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1973-12-12 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十二日(水曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 熊谷 義雄君    理事 坂村 吉正君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    上田 茂行君       吉川 久衛君    佐々木義武君       島田 安夫君    染谷  誠君       中尾 栄一君    粟山 ひで君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       馬場  昇君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稲富 稜人君       小沢 貞孝君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁次長   安福 数夫君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      二瓶  博君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会副会         長)      及川 孝平君         参  考  人         (全国農業協同         組合連合会常務         理事)     笠原 大二君         参  考  人         (全国森林組合         連合会専務理         事)      喜多 正治君         参  考  人         (大日本水産会         会長)     藤田  巖君         参  考  人         (日本鰹鮪漁業         協同組合連合会         会長)     増田 正一君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     松村 正治君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十二月十二日  辞任         補欠選任   神田 大作君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     神田 大作君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(石油不足に伴う  農林水産業に及ぼす影響問題等)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日は、石油不足に伴う農林水産業に及ぼす影響問題等について、参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、全国農業協同組合中央会常務理事松村正治君、全国農業協同組合連合会常務理事笠原大二君、全国森林組合連合会専務理事喜多正治君、大日本水産会会長藤田巖君、全国漁業協同組合連合会会長及川孝平君、日本鰹鮪漁業協同組合連合会会長増田正一君、以上六名の方々でございます。  参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。石油不足に伴う農林水産業に及ぼす影響問題等につきまして、参考人各位のそれぞれの立場から、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず、御意見を、お一人二十分程度で順次お述べいただき、その後委員からの質疑がありますので、これにお答えをいただくことにいたしたいと存じます。  御意見の開陳は、松村参考人笠原参考人喜多参考人藤田参考人及川参考人の順序でお願いをいたします。  それでは、松村参考人お願いをいたします。
  3. 松村正治

    松村参考人 松村でございます。  いろいろごやっかいになっておりますが、ひとつ全中立場で公述申し上げたいと思いますが、実務機関としては、このあとの笠原常務のほうから詳しい個々の事例お話しがあると思いますので、農協の取り組む基本的な姿勢、要望実態、そういうことについての概略について申し上げたいと思います。  まず、石油及び石油製品については、あるいは農家用LPガスについては、農協としては、実務機関としては、全農の中に自動車燃料部というものがございまして、それで対応してまいっております。  今回の第四次中東戦争に基づく石油及び石油製品についても、全農はいち早く農林省と緊密な連絡を取りながら対処してまいってきておりますが、しかし、事態が深刻になりましたので、全中もこれに介入いたしまして、農業生産用石油優先確保の大ワク決定についての主務大臣の関与のしかた、並びに確保された石油配給割り当てというものについて、一時通産大臣の専管にするというような事務当局の動きもございましたので、さっそくわれわれといたしましては手を打ちまして、おおむね、大ワクについても主務大臣意見を聴し、あるいは、大ワクの中の配給については主管大臣がやるというようなことについて、政府のほうも意見の一致を見たようでございます。ただし、問題は、政省令段階になってはっきりするのだろうとわれわれは思います。  昨日、正式に、この問題は、単に全農全中のみならず、全国連の農協全体としてこれを受けとめる必要があるという判断に基づきまして、昨日の理事会で、緊急資源資材対策本部——これは、本部長宮脇全中会長になると思いますが、そういうものを発足させて、今後の事態に対処してまいりたいと思います。  われわれが石油及びその製品について、優先確保ということを主張している根拠といたしましては、何と申しましても、国民食糧安定的確保という立場に立ち、そのことが日本国民の全体にとって最も重要なことであるという確信のもとに、そういうことをお願い申し上げているわけでございまして、以下、われわれは、そういう立場に立って主張申し上げる次第でございます。  国のほうでも、農林水産物資優先確保するということでございますので、方針としてはけっこうでございますが、末端実務で、その優先確保が、上のほうできめたやっと下の実務との間に必ずしもしっくりいっていない、ギャップがあるというのも実情でございます。昨日の全中理事会でも、北海道の代表から、北海道ではタマネギ、バレイショ、雑穀等がうんとたまっている、それが運べないということで、東京都と交渉して、とにかく帰りの油をくれというような強い要請等もございました。  われわれは、さきに述べたとおり、石油問題については、いち早く農業用石油優先確保農林大臣要請してまいりましたが、農林省としても、九月の段階で、通産省及び石油連盟に対して、純農業用として下期三百四十二万キロリットルの優先確保を申し入れ、相当努力をしている事実はございますが、これが保証されるという確信は、残念ながら、いまのところございません。  農業用石油といってもばく然としていますが、量的問題としては、第一には農業生産用石油、これは乾燥用を含みます。第二としては、できた農畜産物消費地輸送する油ということでございます。こういうことが順調に参りませんと、産地安消費地高という非常に不幸な事態が起きて、混乱をいたします。  さらに、家庭用LPについても、これは、農家用についてはほとんどが厨房用でございますので、この確保お願い申し上げたいと思います。  次に、価格の問題でございますが、これについては、新聞紙上等でわれわれも承っておりますように、非常に高騰して、先行き不安でございますので、強力な指導及び監視体制というものの強化を希望するものでございます。  以上の実情を踏まえて、われわれは、緊急対策として次のような考え方を持っておりますので、ぜひ先生方の御高配をお願い申し上げたいと思います。  農業生産用石油優先確保については、行政と実態とのギャップがあるということは先ほど申し上げましたが、通産省農林省が今後十分緊密な連絡をとっていただくことはもちろんでございますが、石油需給適正化法案ができましても、実際問題として、いままでの実例から申し上げますと、末端においてギャップが生じてくるということが心配されます。そのためには、諸般の情勢を判断すれば、たとえば農業用石油については、特定分離をいたしまして、これを農業団体にまかせるというような方法、そして、農業団体責任においてこれを実行するというようなことも一つ方法ではなかろうかというふうに考えております。  それから、農産物輸送用の油についての確保でございますが、いろいろ伝えられておりますが、結局は、実需者割り当て、これはイギリス等でもそういうことをやっているようでございますが、実需者割り当てということを導入せざるを得ないと思います。したがいまして、早くこの準備をし、実行に移されることがいいのではないかというふうな考えを持っております。  なお、農家生活用LPについては、これはもう実際の生活に直結した厨房用でございますので、ぜひ確保お願い申し上げたいと思います。  それから、もう一つつけ加えておきますが、今度の石油危機から申しまして、石油原料とする二次的な製品波及効果というものがございます。肥料資材、その他の値上げが一斉に行なわれております。さらに、また、中東石油政策にかんがみまして、他のたとえばモロッコとかアメリカ等が、過燐酸を一挙に、モロッコについては三倍、アメリカについては二倍ということを一方的に通告しているというような、資源国のそういう事態も生じております。したがいまして、こういうことは農業生産のコストを上げ、先ほどの輸送との関連で相当の混乱が予想されますので、石油はもちろん、その二次、三次製品量的確保及び価格確保についての指導監視体制強化ということを徹底的にやってもらって、国民食糧が安定的に確保されるよう、われわれとしては今後の対策を進めていく方針でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  個々具体的な事例につきましては、笠原常務のほうから詳細な説明があると思いますので、私はこれで公述を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、笠原参考人お願いをいたします。
  5. 笠原大二

    笠原参考人 全農常務理事笠原でございます。  農業用石油の問題につきまして、最近の事態に対処いたしますオール農協としましての対策といたしましては、ただいま全中松村常務のほうから申し上げましたように、全中内に対策本部をつくりまして、全中会長がそれを主宰をいたしまして、実務担当といたしましては、事業機関でございます全農が、最近の情勢を踏まえまして、現在、農林省とも相談をいたしまして、できるだけこれの確保をするように毎日当たっておるという状況に実はあるわけでございます。  多少経過的に申し上げますと、系統の農業団体といたしましての農業用石油取り扱いにつきましては、戦後配給統制が廃止されましてから、全農が具体的な事業計画準備をいたしまして、現在、大体三百万キロリットルの農業用石油を、各会員の要望にこたえまして供給をしておるという状況でございまして、中央、それから県、それから町村段階で、農業用石油のシェアは、大体中央段階で四一、二%、それから県の段階で四五%、それから単位農協町村農協段階で約五九%くらいになろうかと思うわけでございます。  農業用石油につきましては、御承知のとおり、わが国の全体の油の需要の中におきますパーセンテージは非常に少ないわけでございますが、現在、その影響が非常に大きくあらわれておることは御承知と存じます。農業用は約八百万キロ、現在は大体一千万キロくらいになろうかと思いますが、わが国の全体の需要をかりに二億キロと——もっと多くはなっておると思いますが、そう仮定いたしますと、農村用は約四%くらいということになり、そのうち農業専用に使いますものは五百四十万キロリットル見当でございますので、そういたしますと、二・七%という数字に相なるわけでございます。農村工業用なり、関連共同事業農産物加工等生産をかりに五百万キロくらいと想定いたしましても、大体五、六%ということで、わが国全体の消費量に比べますと、パーセントが非常に低いわけでございますけれども、これが農業生産に及ぼします影響はきわめて大きい。特に、食糧の増産なり、零細な農業生産者がこれを使いましての農業生産の形が、何といいましても、現在は基本的に定着をいたしておるわけでございますので、現下の情勢に照応いたしまして、たとえば需給適正化法等が制定実施されます場合にも、特に、農業用石油につきましては十分な配慮お願いいたしませんと、われわれとしましては、不測の問題がいろいろ惹起をしてまいるのではないかと、実は懸念をしておるわけでございますし、御承知のとおり、各県別の、これの具体的な供給の確約の陳情が、日常、連日、全中全農に参っておる実情でございます。  この法律が最終どうしても発動しなければならないという場合の国の施策につきましては、先般来、諸先生方にも、農業部門事情をいろいろ申し上げまして、御要請を申し上げ、すでに一部実現をいたしておりますし、御承知の、十一月十六日の閣議決定によります石油緊急対策要綱等にも、農林漁業用油優先確保につきましては、すでに明文化をいただいておるわけでございますけれども、しかし、今後情勢がかなりきびしくなるということも予見されますので、その際には、当然、農業部門におきましても、国の施策に沿いましての消費節減施策対応はいたしてまいらなければいかぬわけでございますけれども、何といいましても、農林業は自然が相手でございますし、いろいろの制約条件がございます。工場生産とは違うわけでございますし、それの受けます影響は、大資本の生産工場が受けます影響よりも大きいということからいたしまして、また、実は、農業用石油につきましては、私が申し上げるまでもなく、需要の波がございます。これに適応いたしましたような適切な供給なり、必要な、たとえば節減目標等をつくります場合にも、やはり農業実情に合った措置を配慮してもらわなければならないというような問題が実は出てまいっておりますので、この点につきましても、われわれといたしましては、十分実情を御検討をいただいて、今後そのような事態になりました場合にも、弱い農業者がしわを受けないように、十分特段の御配慮お願いいたしたいと考える次第でございます。  したがいまして、このようなきびしい規制を講ぜざるを得ないという実情についてはわれわれはわかるわけでございますけれども、先ほど全中松村常務が申し上げましたように、やはり農業実情を十分わかっていただき、そして、責任のあります食糧増産有効利用ができます運用を今後考えていただくということがまずもって大切なことではないかというように考えるわけでございます。  それをなぜ申しますかといいますと、実は、全農といたしましては、今日、この石油が足りないということで問題に突き当たったわけではございません。ことしの春、先生方承知のとおり、春耕ができないという事態がすでに起きまして、石油が足りなくてトラクターが動かないという時期が、すでにこの三、四、五の三カ月の期間にあったわけでございます。と申しますのは、御承知のとおり、海外の石油事情は、中東戦争が引き金にはなったわけでございますけれども、すでに、昨年の秋ごろから、国際的なOPECとメジャーの力関係にかなり食い違いが生じまして、売り手市場といいますか、そういう気配がすでに出てまいっておりまして、需要等につきましては、国内的にも弱い部門でございます農業部門等は非常にぎくしゃくしまして、需要期に油が間に合わないという事態にぶつかったわけでございます。これは、一つには、春耕期にぶつかりましたのにちょうど春闘が重なりまして、沿岸ないし大都市近郊には油はありますけれども、需要地であります農村に、現実に、軽油重油灯油が足りなくて、農業機械が動かなかったわけでございます。  したがいまして、われわれといたしましては、これに対します対応策をそれぞれ関係のところに緊急に要請をいたしますとともに、監督官庁でございます農林省とも相談をいたしまして、それぞれ対応をいたしたわけでございますけれども、その間に需要がきびしくなってまいりました場合には、遠地で、しかもそういうふうな需要の山があります地帯に対しまして、実はなかなか供給ができなかった。それぞれ陳情いたしました場合に、田植えについては、時差田植えをしたらいいじゃないかということも言われた方がございます。そういうことは、農業実態から言って実際にできるわけではございません。山手線時差出勤をいたしましても、農業時差田植えはできないわけでございますから、何とかこれに対する配慮をしてもらいたいということで、その期間特別に増産確保対策をいろいろ立てまして、しのいでまいったわけでございます。  したがいまして、われわれとしましては、これにこりまして、ことしの八月ごろから、農林省相談をいたしまして、来年の三月までに必要といたします需要を、町村別県別油種別に全部積み上げまして、そして、この九月には、元売り、監督官庁等にもそれぞれ要請をいたしまして進めてまいっておりますので、その限りにおきましては、農業団体としましての農業用石油の手配につきましては、一歩早く状況を勘案いたしましてやったわけでございますけれども、現実には、中東戦争が勃発しまして以後は、約束をいたしました最低必要量の大体一〇ないし一五%程度をやはり一律にカットされざるを得ないというような実情で、これに対しましては、われわれとしましては、まだいろいろ交渉中でございますが、強く要請をして、優先的な取り扱い、ものの円滑な供給努力をいたしておるという状況であるわけでございます。  その際、実は、農林省に、自由化以来専門の所管部署がございません。したがいまして、便宜御相談をいたしまして、現在、園芸局中心になってやっていただいておるわけでございますけれども、こういうものも、今後のきびしい農業用石油状況を考えますと、やはり専属の部署をつくって、農業団体と表裏一体になって仕事を進めていく体制をここで検討していただく必要があるのではないか。多少口幅ったい言い方かもしれませんけれども、そういうふうに実は愚考いたす次第でございます。したがいまして、今後法制等がしかれます場合には、ただいま申し上げましたような実情を十分勘案願いまして、農業実情に合った慎重適切な運用をぜひお願いをいたしたいと考えるわけでございます。  一、二事例等を申し上げまして参考に供したいと存じますが、農業用石油につきましては、下期には、農業機械用といたしまして、ガソリン、灯油軽油重油等で約二百二十六万キロを必要といたすわけでございますが、何と申しましても、最近の農業は、劣悪な労働条件下におきまして、機械化必須事項でございますので、これに事欠きました場合には、農業生産の受けます影響は非常に大きいものである。と同時に、これには季節性の問題が実はあるわけでございます。農業用石油につきましては、適期に優先配給をしてくれとわれわれが主張いたしますのは、農業用石油の一年間の消費が集中いたしますのが四、五月の春季農耕期でございまして、これが四〇%以上、それから十月を中心といたしましての収穫期用が三〇%弱、それから十二−三のハウス用の軽灯油でございますが、そういう三つの山があるわけでございます。今後いろいろ規制をされます場合には、えてしてこれが一律にやられるという懸念なきにしもあらずということを実は心配をいたしておるわけでございます。われわれとしましては、これからそういう点を十分くみ入れた運用施策をやっていただきたいと考えるわけでございます。  それから、当面問題になっておりますのは冬期のハウス用の軽灯油でございますが、これは私が申し上げるまでもなく御承知と存じますが、国民生活多様化に伴いましての施設園芸が非常に現在進んでおるわけでございまして、現在、ハウスの面積は約二万町歩でございまして、これは、大都市に出荷されます冬秋期野菜生産額の約五〇%でございます。下期で約百七万キロの軽灯油を必要としておるわけでございますが、これが現在不足をして困っておるという問題がございます。  また、同時に、国の施策に沿いましての構造改善事業等によりまして、新しい園芸団地等ができました場合、これに対します油が現在ございません。現在実績主義でございますので、他を削ることは、他に犠牲を及ぼすことでございますので、われわれは一体何を植えたらいいかという質問に、もう何とも返答ができなくて、いま困っておるという実情でございます。  もちろん、貴重な燃料でございますので、低温育成指導等も、農林省と御相談をいたしましていろいろ進めております。二度程度のものは現在下げる指導を具体的にもうやっておるわけでございますし、昼間の燃料節減とか、いろいろ対策を立てておるわけでございますが、新しくそういうふうな苗を準備しまして、植えつけをかりにするかしないかというときに、現時点では、その苗は捨ててしまわざるを得ないのではないかということをわれわれとしては言わざるを得ない、苦しい実情にあるわけでございます。これがひいては、しばらくたちましたならば、当然、大都市におきます生鮮食料品価格問題に直ちにはね返ってまいると思うのであります。そういうことにつきましては、われわれといたしましての責任問題も当然ございますけれども、何と申しましても、そういう基本がしかれるべき必要があるということをここでお願いをし、強調をいたす次第でございます。  つけ加えますならば、先ほど松村常務からお話しのございました農業施設農産物乾燥施設等、現在、これらに対しましての要請がいろいろ参っております。これらにつきましても、われわれとしましては、現在混乱しております形を何としても収拾をいたしまして、最低必要量のものを優先的に、的確に約束できる形にしてまいりたいということが、いまお願いをし、主張をしてまいらなければならない点ではないかと考えるわけでございます。  御承知のとおり、現在、年末、正月用野菜の出荷なり、ミカン地帯におきます出荷なり、正月モチ米等の出荷が非常に混乱をいたしておりまして、問題が非常にあがってきております。農協牛乳等も、きょう新聞に出ておりましたと思いますが、実は、配送を控えなければならないという状況でございまして、これらに対しまして、十分御審議の上、対策お願い申し上げたいと存ずる次第でございます。  なお、つけ加えまして、このような農業者によります農業生産用だけでなくて、これに関連をいたしました食品加工業なり、農村工業、特に主食、生鮮食料品等原料加工搬送用の油も現在のところ、充足ができておりません。これは農業生産と直ちに結びつくものでございますので、これにつきましても、われわれとしましては、大ワクの中で何らか計画化していく対策を立てていく必要があるのではないかというように考えております。  また、全中常務から申し上げましたように、最近、農業生産資材価格値上がりは、暴騰と申しますか、非常に値上がりをいたしております。当然、ナフサ原料等によります肥料の問題、それから農業用ビニール問題等いろいろございますが、これは工業生産を通じましてはね返ってまいるわけでございますが、そのもとでございます肥料原料ないしは飼料等につきましての外航船の油——肥料は約三百万トンでございますが、こういうものの外航船の油の補給等につきましても、並行いたしましての対策が必要ではないかというように考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、これらの問題を、国の方針といたしましても至急整備をいたしまして、円滑な流通が行なわれるように対処いたしませんと、われわれ農業者側の受けます影響はきわめて大きいわけでございますので、事情の一端を申し上げまして、私の参考意見といたす次第でございます。(拍手)
  6. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、喜多参考人お願いをいたします。
  7. 喜多正治

