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1973-12-18 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十八日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 熊谷 義雄君    理事 坂村 吉正君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 美濃 政市君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    小沢 一郎君       金子 岩三君    吉川 久衛君       佐々木義武君    島田 安夫君       染谷  誠君    中尾 栄一君       丹羽 兵助君    湊  徹郎君       本名  武君    角屋堅次郎君       井上  泉君    竹内  猛君       島田 琢郎君    馬場  昇君       野坂 浩賢君   米内山義一郎君       栗田  翠君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省農蚕園芸         局長      岡安  誠君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   小山 義夫君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君  委員外出席者         国税庁調査査察         部長      井辻 憲一君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         労働省職業安定         局雇用政策課長 鈴木新一郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十二月十五日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     中川利三郎君 同月十八日  辞任         補欠選任   諫山  博君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   栗田  翠君     諫山  博君 同日  理事美濃政市君同日理事辞任につき、その補欠  として芳賀貢君が理事に当選した。     ————————————— 十二月十四日  昭和四十九年度農業共済保険予算に関する請願  (吉田法晴君紹介)(第一六六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  農林水産業振興に関する件  農林漁業用石油確保に関する件      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事美濃政市君より、理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  ただいまの美濃政市君の理事辞任に伴う、その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、芳賀貢君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 仮谷忠男

    仮谷委員長 農林水産業振興に関する件について、調査を進めます。  この際、倉石農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は、このたび、農林大臣就任いたしましたが、農林水産業及びこれをめぐる内外の諸情勢がまことにきびしい時期でもあり、その職責のきわめて重大であることを痛感いたしておる次第であります。全力をあげてこの重責を果たしてまいる所存でございますので、委員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。  昨年末からの世界的な穀物等需給逼迫は、最近においては、米国、ソ連などの増産により緩和の方向に向かっているようであります。しかし、なお、開発途上国における生産の不安定、輸出国における在庫減少等事情により、当面の世界食糧需給は依然として逼迫ぎみに、価格は高位不安定に推移するものと見られます。また、長期的に見ても、ソ連、中国などの変動の大きい輸入需要影響されて、世界食糧需給は、変動幅の大きい不安定な状態で推移するものと見られます。  私は、こうした農産物国際需給の動向に対応して、食糧を安定的に供給するためには、国内生産可能なものは生産性を高めながら、できるだけ国内生産することが基本的に重要であると考えております。こうした観点に立って、わが国農業生産増強対策を実施することが必要であると考えます。  農林省では、長期の生産目標として、十年後の農業生産目標を作成しており、長期的には、これに沿った生産振興をはかることとしております。特に、昭和四十九年度には、生産の増大が緊急に必要な麦、大豆飼料作物について、特別の生産奨励措置を講ずることとしております。また、農畜産物の安定的な供給体制を確立するため、未利用地を活用し、畜産を基軸とする大規模農業開発を積極的に推進するための特段の措置が必要であると考えております。  一方、飼料穀物木材等輸入依存度の高い農林産物安定供給をはかるため、備蓄政策を進めるとともに、国際協力にも配慮しつつ、海外における農林業開発に積極的に取り組んでまいる所存であります。  また、国内生産維持増強をはかるためには、農業と非農業との土地利用の計画的な調整を進めながら、農業生産に必要な農用地確保するとともに、農業経営規模拡大をはかっていくことが必要であると考えております。このため、農業地域における土地計画的利用を一そう推進するとともに、農作業や経営受委託等による農地集団的利用を通じ、専業的農家の実質的な経営規模拡大をはかることとし、これに必要な施策を展開してまいる所存であります。  さらに、全国的な秩序ある土地利用を実現していくための森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案につきましては、現在継続審査となっておりますので、早急に成立の運びとなりますよう御審議をお願いいたします。  国民の日々の生活に直結する食料品価格の安定をはかることは、農政の重大な使命であります。この問題の解決のためには、まず、需要に応じて生産の安定的な拡大をはかることが基本であり、また、流通加工の諸段階における合理化を進めるなど、生産流通加工の両面から強力な施策を講じていく考えであります。  特に、年末にあたって、正月用品等の円滑な供給をはかるため、その輸送対策などのきめのこまかい対策を講じてまいる所存であります。  最後に、最近における石油供給削減問題につきましては、わが国石油消費量の約一割を占めている農林漁業及びその関連企業においても、重大な影響をもたらすおそれが出ております。現在の緊急事態に対処し、農林漁業者国民食糧安定供給に対する影響を最小限にとどめるためには、農業、林業、漁業用石油や、食料品等の製造及び輸送用石油食料木材等を輸入する外航船舶に必要な石油については、その必要量確保し、円滑に供給する必要があると考えております。このため、関係各省庁とも連絡を密にするとともに、需要者団体に対する指導を行なうなど、必要量確保と円滑な供給について最善の努力をしてまいる所存であります。  なお、米の政府売り渡し価格については、物価安定対策の一環として、その改定時期を半年延期することといたしましたことを、この際御報告いたしておきます。  以上、所信の一端を申し述べましたが、農林水産行政推進のために、本委員会及び委員各位の御支援、御協力をお願い申し上げる次第であります。(拍手)     —————————————
  7. 仮谷忠男

    仮谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  8. 野坂浩賢

    野坂委員 ただいま、農林大臣から、農林大臣就任の弁及び今後の農政に関する展望と対策について、決意の表明がございました。特に、大臣就任をされまして、記者会見お話しになりましたことが新聞紙上に発表されておりますが、国民に政治に対する信頼感を持たせること、きめのこまかい行政はこのようなことが非常に重要であるということを強調され、世界的な食糧需給の窮迫に対処して、でき得る限り国内生産をふやして自給率を引き上げていきたいというお話しがあり、ただいまも、未利用地の活用、農用地確保備蓄制度の強化という点がお話しにございました。  そこで、私がまず大臣に質問したいことは、今日の食糧自給率は何%であるかということでありますが、これはどのように御理解でございますか。
  9. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどごあいさつ申し上げましたような趣旨で私ども農政を推進してまいるつもりでございますが、いつの世にも、食糧はもちろん非常に大事なことでございますけれども、だんだん変わってまいります国際情勢の中でも、私どもといたしましては、できる限り自給度を高めていくということが絶対に必要なことであると存じておる次第でございまして、その方向に向って対処してまいるつもりでございます。  そこで、現在の自給率お話しがございましたが、御存じのように、米は大体一〇〇%自給率を保持しておりますが、その他のものにつきましても、一部を除きましては、大体七〇%程度のものは維持いたしております。しかし、御存じのように、特に、肉類などにつきましての自給率は、それに及びません。そこで、私どもといたしましては、そういうものの自給度を高めてまいる、こういう考えでやっているわけであります。
  10. 野坂浩賢

    野坂委員 食糧自給率は大体七〇%以上。年次報告書を読みますと、七二というふうに書いてありますが、これは価格ベース自給率を出されたものでありますから、オリジナルカロリー計算自給率計算いたしますと、幾らになりますか。
  11. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私どもといたしましては、国際的にも、国内的にも、そういう自給率を示します数値につきましては、オリジナルカロリーというお説もございますけれども、いまあと事務当局からそういうことに対する計算は御説明申し上げるつもりでありますが、現実にかなり食生活に役に立っておる品物でも、カロリー計算から申しますと非常に低いようなものもございますので、やはり、現在わが国でやっておりますような計算方法がいいのではないかと思うのでありますが、オリジナルカロリーのことは事務当局から御説明申し上げます。
  12. 三善信二

    三善政府委員 オリジナルベース考えました総合自給率は、四十六年は、米の自給を一応一〇〇としました場合に、五五%ということになっております。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 官房長から五五%という計算を得ておりますが、その資料をいただきたいと思います。私たち農業団体なりそのほかで調査をいたしました結果は、三八%と承知をしております。したがって、委員会オリジナル資料を提出していただきます。  農林大臣もこまかいことはおわかりにならぬと思いますが、特に、あなたの就任決意では、非常にこまかく行政を進めたいということでありますから、十分中身につきましては御承知だろうというふうに考えて質問したのでありますが、米は確かに一〇〇%として、米を除きますと、麦なり豆、雑穀についての自給率はどの程度なんですか。
  14. 三善信二

    三善政府委員 自給率と申します場合に、総合自給率と、それから品目別数量計算しました自給率と、二通りございますが、いま先生お尋ねのものは、品目別数量計算した自給率と思います。  米の場合は、これは四十六年度でございますが……(野坂委員「米は除いていただいてけっこうですよ。ほかのものを総合してやってもらえばよろしい。総合食糧と私の言ったのを」と呼ぶ)四十六年で、食用の農産物総合自給率は七四%、それから、米は、数量でいきますと九二%、野菜九九%、果実八一%、鶏卵九八%、肉類は、牛肉、豚肉、それから鶏肉等すべて合わせて八三%、牛乳乳製品が八八%、砂糖は一九%、それから小麦は八%、大裸麦が二九%、大豆は四%でございます。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 いまお話しいただきましたが、雑穀とか、麦というものは非常に自給率が少ない、平均して七、八%であるというふうこ承知できるわけであります。そうしますと、いま安定的に国民生活供給できるものは、農林水産物で、米と野菜とミカンと、まあ、鶏卵鶏卵にいたしましても、外国からの飼料のストップというようなことがかかれば、これは完全にお手上げになる。こういう状況にあると思います。いま大臣からお話しがありましたように、石油の問題が国民生活に大きな不安をもたらしております。これは異常と言わなければなりません。しかし、いつこのことが食糧にあらわれてくるかもしれません。そのときには完全なパニック状態に入り、わが国で暴動が起きるという可能性すらあろうと私は思います。そういう意味で、食糧安定自給確保ということは何よりも大切でありますし、農林省の占める地位なり使命は、重かつ大と言わなければならないと思います。そういう意味で、米が安定的に供給されておるという点については、国民に対する安定度が高いと私は思います。  したがって、農林大臣お尋ねをしたいですが、米の来年度の減産減反というようなことがよく言われておりますが、こういう減反政策なり減産政策はやめるべきだ。そうしなければ、そういう余っておる、より安定をしておるというものを——アラブ石油戦略に使い、アメリカは、飼料あるいは木材戦略として使うという状態のときに、そういう安定的なものをつくり上げて、それを貿易なりあるいは外交の手だてにするということも考えられる。そういう意味も含めて、来年度の生産調整というものは考えるべきでないと私は考えておりますが、倉石農林大臣も、大臣就任にあたってそのようなことを示唆しておられますから、そのとおりであるかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  16. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまの問題はたいへん大事な問題であると存じますが、米につきましては、御存じのように、完全自給をはかることを基本といたしておりますが、その自給状況を見ますと、わが国におきましては、潜在的に若干過剰ぎみであることも御存じのとおりであります。そこで、引き続いて稲作転換策を推進してまいりますが、今後需要の増大する作物、そういうものに重点を置くことが必要ではないか。したがって、たとえば、いま鶏のお話しがございましたが、そういうものを育て、豚を育ててまいりますためにも、必要な飼料作物等ウエートを移してまいる、そして自給度を高めてまいるということが必要ではないか。そういう意味で、米の生産対策を続いてやっていこう、こういう考え方であります。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわからなかったんですが、大臣、やるんですか、やらぬのですか。いろいろなことを考えて検討するということでは、よくわからぬのですがね。
  18. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米は、潜在的に過剰ぎみである傾向がまだございますので、それよりも、米の生産対策維持をしながら、他のものにウエートをさらに置いて増産対策を講じてまいる必要がある、こういう考え方であります。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 今年度米が余っておるとか、余り米をどうするかとかいうお話しがいろいろとございます。伝え聞くところによりますと、十三万トンの余り米があるということを最近聞きますが、ごく最近の情報では、そのようなものは、調整をした結果、埋め合わせて、なくなっておるということも承知をしております。したがって、政府が、四十八年に減反政策減産政策を打ち出して、一〇〇%あなた方の政策協力をした。協力をしたけれども農民の知恵と汗と努力によって、生産性を上げ、予定数量よりも多く収穫を得た。日本の国民としても、あるいは政府としても、これは喜ばしい現象と言わなければならぬと思います。そういう意味では、農民は、政府政策にも協力をし、転作も行ない、休耕もした。しかし、農民努力によって生産は上がった。したがって、たとえば十三万トンあるとすれば、それも含めて政府政策協力したわけでありますし、去る七月十一日だったと思いますが、田中総理が、この委員会の席上で、協力をされたわけでありますから、全量買い上げするということは当然であるという旨の発言を行なっていらっしゃいます。そういうことから取りざたされて、二段米価説とか、いろいろございますが、今日そういうことを私たち考えておりませんし、また、ここにおいでになっております中尾前政務次官からは、十一月九日の私の質問に答えて、それについては二段米価説はとらないという意味お話しを承りました。そういうことを踏まえて、いま農家は供出をしておる時期でありますから、それについての御見解を承りたい。二段米価説は本年度はもちろんとらないものと私は考えておりますが、どのようですか。
  20. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 きわめて最近集めております需給状況を、事務当局からまず御報告いたさせます。
  21. 中野和仁

    中野政府委員 ただいまお話しのありました、予約限度を越えました米のことでございますが、その後の各県事務所を通じての最近の情報では、大体二十三、四万トンの余り米がでます。しかし一方では、予約限度までに達しない県が出てまいりまして、それがかなりあるものでございますから・差し引きしますと、現在の見込みでは、約十万トン程度余り米が出てくるということになっております。  そこで、これは何度か申し上げておることでございますが、生産調整を開始いたしました際の農林大臣農業団体との話し合いもございまして、まず、自主流通米で見るということでございます。量が非常にたいへんでありますと、なかなか一挙に自主流通というわけにまいりませんけれども、その程度になってきております。自主流通につきましても、従来でありますと、自主流通ルートで売るにいたしましても、何ら助成をいたしませんけれども、今回は、余り米についてもある程度助成をした上で自主流通ルートに乗せるということで、いま努力をしているわけでございます。  そのような事情になっておるわけでございますが、御指摘のように、ことしは非常に豊作でございました。政府在庫といたしましては、来年の十月には、たびたび申し上げております百万トンをこえる見込みでございます。
  22. 野坂浩賢

    野坂委員 差し引き十万トン。この十万トンの余り米については、助成をして自主流通米に回したいということであります。結局、農民自身は、いろいろな作業があったにいたしましても、実質的に一六・一%上がりました一万三百一円というものはふところに入ってくるというふうに理解をしておりますが、そのように考えてよろしいのか。
  23. 中野和仁

    中野政府委員 農家がどういうふうに理解しているかということは、いろいろな考えがあるかと思いますが、従来とっておりました考え方といたしましては、米の生産の過剰に対しまして生産調整をし、稲作転換をしておる。そのために買い上げ限度数量も設けたわけでございますので、それ以上越えたものの取り扱いをどうするかということにつきましては、いまご指摘のように、先般きめました政府買い入れ値段そのものであるというふうにはいたしていなかったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、大体自主流通ルートに乗っていくということになりますと、さほど差異のない値段農家としては売れていくというふうにわれわれは見ておるわけでございます。
  24. 野坂浩賢

    野坂委員 食糧庁長官の御答弁は、食糧庁責任者としての御答弁でございますが、農林大臣に再度お尋ねをいたします。  あなたも、就任の弁で、トイレットペーパーを例にあげて、いろいろと物価高お話しをなさり、安定をしなければならぬという強調のしかたをしていらっしゃいます。いまの私たちの周囲というのは、異常な物価高であります。五割とか六割という以上に、何倍もの値上がりをしておる状況であります。そういうことから、米とあわせて考えてみますと、米は、生産者側の収入としては異常に安い。生活がむずかしいというよりも、生きていくことがむずかしいというのが農業者の実態であります。そういう意味で、食糧庁長官がいろいろと配意をされまして、ほとんど差異がないというふうに強調されております。私も差異はないと思いますが、それよりも、二段の米価というようなかっこうで、一六・一%上がったものがそのまま農民ふところに入ってくるようになっていかなければいけません。政府生産調整をする、調整をするためには減反政策を行なう、この減反に一〇〇%協力をした、その結果、調整以上に収穫があれば切って落とす、こういうようなことについては、愛情のある農政とは言えないと私は思います。努力をしたのですから、減反もしたのですから、それについては、でき上がったものは全量同じような値段で買い入れる。これが政策立案者の、また、この間まで政務調査会の会長をしていらっしゃいました倉石農林大臣のきめていくべきことだろうと私は思うのですが、その点についての大臣としての御決意を聞きたいと思います。
  25. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 最初に生産調整をいたしましたとき、私がやはり農林大臣でおりました。そのときにいまのお話しのような話し合い中央会との間にありまして、政府買い入れ量何万トン、自主流通がどのくらい——そうしますと、あとは、余る米というのは、計算的には出てこないわけであります。そのときに生産者団体と話をいたしましたのは、そうは言っても、たいへん豊作で成績がよければ、初めの予定よりも増産されるかもしれない、そういう場合にどうしたらいいかという話で、それはそのときの状況に応じてお話し合いをいたしましょうということにいたして、それ以来はあまりその問題はございませんでしたが、ことしは、とにかく、一時は非常な豊作が伝えられましたけれども、現状になってみますと、いま食糧庁長官からお答えいたしましたとおりでございます。  そこで、農林省は、いま食糧庁長官から御説明申し上げましたような手段でこれは処理できるものではないかということで話を進めさせておるわけでありまして、結局、自主流通米と申しましても、自主流通には政府助成をいたしておるわけでありますから、そういうことの結果、生産者の方々がそう失望されるようなことにはならないのではないかということで、いま食糧庁にその取り扱いを検討させているわけであります。
  26. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、ものごとはきちんとすることが望ましいと思うのですが、大臣は、差異がないごとが望ましいということであります。食糧庁長官のほうも、実質手取り差異はないというふうにお話しでありますからまず私はそれは吸収をして、何らかの方法——この十万トンはわずかでありますから、農民手取りは変わらないというふうに私は答弁を受け取っておるわけでありますので、次に進みたいと思います。  いま大臣からお話しがありましたように、未利用地確保し、そして生産をあげる。ほかの食糧政策自給率は、米を除けばわずかに七、八%である。こういう状況にあるわけでありますから、これから未利用地開発等も、農用地確保という意味で進めていかなければならぬ。こういうお話しがございました。  そこで、田中総理がこの間突如として三十万ヘクタールの農地宅地転用論というものを、日本列島改造論と同じようにぶっぱなしてまいりました。当時の農林大臣はこれに抵抗しておりました。一年間の要求は三年になった。三年で三十万ヘクタールということでありますが、この間の参議院の予算委員会では、また、三年が四年にならんとしておる。三年か四年かもさだかではありませんが、話のたびに話が変わってくるわけでありますから、この問題について明らかにしていかなければならぬというふうに思うわけであります。特に、石油危機の今後に考えられる食糧危機という観点から考えて、この三十万ヘクタールというのは、大体どの程度でやるのかということが一つと、もう一点は、いままで、一年ごとに農地というものが宅地に変わっておりますね、それらのものも含めて大体何年間でやるのか。いままでやったものとは別の新しいものか。新しいものではない、いままでのものも含まれておるという理解を私はしておるのですが、巷間いろいろと取りざたをされておりますので、やはり、問題を整理し、きちんとしておく必要があるというふうに思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  27. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 総理大臣の言われました事柄は、どうもいろいろに受け取られておるようでありますが、いま御指摘のように、田中総理は、参議院の予算委員会でも構想を御説明になっておりますが、あの説明をお聞きいただきました方々は、みな、そういうことかと御理解いただいたと思うのでありますが、非常に宅地が払底しているときに、宅地はあるんだということになれば、やはり、宅地の異常な高騰というものも防げるんではないかという政治的な効果も、これはだれしも考えることでありますが、このことにつきましては、もう御存じのように、市街化区域の中にあります農地が大体二十八万ヘクタールくらいだと思いますが、そのほかに、毎年大体六万ヘクタール余り壊廃が行なわれておることも御存じのとおりであります。そういうようなことを考えまして、政府としては、公共用地、それから宅地、工場用地等の需要に応じまして、必要な用地を円滑に供給して地価の上昇を抑制してまいろうということで、こういう考え方からこの問題が出たようでありますが、私どもといたしましては、そういう目標について、一定の期間をかけて計画的に農地の転用をはかるようにいたしたいのでありますが、その実施につきましては、もちろんこれは農林省だけではございませんで、政府全体が優良農地確保に十分配慮してまいる。これは、田中総理大臣の御答弁にも明確に言っておられます。したがって、そういう意味合いから、ただいま関係省庁との間に十分な連絡をとりまして、需要の動向に即してやってまいりたいというふうに考えておるわけであります。  また、この転用によりまして、食糧需給に支障を生じますことのないように、土地改良長期計画に基づきまして、先ほどお話しのございましたような草地、飼料畑の造成などを進めまして、農産物の安定的供給には遺憾ないように措置してまいりたいと考えておる次第であります。
  28. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がございませんので、ごく簡単に答えていただくようにお願いをいたします。  三十万ヘクタールといいますと、水田面積の約一割に当たります。これからの農業を展望したときに、これから食糧生産をあげなければならぬ、しかも、石油危機によって総需要抑制をする、こういう両論から考えてまいりましても、これにはたくさんの問題があろうと私は思います。今日、耕地が年間どの程度つぶれておるか。これは資料をいただいておるわけですが、二通りいただいておりまして、どっちがほんとうか、よくわからぬのです。だから、正式に一年間どの程度だと言っていただきたい。私がいただいておるのは、四十六年度四万八千ヘクタールでありますが、大体そのくらいですか。
  29. 大山一生

    ○大山政府委員 最近の農地の転用実績でございますが、四十七年で申し上げますと、六万三千八百ヘクタールでございます。四十六年が六万五百ヘクタールでございますが、先生の言われましたのは、その中の、農地法の四条なり五条の許可あるいは市街化区域の届け出にかかる面積が約四万八千ということでございます。したがいまして、四十七年におきましては六万三千八百、それで、いま申されました線に見合うのは五万七百、そして、国とか公共団体のような、いわば許可に該当しないでできる転用、これが一万三千ということでございます。
  30. 野坂浩賢

    野坂委員 まず、基本的に、農林大臣として、農政を遂行する責任者として、三十万ヘクタールは唯々諾々として宅地に転用したほうがいいというようにお考えですか。いまの総需要状況から考えても、抑制しなければならぬ。こういう状況と相あわせて、あなたは、それは適当だとお考えですか。
  31. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、田中総理が申しておりますことがたいへんいろいろに報道されておりますようでございますが、私どもといたしましては、工場用地、公共用地、宅地等に土地を必要とする、そして、地価を抑制するためにはどうしたらいいかということについてのお考えは十分了解できることでありますが、優先的には、優良農地確保と、農業生産を落とさないこと、これが私どものたてまえでございますので、先ほど申し上げましたように、十分な時期をおいて、関係省庁と連絡をとって、その方向を検討して結論を出していきたい、こういうことでございます。
  32. 野坂浩賢

