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1974-07-18 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年七月十八日(木曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    上田 茂行君       片岡 清一君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       佐々木義武君    染谷  誠君       羽田野忠文君    粟山 ひで君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    美濃 政市君       湯山  勇君    庄司 幸助君       瀬野栄次郎君    稲富 稜人君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         農林政務次官  渡辺美智雄君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         食糧庁総務部長 杉山 克己君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 七月十八日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     羽田野忠文君   島田 安夫君     片岡 清一君   馬場  昇君     湯山  勇君   諫山  博君     庄司 幸助君   神田 大作君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     島田 安夫君   羽田野忠文君     小沢 一郎君   湯山  勇君     馬場  昇君   庄司 幸助君     諫山  博君   小沢 貞孝君     神田 大作君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米価問題)  昭和四十九年産米価決定に関する件      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 四十九年度の米価の問題をめぐって幾つかの質問をしたいと思います。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  まず、十一日と十五日の本委員会で、わが党の芳賀委員をはじめとして多くの委員から、米価算定の基礎に関する幾つかのことについて質問がありました。その答弁を聞いていますと、いかにして生産者米価を低く押えるかということが一貫してその底に流れていると私は聞き取りました。そこで、きょうはこの問題と関連をして、過般田中総理選挙中に各地を遊説をした際に、あるいは倉石農林大臣遊説の中で、あるいはまた自民党選挙中に公表した幾つかの政策の中で、生産者米価に関する点についていろいろと発表したことに関して、その責任というものはどこにあるのかということを追及したいと思います。  まず、田中総理は六月の十五日と二十八日に、一般の公務員の賃金が三二・九%上がっているから、あるいは麦の値段も二八%上がっているので、生産者米価は大幅に値上げをするということを発表しました。倉石農林大臣もそれと同じような意味のことを発表しております。あるいはまた、自民党米価の会では、バックペイということは無理かもしれないけれども奨励金というような形で追加払いに見合うようなものを出したいということも発表した。ところが、実際に米価審議会が始まって諮問段階になると、それらは一切知らぬ顔をして、二五・五%というものと、同時に、追加払いは一切やらないということ、あるいはまた、その他の決定方式についても非常に安く値段をきめるような方式算定をされておるし、同時に、生産者米価消費者米価同時諮問の形で生産者消費者を対立させるような方向で問題を提起しております。まことにこれは遺憾だと思います。選挙中におけるところの総理の、あるいは農林大臣のその発言というものは一体どういう責任があるのか。放言なのか、それとも、自民党総裁として、一国の総理として、その発言したことについて責任を持つのか、この点はどうですか。
  4. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 総理大臣選挙中に発言をしたというのですが、これはだれかの応援演説に行って、自民党総裁という立場演説をぶったものと存じます。したがって、私ども、別に相談をして発言をしてもらったわけではありません。そうではありませんが、総理大臣の言った趣旨というものは、私ども新聞で見たところによりますと、あなたが言ったようなことを言っておるのですけれども、六月二十八日に山形でこういうことを言っておるそうです。米審へ諮問をするため現在賃上げ等調査しているが、七月じゅうには諮問できる、ことしの生産者米価は、春闘賃上げが三二・九%になっているので、世間で言われているような大幅引き上げになる、一五%や二〇%の引き上げではおさまるまいというようなことを言っておるようであります。  これは、御承知のとおり、春闘相場のことを言ったのだと思いますが、米価イコール賃金ではないことは皆さん承知のとおりであります。米価の要素の中に物財賃金というものが入っております。したがって、われわれといたしましても、物価賃金値上がりというものについては、できるだけ直近のものをとりたいというような考えをかねがね持っておったわけであります。米価は恒例に従って七月に入ってからきめるということにことしもなったわけでございますが、去年までは、実は、四月現在の物価賃金というもので原生産費を評価がえをいたしておったわけでございます。ことしは四月から五月にかけても物価賃金値上がりがございますものですから、一番近いデータをとるというようなことのために五月一ぱいの物賃修正を行なった。このために、新聞で当初出ておるように、当初は二二%台というようなことが流れておったのですが、これは去年と同じような計算方式になれば、つまり、四月までの物価賃金値上がりを織り込むということと、それから概算払い金の利息をいままで同様引くというようなことになると、大体二二%台というものが出るのでございますが、ことしはバックペイの問題等いろいろな御要求があったこともよくわかっておりますし、バックペイそれ自体は現在の米価算定方式ではできない。これはかねがね国会においても、総理大臣とか農林大臣が機会あるごとに言っておったわけであります。しかし、何らかそれに見合うようなものを考えようということで、一つは、ごく最近までの物価賃金を極力織り込むということ、もう一つは、農協等要求した概算払い一俵千円を三倍の三千円に引き上げるということ、これについて金利を取らないというようなことなどはかねて言っておったが、そういうようなものを、そのままの形ではないけれども、別な変形した形で農民に有利になるように織り込んだというふうに御理解いただきたいと存じます。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 一党の総裁であり、日本総理大臣である田中角榮氏が選挙中に発言したことについて、全く責任をとらない形で、平気でごまかされてしまっているということが一体道義的に許されることかどうか。そのことについてもう一度明確な答弁をしてもらいたい。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 これは、総理大臣という肩書きで演説したのではなくて、自民党総裁として演説したのでございましょうが、しかし、総理大臣であることはやはり間違いないし、法律上そうなっておるのでございますから、道義的に責任をとるのはあたりまえのことであります。しかしながら、総理大臣は、米価を三二・九%にするというようなことは、どの新聞を見てもそういうようなことは全然言っておりません。そういう春闘相場というようなものを考慮して、一〇%台、二〇%台の米価では絶対におさまるまい、と、そういうことを言っておるわけであります。ですから、その気持ちとしては、新しいごく最近の賃金というものを米価の中に織り込むという思想である。したがって、総理大臣が言ったことを守らせないとか守らないということは違うわけであります。まして、現在は最終的な政府米価というものがきまっておりません状態でありまして、一応農林省試算というものは提案をいたしてあります。でありますが、総理大臣農林大臣が言ったことと現在出しておる試算がまるっきり違ったものであるというふうにはわれわれ解釈いたしておりません。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もうこれ以上そのことについて追及はしないけれども、少なくとも一国の総理大臣であり、責任政党だと言われる自民党総裁が堂々と述べたことについて、全くそれと違ったものを出してきて、それでいろいろと説明をされても、日本農家皆さんは納得しないだろうと思うし、そのことはわれわれはこの場所では言わないで、今後は全国の農村のすみずみでこれを明らかにしていく、そういうことでありますから、もうこれ以上追及しません。  そこで、この十五日に諮問をされた諮問案を見ると、二五・五%で、そして、その後の説明によると、昭和三十五年生産費及び所得補償方式をとってから今日、物価値上がりというものは何百倍かになっておるのに、生産者米価はわずかに二六・九%しか上がっていない。こういう状態の中でなおとの米価を押えるような方式をさらにとっている。四十二年までの方式をとれば、一俵一万七千円になるという説明もある。四十三年の方式をとれば一万六千円をこえるという方式もある。四十九年の米価については二五・五%で、一万二千円台。一万三千円にもならないようなこういう低い米価を出して、一体それが責任政党と言えるかどうか。私は、自民党というのは、これぐらい無責任政党はないと思う。その点について、一体これはどういうふうな説明をされるか。食糧庁は、現在米が余っているから、なお米の生産を押えるためにこの値段を安くしたというふうにしかとれない。その点について、私の言うことに無理があるのかどうか、明確にされたい。
  8. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 皆さんのところにも「米価に関する資料」というのがあるかどうかわかりませんが、たとえば、いままでの政府買い入れ価格というものと物価とを比べると、そう無理なことはやっておらないのです。たとえば昭和三十五年を一〇〇といたしまして、政府買い入れ価格は、玄米六十キログラムを見ますと、四十八年で二四七・五という指数になっております。それから、農業パリティというものを見ると、二十五年、二十六年を一〇〇といたしまして、四十八年が二〇五・五、日銀の卸売り物価を見ても二二一・七、それから二十年たって、昭和四十五年を一〇〇いたしますと、消費者物価指数は、昭和四十八年では二一九・三、物価平均と並んで、生産者米価政府買い入れ価格というものは二四七、こういうようになっておるわけです。そういうような点を見ると、四十八年までのものが二四七ということになっておりますし、それから、消費者物価指数は二一九・三、四十八年までそうなっておるわけですから、いままで政府買い入れ生産者米価がほかの物価平均からして非常に低かったということにはなっておりません。統計上そういうことを得ておるわけであります。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 食糧庁のほうから、算式についてなるべく低いものを出すようにしたということについての私の考え方に間違いがあるかどうか、それについて説明してもらいたい。
  10. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 それは間違いとかどうとかいうことではなく、私は、考え方の違いだろうと思います。何に比べて安いもの、低いものをとるようにしたのかという、その比べる対象が違えば違うわけでありまして、四十二年のときの米価算定方式をとらなかったじゃないかということになれば、四十二年のときの算式と同じ方式にすればいまの政府試算よりももっと上がるではないかという考え方に立てば、それは今回の試算は低いではないかというあなたのおっしゃるような意見になります。しかし、われわれとしては、四十二年の算式というものを四十五年から改めておりますので、四十二年の算式をとるつもりはないのです。と申しますのは、四十二年のときの算式というものは、当時百万トンも米を輸入するというような需給状況にあって、非常に増産奨励というような状態になっておりましたので、実は、かなり付録がついておったわけであります。しかしながら、四十五年以降米が過剰基調になり、現在でも千二百数十億円というような生産調整補助金を出して、百三十五万トンの減産をお願いしておる。ことしも百三十五万トンお願いをしておるわけでございます。ですから、同じ状況試算をとるというようなことはいたしておりません。しかしながら、われわれといたしましては、物価賃金値上がり等は適正にこれを反映させるという意味所得補償方式をとっておりますし、一日の労働賃金にいたしましても、男女込みで四千五百六十四円、あるいは男子ならば五千五百九十円というような全国の五百人未満の規模の製造業平均賃金を採用いたしておりますので、特別に低くするために今回の米価試算が行なわれておるということは絶対にございません。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この点も、私どもは全く見解が違うからこれ以上質問しないけれども、そういうような説明はできるかもしれないが——実際は、説明はどうでもできるのですが、米をつくる農家立場に立ってみれば、そういう説明では全く納得できない。だから、この問題はこれ以上追及しません。これもまた現地で、農家の中で徹底的に政治的に対決をしていくほかはない。そういうことで、次に移ります。  生産者米価消費者米価並びに食管行政費の点について私は質問しますけれども生産者米価は、食管法第三条によって、生産費及び所得を補償するようにきめなければならないということになっている。したがって、これは農民の、生産者価格をきめるためのものであります。でありますから、当然、農家皆さんが必要ないろいろな賃金、資材等々を摘正に計算をしてきめるのがあたりまえなんだ。それから、消費者米価に関しては、第四条によって、これまた家計をそこなわないように、経済の情勢に見合ってこれをきめるのが当然であります。したがって、そこにあらわれるところの行政費というものは当然政府負担をすべきものである。こういう見解に立った場合に、一体、この食管経費というものに対して何か上限があるのか、下限があるのか、限界があるのか、その点について大蔵省から回答を求めたい。
  12. 宮下創平

