○美濃
委員 そうすると、糖業はあなた方に遠慮をしてそれを言っていないんだろうと思うが、これはあくまで
価格が
前提となります。そういうことはあり得ないことでありますけれ
ども、たとえば現在の
価格で据え置いたとしたら、
てん菜は崩壊します。これは
酪農と同じですね。五〇%の
作付を出ません。据え置いたとしたら、もうほとんど
作付がなくなってしまいますね。たとえばこの前もサトウキビのときにいいましたが、
農林水産委員会で八重山群島とか宮古島へ行ったら、もう
生産量は復帰前の半分ですからね。
砂糖畑に雑草がはえて、サトウキビは半分荒廃しておるわけだ。同じようになりますね。そういう
状態が起きてからでは、去年のサトウキビの
価格はかなり前進的な政策をとったけれ
ども、特にサトウキビというのは
作付が多年性の関係もあり、片や放棄して出かせぎに出ておるわけでありますから、
生産需要というのがもとへ直らぬのですね。そうすると、甘味対策とかあるいは国内
農産物の
需給の向上とかと言ったって、そういう政策のアイデアとうらはらに、どんどん国内
生産は減退して、そうして優良農地が荒廃していく。これは現実に現象が起きておるのですな。われわれ現場を見てきたわけで、ない話を言っているわけじゃないのです。私一人じゃございません。当時の
委員長以下、各党数名の
委員が行って確認してきておる事項であります。そういう現実が起きますよ。
そこで、このパリティの問題でありますが、この
価格はパリティを
基準にするという
法律でありますから、私はパリティをたてまえにしてお聞きしたいと思いますが、過般出ました甘味資源審議会の資料等によってみましても、四十年から四十八年については、四十年の一年間の平均パリティ指数が一五九、四十八年は一月から十二月までの平均パリティ指数が二六〇、この九年間に指数にして一〇一上がっておる。それで先ほ
どもお話がありましたように、
価格決定のときにパリティで
計算するところには矛盾がある、パリティそのものは安い
価格しか算出されないという、その指数すら抑制しておるのじゃないですか。私が一〇一の上昇指数で
計算すると、ことしきめる
価格じゃないですよ、四十八年の
てん菜価格は一万四百八十円と決定されてあるべきであった。特にものすごく
物価上昇で変動してきたから、乳価と同じように私
どもは
生産者
価格を年度内改定をやれと、この
委員会で要求をしたけれ
ども、
政府は実現をしなかったということですね。去年の
生産者
価格は年度内改定を必要とする条件下にあった、こう言えると思うのです。だから私
どもは、年度内改定をやれという要求をしたわけです。再告示をやりなさい、実情に合わない
価格である。で、ことしの
政府試算のパリティが出てきてみて私
どもの要求は正しかった。九年間のパリティを通算して掛けたら一万四百五十円だ。それに対してさらに、この資料には昨年の一月しか出ておりません、二月、三月は出ておりませんから、一月のパリティを対比してみると、四十八年一月パリティは二三六、四十九年一月パリティは三〇二ですね。この一年間にものすごい石油
問題等も加わって、
物価狂乱、そういうものが全部加わって実に三〇二です。
〔山崎(平)
委員長代理退席、
安田委員長代理着席〕
これは過去九年間は、一年間にパリティ指数にして一〇ないし多い年で一三ぐらいの上昇であったけれ
ども、ここへ来て、四十八年一月と四十九年一月対比の中で六六も一挙に上がっておる。過去の五年分ぐらい上がっておるということですね。過去九年間の五年分ぐらい一挙にパリティ指数がはね上がっておる。これはものすごい。もうこのとおりだと思うのです。指数からいうなら、この指数は正しいと思うのです。とにかく過去五年分のパリティ指数が、一年間の対比の中で一挙にはね上がってきておる。
それから先ほ
ども統計のほうと話しましたけれ
ども、依然として問題は、パリティの指数よりも
価格要件から、
