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1974-05-07 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月七日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 柴田 健治君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    小沢 一郎君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       島田 安夫君    染谷  誠君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    美濃 政市君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君  出席政府委員         農林政務次官  山本茂一郎君         農林省農林経済         局長      岡安  誠君  委員外出席者         議     員 瀬野栄次郎君         厚生大臣官房企         画室長     中野 徹雄君         厚生省年金局年         金課長     坂本 龍彦君         労働省労働基準         局監督課長   岸  良明君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第七八号)  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案湯山勇君外七名提出衆法第二八  号)      ————◇—————
  2. 坂村吉正

    坂村委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のためおくれますので、委員長の指定により、暫時私が委員長職務を行ないますので、よろしくお願いいたします。  湯山勇君外七名提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。瀬野栄次郎君。
  3. 瀬野栄次郎

    瀬野議員 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案提案にあたりまして、趣旨説明いたします。  ただいま議題となりました日本社会党日本共産党革新共同、公明党、民社党共同提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案趣旨及び内容概要を御説明申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合現状は、他の年金に比して低い給付に加えて、ここ数年来の異常な物価上昇、特に、昨年来の狂乱物価のもとで、受給者生活は極度に逼迫しております。この際すみやかに制度充実強化し、本共済組合員及びその遺家族が、退職後あるいは遺族となった後、人間らしい生活保障されることが本制度趣旨であり、それを実現することは、国の当然にして緊急の任務であります。  そのために給付内容を大幅に改善し、すでに別に提案しているとおり、年金額給与額変動に応じて自動的に改定するとともに、その財政については積み立て方式賦課方式に移行させ、かつ、国の負担金割合を引き上げる等、この制度抜本的改正をはかることが必要であります。  以上の立場から、本法案を四党共同して提出いたした次第であります。  次に、法案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、退職年金算定基礎となる標準給与については、従来退職前三カ年の標準給与平均額とされておりましたが、消費者物価の著しい上昇等によって年々ベースアップが行なわれている現状等を考慮して、これを退職時の標準給与をとることにいたしました。なお、従来のとり方が有利な場合にはそれによることもできることといたしております。第二は、年金給付改善であります。  まず、退職年金については、組合員期間二十年の場合、年金算定基礎となる標準給与の百分の四十であったのを百分の六十に引き上げ、最高支給の率は百分の七十を百分の八十一とし、さらに最低保障額三十二万一千六百円を七十二万円(月六万円)に引き上げることといたしております。  なお、退職一時金、障害年金及び遺族年金の額を、退職年金支給率に準じて増額することといたします。  第三は、遺族年金受給要件につきまして、現在、組合員期間が一年以上である者に支給される遺族年金は、六カ月以上組合員期間があれば支給されることとし、組合員期間が二十年以上である者が、職務上傷病によらないで死亡した場合に支給する遺族年金の額は、その者にかかる退職年金の額の百分の五十であるのを百分の八十に引き上げることといたします。  第四は、従来の積み立て方式による財政方式を改め、これを賦課方式に切りかえることであります。本法案によって給付内容を大幅に改善するためには、従来の積み立て方式では限界があるため新たに賦課方式を採用することにしたものでありまして、三年を一期とする期間を単位として、掛け金、国の負担金はその期間内における給付に要する費用均衡を保つよう定めることといたします。なお、賦課方式を完全にするためには、将来において各種共済組合の統合を検討することが必要であると考えております。  第五は、給付に要する費用につき国の負担割合を引き上げ、組合員負担軽減をはかったことであります。現行は国が一八%を負担し、残りを農林漁業団体組合員が半分ずつ負担することになっていますのを、国百分の三十、農林漁業団体百分の五十、組合員百分の二十の負担とすることといたします。  以上四党提出にかかるこの法律案提案理由及び内容の概略を申し述べました。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。(拍手)
  4. 坂村吉正

    坂村委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 坂村吉正

    坂村委員長代理 内閣提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。染谷誠君。
  6. 染谷誠

    染谷委員 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。  最近の国際情勢の動向から見ましても、およそ、国民生活の安定を確保するためには、食料自給率を高めることが不可欠の要件であることは論をまたないところであります。そのためには、まず、わが国農林水産業の健全な発展をはかることが当然必要な事柄であります。  そこで、農林漁業等わが国の第一次産業関係団体で働きます職員は、そのおのおのの立場において生産維持拡大をはかりながら、変動著しい国民経済の谷間において、日一日とたいへんな努力をいたしておるのが現状であります。特に、農林年金の主たる構成団体であります農協組織体に携わる役職員は、わが国農業の第一線において、農業経営者とともに、いわゆるあすの国民食料のにない手として、生産拡大経営改善に懸命の努力をいたしておるのが実態でございます。  そこで、特にお尋ねしたいことの第一は、このような団体で働く役職員が、その努力のわりには報われるところが少なく、諸給与などの待遇面については、他の団体よりきわめて低位に置かれているのが実情でございます。したがいまして、おのずから優秀な人材確保しにくくなったり、あるいは、老後福祉生活のささえとなるべき大切な年金制度すら、他の共済制度に比べて身分保障が必ずしも十分とは言えない現状にあるのでございます。  この農林年金制度創設につきましては、私どもも当時農協組織人として参画した一人でありますけれども、そもそも農林年金制度創設の主たる理由は、当初農林漁業団体役職員の大部分の者が加入しておりました厚生年金保険給付水準が低く、しかも、農林漁業団体と同じ地域社会に存在して、その職能上からして常に比較される立場にある市町村職員あるいは教職員など、いわゆる地方公務員に比べまして、給与水準あるいは身分保障等の面がかなり立ちおくれている点が多かったからであります。したがいまして、農林漁業団体は優秀な人材確保がきわめて困難となり、また、このようなことから職員が他に転職していくという悪循環にもなっているわけでございます。  そこで、農林漁業団体の健全な運営と発展に資するためには、ぜひともこのような不利な環境条件改善、克服し、団体職員身分の安定をはかることが急務であるという理由から、農林漁業団体はその全組織をあげて改善運動に取り組んだのでございます。しかしながら、このような運動は、当時のいわゆる年金の一元化というものに押されまして、決して平坦な過程をたどったものではなかったのであります。結局のところ、国としては、これら関係団体農林水産業政策上に占める重要性にかんがみ、その育成強化をはかる必要が考慮され、関係者の多年の要望等もいれられまして、ようやくこの制度創設が認められたと記憶しておるのであります。  私がここで特に強調いたしたいことは、そもそも、農林漁業団体は、その特殊な社会的位置づけから考えまして、むしろ厚生年金にまさる給付を行なうことによって、優秀な人材確保され、国民生活基幹産業として負託されたところのいわゆる国民食料安定確保という重要な役割りが初めて完成されるものと思うのであります。農林年金厚生年金から分離独立した重要な意義がこの辺に存在することを見のがしてはならないと思うのでございます。しかしながら、最近の現状からいたしますと、その有利性を求めて分離、独立したはずの農林年金が、かつての母体である厚生年金よりも下回る現状にあるとお聞きしております。  そこで、お尋ねいたしますが、この農林年金を所管する農林省としては、今回の改正によりどのように改善されたものであるか、その要点について御説明を承りたいと思います。
  7. 岡安誠

    岡安政府委員 農林漁業団体職員共済組合制度の発足の経緯につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、農林年金と、その母体でございます厚生年金につきまして、給付水準その他につきましての比較がしばしば行なわれるわけでございますが、昨年度、厚生年金制度につきましては大幅な改善が行なわれました結果、農林年金受給者につきましては、厚生年金水準を下回る者が過半を占めるというような状態に立ち至っているのは事実でございます。  そこで、今回相当大幅な制度改正を考えているわけでございますが、その内容概要を申し上げますと、国共済等、他の共済制度にならいまして、平均標準給与基礎期間を短縮するということをまず第一点に考えております。それから、二三・八%を限度といたしまして既裁定年金の額の改定をするということを第二点として考えております。それから、第三点といたしましては、通算退職年金計算方式に準ずる新しい方式導入いたしまして、この方式によって算定した額が、現行方式計算した額と比較をいたしまして、いずれか高いほうを農林年金年金額とするというような、低額の年金改善措置を講じているわけでごごいます。  大体、主として以上のような制度改善を今回行ないますれば、厚生年金比較しまして、その水準を下回るようなものはほとんどなくなるような状態であるというふうに私どもは考えている次第でございます。
  8. 染谷誠

    染谷委員 農林省説明趣旨につきましては一応了といたしますが、そもそも、厚生年金に対して共済年金が従来有していた有利性から考えますと、厚生年金水準確保という程度手直し改善では必ずしも十分な納得はいたしかねると思うのであります。現に、社会保障制度審議会におきまして、共済年金抜本改正をはかる必要性があるとして、大要次のように指摘しております。すなわち、社会保障制度審議会答申に、共済年金抜本的改正をはかるよう指摘したにもかかわらず、政府はいまだ積極的な姿勢を示さず遺憾である、すみやかにその解決をはかるよう云々と答申して、遺憾の意を表しておるのでございます。なるほど、この答申農林年金そのものに対する答申ではございません。共済年金中核的存在であります国家公務員共済地方公務員共済に対する答申ではありますが、同じ共済年金に属しまする農林年金にとりまして、特に、地方公務員同一地域社会に併存する農林漁業団体にとりまして、きわめて重大な関心を持たざるを得ないものであります。  私自身は、さきにも申し上げましたように、農林漁業振興という観点に立てば、農林年金は、いわば政策型の年金であると言っても過言ではないと考えるわけでありますが、この点につきまして、再度政府の御見解を承りたいと思います。
  9. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほど御質問がございましたとおり、農林年金厚生年金と分離いたしまして発足したというような経緯を考えますれば、私どもは、やはり、農林年金制度の今後の内容充実ということにつきまして特に意をいたさなければならないというふうに考えているわけでございます。  御承知のとおり、昭和三十四年に農林年金が発足いたしましてから、種々制度改善を行なってきたところでございます。しかしながら、先生の御指摘のとおり、農林年金制度の中にはなお改善をすべき余地があるというふうに私どもも考えております。ただ、これも先生承知のとおり、農林年金は必ずしも独立した制度ではございませんで、他の各種共済制度というものとのバランス、均衡等をやはり考えなければならない点がございます。そこで、私どもは、他の共済制度改善検討内容等を十分見ながら、また、農林年金が果たさなければならない役割りというものも十分意識いたしまして、今後の社会経済情勢の推移に応じまして、給付内容充実等中心にいたしました改善を今後とも精力的に検討してまいるという心づもりでございます。
  10. 染谷誠

    染谷委員 次に、農林年金財政事情につきまして、政府はこれをどのように把握いたしておるかについてお伺いをいたしたいと思います。  農林年金では、前回の再計算以後、組合員給与ベースのアップや相次ぐ法律改正によりまして、その不足財源はかなり増大しているものと推定をされるのであります。また、組合員掛け金率は現在千分の九十六でありまして、他の年金制度比較しても一番高いとされているのが実態でございます。  そこで、次の再計算期を待つまでもなく、年金財政健全化をはかる見地からいたしまして、この際国庫補助率のアップ等適切な手を打つべきではないかと考えますが、これに対する政府見解を承りたいと思います。
  11. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金財源につきましては、先生指摘のとおり、相次ぐ制度改善等によりまして、財源率相当増高を来たしております。通例五年ごとに財源計算をいたすということになっておりまして、私どもは、四十九年度末を基準といたしまして、財源率の再計算というものを考えているわけでございます。そこで、私どもは、四十九年度末現在におきまして財源率を再計算をした場合には、そのままの状態であるならば相当高い掛け金率ということにならざるを得ないのではなかろうかと考えておりますので、私どもは、今後、農林年金財政が置かれております現状、それから、先生指摘のとおり、現行、他の共済制度比較しましてわりあい掛け金率が高い水準にあるというようなこと等を考えまして、年金財政健全化をはかるという観点から慎重に検討をいたしたいということを考えている次第でございます。
  12. 染谷誠

    染谷委員 去る二月の社会保障制度審議会答申に次のような指摘が見られます。すなわち、農林漁業団体職員共済組合は元来その財政基盤に問題があるので、将来の財源について確たる見通しと計画を策定することが不可欠であると答申しております。また、かつて以前に当委員会附帯決議におきまして、農林年金について、「本制度が多額の整理資源をかかえている現状にかんがみこれに対する財政援助の方途を検討すること。」という附帯決議がなされております。これらはいずれも国庫補助率の引き上げについて示唆しているものと理解されるのでございます。国家公務員共済におきましては、恩給を引き継いだ整理資源組合員負担ではなくして、事業主たる国が負担をしているのであります。また、私学共済の場合におきましても、私学恩給財団の引き継ぎに伴う整理資源は、国庫補助を除きましては、一部私学振興財団がこれを負担していると聞いております。  そこで、農林年金におきましても、せめてこの程度負担は国がめんどうを見てやる必要があるのではないかと考えられますが、この点につきまして、政府の御見解伺いたいと思います。
  13. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金の現在の掛け金率相当高いという原因の一つといたしましては、先生指摘のとおり、農林年金におきます整理資源の問題がやはり非常な大きなウエートを占めていることは御指摘のとおりでごごいます。この関係は、これも先生指摘でございますけれども国家公務員共済制度におきましては、恩給等を引き継ぎましたことによります初期過去勤務債務につきましては、事業主である国が負担をするというようなことになっておりますし、また、私学共済におきましては、整理資源の二分の一相当日本私学振興財団助成をするというようなことにもなっておりますので、掛け金率農林年金に比べましてわりあい低位にあるということも言えると考えております。  ただ、農林年金につきまして、国家公務員共済とか私学共済と同じような方法を直ちに導入するということは、農林年金制度の沿革とか、対象とする組合員性格等の問題がございますので、いささか問題があろうというふうには考えてはおります。  ただ、四十九年度末を基準といたしまして財源計算を行ないました場合におきまして、どういう対策を講ずるかということにつきましては、国庫負担の問題も含めまして私ども検討をいたしたいというふうに考えております。
  14. 染谷誠

    染谷委員 農林年金は、その構成員たる組合員老後保障という見地から、ほかよりも高い掛け金を掛けているという点については先ほども言及したのでありますが、万が一農林年金財政状況に破綻を来たしまして、少なくとも組合員に心配をかけるというようなことが絶対にあってはならないと思うのであります。  そこで、農林年金は、従来、五年に一回この財源の再計算を実施して、いわゆる年金財源の洗い直しをしているようでありますけれども、問題は、再計算期において組合員掛け金負担そのものを増大せしめないで、むしろ予算措置を通じて問題解決をはかっていくということができるものかどうか。この点について見解伺いたいと思います。
  15. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、農林年金財政につきましては、これまでの制度改正と、さらに今回お願いをしております制度改正等によりまして、その財源率相当増加するのではあるまいかというふうに私ども一は考えております。  そこで、四十九年度末を基準といたしまして洗い直しをいたした場合、従来どおりの方式であるならば掛け金率相当高くなるというふうに私どもは考えております。  そこで、先生指摘のとおり、組合員掛け金負担をなるべく増大させないでこの制度を円滑に運用する方法につきまして、私どもも現在から検討を進めたいと思っておりますが、これは他の共済制度とも関係がございますので、国共済等、他の共済制度におきます同様の検討内容等参考といたしながら、掛け金率のあり方、それから国庫助成充実問題等を含めまして総合的に検討をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  16. 染谷誠

    染谷委員 さらに、また、私学共済で現に行なわれております日本私学振興財団からの補助や、あるいに都道府県私学共済組合員掛け金負担軽減のために補助をいたしておりまする実態もございます。このような半ば公的援助措置にならった制度導入につきましては、農林年金の場合にもかねてから強く要望されていた点であります。また、都道府県補助につきましては、この制度をつくる際の政府提案理由の中に、農林漁業団体農林水産政策上に占める重要性から見て、その育成強化必要性がうたわれておるのであります。また、農業基本法第五条におきましても、農業団体育成強化について、国または地方公共団体責務を定めておるのでございます。したがいまして、都道府県公的補助につきましては、すみやかに適切な方法が講じられてしかるべきではないかと考えるわけであります。  非公式な話として仄聞いたしたのでありますが、農林省は、予算折衝の段階において自治省とも相談したと聞いております。もしそうだとすれば、そのようなことの中で、検討結果がいろいろなものがあったと思いますけれども、これらにつきまして、差しつかえない範囲において、前向きの方法で御答弁をお願いいたしたいと思います。
  17. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、農林漁業団体の今後の健全な発展をはかるためにおきましては、国のみならず、都道府県も、その責務といいますか、御協力を願うということが従来の方式であったわけでございます。そこで、農林省といたしましても、現在農林年金が置かれている現状にかんがみまして、組合員掛け金負担を幾ぶんでも軽減をはかる方法はなかろうかというようなことから、この際、都道府県補助農林年金制度導入することにつきまして検討を行ない、関係省庁協議を行なったわけでございます。  その経過を若干申し上げますと、そういうような新しい都道府県補助導入という考え方に対しまして、現在私学共済について都道府県補助があるので、それと同じような考え方はどうかということに対しましては、私学共済に対します都道府県補助は、公共団体が本来行なうべき教育に関する事業私学が肩がわりして行なっているというようなことに着目いたしまして、都道府県は、従来から、私学関係施設費、それから人件費補助とあわせて私学共済制度に対しましての補助を行なっているということが言われております。したがって、農林漁業団体につきまして、私学共済と同じように直ちに都道府県補助導入することにつきましては、いかなる理由都道府県補助を新たに設定をするかという理由づけにつきましてなお検討を要する問題が残ったわけでございます。  したがって、今回御提案改正案の中には、遺憾ながら協議相ととのわずということもありまして、都道府県補助規定を挿入することができなかったわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、なお残された問題等につきましては、関係省とも十分協議をしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  18. 染谷誠

    染谷委員 次に、今回行なわれまする制度改善につきまして、若干お尋ねをいたします。  まず、その第一点は、厚生年金においては、物価上昇が五%でありますれば、自動的に年金額が増額できる規定になっております。このスライド制につきましては、物価か賃金か、そのよるべき根拠につきましては議論のあるところでございますが、農林年金等共済年金では、従来から、公務員給与ベースアップ基準として年金改定を行なってまいっております。  そこで、何ゆえ公務員給与スライド制導入しようとしないのか、それらの理由についてお伺いをしたいと思います。
  19. 岡安誠

    岡安政府委員 従来から、農林年金につきましては、その既裁定年金中心といたしまして、恩給公務員共済等にならいまして、公務員給与ベースアップ基準として給付水準改定を行なってきたわけでございます。今回御提案法律内容におきましても、四十八年度に引き続きまして、公務員給与改善率によりまして既裁定年余の額の改定をいたすほか、過去におきましていわゆる積み残しと言われておりますものも、二年間で解消をいたすというようなことを御提案申し上げているわけでございます。  厚生年金は、御指摘のとおり、物価スライドというような制度がすでに実現をいたしているわけでございますが、農林年金に自動スライド制導入するかどうかという問題につきましては、先生もちょっと申されましたとおり、自動スライド化しようとする場合、その指標を物価に置くのか、それとも賃金に置くのかというような問題もございます。そういうような問題と、それから、自動スライドになった場合に、ほかの各年金とのバランスをどういうふうに処理をするかというような問題とをあわせまして、現在、御指摘の自動スライド制導入につきましては、関係各省庁間で検討を進めているわけでございまして、できるだけ早い機会に何らかの結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  20. 染谷誠

    染谷委員 農林年金では、新法、旧法との間の取り扱いにつきまして差別がございまして、その撤廃が附帯決議でもたびたび指摘されておるわけであります。今回の改正におきましても、これらの差別というものが種々見られるようでありますが、特に、最低保障額についてこれが見られるのはまことに残念だと思います。  そこでお伺いいたしますが、最低保障額はなぜ旧法に適用されないのかということにつきまして、あらためてこの際当局の見解を伺っておきたいと思います。
  21. 岡安誠

    岡安政府委員 最低保障額制度は、各共済制度共通でございますけれども、いわゆる新法になりましてから初めて設けられた制度でございます。そういうようなことから、この制度は旧法に及ばないということになっているわけでございます。  これは、御指摘の最低保障制度の問題に限らず、新法、旧法下におきましては、制度上の取り扱いが異なっているものが二、三ございます。これらを一致したほうがよろしいというような意見もございますが、新法、旧法の区別がございますのは農林年金だけではございませんで、ほかの共済制度も共通した事項でもございますので、新法、旧法の取り扱いの改善等につきましては、他の共済制度の取り扱いとのバランス等も考えながら今後検討すべき事項であろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  22. 染谷誠

    染谷委員 給付金の算定基礎改善に関しましてお尋ねいたしたいと思います。  給付金の算定基礎となるべき平均標準給与の算定方法改善につきましては、大きな前進であると評価をいたしたいと思いますが、今日のような経済変動の著しいときは、三年平均でありますと、確かに実情にそぐわない面が多々あるわけであります。そこで、平均標準給与基礎を三年から一年に改めるなど、今回の制度改善によってどの程度年金額改定になるものか、現実の計算に基づいて、具体的事例の用意がもしあるとしましたならば、参考までに伺っておきたいと思います。
  23. 岡安誠

    岡安政府委員 今回の制度改正はいろいろあるわけでございますが、いまの先生の御指摘平均標準給与の算定にあたりまして、従来は、退職前三カ年の標準給与の平均ということを基準にいたしておりますが、今回これを退職前一年というふうに改めたいというふうに考えているわけでございます。  これによります給付額の改善はどれくらいという御指摘でございますが、一応私どもモデル計算をいたしてみたわけでございます。たとえば、組合員期間二十年の人が昭和四十四年十月に退職をしたと仮定をいたしまして、その人の退職前三カ年間の平均標準給与が五万五千三百三十三円というふうに仮定をいたしまして計算をし直しますと、今回の平均標準給与の算定方法改善によりまして、金額にいたしまして大体三万円余り、率にいたしまして九%余り年金額が増加するというような計算になろうかと思っております。
  24. 染谷誠

    染谷委員 今回の改正では、遺族年金の扶養加給制度創設、あるいは老齢者年金等の年金額改善、さらに通算退職年金額の改善標準給与の上下限の引き上げ等がはかられておりますが、時間の関係もありますので、これらの改善点を評価することで、これらにつきましては割愛をいたします。  最後に、総括的に農林省にお尋ねをいたしたいと思いますが、わが国社会保障制度の前進をはかるため、政府は、より高い次元の見地に立って、今後の公的年金制度改善充実について一そう積極的に、さらに計画的に、しかも画期的な措置を打ち出すべき時代ではないかと考えるのであります。  そこで、国民生活基幹産業としてきわめて重要な社会的役割りを果たし続けておりまする農林漁業団体で、長年にわたってその職責を全うし、いわゆる国民食料安定確保という国民的課題に対しまして真剣に取り組んでまいりました農林年金組合員に対しまして、この際、農林年金制度の将来の改善充実という点につきまして、農林省といたしましてどのような構想をお持ちになっておられるか。長期ビジョン等を含めて、その一端をお伺いいたしたいと思います。
  25. 岡安誠

    岡安政府委員 先生指摘のとおり、わが国農林漁業の第一線におきまして、農林漁業発展のため主要な分野を担当しております農林漁業団体職員の福祉の向上と、それから人材確保のためには、農林年金制度というものが果たす役割りも非常に大きいというふうに私どもは考えております。この制度内容充実のために、私どもも毎年のごとく制度改善を行なってきたところでありますが、ただ、先ほど以来先生指摘のとおり、なお残された問題はたくさんあるというふうに考えておりますので、今後とも、この農林年金制度の一そうの内容改善充実をはかるため、他の共済制度とのバランスを考えながらも一そうの努力を払いたいというふうに私どもは考えております。      ————◇—————
  26. 坂村吉正

    坂村委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま審査中の内閣提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び湯山勇外七名提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案の両案について参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 坂村吉正

    坂村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 坂村吉正

    坂村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  29. 坂村吉正

    坂村委員長代理 質疑を続けます。野坂浩賢君。
  30. 野坂浩賢

    ○野坂委員 最初に、基本的な問題を政務次官の山本さんにお伺いをしたい。  この法律をこの連休の間にいろいろ読んだのでありますが、非常にむずかしくてわかりにくい。地元の農協職員の皆さん等に、あなたの年金はいまの法律改正してどの程度になりますかと聞きましてもなかなかわからない、わかりにくくなっておるというのがこの法律実態であります。この提案理由説明は大臣が行なわれましたが、改善点は五点あげておられますが、こういうことはよくわかっておるのだろうかと、と、私自身がよくわからないものでありますから、そういうふうに思いました。  次官としては、指導者でございますし、責任者でありますから、この法案内容改善点、問題点、こういうことは十分おわかりでしょうか。
  31. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 お答えをいたします。  私がこの年金法の内容をどのくらいわかっておるかというような御意味の御質問だと思いますが、元来、こういうような問題につきましては、きわめて専門的な知識のない以上はなかなか理解のむずかしいものだと思います。ことに、私のような者におきましては、従来の知識が不十分である関係上、必ずしもこの問題について理解をしておるとは私は考えません。ただ、この法律趣旨を一般の方に御理解をいただくために、農林省といたしましては、関係方面に、その実行の関係者に対しまして、十分に趣旨説明をいたしまして、十分な御理解をいただくことに努力をしつつありますし、今後も大いに努力をするつもりでおります。
  32. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大まかにわかっておるのだが、十分ではない、しかし、当該組合員等については十分徹底をしたい、と、こういうことであります。しかし、私が先ほど申し上げましたように、よくわかっていないというのが現況であると思うのですよ。それについては、今後、も一つとわかりやすく、見ればすぐ自分の退職金なり年金計算ができるというふうに書かなければならぬのじゃなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  33. 岡安誠