    宮下説明員 お答えいたします。  実は、食管法には、先生御指摘のとおり、確かに、生産者米価につきましては米穀の再生産確保消費者米価につきましては消費者家計の安定ということがうたわれていることは事実でございますが、その他経済事情等を参酌して、ということで、両方にかかっておるわけでございまして、食管法の規定は当然に二重米価を前提としているものではないというようにわれわれは解しております。   〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕  実態を申し上げますと、いままでの食管赤字の推移でございますが、二十九年くらいまでは、いまの食管法のもとで、コスト価格で売っておりました。すなわち、農民から買い上げた価格プラス政府金利倉敷料等を加えた、いわゆる管理費を加えたところで卸、小売りに売っておったという時代がございます。このときは国としては負担はなかったわけでございます。それから、三十五年までは売買逆ざやも存在いたしませんでした。すなわち、管理経費は国が負担いたしますけれども農家から買い入れた値段でもって卸に売るという時代がずっと続いてまいりまして、最近に至りまして末端逆ざやが発生し、四十年の前半でございますが、これが大きな問題となっておるわけでございます。  末端逆ざやが大幅になるということはどうして不合理かと申しますと、私が申し上げるまでもございませんけれども、巨額な財政負担の原因になることはもちろんでございますが、これは自主流通米を阻害いたしますし、それから、何よりも還流米の発生、すなわちいまで申しますと、一俵七千七百七十円で政府卸屋に売っておるわけでございますが、それに対しまして、今回の諮問でいきますと二千六百二十六円、一俵当たり価格が上がるわけでございますので、それらを足しますと逆ざやが四千円以上になるという、これは物の値段のきめ方としては、流通の角度から申しましてもきわめて異常な事態であるわけでございます。したがいましてわれわれといたしましては、食糧管理の適正な運営を確保するという見地から申しましても、少なくとも、当面この末端逆ざやが存在するということは非常に問題ではないかというように考えております。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この逆ざやの問題は、これは農民責任じゃない。農民がなまけたから逆ざやが出たわけじゃない。これは自民党政治責任なんだ。それを農民責任に転嫁して、逆ざやが出るから生産者米価は上げてはならないのだということで、一生懸命に恐喝をしているのだ。財界新聞等、みんなが……。だから、農家皆さん自民党お願いをして上げてもらうというふうに言っている。農家皆さん要求するのは、これは当然の権利ですよ。四十四年、四十五年、四十六年と米価が据え置きになったって、物は上がったのだ。これで逆ざやが出たのだ。そういうような問題について、逆ざやが出たから農家のほうの米を上げないなんという、そんなばかな話はない。そこに政治がある。それがやれないんだったら、もう自民党政治はやめたほうがいい。  そういうことで、この食管の中を見ると、ことしの食管の中にだって、農家にばかりの金ではない。倉敷料があり、人件費があり、事務費があり、あるいは麦の問題があり、いろいろな問題がたくさん入っている。そして、しかも、この食管赤字というのは単に農民だけの問題じゃなしに、消費者の関係もあるし、特に、低所得者年金生活者の弱い人々のために、この米というものは非常に大事なんだ。社会保障的性格を持っている。だから、これに対して限界があるかどうか。いまの法律では、それは限界がないはずです。だから、そういうものについては政治がどういうふうにこれを始末をするのか、その問題をもっとはっきりしなければ、農家にこの責任をおっかぶせるということは絶対許すべからざることだと思う。この点についてもう一度伺いたい。
  14. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 末端逆ざや責任農家にかぶせるということは、私もいかぬと思います。全く私は同意見なんです。ただ、いま大蔵省説明をいたしましたのは、たとえば今回政府諮問案どおり生産者価格が二五・五%引き上げになって、しかも、政府売り渡し価格を現在のように改定をしないと、七千七百七十円でいま一俵売っているわけですから、そうしますと非常な逆ざやになりますという説明をしただけのことだと私は思います。もちろん、この逆ざやの中には、コスト逆ざや末端逆ざや売買逆ざやと三通りあるわけでありますが、コスト逆ざやの一部分というものは、いまあなたがおっしゃったように、管理、倉敷とか、人件費とか、金利とか、輸送費とか、そういうものが当然入っておって、食管制度を守っていく上において、これらのものは政府が持つのはあたりまえ過ぎるほどあたりまえで、当然だと私は思っております。  ただ、問題は、売買逆ざやの問題でありまして、そういうふうな維持管理費倉敷料金利というような政府管理費というものは、一俵当たり大体二千四百円からかかるのです。これは政府負担は当然でございますが、この売買逆ざやですね。一万二千九百二十七円で買って七千七百七十円で売る。その差額が、買い入れ値段は高くて売り値段が安い。そこで、経費を見ないで、売り買いだけでも一俵五千円からの逆ざやができる。これは物の流通制度として非常に問題がある。こんなになくとも、一俵千何百円というようなときでも、秋田県だかどこだったかで、東京から米を買っていった人が、農家の付せんをつけて農協に納めて、二回売っちゃったというようなことが農林委員会で問題になって大騒ぎになった。現在も、このまま放置すれば、一俵動かすことによって五千円、政府から買ったものと政府に売るものでは五千円差がある。しかも、政府から買って政府に売ったほうが五千円もうかるというような、この状態というものは非常に大きな問題なんで、何とかしてこれは解消するような方法を講じないとたいへんであるということを申し上げておるわけであります。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 かりにそういう逆ざやが出たとしても、その逆ざやというものの責任を、農民生産費を押えるということでもって始末をしようということがよくない。逆ざやが出ていることはわれわれも知っている。われわれだって一人前の常識を持っているからわかっていますよ。だけれども、そのことを農民米価を押えるということに使ってはならない。それはまた別な問題じゃないですか。政府というものは何のためにあるのだ。そういう意味において、私は、その点については現在の皆さん説明では納得をしません。これもまた、もうここではこれ以上議論はできない。時間もないからできないから次のほうへ移っていくが、これもやはりまた別な場所で、大衆の場所で討議をして、政治を変える以外に方法がないならばそういうふうな方向に持っていかなければならないというふうに考えます。  次の問題は、この諮問答申米価最終決定の間における政治加算ということについてですが、従来の米価決定方式を見ると、大体、米価審議会にきわめて低い諮問がなされて、あれやこれや議論をして答申が行なわれる。それを農林大臣が受け取って、自民党政府との間でやりとりをして、わけのわからない政治加算という形でお茶を濁して今日まで価格をきめてきた。農家皆さんの正しい労働賃金や、肥料や農機具に対する正しい支出や、そういう要求というものはみんなどこかに捨て去られて、政治的なことで算式がきめられ、その算式の上にやりとりがされてきたというのがいままでの例です。今度もそういうことをやりかねない状態なんです。このようなことを毎年毎年続けておったら、もはや政治というものは信用できない。数字が信用できなくなってくる。ことしもそういう政治加算ということをやるかどうか。これが第一。  もう一つの問題は、米の値を上げれば、農家皆さんが米以外に転作も他のものもつくらないのじゃないか、だから、米の値を押えてほかのものをつくらせようとするのだということを大蔵省は言う。財界も言っている。農林省内部にもそういう意見があると聞いている。農家が米を中心にするのは、日本食糧自給率が低い、何とかして国民の食糧を確保したいという、そういう熱意からやっているのである。しかも、いまの食糧自給率が四割台という段階になったときに、なお国際価格が高いという段階で、いよいよ今後農業問題が大事なときに、その責任農家にかぶせるのではなくて、畜産物でも、果樹でも、蔬菜でも、ちゃんとした価格保障をすれば、農家はそっちのほうにちゃんと転作をしていく。そういうことを一方でしないで、米はつくり過ぎる、やり過ぎる、やれ減反だ、調整だということをやるところに問題がある。こういう点についての反省を求めたいし、政治加算をやるかやらないかということについても明確にされたい。
  16. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 役所の出した今回の試算というものは、食管法に従って経済事情もいろいろ考慮してつくられたものでございます。私は、したがって一応これは合理的な案であるというように考えておりますが、皆さんからともかくけしからぬけしからぬと話がうんと出ておって、理屈はそうかもしらぬが、そういうことは通用しませんよ、ともかく、もっと政治的に配慮をすべきでないかというような意見もかなりあるので、これは政治加算というのかどうかわかりませんが、いずれにしても、われわれとしては一応の試算を出して米価審議会の御意見を聞いておるわけでございますから、その米価審議会委員の中には、消費者の代表、生産者の代表、中立委員の方、こういう方がおって、きょう答申を出していただけると思っております。そういうような論議の経過を踏まえて答申を見て、その上で最終的に判断するということが一番いいのでないかと思っております。  ただ、政府は二五・五で出したのだから、これは絶対なものであって、これについては全然手を触れさせないのだというのでは審議会で意見を聞く意味がないのですから、政府はこう思っておりますがいかがなものでしょうかということで、それについて、こういう点はこうすべきでないか、これはああすべきでないかというような大多数の人の御意見が出ればその意見は尊重したいということでありますので、そういうふうなあまりよくない意味での政治加算ということには必ずしもならないだろう、当然審議会の意見というものは尊重をするということであり、それから、また、国会で、この委員会でこれだけいろいろな御議論があるわけですから、そういう御意見も踏まえて最終的な米価決定をされるということは決して悪いことではないというように私は思っております。  それから、転作をするために米価を押えておるということでございますが、転作をさせるために米価を押えるということではございません。やはり、農作物間には一応のバランスというものは当然あろうかと存じます。したがいまして、米作だけを特別に有利にするためのいろいろな手心をたくさん加えるというようなことはいたしません、と、こういうことだけであります。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう最後ですから、私は意見を言って終わりますが、前からの、きょうで三日間の私も含めての質疑の中で、ほんとうに日本の農業を守り、愛し、農民の生活を高めていくというようなところからの答えがどうしても出てこない。非常に冷たい。私は、これはたいへん残念です。政府政治責任農家責任に農嫁をしていく傾向が濃厚であります。特に、大蔵省の高木事務次官は、きのうあたり新聞に発表して、総理大臣農林大臣の発表した、あの米価の高い要求は不当であるということも言っている。そんなばかなことはない。一体、総理大臣とか農林大臣というのは何のためにあるかということから考えてみて——そして、また、農業政策の中に長期展望がいまだにきまらない。そういう中で、米をつくり過ぎる、だから米の値を押えるのだということならば、畜産物や野菜や果樹に対してもっと正式な作付方針をきめて価格を支持し、農家皆さんがこれならやっていけるという自信をなぜ与えないのだ。そういうことをやらないで、米価要求すれば、それが不当だということで、いいかげんな算式を持ってきて、ああやこうやねじって、最後には政治加算でごまかしていく。そういう米価決定については、私は断じて反対であり、承服できません。  以上の意見を付して、私は、質問を終わります。
  18. 仮谷忠男

    仮谷委員長 野坂浩賢君。
  19. 野坂浩賢

    ○野坂委員 次官にお尋ねをいたしますが、いま米価審議会政府諮問をしております米価は、アップ率が二五・五%で、一万二千九百二十七円ですか、それが諮問をされておりますが、農林省責任者として、また、米作農民の輿望をになっておる農林省食糧庁としては、それが農民の理解を得られる値段で、また一番いい値段であるというふうにお考えですか。
  20. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 現在の試算米価というものは、食管法の精神をくんで再生産を確保できる値段、もう一つは、経済事情等も勘案して、物価賃金等の上昇というものも組み込んだ値段というようなことで、農林省としては、まあ一応まずまずの米価であるということで諮問を出しておるわけであります。したがって、もともと、これは絶対なものであって、これをこれよりも低くすることも高くすることも、そんなことは断固認めないとか、そういうふうな筋合いのものじゃないのですよ。米価審議会に一応の考え方をはかって、そして政府は最終の決定をするのですから、ですから、われわれとしてはそれは妥当なものであると考えておるわけです。
  21. 野坂浩賢

    ○野坂委員 与えられた時間は三十分しかありませんので、簡単に答えていただきたいと思います。  十五日にあなたは農家皆さんと公開で質疑、討論をされました。そのときに、私は農民立場に立って考えておる、だから新聞を見てくれということを盛んに言われましたですね。三回言われた。私は切り取ってあるのですけれども、いまの諮問米価には私は納得ができない、と、新聞にはこういうことが書いてあるのですよ。そして、それは渡辺個人の問題ではなしに、農林省としての考え方であった。大臣の代理としてあなたは答弁をされたわけですからね。これではだめですと、こういうことをあなたはおっしゃったのです。だから、これでは農林省としては、あなたとしては不満であろうと思いますが、どうですか。
  22. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 それは、議論の過程におきましてはいろいろあるのですよ。議論の過程においてはいろいろございますが、最終的に決定をいたしました以上、やはり、決定したものを支持するというのはあたりまえで、社会党の中だって、自民党の中だって、個人個人でいろいろな意見があるけれども、最終的に党で決定をするということになれば、それは絶対支持しないというわけにはいかないので、議論の過程にはいろいろあるけれども、最終的に納得して決定したから、それはいまさらどうこう言ったってしかたのない話なんです。それはそういうわけなんです。ですから、新聞を見てください。それは議論の過程においてはいろいろあるので、ともかく、この米価でなければ、絶対何が何でも永久にだめだなんということは言っていないのですよ。私のほうはこれはやはり一応いろいろ議論はあったが、落ちつくところに落ちついて出したもので、また皆さん意見をいろいろ聞きましょう、聞いた上で最終的な米価決定をいたします、と、こういうことを言っているわけです。
  23. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まあいいですが、新聞を読んでみますと、大蔵省が二二・七、あなたのほうが二八・一、足して二で割って二五・五という数字が出ているわけです。いわゆる、答えを出しておいて米価をきめるということですよ。そういうことなんです。農家皆さんの命を、生活の中心をこれからきめるのに、足して二で割るというような方式はわれわれは納得するわけにはまいりません。  そこで、お尋ねしたいのは、この間芳賀委員その他から質問いたしましたが、米価というものは、そういう答えを出しておいて、アップ率をきめておいて、そして米価算式をきめていくということであってはならないと私は思うのです。だからあとで政治加算というような問題が出てきて、都合が悪いときはまた政治加算をとっていくということで、そういうように毎年いつも算式が変わるというようなことはすべきではないと私は思うのです。そういう意味では、四十二年までの米価算式というものは大体一貫しておった。あなたのおっしゃるように、そのときは不足ぎみだったんだ、過剰ぎみになればそういう算式は変えるんだということであれば、それはそのときの奨励金なら奨励金で別に考えればいい。だから、四十二年の米価計算でいくと一万七千六円になりますね。これが大体私たちは一貫した米価計算だというふうに思っておるのです。これが正しい米価算式の基礎になる。これが一応農家皆さんの声だろうと私は思います。これでも私は少ないと思っておるのですけれども……。  そこで、とにかくお尋ねしたいのは、今度の計算にあたって、世界一と言われる農林省統計情報部がいろいろ出しておりますが、この中で、四十六年、四十七年は生産農家、販売農家を一〇〇と見た。ところが、四十八年は九七%しか見ていない。この点、この九七%にしたという理由をお話しいただきたいと思うのです。
  24. 杉山克己

    ○杉山説明員 米が過剰になりましてから、米の生産費をいかにして算定するかということにつきまして種々議論がありましたが、必要量を越えるものについては、これは生産費計算段階においては取り上げるべきではないということから、実は、本年だけでなく昨年も一昨年も同様に、いわゆる必要量生産費という考え方に立って平均生産費算定することにいたしております。その考え方は……(「必要量生産費」と呼ぶ者あり)はい。四十八年におきましては、必要量を満たすのは四十八年の生産量の九七%で足りるという考え方から、統計調査の対象となりました農家生産費を低いものから、生産性の高いものから順に並べまして、九七%までのところをとりまして、その累積のものについて平均して生産費算定したということでございます。
  25. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政務次官がおりませんからあなたに聞きますが、生産調整をやっているのですね。去年は二百五万トンやったわけです。必要量でいいということで生産調整をやったんだ。しかも、買い入れ限度数量というものをきめた。あなた方の言われるとおりにやらせてきたんですね。それは必要量という考え方でやってきた。よけいできたからといって、農家責任じゃないのです。あなた方の責任です。それをたくさんできたから、農家を順に並べて、高いほうからとって、あとの三%は切り捨てる。生産調整をやり、買い入れ限度数量をきめながら、それを一〇〇%にしないというのはだれが見ても無理がある。矛盾がある。農林省というのはそのときそのときに都合のいい計算指数しか持ってこないということになると私は思うのですよ。そのための生産調整なり買い入れ限度数量というものをきめるのなら、それを一〇〇にしなければ意味がないと私は思いますが、どうですか。
  26. 杉山克己

    ○杉山説明員 やはり、現実に生産された結果が必要量を越えているという場合には、昨年、一昨年同様のルールによって必要量生産費でとるというのが理論的に正しいと思って算定いたしたわけでございます。
  27. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなた方は、調整をやり、限度をきめながら、そういうことも含めて、天候その他農民の努力があれば、それだけメリットは引いていくという考え方ですから、言うなれば農民の味方じゃないわけですね。その反対になる。つくれば押えられる。しかも、そういう規定をすべて政府の基準できめながらやらないというところに問題があると私は思います。これは大いに議論をしなければなりませんし、問題点として明らかにしておきたいと思うのです。  あと十五分ぐらいしかないですから先に進みますが、政務次官、今度の収量の計算ですが、これはいままでは限界収量方式をとっておったが、今度は平均にしておるのですね。この平均というのは、農家のカバー率というのは大体どの程度あるのですか。
  28. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 昨年の決定米価で申し上げますと、販売数量のおおよそ九〇%、農家戸数でおおよそ七六%、こういうように統計上なっております。
  29. 野坂浩賢

