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1974-02-21 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十一日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君       伊東 正義君    今井  勇君       上田 茂行君    小沢 一郎君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木義武君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    美濃 政市君      米内山義一郎君    諫山  博君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       稲富 稜人君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林省農林経済         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         農林省畜産局長 澤邊  守君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   小山 義夫君         食糧庁長官   三善 信二君         食糧庁次長   森  重弘君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(飼料及び畜産に  関する問題等)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  飼料及び畜産に関する問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川久衛君。
  3. 吉川久衛

    吉川委員 大臣は……。
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 大臣は参議院のほうに出ますから……。
  5. 吉川久衛

    吉川委員 畜産の問題について若干の質疑を行ないたいと思います。  最近のわが国畜産に関しては異常な事態が続発してまいりました。酪農養豚など、広く畜産業界に、いまだかつて見なかった危機が叫ばれていることについてはすでに御存じのことと思います。農林当局は、直ちにこれが実態について究明し、根本的対策を即刻講じなければ、わが国畜産は百年の悔いを残すことになると思うのであります。倉石農相は幾たびか農林大臣経験されて、農林大臣としては非常に経験の豊かな大農相でございましょう。したがって、わが国の今日のこの畜産事態をどのように受けとめておいでになりますのか。私どもがあちらこちら回ってみますると、大型の経営が奨励され、また、それでなければ成り立たない状況にございます。施設などに二千万も、それ以上もかけまして、いまのような状態では、金利にも追われて、ほとんど成り立たない状態にございます。  酪農について見ましても、最近の政府側調査によりますと、昨年の生乳の生産は、戦後初めて前年を下回り、乳牛頭数も減少するほか、大幅な酪農家の脱落が相次いでおります。畜産振興が叫ばれて久しいが、その中核的存在である酪農が最近とみにふるわず、ついに崩壊に瀕していることはまことに残念で、一刻も放置できない事態であるこの現況をどうとらえておいでになりますか。  こういうときに、畜産振興審議会がございますが、私は、昔、決算委員長のときに、審議会なるものは政府隠れみの的存在であって、責任のがれの存在である、中には生かされた運用をされているものもないわけではございませんが、ほとんど意義を失っているものが多いから整理すべきであるということを提唱して、論文まで書いて、全議員にお配りしたこともございます。平常のときならば、畜産局局長農林省の諸君がお答えになっておいでになるような、三月末に審議会を開いて、それで方向をきめるようなお話しを間接に伺っているのでございますが、この審議会を開くまでもなく、こういう異常なときには審議会無用論を唱えている私でございますから、その辺をひとつ考慮に入れて御答弁を願いたいと思います。いつごろ、どのようにお開きになるのか。一カ月もおくれれば、おそらく大家畜経営者もみなお手あげになるのではないかと私は思います。豚や養鶏ならば繁殖力が旺盛でございますから、あるいはまた取り戻すこともできるでございましょうが、牛に至っては、半永久的に日本国土から離れてしまうでございましょう。  国民の食生活がたいへん変わりました。食構造の変わったときに、こういう畜産日本農業の新しい目でなくてはならないはずであります。しかし、畜産振興は叫ばれているだけであって、現実には全く矛盾した状態にあることははなはだ遺憾でございます。これらの問題をどのように受けとめられておいでになりますのか、御答弁期待する次第でございます。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 吉川先生は農政問題の専門家でありまして、常日ごろ非常にいろいろな叱咤勉励をいただいておるわけで、感謝をいたしております。  御承知のとおり、現在のえさ暴騰ということは非常に重大な問題であります。しかしながら、これはことにえさだけでなくて、石油その他の、いわゆる外国に大部分を依存しなければならないものが、国際的なインフレによって一斉に上がっておる。為替レート変動の問題もありますし、海上運賃の急騰という問題等も重なって、非常なえさ高になっておるということでありますが、一方、御承知のとおり、価格低迷をしておる。特に、豚価等についてはそういうことが言われておるわけであります。このために農家が非常に困っておるということも現実の問題であります。  そこで、すみやかに畜産振興審議会を開いて、乳価の問題や豚の問題を含めて対策を検討せよと、こういうふうな御趣旨でございますが、御承知のとおり、加工原料乳価格及び豚肉安定価格については、非常に近い最近時のデータ決定をするということになっておりますし、これは三月に決定をするというのが通例でございまして、目下、そのデータを至急取り集めて、この物価、賃金というものが的確に反映するように作業を進めておるところでございます。しかしながら、いま言ったようにえさ問題等むずかしい問題もありますので、二月の二十五日、来週の月曜日に畜産振興審議会委員懇談会を開催して、最近における畜産事情について現状を説明すると同時に、生産あるいは価格流通など、今後の振興策について、取り急ぎ委員意見を聞きたい、それによって農林省として至急に対応してまいりたい、こういうように考えているわけであります。  畜産経営安定のそれぞれ個別の問題についてちょっとお話しを申し上げてみたいと思いますが、加工原料乳保証価格豚肉価格については、いま申し上げましたように、三月にこれは決定をするわけでありまして、これらの値上がり等は当然織り込んでやらなければならぬ、こういうふうな準備をいたしております。  なお、卵価の安定をはかるためには、全国液卵公社の機能の強化とか、肉用牛価格安定のための保証基準価格の大幅な引き上げ等価格政策の適切な運用というものも、同時にこれはやっていかなければならぬと思っております。  豚、鶏などの中小家畜については、農業団体による自主的な出荷調整について指導いたしまして、特に、生産過剰傾向にある鶏卵につきましては、需要に見合った計画的な生産をする、こういうことに指導を強化してまいりたいと考えております。  価格の問題が、特に食肉輸入制度のことに触れられることが多いのでありますが、これらにつきましては、国内需給動向畜産経営動向に配慮しながら、輸入量というものを調整をしていく。すでに割り当てた輸入のワクについても、それを未使用分は凍結するというような措置等を講じて、異常に低落した価格を正常にするというようなことについて目下実施をしておるところであります。  えさの問題につきましても、政府操作飼料の適正な運営をはかっていきますとともに、草地造成計画的な実施あるいは飼料作物飼料用麦生産振興、それから、不測の事態に備えるための備蓄制度というようなものも、新しい予算では充実をしてまいる考えでございます。
  7. 吉川久衛

    吉川委員 審議会を三月に決定するということは、正常な情勢のときのことでございます。いまのようなきわめて異常な状況下において、例年のような考え方で対処されるということは、私は、はなはだ不満でございます。来週の二十五日に審議会懇談会を開いて、学織経験者等意見を聞きながら検討されるというお答えでございますけれども、これはもっと繰り上げて、一日でも早く正式な審議会を開いて決定を見ていただきたいものと思いますが、その点はどのようにお考えでございますか。また、いつごろになるお見通しでございますか。
  8. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま渡辺政務次官からお答えいたしましたように、正式の審議会におきまして価格について諮問をいたしますのには、若干の資料の整備を待たなければなりませんので、例年に準ずる時期を現在想定しておりますが、もちろん、まだきめてはおりませんけれども、大体三月の半ばごろに諮問をいたしまして、その後、従来の例によりますと、飼料部会酪農部会食肉部会と漸次部会を開催していただきまして、二十日から二十五日ごろの間にきめるというような順序になろうかと思います。
  9. 吉川久衛

    吉川委員 通産省のエネルギー庁の石油部のように、油が流れるのを腕をこまねいてながめていただけで、何ら石油の問題についての対策を研究していないということで、田中首相にたいへんおしかりを受けた例もございますが、こういう事態になってきたということは、いま急に降ってわいた事件ではございませんから、もう少し真剣に取り組んでいただきたいと私は思うのです。したがって、早ければ早いほどいい。まごまごしていたら、大家畜はなくなってしまうでございましょう。そういうことを特にお考えをいただいて、例年は三月三十一日の夜中にきまったこともございますが、ことしは異常な年でございますから、少なくとも三月の中旬ごろには結論の出るようにしていただきたいと思います。これは希望をいたしておきます。  次に、養豚についてでありますが、昨年の肉豚生産で千四百万頭をこえまして、対前年度比が一〇七%となっております。一見伸びてはおりますが、現在の出荷状況は異常な多量であって、特に、繁殖用牡豚出荷が目立って多いのです。このことは、今後の肉豚供給の根源を断って、本年後半には出荷不足を招き、豚価暴騰することになると心配をしている向きがございますが、これが実態を究明し、至急対策を講ずべきであると思いますが、いかがでございますか。
  10. 澤邊守

    澤邊政府委員 肉豚出荷が最近非常に多いという点で、実は、将来の資源確保のために必要な繁殖豚まで出荷を急いでいる実態にあるのではないかという御質問でございますが、昨年の夏は非常に豚肉価格が高調でございまして、価格も五百円台をこえるというような状況でございましたので、当時、消費者物価対策というような観点から、豚肉輸入を促進をいたしますために免税措置も講じてきたわけでございますが、その後価格が落ちついてまいりまして、やや停滞をいたしておりますので、減免措置は十月末をもってやめております。その後諸物価値上がり等もございまして、価格の伸び悩みの状況推移をしているわけでございますが、二月から御承知のような配合飼料価格値上がりということもございまして、経営に対する圧迫要因となっておるということに伴いまして、繁殖豚まで出荷をするというような傾向があるいは出るのではないかということを心配をいたしておりますが、現在のところ、やや多いということは言えますけれども、特にきわ立って繁殖豚出荷が多いというような状況にはなっておらないように把握しておりますけれども、今後の推移を見ながら適切な指導をしてまいりたいと思います。
  11. 吉川久衛

    吉川委員 近年、わが国でも、中肉の不足価格の高騰がありまして、大衆牛肉安定的供給は長い間の国民の宿願でございましたが、最近の乳用牡肥育事業はどんな状態か。昨年暮れにかけての国内市場における牛肉卸売り価格の暴落は、全国酪農家生産する雄の子牛の肥育経営に最悪の衝撃をもたらしております。酪農危機を早めていると言われておりますが、酪農牛肉生産対策の両面に効果のある強力な緊急対策を即刻打ち出すべきであると思いますが、どのようにお考えでございますか。
  12. 澤邊守

    澤邊政府委員 御指摘のございました乳用雄牛の肥育したものの牛肉価格が、最近停滞ないし値下がり状況にあるということは御指摘のとおりでございます。昨年の秋、乳雄牛の中という規格のものでとってみますと、キログラム当たり卸売り市場におきまして、千百五十円程度に十月ごろなりまして、ピークになったわけでございますが、その後輸入牛肉等の増大ということもあり、また、諸物価値上がりに伴いまして消費の伸びが停滞をしておるという要因も加わりまして、十一月以降値下がり傾向を示し、ごく最近ではキログラム当たり八百円前後で推移をいたしております。そのような乳用雄牛肥育牛肉価格低落に伴いまして、そのもとになります乳用雄牛の子牛価格がまた低迷をいたし、下がってまいっておりまして、これが酪農経営圧迫をしておるという状況が見受けられるわけであります。  若干の数字で申し上ますと、昨年の十月、十一月ごろには、ところによりまして、生まれてから一週間程度乳雄牛の子牛が七万円というような価格が実現をしたわけでございます。異常に高い価格が実現したわけでございますが、最近では大体一万円を割っておりまして、ところによりましては四、五千円というような価格になっているところもございます。  したがいまして、われわれといたしましては、これに対します対策といたしましては、まず、卸売り価格低落をささえるということが先決であろうと考えまして、乳雄牛牛肉と品質的に競合いたします輸入牛肉輸入調整実施いたすことにいたしまして、下期輸入予定分九万トンのうち約四万トンにつきましては、事業団輸入調整、いわば一時たな上げ的な措置を講じております。さらに、上期分の七万トンについても、現在国内に入りまして事業団が手持ちしておるものが約一万トンございますが、これにつきましても、直ちに市場に売り渡すことをいたさず、事業団調整、保管をするということによりまして、乳雄牛牛肉価格回復に資したいということで努力をしておるところでございまして、漸次その効果価格に反映されてくるということを期待しておるわけでございます。
  13. 吉川久衛

    吉川委員 現下の畜産危機的様相は、一言で申せば、飼料高製品安の結果生じたものでありまして、海外にその大半を依存する輸入飼料のせいだと申しても過言ではないのではないかと思います。狭い国土に稠密な人口をかかえるわが国畜産の宿命と見る次第でありますが、緊急飼料対策を打ち立てて、現下困惑している畜産農民に安心と再建計画を樹立させる時間を与える必要があると思いますが、これに対する対策はどのようになっておりますか。
  14. 澤邊守

    澤邊政府委員 配合飼料値上がりによります畜産経営に対する悪影響を回避するために、いろいろな対策実施し、また、検討もしておるところでございますが、先ほど渡辺政務次官からお答えいたしましたように、今度の値上がり要因が、主として海外的な要因であり、また、他の物資に共通する一般的な要因でもあり、また、単に一時的な要因にすぎなくていずれ早期に回復するというようなことがなかなか期待しにくいという意味におきまして、やや長期的な要因であるというように理解をいたしております。したがいまして、これまで四月と九月に二回にわたりまして実施いたしましたような緊急飼料対策を講ずるということがなかなか困難な実情にあるというふうに考えておりまして、基本的には、畜産物価格の中に飼料値上がり要因を適正に反映さしていくということが基本ではなかろうかというように考えまして、当面、近く決定をいたします加工原料乳保証価格豚肉安定価格などの政策価格決定に際しましては、配合飼料値上がりを適正に政策価格に織り込んでいくというようなことをいたしたいということで、現在作業を進めておるわけでございますが、民間の自由市場価格において決定されますブロイラーあるいは鶏卵あるいは豚肉等につきましても、日常の価格市場において形成されますので、それらにつきましても、生産者団体等の自主的な生産出荷調整等をはかりながら、市場価格に、ただいま申し上げましたような値上がり要因が適正に反映できるように努力をする、それに対しまして国が協力をするというようなことによりまして、価格の適正な形成につとめていきたいというように考えております。
  15. 吉川久衛

    吉川委員 中央食肉卸売り市場における豚価変動は幅が大き過ぎる傾向があるように思います。昨年暮れにおける東京市場では、数日の間にキロ当たり百円内外の暴騰をしたかと思うと、正月には大幅な値下がりを示す。このように投機的変動を繰り返していると、生産者出荷者消費者も安心して扱えないうらみがございます。  価格形成についての中央食肉市場仕組みは一体どうなっているのでしょうか、また、規格卸売り価格との関係はどのようなものか、飼料や畜種と申しますかによって消費者の味覚に影響のある肉の規格はどのように措置されているのか、お伺いをいたします。
  16. 澤邊守

    澤邊政府委員 食肉価格形成は、中央卸売り市場並びに地方卸売り市場中心として行なわれておるわけでございますが、お尋ねがございました食肉中央並びに地方卸売り市場におきます取引仕組みでございますが、これは、原則としてせり売りによって行なっております。このせり売り農林大臣地方卸売り市場にありましては都道府県知事の許可を受けた卸売り業者荷受け機関とも申しておりますが、その卸売り業者に所属するせり人せりによりまして、開設者であります市町村が登録しております売買参加者、これは買参人と申しておりますが、その売買参加者の間で、公開、平等の原則に従って、その日その日の需給実勢を反映した価格形成が行なわれるようになっておるわけでございます。  御指摘のございました、中央卸売り市場におきます価格動きが激し過ぎるのではないかというような点につきましては、確かに、せりという方法によります価格形成は公平であり、競争原理であるという点は、徹底をいたしておるわけでございますが、その日その日の需給の気配によりまして敏感に上下するという点では、せり売りと相対してよく言われます非公開の相対取引のようなものと比べて値の動きの幅が大きいというようなことが指摘されるわけでございます。われわれといたしましては、価格操作をするようなことは厳に注意をいたしておりまして、行政もまた、これに直接値幅を縮めるようにというような操作的な指導はいたしておりませんし、また、すべきでもないと考えておりますが、市場におきます価格変動があまりにも大きいということは、ひいては消費者価格等にも響き、生産者の収益にも響くわけでございますので、なるべく多数の売買参加者参加をいたしまして、その日前後の需給見通し等に関する情報を的確につかみながら適正な価格形成が行なわれるようにということで、そういう一般的な指導はいたしておるところでございます。  また、その前提といたしまして、生産者出荷いたします頭数等につきましても、計画的に、あるいは全国市場動きを見ながら機動的に出荷先をきめていくというようなことによりまして、一時に荷が集中したり、あるいは荷が非常に少なくなるというようなことによりまして、上場頭数という面から価格の大きな変動要因にならないようにというような点につきましても、生産者団体を主体といたしまして指導をいたしておるわけでございます。
  17. 吉川久衛

    吉川委員 詳しく御説明をいただいたのですが、確かに、せり売りは正常に行なわれるべきものであり、公正であるべきものであると思いますが、いろいろ生産者側意見を聞きますと、何か、裏のほうで価格操作が行なわれているのではないかというような印象を受けているようでございますから、こういう誤解を受けないような厳正な行政指導と申しますか、監視を要望いたしておきます。  私は、農産物の大供給国であるアメリカの状態を、ドルの価値の回復国際収支関係を見ていきますと、少なくともここ一両年は、当分は農産物価格値下がり期待することは困難なように思われます。先ほどの御答弁の中にもありましたように、飼料価格の値上げに伴う畜産経営安定対策についての所見を伺いましたが、それによりましても、一般的に長期的要因によるものであって、飼料についてのみ特別の措置を講ずることはむずかしいということを言っていられますけれども、私は、日本の新しい農業の目と言われる酪農養豚養鶏がこの危機をどう乗り切るかは、食糧危機の叫ばれているとき、何らかの緊急対策が立てられなければならないと思うのでありますが、政府対策を伺っておりますと、輸入飼料暴騰の予測されるとき、自給飼料増産にどのような具体的な政策がとられておりますか、御説明を願いたいと思います。
  18. 澤邊守

    澤邊政府委員 四十九年度から特に力を入れて自給飼料生産拡大をはかろうといたしております点は二点ございまして、一つは、麦の緊急生産奨励対策でございます。  これは、食糧用の麦とあわせて、同様な方法によりまして、平均一俵二千円という奨励金を支出することによりまして、これまで毎年約三分の一ずつ作付が減少してまいりました麦類生産拡大をはかってまいりたい、その中におきまして、大麦を中心といたしました飼料麦増産もはかってまいりたいというように考えておるわけでございます。四十九年度におきましては、初年度でございますので、約一万トン程度期待をいたしておるわけでございます。  これは自給濃厚飼料中心とした話でございますが、次に、粗飼料生産拡大することは、畜産経営を安定するため、あるいは家畜健康上も一番望ましいことであり、また、能率上も一番望ましいことでございます。特に、酪農及び肉用牛につきましては、現在濃厚飼料に対する依存率が高いということが、家畜の個体の健康上も、あるいは経営上も問題となっておりますので、長期的に見ましても、現在の粗飼料自給率を引き上げていくということが課題になっております。その一環といたしまして、飼料作物緊急増産をはかるということを四十九年度から実施をいたしたいということで準備を進め、また、予算もお願いをいたしておるわけでございます。これは、四十九年度におきましては、約二万三千ヘクタールにつきまして永年牧草を栽培する場合、夏季の飼料作物を栽培する場合、冬季間だけ栽培する場合等によりまして、奨励金について若干の差を設けておりますが、基幹となります永年飼料作物を入れる場合には、反当たり七千五百円という奨励金を支出することによりまして、これまでも飼料作物は漸次作付が増大しておりますけれども、最近のような濃厚飼料事情にかんがみまして、一そうピッチを上げて生産拡大をはかるということのために、そのような施策を来年度から講ずることにいたしております。
  19. 吉川久衛

    吉川委員 どうも具体性に欠けるので、どこまで期待をしていいかわかりませんが、政務次官ゴルフ場について特別の関心をお持ちでございますが、あのゴルフ場を相当規制する必要があるのじゃないかと思う。そして、いまできているものでも、何か、権利金がだいぶ値下がりをして、経営の困難なものもあるそうでございますが、ああいったものをブルドーザーでひっかき回して、炭カルをまいて牧草をまいたらどうなんでしょうか。農林省は、住宅に建て売りがあるように、建て売り牧場計画されて、実施して、そして二、三年間国でもってこれを経営して、そろばんをはじいて、これなら合うなということになりましたら、それを地方公共団体なり農民団体なりに、年利二分、五年据え置き、四十カ年間の年賦償還ぐらいの金でもって引き受けさせるような措置を講じたらどんなものでございましょうか。そういったお考えがございますか。
  20. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、具体的には初めての話であります。御承知のとおり、ゴルフ場が非常に多過ぎるというので、森林法を改正したり、あるいは各党で出しておるゴルフ場規制法案、いま国会に出ておりますが、ああいうふうな両面で締め上げるし、一方、ゴルフ場をつくるのにあまり金を貸さぬというふうなことで、実は、栃木県の例をあげては恐縮ですが、百ぐらいが大体許可になっておる。福島県は百七十ぐらいともかくいま申し込みがあるというのでありますが、こういう金詰まりということになると、会員権の値段も下がってきたようですから、途中で、土地は買ったわ、結局ゴルフ場にはならなかったわというような問題がおそらく中には出るのではないか。そういうようなときに、結局、金を集められたほうは紙きれだけもらったことになりますから、たいへんな問題が起きる。  そこで、問題は値段との相談ということになりましょうが、私は、栃木県の例を言うと、県の農業公社等が団地のある場合は、値段さえ合えばそれを買って農業に回すというようなことも一部やっております。したがって、今度農林省で機械公団を改組して、それで畜産基地の建設をやらせるという構想で法案を上程するわけでございますが、それには、建て売り牧場のようなものを、いま吉川先生のおっしゃったようなことをやらせるわけです。ですから、これはもちろん値段との相談なんで、坪一万円も、あるいは八千円もというのでは全然採算が合わないかもしらぬけれども、どうせどっかに売らなければならぬ、土地規制でゴルフ場にならないというふうなものは、県の公社なり、それから国の農業開発公団というようなもので引き取って、大体ゴルフ場になるようなところは牧場になるのですから、何か、そういうことも新しい方法として十分にこれは考えてまいりたい。いますぐ、あしたからやれと言われても困りますが、私は、そういうことは十分考えなければならぬと思っております。
  21. 吉川久衛

    吉川委員 言うべくして、いま農林省考えおいでになる程度では、この危機を克服することはなかなか非常にむずかしいと私は思うのです。どうでしょうか、具体的な前向きの対策が早急に考えられない限り、海外の飼料穀物の価格値下がりのあるまで、臨時に食管と同じような二重価格制のようなものでも考えられないでしょうか。日本畜産は永久にその基盤を失うようなことになりはしないかと憂慮される今日、この私の考え方をどのようにお感じになりますか。政府の責任ある御意見を伺っておきたい。
  22. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 去年の春先のように、えさだけが臨時的にばっと高くなる、それは物価対策上もぐあいが悪いというようなことで、たまたま余剰米を持っておったために、それを非常に安い価格で放出をする、そういうこともやりました。ところが、今回は、えさだけでなくて、石油が二・何倍というようなことで、原油価格が上がる。えさもごたぶんに漏れず、その他の輸入の品物も大体が非常に高い。そうすると、えさの問題についてだけ、食管制度でそのえさを補てんするとか、そういうことをもしやるとすると、じゃ石油はかまわないのかという話がすぐ出てくるわけであります。石油も、これはきわめて基礎になるようなものでありますから、そこに広がっていってしまう。そこで、えさだけが食管制度というわけにはなかなかいかないというむずかしい問題が実はあるわけであります。したがって、どうしてもこれは国内自給飼料度を高めるというような方法でそれを大きくすると同時に、やはり、えさ値上がり分は価格で吸収をする以外にないじゃないかと思っております。
  23. 吉川久衛

    吉川委員 価格対策で善処しようということのようでございます。すなわち、加工原料乳保証価格豚肉安定価格などの政策価格決定に際しては、飼料価格動向生産費の動向を適正に反映させるように措置すると言っておられますが、私は、価格だけに吸収することの非常にむずかしさがあると思うのです。どの程度のことをいまお考えかということを聞くのは無理でしょうから、これは早急に具体案を立てられて、審議会にはかられて、一刻も早くみんなが安心するような価格決定をされることを御期待いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  24. 仮谷忠男

    仮谷委員長 竹内猛君。
  25. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、食糧の自給体制の中に占める畜産物の位置というものと、それから現在の価格の問題、こういう問題に重点を置いて、いまから質問します。  まず、第一に、日本の食糧自給計画というものを、五十七年度を目標にして農林省は立てておりますが、この目標の中で、畜産物が占めるカロリー、たん白の比重というものはかなり大きいものがあります。加えて、国際海洋法会議などというものがすでに目前にあり、しかも、それに臨む日本の方針というものもきまっておりますけれども、国際的にこれはかなりきびしい。そういうことを前提にすると、今度は、海産物から得るところのカロリー、たん白というものは相当減少せざるを得ないという見通しが当然立つわけであります。したがって、畜産物にかけられるウエートというものはたいへん大きなものがなければならないし、これは当然そういう方向に行かざるを得ない。そのことを前提にして私は幾つかの質問をしたいわけですが、とりあえず、いま言った基本の問題に関してどのようにこれをとらえておるか、まず、その点を質問します。
  26. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 消費構造が変わってまいりまして、でん粉質からたん白質に非常に移行してまいりました。食肉、牛乳、乳製品などの畜産物の消費は、所得水準の向上に伴ってどんどん増加をいたしまして、四十七年には、食料需給表によりますと、たん白の摂取量が二一・八%を占める。こういうふうなことになって、畜産物は国民の生活で重要な地位を占めるようになった。いまおっしゃいましたように、魚というものが、なかなかそう増産ができないというようなこととからんで、ますます畜産物が重要になってきたのであります。これを金額的に農業の中で見ましても、畜産物の生産は年々拡大をいたしまして、四十七年には、年産額で一兆三千億、農業生産物の二六%を占める、こういうようになりました。十年前には大体これは二千六百億程度で、農業生産物の一四%。それが農業生産物の二六%ですから、四分の一以上、こういうふうなことになっておるわけであります。農家も百九十六万戸程度に一応推定をされておるわけであります。
  27. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私の調査によれば、四十五年の実績から見ると、動物性のたん白三一・九%、その中で、畜産物が一四・四、水産物が一七・五。そこで、水産物の見通しが暗いということであれば、水産物から得ているたん白は、今度は当然畜産にこれを求めなければならない。したがって、畜産の将来というものは、日本の食糧需給の上において大きなウエートを持つということは当然なことだと思う。その点をいま聞いておるのです。海洋法会議見通し畜産の問題との関係で、需給の中におけるところのカロリー、たん白をどういうぐあいに確保するかということを聞いているのです。
  28. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 海洋法会議の問題は、まだはっきりしたことはさまっていないわけでありますが、遠洋漁業等である程度の制約を当然受けるだろう。しかし、これについても手をこまねいておることはできませんから、当然沿岸漁業を振興するなり養殖漁業を振興するというようなことで、海からのたん白資源というものを少なくしないように、並行的に手は打っていかなければならぬと思っております。それと同時に畜産物については生産拡大をはかっていく、こういう方針であります。
  29. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 政府は、いつも、問題が起きてから事を処すという、非常に悪いくせがある。石油の問題に端的にこれはあらわれている。食糧でもそうです。飼料でもそうなんです。そういうときに、見通しがかなり暗いとわかっているのに、これに対する手を十分に打たないで、しかも、畜産の問題についても、この現状の段階では畜産の農家はやっていけないといって、いまやめようとしている。全農にすわり込んでいる各県の畜産の仲間は、いま、実際は非常に困っているのです。そういう段階のときに、なお畜産が大事である。重要であるという点をもっと明確にしてもらいたいことと、現在の段階で畜産は一体伸びようとしているのか、これはもう危機にあるのかという、その認識についてはどうですか。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御承知のとおり、需要は旺盛であることは間違いない。そこで、問題はえさの問題でありますが、このえさの問題については、先ほど申し上げましたように、現在非常にえさが高い、しかも、加工原料乳等については吸収し切れない、豚価についてもそうだ、こういうふうなお話しがございますものですから、それらは価格において吸収をする、こういうふうな措置を講じて畜産生産ができるようにはかっていく。もう一つは、えさの問題については、これは国内自給度を高めるための諸施策を講じる。と同時に、今度海外協力事業団というものを新しく発足をすることにいたしましたが、これは海外の経済協力をする一方、農業問題等については開発輸入をはかろう。たとえば、アメリカだけにえさを依存するというようなことは、それが小麦の輸入凍結というような問題で非常に混乱をしたようなことがあったんでは困りますから、低開発国等に広くマイロ等に援助して、それでつくってもらって、現地で消費したものの残りを長期的、安定的に日本輸入をする。そういうことで安定的なえさ輸入をはかって、日本畜産については両面からこれを振興していく。こういうのが基本方針でございます。
  31. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在問題になっていることは、海外開発輸入なんていう先のことではなくて、きょうあしたの日本畜産がつぶれるかつぶれないかという危機状態にあるときに、畜産振興しながら、えさはアメリカに依存する、そのえさはかってに値上げをする、畜産物の価格は上がらない、こういう状態の中で農家がいま迷っている、こういうような状態畜産危機という認識を持っているかいないかということなんです。
  32. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほど、海洋法会議の問題とからんでお話しになりましたから、将来の見通しの問題にはこういうように対応いたしていきますということをお話ししたわけです。  当面の問題につきましては、重ねてお答えをいたしますが、やはり、何と申しましても、えさという問題については、国内自給をふやすということが一つでありますし、それはきょうあしたというわけにはなかなかまいらない。したがって、現実の問題として入ってくるえさが高い、これを下げるといいましても、これは国際的に全部どこでも高いのでありますから、アメリカが高ければ今度はオーストラリアから買えばいいじゃないかというわけにもいかない。どこでも同じ国際価格でありますから同じだということになれば、それは当然畜産物価格に吸収する以外にはないということだと思います。ですから、豚価問題等についても、来月審議会を開いて、それらの賃金、物価を織り込んだ豚価決定するし、加工原料乳についてもそういうことで、価格に吸収してこの危機を脱却する、こういうこと以外にはないと思っております。
  33. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その問題はまたあとで質問をすることにして、次のほうへ行きますが、五十七年を目標にする食糧需給の体系の中で、畜産のウエートが出ておりますが、四十五年に六百三十三万五千頭の豚が、五十七年には千六百六十六万二千頭にしようという計画が立てられております。今日の段階でこの計画はそのとおりに進んでいるかいないか、進んでいないとしたならば、何がその進んでいない理由になっているのか、そこを明らかにしてもらいたい。
  34. 澤邊守