    喜多参考人 私、全国森林組合連合会の喜多でございます。  きょうは、林業としての立場はもとよりでございますが、なお、関連産業なり、また、外材輸入の立場も兼ねさしていただきまして、所見を申し述べたいと存じます。  石油危機は、いまや日本経済を根底からゆさぶろうとしておりまするが、われわれ林業にとりましても、まさに一大問題でございます。御承知のとおり、林業は、木材その他の林産物の生産という貴重な使命のほかに、広く自然環境の保持、水資源の涵養等々、国民生活、福祉の向上に重要な役割りを果たしております。もし林業が停滞せんか、国民生活に大きな影響を及ぼすことは必至でございます。特に、林業は自然を相手とする第一次産業でありまするので、その性格上、適時適作業ということが必要でございまして、もし時期を失しまするならば、樹木の生長に悪影響を及ぼし、病虫害は蔓延し、また、伐採いたしました木材が腐朽する等のいろいろな問題を惹起いたします。林産物の一つでございまする干しシイタケのごときものも、乾燥時期を失しますれば腐敗をいたしまして、生産者に多大の影響を及ぼすことになるのでございます。  このように適期の作業ということが絶対に必要でございまするが、ここで申し上げたいのは、これらの作業に必要な機械あるいは施設、たとえばチェーンソー、枝打ち機、集材機、病虫害防除機、トラクター、貨物自動車、林業労務者用のバス、さらにはシイタケ乾燥施設等々に、この石油が、人間の血液と同様に、まさに不可欠のものであることでございます。もし石油不足を生じまする場合におきましては、林業生産そのものの停滞にも当然響くことは大きいのでございまして、まさにこれは一大事でございます。しかも、その症状が、いまや現実化しつつある。特に、軽油、A重油灯油、これが末端の林業者から強く要請されておる状況でございます。  さらに、森林の経営に欠くべからざる林道の開設、治山事業等に使用いたしまする各種の機械も、石油がその生命であることは申すまでもございません。  以上のような情勢でございまするので、もし石油供給不足が深刻化いたしまする場合におきましては、事態はきわめて大きな影響を及ぼすものであろうと憂慮されるのでございます。  次に、製材業、合板業、木材チップ製造業等の関連産業に対しまして、石油不足はいまや大きな影響を与えておるのでございます。特に、業界の多くが、御案内のように中小企業でございまするので、影響はまさに深刻でございます。このため、製材、合板、チップ等の安定供給は、残念ながら漸次困難となってまいっております。なかんずく、木材の輸送はトラックによることが多いのでございますが、燃料不足のため非常に困難になってまいりました。また、木材の海上輸送も、船舶用石油確保が大きな問題となってまいっております。  さらに、木材製品でございますが、これは長距離輸送の度合いが高いものでございまして、運送会社に依頼することが多いのでございますが、油不足を理由に運搬を拒否されたり、大幅な運賃値上げを通告されたりいたしまして、実は困っております。  事例といたしまして、これは中国のある県でございますが、行きの車はよくても、荷をおろしましたあと、帰りの燃料供給ができないために、東京市場への製材品出荷ができなくなったという話も出ております。生産地と消費地の結びつきがこうして困難になろうとしております。  また、わが国木材供給量の過半を占めておりまする外材の輸入の場合におきましても、石油不足のため木材船の運航がカットされる心配も出てきておりまして、この面から円滑な輸入がむずかしくなることが懸念されるという現状でございます。  以上のように、林業及び木材関連企業は、生産はもちろんでありまするが、特に、輸送のネックが中心となりまして、これがまた生産供給を減少させる事態を生ずることになっておるのであります。悪行きいたしますれば、中小企業におきましては、今後かなりの倒産が起こる心配すらございます。  また、このような石油不足によりまする木材輸送量の減少は、東京、大阪などの大消費地におきまして、需給逼迫のおそれを生じさせておりまして、これが大消費地中心にいたしまする木材価格の高騰というところにつながってまいっておるのでございます。また、紙不足が大きく叫ばれておりまするが、その原料となりまする木材チップは、その八〇%までが国産材に依存いたしておりまして、これも輸送の困難さからその供給が逼迫し、紙不足価格高騰が一段と深刻化するのではないかという点が心配でございます。  最後に、林業及び木材関連産業で使用いたしました石油の量はどの程度かと申しますと、四十七年度におきましては約二百万キロリットル、四十八年度は約二百二十万キロリットルを予想しておりまするが、さらに四十九年度は約二百四十万キロリットルが要るのじゃなかろうかと推定をいたしております。  私どもは、山村住民の生活安定のためはもとよりのこと、広く国民生活に不可欠な住宅建築資材や貴重な紙の原料確保するという観点から、先ほど農業団体のほうからお話しのありました食糧と並んで、林業及び木材関連企業に対しまして必要な石油類の優先確保をぜひお願いいたしたい。政府といたしましては、安定供給対策の確立に万全を期せられるように切に要望いたす次第でございます。  すでにして、政府におきましては、農林水産業用につきましては優先確保という方針を明らかにせられておるのでありまするが、ぜひともこれを現実の実施の面で明らかにしていただきたい。しかも、この配給の問題でございまするが、これにつきましては、公正を期するために、それぞれの系統団体にまかせるというふうな方法をぜひ考えてもらいたいと存ずる次第でございます。  きょうは全木連からも島本さんが、また、外材輸入の関係からもそれぞれお見えになっておりまして、お尋ねの内容によりましては、それぞれお答えができることだと存ずる次第でございます。よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  8. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、藤田参考人お願いいたします。
  9. 藤田巖

