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1974-02-20 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       伊東 正義君    今井  勇君       小沢 一郎君    金子 岩三君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       佐々木義武君    中尾 栄一君       本名  武君    粟山 ひで君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       美濃 政市君   米内山義一郎君       諫山  博君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稲富 稜人君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         林野庁長官   福田 省一君         林野庁林政部長 平松甲子雄君  委員外出席者         議     員 芳賀  貢君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         林野庁指導部長 松形 祐尭君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     石田  均君         労働省職業安定         局失業保険課長 関  英夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 二月二十日  農用地開発公団法案内閣提出第四八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措  置法案芳賀貢君外十名提出、第七十一回国会  衆法第一七号)  森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す  る法律案内閣提出、第七十一回国会閣法第一  一九号)      ————◇—————
  2. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、おくれますので、委員長の指名により、暫時私が委員長の職務を行ないます。御了承のほど、お願いいたします。  芳賀貢君外十名提出、国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措置法案、及び内閣提出森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津川武一君。
  3. 津川武一

    津川委員 ただいま議題になっておる二つ法案のうち、国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措置法案、これは非常に検討を要する重大な問題を含んでおります。私たちは独自の立場から若干の調査もいたしましたので、きょうは提案者に幾つかの質問をいたし、その結果においてさらにさらに検討を進めてみたいと思っております。  提案理由説明の中に非常に重大なことが書かれてあります。「昭和四十六年度の木材の総需要量は一億四百万立方メートルであり、供給量の内訳は国産材が四六%の四千八百万立方メートルと輸入外材が五四%の五千六百万立方メートルでありますが、十年後の昭和五十六年度には、総需要量は一億三千五百万立方メートルに増大し、一方供給面では国内生産は依然として停滞から脱却できず、自給率は三七%の五千万立方メートルにすぎず、不足分の六三%の八千五百万立方メートルを外材輸入にたよらざるを得ない状況となり、いまや日本は世界第一位の木材輸入国に転落したのであります。」と、こういう状況でありますが、この状況認識把握に対して、若干、まず林野庁長官にお尋ねします。  二月一日、林野庁の発行した「林政の窓」というのがございますが、ここで下川英雄林産課長と、林政審議会委員国民生活安定審議会委員をしておる高橋武彦さんとの対談を載せております。林野庁機関紙でありますので、そう反対な意見は載せまいと思いますが、この中で、高橋武彦さんが、「森林は周期は長いけれども循環資源ですから、同じ資源不足といっても、人間の努力によって、解決する可能性を持った資源である」ということをまず言っております。これが一つ二つ目には、「特に、外国にある安いものを買ってくればいいという考え方では、もうすまなくなっております」ということ。三つ目には、「自分の国でつくることのできるものは、どんなにコストが高くついてもつくらなければいかぬ」ということです。こういうふうなことを言っておられますが、この見解は、林野庁として大体承認される見解でございますか、お伺いします。
  4. 福田省一

    福田(省)政府委員 いま御指摘の第一点は、要するに、森林資源というものは再生産ができるという意味だと考えます。また、第二点は、外材に依存する度合いが高まっているけれども、その外材を産出する相手国に対して相当協力していかなければならぬという意味を含めておると思います。第三点は、そうは言いながら、やはり、国内資源を造成して自給率を高める必要があるというふうなことを言っておるというふうに考えられますが、そういう意味では適切な表現であろうというふうに思います。
  5. 津川武一

    津川委員 「外国にある安いものを買ってくればいいという考え方では、もうすまなくなった」ということは、いわゆる日本木材需要供給に対して、国際分業論ではいけないという考え方かと思うのですが、この国際分業論に対して、林野庁はどんな考え方をとって進んでおりますか。
  6. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘がございますように、外材に対してはどういうふうに林野庁は考えていかなければならぬかという点でございますが、従来は、しばらくの間自給率が高まっていくまでは、外材につきましては、それぞれの国に頼めば大体買えたという情勢であったわけであります。しかしながら、最近におきましては、そういう外材供給してくれる国々から、そんな、従来のようなことではだめですよ、と、いろいろな批判が出ております。特に、東南アジアからは、合板の原料になる、その大半の広葉樹が入っておるわけであります。こういう東南アジアの、たとえばフィリピンとか、インドネシアとか、マレーシア方面におきましても、石油に次いで輸入量が多いわけでございます。何か、そういった企画を中心にしまして、東南アジア諸国間で話し合いが進められているというような情勢もあるくらいでございます。ですから、やはり、海外に対して、いま申し上げた伐採あと地の緑化であるとか、あるいは、その国における加工その他の産業を興すことに協力するとか、そういったようなことを進めていきませんと、相手国はなかなか応じないというふうな情勢に変わってきておりますので、そういう意味では、協力を進めながら、できたものをこちらに輸入していくというふうな体制で協力してまいりたいと思っておるわけでございます。
  7. 津川武一

    津川委員 安いから買ってくるという考え方は、一時、林野行政の中に持ったことがありますか。
  8. 福田省一

    福田(省)政府委員 過去におきまして、数年前外材が非常に急速に伸びていた原因は、まさに御指摘のとおりでございます。確かに安かったわけであります。いまは、申し上げましたように、なかなかそういう考え方だけでは入れられないという情勢でございます。
  9. 津川武一

    津川委員 外材を扱う態度において、林野庁にはそういう意味で変化があったと理解してよろしゅうございますか。
  10. 福田省一

    福田(省)政府委員 御意見のとおりでございます。
  11. 津川武一

    津川委員 その次の、「自分の国でつくることのできるものは、どんなにコストが高くついてもつくらなければいかぬ」ということですけれども、これが、林政審議会の、しかも皆さん林産課長との対談ですが、この点はいかがでございますか。
  12. 福田省一

    福田(省)政府委員 国内森林資源をさらに内容をよくするという意味での造成をする必要、しかも、それによって自給率を高めるということは、これはもう絶対に必要なことであると思います。ですから、そういう意味におきましては、労賃の問題とか、その他資材の問題とか、御指摘のようにいろいろとコストはかかると思います。しかし、国内自給率を高めるという意味におきましては、経営の内容を近代化し、合理化をしながら、できるだけコストを下げる方向で努力してまいる必要がございましょう。しかし、全体の趨勢としては、コストアップしていくことは当然であろうと思います。
  13. 津川武一

    津川委員 大蔵省にお尋ねしますが、いま、林野庁長官が、コストを下げるためにはがんばる、しかし、国でできるものなら、コストがかかってもつくらなければならぬとおっしゃったわけですが、この点でコストがかかるとすれば、かなり財政投資をしなければならないということ、この点でのお考えはいかがでございますか。
  14. 宮下創平

    宮下説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問でございますけれども木材に関しましても、基本的にはそのように私どもも考えております。ちょっとそれますけれども、四十九年度予算におきましても、これは食糧の問題でございますけれども食糧につきましても、コストの点が多少かかりましても、こういう国際的な穀物需給の逼迫の状況からいたしまして、自給率をはかるという方向を打ち出したわけでございまして、木材につきましても、一昨年来かなり輸入材等が高騰しております。それから、ただいま先生から御指摘があったように、国産材シェアというものが低下しておりますので、こういった点については十分配慮してまいらなければならないと、かように考えております。
  15. 津川武一

    津川委員 提案者提案理由説明を読んでみまして、私、提案者と一緒にこの点を非常に憂えるわけであります。十年後の昭和五十六年度には自給率三七%、こういう状態になるわけです。しかし、この「林政の窓」での林政審議会委員の一人は、お金がかかってもやはりふやさなければならぬと言っているわけですが、この三七%に落ちる状態、これはいかぬと思うのだけれども大蔵省、いかがでございますか。
  16. 宮下創平

    宮下説明員 今後の見通しにつきまして、私ちょっとさだかに承知しておりませんけれども需要量が増加いたしますと、国内資源に限度がございますれば、当然そのシェアが下がるわけでございますけれども木材のような住宅の基礎資材は、なるべく外国のいろいろの市況によって支配されないという体制を基本的にはとるべきものと私どもも考えております。ただ、経済性の問題になりますと、ある程度コストの問題は当然考えなくちゃなりませんので、安い外材等があれば、それも考慮しながら、全体としての木材需給を考えていくべきものじゃないかと考えます。
  17. 津川武一

    津川委員 そうすると、大蔵省は、いま問題になっておるいわゆる国際分業論立場木材についておとりになるつもりなんですか。
  18. 宮下創平

    宮下説明員 国際分業論国内自給かというように端的に分類されまして御質問されますと、少々私も、そのいずれかにというような答弁はできないわけでございますが、私どものいまの気持ちといたしましては、できれば国内自給をとりたい、しかし、それによってもなお需要が満たされない、あるいは、かなり価格が高騰するというような場合には、外材等輸入をもって対処するということもやむを得ない、このように考えております。
  19. 津川武一

    津川委員 昭和五十七年にいまより自給率が落ちて三七%になる、こういう状態に対して、日本の非常に大事な資源一つ木材、これに対してどうして確保するかなどという見通し、そこに対する財政の使い方などということを大蔵省はどのように検討しておるか、お知らせ願いたい。
  20. 宮下創平

    宮下説明員 予算的な問題といたしましては、四十九年度におきまして、国有林は御承知のように特会で処理しておりまして、かなり充実もはかっております。私ども直接担当いたしておりますのは非公共部門民有林行政でございますが、これにつきましても、組合助成でございますとか、造林事業助成とか、あるいは林業労働力の対処の問題等々、ある程度長期的な見通しに立っていろいろ予算充実をはかっているところでございまして、今後ともそうした方向であとう限り財政的な措置も講じてまいらなければならない、かように考えております。
  21. 津川武一

    津川委員 提案者にお尋ねします。  この提案理由の中にありますこのような状態をどのように考えて需給関係から自給率をふやすおつもりなのか、ひとつ提案者にお願いいたします。
  22. 芳賀貢

    芳賀議員 森林長期的な需給見通しについては、昨日も質問委員皆さんに答弁しましたけれども、まず、第一に、林業基本法の第十条の一項の規定に基づいて、長期基本計画というものを策定しなければならぬ、あわせて林産物長期需給見通しというものを公表しなければならぬということになっておるわけです。これは林政審議会にかけて政府が発表するわけでありまして、したがって、われわれといたしましては、国内長期見通しというものを数字の上で検討するということになれば、やはり、政府が公表いたしました長期計画あるいは需給見通し等というものを一番のよりどころにして検討するということになるわけであります。  御承知のとおり、単に木材消費だけでなくて、全体の消費動向というものは毎年高まっておるわけでありますが、森林資源国内における木材供給力ということになれば、いろいろな制約が最近は加わってきておるわけです。たとえば自然環境の保全の立場から見ると、必要地域に対しては、民有林でありましても、伐採あるいは造材等生産活動に対して、国の方針や制度を通じて相当の有権的な規制をするということがどうしても必要になってくるわけであります。  それから、いままで自民党政治のもとにおいて資源が荒廃しておるということは御承知のとおりでありますから、資源政策立場から見ると、荒廃した森林資源というものをいかにして具体的に急速に回復するかということの施策が最も緊要なことになっておるわけであります。しかし、生産力拡大のために造林を拡大して行なうといたしましても、それが収穫期に入るまでの間は、少なくとも三十年ないし四十年の年月を要するわけであります。そういうことで、国内自給重点と言っても、ここ十年間くらいの供給力というものはそれほど顕著に回復しないということは判断できるわけでございます。しかし、需要のほうはそれにおかまいなしに、国民生活の発展とともに伸びるということは否定することができないわけであります。ですから、津川委員が言われたとおり、たとえば十年後の昭和五十六年度は、おそらく、需給関係において、供給力が一番低下する時期になるのじゃないかというふうに考えるわけであります。それだけに長期的な展望に立った場合においては、この際荒廃した森林資源を回復するためには、造林事業中心といたしまして、可能な施策を国の責任を中心にして展開するということが、今回法案提出した最も主要な目的ということになるわけでございます。
  23. 津川武一

    津川委員 大蔵省、いま提案者説明しておるように、昭和五十七年自給率が一番落ちる。そこで、政府として、長期計画をつくって——昭和五十七年三七%という状態はたいへんな状態になると思うのです。一昨年の暮れから昨年の春にかけては、あの材木の混乱の状態があった。したがって、私は、国はこの長期計画を立てると同時に、資金的な手当て、特に、長期計画の中で三七%に落ちるという心配を持たれている、ここのところに一つ計画を集中すべきだと思うのですが、その計画はお持ちでございますか。
  24. 宮下創平

    宮下説明員 ただいまの長期見通しでございますけれども、実は、四十八年の二月に「「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」」ということで閣議にかけられておりますが、その「林産物需給推移表」によりますと、確かに、おっしゃるとおり、五十六年度におきましては、木材の、素材でございますが、輸入量比率が六三・二%ということに政府の案でもなっております。しかしながら、その後の十年間の推移を予測いたしまして、昭和六十六年度におきましては、この輸入量比率が六〇%に下がる。さらに、参考といたしまして、これははるか遠い先のことでございますので、いろいろの予見が異なってまいりまして、必ずしもそうなるかどうか、私、個人的に考えても問題があるかと思いますが、一応三八%に輸入量シェアが減ってまいるというような推移の試算をしてございます。まあ、そういう需給計画推移見通しはございますが、予算的な措置といたしましては、これらをにらみつつ、しかし、非常に長期にわたるものでございますから、これに基づいて年次割り予算をどうのこうのということではございませんけれども、なるべくこの趣旨に沿った方向予算の編成をして、現実に処置しておるところでございます。
  25. 津川武一

    津川委員 そこで、閣議決定の問題なんですが、一度林野庁が、昭和九十九年には自給率が一〇〇%になるなどという計画を立てたこともわれわれは知っております。そこで、土地基盤整備の十カ年計画予算がついているのです。漁港整備五カ年計画の中に予算年度割りについている。それでも足りなくなる。土地基盤整備の十カ年計画はもう足りなくなることが目に見えている。漁港整備五カ年計画は三年半でやらなければならない。そこで、三七%というピークが来るときに十カ年計画年度割り予算的措置がなくては、これは絵にかいたもちになる。したがって、この閣議決定長期計画の中に年次割り予算を組まなければ、われわれは心配で、安心できない。いままで、閣議決定のもので、計画はあったけれども、たくさんのものが財政措置がないために御破算になっているわけです。これをおつけになる、御計画なさる必要があると思います。ちょうどこの森林法審議が二十七日で終わりますので、そのときまでに、この委員会に、大蔵省は、この、いまの閣議決定長期計画を実現する財政的な措置をきめて出していただきたい。委員長、これをひとつお取り扱いをお願いいたします。  そこで、法案に即して今度は若干お伺いしますけれども一つは、第一条に、「この法律は、森林自然的経済的社会的制約により造林が十分に行なわれていない民有林野を効率的に利用するため、すみやかに造林を行なう必要があると認められる民有林野」となっているが、その、「すみやかに造林を行なう必要がある」ということは、どういうことでございますか。
  26. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの御質問でありますが、「すみやかに造林を行なう必要がある」ということは、これはもうこのとおりでありまして、林野庁においても、単に国有林実態把握だけでなくて、全国二千五百万ヘクタールに及ぶ森林全体の現況がどうなっておるか——中には、森林としての機能を果たし得ない地域も相当あるわけでございます。たとえば保安林指定を受けた森林の中においても、相当面積の無立木地帯というものがあることは御承知のとおりでございますからして、この際、森林としての生産条件を十分具備しておらぬというような地域というものを重点的に、法律によりますと、これは都道府県単位造林地域指定を行なうということになるわけでありますので、まず、重点主義に、最も造林をする必要な地域ということで、ここから分収造林を進めるということでございます。
  27. 津川武一

    津川委員 そういう点で、すみやかに造林を行なう必要のあるところに国が造林を行なう、こういうことに第一条がなっているわけですね。  林野庁長官にお尋ねしますが、日本は、一つの歴史的な過程の中で国有林野というものがあり、林野庁というものがありますが、そこで、一体、森林を植えるのは、どなたが造林して、育てて、手当てして、その収益を刈り取るものか、この造林育林の基本的なにない手はどなたと考えておりますか。
  28. 福田省一

    福田(省)政府委員 国有林の場合と、民有林の場合と、区分して申し上げなければならないかと思いますけれども国有林の場合は、民有林の場合の一つの特別な大きなケースであると、一応便宜上前提を置きまして考えますならば、林業基本法の第七条にその考え方を示しておるのでございます。やはり、その土地を持っておる者がみずからそこに造林をし、そしてその保育をしていく必要がある、要するに自分の力でやりなさいということを示しておりますが、いま申し上げましたような点に重点を置いてやっていかなければならぬと思っております。
  29. 津川武一

    津川委員 私たちは、先ほど問題にしましたように、国民に必要な木材日本の国でできるのであるから、これは全力をあげて国が援助して造林していって、国の安全が保たれるような形で国内森林という資源を育てていく、そのために国はかなりの財政投資もしなければならぬ、長期計画も立てなきゃならぬ、地域検討もしなければならないと、このように考えております。  そこで、造林が十分行なわれていない民有林野を効率的に利用するためということですが、私たち、いま、国有林野国有林野で、林野庁で、民有林はその地域所有者関係者全力を集めて、民主的な協議をして、地域計画をきめて、植林して育成していかなければならないと考えておりますが、ここで、日本国有林分布状態営林署分布状態国有林のその県における比率の一番少ない県、一番営林署の少ない県、これはどこになっておりますか。
  30. 福田省一

    福田(省)政府委員 国有林分布を概観いたしますと、これは明治維新の際に、もとの藩有林とか社寺有林がそのまま国有になったといういきさつもございまして、北海道、東北が非常に比率が多いわけでございます。特に、その中でも、営林署比率の高いのは、津軽半島あるいは下北半島でございまして、そこに営林署が相当集中いたしております。これは青森営林局管内でございます。  それから、一番薄い地帯と申しますと、大体大阪営林局管内になりまして、この辺になりますと、一県の中に一営林署しかないというふうな場所もございます。これらのことは、やはりその国有林の成立の過程の中から生まれてくるものでございます。
  31. 津川武一

    津川委員 提案者にお尋ねしますが、大阪営林局の、一県の中に一つより営林署がないということですが、そこで、第一条に掲げているような造林の必要があるときに、ここでは、だれがどのような森林労働力をもって造林をするのか。提案者、ひとつお願いします。
  32. 芳賀貢

    芳賀議員 民有林に対しても、政府の編成する予算を見ても、たとえば造林事業等については、公共事業に準じた国の造林に対する予算支出を行なうことになっておるわけであります。政府の編成された予算でありますが、四十九年度は、造林事業費として約百七十億程度の造林補助中心とした予算が計上されておる。あるいはまた、いま御審議をいただいておるこの分収造林にしても、単に、私どもが今回提案した分収造林制度というものだけがわが国における分収造林の形ではないわけでございまして、森林公団の行なう分収造林、あるいはまた、分収造林特別措置法基礎にした都道府県等が行なう造林公社等についても、その目的に合致した事業というものが順調に運営されるためには、相当強力な国の助成あるいは行政的な助長というものが行なわれておるわけでありますからして、たとえ民有林を対象にした分収造林事業を行なう場合においても、その地域国有林野営林局あるいは営林署、担当区等が所在しない地域でありましても、国としてここは重点的に分収造林事業を実施する必要な地域であるという場合、また、その地域関係者国営分収造林の形で造林事業をぜひ進めてもらいたいという強い希望等がある場合においては、それを受けて、国として進んで法律の指向する事業というものを完全に実行するのが当然であるというふうに考えておるわけであります。  昨日も申しましたが、大正九年から始めました公有林野等官行造林事業というものの五十年に及ぶ実績を見ますと、むしろ国有林占有率の少ないところ、つまり、国有林野営林局とか営林署所在数の少ない地域において官行造林に対する期待率が非常に高かった。中には、官行造林事業を完全に実施するために特に営林署が設置されたというような、そういう実例もあるわけでございますからして、問題は、この制度に対して、全国の民有林所有者皆さん方が、これを信頼し、期待して、積極的にこの計画の実行に活用してもらえるかどうかということが一番大きな問題点ではないかというふうに考えるわけであります。
  33. 津川武一

    津川委員 いま提案者説明されたようにするとすれば、営林署の少ない地域民有林の非常に大きな地域、そこでこういう要求が起きると、新たに営林署をつくる、また、新たに林野庁の職員の異動などということを行なってでもやらなければならぬという状況が出てまいりましょうか。
  34. 芳賀貢

    芳賀議員 その点については、この法律は立法府である私どもがつくるわけでありますが、できた法律の運用、実行というものは、これは、時の行政府法律目的に沿って完全な行政努力をやるということになるわけであります。その場合、この法律が実現して、これを実行する行政府が、はたしていまの自民党政府であるか、あるいは政権がかわりましてその時代に行なうかということは、これはまだここで即断はできない問題ですが、しかし、十五年間に百万ヘクタールの分収造林を新たに行なうということは、年間にすればおおよそ六万六千ヘクタールということになるわけでありまして、その場合に、集中される期待地域にわざわざ営林署等の設置を行なってまでやらなければできないというものではないと私たちは考えておるわけであります。事業の実施方式をどうするかということについて十分検討を進めて、効率的な事業の推進をはかるということであれば、その機構の増大とかいうような問題は、それほど心配する必要はない。  それから、また、昨日も申しましたけれども、これを実施する場合、現在の国有林事業が包容しているところの、いわゆる基幹労働力といわれる常用作業員、定期作業員合わせて三万三千人が、これ日給制でありますけれども、国の職員としての自覚のもとに営々として努力をしておるわけでありますが、現在行なっておる国有林野事業を、この三万三千人の現場労働者の諸君で完全に全面的に消化できるかというと、まだまだ事業分量に対して労働力は対応しておらぬという関係もありますし、さらに、また、農業といわず、林業といわず、農山村地帯の大事な労働力がどんどん流出しておりまして、希少な労働力をいかにして確保するかということが、今後の農業、林業を通じての大きな政治的な課題と言っても差しつかえないわけであります。地域社会をどうして守るかという問題にもつながっておるわけでありますからして、地元の民有林資源的にも十分生産的な機能を発揮するために、国がてこ入れをして造林事業を行なうという場合においては、できれば、地元における林業、農業の労働力に協力を求めて、地元において労働成果のあがることが望ましいのではないかというふうに考えるわけであります。したがって、この事業は、現在の国有林労働者の今日置かれておる非常に不安定な雇用の状態、これが国の公務員としてのあるべき処遇であるかというような問題がまだ末解決になっておるわけでありますからして、これらを先決的に解決をして、そうして新しい分収造林事業についての労働力の確保、事業の遂行等については適切な対策を講ずる必要があると思うわけでございます。
  35. 津川武一

    津川委員 私たちは、林業労働者、林野関係者森林関係者の生活が守られるように労働条件を改善して、労働者としてりっぱにやっているという体制をつくること、それが山を育てる上において何よりも大事な基本条件と考えておるわけです。  そこで、林野庁にお伺いしますが、いまこの法律の第一条がねらっておること、森林開発公団、造林公社、これを国が援助して、さらにこれと付随して、森林組合はまだ弱いので、ここにうんと助成をすることによって、この提案者がねらっておる第一条の目的が達せられないかどうか。この点をお答え願います。
  36. 福田省一

    福田(省)政府委員 私たちは、先ほど申し上げました自主的な努力を助長するという方向で、森林所有者みずからがそれを植え、その後の管理、保育ということに全力をあげていただくことを期待しておるわけであります。それができますように、非常に零細な所有者が多いものですから、共同してこれを計画し、実行した場合にはいろいろと助成してあげる。なお、それで足らぬところにつきましては、いま御指摘のありました森林組合中心にいたしまして、それに対していろいろな助成をしてあげる。なお、そのほかに大きくまとまったところができますれば、造林公社なり、あるいは森林開発公団がそれを引き受けて事業を実行してあげる。それに山を持っておる人たちがみずから労務班員の形で入ってくるわけであります。なお、そういったようなことでどうしてもできぬような場合には、国も援助していかなければならぬ場合もあるかもしれません。その他のことについて、第一条の提案の精神をくんで、今後とも具体的に検討してまいらなければならぬというふうに私は考えておるところでございます。
  37. 津川武一

    津川委員 この提案の説明の中にもかなりありましたけれども、どうしても、いま、森林の公益性を尊重しなければならぬ。これがそこなわれておる。非常に心配されておる。  そこで、大蔵省にお尋ねしますが、大蔵省は、森林をどういう点で見ているか。経済的な問題、公益性の問題等があるが、大蔵省の見方を教えていただきます。
  38. 宮下創平

    宮下説明員 森林の機能につきましては、一つは、住宅とか、その他の重要な基礎資材でございます木材の安定供給をはかって森林の保護をはかるという点にあることは御承知のとおりでございますが、同時に、最近の経済の発展、その他都市化等いろいろな問題がありまして、森林の持つ、いわば緑の空間と申しますか、そういった面の自然環境とか人体に与える影響という点から見まして、森林の持つ公益的な機能——公益的な機能の中には、いろいろ範囲は広くあるかと思いますけれども、そういった公益的な機能が十分森林の中に含まれておるということは、私ども先生の御指摘のとおりだと思っております。
  39. 津川武一

    津川委員 そこで、民間の人が木を植えます。これは、たとえばいま提案者説明しておるように、三十年、四十年かかります。三十年、四十年後に孫に財産をつくってやるとか、三十年、四十年後に何かの事業をやるとか、三十年、四十年後の老後の保障にするとか、そういうお気持ちで山をつくり、植林しておるのです。ところが、その山はがけくずれを防止します。その山は水資源を涵養してくれます。その山は国民にレクリエーションの休養の緑を提供してくれます。こういう点で、山の価値というものは、そこから切り出す木材の経済的価値以上にかなり大きな役割りを果たしております。しかし、これを植えた人は、水資源涵養、緑を増すなどということで植えていない。ところが、それが切られると災害が起こる。こういうことになります。とすれば、この経済的価直以外に国民に与えている価値を、植林した林野庁に、民間の森林造林者に支払わなければ、その公益性は保たれないと思うわけです。  それで、林野庁がその価値を計算したものがあります。酸素供給、大気浄化、これは年間四兆八千七百億円、土砂流失防止の機能は二兆二千七百億円、保健休養二兆二千五百億円、野生鳥獣保護一兆七千七百億円、水資源涵養一兆六千百億円、土砂崩壊防止五百億円、合わせて十二兆八千二百億円。もしこれを造林によって新たに買い取るとすれば、これだけの費用がかかるというわけです。ところが、この費用をだれが持つかという問題ですが、国はこれに対してほんとうにその気になっているかというと、たとえば国有林野のこの間までの独立採算制ですが、国有林野に、その山で植えた木を売ったことによって事を処せという態度に出てくるので、池田さん以来、高度経済成長の中であのとおり山が切られて、もう至るところで災害を起こして、九州で、広島で、秋田で、青森でという災害になっているわけであります。大蔵省は、この公益的な森林の役割りに対して、やはりお金を投資して国民に提供すべきだと思うのですが、この態度はいかがでございます。
  40. 福田省一

    福田(省)政府委員 その前に、私のほうから大蔵省にお願いしていることでもございますので、ひとつお答えしておきたいと思います。  御指摘のように十二兆八千億、これは木材の価値を除いた森林の公益的な機能を金目に換算したものでございます。そういったような経費の中で、特に一番大きい問題は、やはり水資源確保の問題それから土砂流失、崩壊の問題でございます。で、私たちの実行しております治山事業、これはまさに公益的な仕事の中で代表的なものでございますので、四十七年度予算におきましては六十六億円、四十八年度予算におきましては百億円の一般会計の導入をはかっていただいたところでございます。そのほかにもいろいろと、たとえばきのうも議論に出ましたけれども、林道におきましてもやはり公益的な面があるのではないかというふうな問題もございましょう。あるいは火災その他の見回り、あるいはその他山入り込み者に対する見回り、そういった管理の面における経費の負担をどうするかというふうな問題もございましょう。そういうこともございますので、ただいま十二兆八千億の結果をさらに追求いたしまして、具体的には、利根川の流域につきまして費用分担をどうすべきかということですね。たとえば利根川の源流は群馬県でございますけれども、利益を受けるのは千葉県であるとか東京都でございます。そういったような問題もございますし、また、発電所の問題もございます。そういったものも含めまして、費用分担の方法等につきまして、ただいま私たちも研究いたしております。そういったものを整理いたしまして、また大蔵省のほうにもいろいろと検討をお願いしたいと思っておるところでございます。
  41. 宮下創平

    宮下説明員 お答えいたします。  森林の公益的機能の計量化調査の点に触れられたわけでございますけれども、先生御指摘のように、水資源の涵養で一兆六千億とか、あるいは土砂流失で二兆二千七百億とか、十二兆八千二百億という数字が一応出ておりますが、これは、私ども承知している限りにおきましては、四十六年から四十八年の三カ年にわたりまして委託調査をいたしたものだと承知しておりますが、私個人といたしましては、これは政府が委託した調査でございますから、その結果を行政の上に反映させるということは当然でございますけれども、なお、この計量化にあたりましては、私もざっと見ましたけれども、いろいろ問題が多いように思います。と申しますのは、水資源涵養林につきましても、これは蓄積された水の量をいろいろ計算いたしまして、たとえばそれがダムでつくられた場合にどういう計算になるかとか、あるいは土砂流失でございますと、堤防その他治山工事をやった場合にどうなるかというような大前提に立ちまして数字をはじいておるものでございますので、必ずしもこういった方法が当を得ておるものかどうか非常にむずかしい問題であると考えております。  しかしながら、計量化の数字そのものはともかくといたしまして、林野庁のほうにおかれましても、こういった調査を踏まえて予算要求をなさっておるわけでございまして、予算の個々の項目の解釈のいかんにもよりますけれども、四十九年度予算についてみましても、こういった趣旨の予算がかなり充実して計上してあるということは言えるんじゃないかと思います。  これは先生御承知のように、林野行政は一般会計と特別会計に分かれます。しかも、一般会計の中におきましても、公共事業と非公共事業に分かれるわけでございますけれども、かりに一般会計のほうで申しますと、たとえば林業生産基盤の整備に四百五十八億くらいを計上しておりますし、それから治山とかあるいは水源林の造成事業等につきましても、国土保全という意味で六百七十五億程度を計上いたしております。それから、また、森林計画を策定いたしましたり、あるいは今回御審議を願っております。森林法の改正によりますところの林地開発許可制度の問題、こういった問題についての予算計上も、事務的な経費でございますが、一億一千万以上計上いたしておりますし、そのほか、保安林あるいは国土緑化の問題あるいは森林病虫害の防除費の問題等々、森林の多角的機能の維持増進につきましてかなりの予算の増額をはかっておるところでございますし、なお、林業の構造改善事業等につきましても百三十三億円というような予算を計上いたしまして、まあ、総体といたしまして、公共、非公共を合わせまして約千三百億くらいの予算を計上しておるわけでございます。また、このほかに、国有林の特会の中における造林、林道あるいは環境保全の経費等がございます。  ちなみに申しますと、昨年度は千二百七十億程度というようなことでございまして、まあ、この緑の効用調査の結果が即予算と個々に結びついているというようなぐあいにはまいりませんけれども、そういった趣旨が十分生かされるべく森林行政のための予算措置が配慮されていると私どもは了解しております。
  42. 津川武一

