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1974-03-06 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月六日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       伊東 正義君    今井  勇君       上田 茂行君    小沢 一郎君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       佐々木義武君    中尾 栄一君       本名  武君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       美濃 政市君   米内山義一郎君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省畜産局長 澤邊  守君         農林水産技術会         議事務局長   小山 義夫君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   井上  泉君     湯山  勇君   不破 哲三君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   湯山  勇君     井上  泉君   中川利三郎君     不破 哲三君     ————————————— 三月五日  沿岸漁場整備開発法案内閣提出第七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農用地開発公団法案内閣提出第四八号)  漁業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第四九号)  漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法  の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)  沿岸漁場整備開発法案内閣提出第七〇号)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農用地開発公団法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  3. 美濃政市

    美濃委員 私は、農用地開発公団法につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  まず、第一に、この公団をつくるにあたって、いま構造改善局計画しておる範囲でよろしゅうございますから、その計画について伺いたいのと、それとあわせて長期展望があれば、その長期展望を伺いたい。現在計画あるいは将来の長期展望は、どういうことをどのくらいのことをするのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  4. 大山一生

    大山政府委員 現在この公団において考えております事業は、御存じのように、未利用、未開発土地の残っているようなところで、しかも大規模農用地開発する適地というものが各方面にございます。したがいまして、そういう地方につきまして、従前から、直轄で、あるいは開発局の出先として、調査事務所を設けて調査してまいりました。その結果、根室でありますとか、北上・北岩手、あるいは阿武隈・八溝、そして阿蘇・久住飯田というような広域の未開発土地がございまして、また、その地方におきましても畜産へのきわめて強い熱意があるというようなことから、広域開発事業を行なうというのが一つの目的になっております。それから、もう一つは、中小家畜とミックスしたかっこうにおきまして大家畜を飼っていくところ、これが北海道とか青森、福島、島根、鹿児島、沖繩というようなところにおいてその適地があるということで、それらのいわば畜産基地開発事業、この二つ事業を行なってまいるということを、この公団事業として考えているわけでございます。  そこで、現在までの調査の結果に基づきましてこれを事業化する場合におきましては、地元との調整といいますか、地元民の意識の高揚ということとの結びつきの上において具体化せざるを得ないわけでございますので、その意味から申し上げますと、現在までの調査から推定いたしますならば、広域で約六万五千ヘクタール程度、それから畜産基地で二万ヘクタール程度、約九万ヘクタール程度のことが今後十カ年間においてこの事業として実施し得るのではないだろうか、こういうふうに現在のところ推定いたしておるような次第でございます。
  5. 美濃政市

    美濃委員 それから先はどうですか。さらに進めればどのくらいの開発が可能であるということを検討されておりますか。
  6. 大山一生

    大山政府委員 ただいま申し上げましたところは、非常に具体性を持っている、可能性のあるところというかっこうでつかんだわけでございますが、たとえば広域開発で申し上げますならば、約六十万ないし百万ヘクタールの土地についての調査を実施しているわけでございます。そして、技術的な可能性ということの追求をいたしているわけでございますので、今後さらに、技術の革新なり、そういう問題の上に立ちますならば、また新たな展望が出てくるのではないだろうかと思いますが、ただ、十年先以降幾らあるかという話になりますと、これはいまの段階数字を申し上げるまでにはまいっていないということでございます。
  7. 美濃政市

    美濃委員 この開発は主として畜産生産が主体になりますが、たとえばこの開発計画の中にございますが、これらの畜産物の将来の自給率はどう考えてこれを進めていくのか。
  8. 澤邊守

    澤邊政府委員 わが国全体の将来の自給率展望でございますが、これは一昨年の十月に農林省で発表いたしております「農産物需給展望生産目標の試案」というものによって現在は目標考えております。これは、現在、農政審議会において、さらに最近の諸情勢を踏まえて検討中でございますので、その結果をまって最終的に確定することになっております。現在のところ、それによって全国ベースでの自給目標を設定しておりますが、それによりますと、五十七年でございますが、牛乳・乳製品につきましては、消費指数の伸びによりまして三つに分けておりますが、中数でとりまして約九二%でございます。食肉につきましては、牛肉を除きまして八九%、鶏卵につきましてはおおむね一〇〇%という長期自給目標を設けております。
  9. 美濃政市

    美濃委員 こういう計画を立てることは、自給計画ですからけっこうだと思いますが、実は、片やこういう計画を立てながら、昨年あるいは昨年の暮れからことしの一月とか申し上げていいと思うのですが、無計画枝肉輸入等が行なわれて、最近、東京畜産危機突破大会というものが開かれておりますけれども、平和島の冷蔵庫を見ましたら、あそこに枝肉が二万トン入っておる。これは一月の末です。それで、東京都の冷蔵庫公称収容能力七十万トンで、平和島が十二万トンですから、それらの比較から言うと、約十万トン近い枝肉が都内に輸入されて積まれておる。片や魚のほうを調べてみると、魚は大体三万トン。需要量が魚は肉よりもずっと多い量ですから、魚の冷蔵は大体東京都における需給調整備蓄用貯蔵量としていいと思うが、肉はどうも多過ぎという推定を私はした。輸入した商社も、金繰りや何かの都合で、冷蔵庫経営者に聞くと、一日に三回も寄託者が変わるが、これはどうしたんだろうと言うんですね。これから先、片や大きな経費をかけて開発をし、あるいは農民はその指導に従って、たとえば加工原料乳地帯では犢の生産に力を入れて、肉の生産体制、特に、牛肉生産体制も軌道に乗ったという時期に無計画輸入をして、農業をやっておる農民経済条件を破壊してしまうということはどういうふうに考えればいいのでしょうか。
  10. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御存じのように、いま物価の問題がたいへんやかましくなっております。そういう関係から、私どもは、物価の安定についても、一方において消費者経済考える立場からいろいろなことをやっておるわけでありますが、ただいまお話しのございました肉につきましては、御存じのように、価格は安定しておりますが、そこで下半期九万トンのワクは出しましたけれども、約半分、四万トン余り、現実にただいまお話しのような事情もございましたので、これは調整保管をいたして出さないことにいたしました。そういうような取り扱いをいたしまして、畜産振興事業団においてもこれを調整するという態度でやっておるわけであります。
  11. 美濃政市

    美濃委員 いま大臣が言われたそういう実情に合わない状況、たとえば牛肉について申し上げますと、下期九万トンという量が入れば、国内生産過剰供給になって破壊されてしまう量だということがわかっておったと思うのですが、九万トンという輸入計画はどこがつくったのか、それに対して農林省はどう合議をしたのか、それを聞いておきたいと思います。
  12. 澤邊守

    澤邊政府委員 四十八年度におきましては、牛肉価格が年度当初非常に高い、さらに値上がりするという見込みもありましたので、上期七万トン、さらに十月段階におきまして、下期、ただいま御指摘がございましたように、九万トンの輸入政府としてきめたわけでございまして、当時、農林省も、通産省が主管でございますけれども、協議をいたしまして、九万トンという予定をいたしまして、二回に分けて公表することにしたわけでございます。
  13. 美濃政市

    美濃委員 それに対していまどう考えておりますか。過剰であったとお考えになっておるか。その九万トンというものが過剰で、国内価格が暴落して、生産破壊が起きてきたからとめたんでしょう。あまりにもずさんだと私は思うのです。九万トンというものが半分入ったときにとめなければどうにもならぬ状態が起きてくる。しかし、小売り市場を調べてみたら、あまり下がっていない。高いときも、生産地域は値くずれしてしまって、全然価格は暴落しておる。だが、小売り店頭の肉はあまり下がっておらない。高いときも下がったときも同じである。消費者のためにもなっていない。輸入した商社も損をしておる。生産者は、膨大なえさを食べる動物をかかえてもう行き詰まってしまって、とにかく、いまの場合でも、肉生産農家というものはえさ高で全く窮地に立たされておる。生活費どころの騒ぎじゃない。飼えば飼うほど赤字になるという状態です。これを将来はどういうふうにするお考えか。そういうことを興して、こういう開発をして基地をつくっても、生産破壊をすると、そこにまた土地ブローカーでも入ってきて、五年か十年たったら、かつてせっかく畜産基地用としてつくったものが、条件のいいところだったらゴルフ場ができるというようなことではどうにもならぬと思うのです。条件の悪いところはそうなりませんけれども、中には、条件のいいところはいつの間にかゴルフ場になったなんていうことも出てこないとは限らないわけです。ですから、その自給計画を立てれば、その自給計画に伴って生産性の上がる方策を進めるということはもちろん当然だと思いますけれども自給に対する政府の責任は明確にして、今回のようなことが起きないようにせんければならぬと思うんです。それに対してどうお考えになりますか。
  14. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御存じのように、ただいまは世界的に牛肉不足を言われておるときであります。同時に、また、先般までは牛肉価格がかなり高騰しておりました。物価の面でもしきりにそういう声を聞いたわけでありますが、私どもがただいま御審議を願っておりますこの公団法が実施されることになりますと、提案理由でももう申し上げておりますように、私どもは、国際的に不足だと言われております牛肉その他のものを計画的に国内自給度を高めてまいるという考えでございますので、  一方における輸入政策につきましては、そういうものと見合った程度輸入政策をしていかなければならないという考えでおります。  それから、いまお話し小売り価格があまり下がっていないではないかということですが、一時そういうことが伝えられておりましたけれども、現在の状況を見ますと、だんだん落ちついてきております。そこで、いままでは物価の面からいま申し上げましたような施策をとってまいりましたけれども、これからはやっぱり計画的に国内増産をやってまいるわけでありますから、それに見合ったような輸入政策を実施してまいって、価格の安定的な供給をはかってまいるようにいたしたいと思います。  それから、また、お話しのございましたように、今度計画いたしております個所につきましての将来の推進につきましては、もちろん、いまお話しのございましたような、他用途に利用されるようなことのないようきびしく私どもは進めてまいるつもりであります。
  15. 美濃政市

    美濃委員 次に、こういう開発をいたしまして、いわゆる規模を拡大するということと、生産農家労働時間ですね。これは計画の中ではどのようにお考えになっておるか。たとえば、あまり広範な例でなくてもいいですが、根室が一番大きいですから、根室酪農規模拡大はどういう規模に拡大しようという計画になっておるか、それを聞かしていただきたい。
  16. 大山一生

    大山政府委員 根室におきまして考えておりますのは、五十ヘクタール五十頭という規模経営考えているわけでございます。そして、その計画を立てます際に、地元方々とか、あるいは学識経験方々とか、いろいろその道の専門家なり経験者方々意見を聞きながらこの計画を詰めてまいったような次第でございますが、その際に要します労働時間につきましても、これは道の酪農近代化計画に出ております時間、約五千時間、これを考慮してつくっているような次第でございます。
  17. 美濃政市

    美濃委員 五千時間という労働時間を標準農家がどういうふうにして消化するかということを検討しておりますか。五十頭で五千時間、この五千時間という労働時間をどのようにして標準農家が消化できるか。
  18. 大山一生

    大山政府委員 現在考えております約五千時間という問題につきましては、飼養管理飼料生産と両方の問題があると思いますけれども飼養管理面といいますか、圃場につきましては、これは集団化されてまいるわけでございます。したがって、高能率の機械を効率的に使用できるような圃場条件整備されるように土地基盤整備いたします。また、飼養管理面におきましては、農業甲水路整備によりまして、ふん尿処理スラリー方式にするというような省力化をすることによりまして、現在の二・五人ないし三人の労働人口を持っております農家において経営が可能であるというふうに考えておる次第であります。
  19. 美濃政市

    美濃委員 これは、たとえば欧州諸国に行きますと、構造の上で非常に厳格に労働時間を計画して、二千四百時間以上の計画労働時間は入れないわけですが、五千時間を労働時間に入れる。しかし、農業雇用条件はありません。それから、通例標準農家標準世帯標準考えなければいけない。その五千時間の労働というものは、標準所帯では五千時間という労働は過酷である、こうなるわけですから、それは特定な一時的に稼働力のある一時の時期は別といたしまして、そういうものを対象に酪農というものは膨大な設備をするものじゃないわけです。デンマークなどへ行きますと、デンマーク個別経営というものは、典型的な六十頭経営ですから、むすこさんに嫁さんをもらって、親たちが達者だというときには、豚だとか、大きな生産設備投資を要しない手段で所得を上げて、親たちが動けなくなれば、その生産部分は切っていくという方法をとっておりますね。これは典型的なものです。ところが、日本の場合、五千時間というような労働時間の目標を掲げて、無差別にそれを進めるということには問題があると私は思うが、どうですか。五千時間という労働時間は消化できない時間ですよ。
  20. 大山一生

    大山政府委員 先生の御意見でございますけれども、われわれのほうといたしましては、タイプ二つに分けまして、終末装備につきまして、畜舎フリストール、それから搾乳をミルキングパーラー、そしてふん尿処理につきましては、先ほど申し上げましたようなスラリー方式、それから牧草刈り取りにつきましては自走式ハーベスターを使う、こういうふうな一つタイプと、それからもう一つタイプは、畜舎につきましてはスタンチョン方式搾乳についてはパイプラインミルカー方式、それからふん尿処理なり牧草刈り取りにつきましては、これは第一タイプと同じようなかっこうでやっていく限りにおきまして、家族労働範囲内においてカバーし得るというふうに実は考えているような次第でございます。
  21. 美濃政市

    美濃委員 時間の関係で、ここだけで問答しているわけにはいきませんが、私が申し上げておる点は、今後こういう計画を立てるときに十分考えてやりませんと、膨大な設備投資をしても、家族労働不足からそれの生産効果を百%あげることができない。それは広ければいいですよ。牧草地が広ければ放牧でもしておけばいいのですから、これは何としてでも使える。使うには使うけれども、高度な生産はあがらない、それだけの労働力は間に合わない、こういうことを十分脅えてもらいたいと思います。  次に、建て売り牧場なんですが、この地域においてつくる建て売り牧場は、当初計画の説明では四千五百万というふうに私は聞いたわけです。当時私も開発審議委員をやっておりましたけれども、それを千八百万で売り渡すのだ、その差額は補助金として国が持つのだというふうに当初の計画発表のときは聞いたのですが、いまはどうなっておりますか。
  22. 大山一生

    大山政府委員 先生の言われました四千五百万というのは、われわれの計画によりますと、入植酪農の場合でございますけれども農地開発に六千五百万、それから経営施設に四千百万、そして別途住宅というかっこうからまいりますと約四千七百万程度と、こういうことに相なるわけでございます。そこで、これにつきまして、いわば補助残というものに対する融資がある。補助残部分については財投資金を投入して、そして後に償還してまいるというようなかっこうで、いわば補助率がございますので、補助率をぶっかけました結果におきまして、概数として申しますならば千五百万程度というふうにお考えいただいてけっこうだと思います。
  23. 美濃政市

    美濃委員 これは計画してかなり年数がたっておりますが、最終仕上げまでにこの予算単価でいけますか。単価の問題はどういうふうになっておりますか。
  24. 大山一生

    大山政府委員 単価増という問題につきましては、これは、いまのような経済情勢の中で単価増ということはあり得ないのだということは申し上げるわけにはまいらぬ、多分に単価増ということは考えざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
  25. 美濃政市

    美濃委員 この一千五百万、これは補助残一切ひっくるめてですか。建て売り牧場を買い受ける者の総額負担ですか。
  26. 大山一生

    大山政府委員 いわば、補助残部分といいますか、補助率につきまして、農用地造成の場合に、北海道は八〇ないし七〇%、それから畜舎等上物なり農機具については五〇%、それから農業用施設以外の農業基盤整備部分につきましては、従前から行なわれておりましたような、たとえば農業用用排水施設でございますと、北海道は八五%、それから家畜導入につきましては、財政資金借り入れと、こういうふうにものによって違っているわけでございます。そこで、先ほど申し上げました農家負担というものを正確に申し上げますならば、現在の計画で、農家負担といたしましては、基盤整備関係と、それから上物という関係元利合計、それから別途負担いたします家畜導入、それからさらには土地を取得する資金、こういうものを全部を入れてまいりますと三千二百万ということに相なると思います。
  27. 美濃政市

    美濃委員 畜産局長にお尋ねしたいと思うが、三千二百万というものが出たわけですが、三千二百万円の負債は、これは総額ですね。百%、いまの総合資金約定借り入れ金であったとしまして、一体、いまの乳価償還できるのかどうか。償還できると考えておるのか。私には、はっきりと、できないとまっ先に出てくるわけです。三千二百万という負債償還することができないと……。
  28. 澤邊守

    澤邊政府委員 三千二百万の農家負担でございますが、この事業で、平均がこの根室中部地区でそのようになるという構造改善局のほうの見通しでございますけれども飼料基盤拡大整備あるいは牧草生産、あるいは飼養管理施設近代化によって粗収入の増大と労働生産性の向上をはかるという前提に立ちますれば、年々六百万ないし八百万程度所得が得られるというような構造改善局のほうの見通しになっておりますので、毎年の償還は可能だというように考えております。
  29. 美濃政市

    美濃委員 どういうわけでそんな高額所得になるのですか。
  30. 大山一生

    大山政府委員 ただいま申し上げました三千二百万の農家負担というものを前提として、入植酪農家が経済的に可能であるかどうかという問題になるわけでございますけれども、われわれが四十七年から四十八年にかけましての市乳なり、子牛なり、廃用牛というものの単価で計算してまいりますと、粗収入といたしまして千三百万ほどの収入がある、こういうふうに考えているわけでございまして、そして、経営費、可処分所得といたしましては三、四百万の所得があがるということから、ただいま申し上げました償還その他をいたしましても経済余剰は成り立つ、こういうふうな計算になっているような次第でございます。
  31. 美濃政市

    美濃委員 私どもが現地を歩いた感じの中では、三千二百万という負債条件はなかなか支払い得ないのではないか。乳価をうんと上げれば別ですけれども、現行のような乳価では支払い得る条件ではない。ここは加工原料乳地帯ですから、思い切って乳価を上げれば別ですよ。  それから、いま答弁のあった、このくらいの収入は得られるという乳価は、何ぼと計算してそういうことを言っておりますか。
  32. 大山一生

    大山政府委員 ただいま申し上げました千三百万の中で、生乳の販売費が千百万程度というふうに見ておるわけでございまして、キロ当たり五十一円二十六銭という数字をとっております。
  33. 美濃政市

    美濃委員 これは合いませんね。そうすると、大ざっぱに言って二百トンですね。じゃ話は違うのじゃないですか。二百トンの牛乳を見込むと労働時間は八千時間となりますよ。五千時間じゃなくなるわけだ。二百トンの牛乳生産をするということは、それに付帯する育成なり、そういうものを含めると、いまの統計で八千時間になるんですよ。そうすると三千時間労働時間が違うんじゃないですか。労働時間は五千時間だと言うが、牛乳生産量は三百トンを見込む。
  34. 大山一生

    大山政府委員 二百二十トンと見ております。
  35. 美濃政市

    美濃委員 もっとふえますよ。二百二十トンならまだふえるわけだ。八千八百時間だ。約九千時間。これは不可能な条件を出しておるのではないですか。
  36. 大山一生

    大山政府委員 先生の言われますのは、牛乳生産費調査のほうから推定されます労働時間、あるいは生産費調査にあります労働時間というものを前提としておっしゃっておられるように考えるわけでございますが、われわれが先ほど申し上げました五千時間というものの考え方は、御存じの、四十六年に策定されました北海道酪農近代化計画において見積もられておりますタイプ、その経営タイプにおきまして見積もられている労働時間ということを前提にして五千時間ということを申し上げており、また、それのような経営ということを考えているような次第でございます。
  37. 美濃政市

