○芳賀
委員 私は、自由民主党、
日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、
農用地開発公団法案に対する附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
農用地開発公団法案に対する附帯決議(案)
政府は、国際的農畜産物の需給ひつ迫の動向等に即応して可及的すみやかに国内自給態勢の確立をはかるため、積極的に農用地の
開発を推進することとし、本法の施行に当つては、左記事項の実現に努めるべきである。
記
一、公団
事業の開始前にその
対象区域における
事業参加資格者の意向が十分反映するよう適確な
措置を講じるものとし、さらに適正な営農類型を策定して受益農民の完全な合意を得るよう努めること。
二、公団の行う農用地
造成事業を推進するため、その
対象区域内の
事業参加資格者と使用収益権者の間の円滑な調整につき、都道府県知事による適切なあつせん、調停等が行われるよう指導するとともに、必要があるときは農地法の未墾地買収等の適用を
検討すること。
三、農用地
開発の土地取得を円滑にするため、農地保有合理化法人等の先行取得及び
資金の確保等各般にわたる
措置を強力に講ずること。
四、公団の行う
事業の適正を期するとともに、
事業の推進及び
事業完了後の施設の維持管理及び営農に至るまで、国、地方公共団体及び農業団体等が一体となつて受益者等に対して濃密な
助成、指導が行えるよう体制の整備確立をはかること。
五、公団の行う
事業は、その
効果を早期に発現させるため、短期間に完工させるとともに、農民
負担の
軽減のため国庫補助率の引上げ、財政
資金の貸付条件の緩和等につき今後とも努力すること。
六、農地
開発機械公団から引き継がれる公団職員の処遇については、すみやかにその給与が他の
政府関係機関と均衡するよう
措置するとともに定員外職員の定員化等に努めること。
なお、公団の役員機構は極力簡素なものとすること。
右決議する。
以上であります。
この際、主要な点について趣旨の説明を加えたいと思います。
第一の、公団の
事業開始前の
対象地域における
事業参加資格者の意向の反映ということにつきましては、特に、この公団
事業の
対象となる土地は広大なる未墾地を
対象にして
開発を進めることになるわけでありますから、その前段において、土地に関する農地法第三条の規定に基づく所有権並びに権利
関係者についての完全な理解と同意が必要であると同時に、さらにまた、この特定地域において参加資格者として今後の造成地域において営農に精進する、いわゆる土地改良法第三条に基づく参加資格者等の事前の申請並びに同意の行為というものは、これは民意反映の上から見ましても当然行なうべき手続であるにもかかわらず、公団法の
内容においては、この明確な根拠規定というものが薄らいでおるということに問題があるわけでございますので、必ず知事が農林大臣に対しまして——特定地域における農用地の
開発事業について
事業実施方針を定める事前の
措置といたしまして、特に、土地改良法の第五条、第六条あるいはまた土地改良法の第八十五条等における
事業参加資格者に対する、そのまた権限を有する
関係者に対する全員の同意等については、事前に十分民意を反映する手続を完了して、しかる後に都道府県知事が農林大臣に対しまして、その特定地域について、適正な
開発事業に対する
事業実施方針を策定するようにつとめるべきであるという点をここに明確にしたわけであります。
さらに、また、造成された農用地に対して営農に参加する受益農民に対しましては、その地域に最も適合した営農類型並びに営農
計画というものを事前に策定して、受益農民が安心して営農にいそしむことのできるような合意体制を確立すべきであるということをここに明らかにしておるわけであります。
第二の点につきましては、この案文にも明らかになっておりますとおり、その
対象区域内の
事業参加資格者と使用収益権者の間における完全な権利の調整並びに同意を求める
意見の聴取行為等の点については、特に、農地法の第六条の規定を完全に準用する行政的な運用というものが必要になるわけでございますので、この点につきましても、特に、申し出を行なった知事の責任におきましても、これらの問題が同意に到達する過程において、必要な場合においては適切なあっせん、調停を知事が行なうとともに、最終的な勧告
措置としては、必要な場合には農地法第四十四条の規定に基づく未墾地買収等の適用を十分
検討する必要があるという点であります。
第三点以降は、特に詳しく説明を要する点はありませんけれ
ども、特に、本
法案におきましても、未墾地の取得行為等については、農地保有合理化法人の
機能等を十分発揮させるための
措置が当然必要であるという点についても、これを軽視しておるというふうに考えられますので、今後農地保有合理化法人が行なう
事業の中において、土地の取得に関する先行取得の問題、あるいはまた農地保有合理化法人の
機能を
充実するための
資金の確保等については、
政府として十分その
機能を発揮するように努力することを示してあるわけでございます。
第四点の問題については、
法律を制定しましてから公団の行なう
事業の適正な運営につきましては、特に、農用地が造成されたあとの採草放牧地等については、事後の施設の維持管理等が重要であることは言うまでもありませんので、この維持管理及び営農に関する点につきましても、国、地方公共団体はもちろん言うに及ばず、地元の農業団体等においても一体となって、受益者農民に対して濃密な
助成と指導
措置が行なわれるよう万般の体制を整備することを示してあるわけでございます。
第五の、公団の行なう
事業の
効果を十分に迅速に発揮させるためには、その特定
事業地域における全面的な工事の完成時期というものをできるだけ短期間に完了させるということは経済効率の上からも最も必要なことでありますので、これに対する
事業の促進を講ずるとともに、特に、
法案にもうたわれておるところの
事業参加者に対する
事業費の
負担あるいは特別徴収金の
措置等に対しましても、これを
軽減するために、国庫
負担あるいは補助率の
引き上げ、財政
資金の確保等に十分な努力を尽くして、受益農民の
負担の
軽減につとめるべきであるという点でございます。
第六番目は、農地
開発機械公団がいままでの
実施機関としての
業務を残り数年間で完了して新公団に引き継ぐことになるわけでありますが、その場合最も重要なことは、今日まで十数年の間営々として機械
開発公団の
事業に挺身された公団職員の引き継ぎ後の処遇の問題等についても、全員の雇用に対する安定
措置は当然のことでありますが、その給与体系につきましても、従来他の
政府機関、公団等と均衡を失するような賃金格差が見受けられますので、この点についても、新公団発足と同時にすみやかにこれを均衡するように
措置すべきであるという点と、もう
一つは、現在におきましても百五十五名に及ぶ定員外の職員をかかえておるわけでありますが、これらの職員諸君の処遇については、当然短期間に
計画を立てて、その
計画年次の中において定員外職員の定員化に十分努力すべきであります。
さらに、今度の
法案の
審議を通じまして、新公団の
理事長及び
理事並びに監事等の定数につきましては、従来の
開発機械公団に比べてやや人員が上回るという点が明らかにされておるわけでありまして、当然、これは、国の
負担、国民の
負担を通じて公団の役員の給与というものが支弁されることになるわけでございますので、世上天下り人事の批判等もあるときでございますので、この
理事長をはじめとする役員人事の問題等については、所管の農林大臣の責任において、新たなる
開発公団の
事業を全面的に積極的に
効果的に運営することのできるような最適な人事を行ない、その人員についても極力簡素なものにするように農林大臣においてつとむべきであるということをここに明らかにしたわけであります。
以上、決議案の趣旨について主要な点を申し述べたわけでございますが、何とぞ全
委員各位の御賛同を賜わりますよう
お願い申し上げまして、
提案を終わる次第でございます。(
拍手)