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馬場委員 全く現状認識が甘いですね。
開拓者魂を持ってやってくれと言うけれども、日本精神だけじゃだめなんですよ。まさに
生活が自滅をする、破壊をするというところまで追い込まれておるのですよ。そういうときに
開拓者魂でやってくれなんて言ったってだめなんですよ。まさに現状認識が甘いですよ。ほとんど入植
希望者もないのですよ。事実の把握が非常に不十分です。だから、私が
質問しましたこと等についてはもう一ぺん現状を詳しく
調査して、現状のきびしさというものを認識してもらいながら、将来の展望を含めながら、この
時点でもう一ぺん
計画を洗い直すということをぜひ考えてもらいたいと思います。
次に、時間があまりございませんので、漁業の問題について
質問したいと思いますが、この
羊角湾というのは、多数の入江が羊の角みたいなかっこうの地形をなしております。そういうことで
羊角湾と言うのですが、魚介類の産卵とかあるいは稚魚の育成にはここは非常に最適な海域です。そしてまた東シナ海に面しておりまして、遊泳魚類の回遊も顕著でございますし、加えて海藻の宝庫とも言われているのです。そして、魚類の種類も非常に多い、プランクトンの発生の絶好地であるということで、言うならば有数の沿岸漁場でございます。ところが、この有数の沿岸漁場が、いま言った
目的のない
ミカン園づくりとかあるいは
干拓というような
事業のために
締め切りということになり、これによりまして、この漁場の三分の一を漁民は失うことになるわけでございます。そして、また、四十四年にこの漁業権放棄に伴う補償が行なわれましたが、この補償の行なわれ方というのは強行採決ですよ。そして、また、
町長に言わせますと、補償なんかはもらわぬところが一カ所くらいあってもいいじゃないかというくらいな考え方で実際に押し通されておりますし、
原子力発電所とか、あるいは
牛深に水をやるのだからとか、こういうような形でもって漁業権放棄とかが一方的に押し切られておるという
状況もございます。そうして漁民らには、十二億円くらいの補償要求に対して、
調査もしなくて一億円くらいで打ち切られておる。一方、九州真珠という会社がございますが、ここには千二百三十四万という多額な補償金も支払われており、
農政局はこれを払うときには五百万は町に渡してくれという約束をしておったという話さえもございます。そして、また、補償金を払うときに、きまったら日曜日に議会を開いて、町が一億円借りるということにして、そして月曜日には漁協長に一億円払っておる。その利子は地方自治体が負担しておるが、
国営事業に地方自治体が利子を負担するのもおかしい。とにかく、漁業権放棄の問題についてもたいへんおかしい問題がございます。
そういうことで、結局訴訟がここで二つ起こっております。四十四年七月六日の総会決議というのは、
農政局と漁協がやりました補償協定は無効だということで、各人に補償しろという訴訟が四十四年に
一つ起こっております。現在また第二次訴訟が起こっておりまして、これは去年起こりましたが、漁業権放棄のときに賛成した人が、この意思表示は無効であったという訴えをしているのです。それから、
工事に伴いまして非常に海がよごれております。沈でん物が出て漁業被害が出ておるのです。この沈でん物を除去しろということです。この二つの訴訟までも漁民の中から起こっておるという状態もございます。こういうときには十分話し合いをすればもともと訴訟なんか起こらなくてよろしいのにこういう訴訟を起こさなければならなかった行政の怠慢というものは強く責められなければならないと私は思います。
そこで、問題は、現在
工事途中で、非常に海底の砂を掘りました。漁場の砂を掘ったから底がにごり、沈降剤を二千トンぐらい使っている。それがヘドロ状にたまっている。そして、
締め切り工事をやりますから、そこで、海がよごれておるということで補償要求が出ております。これに対しても
農政局は非常に誠意がなくて、今度は漁協一任派とか、漁場を守る会とか、二つか三つに分かれてまた交渉もやって、うまくいっていないという
状況もございます。だから、裁判に対するものの考え方と、それから漁場がよごれたということに対する補償について、誠意をもって漁民と話し合いをして早急に解決すべきだと思いますが、もう時間がございませんので、一言ずつ、誠意をもってやるということだけでもけっこうですから、これについて誠意のほどを示していただきたいと思います。
それからもう
一つは、最近沿岸漁場整備
開発法も出るという段階ですから、沿岸漁業をどう
振興するかということが当面の大きい日本的課題です。
農林省の課題であります。水産庁の課題であります。これについて、
締め切り工事もこの辺でもう一ぺん洗い直しをしてみて、あるいは
計画を変更してみて、国民のたん白源である漁業をどう
振興するか、漁民の
生活をどう安定させるかということを重要な位置づけにして、漁業
振興のあり方ということも含めながら、
締め切り工事を中止しながら——いままでの
計画はまさに
ミカン山、
干拓のサイドでした。これを漁業
振興というサイドも含めながら、
締め切り工事等の問題についてもう一ぺんここで洗い直して検討し直す必要があるのではないかと思うが、こういうことについての御
見解を承りたいと思います。