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1974-03-19 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十九日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    上田 茂行君       小沢 一郎君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木義武君       染谷  誠君    中尾 栄一君       粟山 ひで君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       美濃 政市君    諫山  博君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       稲富 稜人君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      杉原 真一君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         外務省欧亜局外         務参事官    加賀美秀夫君         農林大臣官房企         画室長     森実 孝郎君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 三月十四日  農林漁業団体職員共済組合法改正に関する請  願(湯山勇紹介)(第二五五三号) 同月十八日  昭和四十八年度生産者米価追加払い等に関す  る請願(安井吉典紹介)(第二七四九号)  農林漁業団体職員共済組合法改正に関する請  願(梅田勝紹介)(第二九五一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十八日  食糧の自給強化に関する陳情書外一件  (第二八七号)  昭和四十八年産米全量買入れに関する陳情書  外一件  (第二八八号)  農業委員手当増額等に関する陳情書  (第二八  九号)  農業生産基盤整備事業通年施行に伴う補償措  置に関する陳情書外一件  (第二九〇号)  休耕田の復元に関する陳情書  (第二九一号)  野菜の価格安定対策に関する陳情書  (第二九二号)  みかんの価格暴落対策に関する陳情書外一件  (第二九三  号)  農地の大幅転用方針撤回に関する陳情書外六件  (第二九四号)  山村地域農業基盤整備促進に関する陳情書  (第二九五号)  農林省関係補助事業事務費引上げ等に関する  陳情書  (第二九六号)  保証乳価引上げ等に関する陳情書  (第二九七号)  飼料の確保及び価格安定等に関する陳情書  (第二九八号)  林業振興に関する陳情書外一件  (第二九九  号)  海外農林業開発公団設立等に関する陳情書  (第三〇〇号)  学校給食用生乳価格の改定に関する陳情書  (第三〇  一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  漁業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第四九号)  漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法  の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)  沿岸漁場整備開発法案内閣提出第七〇号)      ――――◇―――――
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  漁業災害補償法の一部を改正する法律案漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案、及び沿岸漁場整備開発法案の各案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
  3. 今井勇

    今井委員 私は、ただいま議題となりました漁業三法につきまして、以下若干の質疑ををいたしたいと思います。  まず、最初に、漁業全般の問題について政府のお考えをただしておきたいと思いますが、資料によりますと、わが国の最近の漁獲量は約一千万トンでございますが、その内訳を見てまいりますと、沿岸漁業あるいは海面養殖等のものが全体の二五%、遠洋漁業あるいは沖合い漁業、いわゆる公海で操業いたしますものが七三%でありまして、これを年次的に見てまいりますと、昭和四十二年では前者が三二%であり、後者が六七%でありましたので、結局、沿岸漁業等がだんだんと数量が減ってまいりまして、一方、遠洋漁業等が羊の割合がふえてまいっております。ところが、沿岸漁業あるいは遠洋漁業とも、それぞれ問題点かかかえておるのであります。すなわち、臨海地帯都市化あるいは工業化等に伴います漁場環境の悪化であるとかいうふうなことで、沿岸漁業も最近は、先ほど申し上げたような割合に減ってきております。一方、また、遠洋漁業はどうかと申しますと、開発途上国を中心とします領海あるいけ漁業水域の一方的な拡大の動き、さらにはまた、第三次の海洋法会議の開催など、わが国を取り巻きます環境は、近海あるいは遠洋を問わず、それぞれきびしい面に直面をいたしておるというのが現実であろうと思います。  このような内外の問題に対処しまして、まず、農林省当局は、わが国漁業振興するためにどのような施策を講ぜられるつもりか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 わが国食品生活における漁業の占める割合は、ただいま御指摘になったように、動物たん白の過半数を占めるというような重要なものであります。ところが、いろいろな公害の問題をはじめ、遠洋漁業の制約あるいは石油値上がり等、非常にむずかしい問題が起きております。そこで、政府としては、今回お手元に提出をいたしました三法を成立さしていただいて、それらに対して積極的に取り組んでいく、これが基本姿勢であります。
  5. 今井勇

    今井委員 そこで、最近における一般的な物価の上昇に加えまして、例の四十八年末からの石油問題も漁業の問題に対してたいへん深刻な問題を投げかけております。すなわち、それは、漁業経営にとって非常に大きな資源と申しましょうか、材料と申しますか、燃料の問題であります。一方、漁網等のいわゆる漁具の代金も物価騰貴でたいへん上がってまいりました。特に、わが国漁業は、A重油に例をとりますれば、一千万トンの魚をとるのに約七百万トンの油を使っておるということであります。言ってみれば、油というエネルギーを使いまして魚というたん白質を得て、これが変化しますとまたエネルギーになりますが、七百万トンのエネルギーを一千万トンのエネルギーに変える仕事、その仕事そのもの漁業だというふうなことすら言われておるわけであります。したがって、この大もとになります漁船燃料が上がってまいりますことは、わが国漁業の問題に対してたいへん大きな影響を与えるものだと思います。  こういうふうな諸物価値上がり等について、農林省は、漁業経営安定対策というものに対して一体どのように考えておられるのか、考え方を聞きたいと思います。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 石油値上がり漁業に重大な影響を与えておるということは、まことにそのとおりであります。今回政府石油値上げを発表いたしましたが、ヨーロッパ等諸外国から見ればまだ有利性があるわけでございますが、しかし、相当大幅な値上げでございますから影響を免れるわけにはまいりません。したがいまして、石油漁網綱等石油関連資材の高騰によるところの漁業経営への影響ということについては、経営規模あるいは漁業種類によっていろいろとその支出割合が違っております。したがって、影響の度合いも、その種類等によって一がいに同じというわけにはまいりません。魚価の今後の動向いかんによるものでございますが、これは非常にむずかしい問題になってまいりました。したがって、この石油値上がりで、魚価がそれに応じて上がらなければ経営が非常に苦しくなるということが当然考えられるわけであります。この対策につきましては、まず経営合理化、コストの削減ということをやっていかなければならぬ。当面は資材価格凍結と申しますか、そういうように石油値上がりいたしましても、農林漁業に直接使われるものの価格については、できるだけこれを押えていくという方針で努力をしておるということであります。
  7. 今井勇

    今井委員 その問題はまた関連して後ほどお尋ねしたいと思いますが、そうやってとられました水産物たん白質でございますが、わが国でわれわれが食べておりますたん白質は、一人一日当たり植物性で四十四・七グラム、動物性で三十三・七グラムとわれわれは承知いたしております。この動物性の三十三・七グラムの中では、水産物畜産物とがいまちょうど約半分半分になっております。ところが、政務次官も御案内のように、この畜産物の問題につきましては、えさの問題が異常な値上がりをしてまいりました。しかも、また、このえさの原料と申しましょうか、穀物をつくっております世界の各国を見渡しましても、これを安定的に多量に輸入するということがだんだんと困難になっておるという実情は御存じであろうと思います。したがって、畜産物について、われわれのたん白質を今後飛躍的に自給度を上げて、その割合をふやしていこうということはなかなかむずかしかろうと私は思うのであります。  われわれのたん白質をふやすためには、水産物というものをもっとたくさんわれわれの食ぜんに供するというふうなことが今後どうしても考えなければならないものであろうと思いますが、農林省としては、今後の増大する国民のこのような需要に対しまして、供給一体どのように考えておられるのか。ただ量だけあったのでは実は困るのでありまして、その価格、その需給のバランスというものを含めて、現在どのように考えておられるのか、考え方を聞きたいと思います。
  8. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 確かに、たん白をとるということは非常に大切なことであります。いま、食料危機というようなことがよく言われておりますが、その中で、一つは、日本で非常にばく大な穀物等輸入しておる。何でそうなったかというと、一つは、動物たん白摂取が非常にふえた。ここ十年間で四倍以上に動物たん白摂取がふえた。したがって、動物たん白カロリーをとるためには、穀類カロリーカロリーを必要とするというふうなことから飛躍的に穀類輸入がふえたということだと私は思います。  そこで、漁業というものはその半分の割合を持っておるわけでありますから、これは穀類を伴わないでやっていける。日本輸入食料遠洋漁業がもし全部とまったとすればどれくらいになるかということを一応試算をしてみると、大体国民カロリーは千五百カロリーくらいになって、いまより千カロリーくらいはまさに落ちて、大体昭和二十三年ごろのカロリー計算になるんじゃないかということが言われております。したがって、国内でもっと動物たん白をふやしていくためにはもっと輸入しなければならぬということですが、いまでさえも輸入は非常にたいへんなもので、これ以上輸入できない。しかし、これを国内で全部つくらせるということになったらば、七百二十万ヘクタールぐらいの耕地をさらに造成しなければならぬ。現在五百万か五百何十万ぐらいだが、それの倍以上の用地を造成しなければたん白資源確保できないということになる。これも不可能に近い話であります。したがって、土地も要らない、えきも何倍も要らないという漁業振興するということは、国民たん白資源確保する上で非常に重要な問題でありますから、先ほども、言ったように、当面、今回の三法を提案して沿岸漁業整備開発をはかっていくとか、あるいは漁業者に対して資金の円滑な供給等が行なわれるようにするとか、あるいは貸し付けワクを拡大して大規模事業ができるようにするとか、そういうようなものを一体として漁場確保漁業生産量確保をやっていこうというのが基本的な考え方でございます。
  9. 今井勇

    今井委員 わが国の今後のたん白質確保し示す場合の水産物の占める重要性は、確かにおっしゃるとおりであろうと思います。そこで、先ほどは、わが国一千万トンの漁獲物の量で見ると沿岸遠洋とがどうであるかということを申し上げ弘のでありますが、これを生産額金額で置き直して見てまいりますと、遠洋あるいは沖合い漁業では、生産額で言いますと全体の五三%でしかありません。一方、沿岸漁業は、生産額でまいりますと四〇%です。すなわち、遠いところでとれます魚は、量は七三%ですが、金額でありますと五三%で、近間でとれます魚は、量は二五%にすぎませんが、金額でいきますと四〇%ということは、沿岸漁業でとれますものがわりあいと高価たものと申しましょうか、われわれの食ぜんをにぎわすいろいろのものがあるということで、また、遠洋でとれますものは、量のわりに単価の安いものということであろうかと思います。しかも、生だ、この沿岸漁業に従事をされております漁船の数は全体で三十四万八千隻ありまして、これは全体の漁船の九五%を占めております。また、経営体でまいりますと二十一万三千経営体で、全体の九六%です。また、就業者の数でまいりますと三十五万八千ということで、これまた全漁業者の七〇%というウエートを占めておるわけであります。したがって、私は、漁業の中でも、特に沿岸漁業に携わるこれらの大多数の方々の生活安定をはかり、この漁業振興をはかることが、わが国の現在当面しております問題としては最も緊急なことであろうという認識を持っております。だからこそ、今回それらの漁民に対して基盤整備を行なう、あるいは資金の手当てを行なう、また、一たん災害が起こった場合には、災害共済制度でそれも救うという、そういう三本立ての法案を用意されて、これらの漁民に対してあたたかい手を差し伸べようとしているのであろうかと思います。  そこで、きょうは順を追いまして、まず最初基盤整備の問題から取り上げてまいりたいと思いますが、法律案によりますれば、政府は、基盤整備につきまして計画制度を創設するということになっております。第一次産業の中でも、農業とか林業等につきましては、もうすでに法でそれぞれ基盤整備をすることが位置づけられておりまして、たとえば農業で申しますれば、土地改良法に基づきます土地改良計画というものがちゃんと法定されておるわけであります。ところが漁業では、実は、基盤整備につきまして固有の法律がありません。確かに、沿岸漁業等振興法を見てまいりますと、その第八条に「沿岸漁業構造改善事業」ということでうたってはございますが、これは構造改善事業構造物そのものだけではございませんで、そのほかのものもいろいろ規定されておるわけであります。したがって、今回のこの法律で、漁業に対しまして基盤整備計画的にやっていこうということはたいへん重要な進歩であり大事なことであろうというふうに私は思います。ところが、この漁業の場合には、ほかの農業とか林業等と違いまして、未知の分野が非常に多いわけであります。とにかく、海の中を泳いでおる魚の問題なのですから非常にわからない部分が多い。そういう海を対象とするものであります。したがって、生産目標とか事業効果なども非常に不確定要素が多かろうと思います。そこで、この法律にいいます沿岸漁場整備開発計画では一体どのようなことを定めようとしておるのか、また、一体何カ年計画ぐらいものを考えてやろうとしているのか、その中身について、まず政府考え方を聞きたい。
  10. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  沿岸漁業重要性につきましては、ただいま先生から御指摘のあったとおりでございます。そこで、農林省といたしましても、これまで、沿岸漁業振興につきましては、栽培漁業振興と、あるいはただいま先生から御指摘のございました構造改善事業というものを進めてきたわけでございます。しかしながら、今日漁業が当面しているいろいろな問題を克服し、さらに国民たん白質食料供給するというためには、沿岸漁場整備をやって沿岸漁業生産基盤整備をしなければならぬということが今回の法律一つ目的でございます。  そこで、沿岸漁場整備開発計画におきましては、漁船漁業振興のための魚礁設置、それから増殖漁場整備及び開発並びに浅海養殖振興のための養殖漁場整備及び開発を行なうとともに、最近公害等生産力の低下している沿岸漁場もございますので、そうした漁場環境維持保全をはかるというようなことを基本計画で定めまして、あわせて事業種類別地域特性に即応した事業実施方針を定める予定でございます。  次に、事業量につきましては、今後計画策定段階十分検討の上、事業種類別事業の性格及び事業内容等に即して事業量も表示することを考えております。  そこで、これをどのくらいの計画でやるのかということでございますが、御案内のように、四十九年度予算の中にいろいろな調査費を組んでございますので、都道府県に委託いたしましてまず調査をやり、その結果を見まして、五十年度から五十四年度までの五カ年計画を作成することを目途として現在鋭意準備を進めておるところでございます。
  11. 今井勇

    今井委員 そうしますと、現在、沿岸漁業等振興法の中でうたっております第二次沿岸漁業構造改善事業というのがありますが、その中の業種を見ますと、たとえば大型魚礁設置事業であるとか、あるいは浅海漁場開発事業であるとか、あるいはまた漁場造成事業というようなものが現に行なわれておるわけですね。しかも、計画の要綱によりますれば、四十六年以降九カ年間でやるのだと書いてある。今度の法案におきます沿岸漁場整備開発事業というものの中身を見ると、似たものがありますね。そうすると、片や四十六年以降水域まできめておりまして、百八地域でやると書いてあり、これは四十六年以降九カ年でやるのだ、片や、いま長官の話によると、五カ年計画をきめてやるのだということになると、その事業というものは一体どのように調整をするのですか。同じものが当然あるはずだ。先行している九カ年計画がある。後発する五カ年計画がある。その斉合性を保たないと、現場では混乱をするのではないのですか。それはどうですか。
  12. 内村良英

    内村(良)政府委員 沿岸漁場整備開発事業は、国みずからが沿岸漁場の大規模整備開発を志向いたしまして、基盤整備事業を推進するとともに、沿岸漁場の効用の回復のための漁場環境保全事業をやろうということでございます。一方、ただいま実行しております四十六年度からの百八カ所につきましては十二カ年計画でやることになっておりますけれども、沿岸漁業構造改善事業におきましてはいろいろ地域を指定しておるわけでございまして、その地域実態に即応して、漁場利用改善生産基盤整備開発経営近代化施設導入等を総合的に行なう事業でございまして、大型魚礁設置等沿岸漁場の大規模整備開発を志向した諸事業もこの沿岸漁業構造改善事業一環として行なわれておるわけでございます。  そこで、今日までの構造改善事業の推移を見ますと、地域実態に即してということもございますので、いわゆる上物と申しますか、共同利用施設的なものが非常に多いわけでございます。したがいまして、今度の法案におきましては、そういった上物は全く考えずに、その沿岸漁場漁場整備ということで魚礁設置その他を考えておるわけでございますが、そういった場合に構造改善事業とダブってくる面が全然ないかと申しますと、それはダブってくる面がございます。たとえば大型魚礁設置事業あるいは浅海漁場開発事業漁場造成事業等はダブってくるわけでございますが、国の考えております漁場整備開発事業ではきわめて大規模なものをやろうということを考えております。したがいまして、構造改善の中でダブってくるものも若干ございますけれども、規模拭非常に違うというふうな形になっているわけでございます。
  13. 今井勇

