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1974-05-08 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第36号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十九年五月八日(水曜日) 午前十時三十八分
開議
出席委員
委員長仮谷
忠男君
理事
笠岡 喬君
理事
坂村
吉正
君
理事
湊 徹郎君
理事
安田 貴六君
理事
山崎平八郎
君
理事
柴田 健治君
理事
芳賀 貢君
愛野興一郎
君 伊東 正義君 今井 勇君 小沢 一郎君
片岡
清一
君 熊谷 義雄君
島田
安夫君 白浜 仁吉君 染谷 誠君 丹羽 兵助君 本名 武君 粟山 ひで君
角屋堅次郎
君
島田
琢郎君 竹内 猛君 美濃 政市君
諫山
博君
瀬野栄次郎
君 林
孝矩
君 稲富
稜人君
宮田
早苗
君
出席国務大臣
農 林 大 臣
倉石
忠雄君
出席政府委員
農林政務次官
山本茂一郎
君
農林大臣官房長
大河原太一郎
君
農林省農林経済
局長
岡安 誠君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
農林漁業団体
職員共済組合理
事長
)
土岐
定一
君 参 考 人 (
農林年金中央
共闘会議事務局
長)
春日
昉君
農林水産委員会
調査室長
尾崎 毅君 ――
―――――――――――
委員
の異動 五月八日
辞任
補欠選任
金子
岩三
君
片岡
清一
君
神田
大作
君
宮田
早苗
君 同日
辞任
補欠選任
片岡
清一
君
金子
岩三
君
宮田
早苗
君
神田
大作
君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣提出
第七八号)
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
す る
法律案
(
湯山勇
君外七名
提出
、
衆法
第二八 号) ――――◇―――――
仮谷忠男
1
○
仮谷委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
湯山勇
君外七名
提出
、
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
の両案を
一括議題
とし、
審査
を進めます。 本日は、まず、両案について
参考人
から
意見
を聴取することといたします。 本日御
出席
の
参考人
は、
農林漁業団体職員共済組合理事長土岐定一
君、
農林年金中央共闘会議事務局長春日昉君
、以上二名の方であります。 両
参考人
に申し上げます。 御多用中にもかかわらず、本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとう存じます。 ただいま、本
委員会
におきましては、ただいま
議題
といたしました両案について
審査
をいたしておりますが、両案につきましては、両
参考人
のそれぞれの
立場
から
忌揮
のない御
意見
をお聞かせいただきたいと存じます。 なお、議事の都合上、まず、御
意見
をお一人十五分
程度
で順次お述べいただき、その後
委員
からの質疑がありますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。 御
意見
の
開陳
は、
土岐参考人
、
春日参考人
の順序で
お願い
をいたします。 それでは、
土岐参考人
に
お願い
をいたします。
土岐定一
2
○
土岐参考人
ただいま御指名いただきました
農林年金
の
理事長
の
土岐
でございます。 諸
先生方
には毎々いろいろとお世話になっておりまして、厚く
御礼
を申し上げます。 なお、
農林年金
の
法改正
につきまして、御
審議
にあたりまして、直接運営を担当いたしておりまする私に対しまして
意見
を
開陳
させていただきます
機会
をお与えいただきましたことを厚く
御礼
を申し上げます。 この
農林年金法
の
改正
でございますが、これは、
厚生年金
並びに
国民年金法
の大幅な
改正
がありまして、それに伴いまして、
農林年金内部
におきましても、四十七年の末から
法改正
の
検討会
を設けました。さらに、四十八年に入りまして、
農林年金
の
組合会議員
が、
団体側
十三名、
組合員側
十三名、合計二十六名によりまする
財政審議会
をひんぱんに開きまして、
内部
の
意見
の
取りまとめ
を行なったのであります。なお、
組合会議員全員
を
地区別
に集めまして、さらに
意見
をも徴しまして、今回の
年金法
の
改正
についての
意見
の
取りまとめ
をいたしたのでございます。その結果に基づきまして、
農林当局
とも
十分連絡
、
協議
をいたしてまいったものでございまして、
農林当局
ではわれわれの
提案
をおおむねいれていただきまして、今回の
法改正案
としてまとめられてまいったのでございます。
農林年金
の
共済組合
でございまするので、他の
共済組合
との
関連
もございまするので、その
均衡
上からいたしましても、今回の
政府提案
の法案の
内容
については、
十分満足
のいけるものであるというふうに私どもは考えておるのでございます。 しかしながら、
問題点
がないわけではないのございます。
法改正
を行ないまするというと、同時に
共済組合
の
財源率
にも影響をしてまいるのでございまして、特に、
農林年金
は
全国
に約一万五千の
対象団体
を持っておりまして、これには大きいものから小さいものまでいろいろございまして、最近の情勢からいたしまして、特に
経営
困難な
状況
がこの一万五千の
組合
のおおむね全部にあると考えてもいいのでございます。でございまするので、
政府
の
補助金
の
増額並び
に、新たに他の
公的機関
によりまする
財政
の
援助措置
を
要請
をしてまいってきておるのでございます。 ところが、今回の
政府提案
の中には、
公的機関
の
財政援助
の点についての
法制化
の
措置
が抜けてまいっておるのでございます。これは何も
農林省事務当局
が怠慢なのではございませんで、
農林省当局
は
関係
各省非常に御努力を願いまして、いろいろと御
協議
を願ったわけでございますが、結果といたしましては、これが
法制化
に至らなかった、
政府提案
の中に入るに至らなかった、ということになってまいったのでございます。まことにその点遺憾に存じておる次第でございます。 それと申しまするのも、
農林年金
の
法改正
を行ないますというと、
先ほど
も申し上げましたように、
掛け金
に影響するわけでございまするが、
農林年金
の
掛け金率
というのは、他の
共済組合
に比べまして非常に高いのでございます。一例を申し上げまするというと、
私学共済組合
は
掛け金率
が千分の七十六、
国家公務員
の
共済組合
の
掛け金率
は千分の八十八で、これに対しまして、
農林年金
の
掛け金率
は千分の九十六というふうに、非常に高率なのでございまして、今回のような
法改正
は――これは今回に限らず、ここ数年毎年大
なり小
なりの
法改正
をいたしてまいっておりますが、今回の
法改正
はかなりの大幅な
法改正
でございまして、こういう法の
改正
といいますのは
掛け金率
とうらはらの
関係
にあるのでございます。 ところが、
法改正
をする、したがって
掛け金率
を
引き上げ
るということが、
農林年金
にとっては、
先ほど
も申し上げましたように、他の
共済組合
に比べまして非常に高率であるだけに、
引き上げ
が非常に困難であるという現状に立ち至っておるのでございます。こういう
状況
でなかなか
引き上げ
も困難だということは、
先ほど
も申し上げましたように、
全国
に一万五千あります
対象団体
の
経営
の困難という問題で、
団体
としてもなかなか負担し切れない。また、
農業団体
が
経営
上非常に困難な
状況
に立ち至っておる
関係
から、そこにつとめます
職員
でありまする
農林年金
の
組合員
の諸君の
賃金
がまことに低位に据え置かれておるのでございます。 こういうようなことで、
組合員
も
団体
も、
掛け金
の
増高
ということについてはなかなか賛意を表することができないという
状況
になってまいっておるのであります。こういうことのために、
機会
あるごとに
政府補助金
の
増額
の問題について、
先ほど
も申し上げましたが、
私学共済組合
にございますように、
都道府県
の
補助
ができるようにするということの
法制
上の新設をかねがね要望してまいっておるのでございますが、今回の
政府提案
の中に、
都道府県補助
の点につきまして
法制化
が抜けておることは返す返すも残念に存ずる次第でございます。 去る四十八年の暮れの、四十九年度の
政府予算決定
の段階におきまして、
農林
、
大蔵
両
大臣
の話し合いの結果、
農林年金
の
制度
の
内容
は、他の
共済組合
に
均衡
をとるように大幅に改善をする、しかし、
掛け金率
は当面据え置きにする、しかし、
次期
の再
計算期
に――
次期
の再
計算期
と申しますと、四十九年度末の実績をもって再
計算
をするということに相なるのでございますが、その
次期
の再
計算期
に
財源率
の再
計算
をする、その際に、
財政方式
のあり方であるとか、
掛け金負担
の問題であるとか、あるいは各種の
補助金
の問題であるとか、いうものを総合的に
検討
して、将来あるべき
掛け金率
を決定する、と、こういう
申し合わせ
があった。表現はそういうふうに具体的ではございませんけれども、そういうふうな
内容
の
申し合わせ
が
農林
、
大蔵
両
大臣
のところであったのであります。われわれといたしましても、現在から四十九年度末の
検討
に対処するために、おいおい準備を進めてまいっておるような次第でございます。 そういうことでございますので、何度も繰り返しますが、
私学並み
の
都道府県補助
の項が抜けておるということにつきましては、まことに残念にたえない次第でございます。 終わりに、今回の
法改正
につきましては、
農林年金
に
関係
いたします地方の
団体
、
組合員
の
方々
から、この
実現
の要望が再々参っております。特に、すでに
年金
を受給いたしまして、それをもって生計を立てておる者にいたしますと、今回の
年金給付
の
計算基礎
の新しい
計算
のしかたというものに絶大な
期待
を持っておりまして、首を長くして待っておるような次第でございますので、この点を御報告申し上げまして、何とぞよろしく
お願い
申し上げます。 これをもちまして私の
意見
の
開陳
を終わりたいと存じます。 まことにありがとうございました。(拍手)
仮谷忠男
3
○
仮谷委員長
次に、
春日参考人
に
お願い
をいたします。
春日昉
4
○
春日参考人
御紹介をいただきました
農林年金中央共闘会議
の
事務局長
をやっております
春日
でございます。 きょうは、
農林水産委員会
の特別のお計らいをもって、私
たち農林漁業団体
の
労働者
の
実態
と
意見
を述べさせていただく
機会
を得ましたことを厚く
御礼
を申し上げたいと思います。
最初
に、
土岐理事長
との約束で、私のほうが若干時間が延びるということに相なっておりますので、冒頭御了解をいただきたいと思います。
最初
に、すでに、
農林大臣
をはじめ
衆参農林水産委員
の
方々
に、昨年私
たち
が
農林年金
の
受給者
の
実態
のアンケートをとりました冊子を昨年の秋お配りを申し上げてありますので、それをごらんいただいた
方々
は、
農林年金
の
受給者
は今日いかに切実な声を持っているかということを御
理解
をいただいておろうかと思うわけでありますが、時間の
関係
でその
実態
をつぶさに申し上げる時間を持ち合わせませんけれども、たとえば
意見
の中に、「老後の
福祉事業
として大きな
期待
をかけていた
年金
が、
物価
の上昇により、反比例的に
値打ち
が低下してしまう。七年過ぎると半額の
値打ち
となり、十年過ぎると三分の一の
値打ち
となる。老年になればなるほど不要となる。
物価
に並行した
スライド制
の
実現
を強く要望する。これが
実現
できなければ、
年金
としての価値がない。」という声がありますが、これは六十八歳の年間三十六万受給されておる人の
訴え
であります。また、「高齢により勤め先がなく働くことが出来ない。日々諸
物価
が高くなるので僅かの
年金
のため
老人
との
交際並
に
老人クラブ
の旅行に参加が出来ないので非常に淋しい余生を送って居りますので是非とも、
物価
の高騰に
対応
して
年金
を上げて下さることを念願して居ります。よろしく
お願い
します。」と言っているのは、これは六十七歳の十三万四千円もらっておる男性の方でございます。なお、
遺族年金
の
受給者
は、だんなさんがなくなりますと半額ないしは――現役の
労働者
のうちになくなられた未亡人の
方々
の
訴え
は、涙なくして読まれないような切実な御
意見
を寄せられているところであります。 多くの
方々
の
意見
を大ざっぱにまとめてみますと、まずは、
物価
高に対する
スライド制
の
実現
、
自民党政府
は五万円
年金
の
実現
を盛んにうたったが、いよいよ
実現
の暁になってみたら、実際は五万円にならないというふんまん、病気になったときの不安、
農村地帯
で
老人
のつとめ先がないために全く
年金
にたよらざるを得ないという不安、また、
農協運動
の美名のもとに低
賃金
の末路というものがいかにあわれであるかという
訴え
、他の
年金者
、たとえば役場、国鉄、
郵便局
、学校におつとめになられた
先生方
と比較をして、
農林年金
は
生活保護
よりも低いという
訴え
等々があり、中には、もうすでに
政府
・
自民党
ではだめだ、
革新政党
の政権をつくることが大事ではないかという
訴え
も出ておるところであります。 次に、
農林漁業団体
の
労働者
の
実態
について、きのうも何人かの
議員
の
方々
から
政府
に対する
質問
なり
意見
で出されておりましたが、とりわけ
農林経済局長
の
答弁
にもありましたので、事実はどうかと、このことに触れてみたいと思いますし、なお、あわせて、
農林漁業団体
の
労働者
の
賃金実態
、あるいは
労働条件
に触れるには、どうしても
農林漁業政策
に若干触れざるを得ないと思いますので、御了承を
お願い
したいと思います。 まず、ことしの三月までのいわゆる
春闘
と言われる
賃上げ
がなされる前には、
単位農協
に働く
方々
はおおむね五万円から六万円、これも
地帯
ないし県によって違いがあるわけでありまするが、おおむね五万円ないし六万円、
平均年齢
にして大体三十歳が
中心
になっておる。こういう中で、きのうは
農林経済局長
から、絶対額ではまだ他産業に追いついていないけれども、率で見るならば年々追いついてきておるという
答弁
がなされておりましたが、これは
あと
で御
質問等
があれば詳細に申し上げたいと思いますけれども、五万円の
単位農協
の
労働者
の
賃金がかり
に三〇%上がりましても、
実態
として一万五千円ないしは一万八千円
程度
の
賃上げ
にしかならない。したがって、ことしの七四年の
春闘相場
から見て、再び一万円前後の
賃金格差
が生まれてきているというのが
実態
でございます。さらに、
初任給
におきましては、四万五千円から五万二千円の範囲にとどまっております。きょうは
大臣
がお見えになっておりませんのでたいへん残念でございますけれども、
倉石農林大臣
の選挙区の飯山市の
富倉農協
というところでは、この七四年
春闘
で
賃上げ
をなされた、その結果の中でさえ、十八歳
高卒初任給
が何と二万五千五百五十円という、お話しにならないような
実態
が今日あるわけであります。 なお、御
参考
までに申し上げますと、
農協労働者
、あるいは他の林野、
漁業
に働く
労働者
も同じだと思いますけれども、
昭和
四十七年の
生活保護
の
実態
から見まして、たとえば最低の四級地のところをとりまして、当時、四十七年には、四十八年度の
政府予算
で計上された
増額
の見込みを含めて、三十七歳の五人家族で見た場合に、六万三千五百四十一円になっておりますが、たとえば
北海道
のホクレンという
連合会
に働く
労働者
の
平均賃金
が六万八千九百二十七円、京都の
経済
連の
連合会
に働く
労働者
の
賃金
が七万一千八百八十三円、
石川
県の
単協
に働く
労働者
の
賃金
が五万九千円、
富山
の
単協
に働く
労働者
の
賃金
が六万五百三十二円というように、まさに働きながら
生活保護
を下回った
賃金実態
にあるというのが、これは二年経過した今日といえどもあまり変わっていないというふうに私
たち
は見ているところであります。 それから、きのうは、
諫山議員
のほうから、
労働基本権
の問題について
政府
に対する
質問
と
指摘
がございましたが、
長野
県のある
農協
で、私がその
農協
におじゃまをしたときに、
労働組合
の
賃上げ要求
のときに
理事会
は何を言ったかというと、
団体交渉
の申し入れに対してこれを拒否したわけでありますが、私が
理事者
に対して、
団体交渉
に応じないことは
労働法違反
になりますよと言いましたところが、ある
理事
いわく、立法府である
国会
において、
政府
・
自民党
ですら今日憲法や
法律
も守らないという
社会
なんだから、わが
農協
の
理事会
が
労働法
を守らないというようなことはさしてどうということはないじゃないか、と、こういう言い方をされるのでございます。また、ある
農協
の
理事者
は、大体
労働基準法そのもの
が間違っているんじゃないかと言う。こういう
理事者
もございました。おしなべて言えることは、
労働基準法
なんか守っておったら
農協
はやっていけないんだという
思想背景
が、遺憾ながら、良識ある
理事者
を除いては大方の
理事者
の中に共通してあるところにきのうの問題が出ておるというふうに思っておるところであります。 こういう
状況
の中で、
農業政策
との
関連
で見てみるならば、すでに御案内のとおり、ことしの二、三月にかけて、多くの
畜産農民
が、しかも若い
後継者
であるべき
青年畜産農民
の
自殺
が相次いでおります。また、あの
減反政策
のときに多くの
米作農民
も
自殺
をしております。また、ミカンが暴落をしたときに、
くだもの農民
がずいぶん
自殺
をしておるという
事態
があります。また、これはあまり新聞にも大きく報道されておりませんが、この二月に、福岡県で一名、新潟県で一名、
農協
の
下級職制
が
自殺
している。これはいわゆる
生産資材
の
値上がり
によって、
生活資材
の
値上がり
によって、契約した
価格
よりも農機具の
価格
が実際には上がってしまったということで、
農民
から
文句
を言われて、これは本来その
職員
一人の責任ではございませんけれども、もう
一つ
は、低
賃金
のみずからの
生活
の苦しみの中から、二名の
農協労働者
が命を断っておる。こういう
事態
が生まれているわけであります。 いまや時の
日本
の
国家財政
をあずかっております方が、かってだれよりもだれよりも
農民
を愛するとおっしゃられた方が
大蔵大臣
の今日、このような
農民
の
自殺
や、
関連
する
農協職員
の
自殺
が出るということは――小野田さんが
フィリピン
で救出されるのにばく大な金を使い、また、
フィリピン政府
に対して
日本政府
が金を渡されたことは、それはそれなりきに重要だと思いますけれども、命にかけては、こうした
農民
や
労働者
の命と軽重の差はないというふうに私
たち
は思っておるわけであります。特に、申し上げるまでもなく、いままで
高度経済成長
の中で
重化学工業中心
であったために、たとえば
近海漁業
の漁民が泣かされ、あるいは山林や農地が荒らされていくという中からこういう農業問題あるいは
漁業問題等
が出ておるところに、今日、
農民
とそこに働く
労働者
の悲惨な状態が生まれておると思います。 なお、また、この
賃金
問題を解決するために、いままでの
内村農林経済局長
は、
賃金
を上げるための方策として
農協合併
の推進をはかっておるというふうに何度か
国会
で
答弁
をされてまいりましたが、
農協
を
合併
すれば、はたして
農協労働者
の
賃金
問題が解決されるかというと、決してそういうものではない。
合併
の時点で
労働者
の低いところが高いところに合わされますから、その限りでは一時的に上がりますけれども、これが四年
たち
、五年
たち
ますと、かえって
合併農協
が
賃金
が上げられない要因がいろいろと生まれてきて、そこから
農協
の
経営
が
経営
主義化するという方向がたどられておる。こういう
実態
でございます。これは、
内容
につきましては、
あと
で御
質問等
があればお答えを申し上げたいと考えております。 なお、いま、
農協
の中にどういう問題があらわれておるかというと、
労働協約
の
解約
という
経営者側
からの
攻撃
が
全国
的に特徴的に出ております。もう
一つ
は、
退職金制度
の
解約
が出ております。
年金
が幾らかよくなってきておるから、
退職金
はもうこの
程度
に引き下げだとか、あるいは退
給対象
にならない第二基本給を入れてもいいではないかという
経営者
の
攻撃
でございますけれども、これは前段に申し上げました
労働基本権
との
関連
から申し上げて、今日持っておる
労働協約
を
解約
するということは
労働基本法
を守らないことと相共通するものであるというふうに考えますし、なお、これは
農協経営者
に私
たち
は望みたいことでございますけれども、いわゆる
農協法
には、
農民
の
社会的経済的地位
を向上し、もって
国民生活
の
経済
の安定に寄与するというふうにいわれておりますが、言うなれば、
農民
の
営農
と
生活
と
権利
を守るために
農協
がつくられたというふうに私
たち
は
理解
しておるわけであります。もし、そういう
農民
の
立場
に立つとするならば、
農協経営者
は、そこに働く
労働者
の
生活
と
権利
を同時に
引き上げ
ていくという
姿勢
なくしては、真の
農民
の
営農
と
生活
を守ることにつながらないというふうに私
たち
は
理解
をしているところでございます。 次に、
年金
の
掛け金
と
給付
の問題でございますが、これはきのうも
指摘
がありましたし、あるいはきょうも
議員
の
方々
からそれぞれ
指摘
がございますでしょうから簡単に申し上げたいと思いますが、一口に申し上げまして、最高に高い
掛け金
で低い
給付
だというふうに私
たち
は言っておるわけであります。なお、私
たち
は、
昭和
三十四年に
分離
をされて以来、
農林省
、
大蔵
省を
中心
にして
要請
に参りますと、とりわけ
厚生省
のお役人の
方々
は、もし
農林年金
で問題があるならば
厚生年金
に再度戻ったらどうだと言われる。あるいは一部
国会議員
の
方々
にもそうおっしゃる方があったわけでございますが、これは私
たち
にとってたいへん遺憾な
対応
である。本来、
厚生年金
よりも優遇させようという趣旨があって
分離
をされた経過の中で、
文句
があるなら
厚生年金
に戻れということはたいへん冷酷な
対応
のしかたではないかというふうに私
たち
は考えているところであります。しかも、全体から見れば
厚生年金
よりもいいじゃないかというふうに
厚生省
の官僚の
方々
はおっしゃられますけれども、よいのはあたりまえであって、それは
国庫負担
が
厚生年金
より低いにもかかわらず、
事業主
、
本人負担
が
厚生年金
よりはるかに高いという
実態
からして、総合的に見ていいのはあたりまえなわけだというふうに考えております。 次に、
負担割合
の問題について触れてみたいと思いますが、まず、私
たち
は、昨年の秋ごろからことしの春にかけまして、いわゆる
労使折半負担割合
を三、七に変えていただきたいということを
経営者側
に
要求
をしてまいりました。
経営者
の
対応
は、
法律
だからそれはできない、
労働基準法
は守らないけれども、こういうことはなかなか慎重に守ろうというのが
経営者
の
姿勢
でございます。しかし、
労働組合
の
ストライキ等
によりましてずいぶん変わってまいりました。きょうは
大臣
はおいでになりませんけれども、たとえば
単位農協
で見れば、
倉石農林大臣
の
長野
県の第一区におきましては、ほとんどの
単位農協
がすでにことしの春、四対六に
掛け金
が変わっておりますし、
中央
におきましては、全共の
全額会負担
、全農、全中、全漁連、
農業会議
、
全国森連
というようなところでは三対七の
掛け金負担割合
に変わっておりますし、なお、
単位農協
では、
長野
県をはじめ
北海道
、岩手、
石川
、
富山
、
三重等
におきましては、ずいぶん多くのところが三、七ないしは四対六の
掛け金負担割合
に変わっております。したがって、少しオーバーかもしれませんが、すでに
法律
が形骸化されておるということからして、ぜひこの
掛け金率
の
負担割合
を御変更いただきたい。前回の
国会
の
農林年金法審議
のときに、
内村農林経済局長
は、
合併
をしたような
大型農協
はいいが、小さな
農協
ではそれができないのだというふうに
答弁
をされておりましたが、今度の
掛け金負担割合
の
実態
は、むしろ
合併
をしないような
農協
が四対六ないしは三対七に変えて、
合併農協
の
経営者
が難色を示しているというのが
実態
でございます。 なお、これをかりに現在十万円の
賃金
の人が
折半負担
を七、三に変えた場合にはどうなるかというと、四千八百円ずつの
掛け金
が、
事業主
が六千七百二十円、
本人
が二千八百八十円、その差が千九百二十円でございます。これを一人当たり十二カ月で見ますと二万三千円、
内村農林経済局長
は小さなところではたいへんだとおっしゃられましたが、年間にしてたった二十三万円、
合併
した二百人規模の
農協
になりますと、四百六十万円という金になるために、
経営者
がたいへん拘泥をする。こういう
実態
でございます。 もう
一つ
重要なことは、
掛け金
の
負担割合
は、他の公的
共済組合
年金
の場合は、初期債務部分は、すべてこれは
事業主
負担になっております。ところが、わが
農林年金
に限っては、初期債務まで含めて労使折半だということになっておりますので、これは当然
法律
を変える
内容
のものに値をする、かように考えております。 さらに、私
たち
の
要求
につきましては、きのう冒頭に野党四党案が出されておりますので、私はこれには深く触れるつもりはございませんけれども、与野党の
先生方
が一致して真に
農林
漁業
を育成しようというお考えがあるならば、このことは当然
実現
できることではないかと思いますし、また、
農林
漁業
の先頭に立って働く人の身分と
生活
を保障していただくことから、野党四党案の
実現
のために、与野党一致して成立がされることを御
期待
申し上げたいと考えております。 なお、
政府提案
の
問題点
につきましては、時間の
関係
で深くは触れられませんけれども、たとえば今日の積み立て
制度
ですと、
物価
が
値上がり
をすれば、それに伴って積み立て金の減価がされていくという
実態
がございますので、当然これは賦課
制度
に改めていただきたいと思いますし、なおまた、今回の
政府提案
の中に
賃金
スライド制
が入っておりますけれども、これは、四十八年の公務員賃率が一年六カ月おくれた今日
実現
しようということは、あまりにも時宜に即さない
スライド制
であると思いますので、当然これは去年とことしのものを含めて
物価
、
賃金
スライド制
を
実現
していただくことを御
期待
申し上げまして、私の陳述を終わりたいと思います。 たいへんありがとうございました。
仮谷忠男
5
○
仮谷委員長
以上で、
参考人
からの
意見
の
開陳
は終わりました。 ――
―――――――――――
仮谷忠男
6
○
仮谷委員長
参考人
に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
