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倉石国務大臣 漁業災害補償法の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
昭和三十九年に
漁業災害補償法が制定されて以来、漁業災害補償制度は、年々その
事業規模を拡大し、中小漁業者の漁業再
生産の阻害の防止及び漁業
経営の安定に寄与してまいりました。しかしながら、本制度につきましては、制度発足以来九年余を経過しておりますことから、この間の
技術の進歩等による漁業
経営事情の推移及び漁業を取り巻く環境
条件の急激な変化に十分即応し得ない面が出てきている等、種々の問題が生じてきている次第であります。
政府におきましては、このような事情にかんがみまして、漁業及び漁業共済に関する
学識経験者の
意見をも徴して慎重に検討した上で、中小漁業者の共済需要の多様化に対応しつつ、漁業災害補償制度をより一そう定着させることを旨として、漁獲共済及び養殖共済の仕組み等について所要の改正を行なうこととし、この
法律案を
提出することとした次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、漁獲共済の仕組みの改善であります。まず、共済契約の締結方式の改善でありまして、本制度がより一そう漁業
経営の安定に資することとなるよう採貝・採そう業、小型漁船漁業及び定置漁業等について、いわゆる義務加入の道も開くことといたしております。
また、最近における漁業の
経営事情等にかんがみ、てん補水準の引き上げ、てん補方式の選択制の導入等、てん補内容の充実をはかることといたしております。
第二に、養殖共済の仕組みの改善であります。最近における漁業者の共済需要に即応して、共済契約の締結要件及び小損害不てん補要件を緩和するほか、異常な赤潮による損害をてん補するための特約を創設することといたしております。なお、この赤潮特約につきましては、その共済掛け金に対する国等の助成措置について定めることといたしております。
第三に、特定養殖共済の試験実施であります。中小漁業者の営む養殖業における
経営事情その他の事情の推移に即応する漁業災害補償の制度の確立に資するため、特定の養殖業につき、収穫保険方式による特定養殖共済を試験的に実施するのに必要な措置を定めることといたしております。
このほか、所要の規定の
整備を行なうことといたしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
次に、
漁業近代化資金助成法及び
中小漁業融資保証法の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
漁業
近代化資金制度は、昭和四十四年に制定された
漁業近代化資金助成法に基づき、漁業者等に対する
長期低利
資金の融通を円滑にするため、漁業協同組合系統
資金の活用をはかりつつ運用されておりますが、四十七年度末において、その
融資残高はおおよそ七百三十億円にのぼっており、漁業者等の資本装備の高度化及び
経営の
近代化の推進に大きく寄与しているところであります。
一方、中小漁業
融資保証保険制度は、古く昭和二十七年に中小漁業者等の
資金の融通の円滑化をはかる制度として創設されたのでありますが、四十七年度末において、漁業信用基金協会の債務保証残高の合計額はおおよそ七百八十億円にのぼっており、中小漁業の振興に大きな役割りを果たしてきているところであります。
これら両制度につきましては、制度創設以来逐次改善をはかってきたところでありますが、最近における漁業者等の
資金需要の大口化、多様化等の傾向に即応して、漁業者等の資本装備の高度化及び
経営の
近代化を一そう推進し、あわせて中小漁業の振興をはかるため、漁業
近代化資金制度及び中小漁業
融資保証保険制度について、所要の改善措置を講じて制度の運営に遺憾なきを期することとし、本
法律案を提案した次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
まず、漁業
近代化資金制度の改善でありますが、これは漁業者等の資本装備の高度化及び
経営の
近代化を推進するために行なうものであります。
改正の第一点は、
資金種類の拡大等の措置であります。すなわち、漁業
近代化資金として、成育期間が通常一年以上である水産動植物の種苗の購入または育成に必要な
資金を新たに加えることといたしております。また、貸し付けの最高限度額を現行の三倍に引き上げるとともに、貸し付け対象者のうち漁業及び水産加工業を営む法人の