    津川委員 簡単に答えていただきますが、大気浄化、酸素供給などの環境保全、土砂流失防止などという国土保全、水資源涵養、こういうものに対して、そこから出てくる木材を売るだけではその維持ができないので、大蔵省としては、こういう公益面にもお金は出してきたし、出すし、これからももっと要求にこたえる、こういうふうな考え方ですか。
  43. 宮下創平

    宮下説明員 ただいま申されましたように、個人が造林いたしまして、その造林の所得だけでなしに、そういった社会的費用まで個人に分配すべきではないかというような御趣旨のように受け取れますけれども、その点につきましては、これは非常に問題が多いかと私は思います。
  44. 津川武一

    津川委員 わかりました。それでいいですが、私の言っているのは、そういう個人に返せというのじゃなくして、植林に、育苗に、農道開発、林道開発などに国が投資すべきだという考え方なんです。
  45. 宮下創平

    宮下説明員 おっしゃるとおりでございます。
  46. 津川武一

    津川委員 そこで、林野庁長官大蔵省一つの例を申し上げましょう。弘前から日本海岸に通ずる弘西林道、これは六十キロで十年かかっています。これは去年開通式を見ました。私も行ってみましたが、大蔵省がお金を出ししぶったために、工事の単価が低くて、粗末で、がけくずれして、弘西林道が新たに山の崩壊の原因になっているという状態なんです。大蔵省は現地を点検していただきたい。こんな出し方だから問題が出てくる。去年、私たち委員会で現地を視察してみましたが、森林組合は一生懸命やっております。だが、いまの造林に対する補助や林道に対する補助や労働者の単価などではやっていけないために、森林組合は、御自分の本来でないものを、たくさんの仕事をあくせくしてやって、やっと森林組合を維持している。したがって、そちらのほうに仕事の重点が行っていて、造林、育林ということができてこない。林野庁は木を植えるけれども、下払い、木の手当てをしていない。そして、はえていくものにツタがからんでいく。こういう形はみんな大蔵省予算を締めるからなんです。したがって、この立場から、大蔵省は、どうしても林野庁の要求しているものは謙虚に検討して、のんで、大幅に予算を、財政をここに投入すべきだと思うのですが、私のこの見解に対して答弁をいただきたいのです。大蔵省として、直接弘西林道は見ていただきたいのです。この点、二つ答弁を願います。
  47. 宮下創平

    宮下説明員 お答えいたします。  現地の点につきましては、大蔵省でも会計法上四六監査という権限がございますから、出先の財務局等を通じまして必要に応じて調査することができますので、御指摘の点、機会があらば調査してみたいと思います。  もう一点の、なるべく予算をけちらないようにひとつ充実してほしいという点は、まさにそのとおりでございますけれども、申すまでもないことでございますけれども財政全体の中でそれぞれ各種の需要がございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 その需要をバランスのとれた形で予算を計上するわけでございまして、そういった財政当局としての立場も御勘案いただきたいと思いますけれども、その上になお実行上の問題といたしまして、各地の要望が強いからといって、これを総花的に配賦いたしたりいたしますと、いま御指摘のような点が間々生ずる可能性もございます。したがいまして、農林当局におかれましても、重点的に事業を実施して、経済効率がなるべくあがるような方法で実行上の計画を組んでいただくというようなこともまた必要じゃないかと、私どもはかように考えております。
  48. 津川武一

    津川委員 いまの大蔵省の答弁は、またお金を出ししぶるというふうに、正直なところ私は受け取ったわけです。しかし、ここでは議論しません。  この造林の点で、国の財政投資、国の責任ということに対して提案者から意見を伺って、私の質問を終わります。
  49. 芳賀貢

    芳賀議員 民有林生産性を拡大するということになれば、先ほど津川さんが言われたとおり、この森林の持つ自然環境保全に対しての広範な役割りを計量評価すれば、昨日私もお話し申し上げましたけれども、金額的には十二兆円ということにもなるわけでありまして、もちろん民有林の場合においては、個人である所有権者に帰属する財産であることは間違いないわけでありますが、森林の持つ公益性、社会性、ある場合には国家性というものを考えた場合においては、全体の森林が高度の社会目的に合致するように生産性を高めるということになれば、所有者の責任だけでこれを行なわせるということは全く不可能なことでございます。ですから、普遍的に森林の機能というものを発揮させる場合においては、場合によっては全面的に国が負担してもその効果をあげるようにすべきであるとわれわれは考えておるわけであります。
  50. 津川武一

    津川委員 終わります。
  51. 宮下創平

    宮下説明員 先ほど津川先生から、長期計画のことにつきまして、三月中に取りまとめ方を委員長に要望されましたが、その点につきまして一言お断わりしておきたいと思います。  三点ほどございますが、一つは、先ほど私が申し上げましたように、閣議決定森林資源に関する基本計画がつくられているということを申し上げましたけれども、それに基づきまして、全国森林計画等がつくられております。これは、その森林の施業の基本的な事項等に関する国の計画を定めたものでございまして、一応計量的な数字が載っております。したがいまして、この閣議決定の趣旨は十分こういうところに展開されておると了解しておるわけでございます。  それから、先ほどの先生の御質問の中に、土地改良長期十カ年計画あるいは漁港計画等におきましても当然年次別の計画があるではないか、それに基づいて整備が行なわれておるではないかという御指摘がございましたけれども、これは、たとえば土地改良十カ年計画でございましても、総事業量が十三兆ということは閣議決定できめてございますけれども、その年次割りにつきましては、これは予算の、そのときどきの査定権の問題とからみまして、年次割りはきめてございません。したがって、その長期計画長期的な目標をにらみつつ、各年度の予算を査定してまいる、かような仕組みになっております。  それから、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、こういった長期的な計画の問題その他は、やはり農林省あるいは林野庁におきまして一義的に御検討いただいて、その上でわれわれは御相談にあずかるという筋のものではないか、かように考えております。  その点だけちょっと申し添えさせていただきます。
  52. 津川武一

    津川委員 大蔵省漁港整備計画などでは、ちゃんとことしはこれだけと年次計画を立てております。各地方自治体もちゃんと年次計画を立てているから、これはほんとうに植林をやるとすれば、年次計画を立てないとできませんから、あらためてこれを要求しておきます。  終わります。
  53. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 林野庁長官見解を求めます。
  54. 福田省一

    福田(省)政府委員 私のほうからちょっと申し上げておきたいと思いますけれども、年次計画等につきましては、国有林の問題はもちろんでございますけれども、その他の問題等につきましても私のほうで一応立案いたしまして、それで大蔵省のほうとよく御相談してまいりたい、かように思います。
  55. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 瀬野栄次郎君。
  56. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措置法案並びに森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について、政府並びに芳賀委員質問をいたします。  本法案審議にあたりまして、最初に政府当局に若干の質問をいたしたいと思いますが、まず、林野庁長官にお尋ねしますけれども林野庁において、現在、定員内の職員が何名いるか。定員外作業員、すなわち常用作業員といいますが、これが何名おるか。さらに、現在常用化闘争を行なっている中に、定期作業員及び臨時作業員がおるわけでありますけれども、これば何名いるか。このことを冒頭お尋ねいたします。
  57. 福田省一

    福田(省)政府委員 定員内の職員について先に申し上げますが、昭和四十八年度の定員は三万七千八百人でございます。それから、定員外職員のうち常用作業員について申し上げますと、一万六千六百六十五人、これは昭和四十八年七月現在でございます。それから、御指摘の定期作業員は一万七千四十人、それから、臨時作業員が二万五千二百二十二人、合計しまして五万八千九百二十七人、かようになっております。
  58. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、概略九万六千何ぼですね。九万七千人ぐらいになると思うのです。一説には約十万と言われますけれども、約九万七千。あとあとの質問にも関係しますので、前もってこれを念を押しておくわけですが、この中で定期作業員というのは一万七千四十人おるということでございますけれども、大体、平均何カ月以上就業しておるか、また、どのくらいからを定期作業員としてなさっておられるか、その点もひとつこの機会に明らかにしておいてください。
  59. 福田省一

    福田(省)政府委員 定期作業員と申しますのは六カ月以上勤務しているものでございます。最近は、定期作業員につきましても、できるだけその雇用期間を延長ずるようなことを考えておるわけでございますが、次第に延長されております。ただいま資料がここにございませんが、私の記憶では、平均しますと約八カ月になっておるというふうに記憶いたしております。
  60. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官に、次に、国が行なういわゆる国営分収造林の問題等にも関係があるのでお尋ねしておきますが、日本の林野で要造林面積が幾らあるか、民有、国有分けまして造林面積が幾らあるか、こういったことを明らかにしてください。
  61. 福田省一

    福田(省)政府委員 昭和四十八年二月に、森林資源に関する基本計画を策定したのでございますが、これに先立ちまして、民有林については、森林生産調査を実施しました。また、国有林につきましては、既往の立地級調査を行ない、それを集計しまして木材生産適地の判定を行ないまして、自然的、社会的な条件から見て造林が可能だというものを、これを要造林面積としまして基本計画の目標としたものでございます。  基本計画におきます要造林面積は、昭和四十六年度以降、国有林におきましては百二十万六千ヘクタール、民有林におきましては三百二十万八千ヘクタールとしておりますが、特に総体的に森林面積の異動がない限り、おおむね造林は可能であるというふうに考えておるところでございます。
  62. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ちょっともう一回、国有林が百二十万ですか。
  63. 福田省一

    福田(省)政府委員 国有林は百二十万六千ヘクタールでございます。民有林は三百二十万八千ヘクタールとなっております。これから造林を必要とする面積でございます。
  64. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、今回芳賀貢君外十名から提案されておりますところの国営分収造林問題ですけれども、今回の対象林野というのは、この分収造林に該当するものは拡大造林を当然したいということになるわけであります。  そこで、いま、要造林面積の一応の数字を、民有林が三百二十万八千ヘクタール、国有林が百二十万六千ヘクタールというふうに言われますけれども芳賀委員提案理由にありましたところの、この国営分収造林のいわゆる拡大造林に匹敵する要造林面積は、これも林野庁では、除地とかまたは瘠悪林地などもいろいろありますので限界もあろうかと思いますけれども、おおむね植林の限度を考えていられると思うが、いま、さきの答弁で、ほとんど植林できるというふうにおっしゃったが、これは一〇〇%できるということにはならぬと思料するが、その限度をどのくらいに見ておられるか、該当する要造林地はどのくらいあるか、その辺の見解林野庁長官にお伺いしておきたいと思うのです。
  65. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま申し上げました国有林民有林それぞれにつきまして、私たちは、現在はいろいろな困難な事情は非常にございますけれども、いろいろの助成策等を講じ、あるいは国有林におきましてもいろいろ近代化をはかりまして、計画期間のうちにぜひこれを達成いたしたいというふうに考えておるところでございます。
  66. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、林野庁長官にもう一つ。今年の造林計画並びに造林に対する予算、これは、私は百四十億円ぐらいと思っていますけれども、その点、どのくらいの予算を組んでおられるか、明らかにしてください。
  67. 福田省一

    福田(省)政府委員 人工造林予算を先に申し上げますけれども、四十八年におきましては、これは百七十五億円ということで実行いたしておるところでございます。  また、人工造林の実績でございますが、四十七年の実績は、拡大造林におきましては十九万七千ヘクタールを実施しておるところでございます。  四十九年度につきましては、ただいま予算要求中でございますが、大体四十八年度ぐらいの数字になるというふうに見ております。
  68. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、芳賀委員にお尋ねしますけれども、いまいろいろと林野庁長官から御答弁いただいたわけですが、人工造林は、四十八年が百七十五億円、四十九年は予算要求中だけれども大体去年並みだ、百七十五億円程度だろうということでございます。芳賀委員の提案による今回の国営分収造林造林は、十五年間に百万ヘクタールを造林するといったことで提案をなさっておられます。そうしますと、年間六万六千ヘクタールという一応の平均になるわけでございます。これから見まして、大体どのくらいの予算を年間お考えであるか。もちろんそれは一般会計から補てんをする、そうすれば、いまの林野庁の、四十八年は年間二十万ヘクタールの計画に対して、資材その他の値上がりの関係でどうしても一、二割減りますので、十九万ヘクタールぐらいが造林面積の実績、こうなっておるように私は見ております。林野庁の百七十五億円プラス芳賀委員予算、こういうことになろうかと私は思うのですけれども、そういった意味でかなりの金額になると思うのですが、芳賀委員のほうでは、年間どのくらいの予算を見ておられるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  69. 芳賀貢

    芳賀議員 分収造林事業を実施する年度別の予算については、昨年この法案国会提出します際に、予算関連の法案ということになるわけでありますので、議員提出法案でありましても、法案の末尾に必ず経費の所要額というものを記載しなければならぬということになっておるわけでありまして、所定の手続によって、これは四十八年度ベースということになりますが、初年度はおおよそ五万ヘクタールの実施を行なうということにいたしまして、初年度必要経費が百三十一億円、平年度が百七十三億円というふうに概算をしておるわけであります。現実には、四十八年度というのはあと一カ月で終わるわけでありますから、この法案審議していただいて、幸いにして成立するということになれば、その時点で、実施年を一年内容を修正してずらすということになると思うわけであります。四十九年度からということになるわけでありまして、そういたしますと、事業実施の単価等についても、昨年と今年度の経済事情等が激変しておるわけでありますから、法案提出の時点における計算から言うと、概算二〇%程度はどうしても経費増になるんではないかというふうに考えておりますので、実際に事業に取り組む場合においては提案時よりも経費がかさむということになるわけでございます。  また、法案でありますから、これが成立するということになれば、成立した法律に基づいて、これを実行するための所要な経費、予算というものは当然行政府の責任において計上して、法律の命ずるところに従って事業が実施されるべきであるというふうに考えております。
  70. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国のいわゆる人工造林の場合は、約二十万ヘクタールで百七十五億というような数字が出ておりますけれども芳賀委員の提案による国営分収造林については、初年度五万ヘクタール、初年度百三十一億円、平年度百七十三億円ということで、かなり見ておられますけれども、そういうことが明らかになりましたので、この機会にお尋ねしておきますけれども、御存じのように、造林単価という問題が例年問題になっております。自己資材から苗木代、人夫賃等の問題でございますけれども、その場合、人夫賃にしても、実際は現在三千円くらいが普通とされておりますけれども、補助金の単価というのは二千円である。しかも、この四割しか出ない。国が四分の三、県が四分の一というようなことで、実際に四割しか出ないというのが実情です。苗木においてもまた市価の四割補助、実際は低いものになっております。実質的には二割、こういうふうにわれわれは見ておるのですけれども、こういったことで面積がかなり落ちるわけです。大蔵省考え方そのものが、基本に、失対事業の人夫賃を上回ってはいけないというような、こういう考えがある。これはけしからぬ問題だと私はいつも思っておるのですが、三千二百円から三千三百円の四割であればいいのでありますが、実際は二割以下で、非常に矛盾があるということにいつも憤りを感じております。  そこで、どうしても造林をするとなりますと、この単価が問題になります。自分の持ち山に自分が植えるのであれば、低くても相当自家労働力でカバーしてやるということも言えるのですけれども、実際には森林組合に委託してやる、または国営分収造林でやる、こうなってまいりますと、従来は農閑期にある程度やっていたのが、最近は出かせぎで日銭をかなり取るということがありますので、どうしても出かせぎに行くということで、問題等も起きてくるわけでございますので、そういったことからこの造林単価というものはほんとうに問題でありますけれども芳賀委員のほうでは、この造林単価については、大体政府の単価と——今回やられる単価は初年度五万ヘクタールと見て、約百三十一億円を見ておられるようですけれども、一ヘクタールどのくらいの造林単価に見ておられるか。その点、簡潔でけっこうですから、この機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  71. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの計算の基礎ですが、これは四十八年の時点に計算したわけでございますから、御了承願いたいと思います。  そこで、一ヘクタール当たりの造林費ということにいたしまして、これに対する新植費、これは新規造林ですからして、それの内容は、地ごしらえ、植えつけ、苗木代、これを合わせて十八万四千二百二十七円。それから改植費ですと、改植費が三千七百九十五円。補植費が四千九百十七円。それから保育ですが、下刈りとか、つる切り、除伐、枝打ち、根踏みというものが、植えつけからおよそ八年間にわたって保育作業をするということにいたしますと、十五万七千八百六十四円を要することになりますので、これを八年で割りますと、一年一万九千七百三十三円ということになるわけであります。その次に、これは政府の単価表には出ておりませんけれども、間接費といたしまして二三%計上して、これは一年にいたしますと四万八千九百十五円要するということになるわけであります。これを合計いたしますと、ヘクタール当たり二十六万一千五百八十七円、まるめて二十六万二千円というのがヘクタール当たりの事業費ということになるわけであります。これに五万ヘクタールあるいは六万六千ヘクタールを乗じますと年間の総事業費というものが出てくるわけでございます。  これから長期にわたる事業でありますからして、毎年度に、瀬野委員の言われたとおり、実態に合致する単価というものを的確に計上いたしまして、予算的の面、事業費に制約されて十分な造林事業ができないということであってはならぬと思うわけでございます。
  72. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官は、官行は能率があがらないと、きのうもこういうような答弁をしておるわけですけれども、いま御答弁いただきましたいろいろの数字を見ましても、官行でやった場合は、造林費がこのように組んであっても、なかなか間接費にかかる。いわゆる昔から言う殿さま商売というようなことで、親方日の丸とも言われまして、なかなか能率があがらぬ。そこで、人件費とか事務費といったものに多くとられ、実際の苗木代とか人夫賃というものが少なくなる。要するに間接費が高くかかるというのが従来からの問題です。これは何も林野庁の人が特に悪いとかどうだとかいうのじゃなくて、こういった公共的なものは、どうしてもそういう傾向が強い。これはすべて一般に通ずることであります。いわゆる公的作業はあまり成功しないということがよく言われるのも、こういったところに原因が一つあるのじゃないかと思います。必ずしも今回の官行造林がそうだと言いませんけれども、えてしてそういうことがいろいろ考えられる。そこで、いまのような予算ではたしてうまく推進できるかどうかということを懸念するわけです。ただいまの御答弁によりますと、いわゆる間接費が二三%、四万八千九百十五円組んであると言うのですけれども、その点は芳賀議員のほうは十分配慮しておられますか。その点、念のためにお伺いしておきます。
  73. 芳賀貢

    芳賀議員 この費用の計上については、的確に計算したわけですが、ただ、林野庁の四十八年度に対する四十九年度の単価表についても、おおよそ二〇%補助単価の計算がアップされておるわけです。ですから、提案者の場合においても、四十九年度ということになれば、先ほど説明しました経費というものは、おおよそ二〇%くらいかさむということはもう避けがたいことであるというふうに考えるわけであります。  それから、現在行なわれておる団地造林等につきましても、その辺はよく御存じでありますが、たとえば公社造林を行なう場合とか、森林組合事業主体となって行なう場合におきましては、単価表に対して大体一二%ないし一五%を加算して補助額の計算を行なうということになっておるので、それらの一二ないし一五%というものが、ある意味においては間接費的なものであるかどうか、これは直接林野庁長官にただしてもらいたいと思います。
  74. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官、もう一点お伺いしますが、国有林で下刈りをやる場合、どのくらいの人夫を必要とするか。この点、一がいに言えませんけれども、平均的にお答えいただきたいと思うのです。たとえば民有林の場合だと、大体、われわれが知っている範囲では一ヘクタール六人くらいで作業能率をあげておりますが、国有林の場合は、一ヘクタール何人の工程でやっているか。この辺、林野庁のお考えをお聞きしておきたいと思うのです。
  75. 福田省一

    福田(省)政府委員 お答えいたします。  国有林の場合は、御承知のように、比較的規模の大きい作業をいたしておりますので、民有林と比べて、機械を使う度合いであるとか、あるいはそういったような点で相当違いはあるかと思いますが、国有林におきますヘクタール当たりの人数は七・五人ということになっております。これは、実は、四十六年度の統計でございます。
  76. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官も、あまり高く言うたんでは、指導が悪いし、また能率があがらぬということで、いろいろ指摘も受けるだろうから高くも言えないし、いろいろ立場もあろうかと思うのですけれども、普通われわれが九州あたりで見ていますと、大体、民有林は一ヘクタール六人、国有林は十人から十一人くらいと、倍までいかぬけれども、倍近くかかる。どうしても能率が落ちるというのが実例です。そういったところは範囲も広いし、人数も少ない、手も足らぬ、機械化の問題もあるということでしょうが、十分監督指導して能率をあげて、国民の税金を使っての保育でありますから、指導していただきたいと思うのですけれども、いずれにしても、民有林よりも国有林のほうが人手がよけい要るということはいなめない事実として出ておるわけです。  先ほど、芳賀委員は、保育費は八年間で十五万七千八百六十四円の保育費を見ている、もちろん、それは、物価その他の問題があれば上がっていくのは当然でしょうけれども、そのくらいの予算を見ている、とおっしゃいました。そこで、私は芳賀委員にお尋ねしたいけれども、今回の国営分収造林法案の提案によりまして、造林をしていかなければならないというのはもちろんけっこうなことであります。けれども、保育の場合を考えましたときに、四十八年度から国営分収造林を施行した場合に、初年度は五ヘクタールということでありますけれども、年平均でいけば六万六千ヘクタールとなっております。一応六万六千としました場合に、二年、三年、四年、五年、六年とやりますと、二年目には、すでに、四十八年度に植えた六万六千ヘクタールの保育をせなければならぬ。と同時に、平年度の六万六千ヘクタールの造林をする。三年目には十三万二千ヘクタールの保育をする。四年目には十九万八千、五年目には二十六万四千、六年目には三十三万ヘクタールという保育をしていく。しかも、八年間となりますと、四十数万ヘクタールということになってくる。そこで、御承知のように、年々保育の人員が要るわけです。植えっぱなしでは絶対植林というのはだめなんですから、つる切りから、また、夏草を切らなければ、どうしても生育の妨げになりますので、保育というのは最も大事な問題になってくるわけです。まあ、普通五年ないし八年とか言いますけれども、最近では、地方によっては、人手も足らぬためにつる切りなんかがたいへん多くなってきまして、十五年間は農林漁業金融公庫の融資で貸してもらわぬと、従来のような考えではだめだ、場所によっては十五年必要であると、こういうことが盛んに言われております。そういったことを見ましたときに、年々保育の面積も多くなる、人手も多く要る、国有林野自体の植林も下刈りも必要である、にもかかわらず、また今度の国営分収造林をやりますということになってきて、しかも、奥地になってきて、ますます労働力というのは困難性を伴ってくる、ということになってくると思うのです。しかも全国的に——長い日本列島ですから一がいに言えませんけれども、おおむね下刈りは六、七月、九州なんかではもう六月ごろから始まる。東北なんかでは八月の上旬あたりまでやるところもあろうと思います。そうしてみますと、どうしても六、七月から八月にかけて、夏場に労作業が集中する。そこで、労働力の不足ということが起きてくる。そういったことを思いましたときに、この辺をどういうふうに見ておられるか。ただでさえも下刈りは人夫がなかなか寄らぬのに、国営分収造林をやって、将来どんどん面積が倍増していきますと相当な労働力が要ってきます。そして、六、七月ないし八月に終わりますと、あとは今度は逆に余ってきてあぶれてくる。こういうふうな心配も行なわれるわけです。提案者は、この点についてはどういうお考えを持って提案されているか、一応こういう機会に明らかにしていただけば幸いかと思います。
  77. 芳賀貢

    芳賀議員 これは、国営分収造林事業を行なう場合でも、行なわざる場合においても、全国の民有林が、森林法に基づいた全国森林計画の定めるところに基づいて、全面的に生産活動を、しかも長期にわたって持続的に継続するということになれば、作業方式がどうあっても、保育作業をやる場合においては、全国的にその時期には適切な保育をしなければ予期の成果をあげることができないわけであります。だから、この分収造林事業制度ができたから、それだけ余分に労働力が必要となるかというと、そういう計算だけではないと思うのですね。分収造林事業が行なわれなくても、適当な地域においては当然造林事業というものを進めていかなければならぬわけでありますからして、その事業というものに対して、所有者の全面的な自己負担でその作業をやるか、あるいは既存の造林公社あるいは森林開発公団等において、分収造林事業の中で造林とかあるいは保育をやるかということであって、総体においては、所要労働力についてはそれほど大きな差異はないと思うわけでございます。ただ、問題は、国有林事業の中にこれを取り入れて分収造林事業をやるということになれば、結局、国有林事業というものがその分だけ拡張されるということは、これは当然なことであります。  そこで、それでは、毎年六万六千ヘクタールずつ造林面積がふえると、ふえた分だけ保育作業というものはますますふえるわけでありますからして、それを完全に消化するために、完全な直用直営方式でこれを実行するのか、あるいはまた、先ほど瀬野委員が言われたとおり、保育の季節性等を考えた場合において、その時期には、農山村においては、農業の部面においても非常に労働力が要求される時期でありますからして、その作業と労働力の調整というものは、これはたいへんなことになるわけであります。その森林あるいは林業の持つ季節的な制約あるいは地理的条件という制約を、いかにして克服して、造林作業というものが生々と発展できるようにするかということが一番大切だと思うわけでございます。実例を申しますと、官行造林による事業についても、当然、費用負担造林者である林野庁において、官行造林についての保育等は十分にやらなければならぬのを、それを怠ったために、せっかくの分収造林地域が途中で効用を発揮することができなくなって、契約の解除とか、造林地の自主転換をやらなければならぬというような、まことに無責任な、不始末な状態さえもたまたま生じておるわけでありますからして、こういう点については、この制度を実行する場合においては、責任当時者がそれぞれ自分の責任というものを完全に果たすという責任感の上に立って実行しなければならぬと思うわけであります。
  78. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの意見は一応そこまででお聞きしておくことにします。  そこで、いまもおっしゃったように、人間的な、いわゆる労働的なものがたいへん問題になってくるということはいなめないことでありますが、さっきからの答弁で、そのために営林署をつくるとかどうとかということはしないということでございましたが、私も、これは当然、営林署をつくるというようなことについては異論がございます。  そこで、私は、いろいろ調査してみますと、国有林野分布状態、また民有林分布状態というのが、御承知のように、北海道、東北が五百十七万ヘクタールで、全日本国有林の約六八%、次に多いのが北関東に東山、民有林では、一番多いのが北近畿、中国で、三百二十七万二千ヘクタールで一九%、次が北関東、東山で、二百四十一万七千ヘクタールで一四%、南近畿、四国が百七十八万二千ヘクタールで一〇%、九州が二百十万八千ヘクタールで一二%ということで、民有林国有林の面積が偏在しておるわけです。  そこで、芳賀委員にもう一点お尋ねしたいのですが、この国営分収造林を進めるについて、こういうふうな民有林または国有林の偏在というか、こういった状況からしまして、労務者の移動、いわゆる保育にしても、造林にしても、移動してやらなければならぬということが起きます。極端に言うと、北海道から東北、ないしは東北から中国というようなこともあり得るかもしれませんが、また、そういうことも考えざるを得ないと思う。そうすると、途中の旅費だ何だかんだといって、宿舎の経費だのが要るわけですが、そういったことについては、国有林民有林の偏在から見まして、どういうふうに立案にあたってはお考えであったか、その点の見解を承っておきたいのです。
  79. 芳賀貢