    澤邊政府委員 五十七年を目標といたしました需給の展望と生産の目標の試案を一昨年の秋、農林省が出したわけでございまして、これはすでに御承知のとおり、昨年の春以来農政審議会諮問をいたしまして、その後の情勢を踏まえて、これをたたき台にして現在御検討をいただいておりますので、それを待って、必要な点があれば修正をして最終の見通しにいたしたいというつもりでおりますが、お尋ねの試案におきます豚の飼養頭数は、四十五年が六百三十三万五千頭、五十七年の目標におきまして一千六百六十六万二千頭という目標を掲げておるわけでございます。その伸び率を見ますと、年率で、四十五年から五十七年までに八・四%ずつ伸びるということになっております。これの最近までの実績を見ますと、頭数におきまして約五%ということで、やや下回っております。それで、この点につきましては農政審議会で現在議論中でございますので、どういう結論を出すか、まだにわかに予断はできませんけれども、一つの議論といたしましては、食肉の需要全体につきまして、試案におきましては、豚肉牛肉、鶏肉というような区分なしに、その相互に代替性がございますので、全部ひっくるめて需要量をはじき、それに伴う生産量もはじいておるわけでございますが、需要の最近の動きを見ますと、やはり、所得の上昇、食生活の改善に伴いまして、牛肉の需要の伸びが予想よりもやや大きいのではないか、豚肉等につきましては、それに比べるとやや低いのではないかという傾向がいままでのところ見られますので、過去三カ年だけでにわかに即断していいかどうかという問題もございますけれども、農政審議会においては、牛肉の需要もさらにふやし、それに伴う生産量あるいは輸入量等もふやし、豚は、最近の需要の動き、それから生産面におきます環境問題等がございますので、その辺を若干調整をする必要があるかどうかという点が一つの論点になっております。まだ結論は出ておりませんが、そういうような経過になっておるわけでございます。
  35. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま説明があったように、この五十七年を目標とした計画は、私どもは、きわめて不完全であり、根本的にたたき直さなければならないということを前から主張しておるわけですが、やはり、そのように問題は進んでおらないと思います。現実に幾つかの問題がそこに存在をしておる。そこで、畜産に問題をしぼってみると、このえさ価格というもの、あるいはえさ自給度というものが非常に悪い、しかも、えさ価格が値上がっても、それは必ずしも畜産物の価格に反映をしない、上がった分は農家の負担でこれをまかなわなければならないという非常に矛盾がある。この矛盾が解決されない限り畜産の伸びはないと思う。  そこで、一つの例をあげれば、茨城県の石岡地区は、前から農林省も構造改善地区とし、農協もここに力を入れ、現地でも力を入れて、日本においては、畜産の基地としてこれを育成しようという努力をしてきたところであります。ところが、そこの伸ばそうというところの農家の畜産の皆さんが、十日ほど前から全農にすわり込みをしてがんばっている。これに応援をする千葉、群馬あるいは各地の畜産の仲間がそれに参加をしております。あの実態というものは、今日まで農林省、農協、現地の皆さん、これが指導したものに対する大きな破綻の何よりの証拠なんだ。それはいま言うように、畜産物の価格えさ値上がりが全く不可分の関係であるということなんです。  そこで、先ほど政務次官から、えさの上がった分は価格に反映をすると言われましたが、今日の問題を解決するために、えさに関するところの値上げをさせないために、政府の責任として、えさに対する補助金を続ける意思がないかどうか。補給金を出さないとするならば、その理由はどうか。石油値上がり、フレートの問題、こういう問題は、政府計画に基づいて物をつくっている農民の責任ではありません。外国で値上がりをしたからといって、外国の責任を農民に押しつけることは不当だ。だとするならば、政府の責任によってこれは始末をしてもらわなければ困る。第一の点はそれです。  それがどうしてもできないとするならば、早期に畜産物の価格審議会を開いて、農家の要求する所得が保証されるような価格を早急に決定をしていくべきではないか。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  三つ目の問題は、それもどうしても困難である——困難なはずはないけれども、それをやらなければならない。それに加えて、今日、大きな農家ほど政府指導によって、その企画のもとに金を借り、そして、制度資金を入れて努力をしておりますが、柱一本でも政府の言うとおりに建てたという畜産農家ほど困っておる。その元利償還の緩和あるいは利子補給、金の借りかえということに努力を当然これはすべきである。  その次の問題は、外国からの畜産物の輸入どいうものに対して制限を加えて、そして、少なくとも国内でこれをやっていくという努力をしなければならない。そこで、私は、この間、畜産振興事業団に対して、この五年間の事業団の事業の内容についての資料を求めたけれどもまだ来ておりませんが、畜産振興事業団というものは畜産農民のために活動をしているのか、それとも消費者に向かってやっているのか、一部の業者のためにやっているのか、さっぱりわからないという声がある。そのことも私は疑問であるから、この点についてしっかりした説明を求めたい。  なお、えさ輸入の問題でも、長期のことであるけれども、一つの国にまかせないで、多元的に輸入先を求めて、一国が思惑をした場合においてもそれを阻止できるという方向をとらなければいけないと思う。  たいへん重要な質問をしましたが、これに対するお答えをいただきたい。
  36. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほどからお答えをいたしておりますように、えさの問題が一番重要な問題ですから、この問題については、国内自給率を高めるという方法を講じますが、それは一カ月、二カ月では間に合わぬ。輸入えさを安くするということも、これは国を変えたからといって安くなるわけにいかないということになりますと、どうしても高いえさということになる。その高いえさに補給金をやったらいいじゃないかということも一つの考え方だと私は思いますが、ところが、御存じのように、世界的なインフレで、えさばかりではなくて、石油等も二・何倍というようなことで、砂糖についても同様なことが言えます。たとえば農林省所管の砂糖ですが、ついこの間まで原糖が一トン当たり五万四千円で入っておったものが、昨今は十三万円ぐらいに値上がりをしてしまった。この問題もそれじゃ補給金か、石油の問題もそうかと、万般に広がってしまう問題なので、これはえさだけを補給金でというわけにはなかなかいかない。やるとすれば、全体の問題にからまってくる。こうなれば、やはり、その価格価格の中に織り込ませる以外にない、こういうように考えておるわけであります。  そこで、それならばすぐに審議会を開いて価格を直したらいいではないかという御議論だと思いますが、ところが、政府価格を支持しておるという問題については、ある一定の月だけを支持しているというのではなくして、一年を通して価格の支持というものをやっておるわけでありまして、たとえば豚について申し上げますと、去年の八月ごろは五百円をこえるというような非常な高値であったわけであります。いまよりもえさが安くても五百円をこえるという、なかなかいい値段であった。現在は非常に下がっておって困っておるということでありますから、年間を通してやるというのがこの価格支持制度の趣旨でありますから、うんと高くなったとき、うんと安くなったときということで一々値段を変えるというわけにはいかない。それで、やはり、これは年間を通して考えますから、今月中に開いてすぐきめるというわけにはいかない。たまたま来月は改定期にもなっておるということでございますから、新しい情報を踏まえて、豚価等の底値価格等は当然きめなければならぬと思っております。  それから、もう一つは、政府の奨励でいろいろ大型の畜産をやれということで金等を貸しておるが、こういうふうな時期ではなかなか返還に困るということで、条件緩和ぐらい、やる気があったらできるじゃないかという話がございますので、これにつきましては、金融機関を行政指導して、条件緩和をできるように、前向きで努力をいたします。
  37. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 畜産物の価格に吸収をするということと、それから、金融については前向きで善処する。とすれば、畜産物の価格審議会、それの構成にわれわれは不満なんです。ああいう構成では、ほんとうに畜産農民の気持ちが反映できない。その構成を変えてもらいたい。検討してもらいたい。それで、なるほどこういう人々によってきめられたことならやむを得ないというふうに、農家が納得するような構成にならないものか。この点はどうですか。
  38. 澤邊守

    澤邊政府委員 畜産振興審議会委員の構成は、学識経験者の中からお願いをしておるわけでございますけれども、生産者団体の方々を主体といたしまして、一部消費者代表あるいは学者等にお願いをしておるわけでございまして、さらに、審議会の運営にあたりましては、飼料部会家畜改良部会養鶏部会食肉部会酪農部会、それぞれ専門部会によって審議をわずらわしておるわけでございまして、その際には特別委員ということで、さらにそれぞれの専門の方々の御参加を得ております。先ほどちょっと申し落としましたが、生産者代表、学識経験者、学者の方々以外に流通関係、あるいはえさ部会等につきましては飼料関係メーカーの団体の代表の方々にも参加をいただいております。したがいまして、畜産関係生産流通、さらに一般消費者、学識経験者と広く御参加をいただいておりますので、特に現在の構成が不適当だというようには考えておりません。
  39. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまそういう答弁があったけれども、われわれはなおその審議会のメンバーについて不満ですから、いまの答弁は私は承認をしない。なお、また、別なところで、これは納得するまで追及をしなければならぬ、そういうふうにはっきり申し上げておきます。ぜひそういうように直してもらいたいということもつけ加えておきます。  そこで、価格の問題に吸収をするということであるならば、重要農畜産物の価格決定方法について、われわれは今日までに対してたいへん疑問と不満を持っている。どういうことかと言いますと、この価格決定する価格のいろいろなきめ方について、櫻内農林大臣のときも、あるいはまた、今度の倉石農林大臣もそうでありますが、重要農産物については七割までが価格の何らかの法律があると言う。なるほど法律はありますが、その法律をつくった時期というものは、昭和二十七年ごろから三十年ごろ、四十年に入って三つほどありますけれども、その中には五つの形がある。まず第一の形は、食管法によるところの米、麦あるいは葉たばこのように、国が直接管理をしてきめるもの。それから、二つ目は安定帯価格決定制度、これは豚肉、乳製品で、これは畜安法によってきめられておる。繭は、繭糸価格安定法によってきめられております。三つ目の形が最低価格保障制度で、イモでん粉、切り干し等々であります。これは農安法。それからブドウ糖、てん菜糖、甘蔗糖で、砂糖価格安定法。四番目の形が交付金制度。大豆、なたね、こういうものは交付金制度。そして、加工原料乳においてもそうであります。五つ目の形が価格安定基金制度で、野菜、鶏卵というようなものがそうでありますが、こういう五つの形に大別すれば分かれる。このように重要な農畜産物を国が農家の皆さんにつくってもらうのに、価格決定がこれほどややこしい。専門の人だっておそらくわからない。農林省に専門に月給をもらっている人だって、この農畜産物の価格の試験を出したら、おそらく満点をとる人はいないだろうと私は思うくらいに、こんなややこしいものはない。まして、毎日朝から晩まで働く農家の皆さんに、自分のつくる重要な農産物価格がどうきめられるのか、全くこれはわからないと思うのです。これほどむずかしいものはありません。今日、農家が買うものは全部業者がつくり、しかも思惑が働いて、そうしてやみ価格でどんどん売られるものもある。そういうときに、農家の皆さんは、自分のつくったものを自分の手で価格をきめることができない。徳川時代から今日まで、非常に農家は苦労している。ただ、わずかに、不満ではあるけれども、葉たばこと米、麦については国が管理をし、食管法によって、生産費・所得補償という形で米はきめられておる。しかし、葉たばこはそうではありません。こういうようなややこしいきめ方をなぜとらなければならないのか。これは、いわば食糧が過剰状態のときにこういうものをつくった。そういう客観的な条件を背景にしてつくったものであって、今日のように国際的に食糧の危機が叫ばれ、食糧の自給体制を求められているときに、五十七年の計画の中で、しかも農林大臣、総理大臣が、この作目は重要であるというふうに国会でも答弁している、その重要作目については、少なくとも生産者・所得補償の方式によって、農家の皆さんにわかりやすい価格決定をしてもらいたい。このことについて、政務次官、ひとつ明確な答弁を願いたい。
  40. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 確かに、農産物価格決定はいろいろあります。パリティ方式によるものもあれば、あるいはパリティをしんしゃくをしてきめるものもあれば、また、米のように所得補償方式といわれるようなことできめるものもあります。これは確かになかなかむずかしい問題でありますが、なぜ一つの同じ方法できめられないかと申しますと、自給度の問題、あるいはその販売方法、管理方法の問題、あるいはまた技術の進みぐあい、こういうような問題等がいろいろあります。野菜等の問題につきましては、過去の平均の値段の趨勢値というものをとっております。これは、野菜の問題について、個別の生産費をとるということは非常にむずかしい問題ですから、なかなかできにくい。牛肉価格等についても、何か、豚肉と同じようなことをやれというふうなお話しがありますけれども、牛肉については、豚のように規格を統一するということは、なかなかピンからキリまであって、実際問題として実務的でない。したがって、これらについては、価格で何かすれば、やはり一頭当たり幾らというような補助金を出して、大まかな話になるが、価格の安定というものをはかっていくほかないじゃないか。それぞれ歴史がありますし、それぞれ実情に応じたところ価格決定方式をとっておるのでありまして、一律に全部同じ価格決定方式をとるということはできないだろうと私は思います。
  41. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一律にとれと言っているのじゃない。少なくとも、国が、これは国民のために必要な重要な農畜産物であるからということで、これは方針の基本に据えているわけでしょう。そういうものについて指導して、金も貸してつくらせておるわけでしょう。それならば、それの価格については、少なくとも農家が納得するような形できめてなければいけない。それならば、豚一匹飼っていても、鶏一羽飼っていても価格補償をするのかと、そういうやぼなことを私は言っているわけじゃない。少なくとも国が指導するからには、一定の経営規模、基準というものがあるはずです。それで指導しているのじゃないですか。こういうふうにしなさい、豚小屋はこうつくりなさい、この会社の、材料まできめて、それでなければ補助を出しません、融資もしません、庭先にはもっと古い道具があるのに、それもいけない、と、こう言っている。そっちのほうだけはきびしく指導しておいて、今度、価格のほうについては全く考えていない。これじゃ農家はたまったものじゃないです。  そこで、私は、この農家の収入を保証するためには、米であれ、畜産物であれ、基準をきめて、収入の基礎をきめて、それにプラスアルファで生活費をちゃんとつかみ出していって、農家がこれならやっていけるという自信を持たなかったらできないと思う。その基準をきめるためには、豚ならば三百頭なら三百頭、鶏は五万羽なら五万羽、酪農であれば一人が十頭なら十頭というように、それをきめたならば、それをやれば必ず基本の収入があるのだ、それにプラスアルファできまっていって全体の生活費が出てくるのだ、こういう計算を農家の知恵でつくり出せるようにしなければいけないと思う。国が指導して、悪くなればかってにしろ、これではどうにもならない。そういうことをするために、重要農畜産物については、生産費・所得補償を基礎にした価格方式、あるいはまた一定の価格をきめて、物価が上がれば不足払いをするとか、あるいは補助、助成をするとか、そういう制度ができないかどうかということについて、ここで議論はそうできませんから そういうことをやるためのいわば小委員会みたいなものをこの農林水産委員会につくって研究をしていく。いろいろな内外の資料も集めて、現実の中で検討する。要するに、今日までの価格決定の法律のできた背景というものは、食糧が過剰状態だと言われるときにつくったものである。いまのように食糧が不足をして、そうして、どうしても自給を高めなければならないというときにおいては、やはり、価格のあり方というものは非常に大きなウエートを持つと思うから、そういうようなものについての考慮をする余地、考え、そういうものは政府としてはどうか。
  42. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 政府政府として、農産物価格についてはどういうふうなやり方がいいか、いろいろ研究をしてきめております。目下のところ畜産物のそれぞれについて、所得補償方式というようなものに統一するという考えは持っておりません。議会側においていろいろなそういう研究制度をこしらえて並行的に研究をなさるということは、これはもう議会のきめることでありますから、政府がどうこう言うことではない、かように思います。
  43. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は、またあとでわれわれの同志のほうからいろいろ意見があると思いますから先に行きます。  そこで、私は、当面の問題として、えさ自給度を高めるという意味において——まあ、いままでは米を中心として日本農業は進めてきたけれども、米の需給状態というものは一応の見通しが立ったと思います。そこで、米に費してきたこのエネルギーというものを何とか畜産の方向、えさに向けるために、農林省もかなり努力をしたという足あとはあります。先般も若干私も質問をしたわけですが、米じゃなくて、えさ用の稲をつくる、あるいはわらをもっと利用する、こういうようなことに関して、かなりこまかい研究もされていると思うけれども、そのことと、もう一つは、調査研究機関と現在の立法、行政、そして農業生産との関係についてあわせていま質問をしますが、いままで往々にして調査機関は調査機関、それから試験機関は試験機関として、それぞれ専門にやってこられた。そういうものが一つの成果としてあらわれて一般的になり、しかも、それが生産の上に効果を大きくあらわすということについてはかなりおくれているというか、ばらばらであったような感じがしてしょうがない。これをもっと一本化して、そしていいものはどんどん取り入れて試験をし、それがさらに成功するならば、さらに大きくして、普遍化して、それを一般化していく。予算がないならば予算をそれにつけて努力をする。こうして、せっかく研究したものの成果を広めていくということをしていかなければいけないと思う。先般、試験場のほうからのいろいろな資料を私はもらいました そうすると、水田に対する飼料用の稲づくりについては、これは操作上のむずかしさはいろいろあるけれどもかなり成果があるように思います。こういうものをどんどん取り入れて、そうして自給飼料をつくっていくということは可能じゃないか。こういう点について、専門家のほうと、それから政治的にも大事だから、政務次官にも答弁をもらいたい。
  44. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 研究の成果を実際面に反映させろということは、全く私はそのとおりだと思います。それについては十分に監督をして、成果のあがるようにしたいと思っています。  いま、たまたま一つの例としてお話しがありましたが、米づくりのエネルギーを、今度は、休耕制度をやめたのならば、全部転作に回すなり、あるいは特に米と似たような自給飼料をたんぼでつくったらどうかという話は、実は、この間も農林省で、各生産者代表、消費者代表あるいは県知事、町村長等の代表の会議を持ったのでありますが、たまたま全国の町村会長の河津さんから同じような話が出ました。非常にそれは強い御意見でありました。そこで、私どもお答えをしたのですが、えさ用の米ということになりますと、問題は、品種の問題が一つあります。それから、もう一つは、値段の問題があります。えさが高くなっても、まだ米ほど高くなっているわけではありませんので、米をつくらして、その米が間違いなく主食用の米でなくてえさ用の米だということが一見してすぐわかるということが一つ。それから、値段がえさ並みであるということが一つ。こういうふうなことで、北海道では、休耕するよりも、大面積を持っておるんならば、そういうようなえさ用の米をこしらえたらいいじゃないかということで、これは非常に新しい、おもしろい、興味深いアイデアでございますが、農林省からこれを言い出すということはちょっといろいろ問題がございまして、生産者団体のほうでそういうふうな御意向があって、そういうものを検討せよということを言ってくださるならば、これは値段の問題と非常に関係がありますから、われわれとしては受けて立つ用意がある、検討してもよろしいということでお別れをしたのですが、一つの新しいアイデアとして十分検討をしてまいりたい、かように考えます。
  45. 小山義夫

