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内村(良)
政府委員 まず、第一に、海洋法
会議の議決のやり方が全会一致になるのか、あるいは三分の二の特別議決になるのかという点でございますが、
先生御
指摘のように、六月からベネズエラのカラカスで海洋法
会議が始まるわけでございますけれども、そこに至るまでにおきまして六回の準備
会議を四十五年以降やっております。しかし、そこでも表決方式については話がついておりません。したがいまして、カラカスの
会議が開かれました場合において、少なくとも
最初の二週間ぐらいは、そういう表決その他の
手続問題に費やされるのではないかというような見通しになっているようでございます。そこで、先進国の多くは、こういう領海の幅員といったような大問題は全会一致でやるべきであるということを主張しております。これに対して、
開発途上国の多くは三分の二の特別議決、あるいは単純多数決ということを言っている国もございます。と申しますのは、最近は
開発途上国の数が非常にふえておりますから、特別議決のやり方あるいは単純多数決でやったほうが
開発途上国の主張を通すには有利であるというような背景もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、
最初の二週間ぐらいはそういった問題でもめると申しますか、いろいろ議論されるだろうということになっておりますので、これについてもどうなるかということは、
会議のことでございますから、ただいまのところなかなか予見しがたい問題でございます。しかし、いずれにいたしましても、過去六回の準備
委員会で話がつかなかった問題でございますから、なかなかむずかしい問題でございます。
それから、海洋法
会議全体について、一体カラカスでまとまるのかどうかという点でございます。この点も、これは国際
会議のことでございますから、ここでいろいろ
意見を申し述べることはなかなかできがたい問題でございますけれども、普通の国際
会議の場合には、さらに次の会場を予定しているということはまず大体ないわけでございます。ところが、この海洋法
会議の場合には、カラカスで話がつかなかった場合には、来年オーストリアのウィーンで
会議をやるという場所まできまっておるわけでございますから、その辺のところを考えれば、大体、まあ、ことしはなかなかまとまりにくいのではないかというふうに考えていいのではないかと思います。
それから、
開発途上国が二百海里に及ぶ経済
水域を主張しているということは御
指摘のとおりでございますが、そうなった場合におきましても、わが国といたしましては、一応
沿岸国のある程度の優先権は認めながら、わが国の実績というものを主張して
漁業をやらしてもらうようにする。特に、
開発途上国につきましては、
技術協力、資本協力等と結びつけまして、
沿岸国の
漁業の
発展を援助するということを大いにやりながら、同時にわが国の
漁場も確保していこうと思っているのであります。
それから、かりに二百海里経済
水域というものが認められたとすると、一番影響を受けるのはわが国の北洋の
漁業でございます。そこで、北洋となりますと、
関係国はソ連、アメリカ、カナダというような国でございますので、これは
開発途上国ではございません。そこで、今日までソ連とは日ソ
漁業条約、アメリカ、カナダとは日米加
漁業条約ということで、
漁業上かなり密接な
関係を持ってやってきているわけでございます。すなわち、日ソ
漁業委員会、日米加
漁業委員会というものがございまして、毎年一回年次
会議をやっておるというようなことにもなっておりますので、そういった実績を踏まえながら、北洋のわが国の
漁場をそういった
関係国と話し合いながら維持していくということでやっていかなければならぬというように考えておるわけでございまして、海洋法
会議自体、どうなるか帰趨が非常にはっきりしない。しかし、いかなる場合におきましても、わが国は
関係国と話し合って、わが国の実績を背景にしながらわが国の
沿岸漁業の
漁場を維持していくということに努力したいと思っておるわけでございます。