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1974-05-15 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十五日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 津川 武一君       伊東 正義君    今井  勇君       上田 茂行君    小沢 一郎君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       佐々木義武君    白浜 仁吉君       染谷  誠君    丹羽 兵助君       本名  武君    粟山 ひで君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    藤田 高敏君       美濃 政市君    湯山  勇君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   小山 義夫君         食糧庁長官   三善 信二君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   内村 良英君         通商産業大臣官         房審議官    兵藤 節郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君  委員外出席者         通商産業省生活         産業局紙業課長 村岡 茂生君         運輸省海運局内         航課長     阿部 雅昭君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     植村 香苗君         日本国有鉄道貨         物局総務課長  藤井 智明君         参  考  人         (全国農業協同         組合連合会常務         理事)     田中  隆君         参  考  人         (日本硫安工業         協会会長)   末吉 俊雄君         参  考  人         (日本化成肥料         協会常任委員         長)      田中 正男君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     藤田 高敏君  米内山義一郎君     湯山  勇君   神田 大作君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     馬場  昇君   湯山  勇君    米内山義一郎君   玉置 一徳君     神田 大作君     ————————————— 本日の会議に付した案件  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第六〇号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、まず、本案について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、全国農業協同組合連合会常務理事田中隆君、日本硫安工業協会会長吉俊雄君、日本化成肥料協会常任委員長田中正男君、以上三名の方々でございます。  参考人各位に申し上げます。  各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案について審査をいたしておりますが、本案につきまして、参考人各位のそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず御意見を一人十五分程度で順次お述べいただき、その後委員からの質疑がありますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。  御意見開陳は、田中隆参考人末吉俊雄参考人田中正男参考人の順序でお願いをいたします。  それでは、田中隆参考人お願いいたします。
  3. 田中隆

    田中(隆)参考人 私、田中でございます。  本日、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会からお求めがありましたので、系統農協組織立場から意見を申し述べさせていただきます。  御高承のとおり、この法律は、内需に対する供給確保国内価格の安定及び輸出調整骨子として、かつての肥料二法にかわって昭和三十九年に制定されております。昭和四十五年の改正延長を経て、本年七月三十一日には廃止するという期限になっておるわけでございます。  これに対しまして、われわれ系統農協としては、この法律がいままでに果たしてきた積極的な役割りを高く評価しているものでございます。最近におけるわが国農業事情肥料需給あるいは価格動向などから考えまして、この法律期限切れ後においては、現行法の内容をさらに拡充強化する、そして恒久立法としていただきたいということで、かねてからわれわれは主張しておるわけでございます。  このようなわれわれの主張から考えますと、このたびの法改正案はいわば現行法単純延長と考えられますが、現行法存続という点におきましては基本的にわれわれの立場とその立場を同一にするものでありまして、私たちとしてはぜひこの国会において成立させていただきたいということを要望いたしたいと思うのであります。  われわれがそのように考えている理由としては、おおむね次のことがあるのでございます。  まず、第一に、この法律に基づきまして、生産、販売両当事者間で取りきめられてきた硫安及び尿素価格は、系統農協の強い要望肥料工業生産合理化努力とによりまして、肥料法時代以降昨年までの二十年間にわたって一貫して価格が引き下げられてきているという事実があるわけでございます。このようなことは他の物資には例を見ないと言えるのでありまして、この法律が果たしてきた役割りというものを端的にあらわしていると考えているものであります。  特に、化学肥料価格指標品目と考えられております硫安尿素というものの価格推移は、化学肥料全般適正価格の実現ということに大いに寄与しているものでございまして、われわれ生産者団体として、日本農業生産力の維持と増進あるいは農業経営の安定に役立ってきたと考えているものでございます。  このような結果、硫安尿素国内価格というものは、ヨーロッパ等主要生産国国内価格というものと比較しますと、相対的に低位に安定をしているということが資料で証明されているわけでございますが、これはこの法律に定めるところの国のコスト調査あるいは価格交渉当事者に対する調査資料の交付という国の介入といいますか、そういうことが非常に大きな影響を及ぼしているというふうに考えているわけでございます。ということは、二次にわたりますアンモニア工業大型化によりまして、わが国アンモニア肥料工業は、代表的な装置産業として、総合化学工業として、その生産態様を整えるに至っているわけでございますが、このような経済的な強固な地盤、それから生産の著しい合理化ということが、反面、価格の取りきめという場合に、実際のコストの的確な把握というものが、われわれ消費者団体のサイドから見ますと、かなりむずかしくなってきているわけでございます。これに対して、法律の定める国のコスト調査当事者間の価格交渉と国による適正価格決定についての国の監視といいますか、そういうことが有効な保障になっていると考えているものでございます。  この法律のもう一つ骨子でございます内需優先確保という問題でございますが、それとの関連における需給調整措置としての輸出の位置づけといったものについても、需給見通しの適切な運用によりまして、内需に対する安定供給確保輸出の振興というものが調和のとれた姿で推移してきていると考えているものでございます。  御存じのように、わが国アンモニア肥料工業は近年著しく輸出産業としての特質を強めつつあると考えられますが、一方、近年の国際肥料需給逼迫にもかかわらず、内需は毎年優先して確保されているのであります。御承知のとおり、わが国アンモニア肥料工業は、輸出産業としての特性及び原料輸入依存度の高さから著しく臨海地帯に偏在をいたしておりますし、また、生産も、装置産業として年間平均生産というような態様を示しているわけでございますが、これに対しまして、実際の内需消費の姿は全国津々浦々に分散をいたしておりますし、かつまた、かなり季節性が高いという特殊性を有しております。このような生産消費との乖離にもかかわらず、適地に、また適期安定供給が年々確保されてきたことは、この法律の果たしてきた役割りと言えると考えております。  以上のように、この法律はこれまでおおむね所期の成果をあげてきたものと評価しておるわけでございますが、今後さらにこの存続があるいは必要であるというふうに考えられる理由があるわけでございまして、これもすでに御存じのように、最近における世界食料需給動向はかなりきびしいものがございまして、それぞれ増産体制をとっておりますし、わが国内におきましても、食料自給度の引き上げということが大きな農業政策の目標になっているわけでございます。  こういうふうな課題に対しまして、肥料内需はますます今後とも増加するという事情が認められるわけでございます。反面、こういう時期と相並行しまして、肥料需給というものは世界的に逼迫をしてまいっております。特に、国際市況につきましては、輸出価格高騰しておりまして、この国内価格への反映ということが懸念されると同時に、わが国肥料というものは、その主原料燐鉱石カリはほとんど外国から輸入しているわけでございますが、最近の資源に対する諸外国資源ナショナリズムといいますか、そういうものの進行といいますか、そういうものが非常に強くなっておりますと同時に、国内的には諸物価の高騰というようなことで、肥料価格上昇の要因が増大をしておる状況の中でございます。  また、加えて、特に発展途上国における肥料輸出要請というものは年々強まっているわけでございます。こういうふうな国際的及び国内的な状況の中で、われわれとしまして、食料自給度の向上という要請にこたえ、農業生産資材基本資材でございます肥料を優先的に確保し、安定的に供給していくという意味におきましても、系統農協としては、この法律がぜひ今国会において成立され、引き続いてその重要な役割りを果たしていくということに対して強い要望を持っているものでございます。  以上、たいへん雑ばく意見を申し上げましたが、私の意見開陳を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、末吉俊雄参考人お願いをいたします。
  5. 末吉俊雄

    末吉参考人 ただいま御紹介にあずかりました日本硫安工業協会会長末吉でございます。  硫安工業協会としての意見を申し述べさせていただきます。  いわゆる肥料二法に引き続いて肥料新法が、肥料価格の安定、配給確保に多大の貢献をしたということにつきましては、私ども肥料メーカーといたしましても、その功績を高く評価しておるわけであります。この七月末をもって法律期限が切れるというときにあたりまして、現在の肥料需給情勢を申し述べまして、この法律存続がきわめて必要であるという肥料業界意見をお聞きとりを願いたいと思います。  つい二、三年前までは、肥料の国際的な需給関係はきわめて供給過剰の状況にありましたが、ここ二年前の世界的の穀物不作契機といたしまして、にわかに需給状況は変わりまして、ことに、アジア地域におきましては、その不足が深刻な問題になっております。しかも、この状況は、人口増加とともに食料増産を必要とする今日、なかなか解消しないというような見通しを持っております。と申しますのは、肥料というものはいろいろと食料に直結するものでございますので、消費国においてそれぞれ肥料工場の新設、増設には多大の努力を払っておりまして、相当数多くの肥料工場建設されておることは事実でありますが、人口増加に伴いまして必要な食料を満たすのには、耕地面積の拡大が非常に困難になっておる現状肥料を多投することによってのみ食料需給確保が可能でありますので、消費国は最大の努力肥料工場建設に注いでおりますけれども資金不足、また資材高騰によりまして、その資金不足状況はますますはなはだしくなり、ことに技術的にも関連産業が十分整備されておりませんので、建設自体に時間がかかりますとともに、また、できました工場操業度も十分でないというのが消費国肥料生産状況であります。需要の増に追いつかないという現況であります。  一方、工業先進国におきましては、肥料生産については、輸出商品としては肥料はすでにライフサイクルを終えたものというような判断があり、しかも、ここ長年、生産能力の過剰のために非常に低価格で推移しておりましたので、増産意欲も減退しておるという状況で、先進工業国よりの供給量はあまり増加が期待できない。しかも、一方、天候の異変というようなこともありまして、一昨年はソ連並びに中国が、自由圏諸国アメリカ、カナダその他から大量の小麦を買い上げるというようなこともありまして、アメリカは多年余剰農産物の備蓄に非常な経費をかけておりましたのですが、それが在庫も非常に底をつきまして、すでに年生産の一割程度にまで在庫が減っておって、アメリカ農業政策を大きく転換いたしまして、いままで耕作制限をいたしておりましたものを順次解除いたしまして、本年はほとんど全面的に耕作制限を解除するというようなことになりまして、その解除された面積は約二千万ヘクタールと言われておりまして、ここに新たに肥料消費する——しかも、アメリカ生産する穀物世界でも必要とするものでありますので、増産はけっこうでありますが、そこに消費する肥料の量が——日本耕地面積が現在六百万ヘクタールということから考えますと、その二千万ヘクタールというものがいかに広大なものであるかということがおわかりかと思いますが、そこに消費される肥料もばく大なものでありまして、いままでアメリカアジア地域に持ってまいりました窒素肥料の量は、硫安換算で大体年間二百万トンというものでありましたが、これがアメリカの自国の消費に充てられる。しかも、従来西欧方面からアジア地域に出されておったものも、アメリカが従来カバーしておりました中南米の需要に充てられるというようなことで、アジア地域肥料不足がきわめて深刻な問題になっておる現状であります。  先ほど申し上げましたように、先進工業国における増産意欲が非常に少ないということと、肥料消費国の新増設のテンポが食料需要増による肥料需要増に追いつかないという現状でありますのとで、このような肥料不足状況は一時的なものでなく、今後数年間はこの状況で推移するものというふうに考えます。  一方、肥料食料生産にきわめて重要な要素を持つものでありますことを考えますと、この供給確保することについては、ことに、最も肥料不足の深刻なアジア地域に存在する唯一肥料輸出国である日本供給責任というものが問われるわけでありますので、ただ単に価格の高いところに輸出するというようなことでなく、やはり、公正な考えのもとにやるところに、唯一肥料輸出国である日本供給責任があるというふうに考えますので、こういう状況のもとでは、輸出につきましても、何らかの調整を必要とするというふうに私は考えるわけであります。  国内需要に対しましては、現在輸出量というものが相当大きな量になっておりますので、輸出をセーブすれば国内需要には事欠くことはございませんけれども肥料工場の立地などを考えますと、やはり全国公平に、適期配給されなければならないということを考えますと、硫安生産工場は西のほうに非常に片寄っておりますので、これを全国に、その必要とする時期に適期配給するということを考えますと、その点について、業界内あるいは消費者立場、あるいは流通関係方たちと十分の御相談をしていく必要があると思いますので、そういう際、この法律があるということが重要なことでありまして、この法律の使命は従来にも増して必要度があるものと考えております。  ついこの二年前、日本アンモニア工業は二回の合理化を行ないまして、現在八〇%が大型化になっておりますが、なお二〇%の旧設備を擁しておりますので、産業構造審議会肥料分科会におきましても、四十七年の十二月には、肥料工業はむしろ旧設備を一日も早く廃棄して集中生産を行なうべきであるというような勧告を行なっておりますが、それが半年もたたないうちにこのように需給が激変いたしまして、われわれといたしましてもはなはだ見通しを誤ったことになりますけれども、ただいま申しましたような西欧、東欧における一昨年の穀物不作のために、また、冬作物を二回種をまく、二回肥料を使うというようなことを契機といたしまして発生した需給の逆転でありますけれども天候問題は、いろいろの意見もあるかもしれませんけれども、昨年は世界的な豊作で若干安堵したようなバランスになりましたけれども、本年はまたもや天候は必ずしも順調でないというようなことで、肥料問題がますます重大な問題になることはきわめて明らかでありますので、この際ぜひこの法律存続させていただきまして、価格の安定並びに供給確保、また輸出に対しまして供給責任を果たさせるように御配慮を願いたいというふうに思います。  私の意見を申し上げました。(拍手
  6. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、田中正男参考人お願いをいたします。
  7. 田中正男

    田中(正)参考人 私は、日本化成肥料協会常任委員長をいたしております田中でございます。  化成肥料立場から、この肥料価格安定等臨時措置法につきまして意見を申し述べたいと考えております。  御承知のとおり、化成肥料別名複合肥料でございますが、これはもう十分御承知かと存じますけれども、窒素、燐酸カリをまぜまして、それに、場合によりましては若干の微量要素を加えて造粒したものが化成肥料でございます。それで、現状におきましては、国内肥料のおそらく七〇%から八〇%が複合肥料でまかなわれております。また、そのうち七〇%以上が高度化成でまかなわれておるという実情でございます。したがいまして、国内肥料需給関係を述べますときには、どうしてもこの化成肥料を論ぜずにはおれないということでございます。  そこで、この化成肥料需給関係が昨今はどうなっておるかということ、そして、また、それを生産する原料資材についてはどういうふうになっているかということを申し述べたいと存じます。  過去、減反政策、あるいは場合によりますと農業生産の分割といいますか、分業論ということで、農業関係に対する姿勢が消極的であったために、一時、五、六年前から肥料はむしろ需要は減退してまいりました。しかしながら、昨今、世界的な食料逼迫事情とか、あるいはそれに伴いましての減反政策の修正とか、あるいは飼料作物等が非常に高騰いたしましたために、国内においても飼料作物をつくるとか、あるいは裏作をこの際つくっていこうというようなムードになりまして、ようやく四十七肥料年度以降に至りましてやや需要がふえるという傾向になってきております。一方、メーカーにおきましては、五、六年来非常に不採算であったために、一部工場は閉鎖もしくは縮小というような事態になりまして、需給がだんだんに均衡してきたという状態でございます。そのときにあたりまして、昨年の秋以降、石油の問題あるいは複合肥料原料でございますところのカリ燐鉱石等輸入あるいは電力制限等がございまして、生産上に重大な影響があるのではないかということが懸念されたわけであります。これに対しまして、業界といたしましては、まず——これは微量要素を入れた複合肥料を入れますと三千に近い種類がございます。日本全国の七割を供給いたしております全農の取り扱いにいたしましても六百に近い種類化成肥料がございます。この化成肥料をつくりますと、どうしても、ある二、三日つくりますと銘柄を切りかえるために工場を一時停止するということで、数時間もしくは半日、一日というものを停止して、これを洗い、整理した上でまた別の銘柄をつくるということで、まことに非効率的であったわけであります。したがいまして、メーカー業界といたしましては、これを合理的に整理いたしまして、大体三分の一くらいに整理して生産効率をあげるということをやる。それから在庫ですが、従来は、大体肥料年度の終わりますときに、三カ月ぐらいの在庫を持って越しておりましたけれども、これを極力払い出しまして需要にこたえる。それからまた、場合によりましては単肥を使っていただく。単肥と申しますと、窒素肥料を使っていただく。私ども工場におきましても、船をもって取りにまいっても、ちょうど化成肥料が現在のところないという時期におきましては、十分理解を得た上で硫安とか尿素を持っていっていただくというような対策を講じました。それから、生産につきまして重要な原料であります硫酸でございますが、これは非常に逼迫いたしました。これにつきましては、硫酸業界に依頼いたしまして極力増産を願った。それからまた、当局お願いいたしまして、石油あるいは電力等を増配願って、そういうことで硫酸確保する。それからさらに、直接化成肥料をつくります電力石油等につきましても、特に優遇措置お願いするということ。それからまた、当局におかれましては、例年二十四、五万トンの輸出をいたしておりますけれども、これを極力押えることで国内需要に回す。それからなお、全農につきましては、各県あるいは各農協に対して計画配給を行なうというようなことで、この四十八肥料年度を何とか——現在五月でございまして、ほぼ最盛期を終わったことでございまして、ようやく愁眉を開くというような状態になったわけであります。さらに、春闘等の問題もございましたが、これらにつきましては、極力船で回航いたしまして、場合によっては長距離トラック輸送というような非常事態で切り抜けてまいりました。  こういうことで、何とか四十八肥料年度を切り抜けたわけでありますけれども、それでは来年はどうかと申しますと、一つは、在庫例年に比べて非常に減っておる。それから、カリ燐鉱石等輸入につきましても、必ずしも楽観できない。それから輸出につきましても、ことしは相当減らしてございますけれども、タイでありますとかスリランカ等におきましては、やはりわが国を相当当てにしてやっておるということで、これも極度に減らすことは困難ではなかろうかというふうに感じております。  また、化成肥料一つ原料、これは生産構造につきまして御説明申し上げませんとわかりにくいかと存じますが、われわれとしては、燐鉱石硫酸で分解して、直接一貫して化成肥料をつくる場合と、それからアンモニア燐酸を作用させた燐安と称するものを国内もしくは輸入に仰いで、それをさらに加工いたしまして化成肥料にいたすものと、二種類生産構造がございます。  それで、現在わが国におきましても、輸入いたしました燐安を使って化成肥料をつくるのは、約三十万トンございます。この原料になります燐安輸入につきましては、ことしはようやく十一万トン強輸入いたしましてまかなったわけでありますが、来肥料年度につきましては、この燐安はなかなか手に入らぬのではないかと思います。先ほど来末吉参考人から申し上げましたように、主としてアメリカから入っておりますけれども、これが耕地面積の拡大によりまして非常に逼迫いたします。と同時に、この価格が暴騰いたしまして、つい一年前は三万円ないし四万円であったものが、現在十二万から十三万円の価格高騰いたしております。さようなことで、この各種原料に相当の不安があるということでございます。  それで、なお、この化成肥料生産につきましては、年間定期修理を除きまして、ほとんどフルに生産いたしませんと国内需要をまかない得ないという状態でございますので、各種原料が一時的に切れたために工場をストップいたしますと、肥料年度年間を通じてどうしても不足になるというようなことに相なります。  かような化成肥料につきましては、原料あるいはその他の問題で製造上絶えず不安に悩まされているわけでありますけれども、窒素につきましては、国内に十分あるということで実は安心をしておるし、また、過去十数年来安心してまいったわけでありますが、ついことしにおきましても、先ほど末吉参考人からも申し上げましたように、この窒素肥料生産工場が片寄っております。主として西に片寄っておりますために、一部、東北もしくは北海道の化成肥料メーカーにつきましては、窒素が手に入らない。これはあえてそういうことをしたのではないのでありますけれども、豪雪でありますとか、輸送上のトラブルでありますとか、そういう問題のために、主として硫安が手に入らないということで、操業をとめなければならぬというような非常にきわどい事態に相なったわけでございます。現在、肥料価格等安定の法律がございまして、各窒素のメーカーは、それにささえられまして何としてでも国内需要をまかなわなければならぬという義務感を強く持っておるわけでありますけれども、それでもなおかつそうした事態が発生しかねない状態でございますので、もしそういうささえがなくなった場合におきましては、東北もしくは北海道の化成肥料メーカーとしては、原料確保に非常に不安が伴う、と同時に、また、価格におきましても絶えず不安定なことで悩まされるということでございます。したがいまして、この需給安定措置法につきましては、私ども化成肥料メーカーとしてもぜひ続けていただきまして、そうして安定的な窒素肥料確保を願わねばならぬのではないかというふうに考えております。  なお、化成肥料につきまして、この際お願いをしたいといいますか、先ほど申し上げましたように、カリ燐鉱石等輸入につきましても、各国それぞれ、資源ナショナリズムと申しますか、そういうことで、将来につきまして若干の不安がありますとともに、また、先ほど申し上げましたように燐安を一次加工した半製品を持ってきて化成肥料にする工場につきましては、それが輸入できるかどうかというような問題、不安的な要素がございます。これらにつきましても、何とかここで、当面の問題とともに、中期あるいは長期的な対策を御当局等にも種々お願いして、対策を立てたい、こういうふうに考えております。  以上でございますが、いずれにいたしましても、化成肥料の重要原料で、しかも国内に十分生産が間に合っているものでございますので、価格におきましても、数量におきましても、これを何とか安定的に使わしていただいて、そうして国内需要に対して十分にこたえるということをわれわれとしては念願いたしておりますので、さような面からいたしまして、この法律存続を希望する次第でございます。  簡単でございましたが、これで終わります。(拍手)     —————————————
  8. 仮谷忠男

    仮谷委員長 参考人に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  9. 野坂浩賢

    ○野坂委員 参考人の皆さんには非常に多忙なところをおいでをいただきまして、たいへんありがたいと思っております。  きょうは米価要求大会がありまして委員の数が少ないのでありますが、委員長にかわってこの点おわびを申し上げておきます。  この肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案単純延長でありますが、これの内容は、いま皆さんからお話しがございましたように、肥料内需の安定、国内価格の安定、輸出調整、これが一つの大きな目的であります。したがって、この法案についての意見を述べられたわけでありますが、今日の肥料状況についてまずお尋ねをしたいと思いますが、皆さんからお指摘をいただきましたように、最近におきます国際的な食料需給状況は、食料自給の問題から、生産を拡大をする傾向が全世界的にあることは御案内のとおりであります。わが国におきましても、おそまきながら、食料自給率を高めるということで施策がそれぞれ進められようとしております。  したがって、この食料に重要な要素を持ちます肥料動向は非常に重要でありますが、最近におきますところの、燐鉱石あるいは原油等の資源問題からして、これからの国内需要は安定的に供給ができる見通しがあるのか、十分に農家の皆さんの期待に沿うことができる、不安はない、というふうに明言ができるのかということが一つ。それから、お話しがありましたように、東南アジア等を中心にして、アジアの肥料輸出国わが国でありますが、今日肥料輸出が七割にものぼっております。そういう状況からして、輸出調整ということは避けられないと思うのでありますが、それらについてどのような動向をたどるであろうか。一時的なものではないと末吉参考人さんもお話しになっておりますから、そういう点に対する対処のしかた。そして、もう一点は、それぞれの工場はいままで在庫があった。いわゆる供給が過剰であったということも言われたと思いますが、今日の工場はフル稼働であろうというふうに私どもは判断をしておりますが、その点はどうなのか。それから、その次に、いま私が申し上げましたように原料等の上昇の傾向にある。したがって、肥料価格はこれらを受けてどのような推移をたどるであろうか。それから、会社側としては、今度の七月から肥料年度が改まるわけでありますが、それらについてどのように価格についてはお考えになっているのか。この点を末吉参考人なり田中参考人から承っておきたいと思います。
  10. 末吉俊雄

    末吉参考人 ただいま御質問の第一点は、今後国内肥料供給の責任が持てるかどうかということでありますが、窒素につきましては輸出が非常に大きな部分を占めますので、輸出調整することによって国内供給に不安はございません。また、燐鉱石カリというようなものもございますが、これらは現在供給国が非常に片寄っております。価格の点では非常に高まってまいっております。現に、燐鉱石などは昨年前半の三倍の価格に上がってきておりますけれども、量的にはその条件さえのめば問題はないということでありますので、国内肥料供給についての責任は十分肥料メーカーとして果たせるというふうに思っております。  現在、アンモニア肥料工場操業度はどうなっているかという御質問でありますが、これはフル稼働でございます。大体生産能力に対して九二%の操業を維持しております。一時、原料のナフサあるいは電力につきまして、いわゆる石油ショックの起こりました際に若干の停滞がありましたけれども、その後政府におかれましてアンモニア生産には重点的な原料並びに電力配給の措置がとられまして、現在フル生産を行なっておるわけであります。この点も、今後原料供給の面でナフサの価格石油製品の中でいろいろ組み合わせ上不利と判断されるような点もありまして、国内ナフサの供給が若干将来に向かって不安がありますが、この点は順次是正もされてまいりましょうし、また、万一国内のナフサの供給が削減された場合には、たとえ高価であっても、いわゆるDDオイル、直接輸入する輸入ナフサによって生産はやはりフル生産が維持できるような努力をいたす覚悟を業界ともみなしておりますので、その点も問題はないと思います。ただ、国内のナフサと輸入ナフサと比べますと、輸入ナフサの価格のほうが先行して高くなっておりますので、価格面、コスト面で若干の問題がありますけれども、この点は政府並びに全農その他の消費者立場方たちとも十分お話し合いをして納得のいく価格をきめたいというふうに思っております。  現在、国際価格は非常に高くなっております。現に、インドあるいはインドネシアが買い付けております価格は、量の心配が非常に大きいものでございますから、値段にかまわず買い付けておるという状況でありまして、非常に高くなっております。原料のナフサあるいはLPGの占めるコスト上のパーセンテージが非常に大きい製品でありますので、原料の今後の価格動向に左右されるものでありますが、その点がきわめて現在流動的でありまして、長期にわたっての価格の予測がなかなか困難であるという事態でありますので、今後の四十九肥料年度年間を通じての価格、ことに国内価格を設定できるかどうかという点に非常に問題がありまして、原料の値上がりを予測してあらかじめきめるということもなかなか困難でしょうし、その点につきましては、現在まだいろいろ検討中でございます。この五月の末には政府の四十九肥料年度に対する需給の想定数字がきまりますので、そういう時点を一つの目安にして現在いろいろ検討中でございますので、あるいは原料価格、あるいはエネルギー価格、あるいは運賃というような原価要素の確定するまでは仮価格でいかなければならぬかというような考え方もありまして、まだ結論を得ておりません。そういうような状況であります。  とにかく、国際価格は非常に先走って高くなっておりますので、高ければ高くて済むというような製品の性格から言って、やはり適正な価格という点に十分配慮をしなければならぬというふうに思っております。  以上でございます。
  11. 田中正男