    今井委員 次に、この法案の中で言います特定水産動物育成事業についてお伺いしたいと思いますが、栽培漁業を本格的に推進しようということでこのような事業を考えられたのだと思いますが、私の聞くところでは、いまのところ、水産動物として、クルマエビとかマダイなどを考えておられるようですが、そのほかにどんなものを将立考えているのか。それから、もう一つ、これは「特定水産動物」と断わってありまして、「植物」がないのですが、これは一体どういうふうに考えておるのか。この二点を伺いたいと思います。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  14. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生案内のように、沿岸漁業振興につきまして、これまでいわゆる栽培漁業ということを振興してきたわけでございまして、この十年間に、魚介類種苗大量生産と、それを放流する技術開発にはかなり力を尽くしてきたわけでございます。その結果、ただいまお話しがございましたように、クルマエビにつきましては、すでにそれが事業化段階に達しておりますし、それから、マダイガザミについては事業化の見通しが立っておるわけでございます。したがいまして、とりあえずはそういうようなマダイクルマエビガザミというようなものをこの事業対象にするわけでございますが、今後の事業の推進につきましては、そういった種苗大量生産と、さらに放流技術開発というようなものが進んでいくものをどんどんこの事業の中に取り入れていきたいというふうに考えておるわけでございます。  次に、植物をなぜ取り入れなかったかということでございますが、ノリその他の水産植物は、いわゆる第一種漁業権対象生物として法定されておりまして、特定水産動物育成事業の中核となる組合員の自主的な採捕規制と同様な措置は、植物の場合には漁業権がございますので、漁業権行油規則入漁権行使の制定または変更という形で大体保護ができるのではないかということで水産植物は除いているわけでございます。
  15. 今井勇

    今井委員 次に、栽培漁業振興施設の問題についてお伺いしたいのですが、まず、最初に、昭和三十八年に瀬戸内海センターができて運営されており、また、四十八年には日本海岸、四十九年度では太平洋岸というふうに種苗センターをふやそうとしておられる。ところが、私がここで聞きたいのは、この法案では、その第十六条に、「栽培漁業振興」として、「国及び都道府県は、沿岸漁場整備開発事業及び特定水産動物育成事業実施水産動植物種苗生産施設整備運営と併せて推進することにより、栽培漁業振興に努めなければならない。」という、言ってみれば精神規定といいましょうか、訓示規定のようなものが一行あるだけですね。だから、国は、こういうふうな栽培漁業振興をはかるために、その施設を今後どのように一体つくっていくのか、たくさんできるその施設に対して、有機的な連係をどういうふうに考えるのか、また、その運用面一体どのように国が助成していこうというのか、施設をつくって、あとはかってにしろというのか、施設をつくるのと同様に、運用につきましても、国が助成をしていくつもりなのか、そういうふうなことについての見解をお聞きしたい。
  16. 内村良英

    内村(良)政府委員 栽培漁業振興一環といたしまして、種苗生産施設整備につきましては、先生案内のように、これまでも、沿岸漁業構造改善対策事業によりまして、増養殖用種苗安定供給をはかることを目的として整備を進めてきたわけでございます。また、沿岸重要魚介類対象といたします資源管理漁業システム目途といたします栽培漁業につきましては、御承知のとおり、国の瀬戸内海栽培漁業センターにおいて、関連技術開発並びにクルマエビ等種苗大量生産放流を行なってきたわけでございます。これらの事業を通じて得られました知見と技術の発展をもとにいたしまして、海域特性に応じた栽培漁業全国的展開をはかるために、御案内のように、四十六年からは栽培漁業に関する基礎調査を行ない、四十八年度五カ所、四十九年度七カ所の県営栽培漁業センターの建設に対し国は強力な助成を行なっているところでございます。  このような栽培漁業の全国化に伴いまして、国の瀬戸内海栽培漁業センターにおいては、従来どおり栽培漁業技術開発の中核的機関としての役割りがさらに要請されますので、これの一そうの拡充整備をはかり、同時に、瀬戸内海における魚類資源の涵養を目的とする種苗の量産、放流事業を進めるとともに、全国の県営の栽培漁業センターにつきましては、その整備状況を勘案しつつ、魚類を主とする資源事業規模における種苗生産と資源管理に必要な技術開発等に対し、助成を検討することといたしております。したがいまして、あくまで有機的な関連をある程度持たせながらこの事業の展開をはかっていきたいというふうに考えております。
  17. 今井勇

    今井委員 時間の都合もあるようでありますから、先へ進みますが、次は、金融の問題について質疑をいたしたいと思います。  漁業近代化資金制度というのは昭和四十四年に発足しております。その後融資ワクの経過を見てまいりますと、当初四十四年には百億であったものが、四十八年には五百五十億というふうに、非常に融資ワクそのものもふえておりますし、また、借り出しの金額もほとんど融資ワク一ぱいになっております。ということは、やはり、漁業者が長期低利の資金を受けるということをいかに熱望しているかということのあらわれであろうかと思います。ところが、最近の漁業者資金需要の中身をよく見てまいりますと、経営規模がだんだんと大きくなってきます。また、資材値上がりに伴います漁船の建造単価の値上がりというふうなことで、借ります金も大口化します。また、多様化をしてまいります。こういうことで、今の資金需要に対して適応できるように、どうしてもその内容を改めていかなければならぬというふうに私は思うのですが、今回の漁業近代化資金助成法改正中身で、そういった漁業者の熱望にどうこたえているのか、そこあたりからまず聞きたいと思います。
  18. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御指摘のとおりの趣旨に従いまして、今回の漁業近代化資金助成法改正案というものを提出したわけであります。  簡単に申し上げますと、今回の改正法の中身は、一つ資金種類の拡大ということでございます。これは、種苗購入とかえさ代というようなものはいままで対象になっておらなかったわけでございますが、こういうようなものを今度は対象に入れるというようなことであります。成育期間が通常一年以上である水産動植物種苗の購入あるいは育成に必要な資金等を近代化資金対象とする。具体的にはブリ、ハマチ、ウナギ、タイというふうなものが考えられるということであります。  第二番目は、貸し付け対象者の範囲の拡大ということでありまして、これは最近における漁業者等の経営規模がだんだん大きくなっている傾向にかんがみまして、漁業を営む法人にあっては、その使用する漁船の合計総トン数が三千トン以下というふうなことで、いままで千トンというのを三千トンというふうに大きくしたということであります。また、水産加工業を営む法人にあっては、常時使用する従業者の数を百人以下というように、これもまた大幅にしたわけであります。いままでは四十人以下というのを百人以下ということで、これを拡大した。  それから、三番目は、貸し付け限度額の引き上げということでございます。これは現行法では、漁業協同組合あるいは同連合会、水産加工業協同組合、また同連合会というものについて一億円以内となっておったものを三億円以内というように三倍に引き上げて、貸し付け限度を実情に合うようにしたということでございます。  第四番目の柱は、都道府県漁業信用基金協会への出資で近代化資金にかかわる分に対する助成措置を講じたということでございます。
  19. 今井勇

    今井委員 お説のとおり、今回の法案改正では、漁民の要求に対してだいぶこたえておられることは私も認めます。  そこで、問題になるのは基準金利の問題です。漁業協同組合等の融資機関に利子補給等を行ないます場合におきます基準となる金利が基準金利でありますが、ここで、問題は、最近におきます金融情勢の変化に伴いまして、公定歩合が再三にわたって引き上げられ、預金金利もこれに伴って高水準になっております。この一月には一年定期もので七・二五%にもなっております。これに対応して、漁業近代化資金のいわゆる基準金利は二月一日から九%に引き上げられております。これは今後の漁協系統金融機関の経営実態から見ると問題が非常にあろうと思いますが、そこで、一体今後どういうふうな見通しをされているのかということと、この場合、特に、府県に対します政府の利子補給の補助率あるいはまた府県の利子補給の補助率のあり方ですが、要するに国と府県とでそれぞれ持つわけですね。薄めるわけですが、そのあり方について一体どういうふうに考えておられるのか、基準金利に伴いまして、その二点をお聞きしたいと思います。
  20. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生の御指摘のように、非常に金利情勢の動きが早いというのが最近の経済の情勢でございます。したがいまして、そういった金融情勢下におきまして、近代化資金のような制度金融の金利というものは非常に大きな問題であることは先生指摘のとおりでございます。  そこで、漁業近代化資金につきましては、御案内のように基準金利が九%で、末端の貸し付け金利が年六%、共同施設につきましては七%になっております。これは四十四年度の制度発足時の金利と同じでございます。ところが、金融が緩和されました四十八年におきましては、四月に一律に〇・五%末端金利を下げて、同時に基準金利も下げたわけでございますが、再び金利が非常に上がってきたという金融情勢にかんがみまして、二月一日に一律にまた末端金利その他を〇・五%引き上げたわけでございます。そこで、それでは、原資が中金なり信漁連から提供されておるわけでございますが、原資の金利がどうなっておるかと申しますと、中金からの場合は八%、それから信漁連からのものは八・五%になっております。したがいまして、そこで基準金利が九%でございますから、そのような利ざやではたして経営ができるかどうかというような問題はございますので、今後、推移いかんによっては検討を加えなければならない問題とは思いますが、現在のところ、基準金利九%というのは、こういった制度金融におきましては最高の金利でございますので、当面改定することは考えておりません。  それから、さらに、利子補給は国と県でやっておるわけでございますが、これをふやしたらどうかという御質問だと思いますけれども、その点につきましても、現在のところふやすことは考えておりません。
  21. 今井勇

    今井委員 ただいまの政府の利子補給の問題、それから府県のいまの利子の補助率のアップ、これは長官の答弁でわからぬでもありませんが、金利負担を幾らかでも安くするということは、零細なる漁業者にとってたいへんな福音でありますから、今後とも努力を願いたいと思います。せっかくこういう制度をつくりましても、それがうまく運用されるかされないかは、そういった金利負担の多寡によるものが非常に多いわけでありますから、今後とも努力を願いたいと思います。  次に、近代化資金と保証制度の問題なんですが、農業では、近代化資金制度及び保証制度につきまして、両方とも昭和三十六年に発足しております。その発足当時から農業信用基金協会に対します都道府県の出資で、近代化資金にかかわるものについては国が助成をしております。ところが、漁業におきましては、中小漁業融資保証制度は昭和二十七年に発足して、ややおくれまして四十四年に近代化資金制度ができておりますが、今回初めて農業と同じような措置をしようとしておるわけですね。一体どうしてそんなに漁業農業とに差があったのか、そこらあたりの実態からまず説明していただきたい。
  22. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、漁業近代化資金制度ができましたのは昭和四十四年でございます。その当時は近代化資金のワクも非常に小さかったわけでございます。初年度は半年であるということもございまして、融資ワクが百億であったわけでございます。一方、漁業農業と違います点は、漁業の場合には昭和二十七年から中小漁業融資保証制度がございまして、その当時すでに十五年の歳月が経過しており、出資額も七十億に達していたわけでございます。そういった特別会計による融資保証制度がございますので、近代化資金の発足にあたりましては、保険料率の引き下げ等の措置を講じて対応してきたわけでございます。しかしながら、御案内のように、近代化資金のワクは年々伸びてまいりまして、四十九年度では融資ワク七百億を予定しておるわけでございます。そこで、ここまで漁業の近代化資金が育ってまいりますと、近代化資金の融通の円滑化をはかって、それによりまして漁業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化を進めるわけでございますが、そうしたことを考えた場合に、融資保証保険制度につきまして農業と同じような改善措置が必要ではないかということになりましたので、今般改善措置をとった次第でございます。
  23. 今井勇

    今井委員 おっしゃるように、だんだんと貸し付け額もふえてきて問題が多くなったので今回そういうふうにしたのだということでありますが、確かにそのとおりでありましょう。だからこそ、最近の漁業をめぐります非常な急激な情勢の変化に対応して信用の補完制度を改善しようということから、例の中小漁業融資保証保険制度問題検討会というものが昭和四十六年に設けられて、四十八年の三月に報告書が出ていますね。この報告書は読みましたが、今回の中小漁業融資保証法改正の中で、その報告書の内容が一体どのように取り込まれて、どのように反映されているのか、それについての政府考え方を聞きたい。
  24. 内村良英

    内村(良)政府委員 検討会におきまして検討され、改善の必要があると報告されました会員資格の範囲の拡大、保証対象資金の拡大、漁業近代化資金制度との連係、基金協会に対する低利融資及び道府県の基金協会への出資に対する国庫補助等による県の基金協会の保証能力の拡大及び経営基盤の強化、国の特別会計で行なっている保証保険の改善、基金協会に対する低利融資及び融資保険の業務を行なう法人の設立等の事項については、そのほとんどが今回の制度改正に盛り込まれているわけでございます。したがいまして、結論的に申しますと、中小漁業融資保証保険制度問題検討会で検討された事項のほとんどすべては改正案に盛り込まれております。
  25. 今井勇

    今井委員 ただ一つ盛り込まれていないものがあるのではないのですか。たとえば検討会の報告事項のうちで不振協会の問題があったと思うのです。不振協会に対します助成措置、これについては一体これからどういうふうに対処しようとしておられるのですか。
  26. 内村良英

    内村(良)政府委員 確かに報告書の中で不振協会に対する助成措置がうたわれているわけでございますが、まず、第一に、不振協会という定義の問題でございます。どのような協会が不振協会か問題があるわけでございますが、常識的に考えまして、代位弁済が多額となり、その資金に充当するために出資金の一部を取りくずしているような協会も若干ございます。そういったところが大体不振協会になるのではないかと思いますが、これらの協会に対しましては、まず、事故防止対策等の指導を行なうと同時に、新しく法律が通りましたならば、創設を予定しております中央漁業信用基金からの低利融資の貸し付けの場合に特別の配慮を行なう。すなわち、資金的手当てをいたしまして、いわゆる出資金の一部が代位弁済等に充てられて資金不足になっているような協会に対しては、そういった形で援助していきたいというふうに考えているわけでございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 今井勇

    今井委員 この不振協会の問題については、確かに、いまの答弁のとおりいろいろな問題があることは承知いたしておりますが、これを放置することはできない大問題であることはこの報告書にもちゃんと書いてありますし、今後政府でなお検討を進められて、その措置が一日も早くとられるように希望しておきます。  次に、中小漁業融資保証法改正につきまして、改正後の仕組みと、それから農業の同じような制度との比較をしてみますと、農業の場合には、都道府県の基金協会お保証を保険する業務と、この基金協会へ保証能力の拡大のための低利融資をする業務と、農林中金の貸し付けについて保険をする業務というものが中央の農業信用保険協会で一元的にされております。ところが、漁業の場合には、国の特別会計と、今回新設が予定上れております中央漁業信用基金とにこれが分離去れて二つになっておりますが、一体、今回できなす中央漁業信用基金でなぜこれを一括してできないのか、農業でやっていることが漁業でできないのか、そこらあたりは一体どういうふうな理由があるのか説明を願いたい。
  28. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 農業の場合は、まさしくただいま御指摘のとおりになっております。どうして農業と一緒にできないのだというお話しでございますが、現在、国の特別会計は、漁業信用基金協会の保証債務を保険する業務を行なっております。これは国が全面的に保険責任を負うことが制度として担保されておる。結局、特別会計ですから、国が全面的に保険責任を負いますということになっておる。これを中央漁業信用基金に委譲するという場合には、国が全部責任を持つというメリットがなくなってしまうという点が一つ。さらに、現在の漁獲の大幅な変動、公害の発生等の不安定な漁業情勢のもとでは、信用の補完の強化が必要ではないかということであります。だから、国の特別会計の業務を中央漁業信用基金に委譲するには、資金の面で相当大幅なてこ入れをしなければならぬ。国のほうは特別会計でやっているから相当かなりなことができますが、漁業信用基金に委譲すると、基金はそんなに力がない。だから、相当大幅な資金面でのバックアップをしなければならぬ。そのほか、保証保険の制度の弱体化を防止するというくふうが必要だと思います。だから、いま直ちに国の特別会計の業務を中央漁業信用基金に委譲するということはあまりメリットがないのじゃないか。非常にむずかしいのじゃないか。このことは、水産業及び金融の学識経験者で構成をしておる中小漁業融資保証保険制度問題検討会というのがありますが、この検討会が四十八年の三月に出した報告書にも同じようなことを実は言っておるわけであります。なお、これと関連いたしまして、四十九年度において、特別会計の問題も含めて、中小漁業融資保証保険制度全体について総合的な検討を行なうためにいろいろなことをもう少し調べてみようということで予算を計上しておるということで、永久にこのままだというわけではありませんが、当面このほうがいいじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  29. 今井勇

    今井委員 そういたしますと、いまの中央漁業信用基金が今回漁業信用基金協会に低利の資金を貸し付けておりますね。そういう業務がなされることによって漁業信用基金協会は一体どんなようなメリットを期待しておられるのか。これはたぶん保証の能力の拡大であるとか、保証に対する積極性だとかをねらっておられると思いますが、具体的に政府の考えておられる効果と申しましょうか、それを説明してもらいたいと思います。
  30. 内村良英