    美濃委員 これは何ぼ大型化しても、工業の過程のようなオートメーションはできぬわけですし、これらの地帯は大体七カ月分の粗飼料をサイロとか、サイレージとか、あるいは乾燥にしなければならぬ。その労働を含めれば、百キロ当たり四時間の時間を切るということは不可能です。それを極端に切ったとすれば、寝わらもないし、頭数だけはそろえたけれども、全棟くそまみれになって、ミルカーかけっぱなしということで、空胎も多くなりますし、乳頭障害なんかが起きて、これは統計でも出ておるのじゃないですか。いわゆる労働時間に合わない飼育頭数をした場合のロスというものもあり、必ずしも生産性の向上にならぬわけです。完全管理をすれば大体八千時間要る労働を夫婦二人でやるといったって、そういうむちゃくちゃなことではやりようがないですよ。私が言っているのは、夫婦二人子三人の場合を言っておるわけです。標準世帯を言っておるわけです。それは農業ですから、同居して親子四人でやるという一定の時期はありますけれども、それは一生の間に限られた期間だな。通例標準世帯ですからね。だから、いま北海道の保健所が発表したところによると、北海道地域におけるところの、特に酪農家の主婦は十年からだが老化しておるというのです。これでは嫁さんは来ないですよ。だから、建て売り牧場をつくっても後継者の嫁さんが来ないというのです。それは、いま言ったような、あまりにも社会通念を無視した計画を消化しようとするところに、とてもじゃないがもう酪農家の嫁には行けないということになる。とても人間としてやるところじゃない。現実にいま北海道では、二十七歳から三十二、三歳の人が三千人ですよ。これは北海道農業会議所が調べておるわけですが、嫁さんをもらえなければやめるというのだ。将来の見通しが立たぬから離農する、経営収支は成り立っておるのだが、嫁さんがもらえぬからやめるという人が出てきている。マンスホルト・プランが、畑作酪農主体で二十ヘクタールの二千四百時間でしょう。だから、こういう計画は実際実情に合っていないと私は思うのですね。よく検討してもらわぬと困る。夫婦二人で二百二十トンという牛乳生産ができるものかできないものか。机上プランではあなた方はそう言うだろうけれども、実際の行為としてそんな労働がやれるものかやれないものか、よく考えてください。そういう点を今後十分注意してもらいたい。農業者が標準世帯で最低五千時間。この計画から言えば、五千時間でなくて八千時間になるのだが、八千時間も働いてやっと他産業並み所得だという農産物の価格の位置づけじゃ、自給率を上げますとかどうしますとか言ったってやれないです。  ですから、参考までにここで申し上げておきますけれども、そういう点で、ことし現在のこういう肥料高、資材高で、たとえば一例をあげると、この第一表の計画では、きのうもちょっと話を聞いておったけれども、砂糖類の三〇%の地帯と言っても、これらの所得要件が満たせる価格体系をことしは思い切ってとらなければ、もう生活できないからつくりませんよ。つくりたくてもつくれないんですよ。ここに書いた将来の需給展望なんかというのはくずれ去ってしまうと思います。ですから、五千時間も八千時間も働いた場合、二百五十万か三百万の所得になるといっても、それは設備投資を除けばですよ。それはやれないことですから、結局はそこに破綻がくるわけです。ですから、法案からちょっと余分のことにはなりますけれども、しかし、これは農業振興、自給率に関連はあるわけですから特に農林大臣に申し上げておきますけれども、思い切った価格政策をとらなければ自給率は大幅に後退する。とてもじゃないがつくれるものじゃない。つくっても赤字になってしまって、肥料代を払って、高い油代を払って、そしてビニールにしても、紙袋にしても、何にしても、そういう包装代などというものは三倍もするわけですからね。包装材料は三倍でしょう。こういうようになって、思い切った価格政策がとられないで、ただアイデアぐらいでああだこうだとごまかしていたら、農業は収支計算しておりますからやれないということになる。やれば経営収支が悪化してしまって、もう借金になって苦しむだけだ。だから、いま、北海道あたりでは、私の地元の帯広市でもこの間四千人集まりましたが、てん菜の価格を一万五千円にしてくれなければつくらぬと言っております。八千五百円やそこらでつくったら、肥料代を払って、トラクターの油代を払ったら所得は何にも出ない。それでは苦労しても大きな借金になるからもうやめたと、こういう悲痛な叫びをあげているのですよ。そういう者に対して、こちらのほうで、大型機械を入れてやるから、五千時間働けば、あるいは八千時間働けばこのくらいの所得になるではないかというような計画でお茶を濁そうとすると、これは自給率の達成にはならぬと思うが、その点はどうですか。
  38. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまお話しの具体的な問題になるわけでありますが、今度計画いたしておりますところの、たとえば根室にいたしましても、個別の酪農家が散在いたしておる模様でありますが、ああいうものは集約的にいたしまして、基盤整備等も加えて生産能率をあげるということが一つの大きな目的でございますので、そういう意味では、私は、コストに大きな影響を持ってくると思います。  それから、また、それに要する機械その他のものも入れるわけでありますから、そのようにいたしまして能率をあげることがもちろん前提でありますが、能率をあげましても、先ほどお話しのように、大きなファクターを占めております外来の飼料が高騰をしてきておる。これがこの事業計画の中にどういうふうに変化してまいりますか、これもむずかしい現状把握でありますけれども、そういうことについての生産品に対するはね返りについては、これは放置しておくというわけにいきませんことは当然なことであります。  そこで、当面の問題にいたしましても、酪農畜産家に対してそういうはね返りをどのようにいたすかということと、また、来年度の製品に対する価格決定については、いま申し上げましたような問題をどのように取り扱うかということについて鋭意検討中でございますが、再生産の楽しみを持たせないようなことにしてしまったんではわが国の基本的な願望がくずれるわけでありますので、そこで、再生産の確保のできるような価格政策というものも考えられてくるんではないかと思っておりますが、そういうことについては十分考慮をしながら対処してまいるつもりであります。
  39. 美濃政市

    美濃委員 それ以上の答弁をここで求めるのは無理でしょうから、次へ進みます。  次に、この地域では百五十戸の建て売り牧場をつくりますが、これは百五十戸と私は聞いておるのですが、そして二十ヘクタール規模農家を、いわゆる交換分合によって建て売り牧場を売り渡して、そこへ入れて、そして、この根室地帯を平均五十ヘクタールにするんだということですね。この場合、その移転する農家が持っておる畜舎、住宅の補償はどうなるのか。たとえば、これらの地帯負債総額は現在平均約一千万ですね。まあ七百万の農家もおるし、一千万の農家もおるが、大体一千万近い負債になっております。そのうち、二十ヘクタール土地を処分して得られる土地代金は、この地帯酪農で、生産性のある価格といったら十アール大体二万円ですね。ですから、二十ヘクタール処分して四百万。また、必然的に、その負債原因も、牛舎をつくったとか住宅をつくったという負債が三百万ぐらい平均するとあるわけです。しかし、あと地を買う者は、規模を拡大する土地がほしいんであって、それは要らぬわけですね。これをどう考えるか。移転する者の立ちのき補償をどう考えておるか。その補償をつけなければ、建て売り牧場というものは、仏つくって魂入れずだと私は思うのですね。それはどこへしょわすのか。
  40. 大山一生

    大山政府委員 根室地方開発構想では、新たに造成されます農用地に、いわゆる過密地帯からの移住入植というかっこうで、大規模で高能率な経営体をつくるということになるわけでございますが、一方、入植者が転出いたします区域につきましても、未墾地の開発と移住あと地をあわせまして、交換分合も含めて農用地の集団化をはかっていく、こういうことでございます。  先生がおっしゃられますように、移転する方々にとりましては、確かに、現有の住宅なり畜舎等というものは放棄することになるわけでございますけれども、これにつきましては、国の助成のほかに、地元の道なり町においても相当の補助が期待される。それで、現在の試算におきましても、新開地においても十分経営が成り立つものと見込まれておりますので、いま言われました廃用となります施設や移転費ということまで助成するということはちょっと不可能ではないだろうか、困難ではないか、一応そういうふうに考えるわけでございます。
  41. 美濃政市

    美濃委員 どうしてそれは困難ですか。それは当然見るべきだと思うのです。廃棄する施設ですからね。
  42. 大山一生

    大山政府委員 実は、移転することによりまして、移転される地域においては規模の拡大が可能になるということもございます。それから、移転される方についても、いろいろなかっこうにおいて相当の助成をするなり、県、市町村の負担ということも可能であるというふうに考えるわけでございます。先生が先ほど言われましたように、これらの移転をする方も含めて、現に相当の負債があるじゃないかということも含めての御議論というふうに考えるわけでございますが、その負債は確かに七百万なり八百万なりございます。しかし、それとまた一方、固定資産なり預金というものもあるわけでございまして、一つの試算といいますか、私のほうで調査した結果では、たとえばある中庸の農家でございますけれども土地の譲渡でありますとか、あるいは農機具等、あるいは預貯金といったような資産が八百四、五十万円ある、それから現物の自動車なり家畜というものが七百万円程度ある、また一方負債が七百五十万円ほどあるというようなことで、そういたしますと、差し引きしまして携行していける金が七百六十万ほどあって、その方々の廃用される施設は住宅、畜舎でございますが、二百万ほどである。そういうことから言うならば、結局、その程度のことは耐えてもらわねばならぬことではないだろうかというふうに考えるわけでございます。ただ、土地譲渡資金でありますとか、共有で持っております農機具の譲渡資金でありますとか、こういうものにつきましては、いわば配分委員会といいますか、委員会をつくりまして、適正な価格でもってお互いの間にそれが相殺されるという制度をぜひ取り入れることによって、完全にその価値が換金できるという制度をあわせてわれわれのほうでもとっていかねばならぬだろうとはもちろん考えるわけでございます。確かに負債はございますが、それに見合う以上の資産を持って、いわばそれを処分するかっこうで出てまいるわけでございますので、その出ていく方の廃用施設分をまかなって余りあるということも考えますと、移転費までの補償ということはちょっといたしかねるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  43. 美濃政市

    美濃委員 いまの話を聞いておりますと、そこはちょっと私のほうでは了解ができないわけです。持っておるものを価値に換算すればという話ですが、かりに機械を持っておるとして、それを金に見れば、借金もあるけれども機械もあるということになりますね。しかし、片や新しいところへ入るとき、いま話したように三千二百万という元利償還をしていかなければならぬでしょう。それに対して機械があるからどうだと言ったって、そういうものではないわけです。ですから、私どもが計算するとどうしても重荷になるのが、畜舎、住宅など廃棄する資産に付随しておる負債で、この償還は非常に困難であると考えるわけです。三千二百万の借り受けた元利償還は、私は非常に困難視をしておるわけです。そこへまた旧債を持って入ったのではいけない。その該当する資産を放棄しなければならぬことになりますからね。入植する者も放棄する。それから、土地を引き受ける者も、それを買っても価値がないわけです。規模拡大土地はほしいけれども畜舎や住宅は要らない。二つ持ったってどうにもならぬですから、放棄する資産なんです。放棄する資産だから、やはり補償する必要があると思うわけです。まだ建て売り牧場が建っておるわけではない。これから先ですから、よくしさいに検討してもらいたいと思います。
  44. 大山一生

    大山政府委員 新規入植する場合に、その人が現に持っております負債というものがあるかどうかというようなこと、そしてまた、その負債が立ちのく先においてあるいは無用になるものがあるということによって、イコール補償ということは直接には理論的にも結びつかないのではないだろうかというふうに、実は、私は考えるわけでございます。ただ、先生の言われましたように、いわば、一つの村が分村するかっこうといいますか、別海村なら別海村という村の中における規模の拡大、外延の拡大ということであるわけでございますので、立ちのいてもらうことによって、立ちのいてもらったほうにも利益が出るということも考えるならば、やはり、地方における問題としてその問題は対処すべきではないだろうかというふうに考えるわけでございますが、ひとつ検討はしてみたいと思います。
  45. 美濃政市

    美濃委員 もう一つ、この地域の問題についてお尋ねしたいのですが、この地域内にかなり防風林があるわけですね。しかし、酪農を草地化すると、防風林というものは、海岸の防風林、保安林は全部要らないとは私は言わないが、大型機械を使ったり、酪農経営上かなり大幅に防風林というものは圧縮されてくるわけです。保安林というものを大幅に圧縮する必要がある。地域住民もそれを強く希望しておるわけですから、この際、計画の中にそれを実情に合うように追加できませんか。
  46. 大山一生

    大山政府委員 大体、防風林あるいは保安林、いうものにつきましては、環境的な価値という問題との調整もございますけれども、現在根室考えておりますところにございます保安林につきましては、道との間において目下協議しておりまして、協議した結果としては、ある程度見通しのもとで、その部分も開拓適地とする方向で現在進めているような次第でございまして、今後とも進めてもらいたいというふうに考えるわけでございます。
  47. 美濃政市

    美濃委員 次に申し上げたいことは、新しく開発するにあたって、計画はいっておるが、計画とでき上がった実際が合わないという面が出てきますね。これは一昨年であったと思いますが、九州地方へこの委員会調査で行きました。目的は果樹保険だったわけですけれども、大分県の建て売り牧場ですから、完成した地区に入っておるのだと思うのです。ところが、やはり気候のいいところですから、阿蘇山ろくで七トン、八トンという計画で、二百五十ヘクタールの草地を開発して、乳牛百五十、肉牛六十、それから付近の農家が飼育しておる委託育成六十という計画になっておるが、行ってみると草がさっぱりだめだ。私どもがどう見ても、二トン半か三トンしか草の収穫が得られない。ここは酸性だと思うのです。私は、山ろくは強度な酸性だと見てきたわけですね。そうすると、ああいう開発計画を立てるとき、そして、公団が建て売りして売る総額は三億何千万。これも、どう考えても、一番主体をなす草が酸性のために計画の三分の一くらいしか取れないわけですから、償還なんかできっこない。こういう問題が現実に起きておりましたが、これからいろいろのところで開発をやるとそういう問題が出てくると思うのです。その場合にすぐわかるわけですから、延滞したとかなんとか当該事業団体をいじめるのじゃなしに、これはいけない、この草では計画頭数の飼育はできない、直ちに酸土矯正をやって、それから畜産経営ですから、堆肥なり尿なりを入れていけば、五年でできるか、七年でできるか、当初目的の八トンとか——九州地帯であれば、高原であっても温度はあたたかいわけですから、八トンとか、将来は十トンとかという草の量にすることは可能なわけですね。その期間に対して、計画計画としても、起きた事実が計画と違った場合には、貸した金の据え置き期間を十年ぐらいにするとか、利子に対して利子補給をするとかという措置を早急にやらぬと、でかいのをつくって延滞だなんだといって、約束したんじゃないかといって、つるし上げたりいじめたりするのはいけないと思うのです。そういう点はどうなっておるか。
  48. 大山一生

    大山政府委員 確かに、九州の阿蘇地帯は相当強酸性のところでございます。そこで、われわれ新公団事業として、基幹工事以外の造成費というものの中におきましては、土壌改良と申しますか、たとえば炭カルでありますとか溶成燐肥、焼成燐肥といったような土壌改良剤の資材費から、散布攪拌といいますか、これまで全部事業費の中に織り込んでおります。そして事業を行ないますといいますか、計画を樹立するまでに土壌調査は十分にいたしまして、土壌調査の結果酸性土壌の改良が必要であるということになりましたら、先ほど申し上げました事業費の中に織り込んでおることでもございますので、直ちに資材を入れて造成してまいるというふうにいたして計画しているわけでございます。  なお、種をまきます際には、土壌改良剤を入れました結果酸性土壌が改良されたということを確認してから種子をまくという方向で進めてまいりたいというふうに思っております。ただ、酸性土壌が非常にきびしいところではございますが、あまりにもフラットに——多少のアンジュレーションはあったほうがいいものを、くずしてまで工法をやったというきらいなきにしもあらず、あの西原牧場ですかに、ということは私も伺っておりますので、多少のアンジュレーションはむしろあるかっこうにおいてバランスをくずすことによって、いわば上の土壌が流失するというようなことから草がはえないようなことがなくなるような工法上の注意もあわせて行なってまいりたいというふうに考える次第でございます。
  49. 美濃政市

    美濃委員 次に、農地開発機械公団を吸収するということになりますが、農地開発機械公団がやっておる業務、あるいはいま受注の仕事をしておるわけですが、こういう移り変わりに対してはどういう方法でやっていくのか、それをお聞きしたいと思います。
  50. 大山一生

    大山政府委員 御存じのように、新公団広域開発のところにおきまして濃密生産団地の建設を行なう、そして、それを新公団はみずから仕組みまして、事業実施の責任を負うとともに、結果的には、最後的には事業費の回収に当たる、こういうことにいたしておるわけでございますが、一方、機械開発公団につきましては、これがいままで農用地開発に対しまして持っております技術なり蓄積というものを十分に活用するという観点から、新公団の発足にあたりまして、機械開発公団の一切の権利義務は承継するというかっこうにいたしているような次第でございます。  しかしながら、現実の問題といたしますならば、新しい公団の業務というものも今後逐次ふえていくというようなことでもございますし、また、一方、機械開発公団の職員がいままでやっておりました業務というものもあるわけでございますので、なお当分の間は暫定的に現在の機械開発公団の行なっております業務は新公団が行なうことができるということにいたしまして、その間に、いわば新事態に応じますようなかっこうに可能になるように、機械公団職員の職種転換なり、また、そのための研修ということもやりながら、逐次新公団業務だけにいずれは切りかえてまいるというふうなかっこうにいたすということで、附則におきまして、当分の間なお機械開発公団が行なうことができる業務とされていたことは行なうというかっこうにいたし、そして、また、機械公団の一切の権利義務は承継するというかっこうで、機械公団の現在の職員は、新公団において従前と同じ条件のもとで当然に新公団の職員になるというふうなかっこうに法制上しているわけでございます。
  51. 美濃政市

    美濃委員 手元に来た資料では、この公団に五百五十四人の職員がいるということになっておりますが、実際の職員はどうなっておるのですか。
  52. 大山一生

    大山政府委員 定員内職員といたしまして、いま言われましたように、五百五十四名がおります。そのほかに、いわば定員外職員というのが百五十五名ほどいるわけでございます。
  53. 美濃政市

    美濃委員 まず、第一に、公団とこの従業員組合との間には、文書による労働協約も締結されております。あるいは労働基準法の事項から言っても、たとえば農協等で通年雇用の者を正職員として採用していなかったら、これは差別待遇だといって、ものすごく労働基準監督署から勧告されるわけです。定員外職員がこれだけいるというのは、この団体は労働基準法の該当団体だと私は考えておるのです。農協やなにかに労働基準監督署から一それは、ごく忙しいときの日当雇いというものはいいのですけれども、通年雇用をして身分に格差が生じておったら、これは労働基準監督署がやかましいのですね。民間団体に対してはそういうことで、こういう公団はこれがあたりまえだと言うのか。どうしてこんなことを放置されているのか。これはどういうことですか。
  54. 大山一生

    大山政府委員 機械公団にいわゆる定員外職員が発生した。この原因についてはいろいろな問題があると思います。  この公団は、ほかの公団と違いまして、いわば請負ということが中心の業務になっているというようなことから、いわば固定費的な経費が増高すると、どうしても急速に業務量をふやさねばならぬというようなことが一方あるわけでございますが、一方、あらゆる公団等も含みまして、いわば定数規制というようなことも一方では行なわれておる。そういうようなことから、業務量の拡大ということに応じて、やむを得ず臨時雇用ということに依存するというようなこともあるわけでございます。また、一方、地方でやっておりますと、その地方とのコネの上でそういう職員が入ってくるということもとかくあると思いますが、そういう原因はいざ別といたしまして、定員外職員の給与上の取り扱い等につきましては、定員内職員と全く同じ取り扱いをいたしております。したがいまして、いわば労働基準法の三条でございますか、結果的に給与その他の問題について差別をしていない労働条件になります。そういうようなことから、労働基準法違反という問題はあり得ないのではないか。準職員という制度があるからといって、労働基準法違反であるというふうには考えていないわけでございます。
  55. 美濃政市

    美濃委員 しかし、どうせ要る職員を、どうしてそういうふうにどこが教唆するのですか。公団自体ですか。公団自体が、自体の発案で準職員何ぼというようにきめるのか。それとも、どこからか教唆しているのか。私は、やはりそれは差別待遇に入ると思うのです。それがきわめて悪質な違反になるかどうかは別としても、通年雇用をして、準職員という立場で置くということは差別の一種に入る。これは、私どもが民間団体に来た場合は、基準監督署はやかましいわけです。事金額だけの問題じゃないですからね。ですから、そういうことをどこが教唆するのか。まあ、いま聞けば同じ金を出しておると言うのだが、必要な職員を同じ金を出して格差のない待遇をするんだったら、正職員にすればいいのじゃないですか。どうしてそういうことをどこが教唆しておるのか。あくまで公団自体の責任であるのか。公団というのはどこか行政庁の古い人あたりが行っておるものですから、頭を押さえられ、そういうことをしなければならぬ仕組みになっておるのか。どこからか大きくあやつっておるのか、それとも公団自体が悪いのか、この際明らかにしてもらいたい。
  56. 大山一生

    大山政府委員 各種公団を通じまして、いわば定員というものが毎年一応きまっておるわけでございます。そして、それにつきましては、全体の公務員の削減というものと歩調を合わせまして、原則的には定員をふやさないという一つの方針がある。こういうわけでございまして、そういう中におきまして、現実に定員外職員がおり、そして、その定員外職員の処遇問題ということについて、これは定員内職員と同等の現実の取り扱いを、公団とそれから公団労組との間における団体協約として行なわれておるということに相なっておるわけでございます。
  57. 美濃政市

    美濃委員 それはどこが指示するのかと聞いておるのです。どこからそういう問題が出てくるのか。たとえば、行政管理庁がやかましいなら行政管理庁だとか、定員というものをどこがきめて公団に指示するのか。しかし、公団計画した事業を遂行するには、百何十人多いのですが、やはりその職員を置かなければならぬ。言うならば、定員というものは厳格に施行されておるということになれば、こういう行為を、こういう管理をやっておる公団理事は処分に該当するのではないのですか。そうじゃないのだというのならば、指示したほうが悪いのではないですか。実際計画した事業が、定員外職員がいなければ実行できないということ、その実情に合わない削減した定数をどうして押しつけるのか。どこが悪いのですか。これはどこの責任なんですか。定員外職員を入れなければ事業の遂行ができない。その定員外職員がおることが正当な行為だということになれば、行なえない定数を押しつけておる根本を私どもはたたかなければならぬわけですね。そうじゃないのだ、事業団は余分な職員を置いておるのだというのだったら、これは事業理事の責任は重大だ。これはどうなんですか。
  58. 大山一生

    大山政府委員 非常にむずかしい御質問で、私もお答えに窮するわけでございますが、端的に申し上げますと、現に七百人の人間がいる。その人間を食わすためにはこれだけ受託させざるを得ないということで、現在、受託量を、県営なり団体営の圃場整備あるいは国営事業においてやっている、こういうのが現状でございます。  そこで、一方、事業量が少なければ赤字が出る。かつて非常に大きな赤字を出したことも事実でございます。そうすると、その赤字を矯正するということも含めて公団理事者はあるべきであるとするならば、定員外職員というものについて、あるいは定員内職員を含めても、一つの姿勢ということがあるいはあり得るかもしらぬ。しかし、現実、そういう問題もさることながら、歴史的な流れの中で、あの公団にこれだけの七百人の人間がおる、そして、その七百人の人間を含めた固定経費がこれだけかかるとするならば、ことしの場合、たとえば四十九年度で申し上げますならば、約百十億から百二十億の受託事業をしなければ一応はやっていけないのではないだろうか、こういうふうな試算ができるわけでございます。また、今度給与の改定が一〇%とか二〇%あれば、それに応ずる事業量をふやさない限りは赤字になるというようなことも一方にはあるわけでございまして、いま言われました責任はどこだということになると、卵と鶏じゃございませんけれども、要するに、現にそういう定員外職員が百五十五人いるという事実、そして、その職員についての待遇は、定員内職員に準じた取り扱いを現在やっている。こういう事態を踏まえて、現時点においては、新公団発足の際にそういう事態を踏まえて、そのままその権利義務を承継するということに相なるということ以上には申し上げようがないということでございます。
  59. 美濃政市

