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1974-03-22 第72回国会 衆議院 農林水産委員会畜産問題に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十二日(金曜日)     午前十時十分開議  出席小委員    小委員長 坂村 吉正君       今井  勇君    上田 茂行君       小沢 一郎君    笠岡  喬君       丹羽 兵助君    島田 琢郎君       竹内  猛君    芳賀  貢君       美濃 政市君    諫山  博君       瀬野栄次郎君    小宮 武喜君  小委員外出席者         農林水産委員長 仮谷 忠男君         農林水産委員  柴田 健治君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    片柳 真吉君         参  考  人         (北海道農業協         同組合中央会副         会長)     北  修二君         参  考  人         (全国農業協同         組合連合会常務         理事)     永松 英二君         参  考  人         (全国養鶏経営         者会議事務局         長)      茂木 信平君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     吉田 和雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 三月二十二日  小委員山崎平八郎君及び竹内猛君同日小委員辞  任につき、その補欠として上田茂行君及び島田  琢郎君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員上田茂行君及び島田琢郎君同日小委員辞  任につき、その補欠として山崎平八郎君及び竹  内猛君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員稲富稜人君同日委員辞任につき、その補  欠として小宮武喜君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員小宮武喜君同日委員辞任につき、その補  欠として稲富稜人君が委員長指名で小委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  畜産問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 坂村吉正

    坂村委員長 これより畜産問題に関する小委員会を開会いたします。  畜産問題に関する件について調査を進めます。  本日は、まず、本件について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、農林中央金庫理事長片柳真吉君、北海道農業協同組合中央会会長北修二君、全国農業協同組合連合会常務理事永松英二君、全国養鶏経営者会議事務局長茂木信平君、全国農業協同組合中央会常務理事吉田和雄君、以上五名の方々でございます。  参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。  畜産問題につきまして、参考人各位のそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず、御意見をお一人十分程度で順次お述べいただき、その後小委員からの質疑がありますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。  この際、片柳参考人には、所用のため十時三十分に退席いたしたいとの申し出がありますので、片柳参考人の御意見開陳後、直ちに同参考人に対して質疑を行ないますので、よろしく御了承のほどをお願い申し上げます。  それでは、片柳参考人の御意見の御開陳お願いいたします。片柳参考人
  3. 片柳真吉

    片柳参考人 それでは御指名によりまして、まず、私から、最近の畜産の問題につきましての意見を申し上げます。  御紹介がございましたように、農林中金の理事長でもございますが、あわせて畜産振興審議会会長もやっておりますので、両方の資格をちゃんぽんにして申し上げますので、御了承いただきたいと思います。  国会でも、各党でもいろいろと非常な御配慮をいただいておりまして、まことに感謝にたえない次第でございますが、釈迦に説法のような感じもいたしまするが、現在当面しておりまする飼料値上がりを主因としての畜産危機は、ちょうどいままで日本経済が安い石油を基盤として高度成長を続けたのとよく似ておるような感じをいたすわけでございます。今回の飼料の大幅の値上げによりまして、まさしく日本畜産崩壊危機に直面しておるものと私は思います。すでにごらんになったと思いまするが、きのうの新聞を私はきょう持ってきたわけでございますが、読売新聞のきのうの記事に「牛を全部手放した父」という二十六歳の女性の投書がございまするが、このとおりでございまして、この際抜本的な対策政府において、また、特に国会において御考慮いただいて、早急に実施をしていただきたいということが強いお願いでございます。  現在まで畜産振興審議会も、全体の審議会、それから飼料部会養鶏部会がすでに議を了しておりまして、二十五日には食肉部会、二十七日には酪農部会ということで大体のスケジュールが終わることになっておりまするが、今日までの審議会の模様、大体の意向等も添えまして見解を表明したいと思いますが、まず、今回の飼料値上がりは、単に一時的な値上がりではない。世界的な農産物の需給関係から見てまいりましても、この値上がりはまずまず昔に返って下がるということはあり得ない。高値というものは多少のフラクチュエーションはございましょうけれども、この高原景気相当続くものという前提でございます。そういうようなことで、一時的ではないということもございまするし、加えて、日本輸入物資輸入価格が全体的に、あるいはフレートの上昇なり、円の相場の下落等によりまして上がっておる状況でございまするので、えさだけをとらえて、これに財政負担をして従来どおりの値で売るということは、できればけっこうでございまするが、特にえさだけをそういう特別の措置をして、完全に財政負担をして値上がりを防ぐことは、実際はむずかしいのではないか。したがって、審議会意向なり、大体の考え方といたしましては、今回の飼料値上がりその他の資材の高騰によりまするコストアップは、原則としては畜産物価格で吸収する以外に手はないのではないかということで、これは現在の物価政策から見てまいりますると非常な御批判もあろうかと思いまするけれども、ちょうど今回の石油輸入価格値上がり国内転嫁したと同じような考え方で、これはやむを得ない措置ではないかということでござい出して、これをしませんと、畜産そのものが根っこから崩壊をしてまいるという、むしろ危機感のほうを強く感じておるような状況でございます。  ただ、問題は、そういうことで二十五日、二十七日の食肉部会なり酪農部会で、大体政府もそういう方向でいま計算をされておりまするから、私ども農業団体要請しておると同じ程度の試算が出るとは思いませんけれども、ある程度価格で吸収するというラインでの数字が出てくるものと期待をしております。そういう意味で、四月以降については、今後の部会審議にもよりまするけれども、大体コストアップ価格転嫁吸収できるということになりますれば、一応のそこにめどがつくわけでございます。ただ、問題は、それは四月以降の問題でございまして、すでに大会等でもいろいろな要望をお聞きのとおりでございまして、すでに、二月、三月に一万一千円なり、一万一千六百円というコストアップがあるわけでございますから、当面の二月、三月の対策は、これはできれば畜産物価格改定をしてもらえばいいわけですが、それもでき得ないということになりますれば、二、三月の分については、四月から一応値上がりで何とか処置するということでありますが、それ以前の二、三月の分は、これは何とか緊急の措置を講じてこの苦境を緩和していただきたい。  現在私どもが聞いておりますることでは、党なり、あるいは政府か知りませんが、相当低利の資金を融通されるという話だけは聞いております。これも反対ではございませんけれども、現在のような赤字経営ベースとして、四分であれ利子を――元本はもちろん利子も払うところの低利融資というものは、現在の窮状には一〇〇%対応するという考えはなかなかむずかしいのではないか。でき得れば何らかの財政措置が望ましい。これもなかなかむずかしい問題はあろうと思いますが、金融の立場から見ていけば、新しい融資よりも、いままですでに借りておるところの融資条件緩和のほうが、全体にはあるいはこれは適用できないかもしれませんが、特に、大家畜等相当設備投資をしている向きについてはそのほうがむしろ実効があるのではないかという、これは私の私見でございます。そういうことで、四月以降は価格でできるだけ見ていただく。その前の二、三月分は何らかの応急措置をとっていただきたい。  その次に、食肉部会のことでございまして、これは二十五日に部会が開かれまして、豚の安定価格等がここで審議をされるわけでございますが、どの程度数字が出てくるかわかりませんが、さっき言ったような数字畜産局ではある程度計算をしておるのではないかということでございます。そういう意味で、適当な安定価格が出てまいりますれば豚については一応の安心ができるわけでございまするが、問題は、牛肉ブロイラーについては何らそのような保証がないということでございまして、コストアップして大いに価格転嫁するといっても、一般の単なる自由市場にこれを供給するということになりますると、転嫁制度的になかなかでき得ないといううらみがございまするので、これも大会その他での御要望がございましたが、牛肉も、和牛まではむずかしいにしても、乳牛等牛肉に回すような部面については、ある程度肉質も均一化期待できるということもございますので、ブロイラーとあわせて――せっかくこれは価格転嫁するといっても、自由市場にただ売るだけではなかなか転嫁ができ得ない場合においては、最低価格を割る場合においては、事業団買い入れ制度的に最低価格保証するということがございませんと、実際上は、冒頭に言ったような価格転嫁するということは現実はむずかしいということでございますので、その辺も御考慮をいただきたいと存ずるわけでございます。  それから、酪農は二十七日に開かれまするが、これもさっき言ったように、このままでは牛は殺されてしまう、酪農家は離脱、離農してしまうという状況がきわめて顕著でございまして、これについても、二十七日の部会政府の案の提示を求めまして、できるだけ価格転嫁する方向審議をやってまいりたいと思っておりまするが、これはこの前の審議会でも議論になった点でございまして、昨年の例で、従来の算式でいきますると、副産物牛肉価格が上がると乳価は上がらぬでもよろしいという主客転倒算式が出ておるわけでございます。これではもう牛を殺してしまうということで、むしろ牛乳の生産の増強には逆行するわけでございますので、副産物価格が上がったことによって乳価は上がらぬでもいいという、そういう主客転倒議論はおかしいのではないかということで算式改定要請しておるわけでございます。これはおそらく畜産局ではその点はある程度考慮して今度は出るものと思いますが、特に問題は、安定指標価格実勢価格相当乖離しておるという問題でございまして、安定指標価格をある程度合理的にきめませんと財政負担もおのずから多くなるということもございます。しかも、一般市乳は八十数円というような高値を呼んでいるわけでございますので、それと見合って、現在の四十円わずかの加工乳でつくったバター、チーズは市乳価格との均衡においてもやはりおかしいのではないかという議論もございますので、今回は安定指標価格の適当なる是正を、これをベースにして基準価格を引き上げていただきたいということであります。  そこで、問題は、加工乳は、私どもが大体満足できまする基準価格なり財政支出がきまりますれば、制度としては一応の安心ができるわけでございますが、問題は市乳でございまして、これはそういうような価格保証する制度がございませんので、一般の卸、小売りを通じて消費者に売るということで価格転嫁期待せざるを得ないということでございますが、昨年の引き上げにいたしましても、約半年もかかってようやくあれだけの値上げが実現をできたということもございまするので、せっかく加工乳基準価格が上がりまして、それにスライドして市乳価格が上がらざるを得ないという仕組みではございまするが、それが実際上実現できるかどうかはきわめて私は心配をいたしているわけでございまして、この辺は、現在は、政府側における強力な行政指導にまつほかはないということでございますが、場合によっては、加工乳と同じような制度情勢いかんでは考えなければならぬというようなこともあわせて私どもは御考慮お願いをいたしたいと思います。  時間がございませんので、最後養鶏のことでございますが、これは養鶏部会が終わりましてすでに答申を了しておりますが、一つは、鶏卵物価優等生だということでほめられておったのでありますが、決してこれは優等生でがまんができる状況ではないわけでございまして、特に、えさに対する依存度は最も高い事業でございまするし、しかも、これがややもすると大生産バックとしての生産過剰になる危険性が多分にあるわけでございますので、これは全体の養鶏業者をひっくるめて、農家プロパーの、養鶏以外の他の大規模生産業者も含めての強力な生産指導を打ってもらいませんと、鶏卵はなかなか市価の復活が困難であります。そこで、養鶏部会では、液卵公社機能を拡大して、液卵公社買い入れ価格を引き上げる、あるいは数量市価を調整できるまで増量してほしいということが要請でございますが、これは御承知のようにいかにも規模が弱小でございまして、現在たしか資本金が九億円、それに今度増資がされて十二億円ぐらいになるそうでございますが、現在のような鶏卵の全体の生産量から見てまいりますると、これだけの資本金バックにした買い入れではたいして市価を支持する機能は発揮できないのではないかということで、この機能の拡充を私どもは強く要請をしておるようなわけでございます。  それから、牛肉等消費者への流通改善を要すべきことはもちろんでございますが、特に審議会で問題になりましたのは、牛肉豚肉についてルールなしに輸入がされまして、あるいは生産者価格を圧迫するなり、あるいは消費者期待を裏切っておるというようなことがございますので、これについては、生産者意向もあるいは消費者意向ももっとくんでも当然だと私どもは思いますが、もっと生産者消費者両方意見を聞きながら、牛肉豚肉輸入ルール原則を確立して弾力的に運営をする必要があるのではないかということも一つの強い要望でございます。  それから最後に、えさの問題でございまして、これも御承知のような飼料需給安定法で現在計画が策定されておるわけでございまするが、現在の政府操作飼料買い入れ売却は、食管物資小麦大麦を重点にしてやっておるにすぎないわけでございます。これは二十八年にスタートした法律でございまして、当初は輸入数量が少なくもございましたので、政府操作飼料操作相当市価調節等もできたわけでございまするし、当時はふすま等の糟糠類飼料の大宗をなしておりましたから、小麦等政府輸入あるいはふすまの増産によって相当の効果をあげておったようでございますが、現在は糟糠類はまあたいしたウエートはなくなったわけでございまして、マイロメーズ大豆かす等配合飼料日本飼料中心をなしていることは申すまでもないのでございます。ところが、現在の麦を中心とした小麦大麦政府買い入れ売却は、配合飼料とは概して無関係な単味飼料だけの買い入れ売却でございまして、いま問題になっておる配合飼料価格を調整する面ではほとんど意味がないという現状のようであります。  そういう意味で、法律の条文を見ますると、配合飼料までやってもよろしいようなふうに理解できるわけでありまして、「この法律は、政府輸入飼料買入、保管及び売渡を行うことにより、飼料需給及び価格の安定を図り、もって畜産振興に寄与することを目的とする。」とありますから、法文を見ますれば、配合飼料メーズマイロ大豆かすまで及んでよろしいようでございますが、沿革的にそこまでは及んでおらぬ。また、そこまでいきますると、現在でも相当財政負担がございまするので、これを拡大しますれば財政負担が大きくなるというまた別途の問題もあろうと思いまするが、さっき言ったような、飼料問題が日本畜産の今後の成否を決定する重大な問題でございますので、飼料需給安定法運用、あるいは、要すれば法律改正等につきましても、国会先生方の特段の御配慮お願いいたしたいと存じます。  時間がだいぶたちましたので、以上申し上げまして、御質疑がございますればお答えをいたしたいと思います。
  4. 坂村吉正