    内村(良)政府委員 基金協会の債務保証額は出資金の大体十七、八倍でございますが、そういう方法で各協会ごとにきまっておるわけでございます。したがいまして、代位弁済をせざるを得ないことになりまして、代位弁済をいたしますと、先ほどもお話し申し上げましたけれども、出資金が減少するという場合があるわけでございます。そうなりますと元金が減りますから、直ちに保証能力の減退となりまして、それを補うためには追加出資が必要になってくる。追加出資になりますと、漁業者とかその他の漁業の法人から出資しなければならぬ——地方公共団体がございますけれども、必要になってくる。さらに、協会の収入も、この出資金運用収益に依存する面が大きいものでございますから、協会としては業務費が困るという面があるために代位弁済をおそれまして、十分なる保証業務をなかなか積極的にやらぬというような面がございます。したがいまして、協会の代位弁済にあたりまして、必要な資金を低利で貸し付けるということになりますと、業務自身が円滑に行なわれますし、出資金の減少による協会の保証能力の減退を防ぐことができますと同時に、一方、業務面の経費に対する心配もある程度なくなりますから、協会も保証業務に積極的になるというような面があるわけでございます。さらに、また、代位弁済に要する資金の貸し付けとは別に、近代化資金等の保証付き融資の額の増大をはかるために、基金協会が中央基金から借り入れた資金を金融機関に預託するための資金を低利で協会に貸し付けますと、これによりまして保証付き融資額の増大がはかられるばかりでなく、借り入れが低利になるということがございます。そこで、預金金利差が協会の収入として協会の経営の基盤の強化になる面もございますし、場合によっては保証料率の引き下げというようなことにも使われるというようなことで、信用能力自体が拡大するという効果が非常に大きいわけでございます。
  31. 今井勇

    今井委員 そうすると、具体的に伺いますが、本年度発足いたしましてから、この中央基金が漁業の信用基金協会に一体どのくらいの金をどのくらいの率で——低利と言いますが、どのくらいの率で貸す予定なのですか。それはわかっておりますか。
  32. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま予算上考えておりますところは、融資ワクは約十一億で、金利は二・五%程度の低い金利にしたいと思っております。
  33. 今井勇

    今井委員 それでは、次に、漁業災害補償制度の問題に移りたいと思います。  漁業経営上、自然災害がありますと漁民はたいへんいためられます。そこで、そのために自衛の策として漁業災害共済という制度をしいたわけでございますが、現在の状況を見てまいりますと、その共済保険制度の内容を十分理解し、これに積極的に加入するということが、全部が全部そうかというと、必ずしもそうではないのであります。そういうことで今回はいろいろ研究をされ、その結果としてなるべくたくさんの方に入っていただこうということから、漁業共済に義務加入制というものを導入することにしておるわけであります。今回は、私の承知するところでは、漁獲共済では一号漁業及び二十トン未満の漁船漁業及び定置漁業であるというふうに聞いておりますが、こういうふうに義務加入制を導入するのは非常にけっこうなことだと私は思います。しかしながら、その反面、漁業者の掛け金の負担も相当程度に達するものと思われますので、特に、この義務加入者については特段の掛け金の補助をすべきではないかというふうに思います。  また、今回の義務加入制は漁獲共済についてでありますが、養殖共済についても義務加入制というものを導入すべきであろうと私は思います。  この二点について、政府の見解をまずただしたいと思います。
  34. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生からただいま御指摘がございましたように、今日までのところ、漁業共済の加入につきましては、当初制度をつくったとき考えましたほど加入が進んでおりません。というのは、制度上いろいろな問題もあるわけでございますが、加入が進まないということもございますので、今般加入しやすくするために義務加入制度というものを導入したわけでございます。その結果、入ってくる人が非常にふえるわけでございますけれども、従来入らなかったことについては、掛け金負担に一つの重圧感があったのではないか。したがって、義務加入制度を導入することになりますと、義務加入者につきましては、従立よりも国庫負担を厚くする必要があることは先住の御指摘をまつまでもございません。  そこで、私どもといたしましても、鋭意努力いたしました結果、義務加入者につきましては、現行の全数加入の場合の国庫補助率よりもより高い補助をするということにいたしたわけでございます。もちろん、これで十分であるかどうかという点につきましては議論のあるところでございますが、なお今後その引き上げははからなければならないわけでございますけれども、今般の予算措置で、義務加入者につきましては、国庫補助率の引き上げを行なっております。一例を申し上げますと、採貝採草業につきましては、従業全数加入の場合六〇%であったのを六五%にしております。それから、漁船漁業につきましても、全数加入が五五%であったものを六〇%にするというような措置もとっているわけでございます。それから、養殖共済につきましては、現在三つの漁業共済の中で養殖共済の加入率は比較的高いわけでございます。したがいまして、目下のところ養殖共済について義務加入を導入することは考えておりませんが、今後漁獲共済の推移等を見てなお検討すべき課題ではないかというふうに考えております。
  35. 今井勇

    今井委員 そこで、再度御質問したいのは、今回の義務加入制が二十トン未満の漁船漁業だということですね。これはたぶんそれより大きいと一緒に義務加入することがなかなかむずかしいというふうなことではなかろうかと思いますが、二十トンという数字は一体どこから出てきた数字なのか、それをもっと上げて百トンくらいまでにしたらどうだろうかというふうに言う向きもあるようでありますが、もっと上げるつもりはないのか、その二点についてはどうですか。
  36. 内村良英

    内村(良)政府委員 漁船漁業について、義務加入の対象を二十トン未満といたしたいというふうに考えているわけでございます。そこで、二十トン未満といたしましたのは、漁村社会における地縁的な共同体としての漁業協同組合の共販利用者はおおむね二十トン未満であるというところで、二十トン未満をとっているわけでございます。  なお、二十トン以上の漁船漁業につきましては、当面は義務加入の対象としておりません。したがいまして、他の類似制度である漁船保険においては百トンまでを義務加入としておりますので、将来におきましては、これとの均衡をあるいは考えて検討しなければならぬ問題が起こってくるかと思いますけれども、現在のわが国漁業、特に沿岸漁業段階では二十トン未満がいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  37. 今井勇

    今井委員 その次に、漁獲共済におきます共済限度額のことでちょっとお伺いしたいと思います。  この共済限度額は、共済事故を判定するための基準であります。支払い共済金の額をきめる際の基礎となるものでありますから、漁業者が共済に入るときに最も関心を示すものであります。したがって、この共済限度額というものが漁業実態に即しておりませんと漁業者が納得しないということであろうと思います。また、損害をこうむった場合に必要な補償が受けられないというおそれが多分にあるということであります。ところが、現在の仕組みをよく勉強してみますと、実にわかりません。実際に共済に入っている方であっても、災害のときに自分は一体幾らもらえるのかということがたぶんわからないだろうと思います。そこで、この限度額率、それからてん補率、それからてん補の方式というものをすっきりとすべきだろうと思います。そこで、今回のものは内容としてはだいぶすっきりされているようには思いますが、そのものの考え方を具体的に聞いておきたいと思います。
  38. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生指摘のとおり、共済限度額というものは、共済事故を判定し、支払い共済金の額を決定する基準となるものでございますから、漁業者も非常にこれに関心を持っているという点は御指摘のとおりでございます。さらに、現行の算定方式が非常にわかりにくいということもまた御指摘のとおりだと思います。  そこで、それでは現行の算定方式ではどういうやり方をしているかと申しますと、その共済契約にかかわる漁業の漁獲金額の過去三年の加重平均値というものをまずとるわけでございます。そこで、最近年次から三、二、一ということでウエートをかけまして、加重平均をいたしまして基準漁獲金額を出すわけでございます。これにその共済契約の契約者の漁業の変動の態様に応じまして、九〇%から七〇%までの範囲できまっております限度額率というものを乗ずるわけでございます。この限度額率というものは大体経費に見合うという考え方で設計されておりまして、そういったことでやっておりますけれども、最近における魚価の上昇傾向及び経営費の増大傾向等を共済限度額に反映させるためには、これではちょっと問題があるので、その共済契約にかかわる漁業の漁獲金額の過去三年の単純平均をとりまして、それに、漁業種類別に一律に定められ、かつ魚価の上昇等に見合う金額修正係数を乗じたものを基準金額とする。従来と違ってそこのところは非常に簡素化いたしまして、加重平均ではなしに単純平均をとる、しかし、値段が上がっておりますので、魚価の上昇等に見合う金額修正率をかけるということで簡素化をしているわけでございます。これに従来は個々の契約者ごとにきまっていたわけでございますが、今度は漁業種類別に、その実態に応じて九〇%から七〇%の範囲内で一律に定める限度額率を乗じて算定するという方式に変えているわけでございます。これによりまして、共済限度額が当該漁業実態に即して算定されるようになると同時に、平均的にその水準が引き上げられる、すなわち、災害の場合の補償が厚くなるという利益が出てくるわけでございます。
  39. 今井勇

    今井委員 いまお話しの中でてん補率の問題がなかったのですが、てん補率も、在来の方式ですと、事故率がありまして、事故率に伴いますてん補率がある。ところが、ガンマとかいう数字がありまして、今度はそれを一号漁業、二号及び三号と、漁業ごとに簡単にされております。たいへんわかりやすいというふうにはなっておりますが、これらの数字を拝見しまして、まだまだ今後漁業実態に即して直していく問題や数字が多々あるように見受けられます。一応この制度を発足してまいりまして、その制度の運用を見ながら、こういう率あるいは数字の改定を今後とも勉強されまして、漁民がよりよい共済が受けられるような形の努力をしてもらいたいと思います。  それから、もう一問だけで、途中で打ち切りたいと思いますが、赤潮特約のことでちょっとお聞きしたいと思います。  今回は、この共済制度改正にあたりまして、赤潮によります被害の救済措置として、この中に赤潮特約を創設されております。これはたいへんな前進であると思います。たいへんけっこうなことでありますが、問題は、この赤潮の被害を受けた場合の地方公共団体、特に県、市町村の負担の割合一体どうするのか。それから、市町村によっては、被害額が相当大きいと負担にたえられない場合も出てくるのじゃなかろうか。そういう場合には一体メイファーズなのかどうなのか、あるいは指定水域一体どういうふうに考えておられるのか、そこらあたりをまず聞いておきたいと思います。
  40. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず、赤潮特約にかかわる掛け金の地方公共団体の助成の問題でございますが、これは県と市町村との間で分担して見ることもございましょうし、あるいは県が全部見るということもあるのではないかと思います。そこで、県と市町村で見ようということになったときに、その比率をどういうふうにするか、たとえば五〇%、五〇%にするのかどうかというようなことは、国といたしましては、そこまでそれに介入する考えはございませんので、地域の実情に応じて、県と市町村との間の調整にゆだねるべき問題ではないかと思っております。  それから、次に、地方公共団体が十分負担しないという場合にはその契約はもうだめになってしまうのかということでございますが、今般御提安しております法律でも、赤潮特約の掛け金については、その三分の二は国で補助することといたしまして、残りの三分の一については、地方公共団体から財政上の援助を期待しているわけでございます。したがいまして、地方公共団体の助成は義務づけられているわけではございませんので、地方公共団体が負担しない場合も考えられるわけでございます。そうすると、赤潮特約はだめであるかということでございますが、その場合には漁業者が特約掛け金の不足部分を自分で負担するということにいたしまして、赤潮特約は成立するようにしたい。すなわち、三分の二の国の補助はあるということで、三分の一は、地方公共団体の助成がない場合には、漁業者がそれを負担するということで、特約契約は成立させたいというふうに考えております。  われわれといたしましては、関係の都道府県に働きかけまして、大いに助成をしてもらうように努力をいたすつもりでございますし、現に努力してきたわけでございますが、諸般の事情からどうしても負担できないという場合に、その地域漁業者が赤潮特約の特典を受けられない、国の三分の二の負担の特典を受けられないということにするのは問題がございますので、ただいま申し上げましたようにしたい、しかし、なるべくそういうことはないように努力したい、このように思っております。  次に、指定水域につきましては、赤潮が多発している水域及び海の富栄養化が進んでおりまして、今後赤潮発生の可能性が大きい地域を指定することを考えておりまして、現在、各都道府県については、どこがそういった地域であるかということを照会し、調査中でございます。
  41. 今井勇

    今井委員 先ほど長官の答弁の中でちょっと私が納得できないのは、地方公共団体が負担できない場合には、国の助成だけはあるけれども、あとは漁業者の負担だ。ところが、この制度をつくりましたゆえんのものは、被害の大きさから見ましても、漁業者の相互共済の範囲を越えるものだという認定じゃないのですか。だからこそ国及び地方公共団体がめんどうを見ようという精神なんですから、これはやはりできなければしょうがないということでは、この制度をつくったゆえんがない。もう一度答弁してください。これはおかしいですよ。地方公共団体ができなければ、何とかして国が財政援助をするなり何かして、この共済制度はきちっと守らせることにしなければ、せっかくつくった意味がないと思いますが、どうですか。
  42. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもも、先生からただいま御指摘がございましたように考えるべきであるということで、関係方面ともいろいろ話をしたわけでございますが、諸般の事情から援助を期待するというような形になったわけであります。しかし、今日まで関係の都道府県から聞いておりますところでは、大体出してくれそうな状況になっておりますので、実施の面につきましては、漁業者にそう迷惑をかけることはないのではないかと思っておりますけれども、制度上は、ただいま申し上げたようなことになるわけでございます。
  43. 今井勇

    今井委員 大体気持ちとしてはわかりますが、政務次官からもう一度同じことを聞いておきたいと思います。政府の見解ですね。
  44. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 ただいま長官から答弁したとおりでございます。
  45. 仮谷忠男

    仮谷委員長 午後一時三十分より再開することといたします。暫時休憩いたします。    午後十一時五十九分休憩      ————◇—————    午後一時三十三分開議
  46. 仮谷忠男

    仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。今井勇
  47. 今井勇

    今井委員 赤潮特約のことで再度御質問をいたしたいと思いますが、先ほど質疑応答の中での、公共団体が負担をできない場合はどうなるのかということでございますが、長官は答弁されましたが、このように理解をしておきたいと思いますが、それでよろしいですか。  すなわち、国は三分の二の助成をして、残りの三分の一を県及び市町村がするわけでありますが、町村等の財政負担の都合によりましてできない場合であっても、漁業者そのものには負担をさせないような措置がとれるのだということに理解をしていいのかどうか、それだけちょっと念を押しておきたいと思います。
  48. 内村良英

    内村(良)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、制度としては、地方公共団体が負担できない場合には漁業者自身が三分の一を負担するようなかっこうにならざるを得ない。制度としてはそうなっておるわけでございますが、しかしながら、実際の運営につきましては、そのようなことがないように都道府県及び市町村を指導して、実際に漁業者に負担がかからないようにつとめたいと思っております。
  49. 今井勇

    今井委員 漁業者には負担がかからないような措置ができるということの了解で、本問題は打ち切ります。  次に、ノリの問題について若干お伺いしておきたいのですが、最近特に養殖技術がだんだん開発されまして、ノリの生産も比較的安定的に行なえるようになっております。また、現行のノリ養殖共済の仕組みがその実態と著しく乖離してきたことなどもありまして、現在の方式について、非常に漁業者の不満が大きくなってきております。このような実態を踏まえて、たぶんそうであろうと思うのですが、今回、政府は、在来の方式を改めて、収穫保険方式によるものを試験的に実施をしようということに踏み切られたようであります。その内容は一体どういうようなものであるのか、また、試験実施対象地域、それから事業規模をどのように一体想定をされておるのか、伺いたいと思います。
  50. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま御質問がございましたノリ養殖共済の御質問に答える前に、午前中御答弁申し上げました数字に間違いがございましたので、委員長のお許しを得て訂正したいと思います。  午前中の御質問で、中央基金から基金協会に提供できる資金ワクはどれだけを予定しているかという御質問がございました。その際十一億円と申しましたけれども、あの十一億円の中には、中央基金に対する出資金の二億円が含まれておりますので、低利資金として使用し得る金は九億円であります。そのように訂正させていただきます。  次に、ノリの養殖共済の点でございますが、先生も御案内のように、ノリ養殖業は近年冷凍網の普及及び浮き流し式養殖方法の開発によりまして、その養殖の実態が旧来とは非常に変わってきております。そこで、現行の養殖共済は、養殖期間中の一定期間ごとにノリの収穫が全くない場合を共済事故とする、いわゆる物的保険をとっております。したがって、これが漁業者の不作、豊作の感覚と遊離すること及びノリの品質低下に伴う価格下落により生産金額が著しく低下してもてん補の対象にならないということで、漁業者の不満が出てまいったわけでございます。  そこで、今回、過去一定年間の生産金額を基礎として補償水準を定め、契約年の生産金額が補償水準に達しない場合であり、かつ、契約年の生産量が過去一定年間の生産費を基準として定める基準生産量に達しない場合に共済金を交付する、いわゆる特定養殖共済を試験的に当分の間実施することといたしております。  なお、特定養殖共済の実施にあたりましては、現行養殖共済と同様に日本共済組合連合会が再共済を、政府がまた保険を行なうことにいたしておりまして、共済掛け金に対する国庫補助も五五%の国庫補助を行なうことにしております。  次に、特定養殖共済の対象県として考えられるところは十七県、対象漁協は六十三ということを予定しております。
  51. 今井勇