    藤田参考人 大日本水産会藤田でございます。  本日は、石油不足に伴う農林水産業に及ぼす影響問題等、これの御審議にあたりまして、水産業界の立場から意見を申し述べる機会を与えられましたことについて、衷心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  本日は、水産関係から私のほかに全漁連の及川会長、日鰹連の増田会長もお見えになっており、それぞれ後刻陳述があることだと存じます。  私は、まず、水産業全般の立場から申し上げまして、石油配給の現状がどうなっておるか、また、これに対する影響がどういうふうにあらわれておるか、さらに、こういう問題に対する水産業界の要望はどういうものであるか、また、現在国会で御審議中でございます石油需給適正化法案、こういう問題についても若干要望を申し上げたいというふうに考えておる次第でございます。  私ども水産業界は、現在、業界一体となりまして、水産用石油緊急確保対策本部というものを設置をいたしておりまして、当面する水産対策に腐心をしておるところでございますが、現在国会にかかっております適正化法案につきましては、これは、現在の石油事情から申しまして、緊急性及び必要性は痛感をいたしております。これは賛成をしておる次第でございますが、早急にこれが実施されんことを私どもは希望をいたしております。しかしながら、私どもは、かつての戦時中及び終戦後に行なわれました石油配給制度実施当時の古い経験からいたしまして、率直に申しまして、このたびの新しい制度の実施にあたりまして、主として運用の面において、水産業界としてはいろいろの不安の念を持っておることも事実でございます。したがいまして、現状にまで達しておる不安、影響等も申し述べながら、今後この法律が実施されます場合にも、水産業の特殊事情ということを十分御理解、御認識をいただきまして、私どもの持っておる不安を解消していただきたい。そうして、本法案の趣旨に沿った適正な配給の実現されるように心からお願いしたいというふうに考えておりますので、これをまず第一点に申し上げておきたいと思います。  私どもが現在当面しております影響その他に関係いたしまして、水産業界の要望の第一点というものは、わが国民の食生活確保のために必要な水産用の石油というものは優先供給をしていただきまして、その所要量が絶対確保できるようにどうかお願いをしたいということが第一点でございます。  現在、わが国の漁業生産は、年間で約一千万トンに達しております。重要な動物性のたん白質給源として、わが国食糧政策上大きな比率を占めておりますが、一方、需要の面を考えますと、わが国経済の高度成長に伴いまして、国民の食生活というものが著しく向上をいたしました結果、この生産量をもっていたしましても、年々増加する需要の伸びに追いつくことができません。水産業の使命達成のためには、さらに一そうの生産量の増加を要請せられておるというのが現状でございます。  しかも、この使命を達成いたしますために、現在、年間で約七百万キロリットルの石油を必要としておりますが、これは、国内における各種類、A重油、B重油、その他揮発油、軽油等各種類の石油及び内地積みだけではなくて外地で積んでおりますもの、そういうものをいろいろ全部含めまして、七百万キロリットルの石油を必要といたしておるのでございまして、その内訳は、お手元に御配付を申し上げました参考資料がございますから、それでごらんいただけば詳細におわかりになるというふうに考えております。  これは、わが国の総石油消費量が大体二億七千五百万キロリットルとかなんとかいうようなことがいわれておりますが、それらに対比いたしますと大体三%程度、ことに、国内用のものだけ考えてみますと、もう三%をずっと切ってしまう、三%弱になる、こういうふうなものでございまして、このわずか三%の石油確保ということが現在の水産業をささえておる。そして、それの確保いかんによっては水産業の死活が左右されるということについて、どうぞ皆さまの深い御理解をいただきたいと考えております。  政府におかれましては、水産業の重要性はつとに御認識をいただきまして、去る十一月十六日の閣議では、漁業用の燃油につきましては、これを優先的に取り扱う、削減することなく、その適正な必要量を確保するという旨の閣議決定をいただいたことは、非常に私どもは感謝をいたしておりますが、率直に申しまして、末端における配給の現状は、決してこの閣議決定どおりにはまいっておりません。こういうふうな現実からいたしまして、私どもは、将来の水産用石油配給確保の問題についていろいろと不安を持っておるのであります。現在、石油がどういうふうな配給実情にあり、どういうふうな状況であるかということは、全漁連の及川会長、日鰹連の増田会長もおられますので、そういう方から詳しくこれは御説明があることだと思いますので、私は、あえて重複は避けまして、詳しくは申し上げませんが、一般に申しまして、国内におきましては、従来取引をしていた石油販売業者から二〇%、さらにひどいのは三〇%の供給削減を申し渡されております。一月以降のものについては見当がつかないというふうな状況で、その対策に苦慮しております。  ことに、これは水産の特殊性として考えるべきだと思いますが、海外の漁業基地を根拠とする遠洋漁業について、現地でもやはり石油不足のために燃油の補給を拒絶されておるという事態が漸次ふえております。遠洋のこの影響を受けますのは、これはあとで増田会長から詳しく御説明があるかと思いますが、遠洋マグロ漁業が一番影響が大きい。それから、遠洋トロール漁業におきましても、約九十隻の漁船が、豪州の基地を除く北米、中南米、アフリカ、アジアという各基地において、これまた供給不能もしくは困難となっております。現地における油の補給ができませんために操業をすることができずに、多数の漁船が海外の基地において立ち往生しておる、そして非常に困っておるという実情でございます。先ほど来、農業及び林業の方々からも、行きの油はあるけれども、帰りの油がないので困るというお話でしたが、まさしく、われわれ漁船は、現地におって、帰りの油もない、操業することもできない。そういうことで、これは国内における状況よりもさらに深刻な状況を呈しておるのでございます。  以上、水産業界に対する石油配給実情の一例を申し上げた次第でございますが、この石油事情が、私どもの伺っているところでは、十一月から十二月、また十二月から来年一月と、月を追うにつれてだんだんとますます窮屈になっていくんじゃないかというふうなことを心配をいたしております。漁業に対する石油確保というのは、御承知のとおり、漁業はいわゆる水ものでございまして、漁況、海況に対応して、必要な時期に必要な場所で必要な量を確保するということができなければ、漁業は成立をいたしません。また、石油の需給の状況も、配付の参考資料でごらんいただけば十分わかりますように、月ごとに需要の量が変わっております。つまり、漁業にはそれぞれの漁業の漁期というものがある。そういうふうな漁期から、月別の需要量というものがいろいろ変わっておりまして、参考資料でごらんいただいてもわかりますように、漁業の燃油の一番必要な月といいますと、大体十月、十一月、十二月、それから四月、五月、六月というところが、大事な石油需要を一番必要とする時期でありまして、もしもこういう時期に必要とする量が確保できませんと、いたずらに漁期を失して、あとで石油をもらったって何にもならない。こういうふうな事情が出てくるわけでございます。したがって、こういう漁業の特殊性というものを十分御考慮いただきまして、この配給が名実ともに現物の裏づけをもって保証せられるということが必要でございますので、こういう漁業の特殊事情を十分御理解いただきまして、さらに一段ときめこまかい施策をやっていただくことを特にお願いをいたす次第でございます。  それから、要望の第二点は、水産用の石油価格の安定の問題でございます。漁業生産確保するための所要量の確保は必要でございますが、それと同時に、漁業経営の立場からいたしまして、採算上おのずから購入価格に限度がございます。それで、漁業生産を維持するためには、漁業者にとって購入可能なものとして、安定化していただきたい。それでなければ何ともならない。最近は、もはや石油の値段はどんどんと暴騰いたしておりまして、数量の確保のためには価格を言っておられないということで、売り手の言い値で、その値次第で買っておりますが、水産業というものは、高い石油を買って、それが水産物の価格に全部転嫁せられるものであれば簡単でございますけれども、そうはまいりません。水産物の価格というものはおのずから一つの限度があるわけでございまして、もしもそれを割って高くなるということになれば、漁業者としては油は使えない、漁業経営では油は使えないというふうな事情になるわけでございます。特に、私ども、この点で心配しておりますのは、漁業者にとって一番たくさん使う油、必要な油というのはA重油でございます。このA重油について、特に御配慮お願いいたしたいと考えておるのでございます。  現在、漁船が使用をいたしますA重油は、全体の消費量の約三〇%を占めております。私どもの不安の一つは、石油不足状況がだんだんとひどくなるにつれまして、A重油全体の生産量が減少をし、そして、各部門間の取り合いがひどくなるということで、しかも、その価格が上昇いたしますと、水産業は三〇%のウエートでありますが、七〇%のウエートを占めておる陸上産業部門のほうが、水産業に比べましてはるかに牽引力が強く、また魅力がございますので、そういう方面に流れていく。つまり、所要量が食われていくことはないかということを私どもはひどく心配をしておるわけでございます。  私は、この際、特にあえて申し上げたいと思いますが、万一水産用の石油不足がひどくなれば、これが生産の減少につながる。ひいては大切な食糧不足を招くことになるという点でございます。食糧問題というものは、私がいまさら申し上げるまでもなく、国民生存の基本要件でございます。もしも食糧不足によって社会的混乱が起こるとするならば、その社会的混乱というものは、石油不足以上に深刻なものになろうということでございます。したがいまして、私どもの申し上げますことは、石油不足影響というものは、ひとり水産業だけに影響するのでない。もちろん、水産業がつぶれるかつぶれないか、困るか困らないかということはわれわれとしては大きな関心事でございますが、これはひとりそれだけの問題にとどまるものではない。石油不足によって減産が来、食糧不足を招来し、その食糧不足が大きな社会的混乱を導くのでありまして、これはひとり水産業の問題ではない。ひいては、これは民生安定の問題に影響する重大な問題であるということを深く御認識をいただきまして、この点について十分な御配慮お願いいたしたいということを申し上げておきたいと思います。  以上が、私ども水産業界といたしまして、憂慮し、そして要望をしたいと思う基本的要望でございまして、これの実現をいたしますために、以下、この適正化法案に対する問題に、御参考までにこの際若干触れておきたいと思います。  その第一点は、石油需給適正化法案の第四条に規定してございます「石油供給目標」を定めることに関して、水産用石油の所要量の確保、特に水産用石油消費の大宗をなしておりますA重油供給量を供給目標において安定的に確保せられたいということでございます。今後いろいろ石油消費規制がきびしくなるにつれまして、国が、この法案の第四条においていろいろの供給目標を定められる。こういうふうな場合におきまして、水産のそういう事情から、どうぞ優先的にこれを確保していただき、そして、こと欠かないようにさしていただきたいと思います。  特に、この際、やはり得率の問題というものを私どもは非常に重要視しておる次第でございまして、ことに、A重油等につきまして心配をしておりますので、その維持向上について、特段の御配慮お願いいたしたいというふうに思います。  それから、第二点は、適正化法案の第十条におきまして、農林漁業者等に対する石油の円滑な供給確保するために、通産大臣が必要と認めるときには、石油販売業者の団体に対しまして、石油供給のあっせんの指導を行なうことができるということが規定してございます。末端におきまして、漁業者をはじめとする水産関係者の供給確保についての苦情というものが相当私どもの耳にも入っておりますし、また、現地にもだんだんと強くなると考えられますが、そういう苦情が、現地において、ことに、一番弱い零細な漁民の層において、完全かつ円滑に処理されるように供給あっせんの体制を整えていただきまして、末端の漁業者からそういう苦情あるいは要求等が出てきました場合には、これが現実に必要な現物が行き渡るようなくふうをしていただきたいということでございます。  大体以上が、この法案に関連いたしまして私どもがお願いをいたしたいという点でございますが、さらに、この法案の実施に関係いたしまして、この際ぜひとも国策として実現をしていただきたいというふうな問題がございますので、この点を次に申し上げたいと思います。  第一点は、海外漁業基地における操業をしております漁船の石油確保の問題でございます。これは、先ほど来申し上げましたとおり、私どもとしてはいろいろと苦慮をいたしております。その方法については、なかなか名案がないので、非常に苦慮をしておりますが、この海外漁業基地操業というものは、私どもにとっては非常に重大なこのであって、現在、これらに対する供給確保ができませんければ、せっかくこれまで苦心をして築き上げてまいりました遠洋漁業というものが大きく全面的に後退をしなければならぬのではないかということを私どもは非常に心配をしておる次第でございます。  御承知のとおり、現在、国連で海洋法会議というものが行なわれておりまして、海洋法会議の内容というものは、従来の海洋法とはきびしく違ったところの、沿岸国優先の立場に立ったものでございまして、たとえば十二海里の領海の外に、さらに、沿岸国の優先的な、あるいは管轄権を持っておる経済水域あるいは専管水域というものを二百海里まで引こうというふうな状況になっておるのでございまして、これがだんだん国連の海洋法会議の大勢を占めてきておる経緯になっております。  わが国は、従来、遠洋漁業の重要な部分を持っておりますので、もしこういうふうなことになりますと、非常に大きな影響をこうむるわけであります。これに対しては、政府ないし業界も心配をし、会議で主張をしておりますが、大勢は、対日本側にとっては非常に不利な方向に動いておるということでございまして、したがって、国民生活に必要な動物性たん白質の給源である水産物の供給確保のためには、この海外漁場の確保ということが非常に大きな問題になっておるのであります。したがいまして、今後ますますこれを発展さしていき、安定さしていくということが現在の水産業界の大きな課題でございまして、これがいま石油不足事情から後退を余儀なくされるというような事情に立ち至っておりますが、御承知のとおり、国際問題というものは、一たん後退をいたしますと、原状にまで戻ることは非常にむずかしい問題でございます。そういうふうな事柄からいたしまして、われわれはどうしてもこの海外漁場をぜひとも確保しなければならないということを考えておる次第でございまして、現在困っております海外漁業基地の漁場を何とか守りますために、その石油供給確保のために、外交ルートを通じまして何とか現地で確保できないものか。これについてまた特段の御配慮お願いいたしたいと思います。  さらに、この外交ルートによるそういう問題は時日を要します。現実はもう非常に困っておる実態でございますから、緊急な状態として、それらのものの燃油を確保するために、洋上補給船を場合によっては出さなければならぬ。現在もそれを日鰹連なんかは考えておられますし、トロールについてもそういう問題が起こってこようと私どもは思いますが、そういうような洋上補給船の石油というものも、現地では積めませんから、国内で確保するということを、ぜひとも何とか緊急的な措置としてお願いできないかということを私どもは考えておる次第であります。これについて特段の御配慮お願いいたしたいと思います。  それから、第二点は、先ほども、農業関係でございましたか、お話しがございましたように、石油不足からいたしまして、石油原料とするいわゆる塩化ビニール製品、つまり漁網綱その他の資材がだんだん不足をしてきておる。石油不足に次いで、われわれ水産業界は、いわゆる漁網綱その他の水産用資材確保にだんだんと困っておる、価格が暴騰して困っておる、数量も確保できないということで困っておるというのが実情でございます。石油は、せっかくの骨折りで確保できましても、今度は網がない、あるいはロープがない、その他の石油資材がないということになると、やはり水産経営はできない。操業は非常な打撃を受けるわけでございますからして、この問題についても、今後当然起こるべき問題でございますので、どうぞ何ぶんの御配慮お願いいたしたいと考えておる次第でございます。  それから、第三点は、生産の面のみならず、鮮魚の加工処理、あるいは産地から消費地に送りますところの輸送用の燃油等についても、あわせて一貫して確保していただきたい。それでございませんと、先ほど農業のほうからもお話しがございましたが、せっかく魚がとれましても、現地で腐る。現地で何ともならない。現地安の消費地高というふうな現象がやはり生ずるわけでございまして、この生産、流通、加工処理というものの一貫した施策が行なわれませんければ、水産業が国民生活安定のための大事なお役を果たすことができないというふうなことになる次第でございますので、この点につきましても、どうか特段の御配慮お願いしたいと存じます。  以上、私の陳述を終わらせていただくことといたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  10. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、及川参考人お願いいたします。
  11. 及川孝平

    及川参考人 ただいま、藤田会長から、全般的な政策論その他を陳述いたしましたが、私は、実は、昭和三十一年以来漁業用の石油配給業務をやっておるものでございますが、先生方の非常な御高配によりまして、漁業の石油がいかに漁業経営上大切かということで、たぶん昭和三十一年でございましたでしょうが、A重油、漁業用の石油の輸入外貨を——これは当時非常に困難をいたしまして、通産省との間にあつれきがありましたけれども、漁業用重油の非常な重要性ということから、われわれは外貨を獲得いたしまして、外国から石油を輸入して、漁業用に向けてまいったのでございます。  そのねらいは、品質の向上と価格の安定ということで、一方的な石油屋さんのほうの値段じゃなくて、適正価格を求めるというふうなことで、われわれは、漁業用の重油を輸入する外貨を、非常に困難をいたしながら獲得した事情がございます。かつ、漁業用の石油については、その重要性から、特に免税の扱いを受けて今日に至っております。  なお、この漁業用というものにつきましては、生産に直接関係のございますいわゆる加工、たとえばノリなどの乾燥用の油とか、煮干しその他の加工用の油とか、それらが実は漁業用の石油として指定を受けておるわけでございます。したがって、私がこれから漁業用と申します場合には、そういうふうにすでに定められておる範疇における石油のことでございます。  ただいま、漁業用の石油の逼迫状況につきましては藤田会長からお話しがございましたけれども、私たちは、何がゆえに心配をするのかというと、従来日本の国でつくっておりましたところのA重油というのは、実は、現在、日本にしかございません。外国には軽油重油しかございません。日本では、A重油というものは、以前は漁業だけが使う油でございました。したがって、A重油が国内で生産されますと、どこかのすみには必ずありますから、漁業以外に使いませんから、必ず漁民の手に渡るものでございます。しかし、そのときには、価格とか、そういう問題が実は問題であったのでございまして、全漁連が介入いたしたわけでございます。しかし、物としては、つくったら必ずどこかの石油屋さんが持っておりますから、あるのでございます。  ところが、先ほど藤田さんが不安だ、不安だと申しましたけれども、不安の真相を申しますと、いま、日本の国で二千万トンのA重油生産されております。これは今度の中東紛争以前の状態でございますが、その中で、漁業用のA重油というものは、国内において大体五百五十万トン程度と推定いたします。しかし、一方、先ほど来の、海外で油を積めないという問題から、多くの船は、日本を出航するときに、今度は油をたくさん積んでいくということに必然的になります。そういうことを考えますと、正常に日本漁業が営まれるためには、おそらく六百万トン以上のA重油がなければならぬのでございます。ところが、全体のA重油の量が二千万トンでございますから、その約四分の一強でございますから、心配なさそうでございますけれども、最近、特に近年、このA重油というものが産業界で非常に見直されました。これは公害の問題がございます。実は、A重油と申しますと、先生方あるいは重油と思われるかもしれませんが、実質は軽油でございます。A重油というのは、軽油分が九二%から九五%程度でございます。それに残滓を加えて軽油と区別してあるだけでございます。まず、軽油であるとお考えになってけっこうでございます。この油がなぜ心配かと申しますと、中小企業のいろいろな加工用、あるいは暖房用に——このA重油というものは軽油でございますから、硫黄分が少ない。大気汚染その他のことで規制がだんだんきびしくなってまいりますと、A重油に対する需要が殺到してまいりました。数年前までは漁業しか使わなかったようなA重油が、いまでは二千万トンもつくらなければならない。しかも、その需要は年々伸びております。ここに、確保できるかできないかという問題があるわけでございます。  たとえば、私、あるいはことばが過ぎて委員長さんにおこられるかもしれませんけれども、極端なことを申しますと、トルコぶろまでA重油を使っております。ということは、トルコぶろでは、全体の経営費の中に占める割合から申しまして、私はトルコぶろに行ったことはございませんけれども、五万円しても、十万円しても、ないとなれば、おそらく買うと思います。これは買います。ところが、わが漁業経営におきましては、経営費においての油の占める率というものは、中東紛争以前のノルマルな状態におきましても、一〇%ないし一五%という数字が出ております。ところが、経営費の中に占める油の率の少ないものは、トン十万円しようが、五万円しようが、買うのでございます。そこのところに、実は、漁業用に回ってこないのではないかという非常に切迫した問題があるのでございます。案の定、いま、漁船は、油に困り、出漁を控えております。  事例をもって申し上げまするならば、日本の沿岸漁業の非常に大きなウエートを占めておりますノリは、いまがちょうど最盛期でございます。ノリがふさふさと海にはえておりますけれども、これは何日もはえておりません。とらなければ、すぐ腐ります。油がないからしばらく待ってくれといったって、ノリは待っておりません。全部腐って、海の中に流れてしまいます。とっても、それを乾燥する油がございません。そういうことで、現在われわれのところで入っておるのは、背に腹はかえられぬ連中が、キロリットル四万円というような高値を出して入手しております。泣いております。非常に不幸なことに、そのノリの漁民の方々は、従来、全漁連が当然配給対象にすべきものでございましたけれども、非常に楽に油を買えた時代でございますので、みんな油屋さんのほうから買ったり何かしておりましたので、この段階になって、全漁連が供給しようと思っても、もとの油がございません。しかし、黙ってみすみす過ごすわけにいきませんから、いま、懸命に、われわれの在庫を食いつぶしながら、緊急対策を少しでもやっております。ということは、そのようにA重油というものの需要が非常に活発である。この暖房も、おそらくA重油でございましょう。そういうことでございますので、そこに六百万トンのA重油確保することがいかにむずかしいか。統制経済的な非常にシビアなものでない限り、値段の高いほうに必ずこれは流れます。いまの石油配給事情というものは、いわゆる精製業者から、ある段階を通って、特約店とか末端に行きます。そうしますと、その段階におきましては、国策も何もないのです。やはり、品物は高く売れるほうに行くのです。そこのところが、A重油が一番ピンチに立っておるということでございます。事実、通産省の最近の発表によりましても、急激にA重油不足をしてまいっております。  いままで申し上げましたのは、A重油の緊迫性ということの背景を申したのでございますが、そこで、何としてもこれを確保してくれと先ほどから藤田会長も申しておりましたけれども、確保するためには、A重油の総需要の中で陸上用についてかなりの規制をしなければならぬ。まず、第一点として、この措置を早急にとらなければいけません。これを野放しにしておりましたら、自由主義経済のもとにおいては、価格の高いほうに流れるのは当然でございます。油屋さんのほうから言わせると、理屈がございます。原油が少なくなって、少ないもので生産した。そして、経費は同じにかかるのだから、なるべく高く売れるものをつくるということになります。また、つくったものでも、高く売れるほうに流す。これは当然でございます。倫理的な非難は別にしますと、経済の法則ではそのとおりと思います。  そこで、私は、ここで非常に出過ぎたことを申しまするけれども、いま私が申しました重油というものは、実は軽油でございます。そういうふうにお考え願いたい。大部分は軽油でございます。油というものは、こういう一つの中から、ガソリン、ナフサあるいは軽油灯油という、いわゆる軽い油と、重い重油に分かれます。その中で、とり方によっては、あるものをたくさんとれば、あるものは少なくなるということでございます。いま、現在、このA重油に非常な大きな影響を持つのは灯油でございますが、新聞等を見ますと、民生安定その他でございましょうか、政府の姿勢は、いわゆる灯油確保ですね。したがって、それがどこにしわが寄ったかと申しますと、同じ成分の中からとるのでございますから、当然、軽油、A重油に大きなしわが寄っています。これが減産につながっているのでございます。したがって、国民にあたたかい思いをさせるのもいいけれども、われわれのA重油が足らなくなって、食いものがなくなったらどうするか。民生民生というなら、先ほど藤田会長も言っておりましたけれども、国民には少しぐらい寒い思いをしてもらっても、やはり、漁業の血液であり、原動力であるところの油を確保するという方向をとらなければならぬだろうと私は思います。そのためには、灯油優先の政策をやめてほしい。総量としては、確保方法は、まず、これしかございません。これを強くやっていただきたい。われわれが裏からのぞいていますと、何ぼ確保するといいましても、片方の灯油は絶対切らすなよといっても、できる油の量はきまっているのですから、そういうことでは、おそらくかけ声ばかりで何にもならぬと私は思います。現に、お調べになればわかるとおり、A重油生産は減っております。  そこで、しからば、非常に少なくなっていくところのA重油に対して、いかにしたならば確保できるかということでございます。これは、まず、先ほど申し上げましたとおり、陸上の無用なところに流れぬような措置を講ずる。ということは、何べんも繰り返しますけれども、自由主義経済のもとにおいては、値段の高いほうに物は流れます。いわゆる消費規制ということを、まず早急にとらなければならぬと思います。そして、その次には、水産用の石油が六百万トンかりに国内で要るといたしましたならば、それのワク決定しましたならば、その流し方が問題でございます。どういうルートで流すかということでございます。私は、率直に言いまして、今日のいわゆる油の流れのルートというものを、ここで変えてはならないと思います。漁業用のA重油というものを配給するためには、単に油があったからといって、配給できません。そこには、きめこまかい施設が要ります。タンクも要ります。人の配置も要ります。タンクを建てただけではだめでございます。バージも要ります。そのようなきめこまかい状況のもとに、今日のいわゆる漁業用A重油というものが配られています。その中に、全漁連も、実は一角を占めておりまして、全漁連と日鰹さん、これはあとで増田会長お話しするでございましょうが、現実にこれは石油配給いたしております。われわれのシェアは、全漁連は、A重油全体の大体二八%くらいを漁業用として扱っております。日鰹さんはおそらく六、七%と思いますけれども、合計いたしまして、われわれが現実に手にしておりまするのは、おそらく三十数%ということになります。これは、現実にわれわれが物を持っておりまするから、従来も価格の牽制もできたし、また、物量の不足に対しても対抗ができたということでございます。したがって、われわれも、乏しいながらも、タンクもつくり、配給網もつくり、船もチャーターし、そうした一つ体制をとっておるのでございます。配給にはこと欠きませんが、ただ、困るのは、もとの油がないことでございます。  そこで、物が不足のときに、既得権を擁護するようなことをなぜ私が言うかと申しますと……。
  12. 仮谷忠男