美濃政市
7
○美濃
委員
土岐理事長
さんに、私の時間は三十分でありますから、主として財源問題についてお尋ねしたいと思います。 私は、第一点としてお尋ねしたいのは、今回の
法改正
にあたって、私は財源問題をずっと調べてきたのですが、たとえば生命保険であれば、インフレに対して、生命保険は、契約額という、額で契約がされ、支払いも金額でありますから、インフレによって、満期して契約金が入っても、たとえば三十年満期というような長期契約になりますと、加入したときの
期待
と、それが満期したときに受け取る金との金の価値が大幅に開いておりますから、これは加入者が選択すれば、契約上あるいは保険上の問題は出てこないのであります。保険事業体としての
経営
上の問題は出てきません。ところが、いわゆる
年金
の積み立て方式というものの設計の中には――これは、インフレは、計数の中に変動性がないわけですね。したがって、インフレと積み立て方式
年金
の矛盾というものが大きく露呈してきたと私は思います。ですから、たとえば
掛け金
についても、当初のこの
年金
設計からいけば、数理保険料千分の七十で、インフレがなければ当初約束した
給付
を開始していけるわけですね。ですから、いずれもこの
年金
のいわゆる整理資源問題が出てまいりますが、これはいずれもインフレに伴っておるわけですね。
一つ
は、
給付
というものは、インフレ下においては全く実情に合わない。これは額で契約しておる生命保険じゃございませんから、
社会
保障でありますから、どうしても
給付
がスライドをしていかなければならない。それはもう積み立て金の
計算
外に
給付
責任がこの
制度
改正
によって起きてくる。もう
一つ
は、ベースアップが行なわれるたびに、過去の積み立て部分が、ベースアップによって
給付
責任が増大する分の積み不足が起きてくる。それが累積して、きのうも担当
局長
の話を聞いておると、四十八年度末において五千億のいわゆる
給付
責任準備金の積み不足である。五千億に達したというのです。この設計からいけば、この五千億が積み不足でなくて、今日
農林年金
に七千億円の責任準備金が積まれておれば問題はないと私は思うのです。それはもう原則の設計に合致しておりますからね。そうすると、五分五厘利回りで
計算
しても、五千億に対して二百七十五億円でしょう。現実に年間のこの収支の中において、四十八年度末が五千億ということになると、四十九年度中に二百五十億円の単年度不足額が生じるわけですね。設計上予定した積み立てが行なわれていないわけであります。その積み立てが行なわれて、それに五分五厘の利回りがある。その利回りがこえた分はさらに予定支払い率が増加していくわけでありますけれども、最低五分五厘は確保しなければならぬ。その根っこが五千億も積み不足ですから、五分五厘で
計算
すると二百七十五億円の収入減ということになる。大きな問題ですね。それに今回の
改正
ですよ。今回の
改正
が、
掛け金率
にして一四・六二というのですね。また、ことしのベースアップは、
春闘相場
から見ても――五十年度以降はどういう
経済
動向を示すかちょっとわかりませんが、ことしは
春闘
の相場から言っても、民間もきまって、おそらく人事院勧告がもう三〇%近いものが出るだろうと私は思います。三〇%は出るんでないか。ことしはまた大幅ないわゆる責任準備不足の――今度はいままでのように大体標準が一〇%ぐらいのアップじゃございませんから、一拳に膨大な責任準備金の積み不足がベースアップによって発生する。
計算
をしてみませんが、四十九年度末における積み不足はおそらく二千億以上増加するのでないでしょうか。七千億円ぐらいになってくるんじゃないですか。これに対して、公務員
年金
から見ておると、こういうものの調整をやっておるわけですね。これは私の
計算
では、たとえば厚年並みの――もうこの段階では、国庫
補助金
を百分の十八を二十に
引き上げ
たぐらいではおっつかない問題だ。このままほっとけば――私は、こういう大幅な
改正
は、これは当然だと思います。
改正
に反対するものじゃありません。
経済
の実情から見ればまだ低いぐらいですね。既裁定
年金者
の
給付
の改定にしても
文句
を言いたいんです。
経済
の実情に合うスライドだとは考えられません。 それから、
先ほど
来お話しがありましたように、
農協労働者
の
賃金
は、他よりも非常に格差があるという中でありますから、すべての
改正
が当然であり、また、低いと
指摘
せざるを得ないわけですね。その中において起きてくる問題はどうなってくるのか。今回の
法改正
の中で、
掛け金率
にして一四・六二、これが
給付
責任として加算されてくる。それに、何ぼ
農協
のあれが安いといいながらも、安い基本が
改正
されないで、率から言うと、
農協職員
も少なくとも二〇%以下ということはないでしょう。三〇近いベースアップが行なわれるんじゃないですか。もとの根っこが低いから、それが修正されぬ限りいつまでも格差は続いていくわけですね。そうすると、思い切った手段を講じなければ、このままで推移していくと、十年くらい経過すると、今度積み立て金減少の傾向があらわれるんじゃないですか。一〇%ぐらいの
経済
の変動率で、ベースアップが一〇%ぐらいで推移して、
昭和
六十六年くらいからおおよそ
掛け金
、積み立て金の減少が起きてくるだろう、こういうふうに想定されるのだが、しかし、いま起きてきた現象は、そういう
経済
に
対応
して、既裁定
年金
も改定しなければならぬし、大幅ベースアップが行なわれるということになれば――なればじゃなくて、なるのでありますから、そうすると、その速度でいきますと、十年後には、今度は実際に
掛け金
で積み立てた額に食い込んでくる。さらにそれから五年ないし七年くらい経過したときには、食いつぶしてしまって、積み立て金がゼロになってしまう。ですから、いま直ちにその五千億を――
経済
事業の収支とは違いますから、一刻も猶予ならぬというものではないのですけれども、そこで私は考えまするに、これはとんでもない矛盾だ。この矛盾をどう解決していくのか。これは
理事長
だけの力では及ばぬと思うのですけれども、政治的にも、このあらわれてきた矛盾というものをどう解決するのか。保険
審議
会の連中ももっと頭をきちっと整理して、きちっとした体制をとらなければ――この問題が出てきておるのは、この
年金
だけではないと思うのです。この
関係
があれして出てくる問題は同様だと思う。これは、私に言わしめるならば、こういう積み立て方式そのものが、この
制度
が、
年金
としての
計算
上、あるいは
制度
上、インフレに
対応
性のない根本的なあやまちをおかしておると思うのです。話にならない
制度
が組み立てられておるのだ。インフレがなければまだこういう問題は露呈しませんけれども、こういう
経済
動向を示す以上においては、この
制度
というものは根本的に
対応
性のない
制度
である。抜本的に
制度
を改めなければ、小手先ではこれはどうにもならぬだろうと私は思うのですね。 たとえば、
政府
の
補助金
を百分の十八を二十にしたとか、三億や五億の目くされ財源調整
補助金
等で追っつくものじゃ根本的にないと思うです。何千億という差がすでに発生しちゃったわけですからね。さらに、現況起きてきた状態は、これが今度は大幅に急激な速度で拡大していくわけですから、そんな三億や五億の目くされ財源調整
補助金
や、
政府
の
補助
率の二%アップぐらいじゃどうにもならぬですよ。こんなことで推移していったら、積み立て金をゼロに食いつぶす年限が二年延びるか五年延びるかぐらいの問題であって、どうにもならぬ状態が起きたと思うのですね。 繰り返しますが、こういう問題はやはりいまから――こういう
年金
の仕組みでありますから、手形の不渡りだとか、
経済
取引や
経済
事業の中で派生した大きな赤字とかで、もう直ちに切開手術をせなければどうにもならぬということではありません。だからといって何年もほっておける問題ではない。ここで基本的な方向を見出さなければ、このままで運用できるものではないと思うのですが、いかがですか。
土岐定一
8
○
土岐参考人
まことに重要な問題でございます。単に
農林年金
だけでは片づかない問題でございますが、いまのお話しの点、一々まことにごもっともの点がございます。インフレが増進したり――さらには、ここ数年
給付
制度
の
内容
をよくいたしておりますが、おそらく今後数年もそれは続くだろうと思います。そうしますと、それに
対応
するだけ
掛け金
を上げれば、そこに
均衡
がとれるわけでございますけれども、そうはいかないというようなことで、お話しのような積み不足がだんだん出てくる。これがふえていくということになると思います。これはそのとおりでございます。 それで、現在、各
共済組合
もおおむねそうですが、その中でも特に
農林年金
は、ばか正直に完全積み立て方式というたてまえを堅持してまいっておるわけであります。かといって、私は、それを賦課方式に切りかえるということも、また後代負担との
関係
もありますから、これはなかなかそうはいかぬのではないかと思いまするが、四十九年度予算編成の際に
農林
、
大蔵
両
大臣
の話し合いにもありましたように、総合的に
検討
するということは、そういう
財政方式
に手を加えるということであるというふうに私どもは考えておるのであります。したがいまして、現在のような完全積み立て方式のたてまえどおりでなしに、どういうふうに合理的に
財政方式
を変えていくかということが苦心の要るところだと思いまして、四十九年度末で再
計算
をいたしまする際にあわせまして、その点の
検討
をいまから進めたいと考えております。
美濃政市
9
○美濃
委員
いま、
掛け金率
の問題が出ましたが、そこで、私は、こう考えるのですね。これはさっきも申し上げたように、インフレを起こしたものは、この
制度
で言えば、
農協職員
がインフレを起こしたものではないわけですから――その時期その時期には、低い労賃の中から、しかも千分の七十で保険料が数理
計算
されて、
制度
として発足しておるわけです。そのインフレの被害を、すでに整理資源率として千分の二十六背負わされておるわけですね。
組合員
は、
掛け金率
からいけば、その半分の十三というのは、インフレの責任を背負わされておるわけだ。これ以上背負わせられないのです。しかも、繰り返しますが、その時期その時期には、たとえばベースアップがあれば、率でかけられるわけですから、給与の上がった率で負担をしていくわけであります。その時点その時点ではこの
制度
にのっとった負担をしてくるわけなんです。負担をして推移するが、インフレによってまたそれが上がる。上がった部分を、積み立て方式ですから、整理資源不足、すなわち
給付
責任準備金不足というのがもう年々発生して出てくるわけですから、それまで負担せいということはすべきじゃないですね。現況における可能な自己負担をして、その上インフレによる整理資源不足をみな
掛け金率
にしょわすとなったら、どうなるのですか。インフレを起こした責任は
農協職員
ではないはずですね。そういうばかなことは考えるべきじゃないです。
掛け金率
によってこれを始末するなどということはとんでもないことです。その負担を求めたときは、老後の保障もさることながら現況の
生活
に大きく響いてきますから、老後の
生活
保障のために餓死する
生活
をしたんじゃどうにもならぬでしょう。死んでしまって、死亡脱退見舞い金をいささかもらう
程度
になってしまうわけです。そういう残酷なことが
掛け金率
の裏にあるわけですね。そうすると、
掛け金率
を
引き上げ
るなどということは、もうすでに整理資源率千分の二十六をしょわしているわけです。
組合員
は折半としたら、インフレ部分を一三%しょっているわけですから、この上無限大に五千億、八千億となってくるような状態を放置すべきではない。 それから、もう
一つ
は、たとえば
給付
改定というものが行なわれるが、それがいわゆる
給付
保障の実質改善であれば、多少負担増が伴うということについても将来の
期待
が持てますけれども、そうじゃないわけで、
給付
改善そのものがインフレ率よりも、あるいは
賃金
のベースアップ率よりも低い条件で行なわれていく。ですから、
給付
の改悪だ。しかし、ものすごく
経済
事情と違った改悪条件になるから、いささか改善しなければならぬという
状況
で進行しておるわけですね。ですから、
給付
の改善じゃなくて、インフレに対する補完
措置
、その補完
措置
がインフレの影響を一〇〇%行なわれておるものでもないわけです。六〇%ぐらいの率ですね。既裁定
年金者
で六〇までいかぬのじゃないですか。そういう価のある金を何十年も積み立てて、そうして既裁定
年金給付
者には、このインフレによって、約束した金の価値、効果率から見ればまことに残酷な
給付
が行なわれる。それらのしわ寄せ、あるいはインフレにより、ベースアップによって、積み不足が起きる分はあげて
掛け金率
に持っていくなどということが行なわれたとしたら、これはもう現在の
生活
を破壊してしまいますよね。現在の
農協職員
の
生活
を破壊する料金が設定されていくわけです。これはとんでもない問題になっておると思うのです。ですから、これに
対応
する
措置
ですね。このままの
制度
では
対応
できない。
対応
できる
制度
にちゅうちょなく思い切って変えるべきだ。これは仕組みそのものがインフレに
対応
できない仕組みの中で発足しておるところに問題があるわけですね。ですから、この仕事に従事する
方々
は、
農林年金
の
理事長
さんはもとより、この仕事を担当しておる役所ももとより、全部の衆知を集めてこの矛盾する
制度
を打開する方策をとらぬ限り、小手先でごまかそうとして推移したら、将来とんでもないことになると思うのですね。思い切ってこの仕組みそのものを変えなければいけない。この
制度
の中のいじくりじゃないのですよ。現行
制度
の中で
補助
率を若干上げるとか、
国庫負担
を若干ふやすなどという小手先作業ではこの不満は解決できない。こういう
対応
できない矛盾点は思い切って現
制度
を突き破っていく。新しい
制度
のもとに
対応
できる
制度
ができますからね。 たとえば、欧州諸国へ行ってみなさい。欧州諸国の
年金
制度
はインフレに
対応
できる
程度
になっておりますから、ECも資本主義国家ですからインフレがあるわけですが、こんなばかげた矛盾は起きておりませんよ。あの
社会
保障の進んだ先進国が、矛盾のない
制度
を採用してきちっとやっておるわけです。あの
制度
にしなければこの問題は解決できないと私は思うのだ。現
制度
の仕組みを根本的にやめて、新たなものにつくりかえてしまわなければ解決できない。それはあるわけですから、新たに発見しなくたって、まねすればできるんですから、そのぐらいのことをやらなきゃだめだと私は思うのです。どうですか。
土岐定一
10
○
土岐参考人
給付
制度
の
内容
をよくしたり、それからインフレが増進しますと、
掛け金
そのものの率は、
財源率
は非常に高くなるわけであります。しかし、私は、それをそのまま現在の
組合員
にかぶせるというふうなことはできないと思っております。過去におきましても、将来におきましても、
掛け金
にはね返らないように、できるだけこれを押えていくような努力をしてまいりたいと思います。そのためには、先生のお話しにございまするような
財政方式
の問題、これをまず第一に
検討
しなければならぬということが重要なことでございまするが、目くされ金と言われまするけれども、国庫によりまする負担の問題、
補助金
の負担の問題、あるいは新しい
都道府県補助
の問題等、これやあれや集めまして、そういうふうな
掛け金率
の
増高
を来たさぬような努力をいたしたいと考えておりますので、その方面はあまりあっさりとさじを投げられないで、よろしく
お願い
いたしたいと思います。
美濃政市
11
○美濃
委員
最後に、御
答弁
は要りませんが、重ねて申し上げておきますが、私の申し上げたことも、
制度
の中では、
農林年金
は
農林年金
でこうなければならぬというようなことを真剣に考えてもらいたい。やはり、国民の世論あるいはこういう
団体
の世論として起こしていくところに
制度
は直るのであります。割れなべにとじぶたでは始末がつかないと申し上げて、私の
質問
を終わります。 どうもありがとうございました。
仮谷忠男
12
○
仮谷委員長
諫山
博君。
諫山博
13
○
諫山
委員
春日参考人
にお聞きします。
農林年金中央共闘会議
の「今後の
農林年金
闘争のすすめ方」という文書に次のようなことが書かれています。「四九年度
法改正
と四八年度一部
法改正
によって生ずる不足財源については掛金の大幅引上げで対処しようとしていることが明らかになりました。」こういうことが懸念される根拠が何かあるのでしょうか。
春日昉
14
○
春日参考人
農林年金
当局が言われる財源不足からして、とうてい
年金
運営がやっていけない、このことはただいま
土岐理事長
から説明がありましたように、正直にばかがつくほどちゃんと
給付
に要する積み立てをしていきたいという基本理念の中から、昨年、
農林年金
組合
会の中に
財政審議会
という
委員会
がつくられて、そのときに、
年金
当局は、
掛け金
の負担をどう考えていくかというような問題の提起のしかたで、言ってみれば、その思想的背景は、
掛け金
を
引き上げ
ざるを得ないという
内容
の提起のしかたがありましたので、そういう点で、私
たち
は、
年金
共闘
会議
としては、本来、
政府
に対する運動等のときには、多少の
要求
の違いがありまして問題はありますけれども、基本的には同じ
立場
であるという中で、
内部
の中でこういう問題をあまりいさかいをしたくはなかったわけでありますけれども、基本的にはインフレから生ずる財源不足なり、あるいは
賃上げ
なり、あるいは整理資源費の
増高
による負担を現役の人
たち
にかけるということはいけないという
立場
で、
政府
当局並びにきょうおいでになります
土岐理事長
も、日時ははっきり記憶しておりませんけれども、昨年の年末ぎりぎりごろようやく、皆さんの
掛け金負担
は
増高
しないということで
政府
に運動をしていきたいということで発言をなされ、同時に、
農林
、
大蔵
当局におきましても、ことしは
掛け金
は上げないということでございますので、さっきも
土岐理事長
から説明がありましたように、四十九年決算、来年の春でございますが、ここで再度
掛け金
問題がクローズアップするということで、私
たち
は、いままでの経過から見て、そういう危険性が多分にあるということでそう申し上げておる次第でございます。
諫山博
15
○
諫山
委員
土岐参考人
にお聞きします。 いま
農林年金中央共闘会議
の側から、
掛け金
引き上げ
についての考え方が説明されました。
農林年金
適用
労働者
の
賃金
が非常に低いということがずっと問題になっているわけです。ところが、
掛け金
がさらに
引き上げ
られるということになれば、これはもうたいへんです。 そこで、共闘
会議
の側からはいまのような
意見
の表明がありましたが、
理事長
としてはこの点どういうふうに取り組んでいかれるつもりなのか、どういう対策を講ずれば当分
引き上げ
なくて済むということになるのか、見解をお聞きしたいと思います。
土岐定一
16
○
土岐参考人
先ほど
春日参考人
から話がありましたが、
農林年金内部
の
財政審議会
で、大幅
引き上げ
をするというふうなことで
提案
したことはないのでございます。ただ、
先ほど
美濃
委員
のお話しの中にありましたように、現状
計算
をするとこれだけ足らないんだという資料として出したのでございます。これが大きく反響を呼んだかと思いますけれども、いまも申されましたように、
農林年金
の
対象団体
につとめます
職員
の給与は非常に低いのであります。これをさらに
掛け金
を大幅に
引き上げ
るということになりますと、一そう
生活
に困難を来たすということになりますので、できるだけこれを押えていくというふうな努力をいたしてまいりたい。これには、
先ほど
美濃
委員
の御
質問
に申し上げましたように、
財政方式
の合理的な
内容
を現在にとらわれないで
検討
するということと同時に、各種
補助金
の
増額
、それから現在の積み立て金によります運用益の投入等あらゆる努力をいたしまして、
掛け金
の
増高
を極力押えるようにいたしたいと考えております。
諫山博
17
○
諫山
委員
さっきの御説明で、
農林大臣
と
大蔵大臣
の間に合意が成立したようなお話しでしたが、何の問題について、どういう合意があったのでしょうか。
土岐定一
18
○
土岐参考人
これは年末の四十九年度予算編成の際の
農林
、
大蔵
両
大臣
の折衝の
あと
で記者会見がございまして、その発表の
内容
でございまして、多少私は私なりの受け取り方で申し上げておりまするから、そのとおりの
内容
ではありませんが、総合的に
検討
をする――当面は
掛け金
は
引き上げ
ないが、
次期
再
計算期
において総合的に
検討
するというような
内容
でございます。
諫山博
19
○
諫山
委員
総合的に
検討
するというのはなかなか幅の広い表現ですが、たとえば
農林年金
に対する
政府
の
補助金
をふやすべきだということは、
農林省
も予算
要求
の段階で主張しているようだし、また、当然の
要求
だと私
たち
は考えております。この点について
大蔵
省はことしは認めなかったようですが、どういう見解をとっているとお考えですか。
土岐定一
20
○
土岐参考人
私はその折衝の場におりませんので、
大蔵
省の見解はよくわかりませんが、総合的に
検討
するということばの前段は、
掛け金
の
増高
をできるだけ来たさないようにするために総合的に
検討
するということですから、
補助金
の
増額
をも含んだ、あるいは
財政方式
のほうも含んだ幅広い
検討
であるというふうに考えております。
諫山博
21
○
諫山
委員
掛け金
の
増額
をしてはならないという点では私と
理事長
も
意見
は一致すると思いますが、やはり、そのためには
財政
的な
措置
を講ずるということが必要なわけで、ぜひその面で努力をいただきたいと思います。 そこで、
春日参考人
にもう一ぺんお聞きしますが、
農協
で
労働基準法
がなかなか守られない。この
実態
は
農林省
も労働省も認めておられます。ただ、なぜ守られないかというと、
農協
の業務の特殊性があるからだという認識が
農林省
の中に非常に強いように思うのです。あなた
たち
から見ると、
農協
業務の特殊性によって
労働基準法
違反というのは避けられないものか、それとも、なくしようと思えばなくされるはずのものなのか、どうなんでしょうか。
春日昉
22
○
春日参考人
結論から申し上げますと、なくされるものだというふうに確信を持っております。なぜならば、
農協
と同じく、そういう地域の中にあります市町村役場も、地域住民とのかかわり合いではやはり同じ
状況
にありますし、あるいは
郵便局
にしてもしかりでございます。そういう点で、
農協
だけが特殊性があってできないということは理由にはならないと考えておりますが、一言つけ加えて申し上げまするならば、
一つ
は、私
たち
農協
のつくられておりますところの
労働組合
の弱さにも原因があるでありましょうし、
労働組合
がないところは格別にひどい状態にありますし、もう
一つ
は、
農協経営者
もおおむね三年が一期になっておりますので、ある
程度
労働基準法
も
理解
をしたところでまた選手交代というようなことで、全然
法律
のわからないような人が交代をしてくるので、これは絶えず監督機関が手をゆるめることなくやってもらわないと、一定期間だけやればいいというものではない、かように考えております。 〔
委員
長退席、山崎(平)
委員
長代理着席〕
諫山博
23
○
諫山
委員
農協
の特殊な仕事の
一つ
として、金融とか共済、購買の推進活動というものがあります。私はきのうの
質問
でも
指摘
したのですが、ある
農協
で、推進活動があるから
農協
をやめたいという回答をした人が非常に多かった。これを見て驚いたわけですが、これについて
労働者
はどういうやり方をしてもらいたいという希望を持っているのでしょうか。
春日昉
24
○
春日参考人
基本的には日常の業務外のそういう推進はやめてもらいたいということで、一語に尽きると思いますけれども、しかし、いろいろなことでやらざるを得ない場合には、
労働基準法
に基づく時間外の割り増し
賃金
をきちっと払うということが原則だと思います。ただ、逐次改善はされつつありますけれども、まだまだノルマをかけられた――たとえば共済の手数料を、
本人
に、契約をとってきた出来高によって、報奨金のような形で与えられておる。ところが、私も
単位農協
におりましたときに、
営農
指導員でございますが、
営農
指導員などの場合は、とりわけ農家と日ごろ仕事を通じて――しかも、農家の方に喜ばれるような仕事をしておるので、そういうときには案外出来高が上がるわけですが、直接そういうところに
関係
のない
職員
あるいは初めて入ったような
職員
は、ノルマをかけられても、なかなかノルマが達成できない、そこで、報奨金もつかない、こういうことでは大きく問題がある、かように考えております。
諫山博
25
○
諫山
委員
きのう私は
農協労働者
の
権利
を守るという観点で
質問
をしましたが、この問題で、
農林省
に要望することがあったらお聞きしたいと思います。
春日昉
26
○
春日参考人
農林省
といいますか、特に私は労働省に
お願い
をしたいと思うのですが、ずいぶんあちこちの県で、
労働組合
がみずから職場点検をして、労働基準局ないしは監督署で交渉をいたしますと、最近、
農協
の
労働組合
は監督署なり基準局へ通う率がなかなか多くなったけれども、実は、労働基準監督官が無尽蔵にいるわけではないので、監督官それ自体が、いま、国の労働省の予算のワクの中で皆さんの要望にこたえようとするならば、われわれも時間外勤務で、場合によればわれわれ自身が残業手当がつかないというような
実態
があるので、ひとつ皆さんからもっと監督官をふやすような運動も起こしてもらいたいということを監督官から言われておるわけでありまして、そういう点で、特に労働省にはその点を
お願い
したいし、
農林省
につきましては、
農林漁業団体
の監督行政機関として、絶えず手をゆるめることなく行政指導は
お願い
をしたい。 実は、
昭和
四十二年、当時も
倉石
さんが
農林大臣
のときだったかと思いますが、各
都道府県
知事を通じて、地方事務所まで、
単位農協
で
労働基準法
の摘発をされたことがあるかどうかという調査がされましたときに、たまたま私は
長野
県でございますけれども、地方事務所の農政課におります
団体
係、言うなれば
農林漁業団体
の
団体
係をしております役人が、私に、「こういう調査がありましたけれども、この調査をまともに報告をすると
農協経営者
に傷をつけてもいけないので、私の管内ではありませんという報告を県知事に
提出
をした」ということを私にまじめに言ってくれたわけでありますが、そういう点で、当時
農林省
へあげられた調査も、必ずしも十分な適切な調査であったかどうか、私の行政区域ではそういう
事態
もありましたので、疑いを持っておるというのが事実 でございます。
諫山博
27
○
諫山
委員
労働基準法
違反をなくするということは非常に重要だと思います。この仕事は使用者の責任でもあるし、監督官庁の責任でもあるし、また、私のように共産党の
議員
の責任でもあると思います。しかし、同時に、
労働者
自身がこの問題を解決していくという
立場
が何といっても
中心
になると思いますから、ぜひ努力していただくことを希望します。 最後に、きのう
農林省
の
答弁
で、
農林年金
適用
労働者
の
賃金
とそれ以外の
労働者
の
賃金
の格差は、比率としては少なくなりつつあるという
指摘
があったのですが、さっきのあなたの御説明では、金額の開きはむしろ大きくなっているのではないかというふうに受け取られたのですが、実情はどうでしょうか。
春日昉
28
○
春日参考人
中央
春闘
共闘
委員会
では、各産業別に、現在、妥結をした