    ○小山(義)政府委員 水田に飼料用の稲をつくります場合に、子実といいますか、米をそのままえさに使うということにつきましては、ただいま政務次官からお答えがありましたように、問題が非常に多いわけであります。ただ、私どもがいままで実施をしております試験研究では、青刈りの形で稲を利用することを考えたらどうかということで、これは数年前から国の試験場と並行して県の試験場にも助成をいたしまして、現在まで研究を進めております。その成果は必ずしもまだ完成をしておりませんけれども、日本稲、いわゆるジャポニカ系の稲では、収量その他について問題がございますので、私どもがいま研究の重点を置いておりますのは、インディカ系の品種を入れまして、それを穂ぞろい期に青刈りの状態で刈って、それをサイレージにする。できれば、乾燥にして流通ができる状態にまで持っていけるといいのですけれども、残念ながら研究はまだその段階までいっておりませんで、青刈りの状態で主としてサイレージに使うというふうな利用の形態の場合には、インディカ系の米でありますので、かなりの収量がとれますものですから、そういう点に重点を置いて現在進めておる状況でございます。
  46. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ともかく、相当の面積があるわけでありますから、ぜひこれは集中的に研究をしてもらいたいと思うのです。食管法との関係があって、米という形になるとかなりむずかしい点もあるけれども、そういう事務的なものについては、これは混合しないように当然できるはずでありますから、これは研究をして、ともかく、早急に自給飼料というものを、青刈りであれ何であれ努力をしてほしい。この成果はかなりあります。  同時に、わらの利用というものについてもかなりの利用率があると考えられるし、また、そういう可能なものがあるわけでありますから、やはりそういうものを使っていって、国内の資源というものを活用する。最大に活用して、しかる後に海外開発輸入ということでないと、国内では休耕田や、資源を粗末にして、海外から持ってくるということになると、また、これは海外だってそう簡単にはいかないと思いますよ。さっき、安易な形のような話で政務次官は言われたけれども、ぼくはそうは思わない。  そこで、時間がありませんから最後でありますが、今日までの農業指導とあり方を見ると、国がすべて指導の先に立っていて、農家が常に上から押しつけるものに引っぱられていくという感じがしてならない。そして、国の方針に何かつまずきがあれば、農家も農業団体も非常に被害を受けるが、その被害についてあまり補償をしない。そうして時期が来れば何とかなってしまうというようなことで、いつも今日まで来ている。このやり方に私は非常に疑問があるんです。こういうことはいけないと思うのです。農業というものは、一億一千万の国民に対して一定のカロリーを供給して、毎日毎日人間が再生産をしていくと同時に、新しい文化をつくっていく重要なものでありますから、こういうものについて国の責任というものを明確にしなければいけない。目標をここに置いたならば、その目標について、前提がかなり狂っても、これに対しては国が責任を持って補償をしていく、こういうことを明確に国がすべきである。長い間、ですね。それから、都道府県はその方針に沿って、県の中にそういう計画を立てて、これも同じような姿勢でいかなければならない。農業団体あるいは農民のそういうようないろいろな団体がありますけれども、これも補助金をもらうことだけにきゅうきゅうとして、そうして悪いものの下請をするのじゃなくて、言うべきことは言う、やるべきことはやるという形で、農民のほうに向いて努力をしなきゃならぬと思う。そういう幾つかの努力があって初めて農家の皆さんは、それならばひとつ国の方向に向かって一生懸命やろうじゃないか、ということになる。国も農家も一体になって食糧生産に邁進できるような、そういう体制、制度というものがなければいけないと思う。今日の体制はそうではない。農業基本法などができたけれども、農業基本法の言っておるようなことは一つもできていない。改正をするかといえば、大臣はしないと言っている。あんな法律は、いまやあってもじゃまじゃないですか。だから、ああいうような上から押しつけるものじゃなくて、農家自体がものを考えて、なるほどこれなら自信を持って営農できるんだ、若い人たちが農村に残れるんだというような体制にしていかなければいけない。それにはやはり目標と、段階的な政策と、それに対する一定の指導と、それから重要な価格に対するところの保障、これがなかったら、だれだってできないじゃないですか。そして、それを切った場合にはこれだけのことはしますというようなことをしていかなければいけないと思うのですね。このような農業体制をつくってもらいたいということを私は希望する。この機会に、特にそれを希望したい。  そして、もう一つは、これから審議をしますが、農地関発機械公団ができて、根釧や、北上や、八溝や、あるいは飯田久住のところに確かに畜産団地をつくって、建て売りをやる。器はつくっても、そこへ入って、金を借りてつくって、物を生産したものの、価格がきまらないということでは、それは、実際勇気をもって入る人はいないじゃないですか。そういうことから考えてみて、物を対象にした政治、物だけを中心にした政治や考え方ではなくて、物とともに、物をつくる人間を大事にする政治、物と人間が同時に生きられるような、そういう政治体制というものを基本的に持ってもらわなければいけないということを私は要望したい。  こういう考え方について、もう時間もありませんから、ひとつ明確なお答えをいただいて、私は質問を終わります。
  47. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 もちろん、物を大切にもするし、人間も大切にしなければなりません。実は、農林省でいろいろな政策をつくりまして、予算も組みますが、実は、決して農林省だけが独走をしておるわけではありませんで、農林省なんというのはそんなに強い役所じゃありません。もうしょっちゅうそれぞれの部局では関係農業団体と連絡をとりながら、それで、予算の時期その他にはたいへんな御支援、御鞭撻を受けながら、法律案でも予算案でも組んでおるわけですから、その点は御了解をいただきたい、かように存じます。  それから、いろいろな計画をやるときに、その計画に従ってやった場合、農作物の価格の安定をはからなければ困るじゃないかということは、全くそのとおりだと私は思います。しかしながら、全体的に見ては、やはりそれらの計画経営が成り立つというような仮定のもとに進めておるわけであって、値段等も、たとえば豚価にしても、加工原料乳等にしても、大体それでいけるという値段をあらかじめ示しておるわけであります。ところが、偶然今回のように途中で値段がうんと上がるというような問題が起きまして、いろいろな苦情を言ってこられたわけでありますから、これらにつきましては、今回は、将来の四十九年度の見通しに立って改定すべきものは改定をして、皆さんが一般的に営農ができるような方法をとっていくということであります。
  48. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  49. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————    午後一時十五分開会
  50. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  51. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私は、先週の農林大臣の所信表明に対する質問の際に、具体的ないろいろな話をいたしましたが、時間の関係で十分意を尽くしておりませんので、きょうはもう少しその話を詰めるという意味で政務次官と議論をいたしたいと思います。  そこで、冒頭に私の期待を申し上げたいと思うのでありますが、これは、ひとり私の期待ばかりではありません。渡辺農林政務次官は、いまを時めく青嵐会の大御所であり、あばれん坊では天下に勇名をはせている一人であります。しかも、あなたの政治手腕は、そのよしあしは別として、非常に一つの評価を受けている。おそらく、渡辺次官なら、この今日置かれている農業の窮状は救ってくれるであろうという期待は私自身にもあります。ひとつ、本来のあばれん坊ぶりをぜひこの農政の上に生かしていただきたいという期待を込めて、少しばかり具体的な問題に入って私の意見なども申し上げ、あるいはまた提案なども加えまして、限られた時間でありますから、これまた十分の意を尽くすことができないかもしれませんけれども、そういう点で御答弁もいただきたいと思うわけであります。  午前中にわが党の竹内委員から、主として農畜産物の価格問題についてお話しがありました。私は、そのやりとりを聞いておる中で、依然農林省が海外に安易に依存するという姿勢から脱却していないという印象を強く持ちました。さらに、もっと進めて言うならば、海外にみずからの開発を手がけて、そのおこぼれによって今日の農政を推進していこうという姿勢を一そう明らかにしたというふうに私は受けとめております。開発輸入という問題については、ことし法案として準備をされているようでありますから、その時間に十分私たちは検討させていただきたいと思っておりますが、しかし、いま申し上げましたように、今日、国内において、依然として相当の水田の休耕を見る中で、しかも、また、海外のきびしい食糧需給の逼迫という事態を迎えておる中にあって、そう安易によそから物を買ってくるということはできないという点については、先ほど強調されておりましたから、私も、その情勢分析については、そのように理解をいたします。しかし、農民の率直な、そしてかつ素朴な気持ちから言えば、今日相当の水田を休ましておいて、よその国に、海外にお金をかけていくなんというような考え方はやめてもらいたい、それよりも、そんなお金を国内生産振興のために徹底的に使ってほしいと、こういう希望を素朴に持っているのであります。  ですから私は、思い切って発想の転換を願いたいということを前段で申し上げ、その発想の転換ができるのは渡辺さん、あなた以外にないということを私は申し上げているのでありますから、どうか、われわれのこうした期待にこたえるような農政の大躍進をしで、将来ともに渡辺政務次官よくやったと言われるような功績をぜひこの際残していただきたいと思うし、また、今日の落ち込んだ農業の救世主となっていただきたいという気持ちを率直に訴える次第であります。  さて、そこで、非常に今日の農家経済が苦しくなっているということはどの統計資料によっても明らかであります。最近農林省から発表になっております資料を昨日私は手にいたしました。「農業及び農家の社会勘定」という分厚いこの資料によりましても確かに、昨年の農家経済というものは上向きになった。こういうふうな数字の発表になっておりますが、しかし、中身を分析いたしますと、農家経済の主要な柱になっているのは、農業そのものから得た所得が柱になっているのではなくて、いわゆる農外に求めた所得のウエートのほうが高くなっている。こういう実態にあります。そこで、これまた素朴な農民の要求と希望は、農業で食えるようにしてほしいということを言っております。出かせぎしなければならないような今日の状態というものは何としても解消してもらいたい、しかし、背に腹はかえられない、生きていかなければならぬというところから、全国で百万あるいは百二十万とも言われるような農家出かせぎ者が出ているのであります。これをぜひ解消するということがなければ、ほんとうに安心して農業で食うことができないということは、これはもうどなたも異論のないところだと思うのであります。そこで、私は、その最も大きな柱になる米価に触れていかなければならないと思います。  その重点は、何といっても、先ほども触れましたような水田休耕という実態をかかえ込んでいる日本の水田政策、これの抜本的な手直しと発想の転換を私は求めたいと思うのですけれども、第一に、最近のいろいろな資料を見てもはっきりしておることでありますが、世界の米は、昨年において大暴騰を遂げた。国外生産の米のほうが安いというふうなことは、もはやこれは幻想になっております。品質においては問題があると言われたタイ米でさえも、最近は日本の米の十七万一千円に近づいているとさえ言われております。同品質に近いと言われるアメリカのカリフォルニア米、これはすでに十八万一千六百円と、一万円もトン当たり高くなっているのであります。そういう状態の中で、日本が唯一の自給できる農作物として、米は、まさに、今日の世界的な、そしてまた国内的な、唯一の戦略物資としての地位をいま築きつつある。そういう状態に、好むと好まざるとにかかわらずなってしまったということもありますけれども、そうなっている。こう考えたら、私は、米政策は、今日、従来のような考え方に立って進めるべき時期ではないという気がいたします。先般、竹内委員が倉石農林大臣に質問いたしましたときにもこのことに触れておりますが、大臣は、依然として米はまだ過剰基調である、したがって、今日の米政策を転換する考えはないというふうに言っていますが、私は、これは間違いだというふうに断定をいたしておりますが、まず、政務次官、この米政策のあり方についての基本的な、あるいは具体的なお考えを第一点でお示しいただきたいと思います。
  52. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 専門家の島田先生からたいへん御期待をされまして、恐縮をいたしておりますが、世界の食糧事情は大体御説明のとおりでございます。  顧みますると、昭和四十五年に、当時七百万トンの過剰米を持っておりまして、実は、その倉庫がない、そのために、琵琶湖に沈めようとか、あるいは栃木県の大谷の石を掘ったあとにしまったらどうかとか、いや、瀬戸内海にまいたら魚がたくさん集まるのじゃないかとかいうような、いま考えれば、とうてい考えられないようなことが議論をされたのであります。そして、一方、過剰米の七百万トンの維持管理のために、一年に七百億円。当時、畜産予算は、全部ひっくるめてもそんなにない。ところが、過剰米の、米だけの維持管理に要する倉庫料と金利で七百億円かかる。こういう状態を続けていくということはとうていできない。当時としては、国際の値段が三分の一、あるいは二・五分の一というようなことでありますから、もうやむにやまれず減産政策というものをとったのであります。これも御承知のとおりと存じます。これは増反をして、その結果こうなったので、政府が悪いんだというような御議論もありましたが、それは結果的に見ればそういうことも言えるが、政府の計算が何が一番間違ったかというと、要するに、所得がふえ過ぎたということが計算違いなのであります。所得がふえ過ぎた結果、結局米の消費量が激減をして、一人百三十キロ程度食ったものが九十キロ台に落ち込んでしまった。都市では六十キロになった。これが一番の問題で、普通にさえ食ってくれれば過剰問題が起きなかった。  そこで、われわれとしては、どうしても米以外のものに需要がふえておりますものですから転作というものを実行したのですが、急にそんなにたくさん転作といっても、農作物は技術の問題も必要だし、あるいは気候、風土の問題もあるし、なかなかできない。万やむを得ず三年間にわたって休耕制度というものをとってまいりました。しかし、四十八年でそれも完了いたしましたものですから、四十九年度からは休耕制度というものを廃止するということになって、転作一本やりということになったわけであります。ところが、現実の問題としては、転作できる人はもちろんいたしますが、米に戻る人もあるわけであります。当然、農林省はそれを見込んでおります。ところが、もうすでにつとめに出てしまって転作もやらない、休耕制度はなくなった、しかし自分は米もつくらない、というようなことで土地を遊ばせておくというようなことは、有効な土地利用、国内の食糧自給というおりに、これは非常にぐあいが悪いことです。そこで、農林省が皆さんに御賛成を願いたいと思っていま準備をしておる法案が、つまり、農業振興法の一部改正であります。これは、言うならば、憲法すれすれぐらいのことを実はわれわれは考えておるのでありまして、そういうような休耕農地、これは極力休耕のまま遊ばせない、そのためには、まず本人につくってもらいたい、本人がつくらなければ他人につくらせなさい、あるいは他人に売りなさい、それでもだめなときには、県の指定したたれかにやらせなさい——これは半強制的です。それで裁定を下して、裁定すなわち、イコール、隣の人がつくってもいいよというぐらい発想の大転換を実はしようということで、それは第二次農地改革ではないかということで、大議論を呼ぶと思いますが、これらのことはどうしてもやる必要がある、こういうふうに考えております。  それから米の問題につきましては、これはやはり倉石農林大臣が転作制度は続けるとおっしゃったと思いますけれども、やはり米をここでよけいつくらせる、どんどん上積みするということはどうしても困る。そして、一方でえさが足りない、小麦が足りない、大豆が足りない、肉が足りないと言っているのですから、足りないものをつくってもらって、米のほうも大幅に生産調整をゆるめて、去年の二百三十万トンから百十八万トン、そのほかに休耕通年施行がありますけれども、それを入れても百三十五万トンと大幅に緩和して、緩和したものを遊ばせておくのではなくて、それは必要で不足しているものをつくらせようというのでありますから、私は、その政策が悪いとは思っておりません。米はまだ確かに過剰基調で、ことしの十月末で百万トンないし百十万トン古米を持ち越すことになる。来年はさらに上積みをして、百五十万トン程度在庫繰り越しができるようにして、万一小麦の輸入に問題があったようなときでも間に合えるような、万全の準備を整えるということで、それ以上にさらに米をというよりも、むしろ、それは足りない品物のほうに回したほうがいいじゃないかということですから、食糧政策の上で間違いがあるというふうには決して思っておらない。やはり、米だけでなくて、足りないもののほうにその分は回すというふうなものの考え方でございます。ですから、これは、実は、かなり発想の転換をはかっておるわけなのであります。
  53. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 出かせぎしている人たちのほうの考え方で、米づくりよりもよそに出かせぎしたほうがなぜいいかという問題、これは議論をしますとずいぶん時間がかかります。いま、次官から、米は過剰基調だから、そのほかの足りないものに転換をしていくという考え方が述べられましたが、そこが、私は非常に問題の点だと思う。従来、何のかんの言いながらも、農畜産物の価格をとってみた場合に、よその作物よりも米がいいと言われてきた。だから、容易に米からほかの作物に転換しなかったという経過を経て今日になっているわけです。私は、そういう問題は後ほど述べる問題の中に譲るといたしまして、米の問題についてもう少し申し上げたいのでありますが、米が日本の唯一のいわゆる戦略物資になったことは、これはまぎれもない事実だと思います。何となれば、非常に高まっている資源ナショナリズムの中で、日本は、経済大国だけれども資源弱小国である。こういう中において、米だけは世界に冠たる生産を誇る国になった。これはまぎれもない事実です。しかも、この石油急騰によって出てまいりました中で、特にこうした石油を持っている国からも、日本に何とかひとつ石油をやるが、あんたのほうの米をくれと言われた。十万トン単位で引き取りたいというようなことを、クウェートとか、アラブの諸国からの申し入れがあったけれども、今日の状態からは、よその国に出すほどの余力がないということで、主としてアメリカのほうにこの株を譲ったといういきさつもあります。そういうふうに見てまいりますと、私は、資源外交という点から言えば、米は、まさに、日本で持っている唯一の戦略物資であると思う。この力を発揮するためには、外国のもう一つの意見、すなわち、よその国に開発輸入などというような方式で進攻していく前に、遊んでいる水田に米以外のものがつくられないとすれば、とりあえず米をつくってでも生かしていくべきであるというよその国の意見さえ日本に寄せられているのでありますから、百年河清を待つような式ではなくて、当面この米の外国からの期待にこたえていくというような方法も今日急いでとるべきではないかという考え方があるものですから、私は、先ほどから少ししつこく申し上げているわけであります。今後の問題としては、確かにいまおっしゃっている点があることも私はよく承知をいたします。  そこで、こうした大事な米問題の基本になるのは何といっても米価であります。この米価を早急にきめるべきではないかという意見は、これまた毎年生産者団体のほうから繰り返し出されております。これは米ばかりではありませんが、私も農水で質問いたしますと、ばかの一つ覚えだと言われるが、それほど、いわゆる一年の、ことしの営農設計を立てる段階で、価格を含めた先の見通しというものを政府みずから示してもらうということが、どんなに、農家がことしの経営にあたって一つの方向を明確にすることができて、しかも経営上プラスになるかということについて力説をしてまいりました。要すれば、すべての農畜産物については一月中に政府は検討を終えて、三月に入って営農が始まる時点には、ことしのすべての農畜産物の価格がもう方向づけられ、そして、営農の方向はかくあるべしというような指導要綱というものも示されるということが、農業を進めていく上においての、あるいは農家に対しての最も親切なやり方だということを私は主張してきましたが、これがばらばらであります。そこで、竹内委員がそのことを取り上げて、米価はいわゆる作付前にきめるべきだと提案したのに対して、大臣は、私に言わせればたいへん矛盾した意見でこれを否定されたが、このお考えについては、政務次官としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  54. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 米価の話をする前に、先ほどの休耕地の問題でありますが、私は、ことしは休耕地はだいぶ解消すると思って見ております。と申しますのは、転作にいくものは転作にいきますし、転作にいったものがまずくて米に戻せということじゃないと思います。北海道などでも、転作制度は非常にいいからもっと長く続けてくれんかねという要求が酪農家なんかからかなりあり、もっと長期化してもらいたいというような御要望もあるくらいでありますから、いま生産調整百十八万トンと申しましても、それを全部やめて米に戻そうとしても、むしろ転作のほうをやらしてくれというのもかなりあるという実情は御存じだろうと思います。  そこで、米価の決定の時期のことでございますが、内地などではどれくらい米をつくるか、いつ田植えをするかということは、大体正月ごろにきめるようであります。なかなか人手がない、人手がないので、田植えの手間や何かの関係もあって、いつごろから田植えをやるかということの計画というものは正月ごろからきめる。したがって、それにも間に合うようにやれということになれば、ほんとうは米価は十二月ころきめたほうがいいという理論的な話も出てくる。現に、葉たばこは十二月にきめます。きめて、物価変動が非常に大きくて、二%や三%の場合はかまわないが、五%以上一〇%、一五%も納付の時期に食い違いが出た場合には調整するというようなことを現にやっております。米についてもそういうようなことはどうかというような議論がまじめに実はやられたことがありますが、これをいたしますと、これはどうしても予算米価だということで、意外と実は反対が多かったのであります。そこで、うんと早くきめるというのでなければ、なるべく米の収穫ごろと同じような物価、賃金のところまで見てきめたほうがいいのではないか、だからといって、出荷が始まるまでに米価がきまらないということでも困る、こういうようなことから、大体六、七月に、つい最近までの五月ごろまでの物価と、それよりも一カ月二カ月前までの賃金というようなものをとりまして、一番新しい高いところは——インフレのときにはどうしてもだんだん高くなるということですから、高いところの賃金、物価というものを統計がそろったところできめたほうがいいのではないかということでずっとここのところやってきたわけであります。ただ、昭和四十五年には、最初から、施政方針演説で、米価は上げない、据え置きだということを打ち出したものですから、それは五月でしたか、早くきめたことが一ぺんありますが、そのときは、米価を上げないという方針を政府は最初から国会で打ち出してしまった。そのときを除いては、どうしてもあとになればなるほど新しい要素の物価、賃金が織り込めるので、それできめたほうがいいということで実はきめてきておるわけであります。したがって、ことしの状況を見ましても、これが四月、五月になって物価が急激に下がり出すというようにはわれわれも見ておらないものですから、やはり新しい要素のものを入れてやったほうが親切ではなかろうかと思っておりまして、大体、特別にこれを早めて米価を決定しなければならぬという理由はいまのところ見当たらない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  55. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 倉石発言はかなり政治的なニュアンスが含まれているというふうに受け取られている向きもあります。すなわち、ことしは参議院選挙である。従来の米価決定の時期から言うと、参議院選挙に米価が利用される危険があるので、これを避けるというような腹づもりで収穫期に近い時期にきめたほうがいいというような発言をされたのではないかと勘ぐる向きもありますが、これはどうですか。
  56. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私は、これは邪推だろうと思います。
  57. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 邪推とおっしゃるなら、収穫期近くにきめたほうがいいという考え方、発想というものはナンセンスだと私は思うのです。そして、また、矛盾していると思うのです。それは、いまのような状態ですから、狂乱状態ですから、物価はだれもこの先の見通しをつけることはむずかしいでしょう。したがって、米価に限らず、農畜産物の価格決定にあたっては、今日のような事態の中では、先を見越すということも必要であると同時に、物価変動したなら、その時点でスライド式に変更していくという考え方を持ち込まないと、大臣や次官がおっしゃるように適正米価をはじき出すことはきわめて困難だと私は思っているのです。だから、収穫期になったらすべての要素がほんとうにいい材料がそこにそろうというような何の保証も根拠も今日はないのであります。そうすると、私は、大臣発言はきわめて政治的なものを含めた発言ではないかというふうに勘ぐらざるを得ない、邪推せざるを得ない、こう思うから申し上げておるわけでありますが、私の申し上げている点の矛盾にお気づきになりませんか。
  58. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私がいまちょっと前に答弁した中で、昭和四十五年に早くきめたと言いましたが、これは四十六年の間違いで、四十六年の四月二十六日に諮問したということに訂正をいたしておきます。  それから、現在の物価問題については、収穫期と言いましても、早場米の地帯とおそ場米の地帯がありますし、早場米のところは八月に入ってくる。こういうふうなことでありますからそれよりも前にきめる。それよりも前だけれども、なるべくそれに近いようなところがいいんじゃないかということで、実際は、六月とか、七月とか、そういうふうなところがいいんじゃないだろうかというようにわれわれは考えておって、ほかに別に他意は何もありません。いままでも、例年、別に、農業団体としては、そう早くきめろ、早くきめろというふうなことを言われたことはあまりないのです。(島田(琢)委員「いや、そう言っているんですよ」と呼ぶ)いや、そういう陳情を受けた記憶は、私はあまりありません。
  59. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そうすると、米価に限らず、乳価も、あるいは当面起こっているビートの価格決定も、その方式とそういう考え方に立ってやることが正しいとお考えですか。  わかっていらっしゃらないようだからもう一度言いますが、いまのように、収穫期に近くきめるという考え方を持っているというお答えだが、そうすると、ほかの農畜産物も収穫期に近いところできめるということが正しいとお考えでしょうか。ただ、乳価については、収穫期といったって、これは毎日しぼっているわけですからね。私がなぜ乳価も言ったのかというと、来月は、この問題は、先ほど次官からお話しのあったように、もう決定の時期になっておりますからどうですかと、それも含めてお尋ねをしたわけです。
  60. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御承知のとおり、豚価とか加工原料乳等については新しい年度から適用するというようなことで、ぎりぎりのところの三月の半ばから末にかけてきめておるということであります。ビートは四月にきめるというようなことは、政令でずっと前からやってきておるわけであります。
  61. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 さて、政令できめているから四月十日にきめるのを固執されているふうに聞こえますが、政令は閣議で変えていただくことが何ぼでもできるわけです。私は、ビートの価格決定の時期についても、先般倉石農林大臣と議論をいたしました。大臣は、まことにわかったようなわからぬことを言って、この決定時期に固執をされました。私は、だから、今日起こっている実情をまずお話し申し上げたい。その実態の中で、告示期日を、ことしは思い切って変えるということがなかったら、甘味資源の大事な柱であるてん菜の生産確保はむずかしいということを申し上げたのです。ずいぶんくどくどこの問題でやり合ったのでありますけれども、大臣は十分末端の事情承知しておられない。ですから、きょうもう一度この問題を申し上げるわけでありますが、北海道のビート、てん菜は今日どういう状態になっているかということを次官は原局から十分お聞きして承知でしょうか。どうですか。
  62. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 ビートの問題については、一応のことは聞いております。  それから、島田先生の御質問の趣旨がよくわからないのだけれども、米は早くに値段をきめなさいという御意見はわかったが、そうすると、ビートも繰り上げて早く値段をきめたほうがいいという御意見ですか。(島田(琢)委員「そうです。その前提に立って、私が、そのことを政府としては固執するのですかと……」と呼ぶ)  私は、ビートの問題についてはよく検討していませんからわかりませんが、米の場合は、いま言ったように、物価がどんどん上がっていくから、そうかといって収穫期まで待つわけにはいかないので、まあ六月ごろにきめるのがいいんじゃないかということを言ってきたのです。ただ、ビートについては、四月から作業に入るというようなことで、一応四月ということになったのですが、最近は技術がいろいろ、ポットとかなんとかということで変わったようですね。そういうふうなことで、多少それらの点について検討するところができるかどうかわかりませんが、当面、ことしは、その決定時期を変更するというような考えはいまのところ持っておりません。
  63. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 次官はビートのことをよく御承知でないようでありますから、池田局長から答弁していただくことも私は差しつかえありませんし、どうかひとつ次官にかわってお答えください。  ただ、次官、よく聞いていてください。私は、決定の時期を繰り上げろと言った一つの背景にあるものをお話ししますが、今日、北海道では、私は最近の資料をいただいているんでありますが、六万一千ヘクタールが昨年の作付面積であります。ところが、いま北海道で騒ぎが起こっているのは、もう八千五百六十円のこの価格では、ビートをつくっても、とても採算がとれないので、ことしはビートを見合わせるという動きが非常に顕在化してきました。いま調査をいたしてみますと、昨年の二割減確保することもむずかしいという実態にある。いろいろな調べがありますけれども、私は、いまのままでいったら、四万ヘクタールを確保することが困難ではないかとさえ私自身の感触では考えております。第一、六万ヘクタールという面積は、ひとり農家がつくって、それでいわゆる採算のとれる総体の面積というのみではありません。ビートは、御存じのように、工場で加工して砂糖をつくるものであります。北海道には九工場あります。ホクレン、日甜、北海道糖業、この三つの企業が砂糖の加工に専念をしているわけであります。九工場持っているのであります。この一工場の糖業の採算のベースというものはおのずから規模があるだけに、一つの、どうしても割ってはならない操業の規模というものがあります。その上に成り立っている六万一千ヘクタールというのが今日の北海道のビートの作付実態なんであります。  この六万ヘクタールがかりに確保されないとしたら、国内の砂糖、甘味資源の確保はもとよりのこと、いわゆる糖業の企業自体が成り立たない。——いまの言い方は逆でありますけれども、糖業が成り立たない。砂糖ができない。砂糖ができないなら、今日の国内の甘味資源確保ができない。そう私が言うと、世界に砂糖が一ぱいあるからとおっしゃるかもしれないが、砂糖は、いまさら長々言う必要のないほど次官もおわかりのとおり、すでに国際砂糖協定はパンクして、いまそう簡単によそから昔のように砂糖が安く持ってこれるという実態にないということは、何も申し上げる必要がないほどよくおわかりです。だから、大臣は、この間、当面急いで二八%くらいの自給率まで高めていかなければならないと思っていますということを私に答えているのでありますが、そういう大事な砂糖が、いわゆる種まきが来月始まる時点で、いま面積の確保ができないということが北海道に起こっている。これが大騒ぎになっている原因なんです。  だから、この状態を打開するためには、ことしの、昭和四十九年度の原料ビートの価格はかくかくだということを、いまのうちに、来月種まきが始まる以前に方向を示してやらないと、これはだれもつくりませんよ。そういう危機状態にあるんですよ。だから、いままでのように、四月十日の告示にこだわっているようなことではこの問題は解決しませんよということを、私は、大臣に繰り返し、繰り返しくどくどと申し上げたわけですが、さっぱりわかっておらぬのであります。次官ならおわかりでしょうと思うから、きょうは、もう一度政府側を代表してあなたにお答えいただきたいと思って申し上げたわけですが、おわかりいただけたでしょうか。
  64. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 四月十日を繰り上げろという話は、ここで確約はできません。閣議決定事項ですから、私が独断でここで確約はできませんが、ともかく、原料価格も上がったことでもあるしするので、去年は三・八%、三百十円、トン当たり上げたわけですね。とてもこんなことじゃ困るというので、これはやはり値段が上がっているんですから、値段は上げるように——これは皆さんの御希望どおりになるかどうかわからぬが、大体何となくわかるようなことはして、ビートの面積というものは確保できるようにやりたい。今度は三百十円にこだわりませんよ。必ずもっと上げる。
  65. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 冗談じゃないです。次官、三百円や四百円上げてどうするんです。それにこだわらぬといったら、一体どの単位で上げてくれるのでしょう。この間も、倉石大臣は、心配するな、おれにまかしておけという意味のことをおっしゃった。ところが、農民は、過去のビートの値上がりの幅というものを承知しているんですね。二百円か三百円しか上げてくれない。スズメの涙ほどしか上げてくれない。これだけ言うても告示期日にもこだわったりしていて、生産者に対して親切な姿勢を見せないようなことがいま農民としてはわかっているものですから、おそらく、大臣あるいは政務次官が言ったって、何ぼ上がってみたって知れたものだろうということで、政府に対する不信の念がものすごいのです。ですから、三百円にはこだわりませんとおっしゃるなら、どうですか、あなたの考えで、いまのビートはどれぐらいにしなければいけないとお考えですか。
  66. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは額の問題ですから、私がここで責任者として何円ということを言っちゃうわけにはまいりませんが、これは、いままでのような三十円だの五十円だのということで三百円とか言うのでなくて、これはもっと上げます。それで、三月中に最低これくらいはというようなことは、きまらないけれども、何となくわかるように流したいと思っています。
  67. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 ついでにお願いしますが、次官、三月中じゃだめなんです。なぜだめかというと、もう来月に入ったら、十日ごろには、北海道は、雪を割って、ビニールハウスを建てて、種をまいてしまう。だから、いい価格が出ないのならビニールハウスも建てませんし、種まきもしません。今月一ぱいか、おそくたって、うんと譲ったって、三月の五日ごろまでに、あなたのいまおっしゃっていることを具体的に示していただけますか。何となく、ということでもいいですよ。そこまで固執するのであれば一万五千円くらいは何とかするぞというニュアンスでも示してくれれば——次官、きょうは、実は、北海道のビート耕作農民がたくさんおいでなんですよ。皆さんはうちへ帰ってこれを知らせるんですよ。
  68. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私はおおよそのことを言ってもいいと思っているのですが、事務当局のほうとしては、それはやはり困るということなのでありまして、第一、数字が出ない。なるべくきちんとした数字を追って出しても、かなり上がるのです。上がるのですから、やはり四月に近い時点まで追っていったほうが、事務的にはこうこうこういう根拠でこういうふうになりますと——これは生産費、パリティ両方しんしゃくしてやるわけですから、その作業がきちんとまとまらないうちに国会の席で政務次官が数字のおおよその話はしないほうがいいだろう、こう思います。
  69. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 しかし、私は、冒頭で、あなたのような型破りの次官がおるということに一つの評価をしたんですよ。だから、どうですか、ひとつ型破りに、ビートだけおれにまかせろ、これくらいのことはおれが何としてもがんばってやるぞというくらいのことはできませんか。だって、あなたは、政府側にすわっていないときには、いつもそれをおやりになったでしょう。政府がきめたって、そんなこと言ったってだめだ、何ぼ何ぼ上げろと、湊さんも一緒になってやっているんだ。それくらいのことはできませんか。どうですか。きょうはひとつおおよその腹を——局長局長です。あなたは政府側の代表ですから、安心して帰ってもらうように、何とかひとつできませんか。どうですか。
  70. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほどから言っているように、何も国会で答弁しなくても、それとなくわかるようにすればいいのですから、安心してつくってもらえるように——私は、きちっと、こういう根拠で何円ということでなければ、なかなか責任を持って国会の席で申し上げられないけれども、そういう事情がありますから、これは減っては困ることでもありますので、まあ、非公式に、最低はこれくらいのところを下らないようにいたしましょうというようなことは、おりを見て申し上げることができるだろうと思います。それについては、ほんとうに一生懸命それを実現するように、もちろん責任はとる。だから、ここでいま資料も出ないうちから何円、何円と言うことは、これはごかんべんをいただきたい。
  71. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 先ほど、三月中にと言いましたけれども、次官、これはだめですから、ひとつ早くやっていただきたい。私の言った三月五日ごろまでには、いまの次官の含みのあるお考えを出すことができるようにしていただきたいと思いますが、どうですか。
  72. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 できるだけ早く——しかし、そういうふうなものの計数が出てきますから、それよりもあまりかけ離れない程度で、最低はこの程度というものは何となくわかるように、なるべく早くやりたいと思います。
  73. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 あなたのきょうの答弁のいかんによって、いま四万ヘクタール確保も困難なものが、あしたいきなり一万ヘクタールふえるかもしれないほど、それほどいまは非常に敏感なんですよ。ほんとうに敏感なんです。私は、これは笑いごとで言っているのじゃないのです。いわゆる甘味資源の確保のためには、北海道の耕作農民も責任を持つと言っているのです。心配ないように、大臣が言うように、二八%のシェアまで引き上げるということなら、われわれも一生懸命がんばる。しかも、これは寒地作物として欠くことのできない大事な作物であり、また、ローテーションの中に占める重要な作物であることも十分わかっている。何もかもわかっているけれども、今日の価格ではどうしてもできないということを言っている。私は、これは無理ないと思うのです。非常に農民というのは正直であります。私も農民ですから正直です。ですから、私は、ほんとうにいまそういう期待を込めて申し上げたのですから、どうかひとつその期待にこたえるように、渡辺次官としての思い切った力の発揮をこの際お願いを申し上げておきたいと思います。  それから、時間がだんだん迫ってきましたが、いつも時間が足りないわけでありますが、乳価問題がございますが、乳価問題も先般倉石大臣と議論いたしましたけれども、どうも、いま一つはだに触れない。私は、政府側としては酪農危機をはだに受けとめていないというふうな一面のもどかしさと、国会でいろいろとこの議論をいたしましたあとの何とも言えないむなしさと虚脱感に襲われているのであります。この私の虚脱感なりむなしい思いというものは、今日農民がひとしくみな持っていることだと思うのです。とりわけこの乳価問題ですが、こんなにえさが上がりながら、一体だれにこの犠牲をしいているのか。だれにこの犠牲をしいて今日の酪農を進めさせようとしているのかということは、もはや私が言うまでもない。非常に深刻な事態であります。このえさ問題についてだって、きょう、たしか、この中に、先ほど竹内委員が話の中に出しておりましたように、もう十日近い長い間東京においでになって、深刻な訴えをされている代表の皆さんがお見えだと思うのです。これはあだやおろそかなことではありません。自分の経営をぶん投げても今日の酪農畜産を守らなければならぬということで、えさ問題を中心にして御上京になっているのであります。これは次官の県からもお見えでしょうし、湊さんの県からもお見えになっているようでありますが、非常に深刻なんです。そして、大臣も、次官も、そうした値上がり分については価格に反映していきたいということで腹をきめられたようでありますけれども、しかし、私どもがもう一つ心配するのは、昨年から三万円以上も上がったえさ、これをそのままストレートに価格に反映するということが一体できるかどうかという問題が一つ残ってくると思うのですが、このことはきょうはおきたいと私は思います。私どもは、それを適正に反映すべきだし、できない部分については、財政措置政策措置をとりなさいという要求をいたしておるわけでありますから、そのことにあまり詳しく触れることはやめておきますけれども、しかし、この間私が、私の試案という立場で、九十四円五十銭以上なければ今日再生産は不可能ですということを大臣に申し上げた。これは四十七年度の材料を基礎にしての計算であります。これは二倍の値上がりになるわけであります。今日、この状態の中でえさ値上がり分を考えていきますと、二倍の乳価でもとてもやれぬだろうということが言われます。いろいろな資料をもとにしての計算をしてみましたけれども、どうしてもいまの価格の中で問題になる点があります。  その一つは、まず、試算方式を従来のような形でやるとしたら、どんなに逆立ちしたって、二倍の価格を実現することは技術的にむずかしいと思います。したがって、第一は、いわゆる政策的な考え方、発想の転換というものが今日非常に必要であります。  次には、この試算の方式例を思い切って変えなければなりません。これは湊さんが私案でお出しになっているから、私は、自民党の中でも研究はされているだろうと思うし、そのことを次官もお聞きになっていると思いますから、あまり詳しく触れる必要はないと思いますけれども、重要な点を二、三点申し上げておきますが、お考えをお聞かせください。  その第一点は、これも長いこと生産団体、農業団体から要請のあります事項の第一の問題なんでありますが、家族労働費のとり方がきわめて矛盾しているということ、いわゆる飼育管理を中心にした飼養管理労働の単価計算のしかたと、牧草飼料作物をつくるときの労賃単価計算の仕組み、これが実は別になっております。本来、今日のような状態の中で、臨時雇いを使って牧草をつくっているような実態というものはごくごくまれであって、大半は、牛の乳をしぼりながら牧草をつくり、デントコーンをつくっているのであります。質においても、量においても、内容においても、何の変わりもない労働を投下しながら、この評価が二本立てになっているという点はまことに矛盾であるばかりか、世界各国の乳価計算方式を検討してみましても、こういう悪い方式をとっているのは日本だけであります。理屈に合わぬやり方をしているのは日本だけであります。これをどうしてもことしは変えなければならないと思います。  それから、第二点は、飼料価格の反映のしかたであります。これは貸してある金もあるし、それから、平均三千円で補給している金もあるしとおっしゃるかもしれないが、現実に上がった飼料というものは、ストレートに畜産酪農民のもとに負担が行っているのであります。その分はストレートに乳価に組み入れてくれなければ、農家はたまったものではないのであります。そういう方式をとっていただきたい。従来の濃厚飼料配合飼料中心にした飼料自給飼料以外の流通飼料のとり方というものは、非常に複雑で、高等数学に属するもので、実は、われわれもよくわからぬというのが実態であります。これを単純明快な方式に改めてもらいたいというのが第二点であります。  それから、第三点は、副産物のとり方で、いわゆる三十六銭安などといって、悪名高き畜産審議会の答申をわれわれは昨年受けたのでありますが、これは副産物のとり方の基礎、あるいはまたそのやり方に問題があります。御承知のように、副産物の中の堆肥というのは、堆肥バーンの中に積み上げていくまでの費用価を積み上げた費用価計算方式であります。ところが、農家は、堆肥場に堆肥が積まれただけて、その堆肥の価というものは発生しません。全体の経営という立場から言えば、その堆肥が畑に持っていかれて、畑の土壌の中に完全にすき込まれて、初めて副産物としての価値が出るわけであります。何となれば、堆肥を買ってくれる店屋もなければ、市場もありません。これは自分のところで使わなければならないものであります。それを畑に持っていく段階ではなくて、堆肥場に積まれての費用価計算ですから、きわめて矛盾である。それを計算して、そこから持っていくいろいろな機械代や労賃を計算して、副産物から差し引いてまいりましたら、マイナスになってしまうのです。逆に、政府側からもらわなければならぬ。試算の中に積み上げてもらわなければならぬというものであります。そういう矛盾をまず解決してもらいたい。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、土地資本のいわゆる土地の評価の問題であります。これも、近傍類地の小作料をもって一応の地代評価にいたしておりますけれども、私は、これも一つの矛盾だと思います。ですから、私は、時間がありませんから具体的な提案はできないのですけれども、ちょっと申し上げておきますと、地代、資本利子と称する、この評価の問題については、私は、統計調査のあり方にも問題があると思いますので、これはまた別立てで私の考え方を申し述べたいと思いますが、この地代のとり方も、言ってみれば、都市近傍の酪農家もおれば、あるいは山岳酪農家もおれば、あるいは普通のいわゆる平地で酪農をやっている人もおり、いろいろまちまちであります。しかし、今日、その地代のとり方というものは、単に近傍類地の小作料だけを基礎に置いて計算するということはきわめて矛盾であります。貸してくれる人も、借りる人も、自分の経営の中で、いわゆる乳価逆算で、これだけしか小作料を払えないというものが基礎になって近傍類地の小作料ということになっておるわけであります。非常に安く評価されているというのが実態でありますが、借りているのは逆にそうなっておらぬのであります。そういう点のいわゆる地代のとり方については、別な時間にまた私の考え方を申し上げたいと思いますが、以上の点、あるいはまた、牛乳の輸送を含めました諸掛かり、手数料というものは非常に値上がりをしております。現状に的確に沿うような反映を乳価についてぜひしてもらいたいという希望がこの中にもありますので、以上申し上げた幾つかの例をもとにして、ことしの加工原料乳の試算にあたっての内容、方式のとり方について、大幅に変えるお考えがありますかということを、まずお尋ねをしたいのであります。
  74. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 試算の方式については、政府与党内部で合理的な方法を目下検討中でありまして、まだ結論に至っておりませんが、あなたがおっしゃったようなこと等も十分にしんしゃくをして、いずれ決定をされることと存じます。その方式が決定をした場合には、当然その方式でやる。かねて、飼育管理労働の問題で、たとえば自給飼料の労働費の中で、トラクターの運転とか何かを、管理労働と同じように他産業並みにしたっていいじゃないかというような御議論があります。私は、もっともな点も幾多あると思いますから検討してもらっておるわけであります。  えさの問題は、その他のものは十一月ごろまでしか織り込んでおりませんが、えさはここへ来て急激なる値上がりをしておりますので、二月分の値上がり分まで当然にこれは織り込むべきものである、こういうように考えております。  また、その他、島田委員からいろいろおっしゃられましたこまかい問題につきましては、十分に検討させてもらいたいと存じます。
  75. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 これもまた価格決定の時期というものがありますが、従来、昨年もきびしく政府側に私どもの意見を出したのでありますが、この国会で十分の議論をする余裕を与えないで実は告示される。それはなぜそうなっているかというと、この畜産審議会を開く時期が非常に問題なのであります。日曜にかけて、土曜にかけて、それを避けるような形で審議会を招集する。こういうふうなことで審議会に出された朝、われわれがせいぜい一日か半日しか議論できないような物理的な状態に置いておいて国会の議論をせよというのでありますから、十分な議論を尽くすことができないまま告示をされてしまうというのが従来の例であります。したがって、私は、畜産審議会はできるだけ早く、具体的に言うならば三月の中旬にはもう開くべきだ、そして、もちろん国会の論議を経て告示をすべきだという主張をしておりますが、この考え方については、お考えはどうですか。
  76. 澤邊守