    田中(正)参考人 いまお尋ねにあずかりました操業度と申しますか、生産状況でございますが、これは先ほどもちょっと触れましたが、今年に入りまして特に電力等の問題がございまして、硫酸が非常に逼迫いたしました。そのために、一月、二月におきまして、私は正確には覚えておりませんが、七つか八つの工場生産を一時押えております。押えておりますと申しますのは、硫酸がないために生産が停滞いたしております。それから、また、一、二の工場は豪雪地帯にございまして、これが原料用のアンモニアがどうしても送れないということのために生産をだいぶ落としました。それ以外につきましては、先ほど申し上げましたように、何としてでも増産をいたして需給を安定させたいということで、ほぼフルに運転しているものと考えております。  それから、次に、将来の需給についてはどうかということでございますが、これも先ほど言いましたが、燐鉱石を分解いたしましてつくる化成肥料工場につきましてはほぼフルにいたしまして、なお、そのほかに三分の一近くのものが、先ほど申し上げましたように半製品、燐安を使った工場でございます。この燐安につきましては、国内生産しているものを使うのと、それから国外から輸入いたしますものと二つございます。それで、国内のものは燐鉱石の入る限り生産いたしますと、例年どおり供給は可能でございますけれども輸入につきましては、先ほど申し上げましたように非常に数量的に逼迫いたしておりまするのと、価格が著しく高騰いたしまして、これを使ってはとうてい採算に合わないというような問題が今後どうなるかということだけに一つ心配がかかってございます。したがいまして、この輸入が本年度は十一万トン強でございますが、さらに来年度これ並みもしくはこれ以上に入ることができれば、この需給につきましてはまず心配がないというふうに考えております。  なお、一次原料、素原料でございますカリ燐鉱石につきましては、むしろ全農田中参考人のほうがよく存じ上げておるのじゃないかと思いますので、省略いたします。  それから、来年度価格は一体どうかということでございますが、これは化成肥料と申しますと、やはり原料費の占める比率が非常に多うございますので、したがいまして、窒素肥料あるいは輸入カリ燐鉱石あるいはそれに続く硫酸等の価格に左右されるわけでございますけれども、いずれも先ほど申し上げましたように、資源ナショナリズムということで、モロッコの燐鉱石は先年三倍に突然上げる、それから、フロリダ燐鉱石につきましては二倍、さらにことしももう値上げという要素を聞いておりますので、それらをまた勘案し、かつ、今回のベースアップ等を考えますというと、来肥料年度につきましても相当の値上がりをしなければできないのじゃないかというふうに考えております。
  12. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、全農田中さんにお尋ねをいたしますが、いまいろいろお話しがありましたように、おたくでは原料は約六割ないし七割程度それぞれに供給をされるわけでありますから、原料等の価格等は、あるいは運賃等もよくわかっておると思います。問題は、おたくは、ユーザーとしてメーカーと交渉され、国等から資料を出させて決定をされる、言うなれば消費者側に立って団体交渉をされる、こういうことで価格がきまるわけであります。会社側もいま、意見を聞いてきめたいという交渉の結果が価格になるわけでありますが、いま会社の方々は、生産者側は適正な価格ということばを何回かお使いいただきました。適正な価格というのは、消費者立場に立って、常識的に考えて、原料プラス適正利潤ということになろうと思いますが、適正利潤というものは、どの程度においてあなたは交渉されておるでしょうか。
  13. 田中隆

    田中(隆)参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  原料事情でございますが、御存じのように、カリあるいは燐鉱石はほとんど海外から輸入しているわけでございます。本会の輸入原料におけるウエートでございますが、燐鉱石で大体四割程度本会が輸入しておりますし、カリでは六割というようなウエートでございます。  この動向でございますが、先ほど来メーカーの方も申し述べておりますが、最近における資源を保存しよう、資源を大事にしていこうというふうな考え方が各国に非常に強くなってまいりまして、これの数量交渉なり価格交渉というものは非常に難航をきわめておるというのが実情でございます。われわれとしましては、こういう状況の中で安定的に確保する方策を考えなければいけません。そこで、できるだけ産地輸入を分散していきたいということで、現在それぞれ各国からの交渉を進めております。それから、また、でき得れば国内にある程度の備蓄というようなものも考えながら、不測の事態に対処していきたいというふうに考えております。  ただ、そういう当面の対策以外に、やはり、中長期の対策を考えなければなりません。また、海外の動きとしましても、最近はかなり長期の契約を要求するような動きも一部出てきております。こういうふうなことになってまいりますと、五年なり八年ということになりますと、お互いの交渉の過程の中でその取引を安定的かつ継続的にしていくというためのいろいろな、たとえば資金の問題であるとか、そういうようなことで、単なる取引ということだけでなくて、そういう面への参加というふうな問題も出てくる可能性があるわけでございます。しかし、こういうことになりますと、全農だけでできるという問題もございますが、国の力を大いに借りないとこの肥料原料確保というものを今後長期安定的に確保するということはなかなか困難な場面が予想される、こういうふうに考えております。  そういう状況でございますので、価格というものはかなり現在高騰をしつつございます。先ほども話がございましたが、われわれの取引の常識では考えられないように、一挙に二倍とかあるいは三倍という引き上げの例がございまして、こういう状況はいつまでも続くものではないとわれわれは考えておりますが、こういうふうな価格引き上げに伴って、そういう条件でも開発可能であるという新しい鉱区の開発等ができて、それからの供給が可能になる時点まではかなりそういう状況が続くというふうに私は考えておるわけでございます。  それから、来肥料年度価格の問題でございますが、原料事情はいま言ったようなかなりきびしい状況でございます。かてて加えて、現在の六月までの価格には、三月の石油価格の上昇分が入っておりません。さらには四月以降の人件費の膨大な上昇というふうな事情もございます。そういう中で来肥料年度価格交渉をするわけでございますが、われわれとしては非常にきびしい気持ちで現在これを受けとめているわけでございまして、価格の交渉については、農業生産といいますか、農業生産が可能なような価格にあくまでも持っていきたいということで、極力抑制をするというふうな方向で各メーカーと交渉を進めていきたいと思っておりますけれども御存じのように、先ほども申しましたが、適正なコストというものがなかなか把握が困難でございますので、この辺現在大いに努力中ということでございます。
  14. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ありがとうございました。  私たちの時間は限られておりますので、簡単に御質問いたしますので、簡単にお答えをいただきたいと思います。  価格の問題につきましていろいろと御説明をいただきました。従来、国内価格輸出価格というものは、輸出価格国内価格の約半分にも満たない価格で出されておりました。きのうもこの委員会で議論がございまして、いままで国際価格というもので安くせざるを得なかったであろうというような答弁もございました。しかし、いま会社の代表者の皆さんがお話しになりましたように、国際価格需要の増に伴いまして上がってまいりました。したがって、これは国内価格にはね返るであろう、また、工場がフル生産をする場合には、いままではフル生産に到達をしなかったのでというただし書きの御答弁もございましたが、いま参考人の皆さんのお話しによりますと、フル生産、しかも国際価格の上昇、国際需要の増強、こういうことと相まちまして、不採算であったものは採算が出るようになったというお話しもあったわけでありますから、この国内価格というものはいままでに相当に輸出価格の目減りを背負っておったというふうに理解ができると思います。したがって、今日の状況、これからの推移から見まして、国内価格輸出価格と同じあるいはそれ以下になるのではないか、また、そのように努力をしていただきたいと思うのですが、いつごろ同じような価格になりますか。こういうことを会社の方々、末吉さんなりどちらでもけっこうでありますが、お聞きをいたしたいと思います。  それから、全農さんに私がお伺いしたいのは、ベースアップその他は入っていないという、まことに業者側にとって思いやりのあるお話しでございますが、去年はいわゆる肥料年度の途中、たしか十一月十五日だったと思いますが、上げられております。今後はそういう肥料の年度途中に上げるものかどうか。この点については全農の態度を聞いておきたいと思いますし、私が言いましたいわゆる適正価格とは何ぞやというのは原則でありまして、原価プラス適正利潤ということになりましょうから、その適正利潤というものについては、消費者側に立って、また、農民の畜産物、農産物の価格という現況からして、農業は引き合わなければならぬという立場にお立ちになると私は思いますが、その場合には何%をお考えになっておるだろうか、こういう点について全農側から明快にお答えをいただきたいと思います。
  15. 末吉俊雄

    末吉参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  今日まで、御指摘のとおり、国内価格と国際価格との関係は、輸出価格より国内価格のほうが高かったということは事実でございます。と申しますのも、窒素肥料というものが非常に生産能力過大でありまして、低価格の国際競争を余儀なくされておりますし、また、装置産業でありますために、操業度を上げるということがコスト引き下げの非常に大きな要素でありますので、過剰に生産されたものを処分するためにどうしても低価格で国際競争に立ち向かわなければならない。その場合に、国内価格もそこまで下げてしまえば肥料工業というものは成り立たないというような状況でありまして、国内価格において幾らの利潤が適正だというような御質問もありましたが、今日までは利潤というものはほとんど確保できなかった。コスト・マイナス・アルファの価格、それでもなお輸出価格よりも国内価格が高かったというのが現状でありました。すでにまた現在国際価格のほうが国内価格よりもはるかに高くなっております。したがって、今後の価格、来肥料年度価格というものは、国内においてはお認め願う適正利潤を確保できるような価格お願いし、国際価格はおそらくコスト以上、相当の利潤のある価格になると思いますし、それから、国内のほうの価格を補うというような形で、輸出価格よりも国内価格は相当下値でいくべきだというふうに私は考えております。  御承知のように、肥料生産のウエートの大きな化学会社はほとんど現在無配になっております。その事実からも、利潤というようなところまで肥料価格についてはいっていなかったというのが現状であります。
  16. 田中隆

    田中(隆)参考人 御存じのように、肥料価格は、従来、年間当初にきめた価格、一本価格で進んでおるわけでございます。去年の期中改定というのはまことに異例な事態でございまして、われわれとしてはこういうことは決して好ましい状況だとは考えておりません。ただ、来肥料年度価格交渉についても、われわれとしてはあくまでもそういう思想で臨みたいと思っておりますが、原料価格等について現在年間一本の価格決定ということが非常にむずかしい状況等もございます。したがいまして、これらについてはわれわれとしては極力そういう態度で臨みたいと考えておりますが、さらに今後メーカーと強力に折衝していきたいと思っております。  この問題につきまして、われわれの基本的な価格決定の考え方でございますが、主要原材料の価格動向あるいは生産条件、公共料金等の分析を市会自体としてもやりまして、一応の標準原価というものを算定をいたします。こういうものに基づきながら、各メーカーから出される資料に基づいて妥当な価格を決定するということでいきたいと考えております。  また、利潤の問題について、何が適正であるかというふうな御質問でございますが、最小限度の資本費用あるいは合理化のための設備費、再生産費用、そういうものは最小限認めていかざるを得ないとは考えておりますが、諸物価や諸生産資材がきわめて高騰している中で、われわれとしてはあくまでも農業生産確保という観点から、基本的な態度はそういうことで臨みたいと考えております。
  17. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、いま全農からお話しがあったのですが、標準原価を基礎にして最小限のものは認めていきたいということでありました。私たちは与野党を通じまして農業の振興をはからなければならぬ、そして、国民の食料需給安定をはかっていかなければならぬ。このことが原則であります。したがって、引き合う農産物価格は、その原材料費というものに非常な関心を持たざるを得ません。そういう意味でお願いをしたいのでありますが、全農にいままでは肥料農薬審議会というようなものがありましたけれども、いまは農林省に何か調査会というものも設定をされておるようでありますが、全農が考えておられます標準原価あるいは最小限の利潤、そういうものについての資料を御提出いただきたい。これ以上議論することもむずかしいと思いますので、お願いをしたい。  また、肥料会社の皆さん方にお願いをしたいのでありますが、われわれが納得できるように、国際価格が上がってきた、また、国内価格はそれ以下にしたいということでございますから、そういう資料があろうと思いますので、われわれにお示しをいただければ幸いだ、こういうふうに思っております。  第二番目は、特定肥料法律の対象でありますが、末吉参考人からお話しをいただきましたように、化成肥料がほとんどで、いま非常に使われております。特に、複合肥料と名づけて一号、二号、三号といろいろございますが、七〇%使われておるわけでありますから、これらの肥料は法の対象にしたらどうか、こういうふうに私ば思っておりますが、全農田中さんはどのようにお考えでしょうか。
  18. 田中隆

    田中(隆)参考人 御指摘のとおり、化成肥料国内肥料の流通量の六割ないし七割に近い非常にウエートの高い品目でございまして、われわれ消費者サイドからいけば、こういうものが優先的に確保されることはまことに好ましいことでございまして、そういう方向であるべきものと考えております。ただ、化成肥料生産態様あるいは条件というものは非常に複雑でございますので、その辺を現在なおわれわれとしても検討をいたしておる状況でございます。
  19. 野坂浩賢

    ○野坂委員 先ほどお願いいたしました件は、委員長のほうからそれぞれ参考人の皆さんにお話しいただきまして、資料を出していただくようお願いをして、これで私の質問を終わります。  たいへんありがとうございました。
  20. 仮谷忠男

    仮谷委員長 あとで相談してみましょう。  津川武一君。
  21. 津川武一

    ○津川委員 末吉参考人にお尋ねいたします。  尿素にしても、硫安にしても、材料からいろいろなものが出てくる連産品の一つだと思うのですが、この連産品の原価、価格を決定するのはどうされておるか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  22. 末吉俊雄

    末吉参考人 いまの御質問は、回収硫安というようなもののコストをどういうふうに扱っておるかという御質問と思います。  回収硫安はいろいろの工程でいろいろの製品から出てまいりますので、それぞれ違う取り扱いを受けておるだろうとは思いますけれども、私どももまた一部MMAという製品から年間約二万トンの回収硫安を製造いたしておりますが、これはすべて化成肥料原料に使われておりまして、外部には販売いたしておりません。したがって、そのコストというのは、社内の取り扱いといいますか、処理方針でありますが、大体において、正式につくられたものの七割程度でございます。たとえば、未反応のアンモニアを回収するという場合には、これに硫酸をつけて、硫安の形で回収するわけでありますが、その併産する未反応のアンモニアの評価は、正規に合成されたアンモニアの大体七掛け程度価格というふうな考えでもって処理しておりますが、最終製品の価格そのものは、やはり、その業界できまる価格でもって販売されるわけであります。コスト計算上の取り扱いは以上のようなことであります。  硫酸が未反応として残りましたものを、アンモニアを購入して硫安の形で回収する、これはまあ他社のものでありますが、おそらく、その未反応の硫酸というものは七掛け程度の評価をもってコスト計算されているというふうに思います。
  23. 津川武一

    ○津川委員 回収されたそういうものの価格は七掛け程度に考えている。これには、化学反応をいろいろやる。そういう意味で、科学的な、経済的な、原価計算的な経理上の根拠がおありなんでございましょうか。
  24. 末吉俊雄

    末吉参考人 それは、できます硫安を幾らに評価するかということによって目的の製品のコストが出るわけであります。どちらで見てもいいわけでありますけれども、副産する硫安をゼロ、未反応のアンモニアは価値なきものというふうな考え方をとりますと、正規の製品のコストが非常に高くなるわけで、どちらで見てもこれは同じだというふうに考えております。社内の取り扱いだけだというふうに私は考えております。
  25. 津川武一

    ○津川委員 そういう評価の規格というのですか、これは皆さんの協会の中に属しておる企業で、大体統一されているのでしょうか、それとも、各企業によってばらばらに社内の規定でおやりになっているのか、この点はいかがでございますか。
  26. 末吉俊雄

    末吉参考人 これは、各社それぞれの判断で処理されている問題でありまして、そういう点で、業界の中での情報交換の場もありませんし、また、そういう問題を取り上げたこともございませんです。
  27. 津川武一

    ○津川委員 農民の中には、回収もしくは副産物のものはただでいいんじゃないか、おつりをつけてもいいんじゃないかというほんとうの議論があるのです。そこで、この連産品の価格、評価、原価の計算のしかたですが、皆さんの協会に属しておる各企業の者を個々に集めて公開していただきたいのですが、これはいかがでございますか。
  28. 末吉俊雄

    末吉参考人 それはちょっと困難のことじゃないかというふうに思います。
  29. 津川武一

    ○津川委員 その次に、硫安尿素原価報告書作成規程というものがございますが、これに従って原価を作成しておられるのかどうか、この点、皆さんの傘下の企業はどうなっておりますか。
  30. 末吉俊雄

    末吉参考人 原価計算の方式が規定されておりまして、それに従って報告をいたしております。
  31. 津川武一

    ○津川委員 その硫安尿素原価報告書作成規程は、私たちのところに公表してくださいますか。
  32. 末吉俊雄

    末吉参考人 これは政府に報告するということで、各社がそれぞれ出しておりますので、業界で直接取り上げる問題ではないというふうに思いますので、政府のほうと御相談を願いたいと思います。
  33. 津川武一

    ○津川委員 きのうこの委員会で、私は政府にお尋ねしたんです。企業の立場があって公開できないということです。そこで、せめて末吉さんが責任を持っておられる御自分の企業の分だけでも、この作成規程でつくった原価計算を公表していただけないでしょうかしら。これは業界の圧倒的な要求であると同時に、農民のほんとうの腹なんです。農林省は皆さんに御遠慮なすって、皆さんの御意向がなければ発表できないと言う。これがきのうの論議なんです。そこで、重ねてこの点を末吉参考人にお尋ねするわけであります。
  34. 末吉俊雄

    末吉参考人 コストにつきましては、それぞれ各企業の機密に属するということで、コストは公表しないというのがたてまえになっております。しかし、価格が適正であるかどうかという判断の資料には、コストが大きな問題になりますので、御要求の意味はよくわかりますけれども、個々の企業のそれぞれのコストということになりますと、やはりその企業の機密でありますので、標準的な価格コストというようなものでお知らせしたらどうかというふうに思いますけれども……。
  35. 津川武一

    ○津川委員 きのうのこの委員会の質問で、各社が各社なりの態度で報告しているので、農林省としても、通産省としても、めんどうだとおっしゃっているわけです。そこで、これは参考人だからここで表明できないということでございますか。証人としておいで願える機会があれば話していただけるということでございますか。(「そんなことはないよ、企業の秘密というのは守られているのだ、冗談じゃないよ」と呼ぶ者あり)
  36. 末吉俊雄

    末吉参考人 企業の立場から申しますと、その会社が赤字であるとか黒字であるとかということは非常に重大な問題でありまして、できるだけ、自社はコスト的に有利だというような認識をやはり世間に持ってもらわないと、その製品だけでありませんので、いろいろのほかの製品にも影響いたしますので、それはぜひひとつ企業の秘密として、機密として残しておいていただきたいというふうに思います。
  37. 津川武一

    ○津川委員 坂村理事がだいぶあなたに応援しているみたいですが、証人として出ていただければ、その点は明らかにしてくださいますか。(「政府に聞け、そんなことはみんな政府に聞くものだ」と呼ぶ者あり)
  38. 末吉俊雄

    末吉参考人 私、その証人というのはどういうような立場かよく存じておりませんが、証人はすべてのものを明らかにしなければならない、それぞれ企業の機密というものも発表しなければならぬという立場だったら、証人としての喚問を受ければ、やはり、コストの点に触れたお話しをしなければならぬというふうに思っております。
  39. 津川武一

    ○津川委員 坂村理事がだいぶあなたに、企業に応援しているようですが、これは後刻国対ででも、議運ででも論議していただいて、証人として出ていただく機会もあるかもしれませんが、そのときはまたひとつよろしくお願いいたしまして、少し進めます。  先ほどの末吉さんの話の中に、輸出はやっぱり採算がとれないので赤字だった、そこでこいつを国内産に背負ってもらったというような意味のことがあったのですが、輸出はいままで赤字だったのでございますか。
  40. 末吉俊雄

    末吉参考人 今日まで窒素肥料輸出価格は非常に大きな赤字であります。大体昭和四十六年度で、輸出だけでなく国内も含めまして肥料会社の赤字は二百三十五億というふうに計算されておりまして、四十七肥料年度におきましてはこれが二百億になっております。その辺から若干輸出価格が修正されるような状況になりまして、今日ようやく適正な価格まで回復してきたというふうに思っております。  現在の価格を考えます場合に一番大きな問題は、非常に諸物価が高騰しておりまして、現在の設備をもってしてはとうてい——同じ投資でもってこの設備を持つことができない、いわゆる償却不足というものが非常に大きなものであります。おそらく、現在持ちます設備というものを今日の時点でつくりますとすれば、倍の資金を必要とすると思います。それに対する蓄積を各企業が持って初めて続くのでありますが、なかなか価格面でそこまで確保することは困難でありますので、若干見かけ上の利益があるような形でありましても、これは永続するものではありませんので、その点もひとつ御認識願いたいというふうに思います。
  41. 津川武一

    ○津川委員 末吉参考人のお話しで、輸出が赤字だったことがよくわかりました。私もそれを理解します。  そこで、その赤字の幾ぶんかを内需向けにして、国内の農民の使うものを高くして赤字を少しでも少なくした、こういう意味に解してよろしゅうございますか。
  42. 末吉俊雄

    末吉参考人 輸出の赤字を国内価格で消すという段階までには至っておりません。いま合わせてなおこれだけの赤字であったということを申し上げたことから御類推願いたいと思います。
  43. 津川武一

    ○津川委員 わかりました。  そこで、田中隆参考人にお伺いします。  尿素は、昭和四十七肥年で、内需用が三十二万二千トンで、そのうち、工業用が二十一万五千トン、肥料用が十万七千トンになっております。輸出が百二十六万トンで、合わせて百五十八万トン。このうちで内需の十万七千トンは、尿素肥料全部で言うと八・五%で、一割足らずであります。そのうち全農が扱っているものが六四%だとすると、全尿素生産量の中で全農さんが扱っていただくのはたったの五・四%です。この五・四%を手に入れるために肥料メーカー価格交渉をやられているわけ。したがって、肥料メーカーに簡単にあしらわれているのじゃないか。非常に弱く扱われているのではないか。肥料メーカーにすれば、尿素のうち五・四%だけ全農さんにやればいい。あとは化学材料や輸出に向けるので、この点はほんとうにともに対抗できているかどうかという点が非常に心配だったのです。先ほどの田中さんの発言を聞いていると、原料も上がるし、人件費も上がるからと、どうやらメーカー側の答弁をされているので、この点が心配なんです。この五%や六%の尿素で対等に交渉できているかどうかが非常に心配なんで、そこいらの内訳を話していただければありがたいと思うのです。皆さんに強くなっていただきたいばっかりにこれを話しているわけです。
  44. 田中隆

    田中(隆)参考人 尿素というのは、確かに輸出が非常に多いわけでございます。われわれのいままでの価格のきめ方というのは、輸出価格とは切り離しまして、政府から提出されるコストに基づいて価格をきめているわけでございまして、輸出価格国内価格に転嫁されているということはないとわれわれは考えております。
  45. 津川武一

    ○津川委員 時間が来ましたから、これで終わります。  参考人の皆さん、どうもありがとうございました。
  46. 仮谷忠男

    仮谷委員長 林孝矩君。
  47. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最初に、参考人の御意見の中で、肥料価格安定について焦点をしぼってお伺いしますが、国内価格の変動と資源ナショナリズムということが話されました。この関連についての私の受けとめ方でありますが、一つの問題点は、今後の見通しをそれぞれどのように考えられておるか。これは国内価格の変動というものに対しても非常に大きな影響を与えると思いますので、その点を明確にお答え願いたいと思います。
  48. 末吉俊雄

    末吉参考人 先ほど来申しましたように、肥料は今日まで過剰生産のために、また、過剰の在庫をかかえておったために、非常に低価格でもって国際競争に立ち向かっておったわけでありますが、ようやく国際的な需給バランスがメーカー立場から言えば好転したというようなことで、立ち直りつつあるわけでありますが、肥料というものはやはり食料に直結するものでありますから、高ければ高いだけよろしいというものではありませんので、そこは消費者立場を代表する全農とも十分協議をして、また、メーカー立場から言えば再生産を可能にするように価格確保したい。しかし、その場合、輸出価格国内価格というものは国内が優先でありますので、輸出価格でもってマージンを取りやすければ、輸出価格でマ−ジンを取って、国内価格ではできるだけ自粛をするという考え方でいくべきだというふうに思っております。
  49. 林孝矩

    ○林(孝)委員 燐鉱石の最近の輸入価格について見ますと、昭和四十三年度が四十キログラム三百二円、四十四年度二百九十一円、四十五年度三百十二円、四十六年度二百九十五円、四十七年度二百三十七円と、そのように輸入価格の単価は下がっております。約一〇%。それに比較して過燐酸石灰は、卸値と農家の購入する価格がありますが、卸値のほうは、四十二年度五百三十九円から四十七年度は六百円と、これは約一〇%上がっているわけですね。それから、さらに、農家の購入するものについて見れば、これも四十三年が六百二十一円、四十七年が七百二十円と、このように上がっております。これは硫安尿素で押えられている販売価格の分を過燐酸石灰で——卸売り、農家購入合わせますと約二〇%利益が上がっているのではないか、このように考えられるわけですが、この考え方でよろしいでしょうか。
  50. 田中正男

    田中(正)参考人 いま先生のおっしゃったのは、どうも少し年代が前のようでございまして、正確に記憶いたしておりませんけれども硫安尿素メーカーと過燐酸メーカーはあまりラップをいたしておりません。それはおそらくは硫酸等の副材料の関係ではなかろうかと思います。したがいまして、硫酸尿素価格を過燐酸等に転嫁することは全くないというふうに考えております。
  51. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、最近のデータがございましたら、年度別にお示し願いたいと思います。後ほどでけっこうでございます。  次に、現在の時点で、肥料の取り扱いについてお伺いするわけでありますが、先ほど来同僚委員が指摘しておりましたように、全農が全体の七割を扱っておる。その実態を具体的に見ますと、商社糸、全農、この扱い方が、遠いところは商社系といいますか、近いところは全農と、このように通常考えられておるというわけでありますけれども、農家の立場で見てみますと、購入価格については、流通経費のかかっている商社系のものと全農の扱っているものとあまり差がないというふうに伺っておるわけなんですが、この点について具体的に示していただきたいと思います。
  52. 田中隆

    田中(隆)参考人 たいへん具体的な御指摘でありますが、われわれのいま考えておりますところを申し上げますと、全農としましては全国津々浦浦の農家に対しての供給の責任があるわけでございますが、流通経費を合理化するという意味において極力交錯輸送というものを避けているわけでございます。したがいまして、そういう物流面での相違がそういう姿になって出てきておるのではなかろうかというふうに私は考えております。
  53. 林孝矩

    ○林(孝)委員 農家の人たちの声を私は代弁するわけでありますけれども、はっきり申し上げまして、全農が手数料を取り過ぎているのではないかという意見一つあります。これは一面、最近における価格高騰によって、手数料のパーセンテージというものを固定している現状においては、全農の取り分がさらにふえることが予想される、そういう意味も含んでおるのではないかと思うわけであります。このようなことからして、農民の立場に立った取引をするというたてまえに立った場合、その手数料のパーセンテージなりあるいは手数料の実額なり、こういうものを低減させる考え方はないか、こういうことを考えるわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  54. 田中隆

    田中(隆)参考人 全農の手数料、肥料につきましては、現在〇・六%で、したがいまして、価格が上昇すればそれだけ手数料がふえるということも事実でございます。われわれとしましては、従来、もう長年そういうことでございますが、年度末におきまして、収支に基づいて規定手数料以上のものは全部返しておるわけであります。本年度もそういう措置を決算の状況を見て当然とる、こういうことにしておるわけでございます。
  55. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私はあと一点の質問で終わりますが、流通機構の合理化ということを先ほど説明をされました。この流通機構の合理化ということはわれわれも当然考慮されるべきだと思いますし、また、非常に重要な意味を持っておると思います。そこで、具体的に流通機構の合理化としてのプランがありましたならば、お示し願いたいと思います。
  56. 田中隆