労働組合
の
賃上げ
の額と率をそれぞれ算出をされておりますけれども、これは全産業にわたっており、たいへんたくさんございますので省略をいたしますけれども、私
たち
農協
の、とりわけ県の
連合会
で働いております人
たち
の平均で、妥結をしたところだけでありますが、額で見てみますと、単純平均で二万二千百二十四円、なお、率に直して三二・三%、それから加重平均にしまして二万二千五百九十八円、率に直して同じく三二・三%。なお、他産業と比較をした場合に、全体的に見て、率でも落ちておりますし、加えて、額ではなおさら格差が開いておる、これが
実態
でございます。 したがって、きのうの
農林経済局長
の
答弁
は、何の理由と根拠をもって
答弁
をされたのか、私
たち
の調査の範囲ではたいへん遺憾な
答弁
をされておるというふうに
理解
をしております。
諫山博
29
○
諫山
委員
午後私は
農林大臣
に
質問
をする
機会
がありますから、この点をぜひ
農林省
にあなたの
立場
として説明をして、改善に努力したいと思います。
質問
を終わります。
山崎平八郎
30
○山崎(平)
委員
長代理 次に、
瀬野栄次郎
君。
瀬野栄次郎
31
○瀬野
委員
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
土岐参考人
、
春日参考人
より貴重な御
意見
を
開陳
していただきまして、厚く感謝を申し上げます。 昨日、本法に対する質疑を私も約二時間近くいたしたわけでございます。その
質問
の過程でいろいろ明らかになってきたわけですけれども、本法は、一口にして言えば、最高に高い
掛け金
で最低に低い
給付
ということで、われわれも、例年のこととはいいながら、
農林年金
の
改正
にあたっては重大な関心を持ち、このままではけしからぬということで、将来早急に
改正
をせねばならぬ数点を昨日は
指摘
したところでございます。 そこで、昨日のいろいろの
質問
を踏まえまして、まず、せっかく両
参考人
おいでいただきましたので、お伺いしますけれども、本法の
提案
にあたって、
農林年金中央共闘会議
としても、また、
農林漁業団体
職員
共済組合
も、
理事長
をはじめ
政府
にいろいろと折衝されてきたと思うのですが、その経過の上でいろいろ
問題点
があったわけでしょうけれども、今後さらに交渉していく過程において、どういうところに大きなネックがあったのか、どういうところがたいへん交渉の過程で問題になったのか、かいつまんで簡潔に経過と
問題点
をまず
参考
までに述べていただきたい、かように思うのです。
土岐定一
32
○
土岐参考人
直接
大蔵
との折衝に当たっておりませんので、正確に申し上げるというわけにいきませんが、
農林年金
といたしますると、
農林省
といろいろ
協議
をするということになっております。その
協議
の中で、一番大きな問題は
補助金
の問題でございます。
農林年金
の定率
補助
の額が現在百分の十八でございます。これは一昨年、
先生方
の御努力を賜わりまして、百分の十六を百分の十八に
引き上げ
てもらったわけであります。そのころから
補助
率を
厚生年金
並みに
引き上げ
てもらいたい――
厚生年金
並みといいますと百分の二十でございますが、そういう
補助金
の定率
補助
の問題と、それから財源調整費といたしまして、現在百分の一・七七をいただいておるのでありますが、これを百分の三にしていただきたいということ、これは
農林年金
に所属いたします
団体
なり
組合員
の現状におきます
経営
並びに給与等の
関係
の問題から、地方公務員並みに
均衡
をとるために百分の三にしていただきたいというふうなことを折衝いたしてまいったのでありますが、
農林省
としてはそのとおりで折衝に当たられたのでございますけれども、なかなかその点が
実現
を見なかったという点がまず第一点でございます。 それから、第二点といたしましては、
先ほど
春日参考人
からはちょっと触れられましたが、
国家公務員
あたりでは、現在の
共済組合
が恩給部分を引き継いでいまの
共済組合
に入っておるわけであります。そういう恩給部分等、これを初期債務と言うのでございますが、初期債務に当たる部分は全額
事業主
である国が負担をしてまいっておるのであります。
農林年金
では、それとぴったり同じではございませんけれども、
厚生年金
から分かれて
昭和
三十四年に設立されたわけでありますが、
厚生年金
から分かれました際に、その
厚生年金
部分の初期債務をそのまま引き継いでまいっておりまして、それをそのまま折半で
組合員
と
団体
とが負担をいたしておるのでございます。この初期債務部分について、その半額を国で
補助
してもらいたいということの
内容
で折衝してまいったのであります。これも
農林
、
大蔵
でいろいろ折衝されまして、
実現
を見なかったのでありますが、そういう点があるのでございます。 いま申しました二点は、昨年暮れの四十九年度
政府予算決定
の際のいきさつでございますが、さらに、その予算の数字とは
関係
ございませんが、私学共済並みに
都道府県
の
補助
を可能ならしめるような条文を、
私学共済組合
法にあるように入れてもらいたいというのが第三点として大きな問題になっておるわけであります。これは、この
法制化
の段階で、
先ほど
申し上げましたように、
農林省当局
は一生懸命
関係
省庁を回られまして
協議
されたのでありますが、だんだん上に行くに従いましてしりすぼみになってまいったというような
状況
になっておるのでございます。
瀬野栄次郎
33
○瀬野
委員
土岐参考人
、そこで私学共済ですけれども、
都道府県
が
補助
できるように
法制化
せよ、これが
法制化
できなかったことは残念である、遺憾であるという意を表明されましたが、私も昨日この問題に触れていろいろ質疑をしたわけですが、
土岐参考人
は、
昭和
四十九年度からおいおい準備に入っておる、私学共済並みにせよということでいろいろ準備をしておるということの
意見
の
開陳
がございましたが、どういう準備をしてこれに臨んでおられるのですか、その見通しとお考えを述べていただきたいと思うのです。
土岐定一
34
○
土岐参考人
この私学共済法と同じように
都道府県補助
をもらうということは、いろいろ予算の
関連
もございますので、
法律
を直しますと将来の予算の
関係
もございます。おそらく、地方交付金というものが県へ行きまして、それから県でそれを組み込んで、その県下の
農林年金
対象団体
に対して
補助金
が出るということになろうと思いますが、そういうようにいずれは金に結びつく問題でございますので、この問題はいろいろ準備をすると言いましても、粘り強く熱心に根気よくやるという以外には準備のしようがございませんので、要望し得るところには十分
理解
を求めるような努力を重ねていく、こういう一点に尽きるのではなかろうかと思うわけでございます。
瀬野栄次郎
35
○瀬野
委員
次に、
春日参考人
に伺いますが、
先ほど
の
意見
開陳
の中で、若い青年が
自殺
をしているというお話しがありましたが、私も、
北海道
をはじめ静岡においても、あるいはまた九州においても
自殺
者が相次いでおることはよく承知しております。生産
地帯
の
農民
からいろいろと各種の強い
要請
が出ておることも承知しておりますが、農業労務者の
実態
というものがたいへんであるということをいろいろ述べられました。われわれもわれわれなりに承知しておりますけれども、その
内容
について、簡潔でけっこうですから、もう少しこの
機会
に述べていただきたいと思います。
春日昉
36
○
春日参考人
最近の
農協
は一これは
農協
に限らないと思うのですが、
漁業
協同
組合
においてもしかりだと思うのですけれども、
経営
の基盤となる
農民
の農業なり、あるいは
漁業
の場合は近海
地帯
が公害等で荒らされておりますから、漁民や、
農民
それ自体の農業がだんだんたいへんになってきておって、農業が、あるいは
漁業
が破壊されれば、その基盤の上に立つ
農協
の
経営
が逆に豊かになるということは当然あり得ないわけであります。しかし、一見、
農民
あるいは漁民の表向きの現象面だけ見れば、カラーテレビも入っておるとか、あるいは電気洗たく機も入っておるとか、車も入っているじゃないかとか、そういうことは言えると思いますけれども、一歩
内容
に入ってみれば、これはもう
先生方
も御案内だと思いますけれども、出かせぎ
農民
なり、あるいは家から通っておる人にしたって、安定した職場じゃなくて、絶えず不安定な職場で働き、そして、そのために奥さんまで農閑期には働きに出るというようなことから、いま教育問題もだいぶクローズアップしておりますけれども、問題はやはり、勢い家庭の中における家庭教育というようなものもないがしろにされるとか、あるいは出かせぎのために家庭的な悲劇を起こすとか、あるいはだんなさんの給料が出先でもらえなかったとか、いろいろなことがあるわけでありますが、そのことはともあれ、農業なり
漁業
だけでなく、そういう農外収入にたよった農家
経営
の上に成り立つ
農協
ですから、最近の
農協
経営
は、生産共同体の性格から勢い
生活
協同
組合
的な性格が強くなる。しかも、一方、
合併
等によりまして、
農協
役
職員
と
農協
組合員
の親近感が失われていく。こういうようなことから、勢い、では
農協職員
の
賃金
も上げるということになれば、これはノルマをかけて強制的に
農民
に共済加入なり貯金の吸収を――貯金の原資も、農業生産の高まりの貯金じゃなくて、出かせぎの金なり、あるいは農外収入にたよったこういうものの貯金を
農協
が吸収をしていく、こういうことで、年度は明確にいつからとは言えませんが、大体
昭和
三十六年を境にして、
農協
の運営のあり方、あるいはそこに働く
労働者
の
労働条件
なり、そういうものがおのずから大きく変わってきているというふうに言えると思います。
瀬野栄次郎
37
○瀬野
委員
土岐参考人
にお尋ねしますけれども、
先ほど
春日参考人
から、
農林年金
の
掛け金
の
負担割合
の問題で、労使
折半負担
である、これを三、七に変えろ、
経営者
の
姿勢
を変えていただきたい、
単協
ではすでに四、六に変わっているところもある、ぜひともこういったことを
お願い
したいという話がありましたが、
法律
が計画されておるということでございましたが、
土岐参考人
は、この点についての見解はどうでございますか。
土岐定一
38
○
土岐参考人
組合員
の
方々
のその気持ちはよくわかるわけでございますが、これは単に
農林年金
のみならず、各種
社会
保険全部が折半という原則でできております。したがいまして、
共済組合
はどこもみな折半ということになっております。
農林年金
だけがこの割合を変えるということはなかなか困難であろうと考えております。ただ、私は、七、三に変えるという前に、
先ほど
も申し上げましたが、初期債務の部分について、
国家公務員
共済組合
では、
事業主
である国が全額負担いたしておるわけでありまするから、この点について、これを
事業主
が負担できないものであろうかどうかというようなことで、四十八年の
財政審議会
におきましても、この七、三の割合の問題から、いまの初期債務の
事業主
負担の問題等につきましていろいろ
意見
を求めたのであります。七、三の割合の問題につきましては、
団体側
といたしましては、これは全面的に反対というようなことでございます。初期債務の
事業主
負担についてはある
程度
理解
を深めたものであるというふうに私は考えております。そうしますと、実質的に比率が多少変わってくるということに相なるわけでございます。数字的に七、三にするということよりも、そのほうについてだんだんと
団体側
の
理解
を深めまして
実現
にもっていくようにいたしたい、こういうふうに考えております。
瀬野栄次郎
39
○瀬野
委員
時間がもう迫ってきましたので、最後にもう一点お伺いしておきます。
土岐参考人
にお尋ねしますけれども、
農林年金
の
組合員
の給与が一番低い、そのためになかなか人材が確保できないという問題があるわけです。これはもう例年
指摘
してきておるところです。他共済
制度
との
年金
の支給額の格差もあるというようなこともいろいろ問題になるわけでございますが、こういった意味から、
組合員
の待遇改善ということについては
理事長
としてはどういうふうに考えておられるか、また、どうすれば待遇改善ができると思うか、そういったことをかねがねいろいろ
土岐参考人
もお考えであろうと思うが、この
機会
に最後に御
意見
を承っておきたいと思います。
土岐定一
40
○
土岐参考人
農林年金
の
理事長
といたしますと、その
農業団体
の
経営
の責任、あるいは指導する
立場
にございませんので、
実態
を申し上げる以外にはないわけでございます。 確かに、
実態
は、
農林年金
の統計によりますると、四十七年度末ですから、四十八年三月現在の数字では、
農林年金
の
対象団体
につとめまする
組合員
の平均給与は五万九千幾らということに相なっております。それから、
厚生年金
の
関係
はちょっと数字を忘れましたけれども、七万ちょっとこしておると思います。そのうち地方公務員の
関係
が一番高いのですが、これも七万をかなりこしておるという数字になっております。 そういうようなことで、かなり低い
実態
にあるのでございます。したがいまして、その
実態
を見ますと、
農林年金
対象団体
の
組合員
の給与がかなり
引き上げ
られることを私は要望いたしたいと思っております。ただ、どうすれば
引き上げ
られるかということについては、何ともちょっとお答えの申しようがありませんので、ごかんべんを願いたいと思います。
瀬野栄次郎
41
○瀬野
委員
いまいろいろ
理事長
からお話しを承りましたが、なぜ私がこれを聞いたかといいますと、もともといわゆる
農業団体
の
職員
の給与が低いということ、これが
一つ
の大きな問題でもあります。そういったことに対してあなたはどのくらい関心を持っているか。共済
年金
として
関係
ないわけではないんですから、今後の農業の発展をはかるために――農業はいまたいへんな窮地に追い込まれておる。この曲がりかどに際して、第一線で働く
職員
の給与にもあなたもいろいろと重大な関心を持ち、今後の
農林年金
のより発展をはかってもらいたい。そして、昨日も私は
指摘
したわけですが、
財政
健全化の道、これが一番問題であります。そのためにも、他
制度
の
職員
の給与の額くらいはちゃんと知っておいてもらって、そして、こうだからこうだと言わなければ、なかなか
政府
も乗ってこないし、強力な交渉もできないし、全
組合員
を代表する
理事長
としてもっと強力に折衝しなければいかぬ。そういったところが抜けておるというか怠慢というか、力が足らぬ、かように私は思うがゆえに、あなたにあえてこれを聞いたわけです。それくらいのことはもうわれわれでも数字はわかっておる。そういった意味で、けさほどからの
開陳
を聞いていても、何となく迫力に欠けるというか、熱意というか、力がないような感じがしてならぬから私は
指摘
をしたわけです。 どうしても
財政
健全化をはかるというならば、国庫
補助
の
増額
、あるいは
掛け金
の
増額
、あるいは
経営
努力によってやるという、この三つしかないけれども、
経営
努力もすでに困難な問題が山積しておるし、
先ほど
意見
を
開陳
されたように、
農林年金
の千五百の
団体
があり、しかも、財源はたいへんなところに来ているということも
指摘
しておるところでありますし、
掛け金
の
増額
にしても限界があることはわかっておることですから、そうなれば、
先ほど
いろいろと論議されましたように、根本的な基本的な問題もあるけれども、国庫
補助
の
増額
、これ以外にないわけです。こういったことに対して、他
年金
との
関係
、また、
職員
の平均給与の問題等あらゆるものを踏まえた上で、もっと迫力ある折衝を今後やって、
農林年金
の前進のために力を尽くしてもらわなければならない。どうも努力が足らない、熱意がないというような感じがしたので、あえて最後に私は
指摘
しておくわけであります。 今後の
農林年金
の発展を祈って、両
参考人
からの貴重な御
意見
をありがたく拝聴し、私の
質問
を終わることにします。
山崎平八郎
42
○山崎(平)
委員
長代理 これにて
参考人
に対する質疑は終了いたしました。 両
参考人
には、長時間にわたり貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 この際、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ――――◇――――― 午後一時十七分
開議
仮谷忠男
43
○
仮谷委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
内閣提出
、
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲富
稜人君
。
稲富稜人
44
○稲富
委員
本法第一条の二に「この
法律
による
年金
たる
給付
の額は、国民の
生活
水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の
措置
が講ぜられなければならない。」ということをはっきりうたってあります。もちろん、今回の
法改正
はこういう点を十分勘案しての
法改正
だと思うのでございますが、今後の
改正
に対する
参考
にもなりますので、その「国民の
生活
水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合」という点をどの
程度
に
政府
は認識をされておるか、承りたいと思うのでございます。
岡安誠
45
○岡安
政府
委員
「国民の
生活
水準その他の諸事情に著しい変動」というのは何を指標にして考えるかということはなかなかむずかしい問題だと思っております。 そこで、従来この
法律
の運用としてどういう
措置
がとられたかという点についてお答えをいたしたいと思いますけれども、従来の既裁定
年金
の改定等は、
国家公務員
の給与につきまして人事院の勧告があり、ベースアップがなされるというような指標をとらえまして、おおむねその指標どおりに既裁定
年金
の変更をいたしているわけでございます。ただ、かつてにおきましては、
国家公務員
のベースアップのうち
物価
変動部分はまるまる見ますけれども、それ以上の部分につきましては、
生活
給にかかる部分ということで、差額の六割分だけを加算をいたしまして改定をいたしております。ただ、ここ数年におきましては、
国家公務員
のベースアップをまるまる既裁定
年金
にはね返らせるというような
措置
をとっているわけでございます。
稲富稜人
46
○稲富
委員
それで、特にここで
法改正
に対して頭に入れてやらなければいけないことは、
農林年金
の場合、
厚生年金
より厚い
給付
を行なうことにより、
農林漁業団体
に優秀な人材を確保する目的で、
厚生年金
から
分離
独立したものであるという点を十分勘案して処置をとらなければいけないと思うのでございます。 それで、この
改正
はどの点が
厚生年金
より有利に
給付
されているという考え方を持っておられるか、この説明を承りたいと同時に、さらに、他の地方公務員共済、公共企業体共済、
国家公務員
共済、私学共済等との比較をどういうふうに見ておられるか、退職
年金
、障害
年金
、
遺族年金
等に対して、この点の実情を承りたいと思うのでございます。
岡安誠
47
○岡安
政府
委員
まず、
農林年金
制度
と
厚生年金
制度
との比較について申し上げます。 まず、
給付
金の算定の基礎となります平均標準給与の算定期間につきまして、
農林年金
は、今回の
改正
によりまして、退職時前一年間の平均ということになるわけでございますけれども、先生御承知のとおり、
厚生年金
につきましては全期間平均、大体これは三十二年以降の平均になりますけれども、そういうようなことになっております。これは、最近の給与の動向等を考えますれば、
農林年金
のほうがはるかに有利になっているというふうに言えると思います。 それから、
給付
開始年齢につきましては、
農林年金
は五十五歳以降、
厚生年金
は六十歳以降ということになっております。 それから、退職一時金の支給期間要件でございますが、これは、
厚生年金
につきましては脱退手当金ということになります。
農林年金
は一年以上でございますし、
厚生年金
は五年以上というようなことで、全体といたしまして、
厚生年金
よりも
制度
として非常に有利であるというふうに私どもは思っております。 また、
実態
から見ましても、今回、低額
年金
に対します優遇
措置
といいますか、新しい方式を導入いたしました結果、
厚生年金
の
給付
水準より下回る
給付
金を受ける者がほとんどいなくなる。もちろん、形式的には九%ぐらいの
方々
が下回りますけれども、これも受給開始以降の余命年数期間全
給付
金の額を考えますと、
厚生年金
よりも有利であるというふうに考えております それから、他の共済
制度
でございますが、これは
農林年金
とおおむね同じような
制度
になっておると考えております。
稲富稜人
48
○稲富
委員
確かに、
厚生年金
との比較によりますと非常に有利になっているということは私
たち
も認めるのでございますが、他の
年金
との比較では、われわれも、いささか有利だとは見受けるわけにいかないのでございます。 それで、今回の
法律
の
改正
は
社会
保障
制度
審議
会の答申に基づいて行なわれたものであるとわれわれも解釈をしているのでございますが、今回の
改正
法案に対しまして、共済
年金
としての独自の改善がなされるという趣旨の前向きの答申を行なっておりますが、そのとおりであるかどうか、この点を承りたいと思うと同時に、その
改正
項中特に独自の改善として評価をされているという点はどの点であるか、承りたいと思います。
岡安誠
49
○岡安
政府
委員
共済組合
制度
独自の改善としておもな点を申し上げますと、
一つ
は、
給付
の
計算
の基礎となります平均標準給与の算定期間を退職時前三年を一年にしたこと、これが第一点でございます。それから、低額
年金
受給者
に対しまして、通算
年金
方式に準ずる方式を導入いたしまして、いずれか高いほうというような
給付
の改善をはかったということが第二点でございます。それから、扶養加算につきまして新しく
制度
を設けたということ、これがおもな独自の
改正
点だと思っております。
稲富稜人
50
○稲富
委員
社会
保障
制度
審議
会は、これまで、
年金
制度
の中において、
共済組合
制度
自体が持っている
問題点
については、その抜本的
改正
の必要を繰り返し繰り返し今日まで述べてきております。しかるに、今回の
改正
においてもなおこれに対する積極的な
姿勢
が見られないということは遺憾であるということを表明いたしております。「被用者
年金
における
給付
水準のバランス、
国庫負担
の問題その他国際比較等を考慮し、すみやかにその解決を図るよう強く要望する。」と、こういうことを言っておるのでございます。もちろん、このことは、
農林年金
の
改正
に対するものばかりじゃなく、共済
年金
の中核である
国家公務員
共済、地方公務員共済の動向等からそういうようなことを申しておると思うのでございますが、これに対してはやはり遺憾の意を表されておりますので、この
年金
制度
に対しましても特別の計画というものを進めなければいけないだろうと思うのでございますが、これに対してはどういうような見通しというのか、将来の計画を持たれておるか、承りたいと思うのでございます。
岡安誠
51
○岡安
政府
委員
確かに、
共済組合
制度
一般につきまして、
社会
保障
制度
審議
会から抜本
改正
の必要ということが言われております。そこで、各共済
制度
担当省庁が集まりまして非常に
協議
を重ねてきたわけでございます。こまかい点につきましては
意見
の一致を見、それぞれ改善がなされた点もございますけれども、基本的な部分につきましては、それぞれの
共済組合
制度
独自の仕組み等もございまして、共通の問題として処理するために非常な困難があったということから現在まで結論が出ていないわけでございます。ただ、基本的な問題の
一つ
といたしまして、自動
スライド制
の導入等につきましては、今回
関係
省庁の連絡
会議
の中間答申を受けまして、
社会
保障
制度
審議
会ができるだけ早く結論を出すというような体制にもなってまいりましたので、私どもも、ほかの
関係
省庁と
協議
いたしまして、早い
機会
に根本的な手入れをいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
稲富稜人
52
○稲富
委員
ただいまの
答弁
の中にも触れられたのでございますが、このたびの
改正
の主要な事項として、
給付
の基礎となる平均標準給与を退職時前一年の基準給与の平均とするということと、並びに、低額
年金
の改善策として、通算退職
年金
の額の算定方式に準ずる新たな算定方式が導入されております。これは何ゆえに新法
年金
のみ適用されるのか。全
年金者
に適用する必要があるのではないか。こういう点に対するもっと公平な処置をとるべきであると思うのでございますが、これに対してはどういうような解釈をしておられるのか、承りたい。
岡安誠
53
○岡安
政府
委員
まず、平均標準給与の算定にあたりまして、三年を一年にしたことを旧法に及ぼさないのかという御
質問
でございますが、旧法につきましては、すでに退職時前五カ年間の給与の平均もしくは退職時前全期間の給与の平均のいずれか高いほうをとりまして、それに一・二倍をいたしたものを
給付
の算定の基礎となる平均標準給与にいたしております。一・二をかけるということによりまして、ほぼ最終給与に近いものというふうになっておりますので、これは旧法はそれなりに
措置
をされているものというふうにまず考えております。 次に、低額
年金
の改善
措置
でございますけれども、これは確かに旧法だけでございます。このような扱いにつきましては、旧法においてまず試みてみる。特に、旧法は、
厚生年金
を一応の見合いとして、といいますか、その水準を見まして、それより水準が下がらないようにという配慮をいたしておりますので、そういうようなことからこの低額
年金
の改善の
措置
を新法に導入いたしたわけでございまして、旧法は、現在ございますのは絶対保障額と言われます下ざさえの
制度
、これらの拡充によって
措置
するということを私どもは考えておるわけでございます。
稲富稜人
54
○稲富
委員
将来は、この問題に対しては、まんべんなくすべての
年金者
に適用するという、不公平でないような取り扱い方をするように前進さすべきである、かようにわれわれは考えるので、これに対しては、やはり将来のこととして念頭に置いていただきたい、かように特に申し添えておきたいと思うのでございます。 さらに、通算退職
年金
について、今回、ある
程度
までは財源がなくても支給できるということになっているようでございますが、それでも
厚生年金
被保険者における額より不利となるということがまだ残されておるのであります。もちろん
制度
の違いがあるといたしましても、現実に高い
掛け金
を払っている
農林年金
のほうが低額であるということは、先刻も述べましたように、非常に問題ではないかと思うのでございますが、この点をどういうふうになさるつもりなのか、承りたいと思うのでございます。
岡安誠
55
○岡安
政府
委員
いまの御
質問
の、通算退職
年金
におきます割り落としと言われております
措置
についての御
質問
でございますが、これは今回、御
指摘
のとおり、八割に満たないときはこれを八割とするというような
措置
をいたしております。それは
厚生年金
がそういうことをしていないのにおかしいではないかという御
質問
だと思いますけれども、
厚生年金
につきましては、これも先生御承知と思いますけれども、退職一時金という
制度