    仮谷委員長 及川参考人、時間の都合がありますから、簡潔にお願いいたします。
  13. 及川孝平

    及川参考人 はい。現在の日本の石油業界というものは、配給のシェアと生産性が非常に違います。配給の海上A重油というものは、たとえば全漁連だとか、出光とか、丸善とかいうふうになっておりますけれども、それに対しまして、いわゆる供給のほうは、必ずしもそのようにまいっておりません。現に、全漁連は、油屋から油を買ったり、直接外国から輸入したりしてやっております。したがいまして、この段階におきまして、どうしても既存の配給ルートを守るということのためには、ある油屋さんに従来の海上A重油配給するということになりますと、それに対して、従来海上A重油配給しておらぬが、油をつくっておったが配給をしておらない油屋さんから油を売っておったというようなことで、従来のルートを守りながら、そこに油を流し込むというためには、相当強い行政指導が必要でございます。そういうような観点でございまして、問題は、そのことによりましてデッドストックというものもなくなりますし、どうしてもそれを尊重していただきたい。こういうふうにすることによりまして、現実に物が確保されていく。そのためには、相当強い行政指導が必要であろうというふうに考えております。  時間の御制約もございますので、私、多々申し上げたいこともございますけれども、この辺でやめておきます。また、海外の漁業等につきましては、私らもやっておりますが、非常に困難をいたしております。ですけれども、これは、おそらく大部分が日鰹の増田さんのほうでございますので、そのほうに譲ります。これは問題がないという意味ではございませんで、大問題がございますけれども、この問題は増田さんのほうに譲りまして、私の陳述を終わります。(拍手)
  14. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で、参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 仮谷忠男

    仮谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
  16. 今井勇

    ○今井委員 時間の制約があるようでございますから、簡潔にお尋ねをいたしますので、お答えを願いたいと思います。  まず、最初に、全国農協松村さんと、同じく協同組合の笠原さんにお伺いしたいと思いますが、油の確保は、確かに、おっしゃるとおりに、実態を十分把握されておりますそれぞれの組合、あるいはその組織を通じてなさるのが非常によろしいと思います。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  まず、第一にお伺いしたいのは、現在、一体、全量の中の何%の油をお取り扱いになっておるのか。私の知っている限りでは、四二%くらいだと聞いておりますが、そういたしますと、そういうものであって、他の部分の確保も、もしよしんば産業別の割り当てがあったとした場合に、そういうものが直ちにできるのかどうかという疑問を私は持っております。それが第一点。  それから、第二点は、農産物等のパッケージの問題でございます。これは、いろいろ必要なものも中にはございましょう。しかし、ものによっては、この際やめてもいいものがありはしないか。いまのパッケージの問題は、石油製品をそれぞれ使っておるものがほとんどでございますが、この際、そういうものの合理化ということを考えるべきではなかろうかと私は思います。  もう一つ、油の問題に端を発するといえばそうでありますが、戦後ずっといままでやってまいりました在来の農業の耕法は、たとえば金肥を多量に使いまして、最近は、畜産等の公害問題等もありまして、屎尿処理に非常に困っております。そこで、私はしろうとなりに考えるのですが、こういう機会に農耕の方法というものをもう一度見直して、自然に返ると申しましょうか、自然の浄化作用を利用し、地力を回復するという意味から、肥料を、金肥のみならず、この際、畜産のそういった汚水、汚物というものを有効に利用することによって、お互いに助け合う、地域ぐるみの農業ができないかというふうに思います。  以上三点について、思いつくままに御質問を申し上げますので、お答えを願いたい。
  17. 松村正治

    松村参考人 全農のシェアその他については笠原常務からお答えしますが、最後の問題につきまして、農業経営の問題でありますので、私のほうからお答えしたいと思います。  先ほど申しました農業用の資源、資材ということで、資源なんかということばを使いましたのは、そういう配慮があったわけです。と申しますのは、これは、こういう中東問題が起きる前から、従来の農法についての再検討をすべきではないかということがありまして、十月の初めに開きました第十三回農協大会におきまして、やはり、畜産物等については、畜産農家と耕種農家との結びつきというものを積極的に進めるというような方針等も実は打ち出しておりますし、それから、土を守る肥と申しますか、そういう意味で、有機質を入れて植物をじょうぶにして、そして、農薬も少なくなるという、そういう自然の循環の中に農業を戻したいという意欲を実は持って方針をきめたわけでございます。しかしながら、現状は、農産物が安いということもございまして、日雇いあるいは出かせぎというようなことをやったほうがいい、むしろ、耕うん機等を使って、早く仕上げて出かせぎに行ったほうがよろしいというような関係もございまして、なかなか進まないというようなことでございますが、本来の姿としては、先生のおっしゃるような方法で、しかも、それで農業がやっていけるような方法を、価格問題あるいは土地基盤整備の問題等で考えていただくというのが本来の筋ではないかというように私も考えております。
  18. 笠原大二

    笠原参考人 ただいま先生の御指摘のございました農業団体系統の中央におきます油のシェアは四二%でございまして、系統の事業のあり方といたしましてのそれぞれ段階別のシェアがございます。これは、先ほど御報告をいたしましたけれども、単位農協では約五九%弱ということになっておりますので、今後の農業用石油を、そこに一つの基準を持たせまして、不安のないように、計画的に最低のものの供給をするという必要性と、それに対する手段でございますけれども、その方針なり最低量の算定がはっきりきまりましたならば、われわれは、われわれの組織を通じまして、協議、指導いたしまして、最低のものをかなり適正配分をすることができると思いますけれども、現状は、実は、いろいろ急速な石油不足が生じておりますのは、そういうふうな流通の形に実はあるわけでございまして、これは、今後、国の方針と相まちまして、何らかすっきりした形にしまして、最低量を、かなりきめのこまかい使用施策等とあわせましてやってまいりますれば、それに対しましての円滑な供給なり計画化なりができるというように考えております。  それから、第二点の、農産物のプリパッケージに対しまして、石油製品の問題でございますが、それはお説のとおりでございまして、最近、過剰包装につきましての反省に立ちましていろいろ検討をいたしております。でき得ますならば、ビニール、プラスチック公害等もございますので、前進改良の形で紙の新容器等を開発いたしまして、プリパッケージを、ビニール、ポリによらずにやろうということで、実はいろいろ検討もいたしておりますけれども、これもまた、石油と同様に、紙資源の問題にぶつかっておりますので、総体的には過剰包装の問題を、農産物の商品化の問題とあわせまして、かなり簡素な方法というものを今後とっていって、国全体の資源節約の方向に沿ってやっていくべきであろうと考えております。ただ、それには、消費者の方々のこれに対します受け入れの教育と申しますか、教育と言うと口幅ったいのですが、合意を得る必要がございますので、これもあわせまして、われわれのほうといたしましては、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  19. 今井勇

    ○今井委員 次に輸送の問題を取り上げてみたいと思います。  これは、関係の方がたくさんございますので、どなたというふうに言ってよろしいかわかりませんが、私の質問次第によりましてお答えをいただければけっこうだと思いますが、私は、輸送方法というものを、この際もう一度見直す必要があるんじゃなかろうかと思います。確かに、便利であることには間違いありませんが、現在の輸送は、小運搬も含めまして、少しオーバーなサービスではなかろうかと思うことが多々あります。  そこで、たとえば、特に協同組合等が大量に物資を運ばれるような場合には、トレーラートラックとフェリーボートとの連携によるもの、しかも、それも、車ごと運転手が乗り込むような方法でなくて、前とうしろが切り離されるトレーラートラックがあります。そういうものは、フェリーボートに荷物だけ積み込みますれば、先のほうの運転台及び運転手は、また、その帰り荷のトレーラーを引っぱって基地に帰ることもできるというふうな方法もあろうと思います。要するに、他の輸送機関とのコンビネーションを考えまして、なるべく大量にして一ぺんに運ぶというふうなことを当然考えるべき時代に来ておると、かように私は思います。  そういうふうな御研究がそれぞれなされておるのではなかろうかと思いますが、そういうふうな御研究がもしなされていないとするならば、この機会に真剣に取り上げられまして、輸送費の軽減という意味のみならず、油の消費の節約という意味からも、今後、日本としては考えるべきだと思います。お答えはどなたでもけっこうでありますし、もしそういうことでなければ、お答えをいただかなくともけっこうでございます。  それから、最後にもう一つ、ついでに、先ほどの漁協の方にお伺いしたいのですが、全漁連で販売されている数量については、二八%ということは、先ほどの農協お話しの四十数%に比べて、これは、現在まだはるかに少ないのです。あなたのおっしゃるように、この配給組織というものは、一朝一夕にできるものではありません。相当資金も要り、かつ時間も要ると思います。そういうものに対して、物さえ確保されればだいじょうぶですというふうにいま胸を張られましたが、私は、その点いささか疑問に思います。先ほどのお話しのように、農業のみならず、漁業といい、適期に油を確保することが最も必要である。しかも、漁業、農業とも、あるいは林業ともに、零細な需要者が多いわりあいに、所要量は、全体の油消費量の三%とか四%とかいう一けたの消費量ですね。しかも、末端農家が多いということですから、よほど組織をしっかりしませんと、なかなかうまくはいかないだろうと思う。それからまた、そのほかに、在来そういう組織を通じていなかった方々ですね。それとの不均衡をどうするか。いままでのお得意さんだけを大事にしますというようなことをやりますと、これはたいへんな混乱が起こると思う。その二点について、全漁連の及川さんからお答え願いたい。
  20. 及川孝平

    及川参考人 われわれは、従来のいきさつから申しますと、自分のプロパーの施設を持っておりまするけれども、それだけでは全国に配るわけにいきませんので、それぞれ従来の石油業者と提携いたしまして、ある部分の、いわゆるサービス業務というものを石油業者にやらせ、あるいは委託する、そういう形であるのでございまして、全国の施設というものを全漁連だけが持っておるのではございませんので、それをつなげまして現在やっております。したがいまして、われわれは、現在、出光とか、丸善とか、主として国内系の石油会社と提携いたしまして、全国のネットを持っておりますし、物さえあれば配給に困ることはございません。その点が一つでございます。  それから、もう一点は当然でございまして、私は全漁連の副会長でございますが、全漁連から直接石油供給を受けていたところの漁民、この人たちだけがよければいいということは毛頭思っておりません。したがって、全国の漁民の油を確保することがわれわれの責任でございます。そのためには、私は一つの考えを持っておりますけれども、時間の関係があるんで私はちゅうちょしたのでございますけれども、具体的な考えを持っております。  それは、いま水産庁に私が提案しておりますのは、実際実務をやっておる全漁連と、ここにおられます日鰹連と、まず、これがちゃんとなっていただきまして、そして、石油連盟石油の小売り業者の金石連、それに通産と水産庁が入ってもらって、海上石油の需給委員会をつくってもらう、そこに国できまった六百万トンなら六百万トンの玉を出してもらう、そして、これをどういうルートで流したほうが一番スムーズにいくのか、従来どういう実績を持っているんだ、こういうことで流すことが一番いいのじゃないかということで、石油業界のほうも、そうなることを決して拒否いたしておりません。早く政府がそのように措置をとってもらいたいと私は思っております。  したがって、私は、そういう角度で、現に全漁連から直接配給を受けていない人方のこともそこでチェックしたい。そうして、大体の配分計画、流れの計画をずっと立てまして、そのとおりやったかやらぬか、その委員会で毎月毎月もう一ぺんチェックする。これはできます。そのようなことをやれば、切符制にしなくても可能であるというふうに私は考えております。
  21. 今井勇