    坂村委員長 片柳参考人の御意見の御開陳は終わりました。  片柳参考人に対する質疑申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 参考人の皆さんには、用務多端のおりにまことに御苦労さまでございます。  片柳参考人におかれては、急ぎの用件のため途中で退席されるわけですからして、この際、まず、片柳参考人にお尋ねをいたします。きょう出席を御案内したのは中金理事長という肩書きになっているが、私は、畜産振興審議会会長片柳さんの立場で質問いたします。  最近の畜産審議会運営を見ましても、たとえば畜産物価格安定法昭和三十六年、加工原料乳生産者補給金法昭和三十九年、いずれも当委員会中心にして立法府において制定したことは言うまでもありませんが、十年の長い経過の中で、政府は、加工原料乳あるいは豚肉安定基準価格等をきめる場合には必ず審議会意見を聞いてということになっておるが、政府諮問にも問題がありますが、審議会運営においても、最近特に立法の精神とだんだんかけ離れたような運営と結論が出されておるんじゃないかというふうに思われて、われわれとしては、特に立法府立場からこれは非常に遺憾に考えておるわけであります。  しかし、今回は、二月二十五日に畜産審議会懇談会会長が招集されまして、懇談会の名において、農林大臣に対して、五項目に及ぶ畜産危機打開緊急対策に関する要望書なるものをお出しになったわけです。この点については、先般、当委員会において、私から畜産局長に対しまして、畜産審議会懇談会において農林大臣に提出された要望の内容というものはどういうものであるかというような点について質問をしたわけであります。この点はいま片柳参考人からも基本的な問題として述べられておる点に通ずるわけでありますが、ことしは、特に価格決定問題等については、いま会長参考人として述べられたような基本的な方針の上に立って十分運営してもらいたいと思うわけであります。  具体的な事例を申しますと、たとえば全国生産された生乳については、これが用途別に区分されて、全体の六〇%を消費する飲用生乳については、これは実勢価格を基礎にして取引が行なわれておる。その結果といたしまして、現在、キロ当たり八十二円というのが生産者取引価格ということになっておるわけです。ところが、法律で保護さるべき加工原料乳価格というものは、昨年の決定によるとキロ当たり四十八円五十一銭、したがって、用途別に見ると、飲用向け加工向けの間において実にキロ当たり三十三円の格差があるわけですね。ですから、一年間の平均的な一頭当たり乳量を五千キロとすると、一頭当たり十六万数千円の用途別格差によっての甚大な損失という打撃を主要なる加工原料乳生産地帯生産者はこうむっておるわけであります。こういうことは決して法律期待しておるところではないわけです。不足払い法は、法律運営を通じて加工原料乳地帯生乳を漸次市乳化するというところに法律の一番大きな目的があるが、これが全然進行していないわけです。だから、この際、政府がいかような案を審議会に、加工原料乳にしても豚肉にしても提出するかは予言できませんが、いかなる諮問案が提出された場合においても、この審議会としての独自性の上に立った十分な審議と確信のある答申を出すようにしてもらいたいと思うわけであります。したがって、特に留意してもらいたいことは、この実勢取引価格によって形成されておる飲用乳価格政府法律できめる行政価格との大きな格差というものをいかにして是正するかというような点については、やはり価格決定の中で対応する以外は方法がないわけですからして、この点は十分に留意してもらいたいと思います。  そういうことでありますからして、結局、乳業者加工原料乳基準取引価格買い入れる場合は、この保証乳価にさらに八円二銭低い価格、つまり、四十円四十九銭で乳業メーカー生乳を購入しておるわけです。だから、八十二円で飲用向けは購入する、加工向けは四十円四十九銭、会社がこれを買い受けた場合には、これは合体するわけですから、もう差別がないわけですね。この点だけを見ても、結局、いまの不足払い運用というものは、単なる一部の乳業メーカーの利益を擁護するというところにもう結果が行っておるわけでありますから、そうなれば、こういうような政府行政運営をするのであれば、この経済変動の激しい中においてそれが反映されない、労働賃金がどんどん上昇する中においてそれも反映されないということであれば、むしろ、現在の加工原料乳生産者補給金法機能を当分の間、たとえば一両年でも三年間でもいいが、これを眠らすようにして、これは正しい実勢の反映がどうなるかということを判断したほうがいいんでないか、そういう考え方も実は私は持っておるわけです。だから、こういう点についても見きわめてもらって、審議会として、この際、いまの政府のやり方はもう期待は持てぬ、むしろ法律を何年か眠らして実勢の動向を見たらいいのでないかということも答申される場合の一つ方法ではないかというふうに考えるわけです。会長の御意思に介入する気はないが、こういう点を、二月二十五日の大臣に対する懇談会要望書を踏まえてぜひ勇敢にやっていただきたいと思います。  もう一点、参考人が言われた飼料需給安定法に基づくもの、これは食管特別会計の中のえさ勘定運営しておるわけですが、私も会長と同様の考えを持っておるわけです。問題は、結局、一千四百万トン以上の濃厚飼料を海外に依存しておるわけでありますからして、それを大手商社の食いものにされておるというのが今日の実態であります。食管会計で一部扱っておる大事な飼料であれば、むしろ、濃厚飼料等については、国が管理貿易対象にする。そして、購入飼料についても、トウモロコシ、マイロ等配合飼料原料と見らるべきものは、これは全部政府管理貿易対象にする。そして、輸入については政府管理をする。麦方式ですね。輸入麦方式のようなことにして、そして、一方においては、国内自給飼料作物増産体制というものを十分に確立して、輸入飼料並びに国内飼料需給並びに価格調整機能のコントロールを政府の責任において行なわせる。そういうことになれば、需給面においても、価格の安定の面においても、現在のような、一年間に配合飼料価格が二倍に高騰するというような無政府的な状態というものが生じなくても済むのでないかというふうに考えるわけです。この点は法律改正等も要する点でありますが、先ほど来の片柳会長の御意思もそこにあるように私も考えましたので、これは大事な問題ですから、もう一度確認の意味で言うわけですが、これはこうしたほうがいいということであれば、その点をさらに明らかにしてもらいたいわけです。本来は会長を相手にいろいろ聞きたい点がたくさんあるわけですが、時間の関係もありますので、この程度にしておきます。  ただ、最後に申し上げておきますが実は、当小委員会としては、畜産審議会酪農部会長である昌谷君にぜひ出席してもらいたいという一致した意見でありましたが、御当人が特に差しさわりがあってきょうは来られないということでまことに残念でありますが、この点は会長から伝えてもらいたいのです。去年の十月の正式な審議会を開かないで、畜産審議会懇談会を開いた際に、政府から加工原料乳の十月時点における価格の再計算を資料として提出させた場合、これは当然いろいろな意見があったと思いますが、それをもうただ部会長の独断で、難論に乗じて、政府の試算を正当なるものと認めたような形で、この物価狂騰の中で値上げする必要がないというような、そういう酪農部会の取りまとめをしたということについては、いかに農林大臣任命の委員であっても、われわれから見た場合においては、これは当を得ない取りまとめではなかったかというふうに考えるわけです。おそらくこれは片柳会長の御意思とも相当違うものであるというふうに私は考えておるわけで、あなたは農林省においても昌谷君の先輩ですから、これは厳重に注意してもらいたいということを申し上げて、あと、御答弁をお願いします。
  6. 片柳真吉

    片柳参考人 畜産振興審議会運営につきましては、御指摘のように、各法律の立法趣旨をさらによく再認識いたしまして運営当たりたいと思います。  ただおことばを返すようなことではございませんが、むしろ、昨今の畜産状況が過去の状況とは一変をしておりますので、国会側においても、さっきはその意味飼料需給安定法のことも申し上げたわけでございますが、現行法制について、現在のような情勢に即応して、既存の法律を全部もう一ぺん御点検をいただきたいというような感じが私はいたします。ただ、もちろん現行法でございますから、昨今の事情を踏まえて、各法律の趣旨を生かすようにはつとめてまいりたいと思っておりますが、むしろ、そういうような感じも一部にございますので、御考慮をいただければ幸いだと思います。  それから、加工乳市乳との価格が御指摘のように開いておるということは、まさしくこれは加工乳基準取引価格が安いということを立証しておる有力なものではないかと思うのでございまして、そういう意味では、先ほども申し上げましたが、安定指標価格も現在の実勢に即応したように引き上げて、それに基づいて基準取引価格決定するということになると思いますが、すべて価格でございますから、同じ牛乳で市乳が八十何円に売られておって、片方が半分近くなるということは常識上おかしいわけでございますので、市乳としての実勢価格を横でにらみながら、加工乳基準取引価格が安いか高いかをきめる有力な参考資料としてこれは十分尊重していきたいと思っております。問題は、安定指標価格をどの程度上げるかということに一番問題がかかっていると思っております。  最後の、昌谷部会長には、私は、農林省の友人、先輩としてはもちろんでございますが、会長として部会長部会運営を委託をしておるわけでございますから、御指摘に従いまして適時私からもその趣旨を伝えるつもりでございます。  なお、一応部会長が各部会運営はいたすことにはしておりまするが、昨今の情勢にかんがみまして、すべての部会に私は会長として出席をいたすことにいたしておりますので、その辺もお含みおきをいただきたいと思います。ともかく、できるだけやるつもりでございますので、よろしくまた御支援をお願いいたします。
  7. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  8. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 参考人の皆さんにはたいへんお忙しいところをきょうは貴重な御意見をありがとうございます。  畜産振興審議会会長である片柳参考人には、時間がないそうでございますので、後ほど他の四参考人にいろいろお聞かせをいただくことにしまして、一、二点だけはしょってお尋ねをしておきたいと思います。  まず、一点は、今回の畜産危機は、かつてない、農家がいままで経験したことのない重大なときでありまして、参考人も、重大な転機に来ているということをいま陳述されましたが、十分認識をされておるものと私もただいまの見解を聞いて了解いたしました。そういう理解のもとに真剣に審議会に取り組んでいただいていると私は思いますけれども、その中でも当面緊急を要する問題は、過般の三月十四日の全国畜産危機突破大会でも決議されたように、また、われわれが当委員会でもかねがね数回にわたって質問をしておりますように、二月、三月のえさ値上がりについては、何としても緊急対策として措置をせねばならないということでございます。もちろん、会長がおっしゃるように、四月からは価格に吸収するということで、いろいろ今回は実勢価格に見合った答申がいただけるものと期待しておりますが、農家は、もうすでに二月から、昨年の三回の値上げに続いて、ことし一万一千円、また、三月一日からは六百円これに加わりまして、昨年の飼料価格よりもすでに二倍近いものになっておることは御承知のとおりでありまして、すでにもう三月も残り少なくなったとはいえ、二月、三月の飼料対策については、当面の問題として農家はたいへん苦慮しております。政府にもわれわれはきびしくこれが措置については申し上げておりますが、いかにしてもカンフル注射的な対策をせねばならぬのじゃないかというふうに思っております。全農をはじめ各団体からも要請が来ておりますように、三百三十九億のいわゆる基金繰り入れの問題、この三百三十九億をぜひ交付してくれということが強く要請をされておる段階でありまして、会長も先ほどは何とか措置をすべきだと言われ、同時に、四月からは価格に吸収するというようなことでいろいろお話しがございましたが、融資だけでは、これは当然返さなければならないお金でありますし、低利だけの融資ではどうにもならぬと思うという御意見でございました。全くそのとおりであります。そういったことで、私たちとしては、四月から価格に吸収するとしても、二月、三月の値上がり分についてはどうしても政府の基金繰り入れ、交付をお願いしたいというふうに思っております。そういう方法しかないんじゃないかと考えるが、その辺について、審議会審議の過程でどういうふうな意見が出ておったか、また、どういうふうにお考えであるか、述べていただきたい。これが一点であります。  それから、もう一点は、畜産振興審議会は御承知のように例年三月に開かれておりますが、いわゆる普通の問題のない平年のときにやる審議会であれば私もこれで一応は了とするわけですけれども、このような激動期の、しかも畜産危機でかつてない経験をするこのときにあたりましては、審議会そのものを、年の四半期ごとに、すなわち三カ月に一回か、少なくとも半年に一回くらいは開いて、畜産農家の再生産に見合う明るい農村を建設するためにも、また、希望を持てる今後の酪農経営あるいは畜産経営ができるようにするためにもやるべきである。私はこういうふうに二月以来たびたび委員会でも要請し、また、政府にも叱咜激励をして、これが検討を迫っております。先般の委員会でも、十四日には、政務次官からも、当然そのように考えるべきである、今後の審議会のあり方についても前向きに考えて、回数についても十分検討して考えていきたいという答弁がありました。また、畜産局長からもそういう答弁がございましたが、畜産振興審議会としてもいろいろ御検討いただいておると思いますけれども、四半期に一回とか、少なくとも六カ月に一回とか、激動期の畜産振興審議会のあり方についてはぜひ検討していただいて、農家を救うためにも、全国の農民に明るい希望を持たせるためにも、今後積極的に推進をはかっていただきたいと思います。そして、こういったことはいろいろ論議しておられると思うのですが、どういうふうな意見が出ておるか。きょうは会長として、また、審議委員としておいでいただきましたが、どういうふうに見解をお持ちであるか、この機会にお聞かせいただきたい。  残余の問題は、時間がないようでございますので他の参考人にいろいろ聞くことにしまして、その二点だけきょうは承っておきたいと思います。
  9. 片柳真吉

    片柳参考人 とりあえずのこの二月、三月の対策は、先ほど私から一応申し上げたとおりでございまして、まだ確定ではないようでございますが、低利資金六百億ぐらいの融資をされるというような情報は得ておりまして、これはもちろん反対ではございませんが、緊急応対策としてはそれだけでは不十分ではないかということで、審議会では、特に生産者委員からは、三百三十九億程度のものは当然これは補給をすべきではないかという強い要望がございました。ただ、一部の委員からは、二月、三月の値上げがありましても、実際上農家に値上げが浸透するのは二カ月か三カ月ずれるであろうから、四月以降にまずまずの値上げがありますれば、それでがまんができないだろうかというような御意見もございましたけれども、しかし、その前にももう上がっておりますから、ズレは同じズレということに見てまいりますれば、やはり、私も、何らかの措置をとるべきではないかということでございますが、これはもっぱら政府なり党のほうにおきましてお考えをいただく以外にないというのが私の心境でございます。  それから、畜産振興審議会は、規定では、経済情勢の著しい変化等があった場合には開くことができるたてまえになっておりまするが、きょうは畜産局もおいでですが、政府が、あまりそう簡単に開くことにはややおっくうがるというきらいがあるようでございますが、私は、もっとこういう制度は活用してよろしいんではないかと思っております。特に、いまのようなインフレが高進をしておるさなかでございまするし、また、ことし一年、日本畜産がどういうふうに変化するかということを考えますと、少なくとももう三カ月か四カ月たてば相当具体的な現象が起きてくると私は思いますね。ですから、本年のようなこういう異常な大ピンチに臨んで、しかも、日本物価問題もどうおさまるんだかまだ見当もつかぬというときでございますから、きょう審議官も出席されておりますが、もっとわれわれの意見をすなおに聞いて対応してもらうことのほうがよろしいのではないかということで、食肉部会でも、酪農部会でも、おそらくそういうような附帯決議も出るのではないかという感じがしております。これは誘導してはいかぬわけでございますが、そういうような感じもいたしておるわけでございまして、ことしはこういう変転の中でございますので、私ども意見を――もちろん国会も当然でございましょうが、少なくとも一応専門家の集まりである私ども意見をなるべくひんぱんにお聞きを願いたいということは同感でございます。  そんなようなことで、実はもっとおりますればよろしいわけですが、どうしても先約の忙しい仕事がございますので、どうしても必要がありますれば合い間を縫いましてまた参上いたしますので、お許し願いたいと思います。
  10. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 畜産農家のために期待の持てる審議期待しておりますので、どうかよろしくお願いします。  以上で終わります。
  11. 坂村吉正

    坂村委員長 片柳参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、厚くお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
  12. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、北参考人永松参考人茂木参考人吉田参考人の順序で御意見開陳お願いいたします。  それでは、北参考人お願いいたします。
  13. 北修二