    野坂委員 回りくどくてわからぬのです。だから、もっと簡明率直に答えていただきたいのです。  いま構造改善局長からお話しがあったように、毎年大体六万ヘクタールがつぶれておる。たとえば、それも含めて、四、六の二十四で、四年間で二十四万ヘクタールになりますね。それにまた六をを上積みするというのですが、これとほかに考えておるのですか。
  33. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 そういうものも当然中に入れて考えることが必要だと思いますが、そういうために、先ほど申し上げましたように、関係省庁の協議を開いて、その協議で検討を進めていく、そうして結論を出す、こういうことでございます。
  34. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。そうすると、まだこれは本物になっていない、こういうふうに考えてよろしいですか。やるということではない、これから検討する、こういうことですか。
  35. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 実現できる方向で一ぺん努力してみましょう、研究をしてみましょうということでありますが、それにはなかなか時間もかかるわけでありまして、おいそれとすぐにそういう計画ができるわけにはいきませんので、やや時間をかけて——公共用地、それから宅地、工場用地等のことでありますので、やはり、関係省庁と十分打ち合わせなければ結論が出てまいりませんので、鋭意それをやらせておるわけであります。
  36. 野坂浩賢

    野坂委員 ますますわからぬですね。あらためて見直して検討するというふうに私は理解します。たとえば、三十万ヘクタールというものをやるということになりますと、三年間でやっても、一年十万ヘクタール。一坪は三・三平方米ですね。これを、たとえば平均一万円で買うということになれば——市街化区域にそういうものが二十二万町歩もあるというお話しですが、市街化区域ということになれば、平均二万円あるいは三万円になるかもしれません。三万円にして十万ヘクタールということになれば、九兆円になりますからね。一年間で九兆円ですよ。それから、いままでに家が建っておるのは、建設省もおいでだと思いますが、二百万戸建っております。四十八年度は二百八万六千戸の予定でありますが、これが二十五坪の家を建てたとして、坪二十万で五百万としても、約八兆円ですね。民間なり、あるいは公営のものは、二十万よりももっと、三十万の単価になると思いますが、一年間で十兆円も十五兆円もかかるようになる。年間に二十兆円、二十五兆円も使うということになりますと、いまの景気刺激をしない、総需要を抑制するというものと非常に変わってくる。うらはらになってくる。施政方針と非常に合わぬ計算が出てくる。こういうふうな点については、農林大臣としてはどのようにお考えですか。この金の使い方から見て、ですね。
  37. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 でありますから、先ほど来お答えいたしておりますように、一応の目標として、鋭意関係省庁と研究をしなければ答案が出ないわけであります。その目標として検討する、こういうことでございます。
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすれば、あなたが就任前だったかもしれませんが、農林次官通達で、農地の転用許可は早くやれといっているが、こういうのを考えると、私たちは非常に疑問の節が多いのです。いままでどおりやっておればいいじゃないか。こういう政策が出たからよけいそういうものをやるのじゃないか、こういうふうな疑惑があります。検討するということですけれども、一ぺんアドバルーンが上がったのです。だから、全国の農民の皆さんは、どの大会でもこの問題を取り上げます。この問題について、非常に問題がある。だから、いままでどおりしておったほうがむしろいいのじゃないか。農民生活不安を与え、営農計画なり経営計画というものが立ってこないということになると私は思うのですよ。だから、こういう点についてはあらためて検討をし直すと、こういうふうに考えていただかなければ、四十九年度の経済見通しなり、需給の問題なり、そういうものと財政とから考えて、不穏当、不適当だと私は思うのです。見直して、あらためて検討すべきだと思うのですが、どうですか。
  39. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 最初もお答えいたしましたように、いま、非常に地価が高騰いたしておる。そのことはいろいろ理由もありましょうけれども、とにかく、土地がないという事柄からそういう空気を刺激しているとも考えられますので、地価抑制という考え方は当然なことだと私は思うのでありますが、しかし、農用地について、三十万ヘクタールを短期間にということはなかなかむずかしい。したがって、関係省庁との間に十分な打ち合わせをして、一応の目標としてそういうふうにやりたいのだが、どういうふうにしていくべきであるかということを相談しておると、こういうことを申し上げておるわけであります。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 私が申し上げましたように、簡単に三十万ヘクタールということをおっしゃいますけれども計算をしてみますと、異常なことになります。再び物価上昇、物価暴騰になる素地がある、総需要抑制の方針と合わない、こういうことになりますから、十分御検討をしていただかなければならぬと思います。  この間、私のあとで質問します竹内君が、石油確保する問題でいろいろ質問いたしましたが、きょうの新聞を見ますと、最優先、優先、一般というふうに分けてきめるというふうな閣議決定のようでありますが、石油を抑制されますと、生産影響が出てくる。その影響が出てくる関係で、きょうの新聞等をごらんになりますと、大手の企業はそれぞれレイオフ制度を発表しております。もうやっております。それで、本採用の諸君たちですらレイオフ制度をとるというかっこうでありますから、農家から出かせぎに出ておる臨時の皆さん方、季節労務者の出かせぎの皆さんについては、重大な影響があろうと思います。  労働省がおいでだと思いますが、この間あなただったと思いますが、求職者に対して、求人は二・三あるからだいじょうぶだというお話しを承りました。この状況から、レイオフ制度がきょうの新聞等ではすでに発表され、神戸等でも具体的にあがっておるという事態を考えて、それらに対する労働対策というものはどのようにお考えですか。
  41. 鈴木新一郎

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  今回の石油削減、それに伴う総需要の抑制、経済規模の縮小、これか深刻化いたしますと、当然に雇用失業面に影響があることはこの間申し上げたとおりでございまして、私どもとしては、非常な関心をもって事態の推移を見守っておるところでございます。  しかしながら、先般も申し上げましたように、現在の私どもの全国の職業安定所の窓口から見ます需給状況は、非常に人手不足の状況でございまして、先ほど、求職一人に対しまして求人が二・三倍というデータを申し上げましたが、本年の十月の数字はそういうことになっております。また、これを出かせぎの関係で見ますと、さらにこの関係は高まっておりまして、求人三に対して求職一人という状況でございます。したがいまして、非常な人手不足、求人難というのが現在の状況でございます。  ただし、先行きの経済の見通しが深刻化してまいりますと、どうしても労働面に影響があります。この経過を考えてみますと、まず、最初に影響を受けるのは労働時間ではなかろうかと思います。つまり、生産を縮減せざるを得ないということになりますと、労働面では、こういう人手不足の時代でございますから、まず労働時間の調整でこれを乗り切る。さらに進みまして、どうしても人減らしということになりますと、おっしゃいますように、臨時あるいは季節という面での求人の手控えをするとか、あるいは、進んでは解雇をせざるを得ないという状況に相なってまいると思います。新聞等で、いまおっしゃいましたような事例が若干出てまいりましたが、いまのところ、要するに、求人の手控えというような事態が若干出ておりますが、しかしながら、先ほど申しましたような、全般的なそういう求人難の状況でございますので、現在の人を解雇するというのは、そう容易に、そうめったなことではなかなか出てこないであろうと考えておりますけれども、私どもとしましては、特にまっ先に影響を受けますそういう季節臨時工の対策につきましては、今後十分に安定機関を動員いたしまして、万全の体制をとりたい、このように思っております。さっそくこの二十日には、全国各県の職安課長を呼びまして、今後の事態の推移に対して万全を期するように、情報の収集と、それから特に出かせぎ等に対する対策を十分やるように全国に指示する予定でございますので、よろしく御了承願いたいと思う次第でございます。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 もっと簡単に答えてください。私は、時間がありませんから。  いま二・三倍とか三倍というお話しをされたのですが、あなたのほうから出している「労働経済の分析」というのを読んでみますと、労働省職業安定業務統計で、四十七年度は、求職者数は百二十二万一千で、月間求人数は百四十万五千で、一・二倍になっておりますね。それから失業者数というのは、四十八年現在労働力人口の一%、五十三万人と書いてありますよ。ちゃんと失業者もあるんです。だからレイオフもやって、たとえばトヨタでも、日産でも、もう帰すということなんですよ。あなたは、こういう統計から見て、どのような状況になっても、今日就職しておる人たちはそういう状況だから絶対万全だというふうに私たちに御説明できますか。
  43. 鈴木新一郎

    ○鈴木説明員 こういう失業という問題は、経済の推移に関係するものでございまして、現在のところはそういう状況でございまして、だいじょうぶと思いますけれども、事態の推移が深刻になれば、それはいろいろ考えなければなりません。それですから、事態の推移を見守って、この対策にわれわれとしては全力を尽くしたい、このように考えております。  それから、失業統計は、確かに、いろいろのデータでおっしゃるような数字があります。いつの世の中でございましても、人の出入りというものは大ぜいの中ではあるのでございまして、たとえば統計に失業を示す数字は、一応三%というのが世界的に見た完全雇用の水準の許される失業率でございまして、いま一%でございまして、私どもとしては、いまの日本の状態は、量的に見る限りは完全雇用の水準にあると、このように考えます。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 三%まではいいのだということでなしに、いまは、働かなければ食えぬのですからね。遊んでいて食わせるだけの社会保障が今日はない。だから、いまの失業保険というものをもっと上げてもらって、社会保障制度が充実するという姿をとらない限り、わが国の労働者は腰が曲がっても働かなければならぬという現実を十分労働省としては理解をして、今日就職をしておる諸君たちが失業しないような方途を考えていただくようにしてもらいたい。あなたは説明員でございますからこれ以上は申し上げません。  農林大臣、そういう状況にありますから、今後、農林漁業者に一番早くしわ寄せが来るという可能性があろうと私は思います。そういう意味で、農業を守り、食糧確保し、国民生活の安定をはかっていかなければなりませんが、きょう上がろうとする石油需給適正化法案について、時間があと十分しかありませんから、私は、この第十条の関係だけにしぼってお尋ねをしましょう。  これについては、「通商産業大臣は、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業、医療事業」云々があって、「石油の円滑な供給確保するため必要があると認めるときは、石油販売業者を構成員とする団体に対し、石油供給のあっせんその他必要な措置を講ずるよう指導するものとする。」とありますね。御存じだと思います。そして、二項には、「関係行政機関の長は、」——これは、農林の場合はあなたですね。「通商産業大臣に対し、前項の規定により必要な指導を行うよう要請することができる。」陳情するということができる。こんなことですよ。そこで、私は、通産の方々は、それぞれの委員会に出られて出席ができないということでありますけれども、聞いてみますと、たとえば、通産省が三百八十円といって、いわゆる灯油の凍結をする。ところが、三百八十円では売られていない。私どものいなかのほうは、みんな四百五十円です。それでもなかなか問題です。八月ごろまで七百円から八百円であったプロパンガスは、千三百円に凍結をしても、きょうの新聞でもごらんのように、四割はそれを守らないという状況です。一方、農林省減反をやれということになると、ほとんど協力をする。威令が行き届いておるのかどうかわからぬが、それほど農民協力をしております。だから、その農民に対してのこの優先確保問題ですが、それらの団体は販売事業の団体と団体交渉する、そして問題を持ち上げるというようにしなければ、陳情して、それに対して通産大臣が、石油業者にそういうことを指導するというようなことでは、問題点がかみ合ってこないと思うのですよ。だから、たとえば一般消費者ということになれば消団連とか、中小企業といえば中央会とか、農林漁業といえば協同組合とか、そういうものと石商連合会というものとでやって、そして、その問題をきちんと出して——私は、いまここにもあなた方から推定の統計をもらっておりますけれども、これを出して、具体的に、一反で何をつくればどれだけあるということがわかるわけですから、はっきりしなければ、いままで実績のない諸君たちは完全に切られる。だから、そういう団体とやって石油の量を確保するということになっていかなければならぬと私は思います。  もう一点は、農民農業をするためにほんとうにもらえるかどうかということの不信感、不安感というものが、いまの通産省の指導の状況から見て、あると私は思うのです。そのワク組みをきちんと置いて、間違いなしにあなたのところに来ますよということになれば、経営計画なり生産計画を立てることができますけれども、いまのようなかっこうで、こういう条文であれば、なかなかそういうことはできない。だから、詰めをするという意味で、そういう団体と石油商業協同組合と交渉して、一定のワクを出す。そして、農林大臣は通産大臣と話をして、きちんとそれを確保する。要請ということではなしに、当然協議をしてきめる。そのワクを、このスタンドからこうだというふうに、実需者あるいは農業協同組合を通じてそこに必ず渡ることができるように、ワク組みと仕組みと流れをきちんとする。そうしなければ、優先確保します、優先確保しますということだけでは、実需者としては、今日の現況から納得できないという声、これが率直な声でありますから、それに対しては、私が言ったことを十分理解していただいて、農林大臣はきちんと善処をしていただけますか。
  45. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いま、新法の十条のお話しがございましたが、通産省と農林省は、今日あることを予想いたしまして、十分両省との間に連携をいたしております。当面の問題につきましては、先般、両省の政務次官間に協定を結び、そして、それが事務的にもおりているわけでありますが、御存じのように、石油あっせん所を県ごとに設けまして、そのほかに、通産省の地方にあります通産局と、私のほうの地方の出先であります農政局との間に対策本部を設けまして、十分に相互の連絡をはかるようにいたしております。それからまた、石油連盟と生産者団体との間にそういう協議をすることもいたしております。  ただ、私どもは、全般として考えますのに、いまのような情勢になりましたのは、やはり、国際情勢、中近東の情勢影響を受けておるわけでありますので、そういうことは、外交ルートによって一日も早く解決をいたしますことを待望いたすのでありますが、これは、われわれの力だけではいかんともしがたいことでありますので、国民全体は、大事な仕事をみんないたしておるわけでありますが、各人がそれぞれ分に応じて、できるだけの節約、合理化をしていく必要はあるとは思っております。  農業関係については、両省との間に十分な連絡を保ちまして、優先的な農業用、漁業用の油の確保について了解を得ておる次第であります。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたので、私はこれ一問でやめますけれども、明快なお答えをいただきたいと思うのです。  いまお話しがありましたような、優先確保するという話は何べんも聞くのです。しかし、通産省の指導は、いまのプロパンガスを見ましても、千三百円といっても守られない。しかも、千三百円の原価計算もできていない。あるいは灯油三百八十円といっても守られない。あっせん所も、お話しがありましたが、各県に一つぐらいしかないのですから、遠くのほうから郵便を出して、それを郵便でお答えをしてもらって、成功したら五百円以下のあっせん料まで取るということなんですから、それは問題にならぬのですよ。いつのことかわからぬのです。農業者というのがちゃんと通産の細則にありますよ。だから、そういうことで、具体的に生産計画なり経営計画は必ず立てられる、心配はない、実需者には必ず参ります、そのときには、農林大臣は、農林団体と石商と交渉してワクをきちんとし、それを吸い上げて、問題点を通産大臣農林大臣との間で話し合いをする、優先確保を一〇〇%すると、こう言うのですから、そのとおり考えていいかということと、生産者は、石油に対しては、石油はあるとして、安心して生産計画と経営計画を立ててよいというふうに考えてよろしいか、問題があれば、農業用ガソリンについては、農林省において必ず善処するというふうに考えてよろしいかということが一つ。  それから、ついでに全部言ってしまいますからお願いいたしますが、こういうふうな物価、資材、農業用資材の高騰によりまして、いまはたいへんであります。したがって、土地改良でも、構造改善でも、あるいは山村振興に基づく補助事業等でも、あるいは林道でも、ほとんどできないですね。もう仕事が進められない。単価アップをしてもらわなければ、補助ワクよりも持ち出しのほうが多いというような現象、事例はたくさんあります。ありますが、それが出てこない。したがって単価アップと補助率の引き上げをしていかなければ地方自治体は麻痺します。  そういう点については、これから四十九年度の予算折衝に入るわけですが、農業は、福祉政策から見ても、食料安定から見ても非常に重要であるし、農業の負担軽減をしなければ生産意欲の向上はできません。田中さんが常に本会議でも言われたように、価格の問題も考えてもらわなければなりませんし、したがって、休耕田を水田に変えるという、休耕田の復旧補助費にしても考えてもらわなければならぬ。そして、すべての構造改善、土地改良、林道その他にしても、この際農林漁業は前進をし、補助率のアップと補助ワクの拡大をやっていかなければ、国民の期待にこたえることはできないし、米を除いてはわずか七、八%の自給度であるという、この現状、これを伸ばすことができないということを十分踏まえて、私が申し上げたことについては善処をしてもらわなければならぬと思いますが、どのようでしょうか。
  47. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 公共事業につきましては、これは実勢単価に近づけていく努力をしておるわけであります。ただ、補助ワクの拡大ということを、ここで私はお約束するわけにはいきません。要は、私どもといたしましては、既定の方針に基づいて、先ほど申し上げましたような、農業生産維持拡大していくということ、このたてまえで努力をしていくことはもちろんのことであります。  それから、石油でございますが、この新法が通りますと、規則をつくりまして、その場合に、農業石油につきましては優先的に取り扱うということをやはりやることにいたしておりますので、なお万全を期してやってまいるように努力をいたしたいと思っております。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 これで私の質問を終わりますが、農林大臣の御答弁を聞いておりましても、かゆいところに手が届かないような気がいたします。農業維持、さらに、生産拡大国民生活の安定をはかるための農業というものは非常に重要であるという御認識については一致をしております。そのために、補助率のアップなり、そういうことをやっていかなければ今日の農業経営はでき得ない、こういう現実にあります。そういう点についても十分御配慮いただいて、農業者のために、農民のために、生活安定のために精進をしていただくよう強く要望をしておきます。  以上で終わります。
  49. 仮谷忠男

