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芳賀議員 いまお話しがありました
森林開発公団並びに県の
造林公社の分
収造林事業についての批判ということに当然なるわけでありますが、まず、
森林開発公団については、これは、
昭和三十一年に公団法が成立して、それから今日に至っておるわけであります。ただ、この公団の当初の発足にあたっては、国の機関に準ずる
森林開発公団として、
民有林等に対する
造林目的で発足した公団では決してないわけです。最初は世界銀行の融資を受けて、熊野あるいは剣山の林道開発を行なって、これを有料道路として経営を行なうというところから出発をいたしまして、たまたま
昭和三十六年に、長年の歴史と実績を持った公有林等の
官行造林法というものを
政府提案によって、多数をもってこれは廃止したわけですね。そのときから、
森林開発公団が、公有林を
中心とする水源林に対する分
収造林事業というものを行なってきておるわけであります。そのあと、また、スーパー林道であるとか、いろいろな
事業に
森林開発公団が
事業の幅と分量を確保して仕事をやってきておるわけでありますが、そういう経過をとらえると、一貫性がなくて
森林開発公団の延命策であるというような批判も、決して世上にないわけではありません。
もう
一つは、これは実施機能というものを持っていないのですね。林道にしても、
造林にしても、公団自身が実行する労働力も機械器具等も全然保有していないわけでありますので、結局、
事業を
調査して発注するというような、そういう発注公団としての性格を持っておるわけでありますからして、
事業実施の資金にいたしましても、金額を
政府出資並びに
政府資金の導入によって行なっておるわけでありますからして、結局、公団自身が積極的に
造林事業あるいは林道の開設工事を行なうということにはなっていないわけであります。こういうトンネル機関的な公団というものは、今後
民有林の困難な
造林を発展的に推進する実行体としてはたしてどうかという問題は、これは
国会においても十分
検討をくだす時期であるというふうに考えておるわけであります。
それから、
造林公社にいたしましても、
昭和三十三年の分
収造林特別措置法が発足する以前は、かつての
官行造林と並んで、県行
造林という形で、地方公共団体が主体になって分
収造林を進めてきたという、こういう経緯があるわけであります。分
収造林特別措置法の実施に伴って、この
法律の規定に基づいて
造林公社等が運営されておるわけでありますが、これも、分
収造林を行なう場合の、たとえば費用負担者、
造林者、
土地所有者の三者によって分
収造林事業というものを進めておるわけでありますが、結局、
造林公社というものは、まず第一に費用負担者である、さらにまた
造林者であるという
立場に立って、結局二者契約で
民有林の
造林事業をやっているのが今日の現況でありますが、県の
造林公社だけの力で毎年毎年の
造林の費用の全体を調達確保するということはなかなか困難な実情にあるわけであります。そういうことで、
造林公社は、出資の面においては地方公共団体の都道府県並びに関係の市町村の出資、中には
森林組合の一部出資等もありますけれ
ども、そうした公共団体や関係団体の出資によって資金が形成され、
事業をやる場合の必要な資金調達はほとんど農林漁業金融公庫等の資金に依存して
事業経費を調達して行なっておるわけであります。そのほかに、結局、この
事業というものは、多分に国の
造林政策に基づく補助金に依存しておるという面が多いわけであります。
先ほ
ども申しましたけれ
ども、いま民有
造林として行なっておる中で一番補助率が優遇されておるのは団地
造林でありまして、この団地
造林の場合には、実質的に六八%の補助が交付されるということになっておるわけであります。平均的には、国が三割と府県一割の四割補助でありますけれ
ども、それに公社
造林等については経費の査定係数というものを使いまして、そうして実質的には六八%、約七割補助が行なわれる。そのほかに、浩林公社、
森林組合の場合においては、標準単価に対しておおむね一五%経費の上のせというものが実行されておるわけでありますからして、そうたると、大部分の
造林費用というものは国の補助金に依存する。足りない資金については、補助残の融資あるいは非補助の融資等についても必要額の九〇%が融資をされるわけでありますから、費用負担者ではありますけれ
ども、資金調達の大半は国の
助成と融資政策に依存して、ようやく費用負担者としての地位と能力を維持しておるというようなことになっておるわけでありますからして、これにも限界があるわけであります。そういうことで、
地域における分
収造林の採択にあたりましても、やはり、能率的に、そうして比較的
造林コストの低いそういう
地域を選定することになりがちでありますからして、それから取り残された
地域というものはなかなか公団
造林にも公社
造林にも乗らないという弊害というものが出てくるわけでございます。でありますから、私
どもは、公社
造林についても、県単位の
造林公社というものの今日置かれた実態というものをいろいろな角度から
検討を加えまして、これを大きく助長する必要があるとするならば、むしろこれに
法律的な根拠を付与することによって国の責任あるいは公方公共団体の責任を強めるという
立場で十分に助長してやる必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。
私
どもが提案して御
審議を願っておる時期でありますからして、公団、公社に対して、この際、この時点で直ちに全面
検討を行なうということについてはいささか問題があるわけでございますが、率直に申し上げてそういう考えを持っておるわけでございます。