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1974-05-23 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十三日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 箕輪  登君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       越智 伊平君    大石 千八君       奥田 敬和君    笠岡  喬君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       旗野 進一君    林  大幹君       藤尾 正行君    三塚  博君       吉永 治市君    木原  実君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       木下 元二君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         行政管理庁長官         官房審議官   木下  薫君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     小幡 八郎君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   久本 礼一君         沖繩開発庁総務         局企画課長   亀谷 礼次君         沖繩開発庁振興         局振興第一課長 加瀬 正藏君         文化庁文化財保         護部記念物課長 古村 澄一君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      斎藤  顕君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      広瀬 好宏君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     村山 幸雄君         建設省都市局下         水道部長    久保  赳君         建設省都市局下         水道部下水道事         業課長     井前 勝人君         建設省河川局水         政課長     佐藤 毅三君         建設省河川局河         川計画課長   飯塚 敏夫君         建設省河川局砂         防部長     谷   勲君         建設省道路局高         速国道課長   山根  孟君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     三野  定君         参  考  人         (阪神高速道路         公団理事)   南  俊次君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   笠岡  喬君     江崎 真澄君   林  大幹君     河本 敏夫君   三塚  博君     島村 一郎君   吉永 治市君     中垣 國男君 同日  辞任   江崎 真澄君     笠岡  喬君   河本 敏夫君     林  大幹君   島村 一郎君     三塚  博君   中垣 國男君     吉永 治市君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改  正する法律案内閣提出第八号)  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  四四号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本案につきまして、本日の委員会参考人として日本道路公団理事三野定君、阪神高速道路公団理事南俊次君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、御意見質疑をもって聴取することにいたしたいと存じます。     —————————————
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  5. 木原実

    木原委員 この設置法でございますけれども環境庁に新たに環境保健部を設け、行政管理庁出先機関の中に行管定員をふやして、これを環境庁長官管区行政監察局の長を指揮監督するという形で環境庁にかかわる所掌事務を行なわせる、要旨このような改正案が出ておるわけなんですが、どう考えましても、木に竹をついだような感じがするわけであります。どうも無理なやり方ではないか。与党の有力な御両人が同じ建物の中で、それぞれおすわりになっていらっしゃる、よきにはからえという形で出てきた法案ではないか。設置法上多少の問題がないともいえない、こう思いますので、どうしてこういう形になったのか、まずそのいきさつをお伺いをしたいと思います。
  6. 信澤清

    信澤政府委員 大臣からお答え申し上げます前に、私から申し上げたいと思います。  いろいろ環境問題が複雑多様化いたしておりますことは、先生御承知のとおりでございまして、私どもといたしましては、やはり自分自身出先機関を持ちたい、こういう希望はあるわけでございます。しかし実際問題といたしまして、行政簡素化の面から考えましても、また私ども自身役所規模自身が小さいということを考えましても、それは実際なかなか不可能である。そこで政府部内で御相談いたしまして、特に行政管理庁出先機関を活用さしていただく、かような趣旨で今回の設置法を提案した次第でございます。
  7. 木原実

    木原委員 活用はいいんですけれども、これは、けじめだけはつけておいてもらいたい。せっかく大ものの大臣が、たまたま両役所おすわりになっていらっしゃる。行政管理庁というのは、少なくとも行政一般に対して監察を行なうという業務が本体としてあるわけですね。ところが、この行政一般に対して監察を行なうべき役所の中に、一般行政事務分野が入ってくる、たとえは悪いかもわかりませんけれども、検察官と裁判官が一緒になっている、たいへんな問題が、あるいは矛盾があると思うのですけれども、一体この行管の本来の任務監察業務、こういうような観点から見て、このような機構のあり方というものが許されていいのかどうか、あまりにも便宜主義に過ぎるのではないのか、こういう感じがするわけですけれども、これは、きちんとした御見解を承って、将来のためにもけじめをつけておきたいと思うのです。これは保利さんのほうから、ひとつお答えを願いたいと思います。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 理屈の上からいえば、もう木原さんのおっしゃることは、よくわかるわけでございます。何さま公害問題が取り上げられましてから、だんだん実態が複雑になってまいりました。しかも大気汚染にしましても、水質汚染にしましても、これは、かなり広域的ななにになってきておる。したがって、それを的確に環境庁がつかまれて、いろいろな公害施策を講じていかれる上において、できるだけ——もちろん大部分事務は県に委任されているとはいいますが、そこへ届くと思いますけれども、広域的な調査ないしは情報、そういうものを的確に持たれるということは、環境庁として非常に大事だろう。それじゃ、それを独立機関をつくって、一体どれだけの事業量が今日あるか、そこもまだ的確につかまえられない。お話しのように、行政管理庁には行政管理庁本来の任務があるわけでございますから、その本来の任務をそこなうような業務は、いかに便宜主義といいながらもお預りするわけにはまいりませんけれども、しかし事は、広域的な調査あるいは情報収集あるいは相談等の本来の行政管理庁任務をそこなうような性質のものではないようでございます。したがって、将来どういうふうにこのことが発展してまいりますか、いつまでも行政管理庁の一分野としてお引き受けできるものであるか、将来はやはりもっときちっとしたものをつくる必要があるか、ともあれ何さま国民のための行政でございますから、できるだけ簡素に、しかし目的は十分達するようにしていかなければいかぬのじゃなかろうか。  そういう上からいたしまして、昨年来の石油二法以来、行政管理庁いささか出過ぎたこともやっておるわけですけれども、そういうことで当座、環境庁の御要請にこたえつつ、行政管理庁の本来の任務をそこなうことのないような確信がございますので、お引き受けをいたすということにいたしております。これは、しかし将来これがどういうふうな事業量に発展してまいりますか、それらを勘案して対処していかなければならぬと思っております。
  9. 木原実

    木原委員 私どもは、保利さんの率いられる行管にも、三木さんのお率いになる環境庁にも、非常に大きな期待を持っているわけです。あるいはまた国民諸君もそうだと思うのです。環境問題がこれだけやかましい時代ですから、環境庁もっとやってもらいたいという希望を持っているし、必要ならば定員の問題を含めて強化もしてもらいたいという希望はあると思うんですね。同じように、行管につきましても、ともかく膨大になっている行政機関の中で、びしびしとあるべき行政の姿をやはり正してもらいたい、こういう、いずれにいたしましても、両役所の本質的な部分について、期待とある意味では大きな願いのようなものを持っていると思うのです。それだけに、ある意味ではそのけじめをやはりきちんとして、そして必要ならば思い切った措置をとるというようなことが望ましいと思うのです。しかも改正は、それほど大きな問題ではないと私は思うんですけれども、何かずるずるとけじめがくずれていくんじゃないか。  行管におきましても、こういう形で、たとえば環境庁のやる仕事につきまして、この辺が弱いではないかとか、こういう面についての行政サービスがおくれているではないかとか、きびしく指摘をしながら行政を前向きに進めるという行管側仕事があるのですが、そういうことを考え合わせますと、やはりもっとそれぞれ持っていらっしゃる役所機能というものを、むしろそれぞれ強化をすべき段階ではなかろうか、そういう意味期待を持っているのですけれども、こういうのを見ますと、小さいことですけれども、ずるずるっと便宜的で、将来のことはともかくとして、当面やむを得ない、大事なことなんだからこういうことをやるのだとおっしゃられますと、確かに私も事情がわからないわけではございません。しかしもっと何か、たとえば環境庁につきましても、あとでもう少し伺いますけれども、せっかくこれだけのことをおやりになるのならば、もっと一足も二足も踏み出ていいような問題があるのではないのか。この改正案自体が、環境庁の側に立って考えましても、何をやるのかたいへん中途はんぱな印象も受けるわけなんです。逆に言いますと、中途はんぱだから、行管のほうで、それではひとつ部屋を貸そうというような形になったのではないかと心配をするわけです。つまり、こういうようにある意味ではイージーゴーイングな、便宜的な、間に合わせのやり方を少なくとも両大御所がおすわりになっていらっしゃいまして、おやりになられるということになりますと、私どもとしては、どうも納得がいかない側面が出てくるわけであります。  そこで、もうちょっと具体的なことを伺っておきたいのですが、この定員三十名をふやされまして、どういうふうに人員配置して、一体何をやろうとしておるのか、その辺の説明をひとつ環境庁のほうからしてください。
  10. 信澤清

    信澤政府委員 行管にいろいろお願いしたいことがあるわけでございますが、やはり体制の整備問題等もございますので、主として広域的な問題——府県段階の問題は、府県を通じて現在でもいろいろ情報をいただいておりますが、広域的な問題について情報収集調査等をやっていただきたいというふうに考えておるわけでございます。具体的には、まず全国各地住民を対象とする環境モニター調査の実施、それから環境庁所管行政に関する苦情照会等行政相談についての受け付け、申達あるいは回答、これについては現在行管でおやりになっております行政相談の御経験を十分発揮していただくようにお願いしたいと思っております。そのほか環境庁所管行政のうちいろいろ調査をいたしておるわけでございますが、やはり府県の境界を越えるような大きな問題がございますので、そういったものを、逐次管区行政監察局のほうにお願いするというようなことも考えておるわけでございます。
  11. 木原実

    木原委員 調査資料収集を行なうというのですが、御承知のように公害関係調査あるいは資料収集と申しましても、たいへん幅が広くて奥行きが深いということです。三十名の人員ブロックごと配置をされても、まず私どもとしましては、人間を配置しましたけれども、一体何ができるだろうか、こういう感じがするわけです。  そこで、これは大臣にお伺いしたいわけですけれども、こういうふうに問題を出されますと、それでは公害調査資料収集ということを考えまして、実際第一線の現場の中では、さまざまな研究機関やあるいは調査機関やあるいは自治体関係県段階市段階、そういってはあれですが、かなり中途はんぱな機関ども擁して、どう言ったらいいのか、むしろ多様に競合化していって、なかなかきちんとした調査の成果もあがらない、こういうような側面があるわけです。ですから、私は、こういう仕事を独自におやりになるということについて、異論を差しはさむものではありませんけれども、しかし、これは三木さんの御見解もお伺いをしたいし、保利さんの分野の中でも方向を示していただきたいと思うのですが、環境の問題あるいは公害対策という側面から見て、各省庁の持っておるさまざまなそういう調査研究機関等についても、たとえばある分野では統合をするなり、あるいはある分野では機能強化をはかるなり、これは行政指導上の問題として、やはりそういうことに思い切って手をつけて、有効なデータや有効な調査というものが、少なくとも一元的に掌握をされるというような方向に改革をやるべきなのではないのか、こういう考えを持つものなんです。  したがって、やらないよりはましだということが言えると思うのですけれども、どう考えましても、三十名の人員を幾つかのブロック配置をして、三人か四人かずつ係官を置いて、そして収集する資料、あるいはやる調査相談行管がいろいろ積み上げたものもあるかもわかりませんが、そういうことを考えますと、いかにも何か中途はんぱでいかにも場当たりで、せっかく有力な長官が御在任中の仕事としては、もう少し踏み込んだ考え方でやられる分野があるのではないのか、こういう思いをするわけであります。したがいまして、この法に基づいていろいろな仕事をやられるわけでありますけれども、しかし、そのことを否定をするわけではありませんけれども、もう少し思い切って、やるのならばそういう方面についての将来の方向というものをお示しをいただいたらと、こう思うのですがいかがですか。
  12. 三木武夫

    三木国務大臣 環境庁は、御承知のように手先を持っていないのです。将来もし手先を持つとすれば膨大な機構になる。私は、手先は持たなくていいという意見なんです。むしろ地方自治体を手足として、地方自治体環境庁との間に、環境保全公害防止に対して緊密な連絡をとるほうが現実的であるという考えです。しかし、困ってきたことは、府県手先として調査とかあるいはまた資料収集というものをやっておるわけですが、しかし、府県を越えるような問題がたくさん出てくるわけです。たとえば水質汚濁にしても、河川という問題をとらえてみれば、そういうことになりますので、これがいまのような体系のもとにおいては、府県を越えるような問題については、どうも不十分な点があるわけです。そこで、行政管理庁は八つの府県を越えたブロックに分かれておるわけですから、主として府県を越えた問題というものに対する調査資料収集というものを行政管理庁お願いをしたいという考え方ですが、いま保利長官も言われたように、これが永久の一つの組織だとは私は思わない。一つ過渡期のものかもしらぬが、差しあたりそういう問題が解決を迫られる問題がありますので、こういう問題を行政管理庁調査資料収集という問題で、しかも主として広域的な問題について環境庁所掌事務を扱ってもらうほうが、いま環境問題とか公害問題は、急を要する問題が多いですから、これが実際的に好ましいということで、こういうことを提案する運びになったわけでございます。
  13. 木原実

    木原委員 事情は、私もわからないわけではないのですが、ただ現実の問題としましては、いろいろと長官おっしゃるように府県段階等調査をいたしております。私ども何回かいろいろな問題にぶつかってみましたけれども、まことにこれまた中途はんぱなことですし、それから、ほかの省庁につきましても、公害という観点ではなくて、いままでのやはり伝統もございますし、これまた公害対策あるいは公害という観点からの、たとえば研究とか調査とかまた出先機関なんというものも、ほんとうに乏しいわけですね。ですから、せっかく環境庁機能を発揮し始めたわけですから、国民サイドに立ってといいますか、住民サイドに立ちまして、公害防止するのだという観点で一貫して何かを追及していくというものが、どうしても必要な時期が来ると私は思うのです。産業が全部とまるわけではないのですから、公害の問題は少し手をゆるめれば、どこからでも吹き出してくるという要件があります。それならば絶えず公害という観点に立った調査なり、それこそ資料収集なり一貫したものをぴしっとやる。これをやはり府県段階にもそういうことをやらせるわけですが、やはり府県段階機能というものは、どうも限界があるような感じがいたします。したがいまして、私どもとしては、もう少しそういう意味では、文字どおりこれは住民への直接のサービスですから、思い切った措置をおとりになる布石があってもいいのではないか、こういう考え方なわけなんです。これは私の要望として申し上げておきたいと思います。  それから、この機会ですから、これは行管長官に一言伺っておきたいのですが、どうも行政機関について、何か歯どめがなくなったような感じがするのです。この委員会は、長年の間、政府側から行政簡素化という問題が繰り返し出されてまいりました。総定員法をはじめ一局削減などという措置も行なわれました。最近の動きを見ておりますと、何かそういう考え方が後退をして、総理総理で次々と必要な大臣は幾らでもつくったらいいんだという形で、現にこの委員会にも大臣をつくる法案が二件も出ておるという状態がございます。必要に応じて行政機構を広げていくのは、別に問題はない、こういう御見解も承りましたけれども、ひとつ行管のお立場から、大臣乱造というような考え方につきまして、何かけじめをつけるお考え方がございましたら伺いたいと思うのです。いかがでしょう。
  14. 保利茂

    保利国務大臣 行政は、国民のための行政である。できるだけ簡素に、能率的に、親切に行なわれていくようにすることが私は眼目だと思うのであります。ただ、いま御審議を願っております大臣設置の問題につきましては、政治の最高責任者が内外の情勢から、その責任を全うしていくために、どうしてもこういうものが必要であるということを痛感されて、お願いをしておると思うわけであります。しかし行政管理庁といたしましては、できるだけ簡素化能率化ということが眼目でなければならぬという上から、まあ合い間合い間には、いろいろの意見が飛び出しておるようでございますけれども、実際、昨年の予算編成期に対処いたしましたように、機構膨張あるいは定員膨張を防ぐために、行政管理庁としては最善の努力を払って、現に四十九年度におきましても、予算で御審議いただきましたような実績を持ってきております。今後といえども、いろいろやり方はあると思いますけれども、やはり定員機構膨張ということは、きびしく戒めていかなければならない、こういうふうに私は考えております。
  15. 木原実

    木原委員 たいへん時間が制約されておりますので、ちょっとほかのことをお伺いしたいのですが、最近、建設省によって問題にされました土質安定剤といいますか土質凝固剤使用に関連いたしまして、地下水汚染というようなことが問題になっておるわけなんです。  まず伺いたいのですが、地下水汚染防止について、現在の制度では一体どういう対策があるのか伺いたいのです。
  16. 森整治

    ○森(整)政府委員 ただいまの御質問でございますけれども水質汚濁防止法で、排水を出す者は、有害物質を含む汚水が地下水に浸透しないような措置を講じなければいけないという規定がございます。それからもう一つ廃棄物処理法で、やはり廃棄物埋め立て等に使いまして、それが地下水に浸透しないように、有害物質につきましては、いろいろコンクリで固めるとかあるいはその他の物質につきましても、地下水に浸透しないように、そういうふうな措置が講じられなければならないということが定められております。そういう線に従って、従来指導してまいったわけでございますが、今回起こりましたような薬液注入によりまして、工法上どうしてもそういう必要があって凝固剤を使った、それが地下水に二次の汚染を出したということで、われわれも今回の問題につきましては、非常に反省をいたしておるわけでございまして、各省集まりまして、その対策につきまして、協議をいたしておるのが現状でございます。
  17. 木原実

    木原委員 刑法を見ますと、たとえば公共用水道等水源保全については、非常に重い刑罰が加えられる、こういうような措置があるわけなんです。しかしお伺いをいたしましても、地下水水質保全措置というのは、たいへん抜けているところが多いのじゃないか。私ども今度の凝固剤の問題が出まして、ぶつかってみて、そのことを痛感するわけです。協議をなさっているといまおっしゃるわけですけれども、何かいい知恵が出ますか。
  18. 森整治

    ○森(整)政府委員 ただいまのところ、とりあえず建設省のほうの次官通達で、ともかく一応アクリルアミド等につきまして、使用中止措置をとりまして、ただいま建設省を中心に工法等の問題につきましては検討しておるわけでございます。
  19. 木原実

    木原委員 いま水質検査などは、厚生省所管になると思うわけですけれども、水道法によって行なわれておりますね。今度たまたま問題になっております凝固剤の尿素系ホルマリンあるいはアクリルアミドといったようなものは、規制の対象になっていないわけですね。だから、いま現行の制度のもとでやっておる水質検査で、将来的にも水の、あるいは地下水の安全が保障できるのかどうかと思うのですが、いかがですか。
  20. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  水道法で定めております水質基準は、先生御承知のように、一般的に含まれている物質を、主体といたしまして、供給する項目、現在二十八項目でございますが、基準値を設けておるわけでございます。今回問題になりましたアクリルアミド等に  つきましては、一般的には存在しない物質ではございます。したがいまして、これを直ちに法律上の水質基準の検査項目、すべての水道に実施を義務づけなければならない項目とすることが適当かどうかということにつきましては、私どもも検討いたしたいと思います。  いずれにいたしましても、そういうものの基準と申しますかレベルの考え方、これにつきましては、私どもも至急検討いたしたいと思っております。
  21. 木原実

    木原委員 これは厚生省伺いたいのですが、いま問題になっておりますアクリルアミドと尿素系ホルマリン、これは二つを比べてみた場合に致死量はどちらが多いのか、それと溶解をしていって、人体にどういう影響を及ぼすのか、御説明願いたいと思います。
  22. 国川建二

    ○国川説明員 アクリルアミドにつきましては、比較的最近と申しますか、国内で使われるようになりましたものでございまして、いわゆる毒性につきましては、若干の資料がございます。  それから、水硝子系統についても毒性がありますが、尿素系につきましては、尿素についてラットの場合、体重一キログラム当たり一万二千ミリグラムで死亡しないという文献がございます。またホルマリンにつきましても、これは劇物で指定されている物質でございます。このような尿素系のものとアクリルアミド系とを単純に比較いたしますと、尿素系の薬品のほうが、毒性等は低いといって差しつかえないと思います。
  23. 木原実

    木原委員 これらの薬剤を使った場合に、地下水に入っていく可能性、これはあるわけですね。
  24. 国川建二

    ○国川説明員 この工法自体が、いわゆる軟弱な土質の場合に、それを硬化するために使います。したがいまして、当然注入した場所等におきましては、地下水とまざると申しますか、そういうことはいえると思います。ただ、その工法の具体的な内容、やり方等につきまして、それが無限に広がるというようなものではもちろんございませんので、それは、その工事のやり方あるいは土質の条件等々によって、いろいろ変わってくると思います。
  25. 木原実

    木原委員 建設省がいままで工事をやっておりまして、本工事については、いろいろな監督もあり規制もあるのですが、しかし、準備段階の工事については、どちらかというと、業者の技術に期待する、依拠する、こういういわば監督というか、法令の盲点があったと思うのです。それが今度のような結果を招いているのではないのか。  私も最近調べてみましたら、高分子、注入剤メーカー会というところから出しております冊子によりますと、とにかく薬液の取り扱い上の注意というようなことがしきりに強調されているわけですね。去年の六月に出ております冊子によりますと、注入液の一部や樹脂固形物の一部が地下水その他に混入しないことも全くあり得ないともいえぬので、万一の場合を考えて、たとえば最初に井戸水を調べる、工事が終わったあとで井戸水を調べるようにしろとか、あるいはまた地下水系があって、上流のほうで工事をやって、下流のほうに井戸があるというような場合は、たとえば水道管を敷設をしなさいとかいう業界自身の危険を予知して、そういう措置をやるべしというような考え方が、啓蒙の資料として出ているわけですね。  ところが、最近の工法、たとえばいま私どものところで問題になっておるのですが、成田のパイプライン、地下水のま上を掘っていて、こういう措置も全然行なわれていないんですね。ですから、これから工法の基準をおつくりになると思うのですが、この基準のつくり方について、建設省見解を求めたいと思うのです。
  26. 久保赳

    ○久保説明員 ただいま先生御指摘のように、薬液注入工法そのものが、工事の主体的な工事というよりも、むしろ仮設備的な、準備工事的な色彩が強かったために、それに対する十分な現場の監督体制というものが、必ずしも十分でなかったということにつきましては、御指摘のとおりかと思いまして、私どもも深く反省をしているところでございます。  なお、先ほど来の議論にもございましたように、この事故が人の健康を阻害するという問題になりますと、たいへんでございますので、とりあえず工事の一時中止を、事務次官通達で出したところでございますが、御質問のこの工事の基準であるとか、あるいは工法やり方というものにつきましては、現在、建設省内に技官を中心とする委員会を設けまして、六月上旬を目途に、たとえば薬液注入工法調査の基準、設計の基準あるいは施工の基準というものを急遽つくりまして、それによって、今後このような事故がないようにはかってまいりたいというふうに考えております。  なお、これは五月七日に、すでに第一回の委員会を開いておりますが、その後も委員会をすでに数回開いておりますし、委員会の下におきますワーキンググループの会合は、再三開かれておりますので、できるだけ早い機会に、それらのいろいろな工法上の基準をつくっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  27. 木原実

    木原委員 時間がないのであわせて一つ二つ伺いましてやめますけれども地下水源が汚染をされたようなときに、代替水源地なんというものが、一体準備できるのかどうかということが一つ。  それから、この工法をやりまして、一部の土を、固めた土を捨てるでしょう。こういう、何と言いますか、固めて掘り返して投棄をするそういう土というのは、いままではどういう処置をしていたのですか。ほとんど規制なしに、その辺に捨てていたというわけですか。どうですか。
  28. 久保赳

    ○久保説明員 第一の代替の水源地という問題でございますが、これは、たとえば井戸水等に、今回の事故例がそうでございますが、アクリルアミドが混入しておった、こういう事実が明るみに出たので、上水道水源で飲料水を使うなというふうに切りかえております。ですから、そういう井戸水等に対しましては、できるだけそういう措置をとってまいりたいというふうに考えております。  それからなお、一度固まった土の処分でございますが、今回、福岡で起きました事故の場合には、その処分は、薬液を供給した会社に引き取ってもらいまして、そこで安全な処分をすることにしております。従来行なわれておりましたのは、必ずしもそういうような安全処分が、きちんと行なわれていたとは思えない筋が多うございますが、今後の問題につきましては、基準に沿った安全の処分をしていきたいというふうに考えております。
  29. 木原実

    木原委員 もうこれで終わりたいと思うのですが、これは環境庁長官に少しばかり御見解を伺っておきたいと思うのです。  いずれも環境庁のいままで所管ではございません。しかし、今度の事故例によりまして、たまたま問題になりました問題というのは、非常に深刻な問題を含んでいると思うのです。というのは、この明らかに劇物が、しかも、いままで大量に不特定の場所に使われていて、それに対する行政上の規制というものもほとんど乏しかった。しかも、その汚染をされる分野が、これまた保全策に乏しい地下水であった。しかも、この地下水が、もし汚染をされるとなると、ほとんど救済のしようもないような広がりを持つと思うんですね。まあ、それぞれの行政サイドの中で、応急の対策というようなものが考えられているわけですけれども、しかしながら、いままでこれらの薬剤が使用された範囲の広さ、あるいはこれから先も影響するであろう問題というのは、これは新しい公害の発生を思わせるような感があるわけですね。  したがいまして、私どもとしましては、いままでのそれぞれの行政分野のあり方なども検討をして、今度の事故例を一つの教訓にしながら、少なくとも地下水保全の問題あるいはまた薬剤の投入、注入その他については、完全な措置が講じられるように何か思い切った万全の措置をとっておかないと、広がってからでは、すでにおそくなると思うのです。問題がたくさんあると思いますけれども、私どもとしましては、そういう問題を感じますので、これはひとつ、環境庁のお立場から地下水保全対策について、あるいは今度起こりました事故例その他の措置につきまして、御見解伺いたいと思います。
  30. 三木武夫

    三木国務大臣 今日では、新しい化学物質が次々に出まして、この前の国会で通過しました、新しい化学物質は、それを市販する前に、十分の審査をしなければ市販されない、こういう点ですが、いままでにある薬物でも、これが、やはり地下水なんかに入っていきますと、非常に被害が広範になるわけなので、この点の取り扱いは、いままでのやり方では注意が足りないと思うのです。  したがって、これは厚生省建設省両省にも関連することが多いわけですから、私のほうで、この問題に対しては、従来のような態度よりももっときびしく、どういう影響があるかということを事前に十分検討を加えて、疑わしいものは使わさぬというくらいの、人間の生命に関係することですから、そういう点では、従来十分でなかったという点も反省して、環境庁で今後関係各省とも連絡をとって、この問題に対する取り扱いをもっと厳重にいたします。
  31. 木原実

    木原委員 終わります。
  32. 徳安實藏

    徳安委員長 木下元二君。
  33. 木下薫

    木下委員 私は、道路建設行政、特に高速自動車道の管理運営等の問題について伺いたいと思います。  これまでの高速自動車道等の管理運営等に関する行政は、住民意思と地方自治体の声を無視しながら、産業基盤確立に重点が置かれるあまり一各地で排気ガス、騒音などの生活環境破壊や自然環境の破壊、災害等々の問題を引き起こしますとともに、全国各地で広範な住民運動を激発させております。工事の差しとめを求めた阪神高速道路の工事禁止仮処分事件や、道路工事認可の取り消しを求めた日光太郎杉事件など、訴訟事件にまで進展をするものが増加をしてきております。  そこでまず初めに、行政管理庁伺いたいのでありますが、これまでに高速自動車国道等の管理及び運営に関する行政について、行政監察をなさったことがありますかどうですか。
  34. 大田宗利

    ○大田政府委員 高速自動車国道の監察につきましては、四十六年四月から六月に実施しております。勧告は四十七年三月に、それぞれ関係省庁に対して、所要の勧告を実施しております。
  35. 木下薫

    木下委員 その行政監察の結果に基づいて、道路の建設計画に際して、環境保全を配慮するような勧告を建設大臣にしたことがあるでしょうか。もしあるとすれば、いつどのような勧告をしたのか、明らかにしていただきたいと思います。
  36. 大田宗利

    ○大田政府委員 高速道路と環境問題につきましては、勧告の内容で二点勧告をいたしております。第一点は、高速道路と地域計画の問題でございます。それから第二点は、高速道路等と環境保全の問題でございます。これが中心になろうかと思います。  高速道路と地域計画につきましては、先生御承知のとおり、高速道路をつくります場合には、一地域に限らずに、非常にその影響は広域的に及ぶのでございます。したがいまして、高速道路建設の効果をあげるためには、やはりその周辺全般的な地域の将来計画をも考慮いたしまして、計画を策定する必要があるということが第一点でございます。  それから第二点につきましては、高速道路等と環境保全の問題でございますが、これは、道路建設の進展と自動車の交通の著しい伸びによりまして、最近随所に排気ガスの問題あるいは騒音の問題というものが非常に発生しております。したがいまして、建設省では今後道路建設にあたりまして、環境保全に十分注意されるように、特に新規の道路の場合には、関係機関との協議を密にしまして、地域の発展や自然環境等との調和のとれた計画を策定すべきであるというものでございます。  また、既存の高速道路につきましては、排気ガスあるいは騒音等で問題になっているところがございます。こういうところにつきましては、その実態を究明いたしまして、改善方策を検討すべきであるという趣旨の勧告をいたしております。
  37. 木下薫

    木下委員 いま環境保全について、関係機関と関係を密にしというふうに言われましたけれども、表現どおり申しますと、「環境保全について関係機関となおいっそう協議を尽くし、」というふうに書かれています。ここにいわれております関係機関と申しますのは、都道府県をはじめ市町村等の地方自治体も含むというふうに私は理解をしておるのですが、それでよろしいでしょうか。
  38. 大田宗利

    ○大田政府委員 そのとおりでございます。
  39. 木下薫

    木下委員 そこで、次に建設省伺いたいと思います。行政管理庁のこの勧告に対しまして、どういう回答をなさったでしょうか。回答の要点を簡単に説明願いたいと思います。
  40. 山根孟

    ○山根説明員 環境保全につきましては、沿道の利用の問題あるいは自動車の構造の問題も、総合的な見地から対策が必要であるわけでありますが、とりわけ高速国道の建設にあたりましては、土地利用の現況及び将来計画についても十分配慮した、路線選定の問題がございますので、路線選定を行なうということが第一。やむを得ず住宅地域を通過するような場合におきましては、堀割り構造の採用、遮音築堤、遮音壁、植樹帯の設置等の道路構造上の対策を実施するなど、交通公害対策に十分配慮をする、こういう考え方に基づいた回答をいたしておるところであります。
  41. 木下薫

    木下委員 いま言われましたが、表現上は「今後とも、環境保全について調査研究を進め、路線の選定や道路の設計に当たっては、関係機関とも協議して環境と十分調和したものとするよう指導していきたい。」というふうになっております。そこで、この関係機関というのは、どういうものをさして表現をされておるのでしょうか。
  42. 山根孟

    ○山根説明員 環境の問題につきましては、各行政部門にわたります。したがいまして、関係の各省庁地方自治体におきましては都道府県、市町村。そして計画から実施の段階に至ります間におきましては、それぞれの段階がございます。したがいまして、それぞれの段階に応じました関係機関ということになろうかと考えております。
  43. 木下薫

    木下委員 それは環境庁をはじめ国の各省庁、それから地方自治体住民団体等は含むというふうに解していいのですか。
  44. 山根孟

    ○山根説明員 路線を決定いたしますまでの段階地方自治体、つまり市町村段階まででございます。具体的な設計協議という段階になりますと、個々の地元の方々と協議をするということになろうかと思います。
  45. 木下薫

    木下委員 そういう趣旨を含んでこれが表現されておる、こういう意味ですね。
  46. 山根孟

    ○山根説明員 さようでございます。
  47. 木下薫

    木下委員 建設省は、口ではいま言われましたように、たいへんきれいなことをいわれておるのですが、実際の道路建設におきましては、いまの御答弁と食い違ったことが行なわれているんではないかと思うのです。そこで、二、三の具体例をあげまして、ひとつ答弁を求めたいと思います。  その一つは、阪神高速道路大阪−西宮線の尼崎道意東工区の東端約八十メートルの区間、通称南竹谷工区といわれているところであります。この建設工事をめぐる問題です。阪神道路公団は、日照被害や電波障害を心配する沿道住民との間で、本年四月中旬まで工事を中止し、地元との話し合いを進めるという約束をしておきながら、四月九日、この約束を一方的に破って工事を強行し、国道四十三号線のどまん中で、住民との間にトラブルを引き起こしております。しかも、この約束は、住民と直接密接に結びついておる基礎的な地方自治体である尼崎市を通じてかわされたものであります。工事を中止して地元と話し合え、これは地元住民の声というだけではなくて、地方自治体の意思でもあります。阪神道路公団は、一昨年八月にも、住民との間の約束を一方的に破って工事を強行し、住民との間にトラブルを起こしております。  この問題については、昨年の五月十一日の公害環境特別委員会における私の質問に対しまして、公団の南理事は、道路建設にあたって公害対策が十分でなかった。それから、ともすれば公権力にたよるような気配もあったことは反省します、こういうふうに答えたのでありますが、同じあやまちを、またぞろ繰り返しておるという感じがいたします。公団の姿勢は、住民無視、地方自治体無視もはなはだしいのではないかと思います。  そこで、建設省と阪神道路公団に伺いたいのでありますが、建設省は公団に対して、この問題について一体どういう指導をなさっておるのでしょうか。
  48. 南俊次

    ○南参考人 阪神高速の工務担当理事の南でございます。  南竹谷地区の問題につきましては、この延長約八百十メートルにつきまして、事前調査並びに説明対象戸数おおむね百二十戸に対しまして、事前に地区沿線住民を対象としての工事説明を行ない、四十七年十月、竹谷地区福祉連絡協議会というものとの間に工事に関する覚書を結びまして、現在まで順調に工事を施行中でございます。ただし、ことしの三月、同地区の南竹谷町の一部におきまして、下部工事が済んで、けたを架設する段階に至りまして、けたの架設にかかる日照阻害にからみまして、架設工事の一時延期を地元関係住民から要求を受けました。現地におきまして、三月四日から十二日まで四回、四月十日、十三日の二回、合わせて六回の話し合いを持ってまいりました。  公団といたしましては、本件御存じのとおり係争中でございますが、工事禁止の仮処分申請は一応却下されておりますし、工事を中止するわけにはまいりません。しかし、周囲の事情考えますと、けたを急いでかけて、地元住民に日照阻害を与えることは好ましくない、かように判断いたしまして、また尼崎市役所から不測の事態を生じないようにという御要望もたびたびございますので、それにこたえまして、他地区等の工事の進捗状況を十分勘案して対処する所存でございます。
  49. 木下薫

    木下委員 いま住民のほうに説明を行なったように初め言われましたけれども、これは、ごく形式的な説明ではなかったんですか。これは四十八年十一月三日に、竹谷谷民館に住民を集めて説明会が行なわれておりますけれども、これには、たった十人前後の住民しか参加をしておりません。こういうものでもって、住民に十分説明したということは言えないじゃないですか。いま何回か話し合いを持っているように言われましたけれども、  一番最初にその話し合いを持ったのは、いつと言われたのですか。
  50. 南俊次

    ○南参考人 三月の四日でございます。
  51. 木下薫

    木下委員 私がいまお尋ねしましたが、四月中旬まで工事を中止し、地元と話し合いを進めるという約束、こういう約束があったことは御存じですか。
  52. 南俊次

    ○南参考人 そういう約束があったとは聞いておりません。ただし、工事を中止しろという申し出があった、そして尼崎市役所においても、十分に考えてやってほしいという申し出があったことは聞いております。
  53. 木下薫

    木下委員 そうしますと、そういう約束は聞いてない、約束がなかったと言われるのですか。聞いていないということですか。あったかなかったか、よくわからぬという意味ですか。
  54. 南俊次

    ○南参考人 聞いておりません。
  55. 木下薫

    木下委員 それは約束があったのかなかったのか。いまのところよくわからぬという趣旨だと思いますが、私が調べたところでは、そういう約束があるのに、これを無視して工事を強行しておる。一ぺんよくお調べになっていただきたいと思うのです。
  56. 南俊次

    ○南参考人 それから、現在工事を強行しておりません。
  57. 木下薫

    木下委員 いまの点は、約束の点はよくお調べになりますね。
  58. 南俊次

    ○南参考人 はい、それは調べたいと思います。
  59. 木下薫

    木下委員 工事は一たん強行されて、そして住民のほうとトラブルがあって、またその上でもとに戻って、話し合いが幾らかあった、こういうことでしょう。
  60. 南俊次

    ○南参考人 実は、けたを架設しようとして、けたの運搬をしたわけでございます。国道のまん中に私どもの柱が立っておった、そこにかけるけたでございますから、工事現場にけたを持ち運びまして、まだ架設はしておりませんで、その段階でトラブルがあって、そして現在は、まだ架設を継続しないでいるという状態でございます。
  61. 木下薫

    木下委員 さっき私が指摘をしましたように、昨年の五月十一日の国会では、私の質問に対しまして、そういう権力にたよるかのような形で強行をするといったゴリ押しの姿勢というものについて、反省をいたしますという答弁をなさっておるのです。一体、どういう反省をなさったのですか。どうもそういうことを、何度もお繰り返しになっているように思うんですよ。そういう住民との話し合いなどを十分にせずに、ともすれば工事を強行なさるという姿勢は、ひとつ今度こそ十分に反省をしてもらいたいと思うんですよ、いかがですか。
  62. 南俊次

    ○南参考人 この前も、昨年五月十一日にも申し上げましたように、工事の着工に先立って、地域を代表する人たちあるいはその沿線住民に十分説明いたしまして、その大部分の御了解を得て、覚書を代表者と締結して、工事をやっておるわけでございます。  この南竹谷町のケースも、全くそのとおりでございます。ただし、今度の場合は、日照阻害にからみまして、数人の方々、それに国道四十三号線公害対策尼崎連合会の方々の御支援がございまして、そして、けたの架設を一時やめろというお申し出があるわけでございます。私ども、本件裁判で係争中でございますので、軽々しくやめますというお答えはできません。しかし、不測の事態を避けるための処置として、現在けた架設を見合わしておるということでございまして、十分とは言い切れないかも存じませんけれども、先生のおっしゃる御趣旨を踏まえてやらしていただいておると考えておるわけでございます。
  63. 木下薫

    木下委員 私、初めに建設省のほうに伺っておったら、公団の方が立って答弁をされたのですけれども、この問題について、建設省は一体指導をなさっておるのかいないのか。なさっておるとすれば、どのような御指導をなさっておるのか。
  64. 山根孟

    ○山根説明員 私、高速国道の直接の担当をいたしておりまして、都市高速道路につきましては、直接担当をいたしておりませんので、本件事案の詳細については、了知しておりません。お許しいただきたいと思います。
  65. 木下薫

    木下委員 どうもそういうことでは困ると思うのですが、先ほど私が指摘をしました行政管理庁に対する建設省の回答、この趣旨からすれば、しかるべき指導をされて当然だと思うんですね。特に公団と尼崎市あるいは住民団体との話し合いが円滑に進められるように、適切な指導をなさるべきだと思うのです。公団に一切まかしてしまって、あとは知らぬということではなくて、建設省が指導をされるべきだと思うのです。こういうふうな具体的な問題について、行政管理庁の勧告に対して、そういう場合には適切な指導をいたしますという回答をなさっているのでしょう。だから、そういう指導を、この問題についてもやってもらいたいと思うのです。どうですか。
  66. 山根孟

