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1973-12-11 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年十二月十一日(火曜日) 午前十時四十五分
開議
出席委員
委員長
仮谷
忠男君
理事
笠岡 喬君
理事
熊谷 義雄君
理事
坂村
吉正
君
理事
安田 貴六君
理事
山崎平八郎
君
理事
柴田
健治
君
理事
美濃 政市君
理事
津川 武一君
愛野興一郎
君 伊東 正義君 今井 勇君 小沢
一郎
君
吉川
久衛
君
佐々木義武
君 丹羽 兵助君 本名 武君 竹内 猛君 野坂 浩賢君
芳賀
貢君 馬場 昇君
米内山義一郎
君
瀬野栄次郎
君 林
孝矩
君 稲富
稜人君
神田 大作君
委員外
の
出席者
林野庁林政部長
平松甲子雄
君
農林水産委員会
調査室長
尾崎 毅君
—————————————
委員
の異動 十二月七日
辞任
補欠選任
吉川
久衛
君
松浦周太郎
君 同日
辞任
補欠選任
松浦周太郎
君
吉川
久衛
君 同月十日
辞任
補欠選任
湯山 勇君
芳賀
貢君 同月十一日
辞任
補欠選任
不破 哲三君
中川利三郎
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
農林水産業
の
振興
に関する件(
森林
の
保全状況
並びに
森林組合
の
運営等
の問題) ————◇—————
仮谷忠男
1
○
仮谷委員長
これより
会議
を開きます。
農林水産業
の
振興
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
森林
の
保全状況
並びに
森林組合
の
運営
その他
林業
の
実情
に関し、発言を求められておりますので、順次これを
許可
いたします。
山崎平八郎
君。
山崎平八郎
2
○
山崎
(平)
委員
福島
、
栃木
及び
群馬
三県における
森林
の
保全状況
並びに
森林組合
の
運営
、その他
林業
の
実情調査
のため、私のほか六名の
委員
及び一名の
現地参加委員
をもって第一班を編成し、去る十一月十二日から十四日までの三日間にわたり
現地
の
実情
を
調査
してまいりましたので、その
概要
について御
報告
を申し上げます。 まず、簡単に
調査
の
日程
について申し上げます。 第一日目の十一月十二日は、
福島県庁
において、県副
知事等当局
から、県の
農林業
、なかんずく
林業
の
概況
、
自然環境保全状況等
の
説明
と、県及び
県森林組合連合会
の
関係者
から
要望
を聴取しました。引き続き、白河市を経て、
東白川
郡
棚倉
町に参り、
目下建設
中の
ゴルフ場棚倉田舎クラブ
の
工事現場
を
視察
の後、
東白川
郡
森林組合
で事情聴取し、同
組合
の
良質材展示林
の
現地
を
視察
いたしました。 第二日目の十一月十三日は、
栃木
県
那須
町に参り、
同町役場
において、
栃木
県
林務観光部長等
から同県の大
規模開発
の
現況等
を聴取した後、
同町
にある
日拓ホーム等別荘用分譲地
二カ所を
視察
しました。引き続き
黒羽
町に参り、
那須黒羽カントリークラブ
の
工事現場
と、
同町
の
須賀川森林組合
に属する八
溝林業地
の
美林
を
視察
し、さらに
喜連川
町に参り、
紫塚ゴルフ倶楽部
の
工事現場
を
視察
した後、
栃木県庁
において、
横川県知事
以下
県当局
から、
県勢概要
、
県林業
の
概要等
を聴取し、県及び
県森林組合連合会等関係者
から
要望
を受けたのであります。 第三日目の十一月十四日は、金精峠から
群馬
県に入り、
群馬
県利根郡白沢村に参り、
椎坂峠
にある
緑営開発会社
の
別荘分譲地
を
視察
した後、沼田市の
群馬
県合同庁舎において、
県林務部長等
から、
群馬
県林業
の
概要
、大
規模開発
の
現況等
を聴取し、県及び
県森林組合連合会等関係者
から
要望