    美濃委員 それはちょっと答弁が違いますね。責任の所在はどこにあるかということを聞いている。定数というものをきめ、現実には身分上の差別待遇の中で百五十人という人がいる。その原因はどこにあるのか、だれがその定数というものを指示するのか、公団が自発的につくった定数なのかと聞いているので、それならおかしいと思うのだ。人に定数を合わせればいいじゃないですか。私どもは合わせますよ。自主的にやれる事業は人に定数を合わせます。たとえば、私も農協の組合長ですが、事業に定数を合わせますよ。定員と数を合わせますね。自主的にやれるのだったら、数を合わせればいいじゃないですか。自主的にやれないというなら何があるのだということです。実際に六百八十人、七百人という人がいて、それで定員外職員が百五十五名おる。それを自主的に定数に入れる。自主的に定数掛入れられないというのであれば、その入れられないという要因はどこにあるのかということを聞いているのです。自主的に入れられるものであれば入れなければならぬわけですね。自主的に入れられるのか、それとも自主的に入れられないのか、どこかうしろから自主的に入れてはならないと突きつけたものがあるのか、そこを聞いているわけです。
  60. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは、ただいま御審議願っております公団のことを担当しておる事務当局からお答えするのはたいへんむずかしいと思いますが、事情はもう御存じのとおりで、定員外職員につきましては、ほかの政府機関にもかなりあります。それから、また、政府関係直接の機関にもございますし、そういう問題については、基本的には労働条件を改善するということについて各機関ともつとめておることは御存じのとおりでありますが、そういう政府関係機関の雇用者についての方針というものは、基本的に、全体として考えをまとめていく必要があるんだと思います。そういう意味で、今回は、機械公団について、そのまま権利義務を継承するということになっておりますので、そのまま継承いたして、そして、また、局長がお答えいたしましたように、待遇は普通の者と同等のように扱っておるから、そのとおりにしたいと言っておるわけでありますが、ただいまの美濃さんの御指摘は、それならなぜ別個の身分にしておくかということですが、これはいま申し上げましたように、全体の機関として検討を要することだと思います。しばしば出る問題でありますので、そういうことについては政府としても十分考慮して研究する必要がある問題だと思っております。
  61. 美濃政市

    美濃委員 ここは私どもとしては重要に考えておるのですが、政府提出ですから農林大臣に責任があるわけですね。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 そして、当該公団労働協約書を見れば、当然、現理事長が、たとえば統合した後における方面というものは、団体交渉の中で、従業員が大体納得できる明示をしなければならぬわけですね。そうなると、だれが責任なのか。公団理事長は農用地開発公団理事長になるかならぬかわからぬ。何の回答もできない。全員そのまま継承するということは間違いないけれども、たとえばオペレーターとかいろいろの職種がありますが、それは漸次発注公団にかわっていくのだというようになると、七百人の従業員というのはどうなるのだろうということですね。これは労使慣行上、労働基準法から見ても、その雇用者というものはできるだけ従業員に統合するということに対して安心ができるだけの措置をとらなければならぬ。その措置をとるのは農林大臣なんです。法律を、吸収しますということで提案しておるのは農林大臣なんです。この、いわゆる労働基本権に基づいた団体交渉の相手方はだれになっていくのか。公団理事長に話したら、合併された場合に、あとの理事長になるかならぬか私はわかりませんと言う。みんな行けることは間違いない、そういうものじゃないと思うのです。大体これこれこうなるからそう心配せぬでもいいという、もう少し突っ込んだ親切さが要るんではないですか。それが常識ではないですか。それが通例行なわれる労使間の常識だと私は思う。無理なことじゃないと思うのだ。それは農林大臣の責任なのか、公団理事長の責任なのか、どっちの責任ですか。理事長の責任だと言うなら、理事長がある程度約束できるだけのことを指示してやらねばならぬと思う。この法律で統合しようとしているのは——農林大臣、あなたも労働大臣までやって労働基本権は身についておるはずだから、労働基本権というものはあまり粗末にせぬようにしてもらいたい。その見解を承ります。
  62. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは政府関係機関でございますが、政府関係機関はたくさんございます。労使関係については、やはり政府関係機関としての方針をきめる必要があると思うのでありますが、各機関によっていろいろ扱いが違っております。大体、こういう政府関係機関に労働三法をそのまま適用することがいいか悪いかという基本の問題もございます。しかし、この際は、こういうけっこうな公団が新しくできるのでございますから、とりあえず併合される農地開発機械公団の職員には心配がない、そのまま継承するのである、こういうことでありますから御不安はないはずでありますが、これから先どういうふうにやっていくかということはこの公団だけの考えばかりでもいかないと思いますのは、もうよく御存じのように、政府関係機関全体としてのそういう関係についても相談いたさなければなりませんが、私は、それを念頭に置きまして、そういうことについても政府部内で相談をいたしてみたいと思っております。
  63. 美濃政市

    美濃委員 政府部内で相談して、それから先どうなるのですか。私個人の考えとしては、こういう質疑は質疑として、最終には公団理事長に参考人として来てもらいたいと思います。労使間の話し合いがついたのかどうかということは、私どもとしては重要な課題になってきます。労使間の話し合いのついていない後日紛争に発展するかもわからないものを、よかろうといってきめるわけにはいかない。そこのめどづけをしてください。まあ、曲がりなりにも労使間の話し合いはついた、だから、この法律が国会で可決されることによって紛争はありません、と、この確認をしておきたいわけです。やはり、われわれも法律無視はしたくないのです。しかし、政府はずいぶん法律無視をしていますね。労働基準法だとか農地法だなんというものはへのかっぱみたいに思われている。農地法による農地の常識なんか全然守ろうとしないわけだ。政府くらい法律を無視しておるものはないと私は思うのです。私どもはまことに忠実に法律は守っておるわけなんです。そうすると労使慣行の——やはり、この法律の中に出てくるわけです。吸収合併になるわけですからね。それに伴う理解はできましたということを、参考人でけっこうですから——証人で呼ぶとは言いませんから、参考人で来てもらって、その一言がないと、国会ではきめた、あと労使紛争が起きるというのでは困ると思う。そこに手順を一つ尽くす。そうすると、公団理事長が後任理事長になるかならぬかわからぬが、その面の弱さがあれば、農林大臣なりあるいは補佐役の構造改善局長なりが補佐して、政府が法律を提出しておるのですから、その団体交渉の中へ入ってまとめる、と、こうしてもらいたいと思いますね。それがまとまらぬと、私どもはこれは採決に入れぬと思う。質疑は終わりますよ。いつまでも質疑はやらぬ。しかし、予定の質疑時間で質疑は終わっても、そこがきちっとしないとちょっと採決は困るということになるのじゃないかと私は思うが、どうですか。そうなると私は思うのだ。これは私個人の見解ですが、そういうふうになっていく。何ぼ七百人でも、被雇用者という弱い立場にある者をわれわれは守っていかなければいかぬ。安心して農用地開発公団に移行できる条件をやはりつくってやらなければならぬと思います。これはそんなにめんどうなことじゃないと思う。良識ある公団の組合も、そんなむちゃくちゃなことはおそらく言わぬはずですから、安心できる措置を話し合えばいいわけですが、どうですか。
  64. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 このたびの開発公団ができないで、かりにこういう構想が出てこないとすれば、農地開発機械公団というのは継続しておったかもしれません。そうすると、従来の慣行については、いまはまだそういう問題を生ずるようなときになっていないのじゃないかと思うのです。それが政府の施策で、これを合併して新しい開発公団ができるわけでありますから、そこで、今度どなたが理事長になるのか、まだ私どももわかりませんが、新しい発足をしていく場合に、ただいまのような問題も、これは御注文がある向きもあるかもしれません。それは当然そういうこともあると思いますが、それは新公団において考えることでありますが、先ほど申し上げましたように、政府関係機関全体の労使関係については、政府側においても十分な検討をしなければならない問題もございますので、そこで、御趣旨は私どもよくわかっておりますが、民間産業で言えば、必要な人員以外の者は雇い入れないかもしれません。機械公団において、ただいまの人員がどういう必要に応じて雇用をしておるかということは私はよくつまびらかにいたしておりませんけれども、原則として、職場に働いておられる人々の身分的なことについての問題については、一般論としてはできるだけめんどうを見てあげるということが必要だろうと思っておりますが、個々別々の公団でそれぞれ考え方もあるでしょうし、そこで、私どもとしては、そういう点について十分研究いたしてみる必要がある問題であるというふうに考えておるわけであります。
  65. 美濃政市

    美濃委員 そういう答弁では、ちょっとこれは質問をやめるわけにいかない。保留するかどうかしなければ、いまの大臣の答弁でわかりましたというわけにはいかぬわけですね。他の公団等の例もある。慣例も政府としてはあるでしょう。しかし、私どもから考える場合、先ほどから提起しておるところの六百八十名、約七百名の職員の処遇なり移りかわりなりというものは明確にしてやる必要がある。人間ですから、やはり基本的人権を尊重しなければならぬわけです。そこを明確にしてやらなければならぬ。私どもも、決して新公団に移譲することがだめだと言っておるわけじゃない。しかし、一点はそとにある。そこは、労使間の話し合いがつかないでおるものを合併してよろしいという決議はできないということになっていくと思うのです。これは私個人の感懐ですから、あとはどうなるかわかりませんけれども、私はそう思うわけです。ですから、構造改善局長なり農林大臣もともに理事長に指示を与えて、その話し合いがまとまるように努力するというのであれば、それできょうの質問は終わってもいいわけですが、その一言がなければ、押し問答しておってもしかたがないから、私の質問時間はまだ時間がございますから、私の質問は保留をしておきたい。他の委員も追及するでしょうが、保留せぬければ、ここでわかりましたと言って下がるわけにはいかぬと思う。
  66. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 もうおなかの中ではわかっていらっしゃるのだろうと思いますけれども、私どもは、先ほど申しましたように、原則的に、職場に働いていただく方々の待遇をできるだけよくし、安心して精進努力してもらうのが最終目標でありますので、そういう点については全くお話しのとおりであります。  しかし、この際できます公団につきましては、権利義務、人員等を一切そのまま継承し、ということになっておりますので、職員の話も聞いておりますけれども、そういう点でも安心しておるようであります。私どもはそういう関係で善処してまいりたい、こういうことでありまして、それ以上のことを私どもといたしましてここで言明いたすということはかえって御遠慮いたすほうがいいのじゃないか、私どもが対処する姿勢につきましては御了解をいただきたい、こういうことでございます。
  67. 美濃政市

    美濃委員 その、対処するしかたですね。ですから、いまここでどうします、こうしますということは言えぬと思う。しかし、これは、法案を提出しておる以上大臣として責任があるわけです。公団理事長に対して指揮をして、不安がないからよろしゅうございますということであれば——できれば理事会等で相談してもらって、労使が来て、大体この内容でよろしゅうございますということになれば、参考人を私は一がいに主張するものでもないが、いまのところまだ労使間がそこまでいっていないわけですね。ですから、それならそれで労使間が大臣の言ったように喜んでおるとすれば——私どもは喜んでおると受けとめていないわけです。そこに、大臣の思っておられることと相違があるわけです。職員は大きな不安を持って、どうなるのか、どうしてくれるのだという気がまえでいる。大臣の見解は、全部身分その他一切を引き継ぐのだから職員も喜んでおると言うが、その大臣の見解とそこに大きな差がありますね。喜んでおるという状態ではない。そこに差があるわけです。これは、この法案審議中にそういう点を注意して、公団理事長等に十分指揮して、そこらをきちっと整理してもらいたいと思います。したがって、私の時間は四十九分までですから、あと約二十分ありますので、ここで保留しておきます。この問題は重要ですから、どうなったということをあとから言わなければならぬかもしれませんから、一応保留して、きょうの質問は終わります。
  68. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  69. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  70. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 提案をされております農用地開発公団法関係で御質問を申し上げてまいります。  第一点は、大臣から、提案理由の説明の中で、「国民食料の安定的な供給の確保を基本とした諸施策の展開」云々と述べられておりますが、特に、今回の公団設立の趣旨はここにあるのだ、目的をここに置いているのだというふうに強調されているわけでありますが、私は、この「安定的な供給の確保」という問題についてきわめて疑念を持っている一人であります。何となれば、自給率の問題一つ考えてみましても、非常に落ち込んでいる状態で、それが回復しないばかりか、年々さらに自給率が低下していくという心配が、いろいろな統計数字によっても明らかに出ております。昨日の質疑の中で自給率という問題が取り上げられておりましたが、この際、かなりの品目にわたっての、現状押えております自給率を明確にしていただいて、そこから議論をしてまいりたいと思いますので、自給率の米以下各般にわたり押えております数字の御発表をまずお願いいたします。
  71. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お話しの、わが国の食料農産物の自給率について見ますと、米、野菜、果物というものにつきましては、大体八〇%以上自給率を維持しておりますが、麦類、大豆というものの普通畑作物の自給率は低下の傾向にあるわけであります。このため食用農産物の総合自給率は、四十六年には七四%、四十七年度には七三%になっております。これは米の需給均衡を前提といたした場合でありますが、今後の自給率見通しにつきましては、農林省は、四十七年の十月に、昭和五十七年度を目標年次とする「農産物需給展望生産目標の試案」を作成いたしましてその目標を示しておりますが、この生産目標では、国民が必要とする食料の安定的供給を確保いたしますために、国内生産が可能なものは生産性を高めながら極力国内でまかなうつもりでありまして、安易に外国に依存すべきではないと考えております。そういう立場から、米、野菜、果実、鶏卵、牛乳、乳製品等の主要農産物は、完全自給ないしは八割以上の自給率を確保することといたしております。そこで、そういうことのために、土地改良長期計画に基づきまして、農業生産基盤の整備を実施いたしますとともに、麦、大豆、飼料作物の生産奨励措置を、四十九年度予算で御審議を願っておる中にもそれぞれの手配をいたしておることも御存じでありますが、なお、さらに、未利用地における大規模畜産基地を建設してまいりたいと思っておるわけでありますが、その、最後に申し上げましたのが、いま御審議を願っております広域規模による公団の設置でございまして、あらかたそういう考え方をいたしておるわけであります。
  72. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 四十六年の七四%が四十七年には七三%と下がった。ことしの見通しは、まださらに下がるんではないかと私は思う。そこで、本年度の農業観測修正見通しという資料が農林省から出されております。これを見てまいりますと、いま私が申し上げたような心配が一面出ております。中には上向きのものもありますけれども、総体的には非常に落ち込んでいる。特に、いま大臣が、公団法をつくって特に畜産の回復をはかりたい、上向きを目指して努力したいというふうにおっしゃっておりますけれども、現状の牛乳生産一つを見ましても、昨年をかなり割っている地区があります。全国的に見ましても、ある地区によっては九九・五%あるいは九五%台にまで落ちているという実態が出ているのであります。それだからこの公団法をつくってやりたいんだ、こう言えば、それは目的としてはそれでよろしいわけですけれども、しかし、現実には、たとえば先般私は砂糖の議論を大臣といたしましたが、そのときに、大臣は、いまの二〇%の自給率を二八%に持っていきたいということをおっしゃいました。これは一・六倍ないし一・八倍というたいへんな増産をしなければならぬわけであります。先ごろビートの問題で北海道から非常にたくさん陳情に参りまして、自給率向上どころか現状維持さえむずかしいということの訴えがあったことも大臣はすでに御承知のとおりです。私はいま砂糖だけ、ビートだけを申し上げておりますけれども牛乳にしても、いま申し上げたとおりの、そういうふうな状況にあります。したがって、私は、長期生産目標を立てる中でも、安定的供給という点については明らかに非常に問題が出ているのではないかというふうに見ております。さらに、また、足りない分、七三%以外の二七%を外国に依存しているという実態、それもいままでのようにそう安易によそから持ってこれるという状況下にはない。そうすると、この提案理由説明の中の「安定的供給」というようなことが現実問題としてほんとうにできるのかどうかということを危ぶむのは、これは常識ある者であれば当然のことだと私は思うのであります。その点、昨日の議論を通してもいろいろ出ておりました。現状の七三%程度のものを維持していきたい。私どもは早くから、やり方によっては九〇%の自給率を確保することができるという主張をしてまいりました。そして、それは、国内におけるところの、まさに公団法に盛られている未利用地の開発、低利用地の有効活用、こういった面によってこの自給率を上げていくということは不可能ではないということを実は指摘をしてきました。まさにそういう考え方に立って、この公団法をこれから実現させようというお考えであるということの説明はわかるのですけれども、私は、いま一つ実現性においてかなり不安を持っている一人なものですから、一体この国内の自給率を現状維持することもできるのでしょうかということを、もう一度重ねてお尋ねをするわけであります。
  73. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお話しのございましたように、四十五、四十六、四十七年度の各農産物の自給率について、若干ふえているものもありますし、やや下がっているものもあることは御指摘のとおりでありますが、まず、第一に、私どもは、わが国で需要の増大してまいる肉類、乳製品、もちろんビート、カンショ等もそうでありますけれども、そういうものにつきましては、しばしば申すことでありますが、やはり、再生産の楽しみを持っていただくような経営体に直していくということが大事なことであります。そういうことの考え方から今回御審議願っております公団という構想も出てくるわけでありますが、飼料につきましては、濃厚飼料の原料は、いまお話しのありましたように海外からかなりの量の供給を受けておるわけでありますが、そういう点につきましては、安定的に入荷し得ることの最大の努力をいたしまして、私どもはそのことにかなりの自信を持っておるわけでありますが、しかし、これはいろいろな国際的な関係もありまして、だんだんその価格が上がっておることは御存じのとおりであります。そこで、そういうようなことを考えてみますと、多少われわれが援助をいたしましてもできるだけ国内でそういうものをまかなうということが必要ではないか。ことに、稲作転換のために、いま申しましたような濃厚飼料の原料になるような、たとえば小麦その他のものの生産には、四十九年度予算においてもかなりの助成政策を講じまして増産の対策を講じておることは御存じのとおりでありますが、いずれにいたしましても、そう楽な仕事ではありません。そこで、長期見通し計画をいたしておりますように、われわれは、五十七年に少なくとも全体として七七%程度自給率を維持するということを、計画的に最大の努力を進めてまいるという考えでありますし、また、一つ一つの作物につきましてもそういう基本的な考え方に合わせるように指導してまいりたいと思っております。
  74. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私は、国会で質問をするたびに自給率の議論を持ち出しまして、もう自給率の問題は聞きあきたとおっしゃるかもしれないが、この国民食料の問題について、先般私は大臣にかなりきびしいことを申し上げましたが、あなたは一億国民の命を預っていらっしゃるんだ、安定的供給は農林大臣に課せられた最大の責任であります。そのために安定的生産をはからなければならない。この議論においては、私は決して大臣のお考えに水をさすつもりはございません。それあるがゆえに努力をして、こういういろいろな施策をやろうとしているということはわかるのですけれども、しかし、それがいま一つ、どうも現地の生産に携わる農民のはだに触れるような施策になっていないという点を私どもは繰り返し繰り返し主張しているわけであります。  自給率の問題で時間をとっておりますと全般の質問ができませんので、次に進みますが、重ねて申し上げておきます。お答えは要りませんが、自給率は現状維持するということで安定的に供給できるというふうにお考えであるとすれば、これは大きな誤りである、もっと上げるという努力をすることに全力を尽くしていただきたい、こういうふうに申し上げておきます。  さて、そういう安定的供給、そのための安定的生産、こういうことをやっていくためにぜひとも必要なのは、その生産基盤になるところの農用地の確保であります。この農用地の確保は、現在の状態の中では非常に困難だと言われております。特に、優良農地が壊廃されていく、しかも、経済の高度成長等の弊害によって地価が非常に上がっている、こういう両側面をかかえて、今日、日本の国内における農用地の確保というものは、農業サイドから見るときわめて困難だというのが一般的常識であります。それあるがゆえにわれわれは、田中総理が三十万ヘクタールを転用せいなんて言ったって、そんな簡単にはまいらぬということで反対をしているわけであります。こういう現状を大臣としてはどのように認識していらっしゃるのかをまず聞きたいのでありますが、手元に私どもがいただきました資料によって調査をいたしますと、昭和三十六年、いわゆる農基法農政が出発をいたしましたときの国内における農用地面積というのがピークでありました。六百万ヘクタールをこえていた。厳密に発表されておる数字を見ますと、六百八万五千ヘクタールというふうに発表になっております。ところが、今日、四十七年の状態は実に五百六十八万ヘクタールと、大きな落ち込みをしているのです。しかしながら、これは、そのまま減っていったのではありません。開発もやってきた。三十六年から四十七年までに三十六万ヘクタールの開発をしたと報告されている。ところが、それを上回るような農地の壊廃が行なわれた。四十万ヘクタールと発表されております。こういうふうに見てまいりますと、農用地の確保というものがいかに困難かということが明らかであります。同時に、有利な土地条件のところ、俗に優良農地と言われるようなところがどんどん壊廃されていって、農業はどんどん山に登っているわけであります。当然のことながら、戦後の緊急開拓等によって相当の開拓がなされたあとですから、残っているところはかなり困難な地域ばかりだということが言えるし、また、生産が軌道に乗るまでにはかなりの努力と時間がかかるということも常識的に言えることであります。そうしますと、平面的にもこれだけの面積の落ち込みがあり、そして、単位当たり生産力においてもかなりの落ち込みがなされているというふうに見なければなりません。ただ、今日相当の生産をあげてきたのは、農民のたいへんな努力によってこのことをカバーしてきたということが言えるわけであります。こういうふうに質的にも低下をしている今日の農用地、さらにまた今後いろいろな意味で開発を進めていこうとするこの計画段階で、一体どれだけ農用地を確保すれば安定的な生産を続けられるというふうにお考えになっておられるのか、それが第一点の質問であります。  それから、もう一つは、農用地確保の問題というものは非常に至難な問題だということを先ほど申し上げました。これは昨年の農業白書の引用でありますが、農業白書には、最近の土地政策という面から考えると、この農用地確保というものが非常に困難になっている、しかも、優良農地の壊廃ということがきざしとしてあることはたいへん困った現象であると、こういう意味のことが長々と書かれているのでありますが、要約いたしますとそういう点の指摘がなされております。さらに、また、昨年、私どもは、農林水産委員会の立場で国政調査に出向きまして、私も参加をいたしました。栃木、福島、群馬の三県の、主として森林の問題の調査に行ったのでありますが、こういう中でたまたま栃木県の知事は、広域農業開発構想における八溝畜産団地構想というのは、用地取得の面からその実現が非常に困難だというふうに、用地取得の困難さを訴えているのであります。こういうふうに言われる県というのは、ひとり栃木県だけではなくて、北海道とか九州の一部を除いては、大半の地区において、この用地取得という問題でたいへん難儀をするということが想定されるのであります。そう簡単にこの用地取得が進んでいくのかどうか、これが二番目の質問であります。  それから、もう一つ、すでに適当な地域と目されるところで土地の買い占めのような状態があって、それが農家以外の人たちの手に渡っている場合に、その用地の取得というのは非常に困難をきわめると想像されます。これは道路建設の場合、あるいは公共用地の取得にあたっても非常に問題の出ている点であります。当然、農用地の取得にあたってもこういう面の困難さというものが予想されますが、こういう点について、単に常識論みたいなものだけを振りかざして土地を渡せと言ったってなかなかそうはまいらぬところが具体的にこれから出てくると思うのです。それは精神訓話みたいなもので現地に押しつけたってこの話は進まないのですが、こういう点をこの公団法の中ではどのように取り扱いをしようとされているのか。  とりあえず、この三点について大臣からお答えをいただきたいと思います。
  75. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお話のございました農地の転用面積でありますが、これは昭和四十七年では約六万四千ヘクタールになっております。これを用途別に見ますと、住宅用地への転用が約一万九千ヘクタール、これが一番多いわけであります。これに鉱工業用地への転用七千ヘクタールを加えますと約二万六千ヘクタールでございますが、これらの用途への転用は、最近の模様を見ますと、大体横ばいになっております。これらの農地の転用につきましては、いろいろ事情もございますが、やむを得ない面も認められますけれども、食料の安定供給という見地から、今後とも、農地法の厳正な運用と農振法制度の活用等によって優良農地の確保につとめてまいりたいと私どもは思っております。いま申しました四十七年度の六万三千ヘクタールの中で、大体その中でも転用の一番大きな面積は植林でありまして、これが一万六千六百五十ヘクタール。こういうものは、同じ転用であっても、われわれにとって有効な転用であると思っております。  いまお話しのございましたように、せっかく開発公団をつくろうといたしましても、それを使用する土地の入手がなかなか困難であるという御指摘がありましたが、これは総じて申しますと、経済発展に伴って、それからまた諸般の経済情勢も手伝ったことでありましょうが、確かに、わが国ほど土地価格の高騰しておる国はめずらしい次第であります。このことにつきましては、国会に御審議を願っております国総法などの精神もそういうところにあるわけでありまして、地価を抑制するということはいろいろな施策に大事なことはもちろんでありますが、われわれの農政にとってもきわめて大事なことでございます。そこで、いまお話しのような、これからつくろうとする公団の用地等について入手困難という場合に、個々にいろいろ例はあるかもしれませんが、農振法でかかっております地域につきましては、いわゆるデベロッパーなどがかりに買い付けをいたしておりましても、私どもは、農地法の適用基準を厳格にいたしまして、できるだけそういう支障のないようにつとめてまいることは当然のことであります。私、まだその地域の詳細な内容についてはよく存じておりませんが、たてまえはそういう方針でやってまいるつもりであります。
  76. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私の質問に対しての的確なお答えをいただいておりませんけれども、次の点でお答えをいただいて、その辺を明らかにしていただきたいと思いますが、それでは、一体全体、いま全国で開発可能だと言われる土地は面積的にどれくらいあるとお考えですか。また、ありますか。
  77. 大山一生