    ○北参考人 私は、北海道の中央会ということでございますので、北海道の酪農の現状あるいは問題点、保証乳価についての考え方、この三点について意見を述べたいと存じます。  第一の北海道の酪農の現状でございますが、不足払い制度ができまして、あるいは草地開発公共事業化、長期金融制度の拡充などによりまして、特に不足払い制度以来、一貫して経営規模の拡大と生産性の向上に努力をしてきたわけでございます。この結果、乳牛頭数におきましては五十六万八千頭、全国で見ますと三二%に相なります。それから、酪農家戸数一戸当たりの飼養頭数は十八頭、生産乳量におきましては全道で百三十五万一千トンで、乳量につきましては全国の三〇%のシェアを占めるように相なりました。特に、加工原料乳におきましては、全国認定量の八〇%を占め、名実ともに北海道は酪農王国となったわけでございます。  不足払いの実施以来の実績を見ますと、乳牛頭数で一七六・五%、一戸当たりの頭数で申し上げますと二五三%、生産乳量で申しますと二〇三%。規模の拡大におきまして、あるいは生産面で、一頭当たり乳量におきましては、三千六百七十四キロであったものが四千二百九十九キロと増大いたしました。これが約二七%に当たります。あるいは一頭当たりの労働時間でございますが、一年間で三百五時間かかったものが二百六時間、約五八%に減少をいたしてきておるわけでございます。  このような規模拡大と生産向上の背景に、設備投資と負債が急増いたしたわけでございます。昭和四十一年には二月平均が百十五万円の借り入れでございましたが、現在は平均で七百万円。ある町村におきましては、平均が千五百万円を上回る町村もございますが、平均いたしますと七百万に相なっております。  一方、酪農家の戸数でございますが、統計情報部で発表いたしておるのは三万二千戸ということでございますが、実際に牛乳を販売しておる農家は二万四千戸で、特に、四十六年以降は八%ないし九%の減少を来たしておりまして、この三年間で六千戸の酪農家が減少をいたした次第でございます。  次に、北海道の酪農の問題点について申し上げたいと思います。  その一つは、生産乳量の異常停滞でございます。生乳の対前年伸び率におきましては、四十五年までにおきましては一一%から一七%ぐらいの推移で参ったわけでございますが、四十六年には六・二%、四十七年には六・一%、四十八年には一・四%と、予想もしない落ち込みに相なっておるわけでございます。このようなことは保証乳価の引き上げ幅と深い関連がありまして、四十五年に二十一銭、四十六年は七十五銭、四十七年が一円という、極端な低乳価が著しく生産意欲を減退させたと考えておるわけでございます。  また、先ほど片柳会長が申しておりました飲用向け価格加工乳価格の異常格差でございますが、不足払い発足の当時は、北海道におきましては飲用価格は四十円三十九銭で、保証乳価との差が三円三十六銭、すなわち比率で申しますと九二%という開きでございます。これがおおむね四十六年秋ごろまでそういう状況が続きまして、その後飲用向け生乳が三回値上げされまして、現在二十七円五十銭の差があるわけでございます。北海道は、市乳は七十五円七十五銭でございます。全国は八十二円十銭でございますが、北海道が安いわけでございますが、それでも二十七円の差があるわけでございます。  ところが、保証乳価が四十七年に一円で、四十八年は三円三銭、なお、四十八年に臨時措置法で五円四十二銭の別途ワクで、乳価に準ずるものが支出されましたが、それを合わせて九円四十五銭に相なるわけでございます。この結果、現在では、保証乳価は実質五十三円九十三銭、飲用向けに比べまして二十一円八十二銭、約七〇%と低く押えられておるわけでございます。この飲用向け格差が年次ごとに拡大されまして、酪農民の不満が極度に達してきておるわけでございます。特に、配合飼料値上げが、四十八年度対比で申し上げますと一八五%、約二倍近くの値上がりに相なっております。飲用向け生乳価格も、四十一年から四十八年を計算いたしますと、これまた一八五%で、飼料値上がりと大体同一化されておるわけでございますが、一方、保証乳価におきましては、この八年間で一三一%しか上げられていない。これが大きな問題と考えておるわけでございます。  一方、他の作物との比較でございますが、これも統計情報部の発表でございまして、労働賃金計算をいたしますと、米の場合は四千三百二十九円、大豆が三千二百八十円、てん菜が三千九百四十九円、小豆が四千九百五十七円に比べまして、牛乳は二千六百六十三円と、他の作物と比較をいたしましても非常に不利である、こういうことでございます。  また、一方、各作物の価格を比較いたしますと、米はこの八年間で一四四%、大豆は二三一%、小麦は二一〇%、こういうようにいずれも大幅に上がっておるわけでございますが、保証乳価は、先ほど申し上げましたとおり一三一%と、他の作物と比較して非常に低いわけでございます。  なお、昨年の牛肉の枝肉の問題でございますが、これによってある程度ささえられたことは事実でございます。昨年の一月に初生犢が三万円であったわけでございますが、その後非常な高騰を見まして、六月から十月までには七、八万円というような高騰になりました。あるいは老廃牛にいたしましても二倍の高値に相なったわけでございます。ところが、牛肉輸入が急増したために相場は暴落いたしまして、初生積の現況は、よいもので一万円から一万五千円でございます。普通のものでございますと七、八千円に落ち込んで、一割ぐらいに落ち込んでしまっておるわけでございます。老廃牛にしても、飼料が高いということで買い手がないというのが現状でございます。このため、乳価が安くて採算がとれないので牛肉に依存して肥育をしておりました酪農家が、食わせた飼料代にもならないような安値によりはかり知れない損失を受け、まさに二重のパンチを受けたわけでございます。北海道におきましては、乳牛を二十五、六、肉を三十ぐらいと、五、六十の牛を飼っておった人が、これは四十台の獣医さんでございますが、借金で前途を悲観されて蒸発していなくなった。それで隣の人が行ってみましたら、牛が重なり合って死んでおったという事実もあるわけでございます。また、初生犢を五、六万円で買って十カ月肥育して、その販売が六、七万円にしかならない。十カ月ただ働きをした、あるいは大きな損失をしたという現実があるわけでございます。  次に、労働過重と低収入の酪農に見切りをつけてしまって、後継者がだれもいない。最近、テレビその他のマスコミの発達によりましての、酪農経営の実態と他の生活の比較から、若い後継者が見切りをつけて逃げ出すケースが増大しているわけでございます。搾乳は朝五時から始まり、夜は一切の作業が終わるのは七時から九時ごろに相なります。夏は乾草づくりあるいはサイレージ調製、危険度の高い大型の機械の運転、ふん尿の処理、牛の手入れというように、三百六十五日全く休みがないわけでございます。拘束労働でございます。また、普通、酪農経営には数千万の投下資本が必要でございますし、簿記の記帳から経営の分析もしなければならぬ。こういう高度なこともやらなければ経営が相ならないわけでございます。反面、収益が、さきに述べましたとおり一番低いという矛盾があるわけでございます。  こういうようなことで、現在、保証乳価では、大体一人八・五頭ぐらいの規模でございますが、その収入が九十万円前後でございまして、高校を卒業した子供の年間給与よりも低いという現状にあるわけでございます。  それから、最後に、四十九年度の保証乳価についての考え方でございますが、まず、算定方式の根本的な改善をして、酪農民が納得する方式に願いたいということでございます。昭和四十一年から今日まで、社会情勢あるいは経済情勢は全然変わっておりまして、適用すべきでないのじゃないかと思います。また、つくられた方のお話しを聞きましても、もうすでに時期が過ぎた、あの方程式では酪農家の所得はないのだと言われておるわけでございます。  その中身を二、三申し上げますと、原生産におきます生産費のつかみ方でございますが、上位偏向をしておるので、これを是正してもらいたい。あるいは家族労働の評価の改善でございますが、飼育労働、牛を飼うのは、これは五人以上の製造業賃金の一時間五百九十四円二十四銭としてもらいたい。あるいは自給飼料でございますが、この労働が、牛舎で働くのと外で働くのは違う。したがって、これは二百円ぐらいしか見ていないわけでございますが、これは当然同じに改善をしてもらいたい。あるいは付帯労働賃金につきましても、当然加算をしてもらいたい。あるいは乳牛償却費についてでございますが、これも残存価格は乳牛評価額の二〇%というような計算をしてもらいたい。副産物の子牛につきましては過去五年――三、四カ月の高騰云々で計算されても困りますので、これを一定比率にしていただきたい。飼料値上がりはもちろん全額算入をしていただきたい。あるいは地代、利子の問題でございますが、これらも実態に合う金利にしていただくことを要求をするわけでございます。いま一つは、昨年の四十八円五十一銭で、いかに飼料が上がろうとも、他の物価が上がろうともそのままということでは、とうていこれは経営困難でございますので、四半期ごとに物価、労賃にスライドをしてもらいたい、こういうことを特に要望をいたす次第でございます。  そういう観点からわれわれ計算をいたしますと、キロ当り八十八円四十三銭という試算が出てまいりますので、ぜひともこの価格にしていただくことを強くお願いを申し上げて、私の意見といたす次第でございます。
  14. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、永松参考人お願いいたします。
  15. 永松英二

    永松参考人 永松でございます。  先ほど中金の片柳参考人からいろいろお話しがございましたので、私のほうからは、時間の関係もありますので、要点のみお話し申し上げてみたいと思います。  特に私の立場から申し上げますが、全農といたしましては、特に最近の畜産問題につきましては、事業のあり方について、いまから言いますと昨年の十月でありますけれども全国の農協大会がありまして、新しい意味での事業体制をどういうふうに持っていくかという中で、生産、販売の一貫体系で仕事をしていこうということで、総合三カ年計画というものをつくりました。その中で、特に事業をやっております全農といたしましては、経済連の系統を通じて事業的な対応をしていくということで、その中身は先ほど申しました生産者とそれから販売、要するに流通と欲を言えば消費の段階、これを一体化していくというふうな事業をしようということでいろいろ計画を練ってまいった次第であります。しかし、残念ながら、昨年一年の畜産、特にえさ中心にする世界的な動向というものは、この見通しを大幅に修正せざるを得ないといいますか、もっと極端に言えば、めどが立たなくなっておるというふうな実態でございます。特に、先ほどから参考人からもお話しがございましたが、生産の段階では一体畜産を継続していっていいのかどうかというふうな疑問が、肝心のわれわれの組合員である生産者に非常に不安を持たせておるというふうな事態で、先ほど申しました総合三カ年計画どころではなくて、国内生産自体がわれわれとしては非常にめどが立たないというふうな状況に至っております。もちろん、全農としてどういうふうにこれを計画を立て、生産をさせるかということについて非常に腐心をしております。  そこで、その内容につきまして申し上げ、また、御要望いたす点も若干申し上げたいと思います。  一番この原因になりました飼料の問題でございますけれども、過去の問題は抜きにしまして、最近の情勢でございますけれども、二、三月、特に二月につきましては一万一千円、三月については一万一千六百円ということで、値上がりになったわけでありますけれども、四、五、六月――われわれの段階では三カ月ごとに価格をきめておりますけれども、その価格のきめ方といいますか、どういうふうに四、五、六の配合飼料を供給していったらいいかということについて問題が多いわけであります。特にその中でわれわれがいま非常にやりにくい点は、円とドルの非常に不安定な実態、これがわれわれとしてはどういうふうな供給価格をきめるかということについての最大の問題であり、いまだかつて経験しなかった大きな問題がそこにございます。われわれとしましては、とにかくいままで努力してまいったのは、国内畜産を少しでも減らしてはならぬということで、量の確保につきましては最大の努力を払ってまいったつもりであります。  問題は価格でありますけれども、特に最近の実態を申し上げますと、二、三月の価格をきめた以降、トウモロコシ、マイロ配合飼料の中の約六〇%程度の比重になっておりますけれども、これが約二割程度値上がりになっております。さらに、かいつまんで申し上げますと、大豆かすが約一割程度の配合率になっておりますけれども、これはおかげさまで価格もやや有利に買えるというふうな実態でございます。その反対に海上運賃が最近また上がってまいっておるということで、一時二十五ドル程度でございましたが、最近はまた三十ドルという線が出てまいっておるということで、これがまた非常に不安の種でございます。  それから、もう一つ国内の副原料、副資材と申しますか、たとえば紙袋等が非常に高騰しておる。最近石油値上がりによって再びこういった傾向があらわれております。それから春闘がございますけれども、加工賃が今後どういうふうになるかというようなこと、最後に円とドルの関係が、これはいろいろな見方がございまして、円が強いというふうな見方もございますし、ドルが強いというふうな見方もございます。これをどういうふうに見るか。昨日私たちのほうでも理事会がございまして、一応四月については三月価格をさわらないということで延長にしたわけでありますけれども、これあたりも、円、ドルの見方次第では、先ほど申しましたように、原料自体は上がっておりますので、非常にむずかしい段階に至っております。そういう飼料の実態の中で、われわれとしては畜産豊家を守っていくためにいろいろ施策をしなければならぬと思います。  以下、御要望になるかと思いますけれども、申し上げてみたいと思いますが、その一つは、日本畜産の構造を、いまのようなドル紙幣を食うような畜産から、もっと日本の土地についた畜産に持っていくこと、これはかなり時間もかかるかと思いますし、また、投資もいろいろな労力も要るかとも思いますけれども、そういった基本線をまず明示していただきたい。また、われわれも努力いたしますけれども、その辺が明らかにならないと、日本畜産方向というものはきわめて暗いというふうに言っていいのじゃないか。特に、自給飼料についての奨励措置が最近行なわれており、また、四十九年度でもいろいろ御努力願っておりますけれども、これがはたして基本的なそういう姿勢を助長することになっておるかどうかという点。たとえば国有林野一つとらえましても、国有林野を開放してもらう。たとえばわれわれが素牛の供給をしようとして下草を利用しようと思っても、なかなか制約がございます。そういった、一つの例でございますけれども、あらゆる日本の資源を投入して畜産の自給率を高めることにぜひ御努力と御援助をいただきたいというふうに思います。  それから、先ほど申し上げました原料の輸入の問題でありますけれども、これあたりも、われわれとしては量の輸入について最大の努力をしてまいりましたが、今後はたしてこういうことでいけるかどうかという点にもいろいろ不安がございます。ことしこそアメリカも作付面積がふえておりますし、南半球もかなり豊作のようでございますけれども、たとえば一つの例を申し上げますと、全農としては、最近、協同組合間貿易ということで、いわゆる民主的な貿易を非常にしております。それが量がふえてまいっております。たとえば、アルゼンチンが最近穀物について国家管理になりまして、民間の自由にはなかなかならないというふうなこと、これをもって国際的なナショナリズムと言えるかどうかはわかりませんけれども、こういった面に国の介入をしていただいて、国家間でそういった日本畜産のもとになる飼料原料のいろいろな基礎固めをしていただくというふうなことができないのかという希望を持っております。  それから、たとえば来年度の国の予算でも御検討を願っているようでありますけれども、開発輸入の問題でございます。これにつきましても、全農としましては政府と連絡をとりましていろいろ努力しておりますけれども、たとえば、これは非常に大きな資金が要ります。全農が国内でサイロをつくったり工場をつくったりという資金から見ますと、おそらく一けた違うという資金が要る。また、農協としましては農協法のいろいろな制約もございます。海外に対するそういった事業をやるための制約もございます。一番問題は、たとえば融資お願いしましても、八〇%で、残りの二〇%はこれは何とか自分で手当てをしなければならぬ。これは量の問題もさることながら、リスクの非常に大きな仕事でございます。そういった面でのいまの施策が一体十分であるかどうかという点、これもひとつ御検討いただき、御援助いただければというふうに思います。  それから備蓄の問題でございます。これもいままでは、われわれとしましては、大体一月ぐらいの備蓄、これは民間ベースでありますけれども、最近の国際情勢から見ますとこれは非常に不安でございます。これをふやすためには、いろいろな施設、それから対外的な契約、先ほどの開発もからんでまいりますけれども、そういった一貫した体制をつくることについてさらに特別な御配慮をいただければというふうに思います。  それからもう一つ大きな問題は、畜産物価格問題でございます。このことにつきましては、すでに参考人からもお話しが出ましたので要点だけ申し上げたいと思いますけれども、基本的にまず国内畜産をどこまでやらせるのかということについて、いままでは主として、価格考え方というのは需給実勢で参ったわけであります。ものによってはもちろん違いますけれども、そうではなくて、むしろ国民に、自給される畜産物をどういうふうに供給するのか、その供給するためには、価格、要するにプライスとしてどういう政策をとるのか、私のことばで言いますとガイドプライスというものをイギリスも持っておるようでありますけれども、これをはっきり明示して、これを中心に国民食料の国内確保対策、それから生産対策、自給対策というものを進めていただく。その基本的な線を明らかにしていただく。いままでは、これは非常に失礼に当たるかもしれませんが、量的な施策は確かにいろいろ打たれたと思いますけれども経済的施策といいますか、プライスを中心にした需給という考え方が私から見ますとどうも欠けておる。したがって、よりいい所得があればそっちに走ってしまう。逆の言い方をすれば、畜産というものがどうもいまの経済成長の中では合わない。したがって、つくらない。国際的な障壁もなくなってくる。そうなればますますそれが促進されてしまうというふうな実態でございます。  そこで、いま基本的なガイドプライスのことをお願いしましたけれども、次に輸入の問題でございます。いつまでも豚は――いま豚肉は自由でありますけれども、牛にしましても、豚にしましても、もう一つ言えば液卵にしましても、自由に入ってくるかどうか。貴重な外貨でもあるというふうな関係から言いますと、輸入についての、いま申し上げましたガイドプライスを中心にした国内での需給での結果として、輸入をどう調整するかという確たる線を明示していただきたい。また、持っていただきたい。今回のように輸入が多過ぎて途中で調整しなければならぬというふうな実態にならないようにぜひお願いをしなければならぬ。そういった意味では、われわれとしては、国内のいろいろな施策についてはできるだけ農業団体としてしょってやるつもりであります。たとえば調整保管ですが、いまこれは事業団がかなり大きなウエートを占めておりますけれども、これあたりも生産者団体としてやれることはやるというつもりをしております。また、最後のリスクを事業団で財政的なギャランティーをしていただくという線でいけないかというふうに思います。こういった調整事業というものはやはり生産をやり、生産に近いところでやらなければ意味がないというふうに私は考えております。現に今回もいろいろな意味でわれわれは出荷についての調整の努力をしてまいったわけでありますけれども、これも非常にいわゆるリスクが伴います。そういった意味での施策を確立をしていただくというふうにぜひお願いを申し上げます。  それから特にいろいろな保証価格、それから安定基準価格等の豚、牛乳等につきましては施策が打たれてまいったわけでありますけれども、いま一番問題になっております卵についてはそういった施策がないと言うと語弊がありますが、非常に違った形で打たれている。ことばをかえますと非常に中途はんぱである。これは片柳参考人からもお話しがありましたが、液卵公社が爆発をしますと、要するに経営の限界での施策しかできないわけであります。そうではなくて、これも豚価等と同じように一定のガイドプライスを実現するために、もし会社で経営的な問題での負担が出た場合にはそれは財政で何とかするというふうな施策を――ぜひこの際液卵公社の体質について切りかえをお願いしたいと存じます。  それからもう一つお願いを申し上げたいのは、先ほどの林野の開放等にもからみますけれども、素畜の問題でございます。素畜については、いままでいわゆる繁殖事業と、それから豚で言えば肥育と分かれておったわけでございますが、われわれとしてはできるだけ一貫経営でやらせるというふうに仕組みをしておりますけれども、その点でまだまだ問題がございます。そこで、農業団体といたしましても、素畜供給事業について取っ組んでいこうというつもりをしておりますけれども、先ほど申しましたいろいろな制約、それからいままでの素畜の価格の形成のされ方等の問題がございまして、これは全く赤字事業でございます。こういったものももっと統制のある、また、一定のかなり大きな規模でできるような形に施策をお願いしたい。これが素畜安定供給の大きな手だてになるのではないかというふうにも考えております。そういった点で、系統の立場としましては、いろいろな意味でできる限りの投資をし、施策をやっていきたいと思いますが、やればやるほど、ぜひ財政的な裏打ちをしていただかないと、せっかくの事業が効率が低いということになるかと思います。  最後に、われわれとしてお願いしたり、またやらなければならぬと思っていますのは流通の問題であります。これもお話しが出ましたので簡単に申し上げますが、せっかくいま生産者が努力をいたしまして、また、経営の合理化をいたしましても、流通の段階でこれが反映しない要素がかなりございます。小売りはさっぱり動かない。卸はしょっちゅう動いておる。それも最近のように非常に大きな波で動いておるというふうなこと、この辺の流通の改善といいますか体質を直していくといいますか、価格の反映をさしていく。いろいろな意味でぜひこれは政府にもお願いをしなければならぬと思っておりますし、われわれとして要望したい点でございます。  もう一つ、何だかんだ言いながら、消費拡大と言うと、農業側から言いますと少し問題があるかもしれませんが、消費段階で、消費の拡大の余地というものはまだまだ非常に残っております。日本の食料自体が欧米に比べまして品質的にほんとうにそういうレベルに達しているかどうか。ほんとうの肉を使い、ほんとうの卵を使うというふうな意味でのいい食料を供給するという意味においては、やはり、国産のフレッシュな食料を大いに国民全体で食べていただけるということが、これは生産者としても希望するところでございます。そういった意味での消費者教育といいますか、PRといいますか、そういった面ではまだまだ欠けた点がある。それを特に畜産物にとってみますと、非常におくれております。その辺をぜひわれわれとしてもいたしたいし、政府にも、また先生方にも御援助いただきたい。  かなり時間が経過いたしましたので、この辺で終わりたいと思います。
  16. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、茂木参考人お願いいたします。
  17. 茂木信平