がございません。
厚生年金
としましては、通算退職
年金
の対象となるような場合におきます留保分は、別途
掛け金率
に算入いたしまして徴収をしているというような
制度
の仕組みが違うわけでございまして、その
関係
から、
厚生年金
におきましては割り落としの
制度
がないわけでございます。これは、もし今後割り落としの
制度
をなくすということになりますと、整理資源といいますか、それがそれだけふえることにもなるわけで、現在この
共済組合
制度
は共通のこととして
措置
をいたしておりますが、整理資源の問題ともあわせて、将来
検討
はいたしたいというように考えております。
稲富稜人
56
○稲富
委員
ついででございますが、この
機会
にお尋ねしたいと思いますことは、すでに
局長
も御存じのように、しばしばわれわれが論議もした問題でありますが、通算退職
年金
制度
の
遺族年金
の創設をやるべきであるという問題があったのでございますが、これに対しましては、今後どういうような考え方をもって臨まれるか、承りたいと思うのでございます。
岡安誠
57
○岡安
政府
委員
通算退職
年金
に
遺族年金
の
制度
を導入したらどうかということでございますが、これは、私どもも、いわゆる基本的な問題の
一つ
として
検討
をしなければならないと思いまして、
厚生省
を
中心
に
関係
省庁集まりまして
検討
いたしている事柄でございます。昨年厚生
大臣
がやはり
国会
におきます
質問
に答えたのでございますけれども、できるだけ早い
機会
に結論を出したいというふうにお答えになっておりますので、私どもも、
厚生省
と相談をいたしまして早く決着をつけたい問題であるというふうに考えておる次第でございます。
稲富稜人
58
○稲富
委員
この問題につきましては、もうすでに
局長
も御承知のとおり、しばしば論議されておる問題でございますので、われわれは、この際、法の
改正
をすると同時に、こういう問題に対して取り組んでもらいたいという
期待
をしておったのでございますけれども、この問題については、将来早急に何とか対策を講ずるような方法をとっていただきたいということを特に私はこの際強く希望申し上げておきたいと思います。 さらに、今回、
遺族年金
についてだけは扶養加給
制度
が新設されておりますが、他の
年金
、すなわち退職
年金
、障害
年金
等についても扶養加給
制度
を設けることが当然ではないかと考えるわけでございますが、これに対してはどういうような考え方を持っておられるか、承りたいと思うのでございます。
岡安誠
59
○岡安
政府
委員
厚生年金
におきます老齢
年金
は、
農林年金
におきます退職
年金
相当の
年金
でございますけれども、
社会
保障という見地に立ちまして、比例報酬部分により報酬の
程度
を反映されるほか、定額部分によって所得の再配分を行なうということが
一つ
と、それから、加給
年金
額によりまして扶養手当の要素を加味して算定をするというたてまえになっているわけでございます。ところが、
農林年金
のほうは、ほかの
共済組合
制度
と同じように、長く勤務いたしますと、それだけ額が多い
年金
が受けられるというような長期勤続奨励的性格が強いわけでございまして、原則として、報酬比例に基づきまして
年金
を算定するということになっているわけでございます。 したがって、今回特に
遺族年金
についてだけ扶養加算を行なうというふうにいたしましたのは、子供のある遺族の方、またはきょうだいのある遺児等につきましては特に手厚い保護が必要であるというふうに考えて新たに
措置
したものでございまして、このような
制度
をほかの
年金
にまで広げるということにつきましては、相当基本的な問題も含んでおりますし、また、他の
共済組合
制度
とのバランスも考える必要がありますので、これも非常にむずかしい問題ではございますが、
検討
をさせていただきたいというふうに考えております。
稲富稜人
60
○稲富
委員
さらに、今度は、税金の問題をお尋ねしたいと思いますが、所得税法第二十九条第一項の規定によりますと、
農林漁業団体
職員
共済組合
法による
年金
は給与所得とみなされて、課税対象となっております。
年金
については給与所得の対象から除外して非課税にすることが当然だと思うのでございますが、これに対しては
農林省
としてはどういうような考え方を持っておられるか、承りたいと思います。
岡安誠
61
○岡安
政府
委員
確かに、
年金
の収入は所得税の課税対象ということになっておりますけれども、すでに、四十八年度の税制によりましても、大体年間百四十五万円
程度
までは非課税になっております。さらに、四十九年度の税制
改正
によれば、百六十七万円
程度
までは非課税ということでございますので、
農林年金
の
受給者
はおおむねこの範囲に入るのではあるまいかと思っております。もちろん、他に相当大きな収入があれば別でございますけれども、大体非課税の取り扱いを受け得るのではあるまいかというふうに考えているわけでございます。
稲富稜人
62
○稲富
委員
最後に
一つ
、
農林年金
制度
の
財政
状況
について承りたいと思うのでございます。 今回の
社会
保障
制度
審議
会の答申においても、特に、
農林年金
制度
については
財政
基盤の強化をはかるべきであるという趣旨を強調しておられます。毎年の
制度
改正
や著しいベースアップ等によって相当の不足財源が出ていると思いますが、この実情に対する処置をどういうふうになされておるか、承りたいと思うのでございます。
岡安誠
63
○岡安
政府
委員
農林年金
にとって最大の問題は、従来の経過の積み重ねの結果でございますけれども、不足責任準備金が
昭和
四十七年度末で約三千六百億円、四十八年度でもおそらく約五千億円
程度
になるのではあるまいかというふうに思っておりまして、このような
財政
に対してどう対処するかということが最大の問題でございます。私といたしましては、
昭和
四十九年度末を基礎といたしまして
農林年金
の
財源率
の再
計算
をいたしたいというふうに考えておりますので、その結果によりまして総合的な対策を講じたい。もちろん、なかなか容易なことではございませんけれども、私どもといたしましては、あらゆる手段を講じまして適切な対策を講ずるべく努力をいたすつもりでございます。
稲富稜人
64
○稲富
委員
今後の調査の結果によって対処されるということでありますが、御承知のとおり、
農林年金
の
組合員
の
掛け金率
というものは最高の部類に属しておると言われておりますけれども、この不足財源を家計に取り組ませるというようなことになると非常に困難であると思いますので、この点に対しては、その
組合員
に負担のかからないような方法で十分対処すべきであると思うわけでございますが、これに対して何か腹案があるなら承りたいと思うのでございます。 こういうことに伴いまして、今後のこの運営に対して私
たち
が考えることは、御承知のような私学共済のごとく、
都道府県
にこれが負担をさせるべきことが必要ではないかということも考えるわけでございますが、これもなかなか問題があると思うのでございます。そうなりますと、おのずから当然国がその財源
措置
をやるべきであるということもわれわれは強く考えるわけでございますが、これに対してはどういうような考え方を
政府
は持っておるか、承りたいと思うのでございます。
岡安誠
65
○岡安
政府
委員
確かに、
財源率
の再
計算
をいたしますと、従来方式であるならば相当な
掛け金率
の増大になると思いますし、したがって、
組合員
の負担も
増高
せざるを得ないというふうに思います。ただ、御
指摘
のとおり、現在の
農林年金
の
掛け金率
の
組合員
負担部分は相当多額になっておりますので、できることならば、私どももこれ以上
組合員
の負担を
増高
させない
措置
を講じたいと考えます。しかし、非常にむずかしい問題なので研究をいたしておりますが、御
指摘
のとおり、それに対する
措置
の
一つ
といたしましては、国庫
補助
の充実とか、
都道府県
による援助とかいうものも含めまして
検討
をいたすつもりでございます。
稲富稜人
66
○稲富
委員
これに対しましては法第六十二条に、「国は、毎年度、予算の範囲内において、次の各号に掲げる経費を
補助
することができる。」ということがはっきりうたってあります。
給付
に要する費用の百分の十八に相当する額を負担することになっておりますが、国庫
補助
をやるということになりますと、この百分の十八という
補助
率をもっと上げるということも当然考えなければできないと思いますが、これに対する
増額
等に対してはどういう考え方を持っておられるか。私
たち
は、今日のこの
組合
に従事している各
職員
の報酬あるいはほかとの比較ということを考えますときに、それに負担が少なくかかるためにはどうしても国庫
補助
の
増額
が当然必要であると考えますので、これに対しては特段の考え方を持たなければいけないと思いますが、これに対してどういう考え方を持っているか、承りたいと思う。
岡安誠
67
○岡安
政府
委員
この国庫による援助の増大につきましては、われわれといたしましても従来から努力してきたところでございますが、今後も私どもといたしましては最大の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
稲富稜人
68
○稲富
委員
要するに、この法が制定されております目的というものは、優秀な
職員
をこういう
農業団体
に定着せしめるということがこの
法律
の骨子であると思うのでございます。それがためには、老後においても安心してその職に挺身されるような方法を講じてやることが最も必要であると思いますので、この法の立法の趣旨から申し上げましても、
政府
は特段の考え方をもってこの共済
制度
を生かし、この共済
制度
が、
職員
がみんなよることのできるようなものにする方法を講じてもらうように、十分前向きに処していただきたいということを強く要望いたしまして、私の
質問
を終わることにいたします。
仮谷忠男
69
○
仮谷委員長
柴田健治君。
柴田健治
70
○柴田(健)
委員
簡単にお尋ね申し上げますから、簡明にお答え願いたいと思います。 同僚
議員
からこの法案に対していろいろ御質疑がございましたが、私は、何としても
農業団体
職員
の給与改善をまずしなければならぬという気がいたすわけでありますが、いま中身を見ると、
団体
別の給与格差、そしてまた地域的な給与格差というものがあるわけであります。こういう格差をなくすることが当面の緊急課題であるし、そして、また、
農業団体
職員
の優秀な
職員
の確保、定着ということを考えた場合には、思い切って給与改善をすることが大事だと思っておるのでありますが、この二つの点についてお答え願いたい。
岡安誠
71
○岡安
政府
委員
農林
業
団体
につきましては、それぞれ末端の
団体
、
都道府県
単位にある
団体
、
中央
団体
がございまして、
賃金
等の格差もございますが、さらに問題なのは、御
指摘
のとおり、同じ地域等にある
団体
と比べましても
賃金
の格差があり、一貫して低位にあるわけでございまして、そういうような格差の是正ということは、できるだけ早い
機会
に改善がなさるべきものというふうに私どもは考えております。 それから、おっしゃるとおり、優秀な人材を
農林
業
団体
に確保するためには、基礎となります待遇の改善、これなくしてはなかなかむずかしい問題でございます。ただ、私どもが考えておりますのは、
職員
の待遇改善につきましては、まず、
職員
の雇用主である
団体
自身があらゆる努力を払わなければならないというふうに考えておりますが、ただ、
団体
自身では必ずしも容易ではないという場合には、国なりその他の機関ができ得る援助はいたすということで従来対処いたしてきているわけでございます。今後とも、私どもといたしましては、
農林
業
団体
職員
の給与水準の
引き上げ
に対しまして最大の努力はいたしたい、かように考えておる次第でございます。
柴田健治
72
○柴田(健)
委員
抽象論的で要領がよくわからないのですが、それなら、具体的に
事業主
に対してどういう給与改善を今後――たとえば今年度中にはどういう指導を具体的にしていくのか。格差については具体的にどういう行政指導で格差是正をやっていくのか。具体的なことを言ってもらわないと、ただ私の申し上げた点に賛意だけを表してもらったんじゃ困るので、具体的にどうするのか。これは
農林省
の任務だと思ので、それのお答えを
お願い
したい。
岡安誠
73
○岡安
政府
委員
これは先生十分御承知と思いますけれども、
農林漁業団体
職員
の給与というものにつきまして一定の水準をきめ、それを確保するというわけにはまいらないというふうに思います。これは
政府
関係
の
職員
でもないし、また、私どもが他の行政の必要からやっておりますような
補助
職員
でもないわけでございます。したがって、やはり第一に必要なことは、
農林漁業団体
職員
を雇用している
団体
自身の力をつけるということ、これを抜きにしてはすべての施策が抽象化されてしまうわけでございます。 では、
団体
の力をつけるのには何がいいかということでございますけれども、これもいつも同じことを言うと言われますけれども、基盤を確立すること以外にはないわけで、零細規模の
団体
につきましては、規模を大きくするということ以外には、
経済
的な基盤の確立はなかなかおぼつかないというふうに思っております。中には、もちろん、
組合
の規模が小さいほうがいろいろ問題に対処しやすいという御
意見
もあるかと思いますけれども、具体的なこまかい事案ではそうかもしれませんけれども、長い目で見た場合には、やはり、規模の大きい基盤のしっかりした
組合
というものでなければ、最終的に
職員
の給与の改善をなし得ないのではあるまいかというふうに考えまして、私どももそういう
措置
を進めておりますけれども、
農林漁業団体
の
中央
機関におきましても、そういう方向で現在もなお
合併
の推進につとめておるところでございます。
柴田健治
74
○柴田(健)
委員
農業団体
は国の
法律
に基づいて法人組織になっているわけですが、たとえば農業協同
組合
法なら協同
組合
法の精神ですが、これをもっと
農林省
が徹底をして、あの法の精神を、
事業主
、要するに役員諸君がもっと守れば、もう少しこの給与改善というものが真剣に考えられてくると私は思うのです。たとえば、この協同
組合
の
営農
経営
改善という面については、もっと賦課金を取る指導をしたらいいじゃないか。その賦課金も取らない。当然賦課金を取らなければならぬのに、賦課金も取らずに、ただ信用事業や販売事業、購買事業だけの利益で全部まかなうという考え方自体が、どこにしわ寄せがいくかというと、やはり
職員
の給与にしわ寄せする。そういう点の指導は
農林省
はあまりしていない。当然、
営農
経営
改善事業というものは賦課金を取るべきだ。中には、畜産振興についての一頭当たりで多少何ぼかの賦課金を取っておる
組合
がある。また、ただ反別割りにして賦課金を取っているところもある。ばらばらなんですよ。だから、そういうばらばらな賦課方式でなしに、協同
組合
法の精神をもっと周知徹底させて、この
職員
の給与改善はどうあるべきかということをもっと明確に指導していけばこれはできないことはないと私は思うが、これはどうですか。
岡安誠
75
○岡安
政府
委員
確かに、御
指摘
のとおり、たとえば農業協同
組合
等におきます指導事業の経費につきましては、賦課金を取るということが本筋だというふうに考えております。ただ、これも先生十分御承知と思いますけれども、指導事業の成果というものはなかなか短期間にあがらないわけでございまして、長期に見なければ成果があがらないというようなたぐいのものにつきましては、
組合員
である農家から賦課金をなかなか取りにくいという面も確かにございます。そこで、勢い他の事業部門から経費を回すということがあるわけでございますが、これはもちろん限度がございます。そこで、私どもは、本来の形に戻ればよろしいとは思いますけれども、経過的には現在のような
措置
もやむを得ないのではあるまいかというふうに思っております。 それにいたしましても、繰り返すようでございますけれども、結局は、一定の規模がなければ、先生のおっしゃるような賦課金によって指導事業の経費をまかなうことも不可能でございますので、やはり、農業協同
組合
におきましては、特に規模の拡大ということが
要請
されるのではあるまいかというように考えているわけでございます。
柴田健治
76
○柴田(健)
委員
それで、
農林省
は、法の精神を生かしていくような指導は一方ではしないし、あまりにももちはだんごという方式で、そういう規模拡大をすれば何でもよくなるんだということにあなた
たち
の考え方が集約されておる。規模拡大だけでよくなるとは思えない。それも必要ではありましょう。規模拡大も大切な面だろうと思いますけれども、それだけで解決するとは思っていない。 それから、
農協職員
の給与が歴史的に低い。その理由はいろいろあると思うのです。その持っておる古い体質というか、保守的体質というものが依然として根強く残っておる。それから、もう
一つ
は、たとえば
組合員
の出資に対する配当は、法的に七・五分だ、それ以上は配当はいけませんぞな、ということになっている。
組合員
の出資に対する配当を法的に押えている。そういう面を片一方で持っておるから、
職員
の給与だけ、役員の給与だけをどんどん上げるというわけにいかない。そこにいろいろな法的な制約というものを受けておる。そのしわ寄せは
職員
の給与にはね返っておる。こういうことは、たとえばある
農協
なら
農協
へ行って、もう少し給与改善をしてあげなさいよと言うと、ところが、出資者である
組合員
の配当も法的に押えられておるのです、七分五厘より以上配当はできませんのだ、そういう協同
組合
の法的な制約から言えば、
組合員
の感情として、
職員
の給与だけ上げるわけにまいりません、と、こういう言い方をする
組合
長なり
理事
があるわけです。だから、そういう点も
一つ
の要素になっておる、給与改善ができない弱い面を持っておる、こういうことを言えるのですが、そういう点についてのあなた
たち
の認識はどうなんですか。
岡安誠
77
○岡安
政府
委員
確かに、先生の御
指摘
のような環境はあると思います。と申しますのは、農業協同
組合
というものは営利企業ではないわけでございまして、
組合員
である農業者のためにある
団体
でございますから、
組合員
である農家等の収入が増大をしまして、そのはね返りとして
農協
の運営が楽になるというのが本筋であると考えられているわけで、これもまた
一つ
の真理であろうというように考えているわけであります。 ただ、昔は、お互いに情熱を持った者だけが集まりまして、俸給等は当てにしないで、奉仕の精神だけで産業
組合
等を運営をしてきたという歴史はありますけれども、最近のような複雑な
社会
になりますと、それだけでは農業協同
組合
の運営がうまくいくものとも考えておりません。やはり、正当な労働に対しましては正当な給与が支払われるということでなければ永続性もないし、また、新しい人材を確保することも不可能だというふうに考えております。私どもは、何も
農協
はもうけを第一にする
団体
ではないと思っておりますけれども、必要な活動をするために必要な経費につきましては、できる限り合理的な形において生み出すという努力はしなければならないと思っておりますし、また、そのような指導もいたしておるわけでございます。 これは、役員は別といたしましても、
職員
の給与と、それから配当の制限があるということとはおのずから別であるというふうに思いますし、そのような指導もしてきたわけでございます。
柴田健治
78
○柴田(健)
委員
局長
は、給与改善がなされない、給与の格差是正もできないということは十分知っておりながら、本気でやる意思がないというようにわれわれは考えているのです。本気でやったら、これは思い切って改善できますよ。
農林省
は、あれだけ
農民
がいやだと言うた生産調整を、部落座談会を開かせて、
農協
の
職員
、役場の
職員
を動員して強引にやったじゃないですか。
農民
は生産調整はいやだ、
減反政策
はいやだと言うのに、あなた
たち
は強引にこれをやらせた。やろうと思えばやれないことはないのですよ。やろうと思えばどんなことでもあなた
たち
はやれるのだ。それをつべこべ言うて、変な理屈をつけているのは、やる意思がないということですよ。本気でやりなさい。大幅な
賃金格差
を是正するということはやれないことはない。いまあなたが言われたように、営利企業ではないという認識があるとするならば、地方公共
団体
の
財政
負担というものは自治省と
農林省
と話ができるはずだと私は思う。私学振興には
財政
負担がある。私学振興も大事だ。農業振興も同じであって、どちらも民族的な問題なんです。これは長期にわたる問題なんです。あらゆる
農業団体
――それは森林
組合
だってそうですよ。森林資源の公益的機能論から言うと、長期の展望に立った場合には、これも教育に匹敵するような重要な課題だと思うのです。それから、私学振興も大事だが、農業振興も大事だ。一方、私学振興のほうは、地方公共
団体
が負担をしておる、
農業団体
のほうはやらないというのはおかしいのであって、営利が目的でないという認識の上に立てば当然話し合いができる。同時に、私学振興のほうは、
中央
段階において私学振興事業団がある。その私学振興事業団のほうからも
財政援助
しておるわけですね。
都道府県
のほうにこの
財政援助
ができないということになれば、そこは
生活
の知恵ですよ。
農林省
は知恵を出して、農業振興事業団か何かこしらえて、そこに国の
財政援助
をして、そこから出してもいいじゃないですか。そういう方法の知恵が出ませんか。
岡安誠
79
○岡安
政府
委員
私どもも、
都道府県
からの
農林年金
に対する援助が全く不可能であると考えなかったからこそ、四十九年度予算並びに今回の
法律
改正
にあたりましても自治省等と
協議
をいたしたわけでございます。ただ、先生がおっしゃるように、
農林
業
団体
が営利企業ではないということだけで私学と同様な援助を
期待
し得るかということにはなお問題があると私どもも考えているわけでございまして、これらにつきましては、なお
関係
当局とも相談を煮詰めていく必要があるというふうに考えております。 次に、私学には私学振興財団があるので、
農林年金
もそういうものをつくったらどうかというお話しでございますけれども、問題は、要するに、
組合員
の
掛け金負担
を軽減する方法は何かということでございまして、それは、詰めれば、
掛け金率
につきまして、
組合員
以外の
事業主
か、国か、県か、その他の機関か、または
組合
の財産運用による利差益によって補てんをするか、それぐらいの方法しかないわけでございます。したがって、
組合員
以外の者からの
掛け金負担
分を増大する方策としまして、私学振興財団のような機関をつくったほうがいいのか、それとも別の方策がいいのか、これは私どもも真剣に
検討
するに値すると思っておりますが、しかし、ただ、私学と同じような財団をつくればいいというわけにもまいらないというのが現在の考え方でございます。
柴田健治
80
○柴田(健)
委員
同僚
議員
からこの点についていろいろ
質問
があって、
職員
の方からこんなに
掛け金
をたくさんとるなんということは――どうも、
日本
では、ほかの
年金
制度
と比べて一番高いし、世界最高に高いということになる。給与は低いわ、
掛け金
は世界最高に高いわということは自慢にはならぬと思うのですね。これは
局長
の責任において早急に是正しないと、あなた
たち
が将来、いまの食料政策、
農業政策
の大転換をやらなければならぬという動きになって、食料はもはや商品ではない、国際的においても戦略物資的な要素になってきたというときにおいて、
農業団体
職員
の給与改善なり
年金
の
掛け金
のこんな
制度
では、
農林省
が本気で
農業政策
を進めるということになっても、手足になってくれる者がおらないということになったらたいへんだと私は思います。これはもう思い切って早急に変えなければならぬと思うのですが、そういう点についての考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
岡安誠
81
○岡安
政府
委員
御
指摘
のとおり、累次の
制度
改正
を経まして、
農林年金
の
財政
も相当困難な
事態
に立ち至っておりますので、四十九年度末を基準点といたします
財源率
の再
計算
の結果が出ますれば、根本的に対策を講じなければならないと私も思っておりますし、その際は御
指摘
の点等もいろいろ考え合わせまして総合的な対策を講じたいというふうに考えておる次第でございます。
柴田健治
82
○柴田(健)
委員
時間がありませんから簡単に申し上げます。 この
年金法
の
法律
はあまりにも複雑怪奇である。新法と旧法があり、特例法、附則、と、とにかく、金をもらうほうの側も、どう説明を受けて、どう
理解
していいのかわからないという、まことに入り組んだ
法律
なのですね。また、この説明をされる
農林省
側も困るのじゃないかという気がするわけですよ。この
法律
の複雑さというものは、ちょうど、お医者さんが診断をして、患者は何もわからずに金を払うのと一緒ですね。もらう者も、中身がどういうものかわけがわからぬということになってくる。それではいけないので、もう少し簡素化することはできないのか。 〔
委員
長退席、安田
委員
長代理着席〕 私のところへ来た手紙を一応読んでみますから、政務次官、これをよく聞いておってください。 私は
昭和
三十四年四月一日
農協
組合
長として就任、
昭和
三十四年七月一日
農林漁業団体
職員
共済組合
に加入、
昭和
三十六年四月一日
農林漁業団体
職員
共済組合
法の
改正
と同時引き続き
組合員
となった更新
組合員
であり、
昭和
四十八年五月三十一日任期満了により退職、十三カ年十一カ月の間
組合員
の義務を履行し、退職と同時に退職
年金
の請求をいたしましたるところ、退職一時金決定書に十四万三千七百三十四円の
年金
決定通知をもらった。あまり僅少なるために
組合
発行の法令集及び実務必携の例示等により参酌
検討
したるところ、全く法外の方法により
給付
されており、今日まで
組合
と照会数度に及ぶも納得がいかず追認決定もされないので公訴する以外に道なしとして公訴する次第であります。 一、以下記述を略すために
農林年金
共済組合
を(
組合
)と称し、
組合
発行の法令集
昭和
四十七年十一月発行のものを(法集)、また
組合
発行(
昭和
四十五年版)実務必携を(実必)と、それぞれ略し記述し
参考
といたします。 一、私は、法集第一条、この
法律
は公布の日から施行し、この附則に特別の定めのあるものを除き
昭和
三十六年四月一日から適用する。(法集九四ページ) 一、私は、法集第四十二条により、次の表の上欄に掲げる者で
昭和
三十六年四月一日以後の通算対象期間を合算した期間がそれぞれ下欄に掲げる期間以上であるものは、
改正
後、
農林漁業団体
職員
共済組合
法第三十七条の三の適用については同条第二項第一号に該当するものとみなす。(法集九五ページ)すなわち、法三十七条の三の第二項第一号は二十五年である。(法集三七ページ)大正五年四月一日以前の生まれの者は十年をもって二十五年とみる。(法集九五ページ) 一、私は、明治四十四年四月一日以前に生まれた者で、
昭和
三十六年四月一日以前の通算対象「対象」期間である
組合員
であった期間と同日以後の
組合員
であった期間とを合算した期間が十年以上であるもの(法集第四十二条三の二項、法集九六ページ) 一、小生は、
法律
第四条第三項に該当する更新
組合員
である。私に対する更新
組合員
であることは
組合
も確認済みであり、第四条三、四、五、六、七、八、九、十項おのおの更新
組合員
の該当事項記載(法集一〇二ページ) 一、
組合
は、私に対しては
法律
第三十七条の三の三項の適用による
年金
の算定するところ。ただし、小生のごとき更新