    芳賀議員 これは、実行する場合は、つまり、林野庁事業実施の当事者ということになるわけですね。土地所有者と、それから費用負担造林者である国が契約を締結いたしまして事業を実施するわけでありますからして、当然、これは、造林者である国有林がその地域事業というものを担当して行なうということになるわけでありますからして、事業実施ということになれば、結局、分収造林でありましても、あるいは国有林そのものの造林作業にいたしましても、国有林野事業が包容しておるところの基幹労働力が中心になって、その作業を、技術的にも、経験的にも、組織的にも——これは、やはり、何といいましても、林野庁の持っておる森林生産能力というものが一歩を先んじておることば言うまでもないわけでありますからして、それが中核になって事業を行なうわけでありますが、現在の常用作業員、定時作業員合わせて三万三千人でありますし、この三万三千人の基幹労働力だけでは、現在の国有林事業というものを直用直営の方式で全面的に消化するということはできないわけであります。これは、できないから請負に付しておるということではないのですね。それはもう御存じのとおりで、たとえば二十年、三十年と、国有林野事業に生涯勤務しておりましても、いまだに定員内の常勤職員としての処遇を受けることができない、三十年勤続の農林大臣の表彰状をもらってもいまだに日給制に甘んじておるというようなことで、われわれが考えた場合においては、国の公務員としての処遇というものはこれでいいかという人権上の問題にも触れるわけでありますが、この点については、四十六年の三月二十五日に、当委員会において、林興決議が委員会提出で議決されて、そのあと、その年の四月十三日に国有林の基幹作業員に対する処遇問題についての政府の統一見解というものが示されたことば瀬野委員も御存じのとおりであります。その場合においても、現在の日給制職員として処遇されておる常用作業員の常勤化の問題、あるいは十年も二十年も季節的に反復雇用をされなければならぬところの定期作業員の処遇の問題等については、これは国有林事業の基幹労働力としての位置づけの上に立って根本的な改善をはかるということが政府の統一見解としても出されておるわけでありますが、その後二年、三年たちましても、根本的な改善というものは残念ながら見ることができないわけであります。これは、現在国有林事業がかかえておる基幹労働力に対して解決しなければならない重要な問題でありますが、こういう事情もありますので、三万三千人の基幹労働力だけで新規に分収造林事業を直用、直営の形で取り組むということになれば、現在行なっておる事業の面に大きな空白が生ずるということも、これはあり得るわけでございますからして、やはり、現地における造林作業をやるということになれば、当然、直用形式の上においてできるだけの事業を責任をもってやるわけでございますが、不足する分については、いま、森林組合の問題についても森林法改正の審議を進めておるわけでありますからして、今後、森林組合の体質を根本的に改善する。森林組合というものが、所期の目的に対して、これを達成できる十分な能力と実行力を制度的にも強化するということになりますれば、民有林造林事業についても、本来は所有者自身の能力においてこれを実行するのが一番望ましいことでありますが、それでできないと、既存の公団あるいは公社分収造林においても十分にできないと、森林組合においてもそれを解決することができないというような現象がまだまだ残っておるわけでありますし、そういう落ち込んだ地域造林事業というものを、この際国の責任をもって全面的に解決するということが本法案目的でありますからして、地元の森林組合がこの分収造林事業造林作業、保育作業について委託を受けて、そうして森林組合事業としてそれを行なうということもあり得ると思うわけであります。そうして、実際の作業は、森林組合の中の労務班において、適正な労働条件とか、あるいは労働に対する対価というものを公明なものにして契約をして、そうして適切な作業というものを完遂してもらうというような点は、やはり、今度の国が行なう分収造林事業を進める場合においては、どうしても地元の労働力との調整、結合の中でやらなければ、民有林造林事業というものは、制度だけつくってもなかなか十分な機能を発揮することができないというふうに考えておるので、その点は、法律ができて実行する段階において、農林省、林野庁においても十分行政努力の妙味というものを発揮してやってもらいたいと考えておるわけであります。
  80. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が迫ってまいりますので、芳賀議員にたくさん質問したいことがあるのですけれども一つほど申し上げて、あと、林野庁当局、政務次官等に大事な問題を矢つぎばやに質問していきたいと思います。  いろいろ御答弁をいただきましたが、森林所有者等も現在百七十九万もおると言われますし、森林組合は二千四百六十三組合あって、そのうちの六一%というものは、いわゆる労務班を結成している。すなわち、組合数にすれば千四百六十六組合もあるというふうに言われております。現在、労務班の数も、一般平均四十二・八人くらいですけれども、八十一班あって、六万二千七百五十四人おると言われますけれども、今後相当な人員を擁していくということになろうかと思います。  そこで、森林法目的一つには、地域社会にいわゆる就労の場を与えて、地域の林野を育てていくという大きな目的がありますし、地域労働者を締め出してしまうということになっては困る。国有林野が今度分収造林で入ってきますと、国有林はどうしても賃金が高い、民有林と格差が出てくるということで、これがまた民有林における森林組合のたいへん心配するところでもございます。そういった点で、大切な地域社会の振興の立場からも、在来の住民の生活を脅かすことがあってはいかぬと思いますし、また、いろいろメリット、デメリットがあるわけです。そういったことで若干いろいろと申し上げたかったのですが、あとに大事な問題がありますので、これを省きまして、いろいろ御検討いただくということにして、林野庁に次にお伺いしたいのは、森林開発公団、それから、いわゆる府県のやる造林公社、この指導基準を伺いたいのであります。  御承知のように、これは指導によって、実際には、森林開発公団は十五ヘクタール以上とか、造林公社は、コスト面とか、また、いろいろ効率的に仕事をするために五ヘクタール以上というようなことも一応言われておりますが、実際には二ヘクタール以上ぐらいからでもいいのじゃないか。事実は、公団のほうも十五ヘクタールぐらいでなくて、十ヘクタール以上ぐらいになっておるようでありますし、公社のほうも、実際は二ヘクタールもあれば、十ヘクタールもあるということで、こちらもまたまちまちであるというふうに聞いております。また、森林組合については、二ヘクタールぐらいを程度としておるというふうにも聞いておりますが、この点、簡潔に、どのくらいを基準に指導しておられるか、現状はどういう平均になっておるか、お答えいただきたいと思う。
  81. 福田省一

    福田(省)政府委員 公団、公社造林の採択基準は、それぞれの公団、公社におきまして、業務方法書とか、あるいは定款等できめられております。地上権設定とか境界管理、事業の効率などを考慮しまして、大体のところでございますが、五ヘクタールを採択の最低水準としておるものでございます。  実際の契約の実施の状況を見ますと、契約一件当たりが、平均面積にいたしますと、公団造林の場合は約五十ヘクタールになっております。公社造林の場合は約十五ヘクタールとなっております。公団、公社造林は、地域の林業労働組織によりまして実施することを主眼としておるのでございまして、森林組合の受託率がこういう意味で非常に高くなってきておりまして、森林組合の公社造林については八四%、それから公団造林につきまして四四%という受託の割合になっておるのでございます。
  82. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、私がいろいろ公団、公社を回ってみたり、地域を見て伺ってみますと、現在、公団にしても、公社にしても、実際木を植えるところがなくて困っておる。面積の単位の大きい関係もあるかもしれませんが、事実はさがすのに困っておる。実際、造林地はあっても、いろいろと入り会い権や地上権の問題等があってなかなかまとまらぬために適地を見つけることが困難であるというようなことをよく聞くのでありますが、その点の実情はどう林野庁は把握しておるか、簡潔にお答えいただきたい。
  83. 福田省一

    福田(省)政府委員 造林する場所がなくて困っておるのじゃないかという御指摘でございますが、確かに、最近は、造林の場所等をさがすのに苦労しておる場合もあるかもしれません。その原因は一応いろいろあると思いますけれども一つには、最近造林の進んでおるところ、これが非常にむずかしい状態になっております。ということは、残っているところが非常に困難な地帯であるということが一つあるかと思います。それからもう一つは、造林しようとしても、このごろは、特に大都市周辺におきましては、ゴルフ場であるとか、あるいはまた宅地造成等で、相当地価の値上がりがしているところがございます。そういった点を規制する意味森林法の改正をお願いしているわけでございますけれども、そういったようなところについては、造林意欲が非常に低くなっているということで、造林のあれが少なくなってきているということは言われます。  それから、また、もう一つは、入り会い林野等におきましては非常に困難な情勢でございますけれども、この入り会い林野につきましては、入り会い林野の近代化促進法に基づきまして、鋭意これの促進につとめておるところでございます。
  84. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 芳賀委員にこめ点について簡潔にお伺いしたいのですが、今回の提案なさっている分収造林の場合には、一単位をどのくらい面積からやるというふうに考えておられますか。まさか、一ヘクタール、二ヘクタールからということでもないと思いますけれども、ある程度規模拡大をして、コストを落としていかねばならぬ。すなわち、間接費に金がかかってまいりますし、いろいろ公団の例を見ましても、なかなか民有林で場所が見つからぬというようなことをよく聞くのですけれども、いろいろ努力も要るわけですが、入り会い林の問題その他がございますから、その点は大体めどをどのくらいと見ておられるか、簡潔にお答え願いたいと思うのです。
  85. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの御質問の点は、法案の第五条の「国営分収造林契約の締結」の規定の中に具体的に掲げてあるわけでありまして、要件としては、第五条の一項の一号、二号、三号、四号、五号の、この条件を満たした場合ということになるわけでありますが、いま瀬野委員から言われた点は、第五条四号の規定の、「当該民有林野が一団地を形成していること又は一団地を形成していないが相互に近接しており、一の造林事業により技術上経済上効率的に造林を行なうことができること。」という、この点だと思うわけであります。したがって、農林大臣が定めた造林地域内において分収造林事業をぜひやってもらいたいという申し出が出た場合には、これらの規定に基づいて、そうして採択をきめることになるわけでありますが、結局、問題は、一個人としての行なうべき希望面積というものもありますし、もう一つは、非常に零細な林家の場合においては、数名が共同して同一目的の分収造林にその土地を提供して行なうということになるわけでありますので、結局、この所有面積の面から見た対象者ということになれば、零細な中小林家が自己の能力で造林ができないということが一番の前提になるわけであります。そして、事業実施の場合には、やはり一団地か、あるいはまた、旧村単位等の中において比較的距離的に近接しておるというような、そういう対象地を統合して、そして一つの施業団地というものをそこで設定して事業を行なうということになるわけでありますからして、個人あるいは数人共同してという場合の、その面積というものは最低一ヘクタール以上ということになりますか、そして、その事業単位の面積ということになれば、これは、いままでの分収造林事業等はやはり補助の関係等もありまして、団地造林をねらって公社造林等も選定をするわけでありますからして、なかなか該当する地区が少なくなったという問題があるわけであります。だから、国が行なう場合でありますからして、補助をもらう必要はないわけでありますから、事業というものは、もう能率も何もあがらぬでも、何でもかんでも言われたものはやるというわけにはもちろんいきませんが、少なくとも最低三ヘクタールを下限として、できるだけそれ以上の希望者をまとめて、せっかくの機会でありますから、その時期に有効的な造林ができるようにすべきでないかと考えておるわけであります。
  86. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官にお伺いします。  公団の問題ですけれども、従来から公団も成績をあげてきておりますけれども、最近は少しテンポが下がっておるようになっておりますが、この公団の場合には、特に、土地の値上がりによって分収林の設定がしにくくなってきたということが言われております。そういった意味から、財政資金を大いに考慮していただきたいという希望が強い。そこで、私は、今後公団を、というのは、せっかくあるんであるから、公団を大いに伸ばしていくためにも、従来保安林等を主体にやっておりましたが、保安林外もひとつ面積を拡大する。または、一団地の面積等についても、ある程度小面積等も配慮するというようにいろいろ範囲を広げて、公団の今後の大いなる発展を期すべきじゃないかと、かように思っておりますが、この点、林野庁はどういうふうに考えておられるか。特に、四十九年度は、計画等を見ましてもかなり下がってきておるように思いますが、この点についてお答えいただきたいと思います。
  87. 福田省一

    福田(省)政府委員 事業分量あるいは予算が変動いたしますのはいろいろの原因もございましょう。予算措置等について、私たちはできるだけ努力しておりますけれども、御承知のように、四十九年度は全体的に財政引き締めの機運の中にございましたので、前年度に比べますと、若干、私たちの考えている線までいかなかったということは残念でございます。しかし、その点は今後努力してまいりたいと思っております。  なお、御指摘の場所の選択につきましては、御意見の線に沿いまして、なお検討してまいりたいと思います。
  88. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官にもう一つ。この公社の場合は、事業費を融資とか補助金でやっておりますし、あとは自己資金、すなわち融資を受けていろいろとまかなっておりますが、実際問題として、公社造林はかなり伸びてきております。また、これは大いにけっこうだと思うのですが、管理費がなかなか捻出されていない。管理費に悩んでおります。こういったことで、制度的に拡大をしてめんどうを見るべきじゃないかと私は思うのですが、この点、林野庁も特段の配慮をしていただきたいのですが、どう検討しておられますか。
  89. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘の点は、確かにあると思います。四十八年度からは地上権設定費それから、現場監督費と管理費の一部につきまして補助の対象とすることにしたところでございます。これは約一五%でございますが、なお、今後におきましても、融資対象経費の拡大、管理費につきましての補助の充実、これを検討し、公社造林の円滑な推進ができますようにつとめてまいりたいと考えます。
  90. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、林野庁長官、この機会に私は提案をしておきたいことが一つあるのですが、公社造林を補完するという意味で、実は、昨年の七月十八日、この農林水産委員会森林法に対する質疑を私は三時間余にわたって質問したことがございましたが、そのときに、木曽三川の例をとって、受益者負担の問題を取り上げました。時間の制約があるので簡潔に申しますが、あの木曽三川の例にありますように、分収造林特別措置法等によって民間主体にやるような、いわゆる特定地域指定して、これにたとえば受益者負担としては、電力会社、水道、製鉄、製紙といった企業等からいわゆる受益者負担金を取り、さらに、政府のほうもこれに出資、補助をするというふうなことにして、特定地域の公社をつくって、木曽三川の例に見るようなことを今後推進することも一策であるというふうに思うわけです。将来、こういったことについて特別立法をすべきだということを私たちもいろいろ考えておりますが、こういったことについてぜひ提案したいのでありますが、林野庁、こういったことを検討の用意があるか、これに対する御見解を承りたい。
  91. 福田省一

    福田(省)政府委員 これは非常に重大な御指摘でございますし、私たちもその線に沿って今後熱心に検討してまいりたいと思っております。先般来問題になって、ときどき議論に出ます森林の公益性の計量化を行ないました目的も実はそこにあるのでございます。それの結果十二兆八千億という数字が出ておるわけでございますが、四十九年度予算におきましては、利根川を中心といたしまして、そういった受益の関係がどうなっているか、その経費の負担をどうしたらいいかということにつきまして、具体的に検討を開始する予定にいたしております。その線に沿いまして、私たちも、公益性を重視するという点から考えますというと重要な御指摘でございますので、熱心に検討してまいりたい、かように思っております。
  92. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、先ほどもちょっと指摘しましたが、分収造林は拡大造林が主体になることは当然ですけれども、この拡大造林計画がかなり上回ってきておりますが、林野庁計画を見ますと——民有林造林の動向は、再造林が、いわゆる民間は実際には五、六十年か七、八十年というように、かなり経済的にも長いペースで伐期を考えているようでありますが、林野庁計画では、再造林は短伐期で計画しておられる。そこで、この計画を見ますと、どうしても計画の倍以下にしか達成ができない。今後もまたずっとこういった推移が続くというふうに見ております。これは林野庁自体の見通しの間違い、すなわち計画過大になっていると思うわけです。杉でも見ますと、大体三十五年か四十年ぐらいの回転で、短伐期になっております。これは大いに計画を練り直し、検討すべきじゃないか。あまりにも差がひどいと思うのです。長官は、この点に対してはどういうふうに考えておられるか、これまた簡潔にお答えいただきたい。
  93. 福田省一

    福田(省)政府委員 昭和四十八年は、二月の十六日でございますけれども、そういった森林資源基本計画について、いろいろ情勢の変化を踏まえまして、閣議決定によってこれを変更していただいたわけでございます。これをもとにしまして全国森林計画も改定したところでございますけれども、この計画改定にあたりまして、造林については、既往の実績とか、それから森林資源の構成の内容、伐期の延長等、御指摘のそういった点を考え、また、伐採性向等を勘案しまして、再造林計画量は、前の計画からある程度実は落としておるのでございます。前の計画は、四十六年から五十年までの年平均にしますと九万ヘクタールでございましたけれども、新しい計画では六万ヘクタールでございます。そういうことで一応検討をし、これを改定いたしてはおりますけれども、なお、御指摘の点につきましては、いろいろとまた研究してまいりたいと思っております。
  94. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官、その改定のものがわれわれの手元にないのですが、それは資料でぜひ配っていただきたい、また、お示しいただきたいと思います。  次に、政務次官にお尋ねしますが、いままでいろいろと質疑をして、論議をしてきましたが、造林の推進をはかるためにも、国土緑化をするためにも、近く緑の週間もやってくるわけですが、これは当然のことであります。国営分収造林の問題等も、いろいろ造林を進めたいということにほかならないのでありますが、いずれにしても、最近の動向を見ますと、自然保護、緑化が大事である、国内木材需給が大事であるということはさんざん言われますけれども、ことしは特に予算がきびしい中でもあったとはいえ、造林に対する政府並びに国の考え方というものは、必ずしも国民が要望しているとおりじゃないんです。そこで、その原因はいろいろありますけれども一つには、木材価格が安定していれば造林面積というものは絶対ふえるということは、従来からの例を見て、これはもう端的に言えることです。政策の面でも、安定価格維持ということをはかるべきだと思うのですが、政務次官はこの点をどういうように考えておられるか、農林大臣にかわって御見解を承りたい。
  95. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)政府委員 御説のとおりだと思います。価格が安定をするということは非常に大切なことであります。
  96. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、これまた政務次官なり林野庁長官から答弁を受けたいんですが、土地問題も一つの問題です。土地価格が暴騰したために、木を植えても追いつかない、いわゆる生産性が合わないというのが現在のいわゆる農山村における考えです。また、われわれもそう思うのです。この点については政務次官、どう見解をお持ちであるか。
  97. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)政府委員 これも御説のとおりであります。したがいまして、土地がなぜ高くなるかということは、これは、やはり、森林は特別な地域以外は自由に手に入る、あるいは開発も比較的自由になりやすい、こういうようなことで、投機的な資金が入って、ゴルフ場あるいは分譲地その他で荒らされておる、それにつられて値段が上がるということでありますから、それを規制するために、一日も早く森林法を成立させていただけば、かなりの土地値上げのブレーキになると私は思っております。
  98. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 時間が経過しましたから、御協力願います。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 はい。  これは林野庁長官にお尋ねしますが、森林組合作業班、これは、先ほどいろいろと申し上げましたが、この森林組合の作業班に対する長期退職共済基金の制度化、これを強く要望しておる。これに対しては林野庁もいろいろ検討しておられると思いますけれども、いわゆる全森林組合に対してぜひ早く制度化してもらいたいと思う。これに対する見解を、全組合員に、この場で述べていただきたい。と同時に、いま問題になっております失業保険の当然適用、今度雇用保険法に変わるといっていろいろ論議されておりますが、これを早急に実施してもらいたい。この二点について、林野庁長官から見解をいただきたい。
  100. 福田省一

    福田(省)政府委員 林業労働者に対します退職金制度につきましては、すでに独自の制度を設け、あるいは設ける予定の県が数県あるのでございますが、国の制度としてこれを設けることにつきましては、林業独自の制度を設けることが適当であるかどうか、林業についてほかの産業以上の助成をすることについてのほかの産業との均衡の問題とか、いろいろな基本的な問題もございますし、また、関連する諸問題につきまして十分な検討が必要であると考えております。昭和四十九年度には、そういったわけで、林業及び林業労働の特殊性に見合った社会保障制度のあり方につきまして、学識経験者などによりまして、林業施策の観点から広く検討を加えることとしているのでございますが、その中で、これら各県の実例をも十分参考にして研究を行ない、今後における林業労働者の福祉の向上に資するように進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  次は、失業保険制度の問題でございますが、当然適用の問題につきましては、先日、失業保険法の全面改正案でありますところの雇用保険法案閣議決定を見たのでございます。その中におきまして、失業保険制度を雇用保険制度に改めますとともに、林業について、五人未満の労働者を雇用する個人事業主を除きましては当然適用とするということが入っておるものでございます。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官から、森林組合作業班員に対する長期退職共済基金制度の前向きの答弁を承り、失業保険の当然適用の問題についても、いろいろ検討していくということで答弁がございましたが、ぜひこれば強力に進めていただいて、組合員のために努力していただきたい。  最後に、私は、芳賀委員及び政務次官にそれぞれ答弁を願って質問を終わることにしますが、時間の制約もあるので簡潔に御答弁いただいてけっこうです。  芳賀委員には、連日貴重な答弁をいただいて感謝いたしますが、最後に申し上げたいことは、国営分収造林の問題等いろいろと論議してきましたが、反面、昨年の四月には、芳賀委員を含めて各農林水産の委員、また国会議員には、全国森林組合連合会、都道府県森林組合連合会の連名によって「民有林造林推進についての要望書」というものが出されました。これは全部は読みませんけれども、「林業基本法第七条に「国は林業者または林業者が組織する団体の自主的な努力を助長するよう施策を講ずる」という旨の規定がある。」云々となっておって、そこで「一方的な国営分収造林には断乎反対する。」となっている。こういう要望書が各委員に出ておるのが事実です。また、森林組合所有者に言わせますと、いわゆる国営分収造林は、国有林から民有林に仕事の圧迫をする、そうしてこれはまた、北秋田だとか、長野県だとか北海道といった一部に特にこういう事態が強いとか、あるいは森林組合は全国組織である、全国に百七十九万人もおるんだということで、森林組合立場にもなってくれというようなこともいろいろ聞くわけでございます。そういったことで、締めくくりとして、この国営分収造林については、全森連または都道府県の森林組合連合会等があげて断固反対すると言っております。これに対してどういうふうな見解をお持ちであるか、それらを述べていただいて質問を終わりたい。芳賀委員からひとつ御答弁をいただきたい。——それでは、芳賀委員がせっかく大臣席にすわっておられますので、渡辺政務次官のほうから先に答弁していただきます。
  102. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)政府委員 われわれは、森林組合が反対をするということも、それはもちろん参考にいたしておりますが、先ほどから瀬野委員がいろいろと見解を述べられました分収造林法について、それらでは私も同じような考えを持っておるところがあるので、したがって、分収造林法について、いま直ちにわれわれは賛成いたしかねるという見解をかねがね申しておるわけであります。
  103. 芳賀貢

    芳賀議員 お答えします。  社会党が国営分収造林法を提案しましたあとで、実は、全国の都道府県単位森林組合連合会から同一趣旨の陳情電報が来まして、その電文内容を見ますと「ミンユウリンノコクエイカヲメザスコクエイブンシユウゾウリンホウアンニハンタイヨロシクオネガイス」ということで、これは各委員皆さんの手元にも届いておると思うわけであります。これが、いわゆる社会党提出国営分収造林法反対の森林組合連合会としての意思表示のように受け取れるわけでございますが、電報ですから、これは簡単に書いてあるのであって、われわれとしては、「民有林の国営化」なるものの意味がわからないのです。たとえば、民有林国有化するから、その道であるからということになればわかりますが、「民有林の国営化」というのは一体どういうものであるかよくわかりませんので、実は、内輪のことでありますが、社会党といたしまして、全国森林組合の喜多専務をはじめ数名の首脳部の方に来ていただきまして、いろいろとざっくばらんな懇談をした結果、先方におかれましても、社会党の分収造林内容をよく検討すると国営化に通ずるというようなものではない、誤解に基づくものであるという率直な表明等もありまして、私どもは、森林組合の全国組織がいまだにこの法案に反対をしておるというふうには実は考えておらないわけであります。われわれ社会党こそが森林組合の育成強化等について率先して努力をしておる、いま瀬野さんから言われた林業基本法の条文の中の、林業を行なう協同組織である団体等の育成についても十分助長すべきであるというような点につきましては、実は、三十九年の林業基本法法案審議の際に十分検討いたしまして、当時の政府提案の林業基本法については、この委員会として、重要な点については大幅な修正を加えて今日の林業基本法が運営されておるわけでありますからして、まあ、こういう点についても詳しく話せばわからぬ人たちでもありませんので、よくわかりました、しかし、この国営分収造林法が実現するまでは森林法の改正を押えるというようなことにならぬようにぜひ御協力をお願いしますというような経過もあったわけでございますので、実は、われわれとしては、そういう動向についてはいささかも気にしておらぬと、率直に申し上げる次第でございます。
  104. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長時間ありがとうございました。
  105. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 午後は、一時四十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ————◇—————    午後一時五十分開議
  106. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲富稜人君
  107. 稲富稜人

    ○稲富委員 今回芳賀貢君外十名から提出されております国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措置法案に対しまして、提案者に若干お尋ねをいたしたいと思います。  この法案は、現在立ちおくれております民有林の高揚をはかろうという方向で立案されたもので、その点は非常にけっこうであると思われます。ただ、ここでお尋ねしたいと思いますことは、林業基本法の第七条に、「国及び地方公共団体は、」「施策を講ずるに当たつては、林業従事者又は林業に関する団体がする自主的な努力を助長することを旨とする」ということを明記しておりますが、したがって、これによって、現在、林業基本法方向に向かって、森林組合あるいは造林公社、森林開発公団、森林組合労務班及び一般林業労務者の育成というものを政府計画しておりますが、これを今度は逆にかえって衰退せしめるようなことがありはしないかということも一応考えられますので、こういうことに対して提案者はどうお考えになっておられますか。この点を承りたいと思うのであります。
  108. 芳賀貢

    芳賀議員 いま御指摘になりました林業基本法第七条の、行なうべき施策の規定についてでありますが、これは、稲富委員も、昭和三十九年の国会において林業基本法を精力的に審議したわけでありまして、いま御指摘のあった条文等についても、政府提案の分については相当積極的な検討を加えて、ある意味においては、基本法の目的あるいは内容等についても大きな修正を加えたという経過があるわけでございます。いま言われた自主的な林業関係の団体、あるいは地方公共団体並びに林業従事者の雇用の安定、あるいは社会保障の確立等の問題については、むしろ、社会党提案のこの分収造林制度というものは、それらの機能や組織を助長するという役割りを果たせると思いますし、その機能、自主性を圧迫するというおそれは全然ないとわれわれは判断しておるわけであります。
  109. 稲富稜人

    ○稲富委員 次にお尋ねしたいと思いますことは、現に、御承知のとおり、分収造林特別措置法という、三十三年四月十五日に成立した法律があります。その後、昭和三十八年六月に法の改正を見たのでありますが、この既存の分収造林特別措置法と本法との関係はどうなるか、この点をどういうふうに解釈していらっしゃいますか、それを伺いたい。
  110. 芳賀貢

    芳賀議員 お答えいたします。  昭和三十三年に制定された分収造林特別措置法目的は、これは、国によらざる、たとえばかつての官行造林とか、今回の国営分収という、国が造林費用負担の主体にならない形において、そうして二者契約ないし三者契約で民有林造林を促進するというのが目的でございますから、いま行なわれておるところの、たとえば森林開発公団の分収造林もこの分収造林特別措置法に根拠を置いておるわけでありますし、あるいは、都道府県単位に設置されて行なっておる造林公社等の分収造林も、この分収造林特別措置法の規定に基づいて事業を行なっておるわけであります。今回の法案については、系統的に見れば、かつての大正九年に実現いたしました公有林野等官行造林制度、これに範囲を拡大して、時代に適合した手法で行なう、そういうことになるわけであります。今回の場合には、直接的には分収造林特別措置法との関係というものはむしろ薄いというふうに考えておるわけです。
  111. 稲富稜人

    ○稲富委員 政府にお尋ねしたいと思いますが、今回提案されていますこの国営分収造林法案が通過いたしたといたしますと、従来あります分収造林特別措置法との両者の使い分けといいますか、これに対してはどういうことになりますか。
  112. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま提案者芳賀先生からお話しがございましたように、国営分収造林法案は、分収造林特別措置法の国が当事者となる場合の特別法というような形のもので立案されておるようでございまして、その中身といたしましては、分収造林特別措置法と背反するところがございませんので、両者が相並んで、いま芳賀先生からお話しがございましたように、森林公団法による森林開発公団の造林が分収造林特別措置法による造林の一形態として行なわれておるというような形のものとして、併存し得るというふうに私どもは観念いたしております。
  113. 稲富稜人

    ○稲富委員 次にお尋ねしたいのは、これは午前中の津川委員質問もあったのでございますが、従来、国は、先刻申し上げました基本法の第七条によりまして、民有林造林事業のにない手は、やはり民有林造林業者が自主的にやるものだ、こういうようなことでやられておるわけでございます。これに対しての関係は、今回の国営分収造林の立案者は、そのにない手は、基本的にはやはり民間の自主的なものであるという考えを持っていらっしゃるのか、あるいは、将来はこのにない手をどちらに持っていくんだ、こういうような点に重点を置いておられるのか、この点をひとつ承りたいと思います。
  114. 芳賀貢

    芳賀議員 いまお話しのありました民有林の林業経営あるいは民有林生産活動のにない手ということになれば、稲富委員が言われたとおり、まず、森林所有者である林家と言われる経営者並びに従事者、あわせて、その地域において林業労働に従事する林業労働者、この人たちの主体的な努力というものに期待をして今後の民有林の積極的な発展を期するということは、これはもう同様の考えでございます。ただ、それを達成するための施策といたしまして、国が十分に助長する必要がある。その助長方策として、この際民有林の分収造林制度というものを新しく創設するというところにねらいがあるわけでございます。
  115. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま提案者の御説明があったのでございますのでその点は了解しますが、それで、農林大臣が造林実施地域指定する場合、森林所有者の意思を十分尊重されなければならないということは当然であると思うのでございます。それで、この森林所有者の意思をどの程度に尊重され、その意思がどの程度に反映されてこの国営分収造林というものが行なわれるか、ここに非常に問題があると思うのでございますので、この点に対する提案者の御説明を承りたいと思います。
  116. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの点については法案の中にも明確にしておるわけでありますが、一つは、全国的な計画といたしましては、林業基本法の第十条の規定に基づく森林資源基本計画並びに林産物長期見通し、これが基礎になって、そして、森林法第四条の全国森林計画の樹立にあたりましては、その中に、造林計画あるいは林道計画等の森林計画に伴う必要な事項というものが計画の中に策定されなければならぬということになっておるわけでありますからして、たとえ国が行なう分収造林計画にいたしましても、この全国森林計画の一環として造林施策を進めるということになるので、分収造林計画策定という面については、農林大臣の責任において十五年間の全国計画というものを策定して、これを公表するということになるわけであります。  それから、分収造林の実施地域指定につきましては、これは都道府県知事が都道府県の森林審議会並びに関係市町村の意見を聴取して、都道府県ごとに知事が分収造林についての地域指定の申請を行なうということになるわけであります。そこで、結局、知事が申請する地域指定の申請の中に、地域森林所有者の積極的な意向並びに要望というものが十分取り入れられた中で申請を出してもらうということがたいへん必要なことになるわけであります。その申請を基礎にいたしまして農林大臣が全国的に地域指定を行なうわけでありますからして、指定の際には、それらの地方の森林所有者の意向というものが地域指定の中に認められるような行政的な配慮というものが当然必要なことになるわけであります。法案がそういうような仕組みになっておりますので、この点、御理解を願います。
  117. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは参考までに承りたいと思いますが、国の行なう分収造林面積は大体百ヘクタールという目標のように聞いておりますが、大体、今日、国として造林をされねばいけない民有地の総面積がどのくらいあるという目標であり、その中の百ヘクタールを分収造林としてやろう、こういうことだと思いますので、大体どのくらいの程度の総面積を想定されておるのか、その点を承りたいと思います。
  118. 芳賀貢