    ○野坂委員 去年のものですが、政府から、「昭和四十七年産農産物生産費調査報告 米生産費統計」という資料が出ておりますね。これを去年は四百九十五で見ますから、見てみますと、作付面積でカバー率は四八・八三ですよ。生産数量分布では四三・一九です。それから、販売数量では三九・八七ですよ。平均収量方式をとると、カバー率というものは、約四〇%までの皆さんについてはこれである程度の生産ができるけれども、残りの六〇%の農家皆さんは全部切り捨てごめん、恩恵を受けないということになるじゃないですか。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 御承知のとおり、米価は、その平均の原生産費をそのまま適用してないのです。統計のほうは原生産費で出ておりますが、決定米価のほうは評価がえというものをやっているのです。だから、そこでカバー率がずっとふえてくるわけです。平均の原生産費をそのままとっておりませんから、物価賃金で修正していますから、したがって、去年の決定米価で申しますと、原生産費よりずっと高い。実際は擬制的な経費というものを見ておりますからね。ですから、それでやると九〇%の販売量、それから七六%の農家戸数、これが去年の米価によってカバーされておる、こういうことが言えます。
  31. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それは、算定といいますか、基盤が違うのですよ。あなたのおっしゃる評価がえというのは、たとえば物価とか賃金とか上がれば、物価賃金はそのまま上がるのですから、ここで計算すれば四一・八四だ。しかし、その物価賃金そのものが年々移行していくのですから、図が違うのですよ、山が違う。あなたはここでものを言うからそういうかっこうになるわけですよ。だから、初めの基礎からそのものを言えば、カバー率というものは四一・八四しかないのですよ。そういうことになるのですよ。物価賃金というのは毎年上がっておるわけなのです。だから、よってくるところの計算の基礎が違う。それは見方の問題なんです。約束ごとの問題なんですよ。ですから、そのとおりこれでいくならば、情報部の統計でいくならば、カバー率というのは四一・八四しかないのですよ。当然そういうことになるのじゃないですか。
  32. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 詳しいことは事務当局から聞いていただければわかりますが、いま言ったように、原生産費平均で言えばあなたの言うようなことになるのですが、決定米価というのは、原生産費をそのままとっているのじゃないのですよ。それは物賃修正をいたしまして、それでやっておりますから、実際に調べてみると、そこには時間数とか何か違いがあるわけですね。たとえば時間は、たとえばことしの米価で言うと、直接労働時間は過去三年の平均だというと九十・八時間になる、しかし、四十九年実際に働いてみると、いや八十時間を切っちまう、七十八時間ぐらいじゃないかということがいま検討されているわけですよ。それはそういうところで当然ズレが出てくるわけです。統計のほうは、実際に働いた時間、実際に払った費用というものを計算しますが、米価計算はそうではありませんから、七十八時間でことし米がとれるであろうということは予想されましても、それは単なる予想ですから、それは採用いたしません。過去三カ年の平均で直接労働時間は九十・八であります。ですから、おととしあたりの時間数をことし採用するという話になってくるわけですから、そこでゆるみが出ておるわけです。だから、実際の実費支出というものと決定米価というもののズレが出てくるのは当然であって、決定米価の費用を基礎にするというと、いま言ったように販売数量の九〇%、それから農家戸数七六%をカバーいたしております、ということになるのです。それは当然違うのです。
  33. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それは、よっている計算の基礎というか、基盤が違うからですよ。物価賃金は評価がえをしますけれども、そのままこの図からこの図へ移行するわけですから、その点は非常に問題があると思うのです。  それで、いままではそういうことがないようにシグマ方式をとって——一シグマというとたしか七二だと思いますが、そのシグマをやれば、カバー率というものは大体八〇%になる。だから、バルクライン八〇%というものと一致するじゃないかというかっこうで話し合いができておった。これのところまで下がっていくことが、全農家生産が八〇%のところまで及ぶ、あるいは七〇%にまで及ぶ、こういうふうになってくると私は思う。これでなければ、農家の評価がえをしたと言いますが、労働者も、その他物賃は年々すべて上がってくるわけですから、そういう点をもう一ぺん明らかにしておいてもらわなければならぬということが一つ。  それから、いまのメリットの還元は、お話しがあったように、田植え機とかコンバインとかいうものができてきたのだから、それについては、そういうふうな関係が機械化になれば時間が縮みますから、増収分についても、反収が、普通ならば、全販売農家なら五百十一キロだが、これを九七にしたから五百十六キロだというようなかっこうにしてメリットを全部引き上げてしまったわけですね。引き上げておる。それは、農民の血と汗とくふうと努力によるというようなものについては全然見ないというかっこうになってくるのじゃないですか。それは時間数が六・三時間なら、まあ、三時間というものはメリット分だ、こういうぐあいにしてやらなければ、一つもそういう努力は認めない、ただ、それは減価償却で見たのだからいいじゃないか——こういうものは会社でも減価償却はちゃんと法定で損費で落とすのですから、しかもメリット分というものは利益として見るわけですから、当然そういうようなかっこうにならなければ努力したかいがないし、借銭がふえるだけだ、こういうかっこうになりませんか。
  34. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 先ほども私はお話しいたしましたが、手元にことしの試算のものがありますから、それで申し上げますと、調査の結果、四十六年の家族労働時間というのは、直接と間接と両方入れまして、四十六年は一反歩当たり百五・一時間かかっているわけです。四十七年は同じようにして九十四・三時間かかっておる。四十八年は八十八時間かかっておる。ですから、去年八十八時間かかっておるのですから、ことしはもっと減るのですよ。どうして減るかと申しますと、全国的に土地改良事業がどんどん進められ、大型化し、あるいは田植え機の普及というものがどんどん進んでおるという状態で、もうおそらく五時間以上はそこのところは減るだろう。四十六年と四十七年で約十時間食い違いがあるわけですね。七年と八年でも六時間減ているわけですよ。だから、八年と九年でもやはり五、六時間は減るだろうということが一応見込まれるのです。見込まれるけれども、去年の実際にかかったと言われる八十八時間で計算するのでなくして、要するに、ことしの平均時間というものは、また別な三カ年の平均計算するわけなんです。直接労働だけで言うと八十三時間四十八年にかかっておるけれども平均ですると九十時間かかったことにみなしてやっているわけです。ところが、九十時間実際にかかったことにみなしても、七十八時間でできるということになれば、十時間の分はメリットに入っているわけですよ。ですから、決してメリット全部とっちゃったというのではないのです。過去にはどんどん減ってきた、去年とことしは時間数は一つも減らないのだ、おととしと去年も時間数はほとんど減らないという状態になれば、あなたのおっしゃるようなことが言えるのだけれども、どんどん時間数が減っておる現段階においては、二年前の、言うならばおととしの時間を採用するみたいな話なんですから、これはメリットは十分にあります、こういうことを申し上げているわけです。
  35. 野坂浩賢

    ○野坂委員 われわれもその三年の平均ということはよく承知をしておるわけですが、メリットというのは、たとえば四十六年、四十七年、四十八年の三年間の平均だ。この四十六年からいわゆる短時間の分だけを引いて、半分はその合理化の歩合として一ぺん社会に還元をして、あとの二分の一くらいは当然じゃないか——十時間メリット換算があると言われますけれども、あなたのおっしゃった資料はありますが、大体、三年間の平均というのは、四十八年は百八時間くらいあるじゃないか、こういうような計算が、全農家から言えば出る。それは平均収量というようなかっこうで、五〇%方式をとるからそういうことであって、いわゆる能率のいいところだけをやっておる。全農家ということになれば、大体百十一時間ぐらいになる、四十八年は百八・五時間ぐらいだ、こういうようにわれわれは理解しておるわけですよ。だから、その点については、八十時間が九十時間で十時間メリットを見るというようなことは、これは問題にならぬ、こういうふうにわれわれは思っておるわけです。それについては再度もっと計算をしてもらわなければ、これだけでは納得ができない。メリット換算はない、全農民はそう思っておりますよ、メリットは還元はしておらぬということが一つ。  それから、地代の問題にいたしましても、小作料は時価で見ましょうということにようやくなってきた。しかし、自作地は小作料の五級地でやっていく。これは原生産費でやはり見るべきじゃないですか。どうでしょう。
  36. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 地代の問題につきましては、二つ考え方があるのです。  全部原生産費で見ろというようなのは一つの理屈なんです。そうすると一反歩——ともかく、たんぼの貸し借りというようなことで、その値段とか、そういうものを見ると、都市近郊の農地なんというのはべらぼうに高いわけですから、そいつの貸し借りというものは、必ずしも、米作に引き合うからとか引き合わないからというようなことばかりじゃないのですよ。こそで、われわれといたしましては、現在のたんぼをつくっている農家というものは地代をだれに払っているのだ、小作人というのはどれぐらいいるのだということを調べてみると、大体全体の五%程度のたんぼが小作地である。あとの九五%は自作地で、自分の持っているものである。ですから、小作地の人は必ず地代をだれかに払っているのですから、それは経費で見ざるを得ない。じゃ、自作地の人は固定資産税だけでだれにも地代を払っていないんだから見なくてもいいかという議論一つあるわけです。しかしながら、それでもお気の毒なことでございますので、小作地についてはともかく実勢小作料、それから自作につきましては一応幾らに見るかということが非常に問題になってくるわけです。それで、それについては、これはともかくだれにも払っていないんだから擬制地代だけれども、それは統制小作料というものがございますから、統制小作料というもので見ましょうという、そういうことの平均をとるということになってまいりますので、四十八年度は、五千三百四十円とか四十四円というような一応の擬制的な地代というものを一反歩当たり考えておると、こういう理屈なのであります。だから、隣の小作地と同じように、全部自作地についても小作料を見ろという考え方はとりません、と、そういうことです。
  37. 野坂浩賢

    ○野坂委員 五千三百四十四円と一万一千円との問題ですが、あなたの考え方は、先祖伝来からの土地をもらって、何にも農地をいじくらないで、そのまま変なかっこうでおるということなんだが、しかし、今日、その農地を構造改善し、基盤整備をし、全部借銭はふえて、相当なものになっている。そのままの伝承したものだけの姿ではない。土地改良十カ年計画等を見てもそういうことが言えるわけですよ。その点については十分配慮しなければ、先祖伝来からもらったものだから、それをやるんだから自分のものだ、元はただだというような考え方だけには今日の農地というものはなっていないという認識に立ってもらわなければならぬと思うのです。  それから、いま、都市近郊の農地はどうするんだ、いなかはどうするんだ、労賃はどうするんだということですが、全体的な平均をして、いまの場合は五人以上四百九十九人というようなかっこうで労賃というものを見ていらっしゃる。これが一番ウェートを占めますからね。いままでは四月まで見たんだが、いまの竹内君の話については、今度は五月まで見たんだとおっしゃる。しかし、この五月のものは、四百九十九というのは、春闘の積み残し分がずいぶんあるでしょう。私はそういうことをやっておる一人なんですが、官公労その他は大体四月、五月の上旬にきまって、四百九十九人というのはほとんど未組織のところなんです。だから、今度はあなたは反論として、いや、五人以上と考えておったんだけれども、三十人以上なくて勤労統計をとったんだとおっしゃりたいでしょうけれども、この五月分については、これはほとんど積み残しなんです。いわゆる春闘賃金というものは六月にならなければ出てこないです。だから、そういうことについても、これでは低いから、全国平均を五人以上天井なしでやらなければほんとうのものは出ないじゃないか、もし積み残しがあるとすれば、四十八年と同じように追加払いというようなものを考えてもらわなければはっきりした生産米価というものは出てこない、と、私はこう思っておるのですが、どうですか。
  38. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 地代につきましては、あなたがおっしゃるように、先祖伝来持っているものに全然手をかけていないということではなく、土地改良をやったり何かして、借金もして、利息も払っているんだということは、全く私もそのとおりだと思います。したがって、そういうようなものの金利等はちゃんと見ます。固定資産税やそういうような土地改良の負担金というようなものは、これは物財費の中の水利費という勘定科目で別に入っているのですよ。  それから、賃金の問題につきましては、あなたのおっしゃるように、三二・何%という春闘相場が出たからといって、すぐにあしたから全部の労働者が三二・何%をもらっているわけじゃないのです。裏から言えば、逆に言えば、基本ベースは上がったけれども残業が少なくなっちゃって、統計の結果は、場所によっては、自動車産業なんというものは、私は知っているけれども、日産の何千人か使っている工場が栃木県にありますが、それは、春闘相場は上がったけれども実質賃金は減っちゃったと言うんですよ。残業がなくなっちゃった。そういうふうな実例もあるんで、それはやっぱり、逆に、あなたの言うことを言うと裏目に出てくる場合もあるんです。賃金の問題は、あなたのおっしゃるようなことも一つの理屈がありますので、われわれとしては、これらについては十分皆さんの御意見も聞いて、それできめようということで考えておるわけです。
  39. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなたに言っておきますけれども政府経済政策の失敗で、残業なんてものは二月ごろからあまりないですよ。これはあなたは御存じかどうか知らぬけれどもね。五月ごろは、基本賃金が上がらなければ、それで減ったというようなことはないですよ。そういうことは思いつきというものです。だから、基本賃金というものは、五月の段階であなたの計算の中には入っていないですよ。だから、三十人以上というものの月賃統計をとっておるだけじゃないですか。だから、本格的なものは入っていないから、そういう時間外手当なんか論外ですよ。問題にならぬですよ、その当時は。だから、追加払いというようなものは——だから、私は、四百九十九というような天井をつくるということは基本的に間違いだ、公務員並みでやったらいいと、こういうふうに思っておるのです。それが一番はっきりするわけですからね。そうしなければ統計のとりようがないじゃないですか。四月を五月にしたんだというような恩着せがましいことを言って、これではもういいかげんなろうらくというものです。そういうことを考えてもらいたい。  それから、これから補肥その他をやるわけですが、七月からもずっとやるんです。また、米価がきまれば、来年の植えつけまでその金で農家は生活をしていかなければならぬのですよ。肥料はこのままじゃないでしょう。農林省が押えられるかどうか、業者はすでに肥料の値段を六七%アップを出しておるんじゃないですか。そういうような状況のときに一体どうするかということです。これも当然追加払いの要素になる。そうしなければ、これからの農業は、見直すとか、農政を振興させるとか、農産物価格というものは重大な位置づけをするとか言いながら、農民に死ねということしか出てこない。二五・五%というようなものは論外で、自民党が大会に来れば何と言うかというと、皆さん要求を、農協米価、日農米価をやってやりますと全部言っておる。それを二五・五%というようなことでは論外で、陳情に行けば三五%ぐらいやりましょうというような話をやっておる。これは全くなめた話ですが、そういうような趣旨と肥料の上がりというものから見れば、基本的に追加払いというようなことは当然考えていかざるを得まい、と、米審の十五日のあなたの御討論の中身としてもそう考えておるだろうというふうにわれわれは思っておるのですが、どうですか。
  40. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 追加払い追加払いという話がよく出るんですが、そうすると、この方式を全部変えろということなんですよ。(野坂委員試算米価をやめりゃいいんですよ」と呼ぶ)いやいや、方式のやり方を実費計算にしろという話になるんですよ。賃金も実費計算物価値上がり、肥料代も実費計算、労働時間も実際にかかっただけ、ともかくそういうようなことになるわけですよ。そういうことは米価試算の上で決してプラスにならないんです。それは計算してみればわかるんです。ですから、そういうふうに全部それはやめちゃって、全部実際の実労働時間、実際の地方で支払った原生産費に出てくるような賃金というふうなことは必ずしもプラスにならぬ。したがって、現在の方式をまるきり変えるということは考えておりません。
  41. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういうことでは答えになっていないと私は思うのですが、四十二年の計算からしても、いままでやったんですから、そのとおりであっても一万七千六円に政府計算をしてもなるんですよ。だから、その程度は最低考えなきゃならぬだろう。過剰になったから、農民が御苦労なすっても、その分のメリットはすべてをとる、これも時間も減らす、こういうふうなかっこうでどんどん減らすということになれば、一万二千九百二十七円というふうなことが、あなた自身も正しくないと思っておるんです。あなたは次官になるまでは姿勢がよかった。次官になってからはてんで問題にならぬ。だから、そういうようなことから考えて、それはその地域、地域とおっしゃるけれども、米をつくっていらっしゃる農家皆さん全国なんですから、そういう点を全部見て、いわゆる四百九十九というような数字をはじき出さないで、天井知らずで、全従業員の、全職場の計算をするということになれば、それが不公平がなくて公平だ、と、私はそういうふうに思うのです。  さらに、土地代も、あるいは言わなかったのですけれども付帯労働費の問題もあろうし、現実に限度数量もきめて、生産調整もして、何も思うとおりにしておいて、農作であったから九七とするというようなことは、これは愛情ある農政ということはかけらもない。だから、農家皆さんの意向というものは全部が反対だ。これは直すということですから、十分直していただいて、納得のできる生産者米価というものを出してもらいたい。  こういうことを要求して、時間が参りましたから、私の質問を終わります。
  42. 仮谷忠男