    茂木参考人 私は、全国養鶏経営会議の事務局長の茂木信平と申します。全国農業会議所にも籍を置いております。私のほうは、経営者として自覚しました養鶏農家の自発的な集まりでございます。  当面しまして、経営者がどういうふうに情勢を考えているか、また、どういう意見を持っているかということをごく簡単に御報告申し上げたいと思います。  大体千羽以下の専業になりません養鶏農家は去年の六月ごろから急速に減少いたしつつあります。これは、えさ高でこれを続けていく意欲を喪失したからでございます。われわれのほうの経営者はただいま、あと何カ月ぐらい寿命が続くであろうかということを計算しております。大体毎年卵価が底をつきます五月、そして、えさの支払いがきびしく迫ってきます五月、大体五月が破産月になるのではないかということをうわさしております。あるいは、最近は四月になるのじゃないかというようなことも言っております。この辺からいよいよ大破綻が生ずるのではないかというのが経営者の意見でございます。大きな経営は小さな経営より若干寿命が伸びます。ですけれども、大体三カ月以上は伸びないんじゃないかということをうわさしております。大きい経営は最近合いませんので、中には経営をやめたいという方が出てまいりましたが、そういうことになりますと、大きい経営は借金先がやめきせない。養鶏というものは始めるよりやめるほうがむずかしいということを痛感いたしつつございます。  総じて、その中で商社系列は東北、九州、北陸とたいへんに増羽が進みつつあります。これも農家経営の不安をかきたてつつございます。総じて養鶏農家はこれまで一生懸命やったけれども、ついに力が尽きたという感じでございます。これ以上は何とか国で助けてくれないかというのがほんとうの思いでございまして、大体、飼料輸入がアメリカからだけの一辺倒になったということが、今日のえさがこういう窮状になりました原因であって、国の責任ではないかという意見を去年の初めごろから経営者は持ち始めております。最近は、優等生だということばをお聞きしますと、経営者は悲しくなって、ふんまんやる方ないという思いにかられます。こういうことを申し上げては申しわけないかも存じませんけれども、最近寄り寄り経営者たちがみんなでうわさをしておりますのは、もう何ともやりようがない、卵を東京へ持っていって国会と農林省へぶちまけたいというのが経営者の方々の期せずして話に出ておるほんとうのところでございます。  いまの状況を申しますと、汽船が沈没いたしまして乗客が海の上にばらまかれたというような状況でございまして、とりあえずボートへ救い上げることに全力を尽くしていただきたいというふうに考えます。というのは、大蔵省なども養鶏などに金をつぎ込んでもどろ沼につぎ込むようなもので、やったってあとの保証がなければむだだという御意見がございます。いま永松さんもおっしゃったように、われわれは決してただただ他力本願にたよっておるのではございませんので、自分たちでできることはできるだけやりますけれども、とにかく、ボートに救い上げる今日の瞬間に、条件を聞き入れたらボートに救い上げてやるというようなことでなしに、とりあえず助けていただきたいというのが経営者の考えでございます。  いま一番経営者が不満に思っております点は、えさ値上がりのときには、えさの会社としてはどうしてもコストが必要であるから、まあまあ値上がりはやむを得ないと、国でもそうおっしゃいますし、そういうことになっておりますけれども、それでは卵のほうは、えさ値上がりコストが上がりまして、どういうふうに見てくれるのか。こういうことになりますと、卵のほうはうやむやになりまして、去年の九月ごろから国のほうでも今後は卵によってやると申されておりまして、みんな喜んでおったのでございます。暮れに石油の事情で卵価が少しよくなりました。しかし、根本的な卵の対策は少しも進展しておりません。こういう点で、また原価やら配合率の交渉を経営者は迫っております。これは決してメーカーさんやその取り扱い業者をいじめるとかいう目的ではございませんので、このような膨大もないえさ値上がりがありますときに、内容について親切にほんとうのことを何ら教えずに一方的に値を上げてくるということにつきまして、このように値上がりされる農家としまして、原価なり、配合率なり、ほんとうのことを教えてくれろと言うのが当然でありまして、ほかの物資もそうでございますけれども、今日、これは国民の声のようなものでございまして、そういう点ではおくみ取りくださって、原価や配合率を、単にただ産業秘密であるというような一片のことばで拒否なさららないようにお願いいたしたいと思います。と申しますのは、たとえば日本養鶏農協連合会は詳細なる配合率を公表しております。それを買います組合には原価もやっております。そして、私のほうは、手数料はこれこれであるからどうかということを話しております。せめてこのくらいの親切はえさを売る者としてはしていただきたいというふうに考える次第でございます。  そのほか、えさ対策としましては、飼料と卵価と両方合わせて行なっていただきたいと思います。原料がアメリカからの輸入でございますから、そう自由にはえさのお値段というものがなりませんのは重々知っておりますけれども、とにかく非常に問題が困難でございますからして、卵価だけだとか片方だけで対策を立てるというのは無理でございます。したがいまして、両方につきましてできるだけ徹底的に対策を立てていただきたいという考えでございます。  また、えさとしましては、えさの安定基金と特別融資経営資金というものについて両方やっていただき、また、卵価としましては、卵価の安定基金とか液卵公社の買い上げ価格などが方々で問題になっておりますように、これをまず論議していただきたいと存じます。  私のほうは経営者の組織でございますので、自分たちの仲間で実際に計算いたしました生産費は、卵一キロ三百四十二円でございます。全農さんより八円ですか、若干多うございます。そうしますと、毎年五月、六月、七月に卵価が底をつきますから、年間平均が三百四十二円を維持しようと思えば、一番底をつきますとき三百八円、これを支持しなければなりませんので、買い上げ価格としては三百八円程度のことをお考え願いたい、これが要望でございます。もちろん、私のほうは、これまでの行きがかりというようなことを別にいたしまして、経営者としての率直な意見でございます。ですから、三百八円はできるだけ液卵公社の買い上げでやっていただきたい。  液卵公社の問題につきましては、ただいま永松さんのほうからおっしゃったとおりでございますが、液卵公社の根本的な性格、すなわち液卵公社は経営が立たなければいけないのか、あるいは卵の需給のために液卵公社というものを立てたのか、この辺をはっきりしていただきまして、液卵公社がほんとうに卵の需給のために成り立つような措置をぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。  なお、最後に、いま問題になっております卵の生産調整について、経営者の意見を申し上げてみたいと思います。  農家の経営者自身が自分から生産調整をやらなければと言い出したのは、私はよく存じませんが、おそらく養鶏農家が初めてではないかと思います。これは、昭和四十五年ごろ長野から始まりまして、群馬、そのほか神奈川、埼玉等方々の養鶏の経営者が考えまして、ただの他力本願ではなしに、自分たちも金を出すぐらいにして卵の生産調整をしよう、そうして二十年来の低卵価を直したい、こういうことから三億円拠出運動というのを始めまして、それが昨年は、日本式エッグボードをどうしても立てたいということで、千葉や長野が率先しまして、いま問題になっております。  これは農林省のほうもこういう世論の起こったことをお考えになりまして、農林省の生産調整案をお立てになったのだろうと考えております。農林省の生産調整案は、文章を拝見しますと、なかなかいままでにないようにできておりまして、その限りにおいては賛成するところが多うございます。そこで、一応根本的にはあの養鶏九団体が賛成しております。しかし、その文章と実際とは、これまたなかなかむずかしい問題で、異なるところがございますので、私ども経営者としては、その実行において七つか八つほどだめ押しをしてみたいというふうに寄り寄り話し合っておりますので、その点をちょっと申し上げてみたいと思います。  第一番は、とりあえず大型の養鶏家、特に商社系列、これを現状凍結をする。それは短期間、一年間でもよろしいけれども、その間にほんとうに生産調整をどうするかを考えたらどうだろうかということで、長野などは、お役所と養鶏家と一緒に千名ぐらいの海外旅行団をつくって、そうして徹底的にオーストラリアやアメリカや、方々の生産調整を研究したらどうかというようなことなどを提案しております。とりあえずその現状凍結をしませんと、案を練るまでにどうしても一年ぐらいはすぐにたってしまいまして、その間に商社の系列などはどんどん増羽が進行する可能性がございます。現在、九州などは、えさの工場の増設と並行して、その直営方式ばかりでなしに、農家の名前において商社系列が進行する可能性もございます。そういう点から、とりあえず現状凍結をする。農林省の案は、あるいは行政で指導するという案かとも存じますけれども、ほんとうにやるならば立法でなければだめなのではないか。したがって、養鶏家の間には、農林省の案が出ます前に議員立法をお願いしたいという案も出てまいっております。  そこで、一番の問題点は、生産調整といっても、一体商社を縛ることができるかどうかという点にございます。なるほど、文章には行政指導をすると書いてはございますけれども、なかなかむずかしい問題でございまして、ほんとうに徹底的にそれをやる気があるのかどうかという点を経営者たちは聞きたいと、こういうふうに申しております。  それから、もう一つの問題点は、生産調整というものは生産者の卵価を維持するというのが主でございまして、そのためには、どうしても、生産調整をしますその組織というものが、生産者の発言力が中心に取り上げられるような組織でなければ、つくってもかえって害があるのではないか、縛るばかりが先に立って、生産者の利益というものが中途はんぱになるのではないかということを一番経営者たちは心配しております。そういう点で、いろいろと政府委員会どもございますけれども生産者が往々にしまして、生産者意見も聞いているという限りにおいて飾りものにまじっておるような委員会などがございますので、それをほんとうに生産者の発言力の発揮できるような組織に願いたいと考えております。  なお、輸入液卵の抑制でございますけれども、これもなければしり抜けになりますが、輸入液卵は、私のほうも、七年前に創設のときに大臣に面会に行きまして、輸入を中止してくれということをお願いしたことがございますが、とにかくダンピングだということがわかれば中止するということでございます。これはおそらくガットに加入しているという点かとも存じますけれども、しかし、正式に他国に聞きまして、ダンピングかという問いを発したときに、ダンピングであると答える国はおそらくないと存じます。したがいまして、国内における卵価が安くて実質がダンピングであると判断したならば、その国に対しましてダンピングではないかと迫るくらいにやられたらどうなんだろうということをみんな考えております。  なお、この生産調整というのは、経営者の中には勘ぐりをしておる連中もございまして、大体金をかけないために養鶏のほうだけは生産調整という言い方をしているんじゃないかしらなどと言う方もございます。みんながそう考えているわけではございませんが、しかし、安上がりで、金をかけないで、そうして生産調整という精神でやろうとしましても、農家は一生懸命やりますけれども、それだけではどうしてもできないことでございまして、やはり、それ相当の財政を投入していただかなければ生産調整というものはできない、こういうふうに考えております。  次に申し上げたいのは、この根本が、生産費を償う卵価を実現するという点でございます。したがいまして、生産費を償う卵価という場合に、一体幾らの生産費であるかという点が非常に問題になりまして、現在では、農林省の生産調査がやはりいろいろと基礎になっております。しかし、われわれのほうの実際の経営者から考えますと、農林省の生産調査は非常に低うございます。私は、農林省の生産調査に携わっております統計調査部の末端の職員の方が非常に努力して、世界でも有数な日本生産費統計調査をやっておるということを知っておりますけれども、しかし、それにもかかわらず、できてまいりました農林省の生産調査は非常に低うございまして、これはいろいろなきめとか、あるいは前年からの継続性を保たなければならないとか、いろいろな事情がございまして、端的にその真実を追求するというのはなかなかむずかしいのではないかと考える次第でございます。多くの団体、学者の方、こういう方も必ずしも農林省の鶏卵生産調査が正しいとは考えていないのではないかと思いますが、にもかかわらず農林省の生産調査を前面に出さざるを得ないのは、国や何かに要望いたしますときに、農林省の統計ならば通りがいいと考えるのではないかというふうな考えもいたします。統計調査の方々は非常に勤勉だし、一生懸命でございますので、ほんとうを申しますれば、民間と政府と一緒になりまして、真実の鶏卵生産費は幾らであるか、こういうものを共同してつくるくらいにしたいものだと、こういうふうにしたいと考えております。  そういうことで、いろいろございますけれども、時間がございませんので、これで打ち切らせていただきます。
  18. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、吉田参考人お願いいたします。
  19. 吉田和雄