    ○今井委員 最後に、これは委員長お願いいたしますが、大日本水産会会長藤田さんがおっしゃいました問題で、国の施策として取り上げていただきたいものの第一点というのは、私は、そのとおりだと思います。きょうは委員長もお聞きになっていると思いますが、特に、海外漁業基地の石油確保の問題は、これは当然政府として大いに努力をしてもらわなければいけませんが、きょうの御趣旨を、恐縮でございますが、政府当局にしかと申しつけていただきたい。その実現方について御努力を願いたいということを私からお願いしておきます。  これで終わります。
  22. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 承知しました。  次に、竹内猛君。
  23. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 本日、重要な石油の問題について、参考人の皆さんが、お忙しいところを貴重な御意見を述べられたことについて感謝いたします。  私は、時間の関係がありますから、まとめて五つ質問をして御回答いただきたいと思いますが、農協中央会、それから全農松村常務笠原常務お願いします。  第一は、食糧の自給の問題を考慮し、これを高めて、食糧の問題の中で石油がもたらしたような、そういう不安のないようにするために、まず、良質な食糧を完全に確保する。そのために、石油が果たしている役割りというものは非常に大きいと思います。そこで、農林水産業の中で、特に石油の問題は、閣議の決定でもあるし、今度出される法案の中にも、優先確保ということがあります。その優先確保ということが、実際の仕事をしている中で、はたしてほんとうに優先確保されているのかいないのか。閣議は決定したけれども、実際優先確保になっているのかいないのか。もうすでに閣議決定後一カ月くらい過ぎている。しかし、依然として農村では不安でたまらないという状況なんです。あるいは、魚のほうでもそうですね。山でもそうです。この問題について、閣議決定のことばだけでは、これは意味がない。これは一体どうしたらいいのか。この問題について、ひとつ、関係団体から御回答願いたい。  それから、その次は、資材です。石油不足のために関係資材がたいへん値上がりをし、不足をする。たとえば肥料、農薬、農業生産資材、こういうものがおしなべて不足をし、値が上がっている。この関係が一体今後どうなるのか。これは重大な問題だと思いますので、その点についても伺いたい。  それから、次は、政府は、物はあると言っている。しかし、物と価格の問題がうまくいかない。物があっても、価格が高くなれば、現在の生産者並びに消費者はたいへん影響をこうむるわけです。そこで、不当価格というものを押えるために、どういうような処置をとったらいいのか。現在、物はある。そして、高くなれば放出をして、そこのところを冷やす、こういうふうに言っていますけれども、現実に、たとえば石油を買いに行けば、スタンドでは売らないという。価格を上げれば何とかしよう、こういうようなところが多々ある。このような問題をどのように防止するのかという問題が大きな問題だと思います。  その次の問題は、農業で占めるところの石油のシェアというものは、先ほどからお話しがあるように、四〇%ないし四五%というふうに言われております。ところで、農業用として出される石油が、農協関係ではそのように確保されたとしても、農業以外の各団体なり業者なりが必ずしも農業用に回さなかった場合に、これをどうして防止をするのかという点について、防止方策はあるのかないのか。  次には、農業用は、農林水産も含めて、全使用量の大体二・七%から五%くらいの石油の量だと思いますが、これが確実に確保されれば何とかなるだろう、しかし、確保される保証というものが、大前提がくずれたときに、現在進行中の船や、あるいは実際いま進められているところの施設、温床のような仕事がなくなったときに一体どうするのか、その場合に、備蓄というものは考えられないのか、その場合の備蓄の量というものは、何%くらいあったら一体安心なのかという、こういうような点は一体どういうふうにしたらいいのか。この点をお聞きしたい。  それから、もう一点は、砂糖にしても、えさにしても、大豆にしても、買い付けばしてあります。量は確保してある。しかし、それはアフリカであり、アメリカであり、あるいはブラジルである。そういうところから物を持ってくるためには、今度は石油が必要だ。その石油不足するために、船繰りができない。したがって、物は買ってはあるけれども、国内にはない。そういう場合において、価格値上がりはもうやむを得ないことであろうと思うし、いろいろな点で余儀ない状態が来ますが、その輸送の保証は確実にあるのかないのか。  もう一つは、国内において物が偏在をする心配があります。そういう心配をどのようにして防ぐか、すべての農林漁業者が安全に石油確保する道が、国内において偏在を防ぐ方法があるのかないのか、このような点について私は質問します。  なお、皆さんの御回答をいただいて、明日から、外務省、通産省、それから運輸省、農林省を通じて、中近東の問題から始まったこの一連の石油の問題について、政府に対して私は質問をしますから、そういうことを前提にしてお答えをしていただけば幸いだと思います。
  24. 笠原大二

    笠原参考人 竹内先生の御質問でございますが、第一の、食糧自給のために果たす役割りの大きい石油優先確保が現に閣議決定になっておりますが、これが守られておるかどうかということでございますが、実情といたしましては、一部農業用につきましてはかなりの配慮はされておるわけでございますけれども、閣議決定で優先順位をきめていただきましたことが、十分果たされておるということはちょっと言えないのではないかというような感じが実はいたします。  と申しますのは、先ほど御報告いたしましたように、系統農協で積み上げましたものにつきましては、現在、これにつきましての確保は、優先的に、ある程度の減率でもってやられておりますけれども、一般のものにつきましては、御指摘のとおり、他のサイドからの流通を通じまして供給されておったわけでございますので、これがかなり大幅にカットされております。現在、地方の下部からいろいろ要望が出てまいっておりますが、そういうものは端的にあらわれておりまして、これをわれわれ団体側として総括的に引き受け処理をしろという要請でございますので、十分な効果があらわれておるということにつきましては、現状では十分ではないのではないかというような感じがいたします。  それから、二番目の、資材値上がりでございますが、これにつきましては、御指摘のとおり、現在、肥料、農薬、ビニール等につきまして、非常に大きな値上げ幅の実態が出てまいっておりますので苦慮をいたしております。通年でありますれば、肥料等につきましては、御承知のとおり、春肥、秋肥の価格の変更等につきましては、全国を平均いたしまして、平等な農家費用というたてまえから変更はいたしておりませんけれども、今回は三〇数%以上の値上がりということで、農家負担が三百億以上肥料等につきましてはふえる。こういう事態に立ち至っておりますので、これに対しましての対策をいろいろ現在は立てておりますけれども、期の途中でこれに対します値上げに踏み切らざるを得ないという事態に実は立ち至っておるわけでございます。  農薬につきましても、実は、現在、肥料ほど大きな上げ幅ではございませんけれども、数量的にやはり不足物資が出ておりまして、それに代替いたします農薬を調達しますためには価格が高くなるという問題がございます。  それから、ビニールにつきましては、大体二倍ないし三倍ということで、かなり価格抑制の努力はいたしておるわけでございますけれども、これにつきましても、数量の問題と関連いたしまして問題が出ております。これに対しましても、価格の抑制策につきましては、現在積極的に努力をしておるという状況でございます。  それから、農業用石油につきましての備蓄の問題でございますが、われわれは、当面の農業用石油確保に全力を傾けておりますので、備蓄につきましての考え方なり、方針は、今後、国の施策と相まちまして——特に、食糧増産生鮮食料品等緊急対策につきましては、公共用に準じまして考えていただきたいという要請は実はいたしておるわけでございますが、現状におきましては、これに対しましての具体的な対策を立てる段階にはまだなっておらないという状況でございます。  それから、飼料とか肥料、砂糖等の主要な基幹資材の、海外外航船の油不足によります影響がどのくらい出るかということでございますが、これは、先ほど来大日本水産会会長さんからもお話しのございましたように、現在、農産物ないしは肥料原料等につきまして、給油ストップがパナマ等でぼつぼつ出ております。したがいまして、これにつきましては、われわれとしましては、船会社を通じ、ないしは外資系の製油会社を通じまして極力手当てはいたしておりますけれども、場合によりましたら、航行速度を節減するとか、ないしは、日本におきましてある程度の油を満タンにして、帰りの運航に差しつかえないという措置をとっておりますけれども、もうしばらくたちまして、このまま放置されますと、農業生産資材価格なり品物の供給にかなり影響が出てくるのではないかというように実は心配をいたしております。  それから、最後に、物の偏在につきましては、少なくとも農業生産資材につきましての配分につきましては、全農は、全組織をあげまして、公平な分配をするように努力しております。その点御報告をいたす次第でございます。
  25. 松村正治

    松村参考人 笠原参考人のほうからほとんど答えていただきましたが、三番目に、金を出せば物が入る、その関係について、その不当価格をどうするかというような御質問があったかと思います。それについては、先ほど私が申しましたように、行政指導を強力にやるということと、それから、罰則とか立ち入り検査とかいう体制と、もう一つ営業の取り消しとか、そういう面まで確保していくことと、あるいは、これをだんだんやってまいりますと、やがて物が少なくなっていく、しかし、企業利潤は適正に保持するということで、物の価格を上げるというような基本問題に突き当たる場合には、配当制限とか、そういうものまで介入するというようなところまで徹底しないと、なかなかこういうことはできないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  26. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  27. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、井上泉君。
  28. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それぞれの方から、今日の石油不足に伴う苦悩を訴えられたわけでありますが、その中で、日本鰹鮪漁業協同組合の連合会の会長さんがおいでになっておるわけですが、これはほとんど海外で操業されておる関係で、これに乗り組んでおられる漁師の方たちはたいへんな不安感に襲われておると思うわけであります。  与えられた時間が少ないので、まことに恐縮ですけれども、残余の質問もいたしたいので、五分間くらい、カツオ・マグロ漁業の海外における油事情に伴う苦悩について御意見を賜わりたいと思います。
  29. 増田正一

    増田参考人 日鰹連の増田でございます。  ただいま、カツオ・マグロ関係の海外の燃油の補給状況実情、並びにこれに対応する施策についてのお尋ねがございましたので、要約して御回答申し上げたいと思います。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  私ども、カツオ・マグロ漁船約八百隻が、全世界の海域でいま操業中でございます。で、各海域ごとに、周辺の主要港から補給を受けているわけでありますが、私ども日鰹連の関係では、年間に三十二万キロの補給を受けております。そのうち、アフリカの西岸、東岸、ケープタウンを中心にした南岸、これは、現在の時点におきましては、ほとんど供給不可能でございます。  それから、オーストラリアは、これは自国生産が非常に多いために、現在のところ、ホバート、シドニー、フリマントルを主にいたしまして、細々ながら供給を継続いたしております。  マイクロネシア、ニューギニア、フィリピン、インドネシア、この海域は全面的に供給がストップしております。  それから、ホノルル、マウイ島ですが、マウイ島には、私ども一万トンの専用タンクがつくってありますので、これは現在供給を継続いたしておりますが、ホノルルについては、従来、相当期間供給がストップいたしております。  中南米に入りまして、マンサニヨは、従来は、一航海一漁船が三回程度補給に入るわけでありますが、現在は、一航海一隻一回というように、補給回数の規制を受けております。その上に、これは十二月の五日でございますが、価格がキロ当たり六万五千円というように、従来に三倍するほどの値上げがされております。したがって、漁業経営を継続するためには、そういう高価な価格では、恒常的な操業はとても続けられないという状態であります。  それから、パナマ運河のバルボア、エクアドルのグアヤキル、ペルーのカヤオ等におきましては、細々ながらいま供給を続けておりますが、ただいま申しましたように、キロ当たり六万円あるいは六万五千円という価格でございますから、全く緊急用にしか活用はできません。  それから、インド洋付近でございますが、シンガポール、コロンボ等、いずれも現在供給をストップしております。  このような状態で、全世界でマグロ漁船は供給を受けておりますが、量の上から試算をしてみますと、現時点において、約三〇%の供給ストップを受けているという実態でございます。しかし、現実に補給可能の各基地が全世界に散在しておりますので、漁船のサイドから見ますと、三割、むしろ四割、五割の供給ストップに相当しているわけであります。  このような状態でございますので、私ども日鰹連といたしましては、まずアフリカ地域ですが、これは約六十隻がいま集中して操業いたしておりますが、今月の二十日をめどに、六千五百キロの油を、タンカーを特別に仕立てまして、現地に回航して、補給しようという計画をいまつくっております。非常に苦心をいたしましたのですが、役所のほうの御助言等もありまして、現物は確保いたしました。  それから、ハワイ周辺は、現在、百十隻が集中して操業いたしておりますけれども、これは、ホノルルにせよ、あるいはマウイにしろ、全く細々とした供給でございますので、とうてい漁船の需要に間に合いません。やむを得ず、アフリカ同様に、十二月二十日出帆をめどに、五千五百キロの油を積み込みまして、特別のタンカーを仕立てて洋上で補給をするという計画を立てております。  応急対策としては、以上のようなことでございますけれども、今後、暮れを控えて、引き続き漁船が入港するわけでありますが、この入港漁船が、自由に、恣意のままに出漁をいたしますと、同じ問題をまた今後繰り返します。  なお、海外の補給情勢は、現在ほぼ三〇%カットでございますけれども、今後の見通しとしては、私どもは、五〇%程度までダウンするだろうということを見込んでおります。そうしますと、勢い、現在海外補給を必要とする八百隻の遠洋マグロ漁船につきましては、一月以降におきましては出航を調整しようということで、全国の代表者会議におきまして、その趣旨は一応了解を得ました。しかし、何ぶんにも問題が大きいので、各代表者は、それぞれの地元に帰りまして、各関係の船主と目下協議中であります。しかし、私どもは、これが否定をされますれば、ますます海外において混乱をする、立ち往生をする、内地へも帰れないということを繰り返すわけでありますから、こういう方向は、全国の関係漁業者の理解を得まして、ぜひとも秩序立った操業を確立したいというように考えております。  この点につきましては、一番大事なことは、海外で供給不足になった燃油の量につきましては、従来内地で補給を受けておりますほかに、特に御配慮を得まして、その上に上積みして内地で供給を受けたい。そうしますれば、私どもの全世界のネットワークを活用いたしまして、それぞれの国とも連携をとりながら、振りかえ補給ができるものは現地で振りかえしたい。もし振りかえできないとすれば、私どもいま全世界に操業しておりますけれども、漁場を勘案して、三カ所ないし四カ所、主要なポイントを設定いたしまして、そこに内地から油を搬出する、そうしてそれを足場にして、漁船は非常に制約を受けますけれども、曲がりなりにも操業を継続しよう、こういうことをいま考えております。私どもは、これからだんだん行き詰まるとか、そういう問題でなくて、十一月の初旬からもうすでに三割カットに入って、その対策に追われているわけであります。ひとつ、先生方の特段の御理解と御支援をいただきたいと思います。
  30. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これらの参考人の方々のかかえておる油不足に対する苦悩というものは、十分私どもも承知をしておるし、そうして、この油問題というものが大切なことであるということをひしひしとはだに感ずるものでありますが、優先配給だとか、これが国民生活に不可欠のものだからこれに油をとか、こういうふうな御論議や御意見がいろいろ出されるわけでありますけれども、要は、この油をよけいに確保するということですが、油がなぜ減ったのかということについて、業界としても、認識を持って政治に対する意見を申し述べなくてはならないと私は思います。そのことは、今日のアラブの石油戦略というものが正しいものであるのか、あるいは、そのアラブの石油戦略に対して日本はどう対処すべきであるのか、そういうことについての皆さん方の御意見というものがあってしかるべきだと私は思う。いわゆる武力をもって占領した地域にいつまでも居すわっておるイスラエルと仲よくしていく日本のアラブ外交の姿勢に対して、アラブの人たちは、いわゆる石油戦略というもので立ち向かっておるわけでありますし、根本的にこの油の問題を解決するためには、日本のこういう外交政治姿勢というものが変わらなければならぬ。こういう日本の外交政治姿勢を変えるためにはどうするか。そして、こうした第一次産業に従事しておられる方たちの問題をかかえておられる皆さん方が、今日のこの日本の外交姿勢というものについてどういうお考えを持っておられるのか。一々簡単に御答弁を願って、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 松村正治

    松村参考人 私のほうからお答えしますが、われわれは農協でございまして、それは政治家である皆さんの御判断におまかせしたいというふうに思います。  と申しますのは、やはり、メジャーの問題と、それからOAPECの問題と、両方からんでいるように私も思います。そういう点の解決は、私のいまの判断ではちょっとできかねるということでございます。
  32. 仮谷忠男

    仮谷委員長 もう各界の代表にいたします。御理解願います。一人一人でなくてもいいでしょう。
  33. 井上泉

    ○井上(泉)委員 大日本水産会会長に……。
  34. 藤田巖

    藤田参考人 非常にむずかしい質問でございまして、私ども業界としては、答えにちゅうちょするわけでありますけれども、まあ、率直に申しまして、九九%外国に依存する石油という状態で、いつまでも自由に幾らでも買えるのだということで、使うだけ使ったということの現状については、やはり、今後私どもは反省しなければならぬと思います。  しかしながら、おっしゃるように、アラブ諸国からいろいろの供給削減を受けておりますけれども、私の伺っておるところでは、アラブ関係の国からの日本に対する供給量は、全体の需要量の四〇%、そのほかの国のメジャーから来ているものが六〇%、こういうふうになっておると了解しております。したがいまして、私どもとしては、できるだけ各国ともいろいろ円満に話し合いがついて、あらゆる国から、日本のこの産業経済を守るための必要な石油確保されていることが望ましいわけでありますけれども、この際、いたずらに、一時的な考え方で右へ行ったり、また、ほかから何か言われると左へ行ったりするというふうなやり方は、私としては、よほど慎重にやるべきではないかというふうに思っております。  ですから、そういうふうな意味合いで、この問題は、私どもとしては、答えるのには非常に大き過ぎますので申し上げませんが、日本は、石油の需給に対する長期の見通しというものを立てて、これを世界各国からどういうふうに入れることが日本の産業経済を守るのに一番必要であるかという、そういう大局的判断からこの問題を扱っていただきたい。それ以上には私は申し上げることはできません。
  35. 井上泉