    田中(隆)参考人 非常に価格高騰する中で、われわれ系統内部における流通経費の合理化ということを考えなければならぬことは当然でございますが、ただ、この場合、流通の合理化にはいろいろな点があるわけでございまして、まず、第一点としましては、現在非常に銘柄が多い。これを集約して、全国代替性の持たせ得るような銘柄——すでに化成等については三分の一くらいに減っております。  それから、もう一つは、そういうことに伴っての交錯輸送をやめていく。それから、そういうことと同時に、国鉄の貨物駅が集約になるという問題に対応して、系統全体としての持ち込み制度というものをわれわれとしては現在推進いたしておりまして、いろいろな角度から流通の合理化努力していきたい、またしておる、こういう状況でございます。
  57. 林孝矩

    ○林(孝)委員 以上です。
  58. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議
  59. 仮谷忠男

    仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  60. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 肥料価格安定等臨時措置法の一部改正案に関連して御質問申し上げたいと思います。  この法律は、国内需給確保肥料価格安定、輸出調整という三本の柱でこの法律が必要だということになっておるわけでありますが、この法律設置以来いろいろと肥料行政に取り組んでこられた農林省当局として、この法律に対して、欠陥というか矛盾というか、そういうものを一回も感じたことがないのかあるのか、この法律が最善のものであるかどうか、その見解を聞きたいのです。
  61. 松元威雄

    ○松元政府委員 この法律は、御指摘のように、内需確保及びそれと関連いたしましての輸出調整、それから価格の安定という三つを柱といたしておるわけでございますが、この施行後の動向を見ますると、国内価格は、硫安及び尿素につきましては、生産コストの低下傾向を反映いたしまして低下いたしているわけでございまして、これは御案内のように、コストを基準といたしまして、全農メーカーとが協議をいたしまして価格をきめるという仕組みになっているわけでございますが、農業者の組織でございまする全農を代表といたしまする需要者側のいわば価格引き下げの要望ということ、それからもう一つは、生産におきましてアンモニア工場の大型合理化ということが進展した、これが両々相まちまして、コストは低下し、それに伴って取りきめも順調に行なわれまして価格は低下しているということで、これはやはり本法の効果であろうというふうに存じているわけでございます。  それから、また、内需確保につきましては、特に近年までは全般的に供給が豊富であるという事情もございまして、全般的に需給が緩和いたしておりましたものでございますから、いささかも内需確保に不安がなかった、こういう事態にあるわけでございまして、したがいまして、輸出調整も円滑に行なわれたわけでございます。そういう意味におきまして、最近までのこの法律の施行、運営のあとをフォローいたしてみますと、この法律によりまして効果はおおむねあげ得たというふうに思っているわけでございます。  ただ、最近に至りまして、肥料をめぐる情勢にいろいろきびしいものが出てまいりました。一つには、需要も堅調であり、国内需要も今後の食料の自給度向上ということに見合って増加の傾向をたどっていると思われますし、それから、国際需給は特にタイトになっておりまして、アジア諸国を中心といたしまして、わが国に対する輸出要請も強い、こういう情勢にございます。したがって、需給は非常に引き締まりぎみである。さらに遠い将来を考えますれば、海外におきまする自給のプラントの完成等もございますから、その後はまた問題は変わってまいりますが、ここ当面は需給はタイトであろう、こういう情勢にございます。かたがたアンモニア工場の大型合理化、これもいわば大体一応終わりまして、いまはいわば途中の一服状態にある、こういう状態でございまして、コストの大幅な引き下げもなかなか期待しにくい。かたがた、先ほど来の石油問題に象徴されるごとく、原料価格の上昇要因も非常に強まっているということで、これはそういう意味で、従来のように供給はいわば緩和している、それから生産性の合理化によってコストが下がるという要因が大体済んで、それ以外に需給のタイト並びに価格上昇になるわけでございますから、なかなか今後はきびしい情勢にあるというように思っておりまして、その場合、この法律を延長することによりまして、その適正な運営を通じまして、内需確保価格の安定という目的を達成していけるものというふうに考えておる次第でございます。
  62. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 国内需要動向なり国際需要動向というものの認識のしかたは、いつごろからあなたはそういうきびしさを感じたのか。
  63. 松元威雄

    ○松元政府委員 国内需要につきましては、御案内のように、大体四十四年以降四十六年までは減少ぎみでございました。それに対して四十七年から増加の傾向に向かった。さらに、四十八年以降、稲作転換の促進でございますとか、そういうこともございましたし、それから特に自給度向上ということで、麦、大豆等の生産増加に力を入れるということで、需要増加しているという方向が四十七年あるいは四十八年から出てきた。さらに先々を見ましても、需要は安定的に伸びる、そういう判断をいたしたわけでございます。  それから国際需給につきましては、大体四十七年ごろまではむしろ過剰ぎみであった。むしろ後半のほうからだんだん需要が強まってきたということでございまして、そういう意味で、問題意識といたしますと、大体四十七年のあとのほうからだんだん需給が引き締まりぎみになってくるということで、特に昨年後半来のこういった石油事情等をめぐります情勢によって需給の緊迫化ということをさらに痛切に感じた次第でございます。
  64. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 今後の国際需要のほうはあと回しにしても、国内需要見通しは、年次別にして今後何%ぐらい需要が伸びていくのか、その点はどうですか。
  65. 松元威雄

    ○松元政府委員 先ほど申し上げましたが、四十四年から四十六年までは一たん減少したわけでございます。それに対して四十七年は大体六%程度ふえて、さらに四十八年も、目下の見込みでは六、七%程度ふえるであろうと思っておりますが、これは一たん下がったものがふえるわけでございますので、伸び率は大きいわけでございます。そこで、私どもは五十七年につきましての需要生産の目標の試案というものがございまして、この中に五十七年の作物別の作付面積、それから収量というものの見込みを立てておるわけでございます。したがって、この作物別の面積と収量の見込みをベースにいたしましていろいろ試算をいたしておるわけでございますが、その場合、一つは反収の増加肥料増加の関係がなかなかむずかしい問題がございますが、一応両者がパラレルに動くというふうに前提をいたしまして試算をいたしてみますと、荒っぽく申し上げまして、四十五年を基準といたしまして、窒素、燐酸カリ全体を通じまして二割強程度はその間でふえるだろうと思っております。したがいまして、これを機械的に年率に直しますと、平均いたしますと二%弱程度という見込みを一応立てておりますが、さらに一応の試算をベースにいたしましていろいろ吟味をいたしておる、こういうことでございます。
  66. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 これからはできる限りの価格の安定というものが消費者側である生産農民のほうから言うと非常に関心のあるところでありますから、行政の責任者のほうから言えば、そういう需要者である農民の要望にこたえていくという立場からものを考えていくならば、コストをどう下げるのか、どう安定させるのか、そして、この流通改善の流通諸経費をどう押えていくのかということをやはり考えなければならないし、一方、原材料の取引価格というものをどう安定さしていくのかということを考えなければならぬ。それらを総合的に考えると、農林省だけではできない面がある。通産省も考えなければならぬだろうし、輸送に関係のある国鉄——まあ、トラック輸送もありましょうが、国鉄関係のほうも考えてもらわなければならぬ。こういう総合的な関連を持った施策を進めていかない限り、コストの安定ということ、また、流通の経費の抑制ということはできないのではないかという気がいたします。  まず、われわれがいま末端でいろいろ検討してみて、案外今日輸送費が高い。この輸送費の高くなる原因はいろいろありましょうけれども、一番最大のガンになったのは国鉄の合理化であります。それで、いままでの貨物駅をどんどん縮小して統廃合しちゃった。そして、もうたいへんな遠距離までトラック輸送しなければならぬということになってきた。これが輸送費がかさんできた最大の原因であります。国鉄からきょうは見えておると思いますが、国鉄は、いままでの合理化の計画から言うと、全国約五百に集約してしまう。五百に落とされた場合に、これまた、肥料、農産物を含めてでありますけれども肥料の輸送費というものは高くつく。国鉄のほうはそれでいいかもしれないが、たとえば岡山県の例を一つ取り上げてみても、たくさんの貨物駅があったものを集約されて、いま岡山の西岡山というところに集約されてしまった。そこにこの交通の繁雑の原因があるというか、交通量がふえてくる反面、トラック輸送しなければならぬということで、たいへんな経費がかかる。いままでの輸送費の三倍かかっておる。こういうことが農民に直接かぶさっておるのが実態でありますから、同じ肥料価格でも、輸送費が安くかかるところは、たとえば二十キロ入りの硫安一俵にしても、十円か十五円多少安いところもあるし、輸送費が高くつくところは一俵二十円も三十円も高いという現象が出ておるわけです。  国鉄のほうは依然としてそういうことを考えずして、合理化一辺倒で進めていくのかどうか、国鉄のほうの見解を聞いておきたい。
  67. 藤井智明

    ○藤井説明員 国鉄で、貨物輸送の近代化のために、その前提としまして、貨物駅の集約と同時に拠点駅の整備を進めておりますが、それは直行列車の体系をつくりまして、スピードアップとか、あるいは到着時刻の明確化をして荷主さんの要望にこたえたいということでございます。  現在、ことしの五月十五日現在で千八百五十駅の駅までになってございますが、先生の御指摘の五百駅ということは、五百駅について重点的に整備したいということで、国鉄としては五百駅にするということは言ってございません。当面昭和五十一年度に一千駅の体制に持ち込みたいということで、鋭意地元荷主さんと折衝をして、合理化に御協力を得ながら進めたいと思っておるわけでございます。  先生の御指摘のように、集配費については、国鉄のレールから戸口へと申しますか、荷主さんのところまでの集配コストについては若干増加するということでございますが、国鉄運賃は不幸にも八年以上押えられておりまして、そういうことで、一部横持ち経費と申しますか、端末の輸送費は上がってございますが、私どもとしては、そんなに御迷惑をかげているということは思っておりません。  岡山の姫新線などの例で申しますと、貨物集約をやることによりまして、地方へ行く場合到着が早くなるというようなケースが出ておりまして、長い目で見ますと、国鉄の貨物輸送の体質改善で国民経済の要望にこたえたいということで、今後とも地元の荷主さんの御協力を得ながら近代化を進めていきたい、さように考えております。
  68. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 国鉄の関係は、各線ごとの貨物集約の駅をみな申し上げると時間がかかりますから省略いたしますけれども、国鉄のほうは大量直行型の合理化ですから、そう迷惑をかけていないという判断に立っておられると思いますけれども、実際問題として、そこまで運びに行くトラックというものは民間を頼まなければならぬし、農協なら農協のトラックを使うわけでありますが、それだけ運賃がよけいかかる。いままでから言うと相当の経費がかかって、それが農民に加わってまいりますから、農民のほうは、地域においては一俵に対して十円も十五円も二十円も格差が出てくる。同じ石灰窒素においても、また燐酸にしても、硫安にしても、格差が出ておる。そこにおいて農民同士の声というものは、国鉄の合理化でわれわれは迷惑しているのだという単純な意見が出てくるわけであります。そういうことで、今後国鉄の肥料輸送については万全な御協力を願いたいということをつけ加えておきたいと思います。  もう一つ、通産省に伺いたいと思いますが、生産までは通産省の責任である、そして、品質や供給体制については農林省がいろいろやるということで、どうも責任のなすり合いのところが出てくるわけです。肥料会社はたくさんある。百数十社あるわけですが、この近代化をするということで相当設備の近代化をやって、大企業といわれるような肥料会社がつくる肥料価格も中小企業がつくる肥料価格が同じというのはどういうわけだろうか。価格が同じというのは、通産省のほうは、肥料工場だけが何も近代化する必要はないじゃないか、フル生産をするために相当の設備投資をする、設備投資をしてもコストは下がらない、依然として中小企業のつくる肥料も同じ価格だと言うのです。こういう矛盾が出てくるのでありますが、この点について通産省と農林省の見解を聞きたい。
  69. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 御指摘のように、生産面につきましては通産省が責任をもって業界を指導いたしておるわけでございますが、窒素肥料の関係につきましては、昭和三十九年から四十六年の間に、設備大型化によりまして抜本的な合理化を講じたわけでございます。アンモニア工業というのは大企業が行なっておるわけでございまして、これにつきましてはもっぱら大企業の合理化ということでアンモニアコストが下がりまして、その結果、窒素肥料等のア系肥料の値下がりに大きく貢献したわけでございます。  ただ、肥料の中には、ア系肥料のほかにいろいろございまして、たとえば複合肥料とか化成肥料とかというものがございます。複合肥料等につきましては、窒素、燐、カリ等のいろいろな肥料をまぜるわけでございますが、まぜ合わす段階におきましては、いわば加工的な作業でございますので、この面につきましては、大企業、中小企業という規模のメリットによります格差というものはそれほど出てこないわけでございます。先生の御指摘のように、大企業も中小企業もそうたいした違いはないではないかという御指摘は、おそらく複合肥料等の加工段階でのお話しかと思いますけれども、確かに、この面ではそれほどの違いはございませんけれども生産工程におきまして、アンモニア生産あるいは燐酸生産等につきましては、大企業が責任をもって行なっておるわけでございますが、ア系肥料につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、燐酸肥料につきましては燐酸センターというようなものが千葉、新潟、広島等にできてまいりまして、これが燐酸肥料合理化に非常に貢献をしておるというように考えておるわけでございます。
  70. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 通産省にお尋ねしますが、これから設備近代化、そして設備の改良等を含めて、思い切って生産を高めるという方向で、一つの年次計画というか、そういう展望があろうかと思うのですが、そういう工場近代化につく計画というものはどういう構想があるのですか。
  71. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 アンモニア系の窒素肥料につきましては、四十六年までの間にほぼ大型化合理化の計画が一巡したわけでございます。ただ、現在、全体のアンモニア肥料の中の一七%程度のものがまだ旧型設備生産をやっておるものがあるわけでございますが、このものにつきましての合理化ということは将来当然考えられるわけでございます。しかし、四十六年度で一応一巡したということで、次の合理化対策までの間に若干時間がかかるんではないかと思うわけでございます。  それから、燐酸肥料につきましては、先ほど申しましたように、三カ所の燐酸センターというものができまして、設備大型化、近代化に取り組んでおるわけでございますが、将来の計画といたしましては、たとえば秋田あるいは苫小牧等につきまして、そういう計画について取り組んでおることも事実でございます。ただ、立地等の問題もいろいろございまして、何年度にそれが完成するというような具体的な計画ができ上がるところまではまだ参っておりませんけれども、企業側におきましては、そういう計画を持ちながら近代化に取り組んでおるというのが現状でございます。
  72. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 コストを下げることに努力をしてもらわなければならぬのですが、去年の年末から今年にかけて、にわかに肥料が大幅に上がってきている。同僚議員からいろいろ質問をされたんですが、燐鉱石輸入価格を見ると、昨年の十月には、フロリダ、モロッコというところから入ってくるものが——これは価格は多少違いますけれども、フロリダから入ってくる昨年十月の燐鉱石価格はトン当たり六千八百三十三円ですね。十一月が六千五百四十八円、十二月が八千八十四円、四十九年、ことしの一月が七千六十七円、こういう価格である。そして、二月になって一躍五千円余り上がっている。  ところが、農家に使うことしの水稲栽培の春肥は、いつの原料を使ってつくった肥料か、農林省、どうですか。
  73. 松元威雄

    ○松元政府委員 御指摘のとおり、本年一月から燐酸肥料価格は、ほかもそうでございますが、引き上げが行なわれたわけでございます。その一番大きな原因は燐鉱石の値上がりで、これは山元価格とフレート、両方ございます。  それで、大づかみに申し上げまして、一月以降二倍以上の値上げになったわけでございますが、その場合、御指摘の問題が二つございまして、いつの原料でつくったものかということについては、その場合、御指摘のように、一つは十二月末現在で、すでに原料在庫を持っているものがございます。それから、さらに、船積みの途中のものもございまして、十二月に契約をして、着くのは一月に入ってからというものもございます。  そこで、この両者につきましては、価格の算定におきまして、在庫調整分ということで価格調整いたしている。一つは、船積み途中のものにつきましては約一月分ございまして、一月以後の分は約六カ月あるわけでございますから、そのうち六分の一は旧価格であるということで計算をいたしまして原料供給価格をきめている、こういうふうにいたしているわけでございます。  さらに、原料を現に工場が手持ちしている分につきましては、別途在庫調整として計算をいたしまして、その分を控除している。こういうふうに全農メーカーの間で価格取りきめにおいては処置をいたしたわけでございます。
  74. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この燐鉱石輸入を見ると、この二月が二十万トン、その前の七千六十七円の時分には十二万トンしか買っていないんですね。それで大幅に値上げをしたときに、べらぼうにこの数字をふやしているわけですね。七千円で買えるときにもう少し一月に輸入量をふやしておけばよかったんじゃないか。それを、この燐鉱石原料がトン五千円も上がってから二十万トン余りも買わなきゃならぬという取引条件というか、なぜこんなことになったのだろうかという気がいたします。それで、去年の原料を使っていたら、五〇%以上も肥料の値上げがでてくるということは考えられない。今度一万二千円の燐鉱石を使ったとしたら一いまですら、トン六千円前後の原料を使ってすら五〇%も上げる。今度一万二千円の原料費を使ったら、これは何倍上がるのかね。正直に言うて、どの程度上げなければならぬのか。
  75. 松元威雄

    ○松元政府委員 燐鉱石原料価格が上がったことにつきましては、いわば出す側の事情で山元価格を引き上げたという見地でございまして、原料供給の月別数字——私、ただいま、その詳細の手持ちがちょっとございませんが、そういう山元状況との契約によりまして買ったんだと推測いたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、これは全農が過半を輸入しておりまして、取引上のじょうず、へたはあろうかと思いますけれども、まあ合理的に買ったものだというふうに考えておるわけでございます。  そこで、御指摘のように、一番問題になりますのは、旧価格で手当てしている分が価格上昇に盛り込まれたらおかしいということで、現在船積み中のものの価格は、これは、燐鉱石原料は主として全販が供給するわけでございますから、その分について六分の一相当分だけを控除する、さらに工場が現に持っているものを在庫調整するというようにいたして今回の価格をきめたわけでございます。したがいまして、ストレートに新価格になった場合に、いま言った控除分、それぞれ約一月分の控除分がいわばなくなるわけでございますから、理屈上はその分だけはね返ってくるという計算になるわけでございますから、それほど大幅にいまきまった価格より上昇することにはならぬかと思います。
  76. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 昨年、この末端の農家から一々肥料の予約申し込みを受けるということで、その予約申し込みを受ける時分には、予約申し込み表にはちゃんと価格が明記されていた。たとえば尿素が二十キロ入りが六百八十円、塩安が二十キロ入りが四百十円、硫安が三百九十円、過燐酸石灰、塩化というようにみんな四百十四円から、高いもので尿素入りの硫化燐酸が八百五十円、複合の硫化燐酸が九百十円という程度だったものが、これが軒並みに五〇%をみんなこしている。なぜこんなことになるのか。原料の仕入れの時期を調べてみるとそう上がっていない。上がったのはことしの一月からだ。一月ないし二月なんだ。原料費はあまり上がっていないんですよ。それがなぜこんなに五〇%も上がらなければならぬかということだが、これから推して考えると、今度二月以降一万二千、一万五千円の燐鉱石を使った場合には、もうあと五〇%上がる要素が出てくるのじゃないか。あなたはそんなに上がらぬと言うけれども、上がる要素がある。上がっていない原料を五〇%も上げるんだからね。あなたは四二、三%上がっていると言うけれども、実際末端では五〇%をこしている。相当の大幅な値上げであります。たとえば硫化燐安だが、これが去年が八百四十円が農民の——これはぼくが払ったのだから間違いないが、一俵二十キロ入りですよ、これが千二百七十円。そうすると、四百三十円上がっているんですよ。四百三十円といったら、五〇%をこしているのですよ。これは領収書をちゃんと私は持っている。農家のほうは五〇%軒並みにみんな上がっている。こういうべらぼうなことを農林省は確認をして、そして四二%だということでごまかしているのかどうか。どこにこれだけの利益をとっているのか。
  77. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいまの数字ですが、燐酸肥料も、これもいろいろあるわけでございますが、中心かと存じますが、問題は二つあろうかと思います。一つは、全農メーカーとの間の取引価格、いわば工場出荷額と申しますか、それがどうかという問題が第一点。それから第二点は、メーカーの出し値はそうだけれども、流通経費を加えた末端の販売価格はより以上に上がってはいないかという問題が第二点。二つあろうかと存ずるわけでございます。  第一点の問題の全農メーカーとの間の価格につきまして、先ほど来、古い原料を使った分を織り込んでいるのはどうこうという御議論がございましたが、これにつきましてちょっと私の説明がへただったかも存じませんが、旧価格で船積み中のもの及び工場在庫して持っていた分、それにつきましては全農メーカーとの間の価格交渉でその分を控除いたしたということを申し上げたわけでございます。そういうものを控除いたしまして、約四割ちょっとでございますか、燐酸肥料の場合そういう価格がきまったわけでございます。したがいまして、今度旧価格の分がなくなった暁に、船積み中の一月分、それから製品在庫分がございますが、それは今後はなくなりますから、すべて新しい価格一本になりますと、その分だけが値上がり要因になる。これは事実でございますが、これをどのように扱うかは、今後新肥料年度以降の両者の交渉の問題になる。確かに上昇要因はございます。  それから、第二点は、全農メーカーとの間の工場価格がそうだが、流通経費がもっとかさんで末端価格がもっと高くなっているではないかという御指摘でございまして、御指摘のとおり、従来からメーカー価格動向と末端価格動向は基本的にはパラでございますが、どうも、末端の小売り価格はいわば上がる要因が多うございます。これは先ほどたまたま国鉄の集約化に関連いたしまして末端の運搬賃等の問題が出たわけでございますが、従来から硫安尿素につきましては、価格は下がってまいったわけでございますが、小売り価格の下げ幅はそれより小さかったというのも実態でございます。それから、また、地域によりまして、小売り価格にかなりばらつきがございます。そういうことからこれは流通経費が増大したのじゃないか。その主たる要因は、流通経費を分解してまいりますと、これはいわば元売りと申しますか、全農段階の手数料、それから県連段階の手数料、それともう一つは末端の単協の手数料及び運搬賃等の経費がございます。おそらくは末端の単協の手数料ないし運搬賃がいわば平均に想定されたものよりも多かったのじゃなかろうかというふうに想定しているわけでございまして、私たちも、流通合理化ということで、特に流通経費節減に対していろいろ指導はいたしておりますが、特に一番むずかしい頭の痛い問題は末端段階の流通経費でございまして、特に運搬賃の増高によりましてかなり高くなっていることはいなめない事実でございまして、これにどう対応するかということでいろいろ苦労したわけでございますが、おそらくそういうこともあって上がったのじゃなかろうかと思います。  同時に、私ども肥料価格が上がりました場合、末端価格がそれに見合う以上に上がるということはどうもいいことではないように思いましたものですから、実は、先般、石油価格引き上げを三月にいたしたときに肥料は据え置きにいたしたわけでございますが、せっかく肥料価格、元売りの段階が一月に上げた価格と同じに据え置きにしても、末端価格がそれ以上上がったらいかぬということで各県に指導いたしまして、いわばあまりにも不当な中間経費があったらいかぬということで、標準を示しまして指導しておりますが、残念ながら、地域によりまして少し弱い地域もございます。そういうところにつきましては、特に単協段階か、あるいは末端の商人の段階以降の流通経費につきましてさらに指導をきびしくいたしたいと思いますが、遺憾ながらそういう事実が見られることは事実でございまして、さらに一そうその辺の節減に努力いたしたいと存じます。
  78. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 カリ塩の原料費の上がっているということはわかりますから、多少上がることはわかりますが、塩化カリがいま二十キロ、それから石灰窒素二十キロ部分が末端でことしどのくらいしていると思うか。
  79. 松元威雄

    ○松元政府委員 カリでございますが、これは物賃調査によりますと、塩化カリは前年に対しまして二割程度の上昇にとどまっているわけでございまして、これは、実は、全農メーカー価格と申しますか、元売り価格は二割ちょっと上がっておりますので、それに比べますと大体似たような上昇ではなかろうかと思います。二割ちょっと上がっております。
  80. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 末端では塩化カリが、昨年が二十キロ入りが五百二十円。五百二十円が今年は八百四十円だから、三百二十円上がった。二〇%どころじゃないです。あなたはどこの数字を見てそんなことを言うのですか。末端を少し調べて言ってもらわなければ困る。二割どころじゃない。二割なら六百何ぼで済むわけです。
  81. 松元威雄

    ○松元政府委員 私がただいま申し上げましたのは、統計情報部の農村物価賃金調査、いわゆる物賃で申し上げたわけでございまして、全国平均で見まして、四十五年を一〇〇として、塩化カリは一二二・九で、四十七年も一〇〇に対して若干上がっておりまして、約二割程度と申し上げたわけでございまして、これは全国平均の統計上把握した数字でございます。ただし、私も先ほど申しましたが、地域によってかなりばらつきがあるということも申し上げたわけでございます。特に、どうも高い地域があるのじゃなかろうかというので、指導、通達を出すと申し上げましたので、地域によって、特に運搬賃その他末端の手数料とかが上がっている面もあることは事実でございますから、そういう面につきましてはさらに十分な適正な指導をいたしたいというように存じております。
  82. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 あなたは二〇%と言うけれども、こちらは六〇%上がっているのですよ。あなたらがたとえば米価をきめるのでもそうですよ。全国統計のそんな数字で肥料価格を押えられるかり、米価も低く押えられるんだ。実際、肥料は現金だから、われわれはちゃんと農協へ払ってきているんだ。ちゃんと払って受け取りをもらっておるんだから、一俵何ぼ、二十キロ何ぼ、昨年度はこうだとわかっている。皆さんはほんとうに農家がどれだけの肥料代を払ってやっておるかということを知って、もっと肥料政策をまじめに考えてくれないといけないと私は思うのですよ。ただこの臨時措置法を通して期限を延長すればいいんだというのでは、十分指導しておるとは言えない。そして、あまりに肥料の数が多過ぎるのですよ。この配合肥料というものは、飼料でもそうですが、これは農民をごまかす手段だ。過当競争から生まれたかどうか知らないけれども、要するに使うほうの農民の立場でものを考えてくれないと、メーカーや販売業者だけの立場で指導してくれたのでは農民は迷惑するわけです。農民のほうは、成分がはっきりして使いやすいということが原則になるわけです。そういう点を考えて、今後この種類の縮小をどうやるのか、少なくするのか、その考えをお聞かせ願いたいと思います。
  83. 松元威雄