を聴取いたしました。引き続き、中之条町に参り、
美野原カントリークラブ
の
工事現場
を
視察
いたし、以上をもって
調査
の全
日程
を終わったのであります。 次に、
調査
の
概要
と、その
所見
について申し上げます。 今回、われわれの
調査
に与えられました
主要命題
である
森林
の
保全状況
並びに
森林組合
の
運営状況等
の
実情把握
につきましては、現在本
委員会
で
継続審査
に付されている
森林法
及び
森林組合合併助成法
の一部を
改正
する
法律案
に盛り込まれた
重要事項
に密接に関連するものであり、この
調査
結果が本
法案
の
審議
の
参考
かつ
促進
に資するという見地に立って
調査
に臨んだ次第であります。 今回の
調査目的
の第一の
森林
の
保全状況
について申し上げます。 すでに御承知のとおり、近年における
わが国経済
の
高度成長
は、
国民生活
の上に、
ゴルフ
の愛好、
別荘購入等
のブームを呼び、
レジャー産業
の著しい進展を見ているところであります。このような趨勢に加え、
鉄道新幹線
及び
高速自動車道
の
建設
が
着工
される中で、一昨年来のドルの
大量流入
、
金融
の
緩和等
による
過剰流動資本
が
土地投資
に向けられ、全国至るところ、
土地
の
乱取引
、
乱開発
が行なわれてきたことは周知のとおりであります。われわれの
調査
した三県におきましても、これが例外ではなく、
首都圏
に近接する
福島
県及び
栃木
県では、東北新幹線及び
東北縦貫自動車道
の
建設計画
が具体化されると、一気に過熱し、両道の
周辺
を
中心
として全県的に
土地買い占め
が進行し、また、
群馬
県は、
上越新幹線
及び
関越自動車道
の
周辺
を
中心
に同様の事態を招いているのであります。 最近のこれら
概況
につき、各県の
報告
によれば、
福島
県では、本年三月
施行
の大
規模開発行為指導要領
による
ゴルフ場等
の
届け出等
計百十八カ所であり、何と、
ゴルフ場
だけで、
既設
も合わせ九十七カ所、その
面積
は約一万二千ヘクタールに達するというのであります。次いで
栃木
県では、
昭和
四十二年までの五カ年間に七千二百ヘクタール、四十三年から四十七年の五カ年間に一万二千ヘクタールの
森林
が
開発
され、その内訳は、
ゴルフ場
三二%、
宅地
二七%、農地一六%、その他二五%となっており、特に、
ゴルフ場
については、
既設
十五カ所、昨年十月
施行
の大
規模開発事業指導要綱
の承認八十四カ所、同保留三十カ所と、百三十カ所に近い
ゴルフ場建設ラッシュ
となっているというのであります。さらに、
群馬
県では、昨年十一月
施行
の大
規模土地開発指導要綱
に基づき
計画造成中等
六十一カ所で、その
面積
は五千五百七十一ヘクタールとされ、それ以外に、情報によるもの六十七件を合わせると、
ゴルフ場
だけで百四十件に及び、その
面積
一万二千九十一ヘクタール、うち、
森林面積
が一万一千九百六十九ヘクタールであるというのであります。 これら大
規模開発事業
については、それぞれ
条例等
の
届け出制
によって
現況
の掌握ができるとしても、
土地
の
買い占め
については、これらの
土地
の大
部分
が、
諸法令
の
規制
の及ばない、いわゆる
白地地域
とされる
民有林
によって占められているので、その
実態把握
が著しく困難であり、県のつかんでいる数字は氷山の一角にすぎないとの
意見表明
すらあったほどであります。このように
土地
の
乱取引
、
乱開発
が無秩序に進行するときは、
地域開発
、住民の
福祉
、
自然環境
の
保全
はもとより、
森林機能
の
保全
を期待する上に大きな障害をもたらすことが憂慮され、これがため、各県は、四十七年以来、
一定規模
以上の
開発行為
に対し、
事前協議
、
事業
の
届け出
、
開発業者
との
協定締結
、
開発事業
に対する
一般的基準
及び
事業施行
の
基準等
を骨子とする
条例
あるいは
指導要綱等
を制定し、対処しておりますが、これらをもってしても、法令の