    ○井上(泉)委員 もう時間がありませんので、参考人の方が、それぞれいまの政治姿勢を批判をするというようなお気持ちにはなかなかならないと思います。その、よって立つ立場が、いまの自民党政権の立場に立っておる人たちばかりですからね。しかしながら、たくさんの国民をかかえており、組合員をかかえておる団体の長でありますし、誤った政治路線をとっておる限りにおいては、それを改めさすような、そういうことをしないと、幾ら三木さんがアラブへ行っても、日本の政治外交の姿勢が変わらなければ、これはたいへんなことになる。四〇%でいって、あとの六〇%は確保されておると言っても、そのあと、四〇%が二〇%削減され、一〇%削減されただけでも、こんな大騒ぎをせなければならぬし、こんな大混乱を招いておるという現状というものを、各団体の代表者の方たちは十分認識をして対処してもらいたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  36. 仮谷忠男

    仮谷委員長 美濃政市君。
  37. 美濃政市

    ○美濃委員 参考人の方、たいへんお忙しいところを御苦労さまでございます。  二、三お尋ねいたしたいと思うのですが、先ほどからもお話しがございましたように、閣議決定をした優先需要を満たすということが、必ずしも円滑にいっていない。始まったばかりですから、準備にも多少手間がかかる面があると思いますが、その中で、皆さん方から要請のありましたように、系統を政府が信頼して、系統が総需要をコントロールできる——いわゆる施設なり、その他の問題はあると思いますが、系統は、本日お見えの漁業系統、林業系統、農業系統生二系統ありますが、この系統機関が総需要をコントロールできる体制がまず必要だと私は思う。それがうまくいけば、あえて配給切符制にしなくても、皆さん方は、その総需要をまかしてもらえば、その中で円滑に運用する能力はあると私は思うのです。そこが、どこまで話が進んでおるか。皆さん方と政府との話は、その点がいま一番大切だと思うので、どこまで話が進んでおるか、それをまずお聞かせ願いたいと思います。
  38. 笠原大二

    笠原参考人 農業用石油につきましての全数量について、国の方針に基づきまして、数量算定、消費目標等がきまりまして、もし、われわれ系統組織でその分野の担当をやれと言われました場合には、われわれとしましては、それの担当を果たし得ると思っております。  ただ、実は、全体の農協の中には、このような経済事情につきまして十分な能力のない——能力と申しますか、体制のない農協も一部ございますので、そういう場合には、農協連合会がこれに対しまして補完の措置をとれば、ないしは、施設を連合会で整備をいたしましてやれば、農民なり、石油を必要としますその地帯に対しましての需要目的なりに円滑に供給できるという自信はございます。  したがいまして、われわれのほうが先般来政府に対しましていろいろ御要請申し上げておりますのは、農業用につきましては、でき得るならば農業事情に詳しい農林省が所管をいたしまして、これを一括特定分離をいたしてやるというような体制につきまして御配慮を願うという要請は、われわれのほうとしては現在いたしておりますが、最終的に、現在の状況でそこまでいくということにはまだなっておりませんが、考え方としましては、われわれは十分やり得るということで、要請はやってまいっております。
  39. 及川孝平

    及川参考人 ただいまの御質問は、きわめてポイントであろうと存じます。いかに漁業用石油確保するといいましても、閣議でばかり決定しましても、実は何にもなっていないということでございます。したがって、物量をきめて、その物量を、渡れる者の手に確実に渡すということが根本であろうと思います。したがって、先ほどもそちらの先生のほうから御質問がありまして、おまえは胸を張ったけれども、物さえあれば配給できると言っているがだいじょうぶかと言われますけれども、これは、私のほうはだいじょうぶだと思います。ただ、私あえてそれを言いませんのは、現在のこの機に乗じて、全漁連が、ほかの人が売っているシェアまで取っちまうとなれば大混乱になりますから、そういうことは申し上げたくございません。ただ、一つの機構をつくりまして、需要者代表として全漁連及び日鰹連、それから石油連盟、それから石油の小売りの代表である全石連、それに農林水産が加わります省庁が、これは行政指導ですが、そこの中において、すでにみんなが既存実績がございますから、その実績のとおりに玉が流れるという方策はとり得ると思います。そこに政府の行政指導の相当強力な決心さえあれば、混乱なくできるということを私は確信いたします。それをきめなければ、幾ら農林漁業を確保すると申しましても、末端の小売り店舗へ行きますとそんなことは考えませんから、しょせんは、先ほど申しましたとおり、高いほうへ流れるだけでございます。ぜひそれをお願いしたいと思います。
  40. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、ちょっと参考にお聞きしておきたいのですが、私自身の考えとしても、単に、農業、漁業に従事する者が、油不足によって所得が減るとかなんとかという問題でなくて、食糧問題として、油がなければ、農業にしても、漁業にしても、あるいは林業にしても、大幅に生産に支障を来たすということははっきりしているわけですから、その面から来る混乱というものは、場合によっては油以上の混乱が起きてくると思うわけですね。しかし、起きておる状態が、どこに原因があるとか、ここに原因があるとか、原因究明だけしておっても、それだけではものごと解決しない。いまの状態が、原因究明によって直ちに解消できるのであればいいけれども、解消できない部分までの原因究明をしておっても間に合わぬわけですから、そこで、まず第一点として、しからば、たとえば農業面で、トラクター用、生産用の油は一〇〇%確保するとしても、しかし、別の面で、たとえば農家の持っておる自家用車というのは、相当大幅なガソリンが節減されても、用足しには多少不自由するけれども、生産、所得にはあまり影響しないわけです。そういう面とか、あるいは、農村には全然不可能なところもありますけれども、灯油等についても、燃料用の油については、代替の薪炭というようなものがかなり使える条件のところもあるわけで、そういう面では大幅にまた節減できる面があると思うのですが、そこまで突っ込んで系統としてはお考えになっておるかどうか。そういう面はそういう面で、こういう時代だから、できる面でまた節減に大幅に協力するが、しかし、こっちだけは何が何でも確保しなければならぬ。これはたいへんなことが起きると思うが、その面についてはどうですか。
  41. 松村正治

    松村参考人 美濃先生から御忠告みたいな御質問があったわけでございますけれども、やはり、われわれの従来の農業のやり方というものについて考える一つの時期ではないか。国自体もそうだと思います。金があればどこからでも買えるというようなことで、先生の御存じのように、農業というものはずいぶんいじめられてきたわけです。そういう時代については反省があると思います。  生産の面でも、前からわれわれが申しておりますように、やはり節約の余地がございます。というのは、共同というものを生かすということです。たとえば水田でございますれば、岩手の旧稲瀬農協、これはいま合併しておりますけれども、四十ヘクタールというものを一つの基準にしまして、そこにはトラクターが一台あればいいということで、その四十ヘクタールの団地ができております。そうすると一台行くやつが、部落からそこまでの往復の油というものはばかにならぬわけです。それが、こういうふうに共同組織ができておりませんと、四十ヘクタールといいますと、十五、六台のトラクターが同じ部落の道を通っていくということにもなると思います。そういう面で、われわれは集団生産組織ということを前から提唱しております。しかしながら、なかなかそれが成立しにくい条件がございます。この機会に、国の施策を得て、制度的にそういうものを保護、助長していくという方法であれば節約ができると思います。  消費の問題については、全く先生のおっしゃるとおりでございまして、都市近郊等では、特に一般国民の方から、外車を二台も持っているとか、いろいろわれわれも言われております。そういう点について、先生の北海道みたいに、部落から町まで非常に遠いというようなところは別でございますけれども、節約の余地があると思いますので、われわれの今度の対策本部につきましては、そういう内部の問題を含めて、両方やろうということでございます。
  42. 美濃政市

    ○美濃委員 いずれにしても、油問題は、ことしの農業なり、林業なり、漁業なり、生産と重大な関係がございますから、私どもも国会で政府を叱咤激励して一生懸命やりますが、皆さん方もひとつがんばっていただきたいと思います。  以上で終わります。
  43. 仮谷忠男

    仮谷委員長 津川武一君。
  44. 津川武一

    ○津川委員 農業、漁業、林業のために健闘されておる参考人の皆さん、きょうはほんとうに御苦労さまでございます。たいへん貴重な御意見を伺わしていただきましたが、私たちも、いま国会にかかっておる二法案について、先ほど全中松村さんが話されたように、立ち入りもできるように、また、及川さんが話されたみたいに、消費者や生産者の団体が、その確保配給というものに直接参加ができるような、そういう意味の補正をいま野党四党で要求しておるわけでございます。そこで、私たちもがんばりますが、皆さんも元気でがんばっていただくことをお願いする次第でございます。  一番最初に、及川さんにちょっとお伺いしたいんですが、皆さんのあれだけの苦労の中で、大手の大洋さんなんかは、どんなにされて、どのくらいの値段でいま手にいれているのでございましょう。御存じならひとつ教えていただければ、と思うのです。
  45. 藤田巖

    藤田参考人 大手の、たとえば大洋さんなんかは一体どういうふうにやっておるかという御質問でございますが、私、不承知で、あまり詳細は知りませんので、あるいは申し上げるところが間違っておるかもしれぬと思いますが、大体において申しますと、大手は、全部、十二月から、昨年同期の実績に比べて三割削減ということを申し渡しております。そうして、また、大手は、いずれも海外の基地漁業を営んでおりますが、それは、先ほど申し上げましたように、大洋さんといわず、日水さんといわず、極洋さん、その他のトロール漁業者というものは、これは全部基地によって違いますけれども、非常な削減を受けていることも事実でございます。  この海外漁業の中で、いわゆる合弁形態でやっているものがございます。それぞれの国と契約をいたしまして、いわばその国の旗のもとにやっているというふうなものがございますが、その合弁形態のものの油は、やっぱりそれぞれの国である程度めんどうを見てくれる。というのは、魚がとれなければその国に魚の配給ができないという関係がございますから、これはある程度のものは何とかやっておると思うのですが、そうでなくて、日本の旗で、たとえばアフリカの沖でありますとか、あるいは豪州、太平洋、あるいは南米というところでやっておるものは、いずれも非常な規制を受けております。これは、大洋さんといえども、どこといえども、一律にやられております。そうして、私どもの聞いておるところでは、内地の値段は大体倍くらいになっているのではないか。それから、海外でとりますものは、先ほどちょっと増田さんからもお話しがございましたが、大体五万円程度のもの、そういうふうなものでなければ手に入らないというふうな状況になって、非常に困っておる。これは大手自身も非常に困っておるという状態でございます。
  46. 津川武一

    ○津川委員 カツオ・マグロの増田さんにお伺いしますけれども、八百隻出ている中で、とることもできない、営業、操業もできない、帰ることもできないということで立ち往生している船はあるんでございましょうか。あるとすれば、それはどのくらいありましょうか。
  47. 増田正一

    増田参考人 私どもの遠洋マグロ漁船のうち、いままで、現地の港におきまして、油の供給不足ということで立ち往生をいたしました船は二十数隻ございました。それで、十日、十五日、あるいは二十日前後立ち往生しつついる間に、いろいろ交渉を重ねながら、次の港に回航するのに必要な最小限度の油だけを供給を受けるという形で、次の港でどうにかまた補給を受けるという形でございます。したがいまして、二十数隻といま申しましたが、現時点においては、そういった船は一応解消いたしております。しかし、今後また立ち往生する船が出るかもしれません。そういう状態でございます。
  48. 津川武一

    ○津川委員 全森連の喜多さんにお伺いしますけれども、林野庁の分のお仕事は、案外スムーズにいっているんでございましょうか。
  49. 喜多正治

    喜多参考人 いまのお尋ねでございますが、林野庁がスムーズかとおっしゃいますのは、どういうことでございましょうか。
  50. 津川武一

    ○津川委員 チェーンソーとか、集材機なんか、林野庁の分は順調に動いているのでしょうか。
  51. 喜多正治

    喜多参考人 林野庁の分と申しますと、国有林でございますか。
  52. 津川武一

    ○津川委員 国有林です。
  53. 喜多正治

    喜多参考人 いまのところは、それほどの大きな支障はないように私は伺っておりますけれども、しかし、これも非常に困る事態が近く来るのじゃないかというふうに思っておりますが……。
  54. 津川武一

    ○津川委員 そこで、松村さんにひとつお尋ねしますけれども、輸送との関係で、産地安消費地高——私は青森県の浪岡というところなんですが、貨車輸送を必要とするものが四十貨車分だけ駅に入っているが、四車輌しか入らない。そこで、出てこない、腐る、しめる、こっちのほうは今度は高くなる、こういうふうなかっこうで、輸送困難で、産地安消費地高になっておる現状を、御存じならもう少し教えていただきたいと思うのです。
  55. 松村正治

    松村参考人 私も、青森県のことも聞いております。それから、九州のミカン、それから、先ほど申しました北海道のバレイショ、タマネギ、それから雑穀、こういうもので非常に苦労している。それは、春闘の影響がまだ完全に払拭しきれない。北海道等ではそういう影響もあるようですけれども、やはり、基本的には、貨車が回らないということだと思います。消費地価格のほうは、だんだん正月も近づきますから、いろいろ上がってまいると思います。しかし、それに拍車をかけると思いますが、産地のほうは、それに対応するのは、青森なんかリンゴの工場を持っておりますけれども、ミカン等についても、ことしの予算でジュース工場なんかをつくるというようなところも、あるいはそれをふやすというところも、六カ所くらいございます。そういうものは、まだこれは稼働していないわけです。そういう意味で、今後そういうものが出てくるだろうということが言えると私は思います。  なお、笠原常務も出ておりますので、もし、詳しくということであれば、笠原常務からも追加して御説明申し上げます。
  56. 津川武一

    ○津川委員 そこで、笠原さんでも、松村さんでもけっこうでございますし、それから、藤田さんにもあわせてお願いしますが、石油がこういうふうな情勢になりますと、先ほど話された肥料がたいへんになります。農薬がたいへんになります。そこで、日本の農業のあり方、農業の構造というものがどうなるのか、これにどう対処されていかれるのか、政府に何を要求されるのか、こういう点で、三つのことをお答え願いたいと思います。  藤田さん、もしくは及川さん、増田さん、どなたでもけっこうですが、こういう形で石油不足が慢性化されていくと、いまの皆さんの八百隻の遠洋漁業は無理だと思うのです。そこで、生産調整が始まるのか、操業短縮が始まるのか、そういう点で漁業がどうなるのか、どういう構造の変化が起きていくのか、これに皆さんがどう対応なさるのか、政府に何を要求されるのか、こういうことをお伺いしたいのです。  私は、自分で調べてみたら、大洋漁業は三十万キロリットル持っておって、値段も高くて、二万のところで手に入れておるという。いま、皆さんにお伺いしましたら、六万五千ということばがありますので、大企業による中小企業への圧迫もかなり加わってくると思うが、そこいらあたりの漁業のあり方、構造のあり方というものがどうなるのかなどということを伺わしていただければ、と思うわけです。
  57. 松村正治