    仮谷委員長 竹内猛君。
  50. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林大臣お尋ねをしますが、農林大臣は、四十一年の十二月に最初に農林大臣就任をされました。以来ここに八カ年が経過をしております。その間にまた幾たびか大臣の座につかれ、同時に、この間までは、自民党の政調会長として重要な位置にあられました。そして、いまここで、国際的な、また国内的ないろいろな問題に直面をしているときに、四十一年当時にお考えになったところの、日本の農業を前進させよう、よくしよう、農民生活を守ろうというような考え方が、今日のこの段階でどのように実現をされたか。あるいは、実現されていないとするならば、その根源はどこにあるのか。まず、基本的な問題について農林大臣お尋ねをしたいと思います。大臣はすでにしろうとではありませんので、もうくろうとですから、ひとつ十分にその辺の経過を含めてお答えをいただきたい。
  51. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お話しのように、この間、社会的にずいぶん変化がありました。また、国際的にも意想外な変化がございました。しかし、私がずっと農林省の仕事の経過を見ておりますと、やはり、先ほど来お話しのありましたように、食生活というのは国民生活基本に関する問題でございますので、そういう大事な問題、また、国土保全について最も大事な林野、あるいは漁業等についてはたいへんな努力をして、この八年の間にかなりの成果をあげてきている。しかも、この大事なむずかしい時局に、これを踏まえてさらに伸展をしていくように最善の努力をいたさなければならぬ。農林省一同はみなそういう考え方でおるわけであります。
  52. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほどの野坂委員の質問、また、いまの私の質問に対する農林大臣答弁というのは実に抽象的であって具体性がありません。それは、今日の日本の農業状態を見ると、食料自給率はますます下がり、地力は減退をし、そして農業人口は老齢化し、女性化し、農村と都市との生活の格差というものはますます拡大をしている。そして、多くの食糧を海外に依存しなきゃならない。米を除いた食糧自給率というものは、わずかに七%になっておる。一体、こういう国が世界にありますか。どこか例があったら、ひとつそれを教えてください。
  53. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 食糧自給率でありますが、これについて、政府は、できるだけの自給率を高めてまいりたい。そこで、御存じのように、昨年の十月、将来十年後の見通しを持ちまして考え方を発表いたしておりますが、なお、こういう問題については、引き続いて各方面の状況を判断いたして自給率維持につとめておるわけでありますが、私どもといたしましては、今後もその考え方を変えずに進めてまいりたいと思っております。
  54. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだ答弁はすっきりしませんが、まあ、時間の関係があるから先のほうへいきます。  その自給率の問題と農業というものを、今日の段階で、日本の産業の中にどういうように位置づけをしていこうとしているのか。ことしわれわれのところにいろいろ農家から寄せられたたよりによると、日本の政府は、農業を軽視し、破壊し、そしてわれわれを粗末にしているんじゃないか、何とか、農業というものを国の産業として位置づけてもらいたいと、こういう要望が来ております。おそらく、これは皆さんのところにも来ているはずです。こんなことが、農業を一生懸命になってやろうという農家から来ているわけであります。だから、現在の政府農政というものに対して、まじめな農家ほど心配をしている。出かせぎをし、兼業をし、兼業収入が多い第二種あるいは第三種といわれる農家は、農業に対してはそれほど関心を持たないかもしれない。しかし、ほんとうに国民食糧生産しようと一生懸命考えている農家は、そういう希望を持っている。日本の農業というものを、日本の国の産業の中において重要な位置づけをさせていこうという考え方が一体あるのかないのか。その点はどうでしょうか。
  55. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまおっしゃったようなことを考えていらっしゃる方も、あるいはあるかもしれませんけれども、多くの人々は日本の農業というものについて 非常な自信をお持ちになっているのではないかと私は思います。たとえば、海外に旅行された農業団体の方々などがお帰りなってお話しをなさるのを聞いておりましても、日本ほどきめこまかく農業のめんどうを見ている国というのは、どうもあまりないようだ。それは竹内さんもよく御存じのとおりであります。  ただ、私どもの存在いたしておりますこの地球の上のある場所がこういう島国でありまして、長年の間先祖が苦労をして、百年間しし営々として勉強された結果、北海道みたいな地域にまで米がつくれるようになったのであります。そういうことで、米が重点に置かれましたけれども、先ほどお話しがありましたように、いまは潜在過剰性を持っておるほどになってまいりましたので、必要ではあるが十分供給ができないというようなものに力を入れて、そのほうの自給度を高めていこうではないかということで、したがって、稲作転換政策の反面におきましては、御審議を願います来年度の予算等におきましても、私どもは、粗飼料等の生産の増大をはかってまいるようにしたいとか、いろいろ考えておるわけであります。  私どもは、農村というもの、小さな農業というものについて、これがいまお話しのありました産業として成り立ち得るかどうかということを考えてみますと、やはり、その農業に定着していただくためにも、それから、産業として成り立ち得るためにも、どうしても規模拡大して、所得を多くしていくということが必要ではないかと思って、そういう方向でやっておりますし、また、もう一つは、稲作のほかにも、果樹だとか、野菜だとかというふうなものにつきましては、かなり小人数で大規模経営をしている若者たちも出てきております。そういう意味から見ますというと、私は、日本の農業それ自体としてはかなり成功しているのではないかと思いますし、したがって、このごろ、農業あと継ぎの人々を育成していくために、何年か前に農業大学校などを設立いたしましたけれども、高等学校卒業の子供たちが中学校卒業生よりも多く大学校に入りまして、そして地方に帰って、地方の指導的立場をとっていてくださる若者がかなり出てきております。私どもは、こういう方向で国全体の自給度を強化すると同時に、農村というものをその人々に守っていただけるような体制をつくっていきたい、こういうことを一貫したものの考え方としてやっておるわけであります。
  56. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今日、石油の問題を中心として、あらゆる産業が再検討されなければならない段階になってきている。これは、日本の経済発展の基礎に、石油というものはいつでもあるものである、自由に入ってくるものであるという考え方があったと思う。それがあのような事態の中でちょっととまると、すべてのものに影響し、やることなすことすべて後手後手になって、なかなか前のほうに政策が伸びてこない。こういう状態がある。この基礎にあるものは国際分業論で、農業においても、その国際分業論というものがある。だから、日本は、工業国家として伸びていく、そして、農畜産物などは海外に求めていこうじゃないかという考え方が今日もあるかどうか。その点について、開放経済下における国際分業論という考え方について、大臣はかつて言われたことがあるが、いまでもそのように考えておられるかどうか。それはどうですか。
  57. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 コマーシャルベースでものを考えて、そして国際分業論というふうな結論になるお話しかと思いますけれども、私は、そういうことをどこかで申した覚えはありません。一部日本人の中には、いま竹内さんが御説明になりましたようなことを申しておった人があることも、若干ものの本などにありますけれども、竹内さん御存じのように、世界の一流国というのを調べてみますと、まず、食糧については非常な努力をして、大体安定したところに自給度維持しております。私どもは、そういうたてまえで、国民生活基本になる食糧関係は、できるだけ自給度を高めてまいりたい。ただ、わが国は、こういう狭い領土で農地を使ってやってまいりました。米の生産は別として、他のものに、不足しておるが需要拡大していくものがありますので、そういうようなものも、あとう限り、土地改良、圃場整備等、その他またそろばんのとれるようにできるだけしてあげて、わが国に必要なものの自給度を高めてまいりたい、こういう考えを持っておるわけであります。
  58. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 国際分業論というものを主張したことがないと言われれば、非常にけっこうなことで、その辺は確認をしてよろしいですか。
  59. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農林大臣としてばかりじゃありませんで、私どもは、政党人として、どうしても、自給度というものはできるだけ高めていく必要があるのではないかと思っておるわけであります。
  60. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この場でたいへん恐縮な話をするのですが、大臣は、この前、国の自衛の問題で御発言をされたことがあった。その問題をめぐっていろいろと論を起こして、ついにおやめになったことがありました。そして、今日、石油戦争、資源戦争ということが言われておりますね。原子爆弾や大砲のたまが飛んでこなくても、石油、砂糖、あるいは最近は、肥料の原料においてもいろいろと問題が起きそうであります。現に起きております。こういう中で、日本の安全保障という問題を考えるときに、前のお考えの、三十万の軍隊あるいは憲法の改正というようなことについて、いまでもそれは考えられておるのか。その辺の、農林大臣の自衛の哲学をもう一度明らかにしてほしい。
  61. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 人のやっかいにならないで独立して生きていきたいというのは、日本人全員の考えだと思います。その考え方はいつでも私どもは変わりませんが、農林大臣といたしましては、国民の主食をできるだけ生産していかなきゃならない、そういうことが国の安全のためにも絶対に必要なことだと考えておる次第であります。
  62. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今日、自衛隊が、一機二十億あるいは五十億という飛行機とか、あるいはいろいろな装備をつくりますけれども、それに石油がない、油がないということになると、それはほんとうに模型のものにしかならない。こういうことから考えてみると、日本の安全を守るということは、戦争のない状態をつくると同時に、国内においてでき得る資源は積極的に開発をして、国内におけるところの自給度を高めていくというところにあると私は思うけれども、この点に対して考え方の違いはないかどうか、その点はどうでしょうか。
  63. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 わが国は、残念ながら、資源のまことに乏しい国であります。石油考えましても、いままだいろいろ研究も進められておるようでありますが、ほとんど実力を持っておりませんから、海外に依存するわけであります。したがって、私どもといたしましては、世界が平和であって、石油だとか食糧だとかというものを国際紛争の材料にしてもらいたくない、こういうことを念願しておるのでありますが、現状の姿はまことに遺憾千万であります。一日も早く解決して、われわれの必要量が入手できるようになることを念願いたす以外にないわけであります。
  64. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、先ほどからいろいろ御質問してまいりまして、この一億一千万の国民の必要な食糧というものを考える場合に、先ほど来のお話しのように、コマーシャルベースだけでは考えない。商品として考えた場合には、安ければ安いほどこれはよろしい。しかし、そういうことが非常にいま不可能になってきている。そういうときに、米は別でありますけれども、その他の米以外のものは、それを確保する場合に、コマーシャルベースだけでなくて、生活必需物資として考え確保するという考え方、多少価格か高くてもやむを得ない、何とかこれを確保するためには努力をしようじゃないかという考え方についてはどうでしょうか。
  65. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 国民食糧というのは、国際的に取引などをいたす場合には商品としてされるかもしれませんが、私どもは、いずれにしても、国民の必要とする需要を満たしていくということが大事なことでありますから、農産物自給度を高めよう、こういうわけでございます。したがって、取引される場合には商品価値はあるかもしれませんけれども、私どもは、食糧をそれだけには見ておりません。やはり、国民生活に絶対に欠くべからざる必需品であるという考え方のもとに農業生産をやってまいらなければいけないのじゃないかと思っております。
  66. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 前々から農林省というのは農本主義で、農業のことについては、鬼のように、農民をカバーし、がんばるという伝統を持っていた。ところが、最近になると、どうもコマーシャルベースに乗って、大蔵省や通産省に遠慮をして、農業を守るという姿勢が弱いじゃないかという声が強い。  そこで、このような国際的な状況国内的な状況、そして、日本におけるところの食糧の必要性ということから考えてみて、いま農林大臣が言われたような方向において、農業を守り、農民生活をよくしていくという考え方——まあ、農本主義ということばは非常に古くてあまりいいことばではないかもしれないが、農業を守るために農民農業の保護をしていくという考え方は、これからとるようにしようとするのかどうか、その辺はどうでしょうか。
  67. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農業というものはもちろん守っていかなければならないし、また、ときには、非常な保護政策をやっていかなければならない場面もございます。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 しかし、そういう意味で、生産ができるように、安定的に供給ができるように、長い間農林省は一生懸命でやってまいったわけでありますが、同時にまた、国民大衆の消費者がそれを消化してくださるわけでありますので、やはり流通面に十分な力を注いで、そしてでき得べくんば、海外の品物よりは品質がよくて安定した価格需要者に供給するという、こういう半面も私どもに大きな責任があると思っておるわけでございます。  したがって、そういうことに力を入れることはもちろんでありますが、もう一つは、こういう狭い国土の中で、七割余りが山林、森林でございます。こういう点から、この恵まれたありがたい国土、この緑を守って、そして国民の健康を維持していくということも、やはり私ども林業に与えられた仕事でございます。そういういろいろな角度から見ますというと、林業も農林という中へ入るわけでありますので、私は、ときどき人に頼まれた揮毫には、「農は国のもとなり」と書くわけでありますが、やはり、めしを食わなければ生きていかれないのでありますから、私は、農業というものはわが国基本の産業の中の重要な部門を占めておるのだという立場で農政をやっていかなければいけないのではないかと思っておりますし、農林省はそういう意味で従来非常に努力をしてきたことはお認めいただけると思います。
  68. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、去年の十月農林省から出されて、あのときには、閣議の決定もしてない、農政審議会の議も経ていないものを堂々と発表され、本会議でも、あるいは予算委員会でも、これについて、あたかも閣議決定をし、農政審議会の議を経て了承を得たかのごとき答弁をされました。よく調べてみるというと、そういうことはしていない。こういう私文書、メモ程度のものが農林省目標として出された。これは目標だからいいじゃないかと言われるけれども、あの目標について、その後どのような取り扱いをされたか。また、その前提であるところの、たとえば生産に使うための石油あるいはその他の諸資材の輸入の状況というものは、すべて大前提は誤っていなかったかどうか。誤っていたとするならば、いつ、どのような形でこれを直そうとするのか。これはどうですか。
  69. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 昨年十月発表いたしました農林省の五十七年長期の展望について、私文書とおっしゃいましたけれども、私文書というのは……(竹内(猛)委員「私文書ですよ。これはメモですよ」と呼ぶ)これは農林省の大方針だと思うのであります。それで、一応のああいうめどをつけて、そこにいくべき指針を示すことによって一般の方々に理解をしていただくと同時に、農業者もわかった、こういう方向でいくべきだ、こういう考えを持っていただくためには、やはり、積み重ねて研究してまいりました一応の方向を出したことはりっぱであると私は思いますし、私どももまた、大体こういうことだろうと思って、農林省外におりましたけれども、そういうつもりで見ておりました。  ところが、いまお話し農政審議会でございますが、農政審議会は需給部会がございまして、この先生方もいろいろ検討をしておっていただきます。したがって、私どもといたしましては、必ずしも、前に出しましたことを、どこまでも一字一句訂正しないというんじゃなくて、農政審議会の御意見も十分しんしゃくいたしまして、さらに、いまのような情勢に即して、改めるところがあればさらに研究を続けてまいりたいと思いますが、御指摘のように、石油は電力だけに使うだけじゃなくて、農業、林業、漁業に非常に大きな影響を持ってまいっておりますので、率直に申し上げて、どなたも戸惑っておられるだろうと思います。しかし、政府は、油については、最善の努力を外交ルートを通じてやっておりますし、私どもといたしましては、農林漁業の重要性を強調して、当局からできるだけの安全性のある補給を約束さしている、その道に進んでまいる、こういうことでございます。したがって、農林省のこれからの目標につきましては、農政審議会とも十分意思の疎通をはかってまいりたいと思っております。
  70. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私たちは、農業基本法をつくるときに、いまの農業基本法には反対をしましたが、その農業基本法の中にも、長期的な目標などを立てる場合には農政審議会の議を経なければならないとなっている。法律を尊重すべき行政府が、十年も先のことをいうのに、農政審議会の議を経ない、法律にあることについて守れないというのはおかしい。だから、末端の農家は信用しなくなって、ふらふらする。政治というものは、政府の言ったことが末端に行き届いているというところにはじめて信頼がある。信頼というものがなければだめだ。その信頼が失われたらたいへんでしょう。そういうことであるから、自信がないからメモを出したということなら、これも話はわかるけれども、そうじゃなくて、堂々と、本会議ででも、どこででもそういうことを答弁していらっしゃるんだから、それなら、もう少し慎重に手続をして、その点について、訂正すべきものは堂々と審議会にかけて訂正をして、国民の前に、これはこういうふうにやってきたけれども、こことここはどうもうまくいかない、だからこうするんじゃということを言わないと、うまく通じないんじゃないですか。信頼が持てないんじゃないですか。そういう意味で、政治の信頼というものはまさにそこにあるのだろうと私は思うが、その点について、もう一度確認もし、今後の取り扱いについてお尋ねをしたい。その上で中身のことは言います。
  71. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 おっしゃることはよくわかるのでありますが、農政審議会でずっと勉強していっていただきまして、できるなら、来年の春ごろにはそれについての御意見を承るようにいたしたいと思います。私ども、法律できめられております白書につきましては、もちろん法律に基づいてそれぞれの手続を経ておりますが、そんなにあらたまらないで、やはり、こういう考え方だというのを、突拍子もないことを出しているわけではありませんので、私はその当時のいきさつを実はよく聞いておりませんけれども、私ども党のほうにおりますときに、政務調査会のほうにお示しになりましたああいうものは、たいへんいい線をいっているのではないか、こういう目標に向かって努力すべきではないだろうかというふうな感じを私は受けたわけでございます。
  72. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 目標を示すことは決して悪いことじゃないけれども、その取り扱いについて、ちゃんと、きちんとしたルールを踏んでほしいということを要望しておるわけだ。  そこで、食糧需給でありますけれども、今日でも、あの中に盛り込まれていることについては、一つ一つ間違いがない、これは訂正しなくてもよろしいのだ、こういうお考えですか。それとも、これについてはもう一度考える余地がある、あのときにはあのように発表したけれども、その後の変化というものから、この点についてはどうしても検討しなければならないというお考えか。つまり、もっともっと国内における自給度を高めていくという立場からこれを取り上げていこうという考え方はないか。その点はどうですか。
  73. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、農政審議会でも、需給部会等でたいへん努力をしていただきますので、先生方の御意見も十分拝聴してまいりたいと思うのですが、その経過、内容について事務当局から御報告いたさせます。
  74. 三善信二

    三善政府委員 「農産物需給の展望と生産目標の試案」につきまして、先ほど先生御指摘のように、ただいま農政審議会で検討をしていただいております。農政審議会でどういう検討をしているかと申しますと、従来の長期目標をつくるときと多少趣を異にしまして、一つは国際需給専門委員会というのをつくっております。それからもう一つは国内需給専門委員会。この二つをつくりまして、御承知のように、最近の国際の食糧事情の変化を今後の見通しとして十分踏まえて長期の目標をつくるべきであるという意味で、この国際需給専門委員会をやっております。御承知のように、農林省は、経済企画庁その他と一緒になりまして、四班をつくりまして、海外に世界食糧事情調査団を派遣したところでございます。これも、そういった世界の各国の事情をこの審議会の審議に十分反映させるという意味で、非常に効果があったと思っております。  それから、国内の専門委員会のほうは、これもすでに三回やっておりますが、やはり、基本的には、先ほど来大臣がお答えになっておられますように、国内自給できるものはできるだけ国内でまかなうという基本的なラインに沿って、品目ごとに検討をしていただいているわけでありますが、ただ、この審議会の専門委員会の中でも、飼料の問題につきましては、もっと自給率を高めたらどうかというような御意見が非常に強いというような現状でございまして、品目別にいまそれを検討していただいているという状況でございます。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その前に、重要農畜産物というものは、何と何が重要になってきているのか、その中身はどういうものですか。
  76. 三善信二

    三善政府委員 重要農産物と申します場合に、それはいろいろの見方があろうかと思いますが、私どもが従来から生産目標でも取り上げております重要な農産物として、もちろん米は当然入るわけでありますが、野菜とか、果実とか、あるいは肉類とか、牛乳、乳製品とか、そういったものは当然重要農産物として入っております。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その自給度を高めていくために農地確保が必要であります。そこで、その農地について、自給度を高めるために一体どれぐらいの面積があったらよろしいか。
  78. 三善信二

    三善政府委員 生産目標の場合の試算として私ども考えておりますのは、昭和四十六年、田畑合わせて五百七十四万ヘクタール。もちろん、これに草地面積が二十七万ヘクタールございますが、これを十年後の五十七年に、耕地面積の計として五百二十万ヘクタールというように一応考えております。その間、御承知のように、毎年壊廃等もございますし、また、当然造成をするというようなことも考えているわけでございますが、十年後の五十七年には、耕地としては五百二十万、それに草地として六十四万、大体全体で五百八十数万ヘクタールの農用地が、草地も含めまして要る。そのような計算をして、一応、この生産目標の場合の必要な農地確保につとめたいということを考えておったわけでございます。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在、飼料まで入れて、海外から輸入しているものの自給をかりに国内でした場合には、どれだけの耕地面積が必要かという計算をしたことがありますか。
  80. 三善信二

    三善政府委員 これは全く一応の試算でございますけれども、私ども内々に試算をしてみますと、次のような状況になろうかと思います。これは計算のしかた等によって多少違いますけれども、非常に大ざっぱに見ました場合に、収量の見方その他も考えまして、小麦とか、あるいは大裸麦、トウモロコシ、グレーンソーガム、大豆、そういったものを完全に自給するという場合に、国内の作付面積というのは一体どのくらい要るだろうかという試算でございますが、大体七百万ヘクタールくらいは要るのではないかということを考えております。それを五十七年度、十年後の生産目標に合わせて試算をしてみましたが、五十七年度の需給の見通しから考えれば、一千万ヘクタールくらい新たに農地が要る、現在の農地面積にプラスそれだけの面積が要るというようなことになろうかと思います。これは一応の試算でございますから、そのおつもりでひとつ……。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほど野坂委員の質問もありましたが、先般、田中総理は、三十万ヘクタールの転用を指示した。これに基づいて農林省も次官通達を出して、各県並びに関係機関にその準備をやれという指示を出しました。その後、参議院におけるところのわが党の杉原委員の質問に大臣が答えて、多少その辺は緩和をしたようで、これを四年間というような形に直したというわけでありますが、その場合においても、国、県道の周辺、両側二百メートルというものを転用するということになれば、これはもうたいへんな優良農地の破壊になる。同時に、今日の段階でこれを転用することになると、その土地値段が非常に高い。総理大臣は三・三平米が三千円くらいのめどだと言っているけれども、そんなことで土地が動くはずのものではない。常識的にそうですね。そこで、参議院でああいうような答弁があったわけでありますから、平均して四年間ということになると、現在と同じくらいのものであるから、次官通牒をこの際撤回して、あれについてはもういままでどおりやるんだと、こういうことにはなりませんか。
  82. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 その通達と申しますのは、いまお話しのございました三十万ヘクタール云々のものを促進しろという意味のものではございませんで、これは前々から言われておったことでありますが、農転の手続をしても、地域によってはちっともはかばかしくないというふうな苦情もありますので、いいか悪いかというようなこともなるべく早く判断をして、そして、その申請を出している者の文書の処置を早くしなさいという意味のことを命じたわけでございます。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いろいろな調査によりますと、四十二万ヘクタールぐらいのものを、仮登記という形で、土地を扱う者が買い取っておく。沖繩も含めてそうなんです。そういうようなものは、土地を取り扱う人たちが困るから何とかひとつ早急に転用してほしいという要求にこたえたものであるとするならば、これも不都合な話です。三十万ヘクタールのものも不都合だし、そのあとのものも不都合だ。両方とも不都合だから、そういうことについて、従来の正規の方向で、農地法を完全に守ってやってほしい。この点については明確な回答を求めたいと思います。
  84. 大山一生

    ○大山政府委員 仮登記自体につきましては、農地法上、これを規制する方法はございません。ただ、仮登記されている農地が転用されるということで申請が出てまいりました場合には、一般の転用基準、あるいは市街化調整区域では市街化調整区域におきます転用基準、それから水田の暫定其準、これに従ってそれの適否をきめてまいるということでございます。
  85. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今後、食糧自給度を高めて、農民農業に営々としてがんばっていくためには、優良な農地が必要なんだ。そういう農地をつぶして食糧自給度を高めるなんというような矛盾したことは、この際やめてもらいたい。このことは回答は要りません。要望しておきます。  続いて、先ほど、私は、食糧の問題について、コストの問題、自給の問題、重要農産物の問題についてお答えをいただきましたが、そのものの価格の決定が、米には米をきめる方式がある。畜産物に対しては畜産物に関して、それぞれの価格のきめ方があります。それから、野菜にしても、果樹にしても、あります。それが一つ一つの法律があって違っている。それで、いろいろ質問すれば、七割の農作物に対して価格保障制度があるんだ、価格決定方式があるんだと言っているけれども農家のほうから見てみれば、まことにこれはたよりないものなんだ。今日これだけ食糧問題が問題になっているときに、価格の決定について、いままでの価格決定方式というものは再検討しなければならないし、もっと統一をして、農民にわかりやすいような形での価格決定方式にしていく意思があるかないか。検討する気持ちがありますかどうか。その点についてお答えをいただきたい。
  86. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御意見がございますことは、いずれも検討の資料にして、勉強するわけであります。いま、農産物価格につきましては、お話しのございましたように、大部分価格政策を実施いたしておることは御存じのとおりでありますが、農産物につきましては、農産物ごとに、それぞれの生産事情農業経営にあります地位、そういうようなことが違っておりますので、その態様に応じて価格をきめてまいる必要があるわけであります。したがって、私どもは、それができるだけ再生産が安んじてできるように、できるだけの行政的なお世話をいたしますけれども価格決定につきましては、そういうものがおもであります。
  87. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ちょっと前後しますが、土地の問題にもう一度触れます。  農用地拡大をしなければ生産性の高い農業にはならない、これはいままで言われてきたことであります。しかし、農用地拡大しようとしても、今日の農地というものは、あるものは確かに生産の対象としての農地であり、あるものは財産の対象としての農地になっている面があります。しかも、これは非常に高い。そういう高い農地で、現在の定まらない農畜産物価格の、あの決定方式により、しかも、いまのインフレの中で高い資材を使って生産をしてみたところで、農家の所得に合うものはない。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 この農地価格と、それから農地拡大という相矛盾した問題についてどういう処置をとられるのか。賢明な農林大臣、この際明らかにその方針を出してほしいが、この点はどうでしょうか。
  88. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは、時勢の推移に従っていろいろ変わってまいりますので、たいへんむずかしいと思いますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、狭い国土の中で・限られた農地農業をやって生産をあげていくということでありますので、やはり、産業として成り立ってまいりますような、規模の大きな農業経営に移していくべきではないか、したがって、いろいろな書物でもそういうことを言っておりますけれども、やはり、農業に従事する人々の就業人口が減少しても生産は下がらないような、能率があがる農業経営というものを育成していくべきではないか、そういうことでいままでやってまいりました。  したがって、私どもといたしましては、そういう角度で日本農業の推移を見ておりますと、御存じのとおり、もうりっぱに農業として成り立ち得るものがたくさん出てきております。  しかし、何と言っても、やはり優良農地というものは大事なものである。それが妙なほうに使われるということは、われわれとしては絶対に避けなければなりません。そういうことのために、農地の転用についても、先ほど局長からお答えいたしましたように、われわれといたしましては、農転の願い出がありましても、やはり種々の条件がありまして、その条件に合致したものでなければ許可をいたしませんからして、できるだけの方途を講じて、農用地、しかも優良農地確保してまいるという方針にはちっとも変わりがないわけであります。
  89. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 われわれは、こういうように地価が高い場合には、所有権は、国や公共団体やあるいは不耕作の者が持っていてもやむを得ないが、その利用権というものを拡大し、これを保障していく。そういう所有と利用との関係についてのけじめをちゃんとつけて、その間におけるところの耕作料とか、いろいろなものについての小作料とか、そういうものについての検討はするのかどうか。そういう土地の移動ではなしに、地上権の利用の方向についての検討をするべきだと思うのですけれども、この点についてはどうだろう。
  90. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 非常に大事なことを御指摘になりました。われわれも、そういうことについて十分検討いたしておるわけであります。
  91. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 石油の値上がりのために、肥料の資材の燐鉱石その他の輸入がかなりむずかしくなり、しかも、現地ではたいへん値が上がっております。そして、物の量において、金額において、来年の肥料にかなり影響する。そういうときに、従来日本の農業というものは、金肥による収奪農業で地力を収奪してきたが、一つは、これを自然肥料に変えていくということももちろん考えなければならないけれども、金肥によるところの生産、米その他の生産減というものが予想されます。そういう場合に、依然として生産調整をされるのか。その生産が減じた部分についての補償は一体どこでやるのか。この点について、かなり先のほうのことを予測をするようでありますが、それは当然やらなければならないことでありますから、お答えをいただきたい。
  92. 岡安誠