    岡安政府委員 私ども行政を担当いたしておりますけれども、一般的に、法律というものはむずかしくて、そのまま読んだだけでは何が書いてあるかわからないというような通弊がございます。特に、農林漁業団体職員共済組合法ですか、この関係法は特に難解であると私も考えております。ただ、これは、制度そのものが相当細部まで法律できめなければならないようなことになっておる関係から、法律で厳密に規定をいたしますと、一読してはわからないというようなことにやむを得ずなるかというふうに考えております。そこで、私どもは、難解なものをそのままほうっておくべきではあるまいというふうに考えまして、制度内容等につきましては、共済組合と共同いたしまして、組合員手帳または「農林年金早わかり」というようなパンフレットを毎年作成をいたして、これを組合員に配布をし、説明をし、理解をしていただくという努力をいたしているわけでございます。私どもも、法律はなるべく難解でないほうがよろしいというふうに努力をいたしておりますが、残念ながら、現在まではこのようなことになっているわけでございます。   〔坂村委員長代理退席、笠岡委員長代理着席〕
  34. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この年金ですね。全体の日本の年金ですが、ことしは、去年から福祉元年と言われて、年金等は非常に充実をするであろうというふうに言われてまいっております。国民の所得に対して、「経済社会の基本計画」を読んでみますと、大体六%、将来八・八%というふうにするのだと書いてあります。しかし、中身を読んでみますと、長期計画をやるのだやるのだ、というかけ声はありますが、中身はあまりない。老齢年金を来年一万円にするのだ、と、この程度のことしか書いていないわけですね。私が掌握をしておるのは、社会保障全体としてはその方向でやっておるけれども年金に対しては、国民所得に比例をして大体〇・四、諸外国と比べますと、大体三・四から八・八なんですね。調べてみますと、そういうことです。一つけたが違っておるのではないかと思って私はよく見たのですが、やはり一緒だ。そうすると、他の外国等に比べて異常に低いのが今日の年金だというふうに思わざるを得ないわけです。これに対して、いつまでにどこまで引き上げるかというようなことを閣議できめてやることになっておるのですが、どの程度やられておるのか。どちらでもいいですから説明をいただきたい。厚生省おいでだと思いますが、おいでですか。——これは厚生省が基本ですから、この辺から聞こうと思ったのですが、おいでになてっおらないようですから、それでは、そのことについてはまたあとで聞くとして、政策の基本ですから、局長では言うなれば事務官ですから、政務次官ということになれば政策を立てる責任者ですから、あなたから聞きたい。   〔笠岡委員長代理退席、坂村委員長代理着席〕
  35. 岡安誠

    岡安政府委員 事実だけ私から先にちょっと……。  年金制度一般につきましては、御指摘のとおり、厚生省が中心になって政策検討その他をいろいろ進めているわけでございます。先生の御指摘のとおり、福祉元年と言われておりますことは、やはり、わが国の福祉制度一般につきまして今後充実をはかるという趣旨でございますので、現状が諸外国の高位なものにはなかなか及んでいないということも事実だろうと思っております。ただ、私ども事務的に申し上げれば、少なくとも、農林年金につきましては今回相当大幅な制度改正をいたしておりまして、今回の制度改正だけでも、モデル計算ではございますけれども、従来に比べまして大体四二%くらいの支給年金額のアップがはかられるものというふうに考えております。もちろん、これだけで十分であるとは私ども考えておりませんので、今後さらに内容充実には積極的に取り組むという私どもの事務当局なりの考え方を先に申し上げておきたいと思います。
  36. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 ただいまの御質問の趣旨でございますが、私もしろうとでございますが、日本の年金制度そのほかにおいて、われわれは改正の方向において大いに検討せなければならぬものだと考えておるわけであります。ことに最近における国民生活物価高そのほかを考えまして、年金制度のほんとうの価値をあらわすためには、ここに思いを新たにいたしまして、これに追従するように改正すべきであると考えます。  ただ、こういう制度そのものには、拠金そのほかの、いわゆる本人の在職期間における支払いそのほかの蓄積というものが必要であると考えます。そこに大きな矛盾を感ずる次第でございます。あまりに経済的な変化が急速に来たというところに問題があると思います。  農林省といたしましては、関係年金そのほかの他の年金の進展と歩調を合わせながら、以上のような現下の情勢を判断をいたしまして、受給者の要望に沿うごとくこれを改善する意識を持っているということだけをここに報告をいたしたいと思います。
  37. 野坂浩賢

    ○野坂委員 やる気はある、急速な経済成長があったので少しおくれておる、しかし、それについては追っついていく、と、こういうことです。国民はそれを聞いて、それではいつの時点に同じようなところまで行くかということが当然反問としてあろうと思うのですが、それはいつですか。
  38. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 この問題につきましては、御質問の点は、要点をおつきになられまして、まことにじくじたるものがあります。よく御理解をいただいておると思いますが、全般的な日本のこういう制度の動向というものに足を合わせていく必要があると考えるわけでございます。もとより積極的な意識を持ちますけれども、そういう関係をも考慮する必要があると考えますので、これは引き続いて十分な努力を重ねていきたい、われわれはこういうように考えておるわけであります。
  39. 野坂浩賢

    ○野坂委員 動向とは一体何ですか。わからぬと思いますが、いまのあなたの御答弁では、それに合わせていくけれども、日本の動向等を考えてやるんだというお話しです。日本の動向というのは、福祉元年で、これから一気に福祉政策をやるのだ、総需要抑制をやって、福祉政策に重点を置くんだというのがあなた方の内閣の方針なんですから、そうすれば一気に追いついていくということは当然ですから、諸外国並みな年金になるというのはいつなのかと聞くのです。
  40. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 私の答弁に不十分なところがあったことを認めます。動向は、いま言いましたように、大きな方向として国がきめておることは御指摘のとおりでございます。ただ、この問題は、金額の問題と経済的な状況がございます。しかも、いわゆる年金制度の基本的なものの考え方において、拠出金と受給金というもののある比率を持たなければならぬというような技術的な問題もいろいろあるかとも考えますので、こういう点について考慮をしながら、方向としてはいまの御質問のとおり進みたい、こういうように考えておる次第であります。
  41. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私が指摘いたしますのは、たとえば先ほど申し上げましたように、年金は、国民所得に対して〇・四だ。しかし、一方海外に対する経済協力は、国民所得に対して一%だ。いま〇・九五です。日本の国民のことについては、福祉元年といって〇・四、目は海外へというかっこうで〇・九五、こういうことについては、日本の国民としてはやはりすっきりしないものを感ずると私は思います。私はすっきりしていません。それなれば、老後の安定した保障というかっこうのほうにも一つと向いていくというのが日本の動向であり、国民の期待ではありませんか。そうすれば、その方向に行くためには何年ぐらいだというふうにちゃんと示していただきますと私も納得できますが、何か、きわめてぼうっとしていて、よくわかりません。わかりませんから、その期限、目標というものについて明快にしてもらいたい。
  42. 中野徹雄

    ○中野説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりに、日本の社会保障制度水準は、西欧先進諸国に比べますと、現在は非常に低い水準にございます。この社会保障給付の国民所得に対する比率等で見ました水準の低さをいかにして充実し、向上していくかということが当面の問題でございます。  これにつきましては、先般の経済社会基本計画で、目標年次昭和五十二年度に、一つのものさしといたしまして、社会保障給付費の大半を占めますいわゆる国民所得統計上の振りかえ所得を八・八%まで引き上げていくという計画が、政府の計画として一つあるわけでございます。もちろん、この八・八%に到達いたしましても、西欧諸国の水準に比べますればなお低いことは事実でございますが、一つの原因といたしましては、よく言われますことは、日本の場合、老齢者の総人口に占める比率が、たとえば西ドイツ、フランス等に比べますと現在はなお非常に低い水準にございます。老齢人口が相対的に少ないということは、年金の大きさにも影響いたしますし、また、ひいては各種の社会福祉、公的扶助等の金目にも影響する点がございますので、五十二年度目標値八・八を達成いたしましても、西欧先進国に比べればなお低い水準にあることは事実でございます。  それで、ここら辺のことは、政府全体として非常に大きな政策の中で今後いかにするかをきめていく問題でございますけれども、厚生省といたしましては、確たる結論ではございませんけれども、西欧先進国の水準にまで引き上げていく目標の時期といたしましては、おおむね次の経済社会基本計画の、その次の五年、十年程度の時間の長さを念頭に置きながら今後努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 野坂浩賢

    ○野坂委員 十年というのは非常に長くて、ここにいらっしゃる皆さんもこの国会から姿を消すというような方もあろうし、われわれもそうだと思うのですが、そういうテンポのおそいことでは困るわけです。もっと早く、急速に高度経済成長ができたわけですから、それと見合って福祉のほうを高度成長してもらわなければ、国民としては非常に生活不安というものがありますから、そういう方向になるように、次官、がんばっていただかなければならぬと思うのですが、どうですか。
  44. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 御質問の趣旨は十分に尊重いたしたいと思います。また、私も、お気持ちは十分にわかっておるつもりでございます。
  45. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから、次に進みます。  いま、あなたは、動向の問題で、比率というものについてもいろいろ考えなければならぬということをお話しになったのですが、いまの焦点である農林年金は、この法案内容を見ますと、いや、厚生年金が抜本的な改正をやったからやるのだとか、いや、恩給がこうだからこうだとか、そういうふうにいろいろ——どこにきちんとした農林年金の方針があるかという点については、読んでみてもさだかではないのですね。何か、あっちに行ったりこっちに行ったりして、ぴしゃっとしたものがない。私はこれを見て、公的年金という立場に立つと、言うなれば、国家公務員並み、国家公務員に準拠する、こういうことが、たとえばベース改定なり二・三八をかけたりする場合に使われておる、これで行くべきだ、当面はそこに準拠するということになるであろう、こういうふうに農林年金を裸にしてみて思うのですが、そのとおりですか。
  46. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金は、発足の経緯からいたしまして、厚生年金から分かれてまいりました。厚生年金というものが現在の社会保障という考えを根幹にしてできておりますので、私どもも、常々厚生年金給付水準というものをにらみながら、それと大きく劣らないような給付水準を維持したいということがまずございます。  それから、制度といたしましては、先生指摘のとおり、国家公務員共済その他各種共済制度とのバランスというものを制度と考えていくということ、配慮していくということが、私ども農林年金を扱っておる者といたしましては、常に考えの中心でございます。
  47. 野坂浩賢

    ○野坂委員 両方見るということですね。厚生年金から昭和三十四年に農林年金は独立をしておりますね。その出発の理由は何ですか。
  48. 岡安誠

    岡安政府委員 従来、昭和三十四年の農林年金発足以前は、農林業団体職員はおおむね厚生年金に加入をしていたわけでありますが、農林業団体職員の置かれている特殊性その他を考え合わせまして、厚生年金から独立いたしまして、できるならばより水準の高い年金制度を確立をいたしたいということを考えまして、この制度が発足をいたしたわけであります。
  49. 野坂浩賢

    ○野坂委員 おっしゃるように、農林漁業というものは非常に重要である、したがって、農林漁業団体に優秀な人材確保する、そういうような政策的なものを含めて出発をした、独立をした、こういうことですね。そうしますと、厚生年金よりもよくなるということが大前提ですね。そうすると、私が言うように、国家公務員のほうに準拠するというような方向が当然生まれてくるのじゃないか、その方向のほうが重点じゃないか、こういうふうに思われるのですが、どうでしょうか。
  50. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほどもしばしば申し上げましたような経緯から、農林年金給付水準厚生年金給付水準が比べられるわけでございます。今回の改正を御承認いただきますならば、私どもは、農林年金給付水準厚生年金給付水準におおむね劣らないというふうに考えております。受給者のうち九%ぐらいの方々につきましては、厚生年金と比べまして若干低位にあるという人たちを形式的には残すと思いますけれども厚生年金給付開始の時期その他等を考えまして、今後の余命全部の期間におきまして受け得る年金額の総体等を考え合わせますれば、私は、農林年金厚生年金に劣らない制度であるというふうに言い得ると思っております。
  51. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ちょっとかみ合わぬですね。私は国家公務員というかっこうだし、おたくは厚生年金だと言う。そういう点でかみ合わぬ。かみ合わせなければならぬですがね。  そうすると、先ほども次官も比率の問題をいろいろと言われたのですが、いわゆる保険料の掛け金率ですね。この率は、農林年金の場合は、たしか千分の九十六ですね。厚生年金の場合は七十六ですね。そういたしますと、本人負担というものは、厚生年金は三十八で、農林漁業団体のほうは四十八だ、こういうことになってまいりますが、非常に高いですね。国家公務員なり、私学共済なり、あるいは地方公務員——公共企業体の国鉄は若干高いとしても、これはまあ退職金その他が違う。非常に高い。この前に、内村経済局長のころには高いということを認めておられた。率としてはこれが限度ではないか、私はそう思っておるのですが、どうでしょうか。
  52. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、現在の掛け金率を比べますと、農林年金よりも高い掛け金率にございますのは国鉄共済がありますが、それ以外は農林年金よりも低い掛け金率水準になっております。私ども、やはり給付内容改善をいたしたいというふうに考えておりますが、ほうっておけば、それに伴いまして掛け金率も増高せざるを得ない。ただ、いたずらに掛け金率が増高いたしますと、組合員である農林業団体職員負担能力の問題にも影響いたしますので、私ども一も、農林年金掛け金率のうち、組合員負担部分はなるべく上げない方向で努力はいたしたいと思っておりますが、これは先生十分御承知のとおり、なかなか困難な問題を含んでおりますので、今後十分検討をいたしたいというふうに思っている次第でございます。
  53. 野坂浩賢

    ○野坂委員 なるべく上げない方向で検討する、なかなかむずかしい、こういうことですが、厚生年金を強調され、私は国家公務員を強調し——そうすると、大体保険料率としては高位にあり過ぎるじゃないか。そこまで下げる努力はいたしますが、最高限だと思いますというふうに御答弁だろうと私は思ったのですが、これからもまだ上げるのですか。
  54. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほどもちょっと御答弁いたしたと思いますけれども、現在の掛け金率、これは昭和四十四年に財源率計算をいたしました結果出てきた数字でございますが、それ以降各種制度改正がございますし、今回も制度改正をお願いをいたしております。そういたしますと、やはり、財源率相当上がるということも当然であろうと思っております。新しい財源計算は、私ども昭和四十九年度末現在で行ないたいと思っておりますけれども、新しい考え方をそこに導入いたしませんと掛け金率の増高は避けがたいというふうに考えておりますので、これから至急くふうをいたしたいというのが私の本心でございます。
  55. 野坂浩賢

    ○野坂委員 上げないくふうをしたいと言われる。これから財源率が問題になるわけですが、新しいくふうというのは、一つの検討の素材として私は提案をしますが、これはいま完全積み立て方式ですね。その他は修正ですね。だから、それによって修正でやっていけば、まずそう上げなくてもいい。  それから、これの年金政策的なものだ、政策年金だとおっしゃたのですから、国がそういう政策をとっていく場合は、国が足らざるところを負担するというのは当然だと私は思うのですよ。政策はとるが、おまえたちからも金を取る、おまえたちが出せ、おれはえびすさんだというようなことでは、それは政策年金として全く意味がない。厚生年金も、補助率はいま二〇%ですね。これが一八%だということでは、政策年金としての価値がない。だから、新しい方法というのは一体どういうものなのか、片りんを示してほしい。
  56. 岡安誠

    岡安政府委員 掛け金率の増高をできるだけ押える方法につきましていろいろと検討をいたしておりますが、なかなか一長一短がございまして、片りんを示せというお話しでございますけれども、ここで申し上げるようなところまで熟していないのが現状でございます。たとえば、厚生年金に対して国の助成は二〇%にもかかわらず、農林年金が一八%であるということはおかしいではないかという御指摘でございますが、確かに、その数字だけ比べますと、いかにも農林年金が国の側からは冷遇されているような気がいたしますけれども一、厚生年金に対します二〇%の補助について、その国の補助金額はどうかという点を調べたり、また、農林年金につきましては、一八%の国庫助成のほかに財源調整についての補助金もございますし、それらを勘案して、はたして農林年金厚生年金よりも国の助成という点で冷遇されておるかという点は問題があると思います。そういうような比較もございますけれども、要は、やはり、先生の御指摘のとおり、農林年金につきましての組合員負担をなるべく軽減をするということが要点でございますので、抜本的なといいますか、新しい視点に立ちました方策をひとつ研究をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  57. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ちょっと話は飛びますが、農林年金の目的の中に、「農林漁業団体職員の相互扶助事業を行い、その福利厚生を図り、もって農林漁業団体事業の円滑な運営に資することを目的とする。」ということがありますね。だから、農林年金関係を見ますと、宿泊施設等がたくさんありますね。この宿泊施設は大体十三あって、四十五年度の組合員の利用率というのは四六、四十六年度は四二・九、四十七年度は四一・七と、これは漸次減る方向を示しておりますね。これはどういうわけですか。
  58. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金の福祉事業の一環としまして、御指摘のとおり、宿泊施設等の運営に対しまして、農林年金が施設その他の貸与をいたしておるわけでございます。それについて、組合員の利用が減っているのはどういうことかというお話しでございましたけれども、やはり組合員のための福祉事業でございますので、組合員が有利な条件でこの施設を利用できるように、したがって、そういう条件のもとにできるだけ多数の組合員が利用できるようにということを私どもは考えておるわけでございますけれども、一つには、宿泊施設等につきまして、独立採算制をとっております。そういたしますと、組合員のみならず、組合員以外の者の利用というものを当然考えざるを得ないということがございます。もちろん、その場合におきましては、組合員優先というたてまえは貫いておりますけれども組合員の利用できない期間等につきましては、組合員以外の利用を極力努力をするという結果から、御指摘のとおり、組合員の利用率というものが必ずしも所期のような率に達していないことは事実でございます。私どもは、施設というものが遊休化することは望ましくないわけでございますので、遊休化しない限度におきまして組合員を優先して利用させるという方向で、今後さらに、施設の存在、また施設の利用関係等につきまして、組合員に対するPRの充実というものをはかって、結果的には組合員の利用率をさらに向上させる方向で、努力をしてまいりたい、かように考えております。
  59. 野坂浩賢

    ○野坂委員 他の教員とか、あるいは自治体の職員とか、そういうところでの共済でつくっておるのは七〇%を割っていないですね。農林年金に限ってだんだん下がっていく。そこの宿泊施設の費用農林年金費用と比べてみますと、農林年金のほうが高いのです。約倍になりますね。七割方高い。なぜそういうふうに高いのですか。
  60. 岡安誠

    岡安政府委員 その利用率の点につきましては、さらに私ども検討いたしてみますが、一つには、農林年金組合員は、御承知のとおり農林漁業団体職員でございまして、やはり、休日利用というものが中心になりますし、また、研修会その他の利用というものが中心になります。そういたしますと、休日以外のウイークデーとか、それから研修をしない期間の研修所等につきましては、どうしても組合員以外の利用によってまかなわざるを得ないというようなこともあろううかと考えております。その点につきましては、先ほど申し上げますとおり、今後さらに組合員の利用率を上げるように努力をしたいと思っております。  もう一点の、利用料が高いのではないかという御指摘ですが、これにつきましてもさらに検討を進めますけれども農林年金以外の共済組合等の宿泊施設につきましては、たとえば宿泊施設の運用等につきましての負担部分を掛け金に反映をさせるというような運営をしておるところもございます。ところが、農林年金につきましては一切そういうことはいたしておりませんで、施設の貸与以外は独立採算というような運営をいたしておりますことも利用料等にはね返っているのではあるまいかと考えております。これはどちらがよろしいかという問題になるわけでございまして、これはやはり組合員のための施設でございますので、組合員の意向に沿った運営でなければならないと思います。その点につきましては、さらに組合のほうに伝えまして、どういう方法でいくべきかということは十分検討さしてまいりたい、かように考えております。
  61. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私が言っておりますことは、宿泊施設の宿泊料も高い、組合員優先といっても、優先にするようなPRをやっておるけれども、入ってこない、賃金が安い、なかなか行けないということ、これですよ、根本は。だから、そういうことをやるとおっしゃいますけれども、なぜそうなるかと言いますと、あなたがおっしゃるように、独立採算で、いま不足財源がある。不足だ、完全積み立てで。いまさっき論議しましたね。なかなかできない。だから、これはいわゆる利益差というもので、五年にわたって補てんをしておるのですね。三・五五ですか、いわゆる係数でいくと千分の五・九一かける六割は年金のほうに出す。その六割が三・五五だ。こういうことになっておるわけですね。だから、ほかのところと違って、みんなまる裸になって、出せるだけは出しておるという感じですね。だから、高くなければならぬ。組合員のほうの期待に沿うようにやろうとしても、これらの制約があってなかなかできない。年金のほうにつぎ込まなければならぬ。率からいくと三・五五になっていますよね。だから、こういう現状に立って、いまあなたは、不足財源というのは、いま計算すると——四十九年度、再計算をすると言いますが、どの程度あると御判断ですか。
  62. 岡安誠

    岡安政府委員 不足財源のお話しが出ましたのでお答えいたしますが、四十七年度において計算した金額は約三千六百億円ということでございます。その後さらにこの不足額は増高をしておるというふうに私どもは見ております。
  63. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまは四十九年に入って、四十八年度から見ればざっと五千億ですね。五千億あるのです。そうすると、数理保険料から全部率で出しまして、いわゆる利益差も出して、まあ調整費も出してもらっておる。しかも、掛け金率は一番高い。もう出すところはないんですよ。出すところは政府以外にないんですよ。そうしなければ、あなたがいまおっしゃったように、できるだけそういうふうに押えたいというものの、成果があらわれてこないという結果にしかならない、私はこういうふうに思うのですが、ほかにあら手がありますか。
  64. 岡安誠

    岡安政府委員 確かに不足財源はふえますし、従来どおりの計算でいけば掛け金率が増高をいたしますし、その結果、組合員負担はふえるということになるわけでございまして、先ほど申し上げましたように非常に困難な問題でございますが、しかし、私どもも避けて通るわけにまいらない問題なので、十分検討はさせていただきたいと思っております。
  65. 野坂浩賢

    ○野坂委員 努力をしていただくと思うのです。岡安局長も、これはなかなかたいへんだというふうにお考えになって——私学関係で県が出しておる、私学がなければ、公的な県立なり国立を建ててやらなければならぬ、だから補助をする、こういうふうになっておるのですが、農業基本法の五条等を見ましても——それからいまの見直す時代ですね、食料供給という現実の問題ですね、しかも、人材確保という問題ですね、そういう問題からして、あなたも本気で折衝された、われわれは高く評価しているんですよ。それらのネックの問題について、農林というものについて、自治省の理解が求められなかったのじゃなかろうかというふうに思うんですね。いま、人材確保の問題あるいは同一社会にあって、職場環境もそう変わっていない。生産調整、技術指導、造林、植林、経営指導、漁獲指導というようなことや、その上に金融や農作物の共済をやるということになれば、やはり、農林漁業振興のために公共団体等も十分目を見開いてもらわなければならぬ、私はそう思っておるのです。そうしなければ、これも延べていかなければならぬし、政策年金としてできないが、自治省はそれについてだめだとおっしゃったのですか。これから余裕がありますか。どうでしょうか。
  66. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほども、私ども自治省等との交渉の経緯を御説明申し上げたつもりでございまして、現状では協議相整わずというのが結論でございます。  私どもは、都道府県補助というものをこの制度導入してはいかがかというふうに実は考えたことも事実でございますし、折衝いたしましたけれども自治省中心といたします意見も、これはやはり一理があるというふうに考えております。そこで、私どもは、そういうものも今後の問題といたしまして、結論的には農林年金組合員掛け金負担があまり増大しないような方向でいろいろな手を考えるということを現在では申し上げさせていただくことにとどめたいというふうに思っております。
  67. 野坂浩賢