組合員
にありては附則法第九条によるとあり、新法三十七条の三第三項に規定する通算退職
年金
の年額は、同項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる期間に応じ当該各号に掲げる額の合算額とする。 一、旧法
組合
期間 新法第三十七条三の第三項中(
組合員
又は任意継続
組合
であった期間)とあるのは(旧法
組合員
期間)と、(平均標準給与の月額)とあるのは(旧法の平均標準給与の月額)として同項の規定の例により算定した額 一、新法
組合
期間新法三十七条の三第三項中(
組合員
又は任意継続
組合員
であった期間)とあるのは(新法
組合員
期間)と、(平均標準給与の月額)とあるのは(新法平均標準給与の月額)として同項の規定の例により算定した額(法集一〇九ページ) 一、実必一三七ページ六項に更新
組合員
の通算退職
年金
の算式事例をもって説明してあり、また、同一三九ページにも私とやや同勤務年数の事例を数字をもって説明してあり、間違いない。 一、
組合
は、法第十一条(附則)更新
組合員
に係る退職一時金の額に関する経過
措置
、更新
組合員
に係る新法第三十八条第二項第一号に掲げる額は、同号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる期間に応じ当該各号に掲げる額の合算額とする。 一、旧法
組合
期間 旧法の平均標準給与の仮定日額を基礎として旧法三十八条第二項第一号の規定の例により算定した額 こういう文書が私の手元にある。みなは読みません。それで、法令集をいろいろ出して読んでみたが、正直言うて、請求する者が間違っておるかどうかは別として、これではわからない。新法、旧法、特例法、附則法と入り組んでいて、判断をしなければならぬというこの法体系を、次官、いいと思いますか。一口で言うてください。
山本茂一郎
83
○山本(茂)
政府
委員
お答えをいたします。 一言で言えということでございますが、元来、いろいろの
法律
にはそれぞれの歴史と環境の相違があると思いますけれども、国家の
一つ
の思想によってこれを統一せなければならぬということも事実だと思います。そういう意味におきまして、この問題は、私の少ない経験によりましても、きわめてわかりにくい複雑なものがあると思うわけであります。したがって、これを統制しようということになりますと、おい立ちの違うものをあるところに統合していかなければならぬという
関係
上、なかなか容易にこれが実行し得ないことがあることは御承知のとおりだと思います。 また、国の予算そのものを国から出していただくことを一例といたしましても、国としては、何年かに一回しかこれを
改正
しないのだとか、慣行そのほかいろいろな事情がございまして、たとえばこの
農林年金法
そのものを見ましても、なかなか純理論的には動けないところもございます。また、実行しようと思うと、ほかの似た
法律
との
関係
をも考慮しながらやっていかなければならないということで、
農林省
等の事務
関係
においてはきわめて熱心に努力をされまして、
関係
方面と
協議
いたしたはずでございますけれども、そういう事情で、一挙に自分らの希望のとおりにいき得ないということを御了承いただきたいと思うわけであります。 私どもは、今度
改正
されましたことについては一段の進歩であるとは存じますけれども、これが理想の姿に今後大いに努力をして早く持っていきたい、こういう念願で
措置
をいたしたいと考えておるわけであります。
柴田健治
84
○柴田(健)
委員
局長
、いま政務次官は、正直に言ってわけのわからぬ
答弁
をしたのですよ。だから、これは、
年金
を掛ける人と、それから老後でもうもらえる人が、自分のことがすぐ
計算
ができて、すぐわかるように、そういう法体系の簡素化というものをほんとうに早急に
関係
機関と話し合いをして解決するというふうに、簡単にお答え願いたいのですよ。もうぼくはこれでやめますから……。
岡安誠
85
○岡安
政府
委員
簡単にと言ってはむずかしいのですけれども、なるべく簡単に申し上げますけれども、私も、結論としては、
法律
内容
というものはなるべく簡単明瞭でわかりやすいことが望ましいと思っております。 一言だけ弁解させていただきますと、
年金
関係
の
法律
は、いろいろ
権利
義務に及ぶような規定がたくさんありますので、これはどうしても
法律
に書き込まなければならぬということが
一つ
あります。それから、もう
一つ
は、新法、旧法、その他がございますけれども、簡単にしますと、いわば不公正になるという点があるわけで、公正にものごとを処すためには、複雑な組織もやむを得ず入らなければならなくなるという点があることは御了解をいただきたいと思っております。 しかし、私ども、努力いたしまして、なるべくわかりやすい方向で
法律
は書きたいと思っております。
柴田健治
86
○柴田(健)
委員
終わります。
安田貴六
87
○安田
委員
長代理
島田
琢郎君。
島田琢郎
88
○
島田
(琢)
委員
今回の
法改正
にあたって問題になる点が、昨日からの議論を通してほぼ明らかになってまいりました。限られた時間でありますから、総体的な問題について、重複することを避けて、ごく二、三点に限定して、特に
局長
を
中心
にお尋ねをしてまいりたいと思います。
一つ
は、いま柴田
委員
から
指摘
がありましたが、この
農林漁業団体
職員
共済組合
法という
法律
の複雑さについては、実は私も辞易している一人であります。どうしてこんなにむずかしいのだろうか。あるいは、むずかしくなくて、私の頭が悪いのかもしれませんけれども、どうも
理解
しにくい
法律
であるという感じがしまして、私は、先般連休を利用してくにに帰りましたときに、農業協同
組合
の
職員
の皆さんともいろいろ話をしてみましたが、結論的に言いますと、大かたの
職員
の皆さん方は、やはりむずかしくてわからぬという結論になっております。本来、毎月もらう給与と、退職
年金
あるいはそのほかの
退職金
というものを含めて、非常に
生活
にかかわりの深いものでありますから、この面に対する関心というものは当然強くありますが、ところが、実際問題は、中身がよくわからなくて、この
年金
の中で、たとえば十五年つとめておられる方に、あなたはいまやめられたら一体どれくらい
退職金
をもらえると思いますかと端的に
質問
をしましてもわからない。あるいは
本人
はわかっているのかもしれませんが、とにかく、説明を聞いている範囲では、私自身がどうもよくわからぬところがある。そこらを何とか整理できないかという感じを強く持って実は
国会
に戻ってまいりましたが、いま柴田
議員
からも
指摘
がありましたけれども、新法だ、旧法だ、特例法だ、附則だというわけで――附則というのは旧法を包む
法律
だということで
理解
をしておりますけれども、それにしても、よくむずかしくつくったものだな
あと
いう感じがする。いま
局長
のお話しを聞きますと、何もかも網羅的に入れようとすると、しかたがなく、むずかしくならざるを得ないということでありますけれども、これはもっと整理をする必要があるというふうに思います。 重ねて前
議員
に続いてのしつこい
質問
でありますけれども、私は、端的に旧法と新法というものを一本にしていくことができるのではないかというふうに思うのですが、これは私がしろうと考えで申し上げることになるのかどうか。私は、これを一本化すべきだというふうに昨年の
改正
以来一貫して考えてまいりましたが、これはむずかしくてどうしてもできないのですか。
岡安誠
89
○岡安
政府
委員
確かに、
農林年金
一つ
とりましても、旧法の適用を受ける
組合員
と、それから新法の適用を受ける
組合員
とがございますし、また、
組合員
の中には、更新
組合員
ということで、旧法の
計算
を一部取り入れていろいろ
計算
をしなければならない
組合員
もいるということでございます。 その原因は、おっしゃるとおり、旧法と新法があるということから発生するわけで、これを取っ払ったらどうかという御
質問
でございますけれども、これは毎度御説明申し上げておりますけれども、それぞれ発足のときのいわく因縁がございまして、旧法といいますのは、発足当時の
国家公務員
共済組合
制度
に準ずる
制度
として発足しまして、いわば恩給にならってできた
制度
でございます。その後の新法というのは、新しく
改正
をされました
国家公務員
共済
制度
に準じてできたもので、その違いがあるわけでございます。これがかりに国の一方的な
給付
であるならば、それは簡単に両方の一本化ということも可能であるかもしれませんけれども、やはり、相互扶助の体系としてでき上がっている
関係
から、既存の経緯というものは尊重しませんときわめて不公平、不
均衡
が生ずるということから、はなはだ残念ながら複雑な体系になっているわけでございます。 〔安田
委員
長代理退席、笠岡
委員
長代理着席〕 このことは、ひとり
農林年金
の
制度
だけではございませんで、すべての
共済組合
制度
がそういう
事態
をかかえているわけでございまして、私どもも、できるだけ簡素化の方向に努力いたしますと同時に、要は、やはり
組合員
に御
理解
をいただくということであろうと思います。
法律
が複雑である
一つ
の原因は、あらゆる場合を想定いたしまして、すべて書き込んであるということから複雑になるわけでございまして、
先ほど
の柴田先生の御
指摘
の例は、個人的にも相当複雑な例でございますけれども、一般的には、
組合員
個々人に対します
法律
の適用というものはそんなに複雑ではないわけで、そういう点を御
理解
をいただきまして、少なくとも
組合員
個々はどういう
法律
の
関係
になっているかということを御
理解
をいただくように今後ともPRはつとめてまいりたいと考えております。
島田琢郎
90
○
島田
(琢)
委員
局長
のおっしゃっている点については、わからないわけではありません。加入者の皆さん方がよく
理解
をするということが大事だということは私もよくわかるわけであります。ただ、旧法の該当者というのは、全体を通じてあまりたくさんいないのではありませんか。一体どれぐらいおりますか。
岡安誠
91
○岡安
政府
委員
農林年金
の場合、いわゆる旧法
年金者
と言われますのは二千十九人でございます。
島田琢郎
92
○
島田
(琢)
委員
二千十九人というお話しでありますが、金額にすると、
財政
的に新法並みにやっていくとしたら、どれくらいの金額が必要になりましょうか。
岡安誠
93
○岡安
政府
委員
先ほど
申し上げました旧法
年金者
二千十九人の内訳をちょっと申し上げますと、退職
年金
を受ける者が二百九人、障害
年金
を受ける者が二百七十四人、
遺族年金
を受ける者が千五百三十六人というふうになっておりまして、これらの
方々
を新法で
計算
をし直しますと、平年度ベースにいたしますと、
給付
費の
増額
が約二億六千八百万円でございます。
島田琢郎
94
○
島田
(琢)
委員
これは加入者の皆さん方に負担をしてくれということはたいへんむずかしいと思います。この部分くらいを毎年国庫で負担をしていくというようなことを考えればこれは解決すると思うのですが、その道はなかなかむずかしいですか。
岡安誠
95
○岡安
政府
委員
確かに、
農林年金
の場合だけを考えますと、平年度ベース二億六千八百万円、これが今後増大するとは思いますけれども、そんなに大きな金額の負担ではありません。ただ、このことは、
先ほど
申し上げましたとおり、ほかの
共済組合
制度
共通の問題でございますので、それの扱いも考えなければならないということで、
農林年金
だけで対処し得ない問題であろうと実は考えております。
島田琢郎
96
○
島田
(琢)
委員
ほかとのかね合いがあるというお話しでありますけれども、
農林年金
が本来
厚生年金
から分かれたときの発想というものが、歴史的経過、経緯があるというおっしゃり方を岡安
局長
がしばしばなさるんですけれども、政策
年金
だというふうに
局長
も言い切っていますし、われわれもそう
理解
しております。ですから、ほかの
年金
との
関係
があるということではなしに、あくまでも政策的な配慮のもとにこれを考えていくということがあって不都合ではないと私は思っているんです。 さらに、また、
農業団体
の
年金
加入者の皆さん方というのは、
賃金
一つ
見ても、あるいは
社会
的に置かれている責任の
立場
から言っても、非常に大事な
立場
に置かれてがんばってこられた人
たち
ばかりなんです。それなのに、いま非常に不遇な状態に置かれているということが、一般的にみんなから
指摘
がされている点であります。その点は
局長
もきのうから認めておられる。そういうものを救い上げていくために思い切った政策
措置
をとるということは、ほかの
年金
制度
にそう大きく影響するものではないという
理解
は得られると私は思うのです。 きょうは限られた時間ですから、農政上の問題に触れるということは避けますけれども、一言で言えば、今日の食料問題
一つ
を考えてまいりますときにも、生産者である農家と、この実務を担当しておられる
職員
の皆さん方とが今後果たしていかなければならない役割りというものは非常に大きいわけです。それを考えるときに、あるいは一面では現地の事情などを考えていきますときに、これは相当大きな政策的
措置
を講じてまいりませんと、大事な職場の人材確保ということすら非常にいま困難になりつつあるという点、あるいはまた、一生懸命やっても報われない
職員
の皆さん方のこの問題というものは解決しないと私は思うのです。ですから、これは思い切っておやりになるということが今後の
日本
の農政を進めていく上にたいへん大きな役割りを果たすと思いますが、これっぽっちのお金のことで、あるいはまたよその
年金
の顔色を伺うなんということをおっしゃるのじやなくて、思い切ってやるんだという
姿勢
が示されてしかるべきだと私は思うのですが、重ねてお考えをお尋ねいたします。
岡安誠
97
○岡安
政府
委員
確かに、
農林年金
が
厚生年金
を離れて独立いたしました経緯につきましては、先生御
指摘
のようなことがあったかと思います。したがって、私どもも、
厚生年金
に劣らない
給付
水準を確保するように努力をいたしておりますし、ほぼその目的は達成していると思っております。 ただ、現在の
農林年金
は、御承知のとおり相互扶助の
共済組合
制度
でございますけれども、先生の御
指摘
のようなもっと
農林年金
の性格を変えろという考え方を取り入れますと、もはやそういう性格は失われて、全然別の施策ということになるわけでございます。そこまで
農林漁業団体
職員
の
年金
制度
を踏み切ることができるかどうか、これはなかなか大きな問題であろうと思います。 また、別の観点からいたしましても、相互扶助の
共済組合
制度
を離れて大幅な国庫
補助
を導入することになりますと、
農林漁業団体
というものはきわめて民主的、自主独立の
団体
であるにもかかわらず、国から直接に相当多額の金が導入されるということがはたしてどうか――これは便宜主義ではございませんで、基本的に問題もあるのではなかろうかということも考えられます。 そこで、私どもは、従来からの相互扶助の
共済組合
制度
のワク内で
農林年金
の
給付
内容
の改善ということにつとめてきたわけでございまして、制約はありますが、できるだけそういうワク内で努力をいたしたいというのが私どもの考えでございます。
島田琢郎
98
○
島田
(琢)
委員
局長
がいまおっしゃっていることの中で、二つほど私と考え方の違うところがあるのです。
一つ
は、きのうからの議論を通じて幾度かおっしゃっているように、
厚生年金
並みだということをおっしゃる。それに追いつく――追いつくといいますか、それ並みに持ち上げていくことに目標を置いている。私は、その
厚生年金
並みということが気に入らぬのです。
厚生年金
以上にすべきじやないかということが、いままで
質問
に立った各
質問
者の言い分なんです。ところが、
局長
は、常に、
厚生年金
並みだ、そうなりゃ目的は達せられたんだと言われる。もう
一つ
は、相互扶助だから、あまり国なんかがお金をつぎ込んでいくと自主独立を侵すことになるとおっしゃるが、これも、もう
一つ
私は気に入りません。いまの
農林年金
制度
は、もはやそのお金の問題でもかなり行き詰まりが来ているという事実がありますし、ですから、
財政
立て直しという面からも、
先ほど
午前中にも美濃
委員
からもこの問題が鋭く出されておりましたが、そういう点を国が
措置
するということがないと、正常な
年金
制度
というものが運営されていかぬという心配が裏面にあるのです。あなたのおっしゃり方を聞いておりますと、お金を出すとやはり
文句
を言うのも強いぞ、ひもつきになるぞという前提があっておっしゃっているのではないかと思うのです。これは、資本家だとか財閥だとか、特定なだれかがお金を入れたんであれば、それはひもつきだということになるのですが、国がおやりになることについて、ひもつきにするなんという考え方が前提にあって、自主独立がそこなわれるなんという考え方を持っておられるとしたら、それは私としてはまことに気に入らない
答弁
と言わざるを得ないわけです。そうではない
実態
というものが裏にあるから、
先ほど
美濃
委員
が触れた点は非常に大事な点でありますから、そういう面も含めて、
農林年金
制度
の運営の正常化をはかるという面が
一つ
にはありますし、その面は別にしても、いまの状態の中で、新法、旧法を一本化して、わかりやすくして、そうしていままで一生懸命働いてこられた人
たち
も新法並みに救い上げていくという
措置
は、これは相互扶助の中でやれということはむずかしいということについては私は十分
理解
できますから、その面は国がやるべきだというのが私の主張なんであります。どうでしょうか、私の言っていることは無理ですか。
岡安誠
99
○岡安
政府
委員
いや、先生の御
意見
に全面的に反対ということを申し上げたわけではございません。 先生のおっしゃったことの中で多少気になりますのは、
農林漁業団体
職員
が構成をしている
農林年金
だけは特別に扱ったらどうか、これは
農林
漁業
をささえている
団体
の
職員
であるから、と、こういうお話しがございましたので、それを推し進めてまいりますと、
農林年金
が相互扶助の
共済組合
組織であるというワクをはずれてしまう、それは全然別の新しい国の施設になるという点、それが問題ではあるまいかということを申し上げたのでございます。
先ほど
美濃先生が言われましたところの、
農林年金
の
財政
が非常にピンチである、何とかしなければならないということは、これは私どももそう考えておりまして、そのピンチを救うために国の助成をさらに充実するとか、そういう方向はできるだけ私どもいたしたいというふうに考えているわけでございます。ただ、
農林年金
の仕組みそのものを大幅に変えてしまうということは、もはや相互扶助の
共済組合
制度
ではなくなるので、それははたしてどうだろうかということを申し上げたわけでございます。 もう
一つ
は、農業協同
組合
等は、
法律
の精神から言いましても、
農民
がみずからつくり、みずから運営をするということを基本にした
団体
でございます。もちろん、特定の目的のためにいろいろ御助力を願うためには、国から委託費その他を流しておる例もございますけれども、本来はやはり国の
補助
というものを基盤にした
団体
ではないはずでございます。 そういうことを申し上げたわけでございまして、私どもは、現在の
農林漁業団体
の性格は維持しながらも、その
団体
職員
が構成しております
農林年金
の健全な運営とその発展のためには最大の努力をいたしたいということを申し上げておるわけでございます。
島田琢郎
100
○
島田
(琢)
委員
財政
上の問題が出てまいりましたから、この
実態
についてある
程度
掌握をしたいと思います。 今日の
農林年金
制度
の
財政
上に非常に問題があるという点が午前中も
指摘
をされていた点でありますけれども、一体、中身としてはどういう
実態
になっておりますか。
岡安誠
101
○岡安
政府
委員
問題は、
昭和
四十四年度末に
財源率
の再
計算
をいたしまして、現在の千分の九十六という
掛け金率
を設定し、運用いたしておるわけでございますが、その後の
制度
改正
並びに現在
お願い
をいたしております
制度
改正
等が積み重なりますと、不足責任準備金が相当大幅にふえるということが最大の問題でございます。
昭和
四十七年度末におきまして約三千六百億円の不足責任準備金がございますし、四十八年度末におきましても約五千億円
程度
になると考えられるものがあるわけでございまして、これらが今後もさらに増大をするということになりますと、
農林年金
の円滑な運営並びに今後の発展について支障が起きるのではあるまいかということを心配をいたしておるわけでございます。
島田琢郎
102
○
島田
(琢)
委員
たいへん憂慮すべき
財政
上の
実態
にあるということになるわけであります。 さて、
年金
制度
の加入者の
実態
を見ておりますと、年々減っているようであります。この資料によりますと、現在の該当者数が示されておりますが、全体の傾向としてはさらに減っていくのではないかというふうに考えられるわけであります。
組合員
数は、四十年度末から四十七年度末までの統計数字が出ておりますが、それによりますと、現在大体四十二万人くらいの該当者がいる。こういうふうに、状態がある一定の水準を維持していくことができれば問題ありませんけれども、それが
先ほど
の
財政
運用と表裏一体になっての問題になるわけでありますけれども、
組合員
の拡大というようなことについては真剣に考えておかないと、実際問題としてじり貧状態におちいるという心配が出てくるわけであります。 そこで、今回の法案の中でも出ておりますように、
農林
中金あるいは保険協会のようなものの
立場
にいらっしゃる皆さん方の加入を今後道を開いていくということが出てきているようであります。しかし、
実態
はもっと深刻だと私は思うので、もう少し網羅して拡大をしていくという必要がありそうに思うのですが、この考え方に対してはいかがですか。
岡安誠
103
○岡安
政府
委員
農林年金
の、まず加入
団体
の数が減りましたのは、これは
組合
の
合併
その他によるものでございまして、問題は
組合員
の数でございます。
組合員
の数で問題でございますのは、減ってはおりませんけれども、最近その伸び率が鈍化をしておるということが
年金
の
財政
上やはり問題となるところだと思っております。 ただ、先生の御
指摘
ではございますけれども、この
組合員
を今後大いにふやす努力をしたらどうかという御
指摘
につきましては、
農林年金
が
組合員
となり得る
農林漁業団体
の
職員
の範囲を限定をいたしております。したがって、むやみにこれを勧誘によってふやすというわけにもまいらないわけでございまして、やはり、
組合員
の数が将来ある
程度
減少する見込みがあるということに対しましては、別途
組合
の
財政
計算
、
財政方式
の変更等によりまして対処しなければならないのではあるまいかというふうに考えております。
島田琢郎
104
○
島田
(琢)
委員
ただいままでのところの統計上の動きを見ておりますと、加入
団体
数は減ったけれども、
組合員
数はふえていくという
実態
にあるから、そのことをとらえておっしゃっているのだろうと思うのですが、私は、いつまでもこういう状態が続くとは思えない。ましてや、昨日からの議論の中にも出ておりますように、
農協職員
の給与の問題の中では非常に問題があるが、その対策についてはどうお考えになっているかという
質問
に対して、やはり
合併
を促進していく、合理化をしていく、と、こういうふうにおっしゃっているわけであります。そうすると、合理化でありますから、当然
職員
の数が減っていくということが常識的には想定されるわけです。だから、私は、現段階の範囲で考えておるとじり貧状態になるのではないか、だから、この際もう少し加入
団体
をふやして、
組合員
数もふやしていくべきだ、そういう対策にいまから取り組むべきではないかという考え方があって申し上げているわけであります。 そこで、
先ほど
の
財政
上の問題に触れるわけでありますけれども、午前中の
参考人
の御
意見
の中では明確になっておりませんでしたけれども、さすれば、現段階での五千億という赤字は、処理を誤りますとえらいことになってしまう。幸いにしていまは大量に退職をするなんという人はおりませんから、
財政
上の運用の上では何とかあまり大きなそごを来たしておりませんけれども、しかし、だからといって、この
制度
の健全性から言えば、これは非常に問題になる点でありますから、毎年毎年相当の額でこの不足責任準備金が赤字になっているという状態はどこかで解消しないといけないと思うのでありますが、具体的には、
局長
はどうしようとお考えになっておられますか。
岡安誠
105
○岡安
政府
委員
確かに、累増します不足責任準備金をどう処理するかということはたいへんな問題でございます。現に、
農林年金
は完全積み立て
制度
というふうに言われておりますけれども、実際は、不足責任準備金につきましての処理は、それから生じます利子部分についてこれを処理をするというような
計算
で現在運営がなされているわけでございます。 では、この不足責任準備金をどう処理するつもりかと言われますと、私も、現在、これを完全にかつ短期間に直ちに処理する目当てはございません。問題はこのような形というものは、大
なり小
なり各
共済組合
制度
を通じて存在する問題でございますので、他の
共済組合
制度
の財源対策等もあわせ
参考
にいたしまして、
先ほど
から申し上げておりますように、四十九年度末現在を基礎といたします
財源率
の再
計算
を機に総合的な対策に取り組まなければならないというふうに考えておる次第でございます。
島田琢郎
106
○
島田
(琢)
委員
この際、
団体
でかなり金を持っている
団体
もあるのです。たとえば
日本
中央
競馬会だとか、これなどはずいぶん金があって、あっちこっちに金を貸しておるわけでありますが、こういうところを積極的に入れるということはいけないのですか。
岡安誠
107
○岡安
政府
委員
一つ
の案だとは思いますけれども、何ぶんにも不足責任準備金が五千億というような膨大な額でございますので、その処理方針というものをはっきりいたしませんことには、幾らかでも金をもらえばそれで助かるという筋合いのものではあるまいというふうに考えております。
島田琢郎
108
○
島田
(琢)
委員
まあ、大体七千億くらいのうち五千億赤字ということになれば、
あと
回転できる資金というのは二千億で、これは金利を相当もらってやってみても大した額になりませんが、実際には利子部分というものはどれくらい一年間に入ってくるのですか。
岡安誠
109
○岡安
政府
委員
現在
農林年金
が持っております資産の運用によります収益は、約七・三%くらいに当たると思っております。
島田琢郎
110
○
島田
(琢)
委員
私は、
財政
上の処理について非常に懸念をし、不安を持っている一人でありますけれども、きょうの議論を通しても、
局長
自身も全くギブアップで、いま名案がございませんということで、これじゃ議論になりませんが、これはたいへん重大な問題なんで、
国会
においてわれわれも責任をもってこの問題はもっと詰めていかなければならぬ点があると思います。しかしながら、きょうは時間がありませんので、これは
一つ
の課題としておきますが、
局長
自身も、これから再
計算期
に十分この問題を詰めたいと言っておりますから、それを見守っていきたいと思っております。 そこで、附則八条の問題でありますけれども、先ごろ衆議院の内閣
委員会
あるいは
社会
労働
委員会
でも議論がありまして、ただいま国民
年金
、
厚生年金
について三カ月繰り上げるという問題が処理されております。この八条によりますと、
厚生年金
でそういう
事態
が出てくれば、本法もまた自動的にそれにならうんだという条文になっております。そうすると、当然本法は十月からでありますし、