    ○岡安政府委員 農業経営にあたりまして、金肥中心になって、そのことによって、土壌の生産性にいろいろ問題が出てきているということは事実でございます。そこで、私どもは、かつて相当行なわれました堆厩肥の増投ということを、この際もう一回検討してみたいというように考えております。  ただ、先生お話しのとおり、そういうような状況において、なお生産調整をするのかとか、補償をどうするのかという点でございますけれども、  一般的には、まだ反収は増加の傾向にございますし、水田等につきまして、すべて稲作を行なった場合には、潜在的な生産性は相当多く、過剰ぎみであることは事実でございます。そこで、来年度以降におきましても、私どもは、転作は極力奨励をいたしたいというように考えておりまして、そういう方向に私ども考えているわけでございます。
  93. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最近、年末で、予算の編成を前にして、各農業関係の団体がそれぞれ集会を持って、いろいろな要望をします。そこに衆参の農林委員長や、農林大臣、総理大臣までが、メッセージを送る。あれにはまことにいいことが書いてありますね。全くいいことが書いてある。しかし、実際にやってみるとあのとおりならない。いつも同じようなことを言いながら、中身が違う。  そこで、先ほどから農業の問題について、いかに物を確保するかという立場から、私はいろいろ質問してまいりましたが、今度は、農業団体に仕事をしている職員の給与、手当その他の諸雑費というようなものについて、これは民間の各企業なり公務員と比べてみると、かなり低いような感じがする。こういう点についての再検討、あるいは再考慮というものはされておるのか、おらないのか。
  94. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 そういうところの職場の人たちのために、いままで私どもできるだけ心配してまいりましたが、いま、予算編成途中でありますので、十分検討してまいりたいと思っております。
  95. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ぜひそれは再検討をお願いしたいし、それからもう一つ、農業災害補償に関するものは、この国会で、畑作共済について新たに検討して、新しい法律をつくり、政令を出すようになっておるようでありますけれども、それにしても、現在の農業災害補償制度に対して、まだいろいろな不満があります。不備があります。こういう点について再検討し、新しく考えていく必要があると思うけれども、その辺はどうでしょう。農業災害補償制度に対する再検討の意思ありやいなやということ。
  96. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 保険制度というのは、みんなが理解すれば、これはたいへんいいことだと思います。したがって、私ども、いままでいろいろなものについて、わりあいに長い期間、試験期間等を置いてやってまいりまして、なおいろいろな作物についての検討は続けてまいるつもりであります。
  97. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この間閣議で、消費者米価を来春から上げるということをきめた。われわれはあれについてはいろいろ異議があるのだけれども、ところが、きょうは、国鉄にしても、消資者米価にしても、十月まで延ばすということを発表されました。きょう農林大臣は、延ばすということを正式にきめた。これは閣議で了承しているのか、それとも農林大臣の一つの決意なのか、その辺はどうでしょうか。
  98. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは、来年度予算編成の途上における政府の姿勢でございまして、いろいろな角度から、まず、第一に、当面一番大事なことは物価を抑制することである、したがって、そのためには、総需要の抑制ということを念頭に置いて予算を編成すべきであると、こういう考えに立ちまして、消費者米価等につきましてもそういう相談がございましたので、これはあらゆる角度から見てやむを得ないことではないかと、このように考えているわけであります。
  99. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 消費者米価を六カ月延ばしたから物価が安定するという保証がありますか。その見通しはどうですか。
  100. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 全体の姿勢でございます。やはり、総需要抑制と、それから成長率も相当程度ダウンして、現状を安定させるということのために必要な手段はできるだけ講じてまいろう、こういうわけであります。
  101. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間が参りましたからこれでやめますが、私は、先ほどの野坂委員の質問に対するお答えと、私のやや基本的な問題についての質問を通じてのお答えを伺った中で、現在の日本という国が置かれた立場を考えるとき、鉱業資源にしても、食糧も、えさも、米を除いて、日本においてはほとんど自給ができないという状況の中で、依然としてまだきびしさが不足をしているような感じがいたします。特に、農業に関するものの考え方の中にも、一致する点は多々ありますけれども、なおまだ食い違うところがある。そういう点については今後ただしていきますが、とりあえず、現在一番問題になっているのは、何といっても石油の問題なんです。この石油の問題に関して、農林大臣は、からだを張ってでも、通産省にその権利を全部奪われてしまって、農林省あとで困ったということのないように、農林大臣の責任において石油のワクを握り、そして、農林大臣農業各関係団体との間でこの石油についての分配をし、万遺憾なきを期さないと、今度は食糧生産影響し、日本の国民生活に不安を与えることは間違いないので、その点についてはくれぐれも要望をして私の質問を終わります。      ————◇—————
  102. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、農林漁業用の石油確保に関する件について、決議をいたしたいと存じます。  本件に関しては、各党の理事間におきまして協議を願っておりましたが、その協議が整い、案文がまとまりました。便宜委員長から案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。    農林漁業用石油確保に関する件(案)   最近の我が国の石油事情はひつ迫し、大巾な節減をする政策をとらざるを得ない実情にある。   しかしながら、農林漁業用の石油については、これを画一的に行うときは、生産に大きな打撃を与え食糧不足等のゆゆしき事態が生じることは必至である。   政府は、かかる憂慮すべき状況にかんがみ、農林漁業用の石油を優先的に確保するため左記事項に充分配慮し農林水産物生産確保すべきである。      記  一 農林漁業(関連事業及び公共事業を含む)用石油需要の実体を早急かつ的確に把握するとともに必要に応じ、供給量を明示し、時期を失することなく必要な量が適正な価格で確実に供給できるよう農林漁業団体を石油類の実需者団体として位置づけ、その活用を含め必要な体制の確立等の措置を講ずること。  二 国民生活に欠かすことのできない基礎的な物資である食料品、木材をはじめ飼料等の国内及び海上輸送用石油供給確保を図るとともに、農林漁業等の生産に必要不可欠な農業機械、肥料その他の資材についてもその確保に万全を期すること。  三 行政指導によつては必要量確保につき実効を期しがたいときには、農林漁業等の特殊性にかんがみ、早急に割当配給制に移行することにつき検討すること。   右決議する。 以上でございます。  ただいま読み上げました案文を、本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  103. 仮谷忠男

    仮谷委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。  この際、本決議に対し、政府より所信を求めます。倉石農林大臣
  104. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまの本委員会の御決議につきましては、その御趣旨を体して検討いたしまして、善処いたします。
  105. 仮谷忠男

    仮谷委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。      ————◇—————
  107. 仮谷忠男

    仮谷委員長 質疑を続いて行ないます。中川利三郎君。
  108. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 先ほど来、三十万ヘクタールの農地転用の問題にからみましていろいろ論議があったわけでありますが、農林大臣は、きょうの所信表明の中でも、新たに、国際的な食糧問題の中で、国内で可能な限り自給基本とするというような御発言があったわけであります。しかし、一方でそういうように自給基本にすると言いながら、一方では三十万ヘクタールの農地をつぶしていく。農民であれ、国民の皆さん方であれ、全体として、こういう農林省の姿勢では、あるいは大臣のやり方では信用ならないではないかという感情が起こってくるものだと思うのですが、この辺についての大臣の御意見を伺いたいと思います。
  109. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますように、食糧というものは、国民生活にとりまして、欠くべからざる重要なものでありますので、私どもの立場といたしましては、このための優良農地確保のためには全力をあげてやるわけであります。そこで、そういう前提に立ってただいまのお話しの問題を考えますと、やはり、優良農地確保するというたてまえをとるわけでありますから、一定の期間それぞれ関係省庁と協議をいたしまして、その実行について検討いたしてまいりたいと思っております。
  110. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 一方で農地拡大する、一方で農地をつぶす、こういうあり方について、これではたして農民が、農林省のやることを、おれたちの味方だと信用すると思うかどうかということを聞いているのです。現に、農民の方は、農林省というものはわれわれの暮らしを守るものだというふうに理解しておったのに、こういうことは何ということだということで、みんなおこっているんですね。これについてお聞きしているのです。
  111. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ものごとを誤解される方がありますならば、やはりそういう誤解も生じるかもしれませんけれども、私がいま申し上げましたように、農業はまず一番大事なことなんだ、したがって、優良農地は守るんだということです。しかし、その間において、先ほどもお話しに出ましたように、市街化区域には、すでに二十八万ヘクタール余り農地があるわけであります。それから、毎年壊廃も六万ヘクタール余りあるわけであります。それやこれやをいろいろ検討してみまして、この三十万ヘクタールというのは、つとめの方々とか、その他公共用地、工場用地等に必要のある土地を提供するということが出てこなければ、地価を抑制するということはなかなかむずかしい。したがって、その両方の意見を十分しんしゃくいたしまして、十分に一定期間を置いて検討して、その目標に進みたい、こういうわけでありますので、農家の方々が御心配をなさることは少しもないんだと思っております。
  112. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 市街地の優良農地を守るとあなたはおっしゃいますが、今度の三十万ヘクタールの転用のあれを見ますと、市街地の中でも優良農地がたくさんあるわけであります。こういうものもおしなべて転用の範囲内にしているということからいたしましても、いまの大臣の御答弁はうなずけないし、大臣が幾らおっしゃっても、農林省というものが、農業用途以外のほうの、たとえば宅地だとか、いろいろなもののために土地を提供する、その旗振りの役割りをつとめるということは、農林省本来の仕事から言ってもおかしいじゃないですか。農民から見れば、農林省は、おれたち農地を含めて味方だというような理解があるわけでしょう。ところが、それをいま農林省が先頭になって、農業用以外の土地をつくるためにあなた方が先導してやるということについては、何と農民を説得したらいいのか。説得のしかたが悪いとか、理解が不足だとか言うけれども、これはどういうことですか。ほかの建設省が宅地供給をどうするとかいうならいいけれども農林省農地をつぶすということについて、農民にどのように理解させたらいいのか、大臣からお知らせいただきたいと思うのです。
  113. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 あなたも十分に私ども考え理解していただきたいのでありますが、農林省は、何も率先して農地をつぶそうというのじゃないのであります。しかし、全体から見て、優良農地確保し、そして、先ほど来お話しのありました農作物自給度をできるだけ高めてまいるという農政のもとにおいて、農地はどのくらい必要であるかという計算をしてかかっているわけであります。  それから、また、市街化区域内の農地お話しがございましたけれども、これはもう、都市計画法ができましたときに、市街化区域に編入されました農地につきましては、これは許可を要しないということにいたしてあることは御存じのとおりでございまして、私どもといたしましては、三十万ヘクタールのお話しは、これをどのように実行できるかということについては、一定期間を置いて、関係省庁と十分検討を続けてまいりますが、農業を阻害するようなことのないように、優良農地はどこまでも優先的に確保していくんだという前提に立っているのでありますから、農家の方々はそんなに御心配なさっておらないと思います。
  114. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 農業生産の基礎は土地だ。農地だ。この農地をつぶすのが農林省なんですよ。優良農地確保すると幾らあなたがおっしゃったって、農林省は、農地を保全するだけじゃなくて、新しく拡大していくということ、これがほんとうなんです。それがたとえ市街化地域内であれ、何であれ、それをつぶしていくということは、これはどういうふうにあなたが御説明したって、農民が納得できるものではないじゃないかと思うわけであります。ここであまり論議することは目的じゃありませんが、あなたは、六万ヘクタール毎年壊廃されているから、しかも、今度手直しで、一年じゃなくて四年くらいでやるからたいしたことないじゃないかというような言い方ですけれども、大体、年間六万ヘクタールの農地がつぶされていっているということ自体が問題なのであって、農林省とするならば、こういう趨勢に対して歯どめをかけること、ストップをかけることが農林省の当然の役目ではないか。農民が期待しているものもみんなそういうことだと思うのです。それを、六万ヘクタールくらい毎年壊廃しているからそんなものはいいなんていうことを前提にしてお答えになるなんということは、私はもってのほかだと思いますが、その点、大臣はいかがですか。
  115. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農業の方も、一般のほかの仕事の方も、年々生活水準が上がっていくようにしなければなりません。また、農業というものも、農業を守ってくれ、農業を守ってくれと言ってみたところが、ちゃんとした生活のできるように、しかも、産業として成り立つようにしてあげなければ、どうしたって農業を守っていただくわけにいかないわけでありますので、先ほど竹内さんの御質疑の中にもあってお答えをいたしておりますが、たとえば、小さな農地をお持ちになって兼業でやっていらっしゃるような方々の農地等も、経済的に活用する方法を講ずべきではないかという御趣旨のお話しがありましたけれども、全くそのとおりでありまして、私どもしとしては、やはり経営規模を広げて、そして、農業としてりっぱに成り立つような農業を育成していきたいのです。それには、やはり農業就業者の人口も減ってまいるでありましょうし、それから、農用地面積もある程度限られたものになるでしょうが、それでも生産は落ちないということ、これは農業の先進国の例をごらんなさればわかるとおりでありまして、私どもといたしましては、農業はどうでもいいんだというふうな考えに立っているのではございません。
  116. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたは、農業生活できるように、産業が守られるようにという言い方をしますが、現実にあなた方のおやりになった過程の中で——あなたもかって農林大臣を何回かやっておりますから、御責任があると思うのですが、その過程の中で、私は秋田県の出身ですから、農業が年々発展していくというあなたのおっしゃるような発展のしかたじゃなくて、年々荒廃していっていることをからだで感じている人間なんですよ。だから、そういうおっしゃるようなことがあれば、あなたの言う農業あるいは農家というのは特殊な方々です。ほんとうに大地の中で汗を出して、くわで土を耕す人たち農業とかかわりのない農業のことをあなたはおっしゃっておるようですね。それでは問題にならないと思うのです。あなたのいまのおっしゃり方だと、今度の三十万ヘクタールをつぶすことについても、農民理解が足りないからまだわかっていないのだというおっしゃり方でありますけれども、それなら、農民の最高の団体である全国農業会議所とか、あるいは農業委員会だとか、そういうあらゆる団体でなぜいま反対しておるのか。その三十万ヘクタールをつぶすことについて賛成しておる団体はどこですか。逆にこれをお伺いします。みんな反対しておるじゃありませんか。それだけではありません。農林省の、おたくのほうの最高幹部、これは、私は、名前を言うのは差し控えますけれども、この人がどう言っているか。これは、すぐあなたの下にいる人ですが、あの三十万ヘクタールをつぶすなんてことは気違いざただと言っているのですよ。倉石さんは腹の中でどう思っているか知りませんけれども、それが実態じゃないですか。また、おたくの自民党の総合農政調査会と農林部会が、先月の二十日に合同部会を開いたって、三十万ヘクタールの転用の問題について、賛成する発言をした人は一人もいなかったというじゃありませんか。この事態を見ても、あなたの言ったように、このことは農民のためになると言っても、どこの農民のためになるのか。大臣、もう少し虚心たんかいに答えてください。前の櫻内さんは、おれはほんとうはやりたくないけれども、田中さんの顔を立てなければならないから、何とかその苦衷を察してくれというお話しをしたのですが、倉石さんはどうおっしゃいますか。
  117. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどもお答えいたしましたけれども田中総理のおっしゃったことが、本旨と違ってだいぶまちまちに伝えられておるように見受けられるのでありまして、私どもも、農林省に参ります前のことでありますが、そのお話しを聞きまして、どういうことなのかと思っていろいろ聞いてみますと、受け取り方が人によってたいへん違うようでありまして、たとえば、一年に三十万ヘクタール農地を出せということだと、これはなかなかたいへんなことだと思いますが、一時はそういうふうに伝えられておりました。私どもが先ほど来お話し申し上げておりますように、つとめておられるような方々の宅地供給とか、また、公共用地、工場用地等の上昇していく価格を何とかして抑制する手段がないかというようなことも一方において考える人があります。そういうことのためには、宅地は幾らでもあるのだぞということが非常に大事なことになるのでありまして、そういういろいろな意味であの問題が取り上げられたようでございますけれども、したがって、私どもは、先ほど来お答えいたしておりますように、時間をかけて、それぞれの関係方面と相談をして、どういうふうな手順でやるかということを相談しておる。こういう段階でございます。
  118. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたのおっしゃるような、そんなにすばらしいものなのですか。それも、田中さんの真意を皆さんがくみ取れなかったからと言うけれども、いやしくも、全国の農業団体の最高機関が、末端に至るまでみな反対の火の手を上げておるということをあなたは御存じなんですね。おたくの党の中でさえも、つまり田中さんのお声が一番響くところにいる党の中でさえも反対の意見があるわけですね。これはひどいじゃないかという意見があるわけですね。あるいは財界、つまり、いま自民党と御親類づき合いをしていると言われている財界の中でも、国際化に対応した農業問題懇談会が、先月の十六日に会議を開きまして、土光という経団連の副会長さんが、政府に抗議しなければならないと言っておるのです。身内の中からでさえもそういう声が出ているのに、あなたの言うように、田中さんの真意が理解されないからまだその程度だなんていうことで済まされるものかどうか、いま一回御答弁いただきたいと思います。
  119. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私がくどくど申し上げますよりは、参議院の予算委員会で杉原さんに対して総理大臣がお答え申し上げておりますことでよく御理解いただけると思うのでありまして、その翌日の新聞等もあらかた同じような報道をしていただいているのでありまして、目の前に一年でばさっと早く出せという話だったらだれもびっくりすると思いますけれども、私どもとしては、いまごらんのとおりの経過をたどって検討を続けている。こういう次第でありまして、農業団体等も、なるほどそうですかということであります。
  120. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 農業団体が、なるほどそうですかと、いっそういうことがありましたか。倉石さん、あなたは、ないことを言わないでくださいよ。あなたは最高責任者、最高指導者ですからね。しかも、あなたのいまのおっしゃり方は、最初三十万ヘクタールの改廃を一年でやれと言った、しかし、実際の真意はそうじゃなくて四年ぐらいだ、だからたいしたことはないじゃないかと言うけれども、たとえ十万ヘクタールであれ、三十万ヘクタールであれ、あるいは一年であれ、四年であれ、どっちであっても、大体、農地を守り、それを保全し、拡大しなければならない農林省が、農地をつぶして他の用途に供給することの主導的な役割りを果たすということは、その考え方そのものが今日の農業の荒廃をもたらしたものだ。私は、そこに根本的な今日の農政の問題点があると思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  121. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は、信州の山の中の生まれでありますが、あなたも秋田県で、市街地かいなかか存じ上げませんけれども、私どものほうの地域に行きますというと、同じ一ヘクタールの中でも、非常に古い昔ながらの農業をやっていらっしゃる方は、昔ながらのかっこうでやっている。それでは能率があがりませんので、土地改良の長期計画等もやりますし、それから、圃場整備などもやりまして、能率があがるようにしておるわけであります。ことに、地域的に、公害の伴わない産業を地方に分散していこうということで、地方にあります余った労働力はそういうところで働いていただいて、現金所得を得られるようにということで、先年、そういう産業が地方に分散されていくための助成ができるような法律もつくっていただきました。そうすることによって、農村の構造の改善というものが着々行なわれるわけであります。これはもうよく御存じのとおりであります。そういうことを一方にやっておりますので、普通にしておりましても六万ヘクタール余り壊廃が行なわれておるわけでありますので、私どもといたしましては、いまの地価の抑制を考えるときに、そういうことに対してできるだけ協力をすべきである、優良農地を保護する最大の目的は保持しながら、できるだけの協力をすべきであるということで、各関係省庁の間で検討している。こういうことでありますから、御理解をいただけたと思うのであります。
  122. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 御理解は、残念ながらできないですね。たとえば、あなたは、 いま、六万ヘクタール毎年壊廃されていると言っているが、私の手元に農林省統計情報部の資料がございますが、これは、壊廃のあれがずっと年度ごとについているのですね。その数字の点は皆さんのほうが詳しいから申し上げませんが、壊廃の中の、住宅用地なんかは逆に減っているのですよ。そして、工業用地だとか、そういうものがふえているのです。事実上たんぼがつぶれていっても、この統計で見る限りにおいては、住宅用地としては何もふえておらないのです。しかも、植林その他の転用なんかを除けば、ほんのわずかなもので、五万ヘクタールもいかないのだ。これが実態なんですよ。だから、そういうことを名目にすること自体がおかしいし、もう少しあなたは虚心たんかいに——前の櫻内さんが言ったことを先ほども私は言ったでしょう。私はやりたくないけれども、しかし、田中さんの顔も立てなければならないので、その苦しい胸の中を察してくれと言ったと言ったでしょう。私は、櫻内さんはまだ正直だと思うのですね。あなたは、いま、私の聞きもしないことを得々と並べて言っていますけれども、私が聞くところによれば、あなたは、前の農林大臣よりもまだ自民党の中では実力者だというふうに評価されているわけですね。櫻内さんの苦しみを本物にしていくのじゃなくて、それをなくすためにも、あなたは、そういう実力者としての力を発揮して、この際、農林省の立場としてはそれはできないのだということで、田中さんにあなたから堂々と進言して、撤回するということを要請する御意思はございませんでしょうか。倉石さん、頼みますよ。どうですか。
  123. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 前大臣からも十分いろいろな引き継ぎをいたしておりますし、それから、先ほど来お答えいたしておりますように、私ども、部内では、事務当局、担当者が、各省庁と集まりまして、それぞれ検討を続けておる最中でございます、
  124. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まあ、時間の関係もあるからいいですが、そういう点で検討を続けてまいる所存なんだと言ったって、あなたの御意思を聞いたわけです。これはやめるべきだということを進言するかどうかということを私は聞いたわけですが、あなたは、検討しなければわからないような、そういう人じゃないはずなんだな。そういう点で、非常に残念な御答弁だと思いますが、いまの転用に関連して、私のところの秋田の連中、農民の人方に言わせますと、いままでの高度成長の中で、農業後継者のむすこを農村からどんどん都会に取られた、そして、いままたおれたち農地をつぶすのか、後継者を取られ、農地をつぶされ、おれたちはどうしたらいいのかと言っているのです。出かせぎなんかも、私のところは、いままでは、農業で飯を食えないところが、男がどんどん出かせぎへ行っていたが、最近はおかあさんまで出かせぎに行くようになっていまして、いま農家に残っているのは、ばあさんか、じいさんか、あとは犬かネコしかいないというぐらいにさびれているのが現状なんですね。  まあ、その点はともかくとして、あなたは、先ほど来自給の必要性を云々されておりますけれども、きょうの農業新聞なんかを見ますと、外国の麦価が高騰して、いままでは、外国の麦価が日本の国内麦の二倍も安かったが、いまは、外国の麦価も日本の麦価も同じになったということを書いていますね。こういうべらぼうな状況の中で自給をふやしていくためには、どうしても先立つものは農地なわけですね。この農地をふやすと言いながら、先ほどから何回も言ってきたとおりの、自給そのものを脅かすような、足元を脅かすような、農地を三十万ヘクタールもつぶすということの旗振りに農林省が立つ。こういう無謀なことですから、あなたのほうの総合農政調査会会長の丹羽さんでさえもどう言っているかというと、これは新聞で見たのですが、こう言っているんだな。総理はどう考えているか知らないが、三十万ヘクタールというのはたいへん大規模で、食糧供給基本に関することだ、石油の例を見ても明らかなように、いま必要なのは自給体制の確立で、まず、その対策考えることが先決だと、こういうようなりっぱなことを言っているし、あなたも、いまの大臣就任の所信表明の中でも言っているんだな。しかし、言っていることとおやりになっていることは、あなたがるる説明したってだれもが納得しないということは、先ほど言ったように、各界各層のあらゆる人方がずっと反対の火の手をあげているということを見ても明らかだと思うのです。  この点で時間を費やしても何でありますから、いまのことを御指摘申し上げて次へ進ましていただきますが、最近、十二月の八日付で次官通達を、皆さんのところで、各農政局長や都道府県に出しているのですね。どういう通達の内容かといいますと、いままでどんなに急いでも二、三カ月かかった転用許可の事務処理、これを一カ月以内に大至急やってしまえということ、これが第一です。それから、もう一つの問題は、まだ転用許可申請の出ていないもので先取りして配慮して、早く諾否をきめてしまえということです。こういうものすごい、べらぼうな次官通達が出ているのですね。こういうやり方をしますと、大企業や大資本の土地の買い占めや農地壊廃を、農林省の立場で全く公式に援助、奨励するものだというふうにわれわれは考えているし、あるいは、自治体の権限さえ脅かしているという事態さえ通達の中にはあるわけでありますが、これについて大臣はどうお考えですか。
  125. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどもそのことについてお答えいたしましたが、場所によりますと、手続をしても一年もあたためられているというような話がありまして、いいとか、悪いとか、行政の判断を早く下してもらいたいという要望はずいぶんありました。そういうことについてすみやかにはっきりして、黒白を明らかにしてもらいたい、こういうことの精神でございます。
  126. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 すみやかに黒白を明らかにしてもらいたいという精神だと言ったって、あなた、いままでの次官通達と、今回は趣旨が全く違っているのですね。たとえば、三十四年にも次官通達が出ているわけですが、どういうことをいっているかというと、趣旨は、重要な点は、公共的な性格を持つ団体以外の行なう宅造事業等のために転用することは適当ではない、市街化区域の転用は原則として禁止する、こういうことで、つまり、農地法の趣旨に基づいたきちっとした規制があったのです。ところが、今回は、何というか、もう全くノーズロースで、何でも早くやってしまえということで臨んだわけですね。こういう違いが出てきているということは、あなたの言うような情勢の変化かどうか知りませんけれども、明らかに農地法の骨抜きであり、全く趣旨が違っている。この結果として、大資本、大企業の不動産の土地買い占めを援助、奨励することが具体的事実としてあらわれているということ、これについてどう思うかということをお聞きしているのです。
  127. 大山一生