    大山政府委員 土地改良長期計画前提といたしまして、わがほうで調査いたしました土地改良総合計画補足調査によって農用地開発可能面積を把握しているわけでございますが、この場合に、農用地として開発可能な土地とは何だということになりますと、自然条件がもちろん大きな問題でございますけれども、そのほかに、たとえば今後とも農業地帯としては持続性を持つかとか、あるいは地域農業の動向に即した主産地形成が可能であるかとか、こういった経済的な問題も含めて調査いたしました結果といたしましては、農用地開発可能面積といたしまして約百五十万ヘクタールがあるということでございます。そこで、土地改良長期計画におきましては、その十カ年間においてそのうち七十万ヘクタール、御存じのように農地において三十万、それから草地において四十万、合わせて七十万ヘクタールを造成したいというのがいまの土地改良長期計画のもとになっているわけでございます。
  78. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 その百五十万ヘクタールの開発可能地を十カ年で半分近い開発をやろうというお考えだということが明らかになりましたが、しからば、その分布としては、大まかに言ってどういう地帯に多いのですか。多い順序からお示しください。
  79. 大山一生

    大山政府委員 先ほど申し上げました六十万と九十万、百五十万の中身でございますが、六十万の農地として開発可能地ということで申し上げますと、北海道が二十五万、それから東北が十二万、次いで九州で七万、中、四国で五万といったところがおも立ったところでございます。それに対しまして、今度は草地としての開発可能地九十万で申し上げますと、北海道が約五十万、東北が二十万、それから次いで九州が八万、中、四国が五万、それから関東も約六万ということになっております。
  80. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 これは、昨年の五月一日に閣議決定されました新土地改良長期計画によって進めていこうというお考えですか。すなわち、十三兆円をどこまでここに突っ込んでいくというお考えですか。
  81. 大山一生

    大山政府委員 草地造成四十万ヘクタールということを先ほど申し上げたわけでございますけれども、その中におきまして、新公団において造成、開発する面積につきましては、何と申しましても、技術的に可能性があるというだけではなくて、農民の盛り上がる熱意ということが前提になって地区ごとに採択していくというかっこうをとるわけでございますので、ここで的確な数字は申し上げられませんけれども、いままで調査いたしました結果から推定いたしますならば、約九万三千ヘクタール程度が推定できるのではないだろうか、したがいまして、四十万ヘクタールの中の約十万というものをこの公団において事業として土地改良長期計画においては期待したい、こういうことでございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  82. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私は投資額を聞いたのですが、発表によりますと、農地造成の三十万ヘクタールと草地の四十万ヘクタール、合わせて一兆三千八百億だ、と、こういう長期計画がありますね。しからば、いまの四十万ヘクタールのうちの十万ヘクタール近い草地造成には、どれくらいの予算を突っ込もうとお考えですか。
  83. 大山一生

    大山政府委員 広域部分で申し上げますと、大体三千億くらいになろうかと思いますけれども畜産基地のほうにつきましては、これから地区が全国に分散する中で把握してまいるというようなこともございますので、たとえば面積的には先ほど申し上げたようなことを期待しておるわけでございますけれども、一兆三千六百億ですか、その中で幾らかということになりますと、これはもう少し精度を上げて調査をした結果を見ないと、金額的にはちょっと申し上げかねるということだと思っております。
  84. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私がなぜそういうことを言うのかというと、第一次土地改良長期計画で一応の目標が出されていたわけですが、その達成率がものすごく低いんですね。発表によりますと農用地で四九%、半分いっていないのです。草地ではさらに低くて、四八%しかその目標が達成されていない。こういう実績を持ちながら、いま局長がおっしゃるような、さらに今後の十カ年計画でその目標達成ができるのでしょうかということが一つ危ぶまれるから、私は、本気になっておやりになるお考えがあるのですかという意味を含めて、どれくらいの投資をしようとお考えなのかをお聞きしたのであります。
  85. 大山一生

    大山政府委員 いま、前の土地改良長期計画お話しが出たわけでございますけれども、まさに、面積的に言うならば、先ほど先生が言われましたように、五割弱ということに相なっているわけでございます。新土地改良計画におきましては、たとえばかりに圃場整備等を例にとりますと、これが前の土地改良計画考えた圃場整備といいますか、区画整理とは異なりまして、汎用化というような問題を考えております。そういう意味から言いますと、反当たり事業費というものは当然上がってくる。こういうふうなことで、十三兆の中身というものは相当充実したかっこうでつくっているわけでございます。そういうことで、その十三兆という金額で投資総額を出しているわけでございます。  何となれば、それの内容としての圃場の整備でありますとか、農用地の造成でありますとか、あるいは基幹的なかんがい排水施設の整備でありますとか、これらの問題が事業量で出すということになりますと重複するということから、いわば金額で出しているわけでございまして、その中の面工事部分については、金額よりもむしろ面積で申し上げるほうがわれわれの熱意のほどは御理解いただけるのでないだろうかというふうに考えるわけでございます。そして、農用地造成といたしましては、先ほど申しました七十万ヘクタールの問題といたしまして、その四十万の草地の中で、ここで十万近くのものをこの公団において期待したい、こういうことを申し上げた次第でございます。
  86. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 これは、ひとり公団法の担当をしている局長だけに責任を押しつけたっていけない点であろうと思うのです。しかし、投資額は一〇〇%ないしは一五〇%突っ込んでいるのですね。しかし、実効があがらない。半分しか開発できなかった。これはえらいことじゃありませんか。だから、今後の新しい、たとえばあなたの所管する公団法に基づく草地造成開発の部分についてだって同じことが言えるのじゃないか。特に、一般農用地よりもさらに低い達成率になっている。お金は一五〇%と、たいへん突っ込んでいる。この辺が今度はきちっと整理されないと、またぞろ新長期計画だって同じ轍を踏みかねないのではないかと私は指摘をしているのでありますから、そのお考えを明確に持っていただかないといけない。  そこで、私は大臣にお聞きしますが、この新全国総合開発計画によると、農用地の問題についてはこのように出されておりますね。昭和四十年に六百万ヘクタール近いものがあった。それを今後この新全総で進めていくとすれば、将来の農用地は六百五十万ないし七百万ヘクタールの農用地面積になるよ、と、こういうふうに一応の想定がされております。これは、私は、新全総のこのほうが正しいといって申し上げているのではありません。私の申し上げたいのは、いろいろな計画がたくさん出てくるけれども、それぞれまちまちで、目標も不明確で、前段で、安定的供給のための、安定的生産をやるための、いわゆる農業サイドにおける効力をこの公団法を通じてやりたいという決意のほどを示されたのですけれども、このように意思がばらばらで、考え方もまとまらないということであれば、この公団法は、はたして、すべり出して目標どおりにいくのかどうかということが私は非常に心配だから申し上げているのであります。特に、私も当時農業委員会長をやっておりまして、北海道の農地部会の部会員であって、そのときに、当時の倉石農林大臣から、土地政策についてのいわゆる諮問がありました。これは昨年櫻内大臣のときに本答申がなされたわけであります。この中でも土地政策が柱だと、きわめて明快に言い切って指摘をしているのであります。だから、この土地政策を進めていく前提としては、一体、日本の農用地面積をどこまで確保するのか、現状の五百七十万ヘクタールでいいとするのか、新全総で一応の目標を立てた六百五十万ないし七百万ヘクタールをもって是とするのか、この辺を明確にして進めていきませんと、またもや同じことを繰り返して、年度途中、計画途中において変更しなければならぬなんというような事態になってしまうのではないか。その辺が明確でないというのはどうしたことなんでしょうか。
  87. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 新全総につきましては、その後、社会、経済情勢が著しい変化を生じておりますので、政府におきましても再検討をしなければならぬと言われておることは御存じのとおりであります、が、さっきからお話しのありますように、わが国の土地状況から判断いたしまして、土地を利用いたします農業等について、土地問題がきわめて重要であることはもう当然大問題であります。そういう基本的な問題を解決しなければならぬことはもちろんでございますが、私どもといたしましては、今度の農用地開発公団では、いまの予定しております地域についてそれぞれ詳細な検討をいたし、また、地元民の御意思等も承ってこれからの計画を立てるわけでありますが、もちろん、何年かたちますうちには地価問題等も出てまいるでありましょう。しかし、そういうことも勘案いたしまして、ただいまのところでは、いま御審議を願っております法案の中で私ども計画を御説明申し上げて御理解をいただきたいと思っておるわけでありますが、将来の農用地につきましてどういう程度に見込んでおるかということは、これは、私ちょっと数字的にはっきり記憶いたしておりませんので、事務当局からでもお答えさせていただきます。
  88. 大山一生

    大山政府委員 土地改良長期計画前提になりました生産見通し、これに基づきまして、必要とする農用地面積につきましては、農地五百二十万ヘクタール、そして草地六十四万ヘクタール、合わせて五百八十四万ヘクタールが必要であり、また、それに応ずるだけの、壊廃というものもございますけれども、それを織り込みながら、造成すべき面積が、先ほど申し上げた数字でございます。
  89. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 現状の落ち込んでおります農用地面積、五百六十八万ヘクタールしかないのを、いまのお話しによると、今後五百八十万以上の面積を確保していかなければならないということだが、これは当然のことだと思うのです。そこで、私がなぜ自給率を言うかというと、自給率をきちっと持って、そこをどこに目安を置いて進んでいくかによって、それに必要な農用地の確保が一体できるのかできないのかという問題になっていきます。いま一応五百八十六万と言いましたが、この面積は確保困難だと私は思うが、これは草地を入れての話ですね。草地を入れての発表でありました。しかし、草地といえども生産基盤でありますから、こういう面積の確保がはたして可能かどうかという点について非常に危ぶむから、いささかくどくこの点に触れているのであります。  さて、次の点でありますが、私は、この公団法を全部中身を読んでまいりまして、一番大事な点が欠けているというふうに思うのです。それは何か。なるほど、一つの基盤ができ上がった。とにかく、そこから議論をしていくと、先ほど美濃委員からの指摘もあったように問題点はいろいろありますけれども、そこから一応牛乳なら牛乳牛肉なら牛肉、あるいは卵、豚肉というものが生産されてくるにしても、生産段階だけしかこの公団の中では考えられていない。本来的に言えば、そこでつくられた畜産物が一刻も早く消費者のところに届けられるという仕組みが同時並行して生まれてきておりませんと、これはえらいことになっちゃうのです。しぼるだけしぼったけれども牛乳は三日も四日もたって鮮度の落ちたものが供給されるようなことになったら、基地としての、いわゆる団地としての意味合いというものは半減されるどころか、ゼロになってしまう。農家自身も実害をこうむるのですからたいへんなことになる。たまたま、国土総合開発審議会の総合調整部会大規模畜産基地研究会で、東畑四郎さんの会長のところで、この点について、文章の中ではこういうふうに触れております。「この畜産基地建設は、新鮮、良質かつ低廉な牛乳および牛肉消費者に対して供給することを第一の目的とするものである」と言っているが、これはたいへん重要な点であります。そこで、「新鮮」という問題が、いま私の申し上げたような、保管もしくは並行して進めていかなければならない大事な一つの手段であります。しかも、前段でいろいろと議論をいたしましたとおり、大消費地近辺でそう大きな生産団地を求めることは困難になってきた。山に登っていく、遠隔地にこういう団地がつくられていくということしか今後考えられない。だとすれば、そこで生産された牛乳は、新鮮でしかも良質なものを供給していくということについては、相当真剣な考え方がここに生まれてまいりませんとこの目的が達成されないのですね。「良質」という部分については、牛乳生産する牛舎の仕組みを変えるとか、あるいは貯乳の方法などを近代化するとかによって、ある程度農民自身の努力によってカバーすることができますが、「新鮮」というのは、いかんせん、それだけではどうしようもない問題なのであります。そこがいま北海道酪農の大きな悩みであり、一つの盲点になっているとさえ言えるのです。北海道牛乳生産基地と言われて、今日まで牛乳の量をたくさんかかえ込んでおり、その消流面において非常に大きな難儀をしているというのが今日の北海道酪農の持っている大きな悩みであり 弱点なのであります。ところが、今度の公団法によると、その流通の関係については一切触れていないが、これはどうしたことなんですか。
  90. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私どもも、乳製品ばかりじゃありませんで、農産物は流通というのが半分以上の重要性を持っていると思います。ことに、流通段階におけるロスが消費者物価等について苦情を言われる一つの原因にもなっておるわけであります。したがって、今回のような構想を持ちます以上は、それに付随して流通問題についても考慮いたさなければならぬのは当然なことであろうと思いますが、公団それ自体としての仕事として、そういうふうなことまで一緒にやるということではございませんので、そういうことをうたっておらないわけでありますけれども農林省では、従来から、御承知のように、集配乳施設に対する助成とか、それから生乳輸送施設、リース協会への出資等、生乳の流通機構について積極的に協力してまいったのでありますが、加工乳についても同様でございます。けれども、私どもは、この公団ができまして、そしてこういう構想が全国で行なわれるようになりましたならば、それに付随して、当然、いま申しましたようなことで、流通段階においてのシステムをどういうふうにしたらいいかということをさらに検討して、流通が円滑にいくようにつとめてまいりたいと思っております。
  91. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 たとえば、今度の構想の中に盛られております根室地域酪農団地構想は、生産が始まれば直ちにあすからこの問題にぶつかるのですね。いま大臣のおっしゃるように、全国的にそんなのが出てきたらそのときはひとつ考えようというのでは、これは片手落ちというものではありませんか。きわめて不親切なやり方だと思うのです。何となれば、今度の公団構想の中の目玉と言われているのは上物施設をどうするかという問題で、その中には、農民が住む農家住宅まで含めて考えているのですね。せっかくそこまで考えたのであれば、生産される畜産物のいわゆる流通部門にまで手をつけて、構想の中に入れておくべきではないのでしょうか。私は、それがこの構想のまっとうなあり方だと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えでしょうか、重ねて伺います。
  92. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 生乳等は、御承知のように、いままでの各産地においての状況は、各系統でそれぞれ集荷をいたしたりいろいろやっておることは御存じのとおりでありますが、この公団の中にあえて言っておりませんのは先ほど申し上げましたようなことでありますので、一応公団の仕事としては申しておりませんけれども、いま私のことばが足りなくて御理解をいただけなかったかもしれませんが、でき上がってしまって、それを見てからというわけではありませんで、この構想を遂行してまいるには、その流通関係について配慮をいたすことは私どもの立場として当然なことであると思いますので、そういう方向で十分検討してまいるつもりであります。
  93. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そうすると、いま公団の仕事の分野でないということをおっしゃっていますけれども、いま申し上げましたように、しつこいですけれども、今度の公団の仕事の中に、上物施設というたいへん大事な点が加味されている。これは従来私が主張してきたことを盛られたものであって、その点で私は評価をいたします。それは、やり方はいろいろあります。住宅公団を使うとか、いろいろなやり方があるにせよ、そこまで考えられたのですね。かつて根釧のパイロットファームは住宅がたいへんお粗末だった。一応これもつくるにはつくったけれども、非常にお粗末だった。とても人の住む家じゃない。まさに、昔の開拓農家と言われたような住宅でしがなかったから、今度はそういうものもきちっとつくってやらないと、いわゆる建て売り牧場としての価値としては半減するのではないですかということを申し上げたら、これを今回盛られた。このことは私は評価をするのです。  しかし、いま一歩進めてしぼれば、あすからこの乳をどうかしなければならぬということが明らかであるのに、その畜産物に対しての考え方がそれでは消極的過ぎるのじゃないかと私は申し上げるのであります。なるほど大臣がおっしゃるように、牛乳の集荷は共同でやりますよ。ステーションに持っていって牛乳を集めることぐらいは、いまもう仕組みとしてでき上がっておりますから、それはやります。しかし、そこから先の問題について私はいま言っているのであります。それは構想として今後検討する、それは早急にやりたいとおっしゃるのですが、せっかくですから、この公団法の中にその構想を盛っていくべきではないですか。ことしは予算がついちゃったからだめだけれども、来年の予算要求の中でもこの点を盛り込んで、もう一歩も二歩も前進した公団構想で進められることを私はぜひ望むから、強く申し上げるのであります。  局長からでけっこうでありますが、構想をお持ちであればお聞かせください。
  94. 大山一生