    ○野坂委員 自治省
  68. 石原信雄

    ○石原説明員 お答えいたします。  農林漁業団体共済年金掛け金について、私学共済と同様な形での都道府県による財政援助ができないかという点について、農林省から御相談をいただいたわけであります。私学助成につきましては、先生指摘のように、現在、千分の八の掛け金補助を行なっております。これについては、考え方としては、現在、私学は、小中学校にしても、高等学校にしても、実質的に公立学校の肩がわり的な役割りを果たしているというような考え方財政援助を各都道府県が行なっているわけであります。それ以外の各種共済年金については、現在のところ、財政援助を行なっているものはございません。たとえば全国知事会ですとか、市長会、町村会といった地方公共団体関係職員をもって構成される共済組合に対しても、一切財政援助はなされていないわけであります。さような各種共済年金に対する財政援助のバランスというようなことからいたしましても、現在の時点で、農林漁業共済年金に対する掛け金補助ということは困難であるというのが私ども考え方でございます。
  69. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まあ、私学の問題についてはそういう理由だということだが、私がいま申し上げましたように、この農林漁業団体に対しては、地方自治体はいまは財源の問題がいろいろあるからむずかしいけれども農林漁業団体の公的な色彩、こういうものですね。今日の農業の実態食料自給率の問題、こういうことから非常に重要であるということは、国民の声、また政府の認識するところであります。そういう観点に立って、財源の問題は別にして、地域の私学の問題あるいは役場職員との関連の問題ということからして、同一社会にあって、職場環境の類似あるいは人材確保というものと農林漁業振興というものについては、自治省としては御認識できますか。どうでしょうか。
  70. 石原信雄

    ○石原説明員 農林漁業団体地域社会において非常に重要な役割りを果たしておる。実態的には、たとえば町村においては、町村の役場職員と農業協同組合の職員との間の関係、その他御指摘のような考え方があり得ると思います。ただ、共済年金制度に対する財政援助ということになりますと、やはり、これは他の制度とのバランス、全体的な体系ということも同時に考えてまいらなければならないのではないか、かように考える次第でございます。
  71. 野坂浩賢

    ○野坂委員 他の制度といいますと、ざっと大まかに申し上げて、国家公務員地方公務員、公共企業体、私学共済あるいは厚生年金、まあこういう共済関係でありますが、その中で農林年金というものは地方色というものは豊かだ。他のところはスムーズにいっておる。しかも、財源は非常に異常なほど困難であるということはいまの議論の中でおわかりになっておると思うのです。だから、他の制度とにらみ合わせということもお考えのようですけれども、他にはそう大きな問題はない。みんなできる。しかも、修正積み立てだ。こういう関係と完全積み立て等の関係から、農林漁業重要性、そのことだけでも御認識できますか。
  72. 石原信雄

    ○石原説明員 農林漁業地域社会において非常に重要な役割りを果たしているという点については、私も十分認識しているつもりでございます。
  73. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういう認識の上に立てば、この完全積み立て方式というたてまえから言って、将来修正になれば、また新たな考え方として、それらについては一ぺん検討する項だと農林省がむげに言っておるわけじゃないのです。決してわれわれは農林省の味方じゃありませんが、農林漁業という観点に立って、また、その人材確保と指導性、そういうものから考えて必要ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけです。したがって、自治体も検討をすべき時期が来ておるのではなかろうかと思いますが、どうでしょうか。検討の要はありませんか。
  74. 石原信雄

    ○石原説明員 農林漁業共済年金財政内容がたいへんであるという点については、私どもも聞いております。ただ、その問題解決の手段として、地方公共団体による財政援助という形がいいのか悪いのか、これは先ほど申し上げましたように、各制度間のバランス等もあわせて考える必要があるのではないか、かように思う次第でございます。
  75. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、時間がありませんから十分検討してもらいたい。この議院の中でも十分議論をして、あなたのほうに要請をしたい、こういうふうに思っております。  そこで、まあいろいろございましたが、異常に不足財源もあるということもはっきりしました。しかも、掛け金もこれ以上上げられない、組合員の分はできるだけ上げない、こういうことでありますが、一番の問題、やはり、農協なり農林漁業団体職員というものの給料が異常に少ないということですね。これはよくわかっておると思いますが、四十七年度末の平均報酬月額というものは、地方公務員が八万五千四百七十五円、公共企業体が八万五百五十六円、国家公務員が七万八千五百七十四円、私学が六万七千五百二十七円、農林年金が五万九千二百四円、厚生年金七万二千八十一円、と、こういうことになっておりますね。農協で言うと、単協は、この五万九千に比べて、五万五千六百三十四円と、さらに低い。異常に低いのですね。この低いのをどうやって引き上げるかということをこの前の国会でも議論したのです。非常に低い。これが一番もとなんですからね。なぜこんなに低いのですか。どうしてあげればいいのですか。農業の指導者なり責任者として、あなたはどうお考えですか。
  76. 岡安誠

    岡安政府委員 確かに、農林漁業団体職員給与水準というものは、他と比べまして必ずしも高い水準にあるわけではございません。  この水準を引き上げる方策いかんということでございますけれども、これははなはだ冷たいようなことを言うわけでございますけれども、第一は、やはり、団体自身の自主的な努力、これによらなければならないというふうに考えます。要は、職員に対します支払い財源確保すること、そういうような経営を実現するということであろうというふうに考えます。ただ、私どもといたしまして御協力できますのは、そういうような健全な農林漁業団体の運営がなされるように援助をし得るということであるわけでございまして、従来から主としてやっておりますのは、合併等によりまして経営基盤の確立をはかるということ、さらには、役職員の研修等によりましてその能力の向上をはかるということ、さらには、中央会の行ないます監査の助成等を通じまして経営内容改善をはかるというような方法によりまして従来も努力をしてまいりましたし、今後そうの努力はいたしたいと考えております。
  77. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大前提は自主的努力ということですね。自主的努力をしておると私たちは思っておりますが、していませんか。
  78. 岡安誠

    岡安政府委員 それは当然、農林漁業団体の管理者といたしましては、職員に対します給与改善につきましては日夜努力をいたしていると私ども考えております。
  79. 野坂浩賢

    ○野坂委員 努力をしておるわけですね。問題は日本農政のあり方ですね。これは時間がありませんから、またあらためてあさってでもやらしてもらいますが、これはあなたに直接関係はない。  所得補償方式の問題なり、農産物の価格の問題なり、構造の問題なり、経営の問題なり、たくさんありますが、問題は、あなた方のところに問題があるわけです。私はそう思っておるんです。  去年も内村さんが合併をするのだとおっしゃったのですが、そうかいなと私も思ったんです。私は鳥取県ですが、鳥取県は五万二千八百五十六円なんですよ、農協団体職員給与が。一体、いまごろ、高等学校を卒業して五万二千円で就職できるというような求人はないです。ざっと六万円以上、七万円ですね。大学は八万円ですからね。だから、これは異常なほど安い。これで人材確保ですから、これは全く矛盾をしていて、おかしいと思うのです。それでも、農業に愛着を持つ職員たちはやっておる。こういうことはぜひわかってもらわなければならぬわけですね。  私は、合併をしたらずいぶんその給与が上がるかと思って、去年から一年回って調べてみたんです。これは四十九年の一月の鳥取県の実情なんですが、鳥取市では五万七千二百円です。隣の国府町というのは、たったの二カ村合併で、小さなものですが、六万円ですよ。それから、私は米子というところにおりますが、これは五万七千円。隣の日吉津村というのは——これは村ですよ。それがたったの一山村で七万一千九百三十八円。そこで、それは市と比べたら、市は工業が多くて農業はないという反論があると思いますが、私の郡の隣の日野郡というところなんですが、日南町というのは五カ村合併です。隣の日野町というのは農協は合併していない。この合併をしていない日野町というのは四万六千六百十円。平均はこれですよ。日野町のうちの黒坂というのは五万一千二百十八円。日南町というのは四万六千六百十五円で、若干高い。合併してメリットがあって上がったというのは、少なくとも私の資料では持たない。そんなに合併をして賃金がどんどん上がるというふうなことは、そういうことはないじゃないかというふうに、私は現実に歩いてみて思ったんですが、どうでしょうか。
  80. 岡安誠

    岡安政府委員 私どもも、農協の合併によりまして職員給与がどういう変化をしているかということにつきまして二、三の調査はいたしております。確かに、平均から申し上げますと、目に見えて給与が増高したというようなことは言い得ないかと思います。ただ、しかし、私どもが考えておりますのは、組合の合併によりまして規模が拡大をするということ、これがやはり組合の経営基盤を確実にするゆえんであり、そういう基盤の上でなければ将来の職員給与のアップも実現することはできないと考えております。直ちにそういう状態にないことは遺憾でございますけれども、方向としては間違っていないし、そういう方向に沿ってこそ将来の職員給与ベースアップが可能になると考えております。現に、私ども現状としましては農林年金組合員の平均給与というものが、ほかの国家公務員地方公務員私学厚生年金の平均の給与と比べて著しく劣っているとは思いますけれども、最近の給与の伸び率等を見ますと、そう大幅ではありませんけれども格差は縮まりつつあるというふうに見ております。  私どもはこのような程度の格差の縮まりで満足いたしておりませんけれども、さらにその方向を一そう促進をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  81. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は伸び率という率はわかりませんが、たとえば、私たちがこの連休の間歩いてみて一万七千円程度うちのところは上がりました。公務員なんかは三〇%台ということになりますと三万円、二万七千円、二万八千円、そういうことになると思うのですね。やはり、それは当然ですよね。五十人規模の事業所、百人規模のそういう姿を調査をすればそういうふうになります。農協はひとり絶対額が少ないから、伸び率があるかもしれませんが、私は、伸び率も少ないし、縮まってこないと確信しております。あなたがおっしゃるのは間違いですよ。今度はそういうことは絶対間違いなく、伸び率というものは大幅になって、格差は縮まりますね、全国平均というのは。いありませんね。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 そういうふうに指導してもらえますね。
  82. 岡安誠

    岡安政府委員 そのように指導もいたしておりますし、現に、数字の上からでは、明らかに格差は縮まりつつあるというふうに考えております。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農協職員というのは非常に安いので、いまも読み上げましたように、異常なほど違うのですね。四十七年度末にしても、二万五千円から三万円、また、格差は、金額としては開くんじゃないかと私は思うのです。  そういたしますと、それは上がるように指導するということですが、上がるために具体的にどういう指導をするかということが一つ。農政の問題は、きょうは時間がありませんからなかなかできませんが……。それと、人件費で非常に低いのは国が見てやる、その程度大胆な措置をやはりとったらどうか、こう思うのですが、どうでしょうね。
  84. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほども私はお答えいたしたと思いますが、それで、国といたしまして、農林漁業団体職員給与改善につきまして、積極的になし得る施策として現在いたしておりますのは、合併の促進とか、役職員の研修とか、監査を通ずる経営改善の指導とかという点に限られているわけでございまして、やはり、中心は、団体の、みずからの経営改善等に対する努力中心にならざるを得ないということをいま申し上げたつもりでございます。  それで、それも必要であるけれども、国が直接団体職員給与について助成したらどうかというお話しでございますけれども、これは、ただ単に国の負担が大きいという問題に限らず、非常に問題があると思います。やはり、農林漁業団体というものはすぐれて自主的な団体でございます。それに対しまして、些少なりとはいえ、国の助成が入るということは、その点からも非常に問題があるんではなかろうか。やはり、私ども農林漁業団体に対します指導の態度といたしましては、自主的努力を助長する方向での援助、これは惜しみませんけれども、ストレートに賃金に継ぎ足しをするということは、金の問題を離れていささか問題があるというふうに考えております。
  85. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは簡単にやりますが、いまも局長がおっしゃったように、三十三年からの積み残し分というのをことしと来年、二年間でやることになっておりますね。それは四十五年からはずっと一五・三ですから、それまではそれぞれ二三・八を最高として、やらない。これはいままでやったものの〇・六は入れたんだけれども、〇・四は、これは直接関係はなかったということで、今回全部一・〇やることになって、その半額だ、こういうことになったと——既裁定年金関係ですね。いわゆる積み残し分、積み残し分と言いますけれども、まあいまはそれを是と認めたんだから、さかのぼってみると、いままでの積み残し分を残すというようなことは大体間違いだった、こういうふうに私は思うのです。そのつど当然入れるべきであった。極論を吐くと、インチキじゃないかというふうにさえ現状では思われてもしかたがないと思うのですが、どうですか。
  86. 岡安誠

    岡安政府委員 インチキと言われるとはなはだ私ども残念に思うわけでございます。  ではなぜ〇・六にしたかという理由を多少申し上げたいと思いますけれども、〇・六は、先生承知のとおり、国家公務員ベースアップと、それから物価上昇率との差のうち、いわゆる生活給と考えられる部分、これは六割、それにつきましては改定の率に算入をいたしましたけれども、職能給と考えられる部分の〇・四、これはベースの改定から除外したという経緯がございまして、この方式はいわゆる恩給審議方式と言われている方式でございます。それに対しまして、最近においてまるまる国家公務員給与の上昇率をとるということによって、現在におきます国民生活変動に対処しようというふうにしたわけでございまして、どの程度が適当であるかということは、当時の経済情勢、また、当時の年金制度が置かれている状態等を勘案をしてきめられるべきものというふうに考えるわけです。確かに、インチキと言われましても、たとえば厚生年金、国民年金等におきましては、物価スライドということで、物価だけをスライドしている方式もあるわけでございますが、私どもはそうではなくて、国家公務員の賃金のベースアップ基準といたしまして改定をするという方式をとったということで御了承をいただきたいと思っております。
  87. 野坂浩賢

    ○野坂委員 国家公務員の賃金スライドですから、今後は賃上げでいくわけですよ。賃金の伸び率でやる。経済変動云々ということは法律にも書いてありますが、大体まあそれでいく。それでいくんなら、そのつどそのつどやらないで、ぴしゃっとこの辺でやったらどうですか。あなたもそう思っておられるようですが周囲がなかなか許さぬ。そういう方向のほうが、いままでの実績ですから、当然そうなると思っておるのですが、そうしなければならぬと思っておるのですが、どうでしょうね。
  88. 岡安誠

    岡安政府委員 年金額改定につきましては、御承知のとおり、長年の実績がございます。したがって、それらを考えあわせますれば、今後の行く末もおのずから判断がつくわけでございますけれども、では、形式的に賃金スライド制を端的にこの年金導入をしたらどうかということでございますれば、やはり問題は多少残っている。基準とすべきものを賃金とするか、物価とするか、また、他の共済制度について問題はないかとかいうような、なお検討を要する事項がございますので、私どもとしましては、至急この点は検討をさしていただきたいと思っております。
  89. 野坂浩賢

    ○野坂委員 至急ということばがありましたが、去年も一緒のことをやられたのです。しょっちゅう局長もかわられますからね。また、あなたも水産庁長官になっていくかもしらぬけれども、かわって、来れば、そのつどそのつど、検討します、至急に、どういうことを言われて、あれから一年ですよ。いつきめるのですか。至急というのはいつですか。
  90. 岡安誠

    岡安政府委員 このスライド制は非常に長い問題でございまして、おしかりがあるかもしれませんけれども相当期間にわたりまして関係各省庁間で検討してきた事項でございます。なお、詰め残した問題がございますので、社会保障制度審議会に中間報告をいたしましたところ、自動スライド制等の基本問題につきましては、いままでの検討の成果を踏まえまして、社会保障制度審議会で至急検討を行なうというような情勢になっておるということを申し上げたわけでございます。
  91. 野坂浩賢

    ○野坂委員 簡単にやりましょう。最低保障額の引き上げの問題だけちょっと触れておきますが、今度見ますと、九年未満とか、十九年から九年とか、いろいろありますね。農林年金には直接関係がないと私たちは思って、より混乱してくるような気がするのですよ、大体二十年以上ということで。なぜこういうものが入っておるのか、農林年金とどういう関係があるのか、これが一つ聞きたいし、それから、最低保障と言いましても、新法、旧法というのがありますね。農林年金の場合は、新法に切りかわっておりますのは三十九年十月からですか、たとえば、岡安という人と野坂という人が、三十五年にそれぞれ三十五歳になってから入ったとして、あなたは役場だった、私は農協だった、そうして二十年たって年金をもらった、相手は三十二万も最低もらえる、私はたった十一万円だ、こういう矛盾があります。われわれは十七年に入って三十八年ごろにやめたということになると、私のほうが頭がよかったのに、あなたのほうが頭が悪かったのに、役場に入ったために年金はずいぶん高かった、おれは少なかったというような人間的な矛盾がある。こういう矛盾についてはやはり直していかなければならぬと思うのですね。これはどうでしょうか。
  92. 岡安誠

    岡安政府委員 前段の御質問、最低保障額とおっしゃいましたけれども、これは絶対保障額のお話しだと思いますけれども、絶対保障額につきましては、これは恩給並びということで、私ども共済制度一般について対処をいたしておるわけでございます。したがって、私ども退職年金につきましては、年齢につきましての制限はしておりますけれども給付といいますか、在職期間によります制限は退職年金にはいたしておりません。在職期間によります制限は、障害年金遺族年金恩給制度と並びでもって改定をし、措置をいたしておるわけでございます。これはやはりいろいろいわくがございまして、共済制度の持っております他制度との並びという問題がありまして、現状ではいたし方がないというふうに思っております。  それから、もう一つ、新旧の扱いの相違、特に、農林年金と他の共済制度におきましては、新旧切りかえ時期が違っておりますので、先生指摘のような差も起きるかと思いますけれども、本来、共済制度は、先生十分御承知のとおり、相互扶助の組織でございます。これを画一的に処理するというためには、すべての共済制度をばらして、完全一本というような思想にもつながるわけでございまして、それがよろしいか、それとも農林年金厚生年金から別れまして、できるだけ独自の給付内容改善努力をするという方式もあるわけで、それがよろしいか、いろいろ一長一短があるのではなかろうかと思います。ただ、私どもは、全体としまして、底上げといいますか、低額の給付受給者につきまして改善をはかるという方向では一致いたしておりますので、低額者に対する給付内容改善という努力によりまして、先生の御指摘の点はなるべく改善をしてまいりたいと思っております。
  93. 野坂浩賢

    ○野坂委員 十一万円が二十四万円になった。それは前進だと思うのです。しかし、考えてみると、いまもらう人は、十一万円といえば非常にわずかなものですね。一体どの程度だ、月七千円や八千円だ、こういうようなことで最低保障だというふうなことは言えないと思いますね。大体、最低保障額というのは、生活保護家庭というものと比べてみると、六万円程度だけれども、これは二万円ですね、低額所得で。あの厚生年金関係で、千円かける二十年ということで二万円というかっこうになっておりますね。私は非常に矛盾を感ずるのです。それは、銀行の預金とか、あるいは子供に養ってもらうとか、あるいはその他医療の無料とか、そういうものを踏まえて二万円だというようなことですけれども年金の二万円というのをもらっておっても、年金受給者生活保護家庭にかからないというのが慣例ですね。これを受けたら子供がないような場合はとても生活はできない。これが組合員の声です。だから、最低はどういうものなのか、それは議論があります。そう私は思いますが、どうですかということが一つと、いまあなたと私を例に引き出して、非常に運が悪いということで済んでおりますが、入るときはそういうことは知っていない。だから、下のものを上に持ち上げてやって、そういうことの矛盾のないようにするということ、言うなれば旧法と新法というものの差をなくする。次官も、法律はむずかしいから、めんどうだからできるだけわかりやすくすると言うが、下のものを底上げする。この方式も底上げの方式ですが、そこまで同じような人間が同じ時期でということになれば、やはりきちんとすべきだ。もうそれはいいじゃないですか、このあたりまで来たのですからね。その方向で努力をするというのは経済局長岡安さんの当面の大きな課題だと思いますが、それに取り組んで善処をされたいと私は思いますが、どうでしょうか。
  94. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほどもお答えしたと思いますけれども、各共済組合制度間におきますアンバランスの是正につきましては、最低の年金受給者に対します改善措置を通じて行ないたいというのが私どもの考えでございまして、絶対保障額につきまして大幅な改善をいたしたのもその趣旨でございますし、この絶対保障額は、これも先生十分に御承知と思いますけれども、新法、旧法の差なく適用されるわけでございます。問題は、相当引き上げたと言いながら、絶対保障額の額について問題があるという御指摘でもございます。私ども、今般は大幅な引き上げで努力をしたつもりでございますが、しかし、今後の経済情勢その他を考えれば、今後ともこの額につきましての検討は続けてまいるというふうなつもりでございます。
  95. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がございませんから多くを申し上げませんが、最低の絶対額、保障額というものを上げるということではなしに、新法と年金の壁をとれと言っておるのです。たとえば国家公務員に準拠するというのであれば、少なくとも三十四年まで引き上げなさい、そうすればそういうことの矛盾は解消するんではないかと言っておるわけです。そのことのほうが人間に変な感情を残さないし、一応そこまで引き上げるということになれば大体理解ができるじゃなかろうか、こういうふうに思いますので、十分検討していただきたいと私は思います。  たいへん時間をとりましたが、先ほども一番初めに申し上げましたように、健全財政のたてまえから、現在できるだけの出すものは出されておる、もう出すところは国しかあるまいという、こういう関係です。この関係と、もう一点は、組合員掛け金というものはできるだけ少なくしたい、これはできるだけ上げたくないとおっしゃっておりますから、当面できないとすれば、組合員事業主との負担割合の五対五というものを変えていく。提案をするならば、七対三とする。また、国が百分の五十して、組合員のほうは二十だ、三十だというようなかっこうをやはりとっていく。うちのほうから修正案が出されておりますが、そういう方向が今日の現況からして正しいではなかろうか、やむを得ないのではないか、そうせざるを得まい、こういうふうに私は思います。  もう一点は、厚生省はいろいろと問題もあるやに承っておりますが、農林漁業団体職員ということになれば、先ほど五十年までやった農林中金の職員、あるいは農業信用保険協会の加入の問題等が提起をされ、議論されておりますが、これらについても、当然、そのワクを離れて、この中のほうに入ったほうがよかろう。しかし、その他たくさん関連団体もある、いわゆる資金の問題もある、こういうこともございましょうが、当面これらの二つの問題についてはわれわれは明らかにしておるわけですが、それらの措置はやむを得まい、遡及をして保険料のほうはこっちへ継続をするわけですから、そういう措置のほうがよかろう、こういうふうに考えておりますが、どのようにお考えなのかということを最後に聞いておきたいと思います。
  96. 岡安誠

    岡安政府委員 最初に、掛け金の、国、事業主、組合員負担割合の変更のお話しでございますが、確かに、国の負担といいますか国の分担部分を上げれば、反射的に事業主なり組合員負担部分が減ることは事実でございますが、どのくらい国が持てばどうなるかという問題は、正確な財源率計算というものを基礎にしなければ議論ができかねるわけでございますので、先ほど申し上げましたとおり、四十九年度末を基礎としまして再計算をいたしまして、その上で私ども検討したいと思います。  ただ、国の負担部分以外の部分につきましては事業主と組合員が持っておりますが、これの負担割合を五十、五十でなくて、別の負担割合ではどうかという御指摘でございますが、これはすべての共済組合制度並びに健康保険等の制度から見ましても異例な措置でございますので、それが適当であるかどうかは非常に困難な問題でございますので、十分検討しなければなかなか御意見を申し上げられない段階でございます。  それから、農林年金に新しく農林中金または農業信用保険協会を加入させてはどうかというお話しでございますが、私どもそういう考え方もありまして、厚生省その他と折衝いたしてみたわけでございますが、やはり、先生指摘のとおり、農林年金の対象団体をどうすべきであるかということにつきましてはいろいろ意見もございまして、本法案を御提出する段階までは関係省庁との間で結論を得なかったわけでございまして、これは引き続き検討させていただきたいというふうに考えております。
  97. 野坂浩賢

    ○野坂委員 たいへん時間が経過をして申しわけないと思っておりますが、いまの発言の中で私は国が百分の五十と言いましたが、これは百分の三十で、事業負担が百分の五十、こういうふうに改めておきますが、言うなれば、資源率の問題からからんでみても、不足財源が出てくるのは当然だと思います。したがって、国の補助率の百分の十八というものは相当大幅に引き上げてもらわなければ、将来の運営に非常に支障もあるではなかろうか。そのためには国家公務員のように、あるいは地方公務員のように、完全積み立て方式というものを考え直していかなければならぬ。さらに、一元化の問題についても、あなた自身からお話しがありましたように、これらについても考えてみなければならぬかもしれぬ段階だと思いますが、そういう点について、さらに積み立て方式から賦課方式へという点もありますが、当面、そういう財源のために国の補助率あるいは資源率というものの補完をして、この農林年金というものを他の共済、公的年金よりも下回ることのないように——しかも、組合員掛け金率というものは最高率に達しておるというのが実態でありますから、この軽減のために努力してもらって、そして、給付金額というものをもっと引き上げていく、最低額というものを引き上げていく、こういう方向で努力をいただきますように要望して、私の質問を終わります。
  98. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 竹内猛者。
  99. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 昨年の七月の十二日だと思いましたが、この委員会で、私は、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案審議に際して、幾つかの注文を農林省並びに各関係者に出しておきました。  それは、一つは、どんなにりっぱな制度をつくっても、その中身、要するに、その団体に働いている職員給与が低ければ実際の効をなさないということで、何とかして給与を引き上げるように努力をしてほしいという要求をしましたが、それについては今日どういうような努力をされて、どういう状態になっておるのか、このことをまず先にお伺いします。
  100. 岡安誠