    ○山根説明員 一般的にお答えをさしていただきたいと思いますが、個々の高速道路に関しますいろいろなトラブルがあることは事実でございます。そういった点につきましては、逐一公団から事情を聴取いたしまして、先ほどの趣旨に沿いますような指導はいたしておるところではございます。
  67. 木下薫

    木下委員 その指導を一般的にはしておる。じゃ私がいま指摘したこの尼崎の問題については、どうなっておるかわからぬ、こういうことですね
  68. 村山幸雄

    ○村山説明員 住民との間に話し合いがつくまで、いわゆる工事をやらないということに関して、どの程度の確約があったかということに関しましては、先ほど南理事からも話したとおりでございまして、話が相前後したり、あるいはあらゆる角度から検討されたことだと思いますので、その内容につきまして、私たちのほうは、つまびらかにいたしておりませんけれども、公団といたしましては、地元と十分に話し合いをいたしまして、工事を続行していったというように考えております。  なお、建設省がいかなる形でこれを指導していくかということでございますが、当然、計画の段階は言うに及ばず、事業にあたりましては、数十回に及ぶ説明会をそれぞれやっておるわけでございまして、その話し合いを通じて、地元の意向をくみながら工事を進めるということに関しましては、先ほど国道課長が申し上げたとおりでございまして、都市高速道路をつくるほうの担当といたしましても、その線で進んでいくということでございます。
  69. 木下薫

    木下委員 どうもあまり十分な指導をなさっていないように思うんですがね。今回のこのトラブルをめぐって、四月九日に工事の強行があったわけですけれども、四月十日と十三日に公団のほうと住民との話し合いが持たれておりますが、この席上で公団側は実にけしからぬ発言をいたしております。住民側が日照被害、電波障害の問題の解決のめどがつくまで工程をやりくりして、南竹谷工区のけたかけ工事をあと回しにしてほしい、こういうふうに申し入れをいたしましたのに対して、公団の尼崎工事事務所の森田所長は、沿線民家の日照補償をきめた法律はないので、日照被害については考慮する必要はない、こう言っておる。何が何でも工事ば進める、道路建設のためなら、尼崎市の環境保全条例に違反して罰金を払ってもよい、こう言っている。あげくのはてには、工事がおくれた場合には、住民から損害賠償金をもらう、こういうふうなことを言っておる始末であります。  十三日の話し合いでも、住民側が、小さなマンション業者でさえ日照被害や電波障害については、日影図や電波障害図を示して住民と補償交渉をしておる。公団もそうしたことをやるべきだ、こういうふうに申し入れをいたしましたところが、公団の神戸建設部の倉橋部長は、日照に関する補償基準、要綱など何の制度もないのでどうしようもない、ここでの工事延期は、他の地区にも波及し、結局工事全体の差しどめになるなどと発言をしまして、あくまでも住民意思を押しつぶす態度をとり続けてきたのであります。工事を進めるためたは、地方自治体環境保全条例なんかくそ食らえだ、日照被害については、法律がないから関係ない、じゃまするなら損害賠償金を取るぞ、こういう公団側の態度は、もうむちゃくちゃだと私は思うのです。  そこで、建設省と道路公団に尋ねたいのでありますが、まず建設省は公団に対して、こういう態度をとるように指導したのでしょうか。指導したかどうか、この点、私がいま指摘をしました発言の点ですね。
  70. 村山幸雄

    ○村山説明員 そのようなことを指導した事実はございません。
  71. 木下薫

    木下委員 そうしますと、この住民との話し合いの場での発言は、公団独自の方針に基づいてやられたものですか。
  72. 南俊次

    ○南参考人 森田所長と倉橋部長の二人の発言についてのお話かと存じますが、森田所長が暴言を吐いたとおっしゃったことにつきましては、日ごろからそういう指導はいたしておりません。これは昨年の私の答弁でも申し上げたとおりでございまして、何でもかんでも住民の気持ちをさかなでして工事をやりなさいというけしからぬ指導はいたしておりません。  ただし日照の問題はございます。これは、いずれ建設当局からも御答弁ございますでしょうけれども、倉橋建設部長が日照の問題について住民にお答えしたことは、まことに残念ながら事実そのとおりでございます。ただし、その事柄につきましても、現在、建設省を中心に、われわれ公団も含めまして、前向きの姿勢で検討を開始しておるということを聞いております。このことについては、かねてから地区住民の皆さまに、前向きの基準ができれば直ちにそれに従いたいと思う、補償しなくていいんじゃなくて、その基準に従った措置をとりたいということを常々申しております。  以上です。
  73. 木下薫

    木下委員 建設省は、日照被害、電波障害につきまして、日影図や電波障害図を住民に示して、住民とよく話し合うように公団を指導していただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
  74. 村山幸雄

    ○村山説明員 電波障害につきましては、現在そういうような補償あるいはいろいろな工事をやっておることにつきましては、すでに御承知のとおりであると思います。  それから日照の関係につきましては、特に阪神高速道路公団関係が現在問題になっておりますが、尼崎市より建設省に対して、日照についてそういう補償ができるようにしてくれという陳情が来ております。しかし、この日照の問題につきましては、公共事業全般にわたる問題でございますので、また私が現在所掌しております範囲外のことでございますので、特に確答はできませんが、いずれにいたしましても、建設省内といたしましては、日照の問題に関しまして研究会を持っておりまして、前向きの姿勢で検討するということで、現在鋭意研究が進められているという段階でございます。
  75. 木下薫

    木下委員 一般的な基準をつくるとかあるいは一般的な問題について研究を進める、これも必要でございましょうが、具体的に現にトラブルが起こっているわけですから、この住民に対してどうするかという問題、これは建設省のほうが御指導をなさって、公団が話を進めていく、こういう形でないと困ると思うんですよ。一般的な基準をいつつくるのだということで、それまではほっておくのだということであっては困ると思う。
  76. 村山幸雄

    ○村山説明員 一般的な基準の作成に関しましては、ただいまの尼崎の例、これなど非常に重要な参考といたしまして作成していきたいというように考えております。
  77. 木下薫

    木下委員 それは、けっこうですが、現に問題が起こって住民が困っているわけでしょう。住民に対して、こういうふうな形で解決をいたしますという方向で進めていただきたいと思うんですよ。それは、やってもらえますね。
  78. 村山幸雄

    ○村山説明員 尼崎のその場所について、どういう状態であるかという事実について、具体的につまびらかにしておりませんので、直ちに即答はできないかと思いますが、そういうことを十分に頭の中に入れて努力していきたいというように考えております。
  79. 木下薫

    木下委員 公団のほうは、住民のほうと誠意をもってひとつ解決に努力してもらいたいと思うのです。いかがですか。
  80. 南俊次

    ○南参考人 日照問題につきましては、現在すでに大阪の守口線の沿線におきまして、調停裁判の案件が一つございます。同じ尼崎市内でも、南竹谷町に限らず、武庫川町付近におきましても、相当民家に近接するところがございます。こういうところにつきまして、とにかく全国にわたるたいへんむずかしい問題ではございますが、建設省に、特に私のほうだけでも、これだけ問題が山積いたしておりますので、解決をしていただくようにいろいろお願いもし、知恵も出しておるということでございます。  それから、先生一言、電波障害については、先ほど建設省の話にもございましたとおり、この地区に限りませず、工事の着工前後におきまして、NHKの専門家をわずらわして調査をいたしまして、そうして障害の程度、ある程度の障害というものはございますが、それに応じまして、共同アンテナを立てていただくとか、あるいはアンテナを改良するとか、そういうことはずっとやっております。これだけは、もう当然のこととしてやっておりますので、一言申し上げておきます。
  81. 木下薫

    木下委員 誠意を尽くして解決に努力をしてもらうというふうに確認をいたしまして、次の問題に移ります。  いまの問題に関連をしておりますけれども、さっきも指摘をされました、神戸地裁尼崎支部が下しました阪神高速道路工事の禁止仮処分事件、これに対する決定をめぐる問題であります。この事件は、大阪高裁で争われておりますが、神戸地裁の決定のうちに住民が抗告していない部分があります。たとえば騒音規制であるとか自動車交通量の制限などについては、抗告審の結果がどうなるにいたしましても、公団としましては、具体的な対策を立てる義務があると思います。ところが公団側は、沿道住民が組織をいたしております四十三号線公害対策尼崎連合会が尼崎市を通じて、その対策についての説明を再三にわたって求めておりますが、住民側が高裁に抗告したのがけしからぬということで、これを無視いたしまして、一年以上経過をした今日においても、いまだに何らの説明もいたしておりません。  それだけではありません。公団は住民の意思を無視し続けているだけでなくて、住民組織の切りくずしに奔走しております。本年三月初め、南竹谷工区の工事をめぐって住民とのやりとりが行なわれておる最中に、公団の尼崎工事事務所の松本工事係長は、南竹谷地区住民宅を戸々訪問いたしまして、四十三号線公害対策連合会に入ったら話し合いはしない、補償問題についても話し合わないなどと言って回っておるのです。現場を連合会の光事務局長に現認されました同係長は、しどろもどろの状態で逃げ帰っております。公団側の態度は、住民無視というようなものではなく、むしろ住民敵視であります。  そこで、建設省と道路公団に伺いたいのですが、まず、建設省は公団に対して、昨年五月十二日に神戸地裁が下しました決定のうち、住民側が抗告していない部分についての具体的な対策というものは、お立てになっているのかあるいは準備しているのか、どうお考えなんでしょうか。
  82. 村山幸雄

    ○村山説明員 現在のところ、その問題につきましては、特に検討はいたしておりません。
  83. 木下薫

    木下委員 これは、さっきも言いましたように、抗告をしておる部分というのが一部なんですね。それ以外の抗告していない部分については、具体的にどうこれを解決していくのか、対策を立てるべきだと思うのです。この対策を立てまして、尼崎市と関係住民に対して、直ちに説明ができるように指導するべきだと思います。また、その他の問題についても、地方自治体があっせんする関係住民との話し合いに応ずるように指導すべきだと思うのです。建設省、いかがですか。
  84. 村山幸雄

    ○村山説明員 私の申し上げたのは、特にそういう具体的な動きをしなかったということを申し上げたわけでございまして、抗告しなかった部分で、当然道路側としてなすべき幾つかのことがあろうと思います。この問題につきましては、公団とよく相談の上、一日も早く実施するように努力いたしたい、こう思っております。
  85. 木下薫

    木下委員 いきなり実施をするのでなくて、これもあなた方、さっき行政管理庁の勧告に回答されたように、自治体なりあるいは住民の側に対して、こういうふうにいたしますという説明をし協議をしてやるべきでしょう。そういうやると言われるのは、いきなり工事を施行するという意味でなくて、そういうふうな協議なりあるいは民主的な話し合いなりそういったことをやる、こういう趣旨ですね。ちょっと答えてください。
  86. 村山幸雄

    ○村山説明員 そのとおりでございます。
  87. 木下薫

    木下委員 それから公団のほうは、関係住民との話し合いを拒否しておりますが、これは、ひとつ改めてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  88. 南俊次

    ○南参考人 いま先生から抗告をしていない案件についての話し合いにも応じないのかというお話がございましたけれども、実は申しわけありませんが、私はそういうことを聞いたのは、いまが初めてでございます。したがいまして、多大の時間を要して裁判をやらしていただいておるわけでございますが、その裁判に影響するようなことで、裁判そのものがおかしくなるような形での話し合いはできないというのが、私どもの気持ちでございますが、しかし市当局があっせんし、裁判そのものにかかわりないことで話し合いたいということでございましたら、これは話し合ってもいいんじゃないか、さように考えます。
  89. 木下薫

    木下委員 抗告審で係争になっている、その争点になっている問題、それは、もう裁判になっているのだから——その問題についても、本来からいえば話し合ったらいいと思いますけれども、それは私は言いませんが、その余のいろんな問題については話をするべきだ。ところが、私がいま指摘をしましたように、この四十三号線公害対策連合会に入っておれば、あなた方とは一切話はしませんと、あたかもこの連合会から脱退を勧奨するかの発言がある。一体そういうことをやるべきか。これは公団、おやりになっていることはお認めになりますね。いかがですか。
  90. 南俊次

    ○南参考人 松本係長が南竹谷地区のトラブルの最中に、そういうことをやったというお話でございますが、その報告は受けておりません。また日ごろ、そういうふうな方向では指導しておりません。たいへん遺憾に存じます。
  91. 木下薫

    木下委員 そうしますと、そういうことはやっていないとも、この場で断言はできないけれども、やったかやってないかわからぬ、そういうことがあるとすれば遺憾なことだから、今後はないように重々きびしく取り扱っていくというふうに伺っていいわけですか。
  92. 南俊次

    ○南参考人 はい、そのとおりでございます。
  93. 木下薫

    木下委員 その連合会に入っておるということをもって、あなた方と話をしないというようなことは、これは、まさに憲法で保障された結社の自由、思想、信条の自由に対する侵害でもあるわけなんだから、こういうことのないように、重々注意をしていただきたいと思うのです。今後、関係住民地方自治体の意思を踏みにじることのないように進めていただきたい。このことを、ここでお約束できますか。
  94. 南俊次

    ○南参考人 今度の問題は、たいへん長い期間にわたって、穏当な話し合いが実らないうちに裁判というようなことに発展しまして、たいへん遺憾でございます。こじれ切った間柄におきましては、先ほど先生御指摘になったような、行き過ぎたことばのやりとりがあったのではないかと思いますけれども、今後はすべてのケースにおきまして、初めからそういうことのないように注意していきたいと思います。
  95. 木下薫

    木下委員 話し合いもずっと誠意をもって住民のほうと進めていかれますね。
  96. 南俊次

    ○南参考人 そのとおりでございます。ただし先生にお願いしておきたいのでございますが、昨年も申し上げましたとおり、非常に意見の分かれるグループであること、それについては、やはり何がしかのまとまりを持った方がリードしていただけたらどうか、これは余分でございますが、非常にそういうことを考えております。
  97. 木下薫

    木下委員 次の問題に移ります。  中国縦貫自動車道路の建設をめぐる問題でありますが、まず初めに行政管理庁伺いたいのです。  先ほど答弁のありました昭和四十七年三月十三日の勧告の中で、道路建設に際して、地域計画との関係の問題について建設大臣に勧告をしておるようでありますが、その概要を、簡単でけっこうですから御説明願いたいと思います。
  98. 大田宗利

    ○大田政府委員 高速道路と地域計画につきましては、特に高速道路のインターチェンジ周辺の土地利用につきまして、いろいろ問題があろうかと思います。と申しますのは、この勧告の内容になりました事柄は、道路の基本計画の決定あるいは整備計画の策定、インターチェンジ位置決定の各段階におきまして、地元県あるいは市町村に対して計画を示しまして、地元の各種地域計画との斉合性をはかっていないというような問題がございましたので、そういう点について、十分地元の各種地域計画との斉合性をはかるよう協議をはかることが必要であるという内容でございます。
  99. 木下薫

    木下委員 地元の関係地方公共団体と連携協議を尽くしていくというふうになっておりますが、その地方公共団体というのも、これは都道府県だけでなく市町村も含むというふうに解していいわけですか。
  100. 大田宗利

    ○大田政府委員 そのように解しております。
  101. 木下薫

    木下委員 この勧告に対しまして、四十七年の九月に何らかの回答をしておるように思いますが、簡単でけっこうですから、回答の概要をお願いしたい。
  102. 山根孟

    ○山根説明員 地域計画等との斉合につきましては、十分協議をいたして、乱開発その他のインターチェンジ周辺におきます、望ましくないスプロールがないような方策で処理していきたいという回答をいたしておると記憶しております。
  103. 木下薫

    木下委員 ここでも、建設省の答弁とは違った現実があるわけであります。つまり地方自治体の意思を全く無視した建設行政が進められておると思います。  そこで、私、具体的な問題について伺いたいと思うのでありますが、中国縦貫道六甲サービスエリアの建設をめぐる問題についてであります。  日本道路公団に伺いたいと思います。昨年二月二日付で西宮市議会から、六甲サービスエリアの撤去を要求する申し入れ書が提出されております。またこれより以前に、西宮市教育委員会からも、このサービスエリア設置を中止する旨の要望書が出ておると思います。これらについて、検討されたことがあるかどうか、その結論はどうであったか、簡単にお答え願いたいと思います。
  104. 三野定

    三野参考人 この件につきましては、昨年もお尋ねがあったかと思いますが、市当局からの御要望に対しましては、私どもいろいろ検討いたしましたが、サービスエリアそのものの必要性、その地域的な関係その他技術的条件等を勘案いたしまして、まずサービスエリアをやめることができませんので、やはり予定いたしております地域にぜひつくらしていただくようにお願いをしておるわけでございます。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕  なお、それに関連をいたしまして、サービスエリアの規模等の問題についても、いろいろ御提案もあり、私どももいろいろ考えまして、御相談をいたしておるわけでございますが、まだ協議ととのわず、現在サービスエリアに関しましては、一時工事を中止して今日に至っているというのが現状でございます。
  105. 木下薫

    木下委員 議会や住民が反対しておるというだけでなく、西宮市当局も反対をしておる。いま協議ととのわずと言われたのは、その西宮市とのことだと思いますが、そういうことですね。そうした地元がこぞって反対をしておるということは、御存じのところですね。
  106. 三野定

    三野参考人 こぞってということばが当たるかどうかは存じませんけれども、現在、地元の自治会等においてもいろいろ御意見が出ておる。それから市当局とも、あるいは市議会とも、いろいろ御相談をしておりますけれども、まだととのっていない、そういう意味でございます。
  107. 木下薫

    木下委員 建設省伺いたいのですが、六甲サービスエリアの建設が予定されております西宮市塩瀬町名塩地区というのは、昔から地すべり地帯といたしまして有名なところです。毎年の雨季には地すべりが起こりまして、危険な地域であるということば御存じでしょうか。昭和三十三年三月に公布をされました地すべり防止法に基づいて、地すべり防止区域に指定をしたのはいつのことでしょうか。また、兵庫県知事が策定をした名塩地区の地すべり防止基本計画は、届いておるでしょうか、伺います。
  108. 谷勲

    ○谷説明員 現在の問題の地区でございますが、この地区につきましては、昭和三十五年八月二十九日の日付で地すべり防止地区に指定しております。したがいまして、それに基づきまして工事基本計画をつくっております。現在までに実施しておりますのは、水路工が百六十五メートル、ボーリング工、排水ボーリングでございますが、これが七百五十メートルでございまして、計画全体といたしましては、なお今後実施すべきものといたしましては、水路工二百メートル、それから集水井戸でございますが、これが二基、計画として残っております。
  109. 木下薫

    木下委員 日本道路公団に伺いたいのですが、公団は、この名塩地区が地すべり防止区域であることを承知の上で、工事実施計画を策定したのでしょうか。この工事実施計画策定に先立つ調査段階で、この地区の地すべり調査をしたのでしょうか。また、工事に際し、兵庫県知事と協議をしたのでしょうか。その際、知事の回答は、どうだったのでしょうか。一括して伺います。
  110. 三野定

    三野参考人 路線を選定いたします段階におきまして、この区域が地すべりの地域である、指定地であるということは、私ども承知をいたしております。もちろん、私ども好んでこういう地域に路線を選定するものではございません。その他の地域、ほかのルートをさんざん検討をいたしましたあげく、やむを得ないという判断をいたしました。なお、この地すべりに対する対策方法が立てられるだろうかということについても、検討をいたしました結果、この地域に路線を持っていくことにきめたわけでございます。その後、この地すべり地域に指定をされておりますので、御担当の管理をしておられる兵庫県御当局とは、十分な御相談をいたしまして、御指導も得、工事を進めた次第でございます。
  111. 木下薫

    木下委員 知事の回答はどうだったかと聞いているのです。協議をしたのでしょう。わかりませんか。簡単でけっこうです。
  112. 三野定

    三野参考人 要点だけ拾いますと、この地すべり関係の要点だけでございますが、浮き土の流出防止等の防災工事を先行すること、それから傾斜計及び地中ひずみ計等を設置して、工事中の動態観測を行なうこと、南側山地の表面水の処理を検討すること、地区内粘土層に対しては軟弱地盤工法、北側のりじり付近にはくい打ち工等を検討のこと、調査観測結果等を参考にして実施計画を立て、西宮土木事務所長の承認を受けること、そのほかに作業期間の指定がございますが、以上のことが条件としてついております。
  113. 木下薫

    木下委員 いま言われたのは、知事と協議をなさって、知事のほうからのこういうふうにしてもらいたいという回答なんですか。
  114. 三野定

    三野参考人 さようでございます。昭和四十六年六月十一日付の知事からの文書でございます。
  115. 木下薫

    木下委員 あなた方のほうでは、工事実施計画を策定して、それから実施計画の認可を得て、その上で知事のところへ持っていくわけだから、知事のほうだって、これはいやとは言えなくなって、そういうことで断われずに進んでいくのだと思うのです。  その点は、ともかくといたしまして、この問題をお尋ねいたしますのは、公団は、西宮市及び市議会から再三にわたる申し入れによりまして、兵庫県の土木部長や京大教授の松尾新一郎氏らの学識経験者も加えて、六甲サービスエリア防災工事検討委員会なるものをつくって、名塩地区の地すべり調査を行ない、その結果を一昨年十二月に報告しております。  その結論を見ますと、同地区は地すべりに鋭敏な地域と推察できる、また、当地域は年間降雨量としてはあまり多くないが、過去のデータを見れば、集中的な豪雨も見られるので、その降雨対策が肝要であるとしております。さらに、西宮市はことしの一月、京都大学の防災研究所と国土問題研究所に対し、同地域の再調査を依頼しておりましたが、このうち国土問題研究所のほうが中間報告を行ないました。その報告によりますと、「周辺は風化の進んだもろい地質で、エリア南側の山の斜面にはブロック状に断層があり、造成地は過去、何度も繰り返された地すべりで、山の斜面がずり落ちて出来た危険地帯。」である。さらに「エリアは周辺の山を削ったうえ、質の悪い土砂で盛り土しており、公団が主張しているような地すべりに対する押えの効果はまったくない。」と公団の見解とまっ向から対立する見解を示しております。さらに同報告は、「斜面を削ったため地下水位を上げ、地すべり誘発の要因をつくり出している。」とも指摘しています。このほか「公団の地下水調査のデータは不十分で、雨量も過小評価している」、「エリア北側の斜面はいたる所にキ裂や陥没が生じ、擁壁などの構造物も変形、すでに地すべりが進行しつつある」ことを示しているとも指摘をしております。のり面下の住宅地及び北側斜面を削って造成された名塩山荘の住宅地は、危険にさらされておると警告しております。  そこで、建設省と道路公団に伺いたいのですが、まず建設省は、公団の工事実施計画を認可したわけでありますが、同地区が地すべり防止区域であるにもかかわらず、なぜ認可をしたのか。認可する際に、公団に対し、注意すべき事項等についてどのような指示をしたのでしょうか。
  116. 谷勲

    ○谷説明員 これは、管理面におきましては、主管者であります知事のほうで管理をしております。その要件といたしましては、先ほど公団のほうからお話がありましたが、そういうふうにくい打ちをする、盛り土いたしますから、その下部にはくい打ちをやる。あるいは表面排水で、降った雨がすぐ地中に入るというよりも、表面から直ちに排除されるというようなことを勘案しまして許可をしております。これは、あくまで防災面の上での配慮でございます。
  117. 木下薫

    木下委員 もうあまり時間がなくなったようなので結論を急ぎたいのですが、このサービスエリアの建設は、多くの人命にかかわる問題です。必要なことは、差しあたり緊急に徹底的な調査をするとともに、地すべり防止対策を並行して進めて、このサービスエリアの建設計画を再検討する必要があると思うのです。いかがでしょうか。建設省あるいは公団のほうから答弁を願いたい。
  118. 三野定

    三野参考人 私は、先生のいまお話がございました最近のあの研究所のレポートについて、詳細に承知をいたしておりませんが、十分にこれは検討さしていただきまして、また私どもの現在の措置が十分であるかどうか、これも十分に検討さしていただきまして、必要な対策を講じなければならぬ、こういうふうに考えております。
  119. 木下薫

    木下委員 私は、きょう写真等いろいろ資料を持ってきているのです。私、現地にも何回も行きました。非常に危険です。あなた方のほうで、その点について否定をされるならと思っておったんですけれども、特にそういう危険性について、問題性について否定もされませんので、また時間もありませんので、私ば、これ以上この点について質問することはおきますけれども、いまあなたの言われた趣旨は、このサービスエリアの建設計画を、もう一度その危険性の観点から再検討をする、こういうふうに伺っていいわけですね。特に、いま私が指摘をいたしました、この国土問題研究所等から出しておる報告、これは中間報告でありますが、あるいは最終報告も近く出ようかと思いますが、そうしたものも検討を加えて、ひとつこのサービスエリアの問題について再検討を加える、このことをお約束いただけますか。
  120. 三野定

    三野参考人 さしあたり現在もうすでに工事ができておりますので、これがもし住民に対して重大な危険を及ぼすというようなことでは、私ども申しわけございません。まず第一に、その問題を十分に検討いたしまして、それをさしむきいたしたいと思います。
  121. 木下薫

    木下委員 根本的に再検討する、これは非常に大事なことでけっこうです。しかし、つゆが近づいてきているのです。雨期に入りますと、調査をするなんてゆっくりかまえておりますと、重大な事故が起こるとたいへんなことになりますよ。これは建設省と公団の責任ということになってくる。ですから、その調査も、さしあたっての調査と言われましたけれども、もう早急にこれをやっていただきたいと思うのです。いかがですか。
  122. 三野定

    三野参考人 現在、私どもの職員によりまして、見回りの監視を続けておりまして、いまのところ、だいじょうぶだと私ども考えておりますけれども、しかし、いま御指摘のような違った見解がございますれば、これは私どもとして非常に重大でございますので、引き続いてひとつ十分に調査をいたし、必要があれば対策を講じたい、こういうように思います。
  123. 木下薫

    木下委員 それでは、もう一ぺん念を押しておきますが、当面の問題だけでなくて、一体ここにサービスエリアをつくることによって、地すべり問題がどうなるのか、地すべりが起こって人命に大きな危険を及ぼすといったことがないのかどうか、そういうことについて抜本的な検討をなさる、こういうふうに約束をされるわけですね。
  124. 三野定

    三野参考人 現在ほとんど形はできておりますので、これがもしまずいところがあるということであれば、私どもは、やはり全安なように考えなければならない、こういうふうに思います。
  125. 木下薫

    木下委員 もう時間がきましたので、そのことを約束いただいて終わりたいと思いますが、建設大臣も来ておりますので最後に伺いたいと思うのですが、この行政管理庁行政監察に基づく勧告とこれに対する各省庁の回答、私は、建設省関係の高速道路と地域計画なり、あるいは環境保全の問題を取り上げましたけれども、これを見ますと、私が指摘をしましたけれども、勧告と回答は、形の整った、もっともらしい内容になっておると思います。ところが現実に、その問題点の勧告に対して、回答どおりの処理がされておるのかどうか、はなはだ疑問だと思います。  特に取り上げました阪神高速なりサービスエリアの問題、これは時間の関係で全部問題にできませんでしたけれども、これらは建設主体である公団に対して、建設省がどういう指導をしていくか、指導するという処理の問題でありますが、これが不備、不十分な面が多かったのではないかと思うのです。建設省自身が処理をするということでなくて、建設主体の公団というものが別にあるわけでありますから、そういう点があったと思いますが、結局、勧告に対する回答どおりの処理がされていない面が多い。回答が回答だけに終わって、守られていないという、まさに新たに勧告を必要とする事態が生じておるのではないかとさえ思います。少なくとも行政管理庁に対しまして回答を行なった以上は、建設省はその回答どおりの実行をされるようにしていただきたいと思うのです。この点はいかがでございましょう。
  126. 大田宗利

    ○大田政府委員 行政管理庁が勧告をいたしましたあと、回答をいただきます。その後もう一度回答をいただきまして、その回答の内容につきまして、まだ実現できていないという状態のものもあろうかと思います。したがいまして、勧告後、大体三年ぐらいあとに、もう一度再監察を実施いたしておるのが普通でございます。行政管理庁では、これを推進監察と申し上げておりますけれども、この推進監察によりまして、まだ実現できていないというものにつきましては、再勧告という方法をとっております。この監察は四十六年度でございますので、もう推進監察の時期に来ていると思いますので、ただいまいろいろお聞きいたしましたので、その辺を踏まえまして、推進監察に入れるかどうかという問題につきまして御検討申し上げたい、こういうふうに思います。
  127. 保利茂

    保利国務大臣 行政管理庁の大きな任務であります監察、勧告の機能というものは、私は、これがすなわち、国民のための行政を確保していく上での大きな、非常に重要な機能、使命だと思っておるわけであります。勧告をいたした対象省庁、それぞれ非常に熱心に、高い能力を持った人たちがやっておる。またその監督下にある公団等でも、それぞれ高い能力を持って心配をしてやっておるわけでございますが、何さまやはり絵にかいたようなぐあいにはいかぬと思うのです。いかぬと思うのですけれども、やはりこれは生かされていかなければならない。生かされていく、また生かさなければならぬという回答を得ておったわけです。それが実は放置されておるというようなことについては、行政管理庁としては、みずからの使命を反省して、推進監察をやらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  128. 木下薫

    木下委員 終わります。
  129. 野呂恭一

    ○野呂委員長代理 和田貞夫君。
  130. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 まず、この法案について、ちょっと質問したいのですが、この提案理由に、環境行政の運営体制を強化するため、環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正するのだ、こういうようにあげられておるわけですが、まず第一の環境庁設置法改正で、企画調整局に環境保健部を設置するということ、これは国家行政組織法との関連でそのことができるのかどうか、どういうように考えておられるのか、まず、その点お聞きしたいと思います。
  131. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 現在の国家行政組織法では、直ちにできるわけではございませんが、御承知のように庁の局ないし官房に部を置くという問題につきましては、昨年すでに提出され、現在、本委員会において御審議中でございます国土総合開発庁法案の附則において、国家行政組織法の改正をいたすということにいたしておりますので、その点を受けまして、本法におきましては、特にその点には触れないで出しておるわけでございます。
  132. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 国土総合開発庁法は、まだ審議の過程であって、質問は終わっておりますけれども委員会でもまだ可決してないのです。ましてや国家行政組織法が改正されておらないこの時点で、やはりその点も含めて提案してくる、こういうのが筋じゃないですか。
  133. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 国家行政組織法の改正をどこでどういう形でやるかというのは、確かに先生御指摘のように、いろいろ問題のあるところでございますが、一応政府といたしましては、昨年度提案をいたしまして、いわば先議されるべき法案の中におきまして、そういう改正規定を織り込んでおりますので、その審議の順序として、御否決になればまた別でございますが、一応政府の考え方としては、そういうふうな国家行政組織法の改正を含めて御審議をいただきたい。それを受けまして、いわば後行ずるこの法律あるいは科学技術庁の安全部等も同じでございますが、そういった法律については、特に新たな手当をする必要はないというふうに考えておるわけでございます。
  134. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、国土総合開発庁設置法が通るまで待っておけということですな。
  135. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 これは国会の御意思でございまして、いずれの法律が先行して議決されるかということにもよるわけでございますが、たてまえといたしましては、先行して議決される法律におきまして、そういう改正が行なわれるということが望ましいことであると考えとおります。
  136. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは、いま政府のほうが、そういう答弁でありますので、国家行政組織法が改正されぬ限りにおいては、これは審議の対象にならない、こういうように思いますので、これはひとつ、委員長のほうで善処方をお願いしたい。  第二の点ですが、行政管理庁設置法改正で、環境問題を迅速かつ的確に把握し、環境行政の適切な運営に資するために、一つ管区行政監察局と、それから沖繩行政監察事務所で、環境庁所掌事務の中での調査資料収集等の事務を行なう。二つ目が関東及び近畿の管区行政監察局に総務部を置くというのでありますが、提案の理由にある環境行政の運営体制を強化する、こういうことから、行政管理庁設置法改正案が出されておるのですが、一体それに伴う陣容と配置計画であるのか。先ほど私のほうの木原委員が質問いたしましたら三十名だ、こういうことらしいのですが、この三十名で、あなた方大ものの大臣おすわりになって提案されておるのに、この提案理由に相当する、対処をしていく陣容であるというようにお考えなんですか。
  137. 保利茂

    保利国務大臣 まあ見方見方でございましょうけれども環境行政事務が大幅に地方自治体府県に委譲され、事務配分が適切に行なわれて、そして環境庁地方庁とで協力して環境行政が進められている。その中で府県の領域を越えて調査をし、情報を集めなければ、今日の公害の事態に対処して、環境保全を全うしていくことはむずかしいというような考え方が頭の上で考えられる。それで実際問題として、どれだけの事業量がいま直ちに要請されるかということについては、私は、まだ的確に言うことはできないだろうと思う。しかし、そういう必要があるということを環境庁が強く感ぜられて、できればひとつ、環境庁出先機関をつくりたいということが趣意であろうかと思います。  しかし、まだ事業の量も、あるいは質も十分把握できないという状態において、それでは出先機関ができるまで放置しておいていいのかというとそうもいかない。そこで、どこかの役所で、どこかの機構を臨時的に使っていくところがないかといいますと、それぞれみんな実施官庁である、行政管理庁は比較的なじみやすい。あるいは調査であるとか情報収集であるとか、あるいは行政相談であるとかいったような、しかも全国ブロックに管区、全県に地方局を持ってなじみやすい業務であります。しかしながら、本来の環境行政の中にありますところの立ち入り検査であるとかそういったような、行政管理庁としてなじまないような権限はないわけでございます。ただ、広域的な公害に対する調査であるとか、あるいは情報収集であるとかいうことに限定をされて、そして一応試行的にやってみよう、引き受けてみようということで出ておるわけでございますから、いずれにいたしましても、今回の措置は、非常に大事でございますけれども、暫定的な性格を持っておるものだ、私は、そういうふうに理解をいたして任務に当たりたい、かように考えております。  それには三十名じゃ少ないじゃないか。少ないという方もあるだろうし、三十名でも多いじゃないかという方もありましょう。ですから、とにかく管区別に二、三名ずつ、それからまた、非常に公害の発生が著しい、たとえば千葉県であるとか神奈川県であるとか兵庫県であるとか岡山県であるとかいうようなところには、地方局にも一人ずつ専門家を配置したいということで、とにかくやってみるということでやらしていただきたい、こういうふうに考えております。
  138. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 三十名で多い少ないということ以前の問題として、それだけの配置をして、所掌事務としての調査活動あるいは情報収集活動ができるということであれば、私は、これはむだでないと思う。しかし中途はんぱなやり方で、それができないということであれば、ただ形だけつくった、結果的には、十分に地域の住民の要望にこたえることができなかった、こういうことであれば、むだな機構の改革であるし、むだな人員配置である、こういう結果になると思うのです。  そこで、その三十名なら三十名が、調査官として管区の監察局なりあるいは地方監察局に配置される、これは全部事務屋さんなんですか、技術屋さんなんですか。
  139. 保利茂

    保利国務大臣 具体的には、政府委員がお答えいたしますが、私の感じからいたしますと、とにかく公害自体を広域的にとらえる、あるいは調査するということは必要だと思いますが、それだからといって、やはり人間でございますから、そういう訓練された人を得るということは、なかなか容易じゃなかろうと思うのです。その点、行政監察ならなじみやすいというのは、そこのところを私は申し上げておるわけで、行政監察に精通されている人たちが、行政管理局の中に相当いるわけでございますから、そういう人たちが簡抜されてこの任に当たるのじゃないか。ただ、その事務、技術のいずれかは、それぞれ行政管理庁の中の人的構成等を見て考えられるべきであろうと思います。別に考えがあれば、政府委員からお答えを申し上げます。
  140. 木下薫

    木下(薫)政府委員 ただいまの管区段階配置いたします三十名の調査官の内容でございますが、現在のところ、その担当いたします仕事が、特に広域的な問題についての情報収集とか、一般問題についての調査、あるいは相談の受け付けなり照会に対する回答というような点にかんがみまして、それとあわせて行政管理庁の職員の現在の態様からいたしますと、ほとんど事務屋であろうと思います。つまり、本来の環境庁長官なり府県知事に委任されておりますような立ち入り検査とか規制というものは、そういうきわめて専門的な要素は、今回の業務には入っておりませんので、考え方としては、行政監察の経験を積んだ、いわゆる一般地方事務職員がこれに当たるということになろうかと思います。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 事務職員らしいんですが、そうすると、情報収集はできても、具体的に公害発生源であるとか、あるいは公害企業に直接介入して調査するということになりますと、やはり抜術者が必要ですね。そういうような活動はしないわけですか。この調査というのは、どういう意味ですか。
  142. 木下薫

    木下(薫)政府委員 もちろん、そういう専門技術的な要素も必要だという御趣旨は、わかるわけでございますが、その点については、今後の仕事がどういう形でどういうものが環境庁から流されるかという具体性に応じまして、環境庁のほうで十分研修なり連絡を積んでいただいた上で実施させていただきたい、このように考えております。
  143. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 環境庁長官どうですか。環境庁長官の指揮によって配置された調査官が調査活動をやるのですが、その事務職の職員が、各管区に二、三名ずつ配置されて、あなたの指揮で機能が十分生かされるというようにお考えですか。
  144. 三木武夫

    三木国務大臣 八つのブロックに分かれておるわけなんです。そこにいま二つのブロックを持つわけですから、十分とはいかないですけれども、いろいろ問題が起こる、そうすれば、機動的にそこへ派遣をしまして、調査したり対策考える、その機動性が要求されるわけです。そういう点で、これは将来もっとふやしたいと思うのです。そうでないと、いつもわれわれの行政の中で、突然いろいろな問題が起こるでしょう。直ちに行って調査をして、対策考えるというようなときには、いまの機構では機動性がない。この調査官というものは、将来大いに生かしたいという夢を持って提案をしておるわけであります。
  145. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 結果的にむだのないように、せっかく機構改革したら——私は、反対する立場じゃないわけなんです。せっかく配置しても、それが中途はんぱな機構改革、配置のために、あなたの指揮に従って十分な調査活動ができない、それが住民の要求にこたえられないということになれば、これは、むだな結果になるわけですよ。それをむだにしないように、ただ職員を少なくしたらいいんだというんじゃなくて、やる限りにおいて、やはり機能を十分生かされるように、先ほど保利長官のほうから、暫定的だということを言われたわけですが、やはり住民の要求にこたえるように機能を生かす、役割りを果たしていただくように、私は、強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、公害が発生した後において、環境庁としては対処していく、あるいはその原因を追及していく、究明していくというようなことじゃなくて、予防措置についても、これを十分生かして、せっかくの機能を果たしてもらいたいものだと思うのですが、その予防措置についても、やはりこの役割りを果たしてもらえるんですか。
  146. 信澤清