    大山政府委員 いま大臣から申し上げましたように、公団法そのものとしては、要するに、土地の基盤ではなくて、経済基盤をつくり上げるという点に重点が置かれているわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして、根室で申し上げますならば、あそこの過密になっている地帯の人々を新たな地帯に移して、そこで酪農をやってもらうということでございますので、その牛乳処理場でありますとか、そういったような集出荷施設の用地の造成は新公団事業として、一体的なものとして樹立してまいる、こういうことに相なっておるわけでございます。  ただ、その集出荷施設を、どういう組織において、だれがつくって、どうやっていくかという問題になってまいりますと、畜産政策といいますか、過去のいろいろのつながりの中において、これは非常にむずかしい問題もありますので、そういう問題の企業経営に属するような部分については、公団事業としては考えようがないということでございます。ただ、土地条件としての集出荷施設の用地、場所、適地、これは当然全体計画の中に入ってまいります。したがって、そういう用地の造成はこの公団事業としてやってまいる、こういうことでございます。
  95. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 この問題はまた別にやりたいと思います。というのは、ひとりこの公団構想の中ばかりでない問題があります。というのは、北海道は加工原料乳の生産地帯と言われており、長い歴史をそういう中から積み上げてまいりました。しかし、今日、大消費地の皆さん方が、新加工乳だとか加工乳だとかいかがわしい牛乳ばかり飲まされている実態の中で、北海道の無菌に近い新鮮な良質牛乳をぜひひとつなまで飲みたいという希望がずいぶんたくさんあるにもかかわらず、実現していない。一部にはその道もできてきましたけれども、全体的に言えばそれが非常に低い。十年このかた、市乳化される率と加工原料乳の率というのは九対一ということで、この比率は依然として変わっていないというのが現状です。私は、こうした内地府県の、特に大消費地の皆さん方の期待にこたえる責任を北海道酪農民は持っていると思うのです。ところが、いかんせん、消費ルートがいまのところ整理されていないばっかりに、この面が依然として進まないばかりか、改善されない。だから、いわゆる新畜産基地構想の中でこれを積極的に突破口としてお持ちになっていただきたいという希望を申し上げているわけでありますので、どうかこれは御検討をいただきたいと思います。  次に進ませていただきますが、先ほどの、東畑四郎さんが主査になっておりますこの研究会では、基地構想の中の一つの柱になるのは何といっても良質の牧草をつくることだという明快な指摘もございます。私も酪農家の一人として今日のような濃厚飼料、配合飼料の問題をかかえておりますような状態の中に入れば入るほど、良質牧草を基礎飼料として、十分腹一ぱい牛に食わせていくという本来の酪農の姿を確立すべきときだと思っております。これは私の年来の主張でもございます。  さてそういう点から考えますと、日本の酪農で一番手落ちになっている欠陥は何かというと、ごく一、二を除いて、まさにかす酪農になっている点であります。それはどこに原因があるかというと、牧草の研究開発があまり進んでいないという点だと思うのです。いまから十五年ほど前でありますが、私は、約一年八カ月ほどアメリカの西部地帯酪農を見てまいりました。もう五十年以上の歴史を持っておりますのがアメリカの有名なアルファルファであります。特に、西海岸でも南のほうに行きますと、このアルファルファは一年間に十回刈れると言われております。こんなに伸びるアルファルファを十回刈るのであります。しかも、実にりっぱなもので、水につけるとまっさおによみがえるほどよいアルファルファがとれております。このアルファルファを日本ではルーサンと言っておりますが、私は、このルーサンをぜひとも日本の酪農の中に取り入れて、これを全部ということにはまいりませんが、冬季間のいわゆる粗飼料としてつくっていくということに研究部面も真剣に取り組んでいくべきだということを年来主張してまいりましたが、これはなかなか進みません。私も五、六年アルファルファをつくってみましたが、残念ながら、日本のいまあるルーサン、アルファルファは品種的に問題があるような気がいたします。たいへん高度な土壌条件を要求する作物であります。したがって、PHがあまり低くてはだめです。こういう土壌改良という一面を持っておりますから、なかなか一朝一夕にはこのアルファルファが定着しないという経験を私自身も持っております。しかし、今日のような濃厚飼料、配合飼料の他給部門を多くかかえ込んでいる日本の酪農が、将来において再びあるいは三たび四たびこういうたいへんな事態を迎えるということを何としても回避しなければならぬという立場から、特に、北海道のような酪農生産基地においては、粗飼料、とりわけルーサンの開発はぜひともやっていかなければならない部面だと思うのです。きょうは農林水産技術会議からお見えだと思うのですが、こういうアルファルファの点についてはどこまで研究開発がなされておりますか、現状をお聞かせください。
  96. 小山義夫

    ○小山(義)政府委員 いまお話しがございましたアルファルファは非常に栄養価も高いし、日本の北から南まで、気象条件の幅に適応しやすいものであります。また、再生力も非常に永続し、十年以上つくり続けることができる、たいへんいい面を持っている牧草でありますけれども、反面、先ほどお話しがありましたように、酸性に非常に弱いとか、日本のように雨が多く湿度が非常に高いところの土壌にはなかなか向かないとか、そういった非常につくりにくいやっかいな面を持っている牧草であります。そんなことがあってだと考えられますが、日本にはあまりたくさん入っていない現状であります。従来、牧草の研究につきましては、率直に言って比較的立ちおくれてきた面がございまして、それが今後の畜産の振興の上に非常に障害になってはならないということで、昭和四十五年に草地試験場を新設すると同時に、北海道をはじめ地域農業試験場に草地部を拡充してまいって、だんだん研究の体制を整えてきたところでございます。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  お話しのアルファルファの品種改良につきましては、北海道農業試験場でやっておりますのと、いま一つは、愛知の県の試験場に私どものほうから人件費を含めて補助を出して、それでアルファルファの品種改良をしているところであります。研究を始めましてから年月がまだ浅いものですから十分な成果が出ておりませんけれども、愛知のほうで暖地向けのアルファルファの新しい品種が最近出ました。これは、現在、輸入の品種に比べまして二割八分、約三割近く増収ができる。そういう品種がやっとできました。残念ながら、まだ寒地向けの品種が出ておりませんけれども、いま有望な幾つかの系統をそれぞれ地域適応試験のほうに回しております。まだちょっと時間がかかりますけれども、そういう意味で、アルファルファの育種、品種改良自体は、現在はもう着々と軌道に乗っているというふうに申し上げることができるかと思います。
  97. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 アメリカの酪農がたいへんな進歩をしたというのは、まさにこのアルファルファだったと言われているのですね。この研究を始めたのはいまからもう百年も昔だと言われています。ちょうど、カリフォルニアがいわゆるインデアンの時代から白人の時代にかわったころから、もうすでにこのアルファルファは研究開発されてきたと言われている。いまのお話しを聞きますと、予算の足りない面もあるのでしょうが、アルファルファについてはきわめて消極的だというふうな感じがいたします。これは、畜産局の自給飼料課もその窓口になっているのでしょうから、局長、この問題については、技術会議だけにまかせるのではなくて、あなたの窓口で真剣に取り組むということが必要だと思いますが、いかがですか。
  98. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま技術会議のほうからお答えいたしましたように、非常に高たん白であるという点で非常に良質であり、また、乾草生産にも向くとかいう利点がございます。なお、そのほか、再生力が強いとか、永年性で二、三年目の収量が非常に高いとか、耐旱性があるとか、いろいろな利点もございますけれども、土壌なり、土地を選ぶこととか、あるいは品種も、適品種の選定がなかなかむずかしいという面がございます。私のほうで現在把握しておりますもので、全国で約一万二千ヘクタールぐらいあるのじゃないかと思っておりますが、技術的な問題を試験研究機関の試験研究とあわせて解決しながら、できるだけふやすように努力をしてまいりたいと考えます。
  99. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 ひとつ、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  そこで、根室中部酪農団地の問題に入っていきますが、先ほど美濃委員の質疑の中で、計画の持ち方についていささかずさん過ぎないかという御指摘がありました。たとえば労働時間の見積もり等について、具体的にその事例があらわれております。私も自分で酪農をやっておりますが、今日の酪農の一番の問題点は何かと言うと、労働力が非常に足りない反面、作業の分野、いわゆる受け持ち分野というものは非常に広いというのが酪農の特徴的なものであります。言ってみれば、米をつくる人も、あるいは麦をつくる人も、イモをつくる人も、酪農をやる人も、日本人である限り、一人の持っている労働力労働量というものはおのずから限界があるのであります。三つ子にもわかる話みたいなことをしてたいへん失礼でありますけれども、一日十時間働いて——十時間毎日働いたらぶっ倒れてしまいますが、わかりやすく言えば、一日十時間働いて一年間幾らかせぐのだろう。三千六百五十時間ですね。これは一年生、幼稚園の子供でもわかる計算ですが、それは夜も寝ないでかせぐような思いでやらなかったら、一日十時間かせぐということはできないのです。特に、今日の酪農は非常に守備範囲が広く、研究もあるし、また、酪農にかかわるいろいろな付随の労働ども一ぱいあります。こういうものを差し引いてまいりますと、生産のために投下する実労働時間というものは非常に限定をされます。一日六・五時間ぐらいしか実際に牛の乳ぶさにさわっている時間がないだろうというふうに私は考えるのです。これは私の経験からしてです。それは、おまえの場合は、そっちこっちに余分な仕事を持っているからそんなことになるのだろうということを言われますが、いまは国会議員ですからそれはだめですけれども、かつて、おととしまで、知は実際に酪農を自分でやっていましたが、夜も寝ないでかせげと言われても、これは限界があるのです。そうすると、一日八時間労働で二千九百二十時間ですから、夫婦二人しかいないということになると、食べた茶わんも一日に一回ぐらいしか洗わないようにしてぶっ飛ばしておいて、台所もわやくちゃにしておいて畑にかけつけて牛にしがみついていても、二人合わせて五千八百四十時間ですね。ところが、先ほどの計算によると八千時間と言いましたか、五千時間と言いましたか、五千時間ということは、割り出すと、一日一体どれくらいの時間働かなければならぬ計算になるのですか。  それから、ついでですから、こまかな計画の中身をお知らせ願いたいのですが、先ほど、見込み乳価として五十一円二十六銭を基準にして計算をいたしましたという説明があったのですね。これは一体いつの見込みにおいて五十一円二十六銭と置きかえられたのか。ときあたかも保証価格の決定の時期に来ておりますから、この根拠はたいへん微妙なものがあるのですね。そして、この計算の根拠は、五十一円二十六銭で根室のおまえたち牛を飼って乳をしぼれということになるとしたら、これはえらいことなんですよ。だから、この計算の根拠を明らかにしていただきたい。それが第二点目であります。  それから、一頭当たり一体幾らの生産量を見込んでいるのか。そして、一頭当たりにどれぐらいの年間労働時間が要るのですか。飼養管理労働、それから牧草をつくる労働、そして、先ほど私が申し上げた間接的な付随労働、こういうものを入れて、一年間に一体どれぐらい一頭当たりの時間がかかるのですか。それが根拠としてお示しいただきたい第三点であります。  それから、四番目は、五十七年目標というものがありますね。「農産物需給展望生産目標の試案」というのがありますが、これによって見ますと、この目標の中には、こう書かれているのですね。搾乳牛一頭当たり生産量は五千四百七十六キロです。おそらく、三・二%換算でしょう。搾乳牛一頭当たり労働時間は、専業経営において百四十九時間——百五十時間というふうに示されておる。一時間当たり生産される牛乳の量は三十八・八キログラムですと、まことにこまかく親切に目標が立てられている。これから割り返してくるとたいへんな重労働になるということなんです。それをそのまま根室におろしているのではないかという懸念が一つあります。何となれば、それから割り返しますと、五十頭の規模は、成牛に換算して、私の勘定では三十五頭と踏んでいるのですが、農林省は、どうやらこれを八割成牛換算に見て、四十・一頭と踏んでおるようであります。そうすると、百四十九時間で一頭の飼養管理ができる、牛乳をしぼることができるという勘定で行った場合は、五千九百六十時間という計算になるのです。私の計算では、三十五頭を百四十九時間でやると五千二百十五時間ということで、これは少し計画よりも減りますけれども、四十頭の飼養管理をやるとすれば、約六千時間かかるということになるのです。この辺の根拠はどこに置いて根室計画をお立てになったのか。それが四点目であります。  もう一つは、営農類型というのがあります。営農類型というのは、従来これほど大規模経営の類型というものはあまりないのです。特殊な例としてつくっております。私の町なんかも営農類型が実は十一あったのを、先ごろ政府の指導に基づいて、これを酪農の部分については三類型に手直しをいたしました。その一番大きな経営も、実は二十五頭であります。そういうふうに考えてまいりますと、その二十五頭で、今日のいわゆる酪農経営は、二人の労働力で一年間まかない切れないというのが現状であります。それを五十頭、成牛換算にして四十・一頭という頭数を飼おうというのでありますから、これは夜も寝ないでかせげという計画になっているのではないかというふうに勘ぐられますが、先ほどの美濃委員との議論の中でもこの点がどうやら明らかにされておりません。いま一度この辺の分析をしたいと思ってお尋ねをしておるのでありますが、一応のこの計画をお示しいただきたいと思います。
  100. 大山一生

    大山政府委員 まことに具体的な御指摘でございますが、われわれのほうで、酪農経営の、先ほど申し上げましたような五十頭経営というものを考えましたときの労働時間というような問題につきましては、実は、北海道の酪振計画におきます近代的酪農経営の指標、これの中の大型経営一型、二型というのですか、根釧あるいは天北、これを参考にいたしまして、というよりも、これに準拠するかっこうにおいて実施したわけでございます。五千時間ということで、搾乳牛一頭当たり労働時間で、飼養管理で、どれくらいの時間かというお話しでございますが、これは七十八・四時間ということでございます。  それから、収入千三百万という中で、なま乳の販売を千百三十一万八千円ということを申し上げましたけれども、これはキロ五十一円二十六銭ということでございます。これは四十八年前半におきますなま乳の一キロ当たり価格、基準取引価格四十円四十九銭、それから不足払い八円二銭、それから脂肪率換算二円七十五銭ということで、五十一円二十六銭というのを出したわけでございまして……(島田(琢)委員「約二百二十トンでしょう」と呼ぶ)はい、そうでございます。これは四十八年前半の実勢で……
  101. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 それは小学校の一年生だってわかる。計算して千百二十七万になりませんか。ぼくの計算が間違っているのかな。
  102. 大山一生

    大山政府委員 五十頭ということを申し上げましたが、経産牛で申し上げますと四十八頭でございます。四十八頭の四千六百キロの五十一円二十六銭、こういう計算をいたしております。
  103. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いま飼養時間が七十八・四時間ということを言いましたね。これは間違いないですか。一頭当たり一年間にかかる飼養時間は七十八・四時間ですか。
  104. 大山一生

    大山政府委員 ただいま申し上げましたのは、飼養管理に関する部分が七十八・四時間ということでございます。そのほかに、飼料生産に関する時間が三十六・八時間ということで、これは夏期の飼料と冬期の飼料と両方ございますが、その合計で三十六・八時間、合計して搾乳牛一頭当たり百十五・二時間、こういう計算になっております。
  105. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 これはとんでもない計画ですね。この指標で、五十七年度の目標としてあげられているのが、専業経営で百四十九時間と出しているんですよ。しかも、複合経営に至っては二百三十時間、混同経営は三百八十九時間、これはやむを得ません。専業経営で百四十九時間。畜産局長、現在何時間になっておりますか。
  106. 澤邊守

    澤邊政府委員 現在の牛乳生産費調査によりまして、一道四県の平均というものを、加工原料乳の不定払いの対象地域でございますが、それで見ますと、これは四十七年でございますが、一頭当たり二百九十五時間という数字が出ております。
  107. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 四十七年の非常に古い数字ですけれども、三百時間かかっているんですよ。それを根室中部では百十五時間でやれというんですね。これは冗談じゃない。一体寝ないでやれということですか。先ほど私はわかりやすく言ったのですが、一年間の二人の労働は、八時間ずつやって五千八百四十時間ですよ。小学校の一年生が計算したってわかることを私があえて申し上げたのは、どうやら、この計画は、いま構造改善局長が言ったように無謀に過ぎる計画が盛り込まれているというふうに感じ取っていたから、そのことを前段で私は申し上げたんですが、どうなんですか。五十七年度、これからまだ約十年先の目標酪農家が一生懸命努力しても、百五十時間というのはたいへんな目標だと思って、この指標の手直しを私はいつか言ったことがあるんですが、私はとてもそんな時間では飼えません。私のような技術の悪い酪農家ではなおだというのではありませんで、優秀な酪農家の統計を見たって、二百時間を割ってやれと言ったって、それはできないです。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 たかだか五十キロから七十キロぐらいの人間の目方一つ比べたってそう変わりのない同じ人間が携わっていて、しかも、女の労働力を同じように一と見ても、さっき申し上げたように、茶わんもぶっ飛ばし、寝床もぶっ飛ばしておいて、夫婦二人で一生懸命に牛を飼ったって、二百時間で飼えということは無理だと思っているのに、百十五時間なんという、こんなべらぼうな短時間で一年間牛を飼いなさい、しかも、五千三百キロというたいへんな乳量を上げなさいと言っても、これはできっこありません。どんなところからそんな計算が生まれてくるのですか。
  108. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほど、一道四県の牛乳生産費調査によります飼料生産飼養管理の合計の労働時間を申し上げたわけでございます。一頭当たりにつきまして二百九十五時間というふうに申し上げましたが、これは全国平均でございますので、規模も非常に小さい。たとえば一道四県の場合、経産牛八・五頭というのを前提にした平均でございます。で、別の資料によりますと、これは同じ四十七年の牛乳生産費調査でございますが、搾乳牛三十七・七頭という——これは平均をとりますので端数がございますが、そういう規模で、これは全国でございますが、とってみますと、飼養管理労働飼料生産労働含めまして百八十時間という数字になっております。  先ほど、根室中部の場合の目標は、時間につきましては構造改善局から説明がございましたが、それよりはもちろん規模も小さいという点もございますし、現在の四十七年の実績でございますので、なお一頭当たりの時間は多くなっております。したがいまして、根室中部の場合はさらに規模も大きくし、しかも能率的な大型機械を入れるとか、あるいは北海道の場合、規模も全国よりは大きいということのほか、能率も一そう高いというような点からいたしますれば、目標の時間としてそう大きくかけ離れているということは言えないのではないかというふうに思います。
  109. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私が十五年前に行っておりましたアメリカの一頭当たりの一年間の飼養時間というのを調査をいたしたことがございます。もう十五年昔のことをいま言っても当てはまらないでしょうが、しかし、十五年前の彼らのやっている酪農のシステムというものは非常に近代化されて、省力化されておる経営であった。まさに、いま日本で根室中部の地域にやろうとしているものが、いまから十五年前にすでにアメリカにはあった。しかも、それ以上にシステム化されています。時間がないからあまり申し上げることはできませんが、たとえば一つだけ申し上げると、ミルキングシステムなんというのは、牛がひとりで入ってくると、ひとりでにおっぱいがあらわれて、ミルカーをかけてやればぱっと乳が出て、それが一切手を触れないで、ミルキングが終わればひとりで出ていくというように、これくらい省力化され、高度化されているときの一頭当たり飼養管理労働時間というものが百九十八時間でありました。これは私は全部調べたわけではありませんが、北カリフォルニアの酪農家四、五軒の統計を——統計といいますか、話を聞いた中から、改良普及員の説明の中でも、私がいろいろ聞いたのとほぼ一致する一頭当たりの一年間の飼養管理時間であったのです。いま局長が言われるように、これは一道四県だ、特に、根室のようなところはもうそんなに労働時間がかからなくて牛は飼える、そこにねらいがあるんだ、ということ、それはけっこうです。でも、それには限界がある。人間を人間と見ないというような考え方で押しつけているんではないかというふうに私は考えざるを得ない。あそこでこれから酪農をやるという農家も同じ人間ですよ。遊びにも行きたいだろうし、夜はちゃんと眠りたい。夜も寝ないでかせげというような時間を根拠に置いて、これからたいへんな投資をして、いわゆる建て売り牧場をつくって、農家はここでやりなさいと言ったって、これでできますか。私は、二年もしないうちにこの経営労働の面から破綻を来たすと思うのです。飼えないものを飼えといってやらせるわけですからね。希望的観測はいいですよ。希望的観測はいいです。そうありたいということがねらいだとすれば、それはそれでけっこうだが、現実にこれから始まる酪農家にこの数字を押しつけるということはきわめて無謀だと私は指摘をしておきたい。  時間がないから、もうこれ以上このことで触れることができませんので次に進まざるを得ませんが、先ほど、五十一円二十六銭の根拠が示されました。これはきょう議論をしますとたいへんな時間がかかりますからやめますけれども、一体、五十一円二十六銭という根拠もどこから生まれたのか。先ほど、いろいろな数字を積み上げた結果こうなったという説明でありますが、四十八年度の乳価はかくあるべしということなのか。だとすれば、これはえらいことになるのですね。根室地域だけに限って計算をしたらこうなりましたという説明だから、それは説明としては理解できるけれども、あの人たちだって、五十一円二十六銭でおまえら建て売り牧場で牛を飼って乳をしぼれと言ったらおこり出してしまうと私は思うのです。この計算根拠は畜産局から出たのか、構造改善局がそのもので調べた数字なのかはわかりませんが、しかし、こういう単価、いわゆる価格問題そのものに今日は触れることはできませんでしたけれども酪農の今日の状態考えるときに、五十頭規模の非常に大型な酪農だから五十円そこそこあればいいというものの発想で今後のこの団地化構想を進めていかれるとすれば、まず、労働の面から破綻を来たし、もう一つはこの価格の面で破綻を来たし、借金を払えなくてばったをしてしまうということは火を見るより明らかだということをきょうは指摘をしておきたいと思います。  残された時間はわずかになってしまいましたから次に進みますが、先ほども美濃委員との間に、新公団に移行するにあたっての人員の、いわゆる職員異動の関係についてたいへんこまかなやりとりがありました。私は、あのやりとりを聞いていて非常に大きな心配を持ちました。大臣の答弁の前段はうんと思って聞いていたら、最後のほうでちょっとおかしなことを言われました。新公団に移行後についてはまかせておいてもらいたいと言われたが、この、まかせておけというやつがくせ者であります。なぜくせ者かというと、今度の公団法は、いままでの機械開発公団が持っておりましたいわゆる受注公団という性格から発注公団に切りかわるということであります。すなわち、いままで自分で仕事をしていた分は、一切今後やらない。これは法案の説明の中にも出ておりますように、最近は民間において非常に優秀なオペレーターもおり、機械の装備も非常によくなっているから、そういう人たちにまかせたほうがよろしいとする発想がこの新公団法の中にあるからであります。だとすれば、先ほどの説明によると現在七百人ちょっとおるわけですが、この七百人という定員外の人員をかかえた大陣容というものは要らなくなるということに、常識的にはこの法律の中身から推察できるのですが、その面は、大臣は、新公団に移行後のことについては、悪いようにはせぬからまかしておいてくれと言う。その、まかしておいてくれということばが、私は何としても気に入らぬのであります。心配なんであります。しかも、大臣は、このことについては労働組合とも話をしているが、組合員の皆さん、職員の皆さんはたいへん喜んでいると言うが、私は、大臣はひとりよがりが多過ぎると思うのですよ。先般もビートの話をしたら、沖繩農民の皆さんには一万円にしてあげたのでたいへん喜ばれたと言われるが、冗談じゃないですよ。一つも喜んでなんていないのですよ。私のほうに入ってくる皆さんの御意見では、きわめて不満でしょうがないと言っています。だから、私はいま沖繩・北方領土対策特別委員会のほうに所属していますから、その中で、サトウキビ問題ばかりではなく、沖繩農業を取り上げなければならぬと思うのですが、取り上げざるを得ないということは、沖繩農民の皆さん方からその後いろいろな御意見が私のところへ入ってくるのですが、何としても、サトウキビの問題についてはもっと真剣に政治として取り組んでもらわなければ困るという御意見のほうが多いのです。大臣はどこから聞いてきて喜んでいると言われるのか。さっき、職員の今度の身分の問題についても、私がこう申し上げたら、たいへん職員が喜んでいると言われるが、そういうふうにひとりよがりに喜ばれちゃ困っちゃうのですよ。これはそういうような内容じゃないのじゃありませんか。その後において、まかしておいてくれというやつもくせ者だと私は指摘をしたのだが、この辺は明確にしておかなければならぬ大事な点だと思うのです。  先ほど身分移行の問題がありましたが、七百人必要なりとして今日まで進んできたのに、なぜ今回定員外をそのままにして新公団に引き継ぐのか。大山局長からは、歴史的な経過、積み上げがございましてと言われたが、歴史的な経過で七百人の人間が積み上がったのではないのではありませんか。必要だという、きわめて単純明快な目的によって七百人の陣容がそろえられたのではありませんか。先ほど美濃委員から、新公団移行に伴う定員外の定員内確保という問題についてお話しがあったから、そのことは時間の関係で私は触れませんが、どうやら、新公団に移行したら、一年くらいは黙っているけれども、やがて首切りをやるのではないかというふうな感じに受けとめたのは私の邪推なんでしょうか。その点大臣から明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  110. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 新しい公団に引き継ぎましたら、先の公団の仕事を打ち切っちゃうわけではございませんで、やりかけておりますのは全部継承いたして処理をいたさなければなりません。かなりの時間がかかります。それから、もう一つは、この新公団に引き継ぐ場合に、旧公団の機械開発公団の権利義務等を一切継承することになっておりますから、これらを従来のとおりに引き継ぐのであるから御安心をなさい、と、こういうことを言っているわけであります。  それから先のことにつきましては、新公団を運営していくにつきましてどういうふうにすべきであるかというふうなことは当事者をまじえて相談をして善処いたす必要があると思いますが、いまのところはそういうわけでありますので少しも御心配は要りません、こういうことを言っているわけであります。
  111. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 その、少しも御心配要りませんという確証がないのですね。だから私は心配で申し上げているのです。局長、ただいまの定員外と定員内を分けて、平均年齢どれくらいになっているのですか。
  112. 大山一生