    吉田参考人 衆議院の農林水産委員会先生方には、日ごろから農政問題につきまして格別の御配慮にあずかっております。この席をかりまして厚くお礼を申し上げます。  御承知のように、飼料の大幅値上げによりまして、昨今の畜産危機は未曽有のものでございます。国内では酪農、養豚、肉牛、養鶏の各農家ともに、全面的な崩壊のふちに立たされておるという状況であります。このような危機を乗り越えますためには、飼料の自給度をもっと高めまして、いまの輸入依存度を低めるための基本的な施策が必要であるということは論をまたないところでありますけれども、現実を見る限りにおきまして、わが国の畜産は、飼料需要の大部分を海外に依存をいたしております。これが家畜の腹を通りまして、加工されて製品になるという過程から申しますと、石油の場合に非常によく似ておるのでございます。ただ、私ども畜産石油の場合とどうも違っておるのではないかという点をあげますと、まず、第一に、飼料は努力をいたしますれば国内相当程度の自給が可能であるということでございます。濃厚飼料国内自給と申しますと、その本命は麦ではないかというふうに私は考えております。すなわち、いま耕作が放棄されております水田裏作のうち、農林省のほうは五十万ヘクタールぐらいが麦作の限度であるように考えておられるようでありますけれども、かりにこれを二倍にふやしまして百万ヘクタールに麦をつくるといたしますと、計算上では約三百万トンの収穫ができるわけでありまして、これによって飼料輸入依存率はいまの七一%から五〇%程度にすることが可能であると思います。しかし、これをなし遂げるためには、技術的条件、特に稲の田植えとかち合わないための早どりの品種の開発あるいは米麦栽培一貫体系の確立などが必要でございますし、また、米麦作団地造成に対してもっと一段と積極的な助成をするなり、あるいは耕種農家と畜産農家間の契約栽培を促進するための積極的な施策をすることが望まれるわけでございます。  石油との第二の相違点は、同じ危機といっていながら、畜産の場合は、赤字の累積から、これに苦しみまして自殺者まで出ておるというような状態に対しまして、一方、石油のほうは、危機に便乗いたしまして多くの利益を業者が出しておるという事実でございます。しかも、これらに対する為政者の姿勢は、石油につきましては、担当大臣はもとよりのことでありますが、総理大臣まで乗り出されて、きわめて熱心なお取り組みをなさっておるという点がわれわれの感じとしてどうも違うところでございます。先日も、実は、七十万の畜産農家の血涙を込めました署名簿を携えまして、大蔵省のある高官の方に要請をいたしたわけでありますが、この要請に対しまして、その方から、飼料の自給増産をはじめとする長期的な施策を確立して畜産の立て直しをしなければならないが、これは時間がかかるので、それに先立って、目下の危機を乗り越えるために全力をあげたいというおことばをちょうだいいたしまして、たいへん心強く感じたのでございますが、それもつかの間でございまして、最も財政負担を要すると思われます飼料対策、特に二、三月分の配合飼料値上がりによる赤字補てん三百三十九億円の件を重ねて要請をいたしましたところが、とたんに渋くなられまして、もう予算はでき上がっておるんだからいまさらどうにもできない、融資でやってもらうしかないというような非常につれない御返答でございました。私は、先ほど中金の理事長が言われましたように、融資はあくまでも借金でありまして、赤字補てんとは別な次元のものである、けさの集会においても、赤字補てんについて何らの配慮がなければ融資は返上すべきであるという強い意見が出ておったのをようやくいまなだめてきたところでありますと、こういうことを申しましたところが、返上というのは非常に困るということで、たいへん気にされておりました。  私は、この際はっきり申し上げますと、一たんつくった予算をただ執行するということであれば、これは少数の役人だけがおればいいわけでございまして、そこには政治というものは存在しないというふうに思うのでございます。予算が不足ならば予備費を回すとか、あるいは補正をするとかすればいいのでございまして、いつも大蔵省は最後には財源がないんだということで開き直ってくるわけでございますけれども、もし財源がなければ、二兆円減税というようなスローガンはひとつおろしていただいて、いまは御承知のように超過利得税を徴収するというような法案が国会に出ておるような時勢でございますから、サラリーマン大衆の減税はそのまま据え置くといたしましても、法人税はもっと増徴すべきである、それによって財源を生み出してこういう危機に使うべきであるというふうに考えるわけであります。  まだ正確に計算をいたしておりませんが、いま申し上げました三百三十九億と、新年度に入りましてからのえさ値上がりというものを抑制いたしますために政府操作飼料のワクを増ワクいたしまして、しかも、これを廉価に払い下げるということになりますと、さらに三百二十億くらいの金がどうしても要るわけでございますけれども、このようなえさ関係の経費、さらに、これから畜産物価格がどのような水準に上がるかはっきりいたしませんので、明確なことは言い得ませんけれども、おそらくこれは四百億程度ではないかというふうに想像をいたしております。それで、これを足しますと千億前後の政府の支出で、目下当面しております畜産の壊滅は何とか免れるのではないかというふうに考えております。もちろん畜産物消費者価格を上げまいということでありますれば、さらにこれに数倍する財政支出が必要でございますけれども、しかしながら、物価狂乱と言われるような今日におきまして、物価は、原材料なりあるいは賃金などのコスト上昇分を正確に反映した適正価格で安定させるということが先決要件であるというふうに考えております。  畜産が壊滅する、また、おそらくことしの秋にはミカンにも同様な危機が訪れてくる公算が多いのでございますけれども、このようになりますれば、選択的拡大ということをうたい上げてきました農政はおそらく総くずれになってくるであろうと思います。これは単なる政治不信ということだけではなくて、農村に深刻な社会不安を引き起こしますことは必至でありますし、都市の消費者も、結局は石油のように外国の言いなりほうだいな値段で高い畜産物を買わされる羽目になりまして、このほうでも社会不安が起こってくるというふうに考えておりますので、いま申し上げました千億前後というような額は、そのような社会不安の予防費としてはむしろ安上がりではないかというふうに私は考えております。  私ども要請の内容につきましては、すでに他の参考人から詳しく述べられておりますが、要するに、小手先でなくて、思い切った対策を果断に実行していただきたいと思います。そのためにはどうしても金が要るわけであります。金が出なければほんとうの実行ということはほとんど何もできないのでございますので、特に先生方のお力で財政当局に対しまして特段の御鞭撻をお願いを申し上げたいと思います。  最後にあえてもう一つ意見をつけ加えさせていただきますならば、政府当局がもっとまっとうに正直に価格安定制度運用してほしいということであります。この不正直な運用例につきましては枚挙のいとまがないわけでございますけれども、その一例を申し上げますと、加工原料乳保証価格計算におきまして、乳牛の償却費は、大蔵省が、減価償却資産の耐用年数等に関する省令第五条の別表十一というのに、乳牛評価額の二〇%とするということを明記をいたしておるにもかかわらず、現行では、御承知のように、肉としての残存価額の評価をいたしまして計算をいたしております。乳牛はあくまでも乳の生産が主たる役割りでございまして、肉牛ではないわけでございます。このように政府自身がわざわざきめたことを、大蔵省も農林省も同じ政府の中だと思いますが、守らないというのははなはだ言語道断であるというふうに考えております。  また、豚肉につきましても、当然、価格安定帯の中心価格生産費と所得を補償する価格となるべきでありますけれども、これがことさらにねじ曲げられまして、御承知のような市価主義によるものと安い農村雇用労賃をもちまして計算したものの二通りが中心価格としてはじき出されておるのが従来の例でございます。しかも、豚肉につきましては、買い上げの場合は上肉しか買わないということは、法律には何もそういうことは定めていないわけでございまして、かってに法律をねじ曲げて、役所がかってにきめたことで、行政の専断もはなはだしいというふうに考えます。こういう点につきましても国会先生方から十分御注意をいただきまして、また、法律が不備ならば、それを直していただくということをお願いを申し上げたいと思います。  また、先ほども言われましたが、牛肉鶏卵等は、法律的なものすらもないというような状況であります。これにつきましても、できるだけ早い機会に私どもも御協力申し上げたいと思いますが、法的な整備をしていただきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、財政当局なりあるいは乳業資本の陰の圧力がかなりあるようでございまして、そういうような圧力によりまして法律の趣旨が曲げられて運用されるということでは、何のために農林大臣がおるのかというのが私どもの率直な感想でございます。  なお、畜産の立て直しのための考え方等につきましては申し上げたいことが数々ございますけれども、まず、当面、燃え盛っております火を消していただきたいということを特にお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わります。
  20. 坂村吉正

    坂村委員長 以上で参考人からの御意見開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  21. 坂村吉正

    坂村委員長 この際、北参考人には所用の関係で十二時三十分までで御退席の申し出がありますので、御質疑はさよう御了承の上、お願いいたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
  22. 今井勇

    ○今井小委員 時間の関係で、簡単に二つほどお伺いしたいと思います。全農と全中の方、それぞれ関係がございますので、お手分けして御答弁願いたいと思います。  まず、最初は、えさの問題でありますが、先ほどおっしゃいますように、特に配合飼料の原料ともなりますトウモロコシ、マイロはたいへんな量でございます。千百万トンに及ぼうかというようなことで、実は、これがいま全く野放しになっていると申しましょうか、輸入と供給あるいは価格の面も自由になっておりますが、こういうふうに大量になってまいりますと、政府輸入なり価格決定なりにある程度と申しましょうか、相当強力な指導なってこ入れをする時代が来ておるのではなかろうかという意見を持っております。  先ほどのお話しのことで、その問題につきまして、全農あるいは全中は一体どういうふうに考えておられるのか。量の確保ということは強調されましたが、実際、量の確保だけではどうにもならない時代が来ているだろうと思うのですが、まず、私のいまの考え方に対する御意見を承りたい。
  23. 永松英二

    永松参考人 いま、今井先生からある程度というお話しがございましたけれども、完全に統制にしてしまうということがいいのかどうかということについては、われわれとしてもまだ意見を申し上げる段階ではないと思います。ただ、完全に統制にした場合に、いろいろな意味で、能率なり効率といいますか、そういう面でできれば民間サイドでやるのが一番いい。しかし、ある限界を越える問題については、先生のおっしゃるような問題も検討しなければならぬというふうに考えております。
  24. 今井勇

    ○今井小委員 北参考人が帰られるそうでありますから、北参考人一つだけ聞いておきたいと思いますが、先ほどもろもろ言われました中で、家族労働の評価の問題を言われました。私もまさにそのとおりだろうと思います。いままで政府算式等を見てまいりまして、家族労働が、不当にと私は言いたいのですが、安く見積もられております。この点についてのあなたの御意見は全く同感でありますが、その点について、具体的にどういうふうなものにしてほしいのかということを、もう一度念を押しておきたいと思います。
  25. 北修二

    ○北参考人 お答えいたしますが、いまの賃金につきましては、御案内のように、自家飼料につきましては臨時雇いの賃金ということになっておるわけでございます。臨時雇いの中には、アルバイトから、あるいは農家間の手間買いというようなものもあるわけでございまして、これらも全部入れておる。したがって、二百円そこそこというような賃金でございますので、全国五人以上の製造業者、いわゆるわれわれが算出いたしております五百九十四円、この一時間当たり金額にしていただきたいということをお願いをいたしておるわけでございます。
  26. 今井勇

    ○今井小委員 そこでもう一つ、こまかくなりますが、たとえば通勤手当とか、そのほかのいろいろ諸手当がありますが、そういう問題については一体どういうふうに考えておられますか。
  27. 北修二

    ○北参考人 われわれは、通勤手当は入っておりません。したがいまして、実質の労働時間のただいま申し上げました五人以上の製造労賃、こういうように解釈をいたしておるわけでございます。
  28. 今井勇

    ○今井小委員 私は、続けましてえさの問題に移りたいと思いますが、今後のわが国の畜産考える場合には、諸外国から輸入するというもののみにたよるのではなくて、先ほどおっしゃいましたように、わが国でもできる限りの自給の方策を考えるべきだということ、これはそのとおりだと私は思います。  そこで、先ほどは米の問題を言っておられましたが、まだ隠れたものとして、私の選挙区などでは、昔はイモをたくさんつくっておりました。最近はそれもつくりません。こういうものはわりあいと手数がかからないで、しかも、つくりますれば、少なくとも豚のえさにはなり得るものであります。そういうふうな他の農産物で自給のえさのかわりになるものとして、どんなものを一体全中では考えておられるのか、あるいは全農では考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  29. 吉田和雄

    吉田参考人 いま、私どもの中でも、飼料用の米をつくってはどうかというような意見も出ております。ただ、これは、実は、かなり難点がございまして、もしえさ用に米をつくるといたしますと、転作の奨励金をもらうといたしましても、いまの米価の大体六割程度の所得しかないというようなことでございまして、かなり難点がございます。また、その転作奨励金がいつまで続くかというようなことも考えますと、永続性についてはどうも問題がある。したがいまして、先ほど麦ということを申し上げましたのも、やはり麦が一番本命になるのではないかと思うからで、技術体系なり、あるいは集団共同生産組織といいますか、そういうものがもっとしっかりいたしますれば、かなり麦はつくれるというふうに私ども考えております。
  30. 永松英二

    永松参考人 全農といたしましても、北海道でのトウモロコシとか、内地で西南地区でのマイロとか、それから、最近大体これはいけると考えておりますのはソフトグレーンでございます。これは栃木で実験をいたしまして、経済的にも技術的にも大体いけるというふうな線が出てまいっております。ただ、実際の普及のさせ方において、いわゆる流通をさせるのか、自家でやるのか、それから近距離流通かというふうなことで、これからもっと研究してみなければならぬし、それからもう一つは、畜種によってそういうものが必ずしも自給率が上がらないというふうなものもございますので、いまのところ、ソフトグレーンについてはかなり見通しを持っております。
  31. 今井勇

    ○今井小委員 もう一つ政府の政策価格の算定の方式についてちょっと私は伺いたいと思うのですが、先ほども参考人が言われますように、物によってその算定方式が違うというのは私もおかしいと思う。しかも、その中で、特に豚価では需給実勢方式をとっておられますが、これはまさにものの考え方からしてもおかしいのであって、当然、生産費及び所得を償うものでなければいけないはずであります。そういう意味で、これを直すべきだという意見を私は持っておりますが、これについて、全農なり全中なりは、どういう意見を持っておられるのか、重ねてお伺いしておきたいと思います。
  32. 吉田和雄

    吉田参考人 先ほど申し上げたとおりでございまして、いま、畜産物価格安定法なり加工原料乳の補給金法の報告をここに持ってきておりませんけれども、しかし、過去におきまして、その立法過程でいろいろ私どもも運動をいたしまして、国会におきます質疑等も聞いております。したがいまして、特に豚のほうにつきましては、再生産を確保するんだということが法の趣旨になっておりますので、安定帯の中心価格というのは、再生産確保といいますと、当然生産費と所得を補償する価格であるべきだというふうに私ども考えております。牛乳につきましても同様でございまして、保証価格の算定方式――先ほども申し上げましたけれども、乳牛の償却費以外のことでも、たとえばえさをつくるための労賃が農村の雇用労賃ではじかれておる。何か、牛舎に入っているときは非常に高級な労働であって、えさをつくるのは低級な労働だという見方があるのでございます。そういうことは明らかに矛盾をしておるのではないかというふうに考えております。
  33. 今井勇

    ○今井小委員 茂木さんがさつき農林省の生産調査の資料の不備をつかれましたが、私どもとしては、たよれるものとして、国の機関であります農林省が調査をしたものが権威があるものであることは望ましいと思うわけですが、一体、具体的にどういうことが資料の不備なのか、詳しいことは別にいたしましても、どうすればそれが改善されるのか、そういうことについて、もし積極的な御意見があれば承っておきたいと思います。
  34. 茂木信平

    茂木参考人 たとえば、一つは階層でございます。ですから、いま商品としての卵が――大体、副業の卵が市場に出回るというのはだいぶ少なくなりました。したがいまして、市場に出回る卵の生産費というものが中心にならなければと考えておりますが、そういう点では、階層があまり小さいようでは、という点が一つございます。  それから、あるいはそれに応じましてのいろいろな設備上、たとえば金利であるとか償却費であるとか、まあ、労賃もそうでございますが、たとえば全農さんのように製造工場の労賃を当てはめてやれば別でございますけれども、農林省のほうのものは労賃はわりに多いようではございますけれども、そういう点ではまだ不十分でございまして……。そういうふうにいろいろな面で、管理価格管理費、それから販売費が相当かかりますので、そういう点ではいろいろ全面的に協力して、農協さんとか関係者が米のように――やはり農業団体もやるなり、経営者もやるなり、ただただ農林省の生産調査だけにたよらず、ほんとうの研究をしたいと、こういうふうに考えております。
  35. 今井勇

    ○今井小委員 では、終わります。
  36. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、美濃政市君。
  37. 美濃政市

    ○美濃小委員 参考人の皆さん、どうも御苦労きんです。  北参考人にはもう時間ですが、せっかく北海道からおいでになりましたので、時間の関係で二つだけお伺いしたいと思います。  その一つは、牛乳に対する一物一価の要請が北海道からは強いわけですが、これは北海道の農協中央会と全国との間で、牛乳価格のいわゆる一物一価という考え方についてはどの段階が調整されるのか。その要請を見ますと、今回の保証乳価、そのあとへ続いておる飲用乳の、これは政策要求ではないですけれども、自主的要求の姿勢というものはかなりまた大きな幅があるわけですが、こういう問題はどう処理されていくようになっておるのか。  それから、もう一つの問題は、せっかく軌道に乗ってきた北海道の牡犢肥育というもの、これを肉にするということは、肉の需要供給の面からもきわめて重大な問題であると考えております。いろいろ参考人からお話しがありましたように、特に、この際、牛肉については、輸入を調整すれば需給上の問題についてはそう過剰生産という傾向を示すということは当面しばらく起きないだろうということで、いま、農林省の畜産局にもそういう私の意見を話をして、鋭意検討してもらっているところなんですが、この際、北海道は特にこの仕事の多い地域でありますから、価格なり、あるいは牡犢肥育に対する具体的な要請点がまとまっておれば、できればもっと具体的にお聞かせをいただきたい。  以上の点です。
  38. 北修二

    ○北参考人 一物一価の問題につきましては、同じ牛から乳が出て、同じ労働で努力をしておるわけですが、その値段が違うということに非常に不満があるわけでございます。北海道におきましても、加工乳が大体九〇%、一〇%の飲用乳がございますが、昔は価格が違ったわけですが、いまは全部プールをいたしております。それに対しまして当然一物一価主義で――結論を申し上げますと、いわゆる市乳価格加工乳は同一価格にすべきであるという理念で申し上げておるわけでございますので、ぜひその点は御理解を願いたい。  肉の問題でございますが、日本にはいま大体三十八万トンくらい需要があるということで、昨年は御案内のように十六万トンの輸入をいたしたわけであります。入れると同時に、先ほど申し上げましたとおり、牡犢、つまり雄子牛につきましては、もう一割に落ちてしまった。そういうことで、約十万頭くらい北海道はいま雄子牛を肥育いたしておるわけでございます。これがいずれも重大な経営の危機に至っておる。したがって、これは安定した価格にしてもらいたい。  それを具体的にもう少しというお話しでございますが、価格につきましては昨年の秋程度価格に、五、六万円程度の雄子牛の価格にすることが適切でないだろうか、そういうことが日本の肉の自給率を高める大きな問題ではないだろうかということで、北海道につきましては、大体三十万頭の搾乳牛がおりますが、その半分が雄子牛として生まれてくるわけでございますので、ぜひこれらを活用できるように御配慮願いたいものだ、かように存じます。
  39. 美濃政市

    ○美濃小委員 もう時間ですからよろしゅうございます。
  40. 坂村吉正

    坂村委員長 北参考人に申し上げます。  長時間貴重な御意見をお述べいただき、たいへんありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
  41. 北修二

    ○北参考人 どうもありがとうございました。
  42. 美濃政市

    ○美濃小委員 質問を続けますが、これは全中の吉田さん、それから全農の永松さんにお尋ねしたいですが、同様ですが、この一物一価という問題がことしの乳価要請の中でかなり高まってきておるが、全農、全中はこれをどういうふうに将来の問題として受けとめて一いますぐの問題もあればお話しを承りたいが、将来の方向としてどうお考えか。牛乳についての一物一価です。
  43. 吉田和雄