    芳賀議員 この点については、先ほど申しましたとおり、全国森林計画は、稲富さんも御存じのとおり、五カ年ごとに十五年計画を策定して公表するということになっておるわけでありまして、基本計画については、昨年の四月に、政府閣議決定で一部内容の改定を行なって公表しておるわけでありますが、結局、今回の国営分収造林にいたしましても、森林計画の中の造林計画、その中において十五年計画のまた年次計画というものが出てくるわけでございますからして、結局、これを実現する場合には、その造林計画の中にこれは位置づけをするということになるわけであります。ただ、今回の法案の趣旨は、いままでの民有林の自営造林や、あるいは公団、公社造林等においてなお実行が困難であるというような地域が全国的には相当取り残されておるわけでありますからして、そういう地域重点的に取り上げて国営分収造林を行なうことによって、初めて全体計画の全面的な実現ということになるわけであります。ですから、いままでの林野庁が立てました造林の年次計画につきましても、毎年度の計画造林実績というものを比較いたしますと、最近は、計画に対して年々実績が低下しておる。特に、重点になる拡大造林にいたしましても、昭和四十六年までは、大体、計画に対して実績が一〇〇%台で実施されてきたわけでありますが、それが四十七年、四十八年になるに従って、拡大造林についても、計画よりも実施率が、九〇%あるいはそれ以下というふうに落ち込んできておるわけでありますからして、いかにしたならば計画を実施の面で全面的に達成するかということになれば、結局、新しい造林制度というものを施策の中で打ち出して、それによって長期計画の全面達成が実施できるという努力というものは必要になるわけでありまして、そこに今回の分収造林制度的なねらいがあるわけでございます。
  119. 稲富稜人

    ○稲富委員 よって、私は、政府にお尋ねしたいと思うのでありますけれども、ただいま、今回の国営分収造林提案者芳賀君からも御説明があったのでございますが、こういうような法律提出しなければできないというようなことになったことは、一つには、やはり、国がやっている造林事業というものが計画どおりに実績をおさめていかないこと、ここにも大きな原因があったということをわれわれは認めなくちゃいけないと思うのでございます。そこで、この機会に政府に承りたいと思いますことは、最近における造林事業計画及びその実績というものがどういうようになっているのか、その実情をこの際御説明いただきたいと思います。
  120. 福田省一

    福田(省)政府委員 民有林におきます造林計画というのは、森林法の第四条の規定に基づきまして、農林大臣が五カ年ごとに十五カ年を一期としてきめますところの全国森林計画に即して、行政目標としての計画をきめているのでございますが、昭和四十三年度に策定しました全国森林計画、これは四十三年から五十七年まででございますが、これに即してきめた民有林造林計画の前期五カ年分、つまり、四十三年から四十七年までのうち、造林推進上特に必要で、かつ、分収造林推進上の対象となる拡大造林につきましては、百十三万ヘクタールに対しまして、造林実績は百十万三千ヘクタール、計画に対しまして九八%というふうになっておるのでございます。しかしながら、年度別にその動向を見ますと、四十六年度以降だんだん減っておりますが、その原因として考えますのは、材価の低迷であるとか自然保護の要請等による伐採の停滞が生じてきた中で、特に、一つは、伐採事業費の高騰あるいは国産チップの需要減退といったことによる、つまり、古い薪炭林の伐採が停滞しておるということが一つ大きく考えられます。次に、造林費の高騰による造林資金調達の困難性ということも考えられましょう。それから、過疎化の進行による造林労働力の不足という問題もございます。また、林地開発費の異常な高騰といったようなことも造林意欲を減退する大きな原因になっておるというふうに思うわけでございます。そういったことを考えまして、一つは、一定の条件を満たし、かつ、低利用の広葉樹林の伐倒除去に要する経費を助成する必要があるということで、これは、新しく四十九年度の造林の対策として盛ったところでございます。  それから、補助とか融資等の助成制度の拡充、それから造林公社等による分収造林の推進ということも第二点として考えております。  第三点は、森林組合労務班等の林業労働組織を育成強化していく必要があるというふうに考えております。  第四点としましては、森林法の改正によりまして、無秩序な乱開発の規制等の施策を総合的に実施することによりまして、民有林造林の推進を期してまいりたいというふうに考えておるのでございます。  なお成林しました人工林の伐採あと地の再造林につきましては、四十三年度以降五カ年間分の計画、つまり、四十五万ヘクタールに対しまして、造林の実績は十八万三千ヘクタールとなっております。計画に対比いたしまして四一%にとどまっているのでございます。きわめて低い率でございます。  伐出経費の高騰であるとか、あるいは材価の低迷等のために、伐採が著しく後退したために減少したものでございますが、伐採あと地は着実に造林されておりますし、結果的には、計画をきめた四十三年当初にその見通しを過大に見たこととなるのでございますけれども、人工林として残存しておりますので、森林資源の維持拡充には特に問題はないかと考えておりますが、この点については、今後の計画の際に十分検討してまいりたいと思っております。
  121. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらに政府にお尋ねしたいと思いますことは、これはただいま提案者芳賀君からも御指摘があったのでございますが、四十七年度は特に拡大造林が減少しております。この原因は何によるものであるか、この点を承りたいと思います。
  122. 福田省一

    福田(省)政府委員 拡大造林につきましては、大体、ただいま申し上げましたように、再造林と比べまして、計画に対しまして九八%くらいに実はなっておるのでございます。ただ、再造林につきましては、計画量に対して実績が非常に少ないということは、ただいま御説明申し上げたとおりでございます。しかし、拡大造林につきましても一〇〇%ではございません。これは非常に困難な状態に立ち至りつつあるということは、十分それに対する対策を考えなければならぬと思っておるわけでございますが、一つは、造林が非常にいままで進んでおったところ、つまり、積極的に造林したところは、残っておるところが、非常にむずかしいところが残っておるということが一つ考えられると思います。  第二点は、都市近郊におきますところの、たとえば宅地造成地帯であるとか、あるいはゴルフ場が盛んにつくられている地帯とか、こういうところは非常に地価が暴騰してまいります。それによりまして、これはもう造林して林業経営をするよりは売ったほうがいいというようなことでございましょう。造林意欲が非常に停滞しておるということで、その二つ地帯におきましては、非常な低調な傾向が見えるということは事実でございます。
  123. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、ただいま政府のやっております計画等に対しては一応承ったのでございますが、ここで提案者にお尋ねしたいと思いますことは、ただいま御説明がありましたように、政府は、民有林事業に対して、森林公団あるいは造林公社などで推進をしているわけですけれども、それが非常に遅々として進まない、不十分であるということは、われわれも十分これは認めざるを得ないのであります。それで、この際、そういう点からこの法案の御提案になったと思いますが、どの点が森林公団及び造林公社等で不十分であるか、提案者立場からどうこれを見ておられるか、率直に承りたいと思うのでございます。
  124. 芳賀貢

    芳賀議員 いまお話しがありました森林開発公団並びに県の造林公社の分収造林事業についての批判ということに当然なるわけでありますが、まず、森林開発公団については、これは、昭和三十一年に公団法が成立して、それから今日に至っておるわけであります。ただ、この公団の当初の発足にあたっては、国の機関に準ずる森林開発公団として、民有林等に対する造林目的で発足した公団では決してないわけです。最初は世界銀行の融資を受けて、熊野あるいは剣山の林道開発を行なって、これを有料道路として経営を行なうというところから出発をいたしまして、たまたま昭和三十六年に、長年の歴史と実績を持った公有林等の官行造林法というものを政府提案によって、多数をもってこれは廃止したわけですね。そのときから、森林開発公団が、公有林を中心とする水源林に対する分収造林事業というものを行なってきておるわけであります。そのあと、また、スーパー林道であるとか、いろいろな事業森林開発公団が事業の幅と分量を確保して仕事をやってきておるわけでありますが、そういう経過をとらえると、一貫性がなくて森林開発公団の延命策であるというような批判も、決して世上にないわけではありません。  もう一つは、これは実施機能というものを持っていないのですね。林道にしても、造林にしても、公団自身が実行する労働力も機械器具等も全然保有していないわけでありますので、結局、事業調査して発注するというような、そういう発注公団としての性格を持っておるわけでありますからして、事業実施の資金にいたしましても、金額を政府出資並びに政府資金の導入によって行なっておるわけでありますからして、結局、公団自身が積極的に造林事業あるいは林道の開設工事を行なうということにはなっていないわけであります。こういうトンネル機関的な公団というものは、今後民有林の困難な造林を発展的に推進する実行体としてはたしてどうかという問題は、これは国会においても十分検討をくだす時期であるというふうに考えておるわけであります。  それから、造林公社にいたしましても、昭和三十三年の分収造林特別措置法が発足する以前は、かつての官行造林と並んで、県行造林という形で、地方公共団体が主体になって分収造林を進めてきたという、こういう経緯があるわけであります。分収造林特別措置法の実施に伴って、この法律の規定に基づいて造林公社等が運営されておるわけでありますが、これも、分収造林を行なう場合の、たとえば費用負担者、造林者、土地所有者の三者によって分収造林事業というものを進めておるわけでありますが、結局、造林公社というものは、まず第一に費用負担者である、さらにまた造林者であるという立場に立って、結局二者契約で民有林造林事業をやっているのが今日の現況でありますが、県の造林公社だけの力で毎年毎年の造林の費用の全体を調達確保するということはなかなか困難な実情にあるわけであります。そういうことで、造林公社は、出資の面においては地方公共団体の都道府県並びに関係の市町村の出資、中には森林組合の一部出資等もありますけれども、そうした公共団体や関係団体の出資によって資金が形成され、事業をやる場合の必要な資金調達はほとんど農林漁業金融公庫等の資金に依存して事業経費を調達して行なっておるわけであります。そのほかに、結局、この事業というものは、多分に国の造林政策に基づく補助金に依存しておるという面が多いわけであります。  先ほども申しましたけれども、いま民有造林として行なっておる中で一番補助率が優遇されておるのは団地造林でありまして、この団地造林の場合には、実質的に六八%の補助が交付されるということになっておるわけであります。平均的には、国が三割と府県一割の四割補助でありますけれども、それに公社造林等については経費の査定係数というものを使いまして、そうして実質的には六八%、約七割補助が行なわれる。そのほかに、浩林公社、森林組合の場合においては、標準単価に対しておおむね一五%経費の上のせというものが実行されておるわけでありますからして、そうたると、大部分の造林費用というものは国の補助金に依存する。足りない資金については、補助残の融資あるいは非補助の融資等についても必要額の九〇%が融資をされるわけでありますから、費用負担者ではありますけれども、資金調達の大半は国の助成と融資政策に依存して、ようやく費用負担者としての地位と能力を維持しておるというようなことになっておるわけでありますからして、これにも限界があるわけであります。そういうことで、地域における分収造林の採択にあたりましても、やはり、能率的に、そうして比較的造林コストの低いそういう地域を選定することになりがちでありますからして、それから取り残された地域というものはなかなか公団造林にも公社造林にも乗らないという弊害というものが出てくるわけでございます。でありますから、私どもは、公社造林についても、県単位の造林公社というものの今日置かれた実態というものをいろいろな角度から検討を加えまして、これを大きく助長する必要があるとするならば、むしろこれに法律的な根拠を付与することによって国の責任あるいは公方公共団体の責任を強めるという立場で十分に助長してやる必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。  私どもが提案して御審議を願っておる時期でありますからして、公団、公社に対して、この際、この時点で直ちに全面検討を行なうということについてはいささか問題があるわけでございますが、率直に申し上げてそういう考えを持っておるわけでございます。
  125. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま、森林開発公団あるいは造林公社の実態等につきまして、本法案提案者から率直な意見の開陳があったと思うのでございます。私たちは、今回の国営造林法案が提案されるようになったねらいもそこにあると思うのでございますが、よって、ただいまもお聞きになったような状態でありますから、森林公団あるいは造林公社、あるいは森林組合等の指導がもっと強力であって、こういうように、あえて国が民有林野の分収造林をやらないでいいような措置というものは政府でやれなかったのであるか、また、将来やられないのであるか、この点を、政府の意のあるところを承りたいと思います。
  126. 福田省一

    福田(省)政府委員 造林の振興につきましては、しばしば申し上げておりますように、自主的な努力を助長するという精神にのっとりまして、まず、山を持っておられる人たち自分の力で新植し、そのあとを保育していく、そしてこれを子々孫々に伝えるという考え方に立っておるわけでございますが、そのために、実態としましては森林所有者というものはきわめて零細でございますので、これを共同して仕事をするという場合には、それに対するいろいろな助成を考えております。なお、この人たちは、森林組合を結成いたしまして、その中にございます労務班という組織をもって計画的に仕事を実施してもらうためのいろいろな助成措置を考えているわけでございます。なお、その場合に、造林公社であるとか、あるいは水源林地帯につきましては森林開発公団——これはなお、相当まとまった地域につきましては、さらにこれが費用分担者あるいは造林者としてこれに参画しまして、分収造林方式で計画的に造林を振興しているというわけでございますが、いずれの場合におきましても、森林開発公団の場合におきましても、あるいは造林公社の場合におきましても、その仕事の実態というのは、やはり、森林組合が結成しております労務班に重点があるわけでございます。造林公社等の場合におきましては、森林組合の労務班がやっております仕事はその中のほとんど八割ぐらいを占めておりますし、また、森林開発公団におきましても半分ぐらいという比重を占めているわけでございます。そういう方向の中で、この民有林造林の振興がはかられますように、できるだけの補助なりあるいは融資なり、その他の助成措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  過去におきましては、御指摘のようになかなか不十分な点もございましたけれども、最近は労務班の結成の状態もよろしゅうございますし、これが強化されていく方向にございますので、なお一そうその点の推進をはかってまいりたいというふうに考えております。
  127. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは政府に申し上げたいのですが、いま長官からいろいろ御説明がありましたが、これに対する見方というものは非常に甘いんじゃないか。あるいは森林組合等が自主的にそれをやらなくちゃいけないとか、また、やることを考えておるとか言い、それから、自主的だということばが林業基本法の中にありますので、非常にそれを尊重していらっしゃるようでございますが、自主的であるとしても、これに対しての強力なる指導というのか、これに対する強力なる助成をやらなければ、組織そのものは弱いんですから、十分その目的を達成することができない、こういうことになると思うのであります。それで、政府は、むしろ、未利用地であるとか粗放林というようなところをもっと積極的に取り組ませて、森林組合とか造林公社、森林開発公団等によって事業の推進をはからせるんだと、もっと情熱を傾けてやらなければ、単なる行政的な指示とか、自主的にやるんだから自分たちはそれを見ているんだというような状態ではだめで、これは後にも申し上げますけれども、今日、森林の開発ということは非常に急を要する問題であると私は思うのです。この点、政府に積極さが足らないのではないかということを私たちも深く感ずるわけなんです。それで、こういう公団とかあるいは公社とか、あるいは森林組合が自主的にやればいいんだ、そうして自分たちはそれに対して場合によったら助成もするんだというような通り一ぺんのことじゃなくて、こういう機会ですから、政府みずからが乗り出して積極的に指導するということが必要じゃないか、それが足らないんじゃないかとわれわれは見るのでございますが、これに対しては十分反省もしてもらわなければいけないと思うし、将来情熱も持ってもらわなければいけないと思いますが、これに対する考え方は、政府としてどう考えていらっしゃるか、承りたい。
  128. 福田省一

    福田(省)政府委員 まことに御指摘のとおりでございます。常時、単なるそういう観念的な指導ばっかりでなくて、具体的には、森林組合の強化のために、定例検査等を通じまして直接これを指導いたしてはおりますけれども、また、技術的な面におきましては、SPなりAGなり、そういった人たちの活動によりましてこれを指導していくということにつとめておりますが、御趣旨の点は十分わかりますので、なお、こういった点につきましては、具体的に現地の実態をよくつかまえまして、推進をはかってまいりたいと思います。
  129. 稲富稜人

    ○稲富委員 現に、この造林公社等は非常に資金的に行き詰まっているということもわれわれは聞いているのでございますが、こういうことに対する実態はどういうように政府として把握していらっしゃいますか。この点もこの機会に承りたいと思うのでございます。
  130. 福田省一

    福田(省)政府委員 造林公社の資金調達の面で行き詰まりがあるではないかという御指摘でございますが、現在、都道府県全体の中で、造林公社あるいは林業公社という名前で、三十三府県で三十六公社がすでに設立されておりますことはもう御承知のとおりでございます。この公社の造林の資金につきましては、造林事業の補助であるとか制度融資、あるいは地方公共団体の融資等によりまして調達しているところでございますけれども、全体としましては、これは四十七年度の数字でございますけれども、補助金が二十四億、公庫資金が四十一億、地方公共団体等の借り入れが二十七億、その他四億で、九十六億になっておりまして、比率は、公庫借り入れ金が四十三億と、かように一番高くなっているわけでございます。今後は、こういった点につきましてはいろいろと強力に助成してまいりたいとは思いますが、まだ何しろ造林の日浅く、主伐収入、いわゆるそういった収入が非常に少ないわけでございます。いずれこれが伐期収入が入るようになりますというと十分力がついてくると思いますけれども、その間に苦しい期間があるわけでございますから、できるだけ助成制度を強化していく方向へ着実に推進してまいりたい、かように考えております。
  131. 稲富稜人

    ○稲富委員 この機会に、さらに政府に私が強く要望して、所信を承りたいと思いますことは、こういうような林業の振興をはかり、ただいま申されましたような公社あるいは公団等が事業を推進していく上におきましても、必要な問題は、森林組合労務班とか、あるいは一般林業労働者の所得を増大する、そして雇用の安定をはかる、あるいは要員の確保につとめる、あるいは社会保障制度の整備をするというような、安心して働けるような、他の産業に立ちおくれないような、こういう問題を是正してやるということが非常に必要であると思う。これに対する処置というものも不十分じゃないかということも考えられますが、こういうことに対する十分なる処置をとる必要があると思うが、こういう点を政府はどう考えておられますか。この点を承りたいと思います。
  132. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘のとおりでございまして、特に、最近、山村地帯からの若い人たちが減ってまいる傾向があることはもう御承知のとおりでございます。そこで、この人たちに希望を持って山で働けるような状況をつくってあげることが絶対必要なわけでありまして、そういう意味で、従来これに対する施策にいろいろとつとめておったところでございますけれども、たとえば、一つは、できるだけ通年雇用に持っていくということも必要でございます。あるいはまた、林業の季節性というものを克服するために、他の地域にいわゆる流動化をして働けるような場をできるだけつくってあげるということもまた必要でございます。あるいはまた、林業独特な白ろう病であるとか、その他そういう病気もございますが、そういったものについての予防策とか、いろいろな制度を講じてきておるところでございます。  また、賃金の水準につきましても、御指摘のように、ほかの産業に比べて決して十分と言えません。しかし、平均しますと、建設の屋内作業に似たようなところにはございますけれども、決して十分とは思わないわけでございます。  なお、また、社会保障制度につきましても、きわめて不十分な点がございます。そういった面をつかまえまして、今後とも、できるだけそういった労働条件なり環境の改善につとめてまいりたいというふうに考えております。
  133. 稲富稜人

    ○稲富委員 今度は提案者のほうに一つお尋ねしたいと思いますが、提案者は、この第五条に、分収造林契約を締結できる条件としては、「技術上経済上効率的に造林を行なうことができること。」ということをうたってあります。これは、地域的にも、あるいはいろいろな事業量の上においても問題があると思うのでございますが、これに対しては、契約のできる面積というようなものの最低はどのくらいの基準にするというようなことを具体的にお考えになっておるか、この点、提案者に承りたいと思うのであります。
  134. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの御質問は、法案の第五条の一項四号の規定をさされたと思うわけでありますが、これには、稲富さんが言われた「技術上経済上効率的に」ということは、「当該民有林野が一団地を形成していること又は一団地を形成していないが相互に近接しており、一の造林事業により技術上経済上効率的に造林を行なうことができること。」ということになっておりますからして、このねらいは採択要件の五つのうちの一つになるわけでありますから、分収造林を希望する所有者が一人の場合、それから、非常に零細所有であって、数人が共同して一定の面積を持ち寄って分収造林の対象にしてもらいたいという場合も、これは取り入れることにしておるわけです。  それから、団地形成についても、必ずしも能率的な団地だけを取り上げるということでなくて、これはあまり遠隔の飛び地ではだめでありますけれども、部落的に見れば、隣部落に一定の面積があるというようなことで、事業上隣接しておるということが常識的に判断されるような場合においては、それも広義に解釈して、一団地として施業区域を設定できるということにしておるわけであります。しかし、これは事業でありまして、経済性を伴うことを否定することはできないわけでありますからして、そういう弾力的な採択をする場合においても、事業の要件としては、技術的に見ても、経済的に見ても、効率的に判断しても、造林事業というものを不可能でない限り行なうことができるという、そういう認定基準ということになっておるわけでありますからして、経済ベースだけで、もうからぬところば全然やらぬということとは、これは全然違うわけでございます。
  135. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは実施の面において、非常に困る問題がここに来ると思う。おそらく、これでやってもらおう、これで契約しようという人は、経済上非常に効率的でない、これだからひとつ国営分収林でやってもらおうというような問題も出てくるのじゃないかと思うので、将来運営上いろいろ経済的な問題が起こってこないかと思うので、特にこの点に対しては、どういうようなその点の基準を置いていくかということは運営上相当に問題になる点じゃないかと思いますので、私は念を押して提案者に聞いたわけですから、この点は、将来法律が通りましてから、運営上十分注意する必要があるのじゃないか、かように考えております。  さらに、時間がありませんので結論に入りますが、第十二条に、「農林大臣は、次の各号の一に該当する場合には、国営分収造林契約の全部又は一部を解除することができる。」とし、その四号に「政令で定める事由」ということを明記してあります。この政令の内容はどういうような内容を予定しておられますか、提案者にこの機会に承っておきたいと思います。
  136. 芳賀貢

    芳賀議員 いまお尋ねの政令の問題については、元来、立法府において法律が制定されて、その法律の中の委任事項というような形でこの点は政令にゆだねる、あるいは、政令で定めるところに従って、ということになっておるのですね。政令というのは、御承知閣議決定事項になるわけでございますけれども、ただ、その場合、法律目的と全然違った政令を閣議で決定して、法律の趣旨が全然達成できないという、そういう法律と政令との矛盾というものが現政府のもとにおいてはたまたま見受けられるわけです。そういうことのないように、法律審議の場合に十分明確にしていく必要があると考えております。  そこで、予定される政令は何かということになりますと、法案の十二条でありますが、一項の一号、二号、三号の規定がそれぞれ明文化されておるわけですね。一号は、「造林地の所有者が自ら造林地の経営をしようとする場合」云々、二号は、「契約の目的を達することができないと認めたとき。」、三号は、「造林地の所有者造林地又は第七条の規定による」云々ということになっておるので、これはもう契約解除の場合のはっきりした規定ということになるわけでございます。  ただ参考的に申しますと、かつての官行造林法の場合は、当然法律に契約解除の規定を定めるべきであったのでありますが、官行造林法の場合には、法文の中には契約解除の具体的な規定というものは出ておりませんで、これは全部政令にゆだねておるわけでございます。これは大正九年時代と現在においては、憲法においても、帝国憲法と現在の民主憲法との相違があるわけでございますが、そこで、官行造林法の政令事項等を比較してみますと、たとえば「公用又ハ公益事業ノ為必要アルトキ」というのが官行造林法の場合には契約解除の一つの理由になっておるわけです。それから、もう一つは「造林地ヲ林野以外ノ用途ニ供スヘキ特別ノ必要アルトキ」というような規定もありますので、この法案におきまして、第四号の「政令で定める事由」ということになれば、その分収造林地が公共的な事業にどうしても必要である。それに供するために造林地を変更しなければならぬというような場合、あるいはまた林野以外の用に供すべき特別の必要というものが事由として認められたとき、こういう点は法案の規定には載せておりませんので、当然、政令を設定する場合においては、これは必要な事項になると考えております。
  137. 稲富稜人

    ○稲富委員 では、もう結論に入りますが、まず、政府に対してお尋ねしたい。  これは午前中もここで質疑応答があったのでございますが、森林の持つ使命というものについては午前中も質問があり、論議されました。非常に公共的なものであるし、特に、その中においても、水資源を確保するということが森林の持つ大きな使命であり、これは工業の基本をなす。昨年でございましたか、田中総理もここに出席いたしまして、森林法の問題でいろいろ意見があった場合に、総理のことばからも、森林というものが水資源を確保するための重要な問題であるから、水の金を払うと思えば相当のこともしていいのだというような発言もあったように私は記憶いたしております。そういう点から申し上げまして、その水資源に最も役立つ樹木の樹齢というものは何年くらいのものが一番いいのか。最近は、ややもしますると、もう四十年もすれば切れば切っていいのだ、金になるのだというような木材伐採があるのであります。しかしながら、ほんとうに水を貯え得る樹木の樹齢というものは、やはり、もっとかからなければいかぬのじゃないかと私は思うのでありますが、これに対して、何年ぐらいの樹齢を持ったものが水資源を確保するために一番けっこうであるか、この点どういうように考えていらっしゃるか、承りたい。
  138. 福田省一

    福田(省)政府委員 水源を涵養する機能は、それぞれの樹木で一体何年ぐらいがいいかということになりますと、これは木の種類等によっても相当違いはございますけれども、たとえて申し上げると、杉なんかの場合でしたならば、そういった点を考慮いたしまして造林したものは何年も切るかという伐期齢をきめておるわけでございまして、場所によっても違いますけれども、大体四十年ないし四十五年というのが杉の例でございます。まあ、ヒノキ等になりますとまた少しそれより伐期齢が長くなってまいりますけれども、長ければ長いほどいいというものでもございませんし、一番生長活力の旺盛な時期が一番いいということも裏から言えば言えると思います。
  139. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういう点をわれわれも憂慮しますので、そういうようなことで、森林確保に対する指導体制というものを十分考えていただきたいということを、特にこの機会に申し上げます。  最後に、結論でございますが、この際提案者にお尋ねしたいのですが、提案者のこの法案提案の趣旨も十分わかりました。また、今日まで政府がとってきました造林対策としての足らざる点も先刻十分聞きました。そこで、ここで聞きたいことは、現在の分収造林特別立法をあるいは改正するとか、あるいは特別会計法を改正するとか、こういう不備な点を改正することによって、提案者の希望されておるような国営分収造林法の趣旨を生かすことができやしないか、この点をひとつ率直にこの際承りたいと思うのであります。これは提案者のほうと政府のほうから承りたいが、まず、政府のほうから承りましょう。
  140. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 芳賀議員はじめ十一議員の御提案になっております国営分収造林法案につきましては、ただいま稲富先生から御指摘のように、法律事項といたしましては、第七条の民法の特例事項と、十四条の国有林野事業特別会計への繰り入れというようなことになろうかと思います。その他は、分収造林の契約事項を、国が当事者であるということによって法律事項に持ってきたというようなていのものであろうと思いますから、確かに、先生御指摘のように、国有林野事業特別会計法の一部改正——それから第七条のほうは、これは現に分収造林特別措置法のほうにその規定がございますから、あえて特定する必要はなかろうかと思いますが、しいて厳密に申しますと、国有林野事業特別会計法の改正ということでございまして、あとは国営分収造林法案の中に盛り込まれております思想と申しますか、やり方と申しますか、そういうものについてどういうような態度をとるかということで変わってまいろうかということでございまして、その点については、私ども、いままでの御審議過程を通じまして私どもの答弁で申し上げておりますように、林業基本法七条の趣旨なりその他との関連において慎重に検討いたしておるということでございます。
  141. 芳賀貢

    芳賀議員 分収造林制度については、歴史的にはすでに徳川時代から分収造林制度というものは現存しておったわけでありますし、また、官行造林制度にしても、五十年以上の歴史を持っておる。あるいはまた、現在の国有林野法においても、表現は分収造林という規定でなくて、部分林制度ということで、国有林野に対して、国有林土地所有者であって、民間が費用負担者、造林者という立場で部分林契約を設定して、そして国有林国民が活用するという、そういう分収制度もあるわけでございますからして、造林政策の中におけるわが国の分収造林制度というものは、これはもう定着をしておる、関係者からも信頼されておると言っても差しつかえないわけであります。そういうときでありますからして、なおさらにこの際、幾つかの分収造林制度や組織というものを十分検討して、つまり交通整理をする必要は、われわれとしてもその時期だというふうに考えておるわけであります。流れとしては、当初に申しましたとおり、社会党提出国営分収造林制度というものはかつての官行造林制度の承継と見ても差しつかえないと思うんですよ。それを近代的なものにして対象範囲を広げるというところに特徴があるわけでございますが、事業の実施にあたって、費用負担、造林者としての任務を国が持つという点については、官行造林制度の現代版として国営分収造林制度というものを実現していきたいというふうに考えておるわけです。  それから、もう一つは、現在ある県の造林公社にしても、多分にこれは公共性を持った法人でありますので、むしろ、これには制度的にも十分な根拠というものを付与して、そうしてこれが民間における分収造林制度の実施体であるという、そういう位置づけをするのと、もう一つは、いまの審議中の森林法改正の中において森林組合というものを根本的に検討を下して、いまは森林法の中に森林組合の規定がかかえられておるわけでありますが、できればこの機会に森林法の中から——この森林法というのは森林の基本法的な役割りを持っておるわけでありますからして、その中に団体法をかかえておるというのは、これは大きな矛盾をかかえておると同じでありますからして、森林組合に独自性と目的に合致した十分な事業の遂行あるいはまた生産活動をやらすとすれば、農協や漁協あるいは土地改良区にいたしましても、それぞれの団体が独自の法律によって独自性を発揮して十分な成果をあげておるわけでありますからして、やはり、この際、森林組合にしても、森林組合法の制定で、ということが強い要望であるとするならば、制度的にもこれが一本立ちできるようなことにして、まだよろよろしておる場合においては、まあおとながみんなでめんどうを見てやって、あくまでも独立自主の気魄に燃えて、森林組合というものが林業者の共同的な組織として十分に発展するようにさせる。そして、その中の当然の事業として、森林組合組合員である森林所有者の間において、その独自の分収造林契約等を締結して、制度的にもこれを行なわれるというような道を開く必要もあると私は考えておりますので、こういう幾つかの分収造林の類型というものをこの際整理して、そうして国が行なう場合と、あるいは県が行なう場合と、森林組合が主体的に行なう場合と、こういうふうな交通整理をして、明確な一大造林制度というものを確立する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  142. 稲富稜人