    信澤政府委員 私から若干御説明申し上げます。  先生御案内のように、公害関係の規制の主体というのは、現在、都道府県以下の地方公共団体にお願いをいたしておるわけです。したがって、情報収集調査等もいままで、現在もそうでございますが、都道府県にやっていただいたわけでございますけれども、今回お願いいたしておりますのは、大臣が申し上げましたように、最近、府県の境界を越えた広域的な問題が起きておるから、これに対応する体制をとっていただく、こういう趣旨でございます。  御指摘のように、私どもは、公害の未然防止ということが何よりも大切なわけでございますので、第一義的には、やはりそういう規制の権限は都道府県、市町村が持っておるわけでございますので、都道府県、市町村の段階でできるだけ早くそういった事象を発見していただき、未然に防止する措置をとっていただく。ただ、間々ものごとの処理がおくれているという実情がございますので、今回こういう体制をとることによって、いま大臣が申し上げましたように、事が起こりそうであれば直ちに出かけていく、こういう体制をとりたい、こういうことでございます。
  147. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いいことに違いないわけですが、それじゃ具体的にお伺いしたい。  この前、国土総合開発庁のときに、琵琶湖の総合開発の関連で私、質問いたしました。琵琶湖の中部流域下水道の処理にあたって、人工島をつくって、そして浄化センターをつくる、このことについて、この前、建設省のほうにお聞きいたしましたが、浄化センターを配置する六十七万平方米に及ぶ人工島をつくることについて、これは常識的に考えて、当然、湖底のヘドロをかき回さないで人工島をつくるということはできないわけなんです、どんな工法をもっていたしましてもね。  ところが、建設省のほうは、この間、河川局長が来て、そのことによって下流の流域住民に影響をもたらすということは絶対にない、責任を持てるかと言ったら、責任を持てる、こういうふうに答弁しているわけです。建設省きょう来ていると思いますが、あらためて、この前の河川局長の答弁間違いないですな。
  148. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 大津市の人工島の問題でございますが、滋賀県において現在、琵琶湖総合開発計画の一環として地方港湾をつくる、その大津港の整備に関連いたしまして施行するように私ども聞いておるわけでございますが、これにつきましては、私どもとしては、滋賀県のほうから埋め立て免許の申請があれば、十分に環境上の問題も配慮して措置したい。琵琶湖全体を濁すような埋め立ての工法その他につきましては、十分責任をもって措置するというのは、前回、河川局長が申し上げたとおりでございます。
  149. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その地域の住民といろいろ約束された工事を同時にやっておらないわけです。たとえば騒音につきましても、かなり激しい騒音である。それで住民のほうが県に行ったり、あるいは草津市に、騒音基準をはかれ、こういうように要望いたしましても、なかなかはかってくれない。住民のほうが、自分たちの力で学者グループに依頼をして騒音をはかったら、八十ホンに達しておる。そして、この地域の住民が勉強できない。約束した工事についても、そのとおりやっておらないという不服を言ってきているわけなんです。工事が湖水をよごさない、下流の流域をよごさないということであっても、住民との約束で迷惑をかけないと言いながら、結果的に、もうすでに工事自体迷惑をかけておる、こういうことについてはどうなんですか。
  150. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道の事業を担当しております井前でございますが、ただいまの御指摘につきましては、工事施行中におきまして、そのような迷惑がかからないようにということで、われわれも常に県のほうを指導しておるわけでございますが、第一点の水の濁りの問題につきましては、矢板を打ちまして、あと土を埋めるわけでございますが、埋める土につきましても、なるべく湖をかき回さない、山土等を持ってきて埋めるようにということも相談しておりますし、それから騒音等につきましても、人家もございますので、地元と約束したようなことにつきましては、十分守ってまいるようにというような指導をしておりますが、ただいまの先生の御指摘もありましたので、なおこの点は十分県のほうを指導していきたい、かように考えておるわけであります。
  151. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 騒音が基準を越えておるかどうかわからない。非常にやかましい、勉強もできない。はかってくれといってもなかなかはかってくれないということになれば、これは住民を全く無視したやり方です。そういう点についても、県や市のほうを十分指導して、住民が納得いくように、騒音が高ければ騒音を下げるというような配慮をしなければならぬと思うのです。  あるいは湖水をよごさないようにするということをいま言われたけれども、現実の問題として、この湖水がよごれて、そして魚が死んで浮いておるじゃないですか。これで湖水がよごれてないなんて言えますか。あるいはいままで蚊が発生しなかったのに、ユスリカという大型の蚊が発生するという原因もつくっておるじゃないですか。これで湖水がよごれてないというふうに言えますか。あるいはこれに対して、住民が、今後工事公害を極力監視しなければいかぬ、こういうことで、丸太二十本ばかりで監視やぐらを建てようとしたら、県のほうがいかぬというようなことで、住民運動にも水をかけるようなことをしておる。そういう態度や、あるいはあなた方自身が水をよごさないようにすると言いながら、現実に蚊が発生したり、あるいは魚が死んで湖水面に浮いておる、そういうような姿を見て、どうですか、水がよごれておらないというふうに言い切れますか。
  152. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 琵琶湖の水質につきましては、御指摘のようにだんだんよごれつつございます。これらの原因につきましては、いろいろございますが、いずれにいたしましても、琵琶湖に流入する栄養塩、農地排水あるいは下水道の未処理用水その他から出てまいるわけでございますが、そういう栄養塩に見られます湖独特の富栄養化というような問題がございまして、琵琶湖の水質が悪化しておることは事実でございます。  私ども、琵琶湖の環境保全とともに、水資源を開発するための琵琶湖総合開発事業の実施にあたりましては、そういうような問題を十分配慮いたしまして、その主たる原因である琵琶湖流域からの排水に基づく琵琶湖の富栄養化防止対策ということの一環といたしまして、ただいま下水道課長から説明いたしました下水道事業の流域下水道の推進ということ、それから他の、河川行政以外の面もございますので、関係機関ともども協議いたしまして、琵琶湖の富栄養化を防止して、水質改善に寄与しようということで、対策協議を進めておる現状でございます。
  153. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間を委員長から言われるので、私が質問したら、その質問にひとつ簡単に答弁してください。そうしないと困るわけです。  水がよごれておるということは、確かにあなたの言われたこともあるでしょう。しかし住民が訴えておるのは、この工事が始まったことによって、いままでわかなかった蚊がわいておる、いままで魚が泳いでおったのが死んでおる、こういうふうに訴えておるわけです。どうですか。
  154. 井前勝人

    ○井前説明員 ただいまの人工島の建設は、水質を守るための事業でございますので、守るための事業が、このような被害を起こすことは、われわれとしては本意ではございませんので、細心の注意を払って工事を進めるように指導していきたい、かように考えております。
  155. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それで、いま申し上げましたように、あなたのほうも、やはり十分この指導をするという、住民のほうも約束をたがえて工事をされるのでたまったものじゃない、だから、住民がやぐらを組んで監視していくのだ、こういう住民運動をやっているわけですね。それを県がいけない。やはり堂々とあなた方の指導が十分生かされて、住民に迷惑をかけぬような工事をやるのであるならば、別に住民が監視することを阻害する必要はないじゃないですか。にもかかわらず、県当局がやぐらをつぶしてしまえ、こういうことをいってきておる。住民は、これに対しまして、行政不服審査請求をいまやっておる、こういうことであります。せめて住民の要望をそういうように生かすためにも、そんなばかげたことをする必要はないというような行政指導も県にやってしかるべきだ、こういうように思うのですが、どうですか。
  156. 井前勝人

    ○井前説明員 ただいまの問題も含めまして、十分県のほうを指導していきたいと思います。
  157. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 人工島の作業はそういうことでありましても、浄化センターについては、責任を持って、将来にわたって下流流域の住民に迷惑をかけることがないということは断言しなかったですね。人工島の造成事業については、迷惑はかけぬようにやる、しかし浄化センター自体が完成して稼働したときに、今後住民に迷惑をかけないということは約束されなかった。それはどうですか。
  158. 井前勝人

    ○井前説明員 この浄化センターをつくりまして、そのために住民に被害が起こるようなことは毛頭考えておりません。
  159. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 環境庁にお尋ねしますが、二次処理としての活性汚泥法による排水処理ですが、それによって重金属類が完全に処理されますか。技術的な面からひとつお答え願いたい。
  160. 森整治

    ○森(整)政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、ただいまの浄化センターの下水道の処理につきましては、一応二〇PPMということで排出口を押えております。したがいまして、重金属そのものの除去ということを目的としておるよりも、BODで二〇PPMということの計画だと思いますが、先生御指摘のように、もし瀬田川等へ放流するということでございますと、現在の環境基準からいいまして、それが守られるかどうかについて、若干問題があろうかと思います。したがいまして、もしそういうことであるとすれば、今後とも建設省とよく御相談をいたしまして、三次処理ということで対応をしていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  161. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 重金属類は完全に処理できないのでしょう。
  162. 森整治

    ○森(整)政府委員 考え方といたしましては、むしろ排水の工場の段階で重金属の汚染を押えていくということでございます。しかし水質汚濁法の考え方といたしましても、下水道の排水口で現在の健康基準、健康の項目、それが守られるような水質を維持していくということが、現在の法律のにてまえでございます。また、それを守っていくというのが、われわれの義務だと思います。
  163. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この三次処理についても考えていくべきだということですが、濃度規制をいま言われたと思うのですが、環境庁としては、今後総量規制ということを考えられないですか。
  164. 森整治

    ○森(整)政府委員 御承知のように、瀬戸内海の臨時措置法で、三年間暫定でございますが、一応総量規制的な考え方を導入いたしまして、ほかの閉鎖性水域、琵琶湖もそうだと思いますが、そういうところにつきましても、なるたけ早くこの措置をとりたいと思っておりますが、若干問題がございます。それは何かといいますと、ただいまCODということでやっておりますけれども、結局それを連続に測定をしていく機器が必要であるという考え方から、その全酸素要求量、TODといっておりますが、それとあるいは炭素をはかっていく、こういう考え方をとる方法が考えられないか、そういう点についての検討を進めております。それから環境容量をどのくらいに押えていくかということも、ただいま調査をいたしております。これを終わり次第、可及的すみやかに総量規制の考え方措置をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  165. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その時期はいつごろですか。
  166. 森整治

    ○森(整)政府委員 いつということを明確に申し上げられませんが、ともかく一日も早くという考え方で処置をしてまいりたい、こういう考え方でございます。
  167. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この浄化センターは、昭和五十一年完成ということです。昭和五十一年になれば、これは稼働していくんですよ。それまでに間に合いますか。
  168. 森整治

    ○森(整)政府委員 私の気持ちとしましては、それまでには必ず間に合わせたいという気持ちでやっております。
  169. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そこで私は、環境庁お願いしたいのは、できるだけ早い機会に総量規制の方針を打ち出してもらうと同時に、いま機器についても、開発途上だといわれるわけですから、それも促進していただく。この琵琶湖の処理いかんによっては、建設省もできるだけというけれども、これは当てにならぬ。それから工場排水から重金属類が放流されないということは、だれも断言できないでしょう。そうすると、瀬田川に放流されて宇治川に注がれて淀川に注がれて、その淀川の流域で、大阪の府民なりあるいは京都の府民なりあるいは兵庫県の県民なり、実に一千三百万から一千五百万の住民が飲み水にしておるわけです。淀川流域を工業用水だけに使うということであれば別として、それだけの一千三百万から一千五百万に及ぶ住民の飲み水なんです。そういう住民の飲み水だということを十分頭に置いてもらって、この河川汚濁は、あるいは港湾の汚濁あるいは海域の汚濁と違って、この点については問題なく対処していただかなければいかぬと思うのです。  したがいまして、そのような総量規制の基準をつくって、そしてあなた方のほうで対処していくまで、この工事については当然中止さすべきだ、中止が無理であっても延期さすべきだ、こういうように思いますが、どうですか、最高責任者環境庁長官
  170. 森整治

    ○森(整)政府委員 どういうことであろうと、ただいま環境基準というものを設定しております。瀬田川にしましても、淀川にしましても環境基準が定められております。そこで有害物質につきましても、規制項目がございます。検出されないとしても、いろいろ項目がございます。そういうことにつきまして、われわれといたしましては、まずその地点ごとで観測をいたしまして、そういうことが起こらないということをまず保障すべきだと思っております。それが第一でございます。第二は、先ほどのような工事につきまして、もちろん建設省も御努力されると思いますが、われわれのほうも、建設省にいろいろ問題を起こさないように注意をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  171. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そういうことでは、非常に住民が不安なんですよ。住民が不安であるがために、事この問題につきましては、琵琶湖周辺の住民さえも反対をしておるし、あるいは下流流域については、いま申し上げましたように、いろいろ不安のために高槻の市議会あるいは堺の市議会、泉大津の市議会、それぞれ満場一致で反対決議をして、建設省なりあるいは事業をやっておられる滋賀県に対して強く要望しておるわけです。和泉市の場合は、議会じゃなくて、行政担当者のほうから強い反対の申し入れをしている、こういう姿であります。住民だけじゃなくて、自治体自身がそういうようなことで非常に不安がっている、こういうことでありますから、いま御答弁のように、できるだけ努力するとか、環境庁が立ち上がって建設省のほうに十分注意をしてとか、あるいは留意をさすというようなことじゃ、住民が納得しないわけですよ。私も水を飲んでいる一員でありますから、そういう答弁じゃ納得しません。私は、やはり住民が十分に安心するように、あなたのほうで自信を持って、絶対に被害を起こさないのだ、これなら被害は絶対に起こらない、そういう国会の席上で環境庁長官が答弁できるような形になるまで、この作業を中止あるいは延期さすべきだ、こういうように言うているのですが、どうですか、環境庁長官
  172. 森整治

    ○森(整)政府委員 大臣からお答えいただく前に、私から申し上げますが、草津の浄化センターそのものにつきましては、もちろん工事でいろいろ問題を起こしてはいけないことは当然でございますが、ともかく水をきれいにしていこうという措置でございまして、いまの計画によりますれば、二百二十何トンかの汚濁を二十トン程度に、一割程度に下げようという施設でございます。その施設の意味は、ひとつ十分御理解いただきたいと思います。  しかし、先生御指摘のように、下流の住民が心配されておるということにつきましては、私も陳情を受けております。そういうことにつきまして、私が申し上げましたのは、ともかく川の水そのもので問題があるかどうかということを常に監視をしていく。そこで何かおかしなことが起こりますれば、直ちにその原因、たとえばもし工事があれば、その工事をストップするということもあり得ると思うのです。そういうことも含めて、私、先ほど答弁申し上げたつもりでございますが、ことば足らずとすれば、非常にあれでございますが、そういう気持ちで対処をしてまいりたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  173. 三木武夫

    三木国務大臣 いまお答えしましたように、これは飲料水にもなっているわけですから、十分監視をして、そして変化が起こったならば、住民に被害を与えないように対処いたします。
  174. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは起こったらもうおそいんですよ。私も被害者の一員です。そういうようなことで、被害が起こったら、あるいは問題が起きたらというようなことじゃ、事、飲料水の問題については、私は納得できません。だから、私が言うておるように、環境庁のほうで自信がつくまで延期をしたらどうだ。さらにつけ加えて言うならば、家庭排水は完全に処理できるのだから、家庭排水は問題ない。工場排水を一緒に共同処理するというところに問題があるわけです。だから、工場排水を一緒に処理するということであれば、あなた方のほうで自信がつくまで工事をやめさせなさい。それでなければ、もう一つの方法として工場排水は別に処理する、そうして下流域の住民を安心さすべきじゃないか。二者択一ですよ。工場排水を別に処理される、あるいは一緒に処理されるのであればひとつ自信がつくまで待ってもらいたい、こういうことを私は言うておるわけです。どうですか。
  175. 森整治

    ○森(整)政府委員 確かに御指摘のような考え方もあろうかと思いますが、下水道の出口のところで押えることが一つ、それから下水に入ってくる工場の排水そのもの、そこを押えることが一つ、いずれも同じ基準でですね。まず私、申し上げたいのは、工場排水そのものを、変なものは出さないような措置をとることが重要だと思います。それから、常時監視をしますけれども、もし万が一出てくれば、下水道管理者としてのチェックもございましょう。また下水道のほうの出口のところの監視も怠ってはいけない。こういう二重の措置によって、そういうことを切り抜けていく考え方で対処すべきだ、こういうふうに考えております。
  176. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ところが、完全に処理せられないから、これがもう重金属類その他の有毒物質有害物質が流入しないということを、だれも保障できないんですよ。ただ基準を上回っておらないのだということを、チェックするというだけの話です。これは工場がもっとふえてくればどうなるのですか。そうなってからじゃおそいから、私ば言うておるわけで、一つの方法としては、工場排水を別にしなさい、工場排水を一緒に処理するということであれば、あなたのほうで総量規制の基準ができるまで延期をしなさい。何も無理なことを言うておるのじゃない。それをゴリ押しに、こうなんだ、ああなんだと言われたところで、住民の一人として、将来被害者の一人にならんとする私たちは、納得することができないんだから。そのくらいの立場に、環境庁としては立ちなさいよ。
  177. 三木武夫

    三木国務大臣 これは飲料水になっておるのですから大問題ですが、住民に被害が起こるような状態ではないわけです。常時監視するんですからね。水の変化というものに対して監視をしておるわけですから、住民に対して被害を与えないように万全の措置をとる考えでございます。
  178. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 あまり時間がありませんので、長官、あなたにひとつ私はお願いしたいんですがね。そういうように将来にわたって住民が安心できるまで延期せいと言うたところで、なかなかそういうような態度になられないのであれば、長官みずから一回現地におもむいてもらって、地域の住民あるいは下流の府県や市の代表者——住民だけじゃないのです。議会が決議しているところもあるんですからね。そういう人たちと会って、あなたみずからが責任を持ってこうするのだと言うて、住民が安心できるような措置をとるために、一回足を運んで視察をしてもらって、住民意見をみずから聞いていただく、そういうようなことはお考えになってもらえませんですか。
  179. 三木武夫

    三木国務大臣 琵琶湖というのは、問題があるところですからね、私は、一ぺん現地を見たいと思っております。瀬戸内海なんかも見まして、そのことが瀬戸内海の環境保全の前進の動機にもなったわけですから、そういう考えでおります。
  180. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 琵琶湖を見てもらうだけじゃなくて、大阪府あるいは兵庫県の、知事やら反対決議をしておるところの市長やら議会の代表者なんかと会ってもらう機会を一回つくってくださいよ。どうですか。
  181. 三木武夫

    三木国務大臣 それは、現地へ行けばみなそうするんですよ。ただ、われわれが見るだけでなしに、現地住民の意向も聞くということが、現地視察の目的の一つでもあるわけです。
  182. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、それはできるだけ早い機会にやってほしいと思います。そのことを重ねて長官のほうにお願いしておきたいと思う。  時間が来ましたので、保利管理庁長官、あなたに一つだけ聞いてもらいたいのですが、大阪に通産局があるんですが、これは、もちろん通産行政ですからなんですけれども、物価問題について、東京まで行くのは、旅費もかかることだからということで、いままで何回も地域の住民組織の方々、消費者団体の方々あるいは労働組合の方々が通産局の局長にお会いしたい、陳情したいというても、一ぺんも会うたことがないのです。私も、この間腹が立ちましてね。たとえば二月の六日に、大阪の消団連の人たちが前もって約束しておるのに、その日におらぬのです。どこへ行ったかと調べたらおった。京都へ行って、京都の経団連の連中と会うておる。消団連の方々には会わないで、同じ時刻に経団連の方々とちゃんと会うておる。前に約束してあった。この間も四月の二十七日に、今度電気料金の値上げについて、非常に心配をなさる消団連なり、あるいは労働組合の方々が、五月の十八日に局長とお会いしたいということを一カ月前に申し入れている。ところが、その当日会わないのです。総務部長その他の代理の者が会う。私にも局長と会うのだから帰ってこいということで帰ったのですが、局長に会えない。いまだかつて会うたことはないのです。そういう出先の長の考え方。これは直接は通産省の仕事でありますけれども行政監察の立場から、住民の代表者の方々に会う姿勢をつくるべきだという行政監察をしてもらいたい。この機会にお願いしておきたいのですが、いいですか。
  183. 保利茂

    保利国務大臣 何といいましても、行政国民との間にすき間ができないように、特に陳情等は進んで、各省庁ともずいぶんめんどうはめんどうでしょうし、忙しくもあるわけですけれども、私は、個人的にもそういう姿勢が絶対に必要だと感じております。いまお話を伺いますと、どうも公務員の服務上の問題のようにも考えられますし、人事院なりあるいは総理府人事局の問題であろうかと思いますが、具体的にあげてお話しでございますから、通産大臣にこのことはよくお伝えいたしておきます。反省を求めるようにしたいと思います。
  184. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、三木長官によろしくお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  185. 徳安實藏

    徳安委員長 鬼木勝利君。
  186. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 三木先生には、かねがねたいへんお世話になっておりますが、久々でお目にかかって質問をすることになって、まことに光栄です。保利先生は、私のお隣でございますので、かねがねよく存じておりまして、格別御尊敬を申し上げております。きょうは三木先生は、本会議後お忙しいそうですから、どうぞ御自由にけっこうでございます。保利先生は、最後までおっていただくそうでございまして、まことにありがたきしあわせでございます。よろしくどうぞ。  そこで、いろいろお尋ねしたいのでございますが、三木先生はあとでお留守になりますので、まず環境庁のほうからちょっとお尋ねしますが、企画調整局に環境保健部を設置する、こういうことになっておりますが、おたくの機構組織図もいただきましたが、部を置くことは組織の変更をしなくてもできますか。
  187. 信澤清

    信澤政府委員 部を置きます場合には、当然、今回御提案申し上げておりますように、設置法改正が必要でございます。
  188. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、先般、国土総合開発庁の法案審議の場合に、大臣と一官房五局と一部を置く、こういう改正の法が出ておりましたが、それと同じことに解釈してよろしゅうございますね。
  189. 信澤清

    信澤政府委員 内容的には同じことでございます。
  190. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、いままで企画調整局に環境保健部を置いていなくて、どういう点で不都合な点があったのか。部を置かなければいけないというはっきりした根拠を承りたいと思います。
  191. 三木武夫

    三木国務大臣 鬼木さんがカムバックされましたので、祝福をいたします。  一つには、二つの新しいい法案が通ったのです。公害健康被害補償法と化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律が通りまして、それを所管する部局が必要なんで、いずれも重要な法律であります。その上、公害病の原因をもう少し科学的に究明する必要がある。原因の解明されないような問題も多いわけですから、こういうのに従来のような機構では十分でないということで、部を設置することにいたしたわけでございます。
  192. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大体そういうことであろうとは私も想像いたしておりますが、次に、急いではなはだ恐縮ですが、第二の、行政管理庁設置法改正して、行政管理庁地方支分部局に環境庁所掌事務の一部を分掌させること、つまり、全国の八管区、八ブロック環境庁の職員を派遣するのですか。あるいは環境庁の職員のままで行管に出向させるのか。そして指揮監督は環境庁長官がする。あるいは行管の職員そのままで環境庁仕事をさせる、そして指揮監督は環境庁長官がやるのか。その辺のところが非常にあいまいではっきりしていない。そういう点を考えました場合には、私は、これはどうも二重国籍のようなもの、二重国籍ということばは穏当であるかどうかわかりませんが、そういったような気持ちがせぬでもない。この点、環境庁局長さんでも、だれでもいいがお答え願いたい。
  193. 木下薫

    木下(薫)政府委員 先生のお尋ねにお答えいたしたいと思いますが、今回の環境庁事務行政管理庁の出先である管区行政監察局等で行ないます場合の職員の問題でございますが、身分は行政管理庁の職員でございます。ただ、監察等の仕事に従事しておる職員とはっきり区別いたしますために、調査官という職名をもちまして、環境庁長官の指揮監督を受けて仕事をする、こういう体制に相なっております。
  194. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私、申し上げているのは、それでわかりました。それじゃ環境庁の職員で環境庁長官の指揮監督を受けて 実際は行管の職員だ。行管におるんだ。そうすると、ある場合は行政監察局長の指導を受ける、指揮下にある。ある場合は環境庁長官の言うことを聞かなければならぬ。心は二つ、身は一つ。これは実際非常に不便でないか。また、職員その者も非常に困る場合がありはせぬか、そういうところをもう少し的確に、そんな事務的なことはもう言わぬでもわかっているのだから、実際問題としてもう少し明快に御説明願いたい。
  195. 木下薫

    木下(薫)政府委員 先ほどの点をもう少し補足して申し上げますと、環境庁の今回の仕事をやります職員は、行政管理庁の職員でございます。ただ、環境庁長官の指揮監督を受けますのは、管区行政監察局長が指揮を受け、その管区行政監察局長の指揮を受けて、環境庁関係の仕事をやるのに調査官という別な組織、職名の者をもって従事させる、そういう仕組みにいたしておるわけでございます。
  196. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから、私は一本にはできないのか、こう言っているのです。頭が二つある、おやじが二人おるようないき方なんですね。これは保利先生もお見えになっておるけれども、こういうのは、ほかにもあるんですね、県あたりでも。労働省の国家公務員でありながら知事の指揮下にある。安定所の職員とかあるいは労働基準監督局、ああいうのは、二重国籍みたいになっている。あれは、みな一本にしなければいけないということを盛んに言っておるようですが、どうもそういう点は、もう少し検討されたほうがいいんじゃないですか。これは保利先生、あなたの御意見、御高見はどうですか。
  197. 保利茂

    保利国務大臣 全くごもっともで、お気持ちはよくわかるのです。よほど運営に気をつけないと困るという場合が起きるだろうと思うのです、環境庁長官が広域的な公害問題に関して置かるべき調査官に命を下される、業務命令をされる。そうすると、そこには管区の局長がおる。その者は、今回これに携わる人たちは、身分は行政管理庁の職員である。当然、身分上は局長の監督下にあるわけであります。その監督者である局長が、どう  いう仕事環境庁長官から来ておるかも知らないということでは、十分円滑にいかないのじゃないか。したがって、局長は、いま調査官がどういう環境庁仕事をしておるかということを、絶えず把握をしておく必要があるだろうと思いますが、これは環境庁長官のお仕事にブレーキをかけたり、侵したりしてはならぬわけですから、その専任の調査官は、当然そういう局長の指揮はいただくべきものではない、そういうふうに感じておるわけであります。  いずれにいたしましても、先ほどから委員の方々のお尋ねの重なっております点は、その点であるわけです。本来は、やはりこれは環境庁のプロパーの出先機関を、環境庁としては必要とされておると思うのです。しかし、まだねらわれておるところの事業の量なり、質なりというものが的確に把握ができない。一方、行政簡素化という国民的な大きな課題がかかっておる。その中で新しい需要に応じていくために、とにかく試行的にこれをやってみよう。運営上、いま鬼木さんのお話しのように、よほど気をつけていかなければ、とんでもないことになるというような気もいたしますから、十分気をつけてやっていきたい、その辺は十分注意をしていく必要がある、かように考えております。
  198. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 保利先生には、私のお尋ねしておるところを全部御了解いただいたのですが、これは結局、三木先生とお二人いらっしゃるから申し上げるけれども三木先生の指揮監督をまた受けなければならぬ。そうすると、八管区の監察局長保利先生の指摘下にある。その点、いま保利大臣がおっしゃったように、よほど運営をうまくやらないと、どうしてもその間にあるいは感情問題が起きたりいろいろな問題が——それは三木先生と保利先生の間は、そんなことはありませんけれども、実際問題として私はそういうことはあり得ると思うのです。ですから、この点をなお一考あるいは再思三考していただきたいということの要望を申し上げておるわけです。それは、いまおわかりいただいたと思いますが、三木先生もその点をお考えいただいておるものと思います。一応そのことは、それで私は了承いたします。  そこで次に、もうあとわずか二、三十分しかございませんのでお尋ねをしたいのでございますが、これは主として保利先生にお尋ねしたいのですが、四十八年度のおたくからいただいておる監察事項が十項目、その十項目は読み上げませんけれども、四十八年度実施監察名一覧表というので十項目になっておりますが、これで監察をされて勧告をされたのは、わずか二件にすぎない。「四十八年度の勧告わずか二件」、しかも「物価対策は沈黙」、こう新聞に発表されております。これは相当ひどいので、「行監のメス鈍る」というように出ておるんですよ。  だから、私が考えますのに、これは監察をやっただけで、名目上監察はこのようにいたしております、あるいはそれがたとえ十項目であろうが二十項目であろうが、監察はこれだけやっております、こういうことでは、行政監察局の行政監察としては、目的を果たしたものだとはいえない。あくまで行政監察は、各省庁に対して監察した結果を勧告する、勧告するということにおいて、初めて正式に関係省庁に対して突きつけることができる、おまえのところはこうだ、ああだということで、そこで結果が出たことになる。何ぼ監察をやっても、勧告がなければ、各省庁は痛いこともなければかゆいこともない。ただ調べてもらっただけだ、御苦労妻でした、あなたたちは御迷惑なことですね、それだけのことだと私は思うのです。ところが、四十八年度のは、監察は十項目以上あるのにわずか二件。ですから、私は、こういうきびしい批判を受けるのだと思うのです。「監察の集大成である勧告にまでこぎつけられたのは「自動車損害賠償保障制度の運営」と「放射線障害防止」の二項目だけ。残りの八項目は事情があって勧告できないか、とっくに勧告を放棄している状態。」である。そうすると、これは行管庁のほうでは、決して放置しているのじゃない、監察をしても、勧告までには時日が要るからすぐそのままできない、こう御答弁をなさると思うのです。  時間の経済で、あなた方の答弁することを、私のほうから言っておきます。そうだと思う。しかし、それがとんでもない誤り。それは事と次第では、監察しても、あとのまとめが半年、一年かからぬとも限らぬ。しかし今日、一番大事なものは物価問題、いま国民がひとしく解決を望んでおるのは物価問題これより以外にはない。そういう物価問題を、監察もしないで、あるいはまた監察をしても、あなた方の御答弁のように、あとのまとめが要りますので半年一年はかかります。冗談じゃありません。物価だなんというものは、日に日に移動しております。日に日に変わっております。ことに、いまの物価の上昇状態はとんでもない。いわゆる悪性インフレだ。それを、一番大事な物価問題にも手をつけないで、しかも監察というのはそう簡単にはできません、できても、あとのまとめが時日がかかりますなんということを言っておったんじゃ、去年の物価の問題をいまここに適用しようなんといったって話にならぬ。しかも四十八年度の大事な監察が、物価問題が落ちている。これは私、先ほどから申しますように、お世辞じゃなくて保利先生のような田中内閣の大実力者の大先生がいらっしゃるんだから、こういう点は保利先生、もう少し国民大衆のために、さすがにわれらの保利先生がこうして行管長官になられて的確なことをやっていただく、こういうふうに私は望むんですよね。これは、この新聞で、「国民生活に最も関係の深い物価対策などは」と書いてある。全然やっていない。  ことに私が最も残念に思いますのは、あの石油危機の問題が起こって、日本はあげて驚愕した、非常な苦しみにおちいった。あの場合に、あの石油危機の前に、通産省だとか経企庁だとか農林省だとか、こういうところになぜ石油危機の勧告をしてもらわなかったか。そうしたならば、ああいうろうばい、ああいう国民が塗炭の苦しみにおちいるようなことはなかったであろう。私は、まことに遺憾千万だ。この点、保利先生の御高見を承りたい。
  199. 保利茂

    保利国務大臣 物価問題が今日、国民最大の政治の課題であるという鬼木さんのお考え方には、私は全く同感でございます。昨年十一月の内閣改造が行なわれましたのも、いかにしてのこの異常事態になってきておる物価状態に取り組むことができるか、そのことを示された総理大臣の御意向であると私は感じておるわけでございます。  そこで、行政管理庁としては、一行政管理庁は、これは実施官庁でもないし、いわゆる官庁機構の反省機構として、きわめて重要な意義を持っておると思うのでございますが、内閣に国民生活安定緊急対策本部をつくって、そして異常狂乱の物価状態に行政府をあげてこれと取り組むという姿勢を打ち出し、努力をいたしてきておるわけでございますから、したがって、行政管理庁がその中に果たし得ることがあるとするならば、多少のりを越えてもそれに協力をしていく、いわゆる日本の行政に対する国民の方々の不信を一挙に取り返すというぐらいの意気込みを持って取り組む必要があるんじゃないか。  そこで、たいへん行政管理庁の職員諸君には過重なことでありましたけれども、この緊急対策本部が十分その機能を発揮されて、国民期待にこたえるようにするために、行政管理庁としても、幾らか出過ぎたという感じがあるかもしれないけれども、何らかそこに貢献する道はないか、幸いに行政管理庁は、先ほど来お話のように、全国に管区、地方局を持っておるものですから、全国の物価の状態、物の動きの状態、そういうものを全国的に把握するためには、たいへん重宝な存在になっておるのじゃないか。そこで、しばらく本来の任務に多少おくれを来たすようなことがあっても、当面はこの狂乱物価の鎮静のために、行政管理庁としても、大いに能力を発揮していただきたいということをお願いいたしました。  大体、御承知だと思いますけれども、二月一日以来今日まで六回にわたって、全国の調査あるいは価格調査官の設置がどうなっておるか、あるいは標準価格の順守、標準価格の態様がどうなっておるか、あるいは生活関連物資等の動きあるいは価格の態様がどうなっておるかということについて、全国的な調査をとらえた。これは、しかし行政管理庁が管理庁として仕事をするためにやることでなしに、それぞれ実施官庁である通産省や農林省あるいは経済企画庁等、所要の主務庁があるわけでございますから、緊急対策本部に行政管理庁調査いたしました、あるいは収集いたしました情報を提供して、誤りなきようにやるということに、正直いいまして全機能をあげてこれに取り組ましていただいたということ、これは二月以来今日まで続けてきておるわけでございますが、昨今の情勢からしまして、そろそろ行政管理庁は、本来の任務に立ち戻るべきところにあるのじゃないか。片やまた、本来の任務について、おろそかになってはならないわけですから、そのほうで二重負担になりましたけれども、よく職員耐えていただきまして、この任務をやっていただいた。私は、数次にわたった調査収集、そのことをだれよりも高く——まあ私か評価しなければならぬわけですから、ほんとうに御苦労だった、よくやっていただいた、そのことば関係官庁にも私はそういう評価を受けておると思うのでございます。これは、物価問題に取り組む、貢献するということが、今日最大の課題であるということから、そういうことをいたしておるわけでございます。  さて、昨年四十八年度の監察は、どういうことをやったんだ、こういうことをやって勧告しているのは、たった二つじゃないか、仰せのとおりだと思います。それじゃ、あとは勧告放棄なのかといいますと、そうじゃないのでございます。そういうものをたくさんやっておりますが、十一項目でございますか、やっておりますが、そういう分析、取りまとめ、そして勧告すべきは勧告するというように持っていくわけですけれども、何さましばらくこの大きな仕事をやっていただいておったものですから、幾らかそっちのほうの取りまとめが手おくれになっておるということは、これはあげて私の責任でございます。役所責任というよりも、これは私自身の責任だと思うわけであります。  そこで、そろそろ本来の任務に立ち返ってやっていただきたいということは、そういうそしりが出てきますから……。ですから、せっかく昨年四十八年に監察いたしたものにつきましては、すみやかに分析、結論を出して勧告すべきものは勧告をする。特に物価の問題は、これはたいへんむずかしい問題でございます。と申しますのは、いわゆる狂乱事態の物価、昨年暮れからの物価情勢の監察は、それ以前の経済が正常に営まれているときに監察をしているわけでございます。その監察の結果、各関係省庁に勧告すべきものがあるかどうか、私はあると思います。あることについては、ちゅうちょなく勧告をいたさなければならない。したがって、勧告を放棄したなんという考えは、行政管理庁、職員を含めて私にも一切ございません。したがって、できるだけ至急に取りまとめて、非常にむずかしいと思います、何せメカニズムが変わってきておりますから、むずかしいと思いますけれども、困難はありましても取りまとめまして勧告をいたす。  問題は、要するに物価を安定させるために貢献する道が、たとえ一筋の小さな糸でありましても、発見されたら遅滞なくこれはやるべきだ、こういうふうに考えますので、ひとつその辺のところ——今日おまえはおくれたと言うだろう、だからそれは、そういうおくれたという事情は、これは私自身の責任になっております。この点は、私、初めから覚悟してこの大きな仕事に管理庁としてかかっていったわけでございますので、その辺はひとつ御了承いただきたい。決して勧告放棄をいたしておるものではございません。
  200. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまの大臣の御説明で私も大いに意を強くいたしましたが、結局いたしますところ、そういう大問題を控えておったので、全機能をあげてこれが解決に当たってきたのだ、したがって、自然他の方面は幾らか力がそがれたというようなこともあったかもしれぬ、しかし本来のわれわれの使命に立ち返って、これから十分その機能を発揮していきたい、まとめるものは早くまとめて、すみやかに勧告を出すべきものは勧告をするように努力をするという大臣の御説明で、非常に私も意を強くいたしましたが、行政管理局長にちょっとお尋ねしたいのですが、いまの大臣の御説明のような勧告ということでございますが、これは先ほどからも申しましたように勧告をしなければ意味をなさない、これが最後の決定だと思いますが、その場合に各省庁から勧告だけはやめてくれというようなことで懇願があれば、どうせ同じ省庁のお互いの問題だから、なるべくならば公表しないようにしようというようなことで、あなた方と各省庁との間の個々の取引で簡単にこれを勧告しないで、話し合いをしていくというようななれ合いの行政監察をやっておるというようなことが、あなた方は絶対ありませんとおっしゃるが、これはもうあると言ったらたいへんだから、そんなことはいささかもございませんと、こう言うだろうが、新聞なんかでは、そういうことが多分に考えられるということが出ておる。  そういう点について、管理局長はどのようにあなたやっておられるか、いまの大臣の御説明では、まことに一分のすきもないようにはっきりした御説明をいただいた。しかも田中内閣きっての大実力者です。勇将のもとに弱卒なしで、皆さん方もそのおつもりでやっておられると思うが、新聞の模様を見れば、勇将のもとに大いに弱卒あり、こういうことになる。その点ひとつ局長に御説明願いたい。
  201. 大田宗利