範囲を拡大することといたしております。
改正の第二点は、漁業信用基金協会への出資に対する助成措置であります。漁業
近代化資金の融通の円滑化をはかるため、都道府県の基金協会への出資で、漁業
近代化資金にかかるものに対し国庫助成ができることといたしております。
次に、中小漁業
融資保証保険制度の改善でありますが、これは、中小漁業の振興をはかるために行なうものであります。
改正の第一点は、漁業信用基金協会の行なう債務保証制度の改善であります。すなわち、基金協会の保証対象
資金に生活
資金を加える等、基金協会の業務
範囲を拡大するとともに、その会員資格の
範囲を拡大することといたしております。また、基金協会の財務及び会計に関する所要の規定の
整備を行なうことといたしております。
改正の第二点は、
政府の行なう保証保険制度の改善であります。すなわち、保証保険の対象
資金について、漁業
経営等の改善に資する生活
資金を加える等、その
範囲を拡大するとともに、借入期間が政令で定める期間以上である借入金については、借入金元本のほか遅延利息以外の利息を含めた額を保険価額とすることといたしております。また、公害防止
資金及び災害
資金のうち主務
大臣の指定するものにつきましては、保証保険にかかるてん補率を一割引き上げることとするほか、保険方式の改善等につき、所要の措置を講ずることといたしております。
改正の第三点は、中央漁業信用基金の設立等であります。改正の第一点及び第二点において申し述べましたように、中小漁業
融資保証保険制度につきましては、種々の改善措置を講じ、その拡充強化をはかることといたしておりますが、これらの措置とあわせて同制度の健全かつ円滑な運営に資するため、農林中央金庫が行なう漁業
近代化資金等の貸し付けについての
融資保険及び漁業信用基金協会に対する
資金の貸し付けの業務を行なう中央漁業信用基金の設立等について定めております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
次に、
沿岸漁場整備開発法案につきまして、その
提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
最近における我が国漁業を取り巻く環境には、沿岸海域にあっては漁場環境の悪化、沖合い・遠洋海域にあっては国際的な規制の強化等、きわめてきびしいものがあります。一方、水産物に対する国民の需要は、生活水準の向上に伴い、高度化、多様化しつつ増大しており、これに即応した
供給体制の確立をはかることがきわめて重要な課題となっております。
このような課題に対処するため、沿岸漁業につきましては、沿岸漁場としての
生産力を増進させるための
生産基盤の
整備開発を推進するとともに、天然の資源のみに依存してきた従来の漁業に加えて、いわゆる裁培漁業を本格的に推進することが必要であると
考えております。
このため、沿岸漁場の
整備開発の
事業を総合的かつ
計画的に推進するための沿岸漁場
整備開発計画制度を確立するとともに、漁業者自らが栽培漁業等の推進のため行なう特定水産動物育成
事業を推進することとした次第であります。
以上が、この
法律案の提案の理由でありますが、次に、その主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、沿岸漁場
整備開発計画制度の確立であります。
農林
大臣は、魚礁の設置、消波施設の設置、しゅんせつ等の
生産基盤の
整備開発及び漁場の効用を回復するための堆積物の除去等の沿岸漁場
整備開発事業の総合的かつ
計画的な実施に資するため、これらの
事業の実施の
目標及び
事業量を定める沿岸漁場
整備開発計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものといたしております。
第二に、特定水産動物育成
事業であります。
漁業協同組合または漁業協同組合連合会は、増殖を推進することが適当な特定の水産動物につき、都道府県知事の認可を受けて、育成水面の区域において当該水産動物を育成する
事業を行なうことができることといたしております。
このほか、沿岸漁場
整備開発計画を達成するため国の講ずべき措置、国及び都道府県の栽培漁業の振興の責務等につき所要の規定を設けております。
以上が、この
法律案の
提案理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、すみやかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。