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芳賀委員 たとえば
労働賃金のとり方にしても、いま大臣の言われたようなことはやっていないですよ。私が十五日の
委員会において
要求した資料によりますと、五人から五百人未満が三
段階に分かれておりますが、その中の百人以上四百九十九人規模の場合においては、四十八年五月の一時間
当たり賃金が四百九十九円五十七銭、それがことしの五月の
賃金は、
春闘の結果でありますが、七百六円六銭ということになっておるわけで、そうしますと、一年前の昨年五月の
賃金とことしの
春闘後の
賃金水準というものはちょうど四一%上昇しておるわけです。だから、ことしの米をつくる場合に、何も去年の五月の
賃金水準というものをとる必要はないわけですね。だから、私がいつも言っておるとおり、ことしの米をつくる場合に、
生産者が
生産活動に入った時期というのはいつかというと、それは三月ごろから準備活動はあるとしても、実際に
生産活動に入るということになれば、五月を中心として、その前の四月から始まるということは言えるわけです。収穫期となればやはり十月、十一月に及ぶわけでありますから、この期間の
労働賃金の動向が一体どうなるかということを的確に掌握して、それがことしの産米の自家労働費として計上されなければならぬわけですね。それがいつもこれは一年前の
労働賃金を採用しておるということになるわけです。だから、大臣が言われたとおり、ほんとうにことしの五月
賃金をもってことしの
米価の自家労働費を計上するということであれば、この資料にもあるとおり、三十人から九十九人までは五百七十三円、百人から四百九十九人までは七百六円、五人から二十九人というのは、これは資料がないのですよ。われわれは五百人までで限定するということは言っていないわけだ。たとえば五人以上という場合においては、五人以上全規模でなければならぬことを言っておるが、かりに
政府の最近の方針によりましても、今度の計上された自家労働費というのは当然一年前の労賃ということになっておるじゃないですか。ただ、五月分が十三分の一しか反映されておらぬわけですからね。その点をよく頭に入れておいてもらいたいと思います。
もう
一つは、
平均収量のとり方についても、
昭和四十二年、四十三年までは
調査農家の
平均収量からマイナス一シグマ、年によって違いますが、大体八十キロないし七十五キロ
平均反収から控除して、それを基準にして
米価の計上を行なっておる。今回は何もそれはやっておらぬですね。しかも、この
調査農家の
平均反収というものは、四十八年は
統計によって五百十一キロ、ところが、四十八年の同じ
統計で
調査した実収高の
平均収量というものは四百七十キロということが公表されておるわけだ。だから、昨年の米全体の
平均収量が四百七十キロ、わずか千三百戸の
調査農家の
平均収量が五百十一キロといたしましても、これは全く架空な根拠の上に立ったものですね。これは十アール
当たり四十一キロも収量をことさら上積みにして、実際とれていないものをとれたように擬装して、そして低
米価をつくるということをことしもやっているわけだ。
だから、
米価を
決定する場合においては、現に
政府が過去において実施したことのある、
食管制度の精神に一番近かったと言われる
昭和四十二年の
算定方法というものを今年の
米価にそのまま当てはめた場合においては、
政府の
説明によりましても、六十キロ
当たり一万七千六円、これが今回の
米価試算のように、昨年五月から今年の五月までの
賃金水準ということになれば、一万七千二百二十二円ということになるわけですよ。だから、五月二十三日の
委員会決議というものは、
政府がすでに実施した、実績のある四十二年の
算定方式というものを基礎にして
計算をして、それに現在の狂乱
物価の実情、あるいは
春闘後の
賃金の上昇傾向というものを的確に加味した適正な
米価というものを、
食管法に基づいた
生産費所得補償方式として少なくとも実行すべきであるということで、これは表現は抽象的になっておりますけれ
ども、五月二十三日の当
委員会における決議の趣旨というものはそうなっておるわけです。これから見ると、今回の
試算米価は明らかにその趣旨に反したものでありますからして、
米価審議会が本日中にどのような
答申を出すといたしましても、われわれとしては、立法府である国会の
立場において、
農林大臣に対して、真に大幅値上げは何か、そうするための実行手段としては、少なくとも四十二年の
米価算定方法を使うべきである、それを基礎にすべきであるということを強く厳重に指摘しておく次第でございます。
もう
一つの問題は、当
委員会においてもたびたび
議論した問題でありますが、昨年、四十八年の
生産者米価というのは、御
承知のとおり、六十キロについて一万三百一円ということになっておるわけです。これはもう明らかに、低
米価試算方式で計上したからそうなるわけでありまして、これを先ほど言いました
昭和四十二年
算定方式で
計算すれば一万三千九百八十一円ということになるわけであります。一俵について実に三千六百円、
政府の行なう
算定方式の相違によって、別なそろばんを使うことによってこういう大きな実損というものを
生産者に与えておるわけであります。三千六百円、その中から三千円を
追加払いとして支払うべきであるという
生産者の切実な要望で、当
委員会においてもそれを妥当として、四十八年産米については、特に
食糧管理法の第三条第二項の規定に基づいた
食管法施行令の第二条第二項の規定に基づいて——いまだかつてないほど
経済事情というものは激変しておるわけでありますから、この
食管法の本法並びに施行令を当てはめた場合においては、
委員会でわれわれが強調しなくても、
生産者が要望しなくても、
政府が率先して昨年の低
米価というものを是正して、適正な
追加払いというものを積極的に支払うのは当然のことであるというふうに考えるわけであります。
決定まで数日しか残っておらぬと思いますから、ほんとうに大臣が五月二十三日の当
委員会の決議を尊重してことしの適正な
米価というものをきめる御意思であれば、その二点について明快に大臣のお考えを述べてもらいたいと思います。