    松村参考人 先ほども申し上げましたように、農業構造の問題でございますが、これは、現在までは、やはり、一般の経済構造の中で、農業構造というものはきまってきたと思います。しかし、石油不足というものは、資源輸出国から見るならば、有限の五千億キロリットルといわれる埋蔵量を早く売ってしまうか、あるいは長く延ばすかというようなことも考えれば、これはなかなかそう簡単な問題じゃないというふうに覚悟をきめて、そうして、事実、末端農業をしておる農民の身になりますと、やはり、最悪の事態に対処するようなかまえというものをやらなければならぬというように私は考えております。  農業構造の問題としては、やはり、先ほど申しましたように、共同化を進めていく。そうして、そのためにわれわれとしても先進事例がございます。たとえば茨城県の新利根——これはいまは名前を変えておりますが、新利根共同農場等がございます。こういうところでは、十分対応して、非常に燃料の節約にもなっておりますし、十分対応できるような姿勢もできております。したがいまして、農業というものは、本来、自然の循環の中でやらるべきものが筋だと思いますが、ところが、先ほど申しましたように、畜産公害ということで、ふん尿を重油で燃やしているという現状が、先生も御承知のようにございますし、さらに、稲作地帯で、出かせぎ地帯は、稲わらを全部燃やしちゃうというようなことで、結局、そこで土地がだんだん衰退していっておるというようなことについては、やはり、基本的に対応していきたいと思います。ただ、うまくいっている新利根なんかの例を見てみますと、土地問題について、開拓者でございますから、沼沢地を埋め立てて、そして、持ち分として二ヘクタールある、その二ヘクタールで、現在、粗収益一千万円、純収益七百五十万円あげております。したがいまして、既存の農家が共同化するような場合には、少なくとも、制度的にこれを国に要求しなければならぬ。そのためには、土地にどういう配分をするか、労働にどういう配分をするかということでいざこざが起きている例が、御承知のとおりございます。したがいまして、非常に低利、長期の金で、一応一町歩の農家と五反歩の農家とがあった場合には、一町歩の農家のやつの五反歩は、その農事組合法人で買い上げてやるというような仕組みをつくっていくというような、土地問題についてある程度の手を打つならば、そういう要求をしていったならば、それを制度的に確立していったならば、案外成り立つんじゃないか。そういう意味で、この一月二十三日、農協の全国連の会長をはじめ、全部新利根農場に入って、下放運動ではございませんが、実地にそこで勉強してまいりたい、そういうふうに考えております。
  58. 藤田巖

    藤田参考人 お答えを申し上げます。  石油の見通しというものについては、私どもまだよくわかりませんけれども、感じといたしましては、やはり、石油不足というものはもう少しだんだんひどくなって、そして、この状態は慢性化してくるんじゃないだろうか、いつでもどんどん自由に物が買えるというような、もとのような状態には、そう簡単には戻らないんじゃないだろうかというふうに考えております。したがって、全体が削減されてくれば、これだけのものはぜひ必要だと申しましても、なかなかそういう状態にはいかないだろう、やはり大勢に従って、水産業界自身も、いろいろ消費規制される中で、どういうふうにして漁業の効率をあげて、魚の漁獲減少を防ぐかということについては、これは真剣な考慮をしなければならぬ、こういうふうに私どもは考えております。しかし、このやり方は、それぞれの漁業漁業でいろいろ実情がございまして、一律的にどうするとか、そういうふうなことはなかなかむずかしいと思うのです。しかし、そういう際に、水産庁が、政府が、一つ方針を立てて、だんだんこういうものが不足した場合には、これを最も効率よく利用して、そして、生産をできるだけ落とさぬためにはどうするかということで、各漁業部門についての基本政策というものを立てるような方向にしていただきたい。そして、業界もそれに協力をしていくというふうな体制をとっていくことが必要じゃないかというふうに思っております。  現在の段階では、先ほど申しましたように、大手は三割削減ということで非常に困っておりますが、これは世帯が大きいわけでありますから、それぞれその中で、どういうふうに規制するかを考えておられる。たとえば、船をどういうふうに間引いていくかとか、ある船を休ましてこの船を使うとか、合理的な油の使い方について、それぞれ考慮しておられます。だから、そういうふうなことを大いにやっていただくことが必要だろうと思いますが、漁業漁業によっては、なかなかむずかしいものがあるのです。  極端に申しまして、私ども、ここでいま検討中でよくわかりませんが、かりに油が一割減ったら、生産がどうなるのか、かりに二割油が減ったらどうなるのか、これは当然われわれも考えなければならぬことだということで、いろいろ検討をしておりますが、なかなかむずかしい問題でございますが、ただ、私どもの言えますことは、油が減った割合以上に漁獲は落ちるであろうという見当をつけております。たとえば、油が全体で二割減るならば、生産は二割以上、あるいは三割減るであろう、それから、極端なものは、もっと四割も減るであろうというふうな感じを持っております。それは全部ではございませんが、特定の漁業についてはそういうふうになるのじゃないかというふうに考えております。  といいますのは、漁場の遠いものは、その漁場の往復に使用する燃料は必ず要るのです。もう、生産関係なく要るわけです。それで、結局、油が窮屈になりますと、その中から、漁場の往復に必要な燃料は、まずもって先に考慮しなければならない。そのあと、いわゆる漁場での滞在日数、操業に関係するわけです。ですから、だんだん減ってきますと、いまの漁場の遠いものほど影響が大きい。つまり、漁場の滞在日数が少なくなる、稼働日数が少なくなる、こういう現象があらわれてくるわけです。ですから、われわれは石油の削減率以上に減産率が大きいことを私どもは考えておる。ただ、政策的には、先ほど申しましたように、海外の基地漁業は、日本の将来から考えまして非常に重要なもので、これをもし失うことになりますと、取り返しのつかないことになる、もうとてもいけなくなっちゃうから、何としてもこれは守りたいというふうなことを私どもとしては考えております。  それと、もう一つは、日本の漁業の中で、各国との国際協定に基づいていろいろ規制されておるものがございまして、その中には、日本の漁獲高はこれだけだ、これだけとるんだというふうなことを協定によって約束されておるものがあるわけです。そういうふうなものについては、減っては困ると思うのです。日本がとってもいいという漁獲高をもしもとれないということになりますと、今後とも漁獲ワクが削減されていくというふうな事情になるわけで、これも日本の将来から考えればとてもだめでありますから、やはり、こういうものはぜひとも確保するというふうなことでやっていかなければならぬ。  そういうふうに考えておりますので、これに対応するしかたは、漁業漁業で一様にはまいりませんし、それぞれの漁業部門で慎重な考慮をしなければなりませんが、要は、私どもの言いたいのは、だんだん物が不足すればするほど、その原油を効果的に使わなければならない、そして、できるだけ減産しないような方法で使わなければならないということで、これは私どもの義務だと思う。それには、漁業の実情を十分心得ておらねばならないが、どうすればどういう影響があるかということはわれわれ業界が一番よくわかっているのだし、また、漁業を監督する水産庁が一番よくわかっておるわけですから、だから、総体的にはできるだけ優先的に確保していただいて、またある程度減少するのもやむを得ないと私は思いますが、その確保されたものは確実に効果的に入るような仕組み、これがやはり一番大事である。したがいまして、今後の配給確保については、やはり実需者であるわれわれ、あるいは実需者官庁である農林省意見というもので効率的利用を考え、石油不足すればするだけそれを考えて、その意見に基づいて現物が確実に手に入るという方策を政府全体で考えていただきたい、これが必要であろうというふうにわれわれは思います。
  59. 仮谷忠男

  60. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 各参考人には、たいへん忙しい中を、貴重な御意見をありがとうございました。  本日の参考人の御意見を承っておりますと、さすが各団体の会長さん、または重要な位置にある方であるだけに、きょうは、かつてない熱意のこもった開陳がなされまして、日夜混乱の中に、油の供給にあたって昼夜を分かたず腐心しておる姿をよく承知しておりますが、たいへん御苦労だと思っております。  明日は、農林水産委員会を開いて、これらの問題を総まくりに質問いたすことにしておりますが、以下、各委員から質問の出なかった点等をかいつまんでお聞きしたいので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず、全中松村さんにお伺いしますが、農業用の油について、行政と末端とにギャップがある。これはほかの業態でも同じことでありますけれども、われわれもそういうふうに感じておるわけです。そこで、農林省通産省との緊密な連絡をとってほしいということが、先ほど開陳がありました。油は農業団体に回してほしいというふうにおっしゃったのですが、現状と今後の問題について、農業団体にまかせられた場合に、どういうふうに考えておられるか。供給のあり方について、もう少し、具体的に、簡潔にお答えをいただきたい。  もう一点は、全農笠原さんですが、冬季のハウス用軽油、これは、現在、全国面積が二万町歩というふうに言われておりますが、冬秋季の野菜生産が七〇%のシェアを占めている。これは国民生活に重大な影響をもたらすことはわれわれも十分承知しております。生鮮食料品が、正月または春先にたいへん影響がくるのではないかということで、実は、東京都をはじめ各地で心配がなされておりますが、現状でいったならば、いわゆる中東情勢から五%削減をされていくと、これはかなりきびしいものがある。すでに、もう、タクシーその他の油も規制するということを通産大臣等も言っておりますが、こういう現状を踏まえまして、これはいつごろまでで底をつくのか。こういう状態がいつまでも続いたならば、いよいよ重大な影響を及ぼす、影響を及ぼすどころか、野菜も高くなる、国民生活への影響が重大なものとなってくると同時に、輸送その他ができなければ供給ができなくなる、こういうふうなことを心配しております。ここのところはどういうふうに見ておられるか。その点、大体の見通しを簡潔に承りたい。  まず、最初に、その二点を、松村参考人笠原参考人にお伺いしたいと思います。
  61. 松村正治

    松村参考人 先ほど私が陳述中に申し上げましたが、まだ今後検討しなければならぬ問題もあろうと思いますが、たとえばと申し上げましたが、生産用については、先ほど笠原常務からも話がございましたように、全農段階で四〇%、末端農協では大体六〇%近くこれは把握しておるというような実情もございますし、もちろん、大ワクをきめる際には、主管大臣である農林大臣通産大臣の同意を得るような形に持っていっていただきたい。もちろん、ワク内の配給については、主務大臣である農林大臣がやるということですが、これについては、たとえば特別の措置で、特別ワク農業用としてまかせて団体に責任を持たせるというようなことであれば、笠原参考人が申しましたように、特別ワクとしておまえたち責任を持てということであれば、それに対応するということがいまわれわれが考えておるところでございます。まだいろいろ今後の検討もあろうかと思います。  それから、輸送用の問題がございます。先ほど先生方の御質問があったように、輸送用で非常に困っているわけです。これにつきましては、新聞紙上で見ますと、長距離用のスタンドをつくるとか、いろいろございますけれども、最後には、むしろ、実需者に対して配給の切符をやり、そして、実需者がスタンドに行ってそれだけのガソリンを入れてもらえれば、そのスタンドは、その配給票で的確にその量を補正してもらう。そういうような方法現実ではなかろうかというふうにいまのところは考えております。  以上です。
  62. 笠原大二

    笠原参考人 ハウスの油に対します影響につきましては、いま先生からお話しのあったとおりでございますが、実は、ハウス用の油につきましては、地域的には若干問題がございますけれども、こういう情勢をある程度考えまして、九月、十月に、系統といたしましてはかなり早どりをさせておりますので、現在、十一月、十二月はかなりカットをされましても、現在育成中のものにつきましては、何とかやっていけるのじゃないかというようなニュースをとっておりますが、先行き非常に不安でございますので、先ほど御報告いたしましたとおり、何らか節減をする方法はないかということで、農林省、団体の技術屋相寄りまして、地方農政局その他行政、技術関係相談いたしまして、かなり温度を下げましてもやれるもの——たとえばピーマンですと、室温二十度でございますが、キュウリの場合には、大体十度でいける。そうしますと、トマトの場合には、たとえば五度でいけるというように、私も技術屋でございませんのでわかりませんが、そういうくふうをいたしまして、極力油の節減をすれば、現在生育中あるいは収穫中のものにつきましては、当面何とかいけるのじゃないかと思います。  ただ、問題は、いま育苗いたしまして、この次に植えつけるものにつきまして、油の保証が農業団体としてできるかと言われますと、先行き不安でございますので、これにつきましては、少なくとも十分見通しのつくまでは、最悪の場合はかなり慎重な作付計画にしろというふうな相談を実はしておりますので、その影響が出てきますのが、おそらく二月ぐらいからではないかというように予測をしております。ただし、西南暖地等につきましては、気候の点等で、くふうをいたしますれば、供給につきまして何とか不安のないくふうもできるかとは思いますが、現在のところは、その辺のところにつきましては、はっきりした見当がつかないというのが実情でございます。  ただ、問題は、先ほど松村常務が申し上げましたような、生鮮ものにつきましての市場への出荷用の油が、現在のところ非常に入手難でございますので、将来は、そういうものを含めまして、農業用ということで何らか確保する一つの形をいろいろ今後お願いをしてまいりたいというのがわれわれのほうのいまの立場でございます。
  63. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、全森連の喜多参考人にお尋ねしますが、喜多参考人は、油については、公正を期すために系統にまかせろと言われましたが、全森連としては、系統にまかした場合、どういうふうに考えておられるか。具体的にこの一点についてお伺いしたい。  それから、本日は、日本木材輸入協会からも、それからまた全木連の島本参考人も見えておりますが、外材輸入の問題でお尋ねします。  このままでいきますと、南洋材は四〇%ないし五〇%カットされるのではないか、また、米材については三〇%ないし四〇%カットされるのではないかということで、たいへん憂慮されております。現在、木材は需要が少し少なくなっているにもかかわらず、品物が売り惜しみをされ、そして高いということで問題になっておるわけでありますが、日本の木材需給は、御存じのように、外材を輸入しているウエートが多いわけでありますので、私、データを調べてみましたところ、すでに十月末現在で、在庫数量が、南洋材については五百二十万立方メートル、米材については二百七十万立方メートル、北洋材については百四十七万立方メートル、ニュージーランド材については十五万六千立方メートルということで、至近六カ月の平均消費から見ますと、南洋材は二・四カ月、米材が二・五カ月、北洋材が二・二カ月、ニュージーランド材が一・一カ月ということで、木材の在庫数量がまことに少ない。そこで、さっき申しましたように、南洋材を四〇%ないし五〇%将来カットされるのではないかというような危惧の念からいたしますと、十一月、十二月の入荷数量なんかを見ないと判断がちょっとつかないかと私は思いますけれども、十二月ないし一月ないし二月は、本船が動かずに、入荷が外地で相当停滞するのではないか。こういうことから将来の見通しを見ますと、木材の高騰ということで、国民の衣食住の中の住という問題がたいへん憂慮されますが、こういったことについてどういうふうに見通しておられるか。簡潔にお伺いをいたしたい。  それから、もう一点は、外材輸入の問題で日本のほうへ来る場合は、油は外地で入れてくるけれども、日本から向こうへ行く場合には、油を日本で入れていかなければなかなか船が帰れないというふうな問題があるように聞いておりますけれども、そういう点も、現状はどうか。簡単にお伺いしたい。  それから、まとめて質問しておきますが、まず、大日本水産会会長藤田参考人にお伺いをいたしますけれども、きょうの陳述の中ではございませんでしたが、船舶用の合成樹脂、普通レジンと言っておりますが、これが少ないために造船並びに船の修理等がずいぶんと滞って、たいへん水産業界に問題を投げかけている。いま、こういった面で漁獲が相当減り、また、現に、もうその影響が出ておりますが、こういった重大な問題についてはどういうふうにお考えであるか、この対策等はどうしておられるか、一点お伺いしたい。  それから、次に、日本鰹鮪漁業協同組合連合会会長増田さんにお伺いしますが、現在ジャパン・ツナが一隻あって、いわゆる洋上補給診療船として、いろいろ油の補給に当たっておられる。先ほど藤田参考人からもお話しが若干ありましたが、このジャパン・ツナにかわる船を早急に一、二隻補給しないと、いわゆる操業地から母港へ帰る、往復する油も相当要ると思う。こういったことについて早く手を打つべきであると思うのですが、こういった問題についてどういうふうな対策をとっておられるか。今後、ジャパン・ツナのようなものを早急に対策するようになっておるのかどうか、その点のお考えをお聞きしたい。  それから、ハワイ沖その他では、もうすでに全面ストップで、油がなかなか補給できないということで、操業がたいへん困難な状態にあるわけですけれども、緊急措置として、日鰹連のほうでは、ケープタウン、ハワイ等にいろいろと手を打たれるようでありますが、ケープタウンに六千五百キロリットル、ハワイに五千五百キロリットルですか、これを、内地の油を集めて、現物を持っていく。これは皆さん方が保有しておったなけなしの油だと思うのですが、これを十二月の二十日ごろには何とか出航させたいということでいろいろ準備をしておるやに聞いておりますけれども、こういったことでタンカーの確保ができるのか。また、この計画は順調に進む予定であるのか。これはいわば緊急なカンフル注射ではないかと私は思うのですけれども、こういった問題についてどういうふうな見通しでおられるか。この点についてお伺いをいたしたい。  最後に、簡単でけっこうでありますので、もう一点及川参考人にお聞きしたいのですが、消費規制をせよと先ほど言われましたが、六百トンの水産用の油が要るというふうにワクがきまりますと、その流し方が問題である。現在のルートでいいとおっしゃいますが、これもまた、さっき農業関係で聞きましたが、あれと同じような考えであるのか、若干補足して御説明いただければ幸いです。  以上、お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  64. 藤田巖