    岡安政府委員 農林漁業団体職員給与改善につきましては、政府としまして、まず、組合員の自主的努力にまちまして、それを助成をするという方向でいろいろ努力をいたしているわけでございます。まず、経営基盤を確立するという見地から、零細規模の組合の合併を推進いたしまして、その経営基盤の確立をはかること、それから、経営内容改善をはかるためにも役職員の研修を行なうこと、そして、それに対する助成もいたしておりますし、また、運営の改善のためには、監査等を通じまして、それぞれの問題点の指摘を行なうというようなことを中心にいたしまして努力をいたしております。  いわば間接的な努力であり、間接的な指導でありますけれども中心はやはり団体の御努力によりまして、年々職員のベースは改善がなされております。現に、ここ数年間のベースの伸び率を見ましても、国家公務員地方公務員私学、それから厚生年金組合員等の給与の伸び率に比べまして、少なくとも伸び率におきましては上回るような現状に来ております。ただ、やはり、絶対的なベースが低いものですので、現状におきます賃金のベースは、他の共済組合の組合員と比べますと、まだ低い現状にあることはいなめないわけでございます。  そこで、私どもは、職員給与改善につきましては、国としてできることは今後ともできるだけ力をいたすということをお約束いたしたいと思っております。
  101. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまお話しがあったわけですが、先ほど野坂委員からも、国家公務員なり、地方公務員なり、あるいはそれと関連する団体との関係で、かなりこまかい給与の問題が出ております。現状農林漁業団体に従事をしている職員給与状態が多少上がったとはいえ、これでいい、こういうようなことでよろしいんだという判断なのか、それとも、いま言うような形をやってきたけれども、まだまだ足りない、どうしたらさらにこれが前進をするのかという点について——しかも、農林省としては、去年、農業協同組合研究をするために、内部だと思うのですけれども、研究会を持たれているはずですが、そういう中でもう少し綿密な中身の報告はできないか。この辺はどうですか。
  102. 岡安誠

    岡安政府委員 私どもは、先ほどもお答えしたと思いますけれども現状に満足はしておりません。なお、これは、他の団体職員と肩を並べられる程度には給与水準改善が行なわれなければならないというように考えております。ただ、なかなか一挙にはいかないといううらみがございますので、団体自身の努力につきまして、私どもはできるだけバックアップをしたいというふうに考えているわけでございます。  その問題と農協制度問題研究会との関係について御質問があったわけでございますが、この農協制度問題研究会は、現状におきまして、農協自体の体質等がいろいろ変化を来たしておりますので、農協の持っております基本的な問題につきまして、ひとつ時間をかけてじっくり検討をするという趣旨で発足をいたしているわけでございます。もちろん、その研究の過程におきましては、御指摘のとおり、職員問題等も対象になり得るかと思いますけれども、私どもは、むしろ、農協の成立基盤が変化しておるので、それに対応する農協組織はどうあるべきかというような基本問題を中心にいたしまして、順次問題点を詰めるというつもりで現在運営をいたしておるような次第でございます。
  103. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まず、お話しが抽象的ですね。それは大体いつころまでにその問題の結論を出そうとされるのか。先ほど野坂委員の質問の中でずっと聞いていても思ったのですが、日本の農業政策全体と農協のあり方というものは不可分の関係にあると思うのです。農林漁業団体のあり方というものは不可分の関係にある。日本の農業が大いに魅力のあるものでなければならないし、また、現在、食料の自給体制を確立して、農業を大事にしていこうという風潮がやや出てきてはおりますけれども、実際農村に行ってみて、農協の中の賃金あるいは労働力構成というものを見てみると、その周辺の、民間企業は別にしても、役場とか小中学校であるとか、そういうものと比べてみてもまだ低いということが目につく。だから、たとえば地域におけるところの教育、経済、行政という三位一体の中でこれが同じような方向で行けるようにするためには、農林省としても、あるいは関係者、たとえば自治省というところにおいてもやはり協力していかなければならない。仕事だけは農業団体にやらせて、金のほうについての援助はしないということでは、自治省は実際虫がよ過ぎると思うのです。  そこで、今度は自治省のほうに聞きますけれども自治省、地方の県庁がやるべき仕事を農林漁業団体がどの程度受け持っているのか。これは農林省のほうからも、両方から答弁をもらいたいと思うのですが、私学にはいろいろな事情で一定の補助を出している。ところが、農林漁業団体には、仕事は頼むけれども補助はしない。そんな虫のいい話はないと思う。聞くところによると、知事会議ではそれを拒否したという。そうしたら、農林漁業団体も県庁の仕事は拒否したらいい。そういうことになると思うのです。仕事はやらせる、金は出さない、そんなばかな話はない。その辺のかかわり合いについて両方から答弁してください。
  104. 岡安誠

    岡安政府委員 農林省としましては、農林漁業団体が日本の農林漁業発展のためにどれだけの力をいたしているかということにつきましては十分評価をし、私どもの行政の運営にあたりましても配慮いたしているつもりでございます。今後農政を強力に推進するためには、農林漁業団体の援助、御協力がなければなかなかその目的が達成できないということは肝に銘じております。  ただ、いませっかくお話しがございましたので、非常に具体的なこまかい点でお答えをいたしますと、国または都道府県が本来やるべき仕事を金なしで農林漁業団体にまかせているというような事態は、少なくともそれはないというふうに思っております。もし、国なり都道府県が本来やるべきことを農林漁業団体に、これをしてくれというふうに頼んだ場合には、当然、それを実行するに必要な対価は払わなければならないし、払ってきたつもりでございます。したがって、私ども農林漁業団体を農政推進のためにたよりにしているということと、それから、金なしで仕事をまかせっきりにしているということとはおのずから違うということだけは申し上げておきたいと思っております。  しかしながら、私どもとしましては、農林漁業団体が健全に発展をするためには優秀な人材をそろえなければならず、そのためには、この農林年金制度の果たす役割りも非常に大きいというふうには考えておりますので、私どもは、そういう方向で、この制度充実には一そうの国としての努力はしたいというふうに思っておるわけでございます。
  105. 石原信雄

    ○石原説明員 私学が、地方公共団体との関連において、教育活動というもので一種の代行的な役割りを果たしているという実態にあるわけでございますが、農林漁業団体につきましても、もちろんその地域社会において経済活動を分担するという関係にあると思います。ただ、私学の場合には、私学がもし教育をやらない場合には、公共団体が全面的にこれを行なわなければならないという一種の代替関係にあると思います。  それから、農林漁業団体の場合には、行政面と経済活動面のそれぞれについて、一種の機能分担の関係に立っているのではないかと思います。先ほど農林省の局長さんから御答弁がありましたように、個々具体の事務、事業につきまして、本来公共団体の責めに帰すべきものを農林漁業団体にお願いする場合には、それぞれ財源措置は講じられているものと承知いたしております。
  106. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それは全然金なしでやらせているとは私は思わない。それは思わないけれども、少なくとも、この農林漁業というものがたいへん大事な産業であり、それを高めていくという上において、相互関係というものは非常に緊密でなければならない。そういうときに、そこのところに働いている職員の皆さんの給与が、同じ地域に働いている者から見て著しく低い、劣悪であるということはだれだって承知をしているわけだ。それを引き上げるということについては、農業団体のリーダーがかなり努力していることは知っていても、なお足りないというときには、何がしかの公共的なものの助成なり援助があっていいと私は思う。だから、そういう意味において、これはどうしても確立をしてもらいたい。こういうことを私は要望したいと思うのです。  そこで、経済局長に伺いますけれども、問題は、最近の農協に働いている——この年金中心団体はやはり農業協同組合で、三十三万八千百六十八名対象になっていることですけれども、その中の労働者の職員構成ですね。男女別構成というものは大体どの程度になっているのか、平均年齢はどれくらいのものか、それはわかるでしょう。
  107. 岡安誠

    岡安政府委員 はなはだ申しわけありませんけれども、男女別構成につきましては後ほどお答えさせていただきますが、年齢について申し上げますと、現在、男女平均の年齢は、四十七年で三十四・〇三歳というふうになっておりまして、そのうち、男子の平均年齢は三十七・〇四、女子の平均年齢は二十九・〇一ということになっております。
  108. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 実は、年齢と同時に男女の比率をぜひ知りたいし、それの平均賃金が何ぼになっているかということもぜひ知らなくちゃならない。わかりますか。わからなければ、それは調べてください。
  109. 岡安誠

    岡安政府委員 失礼いたしました。男女別の構成を申し上げますと、農協職員が約三十五万人、その中で男子職員が二十一万人、それから女子が十四万人という構成になっております。それから、賃金の平均でございますが、単協におきまして、四十七年度末でございますが、男子の平均賃金六万四千六百六十九円、それから女子の平均は四万六百五十四円ということになっております。
  110. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は茨城県ですけれども、ある農協へ行きましたら、ここの初任給は五万二千百円です。この連合会は五万九千円です。また、その地域によってこの額は違っておりますけれども、そこの組合の職員の数は五十三人、男が二十四名、女が二十九名、そして、そこでは、平均賃金が三十二歳で七万九千円ということになっておりますが、問題は、この賃金も低いけれども、一番の問題は、労働力構成が女のほうが男より数がふえているということなんです。これは何を物語るかというと、女子の労働力がふえたということは、要するに、生産指導なり技術指導なりということがやりにくい状態にある。電話の交換であるとか事務の仕事はやるけれども、ほんとうに農民と一緒になって生産努力ができない状態にある。まあ、女だからできないということは言えませんけれども、実際にやっているところを見ているとそういうことです。しかも、昨年私ども農協法の一部改正のときにいろいろ心配をしましたが、その農協の中には農協商事という商事会社ができている。こういうぐあいに生産のほうから販売あるいは金融という方向に移っていって、町のほうでは、農協というのは一体これは商店の代替かというぐらいに批判をされている向きがある。これではほんとうの農業協同組合の使命に反すると思う。だから、いまの男女の問題にしても、二十一万対十四万を地域別に見るとはなはだ問題のところが出てくるだろうと思うのですが、これはきょうここで議論する時間はありませんけれども、この点について憂慮すべきだということについては、局長、どうですか。こういうふうな傾向について、いま私が一つの例をあげた単協の状況、あるいはその賃金の状況というものについてどうお考えになるか、まず、それを聞きたい。
  111. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、男女の構成の話から申し上げますけれども、事務を主体とする企業等におきましては、最近は女子の就業者がふえているというのが一般的な傾向であろうというふうに考えております。ただ、御指摘のとおり、農協には、単なる事務処理ばかりではございませんで、指導事業中心といたしまして戸外で働くような職員を必要とする点もたくさんあるわけでございますので、おのずから男子職員の一定数は確保されなければならないというふうに考えております。ただ、それが、もし賃金の問題等の影響を受けまして構成が変わっているとするならば、これはやはり問題でございます。しかし、一般的には、農協職員の賃金というものは低位にあることはいなめませんけれども人材確保するという観点からか、初任給につきましては、最近においては相当高位の水準を保っている農協がふえております。現に、今回の春闘等によりまして、組合と初任給の水準等について話し合いをした農協等の数字を見ますと、高卒、大学卒その他に分かれますけれども、初任給に関する限り、他企業にそう劣らないような水準を保っている農協もございます。もちろん、これは一般ではございません。やはり、将来の人材確保観点からも、初任給のみならず、賃金一般につきまして、もっと高位を保てるように、私どもとしましてはできるだけの協力はしてまいりたいと考えております。
  112. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 くどいようだけれども農協の研究会にしましても、いつまでも慎重に調査をするということではなくて、ときどき公表をして、そうしてやはり議論をして、早くこの問題を出さなければいまの要請に沿い得ない状態になるので、いつごろまでに一定の結論を出すつもりか、その辺をお伺いしたい。
  113. 岡安誠

    岡安政府委員 これは農協制度問題研究会でございますので、農協現状のような経済情勢の中でどうあるべきかという基本的な制度中心としての研究を行なっておるわけでございまして、なかなかむずかしい問題でございますけれども、一応の結論は五十年の三月末ぐらいには得たいということでお願いをいたしておるわけでございます。
  114. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この農協のあり方と日本の農政という問題については、別な機会に具体的な例によって進めたいと思いますので、次に進みます。  そこで、最近の農林金融をめぐる諸問題を中心にして、いろいろな問題が出ておりますが、今度の年金の問題とかかわり合いがあることとして、昨年、私どもは、農林中央金庫法を改正いたしました。そして、いままでの時限立法を恒久立法に変えました。そして、文字どおり農林金融を取り扱っているわけでありますから、この年金の対象にしても差しつかえないものだと私どもは思っております。これに関連して信用保証協会も加入をしたいというような要望を出しておるわけでありますけれども、この二つの問題の取り扱いについてはどのようにお考えになっておられるのか、この点を伺いたい。
  115. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金の対象団体として、農林中金及び農業信用保険協会の加入する問題につきましては、いろいろ従来の経緯もございますが、私どもは、そういう方向で処理したらどうかということで、厚生省ともいろいろ相談をいたしたわけでございます。ただ、政府原案としましてそういう改正を御提案できなかったのは、やはり、農林中金並びに農業信用保険協会の職員とも厚生年金に現在入っておりまして、もしこちらの対象団体にいたしますと、厚生年金を離れてこちらの年金のもとに入るということになるわけでございます。従来もそういうことがございましたけれども、問題は、農林年金の対象団体というものはどういう範囲に限定をすべきであるかというような基本的な問題等もございまして、時間の関係もこれあり、政府原案といたしましては、一致した形でもって御提案ができなかったわけでございます。私どもとしましては、そうしたらどうかという考えは持っておりますが、なるべく早い機会に結論は得たいというふうに考えておる次第でございます。
  116. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いままでは時限立法であって、場合によればつぶれてしまうかもわからないということもあったわけでありますけれども、この改正をして恒久立法になり、そして、同じ建物に住んでおり、生活をしており、大体一緒にやっていますね。そういう形でありますから、これは当然この年金の対象にすべきものだとわれわれは判断をするし、ぜひこれは早急にそうすべきだということを重ねて要望をすると同時に、この委員会においても、しかるべき取り扱いを、これは委員長のほうでも取り扱っていただきたいということをお願いします。  そこで、最近の農林金融について、必ずしも芳しくない傾向があらわれております。昨年私たちは農林中金法の改正あるいは農業協同組合法を改正するときに、一るの心配をしながらも、あってはならないということを胸に置きながら、この改正をするときにいろいろな形で注意をしながらこれに同意をしてきました。しかし、それから一年たった今日において、やはりわれわれが心配したような傾向が各地に起こっておるということははなはだ遺憾であります。  まず、ことしの三月二十九日の衆議院の予算委員会において、福田大蔵大臣でさえも、最近の農林金融の、特に末端のあり方がよろしくないということを答弁をされております。そういうときに、たとえば群馬県の邑楽郡の農協の専務が土地に手を出して、去年の七月から九月にかけて十三回金を出して、六億二千二百三十四万四千五百円という不正融資をしておる。それは群馬県だけじゃない。この前には和歌山にもあったし、まだいろいろなところにある。これは一つの例です。こういうような状態があって、しかも、農民が必要な金を借りようとすると、いろいろな制限でこれはむずかしい。ところが、そっちのほうの土地やいろいろな建設業のためにはこれがいろいろな形で貸される。埼玉県にもいま現在問題になっているものもありますが、私は知っておるけれども、これはきょうここでは言わない。この問題はこの問題として別にやります。市長が農協の組合長でたいへんな問題を起こしております。これはあとでやりますけれども、こういうような傾向に対して、すでに大蔵大臣のほうからもこれに対して定の指導方針が出ておりますが、農林省としては、このような問題をどう把握をされ、そうしてどのような指導をされてきたのか、また、これからされようとしているのか、この点はどうでしょうか。
  117. 岡安誠

    岡安政府委員 農協の金融の問題として大別しますと、いわゆる不正事件というものと、それから、もう一つは、最近におきます金融引き締めに反しまして多少ルーズに融資しているという問題、この二つに分かれると思っております。  不正事件につきましては、四十八年度で、件数で二十六件、被害金額で三十三億円ということで、件数では前年に比べ大幅に減っておりますけれども、被害金額ではふえるという、はなはだ残念な結果を見ております。私どもとしましては、こういう事故がないようにかねてから指導はいたしておりますけれども、この際、さらに不正事件の根絶を期しまして、問題は未然防止でございますので、あらかじめの検査、あらかじめの指導等の徹底を期してまいりたいというふうに思い、農政局を通じ、そのように県にも依頼をしているところでございます。  もう一つは、やはり貸し出しの適正化の問題でございまして、御指摘のとおり、大蔵大臣からも、組合系統金融については多少ルーズなところがあるのではあるまいかというような感想が述べられました。私どももはなはだ残念ではございますけれども、そういうことは絶対ございませんと言い切れないようなケースが確かにございます。そこで、昨年以来数次にわたりまして、金融引き締めのもとにおきまして、組合系統金融の融資のあり方というものについて通達を出し、指導もいたしております。その結果、私どもといたしましては、従来から指摘をいたしました迂回融資、また、不急不要の事業に対する融資等は押えられてきておるというふうに思っておりますけれども、その実態をさらに調査し、指導するために、現在特別調査というものを実施いたしておりまして、単協のみならず、県連につきましても、問題がありそうな農協につきましては特別に調査をいたしまして、その結果を現状把握すると同時に、適切な指導をするというような手を打っている次第でございます。
  118. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 指導をしているようであるけれども、これは自治省にも関係をするわけですから、自治省のほうでも注意をしてもらいたいと思うのです。  そこで、農林省のほうに対してさらに申し上げますと、昨年末の農協の貸し出し残高は五兆四千億円で、一年前の四・七倍に達している。この間の都市銀行の貸し出し残高は二〇%減少しており、農協資金が完全な金融引き締めのしり穴をぬぐって、それがいろいろな役割りを果たした。しかも、昨年貸し出しの追加額というものは、一兆六千八百億円のうち一兆円というものが准組合員という形で大企業の投機資金に回っているものがあると、こういうぐあいに指摘をされている。これはまさにわれわれが去年の農協改正のときに一番心配をしたことなんです。こういうような点については、われわれがここで農林中央金庫の職員の皆さんがこの年金に加入することを促進をするということと、それから、農林省がこういうようなことのないように——これは中金だけじゃありません。要するに金融を取り扱っているものの責任でありますけれども、それを早急に調査をして、そして、これに対する世間の疑惑を解き、農民の信頼を得るようにしなければ、農協というものはますます信頼がなくなってしまうし、たいへんなことになるであろうと思うのですが、この点についてもう一度局長の答弁を求めます。
  119. 岡安誠

    岡安政府委員 確かに、農協につきましては、まず単協でございますけれども、単協につきましては、最近非常に貸し出しがふえまして、その中で、准組合員に対する融資という形をとりまして、本来の准組合員事業に必要な資金の量をこえて、いわゆる迂回融資という形の融資があることは否定できません。私どもは、そういうようなやり方は、農協の金融の制度の面から見ても適当ではないし、また、金融引き締めの現在の方針からも適当ではないので、通達をいたしたところでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、さらに今年の四月中を目途に特別調査というものを行なうことといたしまして、その内容は、大口の貸し出し先及びその資金使途というものを中心に調べて、法律の違反はもとより、数次にわたります通達等に違反する事項があれば、直ちにこの是正をはかるということをいたしております。間もなく結果がわかることと思いますが、その結果いかんによりましてはさらに指導の強化をはかるというつもりでございます。
  120. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次いで、また農協の問題に関連をしますが、去年もこの委員会で問題になりましたけれども農協の黒字の部門というのは、そういう金融部面と販売ないし流通部面であると言われております。生産の指導であるとかその他の部面は、ほとんど赤字かとんとんだという形になっており、どうしても金融とか購販というようなところに重点が行く。そのために、先ほど言った労働力の問題とこれは関係をしますけれども、安い女の労働力を使って、技術者だとか専門家などを、拒否はしないだろうけれども、なるべく入りにくい状態にしている。ここに問題があると私は思う。だから、農協の中で、確かに、都市近郊のように信用事業だけをやっているところがありますし、あるいはまた、都市と農村とが混合しているところでは両方をやっているところがある。農民が本来の農業で生きようという、その地域においては、実際農協というのはたいへんな骨を折っておるところがありますけれども、こういうように大きく言えば三つに分かれると思いますが、この三つの農協の性格といいますか、形態といいますか、類型というか、そういう中において、どのような指導をしようとされるのか。こういうことについてはこまかい調査というものがあって、そして、日本の農政の問題と結びついていかなければいけない。そのためには、先ほども話があったように、農協に人間を求めなければならない。これは役員に求めよというのじゃない。農協職員の中に、将来の日本の農業を背負っていくようなりっぱな人間がたくさん入っていくようなことでなければいけないと思う。  新しい、そういうりっぱな人を得るためにどのような努力をされようとしているのかという点について、ここでもう一度局長の答えをいただきたい。
  121. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、総合農協につきまして、部門別の損益を見ましても、利益があがっておりますのは信用部門であり、共済部門であります。はなはだ残念なことではございますが、購買部門、それから販売部門におきましても、平均的には赤字でございますし、御指摘の指導事業等につきましては、これは収支の上からは赤になるのがあたりまえということでございます。そういう収支だけを見まして指導部門を縮小するとか、そういうことがあってはならないわけでございまして、私どもは、そういうことをしないためにこそ、総合農協におきましては、信用事業部門とその他の部門との兼営といいますか、併営を認めているわけでございます。もしそういうことがおかしいというならば、信用部門その他は独立をする、ほかの部門は付加金その他でもってまかなうというようなことになるわけで、それは適当ではない、それこそは総合農協理事者がいろいろ考えまして、それぞれの部門をチェックして、あるべき姿に持っていくということでなければならないというふうに私どもは考えているわけでございます。指導部門に携わっている職員が利益をあげないからといって、肩身の狭い思いをする必要はごうもないわけで、それは、総合農協としての役割りの一環として職責を全うしていただければいいものというふうに、実は、私どもは考えております。  私も、実は、末端の農協と多少接触をした機会がございますが、末端農協の若い指導員等につきましては、自分の部門でもうけがないからといって、必ずしも肩身の狭い思いをしているとは考えておりません。要は、農協というものが地域の要望にこたえ、また、組合員である農家の要望にこたえる形ですべての事業が運用されていれば、それなりに働きがいがあるわけでございますし、優秀な人材も集まるというふうに考えております。もちろん、それだけでは優秀な人材が集まるものではございませんので、裏づけとなる給与改善も必要ではございますが、要は、働きがいのある農協に持っていくことが、職員も含めて役職員同の心がまえでなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  122. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間でありますから、私は農林省自治省に要望をして終わりますが、先ほどからもいろいろと質問の中で明らかにしてきたように、日本の農政というものに発展性と魅力と希望が与えられなければならないということが第一の問題であり、この場所で、農林大臣がいれば、当然これを明らかにしなければならない。最近の新聞などを見ると、選挙の前だからああいうふうに言っているのかもわからないけれども、われわれが主張しているようなこととだいぶ近いことを言い出してきた。これは予算などを見なければはっきりしませんけれども、そういうことを言って、また目先だけをごまかそうとしている。これははなはだけしからぬ話であって、予算がそれに伴えば、われわれはそれに対して承知をするけれども、そういう点において、これはなお次の課題になりますけれども、まず、食料の自給体制のためにちゃんとした計画を立てて、年次的な努力の目標を明らかにしていくということがどうしても必要だと思う。  それと同時に、先ほどから言っているように、農村に優秀な人材確保するということが何よりも大事です。そのためには、いまも指摘をしたように、若いはつらつとした青年が、技術者が、農協にあるいは農業団体に働く価値観を持つということでなければいけない。そういうことをするためには、自治省のほうでも、先ほどから言っているように、私学にはこれに対する一定の援助、助成をしているわけですから——この農林漁業団体との関係は、これは当然不可分の関係にある。そういう関係にあるものに対して何らかの努力をする必要がどうしてもあると思う。われわれはこれをどうしても要望せざるを得ない。  農林省も、自治省とよく話をして、日本の農業発展のためにも、また、農村に有為な人材確保するためにも、一定の生活水準、賃金水準というものを高めていって、学校の先生と市町村の役場の職員農協職員というものは少なくとも同じレベルの生活保障されていくのだという方向にぜひとも持っていってもらいたいということを要望して、私は質問を終わります。
  123. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 この際、午後三時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十一分休憩      ————◇—————    午後三時二十五分開議
  124. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。諫山博君。
  125. 諫山博