規制
を受けるもの以外は、あくまでも
指導的役割り
を果たす以上のことはむずかしく、特に、
民有林
の
開発規制
を法制化する
森林法改正法案
の早急な
成立
を希望する
意見
が各県から強調されたのであります。 以上のような三県下の
開発
の
概況
を踏まえてわれわれは
現地
の
視察
をいたしましたが、その際特に感じた点について申し上げます。その一は、
ゴルフ場等
大
規模開発事業等
に対する
行政指導
は、県、
町村
及び
企業者
間で円滑に行なわれ、特に、
防災
及び
環境保全等
の
措置
に配慮が払われていることが認められました。その二は、
開発
以前の
土地買い占め
については、
山林原野
が大
部分
を占めていることの
実態
が明らかになるとともに、
買い占め
の特徴として、
共有林
、
入り会い林等
が
対象
となって、その
有力者
に
現金攻勢
をかけ、これを拠点は逐次同意させて全部を
買収
するという方法が多いとのことであります。
山林
の
買い占め
に関し、
棚倉
町において、
現地
の
林業事務所長
から、
棚倉地区
は優秀な
奥久慈林業地域
に属しているのに、さらに八カ所の
ゴルフ場設置
のうわさがあり、これを放置することは問題である、
林業施策
を一段と
強化
して
乱開発
の防止に当たるべきであるとの
意見
が述べられたのであります。その三は、
現地調査
した
ゴルフ場等
の
土地買収価格
は、十アール当たり十五万円から二十五万円
程度
とされていますが、その後の
買い占め
で高騰し、百万円から百五十万円、高いところで二百万円にもはね上がっており、特に、
栃木
県の
八溝山系
の
広域畜産団地構想
は、
用地取得難等
からその
実現性
が困難になってきており、
地価高騰
を呼ぶとともに、
農業施策
の面に悪影響を及ぼしているのであります。その四は、
栃木
県
喜連川
町の例では、
ゴルフ場
が三カ所、他
町村
にまたがるもの四カ所計七カ所もできるといわれ、町として、
地権者
が売るのは防ぎようがなく、一面、
生産性
の低い
天然林
のまま置くよりも、
ゴルフ場
によって、三百人
程度
の
地元雇用
の増大、
固定資産税
及び
娯楽施設利用税
の
増収等
のメリットが生ずるとの
意見開陳
すらあり、
開発
に対する
行政
の対応のあり方に若干の問題があるように思われました。 これらを要するに、
土地
の
乱取引
、
乱開発
を防止し、秩序ある
地域
の
開発
と
森林保全
の調和をはかるために、
民有林
の
開発規制
を法制化することが最も有効な
手段
であることの認識を深めるとともに、他方、たとえば
栃木
県では、
指導要綱
により、三十カ所の
ゴルフ場
の
建設
を二年間保留し、凍結しておりますが、このようなもの及び
指導
の
対象
となっていない小
面積
の
もの等
について、
森林法改正法案
が
成立
施行
され、
地域森林計画
の
対象
となる一ヘクタール以上の
民有林
の
開発行為
の
知事許可
が発動され、これが不
許可
になった場合、すでに
ゴルフ場等
に
買収
された
林地
に対し
森林法
はどう対処するのか等、新たな問題を提起されたのであります。 次に、
調査目的
の第二の
森林組合
の
運営状況
について申し上げます。 三県とも、
林野面積
のうち、
民有林
はおおよそ五〇%余を占めておりますが、これについての
森林組合
は、
福島
県では四十四
組合
、
栃木
県では四十七
組合
、
群馬
県では四十九
組合
が設けられております。しかし、これら
組合
の多くは、
事業収益等
が低く、
常勤者
も数人という
程度
であり、その
経営基盤
も零細弱体であるのが
実態
となっているようであります。今後、
民有林
の発展のためには、
森林組合
の
育成強化
が不可欠であり、
合併
の積極的な
推進
をはかる必要があります。このために、
福島
県では、四十四
組合
を十四
組合
に、
栃木
県では、四十七
組合
を二十五
組合
に、
群馬
県では四十九
組合