    今井委員 次に、養殖共済のことでもう一つは、今回養殖動植物の単価を引き上げられております。これは現行に比べてだいぶよくなっておることは認めますが、何せ、どんどんこのように船価が上がり、かつ、その変化が急激な時代でございますから、これを一ぺん上げたからといって済むものではないと思うし、これはたぶん法律事項ではないだろうと思いますので、こういった単価の今後の異常な騰貴がある場合にはこれを直されるお気持ちがあるかどうか、まず、それを聞いておきたいと思います。
  52. 内村良英

    内村(良)政府委員 漁業災害補償制度の性格から見まして、その補償が漁業者にとって合理的な水準でなければならないということは申すまでもないことでございます。したがいまして、単価につきましても極力現実に合わせるようにしなければならないと思いますが、一ぺん契約ができたものをあとで修正するということは、これは性質上できません。したがいまして、今後におきましても極力合理的な水準に近づけるように努力を払いたいと思っております。
  53. 今井勇

    今井委員 次に、共済の中の国の助成の問題の中で、補助限度率のことについてちょっとお伺いしたいのです。  現在、現行制度の補助体系には、補助限度率、すなわち補助の対象となる最高契約の割合をきめておられますね。今度それが少し直っておりますけれども、基本的には、この補助限度率のようなものはむしろ撤廃すべきだろうと私は思うのです。こういうものがあるものですから、漁民は、共済に加入する際に、補助限度率をこえる契約の場合にはそのこえる部分は補助対象とならないということで、この補助限度率以下の契約割合の共済に加入する者が多いという実態だろうと思うのです。これは、撤廃についてはなかなかいろいろと議論のあるところだろうと思うが、政府はこの問題について今後一体どういうふうに対処していこうとするのか、その決意のほどを聞きたい。
  54. 内村良英

    内村(良)政府委員 漁業共済におきます共済掛け金に対する国の補助の対象の制限といたしましては、先生かちただいま御指摘のございましたように、漁業規模や契約方式等による制限のほか、契約割合による制限がございまして、その上根値を国庫負担限度率としているわけでございます。これを撤廃してくれという声はかねがね関係者からもございます歩、私どもも承知しておるわけでございまして、種々努力しているわけでございますが、今回は、採貝・採そう業、二十トン未満漁船漁業及び小型の定置漁業については、従来の限度率六〇%を六五%に引き上げる改正をやったわけでございます。これを全部取っ払ってしまえというのが要望でございますし、私どもといたしましても、将来においてはその方向で努力しなければならぬと考えております。ただ、類似の制度が漁船保険及び農業共済の家畜共済にあるわけでございます。そういったものとのバランスと申しますか、はっきり申しまして、財政当局に持ち出すとそういうもののバランスの問題も出てまいりますので、そういったことも十分勘案しながら努力したい、こういうふうに思っております。
  55. 今井勇

    今井委員 ただいま他とのバランス論を言われましたが、家畜共済のようなもの——ようなものと言っては語弊がありますが、魚とだいぶ趣旨が違うと思うのですね。特に、一号、二号、三号とそれぞれありますが、魚は追いかけてとるわけですね。陸上のものと海上のものと当然違うので、他のものがこうだからこれもよろしいという趣旨にはならない。直ちにこの撤廃ができるというふうにはいま私は思っているわけでもないけれども、少なくも撤廃をする方向でこの際検討するのだ、そう遠い将来でない機会にそのような方向に持っていくのだという決意のほどだけは長官の口から聞いておきたいと思いますが、どうですか。
  56. 内村良英

    内村(良)政府委員 水産庁としてはかねがねそういった意向を内部に持っているわけでございますので、それを実現できるように将来におきまして努力したいと思っております。
  57. 今井勇

    今井委員 次には、養殖共済の中の小損害不てん補割合の問題についてちょっと質疑をいたしたいと思いますが、今度の改正ではだいぶ合理化されてきております。確かに、ハマチ以外のものについては在来は加入区全体の損害が五%で、しかも、加入者も契約者別にも五%以上でなければいかぬというのが、今度はそうでなくなっておりますのはいい。また、ハマ所は現行では二割未満のものはいけないということになっておりますね。今度は、ハマチ等については、少なくとも改正をするのですからもっとよくなるだろうと思うのですが、一体どのくらいに現行二〇%というのを置いておられるのか。それから、また、ハマチ以外についてはどのようにそれを考えているのか。私はむしろこれも撤廃論なんです。こういうものはやはりある割合をきめて、それ以下ならだめだというのではなくて——養殖漁業者というのはいずれも零細なんですね。小さい損害だから困らない、大きければ困るという度合いは確かにあろうと思うけれども、少なくとも天然災害によって起こりますものですから、こういう制限というものはなくすべきがほんとうだろうと思うが、この点についてはどうですか。
  58. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま先生からお話しがございましたように、これまでは加入区全体で五%未満、個人で五%未満のものは不てん補というやり方であったわけでございますが、今回の改正で全体で五%未満ははずすということにするわけでございます。さらに、ハマチにつきまして、二〇%未満の点は二〇%と一〇%の間で定めたいというふうに考えております。
  59. 今井勇

    今井委員 いまの割合等については、もっとこまかいことを言えば、養殖の規模によってたぶん違うと私は思うのです。一万匹飼っている者と五万匹あるいは十万匹飼っている場合とではそれぞれ違うと思うのですね。そういう面も含めて、その割合は十分研究して、漁民に納得がいくような、むしろ漁民に喜ばれるような制度に実はしてほしいということを希望しておきます。  それから、最後に、このような共済制度というものがうまく動くか動かないかというのは、一にかかって漁業共済基金の強化が最も必要なものであろうと思います。そこで、漁業共済基金の当初の出資と申しましょうか、基金は全体で五億であったように記憶しておりますが、その中で国が半分、それからあとの半分を民間と都道府県と分けておったように私は理解をいたしております。現在はこれが四十八年度末で七億九千万になっておるようですが、この中の国とその他の割合がわかりますか。
  60. 内村良英

    内村(良)政府委員 漁業共済基金の出資の内訳でございますが、政府が三億五千万円、県が一億七千五百万円、組合が千七百万円、連合会が二億五千万円ということになっております。
  61. 今井勇

    今井委員 そうなりますと、当初の五億のときには国が半分持っていたはずです。そうすると、いまは七億九千万に対して三億五千万というのですから、割合は半分以下になっていますね。ここで私が言いたいことは、基金の強化の問題で、国も少なくとも当初出しました割合を下回るようなことのないようにしてもらいたいと思いますが、これはいまの数字で見る限りは半分以下ですが、そう理解していいですか。
  62. 内村良英

    内村(良)政府委員 出資の割合は、ただいま申し上げましたように、数字的には半分ちょっと下がっているわけでございます。  なお、これにつきましては、今後、漁業共済事業の拡充と関連いたしまして、共済基金もこれを拡充していかなければならぬわけでございます。したがいまして、五十年度以降におきまして大いに努力したいというふうに考えております。
  63. 今井勇

    今井委員 いまの政府の決意でけっこうです。この漁業共済基金を強化しまして、漁民が安心してこの共済制度を利用できるようにぜひ格段の御努力をしていただきたいと思います。  以上、漁業三法について、短時間ではございましたがへそのおもなるものについて質疑をいたしましたが、これらのものは、冒頭に申し上げたように三本の柱であります。零細な漁民の今後の生活を安定させ、漁業振興させるためになくてはならないものの三つが出そろったことになるわけであります。このような法がうまく運営できるわけできないかが、一にかかって漁民の生活が安定できるかできないかということであろうと思います。まだこれからきめるべき数字などがたくさんあります。一応この御説明にあった中でも、もうすでに現在時点では実態に合わなくなっているのもあるように思えます。たとえば先ほどの養殖漁業の単価の問題等が一つでありますが、これはその時勢、時勢に合うように、そういうものの数々なり割合なりを的確に把握して、改正すべきものは改正をするという努力を望みたいと思います。  もう一つは、こういう制度をつくりましても、一般漁民まで徹底するにはなかなか時間がかかります。金を借りるといいましても、金が借りられるそうだといううわさは知っておるが、しかし、実際にこういうふうに手続をすればいいんだということが漁民までなかなか徹底をしません。これはやはり政府としては、そのような徹底を、周知をさせる努力をぜひしていただきたいと思います。そうでなければ、せっかくの法律が生きて動かないというふうに思うわけであります。  以上二点を特に要望いたしまして、私の質疑も終わりたいと思います。
  64. 仮谷忠男

    仮谷委員長 竹内猛君。
  65. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 漁業関係の三法案に対して、基本的な点で質問いたします。  まず、最初に質問をしたいのは、最近の日本国内における食料自給体制を確立していくという立場に立って、四十五年を基準として五十七年を目標とした政府の目標の中に漁業の問題があります。これをいろいろ検討していく中で、二千四百七十五カロリーの中で、同時に、総たん白質七十七・一グラムというものを目標とし、その中で動物性が三十一・九グラム、そのうち魚介類が十七・五グラムという形になっております。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 これは資料によると、本文のほうではなくて付表のほうについているが、これは海でとれるものであるからそういう形にしてあるのかどうか。本論の中にそういうものがなくて、それを付表に出している理由はどういうことか。まず、その辺から質問します。
  66. 森実孝郎

    森実説明員 いま御指摘がございました数字でございますが、農産物の「生産目標の試案」ということでまとめておりまして、水産物自体は農産物と同じような形で作業はしておりません。これは過去の趨勢から大体供給量を出しまして、その供給量に見合って、一体どの程度国民魚介類からたん白質供給されるであろうかという数字を出しまして、それを最後に付表のところでまとめてみた、かような形になっております。
  67. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、五十七年の目標の二千六百五ないし二千六百七十八カロリーの問題と動物質のたん白の問題等々の中で、かなり魚介類に期待をしております。基準年度から見ると、十七・五グラムのものが二十四ないし二十六グラムを期待をしておる。そのためにはどういうような努力を考えておられるか。要するに、魚に対する努力というものはどういうふうに考えておられるのか。
  68. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生案内のように、わが国の食料需要は、所得水準の向上に伴います食生活の高度化、多様化の傾向を背景といたしまして、でん粉質食品から動物性たん白質食品へ消費構造が変わっております。このうち水産物については、四十七年には国民動物性たん白質消費量の五一・三%を水産物によって供給しております。今後とも増大が見込まれる国民動物性たん白質消費量の過半を水産物によって確保するということでいかなければならないのではないかというふうに私どもは考えております。  一方、四十七年の国内水産物の生産高は千二十一万トンに達しておりますが、この部門別割合を見ますと、沿岸漁業が二五%、沖合い漁業が七三%になっております。一〇〇%との差は内水面でございます。今後、漁業生産の部門別の推移については、水産資源は御案内のように海況等自然条件に大きく左右される部面がございますので、農業と違いましてなかなか計画が立ちにくいという面がございます。それから、大きな供給源となっております海洋漁業につきましては、海洋法会議その他国際規制についてかなり流動的な要素がございますので、この際、水産物について、どこから何%、沖合いから何%、沿岸漁業から何%、遠洋漁業から何%ということは正確には立てにくいわけでございますが、われわれといたしましては、今後増大する水産物の需要について、極力輸入は避けて国内でまかなうという観点から、沿岸漁業につきましては沿岸漁業振興をはかる。すなわち、漁場整備をやったり、栽培漁業振興をやって生産量を増していく。沿岸漁業の生産量も着々毎年上がっておりますが、これをさらに伸ばしていく。同時に養殖、増殖も大いにやらなければならないわけでございますが、伸ばしていく。それから、沖合い、遠洋につきましては、沖合いについては資源状況によって——これは浮き魚とは非常に変わるわけでございますが、資源管理等を十分にやりながら生産量を伸ばしていく。遠洋漁業につきましては、国際規制の問題が一番むずかしい問題でございますから、これについては関係国と十分話し合いをし、日本漁場確保すると同時に、さらに開発途上国等につきましては技術援助、資金援助等もからめながら日本漁業を維持していくということで、沿岸、沖合い、遠洋、いずれもそういった形で計画的に伸ばしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  69. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大体その理解をしますけれども、同じ人間のからだに入るものを計画を立てる中で、どうして一体水産物に対しては付録のほうに置いて、本論の中にそれを加えないのか。そうでしょう。同じ人間が食べるものの中で、不安定であればあるほど、これはちゃんとしっかりした位置づけをしなければいけないと思うのに、それが外のほうへ出されていて、そして、かなりの重要な位置を占めている。私は、水産物も基本的な計画の中に繰り入れて、それが動かないように努力をするというのが政策の基礎ではないかと思う。これが第一点。  もう一つは、畜産物の問題のときにも申し上げたように、動物性たん白というものが非常に必要なのに、畜産のほうも、えさの関係から最近生産が必ずしも伸びていない。そういうときに、魚は国連海洋法会議の問題があって、これもいろいろな規制を受ける。そういうことであるから、この際、計画の検討の中に水産物というものを加えて、一体となった形でこれを論議するような方向はとられないものかどうか、今後もやはり付録の中にちょこっとカッコをして出しておくのかどうか、そういうことはわれわれにとってみるとはなはだ賛成できない取り扱いではないか、こういうふうに思うのだけれども、それはどうでしょうか。
  70. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のように、確かに、たん白質全体の摂取量をどう把握していくか、それを畜産物なり植物たん白なり、あるいは水産物でどう割り振っていくかということは、わが国農業政策あるいは漁業政策を進める上のガイドラインという意味でも、それからあるいは国民の消費生活の将来のパターンをある程度示していくという意味においても重要な問題だろうと思っております。ただ、御質問がございました生産目標の問題は、これは農業の立場におきまして作目別に一つ生産目標を立てるという性格なものなので、別扱いとしたことは事実でございます。  今後の問題といたしまして、たん白質全体の自給の問題をどう考えるかということは、御指摘のようにきわめて重要な問題だと考えておりますので、生産目標の問題と一体として扱うかどうかという問題は、農政審議会の場所で御議論をしていただくことが必ずしも適当かどうか問題はあろうかと思いますが、むしろ全体としてそういったもののプロジェクトなり計画をつくるという形で別途検討させていただけたらと、かように存じております。
  71. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 われわれ人間にとって必要な永のであるから、疎外をしないで、ぜひ統一的にこれをやってもらうように、農政審議会のほうによそういう要望があったことをぜひ強く伝えておいて、審議の中に加えておいてもらいたい、こういうことを要望します。  そこで、いわゆる五十七年度の目標に関連をして、次の問題は、国連海洋法会議との関係の問題でありますが、ことしの六月に開かれるというようなことも聞いておりますし、もしことしの六月の中で整理ができなければ来年も続いてやられるというような形になっておりますが、その中で、世間一般に、日本の立場というものは必ずしも有利な方向ではない、いろいろな制約と規制を受けるというふうにも言われております。そうしますと、従来大体一千万トン近い漁獲量があったものが、いろいろな計算のしかたなどもあると思いますけれども、四百万トンほど現状の中からは減るのではないかというようなことが言われております。それは減らなければ一番いいんですけれども、この海洋法会議というものの状況、それから今後の見通し、問題点等について、これは外務省なり担当省からまず説明を願いたいと思います。
  72. 杉原真一

    ○杉原説明員 海洋法会議の問題点、見通し等についてでございますが、海洋法会議は、いま御指摘になりましたように、本会議がことしの六月からベネズエラのカラカスで行なわれます。しかしながら、これに対する準備は、すでに三年前から、新海底制度というものの検討を含めますと六年前から準備を始めてきたのでございます。ところが、六年かかって実は条約案の一条すら準備ができなかったということを見てもわかりますように、この会議においては、世界の国々が地球表面の七〇%を占めると言われる海洋の利用をめぐってそれぞれの利害を持っておって、それが非常に複雑に錯綜しておるということ、及び特に開発途上国側から、特に資源の問題に関しまして、距岸二百海里にも及ぶ広大な海域の資源を、海底資源も水産資源もともに沿岸国のものであるというような激しい主張が出ておりまして、従来の海洋自由の原則を最大限享受してまいりました日本その他先進海洋国家とこれとの間の利害の対立がきわめて激しく、そのために、ことしの六月に開かれますカラカス会議においても、二カ月半の会期中に条約案の採択にまではとても至らないだろうと言われておるわけでございます。しかしながら、見通しといたしましては、今月の二十五日から来月の五日にかけて、発展途上国百八カ国がケニアのナイロビに集まりまして、海洋法全般の問題に関する基本的な原則についての宣言を採択する予定になっておりますが、その中には、領海の幅員、海峡問題、それから資源問題、海洋汚染の問題、科学調査の問題等々、主要な海洋法に関する問題はすべて網羅されておるわけでございまして、そういうものがもしでき、かつ、それを支持する国の数が百数カ国と申しますと、現在海洋法会議に参加する国の数が百五十でございますから、すでに三分の二をこしているという情勢で、大勢は発展途上国側の主張する広い沿岸国の資源管轄権という方向に向かって進む可能性が強いということは否定できないと存じます。もちろん、海洋国側といたしましては、これに対処するために、あまりにも不当な要求に対しては、すべての世界の国々の利益のバランスを妥当にはかるような国際法をつくらなければ、これが安定的な世界の秩序にはならないといった観点から話し合いを進めまして、すべての国に受諾可能な条約ができるように努力いたすつもりでおります。そのために、ことしの会議でできませんでしたら来年、それでもしできなければさらに先に延ばしてでもそのような条約づくりに努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  73. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま話があったように、必ずしも従来の日本のやってきたことが肯定をされるような状態ではないと思うんですね。そういうときに、五十七年を目標にされて計画をした魚の漁獲の状況というものはいまのままでいいと思われるのか。それとも、何かそれに対して考慮する余地があるのか。これは企画室のほうからお答えをいただきたい。
  74. 森実孝郎