    藤田参考人 水産関係で二、三の質問がございましたが、先ほど御質問のございました中で、漁船の修繕用の資材がいろいろ不足をしていて、そのために必要時に間に合わないというふうなことだが、それについてはどう考えているかというふうなことでございますが、仰せのとおり、そういう事態が発生しておることは事実でございます。現に、いろいろ修繕を頼みましても、いろいろなものが足りないのでできないということで困っております。だから、総括的に申しますれば、こういうふうなものについても、やはり漁船が漁期に間に合わなければ何にもならぬわけですから、漁期までに間に合いますように、そういうふうな修繕用の必要な資材についても、これの確保方はお願いいたしたいと考えますが、なお、私ども、まだ実情を具体的に正確に把握しておりませんので、そういう問題については、また、実情を詳細によく把握いたしました上で御陳情申し上げたいと思っておりますから、よろしくお願いいたします。
  65. 及川孝平

    及川参考人 端的にお答えしますと、やる気になれば、現在の既存ルートで完全にやれると思います。また、そうしなきゃならぬと思います。  ちょっと私、時間を一、二分拝借しまして……。いまは物がないものですから、物、物と言っていますけれども、私、最近、二週間ばかり、何とかして一滴の油でも取ってこようと思って、ソ連から英国からずっと各国を回ってまいりました。そうしますと、まことに気違い的なことでございまして、ロッテルダムというところがございますが、これはオランダでございまして、世界の、欧州の国際相場を決定するところですが、何と二百ドルでございます。そういうことでございまして、現在、われわれの沿岸の給油の状態もほぼ二万円に達しています。これはほぼ倍額でございます。したがって、このことは、いま物がないものですから、やっきになって物、物と言っていますけれども、じゃ経営的にどうなるんだということは、これは非常に深刻な問題であろうと思います。特に、漁業経営における油の割合というものは、実は、八%ないし、多いのは一五%と言われています。したがって、これが倍にも三倍にもなったらどういうことになるのか。それからまた、世界的情勢から申しまして、私今度ずっと各国を回りましたが、おそらく価格はもとに戻らぬのじゃないか、やや高いところでいわゆる安定をするんじゃないかというようなことでございます。その場合に、かりに物があっても、漁業経営が非常に大きな問題をはらんでくるという感じでございます。
  66. 増田正一

    増田参考人 二点につきまして御質問がありましたので、お答えいたしたいと思います。  第一点は、私ども日鰹連の所有しております三千トンの洋上補給診療船ジャパン・ツナでありますが、これは、ここ数日前に、パナマ運河のクリストバルで四千八百キロリットルの石油を満タン積み込みました。これは、油がベネズエラの油でございますので、予定どおり積むことができました。現在、ジャパン・ツナは、パナマ運河を通過しまして太平洋側に出てきておりますが、中米並びに南米沖に私どもの所属船百六十隻程度が現在操業中でございますので、これらの船を対象に、四千八百キロリットルの油を補給したいと考えております。計画といたしましては、十二月一ぱいで四千八百キロリットルを全部補給を完了するという予定でございます。  それから、今後の見通しにつきましては、現在の段階でははっきりいたしませんけれども、もし引き続きクリストバルないしはバルボアでの補給が可能であれば、引き続きただいまのコースで補給を開始したい。もし不可能であれば、日本に回航いたしまして、先ほどもちょっと触れましたように、今後恒常的に内地の油を所要の拠点に運ばなければいけませんから、それに専念させるようにいたしたいと考えております。  それから、第二の御質問の点でありますが、先ほど私が御答弁いたしましたアフリカ海域のマグロ船は、供給が不能で操業が非常に困難になっております。一部の船は内地への帰航すら困難だという情勢にありますので、急遽六千五百キロリットルの油を積み込みまして、十二月二十日に出航するということであります。これは、油は、私どもの今後使う油の一部と、それから、ロンドン・シェルの特別の配慮によりまして、シンガポールから一部積み合わせまして現地に持っていくということでございます。したがって、油と船、全部手続は完了いたしております。  それから、第二のハワイ方面でありますが、油については、私どもの将来使用する見込みの油を一部割愛しておりますが、そのほかに、メジャーのほうの特別の好意によりまして、上積みして、五千五百キロリットルの油を確保いたしました。ただ、船につきましては、いま、全世界のタンカーが非常にむずかしい情勢にありますので、目下、確保について極力努力中でございます。  以上でございます。
  67. 喜多正治

    喜多参考人 林業用油の配給の問題でございますが、限られた油を自由放任のままで置いておきますと、その間に不公正が起き、さらにまた混乱が生ずるおそれが多分にございますので、どうしても、これは、系統の組織で、しかも、共同の組織で、公正にこれの配給を取り扱うということが適当ではなかろうかというふうに考えております。これにつきましては、林野庁のほうともぼつぼつ話し合いをいたしておるわけでございますが、もちろんむずかしい問題でございます。むずかしい問題でございますけれども、私どもは少なくとも林業者のための組織でございますから、そのためになることでありますれば、これはあえて引き受けまして、公正を期してまいりたいというふうに考えております。  それから、外材その他の関係でございますが、取りまとめて申し上げまして、不足の分につきましては、後刻関係の方からまた御報告を申し上げるということに御了解いただきたいと思います。  その中で、輸入材を運びまする船油の必要量が総額で二百二十万トン。それから、油の確保の点につきましての措置でございまするが、船主協会と荷主とで通産省のほうに強く御要請をいまいたしている最中でございます。  なお、給油の点でございますけれども、往復とも日本で手当てをいたしておるということでございます。  以上でございます。
  68. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 じゃ、これで終わります。
  69. 仮谷忠男

  70. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 参考人には、お昼もなしでやっていただいておりますから、急いで、簡単にお尋ねをしたいと思います。  最初のものは、委員長から取り計らっていただいて、実は資料を出していただきたいわけでありますが、たとえば、農耕機械用あるいはハウス用、食品加工用について、過去三年ぐらいでいいと思うのですが、その実績と、四十九年度ぐらいの消費の見通し。これはひとつ三団体とも出していただきたいと思います。  どうしてこれが要るかというと、たとえばハウス園芸なら、ハウスのほうは二割もことしは伸びようというときに、前年同期を基準にして割り当てをするとか、そういうことが起こった場合には、実質的には二割減らされたと同じようなことになるんではなかろうか。こういうように考えるので、過去三年ばかりの大体の実績、四十九年度ぐらいの見通し、こういうものを、できましたら資料として委員会のほうへ出してもらいたい。それを委員長のほうからひとつお願いをしていただきたいと思います。それが第一点。  第二点は、生鮮食料なり、あるいは林産物でもいいのですが、トラックで持っていって、向こうまで持っていったはいいが、スタンドでガソリンを入れてくれないで、帰りに困っちゃったという実例がありますか。その場合にどうしていますか。こういうことであります。きのうあたりもまた、東京から中国地方まで持っていかなければならないという場合に、行くだけは行けるんだが、帰りに給油の方法がなくてどうしようもないというような問題が起こっていると思いますが、そういうことがあるかどうか。これは、法律がたいへんむずかしくなっておって、消防法で危険物として取り扱われておって、ドラムかんで帰りの石油を載せていけばいいんだけれども、ドラムかんを載せていくと、それは消防法上、危険物の取り扱い上だめだと言われる。だから、簡単にドラムかんを載せていくわけにはいかぬ。何とかもぐって、ドラムかんを載せていくよりしかたがない。こういうような事態が最近起こっていると思います。したがって、これは、石油需給適正化法が通ってもこういう問題が出てくると私は思います。だから、この事態にあたっては、この法律の一部を若干停止するなり何なりして、実際の流通に便宜をはからなければならないのではないかというように考えますので、そういう事態があるのか、あったならば、いまどういうことをしていらっしゃるのか、伺いたい。私の言うように、ドラムかんをトラックへ載せていくように、消防法を一部、ある一定期間何とか適用をストップするような方法がいいんではないかと私は思うが、それに対する御意見、その三つを聞かしていただきたいと思います。  それから、三番目は、先ほど来の御意見での、農林漁業団体の石油確保しろということは、われわれはみんな賛成であります。これはできるだけそうしなければならないと思いますが、政府は、中小企業もまた確保しなければならない、また、民生用も確保しなければならない、何とか用も確保しなければならないと言ってますが、そう言っていれば、みんな同じことであります。しかし、絶対量がないということもまた当面絶対的なことだと思います。そうするならば、それぞれの団体において、傘下の組合員なり、関係者に、消費の節約の問題を、この際は国民運動の一環として提起しなければならないと私は考えるわけであります。それは、たとえば、先ほども御答弁がありましたように、ハウスの温度を下げるとかいうような技術的な問題もあるでしょうし、あるいはまた、国民運動の一環として、民生用の灯油なり何なりは節約しようという運動もあるでしょうが、いろいろの関係団体において運動を起こさないといけない。それはさっきも及川さんが言われたけれども、実は、私は、この間こういう要請を受けたわけであります。石灰窒素が足りなくなっちゃって、ないから、大至急さがしてもらいたいというわけであります。それを調べると、そういうカーバイドをつくり、石灰窒素をつくる大口の電力を規制するために、その資材が上がる、肥料が上がるというように、あくる日すぐに、それが農民にかぶってくるわけであります。したがって、これは、みずからの資材確保するためにもそういう運動がいま必要ではないか、こういう事態になった責任はどうだこうだという問題以前に、当面緊急にそういう問題が必要ではないか、こういうように考えるわけですが、各団体でそういう具体的なことを考えていらっしゃるかどうか、その点を簡単に答えていただきたい。  四番目。私は、ある食品加工工場でこういうことを聞いたわけであります。石油がなくなるだろうということを予想して、昔のボイラーや何かをそのままにしておきましたというのです。ずいぶんそういうところがあるようであります。だから、こういう問題について、各団体では、石炭に転換をするが、その問い合わせ、方法、石炭の割り当てというような問題について、もはや何か具体的にお話しがあっただろうか。その場合の問題点等がありましたら——これは、ありましたらでいいですが、お答えをいただきたいと思います。  最後に、これは森林組合にお尋ねをしたいのですが、実際に薪炭類を扱っている大きな会社が、だんだん扱うものがなくなっちゃうし、世の中には、そのうちに失業者が出てくるから、昔の木炭生産に移らなければいけないのではないか、そういう時期が参りました、こういうことを大きな会社の社長が言っておりました。そういうことからお尋ねをしたいわけですが、最近はどんどんどんどん生産がなくなってきたと思いますが、これから木炭を生産するとすれば、一体、どのぐらいな生産原価になるでしょうか。家庭用灯油その他が非常に制約をされる中においては、ある程度ペイするような時点が来るでしょうか。これはぶっつけ本番の質問ですから、感想だけでけっこうだと思います。  以上で質問を終わります。
  71. 笠原大二

    笠原参考人 先生の御要求でございます、ハウス用、農産加工用、農業機械用等の過去三カ年の実績につきましては、後ほど資料を提出させていただきたいと存じます。  それから、トラック輸送でございますが、御承知のとおり、生鮮食料品のようなものは、突発的と申しますか、かなり緊急に出てくるというような条件が他の工業生産品より多いというような関係もございまして、有力な輸送会社が、たとえば三割カットなら三割カットのトラック便の路線の節減をするという場合には、まっ先にひっかかってしまいますので、そういう場合には、将来の中継地の油の問題ではなくて、もうトラックが出ないということで処理されておるという実態だと思います。したがいまして、農業団体等では、やむを得ませんので自家用のトラックをやりくりして市場まで持ってくるという場合には、やはり補給油の問題があるわけでありますが、消防法の違反はしていないたてまえで出しております。  それから、資材確保の問題につきましては、これはお説のとおりでございまして、われわれとしましては、あらゆる条件を検討いたしまして、極力便乗値上げのないような形で対処していきたいということで、個別にそれぞれの部門関係先と当たりましてやっております。  それから、食品加工場に対します予告があったかということでございますが、これは結果論でございますが、鳴動はあったけれども、これだけ急速な割り当ては、実は、ある日突然にという感じでございます。しかし、現実には、現在二割カットなり三割カットで、かなり操業その他の見通しがつかないというところで、具体的に相談が来ておりますので、当面、たとえば十二月だけでもつなぐというようなことにつきましては、相談をしてやるというびほう策はやっておりますが、問題は、長期的に今後このような食品加工場の燃料を、最低操業率を維持しまして、これからどういうふうに計画を立てて、確実に現物化していくかという問題と、それから、結局、生産用等につきましては、これははっきりしておるわけですが、農産物輸送用は、現在いわば所管の谷間でございまして、運輸省所管というと、そういうことになるかと思いますが、そういうことで、われわれの手の及ばないところでやられておりますので、農畜産物等の輸送用の油につきましては、何らか農業用の範囲内で計画化いたしまして、実需者が何とか確実にそれの計画的な使用ができるように持っていっていただきたいというのが、実は、団体側としましての希望でございます。
  72. 藤田巖

    藤田参考人 先ほどの、石油消費節約の問題について、何か業界は考えているかというふうなことでございますが、私どもも、だんだん石油事情が窮屈になってくることは覚悟をしなければならない。だから、従来むだな油の使い方をしておるものについては、これはやはり是正をしてやっていかなければならないというふうに考えております。ただ、これは精神運動だけではだめだと思うのです。ただむだのないようにしろと言いましても、それだけでみんなが自粛するかということになりますと、非常にむずかしい面がある。だから、施策を、こうせよ、ああせよという具体的なものをつくる必要があると考えます。それについて、私どもは、石油の将来の需給見通しというものがもう一つ立ちませんので、どういうふうな程度石油の節約目標を置けばいいかということに苦慮しております。しかし、これにつきましても、いろいろ先ほど申しましたように、石油が減っても、できるだけ生産が落ちないようなくふうをしていくというふうなことにつきまして、今後とも検討を進めていきたいと思っております。  それから、一般のむだのあるもの、たとえば、スピードをあまり出し過ぎて油を使うというような問題につきましては、あるいは経済速力で、もう少しスピードを落としてやるということも、これは各業全部にやれるかどうか疑問でありますが、そういうことをやっていくことも必要だと思っております。
  73. 喜多正治

    喜多参考人 石油不足で木炭が浮かび上がるんじゃないかという御趣旨のことだと思いますけれども、実は、炭焼き、要するに炭を焼く労務者でございますが、これがもう山をおりて、ほとんどいないのです。これはうまくいかないのです。もし、これをつくりましても、かなり高価なものにつくわけでありまして、残念ながら、これはなかなか思いどおりにまいりませんです。
  74. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で、参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。(拍手)  なお、この際、政府当局に申し上げますが、本日の石油不足に伴う農林水産業に及ぼす影響問題についての参考人意見並びに質疑応答の趣旨を十分に体して、鋭意最善の努力をされるよう強く申し上げておきます。  次回は、明十三日木曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これをもって散会いたします。    午後一時三十六分散会