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湊委員 四番目と五番目の価格
関係及び財政
関係の問題は、ただいまおっしゃられたように非常にむずかしいことは私
どもも痛感をいたしております。それで、このことを除きまして、前の三つについて、若干
内容に立ち入って御質問申し上げたいと思うのですが、批判を含めて申しますならば、「
農産物需給の展望と
生産目標の試案」について、第一番目には、需要と消費に対する分析が非常に不足しているのではないかというふうな感じが率直にいたします。需要のほうは年間これだけ消費されましたということで、その消費がどういう形で行なわれておるかというところまで突っ込んだ検討調査というものはあまり進んでいないように率直に言って思います。それで、需要と消費の問題は当然流通の問題ともからまってくるわけで、そのために食品流通局が実はつくられたのだと思います。
端的な一、二の例をとって申し上げますと、たとえば肉牛ですが、いま
畜産が非常にむずかしい局面を迎えておりますが、お肉といった場合に、われわれの年代層だとすぐにすき焼きを連想する。ところが、二十代、三十代の若い諸君の嗜好調査を東京都でやったやつを見てみますと、お肉というとビフテキと実は反応する。あるいはハンバーガーと反応する。同じ肉でも非常に消費の層が違う。それと、もう
一つ、もっと言えば、日本の家庭の台所は、肉料理をするような台所の構造になっていない。だから、肉を食うときはできるだけ外食をするとかということに自然となってしまいますし、自分の家でやらないために、そしてまた肉がほんとうに食生活の中に根っこをおろしておりませんから、牛肉を食べたいとは思うんだけれ
ども値段の
関係がべらぼうに上がってしまうということになると、それじゃ豚肉で間に合わせよう、ブロイラーでがまんしようということになり、相互の肉間の需要、消費の変動というものが非常に多い。そのことが
農業政策の
一つのネックにさえなっていると思います。
牛乳やなんかでも、一合びんというやつがすぐ連想される。冷蔵庫やなんかができても、一合びんしか大体入らないしかけになっておる。そうすると、冷蔵施設があればリットル単位で消費も可能だし、ヨーロッパやなんかは大体リットル単位で消費をしている。こちらは幾ら消費を伸ばそうとしたって一合びん、まして、人手不足で配達やなんかもだんだんきかなくなる。また、コカコーラその他の飲料との相対
関係で、牛乳を売っている店は手数料が少ないものだから店頭には置きたがらない。国鉄でさえも、なまの本物の牛乳を売っている駅があったらお目にかかりたいぐらいに、実は、飲みたいと思っても、そういう飲むような消費の形態ないしそこに持っていくような流通のシステムになっていない。こういうところをはっきりさせて――これは消費の
規制とか消費の誘導というものは問題だと思いますが、しかし、そこまでいかなくても、流通
行政の
過程でそういう方向にある
程度誘導するような施策というものはもっと強化していいのではないかというふうに思います。
第二点は、
生産目標といいますと、物量的な量でもって常に表示されてしまう。だけれ
ども、問題は、生産性
目標といいますか、
生産目標と同時に、どういう農業経営を母体にしてそれだけの数量が生産されるのかということについてもう少し突っ込んだ検討が必要ではないか。欲を言えば、
農産物の量の問題だけでなしに質の問題まで踏み込めればなおいいのでありますが、それは実際問題としてむずかしかろう。
そこら辺で、
生産目標という数量的な表示以外に、何か生産性
目標というふうなものをきめ得ないのかどうかということが第二点。
第三点は、最近外国からの輸入
農産物が非常にふえてまいっております。当然、その
農産物ごとの輸入
調整基準というようなものもはっきりきめる。むしろおそきに失したぐらいに私は思っておるのでありますが、これをきめる必要があるのではないか。そのチェックのしかたあるいは国内
農産物との
調整のやり方、あるいは国内保護政策とのかね合い、輸出先の選択、こういう点について、もう少し輸入
農産物ごとに個別に
調整基準をつくる必要があるのではないか。これに対する所見。これが第三点。
それから、
需給を実際にコントロールするという場合に、これもまた一例をとって申し上げますと、私は金融問題を担当しておりまして痛切に感じたのでありますが、農業後継者
育成資金というものが改良資金
制度の中にございます。これはどんどん借り手がふえまして、たぶんもう一万二、三千名ぐらいになっておるだろうと思います。農林漁業金融公庫の中にも総合施設資金
制度がつくられ、年ごとに借り手はどんどんふえております。言ってみれば、片一方は若鳥であり、片一方は親鳥だが、その間に全然関連がないということが
一つ。二つ目には、借りた人が一体何のためにその金を使うかということの中身を洗ってみますと、一番大きなのが
豚鶏資金、両方とも
豚鶏資金なんです。それから
施設園芸、花卉草花、酪農ということであります。それで、融資のための申請書の中から、一体こういう農家がこういう経営を実現した場合にどれだけのものができるかということを今度は逆に全国のものを推計してみますと、いずれもいま申したようなものは五年を出ずして過剰生産になるという答えがどんぴしゃっと出てきちゃう。そういう
段階でもやはり
需給調整というものが必要なんじゃないだろうかというふうに思うわけであります。
とりあえず以上四点についてお答えいただきたいが、これは
大臣でも、あるいは
局長でも、あるいはお分けになってでもけっこうでございます。