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永松参考人 永松でございます。
先ほど中金の
片柳参考人からいろいろお話しがございましたので、私のほうからは、時間の関係もありますので、要点のみお話し申し上げてみたいと思います。
特に私の
立場から申し上げますが、全農といたしましては、特に最近の
畜産問題につきましては、
事業のあり方について、いまから言いますと昨年の十月でありますけれ
ども、
全国の農協
大会がありまして、新しい
意味での
事業体制をどういうふうに持っていくかという中で、
生産、販売の一貫体系で仕事をしていこうということで、総合三カ年計画というものをつくりました。その中で、特に
事業をやっております全農といたしましては、
経済連の系統を通じて
事業的な対応をしていくということで、その中身は先ほど申しました
生産者とそれから販売、要するに流通と欲を言えば消費の段階、これを一体化していくというふうな
事業をしようということでいろいろ計画を練ってまいった次第であります。しかし、残念ながら、昨年一年の
畜産、特に
えさを
中心にする世界的な動向というものは、この見通しを大幅に修正せざるを得ないといいますか、もっと極端に言えば、めどが立たなくなっておるというふうな実態でございます。特に、先ほどから
参考人からもお話しがございましたが、
生産の段階では一体
畜産を継続していっていいのかどうかというふうな疑問が、肝心のわれわれの組合員である
生産者に非常に不安を持たせておるというふうな事態で、先ほど申しました総合三カ年計画どころではなくて、
国内の
生産自体がわれわれとしては非常にめどが立たないというふうな
状況に至っております。もちろん、全農としてどういうふうにこれを計画を立て、
生産をさせるかということについて非常に腐心をしております。
そこで、その内容につきまして申し上げ、また、御
要望いたす点も若干申し上げたいと思います。
一番この原因になりました
飼料の問題でございますけれ
ども、過去の問題は抜きにしまして、最近の情勢でございますけれ
ども、二、三月、特に二月につきましては一万一千円、三月については一万一千六百円ということで、
値上がりになったわけでありますけれ
ども、四、五、六月――われわれの段階では三カ月ごとに
価格をきめておりますけれ
ども、その
価格のきめ方といいますか、どういうふうに四、五、六の
配合飼料を供給していったらいいかということについて問題が多いわけであります。特にその中でわれわれがいま非常にやりにくい点は、円とドルの非常に不安定な実態、これがわれわれとしてはどういうふうな供給
価格をきめるかということについての最大の問題であり、いまだかつて経験しなかった大きな問題がそこにございます。われわれとしましては、とにかくいままで努力してまいったのは、
国内の
畜産を少しでも減らしてはならぬということで、量の確保につきましては最大の努力を払ってまいったつもりであります。
問題は
価格でありますけれ
ども、特に最近の実態を申し上げますと、二、三月の
価格をきめた以降、トウモロコシ、
マイロは
配合飼料の中の約六〇%
程度の比重になっておりますけれ
ども、これが約二割
程度の
値上がりになっております。さらに、かいつまんで申し上げますと、
大豆かすが約一割
程度の配合率になっておりますけれ
ども、これはおかげさまで
価格もやや有利に買えるというふうな実態でございます。その反対に海上運賃が最近また上がってまいっておるということで、一時二十五ドル
程度でございましたが、最近はまた三十ドルという線が出てまいっておるということで、これがまた非常に不安の種でございます。
それから、もう
一つ、
国内の副原料、副資材と申しますか、たとえば紙袋等が非常に高騰しておる。最近
石油の
値上がりによって再びこういった傾向があらわれております。それから春闘がございますけれ
ども、加工賃が今後どういうふうになるかというようなこと、
最後に円とドルの関係が、これはいろいろな見方がございまして、円が強いというふうな見方もございますし、ドルが強いというふうな見方もございます。これをどういうふうに見るか。昨日私たちのほうでも
理事会がございまして、一応四月については三月
価格をさわらないということで延長にしたわけでありますけれ
ども、これあたりも、円、ドルの見方次第では、先ほど申しましたように、原料自体は上がっておりますので、非常にむずかしい段階に至っております。そういう
飼料の実態の中で、われわれとしては
畜産豊家を守っていくためにいろいろ施策をしなければならぬと思います。
以下、御
要望になるかと思いますけれ
ども、申し上げてみたいと思いますが、その
一つは、
日本の
畜産の構造を、いまのようなドル紙幣を食うような
畜産から、もっと
日本の土地についた
畜産に持っていくこと、これはかなり時間もかかるかと思いますし、また、投資もいろいろな労力も要るかとも思いますけれ