    ○諫山委員 農林年金内容が劣悪だということは、当委員会でいろいろな角度から論議をされました。社会保障制度審議会の昨年の答申、あるいはことしの答申でも、この点はきびしく指摘されています。特に、昨年の答申は、厚生年金が今回改正されたので、農林年金受給者が著しく不利になるおそれがある、皆年金下における公平の原則をそこなうので、財政基盤の強化その他、抜本的な検討が必要である、と、こういう指摘までされています。しかし、これが改善されたかというと、残念ながら、そうなっていません。ことしの法律改正案でも、抜本的な検討とはほど遠いと言わざるを得ないと思います。  一般に、労働者の年金がいかにあるべきか、農林年金をどう改善しなければならないかという点については、すでにわが党の政策を早くから公表しています。農林省でもこの点御検討いただいていると思います。また、四野党の共同改正案もきょう提起されました。したがって、私は、きょうはこの問題にあまり深入りをいたしません。ただ、昨年の質問との関係で、農林省に一つだけ質問します。  昨年、私は、社労委との連合審査の中で、農林年金が劣悪ではないか、この点について、農林省はもっと大蔵省にき然とした態度で改正を要求すべきではないかと質問いたしました。それに対して、予算要求の段階で年金への国庫補助厚生年金と同じように二〇%に引き上げてもらうように要求したが、しかしそれは実現しなかったという答弁がありましたが、ことしも同様の要求をされたのかどうか、お聞きをします。
  126. 岡安誠

    岡安政府委員 今回におきましても、国庫補助につきましては、現在一八%のところ、これを二〇%に引き上げたいということと、財源調整費につきましても増額をしてもらいたいという要求をいたしました。
  127. 諫山博

    ○諫山委員 その要求というのは、農林年金が他の年金に比べて内容が悪いということを認識した上で大蔵省に要求しているのでしょうか。
  128. 岡安誠

    岡安政府委員 比較の問題もさることながら、私どもが考えておりますのは、最近におきます数次の制度改正によりまして、農林年金財源率が非常に悪化するといいますか、掛け金率負担が増高する方向になっておりますので、そういう傾向を踏まえまして国庫補助金の増額要求をいたした次第でございます。
  129. 諫山博

    ○諫山委員 予算要求で農林省が大蔵省に改善を要求したのに対して、それがなぜ実現しなかったのか、御説明ください。
  130. 岡安誠

    岡安政府委員 結局は、先ほど申し上げますとおり、財源率の問題でございます。いろいろ折衝いたしたわけでございますが、結論といたしましては、四十九年度におきましては、農林年金財源計算は行なわないということに意見が一致いたしました。そこで、今回は、少なくとも掛け金率改定その他は行なわないということにいたしましたので、要求といたしましては前年どおりということになったわけでございます。
  131. 諫山博

    ○諫山委員 農林省としては、大蔵省といろいろ折衝されたと思いますが、近い将来にこの問題は改善される見通しはありましょうか。
  132. 岡安誠

    岡安政府委員 私どもといたしましては、農林年金につきましては、四十九年度末現在をもちまして財源の再計算をいたしたいというふうに考えております。その時点におきまして農林年金財政状況はどうであるか、それから、掛け金率等へのはね返りはどうであるかというようなことが明らかになりました際に、あらためて、国庫助成充実をも含めた検討をいたしたいというふうに考えております。
  133. 諫山博

    ○諫山委員 私は、きょうはこの問題には深入りいたしません。ただ、農林年金内容が悪い、さらに、農林年金を適用される労働者の賃金が非常に低い、何とかしなければならないというのは、もう長い間議論されてきた問題だし、おそらく、農林省としても同じ立場ではないかと思います。ですから、きょうは農林大臣もおられないのですが、一番早い時期にこの問題はぜひ抜本的に改善していただくということを要望して、次の問題に移ります。  午前中の質疑でも出てきたわけですが、農林年金を適用される労働者の賃金が安い、しかも、けたはずれな低賃金だという点が問題になりましだ。農林省は逐次格差は是正されつつあるように言っておりますが、しかし、ことしの春闘の回答状況を見てみますと、たとえば三万円の賃上げというのがよそでは相場になっているのに、農林年金適用労働者の場合にはそういうものがきわめてわずかだということを私は現に見ています。ですから、この点もだんだん格差がなくされつつあるというような安易な問題ではないということを農林省に認識していただきたいわけです。  ただ、なぜ労働者の賃金がこんなに低いのかという点で私たちが無視することができないのは、いま農林年金適用労働者の置かれている無権利状態です。この点について、私は昨年も当委員会でいろいろ質問したし、さらにその後一年間たちましたから、これが改善されつつあるのかどうかということをいろいろ点検いたしました。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕  ところが、残念ながら、労働者としての権利がまだ侵害されっぱなしであるという事実を私は認めざるを得ませんでした。そこで、農林年金適用労働者のいわば一番多くの数を占めている農協で働いている労働者に対してどのくらい労働基準法違反が行なわれているかという問題を提起したいと思います。  私は、この質問をするにあたりまして、福岡県労働基準局に依頼いたしまして、福岡県下の五つの農協で、労働基準法が正しく守られているか守られていないかということを調査してもらいました。その結果は、五つの農協とも労働基準法違反があったということで、是正を勧告するという措置がとられています。  こういう措置がとられていることを農林省は御存じでしょうか。
  134. 岡安誠

    岡安政府委員 承知いたしております。
  135. 諫山博

    ○諫山委員 労働基準法違反の中で一番多かったのは、労働基準法第三十六条に基づく協定がないのに、時間外労働、休日労働をやらされていたということです。次いで、協定はあったけれども法律どおり割り増し賃金が払われていなかったという点です。これは、私が調査を依頼した五つの農協だけではなくて、全国的に同じような状態があらわれているということが農林省の統計でも明らかになっているはずですが、その点は、農林省は認識しておられますか。
  136. 岡安誠

    岡安政府委員 農協の労働基準法の順守状況でございますが、最近の状況を現在調査中でございまして、多少古い資料ではございますが、やはり、先生のおっしゃるとおり、私どもの資料の、四十二年から四十四年までの状況を見ましても、労働基準法違反の指摘の件数は累年ふえております。その内容も、福岡の農協について、御指摘がございましたとおり、労働時間の問題休日労働の問題、割り増し賃金の問題等が主として数えられているというふうに承知をいたしております。
  137. 諫山博

    ○諫山委員 労働省に質問します。  いまの点は、福岡労働基準局に調査を依頼して、その結果を労働省に報告するように要請していましたが、労働省としては把握しておられますか。
  138. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま御指摘になりました点は、福岡の基準局から報告を受けております。
  139. 諫山博

    ○諫山委員 私は、福岡労働基準局の調査に基づいて、二、三、基礎的な問題を労働省に質問します。  久留米市の農協の調査結果でありますが、時間外の協定がないのに時間外労働をさせられている。そして、それに対しては、当然法律に基づく割り増し賃金を支払う義務が出てくるわけですが、実際は、男子の場合には十五時間残業したものとして取り扱い、女子の場合には十三時間残業したものとして取り扱い、これに基づいて時間外の割り増し賃金が計算されている。ところが、労働基準監督署の調査によると、特に労働者に聞いてみると、一人平均三十三時間ぐらいは残業しているはずだ。農協が残業したことにしている十五時間とか十三時間というのは、実際の残業時間に見合わないということが調査結果として出ていますが、労働省、御承知ですか。
  140. 岸良明

    ○岸説明員 いま御指摘になりました久留米の問題については、必ずしも私は正確には存じておりませんけれども、今回調査をいたしました福岡の五農協状態については、全般的に承知をいたしております。  いま御指摘になりましたように、ただ、その超過労働をやる場合に、原則として、これはもう御承知のとおり、その実績に従って、所定労働時間を越えたものについては、これは割り増し賃金を支払うというのがたてまえでございます。ただ、現実にその農協の場合を見ますと、少なくとも五農協について調べた結果を見ますと、いわゆる超過労働時間の記録というものが必ずしも正確に把握をされておらないわけでございまして、その点に確かに問題があろうと思います。
  141. 諫山博

    ○諫山委員 私は、久留米市農協だけを例にとりましたが、いま答弁にありましたように、共通してあらわれているのは、相当長時間の時間外労働がされているけれども、その実態が把握できない。なぜ把握できないかというと、どれだけ残業したかということが賃金台帳に書かれていないからだということが説明されています。どれだけ残業したかということを賃金台帳に記載するというのは法律できまっていることです。そして、記載しない者に対しては刑事罰の処罰があるということになっているのに、調査したすべての農協でこの点は記載されていなかったはずですが、労働省は御承知ですか。
  142. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま御指摘の点については、私ども承知をいたしております。
  143. 諫山博

    ○諫山委員 私は、このたび労働基準法違反の実態を調査して、一番悪質だと思ったのはこの点です。さんざん労働者が残業している。本来ならば、この残業時間に従って所定の賃金を払わなければならないのに、それを払わない。払わないだけではなくて、どれだけ労働したかという記録さえ残っていない。こういう状態です。こういうことになりますと、法律に従って裁判所に時間外手当の請求をしたところで、どれだけ時間外労働をしたかということが把握できないということから、労働者がなかなか勝ちにくいという結果があらわれてくるわけです。この点、労働省としては初めてつかんだのか、それとも、前からそういうことは知っていたのか。知っていながら是正されていないのだとすれば、どうしてそこに問題があるのか、見解を聞きたいと思います。
  144. 岸良明

    ○岸説明員 農協の問題につきましては、これは、私どもといたしまして、前々から順法水準のおくれている分野ということで、その他の業種とからめまして、一つの行政の重点としておるわけでございます。それで、いままでももちろん監督指導に相当努力をいたしておりますし、また、昨年の三月でございますか、一斉に自主点検という制度を適用いたしまして、順法意識を高揚する意味において、それぞれ基準法の適合状態を千九百の事業場で調べてもらったわけであります。その状況を見ますと、何といいましても、使用者の基準法に関するところの知識が足らなかったり、いろいろな面からしまして、御指摘のような、特に労働時間の問題については違反の面が目立ったわけでございます。  ただいま、超過労働について時間記録がなされておらないということですが、これは、そういう事態を把握いたしますれば、監督署では、指導をするなり、あるいは、非常に悪質なものについては厳正な措置をするということについては当然でございますけれども、ただ、先生も御承知のとおり、農協におきますところの超過労働の実態を見ますと、貯蓄の勧誘でありますとか、あるいは電気器具の販売のサービスであるとか、こういったような問題がいろいろございまして、そういう面で超過労働時間の管理が必ずしもうまくいかないというような面もあるようであります。そういう点については、その実態を踏まえて、各監督署なり基準局において十分指導をしておると思いますけれども、今後なおそう指導の面について十分慎重を期してまいりたいと思っております。
  145. 諫山博

    ○諫山委員 農林省に質問します。  労働基準法第百八条では、賃金台帳の必要記載事項というのが出ています。労働基準法施行規則第五十四条には、賃金台帳には次のようなことを記載しなければならないとあって、労働時間数、延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数を掲げております。ところが、福岡労働基準局が調べた五つの農協は、どこもこれを完全に記載していなかったという結果が出ているわけです。これは決して福岡だけの例外ではないということがいろいろな資料の中にも出てきます。こういう状態だということを農林省承知しているのかどうか。いかがでしょうか。
  146. 岡安誠

    岡安政府委員 労働基準法の順守状況でございますが、御承知のとおり、農協につきましては、福岡県下のみならず、ほかの県におきましても相当例の違反といいますか、規則どおり行なわれていない現状にあるのではあるまいかというふうに私どもは考えております。そこで、私どもは、この原因につきましては、やはり、農協の管理者が必ずしも労働基準法の内容に明るくないということであろうというふうに考えまして、かねてからその指導に力をいたしているところであります。
  147. 諫山博

    ○諫山委員 私は、具体的に問題を提起いたします。  賃金台帳に、どれだけの時間働いたか、どれだけの時間、時間外労働をしたかということを記載するというのは、労働基準法のイロハです。これがほとんど記載されていない。この状態がとんでもない悪い状態であるということは、もう異論がないと思います。これは、是正しようと思えばすぐに是正できることだと思います。お金がないと是正できないというような性質のものではありません。これは是正させますか。
  148. 岡安誠

    岡安政府委員 農協が、労働基準法であれ、ほかの法律であれ、法律違反の状況にあるということは適当でないわけでございますので、私どもは、一日も早くそういう違反の状態を解消するように指導はいたしたい、かように考えております。
  149. 諫山博

    ○諫山委員 一般的な答弁というのは、包括的である反面、あまり効果があがってこないものです。労働基準法違反がないように指導しますと言ったところで、私は、改善されないと思います。私が具体的に問題提起をしたのは、賃金台帳に法律どおりのことを記載させるのか、こういうことです。いかがでしょうか。
  150. 岡安誠

    岡安政府委員 あまり具体的な御答弁をしなかったのは、先ほど労働省の方からもお話しがございましたけれども法律違反の状態は当然解消しなければならぬと思いますが、農協職員の勤務の状態というものが一般の企業とは必ずしも一致していない。やはり、相手が農家であり、農繁期に組合員のところへ行くというような場合には、正規の労働時間といいますか、昼間では間に合わなくて、仕事が終わってから行くとか、不規則な勤務にならざるを得ないわけでございまして、そういうような勤務の把握のしかた等にも困難性があるということが、いま先生指摘の、労働基準法の賃金台帳の整備といいますか、勤務時間の記入といいますか、それが正確に行なわれていない理由の一つではあるというふうに考えておりますので、かりにそういうような問題があるとするならば、そういう勤務時間の管理の方法というものもあわせて指導をしませんと、御指摘の点につきましての違反状態の解消ということにはならないと思っております。そこで、私どもは、そういう点もあわせまして指導をいたしたいということを申し上げているわけでございます。
  151. 諫山博

    ○諫山委員 農協の業務の特殊性を強調されました。私も、特殊性があることは知っております。しかし、労働者が何時間働いたかということを帳面に書かないというのは、これはもう労働基準法違反の一番悪質なものですよ。それは、農協の業務の特殊性からあまりきびしく追及しなくてもいいという立場ですか。
  152. 岡安誠

    岡安政府委員 いや、私は、農協は特殊性があるから基準法違反があってもいいというふうにお答えしているわけではありません。そうではなくて、先ほども申し上げましたように、農協の管理者につきましては、労働基準法の内容についての理解が足りない点があり、それが結果的に相当多数の法違反状態を発生しているというふうに思いますけれども、それとあわせまして、具体的に法律を守る場合の困難性があるのではあるまいかということを申し上げているわけでございまして、そういう問題につきましては、こういうふうにしろということもあわせて指導いたしませんと、なかなか実効は期しがたいという点を指摘しているわけでございます。
  153. 諫山博

    ○諫山委員 労働省に質問します。  いまの問題は、農協の業務が幾らか特殊性があることは私もよく知っています。しかし、だからこの法律を守る点であいまいさがあっていいということになりましょうか。いかがですか。
  154. 岸良明

    ○岸説明員 先ほど私が申し上げたことも、ただいま農林省の局長が申されたことも、これは法律の違反があっていいということを申し上げておるわけじゃございません。これは、基準法の規定を守って所定の措置をしてもらうということは当然でございますけれども、ただ、事実の問題として、労働時間の把握が非常にしにくいという業種はほかにもあるわけでございます。そういう面について、私どもとしても今後十分指導をして、そして、法律規定をきちんと守ってもらうというふうにやっていく必要があると思います。
  155. 諫山博

    ○諫山委員 私は、賃金台帳のことをまず問題にしましたが、これはいつごろまでに守らせるということが言明できますか。本来なら、これは、そういうことなしに、直ちに法律どおりにやるのがあたりまえのことなんです。しかし、いまの農林省と労働省の答弁では、直ちに法律どおりやらせますとなかなか言いそうにありませんから、いつごろまでにこれを是正しますか。私は別の機会に質問しますから、期限を定めて答えてください。
  156. 岡安誠

    岡安政府委員 私も、先ほどお答えいたしましたとおり、一刻も早く法律違反の状態は解消しなければならぬと思っております。したがって、私どもとしましては、できるだけ早くそういう状態の解消のための指導その他をいたしたいと思いますが、何月何日までにすべての農協について労働基準法違反の状態をなくすというようなことをお答えするわけにはまいらないわけでございます。私どもはできるだけ早くそういう努力をいたしますので、そういう点で御了承いただきたいと思っております。
  157. 諫山博

    ○諫山委員 私は、なぜこの問題を強調するかというと、この問題があいまいにされている限り、ほかの労働基準法違反の問題も解決しないからです。たとえば、時間外労働をしている。これは明らかです。しかし、それに十分な手当が払われていない。これも共通しております。それでは、どれだけの手当が払われれば法律どおりになるのかということをきめるのが賃金台帳です。ところが、この賃金台帳に肝心のことが書かれていませんから、労働者にしてみれば、権利の主張のしようがないということになります。  そこで労働省にもう一ぺん聞きます。  私は、久留米市の農協の例をとりましたが、労働基準監督署の調査に基づくと、男子の場合には、実際は一カ月に三十三時間ぐらい時間外労働をしているけれども、実際は十五時間分の残業手当しか払われていない。これは法律違反でしょう。そうでしょう。いかがですか。
  158. 岸良明

    ○岸説明員 もしも、先生がおっしゃいましたとおり、三十三時間やっておるにもかかわらず十五時間で値切っておるということでございましたら、法律違反でございます。
  159. 諫山博

    ○諫山委員 その場合に、労働者は、農協に対して、どういう権利なり請求権を持っていますか。
  160. 岸良明

    ○岸説明員 これは当然基準法の違反でございますから、私どものほうといたしましては、是正を勧告いたしまして、もしも勧告どおりに是正をされないという状態が明らかであれば、所定の処罰をする、こういうことになります。ただ、労働者として、当然これは労働をしたにかかわらず賃金の不払いがあるわけでございますから、これに対しては、勧告に従わないという状態になりますと、民事的にそれを確保する、こういう方法になるわけでございます。
  161. 諫山博

    ○諫山委員 その場合に、賃金台帳に残業時間が記載されていないときには、労働者の権利は完全に守られますか。
  162. 岸良明

    ○岸説明員 その点が御指摘のとおりに非常に問題な点でございますけれども、やはり、明らかに三十三時間やったということが別のいろいろな証拠から明確になれば、これは当然いわゆる基準法に対する訴追なり、あるいは民事上の請求権というものは確立されると思いますけれども、やはり、賃金台帳に記録をされるということが法律できめられている義務でございますし、必要なことだ、かように思います。
  163. 諫山博

    ○諫山委員 農林年金に関して、農林年金適用労働者の賃金が非常に安いということが大問題になっています。それは、農協経営がどうだとか、合併がどうだとかいうような議論とは別に、こういうところでも労働者の権利がじゅうりんされている、これが低賃金の一つの原因になっているということを農林省はいま理解していただけましたか、どうですか。
  164. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金組合員につきましては、標準の給与という体系をとっておりますので、標準給与の中には、おっしゃるような手当が入る。したがって、正規の手当が支払われていないという場合には、それが給与に反映し、格づけである標準給与にも反映をするということはお説のとおりと思います。ただ、私が考えますのは、基本的には、農協なりその他の農林漁業団体経営基盤というものがしっかりしませんければ、支払いたくても給与を支払えない、給与ベースアップをしたくても十分なベースアップができないということがございます。したがって、私どもはそういう基本的な点に着目をいたしまして、農林漁業団体の体質の改善といいますか、経営基盤の確立をはかるということを推進いたしたいと思っているわけでございます。
  165. 諫山博

    ○諫山委員 局長の答弁を聞いていますと、労働基準法の本質について理解がきわめて薄いと思います。労働基準法というのは、人を雇っている人が人に仕事をさせる以上、最低これだけのことはしなければならない、これだけのことをしなければ刑事罰だ、これだけのことをしなければ人を使う資格がないということ、これが労働基準法のたてまえですよ。このたてまえをほんとうに理解するなら、いまのような答弁は出てこないと思います。やはり、法律どおりに労働者に支払うべきものは支払わせる、そして、少しでも低賃金をカバーするというのが当然じゃないですか。  そこで、私は、いま、労働者に対する労働時間が正確に計算されていない、むしろ記録さえされていないという問題を提起しましたが、もう一つ重大なことは、時間外手当を払う場合の計算のしかたが誤っているということです。労働基準法に従って、時間外労働をした場合に時間外手当を計算する基礎賃金というのが法律できめられています。労働基準法では、割り増し賃金の基礎となる賃金——これは本俸だけではありません。家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、その他臨時に支払われた賃金以外はすべて割り増し賃金の基礎となる賃金に包含さるべきだ。これはいわば労働基準法の常識だと思います。ところが、このとおりに時間外手当が計算されている例がほとんどないんです。福岡市の東部農協を調べてみますと、ここには、本俸のほかに、職務手当、資格手当、出納手当、集金手当、さまざまな諸手当の制度があります。ところが、時間外労働に対する割り増し賃金は、本俸だけを基準計算しているということが労働基準局の調査で明らかになっています。そういう状態だということは、労働省は報告を受けましたか。
  166. 岸良明

    ○岸説明員 五農協のうちで、三農協に割り増し賃金の計算について問題があるということの報告を受けております。
  167. 諫山博

    ○諫山委員 その三農協は、どこどこの農協なのか、さらに、割り増し賃金の計算に違法性があると言っているのは、いま私が指摘しているような問題だったのか、お答えください。
  168. 岸良明

    ○岸説明員 この三農協のどこであるかということは、私は正確に把握いたしておりません。ただ、違反の状況につきましては、ただいま先生が御指摘になったとおり、諸手当が算定基礎に算入されていないものが一つ、もう一つは、時間数に関係なく定額で割り増し賃金をきめておる、こういう点がございまして、いずれもこれは基準法違反でございます。
  169. 諫山博

    ○諫山委員 農林省に質問します。  時間外労働に対する手当を払う場合に、本俸だけで割り増し賃金を計算してはいけないんだということは、私は前年この席で質問したことがあります。そして、農林省も、もちろんそれはいけないという立場から是正を約束されているはずです。ところが、実際は本俸だけで割り増し賃金を計算している。これは一種の詐欺だと思います。法律では、本俸以外の諸手当も割り増し賃金を計算する基礎にしろということになっているのに、ほかのものを算入しない。当然、割り増し賃金というのはそこで削られるわけです。こういう状態農協の特殊性だから云々という問題ではないと思います。労働者をだましているといいますか、ばかにしているといいますか、そういうことになるのでしょう。どういうふうに是正されますか。
  170. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、割り増し賃金の支払いの基礎になります俸給の計算につきましては、御指摘のような法令の条項に従ってなされなければならないわけでございまして、これはもしそうなっていなければ法律違反でございますので、一刻も早く是正されなければならないし、私どもはそういうことも——これはまあ悪意でやったとは思いたくないわけでございますけれども、そういう法令に対する理解が十分でない農協がたくさんあるということにつきましては、反省もし、至急是正方を指導いたしたいというふうに考えております。
  171. 諫山博

    ○諫山委員 悪意でやっているとすれば、詐欺かどろぼうということになります。悪意でないとすれば、適切な行政指導をしていなかった農林省にも責任があるということになるわけですが、特別通達を出してでも、こういう誤りが一日も早く是正されるように行政指導していただけますか。
  172. 岡安誠

    岡安政府委員 労働基準法のみならず、すべての法令につきまして、農協は厳正にこれを守らなければならないわけでございまして、私どもはそういう指導は一般的にいたしておりますが、特に、労働基準法につきましては、すでに、四十七年の二月にも、先生がおっしゃったような趣旨の通達をいたしてございます。さらに、全国的な指導の立場にある全国農協中央会等に対しましてもその旨を指示いたしまして、系統の上部機関を通じ、一日も早く是正されるように指導いたしておるところでございます。
  173. 諫山博

    ○諫山委員 労働省に質問します。  さっきの割り増し賃金の計算のしかたの誤りについて、基礎賃金の取り方が間違っていたということのほかに、いわゆるどんぶり勘定で割り増し賃金を支払っているという例があったはずです。これは、労働基準局の調査によれば、豊前市農協でやられている。たとえば相当長時間の残業がされているけれども、残業手当としては、七月に三千円、三月に七千円、合計一年間に一万円を全員に支払っている。これは労働基準法違反だということで是正を勧告したと聞いていますが、そういう報告が上がっていましょうか。
  174. 岸良明

    ○岸説明員 具体的にただいまおっしゃったような正確な形で私は承知はいたしておりませんけれども、ただ、定額できめておるということになりますと、基準法では実績に従って支払わなければならないわけでございまして、定額できめる場合でも、最低保障として、たとえば実績がそれより低くてもその額まで支払うという場合には、これは基準法違反にはならない。けれども、実績が上回っているにもかかわらず、その定額でもって、残余の分についてはカットをするということになりますと、これは基準法違反になる。本件の場合につきましては、所轄の監督署におきまして是正勧告をいたしておるのでありますから、明らかにこれは違反であるというふうに考えております。
  175. 諫山博