    仮谷委員長 津川武一君。
  43. 津川武一

    ○津川委員 日本農民生産意欲をかなり失っておる。これは日本の農業にとってたいへんな事態であります。しかも、日本の農業の中核が稲作農業であり、したがって、稲作農業に日本農民生産意欲を失わないようにすることこそが今日の課題だと私は思っております。この立場から、私たちは、お米をつくって、一俵でも政府に売り渡して国民の主食に貢献しようとしておる農民の、その生産費がまかなえるようにして、そして、日本農民が都市並みの労働者と同じ生活ができるような賃金を保障しなきゃならないと思っております。これを保障するならば、日本農民が農業に意欲を燃やしていける。こういう立場から、今度の政府諮問米価一万二千九百二十七円、二五・五%は、この農民生産意欲を盛り上げる点については非常に不適当だ。逆に、このためにまた農民生産意欲を失っていくものとして、これに反対もし、これを返上もして、こういうものでない米価決定することを最初に要求するものでございます。  そこで、第一の問題は、米の全量買い上げでございます。これはぜひ実現しなければならない。あの戦時中を思い出してみましょう。戦後の農民の受けた苦悩、被害というものを思い出してみましょう。生産した米を農民に使わせないで、強権供出をさせた。牢屋にたたき込んだり、アメリカ軍に引っぱらせたり、そうして農民を苦しめて強権供出させたのがいまの食管制度。今度は要らないからといってこれを買い上げの対象からはずす。同じ法律でこういうふうに変えていくところに根本的な問題があります。政府の買い上げがなかったら、農民はお米をどこへ売ればいいのか、ここいらもはっきりしていない。したがって、どんなことがあっても米の全量は買い上げなければならない。これが一つ。  具体的に事態を明らかにしてみましょう。北海道では、農家が売り渡しを申し込んだ米の生産量と、政府が一次の買い上げできめている買い上げ数量の間に十万トンの差が出ております。この十万トンの米を北海道の人はどうすればいいのか。これはぜひ政府責任で買い上げなければならない。これが第二の問題。  第三点は、北海道の檜山支庁の今金という町が取りまとめて、農家政府の買い上げの予約を申し込んだ数量が十三万一千六百七十三俵、政府の第一次買い入れ割り当て数量が十一万六千三百俵、この余りをどうするのかという問題です。この具体的な問題に答えていただきたい。  第四点は、その町の中里という部落の岡本健二さんが、去年は実質百俵供出、去年は一・五ヘクタール作付、ことしは五ヘクタール作付した。去年は実質上百俵買い上げている。ことしの割り当てが何と七十四俵。この農家をどうするのか。  この四点について具体的に答えていただきます。
  44. 杉山克己

    ○杉山説明員 政府が必要量だけを確保すればいいという言い方は極端でございますが、私ども、若干の余裕をもって必要量を確保したい、かつて見たような大幅な過剰ということは、これは米生産そのものにとっても問題がある、マイナスである、という考え方をとっております。したがいまして、限度数量を割り当てて、稲作転換とともにその適正な生産確保をはかっていくということを念願としておるわけでございます。  それから、具体的な例をいま言われたわけでございますが、北海道全体の話と、それから檜山町の話と、それから中里の岡本何がしといわれる方の個人の話と、三段階に分けての話でございますが、北海道の話につきましては、私どもも、従来割り当ての過程におきましていろいろ話を承って、十分承知いたしております。ただ、北海道は、昨年におきましては割り当て量の十四万トン分を返納した。つまり、ワクは、限度数量としてはよけいとったけれども、結果的には、それだけ政府販売あるいは自主流通の実績が満たされなかったということがございます。それらのことも前提にいたしまして、本年稲作転換が予定どおり進められるならば、現在割り当ててある数量の中で処理し得るものと考えておるわけでございます。ただ、北海道の場合は、ほかの都府県と違いまして、収量が非常に不安定でございます。平年収量の見方をどうするかということは常に問題になります。これを非常に大きく見れば、確かに限度数量では不足して、余り米が生ずるかもしれないということも出てまいります。しかし、平年収量をそれほど多く見ないということならば、余り米が出るどころか、むしろ不足しかねないという事態も出てまいると思います。  その辺は、要はことしの作況にかかってまいる問題ではないかと思いますが、しかし、現在の段階でことしの作況を云々するのはまだ早かろうかとは存じます。しかし、いずれにいたしましても、日本全体といたしましては八百六十万トンの限度数量の割り当てを行なっております。この各県別の配分の中におきましては、それぞれの地域の作況等によりまして、あるところでは多く、あるところでは少なくというようなことで、若干のでこぼこは出てまいる。これを調整する必要はあろうかと思います。出来秋には全体の県間調整をやって、県間のでこぼこをならすということになりますが、その場合、先生がおっしゃられるように、北海道においては作況の点についてどう見るかという問題が当初からあったわけでございますから、県間調整の際十分配慮するということを考えておるわけでございます。  それから、ある特定の町村、あるいは特定の個人に対する配分につきましては、これは道庁なりあるいはその下の市町村長におろしてある話でございまして、私ども、個別の事例はいま初めて承るようなわけでございますが、やはり、いま申し上げましたと同じような基本的な考え方に立って、道庁なり市町村なりが下へそれぞれ配分しているものと思います。したがいまして、日本国全体としての県間調整と同様に、道庁内での調整、あるいは市町村内での調整ということが出てまいろうかと思います。最終的な調整を見るまでの間は、町村あるいは個人間に若干のそういう個別の問題があり得るということは考えられるところでございます。
  45. 津川武一

    ○津川委員 内地においては買い上げ制限はしないというふうにいまの答弁をとっていいか。これが一つ。  二つは、北海道においては、実際がどうあろうが、皆さんの側がどうあろうが、つくっている農民は、作付が終わったんですが、岡本健二さんは七十四俵より買い上げられないという通告を受けている。したがって、毎日そのことを考えて眠れないでいる。この今金町もそうなんです。町はどうしていいかわからないのです。実質上、北海道の人がつくったものを実際に買い上げられるというなら、これは文句はありませんが、いまの食糧庁答弁は、何かへ理屈をつけて、買い上げを押えているのです。その実態がどうなのか。私の聞きたいのはその実態なんです。特に、この岡本さんという人の話だと、生産調整に協力して、今度また生産調整の期限が切れたから単純休耕だ。この人たちの買い上げが少ないんですよ。生産調整に非協力だとぼくは言わないけれども、いままで生産調整皆さんが進めたにもかかわらず、全量やっておるところの割り当てが多い。このところが具体的にいま問題になっているわけなんです。したがって、この今金町と岡本君のことは、具体的にあとで検討してどうするということと、それから、北海道の実例は、実際にいけるというなら、これは話はよろしい。内地において買い入れ制限しないで、全量買い上げるためにやるというならよろしい。この点再度答弁お願いします。
  46. 杉山克己

    ○杉山説明員 限度数量を割り当てて、その範囲内でもって政府売却なり自主流通をしてもらうという仕組みで進めてまいっております。その関係からして、いまその数量を無視して無制限に買い入れるというようなことを考えているわけではございません。ただ、見通しからしますと、私とも、ことしの生産調整が予定どおり進められますならば、私どもの割り当てた数量でもって大体支障なく流通が行なわれるというふうに見ておるわけでございます。  ただ、おっしゃられるように、作況いかんによってかなりいろいろ地域間の問題は生ずると思います。全国的にどうかということになりますと、何も、北海道だから、あるいは内地だから、都道府県だからということでもって差をつけているわけではございません。昨年もそうでございましたが、一時期は余り米の問題がたいへん心配されたわけでございます。結果的には、全体としての余り米もそれほど大きな量にはならなかったということと、県間調整で余っている分のワクを足りない県のほうへ回す——昨年の場合は、先ほども申し上げましたように、北海道が大幅にあきワクが生じたので、これをむしろ都道府県のほうに回すということで、全国的な調整をやったわけでございます。ことしも出来秋になれば当然そういうことをやるわけでございます。それが、同じことが町村間で、さらには町村の中における個人間で行なわれるということになります。  私ども、いま申し上げましたような国の行政をやっているわけでございますから、全国的な観点から調整ができると思っておりますが、個別の問題といたしましては、北海道庁の中において、また、市町村の中においてそれぞれ調整の手続がとられ、処理し得るものと考えております。いまの段階一つ一つの個別現象をつかまえて、余り米が出るじゃないか、それをどうするかということになりましても、それはまだ判断を下すには早いのではないかというように思われます。とにかく、そういう調整を行なってからだということで考えております。
  47. 津川武一

    ○津川委員 国の実態は私も知っていますよ。  そこで、いまのあなたの答弁は、作況のいかんによってはたいへんなんですよ。農民がつけたからには、一粒でも多くつくるために手入れするのですよ。冷害が来れば、これに水を増してでも、何とかしてやろうとしているのですよ。それに対して、あなたは、作況が多くなれば買い入れされないのだという答弁なんですよ。私はあげ足とるつもりじゃないのですよ。したがって、渡辺さん、いま作付している農民に、心配ないからうんとつくれという激励のことばが出れば、ぼくの質問これで打ち切りますが、どうですか。
  48. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 私のほうは標準の平年作で計算をしているわけですが、ところが、非常に上天候で、えらい豊作になった、そうすると割り当てよりもうんと出たじゃないか——これは農民のせいじゃありませんからね。こういうものはちゃんと政府において適切な処置をしますよ。  それから、正直者が、協力した人だけがばかを見るようなことはさせません。それは中でプールもできますし、いろいろできますからね。だから、私は、不正直者のことまでは考えませんよ。正直で、いままで協力してきた人が、協力したためにかえって非常に不利になっていじめられるということは政治としてさせない、こういうことです。
  49. 津川武一

    ○津川委員 そういう点で、私も、全量買い上げがなるものというふうに答弁を受け取って、次に質問を進めていきます。  そこで、来年の農民生産費を補償するという問題ですが、今度の皆さん諮問のこの原則、基準を見たが、平均生産費をとっている。これはやっぱり限界生産費でなければ問題がかなわない。農協計算でも、いま平均生産費でとるか、限界生産費でとるかで、これだけで二千三百円違うのですよ。そこで、渡辺さんがこう言っているんだ。農家戸数の七六%、数量で九〇%だと言っている。それであなたは原価計算でやらないと言っている。農民の求めているのは、国民のいま求めているのは原価計算なんだよ。肥料でも、農薬でも、砂糖でも、物価が上がっている電灯料金でもそうなんだ。これに対してあなたたちは、二五・五%アップの一万二千九百二十七円と先にきめてしまっている。これを逆算するからいろいろなへ理屈が出てくるのだ。原価計算で正直に計算していけば農民はさっぱりする。あなたたちは物賃なんて細工するから農民がわからなくなっちゃう。はっきりした農政をやるためにもう一度原価計算でやることが必要だと思うのだ。物賃なんという小細工をするから国民がごまかされるのだ。これは農民をごまかすための手段にあるのだ。したがって、原価計算でやっていくと、いまのこれでいくと、平均生産費のところは四〇%のものより補償していない。六〇%の人は食べられなくなる。特に、あなたの言う七六%の農家というのは耕作反別の少ない人、この人たちが再三その六〇%以下の——二四%、二五%の人では規模が少ない。この規模の少ない人たちにペイしない米価で買い上げるということになる。ここのところに私は重大な国の政治を見るわけだ。私たちの言うように、善意をもって日本の国民の主食である米を生産するこの二五%以下の農民にもペイするような形でやらなければならない。この点が第一の政治問題なんだ。したがって、もう一回この点を考え直してもらわなければならない。原価計算でやるべきであるということと、かりに一歩を譲って、あなたたちの物賃の調整したものでやっても、二四%の農民を、しかも、資力の乏しい、土地の少ないこの農民を再びまたあなたたちは切るという方針が今度の試算なんだ。この点はいかがですか。
  50. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 津川さんの論理で言うと、ほかの非常に低生産の人まで全部救えるようにしろ、と、わかりやすく言えばそういうことですね。極端な話が、ほかの人、まわりの人はみんな八俵から十俵とっているのだけれども、ともかく五俵か四俵しかとれない人まで全部救える米価にしなさい、と、極端に言えばそういうことです。現在、とにかく米過剰というふうな状態で、千数百億円もお金を出して生産調整をやっていただいておるということですから、そういうふうな最低の非能率的なところまで全部救えるようにしろということは、これは言うべくしてなかなかできないということが一つ。  それから、もう一つは原価計算でやれと言うけれども、これは実際の問題としては薬価基準みたいなもので、薬価基準というものがきめてあるでしょう。だけれども、薬価基準よりも実際にはお医者さんが安い薬を使っているということも事実なんですよ。ここで、たとえば原価計算でやろうとすれば、それは物財費や労賃というようなものも、ともかく地方労賃ではいけませんと皆さんが言っているわけです。地方地方の北海道なりあるいは東北で払って、日雇い賃金の実際に支払う賃金ではだめです、東京、大阪のような大都会の賃金を持ってきてくださいということは、すでにここに一つ擬制賃金を取り入れているわけです。実際に支払った賃金じゃだめだというのだから、都市との均衡をとった賃金として、実際はもう少し高い賃金にしろ、均衡をとらせるのだということをみんな言っているわけですから、これも一つ擬制的な話なんです。それから労働時間数におきましても、先ほど言ったように、ことしはともかく平均よりは両方でやれば九十二時間、間接と直接で九十二時間ぐないで済むのじゃないか。にもかかわらず。それは間接、直接平均をしてもっと高いなににしましょう、ことしの実際の労働時間数よりもずっと多い二年ぐらい前の労働時間をとりましょうと言っておるわけですから、さっき私が言ったように、たとえば一番多い直接の家族労働時間というものは、この試算では九十・八時間になっております。しかし、ことしは、総計が出ればわかるけれども、おれらく七十八時間ぐらいでできるかもしれません。去年八十三時間でできているのですから、ことしはそれよりも少なくなるでしょう。だけれども、そういう少なくなった時間で計算をし直すのでなくて、一応過去の実績のともかく三カ年というものを平均をとりますから、おととしの時間でことしの米価計算しましょう。でっかい時間のほうがいいのですから、掛け算するのだから。だから、そういうようなやり方でやっておりますから、全部これは実費計算にするのだということになれば、方式全部を変えなさいという話になってきてしまうので、だから、いますぐ方式全部を変えるということは、必ずしも農家にプラスになって出るかどうかは私は疑問に思います。むしろ、米価はこの方式のほうが高く出ます。実際の実費計算のやり方というものは私は必ずしも高く出ると思いません。
  51. 津川武一