    ○稲富委員 提案者の御意思のあるところも十分承りましたし、政府のこれに対する考え方も承りましたので、検討することといたしまして、私は、時間が来ましたので、私の質問はこれをもって終わります。(拍手)
  143. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 ただいま議題となっております両案中、内閣提出森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について引き続き審査を進め、質疑を続行いたします。馬場昇君。
  144. 馬場昇

    ○馬場委員 私は、森林開発と森林の学術研究、自然保護、国有林行政のあり方等につきまして、具体的に屋久杉、屋久島の国有林問題を取り上げて質問をいたしたいと思います。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理差席〕  順序を立てて質問いたしますので、質問したことに端的に答えていただきたいと思います。大臣がおられないようですけれども、長官等で不十分な点があれば質問を留保したいと思います。  まず、第一点として、屋久杉の評価並びにその認識について政府見解をお尋ねしたいと思います。御承知のとおりに、屋久杉というのは、原生林の中にはえて、樹齢が千年以上のものを屋久杉と言いますし、千年以下のものは小杉と言われておるし、植林したものは地杉、こういうぐあいに言っておるわけでございます。私はここに写真を持ってまいりましたが、これは屋久杉の中の繩文杉の写真でございます。この繩文杉は樹齢七千二百年と言われておりまして、この繩文杉の木の芽がふいたときには、私たちの祖先は、繩文の土器を使いながら、石おのでけものを追いかけておった。そういう時期にこの杉は芽をふいたわけでございます。まさにこれは国家的宝物と言っていいのじゃないか。さらには、日本だけじゃなしに、人類全体の至宝と言っていいのじゃないかと屋久杉については思いますが、この屋久杉がいま何本屋久島にあるのか。二千本足らずだと言われておりますけれども林野庁はどう把握しておるのか。そして、この屋久杉がこの十年間にどれだけ切り倒されたか、まずそういう点について最初にお伺いしたいと思います。  大体、杉というのは五百年ぐらいしか生きられないと言われておるわけですけれども、なぜ、屋久島で、台風の常襲地帯というきびしい自然条件の中で何千年というぐあいに生き長らえてきておったのか、それについての学術研究の結果があるのかどうか。さらに、この屋久杉の年輪の中に記録された台風斑紋というのがございますが、これを見ますと、詳しく研究いたしますと、歴史上の、台風の屋久島通過時の強さというものなんかもわかると言う人もおりますが、そういう研究なんかはされておるのかどうか。さらには、この年輪の間隔からして、地球の寒暖周期といいますか、数千年の気象状況というものがわかるんじゃないか、こういう研究もあるのですけれども、そういうことを研究されておるかどうか。さらに、屋久島というところは、屋久杉だけじゃなしに、まさに、日本森林生態学や植物の地理学など非常に解明される宝庫だと言われておりますけれども、こういうものに対する御研究はなさっておるのかどうか。いま幾つか申し上げましたのですけれども、そういう研究を踏まえながら、まさに国家的な宝ものである、人類の至宝であるという考え方から、屋久杉は一般用材とは別な角度から森林行政を行なうべきだと私は思いますが、政府は、屋久杉を一般用材とは別という角度から森林行政をやっておるかどうか、こういうことについてお尋ねしたいと思います。
  145. 福田省一

    福田(省)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、杉自体は世界に例のない日本だけの産物でございますけれども、その中でも、特に屋久島にございます屋久杉は、御指摘がございましたように、樹齢七千年をこすものもこの中にはあるわけでございます。一千年以上を経過しました屋久杉というのは、現在、こちらで調査したところによりますと、一万一千六百本あることに実はなっておるのでございます。小杉は一応省略いたします。なぜこんなに何千年も生きるのかというふうな御指摘もございましたが、この間ニュース等にもございましたけれども、あの芦ノ湖の中に杉が実は立ったまま埋っております。それを中に入って調べた結果によりますと、この中には約四千年という杉があるというふうになっております。杉は比較的樹齢を長く保つのでございますけれども、千年をこす杉というのは、神社等には若干内地で残っていますが、大部分は屋久島だけにあるわけでございます。もちろん、外国にも、千年をこすものは杉以外の樹種にもあることはあるのでございますけれども、きわめてまれなものでございます。  したがいまして、御指摘のように、この屋久杉につきましては、できるだけこの保存をはかっていかなければならぬというふうに考えておりまして、昭和四十四年に調査団を派遣いたしまして、その経営のあり方について地元の意向等もしんしゃくいたしまして、一部その修正をいたしておるところではございます。が、世界的に見ますというと、学者の人たちからも、屋久杉のような貴重なものはもう一本も切るべきではないという御意見もございます。しかし、この屋久杉を加工して生活しておる屋久島の島民も相当あるわけでございまして、それらの問題を考えながら、経営のしかたについてはきびしく制限いたしながら、なお、学術参考林等につきましても、できるだけ多く残すというふうにして、屋久杉は将来永久にその一部は保存してまいるというふうに考えておるところでございます。  なお、研究の内容等につきましては、指導部長からお答えさせていただきたいと思います。
  146. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  私も、確たる資料があってということではございませんけれども、御質問がございましたのが三点ございますが、まず、第一点に、五百年ぐらいが常識と言われるのに、なぜ何千年も生きるのかということでございますが、これは屋久杉の品種ということもありましょうし、さらに、基岩となっております風化された花こう岩の上に立っているということもございます。ただ、最も大事なのは、御承知のとおり、年間一万ミリをこすような雨量があり、その雨にささえられて長生きしているというふうに常識的に理解されておるのが現段階でございます。  次に、年輪についてのお話しがございましたが、確かに何千年という年輪が刻まれておりまして、その年輪の中に歴史があるということは当然でございますが、台風の常襲地でございまして、風が南から吹きまして倒れた場合に、そこに一つのしわができるわけでございます。その関係で、そのきずをなおすために樹木は努力しまして斑紋ができるわけでございまして、たとえば元寇の役のころの風速は四十メートル、誤差プラス、マイナス五メートルというふうなことも九大の航空力学の教授によって研究されておる、こういうことでございます。  なお、御指摘がございましたが、屋久杉だけの屋久島ではございませんで、一番下には亜熱帯から、一番高い二千メートルの頂上におきましては亜寒帯までの植生が見られるわけでございます。したがって、屋久島の国有林は三万八千ヘクタールございますが、保護林等で保存いたしておりますのは約八千ヘクタールでございます。奥岳を中心といたしまして、御承知のとおりに三本足が島に出ております。一番下の海面からの保護林もとっておるわけでございます。と申しますのが、亜熱帯の植生から亜寒帯までの植生の動きというものを貴重な財産として調査し、保存したい、こういうことでございます。  以上でございます。
  147. 馬場昇

    ○馬場委員 私が質問したのは、常識的にそう理解されておるとか、外国の学者がこう言っているとかという人まかせじゃなしに、林野庁、農林省の正式な機関としてそういうものを熱心に研究しておるかどうかという質問なんですよ。だから、その辺について、端的に、いま私が指摘したような問題について、林野庁できちんと研究はやっておりますとか、あるいはやっておりませんとか、それだけでけっこうです。  それから、さらに、答弁がなかったんですけれども、この国家的な宝ものといいますか、人類全体の至宝だという私の見解、それで、一般用材とは違うんだという森林行政をやっているのかどうか。一般用材と同じような立場で屋久杉を考えているのか、いや、一般用材とは違うんだという立場で屋久杉を考えておるのかどうか、こういうことでございます。
  148. 福田省一

    福田(省)政府委員 国立の林業試験場におきまして、屋久杉というのは特殊な材でございますので、木質に関する研究をいたしております。  なお、ほかの木と同じような取り扱いをしているのかしていないのかという御指摘でございますけれども、これは特殊な用材でございますので、先ほどちょっと申し上げましたけれども昭和四十四年に経営計画を改定いたしまして、屋久杉の特徴を生かして、これを永久に残すという計画をつくり直しておるわけでございます。  要するに、仕事のしかたとしましては、特に大面積の皆伐のようなものは避けて、切るにしましても小面積、しかも分散させるとか、あるいは択伐の率を多くするとか、禁伐をふやすとかというふうな、天然林施業に重点を置いた経営方針に切りかえておるところでございます。一般の造林木でございましたならば、できるだけ皆伐して生長のいい樹種に切りかえていくわけでございますけれども、いまの屋久島の屋久杉の場合には、天然林の施業を主体としたそういう施業方針をとらしているところでございます。
  149. 馬場昇

    ○馬場委員 学術研究について、国立林業試験場でいろいろやっているということですが、その屋久杉に関する試験の経過なり結果というものは、あとで資料として示していただきたいと思います。  それから、いまどうもはっきりしなかったのですけれども、その、やっていることはあとから具体的に聞くのですが、ただ、この思想ですね。一般用材と違うんだという、そういう思想でもってこういう森林行政をやっているのかということを聞いたわけでございますが、次の質問のときにそれについても答えていただきたいと思うのです。私は、やはり一般用材とは違うというきちんとした思想を持ってこの屋久杉に対する森林行政は行なうべきだ、こういう考え方を持っていますし、数千年続いてきた杉ですから、切ってしまいますとなくなるわけですから、数千年の悔いを残さないような森林行政というものをぜひやっていただきたいと思うので、これについてもあとでお答えいただきたいと思います。  次に、屋久杉の原生林の保護、自然保護という具体的な問題についてお伺いをしたいのですが、先ほど長官も、藤村調査団の屋久島国有林保護についての報告に基づいて、その報告を生かすようなかっこうで一定の行政をしておるというお話しがございました。それはわれわれから見ると不十分ですけれども、一定の施策はとられてきたようでございます。しかし、国有林というのは、これは国民の山です。特に、そこに住んでいる地域住民には密接な関係があり、地域住民の財産でもあるわけです。そういうことで、具体的に申し上げますと、藤村調査団の報告に基づきました林野庁施策というものについて、現実にそぐわない、地元の住民の意思に反するというようなことがたくさんあるようでございまして、それについて、たとえば上屋久の町議会が議決をして、このように改めていただきたい、たとえばここ、ここ、ここを残していただきたい、切らぬようにしてくれというような陳情なんかも出ておると思います。さらに、その山で働く労働者の人たちが、自分の労働の中から、経験の中から、やはりこの山は残すべきだ、この山は皆伐してはいけないというような意見も熊本の営林局なんかには出ておるのです。さらには、「屋久島を守る会」というのがあそこにできておりまして、多くの意見も出しておられます。こういうことについてどうなっておるのかということを具体的に聞きながら、考え方としては、この屋久島の原生林について、この行政をするにあたって、林野庁は、地元の住民、そういう人の意見を十分聞いて、そういう人の意見計画を変更してくれということであれば変更するにやぶさかでないのか、それから、地元の住民と話し合いをし、理解と協力を求めて行政をやっていかれるのかどうかという基本姿勢もお尋ねしておきたいと思います。
  150. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘がございますように、屋久島自体が、国有林が大部分でございます。国有林の経営につきましては、もちろん、地元の住民の皆さん意見を尊重して、それを経営の計画の中に取り入れていくべきでございますし、また、事実そのように指導しているところではございますが、なお不十分の点もあれば、改めてまいりたいと思っております。  実は、先般私のところに上屋久の方々が参られまして、この屋久杉の伐採についてまことに行き過ぎがあるので、これを是正してほしいという御要望を受けております。先ほど申し上げました昭和四十四年の調査団というのは主として屋久島が中心でございまして、その際、上屋久は全然考慮に入れなかったわけではございませんけれども、島全体として考慮したものでございますが、なお、先般来、屋久島の中の上屋久のほうからそういう御要望もありましたので、熊本の営林局、それから鹿児島県庁等にも一応連絡いたしまして、近くまた調査団を派遣する予定にしておりますけれども、その御要望を十分尊重いたしまして、なおさらにその計画を修正する必要があるならばこれを修正いたしたいというふうに考えておるところでございます。
  151. 馬場昇

    ○馬場委員 地元並びに働く労働者の「屋久島を守る会」というようなものについて関心を持ち、意見を出している人がたくさんおるわけですから、いまの長官のお話しのように、調査団も出してみたり、要望を尊重する立場で行政をすることはけっこうなことだろうと思います。  そこで、もう少し具体的に話をしてみますと、私はこの間屋久島に調査に行ってまいりましたが、ところが、長官は先ほど、小規模分散の伐採をするのだとか、いろいろ自然保護にも留意をした行政をやっているんだということでございましたが、私が見る限りにおいては、ほとんど大規模な大面積の皆伐ですよ。私は、もうはげ山になったところについて、ここに相当数の写真をとってきておりますが、これを見ますと、自然保護とか屋久杉を保護するという感覚でなしに、ほとんど全部皆伐というような方向でいま進んでおる。もう峰のところまで近づこうというような、はげ山になろうというような状態が出てきておるわけなんです。こういうものを見て、地元の人たちなんかも心配をするわけですけれども、ここに、またあとで見せますけれども、証拠書類がたくさんあります。こういう中で、さっき長官が言われました小面積の分散伐採、これをぜひやるべきで、皆伐はいけないんじゃないか。たとえば、林班ごとに全部切ってしまうというんじゃなしに、その中でも小面積を分散して切っていくというような方法を必ずとらなければいけないという問題。それから、あとで保育のことを申し上げますけれども、植林をできないところもみな皆伐されてしまっております。これはここに写真もとってきておりますが、その切ったところは、岩はだが出て、全然植林ができない。そういうところも切られておるんです。そういう植林ができないところは絶対に切っちゃいけない、原生林を残すべきだ。こういうことで、植林不能地はやはり切るべきじゃない。  それから、自然保護という立場から言いますと、林道がありますと、その上下なんか、やはり自然保護ということで残すべきだと思うのです。ところが、全部切られておる。こういうような問題とか、河川の周辺も、先ほど一万ミリの雨が降ると言われましたが、ほんとうです。月に三十五日雨が降るというぐらいに言われておるのですから、河川の周辺、これは洪水の関係もありますけれども、そういうところは、自然保護の関係からも切るべきではない。こういう具体的な要望というものは地元からたくさんあがっているんですが、こういう点について、長官の見解を聞きたいと思います。
  152. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま写真でお示しがありましたところの場所であるとか、伐採した年次等は、またあとでお伺いして、よく注意したいと思いますけれども、四十八年、つまり昨年度から明らかな方針を出しまして、先ほど申し上げました小面積の伐採、しかも分散、保護樹帯を残す、しかも、峰通りには保残帯を残し、沢通りにもこれを残すという、こういう指示をいたしておるのでございます。この小面積皆伐と申しましても、保安林等は特に厳正にする必要がございますので、少なくとも五ヘクタール以上はだめであるとか、一般の森林につきましても、注意しなければならぬところは十町歩程度にするということで——従来は、切ったあとは、二、三年すると連続して数十ヘクタールにのぼるような伐採をした例もございます。これは戦争中であるとか、終戦後の復興を急ぐ時期でございますけれども、そういう点を四十八年度から修正しまして、指導しているところでございますので、いま御指摘の線に沿いまして、これは厳正に指導してまいりたいと考えておるところでございます。  なお、造林できないところを切ったのじゃないかということは、具体的にどこのどういう状態であるかはまた検討させていただきたいと思いますけれども、おそらく、伐採そのものの考え方としては、天然更新で、施業する、伐採したあとに自然にはえた木が育つという、前生樹のあるところを伐採したのではないかとは思いますけれども、これが行き過ぎた場合には、ほんとうに切ったあとが裸地になる例も過去においてはございました。そういった点がもし事実であるというふうに、先生の御指摘のとおりでございますれば、なお注意してまいりたいと思います。
  153. 馬場昇

    ○馬場委員 いま、長官が、四十八年度から新しい施策というものをやった、指示をしたと言われたが、私は、その指示をしたあとに行って、あの指示では不十分だ、私がさっき言ったような点については林野庁は十分考えるべきだというような地元の意見を聞き、それは私も見て感じたことでございますから、四十八年に通達をしたから、あのとおりにやればよろしいのではなしに、さらに地元の住民の意見があれば、そういうことについても十分考えて、さっき言ったような小面積分散伐採をやるとか、植栽不能地はもうやらないとか、あるいは林道の上下はやらぬとか、河川流域は保護をするとか、こういう点についてさらに十分検討を加えていただきたいと思います。植栽不能地を伐採したというのは、こういうところですね。まさに岩はだが一ぱい出て、できないのですよ。これはあとでまた示して、場所も教えますから、十分検討願いたいと思います。  次に、伐採量の問題です。これは昭和三十八年度以降——これは屋久杉だけではございませんですよ。天然林全部でございますけれども、非常に急ピッチで切られておるのですね。三十三年は全島で大体六万立方メートルぐらい切っておったのが、四十年は十七万三千立方メートルぐらいで、約二・九倍になっておる。そして、四十八年度計画でも十三万立方メートル切る。これは三十三年度に比べますと二・一倍になっている。四十三年から五カ年で八十六万四千立方メートル切っていますね。こういうぐあいに切っていったら、ほんの一部を残して、屋久島の生態そのものが変わってくる。全部はげ山になる一までは言いませんけれども、そういうような急ピッチな切り方だと私は思います。だから、いろいろ現地の人とも相談をしたのですけれども、現在の、たとえば昭和四十八年の十三万立方メートルというところを三〇%ぐらいは減らすべきじゃないか、切り過ぎるというような話がございますが、これについて長官の見解をお伺いしたいと思います。  そういうぐあいに、単年度に大面積を切り過ぎるものですから、造林とのバランスがとれていない。こういうことで自然が破壊をする。こういう状況もございますので、この辺について、やはり、伐採するのはある程度減らす、三〇%減らす、そうしてあそこの行政では、育林を重点に、いままでよりもさらに拡充してやっていく、こういう視点というものが必要ではないかと考えるのです。そうして緑の回復をはかっていかなければならぬ。現在まで続いてきましたのを、切るのを少し減らして造林をふやすという視点で考えるかどうか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  154. 福田省一

    福田(省)政府委員 屋久杉だけについては、先ほど一万一千六百本あると申し上げたわけでございます。現在計画いたしておりますのは、そのうちの六割強に当たります七千四百本の屋久杉というものは将来とも永久に保存してまいるという計画をいたしておるところでございます。  なお、この伐採量の問題全体でございますが、年平均十三万ないし十五万立方メートルを伐採しておったことは御指摘のとおりでございます。新しい施業計画を見直しいたしまして、今後は、年平均にしますと十一万立方メートル——これは屋久杉以外のものも全部含めてでございますけれども、従来の十三万ないし十五万立方というのを、十一万立方メートル程度の伐採量に落としていくというふうにいま計画しておるところでございます。ただ、これは総体の話でございまして、御指摘のように、岩場のようなところであるとか、あるいは屋久杉が非常に密集しておって、もし周囲を切るとこれはまた枯損するとか、非常に危険な場所もございますので、そういうところはきめのこまかい伐採方法をとっていかなければならぬということでございます。具体的には、それぞれの営林署におきまして経営計画をつくるわけでございまして、その段階の中で指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  なお、伐採よりは造林重点を置くべきではないかという御指摘でございますけれども、まさにそのとおりであると思います。できるだけそういう方向で私たちもやりたいと思いますが、この造林、特に、植えたならば、そのあとの管理と申しますか、刈り払いであるとか、あるいは除伐、間伐等、とにかく、相当成林するまでの間、むしろ新植した後のそういう保育というものがたいへんでございますので、その辺についても、国有林の場合におきましても、できるだけよく手を加えていくというふうに指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  155. 馬場昇

    ○馬場委員 年十一万立方メートルぐらいに減らすんだというようなことですが、やはり、切るのはなるべく減らすというような方向でぜひやってもらいたいと思います。十三万とか、あるいは十七万とか——四十四年は十七万三千立方メートルぐらい切っておるのです。なぜこんなにふえたのか。私から言わせますと、これは乱伐です。これについては、昭和三十六年の、おたくがつくられました屋久島林業開発計画というのがございますが、この計画ができてから非常にふえているんですね。だから、この計画は、いま十一万に減らしたわけですけれども、非常にあそこを乱伐したという原因になっているんじゃないかと思います。この計画に対する評価を伺いたいことと、それから、屋久島森林開発株式会社というのができておりますね。私が行ってみましたところが、これはまさにもう営林署の上にありますな。いろいろ聞いてみると、この屋久島森林開発株式会社というものはパルプ資本でできておりますけれども、これに押されて、屋久森の下に営林署があるというぐあいにみんな言うのですから、そういう屋久森、パルプ資本に押されて切りに切った。こういうようなことを、これは否定されるかもしれませんけれども、私は感じました。これについての御見解をお願いしたいというのと、もう一つは、経営計画というものは何年でやられたのか知りませんけれども、今後のあそこの伐採長期計画というのは立っておるのかどうか、それをお答え願いたいと思います。
  156. 福田省一

    福田(省)政府委員 確かに、昭和三十六年当時は、全国的に森林生産力を増強しなければならぬということで、国内の、特に国有林におきまする増伐を要請されて、それを受けて立った経過がございます。その当時は、自然保護であるとかいうふうなことは、内部の検討の中にはございましたけれども、世論としては、まずほとんどなかったわけでございます。したがいまして、そういう増産の要望にこたえて少し行き過ぎがあったと、端的に反省すればそういうふうに私は思うわけでございます。したがいまして、四十八年度から新しい施業方針ということを出しまして、これをきびしく規制していくということにしておるわけでございますし、民有林につきましても同じような考え方で指導してまいりたいと思っておるところでございます。その点につきましては、もう率直に修正してまいりたいと思っております。  なお、森林開発株式会社が、パルプ資本が入っておって、これが営林署の上位に位するのじゃないかという御印象を先生が現地でお受けになりましたとすれば、これはまことに私たちの指導方針が悪いのであって、その点につきましては、営林局なり営林署を厳重に指導してまいりたいと考えております。  それから、次は、最後の御質問でございますが、昭和四十七年から十年計画というふうに立てておるわけでございます。
  157. 馬場昇

    ○馬場委員 屋久森問題につきましてはあとで具体的にお聞きしますので、屋久森株式会社営林署とならぬようにぜひお願いしておきたいと思うのです。  次に、具体的なものについて、林道の問題ですね。この林道の問題で非常に大きい問題がございますが、それは、立木買い受け人に林道工事をさせておられますね。これが、行きましたら、粗雑きわまることをやって、まさに山を荒らし、森林を荒らし、自然を破壊して、川の中に岩石など土砂をまき散らし、話にならぬような粗雑な工法でやっております。私はこれを見て、その立木買い受け人に林道をつくらせるということは中止すべきだと思いましたが、これに対する見解を伺いたいのと、それから、この復旧作業というのはどういうぐあいにやるのか。そういうことになってるというのは御存じなのか。知っておられれば、復旧作業というのはどういうぐあいにやろうとしておられるのか、だれにやらせるのか、いつやるのか、こういうことで、復旧計画というものをあれば出していただきたいと思います。  長官、これはまたあとで見せますけれども、その林道がどんなに山を荒らしたかということで、この悲惨な状況をずっと写真にとってあります。そうして、もう土砂が森林の中に流れ込んで、民家のところまで、屋根の近くまで来てるのです。そうして、川の中にこんな岩石をごろごろころがしてある。これはここに十四、五枚写真がありますが、こういうようなことをやっているのです。だから、これについて、それを知ってるのか、知っておったらどう復旧するのかを伺いたい。そして、今後はそういう立木買い受け人なんかに林道をつくらせないということと、そして、販売というのは林野庁で、営林署で林道計画をやってから販売を実施すべきだということを思うのですが、これに対する見解を伺いたいのでございます。これはたいへん山荒らしになるし、先ほども言われましたように、一万ミリの雨が降るというのですから、月に三十五日雨が降るというのですから、これは大雨でも降りましたら大災害が発生しますよ。こういうことについて、さっき言ったことについての御見解をぜひ承りたい。
  158. 福田省一

    福田(省)政府委員 木材を搬出する林道につきましては、林道というものはいろいろ種類がございますけれども、原則として、恒久的に使います林道については、必ず営林署みずからこれを計画し、実行させるようにいたしております。この場合の林道という御指摘は、私たち作業道と申しておりますが、おそらく、臨時的なものではなかろうかと思うわけでございます。屋久島は、御指摘のように、月のうち三十五日も雨が降るというくらいでございますので、この簡易な作業道をつくりますと、相当林地を荒らす危険があるわけでございますから、現地の実態を私はよく承知していないのでなにでございますけれども、そういう場合は、搬出の一つの設備なわけでございますから、たとえば集材機で出すとか、索道で出して路面を使わないということも一つの方法ではなかろうかと思います。  どういうことで作業道を計画したかわかりませんが、しかし、いずれにしましても、そういう非常に崩壊しやすい場所につきましては、恒久的に使う道路であるなら、これは直接やらなければなりませんし、臨時的な道であるなら、できるだけ路面を使わないような、いま言った集材方式で出すとか、あるいは作業道をつくるにしても、それならば思い切ってコストをかけて、くずれないような施設をした林道、作業道をつくらなければならぬというふうに思います。その場合は、こちらは営林署が直接やる場合にいたしましても、それから買い受け人がつくる場合にいたしましても、これは条件は同じであろうと思うわけでございます。この復旧につきましては、たとえば編柵工事であるとか、そういった方法を行なってこの復旧をさせなければならぬと思いますので、もしそれを行なっていない場合におきましては、これを実施させるように指導してまいりたいと思います。
  159. 馬場昇

    ○馬場委員 いまの点は長官は御存じないようですけれども、知っている人はおりませんかね。とにかく、こんなにたいへんな山荒らしをやって、雨が降ればすぐ災害が出るというふうなかっこうになっているのです。これは簡単な作業道じゃないんですよ。すでに搬出を終わって、その次の山を買いたいということで、その途中までいまつくっていますよ。この立木買い受け人が、ですね。その一番つくっているところまで私は行ってきたんですけれども、それは簡単な作業道じゃないですよ。そういう問題でたいへんな状態になっているのに、長官が知らないというのはおかしいのですが、どなたか知っておられる人がおれば、見てこうだった、だからこういう復旧計画をしているのだということを答弁してください。
  160. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘の点は重要な問題でございますので、さっそくこちらで調査いたしまして、その復旧計画を早急に立てて、これを実施するようにいたしたいと思います。
  161. 馬場昇

    ○馬場委員 すぐ調査して復旧計画を立てるということでございますので、よろしくやってください。  次に、具体的な問題の中の一つとして、保育の育成強化の問題ですね。私が調べました範囲内におきましては、非常に不成績造林が多い。これについて、まあ木を切った、植林をしたということで、おたくのほうでは、植林、造林をしてあるのだというような帳簿づらになっておるかもしれませんけれども、不成績造林が非常に多い。こういうことについて知っておられるかどうか。そして、植林をしておきながら成林の見込みがないというところがあります。そういうことを御存じであるかどうか。長官、この一冊が全部不成績林なんですよ。どこのどこだと全部とってありますよ。これはとにかく、植林をしたといって植林をしていないのです。あなたのほうでは、この地域にはしたとなっているかもしれませんけれども、行ってみますと全然植わっていないのです。それから、今度は植わっておっても、もう下刈りなんか全然ない、成林できないようなぼうぼうとした中に、ほんの小さく杉の苗がちょほっとあるというようなところなんか一ぱいでございます。たくさん数え上げれば、これを見てごらんになるとありますけれども、こういうぐあいに非常に不成績造林が多い。こういうことについて、現在どういうぐあいに認識しておられるかということを最初にお尋ねしたいと思います。
  162. 福田省一

    福田(省)政府委員 造林しましたあとの、成績の悪い個所が相当あるではないかというふうな具体的な御指摘につきましては、昨年あるいは一昨年以来しばしば具体的に御指摘を受けておったところでもございます。全国的に見ますならば決してそのようなことはないし、厳重に指導しておるのでありますけれども、いま先生からそういう写真を具体的にお示しいただきますと、そういった事例もあるといたしますれば、これは重要な問題でございまして、しかも、その中で、特に造林もしていないということになると、これはまさに重要な問題でございます。  この個所については、まだ詳細な調査をいたしておりませんけれども、至急電話連絡等で聞いたところによりますと、これは請負で実施しているところのようでございます。とすれば、これは非常に契約違反の問題でもございます。これは、なお十分先生の調査の結果も伺い、また、私どもみずから現地の実態を調査して、この点については厳正な修正を加えてまいりたいと思っております。
  163. 馬場昇

    ○馬場委員 これは長官は、非常に精神的に、抽象的にはいいことを言われる。ところが、ほんとうに住民の側からとってみ、国民の側からとってみますと、こういう実態を調べてみなければわからないということでは、非常に行政の怠慢だと私は思うのですよ。そうしてまた、営林署とか営林局にはしょっちゅうこの事実を突きつけて要求もし、改善も言うておるのですよ。それが、たとえばあなたのところにあがってこないというなら、下のほうが悪いのか、営林局が悪いのか、営林署が悪いのか。こういう実態はきのうきょうの問題ではないのですから、ずっと続いているのですから、まさに、林野庁の行政そのものについて責任問題が出てくると私は思うのです。そういうことで、非常に抽象的な答弁で、私は困るのです。だから、知っておる人がおれば、長官じゃなくてもいいから、具体的に答えてもらいたい。知らなければ、やはり行政の責任というものを明らかにしてもらいたいと思う。  これはさらに具体的に今度は聞きますけれども——いまのことについても答えてくださいよ。たとえば、こういうごまかしをやっておりながら、造林、植林というような場合のヘクタール当たりの人夫数がずっと減っていますね。三〇%か四〇%減っております。これについて、現在の人夫数の倍ぐらいにしてくれという話もちゃんと出ておるはずです。こういう実態を御存じないから、まさにそのことについても御存じないと思いますけれども、そういう点について、ぜひきちんとした答弁を願いたいと思うのです。  それから、たとえばなぜこうなるかといいますと、ほとんど請負にやらせておるわけですね。私が行って聞いたところによりますと、あそこの町長さんも、私は山を見に行きました、こういうところが屋久島では一番杉が育つのに植えてない、何で植えないんだろう、ほんとうに残念でしょうがない、と、こういうことを私にも言われました。私もそういうところを見てきましたが、たとえば請負にまかせたのが、四十一年から四十六年までにずっと三八一%と、請負に渡すのが多くなっております。そして、その請負はまさに下請に出し、孫請に出しているのです。そうして、一日に大体二百五十本から三百本植えているのですよ。これは直営でやった場合には、営林署の労働者の人たちに聞きますと、一日植えるのに、あそこでは大体百二十本から百五十本が精一ぱいだと言うのですよ。それを一日に二百五十本から三百本。中には、植えずに苗を岩の陰に捨ててあるということさえもある。この、一日に百二十本から百五十本しか植えられないようなところに、二百五十本から三百本も請負の人がやっている。請負に出すのは、監督もやり切らぬようだったら、こういうのは間違いじゃないですか。  それから、もう一つ。すべて混合契約をやっていますね。この混合契約たるや、私はさっき屋久杉のことを言いましたが、まだあと言いますけれども、全く、立木を安く売るための方法にしかすぎない。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 そうして、地ごしらえとか植えつけとかというのは、さっき言ったようにずさんになる。こういう結果をもたらしております。  こういう請負に渡すということ、それから混合契約をするということ——この混合契約で安売りしたとかなんとかという事例はあとでまたちょっと言いますけれども、こういうことはやはり直営、直用でやるべきじゃないか。こんなに山が荒れてしまったんですから、不成績造林が出ているんですから、それに対する反省と請負問題、混合契約問題に対する見解、そうして直営、直用でやるべきだという私の考え方に対する考え方をお伺いしたいと思います。
  164. 福田省一