    ○大田政府委員 監察を実施しまして、勧告を実施しないということは、まず監察テーマの中で百本に一本くらいあるかもわかりません。大体いままでの経験では、どうしてもねらいが違ったとかいうようなことで、勧告まで至らなかったということはございます。しかし大臣勧告まで至らなかったという場合でも、その下の次官による依命の勧告あるいは局長から局長への改善意見というような処置はとることにしております。しかし、ほとんどの監察のテーマは、大体勧告に結びつくということで処理しております。したがいまして、各省間で勧告をするとかしないとか、そういうような取引は絶対にいたしません。  それから、大臣から御答弁がございましたが、一応勧告のやり方ということを若干御説明さしていただきますと、四十八年度で実施した監察は、どうしても三・四半期、四・四半期に実施した監察は翌年度の勧告ということになってくるわけでございます。したがって、若干ずれてまいります。具体的に申し上げますと、本年度に実施しました、たとえば大都市における震災対策の問題だとか、あるいは許認可等による行政監察というような、非常に大きい監察につきましては、大体年度の終わりにやっておりますので、その報告が参りますのが年度末でございます。そういたしますと、どうしても翌年度の初めの勧告になるということになろうかと思います。  それから、四十八年度に実施いたしましたもので国有林野事業の監察あるいは産業廃棄物監察というものは、間もなく大体勧告いたしたい、そういうことでいま準備中でございます。それから、四・四半期に実施いたしました日本国有鉄道の監督行政監察というように四・四半期のものは、どうしても来年度の初めになるということで、大体若干ずれるということで御了解願いたいと思います。
  202. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 本会議が始まりますので、一応私はこれで打ち切りまして、あと本会議が済んでから、保利先生御迷惑ですけれども三木先生はどうぞ御自由に。あとまだ二十五分残しておきます。
  203. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時四十九分休憩      ————◇—————    午後三時四十分開議
  204. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木勝利君。
  205. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 引き続き御質問いたします。  行政相談委員というのが、四十八年度は増員をされたが、四十九年度は増員しない。現在四千五百七十六名おる、そういうふうに聞いたのでございます。ところが、これは全然無給で、しかも全市町村におられるということでございますが、たしか年間六千円とかで、今度、四十九年度は九百円上げるという改正です。これは子供にやるのか、相手は一体だれであるのか。年間に九百円上げるというんだからね。全然話がわからぬのですが、その辺のところを、いまから研究するようなことでは、とてもわかるわけはないと思うんだ。局長、ちょっと話してください。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
  206. 大田宗利

    ○大田政府委員 行政相談委員の手当につきましては、いわゆる手当的なものはございません。活動に要しました経費を補償するという意味におきまして、実費弁償金を支払っております。これは一人当たり現在、六千九百円を支払っております。そのほか、たとえば会議費あるいは旅費というもので、合計いたしまして一人当たり一万八千円ぐらいでございます。これは年間でございます。
  207. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 確かに、いま私が申しましたように六千九百円ということですが、これも四十九年度に九百円よけい払うんでしょう。いままで六千円だった。月に五百円ですからね。給与じゃない。それはそうでしょう。そんな給与なんて世の中にあるわけはない。そんなことは言われなくたってわかっている。最初言ったように無給だ。ところが、あなた方そういうお声を聞いておられるかと思うけれども、私が地方を回りますと、行政相談委員というのは、これは、あとでまたお話するけれども、縦割りでなくして横の合同委員の会合というようなものを、いま年に四回やっているとか、やろうとか、五十年度から年に十一回、十二回というと毎月ということだが、やるようになっておるというようなことを聞いておるが、相談委員が使うところの電話料、それからタクシーなんか使ったいわゆる交通費、それはばく大なものだというのです。  六千円が今度六千九百円、月に五百円だが、何で五百円くらいなものを——実費弁償、費用弁償ということになるならば、要ったものは全部出さなければいけない。ところが、なるほど行政相談委員法によると載っております。地方で最も「社会的信望があり、かつ、行政運営の改善について理解と熱意を有する者」、そして生活の非常に安定して、いささかも生活なんかには御心配のない地方の有力な方であり、信望のあるりっぱな方、そういうような方なんだ、そういうふうに書いてある。しかしながら、事実は非常に金を使っているんですよ。これは保利先生ひとつよくお考えを願いたい。あなたは佐賀、佐賀といえばずいぶんいなかも多いからよく御承知と思いますけれども、電話料なんかばく大に使っていますね。そして、やはり相談にみえるのですから茶菓接待をしている。それから急なときにはタクシーを雇ってぱっと行っておる。地方に参りますと、そういうような声が非常に聞えてくるんです。局長は全然そういうことはわかっておらぬようで、ようやくいまから調べているようなことだから、とても話にならぬが、保利先生、そういうところはおわかりですか。よく考えていただきたいと思うのです。どういうことですか。
  208. 保利茂

    保利国務大臣 行政相談委員の方々は、行政にいろいろな不満や苦情がある住民の方々で、これは、おかしいじゃないかということを感じても黙って過ごさなければならぬ、そういう際に、これは一体どういうことなんでしょうということを、気やすく相談を持ちかけられるような、したがって、そこでいま御指摘のように、相当信用も高い、安心して御相談ができるというような方を、全国的にお願いをしておるわけであります。  これは鬼木さんと同様に、われわれ人生を考えてみますと、何もかも金銭的な給付を求めるわけじゃない。場合によっては進んで社会に貢献していくというような気持みはどなたにもおありになる。わけて行政相談委員の方々、本来からいいますと、虫のいいことではありますけれども、そういう方々にお願いをするというようなことで、お願いをしているわけですけれども、では国として、何も要らぬけれども御奉公しよう、そういう一つの御奉公の道を見出されてやられたからといって——それは、いまお話のように今日の情報化時代でございますから、電話代などというものは、だれしもすぐぴんと頭にくるわけです。電話も必要でございましょうし、ときには出向かれなければならぬ場合もあるでしょう。そういう場合にこと欠いて、電話もかけなければならぬけれどもほっておけ、あるいは行かなければならぬけれども、やめておこうというようなことでは十分いかぬのではないだろうか。  それで、おしかりをいただくところでございますけれども、これは前長官が福田氏で現に大蔵大臣、そのことについては、私以上に大蔵大臣も理解を持って、そして何らか考えなければなるまい。しかし、これにお手当であるとか給料であるとか、そういったようなものを出すべきものではないわけなものですから、いわゆるそういう幾らかの足しに、電話の一本も二本も気やすくかけられるようなふうにはしなければいかぬじゃないかというのが、今年度わずかに改善されておるようなことで、これは決してそれでもう十分だというようには、私どもはじめみんな考えていないわけなんです。これは十分また、御理解ある皆さんの御発言等もいただきまして、改善していかなければならぬ、こう考えております。
  209. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 当然これは無給で、純然たる民間人、しかも、そういう経済的に御心配のない方にお願いをしておる、長官のおっしゃったとおりでございます。でございますが、進んでお世話をしよう、進んでそういう気の毒な弱い人のためにやろうというお気持ちを、われわれがそれに甘んじてそのままやっておくということは、私はよろしくないと思うのです。ですから、何らかの形で、ざっくばらんに申しまして盆、正月には、何か金一封でも包んで差し上げるとか、何らかの方法でもって、気は心で皆さんの労に対してお報いするという気持ちは、こちらが持っておって当然しかるべきではないか、かように私は考えるわけです。  この行政相談委員の使命、目的というものは、ここに相談委員法の目的として、第一条、第二条のところに、「苦情の相談に応じて、長官の定めるところに従い、申出人に必要な助言をし、及び行政管理庁又は当該関係行政機関等にその苦情を通知すること。」、あくまで助言であり、全部これはその関係官庁に連絡をする。ことにこの行管のほうには当然通知をするのだ。いわば取り次ぎであり、処理は皆さんのほうでなさるのだから、その苦情を受け次いで、そして行管のほうに持ってくる。行管のほうは、それを引き受けて、これまた各関係庁にただ連絡するばかりではなくして、それに対してあっせんをする。皆さんのほうは取り次ぎじゃない。相談委員のほうが取り次ぎ。取り次ぎとあっせんというものを一緒くたにするようなことはないように、これは、はっきり相談委員法に載っている。その点、間違いないですか、局長さん。
  210. 大田宗利

    ○大田政府委員 そのとおりでございます。
  211. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それならば、私は別に異論はないのでございますが、先ほども申しました物価問題、今日、国民がひとしく頭を悩ましておるものは物価問題、これはもう先ほども申し上げたとおり。ところが、行管のほうで、純然たる民間人であるこの行政相談委員を使って、そして「買い占め、売り惜しみ、便乗値上げなどに対する監視体制を整えるため、行政管理庁は全国の市町村に一人以上配置している行政相談委員を末端情報機関として活用する方針を固め、」、その具体案をまとめ、「同庁では三十一日から二日間、管区監察局長会議を招集、この具体案を説明、監察局を通じて行政相談委員に徹底させたい」としてやっておる。そして買い占め、売り惜しみあるいは「便乗値上げなどの情報が県や国に集められ、生活安定法に基づく摘発が行なわれることになる。」、これじゃ言語道断なことであって、いつ行政相談委員法が改正になったのか。  行政相談委員法で、行政相談委員は摘発までするのだ——大衆を守らねばならぬ、しかも民間人が、そういう監視の権限、摘発の権限まで持つ、いつからそういうことに変わったか。これは行政相談委員法によるところの目的を逸脱した、とんでもないことだと私は思う。これが事実ならば言語道断、大問題だ。かりに事実でなくても、ややこれに似たような、これに近いことをやっていることは間違いない。新聞にはっきり出ている。これは、とんでもないことですよ。相手は民間人ですよ。先ほど保利先生が言われたように、これは純然たる無給であり、そして進んでおれたちが協力しようといってやっていらっしゃるんですよ。これは先ほど長官がおっしゃったとおり。それを使って末端の情報機関にして、民間人の御商売をなさっているようなそういう業者の摘発をやろう、監視員にしよう。これは相談員どころか全然話が違っている。  しかも、はなはだしいことになりますと、「生活安定法による不当価格、買い占め売り惜しみ防止法による不法行為の情報収集を依頼、」と書いてある。「各委員は集めた情報を、行監局と各都道府県で結成している生活安定緊急対策協議会に報告する。同協議会はこれらの情報を整理、選択し、必要に応じ各省、警察に連絡、」、これはゆゆしき一大事だ。とんでもないことだ。これは保利先生は御存じかどうか知らぬが、直接の責任者である局長は、どのように考えておるんですか。
  212. 大田宗利

    ○大田政府委員 その新聞が出たことば知っておりますけれども、私のほうが現地に指示いたしましたことは、決してそういうことではございません。行政相談委員は、この行政相談委員法に基づきまして、いろいろ行政的な苦情を受け付けております。その中には緊急三法的ないろいろな不平、不満というものも実はあるわけでございます。たとえば灯油について見ますと、三百六十円というのが四百円あるいは五百円で買った、これは、おかしいじゃないかという申し出がございます。そういうものにつきましては、出先の地方局なり、あるいは管区局に御連絡ください、決して本人がそれを確認しに歩いたり、あるいはそういうことは一切やっていただかなくて、直接に局のほうに御連絡くださいということで指示はいたしました。しかし、そういうようにそれを摘発するだとか、あるいは警察に連絡するだとかいうような指導は、私のほうでは全然いたしておりません。むしろ非常に消極的に——いまの物価対策では、いろいろな行政指導が行なわれております。したがいまして、行政指導が行なわれるためのいろいろなそういう苦情というものを集めますが、ただ、それも日常の活動を通じて集めるということでございます。決して行政相談委員が飛び回って、それを収集するとかいうことではなくて、日常そういう苦情が出た場合には、それはそのまま捨ててしまわずに、局のほうに御通知くださいという活動でございます。  したがいまして、通常の設置法上にあります活動の範囲でそういう情報を集めるということはいたしましたけれども、そういうようなことは全然指示もいたしておりませんし、そういう例も全国からは聞いておりません。
  213. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 しかし、あなたのいまの御説明では、私はまだ納得できません。そういう指示はしていませんとか飛び回って調べて回るようなことをしていただいては困るということをあなたが言ったというのは、やはりそういうことを特別に指示したから、そういう注意をいたしたわけでしょう。そういうことの特別の指示がないならば、そういう注意は必要ないでしょう。そんなことはおかしいですよ。あるいはまた、局のほうにそういうのがあったら通知しろ、あたりまえでしょう。相談委員が受けたことは、いままで全部局に吸い上げておるわけでしょう。全部局に取り次いでいるはずです。物価のことだけで、売り惜しみや買い占め、そういうことだけで特別に引き抜いて、ここで会議をやるとか特別回っちゃならぬぞとか、わかったのは聞いたらすぐ出せ、特別にそういうことのみを指示をする必要はない。やはりその前があるから、そういうことを指示しておるんでしょう。  だったら、相談に来たのを受ければいいのであって、おまえのところ何か相談はないかと、行政相談委員がいつも各戸を訪問して相談して回る必要はない。相談の注文とりに回っているなら別ですよ。そんなことはないのです。ほんとうに大衆が困ったことを相談に来る。それを受けて立っておる。そして、それを今度局に上申する。そうすると、局はそれを受けて指導、助言、あっせんをする。これで追跡調査をし、世話までする。こうなっている。純然たる相談委員というものは、あくまで受けて立つべきもので、それを監視するとか、しかも民間人が、あなたのおっしゃるように調べて回るなんてもってのほかだ。とんでもない。そんなことを注意する必要はないでしょう。何か前に前提があるから注意をするのでしょう。  だから、そういうのがあったら局に報告しろ。じゃ、ほかのことは全部報告しなくていいか。全部細大漏らさず、指導員が相談を受けたことは、あるいは簡単なことは、件数で報告しているかもしれないが、しかし念の入ったものは、説明をずっと詳しくつけて件数を送っていると思う。だから物価の問題も、その中に入っていることなんだ。それだけをピックアップして、特に局長会議をやるとか、あるいは情報機関としてみなこれを通知しろとか言わぬでも、相談委員相談を受けたことは、全部通知しなければならぬことになっているのだから、あなたのおっしゃることは、ちょっとおかしいですよ。そんなことを言って、それはもう少しすなおに認めなさいよ。似たようなことをやっているんです。火のないところに煙は立たぬよ。
  214. 大田宗利

    ○大田政府委員 私の御説明がちょっと足らなかったかもしれませんけれども、実は緊急三法が出る前は、物価問題というものは、あまり苦情の中では積極的に取り扱わなかったわけでございます。ところが、緊急三法が出まして、これは物価対策として非常に重要問題だということで、国民の方からそういう苦情が出た場合には、それを捨てないで全部あげてください。ですから従来のように、ああこれは物価問題だとかなんとかいうことじゃなくて、緊急三法ができました以降は、全部それは現地の局に収集したいという気持ちがあったことは事実でございます。しかし、それだから従来の活動を活発にしろとかなんとかということは——するなということは、もちろん念を押してあるわけでございます。ただ、現地で捨てずに、全部収集したいということがあったことだけは事実でございます。決して監視をさせるとかそういうことは絶対させておりません。
  215. 保利茂

    保利国務大臣 おそらく、どの新聞でしょうか、その新聞記事と、もう一つは、私が、生活、石油関連法の三法実施にあたって、先ほど申し述べましたような、とにかく非常、臨時の体制でもって、行政組織をあげてこの問題に対処しなければならぬと強く指示いたしましたことが、あるいはその大きないまの誤解を招いておるかと存じますけれども、いま局長が申しますように、昨年冬の石油二法の制定、それを受けてこれを実施するにあたりまして、行政管理庁としても、いささかのりを越えることになるかもしらぬけれども、とにかく今日、政治の最大課題である、国民の最大課題である物価問題に取り組むことが大事だというようなことを申し述べておりましたところへ、そういうのが出ておりますと、行政相談委員まで積極的にGメンみたいに扱っておるのじゃないかというような疑いを持たれたのじゃないだろうかと反省をいたしております。そのときにも、その当時すでにそういうことを私も耳にいたしまして、幸いに監察局長をはじめ事務当局も注意をしておりまして、そこのおそれがこないような処置をとりております。  ですから、いま局長も御説明いたしましたとおり、とにかくそれまでは物価問題というものは、おまり行政相談の窓口には来ていない、この石油二法が実施されてから窓口に来ておるわけです。来たら、そのままあげてもらいたいということでやってきておるわけです。この点は、そういうふうに御理解をいただきたいと思うわけであります。事情ありのまま申し上げます。
  216. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 結論を急ぎたいと思いますが、全くいま大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。のりを越えないで、そのとおりにいっておれば私はけっこうだと思う。もともとこの物価問題に対して、非常な意欲をもって臨まれることに対しては大いに敬意を表します。全国民ひとしく物価問題に対しては、解決しなければならぬと思っている。これはまことにけっこうです。だがしかし、その行政相談委員の使命というか、行政相談委員法によるところの目的というものを逸脱したのじゃたいへんなことだ。一般大衆の反感を買うようなことになったら、むしろ相談委員に対して私は気の毒だと思う。  でございますので、これを監視し、これを取り締まるところの機関は別にあり、また別に設くべきものであって、あくまで相談であって、こちらから自発的に能動的にそれを調査したり、立ち入り検査するというような権利は、民間人ですからいささかもないわけなんです。ですから、あくまで受け身で、流れてきた相談を受けとめて、それを皆さん方のところに提供するということののりを越えてはならぬということを、私は申し上げておるので、その点、御理解いただいて、そういうふうにあやまちのないように運営をしていただければ、私の質問の目的は達せられるわけでございますので、その点どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  217. 保利茂

    保利国務大臣 そのとおりに私どもも心得てやっておるつもりでございますけれども、なお十分気をつけてやってまいります。
  218. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 じゃ、これで終わります。どうもありがとうございました。
  219. 野呂恭一

    ○野呂委員長代理 受田新吉君。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 長官行管長官として久しぶりに大ものを迎えたと世人は期待しておるのです。由来、行管長官は大ものがちょいちょいあらわれて、思い切った改革にも乗り出されたわけでございますが、しかし、その計画実行において竜頭蛇尾に終わった事例少なしとせずということです。はしなくもわが敬愛する保利先生、長官に御就任以来何カ月たちますかね。
  221. 保利茂

    保利国務大臣 昨年の十一月末だったかと思いますが、自来今日まで愚鈍にむちうっておるような次第でございます。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 半年に及ぶ行管長官として、その職務の内容については十分御存じに至ったと思います。  そこで、今回のこの改正案について、まずお尋ねしたいのでございますが、行政管理庁というお役所の職責が、行政機構全般にわたる監察、管理体制を行使するお立場にあるのでございますが、行政機構改革構想というものが、昭和三十九年臨時行政調査会の答申によって示されました。自来十年この構想がどのように執行されてきたか。そして、この膨大な答申の中身で、時代の進運とともに処分すべきものもできてきたと思うのです。もうこれは捨ててもいい、これは、どうしても取り上げなければならない、十年間に順次取り上げた中で、このあたりでさらに重い使命を持った改革案であるとか、いろいろあると思うのです。そのことについて、ひとつ指摘したいことがあるのでございまするが、行政の能率を高める上において、公務員の存在というのは非常に重大で、そこに奉仕する職員の職務遂行の実態が国家、国民の奉仕に徹しているかどうかということが非常に大事なのでございますが、あなたのお役所で、各省の間の公務員の勤務の調整をとる使命が一つある。それは臨時行政調査会の答申にも、公務員に関する改革意見というのがあるわけです。  そこで、平井局長がここに来ておられまするから、先に局長にお尋ねしておきますが、各省の人事、これは人事院と協力しなければならぬとこの答申にも書いてある。人事が常に能率的で合理的で、そして国民全体への奉仕をりっぱに果たすようにしなければならない、各省間の配置転換等も適当にやって、各省間の連携も密にしなければならぬとうたってあります。ところが、総理府に人事局というものができておるのでございまするが、この局というものは、そういう意味において、各省間の人事の連絡調整、ある意味においたら各省間に適切な指示を与えるくらいの権能を持った人事局ができて、初めてこの公務員に関する改革意見にこたえることができると思ったのですが、実際は公務員制度調査室の延長のようなもので、ILO八十七号条約の対策等に当たる程度のものであって、総理府に人事課というのがあるのですが、これは内閣にもつながるということで、総理府の人事局長は、同じ役所にある人事課長との間には何ら権限関係がない、こういうような調子になっておる。これで、どうして、臨時行政調査会が膨大な答申の中で、その最後にうたった公務員に関する改革意見の実践を果たすことができるかということです。お答えをいただきたいと思います。
  223. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 総理府人事局の権限事項につきまして、ただいまいろいろ御指摘があったわけでございますが、確かに総理府人事局がつくられますときに、どのような権限を与えるか、かつ、人事院との関係の権限調整をいかにすべきかということは、当時かなり問題になったようでございます。その結果、現在先生御指摘のような形の総理府人事局の事務というものがきめられたわけでございますが、一応私どもといたしましては、人事局の事務の中にございます「国家公務員等の人事管理に関する各行政機関の方針、計画等の総合調整に関すること。」などの規定の活用によりまして、そういった面について配意することは可能ではないかと考えております。ただし、実際の活動面におきまして、先生御指摘のような十分でない点があるということは、あるいはあるかもしれませんが、そういった点については、規定上の問題ではなくて、実際上の問題として考えるべき問題ではなかろうかというふうに考えております。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 現実に行政管理庁が「各行政機関機構定員及び運営の総合調整を行うこと。」という大黒柱の使命があるにかかわらず、そしてまた、それが十分行なわれぬときは、「各行政機関機構定員及び運営に関する調査、企画、立案及び勧告を行うこと。」という、また大きな使命を持ったお役所であるにかかわらず、各行政庁の間にはばらばらな、その省独自の運営に妙味を発揮して、総合的な連絡調整というものができておらぬ。  たとえば同じ年度に卒業したお役人で、ある省ではもうすでに局長なり課長になるのに、残った省ではまだ課長補佐程度にとどまっておる。全くばらばらである。そういうようなことで、この行政機関機構定員及び運営に関する強大な権限を持った行政管理庁がお仕事をしたといえるかどうか。そこに、いまの人事局のような比較的連絡調整をはかるには便利なポストが総理府にできたのだから、そのポストに各省の連絡機能を十分発揮できるような機能を与えて、能率を発揮せしむるべきではないかと思うのでございますが、こういう問題の処理というものについては、全く行政管理庁は野放しにしている。各省間のそうした昇給昇格、こういう問題についても、そしてポストの均衡を保つ、地位のバランスをとるというようなものについても、全然といっていいほど機能が発揮されておらないんじゃないでしょうか。
  225. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 行政管理庁の権限として、たいへん重大なる任務についての御提言でございますが、現在の機構のたてまえからいたしますと、やはり先ほど申し上げましたように、それは総理府人事局なりあるいは事柄によりましては、人事院なりにおいて御検討いただくべき事項でございまして、確かに行政管理庁設置法において、先生御指摘のような条文もありまして、非常に包括的な権限があるのだから、そういう面まで手を出してはどうかという面もないとは申しませんけれども、いまの法制上のたてまえとしては、これらの特別に規定されている事項については、一応私どもの権限としては除外されているというふうに考えざるを得ない次第でございまして、そういった面におきましては、私どもも御趣旨の点は、総理府人事局にもよく伝えたいと考えておりますけれども、いま直ちに私どものほうの仕事として取り上げることは、無理ではなかろうかと考えている次第でございます。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 行政機関の中で人事院を除いて局や課、その他の新設等は行管が全部チェックされるようになっている。これは人事院だけは独立性を持っておるという意味でタッチできていませんけれども、あとはすべてできる。総理府の人事局の機能を、いま申し上げたような行政管理庁が当然なされなければならないこの機構定員及び運営の問題において——人事の配置転換等の妙味を発揮して、合理的、能率的な効果をあげる手段というものは、行管で十分できるじゃありませんか。行管が強大な権能を持っているのです。行政管理庁設置法の第二条の「所掌事務及び権限」というのは、非常に強大なものです。そして、それに対して勧告することもできる。言うことを聞かなければ勧告をすればいいのです。勧告権を行使すればいい。私は、行管の権能が非常に高いことを期待し、そこに行政秩序が保たれることを期待してきたのです。  ところが、いまのように、人事院その他がやるので、せっかく大きな権限を与えていただいているが、この権限は死文のごときものでありますということになったのでは、これは行管としてたいへん残念なので、大もの長官を迎えたこの機会に、その権能を復元して、偉大な権限を勇敢に行使し、言うことを聞かぬ役所があれば勧告をして、そして、その答えをもって、なお言うことを聞かなければ処分すればいいわけです。それくらいの意気込みを保利先生お持ちになって、とにかく各省間にまたがる人事上の均衡を保ち、そして、みんなが公平な国の行政上の保護のもとに、国民全体の奉仕者として働けるようにやってみられちゃどうかと思うのですが、せっかく平井局長さんが、権限を持っているのになかなか思うようにいかない、人事院にやられ、その他のそれぞれの役所にやられて、最終的には行管が、ちょうど大もの力士である保利先生に小もの力士が来て、土俵ぎわで背負い投げを食わすようなかっこうになっているということをいま承ったのでございますが、たいへん残念でございます。大もの力士として保利長官の御答弁を願いたいです。
  227. 保利茂

    保利国務大臣 とにかく、この行政機構の問題というのは、常に古くて新しい問題でございます。そういうふうな本来持っていけば、強大な調整機能を持ち得るにかかわらず、いろいろな積み上げがあって、現状のごとくなっております。局長が腹からああ言っているのは、嘆いて言っているのかどうかわかりませんけれども、ひとつこれは、いずれのときかメスを入れなければならぬということだろうと思います。ひとつ私ども真剣に勉強さしていただきたいと思います。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 これは一時臨行調査会の答申に、総理府に予算局を設けて、人事局と予算局で人事と予算の妙味を発揮するような措置をすべきである、内閣補佐官等の機能によってそういうものをやってはどうかという声もあったくらいに、人事と予算の総合調整というようなものは、内閣の総元締めのところに置いておくほうがいい。それで各省別に人事院に要請して昇進をはかっていく。人事院規則できめられた期間を、調整をとらぬままで、非常にテンポの速い役所があるかと思うと、テンポの鈍い役所もある、こういうことになっている。全体の調整をとりながら、国家行政機構そのものが非常に合理的な運営がはかられていく。国の中央機関はでっかい力を持って、国民期待にこたえるというふうに長官なさっていただきたいのです。あまり答弁を求めても、非常につらい御答弁になると思いますので、答弁を要求しませんが、ひとつそういう要求をしておきます。あなたが、たとえば予算局を設けることにしたいとかいうことになれば、マスコミにも載るわけでございますが、そういう要求はしません。  そこで、長官によく似通った大もの長官が、昭和三十六年におられたわけです。川島正次郎という人である。この先生御在任時代に、私、質問したことがあるのです。いま特殊法人として国内にいろいろな機関がある。たとえば三公社のようなもの、あるいは公庫、公団というようなもの、そういうものに対して、あとから追っかけていろいろな特殊法人が出てきておる。また民法上の社団法人、財団法人等が頭をもたげてきておる。その中には、国民の税金を補助金として大幅に出すところもあれば、小幅に出すところもある。そういうものに対して、行政管理庁はいかなる権限を持っているかというと、行管に権限の非常に薄弱な点があったわけで、それをひとつ思い切って権限を強化せよという提案をした記憶を私は持っております。  ところでさっそく、その川島さんのときだったと記憶しますが、昭和三十六年か七年に、行政管理庁設置法第二条の所掌事務の中の四の「各行政機関機構の新設、改正及び廃止並びに定員の設置、増減及び廃止に関する審査を行うこと。」の次に四の二を入れて、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもつて設立すべきものとされる法人の新設、目的の変更その他当該法律の定める制度の改正及び廃止に関する審査を行なうこと。」という規定が入ってきたわけです。これは行管にとっては、非常に大きな権限を付与されたわけです。しかし、この新しい規定が十二、三年前にできたにもかかわらず、なお行政管理庁はたいへん困った権限上の問題があるわけです。それは、この権能の中に「新設、目的の変更その他当該法律の定める制度の改正及び廃止に関する審査を行なうこと。」、こういう規定があるにかかわらず、思い切って権能の発揮できないような特殊法人や民法上の規定による法人が、国家の財政上の援助を受けてのさばっておる。  すでに大臣御存じだと思いまするが、これは科学技術庁の所管事項の中に日本分析化学研究所というのがありまして、そこで、この間えらい先生が重要ポストにおりながら、とんでもない事件を起こしておる。こんなのこそ、ひとつ行管が手きびしい審査をして、制裁を加えるべきであったと思うのです。こんなにいわば野放しにして、金だけは国家、国民の税金を持っていくけれども行管の目をのがれ——また科学技術庁というお役所は、ときどき大失敗をする。川崎のがけくずれ事件などのごときは、科学技術の総本山でありながら、とんでもない大惨事を起こす、そのような役所が科学技術庁ですね。その所管の中に、日本分析化学研究所というのがあるのですが、どこか抜けているんですよ。この抜けている役所は、行管が手きびしくこれを処理していく。そうした国民に疑惑を与えるような機関は、これを処分してもいいんですからね。  そこで、これは、やはり保利先生のような人に長官になっていただいたこの機会に、もしこの規定の中になお足らぬところがあるならば、この第二条の中に追加をして、行管の権限が強化されるような規定をもう一つこれへ加えて、そして、そういう雨後のタケノコのごとく、行管のにらみのきかない法人をしっかり握るような権能をお持ちになってはどうか。あなたであれば閣議で了承とれますよ。おい田中君、おれの言うことを聞けよ、いまの行政機構の中にとんでもない抜け穴があるんだ、おれのところの役所にその権限をよこせとあなたからお話になれば、おお保利君か、よくわかったぞとすぐ話がまとまる。いいチャンスです。私は、この日本の秩序が破壊されている行政機構上の大欠陥を、あなたが長官時代に、ひとつ埋めてもらいたいと思うのです。
  229. 保利茂

    保利国務大臣 特殊法人の設立、新設等については、いまお話しのように、これは当時の国会でたいへん御協力をいただいて、ああいうふうな四の二というものができたようでございますし、その沿革も承っておりますが、ところが、その行政管理局の審査対象になると、特殊法人では、これはちょっとやっかいだというので、いろいろまたもぐり特殊法人的なものが、結局ことばは悪うございますけれども、そういうことだろうと思うのでございますが、それは監督するに由なきや。それぞれのそういういわゆる法人については、特に補助金を交付したりなにかする法人については、それぞれの主務官庁が監督をしておるわけです。その主務官庁に対して、行政管理庁監察の権能を持っておるわけでございますから、いささか隔靴掻痒ではございますけれども、その官庁の監察を通じて行き届かないでもないという見解を、事務当局は持っておるようでございます。しかしこれは、何といっても練達な受田さんのことでございますから、なおよく御意見も承って、私も検討をさせていただきたいと思います。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 これらの法人、特殊法人及び公益法人と称せられる機関に対しまして、任意に調べて、任意的にもちょっと中身にタッチせねばいかぬぞ、それから資料を要求するとかいうような、そういう権能を行管自身が持っておらぬという、そこに問題があるので、主務官庁にまかせて行管は横で見ておるというようなかっこうでは、これはしようがないのです。大体こういう任意調査あるいは資料収集などに行管が権限を行使できるような規定をちょっとつくられちゃどうなんですか。これは、やっておかれると、こういうあやまちをおかさなくて済む。行管の権限を強化することは、各省にとってはちょっと手痛いものですから、おれの役所が担当している法人については、くちばしを入れてくれるなというようなことになっておるから、いろいろなところに問題が発生しておるということでございまするから、行管の職権が十分浸透できるような規定を設ければよい。これはひとつ、四の三でもいい、つけ加えてやってみる。これは事務当局、どうですか、どちらがなさるのかね。これは管理局長がなさるのか、監察局長か、どちらがなさるのです、局長の御担当は。そういう権限を強化する……。お知恵はどこから出るのですか。
  231. 大田宗利

    ○大田政府委員 行政監察のほうにつきましては、資料収集権と調査権を間接的に持っておるということでございます。といいますのは、公益法人につきましては、行政機関が監督しておりますし、その行政機関に対しましては、われわれとしまして監察の対象になります。したがいまして、資料収集権と任意の協力を得ます調査によって調査することはできるようになっております。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 ところが、その権限を行使しようとして、向こうが聞かなかったら、どうなるわけですか。
  233. 大田宗利

    ○大田政府委員 協力を求めまして、向こうが拒否いたしましたときには、調査はできません。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、ここなんです。調査したい、どうも怪しいところがあるということになって、調査しようとしても、断わられたらおしまいだそうです。そこで行管は、二階から目薬もきかされないわけなんです。主務官庁以外のお役所は、さようならということになる。大蔵省が補助金を出す、助成金を出すということになれば、大蔵省の財政監督というものもある。会計検査院の、会計検査をするというチェック機関もある。しかし、その中で、行管行政監査というもの、これが非常に大きな効果を持つ。行政上の監察をするのだから、会計検査でもなければ大蔵省の財政的な監査でもないのだから、これは向こうから見たら手痛いですよ。それを調べようと思って、任意調査しようとすればお断わりだ。行管のお役人、すごすごとその黒幕法人の門を出ていくという、絵になりそうな問題を行管が握っている。なに、おれが、この法律第何条の何の規定により、ただいま、たいへんすまぬけれども、おたくの行政監察をさせていただきますと乗り込める、拒否できないような権限がない。  そこで、権限がもし与えられるとすれば、どういうところにどういう規定を設けたら権限が行使できるようになるかということでございますが、限定列挙特別法人とそのほかの法人とのいずれの立場からも一つ権限をつけ加えようとすれば、いま申し上げたような任意捜査、資料の提出をどこに求めるというようなことができるか、法改正しようと思えば、どの点をどう直せばいいとお感じになるか。局長さんでけっこうです。
  235. 大田宗利

    ○大田政府委員 監察につきましては、資料収集権はございますので、調査権という問題になろうかと思います。ただ、公益法人の調査以前の問題といたしまして、監察のほうの特殊法人を見ますと、列挙主義になっております。したがって、これが実は管理局の特殊法人と若干違いますので、それを受けまして、公益法人をすぐ入れることがいいかどうかという問題はございますけれども、入れるとすれば、設置法の二条の十三号あるいは十四号くらいのところにあるいは入るかなというふうな気がいたします。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 長官、大体そうだと私は思うのです。十二に法人が列挙して書いてある。そして十三に、「各行政機関業務及び前号に規定する業務に関する苦情の申出につき必要なあつせんを行なうこと。」、その次に十三の二があるわけですが、十三の三くらいにいまのような規定を入れて、任意捜査、資料要求ができる、そうしたいかがわしい法人の、国民の税金をいただいておる法人の門を、堂々と権限を行使できて入ることができるように、行政管理庁のお役人さんも、いばって調べにいかれるようにしてあげる、私は、あなたのような有力な閣僚が長官をしておられるときに、それをぜひやっていただきたいと思うのです。  川島元長官に続きまして、保利長官一つ奮起一番、部下の者たちが非常に苦悩している問題の解決、われわれもそれに対して協力するにやぶさかではありません。また、いま内閣委員の皆さんだって、こうしたおかしげな法人が、おかしな行為をして世間のひんしゃくを買うということになれば、税金を納めた国民にも相済まぬことになるのでございまして、これは、国家行政組織全体をきちっと整とんする上でも非常に大事なんです。行政監察の妙味を発揮する規定を、ひとつこのあたりに入れることを長官として御検討願いたい。きょう入れるということを申せということは申しませんが、いま、あなたの部下の局長御自身が、お二人とも非常に苦悩しておられる御答弁があったわけです。それをすかっと払って、さっきの澄みわたった空のような行政管理庁の使命遂行の基盤づくりにあなたがひとつ大役を果たしてもらいたい。
  237. 保利茂

    保利国務大臣 国の助成金を受けている法人、また、これが少数であれば、行政監察の対象としても届きやすいのだろうと思うのですけれども、各省庁の監督のもとにあるそういう法人が、四千ぐらいあるのじゃございませんか。それの規律を行政監察の対象にするんだぞという形、これは形だけに終わる可能性が非常に多いのじゃないか、そういうことも考えて、そういう国の助成等を、補助金等を受けている、しかも監督官庁の監督下にある、そういう法人のあり方というものについては、ひとつ受田先生も多年のうんちくをさいていだだいて、そして何か秩序の保たれるくふうが必要じゃないがというような感じもいたします。しかし、一応御指摘をいただいたことにつきましては、これは、もうすなおに勉強させていただかなければならぬと思っております。
  238. 受田新吉

    ○受田委員 これは、行管のほうで、第二条の十二にあります列挙法人、この列挙法人と、それから私がさっき指摘をいたしました川島さんのときに入った二条の四の二にある、法律により直接に設立される法人、また特別の法律により特別の設立行為をもって設立される法人の新設、目的の変更等の審査を行なうという規定と、これを全く同じようにして、四の二の対象になったものも、この列挙法人と同じ権能を行管が持つ、これは可能じゃないかと思うのです。局長さん、どうでしょう、そこへ踏み切るのは。
  239. 大田宗利

    ○大田政府委員 監察といたしましては、それが第一の問題じゃないかと思います。
  240. 受田新吉

    ○受田委員 局長の御答弁のとおりで、百十二あるのを、ひとつこの際、限定列挙されたこの特殊法人と同じ基準に引き上げる。あなたが、いま四千何ぼあって困るということの中で、百十二だけでもそのように広がってきたら、これは非常に規律がよくなるわけです。この四の二をひとつ列挙法人と同格に取り扱うように改正されるという提案をさせてもらいます。
  241. 保利茂

    保利国務大臣 私も実は、これを見まして、たとえば中央競馬会とがああいったようなものは、行政監察の対象になっていない、おかしいじゃないか。百十二のうちに四十九がこういう監察対象になって、まことに理解に苦しむわけです。この点は受田さんと全く同感でございます。ぜひひとつ、御協力をいただいて、監察対象になるようにするのが私は当然のことだ、こういうように思っております。
  242. 受田新吉

    ○受田委員 法改正の必要を長官御自身が御答弁になったわけですから、この四の二を入れて十三年もたつこの機会に、ひとつ次の国会でこの法改正に乗り出されて、百十二の特殊法人には限定列挙された法人と同様の権限が行管で行なわれるように、四千幾らあるところまでは及ばなくても、この百十二ぐらいのところは、何とかして規律を、これは非常に国民生活に直結する法人ですから、やはり行管が行ったらびしつと中まで全部列挙法人と同じようにやれるように、これは抵抗があれば、われわれが応援しますから、ひとつ勇気をもって次の国会に御提案になるように新提案をさせていただきます。  私、行管という機関があるので、いまの日本の行政機関の秩序が保たれておるといっても過言ではないというほど、行管責任を重く見ておるのでございますが、そこで、この行政監察業務の中の一つ、ここに書いてある二条の勧告権の行使、どのぐらい勧告がやられておるのかなというので、資料提出を求めたところ、差し出していただいた勧告の御報告でございまするが、なかなかこれはりっぱな勧告をしておられる。老齢者対策に関する行政監察、国立療養所の運営に関する行政監察、最近事故の多い航空行政監察、精神衛生の行政監察、公庫の行政監察、これなども、ほんとうに的確な問題を勧告しておられると思うのです。これらの勧告に対する報告は、その後どういうふうにされておりますか。
  243. 大田宗利

    ○大田政府委員 四十八年度に実施しました勧告は、八項目でございますけれども、最近勧告いたしました放射線障害の防止に関する行政監察というのがございますが、これ以外は大体各省から回答が参っております。
  244. 受田新吉