厚生年金
は十一月からでありますから、三カ月繰り上げるとなると一カ月のズレが出る。三カ月そのものを繰り上げていけば、片や七月、片や八月ということになるのでありますが、この
法律
によると
厚生年金
並みにということになるわけだから、そうすると二カ月しか繰り上がらぬということになるのでありますが、この第八条というのは、そういう意味で、今日の
経済
事情を背景に考えますと不都合だと私は思うのです。ですから、この際、第八条の
厚生年金
保険法の一部を
改正
する
法律
に準拠するといったようなこの条文ははずすべきだと思うのです。そして、単独
年金法
のこの
農林年金法
の中に、政令によってこうした当該
措置
を講ずるというふうにもっと単純に改めていくべきだと思うのですが、いかがですか。
岡安誠
111
○岡安
政府
委員
先生の御
指摘
の附則第八条の規定でございますが、これは、従来から
厚生年金
の改定時期に合わせまして改定を行なってまいりました通算退職
年金
と最低保障額につきまして、
厚生年金
の
年金
の改定が行なわれました場合には、その改定額、それから実施時期等を勘案いたしまして
農林年金
も取り入れたいということを書いているわけでございます。 これをもう少し繰り上げたらどうかという御
指摘
でございますけれども、本来は、この規定は、
厚生年金
と合わせまして十一月に改定をするということになっておりますので、これをさらに繰り上げるということは、
厚生年金
の
改正
の
措置
と比べますとむしろバランスを失するのではあるまいかと思うのでありまして、やはり、
厚生年金
が繰り上がる八月期まではさかのぼりまして、適用といいますか、
措置
をいたすつもりでございますけれども、それ以上の繰り上げはちょっと問題があるというふうに思っております。
島田琢郎
112
○
島田
(琢)
委員
これも高度な政治判断というものが
一つ
なければならぬという趣旨の御
答弁
だと私は受けとめますけれども、実際には政治判断ができないようにきちっと第八条で明記されているから、この
法律
そのものを変える、八条を変えるということに政治判断がなければできないわけですけれども、いつまでも
厚生年金
、
厚生年金
と言って、
厚生年金
はもとの本家だからということで、分家はその本家の顔色を常にうかがって運用しなければならないということは、
農林年金
というものは非常に高度な
年金
にしていかなければならないという目的を持っていると私自身は思っているから、あまり
厚生年金
にこだわるというようなことはいかぬと私は思うのですよ。きのうからの議論を通して見ても、常に
厚生年金
の、本家の顔色をうかがっている。きょうは
厚生省
を呼んでおりませんけれども、そんなになわ張りというものはうるさいのでしょうか。
厚生省
がやっていることと
農林省
がやっていることにき然とした一線を画して今日の農政問題に対処するという
姿勢
は、むしろこの
年金法
の中で明確に示していくべきだと思うのですが、どうやっても話し合いがつかぬのですか。
岡安誠
113
○岡安
政府
委員
実は、その附則八条の規定というのは、
厚生年金
にならうというよりも、
厚生年金
制度
の中の道具を一部借りているというかっこうになっているわけですから、道具の模様が変わったから、その変わった道具を借用するというような
関係
にあるわけでございます。 先生のおっしゃる
厚生年金
を越えられないかという御趣旨は、むしろ
農林年金
の
制度
全体の問題でございまして、これは私の説明が間違っていれば訂正いたしますけれども、今回の
制度
改正
が
実現
いたしますと、大部分の
農林年金
の
受給者
の
方々
はもはや
厚生年金
を越える。水準並みではございませんで、むしろ越える
年金
を受けられるというふうに私どもは考えております。ごく一部、九%ぐらいの
方々
は、形式的には
厚生年金
水準よりも下がる方もございますけれども、それ以外はすべて
厚生年金
水準を上回るような
年金
を受給できるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
島田琢郎
114
○
島田
(琢)
委員
厚生年金
以上の
給付
を受けられることになるという説明でありますけれども、
給付
そのものはあるいはそういうふうになるのかもしれませんけれども、しかし、
掛け金率
だとかそのほかの負担などを入れていきますと、決してそのようにならぬのではないかというふうに私は見ているわけであります。ただ、今回の
法改正
が、昨年の
年金法
の
改正
以来
政府
当局としてかなり前向きに取り組んだという点について、出てきたものそのものは別として、私は、その
姿勢
については一応の評価をいたします。せっかくの
機会
だから、本来の
農林年金
というき然たる
制度
にするために思い切ったことをやれということで私どもは叱咤激励をしているわけであります。 したがって、今後いろいろな問題が出てまいりますけれども、特に、今日、私が
先ほど
ちょっと触れたように、一番心配されますのは、農業協同
組合
のいわゆる
財政
上の問題
一つ
取り上げてみましても、
全国
的に大きな格差が生じつつあります。私どものところのような
農協
は総合
農協
でありますけれども、一年じゅう四苦八苦、火の車の運営をやっている。農家のふところぐあいがよくないものですから、
職員
の皆さん方のふところにまで大きな影響を及ぼす。つい先ごろまで私も
農協
の
理事者
の一人でありましたが、いろいろと皆さん方の窮状を知りながらも、現実にはそれにこたえることができないという悩みを持って
農協
運営を続けていかなければならない。片や、
農協
の
職員
の人材確保という問題については、あまり銭こはないけれどもいい人間を集めたい、能力のある人
たち
に来てもらいたいとは言ったって、なかなかそのとおりになっていかない。しかし、現実にいま
農協
でお働きの皆さん方は、高度な使命感に燃えて、給料のことは言わないで一生懸命やってくださっている。しかし、これは、いつまでもこういう状態に置くわけにはまいらぬと私は思うのですね。そういう点を心配しているものですから、せめて
年金
の問題については心配がないぞというようにわれわれは思い切った
制度
改正
をしたいし、また、いたしますという約束も今日までしてまいりました。ですから、私どもは、それぞれ代表がこもごもその
実態
を
訴え
ながら、このせっかくの
機会
に
年金法
の
改正
によって末端の
組合
職員
の皆さん方が安心して仕事に専念していただけるようにしたいという願いをこめているわけであります。 今日のこういう
職員
の給与の格差という問題については、これまた思い切った国の政策的な
措置
がないとできないという現場の悩みが
一つ
あります。これも
局長
から、何といっても自主的におつくりになっている
組合
のことですから、まず自力で何とかしていただくことが前提であると言われるが、これはもうおっしゃるまでもない。私
たち
農協
、
単協
の
理事者
も、何でもかんでも国によりかかってやろうという考え方で考えてはおりません。また、
職員
の皆さん方もそうは考えておらぬのであります。しかしながら、どうしてもそこに解決し得ない問題が生じてきているわけでありますから、国としては、せっかくのこういう
機会
を何としても前進させるという
立場
に立って、積極的な
財政援助
、あるいは行政上のてこ入れなどをやるべきだという考え方を持って強くわれわれはこの席から
局長
の
姿勢
をただしているわけであります。ところが、もう
一つ
われわれのはだに触れるような
答弁
がさっばり聞き取れないということはきわめて残念な点であります。御
答弁
としてはまことにしにくい点だろうということは私はよくわかるわけでありますけれども、こういう重大な問題をなおざりにして、今日の農政担当者が、農業の実際の現場における
職員
の皆さん方にから手形で一生懸命やれと言ったって、これはできない。それは農政上の責任の一半であるというふうに私どもは考えておりますが、この問題についても積極的に取り組むという
姿勢
がほしいと私は思うのです。 この際政務次官に伺いますが、あなたはきのうから率直に、実は私は
農林年金
はあまりよくわかりませんとおっしゃっている。その政務次官をとらえて、あなたのお考えを聞くというのはきわめて酷ですけれども、しかし、いまはあなたも
農林省
の政務次官としての
立場
にいらっしゃるわけですから、きのうからの議論を通して、置かれている
農協
の
実態
あるいは
漁業
組合
の
実態
、そのほかの諸
団体
の
実態
についてはおぼろげながらもおわかりになったと思うのです。これは捨てておけないという意味の発言もございましたが、この際、この
農林年金法
等とあわせて今日の
農林
漁業
諸
団体
の置かれている
立場
というものについて十分対策を進めていくべきだと考えますが、次官、あなたの所見をこの際ぜひ承っておきたいと思います。
山本茂一郎
115
○山本(茂)
政府
委員
先ほど
も少し触れましたが、
日本
の
年金法
そのほかの共済
関係
の問題につきましては、まだ立ちおくれた
一つ
の分野があると私は考えるわけであります。 〔笠岡
委員
長代理退席、安田
委員
長代理着席〕
先ほど
も申しましたように、国としてはこの点に力を入れておることは事実だと思います。ただ、行政の
関係
でいろいろそれが思うとおりにならぬことも十分おわかりのとおりでございますが、私どもとしましては、
農林
行政をやるという、その前提に立ちまして、この種の
制度
については個々に
検討
を重ねまして、また、
関係
各方面と十分な意思の疎通をはかりまして、そして、自分らの理想としておる
年金
制度
に持っていくように十分なる努力をいたす覚悟をいたしておるということだけをここに申し上げて、回答にかえたいと思います。
島田琢郎
116
○
島田
(琢)
委員
時間が参りましたから、これで私の
質問
を終わりたいと思いますが、いままで各
委員
がこもごも
指摘
をしてまいりました点は、今日の置かれている農政上の問題に大きな基礎があるということを踏まえながら、そこで働いている
農林
漁業
諸
団体
の
職員
の皆さん方の身分保障という問題が今日非常に谷間に落ち込んでいるから、それをすくい上げていかないと大事な
日本
の食料確保という問題にも大きなそごを来たすという、そういう趣旨のもとに強い発言が次々となされているわけであります。
局長
は、所管のこの法案だけ通せばおれの責任は事足りるのだという考え方であってはいかぬと私は思うのです。 いま政務次官はまじめにおっしゃったと私は受け取っておりますが、この点については今後われわれも一緒になって真剣に解決するように努力をしていきたいと思いますので、
農林省
をあげて、先日からの議論を通してのこの問題の全般にわたるところの解決に鋭意取り組んでいただくことを特に最後に
要求
申し上げて、私の
質問
を終わります。
安田貴六
117
○安田
委員
長代理
諫山
博君。
諫山博
118
○
諫山
委員
局長
に
質問
します。 あなたは、きのうから、
農林年金
適用
労働者
とその他の
労働者
の
賃金格差
は狭まりつつあるということを何回も繰り返されました。きょう、
農林年金中央共闘会議
の
春日
事務局長
の説明では、格差が狭まりつつあるどころか、逆に広がっている、たとえば
農協
、県連のことしの
春闘
のベースアップは、妥結している分で言えば平均して二万二千円
程度
だ、金額の差も開いてきたし、比率も開いてきた、と、こういう説明がされているのですが、きのうのあなたの話と全く違うのですが、どうしてああいう答えになっているのですか。
岡安誠
119
○岡安
政府
委員
私が昨日来お答えいたしておりますのは、
農林年金
の
対象団体
の
職員
の平均標準給与の推移、それから、
国家公務員
共済組合
の
組合員
の給与の推移、地方公務員の同じく給与の推移等を比べて申し上げたわけでございまして、数字が四十年から四十七年までということでございますので、最近の数字はとっておりませんけれども、簡単に申し上げますと、
農林年金
の場合、四十年のベースを一〇〇といたしますと、四十七年が二四一というような伸び率を示しておるのに対しまして、
国家公務員
は四十年対比四十七年が二二四、地方公務員が二二五というような数字がありますので、確かに給与水準そのものはまだ低いわけでございますが、差は縮まりつつあるということを申し上げたわけでございます。 ただ、最近の
春闘
の結果等につきましては、私どもまだ正確にすべてを把握いたしておりませんので、最近の数字を入れますとどうなりますか、これはまた別途集計ができましたならば、その節にお答えをいたしたいと考えております。
諫山博
120
○
諫山
委員
もともと
賃金
が非常に少ないわけですから、同じ比率でベースが上がっても、
賃金
の開きというものは絶対額においてはますます大きくなりますね。そういう点では、
賃金
の差というものはむしろ広まっているのじゃないですか。
岡安誠
121
○岡安
政府
委員
同じ比率で伸びればおっしゃるとおりだと思いますけれども、少なくとも四十年から四十七年までの傾向を見ますと、伸び率が
農林年金
の場合のほうが大きいわけでございますので、差は縮まりつつあると言えるというふうに考えております。
諫山博
122
○
諫山
委員
とにかく、
農協
、県連の
労働者
の場合に二万二千円
程度
のベースアップだということであれば、世間の相場に追いついていないことは明らかです。あるいは公共企業体
労働者
なんかの
賃上げ
を見ましても、これよりもはるかに大きいわけです。ですから、格差が狭まっていると言うと、何か、いかにも追いつきつつあるように聞こえるのですが、
賃金
額の差というものはますます広がっているということは否定できないと思うのです。この点はことばの問題ではなくて、
賃金
の差が実際はどんどん開いているんだという現実を認識してもらうことがいま非常に大切だと思うのです。 そこで、
社会
保障
制度
審議
会が昨年
農林年金
に対して出した答申では、
厚生年金
が今回
改正
されたので、
農林年金
受給者
が著しく不利になるおそれがある、皆
年金
下における公平の原則をそこなうので、
財政
基盤の強化その他根本的な
検討
が必要であるとしています。ことしの答申では、「将来の財源について確たる見通しを立て、これに応ずる計画を策定することが必要不可欠である。」としています。この趣旨で
農林年金
を
改正
しようとするなら、今度の
改正
案
程度
ではどうにもならないはずです。今度の
改正
案に盛り込むことはできなかったけれども、この答申の趣旨をこういう方向で生かしていきたいという抱負が
局長
にあるはずだと思いますが、どういう方法で解決するつもりですか。
岡安誠
123
○岡安
政府
委員
確かに、昨年の段階におきましては、
厚生年金
の
給付
水準に及ばない
農林年金
受給者
の割合が五〇%をこしておりました。したがって私どもは今回の
制度
改正
を試みているわけでございますが、今回の
制度
改正
ができますならば、
農林年金
の
給付
を受けている者の水準の大部分、九〇%以上は
厚生年金
の水準をこえることになるというふうに考えております。 それで、厚年水準に達しない九%の
方々
につきましても、
給付
の開始の時期の差、その後の余命年数等を考えた場合には、
給付
総額につきましては
厚生年金
を上回るというふうに考えておりますので、昨年
指摘
されました厚年水準との格差は、今回の
改正
によりましてほぼ埋まっているというふうに考えております。 それから、ことしの二月の
社会
保障
制度
審議
会からの答申の中の、財源対策等について長期の見通しを立てろということにつきましては、私どもは、
昭和
四十九年度末時点で
財源率
の再
計算
をいたすつもりでございますので、その結果を踏まえまして、
財政方式
の再
検討
、国庫
補助
の充実その他総合的な対策を講ずるつもりでございますので、その結果によりまして対処をいたしたい、かように考えております。
諫山博
124
○
諫山
委員
「将来の財源について確たる見通しを立て、」ということが言われているわけですが、いろいろな方法があると思います。しかし、
労働者
がいま非常に懸念しているのは、これを口実にして
掛け金
が
引き上げ
られるのではなかろうかということですが、この点についてはどういう見通しを立てていますか。
岡安誠
125
○岡安
政府
委員
現在でも
農林年金
の
掛け金率
は千分の九十六ということで、国鉄共済に次ぐ高位の水準を示しているわけでございますので、したがって、
組合員
の
掛け金負担
も相当高いというふうに考えております。もちろん、
財源率
の再
計算
の結果いかんによりますけれども、私どもといたしましては、できることならば
組合員
の負担の
増高
を招かないような方向で対策を講じたいというふうに考えておりますけれども、なかなか困難な問題でございますので、今後ほかの共済
制度
の対処方針その他を
参考
にいたしまして、慎重に
検討
いたすという心算でございます。
諫山博
126
○
諫山
委員
遠い将来については予測は立てにくいと思いますが、たとえば、これから少なくとも三年間あるいは四年間は絶対に
掛け金
を上げないということは約束できますか。
岡安誠
127
○岡安
政府
委員
これは私の考えでございますけれども、
先ほど
も申し上げましたとおり、四十九年度末時点を基礎といたしまして
財源率
の再
計算
をいたすわけでございますので、その結果が出るまでは現在の
掛け金率
を上げたくないというふうに考えております。
諫山博
128
○
諫山
委員
それは当然なことですが、それから先のことは約束できませんか。
岡安誠
129
○岡安
政府
委員
まだお約束できるような段階にはないというふうに考えております。
諫山博
130
○
諫山
委員
大臣
に
質問
します。 私は、きのう、
農協
で
労働基準法
があまり守られていないということを具体的に
質問
いたしました。 〔安田
委員
長代理退席、
委員
長着席〕 そして、労働省の説明では、
労働基準法
が守られていない
日本
の三つの職場の
一つ
が
農協
をはじめとした
農林
団体
であるという
指摘
がされております。そして、
労働基準法
違反が広範囲に行なわれているだけではなくて、実に初歩的な違反がたくさんあるという点が明らかになったし、労働省、
農林省
からそれぞれ反省の意も表明されたと思います。これについて、
農林大臣
としてはどうお考えか、
質問
します。
倉石忠雄
131
○
倉石
国務
大臣
遺憾ながら、
農協
において、
労働基準法
違反について監督署から指導されるケースがあると承知いたしております。こうしたことの原因の
一つ
としては、
農協
の
理事
等使用者側の責任者がそういう基準法等について習熟していない、
理解
が十分でない点があると思いますので、これらの者を対象として
労働基準法
等の労働
関係
法令についての研修を行なったり、そういうようなことについて
都道府県
を指導いたしておる次第でありますが、この
措置
とあわせまして、
全国
農協
中央
会、全共連等の系統組織の
全国
団体
に対しましても、
単協
における
労働基準法
等の順守など、
労働条件
の適正化の指導を行なってまいりたいと思っております。
諫山博
132
○
諫山
委員
きのうの
農林省
の説明では、
農協
における業務の特殊性ということが非常に強調されています。私は、
労働基準法
違反の問題を議論する場合に、それを指導する官庁がこういう特殊性を持ち出すというのは全く正しくないと思うのです。なぜなら、特殊な業務については
法律
上特別な規定があるからです。そして、いま
農協
で問題にされているような
労働基準法
違反が、業務上の特殊性を理由に免責さるべきものでないことはきわめて明らかです。そして、適正な行政指導がされるなら、たとえば
労働基準法
第三十六条に基づく協定がないのに残業をさせるとか、女子に深夜労働をさせるとか、あるいは残業手当の
計算
を
法律
どおりしない、ごまかすというようなことが起こるはずはないと思うのです。そういう具体的な問題についてまですみやかに行政指導を徹底さしていただくということを私は再度
農林大臣
に御説明いただきたいと思います。
倉石忠雄
133
○
倉石
国務
大臣
これは、どんな職場におる者でも、基準法はやはり守っていくべきであります。いろいろ習熟しない面もあるかと思いますが、いま申し上げましたように、よくそれらのことを注意するように指導をしてまいりたいと思っています。
諫山博
134
○
諫山
委員
きょうの午前中の
農林年金中央共闘会議
の
春日
事務局長
のお話しでは、
長野
県のある
農協
の役員が、
政府
も
法律
や憲法を守っていない、だからおれ
たち
が
労働基準法
に縛られる必要はないじゃないかと言ったという話がありました。そういう点を考えますと、
農協
で広範囲に
労働基準法
違反が行なわれているというのは、
農協
だけを責めるわけにいかぬ、
政府
の
姿勢
、とりわけ
農林省
の行政指導の態度というものが非常に重要だと私は思います。 この問題で直接責任を負う
局長
から、そういう点についてどうしていくつもりかということを御説明願います。
岡安誠
135
○岡安
政府
委員
昨日もお答えしたと思いますけれども、私どもは、
農協
は
労働基準法
のみならず諸般の法令は厳正に守らなければならないというふうに考えております。御
指摘
の
労働基準法
につきましても、やはり違反の
事態
をなからしめるように今後とも努力はいたしたい、かように考えております。
諫山博
136
○
諫山
委員
終わります。
仮谷忠男
137
○
仮谷委員長
美濃政市君。
美濃政市
138
○美濃
委員
いろいろ質疑もかなり進んでおりますから、主として財源問題について若干の
質問
をいたしたいと思います。 この
農林年金
の設計は、当初数理的保険料千分の七十となっておるのですが、これは、
制度
の
改正
やあるいはベースアップというようなものがなければ千分の七十で運営できるという見通しで設計されたものと思うのですが、そういう解釈は間違いありませんか。
岡安誠
139
○岡安
政府
委員
数理的な保険料は、いわば
農林年金
の
給付
につきましての基本的な設計部分について
計算
をされた保険料だと思いますけれども、それ以外に整理資源率等が加わりますのは、発足当時に
厚生年金
に入っておりました
職員
を引き継いでいる、いわば当初の不足資源率があったり、それから通例のベースアップ以外のベースの改定があったり、それから
制度
の
改正
があったりというものが積み重なりまして、整理資源率としてこれに加算をされる。それから、国庫
補助
等を引いたのが
掛け金率
の千分の九十六ということになっておるわけでございます。
美濃政市
140
○美濃
委員
そういたしますと、現在の料率、現在の
掛け金率
の中で整理資源率が千分の二十六ですが、この二十六というものは、いわゆるインフレによるベースアップや、あるいは
制度
改正
でも、インフレによって
給付
というものが非常に実情に合わない状態になって、それを
改正
する――そうじゃなくて、この二十六と
計算
されているものは、純然たる
制度
改正
によって中身がよくなった、そういうインフレによる名目的なものでなくて、それと引き継ぎ、つまり
厚生年金
から
農林年金
にかわったときの
計算
上の不足、そういうものだけをピックアップして、整理資源率として千分の二十六掛けておる、こういうことなんですか。
岡安誠
141
○岡安
政府
委員
美濃先生がおっしゃっておること、大体そのとおりだと思いますけれども、多少数字的に申し上げますと、現行の
財源率
のうち、純数理的保険料というのは七〇・〇四ということでございまして、整理資源率は三二・二〇になります。合計をいたしますと一〇二・二四になりまして、これから財源調整費による補てんとか利差益による補てんその他を差し引きますと、
掛け金率
が九五・九七ということになるわけでございます。整理資源率が発生いたしました原因は、
先ほど
申し上げましたとおり、当初の引き継ぎによります整理資源率のほかは、設計に入っておらないベースアップ部分とか
制度
改正
部分等が積み重なってこのような数字になったというふうに
理解
をいたしております。
美濃政市
142
○美濃
委員
そこをもう少しはっきりしてもらいたいのです。もちろん、この設計をしたときに、ベースアップとかあるいは著しい
経済
の変動によって
給付
率を改定しなければならぬという、そういう
計算
は入っていないはずですね。その部分も転嫁されたのですか。その部分もこれを改定したときに入ったのかどうか。
岡安誠
143
○岡安
政府
委員
ちょっと私の発言が正確でございませんでしたけれども、定期昇給は、これは一定の予想をいたしまして数理的保険料の中に組み入れられておりますが、いわゆるベースアップというものは入っておらないので、この部分は整理資源率のほうのかさ上げになるというふうに
理解
しております。
美濃政市
144
○美濃
委員
私が強調したいのは、もちろんその
計算
に入っておりますから、定期昇給とか、そういう通常のものは整理資源率かあるいは数理的保険料に入っておることはよろしいと思います。だけれども、このインフレによるベースアップあるいは
給付
の改定というのは、これはもう全然当初の計数に入っていない。その原因はいわゆるこういうインフレという現象で発生するのでありますから、これは二年、三年先の問題でなくて、この
制度
の基本として、それを整理資源率という考え方で入れて、そして、いわゆる
掛け金
料率に転嫁するということは、私はこれは断じて許せぬと思うのです。三年先でどうだとか、あるいは
先ほど
聞いておると、四十九年に
計算
したその結果だとか――四十九年の結果がどうであろうと、これはもう結果は、今度の
改正
と、それからことしの大幅ベースアップによって四十九年度
計算
をすれば五千億にかなり上置きさ拠るということははっきりしておるわけです。何ぼ上置きされるかということも聞きたいけれども、これはちょっといまの時点では無理だろうと思いますからそれは聞きませんけれども、財源不足が、いわゆる責任準備金不足が、四十九年度末で
計算
をすれば五千億の上にかなり上積みされるということがはっきりしておるわけです。だから、そのときになってみて、
先ほど
も話があったように、財源調整の再
検討
をして、総合的な
財源率
の
検討
をする、その中では料率を
引き上げ
ないということは言えませんという
姿勢
、これは許されぬと思うんですね。原因が違いますからね。おのおの掛けておる
組合員
は、その時限では値のある金を、こういう
年金
制度
としてきめられた率を強制加入で掛けておるわけです。それが泡沫のごとく五千億も赤字になる。あるいは四十九年度で
計算
すれば六千五百億になるのか、七千億になるのか、かなり上がることははっきりしておるわけですね。それを
掛け金率
に転嫁することは許されぬと思うのです。転嫁していけば、たとえば一例を所得配分、そして賦課
年金
制にとると、欧州諸国は全部賦課
年金
制ですが、これらの諸国の賦課
年金
に対する負担は四%を原則としております。どこの国へ行っても四%です。西ドイツでもフランスでもそうです。これを個人負担部分だけ申し上げますと、現在でも個人負担部分は、この
年金
は五〇%、五〇%ですから、四%をかなりこえておるわけです。その上転嫁するなどといったら、
社会
保障として先進国から見たら笑われるのではないですか。だから、私がここで申し上げたいことは、この種の
制度
にこういうインフレが起きなければいいわけですね。インフレが起きなければ、実質
制度
をよくしたり、あるいは当初の設計から若干漏れたものを、その後合理的にするために入れる。その
程度
は資源率不足となって
掛け金
に資源率がはね返っても、これは微々たるものなんですよ。四%か五%です。それが当初約束した
給付
よりも、実質中身が改善されてよくなるのであれば、それが整理資源率となって
組合員
負担にはね返るということも、高負担、高福祉という原則からいけば、若干のものはその時点その状態でやむを得ないという解釈になる。しかし、世界の文明国がとっておる四%の負担に対する