    ○松元政府委員 御指摘のとおり、肥料価格を安定した価格供給するということは、これは末端の農家の受け取る価格について実現しなければならぬ、そのためには、もとのメーカーの出し値だけではなくて、流通過程にも十分の注意を払って末端価格の安定につとめなければならぬということは、まさに私もそのとおりと存じております。したがいまして、その場合、従来は末端価格の把握につきまして、これは全国ベースでございますから、全国ベースの調査を基準にしてものを考えておりますが、先ほど来お話しのございましたように、地域によってかなりばらつきもございますし、いわば末端の流通経費が不当に高い事例も見られるわけでございますから、そういう点につきましてはさらに後刻具体的に実態を明らかにしまして、私たちもさらに十分の努力をしてまいりたいというように存じておるわけでございます。  さらに、それに関連いたしまして複合肥料の問題が出たわけでございますが、御指摘のとおり、単肥でございますれば、窒素、燐酸カリ、それぞれの価格というものがきまっているわけでございまして、理屈上は、配合肥料はその価格のいわば組み合わせというわけでございますが、実際問題といたしまして、配合肥料種類が非常に多いわけでございます。  御指摘のとおり、登録銘柄でございますれば、複合肥料では一万六千も確かにございます。そのうち実際につくっているものも半分の八千程度あるというように、非常に種類が多い。これはもちろん特殊な作物、特殊な土壌に見合うものもございますが、全体の中身を見ますと、少し数が多過ぎるのじゃないか。あまり数が多いということは、一つには生産コストの面から、量が少ないものをつくるとコストが高くつくという面もございます。かたがた、そうむだに、いわば販売政策に主眼を置いたもので、看板に偽りありと言うと語弊がございますが、成分にあらわれた以上の効能があるみたいにもしも思わせたら大問題でございまして、正当に成分に見合ったものでなければならぬわけでございます。したがって、私たちも不必要に銘柄の数を多くするということはよろしくない。もちろん、わが国の土壌条件とか作物の状態、施肥時状況によりましていろいろの種類も出てまいりますし、かたがた、施肥の簡便という面からふえてくる面がございますが、現状は確かに多過ぎております。  したがいまして、特に全農の場合でございますと、大量的な数量のものを対象にいたしたわけでございまして、先般来も全農の取り扱い銘柄が約六百ございましたものを三分の一減らすということをいたしたわけでございまして、従来なかなかしにくかったわけでございますが、今回石油問題を契機としましてそういう問題も真剣に取り組む素地が出てまいったものでございますから、現に六百を三分の一減らしたわけでございますが、さらにこの方向を進めてまいりたいと存じております。
  84. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 大臣、日本列島の水稲栽培に使う肥料というものは、水稲の種類はいろいろありますけれども——大ざっぱに言って、おくて、なかて、わせという三本の柱が水稲にはあるが、これに合わせて日本列島の土壌というものはそうたくさんの種類があるわけじゃないですよ。粘土地においてはどうするとか、砂質のところはどうするとか、大体きまっているのです。そして、日照時間に合わせて、日照時間のある地域とない地域の肥料の使い方——大体、北海道から鹿児島、沖繩にかけて、水稲栽培に何千種類肥料種類をつくらねばならぬほど日本の国では水稲栽培技術に変化があるものではない。水稲栽培に使う肥料は数をもっとうんと少なくして、農民の使いやすいようにということをもっと考えていかなければならぬ。土壌の関係を肥料担当の局はあまり研究していないのじゃないですか。もっと横の連絡をして、その点は農林省全体としてもう少し検討してもらいたいと思うのですけれども、大臣、どうですか。
  85. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 商売にしております商系の人たちがいろいろ自分のところの特徴を出そうということで種々やっておることは事実でございます。これはお話しのございましたように、使用者が安心して使えるようなものはそう数多くないものであるほうがむしろ理想的ではないかと、私どもはそのように思っております。  もう一つ、いま地力のお話しがございましたが、これは最近労働力も少なくなってまいりました関係もありましょうし、しかも、また、大規模な農業をやっております方々は、それぞれ土地に対する考え方が一般の者よりもだいぶ違っておいでになるようでありますから、まず地力を培養するということについては、いまでもかなり力を入れておられるものもあるようでありますが、一般には時間も節約ができるし、簡単に化学肥料でありますならば間に合うものでありますから——農林省といたしましては、堆肥その他有機質肥料についての指導はやっておりますけれども、なかなかそういうことをお考えにならないで化学肥料を安直にお使いになっておるという傾向は確かにあるようであります。しかし、私どもは将来を考えてみますときに、いまのうちにそういう地力の培養についてもっと指導を強化していかなければならないのではないか、このように考えております。
  86. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 私が申し上げたのが大臣にちょっと理解していただけなかったのですが、植物と土壌と肥料というものは三つ関連があるものだから連係を持ってもっと研究をしてもらいたいということを申し上げたので、土壌改良については別にあらためてまた御質問申し上げたいと思いますが、まず、肥料原料確保しないと安定的供給ということはできないと思うのです。  その中で私たちが今日までふしぎに思っておったのは硫酸確保です。いままでは石油原料石油から硫酸をとればいいんだという安易な考えで、石油関連工場を育成強化して、その石油関連産業の中から硫酸確保するということをしておったが、こういう考え方自体に誤りがあったと私は思う。今日肥料硫酸が足らない。日本には地下資源の中で硫化鉄鉱がある。それをどんどん縮小させてしまったのは通産省だと私は思う。それで、石油産業だけを中心に硫酸確保を考えたところに大きな誤りがある。将来この誤りを直さない限り、まだ硫酸が足らないということになってくる。日本にはもっと硫化鉄鉱の資源がある。この硫化鉄鉱の地下資源開発に全力をあげるべきだと私は思うのだが、通産省はどうですか。
  87. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 昨年の後半から硫酸需給が非常に逼迫いたしておりますが、その一つの大きな原因は、石油関係から出てまいります硫黄の量が当初予想したほどにふえなかったということが大きな原因であるかと思います。かつてはわが国にも硫黄の山がございまして、硫黄を採掘しておったわけでございますが、石油精製から出てまいります回収硫黄等に比べましてコストの面でいかにも太刀打ちができないということで漸次閉山をいたしまして、現在は一つの山しか残っていない状態でございますが、今後の硫酸需給状況を考えますと、昨年の後半、特に石油危機を契機といたしました原油の輸入の減少等は非常に異常なものでございますが、その後、本年の四月、五月の見通し等を見ますと、石油輸入につきましてもまあまあというところまでいける見通しも大体ついておりまして、その面で石油精製からの硫黄も去年の年末みたいな逼迫状態にはならないかと思いますが、しかし、それにいたしましても、なお硫黄の量につきましては心配がございますので、現在私どもが進めておりますのは、銅、鉛、亜鉛等の精錬関係から出てまいります精錬硫黄につきまして、電力あるいは重油等の特配も行ないまして、この増産を鉱山会社に対しまして要請をいたしまして、漸次その実をあげておる状態でございます。
  88. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 ただいまの硫酸事情につきまして、もう少し詳しくお話し申し上げたいと思います。  日本硫酸生産量は、大ざっぱに言いまして七百万トンございます。そのうち六五%が精錬硫酸でございます。それから、先生のお話しの硫化鉱焙焼をして出てくる硫酸が二五%、残った一〇%は単体硫黄といいまして、石油精製の際出てくる回収硫黄でございます。こういうものから一〇%つくっているということでございまして、最近の傾向としましては、硫化鉱焙焼の硫酸が漸次減っていることは確かに御指摘のとおりでございますが、これは、一つは、石油精製がだんだん年を追いまして盛んになってきて、その結果として回収硫黄がふえてくるということからしまして回収硫黄の値も安くなる、かつまた豊富になってくる、こういうことからしまして漸次硫化鉱硫酸から回収硫黄硫酸のほうに転換しつつある、こういう時期でございます。  加えまして、硫化鉱硫黄の場合には、硫化鉱の採掘につきましてかなりの公害問題が起こってくるということからしまして、またさらに労働力問題がこれに加わりまして、硫化鉱の採掘につきましては山側がむしろ消極的に考えつつあるという実情であることをつけ加えておきたいと思います。
  89. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いま通産省の意見を聞くと、硫酸が足りないことはないのだというような意見ですが、農林省はどうですか。そんな肥料原料がどんどん上がるということはそうたいして影響はないじゃないかということになる。それがなぜべらぼうに今後上がるということになるのか。どうですか。
  90. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいまの通産省の御説明は、おそらく、大きな動向と申しますか、そういうことではないかと思いますが、今回、実は、石油削減に原因いたしまして私どもが心配した中の一つにあったものは、燐酸肥料をつくります場合に硫酸を使う、その硫酸需給が非常にタイトであって、はたして燐酸肥料生産のためにだいじょうぶかということ、これは確かに当時非常に懸念をいたしました。当時の情勢では、硫酸需給が非常に窮屈である、へたをすると燐酸肥料は所期のとおり生産できないということで、そこで、そのために、硫酸をつくるために特に電力等の特配もするということにいたしまして、いまの需給逼迫を緩和いたしまして、私どものほうの燐酸肥料生産のほうには支障のないようにしたわけでございますが、確かに昨年の状況はそうでございました。いまのお話しはおそらく、ロングランと申しますか、長い動向の御説明ではなかったかと思いますが、そういう意味で、需給については常時私たちは心配いたしておりまして、肥料原料に事欠くことのないようにこれから通産省とも十分連絡協調いたしまして、遺憾なきを期したいというふうに考えております。
  91. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 通産省のほうは硫酸は心配ないのだという発言である。ところが、ぼくらが調べてみて、肥料が五〇%も上がったという理由がどうも非常に不明確だ。それを農林省は肯定しておるが、いろいろな理屈をつけたのは、それは業者の言い分をまるのみにしたのか。ところが、今後電力が上がる。電力が今度六七%ぐらい上がってくる。大口需要はいま使っている電力料金は三円九十八銭で、家庭が十一円八十八銭。今度設備投資をするというのですから、家庭と大口需要とは三倍の開きがあるにもかかわらず、大口需要のほうの設備投資が今度八〇%だ。大衆課税になるわけですが、そういうように電力が大幅に上がってくるということになり、燐鉱石がまだ上がるのだという。カリ塩が、いまの契約が五カ年契約でありますから、今度五十四年にはまた契約を再契約しなければならぬ。そういうときにどの程度価格が上がってくるのかというようなことを考えると、これからは上がる要素のほうが多いのに、そう上がらないだろうという言い方をする。いままでは上がる要素があまり少ないのにもかかわらず五〇%以上上がった。上がる要素があまりなかったのに五〇%以上肥料価格は上がった。今度は上がる要素はある。電力料金も上がる、燐鉱石も上がってくる、どんどん上がる要素があるのにも、そうたいして上がらないという言い方をする。今度上がったら農林省はどういう責任をとるか。
  92. 松元威雄

    ○松元政府委員 私が申し上げましたことがあるいは説明が不十分であったかも存じませんが、先ほどの末端価格での約五〇%というのは、この場合には、末端価格の上昇と、さらにもとをなしますメーカー段階の価格と両方の問題があるわけでございますが、メーカー価格段階につきましても、御指摘のとおり、前年同期に比べまして、肥料全体を通じまして約四割上がったということは事実でございます。これにつきましては、それぞれ肥料種類別に、尿素硫安のように政府として原価をつかんでおるものは、私どもはそれに従ってチェックをいたしましたし、その他燐酸肥料カリ等につきましては、これは法律に基づく調査ではございませんが、全農を通じまして極力情報を集めまして、値上げはやむを得ないということを判断いたしたわけでございます。御指摘のとおり、今後は確かに上昇要因はいろいろございます。それは私も先ほど認めたわけでございまして、燐酸燐鉱石につきましても、一部は旧価格調整したが、しかし、その分は確かに上がる、したがって、上昇要因はあるということを先ほど申し上げたわけでございますし、さらに電力も確かに上がるわけでございますし、今後は上昇要因はある。したがいまして、従来特にそれを尿素硫安の大型合理化によってコストダウンをはかってきた。いわばその中でかなり吸収されたわけでございますが、今後は、それも一巡して、むしろコスト上昇要因は大きいということを私は御説明申し上げたつもりでございましたが、若干御説明が不十分でございましたら申しわけございませんが、その要因が多いということは私も十分考えております。  したがって、こういった上昇プレッシャーに対しまして、これをいかにして合理的にと申しますか、モデレートな範囲で価格を形成していくかということですが、それにつきましても、もちろんメーカーのほうにも合理化努力要請いたしますが、全農を指導いたしまして、上昇要因を少しでも少なく価格に反映するようにという努力を今後しなければならぬと思っております。
  93. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いままではあまり上がる要因がないのに上げた。おそらく笑いがとまらぬぐらいもうかっておるのではないかという気がする。今度は上がる要因がある。しろうとが考えてもそういう要因がある。ことし一月、二月に原料が上がった。いま農家が使っておるのは、昨年の六月、七月ごろにトン五千円台から六千円で入った燐鉱石を使った肥料なんですよ。それが五〇%以上上がっている。電力料金も上がっていないし、人件費もそう上がっていないときにつくった肥料が農家のことしの春肥としていま使われている。ことしの二月からの原料は上がる、いずれ今度は電力料金も上がる、人件費も上がるということになると、大幅に上がる要素が出てくる。いままでは笑いがとまらぬほどもうかっておった。何でもかんでも犯人は石油にぶちかけて、石油石油で逃げてきた。上がる要因がないのに五〇%以上上がった。今度はいよいよ上がる要因がある。その時分に何%ぐらい上がるのか予測がつかない。いまのような考え方でいくと、倍ぐらい上がるのではないか、一〇〇%上がるのではないかというような心配が出てくる。こういう点については、この法案を通しても、とにかく使う農民のほうに今後不安を与えないように極力肥料価格を押えて、なおかつ上がるようなら農林省が特別の助成措置を考えるというぐらいまでにかたい決意でこの行政指導を強めていかないとたいへんなことになるという心配があるから、それを申し添えて私の質問を終わります。
  94. 仮谷忠男

    仮谷委員長 通産省、答弁がなくていいですか。いまの質問にあなたの見解を……。
  95. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 原料面の値上がりの問題につきまして、若干私から補足的な説明を申し上げたいと思います。  たとえばアンモニア系の窒素肥料の主原料でございますナフサあるいはLPG等の石油関係製品でございますが、これは、昨年のOPECの大幅な値上げによりまして、たとえば一年間で三倍以上の原油の値上がりが行なわれたわけでございまして、いわば爆発的な値上げというふうに考えていいかと思いますが、このあおりを食いまして、アンモニア窒素肥料の主原料が大幅な値上がりをしたわけでございます。それから燐鉱石等につきましても、やはりOPECの——資源は本来資源保有国の絶対的な管轄下にあるものであるという思想の影響かと思いますが、OPECの石油値上げの影響を受けまして、モロッコ等の燐鉱石産出国が大幅な値上げに踏み切ったというふうにも考えられるかと思います。したがいまして、石油をはじめその他の肥料原料の大幅な値上げというのは、要するにOPECの爆発的な値上げに誘因されて非常に大幅な値上げがあったわけでございます。  今後の石油等の値上げでございますが、もちろんOPECとしては機会あるごとに値上げをはかっていくという基本姿勢であるかと思いますが、ただ、昨年末のような爆発的な値上げというのは、原油の国際需給関係から言いましてそう通るわけじゃございませんので、もっと常識的な線の値上げにとどまるということも考えられるわけでございます。  なお、御指摘のように、電力料金の値上げあるいは人件費の値上げ等々、コストアップの要因は幾つかございますけれども、たとえば電気料金の値上げにいたしましても、かりに現行料金に対して、これは仮定の話でございますが、八〇%の値上がりがあったといたしましても、一番よけい電力を使いますアンモニア系工業におきましても、そのコストアップ率は二・五、六%ぐらいのところでございますので、電気料金の値上げが直ちに肥料コストの大幅な値上げということには結びつかないと考えておりまして、いずれにいたしましても値上げ要因があることは事実でございますけれども、昨年の石油燐鉱石等のような爆発的な値上げというものはございませんので、したがいまして、四十九肥料年度以降の肥料価格につきましても、それほどおそるべき値上げ要因というものではないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  96. 仮谷忠男

  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案について、農林省、通産省、運輸省、関係当局に質問いたします。  農林大臣に最初にお伺いしますけれども日本農業が続く限り、肥料は当然永久に必要なものであります。そういったことから、今回の本法提案にあたって、臨時措置法の一部改正で五年間をめどに延長するということになっておりますが、本法を恒久法にしなかった理由はどういうふうにお考えであるか。あえて冒頭に御見解を承りたいのであります。
  98. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 肥料の取引関係も一般の取引関係と同様でありまして、基本的には自由な取引とすることが原則であることは申すまでもございません。  そこで、本法は、戦後の統制及び肥料二法によります厳格な法規制のあとを受けまして、経過的な措置として制定されました価格カルテル、輸出カルテル等、現在の一般の経済取引から見まして特殊な行為を容認するものでございまして、おのずからその存続が妥当な期間に限られるべきものであると考えております。今回の延長は、最近の肥料情勢に対処いたしますために、必要な期間本法によりまして、価格の安定、国内需要に対する供給確保、それから輸出調整をはかりたい、こういう考え方でございます。  本法の内容を改めて恒久法といたしますことにつきましては、肥料の国際需給状況であるとか輸出動向、それから原料入手状況等のそれぞれの要因の今後の推移を見きわめることがきわめて必要でございまして、現在なおそれを判断することは困難であると存じます。そこで、私どもは、期限の切れます前に、とりあえず現状はなおこれを必要とするという考えでございますので五年間の延長をいたしたい、このように考えたわけでございます。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 中国等において、将来四、五年もしたならば大型プラントができるということも言われておりますし、最大の大手輸入国といいますか、中国あたりのプラント工場等によって様子も変わってくるということもわれわれもうなづけるわけでありますけれども日本農業の続く限り肥料という問題は切っても切れない状態にありますから、今回は大臣がいろいろとお述べになったように、五年間の延長ということであっても、将来は恒久法として考えるというような方向で政府のほうも検討をぜひしていただきたいと思います。  そこで、農林省当局に冒頭にまず若干お尋ねしておきたいと思うのですが、現在の肥料価格動向はどうなっているのか、簡潔でけっこうですから、あらましお答えいただきたいと思います。
  100. 松元威雄

    ○松元政府委員 肥料価格のこれまでの動向でございますが、まず、この法律の直接の対象となっておりまする硫安及び尿素につきましては、この法律の制定以来、アンモニア工場の大型合理化が進展いたしまして、コストの低下を反映いたしまして、全農メーカーの間できめます工場出荷額は年々下がってまいったわけでございます。ただ、昨年来の石油問題を契機といたしまして、ナフサ、重油、それから包装資材の値上がりというようなものがございましたものですから、値上げをやむなくされたわけですが、しかし、その場合でも、この法律の適正な運用によりまして、コスト調査に基づきまして、全農及びメーカーを指導いたしまして、便乗値上げは一切認めない、直接的な原料部分に限るという指導をいたしまして、本年一月から硫安尿素は一六・三%の上昇となったわけでございますが、しかし、それでもなお十年前に比べますと下がっておるわけでございまして、これは何と申しましても、この期間におきまするアンモニア工場合理化によるコストの引き下げという成果が非常に大きかったということだろうと存じますが、そういう動向をたどっておるわけでございます。  それから、本法の直接対象ではございませんけれども、あと、燐酸肥料及びカリ肥料等を合わせました複合肥料動向について申し上げますと、燐酸肥料につきましては、これは従来とも多少上がってまいったわけでございまして、アンモニア工場のような大型の合理化によるコスト低下ということが大幅ではございませんものですから、その他の要因もございまして、徐々に上がったわけでございますが、比較的安定的に推移しておったわけでございます。しかし、これも昨年の石油問題を契機といたしまして、本年一月からかなりの引き上げを余儀なくされた。その一番主たる原因は、先ほどの御質問にもございましたが、原料たる燐鉱石の上昇で、これは二倍以上に上がったわけでございますが、こういうことによりましてかなりの引き上げを余儀なくされた。  その他カリ肥料につきましても、輸入原料価格の上昇を反映いたしまして二割強上昇した。全体合わせまして、四十八肥料年度当初、つまり四十七年七月に比べて全体平均で約三割、それから前年同期に対しまして約四割という上昇になっておるわけでございますが、これは、ただいま申し上げましたとおり、原料価格のきわめて大幅な上昇によるやむを得ないものというふうに考えている次第でございます。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一点、肥料需給動向と今後の見通しという点についてはどういうふうに見通しておられるか。その点も簡潔でけっこうですから、冒頭に述べていただきたいと思います。
  102. 松元威雄

    ○松元政府委員 肥料需要のうち、国内需要でございますが、これにつきましては、四十四年以降若干減少いたしておりましたが、四十七年から増加に転じ、今後も安定的に増加していくというように見込んでおるわけでございます。  それから、もう一つ輸出需要でございますが、これは特に最近開発途上国の食料増産努力と申しますか、それに対しましてアジア諸国を中心に輸出の引き合いが非常に強まっておりまして、その意味から、国際需給はタイトになるという見通しでございます。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本法に特定肥料として化成肥料が入っておりませんけれども、この化成肥料を追加することについては、当局はどういうふうに検討しておられますか。
  104. 松元威雄

    ○松元政府委員 化成肥料は、実際の肥料消費経済の中で非常にウエートが高いということは事実でございます。従来これを対象にいたしませんでしたのは、まず、一つには、この法律価格だけではなくて、輸出調整という問題がございます。そこで、輸出の大宗であり、かつ、内需の根幹的なものという意味で硫安尿素を対象にいたしたという経緯があるわけでございますが、しかし、価格については、化成肥料価格の安定が必要であることはもちろん言うまでもないことでございます。ただし、その場合に、化成肥料のいわば原単位と申しますか、これは窒素、燐酸カリに分解されるわけでございまして、そのうち窒素肥料はこの法律によって価格の安定がはかられている。それから、もうあと二つの燐酸肥料及びカリ肥料につきましては、これは輸入原料のウエートが高いわけでございまして、しかも、この輸入原料の過半は需要者たる全農輸入している。原料供給者であり、同時に需要者である、こういう両面の性格を持っておるわけでございます。したがって、コストも比較的把握しやすいという関係がございまして、この法律価格の対象外に置いていたわけでございます。そうして、化成肥料は三要素の混合でございますから、三要素価格を安定せしめればおのずから安定がはかられるという考え方で、直接対象にいたしてこなかったというのが従来の経緯でございます。そういう問題がもちろん今後ともあるわけでございますが、また、化成肥料と申しますのは種類が非常に複雑であるものでございますから、技術的になかなかむずかしい問題がございますが、何と申しましても需要量が多うございますから、これを対象にすることにつきましては、技術的問題点、扱い方を含めまして、今後慎重に検討をしてまいりたいというように存じております。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 化成肥料については今後慎重に検討していきたいということでございますが、なるべく早い機会に本法の特定肥料にぜひお願いしたい、このことを強くお願いをしておきます。  次に、農林大臣にお伺いしますけれども国内優先確保ということでいまからお尋ねをしますが、本法は、昭和三十九年制定以来、三本の柱があるわけです。国内優先確保輸出国内調整輸出会社の一本化、こういうようなことが主要な柱であるとわれわれは認識をしておるわけでございますが、今回附則第二項を改正し、その廃止期限を五年間延長し、肥料年度に合わせて「昭和五十四年六月三十日まで」とするものでありますけれども、あくまでも国内需給優先確保されねばならぬとわれわれは考えております。  そこで、輸出日本硫安輸出株式会社を通じて窓口が一本化されている。したがって、メーカー日本硫安輸出株式会社を通じて出すということになるわけでありますが、国内価格より輸出価格が高くなると、メーカー輸出に片寄るということが心配されるわけです。現に、肥料の一部には輸出価格が高いというものがあるわけでございますが、こういったことを懸念するわけでございまして、これまた冒頭に、総論的に、大臣の国内優先確保ということについての御見解を承っておきたい、かように思うのです。
  106. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 現在輸出の大部分を占めております硫安尿素につきましては、肥料価格安定等臨時措置法に基づきまして、政府は毎肥料年度初めにアンモニア窒素肥料需給見通しを策定いたしまして、この需給見通しに基づいて輸出量の承認を行なっている次第でございます。需給見通しの策定にあたりましては、内需肥料確保をまず主眼といたしまして、余裕があれば輸出に回すという前提で作成をいたしておる次第でございます。また、この法律による通商産業大臣の輸出量の承認にあたりましては、生産事情であるとか内需動向、それから在庫等を十分考慮いたしました需給見通しに基づいて農林大臣の同意を必要とすることとされております。このような措置によりまして、内需にいささかの不安もないようにいたしておる次第でありまするので、肥料の国際価格が上昇傾向にありましても、国内需要に対する供給確保上問題の発生する懸念はないと心得ております。  国内価格につきましては、肥料価格安定等臨時措置法に基づきまして、政府が調査いたして公布する製造コストを基準として、当事者間において事務的に価格の取りきめを行なっておる次第でありまして、したがって、肥料の国際価格の変動が国内価格の形成に影響を及ぼすことはあり得ないと考えておりますが、御指摘のように、われわれは、あらゆる場合において政府の態度を表明いたしております。肥料については、内需優先確保するというたてまえのもとに行政をやってまいるつもりであります。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 内需優先確保するたてまえだということは、当然そうであるべきだと思うのです。そこで、総括的にもう一点農林大臣にお伺いしますけれども肥料はあくまでも価格の低位安定をはかるべきだということは言うまでもないことです。本法をずっと見てみますと、この法律に流れているもの、また、過去のいろいろな経緯を見ましても、どうしてもわれわれが思うことは、本法が通産省のほうを向いていて、なかなか農民のほうを向いていないというふうに思われてしようがない。通産省にずいぶんウエートがかかっているという感じがしてならない。こういったことについては一般にもまた批判もあるわけですけれども、農林大臣としては、この批判に対してどうお答えになりますか。
  108. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 本法は、政府の指導のもとに生産業者と販売業者が価格の取りきめを行なうことによりまして、価格の安定をはかっておりますし、輸出調整によって内需に対する供給確保をはかっておる次第であります。これまでの約十年間の経過におきましても、価格は下がり、内需に対する供給確保に、御存じのように少しも不安はございませんでした。現在きびしい情勢に当面しておりますが、この法律の適切な運用を通じて、十分この調整に対応し得るものと考えております。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 答弁の中に、的確な納得するものがなかったのですけれども、われわれ農民サイドでいつも検討している段階では、肥料の臨時措置法案については通産に片寄っている、というふうな批判をしておりますので、その点、農民の主管大臣である倉石大臣においても、十分に今後留意されて、これらの円滑な運営ができるように重ねてお願いをしておく次第であります。  以下、具体的な問題に入ってまいりますが、運輸省から鉄道監督局の国有鉄道部植村業務課長においでいただいておりますので、若干お尋ねをいたしますので、お答えいただきたいと思いますけれども肥料価格影響する問題の中に、流通の問題、すなわち国鉄の運賃問題があるわけです。すなわち、国鉄は、昭和五十一年を目途に、再建計画により、合理化のための貨物駅を集約する考えであるわけですが、昭和四十七年末、着駅千九百七十八をおおむね千カ所、うち拠点駅が五百に集約化する、と、こういうふうに見込まれておるわけです。農村地帯に残る駅は少なくなるわけですけれども、この点はどういうふうな計画になっているか。簡潔でけっこうですから、概略お知らせいただきたいと思います。
  110. 植村香苗

    ○植村説明員 ただいまの先生のおっしゃったことは、おおむね先生のおっしゃったとおりでございまして、現在国鉄は非常にきびしい環境にございまして、特に、貨物の関係は赤字が非常にたくさん累積しているわけでございます。それの対策といたしましては、大体、旧来の国鉄の輸送形態というのがヤードを中継して輸送する。そのために、ヤードに非常に人間が張りつきまして、そのためにコストも非常にかかるし、あるいは時間もかかる。大体、いつ着くかわからぬというようなことで、量的にも伸び悩みますし、コストも高くなる。これを直さなければいかぬということで、駅の集約をそのためにやって、直行輸送体制を組もうというようなことで、大体先生のおっしゃるとおりの貨物関係の集約計画を考えているわけでございます。  以上でございます。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、集約化されますと、結局、国鉄の肥料輸送というものはいわゆる港湾地帯にほとんど集中しておるわけですけれども、そこから肥料を積んだならば集約駅までノンストップで行ってそこでおろすということになろうかと思うのですけれども、途中で要望によっておろすというようなことは全然考えられぬのか。その点はどうなんですか。
  112. 植村香苗