    大山政府委員 定員外の百五十五名の平均年齢は二十八歳でございます。それから、定員内は、いま資料を持ってまいりますが、三十四、五歳でございます。
  113. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 平均年齢はたいへん若いですね。働き盛りです。そして、相当の技術を持っている。この雇用安定というのは、社会問題としてもたいへん重要な面を占めますね。ですから、いまの機械公団の仕事が相当分量残っているからと言われるが、目安としては、それは何年くらいで完結して新公団に移行するのですか。時間がなくなりましたので、一言でお答え願います。
  114. 大山一生

    大山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、七百人という人間、職員並びに準職員というのを前提として今後の事業内容を考えてまいる、こういうことでございまして、新公団事業量の増加とともに旧公団事業というものは逐次縮小してまいる、こういうふうな考え方でございます。そして、旧公団といいますか、機械公団事業の問題につきましては、三年程度の間に職種転換等の措置を講ずることによりまして、現在の機械公団の業務を、職員の給与のためからして継続しなければならぬような事態を生ぜしめないような方向に進めたい、こういうことでございます。
  115. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 それは、局長、私が心配したことが出てきたのですね。大体仕事の残りは三年くらいで終わる。新公団に移ったら漸次縮小する。きわめてプロセスが明らかになったではありませんか。私どもが心配しているのはそこなんですよ。配置転換と言われるけれども、この人たちの職種、業種というものは一つ技術的にも限られています。何の保障もないではありませんか。配置転換をする。この配置転換なるものはきわめて重大な意味を持つのですね。ですから、受注公団から発注公団に切りかわるということを打ち出した以上は、事業縮小ということがついてくるのでしょう。そうすれば、人員縮小をせざるを得ないという目標が明らかになっているではありませんか。そのことに答えたわけですが、この点については、農機労というのですか、この労働組合といまどんな話がなされているのか。この法案がかりに成立するということになるとすれば、鋭意この間の詰めを行なわなければなりません。労働組合とお話し合いをいままでも進めてきているようでありますが、前向きに、具体的に、そして将来に向けての心配を払拭するという立場での親切な話し合いにはどうも応じていないように私には聞こえておるのでありますが、きょうからでも、あすからでも、鋭意この問題について話し合いを進めていくというお考えがありますか。
  116. 大山一生

    大山政府委員 機械公団理事者側と機械公団労組との間に、この問題についての話し合いが行なわれていることは存知しております。それから、また、機械公団の労組あるいは政労協からも、組合側の主張ということについての話は先般もわれわれは聞いておりますし、また、今後も機会があれば聞くことにはやぶさかでないという姿勢で現在対処しているわけでございます。
  117. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 どうも、ここで御答弁されるとそういうふうにきれいにお答えになるわけでありますが、これはなかなかむずかしい問題を含んでいるから、私の言っているようにどんどん進めろと言っても、それは進められない場合も生じてくるかもしれません。しかし、少なくとも真剣な話し合いをするべきだ。しかし、公団との間に話し合いが進められているだけで、拱手傍観していて、この話は進みません。というのは、旧公団が新公団に移行すれば、いまの理事者の首なんて、それはもう不安定なものでありますから、責任ある立場での話し合いをするというのにはいま一つその面で欠けるものが出てくるのは、これはやむを得ないでしょう。だとすれば、新しい公団法をもってこれから対処しようとする政府みずからがこの問題に真剣な話し合いをするということが必要だと私は思うのです。大臣、この問題について、窓口で真剣に検討せよということに指示をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  118. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大事な職員のことでありますから、旧公団の方も一生懸命でやっている模様でありますが、そういうことについて一ぺんよく事情を調査してみます。
  119. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 以上で終わります。
  120. 仮谷忠男

    仮谷委員長 津川武一君。
  121. 津川武一

    ○津川委員 いままでの論議でも明らかになったように、農業を進めるとすれば、農地が非常に重要であるのです。私たちは、国有地、公有地、大山林地主の所有地、大企業が買い占めている土地等の中で、農耕地になるところを土地を求めている農民のために農地として開発して、それを農民に開放していこうということで、こういう開放をする予定の土地としては、さらに、アメリカ軍の基地だとか自衛隊の演習地まで含めて考えております。政府は、今回、この法案で農用地開発に乗り出したのですが、政府農用地開発の基本構想、長期計画というものを最初に明らかにしていただきます。
  122. 大山一生

    大山政府委員 国内に低位、未利用の土地が相当に残っているということを前提といたしまして、それが集中的に残っているところとして、根室あるいは北上・北岩手、それから阿武隈・八溝、それから阿蘇・久住飯田という四地域にそれぞれ調査事務所を設けまして、それの畜産を基軸といたしまして、どういうふうな開発が可能であるかという調査を四十四年以来ずっと実施してきたわけでございます。そうして、その結果、それぞれの地域におきまして、相当の規模において農用地開発を行なうことが可能である、しかも、その開発は、ただ基盤を整備すればいいということではなくて、上物も一体的につくっていくというかっこうにおいて、あるいはこれを根室の場合で言いますならば、すでに過密になっているところから移転入植するというかっこうにおいて相互に規模の拡大をはかる中で、あるいは阿蘇・久住飯田のような、そういうところが入り会い地であるがゆえに現在まで残ったようなところにおきましては、法人体制によって開発させる、こういうことについて地元の意向も非常に強くなってまいりましたので、今般、新たな開発方式と、そしてそれを担当するものとしての公団ということを考えたわけでございます。  そこで、これらの調査区域は、数十万ないし百万近くの面積を対象といたしまして技術可能性調査いたしました結果、現在、地元の意向、熱意その他も含めて考えますと、先ほど来申し上げましたように、約六万五千ヘクタール程度はこの十年間に推定し得るのではないだろうか、また、一方、中小家畜と大家畜とを一体的に組み合わすかっこうでのいわゆる畜産基地、これにつきましても二万ヘクタール程度がここ十年くらいの間で可能ではないだろうか、こういうふうなことで、ここ十年間というものをいまの段階で推定いたしますと、約九万数千ヘクタールというものについて上物も含めた開発を行なって、そうしてそこを濃密生産団地にしてまいる、こういうことが今度の公団のねらいとする当面十カ年についての計画ということに相なるわけでございます。
  123. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、この法案の提案理由大臣からよく説明を聞いたし、補足説明も農林次官から聞いた。私の聞いているのは、局長もよく私の質問を聞いてくれればわかるのだけれども農用地開発に対する政府の基本的な方針、いま当面の十万ヘクタールなどじゃなくてそういうことを聞いているのに、局長はこの法案の説明をしてくれたわけです。しかし、あとでまたこれは農林大臣にお伺いするとして、先へ進めていきます。  そこで、日本の耕地でございますが、耕地面積が昭和三十一年に六百一万ヘクタール、三十五年に六百七万ヘクタール、四十年に六百万ヘクタール、四十五年に五百八十万ヘクタール、四十七年に五百六十八万ヘクタールと、このように減っております。この状態農業を振興していく上において好ましい状態考えているか、そこいらあたりを農林大臣から答えていただきます。
  124. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 幾ら広漠たる地域がありましても、生産性が上がらなければ生産量は増加いたさないと思うのでありまして、私ども、すべての農産物についてできるだけ自給度を高めていくという点につきましては、基盤整備その他の施策を十分やって、そして反当の生産性を上げるということが必要であろうと思っておりますが、したがって、いまも構造改善局長がお答えいたしましたように、このたびの農用地開発公団という構想でもやはり基盤整備その他をやるわけでありますが、先ほどの御質疑にも政府委員からお答えいたしておりましたように、長期計画で大体百五十万ヘクタールの新農地を開発していこうということを言っておるわけであります。したがって、これらのどの辺のところが限界効用であるかということはなかなかむずかしいことであろうと思いますけれども、やはり、生産性を高めて、そして生産の増強をはかるという点が農政に対しては一番大事なことではないかというふうに考えております。
  125. 津川武一

    ○津川委員 大臣の答弁はよくわかりましたが、私の質問に端的に答えていただきたいのです。日本の耕地面積は、昭和三十一年の六百一万ヘクタールから、四十七年の五百六十八万ヘクタールに減りました。農業をやる基本としての農地がこのように減ってきていることが望ましいことかどうかと私は聞いているのです。大臣は、それを生産性を向上するという形で私に答弁しておるのですが、もう一回答えていただきます。
  126. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私が申しておりますのは、一がいにそういう土地の面積だけで話をいたしましてもあまり意味がない点もあるのではないかということを申しておるのでありまして、わが国では、たとえば米につきましては、米はわが国が世界に自慢するほどの生産性をあげております。そして、自給度は一〇〇%です。しかし、いま要求されておる畜産等につきましては、その飼料、ことに飼料の穀物等においては自給度はきわめて低い。したがって、そういうものの増産のためには、基盤整備その他の施策を講じながら自給度を逐次高めてまいるということでありますから、そういうことに必要な限度における土地というものはなければならない、これはもう当然なことだろうと思います。
  127. 津川武一

    ○津川委員 田中総理の「日本列島改造論」では、土地が減っていくことを認めながら是認していくという方向がとられて、かなり問題になっております。倉石農林大臣は、この減ってきた状態を是認するつもりかどうか。勢いのおもむくところ、もっと減っていくと思います。それをそのまま推移させるつもりなのか、もう一度お答え願います。
  128. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 さっきお答えをしておるのでありますが、土地改良長期計画によれば、政府委員が先ほど申し上げましたように、百五十万ヘクタールを新たに造成していきたい、五十七年にはそのうち七十万ヘクタールは新たに造成してまいりたいということですが、そのほかいろいろな基盤整備等をもさらにやるわけでありますから、農業政策に対して、土地問題について、私どもがどういうふうにこれを大事にしているかということは御理解いただけるのじゃないかと思います。
  129. 津川武一

    ○津川委員 このことはなかなか議論がかみ合わない面もありますけれども、もう少し問題が展開したときにもう一度この点について私はやりたいと思いますが、土地が減っていってもいい、農耕地が減っていってもいいというふうに大臣の姿勢というものが受け取れるわけです。農林大臣、農耕地が減っていってもいいというふうに私はいま受け取ったのですが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  130. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは答弁もなかなかむずかしいと思います。私どもは、いまあなたがおっしゃったように簡単なことを言っているわけじゃないのでございまして、わが国の国民食料の自給度をできるだけ高めるという意味では土地ももちろん必要であるが、その生産性を高めなければだめだということを言っているのでありまして、それに必要なる土地というものはもちろん必要であるということを申し上げておるわけであります。
  131. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣は、農耕地が減っていってもいい、差しつかえない、生産力さえあげればよろしい、と、このようにお考えになっておるものと理解してよろしゅうございますか。
  132. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御理解はどなたも御自由でございますが、私はそんなことを言っているわけじゃありません。土地はできるだけ確保しなければならないと言っているのであります。
  133. 津川武一

    ○津川委員 昭和三十一年に六百一万ヘクタールが、昭和四十七年に五百六十八万ヘクタールまで減りました。この原因は何だと思いますか。
  134. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これはさまざまあると思いますが、最近もしばしばこの委員会でもお話しが出ますように、一年に平均六万ヘクタールそこそこ転用が行なわれております。壊廃が行なわれておるが、その中には、先ほどのお答えにも申し上げましたように、たとえば四十八年でも、壊廃と一がいに言っておりますが、林地として一万三千へクタールを活用しておる。あとは公共用地、住宅等に転換されておる。そういうやむを得ざる地域もあるかもしれませんけれども、われわれとしては農産品を補うために、土地改良長期計画などで、さっき申し上げましたように、未利用地、利用可能の地域を新たに計画的に造成していく、こういうことを申しておるわけです。
  135. 津川武一

    ○津川委員 そこで、いまはしなくも大臣が言われたわけですが、土地の造成をするための、昭和四十一年三月二十五日の閣議決定の土地改良長期計画、これではどのくらいの農地を農林省開発する計画だったかを明らかにしてください。
  136. 大山一生

    大山政府委員 先ほど大臣が申し上げましたように、農地について申し上げますならば、五十七年に五百二十万ヘクタールの耕地にもってまいるという考え方でございまして、そのために造成を三十万ヘクタールいたします、と、こういうことでございます。そのほかに、草地につきましては、四十六年で二十七万ヘクタールございますが、これを六十四万ヘクタールにする、逆に言いますと、造成といたしましては四十万ヘクタールの造成をいたす、こういうことでございます。合わせて七十万ヘクタールの農地、草地を造成してまいる、こういうことでございます。  なお、先ほど大臣が百五十万ヘクタールと申し上げましたのは、適地百五十万ヘクタールでございまして、それを長期計画的に逐次やってまいる、今度の長期計画では七十万ヘクタール、こういうことでございます。
  137. 津川武一

    ○津川委員 その、昭和四十一年三月二十五日の土地改良計画で、どのくらい農用地開発されましたか。
  138. 大山一生

    大山政府委員 四十七年までに農地が十九万、草地が二十二万ヘクタールでございます。
  139. 津川武一

    ○津川委員 大臣、聞きましたね。この計画の三十二万に対して、農地が十九万。草地も目的どおり達しておりませんが、最初の計画した予算がどのくらいで、どのくらい使いましたか。
  140. 大山一生

    大山政府委員 事業費では、第一次土地改良長期計画の金額は全部使っております。そして面積で、実績で申し上げますと、約五割弱ということであります。
  141. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、十カ年計画で組んだ予算は全部使っちゃった、造成した土地は半分、草地で言うならば、計画したよりも一五〇%ばかり使って、そして、造成された草地がこれまた五〇%足らずだということは、どうしてこうなったか。大臣、いかが考えておられますか。
  142. 大山一生

    大山政府委員 二つあると思います。一つは、御存じのように物価の値上がりということでございますけれども、それ以上に、第一次長期計画当時において当初構想いたしましたよりは、はるかに最近の事業の中身が高度化しているということによって、反当の事業費が、技術水準といいますか、整備水準の向上に伴って上がっているということ、この二つの要素があると思います。
  143. 津川武一

    ○津川委員 草地、耕地造成のために使う人件費や経費が高くなったからではありませんか。いかがですか。
  144. 大山一生

    大山政府委員 人件費は別でございますので、人件費のアップによったものというふうには考えておりません。
  145. 津川武一

    ○津川委員 その他の経費は……。
  146. 大山一生

    大山政府委員 その他の経費というのは、先ほど申し上げました物価の値上がりということであろうと思います。
  147. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農林大臣、今度の昭和四十八年五月一日の閣議決定の土地改良長期計画は、農地三十万ヘクタール、草地四十万ヘクタール、十カ年計画、十三兆円。これでは昭和四十一年と同じ轍を踏むんじゃないかという心配があるわけです。そこで、十三兆円の予算ですが、この物価高、人件費の上がり方です。したがって、目的としておる耕地の三十万、草地の四十万ヘクタール開発のためには、必要であるならば計画を短縮してやるとか、予算を増額するとか、こういうことは検討を始めていなければならないと思いますが、この点はいかがでございますか。
  148. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 四十九年度予算は、物価その他の経済情勢を安定させるという大きな目的があったものですから、いわゆる総需要抑制ということで、公共関係には特に予算を圧縮いたしました。これは、ただいまの社会経済情勢の中でいま申しました予算目的を達成するためにはやむを得なかった事情でございますが、そこで、十年のことでありますので、その間に伸び縮みはありますけれども、十年間に所期の長期計画を完成させたいという計画で進めておるわけであります。しかし、その間において国際社会の物価高等もございますので、どういう変化が生ずるか、なかなか先行きは予測のできないところでありますが、われわれとしては、所期の予定どおりに仕事を進めるための最善の努力をいたさなければならぬと思っております。
  149. 津川武一

    ○津川委員 これは先に行ってみなければわからない話でありますので、私もここでこの話は終わっておきますが、われわれは、耕地の三十万ヘクタールと草地の四十万ヘクタールは是が非でも開発しなければならないと思っておりますし、十年後にできなかった場合にはまた新たな論議、責任などということを論議してみなければならないと思っておったのでお伺いしておいたわけであります。  そこで、第二の質問ですが、農用地の新しい開発もけっこうですが、現に農地であったところ、特に、水田であったところが稲作の生産調整で休耕し、ことしもなお作物がつくられない耕地がふえてくる心配が出ておりますが、これはどのくらいございましょうかしら。
  150. 大山一生

    大山政府委員 約八万ヘクタール程度になるのではないだろうかというふうに考えられております。
  151. 津川武一

    ○津川委員 せっかく国民が努力して水田までにした八万ヘクタールを荒れほうだいにしておいて、そして今度の法案で、交通不便な、問題のある土地をやられる。いままでの質疑でも明らかになったような問題のある仕事をおやりになる。それよりはこの八万ヘクタールをもう一回農用地に復元することが合理的でもあるし、国民感情から言っても正しいし、政治的にもよろしいのじゃないか。そして、また、結局は経費も安くできると思うのですが、この八万ヘクタールをどうされるか、このまま荒れ地にしてしまうのか、そこらあたりの農林大臣の所信を明らかにしてください。
  152. 大山一生

    大山政府委員 本年度の場合において、転作の奨励ということにつきましては、農林省地方庁を通じて非常に懸命の努力をいたしておるわけでございますが、なお、休耕奨励金がなくてもとにかく遊ばしたいという農家があることも事実でございます。それが約八万であろう、こういうことでございますけれども農民の意思がとにかく休耕するのだというかっこうで、それも集団化されずにてんでんばらばらと地方に分散しているという事態の中におきましては、これは、それ自体別の問題ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。しかし、そのままでいいのかという問題もございますので、その点につきましては、別途何かの方法を目下検討しておりまして、何か成案を得ればまた国会で御審議願いたいというふうに考えておるわけでございます。
  153. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、八万ヘクタールをこのままにしておくのか。それとも、これからやるとすれば耕地として一番いい適地の代表的な一つであるので、成案が得られればじゃなくして、これは農地として維持し回復する必要があると私は思いますが、農林大臣はこの辺のお気持ちはいかがでございますか。
  154. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどお話しがございましたところの、こういうようなときに片方で耕作を放棄しているような土地をほっといて、たいへんむずかしいような地域に集団的な酪農団地をつくるというのはおかしいじゃないかというお話しですが、これは根室をはじめ各地の様子を見ますと、それなりに地元でも非常に待望しておることでありますし、それから、わが国の畜産にとっても大切な仕事でありますので、これは津川さんもこういうことについては御賛成をいただける考えではないかと思うのであります。  もう一つの転作をしない方々ですが、実は、私どものほうでも、しばらく前に、今度休耕奨励金を出さなくなったのだがということで、そういうことについての意識調査みたいなことをやったことがありますが、多くの人は稲作に返りたいという希望がありますし、それから転換をしたいという方もあり、一部には、放棄だ、耕作はしばらくやらぬという人もあります。そういうことはもったいないことではないかということは私どもも同感でございます。  そこで、そういう放棄をされる人には、同じ事情じゃなくて、それぞれ変わった事情もあるかもしれませんが、しばしば申し上げておりますように、国内でまかない得るようなもので海外に依存しておるものは、安易な依存はいけないので、われわれのほうとしても、ひとつ増産をしてもらおうではないか、そういうことのためにはこれこれの助成策、便宜を講じますよということで奨励をいたしておるわけでありますので、私どもの本心としては、皆さん御同感のとおりに耕作放棄ということは決して好ましいことではありません。
  155. 津川武一