国民生活
の
対応
性から言って、四%を逸脱して、整理資源のためだといって何ぼでも料率を転嫁していくなどということは許されない。そもそもこの
制度
そのものが、私に言わしたらだめなんですね。インフレに
対応
性はありませんよ。この積み立て方式
年金
というものは、インフレに
対応
性のない
制度
である。だから、五千億も六千億も出てくるのでありますから、本来から言うなら、これはもう国が
財政
負担でびしっと補てんすべきだが、
財政
上から言ってもたいへんなことだと思う。私に言わせれば、そもそも
制度
が根本的に誤っておるということです。四十九年度で財源調整を再
検討
する。そのときこの五千億という金は、企業の運用資金とは性質は異にしますから、五千億が直ちに調達されなければ、この
年金
が持っていけないというものではないが、しかし、四十八年度末で出ておるのでありますから、すでに四十九年度においても、本来から言うならば七・三の利回りは別としても、この
制度
の
給付
を行なう基準運用益として見ておる五・五%、五千億に対する五・五%は
財政
調整繰り入れ金となって入って来なければならぬ性格のものだと思うのです。五・五%で
計算
して二百七十五億円になるわけであります。こういう大きな
財政
欠陥が生じて運用されていくわけですから、これを四十九年度で直ちにどういう方法で解消しようとするのか。ただ努力します、困難な問題でありますではどうにもならぬと思うのであります。私どもは、四十九年度でこの不足額が何ぼになるかということは追及しないが、基本的な方向としては、
政府
としてはこれをどう始末するか。整理資源率に転嫁して
掛け金
の増加は絶対許されない。このことについては、各歴代
大臣
も、この法案が出たときには全会一致で附帯
意見
をつけるが、そのときは
掛け金
の
引き上げ
は絶対やりませんということで終始してきておるわけです。 今日に至って
局長
から、絶対この整理資源不足を資源率に転嫁することはありませんという表現ができないということは、いままでの
国会
で
審議
してきたことは何をやってきたんだと私は言いたい。その附帯
意見
については、歴代各
農林大臣
は、絶対
掛け金
は上げません、上げてはならぬという決議に対して、必ず決議の趣旨は実行いたしますということになっておるのでしょう。これは転嫁してはならないものなんです。いまに至って転嫁するというのではたいへんな問題だと思うのです。ないのであれば、この際ないとはっきり言ってもらえば、
組合員
全部が安心するわけですから、せめて
掛け金
が上がることはないという安心感が得られるわけです。あるのならあると言ってくれませんか。ないのならないと、これははっきりすべきです。
大臣
はいまそこにおいでになったわけですから、
局長
からまず
答弁
してもらって、
大臣
の御
意見
も聞きたいと思います。
岡安誠
145
○岡安
政府
委員
いろいろむずかしい御
質問
があったので、答えにくい点がありますが、二、三お答えいたしますと、まず、先生のおっしゃるとおり、整理資源率の中には、
制度
改正
によって生まれた部分と、それから
物価
の高騰に伴いましてべースアップしたことによる部分と、大別してございます。 先生は、
制度
改正
によるものは、これは高福祉、高負担という考え方からも一応了解はできるけれども、
物価
の
値上がり
による部分は、整理資源率として
掛け金率
にはね返らせるのはどうかという御
質問
でございますが、確かにそういうお考えもあります。ただ、問題は、
物価
の高騰によります、いわば減価部分と同じような形になりますけれども、それはすべて、たとえば貯金をしている者なり積み立て金をしている者にかぶせないで、別途補てんをするということになりますと、これはたいへんな金額にもなるわけでございまして、その辺をどうするかは大問題だと思っております。しかし、詰めれば、要は先生もおっしゃっておられるとおり、回り回って
組合員
の負担にはね返るわけでございますので、問題は、
組合員
負担を今後どうするかということに要約されるというふうに考えます。私はもちろん、
先ほど
もお答え申し上げましたとおり、現在の
農林年金
の
掛け金
の
組合員
負担部分は相当高額でございますので、できるならばこれ以上上げたくないというふうには考えております。 ただ、こういう席でございますので、おまえは絶対上げないなという
質問
されますと、上げませんと答えるには、まだいろいろと私どもの
検討
も済んでおりませんので、そうは答えられないということを申し上げたわけでございまして、私も、できるならば上げたくない、そのための手段をいろいろ講じまして対処いたしたいということを申し上げたいと思っております。
美濃政市
146
○美濃
委員
大臣
のお考えはどうですか。
倉石忠雄
147
○
倉石
国務
大臣
現行のこの保険
制度
の
掛け金
は、ほかの共済
制度
に比べてすでに高水準にありますことは、いまお話しのありましたとおりです。そこで、
組合員
の
掛け金率
を
引き上げ
ないで済めばそれにこしたことはないのでありますが、この問題は、
農林年金
財政
の健全性の保持という問題につながるわけでございますので、他の共済
制度
等も十分勘案いたしまして、それからまた、
関係
当局とも十分な相談をいたしまして善処をいたしてまいりたいと思っております。
美濃政市
148
○美濃
委員
もう
一つ
この際お聞きしたいのですが、前段に
指摘
したこの種の
年金
制度
の中で、全然インフレに
対応
性のないこの
制度
で運用するということは、まあこれは直ちに変えろということじゃないですが、十分
政府
として――千分の四十の
掛け金
で賦課
年金
制をとっておるところはこの問題は出てこないわけですね。賦課
年金
制をとればインフレの問題は出てこないわけです。四%ですから、インフレで給与が上がれば率で上がってくるわけですから、率の上がる部分で全部その年度内の
給付
ができるような仕組みになっておるわけです。ですから、自動
スライド制
にすれば、人事院の勧告が出れば、
国家公務員
を基準にしたベースアップで自動的に
給付
をスライドしていっても、上がった分は即収入増となりますから、それは払えるわけです。積み立て方式にしまして、金をあたためておるところに問題があるわけですね。ですから、その
給付
水準が、インフレによるベースアップで上がると過去の積み立て金にがさっと不足が起きるところに問題がある。年度内処理をやれば、その問題は自動
スライド制
にして解消できるのです。ですから、
日本
の
年金
は、
農林年金
なんかは
年金
ではないわけです。ですから、この問題は、いま賦課
年金
制をすぐとるとらぬの
答弁
は
農林大臣
としてはすぐできぬと思うのですけれども、
政府
としては根本的に
検討
すべきものだと私は思うのです。 今後の課題としてはどうすればいいのか。五千億、七千億の問題は、これは簡単に始末はつかぬと私は思うのですよ。インフレ下においては、これは積み立て
制度
が災いをなすわけですから、こういうふうになって派生してくるものを、簡単に、
財政
当局は、公共事業を投げてでも、五千億あれば五千億積み不足分を一般会計から繰り込んでやるぞと言えば問題は解消するのだ。それから五千億が一ぺんにできぬということであれば明年度
財政
で――まあ、ことし年度末で最低二百七十五億円を
政府補助金
として繰り込んでくれば五千億の問題はたな上げしておいてもいいわけですから、金の出し入れに積み立て金もあるから不足はしないわけですから、ぎりぎり
給付
財源はそこから働く。
給付
財源が不足する部分だけを
財政
補てんをしていけば当面はやっていけるわけですね。こういう問題が出てくるわけです。こういうふうになるということはこの
制度
の欠陥だ。インフレというものがいわゆる設計に入っていないということだ。また、入れるといっても設計に入れようがないですね。これから先のインフレ率をここで設計し直して入れると言ったって、これは推理してみてもわからない。だれが考えてもわからない。どんなに頭のいい人が考えても、これから十年先のインフレ率をいま的確に推定することは人為的に不可能ですね。だから、いわゆる
制度
として矛盾があるということですよ。たとえば、先進国は矛盾のない
制度
をとっておるじゃないですか。その中で整理資源不足だとか何だとかいう問題はないですね。ですから、そういうことは十分今後の課題として考えてもらいたい。
年金
は大切なことです。ここまで来た
日本
の国力から見ても、この
年金
制度
を後退さすようなことがあったり、あるいは
財政
上の原因から五年先、十年先に積み立て金がゼロになってしまったなどという現象を起こしてはならぬことであります。だからといって、こういう積み立て
制度
をとって起きる整理資源不足は、筋の通らない――国民である
組合員
には、そのときそのとき打ち切って年度内に処理していけばそれで済む。先進国から見たら四%をこえる負担率を個人から強制加入で徴収しながら、それが積み立て方式のために積み立て金が値がなくなるわけです。それによって整理資源不足が起きてくる。それを
掛け金
に転嫁するなどということは、これは政治道徳上あり得ないことですね。どなたが考えても、イデオロギーでもないと思うのです。いやしくも一国の政治を担当しておる者としては、総理
大臣
以下、国民に対してあり得べからざる背信行為と言わざるを得ないわけです。ですから、ここで
検討
する要があると私は思います。それらをいますぐ
検討
してそうするという
答弁
はできないと思いますけれども、
大臣
、これは十分
検討
してもらいたいと思うのです。この
制度
ではインフレに
対応
性がない。この
制度
を維持していったらとんでもないことが起きる。そして、いささかの目くされ
財政
調整
補助金
なんかをつけて、時代を推移すればするほど、これはもう悪循環になる。将来何百億、何千億という金になってしまう。何千億じゃない。もうすでに何千億だから、何兆円という金になる。
財政
上の補てんのしようもない。約束どおり実行していったら、十四、五年先へいったら積み立て金はなくなってしまう。食いつぶされてしまって、それから先どうなるのですか。国民に対する強制加入で徴収した責任というものはどうなっていくのか。ここで重大な転機に立っておりますから、それを含めて
検討
してもらいたい。小手先の
検討
では、
農林大臣
も二年もやったら手一ぱいなんだから、何とかお茶を濁しておけばだれかがやるべえというものじゃないと思うのです。
局長
もそうだと思うのです。
局長
も大体――私が
国会
へ出てきてことしで七年に入ったわけですが、私が来たときの
局長
はもうほとんどいませんね。
局長
の年数も短いですよ。平均すると
国会議員
の一期の年数くらいじゃないですか。何とかお茶を濁しておいたら次の
局長
がやるべえということではまかりならぬと思うのです。
政府
はこの問題をきちっと処理しないと将来たいへんな問題が起きると思うわけですが、いかがですか。
倉石忠雄
149
○
倉石
国務
大臣
私はあなたと
経済
理論の闘争をやろうとは思っておりませんけれども、現状がインフレであるかどうかというふうなことについても、にわかに私どもは肯定いたしておるわけではありません。しかし、
物価
が高騰しているということは間違いありません。そこで、
物価
の高騰ということにつきましては、ベースアップその他においても、いろいろな場面においてそれぞれ勘案されておることは申すまでもありません。全体として、
物価
高騰に伴う、美濃さんのおことばを拝借すればインフレ的傾向、こういう
状況
の中で、たとえばこの
国会
に
提案
いたしました他の
年金
等につきましても、私ども立案者の間に入っていろいろ
意見
を聞いておりましても、やはり賦課方式を採用すべきであるという
意見
もありました。しかし、御存じのように、賦課方式というのは、ことにこの
年金
のようにわりあいに加入者の頭数の限定される傾向にありますものにつきましては、もしそういう賦課方式をとってまいりましたならば、将来加入者の負担が、個人個人の負担が非常に多くなることは御存じのとおりであります。私どもはそういう点について十分
検討
してみなければなりませんが、しかしながら、この
年金
の財源の状態を見ますというと、これはやはり改善すべき点があると存じます。そういう意味におきましては、私ども、この
年金
財政
の健全性のためにさらに
検討
を加えていきたいとは思っておりますが、大体、積み立て方式によるか賦課方式によるかというようなことについては、にわかにこれはあなたのお説に賛意を表するというわけにはいきませんけれども、健全
財政
の意味から
検討
は続けてまいるつもりであります。
美濃政市
150
○美濃
委員
私も、
検討
の中にそういう要素を加えないとならぬということを言っておるので、いますぐ私の説に同調してくれと言ってはいないわけです。ですから、十分そういう問題を
検討
してほしい。あるいは、私に言わせるならば、
政府
としては、そういう賦課
年金
制度
をとっておる体制というのは違うわけですから、こんな業態別
年金
に――賦課
年金
というのはこんなにややこしくなっていないわけですからね。
日本
で言うなら国民
年金
一本ですからね。ですから、どこが重いとかどこが軽いとかいう問題は出てこないわけです。そういうことを十分
検討
してもらいたい。このままでこれをすぐ賦課
年金
制度
にすると考えると問題が出るわけです。賦課
年金
というのはそういうものじゃないということは、
大臣
あたりは何回も外国へ行って
年金
問題も
検討
しておるはずだからわかっておるはずですね。これを即賦課
年金
に持っていくとなれば御説のような問題は出ますよ。賦課
年金
制度
というのはそんなちゃちなものじゃないわけですよ。十分
検討
してもらいたいと思う。 それから、次に、今回も、あるいは
農協法
の
改正
等が出ると、
農協職員
の給与の問題あるいは
労働基準法
違反の問題が絶えず出ますが、これは
農林省
としてはどの辺が多いのですか。
農協
としてきわめて給与水準の低いところ、あるいは全く基準法なんかなっていないところ、どの方面が多いのですか。
全国
全部なのか、どうですか。
岡安誠
151
○岡安
政府
委員
まず、
労働基準法
の問題でございますけれども、実は、必ずしも網羅的な調査がございませんので、現在調査中でございます。ただ、私ども、基準法違反につきましては、どの地域が特に多いということではないのではあるまいかというふうに思っておりますが、これはいずれ調査結果が出ますので、そのときに御報告をいたしたい、かように考えております。 それから、
農協
の
賃金
につきまして、どのような地域が低いかというようなことでございますが、
全国
の平均ベースに比べまして、その水準よりも下がっているところは東北六県、それから中国、四国、九州、沖繩というところが
全国
水準を下回っているというふうに数字では出ております。
美濃政市
152
○美濃
委員
その調査はいつごろできますか。
岡安誠
153
○岡安
政府
委員
六月末までに報告するように指示してございますので、できるだけ早く集計いたしまして御報告いたしたい、かように考えております。
美濃政市
154
○美濃
委員
それができましたら、
国会
は終わっておりますけれども、適当な
機会
に私どももそれをいただきたいし、それに従ってできるだけ――何か、
農協
なり、
農協
に
関係
のある法案が出ると、これは
国会
でも何年も前から言われておることです。ただ、私も現職の
組合
長でありますから、私自身は
労働組合
もつくり、
労働協約
の締結もやっておりますが、いささかの
労働基準法
の違反なんかあり得ない。
職員
も極端には優遇できないけれども、地方公務員を下回るという待遇はしておりません。私の地域の付近はみなそうです。私の所在地域の付近の
農協
は大体下回っておりませんが、ただ、本俸だけをとられると、私の
農協
はそうではないけれども、
農協
によってはベースアップがおくれて――昨年の十二月でも期末手当六十割を出しておる
農協
は私の所在地域にも二つも三つもあります。そういうものを加味すれば、私の所在地域で地方公務員よりもきわめて待遇が下回って、あり得べからざる待遇で
職員
が使用されておるということはないと私は断言できます。ですから、これは、私は現職
組合
長ですから、政党政派を越えて、私どものやっておる地域とはあまりかけ離れたことが出てくると、一体そんなことがあるのだろうかと思うわけですね。そういうものが一体
全国
のどこにあるのだろうと思うがゆえに、その調査結果の報告を求めたい。 その調査の中では、臨時給を含めて調査してくれますか。単に表面上のつらだけでは、
経済
団体
ですから、たとえば年末調整、期末手当の決算のぐあいで――
国家公務員
は年度末手当は〇・五ですけれども、決算の
状況
で報奨制をしいておるところもあります。決算の
状況
によって二・五カ月分くらい出しておる
農協
もあります。それを全部ひっくるめて
計算
してくれませんか。ただ本俸のあれだけを言うと、ベースアップの食い違ったときに
国家公務員
はベースアップがおくれた、ある
農協
は年末は六十割を出して、四月一日からベースアップと考えて、その中間の一月、二月で本俸だけで対照されるとものすごく低い、こういうのが出ますから、そういうことのないように調査を完了してもらいたい。 以上で私の
質問
を終わります。
仮谷忠男
155
○
仮谷委員長
芳賀貢君。
芳賀貢
156
○芳賀
委員
政府提案
の
農林年金法
の
改正
案については、すでに昨日と本日を通じまして同僚各
委員
が相当詳細にわたって
問題点
についての質疑を行なっておりますので、この際、私は、
農林大臣
に対しまして総括的な問題について若干の
質問
をいたしたいと思います。 まず、第一に、
農林年金
の
年金
財政
の問題ですが、これは
昭和
四十四年から、
厚生年金
から分かれて現在の
農林年金
制度
が運営されておるわけでありますが、その当時から、
年金
財政
の問題としては、他の
年金
に見られない多額の不足財源をかかえて発足した
関係
もありますので、結局、運営が
最初
から非常に窮屈になっておるわけであります。それが原因になっておって、結局、
農林漁業団体
の
職員
の給与水準は非常に低いにもかかわらず、
年金
に対する
掛け金率
は最高であるというような矛盾を包蔵しておるわけであります。そこで今年
政府
が
提案
される前に、総理府の
社会
保険
審議
会においても特にこの点を
指摘
いたしまして、今後の
年金
財政
に対して明確な将来方針を立てるべきであるということが
指摘
されておるわけでありますが、その点に対しては、
農林大臣
として、
年金
財政
上の健全な運営ということになればどうするかという点に対して、お尋ねいたします。
倉石忠雄
157
○
倉石
国務
大臣
財源調整につきましては、
補助
の
増額
等、
先ほど
来いろいろお話しがございました。四十九年度予算編成に際しまして、わがほうといたしましてはこの希望を
要求
いたした次第でありますが、
財源率
の再
計算
を本年度行なわないこと等とも
関連
いたしまして、これを見送ることにいたしたものであります。
農林年金
財政
の現状、現行
掛け金率
の水準等にかんがみまして、国庫
補助
の
引き上げ
の問題につきましては、その
実現
につき最大の努力をいたす所存でございます。また、
都道府県補助
の導入につきましても、今後さらに
関係
方面への折衝について努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
芳賀貢
158
○芳賀
委員
ただいま
農林大臣
から、
年金給付
に対する国庫の
補助
等についてのお話しがありましたが、現在の
年金法
の第六十二条の第一項では、
給付
に要する経費に対して一八%の
補助
をすることができることになっており、第二項では、調整財源に対して、率は明定してありませんけれども、国としての助成の道が明らかになっておるわけであります。 そこで、この一八%の国庫
補助
の問題でありますが、この点については、当
委員会
におきましても、しばしばの
年金
法改正
の際に、現行の一八%を少なくとも二〇%以上に
引き上げ
るべきである、調整財源の費用負担についても
補助
率を明定して、少なくとも四%以上に国の負担すべき限界というものを明らかにすべきであるということを、附帯決議等に付しておるわけであります。 また、
農林省
におかれましても、毎年度の
農林省
の
大蔵
に対する概算
要求
の場合においても、
農林年金
に対する国庫
補助
率の問題については、必ず最後には
大臣
折衝まで持ち込んで、二〇%以上の
実現
に当たっておるわけでありますが、
倉石農林大臣
のごとき相当実力のある
大臣
が予算折衝をしながら、なぜたびたびこれが
実現
に至らぬかということについては、ほんとうに真剣にやっておるかどうかという疑念を持たざるを得ないわけでありますが、この点はいかがですか。
倉石忠雄
159
○
倉石
国務
大臣
お話しのございましたように、予算編成のたびごとに、私どものほうといたしましては最大の努力をいたしておるわけでありますが、この
補助
率につきましても、当初、私が存じておりますころは一六%、逐次改善されてまいりましたが、なるべく近い将来にさらにこの
補助
率を
引き上げ
ることに対して最善の努力をいたしてまいる決意であります。
芳賀貢
160
○芳賀
委員
先日、
社会
党をはじめ野党四党で
提出
いたしました
農林年金
制度
の
改正
案の中においても、
給付
に対しておよそ三〇%以上の国庫
補助
が必要であるということを明らかにしておるわけでありますが、ことしは、参議院選挙が終わった
あと
で明年度の予算編成作業に入ると思うわけでありますが、その際
倉石農林大臣
が引き続いて
大臣
を担当するという――これは仮説の上に立つかどうかわかりませんが、結局、現職
大臣
の意思を継いで、
農林省
としては、これらの問題についても積極的な予算確保に当然当たるべきであると思うわけでありますが、その点はいかがですか。少なくとも二〇%以上、
法改正
を通じて財源を確保する意思があるかどうか、その点であります。
倉石忠雄
161
○
倉石
国務
大臣
私どももこの
年金
の歴史及び経過をよく知っておりますし、ことに、いまは農政の大事なときでもございますので、お話しのような点については最大の努力をする考え方でおります。
芳賀貢
162
○芳賀
委員
次にお尋ねしたいのは、
先ほど
も
大臣
から発言がありましたが、
農林年金
の特徴的な性格としては、農業協同
組合
にしても、
漁業
協同
組合
にしても、これは非営利法人であることは言うまでもないわけであります。だから、民間の利潤追求の企業のごとく、企業努力で大きな利益をあげて、その中から人件費等についても十分な支出をするということは、思っておっても、
制度
のたてまえからなかなか
実現
しがたい制約があることは言うまでもないわけであります。しかし、
都道府県
をはじめ、地域における農業、
漁業
の発展ということを考えた場合においては、その推進力として農業協同
組合
あるいは
漁業
協同
組合
が位置づけされておるわけでありますからして、この
年金
経営
についても、当然地方公共
団体
が応分の行政的な支出をするということは、決して不当なことではないと思うわけであります。すでに、私学共済等においては、
都道府県
が私学
年金
に対して
補助
する道が開かれておるわけでありますからして、この点についても、
先ほど
大臣
が触れられた御意思というものはそれを示しておると思いますが、いかがですか。
倉石忠雄
163
○
倉石
国務
大臣
先ほど
もちょっと申し上げましたが、私はこの
制度
改善にいままでも熱心なほうでありますが、
都道府県補助
の導入につきましても、今後さらに
関係
方面と十分折衝をいたしまして、この点の
実現
に努力をしてまいるつもりでございます。
芳賀貢
164
○芳賀
委員
次にお尋ねしたいのは、今回の
改正
案によりましても、いわゆる新法期間の
年金
と、三十九年度以前の旧法期間の
年金
に対する取り扱いというものは、いまだに不
均衡
あるいは格差が是正されておらないわけであります。昨年の
改正
の場合においても、やや前進は見ることができましたが、毎回の
年金法
の
改正
を通じまして、いわゆる旧法期間の既裁定
年金者
に対しては十分な
改正
が行なわれておらない。この点については、われわれが毎回当
委員会
を通じて
指摘
しておる点でありますが、
政府
、
農林省
としては必ず恩給法との
均衡
論というものを持ち出して、それを理由にして根本的な改善ができないというのが今日までの経過であります。
農林年金
の発足の経過から見ても、恩給法との直接の
関係
というものはないわけでありますし、むしろ、
厚生年金
制度
のしばしばの改善と歩調を合わせる、そして、発足当時の精神というものが、厚年よりも有利性を持つというところに
農林年金
を
分離
独立させた発足の目的があるわけでありますから、この点についてはこの際明快にする必要があると思うわけでありますが、いかがですか。
倉石忠雄
165
○
倉石
国務
大臣
これは御存じのように他の共済等ともいろいろな
関係
を持っておりますが、お話しのございました旧法の
年金
につきましての
給付
内容
の改善につきましては、新法
年金
等との
均衡
にも十分配慮しながら、今後その改善に努力をしてまいりたい、このように思っております。
芳賀貢
166
○芳賀
委員
この点は非常に大事な点ですから、もう少し具体的に示してもらいたいわけであります。
農林年金
の場合は、三十四年の発足以来しばしばの
改正
が行なわれておりますが、大きな
改正
ということになれば、いま申し上げました三十九年の
改正
、その次が四十四年の
改正
、続いて今回の
改正
ということになっておりまして、これはちょうど五年、五年に行なわれておるわけですね。したがって、これは偶然の符合かもしれませんが、
年金
の五年ごとの再
計算期
の前年に相当大幅な
改正
が行なわれておるわけであります。したがって、四十九年末の時点で再
計算
を行なって、
財源率
の改定を行なうことになるわけでありますからして、今回の
改正
にこれが間に合わないとしても、今年度末の再
計算期
には十分この点に留意をして、長年の懸案である問題でありますからして、新旧の完全通算、不
均衡
の完全是正ということに対して十分な努力をしてもらいたいと思うわけであります。しかも、旧法期間の裁定
年金者
というのは、人員にしても、
遺族年金
の
受給者
を入れても二千名を下回っているわけでありますからして、
財政
的に
改正
できないという理由はないわけですね。だから、間違った恩給法との
均衡
論というものを捨てて、総理府の
社会
保障
制度
審議
会においても、毎回の
改正
において恩給法との
均衡
論で旧法期間の抜本
改正
ができないのは妥当でないという
指摘
が
意見
として出されておることは
大臣
も御承知のとおりでありますからして、この際、新旧問題の根本改善ということに対して、いま一歩明確な
大臣
としての方針を示しておいてもらいたいと思います。
倉石忠雄
167
○
倉石
国務
大臣
私自身が本法の沿革をよく承知し、また、
関係
をいたしてまいりました当事者でありますので、
関係
方面とも十分な
検討
をいたしまして、できるだけ対処できるように努力をいたしてまいるつもりでおります。
芳賀貢
168
○芳賀
委員
次にお尋ねしたいのは、今回の
改正
の中で、いわゆる既裁定
年金
に対して自動
スライド制
を導入するという点が昨年の
改正
よりもやや明らかになっておるわけであります。これは
局長
からの
答弁
でもいいわけですけれども、今度の
改正
案の附則の第八条に、「
年金
額の自動的改定
措置
」ということで条文が出ているわけでありますが、これはわれわれが条文を
検討
しても、まことに明確を欠いておるわけですね。しかも、自動スライドを
実現
する場合の根拠として、「政令で定めるところにより改定する。」ということになっておるわけでありますが、昨日、本日の