    森実説明員 先ほど御説明申し上げましたように、水産資源からくるたん白質供給というのは、過去の生産の趨勢を基礎として出したものでございまして、もし事実として水産資源供給の制約という要素がはっきりしたものになってくれば、それは全体の付表の取りまとめ等にあたって改定についても十分考慮しなければならない問題ではないかと、かように存じております。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 石油の問題に見られるように、あるいは去年の飼料の問題に見られるように、日本エネルギー、食料というものは海外に相当依存をしていくという状況にあるが、これに対する手の打ち方が常にあとあとになっていると思うんですね。そして、問題が起きてから非常に急いでいろいろなことに対して取り組んでいく。たとえば今度の石油問題などはそれの典型的な形だろうと思うし、えさにしても、ようやくいまになってから初めて国内の自給の飼料というようなところに手を出してくるという実情なんですが、これでは非常にまずい。  そこで、先ほど水産庁長官から話があったように、現在の日本の魚の漁獲の状況を見ると、遠洋漁業で大体二九・二%、沖合いで二四・五%、沿岸が二五・五%、養殖一二・三%、内水面が五%、捕鯨が二・八%というような比率が四十七年ごろの比率ですが、その場合にどの部面が一番影響を受けるのか。この海洋法会議によって最も日本にとって好ましくない方法が出たときには、どこの部門が一番影響力を受けるのか、この点はどうですか。
  76. 内村良英

    内村(良)政府委員 遠洋漁業でございます。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 遠洋漁業となると、大体全収獲量の三割になりますが、そうするとこれはたいへんなことになるわけなんで、それに対する対応策として、何か考え方があるのか。
  78. 内村良英

    内村(良)政府委員 確かに、今日発展途上国が言っているような二百海里経済水域というものが国際法の原則として確立されたといたしました場合においては、わが国漁業の受ける影響は非常に大きいわけでございます。しかし、その場合におきましても、先生案内のように、今日わが国漁業はほとんど全世界に広がっております。すなわち、わが国漁業は実績を持っているわけでございますから、その実績を基礎にしながら、沿岸国に漁業の優先権はもちろん認めなければならないわけでございますが、排他的管轄権というものは認められないという立場で国際法上海洋法会議の場合は対処しなければなりませんし、そのようなことがかりにできたといたしましても、実績を基礎にしながら沿岸国と交渉してわが国漁場確保しなければならないと思っております。  ただし、その場合におきまして、相手が開発途上国の場合においては、今日すでに始めておりますように資金援助、技術援助等を結びつけまして、向こうの漁業の発展もはかると同時にわが国漁場確保するというふうなやり方でいかないと、一方的に交渉で入るということになりますと、入漁料の問題その他またいろいろな問題が出てくるわけでございますけれども、開発途上国の場合にはそういった協力と結びつけながらやるべきだと思っております。それから、相手が先進国と申しますか、その場合には、先ほど申しましたように、実績を基礎にしながらわが国の立場というものを強力に説明して円満な交渉を行ない、それによって漁場が縮小することがないようにつとめなければならないというふうに考えております。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 俗に言われる四百万トンの収獲減というようなことについての見通しというか、危惧というか、そういうことについてはどうですか。
  80. 内村良英

    内村(良)政府委員 二百海里の影響ということで、外国の距岸二百海里の水域の漁獲高は、四十六年の数字を基礎にしてみますと、四百七十八万トンになるわけでございます。その中で一番大弐いのは、べーリング海、北部太平洋の二百八万トンというのが圧倒的に多いわけでございまして、その次にはオホーツク南部、すなわち樺太四島、千島の海域の八十八万八千トンというようなものが影響を受けるわけでございます。  そこで、まだ海洋法会議の結論がどうなるかわかりませんし、この際数字的なコメント等をすることはではないわけでございますが、いかなる場合におきましても、先ほど申しましたようなわが国の実績を基礎にしながら、わが国遠洋漁業漁場確保というものにつきましては万全の努力を払っていかなければならぬというふうに思っております。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう少しこの点は念を押しますが、そういうように、遠洋、沖合い、沿岸、養殖、内水面等いろいろありますけれども、その中で遠洋が一番影響を受ける。そういう場合に、魚の量と質の関係で、その影響を受ける部分について説得なりあるいは交渉なりをいろいろして従来のものを確保はするけれども、それにもかかわらずまだ十分でない面があるとしたならば、それは量的に拡大をするのか、質的に変えていくのかという、その魚の量と質の関係はどうなりますか。
  82. 内村良英

    内村(良)政府委員 量と質の問題でございますが、先生案内のように、現在非常に値段が高いものは沿岸でとられているものが多いわけでございます。国民の消費形態が変わってまいりまして、だんだん高級魚のほうに消費が移っているというような状況になっております。一方、北洋でとっておりますものは、スケソウダラをはじめ、いわゆるすり身の原料になるようなものが現在のところ多いわけでございます。もちろん、北洋の中にも、サケのような中級と申しますか、高級の下くらいの魚があるわけでございます。いずれにいたしましても、われわれといたしましては、国民食料の確保という点からいけば、質も量も何とか確保したいと心うふうに考えておるわけでございます。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうしますと、海洋法会議にはいろいろ問題はあるけれども、それほど心配はな心というふうに言えますか。
  84. 内村良英

    内村(良)政府委員 まだ会議が始まっておりませんので、どういうことになるのか、ここで正確な見通しを述べることは残念ながらできな小わけでございます。ただ、私どもは、今般の海洋法会議日本漁業に場合によっては非常に重大な影響があるということは考えております。したがいまして、そのようなことがないように、外務省その他関係の各省とも協力して万全の努力を払いたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  85. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだ会議の始まる前ですから、そうはっきりした答えを出すことは困難だと思いますが、ともかく、農林省としては、国民食料の自給のために、魚の占める位置というものが非常に重大ですから、それを誤らないように十分に計画の中にも加えてもらいたいし、同時に、交渉についても誤りのないようにやってほしいということを要望しておきます。  次いで、日中漁業協定の問題について質問をしますが、四十七年の九月に国交が回復されて以来すでに一年半、航空協定についてはようやく日程にのぼって交渉が始まったということで、これはたいへんけっこうなことだと思うのですが、漁業協定については一体どういうような段取りになっているのか。六月二十四日に民間の漁業協定も大体期限が切れていくことになると思うのですが、政府間協定の見通しはどうなのか、民間協定を一年続けるということになるのか、この辺はどういうことになるのか、これは外務省のほうから承りたい。
  86. 中江要介

    ○中江説明員 お答えいたします。  日中漁業協定につきましては、先生指摘のように、一昨年の九月の日中関係正常化の際の共同声明の第九項にございますように、日中両国がこれから締結していく実務協定の中に航空、海運その他とともに漁業が掲げられておったわけでございます。その幾つかの実務協定の中でまず航空協定からやろうという了解が両国首脳の間にございましたために、実務協定の中では航空協定が最初に手がつけられて今日に及んでいるわけでございますけれども、その間にありまして、海運協定が先般署名調印されて、月下国会の御審議をお願いしているわけでございます。漁業協定につきましても、これは従来日中民間の漁業協定で運営されてまいりまして、その期限が昨年の六月二十二日でございましたので、日中正常化後一昨年の暮れの政府実務者訪中団の場合にも、その機会にも漁業協定についての意見交換をいたしまして、できることならば昨年の六月二十二日の民間協定が期限の切れる以前に政府間協定を締結しようということで努力をしておりましたけれども、その時間には間に合わなくて、とりあえず民間協定が一年延長されて現在に至っておるわけでございます。政府といたしましては、航空協定もさることながら、その他の協定もそれぞれ意味合いがございまして、これを早期に締結したいという希望で、機会あるごとに中国側に協定交渉の開始を申し入れておりますけれども、現在までのところ、中国側では、漁業協定の考え方を中国政府部内で検討中であるということで、日中漁業協定交渉の開始の時期が正式に設定されるに至っておらないわけでございます。しかし、六月二十二日までにはまだ日もあることでございますし、引き続き日中漁業協定の交渉も始められるように中国側と鋭意話を進めていきたいと思っておるわけでございます。
  87. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 航空協定の問題については交渉が始まったわけですが、漁業協定はまだなかなか緒についておらない。その最もむずかしい根源の問題ですが、なぜ進まないかというのはどっち側に問題があるのか。中国側に問題があるのか、日本側に問題があるのか、その点はどっち側にあるか。この点については政務次官にもお答えをいただきたい。
  88. 中江要介

    ○中江説明員 私ども中国側と接触しておりますところから得ている感触では、中国側が、日中の従来行なわれておりました民間取りきめに基づきます漁業取りきめというものを政府レベルのものにするための検討が十分にまだ進まないので交渉に入りがたいというように考えております。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  日本側は、当初からいつでも日中漁業協定の交渉に入りたいということで、そのために準備は進めているわけでございますが、目下のところ中国側からの漁業協定開始の意向が伝わってくるのを待っている、こういう状況でございます。
  89. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 政務次官は中国とはなかなか関係が深いからお答えがしにくい点もあろうと思うから、けっこうです。  それならば、民間協定がやむを得ないとするならば、政府間協定をやった場合と民間協定の継続の場合とで、日本漁業漁民にとってはどっちがプラスになっていくのか、マイナスになっていくのか、この点はどうでしょうか。
  90. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 民間協定と政府間協定とどっちがいいかという話なんですが、漁業の操業というのは、資源の保存というような角度からいろいろな規制のもとに行なわれるのが常であります。したがいまして、漁業に関する国際協定というものは元来国家間の約束によって行なわれるということが普通でありまして、国交がない場合は、法的立場の相違と特別の事情がない限り政府ベースの取りきめをするというのが本来であろうと思います。  政府間の協定になると、たとえば中国との場合は東シナ海、黄海等の資源の管理等の重要事項に関しまして政府間に検討の場が設けられる、こういうふうなことになります。したがって、操業の長期的な安定化というようなことを期待されるであろうと思います。一方、民間協定では、漁区とか漁期あるいは漁船の隻数等をどういうふうに扱うかというふうな順守事項に関して、監視船を出すなどの協定を実施をしておるわけであります。しかし、その責任は、すべて民間に課せられておるということになります。ところが、政府間協定になりますと、これらの責任は政府が負うことになりますから、漁業の調整、取り締まりが政府ベースで行なわれるということで安定的、長期的になるというようなメリットがあるだろうということが想像されます。
  91. 中江要介

    ○中江説明員 先ほどの私の答弁の中で一つ間借いがございましたので訂正さしていただきたいのは、実務協定の中で最近まとまりましたものを私は海運協定と言ったように思うのですが、これは間違いでございまして、貿易協定のことで、ただいま国会の御審議をお願いしておりますのは貿易協定でございます。
  92. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 日中の漁業協定というものが弄かなか進まないということ、これからあるいは急速に進むかもしれないけれども、そのことはよくわかりましたが、それを中国のほうにのみ問題を求めることだけでなしに、日本政府としてなおこれを促進するということについての努力をどういうぐあいにされるか。その点はどうですか。
  93. 中江要介

    ○中江説明員 日中漁業協定につきましては、先ほど申し上げましたように、日本側としては、早く交渉に入りたい、しかも、これは、日中航空協定の交渉が進んでおりますのと並行いたしましてでもこの協定の交渉を進めたいという希望は機会あるごとに繰り返し申し入れておるわけでございますけども、何ぶんにも、交渉となりますと相手側の事情もこれあることでございますので、引き続き、中国側の早い交渉に入るという準備の終わるのを期待するということと、もう一つは、六月の下旬になりますと民間協定の期限も切れるわけでございますので、その一つのめどがございますわけで、これを念頭に置きながら、さらに中国側との交渉に入るきっかけを求め続けていく、そういう方法以外には特に促進し得る積極的な契機というものもないのではないかというふうに思っております。
  94. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 政府間の協定ができるようにぜひ努力してほしいことを要望して、次に移ります。  日ソ漁業協定と、それから、ソ連の漁船が最近千葉県や茨城県方面の海域に出没してかなり大量の魚をとって海を荒らしている傾向があることについで、前のほうは交渉の状況と、うしろのほうについては、そういう事実を知っているかどうかということについて伺いたい。
  95. 内村良英

    内村(良)政府委員 日ソ漁業交渉は、先生案内のように、三月四日からモスクワにおいて開始されております。現在までのところ、両国の科学者がサケ・マスの資源評価及びカニの資源評価についていろいろお話し合いをしております。特にことしはベニザケの資源評価につきましての日本側の見解とソ連側の見解とが非常に違っておりまして、ソ連側は非常に悲観的な見通しを持っております。ということで、現在、まだ、資源評価について両国の科学者が意見をかわしているという段階でございます。  それから、ソ連漁船日本の近海で操業しておるという事実については、私ども承知しております。
  96. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 昨年の十二月ごろから、その前からもそうですが、ソ連の船が集団で来ております。これは法律上については問題はないと言う人もいるし、いろいろあると言う人もいますけれども、それだけではなしに、船が来て魚をとり、それをかん詰めにし、いろいろなものを捨てていく。そのために、日本漁民がせっかく魚をとるために準備した網が切られ、いろいろな形で被害をこうむっております。今日まで、政府自体としては、ソ連の大使館なりしかるべき機関に対しで、その問題について何か要請したり抗議をしたことがあるかどうか、その点はどうですか。
  97. 加賀美秀夫

    ○加賀美説明員 ただいま御指摘の点につきましては、本年の二月十四日に、在京ソ連大使館に対しまして厳重な注意を喚起いたしました。それから、最近の茨城県沖におきますソ連漁船団による被害に対しまして、三月十四日に、在京のソ連大使館を通じまして、ソ連側の注意を喚起して、しかるべき措置をとるよう申し入れました。ソ連側は関係当局に伝達するということを約束いたしております。
  98. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 わが国の魚をとる船がオホーツク海方面に出ていけば、拿捕されたり、かなり長期にいろいろな処置を受けますね。ところが、ソ連の船が日本の周辺に来た場合には、これはせいぜい抗議、要請というところでとどまっておる。それはその後も依然として改まっていない。わが茨城県においても、三月十二日の段階で県議会のほうからいろいろ意見が出て、ソ連の船団もわが国漁業関係の諸法規に従ってもらいたいということと、海上への廃棄物、汚物等を投げ捨てるような行為は即時中止をしてほしいということを要求しているのです。このようなことについて水産庁としては、これは外務省も一緒ですけれども、せっかくソ連との間で国交が回復していろいろな話をしている段階で海域がこういうふうにしてやられるということは、たとえ法律上これが無理がないとしても、日本の感情から言ったら許されないことになるので、これをそこなわないようにするために、今後の方向についての努力といいますか、その処置についてもう一度お聞きしたい。
  99. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生指摘のとおり、私どもも、ソ連の漁船が場合によっては十二海里の中に入ってくるということはまことに遺憾なことだと思っております。ところが、残念なことに——残念と申すことがいいか悪いかわかりませんが、現在わが国の国際法上確立された領海の幅員は三海里でございます。したがいまして、国際法上は向こうのやっていることが適法だということになるわけでございます。ところが、ことしの春のごときは、日本のサバ漁業の産卵場でございます銭州に向こうの漁船が入ってきたというようなこともございまして、水産庁といたしましては、外務省を通じて、先ほど外務省から御答弁がございましたように、ソ連大使館に強硬に申し入れをしているわけでございます。  それで、ただ申し入れをするだけでは解決しないのじゃないかということでございますが、一方、水産庁といたしましては、こういった問題につきまして、昭和四十七年の十一月にソ連の専門家と日本の専門家の話し合いをやっております。その際問題になりましたのは、ソ連側から、夜ソ連の漁船日本の漁具を切ると言われても標識がないじゃないかという指摘がございましたので、四十九年度におきましては、漁具の標識設置事業に対して補助するというようなことで、わが国といたしましても万全の措置はとっておるわけでございますが、なお、本件は非常に重大な問題でございますので、ソ連側とは十分話し合って解決しなければならぬというふうに考えております。したがいまして、必要があれば、あるいはまた専門家の話し合いをすることを申し入れるというようなことも検討しなければならないのではないかというふうに思っております。
  100. 加賀美秀夫