    澤邊政府委員 畜産振興審議会は、例年のことでございますが、最新のデータを使いまして保証価格並びに安定価格を算定しておはかりをするということを考えておりますので、最新のデータが集まるのを待って早急に開くということで取り運んでおるわけでございますが、従来の例で見ますと、三月の中旬に総会を開きまして諮問をいたしまして、これは総括的な諮問をいたしまして、引き続き一週間後ぐらいに、飼料部会食肉部会酪農部会という順序で、それぞれの部会におきまして、飼料需給計画加工原料乳保証価格豚肉安定価格諮問をすることにいたしております。できるだけ早めてやりたいとは思っておりますが、先ほど申し上げましたような資料の整備の点もございますので、今年も昨年とおおむね同じような時期に、まだきめておりませんけれども、至るのではないかと思っております。
  77. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 こんなに大事な時期に、従来の方式とか時期とかいう考え方にどうしてこだわるのですか。酪農危機だと言われて、昨年、一年間、もうえさ一つだって——農林省は、まさにえさに振り回されて一年間過ごしたとさえ言われている。私どもは、昨年の八月に畜産審議会を開いて、今日のこの酪農危機について真剣に討議、検討してもらいたいという申し入れをしたにもかかわらず、今日まで審議会をついに開かないできた。審議会はそれほど大事ではない審議会なんですか。先ほど竹内委員からも、審議会というのは委員のメンバー構成に問題があるという指摘をいたしましたが、あなた方も、審議会はたいしてたよることにはならぬというお考えのもとに今日まで審議会を粗略に扱ってきたのですか。こういう事態であれば、真剣になって、やはり、審議会政府側と一緒になって検討するという姿勢が示されてこないと、この危機を乗り切ることはできないと私は思います。そんな審議会なら要らぬではありませんか。どうですか、局長
  78. 澤邊守

    澤邊政府委員 畜産振興審議会につきましては、先ほど申し上げましたような日程を想定いたしておりますけれども、配合飼料の相次ぐ上昇等によりまして、畜産が大きな問題に当面しておるという点を考えまして、来週の月曜日、二十五日でございますが、懇談会形式によりまして畜産振興審議会を開催いたすことにいたしております。ここにおきましては、最近の飼料値上がり等中心といたします畜産事情につきまして、酪農豚肉はもちろんのこと、養鶏、ブロイラー部門等を含めまして、総括的に現状を御説明して認識を統一する。そして、それに伴いますところの、農林省で現在考えております当面の対策について御理解をいただくとともに、三月中旬から開かれます畜産振興審議会において審議されます加工原料乳保証価格豚肉安定価格決定に際して、政府として留意すべき諸点について忌憚のない御意見をお聞かせいただく、その御意見を十分参酌して本審議会に臨む、こういう考え方で懇談会を開催することを予定いたしております。
  79. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 なぜ懇談会にするのですか。昨年も懇談会で三十六銭安などという結果になって、懇談会については、酪農民はいま非常にアレルギーになっているのです。また、その懇談会なんかでお茶を濁すというようなことをなぜおやりになるのですか。審議会の本会議を開くべきです。渡辺次官、いかがでしょうか、私のこの考え方は。
  80. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 審議会は三月に入って開くことになっておりますから、その前に、審議会で、一番いいような算定方式なりあるいはその他の問題について、あらかじめ委員の方から意見を聞いておいて、それらの意見を基礎として、審議会に出す資料を一番いいように整備をしておくことがよいのではないか、そのために懇談会でざっくばらんな話を聞いたほうがいいだろう、こういう考えでやっておるわけであります。
  81. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 来週の月曜日、二十五日に審議会を、懇談会にしても、とにかく開くという姿勢を持たれたことについては、私は、これは評価をいたします。しかし、せっかくお開きになるなら、懇談会なんていう、まことに不評な会議の持ち方はおやめになったらどうですか。フリートーキングは審議会だってできるでしょう。そういうことでおやりになってこそ、はじめてこの畜産危機に対応する政府の姿勢ではないですか。ことばや字句にこだわるわけではありませんけれども、審議会懇談会とでは、政府の取り組む姿勢のあらわれというものが非常に別になってきます。せっかく開くのであれば、審議会の本会議を開くべきだ。私は重ねて要求をいたしますが、次官、いかがですか。
  82. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほどお話しをしたとおり、三月に審議会を開きますから、その前にざっくばらんにお互いにものを言ってもらって、そうしてやったほうがいいじゃないかということで懇談会ということにしてあるわけであります。
  83. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そういう壁をぜひ渡辺次官に開いていただきたい。そうでなければ、渡辺美智雄という名前が泣くじゃありませんか。それじゃ、従来の次官と一つも変わらない。その壁を破れるのはあなただということを、私は、冒頭で評価をしながら申し上げたのですが、どうなんでしょうか。そんなことも、次官には力がないのですか。それじゃ、青嵐会の親分だなんというのは、もう看板をおろしたほうがいいじゃありませんか。どうですか、それは。それくらいのことはひとつやってください。
  84. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私もスーパーマンじゃありませんから、そんなにあれもこれも全部発想の転換をするというわけにいかないのであって、先ほど言ったようなことなど、発想の転換をはかっていくこともたくさんありますので、まあ、一つだけを見ないで、全体で御考察をいただきます。
  85. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 時間が過ぎてしまいましたので、次の質問の関係もありますからこれでやめますが、きょう、実は、ここにたくさん傍聴者お見えですが、これはみんなビート、えさ畜産酪農危機を訴えに参っている方々ばかりであります。こういう方々ばかりでありません。いま、全国各地では、今日の農政、農業のたいへんな危機を国会がほんとうにどうやって突破してくれるだろうか、あるいは、将来の日本の農政に明るい光を与えてくれるだろうかという期待を持って、耳をそばだて、かたずをのんで見守っているのであります。私どもも農政にこうやって参画している限り、もちろん真剣に身命を賭してやらなければならぬと決心を新たにしておりますけれども、いかんせん、受けて立つ政府側が、すべて従来のありきたりの答弁あるいは姿勢を繰り返しお述べになっている。その域を出ていない。期待をすると私が言った渡辺次官も、私もスーパーマンではないなどと、いまごろ弱腰で逃げ腰になられたのでは、だれが生きていけるのでしょうか。  思い切って農政を大前進させるための努力をすることをぜひとも期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  86. 仮谷忠男

    仮谷委員長 芳賀貢君。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本日は倉石農林大臣が出席されませんので、この際、責任ある担当の長官並びに局長の皆さんに、所管事項についての質問をいたします。  まず、第一は、食糧庁長官と農蚕園芸局長にお尋ねしますが、先般の倉石農林大臣の当委員会における農政の基本に対する所信並びにこれに対する同僚各委員の皆さんの質疑を聞いておりますと、特に、米価並びに農畜産物の価格決定の時期に非常な関心を持っておられるわけであります。第一に、米価決定の時期については、倉石農林大臣の言をかりると、現在のように物価変動あるいは賃金の上昇が激動しておる場合においては、むしろ、米価の決定については、収穫期直前に的確な価格決定するほうが食管制度の運用から見ても適切であるというような、そういう考えを数度にわたって繰り返しておるわけであります。決定の時期は非常に大事な点でありますが、この際、食糧管理法によりますと、法律の条文においても、もちろん政令においても、生産者米価決定の期日というものが根拠規定としてないわけであります。そういう法制上の根拠のない形の中で毎年の大事な生産者米価の価格決定と告示をやる。その時期の選択というのは非常に大事なことになるわけでありますが、この点について、所管の食糧庁長官から、考えがあれば明らかにしてもらいたい。
  88. 三善信二

    ○三善政府委員 米価決定の時期につきましては、先ほども島田先生から御質問がありましたし、政務次官からお答えされましたとおりでございますが、私ども、事務的に考えますと、先生よく御承知のように、従来、六月とか七月とか、そういうことで米価の決定時期はやっております。と申しますのは、やはり、直近時のデータというのが一番重要になってまいりますし、生産費自体も、四月ごろまででないと、そう早くは出ませんし、物価等も、五月等の物価の上昇まで織り込んでやるというようなことでやってきたわけでございます。それは先生御承知のとおりでございます。そういう意味におきましても、田植え前に早くきめるということは、データ問題等もございまして、事務的には、やはり従来どおりのやり方のほうが、長年それをやってきたわけでございますし、ベターではなかろうかという感じをいたしております。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 政府委員に申し上げますが、まず、質問者の質問の趣旨をよく聞いて、それから答弁するようにしてもらいたいと思います。  私がいま尋ねたのは、現在の食糧管理法の条文の中には、生産者米価の決定の時期、告示の時期についての根拠となる規定がない。規定がないから、したがって、政令にそれをゆだねるわけにもいかぬのであるが、その他の、たとえば先ほど同僚島田君が議論しました加工原料乳保証価格の告示の時期、あるいはてん菜の生産者価格の告示の時期、あるいはまた不足払いによるところの大豆、なたねの基準価格告示の時期、いずれも、政府が法律を根拠にして農畜産物の価格決定の公表をやる場合、告示をやる場合の時期というものは、おおよそ政令にゆだねておるわけでありますが、食管法の場合にはその根拠がない。その、ないことについて、食糧庁長官として、実際に食管法を正しく運用する責任があるんだが、その点はどう考えておるのか、ないのがあたりまえだというように無関心で食管法を運用しているのかどうかということを三善長官に尋ねたわけです。
  90. 三善信二

    ○三善政府委員 御説のとおり、食管法には、毎年きめるということで、いつきめるという規定はございません。ただ、規定がないからといって、私ども、従来から、先ほど申し上げましたようなやり方で時期はきめておりますし、特にそれにおいて問題があるとは思っておりませんし、それだから特別に時期を規定しなければならないというふうには考えておりません。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特に、価格決定の時期が、最近は政府・自民党の一方的な御都合によって毎年変化しておるわけです。去年の場合には、田中首相がアメリカから帰ったあとということで、八月の三日に決定しておる。一昨年は七月の決定ということになっておるわけでありまして、食管法の趣旨を体して最も適正な時期にきめるということが運用されていないわけですね。だから、先般来の倉石大臣の発言を見ても、直近時にきめるということは一応相当の理由はあると思いますけれども、決してそうではないと思うのです。一般の国民考えは、ことしの米価決定は、保革逆転と言われる参議院選挙を中心にして、参議院選挙の前にきめるか、参議院選挙が終わってから生産者米価を決定するか、そのいずれの時期にきめるかということに大きな関心を持っておるわけです。ただ、問題は、参議院選挙を有利にするということであれば、どうしても、思い切って生産者期待に合致する米価の大幅な引き上げをする必要がある。参議院選挙後ということになれば、もしも自民党の参議院の議席が大幅後退ということになれば、そのときにはもう政権担当の意欲を失っておるときであるから、どのような価格ということは判断できないわけであります。万一現有勢力を維持するというようなことになれば、安心して低米価できめる。私は、時期はここにあると思うのですね。この際、この政治的な判断というものを抜きにして、事務当局としては、参議院選挙をはさんで、その前にすべきか、あとにすべきか、これについてはどう考えておりますか。
  92. 三善信二

    ○三善政府委員 私ども事務当局として、別に政治的な判断をしているわけではございませんし、先ほどの私のことばが足りなかった点をもう一つ追加して申し上げますと、先生御承知のように、予約限度数量を配分いたしまして、予約が最終的に決定をいたします前に米価はきめるということは、これは事務的には当然のことでございますし、事務的な問題としては、時期をそういうことにも合わせてやっているということでございます。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、昭和四十九年の米の生産調整全国都道府県ごとの目標の割り当てがすでに終わっておるわけです。その次の手順として、四十九年度のいわゆる予約限度数量、その内訳は、政府の直接買い入れと自主流通米の数量が内訳になるわけでありますが、すでに、政府におかれましても、現在の国内あるいは国際的な食糧の需給事情というものの逼迫性というものを相当認識して、いままでの海外依存の食糧政策というものをある程度方向転換をして、そうして、国内の食糧の自給度を高めるための農政について踏み出したと言ってもこれは差しつかえないわけです。これはあたりまえのことをようやくいまからやるということでありますが、そういう方向に対して、五カ年計画の三年目ではありますけれども、この際、国内における食糧の生産というものは、最も生産性の高い高度の生産期待できる作物を中心にして自給率を高めるということは、これは当然なことだと思います。それにもかかわらず、ことしからは休耕奨励はなくなったわけでありますが、転作を中心にして百十八万トン、そのほか土地改良の通年施行で十七万トンでありますから、百三十五万トンの生産制限を都道府県に割り当てをしておるわけです。これは前年度に比べれば約七十万トンの緩和ということになるわけでありますから、それだけ量的な確保はできるわけでございます。予約限度数量についても、おおよそ四十万トン昨年よりは量をふやしておることは承知しておるわけでありますが、前年に比べてこういうように大幅に緩和する調整数量、予約数量制度を通じて、政府の買い入れあるいは自主流通米を相当量的に確保するというような方針のもとで、都道府県に対する生産調整と予約の数量を示した中において、北海道だけについては特別の方針というものが示されておるわけであります。これはやはり何らかの目的がなければ、北海道に対しては昨年よりも生産調整の数量を逆にふやす、予約限度数量を昨年よりも減額するというような——国の方針の中で、地域的に北海道だけ逆に扱うというような扱い方はすなおに了解することはできないわけであります。北海道五百二十万の道民はもちろんでありますが、われわれ国政の立場から見ても、北海道だけに対して、きびしく稲作を圧縮する、水田農業を圧殺するというような強い方針を、自給拡大の必要性の中でとる根本的な理由というものはどこにあるか。これは、政治方針としてはあとで倉石農林大臣に尋ねますが、この生産調整の仕事を担当した松元園芸局長並びにそれを受けてというか、通謀してというか、少ない限度数量を割り当てた三善長官に、それぞれ率直に意見を聞かしてもらいたいわけです。
  94. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいま御指摘のように、全国ベースといたしましては、稲作転換目標数量というものは七十万トン減少をいたしたわけでございまして、問題は、その場合、それをどのように都道府県別に配分して目標を示すかという問題でございますが、確かに、従来と配分のやり方をくふういたして、変えたわけでございます。と申しますことは、本年度の一番のポイントは、従来と違いまして、休耕はなくなって転作一本になるわけでございます。そういたしますと、転作が目標とほぼ合うように、あとの実績も合うように、そういうふうに適正に目標を配分するということが大事になってまいるわけでございます。従来の経過を見ますと、過去四十六年からやってまいったわけでございますが、全体の休耕を含めます生産調整の目標数量でございますが、さらにその中の転作というふうに見ますと、地域によって目標と達成率の間に非常にギャップがございます。これはもちろんその地域、地域の事情がございましょうし、特に、北海道の場合には、非常に農家の方々がこの趣旨を御理解いただきまして、非常に御協力いただいたことはありがたいわけでございますが、そのように、目標度に対しまして達成率も非常に高い地域もございますし、また、逆に、非常に低い地域もある。それはやっぱりその地域、地域の事情が反映されているというふうに思われるわけでございますが、問題は、本年の場合には、転作一本になりました。したがいまして、国全体といたしましても、さらに県別に見ましても、配分された目標と達成された結果とがほぼ見合うようにしていくことが必要である。そういたしますと、やはり、どの程度転作し得るかという可能性を見きわめることが大事になってまいるわけでございます。  したがいまして、本年度の配分のやり方につきましては、従来地域使用ということが一つの大きなよりどころでございましたが、地域使用と従来の転作の実施状況というものを両者にらみ、さらに四十九年度はどの程度実際いくだろうかということを県を通じましていろいろ意見を聴取いたしまして、そういうことを総合判断の上でこういう結果に配分をいたしたわけでございます。北海道の場合に例をとりますと、北海道の場合は、過去を通じまして、目標数量に対しまして実績がオーバーをしておる。もちろんこれは御努力もございますが、それなりに農家の方々が転作に目を向けておるという面もあるわけでございまして、いま申しましたとおり、全国ベースでも、地域別にも、確実に目標が達成されるということに主眼を置きました結果、こういう配分をいたした次第でございます。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これに対して、食糧庁長官も同様の意見を持っておるのですか。
  96. 三善信二

    ○三善政府委員 いま農蚕園芸局長が申しました生産調整考え方、それに基づきまして、先生が先ほど申されましたように、予約限度申し込み数量をきめて、内示をいたしたわけでございます。  ざっくばらんに申し上げますと、北海道は、従来、数字的に、先生も御承知と思いますけれども、たとえば四十六年の場合には、事前売り渡し申し込み限度数量が七十三万九千トン、それに対して集荷量が四十七万二千トンと、端数ははしょりますけれども、二十六万トンぐらいオーバーして限度数量をきめております。四十七年度で申し上げますと、七十七万二千トンの限度数量に対して、集荷の実績、現実に集荷いたしましたのが六十六万六千トン、これもワクが十万トン以上、からワクになったという実績でございます。四十八年度、昨年度はごく最近の見込みでとりましたが、予約限度の申し込み限度数量は七十七万二千トン実は内示したわけでございます。それで実績は、持ち米も合わせまして——持ち米は一万七千トンてございますか、合わせまして六十万八千トンということで、十六万四千トンのからワクができましたわけでございます。御承知のように、四十六年、四十七年は、からワクが出るとそのままになって、ほかに配分するということができなかったわけでございますが、昨年、四十八年度は、やはり全体の計画数量、昨年で申しますと八百十五万トン、これを何とか集荷を全国的にするということで政令を変えまして、からワクが生じた場合には、それを県間調整でほかの県に振り分ける、配分するというようなことをやりました。現実に北海道の場合にはからワクが生じましたので、十六万四千トン、ほかの県にこれを配分したということでございます。この裏には、御承知のように、転作の実績というのが、非常に北海道は進んで協力してもらっている点もあるわけでございます。そういう実態を踏まえまして、今回は、先ほど先生が言われましたように、八百十五万トンの昨年の総集荷量に対して八百六十万トンというふうに全国的にこれを集荷するわけでございますが、やはり、県間で、現実に即した、実態に即した限度数量の配分をしていかないと、またかえって八百六十万トン集めるためには支障を来たすというような事態考えまして、実態に即した内示をいたしたような次第でございます。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはでたらめ答弁ですよ。四十六年から生産調整が正式に行なわれたわけだが、この生産調整目標というものは、あくまでも示す目標である。強要するものではない。それから、また、特徴としては、都道府県別の目標の定め方については同一の手法をもって行なうということで三年間やったわけですね。できるだけその趣旨を理解して、生産者においても協力してもらおうということで発足したわけですが、われわれ社会党としては最初から生産制限政策には反対であるということは皆さんも御承知のとおりです。ところが、この三カ年間の実施の経過を見ても、たとえば、東北、北陸等の主要なる米産県においては、政府がこういう目標を示しても、やはり米づくりでがんばるというような意欲が高いわけですからして、その中でも、田中総理大臣の出身県の新潟県等は、毎年生産調整目標の六〇%以内という実績に終わっておるわけです。これは、示した農林省としても、それでいいと言うわけにはいかぬでしょう。しかし、一番えらい総理大臣がそこから出ておる。くにへ帰れば、生産調整なんというのは何も気にしないで、つくりたい者はどんどんつくれ、新潟県の米は、一番値段の高い自主流通米で出せば、政府が買い上げ価格を安くきめても、おまえさんたちは何も心配ないじゃないか、おれが総理大臣をやっておる間は心配なく希望の方向でやってくれということを彼は毎回言っているわけでしょう。だから、農林省の役人がどう気をもんでも、どうすることもできないわけだ。  そういうことで、ことしからは実績主義ということを強度に打ち出して——北海道は、過去三年間調整目標を相当上回った実績を示しておる。ことし実績尊重の形で、来年の転作の生産調整についてはあくまで実績を基礎にしてやりますという結果が、ことしどれだけ休耕田が米作に復元するかということ、あるいはまた、あと二年たてば全部水田をつくらなければならぬというような生産者考え方というものは、実績を踏み越えて、ことしは相当水田耕作に熱意を燃やさなければならぬという時期に来ておるわけです。そういうものを全く無視するような形で、水をかけるような形で、権力的にこういう特別の割り当てを北海道に行なうということは、われわれとしては絶対了承することができないわけです。  そこで聞きますが、それでは、来年もう一年転作奨励が続くわけであるが、来年についてもことしと同じような実績主義でやるという考えかどうか。再来年になれば、これでもう五年間の生産制限の対策が終わる。おそらく、二年後には、政府のほうから全面的に米作を再開してもらいたいと言うような食糧事情になると思うわけであります。そういう二年三年の先を十分に判断して、そのときにまた施策の失敗を繰り返すことのないようにするためには、ことしの転作を中心にした生産調整の目標の設定というものについては、やはり相当慎重を期してやるべきであると思いますが、その点はどうなんですか。もう、ごたごたした、長々とした言いわけはしないで、こういう考えだということを率直に述べてもらいたいと思います。
  98. 松元威雄

    ○松元政府委員 説明がへたなのはおわび申し上げますが、まず、第一点として申し上げますのは、確かに、御指摘のとおり、地域によって目標と結果に非常にギャップがございました。したがいまして、私たちも、目標達成度の低い地域につきましてはさらに格段の努力をお願いしたわけでございますが、結果的にはなかなか向上しない。そうなりますと、そこは、やはり、地域なり、地域の事情もあるというふうに考えざるを得ないわけでございます。  ただ、もう一つは、機械的に過去の実績でやるという考えではなくて、むしろ転作の可能性というものを中心に置く。四十九年度どの程度転作をしていただけるであろうか、その場合の手がかりの一つがやはり過去の実績である。同時に、本年度の見込みにつきましても、都道府県の担当課を通じいろいろ意見を聞いたわけでございます。したがって、考え方といたしますれば、どのくらい転作するかという見込みが中心である、見込みを判断手段といたしまして、過去の実績も参考にし、さらに見込みも徴した、こういう考えでございます。したがいまして、五十年度のやり方をいますぐきめておるわけではございませんが、転作を中心にする場合には、やはり、転作の可能性を見きわめて配分を考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  99. 三善信二

    ○三善政府委員 いま松元局長が述べましたように、将来の問題としてはそのように考えざるを得ないと思います。  長々と述べるとまたおこられますので、簡単に私の意見として申し上げさしていただきますと、米というものは潜在的には余っているということで、やはり、転作ということは今後とも続けていかざるを得ないのじゃないかという考えでおりますし、来年、再来年ともそういう方向でおそらく続くだろうと思います。多少の緩和とかいうようなことはあり得るにしても、基本的にはやはりそういう姿勢でいかざるを得ないのではないかと、私はこういうふうに考えております。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 きょうは他にも質問する重要事項があるので、内容については次回にまたあらためてただしたいと思います。  ただ、北海道の場合は、生産調整の場合には、昨年の目標である二十一万九千三百トンに対して、ことしは三十七万四千六百トンですからして、前年度対比の指数でいくとちょうど一七一%ということになるわけです。全国的には前年度の目標に対して五八%の目標ということになるので、これだけを見ても、その内容はもう明らかであります。それから、四十九年度の事前売り渡し申し込みの限度数量についても、昨年の場合には七十七万二千四百トン、ことしは六十万六千百トンということになっておるので、おおよそ十七万トン北海道だけで限度数量を減額して割り当てをしておる。この点だけは、割り当て当事者としては弁解する余地はないと思うのです。それで、この問題はさらにまだ詰めてただす点があるが、きょうは保留しておきます。  もう一点、いままでは国内農業を圧縮して、御用学者の国際分業論等をたてにして、外国から幾らでも安い農産物を自由に買い付けができるからして、安あがりの食糧輸入によって、国内の食糧需給というものは心配がないということを旗じるしにしてやってきたわけですが、今日においては、輸入農産物畜産物は、国内政府が支持しておる価格よりすべて上回っておることはもう言うまでもないわけです。そこで、この際、食糧庁が管理貿易として所管しておるところの、たとえば外米とか外麦等の輸入価格、いわゆる国際価格というものがどうなっておるか。四十八年の政府買い入れ米価の場合にはトン当たり十七万一千円ということになっておるわけですから、トン当たり価格というか、日本の港に到着した価格、CIF価格がどうなるかということについて、事例をあげて述べてもらいたい。
  101. 三善信二

    ○三善政府委員 まず、最初に、先ほど先生がおっしゃいました予約限度、申し込み限度数量のことしの配分が、これは、ウルチだけで六十万六千百トンと一応内示いたしましたが、これは持ち米は別にいたしております。したがいまして、持ち米を別にいたしておりますから、昨年よりむしろ多少ふえているということを言っていいと思います。持ち米はこのほかに、昨年はたしか一万七千トン集荷できました。ことしは二万トンぐらいはぜひ北海道でやっていただきたいと思っております。これはまた別に配分をすることにいたしたいと思います。  それから、お尋ねの輸入価格国内価格でございますが、一番最近の数字で申し上げますと、米の場合、これはタイ米の一〇%ブロークンというのが一応公表されております。これがトン当たり五百十五ドルでございます。五百十五ドルと申しますと、十五万四千五百円でございます。それから、国内米の政府売り渡し価格は、平均で、精米トン当たり十四万四千二百円でございますから、精米で比べると、輸入価格のほうがまだ高いのですけれども、今度は、国内政府買い入れ価格と比較してみますと、これは精米のトン当たり十九万円ちょっとになります。したがいまして、十九万円ちょっとと十五万四千円でございますから、まだ、タイ米のほうが買い入れ価格と比べますとうんと安いという状況になっております。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官の資料はでたらめじゃないですか。われわれの手元にある資料では、たとえばいま言われたタイの場合には米の輸出禁止をやっておるわけですから、買い入れするといったって、これは日本に買い付けばできないわけですが、砕け米二〇%混入の低品位米で、一トン当たり五百七十ドル、これは邦貨換算で十七万一千円。一〇%の場合には大体七百ドル程度ですから、一ドル三百円にすれば、これは二十一万円ということになるわけです。アメリカの場合には、加州米で六百五十ドルないし七百ドルということになっておるわけですから、いずれもこれはトン当たりにすると十九万から二十一万円と、こういう現実の国際的な価格というものを、無理に低い数字を出して委員会で答弁しても、何も意味がないんですよ。だから、現実日本の米価は外国の米価格に比べて二分の一あるいは三分の一程度の——二倍ないし三倍高い価格だということを宣伝してやってきた政府の立場から見ると、今度は、外国の農産物のほうが値段が高いということについては、従来の宣伝が全く間違っていた、国内農業を圧縮するための便法としてそういう国際価格との比較論をやってきたということになっておるわけですから、この米をこれからも生産圧縮しなければならぬと言ってみても、圧縮して、少ない、足りない食糧を買ってくる場合に、国内生産するよりも全部高いものを買ってこなければならぬ。希望数量がそれだけ調達できないということは、これはもう子供でもわかっていることですからして、少なくとも一国の食糧行政を担当する食糧庁長官は、これは行政官では一番責任が重いわけですからして、この次は順調にいけば事務次官ということになるわけだから、もう少し大局をよく見て、どうしたらいいかということについても十分研さんしてもらいたいと思います。  その次には、畜産局長にお尋ねしますが、当委員会において、四十八年九月十八日に飼料緊急対策並びに畜産物価格に関する件の決議を行なっておるわけです。この決議の内容は三項目に分かれておって、その第一は、「九月以降の飼料の値上げについては、安定基金等に助成措置を行なうこと。」その二は、「加工原料乳保証価格並びに豚肉の基準価格等について検討を加え、必要に応じ畜産振興審議会等の意見をきき、所要の措置を講ずること。」その三は、「政府操作飼料の操作規模の拡大等適切な方途を講ずるとともに、この際、備蓄の確保についても配慮すること。」これは当然委員会の決議でありますからして、政府においてもこの決議の趣旨というものが尊重さるべきであるという点については、時の農林大臣が、十分決議の趣旨を尊重して努力しますと言っておるはずであります。それで、きょうお聞きしたい点は、決議の第二の、加工原料乳保証価格並びに豚肉の基準価格については、年度内ではあるけれども検討を加えて、所要の措置を講ずるべきである、つまり加工原料乳の保証のための補給金法あるいは畜産物価格安定法には、政府が年当初に定めた告示価格についても、年度内に経済変動が生じた場合においては審議会意見を聞いて農林大臣価格の改定をすることができるという規定を踏まえて、われわれの農林委員会においては、加工原料乳並びに豚肉の基準価格等については検討して改定すべきであるという点を明らかにしておるわけです。これに対して農林省として、担当の畜産局長として、審議会に対してどのような具体的な意見を聞いて、それを一つの参考にして、農林省としての乳価並びに豚肉に対しての適切な価格改定の措置を講じたか。講じなかったことはわかっていますよ。しかし、委員会の決議の尊重ということになれば、何にもしませんでは済まぬでしょう。畜産局が十月時点で計算をして、改定の必要はない、むしろ乳価はキロ当たり三十何銭下げる必要があるというような、こういう現実離れの資料だけをつくって終わったことになっているわけだが、一体、畜産局としてはどう考えているのか。
  103. 澤邊守