    ○諫山委員 この農協のやり方がどんなにひどいかという一例ですが、豊前市農協に営農指導員という人がいます。この人は時間外労働が非常に多いそうです。きちんと時間外労働を計算しますと、時間外労働に対する賃金が本来の賃金と同じくらいになる。そのくらい長時間の時間外労働をしている。そこで、これでは割り増し賃金が多過ぎるから、この人にも一年間に一万円しかやらないというのですよ。法律どおりに計算すれば、営農指導員の賃金に相当するくらいの割り増し賃金というのですから、おそらく百万近い賃金を払うということになるのではないかと思います。ところが、たった一万円でごまかしている。これが今度の調査で出てきまして、これは一番悪質だと労働基準局も言っております。  こういう状態というものは特別の例外ではないと私は思いますが、こういう状態をどうされますか。こういう状態を放置しておきながら、農林年金適用労働者の賃金が安い、何とかしなければならないと言ってみたところで始まらないと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、正当に計算されて支払うべき賃金につきましては、支払うべきなのがあたりまえでございます。ただ、それが支払われていないというのは、いろいろな事情があるというふうに考えておりますが、私どもは、少なくとも労働基準法違反の状態は一日も早く解消いたしたいというふうに考えております。
  177. 諫山博

    ○諫山委員 労働省に質問します。  いま私があげた営農指導員の点は、かつて福岡労働基準局が、これは間違いだから改めなさいと勧告をして、一時改めたことがあるそうです。しかし、またもとに戻っているという状態が報告されているはずですが、こんな問題に対して、労働基準法を守らせなければならないあなたたちとしてはどうするのですか。放置しておくのですか。
  178. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま御指摘になりました具体的な問題については、福岡の労働基準局におきまして、事実を十分調査をして、しかるべく措置をすると思います。私どもといたしましては、農協の全般の処罰をするということではなくて、むしろ、基準法の順法をきちんとやらせるということのために鋭意指導をしているわけでございます。  ただ、御指摘のように、いままでの実績から見ましても非常に問題のある点がございますので、四十八年におきましては、私どもは、約六件、農協につきまして、基準法違反として、これは処罰の対象といいますか、検察庁のほうに送致をいたしております。したがいまして、悪質な違反を合理的な理由なくあえておかすという場合については厳正な処置をいたしたい、かように思います。
  179. 諫山博

    ○諫山委員 私も、処罰をすれば事が解決するとは思っておりません。ただ、この一連のケースを見ていますと、労働基準法を守らなければならないんだという意識が使用者側にほとんどないのじゃないかということを憂えているのです。なぜかというと、豊前市農協では、労働者が数年前から時間外手当を払う制度をつくってもらいたいという要求を出しているそうです。時間外手当を払う制度をつくってくれという要求というのは、漫画みたいな要求です。もともとこの制度法律にあるからです。ところが、これが守られていないから、こんな前時代的な要求が出てこざるを得ない。しかも、労働者がこの要求を提起したのは五年前です。しかるに、いまなおこういう状態だということですから、労働省はときどき調査はしているかもしらぬけれども、ほんとうに守らせるという努力をしているんだろうかということを疑問に思ったわけです。処罰以外の方法としては、どういう方法で守らせていきますか。
  180. 岸良明

    ○岸説明員 おっしゃいますとおりに、ただいまの問題でございますと、一たん是正をいたしまして、その後再度そういうことをしておる。これは確かに問題がある事業所だと思いますので、当該事案については、福岡の基準局でしかるべく措置をするだろうと考えております。  ただ、全般的に申しまして、私どもとしても非常に苦慮しておりますのは、順法水準の低い農協を含めましていろいろな業種については、諸般の事情もあろうと思いますけれども、なかなか是正が確実に行なわれにくい。そこで、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、一定の時点を設けまして、特に問題のあるような府県については自主点検という方法によって違反の状況を把握いたしまして、集団指導その他いろいろな方法でこれらの順法水準を高めるような努力をいたしておるわけでございます。また、個別的な監督指導によりまして、問題のあるところについては十分指導をするとともに、勧告に従わないところについては厳正な措置をする、このような方法農協におきます基準法違反の絶滅を期していきたい、こういう努力をしておるわけでございます。
  181. 諫山博

    ○諫山委員 以上、私は、労働時間、時間外労働、それに対する残業手当の支払いなどを中心に議論してきましたが、もう一つ私が気づいたのは、女子労働者に対する労働基準法違反が非常に多いということです。  たとえば、今度調査してもらった光友農協というところでは、女子に対して一週間六時間以上の残業をさせている例がある。そういう残業をした女子労働者が三名いた。一週間に十時間も残業させられた女子労働者もいた。これは問題だと指摘しているのですが、いまの点は法律的にどうなりましょうか。
  182. 岸良明

    ○岸説明員 御承知のとおり、女子につきましては、たとえ三六協定で協定をいたしましても、一日に一時間でございますか、それから、一週間で六時間、それから、年間で百五十時間、これ以上こえまして時間外労働をすることができないというふうになっておるはずでございます。  そこで、それをこえて残業するということは明らかに基準法違反でございますが、ただ、これは特例がございまして業種によりましては、それをこえて残業をすることができるようになっております。
  183. 諫山博

    ○諫山委員 私は、特殊な業種について言ったんじゃない。ごくあたりまえの仕事をしている女子労働者のことを言いました。  さらに、同じような違反は筑豊農協でも発見された。ここでは、決算の時期に女子労働者に午後十時以後まで仕事をさせているということが指摘されています。さらに、福岡市東部農協でも、実際は女子労働者が一日三時間から四時間ほど時間外労働をしているようだけれども、賃金台帳にそれが記載されていないから、詳細は把握できないということが記載されております。  五つの農協を調査して、三つの農協で女子労働者に対する労働時間違反というものが発見されたということは、違反の率が高過ぎると私は思います。こういうことは全国共通にあらわれているということが昨年の論議でもあらわれてきているわけですが、労働省、いかがですか。農協における女子労働者の基準法違反です。
  184. 岸良明

    ○岸説明員 全国的に自主点検の結果を見ましても、女子に関する記録が必ずしも正確ではございませんけれども、全般的にそういうような違反があるという報告は、これは各局から聞いております。特に、今回福岡で調べました事例によりますと、決算期におきますところの女子の過度の残業、あるいは有線放送業務に従事しておる労働者の残業問題ということが問題になっております。
  185. 諫山博

    ○諫山委員 農林省に質問します。  女子労働者に対しては、労働基準法上特別な保護がされているというのは御承知のとおりです。そして、農協で女子労働者の数が非常に多いということも御承知のとおりです。ところが、きわめて初歩的な労働基準法違反が女子について行なわれている。たとえば午後十時以後まで働かせる、あるいは一日に二時間以上も残業させる、こういうことはいくら忙しくてもやってはならないことです。こういうことを女子労働者には今後やらせないということを約束していただけますか。
  186. 岡安誠

    岡安政府委員 私どもの調査におきましても、先生指摘の女子職員についての休日労働に関する規定違反の事例は、それ以外の労働時間に関する問題、割り増し賃金に関する問題、安全衛生基準に関する問題について多いようでございます。私ども、この問題につきましても、基準法違反の事態は一日も早く是正をいたしたいと、かように考えております。
  187. 諫山博

    ○諫山委員 このくらいなことはやめさせようと思えばすぐできるんじゃないですか。農協の特殊性ということでは通らないと思います。決算期が忙しいというのはどこの会社だって同じことです。どこの銀行だって同じことです。ところが、忙しいから真夜中まで女子に働かせる。これはいかぬのだということを農協経営者に教え込むことぐらい簡単じゃないですか。これは直ちに是正しますというような答弁は出てきませんか。
  188. 岡安誠

    岡安政府委員 そういう違反が多いということは、農協の管理者の側におきまして、やはり、認識不足といいますか、基準法に対する理解が不足している結果だろうと思っております。したがって、何よりも早く基準法の趣旨の徹底をはかりまして、おっしゃるような事態が一日も早くなくなるように努力をいたしたい、かように思っております。
  189. 諫山博

    ○諫山委員 一日も早く基準法どおりさせると言いますが、ほんとうにそうなりますか。私はまた調べて聞きますよ。私は、今度の質問のときに福岡県の農協に行きました。ところが、農協のビルに大きなたれ幕が下がって、二つのスローガンが書かれている。一つは、大幅賃上げを戦い取ろうということ、もう一つは、労働基準法違反をやめてもらいたいということ、賃上げと並んで、基準法違反をやめてもらいたいというのが、二大要求としてたれ幕で下がっているのです。農協理事者の認識不足だろうと言われますけれども、同時に、私は、農林省の指導力不足ということも反省してもらわなければならないと思います。ほんとうにこういう問題は是正してくれますか。もっと確信のある答えをしてください。
  190. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほどもお答えしたと思いますけれども、私どもは、労働基準法違反の状態を是認しているわけではございません。一日も早くそういう状態が解消されなければならないというふうに考えておりますが、先ほど、ではいつまでに全部解消するかという御質問に、私が、何月何日までに解消いたしますと答えることはできないと申し上げましたとおり、これは農林省の指導力が不足していると言われればそれまででございますけれども、私どもは、そういうことがないように努力をするということをお約束する以外には、すべての農協に直ちにやめさせて、それが実効がいつ出ます、一件たりとも違反はなくしてみせますというふうにお答えしたいわけですけれども、なかなかそうはまいらない状態でございます。  一言つけ加えさせていただきますと、私どもといたしましては、まず、第一に、法律違反の状態というものは根絶しなければならない。しかし、農林省としましては、それだけでは足りないわけでございまして、法律違反がないという状態にするには、そういう適正な労働に対しまして適正な賃金を支払わせるということのほかに、金がなければそういう労働をさせないということでも法律違反の状態は解消されるわけでございます。私どもとしては、やはり、必要な業務はしていただきまして、ただ、それに対しまして適正な賃金の支払いができるように農協の力をつけるということもあわせて努力しなければならない、そうすることが農協におきます労働基準法違反を根絶するのに、遠回りでありましても基本的な問題であろうというふうに考えているわけでございます。  私どもは、何も法律違反の状況を是認するわけではございませんで、それが基本的に解消されるように努力をいたすつもりでございます。
  191. 諫山博

    ○諫山委員 農協で共通にあらわれている特殊な労働基準法違反というのは、私は、金融とか購買に対する推進活動の取り扱いだと思います。  福岡労働基準局が、昭和四十三年十一月一日から十一月十日までの間に基準法違反を調査して、報告書を書いております。それで、一番多い違反の内容としては、金融、共済、購買事務などの推進業務が協定なしにやられている、時間外労働手当が払われていない、と、こういう点があげられているのですが、この点は現在も全く是正されていないという報告を聞きました。労働省、この点はいかがですか。
  192. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま御指摘になりました基準局の調査はそのとおりでございまして、現実に、現在の時点で調べましても、五農協に関する限り、そういう問題があるということは間違いございません。
  193. 諫山博

    ○諫山委員 それは休日、時間外労働協定がなければそういうことはさせてはいけないんだ、また、そういう仕事をした限り、労働基準法に従う割り増し賃金を払わなければならないんだということが勧告の前提になっていると思いますが、そう聞いていいですか。
  194. 岸良明

    ○岸説明員 これは事実の認定にかかわる問題でございまして、その農協の貯金の勧誘、あるいは電気機器等のセールスについて、全部がそうであるということは一がいには蓄えないと思いますが、ただ、現在、福岡で調べました範囲で言いますと、明確な残業の指示というものがないものもございますけれども、中には、そういう全体の条件から見まして、時間外にそういう労働を命じたと見られるようなものもございます。したがいまして、そういう明らかなものについては、これはもう当然法所定の諸手当を払わなければならぬ、残業手当を払わなければならぬ、こういうことになると思います。
  195. 諫山博

    ○諫山委員 それはたまたま幾つかあったというのではなくて、昭和四十三年の調査に基づきますと、六十四の事業所を調査した中で四十一の事業所に対して、協定なしに金融、共済の推進活動がやらされていた、六十四の事業所のうちに、三十六の事業所で、一日に二時間をこえる購買事務がやらされていた、こういう指摘になっているから、きわめて広範囲に労働基準法違反が行なわれていたという指摘になるはずですが、そうなりますか。
  196. 岸良明

    ○岸説明員 この四十三年の調査によりますと、これは六十四の事業場を調べまして、そうして是正勧告書を交付したものが六十四でございますから、これは一〇〇%何らかの基準法の違反があったわけでございますが、ただ、具体的に三六協定の締結なくして行なわれているということの数字については、必ずしも明確になっておらないと思います。
  197. 諫山博

    ○諫山委員 この数字に書いているじゃないですか。「同条の協定がなく時間外労働をさせていること、備考、金融、共済係」、これは四十一事業所です。
  198. 岸良明

    ○岸説明員 失礼いたしました。御指摘のとおり、そう書いてございます。
  199. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、福岡県で行われているいわゆる推進活動というものは、正規な労働時間として見るべきものであるから、時間外協定が必要だ、推進活動をやらしたときには、これに見合うだけの時間外手当を支払わなければならないのだということが労働基準局の立場になっているはずですが、そう聞いていいですか。
  200. 岸良明

    ○岸説明員 四十三年当時の調査書は、私、ただいま手元にございますけれども、ただ、具体的なこまかい事実について私は必ずしも承知しておりませんので、そういうふうに断定はできませんけれども、ただいま、この福岡の基準局からの報告書によりますと、四十一件があるというふうになっておりますので、当然、論理的に、前提としてはそういうことになろうと思います。ただ、それは、金融、共済事業の中でも非常に明確に時間外労働をつかめるものと、それから、ただいまのような就業時間外に行なわれるところの勧誘事務というものが区別があろうと思いますので、その点必ずしも正確に私のほうからお答えすることはできないと思います。
  201. 諫山博

    ○諫山委員 農林省にお聞きします。  いわゆる推進活動というものが、実質的には労働時間外に行なわれている、時間外労働と見るべきものだということを私は昨年の委員会でいろいろ論議いたしました。これは福岡労働基準局の調査あるいは勧告でも同じ立場になっている。だとすれば、福岡だけ特殊なことがやられているわけではありませんから、いわゆる推進業務というのは労働時間外にやるわけですから、法律に従って時間外協定が要るんだ、そういう仕事をさした場合には法律に従って時間外手当を払わなければならないんだということをもっと徹底して行政指導すべきだと思いますが、いかがですか。
  202. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、農協共済とか、預金等の勧誘の業務その他農協事業推進のための業務が時間外に行なわれるという場合には、一般的には、おっしゃるとおり、やはり、時間外勤務としまして、時間外の手当が支払われるべきものというふうに考えております。
  203. 諫山博

    ○諫山委員 この問題で、私は、農協の労働組合の人といろいろ話し合いをしました。農協の運営のために推進活動が必要だということはたいていの人が認めております。ただ、それを強制するのじゃなくて、法律に従ってやらしてもらいたい、また、そういう仕事をする以上は、ちゃんと労働時間として取り扱って、それなりの手当を払ってもらいたいというのが労働者の要求です。これは当然のことだと思いますが、なぜこの点がいまなお是正されないのか、あるいはどういう方法でこれを是正しようとされているのか、農林省の決意を聞きたいと思います。
  204. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほどもお答えしたかと思いますけれども、私どもは、四十七年に労働基準法の順守につきまして一般的に通達を出すと同時に、全国の団体である全国農協中央会及び全国共済農業協同組合連合会に対しまして強く指示をいたしまして、趣旨の徹底方を依頼をしたわけでございます。それを受けまして、農協中央会におきましては、各都道府県農協中央会の担当部長を対象にいたしまして、経営改善対策の研修の一環としまして、労働関係法令の研修を行ない、それを通じまして、農協職員の労働条件の適正化につとめておるところでございます。また、全共連におきましても、農協共済の推進方針につきまして検討を重ねた結果、労働基準関係につきましては、まず、各農協が時間外の推進を実施する場合には必ず三六協定を労働組合と締結をすることと、二番目には、時間外手当の支給を必ず行なうというようなことを内容といたしました方針を決定いたしまして、下部のほうに現在その徹底をはかっているところでございます。
  205. 諫山博

    ○諫山委員 共済の実態について、福岡県農協労働組合が二千八百人を対象にアンケート調査をしています。これを見ると、「貯金共済でノルマを持っていますか」という質問に対して、「持っている」と答えた人が七四%、「持っていない」と答えた人が二六%です。「事業推進があるから農協をやめたいと思ったことがあるか」という質問に対して、「ある」と答えた人が六五%、「ない」と答えた人が三五%です。事業推進というものがどのくらい重荷になっているかということが、この統計でわかるわけです。何しろ、日曜日とか時間外に仕事をさせて、ろくに賃金も払わないというのであれば、だれだってこういう気になるのはありがちなことだと思います。そして、これは、是正しようと思えば、たとえば時間外協定を結ぶということは簡単なことですね。労働組合は一方的に押しつけるのではなくて、自分たちと相談した上でやってもらいたいと言っているわけですが、具体的には三六協定を結んでやらせろという要求になると思います。この程度のことは、農林省なり労働省が本気で是正しようとすれば是正できるはずだと思うのですが、やはり、なかなかむずかしいのですか。農林省、どうですか。
  206. 岡安誠

    岡安政府委員 結果を見て、労働基準法違反の事例が相当多数あるとか、三六協定が必ずしも結ばれていないということを御指摘になった場合、それは農林省が本気になってやっていないのじゃないかというおしかりを受けますと、はなはだ答えにくいわけでございます。私どもも一生懸命やっておるつもりでございます。ただ、先生も御指摘のとおり、農協事業というものは、通常の企業とは異なりまして、時間外または休日の労働を必要とするような部門をなかなか数多くかかえておるわけでございます。そういう事業体にありまして労働基準法違反があるということは、私どもははなはだ残念であり、直したいと思っておりますが、何せ数も多いということもございますし、また、理由にはなりませんけれども経営基盤が非常に悪いということもあるでしょうし、結果的にはなかなか違反があとを断たないという事態が発生しているわけでございます。だから、それでよろしいというふうには私どもは思っておりません。先ほど申し上げましたような諸般の手だてを講じまして、一日も早く違反の状態をなくすように努力をしてまいりましたし、また、今後も努力をいたしたいというふうに考えております。
  207. 諫山博

    ○諫山委員 労働省に質問します。  私は、福岡県の労働基準局で聞いたところが、日本で労働基準法を極端に守らない職種が二つある、一つは農協をはじめとした農民団体だ、もう一つはタクシーとか運輸会社だと言ってなげいていましたが、全国的にもそうなんですか。あなたの話でも、農業団体というものは悪いほうのトップに近いような発言がありましたが、その位置づけはどうなんですか。
  208. 岸良明

    ○岸説明員 業種の中で、農協がどういうふうに違反の程度が高いかということは一がいには申し上げられませんけれども、御指摘のとおり、農協でありますとか、あるいは社会福祉施設、病院、それからタクシー、陸上運送でございます。これらについては、基準法の基本的な問題について非常に違反のものがあるということがございまして、私どもとしては、この三業種については十分注意をして今後指導を強化してまいりたい、かように思っております。
  209. 諫山博

    ○諫山委員 政務次官にお聞きします。  いま、農協の労働者に対してどのくらい初歩的な労働基準法違反があるかということを指摘いたしました。それは、労働省も農林省もほとんど認めております。そして、私は、是正する気になれば是正できると思うのです。金がないからできないという性質のものではありません。たとえば女子に深夜労働をさせないというようなことは、あまり銭金の問題ではないと思います。いまの労働省の説明では、どうもベストスリーの一つに入るのが農民団体のように見えるのですが、根本的に何とかしてもらいたいと思います。労働組合も、運動方針の中で、労働基準法違反を絶滅してもらいたいということを掲げています。どうでしょうか、これは次官としてやってもらえますか。
  210. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘をいただきました事柄は、現実に起こっておる事実を前提としていろいろと御意見をいただいたと考えております。その意味におきまして、ただいまの御意見は、私どもは大いに謹聴をしなければならぬ問題だと考えておるわけでございます。  ただ、私は、全般の情景は、よく事情はわかりませんけれども、一般農民の方の仕事のし振りそのものが、必ずしも時間制度において動いておらぬという一つの動きがあることもまたお認めになると考えるわけであります。一方、農協そのほかの人は、大体その農民を相手にしていろいろの処置をとられる場合もあるかとも存ずるわけであります。そういう意味において、一つの役所におるほかの人のように、何時に始まって何時に終わるというような事柄の、これは守らなければならぬことでございますけれども、そのとおりにやれるかどうかという問題ができまして、その結果、あるいは時間外そのほかが勤務の基本的な性格の相違によって起こることがあると考えるわけであります。しかしながら、国家として労働基準法があり、そのほかの法律において規定をされ、それに従って勤務すべきことを指示されておる以上は、私は、いま先ほどから言いましたように事情はあるかとも推察はいたしますけれども、基本的には法律の精神に基づいてこれを実行することが必要だと考えております。  私ども農林省としましては、その職責にかんがみまして、この日本の法律の権威を守り、そうして、できる限りその精神によって仕事を指導するということに引き続いて努力をいたしたいと考えておる次第であります。ただ、農林省の仕事そのものが非常に鈍いという御批判があったと考えておりますが、これはまことに傾聴をせなければならぬ問題だと私は思いますので、御趣旨の点に沿って今後農林省努力をいたしたいと考えておりますことを申し上げまして、不十分ながら私の答弁にいたします。
  211. 諫山博

    ○諫山委員 次官も、局長も、農協の特殊性ということを言われますが、私は、これはあまり言ってもらわないほうがいいと思います。というのは、特殊な労働については、労働基準法上特別な規定があるのです。たとえば、宿直をする人とか、電話交換手とか、守衛とか、特殊な勤務については特殊な条項があるのです。しかし、農協の場合にはそういう意味の特殊労働扱いをされていないのです。ストレートに労働基準法が適用されるのです。ですから、あなたたちが行政指導をする場合に、特殊性、特殊性ということを言われますと、特殊性の陰に隠れてこれが守られないということになります。法律的には特殊性を口にすることは許されない仕組みになっているのだ。この点は、行政指導する側は肝に銘じてもらいたい。  さらに、私は、直接調査してもらった福岡県の例を引きながら質問しましたが、これはもちろん福岡県だけの問題として議論したのではありません。全国的に同じようなことが行なわれているから、全国的に行政指導してもらいたいということを要望したわけです。  きょうは大臣が来ておりませんから、あとの時間は、私は大臣に質問させていただきます。
  212. 坂村吉正

  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案について、農林省並びに関係当局に質問をいたします。  この件については、例年のことでありますけれども、昨年は、四十八年七月四日に、当委員会で、私も一時間余にわたって質疑をいたしてまいりました。また、社労との連合審査においてもいろいろと当局の見解をただしてきたところでありますが、本年もかなりの前進は見ているものの、まだまだ大幅な改正をせねばならぬ問題がたくさんございます。けさほども冒頭に野党四党による修正を求める提案を私が提案申し上げたわけでありますが、そういうこと等との関連を踏まえながら、以下質疑をしてまいりたいと思います。  まず、本法の審議にあたりまして、共済年金抜本改正必要性についてお伺いするわけでありますが、御承知のように、本年の二月、社会保障制度審議会答申によれば、「本審議会は、これまで公的年金制度の中において共済組合制度自体が持っている問題点について、その抜本的改正の必要を繰り返し述べてきた。しかるに、今回の改正においてもなお、これに対する積極的な姿勢が見られないことは遺憾である。被用者年金における給付水準のバランス、国庫負担の問題その他国際比較等を考慮し、すみやかにその解決を図るよう強く要望する。」等、遺憾の意を含めた答申をいたしておるところでございます。   〔坂村委員長代理退席、安田委員長代理着席〕  そこで、共済年金の中核にある国家公務員共済、さらには地方公務員共済改正案の諮問に対する社会保障制度審議会のこういった答申について、まず、農林年金側はどういうふうに受けとめておられるか。これは大蔵省並びに自治省等にもお尋ねしたいところでありますが、時間が流動的であったために、大蔵省及び自治省をきょうは呼んでおりませんので、農林省側として、まず、この点、本法提案にあたってどういうふうな気持ちで受けとめておられるか、その点を冒頭にお答えいただきたいと思います。
  214. 岡安誠