    ○加賀美説明員 外務省といたしましては、水産庁その他の調査結果に基づきまして、この上とも被害がある場合には、重ねてソ連側に申し入れるつもりでございます。
  101. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはソ連のほうに、いい意味においての友好を長く保つ上からもぜひ要請をしてほしい。一方には拿捕があり、一方においては海を荒らす。これは国際法には反しないかもしれないけれども、実際そこで魚をとることによって老廃物が流されて、そして日本漁民施設がこわされているということば、感情としてどうしても許されないことなんだ。友好を願えばこそ、これに対しては善意の要請をしてほしいということを重ねて申し上げておきます。  それから、次に、特に北方におけるニシン、タラ、コンブの輸入の割り当てについて、これはどうしても割り当て制が必要であるのか。日本資源を守るためには割り当てでなければならないのか。あるいは、特にコンブなどというものは、日本の必要量というものは一定のものがあって、その必要量に応じて国内の生産と割り当てを合わせて、そしてそれによって一つの需給というものを見合わせているのか。あるいは別の要素があって割り当てをとっておるのか。この辺は、どういうふうなどころが割り当てになっている一番基本の問題なのか。
  102. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま御質問のございましたコンブ、タラ、ニシンにつきましては、確かに割り当て制になっております。これは、これらの商品がわが国漁業の重要な産品であるということでありまして、特に、北海道の漁業にとっては大きな問題でございますので割り当て制をとっておるわけでございます。しかしながら、また、これによって国内価格が不当に上がるというようなことは消費者サイドから見て問題がないわけではございませんので、その辺の需給は十分考え、日本漁業影響のない範囲で輸入ワクは毎年毎年ふやしております。たとえば数字を若干申し上げますと、タラにつきましては、韓国、東南アジア等から入ってくるものが昭和四十五年は千百万ドルでございますが、それが四十八年は四千百六十万ドルの割り当てになっております。ニシンにつきましては、四十五年に一万トンの割り当てが四十八年は一万六千九百トン。コンブは四十五年、四十六年ごろは割り当てがございませんでしたけれども、最近コンブの自給が多少不足しておりますので、四十八年は千六百六十トンの割り当てをいたしましたけれども、これらの品目はわが国漁業の重要な品目でございますから、自由化をする気はございません。
  103. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それは北海道の漁民資源を出るということが一つと、それからやはり重要なものであるからということで割り当てはそのまま続けるということですが、国内における必要量との関係はどうなんですか。そういうことで十分に必要量は満たしているということになっているわけでしょうか。
  104. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま数字を申し上げましたような輸入割り当てをしているわけでございますが、その輸入割り当て数量の決定につきましては、もちろん国内の需給を考えて数字を決定しておるわけでございます。
  105. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次に、私は、法案質疑に入る前にもう少しばかり質問しますが、最近石油の大幅値上げが行なわれました。特に、漁業の問題については、A重油の使用量というのはかなりなものであります。これが一挙に九千円近いものが上がるという段階になった。  そこで通産省のほうにお伺いしますが、重油そのものは将来にわたって確保するのに心配はないかということが一つ。それから、今度値段を上げたけれども、またやがてはいつか上げるのではないかという心配があります。こういう先のことについては、あるいは十分なお答えはむずかしいかもしれないが、そうなると、これはもう少し別なところで問わなければならないわけですが、とりあえずA重油を使うところの漁業の発展と振興のための物の確保価格の問題、そして、その価格が今後の日本漁業、特に遠洋漁業に対してどれくらい影響をするかという問題、こういう問題点についてお答えをいただきたい。
  106. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  先生の御質問が非常に広範な御質問でございますので、的確にお答えできるかどうか私も自信はございませんが、最初に量のお話しでございますが、十一月、十二月のころにOAPEC諸国の削減率が、これは皆さん御存じのとおりでございますが、二〇%のカットがあったわけでございます。それで、一月からこれを二五%に上げるという考え方があったわけでございますけれども、逆に、クリスマスイブの日になりまして一五%のカットというふうに緩和されたわけでございますが、その後九月水準からの一五%カットという線で今日まで来ておりますし、また、十二月二十四日の段階日本を友好国扱いするといったようなことも決定されたわけでございます。したがいまして、十一月、十二月のころに考えられておりました石油危機というものは一応回避されたわけでございますが、依然として十分な量の供給というところまではいっておりませんので、現在でも石油の需給についてある程度の使用の節減の規制をやっていることは御承知のとおりでございます。  今後石油の需給がどういうふうに推移するかという御質問でございますけれども、最近の新聞等を見ましても、対米の金融措置が緩和される、あるいは緩和されたといったような情報があるわけでございますが、それに伴いまして、九月対比で一五%カットという、その生産制限を撤廃するということが、これはまだ確認がされていないわけでございますけれども、そういった情報がひんぴんと入ってきているような状況でございます。したがいまして、今後の世界的な意味で申し上げますと、供給のほうは若干ずつでも緩和の方向に向かうのではなかろうかというふうに考えております。  それで、今度は価格の問題でございますけれども、昨日から石油製品の、平均いたしまして六二%の元売り仕切りの値上げというものが発表されたわけでございますけれども、これは石油危機が始まりました十月十七日以降の原油の値上げ、それから一月一日以降の原油の値上げというものを踏まえまして、必要最小限の値上げということで決定されたわけでございます。ただ、それでは、今度決定されました八千九百四十六円の値上げというものが最終的なものであるかどうか、今後値上げについてどう思うんだ、どういう見通しかという次の御質問につきましては、日本が入手いたしております原油の価格が今後どういった推移をたどるかという点にあろうかと思うわけでございますが、この点につきましては、先ほど供給については先行き緩和の方向であろうと申し上げたわけでございますが、原油価格のほうにつきましては、中東におけるポステッドプライスといいますか、公示価格自体は、七月一日まで三カ月間の凍結といいますか、現状価格での価格の維持ということが一応きめられたようでございますが、これにあたりましては、OAPEC諸国の中でもさらに公示価格を上げるという御意見の国と、現在の原油価格水準は特に後進国に対してきつ過ぎるといったような考え方からの引き下げ論と両方がございまして、そのいずれに今後進んでいくかということは軽々に判断できない点がございます。また、それ以外に、現在中東諸国は中東における産油会社に対しまして——メジャーの子会社でございますが、産油会社に対してのパーティシペーション、つまり株式参加を強く進めているわけでございます。このパーティシペーションが進みました場合には、産油国政府のそれらの産油会社からの原油での取り分というものが必然的に増加するわけでございますが、これをいわゆるDD原油といたしまして、直接産油国政府が消費国に対して販売する場合と、それから一たん自分の産油国の……(「法案と関係ないじゃないか」と呼ぶ者あり)それでは簡単に申し上げますと、DD原油が一方ではバイバックと申しまして、産油会社がこれをもう一ぺん引き取るわけでございますけれども、その場合には若干高い価格でのバイバックになりますので、その点では原油価格が若干高騰するという面もあるわけでございます。したがいまして、その点から言いますと、価格は若干高騰するという面もあるわけでございます。  先生価格と量についての御質問について一応大略を御説明いたしました。
  107. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの話で、量のほうは大体見通しはあるけれども、価格については不安定だというふうに理解をしていいですね。その点はどうですか。
  108. 松村克之

    ○松村説明員 不安定と申しますか、なお流動的な面があるということでございます。
  109. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、今度は農林省のほうですが、水産庁、このように石油が上がるということは、魚を輸送する場合にも、あるいはまた魚をとる場合の資材の加工あるいは資材そのものについてもたいへん影響があると思います。そういう影響について、水産庁としてはいまどのように考えているのか。
  110. 内村良英

    内村(良)政府委員 確かに影響がございます。しかしながら、漁業種類によってその影響が当ってまいります。私どものほうで計算したものによりますと、漁業収入に対する油代の比率を見ますと、今度の油代の値上げによりまして、たとえば遠洋底びきの場合には従来一〇・八%であったものが二四・四ぐらいになるだろう、それから以西底びきが一一%が二六・五%になるだろう、マグロはえなわは八・九%が二一・七%になるだろう、半面サケ・マスの流し網は三・九%が九・九%になるだろう、沿岸漁業は、三トンから五トンのクラスでは四・三%が九・四%になるだろうということで、漁業種類によって非常に影響が違うわけでございます。したがいまして、今度の油代の値上がりによって経費が上がることは事実でございますので、これが魚価に反映されてくれば経営としては一応収支が合ってくる、こういうことになってくるわけでございます。ところが、水産物の場合には、他の製造工業と違いまして、経費の上昇を直ちに価格に転嫁できないというような面がございます。ただ、傾向的に見ますと、水産物も大体年率二割弱上がっておりますので、あるいはコストの上昇が吸収されるかもしれませんけれども、今後の魚価動向いかんというのは非常に大問題なわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、石油代、A重油の代金の値上がりによる影響によって漁業に対しまして何らかの救済措置が必要になった場合にはそれをとりたいということで、内部において鋭意検討中でございます。
  111. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 石油値上がり漁業経営に及ぼす影響というものは、これはいろいろの種類によって異なることはあったとしてものがせない事実であるわけですから、この問題について——これはあとの法律の審議にも関係をするので、そのときにまた出ると思いますが、ともかくこれは原料もほぼだいじょうぶだということは先ほどからのお話しの中にもあるけれども、価格についてはなお不安定だ。そこで、魚の価格の決定のしかたは、現在のような相対の価格のきめ方が最高だと言われているけれども、それ以外にもっといい価格のきめ方というのはないのか。現在の価格が最高だというぐあいに言われておりますが、この点はどうですか。価格のきめ方について、ですね。
  112. 内村良英

    内村(良)政府委員 魚価の決定は、主として卸売り市場におけるせりまたは入札によって行なわれておりますが、これは、腐敗性の鮮魚の場合について、零細かつ多数の売り手、買い手がいる場合には、市場におけるせりあるいは入札のやり方が公正かつ迅速な取引方法として価格形成上適正なのではないかというふうに考えております。なお、近年、冷蔵庫の発達及び冷凍品の発達によりまして貯蔵性がある、すなわち、貯蔵性ができたために需給調整が可能であるような冷凍魚の生産流通がふえております。たとえば今日マグロのごときは、沖でとってきましたものを沖で直ちに凍結いたしまして持ってくるというようなことで、かなり貯蔵性が出てまいりました。こういった魚種につきましては、これに適応した安定的な取引方法として、売り手と買い手の相対による価格決定がせりまたは入札とあわせて行なわれるようになっております。いずれにいたしましても、今後、水産物価格形成につきましては、市場における公正かつ安定的な価格形成を生鮮魚類についてははかっていくとともに、冷凍品につきましては、産地及び消費地の冷凍施設の拡充その他の流通施設整備を行ないまして、ある程度市場外の流通の合理化ということも考える必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  113. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在の価格のきめ方が万全ではない、なお今後検討する余地があるということですね。  そこで、現在漁業に携わっている労働者のほうからいろいろな意見が出ておりますが、そのことについて深く触れることはこの法案との関係ではできませんけれども、その問題もありますが、漁家の現在の収入というものは農業よりも低い。要するに、最近の統計で見ても、漁家の家計簿において都市の勤労者よりも低いことはもちろんですけれども、農村よりもはるかに低いという形になっている。これを高めることが必要であるが、漁業に関連をする若い労働力が減少して、四十歳から五十九歳の労働力がふえているという老齢化の傾向が目立っており、全体的に漁業に従事する者の数が減っている。こういうぐあいに、どの点からとってみても前向きに前進をしているということが見られない。一体なぜこういうぐあいに国民の必要なカロリー供給する仕事がきらわれていくのか、これをどのようにしたら高めていくことができるのかということについての基本的な考え方について、これは水産庁のほうからお聞きしたい。
  114. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず、最初に、多少数字的なことを申し上げておきたいと思います。  漁業に従事する労働者の数は確かに年々減少しておりまして、この五年間では年率三%の減少を示し、四十七年には五十一万人となっております。このような漁業労働力の需給事情等を反映いたしまして、中小漁業の賃金水準は年々上がっております。これを雇用賃金で見ますと、四十七年の一人当たりの年間賃金は百三十四万円で、前年よりも八%上昇しておりますし、この水準を一般製造業の男子の賃金と比較いたしてみますと、従業員規模五人ないし二十九人の中小企業と申しますか、零細企業に比べますと、中小漁業のほうの賃金が二六%上回っている。しかし、三十人以上の工場に比べましては二%下がっているというところで、漁業従事者の賃金そのものはあまり低くないわけでございます。  一方、漁業につきましても農業と同じように兼業化が進んでおりまして、現在、専業漁家は二二%、第一種兼業漁家が五〇%、第二種兼業漁家が二八%となっております。漁家の所得を見ますと、四十七年の数字でございますが、約二百万円で前年より一七%上がっております。これは都市の勤労者に比べますと九七%ぐらいで低いということでございますが、必ずしも漁家の所得というものが非常に悪いわけではない。しかし、いずれにいたしましても、今後の水産業の伸展をはかるためには若い人々が漁業に定着していく必要があるということでございまして、そのためには特に沿岸漁業の近代化をはからなければならぬということで、今般三つの法案をお願いしているわけでございますが、そういった法制的措置と同時に構造改善等進めまして、今後沿岸漁家の所得を上げていくということに大いに努力しなければならないのじゃないか。これに関連いたしましては、水産物の流通の合理化もあわせてやる必要があるわけでございますが、そうした施策をあわせまして、漁家の所得上昇には最善の努力をしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  115. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、法案の問題と関連をしてくるのですが、災害補償の問題で、先ほど今井委員から言われたとおりに、補助限度率の問題です。たいへん前向きになったとはいうものの、まだ依然として問題点が幾つかひっかかっているところがある。この補助限度率というものについては、これはどうしても必要なのか、先ほど聞いていると、畜産物がこうだから、あるいは農業がこうだから漁業もこうでなければならないということですけれども、いま言うように、漁業というものはもっと高めなければならないのだ、もっと前進させなければならないのだという立場に立ったときには、そういうものには特別な一つの手当てというものをしていき、そして、魚のような天候なりいろいろなものに関係をするようなものについては満額補償していくということができないか、そういう方向に進めないのか、これはどうですか。
  116. 内村良英

    内村(良)政府委員 共済の限度額を上げていくということは、補償を厚くするという意味で先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、今般の改正で方式を改正いたしまして、共済の限度額を高めるという措置をとっておるわけでございますが、その前に私どもとしてつとめなければならないこと、大いに今後力を入れなければならないことは、現在漁済の加入率が必ずしも高くないということでございます。  まず、災害の共済限度額を高める前に加入を富めなければならない。これは最近の加入率の数三でございますけれども、漁獲共済が一一・二%、養殖共済が三二%、漁貝共済が一一・二%でございます。したがいまして、入っていない人々は補償のワク外にあるわけでございますから、われわれといたしましては、今度義務加入制をとり、その他漁家の方々が入りやすいような制度改正をますやったわけでございます。したがいまして、今度の改正が国会の御審議を経まして法律となりました場合には、これに基づきまして大いに加入の官伝をやってプールを大きくする。すなわち、すべての漁家が災害を受けた場合には補償を受けるというような体制をまずつくる必要があるんじゃないか。それをやりましてから、さらに補償の内容の拡充ということはもう当然やらなければならないことでございまして、そういったステップ・バイ・ステップでやらなければならないのじゃないか。しかし、共済限度額の引き上げにつきましても、われわれとしても、今般制度を簡素化し、わかりやすくし、さらに補償の内容を充実するという措置は法律改正でとっているわけでございます。
  117. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 前進していることは認めるわけです。前進していることは認めるけれども、なお不十分だ。また、入っていない人に対して啓蒙して入れなければならぬこともよくわかります。しかしながら、事故の場合に六〇%だけは補償する、あとのほうは自分で考えろというようなことは、先ほども話があったように早く何とか変えなければならぬので、いまの話を聞くと、二段階まず今度改正をして、そうして義務加入にしてみんなに加入してもらって、さらにこれを改正していく、こういう順序ですか。
  118. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもといたしましては、今般の改正で経費のカバーというものは従来よりもよくなっておるというふうに確信しております。しかし、なおさらに補償を増していけというようなお考えであれば、私どもは、その前にまず加入の促進をはかってプールを大きくし、多くの漁家ができればすべての漁家が災害を受けたときに補償を受けられるような制度にしたいということで、現在のものが不十分ということを申し上げているわけではございません。経費のカバーという意味では大体カバーされているのではないか。ただ、もっとよくしろということになりますと、さらに努力を要する問題だということでございます。
  119. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まず、全部の漁家が入るということが必要なことだから、それはそれとして承認もできるし、そうすべきだと思います。だから、それはそれとして了承できるけれども、なお制度の中には考慮する余地があるということを認めますか。それはどうですか。
  120. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもといたしましては、制度の改善については、将来においても一そう努力すべきものだと思っております。
  121. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは、早い機会になお一そうこの改善をやることを望みたいと思います。  次いで問題は、漁業者というのは、これは農業でも同じことですけれども、やはり一人一世帯です。ところが、そういうものに対して制度というものがたくさんあって、いろいろなところからいろいろな関係が来る。これはなるべく簡素化をすべきだと思う。だから、漁業の共済も、あるいは年金も、あるいは保険も、いろいろなものがありますけれども、そういうものを一本化していく・総合していくということに対して——これも当然段階的だと思うのですけれども、まずこういうことをやってから、それからそれを一本にしていくというふうなことになると思うのですが、いずれにしても、現在の制度は複雑であり、なかなかわかりにくいこともあるのですけれども、これを一本にしていく方向に対する努力、こういうことについてはどうですか。
  122. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいまの御質問は、共済と申しますか、保険の面で、漁業漁業共済制度漁船保険制度及び任意共済制度がある、末端では、これを受けるほうは漁業者が一人だ、したがって一本にしたらどうか、こういう御意見ではないかと思いますが、これにつきましては、かねがねこの委員会でもしばしば問題になったことがあるというように伺っておりますけれども、私どもといたしましても、この三事業整備統合ということはあるいは必要かとも思っております。しかしながら、現在のところでは、それぞれの事業につきまして事業内容に相当の相違がありますために、現在直ちに一元化しようといたしましてもなかなかむずかしいという問題がございます。そこで、水産庁といたしましては、四十九年度予算で漁業に関する災害補償制度検討会に必要な経費というものを、百四十万円ばかりの予算でございますが要求しておりまして、こういった面も含めまして、なお慎重に今後検討を続けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  123. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この点もやはり段階的に処理しなければいけないと思うのですけれども、まず、第一に、今度の法案に対して切りをつけて、それから次の方向という形にいかなければいけないと思うのですが、ともかく、受けるほうのものが一人である。あるいは一世帯であるというときに、制度がたくさんあるということは——これは農業だってそうですけれども、なるべく早くそういうものの方向に法案その他によって考慮していく必要があるということを再度要望をしたいわけです。  それから、その次は、先ほど石油値上がりの問題と、それからそれによって資材値上がりをするということについて確かめましたが、それはもうだれも否定をしないことだと思います。そうなってきた場合に、現在の値上がりに対して共済がこたえられるかどうか、現在の値上がりの問題でたえていけるかどうかということですが、これはどうですか、たえられますか。
  124. 内村良英