農家が所得を得る手段として
耕作ができないという原因が起きてくるのは、やはり私は
労働評価にあると思う。四十年もニコヨン賃金です。私
どもはもうずっと、ニコヨン賃金でどうするのだということは、
価格政策に入ると毎年言っておることなんです。ですから四十年当時からこれが他産業
並み労賃、いわゆる五人規模以上製造業労賃で
生産費が
計算されて、それにこの上がるパリティが
法律上あまり参酌事項を入れないで、特に
経済事情を参酌しておるわけですが、そういう参酌事情を強く働かさぬで、すなおにパリティを掛けてくれば、私はパリティでも、今日のような
生産破壊の現象が起きるような、もう
農家がその作目を選択して所得が得られないから生活ができないという現象は起きないと思うのです。いままでの
価格決定のときには、ものすごく安いいわゆる雇用労賃で
計算した
生産費、パリティ指数すら抑制をするわけですね。ここで私が過去九年間の修正をすればそうなる。本年度あらわれておるハリティをそのままに掛けて、そうしてことしの決定はさらにもう
生産規模も——私は崩壊が起きたら早いと、こう申し上げたのは、前は
生産戸数が多かったわけです。いま
てん菜は、昨年は六万一千ヘクタール余の
耕作でありますけれ
ども、四十四年と四十八年の四年間対比の中においても、四十四年は
てん菜を
耕作した戸数は三万八千八百戸、四十八年は二万六千六百七十戸ですね。これはこの資料で言っておるわけなんです。あなた方が出しておる資料なんです。そうすると、一万二千百三十戸減少しておる。一戸当たりの
作付面積は、四十四年の一・五一ヘクタールから二・三一ヘクタールと
拡大されておる。この
経営が大型化していくということは、ものすごく機械の設備投資が伴いますから、たとえばアメリカ
農業を基本にとってみると、アメリカ
農業は、いわゆる
労働費以外の
農業生産の必要経費というものは七〇%、そのかわり
面積が大きいから、比率は低くても大規模
経営ですから、その三〇%の所得というものは大きいですね。ECを調べてみると、
面積が小さいですから、大体必要経費五〇、
労働費五〇というような
計算体系になっておるようですが、規模
拡大をすると投資が伴って、
コストが下がるかというと、規模
拡大の措置は、土地購入に対する資本利子あるいは機械を導入した利子で、
労働時間は短縮されても、
コストはあまり下がらないわけですね。
経営費の増大によって
コストは下がらないわけです。規模
拡大をした直後というものは非常に高い
コストになっておる。ですから対応ができない。
価格政策がその背景をしてやらなければ
経営持続の対応性に欠けてくるわけです。
このことは、たとえば
労働費五〇%、必要費五〇%ですと、
農家ですから、多少生活をしますとすれば、また食料や何かの自給要素もありますから、低
農産物価格に対して、全然安いものじゃだめですけれ
ども、政策収奪をやられて、理論
計算から見ると——また一面
生産性も低いですから、手
労働になって、オートメーションの工業過程の
生産等から見ると、
生産性比較ではかなり低いですから、とてもオートメーション化した工業の規模の
生産性からずいぶん——
農業、第一次
生産と工業過程と完全比較をすべきものではないけれ
ども、そこで五人規模以上製造労賃が適用できないという政策上の問題も出てくるでしょう。そういう段階においては低
農産物価格に対してがまんできる対応性もある。しかし、そのことが今日離農を促進してきたということ、対応性の限界を越えてどんどん離農してきて、その離農したあと地を引き受けて大型化してきておる。開発されて大型化したよりも、離農によって大型化してきておるわけですね。開発された分は少ないわけです。
そこで、資本構成がなって、先ほど申し上げたように資本構造が条件になってきておりますから、ここでこれだけ大型化して、たとえば
昭和四十八年度において、四十年当時は十アールにすれば八十時間、