    澤邊政府委員 先生の御指摘のございました、当委員会におきます決議も十分考慮いたしまして、尊重いたしまして、さる十月十六日でしたか、畜産振興審議会酪農部会懇談会を開催いたしまして、加工原料乳保証価格を改定すべきかどうかという点について自由な討議をしていただいたわけでございますが、そのとき農林省が提出いたしました試算は、ただいま御指摘がございましたように、四十八年度の加工原料乳保証価格を三月末にきめましたときの方式により、ただ、八月までの当時の最近時の統計によります物価を用いて、修正をして、試算を出しまして御意見を伺ったわけでございますが、そのときの結論といたしましては、いろいろな御議論がございましたけれども、いま直ちに加工原料乳保証価格を改定すべきであるという結論には至らなかったのでございますが、ただ、議論の過程におきまして、保証価格の算定方式につきましていろいろ問題点が指摘をされました。御承知のように、肉の価格変動が乳価に敏感に大幅に響くという点は乳価の安定という点から問題があるというような点が主要な問題点として指摘されたと思いますが、その他、算定方式の細部につきましていろいろ御議論がございまして、懇談会の空気といたしましては、四十九年度の保証価格諮問するときまでには、算定方式についていろいろ出た意見を十分参酌して検討し、その上で算定してはかるべきであると、こういうような空気でございました。その後、農林省といたしましては、学者等の御意見も伺いながら鋭意検討を続けておるわけでございますが、御承知のように、十月の段階で問題になりましたところの、たとえば小牛価格が非常に高かった。そのために政府の試算では……(芳賀委員「もう少し簡単に」と呼ぶ)  小牛価格等につきまして、その後また急激に低落をしておるというようなこともございまして、なお慎重に検討をしておりまして、まだ結論を得るに至っておりません。したがいまして、三月の審議会にはかります際には、その点を含めて算定方式について慎重な検討をして、結論を得た上で数字を算定しておはかりしたい、最新のデータによって算定をしておはかりしたいということで鋭意検討を進めておる段階でございます。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林委員会においては、農林大臣が、委員会の決議の趣旨を尊重して努力するということを言っておるわけでしょう。畜産振興審議会に対しては正式な開会を求めないで懇談会ぐらいを開かして、その懇談会には、加工原料乳価格は上げる必要がないという畜産局の計算資料を出して、納得のいく説明をして、それじゃ上げる必要はないじゃないかと、これで終わっておるじゃないですか。何を一体審議会意見を聞く気になったわけですか。上げる必要がないという資料を出して、どうてすかと言えば——これはみんな農林大臣が任命した御用委員でしょう。審議会会長の片柳さんにしても、酪農部会長の昌谷君にしても、みんなこれは農林省の古い官僚出ということになるじゃないですか。農林省一家みたいな内輪の中で、農林委員会でこういうやかましい決議は出たが、計算はちゃんとうまくやって上がらぬように資料を出すから、審議会のほうでは、それでよろしい、本年度乳価は絶対上げる必要はないという、そういう取りまとめをしてくれと、内輪話は大体そういうものだったと私は判断しておるわけです。  そこで、この一年間の毎月毎月の物価の上昇等を見ても、去年の四月一日からことしの三月三十一日までの一年間、去年の四月一日に告示した乳価をもってして、それで再生産を保障できるという、そういう価格の実行というふうにいまでも畜産局長として考えておるかどうかですね。来年度の乳価、ことしの四月からの新しい牛乳年度のことについては当然ですが、その前にまだ残された期間、これは四十八年度牛乳年度であるからして、それに対して一体どう考えておるかということですよ。
  105. 澤邊守

    澤邊政府委員 四十八年度にきめました四十八円五十一銭という保証価格につきましては、算定方式について毎年審議会等でいろいろ御意見も出ておったわけでございますが、おおむね従来の算定方式に基づいて算定をした価格でございます。その後の物価値上がり等考えますと、あの算定方式を別のものに変えておればあるいは別の結論が出たかと思いますが、あの方式をそのまま活用し、しかも十月に懇談会を開催いたしました当時、最近の時点までの物価値上がりを織り込んで算定いたしますと、先ほど申し上げましたようなマイナスになるというような結論になったわけでございますが、その後の物価値上がり、あるいは反面小牛価格等はさらに下がっておるというような点を考えますと、必ずしも現在の算定方式が最も適切であると言い切れない面もあろうかと思いますので、先ほど申し上げましたような肉価と乳価との関係を安定させるような算定方式をどのように考えたらいいかというような点を中心にいたしまして、現在鋭意検討を進めているところでございます。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほども米や農産物価格決定の時期について論議したわけですが、牛乳の場合は年一回の収穫じゃないでしょう。四月一日から翌年の三月三十一日まで、三百六十五日毎日毎日生産されて販売されるわけだからして、そういう特徴から見れば、収穫時の直近の時点できめるということは、これはできないわけでしょう。物価指数が一年間に前年同月に比べて三〇%以上も上がっておる。最近は前月に比べて五%あるいは三%上昇しておるというような、いままで経験のないこういう経済変動の中で、一年の終わりの三月の時点において、去年の四月一日に告示した四十八円五十一銭という低い乳価と同様価格で一年間の生乳生産者の所得を保障して再生産を確保できるかというと、これはできないでしょう。それに対して全然無関心で、何らの検討を加える考えがなくて、価格じゃない、計算方式に問題がありますということで逃げ切るというような態度は、来年の、ことしの四月からの乳価決定についても、口だけではうまいことを言っても、ちゃんとした価格はきめる能力がないということがおよそわかるわけだ。  そこで、確かめておきたいことは、いままで農林省の試算した原案がそのまま告示価格になったということは、不足払い制度ができて初めてなんですよ。前年度に比べて三円三銭上げた原案が審議会でもそのまま了承されて、そのまま大臣が告示した、これは異例なことなんです。それには、財源を持っておるのでなお二円程度加算して五円値上げにするというような予定は明らかにあったわけだが、与党自民党の一部の諸君の策動によってあくまでも畜産局の原案どおりにきめるという経緯があって、結局、つかみ金の形で、酪農緊急対策奨励費という形で、畜産事業団から四十八年度、四十九年度の二年度にわたって四十億円の金を支出する、これは、生乳の限度数量に当てはめると、キロ当たりおおよそ三円程度の手取り乳価ということになると、こういうことを公言しておるわけです。いいですか。三円ですよ。それから、もう一つは、去年の十月に、それまでに飲用乳がどんどん上がっているような関係もあって、加工原料乳については保証価格を改定しないという、そういう方針の上に立って、去年の十一月からことしの三月一ぱいまでは、乳価に対する緊急の生産対策という形で、これはキロ当たり三円に該当する奨励金というものを出すことにきまって、通達も出ておるわけです。そうすると、四十八年乳価の中において、保証価格ではないが、奨励という形で四月と十月にそれぞれ三円ずつきまっておるわけですからして、現在は、手取り価格の面から言うと、保証乳価の四十八円五十一銭のほかに六円の乳価を基礎にした、乳量を基礎にした奨励金というものが、何らかの形で生産者のほうに流れておるということになるわけです。これはほんとうは正しく保証乳価に合算して実行すべきものを、それをしなかったわけですからして、四十九年の保証乳価を算定する場合には、当然前年度の保証乳価というものを基準にして価格検討をするということになるわけだからして、その場合に、この六円の実質的な価格というものを当然合算して、四十八円に六円を合算すると五十四円五十一銭ということになる。それを基礎にして、四十九年度の保証乳価を、あなたのことばをかりても適正に計算するというわけだが、そういう手順で乳価の計算をやる方針かどうか。これは余分な説明は要らぬですよ。六円を加算したものを実績の基準価格として計算を始めるかどうかですね。
  107. 澤邊守

    澤邊政府委員 現在のわれわれがやっております算定方式は、基本的には、生産調査に基づきます四十八年度の生産費を基礎にいたしまして……(芳賀委員「するかしないかでいいよ」と呼ぶ)それから物価その他で修正して算出をしますので、前年の……(芳賀委員「そんなことは、われわれが法律をつくったんだから、君より先にわかっているよ」と呼ぶ)前年の保証価格に幾ら乗せるかというような計算は直接的にはしないわけでございます。したがいまして、いま先生がおっしゃいました約六円が事実上乳価ではないかということで、それは当然前年度の保証価格に織り込んで、その上幾ら足すかという、こういうような計算でなくして、生産費を修正したものを基礎にして、もちろん、最後に考慮する場合には、ただいま先生がおっしゃいましたような奨励措置を講じて、なお生産全国ベースで〇・五%減っておるというような、そういうことは最終的には判断材料になると思いますけれども、直接的には生産費を修正して算定する、それを基礎にして最後に総合的に判断するということでございますので、前年が幾ら、それに対して乳価を幾ら乗せるかというような計算方式はとっておらないわけでございます。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それだから、熱意がないということがわかったでしょう。実績、ことしは六円で加算されておる。来年度はそれを取っ払っちゃって、そうして低い四十八円五十一銭から始めるということになれば、その六円の実績というのはどっかへ行っちゃうじゃないですか。あんたは、先日から、えさ対策についても打つ方法がない、万策尽きて、残された方法としては、飼料価格についても、その実態というものを正直に掌握して、全部それはコスト主義で、加工原料乳価格とかあるいは畜安法の豚肉の基準価格の中に正しく反映させますということを言っておるわけでしょう。それじゃ、コスト主義の中には、いままでの実績的な基礎になる乳価というものが何であったかということが基礎にならなければ、ただえさの値段だけ正直に取り上げてみても一これは全体の価格形成にならぬということになるじゃないですか。  次にお尋ねしたいのは、特にえさ問題を中心にして、いままでの乳牛一頭当たり飼料費というものは、酪農にしても、畜産にしても、飼料費の占める価格形成上の占有率というものは六〇%程度に及んでおるわけだからして、消費した飼料費の正しい掌握というものの適否によって価格決定が非常に左右されるということになるわけだ。もうすでにトン当たり配合飼料は六万円台をこえておるわけだから、これから先一年間にどれだけ上がるかわからぬでしょう。ところが、乳牛一頭について、標準的な飼料の給与量というのは一体どうなっているか。濃厚飼料、粗飼料を合わせてのそれぞれの標準的な消費料、飼育者から見れば給与量、これは何トンくらいやっておるか。そういうものが基礎にならなければ、飼料費はどうだなんという計算はできないと思うのですよ。これはもう生産費のイロハです。だから、この際、標準的な搾乳牛一頭当たりに要する飼料の量、それを分けて濃厚飼料と粗飼料でどれだけずつ要る、そして、最後に、濃厚飼料に換算した場合に何トン必要であると、わかっておれば正直に述べてもらいたい。
  109. 澤邊守

    澤邊政府委員 具体的な数字につきましては、いま手元に持っておりませんから、もし御必要ならば後ほど提出したいと思いますけれども、先生の御質問の趣旨の考え方といたしまして………
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことは聞いておらない。幾ら要るんだということを聞いているんです。
  111. 澤邊守

  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことじゃない。一年間にどれだけのえさが要るかということを聞いているんだ。
  113. 澤邊守

    澤邊政府委員 じゃ、しばらくお待ちいただきたいと思います。——それでは、全国で見まして、一頭当たり配合飼料の給与量は一千二百六十三キログラム。その他の購入飼料を含めまして、全体としては二千八百八十九キログラム。北海道の場合は、御承知のように自給率が高いものですから……(芳賀委員「二千八百幾らですか」と呼ぶ)  二千八百八十九でございます。購入飼料の給与量、配合飼料を含めまして二千八百八十九キログラム。それは全国でございますが、加工原料乳保証価格の交付対象の主になっております北海道を御参考のために申し上げますと、北海道は全国と比べますと粗飼料に対する依存率が高いものですから、配合飼料の給与量は九百七十キログラム、それから、それを含めまして購入飼料の給与量は一千五百六キログラムになっております。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いているのは搾乳牛一頭の標準的な一年間の飼料の必要量というものはどうなっておるかということです。北海道の牛が半分のえさでやっていけるというわけじゃないでしょう。あんまり価格のことを気にしないで、どれだけの飼料を与えることによって標準的な乳の生産ができるかということを純粋に答えればいいんですよ。同じ牛に食わせるのに、北海道だって変わりないじゃないか。
  115. 澤邊守

    澤邊政府委員 先生のお尋ねは、粗飼料を含めてどれくらいの給与量になっておるかという点を示せという御趣旨かと思いますが、ただいま調べますと、粗飼料についてはいろいろと種類が多うございまして、いますぐにここで集計できないということでございますので、後ほど提出をしたいと思いますが、先ほど申し上げましたのは購入飼料配合飼料、その中での配合飼料の給与量でございます。それに粗飼料の給与量が加わるわけでございます。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、統計情報部長、あなたのところは相当まじめに調査しておると思うのですが、搾乳牛の一年間の標準的な飼料消費量ですね。それを濃厚飼料と粗飼料に大別して、そのあとで濃厚飼料に換算した場合には、総量でどれだけですか。それは、飼料単位で計算してもいいですよ。
  117. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 お答え申し上げます。  私どもの行なっております乳牛の生産調査によりまして、四十七年で、金額表示で申し上げますが、一頭当たり流通飼料の合計が八万四千六百十六円……(芳賀委員「数量、数量」と呼ぶ)  数量は、先ほど畜産局長から申し上げましたように、配合飼料については合計が出ておりますが、粗飼料につきましては、品目別に個々の数量になっておりまして、成分合計等の数量計は、実は、生産費で出しておりませんので、手元にちょっと申し上げる数字がございません。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀委員 生産費でなくてもいいですよ。統計調査部として、搾乳牛一頭を一年間養うためにどれだけの飼料を要するか、このくらいのことがわからなければしょうがないじゃないか。
  119. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 統計情報部の持っております資料としましては、生産調査の搾乳牛一頭当たりの年間の飼料消費量しか統計を持っておりませんので、これ以外にちょっとお答えする材料を持ち合わせません。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 おかしいじゃないですか。人間の場合は、統計調査部の統計によっても、年度別にして、国民一人当たりの平均的な主食の消費量がどれだけであるとか、米の場合には年間百キロとか九十キロというようにちゃんと調査の結果は出ておるじゃないですか。人間のやつは調べるが、家畜の場合には数量がわからぬ。数量がわからないで、それに要した価格が幾らなんということができるはずがない。いや、これは、いま即刻答弁できないでしょう。わからぬというんだから。これは次回の委員会までに、畜産局長と統計情報部長で十分勉強して、ただいまの質問に答える量的な資料というものをちゃんと出してもらいたい。量がわからぬで、生産費が幾らになりましたとか、上がりましたとか、下がりましたなんということがわかるはずがないじゃないか。  次にお尋ねしたいのは、ついでですから情報部長にお尋ねしますが、数年前、統計調査部長の中沢三郎君の時代に、私は、当委員会を通じまして、統計調査部の行なう生産調査の中の自家労働に対する評価の方式というものが、毎年農業の臨時日雇い労賃をもって評価がえをしておるが、これは不当ではないか、農業の日雇いでなければならぬという制度上の根拠も何もない、あるいは農林省の統計の規定の中にもそういうものはないではないか、これは長年委員会において論議した問題であるが、一体、農林省の内部においてこの方式というものを変更することができるかどうか、ということをただしたのに対して、いや、これは農林省内部でできます、農林大臣の御意思に従って、日雇い労賃を、たとえば米の計算のように、製造業労賃にするということは不可能ではありませんと、そういう答弁がありまして、それでは、内閣の統計局とかほかの政府の統計専属の機関において審議をしなくても、農林省の内部の問題としてそれが是正できるとすれば、すみやかに是正の方針に対して検討して、すみやかに結論を出すようにということを言っておるが、その後、代々の統計調査部長は、これに対して何らまともな取り組みをしておらないわけです。もう来月には、てん菜の生産者価格あるいは加工原料乳保証価格の審議も当委員会でやるわけですからして、きょう即刻どうということは言わぬが、それまでに、従来の自家労働に対する評価の方式というものをどうするか、従来どおり日雇い労賃でやるか、他産業労賃でやるかということについて、これはよく農林大臣に報告をして、次回の委員会までにその方針を明らかにしてもらいたいと思います。  そこで、もう一つの判断の資料として、たとえば臨時日雇い労賃というものは、労働者としての身分上の格づけをする場合には一体どういう立場にあるかという点でありますが、これは、むしろ、労働省のほうとよく相談をして、臨時日雇い労働というものはどういう労働の様式であるか、あるいは常用労働の場合にはどういうものであるか、農業の自家労働というものが何十年という間農業経営を行ない、あるいは農業に従事して高度な生産を発揮しているわけですからして、その場合、常用的な労働か日雇い的な労働かということについての判断は直ちにつくわけですからして、きょうは繰り返しては言わぬが、代々の統計調査部長が怠ってこれは何にもやっていないわけだから、次回の委員会までには、倉石農林大臣と相談して明確にしてもらいたいと思います。  最後に、時間が足りなくなりましたけれども、まとめて食品流通局長にお尋ねをいたしますが、いままで、毎年のてん菜の原料生産者価格をきめる場合においても、前年度に比べると大体二・五%あるいは三%、去年は三・八%というように、他の政府がきめる農産物よりも上昇率が非常に低いわけです。これはもう局長も御存じのとおりですが、その、どうして低く押えてきたかという原因の中には、砂糖価格安定法に定めてある、いわゆる甘味資源の合理化目標計画というものを農林大臣が五年ごとに策定して、この合理化目標計画に沿って、生産者価格決定あるいはまた製造された砂糖の買い入れ価格決定と、輸入粗糖の標準的な買い入れ価格、あるいは標準的な国内の砂糖の販売価格等を、合理化計画の中で総合的に設定して実行するということになっておるわけで、その辺にも強い抑圧が働いてきたことは言うまでもないわけです。ところが、前の五カ年計画は四十八年度で終わっておるわけだから、ことし、四十九年度からは、法律に基づくと、新しい五カ年計画というものをまた策定するということになるわけです。しかし、われわれが考えると、この五年間の日本の経済の変化というものがどうなるかということは、一寸先がやみで捕捉できないでしょう。そういう中で、五年後に到達する目標価格、あるいはその時期におけるてん菜の生産者価格をどうするかということは、これは神さまでもわからぬわけですよ。田中内閣が退陣して、違う政治体制でも生まれれば、これは計画経済でちゃんとやっていけるが、現体制のもとではなかなかできないと思うのですね。だから、あまり五カ年計画に依存して、ワクをはめてしまって、身動きができないようなことになると、これからの五年間の原料価格等についても非常に窮屈な価格計算をしなければならぬということになるわけですね。それに対してはどう考えておるか。  それから、現在は、国内の砂糖価格の高騰によりまして、結局、生産者価格を基礎にしてきめた砂糖の政府の買い入れ価格、法律ではこれは売り渡し価格、売り戻し価格ということになるが、ことしの場合には、糖安法ができて初めて標準価格をこえた砂糖の国内の市内販売が行なわれておるわけでありますからして、その標準をこえた分については、これは法律には納付金ということにはなっておりませんが、実質的には国内産糖の製造業者が、あるときには三円、あるときには六円というふうに、製造会社から砂糖事業団に対して超過分の納付を行なっておる。この金額はおおよそ十数億円に及んでおるというふうに聞いておるわけですが、それは別として、とにかく、安い生産者価格決定して、それを基礎にして政府が買い入れ価格をきめておる。今度は、国内の砂糖の値段が上昇したので納付金を吸収しておる。そういう新しい財源が生まれた場合においては、少なくとも昨年の十一月二十日までに——砂糖キビの生産者価格はもう告示になっておるわけでありますからして、てん菜のほうは毎年四月一日までにきめる、砂糖キビのほうは十一月二十日の収穫直近時にきめるということになれば、同じ甘味資源であっても、同じ法律の中においても、四月と十一月では七カ月の期間のズレがあるわけです。こういう経済変動の激しいときには、年度内において価格改定をしない場合には、むしろ、収穫直近の時期に正しい価格決定したほうがいいということは、これは、てん菜の生産者価格と十一月にきめた砂糖キビの価格というものを比較すれば答えは出てきておる。てん菜の場合には、四月にトン当たり八千五百六十円、砂糖キビの場合には一トン八千七百円にきめて、それに奨励金千三百円の加算ですから、これはトン当たり一万円ですね。そういう同じ甘味資源の場合においても、砂糖歩どまりが、大体どちらも一三%内外ということになれば、きめる時期によって、甘味資源の価格というものが、トン当たりにして千五百円も二千円も違うという矛盾が出てきたわけだから、当然、十一月の砂糖キビ決定の時点において、だれに言われなくても、局長自身がそのことに気がついて、てん菜の原料価格の再計算を行なって、当然これを上げるべきであるということであれば、一万円なら一万円にする。その場合の価格財源というものは、先ほど言いましたとおり、国内の諸価格の高騰の中で、砂糖の小売り価格も二百四十円までになっておる。その後百八十六円に指導価格で押えておるが、そういう十分な財源措置があるときにおいては、進んで原料価格の改定を行なって、それによってまた砂糖の買い入れ、売り戻し価格も変わるということにはなるが、そのぐらいのことは練達の池田局長としてできなかったはずはないと思うのですよ。気がつかなかったということであればまだ許せることもあるが、もし、練達の局長が気がついておりながら、それを無視して今日に及んだということになれば、これは絶対にわれわれとしては無批判で過ごすわけにはいかぬわけですね。こういう点も踏まえて四十九年の、政令によればこれは四月一日までということになっておるが、反省をして十分な価格決定をやる意思があるかどうか、そういう点であります。  それから第三点は、てん菜の原料価格の場合には、法律にもうたってあるとおり、まず、農業パリティの指数というものを基礎にして、それに幾つかの勘案をしてきめるということになるわけでありますから、ことしの四月までにきめる場合も、過去一年間の農業パリティの変動係数だけを基礎にするのでなくて、四十八年に米や麦にしても一五%農業パリティに準じて上げておるわけであるから、一五%上げるべきものを三・八%にとどめておるわけだから、一二%ぐらいの四十八年におけるパリティ計算上の取りこぼしが当然あるわけだから、この際、パリティ指数を使うということになれば、四十八年、四十九年の、この二年間に適用できるパリティの指数というものを正確に把握して、そして、昨年三・八%だけ使ったわけでありますから、残りの分についても十分にその価格計算に反映するようにする必要があるのではないかというふうに考えるが、どうですか。  それから、もう一点は、これは参考までの材料ですが、いま外国から精製糖を輸入するということになれば、一トン当たり二十万円ということになっておるわけです。二十万円というのは、これはキロにすれば二百円というのが精製糖の輸入価格農林省が押えておる百八十六円よりも、輸入に依存するということになれば、輸入価格だけでこれは二百円、それに卸、小売りのマージンを加えれば、まだまだこれは高くなるということになるわけですから、いかなる困難があっても、この際、国産糖の自給度を高めるための諸施策が必要になる。その場合、一番きき目のあるものはやはり価格問題が中心だということは、これは言うまでもないわけです。すでに、北海道の農民は、ことしは一万五千円の生産者価格というものを早期に示さなければ生産に対する責任は持てないという、こういう政府の無施策に対する強い批判も出ておるときでありますから、詳しく議論する時間はきょうはないが、以上四点にわたって私は指摘をしたわけでありますが、これに対する局長の率直な答弁を求めるものであります。
  121. 池田正範

    ○池田政府委員 だいぶたくさんございますが、要点だけお答え申し上げたいと思います。  五カ年間に一ぺん定めます目標生産費でございますが、これは御指摘のとおり、五年先を見通すことはなかなかむずかしい問題でございます。したがいまして、五年たちますと、ちょうどことしのように、必ずしも客観条件から合わないという問題が当然出てまいるわけでございますが、いまの仕組みからいたしますと、ことしまた五年先のことをきめなければならぬという問題でございますので、私どもといたしましては、正直言って、国際的な需給情勢も非常にはっきりしないし、国内的にもいま御指摘のような生産条件の変化というものがありますので、そこいらを踏まえて、できるだけの資料を含めて一応つくりたいと思いますけれども、もしそれが予測しがたい大きな変化が出てくる、しかも、それが出ているために国産というものに非常に大きな障害が出てくるのだという話になれば、これはその時点において十分考えなければいかぬというふうに私は考えるわけでございます。  それから、先ほどの御質問は逆市価参酌の御指摘だろうと思いますが、確かにいま非常に値段が上がっておりまして、てん菜糖につきましては、これは市価が非常に上がっておるということで、その中で、従来下がっておりましたときに、市価参酌と称して、市価と見合い、市価としての理論値との間の差額の七割を糖業者に返しておりましたが、それが逆になりましたので、逆に逆七割を事業団に納めさせるというふうなことで、いま御指摘のように、約十六億程度のものが事業団の中に入っております。しかし、ついこの間までのあの低い市価参酌のために、実はすでに四十億ぐらい赤字が事業団で出ておりまして、まあ、こういうことを言うと非常に卑しい感じもいたしますけれども、四十億の赤字が十六億返ってきましたので、四十億まるまるのものをどうやって負担するかということに非常に困っておったのでございますけれども、どうやら少し軽減されたという感じでおるわけでございます。  全体の問題としては、やはり、糖業者の経営というものが非常にやり方がまずいために、本来売るべき価格よりも低くしか世の中に売れなかったという実態については、これは農民のせいじゃないじゃないかという御批判もあろうかと思いますけれども、現実問題として、その最後の段階では、いわば公定価格で売っているわけでもございませんものですから、したがって、全体としてそういう段階ではやはり生産を継続させ、その企業に将来とも原料を納入できるような条件を農家のためにもつくっておかなければならぬというふうな意味で、そこはある程度の御容赦をいただかなければいけないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、最近のように非常に物価が上がってまいりますと、昨年の秋に非常に大きな問題になりましてきまりましたトウキビ価格とか、春きまった農産物行政価格に比べて、秋のほうがどうも全般的にぐっと伸び率が高い、したがって、去年の春にきまったてん菜は非常に損をしている、その辺は当然頭の中に置いて、収穫時期にある程度の訂正をすべきではないかという御指摘でございますが、これは先生に申し上げるまでもないのですけれども、法律には、二十一条に、著しく条件が変化した場合には改定もできるという規定もあるわけでございます。いままで一度もこれを発動したことはございませんけれども、ただ、これも言いわけだとしかられればそれまででございますけれども、てん菜というのは、私どもがおつき合いをしております農産物の中では、いままではいわば優等生であったわけでございます。これはいままでの生産費自体にもあるいは問題があるでしょうけれども、私ども使っております生産費から比べましても、一応低いといってしかられるような価格に比べましても、どうやら生産費が償ってきた非常に少ないものの一つである。したがって、私どもとしては、せっかく六万町歩までふえたものが、今後これが将来あと戻りするということになってはたいへんでございますので、先ほど渡辺政務次官からも申し上げましたように、やはり、それがあと戻りしないだけの水準というものを十分頭の中に置いて、そのことは、いわば、単に、パリティという四月から十月分の二月という算術的機械方式というもの以外に、物価その他の経済事情というものを十分勘案せよということが法律に書いてあるわけでございますので、その法律に書いてあります中身をしっかりと踏まえて、再生産が可能なようにことしからきめていきたいということで覚悟をきめておる次第でございます。  なお、輸入糖の今後のいろいろな高値の問題等は、これは、実は、御指摘のとおり、現在はちょっと相場のつかみ方がわかりかねるほどの非常な棒上げの状態でございます。したがって、こういう状況というものは、全体としては、今後ともいままでのような買い手市場という条件が整うのはなかなか簡単にはいかぬと思いますけれども、これが一体どの程度でどうなるのかということについては、私どももにわかに見当がつきかねる状態にあります。したがって、国産の水準というものをどの辺に置くかということについては、あまりにも国際価格に単純に引きずられることなく、御指摘のような、全体としての自給率を上げていこうという一つの政府の基本方針があるわけでございますので、それを可能にするような形で価格政策なりその他の生産対策なりを総合的に進めていくということでなければならぬと覚悟をきめておるわけでございます。
  122. 仮谷忠男

    仮谷委員長 諫山博君。
  123. 諫山博

    ○諫山委員 午前中の審議で、自民党の委員から、いまやまさにわが国畜産は崩壊の危機に瀕しているという指摘がされました。このままだったら百年の悔いを残すのではないかというような指摘もされました。さらに、二月十五日の当委員会の審議で、私は、飼料穀物について二重価格制度を採用すべきではないかと主張したわけですが、自民党の委員からも同じような指摘がされました。この例を見ましても、いまの畜産問題、飼料問題がどのくらい深刻な危機に直面しているかということが明らかです。二月十五日の審議のときに、私は、共産党の政策を対置しながら、幾つか畜産の基本問題で質問しましたが、きょうはそのとき触れなかった別の問題を少し論議したいと思います。  第一は、飼料原料を主として外国から輸入しているわけですが、この輸入価格の問題ですが、私の手元に、全農が流したと思われる「配合飼料原料および製品価格変動推移」というものと、さらに、「配合飼料供給価格改定額算出表」というのがあります。これは全農作成と聞いていますが、そのとおりかどうか、そして、農林省にもあるかどうか、お聞きします。
  124. 澤邊守

    澤邊政府委員 全農が配合飼料価格の改定に際して出しておる資料だと思います。
  125. 諫山博

    ○諫山委員 これは、このたびの飼料値上げがまことにやむを得ないものであるというための説明資料だと思います。  そこで、この資料に基づいて二、三質問しますけれども、「配合飼料原料および製品価格変動推移」の中に、「輸入港本船乗渡」という記載がありますが、これは一般にCIFと呼ばれているものだと思いますが、そのとおりでしょうか。
  126. 澤邊守

    澤邊政府委員 通常CIFに諸掛かりを加えた本船乗渡価格というふうに理解をしております。
  127. 諫山博

    ○諫山委員 その諸掛かりというものは、全農の場合五・数%と聞いていますが、そのとおりですか。
  128. 澤邊守

    澤邊政府委員 五・四%と言っております。
  129. 諫山博

    ○諫山委員 大蔵省が作成した通関統計というのが公表されるわけですが、それによりますと、昭和四十八年九月から十二月までのマイロ、コーリャンのCIF価格は幾らになっていましょうか。
  130. 澤邊守

    澤邊政府委員 通関統計によりますコーリャンの加重平均価格は、九月は二万四千七百八十円、十二月は二万五千六百九十三円というようになっております。
  131. 諫山博