    ○津川委員 生産費所得補償方式をとってあなたたちが勘定する。このぼくらのほうに示してきた要綱というのは、そこで細工をしているのですよ。あなたはいま薬価基準のことを言ったけれども、渡辺政務次官、それは古い話です。現状をもう少し認識してほしいの。私は直接その買っている人なの。(渡辺説明員「安く買っているのでしょう」と呼ぶ)薬価基準よりも薬屋のほうはみんな高くなっちゃっている。そんなことはないと言ったって、あなたは知らないんだよ。そうして薬価基準の原価は公表されていないのですよ。いいですか。いま農民が求めているのは、はっきりした政治なの。農民が原価計算してみると、今度のことであなたたちが平均生産費でやって、物賃を細工する、あなたがいま有利だと言っているものに対して、農民の勘定はこれで二千円から二千三百円上がると言っているのですよ。あなたは農民が有利のためにその物賃細工したと言う。細工は要らないのだよ。そこのところをはっきりと限界生産費にとれと、ここのところ一つ。  第二番目は二四%の農民。あなたは惰農みたいなことを言っているけれども、一生懸命ですよ。この一生懸命な農民の二四%が生産できない、ペイできないような生産者米価をしいるのかと言っているのです。この人たちに何と答えるのか。あなたたちの勘定した、あなたの答弁によると、二四%の農家がペイしないのだ。現実にあなたの答弁でそれは明らかになっておる。この人たちに米をつくるのをやめろと言うのか。あなたは、それは五俵だとか、惰農だとか、いろいろなことを言ったが、そうじゃないのだ。(渡辺説明員「惰農だとは言わない」と呼ぶ)現実にこの二四%の農民生産をどうするかとぼくは聞いている。あなたの答弁でやるとつくれなくなる。さあ、この農民をどうしてくれる。もう一度答弁してください。
  52. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 農業も、これは一つの産業ですから、政府が標準的な米価を出すのに、一番成績の悪い農家を標準にして米価計算をしてくれと言っても、それは無理なんですよ。それは無理なんです。ですから、それはあなたのおっしゃるように、突き詰めて言えば、じゃ、二四%の人は政府のきめただけの報酬にならなかったじゃないか、それよりも低い報酬になるじゃないかということは結果的にあると私は思うのですよ。結果的にはあると思いますけれども、米をつくったほうが有利なのか、それとも野菜をつくったほうが有利なのか、あるいはともかく小作に出して別につとめたほうが有利なのかということは、これはやはり個々の農家の判断の問題ですからね。ともかく、同じ条件のもとで、片一方は十俵とる農家もあれば、七俵しかとらない農家も実際にあるのです。あるいは五俵ぐらいの人もあるかもしれない。そのときに、五俵しかとれない人を基準にして全部の米価を組み立てなさいということになれば、十俵とるとか十二俵とる人はえらい高米価になってしまうわけですね。だから、われわれは、五俵しかとれない非常に生産性の低い人を米価の基準にはできません、と、こういうことを言っているわけですよ。ですから、実際は、これは例が適切かどうかは別としても、十俵とる人と五俵とる人が同じ条件のもとにあったとすれば、五俵とる人は、おそらくほんとうに一俵分にもその賃金が当たらないかもしれない。それなら、十俵とる人につくってもらって、自分はともかく二俵なら二俵もらったほうが得かもしれない。しかし、そういうふうなことは個々の農家の判断でおやりになる以外にはありません、と、こういうことをわれわれは言っているわけです。  規模拡大というようなことをおっしゃっても、実際に五俵か六俵しかとれないというような状態で、十俵以上もとる人と同じように機械も買えば何も入れればというようなことをやったのでは、それはおそらく経費倒れになってしまって、赤字ですよ。ですから、そういう場合にはその人がどういうふうなことをとることが経営として一番プラスであるかということは、それは本人に考えてもらう以外にはない。やはり、政府としては、標準の農家というものを中心に米価というものはきめる。これはどこかを基準にしなければならないのですからね。ずっと低い生産性の、五、六俵しかとれない低いところを中心にして、その人がりっぱにやっていけるような米価にしろということであれば、それはばっと高い高米価になりますよ。だけれども、それは政府としてはとれません。こういうことを言っているわけです。
  53. 津川武一

    ○津川委員 くどいようだけれども、政務次官、あなたの発言を聞いているとぼくもさびしくなった。共産党に入ってよかったと思う。というのは、二四%の農民にペイしない米の生産。ほかの農業の中で、ほかの産業の中で、国家がこれほど介入している産業というのは米以外にはそんなにはない。全量買い上げ、そして売るときには価格を、そういう点で国が全力を尽くしてやるべき稲作というものに善意のある農民が参加できないような状態をつくっておいて、あと、参加できなかったならば野菜をやったらいいだろうと言う。さあ、これでやれるかということ。私たち、米並みの労働生産費なり米並みの所得が得られるものが、野菜でもちゃんと政府で稲作みたいに補償されてあれば文句は言わないよ。あなたのことばを、ほんとうに二四%の人は、政府がほしくないから稲作をやらないでくださいというふうに渡辺政務次官が政府を代表して答弁したと解釈しておってよろしゅうございますか。それなら私はあとは続けません。
  54. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 私はそういうふうな極端なことを言っているのじゃないのですよ。たとえば、五、六俵しかとれない人があった場合において、同じ条件で十俵とっている人があるということになれば、五、六俵しかとれない人が、稲作経営を自分だけで個人で機械設備を持ってやっても、それは採算がとれませんよ、だから、そういうような人は集団をして、ともかく農協に委託経営をするとか、あるいはまた協業化をして人手をうんと減らして、しかもじょうずな人の手をかりて十俵とれるようにするとか、そういうような方法を講ずれば収入はふえます、と、こういうことを言っているのであって、五俵しかとれないのだから、それはいままでどおりのやり方で、五俵で生産性が低くて掛かり負けがして赤字なんだけれども、それを基礎にして全部の米価をきめてくれと言われても、それはできませんということを言っているのですよ。だから、私は、二四%の農家はともかく稲作をやめてほかへいってしまえなんて、そんなことを言っているわけじゃない。やり方を変えることのくふうをすることが先決問題ですということを言っているわけです。
  55. 津川武一

    ○津川委員 ほかのこともやろうと思っていたけれども、ぼくも大事なところにひっかかっちゃった。  そうすると、いま現に二四%の人は米をつけていますよ。たんぼにはえていますよ。水がかかっていますよ。除草剤をまいていますよ。その人たちに、おまえらはことしはペイしない値段政府に売りなさいというふうに渡辺農林政務次官政府を代表して申し上げました、と、こういうふうに私は解釈して、次に進んでいきます。  労賃の問題で、四百九十九人、私たちは、これは都市並みの労働者の賃金を保障していけと言っているわけ。企業が大きくなっているの。いつまでも四百九十九人にとると、先ほど前の委員質問しているとおり、これは弱小企業だわ。企業がだんだん大きくなっていっている。こいつを規模を広げていくならいいけれども、後退してきて四百九十九人という、ここに政府が二五・五%、一万二千九百二十七円をきめて、そいつに合わした計算だと、こういうふうに思うわけ。この点の質問一つ。  時間がそんなになくなったから、生産費のことで、数量のことでもう一回聞くけれども、あなたは九〇%の数量と言った。今度あなたたちの出した書類では、買い上げの数量は九七%ですよ。こういう点でもたくさんの矛盾が出てくるわけ。この労賃の問題、これが一つ。  もう一つには、生産費所得補償方式になっていく。先ほどの話だと、賃金が上がるのは六月からだ。ことしの六月は現実に上がる。その間農民がまた四十九年産の米を生産しなければならない。肥料が上がる。こういう点でどうするかという問題。現在の方式でいいと言って逃げるんじゃ済まないんだ。この現実に合ったことを具体的にやるのが国政だ。この点で、いまこの方式でいくが、この方式できめた以後——あすかあさってきめるでしょう。きめた以後にそういうものが上がったときに、これにスライドするというならよろしい。いまの方式でできないからとさっきあなたは答弁しているんだ。現実はここなんです。このスライドをする必要がある。特に、労賃、肥料がこうなっていくから、六月から上がりますよ。ぽんと上がっていくのは、いつでも大きく動くのは六月だ。いまは五月のやつで、あなたは四月から五月でやったからいい、これは一つの前進だと言うが、だが、これは要求に合わない。現実に合わない。この二点を答弁していただきます。
  56. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 最初から何回も私が言っているんですが、米価というものはどこかの時点できめなければならないわけですね。それは賃金物価があるいは七月、八月に幾らか上がるかもしらぬが、そのかわり、それじゃ時間数のほうは、下がったら下がったで計算し直していいんですか、物価賃金は上がったら、それは見ましょう、そのかわり時間数は、ともかく減ってきたら減った時間で計算し直していいですかという話になってしまいますよ。時間数が下がって、それでもなおかつ物価賃金が上がって、それを相殺しても、なおかつ原生産費がうんとかかるというようなときには、それは考えなければならぬ。しかしながら、そういうことは考えていない。ともかく十時間以上、時間数に幅を持たしてあるわけですよ。いま言ったように、おととしの時間というものをとって——平均時間として、全国的におととしかかった時間はことしかかるであろうというふうな想定のもとにやっているのですから、賃金物価が上がったら、その部分だけは直します、時間数が下がっても、ことしの時間には関係なく、時間数はおととしの時間でやりなさいということでは、方式として一貫いたしませんということを言っているわけなんですよ。だけれども、下がった時間数で、賃金物価がうんと上がって、掛け算してみたら、それは実際問題として政府が予定した一応のこれよりもえらい開きがあるという問題がかりに起きたということになれば、それはその時点で何らか考えなければならぬだろうということを私らは言っておるのであって、時間数のほうを無視しちゃって、ただ賃金だけ上がったから、物価だけ上がったからと言われても困ります、と、こういうことを言っているわけです。
  57. 津川武一

    ○津川委員 約束の時間が四十六分までだから、きっちり終わります。  そこで、四百九十九人というのは、いま話したように、企業が大きくなっているんだよ。これに答えるということが一つ。現実に物価が上がっている。これにスライドせいということが二つ。いかがでございますか。
  58. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 これは考え方の問題で、あなたのような議論もあるのです。しかし、中小企業というのは、三百人未満をいま法律で中小企業と言っているわけですね。ですから、農家賃金を中小企業の製造業よりももっと高くしろということだと、所得均衡というものはどこと一体所得均衡するのかという問題が一つあるのです。御承知のとおり、去年の試算米価というのは、要するに、主として米生産地の製造業の勤労者の賃金と大体バランスをとらしたわけです。したがって、秋田あるいは仙台、あるいは旭川、あるいは新潟というような米生産地のそういうふうな都市がありますから、そういうところで企業が当然あるわけですから、そういうところの企業に大体似たような賃金になっておりました——そういうふうな米生産地の企業を飛び越えて、新潟県の農家賃金を、新潟市の賃金をともかく飛び越えて、東京の賃金に直接近づけるのだということがいいのか。ともかくその中間で、東京の賃金に近づけるけれども東京の一流企業の賃金に近づけるのではなくて、まあ東京、大阪の賃金ではあるが、五百人未満、中小企業と規定されているものよりはちょっと上、しかし大企業まではいかないという程度の賃金にするのか。これは政治論議に実はなってくるわけです。  そこで、農林省の考えとしては、ともかく、いままだ米は過剰基調にあるし、生産調整もやっておるから、新潟、秋田の賃金を飛び越えて、しかも、東京、大阪という大都市の大企業にウエートをうんと置いたところの賃金に直接均衡させるということは無理ではないかという考えで五百人規模というものをつくっておるのです。これは政治論議としていろいろあるところなんです。だけれども農林省はそういう見解試算をいたしております。こういうことです。
  59. 津川武一

    ○津川委員 スライドは……。
  60. 渡辺美智雄

    渡辺説明員 だから、物価賃金にスライドするためには、この方式を変えなければだめですという話をしているのですよ。ことしの実際かかる時間というものは、間接、直接、両方入れて九十時間ぐらいでできるだろう。にもかかわらず、これをともかくもっと高い平均というものをとっておるわけですから——おそらく九十時間なんかかからないのじゃないですかな。七十八時間、八十四、五時間でできるだろうと私は思うのですよ。それを九十五時間ぐらいの、おととしあたりの時間数を持ってきているのだから、だから、そこにゆるみも確かにあります。ゆるみもあるのですから、多少の値上がりなんかはそこで吸収できますよ、それを全部ばらしちゃって実態調査でやるのですということになれば、この方式そのものを根本的に全部改めなければなりません。だから、単純に、物価がかりに三%上がった、賃金が、現在の時点できめた男が五千五百九十円か、それから男女込みで四千五百六十四円というので、いま一日の賃金を一応想定してやっておるわけですから、それがこまかく、五、六%上がったということでばらして計算することは全然考えておりません、と、こういうことなんです。
  61. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、農民要求している米価をいかにして断わるかということを縣命に渡辺さんから説明を聞きましたし、政府の低米価政策がどんなであったかということがよくわかりましたので、私はこれで質問を終わります。
  62. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、午後一時三十分再開することにし、暫時休憩いたします。    午後零時五十分休憩      ————◇—————    午後二時二十四分開議
  63. 仮谷忠男

    仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、農林大臣に対しまして、昭和四十九年産米価に関する質問を行ないます。  農林大臣におかれましては、七月の十五日に米価審議会を開催して、生産者米価並びに生産者米価に関する諮問を行なわれておるわけであります。生産者米価については当然おそきに失する時期でございますが、今回の米審において消費者米価に対する諮問を行なわれたということについては、当委員会立場から見ましても、あるいは食糧管理法の厳正なる運用の点から見ても、両米価同時諮問ということについては、私どもとしては絶対に了承することができないわけであります。したがって、この際、まず、両米価同時諮問をされました趣旨について農林大臣から明らかにしてもらいたいと思います。
  65. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 諮問にあたりまして、私どもは、まず第一に、いまお話しのございましたように、四十九年産米の米価について諮問をし、二番目には、前々からもう御存じのように、ただいままでは、政府は、九月三十日までは米価を据え置くということの方針にいたしまして、十月一日からはそれを引き上げるという方針である。そこへ新しく四十九年産米が入ってくる。そういうことのために、われわれといたしましては、食管会計の健全性、これもやはり政治全体としては尊重し、できるだけ健全な運営をしなければならない。しかし、そういう食管会計全体を含めた国全体の財政の立場から見ましても大事な問題でありますので、米価審議会が開かれる機会に、そういうようなことについて広い意味で御意見が承れるならばしあわせである。私のほうは消費者米価を幾らにいたしたいというふうな試算米価を出しているわけではありませんので、生産者米価諮問とはおのずから型が違うわけでございますことは御理解いただけることだと思います。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣が諮問された諮問文を見ましても、第一には、「昭和四十九年産米穀の政府買入価格について、米穀の需給関係を勘案するとともに、生産費及び所得を考慮して定めることにつき、米価審議会意見を求める。」となっており、第二としては、「なお、食糧管理の運営の実情にかんがみ、今後の米穀の政府売渡価格の改定について留意すべき事項につき、米価審議会意見を求める。」となっている。ですから、これは、生産者米価並びに消費者米価について同時諮問であるということには間違いがないわけです。第一の生産者米価については試算米価も付せられておるということを言われましても、諮問の本文の趣旨から見ると、これは明らかに両米価同時諮問ということになっておるわけであります。しかも、昨年、政府米価審議会を開きまして、その際消費者米価に関する諮問を行なっておる。同時に、麦価についての、政府手持ちの麦の払い下げに関する諮問も行なっておるわけでありまして、その答申を受けて、政府におかれましては、今年度の四月から現在の消費者米価に対して九・八%引き上げるということをきめておったわけでありますが、国会におけるきびしい追及等もありまして、四月実施の予定を、十月一日から消費者米価については九・八%引き上げるということが、これはもう前回の国会の中においても、今回の参議院選挙の中においても明らかにされておるわけであります。これに関連して、この四十九年産米の決定とあわせて、消費者米価についても、その値上げに準じた消費者米価引き上げを行なうというようなことは全然表明していないわけですね。当委員会において、五月二十三日に四十九年産米価に対する決議を行なう前に、相当掘り下げた米価に関する審議をしておるわけでありますが、その場合においても、生産者米価決定に関連して直ちに消費者米価を上げるというようなことは政府からは全然一言も表明されておらぬわけであります。今回突如として、しかも、食管制度の厳正なる運用から見ても疑義のある両米価同時諮問をするということについては、われわれとしては絶対認めるわけにはいかない点であります。  過去の例といたしましては、長谷川四郎農林大臣時代に、米価審議会を開いて諮問をいたしました、その諮問文の内容について問題があることを当委員会で発見して、そうして直ちに長谷川農林大臣諮問の内容を変更したというような前例もあるわけでございますからして、こうした問題のある両米価同時諮問、特に、消費者米価について、ことさら大幅に値上げをする根拠をつくるような諮問についてはこの際厳に反省をして、農林大臣としても、米審からこの諮問については取り下げるというような措置を講ずるべきであると思いますが、その点はいかがですか。
  67. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私の考えております考え方を念頭に置いていまのお話しを承っておりますと、だいぶ誤解があるように感じます。私は、政府が改定をしたいと考えておるからいかがであるかと言うつもりはないのでありまして、いま申し上げましたように、全体の財政の面から見まして、食管制度というものの根幹を維持してまいるためには、やはり、その中核になっております食管会計というものが健全でなければならない。これは芳賀さん御存じのように、各方面から前々からいろいろな意見が出ておることでございます。そこで、私どもは、あくまでも農政の中核となっております米作につきましての食管会計というものは健全な運営が必要であるということを申しておる。これはもう申すまでもないことであります。そういう立場から申しますというと、いたずらに末端逆ざやがふえてまいって、世の多くの論議を招くというふうなことは好ましくないことである。そこで、食管会計全体について、専門家の集まりであり、また、各方面の代表が出ておられる米審においてその御意見を承って、食管の運営についての参考にしたい、こういうことでお話を伺っておる、こういうことであります。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 われわれとしては、両米価同時諮問が行なわれたということを取り上げておるわけであります。社会党としても、消費者米価について、将来にわたって絶対に改定してはならぬということは言っていないわけです。ただ、政府経済政策、物価政策の誤りによって、経済状態というものが狂乱物価時代が続いておるわけです。そういう中において次々に公共料金を上げる、それと同等の比重を持つ消費者米価を上げるということが、今後また日本の国民経済、特に国民生活の上にどういうような重圧と悪影響を与えるかということを憂慮いたしまして、社会党としては、公共料金等については両三年ストップすべきであるということを明らかにしておるわけでありまして、消費者米価について諮問をしてはならぬということは言てっいないわけです。  政府の予定としては、十月一日から現行の消費者米価を九・八%上げるということを予定しておるわけですね。ですから、それ以前には断じて消費者米価の改定ということはあり得ないわけです。だから、今年産米の価格決定に伴って、その後の消費者米価をどうするかというようなことについて農林大臣米価審議会諮問をされるとしても、今回の生産者米価をきめる大事な時期に、消費者米価を連動させて諮問するというところに問題があるわけです。だから、少なくとも十月から政府としては消費者米価引き上げを強行するという考えが変わらぬとすれば、別な機会に、その時点で、今後の消費者米価のあり方等については、農林大臣として必要があれば米価審議会諮問することはできると思うわけです。いまわれわれが指摘しておるのは、何ゆえに今回両米価同時諮問をしなければならなかったかということを明らかにしてもらいたいと言っておるわけです。だから、この点については率直に反省をして、消費者米価に関する諮問というものは取り下げるべきである。おそらく、米価審議会においても、消費者米価に対する諮問の取り扱いについては私の申したような結末になると考えるわけでありますが、その前に、農林大臣としては、謙虚に行政の責任者としての立場で善処をされるべきでないかというふうに指摘をしておるわけです。
  69. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 生産者米価消費者米価が常に機械的に連動しているものではないと私も思います。けれども食管会計の中で重要な関連性を持っていることは否定のできない事実でございます。政府は、食管会計を管理いたしておりますたてまえ上、その食管会計の負担が非常に多くなる、あるいは非常な変動を生ずるというようなことにつきましては、それぞれ対策を講じなければなりません。米価審議会の開かれます機会に、そういうことについて、広く食糧管理全体についての皆さん方の御意見を承るということはたいへん大事なことである。こういうことでいたしたのでありまして、私どもがもう一度さらに引き上げ決定いたしておるという次第ではありませんし、したがって、同時に諮問をした、いわゆる同時諮問というふうなつもりではございませんで、こういう機会に食管の運営全体についての健全性等について御意見を承ることができればありがたいことである、こういうふうな申し上げておるわけであります。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの点については、私の見解というものを明らかにして、あくまでも農林大臣消費者米価諮問取り消しの善処を求めるものであります。  次にお尋ねしたいのは、当委員会において、五月二十三日に、「昭和四十九年産米価決定等に関する件」という全会一致の決議を行なっておるわけであります。この次議に対しましては、農林大臣とされましては、政府を代表して、この決議の趣旨を尊重して努力するということを明らかにされておるわけでございますが、今回の米価審議会諮問されましたいわゆる試算米価算定の内容等を詳細に検討いたしましても、当委員会の二十三日の決議の趣旨に全く反する試算米価ということが言い得るわけであります。したがって、そうなりますと、農林大臣が、政府が、はたして農林水産委員会の決議を尊重してことしの試算米価を策定されたかどうかということに対して大きな疑問を持つわけでございますので、この点について農林大臣から率直な答弁を願います。
  71. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お話しの決議についてでありますが、十分この御意思を体して今度の試算米価を策定いたした、こういうつもりでおります。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 今回の試算米価算定内容を見ると、昨年の算定方式と全く同様であります。その中から、わずかに、当委員会においても議論をいたしました予約概算金に対する利子相当分を、従来は試算米価から控除して、結局実質的には概算金から金利を徴収したという形で算定が行なわれておったわけでありますが、今回はこれが控除をしないということになった点と、もう一つの点は、自家労働費の算定にあたって、従来は、価格決定年の前の年の五月から決定年の月までの一年間の各月の製造業の五人以上規模の賃金平均賃金をもって自家労賃というものを算定してきたわけでありますが、この点についても昨年の五月から今年の五月まで、つまり十三カ月ということになるわけでありますが、この一年一カ月の中で五月の春闘が行なわれて、労働者の賃金が上昇した分がわずかに反映しておるという程度にこれは終わっているわけです。これは金額的に見ればまことにささたるものであるし、当委員会議論は、四十九年の米を生産するために生産者生産活動を開始した時点から収穫期に至るまでの適正な労働賃金というものを四十九年産米価の中に適正に反映すべきであるということを委員会として明らかにしておるわけであります。この点に対しても根本的な改善が行なわれておらない。あとは全部昨年同様の算定方式ということになっておるわけでありますから、全体から見れば、昨年同様の抑制米価算定の結果であるということがはっきり言えるわけであります。そうなると、当委員会の決議の趣旨というものがじゅうりんされたということになるわけでありますので、この点について、食糧事情が危機の方向に向かっておる中において、どうして依然として抑制米価をきめていかなければならぬかという点については具体的に明快にしておいてもらいたいと思います。
  73. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 当委員会でしばしば、米価は田植え前にきめるべきだという御意見もありました。私もしばしば申し上げましたように、田植え前ということになりますと、米審に出すべき算定の要素が非常にとりにくい。しかも、きまった責任のある数字の出てこない時期でありますので、それはかえって米の生産者に対して不親切なことになるのではないだろうか。だから、私ども考え方としては、米の価格決定する直前までの資料をなるべくとることのほうがいいのではないかということでいろいろ相談をいたしました結果、この前も当委員会で申し上げたかと思いますが、いまお話しのございました労働賃金——労働省の毎勤統計は、いまお話しのように、一年間のものを、四月末までのものを六月末ないし七月の初めに公表いたすわけで、そういうものならば政府が出しておる権威のあるものだから間違いはないけれども、一番近いものを出すことがいいではないかとせっかく私が委員会でも申し上げておったのだから、できるだけ調査をして、もう一カ月ずらして五月までのものを出すようにせよと特に命じまして、御存じのように、いままでになく五月のものを取り上げましたのは、最近物価賃金の上昇がありますので、できるだけその近間のものをとることが実情に合うことであり、米の生産者の利益にもなることであると考えまして、そのような措置を講じました。これは各方面において、よくこういうふうにやってくれたというおことばをいま聞いておるのでありますが、私どもといたしましては、できる限り最近似値のものをとって今度の試算米価の基礎にいたしたわけであります。  いまお話しのように、全体の世界の食糧事情及びわが国の状況等を総括的に判断をいたしまして、食糧対策の非常に重要なことであることは御指摘のとおり同感でございますが、そういうためにも、生産意欲を増強していただくために、私どもといたしましては、できるだけ一番近いデータを取り上げて、それを試算米価の基礎にいたした、こういう次第であります。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば労働賃金のとり方にしても、いま大臣の言われたようなことはやっていないですよ。私が十五日の委員会において要求した資料によりますと、五人から五百人未満が三段階に分かれておりますが、その中の百人以上四百九十九人規模の場合においては、四十八年五月の一時間当たり賃金が四百九十九円五十七銭、それがことしの五月の賃金は、春闘の結果でありますが、七百六円六銭ということになっておるわけで、そうしますと、一年前の昨年五月の賃金とことしの春闘後の賃金水準というものはちょうど四一%上昇しておるわけです。だから、ことしの米をつくる場合に、何も去年の五月の賃金水準というものをとる必要はないわけですね。だから、私がいつも言っておるとおり、ことしの米をつくる場合に、生産者生産活動に入った時期というのはいつかというと、それは三月ごろから準備活動はあるとしても、実際に生産活動に入るということになれば、五月を中心として、その前の四月から始まるということは言えるわけです。収穫期となればやはり十月、十一月に及ぶわけでありますから、この期間の労働賃金の動向が一体どうなるかということを的確に掌握して、それがことしの産米の自家労働費として計上されなければならぬわけですね。それがいつもこれは一年前の労働賃金を採用しておるということになるわけです。だから、大臣が言われたとおり、ほんとうにことしの五月賃金をもってことしの米価の自家労働費を計上するということであれば、この資料にもあるとおり、三十人から九十九人までは五百七十三円、百人から四百九十九人までは七百六円、五人から二十九人というのは、これは資料がないのですよ。われわれは五百人までで限定するということは言っていないわけだ。たとえば五人以上という場合においては、五人以上全規模でなければならぬことを言っておるが、かりに政府の最近の方針によりましても、今度の計上された自家労働費というのは当然一年前の労賃ということになっておるじゃないですか。ただ、五月分が十三分の一しか反映されておらぬわけですからね。その点をよく頭に入れておいてもらいたいと思います。  もう一つは、平均収量のとり方についても、昭和四十二年、四十三年までは調査農家平均収量からマイナス一シグマ、年によって違いますが、大体八十キロないし七十五キロ平均反収から控除して、それを基準にして米価の計上を行なっておる。今回は何もそれはやっておらぬですね。しかも、この調査農家平均反収というものは、四十八年は統計によって五百十一キロ、ところが、四十八年の同じ統計調査した実収高の平均収量というものは四百七十キロということが公表されておるわけだ。だから、昨年の米全体の平均収量が四百七十キロ、わずか千三百戸の調査農家平均収量が五百十一キロといたしましても、これは全く架空な根拠の上に立ったものですね。これは十アール当たり四十一キロも収量をことさら上積みにして、実際とれていないものをとれたように擬装して、そして低米価をつくるということをことしもやっているわけだ。  だから、米価決定する場合においては、現に政府が過去において実施したことのある、食管制度の精神に一番近かったと言われる昭和四十二年の算定方法というものを今年の米価にそのまま当てはめた場合においては、政府説明によりましても、六十キロ当たり一万七千六円、これが今回の米価試算のように、昨年五月から今年の五月までの賃金水準ということになれば、一万七千二百二十二円ということになるわけですよ。だから、五月二十三日の委員会決議というものは、政府がすでに実施した、実績のある四十二年の算定方式というものを基礎にして計算をして、それに現在の狂乱物価の実情、あるいは春闘後の賃金の上昇傾向というものを的確に加味した適正な米価というものを、食管法に基づいた生産費所得補償方式として少なくとも実行すべきであるということで、これは表現は抽象的になっておりますけれども、五月二十三日の当委員会における決議の趣旨というものはそうなっておるわけです。これから見ると、今回の試算米価は明らかにその趣旨に反したものでありますからして、米価審議会が本日中にどのような答申を出すといたしましても、われわれとしては、立法府である国会の立場において、農林大臣に対して、真に大幅値上げは何か、そうするための実行手段としては、少なくとも四十二年の米価算定方法を使うべきである、それを基礎にすべきであるということを強く厳重に指摘しておく次第でございます。  もう一つの問題は、当委員会においてもたびたび議論した問題でありますが、昨年、四十八年の生産者米価というのは、御承知のとおり、六十キロについて一万三百一円ということになっておるわけです。これはもう明らかに、低米価試算方式で計上したからそうなるわけでありまして、これを先ほど言いました昭和四十二年算定方式計算すれば一万三千九百八十一円ということになるわけであります。一俵について実に三千六百円、政府の行なう算定方式の相違によって、別なそろばんを使うことによってこういう大きな実損というものを生産者に与えておるわけであります。三千六百円、その中から三千円を追加払いとして支払うべきであるという生産者の切実な要望で、当委員会においてもそれを妥当として、四十八年産米については、特に食糧管理法の第三条第二項の規定に基づいた食管法施行令の第二条第二項の規定に基づいて——いまだかつてないほど経済事情というものは激変しておるわけでありますから、この食管法の本法並びに施行令を当てはめた場合においては、委員会でわれわれが強調しなくても、生産者が要望しなくても、政府が率先して昨年の低米価というものを是正して、適正な追加払いというものを積極的に支払うのは当然のことであるというふうに考えるわけであります。  決定まで数日しか残っておらぬと思いますから、ほんとうに大臣が五月二十三日の当委員会の決議を尊重してことしの適正な米価というものをきめる御意思であれば、その二点について明快に大臣のお考えを述べてもらいたいと思います。
  75. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御議論を申し上げる意思は毛頭ありませんが、いまお話しの中に一つ、二つ、私どもの感じと若干違うところがございます。  たとえば賃金のとり方につきましても、五月を計算すればというお話しがありましたが、人事院が賃金決定いたしますような場合でも、それからほかの物資等を行政介入で決定いたしますようなときの素材にも、御存じのように、すべて過去一カ年のいろいろなデータを資料としてとっておるわけでございまして、五月単月だけとりますと、これは一年平均よりあるいは非常に高くなるかもしれませんが、全体平均をしておる中にその高くなっておる五月が入ったということによって賃金ベースはかなり高くなっておるはずであります。御必要があれば事務当局にもお答えいたさせますが……。  そのようにいたしまして、元来が、生産意欲を阻害されることのないように、現在の大事な農業生産にいそしんでいただくために、われわれの立場としては、全力をあげてその方々の適正なる所得の増加を希望いたしておるわけでありますから、御決議にございましたような趣旨に沿って、私どもといたしましては、もちろん全力をあげていま申しましたような再生産を確保できるようなための努力をいたしておるわけであります。したがって、この前の委員会でも皆さま方からも御要望があり、農業団体からも御要望のありましたところの、たとえば事前売り渡し申し込みの前渡し金が、千円でありましたものを三千円に引き上げました。これについても、政府部内では、担当部局とは私ども非常な議論をいたしまして、この利子はこれから取らぬほうがいいというようなことで、今年はとにかくそういうことにいたしました。御決議にありますような趣旨と私どもは同じ考えで最善の努力をただいまいたしておる。こういうのでありますから、御了承願いたいと思います。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 追加払いについて……。
  77. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 追加払いというものはいたさない、たてまえ上そういうものはいたすべきではないということをしばしばいままでお答えをいたしましたが、形ばかりつくってもいけませんから、ざっくばらんに申し上げますならば、米審の権威ある御答申をいただきましたら、それを基礎に、政府部内におきましては、やはり、関係筋の与党の専門家の方々たちとも御相談をしなければなりません。われわれは政治の大事な農政を預かっておる者たちでありますので、そういうことにつきましてはいろいろな角度から検討をした上で、再生産の確保が望まれるような価格を捻出いたしたいということでたいへん苦慮しておるわけであります。
  78. 仮谷忠男