を十三
組合
にそれぞれ
合併
する方針を持っているのであります。
森林組合
の
合併
については、すでに
昭和
四十二年までの
合併助成法
によって
推進
されてきましたが、今日
合併
する場合においても、先ごろと同様、
組合
間の
経営基盤
、
出資金
、
財務状況
、
執行体制
あるいは
地縁的関係等
に種々問題があるようであります。
県等
の積極的な
指導
及び支援が必要であると痛感した次第であります。 今回の
調査
でわれわれがたずねました
福島
県
東白川
郡
森林組合
は、
広域合併
の
模範的組合
であり、早くも、
昭和
三十七年に
合併
の気運が盛り上がり、四十年に具体化され、四十二年九月に
合併
という長期間をたどって完了されたものでありまして、四
カ町村
内の六
森林組合
が大同団結し、一
組合
になったのであります。以来、
合併
後の経営困難を克服し、
努力
の結果、四十七年度では、
合併
当初に比して
出資金
及び
事業収益
は確実に伸長し、また、
常勤役職員
四十二名、
労務班
四十二名を擁するに至っております。 この
組合
は、同
地域
の
民有林
二万六千六百五十九ヘクタールのうち二万三千九百二十五ヘクタールをおさめ、
人工林率
六一%に達した
造林事業
をさらに
推進
するとともに、量より質への
林業経営
をスローガンに
良質材
の
育林
を
中心
に
運営
されており、特に、
良質材育成
のため、枝打ちの
展示林
が十六カ所も設けられ、管内の
森林
の五〇%が枝打ちされているというのであります。 また、一方、
組合
は、最近
組合員
の
要請
が多様化したため、
系統木材会社
の設立、
住宅建設部門
への進出など、積極的に
活動
しているのであります。 しかし、このような
組合活動
の中で、
現地
において最も問題となっている点は
林業労働力
の不足のことであります。賃金はこの
地域
の他
産業
に均衡させ、かつ、
退職金制度
をも本年より設置するとしておりますが、これを確保することが困難な
状態
にあることが強く訴えられました。また、
森林法
による
森林組合
の
事業拡大等
及び
森林組合合併助成法
の
延長措置等
の
改正法案
については、
組合運営
の上から適切であり、その
早期成立
が強く
要請
されたのであります。
最後
に、今回の
調査
にあたり、
県当局
及び
森林組合等
の
関係者
から
各種
の
陳情
を受けましたので、その
概要
を御
報告
いたします。 すなわち、すでに申し上げましたように、
森林法
及び
森林組合合併助成法
の一部を
改正
する
法律案
の
早期成立
を
要請
されたことをはじめとして、
森林組合協業体制確立
の
大幅助成
、
造林事業
の
補助政策
の
強化
、
民有林労働者
に対する
保障制度
の
確立
、
農林漁業金融公庫林業関係資金等貸付条件
の
大幅改定
、
治山林道等公共事業
の
拡充強化
、
木材流通機構
の
近代的整備等
について国が積極的に
施策
を講ずるよう
要望
されました。このほか、
福島
県からは、
最上会津山地
の大
規模林業圏開発事業
の
早期着工
及び
阿武隈地域
の
広域農業総合開発事業
の
促進
と、
群馬
県
森連
から、
森林組合
の信用及び
共済事業
の
能力付与等
が
要望
されました。これらの
要望事項
については、われわれとしてはしごくもっともなものばかりであり、本
委員会
としても、その
実現
に
努力
されることを希望する次第であります。 以上をもって第一班の
調査報告
を終わるのでありますが、この
調査
に際し、三県の
県当局
及び
林業団体等
の
関係各位
から寄せられた多大の御
協力
に対し深甚の
敬意
を表し、私の
報告
を終わります。(拍手)
仮谷忠男
3
○
仮谷委員長
次に、
柴田健治
君。
柴田健治
4
○
柴田
(健)
委員
派遣委員
第二班、
兵庫
県、
鳥取
県、
岡山
県の
調査報告
をいたします。
兵庫
、
鳥取
及び
岡山
三県における
森林
の
保全
、
森林組合