    ○受田委員 どういう回答がきておりますか。
  245. 大田宗利

    ○大田政府委員 回答の内容につきましては、ちょっとわかりません。
  246. 受田新吉

    ○受田委員 それじゃ、回答の内容をあとからお届けしていただきましょう。  私は、行管が少ない人員でよくその機能を果たしておられることに感謝をするのですが、同時に、各省へのにらみをきかされる大役も果たし、また、それに対しては報告を義務づけてあるわけでございますから、どういう報告をしてきておるか、それをひとつ資料要求をして拝見して——けしからぬ報告をしておれば、さらに重ねて再勧告ができるわけですね。そういうところでひとつ、職権のきわめて効果的な行使を要望しておきます。  きょうは、環境庁の政務次官、若くして前途をお持ちの藤本先生、おとうさん以来御縁のある方なんですが、このお二人に御縁のある質問をいまからさせてもらいます。  今度の法改正案を拝見して、私、ふとこういうことを感じました。二元行政というものの妙味がいかにもあるようなかっこうではあるが、しかし、これは行政機構上好ましくない形のものである。それは、この環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部改正というこの中身に、環境庁の職員を監督する権限が行管庁の長官にある。環境庁の職員というのを、私あえて指摘するのは、実体的に環境庁仕事をやる職員という意味です。名は体をあらわすということばがありますが、名と中身とは一体でなければならない。名実ともにということばに合致しなければならない。にせの仮面をかぶって、中身は別のものであるということは行政組織上とるべきでない。そこに行政事務の混乱が起こり、行政機構に対する信頼が失われる原因が出てくると思うのですが、これはどうでしょうかね。環境庁出先機関として、すかっとした、環境庁長官の指摘監督権が及ぶような形で全国的な規模の出先機関が置けないか。それは出先機関として各省にあるような形のものでなくてよろしい。駐在機関という形でもよろしい。駐在所でもいいです。出先機関がない役所は、経済企画庁もあれば、いま審査しておる国土庁もある。そうした先輩はある。  環境庁も同じような出先のない役所であったのが、今度ここへ芽を出そうとした。その芽の出し方がおかしい。よその畑から芽を出した。タケノコみたいです。自分のタケノコだと思ったら、隣にかきがある、隣の庭からひょっと芽を出した。ところが、ここはおれの行政管理庁の庭であるから、根は隣の環境庁からのタケノコであっても、おらの庭へはえた以上は、これは行政管理庁のタケノコぞよ、こういうようなのが、この法案ですよね。はっきり体制はそうなんです。つまり環境庁のタケノコが行管のお屋敷にはえた。そこで行管の指揮監督権に浴するようになった。しかし仕事は根っこのほうへというか、栄養は根っこからいただきよる。根っこを断ち切ったら先がもげるのです。先がないようになるのです。こういう構想は、「環境庁のタケノコ、行管の畑に生ずるの図」というような、何か漫画にでもなりそうな……。  これは行政機構上、私は本則でないと思うのです。この本則でないということば、お二人ともお感じでございましょうか。本則としても適切であるとお感じでございましょうか。これは、お二人の責任者に答弁がむずかしければ、事務当局で答弁してあげるほうが親切かもしれませんが、法理論的に御答弁をいただきましょう。
  247. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 詳細には、政府委員から答弁をいたしますが、受田先生御指摘のように、環境庁といたしましては、地方の情勢を迅速に把握をいたしまして、きめのこまかい行政を行なっていきますためには、環境庁の手足を持たなければならない、これは私も同感でございます。しかしながら、御承知のように環境庁は発足以来まだ日も浅いことでございまして、独自の手足、地方出先機関を設置することにつきましては、まだ定員も少なく、人材の確保などの点からいたしましても、むずかしい点がございますので、ひとまず、すでに設置をされております行政管理庁地方出先機関に、このような機能を果たさせることにしたものでございまして、今後の方向といたしましては、先生御指摘のような趣旨に合うように、できるだけ早くしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  248. 受田新吉

    ○受田委員 行管長官のほうも、これは暫定措置であるというお立場でございますか。
  249. 保利茂

    保利国務大臣 先ほどからどなたかにお答え申し上げましたように、感じからいえば、もうあなたと同じ感じでございます。ただ、それじゃ、環境庁でいますぐ全国的に出先機関を持たれることが緊急必要であるかどうか。あるといえばある、まあ、いいといえばいいというようなところではないかと思うのであります。いずれにしましても、地方自治体環境行政は強く推進されておるわけでございます。情報収集調査等も、その県内においてはその県で十分——十分といいますか、とにかくやっているわけでございます。ただ、県を越えた、県の境界を越えた公害水質汚濁にしても、あるいは大気汚染にしても、一県だけではおさまらない公害の態様が、ここにあらわれてきておるわけでございまして、それを的確に早く環境庁としてはつかまえて、そして環境行政の全きを期せられるように、あるいはまた何か起こりそうだというときには、すぐその地域に人を出して事情調査をやらなければならぬ、そういうときの機動性といいますか、そういうものを持つために、とにかく必要だということでございます。  したがって、環境庁本来のプロパーの権限を行使するといったようなものでなしに、要するに公害態様の調査情報収集、そういうことの任務に限って、こういうふうな異例な措置——異例と申し上げるほかはないと思いますが、異例の措置をとる。今後、公害行政公害問題がどういうふうに展開していきますか、それをまた受けて立つ公害行政がどう展開されていくか、それによって、これがたいしたことないじゃないかということになるのか、いよいよもってこれは重要だということになって、特別の機関を必要とするようになるのか。ともあれ試行的な実施として、環境庁の御要請に沿うてやってみようということでございますから、とにかく当分の間やらしていただいて、そして行政並びにその実態の推移を見て対処していくということが最も賢明じゃないかというふうに考えております。
  250. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの役所がこういうことをなさるから、問題が特にややこしいのです。つまり行政管理、行政監察という大事な使命を持ったお役所——行管という役所は、こういうちょっとへんてこな措置を試みにやってみようかというようなことをなさる役所じゃないのです。ここに副総理がおられるし、この二人が田中内閣のナンバーワン、ナンバーツーという大物であるから、どこでお二人が仲よく、おう三木君、おう保利君、一緒にやろうか、うんうんというふうになったのかどうかしらぬが、私は、こういう問題は、やはり筋を通さなくちゃならぬと思うのです。もし府県にまたがったような公害問題などがあったようなときには、環境庁本部に担当部がきめてあればいいわけなんです。そこへ、いまごろは遠くでも五時間か六時間でみな行けるのです。すぐさっと行って、そして中央の体制のもとに、その公害調査業務をやればいいのです。行管のおもやをちょっと借りて、三、四人ほどそこにおって、そして待機しておるというような問題ではなくして、環境庁の本部から、担当者をきめて即時出かけられるように、そして平素は、そういつも問題があるわけじゃないのだから、必要なときに出かける、あとは府県にまかせておく、こういうのでいいと私は思う。もし非常に急ぐような公害調査があって、五時間も六時間もかかっては行けない、直ちに行かにゃいかぬということがあれば、政府は、行管地方支分部局のあるところへ駐在員として駐在させることは当然できることでございまするから、環境庁の駐在員を、行管地方支分部局の一室を借りて、環境庁の駐在員詰め所として、駐在巡査が詰めておるような、ああいう調子にやっておけば、行政の混乱を来たさなくて済むのです。  そこで、三木先生にしても、あなたが行管の職員に指揮監督権を及ぼすのですから、これは、たいへんなおかしな話なんで、よその役所の役人を自分のところ——タケノコをいま例にとりましたが、環境庁の庭のタケノコが隣の行管の庭へはえた。そこへコンクリートでも打ち込んでおけばいいのだけれども、普通のかきねぐらいでは乗り越えるというわけだ。それで、おらのところから出たタケノコだから、行管の職員をおれが指揮監督するのだ、それと同じことだといま例を引いたんですが、これはどうでしょうか。駐在職員として行管のお部屋を一つ借りる。全国には地方支分部局が総合事務所として、中央の出先機関として大体一カ所へ集まっているのだから、部屋の数が三つ四つ要るのを小さな部屋を一部屋借りて、看板としては環境庁広島駐在所というふうにしておけばいいわけで、長が要るとか俸給支払い責任者がおるというような問題ではないのです。駐在員を三人置いて先任順に並べておく、こういうふうにしておけば、こういうややこしいことにはならぬ。それからまた、こういうややこしいことにかこつけて、今度は行管では、さっそく総務部というのを置くような、人のゴボウで法事をするようなポストが一つふえてきたわけです。だから、ますますこの機構を複雑にするわけなんです。この発想は一体だれがなさったのですか。事の起こりは環境庁かあるいは行管か、御答弁を願います。
  251. 信澤清

    信澤政府委員 お話のように従来から公害に関する調査は、都道府県その他地方公共団体を通じていろいろ仕事をしていただいておるわけでございますが、今後もそのたてまえをくずす気持ちはございません。ただ、お話に出ておりましたように、府県の境を越えたような大きな問題というのが多発しておるという現況は、先生御了解いただけるだろうと思います。さような意味で、私ども自分たちの出先を持ちたいということを考えたわけでございますが、先ほど来行管長官からもお答えがございましたように、いわば一つの新しい試みでございますが、こういうような形で行政管理庁機構に私ども仕事の一部を御担当いただく、御担当いただく以上、環境庁長官の指揮監督を受けていただく、かような発想に至ったわけでございまして、政府部内で付属機関を持ちたいという私どもの発想が、政府部内で検討いたしました結果、このような形になった、こういうことでございます。
  252. 受田新吉

    ○受田委員 よし、そうすると震源地は環境庁行管環境庁に押された、しかし行管という役所は、やはりき然たる態度を持たなければいかぬのです。各省からいろいろ注文が出る。行政機構簡素化という大きな柱があるにかかわらず、どの省浄らは部をくれとか、課をくれとか、参事官をくれとかやってきたら、つい人情に負けて、はいはいというようになるというのでは、何のためのチェック機関かわからない。定員五%の削減方針というものがきまっている。しかし実際は、新設の局があればそこへ加えよう、こういうことになれば、基本線はくずれてくる、こういうようなことで、とにかく今度三十人の調査官を出す、この三十人というのは、どういう地位になるのか、調査官という名がつくならば、四等級、三等級というあたりになっているのかどうか。調査官の格づけをひとつお示し願いたい。
  253. 木下薫

    木下(薫)政府委員 管区行政監察局配置いたします調査官は、それぞれ管区に首席調査官というのを一名ずつ置きまして、これは一応三等級を予定しております。なお、そのほかに、それを補佐する調査官その他の一般職員を置く、そういうたてまえになっております。
  254. 受田新吉

    ○受田委員 三十人の等級別配列を……。
  255. 木下薫

    木下(薫)政府委員 首席調査官は三等級でございまして、それから調査官は四等級ないし五等級、そういうたてまえになっております。
  256. 受田新吉

    ○受田委員 その調査官に対して、行管長官はどういう監督権を行使するわけですか。
  257. 木下薫

    木下(薫)政府委員 環境庁から管区行政監察局仕事を引き受けるわけでございますので、その仕事を実施するのは管区行政監察局でございます。したがって、その業務に従事するのは、行政管理庁の職員でございますので、職員の身分等につきましては、行政管理庁長官の権限に属する事項でございます。ただ、業務上の活動につきましては、環境庁長官の指揮監督を受けるという形になっております。
  258. 受田新吉

    ○受田委員 たいへんややこしい二重監督。当該公務員にとっては、これは環境庁長官の指揮監督を受けてやる仕事です。身分その他については、行管長官の指揮監督を受けておるのですというような両棲動物が、両棲人がおいでるわけですね。こういう形態がほかの省にもある、輸出入業務を担当する職員にもおるじゃないかとかいうお話でございまするが、それとこれとば違うのです。行管がタッチするということに問題があるのです。行政監察の大役を持ち、行政管理業務の大役を持っているその行管が、こういう変でこな仕事を全国的規模でやっておられるということになれば、せっかくの行政機構の円滑な運営をはかる大本山に響く危険がある。むしろ、これが必要であれば、環境庁一つのポストを加えて駐在所をつくるか、駐在所でなければさらにもう一つ規模が大きいのであっても、お互いは了解をしていくのですから、環境庁の系統で、すかっとやるほうがいいということを私は提案したいのです。しかし、それは暫定措置ということでございまして、また行政事務の能率があ切るという一面も持っているわけでございますから、もうこれ以上言いません。  さて、環境庁長官、お疲れの趣に拝しますが、だいじょうぶですか。そこで、あなたのお役所のお仕事が、最近またとみにふえてくるわけでございますが、この駐在職員、調査官を置かなければならなかったことは、環境庁設置以来、仕事をする上でようやく思いついたのか、初めからこういうものが要るという立場であったのか、初めから要るんだが、初めは遠慮したが、そろそろ遠慮せぬでやらなければいかぬということなのか。環境問題は、環境庁がスタートしたときから、こういう問題は、県境を越えて起こる問題が数多くあったわけですから、これは初めからわかっておるのです。環境庁をこしらえるのは、そういう問題も処理しようとするために、環境庁の設置をわれわれ要請したのです。  そういう意味で、副総理が兼ねておられる環境庁長官、私は、この間、田中総理に、国土庁ができたらあなた御自身が長官をやりなさい、兼務しなさい、三木さんは副総理でありながら、環境庁長官を兼ねておるじゃないか、総理は国土庁長官、副総理環境庁長官、そういうところで互いにみがき合いをやってはどうかという提案をしたのですが、非常に貴重な意見として承るということでしたから、総理は貴重な意見を採用するかもしれませんよ。しかし、そういうときに、あなたのお役所がスタートしたときからの行きがかりで、やってみたら、いまごろこれが要ったという問題でなく、スタートのときから、これは要ったのじゃないか。なれば、スタートのときに、こういうものはやっておくべきじゃなかったかと思うのです。いまごろになって行管をわずらわさなくても、行管保利さんが長官であるから、人情大臣だから、環境問題といえば、ちょっと耳も傾けるようになるですよ。この善良な保利さんに——これがもし、がんこな人だったら、おれは知らぬぞというところだ。田中角榮先生が行管長官だったら、これは手きびしくやると思うんですね。  そういうところが、担当責任者によって行政が非常に動くという一つの事例にもなると思うんですが、まあ友情によってでき土役所で、国家目的にかなえば、住民のしあわせになれば、これはどっちでもいいということではなくて、住民のしあわせになるのには、筋を通せという私の主張が、間違っていたら間違ったでいいですが、環境庁長官、私の主張に間違いがあれば御教示を仰ぎたいのです。
  259. 三木武夫

    三木国務大臣 この環境調査官は、人情から生まれたものではない。人情といいますか、人情深い保利長官の時代であるからできたというわけではないわけであります。こういうものは、初めからわかっておったかと言われますが、環境庁ができたのは三年前なんです。環境という問題が最近やかましくなったが、環境とか公害問題、これは最近のことですからね。これは、一つ行政ベースで環境問題、公害問題を取り扱って、すべて第一歩から出発したわけです。そこで、それだけの一つ行政ベースに環境行政をのせるということで、まだ今日まで時間がかかっている。  そして、いろいろな経験を積み重ねてみて、やはり府県だけではいかない問題がたくさん出てきた。どうしても府県を越える広域的な環境政策、公害対策というようなものが必要になってきて、そうして、こういうのをやはり現地に置いて、直接に環境庁とパイプを通ずることが必要であるということでできたわけであります。これも仕事を何でもやるわけでなしに、情報収集あるいは調査ということですが、情報収集の中には、地方民の公害問題に対する苦情というものも聞きたい。これは、府県もそういう苦情というものを聞くようないろいろな機関がありますが、やはり府県よりももっと環境に対する苦情というものを聞くのに、こういう行政管理庁のような場合がベターの場合もありますね。そういうことで今回、こういうことになったわけでありますが、保利長官も言われたように、やはりこれが永久にずっとということになるか、いま受田委員の言われるように、これは一つ環境庁プロパーのそういう機構をつくるか、いろいろな点で経験を通じて、将来この問題を恒久的な組織とするためには、いろいろと検討を加えたいと思っておる次第でございます。
  260. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わりますけれども、私、最後に、これに関連するのですが、行管長官行政相談員という、あなたの部下がたくさんおられるわけです。十三万件も一年間に仕事をされておる。苦情処理相談、人生相談行政に対する相談。これは四千五百人という相談委員がおられるわけなんですが、その方々は一年間に八千円しか給料がないのです。これは残酷ですよ。一カ月じゃないんですよ、一年間に八千円。それで、この人生、行政相談を引き受けている。しかも、それは実費弁償という名目で出しているというのです。月に直したら七百円足らず、こういう待遇で第一線で苦労される人のことを許すことができるかどうか。  そのほかに人権擁護委員とか司法保護司とか民生委員とかいう、いろいろ類似の職種の奉仕的な責任を負った方もおる。こういう第一線で非常に苦労している皆さんに、もう少し思い切った待遇改善をする措置を、行管長官として配慮されてしかるべきだと思うのです。  これは公務員ということになっているのですが、特別公務員であるかどうか。行政相談委員は特別職の公務員……。
  261. 大田宗利

    ○大田政府委員 特別の公務員ではないと思います。
  262. 受田新吉

    ○受田委員 公務員にあらず、それはそうかもしれませんな。あまりにも給料が安い。ところが、実際は一つの公務性を持っている。だから、この方々に身分的な、それであまり制約を受けない——失対事業に当たる皆さんは、これは国家公務員ですよ。失対事業に当たる方々が国家公務員である。しからば、この方々に、当然公務員として、特別職の公務員として考えてあげていい性質のものであるということになれば、待遇は少なくとも十倍、十五倍というお手当を差し上げてしかるべきだと思います。また、それに類似の職種に対して、行政末端の重要な奉仕的役を持つ方々に対して、全面的な待遇改善を長官配慮してくださいませ。御答弁を願って質問を終わります。
  263. 保利茂

    保利国務大臣 受田さんに誤解があるようですから。この環境庁の広域的な情報収集調査等の話が行管とできたのは、これは福田長官時代に三木長官と合意ができたわけで、私は、それを受け継いでいるのです。そこは申し上げておかないと、誤解を生ずるおそれがありますから……(受田委員「前の人がやったんですね」と呼ぶ)それを予算編成の段階で具体化いたしましたので、合意は三木長官と福田長官の間でできたのであります。どうぞその点を……。  それから、ただいま行政相談委員に対する処遇の問題について、たいへんありがたい御発言でございました。私は、いま社会事情がたいへん目まぐるしい勢いで変わりつつありますから、やがておそらく受田さんが御指摘されたようなことも、真剣に考えなければならぬ時期が来るのではないかと思うのでございますけれども、現在は、まあ大体この相談委員お願いする方は、進んで余生を何らか社会に貢献したいというような方、あるいはお寺の住職であるとかあるいは学校の先生をやめられた方であるとか、そういうふうに政治、行政に対する苦情も心やすく安心して相談できるような方、しかも進んでそういう役を、隠居仕事と言ってはいけませんけれども、引き受けてやろうというような方々にお願いをしておるわけでございまして、ある意味においては、十分ならばよろしゅうございますけれども、あまり手軽にものを差し上げるというようなことは、かえって冒涜するような気もいたさないわけではないですけれども、だんだん世の中変わってきますから、そういう状態がいつまでも保てるわけのものでもなかろうし、必ずやこの処遇改善については、真剣に取り組まなければならぬ段階が来る。  ただ、現状におきましても、あるいは電話をしていただいたり、あるいは先ほどお話がございましたように、ちょっと出かけなければならぬというときの足代すらも、十分供給していないということについては、私ども何とも申しわけない感じがいたしております。ほんとうにささやかなことですけれども、本年度わずかばかりの改善をいたしておりますが、これでもって十分だとは決して考えておらないわけでございます。そういうことば、もう十分考えていかなければならぬと思います。
  264. 受田新吉

    ○受田委員 せっかく御答弁があったから……。行政相談委員相談を受けに出かけますね、出かけるときに、国家の仕事と同じことですが、途中で交通事故が起こって、行政相談業務を遂行中に負傷とか死亡した場合の補償はどうなりますか。
  265. 大田宗利

    ○大田政府委員 現在、制度はございません。ただ、予算的な措置はございませんけれども、そういう場合には、何らか配慮するということで約束は財政当局とはしております。
  266. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常に大事なことですが、公務員であると例の災害制度で救われるのです。ところが、同じ公務である行政相談委員、りっぱな公務ですが、その方にはその制度の適用がない。財政当局と検討しておるというようなことではなまぬるい。これは長官、せっかくいまあなたが指摘されたが、相談のために行動しているときに、そういうようなことがあるというときに、自動車事故が起きて死亡したとかけがをしたというときに、いま何ら措置がない。いま財政当局と相談しておるそうですが、これは、ひとつ公務執行ということで、公務員というかっこうの身分と同じような扱いをする法律でもつくられたらどうかと提案しておきます。よろしゅうございますか。
  267. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘の点は、私のほうも真剣に検討いたしたいと思います。
  268. 受田新吉

    ○受田委員 どうも時間をとりました。
  269. 野呂恭一

    ○野呂委員長代理 吉田法晴君。
  270. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間が十分ございませんから、あるいは体系的にお尋ねすることができないかもしらぬと思いますが、この法律の施行の前提になるところを、あるいは関連をしてお尋ねをいたします。  公害健康被害補償法の実施を、この役所で担当されるわけでありますが、被害者救済制度ができまして、私も公害被害者に関連を持っておりますが、被害者の心配は、この救済制度によって加害者責任の制度といいますか、司法上あるいは公害被害補償について加害者の責任が完全に果たされなければならぬのだが、その加害者の責任がぽかされるのではないかということを心配をしておる。それからもう一つは、この加害者の責任が、救済制度で、公害健康被害補償法によって積み立てられた金額の限度内で削られるのではないか、こういう心配をしておりますが、こういう心配は全く杞憂だというわけではなさそうで、英米法系でいいますと判例で積み重ねる。ニューサンスなりあるいは公害賠償にしても、公害の被害補償にしましても、訴訟へだんだん積み重ねていく。ところが、日本の場合には、すべてを裁判で片づけるというのになじまないで、むしろ行政法で救済をしている。そうすると、この被害者救済制度の限度内で補償がなされる、こういう心配は現にあると思うのです。それからまた、原因が限られておりますことも、環境庁長官承知のとおりです。したがって、加害者責任がぼかされるのではないかという心配は私はあると思います。あるいは加害者の責任が、この救済制度の限度内で打ち切られるのではないか、こういう心配は、私は杞憂だというわけにはいかないのではないかと思いますが、これに対してどういうように救済しようとせられるか、まず承りたいと思います。
  271. 三木武夫

    三木国務大臣 これは被害者の健康補償法ができましても、それでもやはりこれに対して訴訟は起こせるわけでございます。したがって、これは限度額だけで加害者の責任が解除されるというものだとは思わない。ただ、欧米では通常訴訟に持ち込むのでしょう、たいていは訴訟に持ち込むわけですが、日本は社会慣習として、すべての問題というものを訴訟に持ち込むというような、まだそういう社会慣習になっておりませんから、しかがって、訴訟にたよるということを、なかなか容易にみなやらないとすれば、行政上の処置でこういう制度があることが、そういう社会慣習も踏まえて、より被害者の救済になるという考え方に立つものでございます。
  272. 吉田法晴

    ○吉田委員 そのたてまえと解釈というものはわからぬことはありませんが、環境庁長官のところに、あるいはイタイイタイ病の諸君も、あるいは水俣病の諸君も何人か参りますね。それは健康被害にしても、原因が食品公害あるいは薬品公害だから、厚生省というあれもございますが、環境庁長官に参ります者のほとんどは、やはり環境庁の指導援助によって完全に補償されることを求めるがゆえに、あるいはそれが繰り返されないように、確立されるためにお伺いをするわけであります。  そうすると、その要望に比べると、あまりに健康被害の補償が原因が限られておる。それから、その限度内で——それは、みな訴訟をしなさいといえばそれまでですけれども、参りますのはそうでなしに、訴訟を自分でやらないで、これは訴訟救助の制度もありますけれども、何らかの救済、完全な救済を環境庁によって得たいということで参るわけです。それは、この出先を行政管理庁出先機関につくったとしても、おそらく同じであろうと思いますが、その悩みに対しては、環境庁環境庁として、やはり満足させるために努力しなければならぬと思いますが、そういう原因を拡大する、あるいは完全な補償が行なわれるように努力をされる用意はございませんか。
  273. 三木武夫

    三木国務大臣 環境庁という役所の立場は、被害者の立場である、あるいはもっといえば国民の立場である、そういうことで、できる限りいろいろな対策とか救済制度というものが、被害者のためになれかしと願っておるものでありますが、しかし、これはわれわれが調停をするという立場にはないわけなので、それは内閣の中に公害等調整委員会というのがありまして、それがやはり調停することになっているのです。公害等調整委員会環境庁との間には、非常に緊密な連絡もあるわけでありますから、そういう点で、われわれとしては、できるだけ被害者というものに対して、重点を置いた調停案を出すことを常に要望しておる次第でございます。
  274. 吉田法晴

    ○吉田委員 一つの問題にあまり時間をかけている暇はないのですが、出先をつくられる、出先を含めて環境庁に行けば完全な補償が得られる、あるいは再発防止のためには完全な制度をつくってくれる、こう思って参ります。ところが、実際にはそうでなしに、こういう方法しかありませんといって教えられる方法はこういう方法、被害者救済制度あるいは公害健康被害の原因も水と大気に限られている、それは何とかしたいと思いますけれども、できませんというのが大部分です、次々に起こってまいる健康被害に対しては。そうすると、もっと制度を拡充しなければならぬじゃないかということが起こってくるのじゃないか。  あるいは、たとえばできるだけ国民、被害者の味方になって満足させてあげたいと思われるとしても、いままでの経緯からいえば、最近の公害の被害補償問題についていえば、水俣などは裁判の結果、それから自主交渉派の交渉の結果ですけれども、最大のものでしょうが、おそらくそれで満足するというわけにはいかぬと思うのです。あなたは、なじまないものは、全部をそれで救済し得るわけではないから、それで満足でなければ訴訟をやりなさいということになるけれども、それでは環境庁を設けた意味がないじゃないですか。あるいは被害者救済制度が不十分なままに置いておくわけにはいかぬじゃないか。その拡充策あるいは改正についての案は、考えございませんかと申し上げるわけです。ひとつここで、時間がございませんから具体的に御答弁を願わなくてもいいのですが、多くをここで言うわけにまいりませんから、欠陥があることをお認めになるならば、あるいは範囲が狭いことをお認めになるならば、その改善について努力をする御用意があるかどうかをお尋ねいたします。
  275. 三木武夫

    三木国務大臣 実際問題として、環境庁がこういう公害問題に対して、行政的にいろいろな指導をしておる面は実に広範なんです。いろいろな陳情が来ましても、その問題についてはあるいは会社にも話す、会社とかあるいはまた公共団体の場合もありますが、適宜の処置を私のほうから要請をする、あるいはまた水俣でも最後の場合は、私が出て行って調停をしたわけですからね。そういうふうな、いままでのところは、まあ法律的な根拠というよりも、環境庁設置の本来の趣旨に沿うて、相当広範な被害者のための努力はしておるわけです。たとえば金額の点なんか、補償金なんかの点になって話がつけばいいんですよ。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 どうしてもつかないという場合は、最後はやはり裁判にいくほかない、そう言っているのでございまして、何でも裁判にいきなさいと言っておるのではないのです。そういうケースは、もうほとんどレアケースであって、たいていの場合は、環境庁が何とか解決するために尽力をいたしておるわけでございます。
  276. 吉田法晴

    ○吉田委員 もうこれ以上、長官とやりとりをいたしませんが、官房長も来ておられるようですが、環境庁の中でこの制度の拡充について、あるいは不十分な面を補完する制度についてお考えがあるならば、ひとつお答えいただきたい。
  277. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 中心に御議論されていますのは、健康被害補償法だと思いますが、私ども、まだ法律をやっとこの九月に施行しようという段階でございまして、先ほど来いろいろ御指摘ありましたような点も含めまして、できるだけ十分な各種給付のレベル等を設定していきたい、こう思っておるわけでございます。  ただ、先生の先ほどからの御質問を聞いておりますと、この制度を、あるいは食品公害といわれておる分野とかそのほかに広げたらどうかという御趣旨ではないかと思いますが、私ども、実は公害に関しましては、四十五年に公害対策基本法が改正されました際に十分議論をしまして、ある程度の公害の定義を拡張しているわけでございます。ただ、環境汚染を通じませんものにつきましては、これは、どこの国におきましても、いわゆる環境汚染あるいは公害ということでとらえてないわけでございまして、そういうものにつきましては、別途そのような救済措置が必要であれば、現在厚生省で食品、医薬品等について検討しているようでございますが、そういう別個の制度を充実することにより救済の実をあげていく、こういうことではないかと思うわけでございます。
  278. 吉田法晴

    ○吉田委員 食品公害や薬品公害等について、これで救うのが不十分だから云々ということではございません。それは別の問題です。別の問題ですが、被害者が心配しておりますように、加害者責任がぽかされるのではないか、あるいは加害者責任を、この制度の限度で打ち切るのではないか、これは先ほども申し上げましたけれども否定するわけにいかないと思う。その足りない分を、この法を施行される環境庁としては、どういうぐあいに補完されるのか、あるいは加害者責任の全部についてどう補完をされるのか、その具体的な方法を承りたい、こういうことでございます。
  279. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私ども、一定の何か前提がございまして、その範囲内で打ち切るという考え方は持っていないわけでございます。これは法律の規定でまいりますと、たとえば障害補償費の額につきましては、この二十六条に規定がございまして、「労働者の賃金水準その他の事情を考慮して、政令で定める」、こういうことになっておるわけでございまして、そういうような客観的な十分なデータの上に立ちました上で、給付レベルをきめていこうというわけでございまして、どれだけ取れるからその範囲で打ち切る、こういう考え方は毛頭持っておりません。
  280. 吉田法晴

    ○吉田委員 どうも前提が違うようですけれども……。二十六条をあげられましたが、この平均賃金で何百日分とか、あるいは何千日分とかいうことになると思うのですが、その一つの例としては労災等が考えられる。ところが、労災自身についていえば、この死者について昔は四百日分、いまは一千日分。ところが、一千日分で公害補償が完全にできるかといえば、そうでもないでしょう。  人間の命の点をお話を申し上げますと、あの雫石の上空で全日空機に自衛隊機がぶち当たった。これは自衛隊の側に欠陥がございましたし、訴訟になったらたいへんだということで、あそこで初めて一千万円というものが出てきたと私は思う。ところが、この水俣病の場合には人権問題もございます。なおす方法もない、そして過失があったということで千何百万という数字が出てまいりました。ですから、平均賃金の何百日分あるいは千日分云々という言い方は、やはり評価として低いと私は思うのです。これは公害問題についての国際的な水準、訴訟の結果出てきている水準を見られたら、わかると思うのですけれども、スモンであったかと思いますが、ドイツならドイツの場合には、日本の金になりますと何十億円。そのドイツの例あるいはイギリスの例と比べてみて、日本の森永なら森永、これは、あなたの所管じゃないけれども、要するに水準が違う。これが、だんだん国際化してまいる。そして、さっき長官は訴訟をやったらとおっしゃいますが、訴訟をやったら、なくなった人についていえば、計算方法が出ておりますから、だんだん上がってまいりまして、一千万円をたぶんこしてまいります。その国際的な水準から考えると、被害者救済制度で考えられておる二十六条の計算方法をはるかにこします。  そこで、行政法でそういう被害者の救済方法をつくるのはけっこうだけれども、しかしそれは、加害者の責任をはっきりする。裁判で出るであろうところの、加害者の責任が全く救済されるということでなくて、この制度の範囲内で、そしてまた加害者が全部の責任を持たなければならぬ、しかし持ったものをどういうぐあいに国や公共団体が補完するかということてなしに——いわば結果的に加害者責任をぼかす結果になるのではないか。それが訴訟にも影響してまいります。そういう欠陥をどういうぐあいにして補完をされるか。加害者責任の不足分をどういうぐあいに補完をされるか。あるいは救済制度の限度で打ち切るのでなしに、残されたものについては、どういうぐあいに完全にしていく努力あるいは意向を持っておられるかということを聞いておるわけです。  前提を省略してお尋ねしますから、ちょっと飛躍をいたしますけれども、いま引きました国際的な例等を考えなから、——何を考えているかは、察しがついたと思いますけれども、そういう点から考えて、この制度の足らざるところを、環境庁としてはどう補完をしていくか、あるいは拡充していくか、こういうことを聞いているわけです。
  281. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいまの点でございますが、この制度は、あくまで公的な給付としまして定型化したものでないと成り立たないわけでございます。個々人につきまして、いろいろと事情が違うわけでございますから、したがって、個別に給付をするということが一番いいわけでございますが、そういうことはできませんので、一つの定型化をして給付をしていこう、こういう考えを持っておるわけでございます。  それからまた、労災の例もございましたが、労災の場合は、むしろ個々人の賃金ということがある程度前提になりますので、同じ定型化でも、平均賃金ということになりませんが、こちらの場合には、主婦の場合あるいは老人の場合、いろいろな方がおられますので、やはり全労働者の平均賃金ということをよりどころにしまして、定型的な給付をしていく、こういうことでございます。したがって、その定型的な給付としておのずから一つの限度があるわけでございまして、もし、それを越えて自分の個々の事情によりまして争われるという方がございますれば、これは裁判で争われるか、あるいは公調委にあります各種の制度で救済されるか、いずれかでないとできない。あるいはお互いに話し合って、それ以上のことに持っていかれるか、いろいろございましょうが、ともかく私ども行政としての定型的な給付というのは、おのずから一つの型にはまったものにならざるを得ない。ただ、これができるだけ十分なものになりますように努力をしていきたいということでございます。
  282. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間がたちますから、問題は、被害者救済制度そのものについての論議ですから、またの機会にいたします。  次は、健康被害の一番問題のところですが、この法案によりますと、行管の出先に環境庁仕事を委託するということになって、「調査並びに資料収集及び整理」と書いてございますが、関東、近畿には総務部を設ける、その他のところはどうなるのか。総務課に調査官を置かれるのか。職制上あげられた関東、近畿以外はどういうことになりますのか、まずお尋ねします。
  283. 大田宗利

    ○大田政府委員 関東、近畿につきましては、総務部長を置きますが、その他の局につきましては、局長直轄といたす予定でございます。
  284. 吉田法晴

    ○吉田委員 この種の問題についていいますと、私は石炭鉱害につい面若干関与したことがございますが、一番問題は因果関係の証明であります。そして、その因果関係の証明が官庁に関係をいたします。加害者と被害者との間で争いましても、企業の場合が多いのでありますが、企業の所轄官庁が通産省通産局、そうしますと、民間段階で通産省に資料を要求し、入手することはなかなか困難です。それで、「調査並びに資料収集及び整理」というのは、そういう関係を証明する調査をされるのかと思いましたら、一般的な情報収集のように承りました。そうすると、一番問題なのは、健康被害の原因と結果の科学的な究明に役立つかどうかということでたいへん疑問が起こってまいります。それば、どういうぐあいに明らかにされますのか、担当者に承りたいと思います。
  285. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの先生の御質問の点でございますが、健康被害の問題が起こりましたときに、行管お願いをいたしております調査官は、どういう程度の役割りを果たすかという点になりますと、先ほどからお話の中にございましたように、この方は行政監察や、そういう実務には明るい方でございますが、実際技術関係とかあるいは立ち入り検査の権限を持っておるという方ではないわけでございます。そういう点で、私どもが、この調査官の方にお願いすることといたしますならば、地方議会でその問題についてどんな議論が行なわれておるか、あるいは地方紙の中で、どのようなニュースがその問題について出されておるかというようなことを、こまめにいろいろ集めていただく、あるいは被害者の方がいろいろ陳情に現在、本省までお見えになりますが、そういう方々が、まず第一にこういう事情を聞いてほしいということを、自分の身近なところで聞いてもらえるというような役割りをするのが、行政管理庁お願いをする調査官の役割りであるというぐあいに考えております。
  286. 吉田法晴

    ○吉田委員 立ち入り調査権はない、地方議会の論議あるいは地方紙のニュース等を調べる、それが「調査並びに資料収集及び整理」だと、こういうことであります。あわせて関係者の陳情を聞いたりということになろうと思いますが、いまは環境庁の本庁に参りまして——地方議会で議員か取り上げても、あるいは加害者と考えられるところに押しかけてみても、なかなか片づかぬ、そこで環境庁の本庁まで来ているわけです。その調査官が、ほんとうに問題を取り上げて解決するのに役立たなければ、自救行為じゃありませんけれども、水俣病でしたか、漁業ができなくなりましたときに、加害者の宇部でありますとか本州製紙に押しかけたり、あるいはピケを張って出荷を阻止する、こういう方法を講ずるしかないように思われますが、もし調査官をつくって、その調査官がその公害の原因と結果についての関係を証明するていの権限を持っているならば、それは地方においては役に立つかもしらぬと思うが、そうでなく、ただ情報収集するだけならば、自救行為しか残っていないでしょう。
  287. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま橋本審議官からお答え申し上げましたが、先生が原因究明という具体的な事例をおあげになりましたので、その限りについては、行管お願いする仕事は、いま審議官から御答弁したようなものを考えているということを申し上げたわけでございます。  先生御案内のように、公害行政というのは、基本的には都道府県地方公共団体を中心にやるというのが、昭和四十五年の公害国会以来の考え方でございます。したがって、私ども現在、都道府県等を通じまして、いろいろな調査情報収集等をいたしておるわけでございますが、先ほど来お話が出ておりますように、府県の境を越えるような、いわば大きな環境問題というものも出てまいりますし、また府県と私どもの間だけでは、十分に連絡がとれないという実際上のそういう問題もあるわけでございます。  そこで私ども、私ども自身出先機関を持ちたいという希望を念頭に置きながら、実際問題としては、ただいま御提案申し上げておりますように、行政管理庁にその仕事の一部をやっていただく、こういうことを御審議いただいておるわけでございます。したがって、いまお話しになられましたような、きわめてむずかしい技術的な問題点につきましては、実はおそらく環境庁自身の職員だけでもできない、こういうことであろうかと思います。  たとえば専門の学者の先生にお願いして、そして先ほど、先生ちょっと鉱山の例をおあげになりましたが、鉱山から排出されます重金属等の汚染がどういうふうに環境に影響を与えるか、またその環境に出ましたものが、水なりあるいは食物なりを通じて、どういうふうに人間のからだに影響を与えるか、こういうむずかしい問題は、実はいままでも、私どもだけがやっておるわけではございませんで、国の研究機関はもちろんでございますが、大学その他一般の専門家の方に御参加いただきまして、そのつど班をつくって検討をいたしておるわけでございますので、さような意味合いで、そういうむずかしいことは、行政管理庁の今度の調査官にはお願いできない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  288. 吉田法晴