  79. 庄司幸助

    庄司委員 農林大臣にお伺いします。  今度の米審に対する諮問にあたって同時諮問がやられておりますが、しかし、食管法の体系から言っても、当然にこれは許されない諮問のあり方だと私は思うわけです。同時に、同時諮問について、これは不当であるというのはわが党の基本的な態度であります。もしこの委員会において生産者米価大幅引き上げの決議でもなされるなら、われわれは喜んで賛成いたしますが、この同時諮問についてはわれわれは絶対許せない。そういう点で、諮問からはずしていただきたいと思うのです。この同時諮問は、さらに消費者生産者農民を分断する、これまでの政府与党のずるがしこい作戦だったとわれわれは考えているわけです。  それから、もう一つは、同時諮問の中で試算がついていないといま農林大臣おっしゃいましたが、試算がついていないとすれば、消費者米価決定にあたっては、また米審を開いてやらなくちゃならない。これは、この間、野党四党共闘に対する中野次官やあるいは三善長官の答弁からも明らかになっている点です。そういう点から言っても、今度同時諮問をする理由はないだろう。消費者米価については、食管法のたてまえから言っても、当然公共料金に属するたぐいのものでありますから、これは国会にかけてきめるべきだというのがわれわれの考えなんです。そういう点で、この同時諮問の問題について簡潔に御答弁を願います。私の質問時間はたった十分しかありませんから。
  80. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 諮問をもうごらんいただいたと思いますが、第一の諮問の中に、「生産費及び所得を考慮して定めることにつき、」というふうに申しております。これは米の値段を定めることにつき、で、その次のやつは、「政府売渡価格の改定について留意すべき事項につき、」と、注意をいたしてものを申しておるのでありまして、先ほど芳賀さんにもお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、いまの食管の健全な運営についての御意見を承りたいということを申しているわけであります。
  81. 庄司幸助

    庄司委員 時間がありませんから、これで押し問答をやっているわけにはまいりませんが、これは当然に同時諮問はなすべきじゃない。諮問からはずしていただきたい。これはもう厳重に要望しておきます。  それから、第二番目にお伺いしたいのは、農林大臣もきのう米審の会場前で、農民の盛り上がった熱意、雰囲気をまのあたりごらんになったはずでありますが、農民要求は、一万六千七百四円以上というのは少なくともぎりぎりの要求で、これがなければ再生産ができないというぎりぎりの要求だろうと私は思うのです。その点で、農林大臣、聞いてくださいよ。再生産を保障するなどと言いながら再生産が保障されていないことは——量の面では確かにあなた方は一時は外米を輸入したり、あるいは小麦を輸入して食糧確保をはかっておられますが、しかし、農家生産意欲が停滞していることはもう間違いない。これは火を見るよりも明らかな事実なんですね。後継者が大体いません。こういう事態から見て、これはぎりぎりの要求である。ところがこれに対して、これまで減反政策やあるいは低米価政策をとり続けて、米を敵視なすってきたのは自民党政府なんです。そうやって日本農業の根幹を掘りくずしてきたわけですね。これが今度の参議院の選挙で痛烈な農民の批判を浴びたことは、与党の皆さん方や政府当局もまのあたり見ている事実だろうと私は思うのです。しかも、この食糧事情の問題では、いま非常に重大な危機に直面している。このときにあたって、相変わらず低米価政策、外国農産物依存の政策の考え方に立った二五・五%引き上げなどという論外な諮問を行なったということは全く許されない。これは、日本の農政を担当する方として資格に欠けるのじゃないか。これは農民の方も言っていらっしゃるわけです。ああいう試算に基づく諮問を出したことについて、一体どういう反省を持っておられるのか、一言だけ簡単にお願いしておきます。
  82. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 あなたのおっしゃるような外国食糧に依存しておるとか、農業を全然問題にしないとかいうふうな御意見は、そのまま承っておきます。私どもといたしましては、再生産を確保するようにつとめる、農業の健全性を育成していくために最大の努力をいたす、こういう考えであります。
  83. 庄司幸助

    庄司委員 そうすると、御反省はなすっていらっしゃらない。これはますます自民党政治に対する不信が増加するいまの御発言だろうと私は思います。  三番目にお伺いしたいのは、この試算ですね。この試算を拝見しますと、相変わらず低米価を維持するための逆算だ。これは昨年もそうだったわけですね。九・一ぐらいで諮問しておいて、あとから政治加算という茶番劇でもって一六・一に引き上げた。こういうやり方については、私は、与党の内部にも批判があることを存じております。ことしもこういうかっこうでいくならば、二五・五プラスアルファで例の政治茶番劇をやって、三〇%そこそこで政府決定されるのはもう目に見えているわけですね。こういう試算だけを出してきたから、この試算がでたらめだと言われるわけです。なぜ、そのものずばりの計算をやれないのか。それで、私は、先ほども論議になりましたが、少なくとも四十二年方式でやるべきだと思う。それに基づきますと、六月分の賃金計算に加えて、これは一万七千二百二十二円になるはずです。ですから、少なくとも政府決定は、勇断をもって、この一万七千二百二十二円、四十二年方式、これで政府決定をやられるべきだ。これは少なくとも、ですよ。二万円以上の要求もあるわけですからね。そうして農民の要望にこたえて、日本食糧を守り、日本の農業を守るべきだ。米が何といっても日本農業の大黒柱ですからね。この点について御決意のほどを聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
  84. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 決意のほどは先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、われわれは、再生産の確保を旨として、農業生産がさらに拡大されるように、全力をあげてあらゆる努力を続けてまいりたい。  今度の米価決定等についても、農業団体をはじめいろいろな方に私ども直接お目にかかって、真実のお話しをよく聞いて、承知いたしておるつもりであります。
  85. 庄司幸助

    庄司委員 もう一分ありますから、一分の範囲で伺いますけれども農林大臣は再生産を確保なさる、確保なさると言っておりますけれども、確かに、量の面での食糧は確保されていると思うのですが、農家の再生産というのは、大体、あと継ぎが農業を継ぐ意欲がない。どんどん去っている。しかも、自分たちの住むうちさえも建てられない。これは再生産にとって必要なうちですよ。からだを休め、労働力を再生産するうちさえも米の値段からは出てこないのですね。出かせぎをやって初めてうちを建てられるような状況にあるわけです。そういう再生産についてのものの考え方は間違っていると思うのですが、その点について、農林大臣、簡単に一言だけ答えてください。
  86. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御意見として承っておきます。
  87. 仮谷忠男

  88. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和四十九年度米価問題について、農林大臣質問いたします。  私は、去る七月十一日に農林省当局に種々質問してまいりましたが、大臣の出席がなかったので、特に農林大臣に対して、重要な問題について若干質問をはしょって申し上げたいと思います。  まず、最初に、先日七団体からいろいろと農林大臣に対しての要請がありまして、大臣も病気でたいへんからだがふぐあいの中を七団体の大衆行動の前に出て、いろいろとあいさつがございました。そのあいさつの内容があまりにも簡単だということで、七団体の三人の要請に対しての御返事が全然なかったということであのような紛糾が起きまして、さらに、本日は、当委員会においでる前に農林大臣は、七団体代表と四野党の代表とともに会議室においでになりまして、いろいろと釈明をされたのでありますが、その際も、昨日はあいさつだけでいいというのであいさつしたまでだ。この点で間違っていれば遺憾であったということで、一言だけで、非常に誠意のないあいさつだったということで、相当七団体も、また四野党の共闘関係も感情を害して、怒りたけっております。これについて私は重大な抗議を申したいと思うのですが、その点について大臣の見解をまず最初に承りたいのであります。
  89. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米審をやっております最中に、いまお話しのように、外に大ぜいの人がおられるので、ちょっと出てあいさつをしてくれ、しかし、まだ病院から出てきたばかりであるので、いすに腰かけてあいさつせよ、それも、皆さん御苦労さんという程度で、一分でいい、あとは渡辺政務次官が受け継いで全部の御質疑に応答する、そういうことであるから、そのとおりにせよということで出てまいりましたけれども皆さん御苦労さんだけでは済みませんので、私の気持ちをごあいさつ申し上げて引き下がった。これは四党の皆さん方が私にそういうふうにせよというお約束のとおりに実行をいたした。今日もそうであります。  きょうは、米審の中の委員説明が一応終了するまでは私も聞いておりましたが、それが済んだら、委員長の御招集によりまして、一時間の範囲で当該委員会に出てこいというお話しでございましたので出かけようといたしましたら、いまお話しの七団体の代表という人が会いたいと言うから会ってくれと言うことで、これも四党の代議士さんだちが御先導でありました。そこで、この間は行き違いでありました、ほんの一分お顔出しすればいいということであったから失礼をいたしました、まあ、一生懸命でいま米審をやっていただいておりますので、その御答申を待ってわれわれとしては適正な米価決定いたしたい、これから努力をするところですからということで、何もなしに出てまいった、こういうわけであります。
  90. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本件については、時間もございませんし、せっかく大臣がおいでになっても、からだもぐあいが悪いのでいろいろ配慮があったと思うのですが、少なくとももう少しわずかな時間をさいてでも、あのような熱のこもった、かつてない農業危機に対する団体の質問に対してお答えいただいて、誠意を出していただきたいというのがわれわれの心情でございます。今後十分注意していただくことを申し上げて、次の問題に入ります。  今回、政府米価審議会に提出した試算米価算定内容を見ますと、従前の抑制米価算定方法に基づいたものでありまして、本委員会のことしの五月二十三日の決議等から見ましても、生産農民の期待を裏切るものである。そこで、私は、端的に申しまして、昭和四十二年に実施しましたところの、いわゆる四十二年方式をぜひ採用していただきたい。そうなりますと米価は一万七千二百二十二円になる。四十八年の労働賃金等を見ましても、五月から四月を見ておられますが、今回六月−五月ということで若干反映はしておられますけれども、それにしても、従来方式から見ますれば一万七千六円になるわけです。こういったことを見ましたときに、私は、何としても、この四十二年方式によって、標準偏差の採用、全国平均賃金、すなわち製造業五人規模以上を見る、の採用を行ない、さらに付帯労働時間等の算入もあわせ検討して、労働再生産の向上、メリットの還元といったことを考えて、ぜひ四十二年方式をとっていただき、現在の二五・五%というような、農民を裏切る低米価政策を即刻変えていただきたいと思うのですが、これについての大臣の見解を簡潔に承りたいのであります。
  91. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 従来の米価算定に用いております米価は、おおむね七月に米価決定をいたします前提として、最新時点までのものをとることにいたしておりますが、いま労賃のお話しがございましたが、これは先ほど芳賀先生にもお答えをいたしておりますように、最近のものをとるように最善の努力をいたしたわけであります。  それから、また、四十二年の方式につきましても、芳賀さんからもお話しがありましたけれども、あの当時の時代は、皆さん御存じのように、たいへん逼迫いたしておりました時代でございました。その後今日のような情勢になっておりますので、やはり、いま政府が提案いたしております試算米価がきわめて妥当なところではないかと考えまして、いろいろな労賃その他のファクターについても十分研究はいたしましたが、あの政府案をまあ妥当であるということで提出をいたした次第であります。
  92. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間があとわずかしかございませんし、大臣も病気中でたいへんであるということで、はしょって三点を簡潔に伺いましてお答えをいただきたい、かように思います。  第一点は、同時諮問の問題でありますけれども、両米価同時諮問した。まことにけしからぬ。生産者米価のみを諮問すべきである、消費者米価はあらためてやるべきである、こういうふうにかねがねから私は農林省当局にも数回にわたり申し上げてまいったわけですが、大臣はこれについてどう考えてなされたのか。特に、中野事務次官に先日申し上げた際も、この同時諮問については、いわゆる生産者米価試算がくっついた場合は、これは諮問、また、もう一つには、消費者米価の、今回のようになお書きがしてありますように、試算をつけない場合はいかにも同時諮問ではないかのようなニュアンス、いろいろ論議の結果、諮問には二つあるような意見が出ましたが、その点についてとっくりと大臣の見解を伺いたい。  それから、もう一点は、昭和四十八年産の米価については、食糧管理法第三条第二項、同法施行令第二条第二項の規定に基づきまして、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保をはかることを旨として定めることになっているわけでありますが、そこで、食管法の精神に基づいて、算定方式にかかわらず、いわゆる追加払いの処置が当然できると私は思っておるわけです。政府は、生産費及び所得補償方式方式を変えねば追加払いができないようなことを政務次官等もたびたび申しておりますけれども、この点について、大臣の明快なる御見解を承りたい。  最後に、もう一点は、生産性向上の利益還元の問題でありますが、昭和四十二年から四十四年までは前三カ年平均家族労働時間といたしまして、前三カ年の初めの年の家族労働時間との差の二分の一の時間について都市均衡労賃を付しておりましたが、四十五年以降は付しておりません。当然生産性向上の利益還元は見るべきである。そうしなければ農家の意欲は起きてこない。何のために機械化をやり、今日まで生産性向上に努力してきたかということになります。そういったことから、主管大臣として、日本農民のためにこういったあたたかい対策をぜひ講じていただきたいと思います。  この三点について簡潔にお答えをいただきたいと思うのであります。
  93. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 諮問のことにつきましては、先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、人によりましては同時諮問というふうにおとりになって、そうしてまた、そういうようなことは、消費者米価が上がるんだという圧力をかけて生産者米価を押える野望があるんではないかというふうなお説をなす方もございますが、私どもは全然そういうようなことを考えておるわけではございませんので、生産者米価消費者米価というのは、さっきもお答えいたしましたように、機械的に連動しておるわけではありませんけれども、やはり、両方とも米価であり、物価であります。私ども所管をいたしております政府立場としては、生産者の安定も必要であるが、食管法にも定めてありますように、何十倍かおられる消費者家計のより安定ということも考慮していかなければなりません。そういう立場から、同時諮問ではありませんけれども、現在のような状況になっておるときに、米審の先生方はこの食管会計のあり方についてどのような御意見をお持ちであるか聞かしていただきたいということを申しておるのでありまして、生産者消費者も全部同じ日本人でございまして、この方たちの汗の結晶である税金によって政府はまかなっておるわけでございます。  御承知のように、消費者といいましても、非常な大きな財産家もいらっしゃるでありましょうし、ほんとうにあわれな生活の人もありましょう。その人たちのお食べになる米は、やはり平等に税金で負担しているのであります。それを預かっておるのが私ども立場でございますので、国家全体としてこの食管会計というものの状況についてどう考えるべきであるかということを専門家たちにお尋ねするということは私どもの義務ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。  追加払いのお話しがございましたが、しばしばお答えいたしておりますように、制度上そういうことはいたしませんというのが政府のたてまえであります。しかしながら、最近は基礎物資の価格の上昇はやや停滞ぎみでありますが、とにかく、ここ一年ばかり非常な物価の上昇もありまして、ことに、石油危機以来農業用資材の値段の高騰によって農家がこうむっておる迷惑は甚大なものであります。そういうようないろいろなことを考慮いたしまして、私ども農林省といたしましては、試算米価にもそういうことをできるだけ勘案し、考慮するようにいたしておりますが、最終的に米審の答申を得て、いま私が申し上げましたようなもろもろの状況を念頭に置いて、米価決定するのは政府全体でございますので、政府は、先ほども申し上げましたように、与党のそれぞれの責任者とも御相談をいたしまして、あとう限り適正な米価を編み出したい、と、こういうことでいま苦労をいたしておる最中であります。  生産性のメリットにつきましては、四十二年当時にはこういうことについてもずいぶんわれわれも努力をいたしましたが、生産性向上というのは、これはどんな産業でも絶対に必要なことでありますし、ことに、お隣が田植え機を持っていらっしゃるならやはり田植え機を使いたいというのは当然な欲望であります。そういうようなことで生産性がお上がりになるということは非常にけっこうなことでありますが、その生産性が上がっていったメリットについて、これは労働賃金を、先ほど来ここでお話しがありますように米価に算入いたしております賃金は、都市労賃の中の中小企業部門の方々の事業の労賃を移しかえておるわけでありますが、反面において、そういう賃金もかなり上昇してきておるわけであります。そういう点では、ベースアップが行なわれることによって受ける利益というのは、やはり、米の生産に対する労働費の計算にも利益が来ておるわけでありますので、これは欲を言えばわれわれも切りがないところでありますけれども生産性のメリットを今度試算の中に入れるということはいたしませんでしたのは、そういうような考えがあったからであります。
  94. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で、一応終わります。
  95. 仮谷忠男