    福田(省)政府委員 いま、屋久島の営林署の中の仕事のやり方について、いろいろとずさんな点があるという御指摘でございますけれども、この実行の一般的な指導方針といたしましては、林野庁のほうから営林局を通して指導いたしておりますけれども、実行の当面の具体的な責任は、営林署長みずからこれを負って実行しておるわけであります。  この人夫数もあげて御指摘があったわけでございますけれども、これは一日二百五十本ないし三百本で、直営、直用から百二十本から百五十本が適正な数であるという御指摘でございますが、確かに、造林という仕事は、工場内の生産と違って、生きている苗木を山に植えるわけでございますので、枯れないように丁寧に植えなければならぬということでございますから、どれくらいやったらいいのか、その査定は、現地の実情により、それから木の種類によって、根の形とかなんかが違うから非常にめんどうではございます。ですから、とにかく、原則としては、一日どれくらいかというようなことは、一応の指導方針としては、おおむねその樹種ごとに、その地域ごとに出しておるのでございますけれども、実行する者みずから、これは絶対責任をもって、絶対枯れないような植え方をしなければならぬわけでございますし、また、請負でこれを実行させる場合におきましても、その請負の契約者に対しては、そういった点に対して具体的な指示を出さなければならぬと思うわけでございます。でございますので、これは作業の実行形態ということによる違いでなくて、その仕事を直接する者の責任者、あるいはまた請け負った者の責任者の問題であるというふうに私は考えるわけでございます。事実、こういった面につきまして、従来いろいろとまた私も御指摘を受けております。ですが、いずれにしましても、生きものを扱う仕事でございますから、これは機械的にとにかく能率をあげればいいというだけのものではございません。よく実態を見ながら、そこに仕事をする者の監督者が責任をもってこれを実行してもらわなければならぬというふうに考えるわけでございますし、植えた後における管理につきましても、やはり同様なことが言えると思うわけでございます。  それから、この混合契約の問題につきましては、主として昔の薪炭林あるいは質のあまりよくない広葉樹のようなものを伐採しまして、そうしてそのあとに木を植えるという仕事を一緒にさせるように指導しているわけでございまして、森林全体について混合契約をやるように指導しているものではございません。と申しますのは、この仕事を分けてやりますと、従来大きな欠点があったわけでございます。ということは、これを上に立っている木を切るということと、あとに植えるという仕事を分けてやりますと、いいものだけ持っていって、あまり役に立たぬものは持っていかないということもあって、あとでまた地ごしらえに相当経費がかかるというような二重の手間をかけるという弊害があったということも一つございます。そこで、みずから二つの仕事をやる場合には、やはりそういった点を考えて、地ごしらえを兼ねて、よくその地上物件を撤去して、そのあと植えるので、総体的には結局むだがなく仕事ができるという発想でこの混合契約というものは発足したのでございますけれども、御指摘のように、混合契約をやった場所については、何かいろいろと具体的な問題があるとすれば、これは修正してまいりたいと思いますけれども、発想の動機を申し上げますというと、以上のようないきさつがあるわけでございます。
  165. 馬場昇

    ○馬場委員 長官、あなたのいまの答弁ですが、ここへ来てこれを見てくださいよ。これを見たら、そういう答弁が出ますか。そうして、すべて営林署長の責任だとかなんとか言われますが、営林署長の責任は、あなたの監督の責任でしょう。人の責任みたいにして、国民の山をこんなに荒らしておきながらそういうような姿勢で行政をやられるからこそ、こういうようなものが出てくるのですよ。こういう事態を惹起した責任というものをもっと真剣に考えてくださいよ。これはたとえば、責任があったら自分がどうする、局長をどうする、署長をどうする——これは私か示しますから、あとで見に行ってくださいよ。こんなに国民の山を荒らしておいて、そういう責任問題というものをはっきりさしてくださいよ。  それから、いまの請負の問題についても、これはやはり請負が悪いという点もあるでしょうが、それはあなた方が監督しなければならないわけでしょう。何ですか、混合契約なんかといって、立木を買った者が地ごしらえ、植えつけをする、買った者が要らぬものは持っていかぬからそうしたほうがいいなんて、持っていかなけりゃ持っていかせればいいじゃないですか。そうでしょう。それが林業行政でしょう。混合契約をせずに、直営、直用でやりなさい。これについてもう一回責任ある御答弁を願いたいと思います。
  166. 福田省一

    福田(省)政府委員 責任問題を部下あるいはその他に転嫁するというおしかりに対しましては、そういう考えは実は私はございませんで、指導上の問題でもございますので、十分注意してまいりたいと思います。  なお、いま御指摘の国営の事業を直営でやるのか請負でやるのかという問題につきましては、過去数年、非常に大きな議論のあったところでございまして、ここでは詳細申し上げませんで、先ほど簡単に一例を引いてお答えしたのでございますけれども、実は、この問題につきましては、林政審議会にもこれを諮問いたしまして、総理からの諮問でございますが、その答申を受けて、端的に申し上げると、二つの形態というものは、その地、域、地域にそれぞれ一つの沿革があって実存したものである。ですから、いまある請負の形態というものをさらによくしていかなければならぬということと、直営事業自体につきましてももっと近代化をはかっていかなければならぬという考え方を受けて、私たちは、そういった二つの形態について、その地域の実態に合うような方向でこれを指導してまいりたいというふうに考えておるところが、一つのただいま考えておるところでございます。したがいまして、原則論につきましてはただいまお答えしたとおりでございますけれども、そういったような実際の問題として、そういうふさわしくないようなことがあれば、直ちによく実態を究明いたしまして、御叱正に沿って改善してまいりたいというふうに考えております。
  167. 馬場昇

    ○馬場委員 これはあとで私がこれを見せますから、指摘しますから、ぜひ直ちに調査をして、具体的対策をどうするか、その中で混合契約なんか改めるか改めないかということも含めながら、結論を直ちに知らせていただきたいと思います。  次に、屋久杉の土埋木のことについて申し上げたいと思います。土埋木ということばですよ。土に埋ずもれておる木ですね。だから、腐れ木というような感じがしますね。私は、土埋木を扱う思想というものにそういうことがあるのじゃないかというふうに思います。土埋木はほとんど銘木ですね。これは全く宝と同じです。だから、こういう点で、たとえば屋久杉銘木とかなんとか、そういう名をつけなければならないのです。そうつけることは、呼称の問題でなく、やはり、これに行政が立ち向かう重大性を認めるか認めないかというところにかかってくると私は思う。こういう問題について、安く売るために、だれかをもうけさせるためにこういうことばを使っているんじゃないかとさえ私は思います。だから、こういう土埋木という呼称を屋久杉銘木とかなんとかというものに変更する気はないか、そして、この問題に対する取り扱いを熱心にやるというような立場をとる気はないかということをまず申し上げます。  それから、もう一つは、土埋木を山床で売った量及び単価、どこの業者に売ったかという一覧表を、ぜひ、過去十年分きちっと出していただきたいと思います。私は、先ほど私の部屋で、どういう質問をするか聞かれましたから、こういうことも言おうと思っておったのですが、失礼千万なことを言いましたから追い返しました。だから、きょうは持ってきてないと思いますけれども、ぜひ、十年分これを出していただきたいと思います。  なぜこれを言うかといいますと、私の調べたところによりますと、山床でこの土埋木を一立方メートル単位で、上屋久で一万六百七円で売っております。下屋久で九千四百一円で売っております。これとほとんど同じような、ここに写真もありますが、こういう土埋木がたくさんあるわけですけれども直営でこれを生産して、鹿児島に持っていって、そして公入札をして売ったところが、山床で一万円、九千円で売ったものが、鹿児島では五十五万八千四百七十一円で売れております。いろいろ聞いてみましたところが、山床から鹿児島まで持っていくのに対して、一立方メートル当たりやはり一万円以下だろうと、こういうぐあいに現地の人は言います。そうしますと、大体二万円ぐらいのものを五十五万八千四百七十一円で売っているわけです。こういう事実を御存じか。このことは、先ほど私が言いましたように、全く——私は少し調べて知っていますけれども、屋久島森林開発株式会社なんかに、こういうぐあいにして山床で売っているのですよ。それを運び、売るところを私は見てきました。そのことを考えますと、この会社というのは、パルプ資本で、それに営林署の古株、やめた人なんかが役員なんかになっていますね。そういうところをもうけさせる以外の何ものでもないでしょう。一万円か二万円のものを五十五万円で売れるのですからね。これは、そういう人をもうけさせるという不当利得とともに、国は損しているということになるでしょう。国損でしょう。そういうことについて長官の御答弁を求めたいと思います。そして、さらに、この屋久島粘林開発株式会社が十年間山床で土埋木を買うて、それを鹿児島に持っていって売った、その買うた値段が幾ら、売った値段が幾ら、と、この資料を十年間分出してください。  もう一つは、山床で売るというのは指名入札です。この指名入札というのが、私の調べたところによりますと、指名する者が特定ですよ。こういうのは、営林署と業者の結託、癒着以外の何ものでもないと私は思います。指名入札ばどういうぐあいにやって、過去何年間大体どういうところに指名したか、過去十年分、これも出していただきたいと思います。私は、たいへんな問題が中にはらんでいると思います。そういう点において、この屋久杉というのは、いままさに宝ものですよ。これに群がる利権とかあるいは行政とか、そういうものの結託とか、これはたいへんな問題だろうと思いますけれども、先ほど言いました点について、まず、お答えを願いたいと思います。
  168. 福田省一

    福田(省)政府委員 この土埋木ということばでございますが、屋久杉ば千年以上たっているわけでございますので、非常に目が込んでおりますし、中に相当の油がありますので、土の中に埋まっても、辺材部分が少し腐りますけれども、中ばしっかりしているわけでございます。同じようなものが青森県のヒバにもございます。これは千年とか二千年というものじゃございませんけれども、数百年くらいのものでございますが、同じように、屋久杉ほどじゃありませんけれども、目が込んでおりまして、油分が相当あるので、それで腐らずに、これを掘り起こしまして、ヒバの場合は柱とか……(馬場委員「青森の話はいいです。屋久杉のことを……。」と呼ぶ)土埋木ということばを変えてはどうかという御意見でございましたので……。屋久杉にもありますけれども、ほかにもあります。文字どおり土の中に埋もれた木ということでありますから、屋久杉のような貴重なものもありますけれども、そうでないものも実はあるわけでありますから、その点、御趣旨はよくわかりましたので、名前をどうするかについてはなお検討してまいりたいと思います。  それから、販売いたします場合には、屋久杉の土埋木は一見外から見たのではどうも中の品質がよくわからないという特徴もございます。そこで、非常にいいものもとれるし、いいものがとれないということもありますので、比較的いいものはたしか鹿児島方面に持っていきまして、これは土埋木と限りませんけれども、船で持ってきて、鹿児島の貯木場で公売をいたしております。同じような考え方で、ほかの貴重な樹種につきましても、輸送販売というような形で行なわれておるわけでありまして、できるだけ広い市場にこれを出しまして、公売でこれを販売しているというのがたてまえでございます。したがいまして、よく調べてみなければわかりませんけれども、地元でいわゆる流木処分という形で土埋木を売っています場合につきましては、それが森林の中に散在しておりますので、一々役所が行って調べるということが非常にむずかしいということで、組合組織の中でそれを販売する形態をとっているというふうに私は判断しておるのでございますけれども、なお、この中で屋久島開発の問題もちょうど御指摘がございましたから、その辺についてはなお念査してみたいと思います。  なお、御要求のございました資料につきましては、できるだけ早期に向こうと連絡をいたしまして、出させるように指示いたしたいと思います。
  169. 馬場昇

    ○馬場委員 資料は、いま長官も出すと言いましたので、委員長のほうからも、ぜひよろしくお願いしておきたいと思います。  ここで、いま長官は、土埋木というのはかけみたいなやつだと——かけみたいなやつだというのは私のことばですけれども、埋もれていていいものか悪いものかわからないというようなことを言われましたけれども、現地に行ってみなさい。もうわかっているのですよ。わかっているのを、一万円で売ってみたり、九千円で売ってみたりしているのです。それが鹿児島へ行きましたら五十五万円くらいで売れるということはわかっているのです。この辺はおかしいと思いませんか。こういう例があったということは認められますか。これは多くあるのですよ。そして、また、あと資料が出ますと、屋久杉との関係なんか出てくると思いますけれども、私が調べてまいりましたことについては、長官は御存じないですか。それに対する考え方を聞きたい。
  170. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘の点につきましては、一万や二万円のものが五十数万になったというのはまことに大問題でございます。そういったようなことが事実とすれば、これは確かに、相当その原因を究明して、やり方を変えなければならぬと私は思うわけでございますけれども、先ほど申し上げましたのは、土埋木というのは外から見てはなかなかわからぬ、しかも林内に散在しているので、そこに行ってこれは幾らするかということは、なかなか役人の頭では判定しかねるだろうというふうに私は善意に解釈するわけでございます。そこで、そういった経験になれた者の組合をつくりまして、そこで販売させる形態をたしかとっているのでございますが、その辺と屋久島開発との関連はどうなっているかについての御指摘は十分よく調査してみたいと思います。いずれにしましても、一万円や二万円のものが五十数万円ということは、これはたいへんな疑惑を招く問題でございますので、私のほうでも至急に十分調査いたします。
  171. 馬場昇

    ○馬場委員 これは売れた木なんか写真にとってありますけれども、これは、昭和四十八年十月二十五日に鹿児島で売ったやつです。これは八件入札の平均ですよ。全部こういうかっこうになっていますよ。これはぜひ詳しく調査をして、報告してもらいたいと思いますが、こういうところに疑惑を持たれるのではなしに、実際に疑惑が存在しております。これについては、時間がございませんので、資料が出たときにさらにまたやりたいと思います。  次に、いま、山で土埋木を売った、そういうものは非常におかしいということを言ったのですが、今度は、あなたが言いました鹿児島で売る話です。これは鹿児島で屋久杉を売るわけですが、屋久杉を売る場合に、一般競争入札、それから委託販売、さらに指名入札、随意契約、こういう方法で売っておられるようです。この比率を、これまた過去十年分出してください。屋久杉を、いま言った販売方法でどういうぐあいにして売ったかという資料を十年分出してください。  私は、四十七年度をここに持ってきております。四十七年度のやつを見ますと、一般競争で売ったのが三九・六%、委託販売が二二・四%、指名入札は三・三%、随意契約というのが三四・七%、こういうような売り方を四十七年度はしております。これを見てみますと、委託販売にも問題があります。しかし、随意契約というのが、何と三五%くらいあります。その数が二千八百二十六万立方メートルですか、ちょっと単位を失念しておりますが、三四・七%です。非常に随意契約が多い。なぜ随意契約が多くなっているのかということを聞いておきたいと思います。  それから、もう一つは、値開きの問題があるのです。これは、たとえば四十八年の四月から十月までのやつを調べましたところが、一般競争で売ったものは予定価格の二一八%です。委託販売で売りましたものは一九九%です。ところが、随意契約は一〇八%です。ほとんど予定価格と同じなんです。このことは、随意契約が非常に多いということと、一般競争なんかすると予定価格の二〇〇%で買うというのに、随意契約は百何%、ほとんど予定価格と同じ、こういうかっこうになっております。これを見たら、だれが見てもおかしいと思うのではないかと私は思います。だから、こういうものを考えながら、随意契約がなぜ多いのかということをまず、ひとつお聞きします。  それから、予定価格。予定価格というのは、鹿児島ではどういうぐあいにしてきめておられるのですか。その予定価格の問題です。これが妥当であるかどうかというきめ方ですね。妥当であるかどうかが問題です。たとえば、予定価格の二一八%でも売れるというのだったら、予定価格が低過ぎるのではないですか。実際売れるものの半分くらいしか予定価格をつくらなかったということですね。  もう一つは、その売れるものの半分くらいの予定価格しかつけなかったということと同じように、随意契約者が半分くらいの値段で買う。これは国損になりやしませんか。そういう問題で私は計算しましたが、四十七年度で随意契約が一億三千九十二万一千円、これが随意契約で売られております。四十八年の四月から十月までの販売ですが、これも六千五百五十六万円くらい売られておりますけれども、この随意契約を一般競争に切りかえたならば、四十八年度で二億円くらいの増収になると思います。私は、そういう二億円程度の国損を随意契約によってこうむっておると、こういうぐあいに思うのです。これについての事実と、長官の見解を表明していただきたい。
  172. 福田省一

    福田(省)政府委員 随意契約が非常に多いではないかという御指摘でございますが、原則としましては、国有林の材を販売いたします場合には、会計法に基づきまして競争にかけなければならぬというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、随意契約をやります場合には、予算決算会計令であるとかあるいは特別会計法によりまして、法律に基づいてこういう場合なら随意契約ができるというふうに限定しておるものでございます。この中で一番随意契約の多いものは、たとえて申しますというと地元工場、昔から国有林の地元で、その材をもらって生計を立てておったそういった地元工場に対するところの、地元産業振興の意味でのそういう配材というものが随意契約になっております。それから、産業開発上必要なものというものが一つありまして、これも用途指定材となっておるものでございます。その他、あるいは公共用材等につきまして、たとえば災害が出た場合にそれを販売する場合とかいうふうに限定しておるものでございます。ですから、随意契約が多いということは、そのうちのいずれかに該当していなければならぬわけでございます。  もう一つは、価格の立て方の問題でございますけれども、これは、その樹種ごとに毎年度基準価格というものを営林局がきめまして、毎月市況調査会というものを開いて市況調査をやっております。この場合には役所関係も入りますし、あるいは木材の流通関係に詳しい学識経験者であるとか、あるいはその他の人たちを入れまして、毎月市況調査というものを具体的に調べまして、その基準価格に対してどれくらい樹種ごとにそれが上がっているかということで、市況調査の結果、その率をきめまして、毎月樹種ごとにその価格をきめて、それを標準価格としまして販売する場合の予定価格にするわけでございます。  御指摘のありました場合のことでございますが、二一八%ということは、おそらく、木材価格が非常に高騰しておりますときにこれを公売にかけますというと非常に買い手が多いので、その結果、もちろん次の市況率を変えるときに持ち込みますけれども、非常に競争が激甚になりますというと、そういったようなケースが相当出てまいります。逆に、木材価格が非常に下落しておりますときに公売にかけますというと、不落となって売れなくなって、残るものがまた相当出てくるわけでございます。ですから、そのときどきの市況の情勢によりまして、この値開き率というものは非常に変動がございます。ただ、随意契約は競争でございませんので、こういったような値開きの率というものは比較的少ないわけでございます。ただ、随意契約につきましては、いま申し上げましたように限定して、特例の場合というふうにしているわけでございます。  なお、ただいま一般的なことを申し上げたのでございますけれども、ただ、一昨年の暮れから昨年にかけて、非常に木材の価格が高騰いたしまして、これに対して国有林の材を公売で出すというと、ますます値上がりに拍車をかけるじゃないか、公売なんかやめろという意見もまた一方にあるのでございます。最近はようやく木材価格はやや安定しておりますので、この問題につきましてはあまり指摘を受けておりませんけれども、その木材の価格が上がったときと下がったときによって、この販売形態に対する批判が相当ございます。ただいま先生の御指摘のございましたのは、相当木材価格が上がっているときの問題でございまして、昭和四十五年あたりを中心にして、非常に不況のときにはまた逆の問題もあるわけでございます。そういったことは非常に困ることでございますので、木材の価格の安定ということは、やはり需給の安定から出発するわけでございますので、私たちは、国営の材を含め、民有林の材につきましては、やはり、ある程度需給の安定をはかるために、需要者の側に対する一つの規制も考えていただきながら、一つの立法措置というのはいずれ近い将来考えたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  173. 馬場昇

    ○馬場委員 木材の一般の需給率の問題なんか、そういう一般的な答弁では私はごまかされないと言うんです。というのは、これはもう言うから銘木ですよね。しかし、これは水かけ論になりますけれども、さっき言いました十年間の資料を出してください。それで値開きがどうだったかという資料が出てきますから、これは、その出てきたときにぜひまた議論をしたいと思うのですが、問題は、随意契約者というのは、大体予定価格なんかをちゃんと知っているようになっていますよ。これについては、あなたは、学識経験者なんかを入れて予定価格、標準価格をつくると言いますけれども、学識経験者なんか入っていないじゃないですか。予定価格をつくるのにそんなものを入れておりませんよ。私の調べたところとどっちがほんとうか。あなたは入っておると言いますけれども、私の調べたところでは、学識経験者なんか、予定価格をつくるのに入っておりません。ごまかされたのか、私が知らないのか、その辺をはっきり言っておきます。  そこで、屋久杉のこの問題に対しての議論はまたあとで残しますが、十年間の資料は出してください。  販売の方法ですけれども、これは別の角度から見ると、この屋久杉というのは一種のかけですよね。というのは、外から見た場合に、中の構造がわからないわけですよ。そうして、その材質の評定だとか、木取りの考え方とか、そういうものがいろいろまちまちで、外から見てわからないから、一種のかけ的な売り買いにもなるという要素が少しあると私は思います。私が調べたところでは、随意契約をしておるものは十社程度です。中小零細業者はとにかくやはりかけ的な要素があるから、切ってみて、これはたいへんだったということがありますから、それに手が出せないということで、素材購入は大体敬遠しておりまして、この随意契約で受けた十社程度から製材品を購入して仕事をしておるというのが中小零細業者の実態です。こういう人たち営林署のほうに、素材の直接販売をわれわれにも、中小零細にもやらせてくれと陳情書が出ているはずです。ところが、それを営林署は黙殺しております。それはどういう理由かということです。  それから、時間がございませんので、もう一つだけ聞きますが、やはり、こういう銘木については、もう少し科学的な販売方法を確立すべきだと思います。そのためには、まず市況なんかを調べるべきです。予定価格委員会なんかというのは、予定価格をつくるときに、市況はどうですかと、自分の売り渡す人のところに行って聞いておるんですからね。そうじゃなしに製材とか製品にして、営林署がある程度直接販売をしてみてその市況を調べるとか、そういう科学的な方法だとか、あるいは試験びきなんかをしてみて、木取りとか材質の観察を行ない、そうしてちゃんと観察する技術の習得を営林署の人がするとか、あるいは評定の困難な資材は胴割りくらいしてみて的確な判定をするとか、そういう科学的な販売方法というものを、屋久杉については、非常に貴重な品物だし、細く長く使わなければなりませんから、考えるべきではないかと、こういうことでございます。  そうして、営林署が鹿児島に製材工場を持っておりますね。この製材工場を見に行きましたら、昭和四十二年に木工場を廃止しておりまして、三十四名おった人を二十三名くらいに減らしておるようでございます。そうして四十九年度からどうするかということをいま検討中だというような話でございますけれども、屋久杉一つとってみても、科学的な販売方法を確立する、胴割りをしてみるとか、あるいは試験びきをしてみるとか、あるいは製品をつくって市況調査のために出してみるとか、そういうことを考えてみても、この製材工場は、そういう意味において充実発展させこそせよ、これを縮小閉鎖の方向に持っていくのは間違いじゃないかと、こういうぐあいに考えておりますので、科学的販売方法並びにそれに関する製材工場の機能の拡充の問題、こういうことについての見解を伺います。
  174. 福田省一

    福田(省)政府委員 科学的販売方法と、非常に含蓄のある御指摘でございますので、これは確かに私も慎重に考えていきたいと思います。確かに、売り方については、そのときどきの情勢によって非常にいろいろと指摘を受けておるのでございますので、この販売方法は、いま御指摘のように十分考えてまいりたいと思います。御指摘のように屋久杉は銘木でございますので、銘木の扱いについて非常に詳しい専門家もあるわけでございますから、できればそういった人たちの判断ということも期待しなければならぬかと思います。  一例をあげて申し上げますと、市売りの制度がございますので、そこへ一本一本丁寧に出して、そこで評価して売ってもらうとかいう方法も一つの方法だろうとは思っております。いま、材を切り割って、その中から販売方法を考えろという御指摘でございますけれども、これは言い返すようでまことに恐縮ではございますが、一ぺん割ってしまったらもうくっつかぬわけでございますから、その辺、どこにのこを入れたらいいかということも、専門家でなければなかなかわからぬ問題もございます。したがいまじて、そういう点も考慮いたしまして、科学的な販売方法ということについては、私も慎重に検討してまいりたいと思います。
  175. 馬場昇

    ○馬場委員 あなたのほうの製材工場にはある程度熟練をした年配者もおられるんですよ。だから、あなたは専門家と言いますけれども、やはり、あなたのところの中でも、そういう専門家を呼んでくるのもいいでしょうが、しかし、先ほど私が言いましたのは製材工場で、あそこを拡充しながら——ほかにまだたくさん製材、製品はあります。それも資源がないのこうのと言われますけれども、ありますよ。そういう方面でも拡充しなければなりませんが、この屋久杉、銘木に関しても非常に科学的にそれを検討するとか、そういう製品、製材をつくってみるとか、そういう面についてここはやはり拡閑強化すべきだという私の考え方について、こういう森林行政について、長官はどう考えておられるかということを再度御答弁願いたいと思う。
  176. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいまのところでは、たしか、鹿児島の製材はイス、タブを重点に仕事をやっているはずでございます。御指摘のように、その中に相当経験のある者もおると思います。それらの人もできれば活用する方法も考えてまいりたいと思っております。ただ、基本的に私が考えておりますことは、国有林の経営の過去の歴史を調べますと、かつては製材工場の、特に、プナを中心とします全国的な組織のあったこともございますし、戦時中なんか、パルプの製造もやったことがあるわけでございます。ただいまは素材の生産ということが一つ重点となっておりますけれども、製材工場は、ただいまのところでは、たしか鹿児島一つだけで、イス、タブを中心にやっております。それで、そういう国が行ないます事業の限度というのは、民間の事業の発展度合いと関連いたしまして、民間にそういった事業がない場合は当然国みずからがそれを行ない、それを発展さしていかなければならぬと思いますけれども、民間の企業が育成されていきました段階では、どの限度まで競合しないようにやっていくかということについてもやはり慎重に検討しなければならぬ問題でもございます。御指摘の点は十分頭に人れまして検討してまいりたいと思います。
  177. 馬場昇

    ○馬場委員 科学的な販売方法という中で、せっかくあそこに製材工場があるのですから、そこをどうやって利用しながら、より科学的な販売方法に持っていくかという意味で、あそこを拡充強化する、別の製品もありますけれども、ぜひそういう方向検討していただきたいと思います。  当初見せましたように、屋久杉は七千年もたっているのがありまして、まさにこれは国の宝であり、人類の至宝だと私は思います。私は、屋久島自体、そういう森林生態といういろいろな面から、自然保護を含めて、何としても大切にしなければならない問題だと思う。そういう屋久島の森林が、屋久杉を中心にして、パルプ資本のじゅうりんにまかされておる。私は、その中で非常に不純なものを、森林行政とそういう業者との間に感ずる。さらに、住民の意思というものが十分そこで吸い上げられていないという多くの問題点を実は考えておるわけでございます。  いろいろ指摘いたしましたが、また資料もたくさん要求しておりますので、今後、あの屋久杉に、あの屋久島に、非常にきれいな、宝としての明朗な森林行政が抜本的に行なわれますように最後にお願いをして、ちょうど時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  178. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 竹内猛君。
  179. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 森林法及び森林組合合併法の一部改正する法律案に関して、おもな点について御質問をしたいと思います。  第一には当初この説明がございましたけれども、この法律を改正する主たる目的、重要な目的は何であるかということを、もう一度ここで改めたいと思いますので、かいつまんでその点について明らかにしていただきたい。
  180. 福田省一

    福田(省)政府委員 今回森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案をお願いしているわけでございますけれども、この内容につきまして、特に重点的なことをかいつまんで申し上げますと、一つは、森林政策の長期の指標でございますところの森林計画内容充実をはかっていくということが第一点でございます。  それから、大きな第二点としましては、森林の乱開発を抑制しまして、森林の適正な利用を確保するために、民有林におきますところの開発行為については許可制を導入するということでございます。  第三点は、地域森林計画に適合しまするところの適正な伐採活動が行なわれますように、都道府県知事が伐採計画の変更命令を行なうことができるようにするという点でございます。  第四点は、経営規模が小さい林家の共同施業の推進を助長しまして、そして、森林施業の合理化をはかるための新しい数人共同の森林施業計画制度を設ける。新しいと申しますのは、いままでは各個人が持っている山を全部出さなければならぬということでございましたけれども、そうすると飛び飛びになりますので、今回の新しい考え方は、団地としてまとめる。少なくとも三十町歩ぐらいは考えておりますけれども、そういう団地として一部を出して、これをまとめるということでございます。  それから、第五点でございますが、森林組合の機能の充実とその体質の強化をはかるために森林組合制度の改善をはかっていきたい。この強化をはかっていくということでございます。  次には、森林組合制度の改善と相まちまして、森林組合の合併を促進するために森林組合合併助成法の一部改正しまして、これを延長する。  以上がその内容のおもなる点でございます。
  181. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ここで、乱開発の防止には効果があって、この改正によって乱開発を押えることはかなりできると思いますが、現実にゴルフ場であるとか、別荘であるとか、その他の観光施設等によって思惑買いをするというようなものを改正によって締め出すことができるかどうか。
  182. 福田省一