    吉田参考人 理念としては、一物一価ということであると私は思います。ただ、現実の問題としては、たとえば北海道でパックしました牛乳を「農協牛乳・北海道」ということで、都内並びに大阪で売っておりますけれども、どうしてもかなり運賃がかかる。きょう資料を持ってきておりませんけれども、かなりかかるわけでございますので、現実にはなかなか一物一価まで一ぺんにはいかないのではないかというふうに思います。
  44. 美濃政市

    ○美濃小委員 全農としてはどうお考えになりますか。
  45. 永松英二

    永松参考人 いま吉田参考人からお話しがございましたのと同様でございます。
  46. 美濃政市

    ○美濃小委員 次に、永松さんに飼料問題をお伺いしたいのですが、私どもに伝わってくる情勢では、たとえばシカゴの穀物市場の状況なんかというものは、かなり蓄積量が減っておるということが一応ニュースとしては入るわけです。ただし、これは過去の石油問題がありますからね。石油問題でも去年の暮れに国民に大きな不安を与えた。しかし、これはアラブの戦争戦略か何かで、全然なかったことではないが、今日まで推移してみると、現実に推移してきたこととあの当時急激に宣伝されたことにかなりの相違がある。いわゆる仕組まれた宣伝ではなかったかという話すら今日出てきているわけですね。そういう経過がありますから、簡単にシカゴ市場の現物状況なんかというものをすぐそうだと考えて、石油の二の舞いのようなことだった場合には取り返しがつかないですからね。そういうことをいろいろ考えておるわけですが、全農としては、先ほどもお話しがありましたように、価格問題もさることながら、量的な獲得に全力を注いだというお話しだったのですが、ことしの場合はどうですか。これから先を見て、まず量的な問題ですね。価格の問題はあとにしますから、量的な問題についてはだいじょうぶだとお考えになっておりますか。
  47. 永松英二

    永松参考人 先ほどもお話し申し上げましたように、ことしはアメリカも作付がふえておりますし、それから南半球もかなり豊作のようでありますので、量的には大体不安がないのじゃないかというふうに考えております。
  48. 美濃政市

    ○美濃小委員 南半球は大体収穫期に入ってきたわけですね。四月だと聞いておるが、南半球は総体とすると大体豊作ですか。平年作ですか。全農で把握しておる状況をちょっと聞かせてください。
  49. 永松英二

    永松参考人 われわれが調べたところでは、前年よりは豊作というふうに聞いております。
  50. 美濃政市

    ○美濃小委員 次に、飼料の自給と、先ほど国有林活用のお話しがあったと思うのですが、特に、畜産振興飼料の自給をあわせた大型開発の構想で、農林水産委員会では、それを進める公団法等をいま審議をしておるわけですが、だから、国有林を活用して、国有林を飼料体系に可能な限り持っていくというお考えは私どもも同感でありますが、その前に横たわるものがありますね。たとえば全国を歩きますと、大体どこにでもかなりの面積があるわけですが、買い占められて、開放したいという国有林が奥山で、それより手前にある、いわゆる宅地業者なんかに買い占められていて、傾斜等から見ても、奥地の山よりも、草地にするにしても、あるいは一部えさ用穀類の作付すら可能だというところが――あるいは、中には、農地が買い占められていて、もと農地であったところが原野となって、雑草が生えて買い占められている。こういうものに対して、農業団体としては、政策要求としてこれからどういうようにお考えになっておりますか。かなりそういう面積が目につくわけですが……。
  51. 吉田和雄

    吉田参考人 以前から、国有林の活用につきましては何べんも要請をいたしておりますが、考え方は、国有林の開放と申しますか、全部手放してしまえというようなことは必ずしもこちらは言っておりませんで、できるだけ低い値段で貸してもらいたいということをいままで言っておるわけでございます。
  52. 美濃政市

    ○美濃小委員 だから、それはいいんです。私どももそういう御意見は尊重してお聞きしておるのですが、その前に私の指摘したような、それよりももっと有利な条件のところが、はなはだしきはもと農地であって、これから国有林をするというところが――そういう要請のあった具体的な場所に行ってみたこともあるわけです。すると、その貸し付け要求をしているところよりも手前にあるもっと有利な条件のところが、あるいはもと農地であったところが、草が生えて、雑種地と称して買い占められておる。これについてどういうふうに政策を要求しようとお考えになっておるかということなんです。
  53. 吉田和雄

    吉田参考人 そういうことについては、従来から反対の態度をはっきりいたしておりますし、もし農地法上の不備があるんなら、その不備を埋めてもらいたいということでやっております。
  54. 永松英二

    永松参考人 現に、先ほどちょっと私が御紹介申し上げましたように、素畜の問題でわれわれは取り組んでおるのですが、いま先生のおっしゃるとおりで、林野が拒絶されると里のほうにおりてまいるわけなんですが、いまの利用のしかたでは、賃料といいますか、これがベースに合いません。したがって、素畜対策なり肉畜の肥育なりを振興するためには、その辺のところを政策的に畜産振興のための何らかの措置をやっていただければありがたいと思います。
  55. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、竹内猛君。
  56. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 時間があまりないですから、私は、当面の問題と、それから恒久的な問題について参考人の皆さんにお尋ねをしてみたいと思います。  第一の問題は、現在は畜産対策に関してたいへんな危機なわけですけれども、この危機というものはいままでかってなかったような危機の深さがあるというふうに認識しますが、これをもたらした根本的な原因はどこにあるのか。これは農民の側にはないと私は思う。主たる原因は、農業基本法以来今日まで、政府が米麦中心の農業から畜産に変えていった、そして大型の経営を指導して、金も貸す、それから規模をきめる、利子補給もする、あるいは補助金も出すというようにいろいろな形で指導をしてきた今日、大型の経営が危機に瀕しているということが言える。その背景にあるものは、えさがない、石油が上がったということだと思う。だから、その責任の根源がはっきりしない限り、それを補償することはできない。だから、大蔵省は、話はわかるけれども金がないという形でうそぶいてしまう。あるいは、政府自体もこれに対して責任の所在を明らかにしない。この責任はどこにあるかということについて、御出席の方々からちょっとお聞きしたい。
  57. 吉田和雄

    吉田参考人 言われるように、これは私どもにも一半の責任はあると思います。しかし、主たる責任はやはり政府にあるというふうに私ども考えております。ただ、おことばを返すようでございますけれども石油の場合と同じように、全体が輸入飼料に依存して将来もやっていけるのだという気分でずっとやってきたわけでございますので、それに対しましていま根本的に考え直す時期であるというふうに考えております。そういうことで、私ども農協といたしましても、農業の立て直しの原点は一体どこにあるかというようなことをはっきりさせるために、一月二十三日には、茨城県の新平須の共同農場というところに中央機関のキャップの方々が全部行きまして、七時間にわたって現地で研究をいたしておるというようなことでございますが、いずれにしても、この問題につきましては、われわれ農協のほうで努力はいたしましても、その努力の限界を越える問題でございますので、どうしてもこれは政府でやっていただかないとどうにもならぬというふうに感じております。
  58. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 わが党としては、過般日本の農業の再建の方式を出して、その中で、この間二十日に、農林大臣と大蔵大臣に向かって、畜産物価格決定については、生産費・所得補償方式に基づき、加工原料乳保証価格は一キログラム八十八円四十三銭以上とすること、それから豚肉の安定基準価格は一キログラム五百七十円以上とすること、それから卵価は一キログラム二百八十六円以上とし、液卵公社買い入れ数量の拡大をはかること、なお、先ほど片柳参考人からいろいろお話しがあったように、年度内の物価、賃金の上昇を定期的に反映させて価格改定を行なうこと、それからなお、牛肉輸入に対し十分の規制を行ない、国内牛肉価格に圧迫を加えることのないよう措置をすること、それから次には、購入飼料については、政府管理飼料の品目を拡大して数量の増大をはかり、飼料需給及び価格安定のための抜本対策を講ずること――これは先ほどからもお話しのとおりでありますが、それから最後に、酪農経営の基礎となるところの飼料作物の増産対策を講じ、可消化養分総量計算により経済価値を高め、飼料の自給体制の確立につとめることという、こういう申し入れをしました。  そこで、これは、これから直ちに資料が出るものと、あとでまたこの小委員会でさらにその資料に基づいていろいろ討議するもの等がありまして、お答えいただくものと、資料として今後努力してもらうものとがありますから、私はいまから申し上げたいと思うのですが、この小委員会でも私はしばしば申し上げておるところですが、この飼料の問題というものに対する抜本対策として、農林省が五十七年を目標につくっている生産目標というのがあります。あの目標はいま農政審議会で討議してもらっているわけですが、その中で、畜産は重要なたん白源になっているわけですから、その畜産の頭羽数、乳牛、肉牛、豚、養鶏ブロイラー等々についての頭羽数を飼養するところのえさの総量というものを長期的に計算し、それから年次的にこれをつかまえて、それを自給と購入に分けて、これをどのように調達するかという基本的な計画がない限り、安定したことはできないと思うし、それから茂木参考人が先ほどからも言われたように、養鶏なんかの場合は、どの程度の頭羽数のものでどれだけの市場構造があり、どういうような資金を使った場合に卵の価格がどれだけの価格であれば生計が成り立つのか、要するに生産が成り立つのかということをわれわれは基本として踏まえておかなければ、高くなれば生産が高まり、安くなればみんな売ってしまうということでは畜産振興にはならないと思う。こういう点で、そのような計算をした資料を農林省にはいま要請していますが、農業団体の側ではそのような計算はしてあるのかないのか、ちょっとその点をお聞きしたい。これはあるかないかということだけでいいです。
  59. 吉田和雄

    吉田参考人 まだいたしておりません。目前の対策にいま追われておりまして、なかなか長期対策まで検討する時間がないという状況でございます。
  60. 茂木信平

    茂木参考人 それは、経営の実態のようなものでございますか。
  61. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 そうです。
  62. 茂木信平

    茂木参考人 私どもは経営者の組織でございますから、吉田さんのほうみたいに、生産費とかいろいろなものを含めまして全体としての統轄資料を作成するとか、そういうことはなかなかできかねますけれども、しかし、経営のいまの実態がどうかという点につきましては、それはみんな経営者本人でございますから、そういうような資料が必要ならば、いかようにもつくるように努力いたします。
  63. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 時間がないから、あと全部まとめて申し上げまして、答弁できるものは答弁をしてもらうし、資料で後刻協力してもらうものは協力していただきたいと思います。  そこで、いまかなり長期の話をしましたけれども、そういうものがないと農家としても安心をしてこれから取り組めないと思うのですね。失敗をすると、全部自分のところに責任がおいかぶさってきて、最終的には土地までとられてしまうということになるわけですから、これはやはりちゃんと国が目標を定め、必要とするものについてはきちんとこれを保証していくということがなければいけないので、そういう点について農協のほうでも今後努力をしていただきたいと思います。  そこで、当面、二月、三月のえさの値上がった部分については、審議会でも三百三十九億というものについて財政の負担をしてほしいというような要求を――いやそれはしなくともいいということはあるけれども、それも、今日までの責任というか、経過の中では何とかしなければ農家のほうはやっていけない。と同時に、それ以降、下半期のほうの飼料事情は一体どうなるのかというようなこともはっきりしないわけだ。こういうこともわれわれにとって心配になる。そういうことも考えなければならない。  それから、備蓄の場合、どれくらいの備蓄というものが必要なのかということです。われわれは少なくとも三カ月ぐらいの備蓄がなければどうにもならないと思っておるのだけれども、こういうことについての考え方はどうだろうか。  それから、次は、畜産振興審議会というものがあるわけですけれども、これがほんとうに農民の所得を保障するように、農家のために運用されているのかどうなのか。私はかなり前から疑問を持っておるものの一人ですが、こういう点について問題があるのではないかと思う。  それから、肉なり何なりの畜産物輸入の問題が、先ほどからも意見があったように、どうも国内生産と無関係なような形でそれが輸入されてきて、価格を不当に押えている傾向はないだろうかどうかという問題。  それから、先ほど吉田さんが言われたように、法律がその趣旨と違った形でねじ曲げられて運用されているという向きがある。これもわれわれは不勉強でたいへん申しわけないのですが、そういうことについては、いずれ具体的な例をあげて、別の機会にこれを出していただいて、徹底的に議論しなければいけないことだと思う。法律がねじ曲げられるということは許せないことですから、そういう点は大いに議論しなければならぬので、その点を後刻教えていただきたい。  それから、先ほど茂木参考人からもお話しがあったように、養鶏の場合、小さいものは落ちていってしまって、残った分はかなり経営がやれる部分だけれども、これもあと三カ月ぐらいであぶなくなってしまう。こういうことだとすれば、当面これはあぶなくなってしまう。そうすると、先はどうかというと、先はなおあぶない。こういうことでは非常に困るので、それはどういう経過でそういうことが起きているのか。特に、商社系の問題が出ましたね。商社系との関係、これも農林省のほうにお願いをして商社系の進出の状態を調べてもらっていますが、商社系というものが畜産の市場においてどの程度あばれているのか――と言うと、ことばは悪いけれども、動いておるのか。これをよく把握しない限り、今後の対策を立てるにあたって、いろいろな形で対策が立てにくい点があると思うのです。こういうようなことについては、われわれ社会党としては、先ほど言ったような考え方ですでに要請をしておりますが、それらも含めて、皆さんのほうからここで答弁できるものはお答えをいただきたいし、答弁のできない点は後刻資料によって提出をしていただいて、なお次の議論をしていきたいと思いますが、もう時間がありませんから簡単に……。
  64. 吉田和雄

    吉田参考人 吉田でございますが、えさの関係は永松参考人のほうからお答えがあると思いますので省略いたしますが、実は、畜産振興審議会は、これは米価審議会にも通ずるわけでございますけれども、私ども内部で会議を開きますと、もうだいぶ強く審議会否定論が実は出てきております。そういうことで、非常に私どもも心配をいたしておりますが、一つは、審議会委員の構成なりあるいは委員の選び方と申しますか、そういうところにどうも問題があるんじゃないかというふうに私ども感じております。一握りの消費者しか代表してない人が消費者代表として委員に出てきておって、とにかく何でも安ければいいというようなむちゃくちゃな主張をされるというようなことだとか、あるいは、何も定職を持たない方が、審議会委員の肩書きを持つということがその人の生活の種になるということで、非常にありがたく委員に執着をしておるということもどうもあるんではないかと思います。畜産振興審議会委員につきましては、何か、今度改選になるそうでございますので、私のほうからも政府当局に追って要望いたしたいと思いますが、ほんとうの組織の代表の人であるとか、もっと定見を持った、見識を持った人をやはり委員にしていただきたいと思います。また、ただ農林省の言うことを聞く人間だけをことさらに選んでおるとか、どうもそういうような傾向があります。そういうことになりますと、私どもの組織の中でも、審議会否定論がいよいよますます高くなりまして、われわれはもう押えようがなくなってくるというふうに特に申し上げておきたいと思います。  それから、輸入の問題でございますけれども畜産物につきましては、御承知のようにIQ物資と自由化物資と、両方ございます。両方ともに問題でございますけれども牛肉のようなIQ物資になっておりますものは、いまのような二元的な輸入でなくて、事業団輸入を一元化して、もっとしっかり輸入については調整をしていただきたいというふうに考えております。  それで、自由化されたものにつきましても、でき得れば、外国でやっておりますように自由化しないものも含んでもいいと思いますけれども農業団体を窓口にして輸入を一元化する。いま、肉用の子牛だけはそういうかっこうでやっておりますけれども、そうなれば、私どものほうで輸入は自主規制をいたします。そういうこともお考えを願いたいと思います。  それから、法律運用につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、どうも私ども納得のいかないことが多いわけでございます。これは、これからも運用の納得のいかない点を整理いたしまして要請をいたしたいというふうに考えております。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)小委員 参考人の皆さんにお答えをいただく前に、私の時間がなくなりました。それで、いずれまた別の機会にいまの問題についてのお答えをいただきながら、なおこの小委員会を続けていくと思いますので、そこでいろいろと討議したいと思います。  たいへんありがとうございました。
  66. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、諫山博君。
  67. 諫山博

    ○諫山小委員 永松参考人にお伺いします。  私たちは、最近の異常な飼料値上がりがやむを得ないものであるかということをいろいろ研究いたしました。   〔小委員長退席、竹内(猛)小委員長代理着席〕 そして二、三気づいた点がありますから、その問題に限って質問したいと思うのです。  第一は、飼料値上げの根拠として為替差損ということが言われております。これは当然のことでありますが、問題は、為替差損の計算のしかたです。大蔵省とか通産省は、たとえば原油値上がりによる製品価格への影響を計算する為替レートの基準として、一ドル二百九十円としています。ところが、全農の場合は、一ドル二百九十円ではなくて、一ドル三百八円で計算されている。これが出発点になって、結局、飼料一トン当たり千七百三十二円程度高い計算が出ているのではないかということに気づきまして、この間、参議院の予算委員会で、共産党・革新共同の春日議員がこの点を質問して、大体それを認める答弁になったと思うのですが、全農はどういう見解でしょうか。
  68. 永松英二