ども、そういった基本線をまず明示していただきたい。また、われわれも努力いたしますけれ
ども、その辺が明らかにならないと、
日本の
畜産の
方向というものはきわめて暗いというふうに言っていいのじゃないか。特に、自給
飼料についての奨励
措置が最近行なわれており、また、四十九年度でもいろいろ御努力願っておりますけれ
ども、これがはたして基本的なそういう姿勢を助長することになっておるかどうかという点。たとえば国有林野
一つとらえましても、国有林野を開放してもらう。たとえばわれわれが素牛の供給をしようとして下草を利用しようと思っても、なかなか制約がございます。そういった、
一つの例でございますけれ
ども、あらゆる
日本の資源を投入して
畜産の自給率を高めることにぜひ御努力と御援助をいただきたいというふうに思います。
それから、先ほど申し上げました原料の
輸入の問題でありますけれ
ども、これあたりも、われわれとしては量の
輸入について最大の努力をしてまいりましたが、今後はたしてこういうことでいけるかどうかという点にもいろいろ不安がございます。ことしこそアメリカも作付面積がふえておりますし、南半球もかなり豊作のようでございますけれ
ども、たとえば
一つの例を申し上げますと、全農としては、最近、協同組合間貿易ということで、いわゆる民主的な貿易を非常にしております。それが量がふえてまいっております。たとえば、アルゼンチンが最近穀物について国家
管理になりまして、民間の自由にはなかなかならないというふうなこと、これをもって国際的なナショナリズムと言えるかどうかはわかりませんけれ
ども、こういった面に国の介入をしていただいて、国家間でそういった
日本の
畜産のもとになる
飼料原料のいろいろな基礎固めをしていただくというふうなことができないのかという希望を持っております。
それから、たとえば来年度の国の予算でも御検討を願っているようでありますけれ
ども、開発
輸入の問題でございます。これにつきましても、全農としましては
政府と連絡をとりましていろいろ努力しておりますけれ
ども、たとえば、これは非常に大きな資金が要ります。全農が
国内でサイロをつくったり工場をつくったりという資金から見ますと、おそらく一けた違うという資金が要る。また、農協としましては農協法のいろいろな制約もございます。海外に対するそういった
事業をやるための制約もございます。一番問題は、たとえば
融資を
お願いしましても、八〇%で、残りの二〇%はこれは何とか自分で手当てをしなければならぬ。これは量の問題もさることながら、リスクの非常に大きな仕事でございます。そういった面でのいまの施策が一体十分であるかどうかという点、これもひとつ御検討いただき、御援助いただければというふうに思います。
それから備蓄の問題でございます。これもいままでは、われわれとしましては、大体一月ぐらいの備蓄、これは民間
ベースでありますけれ
ども、最近の国際情勢から見ますとこれは非常に不安でございます。これをふやすためには、いろいろな施設、それから対外的な契約、先ほどの開発もからんでまいりますけれ
ども、そういった一貫した体制をつくることについてさらに特別な御
配慮をいただければというふうに思います。
それからもう
一つ大きな問題は、
畜産物の
価格問題でございます。このことにつきましては、すでに
参考人からもお話しが出ましたので要点だけ申し上げたいと思いますけれ
ども、基本的にまず
国内の
畜産をどこまでやらせるのかということについて、いままでは主として、
価格の
考え方というのは
需給実勢で参ったわけであります。ものによってはもちろん違いますけれ
ども、そうではなくて、むしろ国民に、自給される
畜産物をどういうふうに供給するのか、その供給するためには、
価格、要するにプライスとしてどういう政策をとるのか、私のことばで言いますとガイドプライスというものをイギリスも持っておるようでありますけれ
ども、これをはっきり明示して、これを
中心に国民食料の
国内確保
対策、それから
生産対策、自給
対策というものを進めていただく。その基本的な線を明らかにしていただく。いままでは、これは非常に失礼に当たるかもしれませんが、量的な施策は確かにいろいろ打たれたと思いますけれ
ども、
経済的施策といいますか、プライスを
中心にした
需給という
考え方が私から見ますとどうも欠けておる。したがって、よりいい所得があればそっちに走ってしまう。逆の言い方をすれば、
畜産というものがどうもいまの
経済成長の中では合わない。したがって、つくらない。国際的な障壁もなくなってくる。そうなればますますそれが促進されてしまうというふうな実態でございます。
そこで、いま基本的なガイドプライスのことを
お願いしましたけれ
ども、次に
輸入の問題でございます。いつまでも豚は――いま
豚肉は自由でありますけれ
ども、牛にしましても、豚にしましても、もう