審議
を通じましても、この規定に基づいて委任される政令というものは一体どういうものであるかということがまだ明らかになっていないわけです。次の附則の第九条においても、相当重要な部分の施行について政令委任ということになっておるわけでありますが、この点をこの際明らかにしてもらいたいと思います。
岡安誠
169
○岡安
政府
委員
附則の第八条の「
年金
額の自動的
改正
措置
」でございますが、これはこういうふうに書いてございますけれども、いわゆる自動
スライド制
というものではないわけでございまして、いわば、
厚生年金
の
内容
が変わった場合に、
厚生年金
の組織といいますか、組成の一部を使いまして、通算退職
年金
とか最低保障の額とかいうものを
農林年金
できめておりますので、それらにつきましては、
厚生年金
の額の変更等につきましてあわせて変更をし、
農林年金
に取り込むという規定を第八条にいたしておるわけでございます。現在考えておりますのは、御承知のとおり、
厚生年金
は、昨年度の
物価
の上昇率一六・一%ということで
年金
額の改定が行なわれるという予定でございますし、また、その実施時期につきましては、三カ月繰り上げて、八月から実施ということが予定されておりますので、私どもは、それらを受けまして、第八条におきましては、通算退職
年金
、最低保障額等につきましては、額の
改正
並びに実施時期につきましては八月にさかのぼりまして実施をいたしたいというふうに政令で規定をする予定でございます。 なお、九条の政令につきましては、現在制定をいたす予定はございません。
芳賀貢
170
○芳賀
委員
それじゃ附則八条は、先般
農林大臣
が本法案の
提案
説明をやったときの説明とあなたの
答弁
は違うじゃないですか。
岡安誠
171
○岡安
政府
委員
私が申し上げましたのは、いわゆる自動
スライド制
と申しますのは、
厚生年金
等に採用されておりますように、
物価
が上がりましたならばこれを自動的にスライドして、基本的な
年金
、たとえば退職
年金
等の額の変更をするというような
制度
をさしているというふうに私は申し上げたわけでございますけれども、そういうことではなくて、附則の八条は、
厚生年金
が自動スライドでもって上がった場合には、そのスライドを受けまして、
農林年金
が通算退職
年金
なり最低保障
制度
でもって利用しております額を自動的に変更いたしますということを申し上げたわけでございます。したがって、一面におきましては確かに自動スライドでございますけれども、いわゆる
農林年金
の退職
年金
そのものを
物価
なり
賃金
にスライドして上昇をさせるという意味の規定ではございませんというふうに申し上げたわけであります。
倉石忠雄
172
○
倉石
国務
大臣
いま
政府
委員
から申し上げましたことで尽きておると思いますが、
厚生年金
につきましては御承知のとおりでありますが、
農林年金
の改定につきましてそれを採用するにつきましては、その指標として
物価
をとるか
賃金
をとるか等の問題がございまして、まだ結論を得ておらない次第であります。 そこで、この問題につきましては、共済
制度
共通の問題でもありますので、
関係
各省と十分その点を打ち合わせてやってまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。
芳賀貢
173
○芳賀
委員
そういう
答弁
であればいいんですよ。もうすでに
厚生年金
並びに国民
年金
においては、
物価
の自動スライドの根拠をなす
物価
の上昇を一六・八%と公表しておるわけですからね。それは厚年、国年においては、それによって自動スライドを導入して
年金
額の改定が行なわれているのです。この点については、
厚生年金
が
農林年金
の母法的な役割りを果たすわけですから、厚年のほうが
物価
の自動スライドで
年金
額の改定を行なうということになれば、それを基礎にして
農林年金
にこれを導入するということに当然なるわけです。その
関連
措置
として附則第八条というものがここに明定されておるわけですからね。
先ほど
の
局長
の
答弁
はそうじゃないんだ。これは
関係
がないというような、自分が
法律
を出しておりながら、何が何だか全くわからぬようなそういう
答弁
では――いや、首をひねったってしょうがない。
大臣
が
提案
説明でちゃんと明らかにしているわけだから、その指示に基づいて事務官僚というものはきちっとした
答弁
をすべきだと思うのですよ。こういう点は法文の中においても明らかにしておかないと、一般の
年金
対象者が見ても、これはどういう中身だかわからぬじゃないかということになるわけでありますからして、この点は行政運用については十分注意をしてもらいたいと思います。 次にお尋ねしたいのは、午前中の
参考人
の
意見
の
開陳
の中にもありましたが、
農林年金
における
掛け金
の
負担割合
というものが、
経営
主である
団体
と
職員
である
組合員
とが
折半負担
をするということになっておるわけです。各
職員
の毎月の給与額というものを
年金法
の標準給与額に置きかえて、その適用によって各
組合員
の毎月の
掛け金
の負担額というものをきめていくわけでありますが、その場合の負担区分というものは五対五ということになっておるわけです。この点についても、従来の
改正
を通じまして、これは
国庫負担
ということにはならぬので、大きな目で見れば、同じかまの中で負担区分が変わる
程度
ではないかというような説も出ないわけでもありませんが、しかし、
賃金
水準が非常に低いといういまの
農林漁業団体
の給与の
実態
を考えた場合において、せめて、
年金
の
掛け金
の負担等についてはできるだけ
団体側
が負担をして、
組合員
である
職員
に対する負担というものを軽減するようにつとめるべきではないか、これがわれわれの年来の主張であります。 午前中の
参考人
の御
意見
を聞きましても、
実態
論でありますが、
中央
の
年金
加入の
団体
にいたしましても、
都道府県
の
連合会
あるいはまた
全国
の
単協
等においても、
経営
の
内容
にもよるわけでありますが、この点についてはすでに相当積極的な負担上の配慮が行なわれているということも承知したわけでございます。しかし、これはこの
法律
の五十五条の条文をそのままにして、
関係
の政令あるいは
年金
組合
の定款等をそのままにして、
内部
操作で
組合員
の負担を軽減させるということは正当な方法ではないと私は考えるわけであります。そういう
実態
が相当普遍しているということであれば、むしろそれを取り上げて、負担区分等については
実態
に合致したように五十五条の所要な個所を
改正
する必要があるのではないか、それに向かっての
検討
を下す必要があるのではないかというふうに考えますが、
大臣
の御
意見
はどうですか。
倉石忠雄
174
○
倉石
国務
大臣
この
年金
では、
掛け金
は、ただいまお話しのございましたように
事業主
と
組合員
との
折半負担
になっておるわけでございますが、この方式は、共済
制度
に限らず、健康保険を含めました
社会
保険全般を通じます共通原則になっておることは御存じのとおりでございます。したがって、この
負担割合
を変更するということになりますと、
社会
保険
制度
全般にわたって大きな影響を持つ問題でございますし、また、
団体
、すなわち
農林漁業団体
の
経営
に与える影響も大きいものがあると考えられますので、今後
団体
の負担能力等の実情を十分に把握することにつとめまして
検討
を進めてまいりたいと思っております。
芳賀貢
175
○芳賀
委員
この点については、私ども
社会
党としては相当具体的な
実態
調査をやっておるわけですが、これは軽々にどこがどうなっていると言うわけにはいかぬわけです。しかし、われわれの承知する範囲では、特に
農林大臣
の御出身の
長野
県等においては、
連合会
はもちろんでありますが、各
単協
においても、この点については、
組合員
である
職員
の
掛け金負担
をできるだけ軽減する点について相当な配慮をしておるということも承知しておるわけであります。これは決して悪いことじゃないわけです。そういうことが現実に配慮されておるとするならば、むしろ、それを踏まえての
実態
に合致するような
法改正
が必要ではないか。
実態
がどんどんそういうように
全国
的に広がる、
法律
は旧態依然として
折半負担
のままに残っておるということになれば、
農林省
としても、
農協
、漁協等に対する行政的な指導の
立場
においても、そういうことを全然知らないでおったか、あるいは見過ごしておったかというような責任論さえも出ないとは限らないわけでありますからして、この点は
実態
がつまびらかでないとすれば、
農林省
としては、鋭意
実態
調査を行なうとか、あるいは加入
団体
等について十分な意識調査等を行なうというような前向きな指導、対策を講ずべきだと思うのですよ。いかがですか。
倉石忠雄
176
○
倉石
国務
大臣
いまも申し上げましたように、そういう点につきまして十分
実態
把握につとめて善処してまいりたいと思っております。
芳賀貢
177
○芳賀
委員
次にお尋ねしたいのは、これは毎年の
農林年金
の
改正
の際に論議されるわけでありますが、
農林漁業団体
職員
の給与水準の改善について
意見
が出ておるわけです。これは直接的に
年金
制度
で解決するわけにもいかぬ。
農林省
としても、
国家財政
から
職員
の給与改善をするというわけにはいかぬわけですね。たとえば地方公務員等においては、どんな僻村の市町村役場等においても、
職員
の給与等については、いずれの地においても、
国家公務員
の給与改善が行なわれれば地方公務員はそれに準ずるということになるわけであって、それは当該町村の
財政
能力いかんにかかわらぬということになっているわけですね。ところが、
農協
等の場合においては、相当水準の給与改善のできる
農協
もあり、幾ら実行しようとしても能力に限度があるから改善ができないという
単協
もあるわけです。そうかといって、町村役場のように、国庫から地方交付税を通じて一町村に対して四億とか十億の交付金を交付するというような
措置
もないわけでありますからして、結局これは
年金
制度
との
関連
において、少なくとも加入
団体
の
職員
の給与の最低水準というものを底上げする努力というものは
農林省
においても具体的に行なうべきでないかと思うわけであります。 たとえば
単協
等においても、毎年毎年一定額のベースアップ等をやっておるわけでありますが、たとえば昨年は二〇%台とか、ことしは三〇%台だといたしましても、公務員のように、明確な根拠のある給与規定であるとか、給与法に基づいての改定ということにはなかなかならぬわけですね。
引き上げ
をした
あと
で給与規定等の別表にそれを合致させるというような便宜的なことをやっておる
単協
が非常に多いわけです。したがって、こういう点についても、
全国
的に
農協
問において、
組合
問において凹凸があるわけでありますからして、
農林省
としても、もちろん模範定款のようなわけにはいきませんが、やはり、一定の給与規準、給与規程の準則というようなものを示すとか、あるいはいま問題になっておる
職員
の退職給与規程等についても、これは非常に多様になっておるわけで、どこを基準にしてやるのがいいかということも明確になっていないわけでありますからして、今後の問題としては、
農林漁業団体
に対する
職員
の給与規程に関する一定の基準を策定して示す必要があるのじゃないか。天下りでこれでやれと言うわけじゃないですよ。よりどころを示す必要があるのじゃないか。退職給与規程等についても、一方においては
年金
制度
がだんだん充実しておるわけでありまするからして、この
年金
制度
が発足する以前につくられた退給
制度
等というものは
検討
すれば
実態
に合わぬというような点もやはりなきにしもあらずであります。こういう点を
農林省
が具体的に行政的に指導、誘導するということでなければ、幾ら
局長
がこれらの問題については十分努力していますと言っても、その効果というものは全然あがらないわけです。だから、この点に対していままでどういうような努力をしてきたか、全然やっておらぬとすれば、これからどうしなければならぬかというような点については、これはまず
局長
から明らかにしてもらいたいわけです。その次に
農林大臣
の明確な方針を出してもらいたいと思います。
岡安誠
178
○岡安
政府
委員
農林漁業団体
職員
の給与につきましては、一般的に水準が低いということを私どもも承知いたしておりまして、その改善方につきましては、
政府
としていろいろ御援助、御協力ができる部分につきましてはやっていきたいと思っておりますけれども、何せ、
職員
の給与につきましては、
事業主
である
団体
の
経営
の能力、基盤等が直接に反映するわけでございますので、おっしゃるとおり、現在千差万別と言い得るような状態でございます。 私どもも、第一には
農林漁業団体
の
経営
基盤をしっかりするということが先決であるとは思いますけれども、先生御
指摘
のとおり、給与に関する規則とか退職給与規程等の模範例等につきまして、もし必要があるならば全中その他
中央
団体
とも相談をいたしまして模範的なものをお示しするということも考えたいと思いますが、やはり、基本は
団体
の
経営
基盤の確立であろうというふうに考えますので、その方向に向かいまして今後とも援助、協力は惜しまないというふうに考えております。
倉石忠雄
179
○
倉石
国務
大臣
農林漁業団体
の給与その他の待遇の改善につきましては、その
経営
におきまして所要の
賃金
原資が確保できなければならないのでありますが、何よりもまず
農協
経営
の基盤の強化をはかることが大切なことだと存じます。
農林省
といたしましては、従来から、
農協合併
等の推進を通じましてその
経営
基盤の強化をはかり、また、
経営
実務者の研修の助成をいたしますとか、
農協
検査の際の指導等を通じまして
経営
の改善、合理化の指導につとめてまいっておる次第であります。今後とも、この面の
農協
の自主的努力に
期待
しながら適切な指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。
芳賀貢
180
○芳賀
委員
ただいまの問題の
一つ
の事例として、今回の
改正
によって、標準給与月額が別表の
改正
で大体下限が五〇%上がっているわけです。従来の二万六千円が今度は五〇%アップの三万九千円と、上限については二〇%
程度
の
引き上げ
ですが、そうすると、下限の三万九千円というのは、これが二万円台の月額給与を受けておる
職員
であっても、
年金
の
掛け金
の払い込みあるいは諸般の手続上から言うと、実体給与が幾ら低くても結局三万九千円の月額にこれを当てはめて、三万九千円に基づいた千分の四十八の
掛け金
を負担しなければならぬということになるわけです。私は、この標準給与額の
引き上げ
というものが、すなわち
農林漁業団体
の
職員
の少なくとも最低の
初任給
程度
に合致するようにするのが当然だと思うのですよ。午前中の
参考人
の
意見
によりましても、これも
大臣
の選挙区のある
農協
ですが、十八歳で高校出の女子
職員
の
初任給
が二万五千五百円というような
実態
も実はあるわけです。だから、今回
改正
によって五割
引き上げ
になるわけですから、
改正
前の場合には最低給与月額が二万六千円ですから、そう大きな懸隔はないが、今度は五割上がったということになれば、
先ほど
私が言いました給与水準等についての最低限というものをできるだけ底上げするような行政指導というものが必要だと思うのです。そうなれば、少なくとも三万九千円とか四万円というものが高校出の
単協
の
初任給
ということになれば相当の是正が行なわれると思うわけです。だから、こういう点が、
年金
の
改正
とあわせて
農林漁業団体
の
職員
の給与水準の改善を行なうという
一つ
の基礎にもなるのじゃないかというふうに考えるわけです。そういうことを示してもらわないと、いかに善意な
農協
や漁協の
経営者
が努力しても結局限界があるわけですから、どう思っても財源的に不足する場合においてはなかなか十分な処遇ができない。そうなると、場合によっては、
農協
というものはアメリカ帝国主義の手先であるとか、独占に隷属したけしからぬ
団体
であるというような説も昨今は出る時代ですからして、それでは善意な
農協
あるいは
団体
の
経営者
というものはどうしていいかわからぬということでジレンマにおちいるわけでありますからして、こういう点は
制度
の目的というものを明らかにすると同時に、
農林漁業団体
が特に独立した
年金
制度
というものを持って、そして、
農林
漁業
の発展の推進力として担当しておるわけですから、この点はぜひ
大臣
においても
局長
に指示して、私が
先ほど
来提起しておる問題については迅速に善処してもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
岡安誠
181
○岡安
政府
委員
先生御
指摘
のとおり、今回標準給与の下限を
引き上げ
ましたのは、もちろん、下限に達していない
職員
が、ことしの十月現在でも一・四%ぐらいあるということは考えております。ただ、上げたことによって、退職一時金とか障害
年金
、
遺族年金
等についてメリットがあると一いうことと、それから、先生御
指摘
のとおり、標準給与の下限を
引き上げ
ることによりまして、一面では
農林漁業団体
職員
の給与の
引き上げ
を推進する役割りを果たすのではあるまいかということを考えているわけでございます。臨時的な職務に従事している
職員
の給与が三万九千円以下であるということは別でございますけれども、本来の恒常的な職務に従事しておる
職員
の給与が三万九千円を下回っているということは必ずしも望ましい
状況
ではございませんので、私どもも、そういう
方々
の給与の
引き上げ
につきましては、今後とも格段の指導その他はいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
芳賀貢
182
○芳賀
委員
最後に、
農林大臣
に一言お尋ねしたいのは、この法案とは別ですが、先々週、当
委員会
において十分な
審議
を尽くして、一部修正で成立させました農業者
年金
と私は比較してみたわけでありますが、農業者
年金
の場合の老齢
年金
は、今度の
改正
によって、月額千六百五十円の保険料を満二十年間払い込みをして、六十五歳になってようやく八千八百円の
年金
の
給付
を受ける。これが
農林漁業団体
の正
組合員
であるいわゆる農業者
年金
ということになるわけです。それでは、二十年間かけて六十五歳になって、
農林年金
より老齢してからしかもらえぬわけですから、その場合にわずかに八千八百円。八千八百円というものを
農林年金
の算定で言うと、今度は退職時の前一年間の最低給与額が基礎になるわけでありますから、その場合、八千八百円の
年金
を受けるということになれば、最終給与額が二万二千円あれば、四〇%なら八千八百円ということになるのです。千六百五十円ずつ二十年間かけて、十年間たって六十五歳になって八千八百円。これでは
農林年金
制度
もまだまだ不十分であるが、同じ農業協同
組合
で働く
職員
と、農業協同
組合
を形成して、協同
組合
の目的というものが構成
組合員
である
農民
に普遍するようにするということになれば、これは比較の問題ですが、今後、
農林大臣
が所管されておる農業者
年金
の中の老齢
年金
の抜本
改正
の問題等については、このことに思いをいたして十分な
対応
をしてもらいたいと思いますが、どうお考えですか。
倉石忠雄
183
○
倉石
国務
大臣
農業者
年金
は申すまでもなく政策目的のございます
年金
でありますが、これは創定当時の
状況
、沿革から見まして、今日のようにあることはやむを得ないことであると存じますが、先般、あの法案の
改正
案につきましても申し上げましたように、私どもは、他の
年金法
とも比較いたして、できるだけこれの改善を心がけてまいりたいと思っておるわけであります。 ――
―――――――――――
仮谷忠男
184
○
仮谷委員長
これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
仮谷忠男
185
○
仮谷委員長
この際、
理事会
等における各派
協議
により、私の手元で起草いたしました本案に対する修正案を
提出
いたします。
仮谷忠男
186
○
仮谷委員長
修正案はお手元に配付してあるとおりであります。 その案文の朗読は省略いたしまして、以下修正の趣旨を簡単に申し上げます。 本修正
内容
は、
農林
中央
金庫及び農業信用保険協会を本年十月一日以降本法の適用
対象団体
とするとともに、これら
団体
の
職員
について、その者が有していた
厚生年金
被保険者期間で当該
団体
の
職員
であった期間を、本
共済組合
員の
組合員
期間とみなし、これを通算する特例
措置
を認めようとするものであります。 このような修正を行なうことといたしましたのは、まず、
農林
中央
金庫につきましては、昨年の
法律
改正
によって、存立期間に関する制限が撤廃される等、その
農林漁業団体
の恒久的な
全国
金融機関としての基本的な性格が一段と明確になりましたので、金庫の役
職員
を他の
農林漁業団体
と同じ
年金
制度
に加入させ、より充実した老後保障のもとで、系統金融業務に精進できる体制を整備いたしますことは、
農林漁業団体
としての一体感の強化、今後の業務遂行上ますますその必要性が
要請
される相互の人事交流の円滑化等に資することになると考え、この際その加入を認めることとした次第であります。 次に、農業信用保険協会につきましては、その会員である農業信用基金協会はすでに本
年金
制度
に加入しており、また、本
年金
制度
に加入していた
中央
開拓融資保証協会との統合により、その
職員
を引き継ぐこととなっておりますので、これらの事情を考慮してその加入を認めることとした次第であります。 また、これら
団体
の加入と同時に加入前の
厚生年金
被保険者期間で当該
団体
の
職員
であった期間について、これを本
共済組合
の
組合員
期間とみなすことといたしましたのは、加入だけを認めたのでは、
厚生年金
との通算
年金
となるため、現在在職している者についてはかえって不利となるおそれがあり、老後保障の充実の趣旨にもとると考えたからであります。 なお、この
組合員
期間の通算方式は、
昭和
四十七年度改定法の修正の際に行なった
全国
農業共済協会、
中央
畜産会及び
中央
酪農
会議
の通算
措置
の例にならったものであります。 したがって、この通算
措置
に伴い、
厚生年金
保険特別会計から本
共済組合
への交付金、みなし
組合員
期間のうち、本
共済組合
発足後のものについてのいわゆる
掛け金
不足額等の納付金、その納付金についての
社会
保険料控除の適用等について必要な規定を設けております。 以上が修正の趣旨であります。 この際、本修正案について、
国会
法第五十七条の三の規定により内閣の
意見
があればお述べをいただきたいと思います。
倉石農林大臣
。
倉石忠雄
187
○
倉石
国務
大臣
ただいまの
委員
長
提案
の修正案につきましては、
政府
としては必ずしも適当ではないと考えております。 ――
―――――――――――
仮谷忠男
188
○
仮谷委員長
修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に入りたいと思いますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決に入ります。 まず、
委員
長
提出
の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
仮谷忠男
189
○
仮谷委員長
起立総員。よって、
委員
長
提出
の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
仮谷忠男
190
○
仮谷委員長
起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 ――
―――――――――――
仮谷忠男
191
○
仮谷委員長
この際、本案に対し、芳賀貢君外三名から、自由民主党、
日本
社会
党、公明党及び民社党の四党共同
提案
にかかる附帯決議を付すべしとの動議が
提出
されております。
提出
者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。
芳賀貢
192
○芳賀
委員
私は、ただいま議決されました
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する附帯決議案につき、自由民主党、
日本
社会
党、公明党及び民社党の四党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する附帯決議(案) 本
制度
の
給付
内容
は他
制度
に準じ逐次改善をみているが、本
制度
自体がもつ特殊性もあり、
制度
の健全な運営をはかるうえからも問題なしとしない。 よつて、
政府
は左記事項について、速やかに
検討
を加え、改善
措置
を講ずべきである。 記 一、
年金
財政
の健全化をはかるため、
給付
に要する費用に対する国の
補助
率を百分の二十以上に
引き上げ
、併せて財源調整費等の一層の
増額
に特に努めるとともに他
制度
にみられる
都道府県補助
その他の公的
援助措置
等の導入について
検討
すること。 二、旧法
年金
については、新法
年金
との
均衡
に配慮し最低保障額の引上等格差是正のための
制度
改善に一層努力すること。 三、既裁定
年金
の改定については、
賃金
変動に応じた自動
スライド制
を導入すること。 四、掛金の
負担割合
について、
組合員
の負担軽減の方向で改善
措置
を
検討
すること。 五、
農林漁業団体
職員
の給与等その待遇改善について一層適切な指導を行うこと。 右決議する。
提案
の趣旨については、
先ほど
の私の質疑を通じて尽くされておりますので、この際省略させていただきます。 以上が本決議案
提案
の趣旨でございます。 何とぞ
委員
各位の全員の賛成を
お願い
いたします。(拍手)
仮谷忠男
193
○
仮谷委員長
以上で趣旨説明は終わりました。 本動議に対して、別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。 芳賀貢君外三名
提出
の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
仮谷忠男
194
○
仮谷委員長
起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議について
政府
の所信を求めます。
倉石農林大臣
。
倉石忠雄
195
○
倉石
国務
大臣
ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、今後
検討
の上、善処してまいりたいと存じます。 ――
―――――――――――
仮谷忠男
196
○
仮谷委員長
ただいま議決いたしました本案の
委員会
報告書の作成等につきましては、
委員
長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
仮谷忠男
197
○
仮谷委員長
御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 ――
―――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕 ――
―――――――――――
仮谷忠男
198
○
仮谷委員長
次回は、明九日木曜日、午前十時
理事会
、十時三十分
委員会
を開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時五分散会