ヘクタール当たり八百時間を要しておった
労働時間は、機械化、大型化によって五十時間をちょっと切ったんですね。四十八時間ぐらいでしょう。五十時間はちょっと切れた。まあ五十時間と言ってもいいですね。そのくらい合理化してきておるわけですね。それにはものすごい資本投資を伴った。ただ昔と同じ手
労働でやって、十アール当たり省力化ができたというのじゃない。そうすると、そこまで
生産性をあげてきたんですから、
労働費は、ここまで
農業の規模が
拡大し、
生産性があがると、やはり私はここでもう五人規模以上の労賃を、少なくともあの
農業基本法というものを
農民殺しの
法律でないというのであれば、一番強くあの
農業基本法でうたっておるのも所得均衡です。この段階で他産業との所得均衡の政策をとるべきである。雇用労賃ではだめだ。私は
統計の——私のところの組合員ですよ。自作
農家に聞いたら、しゃにむに書かされるというのですね。この付近の臨時雇用賃金を書きなさい、あなたのところで雇っていなければ、隣で雇った臨時雇用賃金を聞いて書いてくれ、こう言うから、
統計情報事務所の言うとおり書いて出しております。その臨時雇用賃金というのは、
てん菜耕作地域においては町の奥さん方にこれは頼みに行くわけです、除草がどうしても足らぬから来てくれといって。何も持たないで、町の奥さん方がいささか出て働けば家計費の足しにもなるし、それよりも強く頼まれるから、それなら私でもよければ行きましょうか、たいした仕事はできませんよ、あなた方の半分もできませんよ、よろしゅうございますか。それでもいい、とにかく除草をいまやってしまわなければどうにもならないんだから……。こういう賃金なのであります。それを
調査して、この労賃でいいんだというのが、いままで公表されている
生産費であります。それをまた皆さん方は、これを決定のときには、
てん菜の四十八年の
生産費はこれですとまことしやかに振りかざすわけだ。これだけしか
生産費はかかっていない。あの振りかざす
生産費というものではやれないですよ、こんなもので。
たとえば
てん菜を十ヘクタール
耕作するとなると、大体五千時間ですね。十ヘクタール
作付したと推定した場合ですよ。そしてあの
生産費で出てくる、いまおそらく加工乳も八〇%があの
北海道ですから、二百八十五円というのは
てん菜のほうの収録と、乳価のほうの収録と、二円や三円は違って出てくるかもしれませんが、おおよそ同じものが出てくると思う。どうですか。五千時間の
労働時間といったら他産業の倍ですよ。他産業の倍働いて、やっと百万の所得しか保障されないというようなもので、どうして
経営がやれるのですか。最近
北海道の保健所が農村婦人を健康診断してみたら都会の御婦人よりも十年間早く老化しておるんだな。十年間も老化が早いというのは何なんだ。過重
労働ですね。ですから、
てん菜耕作者はもう疲れてしまったということですよ。ですからここでやはりそういう面を解消しなければ、もう
作付は崩壊しますよ。普通の手段では崩壊します。いままでのようなあんな
生産費を、これが
てん菜の
生産費だなんて、事務
当局が正面に、これが
価格決定の資料ですなんて——あの中の資材だとか、肥料代だとか、収録されておる面は参考に使ってよろしゅうございます。家族労賃評価等について、これが
生産費だといってあれを振りかざしてことしの
てん菜価格が決定するとするならば、
てん菜耕作は崩壊してしまう。沖繩の八重山群島のサトウキビの二の舞いになるでしょう。あるいは麦とか
大豆とかに
奨励金がついて、休耕すると有利な
作物もありますから、一面、荒廃しない畑はそれにかわっていきます、
ビートをやめて。それでいいのかということです。それが糖業政策なのか、甘味資源対策なのか。どういうふうにお考えになっておりますか。これは
審議官なり事務
当局の答弁でよろしい、あなた方が、まずいまやることですから……。