    ○諫山委員 九月から十二月の平均が計算されていると思いますが、幾らになっていますか。
  132. 澤邊守

    澤邊政府委員 九月から十二月の平均は、トン当たり加重平均単価二万八千四百四十七円となっております。
  133. 諫山博

    ○諫山委員 全農が作成したただいまの資料では、昭和四十八年九月、これは九月度のことではなくて、おそらく九月から十二月までの平均だと思うわけですが、この価格は三万一千百五十円になっています。大蔵省の通関統計と比べればはるかに高いわけです。これは諸掛かりの五・四%を乗じても非常に高い金額が表示されておりますが、なぜでしょうか。
  134. 澤邊守

    澤邊政府委員 全農が実際にかかったものを全農としては出しておるものと理解をしております。
  135. 諫山博

    ○諫山委員 輸入港本船乗渡というのがCIFに五・四%を乗じたものだということで、私が計算してみたわけですが、そういう計算をしますと、一トン当たり輸入港本船乗渡価格というのは、二万九千八百六十円程度になります。大蔵省が公表している通関統計よりか、トン当たり千二百八十円高い計算です。これは、一般的な買い入れ価格よりか、全農がはるかに高い価格でマイロを仕入れてきたのか、それとも、高い価格で仕入れているように表示しているのか、どちらかにならざるを得ないと思いますが、どちらでしょうか。
  136. 澤邊守

    澤邊政府委員 全農に限らず、各メーカーによって、買い入れ価格、契約価格というものは当然違うわけでございますので、通関統計と全農が言っております価格とが完全に合わないということは間々あることでございます。
  137. 諫山博

    ○諫山委員 通関統計というのは平均をとっていると思いますから、合わないことが間々あるのは、そうでしょうが、むしろ合うのが普通じゃないでしょうか。合わないとすれば、何らかの特別な事情があったのでしょうか。
  138. 澤邊守

    澤邊政府委員 各メーカーが商社を通じて輸入契約をするわけでございますので、それぞれ長期の契約もございますれば、あるいはそのときどきの契約もございますし、品質差もございますし、わりとじょうずに買った場合もありますし、へたに買った場合もあるということでございますので、先ほど私が間々違うと申しましたけれども、平均価格と各飼料会社が購入した価格とは違うのがむしろ当然であって、ただ、違うものを平均すると二万八千円になるというのが通関統計の数字だと思います。
  139. 諫山博

    ○諫山委員 幾つかの違う要因をあげられましたが、これはいわば偶然の要因です。そうすると、ここで指摘できるのは、平均した通関統計の価格よりはるかに高い価格で全農が輸入したということになるのですか。
  140. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま申し上げましたことのほかに食い違いが出ますのは、ただいまお尋ねの件は、九月に全農が値上げをした際の資料についての御質問であるわけでございますが、九月の価格を全農がきめます際に出します資料は、九月の実績を見てからの数字ではございません。たしか、あのときは、八月に九月から値上げをするということをきめたと思いますが、七月中から試算をしておるわけでございますので、試算に基づく数字が全農の数字であるわけでございます。したがいまして、いわば予定数字の性格を持っておるわけてございますので、九月——十二月に入港予定と言っておったものが、実際にそのとおりに全部入港してくるという場合もございますし、あるいは、通関等までを含めますと若干ずれるということもございますので、全農の数字はあくまでも予定の数字でございます。
  141. 諫山博

    ○諫山委員 いまの表の「九月」と書いてあるのは、私はもう先回りしてきめつけたわけですが、これは九月度ではなくて、四十八年九月から十二月までの間という意味じゃないのでしょうか。
  142. 澤邊守

    澤邊政府委員 通関統計は、九月から十二月までの実績の加重平均価格でございます。
  143. 諫山博

    ○諫山委員 私が示した全農作成による「四八年九月」というのも、その期間のことを言っているんじゃないですか。なぜ私がこう言うかというと、これは一枚目の三万一千百五十円の価格ところに、九月から十二月までの平均として出ているからです。
  144. 澤邊守

    澤邊政府委員 当時の全農の、入港の予定に基づいて出した数字でございます。
  145. 諫山博

    ○諫山委員 どうもはっきりしませんね。しかし、はっきりしていることは、通関統計のほうは実績だ、全農の統計のほうは予定だということからこの食い違いを説明しているようです。また、ほかにも幾つかの偶然的な要因指摘されております。しかし、はっきりしていることは、全国平均である通関統計の価格よりか、全農が説明している数字のほうが一トン当たり約千二百八十円程度高い金額になっている。このことだけはどちらから見ても動きません。これが正常な買い付けと思うのか、あるいは正常な発表と思うのか、どうなんでしょうか。
  146. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほど先生は、価格の差が出ておるのは非常に偶然的な要素と言われましたけれども、やはり、各メーカーあるいはそれの注文を受けて買い付けを行ないます各商社等、それぞれ有利な飼料穀物を競争しながら買っておるわけでございますので、その間の品質差ということももちろんございますし、当時何カ月先の先物を買ったかということによる差もございますので、偶然的と言いましても、ある意味では差が出るのが当然でございまして、各メーカー一律の買い付け価格であるということがむしろ偶然的であって、その間の価格差があるということは、むしろ通常の場合だと思います。
  147. 諫山博

    ○諫山委員 それはごまかしじゃないですか。平均とある実例というのは、幾らかの違いが出てくるのはあたりまえです。これは常識です。しかし、大きな違いは出てこないというのが平均の意味でしょう。そうすると、今度の場合、トン当たり千二百八十円も差が出ている。これはむしろ当然だというふうに農林省説明されるのですか。
  148. 澤邊守

    澤邊政府委員 その差が正常かどうかという点は、どの程度のどのような買い付けをしたかということを全部さかのぼってみなければわかりませんけれども、もう一つの要因といたしまして追加して御説明をしたいと思いますのは、通関統計でございますから、もちろん通関ベースでの価格を大蔵省から出しておるわけでございますが、この全農の価格は予定でございまして、入港ベースで出しておるというように思います。したがって、それが実際に通関する場合は、たとえば十二月に入るということで見込んでおったものが、通関は一月にずれるということはよくあることでございますので、その辺の差というものも入ってくると思います。それがすべてじゃございませんので、先ほど言いましたようないろいろな要因によっても差が出てきておるというふうに理解をいたしております。
  149. 諫山博

    ○諫山委員 いろいろな弁解めいた説明がありましたが、ただ、消え去ることができないのは、昭和四十八年の九月から十二月までに全農が取り扱ったとされている輸入価格が、平均に比べてトン当たり千二百八十円高いというように書かれている。私たちはこれをいろいろ検討し、分析いたしました。これは非常に高い価格で買わされたのか、あるいはそういうふうに値上げを納得するために発表しているのか、いろいろなことが想定されます。これは私にはわかりません。しかし、とにかくこの価格で値上げがされたというふうに農民には説明されている。そして、これで採算は合っているということになれば、商社の場合はどうなっているのか、メーカーの場合にはどうなっているのかという疑問が私には出てきます。たまたま全農作成の資料が手に入ったからこういう疑問が提起されたわけですが、商社について、たとえばマイロをことしの一月にある商社がどれだけの数量を幾らで買ったのか、その場合のCIFの価格は幾らだったのか、農林省はつかんでいますか。
  150. 澤邊守

    澤邊政府委員 中小の全メーカーまではとっておりませんけれども、大手の主要メーカーについては資料をとっておりますので、わかるはずでございます。
  151. 諫山博

    ○諫山委員 そうしたら、代表的な一、二のメーカーで、去年の九月から十二月までのマイロの輸入価格はトン当たり幾らだったか、説明できますか。
  152. 澤邊守

    澤邊政府委員 現在ここでの手持ちは持っておりませんが、これは各メーカーからわれわれが資料をとります場合、これを一般には公開しないということでとっておりますので、私のほうから公表することについては差し控えさせていただきたいと思います。
  153. 諫山博

    ○諫山委員 農民は、なぜこんなに飼料価格暴騰したのか、よくわからない、実態を教えてくれということを訴えます。そうすると、いまのあなたの説明では、農林省は知っているけれども国民には知らせないということになるわけですね。そういう立場だとすれば、九月から十二月までのある代表的な商社の輸入価格、CIF価格が三万二千四百五十円、通関統計の価格に比べて大きな隔たりがあるのかどうか、隔たりがあるとすればどの程度の差があるのか、これならわかるでしょう。
  154. 澤邊守

    澤邊政府委員 現在わかりませんし、やはり、各企業が、それぞれ企業の秘密として内部の資料にとどめておるものでございますので、農林省としても提出は差し控えたいと思います。
  155. 諫山博

    ○諫山委員 あなたは、企業の秘密ということから、CIF価格が幾らだったかということは公表しないと言われました。そこで、私は一歩後退して、通関統計の数字から比べて大きな隔たりがあるのかということを聞いたのですが、そのことさえ発表できないのですか。
  156. 仮谷忠男

    仮谷委員長 農林省に申し上げますが、資料を的確に持って、それから的確なる答弁をする。あいまいな答弁はしないでください。
  157. 澤邊守

    澤邊政府委員 現在資料が手元にございませんので、お答えいたしかねるわけでございます。
  158. 諫山博

    ○諫山委員 いまは資料が手元にないけれども、農林省に帰れば手元にある。それに基づいて、委員会外だったら説明してくれますか。
  159. 澤邊守

    澤邊政府委員 資料を見ませんと、何ともこの場で御返事いたしかねるわけでございます。
  160. 諫山博

    ○諫山委員 私は国民を代表して質問しているわけですよ。あなたのさっきの説明では、資料が手元にないから説明できないというふうに聞こえたわけです。ですから、委員会外なら説明するかというふうに聞いたわけですが、そのことに対してさえ明確な答弁は出ませんか。これでは、農民が秘密主義だ、企業擁護だと言ってしかるのはあたりまえじゃないですか。どうですか。
  161. 澤邊守

    澤邊政府委員 個々のものを出すのは差し控えたいと思います。全体の平均的なものというようなものならば、帰りまして、できますればそういうものは提出をいたしたいと思います。
  162. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、全体的なものは、マイロについて言う限り、通関統計のCIF価格である二万八千四百四十六円に近いか、あるいはそれよりか少ないという数字が出ると思いますが、それは認められますか。
  163. 澤邊守

    澤邊政府委員 そのように思いますが、平均的な数字については、整いますれば提出をしたいと思います。
  164. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、飼料用の原料が工場に幾らの価格で入っているのか、そして、これが飼料として売られる場合の価格は幾らになっているのか、こういう問題を農林省はつかんでいますか。
  165. 澤邊守

    澤邊政府委員 御質問の趣旨がちょっと理解いたしかねましたので……。
  166. 諫山博

    ○諫山委員 飼料原料であるマイロなどが幾らでメーカーの手に入り、工場から売られる場合には幾らの価格になっているのか。さらに、製造の原価が幾らぐらいなのかというような問題は、農林省はつかんでいますか。
  167. 澤邊守

    澤邊政府委員 マイロにつきましては、マイロは単品として利用されることはほとんごございませんので、配合飼料になるわけでございます。他の原料と配合して製品が、各メーカー別にそれぞれの内容のものが製造され、販売されておるわけでございますので、マイロだけ単品をとって見るというのは困難でございます。
  168. 諫山博

    ○諫山委員 それでは、飼料原料全体としてならつかんでいますか。
  169. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 諫山委員の御質問、それから御疑問は、私は当然だと思います。しかし、通関統計と、全農の公表したパンフレットか何かと食い違いがあるのは、どうして食い違いがあるかということは、実は、急に言われましても、私のほうでも全農も呼んで聞いていないし、よくわかりません。したがって、まず、そういう御疑問をお持ちなさるのは、私は当然だと思うのです。ですから、一ぺん呼んで、よく調べて、どういうふうなわけで食い違いがあるのかということを こまかい点を正確にお答えをしたいと、私はそう思います。  それから、当然農林省えさ指導をやっておるわけですけれども、中小メーカーまでわかりませんが、代表的なメーカーについては、どれくらいの原料を買って、どれくらいの経費がかかって、どれくらいで売っているか、その実態がわからなければ行政指導ができません。したがって、それは当然にやっておることでありますから、どの程度の食い違いがそれらについてもあるか、それが許されるものであるか、許されないものであるか。許されないものであるならば、そんなものは認めるわけにはまいりませんから、当然それはつかんでおる。ただし、一件、一件の業界の内部の企業秘密について、職務上知り得たものを全部公にしてしまうということはできません。したがって、全体としてそういうような誤差がどれくらいあるというようなことについては発表して差しつかえない。  それから、個別の案件について、はなはだしい開きがあるというようなものを発見すれば、当然、それは、行政指導で訂正をさせるということはやらせます。
  170. 諫山博

    ○諫山委員 私がこの問題を提起したのは、全農のことを問題にするよりか、ほんとうは、私自身が実態をつかむことができずにいる商社の内容をもっと知りたかったわけです。こういう状態だとすれば、商社がいまのえさ高に乗じて非常に大きな利益をむさぼっているのではないかという疑惑が生じたから商社のことを聞こうとしたわけですが、残念ながら、個々の商社については、企業秘密とやらを理由にして説明がされないようです。  ただ、私が御検討いただきたいのは、飼料価格というのは、現在では政府がその価格決定に介入している。普通の商品と違う。ですから、普通の企業で言われているいわゆる秘密と、飼料を取り扱っている商社の秘密というのは違うんじゃなかろうか。そうでないと、政府が介入して、はたして妥当な価格かどうかを判断する資料がないわけです。そういう意味では、飼料メーカーなんかの企業秘密というのは、ほかで言われているような場合と違うと私は理解するのですが、どうでしょうか。
  171. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 自由化されておるものでありますし、個々のメーカーの内容を、農林省が職務上知り得たものを全部こちらで発表することは、向こうの同意があれば別ですが、それはやはり差し控えなければならぬ。しかし、あなたがおっしゃるように、そういうような疑問を持つのは当然でありますから、それらについては厳重に注意をして、点検をしてみさせる。いままでもそういうふうな大きな食い違いがあるというふうには実際は思っておりません。しかし、あなたからそういう御提案がありますから、一そうそれは気をつけて点検をさせたい、さように思います。
  172. 仮谷忠男

    仮谷委員長 諫山君にちょっと申し上げますが、御質問の趣旨が、この委員会で審議をするものからは少し飛躍しておるような感じもいたします。率直に言って、物特の委員会とか、あるいは予算委員会の参考人招致等によってむしろお聞きしたほうが的確に把握できるんじゃないかという感じもいたしますが、ただ、せっかくの御質問ですけれども、農林省のほうでも、いま直ちにあなたのお気に召すような答弁が、資料等が関係してできないことも御理解いただけると思いますので、そういった面の質問について、必要があれば、あなたも書面で農林省のほうへ質問をしてもらって、農林省のほうも調査の上で、お答えのできるものはお答えをする、ひとつ、こういう形にこの問題のけじめをつけたらいかがかと思いますが、いかがですか。
  173. 諫山博

    ○諫山委員 私はこれに深入りしようとは思いません。ただ、私がこれを突然持ち出したというふうに理解されているんだったら誤解です。私は、一週間ほど前からこの資料は農林省に見せて、検討していただいているんです。そして、いろいろ説明も聞きました。きのうも説明を受けました。ただ、どうしても納得いかないから聞いているわけです。ですから、農林省を困らせるために突然何か秘密文書を持ち出したという性質のものではないのです。そうでしょう。農林省、いかがですか。
  174. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私は、もちろんいま初めて聞いた話でございますし、農林省のどなたに御説明をなさっておったか、それもよくわかりません。ここに来ておる人は、一週間前に見せてもらって説明を聞いたことはないと言っておるわけで、質問通告の際に詳しく、こういうふうなことでこういう疑問があるんだけれども、これこれのことについてひとつよく調査をした上で答弁してくれという話をあらかじめしていただきますと、時間をそんなにかけないで、もっと親切な答弁が私のほうでもできようかと存じます。したがいまして、大体この点についての御趣旨はわかりましたから、さらに私のほうでも検討いたしまして、後日お答えをしたいと思います。
  175. 諫山博

    ○諫山委員 じゃ、これからの検討に期待するとして、次の問題に移ります。  予算委員会の資料要求の中で、共産党のほうから、畜産におけるインテグレーションの実情について質問しました。それに対して、いまのインテグレーションがわが国畜産の頭羽数の中で占めるシェアが、昭和四十八年五月現在でブロイラー五四・一%、採卵鶏六・八%、飼育豚四・一%、こういう数字が書かれております。これはいわゆる契約飼養と言われているものだけのことを言っているのか、それとも、それ以外に、たとえば商社系のあらゆる形態の経営を含めているのか、どちらでしょうか。
  176. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま御指摘のございました数字は、農林省畜産局において都道府県に照会して、四十八年五月現在で把握したものでございますが、実は、インテグレーションと言いましても、必ずしも概念が定まっておりません。したがって、どういうものをインテグレーションと称するのかという点、いろいろなニュアンスの差がございますので、どこからその概念に入れるかという点で、実は、必ずしも定説もございませんし、むずかしい点があるのでございますが、われわれといたしましては、この調査をいたしました際は、農家がある特定の相手方とブロイラー、採卵鶏、肥育豚について、飼育数量、販売数量、価格条件について、おおむね一年以上の期間にわたり約定し、これに基づいて畜産物の生産、販売または受託飼良を行なっているもの、こういうような規定を前提にいたしまして、県を通じて調査したわけでございます。したがいまして、これの規定のしかたも、これの解釈によって若干また幅も出るのじゃないかという気もいたしますけれども、お尋ねが、直営の経営はどうかという御趣旨ならば、それは入っておりません。
  177. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、商社系の直営のものも含めますと、ブロイラー分野におけるシェアというのは、最近の資料でどのくらいになりましょうか。
  178. 澤邊守

    澤邊政府委員 直営農場系などは現在調べておりますので、まだ結果が出ておりません。
  179. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、商社系とか、あるいは広い意味のインテグレーションが日本畜産でどのくらいの割合を占めているかということは、農林省としてはわからないのですか。
  180. 澤邊守

    澤邊政府委員 ごく最近のものは、四十八年について、契約生産のものは先ほど申し上げましたが、その時点と同じような四十八年度のものについては、実は、現在調査中でございますので、まだ結果があがってきておらないということを申し上げたのでございます。やや古いのでございますが、四十五年に件数だけは調べたことはございます。ただ、それが飼育頭羽数の中でどの程度のシェアを占めるかということは調べておりませんので、いま現在調べ中のものによって明らかになるというふうに思います。
  181. 諫山博

    ○諫山委員 商社の進出が一般の畜産農家にとってどのくらい深刻な脅威であるかということは御承知のはずです。この実態さえつかんでいないというのは、私は、怠慢もはなはだしいと思います。次官、いかがですか。こういうことでいいでしょうか。
  182. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 大体のところはつかんでおりますが、私は、あなたのおっしゃるように、もう少し深く検討しておくことも必要だと思います。
  183. 諫山博

    ○諫山委員 四十五年の数字をつかんでいるそうですが、狭い意味のインテグレーション、契約飼養の場合、ブロイラー分野におけるシェアはどのくらいになっていますか。
  184. 澤邊守

    澤邊政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨が明確に理解できなかった点もありますが、直営農場じゃなくして、契約生産の場合のブロイラーについて、商社系がどの程度やっておるかということでしょうか。(諫山委員「そうです」と呼ぶ)  契約飼育につきましては、四十八年度のものが明らかになっておりますが、それによりますと……(諫山委員「四十五年度のことを聞いています」と呼ぶ)  四十五年度のものは、四十五年度ずばりのものは、実はその時点で調べておりませんが、それにやや近いと申しますか、別の資料でございますが、契約飼育を開始した年が四十一年から——まあ、五年度だけではございませんが、四十一年度から四十五年度までが、ブロイラーにつきましては四七・七という数字がございます。三十六−四十年に開始いたしましたそれに相当するものが三一・六、その後、四十六年は四・七というような数字になっておりますけれども、それから判断しますと、三十六−四十五年間、特に四十一年から四十五年の間に急速に伸びた。最近は、四十六年は四・七ということを申しましたが、これはパーセンテージでございますが、四十八年は〇・八というような数字になっておるところを見ますと、最近開始をしたのは比較的少なくなってきている、四十一年から四十五年ごろに開始したのが非常に多いという程度の資料は持っておりますが、御質問に的確にお答えする資料はいまのところ持っておりません。
  185. 諫山博

    ○諫山委員 私たちがいただいた資料では、ブロイラーの契約飼養の件数が二百六十一、そして、ブロイラーの分野におけるシェアは五四・一、これはおそるべき数字です。ごく短期間に少数の商社系のブロイラーが完全に一般の畜産農家を駆逐しつつあるという数字があらわれているわけです。どういうテンポで商社が勢力を伸ばし、どういうテンポで一般の養鶏農家が駆逐されていったのか、その趨勢を知りたいと思ったわけですが、つかんでいないのですか。
  186. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほど申し上げました契約飼育の現在あるものの開始年が何年であったかということの調査による、その比率以外、ただいま御質問された点を推測する資料は持っておりません。
  187. 諫山博

    ○諫山委員 畜産局長は、農民の苦労とか心配がわかっているのでしょうか。みんなおそれをなしているわけですよ。このままだったら、われわれ養鶏農家はいずれは駆逐されてしまうというような深刻な危機感を持って、この商社系の経営を見ております。ところが、四十八年五月の実情はわかる、出発当時のこともわかる、その中間の経過はほとんどつかんでいないというのであれば、あまりにも無責任じゃないですか。こういう問題に対して農林省は、どうしようという方針はいままで立てたことがなかったのですか。自然の流れのままにまかしていたのですか。
  188. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 そのインテグレーターの概念といいますか、規定のしかたがはっきりしていない。そのために、各県から出てくるようなものも非常に、あるものは多かったり、少なかったり、正確と思われないものがある。あなたの五四%、二百六十一件という数字は、どこからお出しになったのか、もしわかって、差しつかえなければ、これはこういう根拠で、こういうふうな統計で出してあるのですということを教えてもらえたら幸いだと存じます。  それから、インテグレーターをして契約をすると、かりに系列下に入って、自分のつくった鶏を商社に納める。これは売り先は安全になるわけですから、農家自身は——それによって養鶏をやめてしまうということまでこれは入っていないのですよ。農家自身は、契約をして鶏を飼っているが、その納め先、ルートがきまる。こういうこと自体が悪いということは必ずしも言えないのじゃないか。たとえばマシュルームのようなものにしても、あるいはトマトのようなものにしても、みんな系列下に入って契約栽培をして、あるいはメーカーなり、あるいは商社なりを通して市場に出していくということはやっておるわけですから、インテグレーター自体が悪いんだということは一がいには言い切れないと私は思います。
  189. 諫山博

    ○諫山委員 私がとっぴな資料で議論しているように理解されているようですが、私がいま指摘した数字というのは、「衆議院予算委員会要求資料共産党分 農林省」ということで、農林省が私に教えてくれた教字です。  それから、インテグレーションの問題について、一番シェアの大きいブロイラーについて私は質問しました。しかし、同じようなことが鶏卵でも心配されています。そこで、農林省は、価格政策として、鶏卵生産調整指導したというふうに言っております。ところが、この商社については、ほとんど生産調整の対象とされなかったということを農民は非常に不満にしております。実際そうだったのかどうか、御説明ください。
  190. 澤邊守

    澤邊政府委員 今回の配合飼料の値上げに伴いまして、これまで過剰生産のきみがございます鶏卵につきましては、生産出荷調整を行なう必要があるということで、現在、生産者団体中心にいたしまして協議をいたしておりまして、具体的な措置はまだ決定まで至っておりません。鋭意現在詰めておるところでございますが、その際、いま御指摘のございましたような生産者団体系列以外の商社系、あるいは飼料メーカー系列の大型の養鶏経営について、やはり、この際足並みをそろえて生産計画的な調整をやってもらう必要がある、それをやらないと片手落ちになるという問題点は出ておりますので、農林省といたしましては、具体的なやり方がきまりますれば、商社系あるいは飼料メーカー系列その他の大型養鶏につきましてももちろん同じような指導をして、足並みをそろえて調整を行なうということにしたいということで検討中でございます。
  191. 諫山博

    ○諫山委員 この際、商社系、メーカー系にも生産調整を求めようということのようですが、そうすると、現在までは、農民の人が不満を訴えていたように、商社系、メーカー系は対象にしていなかったのですか。
  192. 澤邊守

    澤邊政府委員 従来、ここ二、三年来、鶏卵につきまして生産調整の必要性があるということの認識が関係者の間でだんだん高まっておりまして、われわれといたしましては、農林省は、これまで一年間の需給見通しを明らかにいたしまして、それに従って過剰生産にならないような調整をそれぞれ実情に応じてやっていただくように情報を提供し、指導しておりますけれども、実際問題といたしまして、生産調整をするということは、考え方は賛成されましても、具体的な実行ということになりますと、生産者団体の内部でもいろいろ問題があるわけでございます。  そこで、いままでは特に具体的に強力な指導というところまでは行っておりませんでしたけれども、今回は、たび重なる飼料値上がりによって、経営がコスト上昇によって悪化しております。これは、先ほど来申し上げておりますように、市場価格値上がり要因を適正に反映させていくということがやはり基本であるという認識に立ちまして、生産団体あるいは商社系等に呼びかけて、足並みをそろえて今度は具体的に実行していくということで、一般的にその方針に即してそれぞれがやるというだけではなしに、具体的なやり方を現在詰めておる段階でございます。近く決定をいたしますれば、具体的な実行に入りたいと思っております。
  193. 諫山博

    ○諫山委員 局長、質問したことにずばり答えてくれませんか。都合の悪い質問であっても、すなおに答えてください。私が聞いているのは、いままでは商社系、メーカー系は生産調整の対象にしなかったのかと聞いているのです。
  194. 澤邊守

    澤邊政府委員 たとえば飼料工場等の新増設をヒヤリングし、増羽計画の圧縮の指導をするというようにいたしております。飼料工場が増設いたしまして一それに基づきまして系列の羽数をふやすというような場合には、それをチェックするというような、個々具体的な場合の指導はいたしております。
  195. 諫山博

    ○諫山委員 局長、たとえば一般養鶏農家については、制度資金の運用とかなんとかで生産調整指導したわけでしょう。ところが、メーカーとか商社はそういうものにあまり関係ないから、事実上その対象にされなかった。私は、これは十分ほど前に農林者の関係者から聞いたのですが、そうじゃないのですか。違いますか。
  196. 澤邊守

    澤邊政府委員 補助あるいは融資の対象といたしましては、ただいま御指摘のように、商社系なりあるいは飼料メーカー系列の養鶏家はほとんど活用の対象になりませんので、そのようなチェックによる生産調整指導というのはそのような系列には及ばないので、その方法を用いてはおりません。
  197. 諫山博

    ○諫山委員 農林省が一番力を入れた生産調整方法は、金融制度による調整でしょう。違いますか。
  198. 澤邊守

    澤邊政府委員 それも対策の一つの方法として講じております。ただ、先ほど申し上げましたように、一般的に翌年度の見通しを公表し、それに従って調整をするということは、関係者を集めて最近は毎年実施をしておるところでございます。
  199. 諫山博

    ○諫山委員 ほんとうにすなおに答弁していただかないと、いまの畜産危機は突破できないと思うのです。あなたたちは、生産調整生産調整ということで、小さな養鶏農民にはいろいろなことを要求した。ところが、一番問題になっている商社とかメーカー系についてはほとんど手をつけなかった。そこで、こんなことではメーカーを太らせるための生産調整ではないかということで、中小農民が憤りの声をあげている。そういう状況を御存じないですか。そういうことがあるから、この際、やり方を改めて、商社系、メーカー系も対象にしようということになりつつあるのじゃないですか。違いますか。
  200. 澤邊守

    澤邊政府委員 大メーカー、商社あるいは飼料メーカー系列につきまして、生産団体と同じように指導が及ばなかったことは事実だと思います。ただ、今回はそういうようなことがあってはいけないので、また、生産者団体系列におきましても、そういう系列外の、系統外の大規模な飼養農家がこういう際にさらに増羽をするというようなことがあっては系統内部も足並みがそろわないという御要望があることも事実でございますので、先ほど御指摘のように、われわれといたしましては、今度は、商社系も、さらに飼料メーカー系も、同じように大規模なものについては生産調整をしていただくというような指導をするつもりでおります。
  201. 諫山博

    ○諫山委員 農業政策について、ここ数年非常に辛らつな批判が提起されていることは御承知だと思います。現在の農政というのは、農業政策じゃなくて、イエス、ノーの「ノー政」だという声さえあるでしょう。あなたたちは、いま生産調整する場合に、この際大商社、メーカーも対象にしなければならないと言いました。ところが、大商社、メーカーのそういう実態というものはほとんどつかんでいない。この数年間どういう推移をしてきたのか、現在商社系がどのくらいのシェアを占めているのか、これは いわゆる狭い意味のインテグレーションについては資料要求で答えられたようですが、それ以外の点はつかんでいないという説明ですが、これでは何らかのことをやろうとしても、いわゆる素材がないじゃないですか。私は、こういう資本主義的な畜産のあり方について、もっと本気で農林省は検討しなければならないと思いますが、次官、いかがでしょうか。
  202. 澤邊守

    澤邊政府委員 インテグレーションの概念が、非常に不明確であるということもございまして、正確に把握しておらないわけでございますけれども、ただ、今度生産調整をやりますのは、インテグレーションに属するもの、あるいは農協系統に属するもののいかんを問わず、いまのところまだ最終的にきめておりませんけれども、一千羽以上というような線を引きまして、それが前年どおり以上には増羽をしないというようなことを検討しているわけでございます。そういうやり方をする前提といたしまして、一千羽以上が何戸あって、経営が幾つあって、生産の飼養羽数がどのくらいあるか、シェアがどの程度であるかということは把握しておりますので、さらに、現地におきましては、それぞれどの農家がインテグレーションの系列に入っている農家であろうとなかろうと全部わかるわけでございますから、われわれが先ほど申し上げましたような生産調整を進める場合に、先ほどお尋ねのあったインテグレーションのシェアがわからないということは、支障になるとは考えておりません。
  203. 諫山博