    永松参考人 三百八円で計算をしております。二百九十円に最近の石油等では根拠を置いているようですが、われわれも三百八円で価格を立てて、実際に決済された円とドルの関係は、これは月によって違いますけれども、二、三月については目下三百円の台になっております。  石油の場合は私は知りませんが、四、五、六というふうにとっていった場合に、この円ドルの決済が、ユーザンスを使っておりますので先に延びます。それが実際には実勢二百九十円なり二百八十五円なりということになるかどうかということは、今後の問題でございます。   〔竹内(猛)小委員長代理退席、小委員長着席〕  したがって、三百八円と実際の決済との差額は、これはたとえば四、五、六の価格で実現するなり、別の形で価格の中に織り込むなりというこうにするようにいたしておるわけであります。
  69. 諫山博

    ○諫山小委員 この為替差損というのは、すべての輸入商品で起こっている問題で、その場合に、大蔵省、通産省関係では一ドル二百九十円で計算しているということが議論の出発点ですが、いずれにしましても、私たちの計算では、ことしの二月、三月で、この差損の基準のとり方の相違によって、全農全体としては約百二十六万トン取り扱っているとして、二十三億円程度高い価格がつけられているのじゃないかという計算になるわけです。これは二百九十円対三百八円という基準のとり方の違いによって出てきた計算ですが、この点は数字に違いがありましょうか。
  70. 永松英二

    永松参考人 系統としましては、えさ価格のきめ方は三カ月ごとにきめることを原則にしております。しかし、最近は円ドルのレートの問題が非常に動きが激しいので、少しこまかくワクをきめておりますけれども、三百八円は一月-三月の価格をきめる時点における農林省の新年度予算のレートをとっております。したがって、一年間を全部この三百八円の円ドルの相場で価格をきめていくということは、これは全くありません。したがって、三カ月の価格計算はこれでいたしますけれども、実際に先ほど申しましたように二百九十円なり三百円になりますと、そういう円ドルの差益を別途戻すなり、次の価格でその分だけを引くというようなやり方をやっておりますので、いま先生がおっしゃるように、これを年間で計算しますと二十何億になるかもしれませんけれども、実際にはそういうことはございません。
  71. 諫山博

    ○諫山小委員 金額のとり方はいろいろあるわけですが、いずれにしても、いま畜産農家の中で言われているのは、大蔵省とか通産省のやり方と違うやり方をしている。そして、これが飼料値上がり一つの根拠として取り入れられているわけだから、ぜひこれは大蔵省なり通産省の同じレベルに戻してもらいたい。そして、便乗値上げということばが適当かどうか知りませんが、いずれにしましても、値上げしなくても済む分が値上げされている。しかし、これは将来の飼料価格で還元していくということですから、この点はこれで終わります。  もう一つは、私が農林水産委員会で質問した問題ですが、全農の輸入価格が通関統計の価格よりか非常に高い、これはどうしてかという問題があります。私が質問したときには、農林省のほうでは、通関統計というのは平均だ、だから平均の価格と実際の輸入価格が違うことはあり得るんだという説明だったようです。それにしても、あまりにも違い過ぎるというので調査を求めたわけです。  たとえば、昭和四十八年十二月から四十九年二月までの全農が取り扱ったC-F価格が、トウモロコシ一トン当たり百三十八・八七ドル。通関統計は、同じ期間にトウモロコシ一トン当たり百三十二・〇四ドル、マイロについても同じような差が出てきます。その後農林省で調査してみたとしろが、どうもやはり全農の価格は高過ぎるようですという回答をいただいたのですが、この点はどうなっているのでしょうか。
  72. 永松英二

    永松参考人 通関価格と、それから実際の全農がその月でやっております価格との違いはございます。それから、先ほど申しましたように、全農では、月々といいますか、むしろ三カ月ごとに価格をきめておりますので、通関の月々の平均とは違っているということはあり得ると思います。現に、私のほうでもいろいろ調べて通関との関係を比較をしておりますけれども、一、二月については、たとえば一月は全農のほうが安いとか、二月のほうはやや高くなっているという、そういう動きの差はございます。
  73. 諫山博

    ○諫山小委員 農林省の調査によりましても、単に通関統計と違うというのじゃなくて、少なくともこの期間については非常に全農のほうが高いというふうに言っておるのですが、そういう結果は出ていませんか。これは全農がつくって価格値上げの根拠として説明された資料の中に出ている数字です。
  74. 永松英二

    永松参考人 私はいまここに資料として十二月分は持っておりませんけれども、全農が原価計算の中に入れておりますトウモロコシなりマイロなりの価格には、いわゆる通関以外にユーザンス金利とか、それから現物を扱いますと欠減がございます。それから、全農が直接ではなくて、間にいわゆる貿易商社が入っている場合もある。そういう場合には手数料が入ります。それから、輸入関係の諸掛かり等もございます。したがって、先生がどれをごらんになったのかわかりませんけれども、もし全農がトウモロコシについては一-三月の価格の原価はこれであるとしているような数字をごらんになっているとしますれば、その価格と通関とは若干違うことはあると思います。
  75. 諫山博

    ○諫山小委員 時間の関係で詳細には触れません。これは農林水産委員会の議事録に出ていると思いますから、ぜひ検討いただきたいと思います。私たちの計算では、いまの問題、つまり通関統計よりか高い価格で購入されているということによって、全農の配合飼料の出荷量が二月、三月で百二十六万トンとして、十八億四千九百五十万円の差が出てきているという計算も議事録の中にありますから、ぜひ御検討いただきたいと思います。そして、将来なるべくこういう問題が起こらないように、そして、現在までについてそういうことがあったとすれば、やはり何らかの形で還元の方法を講じていただくということを希望したいと思います。  さらに、飼料値上げはストップということが報道されているわけですが、いつごろまで値上げしない状態が続くのか、見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  76. 永松英二

    永松参考人 先ほど陳述いたしました中でもすでに申し上げましたので、簡単にいたしておきますけれども、四月についてはそういうことで、当面先生のおっしゃるとおりになっておりますけれども、五、六月以降秋口までについては、特に心配しますのは、アメリカが世界の支配的な輸出国でございますので、端境期にトウモロコシなりマイロ価格がどういうことになるかということと、それから、もう一つは、円とドルの関係は、私たちもいろいろ調査しているのでありますけれども、はたしてどっちが強いのかという見通しが、現在のところは五分五分でございます。したがって、この辺の動きをもうしばらく見まして考えなければならぬというふうに思っております。
  77. 諫山博

    ○諫山小委員 茂木参考人から飼料の配合率をぜひ明示していただきたいという問題提起があって、この点で畜産農民から全農に対しても要求が出されていると思うのです。全農としてはこの要求にこたえるつもりはないのかどうか、お聞きしたいと思います。
  78. 永松英二

    永松参考人 私たちは生産者の組織でございますので、でき得る限り生産者には説明をしておるつもりでございます。ただ、参考の一つとしましては、三月十四日の畜産大会にも資料も出しておりますし、それから、組織にはいろいろな形で説明をしております。ただ、全農だけが飼料をやっておるならば、これはいわゆる公開でございまして、先生のおっしゃるのは公開でございまして、すべての国民に教えるということになるわけなんですが、われわれのシェアも四〇%そこそこでございますし、いろいろな意味で、飼料の品質改善なりという努力も、会の中、それから各工場でもいたしております。これを阻害するような公表をいたしますと、これは飼料産業全体の問題にもなると思いますので、努力のできる範囲で、先生のおっしゃる配合の内容についての生産者への通知といいますか、これはいたしたいと思います。
  79. 諫山博

    ○諫山小委員 私が農林省相手にこの問題を質問したときに、競争相手である商社との関係もあるからということが公表できないほとんど唯一の理由として説明されたようですが、全農としては、商社も含めて一斉に公表するんだったら公表できるという立場でしょうか。それとも、その場合でもやはりだめなんでしょうか。
  80. 永松英二

    永松参考人 飼料を供給するという立場から考えますと、それじゃ先生のおっしゃるとおりにしたほうがいいかというふうに御質問は受けられるわけですが、その場合に、飼料供給のこういった事業に非常に支障があるという限界では公表の限界があると思います。
  81. 諫山博

    ○諫山小委員 最後に一言ですが、商社も同時に公表するという場合でも、やはりぐあいが悪いのですか。
  82. 永松英二

    永松参考人 商社を含めてそういう限界があるというふうに考えております。
  83. 諫山博

    ○諫山小委員 終わります。
  84. 坂村吉正

    坂村委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  85. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 永松参考人にまずお伺いいたしますけれども、先ほど茂木参考人からも意見開陳がございましたが、飼料の原価や配合率をはっきり公表してくれということ、これは国民の声である。片一方で、対策をとってもどうにもならぬではないか、作業の秘密として公表しないのはけしからぬではないかというようなことでございました。それで、そのことについて、三月十四日の大会でも、地方代表からの意見開陳もございましたが、これはいずればはっきりしないと国民も納得しないし、また、農家も納得しないと私は思うのです。これについて、養鶏関係では飼料の内容等を公表しているということが述べられておりますけれども、御存じのように、シカゴ相場だけで言っては、これはどうにもならない。もちろん、シカゴ相場が一応の基準になりますが、現地で買った場所、それから買った時期、また輸送の距離等、いろいろ違うわけでございますので、その平均値だけでやっても納得できないと思うのです。そういったことを明らかにしないと、今回は一回公表しないでは済まない。将来もまた問題があると思いますので、これはぜひ公表する方向で検討を願いたいと思うのです。  その点について、私からも冒頭に永松参考人の御意見をお聞きしておきたい。簡潔でけっこうですから、よろしくお願いします。
  86. 永松英二

    永松参考人 先ほど申し上げましたように、公表できる限界がございます。限界の許す限りにおいては、これは特に組織でありますから、われわれとしましては組織には十分説明をしております。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 次に、飼料は三カ月ごとに価格をきめていくということでありますが、当面、四、五、六が問題で、やがて四月がやってくるわけですけれども、実際にいつまで価格がストップされるか不安であります。そういうわけで、四、五、六の配合飼料の供給見通しと価格等については、全農では大体いつまでに方針をきめられるのか、その見通しはどうなっていますか。
  88. 永松英二

    永松参考人 供給の量につきましては、四、五、六は、われわれが予約をとっておりますものにつきましては手当てをいたしております。ただ、参考までに申し上げますと、昨年あたりの状況から見ますと、われわれのところに参っております予約は非常にふえております。そういう点で、量にも全く不安がないというわけにはまいらぬかと思いますけれども、いま現在予約が来ておりますものについては手当てをしております。  それから、価格につきましては、四月につきましては、一応三月並みと申しますか、三月の価格を継続するということに決定をしております。それで、五、六以降につきましては、先ほどから申しますように、円ドル問題とか、国内の原料の問題とか、まだまだいろいろな問題が残っておりますので、四月に入りましてからこれはきめていきたい。ただ、先生のおっしゃるとおりで、ほんとうなら三カ月をきめて生産の材料にするわけなんですけれども、これが三カ月をきめられないというところに、生産農家には非常に不満がございます。まして、二月から借金をしょって四、五、六はきまらないということでは、一体この五カ月間に畜産はやめるのかやめないのかということになるので、特に二、三の問題、それから五、六の見通しを早く立てられるように四月の対策を――四月と申しますか、いま御要請申し上げていることを早くきめていただきたいわけであります。
  89. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 飼料の備蓄問題については、これは当然必要であるわけで、私も当委員会でも六、七回にわたって政府に質問してまいったわけですが、この備蓄問題について私の入手している情報では、昨年の石油パニック以来、アメリカ等から新年早々かなり強い日本に対する警戒が持たれまして、日本は備蓄についてはどの辺に意図があるのか、日本が備蓄をするのならばアメリカからの飼料の供給等も制限せざるを得ないと言わんばかりの動きがあるように私はキャッチしております。また、これが中国その他に対する飼料輸入問題等になった場合にいろいろ警戒があるようですが、その点は全農としてはどう受けとめておられるか、率直に簡潔にお答えいただきたい。
  90. 永松英二

    永松参考人 日本が備蓄することについて相手方がどういうふうに考えておるかという点については、私は別段聞いておりません。これは非常にエゴイスティックな言い方ですが、日本の現状の備蓄は、先ほど申しましたように一カ月程度で、ほとんど輸入でまかなっておる畜産というものについては、これでは成り立たないことはアメリカも承知してくれると思います。また、ほかの諸外国も承知してくれると思います。また、そういう交渉をわれわれもやりますし、政府にもやっていただきたいというふうに思います。  備蓄については、一カ月ではなくて、三カ月程度はぜひ持ちたい。ただ、こういった国際情勢の中での備蓄でございますから、その費用なり金利なりを全部生産農家に負担させるということは非常に問題である。その点はお考え願いたいと思います。
  91. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 流通の改善をぜひしてくれということは永松参考人から開陳がございました。生産者コストを上げて経営の合理化をはかっていくことは当然である。卸はしょっちゅう動いておる、小売りは動かない、そのとおりであります。これは流通機構の改善対策がたいへん問題ですけれども、全農では具体的にはどういうふうに考えておられますか。参考のために、もう少し具体的なものを述べていただくと幸いであります。
  92. 永松英二

    永松参考人 具体的にいま申し上げる段階ではございませんけれども、たとえば輸入肉等についても、指定店方式をとったという経過もございます。生産から消費への流通に協力するそういう流通量といいますか、流通に携わっている方々には特別に何かの配慮をするとか、流通自体がいろいろな形でもっと合理的なものになるということも農林省等としても大いに考えていただきたい。  それから、最近は消費者の組織もございます。こういうところともわれわれとしては大いに手を握っていきたいというふうに考えます。
  93. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 全中の吉田参考人にお伺いします。  先ほどの意見開陳で、大蔵省のさいふのひもがかたいという話がありましたが、三百三十九億を二-三月分の補てん用としてぜひ交付せよということは、私たちもかねがね二月の当初から当委員会でもたびたび申し上げてきたわけですが、この三百三十九億の赤字補てんについては、全中の打ち出し方がおそかった。宮脇会長その他全中のほうにも、ぼくは何回も委員会を通じて叫びかけたわけですけれども、昨年の二百十億の関係もあって、返さねばならないということがあった関係もあるのか、それとも、八方ふさがりで少しちゅうちょしたような向きがあるのだろうが、もっと早くからこれは打ち出されるべきであったと思う。そして、今度の大会でこれが正式にはっきり決議されたというように感じを受けているのですけれども、その点、反省しておられるかどうか、伺いたい。
  94. 吉田和雄

    吉田参考人 おっしゃるようなちゅうちょとか、そういうことは別にございません。ただ、私どものところも御承知のような大部隊でございますので、組織の中の意見をまとめるまで、いろいろな諸会議を開かないとなかなか一致したまとまりというものができませんので、ただそういうことで日にちを食ったということでございます。
  95. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 先ほど審議会の否定の問題が出ました。しかし、現在は審議会はありますし、これもまた大いに勉励して再生産に見合う価格決定をさせるように私も厳につとめておりますが、もちろん、審議会の中の委員にしても、一握りの消費者代表者であるとか、いわゆる定職を持たない人がありがたく思って審議会におるとか、そういういろいろ辛らつなお話しが先ほどございましたが、全く経験を持たない人がおったりして、審議会の中身を変えねばならぬということは私も当然だと思います。これは今後十分検討していくことで政府を勉励していきたいと私も思ってますが、先ほど否定論のお話しがございましたけれども、それでは、審議会をなくしたら、価格決定についてはどういうふうにしたらいいと全中ではお考えであるのか。午後の質問等の関係もありますので、御参考までにお漏らしいただきたいと思います。
  96. 吉田和雄

    吉田参考人 お断わり申し上げておきますが、私どもは、まだ、組織としては審議会は否定はいたしておりません。ただ、そういう意見はかなり強くなってきておるということは事実でございます。そういう審議会が、仮定でございますが、もしなくなった場合は、一つ国会でもって審議をしていただくという方法と、それから、もう一つは、生産者の組織の代表と消費者の代表なり、あるいは米につきましては政府生産者代表とが団体交渉をやって、そこでもってきめるというようなやり方があろうかと思います。
  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 もう一点吉田参考人にお伺いしておきますが、三月十四日の大会でも強い意見があったことでもあり、また、われわれも、地元の団体からもいろいろ陳情や要請を受けておりますが、今回のこの畜産価格問題等についての実力行使のお話しが北海道から、また九州からも出ておりましたけれども、これに対しては今後の審議会の推移を見ながらいろいろ検討されていくんだろうと思いますけれども、どういうふうに対処される考えで全中では意見をまとめておられるのか、現段階での御意見を伺いたい。
  98. 吉田和雄