    ○大山政府委員 ただいま先生の御指摘の三十四年というのは、一般基準のことを言われておると思うわけでございます。その後、水田につきましては暫定基準を、これはたしか四十六年だったと思いますが、それにおいて出しているわけでございます。いま先生の言われましたことは、われわれのほうといたしましては、従前の基準を変えるということではなくて、従前の基準に照らして黒白を早くしてやれ、早くするようにしてもらいたいということを指導したわけでございます。とかく問題が、可能性もないものが何となく長引いている中で問題がこじれるというようなこともございますので、はっきりと、いいものはいい、悪いものは悪いということを言ってやることは、これはかえって住民のためにもなるのではないかというようなことでやったわけでございまして、三十万ヘクタール、大幅転用のために無理してここでものの考え方を変えたということではございません。
  128. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたはそうおっしゃいますけれども、それは、転用許可申請が出たものについて審査して、それを早める、それの諾否をきめるというなら、あなたの言うのはわかるのですよ。ところが、そうじゃないでしょう。まだ転用許可申請の出ていないもの、それまでさがし出して、早いとこやってしまえというんでしょう。あなた方の今度の通達の趣旨はそういうことですね。このことはべらぼうなことであって、あなたが三十四年の通達の趣旨とそう精神が違わないと何ぼ言ったって、問題どころじゃないですよ。たいへんなことでしょう。しかも、あの通達の趣旨の中には、自治体の権限さえ侵そうとすることを平気で書いてあるでしょう。そういう転用の許可申請も出ていないものまでやってしまえということはどういうことですか。あなたはどういうふうに説明しますか。
  129. 大山一生

    ○大山政府委員 普通の転用の手続の場合につきましては、これは転用に該当するであろうかどうかというような打診があるのが普通でございます。そして、それがありました後に、今度は事前審査という形式をとり、そして、それのあとで本申請というようなかっこうで進んでまいるわけでございます。  私が先ほど申し上げましたのは、そういうふうな事前の打診という場合に、はっきり基準に照らして、これはいい、可能性がある、これは可能性はないということをはっきりしたほうがいい、はっきりしなさいということを申し上げたわけでございます。
  130. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そんなことを言ったって、だれも納得はするものではないということだけ申し上げておきたいと思うのですが、それでは、具体的な事例でお伺いしましょう。  埼玉県の北葛飾郡吉川町というところで、三菱地所が、市街化調整区域内の第一種農地四十四ヘクタールを、仮登記の上、所有しているという事実がございます。この地域は、去る四十六年ごろから宅造の目的で買収され、耕作がストップし、荒廃しています。市街化調整区域の、しかも第一種農地が、いま述べた三十四年の次官通達の転用不適当という条件の中で買収され、しかも、現に荒れ地となっているという現状があるのでありますが、これについてはどう考えますか。
  131. 大山一生

    ○大山政府委員 吉川町につきましては、県にも、そしてまた農政局のほうにも、農地転用の申請ないしそれへの打診といいますか、そういうものはまだ出ておりませんので、つまびらかにしているわけではございません。ただ、現在われわれの承知しておりますのは、あの町に起きまして、農振法の指定後の農用地区域の指定をといいますか、農振計画の作成が県との間において協議されているということは承知しております。
  132. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それではお伺いしますがね。いまのことに関連して、また、この地域は、吉川町の計画では、農振地域指定の予定地となっているわけですね。現に、この町の農振促進協議会では、その旨の議決をやっているわけです。農振地域の指定を受ければ当然転用がむずかしくなるので、三菱地所や、そのダミーと見られる商社が、再三、町と協議会に対して、陳情という形の圧力を一生懸命かけているわけですね。それで、指定除外を迫っているという事実があるわけですね。どのようなやり方で圧力を加えているかというと、いま農振地域に指定したところで、もう、この土地は、おれのほうの、三菱地所のものなんだからそんなことはできないんだ、おまけにここはもう荒れ地なんだから、農振地域指定の要件を満たしていないんだ、やるならやってみろというような、実質上脅迫に近いような文書なんかを出してきているんですね。つまり、農民の横っつらを札束でたたいて買いあさって、おまけに、自治体独自の計画さえも踏みにじろうとしているわけですね。こういうことであって、三十四年の次官通達の趣旨に忠実であるとするならば、当然この農地は転用が不許可になるものだと思うけれども、あなたは、いま、まだ協議中だか何だか、来ていないからわからないと言うけれども、まず、こういうケースについてはどうだかということについての結論を出していただきたいと思うのです。
  133. 大山一生

    ○大山政府委員 農振計画の作成というのは、先生御存じのように、市町村が行ないまして、縦覧、公告、そして異議の申し立て、そして知事の認定というかっこうで決定するわけでございます。したがいまして、その決定を待ちまして農用地区域の範囲がきまる、こういうことでございます。  ところで、その土地に、いま先生御指摘の場所につきまして、農地法上の転用の申請が将来出てまいりました場合には、これがかりに農用地区域からはずれていたとしましても、一般基準あるいは水田でございますならば、水田の暫定基準、これに照らして適否を判断してまいるということになると思っております。
  134. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いろいろな言い方があるわけでありますけれども、今回の三十万ヘクタール転用の問題について、今度は大臣にお聞きしますが、これについて、世間の口には戸が立たないといいますが、実は、国道の両側二百メートルだとか、市街化区域の農地はどうだとかやっていますけれども、市街化調整区域の中に、大資本がごっそり買い占めして、かかえ切れないで困っている土地がたくさんあるわけですね。いま、それらを含めて、全部で四十七万ヘクタールあるといっていますね。しかも、そういう市街化調整区域の中で、農振地域に指定されたりなんかしますと、今度は売ることができなくなる。つまり、田中総理の言う三十万ヘクタールの真意というものは、ほんとうのねらいは、いま調整区域の中にたくさん土地をかかえている大資本、大不動産業者を救済するためにこの三十万ヘクタール構想を出してきたのじゃないかと、こういうことをまことしやかに言うている国民の声があるわけですね。大臣はこの国民の声を聞いたことはありますか。(「みんな言っている」と呼ぶ者あり)みんな言っているでしょう。
  135. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 あんまり聞いておりません。
  136. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうですか。いま社会党の方もおっしゃったように、これはみんな言っているのです。このほんとうのねらいは、むしろそこにあるのだと言っているのです。  そこで、私がお伺いしたいのは、あなたは、先ほど来、三十万ヘクタールの壊廃をやれば宅地も潤沢にいくんだ、地価も安定するんだというような言い方をしていますが、その保証は一体どこにあるのですか。どうして地価が安定し、どうして宅地の供給がふえるのですか。私は何ぼ考えてもわからないわけですが、その点をはっきり教えてください。
  137. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまは言論の自由な時代でありますので、何でもかってなことを言いほうだいの世の中ですから、いろいろなことは言われるかもしれませんが、公平に考えまして、限られた品物をみんなで奪い合う場合には、当然価格は上がっていく。これは、自由経済の社会ではもう当然なことであります。そこで一番必要なことは、いわゆるサラリーマンの計画などを見ても、宅地がほしいという方がかなりありますし、そういう方々に対して供給をすることが必要なことでありますので、ない、ないと言えば、高い銭を出してみんな買うでしょうから、やはり宅地は心配ないのだ——心配ないといっても限度がありますが、そう心配することはないのだというふうになってくれば、買いあさりも押えられるのではないかということは、これもだれしも考えられる理屈であります。同時に、もう一つは、公共用土地並びに工場用地、宅地等については、現実にできるだけ努力をして出せるようにしてあげることが政府の任務ではないかとわれわれは考えるのであります。
  138. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた、そういう一般論でものを聞いているのじゃないのですよ。あなたは、農地をつぶせば宅地がどんどん供給されると言うが、しかし、その宅地は、市街化区域の農地はだれが買うのですか。何も政府が関与するわけじゃないでしょう。売るのは農民であるということがわかっておって、だれが買ってどうするかということについての、そこの押えが一切ないわけですから、その農地が、最終需要者であるところの、宅地をほしい、マイホームをほしいという新婚の人方に渡るという保証は一つもないでしょう。そんなことでどうするかということがいまの問題なわけで、そこを押えないでおいて、ただ、供給がふえるのだ、地価も安定するのだと言うけれども、地価を安定することだって、先ほどの質問にもありましたとおり、たとえば、坪一万円にしたって、三十万ヘクタールだと九兆円だ。そうすると、これが、いままでの土地売買でずうっとわれわれが見てきましたような仮需要というものを生み出していったならば、地価つり上げの一大インフレーションが起こるんじゃないですか。問題はそこにあるのであって、わが党がかねて指摘していることで御存じだと思いますが、いま、大資本、大商社が四十七万ヘクタール買い占めていると言われていますね。これはもう、通産省も大体その程度のことは認めているんだな。そこへ手をつけないで、そして、農民の既存の農地さえも奪い取ろうというわけだ。あなた、既存の農地ぐらいは守るのがあたりまえでしょう。こういうことで納得すると思うかどうかということですね。  いまこそ政府は、大手不動産や大企業の土地保有がどうなっているのかという状況をはっきりつかんで、その中での遊休の土地を吐き出させるということをさしあたってやらなければならないのであって、政府のおやりになっていることは全くさか立ちしているんじゃないか。特に、農林省がそういうことの先導的な役割りを果たすなんということは、何ぼ考えても国民が納得するものじゃないと思いますが、この点について、私はまだ質問があるので、簡単でいいから大臣の御所見を伺いたいと思うのですね。だらだらとしたお説教は、まずごかんべんいただきたいと思います。
  139. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 おっしゃるほうだけ長くしゃべって、答えるほうが不十分だと、どうも本旨が徹底しませんので……。  そこで、中川さんももう大体御存じのように、わが国は、貿易が非常に活発であって、外貨が非常にふえてきた。そして、いわゆる過剰流動性というものを持つようになってきた。金融を引き締めたり、いろいろなことをやっても、偏在しております過剰流動性をどういうふうにするかということが、物価安定とインフレムードを抑制するのに一番大事なことでありますので、そういう角度から考えまして、私どもは総需要抑制ということに踏み切るわけでありますが、いまお話のございましたようなことで、したがって、過剰流動性を持っているものが有利な投資物として、土地に目をつけたのも自然なことだと思います。  しかし、それにしても、私どもは、その地価抑制のために国総法というふうな法律の御審議をお願いしておるのでありますが、これが成立すればかなり効果もあがりますが、いま中川さんのお尋ねにありましたように、何も、農林省がそういう土地をつぶすことに率先しているわけではありません。したがって、関係省庁の中には、建設省という、そういう計画をする役所も入っておるんでありますから、そういうような関係者をみな集めまして、どういうふうにしたらできるかということで、一定期間を置いて努力をしてみたいと、こういうことを言っているんであります。
  140. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間もないので、あとでまたゆっくりやりますが、最後に私はお伺いしたいのですが、御承知のとおり、わが党は、第二次土地改革というものをいま提案しているわけですね。つまり、土地と住宅についての日本共産党の具体的構想というものです。大臣はお読みになったことがあるかどうか知りませんが、いまこそ農用地の画期的な拡大をすべきだ、つぶすんじゃなくて拡大しなきゃならないんだということのためにわが党が提案をしておりますので、大胆、ちょっと聞いていただきたいのですよ。「全国の山林原野のうち、国有地約七百八十万ヘクタール、公有地約二百八十万ヘクタール、会社保有地約百万ヘクタール、林家所有山林のうち所有百ヘクタール以上のもの約八十万ヘクタール、合計すれば千二百万ヘクタールをこえる。一方、中農家農地面積下限一・五ヘクタール(北海道は七・五ヘクタール)とみて、それに下の農家をそこまで引き上げるのには、約四百万ヘクタールあれば足りる。かりに農地が四百万ヘクタール拡大すれば、現在の農地面積を七〇パーセント拡大することになるだろう。だいじなことは、これらの農用適地にたいして、国費による大規模土地改良基盤整備を計画的、系統的におこなうことである。平たん地と比べ生産力の劣る土地が多いところから、当然である。そして、これらの土地を、将来とも農業生活していくことを希望している農民に利用させる。先にのべた国費による助成は、長期的につづけられなければならない。また、将来の農業のいっそうの発展を考えて、農用適地は、いますぐ利用されないとしても、予備地として確保する政策をとるべきである。」これに対して、一言でいいから大臣の所感を聞かせていただいて、私の質問を終わります。
  141. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 参考になりました。
  142. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  143. 仮谷忠男

    仮谷委員長 関連して、栗田翠君の発言を許します。
  144. 栗田翠

    栗田委員 私、関連して質問させていただきます。  私は、静岡県の最も代表的な温室園芸でありますメロンの実態を調べ、それから、また、静岡県下で東洋一の漁港を持っております焼津へ行きまして、その遠洋漁業の実態を調べてまいりまして、今度の石油危機がどんなに農漁業に大きな影響を与えているかということをあらためて思ったわけでございます。そこで、いま、当面、農民、漁民にとって緊急の石油を手に入れる方策としては石油あっせん相談所があるだけでございます。ですから、これが非常に期待されているわけなんですけれども、この問題について伺いたいと思いますけれども、通産省がまだおいでになっていないようですので、まず、この石油あっせん相談所がどんなに緊急に要請されているものか、どんなにみんなから期待されているか、そして、その内容が、どのくらいその期待に沿えるものなのかというような問題について、その実態をまず話させていただきます。  私、ここにメロンを持ってきております。このメロンは、ごらんになってもわかりますように、二千五百円ぐらいの市価だろうと思います。ところが、これは、裏を見ていただくとわかりますが、裏がこういうふうに割れています。これはどうしてこういうふうになったかということですが、石油が、いま、メロン園芸をしている人たちのところには、実質的には二〇%削減になってきているわけなんです。農林省では、農林水産用には石油の削減はしていないとおっしゃっていますけれども、その下では実際に二〇%削減、しかもこれが昨年の実績並みであるために、昨年以後にふやしたところなどを入れますと、三〇%削減から五〇%削減というふうになってきております。一晩メロンの温度を下げますと、こういうふうになっちゃうわけなんです。私、現地で見てきたら、もっとりっぱな四千円か五千円しそうなメロンがむざんにも割れている状態ども見てまいりました。実に緊急性を要するものだということです。一晩でも石油がこなければ、重油がこなければ、いままでかけた労力と、費やしたいろいろな資材、資源、財力、お金、これが全部だめになってしまう、むだになってしまうという状態がいまあるわけなんです。  そこで、通産省もいらしたようですから、最初に質問いたしますが、「石油製品あっせん相談所実施要領」を見ますと、実施要領の第三条の二項に「農林漁業用、病院等の公共性の高い施設及び事業等に対しては、人命の確保、公共上の見地等から優先してあっせんを行うこととする」と述べられております。これは、「農林漁業用」というのは、国民食糧生産するということだし、「病院」というのは、人命にかかわる問題であるから、特にこれは中小企業用よりも優先をするという、そういう意味だと解釈してよろしいでしょうか。
  145. 松村克之

    ○松村説明員 今回設置いたしましたあっせん所につきましては、これは、主として、中小企業及びその他農林水産等の国民生活上優先的に扱わなければならない業種を対象といたしまして設けられたものでございますので、先生からいまお話しのありました果樹栽培あるいはその他の農林水産用の需要というものは、当然ここに入っているわけでございますが、ただ、ちょっと申し上げておきますが、それらのものをすべてここで扱うということではございませんで、一般的に、私ども、いま、農林省あるいはその他の関係省庁とお話し合いを進めているところでございますが、一般的には、何らかの方法でこれらの需要確保する。ただ、このあっせん所と申しますのは、それの緊急的と申しますか、そういうものを対象として設置した、こういう趣旨でございます。
  146. 栗田翠

    栗田委員 私の質問にちょっとお答えいただいていないのですが、そうしますと、ここで、第三条二項で「中小企業者」というのが抜けておりまして、「農林漁業用、病院等」ということになっていますが、特にこちらを優先するというわけでもないわけですか。時間がありませんので簡潔にお願いしたいのですが……。
  147. 松村克之

    ○松村説明員 一般的に言いまして、農林漁業用の中で、たとえばビニール園芸が非常に緊急であるとか、そういったように、その農林漁業の中でもさらにどういったところが緊急であるかという点については、これから農林省のほうと十分御相談をする、農林省のほうの御意見を伺っていく、こういう考え方でございます。
  148. 栗田翠

    栗田委員 それでは、間もなく審議会が開かれるわけで、受付が十七日から二十日までというふうにもうなっておりまして、受付開始しているわけなんですけれども、この緊急性、どれを優先するかという、その条件、そこら辺は、基準はまだあまりはっきりしていないということですね。
  149. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  私が聞いております限りにおきましては、農林省のほうからは、ビニールハウスと申しますか、この需要が現在では特に緊急であるというふうに承っております。
  150. 栗田翠

    栗田委員 それでは、農林省から緊急であるという要望があったものについて、特にそれを先に回していくというふうに解釈していいと思いますが、それで、次に、国全体で、このあっせん相談所のために用意した石油は二十五万キロリットルだと聞いておりますが、この中で、農林水産用はどのくらい含まれているでしょうか。
  151. 松村克之

    ○松村説明員 現状では、そのあっせん所の二十五万キロリッターの中を、たとえば運輸用あるいは農林用、漁業用というふうな分け方はいたしておりません。
  152. 栗田翠

    栗田委員 それでは、石油の種類による分類、内訳を教えていただきたいと思います。A、B、C重油、それから軽油、灯油がどのくらいの率であっせん所に配給されているかということをお答えください。
  153. 松村克之

    ○松村説明員 十七日からあっせんの受付を始めたわけでございますが、二十日までこれを受け付けるわけでございます。そこで、その状況によりましてさらに判断する必要があるかと思いますが、現在のところでは、特に各都道府県別に、A、B、C重油あるいは灯軽油というものを確定的に考えてはいないわけでございます。
  154. 栗田翠

    栗田委員 私の聞いたところでは、C重油が非常に多くて、全体の半分ぐらいだろうという報道も聞いておりますが、それでは、この報道は根拠のないものなんでしょうか。
  155. 松村克之

    ○松村説明員 中小企業が使用しております燃料は、主としてB、C重油でございます。したがいまして、そちらのほうが当然多くなるということは考えられるわけでございます。
  156. 栗田翠

    栗田委員 それから、各県への配給の率ですが、この辺は、通産省としてはつかんでいらっしゃるのでしょうか。
  157. 松村克之

    ○松村説明員 あっせん所業務自体は、石油連盟及び全国石油商業組合連合会というところで運営するわけでございます。それで、われわれとしては、大ワクをつくりまして、あと、これを府県にブレークダウンする作業は、それぞれの府県別に、府県の需要というものを目安として一応の配分はいたしておりますけれども、これは、特に通産省でそこまできちっと数字を詰めたということではございません。
  158. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、その配分の率で言うならば、おもに業者サイドでやられているということになるわけですね。そう考えていいのですか。
  159. 松村克之

    ○松村説明員 私が申し上げておりますのは、十六日かち二十日までの受け付けを見まして、それによって弾力的な対策——弾力的といいますか、若干の調整ということがあり得るということを申し上げたわけであります。
  160. 栗田翠

    栗田委員 ところで、この二十五万キロリットルですが、これは当面の配給なんでしょうか。それとも、今後これで足りると考えて、この分量だけをあっせん所に回すおつもりでしょうか。必要とあれば、これから幾らでも努力をして、ふやしていくという御予定でしょうか。
  161. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  私ども考え方といたしましては、ちょっと私の表現は少しおかしいかもしれませんが、本来から言えば、こういうあっせん業務を必要としないで済むように、一般のルートでずっと流れるということが理想でございます。したがいまして、あっせん量が現在の数量よりふえるということは、石油の全体の流通政策という点から見ますと、これは必ずしも——これは補完的な対策でございますので、これがふえないような、といいますか、要するに、普通の流通で非常に公平に流れるということ、これが一つの政策であろうかと思います。それで足りない点を補完的なあっせん所対策ということで進めていくというふうに考えているわけでございます。したがいまして、二十五万キロリットルが今後ふえるのかふえないのかという御質問でございますが、これは、現在のところでは、できる限り一般の流通を確保するという政策を第一に考えておるということでございます。
  162. 栗田翠