の
運営状況等
、
林業
に関する
実情調査
のため、私外六名からなる
調査団
を編成し、去る十一月十二日より十四日までの三日間にわたり、
現地
の
実情
を
調査
してまいりましたので、その
概要
について御
報告
申し上げます。 まず、
調査日程
について申し上げますと、第一日目は、
姫路
市の
兵庫
県
姫路総合庁舎
において、
兵庫
県
農林部次長
及び
林政課長
から、
兵庫
県の
農林水産業
の
概要
及び
林業
の
現況
、特に
森林
に対する
開発状況
、
森林組合
の
現状等
の
説明
を聴取し、これらについて
意見
の
交換
を行なった後、
相生
市の
東亜相生カントリークラブ
の
造成
中の
ゴルフ場
及び赤穂郡上郡町の
大和団地株式会社
が
造成
している
宅地分譲予定地
を
現地調査
した後、
鳥取
県に入り、有名な
智頭林業
を
視察
して
鳥取県庁
に至り、
鳥取
県副
知事
、
農林部長等
から、
鳥取
県における
農林水産業
の
概要
及び
林業
の
現況
、特に
森林
の
開発状況
及び
森林組合
の
現況
と、
合併
の
目標
及び
問題等
について
説明
を聴取し、これらについて
意見
の
交換
を行なった次第であります。 第二日目は、
鳥取県内
の
森林
の
状況
を
視察
し、
人形峠
を越え、
岡山
県に入り、
奥津
町の
森林組合
の
活動状況
を
視察
した後、柵原町の
興国津山カントリークラブ
の
現地調査
を行ないまして、
最後
に、
岡山県庁
におきまして、
岡山県知事
、
企画部長
、
農林部次長等
から、
岡山
県の
農林水産業
の
概要
、
土地開発
並びに
規制
の
状況
、
マツクイムシ
の
被害
と駆除の
状況等
についての事情を聴取いたしました。 第三日目は、
岡山
市
周辺
の
マツクイムシ
の
被害状況
を
調査
いたし、全
日程
を終わったわけであります。 以上が
調査日程
の大要でありますが、以下
調査
の
概要
と、その
所見
について申し上げますと、今回われわれに与えられました
主要命題
であります
森林
の
保全状況
並びに
森林組合
の
運営状況等
の
実情把握
につきましては、現在本
委員会
で
継続審査
に付されております
森林法
及び
森林組合合併助成法
の一部を
改正
する
法律案
に盛り込まれた
重要事項
と密接に関連するものであり、本
法案
の
審議
の
参考
と
促進
に資するという観点に立って、三県の
ゴルフ場
、
宅地造成
の
状況
、
森林組合
の
合併
についての
目標
やその
問題等
について重点的に
調査
をいたした次第であります。 まず、この
調査
を通じまして強く感じられたことは、第一に、
兵庫
、
鳥取
、
岡山
の各県とも、
民間企業
による
森林
の
開発
ないし
開発計画
が予想以上に多く、特に、
中国縦貫道
の
建設
の進行に伴って、この
周辺
の
林地
の
買収
が
相当
に行なわれていること、第二には、現在
西日本一帯
に広がりつつある
マツクイムシ
の
被害
は
相当
にひどいものであるということであります。 まず、
民間企業
による
土地買収
の
状況
から見ますと、
兵庫
県が約一万八千ヘクタール、
県土
の二・二%、
鳥取
県が交渉中のものを含めて約五千六百ヘクタール、
県土
の一・五%、
岡山
県が約二万五千ヘクタール、
県土
の三・六%にものぼっており、しかも、その
対象
となっている八割ないし九割以上が
森林
で、特に、
普通林
でかつ
共有林
が
買収
の
目標
にされている例が多いようであります。また、これらの
買収地
の
開発計画
を見ますと、
宅地造成
、
ゴルフ場
、
レジャー用地
が大半を占め、これらの
開発計画
に対し、
兵庫
県、
鳥取
県では
指導要綱
で、
岡山
県では
条例
をもって
規制
を行なっているところでありますが、事が
私有財産権
にも及ぶこと等から、
条例等
をもってしては十分対処し得ない面もあり、このことから、三県とも、その裏づけとなる
森林法
の