    ○植村説明員 確かに、直行輸送体制が完成した暁には、現在千八百五十駅ございまして、これの集配駅間距離が大体十キロでございまして、集配距離が五キロでございます。それをかりに千駅構想という形になりますと、若干駅間距離が延びまして、大体二十キロ平均、集配距離が五キロから長いところで十キロ近くに延びるということにつきましては、確かにお説のとおりだろう、かように思うわけでございます。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと、農林省当局にいろいろ質問しますので、よくお聞きいただきたいと思うのですけれども、御承知のように、関東とか東北という地方は、春肥中心で、年内に集中するわけです。さらに、西日本は三、四月に集中します関係から、年始から春にかけて注文が集中することになるわけです。そこで、需要期に集中的に行なわれるということになりますと、肥料の輸送が将来たいへん問題になる。すなわち、春先に国鉄が優先的に回しても、東北、関東の場合と西日本の場合と、そういうようにどうしても期間的ズレがある。そして、しかも集中する。トラック輸送をするといっても、そんなに簡単に間に合わないというようなこともございまして、毎年これが問題になるし、また、今後もますます問題化されるわけですが、こういったことに対しては、国鉄は、国民のサービスという点から、駅の集約化という再建計画もさることながら、どういうふうにこれにこたえておられるのか。農民に対しての肥料の輸送ということでは、農民はいわば国鉄の大きな収入源であるお得意さんでもあるわけです。それに対してどうこたえる考えでおられるか、その点を明らかにしてください。
  114. 植村香苗

    ○植村説明員 肥料の輸送につきましては、これは非常に重要な問題でございますので、私も、国鉄に対しましては、十分に肥料業界と打ち合わせをしまして輸送するようにかねて指導しておるわけでございます。今後とも十分に指導したい、かように思っております。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まことに不満足な、歯切れの悪い答弁だけれども……。  次に、農林大臣にいまの件でお聞きしますけれども、輸送コストの問題については、肥料にはね返るということで、これは重要な問題で、あとで出てくることに関連するわけですけれども、大臣も十分御承知だと思いますが、いまの取引の実態というものは、消費地最寄駅着貨車乗り渡し方式といって、普通、着駅オンレール方式ということになっております。すなわち、着駅まではメーカーが負担をするが、ところが、国鉄が集約化してきまして、拠点駅を五百にするということになりますと、御承知のごとく、着駅以降の横持ち費用についてはユーザーが、これは主として全農にあたるわけですが、負担するたてまえになりまして、すなわちこれが農家負担にはね返るわけです。いわゆる集約駅から肥料を運ぶ、これがまたたいへんなことです。そこで、これがわれわれの地元でも問題になっているわけですが、農民にとっては着駅以降の距離の延びに伴う加算実費増ということになるわけで、すなわち肥料価格に転嫁されるということで、私はこういうことを指摘しておるわけです。しかも、御存じのように、これはいわゆるナフサとの関係、燐鉱石の関係等で、肥料をつくるメーカーはほとんど臨海地帯工場があるわけです。使用する農家側はいわゆる臨海地帯から遠く離れた山村地帯になっている。こういったことで、足が長くなればなるほど価格は高くなることになります。  そこで、私は、こういったことをいろいろ思いますときに、何としてもこの集約化は一これも国鉄の方針として必要なことは一応わかりはしますが、いわゆる肥料を受ける側の農家にとっては、これはもうたいへんな問題になる。この点は農林省は関係省庁とどういうふうに今日交渉してきておられるか。農林大臣も農民側に立って、国鉄側とも十分こういったことを検討し、折衝しておられると思いますけれども、その折衝の過程といいますか、どういうふうに話をしてこられたか、その点、農民の前に明らかにしていただきたいと思います。
  116. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいま肥料の流通の問題について、特に、その中心をなします輸送の問題について御質問があったわけでありますが、この輸送の問題はいろいろな内容があるわけでございますので、逐次お答え申し上げたいと思うわけでございます。  まず、直接的な御質問といたしますと、国鉄の駅の集約化の問題ですが、確かに、いまのきめ方は着駅オンレールでございますから、そこまでは全国的にプールをされるわけでございます。それ以降が末端の小運搬になりまして、それはその地域地域の価格が加えられることになるわけでございますから、立地条件によりましてかなり差を生ずる。もちろん、従来の国鉄運賃とトラック運賃との差の問題はございます。それから、場所によって、立地条件の差によって差を生ずる問題もございます。したがいまして、私ども、この駅の集約化の問題は、正直申しましてなかなか頭の痛い問題でございますが、これはまたいろいろ国鉄の全体の問題もございます。私どもとしては非常に頭の痛い問題でございますが、国鉄全般の問題もございますわけで、集約化につきましても、農村地域も極力十分に配慮をしてほしいという御要望も申し上げましたし、そういうことをやったわけでございますが、同時に、全体の大きな流れがあるわけでございまして、それに対して今度はわれわれの側といたしましてもいかに対応するかということも考えなければならぬという、両面の問題を持っているわけでございます。  そこで、一方では国鉄のほうの合理化の方向に対しまして私たち事情を述べまして、できることならばいれていただくということも要請いたしているわけでございますが、同時に、受け入れ体制といたしまして、何と申しましても足が延びてコストがかさむということはいなめない事実でございますから、これにどう対応するかということでは、特に、単協別にアンバランスがあまり大きくなっても困るわけでございます。そこで、従来は末端の小運送は単協が主体となってやったわけでございますが、こういった体制に即応いたしまして、今度は県連が中心になりまして末端を引き受ける。いわば持ち込み制度と称しておりますが、こういう方法を全農が中心になりまして考えて、一部実行に移しておるわけでございますが、そういたしますと、これによってある程度単協間のアンバランスが是正される方向に資するわけでございまして、こういったこともやっておりますし、今後さらにこの方法で進めたいというふうに考えているわけでございます。  さらに、肥料の輸送の問題につきましては、おっしゃるとおり、肥料工場のほうは地域的にかなり偏在をいたしている。使うほうは、これはいわば全国にまんべんなく使われる。それから、また、時期的にも生産は毎月比較的平均的でございますが、需要のほうはかなり季節性がある。こういった地域性、季節性ということが大きな問題でございまして、したがって、全国ベースで需給のバランス、供給確保をはかると同時に、末端に確実にそれが届くためには輸送問題が大きな問題であることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、輸送につきましては、中央段階におきましても、国鉄の総局と肥料の輸送に対して円滑にいくように協議をいたしておりますし、さらに、地方単位でもそういった円滑化につきまして協議会を設けまして、肥料の輸送が円滑にいくようにというふうに従来もいたしておりますし、今後もその方向で進めてまいりたいと思っております。  さらに、また、これも私たちの側で考えるべきこととしまして、確かに需要季節性がございますが、だからといって、一時期に運ぶということは能力の問題からなかなかむずかしい問題がございます。いま申したとおり、国鉄のほうに対しまして協議会を設けて御要請もいたしておりますが、同時に、年間を通じて輸送の平準化ということも考えなければいけないということで、平均的に平準化するように運送もやっている。そういたしますと、早く買いますと金倉分だけを末端の需要者が負担する。こうなると、これは不公平になるわけでございますから、したがって限月価格制度を設けまして、早く取った者はその分だけ価格を引く。そういたしますと、早く取ったために負担がかからない、いわば全体にならされる、こういうこともやっているわけでございまして、それら全体を通じまして極力輸送の合理化につとめまして、末端の確実な確保ということに今後も一そう努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 十月一日からまたぞろ国鉄の運賃の値上げということで、公共料金値上げに伴い、諸物価に対するはね返りということで、国民も憂慮しておるし、われわれもまた重大関心を実は持っているわけですが、肥料に限らず、農林物資の輸送、農産物等の輸送、といったことで、今後東北、北海道と、遠距離になるほど重大関心を持っています。すなわち、米の輸送にしても同じことであります。これは国民の主要な食糧であります。そういったことを踏まえて、四十七年には特別割引が農林貨物については廃止になった。四十六年まではあった。これを農林省側としても国鉄側に強力に要請をして復活をすべきである、と、かように実は私は思っておるわけです。  こういった面でもカバーしていかないと、集約化ということは再建計画において既定の事実で進められておるのだから、これらに対する対応策も十分考えてもらうと同時に、特別割引の復活といったことに対して農林大臣は農民側に立って強力な折衝等をやっていただきたいと私は思うわけです。協議会をつくっていろいろと検討しておるということもいま局長から答弁がございましたが、その点大臣はどういう姿勢で臨んでおられるか、お答えをいただきたい。
  118. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 大事なことでありますが、国鉄の内情につきましては、もうすでに国会でもしばしば御論議がありまして、御存じのような状態でございます。そういう事情を踏まえまして、われわれといたしましては、従来のようなことが望ましいことでありますが、どのようにして合理的にそういうことが可能であるかというふうなことについて、いま検討いたしておる最中であります。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣の答弁を聞いていますと、あまり折衝をしておられないような感じといいますか、肌ざわりを受けるわけですけれども、深刻な問題になってまいりますし、さらに、十月一日からの国鉄運賃の値上げがなされますとますます深刻な問題になってまいります。そういった意味からも、こういったことについては当局と強力な折衝をされて、農民の期待にこたえていただくように、重ねて強くお願いをしておきます。  次は、船のほうでありますけれども、運輸省側にもお尋ねしたいわけですが、御承知のように、現在沖繩の航路には、商船三井近海、日本海汽船、山下新日本近海汽船、近海郵船、関西汽船、それから沖繩としては琉球海運、大島運輸、沖繩汽船、有村産業と、こういった九社が肥料運搬のためのいわゆる指定といいますか、輸送に就航しておることは御承知のとおりであります。  そこで、沖繩及び沖繩の先にあります先島とか北海道というのは内航で運賃をとっておるわけです。国鉄の場合は、距離が長くなれば遠距離割り引きということが一応はありますが、沖繩及び牛島、北海道は、距離が遠くなればなるほど船賃は高くなるというふうになっていると思うのですが、この点、運輸省はどうですか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  120. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  海上運賃の立て方でございますが、一般的にはそれぞれの荷主さんと船会社が契約を結んで定めるという立て方になっております。ただ、先生からただいま御指摘がありましたように、沖繩ですとか、あるいは北海道ですとか、定期船が数社、あるいは多いところで沖繩の場合は九社でございますが、そういうふうに走っておりますところは、同盟といいますか、協定を結びまして、沖繩の場合ですと沖繩航路運賃同盟という協定を結んで、その場合の協定運賃を届け出る。それをわれわれはさらに公正取引委員会にも届け出ておりますが、そのような形での届け出、そういう運賃が実施されております。それらの運賃につきましては、それぞれ各社がコスト計算的なことをいたしまして、適正な運賃をいただくという考え方でやっております。  ただ、距離等によっていろいろ運賃が違うという御指摘でございましたが、たとえば本土から沖繩本島への輸送と、沖繩本島から先島への輸送ということになりますと、当然ロットが違いますし、輸送する船型も違ってまいります。船の場合ですと、大型船でなるべく能率的に運べれば安くなるわけでございますが、小型船で小さなロットを運ぶという場合はどうしても割り高にならざるを得ないというのが原価的な計算で出てまいります。そのようなことから、本土と沖繩の間の運賃と、沖繩からさらに先島への運賃といったものについては、単位キロ当たりというような計算をいたしますと割り高になるといったような結果が生ずるかと思いますが、輸送のロット、船型、その他のコスト的な関係から、ある程度やむを得ないものと考えざるを得ないというふうに思います。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長にちょっとここで聞いておきますが、肥料の運賃価格は、全農の場合は、沖繩の場合も、北海道の場合も、また臨海地帯の本土に近いところの消費地の肥料も、価格は一緒だというふうに聞いておるわけです。そうしますと、結局、本土から沖繩、先島あるいは北海道に行く運賃の分はプールにして、肥料価格全国一律であるが、価格に運賃は全部プールされる、こういうふうになっているやに聞いておりますが、その点は間違いありませんか。
  122. 松元威雄

    ○松元政府委員 おっしゃるとおり、肥料価格は着駅オンレール、貨車乗せ渡しということがたてまえになっておるわけでございまして、これは全国一本でございます。したがいまして、運賃分はプールされて、末端の着駅段階の価格全国一本である、こういうことでございます。
  123. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、結局、沖繩、北海道あるいは沖繩の先の先島に運ぶ運賃というものは、国内農業者が負担をしているということになるわけですね。
  124. 松元威雄

    ○松元政府委員 国内農業者が負担しているという、その負担のしかたの問題でございますが、全国プールをいたしておりますから、そういう意味ではそうかもしれませんが、要は全国一本の価格にしておるということでございます。
  125. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そういう意味ではそうかもしれませんがと言うが、そうなっているわけです。農林大臣も十分承知かと思いますけれども、あといろいろ質問する関係でこれは頭にとどめておいていただきたい。こういったところにいろいろ問題がありますから、記憶しておいていただきたいと思うのです。  そこで、運輸省にお聞きしますが、先ほど答弁がありましたように、沖繩航路運賃同盟といったものができている。すなわち運賃カルテルを結んでおるわけです。最近では四十八年七月一日に改定されて、トン当たり三千三十円というふうになっておると思うのですが、その点は間違いありませんか。
  126. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  三千三十円という運賃率は、五十トン未満のものについての一トン当たりの運賃で、これが賃率表で三千三十円ですが、これも東京、横浜、清水、名古屋、大阪、神戸、この間から那覇までの一トン当たりの運賃ということでございます。ただ、肥料の輸送の実態を見ますと、実際には五十トン以上の輸送というものが大宗を占めておりまして、五十トン以上の輸送については、レートは、レート・オン・アプリケーションというふうに表示されておりまして、個別に話し合いによってきめるという立て方がとられております。  昨年の七月に、どのような運賃率を実施するかということにつきまして、同盟側と、それから全農及びそこに参加しておられます肥料メーカーとの運賃折衝が行なわれまして、その運賃をいかに定めるかということについてのいろいろのお話し合いが行なわれました。その結果、硫安については一トン当たり三千百円、その他のものについては三千四百十円という運賃が定められましたが、これらは同盟のいわゆる定期船ではございません。不定期船でそれぞれ専用積みして運ぶという実態になっておるかと思います。
  127. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 運輸省にさらにお尋ねしますけれども、この沖繩航路運賃同盟で、いわゆる運賃カルテルを結ぶということに対しては運輸省としてもいろいろと行政指導をしておられると思いますけれども、結局は、この運賃協定の結果を運輸省には届け出るというふうになっておるわけで、届け出を聞いて、それで認めるというふうなことなのか、おそらくそうではないかと思いますが、その点明らかにお答えいただきたいと思うのです。
  128. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 海上運送法で、運賃について協定した場合は実施前に届け出るということが海上運送法上二十九条で定められておりまして、そのようなものが事前に届けられる、われわれはそれを受理するということになっております。法律的には、さらにそれを公正取引委員会に通知するということで、われわれは事前に十分チェックいたしまして、それを正式に受理し、公正取引委員会にも送るという形でやっております。  ただ、先ほど申しましたように、肥料の運賃につきましては、いわゆる定期船で運びます貨物は小口の混載貨物でございますので、そのようなものにつきましては非常にこまかい品目ごとのレートが設定されておりますが、肥料につきましては、五十トン未満につきまして、先ほどの三千三十円というレートは届けられておりますが、それ以上の大口のものにつきましては、それぞれ専用船でといいますか、不定期船というような形で、それぞれ満載積みのような形で運ばれますので、そのときの契約運賃でやりますということでございます。  現在、五十トン以上運びます肥料の運賃については、われわれに出ております届け出のレートとしましては、契約によって定めますということだけが届けられておりますので、その実態につきましては、船側とそれぞれ関係者との話し合いできめられた運賃で実施されておるということでございます。われわれは、それについては両者の交渉にまつということで、具体的なレートを受理いたしてはおりません。
  129. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いまお聞きのとおり、運賃については業者の交渉にまつ、レートについては承知していないということの答弁がございましたが、北海道は、肥料を運びましても帰りの荷物があるわけです。沖繩はあまりない。こういうことがよく言われております。北海道は、御承知のように、昭和五十四年と思いますけれども、青函トンネルが完成すれば、船によらず国鉄による輸送ということが将来は考えられるので、内航によることもそう心配しなくていいのじゃないかということが一応理解できるわけです。ところが沖繩は、また沖繩の先にあります先島等は、これはとても鉄道を敷設するということは考えられません。将来とも内航による輸送ということが考えられるわけです。そうしますと、沖繩は将来ともこの問題が残るわけです。そういったことをいろいろ踏まえまして運輸省側から答弁がございましたが、将来ともこの問題は農林省としても重要視していただかなければならぬ問題でありますがゆえに、農林省は、船会社が一方的にカルテルで運賃がきめられるということについてどういうふうに対処しておられるか、その見解はどうか、農林大臣からこの点を承りたいのであります。
  130. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先島で主要なものはサトウキビ、パイナップルでありますが、そういうところに必要とする肥料はそれぞれ大体限定されていると思いますが、いまるるお話し合いを承っておりましても、若干そこに不利な点もあるかもしれません。そこで、そういうものを直にめんどうを見るということは、当該担当者のほうではなかなかむずかしいことであろうと思います。  御存じのように、あの地域はたいへんおくれておる地方でございますので、いま、島の一つには大きなダムをつくって、かん排事業などを一島あげてやっておる地域もありますし、それから、これからやろうといたしておりますのは、圃場整備等について力を入れようということをいたしておるわけでありまして、私どもとしては、そういう面で特段の助成をいたして、これらのおくれておる地域に対する農業の推進のために他の面で大いに援助をいたしてまいるつもりでやっております。  あれこれを考えてみまして、地域的に不利な地域に対しましてはそういう面でできるだけめんどうを見て、コストダウンをしていくように指導いたしてまいるということが必要なことではないかと思っております。
  131. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣のおっしゃるとおり、全くコストダウンする必要があると思います。そのとおりであります。  そこで、時間の制約があるのでいろいろ申し上げることができませんが、大臣も御承知だと思いますけれども、沖繩には硫安工場が現在一つあるというふうに私は記憶しております。しかも、年間一万トンを生産している。そこで沖繩の硫安生産をもっと拡大するようにすべきじゃないかと私は思うわけですが、その点、通産省側ともいろいろ協議していただきたい。現地で生産すれば輸送も少なくて済むし、輸送賃が全国の農家にはね返るということも少なくなるわけです。  さらに、北海道にも肥料工場が前には幾つかあったわけですが、現在は二工場になっております。そこで、私は、北海道、沖繩など、特に遠いところについて、大農業地帯という意味からも、肥料用の保管倉庫をつくって、備蓄して、安定供給をするということを当然考えるべきではないかと思うのです。と申しますのは、メーカー肥料を製造している個所がほとんど臨海工業地帯で、農家は山村地帯ということで、肥料を運ぶ足がなくなってくる。かといって、やはり、ナフサとの関係とか燐鉱石の関係で、北海道、沖繩あるいは東北地方に工場をつくるということも、採算上の問題、コストの問題等いろいろありますから、メーカーとしてもにわかに工場をつくるということはたいへん問題があろうかと思いますし、いま、国鉄ないしは船による輸送等もいろいろ論議してきましたが、こういったことを考えましたときに、やはり、当面できることは、北海道にしても、沖繩にしても、肥料用の保管倉庫をつくって備蓄をして安定供給をするということ、すなわち、流通段階にある現物の吸い上げを行ない、さらに横持ち増加分の吸収をするということをやって、金利、倉敷料をみてやるというようなことにすれば、農家の負担も軽くなるし、また、先ほどから論議しましたように、春あるいはまた年末に殺到する輸送なども、将来国鉄の集約化が事実上行なわれつつある段階で相当カバーできてくるのではないか、また、それができるようなきめのこまかい血の通った施策を農林省は強力に進めるべきである、かように私は提案したいわけです。  そういった意味で、沖繩、北海道の硫安生産拡大をどう考えるかということと、さらには、肥料用保管倉庫をつくって備蓄ということをすべきではないかということを私は提案したいわけですけれども、それに対する当局の見解を農林大臣から答弁を承わりたいのであります。
  132. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 農林大臣がお答えになる前に、肥料工場の問題につきまして私から御説明申し上げたいと思います。  沖繩におきましては、現在、原料を購入しまして、配合肥料とか普通化成をつくっている琉球肥料という会社がございまして、これが工場を持っているわけでございます。沖繩におきましては、ガルフその他の石油会社があそこで精製事業を行なっておりまして、ナフサ等の肥料原料供給する道はあるわけでございますが、ただ、量的にどの程度沖繩内で需要があるかというような問題もございます。肥料工場、特にアンモニア系の肥料工場ですと、小型のものをつくりましても、かえってコストが高いものになるおそれもありますので、需給状況等を十分調べました上で、この工場建設等の問題につきましては私どもも検討してみたいと思います。  それから、北海道におきましては、御承知のように、砂川その他のところに肥料工場があるわけでございますが、これも原料入手等の面から見まして、どの程度これ以上工場増設することが合理的であるかというような経済性の問題も検討する必要があるかと思います。  ただ、いずれにいたしましても、先生の御指摘のように、運賃その他の面の合理化という観点からいたしまして、消費地に近いところに工場があるということは一つの原則でございますので、経済性の面その他を私どもはできるだけすみやかに検討してみたい、かように考えているわけでございます。
  133. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいま、沖繩、北海道につきましての工場立地の問題につきまして通産省から答弁があったわけでございますが、いわば工場の立地と、それから、規模の利益と申しますか、それによるコストの問題、それらをかね合わせて考えなければならぬ問題であろうと存ずるわけでございますが、さらに、流通の問題といたしましては、要は末端に適確に物が届くということがポイントであるわけでございます。肥料需給が非常に逼迫した時代、かつての二法時代におきましては、確かにそういった備蓄の保管をしたこともございましたが、当時は非常に需給逼迫して、しかも運送も非常に窮屈であったわけでありまして、そういうときにおきましては、備蓄ということもあるいは考えなければならぬかも存じませんが、やはり、これは全体の需給状況によるわけでございまして、現在の需給事情からいたしますと、マクロ的には物は十分ある。もちろん、今回一時逼迫ぎみになったことはございますけれども、全体としますと、私どもは、供給増加させて需給にいささかも不安定を与えないというふうにやっておるわけでございますし、それからまた、全体需給のほかに、先ほど来お話しがございました工場立地とか、あるいは需要季節性とか、これから来る輸送の問題、流通の問題があることは御指摘のとおりでございますが、これにつきましても、工場立地と需要面とを見合わせまして、全農全国ベースで工場に対しまして末端に適確に物が供給されるようにという出荷指図をいたしておるわけでございますし、かたがた、もしも季節的に輸送が集中するという問題に対しましては、輸送のネックを除去するための協議会もいたしておりますし、かたがた年間輸送の平準化ということもやっておるわけでございます。  それらによりまして、末端に現物が届くことについてはまずまずだいじょうぶではなかろうかと思いますし、特に、倉庫をつくって新しく備蓄をするということに伴う負担と見合って考えますと、そこまでいかなくても末端への供給は円滑にいくんではないかというふうに考えておりますが、地域、地域で特殊問題もございましょうから、なお、いかにして末端に不安なく物を供給するかという見地に立ちまして、私ども具体的に検討してまいりたいと存ずるわけでございます。
  134. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いまの点について、そう心配のないような答弁でございますけれども、実際にはそうではないわけでございます。北海道、九州にしても、あるいはまた東北にしても要請が強いわけですが、そういったことを当局をして検討せしめるように、大臣からもいろいろと指導してもらいたいと思うのですが、大臣の見解をお聞きしたいと思うのです。
  135. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまの沖繩、北海道でありますが、北海道につきましては、先ほど通産省側からもお答え申し上げましたように、かなりの需要があるのではないかと私は思っております。やはり、それは、どういうふうな立地でどういうものをどのように考えるかということが必要なことであろうと思います。これはわがほうにおきましても至急に研究をいたしたいと思っております。  沖繩につきましては、御存じのように、長い間の基地経済で、労働力が非常にそのほうに吸収され、基地が若干縮小ぎみになってまいりましたら今度は海洋博というふうなことで、数日前私は現地に参りましたけれども、沖繩だけの労働力では足らないのでありまして、韓国、台湾から労働力を吸収しておりましたが、いろいろな事情で両国の労働者がほとんど引き揚げてしまったので、島内の労働力というものは非常に枯渇いたしておる現状でございます。そういう状況で、ただいま御指摘のように、もちろん本島のほうにも農業はございますけれども、先島はいろいろな有望な点もございますが、これもどういう肥料をどのくらいコンスタントに使われるものであるかということをわれわれの側といたしまして十分検討、把握をいたしまして、その上で対処をする。その上で対処をする場合、やはり必要なことは、いまお話しのございましたように、できるだけコストダウンをするような方向でどういう方法が一番いいかということを考えるべきであると思っております。御指摘がございますので、そういう点について十分検討いたしてみたいと思っております。
  136. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、さらにもう一点お伺いしますが、適期におけるところの肥料確保ということからいまいろいろ申し上げたわけですが、御承知のように、昭和二十九年の五月から昭和三十九年の七月までの間に、先ほど大臣からもいろいろ答弁されましたが、いわゆる肥料二法に基づいて——臨時肥料需給安定法第六条に基づいて、肥料の買取、保管が行なわれたことがございます。それが三十二年以後中止になっておりますけれども、これをぜひやるべきではないか、いわゆる補助金を出して将来考えるべきじゃないか、こういうようなことを私は指摘したいのですけれども、これをやめた原因と、当局は今後どういうふうに検討していかれるかということ、その点をお伺いしたいのです。
  137. 松元威雄

    ○松元政府委員 旧肥料法時代にはそういった保管という制度がございました。これは、まず第一は、需給事情がかなり窮屈であったという問題が第一点にございます。それから、第二点は輸送問題がございまして、したがって、末端に不安なく届けるためには末端でも保管したほうが供給確保上安全であるという事情で当時そういった措置が講ぜられたわけでございますが、これを廃止いたしましたのは、全体の需給が緩和される、したがって特別に別立てで保管するというまでのことはない、かたがた輸送面においても、そういう特別のことをしなくても輸送の確保ということで対応できるという、そういう全体の情勢からその後は行なっていないわけでありまして、その後の経緯を見ますと、これをやめたことによって需給が非常に不安定になったとか、末端で必要な時期に現物が来ないとかいう事態はその後特段に起こっておりませんものですから、私どもは、基本的には、いま言った全体の需給の問題と輸送の確保の問題について努力をいたしまして、前と同じような方法の保管制度はいま特段の必要はないのではなかろうかというふうに考えております。  要は、末端への安定的な供給確保でございますから、その方向で努力をしてまいりたいと存じます。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省、通産省にお尋ねしますが、時間が詰まってきましたのではしょってお聞きしますけれども、交錯輸送の是正の問題をお尋ねするわけです。これがまた肥料確保にはね返っている重大な一つ要素になっておるからです。  御承知のように、販売業者の従来からのメーカーとの結びつき、あるいは消費者である農民との結びつき等の問題もありますし、複合肥料銘柄整理などとも関連しまして、これは言うべくして実行がなかなか伴わないということで、現状、今日まで来ております。今後の輸送体系は、従来のように必要なときに必要な数量を確保するということはなかなかむずかしい状態が考えられるということから、当局は輸送についてはまず心配ないように対処するという答弁でありますけれども、事実はなかなかそうはまいらない。そこで、非効率な交錯輸送の是正をはかり、流通コストの軽減と輸送の円滑化をはかるということが大事であります。すなわち、足の長いところは商社系が受け持っており、比較的足の短いところは全農系がやっているというふうに一般的に言われておりまして、メーカー全農価格は同じだが、全農はもうけておるというふうに商社系はいろいろ指摘しておることも事実であります。こういったいろいろな問題が内臓しております。さらに、メーカー全農が押えているのでなかなか食い込めない。そのメーカー全農のシェアというものは大ざっぱに言って七対三ぐらいで、全農が多いというふうにも言われております。  こういったことを踏まえて考えるときに、肥料を高くしているものにいま申し上げました交錯輸送の関係があります。これはぜひ是正すべきである。農林省、通産省はこの点についてもっと真剣に取り組んで指導してもらいたいと思うのですが、冒頭に申しましたように、本法は通産ペースになっている、通産省側を向いていると指摘せざるを得ないところであります。時間の制約もありますので、この点についての今後の見通し、考え方について両省から簡潔にお答えいただきたい。
  139. 仮谷忠男