    ○吉田委員 大臣もお疲れのようでありますし、どなたにお尋ねしていいのかわかりませんけれども、いま大学に委嘱をして云々というお話がありますが、イタイイタイ病の場合に、これは個人ですけれども、萩野さんと、それから岡山大学の小林さん、こういう水質検査をしてくださった方がおられたから、神岡鉱山のカドミウムがイタイイタイ病の原因である、こういうことが証明された。ところが、その因果関係の証明を個人でしますと、萩野さんなら萩野さんが論証をされる、これは私費を使ってドイツまで行って、ドイツにたった一つの例があったからということで、あれはカドミウムが原因にして云々、こういうことにされるわけです。ところが、研究関係からいっても、いまカドミウム原因説について、疑問が投げられているという話をどこかの役所で聞きました。たいへんむずかしい問題です。  先ほど石炭鉱害の例を引き合いに出しましたけれども、やはりそこに、研究機関であろうが、第三者的なものも合めてこれを調査し、そして認定をする機関が必要だということは、この種の問題について、だれも経験するところだ。それを法律できめて、つくってくれるというならば、双手をあげて歓迎をいたしますが、いま長官は、被害者の味方になって、いわば国民の側に立って健康被害を調べ、あるいは情報を入手する、こう言われましたけれども、そう言っちゃ失礼ですけれども地方議会の動向を知る、あるいは新聞、ニュースを集める、この程度のことなら、新聞社の担当の記者でも、それ以上のことができます。  もし、つくるとするならば、この公害問題について、因巣関係を明らかにする機関が必要だと、経験からして私は思うのです。そして、それを単独の機関にするのか、個人といいますか調査官といったようなあれにするのか、あるいは第三者的な委員会制度にして、あるいは学究の徒も加えて委員会方式でつくるのか、私は、むしろそういう民主的な組織としての機関をつくってもらいたいと思うのですが、これはどうでしょうか。
  289. 信澤清

    信澤政府委員 お話しの点、よくわかります。ただ、私どもの舌が足りませんために、若干御理解を得られない面があるやにうかがわれるわけでございますが、私ども行政官の立場で、先ほど来申しておりますようないろいろな情報収集なり、あるいは調査をやらなければならぬという問題があるわけでございます。特に先生御指摘になっておりますのは、その私どもがやらなければならない調査のうち、きわめて専門的な部分についてお尋ねになっておるわけでございまして、その部分にまでは、実は私ども役所の中でもなかなか手が及ばない、こういう問題でございます。さりとて、そういう問題を除いたほかの部分調査なり情報収集が、決して不必要だということではないことは御理解いただけるかと思いますが、さような意味で、私どもの手足を少し地方に伸ばす、こういう意味で、こういう体制をとっていただくことが、今後の環境行政の推進に役立つもの、このように考えておるわけでございます。
  290. 吉田法晴

    ○吉田委員 行政官の立場から調査をする、あるいは資料を集める、その資料なりあるいは調査の対象は、公害問題であるならばおそらく原因と結果、その因果関係等について調査をせざるを得ないと思う。被害者の主張はそこにある。そしてまた、その因果関係の究明は役所しかできません。そこはお認めになる。ただ、それだけの能力があるかどうかということです。問題は、そういう一般的な調査官でなしに、専門的な知識のある調査官だと思うのですが、それはどういうぐあいにお育てになるのかというのも一つ問題ですが、どういう方法でお育てになり、そして任命されるのかということがお尋ねの一つ。  それからもう一つは、これは、さっき立ち入り権限はないとおっしゃいましたけれども所管官庁から提出させるだけの権限といいますか、それが必要だろうと思うのですが、その根拠はあるのかどうか。一つ一つの法律について、専門調査室にお願いをして、多少あげてもらいましたけれども、十分に自分で読了するだけの時間がございませんでしたから、あわせてここでお尋ねをいたします。
  291. 信澤清

    信澤政府委員 前段のお尋ねの、行管でお仕事をしていただく方にできるだけ専門技術、専門的知識を持っていただくという必要性があることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、そういう専門家が得られますならば、できるだけそういう方に調査官になっていただきたいと思いますし、また、やむを得ずと申しますか、従来他の分野でお働きになっておる方がこの仕事に携わるというような場合には、この法律の成立をまちまして、私ども幸いに公害研修所を持っておりますので、そこで研修を受けていただく、こういうようなことを実は考えております。そのほか、いろいろな方法で今後行管と御相談をいたしまして、先生の御趣旨に沿うようにいたしてまいりたいと思います。  それから、後段でお尋ねになりましたいろいろの立ち入り権限でございますが、法律に基づくいろいろな規制の基準その他は環境庁がつくっております。しかし、先ほど申し上げましたように、そういった個々の工場が、それを守っておるかどうかという立ち入りの権限は、実は環境庁にもございません。すべて都道府県ないしは政令で定める市ということで、地方公共団体に権限がおりておるわけでございます。これは四十五年の公害国会の際に、いろいろな御議論がございまして、地方公共団体がやることが最も適当であり、最もふさわしい、こういう御議論もありましたことは、先生御承知のとおりでございます。
  292. 吉田法晴

    ○吉田委員 それじゃお尋ねしますが、行管のほうでいいますと、どういう人をお当てになるのか。そして、いま御答弁のありました、専門知識を持っている人を当てたい、もしそうでなければ、そうでない人で環境庁長官が適当な人をということですが、それは具体的にはどういうことになるのでしょうか、行管のほうからもお答えを願いたい。
  293. 木下薫

    木下(薫)政府委員 私のほうで、環境庁地方の出先における仕事をお引き受けいたします考え方は、調査とか情報収集あるいは行政相談といいますものが、従来の行政監察あるいは行政相談を通じてやる調査なり、相談業務とある意味で非常に似通っておる、そういう観点考えたわけでございます。  ただ、私のほうの役所には、こういう環境問題あるいは公害問題についての専門家、先生のおっしゃるようなきわめて技術的な専門的知識を持っておるという職員は、ほとんどいないと言っていいのではないかと思います。したがいまして、従来の監察なり相談なりに通暁しておる職員の中から適任者を選んで調査官とし、環境庁の流してくる仕事の実態に応じて、これを研修等を通じて、その仕事に当たらしていきたい、このように考えております。
  294. 吉田法晴

    ○吉田委員 環境庁のほうは、都道府県におろしてあるから、その都道府県調査をし云々、それから、いま行管のほうでは、出先機関行政相談あるいは監察に従事をしておる者があるから、そこで公害問題について訴えがあるならば、行政相談のように訴えを聞こう、こういうお話のようであります。  そうすると、国民のほうからいいますと、あるいは公害被害を受けたほうからいいますと、そこに行ったら、ただ取り次いでもらうだけでなくて、何とかしてくれるだろうと思って行く。そうすると片方は、行政相談になれておる者を当てる。窓口になるかもしれない。窓口になるかもしれませんけれども、私が言うような被害者が行って相談をしたり、あるいは訴えたいのは、公害問題として取り上げて、そして完全に治療なりあるいは補償なりあるいは再発防止のための体制をつくってもらいたいということになりますが、それには行政相談になれておるだけでは、これは果たせないと思います。  さっき環境庁のほうでは、公害研修所等で専門的な知識を得られた者を当てるのが理想だ、もしそういう人がなければ、それにかわり得る人というけれども、実際には行政相談になれておられるだけの話です。被害者なりあるいは国民が訴えをして、そこで何とか片づくということにはならないと思う。ただ、取り次ぎだけということになると思いますが、それでは、せっかく設ける意味がないのではなかろうか。先ほど申し上げましたような、少なくとも相談に乗ったら、その原因がどこにあるのか、結果がどうして出てきたのか、その原因と結果が出てきたのはどういうことなのか、あるいは汚水なら汚水からそういう問題が起こってきたのか、その調査をするだけの権限と能力がなければ、これは地方公害問題について訴えを聞くといっても、ただ聞くだけ、あるいは取り次ぎだけ、こういうことになろうかと思いますが、どうでしょうか。
  295. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど私の御説明が多少足りなかったかと思いますが、私が申し上げましたのは、今後、行管でこの仕事に従事していただく方々について、私ども公害研修所で勉強してもらおう、こういうようなことを一応予定しておりますということを申し上げたわけでございます。したがって、そこでできるだけ環境行政に関する知識等を身につけていただいて、その方々に仕事をやっていただく、こういう考え方でございます。  それから、お話の中にございましたように、確かに住民からいろいろ訴えがありました場合に、そこで処理をできる問題も少なくないわけでございますが、ただ現在の状況を申しますと、私どもの手元に、いろいろな形のものが実際問題として参っております。その中には、手近なところで御相談をいただければおわかりいただけることも、たくさんあるのでございますが、そういうものを持ってわざわざ東京までお見えになる、こういう場合も実はあるわけでございますので、そういうようなきめのこまかい相談業務をいたすということにつきましても、やはりこのような体制をとっていただくことが国民のためになるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
  296. 吉田法晴

    ○吉田委員 具体例で申し上げます。対馬に対州鉱山があって、その公害を隠した云々という話もございますけれども、いま対馬に萩野さんやらに再調査に行っていただいておるようです。これは、どこからお願いをしたのかわかりませんけれども、問題は公害であるかどうか、あるいは公害病であるかどうかという認定の問題が一つ。そうすると、認定、診断をする機関の問題があります。それから、それに対して治療をする、治療方法を研究するという問題があります。  いま言われたような、行管行政相談に応ずる人を、公害研修所でどの程度の研修をされるのか知りませんけれども、そこで専門知識が得られるというようなことで、公害病なら公害病の認定なり、あるいはその治療なり病気の本体をきわめるのにも、相当の補助金を出して、あるいは国立病院あるいは医学部に、あるいは研究機関をつくらなければならぬほどの問題だと思うのでありますが、対馬のイタイイタイ病の例を一つとってみましても、この調査官というのは、こういう現実の要求に対してどうされるのか。その調査官なら調査官が認定機関をつくる、あるいはそれに要する費用を本庁に要求をして予算に計上してもらう、こういう働きをされるのでしょうか、承りたい。
  297. 信澤清

    信澤政府委員 先ほども申し上げましたが、先生おあげになりましたような具体的な問題、いまの対馬のカドミウム中毒の問題でございますが、このような問題になりますと、実は環境庁の職員自身でも認定に自信がある仕事ができないというのが現在の体制でございまして、具体的にそういった因果関係が、疾病とかかわりを持つかどうかというようなことにつきましては、私どもは、常に学者の先生に御参加をいただきますような、そういった機構なり組織によって判定をしてきておる、これが実情でございます。  したがって、今度行政管理庁出先機関に置いていただきます調査官が、このようなむずかしい仕事に直接携わっていただくというようなことは、実は前提にいたしておらないわけでございます。こういうむずかしい問題がございますが、同時に環境問題としては、たとえばあそこの工場の音がやかましくて夜眼れないとか、いろいろな身近にたくさんの問題があるわけでございます。そういう訴えというのは、絶えずいろいろな形で都道府県なり私どもの手元にも来ておるわけでございまして、そういうような身近な問題の処理をするということも、やはり環境行政としては、たいへん大切な問題だというふうに私ども考えておるわけでございまして、そういうような、どちらかと申せば、身近のきめのこまかい問題というのもも、ひとつ今度の改正の中で御指導いただけるようにいたしたいということも考えておるわけでございます。
  298. 吉田法晴

    ○吉田委員 そうすると、あなたの説明からいうと、先ほどの、地方自治体に権限がおろしてある、その地方自治体なり、主として県だと思いますが、県のやることと、それらこの調査官がやることとの分担あるいは関連は、どういうことになりましょうか。
  299. 信澤清

    信澤政府委員 法律的な権限を持って規制を行ない、あるいはその規制が守られているかどうかということを行政的にチェックをいたします権限は、先ほど申し上げましたように、都道府県仕事でございます。したがって、さような意味での調査、つまり立ち入り検査等は、これは現行でもそうでございますが、将来ともこれは、都道府県その他地方公共団体にやっていただくということは変わりがございません。しかし、それ以外の調査というものがいろいろあるわけでございまして、これは、くどく申しませんが、そういったような部分につきましては、いままで都道府県にやっていただいたわけでございますが、最近のように問題が府県の境界を越えて広がりを見せてきている、こういうような問題については、実は率直に申して十分な情報が得られない、調査も行き届かない、こういう実情がございますので、そういう実情に対応するために、今回のような改正案を御審議願っておるわけでございます。
  300. 吉田法晴

    ○吉田委員 どうもはっきりいたしませんし、たいしたことができるとも思いませんが、県にまたがるものについて調査をするのだと一応理解をいたしましょう。  この公害の被害、病的な症状を呈するものが多いのですが、水俣病についても、最終的な協定の中で、その治療研究機関をつくるという一項があったと思います。あるいはイタイイタイ病についても、あるいは難病についても、同様のことがいわれると思いますが、治療研究機関、たとえばガンについていえば、国立のがんセンター等もできておりますが、水俣病についても、法律的な根拠はございませんけれども、最終的な協定の中にはあったと思いますが、これは治療研究機関を国でつくる気持ちはないかどうか。これは、どこにお尋ねすればいいのかわかりませんが……。
  301. 城戸謙次

    ○域戸政府委員 水俣病の治療研究センターでございますが、これは協定文にあるというわけではございませんが、要望が非常に強いものでございます。したがって、これにつきましては、私ども、去年の十月二十日に、第一回会合を開きまして、以来、準備委員会を四回今日まで開いておりまして、一応、中間的な経過をまとめております。その中で、当面の課題の方策ということとそれから本質論とありますが、本質的なセンターの設置につきましては、やはり一番の問題は、なかなか研究者等の確保が困難だという問題が一つございます。それから非常に学際的な共同研究が必要であるという問題がございますので、現在進められております公害研究所等の国の機関の構想と関係をつけていかないと解決できないということでございますので、結論としましては、センター、国立の研究機関の中に有機的に包含される必要があるということが強調されております。したがって、私どもは、公害研究所等の最終的な年次計画を策定する中で位置づけをしていきたい、こういうことを考えておるわけでございます。  当面の対策としましては、認定業務の促進と、もう一つば既存の施設の活用ということがうたわれておりますが、この点に関連いたしまして、特に前者については検討委員会、後者につきましても医療需要がどういうぐあいであるかというような調査をしました上で、既存施設の整備をはかっていく、こういう方角づけでいまやっているところでございます。
  302. 吉田法晴

    ○吉田委員 まとめて環境庁長官にお尋ねをいたしますが、あなたにお尋ねをしたい第一点は、この種の問題についていえば、因果関係を証明する役所が必要だと考えますが、いまのこの法案に出ております調査官は、そういう仕事をするわけではないということですから、因果関係を証明する別の機関を、公害関係についておつくりになるつもりはございませんかというのが一つ。  それからもう一つ公害の被害が病的な状態になりますが、たとえば水俣病について、あるいはイタイイタイ病について、あるいはこれは厚生省関係になるかもしれませんけれども、難病について、それぞれ研究、治療方法を発見する機関が必要ですが、いま水俣病に関連をしてお尋ねをいたしましたら、準備委員会を設けて検討しておられるということでありますが、その国立研究治療機関の設置について、どう考えられますかというのが第二点。  それからもう一つ公害問題について、日照権の問題はややそれに近いという気がしますし、それから伊丹の飛行場の騒音防止のために、夜間の飛行をやめるという裁判がございましたが、これは差しとめを求める裁判であったと思います。私は、これは民法上からも相隣権から差しとめ権が出てくると思いますが、公害問題について、公害が発生しないように被害者たり得る側から差しとめる権利を、何らかの立法措置を必要とするのではなかろうかと考えます。これらの点について、長官にお答えをいただきたい。
  303. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 第一点でございますが、この原因をどういうぐあいに究明していくかということは、非常にむずかしい問題でございます。これにつきましては、一つは、たとえば公害紛争処理法等で原因裁定ということが行なわれるわけでございまして、こういう場合には、当然の権限をもちまして裁定が行なわれるということになるわけでございます。そういうこと以外におきましては、私どものほうでやっておりますのは、一般的な行政としまして、できるだけ公害を未然に予防しなければならぬ、あるいは先ほど来議論のございました被害者救済という見地からも原因を究明していかなければいかぬ、こういうことから、いろいろ原因究明を行なっているわけでございまして、そのための基礎的な研究研究所で、行政的な面は環境庁自身でやる、こういうことにいたしておるわけでございまして、別個に新しい機関を設けるということは、意味がないのじゃなかろうか、こう私は思うわけでございます。もちろん、最終的な民事上の紛争ということになれば、裁判で決定されるべきものである、こう考えるわけでございます。  それから、第二番目の研究治療機関の問題でございますが、これは先ほど御答弁しましたような問題点を詰めました上で、できるだけ具体的に進んでまいりたいと思っておるわけでございます。  それから第三番目は、差しとめ請求の問題でございますが、この環境権につきましては、いろいろ議論がまだあるわけでございます。環境権を提唱されました、大阪の弁護士会におきまして出されました本を読みますと、その序のところで、十分なる段階まで熟していないということをおっしゃっているわけでございます。私どもは、現在の段階で私法的な面におきまして、環境権という権利を新しく法律でつくっていくということはむずかしい、こう考えております。
  304. 吉田法晴

    ○吉田委員 環境庁長官、いいですか。前にあなたに二つお尋ねしましたが、特に差しとめ請求権については、環境庁長官意見を承りたかったところですが、いま代理答弁がありました。最後に残っておりますのは、瀬戸内海の、特に西瀬戸地域の問題です。これは別な機会にここでお尋ねいたしましたが、そのときには、ちょうど長官いらっしゃいませんでした。おととしでしたか、瀬戸内海を環境庁長官が視察に行かれて、びっくりされて、もうこれ以上瀬戸内海をよごしてはいかぬ、こういうことを新聞記者会見で言われた。その当時のことを私は忘れておりません。  ところが実際には、いま豊前火力の許可が行なわれた。そしてそれは、おそらくいまのところは、五十万キロで始まったわけですが、百万キロ、それから二百万キロか二百五十万キロか、とにかくだんだん大きくしていく。その五十万キロの発電の許可がされただけでなしに、この間から審議会の答申として、大阪湾あるいは一部分については、これは新聞にも出ましたし、答申の中にも図面が書いてございますが、いまのようにひどいところについては、これ以上の埋め立てをしてはいかぬ、こういう答申が出ておる。ところが、西瀬戸地域については、それがないからということで、この間、新聞には福岡県知事が公有水面埋立法に基づいて許可をしたいという発言がありました。  そうしますと、これは一たび一角がくずれてまいりますと——まだ西瀬戸地域は海もきれい、あるいは魚もおります。西日本で、下関等有名ですけれども、あの周防灘の底に、冬になりますとエビが冬眠をする。冬眠をしたそのエビを食いにいくフグ、これは底フグというんですが、中ぐらいの腹の白いのが、これがフグの一番いいやつです。ところが、そういう底フグが生息するような余地がだんだんなくなってまいりました。いわば下関から西日本で有名なフグも食えなくなる心配がございます。せっかく残っている西瀬戸地域、これは周防灘総合開発計画を再検討するということがいわれておる。あるいは知事もそう言いました。ところが、せっかく長官がこれ以上瀬戸内海をよごしてはならぬとあれだけ言われた、それから議員立法で瀬戸内海環境保全臨時措置法ができましたが、実際にはそれが端からくずされているのではないか、こういう感じがして心配をしております。  そこで、何か方法はないかということで知恵を借りましたら、漁業権の消滅については、当然同意書が必要だと考えられる。ところが、その同意書は出ていないで、臼杵については、埋め立てをしようとした埋め立て権者が敗訴になったという例もあるという話がございますが、あれだけはっきり言明をされた、あるいは各党の超党派的な同意を得てつくられた法律もございますが、環境庁長官として、この西瀬戸地域を守る決意を、具体的にどうされたら守られるかという点について、最後に長官伺いたいと思います。
  305. 森整治

    ○森(整)政府委員 大臣から御答弁いただく前に、私からちょっと申し上げておきますが、先生御指摘のように、瀬戸内海環境保全臨時措置法で海をきれいにしようということで、汚濁負荷量を半減するということをすでにきめました。それからもう一つは、埋め立ての運用についての基本的な方針につきましても、審議会で御答弁が出ました。したがいまして、われわれといたしましては、知事さんが免許をされる場合に、その基本的な方針に従って十分チェックをしまして、それがいろいろな影響を及ぼさないかどうかということを十分判断した上で、措置をしていただくということにつとめてまいる、こういうことで考えておるわけでございます。
  306. 三木武夫

    三木国務大臣 瀬戸内海をこれ以上汚染しないばかりか、高度経済成長時代の初期の状態までに瀬戸内海を持っていきたいということで、いろいろな規制をするわけですが、一切何もしていけないというわけにはいかない。したがって、いろいろな点で全面的に何事もするのは禁止という、そういう法律というものは非常に無理がありますから、いろいろなきびしい条件を制定いたしておるわけであります。したがって、その基準の範囲内においては、いろいろな開発行為というものも認めるということでありますが、しかし、その基準に沿うておるかどうかということが問題でありまして、その基準に沿わないものは、当然にこれは認められないということでございます。
  307. 吉田法晴

    ○吉田委員 最後にお尋ねをしたのですけれども、必ずしも西瀬戸地域を守る決意について、具体的なものを承ることができなかったのですが、環境庁国民期待にこたえることができなければ、冒頭に申し上げましたけれども、関係住民が自救行為をやるしかございません。漁民がピケを張るなりいたしましたが、そういう方法しかないのかと答弁を聞きながら思い、行政管理庁長官にも最後まで待っていただきましたが、最後にお尋ねをいたします。  幾つかの点について、質問をしてまいりまして、大体聞いておられたと思うのですが、聞いておられないでも、眼光紙背に徹するじゃありませんけれども、こまかいことがわかっておられないでも、尋ねようとしたことがどこにあったかは、御存じだと思うのですが、行管も加わって、環境庁とともにこれ以上の公害がふえないように、あるいは公害についての国民の要望にこたえられるようにということで、行管も一役買われるわけですが、はたして国民期待にこれでこたえ得るかどうか、たいへん疑問がございますだけに、最後に大臣からひとつこの決意を承りたい。
  308. 保利茂

    保利国務大臣 これは、せっかくでございますけれども行政管理庁環境行政それ自体に参画するということではないわけでございますから、その点は、置かるべき新しい職員の、業務の指揮監督は、常に環境庁長官がみずからおとりになるということでお引き受けをいたしておるわけで、そこは誤解のないようにお願いをしておきたいと思います。  しかし、公害問題というものは、どこの役所に限らず、政府全体が真剣に取り組んでいかなければならない問題であるということについては、あなたのお考えと同じであります。
  309. 吉田法晴

    ○吉田委員 あなたに関係ないわけじゃないんですよ。行管の職員です。  じゃ、終わります。
  310. 徳安實藏

    徳安委員長 中路雅弘君。
  311. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうこの法案を採決するということで、理事会の日程に協力するという趣旨から、三十分ということで半分にしてしまうものですから、一点だけしぼって御質問したいと思いますが、先日、若干御質問をした東名高速道路の公害の問題です。  いま空港騒音あるいは新幹線公害、こういったことが大きな社会的問題として解決が迫られているわけですが、同時に、非常に急激にふえてまいりましたモータリゼーションの中での高速道路の利用、特にトラック輸送の需要の増に伴って車両の大型化が進んで、高速道路の沿線各所において、騒音や排気ガスなどによる自動車公害が大きな問題になっているわけです。これは新聞報道ですが、今月の二十八日には、高速道路による環境破壊防止を中心にして、通過の二百八十の市が協議会をつくって、国や道路公団に環境整備の推進や特別交付金の交付などを働きかけるという動きも報道されていますけれども、この高速道路の公害についての実例として、東名高速道路の東京料金所周辺の問題ですね、この問題を、ひとつ具体的に例をあげながら、幾つか御質問していきたいと思うのですが、時間の関係もありますので、膨大な資料がありますけれども、一、二御紹介しながら、ひとつこの点も聞いていただきたいと思います。  東名高速道路は、御存じのように、東京——厚木間が一部開通したのが四十三年ですが、ちょうどこれと同じ時期に、この東京料金所に隣接するところに、四十三年の三月に、川崎市営の南平住宅団地がつくられました。いま、これがあとか先かという論議ではなくて、現実の事態についていろいろお尋ねしていきたいと思うのですが、四十三年の三月に完成したときは、当時三万台がこの道路を使用していたわけですが、最近の川崎市の調査を見ますと、一日最高十二万台近くを、多いときは記録しております。平均で大体八万から九万台の自動車が通過するということで、周辺住民の日常生活にも非常に大きな影響を与えているわけです。川崎市議会でも、十数回にわたって委員会審議あるいは市当局による対策を検討して、いま市の当局と住民代表による自動車公害対策委員会が設置をされています。川崎市長からは、東名高速道路におけるこの交通騒音、公害対策について、建設大臣あるいは環境庁長官、日本道路公団に対しても、しばしば要請書が提出されていますけれども、まだ根本的な解決が得られないという中で、公害問題が非常に深刻な事態になってきているわけです。  そこで最初に、一、二被害の実態がどういう状態にあるのかということを、きょうは長官お見えになっていますから御紹介したいのですが、先ほどお話ししました自動車公害実態調査委員会の、これは横浜市立大学の宍戸教授が代表者になっていますが、この調査をもとにした膨大な被害実態の調査報告書がありますので、この一、二を紹介しますと、市の調査でも、大体この沿線は一日平均七十五ホンという統計が出ていますが、公害対策基本法九条に基づく環境基準ですね、こういう二車線を越える車線を有する道路に面する地域、この環境基準はどの基準になっているか、最初ちょっとお尋ねしておきたいのですが、わかりますか。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕
  312. 春日斉

    ○春日政府委員 A地域のうち二車線を有する道路に面する地域は、昼間は五十五ホン以下、朝夕五十ホン以下、夜間四十五ホン以下、こういうことでございます。二車線を越える場合は、いま申し上げました数値に、それぞれ五ホンを足したものでございます。
  313. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、この環境基準というのは、昼間ですと、二車線を越える車線ですから、五ホンを追加して昼間六十ホン以下、朝夕五十五ホン以下、夜間五十ホン以下ということになりますね。これで見ましても、この調査によりますと、平均七十五ホンですから、いまの環境基準をはるかに越えているということは明らかなわけです。  そこで、この実態調査委員会調査、多くの専門家で調査した中で、騒音振動、それから大気汚染、気象、生物、呼吸器機能、疫学調査、教育環境、心理という八つの調査班をつくって、長期にわたって調査をしていますので、これを、きょう紹介するわけにいきませんけれども、三、四点、この調査報告書に記載されている具体的な実例をお話ししますと、特に子供の状態を中心に二、三例をお話ししますが、いま御紹介しましたこの南平団地の小学生は、押し入れに入って勉強しているのが相当多いわけです。また学校から帰ると、すぐテレビをつけて、音を音で消すという習慣、そして勉強しなければいけない。PTAの環境委員をやっている、これは市の公害対策委員でもありますが、藤島さんという方の報告を見ますと、校庭の片すみで宿題をやる。学校の下校中に舗道で宿題をやって帰ってくるという子供が、調査でも何人もいるというような事実も報告されています。あるいはこの子供の中で、情緒不安定が非常に顕著にあらわれているということで、たとえばこういう作文もあります。小学生ですが、早く関東大震災が来ればいい、東名高速道路がこわれるからという作文がありますし、あるいはこれは、母親の日記が出ていますけれども、長男がうるさくて寝つかれないというのでレコードをかけてやる。音を音で消して暮らす生活がいつまで続くのか。朝の静寂も夜のしじまも知らないで成長していく子供たちがふとあわれになる。長男が、祝日がふえるなら、高速道路の休日をつくってもおかしくないではないか、総理大臣に手紙を書こうという、そういう日記も出ています。いま一、二例をあげましたが、未来をになう子供の健康や教育環境にも大きな影響を与えているということが、この一、二の例でもおわかりになっていただけると思う。  また聴力調査の結果を見ますと、この団地の住民七百五十人のうち、七歳以上の調査ですが、百三十五人を対象にして調査した中で、二十四人が非常な聴力の異常者、要注意ということになっています。また騒音がひどくなると、神経が緊張して高血圧病者もふえてくる。この高血圧の受診の中に、中学生も含まれているということです。いまほんの一、二の例をあげたわけですけれども、こういう事実が報告書の中に記載されている。  これは捨てておけない状態、高速道路が先できたのか団地が先できたのかという、こういう論議では、問題は解決しないわけです。いま一、二例をあげましたけれども、国の基準もはるかに越えているわけで、生活環境あるいは住民の健康にも大きな被害を与えてきている。最初に一言、こういう事実について、長官としてどのようにお考えになるか。このままで決してよいということではないわけなんで、その点一言最初にお伺いしたい。
  314. 三木武夫

    三木国務大臣 南平団地の騒害問題というものが、一つの大きな問題になっておるわけで、道路公団との間にも、われわれのほうで折衝をいたしておるわけです。方法としては、おおいをかぶせるという方法もあるんですね。あるいは防音装置とかあるいは最悪の場合は、移転という問題もある。こういう問題は、技術的な問題が伴いますから、至急に道路公団で結論を出すように、われわれとして折衝をしておるわけでありますが、いま御指摘のようにこの被害は、捨ておけないわけでありますから、今後何らかの解決を促進するために努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
  315. 中路雅弘

    ○中路委員 具体的な問題で私も幾つか提案したいのですが、その前に、この自動車公害実態調査委員会というのが、川崎市と協力をして最近調査をして発表した中で、大気汚染だけではなくて、重金属の汚染という問題がこの報告書に出ていますので、これは川崎の高速道路だけじゃなくて、全国の高速道路周辺の住民にとっては非常に重要なことなので、一、二これも御紹介したいわけです。  この周辺の土壌の調査の中で、重金属汚染が異常な進行をしているという問題ですが、これは最近、東名高速道路の周辺と臨海工業地帯と両方広範にわたって土壌のサンプルを採取して、渋谷にありますマグネ技術センターというところで、サンプルを分析した結果が出ているわけですが、臨海工業地帯のほうは、きょう省略しまして、この東名高速沿線の一部分、いま取り上げました南平団地周辺の事実でお話ししますと、鉛、これは東名高速の東京料金所のわきの土砂から鉛が七八九PPM、そのそばの芝生からは三六七PPM、普通自然土壌中の鉛は、五から二〇PPMといわれているから、二十倍から三十倍の高濃度であるということがいえるわけです。おそらくこれは、ガソリン中の四エチル鉛による汚染が、おもな原因じゃないかと私は思うわけです。亜鉛をとってみますと、いまお話ししました南平団地の五号館の屋上の吹きだまりで、亜鉛が一四〇〇PPMですから、これがやはり十倍くらいになっていますし、しかも重要なことは、カドミウムが東名料金所、いまお話ししましたここで三・九PPM、これも、やはり普通の十倍近いんじゃないかと思うわけです。調査をされた専門の学者の皆さんにお話を聞きますと、また東京公害研究所の調査などの報告を見ますと車のタイヤ、それから道路の舗装のセメント中にカドミウム、亜鉛が含まれているのは、はっきりしているわけですから、車の走行によってすり減って、これがまき散らされるのではないかというようなことを、この報告書の中では出しているわけです。  いまお話ししましたように、非常に重金属汚染が大きいということと関連しまして、この周辺の団地の住民の罹病率がまた非常に高い。これは四十八年、昨年の九月三十日から十月二十八日の二十九日間にわたって、この調査委員会が南平団地の百七十世帯について調査をしました。もう一つは、この団地から約三キロ離れています、非常に静かなところにある対照的な有馬第一団地、この七十三世帯を対象にして、厚生省国民健康調査の基準に基づいて疫学調査をした結果も出ていますが、これで見ますと、罹病率は、南平団地のほうが、高速道路からはるかに離れている有馬団地よりも、圧倒的に高いというのが、はっきりした数字で出てきているわけです。  特にその中では無職、団地の中に昼間いる主婦、乳幼児、日中家にいる人に圧倒的に高い。数字は、時間もありませんから省略しますけれども、有馬、南平で取り上げますと、乳幼児をとりましても、また家庭の主婦をとっても、圧倒的に南平が高いという数字が出ていまして、特にその中で一番多  いのは、呼吸器系統の疾患、その次が消化器系統  の疾患、それから頭痛、血圧、いわゆる血液の関係の系統です。非常に少ない有馬の場合は、その少ない中でも寄生虫病だとか、そういう罹病の中身も違うわけです。  この報告書にもありますけれども、これらの結果からも、この高速道路周辺の住民の健康破壊の原因は、特定の環境汚染とはっきり関係があるということがいえるんじゃないか。また集団として同じような健康被害が認められるわけですから、自動車による騒音あるいは大気汚染、重金属汚染、こういう指標で見た場合に、相関性が十分あるということが、まだ不十分な調査ですけれどもいえるのではないか。特に呼吸器関係の障害が多いわけですから、これは粉じん中の鉛、そういったものが人体に影響があるということも、はっきりしているのじゃないかと思うのです。  こういう調査については、土壌関係の重金属汚染については、四月三十日に関係者が記者会見をやって詳しく発表しておりますし、一般新聞にも報道されていることですし、いまの私が一部紹介しました罹病率の異常な高さについては、五月十四日にやはり関係者が新聞記者会見をして発表しているという状態なわけです。これらは、いずれにしましても、専門家の独自に調査した結果であり、また調査上、不十分さはあったにしても、非常に深刻な事態が、この調査からもはっきりうかがえるのではないかというふうに私は思います。  これは民間の人たちが、市の公害局と協力してやった調査ですが、全国的にいま、航空機騒音あるいは新幹線騒音については、相当具体的にいろいろ調査も始まっていますけれども、高速道路の問題について、特にこういう周辺の住民で、非常に接触が多い、隣接しているところで、このような調査を、環境庁責任で一度幾つかサンプルを取り上げてみて、これが周辺住民の、いま言いましたような健康や環境にどういう影響があるかということを、まずいま具体的に調査をやるべきじゃないかというふうに思うわけですが、いままでどこかでこういうことを、環境庁としてやっておられれば、そういうこともお聞きしたいわけです。もし行なっておらないとすれば、国として高速道路周辺の住民の実態について、こういう調査を行なうべきではないかというふうに考えるわけですが、この問題について、三木長官からひとつ御意見をお伺いしたい。
  316. 三木武夫

    三木国務大臣 これは東名ばかりでなしに、阪神にもやはり同じような問題がある。環境庁としては、健康調査はやってみようと思っております。ただしかし、補償の問題は、やはり公団とかあるいは県とかいうようなものが関与をしてもらいたい。健康の被害の問題については、環境庁でやってみたいという考えでございます。
  317. 中路雅弘

    ○中路委員 私が例をあげたのも、民間の人たちの調査ですから、いずれにしても、まだ不十分さは非常にあると私は思うのですが、深刻な事態であるということは、ここからも考察できるわけです。  そこでいま長官からも御答弁いただきましたので、やはりここで一度、国の責任で、どこか具体的なサンプルで調査をしていただいて、具体的にどういう因果関係があるのかという問題を、ぜひ調査を急いでしていただきたいということを、まず最初に、約束もされましたので、お願いをしておきたいのです。  また、もう一つの例をあげますと、大気汚染のことで、特に窒素酸化物についても、これは南平団地の、ちょうど東名高速の反対側に、宮前グリーンハイツという大きい団地がありますが、ここの四十八号棟の調査を見ますと、〇・二七PPM、南平団地の六号棟で〇・二六PPMという数値が出ています。これも中央公害対策審議会の環境基準の〇・〇二PPMの約十倍を越えているという状態にあるわけです。大気汚染、重金属汚染、健康の現状と、実態を幾つかお話ししましたが、これは、ほんの調査の概要でありますけれども、この団地を中心にした周辺住民の被害実態が非常に深刻で、異常な種々の汚染、身体被害への影響は明らかですし、ここだけでなくて、いまお話しのように全国的にあると思うので、ぜひ調査をやっていただきたいと思うわけです。  この解決の問題で、御存じのように、地元では根本的な解決としては、ドームにしてほしいという要請もあります。私も、現地を見てみましたが、料金所がありますから、ドームという問題が技術的に非常にむずかしい。また、料金所で働く人たちの問題もあります。それからドームの場合に、おそらくそのドームの出入り口の汚染というのが特別問題があるでしょうし、ドーム内の自動車の、たとえば事故ということになれば、もっと深刻な問題も起きるかもしれない。いろいろ研究をしなければいけない問題があると思いますけれども、しかし、これは市と地元の強い要求なんですね。いま建設省や公団で考えられているのは、防音壁を相当高いものを、七・五メートルですか、つくって、それでまだカバーできないところの五階は、いろいろ特別の対策を立てるというお話もありますけれども、やはりいろいろ地元がいままで苦労をしてきた上で、これが一番いい方法だということで提案をしているわけですから、これは、この前も質問したのですが、この問題で、ドーム化を含めて、地元と川崎市と建設省なり道路公団なり皆さんの代表で、あるいはできたら環境庁なんかも、何かの形で参加をしていただきたいのですが、どうすればこの問題を軽減できるか、住民の要望にこたえられるかということで協議をしていただいて、住民の側から市のほうから出ている案についても、これは技術的に無理だと、すぐけ飛ばしてしまわないで、専門的な見地からも十分研究していただく。どうすればいいかということを、まず、この席では要望しておきたいと思うのですが、その点については、どなたか御答弁していただきたいが、どうですか。
  318. 山根孟

    ○山根説明員 東名の料金徴収所付近では、先ほど先生御指摘がありましたように、大まかに申し上げまして、一日十万台の車が出入をいたしておるわけであります。したがいまして、これをドームでおおうということになりますと、料金徴収員の問題、チケットを発行する、あるいはチケットで精算をする、いわば交通のふくそうをいたすところでありますので、照明、換気等に万全を払ったにいたしましても、やはり交通安全上、労働衛生上いろいろ問題があるという点は、先生御指摘のとおりであります。したがいまして、われわれといたしましては、先ほどお話しのありましたように、音壁、防音壁、これを両側及び中央分離帯の中に建てることによりまして、相当程度騒音を軽減させたいという考え方を持っております。  ただ、中高層の最上階付近におきましては、このような施設をいたすといたしましても、なかなか困難な面がございますので、これは、われわれのほうの所管でございませんが、速度規制の問題でございますとか、車線の指定、重量車をなるべく 音壁の近くを走らせることによって、かなりの騒音の低下がはかれるという試算も実はいたしておるわけでありますので、そういった全体から見て最も適切な方法を見出したい、かように考えております。
  319. 中路雅弘