    内村(良)政府委員 それは共済金額だと思います。共済金額を決定いたしまして、その共済金額によって、損害を受けたときに支払いが行なわれる。その場合に経費が補償されるかどうかという問題になってくると思いますが、現在のところ、私どもといたしましては経費はほぼ補償できるのではないかと思います。ただ、今後非常に上がった場合におきまして、さらにそれを検討しなければならぬ問題ももちろんあるわけでございますけれども、現在のところ、直ちに現在の共済金額その他を改定することは考えておりません。
  125. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 被害がなければ一番いいのですけれども、そういうわけにもいかないので、そういう心配がほんとうにないかどうかということについて、これは確かめようもないのですけれども、万全の準備は整っているかどうか、それをもう一度確認をしたいわけです。
  126. 内村良英

    内村(良)政府委員 経費が幾ら上がるかというところは今後の推移を見まして検討すべき問題だと思いますけれども、いずれにいたしましても、現在のところ、私どもが四十九年度予算で考えているところでおさまるのではないかと思います。なお、五十年度以降につきましては、今後の経費の上昇を見て検討すべき問題だというふうに考えております。
  127. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次に、赤潮の問題です。赤潮の問題は今度新しく条文で入ってきたわけですけれども、それはけっこうなことだと思うのだけれども、赤潮というのは自然現象なのか、それとも、そうではなくて、これは防ぐことができるのかどうか。できるならばこれは防いで、そういう補償などということではなしに防げる方法はないかどうか。これは私もしろうとだからちょっとよくわかりませんが、この点はどうですか。やはり補償以外には方法がないのか、防ぐ道はないのか。
  128. 内村良英

    内村(良)政府委員 赤潮につきましては、人災的な面と自然災害的な面と両方あるようでございます。そこで、人災的な赤潮につきましては、汚水処理が三次処理までできれば、これは相当防げるということのようでございますが、現在はま一そこまで汚水処理が行なわれていないという状況のようでございます。
  129. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだ若干時間があるのですけれども、大臣が来ていませんから、あと大臣に質問する分だけ残して、これで終わりますけれども、先ほどソ連の問題について質問をしているあとでまた連絡がありまして、地方自治法の第九十九条二項の規定によって意見書を出すという形で、地元のほうから、まず、「ソ連の船団はわが国漁業関係法規などに準ずる規制のもとに操業すること。」ということと、二つ目が「海洋汚染防止法に基づくわが国の規制を守り、海上への汚物投棄は即時中止すること。」ということで要請が来ました。いい意味においてソ連と日本との間で国交が回復している以上、こういうような問題をそうあれをしたくはないのですけれども、現にこのような問題が起きていて、地元で大騒ぎになっているということを十分に考慮してもらって、水産庁としても、外務省と連絡をして、今後あまり感情を悪くしないようにしてなお一そう努力されることを要望をしておきたいと思います。  そして、あと若干の時間については、いずれまた大臣が見えたときに質問しますので、これで私は終わります。
  130. 仮谷忠男

    仮谷委員長 美濃政市君。
  131. 美濃政市

    ○美濃委員 提案されております三法につきまして若干質問いたしたいと思います。  第一に、沿岸漁場整備開発法の関係でありますが、こういう法律を出しますと大体計画がつくものなんですが、今回これに対する具体的な計画は参考資料としてついていないのですが、どういう計画を進めるのか、それを聞きたいと思います。  それからまた、この法案審議中に出せるのであれば、この法律に基づく計画はこうであるという資料を出していただきたい。きょうの場合はその概要をお聞きしたいと思います。
  132. 内村良英

    内村(良)政府委員 この沿岸漁場整備開発事業は、大別いたしますと、水産動植物の増殖または養殖を推進するために行なう基盤整備事業と、それから沿岸漁場保全事業でございますが、その具体的内容につきましては、この計画作成のための調査を行ないまして、かつ、さらに沿岸漁場振興審議会その他関係方面の意見も十分聞いた上できめたいと思っております。したがいまして、四十九年度におきましては、予算をとりまして、各県で調査をさせる。この調査に基づきまして、計画をつくって、五十年度から、できれば五年計画ぐらいで推進するというような体制でやりたいということで準備を進めておるわけでございます。  そこで、それでは、基盤整備としてどういうことをやるのか、想定し得る事業はどんなものかということでございますが、現在のところでは、従来実施してまいりました大型魚礁設置事業浅海漁場開発事業漁場造成事業漁場環境維持保全対策事業等を考えているわけでございます。このほか新たに漁場の大規模開発を行なうため、大規模な増殖場の造成や天然礁に準ずる規模の大きい魚礁設置、これはまだやっておりませんけれども、そういった点について、技術的な観点から、その必要性、事業実施方法及び規模事業効果等を十分調査いたしまして事業実施したいということを考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、四十九年度は、そういった事業について、どこでどういうことをやるかということについては十分な調査をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  133. 美濃政市

    ○美濃委員 そういたしますと、調査が終わらなければ、いまそういう計画書は資料としては出せぬということですか。この計画によって、将来の生産なり自給体制なりというものも、いまもくろみは出せないということですか。どうですか。
  134. 内村良英

    内村(良)政府委員 自給体制でございますか。
  135. 美濃政市

    ○美濃委員 いわゆる生産について、この法律によって、概要どれだけの投資をして、どれだけの生産が現在よりも上がるという計画です。
  136. 内村良英

    内村(良)政府委員 四十九年度で、この基盤整備事業と保護水面の実施に関する事業を含めまして、八千五百万円ばかりの予算措置をとっているわけでございます。これだけの金を使いまして、十分調査をして計画をつくりたいということを考えております。  そこ沿岸漁業の生産の増加につきましては、私どももこれは大いにやらなければならぬということでございますが、計数的にこういうものによってどれくらい上がってくるだろうかということは、そういった調査の結果を積み上げたものによって数字が出てくる、こういう性質のものでございます。
  137. 美濃政市

    ○美濃委員 しかし、この法律を提案するにあたって推定したものはありませんか。確定的なものは調査をしなければ出せないというのなら、それもやむを得ないと思います。しかし、こういう法律を出す前に調査が先行してもいいわけですね。いままでこういう法律をつくったときは、たとえば港湾の計画でも、いわゆる整備計画が出るときには概要書がつくわけですね。今回はつかない。こういう法律を国会に出すのに概要もないのですか。調査してみなければ全くわからないということなんですか。
  138. 内村良英

    内村(良)政府委員 水産物の需給につきましては、先生、御案内のように、五十七年を目標に試算したものがございます。それによって沿岸漁業をどのくらい伸ばさなければならぬかという計画はございます。その計画を目標にいたしまして私どもとしましては沿岸漁業振興をはかるわけでございますが、どこに魚礁を幾ら置いたから幾らなにがふえるというのは、これは技術的にもいろいろ検討すべき問題もございますし、そういった面も含めて十分調査をしてから計画を出し、その計画を閣議決定を得たい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  139. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、いま計画的な資料は何も出せぬということですか。どうですか。  この法律に伴う概要ですから、いま言ったように、どこに大型魚礁を何ぼ置くということは調査を待たなければならぬということも理解できますが、しかし、この法律を提案する以上、そういう個所や何かは別として、水産庁として、計画としては、そういう魚礁関係で、現在価額でおおむねどのくらいの投資額になって、それに伴う経済効果はどのぐらいを見込むというようなものがあってしかるべきだと思うのです。それはあるのでしょう。あれば、それを出してもらいたい。
  140. 内村良英

    内村(良)政府委員 繰り返して申し上げますけれども、事業量自体どれくらいの事業量になるかということは、先ほど申し上げました四十九年度における調査を通じて出てくるわけでございます。
  141. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、計画は何もないということですか。
  142. 内村良英

    内村(良)政府委員 五十七年の需給見通しに基づいて沿岸漁業を延ばしていかなければならぬという目標はございます。しかし、そのために大型魚礁を幾らにするか、浅海開発を幾らかにするかということは、今後その事業実施するところのいろいろな条件もございますので、十分調査をしてみないと出てこない。さらに、それによって幾ら沿岸の魚がふえるだろうか、魚礁一つ置いたから幾らふえるかということは、これはまた技術的にも非常にむずかしい問題もございますので、そういったところを十分検討いたしまして、なるべく早く計画を組みたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  143. 美濃政市

    ○美濃委員 いま、そういう計画に対して資料要求をしておるのですが、何も出せないということですか。それとも、そういう具体的な実施計画は別として、概要の要込み計画ですが、法律を出しておるわけですから、この法律に伴う概要の見込みはこうであるというようなものがあれば資料として出してもらいたい、こういうことなんです。全然何もないのですか。ばく然とこういう法律をつくって、これから調査してやってみるのだ、いまのところ資料として提出できるようなものは何もありません、こういう沿岸整備というものを思いつきで出したのです、と、こういうことですか。
  144. 内村良英

    内村(良)政府委員 われわれが考えている事堂につきまして資料を提出することはできるわけでございます。ただ、量的に幾らというのは、現在ではちょっと出せないという状況でございます。
  145. 美濃政市

    ○美濃委員 その調査が完了していないから、具体性は多少欠けてもいいわけです。ですから、まず、この法律を出すに至ったそういう計画、そういうものがあれば資料として出してもらいたいと要請をしておるわけですが、どうですか。
  146. 内村良英

    内村(良)政府委員 こういった事業種類を幸えているということは資料として提出いたします。ただ、それが幾らであるかということは、さつきから繰り返して御答弁申し上げておりますけれども、調査してみないと数字は出てこない、量的な把握は現状ではちょっとまだ出せないという状況でございます。
  147. 美濃政市

    ○美濃委員 出せる範囲でよろしゅうございますから、そういう資料をできるだけ早く提出してもらいたい。  それから、次に、もう一つは、漁業計画の上で遠洋漁業沿岸漁業、これを区分してどういうふうに——まあ、今回出ておるのは沿岸漁業整備でありますが、だから遠洋漁業に対する考え方、これを提出をしてもらいたいと思うわけです。遠洋漁業に対する計画です。あるいは展望でもよろしゅうございます。どういうふうに考えておるのか。沿岸漁業のほうはこの整備計画がありますから、これに合わせて現在出し得る資料を出してもらいたい。もう一つは、遠洋漁業に対してどういう長期展望を持っておるのか、これを出してもらいたい。
  148. 内村良英

    内村(良)政府委員 遠洋漁業につきましては、漁場整備と申しますよりも、漁場をつくっていくというよりも、漁場確保していくというほうでございます。これは先ほどから御議論もございましたけれども、今後海洋法会議その他いろいろ国際規制の問題等もございます。そこで、水産庁として、遠洋漁業についてはこういう展望を持っているという資料は提出いたしたいと思います。ただ、その場合、御承知のとおり遠洋漁業は回遊魚あり、その他ございまして、何年度にそれを幾らとっていくかということを完全に計数化できるかどうかはちょっと問題がございますけれども、私どもの持っております遠洋漁業についての展望と申しますか、そういう資料は提出いたしたいと思、います。
  149. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、漁業近代化資金について若干お尋ねしたいと思いますが、これは先にもう質疑があったようですが、公定歩合ですね。この場合は漁業ですけれども、農業も近代化資金があって、系統資金を使っている。しかし、いま想定されるのは、漁業団体にしても、農業団体にしても、協同組合ですね。近代化資金の関係はことしは赤字になるだろうと思うのです。公定歩合が引き上げられて利子補給が同じであります。末端金利はそのままですから、これはかなり信用事業のリスクになると思う。これはこういう政策をとって、そして法律で末端金利をきめて、公定歩合は上がるわけですから、公定歩合の引き上げによって、その原資になる金を集めるコストは高まる。そうして利子補給が同じであれば、近代化資金の系統というものはみな赤字になると思うのですが、これについてどうお考えになっておるか。いまそれを直す意図はないというような話であったと思うのですけれども、それはどうかと私は思うのです。さらに、経済需要によって公定歩合等が引き上げられた場合、年度内においても措置するのかしないのか、どういう近代化資金が公定歩合と利子補給の関係からこの融資条件に——漁業協同組合なり、農業協同組合なり、いずれも近代化資金をやっておるわけです。これがいま申し上げた関係から、この融資事業が全部赤字になっていくということが想定されるわけですが、それについて政府としてはどういう措置をとっていくのか。
  150. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま先生から御指摘のあった問題は、制度金融とそれから金利水準の問題ということで、非常にむずかしい問題でございます。そこで、金利が今日のように非常にどんどん上がっていくということでなければかなり安定したことになるわけでございますが、今日のように金利が上がってまいりますと、末端金利を場合によっては上げなければならぬということも起こってまいりますので、御案内のように、漁業の近代化資金農業の近代化資金につきまして、二月一日に四十八年の四月に下げました年〇・五%の金利をまた引き上げたわけでございます。もとに戻して、個人は六分ということにいたしました。  そこで、さらに金利が上がっていけば逆ざやになるのじゃないかというような御質問の意味かと思いますけれども、私どもの見ておりますところでは、現在基準金利が九分になっております。そこで、中金なり信漁連の原資供給から見まして、逆ざやぎりぎりのところではないかというふうに見ております。特に農業の場合にはさらにほかの事業もございまして、かなり余裕がございますが、はっきり言いまして、漁業のほうが農業よりつらいことは事実でございます。そのために、漁業につきましては、四十九年度予算におきましては、信漁連等に対しまして漁業金融推進臨時助成補助金というのを組みまして、多少漁連の信用事業にてこ入れをしております。その点が農業と違う点でございますけれども、しかし、御指摘のように今後公定歩合が上がる、それによって預金金利がどんどん上がっていくということになれば、私どもとしても、これは経営上の大問題になってくる問題だとは思いますけれども、現在のところでは基準金利九分がとんとんくらいのところではないかというふうに見ているわけでございます。
  151. 美濃政市

    ○美濃委員 そういう変動が起きた場合に、年度内においても調整しますか、どうですか。
  152. 内村良英

    内村(良)政府委員 これは財政措置もからむ問題でございまして、そのときの状況に応じて検討すべき事項だと思います。
  153. 美濃政市

    ○美濃委員 状況に応じて検討すると言うが、状況は金融事業ですからはっきり出てくるわけですからね。ですから、状況に応じて検討するという答えでは私どもとしては不十分だと思う。そういうことが起きた場合にはどうするという方針がなければならぬと思うのですよ。不確定要素やあるいは一般経済の物価とは違うわけですから、金融事業ですから、公定歩合を上げるということも政策ですから、政策で公定歩合がさらに上がった場合は、たとえばいまのお話しのように、現在はとんとんだろうと言うんなら一応とんとんとしてもいいわけですね。しかし、さらに公定歩合が上がらないという保証はないのですよ。こういう経済事情で、金融引き締めやなんかの関係で公定歩合はさらに上がるかもしれない。上げればそれはもう赤字になることははっきりする。そのときに検討すべき事項だというんじゃなくて、上がればどうするという政策ははっきりしていなければならぬわけですが、どうですか。そのときに検討するというんでは全く不十分だと思う。
  154. 内村良英

