは別といたしまして、ございましょうし、さらにまた五十日分ぐらいの安い時代の原油を持っているものもございます。それに今度は新しい
石油が入ってくるわけでございますから、その辺を組み合わせまして、いつから
石油製品の
値段をどの
程度上げるかという問題は実は非常に真剣に私
どもも大蔵省も
通産省とともに検討いたしております。それが今度は二次
製品、
末端の
製品にどれだけ
影響を及ぼすか計算をしておるかとこういう
お話でございますが、一口に簡単に申しますと、二次
製品以下なるべく大企業で、
政府がそこを押えれば全体として
価格上昇の
影響は押え込めるというようなそういう対象を選びまして、
石油製品の
値上がりにもかかわらず
石油業界に対してとると同じような態度をこれらの二次
製品以下の
産業にもとりまして、そしてその二次
製品の値上げをでき得る限り長く押え込んでまいる、こういうやり方をいま検討いたしております。しかし、それがまた他方において他の方面の
便乗値上げとかあるいは売り惜しみ、買い占めというようなことを招いてはなりませんので、この
製品はいつから幾らぐらい上がるか、何%上がるかというようなことは、まだ結論にも達しておりませんし、
あまりいろいろ私
どもは申さぬほうがいい、いま言うようないろいろな事態を発生しますから、こういうふうに考えておりますが、あなたの御心配と同じことを私は心配をいたしておりますので、よろしくまたいろいろお教えをいただきたいと思います。