    ○中路委員 ドーム化の問題は、あとでもう一言お聞きしたいのですが、いまちょっとお話にありましたから、続いて具体的に、現地でどうすればいいか、たとえばドーム化の問題も、これから検討していかなければいけないのですけれども、同時に、いまの緊急処置も必要ではないか、でき得る対策がないだろうかということで考えてみたのですが、きょうは警察の交通関係の方は来ておらないのであれですが、たとえばこれは市が調査したのですが、昨年の八月に川崎市の公害局が調査した結果、スピード違反——この地域は、団地付近の制限速度現行六十キロですが、これについて見まして、調査をした表があります。東名高速東京料金所から横浜寄り約六百メートルの地点にレーダー・スピード・メーターを設置して市が調査をしました。この調査地点は、いまお話ししました六十キロの速度制限になっているところですが、警察庁お見えになっていますか。——では、もう少し具体的に聞きますが、正午の調査で通過車両の九〇%がスピード違反です。午後六時でとった統計を見ますと、八八%の車が制限速度を無視して走行しているという、市の公害局の調査の結果が出ていますが、車のスピードが速くなるに従って、騒音被害も大きくなるということば明らかですし、これも調査でやってみますと、六十キロ以下の場合、大型車の発する騒音が平均八十二ホン、その他の車両で七十六ホン、七十キロから八十キロになりますと、大型車両の騒音が八十四、それから、その他の車両で七十九、九十キロ以上になりますと八十六ホン、その他の車両で八十一ホンというように、スピードが十キロ増すごとに、大体二から四ホンくらい騒音が高くなっていますね、実験して調査してみますと。  その点で、自動車騒音についての規制基準もあるわけですから、スピード違反を当局が相当徹底して取り締まるだけでも、五ホンくらいは騒音が下がるわけです。これは法に照らしても違反ですから、私は、もっときびしくスピード違反を取り締まるということによっても、いますぐでも相当のホンの軽減はできるという立場から、一つは、この団地の周辺の制限速度を、六十キロになっていますけれども、場所によっては、やはり四十キロから六十キロ速度制限の区間を拡大をする必要があるということと、当然のことですが、それに基づいたスピード違反について徹底して取り締まる、それから積載量の規制ですね、大型車両の積載量のチェック、それから違反車両の進入を規制するというような処置、こういうことの交通規制をきびしくやることによっても、相当の対策が立てられるのじゃないかということを、現地に行っても感じたのですが、この点について、せっかくお見えなのでお考えを、それからスピード違反については、九〇%が違反しているという調査結果も出ているわけですから、きびしく取り締まるということについての御回答をお聞きしたいと思います。
  320. 久本礼一

    ○久本説明員 警察庁の規制課長でございます。ただいまの御質問について、お答え申し上げたいと思います。  現在の東名高速道路の東京料金所付近の規制は、先生御承知かと思いますが、昨年の十月に料金所から厚木方面へ向けまして、千二百メートルのところから段階的に八十、六十、四十の規制をしているところでございます。これは上り線、下り線ともに、そのような規制をかけております。先生御指摘のとおり、そのような速度規制が必ずしも十分に守られていないという現象は、警察でも承知をしているところでございまして、これについては、重点的に高速道路上の取り締まりをきびしくしているところでございまして、四十八年におきまして、約五千件程度の取り締まりをしているというふうに報告を受けております。ただ、現実に速度を超過する車が相変わらずおって、それが騒音を拡大さしておるという現象は確かにあると思いますので、県警といたしましては、今後ともこの付近の取り締まりにつきましては、重点的にきびしくやっていきたいという方針であるように聞いております。  ただ、御承知のとおり、高速道路上の速度取り締まりと申しますのは、非常に危険でございますので、平場における取り締まりほど実は簡便にできないという悩みがございますが、しかし、そのような問題がございましても、できるだけパトカーによる追尾取り締まり等を主にいたしまして、きびしい取り締まりをしていきたいという方針であるように私は聞いております。また、速度規制につきましても、一応いま申し上げましたような規制をしておりますが、これが十分でないということでございますれば、現実にそういう規制と取り締まりを結びつけました、騒音の減少がどのように効果的であるかという点の調査もよくいたしまして、さらにきびしい規制をすることにつきましては、決してやぶさかではございません。  以上、この方針につきまして申し上げました。
  321. 中路雅弘

    ○中路委員 時間なので、もう一、二点にしますけれども、もう一つだけ、警察庁の方に、これは提案ですけれども、たとえば深夜とか早朝、安眠の時間に、大型車の騒音対策として一定区間——ほかでもよくありますね。安眠ゾーンというのをつくってやっているのがありますけれども、そういうのを設置して、車両の走行を一部の車線について禁止するとかいう何かの方法で、特に安眠時間に大型車両のスピードを上げた通行を制限するような処置というのは考えられませんか。
  322. 久本礼一

    ○久本説明員 神奈川県警におきましては、いま先生御指摘のような車線規制を含めて、対策を検討しているというふうに聞いております。
  323. 中路雅弘

    ○中路委員 終わりに、私は長官に特にお願いしておきたいのですが、地元のほうでは、川崎市でもいろいろ研究しまして、市長からは建設省に先ほど言いましたドームトンネル化の要請が出ているわけなんです。確かに技術的にいろいろ困難な問題もあります、料金所というのをかかえておりますから。地元に行きますと、料金所を何とか移してくれと言うんですね。料金所をドームにするのが困難ならば、料金所のほうを移してほしいという声さえあるわけです。  その点で、抜本的な問題として、防音壁にしても、これは若干の軽減はあっても、根本的な解決になりませんので、当面の問題としては、いろいろ具体的な御提案を、いま幾つかしましたけれども、交通規制を含めたそういう緊急の処置をやり、いまの環境基準を守らせるような、それに基づいた行政の面からの処置が必要だと思いますし、その点は、可能なことがたくさんあると思うのですが、やはり抜本的な対策として、地元から出ているこういう要請についても、いますぐそれは無理なんだということでけ飛ばしてしまわないで、この事態をどうするかということをもう一度いろいろ研究してみる。その点では、環境庁をはじめとした道路公団や建設省、各省関係のところ、地元とが、この問題で、どうして解決するかということについてよく協議をしてみる。みなこれを何とかしたいということについては、それぞれの立場から変わりはないと思うのです。そういう点でぜひ協議をしていただきたい。  特に最初、長官言われたように、この南平の問題というのは、先日テレビでも報道された。東名だけではなくて、いま全国的な高速道路の被害の典型のような実態ですから、これをどう解決していくかということは、行政の面でも非常に重要ではないかということで、私たちも、できるだけ協力したいと思いますけれども、いまお話ししたような立場で、一度関係者で十分の協議をしていただく。この点について、長官がおられるので、最後にお話をいただければ、私たちも、地方自治体も含めて皆さんと協力して、どうしていくかということについて、さらに知恵も寄せていきたいというふうに考えるわけですが、その点はどうでしょう。
  324. 三木武夫

    三木国務大臣 公害防止の政策には、どうしても地元の協力が要るわけです。また民間にもなかなかいい知恵がありますから、ただ役所の案でないとだめだという、そういうふうな態度はとるべきでないと思います。そういう協議も当然にすべきだと思うのですが、道路公団のほうでいま検討しておるのですから、何も案を持たずにお話を承るというのでは、その協議をする会議が実のあることになりませんから、早急に私のほうからも道路公団を督促しまして、一つの案を持って、こういうことでやろうと思うのだがどうだ、ほかの何かいい意見はないかという形の、地元住民との協議の会を持つようにわれわれも努力をいたします。
  325. 中路雅弘

    ○中路委員 まだ、いろいろ資料もあったわけでありますけれども、時間が限られているので、ほんとうの一端をお話ししまして、できましたら、私がいま幾つかあげました地元の調査の報告書、結果、こういう点もひとつ十分検討もしていただきたいということを、あわせて要望しまして終わりたいと思います。
  326. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 鈴切康雄君。
  327. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 両大臣とも、たいへんおそくまで御苦労さまです。  先ほど、わが党の鬼木委員のほうから、法案についてはかなりいろいろ突っ込んで御質問があった、そのように思いますので、基本的な問題としてだけ一、二聞いておきたいわけであります。  それは、たしか環境庁ができるとき、環境庁設置に伴って内閣委員会において論議もされ、そして産業公害対策特別委員会との連合審査会が持たれて、そこでもいろいろ論議されたのが、昭和四十六年の五月十二日の問題であります。当時わが党の古寺委員が、環境庁ができるにあたっての将来的な見通しという観点に立って質問を申し上げた部分がございます。その中で「いままでは各省庁所管をしておったいろいろな部面が環境庁の中に入ってくるわけなんですが、各省庁の場合にはそれぞれに出先機関を持っております。しかし今後環境庁がいろいろな公害の問題と取っ組んでいく場合には、出先機関がないわけでございますが、そういう点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。」、こういう御質問を申し上げました。おそらく、そういうことが必要であろうというものの考え方に立って古寺委員は質問をしたわけであります。  ところが、そのときに山中国務大臣から、「これは、いまの行政機構では、厚生省が一番人の健康、生命という立場からはそういう保護の立場にあった役所でありますけれども、これとてもそうきわ立った出先は持っておるわけではありません。県庁衛生部と保健所等の組織を通じて協力を得ているわけです。環境庁が出発をいたしますと、引き続きそれらの協力も願わなければなりませんし、現在三千数百名に達しております、交付税で措置しておる立ち入り権その他を与えられた公害専従の地方職員、並びに都市型保健所を中心とする立ち入り権を持った国の補助職員、こういうようなもの等をさらに年次別に増加をしながら、それらの人々に公害研修所に集まってもらっては絶えず最新の知識や技術を修得し、さらにそれによってまた人的なつながりも持って地方に帰る、そういう意味で県庁機構、保健所機構というものにお願いをしていけば、権限等も地方に大きく委譲しておるわけでありますので、環境庁ブロックごと一つ出張所を持つというようなことはしなくてもよろしいのではないかと思っております。」、こういう御答弁があったわけであります。  そうなりますと、ここにあります「行政管理庁設置法改正し、行政管理庁地方支分部局に、環境庁所掌事務の一部を分掌させることであります。」という内容とは、ちょっと違うような感じがするわけでありますが、その点について御見解をお聞きしたいと思います。
  328. 三木武夫

    三木国務大臣 いまでもどうしたって、この環境行政公害防止行政も含めて、地方の公共団体との協力を得なければ、これは、あれを自分でやるといったら、たいへん膨大な数字が要りますし、そういうことで、いまは地方の公共団体との間に非常に密接な関係を持ち、また、われわれのほうも、この研修の会を毎年もちまして、地方の県庁み公害関係の人たちに来てもらって、そういう点で研修もいたしておるわけでありまして、山中君の言われたようなことをやっておるわけですが、今度の場合は、府県を越えた問題がたくさん出てくるわけです。大気の汚染にしても水質汚濁にしても、府県行政区域というものが、やはりこういう問題を考えるときに、これだけでカバーできない問題がたくさん起こっておりますから、そういう場合に、こういう主として府県を越えるような問題というものに対して、行政管理庁の職員に対して調査資料収集については、環境庁長官が指揮権を持って、そして環境庁の一番手薄なところを補う必要が現実にできてきた、それが今度の機構改革に連なったわけでございます。
  329. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 県とかあるいは出先機関等にお願いをいろいろしなくてはならない部分、あるいは研修をして、そして、その地方自治体において取り扱う部分等については、これは確かにそのとおりだと思うのです。その当時、やはり将来的な見通しとして、どうしても環境庁にはそういうふうなものが必要ではないかということを、実は古寺さんがそういう問題点のとらえ方から質問をしているわけなんです。ところが、そんな必要はないだろうということになったわけでありますが、結局は環境庁としても、現実の問題としていろいろの調査資料収集、そして住民の方々の不満とかいろいろな問題、そういうものを吸収するためにどうしても必要になってきた、こういうふうにものの判断をすべきであるかと私は思うわけでありますけれども、古寺先生がそういうことまで踏まえて質問されたということば、やはりそれだけの見通しを持っておった、私はそう思うのですが、住民のそういうふうな多種多様の環境問題、公害問題に対処するためにはどうしても必要なんだ、こういうふうに判断してよろしゅうございましょうか。
  330. 三木武夫

    三木国務大臣 そのとおり御判断くださってけっこうでございます。
  331. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それからもう一つですが、実は国土総合開発庁をいま審議をしておるわけでありますが、この国土総合開発庁も、国土利用計画法が一応煮詰まった段階において、機構的においても手直しをしなくてはならないという部分も出てきているわけであります。その中に国家行政組織法の部分で、大臣庁においては部にかえて局を置くことができるという内容があるわけでありまして、そういう意味において、国土総合開発庁の附則の部分を直すということによって、環境庁のほうもそれに適応した、言うならば環境保健部というものを設置するということになるわけでありますが、きょうこれが終われば、環境庁のほうは、すでに採決に入ろうというわけであります。そうなれば当然、国土総合開発庁のほうの附則が直らないということになれば、何らかの措置を講じなければならぬのではないか。そうでなければ、いまやっております環境庁環境保健部というものを設置することができないということになるのですが、その点はどうでしょうか。
  332. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 お説のとおりでございます。
  333. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうことになりますと、私は、この間も実は質問をしたわけでありますけれども、こういうふうな国家行政組織法の根本法ともいうべき部分、それを国土庁の附則等で取り扱って直すという方法が、はたしてよいかどうかという問題をこの間論議をしたわけであります。私は、こういう問題を手直しするということになれば、少なくとも単独法で出すべきではないかというふうに申し上げたわけでありますが、行管長官はどのようにお考えでしょうか。やはりこういう問題について、こういう手違いが起こってまいりますと、結局は附則を片方につけ加えなければならないということになるわけでありますが、その点はいかがお考えでしょうか。
  334. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 確かに、先生御指摘のように、そういった事態になりますれば、御指摘のような問題が出てまいるわけでございますから、本来単独法で改正すべきだという御意見一つの識見だと思います。ただ、御承知のように一般原則として、実際の必要性が起こる前にそういった国家行政組織法の改正を行ないますことも、現実的にはなかなかむずかしい問題でございますし、やはり新しい行政需要に即応して、そういった庁中の局または官房に部を設置する必要性が起こったときに、国家行政組織法の改正問題もあわせて起こってくるというのが現実的な姿でございます。  そこで、その場合におきまして、単独法で二つ並べて出すということになりますと、いずれが先議され、いずれが通るという形になりましても、なかなかデリケートな問題も出てまいりますので、一応法制局とも御相談をいたしまして、昨年出しました国土総合開発庁設置法の内容と実体的な関連関係が非常に強く、そこで初めて議論されるわけでございますから、そういう実体的な関連関係が強く、また立法技術上から見て国土総合開発庁設置法が新法制定という形をとっているので、これを附則という形で処理するのが適当であろうという御意見もございましたので、そういう形で処理させていただいたわけでございます。
  335. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家行政組織法の根本的な条文にかかわる問題については、それはそれなりにやはり単独法を出して、そして、その部分を直すというふうな行き方でないと、こういう手違いが起こってくるようなかっこうになりますと、あとにも響く問題でありますし、また国家行政組織という根本法の権威を傷けるようなかっこうになるわけでありますから、そういう点において、私は問題提起ということにしておきましょう。  具体的な問題に入ってまいりたいと思いますけれども、先ごろ北海道の調査結果で要注意というふうにレッテルが張られました網走管内の無加川の水銀汚染というものは、北見工大の佐々木満雄教授の調査でも、ウグイとそれから魚介類から暫定基準の〇・四PPMの三倍を越える一・二八PPMの水銀が検出され、汚染が裏づけをされました。無加川、常呂川等は、いずれも一級河川でありますが、国の調査としてはどのようなことをされておるか。また内容について、調査結果についてを御発表願いたいと思います。
  336. 森整治

    ○森(整)政府委員 無加川につきましては、四十八年度の全国環境調査の一環といたしまして、支川を含めまして底質の総水銀、アルキル水銀につきまして七地点の調査を行ないました。その結果でございますが、七検体中四検体に総水銀が〇・五PPBから三・四四PPB検出されました。底質につきましては、七検体中に総水銀が多いところで二百四十九PPM検出されておるわけでございます。
  337. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、あなたが御報告なさいましたいわゆる道庁の発表、これは、たしか四月の十九日に発表されておりますけれども、道庁の発表と北見工大の佐々木教授の調査結果には、かなりの違いがあるわけでありますけれども、その点どのように判断をしたらいいでしょうか。
  338. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘のように、確かにイトムカ川のほうにつきましては、若干調査地点が異なりますが、それほど大きな食い違いはないと思っておりますけれども、東無加川というのでございましょうか、常呂鉱山のほう、そちらのほうにつきましては、確かに数値的に違った調査結果が出ておるようでございます。いずれにいたしましても、私ども、道庁の調査では、七地点の調査に過ぎませんから、さらに調査地点をふやしまして、細密調査を行ないまして、どういう分布になっておるかということをもっと精査いたしたい、こういうふうに考えております。
  339. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 道庁の調査の結果から見ても、底質二十五PPMを越える個所が、七カ所のうち二カ所あるわけですね。それから北見工大の調査は、二十二カ所の調査の結果四カ所ということで、かなり汚染をされているというふうに判断されるわけです。なぜ汚染をされているかといいますと——言うならば、道庁で概査をした結果以外に、北見工大における調査というものにも、かなり汚染があるということが明らかになっているわけでありますから、そういう観点から、当然、国としては、もう一度この問題を詳細に調査をし直す必要性があるのではないか、こういうふうに私は思うので、その点の御見解と、それから、いつそれについて、こういう事実がわかった以上は、一刻も早くやらなくてはならないわけでありましょうから、そういうことを具体的におやりになるつもりでしょうか。
  340. 森整治

    ○森(整)政府委員 ほかの例でもそうでございますけれども、いずれにせよ、除去基準の二十五PPMをこえる地点が数点発見されておるわけでございますから、その地点の分布を至急調べまして、対策を講ずる必要がございます。したがいまして、先生御指摘のように、北見工大の調査も参考にいたしながら、至急調査を実施したい、こういうふうに考えております。
  341. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 道の無加川での底質調査結果によりますと、七地点で採取した中に、無加川の上流イトムカ川の沈でん池に最高二百四十九・八二PPM、同じく採取した他の場所では七十一・七二PPMと非常に高い濃度の水銀が検出されております。そこで道庁としては、こうした調査結果に基づいて、環境庁に申し入れをしておるわけでありますが、この問題について、水銀汚染対策推進会議の議題にして、さらに環境庁としては、この問題を綿密に、やはり議題にされるお考えでありましょうか。
  342. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘のように、各府県に委託をいたしまして調査をいたしまして、これを中央の検討委員会にかけまして、対策もあわせ、ただいま私がお答えいたしましたような方向で確定をいたしたい、こういうふうに考えております。
  343. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 水質の総水銀の許容量というのは、現在〇・〇二PPMであるわけでありますけれども、中央公害対策審議会の答申も出たわけでありますが、中央公害対策審議会の答申というものは〇・〇〇〇五PPMですか、それは測定できるいわゆる限度であろうということで、それを一つは基準にすべきではないかというような考え方もあるようでありますけれども、それについて、私は、水銀が検出される、水質の中にそういうものが含まれるということは許されるべきものではない、こういうふうに思うわけでありますが、その点については、どのようにお考えになっていましょうか。
  344. 三木武夫

    三木国務大臣 いままで水銀の測定器具が、この間の〇・〇二ですか、これがそのときの器具としては、はかり得る最高のものである。出してはいけないということになっているのですから、低いほどいいことは間違いないのですが、今回、測定器具が進歩いたしましたので、答申に従って改定をいたす所存でございます。
  345. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、〇・〇〇〇五ということに改定をするということになれば、それは早ければ早いほどいいわけでございまして、もう答申も出たわけでありますから、いつ改定をされるのですか。
  346. 三木武夫

    三木国務大臣 来月初めにやります。
  347. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 イトムカ鉱山での水銀鉱石の総量というものは、大体どれくらいあるというふうに推定されていましょうか。
  348. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  イトムカ鉱山は、昭和十二年に発見されまして、十四年から操業に入りました。自来戦中、戦後と操業を続けまし七、昭和四十八年六月、鉱量がなくなったということで閉山いたしました。その間に生産いたしました水銀の精鉱量は、三千二百五十九トンでございます。現在すでに稼行鉱量がないということで閉出しておりますが、稼行鉱量がないというのは、経済的な意味でございます。いわゆる鉱石としての分布は、推定水銀の量にいたしまして三百三キログラム、品位〇・一七八パートンというふうに考えられております。
  349. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三千二百五十九トン生産をされたということでありますけれども、当然その生産をされた中に、廃棄物として処理をされるという水銀等もあるわけでありますが、その水銀は、大体どれくらいになりましょうか。
  350. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  水銀の排出基準がきまりましたのは、昭和四十三年十二月からでございます。したがいまして、それ以前のものにつきましては、含有量について調査をしておりません。それ以後につきましての堆積中に含まれておる水銀の量でございますが、私どもの鉱山監督のたてまえといたしまして、事業所から環境に出ますところで、煙なり水なりの含有量が国の基準に適合しておるということで監督を実施してまいっております。四十三年十二月以降の私どもが検査しておりますところでは、先ほど先生から御指摘がございましたような数値〇・〇二PPMに十分合格しております。したがいまして、堆積中にございます総水銀の量は幾らかというふうなことは、私どものほうでも残念ながらつかんでおりません。
  351. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのような規制ができてからは、かなりきびしい数値でこれを取り締まっているわけでありますけれども、結局このように川が汚染をされたということは、当時排出基準等がなかったというか、そういう観点からいうならば、たれっぱなしであった。しかも網走のあまり人家のないような、そういう場所であったがために、言うならば、そういう廃棄物処理という問題が十分に行なわれなかったということは想像できるわけでありますが、その点はどうでしょうか。
  352. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 このイトムカ川あるいは無加川におきます底質中の水銀総量の数値が高いということは、ただいま御指摘のとおりでございます。  その原因につきましては、実は二通りございまして、自然の形で——先生も御案内のとおりかと存じますが、あの辺は水銀地帯でございます。北海道のレポートにも、その点を原因の一つとして触れております。もともと、この地方におきます水銀の露頭の発見が、昭和十一年の台風の際にたいへんな倒木がございまして、その倒木のあと根っこに、いわゆる芋辰砂というふうに地元でいわれておりますが、硫化水銀の形で発見されたような地帯でございます。同時に、こういった自然の状態と別個に、ここで野村鉱業が採鉱精錬をいたしております。その結果、御指摘のような堆積場あるいは坑内排水あるいは堆積場から浸漬して、また環境に水が出る、こういうような形で汚染が行なわれたのではなかろうかという推定がつくわけでございます。  そこで、私どものほうの鉱山保安のたてまえの監督から申し上げますと、事業所から出るところにつきましては、山元あるいは坑内水あるいは精錬所あるいは堆積場すべてにわたりまして、規制値以下になるように指導いたしております。  ただ、この鉱山が昭和十二年に始まりまして以来、はたしてどの程度であったかというふうなことにつきましては、ずいぶん昔のことでもございますし、防止技術あるいは分析技術あるいは排出基準規制といったような面で、いまとずいぶん違ったような体制がございますので、おそらく自然汚染と、程度はわかりませんが、鉱山側も汚染の原因の有力な一つになっているものと考えております。
  353. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 イトムカ鉱山の廃棄物による、言うならば水銀汚染が無加川に大きな影響を与えておるということを、これは北見工大の佐々木教授もはっきりその結論をつけておるわけです。そういう点で、水銀工場の処理施設が不十分であったのではないかというふうにいわれているわけでありますけれども、そのことについて、もう昔のことだからわからないのだというふうに、あなたのほうはおっしゃるのか、あるいはかなり調査をしてみて、確かにこれでは水銀の排出という問題が、おろそかであったということが結論づけられたかどうかという問題なんですが、その点はどうでしょう。
  354. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 昭和四十三年十二月に、鉱山保安法に基づきます排出基準をきめまして以降につきましては、的確に監督し、あるいはその前提になります施設につきましても、事前の承認あるいは完成検査、運転検査という形で監督してまいっておりますので、その後のことにつきましては、十分適合しておったと判断しております。
  355. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま現在、水銀の廃棄物が出た場合には、どのような処理をされておりますか。また保管場所は、どういうふうにされているか。また、どのような方法でその廃棄物が処理されるのか。その点についてお伺いします。
  356. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 山元とそれから精錬所とそれから五十六号という、かなり離れましたところと三カ所に捨て石あるいは鉱滓の堆積場がございます。山元の分につきましては、中和をいたしまして、それで沈でんをさして、上澄みをイトムカ川に放流する。その際、環境基準に適合するということを確かめてやっておるわけでございます。それから精錬所付近の排水及び堆積場の分につきましても、同様に石灰石中和あるいは沈降剤によります沈降ということをやり、さらに、それを沈でん池に集水いたしまして、排出基準に適合することを確かめて、これを無加川に放流するという処置をとっております。それからもう一つ、三・六キロぐらい離れましたところに、五十六号堆積場がございますが、これにつきましては、十分ろ過いたしまして、それで上澄みを、排出基準に適合することを確認して、これは無加川に放流する、こういうやり方をとっております。
  357. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在もう汚染をされている無加川等の対策なんですが、底質の中にはかなりの水銀量が含有されているというわけでありますけれども、その底質、いわゆるヘドロですね、このヘドロに対しては、もう当然基準よりもオーバーをしているわけでありますから、そういう場合には、どういう処置がとられましょうか。
  358. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 イトムカ鉱山の責任にかかる部分が幾らであるかということは、先ほど環境庁のほうからも御指摘がございましたように、詳細な環境調査が実施されますので、私どものほうも、それにジョインいたしまして、事業所の精査を実施したいと考えております。あわせまして、その調査を通じまして、事業所の原因に対する寄与分が明らかにされるかと存じますが、明らかにされました原因につきましては、鉱業権者であります企業が、当然鉱業法あるいは水質汚濁防止法、費用負担法等々の公害関係諸法規によって分担すべきものと考えております。
  359. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 鉱業権者の企業といいますと、何鉱業なんですか。
  360. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 野村鉱業でございます。
  361. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、いわゆる基準以上のヘドロ底質については、それをしゅんせつするという方向になると思うのですが、そのしゅんせつをするということに対しては、野村鉱業はやはり責任を負うという形になるわけですか。
  362. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 河川のしゅんせつは、国もしくは河川管理者でございます自治体仕事になるわけでございます。その際、野村鉱業が原因として確定された部分については、当然負担すべきものでございます。
  363. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それから、その場所がいわゆる水銀の鉱山でありますがゆえに、山くずれとか、そういう問題が起これば、自然と川に流入をするというおそれもあるわけであります。そういう点から、汚染をされるということに対して、未然に防がなければならないわけでありますが、山元対策に対しては、どういうふうにお考えでしょうか。
  364. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 昨年の六月、鉱山は閉鎖いたしております。ただし、閉鎖後におきましても、鉱害の防除につきまして、鉱山保安法によりまして的確な指示をいたすことになっております。現在、閉鎖後におきます鉱害防止のための工事計画書が会社側から提出されておりますが、それに対しまして、現地の札幌の鉱山監督局で近く現地調査をいたしまして、現地に即応するように、あるいはただいま先生が御指摘になられましたような、堆積場が崩落するということのないような的確な工事を指示すべく段取りを進めておる状況でございます。
  365. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たしか、この場所でとれた魚について、ウグイを調査したところが、平均一・二八PPMの汚染をされた魚であったという結論が出ておるわけでありますけれども、許容されておるところの水銀というものは、総水銀〇・四PPMだというふうになっておるわけでありますが、一・二八PPMの魚であるということになれば、これはどういうふうになりましょうか。
  366. 森整治

    ○森(整)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました基準は、海産魚につきましての暫定基準でございます。一応川魚ではございますけれども、やはり注意を要する問題でございます。ただ、この川魚は、常食をされない性格のものでありますけれども、念のために食事指導等によって対処をいたしたい、とりあえず、そういうふうに考えておるわけで、基本的には、先ほど先生御指摘のように、まず底質を除去して、そういう魚への汚染をなくすという基本の問題がございます。それは至急に対策を講じたい、こういうふうに考えております。
  367. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度、調査をする中に、たとえばウグイとか、そういうような魚等の水銀量に対するところの調査もなされるわけですか。
  368. 森整治

    ○森(整)政府委員 すでに魚に、そういう汚染状態があるわけでございますから、むしろ底質の除去のどこをとるかということを至急調査をいたしまして、魚につきましては、先ほど申しましたように、食事指導でなるたけ食べない、食べないといいますか、しょっちゅう食べないというようなことで健康の保持をはかる、こういう考え方でございます。
  369. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 川魚だから、しょっちゅう常食をされないであろうということでありますけれども、イトムカ鉱山の近所は、大体川魚等は常食されているようなかっこうにもなるわけでありまして、そういう意味において、食事指導といっても、食べる量を減らしなさいとか、そういうふうなこと以外にないでしょうけれども、一応暫定基準〇・四PPM以上ということになれば、たとえば海魚のマグロとかあるいはキンメダイとか、そういうものは〇・四PPM以上であってもよいというような、そういう考え方もずいぶんおかしな問題ではないか。マグロに含まれているところの水銀であろうが、あるいはそのほかの水銀であろうが、水銀には変わりがないのではないかと思うのです。  そういう点で、少なくとも〇・四PPMの三倍に当たる一・二八PPMが平均であるというような——汚染された魚に対して、ただ食事指導だけでそれでいいのであるかどうか。住民の方々が、そのことで安心をしていられるかどうかという問題で、大きな疑義があろうかと思うのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  370. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問の点でございますが、厚生省が昨年七月に、魚類の水銀の暫定規制値につきまして出したときの問題につきまして、先ほど水質保全局長のほうから御説明があったわけでございますが、これは厚生省の食品衛生できめたものでございます。私どもは、食品衛生としては、これに従っておるわけでございますが、ここの魚につきまして、北海道庁に一つは漁業権があるかどうかということを聞いてみますと、ここの場所では漁業権がないということでございます。もう一つは、この魚をどういうぐあいに食べるのかということを聞いたときに、ほとんど食べないのだということが、いままでの北海道庁からの報告でございます。そういうことで、この地点につきましては、四十四年から注目しまして実は調べております。その当時は、鉱山もございましたが、先ほど通産省の局長からもお話がありましたように、天然の鉱泉地帯であるということも、地質のほうからの議論がございました。そして、ここの魚を食べないというような問題もございましたので、この地帯については、特別な健康調査というのは、従来はいたしておりませんでした。ただ、先生のおっしゃったように、もしも一人の人がこれをめちゃくちゃに食べたらどうなるかということを仮説的に考えますと、これはよくないことである、そういうように思います。先ほどの食事指導をさらに徹底するということと同時に、やはり健康調査ということの面で、自然かもしれないが、比較的水銀の高いところでの住民の健康の問題として、私どもはちゃんと注意をいたしておる、そういうわけでございます。
  371. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和十二年にこの鉱山が発見され、十四年から鉱山が採掘されてきておるわけであります。その間、これだけたくさんの汚染がなされてきておるわけであります。それが、全く飲用水として取られていないということでなくして、水は当然飲み水として使用されてきているわけでありますから、そういう観点から考えるならば、その付近におる住民の健康にも、やはり何らか水銀の被害というものが出ているのではないかというように私は心配するわけでありますけれども、それに対して、住民の方々の健康診断をやってみようというお考えはないでしょうか。
  372. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 住民の方々の健康診断といたしまして、先ほどお答えいたしましたように、一般的にその地域として高い場所での健康の問題として私ども調査をいたしてみたい、そういうことで北海道庁とも話し合ってみたいと存じます。
  373. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いずれにしても、イトムカ鉱山においては、かなり汚染をされておるということが、道庁のほうの調査も、また北見工大の佐々木教授の調査においても明らかになったわけであります。そういう点で、いま私が申し上げましたような点を十分考慮に入れられて、至急ひとつこの調査と、それから水銀が流出をして、さらに汚染が進まないような対策、また水銀に汚染されている場所については、早急にこの除去に当たるということについて、もう一度最後にお伺いをいたしまして、質問を終わることにいたします。
  374. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生の御指摘の点十分に注意しながら、至急対策を講じてまいりたいと考えております。
  375. 徳安實藏

    徳安委員長 上原康助君。
  376. 上原康助

    ○上原委員 かなり時間が経過してきておりますが、あとしばらくおつき合いを願いたいと思います。  環境庁長官がちょっと席をはずしていらっしゃいますので、最初に、行管長官にお尋ねをしたいのですが、今回のこの設置法の一部改正の件で、すでに同僚議員から問題指摘がございましたが、本来、大臣庁には部を設置することはできないわけですが、たまたま国土総合開発庁設置法の一部改正の、しかも附則のほうで、法律改正をして部の設置をやろうとしております。また、閣僚の数の増員にしましても、開発庁設置法の附則のほうで増員をしようとしておる。こういうのは、本来あるべき姿ではないと思うのです。行政組織法の改正なり、本来の方向で法律改正というのはやるべきだと思います。こういうことを行政簡素化あるいは行管としての権根といいますか、監督行政をやるという意味では、もっと厳正な行政運営のあり方があってしかるべきだと私たち思います。  先ほど答弁もありましたが、国土総合開発庁設置法が国土庁に名称がえになって、附則の二条あるいは三条が改正をされる、削除をされるということになりますと、この法案も修正をしなければいかないということになると思うのですが、こういうことに対して、行管長官としてはどういうお考えを持っておられるのか。あまりにも安易な法案改正のしかたというのは、厳に慎むべきだと私たち思いますが、今後のこともありますので、長官のお考えを率直にお聞かせいただきたいと思います。
  377. 保利茂

    保利国務大臣 先ほど平井局長からも御答弁申し上げましたように、国土総合開発庁の附則において、行政組織法の中に禁ぜられておる部の新設を認める、いわば実体的には行政組織法の改正をもって部の新設を認める。上原さんのお説のように、まっこうから行政組織法の改正をもって当たるべきではないかという御説、筋としては、そのほうがほんとうだと思います。これは立法技術上の問題で、附則であれ本文であれ、とにかく国会の御意思によって立法意識がそこに定まれば、事実上の問題としては、いろいろ意見はあろうかと思いますけれども、差しつかえないのではないか。しかし望ましいことは、あなたの言われるように、行政組織法に抵触する部分については、行政組織法を変えていくという姿が、一番すっきりした、疑問のないやり方であろうかと思いますけれども、しかし、これとて御容認をいただきますならば、国会の意思、立法者の意思がそこに働くわけでありますから、技術的の問題として考えますと、そうやかましく言うこともないなというところが正直のところでございます。  しかし、一方においては、部の新設をお願いする、一方においては、行政組織法の改正お願いする、両方一緒にやっていただけばいいのですけれども、片方がよくて、片方が困るという場合もないでもございませんでしょうし、そういうところは、立法技術上の問題といたしまして、附則でやると、いかにも軽いようでございますけれども、附則であれ本文と同様に、国会の意思がきまらなければ、きまるものでございませんところを考えてみますと、やかましく言うこともないかなとも考えるわけであります。
  378. 上原康助

    ○上原委員 この件で多く議論しようとは思いませんが、いま長官の言わんとするお気持ちもわからぬわけじゃございません。ただ、立法府の権限である、あるいは立法技術上の問題だということで片づけられていいかといいますと、やはり幾ぶんひっかかりがあるわけです。といいますのは、最近、新たな省庁を新設するというような話も別にあったわけですし、そういった機構上の問題あるいは本来の国家行政組織法をより的確に運用していくということであるならば、やはり法文の本体に置かずに附則というのは、たいへん失礼な言い方かもしれませんが、間々、本体よりも附則でくっつけていくことによって、いろんな拡大解釈ができる、運用の拡大ができる、そういう点もありますので、こういうことは私たちとしてはとるべき法案改正の筋でない、その点を強く指摘をしておきたいと思います。  そこで、時間がかなり制約されておりますので、具体的な点に入りたいわけですが、この法案改正一つの要点として、改正の第二点のほうですが、ちょっと読みますと、「全国各地に発生する環境問題を迅速かつ的確に把握し、環境行政の適切な運営に資するため、管区行政監察局及び沖繩行政監察事務所が、環境庁長官の指揮監督を受け、」ということで、沖繩行政監察事務所に調査官を置いて環境行政に当たらせるということだと思うのですが、この新しく置く役所任務あるいは人員は一体どういうことになっているのか、説明をいただきたいと思います。
  379. 保利茂

    保利国務大臣 先ほどからも御質疑がございましたように、この目的のために、さしあたり三十名の職員を新たに置く。その置き方は、八つの管区監察局、それと本土におきましても、千葉でありますとか神奈川でありますとか兵庫でありますとか、そういう五つの県に一人ずつ配置して、そして沖繩ば離れておりますから、沖繩につきましても、環境庁の要請も強いわけでございますから、沖繩には、大体地方支局には、今回そういうふうに五つぐらいの公害多発地帯に一人ずつ配置するということになっておりますが、沖繩には、そういう関係で一人配置をするというような大体含みで検討しておるわけでございます。
  380. 上原康助

    ○上原委員 三十名、定員が増員になるということは、私もわかるわけですが、沖繩に新しく配置される人数、また環境庁長官の指摘監督を受けてやるその職員の任務というのは、一体どうなのかということを、ひとつ事務局から答弁をいただきたいと思います。
  381. 信澤清

    信澤政府委員 環境庁からお願いいたす仕事でございますので、私のほうから御説明いたしますが、この法案にございますように、調査それから情報収集、それから苦情の処理、こういうことになるわけでございます。具体的に申しますと、私ども従来から都道府県お願いをいたして、この種のことをやっておったわけでございますが、先ほど来もお話にございましたような事情から、今回お願いしたわけでございます。  そこで、具体的に二、三例をあげますと、第一は、全国各地住民を対象とする環境モニター調査の実施及びその報告、第二は、環境庁所管行政に関する苦情、照会等の行政相談の受け付け、回答、それから第三番目に、その他環境庁長官が特に必要と認めた調査お願いするというようなことをさしあたりやっていただこう、逐次その範囲を広げていきたいというのが私ども考えであります。
  382. 上原康助

    ○上原委員 いま私のお尋ねしている点にはお答えいただいてない。沖繩でこれから環境庁長官の指揮監督を受けて、あなたがおっしゃるように環境調査情報収集する、その役人の人数は何名なのか、どういうことを目的としてそういうことをやろうとしておられるのか、それをお尋ねしているわけなんですよ。
  383. 信澤清

    信澤政府委員 沖繩の場合には、やはり私どもは第一義的には、沖繩県にこのようなことをお願いするというのがたてまえでございます。沖繩県がいろいろな公害規制上の権限をお持ちでございますから、沖繩県を通じて調査をいたすわけでございますが、やはり沖繩の特殊事情等からいたしまして、国が直接お話を承る、こういう問題も多々あるわけでございますので、そういう問題を御処理いただくということになろうかと考えております。  なお、置く人員の点につきましては、行政管理庁のほうから御答弁申し上げます。
  384. 木下薫

    木下(薫)政府委員 沖繩の行政監察事務所に配置いたしますこの事務調査官は一名でございます。
  385. 上原康助

    ○上原委員 一人を——現在は何名いるのですか、この調査官というのは。新しく一人だけを配置するわけですか。一人を置くその根拠ですね。あとからいろいろ具体的な問題でお尋ねしたいと思いますが、重要な役所を置くということになって、一人で一体どのくらいのことができるかという素朴な疑問がわくわけですね、ですから、そこまでは説明をしておいてください。
  386. 木下薫

    木下(薫)政府委員 現在、沖繩行政監察事務所の職員ば、所長以下二十五名でございます。したがって、今回配置いたします調査官を含めますと、監察事務所の職員は二十六名になりますが、この法案にありますように、環境庁仕事を現地で行ないますについては、環境庁長官の指揮監督を受けて沖繩の行政監察事務所長がやることになりますが、その環境庁関係の分を直接担当いたします調査官が一人ということでございます。  ただ仕事は、先ほど環境庁の官房長から申し上げましたように、本来の環境関係の行政についての調査なり規制その他の権限は、沖繩県知事にありますので、そのほかの部分一般的な情報収集相談、そういうものについて、監察事務所はお手伝いするといいますか、そういう形で働かしていただくことになろうかと思っております。
  387. 上原康助

