○安斉
政府委員 いま実例をおあげになりまして
お話しいただきますと、私もたいへんに胸が痛むものなのでございますけれ
ども、これは、いま
お話ありましたように、占領期間中に閣議決定をしたり、閣議了解をとって見舞い金を支給した、それから時限立法があり、また、それのかさ上げの
法律をつくって、そして見舞い金という形ではございますけれ
ども、それぞれの方にお見舞い申し上げたという経緯がございます。
それで、沖繩との
関係でございますけれ
ども、沖繩の場合には、確かにある
意味では本土よりも高い見舞い金が支払われたという部面もございます。しかし、これは
計算の立て方が違っておりまして、本土が一律であるというのに対して、沖繩が職業別といいますか、年齢別といいますか、それぞれの賃金をもとにして補償額、見舞い金というものをきめております
関係で、高い方も低い方も出るというのが実情でございます。
これは、技術的な面から申し上げますと、いまさかのぼって本土のそういう
方々をもう一度
考え直していった場合でも、当時の職業なり収入というものがどうであったかというようなものをつかまえることが、非常にむずかしい問題が
一つございます。それからもう
一つ一律に本土のを上げてしまうというような問題になりますと、沖繩での低い方がいらっしゃいますから、その差額がよけい増大してしまうという問題が起こります。もう一点は、これは本土だけの問題でございますけれ
ども、実はこの給付金は
昭和二十七年、要するに講和の発効直前のところの賃金をもとにして
計算したものでございまして、占領期間中の一番終期のところでとったわけでございます。その後講和になりましてからあと、このような同種の被害を受けました
方々は、地位協定に基づきまして正式に補償されております。しかし、その補償は、その年度その年度の賃金をもとにして
計算しておるわけでございますので、もし占領期間中の
方々の給付金を、時限を引き上げていくという形になりますと、占領終了直後からの実際に被害にあわれた、正式に補償金の出た方よりも上がるという結果が生ずるかもしれません。そういう
意味において、本土内でもまたアンバランスが生じないか。そうしますと、一度地位協定十八条で正規で補償した方をも、また何らかの方法を講じなければならぬという問題にも逢着するのではなかろうか。いろいろ技術的な問題といたしましては、そのようなむずかしさがございます。
そこで、いろいろ
考えたわけでございますけれ
ども、この種の給付金というものの性格は、やはり事故にあった
方々に対しての
一つの見舞い金といいますか、であって、本質的に長くスライドしていく性質のものではない、そうして、その打ち切られた形での補償があって、あとは一般的な国の、たとえば身体障害者に対する問題というような形でいくのが
行政の体系なのではなかろうかというふうに思う次第でございます。したがいまして、この問題だけを特に取り上げて、もう一度やり直すという問題は、非常に技術的にもむずかしいということになりますので、現状をとらまえての話ということになりますと、この
法律なりこの手当てといいますか、それからは角度を変えた問題になるのではなかろうかというふうに判断するわけでございます。
そういう
意味もありまして、昨年末、十二月の二十七日でございますが、
国会に対する請願がありまして、それに対する処理意見といたしましては、この給付金に関しては、
政府としては一応済んだという
考えであるということを御回答申し上げておるのでございまして、私
ども事務当局といたしましては、ちょっといまのところは、これをどうするという方法が見つからないというのが実情でございます。