    ○津川委員 耕作放棄は好ましくないということですね。そこで、青森県で約一万ヘクタール近いものが耕作放棄をされておって、昭和四十八年に二千ヘクタールを目標に十アール二千円援助した。そうしたら、復元されたのが九百三十七ヘクタールもあるわけです。それでもまだ残っている。そこで、十アール当たり三千円にしたらもう少し復元が多くなった。もう一押し、四千円か五千円あれば、復元してこれを稲作なり畑作にするのにいいがというのが正直なところ農民の気持ちです。ところが、政府のいままでの答弁は、休耕奨励金の中に水田として維持していく費用が入っているからこの復元には援助しないというかたくなな姿勢なんだ。何とかして望ましくない状態政府がやろうとしている。だから、地方自治体がやっているわけです。政府のほうでこれを少ししり押しすることによって、かなり復元が広がっていく。これが現在の情勢なんですが、これは少し国のほうであと押ししてあげるお気持ちはないですか。いかがでございますか。
  156. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 四十九年度予算編成にあたりまして、私どももいろいろなことを考えたわけでありますが、米につきましては、まだもう少し稲作転換を進める必要があるということで、昨年度に比べてははなはだ多くの量を減らしましたけれども、まあ、ああいう状態調整をいたすことにいたしました。  そこで、他作物にぜひひとつ転換してもらいたい、そういうことにすることによってわれわれの自給度も少しずつでも向上するのであるからということでいろいろ検討をいたしました結果、麦、大豆その他の穀物類に対して助成策を講じておる。こういうことでありますので、事情の可能な人々にはそういう必要なもののほうに転換していただきたいという考えでああいう予算を編成した次第であります。
  157. 津川武一

    ○津川委員 麦作、大豆作、そして一部はえさ、これもぜひ転換さしていきたい項目だと私も思うのですが、政府が出した予算ではなかなか飛びつかない。野菜、くだもののスイカなどで言うと、私たちの県でもかなり転換できるのです。それを全部地方自治体の責任でやらしているから、いかないでいる点がある。こういう点で、野菜といえども非常に大事なものであるし、そこらあたりの配慮はいかがでございますか。政府は、この際、もうこんりんざいそれ以外はかまわないという立場なのか。水田もそうですが、野菜などの場合も、その適地であるならばこれはやってよろしいということにして——たとえば東北の北部などになってくると、特に、日本海側で言うと麦作はめんどうなんですから、そこいらで野菜や何かに転換したときに、もう一押し押してみようというお気持ちが政府にはおありにならないのか、重ねてお伺いします。
  158. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは基本的な問題の一つとして考えなければならない問題、また、研究しなければならぬ問題が多いと思いますが、農産物の地域指標というものをつくりましたときには、農林省だけでやったわけではありませんで、地方の自治体にもお世話になり、農業団体等にもずいぶんお世話になりまして、そして、あらゆるデータを集めて集約したものがああいうものでありますが、大体大ざっぱに見まして、東北、北陸地方というのは単作地帯が多いのでありますので、私は、従来もそういうことで米に重点を置かれたことはよく理解ができますし、したがって、あの辺ではまた銘柄米の上等も出るわけでございます。しかし、また、最近は、その一部に工業誘致等も日本海沿岸ではやっておるところもありますが、そういう意味で、私は、これから先、米作についてはもっとその地域に即した検討をする必要があるのではないかと思っております。  同時に、また、野菜のお話しでありますが、これは、御承知のように、あるときに若干増産されますとトラクターで踏みつぶして価格維持を考えたというような時期もありますので、御承知のように、これは全国で八百何カ所かの指定野菜産地を設けまして、計画的に移動さしておりますので、これについては、野菜担当者のほうでは地方自治体等と十分連携を保ちまして、生産供給計画的にやっておりますけれども、野菜をお始めになるというときには、われわれのほうとお話し合いをいただいてやっていただくほうが間違いがないのではないかというふうに考えております。
  159. 津川武一

    ○津川委員 葉ものだとひどくたたかれて農民、がかわいそうな例を何回もぼくらも経験している。ところが、大臣のところのナガイモだとか、ゴボウだとか、高原野菜のあるところの指導はめんどうかもしれないけれども、そういうものは大臣はいま地方自治体とも話し合ってやるということですが、来年度あたりから——まだおそくないのですよ。青森県あたりだと、約一万ヘクタール近いものが去年で千、ことしで千なんです。まだ六、七千残るわけです。特に、あそこの知事は生産調整で異常なほどの協力ぶりでありまして、北海道の二百何%という生産調整率に対して一七〇%、一五〇%ということなので、地方自治体と相談してみて、ことしの予算が間に合わないとすれば、ひとつ来年度の検討をしてみるというお気持ちはございませんか。
  160. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 来年度のことについては、いま、私どものほうでも、引き続いていろいろな条件を勘案して検討しております。
  161. 津川武一

    ○津川委員 この宝の八万ヘクタールを大事にすると同時に、もう一つの問題は農地の利用です。狭い国土の狭い耕地なのです。しかも、耕地面積が減少してきておるいま、現にある耕地を積極的に利用することが何よりも必要でございます。そこで、耕地の利用率でございますが、昭和三十一年に一三七%の利用率、昭和四十七年に一〇二%の利用率なんです。特に、裏作がなくなった。これを簡単な算術計算で、昔のとおり、昭和三十年時代の利用率の一三〇%ぐらいにいくと、約二百万ヘクタールの農地ができる。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 今度の法律で六万何ぼ、二万何ぼ、合わせて十万という農地の開発、これも私たちはきょうのこれからの質疑によっては賛成できるかと思いますが、質疑によってはまた賛成できない部分も出てくるかもわかりませんが、この利用率を高めていくと二百万ヘクタール近いものになるのです。ここのところは農政の非常に重要な問題じゃないかと思うのです。今度麦作の問題で少しやりますけれども、これはまだまだ問題にならない。そこで、土地の利用率を高める、裏作をふやしていくということに対して国として真剣に取り組むべき時期だと思うのですが、ここいらあたりの見解はいかがでございますか。
  162. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私どもも、裏作につきましては十分考えなければいけないということで、前々からこれはいろいろ研究をいたしております。ことに、来年度予算で麦作を奨励するという段になりまして、津川さん御存じのように、最近は私の郷里などでもそうでありますけれども、稲の改良ができまして、ちょうどその麦と稲の交錯した時期がありますので、つい麦のほうが捨てられたという現象が——農林省技術会議等ではそういうことを前から考えまして、いろいろ種子の研究もいたしておる模様でありますし、耕作方法等についても、裏作について検討いたしております。そういうことでありますので、土地の利用度を高めるということは、これはもう農政の上においては重要な問題であると思います。
  163. 津川武一

    ○津川委員 今度の問題のある農用地開発でたくさんの費用をつぎ込むということが簡単に成り立ったわけなんですが、そこで、この利用率を、三十年段階にまでにいかなくても、その途中段階にいっても、百万ヘクタールは新しい耕地ができる。生産性の問題はあるけれども、利用率では、ですね。そこで、これは大臣の諮問機関でもいいし、農政審議会へかけてもいいし、学識経験者も集めて根本的な計画をつくってみたらいかがでございますか。
  164. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いま申し上げましたように、土地利用度につきまして、それから、また、それに応じた作物等について、農林省は鋭意研究を続けております。
  165. 津川武一

    ○津川委員 私たちも、今度、日本の農業を振興する上においての一つの重要な基礎である農地を開発拡大するために、第二次土地改革案というものを発表しておりますけれども、農林大臣も読んでくださっていると思うのですが、これはいかがでございますか。
  166. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 各党でこのごろはいろいろ御研究になりまして、機関紙等に発表していらっしゃるものはあらかた私も拝見しております。  さっきの土地利用のことにつきましてですけれども、昨今のような経済状況では、たとえば稲作についても、労働時間がきわめて短くて済む。そこで、その余剰の労働力について、ほかのことで所得を得るようなことをお考えになったり、また、経済事情等もよくなった方々は、他の方法で余剰の時間をつぶすというふうな傾向もありまして、なかなかむずかしい問題もありますけれども、これは、私どもは、現状の段階にかんがみて、日本人全体に、いまの農作物の自給度を高めるということについて、ほんとうに理解を持っていただいて協力してもらえるような体制をつくっていくことがほんとうだと思います。
  167. 津川武一

    ○津川委員 私たちは、国民に提案しておる第二次土地改革でこんなふうに考えています。国有地が約七百八十万ヘクタール、公有地が二百八十万ヘクタール、会社保有地が百万ヘクタール、林家の大山林地主の持っておるものが百万ヘクタール、合わせれば千二百万ヘクタール、このうちで、傾斜やいろいろな地理的条件考えて、農耕地にできるものが四百万ヘクタールぐらい、そうすることによって、現在の日本の一・一ヘクタール平均の農民的所有の耕作地を一・五ヘクタールまで上げることがよろしいのじゃないか、これで農民がそのまますぐ農業ができるまでの基盤整備をする、そして、これに必要な機械化、生産性の向上、肥料、農薬などはもう少し値下げをする、金利も長期低利なものをやる、そこでの農村生活ができるようなかっこうにすることによって、かなりのものができ上がっていく、いまの日本の農民の悩みをかなり根本的に解決できる、こういうふうに農地の開発と同時にあわせて考えておるのですが、ここいらあたり、農林大臣としても、日本の農民が所有し、耕作する土地を拡大してみるという、こういうお気持ちはもちろんあると思いますが、いかがでございますか。
  168. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 基本的には、農用地がしっかりしたもので、それができ得べくんば広がっていくということは好ましい方向に違いありませんけれども、ただいまあなたのおっしゃいましたところの、皆さんのほうの御意見を書いたものを拝見いたしますと、全面的に御意見に賛成だとも申し上げかねる次第でありますが、農用地につきましては、私どもは、先ほど来お答えをいたしておるようなことであります。
  169. 津川武一

    ○津川委員 次は、最近の大企業の土地買いについて、私たち共産党で独自に調べたら、四十九万ヘクタールある。政府調査でも四十七万ヘクタールになっていますが、これを必要な住宅団地だとか、緑の公園だとかに回すとか、ときによると公害のない工場を建てるとか、そういうことと並んで、この中で、農地としたほうがよろしいという土地は、地域の皆さんでそういう委員会をつくって農地にしてみたいと思っているわけですが、この点については農林大臣はいかがでございますか。
  170. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 おそれ入りますが、ちょっとよく理解しかねたのですが、もう一ぺん……。
  171. 津川武一

    ○津川委員 最近、大企業がかなりの土地を買っています。これはあとでもまた出ますけれども、その買った土地を私たちが調べたところ、四十九万ヘクタールある。政府が調べたら四十七万ヘクタールある。これは農林省が調べたのじゃない。建設省が調べたのですよ。この中で、それぞれの地域で、農地として適当なところもあるし、住宅として適当なところもあるし、公園として適当なところもあるし、また、レクリエーションの土地として適当なところもある。そこで、この中で農地として適当なところは農地として開発して、国民の要請にこたえたほうがよろしいと思うのですが、農地開発に関連して、この面での農林大臣の所信を伺わせていただきたいのです。
  172. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農地を他の仕事のものが買うということにつきましては、これは農地法にいろいろきびしい基準が定められております。それに違反しては不可能なことであります。したがって、農地をそういうことにするわけにはいきません。したがって保護を受けるわけでありますが、そうでない地域農用地にするということは、これは政府がやるわけではありませんので、幸いにして、そういうものをも購入して規模を拡大していこうとする農家が存在するならば、それはけっこうなことだと思っております。
  173. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この農用地開発公団法の法案の中で考えており、そこで予定されておる土地の中で、大企業あるいはその他の人たちにどのくらい買い占められておりますか。
  174. 大山一生

    大山政府委員 先生のおっしゃられます範囲というのが非常につかみにくいわけでございます。と申しますのは、調査事務所において調査している区域ということでありますならば、とにかく数十万ヘクタールにも及ぶというような大面積でございます。それはむしろ技術的な可能性を追求するというかっこうでいっておりますので、その限りにおいては、買い占めの状況というものはそこでは把握できません。ただ、新公団で今後実施するという方向で固めてきているようなところにおきまして、いわゆる企業による買い占めというものも——これは買い占めと言えるかどうかは別としまして、企業が買っている土地も何件かあるような次第でございまして、このようなところにつきましては、事業施行の手続を進めるにあたりましてどうしても必要であるというところにつきましては、地元の市町村等によりまして買い戻しをさせているというようなところも数件あるような現状でございます。
  175. 津川武一

    ○津川委員 たとえば根室のほうに行くと、対象地域が三十四万九千ヘクタールでしょう。こういう中においてどのくら買い占められているかということです。北上・北岩手によると六万ヘクタールですが、この中で開発する面積は、造成面積はそれほどではない。そこから選択する。この中でどのくらい買い占められているか、これはわかりませんか。
  176. 大山一生

    大山政府委員 それはわかりません。
  177. 津川武一

    ○津川委員 調べてないのですか。
  178. 大山一生

    大山政府委員 そういうふうな動きにつきましての情報は収集しておるわけでございます。しかし、それは、そういうふうな動きがあったというようなことでございまして、幾らの面積をだれがどういうように具体的に買い占めているかというかっこうで、その面積が幾らであるかというようなお話しでございますと、それはわれわれでは把握いたしかねる、こういうことでございます。
  179. 津川武一

    ○津川委員 農林省は、この買い占められている状況調査して、私たちの委員会に報告してくれませんか。これはいかがですか。
  180. 大山一生

    大山政府委員 委員会に報告するということになりますと、相当の精度を要することでございますし、うわさとしての情報があったり、あるいは具体的にある程度の金が支払われているというかっこうで、仮登記の段階までいっているようなものがあったりするというようなことでございますので、われわれが委員会に資料として御提出するほどの精度を持ち得ないという現状にあることを御了承いただきたいと思います。
  181. 津川武一

    ○津川委員 大分県の玖珠郡に九重町という町がございますが、これは阿蘇山系の今度の対象地域の中に含まれている。ここの役場へ私たちが調査に行ったら、どのくらい買い占められているかをちゃんと報告してくれたのです。たとえば飯田高原開発で、商船三井が三十五万平米、電気化学工業が三十万平米、八幡製鉄が五十万平米というふうに、私たちの調査でちゃんと役場が教えてくれているのです。だから、調べられないことはないはずです。もっと言うと、岩手県の葛巻では、八百三十何ヘクタールが買い占められていることを役場が私たちに教えてくれているわけなんです。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、いまの農林省の機構をもってすれば、いま皆さんの言っている関係地域、対象地域の中にある市町村に照会するとできないはずはないのでございますが、それじゃ、もっと具体的に一つずつ聞いてみます。  この九重町の中で買い占められているところは、農林省は調べられましたか。それはお持ちですか。
  182. 大山一生

    大山政府委員 把握しておりません。
  183. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、いまこの法案の対象地域になっている土地で、大分県の玖珠郡九重町に私たちが調査に行ったら、どのくらい大企業に買い占められているかを私たちに教えてくれたのです。西日本鉄道は二十七万平米、日本物産が二十二万平米、それから八幡製鉄が五十万平米、電気化学工業が一二十万平米、商船三井が三十五万平米だと教えてくれた。岩手県の葛巻町長は私たちに、その地域の八百何ぼというのが買い占められたことを教えてくれた。そこで、農林省として、この対象地域の市町村に照会して、わかっているところだけでもいいから調べて、私たちに報告してくださいませんか。これはいかがですか。
  184. 大山一生

    大山政府委員 検討してみます。
  185. 津川武一

    ○津川委員 私は、この九重町には秘書をやりました。葛巻には私が直接行ってみました。そういうことによってちゃんと調べはとれるのです。検討してみますではなく、調べてください。ここの対象地域のところの市町村というのは、そんなに数多いものじゃない。農林省が書類で照会していくととれる筋合いのものなんですが、これはひとつ照会してみてくれませんか。いかがでございますか。
  186. 大山一生

    大山政府委員 実は、前にこういう例がございまして、われわれが照会した場合に、それが後になって、だれがこの照会に対して回答を出したかというようなことを通じて、その後の情報の収集が非常に困難になったという例もございます。したがいまして、われわれのほうで強制して出してもらうということが後のために非常に困る場合もある現状でございます。そういう点から考えまして、先ほど申し上げましたように、検討してみるということを申し上げたような次第でございまして、一ぺん、その対象市町村のそれに対する姿勢なり何かも踏まえたいという意味で検討さしていただきたいと思います。
  187. 津川武一

    ○津川委員 やってみるという前向きの答弁ですか。検討してみて、これはだめだからやめたということですか。市町村に照会を出すということですか。いかがですか。
  188. 大山一生

    大山政府委員 市町村のほうに電話をかけて、とりあえず市町村の姿勢を聞いてみる、こういうことでございます。
  189. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この阿蘇・久住飯田地域の中で、電気化学工業株式会社が、三十万平米を四十八年に買い取っております。この会社は三井系統の会社で、カーバイト化学、石油化学、セメント、電気炉、肥料などを生産しておりますが、昭和四十八年十二月十二日付の九重用地利用事業計画というのがあるのです。読んでみてびっくりしたのは、肉牛の育成では、「現在政府が種々施策中であるが実効はなく、素牛不足から乳牛オスの肉牛利用のみに効果が顕われているに過ぎない。」よって、私たちは肉牛肥育事業をやるというのです。そして同じ日付で、十二月十二日に肉牛肥育事業計画を立てております。計画は肉牛の避難小屋、飼料倉庫、運動だな、付帯工事の給排水及び電気工事、ふん尿処理試験設備、農具、追い込み式牛舎、事務所兼宿舎、こういう計画を立てておる。そして三百から五百の肉牛を飼育するというのです。そうしてこういう土地計画を立てておる。  しかも、それだけではありません。「土地開発事業についての確約書(案)」なるものを、九重町当局と交換するものをつくってありまして、「土地の確保および利用目的について」という項目で、「対象地は、貴町」というから、これは九重町ですが、「貴町飯田財産区所有にかかる地元の中村牧野組合の旧慣使用権ある用地でありますので、」となっている。こうして計画を提示しているわけです。こういうことになりますので、これはぜひ調査しなければならないと思うわけであります。  そこで、この電気化学会社が買った土地を調べてみましたら、農林大臣、こういうふうになっています。ここがずっと皆さんの考えておられる対象地域なんです。それで、こういうふうに緑があるところがこれから皆さんが開発していくところなんです。そのまん中にここのところがあるわけなんです。ほんとうにまん中にあるのです。この会社が、皆さんと同じ事業をやるというところがあるわけなんです。そこで、こういうことを皆さんの政府の仕事の中に許すのかどうか。これは、インテグレーションとしての対象地域としていいところということで選んだんだろうなと思うが、政府が選んだから、ここならいけると思ってここに持ってきたわけです。この大企業のこういうものをこの中に許さないで、この土地を、企業が買ったときの値段に維持するに必要だった金利なんかを加えて買い上げて、農地の造成の対象にしなければならないんじゃないかというふうに思うのですが、この点はいかがでございますか。
  190. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私はその事情を初めて承るので、事務当局においてよく調べてみます。
  191. 津川武一

    ○津川委員 これは役場に聞けばわかるわけなんです。農林省当局は、この計画を立てるにあたって、こういうことを聞いているのでしょうか、聞いておりませんでしたか、どうですか、局長
  192. 大山一生

    大山政府委員 私も、いま手元にあります資料であわてて見たわけでございますが、そこには具体的に出ておりません。
  193. 津川武一

    ○津川委員 局長、これを渡しますから、ちょっと見てください。これをどう考えるか。大臣と相談して答弁してください。
  194. 大山一生

    大山政府委員 ただいまの御指摘の件につきましては、直ちに真相を調べてみます。
  195. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、この土地の事情がよくわかったら、農地法の未墾地買収規定を活用してこれを買い上げてほしいのですが、いかがでございますか。
  196. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 事情をよく調べないと、何のことやらさっぱり私にはわかりませんから、よく調べてみます。
  197. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この法案が通過したときに受益者になる人、事業に参加する人、これは地元酪農をやっておったり、畜産をやっておったり、そのために規模拡大をしたいが、それに悩んでおるという人、そういう人たちをこの恩恵に浴させるということが必要であって、かりにこういう企業が申し込んできたとしても、そのときには拒否すべきだと私は思うのですが、この受益者をだれにするか、こういう企業が申し込んできたときにどうするかという、この二点を答えていただきます。
  198. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 こういう公団の恩典に浴する者というお話しがございましたので、公団の仕事の目的については御賛同いただいたものと思いまして、私も喜んでいる次第でありますが、いまお示しの件は、先ほど申し上げましたように初めて承ることでありますので、事情をよく精査した上で検討してみたいと思います。
  199. 津川武一

    ○津川委員 岩手県の葛巻ですか、これも対象になるわけですが、ここの事業に参加させる農民の数はどのくらいとつかんでおりますか。
  200. 大山一生

    大山政府委員 葛巻におきます受益農家は千二百戸でございます。
  201. 津川武一

    ○津川委員 県の町村の計画の中では、三百何戸事業関係させると言っておりますが、そういうことはありませんか。
  202. 大山一生

    大山政府委員 ただいま申し上げました受益戸数千二百戸というのは、要するに、家畜を飼っているという意味でございますので、その中で、いわば何戸がその新たな規模拡大のほうに参加するかということはまた別の問題であると思っております。
  203. 津川武一

    ○津川委員 千二百戸のうち、かりに町や県で三百三十三戸が受益戸数だと言うと、そのようにするつもりでございますか。
  204. 大山一生

    大山政府委員 葛巻の場合には二つあると思います。一つ生産法人というかっこうで参画する場合と、それからもう一つは個人が規模の拡大というかっこうで参加する場合と、この二つあるわけでございます。それで、いずれにいたしましても、本人の希望が規模拡大というかっこうである限り、それに該当する戸数、人間は入れる予定でございます。
  205. 津川武一