    ○上原委員 一人を置くわけですね。その点は明らかになりました。それで、県側に責任があるということでしょうが、大半は——大半というよりも、県側のいろいろな環境保全の問題についてやらなければいかないという行政面あるいは権限面、政策面は、私にもある程度わかります。しかし、それにしても、法案改正をして環境問題をこれからやっていくんだということなのに、たった一名とは、あまりにも心細い限りといわざるを得ません。これは後ほどまた少し議論をしていきたいと思います。  そこで、環境庁長官がおられればあれなんですが、政務次官がいらっしゃいますので、若干お尋ねをしておきたいと思うのですが、せんだって環境庁は、公害白書を発表しておられるわけですね。しかし、その内容というものを端的に申し上げますと、公害の現状分析ということに重点を置いている感を受けるわけですよ。公害といいましても、窓口が非常に広いし、たくさんあるわけですが、続発しつつある各種の公害あるいは自然環境、食品公害などを含めて考えた場合には、むしろ公害白書というものは、現に起こりつつある公害に対してどう具体的に対処をしていくのか、その指針と政策なり防止対策というものを、より国民の前に明確にしていくということを、私は重点に置かなければいけないのじゃないかという感がします。これも時間がありませんので、多く議論できませんが、そういう意味で、非常にもの足りない白書の中身になっていはせぬのか。  たとえば具体的にいいますと、石油危機と環境政策との関連という点なども触れておりますが、石油危機問題あるいはそういったエネルギーのコスト高、物価高等々の関係において、公害規制の問題について手をゆるめるとか、あるいはいろんな面で後退をしていくのじゃないのかという感じがしないわけでもないわけです。こういう面については、環境庁はどう今後対処していくのか。五十年から五十一年度にかけて完全実施をするといわれた自動車の排気ガス規制や、対策の問題などが万一延びることはないのかどうか、こういう基本的な姿勢についてお聞かせをいただきたいと思います。
  388. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 石油危機に関連をして環境行政が後退しないかという御質問でございますが、昨年、石油危機後の臨時国会におきまして、総理以下また三木大臣からも、そういう点については後退はしないとはっきりお答えをいたしておりますし、環境白書の中でも、そのように申しておるわけでございまして、その点については、私どもは石油危機に関連して、環境行政が後退するということは毛頭考えておりません。
  389. 上原康助

    ○上原委員 あと一、二点、この点との関連において。  そういう後退することは考えておらない。しかし、先ほど言いましたように、どうも具体性に欠ける面があるわけですね。たとえば、あと一、二点例をあげますが、放射能問題については、この白書は全く触れていないような感じを受けます、全部読んだわけじゃありませんが。原潜問題とか海洋汚染、そういう面では、放射能問題というのは国民公害関係において、きわめて知りたいところなんですね。特に最近、いろいろ日本分析科学研究所のデータの捏造問題などもあって、放射能問題についてなぜ触れていないのか。あるいは原子力発電所の開発問題も、国民世論が二分をしております。この原子力発電所の安全性の問題、あるいは今後国が、また政府がどうしても開発していくのだということで、いまも商工委員会などで問題になっておりますが、安全性や開発をした場合に、地域住民に与える影響、そういうようなことについても、やはり白書で明確にすべきじゃないかという感じがするわけですが、これが、なぜ抜けたのかという点を明らかにしていただきたいと思います。  それと、これは長官があとでいらしたら、ぜひ聞いておきたいことですが、きょうあたりの新聞報道を読みますと、いわゆる原潜寄港について、その監視体制が不備であるということで、まだ、寄港は見合わす、許可されていないわけですが、最近は、監視体制がまだ十分整っていないにもかかわらず、原潜の寄港を近い将来、近いというのは、来月あたりこれを許可する動きが政府の一部にある。もちろん、これは科学技術庁あるいは外務省の関係かもしれませんが、事環境問題から考えて、環境庁としては、政府全体としては、私は監視体制が十分整っていない間に原潜の寄港を認めるということは、許さるべきことじゃないと思うのです。私たちの立場からすると、たとえ、そういう監視体制があっても、原潜の寄港というものは、百害あって一利ないという立場をとります。だが、これは議論のあるところでございますので、こういう問題に対しても政府はどうお考えなのか。また、この件について、環境庁として政府全体の話し合いを進めていくお考えがあるのかどうか、この点もあわせて明らかにしておいていただきたいと思います。
  390. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいま御指摘になりました点の、最初の二点についてお答え申し上げますが、原子力、特に放射能による大気汚染防止の問題でございますが、これは現在の公害対策基本法でも、これがはずれておりまして、原子力関係の基本法その他関係法律で定めるところによるのだということになっているわけでございます。現実の行政も、そういうことで科学技術庁中心におやりになっているということでございますので、白書をつくります段階でいろいろ御相談しましたが、はんぱに私ども触れるわけにもまいりませんので、放射性物質による汚染問題には触れなかったわけでございます。  それから原子力発電所につきましては、そういう立場で私ども考えます場合に、温熱排水の問題と自然環境の破壊の問題がございますが、これは当然、白書でも指摘されている点でございまして、この問題は、将来の立地に際しましてのアセスメントの問題として取り上げられている、こういうことでございます。
  391. 信澤清

    信澤政府委員 最後にお話ございました環境問題あるいは環境行政として放射能をどう扱うかという点でございます。いずれ大臣が参りまして御答弁申し上げるかと思いますが、私ども、放射能汚染問題というのは、環境問題としてきわめて大きな問題であり、重要な問題である、こういう認識を持っております。ただし、これは、たいへん技術的にむずかしい専門分野仕事でございます。それと、ただいま企画調整局長からお話ございましたように、公害対策基本法で放射能に関しては、原子力基本法その他関係立法によるということで一応除外されている、こういうような事情もございまして、環境問題の非常に重要な問題ではございますが、実際問題として現在、私どもとしては、この問題についてほとんどタッチをしていない、こういう実情でございます。しかし、この問題をどういうふうに扱うかということは、いわば政府部内における仕事の配分の問題でございますので、そういった観点から検討いたすべきものと考えております。
  392. 上原康助

    ○上原委員 これは大臣来られてから、もし私の時間があればお尋ねしますが、いま官房長おっしゃるように、環境保全の問題公害問題が非常に重要な課題になってきているわけですが、環境庁機構強化の問題とかいろいろな面で、縦割りだけではどうしても公害問題というのは規制できないわけですね。皆さんの白書のうしろのほうにもありますように、たとえば各種の公害規制研究というのは、環境庁でやるというのはほとんどないと言っても言い過ぎではないほど、ごくわずかなことなんですね。この白書の三百三十三ページに「環境保全に関する調査研究」ということで、いろいろあげられております。しかし具体的に「国立試験研究機関公害防止等試験研究」というのは、ほとんどが厚生省とかあるいは農林省、通商産業省、こういうところで実際の技術的な面あるいは科学的な面の研究は進められているわけですね、予算の問題にしましても。そうしますと、環境庁は実際の公害規制といいましても、法律の運用とかそういう面はできたにしても、大かたはほかの役所が直剣にそのことをやっていただかないと、公害防止にはならないということになるわけですね、これを見ましても。ですから、そういった縦割りと横の連携というものを実効あらしめるためにどうするかということは、もっと考えなければいけない問題じゃないのか。  そういう意味では、環境庁のいまの機構の問題にしても、行管の窓口を借りて一部をやるのだというようなことではたしていいのかどうか。これは行管長官のお考えも聞きたいわけですが、こういうものがほんとうにそろわないと、いまいろいろ噴出してきているところの公害防止ということはできないことになるわけでしょう、ここにあげてある一つの例を見てみましても。そういう面については、環境庁はどうお考えなのか。また行管は、そういう面については、行政簡素化とかいろいろ定員の問題などあるでしょうが、少なくとも国民の立場からすると、環境問題、公害問題に対しては、もっと積極的に取り組む姿勢というものを求めていると思うのです、予算面にしましても、人員の面にしましても。そういった必要最小限度の今後の公害対策、あるいは環境庁機構というものをどうお考えなのか。これも本来ならば、大臣のほうから聞きたいことなんですが、あわせて聞かしておいていただきたいと思います。
  393. 信澤清

    信澤政府委員 御指摘のような問題につきましては、私どもも同じような認識を持っております。ただ、私どもがすべての仕事をやるということについては、これはできませんので、やはり各省それぞれの分野に応じて公害行政環境行政をやっていただく、私どもは、それを総合的に調整するという立場から、やや広い視野からものを申し上げる、こういうふうな仕事を進める、こういう考え方であろうと思います。この際、放射能の問題が落ちているということは、先ほど申し上げたような事情もございますので、やはり先生の御指摘のように検討すべき大きな課題の一つである、このように考えております。
  394. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 公害行政につきましても、確かに先生先ほど来御指摘のように、縦割り行政によります各省庁の各種の行政と、環境庁によります総合調整的な役割りというものは、両者相まって進むべきものでございまして、特に最近におきましては、環境庁の役割りが重視されるべきであることは、当然であると私ども考えております。その意味におきまして、環境庁につきましては、四十八年度におきまして、六十七名の定員増加、さらに四十九年度におきましては、九十八名の定員増加を行なう等、重点的に配意いたしているつもりでございまして、今後ともこの行政の重要性を勘案しながら、定員並びに機構の査定に当たっていきたいと考えている次第でございます。
  395. 上原康助

    ○上原委員 そこいらは節度と限界というのがあると思いますので、増員の問題あるいは予算のからみもあるでしょうが、どうもまだまだこの縦割りのなわ張りというものに目が奪われて、実際の環境保全の問題公害問題に取っ組む政府全体のそういった姿勢といいますか、人員確保、機構整備ということが第二次的にされているのではないかという感も受けますので、その点はひとつ、長官も今後とも御留意をいただいて、国民期待にこたえていただきたいと思います。  そこで、だいぶ増員されているのに、ぐちを言うわけじゃないのですが、沖繩のさっきの一人というのは、あまりにもおかしいと思いますので、具体的にこれから問題に触れます。文化庁いらしてますね。  一体、政府は、沖繩の公害問題あるいは文化財等の実態というものをどうつかんでおられるのか。先ほどの御答弁からすると、これは何か県が調査をして、国は指導、助言する程度だと言わんばかりのことなんですが、国がやるべきこともたくさんあると思います。そういう面で、どういうふうに沖繩の環境問題あるいは文化財その他の現在破壊されつつあるところのいろいろな名勝、史跡の保護というものを考えておられるのか、まず総体的なことをお聞かせいただきたいと思います。
  396. 古村澄一

    ○古村説明員 お答え申し上げます。  文化財の実態調査という中で一番むずかしいのは、埋蔵文化財の所在地の実態調査だと思います。これにつきましては、昭和四十八年度におきまして、沖繩県の実態調査というものを、県に対する国庫補助金という形で調査を終了いたしております。現在の段階は、それを整備している段階だということで、その他の天然記念物等の実態につきましては、過去二回にわたりまして、特別調査を現地に文化庁としていたしまして、しかるべく保護すべきものにつきましては、天然記念物に指定をするというふうなことをやってまいった次第でございます。
  397. 上原康助

    ○上原委員 具体的な数字は御存じですか。たとえば国が指定している有形文化財の数は幾つなのか。建造物、彫刻とかあるいは民俗資料の場合ですと、配置とかその他はどうなっているのか。天然記念物の史跡なり名勝地あるいは動植物、鉱物とか、そういった国が指定してあるのは一体どのぐらいあるのか。県が指定しているのはどのぐらいあるのか。指定されていない文化財はどのぐらいあるのか。そういう実態について御存じですか。
  398. 古村澄一

    ○古村説明員 史跡として指定をいたしておりますのは、沖繩県におきまして十八件、名勝は一件、天然記念物は十八件という指定状況でございます。  それから先ほど申し上げましたように、埋蔵文化財の数でございますが、これは昭和三十五年に一回調査をいたしたときに、四百数十カ所という把握をいたしたわけでございますが、全体的に国内の各県を見ましても、その当時に調査をいたした数より、いずれも新発見の遺跡がかなり見つかってくるという状況から、もう一回調査をやり直したという経緯がございまして、沖繩県におきましても、もう一回所在確認の調査をやり直しておりまして、先ほど申し上げましたように整理中でございますので、まだ県からの報告はいただいておりません。
  399. 上原康助

    ○上原委員 どうもそこらの実態が、まだ政府の立場で十分つかまれていないような感じがします。  そこで、時間がありませんから、私のほうで申し上げますが、国の指定は、先ほど私が言いました有形文化財、民俗資料あるいは記念物などで、現在の段階で大体五十六カ所、県の指定が九十四カ所、指定されてないのが五百七十九カ所もまだある、こういう多数にのぼっているわけですよ、これは、もちろんそれぞれ中身はいろいろありますが。しかも、私が強調しておきたいことは、本土だって、古墳にしても文化財というのは、いろいろ保護をしていかなければいけない、また復元もしていかなければいけない問題があるわけですが、施政権が分離をされて、戦場で一応失った、その後、県民の努力によって発掘されたり、いろいろな埋蔵文化財を含めて今日まできているわけですが、最近の開発ブームなりいろいろな面で、こういった残された文化財というものがどんどんこわされていきつつある。これに対しては、確かに地元の市町村なり県の努力も、県民自体の努力も必要かと思うのですが、国の立場においても、もう少し沖繩の持つ歴史的な文化的な意義ということ、民俗資料を含めて大事にしていくという姿勢をとっていただかなければいかないと思いますね。  同時に、文化財は指定をすれば、それで事足りるということじゃないんですよ。それにある程度補助をする、あるいは金をかけてりっぱに復元をしていく、保護をしていくというようなことまでを含めてやらないといかない問題があるということ。  そこで、こういう多くの文化財があるわけですが、具体的な例としてお尋ねをしたい。  最近、海洋博工事があって、この海洋博周辺地域にも多くの文化財があって、これをどう保護するかということも、いろいろ問題が出ているわけですね。たくさんは申し上げられませんが、一つの例として、特に最近問題になっております国道五十八号線を建設する場所で発見された、まあ発見というよりも前から発見をされておったのですが、保護する問題が出てきている。いわゆる恩納村の仲泊貝塚の問題なんです。これは三つの地域に分かれている。もう多くを申し上げませんが、これについては、県側なり県会においても、三千五百年からあるいは二千五百年前の貝塚である、当然保護すべきであるということで、国道迂回の問題、いろいろなのが出ているのですが、これに対しては建設省の、これは道路公団になるのかあるいは開発庁になるのかわかりませんが、これまで現地の出先の沖繩総合事務局も保護をしたい、あるいは県から、県知事を含めて保護すべきであるという県民の強い要求にこたえるような感を受けるのですが、公式の場合ではまだはっきりした政府の見解が出ておりません。この仲泊の貝塚保護についてどうお考えなのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  400. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 お答え申し上げます。  若干いきさつについて御説明させていただきたいと思いますが、いま御指摘の国道五十八号の貝塚は、実は先生おっしゃいました三つの貝塚のうちの、現地ではA、B、Cという三つの地点名で言っておりますが、B地点のことであるかと思います。  このB地点につきましては、実は国道の工事を始める前に、一昨年の十一月の段階で県の文化課のほうに文書で照会をいたしました。その段階では、その貝塚の所在はわかっておらなかったわけでございます。そこで私どもは、文化庁あるいは県の文化課と御相談申し上げながら、工事を進めておる段階でそういう貝塚が出てまいりましたものですから、出てまいりましたのは、ことしの一月でございますが、一月にそれを見つけてからすぐに工事をやめまして、どういう措置を講じたらいいかということで検討をしてまいったわけでございます。  ことしの三月八日から一カ月ほどの期間をかけまして、発掘調査をいたしまして、その結果、まあ調査資料を保存すればいいということの話であったわけですが、発掘する段階で御指摘のような、岩陰の住居あとというようなものが出てまいりましたり、あるいは石畳が出てまいりましたりということで、非常に貴重な史跡であるということがわかってまいりまして、文化庁のほうからも現地調査お願いし、保存すべきであるかどうかという御検討をいただきまして、現在保存の方向で県あるいは文化庁と内容を具体的に詰めておる段階でございます。
  401. 上原康助

    ○上原委員 保存の方向でといいますと、保存するということは、まだきまっていないということですか。具体的に道路をつくらなければいかぬわけでしょう。いまつくりつつあるわけですね。道路を山手のほうに回すのか、あるいは高架橋というか、橋みたいなやつで文化財の上のほうに乗っけるのか、海岸べりに迂回をするのか、この三つの案が出ているわけでしょう。どちらでやるか。  まず私が主張したいのは、ともかく経過はどうであろうが、あれだけの貝塚というものは保護しなければいかないわけですよ。海洋博ということであるならば、やはりそういった沖繩の遺跡というものを保護する、保存をする上で海洋博との関連をするのがより効果があるわけですから、それをするには、いまあなたがおっしゃるように、いろいろな問題が出てくる、道路を迂回するには十億ぐらいの予算もかさむのだ、これは具体的にどうするのか、こういった問題まで含めて明らかにしておいていただきたいと思います。
  402. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 いま御指摘の保存の方法でございますが、保存をするということになりますと、おっしゃるように現場を高架でまたぐか、あるいはトンネルでくぐるか、海岸に出るか、三つしか方法がないと思います。この道路は、来年七月からの海洋博を控えまして、それまでにもし間に合わないと、海洋博の陸上輸送に決定的な打撃を与えるという性質の道路でございますので、道路はどうしてもつくらなければいけない。そのためにはトンネルあるいは高架という方法は、先生御承知のように、現場が二十メートルから三十メートルの山で海岸に迫っておりますので、これは、とうてい工期的に不可能であるということでございますので、保存ということにつきましては、海に出るという方向で県といま協議をしておる段階でございます。
  403. 上原康助

    ○上原委員 文化庁は、調査に行って保存すべきだ、また、非常に貴重な文化財であるという評価もしておられるのですが、これをいわゆる文化財として国の指定に持っていって保存をしていく。ただ保存をするといっても、いろいろ保存の今後の管理の問題など含めて、県側とも話し合わなければいかないと思いますが、道路が時間的にたいへんせっぱ詰まっているということは理解をいたしますが、そこら辺については、文化庁としてはどうお考えなんですか。保存をさせるというたてまえでの話し合いを進めていかないと、もう時間的なゆとりがないから、やむを得ないということで、まさかこわしはしないとは思うのですが、それは、まだはっきりきまってはいないわけですか、政府部内では。県側はあくまで保存をすべきだという強い要求を出しているわけでしょう、県会を含めて、また文化財保護委員会も含めて。その点については、文化庁のお考えも聞かしていただきたいと思います。
  404. 古村澄一

    ○古村説明員 この貝塚遺跡につきましては、その重要性につきましては、先生十分御承知のことでございますので、あらためて申すまでもないと思います。したがいまして、文化庁といたしましては、その貝塚所在地の部分は、史跡に指定をいたして、今後、いずれにしても民有地もございますから、土地の公有化なり、あるいはあとの整備の事業を継続していく仕事になるだろうというふうに考えております。
  405. 上原康助

    ○上原委員 保存するわけですね。
  406. 古村澄一

    ○古村説明員 さようでございます。
  407. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、今度は開発庁と建設省の問題になる。道路が海岸べりに迂回をしていくということでは、八十キロの制限速度のほうを、カーブが大きくなるので六十キロに落とさなければいかない、あるいは予算がいま皆さんが見積もったものよりも、相当多く追加をしていかなければいかない、そういうことで、開発庁なり建設省、道路公団は、ちゅうちょをしておられるのか、その点も明確にしておいていただきたいと思います。  かりに、もしそういう具体的な問題が出たという場合は、これは県側との話し合いなり、いろいろあると思いますが、やはりあれだけの貝塚で、史跡ですから、国の立場においても、いま文化庁は保護をしたい、保存をしたいとはっきりおっしゃっているわけですから、もうためらうことなく、どういう方向で保存をしていくのか、どう道路の路線を変更していくのかを詰める段階だと私は思うのですが、これについて、もう一度明らかにしておいていただきたいと思います。
  408. 加瀬正藏

    ○加瀬委員 お答え申し上げます。  現在、海に出ていくという方向での検討をしておりまして、その場合に最も安直な方法ですと、先生おっしゃるように、カーブをちょっと急にとりまして、海に出る部分を少なくすれば、これはいいのでございますけれども、せっかくの国道事業を行なうわけでございますので、建設省と、道路構造令の一種三級という規格でつくっておりますので、その構造をなるべく落とさないように、安全な道路をつくりたいという方向で最大限努力しております。  そのために、事業費が増大するということにつきましては、現在、財政当局あるいは会計検査院に了解を得べく、私ども鋭意折衝しておりますが、事柄の性質上、財政当局も会計検査院も、非常に快く内容については説明を聴取していただいておるという段階でございます。
  409. 上原康助

    ○上原委員 要するに、保存をしていく、で、路線をどう変更するかについて、いま検討をしておるということで理解をしたいと思います。  それと、いま一例をあげましたが、先ほども言いましたように、いわゆる本部半島一帯の海洋博会場周辺にも相当の文化財なり史跡などがあるわけですね。そういった面も文化庁は実態を調査をしていただいて、できるだけそういったものは保存をしていくということでないといかないと思います。単に海洋博との関連だけでなくして、そのほかにもいろいろな貝塚というのが発見されているわけです。最近、沖繩市においても発見された。ここいらも県の教育庁なり文化課と十分連絡をとり合ってやらなければいかないと思います。  だから私は、こういうことをやるために、今度この法案改正というものも出て、沖繩に情報収集をやるために職員を置くということだと思うのですが、先ほど数字をおあげになっても、文化庁はあまり実態をつかんでいらっしゃらない。とてもじゃないが、一人では、一体お茶くみに行くのか何のために行くのかわからぬような話じゃないですか。そこいらについては、まだ沖繩は何かアメリカの占領地にあると思っているのか、南洋群島の一角で、日本本土と同じような感覚でとらえていないのじゃないかという、私のひがみかもしらぬが、どうもそういう感じがしないでもないのですが、この点については、善処をする必要があるのではないかと思いますが、どんなものでしょう。
  410. 保利茂

    保利国務大臣 一人であるということに非常に御不満のようでございますけれども、本土の各県には一人もないのでございます。沖繩は特別の事情で、ああいう遠隔の地でございますから、環境庁の要請もあって、三十人の中の一人を沖繩に配置する、こういうことなんです。そこを誤解のないようにお願いします。
  411. 上原康助

    ○上原委員 別に誤解しているわけじゃありませんが、遠隔の地である、そのことばわからぬでもないわけですが、いろいろな文化財がいま開発によって破壊をされている。その実態というものを十分掌握して、県側との情報交換なりいろいろなことをやるには、もう少し積極的な姿勢があっていいのではないかという感じがするわけです。その点、ほかの文化財の保護についても、十分実態を調査をしてやるということでいいですね、文化庁は。
  412. 古村澄一

    ○古村説明員 沖繩の文化財につきましては、沖繩県の教育委員会の中に文化課がございまして、文化課の陣容を年々充足してまいっております。そういった教育委員会と十分密接な連絡をとって実情の把握、今後の処置に遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えます。
  413. 上原康助

    ○上原委員 それと、米軍の基地内にも、あるいは自衛隊基地内にも相当の文化財がある。立ち入り調査ができないわけですね。直接はこれは施設庁との関係ですが、きょうは議論しませんが、こういうことについても、先ほど言いましたように、もっと横の連携をとってやるということを含めてやるならば、軍事基地、施設内にある文化財の調査、保護ということについても、外務省とか施設庁にただまかせるのではなくして、やはり文化庁が率先してやるという姿勢でないといけないですよ。そういう実態も全然おつかみになっていないわけでしょう。  これについても、いつか環境庁長官にも基地内の公害問題、被公害問題あるいは騒音規制にしましても、わが国の法律をストレートに適用していって規制をやれということを、私は強く申し上げたことがあるのですが、何かこのことについては施設庁だ、アメリカのことは外務省だということでは、保護されなくなりますので、こういうことについては、どういうお考えを持っているのか、積極的にやる御意思があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  414. 古村澄一

    ○古村説明員 基地内の文化財の実態調査につきましては、昨年から沖繩県の教育委員会協議を重ねておりまして、現在、沖繩県の教育委員会は、具体的な調査の方法等について、防衛施設庁との折衝の窓口であります沖繩県庁の中の総務部と十分協議中であるというふうに、実情を把握しているわけでございます。したがいまして、そういった県内で積極的に進められていることにつきましては、文化庁といたしまして、積極的に御協力を申し上げる点があれば、促進したいというふうに考えます。
  415. 上原康助

    ○上原委員 この点は、環境庁もいいですね。県に行ったって、やはり立ち入りの問題になりますと、県段階でできない面があるわけですよね。だから、もちろん第一義的には、行政面で自治体というのがやらなければいかぬということはわかりますが、事軍事施設を提供しているのは国なんです。政府なんですよ。ほとんどなされていないですよ。こういうことも、ただ県にまかすというようなことではなくして、文化庁なり環境庁全体として、施設庁とも十分相談をしていただいてやっていただくように、これも強く要求をしておきたいと思います。  そこで、時間がありませんのであと一つ公害問題ですが、これも道路公団がいま北部の縦貫道路の建設をしているわけですが、非常に公害を発生さしているわけですね。名護市の幸喜部落一帯の約三千坪の水田に、赤土とかいろんな砂とか、そういったものが流れ込んで被害を受けている。これについて、北部の縦貫道路を建設していく上において、どういう被害が出ているのか、また現に出ている被害に対して、開発庁なり建設省はどう対処をしていこうとしているのか、そこの実態なり、この被害に対しての補償は一体どうするのか。  私も一ぺん行ってみましたが、ひど過ぎますよ、実際問題として。もう保全も何もあったものではない。全く道路をつくるために、あとはがむしゃらにやっている。これは縦貫道路だけではなくして、ほとんどがそういう突貫工事で自然破壊、あまりにも無責任な態度じゃなかろうかと思いますが、これに対しては、どう対処していかれようとするのか、十分お答えをいただきたいと思います。
  416. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 建設省が来ておりませんので、私ども直接御答弁申し上げる立場にないかもしれませんが、私どもの知っている範囲でお答えさせていただきたいと思います。  道路公団が沖繩縦貫道路をつくっております段階で、ことに御指摘のような土砂の流出とかあるいは振動によりまして、近隣住家に被害を与えるというようなことがないように、あとう限りの注意はして工事をしておるというふうに私ども承っておりますが、不幸にしまして、そういう土砂の流出とかあるいは近隣の住家に対して被害を与えたというような場合には、当然のことでございますが、誠意を持ってその被害を補うという立場で努力するというふうに理解しております。
  417. 上原康助

    ○上原委員 いま一例をあげましたが、金武湾一帯も赤土流出で漁場が非常な被害を受けているわけです。まあ被害を与えたのだから、あとで何とか見舞い金なり補償なりをやればいいのじゃないかということではいかぬと思います。十分事前の対策というものを立てる。よごれた海というのは、そう簡単には戻りませんよ。水田だって、石こうやどろが流れ込んでいった場合にはそうです。そのことに対しては、地形なりその近辺の実態というものを十分つかんでいただいて、防止対策をやるということでなければいかないと思うのです。  これはしかも、四十七年六月六日の、「各種公共事業に係る環境保全対策についで」という閣議了解事項がある。その一項で、「国又は政府関係機関等は、道路、港湾、公有水面埋立等の各種公共事業を実施しようとするときは、計画の立案、工事の実施等に際し、当該公共事業の実施により公害の発生、自然環境の破壊等、環境保全上重大な支障をもたらすことのないよう今後いっそう留意するものとする。」、こういうことを政府みずから閣議で決定をして、市町村や関係道路公団にしても、業者に行政指導をやってこられた。しかし、政府がやっている実際の直轄工事というものは、現に公害をまき散らしているわけでしょう、損失を与えているわけですから。  これはお二人の大臣に、閣議でこういうことをおきめになっているわけですから、環境庁長官少し席をはずしておられましたが、沖繩の場合ですと、いま海洋博という大型工事でどんどん文化財や自然環境が破壊されている、そういったことをもう少し政府全体として、何が何でも来年の七月までにやらにゃいかぬからという、そういう開発一辺倒あるいは工事の遂行一辺倒ではなくして、そこに住んでいる人間に与えている被害、住民に与えている被害あるいは自然環境保全というものをどうするかということを、もう一度お考えになっていただきたい一と思いますが、これに対して環境庁長官という立場で、今後どういう方向で対処していかれょうとするのか、決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  418. 三木武夫

    三木国務大臣 私も沖繩を訪問しまして、美しい海岸線、サンゴ礁など、これは一ぺん破壊してしまえば、あとへ戻らないわけですから、そういう点で沖繩の環境保全というものに対しては、留意をいたしておるわけでありますが、一方において、沖繩は、沖繩の経済的発展をはかるために、各種の開発が必要であることも事実であります。開発をやれば、多少は環境に対して影響を持つわけでありますが、その影響というものを最小限度に食いとめなければならぬ、したがって、自然の環境保全上重要な地域に対しては、厳重な規制をかける、それ以外のところにおいても、できるだけ環境への影響を最小限度にとめたいと留意しておるわけであります。  そのために、御承知のように、西表島の原生林とかサンゴ礁などに対しては、これを国立公園に指定をしましたし、また沖繩本島においても、国定公園を二つばかりつくったわけであります。海洋博についても、道路を西海岸ですか、これを通ればいろいろな被害があるということで、東回りにするように計画を変えさせたのも、やはりわれわれの主張でもあったわけであります。  そういうことで今後、自然環境保全法が施行されますから、沖繩としても県条例を早くつくってもらいたい、そういうことで、開発は必要であるといっても、あの美しい自然環境保全するために、われわれとしては最大の努力を払っていきたい所存でございます。
  419. 上原康助

    ○上原委員 先ほどから私も県側のなすべき点、あるいは地域住民が努力していかなければいけない点も十分あるということを踏まえて、お尋ねもしておりますし、いままた長官の御答弁もあったわけですが、そういうふうに相まってやっていかなければいけないと思います。  そこで、現に開発も促進していかなければいけない、率直に申し上げて、ある程度の被害はやむを得ない面もあろうかと思いますが、しかし最小限度で食いとめていくという努力が、やはり行政であり政治でありますから、現にいろいろな面、公害なり被害というものが出ているわけですから、こういった閣議でおきめになった了解事項というものもあるわけですから、これなどももう一ぺん、海洋博工事なり、また本土企業なり、現地企業でもかまいませんが、そういった開発に伴って起きているいろいろな公害被害に対しては、再点検をして、政府としても十分な行政指導をやる、そういうことでやっていかれるという、いまのお立場はそうだというふうに受けとめていいわけですね。
  420. 三木武夫

    三木国務大臣 閣議でそういうふうな決定を行ないましたし、開発には、すべていま言ったようなことを前提に考えなければならぬということになっておるわけでありますから、各省においても、そういうことに心がけつつ開発をしておるわけでありますが、ことに環境保全というものに対して、第一義的な責任を持つ環境庁としては、なお一そうの注意をいたします。
  421. 上原康助

    ○上原委員 もう時間がやがて来ますので、せっかく海上保安庁来ていただいたのですが、これをやると、かなり時間がかかるような気がします。しかし、一言申し上げておきたいのは、いわゆる海洋汚染というのが最近、これは沖繩近海だけではありませんで、本土を含めて非常に激増してきていると言っても過言ではないと思います。こういう海上汚染というのは、ほとんどが油を運ぶタンカー船の公海における、あるいは領海内における排出によってもたらされている。これは海上保安庁から出ている白書においても明らかなんですね。こういうことに対しても、環境庁なり海上保安庁全体として、もっときびしい防止対策というものをやるべきだと思うのですが、具体的な面に触れられませんが、今後の御方針をお聞かせいただきたいと思います。
  422. 広瀬好宏

    ○広瀬説明員 お答えいたします。  海上保安庁が昭和四十八年一月から十二月までの間に、本邦周辺海域におきまして、把握いたしました海洋汚染発生件数が二千四百六十件となっております。これは四十六年に確認いたしました千六百二十一件に対し一・五倍、四十七年の二千二百八十三件に対し一・〇八倍、八%の増加になっておるわけでございます。近年、海洋汚染が増加する傾向にございますので、海上保安庁といたしましては、取り締まりの強化という点に重点を置いてまいりました。取り締まり体制、すなわち組織の拡充それから定員の増加、かつ取り締まりに必要な巡視船、航空機、そういった資機材の充実につとめてきたわけでございます。  昭和四十九年につきましては、新しく航空機を五機増強いたしまして、これを汚染の発生する重点海域に配置いたしまして、航空機と船艇とを組み合わせましたような形で、立体的な取り締まりを実施していくという形をとっているわけでございます。今後とも監視体制の強化につきましては、努力していく予定となっております。
  423. 上原康助

    ○上原委員 きょうのところ、こういう抽象論にしかなりませんが、しかし、油の海洋汚染の問題というのは、これは海洋法等の改正の問題があるわけですね、領海が十二海里になるのか三海里になるのかということ。特に外国船籍の場合にも問題があるわけですから、そういった全体的な点を含めて、これは環境庁も、海洋汚染防止については、ぜひひとつ積極的にやっていただきたいと思います。これは若干資料もありますので、いずれ議論をしたいと思います。  そこで最後に、先ほどもちょっと冒頭お尋ねしたのですが、三木長官にあらためてお聞かせいただきたいのですが、放射能の問題、いわゆる原潜寄港の問題というのも、これは環境問題と切っても切り離せない面があるわけですね。原潜寄港による放射能汚染の問題ですが、最近承るところによりますと、政府は、原潜寄港をいまは見合わせているのだが、再びそれを寄港させる方針を固めたという報道がなされております。もちろん、これは科学技術庁なり外務省の直接の所管かもしれませんが、海洋汚染の面あるいは環境保全という面からすると、環境庁という立場からも、そのまま科学技術庁や外務省にまかせていいという筋合いの問題でないと思います。  したがって、政府全体として、監視体制も十分整わない前に原潜寄港を再び認めるのかどうか、私たちは認めるべきてないと思うのです。これに対して、環境庁長官はどうお考えなのか、もしお考えがあれば、そのことを政府全体としてどういうふうに対処していかれるのか、長官のお答えをお聞かせいただきたいと思います。
  424. 三木武夫

    三木国務大臣 政府が腹をきめたということは、私はその腹は聞いていないわけでございますが、どこで腹をきめるのか聞いていないのですけれども、とにかくやはり環境汚染というものの中に、放射能の汚染というのは当然に入るわけでございますから、われわれも関心を持つことは当然でございます。したがって、原子力潜水艦の寄港というものは、世界的に見ましても、この放射能による汚染ということでの問題というものは、世界的にあまりないようであります。一応この放射能の汚染はないということが常識化しておるわけでありますが、日本の場合は、諸外国に比べましても、放射能の汚染というものに対しては、国民の関心も非常に強いわけでありますから、放射能汚染というようなものに対する監視体制、測定体制というものを十分整備さして、そして原子力潜水艦というものが寄港することによって、ことさらに国民に必要以上の不安をかり立てることのないようにすることが必要である、そういうことで、放射能の測定の機構というものは整備すべきものである、こういうふうに考えております。
  425. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますが、政府がどこで腹をきめたかまだお聞きになっていない、環境庁としても十分関心を持っておられる。しかも、多く申し上げないまでも原潜問題放射能問題では、相当国民の不信を買っているわけです、あえて申し上げないでも。そういう不信も解かれないままに、しかも監視体制も整わない状態で、再び寄港を認めるとなると、ますます国民の疑惑と不信というものを招くと思います。これは、ぜひ環境行政を担当する長官としても、また行管長官としても、政府全体で十分話し合っていただいて、国民の不信を、これ以上原潜問題で招かないように、そういうことを含めて対処をしていかれると受けとめていいですか、いまの長官のお答えは。
  426. 三木武夫

    三木国務大臣 これに対して、かなり不安に考えておる国民層があることは事実でありますから、放射能の汚染に対する測定の一つ機構というものを整備するということが必要であるし、そうして国民も不安なしに——原子力潜水艦を安保条約によって受け入れておるわけであります。したがって、それが日本だけは潜水艦が入ってこられないということでは、これは条約の義務も果たせないわけでありますから、そのためには国民の不安を解消しなければいけない、そのために放射能に対する測定機構というものは当然に整備しなければならぬ、それは大きな前提である、こう考えております。
  427. 上原康助

    ○上原委員 整備が整うまでは、やはり見合わすべきだというふうに理解していいですね。
  428. 三木武夫

    三木国務大臣 整備が整わない、そして国民に対しても説明がつかないような状態では、やはり原子力潜水艦の寄港というものを認めないというようなことになってはなんですが、それはアメリカ側とも、十分に話し合う必要があると考えております。
  429. 上原康助

    ○上原委員 これで終わります。
  430. 徳安實藏

    徳安委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  431. 徳安實藏

    徳安委員長 速記を始めて。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  432. 徳安實藏

    徳安委員長 ただいま委員長の手元に、小宮山重四郎君より本案に対する修正案が提出されております。
  433. 徳安實藏

    徳安委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山重四郎君。
  434. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 ただいま議題となりました環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げますと、国務大臣を長とする庁の内部部局である局の中に部を設置するには、国家行政組織法の改正を要するわけでありますが、現段階におきましては、本法案においてその改正を行なうことが適当であると考えまして、本修正案を提出した次第であります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  435. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  436. 徳安實藏

    徳安委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  437. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  438. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  439. 徳安實藏

    徳安委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」とよぶものあり〕 徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書ば附録に掲載〕      ————◇—————
  440. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、去る二十一日すでに質疑を終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  441. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  442. 徳安實藏

    徳安委員長 ただいま可決いたしました本案に対し、小宮山重四郎君外三名より自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山重四郎君。
  443. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同提案に係る恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。 恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について速やかに善処するよう要望する。  一 恩給法第二条ノ二について、その制定の趣旨にかんがみ、国家公務員の給与にスライドするようその制度化を図るとともに、一律アップ方式について、最近における現職公務員の給与改善の傾向を考慮して再検討を加えること。  一 恩給の改定時期の繰上げについては、年当初からの実施を目途として検討すること。  一 恩給の最低保障額については、最近の社会経済事情を考慮して、その大幅な引上げを図ること。  一 旧軍人に対する一時恩給に関しては、引き続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対しても支給の途を講ずること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じて、すでに明らかになっていることと存じます。よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  444. 徳安實藏

    徳安委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  445. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、小坂総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。小坂総務長官
  446. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重して検討してまいりたいと存じます。
  447. 徳安實藏

    徳安委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」〕と呼ぶ者あり〕
  448. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  449. 徳安實藏

    徳安委員長 次回は、明二十四日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後九時十二分散会