    ○諫山委員 昔でしたら、一千羽の養鶏農家というのは大きいほうでした。ところが、あなたたちが、一千羽ぐらいじゃもう食えないようにしてしまったでしょう。一千羽の養鶏農家というのは、いまではもう零細農家です。私が問題にしているのはそういう人たちではなくて、つまり、ほんとうに自分の生活を維持するために養鶏をやっており、養豚をやっている者ではなくて、資本主義的な経営として大商社、メーカーが農業に手を出してきたという、こういう問題を特別検討しなくてもいいのかということで質問をしているわけですが、そうすると、農林省は、そういう問題は完全に無視して、一千羽以上の養鶏農家は同じような見方をするということですか。   〔委員長退席、山崎一平)委員長代理着席〕
  204. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 何か、議論がきわめて観念的な議論のような気が私はするのですよ。商社系列といっても、商社が直接自分がやっているなんというのはごく少ないのであって、それは、同じく鶏を飼う農民が商社と契約をして、そこに納めて、その系列下に入っている者がある。農協に納めている者もあるし、商社に納めている者もある、と、こういうことでしょう。したがって、商社系列の養鶏家といっても、その人には近代化資金も貸しているはずだし、やはり、同じく認めておるのですよ。同じ待遇をしておる。  それから、もう一つ、大規模化の問題について、零細のほうがいいような話ですけれども、やはり、価格問題というものをあわせて考えなければならぬ。鶏、卵が自由化をしておって、つい最近まで、えさが上がらないうちは、世界の鶏や卵と競争しても、自由化だけれども、日本には安い鶏、安い卵があるために、アメリカからでもあまり入ってこない。液卵の問題だけが問題になっておった。そして、消費者のほうからすれば、これだけ物価高のおりに、つい最近までは、卵だけは十数年間も同じであった。しかも、生産が伸びて、国民一人当たり消費は相当伸びている。世界の一級の水準に達しておる。われわれは、最初は、大体百万トン以上の生産があった場合には大暴落だ、過剰生産だ、九十万トンが限度だと言ったのですよ。いまは百三十万くらいまでいって、それでも何とか卵価が保ってこられたということは、やはり、卵の値段がうんと高くなったら食べられないけれども、卵の値段がそんなに上がらないで、たくさん各家庭で食べるようになった。こういうような消費者サイドからの農政というものもあわせて考えていかなければならぬ。そういうために、われわれとしては、養鶏の大型化、薄利多売方式というものをなるべく奨励してきたことは間違いありません。
  205. 諫山博

    ○諫山委員 私は、養鶏なんかは零細のほうがいいと言った覚えはありません。零細農家を農林省がつぶしてきたという事実を指摘しているだけです。ただ、商社あるいはメーカー系の畜産というのは、いま、ほんとうにまじめな農家が一番心配している問題です。この点について、農林省としてはもっと本気で考えないとたいへんな事態になるのじゃないかということを提案しているわけです。  そこで、次の問題ですが、私は、前回、配合飼料の内容を明示せよという問題を指摘しました。きょう、私の手元に、農林省が昨年九月二十七日に出した「配合飼料原料等表示実施要領」というのがありますが、この中に、配合飼料の原料の表示のしかたは「すべての原料及び飼料添加物の名称を表示すること」と書かれています。これはすべての原料、すべての飼料添加物の意味でしょうか。
  206. 澤邊守

    澤邊政府委員 九月の通達によりまして、行政指導としてやっておりますのは、おっしゃるとおりでございます。
  207. 諫山博

    ○諫山委員 前回、私は、この通達がどの程度実施されているのかという調査を求めたわけですが、どの程度実施されていましょうか。簡単に答えてください。
  208. 澤邊守

    澤邊政府委員 網羅的に全国的に調べる時間的な余裕がまだございませんでしたので、概略を調べた結果では、現在の実施状況は、地域により、企業別により差はございますが、おおむね五ないし七割程度に達しておるのではないかというふうに推定をいたしております。
  209. 諫山博

    ○諫山委員 前回、農林大臣は、時期は明示されませんでしたが、なるべく早くこれは実行させると言われています。いつごろまでに一〇〇%実行させるのか、目安ができますか。
  210. 澤邊守

    澤邊政府委員 できれば本日中にその指導通達を出す予定で取り運んでおりますので、それで強力に指導したいと思います。お尋ねの、いつまでに一〇〇%になるかというところは、現在明言はいたしかねます。
  211. 諫山博

    ○諫山委員 本日中に通達を出すというのはけっこうですが、どういう内容の通達を予定していますか。
  212. 澤邊守

    澤邊政府委員 趣旨は、最近の飼料値上がりに伴って、配合飼料の品質が低下するようなことがあってはならないので、消費者である農民が安心して配合飼料を使えるように、九月の通達の趣旨を徹底するようにという趣旨でございます。
  213. 諫山博

    ○諫山委員 それはどこにあてて出しますか。
  214. 澤邊守

    澤邊政府委員 都道府県と全国の団体をあて先として出す予定にしております。
  215. 諫山博

    ○諫山委員 農林大臣が、前回なるべく早くこれを徹底させたいという答弁をされましたが、きょう通達を出すということで、これは私は賛成です。  ただ、五割から七割すでに行なわれていると言われましたが、それがほんとうに農民の要求にこたえたものになっているかどうかというと、また別です。私は、配合飼料の内容の明示の実例として、農林省から幾つもの袋とか表示票をいただきました。これをつぶさに検討して、これで農民の要求にこたえたことになるかということを検討したわけですが、幾つか疑問を感じております。  たとえば、東海くみあい飼料株式会社が使うことになっている「原料等表示票」というのがありますが、これは手元にありますか。なければ、ちょっと見てください。
  216. 澤邊守

    澤邊政府委員 似たものを持っております。
  217. 諫山博

    ○諫山委員 これに基づいて質問しますが、この飼料の中には、小麦、きなこ、ゴマ油かすが入っているのでしょうか。入っていないのでしょうか。
  218. 澤邊守

    澤邊政府委員 私の持っているものと違うようでございますので……。
  219. 諫山博

    ○諫山委員 小麦、きな粉、ゴマ油かすが入っているのか入っていないのかです。
  220. 澤邊守

    澤邊政府委員 御質問の御趣旨を若干理解していないかもしれませんが、使用していることがありますと、これは非常に微量な成分でございますので、これにつきまして、私のほうで抜き取りをしまして、収去して検査をすれば、入っているかどうかということは微量でもわかるはずでございます。
  221. 諫山博

    ○諫山委員 科学的な精密検査をすれば、もちろんわかるでしょう。しかし、あなたたちがこれを指導した趣旨は、そういうことをしなくても飼料を買う農家がわかるように表示しろという意味でしょう。私は一農民の立場で聞きますが、その飼料の中には、小麦、きな粉が入っていますか、入っていませんか。農民にわかりますか。
  222. 澤邊守

    澤邊政府委員 この表現だけでは、入っているかどうかということは断定できません。
  223. 諫山博

    ○諫山委員 もう一つ、富士製粉株式会社がつくって、おそらく使用していると思われる「原料等表示票」を示します。それには、燕麦や米ぬか油かすが入っていますか。
  224. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほどと同様、これだけでは断定できないと思います。
  225. 諫山博

    ○諫山委員 一番大きな袋をいただきましたが、  日本配合飼料株式会社がつくったこんな大きな飼料袋ですね。これを見てください。それには、米  ぬかや小麦が入っていますか。
  226. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほどと同様、断定いたしかね  ると思います。
  227. 諫山博

    ○諫山委員 農林省の通達では、すべての原料、すべての飼料添加物の名称を表示しろと書いてあります。そうすると、すべてのものを明示したことにならないじゃないですか。農民の立場から言えば、いま私があげたような小麦とか燕麦がはたして入っているものやら入っていないものやら、首をかしげることにならざるを得ないでしょう。これで農民の要求にこたえたことになりますか。
  228. 澤邊守

    澤邊政府委員 確かに、全部の原料が明らかでないという点では不徹底だと思いますけれども、ここに御指摘がございましたような原料につきましては、非常に微量なものでございまして、しょっちゅう動いておるわけでございます。それを一々そのたびごとに表示を変えるということができますればいいわけでございますが、そこまでやるということは、かなり変動が激しいために、コストの面その他でやりかねる。ただ、全く記載がないというよりは、こういうものが入っていることがあるという程度の、不十分と言えば不十分ですけれども、記述があったほうがよかろうということで書いておるわけでございます。
  229. 諫山博

    ○諫山委員 配合飼料の内容を明示しろということは、長年にわたる農民の要求です。そして、それが、あなたたちの通達にもあらわれているように、品質の低下と結びついているから事は重大なんです。あなたたちの通達では、すべての原料、すべての飼料添加物の名称を表示しろと書いておって、一番最後のほうに、「新たに追加するものがあるときは、ゴム印等をもって追加してさしつかえない」と書いているでしょう。なぜすべての添加物を書かせないのか、新たに追加するものがあれば、あなた自身の通達が書いているように、なぜそれをゴム印ででも追加させようとしないのか。どうしてでしょうか。
  230. 澤邊守

    澤邊政府委員 原料と添加物があるわけでございますが、添加物については全部書いておるということでございますが、原料につきましては、先ほど言いましたように、原料の事情価格事情によりましてしょっちゅう動く点がございますので、そのたびごとに全部直すというのが、事実上非常にむずかしい点があるという実情にあるわけでございます。
  231. 諫山博

    ○諫山委員 あなたたちは、通達で、すべての原料を表示しろと書いているんですよ。自分ですべての原料を表示しろと書いておりながら、実際メーカーがすべての原料を表示しないという実例が出てくると、それを擁護するんですか。じゃ、この通達は変更するんですか。
  232. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これはやっぱり一番問題なのは、たとえば、このあなたの持ってきた袋を見ましても、「登録飼料保証票」という形で……
  233. 諫山博

    ○諫山委員 私が知りたいのは、これは維持するのか変更するのかということで、それを答えていただきたい。
  234. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 いま、それに続きますから……。  農民が一番政府にきちんと監督をしてもらいたいということは、保証成分が幾らあるのか、粗たん白質が何%、脂肪が何%とか、繊維分とか灰分、これは栄養になるものですから、そういうものが幾らあるんだということなんです。これを一番きちんとつかんでもらえば、栄養価値はきまるわけですからね。それをとるために、どういう原料を使っているかというものをこちらに表示をしてある。ですから、原料の中では、それは物不足のときがあったりして、多少入れかわったりすることがあるんですよ。ですから、こういうものについては代替があることがある。たくさんの、何十種類という原料ですから、その一部の原料が手に入らないときは下のような原料で代替することがありますということが書いてあるんで、特別に曲解をする必要はないんじゃないかと思いますがね。
  235. 諫山博

    ○諫山委員 局長が今度は答えてください。すべての原料の名称を表示しろと通達には書いてある。私は、なぜすべての原料の名称を表示するように指導しないのかと聞いているわけですが、これが曲解ですか。すべての原料をなぜ明示させないかというのは、私の読み違いですか。答えてください、局長
  236. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほど申し上げましたような事情で、やや幅の広い表現になっておりますけれども、ここに書いてありますもの以外は入っておらないという意味では、すべてのものを表示しておるというようにも言えるのではないかと思います。
  237. 諫山博

    ○諫山委員 そんなへっぴり腰で行政指導ができると思いますか。相手は海千山千の商社であり、メーカーですよ。きのう共産党の野間議員が追及したでしょう。伊藤忠がどんなにひどいことをやっているか、新聞で読んだでしょう。そういうところを相手にするのに、自分の通達さえ貫くことができないで、そんなことで行政指導ができますか。また、次官は、成分さえ表示されておればほんとうはいいんだというようなことを言いました。これは去年まで農林省が言っておった議論です。しかし、これではだめだ、農民の要求にこたえることにならない、品質の低下も予想されるというので、成分だけではなくて内容も表示しろと言ったわけです。それは御存じでしょう。その経過は違いますか、局長、どうですか。
  238. 澤邊守

    澤邊政府委員 成分を表示するということは前からやっておりまして、それで原則として概要はつかめるわけですが、さらにその細部を消費者である農家が知る必要があるということで、原料について全部表示するという指導をしておるわけでございます。
  239. 諫山博

    ○諫山委員 時間が来たようですが、私は、この問題では、もっと通達を貫くということを第一に農林省に要望します。すべての原料といっている限り、入っているか入っていないかわからないような記載は許さないという立場をとるべきです。  第二に、私は、数量の問題に触れなかったのですが、何が入っているということももちろん必要です。同時に、また、何がどれだけ入っているということがどうしても農民の知りたいことです。この点をあらためて検討していただきたい。  さらに、いまの深刻な畜産危機を解決するためには、もっと畜産政府が金を出す。畜産物の価格についても、十分政府が責任をもって処理していくということが必要なわけであります。  時間の関係上、以上できょうの質問は終わります。
  240. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
  241. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 畜産問題、なかんずく緊急を要する飼料問題について、政府当局に質問をいたしてまいります。  私は、結論としては、最後にまた申し上げることでありますけれども、今回の畜産危機は、何といっても日本農業の根本的な転換をはかると同時に、自給率を真剣に取り組んで考え直す、自給率を上げていく、これ以外にない、こういうふうに断定するわけでありますが、以下順序を追って質問を申し上げて、政府の見解を最後にただしたい、かように思います。  二月の十四日の当委員会で、農林大臣の所信表明に対する質問を、私は冒頭に二時間近くにわたっていたしました。本日は細部にわたって質問をいたすわけでありますが、御承知のように、飼料の値上げが一月三千二百円、三月には四千八百円、九月には一万百十二円、そして本年二月五日には一万一千円、三月一日からはさらに六百円が追加されて、一万一千六百円となる。なお、今後の推移を見ますると、四月にはまたおそらく数千円値上げをしなければならぬというような状況下にあり、まさに、畜産農家は史上最大の壊滅的な打撃を受ける段階になっております。世界の穀物相場その他の状況を見ましても高原に推移いたしておりますし、また、海外の状況等を見ましても、今後飼料が上がっていくということはいなめない事実であると、かように私は見ております。  そこで、二月中だけでも、各種団体が行ないました大会等を見ましても、二月七日には、第二十回を記念して全国農協青年大会が行なわれ、飼料問題等を含めて、真剣な、かつてない盛り上がった大会が開かれました。さらに、二月十四日には畜産危機突破全国農協代表者大会が開かれ、二月十三日からは、茨城、千葉、群馬県の仲間が農協ビルに毛布をかかえ込んですわり込みをするというように、連日戦っております。さらに、二月二十六日には、久保講堂で、国民食糧確保農業振興二・二六総決起大会が開かれる予定になっておりますし、二月だけでもこのような大会が続けて行なわれました。三月五日にはさっそく養豚危機突破全国大会を開くということで、農家は、また畜産農家も、必死の陳情、要請活動を矢つぎばやにいたしておるところでございます。もうぎりぎりのところに来た、もう反省なんかしているひまはない、きょうあしたが問題である、こういった血の叫びをしておることも十分政府は御存じのとおりであります。  そこで、私は、これは冒頭お伺いしたいのでありますが、日本農業がかつてない経験をするわけでありますので、いろいろ論議をされておりますけれども、これら農民が要望するすべての畜産危機に対して、政府はいまどういうふうな飼料対策または今後の畜産危機を打開するための対策考えておられるか、率直にまとめて具体的におっしゃっていただきたい。もう打つ手は八方ふさがりではないのか。打つ手があるのか。打つ手はどういうように打っておられるのか。いわゆる八方ふさがりと言われるたいへんな時期に政府もいろいろ苦慮しておられると思いますが、その状態を解決するためにはどうするか、このことをあらためて具体的に、総括的に、冒頭政府の見解をはっきりと伺っておきたい、かように思います。
  242. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 畜産の問題につきましては非常に多くの障害があることは御承知のとおりであります。何と申しましても、一番の問題はえさの問題、それから土地高騰の問題、あるいは畜産公害等の問題その他であります。えさの問題は、先ほども再々私が申し上げておりまするように、日本はほとんど全部と言っていいくらい配合飼料については輸入に仰がなければならない。ところが、世界じゅうのインフレで、アメリカにおいても、あるいはオーストラリアにおいても、飼料作物は非常に高いということであります。したがって、これらについては、やはり適正に価格に反映せざるを得ない。価格に反映をするということがまず第一点であります。その次は、畜産のあり方等についても、団地をつくるとか、あるいは高度化をはかるとか規模拡大をするとか、そういうようなことなどをやっていく必要がある。もう一つは、国内えさ自給度というものを高めていく。したがって、今回は機械化公団というものを改組して、建て売り牧場をつくらせるとか、新しい畜産団地をつくらせるとか、そういうようなことをやろうということで予算を計上をしておるわけであります。  土地の問題等につきましても、団地をつくろうとしても、非常に乱開発をされて土地が入手難であるというようなことでは困りますから、これについては、森林法の改正あるいはゴルフ場事業の規制法というようなもの等も議員立法で出して、土地の乱開発を押え、地価の値上がりを間接的に押えていくというようなことをやっておるわけであります。  こまかい点は局長から答弁をさせますが、それによってどうしてもこの危機というものは乗り切っていかなければならぬ、かように考えております。
  243. 澤邊守

    澤邊政府委員 若干補足して申し上げます。  今回の飼料値上がりが、国際的な要因あるいは一般的な要因、長期的な要因というところに主因があるというような事情から、飼料だけについて特別の対策を講ずるということがなかなかやりにくい事態にあるわけでございますが、政務次官からお答えしましたように、基本的には、畜産物価格飼料値上がりその他のコストの上昇分を適正に吸収させていくといいますか、反映させていくということが必要であろうというふうに考えております。  では、具体的にどういう方法によってやるのかという点を申し上げますと、一つは、政策価格といたしまして、三月末に決定をすると予定しております加工原料乳保証価格豚肉安定価格、これは行政がきめる価格でございますので、その価格をきめます際には、ただいま申しましたような、飼料値上がりその他生産費の動向を他の条件とあわせて十分織り込んで決定をいたしていきたい、これが具体的に価格に吸収する一つの方法であるわけでございます。  さらに、政府が直接きめてはおりませんけれども、政府予算的な援助、財政的な援助等によりまして、卵につきましては、液卵公社というものが価格が暴落した場合には買い入れをして、割卵をして、冷凍保管するということをやることになっておりまして、去年もそれを発動したわけでございますが、これにつきまして、出資をふやしまして、事業量の拡大、それから最近の生産事情等を織り込んで、価格の改定も予算成立を待ってやりたい。御承知のように、四月の末ごろから鶏卵価格は季節的に下がってまいりますので、それまでに間に合うように対処をしたいというように考えております。  さらに、子牛価格低落ということによりまして、繁殖が不安であるということのためにふえないという面がございますので、これにつきましては、これまでございます子牛価格安定基金協会というのが各県に設けられておりますので、これの保証基準価格を引き上げることにいたしておりまして、これに必要な予算措置も現在提出中の予算の中でお願いをしておりますので、これの成立を待って価格の引き上げをするということによって、保証水準を上げたいというように考えております。  さらに、牛肉輸入が最近特に下期にふえておりますことが、輸入牛肉と品質的に競合いたします乳用雄を肥育した牛肉中心にいたしまして、大衆肉の価格に圧力を加えておる、圧迫材料になっておるという点が見られますので、畜産振興事業団牛肉輸入は九〇%コントロールいたしておりますので、畜産振興事業団が下期輸入をしておりました数量のうち約四万トンを、当分の間輸入を見合わせることにいたしております。もちろん、これは、価格回復してまいりますれば直ちに解除をいたしまして、消費者消費の安定にも資するように機敏にやりたいと思っておりますが、現在の卸売り価格が非常に安くなっておるということに対処して、価格を維持する、回復させるというためには、そのような措置が必要だという判断に立って、現在これをすでに行なっております。  なお、上期の分の輸入分一万トンは、現在事業団が手持ちをしておりますが、これも大体売り先がきまっておりましたけれども、これもやめまして、調整保管をして冷蔵庫に入れてある。このような事業団輸入牛肉に対します措置、これも卸売り価格回復するための措置でございます。  なお、小売り価格が、輸入牛肉に限らず、牛肉につきまして、卸売り価格が下がってきても、それにつれて同じような程度に下がらない。いわゆる下方硬直性と申しますか、そういう傾向が従来も見られます。最近も見られますので、この点につきましては、小売り業者の団体あるいはスーパー関係の団体を指導いたしまして、小売り価格を引き下げるようにという指導通達を一月末に出して指導しておるところでございます。その結果、スーパーあるいは一般小売り店につきまして、百グラム当たり二十円ないし四十円程度、まあ一店によって違いますけれども、引き下げ効果が現在出ておりますが、これもさらに強力に引き続き進めていきたい。それによりまして消費が伸びますれば、小売り価格は下がっても卸売り価格回復してくるという効果期待できますので、そのような輸入政策あるいは小売り価格対策というものも、生産者のための卸売り価格を維持し回復する役割りとして寄与させるようにしておるわけでございます。  その他、生産対策等につきましては、政務次官から申し上げましたので、これ以上御説明は差し控えますが、特に、価格政策中心になります生産費の値上がりを織り込む具体的な施策といたしまして補足説明をいたしました。
  244. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官並びに局長からの答弁は一応伺っておくとしまして、以下、順次詰めてまいりたいと思いますが、冒頭にもう一つ伺っておきたいことは、畜産振興審議会を早く開けということで、各農業団体も、また畜産農家も血の叫びをしておりますし、われわれも昨年来このことはしばしば申し上げてきたことです。御承知のように、例年三月の十五日ごろ総会を開いて、二十七、八日、いわゆる月末に至って、飼料部会とか酪農部会食肉部会等が開かれております。四月一日告示ということでやっておりますけれども、これは平年の場合の畜産振興審議会でございまして、このような異常な、しかも深刻な、かつて経験したことのない事態が発生しておるときに、平常と同じようなペースでやるということは、いわゆる政府の姿勢というものが全く農民を無視した姿勢であるということで、われわれは遺憾に思うわけです。  そういった意味で、けさほどからいろいろ論議をされたのでありますけれども、政府はあくまでもかたくなに、三月の中旬ごろ畜産振興審議会を開くということでいっておるようでありますが、来たる二月二十五日に畜産振興審議会委員懇談会を開いて、政府考えによりますと、現状説明をして、今後の振興策等について委員から意見を聞くというような考えのようでありますけれども、この場合、畜産振興審議会の会長はじめ各委員から、今日の農政のこの深刻な委員会の審議、または、畜産農民がすわり込みをして大会を開いているという事情を受けまして、ほんとうにこれは早期に開くべきである、これは一日も早く開くべきである、二月の末または三月の初めにもう開くべきであるというふうな意見が出た場合、これは当然開くべきだと思いますけれども、それでも、あくまでも三月の中旬以降を考えておられるのか、また、そういうふうに委員が言った場合には、それに応ずる対策を立て、対処されるのか、そういう点の決意はどうなんですか。
  245. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これも、けさから再々申し上げているわけですが、本年は異常な事態でありますので、来週の月曜日に懇談会を開いて、皆さんから忌憚のない意見を出し合ってもらって、そうして引き続き——これは三月の半ばてすから、手続その他から言っても、もうほとんどつながってやると同じなんですよ。三月というのはこの次の月ですからね。ですから、まあ、そこを一日一二日早めるというようなことがどうなのか知りませんが、私は、やはり、懇談会でいろいろな意見を出してもらって、そして、それをもとにして、できるだけ適正な資料、統計を整備して、それで畜産えさ対策や、あるいは豚価、乳価の問題に取り組んでいく、これがもう一番いいんじゃないかと思うのです。せっかくりっぱな意見を聞いても、その意見を裏づける資料というものはやはり集めなければならぬのですから、そこには、多少の、二週間や三週間のズレは、まとめるためにはどうしてもできる。ですから、やはりまあ三月にならざるを得ない。そのための準備を、二十五日に懇談会をやり、また、ずっと前からやっておるのですけれども、委員の方からも、ほとんど審議会と同じように貴重な意見をお聞きをする、それを具体化していく、こういうふうなことでやっておるわけです。
  246. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私の聞き違いかもしらぬけれども、この畜産振興審議会委員懇談会というのは今月の二十五日にやるのでしょう。局長、どうなんですか。——そうですね。引き続きということは……。畜産振興審議会は、皆さん方は三月の半ばにと言うのでしょう。それじゃまだ一カ月以上あるじゃないですか。ずいぶんあるよ。どうだ、その点は。ちょっとぼけとりゃせぬか。
  247. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 二十五日に委員の方に集まってもらって、ざっくばらんに貴重な意見をいろいろ聞きますね。聞いて、その意見に基づいて資料を集めたり、いろいろなことを作業をするのには、やはり二週間やそこらかかるですよ。そういうふうなことで、準備の都合もありますから、まあ、できるだけ早くは開きますが、いずれにしても、実行するのは四月一日からということなんですから、豚価とか乳価の問題は四月一日からの実行ですから、そんなにしなくても、りっぱな材料に基づいて正式の審議会を開いてきめるということのほうがいいんじゃないか、こう思っています。
  248. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 二月の二十五日に懇談会を開くと、まとめたり何かするのに二週間ぐらいかかるとあなたは言うが、二週間といえば、三月の十日ですよ。まだ二月は五日近くあるわけですからね。三月の十日ですよ。三月の十日から二十五日までにはまだ二週間あるのですから、だから、その点ちょっとぼけとりゃせぬかと言うのだけれども、自分ではぼけていないようなつもりでおるが、そういう日にちはまだ一カ月以上あるわけですから、だから、審議会を開いて早くきめると農家も安心するし、見通しも立つし、また、いろいろと心配、不安を除くことにもなるわけですよ。そういう意味で私は早く開くべきじゃないかと言うのだが、どうして早く開けないのですか。
  249. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 何回もお話ししておるとおりですが、できるだけ早く開くようにいたします。
  250. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 できるだけということはもう結局あれなんですけれども、局長、そこで、この懇談会に、いわゆる今後の振興策と現状を説明するということで、いろいろ問題を提起されるわけですけれども、大体どういうことを今度提起されるつもりで、どういうふうになさるつもりで下準備をしておられますか。
  251. 澤邊守

    澤邊政府委員 審議会委員懇談会の運営のやり方につきましては、まだ最終的にきめておりません。会長とも御相談をしてから最終的にきめたいと思っておりますが、私どもの現在のおおよその考え方は、飼料値上がり状況によりまして経営にどのような影響を与えておるであろうかというような判断、そういう今度の配合飼料値上がりに対しまして、政府としてどのような考えでどのような措置をとっておるか、あるいはとろうとしておるかというようなことにつきまして御説明をして、われわれの認識が妥当かどうかという点についての御意見をお聞かせいただくと同時に、単に価格だけではなしに、生産から流通あるいは輸入問題まで含めまして、このような事態に対して、今後わが国畜産振興する場合どのような基本的な考え方で臨むべきかといった、いわば大所高所の議論——もちろん、価格問題も議論の焦点になると思いますが、そういうこと、それから、具体的には、三月にきめるべき政策価格決定に際して政府としての考慮すべき点、そういうことにつきまして忌憚のない御意見をできるだけ多くお聞きしたい、こういう気持ちでおります。
  252. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、かつてない畜産経験する危機の時期に来ているもので、農林省の中でも、いま、石油パニックに次いで食糧問題、なかんずくこの畜産問題が矢面に立って、局長も就任日も浅く、たいへん苦労しておることもよくわかるのですけれども、こういう時代にあなたが局長の場にあって、日本畜産の問題を解決すべく取り組んでいくということは、歴史の上でも、また、あなたとしても貴重な経験であるし、思い出に残ることでもあろうと思う。それだけに、きびしく言うようでありますけれども、あなたたちを責めるのではなくて、農家はほんとうに深刻なんですから、その状態もよくわかっておられると思うが、だてや酔狂ですわり込みしたり何かしているわけじゃないのです。ほんとうに畜産振興審議会も開かなければどうにもならないし、これを開いたからといって、私は、もう先は大体わかっているんですけれどもね。冒頭に申し上げましたように、これは一大転換をして、自給率を上げなければならぬ。その点はどうするかという根本的な問題があるんですけれども、しかし、当面そうばかりも言っておれませんので、こういったこともやって農民ノ負託にこたえながら、いま私がいろいろと指摘することなんかも十分踏まえて、真剣に取り組んではおられるけれども、さらにさらに真剣に取り組んでこの対策に当たってもらいたい、こういう意味です。あなたを責めて苦しめようとかなんとかいうのじゃないのです。農民が真剣にそう言っているのですから、あなたも精力的に資料を集めて、その要望にこたえて、一生懸命、早急に開くべく最大の努力をはかると、この決意は述べてもらいたいと私は思う。
  253. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま御発言がございましたような趣旨に沿って、まあ、力及ばずではございますが、できるだけの努力をしたいと思っておりますが、具体的な審議会の開催日程につきましては、先ほど政務次官からお答えしましたように、事務的にはいろいろな準備はございますけれども、準備が整い次第、一日も早く開くという考え方で対処したいと思います。
  254. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一日も早く開くという考え方でやるということですから、ぜひそういうようにしていただきたい、農民の要望にこたえていただきたい、大臣にも十分にその趣旨を伝えて努力してもらいたい、このことをお願いしておきます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、部分的な問題になりますが、まず、今度の畜産危機、このよって来たるべきものはいろいろ原因はあるけれども、その中でもいろいろと考えておることをこの際私は皆さんにぶちまけて今後の検討の材料にしてもらうし、また、皆さん方からもいろいろと知恵をいただき、こういったことに対してどう対処するかということで、わかっている方も多いかもしれませんけれども、私はあえて提起してみたいと思うのですが、世界の穀物相場がかなり高原であります。先行き不安というふうに私は見ているわけです。そこで、国際的に下がる見込みがないと思うわけですが、これに対する政府の見解を聞くわけです。  御承知のように、私はいろいろ調べてみましたが、シカゴ定期相場で、トウモロコシ、小麦、大豆の価格推移を見ましても、二月当初における五月限で、トウモロコシがブッシェル当たり三ドル十セント二分の一だったのが、二月二十一日現在の五月限で三ドル二十六セント二分の一になっておりますし、また、小麦については、二月当初五月限五ドル六十七セントだったのが、三月限で六ドル二十九セント、五月限で六ドル二セントに上がっておる。また、大豆についても、二月当初五月限で六ドル六十二セントであったのが、二月二十一日現在の五月限は六ドル五十六セント、七月限は六ドル五十九セント。これは幾らか下がっている。こういうふうに、いわゆる政府の資料並びに日経の海外商品相場の一覧を見ましても、なっております。わざわざここで言わなくても、信憑性があるために私はあえてここで取り上げましたが、相場を見ましてもこういうふうになっておりますように、海外相場もおそらく今後上がる、そのまま続騰していく、こういう方向で推移すると見ておりますけれども、政府のほうはその点どういうふうに見ておられるか。もう五月か六月にはぐっと下がると見ておるのか、横ばいになるというふうに見ておられるのか、はっきりとその見通しお答えいただきたい。
  255. 澤邊守