    ○津川委員 これは葛巻町の土屋川という部落ですが、私も一日ここでずっと全戸数の農民と話してきたんですが、この中で、田村兼松さんという人が一番経営規模が大きいんです。畑が四十五アール、改良草地が三十アール、牧草地が二十一アール、そうして成牛七、子牛四、これが一番規模が大きいんだ。規模の小さい人は堀篭松太郎さんで、畑が二十アール、改良草地が十アール、牧野が十アール、そして成牛二頭、子牛一頭。こういうかっこうで、ここの人たちはみんなこの事業に期待を持って参加したいというわけですが、これを全部参加させる必要があると思うし、参加させるんであれば、私たちも農林省と一緒にかなりこの仕事を進められると思うのです。しかし、これを選別して、千二百戸のうち三百三十三戸などという選別をするとたいへんな事態が起きます。ここでこういうふうに皆さんが増反を希望しているわけなんですが、こういう人たちを全部受益者にしなければならないと思いますが、いかがでございますか。
  206. 大山一生

    大山政府委員 いまのお話しですと、何か、最初から差別しているようなお話しでございますけれども、差別するという基本的な考え方は一つもございません。いずれにいたしましても、町とよく相談して、結局事業主体となるであろうところというものとの相談の上においてきまってまいるということであると思っております。
  207. 津川武一

    ○津川委員 基本的には差別しないと言う。差別すれば困るんだが、この農民たちを全部増反させるという方針で事業を進めるのかどうか、大臣、これはどうですか。
  208. 大山一生

    大山政府委員 造成さるべき耕地の面積、これがやはり一つの制約になるんであろうというふうに考えます。つまり、何ヘクタールのところに草がどの程度生産量があるかというかっこうでございますので、なるべく多数の人間がそれのごりやくにあずかるような規模というものを考えますけれども規模が小さい、そして全部の家畜を入れたんではとにかく草が足らぬ、資源が足らぬというようなことも、途中の段階なり、場所によってあり得ることもありますので、そういう資源から来る制約を別といたしますならば、入りたいということにおいては、基本的には、それは当然入ってしかるべきものであろうというふうに考えます。
  209. 津川武一

    ○津川委員 入りたい人は入れるべきであるという認識でございますか。もう一度伺います。
  210. 大山一生

    大山政府委員 資源の制約がない限り、そのとおりでございます。
  211. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この計画でございますが、なかなかややっこしいので問題が出てきたわけです。都道府県による事業採択の申し出を第二十条でやる、そうすると、農林大臣がこれを関係大臣と協議して、知事の意見を聴取して、そうして実施方針をきめる、それを今度は公団に指示していく、そして公団事業参加資格者から同意書をとる、そして公団による事業実施計画を作成する、そして農林大臣が認可をやる、そして事業が移って、公団によって事業着手をし、公団による事業完了というように、全部上からなんです。天下りなんです。受益者の、事業に参加する人たちの意見が吸い上げられないで、起業、企画の上からずっと天下りという形になっておるのがこの法案だ。  ところで、これは阿蘇の農民に聞いてみましたか。事業はのどから手が出るほどほしいが、こういう形で、計画が、農道が、向こうの計画で一方的にきめられているのではいけない。そこにあるとおり、沢や谷がたくさんあるわけですが、その農道に対してそういうことをたくさん考えているわけです。排水もどうすればいいかということを考えているわけです。この葛巻の人たちは具体的に夢を持って、そこに入植の計画、増反の計画を持っているわけです。  今度は根室の問題ですが、五十頭いまの状態ではできないと言っているのです。先ほどの議論にもあったように、奥さんを入れて二人で労働力が一・八で、奥さんが〇・八です。これについては、学生が奥さんの労働条件調査に行ったのですが、ストップウォッチを押して、いまは水をくんだ、いまは米をといだ、いまはガスストーブに火をつけた、いまはどこに行った、いまはぜんを運んだというように、それを一々ストップウオッチを押して調べたら、調べるほうが参っちゃったわけです。そこで、根室農民たちは何と言っておるかというと、政府がおれたちに拡大の規模をまかせてくれるならば、政府が農地を造成して何頭入れていくのかおれたちにまかしてくれるならばおれたちは賛成できるが、いまの状態で五十頭やられたらとてもついていけないと言うのです。これが圧倒的な形の農民意見なんです。  また、葛巻の人たちも、農道に対しては自分で一つの抱負を持っているのです。それは、自分たちの土屋川という集落の奥に入っていくと非常にいいところがある、この農道などというものをかってにきめられたのじゃおいらついていけないということになるわけです。そして、道路から四キロか五キロ離れていくと、今度は皆さんが目ざしておる堆肥なんか出ない、運べない。こういう点で、地域の農道というものもきわめて具体的な計画と要求を持っておるわけですが、ここいらあたりの意見は反映されますか。反映しなければならないと思うのです。
  212. 大山一生

    大山政府委員 われわれ実際にこういうふうな事業が上がってくる過程というものを考えておりますと、決して、上から一方的に押しつけているという感じは私たちは持っておらないわけでございます。と申しますのは、実際問題といたしまして、調査段階から始まりまして、いろいろの手続をとられるまでの間におきましては、これは当然部落懇談会なんかで地元の意向を聞くというふうなこともやりますし、いずれにいたしましても、負担金を払うのは地元でございますかち、そういう意味から言っても、地元を無視したかっこうではこういう事業はあり得ないわけでございます。そうして、また、法手続のほうで申し上げますならば、実施計画の概要を公告するわけでございますが、そのときに、農用地造成を行なう区域につきましては、事業参加の資格者の全員の同意を要します。また、農業用施設でありますとか農業用道路等の既存の農用地の改良を行なう区域、これは事業参加者の三分の二以上の同意を要するということになっておりますので、われわれのほうから言いますと、県から申請するという形式だけをとれば上からということになりますけれども、県が申請をするまでの過程も含めますならば、地元の意向なしにやれるものでもございません。したがいまして、われわれといたしましては、農民の意思がここに結集されたかっこう事業になって出てきているものというふうに理解しているわけでございます。
  213. 津川武一

    ○津川委員 局長の理解はどうでもいいわけなんだけれども根室農民が言うのには、だんだんとふやしていって、いまの奥さんと子供の状況で言うと、三十頭がちょうどいいところだ。それに対してぼくらが持っていって見せた計画は五十頭なんだな。この計画農民が非常に強く話をしているが、ちっともそれが採用されていない。局長地元がやらなければできないと言っているが、これはどうなんですか。ここのところで実際に事業参加者の意見が具体的に表現されるように、市町村長だけでなく、その事業に参加する人たちの意見がいれられて、願わくはこれで一つの粗飼料をつくれれば一番いい。組合なんかなくても、任意ででも何でもいいから、そういう形でともにやらないとこれはたいへんな計画になる。こういうことなんですが、いかがでございますか。
  214. 大山一生

    大山政府委員 根室の場合で申し上げまして、戸当たり五十ヘクタールの土地を造成するわけですが、こういうふうな考え方になるまでにはいろいろと調査もいたしました。技術可能性と、それからいろいろと御批判もございますが、一つの営農タイプということを考えて、五十ヘクタールというものによる経営が適当ではないかというふうに考えて五十ヘクタールにしたわけでございます。ただ、その五十ヘクタールの中に農家が三十頭飼うということであった場合に、これは五十頭でなければいけないんだということはわれわれ一つ考えているわけではございません。ただ、われわれがこういうものを考えます際には、一つタイプというものを考えまして、最終的なタイプでこれだけの土地を有効利用した場合にどういうふうな効果があがるかということを事業採択の一つのめどにしておりますし、そういうこともございますので、五十ヘクタール五十頭という根室の場合の酪農入植のタイプ一つ考え方としているわけでございます。
  215. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、根室の場合だと、五十ヘクタールでなくても、農民の実情に応じたものでよろしいということでございますか。
  216. 大山一生

    大山政府委員 そうではなくて、草地としては戸当たり五十ヘクタールを配分したいということでございます。その上で、飼う家畜が五十頭であろうが四十頭であろうが、それは個々の農家のだんだんふやしていく過程のスピードの問題であるというふうに考えております。
  217. 津川武一

    ○津川委員 この法案の二十条か二十一条かで、知事は市町村長の意見を聞かなければならないことになっていて、これは非常にいい項目です。そこで大臣、市町村長が知事にそういう意見を出す場合、関係農民と相談するのは当然だけれども、市町村長によっては先走る人が出てくる。この点を、農林省として、市町村長が意見を出すときに受益者と相談するようにという指導をしてくれれば私も納得できますが、この点はいかがでありますか。
  218. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 市町村長のことですから、そういう民意を十分くみ上げることだろうと思います。私どももそういうつもりでやっております。
  219. 津川武一

    ○津川委員 ところが、久住飯田に行ったら、承諾書を取ってしまっているわけなんです。具体的な事業の内容がまだはっきりしない。提案されている法律も通過していない。これに対してすでに承諾書を取ってしまって、これでおさめるわけなんです。「開発予定地の下記土地につき、阿蘇南部地区広域農業開発事業として参加することに同意します。」ということなんです。それで、この利用すべき、出すべき土地の面積と、自分の持っておる入り会い権という権利まで書かれてあるわけなんです。これが実態なんです。こうなってしまうと、もう賛成をとったことになって、まだ法律も通過しないうちに、細部が明らかでない過程の中で事業がこういうふうに進められているわけなんですが、これはいかがでございますか。
  220. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 四十九年度予算編成の途中で政府側に——こういう広域公団をつくるというようなことがその前から伝えられておったんでありましょうが、町村長とか、そういう方々でなくて、かなり酪農をやったりしている人たちが大ぜいで私どものところへ陳情に来られました。でありますから、阿蘇・久住飯田というふうな地域では、一般の方々がそういうようなことについて前々から知っておられるんではないかと推察しながら、私もその陳情を聞いておりました。かなり大ぜいの方が何回か別々に来られました。でありますからして、その地域における一般の農民も大体どういうようなことを考えているんだということを知っていらっしゃるんではないか、と、こういうふうに想像いたして聞いておったわけであります。
  221. 津川武一

    ○津川委員 しかし、八郎潟で見られるように、いろいろな問題がたくさん出てくるわけです。そこで、法律は何て書いてあるかというと、公団による事業実施計画を公告してから同意をとらなければならないとなっているが、これはまだ公告も何にもできていないのです。同意書をとる時期、そのときに法律どおりにもう一回とらなければほんとうのものではないんですが、こういう点で、土地改良区で争うのはいつもこれなんです。そこで、農林大臣としては、今度通過する法律に基づいて必ず同意をとる、そうでなければ事業を進めないということをここで確認してくれればよろしいんですが、いかがですか。
  222. 大山一生

    大山政府委員 いまの同意書でございますが、私の感じでは、まず、入り会い権の問題について、合理化法人から、たとえば何年賦の分を先に払うというかっこうで入り会い権を寝かせることから出発しないと阿蘇・久住飯田広域開発はできないというようなこともありますので、おそらく、そういう意味において同意をとったのではないだろうかと思いますし、そして、また、現実にも、ある種の事業をやる場合にみんなで気勢を上げるという意味で同意をとることは、これはちょいちょいあるわけでございます。ただ、その同意書をもちまして法律による同意書とみなすということはあり得ないことでありますので、その点はこの際明確に申し上げておきます。
  223. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この事業ですが、先ほども話に出ていましたけれども、これをやってほんとうに日本の農業を発展させて、農民の生活を豊かにしてくれればよろしいのですが、世の中の情勢がかなり変わるので、たいへんな情勢です。  ここに、私たちの調べが一つあります。宮城県の柴田郡に的場義雄さんという五十歳の農民がおりますが、この人は現在百十頭の肥育牛をやっております。そして、去年、二月、四月、九月とあれだけえさが上がりましたが、幸い、肉の値段がキロ千円以上になったので、どうやら赤字が出ないで済んだのですが、今度のこのえさの値上がりで、一月末にはたいへんなことになったが、肉は一月末に七百円前後まで下がった。えさがこうなってきて、百十頭やって、売ると一頭につき七万五千円の赤字になる。損になる。皆さん一生懸命にやって酪農農民を入れるが、ところが、採算がとれなければたいへんなことになってしまう。農林大臣、この点で、この四地区の畜産農民に、価格の面で、それから融資の面で、土地基盤整備の問題からいろいろな問題で、採算がとれて、投資したものが返れるようでないと、地獄の中に農民を追い立てることになりますよ。現在、牛一頭で肉牛にして七万五千円の損失ということはよもややらせまいと思いますし、この点での経営が成り立つような援助、指導ということについてはいかがでございますか。
  224. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは農業もほかの産業も同じでありますが、やはりそれぞれの計画をお立てになって、いまの経済機構のもとでお仕事をしていらっしゃるわけであります。先行きのこともそれぞれ研究しておいでになって営まれていることだろうと思いますが、しかし、中でも、日本の農業というものは特別に非常に生産者のごめんどうも見ておるわけであり、ことに、国際的な影響で飼料等が上がってきたわけでありますから、そういうことにつきましては私どもはできるだけのことをする計画で、いま検討しておる最中であります。
  225. 津川武一

    ○津川委員 いま話したように、牛一頭で七万五千円の赤字になる状態で肉牛を入れたらたいへんなことになります。今度は豚もやるというが、いま、豚農家は、一頭で三千円から四千円、これまた赤字になっています。この状態でいまの事業をやって、畜産農民に牛を持ちなさい、豚をやりなさい、鶏をやりなさいと言ったら、これはたいへんな事態になると思いますし、この入っていく受益者たちに対して、経営が維持できるように、責任を持って農林省が指導するのでなければいけないと私は思いますが、ここに入る人たちに対して責任を持って入れという形でやらせることができますかどうか。農林大臣、この点を明らかにしてください。
  226. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これはもう最善の努力をしてやってまいるつもりであります。
  227. 津川武一

    ○津川委員 政府は責任を持ってこの人たちの経営を維持させるということでなければいけないと思いますが、いかがでございますか。
  228. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 最善の努力を尽くしてやります。
  229. 津川武一

    ○津川委員 いまの状態で、一頭七万五千円も損をするような状態経営が成り立つと思いますか、いかがでございますか。
  230. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは、ひとり畜産酪農に限らず、わが国の産業というものは、外圧的な原因でたいへんむずかしい状態になっていることは御存じのとおりであります。その間に処して、しかも、われわれの国民食料として必要なる肉類、乳類を生産してもらうのでありますから、農林省といたしましては最善の努力をいたしまして、この人たちの生産が翌日の生産への励みができるようにするにはどうしたらいいかということで、いま一生懸命で努力をしているということであります。
  231. 津川武一

    ○津川委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、農林大臣は最善の努力をすると言うが、私は、これだけの国費を投じて入ってもらう農民であるから、必ずこれは営農が成功するように、畜産業で成功するように、経営が成り立つように、国が責任をもって援助、指導することを要求して、質問を終わります。      ————◇—————
  232. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま審査中の本案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  235. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、漁業災害補償法の一部を改正する法律案漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案、及び沿岸漁場整備開発法案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。倉石農林大臣。     —————————————
  236. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  昭和三十九年に漁業災害補償法が制定されて以来、漁業災害補償制度は、年々その事業規模を拡大し、中小漁業者の漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に寄与してまいりました。しかしながら、本制度につきましては、制度発足以来九年余を経過しておりますことから、この間の技術の進歩等による漁業経営事情の推移及び漁業を取り巻く環境条件の急激な変化に十分即応し得ない面が出てきている等、種々の問題が生じてきている次第であります。  政府におきましては、このような事情にかんがみまして、漁業及び漁業共済に関する学識経験者の意見をも徴して慎重に検討した上で、中小漁業者の共済需要の多様化に対応しつつ、漁業災害補償制度をより一そう定着させることを旨として、漁獲共済及び養殖共済の仕組み等について所要の改正を行なうこととし、この法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、漁獲共済の仕組みの改善であります。まず、共済契約の締結方式の改善でありまして、本制度がより一そう漁業経営の安定に資することとなるよう採貝・採そう業、小型漁船漁業及び定置漁業等について、いわゆる義務加入の道も開くことといたしております。  また、最近における漁業の経営事情等にかんがみ、てん補水準の引き上げ、てん補方式の選択制の導入等、てん補内容の充実をはかることといたしております。  第二に、養殖共済の仕組みの改善であります。最近における漁業者の共済需要に即応して、共済契約の締結要件及び小損害不てん補要件を緩和するほか、異常な赤潮による損害をてん補するための特約を創設することといたしております。なお、この赤潮特約につきましては、その共済掛け金に対する国等の助成措置について定めることといたしております。  第三に、特定養殖共済の試験実施であります。中小漁業者の営む養殖業における経営事情その他の事情の推移に即応する漁業災害補償の制度の確立に資するため、特定の養殖業につき、収穫保険方式による特定養殖共済を試験的に実施するのに必要な措置を定めることといたしております。  このほか、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  次に、漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁業近代化資金制度は、昭和四十四年に制定された漁業近代化資金助成法に基づき、漁業者等に対する長期低利資金の融通を円滑にするため、漁業協同組合系統資金の活用をはかりつつ運用されておりますが、四十七年度末において、その融資残高はおおよそ七百三十億円にのぼっており、漁業者等の資本装備の高度化及び経営近代化の推進に大きく寄与しているところであります。  一方、中小漁業融資保証保険制度は、古く昭和二十七年に中小漁業者等の資金の融通の円滑化をはかる制度として創設されたのでありますが、四十七年度末において、漁業信用基金協会の債務保証残高の合計額はおおよそ七百八十億円にのぼっており、中小漁業の振興に大きな役割りを果たしてきているところであります。  これら両制度につきましては、制度創設以来逐次改善をはかってきたところでありますが、最近における漁業者等の資金需要の大口化、多様化等の傾向に即応して、漁業者等の資本装備の高度化及び経営近代化を一そう推進し、あわせて中小漁業の振興をはかるため、漁業近代化資金制度及び中小漁業融資保証保険制度について、所要の改善措置を講じて制度の運営に遺憾なきを期することとし、本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず、漁業近代化資金制度の改善でありますが、これは漁業者等の資本装備の高度化及び経営近代化を推進するために行なうものであります。  改正の第一点は、資金種類の拡大等の措置であります。すなわち、漁業近代化資金として、成育期間が通常一年以上である水産動植物の種苗の購入または育成に必要な資金を新たに加えることといたしております。また、貸し付けの最高限度額を現行の三倍に引き上げるとともに、貸し付け対象者のうち漁業及び水産加工業を営む法人の範囲を拡大することといたしております。  改正の第二点は、漁業信用基金協会への出資に対する助成措置であります。漁業近代化資金の融通の円滑化をはかるため、都道府県の基金協会への出資で、漁業近代化資金にかかるものに対し国庫助成ができることといたしております。  次に、中小漁業融資保証保険制度の改善でありますが、これは、中小漁業の振興をはかるために行なうものであります。  改正の第一点は、漁業信用基金協会の行なう債務保証制度の改善であります。すなわち、基金協会の保証対象資金に生活資金を加える等、基金協会の業務範囲を拡大するとともに、その会員資格の範囲を拡大することといたしております。また、基金協会の財務及び会計に関する所要の規定の整備を行なうことといたしております。  改正の第二点は、政府の行なう保証保険制度の改善であります。すなわち、保証保険の対象資金について、漁業経営等の改善に資する生活資金を加える等、その範囲を拡大するとともに、借入期間が政令で定める期間以上である借入金については、借入金元本のほか遅延利息以外の利息を含めた額を保険価額とすることといたしております。また、公害防止資金及び災害資金のうち主務大臣の指定するものにつきましては、保証保険にかかるてん補率を一割引き上げることとするほか、保険方式の改善等につき、所要の措置を講ずることといたしております。  改正の第三点は、中央漁業信用基金の設立等であります。改正の第一点及び第二点において申し述べましたように、中小漁業融資保証保険制度につきましては、種々の改善措置を講じ、その拡充強化をはかることといたしておりますが、これらの措置とあわせて同制度の健全かつ円滑な運営に資するため、農林中央金庫が行なう漁業近代化資金等の貸し付けについての融資保険及び漁業信用基金協会に対する資金の貸し付けの業務を行なう中央漁業信用基金の設立等について定めております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  次に、沿岸漁場整備開発法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  最近における我が国漁業を取り巻く環境には、沿岸海域にあっては漁場環境の悪化、沖合い・遠洋海域にあっては国際的な規制の強化等、きわめてきびしいものがあります。一方、水産物に対する国民の需要は、生活水準の向上に伴い、高度化、多様化しつつ増大しており、これに即応した供給体制の確立をはかることがきわめて重要な課題となっております。  このような課題に対処するため、沿岸漁業につきましては、沿岸漁場としての生産力を増進させるための生産基盤の整備開発を推進するとともに、天然の資源のみに依存してきた従来の漁業に加えて、いわゆる裁培漁業を本格的に推進することが必要であると考えております。  このため、沿岸漁場の整備開発事業を総合的かつ計画的に推進するための沿岸漁場整備開発計画制度を確立するとともに、漁業者自らが栽培漁業等の推進のため行なう特定水産動物育成事業を推進することとした次第であります。  以上が、この法律案の提案の理由でありますが、次に、その主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、沿岸漁場整備開発計画制度の確立であります。  農林大臣は、魚礁の設置、消波施設の設置、しゅんせつ等の生産基盤の整備開発及び漁場の効用を回復するための堆積物の除去等の沿岸漁場整備開発事業の総合的かつ計画的な実施に資するため、これらの事業の実施の目標及び事業量を定める沿岸漁場整備開発計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものといたしております。  第二に、特定水産動物育成事業であります。  漁業協同組合または漁業協同組合連合会は、増殖を推進することが適当な特定の水産動物につき、都道府県知事の認可を受けて、育成水面の区域において当該水産動物を育成する事業を行なうことができることといたしております。  このほか、沿岸漁場整備開発計画を達成するため国の講ずべき措置、国及び都道府県の栽培漁業の振興の責務等につき所要の規定を設けております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。
  237. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で、各案の趣旨説明は終わりました。  次回は、明七日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会