    福田(省)政府委員 すでにゴルフ場などをつくろうと思って買っておる者に対してそういう規制ができるかどうかという御質問かと思います。そういったものを、これは都道府県の許可制でもって規制してまいりたい、それができるというふうに考えております。
  183. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先般、この農林委員会の小委員会といいますか、調査団が各地方を調査しました。そして、私どもが福島、群馬、栃木などを調査いたしまして、その中で、森林法を早く改正してほしいという要望もありましたが、同時に、森林計画が流域に沿って計画されて、知事がそれを立案した場合に、すでに別荘とか、ゴルフ場とか、観光地とかいう形で買い付けをされており、権利が移っておるというようなところでかりに計画を立てる場合に、一体この計画が成り立つかどうか、そういう場合をどのようにして計画に繰り込むかどうか、この点はどうですが。
  184. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 御存じのとおり、森林の施業につきましては、森林法の中に森林計画制度というものがございまして、全国森林計画地域森林計画、それから個人の所有者による森林施業計画という仕組みになっておるわけでございますが、いま御指摘のゴルフ場とか宅造とかいうふうな形のもので森林を取得した、ところが、その間に森林の開発規制が行なわれるというようなことで、当初の目的が達せられないということのために、森林を荒らしたままにしておくというようなことが出てきはせぬかというような御質問であろうかと思いますが、そういう点につきましては、森林法の中に、森林の施業を合理的に行なうようにということで知事が勧告を行なうという制度がございますので、その勧告制度を利用いたしまして、そういうようなものについては合理的な施業、つまり地域森林計画に即した施業をやっていくようにという指導をいたしますと同時に、SPなりAGなりというものを通じて指導をやっていくということで、十分確保してまいりたいというふうに考えております。
  185. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 すでに計画の前に買われちゃっているものに対して、よその者が権利を持っているところに計画を立てるということと、いま言うような形で、かりに三十町歩というような団地をつくってみたり、あるいは大きな計画を立てる場合に、それができないじゃないですか。ゴルフ場に買われ、別荘に買われ、あるいは観光地帯として買われた部分についてできないじゃないですか。流域に沿うということであればなおさらむずかしいじゃないですか。どうですか、これは。
  186. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま申し上げましたのは、ゴルフ場用地なりあるいは宅地造成用地なりということで取得をした、ですから、取得をした人が森林所有者になっておるという立場でございますから、森林所有者として、森林の施業計画をつくって、合理的な施業をやっていかなければならぬということになるわけでございまして、そういうことについて、もしやらない場合には知事が勧告することができるという規定がございますから、必要があれば勧告をする。それから、SPなりAGなりを通じて指導をやっていくというような形のことでその制度の運用を期してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  187. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もし、その勧告をしても、その地域に勧告どおりに、計画どおりに木を植えないという場合はどうしますか。
  188. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいまお尋ねの、勧告をしてもなおかつ言うことを聞かないというような場合はどうするんだということでございますけれども、これは、森林の施業につきましては、一応、現在の森林法のたてまえが、ある程度は個人の所有者の自発性にまつというような考え方でございまして、そこのところを罰則で強制するということではございませんけれども、いま申し上げましたような法律の仕組みなりまわりの制度なりというふうな形のもの、あるいは周囲のいろいろな社会的な進め方と申しますか、そういうふうなものを利用して森林法の規定するような方向へ持っていくということにいたしたいと思います。
  189. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これ以上は質問しないけれども、これはたいへんむずかしいことですから、今後これがうまくいくかどうかということはしばらく時間を見なければならない。現在土地を買い占めしている人は、それほど善意な人であり、良識のある人だとは思えないかなり悪質だと私は思っておるものですからね。今後、この問題については、なお経過を見て、いずれまた一定の時期にこれは問題になることであろうと思いますので、これは私はそういうふうに考えておきます。  次の問題は、四十八年度の林野庁の決算があるところで報告されましたが、ことしはたいへんもうかっている、利益が出ておる、昭和二十二年の林野庁始まって以来のもうけで、六百億ほどもうかった、と言われております。二千四百九十三億円の収入があり、支出が一千八百八十億円、六百億ほどもうかったということになっておるわけですが、これはどういうようなことがもうかったおもな原因であるか。
  190. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘がありましたように、四十八年の決算はまだ出ておりませんけれども、現在の見込みでございますが、現金収支差では約五百億、損益計算上では約六百億、こういう黒字になるわけでございます。これは大体過去の平均を見ますと、五年に一ぺんぐらいは収益が出まして、あとは大体状態が悪いというのを繰り返しております。過去三年間の収支差は赤字でございまして、これをトータルしますと約五百億ぐらいの赤字でございまして、この四十八年度分ぐらいは大体消えてしまうような結果に実はなるのでございますけれども、これが上がってきました一番大きい原因というのは、やはり、四十七年の夏ころから少しずつ上がりまして、四十七年の十一月がピークでございましたけれも、木材価格の高騰によるものでございます。そのほかにいろいろ内部のあれを見ますと、一般会計から百億の繰り入れをしていただいたこと、あるいは相当支出の節減を当初計画したこと等もございますが、おもなる原因はやはり木材価格の値上がりによるものでございます。
  191. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そのように価格が値上がったということで黒字になったわけですが、その利益をどのように使われるかということを重ねてお尋ねをします。
  192. 福田省一

    福田(省)政府委員 いまの制度ですと、利益が出ました場合には、その一部を利益積み立て金に積みまして、大きな災害が出た場合にそれを取りくずして、それに充てるということになっております。そのまた残る一部は特別積み立て金としてそれを積みまして、これは予算の定めるところによりまして、一般会計に繰り入れてこれを使用するというたてまえになっているものでございます。したがいまして、利益が出ました場合には、  一つには、将来の造林なり林道投資にこれを引き当てとして使うことが望ましいのでございますが、五百億が出ましたけれども長期的な視野から見ますと、いま申し上げましたように、木材価格は、過去の実情を見ますと非常にアップ・ダウンをいたしております。決して楽観を許さないものがございます。ただ、恒常的にふえていくであろうということ、人件費等を中心とした経費が相当ふえてまいるということは、これは動かせない事実でございますので、その辺を考えますというと、将来まだ決して楽観を許さない状態であるというふうに私は考えております。
  193. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 わが国の民有林の所有面積というものは、五ヘクタール以下のものが非常に多い。むしろ、一ヘクタール以下のものが五五・四%で、五ヘクタール以下から一ヘクタールまでの間が三三・二、五ヘクタールから十ヘクタールが六・三、加えると九四・九、約九五%というものは十ヘクタール以下の所有者ですね。たいへん零細な民有林所有者が集まっている。したがって、森林組合が果たす役割りというものは非常に大きいわけですが、その森林組合が、今日まで、この零細な所有者に対して十分に期待するような仕事ができなかっ大。したがって、今後、この改正によっていままで果たせなかったことをこれは果たそうとするのですけれども、いまこれから改正する形でいけば期待に沿えるかどうか、どういう形にこれを期待するようにしようとするのか、これについて伺いたい。
  194. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 森林組合目的といたしまして、先生御承知のとおり、森林法の中で、森林生産力の合理化といいますか、高度化といいますか、それから森林所有者の社会的地位の向上というような形のことがうたわれておるわけでございますが、いま先生御指摘のように、いままでの森林組合が、その法律に規定されておるような目的に即するような形ではたして行動しておったかどうかという点について、多々不満足な点があることは御指摘のとおりでございます。そういう点にかんがみまして、私どもといたしましては、森林組合の権能を拡大強化するということもございますし、また、森林組合の基盤が狭小である、脆弱であるということから、広域化をはかるという意味において合併を促進する。そういうことによりまして経済的な基盤を強化する、あるいは森林組合の権能の強化なり、あるいはまた管理体制の整備ということによりまして、人的構成の強化をはかる。あるいは森林計画制度の中でも、共同施業制度というようなものを導入していく。そのことと森林組合の労務班とを結びつけまして、森林所有なり経営の零細性というものを克服して、そのことによって森林組合が協同組織として行動する際の組織の基盤づくりをする。そういうような形のものを今回の森林法の改正に織り込みまして、そういうようなことをやることによりまして、いままでの不満足な森林組合の活動の状況をより満足できるような形のものに持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  195. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農地改革によって、零細な小作農が自作農になって、そして、農業協同組合によって共同の精神を植えつけて、共同の形で資本から生産と生活を守ろうという形で出発をいたしましたけれども、あまりよくならない。同じように、この零細な山林所有者というものが所有権に移動はない、組合は大きくなるだろう、そして、その組合の機能が拡大したとしても、所有権に移動がない限り大きな変化はないじゃないか、私はそう思うが、この点はどうでしょうか。
  196. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 先生がおっしゃるように、森林所有者といいますか、森林の経営という点について、現在の零細経営規模のままではだして森林経営の合理化を期せられるかどうかという問題は、確かに問題があろうと思いますけれども、現在の社会経済組織の中で森林の所有形態に手を触れるということは大改革でございますから、にわかにはできがたいという問題もあろうと思います。そういうふうな前提におきまして、現在与えられた森林所有が零細である、経営規模が零細であるという状態を踏まえて、それによる欠陥を克服する方法としてどういう方法があるかというようなことを考えまして、零細所有者が、協同組織として、みずからの弱い力を、皆さんで力を含わせて、より強力なものにしていく。あるいは、自分たちの経営基盤であるところの森林が分散しておるのを、今度は皆さんが持ち寄って共同施業ができるようにする。そういうことによって、共同の樹種を持ち込んだり、あるいは施業の時期を一緒にしたり、そういうことによって、機械の導入その他の生産性の高い作業ができるような形に持っていくということが、現在考えられますところの、零細経営規模なりあるいは零細所有形態なりを克服する手段ではないかというように考えられるわけでございまして、そういう意味においてのいままでの欠陥というものを、今回の森林法改正ではある程度矯正できるのではないかというふうに考えております。
  197. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今日までの森林組合は、たとえば、私の茨城県に見る限りにおいては、非常に規模が小さい。そして、森林組合事業所がどこにあるかわからない。農協の片すみに机が一つあって、まあ、仕事をしているかしていないかわからないような状態があります。そういうような状態のものがかりに幾つか集まったところで、これはたいした仕事はできないと思うので、強化をする方向に対しては、そのことも大事だけれども、それ以外の、森林組合にたとえば信用事業をやらせるとか何か、別な形で体質を変えていく、合併をすることによって体質が変わっていく、強化されるというようなことに対して、何かさらに考えがあるかどうか。
  198. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 確かに、先生御指摘のように、現在の森林組合について見てみますと農業協同組合なり漁業協同組合に比べまして、かなり体質が脆弱である。たとえば役職員の数なり、あるいは出資金の額なり、あるいは販売購買事業の額なりというもので見てみましても、非常に脆弱である。これはおおうべくもない事実だろうと思います。  そういうようなことでございますので、森林の形態といいますか、森林の性格から言いまして、流域ごとぐらいにはかなり性格を同じくするというようなことで、経営なり何なりということで行動を共にするということに適したような状態があり得るというようなことでございますから、いままでの森林組合の区域を越えた形で、先ほども申し上げましたようなことで、より経営規模を拡大する。森林経営の形で拡大するということのほかに、組合として拡大をする。そういうことによりまして、組合の労務班の活動なり、あるいは販売なり購買なりというものの規模を拡大するということができる。また、職員も数もある程度ふやせる。そのふやせることによって、ある程度優秀な人間が確保できる。また、そういうような形で規模が拡大することによりまして、基盤が確立してまいる。そういいことによってまた給与がよくなる等のことから、職員等の素質もよくなる。そういうようなことが考え得るであろうというふうなことを考えまして、広域に協業させる、協業してもらうというようなことを、四十八年度から事業として計画をいたしておるわけでございますが、まあ、広域協業体制の中のやり方といたしまして、合併なり、あるいは合併に至らぬまでも協業を進めていく。一定部分について協業していただくということで、そういうふうな線により一歩近づけていきたいというようなことを考えておるわけでございます。
  199. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 森林組合の合併強化ということは、これは今度が初めてじゃないわけで、かなり前からこういう努力はされてきた。それにもかかわらず、まだまだ弱い。そこで、この間もわれわれは現地の調査をした中で、たとえば茨城県のような最も弱いところもあります。あるいは栃木県のようなところもある。それから、福島県などはかなり進んでいるように見てきました。特に、福島県の棚倉の森林組合などは模範だと思うのです。大体、林野庁としてはどういう規模のものが最も好ましいものなのか、どういうものであれば森林所有者あるいは森林経営者に対して期待にこたえられるものなのか、この辺の一つの形というようなものに対して、何かそれがあるかどうか。私は、白河の棚倉などというのは、これはかなりうまくいっているものではないかというふうに思いますけれども、どうですか。
  200. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 合併の経過についてのお尋ねもあったかと思いますけれども、御質問重点は、どういう程度の規模のものを適当な規模と考えておるかというふうな御質問の趣旨と理解いたしまして、その点についてお答えをいたしたいと思いますが、先ほどもお答えいたしましたように、林業についての社会的、国民経済的な要請が強まっておるという状況にかんがみまして、森林組合の機能の充実と体質の強化をはかっていくということのためには、やはり、森林組合の経済基盤と事業活動の範囲を拡大強化するということが必要であろう。そのめどとしてどれくらいのことを考えておるかというお話しでございますが、一応私どもで考えておりますめどといたしましては、組合員の経営しておる森林面積の合計が合併においておおむね一万ヘクタール程度、それから、払い込み済みの出資金の額が六百万円程度、常時勤務する役職員の数が七人以上というようなことを一応めどといたしております。この数字は、最初に申し上げました所有する森林の面積で申し上げますと、現在の平均が四千八百ヘクタール程度でございますから、約倍でございます。また、出資金の点につきましても、現在三百二十万円程度でございますから、六百万円程度と申しますと、約倍でございます。職員の七人と申しますのも、現在が大体三・三人でございますから、約倍、現在の森林組合の規模の倍くらいのものには少なくとも持っていきたいというように考えておるわけでございます。
  201. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは、山林地帯はそういう形で合併し、指導ができると思いますが、平地林ですね。この平場地帯におけるところの森林組合、こういうものに関して、これは農業経営との関連で考えなきゃならない問題があると思う。この辺におけるところの組合のあり方、その指導、それについてはどういう考えがあるか。
  202. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいまのお尋ねは非常にむずかしい御質問でございまして、戦争前でございますと、産業組合というような形で、一応地域組合みたいな形で存在しておったわけでございますけれども、戦後農業協同組合を手始めに、漁業協同組合——森林組合は前からあったわけでございますけれども、おおむね職能組合的な組織が行なわれたということによりまして、そういうような組合が並列しておるというような状況にあるわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、山村におきましては、森林組合森林組合として存在し得るかなり強力な経済的な基盤があるということでございますけれども、平場地帯になりますと、構成員はおおむね農業と林業とを兼ねてやっておるということでございまして、その森林所有者は大半は農業をやっておるということで、農協の組合員である。そういうふうなところで森林組合をどういうふうな形で持っていくかということでございますので、一つ考え方としては、農林業協同組合というような形のものにしたらどうかというふうな考え方もございます。しかし、これは現在の農業協同組合なり、漁業協同組合なり、あるいは森林組合というふうな形で職能的に分かれておりますものを、そこの分野だけで一本でいくというふうなものができるかどうか。これは、先ほど申し上げました所有権の問題ほどはないと思いますけれども、かなり大きな問題であるというようなことでございますから、そういうふうな地域におきましても、やはり、森林を基盤とする協同組合的な森林所有者の団体が存立し得るような経営規模にまで規模を高めて、林業経営を基盤とした森林生産者の団体として健全に発達できるような形に指導をしていくというふうなことであろうかと思っております。
  203. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、農業協同組合の議論をしたときに言ったのだが、農業協同組合には三つの形があるだろうと思う。純粋な農村における協同組合、それからまた都市化したところにある農協、それと、都市と農村との混合的な形のものがある。したがって、そこで、混合状態といいますか、平場におけるところの森林組合のあり方と農協との関係、かかわり合い、それが農業経営、ひいては農家の所得にかかわることでありますから、こういう点に関してなお一そうの研究をしてもらわなければいけないと思う。これからの農業の問題において、畜産にしても、あるいは酪農にしても——酪農も畜産ですけれども、非に自給飼料というものを求めている。山というものが必要である。あるいは、山の下の青草が必要だ。こういうものを農業とのかかわり合いで、あるいは農家の収入の中で十分に考えていく必要があるので、林野庁のほうの考え方に、もう一歩進んだところの考え方があるとすれば、それを聞きたい。ないならば、なおこれは研究してもらわなくちゃ困ると思うのですが、それはどうですか。
  204. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 私どもが平場地帯で農業との関係をどうするかということで悩みますと同じような問題を、農協では、市街地の農業以外のものと農業というものの関係において悩んでおられて、農協についても、農協問題研究会というようなことで検討されるとかいうふうに承知いたしておるわけでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、先ほど申し上げましたように、農林業協同組合というふうな形のものの考え方もあるわけでございますけれども、それについても非常にむずかしい問題でございますけれども、私どもといたしましては、まだ検討する必要があろうと思いますし、また、農家としては、農業と林業とを兼ねて、その両方の所得あるいは農林業外の所得との混合の上に家計が成り立っておるというような状況でございますと、そういうふうな意味からの総合というふうな形のものが必要であるという考え方もあろうかと思います。けれども、また、林業は林業なりに、森林の持つ公益的機能というものをより生かしていくという手法ないのかどうかというふうな問題もございますので、そういう意味におきましての森林組合というものが、どういう程度の規模であればそういうものにこたえ得るかどうかというふうなことで、森林組合が独自で森林組合が与えられたような形の権能を果たしていく、そういうものと農林業を一本にしたような形の組合、そういうようなものがどういうふうな形でからんでいくか、特質はどうだというような形のものは、先生おっしゃるように、われわれの今後の研究課題としては非常に重要な問題であると思います。
  205. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、そういう重要な問題にこたえるために、たとえば若干の経過を必要としますけれども、省内に、それらのものに対する研究会的な組織、機関というものを設けていく考え方はあるかどうか。
  206. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 森林組合のあり方につきましては、一応、現在の森林法改正案の中に織り込んでおりますような内容のことを主要内容とするような、森林組合制度研究会という研究会の報告をいただいたわけでございます。これは、約二年半ほどの検討結果を踏まえまして、報告書という形で出していただいたわけでございますが、これは、森林組合の現在のあり方というものについて、森林組合に関する制度昭和二十六年に創設されまして、その後全然改正されていないということから、その面の社会経済情勢との間のズレというものの調整と申しますか、そういう点に主眼が置かれて報告を得たわけでございますが、いま先生御指摘のような問題については、さらに、その問題のほかに検討を今後要する問題であろうと思います。さらにまた、当委員会でもいろいろ問題が出ておりますように、森林事業等についてどうするかという問題もございますので、そういう点について、私どもとしては、今後引き続いて検討してまいりたいというふうに考えております。
  207. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、ぜひそれをつくってほしいという要望をします。というのは、いままでは組織の問題に触れてきましたが、これからは、林業の労働者の問題、働き手の問題をいまから質問いたしますが、いずれにしても、今日の合併によって事が足れり、これで満足だというものではないと思います。やはり、問題は次に残っていくだろうと思う。日本社会党が提案しているような、きのう、きょうと芳賀議員が大いに説明をされたような方式が通れば、これは問題はかなり解決するけれども、どうもなかなか熱意がないようでして、こうだとするならば、いよいよもってわれわれは、この法案がかりに通ったとしても、これによって事が足れりということじゃないわけです。そこで、この研究組織なり、そういうようなものをぜひ引き続いて持って、そして努力をしてほしい。このことをまずこの点では要望します。意見として言います。  続いて、林業の労働問題について私は質問したいと思いますが、国勢調査によると、昭和三十五年に四十三万九千四百五人であった林業労働者は、十年後の四十五年には二十二万四百人に減ってしまった。年齢構成とか、それはよくわかりませんが、とにかく頭数はそういうふうに減っている。また、総理府の別な調査によると、四十七年の林業労働者の人口は十八万、そのうち、自営の労働力が三万、家族の労働力が二万、雇用労働力が十三万、そのうちの常雇いが八万、臨時が五万となっている。こういうぐあいに、大事だと言われる林業の労働者というものがますます大きく減少する。そして、雇用関係が明らかになってきておりますが、こういう傾向、これは好ましい傾向だと思うのか、それともこれは憂うべき傾向だと思うのか、どういうふうに思いますか。
  208. 福田省一

    福田(省)政府委員 林業労働力が非常に減少の傾向にあり、しかも、老齢化の傾向があり、また、女性化の傾向も若干あるということは、やはりこれは憂えなければならぬ情勢だというふうに考えております。
  209. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 憂うべき情勢だということばは、私は賛成ができる。だとすれば、しからば、どのようにしたら憂いがなくなるようにでき得るか、ここをひとつ聞かしてもらいたい。
  210. 福田省一

    福田(省)政府委員 若干つけ加えて申し上げますけれども、ただいま先生からお話しがございました労働力調査の結果でございますけれども、四十七年が四十三年に比べると非常に減っておりますが、四十三年が二十七万、四十七年が十八万になっております。四十六年が十七万でございましたから、一万ぐらい、ちょこっとですけれども、ふえております。まだ四十八年の結果が出ておりませんが、最近の速報によりますと、二十万ちょっと出るという見通しでございます。ですから、安心はできませんが、ということは、いままで減った大きな原因は、薪炭作業に従事している人たちが非常に減少したということが大きな原因でございます。ですから、それじゃその他の林業労働力はふえつつあるのだというふうには、必ずしも即断はできないわけでございます。  ですから、憂えるとはいいながら、こういう結果が出たということは、中身を分析しますと、長期雇用の形態になってきておる、専業化してきておるというふうな傾向は若干見えております。ではございますけれども安心ができませんので、じゃ、どうするかという問題につきましては、国有林の問題もございますけれども、特に、民有林の労働力につきましては、従来、就労の通年化であるとか、あるいは流動化に対する施策であるとか、あるいはまた環境の改善についてのいろいろな施策を補助その他の方法によってやってきておりますけれども、これはまだ十分だとは言えないのでございます。最近はまた、雇用保険法の改正の案もございますけれども、これがまた逆に森業労働の面にマイナスに作用しないように、私たちは大きな期待と要求を出している段階ではございます。  そういったことを通じまして、特に、若い人たちが山に働いておることを喜んでくれるような条件づくりということがやはり基本的には大切だ、こういうふうに思っております。
  211. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、この林業は、作業現場というものが山間僻地であります。そして、非常に激しい労働が求められている。しかも、きびしい条件があります。そういう中で、労働災害というものがかなり頻発的に発生をしておると思われる。その中で、特に白ろう病の問題、あるいは腰痛症、こういうような病気が出ておりますが、この辺の把握について、労働省のほうでは今日どういうような把握のされ方をしておりますか。そして、それに対する治療、予防ですが、要するに、私が聞くのは、現状がどうで、治療をどのようにして、あるいは治療の前の予防をどうされるかということ、この三つの点について答えを求めます。
  212. 石田均

    ○石田説明員 ただいまの御質問にお答えをいたしたいと存じます。  林業職場で職業病問題が多いという点につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、特に、白ろう病につきましては、数次にわたりまして国会でも御質問を賜わりまして、私どもとしても、重点的な施策を進めたいということで考えているところでございます。  まず、御質問の第一点の、その病気の実態がどうであるか、その職業病の患者の実態がどうであるかという点につきましては、これはなかなか実態の把握がむずかしい面もございますけれども、私どものほうで労働者災害補償保険というものを所掌しております。それで、その保険の補償状況から見た実態を申し上げますと、まず、白ろう病につきましては、昭和四十九年の一月末日現在におきまして、白ろう病ということで補償を受けておられる方が二百八十二名ということになっております。この方々はほとんど大半が林業の従事者であろうかというふうに考えられるわけでございます。また、腰痛につきましては、昭和四十七年度中に新規に補償を行なった方々が、全産業で三千二百七十六名という数字が出ておりますけれども、これは、残念でございますが、産業別の数字がございませんので、林業でどれだけおるかということは正確には把握できておりません。ただ、重量物、長尺ものを扱う職場でございますので、そういった問題があろうということは一応予想されるわけでございます。  そこで、これに対しまして私どもがどういう対策をとっているかという点でございますが、まず、白ろう病につきましては、昭和四十五年二月に通達を出しまして、チェーンソーの選定を適切にする、あるいはチェーンソーの整備を進めていただく。チェーンソーの操作時間につきましても、あまり長時間連続お使いいただきますと、これは病気の原因になるというふうなこともございますので、そういった問題と、それから健康診断の実施その他の問題につきまして、こういうふうに取り扱っていただきたいという通達をしてございます。特に、操作時間の順守ないしは振動の少ないチェーンソーを選ぶということが重点であろうかというふうに考えております。  その中で、また、健康診断の問題でございますけれども、その後いろいろ技術的な進歩などもございましたので、具体的な実施手法を含めまして、特別な災害防止の団体がございますけれども、そこに特別な委員会をつくっていただきまして検討をお願いいたしました。その結果が出てまいっておりますので、そういったものを活用しながら、今後予防対策を進めてまいりたいと考えております。それで、健康診断につきましては、実際問題としてなかなかむずかしい面もございますけれども、林業の行なわれる地域の医療体制の実態というものもいろいろ問題がございますので、巡回健康診断というふうなことをことしから来年にかけましていろいろやってまいりたい、こういうふうなことを考えておるわけでございます。  また、腰痛につきましても、やはり昭和四十五年でございますけれども、作業管理に関しまして通達をいたしまして、重量物を扱うときはなるべく人力を使わないで省力化してやってもらいたいということと、あるいは一回に取り扱う重量制限、作業姿勢、取り扱い時間といったことにつきまして予防対策指針を出しております。それを基本といたしまして、いろいろと実態に即した管理を実施するようお願いをしてきておるわけでございます。なお、腰痛につきましては、発生原因等がはっきりしない面もございますので、今後専門家にもいろいろお願いをいたしまして、原因の究明なり対策なりを進めていきたい、かように考えておるところでございます。
  213. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 民有林の労働者の社会保障に関して質問をします。  失業保険関係については、五十一年ごろに結論を出すという形になっていたわけですけれども、先ほど長官からも話があったように、すでに雇用保険法が出されております。そこで、この問題と関連があるわけでありますから、われわれは、従来のものを打ち切ってより悪い方向に持っていってもらっては困るという考え方を持っておる。だから、これに対してどういうぐあいに労働省としては考えるのか。要するに、林業の労働者に対してはどういうふうにこれを適用しようと考えておるのか、この点の、現段階におけるところの回答をいただきたい。
  214. 関英夫