    栗田委員 当面、十二月分としては足りるとお考えですか。
  163. 松村克之

    ○松村説明員 私どもの当初の考え方としては、十二月は大体この程度で足りるのではないかという計算はいたしておるわけでございます。
  164. 栗田翠

    栗田委員 私が調査しましたところ、たとえば静岡県の例ですと、県の試算では二・二%くらいが配給されるだろうと言われておるわけでございまして、五千五百キロリットルです。NHKの報道では、七千から七千五百キロリットルが静岡県へ来るだろうとか、通産省で伺ったのでは、九千キロリットル来るだろうとか、量はたいへんまちまちでございまして、大体、この辺も不確かなものなんです。その上に、たとえばC重油が全体の二分の一あるということが言われていますが、これで計算してまいりますと、静岡で最も多いものとして、四千五百キロリットルくらいがC重油、残り四千五百キロリットルくらいがA、B、それから軽油、灯油というふうになります。これが一率にもし配給されたとしましても、特に、温室園芸用で必要なA重油は千から千五百くらいしかないというふうに見なければならないと思うのです。私が調査しましたのは、静岡県で一番大きな組合で、全国でも、メロン組合としては最も大きい組合だと思いますが、マル静という組合に参りましたが、さっき言いましたように、削減していないはずですが、二〇%の削減が実際に来ていて、非常に農民は困っております。そして、さっきお見せしたようにメロンが割れてしまわない状態に保つためには、十二月だけで、緊急に、あとどうしても三百キロリットルが不足であると言っております。一月、二月は、最低どう切り詰めても、四百キロリットルずつそれぞれなければメロンはだめになってしまう状態だと言っております。これは、たった一つ、メロンの組合のマル静だけの必要量で、三百キロリットルでございます。そうしますと、さっき最も多いだろうという分量で計算したもので、A重油が千から千五百マル静だけで使っても、全体の三分の一から五分の一くらいを食いつぶしてしまうことになってしまいまして、この分量では、十二月の必要から言っても、決して足りる分量ではないと私どもは思います。  ほんとうにこういう足りない状態が出た場合に、あと供給される努力——それは、緊急に供給しないで済めばいいですが、流通過程でまともにいけばいいですけれども、そうでなかった場合には、分量をふやすおつもりはおありになりますか。
  165. 松村克之

    ○松村説明員 私どもといたしましては、農林省さんと十分御協議をして、一般的な流通形態が十分確保されるようにということをまず第一として努力をしていきたいということでございます。
  166. 栗田翠

    栗田委員 次に、緊急性の問題がございます。この緊急性の問題では、いまもお見せしたとおりの実態でございまして、メロンだけではなくて、ほかも全部そうです。ところが、この受け付けのやり方ですけれども、今月は十七日から二十日まで受け付けて、締め切り、それから今後は、毎月初めだけですね。十日ごろまで受け付けて締め切りということになっておりまして、月に一回しか受け付けない状態です。こうしますと、いざ足りなくなってかけ込んでいっても、受け付けていないときには来月まで待たなければならないということになるわけです。それから、もう一つは、県に一カ所しかありませんから、遠い人はなかなか来られないというような状況もあるわけでございますが、この緊急性に応じられる体制として、業者、農漁民が要求しておりますのは、出張所をつくってほしい、それから申し込み期間を、いつも申し込めるようにしてほしい、タンクローリーあたりでも、いざというときには持ってきてもらいたいと、こういうふうに言っているわけなんです。  そこで、大臣に伺いますけれども、こういう切実な要望が出ています現在、この「石油製品あっせん相談所実施要領」の中に、緊急に応じられるような内容を含めていくような努力はしていただけるでしょうか。
  167. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまのような、非常に国際的にむずかしい状況にありますので、みんながそのつもりになって協力していただかなければならぬわけでありますが、私どもとしては、重要な農業用の油につきましては、通産省とも十分打ち合わせをいたしまして、まず、第一に、十二月については相談を済ませております。これからも引き続いて、万遺憾なきを期して相談をさせておるわけであります。
  168. 栗田翠

    栗田委員 もう一つ問題があるわけですが、この価格のきめ方は、石油業者と、それから需要者との間だけできめることになっておりますが、こうしますと、非常に価格が上がるということはだれも想像できることです。いま、メロン一つをとりましても、石油が一月に十一円ぐらいで手に入ったものが、平均して二十三円ぐらいになっておりまして、メロン一ケース、六個入っておりますが、これにかかる生産費が五千五百円から六千円ぐらいにいまなってしまっております。二十五坪の温室一部屋で大体三十六ケースぐらいの生産高ですから、ざっと計算してまいりますと、十八万三千円ぐらいの生産費がかかります。メロン一ケースは約七千円弱くらいが平均した市場価格ですから、それだけ全部売りまして、二十四万円しかないですね。粗収入がざっと五万七千円、約三カ月かかってこれだけしか入らない。しかも、税金と組合への支払い金など払うと、三万円ぐらいしかなくなってしまって、自家労賃を含めて三万円、一カ月で一万円弱しか収入がない状態になるのだそうです。これでは全く暮らせない。メロンといいますのも、農業構造改善事業で、これは政府が進めて転作させてきたものでありまして、こういう状態になっているというのは全く大きな問題だと思いますが、こういうふうになっているときに、農林大臣は、メロンをはじめとします農民に対して、石油危機のために生産物がだめになったときに価格補償などをしていらっしゃるような施策をお持ちでしょうか。その辺の御決意を伺いたいと思います。
  169. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 具体的なことはいろいろあると思いますが、農業石油につきましては、全力をあげてこの優先順位を確保して、皆さんの生業が安心してやっていかれるように最善の努力をいたすつもりでございますが、いろいろたいへんむずかしい時期になっておりますので、ひとつ、皆さんもそのつもりでしっかりやっていただきたいと思っております。
  170. 栗田翠

    栗田委員 時間がなくなりましたので、最後に、一言だけ、遠洋漁業の問題について伺います。  いま、遠洋漁業の漁船が一番問題にしていますのは、国内の油の供給が四、それから、外国で供給しているのが六という割合だということです。しかも、外国での供給がいまほとんど停止されている状態で、オーストラリアだけが細々と供給しているという実態になっております。一〇〇%いままでの実績を国内で保証されても、外国で供給されている分の保証がない限り漁業ができないという実態があります。この点についての施策をひとつ伺いたいということです。  それから、もう一つは、これは外務省に伺いますが、オーストラリア近海にいま漁船が集中しております。そのために、いままでは、産卵期、また幼魚などは保護していくという自主協定を結んでいたんですけれども、それどころではなくなってしまって、石油供給されるところに船が集まって、どうしても乱獲の状態になってくる。国際的に見ても、この資源問題が実に大きな問題になっております。そこで、全漁連などの要求としましては、外国の石油の基地に日本の石油のワクを回して——給油船などというのは一時的なものですから、そのワクを回して、そこで供給させる方法はないだろうかということと、それから、または、バーター方式で向こうから石油をもらって、どうしても必要な、そちらで要求する物資を日本から送るという方法、こんなことはできないだろうかという要求が出ておりますが、この辺についての施策をもう一つ伺いたいということ。  それから最後に、もう一つは、ただいま入ったニュースですけれども、宮城県の塩釜の漁船が、ハワイで重油の供給を断わられて、いま金華山沖で漂流中だそうでございます。これは実にたいへんなことです。給油船がまだ行き着かないうちにこういう事態が出ておりますが、これについての水産庁または通産省などの施策を伺いたいと思います。
  171. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま、日本の遠洋漁船といたしまして、マグロ漁業で相当多数の船が海外に行っておりまして、今回の石油の一つの危機に際しまして、油の給油を受けられないという非常な事態が一時的に発生いたしまして、これにつきまして、マグロ漁船の関係者の間と水産庁で相談いたしました結果、さしあたり給油を受けられそうな地区への漁場転換をはかろうということで、いま一番油を受けられない地区が南アのケープタウン周辺でございますので、この周辺から急遽漁場転換を、一部水域を移動いたしまして、ただいま操業を続けておりまして、ただいま現在におきましてマグロ船がとまっておるというのは、数が非常に少なくなっておるものと私のほうは見ております。しかし、この油の給油が従来ほど潤沢ではないというようなことも懸念されますので、近く、マグロ関係者の間で油の給油船を押し立てまして、南ア方面と、それからハワイ方面へ、約一万四、五千キロリットルの油を積んで、操業が継続できるように、給油をいたすべく、ただいま船の手配をいたしております。  さらに、いま問題になっておりますのは、たぶんイカの問題だと思いますが、最近水産庁におきまして、約百五十隻のニュージーランド周辺のイカつり漁業の許可を承認をいたしたわけでございますが、ちょうど石油危機と相重なりまして、一時的には出港ができないんではなかろうかということもありましたが、その後、ニュージーランド政府との間に、給油基地の使用につきまして、外務省ルートを経まして、あるいは、業界自身の向こうの石油供給のタンクを持っている方と相談いたしまして、おおむね話がつきまして、ただいま、ニュージーランドの業界と直接的に、借り入れ代金とか、そういった実際上の実務手続を進めておりまして、この問題は近く片づくものと私のほうは理解している次第でございます。  また、ただいまお話しのありました宮城県の船が、ハワイ周辺で、日本に帰ってくる途中で、油タンクの故障で漂流をいたしておりましたが、これにつきましては、ただいま宮城県の同僚の船が直ちに救出に向かっておりまして、もう数時間うちには現場に到着して、油の移しかえを行ないまして、日本へ帰ってこれるように接触できるんではなかろうか、こういうふうに聞いております。
  172. 仮谷忠男

    仮谷委員長 栗田委員、外務省の答弁は必要ですか。大体答弁はあれでよう尽くしたでしょう。
  173. 栗田翠

    栗田委員 三つほど質問いたしまして、いま水産庁はお答えいただきました。ただ、先ほど言ったバーター方式その他についてどういうお考えかということは、まだいただいていないようです。それから、もう一つは、四対六、外国供給の六の分ですね。それを国内供給する意思があるか、またそのような施策がとられているかということについて通産省に伺ったのですが、そのお答えをいただきたいと思います。
  174. 荒勝巖

    荒勝政府委員 失礼いたしました。十二月一ぱいまでの油につきましては、ただいま、漁業関係者の間で大体確保いたしておりますが、年が明けてからの油につきましては、ただいま、通産省と水産庁の間で、年間総需要屋を定め、月別あるいは海域別あるいは魚種別に油の需要量を確保すべく鋭意折衝いたしておる次第でございます。  また、海外におきます漁業基地での油の給油につきましては、ただいまの段階では、たとえば先ほど例で申し上げましたように、ニュージーランドの石油タンクを借りるとか、あるいはさらに、南米なりスペイン沖のラスパルマスの基地を、それぞれの石油タンクを今後どういうふうに業界ルート確保するかというようなこと等につきまして、それぞれ具体的に詰めてまいりたいというふうに思っております。全部日本から石油を持ち出していくというわけには——長い、約一年間近くも操業する遠洋漁業船でございますので、年間分を全部積んでいくというわけにはまいりませんので、やはり、何らかの形で現地で確保しなければならないんではなかろうかというふうに考えております。しかし、どうしても非常事態の場合は、先ほど申し上げましたように、日本から給油船を出すこともあり得るというふうに御理解願いたいと思います。  また、バーターの問題につきましては、これはいろいろな経済問題もありますので、われわれといたしましては、関係省庁協議いたしまして、今後こういった問題にも対処できるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  175. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後二時九分休憩      ————◇—————    午後六時五分開議
  176. 仮谷忠男

    仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全農問題について、農林大臣並びに国税庁当局に質問いたします。  十二月の十三日に、当委員会で、農政基本問題並びに油に関係する問題等を質問いたしてまいりましたが、本日は、時間の制約がございますので、全農の問題にしぼっていまから質問をいたしたいと思います。  まず、最初に、農林大臣にお伺いしますけれども、全農に対する指導、監督及び監査の姿勢ということについて、大臣はどう対処されておられるか、その点を承りたいと思うのであります。
  178. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 全農に対しましては、農林省は監督権を持っておりまして、検査をいたしておるわけでありますが、その検査の目的につきましては、行政庁が農業協同組合に対して行なう検査には三つほどございまして、第一は、定期的に行なう常例検査であります。第二は、会員の請求に対しまして請求検査をいたします。第三には、法令違反等の疑いがある場合に行ないます認定検査がございます。  今回、農林省が全農に対して実施いたしております検査は、このうちの常例検査でございまして、新聞等で取りざたされております問題に直接関連して行なっているものではありませんで、全農合併後すでに二事業年度を経過いたしておりますので、全農の財務、会計全般について検査を行ない、業務運営方法等の適確化を確保いたしたい、こういう目的のものでございます。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和四十七年三月に全購連と全販連が合併をして全農となったわけでありますが、資本金が六十億円以上となった場合は、特管法人として、当然国税局の特別調査の対象となるということは、これはもう法律できまっておるわけでありますけれども、東京国税局から指摘された全農に対し、農林省が、農協法に基づく監査を十一月六日から始めておられるということであります。ただいま大臣から答弁がありましたように、今回は常例検査だということでありますけれども、いまの御答弁で、今回の不正事件に伴うものでなくて、農協法に基づく定期的な検査だというふうな御発言でありましたけれども、今回の検査はどういう目的で行なわれておるか。その内容は、特に、主眼はどこに置いておられるか、その点をさらにお答えいただきたいと思います。
  180. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 今回の全農に対する検査は、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、常例検査でございます。それは、農協法の規定に基づきまして、財務及び会計の適正化をはかることを目的とするものでございます。特に、全農合併後初めての検査でございまして、全農のような経済事業を行なう大型の組織が、合併によってどういうメリット、デメリットが出ているだろうかということの実態を把握して、今後の指導の資料を得るということをねらいとしているわけでございます。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いつこれは終わる予定で検査を進めておられますか。
  182. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 先生も御案内のように、全農というのは非常に大きな組織でございまして、支所等もございますので、そういったものを全部含めて、四月ぐらいまでには検査を終わりたい。あるいは、少しずれるかもしれませんけれども、私どものほうの検査官を動員いたしまして、なるべく早く終わる必要はございますけれども、組織自体が非常に大きいために、従来の経験にかんがみると、それぐらいの期間がかかっております。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国税庁の特別監査のことでお伺いしたいのでありますが、従来から、監査の手ぬるさということが指摘されておりますし、また、不正が続出しております。不正融資貸し付けが、かなり例年多いわけであります。  先日、私のほうで農林省当局にいろいろと問い合わせて調査をした表によりましても、四十七年度で約二十六億の不正融資等があげられておりますが、農林省調査によりまして、過去三、四年のデータを見ましても、昭和四十四年が七十一件で十二億二千万、四十五年が六十二件で十四億、四十六年が六十件で二十一億六千万、四十七年が十八件で二十六億三千五百万、こういうふうになっておりまして、過去三カ年だけでも約六十二億という不正融資が起きて、ますます知能犯化しておりますし、その手口も巧妙になってきている。しかも幹部の地位利用が目立ってきている。野放しの農協経営ということが問題になっておるわけであります。ちなみに、四十七年の例で言いますと、単位農協当たり不正金額は三千八百二十万円平均になっておりまして、一千万円以上の不正融資等の事件が三割ありますし、また、億単位がさらにあらわれております。  農林大臣も、もう過去三回大臣の席にあられまして、私、国会に出ましてから、昭和四十四年から、当初当委員会でいろいろ質疑をしてまいりました当時は、農林大臣倉石農林大臣でありましたが、昭和四十五年三月二十四日、当委員会で、私は、当時の倉石農林大臣に対して、農協の事故に対する監査ということを特にきびしく申し上げたわけです。さらに、昭和四十五年四月二日には、農協の不正事件に対する指導監督ということで質問申し上げ、昭和四十六年三月十一日には、佐藤造機に対する全購連の前渡し金焦げつき問題について追及したわけであります。さらに、四十七年四月二十六日、佐藤造機問題についての監査結果並びに東京国税局の特別調査等について当委員会で質疑を申し上げ、四十八年四月十八日には、農協不正融資について、さらに、つい、最近、四十八年六月二十一日に、農協不正事件に対する指導監督について、過去に、おもなものをあげましても六回、こういったことで指摘をいたしてまいったわけであります。  そこで、今回国税庁が特別調査を行なっておりますが、まだこれはいろいろとはっきりしない問題がかなりあります。もちろん疑惑もあります。ここで、全農が合併して以来の第一回の検査でもあるわけでございますので、国税庁にきょうおいでいただいておりますので、まず、具体的な国税庁の特別調査の監査状況を御報告いただきたい、かように思います。
  184. 井辻憲一

    井辻説明員 お答え申し上げます。  東京国税局におきまして、昨年十一月以来全農の調査を行なっておりますが、この調査は、資本金が六十億以上のマンモス法人につきましては、特別国税調査官というものがございまして、そこの所掌で行なっておるものでございますが、調査の体系といたしましては、一般の税務調査でございます。したがいまして、特別監査、特別調査あるいは査察というふうなものとは違いまして、通例の税務任意調査でございます。  ただ、御承知のように、非常に規模の大きいものにつきましては、日数等も多数要しますので、特別調査官所掌といたしまして、一般課税部門とは別に調査を行なうことにいたしておるものでございます。十一月調査に入りまして以来、調査を続行いたしたわけでありますが、現在では、大体におきまして、目下整理の段階に入っております。完結はしておりませんが、本調査のいろいろな問題点につきましては、現在取りまとめ整理中でございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一般に特別調査と言われておりますけれども、いまの答弁ですと、任意の調査ということでございますが、正式の調査の名称は、正確にはどんなふうにおっしゃっているのですか。
  186. 井辻憲一

    井辻説明員 法律上の調査の定義は別にございませんが、部内でいわゆる特別調査と申しておりますのは、不正が多額に発見されるもの、その他、一般の税務署では、日数その他の関係でなかなかやれないようなもの等、きわめて特殊なものを言っておりまして、特別国税調査官によります調査は、規模が大きいということで、一般調査というやり方をやっておるわけでございます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国税庁の調査が始まってから、最近いろいろなうわさが巷間に流れておることは御承知だと思いますが、こうした調査に端を発したと言えるかどうか、これはわかりませんけれども、全農の役員三名が辞職をするという状況になっておるようでありますけれども、こういったことは、国税庁は当然御存じでしょうね。
  188. 井辻憲一

    井辻説明員 御指摘の、役員の辞任問題等につきましては、新聞報道等で承知しております。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 四十七年十月からこの特別調査が始められたわけでありますが、具体的に、その結果はどういうことですか。いま、整理の段階とおっしゃっていますけれども、いままでの経過を簡潔にひとつ御報告いただきたい。
  190. 井辻憲一

    井辻説明員 調査につきましては、延べ人員七百人目を投入いたしまして、相当綿密な調査をいたしたわけでありますが、この内容につきましては、恐縮でございますけれども、守秘義務の関係がございますので、具体的な問題につきましては申し上げかねるわけでございますけれども、新聞等でいろいろ報ぜられておりますようなことにつきましては、私どもといたしましても、特に問題の、いろいろな役員の辞任問題にからむような、そこにある事実というものは、調査の結果からは把握いたしておりません。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全農に対してはどういう調査をしておられるのか。七百人もの人員を擁して綿密な調査をしておられるのですから、いろいろな問題が出てきたと思うのですが、もう少し調査の内容で報告をいただきたいと思います。
  192. 井辻憲一

    井辻説明員 七百人と申しますのは延べでございまして、実際に従事しております人員は、七人から、多いときで十人まででございますが、調査の内容につきましては、一般の商社その他の大企業におきますような調査をやったわけでございます。したがいまして、取引先、関連会社、その他の調査を時間をかけてやっております。  それから、役職員等につきまして、いろいろな帳簿に基づく説明を求め、あるいは、向こうからの言い分があればそれを聴取するというふうなことでございます。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国税庁のこの特別調査は、当初の予定では、いつごろ終わる予定でやられたんでございますか。
  194. 井辻憲一

    井辻説明員 特に、マンモス法人につきましては、いつごろと期限を区切ってやるわけではございませんで、半年で終わるものもございますし、一年で終わるものもございますが、大体半年から一年以内の間にめどをつけて最終整理をやるというのが通例でございまして、着手前に、何日までに完了するときめ込んでやっておったわけでは、本件につきましてもございません。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 前回に私がいろいろ質問した際にも、大体四十八年二月には終わるだろうと言ったのが、三月、五月と次々と延びまして、全く野方図に延びてきておるのであります。この点に私はいろいろと疑問があるわけですけれども、具体的な問題に入ってまいります。  昭和四十八年の二月十二日に、最近転勤になっておりますけれども、当時平岡特別調査官が入って、いろいろと全農の中を調べた。そこで、不正があったということで、全農の購買担当部長クラスを集めて調査依頼をしておるわけでありますが、この点はどうですか。
  196. 井辻憲一

    井辻説明員 マンモス法人の調査におきましては、非常に何回も向こうの担当役員あるいは職員から説明を聞いたり、向こうの言い分があればそれを聞いたり、しょっちゅうやっておりますので、特に何月何日ということはちょっと申し上げかねるのでございますが、あるいは二月ごろにも、数回役職員等を集めて、いろいろな調査協力依頼をやったということは聞いております。それは、通例、第一回目の特別調査官所掌の調査の場合には、どの会社でもやることでございますが、調査目的なり、調査協力依頼あるいは調査の進展度合いに応じて、そのときどきの問題についての説明依頼というふうなことをやったのだと思います。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それは、もちろん、連日調査をしておれば、そういった幹部に会うことは多いだろうと思いますけれども、特に、この二月十八日、それからまた二、三回あるわけですが、この日は、部長級を集めて、全農の購買担当部長クラスに対して、特にいろいろと調査協力の依頼をしておるわけです。後ほどまた出てまいりますけれどもね。  そこで、こういった部長級を集めてしばしばやっておられましたけれども、いろいろ守秘事項で言えない問題もあるとおっしゃるのですが、どういうところが指摘されたのか。全然問題はなかったのか。その点はどうですか。
  198. 井辻憲一

    井辻説明員 正確には、先生のおっしゃいました二月十二日にどの事項を指摘したかということは、ちょっと私こまかい点は聞いておりませんが、帳簿と向こうの説明が食い違っておるような場合、あるいは、他の取引先との関係で不突合があったような場合、その他一般の税務調査におきますいろいろな解釈上の違いでミスをしておる場合、つまり記帳を誤っておるような場合というふうなことについての説明を求めるということが一般的でございますので、そういうこともございましょうし、他の商社等で見られますような一般の是否認事項についていろいろ指導をしたり、あるいはさらに詳しい説明を要求したりしたものだと思っております。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そちらからのらりくらりして、なかなかおっしゃらぬようですが、明らかになっているような問題でも、私たちは次のようなことをいろいろキャッチしているわけです。調査過程で不正があったということは、巷間にも当然に知れ渡っておるし、われわれもそういうことはいろいろな筋から聞いているわけです。  ここで私は断わっておきますけれども、何も、全農をつぶしたり、全農を攻撃してとかく言うのじゃありません。農民の血と汗の金を預かっている上部団体である全農は、農林省の監督によって、この油危機でたいへんなときに、ほんとうに真剣に農民の利益擁護のためにがんばってもらいたい、また、農民のために全農は力を尽くしてもらいたい、こういう意味で私はこういったことをただしているのであって、今後姿勢を正さなかったら、三千七百名の職員の全農は全く不潔と不明朗の中に乱れてしまいます。それを嘆くがゆえに、私も、一農家の出身として警告したいから言うのですから、的確な回答をしてもらいたいのです。  一つは、全農の事実上の奨励金、補助金が飲み食いに使われているようだということで、いろいろ言われている。たとえば生活部、農機部、飼料部、また、単協のガソリンスタンドをつくるに際しても、全農が五十万円与えるということになっておりますが、こういった金が単協まで行き渡っていないということもいろいろ聞くわけです。こういった問題が、とかく巷間伝えられている。もちろん、ああいう大きな全農でありますから、交際その他があることは当然ですけれども、私が言っているのは、目に余るものをさすわけです。もう一つは、元全販連の時代でありますけれども自主流通米の延滞金利、これが一週間で納めないと金利がつくということになっていますけれども、この扱いが脱税になっている。もう一つは、元全販連の場合ですけれども、鶏のいわゆるマルク氏病の生ワクチンが二重帳簿になって、これが不正販売されている。もちろん、これについては、その後許可制になっておりますけれども、許可のないものを輸入していろいろ問題を起こしているわけです。あげればいろいろありますけれども、こういうものを見ただけでも、特別調査の対象として、当然いろいろなことが上がってくると思うのです。そんなことを報告を受けていない国税庁であれば、東京国税局は怠慢とも言えますし、また、聞いたといえば、聞いたほうも怠慢であるが、そういうことはちゃんと報告は受けていると思うのですが、そういう点はどうなんですか。現に問題になっているのですよ。
  200. 井辻憲一