    仮谷委員長 簡潔に御答弁を願います。
  140. 松元威雄

    ○松元政府委員 肥料の輸送合理化対策につきましては、年間輸送の平準化とともに、御指摘の交錯輸送の排除の是正が必要であることは御指摘のとおりであります。  そこで、従来から、交錯輸送の問題につきまして関係者を集めまして、その是正につきましていろいろ努力をしてまいったわけでありますが、基本的にはこれは工場の立地ともからむわけでございまして、これまた規模の問題ともからむ、いわばコスト性の問題とも相関連するわけでございますので、こういった工場配置の問題とか、ただいま出ました複合肥料銘柄の問題とか、いろいろ関連があるわけでございます。そういうことをあわせて検討しておるわけでございますが、従来はとかく肥料供給が緩和でございましたものですからあまり十分は行なわれなかったわけでございますが、今後は受け入れられる素地も出てまいりましたものですから、銘柄整理とも関連をいたしまして、交錯輸送につきまして少しでもそれを軽減するようにという方向で指導を強化してまいりたい、そのように考えております。
  141. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料メーカーは現在も一応消費地に近いところにストックポイント等を設けて流通の合理化努力をしているところもございますが、将来にわたりまして、ストックポイントの強化について通産省としても農林省と協議をいたしながら指導してまいりたい。同時に、ただいま農林省からもお話しがございましたように、銘柄の整理ということは非常に大事なことでございますので、この点につきましてもメーカーを強力に指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いまの交錯輸送の問題は多年の問題でありますが、なかなかこれが解決できない。これがまた一つの問題です。  それから、いまの銘柄の整理の問題ですが、これがまた価格をつり上げている問題です。はしょってお尋ねしたわけですが、いま両省から答弁がございましたが、大臣はこの問題の解決には精力的に努力をしてもらいたいと思うのですが、大臣の所見をお伺いしたいのです。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  143. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 両省の間で十分相談をいたしまして、お話しのような点について注意をいたすつもりであります。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、けしからぬ問題として私は指摘するのですけれども、政府のコスト調査資料がなかなか早期に交付されないという問題があるわけです。四十八年度の肥料価格交渉日程を見ましても、四月十八日に交渉が始まって、二十四日、五月十五日、十八日、二十二日、二十五日、二十七日、三十日と、交渉が数回持たれ、そして六月四日に大体の話がまとまって、六月五日に実際の話し合いが終結するというふうなことになっておりますけれども、実際の決定が十二日。ところが、コスト調査が、取りきめられた価格農業及び肥料工業の健全な発展に支障があるかどうかを判断する上で実に重要な資料とされているわけですけれども、農林省側のやる政府コスト調査資料というものが六月七日に出て、実際は間に合わないということで、全農系ももっと早く出せと言われておる。これは形だけ出すにすぎないのではないか。妥当な価格をきめることができない。したがって、全農系統は手持ちの資料で交渉に当たっている。せっかく政府がコスト調査資料を出すというのに、これが毎回おくれている。昨年の例を見ても、昨年も四月の十八日から交渉が始まって、実際には六月の十三日に七月単月のみの決定がなされ、間に合わなかった。その後二十七日、七月七日、そして七月十三日に八−六月分がようやく決定したということで、政府のコスト調査資料が六月九日に出ているということで、これまたおくれておるということで、まさに形だけでございまして、事実上役に立っていない。当然必要な調査を早くやって、これらの交渉に十分な検討の材料とすべきものを故意におくらせているのじゃないか。こういったことから、農林省は企業に癒着しているのではないかということが指摘されておるわけです。なぜこんなにおくれるのか、この点、当局から御答弁をいただきたい。
  145. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料コストにつきましては、三月期決算の会社におきましては三月に締めまして、その後四月一ぱいぐらいは整理等にかかるわけでございます。  現在の状態を申し上げますと、肥料メーカーから報告の提出がございまして、現在農林、通産両省の担当官が実地に調査をいたしておるわけでございまして、本月末にはコストに関する政府としての調査が完了し、資料の交付もメーカー側並びに全農側に対して交付できるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、時間が迫ってきたので簡潔にお尋ねしましたが、そういったことで、せっかく自主交渉でいろいろやっておる中に、政府が参考資料として出すところの政府コスト調査資料というものがいつもおくれている。こういったことに対して、農林省も通産省ともよく協議をされてせっかく交渉に間に合うようにしなければ意味がない。こういったことはまことにけしからぬと思う。御承知のように、政府の直接介入といった事態を避けようとする考え方に立つならば、資料の早期交付等が必要な改善措置として講ぜられるべきであると指摘せざるを得ないのです。  今後十分その点について通産省とも相談をされて、こういうことに対しても十分な配慮がなされねばいけないと思うのですが、大臣の見解と今後の決意をお聞きしたい。
  147. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま通産省側からもお答え申し上げましたように、これからも政府はそういう必要な資料をなるべくすみやかに提出のできるように努力をいたしたいと思います。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、時間も詰まってきましたので、私は二点ほどお伺いして、当局の答弁を求めたいと思います。  まず、一点は、生産活動の合理化ということでございますけれども、現在の生産体系が、先ほど申しましたように、複合肥料の登録銘柄数が多くて、合理化すべきであるということが指摘されておるわけです。今日複合肥料として登録されている銘柄数が約一万七千で、その中で昭和四十七年中に実生産された銘柄数は約八千と言われております。いわゆる半分以下であります。その細分化は製造能力の限界にあるとされておりまして、さらにこのような事態に立ち至った原因については、先ほども若干お答えがございましたが、メーカーの販売量の拡大のための銘柄乱造の結果であるとか、あるいは農民の要求にこたえた結果であるとか、いろいろ言われております。さらには、両者の競合による等の諸見解があるわけでございますが、これでありますと、価格に相当はね返ってくるということで、これはぜひとも銘柄の集約化をすべきであると思うわけです。農民が求めるからといってつくるというような考え方は今日問題であります。農林省としても、こういったことが肥料が高くなる原因になっておるわけでありますので、価格引き下げのためにも、集約するために努力していただきたいということが一点。  それから、もう一点は地力の問題であります。これも私としてもぜひ指摘しておきたいところでありますが、最近の農耕地の地力低下が問題となりまして、その原因の一つに化学肥料の過度の使用があげられておるわけで、農業生産に必要な肥料養分の相当部分を化学肥料に依存している現状では、化学肥料、特に窒素成分の使用量の削減は直接的に農業生産の減少につながるおそれがある。農作物の高い生産性を維持していくためにも、土壌条件を良好に維持せなければならぬ。そのためには土壌への有機物の供給が必要であるということはもう言うまでもないことであります。そこで、化学肥料の使用等によりまして地力の低下をさらに来たさないように、有機物の土地への還元、土壌改良等の地力維持培養対策を強力に推進しなければならぬと思うのです。ところが、私たちが農林省の各関係者に接しているはだざわりでは、農林省としてはあまり危機感がないように受けとめられるわけです。こういったことではもうけしからぬと思うのです。  また、ことしの予算書を見ましても、農林省の予算の中に土壌保全対策事業というものが設けられて、その中に土壌汚染防止対策事業費というのが八千五百八十八万八千円組んである。前年度は一億一千八百九万八千円だったのが、ことしはかなり減っております。こういったものを見ましても、ほんとうに意欲的に取り組んでいない。かりに全国で、一アールで米が一俵地力の減退によって減産すれば、全国的には相当な減収になるというようなことを考えたときに、将来背筋に寒さを覚える気がしてなりません。  この二点について最後に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  149. 松元威雄

    ○松元政府委員 前段の銘柄整理の問題でございますが、これは、御指摘のとおり、従来いろいろな原因もあったわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の銘柄数は多過ぎるということは事実でございます。したがいまして、全農もその取り扱いの対象銘柄を減らすという方向を打ち出したわけでございまして、このような需給状態のもとではやりやすい素地もできているわけでございますから、現に全農は六百を約半分に減らすということを打ち出しておるわけでございますが、さらにこの方向に進むように指導してまいりたいというように存じております。  それから、後段の地力の問題でございますが、これも確かにきわめて重大な問題でございまして、化学肥料はもちろん生産される上で大事でございますが、同時に、あわせて有機質肥料を土地に還元するということの必要性はみんなわかっておりながら、特に労力が不足するということから、結果といたしまして有機質肥料の土地への還元が減ってきているということはいなめない事実でございます。しばらくの間はともかくとしまして、先々を考えますと、地力について非常に重大な問題を生ずるということを私たちも心配しておるわけでございます。  そこで、要はいかにして還元するかという、その手段、方法でございまして、一つには、いわば家畜のふん尿処理と関連いたしまして、それと畑作への還元とをいかに有機的に結びつけるかということですが、これにつきましては、いわばモデル事業の一部助成もいたしておりますが、そういうこともやっておりますし、それからさらに、水田に還元する方法としまして、いわば農家個々ではなくて、農家が集団的にまとまって、しかも能率のよい機械を使って能率的に生産する。これはもちろん技術的な問題もいろいろございますが、これについても一つの施策を得まして、その実験事業を本年から開始することにいたしております。  こういったことの技術的検討もさらにしなければならぬ問題もございますが、そういう試験研究の充実とあわせまして、労力不足に対応していかに能率的に有機質肥料を還元するかという、その手段、方法につきまして、さらに今後とも一段の施策の強化充実に努力してまいりたいというふうに存じております。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いま答弁がありましたが、銘柄の集約の問題と土地保全対策の問題、このことについて大臣の見解を承りたいと思います。
  151. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 銘柄のことにつきましては先ほどもお話しを申し上げましたが、これはいま事務当局からお答えいたさせましたとおりでございます。  地力保全につきましては、四十九年度予算で、その基本調査で十六万八千ヘクタール、大体五千二百万円ほど予算をとりまして、私、この点は非常に大事な点であると思いますので、技術会議等においても十分勉強させておるわけであります。これをどのようにしてまいるかということについては、たいへん大切な問題でございますので、ただ検討だけではなくて、なお実験してまいるつもりで予算措置を講じておる次第であります。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で、質問を終わります。
  153. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、島田琢郎君。
  154. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 今回の法案につきましては、提案されている内容は単純なものとされておりますが、従来から、肥料、特に化学肥料と言われているこの問題については非常に大きな関心を払っていかなければならない部門であるとされているわけであります。この法律は、昨日からの政府側の説明によって明らかなごとく、内需確保輸出を円滑に行なうというたてまえによってつくられているのだというふうに強調されているわけでありますが、私は、まず、昨年の暮れ以降起こりました肥料確保という問題について末端においてたいへんな混乱が起こったという事実は、はたして本法が正しく機能しているということが言えるかどうかということについて、その時期について深い疑惑を持ったのでありますが、石油パニック状態の中で、特殊な条件の中であったからといって言い過ごすことのできない問題ではないかと思っております。  特に、昨年十二月に入ってからの動きを見ますと、従来は、大体十二月中に農家の庭先に翌年度使用の八〇%くらいは確保されていたのでありますが、ところが、昨年は、ひどいところは三五%くらいの確保で、あとの見通しが立たないということで、春先の農耕用の石油確保あるいは石油資材確保とともに、四十九年の春耕期に向けての化学肥料、購入肥料がはたして完全に確保できるかどうかという点について、農家の中からたいへん心配が起こりました。しかし、私どもは、従来、この肥料価格安定法があるのでそういう面は心配ないと考えておりましただけに、質問をされても、単に石油がこうなったからこうなったのだという説明だけで言いのがれすることのできない、非常に説明のしにくい問題だというふうに当時受けとめていたのであります。第一、そういう状態もあらかじめ想定されてこの法案はでき上がっているものという理解に立てば、そういうときにこそほんとうにこの法律が機能しなければならないはずのものだと考えておったのですが、原因や経過について説明を受ける必要はないと思いますけれども、私がいま指摘をした点について、今後五年間の延長措置をもってすれば再びこういう状態が起こることはないということをわれわれとしては期待をいたしておりますけれども、しかし、起こらないという保証はない。  こういうことを考えますときに、本法に不備があるのではないかという点について、政府当局としてはどのようにこの面を考えていらっしゃるのか。まず、第一点として、そのことをお伺いいたしたいと思います。
  155. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまお話しのような時期につきましては、石油が初めは供給の制限が伝えられた。その次は非常な価格高騰が伝えられてまいりました。石油について、ことに重油等につきまして、農村地方におきましても非常な不安を感じました。したがって、何となく物を大切にしまい込んでしまうという風潮が出てくることは、ああいう一般の社会情勢の中ではありがちな事態であろうと思っておりますが、島田さんすでに御存じのように、わが国における肥料生産につきましては、特段にそのために生産量を落としたということもございませんし、したがって、本法を適切に運用することによりまして、その事実の不安は除去されましたことは御存じのとおりでございます。また、一般の国際社会のことでありますので、何が突発してくるかということは、われわれもそう遠くまで予測することは困難でありますが、現状状況におきましては御存じのようなことであります。  ことに、田中総理が東南アジア地方を歴訪いたしましたときに、ある国では日本に対して肥料供給を訴えた。そういうようなことが新聞に報道されると、そんなことを言ったって国内需給はどうなんだというふうな不安の声も出てまいりましたが、総理も、予算委員会等でお答えしましたように、内需を優先的に確保するんだということを言っております。私どももしばしばお答えいたしておりますように、政府の方針はそういうことでございますので、現在の一般的状況で判断をいたしますと、私は、先般の御不安というのは、一般社会通例にありました御不安がああいうことになったのである、しかし、幸いに今日は安定している、なおこういうことを念頭に置きながら行政の指導をしてまいりたい、このように思っております。
  156. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 大臣のおっしゃることは、なかったらまだまだたいへんなことになったんだが、あったからこの程度で済んだということのお話しのようでありますが、私がなぜこれを言うかといいますと、長期的に見て、昨年末あるいは今春にかけて起こったところの、一時的にもせよ、こういう不安という状態がなぜあるのかという点を考えますときに、資源といいますか、原料に対する考え方というものをこの辺で改めておかなければならぬのではないかという考えがあるからであります。というのは、硫安精製の過程におけるいわゆる原料ナフサの問題があるわけであります。これは単に歴史的な経過から言えば、コストが安くつくからという理由のもとに、従来の採取方式を改めて石油原料に依存をするという方向に大半切りかえられたということがある。この石油原料というものは、単に肥料の問題に限らず、巷間伝わるところによれば、半世紀持つか持たないかということが指摘されている。すなわち、有限の資源であるということで、これは共通の認識があるはずであります。そうしますと、長期的に見て、原料、いわゆる資源に対する考え方というものをこの辺で根本から改めるべきで、単にコストが安いというだけの理由をもって有限の資源にたよるような製造工程方式を継続していくということは非常に問題があるのではないかと私は思うのであります。  そればかりではなくて、それぞれメーカー工場の動く過程では重油が主体になっている。これまた石油でありますから、石油パニックが起これば、そこにも大きな影響が出る。あるいは電気を使えば、それもまたそういう影響下に置かれる。こういうふうに考えますと、国内生産の段階におきます石油オンリーの考え方というものを改めておきませんと、さらに今後における状態というものが危機状態におちいったときには、大臣がこの程度で終わったので幸いだったとおっしゃっているようなことでは相済まぬと私は思うのであります。  したがって、この法律の中においてもそういう点を十分検討されてしかるべきだと考えておるわけでありますが、これは局長でもけっこうでありますが、再度この考え方について——通産省もおいででありますが、こういう基本的な根本的な問題の検討ということが必要だと私は思うのですが、お考えはいかがですか。
  157. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 御指摘のように、現在のアンモニア窒素肥料原料といたしましては、ナフサ、天然ガス、LPG、原油等、ほとんどが石油系の製品によって占められておるわけでございます。石油資源が有限であるというのも事実でございます。ただ、今後の世界的な認識といたしまして、有限である石油資源を燃料あるいはエネルギーとして使うということは大いに反省をしなければならない。石油資源は可能な限り原料——たとえばいまのアンモニア系の窒素肥料等もそうでございますが、原料に優先的に振り向けて、この有限な資源をできる限り長いこと使えるようなことを考えるというのが世界的な認識でございまして、わが国におきましても、省資源、省エネルギーという産業構造の転換が一九七〇年代以降の大きな問題でございますので、通産省といたしましても、そういう方向に向かいまして現在鋭意検討を進めておるところでございます。  なお、基本的に考えますと、そもそもアンモニア窒素肥料というのは、昔は、水を分解いたしまして水素をつくり、これに空気中の窒素をまぜてつくるということであったわけでございますが、したがいまして、水を分解する動力がありさえすれば、この石油系の資源を使わなくても済むわけでございます。  そこで、電力の今後の確保の問題でございますけれども、先般通産省が計画を立て、鋭意進めておりますサンシャイン計画というのも、実はそういうねらいも一つあるわけでございますが、サンシャイン計画というのは、簡単に申し上げますと、現在のような石油を中心とする火力発電を漸次改めて、将来、地熱の問題とか、あるいは原子力の開発とか、さらにもっと将来の問題としては太陽熱の利用等によりまして電力確保をはかっていく、日本のエネルギーの確保をはかっていくということでございますが、太陽熱の利用等につきましては、これはいま直ちにの問題ではございませんで、おそらく二〇〇〇年当時の問題になるかと思いますけれども、いずれにしましても、地熱等の手近なところから代替エネルギーの確保をはかっていくということを考えておるわけでございます。  石油資源の有効活用の問題と同時に、このサンシャイン計画を中心とする代替エネルギーの開発ということで対処する必要があるかと考えておりますが、これは法律の問題と申しますよりは、国の一つの大きな施策の問題でございますので、通産省としても、この点は今後の課題として、最重点施策として取り上げていく所存であります。
  158. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 サンシャイン計画などの御披露もあって、考え方の基本になるものはわかったわけでありますが、これは非常に真剣に考えなければならない問題だと思うのです。ですから、コストだけを追及するというやり方で有限の資源を食いつぶしていくというようなことに肥料も加担をするというようなことはこの機会に改めてはどうですか。水や空気でもってできるというこの方式があるのですからね。ただ、電力確保という問題にまで触れていまお話しがあったわけでありますけれども、そこまでの議論を発展していきますと、ちょっとこの時間では十分意のあるところをお聞きすることができないのですが、私は、こういう肥料法の改正にあたっては、いま申し上げたような基本の問題についても真剣に検討を続けながら、必要によってのいわゆる方向転換をはかっていくということをお考えにならないとこれはたいへんなことになると思うのです。  というのは、一つは、これも昨日からいろいろと説明がなされておりますとおり、内需もさることながら、いわゆる輸出の面についての各国の要請が非常に強い。だとすれば、相当量これから生産をしていかなければならない。よその国に肥料を使ってもらうのによその国から買ってきた原料をもとにしてやっていくというようなやり方では、結局最後は日本石油を食いつぶした張本人だということになりかねないのですから、せっかくたくさんある空気と水を使って、それこそ有効に諸外国にも利用せしめるという形がとられていくことのほうがまっとうなやり方ではないかと私は思うので、その点を指摘をしておきたいと思います。  そこで、これもまた昨日から重ね重ね質問に立つ各委員から指摘をなされている点でありまして、私も同じような質問になって恐縮でありますが、輸出価格国内価格のアンバランスといいますか、いわゆる不都合な価格体系については幾つかの説明がなされておりますものの、いま一つ農民感情としてはどうにも納得のできない点があります。先般、私は、ヒヤリングをいたしましたときにも、この問題について、肥料機械課長から、その考え方のもとにあるもの、それから実態についての説明を受けておりますが、しかし、日本の農民としては、何と説明を受けても、どうも納得ができない。同じ局の肥料と機械を扱う課長の段階で説明をされても、これも従来から強く指摘されておりますように、使う機械は諸外国の農家の使う機械の倍近い、あるいは倍以上の機械を使いながら、畑に施す肥料はこれまた外国に売る価格よりも高い価格を押しつけられているというような点はまことに納得ができない。機械の問題はきょうの質問の本旨ではありませんからこれ以上触れませんけれども、片や高い機械を使いながら、そしてまた高い肥料を使わせられるということについて、これに対する農民の感情というものは容易な説得ではなかなか理解しがたい点であります。企業上のいろいろなコストの問題とか、あるいは全体の経営上の問題等が背景にあるという点については、われわれはある点では理解ができますけれども、しかし、これは何とかならぬものなんだろうか。政治的にも行政的にも全くこれはギブアップでどうにもならぬという部面なのかどうか。その面に対するこれからの努力があってしかるべきだと私は思うのですが、現状はやむを得ないとして説明されるだけでは私は納得できない。しかし、昨日の説明にもあったように、最近は、価格的には、輸出価格、いわゆる国際価格が非常にタイトになってきているから、今度は逆に国内価格よりも輸出価格のほうが上がる、だからいままでのようなことはありませんという説明ですけれども、それでは、いままで何年かにわたって、この法律ができ上がって以来高い肥料を使わせられた——これはきわめて単純な言い回しでありますから、あるいはそんな単純な理解では困るということになるかもしれませんけれども、しかし、きわめて単純な結果によって農民感情としては非常に理解できないということに現状はなっているのでありますから、その面についてもう少しわかるような説明がなければいけないと私は思うのでありますが、局長、いかがですか。
  159. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料の国際価格国内価格の問題は非常に議論のあるところでございますが、御承知のように、国内価格につきましては、肥料生産費を基準といたしまして農業団体並びに肥料メーカーの間で価格が取りきめられておるわけでございます。また、輸出価格につきましては、そのときどきの国際的な需給関係によりまして価格がきまっていくわけでございます。  肥料国内価格を考えます際に一番大事なことは、これは特別の事情がある場合にはやむを得ない場合もありますけれども、できるならば年度間を通して価格が安定をしておるということと、それから地域的にもばらつきがない、全国の農民が同じような価格で買えるということでございます。輸出価格国内価格との間のせきを取っ払って考えますと、国際価格はときの需給状況によりまして逐次変動するものでございますが、その変動する価格国内価格にそのまま及ぼされますと、国内農民にとりまして非常に大きな混乱を起こす危険もあるわけでございますので、やはり国内価格と国際価格というものは遮断をする必要があるというふうに考えるわけでございます。  次に、いかにして国内の農民に低価格肥料供給するかということもこの法律一つの大きな目的でございますが、これは二回にわたります窒素系肥料大型化合理化によりまして、過去十年近くの間に漸次コストは下がりまして、そのメリットは農民に還元されたわけでございまして、この面では、昨年の十二月以前の状態におきましては年々低位に推移してきたと言えようかと思うのであります。  ただいま先生が御指摘のように、にもかかわらず国内農民が外国の農民よりも結果としては高い価格肥料を買わされているということは、素朴な感情として納得できないという点もございますけれども、ただいま申しましたように、国際価格国内価格との間で一つの遮断をして安定をはかるということが一つの大きな眼目でございますのでこういうことになったわけでございます。  なお、肥料メーカーといたしましては、設備大型化にあらわれておりますように、できる限り設備大型化してコストを引き下げ、その操業度を高めて安い肥料生産するということで努力をいたしておったわけでございますが、輸出が増大いたしますとアンモニア設備操業度も上がってまいりますので、その分は当然コストの低下ということになりまして、これがやはり国内価格の引き下げの要因になっておるわけでございます。特に、三十九年以降メーカーが政府筋の奨励もございまして設備大型化に取り組みましたのは、一つには設備大型化による合理化のメリットを国内価格に反映いたしたいということと、同時に、当時の国際的な需給情勢を勘案いたしますと、東南アジア諸国をはじめとして日本に対する肥料輸出要請がかなり強いという見通しのもとにやったわけでございます。結果としてはコストは下がりましたけれども、ただ、発展途上国肥料輸入状況は当時考えておったほど伸びませんで、そのために国際的に肥料需給状況が非常にゆるみまして、価格も低下をしたというような事情があるわけでございます。
  160. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 商行為の原則から言えば、需要があって初めて価格が形成されるということをおっしゃっているわけでありますが、それはそのとおりであります。しかしながら、国内需要確保するという大前提があって、それは量だけ確保すればいいという問題ではない。いまの説明によりますと、外国輸出をする、あるいは大型化をするという、そういう合理化あるいは販売のシェア拡大等をはかりながら、その分のメリットを国内需要価格に反映せしめてきたと言うのですが、事実はそうなのかもしれません。しかし、まっとうな商行為の原則から言えば、こちらが売る価格というものはコストを割るべきではないという原則はあると思うのですね。いまのやり方、いままでのやり方というものは、極言すれば、まさしくダンピングであります。国内価格コストを基礎にして販売価格をきめていくが、国際的には需給上のたてまえをとっていくんだ、場合によっては安売りをせざるを得ないということですが、これは、一年とかある限られた期間だけの状態を考えるときにはそういう状態があるかもしれませんが、しかし、長い間を振り返ってみますと、ほとんど毎年そういう状態輸出がなされてきている。  これから先も、いまタイトになっているからいいとおっしゃるかもしれませんけれども、しかし、現実には、精神としては、諸外国要請に基づいて安売りをせざるを得ないという考え方をこれから貫いていくお考えのようであります。私は、これはどうも納得ができないし、矛盾であると思うのであります。現象的には高かったり安かったり、いろいろとそういうことがあるでしょうし、そのことを私は否定はいたしませんけれども、しかし、やはり、日本の国の農政は日本人のやっている農業を優先させるということでなければいけないし、量ばかりではなくて、価格もそうしなければいけないと私は思う。これまた極言かもしれませんけれども、かりに外国にダンピングをして売っているのであれば、国内価格だって場合によってはダンピングしても売らざるを得ない、そして農民に確保してもらわなければならないという、そういう姿勢が一つ基本になければ、日本の農民はたまったものじゃないのであります。いろいろなやりくり算段の中から、結局最後は国内価格にも反映せしめて、低位価格に押えているんだからこれでいいではないかというお話しだけで、ああさようでございますか、日本の農民よ、かくかくしかじかの状態だから納得しなさいというふうには私はどうも説明がつきません。これは何とかうまい方法ないのですか。大臣、どうなんでしょうか。
  161. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 その辺は経営に関するむずかしいところだと思いますが、いまも御説明があったようでありますが、生産を拡大していくことによってコストダウンをすることができることは島田さんも否定されないだろうと思います。ことに、海外に出す場合に、わが国のものはコストがこれだけかかっているんだからほかのものより高いのだと言いましても、やはり、国際マーケットではそういうことは通らないのじゃないかと思います。したがって、国際市場においてある程度の販路を持ってまいりますには、国際価格に匹敵した価格で出すよりいたし方がない、これもわかることだと思います。  そこで、海外に出すものにつきまして、最近の状況を見ておりますと、国際価格も逐次高騰してまいりまして、最近では国内肥料の大体八割ぐらいの価格まで国際価格高騰してきている模様でありまして、逐次接近してきております。それやこれやを考えてみますと、御承知のように、いろいろな肥料をつくります場合の原料——石油化学をやってまいります中間に出てくる副産物を利用して肥料をつくるわけでありますから、その辺のところは数字的なものを私自身が把握しておるわけではありませんけれども、通産当局はそういうことを十分検討しておると思います。そういう点を考慮いたしますと、海外で、ことに昨今は肥料を要求している国が非常にたくさんございますので、そういうものに出すことによって生産が拡大されて全体のコストダウンができるということはきわめて効率的なことではないだろうかというふうにわれわれとしては考えておるわけでありますが、肥料が、原料高騰によって国内需要価格高騰するということはできるだけ避けなければなりませんので、そういう点についての検討はさらに通産当局にもお願いをいたしたいと思っております。
  162. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私は先ごろ中国に参りましたが、中国で、ある日、日本農業と題する講演をやってくれということになりまして、私は講演をやるような柄じゃありませんでしたけれども、まあ、講演のほうは別として、「日本農業現状」という問題で三時間にわたってお話しをいたしました。そのあとで質問をしたいということで、いろいろな質問を受けたのでありますが、その質問の大半は、日本の反収が非常に高いということに関連しての、いわゆる施肥設計の問題に質問が集中いたしておりましたが、非常に関心が高い。なるほど関心が高いのはあたりまえで、この資料によってもはっきりしておりますが、硫安尿素輸出先の大宗をなすものは中国で、硫安は約五〇%、硝安が六三%ですか、とにかく非常に高い輸出シェアを中国に持っている。なるほどむべなるかなと私は思ったのでありますが、この中国の肥料に対する関心というものはさらに今後も強まっていくと思います。しかし、私はそこで強調しておきました。あなた方に差し上げている尿素にしても、硫安にしても、実は、私ども日本の農民が使っている肥料価格よりも非常に安く上げているんですと言ったらみんなが首をかしげているんですね。そして、それは変な話じゃありませんか、私どもはたいへん安くいただいているから助かるのだが、それじゃ日本の農民はたいへんですね、と、こういう反論が返ってまいりました。私はことさらに何もそのことを強調するつもりで申し上げたのではないのですけれども、今後の空気から言うと、中国の日本に対する化学肥料要請というものは非常に高まるというふうに一面受け取りながら、平等互恵という精神に立って中国は日本農業を見詰めているという点を考え合わせますときに、私は、これは相当理解が得られるというふうな感触を当時得たのであります。不当に高いという表現は用いませんでしたけれども、しかし、お国ばかりじゃない、実は、よその国に対しても日本の農民が使っている肥料価格よりも安く差し上げているんですという説明はきちっとしたのでありますが、そのことについては、それはどうも初めて聞く話だがたいへん理解に苦しむというふうに言っておりました。  だから、ことしからうんと上げてやってもいいというわけにはまいらぬということはいま大臣からもお話しのあったとおりですし、あるいは通産省の局長からもお話しがあったとおりでありますから、私はそれを短兵急に申し上げるつもりはございません。しかし、この辺は、取引にあたって話を詰めていっても十分話し合いができる部分ではないかという感触を得ているのでありますから十分御検討を願いたいと思うのでありますが、通産省、この辺の話は、ここにあげられているおもな輸出先国との間において話し合いをしているのでしょうか。
  163. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 従来、肥料輸出価格の交渉の際に一番手ごわい相手でありましたのは中国でございますが、その中国も、最近の肥料コストアップの要因並びに国際的な需給事情等も考慮いたしまして、ある程度の値上げに賛同をしている状態でございます。その他の東南アジア諸国あるいは中近東諸国等につきましても、コスト現状、それから国際的な需給状況——国際的な需給状況は、特に中近東諸国におきましては日本のみから買っているわけではございませんで、ヨーロッパ諸国からも入れているわけでございますので、先方のほうがよく承知しているかと思いますが、こういう事情も考慮いたしまして、輸出価格は漸次上がってきておるわけでございまして、おそらく、今年の末には、輸出価格を平均いたしますと、国内価格並みか、あるいは若干上回るというような状態になるのではないかと思っております。いずれにいたしましても、日本は好んで外国にダンピング的な価格輸出しているわけではございませんで、可能な限りいい値段で輸出できれば、それにこしたことはないわけでございますが、遺憾ながら国際的な需給関係がございまして、かつ、肥料輸出につきましては、国によりましてヨーロッパ諸国あるいはアメリカ等との競争関係にもありますので、おのずから需給関係を反映して、最大限の努力をしながらもきまるところにきめられているというのが実情でございます。
  164. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 さらに、特定肥料として本法の対象肥料になっている以外の燐酸肥料、それからカリ肥料については、実態はどうですか。国内価格輸出価格の差はどれくらいになっておりますか。
  165. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 硫安尿素、塩安——ア系窒素肥料と申しておりますが、これが輸出の大宗を占めておるわけでございます。いまの先生のお話しの化成肥料等については、四十七年度の輸出実績が約二十四万トン、それから四十八肥年、ことしでございますが、ことしは十万トン程度見通しということでございますが、この化成肥料輸出価格は大体国内価格、あるいはそれを上回る、こういうようなところできまっておるという実情でございます。
  166. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 これからの見通しとしては、タイトの状態からさらに上回るという輸出価格の推移にあるということでありますから、これからは心配はないというふうなお話しでありますが、しかし、考えてみると、これはきわめて単純率直な言い方ですけれども、われわれ日本の農民はずいぶん長いことえらい損をしてきたという感情というものはここしばらくはぬぐい去れないだろうと思うのであります。ですから、できるだけ努力をして、いままで分を含めて損害部分を埋めていくくらいの努力を払っていただかないとこれは容易に納得できない、こういうことでありますが、先へ進みます。  さて、価格問題でありますが、この肥料業界においてはカルテル行為は認められているということ、いわゆる除外をされているという業種であります。この価格のきめ方というものも私は非常に心配があります。いまの法律によりますと、メーカーとユーザーの話し合いによってきめる。行政庁が責任を負うという部分はほとんどない。あくまでもコスト中心にして、話し合いによってきめる。そこに若干の行政指導を行なっていくのだ。しかも、指導ということばではなくて、まことにやわらかいことばで、これは法第三条による文句でありますけれども、「農林大臣及び通商産業大臣は」云々ということばから始まって、「前条第一項の取決めの締結に関し必要な勧奨又は助言を行なう」という程度にとどまっています。もちろんそれはメーカーとユーザーの話し合いを尊重するという立場に立って、あくまでも円満な解決を望むという立場の言い分だろうと思うのでありますが、前段まで議論してまいりましたところの国内価格輸出価格のこういう状態というものを是正するということに努力をしなければならない責任が行政庁にあるのですから、価格決定にあたって、もっと積極的に行政上の指導あるいは勧告等が行なわれてもいいのではないかというふうに私は考えます。幸いにして、経過を見ますと、先ほど局長の説明にもあったように、メリット分の還元を行ないながら低価格に推移せしめるための努力を払ってきたということでありますけれども、それがはたして適正なものかどうかという判断は、これだけの説明では私は納得しがたいものがあると思うのであります。  ですから、この際、価格決定にあたっての行政庁の果たさなければならない役割りというものはかなり明確にしておかなければならぬと思うのですが、この点は、所管の局長としてはどうお考えですか。
  167. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料価格の取りきめにつきましては、農林省並びに通産省が責任をもって指導する立場にございますが、最初に私のほうから御答弁申し上げたいと思います。  この法律の第二条に「価格取決め」というのがございますが、その第二項に、価格につきましては、実は一号から五号までございますけれども、一号は「農業又は肥料工業の健全な発展に支障を与えるものでないこと。」ということ、それから二号が「不当に差別的でないこと。」ということで、三号以下にも云々というのがございますけれども、この第三項に、「農林大臣及び通産大臣は、第一項の規定による届出に係る取決めが前項各号に適合するものでなくなったと認めるときは、その取決めを締結している者に対し、その変更又は廃止を命じなければならない。」ということがございまして、したがいまして、価格を取りきめましても、それにつきましてあとから変更とか廃止とかいうような命令も出せるようなことになっておるわけであります。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  なお、先ほど御指摘のように、第三条におきまして、必要な「資料の交付等」をいたしまして、それから「勧奨又は助言を行なう」ということになっておりますけれども価格届け出がございます際に、この第二条第二項の各号に掲げておる事項に適合しているかどうかということも十分見きわめまして、私どもは、もちろん農林省と十分協議をいたした上でございますけれども、この届け出を受理すべきかどうかということを決定いたしておるわけでございます。
  168. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 先ほども瀬野委員から、いまのお話しの中にも含まれるだろうと思われる「資料の交付」という問題についても、やり方として、のろまっかしくてきちっと機能していないじゃないかというきわめてきびしい御指摘があったのであります。そういう問題も含めて、勧奨とか助言とかという程度のそういう考え方しかこの法律でもうたわれていないし、また、考え方もその域を出ていないから、いまおっしゃるようなことで、価格問題の検討にあたって、行政庁がはたして正しい機能を果たしているのかどうかという点に疑問があるということを踏まえて私はいま質問をいたしたのであります。  そこで、いろいろな見通しどもなされておりますけれども、これから先の価格を決定するにあたって、企業の合理化とかそのほかの問題などを考えていきますときに、必ずしもコスト低減に向かって進み得る可能性というものがあるかどうかという点には、いま非常に疑問が出ている。むしろかなりコストがアップされていくだろうということが、この窒素質肥料について限定してみても見通される。いわんや燐酸肥料カリ肥料のようによその国に原料をたよっているような状態は、ことしも出てまいっておるように、価格面においてコストを低減するという方向にはなかなか向かい得ないばかりか、燐鉱石あるいはカリ原料になる問題についても、やはり、有限である限りそんなに原料が安くなるというようなことは考えられない。むしろこれから相当高くなっていく傾向にあるというふうに考えますと、この特定肥料燐酸カリも含めて、価格の決定という段階において十分検討すべきものではないかと思うのです。  話が逆戻りしたような感じでありますけれども、特定肥料のワクの拡大、いわゆる燐酸カリも含めるという形でのこの法案を整備するというお考えはないか、この点を聞きたいのであります。
  169. 松元威雄