一つ言えば液卵にしましても、自由に入ってくるかどうか。貴重な外貨でもあるというふうな関係から言いますと、
輸入についての、いま申し上げましたガイドプライスを
中心にした
国内での
需給での結果として、
輸入をどう調整するかという確たる線を明示していただきたい。また、持っていただきたい。今回のように
輸入が多過ぎて途中で調整しなければならぬというふうな実態にならないようにぜひ
お願いをしなければならぬ。そういった
意味では、われわれとしては、
国内のいろいろな施策についてはできるだけ
農業団体としてしょってやるつもりであります。たとえば調整保管ですが、いまこれは
事業団がかなり大きなウエートを占めておりますけれ
ども、これあたりも
生産者団体としてやれることはやるというつもりをしております。また、
最後のリスクを
事業団で財政的なギャランティーをしていただくという線でいけないかというふうに思います。こういった調整
事業というものはやはり
生産をやり、
生産に近いところでやらなければ
意味がないというふうに私は
考えております。現に今回もいろいろな
意味でわれわれは出荷についての調整の努力をしてまいったわけでありますけれ
ども、これも非常にいわゆるリスクが伴います。そういった
意味での施策を確立をしていただくというふうにぜひ
お願いを申し上げます。
それから特にいろいろな
保証価格、それから
安定基準価格等の豚、牛乳等につきましては施策が打たれてまいったわけでありますけれ
ども、いま一番問題になっております卵についてはそういった施策がないと言うと語弊がありますが、非常に違った形で打たれている。ことばをかえますと非常に中途はんぱである。これは
片柳参考人からもお話しがありましたが、
液卵公社が爆発をしますと、要するに経営の限界での施策しかできないわけであります。そうではなくて、これも豚価等と同じように一定のガイドプライスを実現するために、もし会社で経営的な問題での負担が出た場合にはそれは財政で何とかするというふうな施策を――ぜひこの際
液卵公社の体質について切りかえを
お願いしたいと存じます。
それからもう
一つお願いを申し上げたいのは、先ほどの林野の開放等にもからみますけれ
ども、素畜の問題でございます。素畜については、いままでいわゆる繁殖
事業と、それから豚で言えば肥育と分かれておったわけでございますが、われわれとしてはできるだけ一貫経営でやらせるというふうに仕組みをしておりますけれ
ども、その点でまだまだ問題がございます。そこで、
農業団体といたしましても、素畜供給
事業について取っ組んでいこうというつもりをしておりますけれ
ども、先ほど申しましたいろいろな制約、それからいままでの素畜の
価格の形成のされ方等の問題がございまして、これは全く赤字
事業でございます。こういったものももっと統制のある、また、一定のかなり大きな
規模でできるような形に施策を
お願いしたい。これが素畜安定供給の大きな手だてになるのではないかというふうにも
考えております。そういった点で、系統の
立場としましては、いろいろな
意味でできる限りの投資をし、施策をやっていきたいと思いますが、やればやるほど、ぜひ財政的な裏打ちをしていただかないと、せっかくの
事業が効率が低いということになるかと思います。
最後に、われわれとして
お願いしたり、またやらなければならぬと思っていますのは流通の問題であります。これもお話しが出ましたので簡単に申し上げますが、せっかくいま
生産者が努力をいたしまして、また、経営の合理化をいたしましても、流通の段階でこれが反映しない要素がかなりございます。小売りはさっぱり動かない。卸はしょっちゅう動いておる。それも最近のように非常に大きな波で動いておるというふうなこと、この辺の流通の改善といいますか体質を直していくといいますか、
価格の反映をさしていく。いろいろな
意味でぜひこれは
政府にも
お願いをしなければならぬと思っておりますし、われわれとして
要望したい点でございます。
もう
一つ、何だかんだ言いながら、消費拡大と言うと、農業側から言いますと少し問題があるかもしれませんが、消費段階で、消費の拡大の余地というものはまだまだ非常に残っております。
日本の食料自体が欧米に比べまして品質的にほんとうにそういうレベルに達しているかどうか。ほんとうの肉を使い、ほんとうの卵を使うというふうな
意味でのいい食料を供給するという
意味においては、やはり、国産のフレッシュな食料を大いに国民全体で食べていただけるということが、これは
生産者としても希望するところでございます。そういった
意味での
消費者教育といいますか、PRといいますか、そういった面ではまだまだ欠けた点がある。それを特に
畜産物にとってみますと、非常におくれております。その辺をぜひわれわれとしてもいたしたいし、
政府にも、また
先生方にも御援助いただきたい。
かなり時間が経過いたしましたので、この辺で終わりたいと思います。