改正案
の
早期成立
とともに、
森林法
第十条の二にいう
開発
の
許可基準
の具体的な明示を強く
要望
いたしておった次第であります。 たとえば、
相生
市の場合、約六百ヘクタール、
森林面積
の九%が
レジャー関係施設
の
利用
のために
買収
され、
水源確保
、
環境保全
や
林業振興
上憂慮されているのでありますが、現に
造成
しております
東亜相生カントリークラブ
の
現場
について見ましても、もともと
雨量
の少ない
地方
とはいえ、この
着工
が
指導要綱
の施工前であったこともあり、
各種
の
防火工事
を実施しているにもかかわらず、
造成
中あるいは
造成
後におきましても、一度
集中豪雨等
に見舞われた場合には、必ずしも
防災
上問題がないとは言い切れない
状態
にあると感じた次第であります。 これらの
開発
は、一面では、
過疎地
の
振興
にもつながるものであり、その点から、
地元
では
開発
を希望する面もありますので、このような
開発
が
乱開発
とならないようにするためにも、何らかの
法的規制
が必要であることを痛感した次第であります。 次に、
森林組合
の
運営状況
につきましては、三県とも
経営基盤
の弱いものが多く、今後
民有林業
のにない手として
育成強化
していくために
合併
の
推進
をはかっており、たとえば
鳥取
県におきましては、現在の三十
組合
を五カ年
計画
で七
組合
に
合併
すべく
指導
をしており、
岡山
県でも、五十五
組合
を十六
組合
に集約することを
計画
しているようであります。
合併
を
推進
していく上で、
赤字組合
の
赤字解消
、
合併
の
執行体制
等種々問題があるようでありますが、われわれが
調査
いたしました
岡山
県
奥津
町
森林組合
は、
昭和
四十年、
森林組合合併助成法
によって、
奥津
、羽出、泉及び久田の四
森林組合
が
合併
してできた
組合
であり、
岡山
県の一
組合当り
の平均が
常勤役員
〇・六人、
職員
三人、
労務班員
三十三人に比べて、
常勤役員
三名、
職員
二十八名、
労務班員
三百九十二名を擁し、
造林事業
を主体に活発な
運営
を行なっている。いわば
模範組合
であります。 この
組合
も、
合併
以前は、
赤字
の
弱体組合
とのことでありましたが、
合併
後、
執行部
に人を得たこともありまして、目ざましい業績をあげ、今日では、
労務班員
に
退職金制度
を設置し、
職員
の週休二日制を実施する等、
従業員
の
福祉
の増進にも積極的に取り組んでいるようであります。また、当
組合
は、戦後、
組合員
の持ち山に積極的な
造林
を
推進
してきており、すでに
人工林率
も六五%に達しておりますが、
幼齢林
がほとんどであるため、伐採、
販売事業
の占める割合は低く、
労務雇用
が季節的になりやすいことから、
組合員
の
緑化事業
の
推進等労務
の
年平準化
につとめており、その一環として、
組合員
の生産した
緑化樹木
その他を販売する
花木センター
を経営する等、
各種
の
附帯事業
を積極的に実施しており、この面から、
森林組合
の
事業範囲
の
拡大
をはかろうとする
森林法改正案
の
早期成立
を
要望
された次第であります。 当
森林組合
は、
合併
によって成果をあげたよい実例と言えますが、
森林組合
の
活動
も、
経営基盤
の
強化
とともに、何よりも、それを
運営
する人材のいかんによるものとの感も強くした次第であります。 次に、
マツクイムシ
の
被害
につきましては、戦後、
昭和
二十四年に大発生したのをピークに、その後減少していたのでありますが、
昭和
四十六年以降、
西日本
、特に
瀬戸内海沿岸
、
九州地方
において
急増傾向
を示しており、四十八年は、
高温寡雨等
の影響もあって、異常にその
被害
が発生している
状況
であります。われわれが
調査
いたしました時期は、すでに
紅葉
も終わりに近い時期で、
紅葉
の中に松の枯損が埋没して、
被害