    内村(良)政府委員 この問題は制度金融の金利水準をどう考えるかという問題とも関連してくるわけでございます。と同時に、原資の供給が系統金融になっておるというところで、系統の経営問題もまた大きくからんでくるわけでございます。したがいまして、預金金利が引き上げられた、したがって原資のコストが上がったという場合に、六分の金利で三分の利子補給では逆ざやになる、経営の系統が非常に苦しくなる、これは今後預金金利がさらに上がればそういうことは出てくるわけでございます。その場合に、系統の経営を重点的に考えるか、すなわち末端金利を六分を六分五厘なり七分に上げてしまうということが制度金融というもので、金利水準がそのようなものでいいかどうかという、これは一つの大問題でございます。  それから、一方、その系統の経営ということを考えれば、赤字でそういう政策保証をさせるには限界がある。そうなれば、金利を上げれば系統の経営のほうが助かるわけでございます。しかし、政策金融としてその金利水準がどうかという問題が出てまいります。一方、政策金融としての金利水準を六分なら六分が現在の金利体系の中において最も合理的な金利水準であるというふうに考えた場合には、場合によっては財政によって利子補給をふやさなければならぬという問題も出てまいります。そうすれば両方目的が達せられるじゃないかということもございますが、いずれにいたしましても、系統の経営の問題とそれから近代化資金という政策金融の金利水準をどう考えるかという問題が密接にからんでくる問題でございまして、現在のところ、預金金利、すなわち系統の資金コストはまだそこまではいっていないんじゃないか。したがいまして、今後かりに預金金利が八分とか九分とかいうようなことになってまいりますれば、それはどうしてもほうっておけない問題になってくる。その場合にどういう判断をするかということにつきましては、これは政策的な判断がそこに入ってくる問題でございまして、私ども役人があまり批判すべきことではないのではないか、政策事項ではないのではないかというふうに思っております。
  155. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一回ここは言っておきますが、事金融事業で末端金利を法律でしておるわけですから、政策事項と言っても、普通の政策事項とはちょっと違うと思うのです。具体的な問題ですからね。ですから、そういう問題が発生したときには全く政策事項だろう、行政レベルの問題じゃありませんというのはちょっとおかしいんじゃないですか。行政レベルの中においても、そういうことが起きた場合には、こういう問題はこう処理するというルールを確立しておくべきじゃないですか。どうですか。自動的にそういう問題は処理恥きるようなものでなければ、これは大きな矛盾じやないですか。片や、公定歩合を引き上げられれば、一般貸し付け金利も上がるわけです。そういうものを、こういう法律をつくって国が利子補給を出すんであれば、それもけっこうです。利子補給をふやすということも確かに一つの方法です。あるいは末端金利の金利改定をやるのか、そういうルールというものは、こういう経済変動時期になってくると、行政レベルにおいても、そういう事象に対して弾力的に対応できるような措置というものがあらかじめ大体でき上がっておるということが常識だと私は思うのですね。そういう現象が起きたときには、それはもう全く行政レベルの範疇のものじゃありません、全く政策事項です、政治的な判断にゆだねますというのはどうかと思うのですが、どうですか。
  156. 内村良英

    内村(良)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、私どもは、事務的には、ただいま申し上げましたように、系統金融のコストの問題とそれから近代化資金という制度金融の金利水準の問題ということで問題点は十分に把握し、その影響も十分に把握いたしまして、まあどっちをとるかということはやはり政策的な判断として御判断をいただかなければならぬ事項じゃないか、これはちょっと事務を離れた非常に大きな問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  157. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、あなた方としては、私が申し上げたように自動的に対応できるようなルールをつくらなければならぬというお考えか。それとも、このままほうっておくというお考えですか。起きたときには起きたときで政策的な判断が働けばいいんだろう、事務レベルの責任じゃありません、そんなことは余分な心配になるからほうっておきますというのか、どうですか。
  158. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもは、ほうっておくということは全然考えておりません。これは非常に重要な問題でございます。水産庁といたしましては、水産業協同組合につきましての経営について監督責任その他を負っております。したがいまして、系統の経営というものは非常に重要な問題でございます。一方、政策金利としての近代化資金の金利というものも、これも重大な問題でございます。今日までのところ、近代化資金について金利を変えましたのは、先ほど申しました四十八年の四月に金融緩和に基づきまして〇・五下げました。そのときは基準金利を九%から八・五%に下げまして、利子補給額は据え置いたという経験がございます。それから、それをことしの二月に戻したわけでございます。そこでさらにそれよりも九分という基準金利が突破するようなコストの突き上げというのは今日までまだ起こっておりません。したがいまして、新しい問題になってくるわけでございます。そこで、それについてどういうルールをつくるかということは、やはり、新しい一つの政策的な問題として判断さるべきではないかと思います。そのために御判断をいただく材料等につきましてはもちろん十分な用意をいたしますけれども、御判断はやはり政策的な事項じゃないか、事務当局が云々すべきことではないというふうに私は思っております。
  159. 美濃政市

    ○美濃委員 では、政務次官にお尋ねしますが、これは政策事項だと事務当局は言うが、政府としては、政策判断としてはどうですか。そういうものに対して弾力的な大きな民間資金法律で動かしておるわけですから、ある程度起きた現象に対して自動的な対応ができる用意があるかどうか。
  160. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 一応あなたのおっしゃるようなことも想像されますが、現時点ではそういう問題は起きていないというようにこちらは考えております。また、あなたが突然質問をされて、まあいろいろなことを質問されますが、あらかじめ質問要項がわかっておればもう少し親切な御回答ができたんじゃないかと思います。
  161. 美濃政市

    ○美濃委員 それはおかしいんじゃないですか。(「突然というのはおかしいよ」と呼ぶ者あり)突然というのは全くおかしいですよ。どうですか。
  162. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私の言った突然というのは、実はあなたが質問予定者になっていなくて、質問の通告を出していなかったものだからと、そういう意味での突然であります。誤解のないように願います。
  163. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは、この問題は突然だからだめだと言うのですから、もっと検討しておいてください。私はきょうは質問を終わりませんから、後日またやります。それまでに検討課題として検討しておいてください。  次に、漁業災害補償法の一部改正について若干お尋ねしたいと思いますが、今回改正しようとする内容は、この制度を強化しようという意図に基づいておるというふうにも受けとめられるわけです。改悪だとは受けとめませんが、しかし、この制度はすべて一連しておるわけです。加入率から見ると、いままで漁民はあまり喜んでこの制度に加入していない。  そこで、まず最初にお尋ねしたいことは、漁獲共済、養殖共済、漁具共済の三つに分けてやった結果のデータはどうですか。いわゆる共済金支払いの過程での赤字か黒字かという問題ですね。黒字のものと赤字のものと、額についても、黒字の額、赤字の額、これをまず最初にお尋ねしたいと思います。
  164. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず、数字的なことを申し上げます。  漁業共済組合の収支状況は不安定で、全国三十九組合中、昭和四十五年度においては三十組合、昭和四十六年度においては二十一組合、昭和四十七年度においては二十七組合が黒字を計上しておりまして、その他は赤字となっております。  なお、累積収支は、四十五年度末十六組合、四十六年度末十九組合、四十七年度末十八組合が黒字を計上しておりますが、その他は赤字となっております。  赤字組合は、共済事故の大きい宮城、山口、徳島、高知で、これは相当な漁業県でございますが、この四組合のほかは共済加入率が低い組合でございまして、このためにも制度改正を行ないまして加入率を上げなければならぬという問題があるわけでございますが、組合別の収支は大体そのようになっておるわけでございます。  次に、連合会でございますが、連合会の収支状況は、昭和四十五年、四十六年度は年度収支に利益を計上いたしましたが、それ以前の収支状況が悪かったために、四十七年度までの収支累計は、漁獲、漁具共済勘定で三億八千万円、養殖共済勘定で十一億四千万円、管理部門勘定で六千万円の繰り越し損失となっております。
  165. 美濃政市

    ○美濃委員 この連合会の損失を共済基金で補完されておると考えて聞違いないですか。
  166. 内村良英

    内村(良)政府委員 この赤字てん補につきましては、昭和四十五年度に漁済連に対しまして三億円の補助金を交付し、さらに漁業共済基金から二億円の無利子の貸し付けを行なったわけでございます。なお、その原資としては、政府、地方公共団体及び共済団体が二億円を漁業共済基金に対して増資をいたしました。  今後の問題といたしましては、制度改正により加入率の増加をはかり、保険の収支を大きくして、長期的に赤字を出さないようにしていくということで対処したいと思っております。
  167. 美濃政市

    ○美濃委員 まず、制度の仕組みとして、共済の限度額、それから基準共済掛け金、これがやはり加入するかしないかという一つの問題点だと思うのです。片や、少ない負担で高い補償が与えられる内容であれば加入率は上がっていくわけですね。いままでの加入率から見ると逆選択の傾向があるのではないか。任意加入だし、結局、危険率の高いものが逆選択で加入して、比較的——たとえば漁獲であれば、漁獲が安定して、漁獲共済あたりも総体から見ると幾らも加入していないという数になるわけです。そうすると、漁獲が非常に変動率が高くて加入しておったほうが安全だという逆選択の傾向が若干あるのではないか。私はよくわかりませんが、そういうふうに感じるわけですね。そのためにこういう赤字が出ておるのではないか。赤字の出たことを即危険率の把握が低いから赤字が出たとか、あるいは共済の限度額が高いから赤字が出たというふうには私は想定できないわけですね。そこで、義務加入制をしこうとしておるのですが、そういう弊害があると思うわけです。そういう点に対して、今後の行政指導なり、あるいはこの改正によってどう変わっていくことが予想されるのか、それを聞いておきたいと思います。
  168. 内村良英

    内村(良)政府委員 逆選択の問題でございますが、先生案内のように、農業の場合には確かに常襲災害地というようなところがございます。ところが、漁業の場合は、私も完全なるくろうとではございませんけれども、農業における常襲災害地的なところのように、漁が毎回非常に少ないという、非常にフレがあるというところは農業よりはないのじゃないか。そういう意味で逆選択の余地は——それは保険でございますから、全然逆選択がないんだと言い切れるかどうかわかりませんけれども、常識的に考えまして、逆選択はあまりないのじゃないかというふうに考えております。たまたま事故が多かったので赤字になってきたということは、さっき申しました組合ごとの収支から見ましても、私は逆選択が全然ないとは申し上げませんけれども、それほど保険経理を脅かすような逆選択はないのじゃないかというふうに思っております。
  169. 美濃政市

    ○美濃委員 ですから、いま言った赤字の原因は何にあると把握しておるのか、逆選択だけをさしておるわけじゃないのですが。たとえば、加入が少なければ募集に経費がかかって、基準事務費も増加するでしょう。だから、この赤字の原因というのは何に——進めてきた経過というのは承知していなければならぬ。どこに原因があって、その原因に向かって今回は、まあ義務加入だけが一つのメリットじゃないはずですから、どういうふうに改正することによって加入意欲はどのくらい起きてきて、そしてこの保険収支はどうなっていくんだということをお聞きしたいわけです。
  170. 内村良英

    内村(良)政府委員 赤字の原因でございますけれども、先生案内のように、漁獲共済よりも養殖共済、特にノリの事故というのが非常に大きな赤字の原因になっておるわけでございます。今度の改正では、ノリの養殖共済につきましては、御案内のように一つの収穫保険的なことをやってみようということを考えておりまして、そこで制度の改善ということを考えておるわけでございます。  それでは、今度の改正で基本になる加入が一体どの程度ふえるかということでございます。加入がふえなければ制度を改正した意味がないじゃないかということでございますが、私どもの計画では、四十九年度におきましては、四十八年度に比較いたしまして、共済金額で二三・二%、純共済掛け金で四八・二%、国庫負担で五六・二%というふうなことで加入が行なわれるだろうというふうに計画しておるわけでございます。
  171. 美濃政市

    ○美濃委員 今度の改正では、共済のいわゆる限度額とかあるいは危険率という点については、従来やった実績だけを考えておるのか、それとも限度額あるいは基準共済掛け金率というものに、いわゆる加入が推進できるような、やった結果の実績で改定が見込まれるかどうか、これをお尋ねしたい。
  172. 内村良英

    内村(良)政府委員 共済限度額の算定方式につきましては、従来よりも簡素化いたしまして、わかりやすくすると同時に、最近の魚価の上昇が反映できるように改正しておりますので、従来よりは漁業者の方々にとってわかりやすくなるし、さらに補償が厚くなる。  それから、掛け金につきましては、国庫負担をふやしておりますから、その漁業種類によりましては、共済掛け金率の改定の結果多少掛け金が上がるものももちろんございます。しかし、平均として見れば国庫負担がふえまして掛け金率自体も下がるということで、従来よりは入りやすくなっているということになるわけでございます。
  173. 美濃政市

    ○美濃委員 掛け金率についてはどうですか。危険率はどういうふうに見ていますか。今回の改定と従来やってきた経過から見て、ですね。
  174. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず、漁獲共済から申し上げます。漁獲共済の共済掛け金率は、昭和三十九年に制度発足以来、四十二年度に基準共済金額の算定方式を単純平均方式から加重平均方式に改めるとともに、限度額率の引き上げを行なう等の措置をとりましたため、掛け金率の改定によって掛け金率が約四割上昇いたしました。その後、共済掛け金率についはおおむね三年ごとに改正することにいたしまして、現在の共済掛け金率は四十五年度に改正されたものでございまして、前のときに比べまして、四十五年度の改定では約九%の引き下げとなっております。次期の共済掛け金率の改定期は四十八年度であったわけでございますが、いろいろ制度改正の研究が行なわれたということもありまして、一応制度改正時期に合わせるということで四十八年度の改正は見送ったわけでございます。今度の制度改正による改定掛け金率は平均五・九%となりまして、現在に比べて約七%の引き上げとなるわけでございます。  なお、共済掛け金率算定の基礎となる被害率は、本制度の契約者等の実績を基礎として算出したものでございますが、てん補内容の改善の場合を除き、掛け金率の引き上げ幅については、漁業者の負担とならないような調整措置、すなわち最高二割で押えるという措置をとってきております。  次に、養殖共済でございますが、養殖共済につきましては、三十九年に制度発足時に決定した共済掛け金率について、四十二年度にノリ養殖共済にかかる共済掛け金率のみその被害発生状況から約四六%の引き上げを行ないました。さらに四十二年の漁災法の一部改正の際、ノリのてん補方式が三割足切りになりました関係から、掛け金率は一〇%引き下げとなっております。なお、その後おおむね三年ごとに共済掛け金率の改定を行なうことにしてきたわけでございまして、四十四年度にはノリの養殖共済の掛け金率は、災害がその前にあったものでございますから、四六%の引き上げになっております。四十九年度は定期改定期となっているわけでございまして、今般の制度改正とあわせて改正をすることになるわけでございますが、共済掛け金率の引き上げ幅は漁獲共済の場合と同じように最高二割に押えたいというふうに思っております。  漁具共済につきましては、四十三年度に約四四%の掛け金率の引き上げを行なっておりますが、漁具共済にかかわる共済掛け金率の改定期及びその幅については特段の定めをしていないわけでございます。  そこで、今度の改正によりまして養殖共済の掛け金率がどうなるかということでございますが、漁獲共済については先ほど数字を申し上げましたので、養殖共済について申し上げますと、養殖共済につきましては、今度は赤潮特約というものなつくりますので、異常な赤潮にかかわる支払い共済金分については、当然養殖共済の掛け金率から除かなければなりません。除きますと、平均掛け金率は約七・六%であったものが六%になって、二十%程度低下いたしますが、これに赤潮その他を加えてみますと、過去の被害の発生状況から掛け金率が現行の六・七%から八・〇%になり、一九%上昇するという問題がございます。しかし、これらの上昇をカバーするために、今朝も御答弁申し上げましたけれども、国庫負担率をそれぞれ漁業区分に応じて引き上げまして、極力その引き上げの効果を相殺するという措置をとっているわけでございます。もちろん、漁業種類によりましては完全に相殺されなくて、掛け金の上がるものもございますけれども、補償内容がそれだけ拡充するということでございますので、その辺はやむを得ないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  175. 美濃政市

    ○美濃委員 制度改正と赤字問題はちょっと問題があると思います。赤字の具体的な資料は提出してもらえますか。漁獲、養殖、漁具の三つに分類して、各連合会と組合段階三十六組合だそうですが、この資料を提出願いたい。  理事のほうからの話では、大体四時ごろできょうの質疑を打ち切るという予定になっているそうでありますから、あと、きょう答弁できない事項は保留しておきます。  きょうの場合、私の質問を、保留分は保留して、以上で一応終わりたいと思います。
  176. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次回は、明二十日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時散会