  96. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、お疲れのようですが、私が最後の質問です。的確に二、三点に答えていただきたいと思います。  いま事務局から資料を大臣のお手元へ差し上げました。先月でしたか、小麦の価格はパリティ指数によって二八・一%値上げというようにきめたわけであります。ところが、ことしの予算には、六十キロ当たり二千円、それは指定産地の場合でありますが、その他の場合には六十キロ当たり千八百円の補助金が出る、と、こういうようになっているわけであります。そういうものを加味して、農民自身はどういうように受けとめておるかというと、昨年の麦価四千三百四十五円、ことしが五千五百六十四円、それで二千円の補助金をつけてこれを対比してみると、対前年比七四%の引き上げであります。これは二千円の指定産地のものであります。その他の地区のものについては、そこに計算をしてありますが、六九%のアップであります。  そのほかに、その下に参考として書いてありますが、モデル麦作集団奨励補助金というものがついておるわけです。これは農林省にお聞きすると、一集団平均八ヘクタールについて十万円の予算が議決されて支給されることになっております。これを一ヘクタール当たりにすると一万二千五百円。一ヘクタール当たりの収量は大体二千六百キロで、この二千六百キロを一俵当たりに換算すると、その八ヘクタール平均十万円のものは一俵当たり三百円になるわけです。この三百円を先ほどのものに上積みをすると、そこに計算が書いてあるように、麦においては、対前年比八一%のアップであります。その他の産地においては七六%のアップであります。農民は、ことしの麦をきめたのに八一%対前年比上げてもらったんだというように理解しているのは、これは当然であります。  しかるに、今度の米審への試算米価によれば、二五・五%とは、これはあまりにも違いはしないか。三分の一ではないか。ことしの麦は八一%、七六%上げたわけであります。なぜ米だけをこういうように低い試算を出したか。大臣、どうでしょうか。
  97. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いただきました資料にお示しの数字は、大体このとおりだと思います。しかし、いまのお話しのございました麦作生産奨励金二千円は、これはもうあの予算計上のときからよく御説明申し上げておりましたように、一俵当たりの助成金ではありませんで、生産のための奨励金でございまして、ただ、それが一俵にすれば二千円になる。こういう計算は簡単に出るわけでありますが、先ほど来お話しのございましたように、われわれは、国内穀物の状況を考えて、麦の生産の奨励はぜひやるべきだ——その他、草地の造成等についても他の方法でやっております。したがって、こういうものをそのまま価格算定にお入れいただけばこういう数字になるかもしれませんが、趣旨が違いますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  98. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 趣旨が違おうと、麦をつくる農民はそう理解をしてつくっているわけです。また、そう理解しなければ増産ができないわけです。現に、きのうも中央会とわれわれは話し合ったのですが、麦については八一%上げながら、この試算米価は何事だということだったのですが、これは農民の声だと思います。これではあまりにも低過ぎないか。  これは議論してもしようがありませんが、大臣、昨年は、小麦は最初輸入する時分にはトン四万円前後だったが、ところが、ことしの一、二月ごろはトン八万二千円で、それが最近また下がった。これはたいへんな乱高下で、これではいけないから食糧自給体制を整えたいということから始まったこの奨励金であり、二八・一%の引き上げだったと思います。同じことがいままた米についても言えるわけで、要するに、日本全体の農民は、日本食糧を石油と同じようなぐあいにするなというのが共通の声ではないかというように私は考えます。  そこで、端的に私は大臣にお尋ねしますが、いまから一時間前までは、大臣は、米価審議会委員のそれぞれの意見の開陳を御熱心にお聞きいただいてきたと思います。そういう審議会の委員意見開陳を踏まえて、ことしの米価をどうしたらいいだろうかということについて、いまどういうようにお考えでしょうか。端的にお尋ねをいたしたい。
  99. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米審の御熱心な御討議によって御結論が出て、それを答申を受けるわけであります。その受けました答申に基づきまして、先ほども申し上げましたように、政府部内で相談をいたし、また、一方においては、与党の関係筋とも十分に連絡をとりまして、諸般の状況を勘案いたしまして、再生産の確保ができますように適正な米価決定いたしたいと考えておるわけであります。
  100. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 再生産の確保について、先ほど来同じ質問がたくさんありましたから、私は繰り返そうとはいたしません。昭和四十二年の計算と四十九年度のことしの諮問とを比べてみるならば、四十二年の計算でやれば一万七千六円になる。それはもう常識になっておりますから、大臣御承知のとおり、先ほど来質問がたくさんあったわけであります。だから、四十二年の再生産を確保する方法と四十九年の再生産を確保する方法とに違いがあるかということです。これを端的にお尋ねしたいと思います。
  101. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 何べんか申し上げますように、米価もやはり物価でございますから、いろいろな状況の変化がございます。四十二年度当時におきましては、非常に逼迫をいたしておりましたときで、これはできるだけ生産ができるようにということでやりました。ただいまは、御承知のように、三年もたちますけれども生産調整をやっておる。来年度予算編成にあたって政府はどういうふうに考えるかということは、ただいまの時局を念頭に置いて慎重に決定すべきでありますけれども、とにかく、現在では、なお幾ぶん潜在的余剰傾向の今日でありますので、普通の生産意欲を阻害しないような、生産の可能なような価格をきめたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
  102. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この追加払いの問題については、先ほど来二、三の委員から質問がありましたから、これを繰り返そうとは私は思いません。しかし、昭和二十六年、二十九年、これは追加払いをやっているわけであります。また、食管法にも、それができるように施行令第二条の二項にはあるわけです。だから、四十八年については当然で、また、四十九年は、これから米価がきまっても、さらに物価は急上昇しょうとしているわけですし、これは当然できるし、また、先ほど来、与党の方とあるいは政府の部内で十分考えておるという答弁のようですが、これは当然支払われるべきものというように理解してよろしゅうございますか。
  103. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまの制度のもとにおいては、追加払いということはいたしませんということを政府立場としてしばしばお答えをいたしておるわけであります。
  104. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 押し問答をやっている間にもう時間が過ぎましたが、最後に一つ大臣に伺います。  大臣、元気がないようですが、私が十五日の米審の前に大臣にお会いしたところ、病気で云々と言われておりました。そして、入院されて、米価審議会のほうをたいへん気にされながら、審議会にもきょうまで御欠席のようだったわけです。私は、御病気なことは一点わかりますし、それから、もう一点は、新聞に伝えられたような党内事情でたいへん頭の痛い問題があるであろうということもわかります。ただ、いま、農民は、これからの農政がどうなるかということでたいへん苦慮しております。きょうも野党国対委員長会議があって、この臨時国会を救農国会、農政国会にするようにということでわが党からも提案がありましたが、たとえば蚕糸業について、去る十一日の私の質問に対して、大臣がいなくて渡辺政務次官からの答弁で、繭糸価格安定法十二条の十の二の一元輸入を必ずやりましょうということで、新聞に伝えられるところによると、きのうやる決意をしていただいたということで、たいへんありがたいわけなんだが、この蚕糸業は、去年千八百円の仮渡し金が、ことしは千二百円で、それも払えないという実態であるし、畜産においては、もうここで申し上げるまでもありません。大臣、長野県あたりの蔬菜は、運送費とダンボール分しかなくて、中身はただで持っていかなければいけないような実態である。そこへまたこの試算米価ということになれば、農民の行く先はないんだ。こういうことであります。したがって、大臣に、いま予算編成の前夜に当たるので、農民を救うために張り切ってがんばってもらえるのか。  伝えられるように、この間も米審の会場へ行くと、福田大蔵大臣と倉石農林大臣は一緒にやめちゃったとかいうことで、いや、そんなばかなことがあるかと思って聞いて回ると、みんなそのつもりで、やめてしまったみたいなことを言っているし、きょうあたり聞くと、どうも大臣は米価のことがきまったらやめるらしいぞみたいなうわさが出るわけですが、いまは非常に重大な段階です。健康の問題も大事である。しかし、党内の問題、農村の問題はたいへん重大な段階に差しかかっておるが、大臣はいまの問題について一体どういうようにお考えいただいておるか。その点について最後に御質問申し上げたいと思います。
  105. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 当委員会でお答えすべきことではないかと思いますが、私は、米価審議会という重要な仕事をただいま持っておるし、農林大臣という重要な職責を持っておるわけであります。これはいわゆる派閥の問題ではありません。国家の大事な仕事であります。若干健康をそこねておりますが、病院から通いながら、この米価決定には最善の努力をいたしたい、このために倒れるなら倒れるでやむを得ないという覚悟で、ほかのことは一切忘れまして、選ばれたる国会議員として、国務大臣として、その職務に全力をあげる、これがただいまの心境でございます。
  106. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間が来ましたので、これで終わります。      ————◇—————
  107. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、昭和四十九年産米価決定に関する件について、決議をいたしたいと存じます。  本件に関しては、各党の理事間におきまして種々協議を願っておったのでありますが、ようやくその協議が整い、ここに案文がまとまりました。便宜委員長から案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。    昭和四十九年産米価決定に関する件   本委員会は、去る五月二十三日全会一致の決議を行ない本年産米については、生産費所得補償方式に基づき賃金の上昇および生産資材の異常な高騰を的確に反映し併せて過去における米価決定の経緯等を十分に配慮し、その大幅な引き上げを行うべきことを政府に強く要求してきたところであるが、今回政府米価審議会に提示した試算米価算定内容は、従前の方法に基づいたものであり、さきの本委員会の決議の趣旨および生産農民の期待に十分応えていない。   よつて政府は、本年産米価決定に当つてはさきの決議の趣旨を改めて再確認し、試算米価を大幅に上回る米価の実現に万いかんなきを期するとともに、昭和四十八年産米価の取扱いについても、生産者の要望に応えるよう努力すべきである。  右決議する。   〔拍手〕  以上でございます。  ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  108. 仮谷忠男

    仮谷委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。  この際、本決議に対し、政府より所信を求めます。倉石農林大臣
  109. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまの本委員会の御決議の趣旨につきましては、現在米価審議会におきましても審議中でございますので、その答申を承って十分検討の上対処いたしたいと存じます。
  110. 仮谷忠男

    仮谷委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十四分散会