    岡安政府委員 先生指摘のとおり、昨年の二月に、社会保障制度審議会から、国家公務員共済制度のみならず、さらに農林漁業団体職員共済組合制度につきましても、抜本的な改正必要性につきましての御答申があったわけでございます。もちろん、私どもは、その答申を受けまして、本農林年金制度改正はいかにあるべきかという検討を重ねてきたわけでございまして、今回御提案申し上げております法律改正におきましても、たとえば低額年金改善のための新しい方式導入とか、平均標準給与基礎期間の短縮とか、遺族年金につきまして扶養加算制度創設するとか、相当思い切った改善措置を講じておるつもりでございます。しかしながら、農林年金におきましても、これはやはり共済制度一般と共通の問題をかかえておりまして、なお残された多くの問題をかかえておることは事実でございます。そこで、私どもは、昨今におきます社会経済情勢の推移に応じまして、農林年金給付内容の一そうの充実につとめるべく、さらに基本的な問題をも含めまして、早急に検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この農林年金厚生年金よりも給付水準が下回る状態であるということは、当局も十分これは御承知のとおりである。これでは共済年金としての存在意義がなくなるじゃないかと、われわれはかねがね指摘をしているところであります。また、わが国の社会保障制度充実させていくという上からきわめて重大なる課題だとも私は指摘をしてまいったところでございますが、農林年金制度の抜本的な改善をはかるというようなことは、昨年の委員会でもいろいろ指摘しているところでありますけれども、やはり、私は、当初、これらの年金改善にあたっては、今後職員の不安を解消するためにも、政府の基本的な姿勢を明確にしておいていただきたいと思うわけです。  そういう点についての当局の御見解を冒頭承っておきたいのであります。
  216. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、厚生年金制度は、いわゆる社会保障制度の一環としての年金制度の根幹といいますか、基本的なものでございますので、厚生年金から分かれて発生いたしました農林年金におきましては、少なくとも厚生年金給付内容に劣ることのないように従来から努力をいたしておるわけでございます。ただ、昨年の厚生年金制度改正によりまして、農林年金におきましては、半数をこえるような給付者につきまして、厚生年金給付水準と差ができたということも事実でございます。ただ、今回の改正によりましては、農林年金の受権者のうち九%余りの者は、これは厚生年金給付水準に劣るかもしれませんけれども、大部分は厚生年金を上回るような給付内容になるものと考えておりますし、ただいま申し上げました九%の方々につきましても、厚生年金農林年金給付開始時期の相違その他を考えまして、余命全体についての全受給金額といいますか、それを比べれば、必ずしも厚生年金に劣るというふうに私どもは考えていないわけでございます。しかし、厚生年金との比較だけが問題であるわけではございませんので、農林年金にも、さらに検討を要すべき問題、改善を要すべき事項もあろうかと思います。これらにつきましては、根本的な問題も含めまして至急検討を進めるということをお約束いたしたいと思っております。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上基本的な問題をお伺いして、以下、当局からの答弁がありましたことも含めて、細部にわたって質問をいたしたいと思います。  まず、本法の提案にあたって、重要な問題の一つに農林年金財政問題がございます。すなわち、財政健全化の道をどう考えているかということになるわけでありますが、まず、最初に、昭和四十八年度末における不足責任準備金の額というものはどのくらい見込まれておるのか、その点お答えをいただきたい。
  218. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、正式にといいますか、確定的なものとして計算されたのは四十七年の数字でございますが、四十七年度末におきます不足責任準備金の額は三千六百六十億円でございます。四十八年度はさらにこの額が増加するものと考えておりまして、私どもの推定といたしましては、ほぼ五千億円程度になるのではあるまいかというふうに考えております。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 不足責任準備金が、四十七年度が三千六百六十億円、四十八年度が五千億円、これは年々相当額の累増になっておるけれども、この不足財源を生じてきた理由というものはどういうふうに当局は受けとめておられるのですか。
  220. 岡安誠

    岡安政府委員 理由はたくさんあると思いますけれども、おもな点を申し上げますと、まず、この年金が発足当時、厚生年金に加入している農林業団体職員を引き継いで発足したわけでございます。その際の過去勤務債務といいますか、発足当時から不足責任準備金があったわけでございまして、これは約百億円ありました。これがその後やはり累増してきたということが一つあります。  それから、二つ目には、ほぼ毎年度に及ぶような給付内容改善をいたしております。この給付内容改善につきましても、やはり不足責任準備金を増加させる有力な原因であったというふうに考えておりまして、大体大きな原因は、その二つではなかろうかというように考えております。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、四十九年度末は大体どのくらいになると推定しておられますか。おそらく、当局も、本法提案にあたっては、今度本法が通過すれば、いろいろ試算をしておられると思うけれども、どのくらい見込んでおられますか。その点参考までにお聞かせをいただきたいと思うのです。
  222. 岡安誠

    岡安政府委員 四十九年度末につきましては、まだ計算をいたしておりません。
  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 四十九年度まではまだ計算しておらぬと言うけれども、推定でもわからないのですか。そういういいかげんなことで本法提案をしているのですか。推定でも見当がつきませんか。
  224. 岡安誠

    岡安政府委員 不足責任準備金の額としては計算をいたしておりませんが、財源率計算といたしましては、今回の制度改正を含めまして、四十四年度末以来の制度改正を累計いたしますと、大体財源率で千分の二十程度ふえるというような推定をいたしております。
  225. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 財源率と言われれば、昭和四十五年度改定以降四十七年に財源率の再計算をやっていると私は記憶しておりますが、今回の法改正までの間に生じた不足財源というものはどのくらいであるか、また、それに対してどう対処をしていく考えであるか、それもあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  226. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金につきましては、昭和四十四年度末現在で一回財源率計算をいたしておりまして、その結果を掛け金率等にはね返らしているわけでございますが、それ以降四十八年度までの制度改正によりましてふえた財源率は約千分の六、それから今回の制度改正によってふえるであろうものが約千分の十四というふうに考えております。
  227. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、当局にお尋ねしますが、農林年金が、昭和四十九年度の予算要求の柱として、年金財政健全化のため五項目にわたる要請をいたしておるわけです。一つには、給付に要する費用補助について、少なくとも厚生年金と同率に引き上げること、すなわち二〇%、二つには、財源調整費については、地方公務員給与との格差是正をはかるための給付に要する費用の少なくとも三%相当額まで引き上げること、三つには、農林漁業団体の特殊性にかんがみ、補助のほか、公費補助として、初期過去勤務債務の二分の一相当、すなわち給付費に換算して四%になりますが、この額を補助すること、それから四つには、私学共済の例に準じ、都道府県から財政援助を受けられるよう措置すること、五つには、事務費の補助額を増額すること、こういったことで五項目にわたる要請がなされておるわけですけれども、これについてはどういうふうに対処されたのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  228. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、五点のうち、最初の二点でございますが、第一の国の補助につきまして、厚生年金と同様に二〇%にするという点と、それから財源調整費について、給付に要する費用の少なくとも三%相当額まで引き上げることという二点につきましては、私どもも、農林年金財政事情等を考えまして、そういうような要求を財政当局にしたわけでございます。いろいろ交渉の経過はございますが、結果といたしましては、昭和四十九年度におきましては財源率の再計算を行なわないということにいたした関係もこれあり、今回は、結果的にはこの種の補助率といいますか、それは据え置くということになったわけでございます。ただ、私どもは、昭和四十九年度末現在で財源の再計算をいたしたいというふうに考えておりますので、その結果いかんによりましては、また、この点につきましても再検討しなければならないというふうに考えております。  それから、三番目の、農林年金の初期過去勤務債務の二分の一相当額について公費の補助をすべきであるというような御意見でございますが、これにつきましては、御主張の内容におきましても、私学共済において、日本私学振興財団から過去勤務債務の二分の一相当額の助成を受けているというような事例をあげられまして、御要請があったわけでございます。ただ、私学については、確かにそういう制度がございますけれども農林年金私学とは、やはり、組合員性格等にも差異がございますので、直ちに私学の仕組みをこちらに移すというわけにもまいらないというような問題もございます。しかし、先ほど御指摘のとおり、農林年金につきましても、初期過去勤務債務農林年金掛け金率を押し上げているという原因の一つでもございますので、この対策につきましては、先ほど申し上げました財源の再計算を機といたしまして、さらに検討を進めたいというふうに思っております。  それから、四番目の、これも私学共済の例に準じまして都道府県から財政の援助が受けられないかという問題でございますが、これにつきましても、私ども関係自治省とも相談をいたしたわけでございますが、結論を申し上げますと、私学農林漁業者の職員組合員とする農林年金とは、仕事の内容その他の違いもあるということから、意見の一致を見ることができず、現在そういうような措置改正案を御提案するに至っていないことは事実でございます。この点につきましても、要は財源がらみの問題であり、今後の掛け金率の問題にもなるわけでございますので、あわせて今後の検討にいたしたいというふうに考えております。  それから、五番目の事務費の補助の増額でございますが、この点につきましては、四十九年度予算におきまして、事務費の単価、これは一人当たり並びに年金一件当たりそれぞれ百四十円を百七十円というように大幅なアップをいたしておりますので、全体の額におきましても、前年比一五%の増として予算を組んでいるわけでございます。
  229. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、山本政務次官、せっかくきょうは出席いただいたわけですが、いま答弁をお聞きいただいておったと思うのです。結局のところ、予算額というのは、前年の二十四億五千万円余から三十七億二千万円余の伸びを示してはおりますが、新規要求はほとんど認められていない結果に終わっております。まことにけしからぬと私は思うのですが、政務次官は、本法提案にあたって、この点はどう思いますか。これで農林年金職員の要請にこたえられると思っていますか。もちろん、一歩前進の個所も若干認められるのですけれども、まことに情けない結果になっております。政務次官の答弁を求めるわけです。
  230. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、その経緯につきまして私から……。  予算額はふえているけれども、新規はないではないかということは、御指摘のとおりでございます。私どもは、新規を要求し、それを獲得するといいますか、そのためには、農林年金財政実態現状どうであるかということを背景にしませんと、なかなか相手も納得させられませんし、自分自身も、この程度でいいんだという納得もいかないということもございます。  当初いろいろ要求いたしましたのは、四十九年度におきまして財源の洗い直しをいたしまして、不足財源を出し、それによりまして、掛け金率をどうするかというようなことを踏まえて、新しい制度を発足させるという気持ちでもって予算要求をいたしたわけでございます。折衝の過程におきましてはいろいろ経過を経ましたけれども、四十九年度におきましては財源の再計算を行なわないということになったわけで、したがって、掛け金率も動かさない。また、したがって組合員掛け金負担も増加させないということで、予算のほうも、新機軸はなしに金額は大幅にふえるというような結果になったわけでございます。  私どもとしましては、特別の事情がなければ、四十九年度末現在におきまして農林年金財源率について百計算をいたしたいと思っておりますので、それを踏まえまして、要求すべきものは要求をするというようなことで対処をいたしたいと思っている次第でございます。
  231. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 お答えいたします。  いま局長から答弁をいたしましたような事情でございますが、今度の大幅な給付改善によりまして財源率の増加が見込まれるほか、これまでの給付改善によってもかなりの不足財源が生じておりますので、年金財政の健全な運営をはかる観点から、今後、国の共済とそのほかの共済組合制度における検討参考といたしまして、関係者の意見をも聞きつつ、掛け金率のあり方、公的援助措置等の年金財政に関する諸問題について慎重な検討を加えていきたい、こう考えております。
  232. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 慎重な検討では、これら団体の要求にこたえることがなかなかできないわけですけれども、そこで、さらに政務次官にお尋ねします。  農林年金については、社会保障制度審議会が去る四十九年二月二十一日に開かれておりまして、「元来財政基盤に問題があるうえに、今回のような大幅な改正措置や今後における通算年金拡大等を併せ考えると、将来の財源について確たる見通しを立て、これに応ずる計画を策定することが必要不可欠である。」と、このように指摘をしておるわけです。これはもうすでに指摘されておるわけですから、政務次官もよく御承知だと思いますが、これに対しては率直にどう考えておられますか。御答弁いただきたい。
  233. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のような答申が今年の三月二十一日に社会保障制度審議会から出ているわけでございます。その内容は、今回の改正は一応評価できるということのほかに、御指摘のように、農林年金につきましては、「将来の財源について確たる見通しを立て、これに応ずる計画を策定することが必要不可欠である。」というふうに指摘をされておるわけでございます。私どもも、先ほどお答えしたと思いますけれども、四十四年度末現在におきます財源率の洗い直し以来、相当大幅な制度改正をいたしておりますので、不足財源等につきましても相当増加しているものと思いまずし、したがって、財源率掛け金率等も、従来の計算方法でいくならば相当大幅に増高せざるを得ないというふうに考えております。それではやはり組合員の方々の掛け金負担能力というものも考えなければならないので、先ほどもお答えしたとおり、特段のことがなければ四十九年度末現在で再計算をいたしたいと思っておりますので、その結果を踏まえまして、先ほど政務次官がお答えいたしましたとおり、国庫補助充実等もあわせ含めて、また、他共済制度の対処のしかた等も参考としながら、抜本的な対策を講ずるつもりでございます。
  234. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点は重要なことであるから、十分検討して対処してもらいたい。また、政務次官も努力していただきたいと思うのです。  それで、さらに政務次官にお尋ねしますけれども財政健全化及び組合員掛け金負担軽減をはかるために、先ほども局長から、私学共済の例に準じ、都道府県から財政援助を受けるためのことがいろいろと答弁がありましたが、この問題は団体から強い要請がなされておるし、また、けさほど、冒頭に、野党四党の修正案を提案いたしました際にも私は申し上げたわけですが、ぜひこの点は修正したいということで申し上げるのでありますけれども私学共済と同様の組合の業務に要する経費について、都道府県補助することができるというふうな規定をぜひ入れていただきたい。  今回はぜひこれをお願いしたいと思っておるわけで、これは公開の席で本法を提案している立場から、即座にずばりとは答弁ができないかもしれないが、私たちは強く修正を当局に求めておるわけです。こういったことについて、政務次官も本法に対する検討をいろいろなさったと思うが、あなたの見解はどうであるか、修正をする考えがあるか、その点をお答えいただきたいと思います。
  235. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  農林年金につきまして、組合員掛け金負担軽減をはかるために、私学共済と同様に都道府県補助導入することにつきましては、農林省としましても、関係省協議を行ないました。私学共済については、都道府県補助が行なわれていることを理由として、公共団体が行なう教育を私学が肩がわりしていることに着目をし、施設費人件費等の補助をともに行なわれているものであると理解をされております。  農林漁業団体について、都道府県補助導入することについてどういう理由づけを行なうか、また、補助に伴う都道府県財源措置をどうするか等の問題があって、遺憾ながら、まだ協議がととのっておらぬのが現状であります。今後とも、この問題につきましては、関係の省とともに十分協議検討してまいりたいと考えております。
  236. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 遺憾ながら、まだ協議がととのっていない、関係各省とも十分協議をしていくというような答弁でありますけれども、これは、もう一つは、当局のほうが怠慢なのですね。こういったことはもう常に団体がたびたび要望していることでありますが、本法の提案にあたっては、こういったことについては当然改正して出すべきだったと思うわけです。まことに残念に思う。いずれにしても、これは当委員会理事会で、明日の委員会審議中に検討いたしまして、修正案を持って当局といろいろ折衝したい、かように思っております。  そこで申し上げておきますが、この農林年金財政問題については、本法の中心的な問題でありますので、この点の締めくくりとして政務次官にさらにお聞きしますけれども、御承知のように、財政健全化の方途としては、一つには国庫補助の増額をするということ、二つには掛け金の増額、三つには経営努力をすること、こういったことがあげられるわけですけれども掛け金の増額はもうすでに限界に来ていることは十分皆さん方も御承知のとおりです。それじゃ経営努力はどうかというと、すでに財源が二千億を使われているということからも、経営努力も期待はなかなか望めない状況である。そうなれば、農業団体の要望にこたえ、また、いわゆる国の第一次産業を担当して、いまピンチに立っている農業団体職員のこういった要請にこたえるためにも、何としても国庫補助の増額を期待する以外にないというのが現状であります。  以上のような点から、国庫補助という問題についてはさらに検討していただきたいと思うわけですが、政務次官は、本法提案にあたって、この財政健全化の問題の締めくくりとしてどういうような決意で臨んでおられるか。今後変動する農業問題をかかえており、また、給与が一般に対して低いと言われているところの、たいへん重要な第一線に働いている団体職員に対して十分こたえて、今後わが国の農業の発展に資すべきであると思うのですが、その点についてさらに決意を承っておきたい、かように思います。
  237. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、農林年金は相互組織年金制度でございますので、給付内容改善すれば、普通にはその掛け金率が上がるということになるわけでございます。ただ、御指摘のとおり、農林年金掛け金率は、ほかの共済制度に比べますと、すでに高位の水準にあるわけでございますので、これ以上組合員負担を増高するということも非常に問題があるというふうに私ども考えております。それじゃ、あとは年金にたまっております財源の運用によって利差益を生み出すということも一つの方法でありますが、これも長期間続けて高金利に回すということも必ずしも容易なことではない。したがって、ということで、国庫補助の増額というような議論になるわけでございますが、この点につきましても、やはり、他の共済制度とのバランスその他の問題があるわけでございます。ただ、私どもは、農林年金財政健全化のために、組合員掛け金負担を増高しないとか、いろいろ制約を課せられた中での作業でございますので、非常に困難な問題ではございますが、何としてでも知恵を出しまして解決をしなければならないものというふうに考えておりますので、農林年金だけで対処し得ないことがあるならば、他の共済制度の対処のしかた等も参考にいたしまして、私どもといたしましては、次の財源計算を機にいたしまして、できれば健全化のための抜本的な対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  238. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次の機会には十分考えるということでありますが、これは各団体も、また、われわれもたびたび強い要請をしてきた問題で、局長も率直に、財政健全化の方途は国庫補助の増額にしか道がないということは認められておられるようでありますので、きょうは農林大臣はおいででありませんけれども、大臣にも当委員会内容等を十分報告していただきたい。たびたび貴重な時間を費やして質問をしても、また、年々審議をしても、なかなかそのあとが見られない。先ほども政務次官からいろいろ答弁がありましたが、ことしは新規に見るべきものがないという状況で残念でたまりませんので、ひとつ強く検討をされて対策を立てていただきたい、かように思うわけです。  そこで、次の問題ですけれども既裁定年金の額の改定についてお尋ねしますが、私が率直に申し上げたいことは、既裁定年金改定について、これを法制化すべきではないかということを申し上げたいわけです。このことについては、たしか七十一国会で附帯決議がなされておるわけでございまして、この問題もたびたび論議をしてきたところであります。すなわち、厚生年金は、昨年の改正の際・物価が五%以上変動した場合、その変動に応じ自動スライドさせる方法導入しているわけであります。農林年金の場合は、政府の公的年金制度調整連絡会議で結論が出ないまま、事実上公務員給与の上昇率にスライドさせる方法がとられております。すなわち賃金スライドでありますが、こういったことでたびたびこれは問題にされ、附帯決議をされているわけですけれども、これはもうこの時点で当然法制化すべきではないかと思うのですけれども、この点はどういう検討をされて今回の本法提案になっておるのか、今後の見通しはどういうふうに考えておられるのか、その点を明確にしていただきたいと思う。
  239. 岡安誠

    岡安政府委員 すでに先生も御承知のとおりでございますけれども農林年金既裁定年金改定にあたりましては、ここ数年国家公務員の平均賃金アップ率を基準にいたしまして改定を実施いたしているわけでございます。これを賃金スライドと言うかどうか多少問題があると思いますが、そういうような実績がすでに重ねられているということもまた事実でございます。ただ、制度として、厚生年金物価を指標とする自動スライド制導入が行なわれているのに対しまして、農林年金におきましては、そのような自動スライド制導入が行なわれていないという点が問題ではなかろうかというふうに考えております。ただ、自動スライド制を法制化するにあたりましては、厚生年金のように物価を指標とするか、それとも、各種共済組合制度のように、国家公務員の賃金のアップ率を指標とするかというような問題もなお今度は残ります。さらに、スライド制導入するというにあたりましても、各種共済制度にはそれぞれ共済制度の内部にかかえました問題もございます。  そこで、いま直ちに、すでにある程度の実績があるから自動スライド制導入すべきであるという議論につきましては、やはりなお検討を要する事項があるとお答えせざるを得ないわけでございますが、この辺につきましては、これも先生指摘のとおり、相当長い期間をかけました懸案事項でもございます。  そこで、現在、この点につきましては、社会保障制度審議会におきまして、自動スライド制という基本問題につきまして早急に検討を加えて結論を出すということになっておりますので、それらの結論を待って対処をいたす心算でございます。
  240. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 審議会の答申を待って早急に結論を出すということであるようでありますが、ぜひこの点は法制化ができるように、当局も積極的な検討をお願いしたいということを重ねて強く要望しておきます。  そこで、今回のこの既裁定年金の問題で改正案を見ますと、厚生年金保険法による年金額改定措置との関連において、厚生年金の額を改定する自動的改定措置が講じられる場合には、農林年金の場合にも、当該措置を参酌して、政令で定めるところにより年金の額を改定するというようになっております。御承知のように、厚生年金のほうは、すでに八月一日に繰り上げられておる。よって、農林年金も、今回の本法によると十月一日ということに施行がなっておりますけれども、八月一日に当然すべきではないかと思うわけです。もちろん、それは本法が通過して制定された暁のことであるけれども、そういった点はどういうふうに考えておられるか、この機会にお伺いしておきたいと思うのです。
  241. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、今回の改正案の附則の第八条に、厚生年金において物価スライドによる年金額改定が行なわれた場合は、それにならって政令により年金額改定する旨の規定を新しく設けているわけでございます。私どもは、今回厚生年金年金額改定が行なわれました場合には、その改定の金額並びに改定の時期等を考え合わせまして、通算退職年金最低保障額につきましては、厚生年金改正内容並びに改定の時期に合わせて農林年金につきましても適用をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  242. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本法通過後は、要するに、厚生年金に準じて八月一日にする、こういうふうに理解していいということですか。
  243. 岡安誠

    岡安政府委員 もう一度申し上げますけれども通算退職年金と、それから最低保障額の算定にあたりまして、厚生年金改定内容並びに厚生年金改定の時期に合わせて実施をするということでございまして、よけいなことでございますけれども退職年金その他の実施時期を繰り上げるということではございません。
  244. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、これは重要な問題なんだが、いま聞いておられて、要するに、先ほど申し上げましたように、厚生年金の額を改定する自動的改定措置が講じられる場合には、農林年金の場合にも、当該措置を参酌して政令で定めるところにより年金の額を改定する、と、こういうようになっておるわけです。農林年金の場合にも、「当該措置を参酌して政令で定めるところにより」という、この辺がなかなかわかりにくいような書き方になっているのですが、一説には、恩給法で一括改正の話なんかもあるやに聞いておるのですけれども、それらを含めて、山本政務次官はこの点についてどういう見解をお持ちであるか、その点を政務次官からお答えいただきたい。
  245. 岡安誠

    岡安政府委員 先生のいまの御質問は、恩給法、国家公務員共済制度等とからめての御質問だとするならば、農林年金について、退職年金等のベース改定の実施時期——これは御提案内容では十月というふうになっているわけでございますが、厚生年金が八月に繰り上げられた、それと合わせて農林年金退職年金等の改定実施時期を繰り上げられないかという御質問だと思いますけれども、これは先ほど申し上げました附則八条とは違った問題でございまして、まず、政令では対処できないで、本法を直さなければできないということが一つございます。  それでは直したらいいじゃないかという御質問になろうかと思いますけれども、これは先ほどの御質問にもございましたとおり、厚生年金物価スライドという制度をとっている関係から、最近のような異常な物価の高騰に対処いたしまして、大体一六・一%と予想されるアップ率をできるだけ早く実施をするという趣旨から繰り上げがきめられたわけでございます。  ところが、農林年金におきましては、まず、物価スライドではなくて、先ほども御答弁申し上げましたとおり、国家公務員の賃金アップという率を基準にいたしまして改正をしておりまして、一五・三からさらに積み残し分を加えれば、二三・八%に及ぶような改正をいたしております。さらに、十月の制度改正実施時期におきましては、既裁定年金ベースアップのほかに各種改善措置もあわせ実施をするということにいたしておりまして、それらの諸改正のアップ率は、モデル計算ではございますが、大体前年対比四二%ぐらいのアップになるというふうに考えているわけでございます。そういたしますと、これは、厚生年金が時期を繰り上げたからといって、直ちに農林年金改善措置の実施時期を繰り上げるべきものというふうには必ずしもならないのでございまして、こちらのほうはほかの共済制度、たとえば国家公務員制度等の実施時期と合わせて実施するたてまえにいたしておりますので、農林年金だけ繰り上げるというわけにはまいらないというふうに考えております。
  246. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長の答弁が何となく歯切れのいいところと悪いところとあって、ちょっと判断できないところもあるが、いずれにしても、本件については、けさ冒頭に修正案を私が提案しましたように、別途修正案をいろいろ検討いたしておりますので、本委員会の間隙を縫っていろいろ折衝に当たりたいと思っておりますので、これ以上一応詰めないことにして、次の問題に入りたいと思います。  次は、一つの問題として、通算退職年金改善問題がございます。これは今回の改正で若干前進を見ていることも承知しておりますが、その中で、通算退職年金について、この中に遺族年金制度がないのが問題である、と、かように私は指摘するわけです。遺族年金創設の要望が団体からも例年強いわけでございますが、ちなみに申しますと、遺族年金は通算年金の二分の一であるから、金銭的には低いけれども制度的にないということが問題であるということを昨年の七月四日の委員会でも私指摘をしたわけでございますがが、この点はいまもって改正されないけれども、今回の本法提案にあたってどういうように検討されて、将来はどういうふうに考えておるか。その点、検討の過程と将来の考えを明らかにしていただきたいと思います。
  247. 岡安誠