    吉田参考人 私どものほうには酪農対策本部というものがございまして、そこで会議を開きまして、この出荷停止というような問題もいままで出てきておりますけれども、結論はまだ得ておらないという段階でございます。ただ、その会議の雰囲気を申しますと、肉とか卵はとめましても、なかなか影響力はないんではないか、やはり牛乳を中心にやらざるを得ないんではないかということですが、しかしながら、牛乳につきましても、県段階の指定団体なり何なりが、牛乳の生産出荷のほんとうに実質的な能力を持っておるところと、必ずしも持っていないところとが実はあるわけなんです。その辺が歩調がなかなかそろいにくいという悩みが実はございます。その辺が話し合われたということですが、その問題につきましてはまだ結論を得ていないという状況であります。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 全国養鶏経営者会議事務局長の茂木参考人にお伺いします。  まず、一点は、先ほどの意見開陳の中で、飼料の原価と配合率をほんとうのことを教えてくれというのが国民の声だということがございましたが、日本養鶏組合では配合率を公表しているということでございまして、配合率を公表し、手数料についても幾らだとはっきりしているということでございますので、茂木参考人のほうから、後ほどでけっこうですから、養鶏関係の配合率または手数料等の問題、それから原価の参考資料をぜひ出していただきたいということをお願いしておきます。  それから、二点目は液卵公社の問題ですが、これもしばしば当委員会で私も政府に質問してきたわけですが、畜産振興審議会養鶏部会が開かれて、畜産局長の説明要旨の中にもいろいろうたわれております。経営が立たねばならないが、卵の自給のために経営が立たねばならぬのか、卵の自給のためにつくったのかということでいろいろおっしゃっているが、全くそのとおりでございますが、それでは液卵公社はどのぐらいの量を買い上げてもらいたいということを当面考えておられるか。それをはっきりと数字で示していただきたいというのが一点。  最後にもう一点は、卵の生産調整についてしばしば論議されていますけれども、これはなかなかたいへんな問題である。われわれもこういった方向で当然やるべきだということで検討し、当委員会でもいま審議をしておるところでございますが、実際にこの可能性についてはどうかということと、また、いつごろをめどにお考えになっているかということ、こういったことを参考までに述べていただきたい。  以上で質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いします。
  100. 茂木信平

    茂木参考人 まず、第一は、液卵公社数量はどのくらいという点でございますが、私のほうは経営者でございますので、個々にたとえば三百八円なら三百八円で買い上げをしてもらいたいとは存じておりますけれども日本全体としてどの程度数量になるかということは、永松さんとか農林省のほうに相すみませんがお聞きいただきたいと思います。  それから、生産調整でございますが、それは、先ほども申し上げましたように、経営者のほうでも十九日に姫路でも全国大会日本養鶏協会主催でしておりまして、そのときも千葉のほうから提案になっておりますが、千葉のほうの提案は、どうしても議員立法を願いたいという点でございます。それは農林省のほうの現在の生産調整がどういう意向であるかということをもう少しお聞きしまして、われわれとしましては、経営者がほんとうに欲するならば議員立法をお願いするかもしれないというふうに現在考えております。  なお、いろいろございますが、これは別な方から……。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 では、永松参考人、一言だけ液卵問題についてお答えください。
  102. 永松英二

    永松参考人 これは計算のしかたで非常に違いますけれども、われわれがいま要求をしております二百八十六円で計算をし、これまでの価格の動きで計算をいたしますと、大体五万トン、金額で三十億程度になるんではないかというふうに考えております。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 どうもありがとうございました。
  104. 坂村吉正

    坂村委員長 次は、島田琢郎君。
  105. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 まず、先ほど竹内委員からも話がありましたが、私どもが一昨日、農林大臣、大蔵大臣等、それぞれ政府に対して党としての考え方をまとめて要求書を出しました。  ちょっと文章を読んでみますと、     畜産危機打開に関する申し入れ書   我国の畜産農家がかってない非常事態を迎えたことは政府の農政の失敗に起因するものである。政府畜産危機を打開し、畜産農家が安心して経営に取り組めるよう、国民食糧の自給体制を確立し、緊急に次の措置を実現することを申し入れる。       記  一、牛乳をはじめ主要畜産物については、国民食糧としての位置づけを明確にし、その自給率確保のため、具体的措置を計ること。  二、畜産物価格については、生産費所得補償方式に基づき、左の通り決定すること。  (一) 加工原料乳保証価格は、一kg八八円四三銭以上とすること。  (二) 豚肉安定基準価格は、一kg五七〇円以上とすること。  (三) 卵価は、一kg二八六円以上とし、液卵公社の買上数量の拡大を計ること。     尚、年度内の物価、賃金の上昇分を定期的に反映させて、価格改訂を行うこと。  三、牛肉輸入に対し十分の規制を行い、国内牛肉価格に圧迫を加えることのない様措置をすること。  四、購入飼料については、政府管理飼料の品目の拡大並に、数量の増大を計り、飼料需給及び価格安定のため抜本対策を講ずること。  五、酪農経営の基礎となる飼料作物の増産対策を講じ、可消化養分総量計算方式により経済価値を高め、飼料の自給体制の確立に努めること。 こういうふうに要旨まとめて、さらに、具体的には直接大臣にそれぞれ申し入れをいたしたところであります。  そこで、きょうお見えの参考人の皆さん方から、われわれのこういう考え方に対しての御意見を、簡単でけっこうですから、一言ずつ承りたいと思います。
  106. 吉田和雄

    吉田参考人 私ども要請しております趣旨とほとんど同様であるというふうに考えます。
  107. 永松英二

    永松参考人 御趣旨の点、賛成でございます。ぜひ実現をしていただきたいと思います。
  108. 茂木信平

    茂木参考人 趣旨はけっこうでございますけれども、私のほうの生産調査からいたしますと、買い上げ価格を三百八円程度に上げてほしいというのが私のほうの要求でございます。その資料は後ほど詳細に御提出いたしまして、またあらためて御意見もお聞きしたいと存じます。
  109. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 それぞれの参考人の方からいままで意見の御開陳がありましたから、考え方はほぼ理解できますけれども、そこで、まず、吉田参考人にお尋ねをいたしますが、私ども、実は、ここで、「八八円四三銭以上とすること。」というふうに大臣申し入れ書はまとめましたけれども、われわれの党内における議論は、これではとても低過ぎる、われわれの党内における試算では九十四円五十銭以上なければ今日の酪農危機を回避することはできないというふうな議論が実はあったのであります。しかしながら、せっかく農業団体でおやりになっていることだから、少なくとも農業団体要求の線は最低線としてかちとろうという趣旨で、ここに全中の要求試算数字を載せたのであります。そこで、私も、この九十四円五十銭の議論の中でいろいろと皆さん方から出てまいりました御意見考えてみますと、昨年の七十四円十七銭に比べますと一六%の要求アップ率でしかない。それから、四十七年の六十七円九銭に比べて二四%のアップ率でしかない。ところが、酪農家の今日の危機状態というのは、一昨年の四十七年に比べて、すべての経営諸資材、飼料、労賃等はまさに倍に上がっている。こういう危機の中にあるということが、いまの酪農家の皆さん方の要求の非常に大きな点だと私ども考えている。ところが、実際に要求の試算になってくるとこのように低くなっていくということですので、運動を組み立てられる場合に、全中はもっと姿勢を堅持すべきではないかという意見はそこから出てきているんだと私は思うのです。  そこで、この要求は率直に言って低過ぎると思うのですが、どうでしょうか。
  110. 吉田和雄

    吉田参考人 加工原料乳につきまして私どものほうで調査をいたしておりますけれども調査というものはなかなか手数がかかりますものですから、これだけの農家に調査をしてくれということで些少な手当を出しておるわけですけれども、なかなか全部個票が集まりません。今度の調査戸数は二百七十二戸でございますが、大体の傾向としましては、酪農家でも、かなりの多頭飼育の大型の農家のものが、調査能力があるものですから、どうしても集まってくる傾向がございます。したがいまして、算定をいたしますとこういうものが出てくるわけであります。  あと、いろいろほかにつけ加えたい要素も実はあるわけでございますけれども、それは今後の折衝のときに出していきたいというふうに考えております。
  111. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 なぜ米並みの労賃評価をしようとされないのか。これは牛乳ばかりではありませんが、ほかの価格の中の自家労賃の見方というものは必ずしも全部一致していない。むしろばらばらである。こういうふうになっているのですが、私どもは、やはり米並みに労賃を持っていくべきではないかというふうに考えているのですが、この点はいかがですか。
  112. 吉田和雄

    吉田参考人 労賃につきましては、米並みに評価をいたしております。米も、製造業規模五人以上の賃金でいままでやっておりますし、米と同様の計算で労賃につきましてはやっております。ただ、違っておりますのは、生産性向上のメリットの還元とか、そういうことにつきまして、つけ加えておりません点は今後の交渉の要素に残していこうというようなことや、酪農の労働は、御承知のように、毎日牛に縛りつけられて、しかも、深夜とか早朝の労働が多いものですから、そういう面について配慮しなければならぬのじゃないかという点を交渉要素として今度出していこうというふうに考えております。
  113. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 ことしの場合が特に、ということではありませんが、従来、主要乳製品の安定価格の問題が議論になるのです。これは本日の農業新聞でもかなり大きな活字で報道されていて、国会議論になっておりました超過利得というような問題もこの関係になるわけでありますが、この安定価格をどういうふうに見ていらっしゃるか。それから、その際の基準取引価格というものを全中としてはどのくらいに考えておられるのですか。
  114. 吉田和雄

    吉田参考人 きょうは資料を持ってきておりませんので、具体的な数字はちょっとお答えできないのでございますけれども、御承知のように、安定指標価格から逆算して基準取引価格が出てくるというようなことでございますので、基準取引価格は大幅にアップをしなければいけないというふうに私ども考えております。
  115. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 先ほどは労賃の問題で私は少し舌足らずであったわけですが、米も五人規模全国平均をとっているということでありますが、私がいま米並みというふうに申し上げたのは、単純にそういうことを申し上げたのではなくて、いわゆる食品部門であるところの、特に牛乳に携わっている労賃、これは企業の関係で見られる労賃というものが一つあるわけです。その部分を抽出しますとかなりの高い数字になっている。したがって、米で要求するような同じ発想の上に立って乳価の場合の労賃を要求すべきではないかということを申し上げたかったのでありますが、時間の関係ではしょって言ったからいまのようなお答えになったと思うのでありますが、いま大体それに近いお話しがあったから、この面はこれでおくといたします。  いまのお話しでは、まだ具体的に検討していないということですから、それ以上お聞きしてもしかたがないのかもしれませんけれども、先ほど常務から、かなりきつい姿勢で、今日政府自体が約束事を次々と破っているというようなことが指摘されました。まさに超過利得の問題なんというのは、安定指標価格がありながら、それをオーバーして平気で運用されている。新聞で指摘されたらあわてて政府はきのうやっと何か指示をした、調査を命じた、調査をし始めたというようなことでありますから、これは年間を通じて十分身をもって監視をいたしませんとあのような問題が出てくるわけで、私もきわめて遺憾だと思っているわけであります。全中としては、こういう面については常に試算をしながら、今度の要求の中では、少なくとも四半期ごとに改定をするようなルールをつくってもらいたいという要求を一項あげているようでありますが、この点についてはそういうお考えに立っているのだと思いますが、いかがですか。
  116. 吉田和雄

    吉田参考人 おっしゃるとおりでございまして、このような非常に流動的な経済情勢のもとでは、法律では、年度内に経済状況の変化のある場合は審議会を開いてやることができるということになっておりますが、年度内では非常になまぬるいので、四半期ごとという表現ではっきり要請をいたしております。
  117. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 永松参考人にお尋ねいたします。  海外からの原料手当ての実態というのはどういうふうになっているのですか。ちょっと舌足らずかもしれませんが、たとえば買い付けの方法だとか、その買い付けられたものはいつ日本の港に着くのかということですね。
  118. 永松英二

    永松参考人 まず、入ってくる国の名前ですが、私どものサイドで申し上げますと、主体はアメリカ、それから南米のアルゼンチン、オーストラリア、タイといったところです。  それから、入ってくるメカニズムでありますけれども、大体こう考えていただければけっこうかと思います。使う月の二カ月前に向こうで、船積みといいますか買い付けをする。現物の買い付けがきまる。そして二カ月後に入ってまいります。一カ月くらい運送期間がかかるわけですね。それがその次の次に使われて、そしてそれの決済はもう二カ月あとになる。そうしますと四カ月、百二十日のユーザンス、それが入ってくるメカニズムであります。
  119. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 海外で買っている職員の数というのは大体どれくらいなんですか。職員という言い方が悪ければ、買い付け人ですか。
  120. 永松英二

    永松参考人 いろいろなものを使っておりますので、数で言うとなかなかむずかしいのですが、現在われわれとしましては、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンパウロ、それからオーストラリア、タイ。香港にもありますけれども、これは情報をとるぐらいです。そういうところにわれわれ自身の出先を持っております。そのほかにいろいろな貿易商社を使っておりますので、そういう人間を入れますと、情報をとるルート、それから現実に輸入のために働いてもらっておる方々がかなりおられます。
  121. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 その全貌が明らかでありませんから、これは私は後ほどまたいろいろな資料で承知をしたいと思いますが、海外の買い付け体制というものが、こうなってきますとかなり合理化をしていきませんと、農家の庭先まで買いに入る。これも全部買い付け人としてよその国に派遣してあるわけですから、それは原料価格あるいは配合飼料価格にはね返ってくるという面があると思うのです。この辺は後ほど別な機会に私はお聞きをしたいと思っておりますけれども、いまおっしゃるのを聞きますと、大体百二十日ぐらい前のものがいまの価格になるということのようであります。そうすると、私はちょっとふしぎに思うのですけれども、四カ月前というと、この資料が正しいとすれば、だいぶ下がったときに入ってきているのではないか。そうすれば、二月あるいは三月の一万一千六百円の値上げというのは、この辺で私はちょっと理解ができなくなってくる。いま、海外の、たとえばシカゴ相場を見ておって、上がったから飼料が上がるぞ、上げなければいかぬぞというふうになってくると、それとの見比べをしていると、なるほど全農がいま上げようとしている真意がわかるような気がするのですけれども、実際にはいま買っているのは四カ月先だ。そして、また、いま使っているものは四カ月前のものだということになると、四カ月前に買い付けされた値段というものがいわゆるその原料の元値になっているということになるわけです。この辺は、私は、農林省の宮崎課長ともずいぶんやり合ったのですけれども、どうもその辺がまだ明らかにされていないのです。こういう点からいまの農民、組合員の立場から言えば、全農はいま一つガラス張りでないという批判が起こってくるのではないかと思いますから、この辺を明らかにしていただきたいものだと思います。  時間がなくなってしまいましたから、最後茂木参考人に伺いますが、あなたの養鶏経営者会議というのは、いままでのお話しを聞いておりますと、経営者みずからの参加によってつくられておる組織だという御説明でありました。そこで、いま一番インテグレーションが進んでいるのは養鶏部門だと言われておりますが、あなたの会議には、このインテグレーションと言われるような大型経営者も参加しているのですか。
  122. 茂木信平

    茂木参考人 大型と申しましても、資本系列のものと、いまこういう資本主義の時代でございますから、生きるとすればどうしても中小企業的になりませんと、専業としてはなかなか成り立たないという状況がだんだん進んでまいりまして、よく、企業的であるとか、いろいろな文句にまぎれがございますけれども養鶏農家が大型といいましても、農家で申しますと大体中小企業――中には例外もございますが、中小企業的なものが多うございます。ですから、その中には、あるいは若干資本系列の資本が入っておるのもあるかも存じませんけれども、大体において資本系列のものではなくして、養鶏農家の中小企業としての存立を確立したいという農家層でございます。
  123. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 そうすると、経営の規模としては何万羽というものもあるけれども、大体は何百羽あるいは一千羽単位ぐらい、そんな程度の方々が多いということですか。
  124. 茂木信平

    茂木参考人 いいえ、私のほうの規約は五千羽以上になっておりまして、現在もうすでに専業といたしましては三千羽ではあやしくなりまして、五千羽からだんだんと一万羽ぐらいに専業としてはなるようでございまして、中には十万羽というのもございます。しかし、たとえば東富士養鶏場は三十三人の組合員で二十万羽でございます。ただ、共同経営が非常に多うございますので、そういう点では一がいに一経営の羽数ではわかりませんので、それをやっております経営者の数と――やりますと、企業的と称しておりましても、案外中小企業的な程度というのが多うございます。
  125. 島田琢郎

    島田(琢)小委員 わかりました。終わります。
  126. 坂村吉正

    坂村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、厚くお礼申し上げます。どうもありがとうございました。  この際、午後三時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