    井辻説明員 調査の過程でいろいろな是否認事項が出ているということで、その内容につきましては、おもなものについては承知しておりますが、これらにつきましては、厳正な処理をいたす所存でございます。概して、マンモス法人のわりには、はっきり申し上げまして、帳簿、経理、契約その他につきまして、私どもから見ましても十分でない点もございまして、それらの点につきましては、今後の最終的な税務処理で全部適正な課税処理をいたしたい、かように存じております。  ただいま御指摘の諸種の点につきましては、守秘義務の関係で詳しい事情を申し上げることはいたしかねるのでございますけれども、厳正な処理を的確に行なう所存であることを重ねて申し上げておきます。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国税庁にはまだ引き続きお尋ねしてまいりますけれども、ここらで大臣お尋ねします。  いまいろいろ聞いておられた中で、調査の過程で不正があった。これは一部の上部の不正だと言われておりますけれども、これに不満を持った全農の吉原専務が辞表を出したが、そのことは大臣承知であるかどうか。吉原専務が、新潟の県農協大会で、一切の不正の事実を暴露しております。本人は、この時点で、こんなことが正されなかったら一緒に仕事をしたくないと言って嘆いております。農林大臣は、こういったことに対しては承知しておられるか、その点をお伺いしたい。
  202. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いわゆる全農の使途不明金問題につきましては、新聞等で始終伝えられておりますが、この問題について・全農の責任者三橋会長ほかから農林省農林経済局が事情を聴取いたしましたのでは、役員間の内紛問題は別として、新聞等で伝えられているような事実はないというように聞いております。また、去る十月初旬に開かれました全国農協大会におきまして、三橋会長が、この問題につきましては、新聞紙上に伝えられているいわゆる全農の使途不明金については、事実無根であるという報告をいたしておりまして、大会はこれを了承したものと承知いたしております。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国税局の調査とこの吉原専務等の辞表問題は、これは辞表騒ぎになって、原因がいろいろと巷間に伝えられているけれども、当然これは関係があるとわれわれは見ているのですけれども大臣はその点はどういうふうに理解しておられますか。
  204. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いろいろ調査も行なわれているようでありますし、私どもといたしましては、ただいまのところは、責任者である三橋会長の言を信用いたしておるわけであります。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、なぜこうしてやめるか。全農の首脳部におる人がここまで至るには、やはりかなりの問題があったからであるということは当然理解される。また、農林省としては、冒頭に大臣が言われたように、全農を指導、監督していく立場である。これは最も上部団体で、大事なかなめでありますし、こういったことについては、重大な関心を持って対処せなければならない。もちろん大臣は知っておられるだろうけれども、こういう公開の席だから適当な答弁をしておられるか知らぬけれども、明らかにわかっていることです。そこで、国税庁は、今後この調査は続けていかれるお考えであるのか。その点はどうですか。
  206. 井辻憲一

    井辻説明員 現在まで行なってまいりました調査で、おおよその是否認事項が出てまいりましたので、先ほど申し上げましたように、今回の調査は一応整理段階に入っております。しかしながら、今後確実なはっきりした資料等が出てまいりますならば、直ちに調査を再開いたしまして、厳正な処理をいたす所存でございます。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 何ですか、今後事実が出ると再開する。続けているならば、再開の必要はないじゃないか。何で再開ということばを使って答弁したのですか。
  208. 井辻憲一

    井辻説明員 昨年十一月から続けてまいりました調査は一応現在整理段階になりまして、まとめの段階に入っております。同じような態様の調査を引き続き続けるということは、現在のところでは、証拠その他の関係で、これ以上同じやり方で続けましても、なかなか進展はいたすまいというふうな予想を持っておりますので、それ以後、新しい確実な証拠でも出てまいりましたならば、再び調査を開始いたしまして、厳正な処理をいたしたい、こういう趣旨でございます。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、四十八年十一月三十日に、時事通信の記者に、三橋会長が、吉原専務に辞任を勧告するとともに、みずからも率先して辞任するという意向を明らかにしております。四十八年のつい最近、十二月七日に、全農の理事会後の役員懇談会で、三橋会長が責任をとって辞表を提出したことを明らかにしております。大臣の耳にも当然入っていると思うのです。また、入ってないようじゃ困った問題です。これで、事実上三役、会長、副会長の三人、吉原専務理事等が退陣の意思を明らかにしたことになります。現在、全農では、対策委員会をつくって、この三役のほか、常務理事六人の進退を含めて、事態の収拾策を考えることにしている、こういうふうに巷間伝えられております。こういったことを踏まえましたときに、大事なときに、任期は来年の五月まであるのに、こういうことがなぜ起きるのか、私は、この点全く意味がわかりません。こういったことで、農民のほんとうの上部団体としての全農のいわゆる力が出せるかと思いましたときに、私は全く情けない感じがします。いま言ったことについては、農林大臣承知しておられますか。
  210. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 新聞記事でそういうことを見ました。ただいま私は農林省責任者の地位におりますので、農林経済局長と、それから大蔵省筋の責任者がここへ参りまして、いまここで御説明申し上げましたような経過の上に立って——これからどういうふうに三橋会長が全農の取りまとめをやっておいでになるか、そういうことについては、たぶんいろいろ考えておいでになることだろうと思いますが、私どもといたしましては、全農が責任を持って善処いたすことを見ておるわけでありますが、大体御存じのように、全農と全販がございまして、これが合併をしてたいへん大きな組織体になりました。その結果、二つのものが一緒になったのでありますから、あるいは若干その間に意思の疎通を欠くようなものもあったかもしれません。そういうようなことをえてしてやりがちなものでありますが、そういう内紛は別として、不当なことがあっては、これはゆゆしきことでありますので、できるだけ調査をいたしてもらいたい。同時にまた、三橋会長から私どもに申し入れのありますときには、十分そういうことについて責任を持っておいでになるものだと期待いたしておるわけであります。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省当局に聞きますが、農林省は十二月の初旬から検査をしておられるようですけれども、国税庁は、いま整理の段階で監査を続けている段階であります。国税庁の調査が終わらぬさなかに農林省が検査に入っておりますけれども、これは先ほど常例検査とおっしゃいましたが、こういうように終わらぬさなかに入ったということについて、さらにひとつ当局から弁明を求めます。
  212. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 全農の検査につきましては、合併発足後、実質的には初年度の会計年度である四十七年度の会計年度が終わったものでございますから、常例検査をする計画は、今般の新聞等で伝えられていることとは関係なしに、前からそのような計画を持っていたわけでございます。したがいまして、十月三十一日を基準日として常例検査を開始したわけでございまして、別に、ああいった内紛とは関係なしに農林省といたしましては常例検査を行なう計画を持っていたわけでございまして、それを実施に移したということでございます。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 答弁はそういうふうにおっしゃるけれども、全農の職員なんか、三千七百名おりますけれども、何しろ、国税庁は入ってくる、農林省は入ってくる、中央会が入ってくるということで、仕事ができぬほど忙しくて、全くたいへんだ、てんてこ舞いをする、こういうようなことをみんな言って冷ややかな目で見ております。全く申しわけないことだと私は思うのです。  そこで、こういったことを見ましたときに、使途不明金が約五億円もあるというふうにもある新聞には報道されておりましたし、かなりの脱税があるというふうに言われております。いろいろ守秘事項があったりして、その辺、国税庁は、きょうは公開の席では発表できないとおっしゃるけれども、全農の内部でも、農機具や肥料などで取引先の企業から金をもらえば、企業はそれを商品のコストに上乗せして全農に売るはずだ。メーカーからなめられる。それで、取引のチェックはどうしても甘いものにならざるを得ないというのは理の当然であります。結局、全農が農民に高い商品を売ることになり、農民の生き血を吸うようなことになると憤慨する人がたくさんおるのであります。また、それは当然のことであります。かつて、昔、紅梅キャラメルというのがありましたが、子会社がリベートなどを取り過ぎてつぶれたという事例があります。全農がつぶれないのは、これが末端の農民に悪い製品をしわ寄せして、末端が吸い上げるからつぶれずにおる、紅梅みたいなものであれば、もうとっくにつぶれている、こういうことが言われるわけです。全農は、農家のためにものを安く購入して、社会的にも、経済的にも、農家を守っていくというのが全農の立場です。これでは農協の本質というものはなくなる。こういったことを私は憂えるのです。何としても、明朗な清潔な全農にしなければなりません。  そこで、時間の制約があるのではしょってお尋ねしていきたいのですが、調査過程で、三人の常務が金をもらっているということがはっきり判明をしていると報道されておるし、また、そういったことがとかく全農内部でも言われておるわけです。現職の吉原専務が新潟日報で証言しておりますように、国税庁の元東京国税局の平岡特別調査官が、この問題は不問に付すと、こういうふうに言った。これは明らかに三橋会長の前で、吉原専務も、またもう一人の専務、これは某とあえて言いますが、名前を言ってもかまいませんけれども、その専務もおるところでこのことを言っております。不問に付すということは、これはいわゆる解釈をすると、悪を認めない、見て見ぬふりをするというのが不問に付すということばの内容であります。国税庁の役人がこういうことを言っていいのか。国税庁、どうですか。
  214. 井辻憲一

    井辻説明員 新聞等によりますと、使途不明金が数百万あるいは数億というふうなことも言われておりますが、私どもといたしましては、使途はできるだけ解明いたしまして、これらを適正な課税の法律に照らして処理するというのが最大の使命でございます。  調査の結果、他の是否認事項はおきましても、使途不明金数億円、五億円とか、数百万円ということは把握いたしておりません。現在のところ、使途不明というものは、一部中元、歳暮のような形で、ごく少額が出ておる事実はございましたが、全般といたしまして、そのようなオーダーの大きい金額の使途不明というものは把握いたしておりません。  それから、当時の調査担当官が、不正は不問に付すというふうなことを言ったことは全く聞いておりませんし、税務といたしましては、税法に従いまして厳正に調査を実施いたしまして、調査上の理由以外の理由でこれらを打ち切ったり、あるいは適正な処理をすべきを処理を怠るというふうなことは厳に慎んでおりますし、そういうことはあり得ないというふうに存じております。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そういうことはあり得ないという答弁でありますけれども、国税庁が不問に付すると言ったことは、吉原専務、それから全農の経理主任をいたしております岩下専務、この人たち二人が、三橋会長の前で言ったことをちゃんと聞いているわけです。この吉原専務は、私の要請によって、いつでも証人になって、国会喚問に応ずると言っています。いやしくも全農の現職の専務ですよ。これがはっきり聞いている。自分は紙にこそ書かないけれども、はっきりこの耳で聞いている、いつでも証人に来ると、こう言うのです。いずれこれは予算委員会あるいは決算委員会等、機会をとらえて、私はこれをはっきり証言を求めてやりますけれども、こんなに言わせないようにもっと答えればいいものを、のらりくらりと、一部少額中元、歳暮があったと言う。中元、歳暮はどこでもやっているじゃないか。それにしても、これは一部わずかであっても、認めたということになるのですよ。あったのですよ。使途不明の金があったということなんですよ。  そこで、私の時間も迫ってまいりましたが、これの真実をぜひ追求してくれというのが全農三千七百人の職員の願いであり、また、吉原専務のいわゆる人生最後の総仕上げの一言として、清潔な明朗な全農にしてもらいたい、農民を思うゆえに、ぜひともそういったことを指摘して、明朗な全農にしていただきたい、農民のための全農にしていただきたいということを、彼は血の叫びをしております。そして、全農の職員は、そんなことをして所得が得られるならけしからぬ、職場は不明朗だ、そのことばかりで仕事がなかなか身につかないといってみんな——全部が全部とは言えませんけれども、そういったことがあっちこっちでこそこそうわさされて、上司に対する不信感が充満しておるわけです。この油の危機、しかも食糧危機、えさの危機、食糧確保して自給率を上げなければならぬこのときに、そんなことでどういうことになりますか。全日本の農民の代表である全農がこういうように腐っていたのでは、どうなりますか。  かつて「黒い霧」が起きた。また、 つい先年は、日通事件で「黄色い霧」があった。これは、ぼくは「緑の霧」じゃないかと言うのです。「緑の霧」だ。国家の高級官僚である平岡調査官が、三橋会長のいる前で、歴然と言っているのです。本人にも昨晩私は電話して聞いたけれども、そんなことは前のことでとっくに忘れたとか、知らないとか言っておりますけれども、そんなことは証人がおるわけですからね。いやしくも専務の、ね。それに対して三橋会長は、その不問に付すということを言われたときに、即座に、注意をします、ざんきにたえない、何とかします、こう言って頭を下げてあやまったという。それも見ているわけです。  いろいろ言えばきりがないけれども農林大臣、知らぬと言っても、こんなことを言っているわけですよ。新聞にも出ている。出ておるなら——あなたはたびたびと言うけれども、たびたびは出ていないのだ。ちょこちょこは出ていないのです。いかにもたびたびで、よく知っておるようなことを言うが、知っておるなら、十分これはわかっておるわけだが、問題がある。あるならば、やはり農林当局を使って、実情を聞いて、調べて、そしてこれに対する対策を打ち、ほんとうに農民のためになる全農に指導監督しなければならぬじゃないですか。  私は、昭和四十五年から、先ほども言いましたように、もうこういったことを懸念して、ほんとうにきらわれて、あるときは、こんな質問をするものだから、瀬野には農業関係の陳情はするなという指令が流されて、どれだけ虐待を受けて私は泣いたことでありますか。それを振り切りながら、おれは土に生きた男だ、農民のために戦うんだ、幾らにらまれても農民のためになればいい、こういうことで今日までやってきました。甘い考えでこんなことを口ばしっては困るのです。真剣にこの問題に取り組んで、職員のためにも、また農民のためにも、ほんとうに全農を正してもらいたい。このことは私の切なる願いです。農林大臣、どうてすか。
  216. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 全農のような農業団体は、重要な使命を持っておる団体でございます。したがって、身を持するにきわめて厳で、いまおっしゃいますように、農業者のためにも、また、多数の従業員のためにも、また、仕事の貴重な性格の上からも、大いに慎重にやっていただきたい。これは全く同感でございます。  そこで、いろいろな内紛があり、問題があるようでありますので、できる限り私どもは監督をいたしまして、いま、三橋会長ら、上層部の人々が、この内部の問題をおさめて、そして大方の期待に沿うようなふうに持っていきたいと言っておりますので、どのようにいたしますか、そういう最終的な決定があることを期待いたしておる次第であります。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣は、問題があるからできる限り調査をして、大方の期待にこたえるとおっしゃるが、これはもう当然のことです。もう現にやっておられるのだと思うけれども、立場上いろいろ言いづらいことがあるんじゃないかというふうにわれわれも理解しますが、全国の農民の一番上部団体なんですから、こういったことに対して、ほんとうに全力をあげて、早く指導監督をして、立て直してもらわないと、私が過去五回も、六回も、七回も質問したにもかかわらず、結局何にもせぬということになる。今回の検査は常例検査と言われるけれども、いままでの実績を見ると、常例検査は五年に一回しかやっていないのです。普通は三年に一回とか、毎年一回とか、一〇〇%することになっているけれども農林省にも九人しか人員がおらぬし、農業団体には人手が足りないために、県の中央会の人に手伝ってもらったりして、いろいろ協力してもらっているじゃないですか。みんななれ合いになっているのですよ。このほか、単協でも、いま、何十億という金が、毎年不正が起きているのです。ぼくは、何も そういったことを一々どうこう言うのじゃないのですけれども、やはり、農民の血と汗の金であるのですから、間違いを起こすと焦げつく、農民に迷惑をかける、これはいかぬと思うのです。毎回、指導監督、人員を増加して強化する、調査を厳にやる、もっとその調査の期間を縮めるとか言って——ぼくは議事録を一ぱい持ってきていますが、一々大臣やら皆さんが答弁された。倉石農林大臣、次は足立農林大臣、赤城農林大臣、それから櫻内農林大臣、今度また倉石農林大臣というふうに、五代、六代の人に私は仕えてきましたが、一つも解決できない。問題があれば、何かあわててやる。これじゃいけない。こういったことを真剣にやるのが大事な農林行政の一つじゃないかと私は思うのです。  そこで、時間の関係で、あとは、次の機会に証人を呼んで私はまたいろいろ言うことにして、国税庁に若干申し上げておきたいのですが、今回、皆さん方は、これは定期異動だとおっしゃるけれども、大体、職員が五万人おって、今度は一万五千人くらい動いたのですか。七月は定期異動の時期だと言えば、そういうことかと思うのですが、膨大な金を使って、昨年の十月からあれだけ調査をして、かなりの経費を使ってきているのですけれども、こういった問題は当然調査を続けていかなければならぬ。平岡調査官なんかも、吉原専務などに、あなた、不問に付するから、この問題が解決するまでがんばってくれと言うたところが、言って何日もしないうちに、今度は栄転している。しかも、今度の幹部は栄転が多い。それからまた、異例の人事異動になっている。これは全部データがあるから出してもいいけれども、個人の関係もあるので、あえて次の機会に譲るなり、省略しますが、こういったことを思い出したときに、私は残念でたまらぬ。これほど大事な、重要な問題をやっているときに、その調査に当った首脳部がぽっとかわっている。国税庁、この点はどうですか。
  218. 井辻憲一

    井辻説明員 今回の異動につきましては、七月が国税庁の定期異動でございまして、ただいま名前をあげられました本人につきましても、同一ポストに三年降ります。二年ないし三年でローテーションがかわるというのが通例でございまして、全く通例の人事異動でございます。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それは、あなたはそういう答弁をするだろう。平岡特別調査官は三年もおったから、国税局は三年もおるのは長いほうだと言っておられるが、それもわかる。わかるけれども、こういう大事なポストにあって調査をしているさなかに、ぽっとかわってしまう。しかも、その数日前に吉原専務なんか、あなた、今度調査をしっかりやってくださいと言い、また彼も熱意をもって一生懸命やっておったわけですよ。一部に悪徳検査とかいろいろなことは——時間がないから、もうここで一々言いませんけれども、ぽっとかわったわけです。それでもうあっけにとられている。  それじゃ、国税庁、このかわったときに、膨大な書類を全部引き継いで——これは調査費が、国民の金が相当かかっているでしょう。税金でまかなっているのですからね。調査の書類は全部きちっと受け継いでやってありましょうね。
  220. 井辻憲一

    井辻説明員 組織として動いておりますので、調査担当者の一部がかわりましても、その引き継ぎ関係は厳正にいたしておりまして、その異動によりまして調査の結果が左右されることのないように、厳に内部で引き継ぎを適正に行なわしております。
  221. 仮谷忠男

    仮谷委員長 瀬野委員に申し上げます。時間が参っておりますので、よろしくお願いいたします。
  222. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 はい、すぐ終わります。  厳正にやっておられる。それはもちろん当然でありますし、そのとおりです。ところが、一般には、この引き継ぎをしますと、書類は全部パーになって、また新たな調査が始まる、全部書類は焼却する、こういうことが言われています。そのために今度は農林省が入ったんだ。われわれ国民から言わせれば、まだ国税庁が調査している中に農林省が入ってくるということで、全農はてんやわんやだ、全くにぎやかですな、こう言って、みんな冷ややかな目で見ていろいろなうわさをしている。  それはそれとして、大体、この人事異動の際は、国税庁では、私が調べたところによると、こういった問題は部長、局長に引き継ぐ、新しく命令が出てからきちっと引き継いでやる、こういうようなことになっておるそうですが、書類の点については、さっきも言いましたように、何か疑問視されるところがあります。しかし、いまの国税庁の見解で、厳正に引き継いで、今後調査していくということでございますので、一応額面どおり受け取っておきたいと思う。  そこで、時間的な問題もあるので、あとは次の機会に譲ることにしまして、今回のこの一連の問題は、私は、昭和四十五年以来、六回、七回にわたって追及してまいりましたけれども、はたせるかな、こういった問題が起きて、まことに残念であります。私は、これは農家を裏切る行為であると、かように思うのです。その指導監督の立場にある農林省が、このマンモス農協に対して、真に農民にこたえるために、いまにして指導監督をしてやらなかったならば、これはたいへんなことになってくると思っております。私は、一人の人を攻撃するとか、あげ足をとるという気持ちは毛頭ございません。何としても、この油危機、しかも食糧危機の大事なときに、今度の監査を契機に、全農は、清潔で明朗な、そして農民のための全農となって、ほんとうに血と汗の結晶である農民の預金を有効に使って、農民には少しでも安いものを提供し、農家の所得を増すといったことに全力をあげるという体制にしてもらわなければいかぬ、かように思います。農家は、それでなくても油不足によってビニールハウスのメロンから、野菜から、あるいはまたあらゆる作物といったものに打撃を受けておりますし、今後また、畜産界もたいへん心配だし、四国、中国、九州においても、ミカンが豊作で、これによって、せっかくとれたミカンが安いということで悩んでおりますし、ノリはノリで、とれたけれども、十年以来の豊作であるけれども、油のために、腐るのをみすみすと海に捨てるというような、ばかげた話まで起きております。そういったことに一生懸命全農は力を尽くして、農民のためにやっていただくように、農林省は、ほんとうに心からなる指導と援助と、また監督をしてもらわなければならぬ、かように思っております。全農が姿勢を正して、みんなから信頼を受け、明るい、ほんとうに農民のための全農になることを私は心から願っております。  そういった意味で、今回の事件は、あえて言うならば「緑の霧」じゃないか、すでにしてそれが来た、こういう感じを私は受けておりますけれども、いま申し上げているのはまだ氷山の一角です。また次の機会を得まして、証人を喚問し、さらに姿勢を正すために質問することを留保し、本日は、時間が参りましたので、以上で全農問題に対する不正事件の質問を終わります。
  223. 仮谷忠男

  224. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間もずいぶん経過しておりますし、お見受けするところ、農林大臣も相当にお疲れになっているようでございますので、私、来年度の予算編成期を控えまして、農業基本的な問題について、簡略に若干の質問をいたしたいと思います。  まず、最初にお尋ねいたしたいことは、本年の九月、農林省は、世界食糧事情調査のために、北米のアメリカ、カナダ、あるいは中南米のメキシコ、ペルー、アルゼンチン、ブラジル、ヨーロッパ、東南アジア・大洋州のオーストラリア、タイ、フィリピン、インドシナ、それからインドという方面に調査団を派遣されたと聞いておるのでございますが、この調査の結果を、簡略でようございますから、この機会に御報告願いたいと思うのでございます。
  225. 三善信二