の激しさをいささかカバーした感がありましたが、それでも
被害
の大きいことは十分に納得し得たところであります。
マツクイムシ
の
被害
の原因につきましては、つい最近まで究明されず、その
対策
としては、枯損木を伐倒焼却することが唯一の
手段
となっていましたが、
昭和
四十三年度から、
農林水産技術会議
の
特別研究
として、四カ年
計画
で、
国立林業試験場
において
研究
が進められてきました。その結果、松の
枯損原因
は、マツノザイセンチュウであり、これを伝播、媒介するものが
マツノマダラカミキリ
であることが明らかにされ、
防除対策
も
マツノマダラカミキリ
のふ化時期に
有機燐系薬剤
を
空中散布
することが有効なことが実証されたところであります。
瀬戸内海沿岸
は、いわゆる
瘠悪林地帯
でありまして、松以外の
造林
は不適な
土地
であり、この際、
マツクイムシ
の徹底的な
防除
をはかることが必要なことは言うまでもありませんが、このためには、
薬剤
の
空中散布
に対する
地元
の
受け入れ体制
の
整備
、
空中散布
に対する理解と
協力
をお願いいたしてまいった次第であります。 なお、
マツクイムシ
の
被害防除
につきましては、
森林病虫害等防除法
に基づいて国が種々の
助成
を行なっており、
保安林等
の
施業制限林
に対しては国営の
防除
も行なっておりますが、
一般
には、都道府県が三分の一ないし六分の一の
費用負担
をしており、不
採算木
以外の立木については、
森林所有者
が六分の三の
費用負担
をすることになっており、これが結局
地方公共団体
に肩がわりさせられる場合が多く、各方面から
要望
がありました
補助制度
の
改善強化
につきましては、今後われわれといたしましても強く政府を督励してまいる必要があろうかと存ずる次第であります。 また、
智頭
の
林業
についての所感を一言申し上げますと、
智頭地方
が比較的
雨量
が多く、杉の生育に適した
土地柄
とはいえ、
林地
の
利用
、
施業方法
ともみごとなもので、ここまで育て上げた先人の
努力
に
敬意
を表した次第であります。
最後
に、各県及び
団体
から出されました
要望
または
陳情
につきまして申し上げますと、
森林法
及び
森林組合合併助成法
の一部を
改正
する
法律案
の
早期成立
につきましては、三県及び
兵庫
、
鳥取
県の
森林組合連合会
から強く
要望
された次第であります。 次に、
マツクイムシ防除対策事業
の
促進
ないし
拡充
、
国庫補助率
の引き上げにつきましては、
兵庫
県、
岡山
県
岡山
市及び
中国地区森林組合連合会
(
岡山
、広島、山口、
鳥取
、島根の五県)から強い
要請
があったところであります。 その他、
兵庫
県からは、
海洋汚染公害
による
漁業者救済基金制度
の
確立
について他、
鳥取
県からは、
林道事業
の
拡充強化
、
造林補助制度
の
改正
、
保安林制度
の
改正
及び大
規模林業圏開発事業
の実施についても
要請
があった次第であります。 終わりに、今回の
調査
にあたり御
協力
いただいた県、市
町村
、営林局署をはじめ、関係諸
団体
の各位に対し、深甚なる謝意を表しまして、御
報告
を終わることといたします。 ————◇—————
仮谷忠男
5
○
仮谷委員長
この際、
参考
人出席要求に関する件についておはかりいたします。
農林水産業
の
振興
に関する件、すなわち、石油不足に伴う
農林水産業
に及ぼす影響
問題等
について、
参考
人の出席を求め、その
意見
を聴取することとし、
参考
人の人選、日時等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
仮谷忠男
6
○
仮谷委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、明十二日水曜日、午前十時より
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時十九分散会