    岡安政府委員 通算退職年金は、先生承知のとおり、各種年金制度を渡り歩くといいますか、その方々に対しまして支払われる年金でございます。そういう制度に対して遺族年金を設けるべしという御意見は、確かに従来からございまして、政府としても現在検討中でございます。  ただ、検討に時間がかかっております理由を二、三申し上げますと、まず、各種制度の間におきまして、第一には受給資格が発生する期間につきまして相違がございます。それから、遺族の範囲につきましてもそれぞれ違いがあるようでございます。そういうような各種年金制度についてのむずかしい問題がございますので、現在まで解決を見ないことははなはだ遺憾でございます。ただ、この問題につきましては、厚生省を中心といたしまして、関係各省も寄り寄り協議をいたしておりますし、厚生大臣も真剣にこの問題には取り組みたいという御答弁がすでにあったようでございますので、私どもも、厚生省を中心として、なるべく早く結論が出るように努力を続けたいと、かように考えております。
  248. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、退職年金等の最低保障額の引き上げの問題について若干お尋ねしたいのですが、まず、旧法の年金者の適用者数はどのくらいおりますか。
  249. 岡安誠

    岡安政府委員 四十二年度末でございますが、農林年金の受給権者の総数は三万二千五百六十二人ということになっております。そのうち旧法年金を受け取っている方々の数は二千十九人で、その内訳は、退職年金を受け取っている人が二百九人、障害年金が二百七十四人、遺族年金が千五百三十六人ということになっております。
  250. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この退職年金等の最低保障額の問題もいろいろ問題があるわけですね。一つには、最低保障額の引き上げについては、恩給最低保障額の引き上げに準じて引き上げられたもので、改善されているとはいうものの、その体系はきわめて複雑なものとなっております。特に、障害、遺族年金については、期間要件を設け、がんじがらめになっておりまして、非常に複雑になっております。二つには、旧法の年金にかかわる最低保障額を新法の水準との均衡を考慮して改善することとなっておりますが、昨年の当委員会附帯決議指摘しておるわけですが、これらが改善されていない。さらには、新旧の差別撤廃が委員会審議を通じて強く指摘されてきたところでもございます。四つ目には、最低保障額設定の趣旨年金の公平性から見れば、これまた問題があるわけです。こういったいろいろの複雑性に問題点があるわけですが、これらの問題を是正せねばならぬ。午前中の質問でも、実に複雑だということで、もっとわかりやすくしろということに対して、パンフレットをつくってこれらの問題についてわかりやすく指導、徹底をするというようなこともいろいろ答弁されておったようでありますが、要するに、最低保障は、新旧とも絶対に一本化すべきではないかというように私は考えておるのですけれども、この点については当局はどういうふうに検討されておりますか。
  251. 岡安誠

    岡安政府委員 ちょっと先ほどの答弁の訂正をさせていただきたいと思いますけれども、四十二年度末現在の数字と申し上げておりましたならば、これは四十七年度末現在の数字でございますので、訂正させていただきたいと思います。  いまの御質問で、旧法、新法を通ずる制度としての、最低保障とおっしゃいましたけれども内容は絶対保障の額だというふうに理解いたしますけれども、絶対保障につきましては、御指摘のとおり、新法、旧法ともに同じ適用を受けております。ただ、御指摘のとおり、農林年金におきましても、恩給制度改善にならいまして、これは他の共済制度同様でございますが、退職年金については、年齢の区分といいますか、年齢による差がございますし、障害年金遺族年金につきましては、そのほかに勤務年数による差も設けられております。これは一見複雑になっておることはいなめないわけでございますけれども、これはやはり経緯がございまして、まず、最初に、恩給につきまして、七十歳以上の受給者につきまして絶対保障額の制度が設けられまして、それを六十五歳に下げる、さらに額も増額をするというような経緯があるわけでございます。年齢の区分等につきましても、もちろん、上に合わせればきわめて簡単ではございますけれども、やはり、従来から制度改善を加えてまいりました経緯等を考えますと、一挙にこれらの区分を撤廃するのはいかがかと思いますし、特に、これは、農林年金だけでそのような制度をするのはほかの共済制度等とのバランスを欠くことにもなるわけでございます。要は、簡単にすると申されますけれども、結局は、絶対保障額を引き上げるということが眼目であろうというふうに考えますので、今回も大幅な改善をいたしておりますけれども、今後の経済情勢等の推移によりましては、私どももこれはさらに増額の方向で検討をいたすつもりでございます。
  252. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 絶対保障額については、当局もすでにいろいろ検討しておられると思うが、今後ともさらに検討して、団体の要請にもこたえていただきたいと思います。  次に、平均標準給与の算定方法改善の問題でございますけれども退職時前三年の標準給与の平均から一年の平均と改められたことは、一歩前進であるということで、私たちも一応評価ができるわけですけれども、公共企業体の共済では、すでに以前から退職時の給与を算定の基礎として、特に有利な制度となっておりますけれども、これにならって、機会を見てさらに改善をはかることをぜひ当局は考えていただきたい。また、その用意があるかどうか、このことをお尋ねするわけです。  すなわち、農林年金も公共企業体と同じく退職時の給与を算定の基準とすることが必要じゃないかと思うのです。このことも検討しておられると思うけれども団体側からの要請も強いわけでございますし、われわれもこれをかねがねから当局に要請をしておるわけですが、これについてもどういうふうに検討されたか、また、どういうふうな将来の用意があるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  253. 岡安誠

    岡安政府委員 年金額の算定の基礎となります平均標準給与の算定方法につきましては、御指摘のとおり、今回退職時前三カ年平均を一カ年平均ということにいたしたのでございます。その理由は、最近におきます経済情勢の著しい変動を考えますと、なるべく退職時に近い給与水準を反映をするということが望ましいわけで、そのような措置を講じているわけでございます。  それに対しまして、公共企業体共済は同じように最終給与にしてはどうかという御指摘でございますが、最終給与にいたしますと、たとえば、これはあり得てはいかぬことだと思いますけれども、運用上、退職のときの直前に特別昇給を行なって退職をしてもらうというようなことが行なわれますと、そういうことをしないような方々との不均衡、不公平等が生ずるおそれが多分にあるわけでございます。そういうようなことをチェックするような方法がなければかえって問題ではなかろうかというようなことも考えられます。  なお、それでは公共企業体共済と不均衡ではあるまいかという御指摘につきましては、これはもちろん共済制度とは多少違った制度でございますけれども、公共企業体におきましては、ほかの事業体と違いまして、退職金につきまして若干カットをするというような措置もあわせ行なわれておるというように聞いております。したがって、これは公共企業体共済とのバランスだけを考えて措置はできないものでございまして、やはり、先ほど申し上げました不公平、不均衡が生ずることがないような措置は何かということ等々もあわせ検討しなければ、直ちにお説のような措置はとり得ないというふうに考えております。
  254. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 年金給付を有利にするための給与のかさ上げ申請でございますが、これにはあまり触れたくない気持ちもあるのですけれども、本法審議にあたって、今後のために一応当局の見解をお聞きしておきたいのです。  逆選択をする者に対する歯どめの問題ですけれども、この規制をどういうように考えておられるかという問題でございます。すなわち、今回、一年間となったので、年金掛け金が若干高くなりますけれども、今回の制度を利用して逆選択をするというようなことになってはいろいろまた問題が起きるのではないか。すなわち、給与のかさ上げ申請をしてくる者が出てくるということになるといろいろと歯どめを考えなければならぬ、と、こういうふうにも思うわけです。いわゆる悪用されるということになっては問題も起きてまいりますので、本法審議にあたって、当局はこういった点はどういうふうにチェックをするお考えであるか明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  255. 岡安誠

    岡安政府委員 これは、御指摘のとおり、年金計算基礎となります標準給与の額を最終給与としないまでも、退職時前一年間の平均給与といたしましても、もし、退職間近になりまして特別の昇給その他が行なわれれば、お話しのような不公平、不均衡の弊害が生ずるわけでございます。この点につきましては、現在の法律の二十条第十項に、標準給与の算定が著しく不当である場合には農林年金理事長がチェックできるというような規定がございます。私どもは、この規定を活用いたしまして、農林年金の当局とも十分協議の上、御指摘のようなことが行なわれることによる不公平、不均衡は当然是正をしてまいりたい、かように考えております。
  256. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が迫ってきたので、あとははしょって若干お尋ねしますので、簡潔に要領よくお答えをいただきたいと思います。  いまの問題について、給付額の算定の基礎となる標準給与の月額に関しての政令規定が設けられることになっておりますけれども、その政令規定をどういうふうに考えているか、また、その手法はどういうふうになっているのか、明らかにしてもらいたいわけです。すなわち、政令に委任することになっておりますので、その点どういうことを考えておられるか、要点を簡潔にお答えいただきたい。
  257. 岡安誠

    岡安政府委員 これは退職時前一年間の標準給与の平均をいたす場合におきまして、退職時のいかんによりましては不均衡が生ずるおそれが十分あるわけです。退職時の前または後にベース改定があった場合、非常な相違が出てくるわけでございます。そこで、私どもは、政令の規定によりまして、退職時一年間の中で行なわれました給与改定につきましては、その本俸相当ベースアップ分につきまして、標準給与改定をいたします。加算をするわけでございますけれども、加算による改定をすることによりまして、退職時のいかんによる不均衡は是正をしてまいるつもりでございまして、その具体的内容につきましては、現在大蔵省とも協議中でございます。
  258. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省は大蔵省にはいつも弱いから、そういった意味でもきょうは大蔵省にも来ていただきたかったのですけれども、冒頭に申しましたように、時間が流動的だったためにきょうは呼ばなかったのですけれども、ぜひ強力な折衝をして、要請にこたえていただくように強く要望しておきます。  そこで、遺族年金の扶養加給制度創設問題の中で、今回は加算の対象が子供に限られておりますけれども、その理由は何ですか。
  259. 岡安誠

    岡安政府委員 これは、子供のある妻、またはきょうだいをかかえた遺児等につきましては、特に手厚い措置が必要であるというような考え方からとられた措置でございます。このことは農林年金だけではございませんで、国家公務員共済等、各共済制度共通の措置でございまして、私どもも、この措置の範囲の拡大等につきましては、他の制度と共通の問題として、将来の検討にいたしたいというふうに考えております。
  260. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 他の制度と共通の問題として考えるとおっしゃるけれども、何も他の制度ばかり対象にしなくても——政務次官、あなたもだんだん年をとってこられるわけだが、農林漁業団体等を見た場合に、せっかくの改善策であるから、おじいさんだとかおばあさんだとかいう方も当然対象にしてやるという、あたたかい血の通った改正がなされるべきじゃないかと私は思うのだが、政務次官はこういった点についてはどう思われますか。あたたかい気持ちでこういったことを当然考えるべきだというようにお思いになりませんか。どうですか。
  261. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、今回、子についての扶養加算が新設されるわけでございまして、これが父母に及ぶということは望ましい形でございます。また、ぜひそういうふうにありたいと思っておりますけれども、これはやはり他制度とのバランスというものも考えざるを得ないと思いますので、その方向で検討させていただきたいというふうに考えております。
  262. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 せっかく政務次官に年輩だからお聞きしたのに、局長が答えたので、それでは政務次官に次のことをお尋ねします。  老齢者等の遺族年金等の改善についても、本法の改正にあたっていろいろと論議するところでありますが、この特例措置によりまして、加算は一・四四となっておりまして、新法の加算額一・五にほぼ近いものに改善されてはおりますが、七十歳以上の者等に限定されておるわけですね。なぜこれを七十歳以上に限定したのかという点と、七十歳以上がどのくらいおるかということと、さらには、この老齢者等の退職年金等の問題で、七十歳以上に限定するのであれば、新法と同率の一・五にしてやればいいじゃないかというふうにわれわれは主張しておるわけです。まことにやり方が小さいといいますか、みみっちいやり方であるというふうに指摘せざるを得ません。七十歳以上はおそらくごくわずかであると私は思うのですが、この点について、政務次官はどういう御見解をお持ちであるか、お答えをいただきたい。
  263. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 お答えいたします。  ただいまの問題については、私個人といたしましては、御質問のとおりだと思います。すなわち、七十歳以上という一つの制限を設けたり、また、そのほかの、三百分の一というような問題は、当然将来修正さるべきものだと私は考えております。また、そう希望しておるわけであります。  ただ、現況におきまして、他の法律恩給関係あるいは共済年金というようなものがそういう形になっております関係上、農林関係だけをどうこうするということは、他の年金そのほかとつり合う必要があるのだという理論も私は十分了解できるわけであります。その点については、将来ぜひとも改正をしていただかなければならぬ問題の一つであると私は強く感じておる次第でございます。
  264. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官はそういうふうに感じておられるそうですから、将来といっても、将来もずいぶん長いわけですから、七十歳以上の問題については、早い機会にぜひ改正されるように強くお願いをしておきます。  局長、この七十歳以上はどのくらいおりますか、その点だけちょっとお答えいただきたい。
  265. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金の旧法適用者のうち、退職年金適用者は二百九人でございますが、そのうち七十歳以上は十人未満程度じゃなかろうかというふうに考えております。
  266. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、昨年の七月四日に当委員会で私は質問をして、新たな問題として提起をした問題ですが、それは農林中央金庫の農林年金加入問題でございます。  この問題についてもいろいろ論議をしたところでありますけれども、昨年度農林中金は五十年の期限が切れて永久法になったわけです。農林中央金庫法の改正にあたっても数時間にわたって当委員会で論議をいたしてまいりましたが、農林中央金庫が五十年の時限立法からいよいよ永久法になったこの機会に、農林中央金庫の農林年金加入という問題は当然すべきだということを指摘しましたが、ようやく今回その検討がなされて、前進をしてまいったのであります。当時、私の質問に対して機内農林大臣は、「これは冷静に考えまして、農林年金の対象団体であるかないか、いまにわかにはっきり申し上げかねる点があると思うのであります。そもそも農林年金の対象団体を見まするに、農林漁業者による自主的なものであるということは否定ができないと思うのであります。そして農林中金の過去の経緯からいたしまして、特殊法人であったとかあるいは現に政府機関的な色彩は薄れたとはいいながら、なおそこに実質上たとえば金融引き締めなんかの場合に農林中金を中心に考えるというようなことなどもございまして、なかなかこれはむずかしい御質問をちょうだいしておると思います。私としては農林中金自身がよく検討いただきまして、いま御質問のような御趣旨で農林中金もいこう、こういうことで農林年金対象団体だというような結論が出てくれば出てきたでこれを否定する要素はないと思うのでありますが、いまこの際に右か左かはっきりお答えするには、少しくまだ条件が明白でない、このように見る次第でございます。」と、答えておられる。そのほかに、大和田説明員または内村政府委員等からいろいろと答弁をいただいております。昨年、これはけしからぬということで、いろいろと私は提案をしてまいったわけでありますが、今回の本法改正にあたって、農林中央金庫並びに農業信用保険協会の加入問題が具体化してまいっておりまして、これは別途いろいろ検討いたすことにしておりますが、農林中央金庫の農林年金制度への加入をはかることは、農業団体との一体感をさらに強化し、相互の人事交流をはかる上でも欠くことができないことは、もう申すまでもございません。農林中央金庫は農林年金掛け金並びに給付金等の送金については全面的に委託を受けており、農林中央金庫と農林年金とは、その業務を通じて一体関係にあるわけでございまして、これは当然のことであります。  この際、農林年金対象団体役職員と同様の充実した老後保障のもとで系統金融業務に邁進できるよう、農林年金加入を特に切望したいということが、昨年の私の質問に対して農林中央金庫側から要請書が届いておりますが、そういったことを踏まえまして、当然のことでありますが、この点については、まず当局はどういうふうに受けとめておられるか、簡潔にまずお答えをいただきたい。
  267. 岡安誠

    岡安政府委員 農林中央金庫と農業信用保険協会を農林年金の対象団体とするということにつきまして、まず、両団体の適格性といいますか、それにつきましてはまず問題はないというふうに私どもは考えております。  ただ、この両団体につきましては、現在、厚生年金に入っているわけでございますので、農林年金対象団体になった場合には厚生年金の対象団体からはずれまして、こちらへ移るというようなことになるわけでございまして、やはり、厚生年金農林年金との範囲の調整の問題ということになるわけでございます。そうなりますと、農林年金の対象団体というものははたしてどこまでが限界であるのかというような問題もございまして、私どもは、両団体の加入につきまして厚生省といろいろ折衝いたしたわけでございますけれども、残念ながら、この改正案提出する時期までに意見の合致を見なかったので、今回の改正案から漏れているわけでございます。  私どもといたしましては、両団体とも、農林年金の対象団体として適格であるというふうに考えております。
  268. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林中央金庫も農業信用保険協会も農林年金の対象団体として適格であるということでございまするが、そのように明快に答えていただいたので私も意を強くしたわけですが、それはそれなりに私も認め、ぜひそういうふうな扱いをしていただきたいと思うのです。  そこで、局長からそのような明確な答弁があったので、一回質問を遠慮しようかと思ったけれども、この際、明らかにしておきたいと思う。  すなわち、農林中央金庫は特殊法人だ、すなわち中金が自主的な団体ということである、こういうふうにおそらく当局は認めておられると私は思うのですが、その点はどうでしょうか。さらに確認をしておきます。
  269. 岡安誠

    岡安政府委員 私が、先ほど、両団体とも農林年金の対象団体として適格であると申し上げましたのは、必ずしも不適格ではないという趣旨で申し上げたわけでございます。と申しますのは、農林年金の対象団体とはいかなるものであるか、どういう限界を持つべきであるかという点につきましては、なかなか議論のあるところでございます。まあ、従来から民主的な団体であるとか、政府出資がないとか、その他いろいろなことが言われておりますが、それにつきましても、抽象的な議論はできましても、具体的な問題として白か黒かということをきめるにあたりましては、現任の農林年金の対象団体の中にもいろいろな性格の団体があるわけでございます。  そこで、先ほど私が申し上げましたとおり、必ずしも不適格ではないけれども厚生年金から農林年金に移るというにあたっては、農林年金対象団体の限界いかんという基本的な問題が別にあるわけで、そういう問題の詰めなくしては、まさに両団体厚生年金対象団体であるべきではなくて、農林年金団体であるべしというような結論が出ないということを申し上げたわけでございます。いろいろそういう問題がございますので、政府が今回の改正案を御提案するまでに結論を得られなかったというふうに申し上げたわけでございまして、あまりむずかしい議論をいたしますと、必ずしも明快な答弁ができかねる点もあることを御承知いただきたいと思っております。
  270. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ものはついでにお聞きしておきますけれども、農業信用保険協会は、これはいま局長がいろいろ答弁されたようなことだと思うのですが、はたして自主的な団体であるかどうかというふうなことはいろいろあると思うのです。われわれもまた別途当局と検討したいということでいろいろと準備をしておるわけでありますが、この農林中央金庫のほうはまず心配はないのではないか——昨年度の農林中央金庫法の改正のときから私もいろいろと検討しましたが、まず心配はない。ところが、農業信用保険協会のほうは、これが対象になるということになると、将来、蚕糸事業団とか競馬会にしても——野菜安定基金協会とかいろいろあるわけですが、いろいろ疑義が出てくる。そうなると、今後大蔵省折衝その他でこういった問題がどういうふうなことになるか。また、その解釈、歯どめというような問題が心配されてくるわけですけれども、ついでにその点について、ここで答弁ができる範囲でちょっとお聞きしておきたいと思います。
  271. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、農林年金の対象団体の範囲というものにつきまして、どういう基準によってその範囲を明らかにするかという問題は、これはきわめてむずかしい問題でございます。もちろん、これは一応の線を画しまして、これは右、これは左ということは簡単でございますけれども、過去の経緯等を考えますと、一度引かれた線が将来とも妥当するということには必ずしもならないわけでございます。  御指摘の農業信用保険協会につきましては、たとえば役員の選出方法とかその他につきまして、農林中央金庫とはいろいろ違う面もございますけれども、しかし、農業信用保険協会のメンバーである都道府県の農業信用保証基金というようなものはすでに農林年金の対象になっているというような経緯もあるわけでございますし、また、出資の状態、役員の選出方法その他をしさいに検討いたしますと、すでに農林年金の対象団体とされているものの中にも多少毛色の違ったものもございます。それらをつまみ出したり排除するということが、農林年金の今後のあり方を考えた場合にはたして適当であるかどうかというようなことも、対象範囲を確定する場合には考慮されなければならない問題だというふうに考えております。  したがって、いろいろ経緯はございましょうが、私が申し上げましたとおり、現在、農林省といたしましては、この両団体については、農林年金の対象団体から除外すべし、不適当であるというような結論には必ずしもならないという趣旨で申し上げたわけでございますので、御了承を得たいと思います。
  272. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は一応お聞きしておきます。  そこで、農業信用保険協会のほうはおおむね五十一名ぐらいだというのですが、農林中央金庫のほうは約三千人が該当者ということになります。私の見当では、十月一日現在で在職する者で、しかも平均三十万円を一時金払いとしてつなぎますと、大体三、四割の年金アップになるのではないかというふうに思うのですが、組合から八億をいわゆる掛け金の積み不足として持ち出し、事業負担として二分の一を農林中央金庫が出すということになろうかと思うのですが、大体そういうことでございますか。その点、当局はどういうふうに掌握しておられますか。
  273. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、農林中央金庫の職員は約三千名でございますし、農業信用保険協会の職員は約五十名足らずでございます。かりに両団体農林年金の対象団体となる場合には、先生指摘のとおり、少なくとも従来これらの職員厚生年金に払っておりました掛け金と、それから農林年金に入った場合に支払うべき掛け金との差額につきましては、納付金として事業主並びに職員から徴収をして、農林年金基金のほうにお払い込みをいただかなければならないということになるわけでございます。いろいろこれは計算方法がございまして、先生の御指摘の数字になるかとも思いますが、まだ正確には計算をいたしておらないわけでございます。
  274. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この問題については、昨年指摘してようやく日の目を見るような段階になってまいりましたので、こういったことについての当局の努力をぜひさらにお願いし、要望にこたえていただきたいと思います。  最後に一点だけお伺いして、本法に対する私の質疑を終わりますが、これは政務次官にお尋ねしたいと思います。  すなわち、しばしば論議してまいりましたところですが、昨年来本法の改正にあたって要請をしておる団体職員の待遇改善問題でございますけれども、これが一般の諸君に比してなかなか問題であります。すなわち、農林年金組合員給与というものは一番低位にありますし、人材確保の上からもこれらが大きな障害になっております。他の共済制度年金の支給額においても格差があるというふうなことが指摘されておるところでありますが、いずれにしても、待遇改善の問題については当局も十分対処していただきたい。今後の農政の大転換にあたって、重大な問題として検討を進めていただきたい。農林大臣にも、こういったことについて当委員会でも論議があったということでぜひ要請をお願いしたいと思うのです。  その点について今後どういう決意で臨もうとされておられるか、政務次官の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思うのです。
  275. 岡安誠

    岡安政府委員 農林年金組合員であります農林漁業団体職員給与水準が、ほかの各種共済組合組合員に比べまして一般に低いことは御指摘のとおりでございます。私ども、この給与改善につきましては非常に関心を持ち、また、改善方につきましてできるだけの御援助、御協力を申し上げてきたわけでございますが、幸いにいたしまして、最近の農林漁業団体職員給与の伸び率は、ほかの共済組合の組合員給与の伸び率に比較しまして若干高い伸び率を示しておりますので、格差も漸次解消されつつあり、今後も解消の望みがあるというふうに思っております。  ただ、これら職員の待遇改善の基本は、農林漁業団体経営基盤の確立ということが第一に必要でございます。そこで、私どもは、従来からこれら団体の合併を推進いたしたり、また、役職員の研修の強化をはかったり、また、監査等の指導を通じまして経営改善等をはかってきたわけでございまして、今後ともそれらを中心といたしました援助措置は強化をしたいと思っておりますが、やはり、基本は農林漁業団体自身の力、自身の努力にまたなければならないところがたくさんございます。私どもはそういうような努力に対する援助は惜しまないつもりでございまして、一日も早く他の共済組合の組合員給与水準が比肩できるような状態が来るように一生懸命努力をいたしたい、かように考えております。
  276. 山本茂一郎

    ○山本(茂)政府委員 ただいま局長から述べました趣旨につきましては、農林省としてはそのとおりに感じておりまして、御趣旨のほどは十分了解いたしました。努力を続けたいと思っております。
  277. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。
  278. 安田貴六

    ○安田委員長代理 次回は、明八日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十八分散会