    三善政府委員 いまお話しがありましたように、ことしの九月から十月にかけまして、農林省としまして、北米、南米、欧州、東南アジア・大洋州、この四地域に対する調査団を派遣しました。構成は、単に農林省だけの人でこれを構成して出したわけじゃございませんで、気象庁、それから経済企画庁、大蔵省といった関係の各省の人員で構成をいたしまして、調査をしたわけでございます。  報告書は、相当詳しいものを出しておりますけれども、かいつまんで大体の概要をお話し申し上げますと、一つは、当面の国際食糧需給の見通しは一体どういうふうになっているかという調査をしたわけでございます。  そして、私ども概括的にそれを申しますと、一つは供給面の問題でございますけれども、アメリカは、御承知のように、相当増産に踏み切っておりますし、カナダ、ソ連——ソ連等も気象条件に恵まれて、相当の生産があがるというようになっておりますし、こういった農産物の主要生産国における生産というのは、来年度にかけてかなり増大はしていくだろうというふうな見方をいたしております。  しかし、もう一つは、開発途上国における生産がどういうふうになっているかということですが、たとえば東南アジアのインドネシア、インド、フィリピンといった国も生産意欲を燃やしておりますけれども、なかなかそう簡単には一いろいろな生産基盤の問題等がございまして、現在、御承知のように、相当食糧の不足国になっているというような状況でございますが、やはり、こういった世界状況にかんがみまして、生産の増大の対策は推進いたしているという状況でございます。  そういうことで、世界全体としては、供給の増加というのは当然見込まれるであろうと思われます。  一方、需要の面はどうかと申し上げますと、主要な輸出国、たとえばアメリカ、カナダ、特にアメリカなどは、在庫が非常に少なくなってきております。小麦の過剰在庫をかかえて悩んでおったわけでございますが、昨年からことしにかけて、アメリカの在庫が半分ぐらいになってきている。数字を申し上げますと、七十二年の九月末が、二千三百万トン小麦の在庫を持っておりましたが、七十三年の九月末、ことしはすでに一千百万トンに減っているし、来年の九月末は、おそらく六百万トンぐらいに減るのではなかろうかというふうに、この在庫は非常に激減をしているというような状況でございます。そういうことで、この在庫の復元というためには、数量的にも相当の必要があろうと思います。  それから、もう一つは、中国やインド、インドネシアといった国の輸入の増加というのが引き続き続いているというような現実でございます。そういたしますと、その供給面、需要面、あわせて全体として、世界食糧需給というものは、先進国ではかなり増産に踏み切ってやっておりますけれども、やはり、価格は非常に高いのではないか。しかも、在庫復元等の問題もございまして、不安定な状況が、当面の食糧国際需給の見通しとしては続くであろうというような感じがいたします。  それをもう一つ、多少長い目で、長期的に見てみますと、供給面では、先ほど申し上げましたように、アメリカ、カナダといった主要の生産国の生産は増大しておりますけれども、これまで過剰在庫で、国の財政負担は非常に多額に上り、悩んでおったわけでございますが、そういった苦い経験を持っているわけでございまして、過剰にならないように、確実な需要に見合った生産ということをやっていくのではなかろうかというのが、大体の、私どもが調べてきた一つの見通しでございます。  それから、ブラジルとかオーストラリアといった国は、土地資源は広大な土地資源があるわけでございますが、今後増産に踏み切って相当力を入れていくとしましても、その開発にはやはり相当の巨額の投資が要るということは当然のことでございまして、そういった面で急激な増産が可能であるかどうかということは、かなり問題があろうというふうな考え方を持っております。  他方、需要の面でございますけれどもソ連、中国といった共産圏の諸国は、農産物の大量な輸入ということは、かなり継続的にやっていくのではなかろうか。ソ連も、相当、増産といいますか、天候条件に恵まれて、去年からことしにかけたような大量の輸入ということは来年度考えられるようなことはないと思いますけれども、やはり、気象条件の問題で、そういった問題が非常に起こりやすいということはあろうかと思っています。  それから、中南米、アジアといった国、それから、現在問題になっております石油の産出国、こういった国では、やはり所得が増大しているという面がございまして、その需要の増加というようなことは相当拡大していくであろうという感じがいたしております。  それから、また、長い目で見て一番問題になりますのは、やはり、開発途上国の地域の人口の増加、それに基づく需要の増大ということが相当問題になろうと思っております。  そういった点で、需要の面もかなり増大していくということが考えられるわけでございますが、これはEC、ヨーロッパ諸国等に出しました調査団の報告等を見ましても、やはり、何を申し上げましても、ソ連とか中国といった国は、気象条件で、非常に急激な大量な輸入というようなことも考えられるし、世界食糧需給を見通す場合には、こういった国の動向ということを非常に注目しないと、簡単に楽観はできないのではなかろうかというような意見は、ヨーロッパの諸国はそれぞれ持っているというのが事実でございました。  そういったことで長期的に見ましても、食糧需要はだんだん拡大していくということで、全体としまして、私ども食糧が不足するというようなことは、そう簡単には考えられないと思っておりますが、従来のように、先進国間の貿易、取引ということで、比較的安定した状態が続いたわけでございますけれども、今後は、昨年来の国際的な需給変動に見られますように、長期的に見ましても、変動幅が大きい、不安定な需給状態が続くんじゃなかろうかというような結論を出しておりますわけでございますが、そういうことで、詳しいことは国別にあるいは主要な農産物ごとにまとめた報告書がございますので、もしよろしかったら、あとで差し上げたいと思っております。
  226. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまも御報告がありましたように、世界じゅうの食糧需給関係というものは、なかなか楽観を許さない。きょう午前中に、大臣のごあいさつの中にもありました、諸外国の内外の情勢というものは、非常にきびしい状態にあるんだということを、大臣も十分考えていらっしゃると思うのであまりす。特に、ただいまの世界じゅうの食糧需給関係と同時に、わが国として考えなくちゃいけないのは、石油がこういう状態になってまいりました。従来は、石油というものは、輸送というものはあまり考えないで、ただ需給関係だけで考えておった。ところが、石油というものがこういう状態になりますと、輸送というものがまた大きな役割りを占めてくる。といいますと、日本の食糧状態というものは、なお将来きびしいものがあるということを一応考えなければならないと思う。そういう点から、私は、農林大臣に特にここでお願いしたいことは、こういう内外の食糧事情、また、石油事情による輸送事情ということを勘案して、わが国食糧対策というものは、この際、なお一そう食糧自給体制に持っていくということをまず主眼として、もっと考えなくちゃいけないのじゃないか、かように私たち考えるわけでございますが、これに対する大臣の心がまえを承りたいと思います。
  227. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 全く同感でございます。ただ、私ども、長い目で見ますというと、いま石油事情がこういう状態でありますから石油が非常に叫ばれておりますけれども、これとても、やはり有限のものだと思います。したがって、長期的には、他のエネルギー産業について十分配慮していかなければ間に合わなくなる時代はそんなに遠くないことではないかと思うのです。  そういうことは一方において努力を続けるといたしましても、やはり、いまの国際情勢の中では、おっしゃいますように、多くの人があまり予測しなかった状態を現出したわけでございます。こういうことがいつあるかわからないということも考えてみますというと、国民生活基本であります食糧というものは、われわれみずからの手で確保のできるような体制をできるだけ整備しなければいけない、こういう考えをもって当たっておるわけでございます。
  228. 稲富稜人

    ○稲富委員 ここで、倉石農林大臣に特に私は——これははなはだ耳ざわりで、お気に召さぬことを申すかもわからぬので、失礼の点があったらお許しを願いたいと思うのでございますが、わが国食糧事情がこういう状態になったということは、一つは、政府が、農業基本法成立後急に高度経済成長政策をとってきて、農業世界分業論というものに災いされて、日本農業を海外農業に依存するというような一つのたてまえをとったことにあることも否定することはできないだろうと私は思う。こういう中で、これははなはだ失礼なことばかもわかりませんが、一般に考えておりますことは、農林大臣がかつて農林大臣のときに、高度経済成長政策にあまりにも協力的であった、そして、減反等の問題に対しても、踏み切って農林大臣がなされたのだということです。誤解かわかりませんけれども、一般にそういうふうに見ております。それで、倉石農林大臣が、今回この重大なときにまた農林大臣になられたということに対する一つの不安を持っている向きもあります。これは率直に申し上げます。  それで、ただいま申されましたような状態から、過去にそういう点も一般にも見られておりますので、もしもそういう事情であったならば、日本の農業というものに対するやり方に対して率直に御反省も願わなければならないと同時に、たとえ過去においてはそうであっても、この重大な時期に対してもしそうであったとするならば、今後日本の農業自給体制に持っていくという決意で今回の農林大臣としては処していただきたい、かように考えるわけでございますが、これに対する大臣考え方、所信を率直に承りたい。そうすることが、農民をして非常に安心させることであるし、農業に希望を持てるゆえんでもあると思いますので、苦言になるかもわかりませんけれども、私は、あえて率直に私の考え方を申し述べまして、大臣のこれに対する所信を承りたいと思うのでございます。
  229. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大先輩から農政基本についてのお話しを承りましたが、私は、全体の経済政策では、高度経済成長政策といったようなことを言ったこともございませんし、決してそういう考え方ではありませんで、やはり安定的成長をなすべきであるというたてまえでずっとやってまいりました。したがって、個人のことを申して失礼でございますが、私が党におりまして、昭和四十九年度予算編成大綱等をついせんだってまでやっておりましたときにわれわれが書きましたものをごらんいただいても、新聞にも出ておりますけれども、安定成長を目ざしてやっていくというたてまえです。しかし、このことは別といたしまして、生産調整というふうなことは、そういう政策全般のこともさることながら、潜在的に過剰ぎみである米に、もったいない資金、労力、土地を投下して余剰のものをつくるよりも、むしろ、国民生活により必要であり、しかも少ないものを転換してつくっていくということがとるべき策ではないだろうかということを考えまして、稲作転換対策を始めたわけでございます。  大筋においては、その後ずっと農林省でやってまいりましたことも、いま私が申し上げましたとおりのことでありまして、そこへもってきて今度の石油問題、こういうような時局に際会いたしてみますと、よけい私どもとしては、国土の利用を十分にして、そして生産性を上げて、自給度を高めてまいりたいという、こういう基本的な考えを持っておることは、先ほど来お答え申し上げておりました中にもあることだと思いますが、そういう方向考えております。
  230. 稲富稜人

    ○稲富委員 米の生産調整に対していろいろ議論すると、議論があると思うのでございますけれども、私たちとしては、一律の減反政策とか、そういうものがよかったかどうか、もっと主産地形成でもやるということで、米の生産計画をやるべきではなかったかという、こういう点が意見の分かれ道になると思うのでございますが、農民から言いますと、また、私たち考えましても、休耕する、田をつくらない、つくらない者に補助をやる——土地というものは高度に利用することを考えなくちゃいけないので、そういう点においては、私は過去を批判するわけではございませんけれども、もっと考慮すべき問題があったのではなかったかと思う。それをあえてちょうどその時期にあなたは農林大臣をやられた。貧乏くじをあなたは引かれたと思うのでございますけれども、そういうことが、いかにも農業に対して積極的でないような感じを農民の間に抱かせたことも否定することはできないと思うのでございます。そういう点から、今後の日本の農政のあり方に対して、しかも、この重大な時期に農林大臣になられたのだから、過去は過去として、今後は、日本の農業というものをほんとうに原点に立ち返って考えて、日本農業の確立のためにどこまでも自分は戦っていくんだ、また、そういう行政的な処置をとっていくんだという大臣決意を私も知りたいし、また、農民全体、国民全体も、その大臣決意を知りたいというのが率直な希望だと私は思うのでございますので、個々のことをいろいろ言うわけではございませんので、この点、大臣のそれに対する決意を明らかに承りたいと思うのでございます。
  231. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大筋といたしましては、農業基本法が示しております方向——日本の経済発展に伴って、農業も当然発展してまいるわけでありますが、しばしば申し上げておりますように、欧米に遜色のない日本の農業をつくり上げたいという考え方基本になっておるわけであります。そこで、私が先年農林省におりましたころでありますが、農林省が、農業生産の地域指標というものをつくりました。あれは、稲富さん御承知のように、外国などではかなり詳細なものをつくっておる国もありますが、私どもは、やはり地域の特性を生かして、そして、できるだけの生産性をあげてまいりたいということでありますから、逐次、適地適作といいますか、そういう考え方に重点を置いて、しかも、先ほど申し上げましたように、米のほかに、必要欠くべからざるものであるにもかかわらず供給の不足しておるようなものに、若干の助成をいたしましても、この際自給度を高めてまいりたい、こういうことでありますので、私ども農林省が一体になっていまの時局を乗り切ろうといたしてまいります心がけの根本は、いま申し上げましたような、欧米に比して遜色のない農業経営をできるだけ育て上げるということと、自給度を高めてまいるということ、こういうことに主力を置いて農政をやってまいるつもりでございます。
  232. 稲富稜人

    ○稲富委員 そこで、農林大臣に特に私は希望を申し上げたいと思いますのは、これは午前中にもずいぶん論議されたのでございますが、きょうの大臣のごあいさつの中にも、未利用資源を活用する必要があるということを強く主張されまして、非常に私たちは喜ばしいと思うのでございますが、これにかかってくるのは、午前中の議論にもありましたところの、田中総理の三十万ヘクタールの農地転用の問題が常に問題になってくるのでございます。これは、私はいろいろ議論しません。ただ、大臣にここで申し上げたいことは、田中総理がどういうつもりで三十万ヘクタールの農地転用を主張されたか知らぬけれども、これがもしも日本の農業の上に影響するというようなことがあるならば、たとえ総理大臣の意見でありましても、あなたは、所管の農林大臣として、不退転の決意をもって、日本の農業を守るのだという立場からこの問題に処していただきたい。こういうことを特に私は農林大臣に希望申し上げたいと思うのでございますが、これに対するあなたの御決意のほどを承りたいと思います。
  233. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 総理大臣でありますから、田中さんは、ずいぶんとあらゆる機会に発言しておられますし、先般来、予算委員会等でもいろいろな質疑にお答えをいたしております。私どもは、閣僚として、その予算委員会における総理の発言を聞いておりましたが、先ほども申し上げましたように、参議院においても、かなり長時間にわたって見解を述べられております。ああいうものを総合してみますと、農業というものをおろそかにする考えなどは全くございません。何か誤解がもし一部にあるとすれば、これは私どもから払拭しておきたいと思うのでありますが、ことに、答弁の中にも明らかに言っておりますけれども、やはり、私どもと同じように、農業として必要なる優良農地というものは当然守っていかなければならないのだということも答弁の間にしばしば出てきている。それからまた、農業自給度を高めなければならぬということも質疑応答の中に出てきております。当然なことだと思うのであります。  そこで、私どもといたしましては、先ほどもしばしばお答えいたしましたように、ああいう問題につきましては時間をかけて、それぞれ責任の官庁がありますから、そういうところとも緊密な連携を保ちながら、総理のそのことばを一応のめどといたしまして、そのために検討を続けてまいる、そして、優良農地は当然守っていくというたてまえをくずさない、こういうことでございます。
  234. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま大臣の言われることは、私たちも、参議院の予算委員会での答弁等も承っております。大臣が言われるように、総理の本意はそこではないのだと言われれば、なおけっこうでございますけれども、やはり、国民の中には先入観がありまして——前に総理大臣が三十万ヘクタールの問題を出されたときに、そのときの櫻内農林大臣はこれに対して抵抗されたが、しかしながらついに総理大臣に押し切られたということが新聞報道等で報じられておりますので、やはり、そういうような先入観がありますので、総理の気持はそこにあるんじゃなかろうかということもあるのです。そこで、私は、国民考えていることが誤解であって、総理の本意がもしもそこになかったとしたならば、なおけっこうでございますが、もしもそういうことがあったならば、いま大臣が言われましたように、日本の農業を守るという立場から、あなたは所管大臣としてこれを処していただきたい。私は、こういうことを特にこの機会に希望申し上げておきたいと思うのでございます。  さらに、いま一つ私が大臣に特にお願い申し上げたいと思いますことは、本年度の施政方針演説の中においても、総理はしばしば農工一体だということばを言われます。農工一体だということを聞いてみると、何か、農村に工業が発展してくると、農業家庭の収入というものが工業面から入るから、これによって農家の収入もふえるのだというような、いかにも、農業というものが工業に寄生することによって農家が立ち行くような、こういうことが農工一体であるかのごとくに言われておるような感が非常に深いのでございます。私は、これは、ほかの人が言うのはともかく、農林大臣はそういうことをやってはいけないと思う。やはり、農業農業として立ち行くのだというたてまえでやらなければいけないと思うのです。農工一体というのは、工業が発展すると同時に農業も対等に発展し縛るのだ。何も、寄生して農業農業経営をやっていけるのではなくして、農業自体もやっていけるのだというたてまえの農工一体でなければ、農業としては立ち行かないと私は思うのでございますが、こういうことに対する農林大臣の心がまえをこの機会に承りたいと思います。
  235. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農工一体ということばは、何か、少し時代が古いような感じがいたしますが、総理の言っておられることは、いずれの産業も並立してやっていかれるようにバランスをとっていかなければいかぬという意味のように、あの速記録を見ますと受け取れます。私どもも、それは当然なことだと思うのであります。しかしながら、第一次産業というのは、どうしても、生産性がともすれば製造業よりはおくれがちなところがあります。したがって、私どもといたしましては、この一次産業の所得を二次産業に劣らないように——もっとも、最近は、御存じのように、農家の所得が他の産業の勤務者の家庭の所得に大体匹敵するか、数字的にはやや上回ってきている情勢でありますけれども農業も、工業も、その他の産業も並立して伸びていくというたてまえであると御理解をいただきたいと存じます。
  236. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういうたてまえでやっていただきたいということを強く要望いたします。  さらに、次には、先刻から農林大臣も言われたのでありますが、農業基本法の趣旨に沿ってやっていくのだというお考えでございますが、ところが、御承知のように、農業基本法というものを現在ほとんどほごみたいにして、農業基本法の内容というものが実際の事情に合わない、また、基本法どおりの農政というのが打ち立てられていない、かように私たち考えます。この問題を論じておりますと、この問題は長くなりますので、結論だけ申し上げますけれども、こういう点から、私たちは、しばしば本会議でも総理に、農業基本法を改正する必要はないのかと言うたところが、これでいいのだとおっしゃる。いいのだとおっしゃるならば、農業基本法の趣旨に沿うたような農政をやることだ。ところが、実際は沿うておりません。それで、その点から言うと、農業基本法の改正をやらなければいけないという問題も起こってくると思うのでございますが、改正する必要はないというならば、農業というものを農業基本法の趣旨に持っていく、農業基本法の目的どおりに日本の農業を確立するということになるわけなんですね。この点、どちらを取るかという問題になるわけでございますが、この点について承りたいということ。  さらに、先般、これは私の新聞の見違いかもわかりませんが、米価審議会があったときに、小倉会長が、農業基本法か、あるいは農業食糧基本法かという問題を検討の必要があるのじゃないかということを口頭か何かで言われたことを新聞で見たのでございますが、こういうことに対する農業基本法のあり方、あるいは食糧基本法といいますか、そういうような問題を提起する、検討するという心がまえがあるかどうか、この点を承りたいと思うのでございます。
  237. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 基本法は、私ども十河年前に国会で制定をいたしまして、それは法律でございますから、時代の変遷に伴って、いろいろこまかく分析すれば意見もあるかもしれませんが、いわば農業の心がまえを示した憲法とでも申しましょうか、そういう基本的心がまえを差し示すのがあの法律の精神だと私どもは受けとめておるわけであります。  小倉さんから米審のときに何かお話しがあったということを私もちょっと耳にいたしまして、一体どういうことを小倉さんは言っているのかということを尋ねたのでありますが、これは別にまとまった御意見で、こうあるべきであるという意見でもなかったようでありますが、短日のように変転してまいります社会情勢に対応してわれわれは農政も進めていかなければなりませんが、基本法に差し示されてあります考え方というものは、私は、これはりっぱなものではないかと思っておる次第であります。
  238. 稲富稜人

    ○稲富委員 この基本法の問題になりますと、こればかりで議論がかかりますから、この際議論をいたしませんが、ただ基本法というものが一つのことを示しておりながらも、事実は、基本法に示しておることがあまりにも実現していない。逆になっているのです。ほごになっているのですよ。この点を申すわけなんで、私たちは、農業基本法というものができたということは、これはやはり農業の将来を示したものであると同時に、それが実現することを期待しておったのです。ところが、ほとんど実現されていない。逆な結果になっているということなんです。そういう点から、農業基本法というものを再検討する必要があるのじゃないかということを考えるし、また、これに対して、農業基本法のその趣旨に沿わないような農政が行なわれるとするならば、その趣旨に沿うたようなたてまえにしなくてはいけないのじゃないかという問題になってきます。これは、いまここで議論しておりますと長くなりますので、この問題はお互いに検討することといたしまして、大臣といたしましても十分検討していただきたいということを申し上げます。  時間がありませんので、最後に一つ申し上げますが、いよいよ来年度の予算編成期になるので、予算編成に当たられると思うのでございますが、新聞等ではいろいろ言っております。こういう時期だから、この予算編成に対して、もう新規事業はやらないのだとか、こういうようないろいろな憶測をされております。それで、この予算編成に対して、大臣はどういう決意で農林予算を編成しようと思っていらっしゃるのか、まず、それに対する決意を承りたいと思います。
  239. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大蔵大臣と私どものほうの党三役で、四十九年度予算編成の方針について協議をいたしまして、そのことを発表しております。私どもの党のほうの政調会でも言っておりますが、まずもって、来年度の予算編成の第一の眼目は物価の抑制、そして過剰な投資をしないように、したがって、そういう方針で予算を編成していく、国民に対しての政府の姿勢を、そういう姿勢でいくことを示すべきである、こういう考え方基本であるということであります。私どもも、時節柄まことにそうだと思っております。しかし、必要な予算、農林業のような仕事に対してはできるだけの仕事をいたすことに最善の努力をいたすことは、もう申すまでもないことでございます。
  240. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後に承りたい。  もちろん、全体の予算編成の大綱というものはいまおっしゃったようなことであろうと思うのでございますが、農林大臣としての予算編成に対する心がまえというものは、何と申しましても、農林漁業経営というものがやりやすいような農政をやるんだということ、これが大きなたてまえでなければいけないと私は思う。そうすることによって農民農民自体の生活を守れるのであり、これがひいては国民全体の生活を守るのだ、ここに農業の大きな使命があるので、その使命を果たすための農林予算というものを編成すべきであると、こういうたてまえで予算編成に当たっていただきたいということを、特に農林大臣に希望申し上げたいと思うのでございますが、これに対する農林大臣決意を承りたい。
  241. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 その点は、まことに同感でございまして、私も、その決意で来年度予算編成に取り組む覚悟でございます。
  242. 稲富稜人

    ○稲富委員 きょうはこのくらいで終わります。
  243. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次回は、公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時三十九分散会