    澤邊政府委員 輸入飼料価格の今後の見通しは非常にむずかしい面がございますが、先生からいま御指摘がございましたように、最近のトウモロコシ、マイロのシカゴ相場の値上がりは一そう強くなっております。この一−三月期の配合飼料価格の値上げの前提となりました価格よりもさらにその後上がっておるということでございます。しかしながら、今後の輸入価格をきめますのは、一つは、フレートの価格がどうなるかということと、円レートがどうなるかということも重要なファクターになろうかと思います。  その三点についてわれわれの見通しを申し上げますと、アメリカが一番の飼料穀物の輸出国であるわけでございますが、ことしの作付、これは春の作付でございますが、トウモロコシにつきましては八%作付がふえるであろうという。これは、アンケート調査の結果に基づく見通しでございます。これは順調にまいりますれば、昨年よりは一そう生産がふえるということは期待できると思います。ただ、アメリカを中心といたします輸出国の在庫量がかなり減ってまいっておりますので、ことし生産がかなり予想どおりいったといたしましても、出来秋以降急速に低下するということはちょっと考えられないのではないか。したがいまして、秋の九月ないし十月ごろまでは、下がる要因は、シカゴ相場について言えばあまりないのではないか。それから、その後は、他の国のこともありますけれども、アメリカを中心とした作が非常によければやや弱含みになるということも考えられると思いますけれども、そう大幅にことしから下がるということはなかなか期待できないのではないか。そういう意味で、やや長期的な要因があるというふうに判断をしておるわけでございます。  それから、海上運賃につきましては、御承知のように最近若干落ちつきを見せておりまして、一時トン当たり三十ドルをこえておりましたのが、最近二十五ドル前後ということになっておりますので、その点は有利な条件かと思いますけれども、これがさらに下がってくるということは、最近の御承知のような石油事情からいたしますと、なかなか無理ではないかという感じがいたします。  それから、円為替レートも、同じようにわが国の経済全体の運営との関連できまってくる問題でございますので、断定できませんけれども、最近一ドル三百円をこしておったのが、現在は二百九十一円程度に戻しております。しかし、今後これがさらに二百六十五円に向かって戻していくかということは、なかなかこれはむずかしいので、これも楽観できないというようなことでございます。  それから、もう一つ漏らしておりましたが、国内諸経費、国内の運賃だとか包装資材、これも今後政府努力によりまして大幅値上げを防止すると言いましても、逆に、大幅な低下ということもなかなかむずかしいのではないかと、われわれは当分の間そういう判断をしておるわけでございます。  このような諸情勢を総合的に検討してみた場合、結論は非常にむずかしいということでございますけれども、少なくともこの秋ごろまでは、かなり下がるというところまでは、うまくいってもいかないだろう。後半に期待をするとしても、大幅に下がるということは、これまた期待できないというような見方をいたしております。  いずれにいたしましても、四月以降さらに値上げが必要だというような声が、業界に、しばらく前にはございました。先ほど言いましたような事態を踏まえて、最近どう判断するかという点はむずかしい点でございますけれども、全農等各メーカーにおいても、四月以降の価格についてはまだ試算は始めていないように聞いております。いずれにいたしましても、値上げは極力回避するという方針で指導してまいりたいと思います。
  256. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官に答えていただきたいのですが、いまちょっと席をはずしたようですが、いま局長答弁しましたように、世界の穀物相場というのはかなりきびしいものがあるわけです。私も、局長が言われる以上にきびしいように推移していくことを想像しておりますけれども、御存じのように、海外相場が高ければ、要するに原料が高ければ、製品価格というものに当然これははね返ってくる。わかりやすく言えば、海外相場、すなわち製品価格が千円とすると、原料というのは大体九百四十円から九百五十円ぐらいかかるというふうに言われております。  そこで、こういうシカゴ相場の推移、また、局長のいまの答弁等を見ましたときに、今回、二月の五日から全農はいわゆる一万一千円に上げましたが、それも、三月期にはまた六百円追加して、一万一千六百円になる。ところが、またさらに四月にはこれが四千円か五千円ぐらい上げなければならぬだろうということがもう現に言われている。四月に上げぬにしても、また五月か六月には必ずこの話が出てくる。局長は何とか価格を押えていくことに努力するとおっしゃるけれども、もうどうしようもない、手がつけられないような状態になってきている。そういうことを見ましたときに、今後、政府としては、飼料値上げに対して、いわゆる四月以降のことも考えましたときに、飼料そのものに対する価格政策でいくのか、今後も、先ほどから答弁がありますように、畜産物価格で吸収する政策でいくのか、今年四月以降の値上げ等を予想した場合に、どちらを考えていかれるのか。四月以降上がっても、やはり今回と同じような対策をとっていくというつもりなのか。その辺もこの機会にお聞きしておきたい。
  257. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 局長から輸入飼料価格見通しについて話があったと思いますが、そのとおりで、私も、なかなかこれは下がるというようには感じられない。  そこで、どういうふうな方策をとるかということでございますが、この飼料の問題は世界的な問題であります。それから、日本輸入をするものはえさだけでなくて、もっと二倍半にもなるという石油の問題もあるし、砂糖の問題にいたしましても、これは三倍ぐらいの原糖の値上がり等、たくさんあるわけです。したがって、価格対策でそいつに補助金を出して安くするということになりますと、これはえさだけでなくて全体の輸入物資についての問題になりますから、言うべくして、なかなかこれはむずかしいのではないか、そういうことになれば、畜産物の飼料というものはやはり価格で吸収する以外にないのではなかろうか、こういうようにいまのところ考えております。
  258. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 価格で吸収する以外にないといまのところ考えているということですが、価格で吸収するか、飼料で吸収するか、政府の見解が一応示されましたけれども、どちらを選んだとしても、徹底したものでないと今後の畜産は救われない、壊滅的打撃を受けると私は思うのですが、その点は政府も十分認識しておられますか。
  259. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 十分認識をして、適正にこれを吸収する、そういうつもりでおります。
  260. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、私は、この飼料問題は、時間の制約もあるので少しはしょってやりますが、国際資本、すなわち穀物商社というのが、普通、三大メジャーとかあるいは四大メジャーとか言っておりますけれども、カーギル、コンチネンタル、ブンゲ、トレダックスといったものがあるわけですけれども、日本も、ほとんどこの商社との話し合いによって出されてきております。石油がメジャーによって今回いろいろとあやつられた、つくられた石油パニックが起きた、どうしても日本はメジャーから抜け出すことができないということで、これがたいへんな問題で、われわれも今回深刻にメジャーの力というものを思い知らされたわけですが、食糧もまた同じであります。そこで、この三大ないし四大メジャー、穀物商社というものが、これがなかなか穀物を握っておるといった関係で、国際価格がメジャーにあやつられている限り、飼料問題は今後なかなかたいへんなきびしい道をたどるというように私は見ておるのですけれども、これも何とか解明しなければならない。こういった根本を解明せずに飼料価格を論じても、なかなかこれは一朝一夕には畜産農家の期待にこたえられぬというふうに考えておりますが、その点はどう政府は分析をされ、検討され、これに対してはどういう見解を持っておられるか、明らかにしていただきたい。
  261. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは外国の話であって、日本、特に農林省だけの力でどうすると言っても、なかなかこれはどうしようもないようなことであります。したがって、農林省としてはできるものからやるほかないので、国内自給度を高めるとか、そのためにことしもえさをつくらせる補助金を出すとか、あるいはまた、農地開発機械公団を改組して畜産基地の自給体制をつくるとか、あるいはまた、海外の低開発国に対する開発輸入というものを促進するための経済協力事業団をつくるとか、そういうようなことで少しでも国内でよけいつくることと、外国から入れる場合も、ただそういうようなメジャーに踊らされるというばかりではなくて、安定的な供給、安定的な輸入をはかっていこう、と、こういうことでやっておるわけであります。
  262. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官は、これは外国のことだとおっしゃるけれども、実際、日本の商社もこれらと話し合って飼料を入れているわけです。  局長、いまのぼくの質問に対して、局長はどういう見解を持っておられるか。
  263. 澤邊守

    澤邊政府委員 いわゆるカーギルとか、コンチネンタルとか、ブンゲコーポレーションとか、いろいろ大手の穀物商がございますが、私も、その実態を必ずしもつまびらかにしておりませんけれども、そういう穀物商がかなり日本の相場に対する支配力を持っているのではないかという点につきましては、穀物自体が、相場がかなり変動の大きいもので、相当大きなリスクがあるものであるということがございますので、リスクがあるから投機的なことができるという面もありますが、逆に、そう大がかりなことはあぶなくてできないというような両面があろうかと思います。  それから、アメリカ等におきまして、日本で言えば農協系といいますか、生産者団体の力がかなり伸びてきておりますので、穀物商社だけの操作力というものがどこまであるかという点については、元来弱まっているのではないかというようにも言われております。たとえば、ある商社が備蓄といいますか、買い占め的なことをしたとしても、他の穀物商からたたかれるというような面もよくあることのようでございます。あまり断定的な私の見解というほどのものはございませんけれども、そのようなことが言われておりますけれども、石油のような大きな買い占め、売り惜しみをしているというようなうわさは、必ずしもそれほど大きくないのではないかなというように、印象的なことで恐縮でございますけれども、その程度考えております。
  264. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 このことは、またあらためて機会をとらえて、少しメスを入れたいと思っておりますけれども、政務次官も、知っておって、公開の席で答弁がむずかしいのかわかりませんが、これらを少し詰めて当委員会でも検討していかなければ、ここらにいろいろ根本的な原因があるということを私は指摘しておきますので、十分大臣とも検討していただきたいと思うのです。  そこで、ついでですから一つ提案をしておきますけれども、私は、これはかねがね個人的にも考えておるのですけれども、石油の場合でもいろいろと論議されておりますが、こういった飼料問題等考えましたときに、これは将来ずっと続く問題でありますので、いずれにしても、今後、国際食糧会議というか、こういうような名前のものを何かつくって、それを調整機関にして国際的処理をしていくというようなことも日本あたりが提案をする、また、考えていくということも必要じゃないか、政府のほうでもそういったことを何か検討しておられるのか、全然気づいてもいないのか、その辺をお伺いしておきたいし、そうであれば、そこでまたわれわれも小委員会等別途検討していこうということになっておりますので、これだけはいろいろ議題にして検討していくという必要があるのではないか。当委員会においても、私はそういうように感じております。いずれにしても、場当たり的でなく、相手の長期契約取引ということが今後大事になってくるというふうに思うわけですが、その点、政府当局のどちらからでもいいですから、見解を承りたい。
  265. 澤邊守

    澤邊政府委員 私のえさ関係から若干はみ出る部分はあると思いますが、えさと食糧穀物は非常に代替性がございまして、密接な関係がございますので、その部分まで触れたお答えになるかと思いますが、確かに、長期安定的な契約によりまして、少なくとも数量について長期契約を結ぶということ、あるいは政府間の協定によって安定的に確保するということが必要になってきておると思います。  これは、従来は国際価格が安定しておりまして、膨大な在庫量を輸出国がかかえておりましたので、むしろ買い手市場になっておったので、そういう長期契約を結ぶ必要はなく、むしろ結んでくれというのが輸出国側であったわけでありますが、今回はやや逆転をしておるというようにも言えるわけでございます。  そういうこともございまして、昨年、櫻内前大臣のとき、日米の食糧に関する定期協議をやる、日加についてもやる、あるいは日豪についてもやるというようなことを順次きめていただきまして、すでに第一回がそれぞれ行なわれておるわけでございます。これらもいきなり長期契約というわけにはいきませんけれども、それに情報交換、需要と供給をそれぞれ持ち寄り合うというようなことを通じて、きちっとした長期契約まではいかなくとも、漸次そういう方向に実行上進んでいくということも一つの斬新的な方法ではないかと思うわけでございます。  ただ、そこで、食糧は食管物資でございますので、政府が直接相手国政府と、あるいは相手国の生産者団体であれ、あるいはシッパーであれ、長期契約を結ぶということは、やろうと思えば、まあ予算、会計上の問題もございますけれども、やれなくはないわけでございますが、えさにつきましては、食管物資である小麦、大麦を除きまして、全部民間貿易ということで自由化して、民間貿易によってやっておるわけでございますので、政府がそういう協定なり契約を直接やりましても、それを民間にどう実行させるかというような問題が残るわけで、その辺、食管物資とは違ったむずかしさが残るわけでございます。  全農等におきましては、アメリカの生産者団体と、長期と言いましても二年をこえるようなものではございませんけれども、一年間の長期契約をやっております。これもだんだんその割合もふやしておるようでございますので、全農におきましては、そういう特殊なルートを通じて長期契約をやっております。そういうものを伸ばしていくということは一つのやり方だと思いますが、一般の商社につきまして、あるいはメーカーにつきましてそういうことまでやるということは、現在のような非常に変動の多い需給状況価格状況のもとにおいて、ある意味では逆に必要だということもございますが、ある意味では危険が伴うということもありますので、なお、そのやり方の具体的な方法については検討すべき点が残っておるのではないかというふうに思います。
  266. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制限があるので、ひとつ要点を簡潔に答弁していただくことにして、あとははしょって、予定している質問は全部一応終わりたいと思いますので、よろしく御協力をいただきたい。  備蓄問題について、やはり根本問題であるので私は質問いたしますけれども、政府は、今回、わずかながらでも備蓄をするということで、一歩前進の姿勢をとっておることは一応私も評価はしておりますけれども、ところが、この備蓄を日本がするということによって、米国では、さっそく日本に対して、あらゆることについて中共寄りになるのじゃないかとか、いろいろな憶測が乱れ飛んでおる。ここであまり詳しく言うこともどうかと思いますのでその程度にしておきますが、そこで、日本に対して、日本が備蓄をするならば今後飼料をアメリカは売らないという動きが、表面にはないけれども、厳然とあるということを承知しておられるか、それに対してはどういう見解を持っておられるか、明らかにしてください。
  267. 澤邊守

    澤邊政府委員 えさにつきましても、大豆等とあわせまして、ことし四十九年度から備蓄を開始したいというふうに考えておるわけでございますが、ただいまのお尋ねの件は、日本で備蓄をすることが、輸出国、たとえばアメリカならアメリカが非常に不満である、そのために輸出を制限するというような御趣旨の御質問ではなかったかと思うわけでございますが、実は、私も、昨年アメリカへ穀物問題で調査等に行ったときの経験からいたしましても、その後の話を聞いておりましても、実は、アメリカ自身が日本にもっと備蓄をすべきであるということを言っております。といいますのは、従来はアメリカが膨大な在庫を持っておったということは、アメリカが世界の輸入国のために備蓄をしておったのだ、アメリカの言い分からいたしますと、アメリカの経費において輸入国のためになることをやっておったのだ、こういうことをアメリカとしてはこれ以上続けられないのだ、むしろ、こういうふうに需給が逼迫をし、価格変動が激しいときには、輸入国みずからが自分の負担でやってほしい、少なくとも持ち寄りでやってほしい、こういう意向が強かったと思いますし、現在でもそうだろうと思います。
  268. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長はどこへ行って回ってきたか知らぬけれども、政務次官、いまの件についてあなたは同意見か、別な意見を持っているか、あなたの見解を聞いておきます。
  269. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 特別、別な意見はございません。
  270. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ここで私は明らかにしておきましたけれども、この備蓄については、アメリカは相当神経を使っております。なぜかなれば、日本が備蓄すると、アメリカに対していろいろと困る問題が起きてくるわけです。なぜかなれば、日本は今回石油でたいへんな体験をしましたように、飼料、食糧、石油のこの三つは、これは戦略物資として、今後長く日本がいつまでも苦悩をなめねばならない。まことにつらいけれども、どうしようもない問題です。この三つをいわゆる一つのてこにして、今後アメリカが日本にいろいろとこういった戦略物資としての操作をするということは、だれが考えても考えられます。いま急に自給率を増せといっても、なかなか自給率は一朝一夕にはできません。また、石油にしてもそうだし、食糧にしてもそうだし、えさにしても当然そうであります。そういったことを思いましたときに、これは重大な問題がここにあるということを知って、先ほどのメジャーにしても、この備蓄にしても、アメリカは、日本が中共寄りになっていくということなんかをいろいろ懸念をして、現にそういった関係の方が、いわゆる農林省のこの備蓄問題が出たときには、もうアメリカの関係者が暗々のうちに日本に飛んできて、あらゆる調査をして、心配をして、農林省以外の末端も回っております。そういったことを十分承知して対処していかなければならない。簡単にいかないということを知ってもらいたい。そういうことを十分大臣にも伝えて、検討してもらいたい。慎重に扱ってもらいたいと思うのです。政務次官、いかがですか。
  271. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 貴重なる御意見として、十分に参考にしてまいりたいと思います。
  272. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まことに貴重な意見を申し上げておきましたので、気づいてなければ、そういう状態下にあるということを知って対処してもらわないと困る。  次に、飼料価格補てんの問題で単刀直入に聞いてまいりますが、昭和四十八年十月から四十九年三月に、月平均三千円を補てんして、二百十億円の価格補てんをしたことは御承知のとおりです。二月十四日の農林大臣に対する質問においても、これはなぜ農林省がもっと強腰でこの二百十億円は返さぬようにしなかったか。弱腰で、ついに二百十億円は返すということにした。あのときに返さずに済むようにしておけば、今後補てんしても返さぬでいいということになったのだけれども、これを返すことになったものだから、今後補てんしてもまた返すのだなということで、なかなかこれは団体も弱腰になる。残念なんですけれども、そんなことばかり言っておられませんので、今年は飼料値上げがすでに行なわれたのだけれども、何ら政府も手を打ってない。先日指摘したとおりです。そこで、二月、三月の値上がりだけでもこれを補てんするとするならば、三百三十億円の金があればできるわけです。とりあえず三百三十億円で補てんして、今後四月以降の問題についてはどう対処するかというふうなことも一つの方法であり、私はそういうふうにしてはどうかということも考えているのですけれども、政府はそんなことはもう全然考えられないというのか、これはまた十分検討しなければならぬ、こういうふうにおっしゃるのか。団体等においても、まず、二月、三月を何とかしてもらいたいという切な願いがあったのですけれども、その点どういうふうに検討しておられるか、この際お聞きしておきたい。
  273. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 今回の値上がりの問題については、一時的に上がって、それでまたずっと下がってくるような見通しが、どうもいまのところありません。したがって、コンスタントになってしまうというようなことから、一時的に補てんをしてみたところでどうしようもないことなんで、今回はそれは考えておりません。価格に適正に反映をして、そこで吸収する以外にない、こう思っております。
  274. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点はそういうこととして考えていないということであるけれども、今後検討をいたしたいと思いますが、そこで、政府操作飼料の問題で若干触れておきますけれども、飼料勘定で、小麦、大麦が中心でありますけれども、四十八年度はたしか三百億ぐらいと思いましたけれども、これは、局長、三百億ぐらいですかね。
  275. 澤邊守

    澤邊政府委員 四十八年当初九十四億の予算でございましたが、補正をいたしまして、三百九十七億の一般会計からの繰り入れ額になっております。
  276. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この飼料勘定は、すでに赤字なんですか。
  277. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほどお答えしまして、三百九十七億と言いましたが、逆でございまして、三百七十九億の誤りでございますので、訂正させていただきたいと思います。それは、小麦、大麦を輸入価格よりも安売りをしておるということに伴う赤字の補てんでございます。
  278. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 赤字補てんということはわかっているのですが、そこで、局長、現物ですね。現在これは政府操作飼料ですけれども、定期的にこれは出すことに従来なっておりますけれども、こういう時世ですから、いますぐにでも、もし政府操作飼料があれば低廉売却してもらいたいというように思うのですが、その点はどういうふうになっておりますか、簡潔にひとつ答えていださい。
  279. 澤邊守

    澤邊政府委員 政府操作飼料につきましては、大麦と小麦を中心にしてやっておるわけでございますが、これは主として大家畜向けに、単体飼料として、すなわち配合飼料原料としてではなくして、年間の飼料需給計画に基づいて毎月の必要量が出てきますので、それに基づいて計画的に売却をしておるわけでございます。したがいまして、それは輸入用として、大麦、小麦を輸入したものを売却をしておるわけでございますので、それらの需給計画に支障を来たさずして、ほかに配合飼料に回すというようなことは困難な事情にあるわけでございます。年間の計画に従ってやっておりますし、最近の需給状況価格状況からいたしますと、ここで通常の売却分以上に買い付けをふやして、たとえば配合飼料用、あるいはそれに代替するものとして売却量をふやすということは、需給事情から見ましても、国際的な需給事情からいたしましても、にわかにやりがたい事情にございます。
  280. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 要するに、こういう緊急な状態であっても、現に品物はあるけれども、低廉売却はできないということだと思うのですが、その通りでしょうか。そして、また、現在どのくらい政府操作飼料は在庫がありますか、簡潔にお答えください。
  281. 澤邊守

    澤邊政府委員 約一・六カ月分ぐらいを、大麦、小麦両方合わせまして現在在庫を持っております。これは年間の需給計画に基づきまして、計画的に単体飼料として売るものという予定をいたしておりますので、もしそれを他に転用することになりますと、その需給計画に基づく単体としての売却量が減ってくる。全体としてふやさなければそういう関係になるわけでございます。
  282. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一・六カ月だけれども、数量は幾らですか。
  283. 澤邊守

    澤邊政府委員 年間で、四十八年度は二百四十万トン売却をいたしております。それは若干の月別の差はございますけれども、月別に大体平均的に売却をいたしております。
  284. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、四十九年度予算措置で、政府操作飼料はどうなっておるかということも含めて、政府飼料対策については——政府操作飼料輸入飼料勘定で、私たち聞いておる範囲では、たしか六百億円の赤字負担を予算要求しておるやに聞いておりますけれども、この点もあわせて簡潔にお答えいただきたい。
  285. 澤邊守

    澤邊政府委員 四十九年度の予算は約六百億、御指摘の通りでございますが、これは国際価格が四十八年の補正をしたものに比べましても、なお高くなっておる。それで、売却は若干の引き上げをいたす予定にしておりますけれども、できるだけ抑制する。上がった分だけは転嫁しないという方針でやっておりますので、その売買差損がそれだけふえるということでございます。  それから、さらに、先ほどちょっと触れました備蓄を、民間と合わせて政府が大麦十五万トンを行なうというようなことに伴う経費の増、さらにランニングストックを現在年間二カ月分を持ちたいということでやってきておりましたのを、食糧と同じように二・三カ月分までしたいということも考えておりますので、それらに伴う経費増、したがって、操作量は昨年の二百四十万トンをやや上回る程度を予定しておりますけれども、赤字額は先ほど言いましたように六百億近く増大をすることになるわけでございます。
  286. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一応その点は答弁をお聞きしておきます。  そこで、冒頭私が申しましたように、これは政務次官または局長等にお伺いしますけれども、私は、今回のいろいろな畜産危機等をずっと過去から推移して見てきますと、やはり、結論は何としても自給率を上げるということが一つの大きな問題だと思うわけです。  それで、あと時間があればいろいろたくさん問題提起をしたいわけですけれども、時間が参りましたので、若干二、三点にしぼってお伺いしておきますが、自給率を上げるということについては、局長もしばしば国内自給原則に今後対処するということをおっしゃっておるし、また、政府もそうでありますが、われわれも自給率を上げる以外にない、上げる以外にないと、こう言っているけれども、その言うことばの裏には具体的なものがなかなかはっきりしないのですが、どうすれば自給率を上げられるのか、どういうようにするのか、ひとつ簡潔に、ほんとうに政府がこれに取り組んでいるという、その真骨頂を御答弁いただきたいと思うのです。
  287. 澤邊守

    澤邊政府委員 飼料自給率を上げるということにつきましては、国内でできるものは極力つくるということで、維持あるいは向上をさせなければいけないと思いますけれども、ただ、中小家畜向けの、ただいま議論になっておりましたトウモロコシだとかマイロとかいう穀物につきましては、一部大麦につきまして、五十七年度までに三十万トンの飼料用の大麦をつくるということは、四十九年度から事業をスタートさせましたけれども、トウモロコシとかマイロという膨大な飼料穀物あるいは大豆かすというようなものにつきまして——まあ、大豆かすの場合は大豆でございますが、国内生産をするということは、現在の比較生産性あるいは労働力事情等を考えますとなかなか容易なことではない。いろいろ実験をやっておりますけれどもむずかしいということで、現在、自給の主体はまず粗飼料をできるだけ使う。特に、大家畜については粗飼料生産拡大する。草地の造成をいたしまして、牧草をふやしていく。それから、さらに、飼料作物の裏作なり、あるいは畑を含めた表作につくっていくというようなことをいたしまして、大家畜について、特に粗飼料の給与率を高めていく。現在低過ぎますので、高めていくことを通じて自給率を高めていきたいというように考えておりますが、飼料穀物、いわゆる濃厚飼料のほうにつきましては、一部大麦についてはやりますけれども、トウモロコシ、マイロ、大豆等につきましては、いろいろ検討はいたしておりますけれども、これをこれから国内で大いにやるんだというところまでの結論はなかなか得がたい現状にあります。
  288. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 自給率を増すことについては私たちもいろいろ部会でいま検討しておりますけれども、いまおっしゃったように、粗飼料を増すとか、麦の問題、大豆の問題等いろいろあります。一つには今回の公団法の問題、あるいは大規模林業圏等が今後開発されますけれども、そういった問題とあわせまして山地酪農を推進するという問題もありましょうし、また、きょうは時間がございませんけれども、水稲、稲作のいわゆる青刈りによる飼料というものの検討と試験をいましておられるようですが、こういった問題とかもあわせまして、あらゆる知恵をしぼってやらねばならぬと思います。当委員会でも農業のあらゆる価格問題について、小委員会をつくって徹底的にこれを詰めて、超党派で検討しようということをわれわれ提案をして、いま着々と準備を進めておりますので、いずれまたそういう機会に検討をしていくということにしまして、この自給率の問題については政府も具体的に、真剣に、今年度ばかりでなくて検討してもらいたいと思う。  そこで、あと二点ですけれども、あとの質問通告を全部はしょりまして、私はこれは農林大臣にもぜひ言いたいところですけれども、政務次官に申し上げて、これは飼料問題のみならず農業問題すべてに通ずる問題でありますので、今後いろいろと御検討をいただき、またいろいろ反省の資料にもしてもらいたいと思って提案をするわけですが、私もかつて昭和二十年から公務員をいたしまして、長いこと、十数年やりました。そういった関係もございまして、公務員の立場というものも一応わからぬでもありませんが、こういった畜産危機または今後起こるであろう食糧危機等を考えましたときに、将来もあることなので申し上げるわけですが、農林省の制度について、職階制がなかなか激しい。何も昔が全部いいとは言いませんけれども、昔は、実は、同じ職場にいても、畜産問題あるいは水稲問題にしても、あらゆる分野があって、同じ仕事に長い人は二十五年から三十年エキスパートとして定着してやってきた。貴重な国民の税金によって月給をもらって、そして長い間世界のいろいろなことに通暁し、また国内の問題にも通暁して真剣に取り組んできた。  ところが、最近は職場が二、三年でかわる。これは部長、局長もそうですが、早いのはもう一、二年、普通二、三年でかわる。結局、時代もかわって、職場をかわらぬとどうしても成功しないといいますか、階級が上がらぬということでもないでしょうけれども、職場がよくかわる。いわゆる職階制が早い。そこで、エキスパートがなかなか育たない。それで、将来の見通し、海外の見通し、いろいろなことの判断がどうしても鈍ってくる、誤りがちである、こういったことを私たちは指摘せざるを得ない。国民のために何としても長期の見通しを立て、また、一貫した計画に基づいて——こういった農業というのは、林業にしても同じですが、息の長い仕事でありますので、ひとつ、こういったエキスパートをうんと育てていただいて、国民のためにこたえていただきたい。こういう気持ちがするわけですが、昔といまでは時代もかわっているし、また、本人の希望あるいは将来の問題等があればそうばかりも言っていれぬということもあるかもしれませんが、それにしても、かつてのアメリカの占領政策関係等もありまして、最近はこれが特に激しい。そのために、名前も覚えぬうちにもうかわっている。せっかく知っていろいろ通じてきたらもうかわっているというようなことで、見通しを誤るというようなことがいろいろと起こりがちである、こういうふうに懸念してなりません。  われわれが人事に関して云々を言うことではありませんけれども、農林省当局はこういった面についてもよく指導していただきたい。これは何も農林省ばかりじゃないのであります。ほかの省も同じでありますけれども、特に息の長い農業、林業、漁業でありますので、私はそういったことをしみじみ思っておる。そして、今後の畜産危機または農業危機に対しても、国民の負託に一生懸命にこたえていただかなければならぬ、そして国民のためにしっかり奉仕していただきたい、かように思ってなりませんですが、こういう大事なときになりましたので、私はこういったことを政府当局に希望申し上げ、また、御見解を承れれば承りたいということで申し上げたわけですが、どうでしょうか。
  289. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 ただいまのお話は公務員の俸給制度全体にかかわる問題でございますが、御指摘のような問題点があることも事実であります。よく研究をしてみたいと思います。
  290. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、政務次官にお伺いしてみたいと思いますが、冒頭に私が申し上げましたように、私は、二月十四日にも農林大臣に所信表明に対する質問をしてまいりましたが、その中でいろいろ大臣にも見解を承ってきたのでありますが、結局は、日本農業の今後の発想の転換をはかる以外にない。すなわち、根本的には農業基本法を再検討して、日本農業政策を転換し、自給率を上げること、真剣にこれらに取り組む以外にないというふうに私は思っておるのであります。そのためにも、農業の憲法である農業基本法を洗い直して、大改正をして、さらに自給率と取り組み、そして今後農政の根本的な問題を樹立して、畜産危機をはじめ、当面起きている問題に対しては緊急な対策をすると同時に、根本的にはこういったことで真剣に取り組むときが来ておると思う。そういう意味で、日本農業の憲法である農業基本法の改正については政務次官はどういうふうに考えておられるか、御見解を承りたい。
  291. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 農業基本法等の問題については大臣からお話しがあったろうと思いますが、私は大臣と同じであります。  自給率等の向上については、もうあらゆる知恵をしぼって忠実に努力してまいります。
  292. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わりますが、冒頭に、また、ただいま申しましたように、いろいろ申し上げてまいりましたけれども、今回の畜産危機は、当面の問題と取り組むと同時に、根本には、さっき言いました外国との関係から、または日本農業の根本である基本法の問題から、自給率を上げるという取り組み方、こういったことをなさらなければ、結局いまのところ八方ふさがりで、政府も、また与党である自民党にしてもどうしようもないというときに来ていると思います。四月また値上げをされるのじゃないかという危険をはらんでおります。こういったことを思いましたときに、各団体も畜産農家もすわり込みをしていま真剣に検討しておりますが、これらにこたえるために、畜産審議会を、冒頭に申しましたように一日も早く開いて、これらの危機打開のために、できることからあらゆる手を打って対策を講じていただきますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  293. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次回は、公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時十二分散会