    ○松元政府委員 関連する御質問でございますが、まず、価格につきまして、行政サイドの指導の強化と申しますか、そういうお話しがございまして、これは基本的には通産省から答弁がございましたから重複は避けますが、御指摘のとおり、従来は、硫安尿素につきましては、合理化メリットによるコストの低下という効果は非常に顕著でございまして、したがいまして、価格につきましてもそれに見合って下がってきたという実態があったわけでございますが、昨年末来の石油問題に端を発しまして、本年一月には従来下がってきたものが逆に上がるという事態になりましたし、さらに、燐酸肥料カリ肥料につきましては、輸入原料の関係で価格上昇が大きいという問題で、今後は御指摘のとおりコスト低下の要因よりも価格上昇要因のほうが大きいんじゃないかと思います。そういたしますと、いわば価格に対して行政が適正に関与するということばは適当でないかも存じませんが、その指導をわれわれもますます十分考えなければならぬ、ますますその必要は強まっているというふうに考えている次第でございます。  その意味におきまして、現在法律の対象となっております硫安尿素につきましても、たとえば今回の値上げに際しましては、あらかじめ指導いたしまして、ナフサ、重油、包装以外の値上げは認めないぞということをあらかじめ両者に指示をいたしまして、その結果はこういう引き上げになったわけでございますが、そのようにもっと積極的に働きかけなければいかぬというふうに考えているわけでございますが、今後はますますそういったコスト上昇要因が大きいわけでございますから、特に現在対象になっておりません燐酸肥料カリ肥料、それからそれに窒素分を合わせました化成肥料につきましては、従来は対象になっていなかったわけでございまして、それにつきましてはこれまでに答弁をいたしたわけでございますから重複する答弁は避ける次第でございますが、御指摘のように、これらにつきましては価格上昇要因も大きいわけでございますし、それから特に化成肥料は、需要量は量としては一番大きいわけでございます。そういう意味で、技術的にかなりいろいろむずかしい問題はございますが、化成肥料をこの法律の対象に取り上げるということにつきまして、これはいろいろむずかしい問題はあることは十分承知してございますが、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
  170. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 コスト調査にあたって、原価報告書作成規程というものが策定されていて、いまおっしゃるような点について、それをもとにして行政指導をされるわけだろうと思うのでありますが、この原価報告書作成規程の運用にあたって、これまた的確に作用しているかどうかという疑問があるのですが、これはちゃんとやっているということになっておるのですか。
  171. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 現在本法の対象になっております硫安及び尿素につきまして、原価計算は原価計算準則というものを農林、通産両省で定めまして、これをメーカーに指示いたしまして、このとおりのものを出させておるわけでございます。  なお、メーカーから提出されました報告書につきましては、両省の担当官が実地に調査をいたしまして、その正確さについて査定をいたしておるわけでございます。
  172. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 その正確さというものの基準はどこに置いているのですか。
  173. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 かかったコストを正確に計上しているかどうか、いわゆる水増し的な要因がないかどうかということでございます。  なお、昨日も議論がございましたが、硫安の、回収硫安につきまして、廃酸の評価等の問題につきましては理論的にはいろいろ議論のあるところでございますけれども、この点につきましてはメーカーによりまして評価のしかたがまちまちでございますけれども、平均いたしますと、硫酸に例をとりますと、新たに購入いたします硫酸に対して三割程度の評価をいたしておるわけでございまして、平均いたしますとおおむね妥当なところではないかと考えております。
  174. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 この輸出価格の場合は、国内向けとの関連において、その企業の持っている性格から言っても、必ずしも独立採算ということには相ならぬだろうと思うのです。私は先ほどダンピングだという言い方をいたしましたが、こうした部分については、コストとして、どのように国内価格決定にあたっては見ているのですか。
  175. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 原価計算を調べておるわけでございまして、企業の損益の状態を調べておるわけではないわけでございます。輸出価格が低いということは損益の面では影響は出てまいりますけれども、原価計算の面では、輸出の分で生産が幾らあって、そのために全体として操業度は幾らになって、その結果それぞれの費目ごとにコストは幾らになるかということを調べておるわけでございますので、輸出価格の高い低いということはコストには影響はないわけでございます。
  176. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そうすると、国内価格コストである。輸出価格コストを割って売っている。当然企業としては赤字が出ますね。その赤字はどういうふうにして処理されているのですか。
  177. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料会社はおおむね総合化学メーカーでございますので、もちろん会社によりまして肥料のウエートは違っておりますけれども、その他の、肥料以外の部面の化学製品の製造、販売によりまして会社全体としての経営を保っていくということになっているのが実情でございます。  なお、輸出につきましては、これは一番極端な例を申しますと、現在ある設備をできるだけフルに稼働する状態になるように輸出の申し入れがあることが望ましいわけでございますが、その際に、コストの中には変動費と固定費とがございますけれども、変動費をまかなえればやむを得ない、それ以上にさらに幾らかでも固定費の部分の償却に役立つことができれば、企業としてはそれだけコストが安くなるわけでございますので、望ましいということになるかと思います。
  178. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 経営論ということになるのでしょうけれども、私はしろうとだからよくわからないのですけれども、しかし、しろうと考えで言えば、それは国内肥料輸出肥料との間で損した部分を埋め合わせるというようなやり方はしないけれども、総合経営だから、よその何かやっていることでこの部分を埋めているのだといういまの御説明だと思うのです。そのよその何かというものに結局は赤字部分が負担されていく、転嫁されていく、こういうことになるわけですね。ですから、きょうは肥料の問題だけ議論しているのだから、それはそれで、おらほうのほうにそれが負担がかかっていないのであればまあまあだなということになりますけれども、企業の本来のあり方から言えば、それは非常に不正常なあり方だということになりますね。それは長続きしますか。
  179. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料のウエートの高い化学会社は、全体として見ますと確かに営業成績はよくないわけでございまして、同じ化学会社の中でも、肥料のウエートの少ない会社のほうがどちらかといいますと営業成績が上がっておるというのが実態でございます。これは輸出価格が安いということもございますが、国内価格につきましても、コストをもとにいたしまして、たとえば昨年の末に行ないましたように、いろいろ値上がり要因はあるけれども、その中できわめて明確に上がるというナフサあるいは包装材料とか、きわめて限定したものしか値上げを認めないというような事情もあるかと思います。いずれにいたしましても、肥料の製造を行なっております化学会社としましては、三十九年から四十六年までの間、設備についての大型投資を行なったわけでございますが、その投資をした時点におきましては、国際的な需給関係等もある程度想定しまして、大型化設備をやっても採算はよくなるであろうという一つ見通しがあったわけでございますが、発展途上国農業生産が思ったほど伸びなかったために、肥料需要もそれほどふえなかったというような一つ見通し違いもございまして、そのために、昨年の半ばくらいまでは、特に肥料輸出価格について予想を下回るような赤字が出ておるということになろうかと思います。
  180. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 その理由や原因はそうだと思うのですよ。だけれども、企業はいま跛行経営ですね。これをやがて正常な歩行に戻そうとすれば、どこかにそれを持っていかなければ正常な企業経営が成り立たない。一番持っていきやすいのは、やはり国内価格に反映するものということになるのじゃないかというおそれを私は持っているから、正常な状態を取り戻していく過程における取り扱いは非常にむずかしいのだが、その点は十分考えておきませんとこれはたいへんなことになりますよということを私は警告をしておるのであります。これは十分聞きとめておいていただきたいと思うのであります。  時間の関係で先へ進みますが、先ほどもほかの委員が指摘をしておりましたし、また、昨日からも話題に出ておりまして、竹内委員からも問題が出されておりましたが、私は限定をいたしまして質問を申し上げてまいります。  最近かなりの識者に言わせれば、われわれの農地は非常に不健康状態に向かって進みつつあるということが指摘されております。それは、いろいろいままで取り来たった政策上の問題点もあると思います。たとえば主産地形成あるいは選択的拡大、あるいは団地形成といったようなことで、いわゆる昔のわれわれ農民の考えから言えば、農業経営上の非常にへんぱなやり方といいますか、まっとうでないやり方が今日非常に続いているという部門も、地域によっては非常に顕著になりつつあります。たとえば主産地形成という立場で考えますと、混合経営というものから専業経営に移行して、特に畑作専業地域においては、同じ畑にかなり長いこと同じ作物をつくる。その場合、堆厩肥のような還元というものがおろそかになって、いわゆる化学肥料依存の経営に非常に深く進行しつつある。その指摘は、このことを心配している意見だろうと私は受けとめておりますし、また、現実に私も経営をやっておる中でそのことについて非常に心配をしている一人であります。なるほど、反収が非常に上がった、生産性が高まったと言いますが、底の部分を押し上げてきた大きな役割りは、やはり、化学肥料によって反収の増加という部分ではずいぶん貢献をしてきたのだろうと思います。しかし、このままどんどん天井知らずに化学肥料依存の経営形態を続けていくとすれば、土地の不健康状態というものは、識者が指摘するまでもなく、われわれ農業者自身の問題としても非常にゆゆしきことだと私は思うのであります。  そこで、肥料行政のあり方としては、単に化学肥料など、複合肥料中心の指導行政だけで今後進んでいったら、これは行政上片手落ちだと私は言わざるを得ない。したがって、この機会に、有機質肥料の問題も含めて、農林省としての肥料行政のあり方を再検討すべき時期だと思うのです。  従来、われわれは、大体八割ぐらいの有機質肥料に対して、補完の意味でこの化学肥料を施用するということをもって、大体農業経営上のまっとうなやり方だというふうに理解をしてまいりました。最近は反収を追わなければ、いわゆる農畜産物価格というものが非常に安いので、とにかく反収でもってこの面をカバーしなければならぬという経営になりつつあります。したがって、私は、この機会に、一つには大事な土壌改良という問題と、もう一つは有機質肥料の還元という問題について、農林省当局としての肥料行政のあり方というものについての基本にかかわる問題の御意見をぜひ聞いておきたいと思うのでありますが、これについては大臣はいかがお考えですか。
  181. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 わが国のような狭い国土で食料の自給率を引き上げるといたしますと、やはり、土地の生産性の向上をはかることが必要でございますので、このために化学肥料を合理的に施用をいたしてまいるということも重要な一つの手段であることは間違いない。いわば、一面から言えば、手っとり早いと申しますか、しかし、化学肥料をただいまお話しのように長期間にわたって施用いたしました場合には、土壌が酸性化をしてまいりますし、それによる弊害が出てくるわけでありますが、このような土壌の性質の悪化に対応いたしまして、合理的な施肥を行なうために、農林省は三十四年以来各都道府県に助成いたしまして、全国的な地力及び土壌悪化の要因等について把握することにつとめておるわけであります。この地力保全基本調査という、いま申し上げました調査をいたしておりますが、さらに、また、昭和四十一年からは、各都道府県に助成をいたしまして、地力診断施設を設置いたしまして、土壌の状態に即応した合理的な施肥、有機質の施用、土壌改良資材の施用等によりまして、関係農家を指導する等の措置を講じてきておるわけであります。  そこで、近年は、御承知のように、農業労働力の減少等に伴いまして、労働集約的な地力維持対策が行なわれにくい状況にありますことも御存じのとおりであります。そこで、水田では、機械収穫と同時に行なう稲わらの施用、それから生産組織等による能率的な堆厩肥生産施用等の施策を推進させておりますが、また、畑地におきましても同様な問題がございます。そこで、畑作部門では、畜産部門の結合によります有機物の土壌への還元ということにつきましていろいろな対策を講ずるようにいたしておるのでありますが、私ども農林省ではこういうことを重視いたしまして、四十九年度予算にも地力保全基本調査事業、十六万八千ヘクタールでありますが、これに今年度予算では約五千二百万円ばかり投じて、これを実験的にやらしております。  お話しのございますように、私どもは長年の間、この地力保全のためには、また、土壌改良のためには有機質肥料の施用ということが重大であると存じておりましたので、ただいま特に力を入れまして、技術会議におきましては特段の検討を進め、いまのような全国に十六万八千ヘクタールの実試実験をやらしておる、こういう方向を逐次伸ばしてまいりたい、このように思っておるわけであります。
  182. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 時間が参りましたので、このあとあまりたくさんの質問ができなくなりましたが、農地全般にわたって非常に酸性化しているということも指摘されております。いま大臣からもその種のお答えがありました。土壌改良剤、いわゆる酸土矯正に最も大きな役割りを果たしているのが炭酸カルシウム、炭酸石灰という問題であります。私はこれを生産している山元によく行っていろいろなお話しを聞くのでありますが、従来よりもずっと利用量が減ってきたということを言っております。これは前には相当の助成金を出して酸土矯正という問題に取り組んだ経過が農林省としてもあったのです。私はこの問題はこの機会に非常に真剣に考えておかなければならぬ問題だと思いますが、これらの生産に対して、一面では利用の増大ということをはかりながらも、もう一面では、炭酸カルシウムなり炭酸石炭の生産に当たっているこの業種の皆さん方が、最近価格的にもたいへん落ち込んでおって、利用量が減る、値段は下がるということで採算がとれないということを言っているのでありますが、この面については通産省としてはどういう取り組みをされておりますか。
  183. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 日本では石灰資源が非常に多いわけでございます。資源としては豊富でございますからこれをうまく活用するという場合に、電力と重油が生産コスト上の大きな問題になっているわけでございます。昨年末の石油ショックの前、石灰系統の肥料の減産が見込まれたものですから、これに対しまして電力あるいは重油を特別に配給するという制度を設けまして、生産の万全を期しているわけでございます。そういった炭カル等の施用の重要性というのは、実は、最近、いまの先生の御指摘のような地力保全の立場からかなり強く出ておるわけでございまして、こういった需要に対しまして生産側としては十分対応できるというふうなかまえでおるわけでございますが、ただ、問題は、重油、電力等が上がることによりましてのコストアップあるいは労働力不足によるところの賃金アップ、こういうような問題があるということは事実と思います。
  184. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そこで、農林省、いまのお話しを踏まえて、炭カルなり炭酸石灰の利用の大宗をなす土壌改良という問題の分野で、農林省としては従来の施策をさらに前進させて取り組むという姿勢がおありかどうか、この点をお聞きいたします。
  185. 松元威雄

    ○松元政府委員 御指摘のように、土壌改良は非常に大事なことでございまして、特に、土性によりましては、これは非常に不可欠でございます。したがいまして、たとえば現在の施策といたしましても、農業改良資金の中に土壌改良資材の制度を設けておりまして、改良資金で対応するという手段方法も講じておりますが、助成のしかたはなかなかいろいろくふうはあろうかと思いますけれども、現在そういう手段を講じておりますし、今後も土壌改良資材の施用普及と申しますか、それにつきまして施策を進めてまいりたいというように存ずるわけでございます。
  186. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いま、通産省からは、若干のコストアップはあるけれども需要に十分対応できるという話があったが、一番大事な炭カル施用、炭酸石灰施用の分野における農林省がいまのようなお考えでは、これは山元もたいへんだし、土地も酸性化していくばかりである。もっと積極的に取り組むという考え方を持っていただかないとこれはだめだ。答弁は要りませんが、私は強くこのことを指摘しておきます。  最後に、せっかく水産庁長官までお見えですからお尋ねをしておきますが、実は、最近、全国的な傾向かどうかまでは私は詳細承知いたしませんが、私どもの近くの湖なり、あるいはオホーツクの沿岸なりで、海の海賊と言われるものがはびこっております。海の海賊といったらえらいまた大げさな言い方でありますけれども、それというのは、ヤツデというまことに不可解な海産物がいるのであります。これがせっかくの養殖のホタテガイやカキガイやそのほかの貝にべったりくっついて、これを吸い取ってしまうものですから、養殖の大敵なんであります。これが年々養殖によっていい食べものがふえてきたものですから、昔のヤツデはやせていたけれども、いまのヤツデはまるまると肥えて大きくなっている。これがもう海底一ぱいにあるのであります。海の掃除をしなければならないのだけれども、ヤツデの利用という問題を考えないと、なかなか海底掃除というものは進まない。ですから、これを取り上げて干して、いわゆる魚かすのようにして使いますと、非常に果樹なんかにはきくそうであります。海の掃除もできるし、肥料としても、有機質肥料としてたいへん貴重なものだというふうに言われておりますが、このやり方いかんによっては一石二鳥にも三鳥にもなると思うのですが、長官、この問題について積極的に取り組んでいただきたいと私は思うのですが、どうでしょうか。
  187. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  私どもも化学肥料が足りない時代にヒトデを肥料に使ったということは承知しております。そこで、サロマ湖におきましては、以前は地まきのホタテガイを底びき網で取っていたわけでございます。この場合にはヒトデがホタテガイと同時に混獲されますので、混獲したヒトデを農家に漁業者が差し上げまして、それを肥料として利用していたという事実がございます。ただ、先生御案内のように、最近はホタテも養殖が主体になりまして、地まきと違いまして、海の中の底じゃなくて、中層を利用しているわけでございます。したがいまして、直接ホタテの養殖がヒトデの被害を受けるということはございませんので、海の掃除が必要になるということであれば、そのヒトデを肥料なら肥料に利用するということでやるということになるわけでございます。と申しますのは、ヒトデと養殖のホタテとの被害関係が直接ないということになっておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、そうやって海の掃除をしてやる必要があるかどうか、さらに、現在の化学肥料その他肥料が一ぱい出回っておりますので、ヒトデがどの程度需要があるかというようなことを検討して事をきめるべきことではないかというふうに考えております。
  188. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 長官、それはたいへん認識不足なんですよ。ホタテやカキに影響ないというのはうそです。現地を十分御調査ください。  現にいま漁業者の間では、このいわゆるヒトデを——われわれはこれをヤツデと言っているのですけれども、このヤツデ退治にたいへん苦心をしているのです。長官の認識は間違っておると思いますので、十分調査をしていただきたい。  そして、また、この利用の問題、需要の問題ということがいま言われておりますが、これは相当量がまとまっていけば、農業者の利用というものはかなりあるという確信を私は得ております。農林当局として、この点は今後の課題として十分お取り組みいただき、私の言うような一石二鳥三鳥の役割りを果たしていただくようにぜひ御検討いただきたいということを本日の課題として申し上げておきたいと思います。  以上をもって私の質問を終わります。
  189. 仮谷忠男