    ○関説明員 お答え申し上げます。  先生のお説のとおりに、失業保険につきましては、昭和四十四年の改正法のときに、その当時まで失業保険が当然適用とされていない事業、農林水産等でございますが、そういった事業につきまして、当然適用とするための調査研究を行なって、五十一年の一月三十一日までに必要な措置をとれ、こういうことが国会の御意思として附則についたわけでございます。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  そこで、今日まで、私ども、そういった関係をいろいろ検討してまいりましたが、今国会提出いたしました雇用保険法案におきまして、五十年の四月一日、これは雇用保険法案の大部分の施行時期でございますが、そのときから、農林水産業、林業を含めまして、考え方としては、すべてを当然適用にしたいというふうに、一応法案の上でいたしております。ただ、農林水産業は、先生御承知のように、非常に安定所の所在地から遠隔の地にございますし、また、零細なものになりますと、非常に雇用関係等も不明確なものもございまして、一気に全部を把握することが困難でございますので、これは政令で具体的に法成立後きめることになりますが、私どもの現在の考え方といたしましては、農林水産業につきましては、法人はすべて当然適用とする。それから、個人企業につきましては、従業員が五人以上のものをとりあえず当然適用とする。それで、その経過を見まして、個人の五人未満、これをおいおい当然適用にいたしたい、こんなふうに考えております。しかしながら、法律のたてまえといたしましては、五十年四月から全部を当然適用にする、一応こういう考え方にいたしております。  ただ、問題はその後にございますが、農林水産業のように季節性のある産業につきまして今日まで当然適用といたしておらなかったのは、そういった季節性のある産業におきましては、一年のある季節は仕事をし、ある季節は仕事をしないといった形態にあるわけでございまして、その毎年の休業期、これが失業だということになりますと、毎年毎年失業保険金を受給するといったことの繰り返しになります。現在の失業保険の上でいきますと、保険料は、たとえば六カ月の本人が納めます保険料は、給付の日額に直しますと二日分程度でございます。九カ月で三日分程度でございます。その程度の保険料で毎年毎年の給付が繰り返されるということになりますと、他産業の労使の保険料をそれだけ食わないと毎年の給付ができない。これはあまりにも不均衡になるというようなことで、今日まで任意適用というようなことになっておったわけでございます。  そこで、私ども、今回、農林水産業を強制適用とするにあたりまして、そういった毎年毎年の受給を繰り返すものにつきましては、特別の制度を考えました。それは、給付は三十日分の一時金とするという考え方でございます。  それで、なぜそう考えたかと申しますと、毎年毎年ある期間は働き、ある期間は働かないという実態にある人、これは農林水産業に雇用される人もそうでございましょうが、逆に、農業から出かせぎをして他産業にある一定時期働く人も、失業保険の上では同じように毎年の受給を繰り返しているわけでありますが、そういう人の生活実態から見まして、休業期にほかで働けというのが少し無理があるんじゃないか。いままでの失業保険の考え方でいきますと、働きたいんだけれども働く場がない、失業しておるということを認定いたしまして、過去の認定した、その失業の日について保険金を払う、こういうたてまえになっております。それで、出かせぎ労働者やあるいは農林水産業等に従事する人につきまして、そういう過去の失業の日を認定して支払うというような制度は、生活のパターンから見まして、とかく無理な注文になっておる。そこには、安定所の側も、ほんとうを言いますと、職業紹介をやって、そして、その上で失業を認定するわけでございますが、十分な職業紹介もせずに認定をしているという実態がございますし、また、受給者の方も、農業に従事しながら失業保険をもらうとか、いろいろな形で、そこに両者に無理があったと思います。  それで、この際、農林水産業を当然適用とするにあたりまして、ある意味ではどうもうしろめたいような関係、お互いにでございますが、そういうものをすっきりさせまして、そして半年あるいは九カ月程度働きまして失業保険の受給資格を得た場合に、そういった毎年の受給を繰り返す人につきましては一時金をやろう、そして、一回で一時金を三十日分もらえば、その翌日から働こうとどうしようと、これはもう保険の上と関係ない、こういうふうにいたしたほうが、むしろその生活実態に合うんじゃないかと考えたものでございます。  ただ、三十日分ということにつきましては、いろいろ御議論があることは私ども承知いたしておりますが、私どもが現在考えましたのは、全国的に見まして、従来季節的受給をいたしましたものの平均が約五十日程度でございます。それで、今度は、五十日間失業していたという過去の認定をしてから給付するのではなくて、あらかじめ一時金で支払うわけでございますので、その翌日から働くことも可能であるというふうなことも考えまして、まあ、三十日分程度で足りるのではないか、なお、五十年四月には基礎の日額も相当上げる、日額のアップも考えておりますので、そういうことをあわせて考えれば、そういった人たちの生活にそれほど激変を与えることにならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えたものでございます。  なおもう一つ、この一時金の受給に該当しますような人を多数雇用する産業につきまして、他産業との均衡上、多少保険料を高くしないとつり合いがとれない。こういう点につきましては、審議会等に諮問していた段階よりも、その審議会等の答申の御意見をくみまして、非常に下げた原案にいたしまして、千分の十八という保険料とするという原案で国会のほうに提出いたした次第でございます。
  215. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま、やや詳しいお話しがありましたが、目下別な委員会でこれは審議中でありますから、これ以上ここで質問を進めることは私はやめますけれども、しかし、今日までの出かせぎも、農民は好きで出かせぎをしているわけじゃない。出かせぎは本来したくないのです。したくはないけれども、生活ができないから、やむを得ず出かせぎをしている。そういうような者がいままで持っていた権利をいろいろな形で奪うことのないように、私は、ここで、そのことだけを主張しておきます。したがって、これは別の委員会審議をしておりますから、この問題の可否についてはそこで十分に議論をしてもらいますので、たいへんけっこうな経過の御報告をありがとうございました。  そこで、次のほうへ移りますが、農林金融と税制の問題について質問します。  林業をめぐる環境がきわめてきびしい今日において、さらに公益的な機能を強化し、森林所有者にそれを求めるとするならば、金融、税制面で一そうの充実をはかるべきではないか。特に、公益的機能を拡充強化するためには、伐期を引き上げることが有効になっています。これも金融面から補強するために、農林漁業金融公庫によるところの長期二十年据え置きで、三十五年ぐらいの償還をさらに引き延ばす必要はないかどうか、あるいはまた、造林資金の貸し付け対象についても、その範囲を拡大する必要がないかどうかという問題そして、また、いま地方自治体から要望があるように、早期収益、再収益の制度というものはやはり一考に値するのじゃないか、こういう点についてはどのように考えられるか。
  216. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 お答えいたします。  御質問は二点にわたっておったと思いますが、林業に対する融資について期間を長期にするというようなこと、あるいは貸し付け対象を拡大するというようなことを考えたらどうだということが第一点。それから、第二点は、早期収益林業の問題だと思います。  まず、第一点の、林業に対する融資についてのお答えを申し上げますと、先生御指摘のように、林業というのは非常に長期を要する産業でございますので、従来の農林漁業資金の融資の条件といたしましても、公庫の融資の中では最長期に属する償還期限を三十年から三十五年——これは貸し付けの対象によって違うわけでございますけれども、償還期限を最長の三十年から三十五年というふうな形にいたしておりますし、据え置き期間も二十年というような形にいたしておるわけでございます。しかしながら、最近、主伐なり間伐なりというものがだんだんおくれてきておるということから、据え置き期間の二十年なりあるいは償還期限の三十年、三十五年というものをもう少し長くしてくれないかというふうな要望があることも私ども承知いたしておりますので、そういうふうな傾向を踏まえまして、慎重に検討してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから貸し付け条件の金利でございますが、その点につきましては、これも公庫からの融資としては一番低い三分五厘というものを小規模造林の非補助については適用いたしておるわけでございますし、それ以外の造林につきましても五%ということで、公庫の融資の中では非常に低いということでございますし、先般の資金運用部資金からの借り入れ原資が上がったということにからみまして、公庫融資の金利の引き上げということがあったわけでございますけれども、林業に関する融資につきましては、ほとんど金利の引き上げをやらなかったということで対処いたしておるわけでございますが、できるだけこの面についても林業者の希望を聞き入れながら改善を加えることに検討してまいりたいというように考えるわけでございます。  それから貸し付け対象の拡大の面でございますが、造林資金の貸し付け対象につきまして、最近保育がおくれているということから、保育を重点的に考えろというようなお話しがございまして、保育につきましては、さきに、四十七年に植えてから八年以内の保育について融資をするということにいたしておりましたものを、十二年ということで延ばしたわけでございますけれども、四十九年度からは、今後検討してまいるわけでございますけれども、必要に応じて十三年以上のものについても融資の対象にし得るような道を考えたいということで、目下打ち合わせ中でございます。  それから、御質問の第二点の早期収益林業ですが、これは非常に名前がわかりにくいわけでございますけれども、市町村等が市町村有林に金を投入して造林をして、その金は伐採をするまで寝ちゃうということでございますから、中途で市町村等が金がほしくなったという場合にどこからか金を借りてきて——いま向こうさんから御提案になっております分について申し上げますと、森林開発公団等で金を出してもらって、そのあと収穫期に分収をするというような仕組みが考えられないかどうかというふうな御提案でございます。この点につきましては、いろいろな問題があるわけでございまして、まず、現在森林に投ぜられました金が、中途で金が要るからということで、中途で金をもらって分収をするということになりますと、青田売りというふうな形になる危険性はないかどうか。それから、一種の森林担保金融みたいな形になりそうな感じでございますけれども、林業経営維持資金とか、その他既存の森林担保金融に相当するようなものがあるわけでございますけれども、そういうものとの関連をどういうふうに考えていったらいいか。それから、森林開発公団等でやるというふうな形になりますとすれば、そのための原資をどういうふうな形で確保していくのか。それから、現在町村会等で御要求になっておりますのは、公共団体の植林したものについてということでございますけれども、公共団体の森林についてということだけでございますと、林業金融として考えていくのがいいのかどうか。これは一般の森林についても対象とするということで、全般的に林業に投資されたものの中間回収みたいな形で、担保金融というような形のものが考えられるのかどうか。以上申し上げましたような形の問題点がございますので、私どもといたしましては、やはり、今後の林業に対する投資の問題として、長期に寝かせる必要があるから、中間で金にかえることができなければということで、かなりしりごみもあり得る。そういうものに対して、その逡巡の原因を除いてやることができるということ、そういう意味もあろうかと思いますので、先ほど申し上げましたような問題点はございますけれども、そういうふうな効果も含めまして慎重に検討をいたしておるというのが現段階の状況でございます。  以上でございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  217. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 金融にやや関係しますが、森林組合が金を融資する中で、ピンはねをしているということがよく言われます。そういうような実態というものががかりに把握をされているとしたならば、これはけしからぬ話でありますから、もし気がついたとするならば、これはやはり厳重に指導して、そのことのないようにしてもらいたいと思いますが、その点について簡単に答弁を求めます。
  218. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 農林漁業金融公庫あたりの金を森林組合を経由して貸し付けを受けるというふうな場合に、森林組合が手数料と実費を——手数料というふうな形だと思いますけれども、手数料を取っておるということで、その手数料が、中には、ある程度高過ぎるではないかというふうな手数料を取っておるという実態があることは私ども承知をいたしておるわけでございます。いろいろ考えてみますと、そういうふうな森林組合というのは、どちらかと申しますと、みずからの経済基盤が脆弱であるために、そういう貸し付け業務の代行をやっております際に、その手数料という形でみずからの生活費をかせぐというようなことが行なわれておるようにも考えられますので、そういう点につきましては、そういう公庫融資というような制度融資の本来の目的、つまり、森林所有者がそういう制度融資を利用することによって林業経営の安定なりあるいは森林生産力の増強なりということをはかるという制度本来の趣旨を没却するということになりかねないということもございますので、先般、そういうふうなことがないようにという形の通達を出したところでございますけれども、事柄は、先ほども申し上げましたように、森林組合の経済基盤が脆弱であるというようなことに原因があろうかというふうに考えられますので、根本的な対策としては、森林組合の強化ということをはかっていくことによってその解決が見られるというふうに考えられますから、森林法の改正案に盛り込まれておりますような権能の強化その他のことによりまして、森林組合を強化していくということによって抜本的な解決をはかってまいりたいというふうに考えております。
  219. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、現在の森林への税制というものは、大所有者中心として、それに有利なような形で税制が組まれており、零細な所有者に対しては、あまりこの税制は有利ではないように思われます。したがって、この税制を改正して、零細な人々がかりに少しばかりの木を切っても、これらにもやはり恩典が与えられるような形をとる必要があるのではないか。もう一つはインフレです。最近のインフレによって、名目所得が、あるいは名目の価値が高まってきた。これに対する税金に対する考慮というものはどういうふうにしたらいいのか。この二点について伺いたい。
  220. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 林業所得につきましては、いわゆる五分五乗というようなことで、通常所得に対する所得税の計算よりも相当有利な計算方法がとられており、この点につきましては、大所得者であろうと、零細所得者であろうと、その恩典に浴するということは変わりはないだろうと思います。が、ただ、現在の税制の中で、森林計画制度にのっとっておるというふうな経営について、森林計画制度を促進するという意味から税法上の優遇措置を構じておるということもございまして、その森林施業計画を策定しておる森林所有者というのがおおむね大規模森林所有者であり、大規模経営者であるというようなことから、先生がおっしゃるような、大規模の森林所有者だけが税法上の特典を受けておるじゃないかというふうな御批判があろうかと思います。そういう点にこたえるという意味におきまして、今回の森林法の改正の中でも、共同施業団地制度というふうなものを設けまして、ある一定の地域について、数人が林地を持ち寄りまして、共同で施業計画を立てていくというようなものについては、これを森林施業計画として認めて、税法なり何なりの優遇措置を講ずる対象にし得るというような道を開いていこうというふうなことを考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、そういうふうな形での制度所有者が活用されることによりまして、ぜひとも、零細規模の所有者にも森林計画制度に伴う税法上の特典の恩典に浴されることを希望するわけでございます。  また、山林所得の特別控除額は現行四十万円でございますけれども、これも現在の社会情勢、経済情勢に合わせて引き上げることも検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、次の、山林課税上のインフレによる名目課税という点についてどういうふうに考えておるのかというお尋ねでございますが、現在、林業所得につきましては、植えつけてから伐採するまで長期を要するというようなことでございますので、所得の計算の際に、現在の制度におきましては、通常十五年以上の長期にわたって所有していた山林を伐採または譲渡した場合の山林所得の計算にあたりましては、その必要経費を、単に要した造林費等の積み上げによるということでございますと、ずっと昔の造林費でございますと非常にわずかである、名目的にわずかであるというようなことになりますから、そういうふうなやり方をすることでなしに、伐採または譲り渡しをした年の十五年前の山林の相続税評価額とその後に要した管理費との合計額をもって必要経費とするというふうなやり方で所得の計算をいたしておるわけでございます。先生のお話しでございますと、そういうのもごく目の前の数字に合わせるべきではないかというふうなお話しもあろうかと思いますけれども、その点につきましては、その林業以外の業種について、取得原価主義で所得計算を行なうという現行の税法のたてまえからいたしまして、なかなかむずかしいのではないかというふうに考えられますけれども、私どもといたしましては、林業の特質であるとか、あるいは森林の持つ公益的、経済的機能の重要性にかんがみまして、現在の制度も、そういうふうな税法の根本にできるだけ触れないような形で改善する余地があれば改善するような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  221. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 木材需給見通しについてでありますけれども、昨年の二月十六日に閣議の決定を見たこの見通しに対する決定は、今後これに対して再検討する必要はないかどうか、どうですか。
  222. 福田省一

    福田(省)政府委員 昭和四十八年二月十六日に、前につくりました計画を改定いただいたわけでございます。この計画は、当初四十一年につくりました計画に比べますと、相当社会情勢も変わってきておりますし、そういうことから修正をいたしたものでございます。  この新しい修正案によりますと、現状、つまり昭和四十六年度、これは四十四年から四十六年までの三カ年平均を四十六年度の初期としておりますが、そのときの状態から見ますと、そのときの状態は、輸入量比率について申し上げますと、五四%ということになっております。現在すでに六〇%近くなっておりまして、四十八年度を集計したら、おそらく六〇%をちょっと出るのではなかろうかという予想でございます。これは、将来、つまり、昭和九十六年、五十年後におきましては、この需給率を逆転させまして、外材輸入率を下げてまいりたいという計画にしておるわけでございまして、ただいまのところでは大体こういう目標で進んでいって差しつかえないというふうに私たちは判断しているところでございます。ただいまのところは、需給見通しについてはそういうことでございます。
  223. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題について深く議論をする余裕はありませんけれども、たとえば食糧についても、五十七年の見通しというものは、大前提が幾つか狂っている。これはもう輸出の先の国の状態、それから日本の円の価値の関係、国内の諸般の関係等から言って、多く訂正をしていかなければならないような状態がある。同じように、木材についても、このままでいいというようなことはとうていならないであろうというふうに私は思うわけですけれども、これはこれ以上ここでは議論をしないけれども、これから研究会もまたつくることでありましょうから検討しなければならないし、いずれまた別な機会に議論をすることがあろうと思うから、そういうように私は思うということを一応述べて、次のほうへ移っていきます。  いまの説明にもあるように、かなり長い間外国の材木に依存をしなければならないという状態だと思います。その場合に、この輸入の方式ですが、どういう方法をとるのか。去年、私は、衆議院の本会議で、林業白書に対する質問のときに、輸入方式の一つとして、これだけ長い間外国から六割以上のものを輸入する場合においては、商社だけにまかせないで、窓口を一本にして、悪徳業者が不当な利得をしないようにするために公社方式というようなものを提案をした。中曽根通産大臣からは、それは一考に値するという答弁がありましたが、その後何ら一考しておらないようですけれども、これはたいへん大きな政治問題でありますけれども、こういうようなことについてどうかという問題が一つと、それから、備蓄の問題ですね。不足をする木材というものをさらに価格の安定をはかるためには、輸入の段階においても備蓄を必要とします。一定の備蓄がなければいけないと思うのです。その二つの点についてどのように考えられておるか。
  224. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 先生の御指摘のように、木材輸入につきましては、先ほどの長期見通しに関しましても、海外の事情がだんだん窮屈になってきておるということは先生の御指摘のとおりでございます。そういうような事情のもとで、私どもは、まだ長期見通しのとおりやれるというふうに考えておりますけれども、そういうふうな形で考えましたといたしましても、現在の商社が輸入しておる体制でいいのかどうかという点につきましては、商社が現在輸入をしておるという方式については、確かに、四十七年の暮れから四十八年にかけて木材価格が騰貴した際にいろいろ問題が出たような問題点をはらんでおることは事実でございます。しかしながら、また、そういうふうな商社の活動というものが木材のより安い供給先を見つけてきておるという功の面も一がいに退け去るわけにはいかぬということもあろうかと思います。ただ、今後の木材輸入といたしましては、輸出先のほうも、先方としては、安定して輸出するのでなければ、つまり、輸入国側が安定して輸入するのでなければ、自分たちのほうも安んじて輸出ができないというような気がまえがだんだん強まっておるようでございますから、それに対応するような形で輸入国としての日本も考えていくということが必要になろうかというように考えられるわけでございます。  あとに申し上げます備蓄の問題でちょっと触れるわけでございますけれども、備蓄を考えます際にも、そういう点につきまして、やはり、安定的な輸入をするということの一つの方策として、備蓄のための機構を今後考えていこうということを考えておるわけでございますから、そういう意味におきましては、先生御指摘の問題点についても、糸口に踏み込んだというふうなことを申しても差しつかえないのではないかというふうに考えております。  それから、次の備蓄の問題でございますが、確かに、私ども考えてみますと、木材供給につきましては、国内供給量は、価格が上昇しましても、低落いたしましても、ほとんど大きく変動することなしに、むしろ微減傾向——これは資源なり労賃の問題なり、そういうふうな問題があろうかと思いますけれども、微減傾向ということで、硬直的でございます。海外の事情につきましても、昨年アメリカから、日本側で輸入を自主規制してくれというような話がございまして、輸入規制をいたしましたような事情に見られるとおり、海外からの供給も、昔に比べますと弾力性を失ってきておる。ところが、需要のほうでは、景気の変動に伴いましてわりあいに変動をするというような状況でございますから、そういうふうな需要が変動しやすいのに、供給は硬直的である。そういう意味におきましては、先生御指摘のように、備蓄をしていくことが必要になろうというふうに考えるわけでございまして、そういう観点から、四十九年度の予算の際に、一応、四十九年の予算といたしましては、財団法人方式で備蓄機構をつくるということにいたしまして、その備蓄の四十九年度の事業といたしましては、製材で五万立米、合板で百万枚ということですが、それを三カ年計画で、製材で三十万立米、合板で六百万枚というふうなものを備蓄の対象として考えていきたいというふうなことで計画をいたしておるわけでございます。
  225. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま備蓄の話が出たのですけれども、備蓄はどういう方式で備蓄をするか、林野庁は直接に林野庁の手によってやるのか、それとも業者にやらせるのか、それはどうですか。
  226. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 先ほど申し述べましたように、備蓄のために、新しく財団法人形式で政府も出資いたしますし、業界のほうも出資するというようなことで、財団法人をつくりまして、その財団法人が備蓄に当たるというようなことを現在考えております。
  227. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、輸入の場合、発展途上国あるいはアメリカ、カナダ、ソ連というふうにありますが、発展途上国の場合においては、この間田中総理が東南アジアに行かれたが、ああいう状態ですね。そして、石油についても、物はあるけれども、価格が高い。これは、やはり、途上国における資源ナショナリズムといいますか、そういう形で、そうたやすく金と技術だけを持っていって買えるというものではないと思うのですね。それから、また、カナダにしても、アメリカにしても、ソ連にしても、かなり材木の値を高くしていることは事実でしょう。そのときに、そういう途上国なりその他の国からの木材確保の長期的な見通し、契約、それから価格ですが、輸入の価格と国内のとの関係はどうなるのか。こういう点についてはどうですか。
  228. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 世界市場における木材の入手の難易という点につきましては、先生御指摘のとおり、今後だんだんむずかしくなってまいるというようなことで、われわれとしては、数段の努力を要する段階に差しかかってまいるのではないかというように考えております。ただ、資源という点から見ますと、日本の近くには、カナダにいたしましても、ソ連にいたしましても、蓄積としては、相当な蓄積があるということでございますから、私どもとしては、輸入資源と申しますか、そういうようなものとしての資源はかなりあるというように見てよろしいし、また、東南アジア方面も、ある程度は確保できるのではないかというように考えていいのではないかというように思っております。ただ、従来と同じような形で、切って買ってくればよろしいというようなことではなしに、やはり、切ったあとにはちゃんと造林をして、永続的にそういうものが確保できるような体制をつくる必要があろうというようなことで、四十九年度の予算で具体化いたしました国際協力事業団というような仕組みをつくることよりまして、日本に持ってくるために造林をするというわけではございませんけれども、開発途上国の希望がございますならば、その地域造林を進めていくというようなことで、資源的に豊富にする。そのことがまた日本に対する供給をたやすくするということになるであろうというように考えておるわけでございます。  次に、価格の問題でございますけれども、石油に見られますように、世界的に不足資源であるというような空気が出てまいりますと、直ちに価格が上がってくるということで、ソ連材のごときは、一年前に比べて倍以上になるというようなことでございますけれども日本需要にいたしましても、景気変動に対応いたしまして非常にフレが多いというようなことでございまして、世界的にフレてくるということになりますと、非常にタイトであったと考えられるような需給関係もわりあいにゆるむ時期も来るわけでございますから、一がいに価格が上がりっぱなしになるというようなことにはならないと思いますけれども、全体的に、長期的に見ました場合には、世界的に木材は不足資源であるということでございますので、ある程度の価格の上昇ということは避け得ないのではないか。そういうような状況であるといたしまして、国内の価格がどうなるかということでございますけれども、現在のところ、木材供給市場が世界的になっておるということでございまして、日本木材の価格も外材価格との強い関連を持って形成されておるわけでございますから、日本国内木材価格も、長期的に見ればやはり上昇傾向というのはいなめないのではないかというように考えております。
  229. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この間の林野庁の黒字の背景も、要するに、外材が上がったから、だから林野庁の帳じりも黒字になった。こういうことと同じように、価格というものは、外国から入れても国内から入れても大体同じだというような理解ですか。それとも、そうじゃなくて、国内の住宅を必要とする者になるべく安い材木を安定的に供給をするという計画のもとに備蓄もされるであろうし、それから、また、輸入なり、あるいは国内の伐木なり、そういうような計画を立てられたであろうと思うけれども、その辺の状況ですね。これはどういうことになりますか。
  230. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 先生御指摘のように、木材の重要性と申しますか、木材は住宅建設資材として最も重要な資材でございますから、住宅を確保するという観点からいたしますと、木材の価格を安定的にさせ、より安い価格で住宅建設ができるようにするということが大きな政策課題であろうとは思うわけでございます。ただ、先ほど来申しておりますように、世界的に木材需給関係はタイトになりそうであるということでございますから、全般的には上昇傾向にある。備蓄を私ども考えておると申しましたけれども、備蓄制度というのは、要するに、短期的な波動を防止するということでございまして、長期的な傾向というものまではそれによって防ぐということはむずかしかろうというふうに考えられるわけでございます。四十七年から四十八年にかけましての国内価格の高騰は、同時にまた、外国でも木材の価格が上昇した。これは、針葉樹で申しますと、日本の建築需要が高まったときにアメリカも建築需要が高まったというようなことで、世界的に需給が緊迫化したということから、輸入材の価格も上がった。それにつれて日本の中の価格も上がったというようなことでございまして、日本国内の価格は、最近は国際的な木材の価格水準とわりあいに関連をもって動くというような状況にあるということは言えるかと思います。
  231. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 あとで若干の時間を島田委員に譲りますが、私は、あと二点質問します。  その一つは、先ほど林業の問題について研究会を持ちたいということがありましたが、そこで、その研究会と関連をして、いまのように外国からの輸入に非常に多くの期待をかける、おぶさるという段階から言って、国内需給状況というものに対するところの、何か安定的な、それをするために各界各層の知恵をしぼって集めた委員会などをつくってこれをやる考え方があるかどうか。
  232. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま林政部長からお答えしましたような情勢にございますので、いま先生から御指摘のございますように、林政審議会の中に、実は、そういったような問題を検討する部会を設けていただくように先般決定したところでございます。
  233. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは、最後に、私は、入り合い権の問題についてだけ簡単に質問をします。  現在の日本の入り会い権は、大体二百万ヘクタールで、四国の全体の面積くらいの面積があるようでありますが、こういうものを徹底的に調査して、まだ未調査の部分もあるようですが、これを有効的に利用するための努力というものをいままでも続けてきたけれども、今後もさらにどういう形で続けられるのか、こういう点について伺いたい。
  234. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 入り会い林野の関係につきましては、先ほど来、造林が進まない理由というものの中に、慣行としての入り会いというものが大きな障害になっておるということでございまして、そういうふうな障害を除去するという意味におきまして、入り会い林野近代化促進法という法律ができまして、その法律に基づきまして、現在、入り会い林野の整備というものを進めておる段階でございます。入り会い慣行のございます林野の中の十ヘクタール以上のもの、八〇%に相当する百四十五万ヘクタールについて林野の整備をやるというような計画を立てて、目下大いにその実行につとめておるところでございますが、今後とも、先生御指摘のように、鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  235. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。  あと、ちょっと、二分ばかり島田委員に……。
  236. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 竹内猛君の持ち時間の範囲内で、島田琢郎君の関連質問を認めます。島田琢郎君。
  237. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 関連して御質問を申し上げますが、ただいま竹内委員質問の中で、輸入の関係が出てまいっております。そこで、平松部長のお話しだけでは私もちょっと内容がわかりかねます。端的にこういうことをおっしゃっているんだと思うのですが、非常に関心の高い価格問題について、輸入の関連によって、いわゆる外材との見合いによって、国内木材あるいは製材も含めてでしょうか、大体価格が高くなれば高くなる、安くなれば安くなるというふうに非常に関連が深いということを言いました。これは、わが国の輸入の、特に農産物なんかの場合から言いますと、外国から入ってくるものが非常に安くて、国内の農業というものが非常に苦しい状態に追い込まれたという歴史を持っております。最近はそれが逆転している傾向でありますけれども木材に限ってはそうではない、そういうふうに推移をしてきている、こういうふうに理解していいんでしょうか。
  238. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 国産材外材との関係で申し上げますと、国産材の中には、日本人の好みに合いますところの、いわゆる銘木と申しますか、非常に特殊なものがある。そういうものは特殊の需要に対応して価格が高いということでございまして、杉の普通の柱であるとか、あるいは松であるとか、そういう材につきましては、これは外国から輸入されます米松であるとか、米ツガであるとか、ソ連材のトドマツ、エゾマツ、そういうふうなものの価格との牽連において価格がきまっていくというような形になっているわけでございまして、その点につきましては、国産材外材とどちらが高いんだということになりますと、いま申し上げましたようなことで、松とか杉の普通のものとかいうものは外材と大体パラレルである。それとの関連において、特殊事情のものはそれより高いということで、国産材のほうが水準としては高いというようなかっこうになろうかと思います。
  239. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いまの説明で少しわかったんですけれども国内産の製材、木材、こういうものが外国産の動きによって値が動いていくというのは、正直言って、私は非常に遺憾だと思うのです。国内材のほうがいま高いとおっしゃっているから、現時点でもまだそういう状態にあると理解いたしますけれども、いまのいろいろな輸入の関係、貿易関係を見てまいりますと、かつて円の強かった時代と違って、いま円が非常に弱くなっている。したがって、一般論から言えば、よそから入ってくるものが今度は非常に高くなっていくだろうということが予測される。そうすると、外国から入ってくる材が一つの基準になって国内の材価がきめられるというようなことになると、これは基本的にたいへんな問題が出ると私は思います。この辺は、やはり、「長期見通し」の中でも量的なことだけには触れております。たとえば先ほどいただきましたが、この「基本計画」によりますと、輸入の関係については、これから非常にふえていく。四十六年までの三カ年間で、五千三百六十万立米の輸入量に対して、五十六年では八千五百十万立米、それから昭和六十六年には八千八百六十万立米、約一億立米の輸入になるだろうということが見通されております。  そうすると、外材がそんなに高く入ってくるということは、たいへん国内——そうでなくても、、一昨昨年からの木材の高騰に始まって、今日の物価の狂乱が起こったとさえ言われている。まさに、物価狂乱の元凶はこの木材の値上がりにあったということがはっきりしている過程で、今日、外材輸入に見合って、その比率国内産の製材なり丸太なりが上がっているということは、私は、林野庁としてはたいへん責任があったと思うのですよ。ですから、これは、やはり、手だてとしてこれを長期見通しの中で押えていくというふうなことをおやりにならぬと、大事な木材の値段というものが野放しになっていて、国内の物価等への影響というものは、これは重大なものになるというふうに思います。  私は、きょうの答弁はたいへん重大な意味を持っておりますので、限られた時間でありますから、もうこれ以上質問いたしませんが、必要な現在までの推移、経過について資料としていただけないでしょうか。たとえば素材でどれぐらい入っているか、それから製材ではどれくらい入っているか。外国から入ってくるものはインチ材も含まれているかもしれませんから、そういう一つの目安を、大まかなものでいいです。それと、素材、丸太の単価が幾らなのか、CIF価格でけっこうです。それから、製材のCIF価格はどれくらいになるのか、そして、そのときの国内産のそれに見合う丸太の価格はどれくらいになっているか、製材はどれくらいになっているのか。各地まちまちの値段があるかもしれませんが、この資料をいただきたいと思います。委員長、それを要求いたしまして、とりあえず長官から、ただいま私が申し上げました点についてお考えをお聞かせいただいて私の質問を終わります。
  240. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま先生のお話しの中で、私の説明が舌足らずであったかと思われますので、補足さしていただきたいと思います。  最近の外材の価格というのは、日本需要が非常に強うございまして、日本木材の世界の貿易の中に占める輸入量というのが、丸太で申しますと四割以上ということでございまして、丸太と製材と合わせた日本の貿易量に占める位置というのは約三割程度という姿でございますから、日本需要が世界の価格をある程度きめていくというようなことで、基本的に申しますと、むしろ、外国の価格が日本の価格をきめたのでなしに、日本需要外国材の価格をある程度きめていくというような事情にある。しかしながら、私が外材の価格と非常に強い関係を持つということを申し上げましたのは、外材輸入されますと、その輸入によって需給関係がきまってくるということでございますので、そういう意味において、外材日本国内の価格をきめていくというふうな関係も、ある意味においては成り立つというようなことを申し上げたわけでございまして、どちらかというと、主導権は、日本需要が海外の価格まで支配していくというような実情にあるということだけ補足して申し上げさしていただきます。
  241. 福田省一

    福田(省)政府委員 御要求のございました資料は、さっそく御提出いたします。  それから、木材長期需給見通しに関連しまして、当然これは外材に依存する度合いというものはまだふえてまいりますけれども、基本的に、私は、国内森林資源の造成に力を入れることがまず必要だと思うわけでございます。そういう意味で、同じく昨年の二月閣議決定を見ました「森林資源に関する基本計画」に沿いまして、いろいろと生産基盤の整備であるとか、林業構造改善事業であるとか、労働力対策というものを進めてまいらなければならぬと思っております。  なお、備蓄の問題だけで価格の安定ができるものだというふうには私は考えていないわけでございます。いずれ、これは、やはり需要供給全体のバランスを見まして、林野庁だけでなくて、需要をつかさどる官庁等ともよく折衝していかなければならぬと思います。需給の安定ということをもとにした一つの価格安定ということを考えていかなければならぬと思いますので、そういった詳しいことはここでは申し上げませんですけれども、備蓄という形で一応出ましたが、なお、基本的には、そういう需給安定に対する対策というものについて具体的な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  242. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 終わります。
  243. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 次回は、明二十一日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時四分散会