    仮谷委員長 美濃政市君。
  190. 美濃政市

    ○美濃委員 もうかなり質疑が済んでおりますから、若干の質問をいたしたいと思います。  私はいろいろこの話を聞いておって、一番先に思うことは、輸出する肥料が安い。手元に配付された参考資料によりますと、四十七年は五五%か五八%ぐらいで、国内価格から見れば、少し大きく言えば半値で輸出をしておる。こういう状況でありますが、いま説明を聞いておると、固定費は見ないで変動経費だけあれば、それはあえてつくらなければそれだけ固定費はかかるのだから、それを国内価格で維持しても国内価格コストには変わりはないでないかという説明をしておるように私は聞いたのですが、そういうことでしょうか。
  191. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 先ほど私が変動費と固定費の例を出しまして申し上げましたのは、極端な場合の例として申し上げたわけでございますが、企業としては、設備を持っておりますと、この設備をできる限りよけい稼働させることがコスト低下につながるわけでございますので、一番極端な場合の例として、輸出価格が変動費をまかなえる場合には、それは操業を続けることになるであろう、と、かように申し上げたわけでございます。
  192. 美濃政市

    ○美濃委員 その場合、たとえば国内需要見合いに一日千トン工場をつくって変動費から固定費を全部かけたら国内肥料は安くなるのじゃないですか。国内需要を上回る設備を通産省は認めてつくらせて、その固定費を国内価格で見るのはあたりまえだと言う。稼働しなければ稼働しなくても固定費はかかるのだから、固定費は国内価格に背負わしても、それは国内価格のいわゆる製造原価高にならないという考えは私はどうかと思うのですね。  もう一回繰り返しますが、たとえば一日千トン工場をつくって、日本の各メーカーの製造の限度は国内需要を目標につくったら安くなるのでないですか。変動費も固定費も全部かけますからね。外国へ売るものは主として固定費はかけないのだ、あるいは少ない肥料メーカーにおいては他の収益で補完する場合もある、こういう説明なんですが、国内農業に与える肥料コスト影響からいけばそういう考え方でいいのかどうか。私はそう考えられぬわけですね。これははっきり計算したら出るのでないですか。たとえばこの資料を見ると、二次合理化では一日千トン工場にした。大型化すればコストが下がるという原理でやったのなら、千トン工場けっこうです。その大型工場がそれをフルに製造すれば、硫安で百万トン以上、あるいは尿素で二百五十万トン輸出する。さらにそれ以上の固定設備をつくり上げて、そのコスト国内売価にかけてくるというところに大きな問題があると思うのですが、それはどうですか。そういう膨大な設備をつくらぬで、国内需要だけのものを千トン工場をつくって出せば、この価格は、製造経費はもっと安くなることは間違いないと思うのですが、どうですか。
  193. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 国内需要だけを考えた場合に、千トン設備というものが、あの当時の時点におきましてメーカー側ではたしてでき得たかどうかということは非常に大きな問題でございますが、第一次の合理化の五百トンにいたしましても、第二次の合理化の千トンにつきましても、将来の世界的な需給状況というようなものも踏まえまして大型化に踏み切ったわけでございますので、国内需要だけを想定した場合には、おそらくああいう大型化の計画というものは生まれてこなかったのではないか、したがって、そういたしますと、旧来の設備のままで比較的コストの高い操業を続けていかざるを得なかったということになるかと思います。  なお、変動費だけをまかなえばいいというのは極端な例でございまして、実情は、変動費をまかない、さらに固定費の相当部分をまかなって輸出価格を形成しておるわけでございます。特に、最近のように輸出価格が上がってまいりまして、国内価格との間の差が漸次縮まってまいりますと、経営の面におきましても非常に良好な状態になっていくことは当然のことでございます。
  194. 美濃政市

    ○美濃委員 どうも私はその話は受け取れないわけですね。農業には国際競争という苛酷な条件をつけて——輸出という産業でありますから、一面コストだけを私は言っているのですから、そういうものの考え方は、小さい設備を持っておる企業の数を通産局は維持して——農業あたりは農政の上でどんどん離農させるのですよ。その企業の数を維持しようとすればそれはそうなります。たとえば十の企業があるのだったら、五つなり三つなりにすればいいではないですか。酒なんかも自主流通米になったときにやったでしょう。大蔵省が九億か何ぼ出したはずですね。それから、酒をつくる企業からも原酒リットルあたり何ぼという金を出させて企業整理をやったでしょう。ああいう方法をとって企業を整理すれば、国内向けは千トンではやれませんなんというのは寝言だと思うのですね。やっておる企業数に輸出ということを考えて国内向けに全部千トンの設備をつくらすという想定に立てば、それは過剰設備になってどうにもならぬ。減らしたらどうなんですか。農業御存じのように、国際競争だ、コストが高いということでどんどん離農させていくわけですから、同じことを企業にもやればいいのですよ。企業だけはそういうものじゃないのだ、十あれば十が規模を拡大すれば、拡大したやつを全部にやらさなければならないのだという理論はちょっとおかしいと思うのですね。どうですか。
  195. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料工業の場合には当然輸出というものも想定いたしまして設備計画をつくるというのが先進国の例かと思います。輸出需要見通しにつきましては、実は、発展途上国食料生産の伸びあるいは施肥技術の進歩、それに伴いましての肥料需要の伸びというものがなかなか想定しにくい面もありまして、統計の不備あるいは経済成長についての的確な把握ができていないというようなことから、試行錯誤的な要素も加味しながら非常に先を見ていかなければいけないというむずかしい点もございますが、いずれにいたしましても、ヨーロッパ並びに日本の化学工業、肥料工業といたしましては、発展途上国の意思というものも想定しながら設備の規模を考えていくというのが従来のあり方でもありますし、また、先進工業国としての一つの課題でもあるかと思いますので、そういう意味におきまして、内需だけを想定いたしまして、それに見合った設備ということにすることは、実態から言いますとかなり無理があるのではないかと考えておるわけでございます。
  196. 美濃政市

    ○美濃委員 こういう大きな価格差があって、そういうように海外から買えるのであれば、農業団体の全農あたりにそれをやらせたらいいと私は思う。この表にあるように、たとえば四十七年であれば、海外で買えば約半分の値で買えるわけです。大いに輸入さそうと思うのですが、どうですか。輸入させて安い肥料を農民に使わせるべきだ。こんなことはおかしいと思うのですよ。それは通産省は認めますか。農業団体、全農肥料輸入さす。買えるんですからね。輸入に踏み切ったほうがいいと思うのです。そして、農民と同じように肥料製造メーカーも冷たい国際競争でやってみればいいのですね。農民には国際競争を強行させて、規模拡大だ、高い高いと非難して——高くなるのはあたりまえじゃないですか。肥料なんか倍の肥料を使わされるんだからね。  輸入さす方針をとろうと思うが、それに対してどう考えますか。国際市場で安く買える肥料があれば、安く買ったほうがいいと思うのです。何も高い肥料を使う必要はないのですからね。どうですか。
  197. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料につきましては、たてまえとしては輸入の自由化になっておりますけれども発展途上国におきます利用というものは非常に大きいわけでございますので、日本がたとえばヨーロッパ諸国等から日本国内での需要を購入するといたしますと、対発展途上国関係の問題等から考えまして、いろいろ国際的な摩擦要因を起こすことにもなりかねないと思うわけでございますが、先生御指摘のように、国内農民にできるだけ安い肥料を提供するという点から考えますと、輸入のほうが安くなるかもしれぬという御発想もあるかと思いますけれども日本が置かれております今日の国際的な立場等を考えますと、発展途上国との関係を無視して施策を講ずるわけにはいかないと思いますので、非常にむずかしい問題だと思います。
  198. 美濃政市

    ○美濃委員 私はむずかしくないと思うのですね。設備はあるんですよ。たとえば農業団体の全農に百万トン買わせれば、日本の企業は百万トン発展途上国輸出すればいいんじゃないですか。やれるものならやってみればいいじゃないですか。農業はそういうふうにやられておるのですからね。農業立場というものは、自由化に対してそのようにやられておるわけですから、同様に肥料メーカーがやればいいでしょう。何も問題はないでしょう。全農に百万トン安い肥料輸入させたら、それに代償するものを発展途上国日本の企業が輸出すればいいじゃないですか。外貨も入るし、りっぱなことでしょう。自由化しておるんだから、思い切ってそれをやらせたらどうですか。農業の置かれておる立場と均衡をとれば、それがあたりまえじゃないですか。無理なことを言っていると私は思わぬですが、どうですか。
  199. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 肥料輸入の問題につきましては、実は農林省とも協議の上できめなければいけない施策だと思いますけれども、ただ、日本が購入に出ましたときに、相手の先進国等が日本に対してスムーズに売るかどうかという問題もございますし、同時に、日本の置かれている国際的な立場というものも考えて措置する必要があるかと思います。
  200. 美濃政市

    ○美濃委員 時間の関係でこれだけをやっておるわけにもいきませんが、しかし、いまの答弁、日本のそういう貿易の態度というものに対しては、何としても私は了解できません。片っ方の農民という国民はものすごいしいたげられた条件に置いて、国際的立場とかなんとか、そんなことは私に言わせたら寝言ですよ。それならば、農民のやるものに対してはなぜそういうふうにしないのですか。農民のつくったものは五割ぐらい高い値段であたりまえだ、外国から入るものは安いのがあたりまえだ、そういうふうに農政も同じようにやれば私は了解できますけれども、農政はそうじゃないわけですからね。  きょうは時間の関係でこれ以上追及できませんけれども、そういうことは何としても了解できないです。行政というもの、政治というものは公平でなければならぬわけです。片方の農民というものは弱い者だから踏みつぶしてもいいのだ、企業だけは、いま言ったようなあなたのような理論で、国際的な立場だというのは、そんなものは私に言わせたら寝言ですよ。理論にも何にも合致していないじゃないですか。農業破壊の政策理論だと言わざるを得ない。これはいずれまた別の機会にやりますが、これは許せぬと思います。通産省がそういう態度で、日本の政府の態度はあたりまえだと言うのであれば、これは許すことのできない考え方であると言わざるを得ないと思います。それから、次に、−いろいろ地力維持の問題をやっておりますが、これは農林省にお尋ねしますが、地力維持について、少なくとも明年度はどういう政策をとろうとするのか、それをまずお聞きしたいと思います。
  201. 松元威雄

    ○松元政府委員 地力対策、特に有機質肥料の還元の重要性につきましてはこれまでるる御論議のあったところでございますが、問題は、これをどのように施策に移していくかということでございます。そこで、地力の問題を考えますと、従来やってまいりました対策は大きく分けて二つあったわけでございます。  一つは、いわゆる有機質肥料の問題と若干ダブる面もございますが、違う面もある問題といたしまして、いわゆる不良土壌という地域がございますし、そういう意味で日本の土壌の実態を明らかにし、それに応じた施肥へ栽培方法というものをやっていかなければならない。そういう意味の地力対策と申しますか、そういう問題が一つあるわけでございます。これにつきましては先ほど大臣が申し上げたわけでございますが、これはもう十数年やっているわけでございますが、現状を把握するために、地力保全基本調査といたしまして、まず実態を明らかにする。その上今度は、その土壌の実態に即応いたしました、いわば施肥の診断と申しますか、そういうことで診断事業というものをやっておりまして、これはそれなりにずっとそういう事業は続けていかなければならぬということで、今後も続けることにいたしておるわけでございます。  もう一つの面は、いわば有機質肥料を還元する施策だと存ずるわけでございますが、これも大きく分けますと、いわゆるふん尿をどのように還元するかという施策が一つであります。これは主として家畜のふん尿と畑作との結びつきが態様として多かろうと思うわけでございますが、その対策が一つと、もう一つは、水田に対しまして何とか稲わら、堆厩肥等を投入する施策はないだろうかということ、それが中心になろうと存ずるわけでございます。これにつきましては従来からいろいろやっておりまして、たとえばふん尿処理とからみました地力への投入対策につきましては、各種のモデル事業と申しますか実験事業、これは構造改善事業の中でもそういうメニューを組み込んでおりますし、それからまた畑作の営農集団の事業もございますが、その中でもメニューにそういうことを取り込んでいる。あるいはまた広域厩肥の事業、こういう中でもそういうことをやっているわけでございます。こういうモデル事業をいろいろとやっているわけでございまして、それで普及展示効果をねらう。それから水田に対しましては、いままでなまわら施用ということもいろいろやったわけでございますが、さらに新しい試みといたしまして、農家個々ではなかなかむずかしゅうございますが、農家が集団的に集まって能率的に堆厩肥をつくるという方法がないものだろうかということで、これは一部試作品でございますがそういうものもございますものですから、本年度からいわば実験事業が芽を出したわけでございます。いずれにいたしましても、これにつきましては、基本的には農家の方々が有機質肥料をより土壌に還元してもらうように普及するということが本旨でございますが、現状では労力の問題等でなかなか降路があるわけでございまして、何とか能率的な方法でそれができないだろうかと考えておりますが、これにつきましては技術的にも未解決の問題がまだございます。  それからまた、一般に普及するにはまだ早い、むしろ現段階では展示、実験ではなかろうかと思われる事業もございます。そういう意味で、一部助成事業に組み込み、また一部実験事業を推進しておりますが、これらを拡充しながらさらに有機質肥料の還元方策について施策を強化いたしたい。来年度は、したがいまして、その線で、従来の施策拡充と、何か新しい施策の手段がないものだろうかということで、手段、方法につきまして、技術的にもなかなかむずかしい面もあるものでございますから、それを模索しておるという段階でございます。  いずれにしましても、そういったいろいろな方法を組み合わせまして、地力対策について一そう充実させてまいりたいと考えておる段階でございます。
  202. 美濃政市

    ○美濃委員 農家が有機質肥料をつくれないような労働条件に追い込んだのは政策だと私は思うのです。これはいますでに土地生産力の荒廃というものがこれからの日本農業の大きな問題でありますけれども、たとえば価格政策の中でけしからぬことをやっておるわけですね。結局、費用価計算方式で、堆肥をつくった労働時間その他は、副産物収入で、かかった経費から落とすわけです。ここに問題が一つあると思うのです。堆肥が経済上つくれないという問題がある。現実の生活に追われますから、堆肥なんかつくっておったんではどうにもならぬから、出かせぎに出てしまう。これは中国の農業を見ても、あるいはソビエトへ行ってみても——中国あたりはいま行ってみても、道路のふちに草なんかがはえているところは、相当山奥へ入ってみても、人民公社へ入ってみてもないです。ものすごい堆肥をつくっております。堆肥をつくった労働時間は全部人民公社の中の労働時間に計算されて、所得配分の時間になります。それが日本はどうですか。配分制じゃなくてもいいから、価格政策の上で費用価計算方式をやめなければならぬと思います。費用価計算方式で、副産物収入にして、自給肥料をつくった労働時間というものはただで働けという仕組みなんでありますから、これではやれないです。そういうことをやったんではどうにもならない。だから、機械化だ、大型化だということで、ひたすら化学肥料農業経営が行なわれるように政策指導をしむけていくということですね。価格政策の中でもそういう矛盾がある。今日も地力の維持をきちっとして、自家肥料といってものすごい堆肥を生産しておる国と日本との差の中には、そういう条件になっておるところは、堆肥をつくる労働時間は全部、たとえば日本で言えば、農産物の支持価格の中でその労働時間は価格保障に計算される労働時間となっておるわけです。日本は副産物収入でそれをとってしまうわけだね。それだけの政策の差があるわけです。  きょうはもう最終の時間ですから、問題を提起しておきますが、いまあなたの言ったようなことだけで地力維持対策はできません。地力維持に要する労働は、生産労働として位置づけをして、価格保障の労働時間の対象にすること、これをきちっと検討してください。答弁は要りません。それができぬようなことだったら、地力維持なんかということを農林省のあなた方の口から私は聞きたくもないです。そういう政策がとれないで、ただ観念的に農民を酷使して、そして地力維持をはかろうといったって、生活ができないから農民はやれませんよ。それが現実の問題です。問題だけを提起しておきます。  次に、包装材料についてお尋ねをいたしますが、包装材料は、いまから十四、五年前ですと、稲わらが農産物や肥料の包装材料としてかなり利用されておったけれども、最近はビニール、紙袋、段ボールです。ところが、ことしに入ってから、現実に私どもが求める価格でビニールは三倍、紙袋、段ボールは二倍になっております。これは長期的な資源の関係その他から見て、包装材料に危険はないのか。潤沢だというのであれば、なぜ倍になったのか。こういう物価狂乱のときですから、三〇%、三五%であれば、みな物が上がっているわけですから、この影響ではしかたがないという理解もできます。上がることがいいと言うんじゃないですけれどもね。しかし、倍になる、三倍になるということは、他のものよりも包装材料が異常に上がっているということですね。これは資源不足の国で、三年や五年はどうかわかりませんけれども、これから先かなり長期的な展望に立った場合、包装材料をこういうものでまかなっていけるのかどうなのか、その検討はどういうふうになされておるのか、それをお伺いいたしたい。
  203. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 包装材料といたしましては、高圧ポリエチレンあるいは塩化ビニール樹脂等が原料になっているかと思いますが、これらの原料につきましては、いずれも石油化学製品でございまして、ナフサが原料になっているわけでございます。昨年の後半から原油価格の上昇に伴いましてナフサの価格並びにエチレン等の石油化学の基礎材料が値上がりをしたわけでございますが、その結果包装材料の値上がりにも響いたわけでございますけれども、ただいま先生御指摘のように、異常とも思えるような値上がりをいたしまして、この中には確かに便乗的な要素もございますので、実は、本年の一月の末に、通産大臣から、高圧ポリエチレン、塩化ビニールその他石油化学誘導品のメーカーに対しまして、十二月の値上げに対しまして一部引き下げを指導いたしたわけでございます。  今後の価格見通しでございますが、原油価格の上昇に伴いまして、ナフサ、エチレンそれからエチレンの誘導品でございます高圧ポリエチレンあるいは塩化ビニール樹脂、こういったものの値上がりというものも考えられますけれども、私どもといたしましては、昨年末の便乗的な値上げもありましたし、それから現在もなお原油値上がり以前の原料によります在庫も誘導品メーカーは持っておるわけでございますので、値上げにつきましては極力抑制をする。政府の五十三品目の値上げ事前届け出制の対象にもなっておりまして、値上げの抑制についてはきわめて厳格な態度で臨みたいと考えておるわけでございます。  なお、先生の御指摘の、将来の需要確保についてはどうかという問題でございますが、原油につきましては、OPECの動向によりまして将来にわたって不確定要因がいろいろあるわけでございますけれども、少なくとも最近の見通しから言いますと、原油につきまして、昨年の石油危機のような状態は出てこない、本年の輸入見通しにつきましても、日本として必要な量は確保できるのではないか、このように考えておるわけでございます。  その原油を使いまして高圧ポリエチレンあるいは塩化ビニール樹脂が出てくるわけでございますけれども、この中におきましても、これは高圧ポリエチレンにいたしましても、塩化ビニール樹脂にしましても、いろいろな用途に使われているわけでございます。農林省からも再三非常に強い要請がございまして、農業用の塩ビあるいは高圧ポリエチレンについては優先確保の姿勢を貫くべきであるということを再三申し伝えられておりまして、私ども通産省としてもその点につきましては全く同感でございまして、他の用途を削減しても農業用の資材確保については万全を期するというつもりでおりますので、将来にわたっても需要確保については心配はないものと考えております。
  204. 村岡茂生

    ○村岡説明員 紙類の包装資材に関しまして、まず第一点の確保の問題でございますけれども、昨年一年間におきましては、紙に対する需要の急増からかなり需給が急迫したのは御存じのとおりでございます。私どもも、重油、電力等の特配その他全力をあげて供給確保につとめるよういたしたわけでございます。特に、その中におきまして、農業資材につきましては、重点的な配慮を農林省と協力いたしまして行なったつもりでございます。幸いにいたしまして、年が明けまして、三月ごろから急速に需要が減少いたしまして、現在は需給は非常に緩和いたしております。  なお、長期的な観点から今後いかに確保していくかということは、これは一にかかって主要原材料でございます原木、チップ、パルプそれから故紙というものをいかに確保していくかということに尽きるかと存じます。原木につきましては、国内面におきましては、環境保護等の関連から、横ばいないし微減、このように推定されておりますので、紙の需要に応ずるためには、当然のことながら、故紙の回収増強、それから海外におきます森林開発及び現地におきますパルプ化等の施策をあわせて進めることが非常に重要になりつつある段階でございます。森林資源資源一つといたしまして、非常に国際的な争奪の場になりかかっておる現況かと存じます。そのような点について、私どもも今後全力をあげてまいりたいと存じます。  次に、価格の面でございますが、包装資材の原紙の価格は、昨年一年間で約五割ないし六割、暴騰とも言えるほど高騰をしたわけでございます。その原因は、原木、パルプ等が大体五割から六割、故紙が三倍程度上昇したことに起因する面が多いわけでございますが、私どもといたしましても、価格安定ということで、原材料をいかにして低廉かつ安定をさせるかということで、たとえば故紙につきましては、この四月一日から指導価格を設定いたしまして、ピーク時に比べまして現在半値程度に下がっております。非常にむずかしいわけですが、木材あるいはパルプ等についても可能な限りの手を打っていきたいと思っております。  今後の問題につきましては、御案内のように、ダンボール原紙につきましては凍結品目に指定してございます。そのほか、ダンボール箱につきましては、本年一月から値下げ指導をいたしまして、箱で平均して七%、原紙で五%の値下げを指導してまいりました。今後とも可能な限り安定化いたしますように所要の対策を講じたいと存じておる次第でございます。
  205. 美濃政市

    ○美濃委員 私がいま申し上げておることは、当面の問題としてのそういう包装材料の優先確保はけっこうですけれども、将来には資源的な問題があると思うのです。ですから、それ以外のもので、包装材料を十分つくれる資源国内にあるでしょう。資源を活用するということについて、たとえばいまの状態であれば、ビニールにしても、紙にしても、これらのもので農産物や肥料の全包装材料をまかなうということについては、特に紙などというものは、日本の木材資源から言って、非常に貴重なものだと思うのです。これにかわるべきものがあるわけですから、その開発なり、あるいはそういうものを使うように政策を進めるということを十分検討してもらいたいと思います。  皆さん採決でお集まりになっておりますから、  これでやめます。
  206. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  207. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。津川武一君。
  208. 津川武一

    ○津川委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題になっております肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案について反対いたします。  反対の理由を述べます。  第一点は、この法律は、農業を発展させる、肥料工業を発展させるという名目で、肥料メーカーの利益を擁護してきた法律だからであります。通産省の指導のもとに、アンモニア工業大型化、大幅なコストダウンが見込まれたにもかかわらず、硫安の副産物化をはかり、原価はメーカーの恣意的な配分によってきめられるという状態であり、この法律による独禁法適用除外、すなわち政府に守られたカルテルが果たした役割りは、国内価格の大幅な引き下げを阻止し、農民に高値を押しつけたのであります。  第二には買い手の問題であります。全農の商社化などが言われているように、安価な肥料メーカーからたたかい取ることが全農には必ずしも保障されていないのです。生産農民の声が直接反映するような価格交渉が行なわれているとは言えないのであります。  第三点は政府の指導の問題です。これまでのことはもちろん、企業側の情勢が需給逼迫などで好転しておるときに、肥料年度内に値上げを認め、しかも、その決定は、質問で明らかにしたように、便乗値上げが黙認されているのです。この法律によっては、いままで政府から優遇されてきた肥料メーカーが、輸出情勢の好転を生産農民に還元するどころか、強気の値上げがされようとしております。  わが党は、農業用の生産資材高騰に反対してまいりましたが、肥料についても、農民が安心して農業をやることができるよう、安定した安値の供給を要求して、この法律の延長に反対するものであります。  以上をもって反対討論を終わります。
  209. 仮谷忠男

    仮谷委員長 討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  210. 仮谷忠男

    仮谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決されました。     —————————————
  211. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、本案に対し、芳賀貢君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。
  212. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、ただいま可決されました肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の動議について、その趣旨の説明をいたします。  まず、案文を朗読いたします。    肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   世界的な食糧事情のひつ迫、石油をめぐる資源問題等を背景として、農業及び肥料をとりまく環境の厳しい変化にかんがみ、政府は速やかに肥料価格及び需給の安定措置について抜本的な検討を加え、国内優先の肥料対策を確立するとともに、当面の肥料対策及び本法の運用にあたり、次のとおり措置すべきである。       記  一 肥料価格の低位安定とその供給確保を図るため、生産の一層の合理化に努めるとともに必要な原材料特に輸入原料等の安定的確保に努めること。  二 農業生産動向に即し、肥料需要及び必要在庫量について適確な把握を行うとともに、適正な輸出調整を行い、国内需要に支障を与えないようにすること。  三 肥料価格の安定を図るため年度間一本価格による取引きを堅持するよう極力指導するとともに、特定肥料価格取決めにあたつては、本法の趣旨に沿い、原価等の厳正な把握を行い、それらの資料の交付を早期に行う等その実効を期すること。   なお、本法の特定肥料化成肥料を追加することについて検討すること。  四 交錯輸送の排除、年間輸送の平準化、荷役の合理化、販売経費の節減等流通改善を積極的に指導すること。  五 複合肥料の利用の増加にかんがみ、これらの肥料の品質の保全に努めるとともに、銘柄整理等を推進してその利用の合理化について十分な指導を行うこと。  六 化学肥料の多投等により地力の低下をきたさぬよう有機物の土地への還元、土壌改良等の地力維持培養対策の推進と指導の強化を図るとともに、試験研究の充実に努めること。   右決議する。  これらにつきましては、委員会の審議を通じまして十分審議されているところでありますから、この際説明を省略させていただきます。  何とぞ各位の御賛同をお願いいたしまして、提案の趣旨の説明を終わります。
  213. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で趣旨説明は終わりました−  本動議に対して別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  芳賀貢君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  214. 仮谷忠男

    仮谷委員長 起立多数。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。倉石農林大臣。
  215. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして対処してまいる所存でございます。     —————————————
  216. 仮谷忠男

    仮谷委員長 ただいま議決いたしました本案委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  218. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次回は、明十六日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。   午後五時五十三分散会